1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十七日(火曜日)
午後三時三十一分開議
出席委員
委員長神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
理事 長谷川四郎君 理事 中崎 敏君
理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
大倉 三郎君 菅 太郎君
菅野和太郎君 椎名悦三郎君
篠田 弘作君 島村 一郎君
首藤 新八君 鈴木周次郎君
田中 角榮君 田中 龍夫君
中村庸一郎君 野田 武夫君
淵上房太郎君 前田 正男君
南 好雄君 伊藤卯四郎君
加藤 清二君 佐々木良作君
佐竹 新市君 多賀谷真稔君
田中 武夫君 田中 利勝君
帆足 計君 松尾トシ子君
松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局経済部
長) 坂根 哲夫君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(企業局長) 徳永 久次君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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四月十六日
日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法
律案(内閣提出第八八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
百貨店法案(永井勝次郎君外十二名提出、衆法
第三号)の撤回許可に関する件
百貨店法案(内閣提出第七〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/0
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。永井勝次郎君外十二名提出の百貨店法案は、発議者の全員から議長あて撤回の請求がありました。本案はすでに本委員会の議題となっておりますので、これを撤回するには衆議院規則第三十六条によりまして、委員会の許可を要するのであります。つきましては、本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/1
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002・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めます。よって撤回は許可するに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/2
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003・神田博
○神田委員長 内閣提出にかかる百貨店法案を議題といたし、審査を進めます。
ただいま本案に対し、小笠公韶君より自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかる修正案が提出されました。この際提出者の趣旨説明を求めます。小笠公韶君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/3
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004・小笠公韶
○小笠委員 ただいま議題になっております百貨店法案に対しまして、私は自由民主党及び日本社会党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたしたいと考えるのであります。
まず修正案文を朗読いたします。
百貨店法案の一部を次のように修、正する。
第五条第三項中「商工会議所の意見」の下に「並びに通商産業省令で定めるところにより申出をした利害関係のある事業者又はその団体及び参考人の意見」を加える。
第二十条中「六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」を「百万円以下の罰金に処する。」に改める。
第二十四条中「罰金刑」を「刑」に改める。
以上であります。
本修正案提出の理由につきましては、本委員会におきます本法案審議の過程におきましてすでに論議せられたところでありまして、その審議のあとを顧みますとき、百貨店法に基く通商産業大臣の許認可を行うに当りまして、百貨店審議会の意見を聞くことになっておるのでありますが、さらに百貨店審議会がその意見を定める場合には、各現地におきます関係者の意見を十分に聞いて、単に商工会議所のみの意見に限らずに、商工会議所のない地域も当然に想定されますので、ここに今申し上げましたように広く利害関係のある事業者またはその団体、また学識経験者もしくは消費者等の参考人の意見をも聞くことが、百貨店審議会の意見の公正を期する上において適切ではなかろうかと考えて、本修正案を提出いたした次第であります。
第二十条の罰則規定につきましては、これら経済立法におきます罰則事例におきましては、体刑と罰金刑の併科をするのが多くの事例でありますが、中には罰金刑のみとする立法例もないではないのであります。本百貨店法案におきましては、二十条の罰則を受くべき対象が相当大きな企業者でもありますので、この際体刑を科することをやめて、罰金刑のみにすることがかえって適当ではないかと考えるのであります。そういうような趣旨から体刑をやめまして、罰金刑にするということにいたしたのであります。
二十四条の「罰金刑」を「刑」に改めましたのは、字句の整理の結果であります。
以上申し上げましたような三点の修正動議を提出いたした次第であります。
簡単でありますが、以上修正案の理由を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/4
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005・神田博
○神田委員長 本修正案に対する質疑があればこれを許します。——なければ、百貨店法案並びにこれに対する修正案を一括して討論に付します。討論の通告がありますからこれを許します。首藤新八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/5
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006・首藤新八
○首藤委員 私はただいま議題となりました百貨店法案に対する小笠君の提案による修正案を除いた原案並びに修正案に対して、全面的に賛成の意を表したいと存ずるのであります。
終戦後十一年間における百貨店並びに小売商の営業の現状を見ますと、資金に恵まれた百貨店は、全く際限のない発展をいたしておりますのに反して、資金に恵まれないところの小売商は、日に日に凋落いたしつつあるのであります。もしこの現状を放任しておきますならば、日本全体の正常な経済の発展はおよそ期しがたいのみならず、あるいは不測の混乱をも免れない大きな禍根を残しておるのであります。よって私たちは数年来この大きな相違を来たしておるところの両者の関係を、何らかの方法において調整しなければ相ならぬ、そのためには百貨店法を制定することが不可欠の問題であるというふうに感じておったのでありますが、いろいろの事情から今日まで延びております。しかし今日、時日的には非常におそいうらみがありますけれども、とにもかくにも百貨店法案がここまでこぎつけましたことは、日本経済の前途を考えた場合、私たちは無条件にこれを賛成いたしたいと存ずるのであります。同時に百貨店法の運用は、事実上非常に困難な点が多々あると思いますが、通産当局は本法の立案の趣旨をよく体得されて、いやしくも趣旨に反するような行為のないことを私は特に要望いたす次第であります。けれども憲法のいわゆる自由という点から見ますと、本法案は決して好ましい法案ではありません。従って政府におきましては、一方においてはこれら小売業者の振興のために格段の努力を今後も続けて、なるべく短かい期間において本法案が必要のない環境に持っていくように努力され、そして自由を抑圧するところの本案は、その期に及んだならば廃案にするということを目途として、せっかく努力されんことを切に希望いたしまして、賛成の討論にかえたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/6
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007・神田博
○神田委員長 次に田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました修正案に賛成の意見を述べたいと思います。
しかしながら、われわれは心から満足な気持で賛成の意見を述べておるものではないことを冒頭に申し上げたいと思います。
社会党といたしましては、すでに二十二国会において、百貨店法制定の強い熱意をもちまして、社会党が百貨店法を提出いたしましたことは御承知の通りであります。それが最終日において砂糖法案等とからんでこれが審議未了、廃案になったことは、まことに遺憾のきわみであります。このことあるを予想いたしまして、百貨店業者の方はどんどんと新築、改築をいたしていることも御承知の通りであり、昨年一年間を見ましても、その増築面積は十万平方メートルと言われ、従来に比べて約六割の増築計画が持たれていると言われております。この際におきまして、われわれはあくまでわが党の提出いたしましたところの社会党案が、より完備せられたものであり、中小企業の育成保護のためにはより整備せられたものであるということを確信いたしているのでありますが、今われわれがこの案を強く主張いたしました場合には、今国会においてもまた百貨店法がスムーズに成立しないというような運命に立ち至るならば、これまた中小企業者に及ぼす影響も大きいと思いまして、われわれとしては心からではございませんが、この修正案に賛成をいたしまして、まず一応百貨店法を制定したい、こういう気持でございます。これはなぜかと申しますと、先ほど申しましたように、百貨店業者の増築新築がどんどん行われている状態において、またも一国会百貨店法の制定がおくれるとするならば、もはや百貨店法制定の意義がなくなるのではないか。このようにも考えられますので、とりあえず百貨店法を作っておいて、完備しない点は逐次完備していく方がいい、このように考えて賛成をいたしたわけでございます。先ほど委員長の発議によりまして、社会党案を撤回して本案に賛成することを決定いたしました際におけるわが社会党の委員の心中をお察し願いたいと思います。(「政岡」と呼ぶ者あり)泣いて馬謖を切ると申しますか、ただわれわれとしては、あくまでもわれわれが是なりと信じている百貨店法を成立させたいと思いますが、この際百貨店法制定の強い熱意を持っておられる中小企業者の方々の気持もよくわかりますので、ただいまどなたかのやじにもありましたが、政岡の気持とでも申しますか、わざわざ自分たちが育てようとして、自分たちの生んだ子供を殺して、他人の子供をここに育て上げたという気持をお察し願いたいと思います。(拍手)
つきましては、先日私が通産大臣に質問した際に通産大臣は、百貨店法が通ったからといって直ちに中小小売業者が救われるものでない、こういう御答弁をなされたのでありますが、このことはよく通産大臣おわかりのことでありますので、どうぞそういう気持を持って、百貨店法ができましても、それに伴ういろいろの施設を中小企業振興のために作っていただき、また考えていただきたいと思うわけでございます。
最後に私この際一言申し上げておきたいのは、この修正案の両党の間に修正意見の交換の際に、一部の官僚の方からとやかくの意見が出たということであります。私は、国会において立法をし、これを修正をし、いろいろすることはわれわれの権限に属していると考えております。それに対して、われわれが作ったことについてどうかという質問でもすれば意見を述べるのはともかくとして、その折衝中においてとやかく意見を述べることは、はなはだ私は遺憾だと思います。そういう考え方を持っておられる官僚がいる限りは、なお一そう強い法律を必要とするのでありますが、先ほど申しましたような理由によりまして、ともかく生もう、こういう気持で本修正案に賛成をいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/8
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009・神田博
○神田委員長 これにて討論は終局いたしました。
次に採決に入りますが、まず百貨店法案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/9
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010・神田博
○神田委員長 起立総員。よって本修正案は可決せられました。
次に修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/10
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011・神田博
○神田委員長 起立総員。よって本案は小笠公韶君提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
ただいま松尾トシ子君より自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる本案に対する附帯決議案が提出されました。まず提出者より趣旨の説明を求めます。松尾トシ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/11
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012・松尾トシ子
○松尾委員 ただいま本委員会を通過いたしました百貨店法に対しまして、両党共同提案で附帯決議を提出いたします。案文を朗読いたします。
百貨店法案に対する附帯決議
最近における百貨店業の異常な進出は、小売業者の公正な競争を阻害し、中小小売業を圧迫し、その経営を困難に陥らしめている。
政府は、本法の運用に当つては、開業又は店舗拡張等の制限の外、左記事項につき、善処せられたい
記
一、政府は、百貨店と小売商との関係の現状に鑑み、中小小売業の健全な発達を図るため、本法第九条の規定の機動的運用に意を用いるとともに、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による不公正競争の取締りを充分に活用し、両々相俟って、遺憾なき行政措置を講ずること。
政府は、右のため、公正取引委員会の活動を、積極的ならしめるよう、必要な措置を講ずること。
二、政府は、国、地方公共団体及び公共企業体の所有する土地又は施設を利用して、百貨店業を営むことを、原則として許可しないこと。但し、地方都市等において、中小小売業者に与える影響の少い場合は、この限りでない。
三、政府は、本法附則第三条の規定の運用については、本法制定の趣旨に鑑み、慎重に取扱うこと。
以上でございます。この趣旨については別に説明をする必要もないと思いますが、中小商工業者の保護につきましてすでに公取において独占禁止法の精神に基き、これを運用して活動しておられますけれども、最近の情勢を見ますと、公取委はだんだんと弱体化しておりますので、この際本法の施行に当りましては至急に必要な陣容の整備を行うとともに、また現在本法施行を見越してデパートの建設が非常に多く行われております点などは慎重に取り扱うことは申すまでもありません。その他の事項につきましては委員会の経過にかんがみまして説明を省略いたしますが、全員の御賛成のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/12
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013・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。本案に松尾トシ子君御提案の通り附帯決議を付するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/13
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014・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めます。よって本案には松尾トシ子君御提案の通り附帯決議を付することに決しました。
この際通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/14
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015・石橋湛山
○石橋国務大臣 百貨店法が当委員会において、ことに社会党の非常な大局に立った観点から、特に同党提案が撤回されまして、政府提案が修正のしただいま可決されましたことを厚く御礼を申し上げますと同時に、御同慶にたえません。なおただいま決定されました附帯決議については、むろん私どもも御趣旨に沿いまして運用をいたすつもりでございます。ただ先ほど社会党代表の賛成演説の中にもありましたように、小売商業——すべてそうでありますが、ことに小売商業は今までの歴史を見ましても、単に百貨店を押えるというようなことだけでは、とてもこれは今後なかなかうまくいかないのであります。政府といたしましても何とか日本のこの多数の人口を収容する小売商業が育成され、これが相当の経済活動の行われるように希望いたしまして、せいぜい努力いたすつもりでございます。しかしこれは政府だけの力でもいかぬと思います。どうぞ一つ各党こぞって側面から小売商業者の健全な育成が行われるように、皆さんの御協力下さらんことをあわせてお願いいたしまして私のあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/15
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016・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/16
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017・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。次会は明十八日午前十時より開会することにいたします。
午後三時五十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03419560417/17
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