1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十五日(水曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 鹿野 彦吉君 理事 小平 久雄君
理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君
理事 中崎 敏君 理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
宇田 耕一君 大倉 三郎君
菅 太郎君 菅野和太郎君
椎名悦三郎君 島村 一郎君
鈴木周次郎君 田中 角榮君
中村庸一郎君 野田 武夫君
南 好雄君 山本 勝市君
伊藤卯四郎君 加藤 清二君
佐々木良作君 佐竹 新市君
多賀谷真稔君 田中 武夫君
帆足 計君 松尾トシ子君
松平 忠久君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局経済部
長) 坂根 哲夫君
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
中小企業庁長官 佐久 洋君
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 秋山 武夫君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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四月二十四日
繊維工業設備臨時措置法制定反対にする請願(
帆足計君紹介)(第二〇五八号)
同(横山利秋君紹介)(第二〇五九)
同(平岡忠次郎君紹介)(第二〇六〇)
同(春日一幸君紹介)(第二〇六一)
同(加藤清二君紹介)(第二〇六二)
同(田中武夫君紹介)(第二〇六三)
同(永井勝次郎君紹介)(第二〇六四)
同(多賀谷真稔君紹介)(第二〇六五)
同(松原喜之次君紹介)(第二〇六六)
同(伊藤好道君紹介)(第二〇六七)
同(勝間田清一君紹介)(第二〇六八)
同(正木清君紹介)(第二〇六九号)
同(赤松勇君紹介)(第二〇七〇号)
同(淺沼稻次郎君紹介)(第二〇七一)
同(中村高一君紹介)(第二〇七二)
同(井上良二君紹介)(第二〇七三)
同(横井太郎君紹介)(第二〇九六号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第二〇九七号)
同(加藤鐐五郎君紹介)(第二〇九八)
木造船の中共向輸出解禁に関する請願(原捨思
君紹介)(第二一三六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
下請代金支払遅延等防止法案(内閣提出第一三
三号)
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
下請代金支払遅延等防止法案を議題とし、審査を進めます。
質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/1
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002・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず政務次官にお尋ねいたしますが、実は百貨店法の場合に、われわれは百貨店法の法案の中に単なる新設の制限だけでなくて、営業方法の制限について、あるいは仕入れ先との取引の規制について掲げておる。ところが政府案にはありませんでした。そのない根拠は何かと言いましたところが、それは独禁法にあるからということで逃げられたわけです。ところがこの下請代金支払遅延等防止法案は、いわば独禁法の中でこれだけ特別に出してある。いわば独禁法と競合といいますか、あるいは補完的法律といいますか、そういう関係にある。百貨店法の場合は、これは独禁法の範囲内であるからといって逃げられておる。そうしてこの下請代金の方では独禁法からむしろ抽出してこの分を法案になさっておる。これはどうも政府の行き方としてはきわめて矛盾をした行き方ではないか、かように考えるわけですが、政府はどういうようにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/2
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003・川野芳滿
○川野政府委員 御承知のように百貨店法は実は通産省所管として出した法律であります。そこで実はいろいろ検討いたしたのでありますが、前回にも御答弁申し上げましたように、百貨店は信用を重んずるところでございますので、勧告いたしましても、これによって目的を達するであろう、こういう観点から実は独禁法によって取り締れる面は独禁法にゆだねるということにいたしたような次第でございますが、今回の法律案にはなぜしからばただいま仰せのように規定を設けたかというお尋ねでございますが、この点につきましては、所管が公正取引委員会の方で出された法律案でありますから、どうぞ一つ公正取引委員会の方にお尋ねを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/3
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004・多賀谷真稔
○多賀谷委員 なるほど政務次官は通産省の政務次官ですけれども、内閣提出の議案でございますから、政府としてお答え願いたいと思う。どうも通産省と公取の、係でむしろ非常に矛盾した行き方をなさっておる、こういう点を考えておるわけであります。この百貨店法におきましては、今申しました仕入れ先との規制の問題、あるいは営業の方法の規制に関していろいろ公取法違反の問題が従来指摘され、そうしていまだそれがわれわれとしては公取が考えておるようには十分行われていない、かように考えておったのであります。ところが百貨店は信用を重んずるからそれは勧告でよかろう、何も法律に書く必要はないと言われますけれども、この下請代金だって勧告ですよ。この法案だって勧告以外には何ものもない。最後の処罰は独禁法でいくのですから、私はその点やはり矛盾をしていはしないか、こういうように考えるわけです。この下請代金支払い遅延防止に関する法律案というのもやはり主体は勧告であります、勧告以外には何ものもない。それで勧告を聞かなかった場合ということになりますと、また独禁法に返っていくのですから、やはり同じです。ですから、同じ政府が同じ時分に出された法案で取扱いが違うというのは、どうも解せないのですが、もう一度御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/4
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005・川野芳滿
○川野政府委員 目的地に達するのに、直接目的地に達する場合もありますし、途中で一回休憩して目的地に達する場合もあろうかと考えます。百貨店法は一回休憩して目的地に達するというような方法をとったのでございまして、百貨店法で目的を達するならば、途中下車のところで目的を達するならば先まで行かぬでよろしい、こういうことになろうかと考えますので、その点で一つ御了承をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/5
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006・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私たちは、この法案、すなわち下請代金支払遅延等防止法案に賛成ですから、あえてあまり突き詰めると、じゃこれは撤回いたしましょうと言われると困るので、あまり強く質問をいたしませんが、しかし同じ時期に同じような法案が出ておるから次には必ず質問をされることはわかっておるのですから、あまりおかしな答弁をされるとあとでお困りになるだろうと思う。百貨店法を出されたときはなぜこれを入れないかと言うと、いやこれは独禁法の範囲だ、独禁法でやるからこれは入れなくてもいいのだ、こうお逃げになっておる。そうすると下請代金の方の法律は、これは独禁法のいわば補完的な法律ですから同じようなことが書いてある。だから矛盾しておるから、もう質問があることはわかっておりますので、十分御考慮あって一つ答弁をしてもらいたい。それ以上に、法案を提出するときはやはりそういう関連も考えて法案の提出をなさることを希望いたしまして、私は次の質問に移ります。
まず公取に質問いたしますけれども、下請の概念といいますか、これはきわめてばくとしておるのです。それでこの法案の中には委託という文句が書かれてある。ですからこの委託というのは一体どういう意味であるか、まずお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/6
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007・横田正俊
○横田政府委員 この法案では二条にございますように、下請事業者というのは、大体製造委託、修理委託、——製造には加工も含むのでございますが、製造委託、修理委託という言葉を使いまして定義を下しておるわけでございます。この委託には別に特別な意味はないのでございまして、要するに製造なり修理を注文する。ただ昨日も申し上げましたように、普通の作ってあるものを買うというのと違いまして、やはりそこに製造を委託し、あるいは修理を委託するということになりますと、おのずから注文を出す方の、委託をする方の側のいろいろな条件がございまして、その意向に基いて製造なり修理が行われるというところに一つの特徴が見られるものと思います。それ以上に特別な意味はないように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/7
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008・多賀谷真稔
○多賀谷委員 委託というのはどういう意味なんですか。法律的に委託という言葉はどういうように使うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/8
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009・横田正俊
○横田政府委員 要するに製造なり修理を頼むという関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/9
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010・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうしますと、この委託というのは、法律上は請負に入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/10
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011・横田正俊
○横田政府委員 大体請負とお考えいただいてよろしゅうございますが、ただ御承知のように民法の請負あるいは売買契約、あるいはその中間に製作物の製造委託、製作を委託するという、ドイツ語のウエルク・リーフェルングス・フェルトラーグで、これは学者もいろいろ委託になるか売買になるかということを論じておりますが、この法案では今申しましたウエルク・リーフェルングス・フェルトラーグというものはもちろん入るわけでございます。単純なる売買より多少違ったものが含まれておりますのは、みなこちらに入るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/11
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012・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は民法の請負には委託という文句は使ってなくて、民法の委任の項に委託という文句を使っておる。もちろん委託という文句はこの法律以外にも日本の法律にはいろいろ出てきておりますけれども、きわめて範囲をはっきりしなければならぬ、概念をはっきりしなければならぬ場合の文句でありますから、私はあえて聞いておるわけです。普通委託と言われておりましても、その委託という概念はばくとしておって、何も委託という定義を吟味する必要のない場合ならあまり文句を言いませんけれども、この場合にはいわゆる脱法の行為もできますし、あるいはその下請というものがどういうものだという概念をきめる場合に委託ということがきわめて重要なことでありますので、あえて聞いておるわけです。そこで、民法の請負の項には委託という文句は使ってなくて、委任の項に委託という文句を使っておる。そういうわけで、この委託という文句はきわめて間違いやすい文句である、従ってこの場合に使うときには、あるいは誤解を受けるのじゃなかろうか、こういう危惧を持つものですが、もう少し明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/12
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013・横田正俊
○横田政府委員 あるいは他の言葉でもう少し適当なものがございますれば、それでもいいわけでございますが、私どもは一応研究をいたしまして、普通委託という言葉は使われておることでもございますし、大体これで十分わかるのじゃないかということでこの言葉を用いたわけでございます。もちろんこの定義のところは非常にできがいいと自慢するほどのものではございませんが、法制局でも非常にこまかく練ってもらいまして、法制局の意向が相当これに入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/13
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014・多賀谷真稔
○多賀谷委員 形式的に言いますと、あるいは売買というような場合になるかもしれないけれども、対取引においてこの売買のうちで納める方の側はきわめて自主性が乏しい。そして相手方の事業者に対して依存度が非常に高い、こういうような場合にはやはり下請に見ていただきたい。単にこれは形式的に売買であるとか請負であるとかいうことでなくて、法の精神からいうと、一方の納入を受ける方の側はきわめて経済的に有利な立場である、一方納める方は弱者の立場にある、こういう実体的な事実関係の上に立ってこの法律というものが今提案されておるのだろうと私は思うのです。そこで私はもう少し実体的なそういう関係を入れる必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、委員長はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/14
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015・横田正俊
○横田政府委員 純然たる売買にまでこれを広げて参りますと、非常に範囲が広まりまして、いわゆる下請ということからだんだん遠ざかって参ります。もちろんそういう場合にも、いわゆる経済上の地位より、取引上の地位が優越しておることを理由にして、不当な取引をするという概念には、はまるものもあるわけでございますが、一応この法案は下請の問題を扱うという建前でできておりますので、そういうあらゆるものをこれに持ち込むということはどうかということで、結局製造委託、修理委託ということに範囲をきめたわけでございます。ただしそれだけのことでございまして、先日参考人のどなたかが言っておられましたが、一番困るのはその親しか使わない特殊な品物を注文を受けて作って持っていっても、それをはねられるという場合に非常に困る、ほかに持っていけない、つまり融通性のないものを作っておる、そういうのが一番下請の問題として困る、そういうお話でございましたが、私どもは融通性のあるなしということは、それほど規定の上では、もちろん表には出ておりませんことでございますし、それまではっきりしたものでなくていいというふうに考えておりますが、単にできておりますものを注文して買うというような普通の純然たる売買契約というものまで、これで規律して参りますと、相当範囲が広まって参りますので、そこまでは少しどうかということで、大体製造委託、修理委託の実質を備えておる、かりに契約上は脱法的に売買というような名前を契約書にうたいましても、そういうことにはとらわれずに、実質をもって判定して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/15
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016・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この法律の運用に当っては、私は実体をとらえて一つ施行に対する監督をしていただきたいと思うのです。あまり形式的に走りますと、法律の効果が全く薄れるわけでありまして、その点を要望しておきます。
それから親事業者と下請事業者の関係が、この法律ではあくまで下請というのは千万円以下の法人であって、その対取引が、相手方が千万円以上である、この場合のみこの法律を適用するのだ、こういう意図ですか、まずそれをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/16
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017・横田正俊
○横田政府委員 この法律の建前といたしましては、親企業は千万円をこえるもの、下請は千万円以下ということで、一応こういうワクができております以上は、この法律の表向きの適用といたしましては、親企業がそれに達せず、あるいは子の方がその資本金をこえます場合は、一応この法律の対象外にはなるわけでございます。しかし大体昨日も申し上げましたように、今までの経験から考えまして、大体この辺で今問題にされております下請問題の大部分と申しますか、ほとんどの部分が救済せられるというふうに考えまして、一応この線が引かれたわけでございます。これをこえあるいはこれに達しませんものにつきましては、表向きはこの法律の適用はないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/17
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018・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先ほどの下請の概念とは違うのですが、この場合、表向きというが、裏口があるのですか。この法律は、いかに弾力的に運用しようと思っても、どうにも弾力性を持つわけにはいかないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/18
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019・横田正俊
○横田政府委員 それはだんだんこまかく申し上げますと、現在いろいろやっておりますことは、実はこの法律がございませんので、裏に独占禁止法を持っておりまして、実際上の取扱いとしまして大体この法律のねらっておるようなことをやっているわけであります。もちろんそこには帳簿を備えさせるとか、あるいは文書を交付させるとか、そういうことはなかなかはっきりしないわけではございますが、要するに勧告と実施と、同じことは今すでにやっておるわけであります。そういう程度のことは今後も、あるいはこの法律の定義にぴったりとはまらないものにつきましても、その程度のことはもちろんできるわけでございますし、われわれもそういうものは少いと思いますが、ありますれはやるつもりでおります。さらにそういうものの中で、きわめてもし悪質のものがあるといたしますれば、やはりそこには独禁法が、この法案の裏には常に独禁法が潜在的にあるのであるということを昨日申し上げましたが、この独禁法を発動させるというような場合もあるいは彫るかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/19
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020・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、こういうように理解してよろしいですか。独禁法の中で千万円以上の親企業者と千万円以下の下請業者との間の不当取引についてはこの法律でいくけれども、そのほかの下請関係においては非常な不当な取引が行われた場合には独禁法でいく、こういうように理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/20
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021・横田正俊
○横田政府委員 最後にはそういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/21
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022・多賀谷真稔
○多賀谷委員 最後にはというのでなくて、やはり最後でなくてもそういうようにいくのだろうと思うのです。
次に私は質問しておきますが、「下請代金を遅滞なく支払わないこと。」すなわち第四条の第二月でありますが、この下請代金というのはどういうことであるか、それから下請代金を遅滞なく支払わない、こういうのはどういうことであるか、すなわち手形はいつ支払いとみなされるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/22
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023・横田正俊
○横田政府委員 「下講代金」は二条の五項で一応の定義が掲げてございまして、要するに「親事業者が製造委託又は修理委託をした場合に下請事業者の給付に対し支払うべき代金」ということになるわけでありまして、「受領した後、下請代金を遅滞なく支払わないこと。」これは理想的に申しますれば、現金で適当な期間内に払ってもらえばいいわけでございますが、しかし取引の実情は御承知の通りでございまして、これを現金でなければならぬということは、これは実情に沿わないことでございまして、もちろん手形による支払いということも、この遅滞なく支払うということになるわけでございます。しかしこの手形は何でもいいということではないのでございまして、これはかつて認定基準をきめました場合にもそのことをうたってあるわけでございますが、要するに正規の金融機関において直ちにその手形を現金化し得る、そういう手形の交付があった場合には、大体ここにいう支払いというふうに認める。今まで再々申し上げました二百十日とかそれ以上のような非常に不当に長いものは、そういう意味におきまして、ここにいう支払いにそういうものを出しましても、支払いをしたことにならない。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/23
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024・多賀谷真稔
○多賀谷委員 なかなかむずかしい解釈をなさっているようですが、私はむしろ、支払う支払わないというのは、現金化ができるかどうかだ、こういうふうに解釈したら割合にはっきりするのではなかろうかと思う。むしろ遅滞なくという時期はいつかといえば、それは現金化だ、こういうこと。もちろん本人が手形を持っておって割引がされないなら、それは本人の勝手ですけれども、私は遅滞なく支払うというその時期は何かというと、それは現金化だ、こういうように解釈すべきではなかろうか、かように考えるわけです。どうも手形を支払うということは、一応この支払いには入るのだ、しかしその手形は正規の金融機関において割り引き得る状態になくてはならぬ、こういうややこしい解釈をなさるよりも、支払いというのは現金化だ、こういうふうにお考えになったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/24
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025・横田正俊
○横田政府委員 大体、言い方は逆でございますが、おっしゃったことと私の申し上げましたことは、同じことのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/25
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026・多賀谷真稔
○多賀谷委員 趣旨は同じなら、私はこういう際ですから、この議事録は今後の運用の基準になるのですから、はっきりしておきたいと思うのです。われわれせっかく法律を作って、それが重大な点において審議もしておらない、意見が対立しているということでは困りますので、私はあえて聞いているのですが、それでは手形を一回発行したら、もうそれは支払いに入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/26
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027・横田正俊
○横田政府委員 これは結局、あるいは最後までやってみないとわからぬという面があるかもしれませんが、先ほど申しましたように、これが現金化し得るものでございますれば、それで一応よろしい——しかし現金化し得るかどうかは、いよいよ現金になってみなければわからぬという論がございますが、そういう意味におきまして、確実に現金化し得るものということがはっきりしておりますれば、そのときに支払いがあったというふうに見て差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ですから支払いというものは、現金化し得る状態にあれば支払いと認めていい、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/28
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029・横田正俊
○横田政府委員 それでよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/29
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030・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に質問いたします。実は委員の方からしばしば質問をなさっております罰則の問題でありますが、本法案の罰則は単なる本法案実施に伴うところの検査とか、あるいは報告を求めた場合の罰則で、いろいろ勧告しても聞かなかったという場合には独禁法の罰則で行くんだ、これは私は法形式としては一応やむを得ないと考えるのです。しかし今までの委員長の答弁を聞いておりますと、何か勧告をしてそれを聞かなかった、しかしその場合に、悪質であったときに初めて罰則の適用があるんだ、こういうことで、勧告をどうしても聞かなかったというのと独禁法違反になるという間には、かなりの空間があるように私は考えるのです。要するに、この法律によって勧告をしたけれども勧告を聞かなかった、こういう場合と独禁法違反としての罰則を適用するという場合には、かなり間がある、こういうような印象を受けるわけですが、そういうことですか。それとも勧告をしたけれども、勧告を聞かなかったという場合には、直ちに一応の罰則の対象になり得る行為になるのですか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/30
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031・横田正俊
○横田政府委員 この点も、私の説明が非常に不十分であったかと存じますが、要するに、この独禁法の適用ということは常に背後にございまして、ただその前提といたしまして、もしこの勧告で問題がむしろすみやかに、かつ下請業者のために有利に解決し得るという見通しがございますれば、この勧告に持っていくわけでございます。しかしその見込みか悪質——悪質と申しますものは、むしろそちらの場合を考えておりまして、最初からとうてい勧告どころではないというようなものにつきましては、直ちに独禁法を適用する場合もあり得るわけでございます。これは必ず勧告という手続を必要的に前置するという建前をとっておらないのはそのためでございます。
それから勧告を聞きませんものにつきましては、おそらく独禁法を適用して、成規の手続に移る、こういう段階になると思います。従いまして、勧告に従わなかったもののうち、特に悪質のものを独禁法にかけるという趣旨では実はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/31
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032・佐竹新市
○佐竹(新)委員 ちょっと関連。今の多賀谷君の質問はきわめて重要な質問だと思うのですが、勧告をして勧告を聞かなかったなれば、直ちにこれが独禁法の適用の対象となるのであるか、最後のぎりぎりまでいって、それで悪質なものを独禁法の対象とするのであるかということは、今多賀谷君の言われたように非常に間があるわけです。こういう法律を作るときに、ややともすると国会において決議しても、あるいは委員会で附帯決議をつけても、実際の法の運用に当ってはこれが守られた事実が今までない。ですから、こういうことはここではっきりしておかないと、今度行政事務の執行に当って、せっかく法律を作っても、公取の問題に出たときにそれがあいまいになって、つじつまが合わないという結果になると非常に困りますので、そこをもう一度、勧告をしたら直ちにこれが独禁法の処置の対象になるのであるかどうかということを明確に答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/32
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033・横田正俊
○横田政府委員 勧告に従わなかったものに対して、原則として独禁法を適用することになるということは先ほど申し上げた通りでございます。ただこの独禁法の適用と申しますものは、不公正な取引方法について、実はこのこと自体に対しては罰則がないのでございまして、これは審決をもってある行為を命じて、その命令に違反した場合に初めて、先ほどですか申し上げました体刑までございます罰則が規定してございますので、従いまして、勧告に従わなかったときにとり得る措置というのは、もう一ぺん成規の手続を経まして審判をいたしまして、審決という形で支払いを命ずる、あるいは減額いたしましたものをまた払わせるというようなことになるかと思いますが、そういうのがこの勧告に従わなかったときに次にとれる措置、こういうことになるわけでございます。ただ場合によりますと、勧告に従わなかったその後にいろいろ会社の特別な事情ができて参りまして、それこそ会社更生というような問題に発展してあるいは破産してしまうということになりますと、これはもう公取としての支払いを命ずるということも無意味になりますので、そういうきわめて特殊な場合にはあるいは審判を開かないことがあるかもしれませんが、しかし原則として、勧告に従わなかったものに対しては直ちに成規の手続に移るというふうにお考えいただいていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/33
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034・佐竹新市
○佐竹(新)委員 この法案は、いわゆる下請代金の遅延する場合に重要なウエートがかかっておるわけです。しかし今の委員長の説明によると、結局手形が不払いになったら訴訟を起して裁判でとると同じような結果になってしまう。それならこの法律というものはあっても何ら意味をなさないことになる。そういうふうに長い日にちを要して受け取るのだったら何もこういう法律を作る必要がない。そこに公取の強い勧告の意思表示があって、そして事を早急に運ぶのでなければ意味がないが、この点に対してはどうお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/34
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035・横田正俊
○横田政府委員 いろいろこまかいことを申し上げましてかえっておわかりにくかったかと思いますが、先ほどから申しておりますように、勧告に従わなかった場合には公正取引委員会で独禁法の規定に基く手続をとるというふうにお考えいただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は勧告に従わなかったという場合には何か独禁法に移さないで、その前に、罰則と言えば語弊がありますけれども、あるいは何らかの措置がとり得るんじゃなかろうか。全部独禁法に移してまた審判をやって、それから罰則の適用を受ける、こういうことでなくても、勧告を聞かなかったということ自体で何か独禁法以外の処置を立法論としてやり得るのじゃなかろうか、こういうことを考えるわけです。ですから、せっかくこの法律ができておるのですから、あるいは独禁法を一部適用除外をする、こういう面があってしかるべきではなかろうか、こういうふうにも考えるわけです。そこで勧告があって、その勧告を聞かなかったということに対して何らか法律で差しとめ命令、これは払わぬのに差しとめ命令というわけにいかぬでしょうが、何かそこに行政的な罰則処置がとられてしかるべきではなかろうか、こういうように考えるわけですが、立法論としてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/36
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037・横田正俊
○横田政府委員 この法案においては、勧告に従わなかった場合に公表という一つの方法を用意しておるわけでございます。これは、公表などをおそれないような企業にとってはあるいはあまり効果がないとおっしゃるかもしれませんが、これは実情から考えまして、この公表ということは相当な痛い措置ではなかろうかと思います。この公表ということとあわせて先ほどの独禁法の適用、これを適当に運用してもらうということによって、むしろ勧告に従わないというようなおもしろくない事態が生じないようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうもこの法律は前進しておるようでありますけれども、よく吟味してみると全然前進していない。要するに独禁法で今までおやりになっておることを法律化されただけです。法律として前進した法律とは、どうも考えられない。なるほど新しい法律を作るのですから、私はその新しい法律を特に作って、独禁法で今までおやりになっておることを特にこのように掲げてこれでいくのだということを明らかにされている点は確かに効果があると思うのですが、いろいろ聞いておると、結局独禁法で今までおやりになった政令あるいはその他の問題を抜き出してここに掲げられておる、こういうことしか私はその発展的な進歩的な意義を見出すわけにいかないのです。単なる体刑とかあるいは罰金というような罰則をつける前に、長期にわたるこういう、取引関係を放置するわけにいかない、これに何らか行政的処置があってしかるべきだと私は考えるのであります。そのことは他の法律にも見受けられるところであります。何も裁判所の仮処分をもってするわけではないのですが、その裁判所をわずらわさなくても、私は他にそういうような法律があることを知っておる。たとえば労働法あたりは最終の判決がある前にその勧告をして、それを聞かなかった場合は一週間につき十万円という金額の、いわば罰金的なものを取っておる。こういうように最終的判決の前の、事前的な処置があってしかるべきだ、またこういう法律はそういうことが必要である、こういうように考えるわけですが、委員長はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/38
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039・横田正俊
○横田政府委員 これは昨日も申しましたように、支払い遅延に対しての特別な損害賠償でございますか、そういうものを支払うというようなことも一つの制度としては考え得るわけでございます。しかし大体金銭債務は、御承知のように別に法律に規定はございませんでも、法定利息だけの損害賠償というものは当然ついて参るわけでありますが、それ以上にどれだけのものをこれに損害としてつけるか、またその額をだれが判定するか、またその額についての支払いをどういうふうに調定するかということになって参りますと、これは非常に問題が複雑でございまして、これはいわゆる司法上の問題にも関連して参りまして、公正取引委員会でそこまで踏み込んでいろいろやるということについては、いろいろ問題がないではないわけでございまして、その意味におきまして、この法案には特別のそういう方法は規定していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 現在の取引関係をただ法律化したというだけで、どうもそれ以上踏み切る勇気を持たれぬようですから、私はこれ以上質問いたしませんけれども、もう一回さっきの点をはっきりしておきたい。それは勧告を聞かなかった場合は、直ちに独禁法の審判の手続に入る、こういうように理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/40
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041・横田正俊
○横田政府委員 大体そういうふうにお考えいただいていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 最後に私政務次官にお聞きいたしますが、実はこの前、政府の調達をいたします需品あるいは請負に出しますいろいろな工事、このことについてちょっと私見を述べておいたわけですが、さらに私は下請に関連して意見を述べておきたいと思います。
政府の品物を調達する場合、注文をする、そうしてさらにそれを下請に親企業が出す、こういうような場合には、親企業は政府から幾らで請けたのだ、こういうことを明示する必要があると私は思う。明示してもいいはずである。政府の予算で初めからはじいたものですから、私の方はこれは幾らで請けて、利潤を幾ら取って、そうして幾らで下請に渡す、こういうことを、いやしくも政府の需品関係については、あるいは請負関係についてははっきり明示してしかるべきだ、かように考えるわけでありますが、政務次官としてはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/42
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043・川野芳滿
○川野政府委員 明示することはいかがかと考えますが、しかし実際問題といたしましては、下請業者が政府にその値段等を聞きに参ります場合には、これを隠す必要はございませんから、数字を明らかにするということになりますれば、結果から申しますと、明示したと同様な結果になるのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると政府に聞きに行けばはっきり教えますか、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/44
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045・川野芳滿
○川野政府委員 その点については請負金額は隠すべきものではないのですから、それは当然公表すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 と思うでは困るのです。公表しますかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/46
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047・川野芳滿
○川野政府委員 公表いたすと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは公入札だけではなくて随意契約も公表される、こういうように解釈してもよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/48
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049・川野芳滿
○川野政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それではよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/50
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051・加藤清二
○加藤(清)委員 時間がないようでありますから一点だけ質問させていただきますが、百貨店法のときもそうでございますし、今度の場合もそうでございますが、近ごろだいぶ公取の仕事がふえるようでございます。今までは大体政府の方針では、公取というのはあれは無用の長物である、だからなるべく小さくした方がよい、弱体化した方がよいというので、だんだん骨抜きにしたりかき落したりして小さくしてきたようでありますが、今年はどういう風の吹き回しか、百貨店の審査をしたら、あれは公取でやるのだということで、今度の場合にも、これもいよいよいけない場合には独禁法の審決によるのだ、こういうような話である。そうなりますと、公取の仕事はますます拡充強化されていかないとできないというような感じを持つのですが、果してただいまの組織と陣容と予算でもって全国あちらこちらに起りつつあるこの下請代金支払い遅延を円満にやり得る確信がございますか、それをまずお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/51
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052・横田正俊
○横田政府委員 ただいま御指摘の点はまことにごもっともでございます。公取といたしましては、ただいまきわめて少い人員で非常な努力をいたしまして、三年間下請問題と取り組んで参ったわけでございます。さらに今回この法案が幸いに成立しますれば、対象となる下請業者の範囲も非常に広がることでございますので、ただいまの陣容ではとうてい完全な運用をすることは困難ではないかと考えます。もちろん中小企業庁その他の援助も相当期待いたすわけでございますが、何せ公正取引委員会が中心になりまして最後の決断を下すわけでございますので、公正取引委員会の機構の拡充ということはどうしても不可欠のように考えるわけでございます。われわれといたしましても、この法案の提案と同時にそういう措置をとり得なかったことをまことに残念に存じまするが、いろいろその後研究をいたしまして、できるだけ近い機会におきまして、その拡充に向いましていろいろな政府の方の了解を得まして、そういう取り運びにいたしたい。今着々といろいろ検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/52
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053・加藤清二
○加藤(清)委員 これは最後のきめ手になると思うのです。あなたの方がどんな法律をお作りになろうと、どんなに独禁法を強化なさろうと、その仕事に携わる人が十分にできるような組織なり、あるいは場所なりが与えられておらないと、仏作って魂入れずだと思うのです。果してできるかできないか、私はできないという見通しと過去の体験を持っております。それを後ほど申し上げまするが、今のこのままの状態では、とてもできないと思うのです。そこで次官は、今のような公取委員長の意見が通産省に申し出られたときに、通産省としては、予算措置をとるなり、あるいは人員をふやすなりという腹はありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/53
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054・川野芳滿
○川野政府委員 実はこの側面的の援助につきましては、あらゆる面におきまして協力を申し上げたいというふうに考えております。なお、若干ではございまするが、これに対するある程度の旅費も実は用意いたしておる、こういう実情でございます。しかし将来におきましては、さらに側面的に協力していくために、ある程度の旅費等もさらに今後政府に要求いたしまして、目的を完成いたしたい、こういうように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/54
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055・加藤清二
○加藤(清)委員 その旅費とか調査費等で、ただいま予算に盛ってある費用、それから今あなたのおっしゃいました、将来ふえるであろうと予想される調査費、旅費等は、一体幾らありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/55
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056・川野芳滿
○川野政府委員 旅費は大へん少いので恐縮でございますが、実は十五万円程度でございます。これは管内の旅費でございます。ある程度はこの旅費でまかないたい。さらにほかの方面を兼ねまして調査をする、こういうようなこともありますので、ほかの旅費をある程度利用いたしたい。さらに今後の問題におきましては、実は大蔵省に予算折衝をいたしまして、予算をとりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/56
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057・加藤清二
○加藤(清)委員 旅費や調査費がきめ手になるということは、この間うち中小企業の金融の問題を取り扱った場合にでも、すでに御承知の通りなんです。第一、中小企業金融公庫が非常に不人気を買っているというのは、手足がないからだ。かりに手足のある国民金融公庫としても、金融が都会中心になって、いなかの方に流れていないわけは何だといったら、それは旅費がないからだ、調査費がないからだという答弁なんです。それと同じことがまたぞろここで行われようとしておるが、横田公取委員長はまじめで純情な方ですから、ここで答弁するときだけは、一生懸命にやります、御期待に沿うようにやりますとおっしゃる。それでは公取の人に聞きますが、自分の月給をピンはねしてもそれを旅費に使っていくだけの勇気のある職員が、一体何人おりますか。大体十五万円程度で、全国の旅行がどれだけできますか。その旅費の中には、宿賃も入るでございましょう。それだけで、汽車の三等に乗ってどれだけの距離まで行けますか。冗談じゃないですよ。そういうことでは、幾らあなたたちがここで抽象論を言って法律をよくお立てになったとしても、経済面で実行ができないじゃありませんか。だから、予備費があるとおっしゃるならば、こういう問題が起きたときに、一体幾ら追加して出すだけの用意があるかということを私は聞いたのですが、その答えがないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/57
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058・川野芳滿
○川野政府委員 実はただいま大へん少い数字を申し上げまして恐縮でございます。しかし中小企業庁のこの面に対する旅費の数字を申し上げたのでございまして、その他の面の旅費を実は若干用意してございますから、そういうほかの用件も兼ねましてできるだけ協力を申し上げたい。しかしこの法律が通過いたしますれば、ある程度の旅費等が要ることは当然でございますから、さらに今後機会がございましたならば、旅費等を要求いたしたいと存じます。なお予備費等から旅費に繰り入れること等がございましたならば、会後検討いたしまして、できる限り御趣旨に沿うようにいたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/58
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059・加藤清二
○加藤(清)委員 生産性本部に十億も貸してあるほどの金があったら——私は十五億と間違えていらっしゃるのじゃないかと思うたのですが、十五万円ばかりで公取をいじめたり中小企業庁をいじめたりせぬで——だから保守党の政策は上に厚く下に薄いと言われる。そういうことを言われるのがつらかったら、この際思い切って中小企業庁の費用やあるいは公取委の費用をふやされるということの方が、より大臣やあなたの評判もよくなるのです。
そこでお尋ねしますが、こういう支払い遅延の事件があちらにもこちらにもわんさと起きておるという事実は、皆様御存じの通りでありますが、この事件が起きた際に、裁判に訴えた方がいいのか公取にお願いした方がいいのかという点を、中小企業の身になって私は考えておる。さてあなたの方は、この場合に訴えを聞くかあるいは聞き込んで調査するかをおやりになるでございましょうか、それを聞き込み、訴えを聞いて調査して、それから取り寄せて審判をして、決定をして、勧告をする、これに一体どのくらいの時日を今まで要していらっしゃいますか。下請関係の問題で一体どのくらいの日時を要していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/59
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060・坂根哲夫
○坂根政府委員 その問題は過去において私どもやりましたから、お答えを申し上げます。案件によりますと大体二カ月くらいでいろいろやっております。ただし従来は大体年度末を目ざして計画書を出しておるのですが、その経過は大体二カ月くらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/60
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061・加藤清二
○加藤(清)委員 二カ月で勧告が行われると、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/61
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062・坂根哲夫
○坂根政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/62
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063・加藤清二
○加藤(清)委員 その次に、勧告を行われて、それをきかないものは独禁法の審決によると、こういうことだったのですが、独禁法の審決によるという場合には、それまでにどれだけの日時がかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/63
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064・坂根哲夫
○坂根政府委員 そのケースは今までございませんから、ちょっとお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/64
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065・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは推算でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/65
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066・坂根哲夫
○坂根政府委員 これは審判をいたしますときには、すでに事態が相当はっきりしておりますから、割合早くやれると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/66
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067・加藤清二
○加藤(清)委員 割合に早くでは困るんですよ。下請は手形が一日割れるか割れぬかで倒産するんですよ。割合に早くなんて、そんなのんびりした事態じゃないんですよ。あなた、実態をよくつかんで下さいよ。割合に早くできる——割合ぐらいで事が足りるなら中小企業はぶっ倒れません。何も好んでぶっ倒れる人は一人もないんだ。みんなこれ銀行の不渡りから、思わざることで当てごとが向うからはずれて、ぶっ倒れてくるんですよ。だからこれは大体とか、だろうぐらいの答弁じゃ期待はずれなんです。一体どのくらいでやるつもりなんですか、はっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/67
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068・坂根哲夫
○坂根政府委員 ただいま私が割合に早くやれる、こう申し上げましたのは、今まで公取で取り扱っております大きい事件の審判がかなり長引いておりますから、それと違って本件については、もし審判をやる事態ならばケースがはっきりしておりますから、非常に早く所定の手続がとれるだろう、こう申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/68
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069・加藤清二
○加藤(清)委員 私は具体的数字が聞きたいのだけれども、こんなことで押し問答をやっておると、それこそ手形が不渡りになると困るから……。(笑声)
次に、公表するとおっしゃいましたね、公表したら効果があると委員長はおっしゃった。なるほどこれはないよりましです。ところが、委員長、これからが大事だからよう聞いて下さい、話はこれからおもしろくなる。(笑声)よろしゅうございますか。公表をするということが果して下請を救うという結果になるとお考えになるのは、これは一般論でございます。それはそうでしょう。新聞に悪いことがどんどん出るものだから、あんなに新聞に書かれちゃかなわぬというので、横着しようと思う者もおとなしくするのだから、その精神からいえば、当然あなたの答えは正しいと思う。しかし実態というものはしかくさように簡単なものではございません。もしそれここへきて下請の人が、私のところの親企業の支払いがおそいなんということを一言でも言おうものならば、親企業からバクンとやられますよ。お前のところはおれに恥をかかしたのだからもうやめといてくれ、ほかに幾らでもやりたい人があるんじゃ、こういうことで、むしろ親企業を反省させようと思うてやったことが、やがてその直接の関係者である下請企業をいじめ、苦しめ、やがてはその仕事を取り上げる結果になっているということを委員長はとくと反省してもらいたい。御承知であったとするならば、これを今国会のこの法律の立法措置の中へなぜ入れられなかったかという点を聞きたい。それは何も親企業だけが悪いとは私は言いません。なぜかならば、悪いことを何回か繰り返したその親企業でも、仕事を与えたら、なおその仕事に尾を振って追っかけるところの下請があるからでございます。じゃこれ下請が悪いかというと、そうでもない。下請はあまりにも数が多過ぎて、仕事が少いから、やむなく自転車操業のために尾を振っていかなければならぬ、こういうことなのです。要は自民党の経済政策をみずから反省して、ここに根本的な中小企業の対策を立てぬことには、公取委がどれだけ裁判官や検事や判事の古株をみんな集めてやっても、どっこい、なかなかできません。さて、これについて委員長としてはどうお考えになりますか、公取の委員長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/69
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070・横田正俊
○横田政府委員 下請問題と申し、百貨店の問題と申し、いずれもただいまお説のように非常に立場の弱い下請業者あるいは納入業者の地位をいかに向上せしめるかということに最終の目的があるわけでございますが、これは下手をいたしますと、御承知のように下請業者なり納入業者の首を締めることになるのでございますから、この点が実にこの何年間か、われわれ実務上非常に苦労をいたしました点でございます。ここにやはりあまり手荒な、思い切った手段がとれないという面があるわけでございまして、この点は一つ今後、なるほど手不足でございまして十分な調査手当をいたすことができませんけれども、できる限りの方法をもまちして、一面におきましては相当強いところを見せながら、しかも親企業の納得のいく線で中小企業の地位の向上をはかるという大体の方針で、ただいままでやって参りましたし、今後もこの寛厳よろしきを得た運用によりまして、この問題の是正に努めたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/70
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071・加藤清二
○加藤(清)委員 ほんとうはそういう抽象論では私は満足しませんが、要は下請の身になってみれば、自分が納めた品物の代金がお産手形や台風手形で、それでもなおその時期にもらえなかったということを訴えた。訴えたらあげくの果ては今度は金を取られたんじゃなくて、仕事を全部取り上げられてしまった、こういう結果になった。あえてそういう訴えをしなくても、本委員会で審議しただけでもってどえらくいじめられてしまったという実例を申し上げたいと思う。かつて私は東芝の下請代金の支払いが遅延しておるということを、東京都の部分品を作っておる人から訴えられて——はっきり言いましょう、帆足君に頼まれたんです。そこでここでやりました。それから半年後にこういうことが起きた。私の名古屋の家へ暴漢がなぐり込みをかけた。三べんなぐり込みをかけた。三べん目に私が会った。どういうわけかと思うてだんだん話して調べてみたらこういうことがわかった。それは、加藤が通産委員会において東芝の支払いがおそいということをしゃべったのは、これは愛知県の出であるから愛知県の下請が訴えたんだろう。その愛知県はだれかといえば陶器の碍子をそこへ納めておる人がある。この会社を一々東京へ呼びつけて、お前がやっただろう、お前が訴えただろう、こういうことで非常にいじめられた。そこでそうでないと私は答えたにもかかわりませず、そうだと向こうが言うて、証拠をくれという。そこで私はこの本委員会の記録を取り寄せようと思ったが、半年も過ぎておるからこの記録がない。やむなく私は倉庫へ入っていって、なわで縛ってあるやつを全部切ってその中からより出した。幸い一部あったので、それを与えた。ところがそれでもなおあとの祭りか、ちっともおもしろくない。こういう結果があった。とんでもないとばっちりなんです。何も瀬戸の人なんかがそんなことを私に訴えたわけじゃない。名古屋の人はそんなことを言いませんよ。名古屋の人はみんな人間がおとなしい。たたかれたらたたかれながらそのそでにすがっていますよ。冗談じゃないといわなければならぬ。大企業なるがゆえに仕事を与えてやる、まるで昔のお殿様が祿高を与えておるような気持になっておる。こういうものを今のような考え方、今のようなやり方でどうしてはっきりと取り締ることができるだろうか。今のような公取委の組織と陣容と、十五万円の経費で、一体何べん瀬戸まで調査に行けますか。冗談じゃないといわなければならぬ。だから私はあえて言うのだ。せめてもそっと経費などはできるんだからやりなされと言うのだ。この点いかがでございますか。こういう問題が将来も起きぬとは限りません。公取委員長は公表すると言うたのだから必ず起きましょう。起きましたときに公取委及び通産省としては下請を守るために具体的措置をとるかとらないか、はっきりと承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/71
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072・横田正俊
○横田政府委員 先ほども申し上げましたように、これは下請業者からの訴えを待ってやります場合にはそこにいろいろな誤解を生ずるおそれもございまするしいたしますので、大体現在までにおきましても年に定期的にある範囲の会社を対象といたしまして、公取委がむしろ自発的に調べるという形をとって参りましたし、今後も大体あの下請の定義にはまりまする会社が一千万円以上のものは大体三千から四千の間になりますので、その会社を年に何回か順繰りに調べていく、悪いものは特に詳細に調べるというふうに一応全部に網をかけまして、この問題を徹底的に調べていきたいというふうな考え方を実はいたしておるわけでございます。そうなりますと先ほど申し上げましたように非常に問題が広範になりますので手不足ということにもなりますが、さてもしそういうやり方にもかかわらず、先ほどおっしゃったようなものが出て参りました場合には、これは御承知のように公取としましては独占禁止法上の規定に基く制規の処置をとるよりほかに仕方がないわけでございますが、もし今ここでそういうことを理由に取引を拒絶いたしました場合に、いわゆる一種のボイコット、不公正の取引方法の一種として取り扱うことができるかどうか、これは法律上いろいろ疑問もございましょうが、しかしこの点はよく検討いたしまして、不公正な取引方法に該当するということになりますれば、さらにその点をもって親企業に臨むことができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/72
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073・加藤清二
○加藤(清)委員 これは完全に不公正取引のケースに当てはまる模範例でございます。それを今から研究しなければわからぬなんてそんな手ぬるいことをおっしゃらぬでもいい。そう言うたら今度は横田委員長が東芝からガンとやられたとか、あるいは通産大臣からガンとやられるというのだったらこれはもう法律を作らぬ方がいいのです。こういうことだったらせっかく作った法律は——正しい者の味方になって正しい者の保護になるところに初めて法律の意義がある。それが行われない、もしその法律通りやったならば、正しいことをやったらそいつがお蔭でガンとやられるということになるなら、もうそんなものはなきにしかずです。そこで私はいかなることがあろうとも、なぐり込みがかけられようとあくまで正しいと思うことは、しかも中小企業がそれで救われるということであるならば徹底的にやります。
さて最後にお尋ねしたいことは、ただいま通産大垣いらっしゃらないが、次官御存じの通り、金融というものは非常に緩和されてきておる。預金の額もふえた、だから金利も下げましょう、要すれば貸してあげましょう、商工中金にも金がだぶついたというようなことで、ほんとうはだぶついておるはずなんです。にもかかわりませずこの親企業から下請に支払われる金の支払いの傾向だけはどこ吹く風かというので、これをよそに見ながらもどんどん延びているのが実態のようです。しかもその九十日とか百五十日というのがまるで商習慣のようになっておるようでございます。これに対してあなたたちは一体どうしようと考えていらっしゃるか、これほど金融は緩和されてきて、金融の困難であった終戦直後ならいざ知らず、こうなってきたら当然親企業の支払いも緩和されてしかるべきだと思いまするのに、それが逆行されて、あたかもここに新しい商習慣が——おそく払うほどいいのだというような気持のもとに、悪い商習慣が形成されようとしておるのでございまするが、これを打ち破る何か具体的なことを通産省及び公取としては考えていらっしゃるのかいらっしゃいませんのか、もしあるとするならば私の考えをあなたの考えと合わせて比較してみて下さい。私はこうすれば一番簡単だと思う。公取の委員長はさっき手形を渡したらそれで支払ったことにするのだとおっしゃった。それが百二十日であろうとお産であろうと何でもよろしい、日にちを長く書きたかったら誰かしておいたらいい、しかしその際それを割り引いたところの割引料は、当然なんだから全部親企業持ち、これは当然ですよ。すでにもらえる金をまだもらわぬでおるのだから、その手形の割引料は親企業持ち、これを一カ条だけつけ加えてごらんなさい。あるいはきょうここの会議において附帯決議をつけてごらんなさい、そうしたら一ぺんに解消します。これをやる勇気あるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/73
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074・川野芳滿
○川野政府委員 一般の金融が非常に緩和しておるにかかわらず、手形取引等におきまして相当期限の長い手形が振り出されておりますことは、まことに遺憾千万であると存じております。ゆえに通産省といたしましても、機会あるごとに、こういう問題の解消に努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。ただいま仰せの手形の割引料を親会社に負担させたらどうか、こういう御意見でございまするが、こういう点につきましては、実はそういうことがさらに親企業昔と下請業者との摩擦の焦点にもなるようなこともあろうかと考えますので、この問題につきましてはさらに検討させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/74
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075・神田博
○神田委員長 これにて質疑は終局いたしました。引き続き本案を討論に付します。討論の通告がありますから順次これを許します。小平久雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/75
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076・小平久雄
○小平(久)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表したいと存じます。
このきわめて困難であり、複雑でありかつまた微妙であるところの下請の問題について、たといその一部の問題ではありますが、代金の支払い問題、これに法的な措置を講じようという努力を払われましたことにつきましては、多大の敬意を表するものであります。ただしかしながら下請問題にとりまして一番根本的な問題は、単にこの取引の結果としての代金の支払いを促進するばかりでなくて、むしろ親企業から下請企業に発注するところの作業の量、これが恒常的というか、一定量ある程度長く続いて行われる、つまり安定を持たせなければならぬ。さらにまた発注の値段自体がむしろより基本的な問題であろうと思います。本法案はむしろこういったことには手をつけずに、取引の結果としての代金の支払いを促進しようという使命のようでございますが、そういう意味において下請関係の根本的な問題はまだ残っておるのじゃないかという気がするのであります。そういう面について、今後とも当局において何らかの具体的な処置を講ぜられるように、この際希望をしておきたいと思うのでございます。
さらにまたこの法案を見まして感じますことは、法案の骨子とも称すべき下請関係という観念自体が、法的にきめられたのは初めてであります。そういう関係で、あるいは製造委託といい、あるいは修理委託といっておりますが、こういう関係がなかなか一般には理解しがたいものがあるのじゃないか、そういう点についても、本法の施行についてはこれが周知方に努力をお願いしたいと私は思うのであります。
それから次には、本法の適用を受ける場合は、親事業としては一千万以上の場合、下請事業としては一千万以下の場合という一線が画されております。このことは立法技術的にやむを得ないところと思いますが、本法だけをもっていたしますと、より零細なる下請事業者、つまり一般の場合について考えますと、あるいは第二次あるいは第三次といったような零細の下請業者の立場にある場合、しかも観たるものが一千万以下であるという場合が非常に多いと思います。特に織物等の関係においては、そういう場合が多いと思うのですが、そういう場合には本法の適用がないという関係になるので、ほんとうに下請関係ではありますが、零細なる企業者の下請関係にはあまり及ばぬ場合が実際問題として多いと思います。この点については、今後適切なる処置を望みたいと思うのであります。
それから各委員から論じられておることでありますが、本法の施行が下請事業者に逆効果を及ぼすというようなことも考えられると思います。従ってそういうことのないように一つ本法の施行に当りましては、十分の注意をお願い申したいと思います。
以上の諸点についての当局の善処を要望いたしまして、本法案に賛意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/76
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077・神田博
○神田委員長 次は田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/77
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078・田中武夫
○田中(武)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に賛成の意見を、若干の希望をつけながら申し上げたいと思います。
本法案は、昨日衆議院の本会議を通過いたしました百貨店法案とともに、中小企業保護のための画期的な立法とも言えるのでありますが、百貨店法案とともに、わが社会党が昨年の二十二国会に提出したのが、今日この法案が政府案として出された動機を作ったものと考えるのであります。現在の内閣がこの画期的な法律を提出するという動機を与えたのがわが社会党であるということに対して、われわれは一つの優越感を感じておるわけであります。
しかしながら私この法案の最初に質問をいたしましたときにも、羊頭を掲げて狗肉を売る観があると申しましたが、必ずしも本案をもって満足しているものではございません。今日の下請代金の遅払いの状況は、何回もいわれているように、いわゆる台風手形、お産手形といったような長期のものが出されており、下請企業としては、百万円以上の金額を親企業に貸して、自分は五銭以上の日歩のつく金を借りているというような実情であります。この法案の目的とするところは、このようなはなはだしくひどいものを取り締るということに置かれておりますが、こういうような状態をなくすことが望ましいことは言うまでもないのであります。従いまして、このような状態がないような行政的な措置が強力に行われることが望ましいと思います。本法案の所期の目的が達せられるかどうかということは、この法案のたとえば四条の第二号、下請企業の給付を受領したのち下請代金を遅滞なく支払わないこと、あるいは第六条の中小企業庁長官の請求の項におきましても、求めることができるといったような抽象的な規定になっておる。この抽象的な規定を、発生いたしました事態に対してどのように具体的に適用していくかということであります。しかしながらこれはすべて公正取引委員会の活動にかかっておるのでございます。ところが公正取引委員会は、何回も本委員会において論ぜられたように、現在の政府の経済政策から見た場合は、その一角々々が切りくずされていっているような観があり、先ほどの川野通産次官の答弁にもありましたように、本法施行のための調査費、あるいは旅費がわずか十五万円というようなことであるならば、法律を作っておいて、どれだけ真剣にこの法を実施していくお考えがあるかということに対して、われわれとしては相当危惧を感ぜざるを得ないのであります。従いまして今後は公正取引委員会の機能の強化、予算、人員等についても画期的の配意を願いたい、このように考えるわけであります。
またわれわれが最初から心配をいたしておりましたのは、親企業が破産または会社更正法に基く手続を開始した場合の下請企業の債権の保護の問題であります。下請代金についての先取特権を認めるかどうか、あるいはまた会社更正法を改正するかというようなことを、私昨日質問いたしました際に、通産大臣及び公正取引委員長は、よくその事情はわかっている。従ってよく研究して近く改正するといったような意向のあることが明らかにせられましたので、その点はその答弁を信頼して、より一そうの改正強化をしていただくことを望むわけでございます。
最後に、下請企業が経済的な地位を向上していって、親企業と対等の契約ができるようにすることが、本法の基本的な、根本の問題だと考えますので、政府といたしましては、下請企業すなわち中小企業の組織化、あるいはその組織の強化、育成についてより一そうの善処を要望いたしまして、私の賛成の討論を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/78
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079・神田博
○神田委員長 これにて討論は終局いたしました。下請代金支払遅延等防止法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/79
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080・神田博
○神田委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
ただいま小平久雄君より、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる本案に対する附帯決議案が提出されました。
まず提案者より趣旨の説明を求めます。小平久雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/80
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081・小平久雄
○小平(久)委員 私は自由民主党及び日本社会党を代表いたしまして、本法案に対する附帯決議案を提案いたしたいと存じます。
まず、案文を朗読いたします。
一、政府は、親事業と下請事業との関係の現状に鑑み、本法第四条に規定する各項を遵守せしめるため、第六条、第七条及び第九条の規定を積極的且つ機動的に運用するとともに、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による不公正取引の取締りを十分に運用し、両々相俟って遺憾のなきを期すべきである。
二、中小下請事業の経済的基盤の強化は、本法の実施のみをもってしては完璧を期し難いので、今後これが目的達成のため、政府は、更に一段の努力を払うべきである。
以上であります。内容は委員会において論議された各位の論旨を取りまとめたようなものでありまして、別段御説明申し上げるまでもないと思います。どうか全会一致の御賛成をお願いしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/81
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082・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。本案に小平久雄君御提案の通り附帯決議を付するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/82
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083・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めます。よって本案には小平久雄君御提案の通り附帯決議を付することに決しました。
この際川野通商産業政務次官より発言を求められておりますのでこれを許します。川野通商産業政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/83
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084・川野芳滿
○川野政府委員 ただいま附帯決議が満場一致可決されたのでございますが、政府といたしましても決議の趣旨を尊重いたしまして、できるだけ御希望に沿いたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/84
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085・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/85
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086・神田博
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03919560425/86
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