1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十七日(月曜日)
午前十一時二十二分開議
出席委員
委員長代理 理事 亀山 孝一君
理事 古井 喜實君 理事 吉田 重延君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 唐澤 俊樹君
木崎 茂男君 田村 元君
徳田與吉郎君 灘尾 弘吉君
濱野 清吾君 松岡 松平君
森 清君 山崎 巖君
山中 貞則君 川村 継義君
五島 虎雄君 櫻井 奎夫君
島上善五郎君 田中織之進君
三鍋 義三君 門司 亮君
八木 昇君
出席国務大臣
国 務 大 臣 大麻 唯男君
国 務 大 臣 太田 正孝君
出席政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警 視 長
(警察庁警備部
長) 山口 喜雄君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
参 考 人
(警視総監) 江口見登留君
参 考 人
(警視庁警備第
一部長) 藤本 好雄君
専 門 員 円地与四松君
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二月二十七日
委員櫻内義雄君、渡海元三郎君、野田卯一君、
加賀田進君、川村継義君、北山愛郎君及び横山
利秋君辞任につき、その補欠として濱野清吾君、
松岡松平君、田村元君、島上善五郎君、八木昇
君、田中織之進君乃び三鍋義三君が議長の指名
で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律案(内閣提出第六四号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六九号)
警察に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が不在でございますので、理事の私が委員長の職務を行います。
まず地方交付税法の一部を改正する法律案、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、地方税法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、前会に引き続き総括質疑を続けます。質疑の通告がございますので、順次これを許します。中井委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/1
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002・中井徳次郎
○中井委員 私もまだ十分研究いたしておりませんので、きょうは飛び飛びのお尋ねになると思いますが、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。交付税の率につきましては昨年来議論がありまして、私どもといたしましては百分の二十二ではとうてい問題にならぬ。地方制度調査会その他の答申も百分の三十でありましたか相当な数字であります。従って政府におかれましても、今年ようやく百分の二十五という数字にお改めになったわけでありますが、しかしながら全国の都道府県あるいは市町村の実情を伺ってみますと、とにかくことしは抜本的な地方財政の根本対策を立てると政府は言われましたけれども、なかなかそこまではいかない。三十一年度においても赤字の解消どころか、むしろまだふえるというような見当のように伺えるのであります。そこでそういう見方からいいますと、百分の二十五では私どもはどうしても足らないと思うのでありますが、こういう点について自治庁当局とされまして百分の二十五にしてこれで当分行くというふうな安易なお考えであるのか、あるいはまたこのことについては将来とも許すならばもっと上げたい、たとえば三十までにしたいというふうなお考えであるのか、またそういうことについて何か計画的なものでもお持ちになっておるのであるか、その辺のところを一つ伺ってみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/2
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003・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方財源の不足額をどういう形で補てんしていくことが一番適当であるかということにつきましては、いろいろな角度から総合的に判断しなければならないと思います。国民の租税負担が全体として重いときでありますので、なるたけその国民の租税負担を効率的に使っていくというとになりますならば、不足している団体にだけ重点的に補てんをいたします地方交付税制度によって、財源を充実することが一つの方法だと考えられるわけであります。しかしながら他面地方交付税制度は、国で徴収したものを一定の国の側における計算に基いて配分していくのでありますので、どうしても地方団体の依存心が強くなってくるという欠陥はおえないとおもうのであります。もう一つは国と地方の両方の財政を通じて考えてみました場合に、所得税、法人税、酒税といいますような国税として最も有力な主税、この一定部分をさくわけでありますから、これにあまり大きなウエートを置いていきますと、国の財政の弾力性をそこなってくるというおそれもございます。その結果また地方財源の充実に苦労するというふうな問題にもなって参るわけでありますので、両面からいきまして地方交付税の繰り入れ割合を高めるということにつきましては、ある限度が存するのではなかろうか、こういう考え方を持っておるわけであります。従いまして地方自治の立場から考えて参りますと、できる限り地方税で充足をはかっていきたい。しかしながらその場合にはどうしても片寄って参りますので、別途にいろいろな方法もあわせし考えていかなければならないわけでのりますけれども、現在のところは交付税の繰り入れ割合は二五%程度にととめて、今後の不足額は独立税収入の充実によって解決できないものであろうかというような考え方をいたしておるわけであります。なおまた今回は別途に公共事業につきまして国庫補助負担割合を引き上げまして、地方負担を軽減するという措置もあわせてとって参っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/3
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004・中井徳次郎
○中井委員 本日は地方税法の一般の総括の質問ということでありますが、ただいまこうやって見渡しますと、まことにどうも定数不足歴然たるものがあると思うのであります。こんな形で委員会をやっておりましても、はなはだどうも、私ども野党の立場からちょっと一言なかるべからずというところでありますので、本日はこれでしばらくお尋ねしますが、休憩にでもしていただかぬことにはいかぬだろうと思いますが、どうでございましょうか、委員長さんの意見は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/4
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005・亀山孝一
○亀山委員長代理 かしこまりました。しかしきょうは他に社会党から重要な問題も出ておるようでありますので、できるだけ御趣旨に沿うようにやりますが、幸い奥野税務部長、後藤財政部長が参っておりますから、どうかこの際できる限りの御質問をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/5
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006・中井徳次郎
○中井委員 別に社会党の重要な質問があるからといって、地方行政委員会をサボるわけではありません。いつもこの委員会は野党の社会党がほとんど全員出席をいたしておる。どうぞ与党の皆さんにおかれても十分お含みをいただきたいと思うのであります。表現はずいぶんやわらかいのでありますが、率直に申し上げて、私どもの党の者といたしましては、みんな相当気持を悪くいたしております。どうぞその点はよろしく一つお取り計らいを願いたいと思うのであります。
今の交付税に関連をいたしますのですが、教育委員会の委員の公選制の廃止ということを、今政府がお考えになって、それに関連をいたしまして交付税法を改めるということでありまするが、これはどういうふうな改訂を加えられたのでありましょうか、ちょっと伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/6
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007・後藤博
○後藤政府委員 お答えいたします。市町村と府県の単位費用のうち、その他の教育費の中の計算の方式を変えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/7
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008・中井徳次郎
○中井委員 どういうふうに変えたのですか。どれだけ減ってどれだけふえるとかなんとか、具体的に一つお話しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/8
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009・後藤博
○後藤政府委員 単価を落したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/9
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010・中井徳次郎
○中井委員 そういうことになりますと、行政制度の変革によって経費の節約ができるというのは、前の第二次鳩山内閣以来の政府の大いなる宣伝でありました。私どもはそのことにつきましては、なるほど節約にはなるであろうが、絶対額としてはほとんど問題にならぬ、わずか六億か七億だというふうなことを言いましたところが、今度の財政計画ではもう少し金額をふやしております。これが節約になるということになれば、全国の府県、市町村はそれだけ助かると思っていましたところが、今度は交付税の方で細工をする。交付税の総額はふえておりますから、どこかほかの形のところでふえているのだろうと思いますが、この辺のところほどういう関係になりますか、もう少し詳しくお話し願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/10
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011・後藤博
○後藤政府委員 交付税の方では標準団体の標準施設の経費を見ておるわけであります。標準団体の標準施設の経費を見まする場合に、元がなくなって参りますると、その分だけ落すという格好になります。これは制度の改正ごとにやっております。逆に今度は〇・二五分が加わって参っておりますので、そういうものはふやして参る。それぞれの制度の改正によりまして標準団体の経費を増減して参っておるのであります。これをいかにして公平に分けるかということでございますので、そういうふうにして全体の交付税をうまく按配して分ける、制度の改正に合して分けるという建前から、そういう改正をそのつど加えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/11
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012・中井徳次郎
○中井委員 そこでこの制度の改正によって、これまで教育委員会があることによって、交付税の中の何%がこの教育関係の金として充てられておったか、それをちょっと伺っておきたいと思います。要するに交付税の中の何%かは、あなたのおっしゃるように、他の方へ回したわけでありますから、他の部面でふえておるわけでありましょう。それが過去において、たとえば昭和三十年度においては、この教育委員会を単位費用として計算をした。その日本全国の総計は一体何%であるかということを伺ってみたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/12
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013・後藤博
○後藤政府委員 今ちょうど手元に資料を持っておりませんが、その他の経費の中に含めて計算をいたしておりまするので、按分すればわかるかと思いますけれども、教育委員会そのものの見方をどうするか、こういうふうな考え方ではなくて、その他経費として一括して出しておるのであります。按分すればわからぬことはございません。単位費用はそれぞれの団体によって補正して伸びたり縮んだりしますので、その関係はこまかく計算しますと多少違うかもしれませんが、一応調査いたしまして、書面でもって御報告したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/13
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014・中井徳次郎
○中井委員 その調査は、できましたらそれに関連しまして、軽油引取税、都市計画税の創設に伴ってやはり修正を加えた、こう言いますね、こういうものによってどのくらい動いたかというようなことを一つお開かせをいただきたいと思うのであります。軽油引取税と都市計画税ができることによって、これはやはり減になっておるだろう、道路関係の経費はこれだけ減になっておるのだろうと私は思うのであります。それから国庫補助率の引き上げ、単価の改正、これもやはり減になっておるのではないかと思いまするが、そういうことについての増減の比率を一つ出していただきたいと思いますが、大体のところでも今わかりませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/14
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015・後藤博
○後藤政府委員 あとからこまかい計数を資料で出しますが、たとえば府県の道路費でありますれば、軽油引取税のために交付団体分の十九億一千七百万円の十分の六相当額を控除した、こういう計算にはなっております。あとからこまかい数字を資料で説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/15
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016・中井徳次郎
○中井委員 私は実はこういうこまかいことをお尋ねするのは、今度が初めてでありますが、交付税の関係も平衡交付金時代から考えますと、十年ほどたちましたので、全体としてだいぶ落ちついて参りました。落ちついて参りました結果、全国の都道府県、市町村におきましては、やはりそこまでこまかく入ってくるであろう。そのことは逆に言えば、いつも私申し上げるように、地方交付税、平衡交付金、こういうものが大体年度の当初に各府県、市町村において大まかな見当がつくということが、将来地方財政の赤字解消の非常に大きな要因ではなかろうかと思います。このことについては、財政部長の後藤氏などは専門ですから、それは大体見当はつくのだというふうな答弁をいつもなさるようでありますが、現実には必ずしもそうではありませんので、私はお尋ねを申し上げておるのであります。
もう一つお尋ねいたしたいのは、将来地方交付税を、税法の一部を改正いたしまするについては、もう大きな単位費用の変動はやらぬ。そうして今御質問申し上げておるような教育委員会は廃止しよう——われわれは反対でありまするが、こういう何か国家機構なり地方行政の機構が変るとか単価が変るとかいうような、地方財政関係の変動に応じてそれはやるけれども、それ以外のものは当分据え置きでいくというふうな、確固たる御方針がなければならぬと私どもは考えておるのであります。そういう点について、ちょっと事務当局の見解をこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/16
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017・後藤博
○後藤政府委員 交付税の計算の方式を一定したいということをわれわれもかねがね思っておるわけであります。しかし現在の交付税の中の考え方そのものが間違っておるわけではございません。たとえば高等学校の単位費用の取り方は、これを生徒数で今取っておりますが、こういうものについて何か客観的にもっといい方法、合理的な方法があればそれを考えていきたいというようなものも、それぞれの費目の中にあるわけであります。従ってここでストップすることがいいか、もっと合理化した形においてストップした方がいいかという問題があるわけであります。できるだけ私どもは動かさないようにいたしたいと考えておりまするが、そういうよりいい方法があれば、これはそちらの方に移していくことが、やはり交付税らしきものではないか、こういうふうな考え方で、根本的にはおっしゃいますように動かさないでいきたいという気持を持っております。できるだけ改正をしないで、従来の計算方式でいけるようなものにしたい。多少の改正はございましても、そのままでいきたいという気持でありますが、どうも交付税の中で、もう少し合理的な方法がありはしないかというようなものもありまするし、そういうものはやはり改正する必要があるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/17
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018・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁に関連するのでありますが、それは十全を求めるということになれば、毎年々々改善は必要でありましょう。しかし逆に過去の実績を見まするというと、たとえばことしは、府県はだいぶ赤字が多い、ことしは市町村のうちでは市がだいぶ赤字が多い、来年は町村の方がどうも困っておるらしいというようなことで、結果においてはいじっておられるやに私どもには拝察されるのであります。それは非常に当面の糊塗策としてはいいようでありまするが、長い目で見ると、どうも私どもは合理的でないと田う。あなたの言うもっと合理的というのは、たとえば高等学校の単位費用の計算で、生徒数でいくかどうかというようなことは、慎重に御判断を願わなければならぬけれども、一たびこれをきめましたならば、よほどこれはどうも欠陥がある、こういう年にはこういう事態が起った、こういう府県にはこういう大問題が起ったということのない限りは、私はそのまま置いておかれる方がいい。そこでこれまで地方交付税を毎年々々いじっておりますそのいじり方が、先ほどからお尋ねをしたような制度が変る、あるいは補助率が変るということによってならわかりまするが、それ以外のことについでをもってちょっとほかの方もいじっておくというふうなことであってはならぬと思う。またこの間あなたは留守でございましたが、大臣にお尋ねをいたしまして、交付税について少くとも府県と市町村の大まかな区別くらいはつけてもらったらどうか。地方財政計画で毎年総括には出ておりまするけれども、細分になるというと、税収入その他は、府県税、市町村税で交付税については分れておるが、去年は府県は七二で、市町村は二八であったというふうなことは、決算をしてみて、結果でそういうふうな数字になったということであってはならぬのであります。せめてこの二つの区分だけでも大きくして、そうして財政計画の中に盛り込んでもらいたいということを大臣に言いましたところが、大臣は極力それをやるということでありまして、おそらく来年からおやりになるだろうと思うのであるが、後藤さんその点について、一つ事務当局の見解を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/18
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019・後藤博
○後藤政府委員 一昨年までは府県と市町村と分けた財政計画を作っておりました。これはできないことはないのでありますが、今やりますと、どうしても何といいますか、ある予想の数字になって参ります。実際にこまかい計算をいたしました結果と、今まで非常にくるいがあるのであります。そこでそういう分け方でなくて、交付、不交付の分け方の方がいいじゃないかということで、昨年からそうしたのであります。大体の大きなめどは私どももつけております。来年の場合は、たとえば市町村分の交付税が大体四百二、三十億の線だろう。このくらいの線はつけております。しかしその四百二十何億何千万円という数字がすぐ出るわけではありません。これは人口も変っていますし、都市の変動がございますので、そういうものを積み上げていって初めて出る数字なのであります。これはあらかじめ予定してくる数字ではなくて、むしろ大まかに市町村の方に交付税を多くするとか、府県の方に多くするという考え方はもちろんでございますけれども、結果的に出てくる数字でございますから、上げるということは、どうも財政計画の中でそれを基礎にして、府県市町村がそれで多かったとか少なかったとか議論が毎年あったのであります。そういう議論をなくする意味からいたしましても、また正確に把握できないという実情からいたしましても、やはりそれは載せない方がいいんじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。もちろん正確に固定いたして参りますれば、これは出すべきでありましょうし、出すのが当然だろうと思います。しかし残念ながら非常に誤差が出て参りますので、その誤差の問題をめぐっていろいろ府県、市町村の間に問題がありますので、一応引っ込めておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/19
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020・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁はまことに異なことを承わるので、誤差があるのが当りまえであって、予算と決算は違います。これは誤差があって、そこを攻撃されたからと言うけれども、誤差が出るというのは、やはり事務当局の見通しの誤りで、怠慢であるに過ぎないのであって、そういうことによって非常に重要な府県と市町村の区別を出さないというのでは、初めから地方財政計画の内訳を見るわけにはいかないということになる。交付団体と不交付団体とお分けになりましたから、非常にけっこうだと思う。さらにこの二つは、どうしても分けてもらいませんことには、形としては出てこない。少々の差額が出たって、それは当りまえです。大体地方財政計画は毎年々々数百億の差が出ているんじゃありませんか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/20
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021・後藤博
○後藤政府委員 もちろん計算はいたしているのでありますけれども、計算をすると、前年と非常に変動のあったものが、数字の上ではっきり出て参ります。そういうことで、測定間違いとかなんとかいうような問題もありますし、大体の目安は私どもはつけているのでありますけれども、はっきり計算が間に合わないということから、今まで出しておらぬのであります。これは固定して参りますれば、私ははっきりしたものが出ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/21
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022・中井徳次郎
○中井委員 これは固定するとかせぬとかいうことにかかわらず、少々の差額がありましても、ぜひこれは来年からやってもらいたいし、そういうことによって個々の市町村が非常な影響を受ける、個々の府県が非常な影響を受けるということになりますれば、それは私ども考えますけれども、総体のワクの問題であって、結局市長会とか町村長会とか府県の知事会とかいうようなものが、あなたの方に折衝するときの一つの文句になるだけであって、国として計画を立てる場合には、やはり出していただいた方がいいと思う。あなたは非常にむずかしいようにおっしゃる。重要な事務的な責任とあなた方お考えになっているんだが、そう大した責任じゃない。これは予算と決算ですから、その辺のところは先ほどもお尋ねいたしておりますように、毎年多少の数字はいじるし、また客体の方がおっしゃる通り非常な状況の変化があるわけですから、それは私は納得できると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/22
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023・後藤博
○後藤政府委員 交付、不交付で分けるという行き方と、市町村別に分ける行き方と二つあると思います。私どもは交付、不交付の分け方の方がより正確であるという考え方のもとに今の財政計画を作っているのであります。おっしゃいます通り、それはできれば出したいという気持もございます。できるだけ出すように努力いたしたいと思いますが、どうも財政計画を作りますときには、間に合わないのであります。少し時間をいただければ、もちろんこれは作りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/23
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024・中井徳次郎
○中井委員 あなたは交付、不交付とそれから地方交付税の横割りの問題と混同しておりますが、これは何も関係はありません。交付、不交付に分けていただくことは、縦に割ることで、それを横にちゃんと分けるだけで、ちっとも関連がない。交付、不交付に分けたから横割りはできないということはありません。これはさらにそうやれば縦横でがっちりときまるという点において、私どもはぜひやってもらいたい。今のお話では大いに努力するということでありますが、来年はどうぞ一つ上げて下さい。どうです、上げてくれますか。そう大したことはありません。そうでないと、実際問題といたしまして私ども研究をいたしますのに、府県は赤字だ市町村は赤字だといいますが、内訳を調べてみますと、非常に差があるわけでございましょう。そういうものの根拠が出てこないのですよ。もっとはっきり言いますと、やはり私どもは国会議員として出ておりますと、いろいろ質問を受けます。ことしの交付税はどうなりましょうか。おそらく社会党の代議士だけではありません。与党の皆さんにおかれても非常にお困りじゃないかと思うのです。ことしは交付税はどれだけふえる、何ぼふえましても町村の方にはきませんのでなと言われると、もう返事のしようがない。ふえるかふえないかわからない。総ワクにおいてこれくらいですと、これはこまかいことはわれわれも答弁の限りではありませんが、全体の、新聞に出た数字以外はもう話ができないというようなことであっては、私ども折衝できないのです。そういう意味で、すなおに考えたら、これは与党野党の立場じゃなくて、ぜひ政府においてやらるべき義務があると私は思うのです。それでこの間から大臣にその要望をいたしましたところ、大臣は、それはもっともだ、できるだけそういうふうにやるというのでありますから、その下におられる後藤さんは、大いにやりにくいことがあっても、これは一つ努力していただきたいと思いますので、重ねて最後に答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/24
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025・後藤博
○後藤政府委員 おっしゃいますことがわからないわけではないのでございますが、一定の率ではじいていくと、どうしても誤差ができるという問題があります。従って先ほど申しましたように、市町村に参ります交付税の額は、大体四百三十億前後ではないかというふうに考えております。しかしその誤差が、これは計算してみなければわかりませんし、税がどういうように団体別に伸び縮みがあるかということがわかりませんので、その辺から交付税の額が変って参ります。それから需要の方の変動ももちろんございます。そういうことで今までは差し控えておったわけでございます。おっしゃいますような御意見もありますれば、私どももできるだけ出すように努力いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/25
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026・中井徳次郎
○中井委員 ぜひそういうふうにお願いいたします。ついでをもって——いわゆる八%の特別交付税等につきましては、そうこまかく国会がこれを言うべきものではない、これは大いにそのときの情勢によって自治庁が判断をしてやっていただいてけっこうであるということも、この前大臣につけ加えて申し添えておきましたから、それはぜひそのつもりでお聞きとりを願いたいと思うのであります。
その問題はその程度にしまして、次にもう一つお尋ねいたします。法律案要綱の四にあるのでありますが、基準財政収入額の算定方法について、道府県分にあっては道府県交付金及び納付金の収入見込み額の百分の八十、市町村にあっては納付金の収入見込み領の百分の七十、この八十と七十の差でございますが、これは二、三年前にこういうふうな一般的な計算をされたように思うのですが、その根拠はどんなものであったか。それからその根拠とする理由は今でもずっと継続されておるものであるかどうか。理由は存在するのかどうか、その辺のところを伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/26
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027・後藤博
○後藤政府委員 基準財政収入額の八〇%、七〇%の問題でございますが、これは府県の行政というものは、大体斉一した行政が行われている。従って各府県の特殊な財政事情はございましても、そう変った財政需要は見当らない。従って市町村の場合よりも余裕財源を少くしていくということも可能であると考えておりますが、市町村の場合は市町村の財政需要というのは千差万別でございます。従ってできるだけはっきりした計算をいたします財政需要以外に余裕のものを持つ必要があるという意味から七〇%ということにとどめております。これは八〇%を一〇〇%にするとか、七〇%を八〇%にするとかいう意見がございますが、そういう行政の内容が斉一しておるかどうかにかかっておりますので、現在のところ、これをそのまま動かさないで参りたいと考えておりますし、前からそういう行政の内容のニュアンスは変ってないと考えておりますので、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/27
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028・中井徳次郎
○中井委員 基準財政収入額はそうでありますが、需要額はどうでございましょうか。一〇〇%でありましたか、どうでありましたか、ちょっと伺ってみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/28
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029・後藤博
○後藤政府委員 需要額の方は、標準団体の標準施設の標準経費を大体見ておるわけであります。従って標準団体の標準経費という考え方であります。この現実の財政需要から見ますと、必ずしも合っているということは言えないかと思います。そういう結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/29
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030・中井徳次郎
○中井委員 標準需要額は、実際問題としてはどれくらいに見ておりますか。必ずしも一〇〇%見てないと思います。ものによってはでこぼこがあろうと思いますが、総体としては八〇とか七〇とか、そういう程度ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/30
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031・後藤博
○後藤政府委員 需要額と申しますのは、各団体の一般財源をもってまかない得るところの需要額、こういうのであります。従って現実の需要額とは違っております。この辺の観念が各市町村の方々、各団体の方々と、交付税の基準財政需要についての考え方との間に差があるわけであります。われわれ先ほど申しましたように、一般財源、税と交付税をもってまかなう財政需要、こういうのが基準財政需要額で、従ってそういう観点でその団体の基準財政需要額を見て参りますと、平均的に見ますれば、そう大きな差はないのではないかと思います。この需要額を出しますときは、過去の決算あたりを調べまして、そのあるべき財政需要額をとっておりますので、そう違ったものにはなっていないように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/31
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032・中井徳次郎
○中井委員 入場譲与税の譲与方法の改正に伴いまして、入場譲与税にかかる基準税額の算定の基礎を改める、こういうことについても多少の修正があるし、その他規定を整備することとありますが、何かその他に、特にこれまでの実績を見て、これは改めた方がよかったというので改められた内容的なものがあるのですか。それともその他規定を整備するというのは、単に法文の解釈とか、そういうものがあいまいであってはいけないから、文字を改めるとか、そういう程度のものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/32
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033・後藤博
○後藤政府委員 その他整備をいたしますものの中で、二つちょっとしたものがあります。一つは起債を特定財源から落す、従来から起債を特定財源にするということに法律はなっております。それを単位費用の中で、単位費用を出します場合に、標準経費を基準といたしまして、補助金とか、負担金とか、手数料、使用料、分担金と同じように、起債を特定財源から落すことになっております。そういうことをやめて地方債は特定財源と考えないようにしていきたい。もう一つは端数計算の規定、これは二十二条の規定でありますが、五百円未満の端数があります場合に、端数を切り捨てることにいたしたのであります。これは全く手数の問題でありまして、五百円以下がありますと計算機の回転が非常に多くなって参ります。従って計算の便宜上五百円以上千円未満の端数がありますときには、千円という計算にする、こういうふうなことにいたしたのであります。これが規定の整備の大体の内容であります。あとはほとんどありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/33
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034・中井徳次郎
○中井委員 今の問題のうちで、二のことはけっこうですが、一の問題はこれは相当大きな問題だろうと思うんです。これを特定財源から落すということになりますと、これだけ収入不足ということになるんですか。そういうふうな計算ですか。それとも、これまで起債を特定財源と見ておったものを、何割だけ見ないようにするとかいうふうなことでありますか、その辺の具体的な内容はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/34
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035・後藤博
○後藤政府委員 起債を特定財源から落すということになりますと単位費用を逆に上げるということになります。標準施設の標準経費の中から分担金や特定財源を落す、つまり引きましてそれを数値で割ったものが単位費用であります。その場合に起債を入れるか入れないかという問題があります。起債を入れて計算すれば残った数値が少くなり、割りますと単位費用が低くなります。そういう計算をしないで、起債は特定財源という考え方をやめるわけであります。従って財政需要額が多くなる、こういうことであります。もしもこれを存置いたしますれば、逆に財政需要額そのものの中に償還費のようなものを見なければならない、こういうことになって参ります。そちらを見て、これを特定財源の中に含めるのであれば、これは筋が通るのであります。従来も償還費を見ておりません。従って、これをとっても影響がございませんので、この際規定の整備でとろう、こういうことを考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/35
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036・中井徳次郎
○中井委員 この点は、私は非常な前進だろうと実は思います。そこで償還費を計算しないで特定財源から落すということになりますと、ことしは地方財政計画で七百数十億の数字があったと思いまするが、そういうものが総体として七百数十億だけ歳入欠陥といいまするか、収入がないと見て、今度は逆に需要がふえたと考えてもいいわけですか。はっきりといえばそういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/36
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037・後藤博
○後藤政府委員 実は地方債は、特定財源という考え方の法律にはなっております。しかしそういう問題がございまして、しばらくこれは償還費を立てておりませんし、実際特定財源で計算をしてないのであります。従ってこれをはっきり規定の上から除いていこう、特定財源という考え方をやめていこう、こういうことにいたしたのであります。財政計画上の問題とは、直接すぐには関連がないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/37
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038・中井徳次郎
○中井委員 数字はもちろん七百数十億とぴっちりはいかぬでありましょうけれども、どういうことになりますか。そうすると、結果として何割くらいそれを見ることになるか。これまで実は起債の関係は、特別交付金の中に金利の問題その他も含めて計算されておらなかったわけですね。それが何らかの形で入ってきたというのが今度の改正でしょう。そういうふうに解釈していかぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/38
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039・後藤博
○後藤政府委員 そうでないのでございまして、今までも、地方債を特定財源という考え方で引いていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/39
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040・中井徳次郎
○中井委員 これまでも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/40
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041・後藤博
○後藤政府委員 そうです。従来もそういうことをやってきておりますので、これをば規定の整備で落していこう、つまり実情に合わせていこうということであります。もしもこれを残しておきますと、逆にこの財政需要額の方に起債の償還費をあげまして、標準団体を特定財源として落すのであったならば意味があるのでありますが、片一方だけ入れるというのはおかしいのです。従って、従来はどちらも落しているわけであります。従って従来通り実情に合せるという意味で、特定財源の計算から落すというふうに考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/41
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042・中井徳次郎
○中井委員 それでは大した変更ではなくて、これまでもやっていなかったが、ただ法文の中にはあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/42
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043・後藤博
○後藤政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/43
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044・中井徳次郎
○中井委員 それは逆にいえば怠慢じゃないですか。四、五年の間ほっておいたということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/44
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045・後藤博
○後藤政府委員 怠慢と言われれば怠慢かもしれませんが、標準団体における地方債のワクを特定財源として計算しようとすれば、やはり個々の償還費も見なければならぬ。償還費をそのまま見ていきますと、今度は起債を多くしたところに交付税が流れていくということにもなります。従ってそういう格好でなくて、償却の形でもって財政需要の中に入っているわけであります。ものによりまして二十年とか三十年とかの償却の形でもって、投資的経費は基準財政需要額の中に計算することになっております。その投資的経費の償却の年限を、昨年の暮れの特別交付金のときに、五十年を四十年にするとかいうふうに圧縮して参っております。そういうところで財政需要額も見ていくということに従来なっております。従って、地方債を財源にあげないで、そういう格好でもって財政需要額を見ておりますので、その見方もだんだん多くして参りましたので、この際地方債の特定財源という考え方を落していこう、こういうことにいたしたのであります。何もしなかったということではなくて、ある基準財政需要額の中には見ていることは見ているのでありますが、その見方が非常に薄いということがあります。その見方を漸次厚くして参っていることもやっております。従って何もしなかったということではなくて、徐々に基準財政需要額の中で投資的な経費の見方を変えつつ参りましたので、この辺ではっきり見て、特定財源として引いていないのでありますから、もう落してもいいじゃないか、こういうふうに考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/45
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046・中井徳次郎
○中井委員 そうすると、結局起債を特定財源から落しても、先ほどからの問答では、実際の効果としては前と変らない、とにかく規定の整備をやるだけだ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/46
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047・後藤博
○後藤政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/47
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048・門司亮
○門司委員 ちょっと一つ、二つ聞いておきたいのですが、交付税の算定の基礎になっている数字は、ここに書いてあるこの数字は別にして、大体自治庁が考えている都道府県あるいは市町村の基準はどこに置いているのか。必ずしも人口割りでいっていないと思うのだが、一体基準をどこに置いているか、その点を一つはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/48
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049・後藤博
○後藤政府委員 基準と申されてもちょっと困るのですが、県の場合は百七十万の人口のある団体の標準施設の標準経費という考え方であります。それから市町村の場合は、十万の都市の標準施設の標準経費という考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/49
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050・門司亮
○門司委員 自治庁のいう百七十万の府県の標準の施設の標準経費ということがわからないのです。それから市において十万というのは、実は非常に問題が残っております。府県の人口というものは、御承知のように範囲が広いことのために、人口だけでは、その中の生産と、従って経済力というものが私は十分にわからぬと思う。一体百七十万というのは、ただ府県を全部集めて、平均が百七十万くらいになるから、これに基準を置こう、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/50
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051・後藤博
○後藤政府委員 府県の人口を府県の数で割りますと、大体百七十万くらいになります。従ってこの平均のところを見ていくという考え方であります。従って百七十万の人口のあるところの標準的な施設、大体地方事務所が幾つあって、そして県の部が幾つあって、その県内の施設は大体この程度というのを、過去の実績を基礎にいたして出しまして、その予算を一応作りまして、それをそれぞれの数値でもって割って、単位費用を出していくという考え方であります。それの標準的な需要を見ていくという考え方からきているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/51
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052・門司亮
○門司委員 問題はそういうところにあるので、府県の場合は、府県の施設その他というが、府県のあり方というものがどういうあり方をしているかということは、私は自治庁もよく知っていると思う。最近の府県のあり方というものについては、教育行政一つを取り上げてみても、府県の実態によって教育行政をかなり強く行わなければならない府県もある、あるいは府県の位置によっては人口が非常に多くても割合に教育行政というものはおろそかで済む、それから農業の単位を考えてみても、純農業県である場合と、その農業が高度な技術と集約的農業を行わなければならない農村等を持っておる府県があるわけであります。従って百七十万という一つの基準は——なるほど算定をするにはそういう方が都合がいいかもしれない、役人からいえば都合がいいかもしれないが、事実においてはかなりかけ離れたものができると私は思う。従って交付税の交付の基準になるべきものがそういうことで見積られておったら、交付税についてもいろいろな問題が出てくると私は思う。ことに都市の十万なんというのは、まるでめちゃくちゃな話なんです。一体自治庁は都市行政というものを知っているかどうか。今日の十万なんという都市は、都市といっても人間がだんだんふえてきて、一つの都市の態様を作っているだけであって、都市自体の行政としての完全なものはでき上っておらない、きわめて不完全なものだと思う。ところが人口が三十万になり、五十万になり、百万になってくると、都市行政には高度ないろいろの施設が必要になってくる。単位費用にしても非常に大きなものです。一番卑近な例を言えば、たとえば最も人間のきらう糞尿の処理あるいは塵埃の処理というものは十万の都市まではほとんど経費が要らぬのです。畑があるから大体自家処理ができる。ところが大都市になってくると非常に大きな費用を要するのです。だから十万の都市を基準にして大都市を見るということはまるでめちゃくちゃです。基準の置き方が少し違いはしないか。もっと実態に沿った一つの置き方が必要ではないか。都市といっても大阪のような約三百万の都市と三万内外の都市がある。その標準を十万に置くというのは非常に誤りだと思う。これは都市自体の性格、形というものが非常に大きな相違を来たすのであって、十万の都市ではせいぜい高等学校でもいいかもしれない、あるいは高等学校がなくてもいいかもしれない、それより以上の都市になってくると、教育行政においても高等学校は少くとも幾つか持たなければならない、同時に場合によっては大学を持たなければならない、おそらく今日の五十万以上の都市で大学を持たぬ都市はないと思う。はなはだしいのは総合大学というものを持っている。そういうことを考えてくると、基準としての十万というものは変えなければならぬ時期に来ていると私は考える。こういう点について自治庁はどう考えておるか、それでもいいとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/52
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053・後藤博
○後藤政府委員 私どもはどこかにやはり基準を置くべきだ、どこの団体かに基準を置いて考えなければならないという考え方を持っています。従って十万がいいか、二十万がいいか、五万がいいかという問題はありますが、一応標準団体の標準経費を見て、それから標準団体と違った態様の府県の財政需要を考えます場合には、それを補正係数でもって伸ばしたり縮めたりしていくのがいいのではないか、そういう考え方で交付税はできておるのであります。補正係数を漸次——たとえば段階の補正では、人口がだんだん多くなって参りますれば、もちろん財政需要がふえて参りますが、人口がふえる程度にはふえていかない、逆に人口が少くなっていくと経費は少くなって参りますけれども、人口の割には少くなって参らないというふうな考え方で補正をいたしておるのであります。また都市の態様によってもちろん財政需要も違って参りますので、それを態様補正の形で補正をする、その場合には都市を二十段階に分けて都市自体の財政需要を見ていくというように、標準団体を基礎にいたしまして、補正でその財政需要を伸ばしたり縮めたりしていくという考え方をとっておるのであります。従ってそういう考え方をとりますと、十万がいけなければ五万にするとか二十万にするとかいう問題はありますが、やはりどこかに基準が必要ではないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/53
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054・門司亮
○門司委員 どこかに基準を置くことが必要なら考えるべきであろうが、現在の百七十万あるいは十万というものを基準にして、今日の状態ではやるべきではない。ということは、あなた方から考えてみると、交付団体といわれているが、交付団体の個々の状況を見てごらんなさい、必ずしも富裕団体でも何でもない。これはたびたび言われることだが、たとえば東京の教育行政は鳥取よりもはるかに悪い。日本で一番教育行政の悪いのは東京ですよ。不正教育が一番多い。これをカバーするのに東京都という一つの大きな市街地の環境からくる子供の知恵がませておるということ、これで辛うじて東京都の教育が補われている。東京都の教育が一番始末が悪い、約三千くらいの教室が不足ですよ。これは交付団体にならない、算定の基礎に誤りがあると私は思う。次に悪いのは大阪であり次は神奈川であります。一番富裕団体といわれるところほど個々の行政がよくない。下水を見てごらんなさい、どういう状態になっておるか、上水道を見てごらんなさい、どういう状態になっておるか。東京都の上水道は完全であるか、下水道は完全であるかどうか。今日の状態は、個々の行政が一つの単位になるということが考えられなければならないと思う。人口を一つの段階にすることは一つの目安となるかもしれない。しかし問題は需要面における地方の公共団体に来る恩恵というものは、個々の行政によって違うのである。道路にしてもすべてそうなんだ。交通量を見ないでただ単に道路の面積だけを見て査定をすると非常に大きな間違いができる。算定の基準というものはこういう形でなくして個々の自治体の——これは必ずしも当てはまるとは言えないが、当然要すべき経費というものの見方は、年々出て参ります決算に現われてくると思う。必ずしもこれは正しいとは言わないが、赤字がどうであろうがやるべき仕事はやらなければならぬというのが実態だと思う。だからわれわれは今のような画一的のものではなくて、個々の行政というものを単位として、この問題を処理すべきであるということを強く考えておるのでありますが、この点についてこれ以上答弁を要求いたしませんが、一つ考えてもらいたいと思います。
それからもう一つ、この機会に聞いておきたいと思いますことは、交付税自体の本質的な問題であります。一体これを政府は自主財源と考えているのか、調整財源と考えているのか、この際一つはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/54
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055・後藤博
○後藤政府委員 私どもは地方団体の財源という考え方はもちろんとっております。しかしそれは調整的の機能を持つ自主財源というような考え方をとっておるのであります。つまり機能が調整作用をしておる、しかし財源そのものは自主財源だという考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/55
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056・門司亮
○門司委員 実態がそうだからその通り答弁されたと思う。しかしその実態は私は誤りがあると思うのです。自主財源というならば、個々の自治体の自主財源でなければ独自の意味の自主財源ではない。あくまでもこれは調整財源で、ただ国と地方との間における調整的な一つの財源ということは言えるかもしれない。しかし配分方法から見れば必ずしも自主財源になっておらない。そういう意味で言うならば、今度出た国有資産等の所在市町村に対する交付金の方が、むしろはっきりした自主財源だと言えると思う。これは法律で約束づけた一つの方法である。しかし交付税という名前をくっつけて、さらにこれが政府の言うような法律で強制された自主財源というならば、その通りに個々の自治体についても、ある程度の自主財源でなければ正しい意味の自主財源ではない。これが正しい意味の自主財源でないところに今日非常に大きな弊害が出ていると思う。この弊害の一番大きな問題は、陳情運動がここから出てくるということと、査定が非常にめんどうになっておって、必ずしも個々の実態は沿わざる査定が行われておりますために、交付税がかなり不公平にわたりていると言える。こういう弊害が出てくる。だからこの弊害をなくそうとすれば、どうしても自主財源というならば個々の自治体の自主財源という考えのもとに、これを配分することが正しいことだと思う。それの方が一応名実ともに整う体系を持っておる。この点について自治庁はそういうようにお考えにならないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/56
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057・後藤博
○後藤政府委員 門司先生の各団体の自主財源という税のような、各団体ごとのそれぞれの自主財源というものからいうと、これは共有の形を持っておりますので、その点少しぼけているかと思います。ただし府県などになりますと、大体自分の県の交付税の見当は、まじめな団体であればつけておるわけであります。従ってもちろん自主的な機能を果しておると思いますけれども、個々のこまかい市町村になりますと、計算方法について必ずしも見通し通りにならないということをよく言っておりますから、必ずしも的確に把握しておることにはなっていないかもしれません。しかし私どもの考え方としては、共有の自主的な財源であるから、その共有の関係においてできるだけ公平に配ろうというので、いろいろな方式を考えて配っておるのであります。これは共有の形をとっておるために起ってくる問題でありまして、それが多少団体によりまして厚薄がつくということは結果的になるかもしれませんが、しかし分け方そのものは私どもは一定の計算方式をできるだけ多く用いて、公平に分けていこう、あるところにはやらないで、あるところだけやるというようなことではなくて、やはり計算に出たものは必ずやっていくというような方式でもって配分しておるのであります。それをもらった方から見ますと、はっきりその辺がわからないところがありますので、おれの方は少なかったとか、去年と比べてどうとかというふうなことを言っておるようであります。しかし配分そのものは計算でちゃんと出していく方式をとっておるのでありまして、そうおっしゃいますようなことには私どもはなっていないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/57
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058・門司亮
○門司委員 私は結果を言っているわけではない。この税金の本質からやはりそういうことが考えられるのです。この点については後藤さんもよく知っておるだろうし、隣に奥野君もいるのだから……。今までこの税金がどういう経路を経て、こうなったかということには長い間の段階がある。明治時代に、いわゆる農村の調整財源のみを目的としたものが考えられておったときには、これは何も法律という形を示されない、そのときどきでこのくらい足りないから、これくらいやったらよかろうということできめられておった。それが昭和になってややはっきりした形になってきて、どうしても調整財源が必要ということで調整財源になってきている。それから終戦後においても配付税当時においては、全部調整財源にしないで、ある程度自主的な財源になるように、一応配分関係は考えられておった。これは昭和二十五年まで続いているはずであります。昭和二十五年の税制改正のときに、これが交付税という形に化けた。そして平衡交付金の形に化けた。この当時は全く平衡交付金であって、今自治庁が考えておるような配分の方法であるいはよかったかもしれない。これは明らかに調整財源ということだけを目的にしておる。それが再び交付税という名前に変ってきた経緯というものは、今政府の考えている考え方とは断じて違う。名前をどうしてこう変えたか、これは調整財源のみの平衡交付金ではいけない。自主財源にしなければいけないというので、一応名前を変えて自主財源にして法律で縛ってきた、法律で縛ると同時に当然個々の自治体のある程度の自主財源になるような配分方法が考えられなければならなかった。ところがこれは考えられなかった。さらにこの税法のもう一つの変り方というものは、過去の所得税その他の付加税が一応こういう形に化けてきたということも一面言えるのだ。こういうことを考えてくると、これが個々の自治体の従来の付加税の形式をとっていれば、それは当然その自治体のみの財源になるのであって、こういう形には出てこない。しかし付加税だけではどうしても調整財源がうまくいかないというので、この二つの要素を備えた地方交付税という名前に変ってきた。これはこの税金の歴史的経過から見てはっきりわかっておる。それを今のようなことで政府が変えようとするのは、役人のものの考え方であって、役人はできるだけ自分たちの勢力範囲内にすべての機構を置きたい。これは役人の意欲です。役人のものの考え方からいうと、そういうことは言えるかもしれない。しかし役人という立場を離れて個々の自治団体の問題、今日のこの税金の出てきた経緯を考えてくれば、今のような答弁は成り立たないと思う。もう少し官僚的なものの考え方を離れて、実質的の個々の自治体を考えてもらいたい。そうしてできるだけ交付団体を少くする。お上の厄介になる、いわゆる政府の厄介になる、調整財源を必要とする団体をできるだけ少くすることが、この税金の一つの建前でなければならぬ。そういう考え方から従来の平衡交付金を交付税という名前に変えたはずである。だから交付税については一体自治庁はほんとうにどう考えておるのか。私は自治庁としても世話がないと思う。ある程度自主財源をやって交付団体が少くなれば世話をやく団体が少くなる。こういう官僚統制的のものの考え方については、ぜひこの際考え直してもらいたい。そうしてある程度の自主財源というものをやはり持たしていく、こういうことを考えるのだが、一体政府はこれをどうお考えになっておるかということを、もう一応聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/58
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059・後藤博
○後藤政府委員 先ほど申しましたように、共有の実費的な財源であるが、その機能は調整的な機能を持っておることになっております。従ってその調整的機能というものを中心に配分をいたします結果、やはりいろいろな問題、たとえば基準財政需要額そのものが寡小であるということもございます。従って交付税の額によって、額がふえたときに基準財政需要額も直していくという考え方に立って参りますと、交付団体というものはふえていかないということになって参ります。従って調整財源的機能を中心に考えて参りますことは、より公平な配分であるという観点から、一応この交付金時代の制度を踏襲しておるのであります。もちろん合理化すべき点もあると思いますけれども、そういう点ももう少し合理化することによって自主財源らしきものの方向に進んでいくのが正しいいき方ではないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/59
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060・門司亮
○門司委員 最後に何か言われたようでありますが、私はやはりできるだけ自主財源という形を、この税金の中に織り込むというのが税金の本質で、今日までの経過からしてそうなっておる。幾たびか変っておるからそういうところに原因がある。名前をなぜ変えたか。どんなに政府がやかましいことを言って理屈を並べてみたところで、自主財源でまかなえる団体は年々減っておるでしょう。来年度になると、おそらく日本全国の都道府県で交付税の厄介にならない団体はなくなるでしょう。なぜそういうものができるか。交付税を上げていきながら交付団体がふえておる。市町村も同じことです。市町村の財政あるいは都道府県の財政の疲弊する一つの大きな原因は、ほかにもあります、しかし必ずしもこれに基くものではない。しかしそれをできるだけ防御していこうとするものの考え方の中には、先ほどから考えておりますような地方財政平衡交付金を地方交付税に直したというところに大きな問題があったと思う。地方制度調査会がそれを直すときには、そういう意味で直されておることは、地方制度調査会の記録を読めばはっきりすると思う。当時の考え方はそうだったと思う。政府がそういうことを考えないで依然として官僚主義的、画一的な統制を行なっていこうとするから、日本の全国の町村がみな貧乏になって、みな赤字をこしらえて、そしてみな政府の厄介になっておる。それがやれないならおれの方でやってやろうというようなことで、知事の官選論が出てきたり、あるいは中央集権の度が強くなったりする。こういう点を一つ考え直してもらいたいということと、もう一つ最後に聞いておきたいことは、富裕団体であってたくさんの赤字を持っておる団体に対する政府の態度はどうかということです。交付税を一銭ももらっておらない団体、そうして再建整備法の適用を受けなければならぬような段階に立ち至っておる自治体がある。こういう団体に対する政府のものの考え方はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/60
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061・後藤博
○後藤政府委員 赤字を持っております不交付団体につきまして、別に交付団体と考え方を変えておりません。不交付団体でありましても赤字の処理につきましては、交付団体と同じような考え方でやるつもりでおります。従って別に差等をつけるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/61
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062・門司亮
○門司委員 そうなんでしょう。そこで私の聞いておりますのは、交付団体として今まで交付税をやらなかった富裕団体が赤字で困っておって、再建整備を受けなければならないという段階に立ち至っておるのです。その赤字の原因はどこにあるかということです。今までは政府は富裕団体だからといって交付税をやっていない。ところが富裕団体のつもりのやつがふたをあけてみたらたくさんの赤字を出しておる、どうしても再建整備を受けなければやっていけないという団体が現実にでき上っている。この問題と自主財源というものをどう考えられるかということです。政府が表面から見た団体で、どうしても中の実態というものがはっきりしておらない、仕事の量いわゆる事業量というものをはっきり考えない、表面上の十万なら十万の都市を基準にしてやると言っているから、そういうものができるのです。事業量というものはおのおの異なっておってたくさんの仕事を持っているものがある。だから不交付団体が赤字で再建整備を受けなければならぬというのは実におかしい話なんです。それは富裕団体だからといって政府は交付税をやっていない、その富裕団体が赤字で困っておって再建整備を受けよう、こういうのです。だから少しつじつまが合わぬところが出てくる。政府から言えばそれは単独事業のやり過ぎだから仕方がないと言うかもしれないが、しかし単独事業をやらなければならない実態があったと思う。事実が存在しておったと思う。その事実の存在を無視した交付税の配分方法、そういうものの責任を負わなければならぬと考える。この点についてはただ公平にやるというだけでなくして、問題をどうお考えになるかということをもう一度聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/62
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063・後藤博
○後藤政府委員 門司先生のお話を伺いますと、私の聞き間違いかもしれませんが、富裕団体だから交付金をやらなかった、こういう考え方から出発しての御議論ではないかと思うのであります。しかし富裕団体だから交付しないのではなくて、これを交付税の計算方式において超過財源が出たから、その団体を世の中の人が富裕団体と言っているのです。逆なんであります。結果的に富裕団体ということを言っているのであります。従って富裕団体であるから交付しておらぬ、私どもはこういう考え方に立っていないのであります。超過が出るから、私どもは富裕という言葉をあまり使いませんが、世の中の人はいわゆる富裕という言葉を使っているのでありまして、その辺がちょっとお考えと違うのであります。現実の問題は超過団体で必ずしも赤字を出していない団体がたくさんございます。非常に楽な運営をし、税を安くしておる団体は市町村にはたくさんございます。従ってそういうところと、赤字を出しておるところを比較いたしますと、やはり赤字を出しておりますところには何かその赤字を出す原因があるのであります。その赤字の原因の問題にまで入っていかないと、私は解決をしない問題、議論の発展しない問題ではないか、かように考えるのであります。それぞれ赤字を出した問題につきましては、もちろん政府の責任もある程度ございますが、その団体自体の大きな責任の部分もあるのであります。これは個々の具体的な市町村につきまして申し上げることができると私は思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/63
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064・太田正孝
○太田国務大臣 この前のときに私休みましたが、門司委員から私が地方交付税改正について御説明申した中で、市町村の都市化の程度により、このことについて御質問があったのですが、私欠席いたしましたためにきょう申し上げます。少し言葉がこなれぬかもしれませんが、これは合併関係の意味ではございません。各市町村の経済構造等の実態の差を表現せんがために使った言葉でございますので、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/64
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065・門司亮
○門司委員 私はこの点は大臣なかなかよくお考えになって、実は合併された町村というもの、いわゆる都市というものは、住民の意欲というものがより以上の都市の発展と住民の幸福のために努力しておるわけでありますから、この点を大臣はお察しになってこう言われたと思って、実はその真意をはっきり確かめよう、こう考えておったのでありますが、そうでないということになると、実は問題が出てくるわけであります。今日の新しく合併されて市になりました町村は、先ほど申し上げましたように住民の意欲というものは、より以上の自治体の成長と発展をこい願うのあまり合併されたというのが、私は正しい意味の合併だと思う。従ってそれらの合併町村につきましては、当然これを育成すべき責任が政府にはある。だから町村合併後における育成の法案を出そうかということまでのお考えを、大臣もお持ちになっておると私は思う。このお考えをお持ちになっておりますならば、取り残されております問題の中に、合併をいたしましたために多くの借金を持ち寄っておるという問題があるわけであります。財産も持ち寄っておりますが、その反面に借金も持ち寄っておる、従ってその借金については、もし大臣のお考えがこれを育成助長しようというならば、いかにして一応の解決策を与えるかということが、一つの町村合併あるいは都市を形作ったものの目的達成の一環だ、私はそう考える。従ってその点についての大臣のお考えを、この際もう一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/65
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066・太田正孝
○太田国務大臣 ただいまの御質問ごもっともと思いますが、個々の状況を私存じませんけれども、その借金のできた原因がどうあるか、これをどう処理すればいいかなど複雑な関係があると思います。ただいま各省ともいろいろな点を交渉しておる最中で、まだ案ができ上っておりませんが、御趣意の点はよく検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/66
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067・亀山孝一
○亀山委員長代理 それでは午前中の会議はこの程度にとどめまして、休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。午後は主として警察に関する事項でございます。
暫時休憩いたします。
午後零時三十七分休憩
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午後三時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/67
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068・亀山孝一
○亀山委員長代理 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
警察に関する件について調査を進めます。なお本件の調査について警視総監江口見登留君及び警視庁警備第一部長藤本好雄君の両君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/68
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069・亀山孝一
○亀山委員長代理 御異議なしと認めますからさよう取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/69
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070・大麻唯男
○大麻国務大臣 手違いから大へんおくれまして恐縮でございます。おわびを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/70
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071・亀山孝一
○亀山委員長代理 発言の申し出がありますので順次これを許します。三鍋義三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/71
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072・三鍋義三
○三鍋委員 一昨日国会周辺にかもし出された雰囲気というものは、国民が見ましても、また直接政治に携わる私たちがその場面に遭遇いたしました感じから見ましても、非常に好ましくないというよりも憂慮すべき状態であったと私は考えるのでございます。御承知の通りあの警察法が改正されましたのはたしか一昨年の問題のあった国会末期であったと思いますが、それもどうも割り切れない状態において通過したのでございますが、私たちがあの当時反対いたしましたのは警察権が国の権力に掌握された場合に予想される問題でございます。過去におけるいろいろな歴史的な事例から考えまして、将来再びああいうことになったならばどうなるかということを心から憂えたから、あれに対しまして私たちは党をあげて反対をいたしましたことは御承知の通りでございます。しかしこれが通りました。通った後のいろいろの経過をたどって、そして一昨日の状態を見ましたときに、私たちの憂えておりました問題がそのきざしを現わしたというよりも、すでに大きな事実となって現われてきているのではないかという大きな不安を感ずるのでございます。一つの権力を握った場合初めは慎重でありましょう。誤まりないでありましょう。誤まりないようにお努めになると思います。そこで大臣にお伺いいたしたいのは、この警察権の行使ということにつきまして慎重を要するということをお考えであることは当然でありますが、これに対する大臣として公安委員長としての心構え、この行使がどのように善用されているか、誤まりなき行使がされておるかということに対するあなたの心がまえと、その部下に対するいろいろの御注意とかいうものについて、まずお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/72
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073・大麻唯男
○大麻国務大臣 お答えを申し上げます。いろいろ御心配恐縮でございますが、警察といたしましては御承知の通り国家公安委員会がこれを管理しておりまして、政府がこれを使用するとか行使するとかいったようなことは考えておらぬのでございます。それで警察庁長官以下の警察官憲がこれを執行いたしております。これを管理するのは国家公安委員会で、その心がまえというものは変えてはならぬ、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/73
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074・三鍋義三
○三鍋委員 もちろん管理する立場におられることを私取り上げておるのでございます。管理あるいは助言という立場におられるのでございますが、この運営の誤まりなきを期するために大臣のお心がまえをお聞きしたのでございます。
そこで一昨日私は党の方から、正面の方から陳情団が来るはずであるからといって、その陳情団の受け入れのあっせんの役を命ぜられまして、私と春日代議士と二人で十二時十分ごろでしたか、正門へ行ったのでございます。風が非常に寒い日でありました、砂塵が巻き上っておりました、ふだん開放されているはずの正門のところへ来ますと、ぴったりとこれが閉ざされておる。私は初めそう意にも介しませんでした、あいているところから門外へ出てみますと驚いたのであります。たくさんの自動車が閉ざされた門の前の空地にぎっしりと駐車の状態にあるのでございます。それで私はもう来るか、はや来るかと思うて陳情団の来るのを正門で待っておりました。見えたならば連絡をとって委員長に出てごあいさつ、陳情を受けていただこうと思うて、三十分、四十分くらい待つておりましたけれども、どうも来る様子がない。しかしずっと向うの方チャペル・センターのあたりを見ると、警察官の青一色で塗りつぶされた状態になっておる。そこで春日代議士と向うへちょっと行ってみようということで行ってみると、驚いたことには道路が警察官のためにふさがれておって陳情団と思わしき人々のところに行くことができない、やっとかき分けて一人辛うじて通れるようにして通してもらいました。私たちが国会議員の記章をつけて、こういう扱いを受けるのでございますから、一般の人たちは絶対に通れない状態にある。辛うじてそれをかき分けて行ってみますと、両方で通してくれい、通されない、上からの命令だから私たちはこれを通すわけにいかない、天下の大道を何と心得ておるとか、私らが税金を払って作った道路をどうして通さないのか、こういったような押し問答がなされておったのであります。そのうちに道路には両側にいわゆる装甲自動車というものか何かわけのわからぬ格好をした車が並んでおる、門の前にはもとよりです。それで拡声機がしゃべっておる、聞くというと、そこにとどまっておられると都条例交通違反になりますからお帰り下さいというのでございます。そこで大臣にお聞きいたしたいのは、とどまろうと思うていない、目的地へ行こうとしているのをとどめているのはだれかということです。通れないようにしておいて、徐々に来る人をそこにためておいて、そこへとまっておるとけが人ができる、交通条例に反する、だからどこかへ行け、こういうことを言っておられる、こういう姿をどうお考えになるか。かりに銀座通りにおきまして警察官が五十人も六十人も道ばたにたむろしておって、自然交通する人が押しとどめられると、初めは一人、二人だったのが五人、百人、二百人、千人と人が固まる。そのときに拡声器でそこにとまっておったらけが人ができるから、都条例に反するからどこかへ行け、こういうことを言うのと同じ形になると思うのですが、こういう状態は一体許されるかどうかということを大臣にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/74
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075・大麻唯男
○大麻国務大臣 一昨日の状況は私実はつまびらかにいたしておりません。(「そんなことじゃだめだ」と呼ぶ者あり)待って下さい。お聞き取り願います。昨日石井長官が私の自宅に参りまして、きのうこうだったという話をしてくれましたので、初めて詳しいことを承知しました。もとより大体は承知しておりましたけれども、詳しいことはきのう承知したのでございます。それによりますと、今の話と少し違うように思うのです。門を締めたのは国会の事務当局が締めたのだそうで、警察の知るところではないようであります。それらのことにつきましては実際取り調べて詳しく知っております長官が来ておりますから、どうぞそっちからお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/75
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076・三鍋義三
○三鍋委員 それは長官にお聞きしなくても、僕は初めからしまいまで正門で見ておったのだから、ぼくがうそを言わなければ私の言うことが間違いないと思うのです。そこで何かの目的があって、ああいう姿になったのであると思いますが、長官に一つお尋ねしたいのでございますが、あの動員計画というものは、どういう意図のもとになされたが、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/76
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077・石井榮三
○石井(榮)政府委員 私ども警視庁から報告に接したところによりますと、一昨日のあの問題につきましては、その事前におきまして約三万三千名の大量の人が動員をされて、四方面から国会周辺に集結をして、いわゆる集団陳情という名のもとに大動員をされる、こういう情報があったのであります。従いまして警視庁といたしましては、この三万名に及ぶ大量の人が限られた場所に、四方面から国会の周辺に集結するということに相なりますと、またその勢いのおもむくところ、場合によっては都条例の違反の状態になるおそれもあるのであって、警察としましてはなるべく事故を未前に防止し不祥の事態を起さない、トラブルを起さないということが望ましい、こういう見地に立ちまして三万名を越える大量の動員に対する措置といたしまして、おおむね警察官二千名をもってこれが警備に当る、こういう計画を立てておるというふうに私は聞いておるのであります。しかし実際にはあの当日は三万名というような大量の人は集まらなかったようでありまして、私の聞いておるところでは約六千名余りであったというふうに聞いておるのであります。従いましてこれは当初承知しておった情報に基いての計画そのままでなしに、そこで情勢に応じて適宜警察官の配置計画等を再検討するという必要は確かにあったであろうと思います。そういう点は現場の最高指揮官が時々刻々の情勢の変化に応じて当初の計画を変更して配置しておる警察官を撤退せしめるといったようなことは、これは当然の常識として考えられることであります。おそらくそうした措置をとったものと思っておるのであります。あるいはそうした点に若干不手ぎわの点があったために、警察官が多少威圧するような配置になっておったということが、もしありとしますならば、今後そうしたことにつきましては十分反省をいたしまして、今後そういう類似の事案に対処する場合に行き過ぎと言いますか、誤まりのないようにさせたい、かように考えておるのであります。
なお先ほどお話のありました国会の正面の正門がしまっておった。その前に警察の車両が多数まるでバリケードを築くかのようになっておったということでございますが、国会の門の開閉は私ども警察には権限もなければ、また差し出がましく要請して、そうした開閉をしていただくというような筋のものでもないのであります。また事実あの当時そうしたことは何らいたしておらないのでありまして国会の事務当局において十二時半ごろに正門が閉ざされたというふうに聞いておるのであります。私は現場を詳細見たものではありませんから、すべて私の受けました報告に基いてお答えをいたしておりますので、あるいは時間は正確ではないかもしれませんが、私の聞いておるところによりますれば十二時半ごろ正門が閉ざされたというのは、当日国会の方におかれましては参議院の方は本会議も委員会もなかったということで、そのころ事務当局の方で締めたものであるというふうに承わっております。ところがその後、何時ごろでございましたか、国会の両院の社会党代表の七名の先生が、この問題について私の方にお話においでになりました。その際に正面の正門を締めてその前に車を並べてある、あれはさっそく撤去させろというふうなお話がございました。私は直ちにその事実を確かめ、もし警察がそうした行き過ぎをしておるということであるならば、仰せまでもなく是正すべきものであるというふうに考えまして問い合せましたところ、二時過ぎに——ちょうど私のところへ皆さんがおいでになりましたのは二時過ぎでございましたが、二時過ぎには締められておった門が再び開門されたというふうに聞いております。なお警察の車両が門の前に並べられておったというのは、正面の門が締められておったので、たまたまそこに警察の車数台を置いておりましたけれども、門を再び開くようになりますと同時に、その車はもちろん出入に支障のない地点に撤退させておるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/77
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078・三鍋義三
○三鍋委員 国民が国会に対しまして国会議員に自分の思いとか、あるいは願いを陳情するところの権利と自由を与えられていることは御承知の通りであります。また私たち国会議員は国政に直接携わる立場といたしまして、これらの人々の陳情なりあるいは願いを身近に聞いてあげるところの義務を持っておると思うのでございます。それがああいう状態に置かれては自由にできないということを非常におそれるのであります。大体あの国会の建物自体が、実におごそかでありまして、いなかから来る人はこの建物を見ただけでも心の安定感を欠くのであります。それをあのように、ものものしい姿で、ものものしい装備でこれを取り巻かれておるということは、地方から来る人は何か威圧を感じまして自由にすなおな気持で来られない状態をかもし出してもそことに事実であります。これはきのう、おとといの一時間あるいは二時間ぐらいの時間であったかもしれないけれども、そういう雰囲気の中において、帰って行った人があるのではないかと思う。ないかもしれない。もしあったならば、これは民主主義の議会政治の立場から嘆かわしい状態であると考えるのでございます。そこで、どうしてあんなに二千名の警察官を動員して、ああいうおごそかな配置をしたかということにつきまして、今長官は三万二千名の動員があるから、これが一カ所に集まったときに予想しないところの事態が起きるということを予想されての御配慮だったということをお聞きしました。ところが実際は五千名か、六千名であった。こういうことは三万名以上の動員であるか、あるいは千名の動員であるか、あるいは五十名の動員であるか、こういう変化する状態を的確にすみやかに把握できないような警察に対しましては、私は非常に物足りなさと何か不安を感じます。あなた方はあらゆる装備をもってあらゆる通信機関をもってどういう状態にあるか——うわさは三万五千名であるけれども、現実においては、どれくらいの者が動いておるか、これが瞬間的に最も短時間に把握できないといったような、そういう警察力で、一体いざというときに間に合いますか。もう一つお聞きしたいのは、今度正門を締めておった問題、それをいつ開いたかという問題、そしてその前にたくさんの車がバリケードと思われるように配置してあったという問題であります。これを締めたのは、あそこの麹町署長さんと私は話したのですが、あの方は私が締めたのではありませんと言っておられました。もちろんこれは国会の権限内でございますから、それは了解できる。しかしどうしてここへ車を置くのか、こう言うと、これは締まっておって通行できないようになっているからここに置いておいたと言う。ちゃんと理屈上は成り立ちます。しかし先ほど申し上げましたように、なるべく国会というものは、だれでも近寄りやすい状態に置いておらなければならないという根本精神から考えますと、私はかりに門が締まっておって、あき地があったから、置いたという理由が立ったといたしましても、これは今後大いに反省してもらわなければならない。ところが実際正門はどこの管轄下なのか、警視庁はどこまで権限を持っているのかわかりませんでした。ところがわが党の正木代議士と渡邊惣藏代議士、もう一人三人だったと思いますが、これはおそらくあなたのところに行っての帰りだと思いますが、正門に車を乗りつけました。そのときの大喝一声で初めてクモの子を散らすように車が飛んで行った。そのとき、こういうことをするのはけしからぬではないか、国会議員の通用門をどうして締めるのか。そしてその門の前にどうして君らは車を並べておるのかと追究いたしまして、その論議をしておるうちにだれがあけたのか知らぬけれどもあの正門があいた。先ほどのお話では、あれは参議院の管轄下だそうですね。だからなかなか芸がこまかいと思うのです。先ほどは参議院の予算委員会も本会議もなかったから締めたとおっしゃるけれども、その必要のないものをなぜあけたかということも理屈からいけば成り立つ。そこで私がお聞きしたいのは、何らかの不慮の事態が起るかもしれないという、その事故を未然に防ぐがための処置をされた、これはわかる、ちょっと行過ぎであるし、大げさであるということはこれははっきりしておるけれども、これは理解できる。それでは一つ長官にお聞きいたしたいのは、あの二十日の日——私はいつも宿舎を九時のバスで来るのですが、三宅坂のもう少しこっちの坂を上ってきますと驚いた。警察官が随所にたむろしている。一体何があるのだろうかと思って異常な感じを受けた。あとからお聞きすると、日患同盟の患者の方が、健康保険改悪の問題あるいはつき添い婦の廃止の問題——これらが入院患者自体の生命に関する問題でありますから、全国から約五十台くらいのバスに乗って陳情に来られたのですが、どうもそれに対する警戒らしい。微熱がある病人とか、心から自分らの生命を憂えて、しとやかに衷情を訴えようとするこの人たちに対して、何か悪い事態が起るかもしれないというので、警察官が予防策を講じなければならない理由がどこにあったのか、これに対する御見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/78
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079・石井榮三
○石井(榮)政府委員 ただいまお尋ねの前段の問題、正門前の車両の件についてくどいようでございますが、重ねてお答えをいたします。門の開閉につきましては、警察は何ら関与するものではないということは先ほど申し上げました通りであり、一昨日のあの門の開閉にはむろん警察は何らタッチしてないと私は聞いておるのであります。一たん締められた門が再び開かれた。それはすべて国会の事務当局の係官の手によってなされたものと聞いております。締められておる間に、その前に車を出入のじゃまにならないから置いたと先ほど申し上げましたけれども、これも先ほどのお言葉の通りよく考えますならば、そういった場所に置くのは必ずしも適当でないというふうに私自身も考えます。他に車を置く格好の場所がないので、そこをやむを得ず一時的に使用するのであればいざ知らず、そうでない限り努めて車を置くことを避けるべきであるというふうに考えますので、将来はそういう点につきましては十分反省いたしたいと考えております。
あとの問題の、二十日の日患同盟の陳情団の方々に対する措置につきましては、私詳しいことを承知をいたしておりません。おそらく患者でありますがゆえにいずれもバスに乗っておいでになったものというふうに聞いております。その交通整理等の関係で、ある程度警察官を配置したということは当然考えられることであります。さらにまたその患者の方々以外に応援のための健康者の相当数の人が集まってくるということもありましたので、そうした人々に対する適宜なる指導と申しますか、そういったために必要な若干の警察官の配置もこれまたやむを得ないことじゃないか、かように思うのでありまして、おそらくそういう使命、任務のために必要な場所に警察官が配置されておったものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/79
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080・三鍋義三
○三鍋委員 長官は長官の立場で部下の報告をお聞きになって、また自分の立場を忠実に守るための処置だと思うのです。あまりぼくは小理屈をひねったり、そういうことはきらいなたちでございますから、率直に御答弁を願いたいのです。あそこに観光自動車が五十台、六十台並んでおることは常時あることでありましょう。交通整理をやるんだったら、交通巡査の方がおってやられればちゃんとできます。それをことさらああいうものものしい姿でおられることに対して、私はやはり慎重であっていただきたいと思うのです。去年日患同盟の方が陳情に来まして、一人生命を失いました。それにかんがみて、白衣の看護婦さんでも万一に備えてあそこに配置されたんなら話がわかる。病人を相手にああいうものものしい姿をした警察官を多数配置するということは、あなたは必要として認められたかもしれない。またほかに健康者の方で応援に来る人があるから、もしものことがあったらというのでやられたかもしれないけれども、こうやって一連のこのごろの国会の姿を見ますと、私最初に大臣にお聞きいたしました行き過ぎの方向へ行くことを、心から憂えるのであります。
もう一つ私長官に今後非常に御配慮、御注意願いたいと思うことは、相手があった場合に、そこに一つの問題が起きるのでございます。水が流れているのに、そこへ大きな石あるいはその他のものでこの水をとめようとするところに、そこに氾濫と、水の激流ですか、あるいは大きな渦が巻くのでございます。どのようにしてこの流れをすうっと抵抗のないように流してやるか。これを私気をつけてもらいたいと思う。すなおに通っていこうとするのに、ものものしい姿でそこにおられるというと、人間というものは反抗心が必ずある。何だおれらを何か罪人扱いにする、あるいは何か事をなそうとするもののような見方をされることに対して、人間は心において何か非常な不愉快なものを感ずる。それが爆発する場合があるから、今後の警察官の運営というものは、私十分にこういう点を考えていただきたい。触れるがごとく触れざるがごとく、すらっとうまいことに流してやるというこの根本的な考え方を失ってもらいたくない。そこで私なぜこういうことを申し上げるかというと、具体例を申し上げます。どうしても一方では警察官が食いとめようとしている。一方ではどうしても行こうとしておる。このままにしておくというと、混乱が起り、けが人が出る。私は残念だけれども、せめて国会の門の前ででも陳情を受けてあげたいという気持で一ぱいだったけれども、一方はどうしても上からの命令で一歩も引かれないと言っているし、一方は行きたいと言っているから、このままにしておいたら必ず問題が起きる、混乱が起きる、こう私は見ましたから、これはここで食いとめさしておいて、そうして委員長を呼んで、ここでこちらは受け入れてやって、陳情団の思いをかなえてあげたい、こういう気持で、せめて拡声機でも使わせてもらえないかという交渉に署長のところに行った。なかなか承知してくれませんでした。しかしじゃそれは見て見ぬ振りをしましょう、聞いて聞かぬ振りをしましょう。いや何とか書いたものを持ってこぬというときかぬと言うておるから。それじゃ一つ連絡をとりますから。じゃ君連絡をとってくれ。それで私は現場に引っ返してきたのです。そうすると、一人の警察官が、国鉄の宣伝カーが入ってきた、その運転手をつかまえて、ドアをあけて引っ張り出そうとするような形のところに私が行った。これは大へんだと思いましたから、私は静かに君々と肩をたたいた。あるいはおいおいと言ったかもしれない。記憶にないが、感情が高ぶっておったから、おいおいと言うたかもしれない。肩をたたいた。そうしたら非常な怒りの様相でパっと私を振り返りました。顔の太ったまんまるい坊やだった。君、そうしたら混乱するから、ちょっとこちらへ来なさいと言ってわきの方へ連れて行って、こういうわけになったんだから、入れてもいいんだから、君は黙認しなければいかぬ、こういうことにいたしまして、委員長は来なかったけれども、国会対策委員長の勝間田さんが来てくれましたから、そこでみなの陳情を受けて、あいさつをして終ったのです。こういう状態で、私は初めから何とかして問題が起らないようにということを心に念願して、その交渉の間へ入ったのでございますけれども、私が先ほど申しましたように、すなおに陳情できるようにという根本をしっかりと御理解賜わって、今後こういう行き過ぎた——人間というものはステッキを持つと気に入らぬ枝を折ってみたくなるのですり与えられた権力をほんとうに大衆のために、大衆に不安を与えない、ほんとうに大衆から親しまれる警察官としての運営に、長官は今後十分御留意願いたいと思うのでございます。私一人でやっておってもいけませんから、私の質問はこれで終りますが、大臣もこの点よろしく御配慮をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/80
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081・石井榮三
○石井(榮)政府委員 ただいまの御意見十分に拝聴いたしました。今後警察運営の上で、十分に参考にさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/81
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082・亀山孝一
○亀山委員長代理 田中織之進君。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/82
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083・亀山孝一
○亀山委員長代理 静粛に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/83
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084・田中織之進
○田中(織)委員 先ほど三鍋委員の質問に対して、警察担当の大麻国務大臣は、詳しい状況は昨日石井警察庁長官からの報告で知ったということでございましたけれども、一昨日の事態は、法的にどういう解釈がなされようとも、少くともあの雰囲気は、われわれ国政の審議に参画する者として、国会の権威が著しく警察の威力によって傷けられたように受け取ったのであります。その意味において私後ほど大麻さんに御所見を伺いたいと思いますが、特に一昨日の事態を明確にするために、警察庁長官、あるいは本日参考人として出られている警視総監あるいは警務部長から伺いたいと思うのであります。一昨日総評系労働組合の諸君が、三十一年度の予算のベース・アップの陳情で来るということについては、われわれの党にも連絡がございましたし、また与党の自由民主党の方にもわが党を通じて代表者の会見等についてあっせんをいたしまして、国会としてはその点は承知いたしておったわけであります。そこで私お伺いをいたしたいのでありますが、同日午後国会が委員会等の開会がどういう状況になり、あるいは総評の陳情について国会の主たる政党が、その陳情を受けるかどうかということについて、事前に何らかの話し合いがあるということについては、警察当局の方では事前に衆参両院の事務当局なりそういうものを通じて——これは国会に関する警備の問題に関連いたすわけでありまするから、そういう事前の両院事務当局を通じての連絡が警察当局との間にあったかどうかということを、私はまず伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/84
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085・石井榮三
○石井(榮)政府委員 両院事務当局から事前の連絡といたしましてあの当日には、平素この国会の構内には両院の要請に基きまして警視庁から百七十二名の警察官を派遣いたしておるのでありますが、それ以外に両院おのおの二個中隊ずつ増加派遣をせられたいという連絡があったのであります。しかし警視庁といたしましては、両院二個中隊ずっと申しますと四個中隊ふやすことになるわけですが、それほどの必要もないのではないかというので、両院を通じて二個中隊、人数にしまして約二百名をふだんよりも多く派遣する、こういうことにして実施をいたした、かように聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/85
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086・田中織之進
○田中(織)委員 実はその点は、一昨日私が警察庁長官のところへ党を代表して両院議員総会長の吉田賢一君、正木代議士会長とともにお伺いをいたしたときにも申し上げた通りです。その事前に、ちょうど益谷衆議院議長が退庁せられたあとでございましたので、杉山副議長のところに鈴木事務総長においで願って、国会の本日の陳情に対する警視庁との間の連係の問題について伺ったのでありまするが、国会としては当日陳情の問題について、特に警視庁に警備の警告の増員について要請した事実がないということを、はっきりわが党の代表に言明をいたしておるので、その点は実は食い違いがあるわけであります。しかしそれはいずれ明確になることだと思いまするから私はあえて追及いたしません。そこで私の御質問申し上げたうちで、この陳情については与野党ともに代表者の陳情は受けようということで、特に衆議院の方は事務総長を通じて代表者の院内への通行証の発行の問題その他について、実は事前の打ち合せができておったわけなんです。そういう事実は警視庁の方では御存じであったかどうか、その点をまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/86
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087・江口見登留
○江口参考人 警視庁としてはそういう手続が済んでおることは一向存じませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/87
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088・田中織之進
○田中(織)委員 一昨日集団陳情に動員されるという人員の想定の上では三万三千名で、現実に見えたのが約六千名だという先ほどの石井警察庁長官の御答弁によってもわかるように、何らか別の意図であれだけのものを動員する、あるいはそういう想定をされること自体に、私は警察として治安維持の任に当る点においてむしろ欠けるところがあると思うのです。問題はやはり集団陳情に国会へ押しかけてくるであろうという人員を的確につかまなけれぱ機動的な処置がとれないのではないかという先ほどの三鍋委員の質問はそこから出てきておるので、ことに当日隊伍を組んで陳情に来るという形になれば、いわゆる都条例によるデモの取締りというか、道路交通取締りの関係から、警察取締りの対象になるということはわれわれも承知いたしております。その点から見て何らかの不測の事態に対処するための警察側のある程度の予防的な動員態勢だ。そういうことについては私は過去十年国会に席を占めさしていただいており、今までも昼間ではなくて、ことに夜間におけるデモ隊あるいは陳情隊に国会議員として面接をした経験を持っておりまするので、このくらいのことは私は十分承知の上でおりまするが、特に一昨日は与党の方の諸君も池田副幹事長等でございましたが、この一昨日の陳情を受けるということで院内へ待機しておったところが、結果的に見ますと、警察の非常な動員態勢のもとに、そういう代表が院内へ入って来なかったために、総評の連中はおれたちに陳情するんだといって待ちぼうけを食わしたということで、かえって総評の諸君に対する与党の待機せられておった池田副幹事長などの反感が生じてきておる。これは昨日の読売新聞がそのことを紙面に取り上げておることによってもわかるわけなんです。私はそういう意味で従来からこの種の陳情等の集団的な行為に対する取締りの見地から見ても、国会の衆参両院、特に衆議院の事務総長も議長の代理としてわが党の代表者に会って代表者の院内への通行の問題あるいは与野党べの陳情について十分連絡をとっておるという事実を警視庁は御存じなくて院内の警備の配置をするという点は、私はこれは非常な手抜かりだと思う。そこに不要な大量の人員を配置するという結果になったのであります。当日は私ども外務委員で平生地方行政委員会に出ておりませんかために、先ほど山中委員からこの委員会の委員であるかどうかと間違えられるような問題があったのです。私はたまたま外務委員会の審議の中途で——これではわれわれが警察の包囲のもとに国会で審議をするということは耐えられないということで、私は委員長の許しを得て退席をした、そうして警察庁長官にお目にかかって、あまりひどいじゃないか。——たまたま私の方は三十一年度の予算の組みかえ案に関する両院議員総会を開会いたしておった、そういうわけで衆参ともに国会としての機能をなお発揮しておる過程において国会との関連なくて警視庁として都内の治安維持のために独自の見解を持ってやることは差しつかえないんだと言えばそれまでですけれども、問題は国会の周辺にあれだけの配置をやるということは、われわれ国会議員の立場から見れば、国会の開会中にわれわれが頼みもしないのに警視庁が何千名と人を配置して、あたかも国会を包囲するかのごとき態勢のもとに、国会の審議を続けなければならぬということは非常に威圧を感ずるのです。一昨日の処置について警視総監として、あの処置があくまで警視庁として正しい処置であったかどうか、先ほど三鍋委員からもるる具体的な事例についても指摘をされておりまするが、当日情報の収集等においても欠くる点があり、行き過ぎであったという点をあなたが率直に認められた方が、今後の国会でどういう不測の事態が起るかもしれないときには、むしろわれわれは警察に国会としての防衛というか、秩序を維持するために協力を求めなければならぬ場合もあるので、国会を守るためにはそういう場合も生じてくるがゆえに、私はこの際あなたに伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/88
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089・江口見登留
○江口参考人 二十五日の国会周辺における警察官の派遣の仕方が、少しものものし過ぎるのじゃないかというお尋ねのようでございます。国会の周辺を警察官だけで二千名が囲繞するという様子だけを見まするならば、多少ものものし過ぎるかもしれませんが、われわれとしましてはお話の通り三万数千名の者が国会の周辺に集団陳情と称して出てくるのではないかという想定も一応は固めておかなければなりませんので、その際の二千人の警察官の配置というものは、数から申せば大した数じゃなかったと存じます。三万数千名が結局六千名しか来なかったのは、情報の収集の仕方が甘いのではないかというお話でございますが、これは総評側にもいろいろ上手な戦術がございまして、少い場合もございます。われわれはそういう情報の把握の仕方が甘かったということになるかもしれませんが、しかし一応は三万数千という数字。が出ておりますので、それを全然無視した計画は立てられないと存じております。それから与野党の幹部が陳情団に会うという手続が済んでおったのに、門前でああいうふうにしたということについてでございますが、われわれとしましては、十一時四十分からすでに院内におきまして陳情が行われていることと承知いたしておりましたから、それ以外の陳情の代表者が入る必要があるかどうかということは別に考えるべきでなかった、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/89
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090・田中織之進
○田中(織)委員 一昨日の事態に対する警視総監の認識は、まだ私は不十分だと思う。当日どういう状況であったかと申しますると、陳情隊以外の諸君で、どこへ行くかということの一種の不審尋問的な尋問を受けた者が何人かおりましょう。具体的に名前をあげろと言われれば私は申し上げてもいいが、国会の周辺ということにはなるかもしれません。第二、第三議員会館のうしろ、今修築中の大蔵省の庁舎それから文部省から通産省のところを上ってきたところ、この前はチャペル・センターから恩給局の前、警察庁の本部のある人事院ビルのそこに至るまで、もう警察官が何千名と待機していてそこで一々通行する人間を、身分証明書を出さなければ通さなかったというような事例が起った。一体そういうことが深夜パトロール中の警察官が挙動不審の人間なり、あるいは時間はずれに道路を歩いている人間を不審尋問することは、これは防犯の見地から見ても当然やっていただかなければならぬことだと思います。しかし白昼、どうして通行しておる人間をそういう形にまでして国会へ陳情することを阻止しなければならないとあなたはお考えになったのです。そういう事実が現実にあったればこそ、わが党は見るに見かねた立場において警察庁長官に対する抗議という形で、これはあまりにも国会の権威を冒涜することになるし、警察としても明らかに行き過ぎじゃないか、もし三万名からの人が陳情に集まって不測の事態が起るということになりますれば、私はやはり警視庁も予備隊を持っておられるわけですから、——わが党の議員の中にはその予備隊が国会の構内等に待機することについても異論があります。しかし私はそういう事態に待機するために一定の警察官、予備隊が国会の構内に待機することもまたやむを得ない、そこまでは認めましょう。ところが一昨日の態勢は明らかにそういう事態ではないのです。警察庁長官とわが党の代表者との間の応答のところにも、そういうふうにあらかじめ起るであろうという事態に備えてある程度の配置をすることは、これは考えられる問題ではありまするけれども、警視庁の構内ということも考えられるし、何か事態が起ったときに初めて警察官が出動してくる、それが私は通常の取締りでなければならないと思う。ところが一昨日のように午前の十時から警視庁が管下の二十三警察と予備隊を動員いたしまして、二千数百名と言っておりますけれども、われわれの一見したところで少くとも二千名や三千名ではなかった。これは的確にあなたたちがどれだけの人員を配置したかということについては、われわれは警察庁長官のところにお伺いしたときにも、どれだけ動員しておるかということは、警視庁に連絡したけれども現場からの報告を受けてみなければわからぬという形でありますから、われわれは警視庁側で言われる二千百名とかいうようなわずかの数字ではなかったというふうに感ずるのであります。私は、そういう予防的な処置はある程度警察取締りの立場から準備されることは、これはやむを得ないことだし、やらなければならぬと思います。認めます。しかし明らかにそういう事態かまだ起っていないのに何千名という警官が配置に立って、国会べ陳情に来る以外の通行人に至るまで、不審尋問のような形で職務尋問を白昼公然とやるというようなことは、一体今後もあなたたちは続けていかれるつもりでありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/90
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091・江口見登留
○江口参考人 予防的措置も一部分は認めることができるというお話でございますが、実際にあそこの周辺に三万数千名が集まりまして、そしてそれが不法の集会になったりあるいは示威運動になったりしてそこで実力を行使するということになりますと、問題はますます大きくなっていくわけでございまして、そういう事態にならない間に予防的措置というものをとることが効果的ではないか、こう考えたのでございます。従って三万数千名の者に対する二千名というのは、予防的措置を講ずる場合において、私は決して大量であるとは考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/91
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092・田中織之進
○田中(織)委員 午前中の情報は三万数千名集まるという情報に基いて、一応そういうことで配置をされたのならば、これは配置をされたということの意味合いは、江口さん、とれます。しかしただいまあなたの御答弁の中にもありましたように、十一時から代表の会見というようなものも行われている、こういうような事態でありますれば、果して三万名集まるかどうかというようなことについては、刻々あなた方はどういうような人の動き——土曜日でありますから官庁なりあるいはそういう官公労の諸君が主になるといたしますれば、官庁街からどういう人の動きがあるかということは、あなた方には無電の設備もあることでありますから刻々にわかるわけなのです。そうすれば警備体制について適宜人員を減らしていくとか、あるいは通路にわたって第一会館、第二、第三会館のはるか下の方に至るまで警察官を配置するというような警戒体制を、縮小するとかいうような臨機の処置が当然とられなければならないはずです。そういう処置が一昨日においては全然とられていない。最後に三時十分過ぎぐらいに全員撤去されたのを私も目撃いたしております。石井長官にもそういう意味で、現状から見てどうしてああいう配置をするのか納得できないということをるる申し上げて、石井長官からの連絡に基いて退去したのだろう、こういうふうに実は正木代議士会長などと話し合っておったのでありまするが、先ほどからの答弁を伺うと、そういう配慮ではなくて、あなた方はあくまで三万数千名集まる、そして実際にそれだけが集まらなかったのは、総評の戦術の巧妙さだろうなんと言うにおいては、まさに見えざる幽霊におびえるようなものである。何だかあなた方は、僕が先ほども委員会開会前に申し上げた翌日はちょうど二・二六の二十周年記念だ、何かそういうことで右翼方面の暴動でもあるということで予行演習をやったというのならば、それは名目は立つかもしれない。これは私は公安委員長であり、警察担当の大麻さんにお伺いいたしますが、ちょうど土曜日の午後国会の委員会がなお開会中であり、ことに各党ともに予算案を中心にして、与党の方はよく存じませんけれども、わが党では両院議員総会を開会中だ。そういうところに国会へ陳情に来るのでありますから、国会の事務当局との間に、この陳情に対して国会としてどうされるのであるかというようなことも何らの連絡をされずに、二千名からの警官をもって、遠く国会議事堂のはるか下の方に至るまで警察官によって交通を遮断して、通行人を一々尋問するというような形で警察官が配置につくということは、都内の一般的な治安維持の点から見て適当だとあなたはお考えになりますか。あるいはるる私が申し上げているような実情からいたしまするならば、警視庁の当日とった配置、動員その他の関係は行き過ぎであるという点を、あなたは率直に認められるかどうか。国会が何らか警察官の包囲態勢のもとにあるというような感じを国民全体に与えるということは、これは与党野党を問わず、われわれ国会議員として大いに考えなければならぬ問題だと思うのでありますが、担当大臣としてどういう御所見をお持ちになっているか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/92
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093・大麻唯男
○大麻国務大臣 申し上げます。一昨日のことは、一つ一つのことを拾い上げたら、あるいは批評の余地があるところがあろうかと思います。しかし全体から見ますと、警視庁が事情に応じまして適宜の処置をとって、警察が警備をいたしておったことは適当だと思っております。幸いにして皆さんの御配慮やら組合の諸君の自制もありましたでしょうし、警察官の謙抑の態度があったせいもあるでしょうが、大体において世間に非常にものものしい感じを与えておったにもかかわらず、そういうこともなくして済んだということはけっこうなことであると、私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/93
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094・田中織之進
○田中(織)委員 個々の具体的な事実を取り上げれば、あるいはそういう批評の余地が残っているかもしれないという点まで大麻さんがお認めになった点は、私は今後の警察行政の上に十分戎心していただきたい問題だと思う。しかしその後段の点について、あなたも国会議員として国会が正常に開かれているときに、国会へ陳情に参る人間が、多数の警察官によって阻止される、事実上阻止された。与党の副幹事長などは、そのために待ちぼうけを食ったということで、不満を表明しておるというのが事実であります。そういうことに対しましてこれは結果的に見て事なきを得たからいいのだということには私はならないと思う。あれだけ多数の警察官を動員するために、ガソリンにいたしましても、これらの諸君に対する出動手当の問題にいたしましても、すべてこれ国民の血税なんです。万事警視総監のポケットからガソリン代あるいは出動手当が出ると聞いておりますが、そういうものが出されるのではないのです。そういう的確な情報の問題についても、問題は巧妙な総評の戦術で裏をかかれたのだということで済まされないと思う。そういうことであれば、全く国民を警察は敵視している、そのために国民の納めた血税をあなたたちは乱費したことになるのじゃないですか。しかもわれわれも税金を負担していればこそ、そういう国民の血税を使用する場合に、結果的に見て事なきを得たからそれでいいというような大麻さんの御答弁は私はないと思う。ことに国会の方へ連絡がなかったというならば、なぜあなた方は待機する多数の輸送車その他を国会の構内へ無断で置いたのですか。国会及び国会周辺の治安維持のために警察が出動せられるときには、観光バスのような形で大ぜい出ることはみっともないから、国会構内の日陰にでも警察官を待機させたらどうかということを、議院運営委員会に出ていた当時私の申し上げたことが、委員会の記録に載った事実もあります。そういうことを私はあえて問うものではありませんけれども、あなた方は、国会の事務局を通じて、どういうようにこの陳情を処理しようかということになって、国会の当事者が話し合っているということを何らの連絡もとらずに、外の警備で国民の納めた税金を乱費するような態勢をとることは不都合千万であります。それでもなお一昨日の事態について、あなた方は反省する必要はないと認められますか。重ねて大麻さんの御所信を伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/94
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095・大麻唯男
○大麻国務大臣 申し上げます。今質問者は、警察官が国会を包囲して何か議事の妨害でもしたかのようなお話でしたが、決してそういうことではありません。警察官は黙々として謙抑の態度をもって控えておっただけであります。どうぞ良識あるあなた方は、警察官に対しましても、もう少しあたたかい気持で見てやっていただきたいと思うのでございます。警察官を目のかたきにして、まるで警察官ばかりどうこうしたかのようにおっしゃいますけれども、決してそういうことではありません。私は警察担当の者として非常に情ないように思いますから、もっと警察官にあたたかい気持をもってお接しを願いたいということをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/95
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096・田中織之進
○田中(織)委員 国会の委員会を通じて、首脳部の責任者に対して強い立場で非難攻撃を加えておるということを知ったならば、上司の命令のもとに行動しなければならぬ警察の諸君がどういう気持を持つだろうかということは、あなたから言われるまでもなく、われわれは十分にその点に思いをいたしております。従ってそういう警察官をして正しく行動せしめるためにも、指揮者としての立場においてあなた方は総合的な判断をしなければならぬということを申し上げておるのです。今度の春季闘争に対して、さなきだに警察権その他の権力によるところの労働争議に対する弾圧という態勢が呼号せられておることは遺憾であるという意味において、この間の本会議で同僚の赤松君があなたに御質問を申し上げた。そのときに、労働争議の進行過程に、かりに不法な行為があった場合は警察権の発動はやむを得ないけれども、労働組合運動そのものに対して警察官として干渉する考えはないと、あなたはきわめて公正な見解を表明された。その点をわれわれは多としておる。ところが一昨日の総評系の労働組合員諸君が、国民に認められた基本的な権利としての自由な陳情を行おうとすることに対して、たまたまあなたの所管せられている警察、特に警視庁のとられた行動に明らかに行き過ぎがあった。これは結果的に見れば労働組合運動に対する一つの干渉にもなる。私はあえて労働組合運動の狭い範囲に限定をいたしませんが、国会にいろいろな立場で国民が陳情するということが、少くとも土曜日の午前十一時以後警察が退去するまでのあの数時間は、著しく制約せられたという事実はおおうことができない。私はその点で非常に遺憾だと思うのであります。国会への陳情その他の集団的な行動に対しまして取締りの立場から警察官が出動する場合が今後もあり得ると思うのでありますが、そのときには少くとも衆参両院の事務当局あるいは議長と警視総監とが緊密な連絡をとって、一昨日のようなあまりにも大げさ過ぎるようなことのないような形で——国会はやはり親しみやすい、近づきやすいところだという感じを国民に持たせたいというのが、われわれ国会議員としての念願なのです。そういう立場から申し上げておるのでありまするが、今後そういう点の連絡に万遺憾きを期する御準備があるかどうか、この際警察庁長官なり警視総監から御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/96
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097・江口見登留
○江口参考人 いろいろな点について御批判をいただきまして、たとえば情報の収集のまずかったというような点、あるいは部隊の運用の仕方がはで過ぎたとか、あるいはそれに伴う経理の面についても気をつけろということでございますが、それらの点については今後も十分留意してやって参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/97
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098・亀山孝一
○亀山委員長代理 八木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/98
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099・八木昇
○八木(昇)委員 だいぶ質問もありましたし、時間もたちましたので、私はできるだけ簡単に具体的な事実についてお伺いいたしたい。実は私は議院運営委員会の方の警察秩序等の小委員をいたしております関係上、一昨日は非常に成り行きに関心を持ち、注意をしながら事態を見ておった次第であります。
そこで具体的なことについて二、三お伺いをいたしたいのでございますが、先ほど田中委員からも質問が出ておりましたが、実は私の知人がやはり当日第二議員会館の私の方へ面会に来たのです。ところが例の虎の門のファイナンス・ビルのところから坂を上ってこようとしたところが、警察官から尋問を受けた。どこへ行かれるか、実は第二議員会館へ八木代議士に会いに行こうと思った、きょうはちょっと工合が悪いのですということだった。そんなばかなことはないじゃないか、私はきょう会わないと、あすは九州に帰るのだ、こう言ったところが、どちらからです、九州の佐賀県からです、じゃ何か身分証明を持っておられますかとやられた。それで別段身分証明その他も持たないし、見るとまことにものものしい。当日は帰って、きのう実はその人は私を尋ねてきたのです。こういうふうな事実があったことを、警察庁長官並びに警視総監はお認めであるかどうか、これをまずお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/99
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100・江口見登留
○江口参考人 そういう事実がありましたかどうか私まだ耳にいたしておりませんが、なおよく詳細に調査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/100
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101・八木昇
○八木(昇)委員 ところがこれは新聞にもはっきり載っておるのです。当日は三百名の警官をずっと国会周辺に配置してそうして通行してくる人に一々そういうふうな尋問をした、こう新聞に書いてあるのです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/101
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102・江口見登留
○江口参考人 先ほどもしばしばお話申し上げたと思いまするが、とにかく予防措置と申しますから、警告をするということが中心でございまして、多勢集まってつい不法な集会になったり、デモ行為を行うようなことがあってはならぬからという意味で、気持は常に警告的な意味で注意をするという意味で、お話を申し上げたと思うのでありますが、個々の本人への話の仕方などであるいは当りの強かったものがないとは限りませんので、そういうことにつきましては詳細調査いたしました上で、そういうことの以後ないように善処いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/102
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103・八木昇
○八木(昇)委員 警告をするということを目的として、三百名程度の警官を配置したということは今お認めになったわけですが、それで事実はまことに明らかである。もし必要であるとならばその人間を呼び出してけっこうであります。事実この通りでございます。
それからもう一つ、当日はあの第二議員会館、第三議員会館の前を通って国会の横手を通り、総理官邸の方に行くところの通路などは、その他もございましたが、一般のハイヤーなどにつきましても通行を禁止しておりましたが、そういうことは御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/103
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104・江口見登留
○江口参考人 一般交通につきましてはそれを停止さしたつもりはございません。通行が確保されておったものと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/104
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105・八木昇
○八木(昇)委員 それでは一々そういう一般のハイヤーその他について尋問をせられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/105
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106・江口見登留
○江口参考人 そういうものがはっきりしておりますものについては、尋問はいたしたことはないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/106
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107・八木昇
○八木(昇)委員 実際はほとんど尋問をいたしております。国会の私たち社会党所属の車も尋問をせられております。そうして国会の車であるということを言った結果通してもらっております。私が当日乗りました車です。事実ははっきりいたしておる。国会というものは国権の最高機関であり、全国民が民主的に国政を論ずるところである。従って議員会館その他にいろんな国民の方々が自由に出入りをせられるのは当然の権利である。警官が何千名も取り巻いておって一種の脅威を与えるというような事態をかもし出し、しかも具体的にはただいま私が二つの事例を申し上げたようなことが行われた。こういうふうなことが事実であるとするならば、あなたは行き過ぎである、もしくはきわめて遺憾であったということをお認めになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/107
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108・江口見登留
○江口参考人 デモに参加しそうに見えるような人とか、車とか、あるいは赤旗を持っておるとかいうようなものにつきましては、そういう警告的意味からいろいろ質問したかと思いまするが、それ以外につきましてはできるだけそういうことなしで通行させるような措置をとったつもりであります。たまたまそういうものがあったといたしますれば、なお私どもの方でもよく事情を調べまして善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/108
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109・八木昇
○八木(昇)委員 それではそういうことが一昨日あったとするならば、今後そういうふうなことがないように十分注意をしたいというお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/109
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110・江口見登留
○江口参考人 あなたのお気持の点は、十分今後の仕事の上にしんしゃくして参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/110
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111・八木昇
○八木(昇)委員 それではこれは警察庁長官の方にお伺いしたいと思うのですが、先ほどある委員の質問で、当日は両院に各二個中隊、これは両院の院内の警内だと思うのですが、警官の増加を要請せられたというお話でございます。院内ではなくて周辺の議員会館とかその他こういった議会外の地帯について、こういうことは私はあり得るはずのものではないと思いますが、一応確かめておきたいと思うわけですが、議会の周辺について警官隊の派遣を、衆議院もしくは参議院の議長あるいは事務当局から要請を受けたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/111
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112・石井榮三
○石井(榮)政府委員 先ほど申し上げましたように、当日院内の警備のために、ふだん応援派遣を警視庁からいたしております百七十二名のほかに、各院二個中隊ずつ増強派遣方の要請があったのであります。これはあくまで構内の警備方のものでありました。構外については両院いずれからも何ら警察官出動の要請はありません。これはもっぱら警視庁が警備の見地から必要ありという見地のもとに必要な警察官の動員計画を立てたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/112
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113・八木昇
○八木(昇)委員 それでは全く警視庁がみずからの判断で行なったものである、議会からの要請に基いたものではないということは明らかですね。それならばお伺いをいたしますが、先ほどもちょっと質問が出ておりましたけれども、当日国会の表門の状況は、先ほどの長官のお答えとは著しく違っておるのであります。というのは、ずっと表門のとびらを締めて、とびらにくっつけてですよ、とびらにぴたっとくっつけて四台の車が並んでおる。そうして今度はその門の向う側、すなわち国会の中に、警視庁と書いた、あの白い装甲車的な車が二台、門にぴたっとくっついておる。こういう事態だったのです。そういう状況で国会の中に警視庁の車を入れるというようなことは、国会の自主的な運営というような立場から、きわめて遺憾であると思うのですが、この点について、これは大麻大臣の御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/113
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114・江口見登留
○江口参考人 私から……。警察庁長官からただいま御説明しましたように、国会の方から二個中隊の応援の要請があったわけでございます。二個中隊と申しますと二百名近くになりますが、それを運ぶ車がやはり要りますし、それに付属した機材もあるわけでありまして、それらを構内に持ち込みまして、要請を受けた者が使用するそういう機材を、事務局の了解を得て構内に置いておいたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/114
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115・八木昇
○八木(昇)委員 それは場所が国会のすみっこの方に車を置いておるというのならば、一応御説明を了解いたします。ところが国会の正門のちょうど外側には、とびらにくっつけて四台置いた、そして内側にくっつけて二台置いてあったのです。そういうことについては、果して穏当であったとお思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/115
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116・江口見登留
○江口参考人 私実はその現場を踏んでおらないので、すべて報告に基いてお答えをしておるわけですが、正門の内側に車が置いてあったというその車は、国会にわれわれが応援をいたしました、その応援隊を議長が指揮するわけでございますが、その指揮権に基いてその車が門の内側に置かれた、かように考えます。門の外側は、門が締っておるものでございますから、いわゆる死角と申しますか、盲点と申しますか、使えませんので、そこにたまたま予備隊の自動車をつけておいたわけでございますが、その門があとで開かれるということになりましたならば、それはじゃまになりますから、それを片づけて横に置いたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/116
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117・八木昇
○八木(昇)委員 それは全くの詭弁だと思うのです。それも門の横っちょぐらいならいいのですが、正門のとびらにくっつけて、構内に二台置いてあった。これは何時間もずっと置いたのです。こういうことは以後御注意を願いたいということを私は要望いたします。やめてもらいたい。それから先ほどの長官のお答えでも、もう一つ非常にこれは違っておるのです。というのは、二時ちょっと前ごろに私どもが長官に会いに参りました。私も参りました。そこで、表門にくっつけて車を四台バリケードに置いてあるという話を私どもがしました。その結果それは非常に行き過ぎであるから、それを撤去させるように連絡をしたところが、もはや撤去をした、こういう先ほどの御答弁であります。ところが事実はそうでないのです。あなたの方で私どもがお話を約三十分しまして、そうして二時四十分ごろ国会の正門の方に、私ども車で到着いたしましたところが、やはりその通りの状態なんです。門が締っておって四台の車がぴたっとそれにつけてある。そこで私どもは、一体何の権限で正門のとびらに車を四台くっつけてこういうことをしておるのか、ここの警備の責任者はだれかと言ったところが、麹町警察署長が出てきた。そうしてこういうふうな車は直ちに全部取りのけろ、われわれは国会議員だから正面の門を通って車で入るのだ、こう言ったところが、初めてそこで命令をして車をどかせ、そうして内側からとびらをあけたのです。これが事実でありますが、どういう御報告を受けておるか、もう一度はっきり承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/117
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118・石井榮三
○石井(榮)政府委員 一昨日私のところへ七名の諸先生がおいでになりました。その中に八木委員もおられたことはお話の通りでございます。お帰りになりました時間を、私そのとき時計をすぐ見ておけばわかったのでありますが、見ておりませんので正確に存じておりませんが、今お伺いいたしますと、あれらすぐお帰りになった時間が二時四十分ごろであったといたしますならば、私皆様がお帰りになりましたすぐ直後に、警視総監の方に電話でその旨を連絡したのであります。たまたま警視総監は、当日所用でその時間に外出しておられましたので、ここにおられます警備第一部長にその旨を伝えたのであります。さっそく善処するようにというふうにいたしたのでありますが、おそらくそれは直ちに第一線の現場のところに指示されたといたしましても、ちょうど諸先生がお帰りになる時間とおっつかっつ、どちらが早いかというくらいな関係であったと思うのでありますので、あるいはそのために私のそうした措置がまだ第一線に十分滲透する直前に諸先生がそこにおつきになったかと思うのであります。それはいずれといたしましても、ともかくもかりに正面の門が締っておって、交通上そこに車を置いても別に支障がないということであっても、場合としては必ずしも置くのに適当であるとは私考えません。従いまして今後はそういう点は十分に考慮させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/118
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119・八木昇
○八木(昇)委員 それでは少しくどいようですが、もう一度確かめておきますが、私どもが参りまして、私ども議員が正門で警備責任者である麹町署長とかけ合った結果、門が開かれたものであるという事実はお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/119
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120・石井榮三
○石井(榮)政府委員 先ほど申し上げた通りでありまして、事実がそうでありますならば、私は率直にその事実を認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/120
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121・八木昇
○八木(昇)委員 それでは最後に一、二点だけお伺いいたしまして私の質問を終るのでありますが、こういうふうなまことに大ぎょうな警備態勢をしいて、そうして警察自体のみずからの主観はどうであれ、実際には一般国民に、国会の周辺の警察のものものしい警戒によって、一種の脅威というものをやはり感じせしめております。主観的に警察がどういうように思っていたにしろ、実際に国民は警察権力の非常な出過ぎに対する恐怖感といいますか、こういう感じをそれとなく感じておる。そこで私はお伺いをいたしますが、こういうふうな異例の措置をとるについては、当然警視庁並びに警察庁長官は、公安委員長であり、警察担当の国務大臣でありますところの大麻長官に、あらかじめ詳細に事前の連絡をやられたものであると思いますが、それはどうでありますか。大臣の方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/121
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122・大麻唯男
○大麻国務大臣 私は国家公安委員長といたしまして、下級官が先ほどから申し上げております通りに、国家公安委員会が警察を管理はいたしております。けれども、警察事務の執行につきましては長官以下がやりますので、事前に相談は受けません。大綱はもちろん国家公安委員会が示してありますけれども、一つ一つそういうことについて指図もいたしませんし、また報告も受けません。それに指図をしたら、それこそ、何だか大麻が警察をわがもののように扱おうとしているような非難を受けると思いますから、私はそれは非常に謙虚な気持をもって慎しんでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/122
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123・八木昇
○八木(昇)委員 それは、まことに巧みな言葉のあやを用いて、責任を回避せられておるものである、こう考えざるを得ません。そういうふうに形式的な考え方でおられると、たとえば、先ほど二・二六事件の十何年記念かの前日であったというお話がありましたが、そういうふうに、たとえば警察が非常に行き過ぎの事態を、全くみずからの自主的判断に基いてやってしまったら、一体どうしますか。あとになっていくら騒いだって、どうにも始末に負えない。過度に警察を指揮したりして、国民に向って警察が一種の弾圧めいた行動をやるようなことをしないようにするのが当然であって、そういう観点の措置については、やはり日ごろから十分に担当大臣として関心を持ち、また抜かりがないようにせらるべきであると私は思うわけです。
そしてまた、当日私ども抗議に参りましたときに、警察庁長官自体が、実際の現場で行われておる具体的な状況については御存じがなかった。本日何名警察官が動員せられておるものであるか、そうしてどういうふうに、どこに人間を配置して、そうしてどういう事柄が行われておるかということについても私は詳細知りませんという長官のお答えであった。まことにこれは遺憾千万だ。こういうふうなことであっては、警視庁並びに出先の警官隊あたりが少々出過ぎた行為をしましても、結局はあとの祭であるということになる。それも大ていのことならばいいんでございますが、国会の周辺に何千名もの警官を、何か紛争が起らない前からあらかじめ配置するというまことに異例の措置をとられる場合には、そういう大ざっぱな考えでおられては困ると思うのですが、もう一度見解を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/123
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124・大麻唯男
○大麻国務大臣 先ほど申し上げました通りに、警察は決して労働争議に介入してはいかぬと思っておるのでございます。これは長官以下よく徹底いたしております。(「ちょいちょい介入しておる」と呼ぶ者あり)いいえ、いいえ、どういたしまして……。(「介入しておる事実を示してやろうか」と呼ぶ者あり)どうぞお示し下さいませ。決してそういうことはいたしません。警察というものは厳正公平でなくちゃならぬ。それを失なったら、警察は全くむちゃです。(「今むちゃをやっている」と呼ぶ者あり)むちゃじゃありません。警察をそういうふうに御誹謗なさることは私はよくないと思いますから、どうぞ御注意願いたいと思います。資本家の味方もいたしませんが、また労働者の味方もいたさない。厳正公平に、ただただ中正を守っていくだけでございます。ただ法にたがうときには、これは取締りを厳重にするということは、たびたびはっきり申し上げておる次第でございますから、そういうことがないようにしなければならぬということを考えております。私は日本の警察を信用いたしておりますから、どこにどれだけ配置するか、どうするか、そんなところまで委員長が指図したら大へんなことになると思います。決して指図などはいたしません。それだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/124
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125・八木昇
○八木(昇)委員 それでは一応大麻大臣のお答えを額面通り承わっておくことといたしまして、結局一昨日の事態についての一部行き過ぎは、出先の警視庁当局あるいは警察庁長官あたりの責任であるということのようでありますから、それらの方々におかれましては、今後こういった事態がないように善処をせられるように要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/125
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126・亀山孝一
○亀山委員長代理 島上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/126
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127・島上善五郎
○島上委員 私は同僚諸君がだいぶ質問したので簡単にやりますが、答弁次第によっては簡単に済まないかもしれない。
まず大麻国務大臣に伺っておきますが、私どもは、国民が国会開会中に国会で審議せられる問題に対して自分たちの要求を——陳情あるいは請願の方法によって意思を表示するということは、これは当然のことだと思う。特に一昨日の場合は、官公労組の諸君——これは不当にも、労働組合の当然許さるべき諸権利が制約されておる、その制約されておる諸君が、自分たちの労働条件その他に関する重大な問題が審議されておる国会に対して陳情するということは、私は当然のことだと思う。政府にとっては好ましいか好ましくないかは別として、これは許されておる権利であるし、何らこれを干渉し妨害すべきものではない、こう考えておりますが、この原則的な考え方に対して、大麻国務大臣はお認めになるか否定されるか、まず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/127
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128・大麻唯男
○大麻国務大臣 国民が国会に向って陳情をされるということは、非常にけっこうなことだと考えております。ただこれが違法になるようなことがあってはいけない。適法に、法を守って、そして十分に陳情されることは、私は好ましいことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/128
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129・島上善五郎
○島上委員 もちろん私どもも違法な、不当な行為が伴うということはよろしくないと思う。適法に陳情する——適法に陳情するということは、数が多いから違法になる、数が少いから適法だ、こういうことにはならぬと思う。数の多い、少いには関係がないと思うのですが、この点はどのように考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/129
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130・大麻唯男
○大麻国務大臣 御意見の通りだと思います。ただしかしながらえてして大勢で、集団で、——御質問者もどなただったか、デモなんていうことを言っておられた。あるときには陳情とおっしゃるかと思うと、あるときにはデモと言って——これは言いそこなわれたんだろうと思う。それくらいに、御関係者が間違われるくらいでありますから、世間でも間違うおそれがございますから、この点だけはよく注意しなければならぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/130
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131・島上善五郎
○島上委員 もちろんデモは無届で行えば、東京都条例があって、解散を命ぜられる。これはわれわれも知っておるし、やる方も知っておると思う。しかしたとえば二十日に日患同盟の諸君がバス二十台を連ねて二千人ほど来た。これはしかし私はデモではないと思う。二千人ほど来て、その代表が百人ずつ交互に議員面会所に入ることが許されて、陳情の目的を達しておる。きわめて穏やかに陳情しておる。これは何ら妨害なしに行われた。もし一昨日の諸君が、三々五々陳情に来て三々五々陳情の目的を達して帰るということであれば、そこには何ら不法性がないと思う。それをせきとめたからたまったのです。川の水をせきとめれば堤防が決壊するのと同じことです。(「牽強付会だ」と呼ぶ者あり)黙っておれ。一ぺんに同じ時間にどかっと来たのではなくて、十二時五十分ごろ来た人も、一時十分ごろ来た人も、一時半ごろ来た人もある。私の見るところをもってすれば、ああいう無理なせきとめ方をしなければ、先に来た者は先に陳情の目的を達して帰る。あとから来た者はそれぞれその時間に陳情の目的を達するということになったのではないかと思う。少くとも自由党の諸君はだいぶひがみを持って見ておるが、官公労や総評の幹部諸君は、あの当日の陳情に対しては、陳情目的以外の行動には一切出るな、どんなに警視庁が挑発しても、阻止をしても、その挑発に乗らないで、おとなしく陳情目的を達して、トラブルを起さぬようにということに、非常な配慮をしておったことは明白であります。おそらく警視庁だってその情報は知っておるでしょう。ですからあなた方があの不法不当な阻止さえしなければ、穏やかに陳情目的を達して、この前の日患同盟の諸君がやったと同様に、あるいはそれよりももっと穏やかに済んだのではないかと私は考える。もしそうであるとすれば、——あなた方はそう考えないかどうか別として、もし私が考えるようなものであるとすれば、それを阻止したりは不当だと私は思いますが、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/131
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132・大麻唯男
○大麻国務大臣 お心持はよくわかります。みな承わっておりますから、今回の経験によりまして、労働運動が健全にして円満な発達をするようにお手伝いを申し上げたいということだけを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/132
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133・島上善五郎
○島上委員 健全な発達をするためには、不当不法な阻止をしないことが必要なんです。労働運動の健全な発達というものは、やはり相対的な関係です。いかに片方がおとなしくしようとしても、一方において威嚇し、挑発しあるいは弾圧しということになりますれば、勢いわき道へそれるという危険性がそこから出てくる。少くとも一昨日のあの陳情をデモと解釈するということはこじつけだと思うのです。デモではない。三々五々陳情して目的を達しよう、こういうことに十分配慮をしておった。私はその証拠もちゃんと持っておる。しかるに三万五千人だ、五万人だといっておびえて不法不当な阻止をした、あるいは威嚇をした、挑発をした、それでもトラブルが起らなかったということは、いかにあのときの陳情団諸君が自重しておったかというりっぱな証拠なんです。それだのに、あのような不当不法な阻止をしたということは、少くとも今までの国会に対するいわゆる集団陳情に対する措置に比べて、全く異例な空前な過剰警戒といわざるを得ない。こういうようなことはあなたのところへ来ておる報告があるいは違うかもしれませんから、私は報告が違うということについて議論しても始まらぬと思いますが、少くとも私の考えでは、水の自然に流れるものを無理に阻止した感がある。こういうことは今後やめてもらいたいということをはっきり申しまして、今度は警視総監に二、三の事実について伺いたい。これは私が現場に行って、この二つの目で現認してきたのだ、証拠もちゃんとある。決して事実を曲げてあなたを、あるいはあなたの部下を非難攻撃しようという、そんなけちな考えは持っておりません。今私が前段申しましたように、水の流れるようにすなおにすれば、もともと何も起らなかった。それを無理なことをしたということに対してあなたに警告し、かつあなたの所感を承わりたい。今までは大てい国会の周辺の道路で警戒をしておった。ところが一昨日ははるかずっと向うで、たとえば参議院会館のもっと下の方で、あるいは衆議院の会館のずっと先の方で阻止しておる。その中には議員会館に議員に面会の用事があって来る人もある。それを一切阻止しておることは、これは明白な事実だ。議員の秘書とか新聞記者とか政府委員とか議員とか、そういう身分が明らかで、通行証を持っておる者以外は、全部文句なしに阻止しておったことは事実である。こういうことは一体許されるべきことであるかどうか。労働組合の諸君が陳情に来たのを阻止すること自体も不法ですけれども、そのついでに国民の陳情も阻止してしまう。陳情ばかりでない、議員会館に用事があって来る者も阻止してしまう、こういうことが一体正当なものとして認められるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/133
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134・江口見登留
○江口参考人 議員会館におられる皆様方に面会に行かれようとする人々を阻止しようというつもりは全然ございません。ただデモに参加しそうな人に対して、そういうことはおやめになったらいかがですかと警告するだけの意味だったのです。従いましてその人がはっきりと議員にお目にかかる、議員会館のたしか島上さんのところに行く人も通したというふうに私は聞いておりますけれども、そういう事情がわかれば、すぐお通しするのですけれども、デモ隊に参加する人に対しては、十分注意して下さいということを警告するような趣旨であったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/134
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135・島上善五郎
○島上委員 それはしかし事実であったから、私は言うのです。とにかく議員会館のはるか外側に、いわゆる皆さんの熟語では警戒線ですか、迎撃態勢を張っておったことは事実である。そうしてその迎撃態勢で一般の国民を全部はね返しておったことは事実である。
そこで私はもう一つ事実を申しますが、あそこにおる人に、これはつまりデモ行為になるおそれがあるといって、皆さんが警戒をするというなら一応わかる。しかしこの大勢来ている事態に円満に話し合いをつけるために、この中から若干名の代表を選んで、その代表が陳情しようということは差しつかえないではないか。これはデモ行為にならぬし、ちゃんとした身分の明らかな代表が行くのですから、こう言って折衝した。これにはどうしても応じない。中に責任者がいるから責任者と折衝してくれと言う。責任者と折衝するにはだれかが行かなければならぬじゃないか、そうして労働組合側は譲歩に譲歩して、たった一人でいいから私と一緒に一人代表を通してくれ、こら言ったが、それを通さない。ぼくが手をとって一緒にいらっしゃいとその人を引っぱっても、スクラムで通さない、これは事実だ。私は最後に知恵をしぼって、よろしい、この男を私の秘書に採用する、その手続のために行く、それでも阻止できるなら阻止してみろと言ったら、さすがに黙った。その人の名前も知っている。自治労の副委員長の服部君という人だ。それで私はその人を連れて行って丸の内署長に談判した。それで遂に署長はこの正当な要求の前にこれを認めざるを得なくなって、二度目には十名代表を選んで入ることを認めました。それはよろしい。よろしいが、前段の方の、一人署長に交渉に行く、それもいかぬと言うのです。代表五名とか一人とかいう人が中に入って、これが一体デモ行為になりますか。一体いかなる根拠でこういうことを阻止しなければならぬのか、私にはわからぬ。法的根拠を示してくれと言っても無言の行です。あなたの方でずいぶん指令が徹底していたとみえて、都合の悪いときは何にも言わぬ。こういうことがよしあったとすればではなくて、これは事実なのです。あなたはこれに対してどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/135
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136・江口見登留
○江口参考人 今のような点については、私は報告を受けておりませんが、多少そういうふうな点があったとするならば、また一応そういう場に居合せた者をよく調査いたしてみまして、お言葉の通りであるならば、以後注意させなければいかぬ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/136
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137・島上善五郎
○島上委員 今私が言ったのは事実です。そこで私はその事実を糾弾しなければならぬと同時に、今後そういうことが繰り返されたら、これは大へんだと思う。われわれは黙っておれない。数名の代表をあげて——大勢、三百人、五百人という人が来ておって、そちらから挑発されて、いわば多少感情的になっている、殺気立っている。そういうときにその事態を円満におさめるためには、代表が中に行って陳情するからと言うしかないのです。組合の立場からいってもそうだと思うのです。代表が中に入って陳情するからというのまでも阻止するというようなことを無視したならば、さっき私が心配して言ったように、すらすらと流れるものを阻止してトラブルを起し、事態を悪化させることになる。そうしてその責任は不法不当に阻止した方にあるということになると私は思うのです。きのうのことは今言ったように明白な事実です。名前もあるし、ちゃんと立会った人もあるし、その警察官の顔も知っているし、写真もとってあるし、これは事実なのだから、この事実を究明して十分注意して——注意でも済まぬと思いますが、しかるべき措置を一つとってもらう。今後かかることが断じてないように注意してほしい。こういうことに対してあなたはどういうお考えを持っているか。これで御答弁次第によって私は質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/137
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138・江口見登留
○江口参考人 先ほども申し上げましたが、もうすでに院内で陳情が行われているということを、すべての人が前提に考えたものでございますから、従って門前に集まった人の中から、さらに代表の陳情団が出ようということは、実は予期していなかったのであります。それでたまたま一人、二人中に入るということについて、御指摘のようなもんちゃくがあったかもしれませんが、今後はよくそれを整理しまして中で陳情が行われておるにもかかわらず、外からまた代表が出て、中に入るという事態もあり得る。そういう場合には事前に先ほどもどなたかおっしゃいましたが、事務的な手続が進んでおったというお話もありましたが、そういう点も考え合せまして、いわばそういうへまなことがないように、お互いに考えていけば円滑に進むのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/138
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139・島上善五郎
○島上委員 中に代表団が入って陳情しておると思ったから、その必要はないとお考えになった。中に入っておれば、入りなさいと言われたって入りません。そんなむだなことを二重にも三重にもする必要はないのですから。しかし中に陳情団は入っておったのではないのです。それから一昨日は団体もいろいろ各種の団体が来ておったし、ある団体の代表が入っても、こっちの団体は自分の目的を達することができないという場合もあるのです。かりに中に十人ないし十五人入っておるとしましても、その上さらに五人ないし七人入ったからといって、それがデモ行為になるという解釈は成り立たぬと思うのです。問題は何千人何万人という人が陳情に名をかりて、公安条例に抵触するようなデモ行為あるいは無届集会になることを、あなた方は警戒しておられるのです。それにさえならなければ、代表が五人、七人、二十人、三十人来たところで問題はないはずです。さっき私は日患同盟の例を出しましたが、バスを二十台連ねて、そして交互に百人ずつ議員面会所に入って陳情の目的を達した。これは当然そうあってしかるべきものだと思う。一昨日の場合も同様に、かりにある代表が行って陳情しておるとしましても、別にまたある代表が行って陳情したからといってデモ行為にならない、不当な集会にならないようにさえすれば一向差しつかえないはずです。これは今後もあり得ることですが、こういうことに対する御見解を一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/139
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140・江口見登留
○江口参考人 例の二十日の日患同盟の場合には、先ほど申しました連絡と申しますか、手続が非常にうまくぜん立てができておりまして、きれいにいったわけでございますが、二十五日の分につきましては、確かに連絡不十分な点があったと思いますので、今後十分考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/140
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141・亀山孝一
○亀山委員長代理 濱野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/141
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142・濱野清吾
○濱野委員 一、二点お伺いしておきたいのでありますが、かつての労働運動の大家である島上さんとは初めてお会いし、またその方の本家本元であるといわれる島上さんの大衆運動に対するアウト・ラインを拝聴していろいろ警視庁との質疑の内容を聞いて、実は敬意を表しているのでありますが、そういう経験者の中からああいう質問の出るということは、私は当然だと思います。また社会党の田中さんのお話はまことにけっこうなお話で、私どももそうできればそうしてもらいたいと思います。ただいまいらっしゃいませんけれども、ほんとうにそうできればいいなと思ったのが社会党の三鍋さんの結論でありましたが、陳情はまともにできるように、そうして静かにその陳情を受けられるようにしてもらいたい、こういうことを警視庁に要請しております。さらにまた大麻国務大臣にもそういうことを要請しております。しかし真にそういう心境であるならば警察のごやっかいにもならぬでよろしいし、本日のような議論も出なくて済むであろう。先ほど田中さんは総体的の問題だと言われましたが、まさにその通りでありまして、警視庁が動員計画を知って、そうして無届の集会ができたり、その他の違法行為がもし行われれば、時期が時期だけに大へんだとお考えになり、警察本来の使命としてその措置をとるということは違法でもなければ、これは当然の責務だと私は考えております。もし警察庁がそういう予防警察の見地からこれを野放図にしておいて今あなたが御答弁をなされたような予期せざる事件ができたとするならば、それこそ私は天下にその罪を謝さなければならぬと思うのであります。一労働組合の運動という問題ではありませんで、天下の治安の大きな問題になるのであろうと思います。そういうような感懐にふけっておりますときに、あたかも三鍋さんがまともに陳情できるようにしてもらいたいものだ、静かに陳情を受け入れられるようにしてもらいたいものだと言われた。これこそ社会党の三鍋さんの最近における私は名句であると考えております。
そこで先ほど来社会党の方々の仰せによると、警察の包囲のもとに国会の調査は好ましくない、それは耐えられないというお言葉がありました。私も耐えられなく感じております。どういう方向に耐えられないかということは、社会党の諸君とわれわれの考え方とはおのずから別であります。ある意味において権力行使ことごとくこれを拒否すべしというように社会党の諸君が考えているなら、私どもはそういう意味でなしに、ああした国家権力を、そしてああしたせちがらい、国民の税金を使わざるを得ないという、あの動員をすることはとても耐えられない。挑発という言葉があるならば、私がそれを言っていいかどうかわかりませんけれども、そういう動員計画がないような、しなくてもいいような、まともに陳情ができる、静かに陳情が聞けるような動員計画がもしできるとするならば、警察の動員も定めし行われずに済んだであろう。さらに国費や庁費、われわれの税金をその動員計画によって費消しなくてもよかったであろうと私は考えるわけであります。帰するところこれは総体的な問題でございまして私どもも新聞その他の情報によって三万人動員されるということは承知しておりました。三万人も動員されて、国会の周辺においていろいろな気勢をあげ、まるで上杉謙信の車がかりのようにぞろぞろと入られる。その中でこれまた心やすく審議が進まないと思うのであります。そういうことでありまして、私どもは警察関係の治安の責任を持っている方々は今後展開されるであろう集団的な陳情、あるいはデモ、それらの問題については十分心してその対策をとっていただきたい。いやしくも法を乱る者はあなた方の責任においてこれを阻止してもらいたい。天下の法は、ひとりわれわれの方の法律でもなければ、社会党の法律でもございません。わが民族同胞八千数百万の人々の当然の権制なのでありますから、この権利を維持するのは、これは警察庁の当然の責任であります。そこで私は、正しく強く仮借なく、正当なる法の適用をしてもらいたいと思います。それもしわれわれが違法行為を行うならば、遠慮なく法を適用していただきます。さらにまた、どなたであっても社会秩序を乱し、少くとも日本の国の法律を犯したならば、これは厳正に取り締る必要こそはあっても、私はこれをとかく言うのはどうかしていると思うのであります。終戦後、日本の憲法も、あるいは民法も、あるいは労働三法のごときも、とかくいろいろな方面に解釈をされておるようであります。社会主義的なあるいは共産主義的な思想の持ち主は、共産主義的な便宜の方向にその解釈あるいは法の適用をしたがることは皆様方の御承知の通りであります。そういうことではなしに、通説をもって正しく法を適用して治安の責任を果してもらいたいと存じます。私がおしゃべりするとだんだん時間が長くなりますから、いずれ大演説は後日のことにいたします。この点について確信を持ってその責任を果してもらいたい。ことに警察庁長官は何かしらぬけれども弱そうなお顔をしておるから心配でたまらぬ。警視総監も遠慮は要らない。あなた方が計画通りにしたことは、だれがその税金をただ使ったかということをただせば、天下はことごとく承知しているはずでありますから、勇を鼓して、正しい認識のもとに正当なる法の執行をしてもらいたいということを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/142
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143・門司亮
○門司委員 私はごく簡単に聞いておきます。しかしこの問題については去る十五日の委員会で、大麻大臣に少々ただしたのでありまするが、その問題との関連性を申し上げておきます。それからただいま与党の方からの発言がありましたが、非常に傾聴すべき問題だと私は考えておる。しかし事態の起るということは、やはり政治が正常でなければこれはどうにもならぬ。それから同時に今回の問題も、政府自身が人事院勧告をすなおにずっと法律できめているように入れておいてくれれば、この問題は起らなかった。従って責任のある政府自身がこんな違法な、いわゆる人事院勧告というようなものを十分に入れないでおる場合に、これに抗議をするものはだれかということであります。これはみずから被害者である大衆がこれに抗議をして、政府の反省を促すことは当然の行為であります。この行為のどこが間違っている。私は責任の所在というものを明確にすべきだと思う。政府は責任を負わなくてもいい、それに国民としての立場から抗議をする行為がよくないというようなものの考え方は、これはファシスト的のものの考え方であって、これは許すべからざるものの考え方だと考える。私はこういう観点に立って先に一応お聞きしておきたいと思いますことは、十五日の当委員会で大臣は、今回の問題について政府が労働組合に勧告をした。そうして同時に、これは熊本県の例でありますが、熊本県におきましても、取締りについての警察の指令が昨年の暮れに出ておる。これは委員長は十分に知らない、あるいは石井君も十分に知らなかったというようなことで逃げておりますけれども、しかし指令が出ておることは事実である。いわゆる春季闘争に対する一つの指令が出ている。こういう問題について今回の春季闘争について政府の勧告しておるそのこと自体、いわゆる政府がいろいろな行為に対しては取締りをせよということを声明をしておる。その行為を行うものは警察でなければならない。従って警察の大元締めである公安委員長は大臣でもある関係から、その閣議に出られておるはずである。大臣が出られておって十分御承知であるときに、大臣とこの公安委員会との関係はどうか。公安委員会ではそういうことを考えられたかという私の質問に対して、大臣はこうお答えになっております。今までそういうことはやったことがない。幸いに明日が定例の公安委員会であるからお話をこの際に申し上げて、そうし十分検討を加えたいと考えておる、こういう内容の答弁がされておるのでございます。従って十六日の公安委員会においてはいかなることが協議されたか、この機会に一つその問題を明らかにしておいていただきたたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/143
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144・大麻唯男
○大麻国務大臣 これは長官に読んでもらいますから……。それで誤解があるかもしれませんから申し上げておきますが、あのとき相談したことはないと申し上げましたのは、弾圧の相談をしたかとおっしゃいましたから、そういう相談はいたしません、こう申し上げたわけでございますから……。それからいろいろ御注意がありましたが、翌日委員会ですぐ話しまして、そうして委員会ではまたあらためて委員会の態度決定をしまして声明書を出しておりますから、ちょっとこれ読んで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/144
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145・山口喜雄
○山口(喜)政府委員 「今次春季労働攻勢に対する警察の取締方針について。」これは当日の公安委員会できあました取締り方針であります。「警察としては、従来、労働争議自体についてはあくまで中立の態度を堅持し、之に介入しないとの方針をとって来たが、今次労働攻勢についてもその態度に変りはない。しかしながら、万一、労働争議に伴って不法事案が発生するようなことがあれば、たとえ労働争議に伴うものであっても、その予防鎮圧につとめ、犯罪の検挙を行うことは、警察の責務であるので、今次の労働攻勢に伴う不法事案に対しても、厳正公平な取締を実施することにつとめ、違法行為を放置しない方針で臨むこととしている。なお、今回の春季労働攻勢は、官公庁及び民間労組の統一闘争である点が特徴であるとされているが、公務員や公共企業体の職員には争議権がなく、民間労組に許される争議行為も官公労の場合は許されていない。従来官公庁公社において争議行為が行われた際、見逃されていた事例もあったが、政府は今回このような状態は認められないとして既に官公労に対して警告したのである。従って従来のように法の許さない争議行為が今回行われることとなれば、警察としては、断乎たる態度を以て取締りに当ることとし、本日の国家公安委員会においてその基本方針について協議をした。この際とくに官公労所属職員が法の許さない争議手段に出ないことを望む次第である。」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/145
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146・門司亮
○門司委員 そういたしますと、今回の取締りの方針は、明らかに春季闘争に対する政府の取締りの方針の一環であると解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/146
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147・大麻唯男
○大麻国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/147
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148・門司亮
○門司委員 そうなって参りますと、多少の疑義が実は生じてくるわけであります。警察は政府の警察ではございません。警察はあくまでも公安委員会のもとに運営管理さるべきことは明自であります。従って何人も警察を指揮監督するわけには参りません。政府は治安を維持することのために一応の声明を出したと私は考える。これは政府の立場から出した声明である。公安委員会は独立の機関として一つの確然たる識見がなければならないと思う。政府の出した声明に迎合し、政府の方針に迎合する公安委員会というものは、一体警察法の精神からいっても少し間違っていはしないか。今の山口君の読んだ声明を見てみますると、政府の声明とほとんど変りがないのであります。私はこの点に疑義を生じてくるのであります。従ってこの前の委員会でも聞きましたように、政府の方針いかんにかかわらず警察庁としての、あるいは公安委員会としての立場というものがなければなりません。政府は従来の方針で見のがしておったものを見のがすことのないように今度は取締る——あるいは鉄道の公務員についてはどうだと、こまかいことをすっと並べておりますが、これらに対して公安委員会が迎合するような態度があっては私はならないと思う。これについての大麻さんの御意見を、もう一度伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/148
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149・大麻唯男
○大麻国務大臣 今申し上げたのにちょっと言い過ぎがあったかと思いますが、政府の方針の一環としてではございません。たまたま意見が一致したのであって、公安委員会独自の立場からであります。昔からこういう方針でいっておったのです。政府がたまたまそういう意見でやってくれたから、これはちょうどうまい、警察が厳正公平な態度でやっていく、こういうことと合ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/149
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150・門司亮
○門司委員 前言を改められて、政府の方針じゃない、警察の独自の方針だというように今お話がされたと思いますが、そうだとすれば、あなたは大臣として閣議にも出られており、治安関係の閣僚会議にも出られておるはずである。この場合に公安委員長としての立場から、それらの会議に対して、あなたは一体どういうお考えでこれに臨まれておったか、大臣と公安委員長との使い分けですが、これをどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/150
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151・大麻唯男
○大麻国務大臣 お答えいたします。私は先般も申し上げましたように、警察というものは厳正公平を生命とするものであると思います。労働運動のごときについては、その円満なる、健全な発達をこいねがっておるものでございます。これは警察の従来からの方針でございます。それでこの方針を変えて、あるいは資本家にひいきをしろとか、あるいは労働者にひいきしろとか、そういうようなことを閣議できめましたら、私は断固として争います。けれども政府におきましても、治安閣僚の懇談会におきましても、警察のこの姿をためようとする人は一人もございません。労働運動の健全な発達は、これは国家のためにどうしてもなくてはならぬことである。これはもう閣僚も、現政府もみな知っておることでございまして国家公安委員会で、従来やっておった警察の職分を少しでもまげようという意見があるならば、私は職を賭しても争いますけれども、まげようとしないので、その通りでけっこうであるとみな申しておりますので、何も私は別に使い分ける必要もございません。平々たんたんとして会議に臨んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/151
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152・門司亮
○門司委員 もし大臣の意見が閣僚としての御意見であるとすれば、従来の方針に変りがないというならば、あらためて一体声明書を出す必要がどこにあるかということであります。あらためて警告書を出されたところに、取締りを厳重にするという意図があったから、ああいうものを出されておる。その出されておった文書を見ましても、今もあなたがお話のように、今まで見のがしておったものを今度は見のがさないという態度に改まってきておる。違法々々とやかましいことを言われておりまするが、法を犯した者を取り締るというならば、さっきも申し上げておりますように、大臣として問題の本質に考えを少し及ぼしてもらいたい。政府が官公労の十分なる意思を入れて解決の方法をとっておれば、こういう行為は起らぬのであって行為の一面の責任というか、全面の責任は政府にある。その政府に対して抗議する今日の立場というものは、国民自身以外にないのである。天皇の統治下ではないのである。国民の、特にそれの被害を受ける者の抗議以外に方法はないのである。この行為に出ることが、私は必ずしも違法とはいえないと思う。しかも従来から容認せられておったものが、今度は厳重に取り締るという威嚇的態度というものは、明らかに断圧でなくて一体何であるかということです。同時に、これを警告されて、しかも公安委員会が、これにたまたま意見が一致したというようなおかしな話では、私は承認するわけには参りません。警察当局としては、今まで見のがしておったもので何らの支障がなかったのなら、その方針で公安委員会は臨むべきだ。公安委員会が政府に従属するというようなことがありまするならば、これは警察法の精神からいっても、わが国の将来にとってもきわめて重大な問題である。私はこの点を憂えるからあなたに聞いておるのである。だから今度の争議の本質を一体大臣はどう考えておるか、公安委員長ではなく、閣僚の一人として、どっちに責任があるとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/152
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153・大麻唯男
○大麻国務大臣 日本は、御承知のように十年前に敗戦をいたしました。それ以来というものは、警察はこうなくちゃならぬということははっきりわかっているけれども、十分に徹底しない点があったかと思うのでございます。それはだれの罪でもない。日本が負けたという結果であろうと私は思っております。それで、これがだんだんと秩序も立つに従いまして、そして警察が本然の姿に立ち返っていくということはけっこうなことだと思いますし、それじゃ私が申し上げていることが悪いというなら別ですけれども、私の言っていることを多くの諸君が賛成して下さる。社会党の諸君の中でも、大麻は正直だから、あいつは思った通りのことを言うという方もありますから、(笑声)どうぞその点は御信用願いたいと思います。(「本然の姿とは何か」と呼ぶ者あり)厳正公平な形をとっていく、これが警察の本然の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/153
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154・門司亮
○門司委員 厳正公平だと言われますが、先ほどから同僚各位の質問を聞いておりますと、私は必ずしも厳正公平でなかったと思う。これは行き過ぎがあったと思う。たとえば普通の人の通りますのを、警察官が行き先を聞いたり、これをどうこうするというようなことは、普通の場合は許されないことである。私はそういうものについては争議と区別してものを考えるべきだと思う。戒厳令をしいたわけでもございますまい。同時に、その人が通ったからといって危険が身に迫るわけでもございますまい。何も支障はない。しかしそれらの諸君の交通に対して、いろいろ誰何して行く先を聞いたり、あるいは通ることがいけないようなことを言ったという事実は、明らかに民衆への挑戦であります。威嚇であります。私はこういう行為がだんだん高じてくることを非常におそれるのであって、今度の行為などは、先ほどから話をされておりますが、三万人を動員するつもりであったから、従ってそれに対する警備態勢をとったということでありますが、その三万人の動員というものは、警察の考え方は、これが暴動化するというお考えのもとに警備態勢をとられたのかどうか、その辺一つ警察庁の長官からはっきりお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/154
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155・石井榮三
○石井(榮)政府委員 三万人の動員計画が、即暴動化の問題であるというふうには考えておりません。しかし、三万人という大量の人が集団陳情に名をかりて、国会周辺の一定の場所に一定の集結をするということになると、勢いのおもむくところ集会あるいはデモといったような事態になるおそれがある。しかもあの当日の三万人動員計画につきましては、成規の手続がなされておらなかったわけであります。従いましてもしそういう事態になりますならば、これは無許可の集会でありデモであるということになるのであります。そういう事態になることは決して好ましいことでないので、警察といたしましては犯罪予防の見地から、そういう事態にならない、そういうことによってトラブルを起すことのないように、事前に警告をして自重を促す、こういうことが適切なる措置ではなかろうか、こういう考え方に基いて終始行動したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/155
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156・門司亮
○門司委員 事前の警告と言っておりますが、どの程度事前に警告されたか私ははっきりわかりません。しかし大衆が集まるからそれが暴動化する。しかもそれが労働者の集まりだからということで厳戒される。たとえば弥彦神社に四万人の人間が集まる、たくさんの人間が来るであろうということは、大体想像がついているにもかかわらず、三十五人しか警察官はいなかった。そこでああいう珍事が起った。お宮にたくさんの人間が集まるであろうということが想像されていたのに、これに対する警備態勢というものはきわめてわずかであった。だから私は、労働争議であるからこれは必ず問題を起す、治安を乱すという一つのものの考え方が、弾圧をしようという一つのものの考え方と共通するのであると思う。一体この考え方を警察側が持っている限りにおいては、不祥事件は絶えないと私は思う。
その次にはっきり聞いておきたいと思いますことは、江口警視総監は、取締りの必要が生ずる場合は、当該警察署長からの報告を受けて、そして警視庁においてこれを十分検討した結果、その要請に応じて予備隊なりその他の配置をすることがあるということを、当日の委員会で答弁されております。今回の場合は、当該警察署長からの要請であったのか、警視庁みずからの要請であったのか、あるいは警察庁の指図であったのか、いずれの要請に基いてとられた態度であるか、その辺を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/156
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157・江口見登留
○江口参考人 警視庁の管下において行われました集団陳情でありまするので、これに対する予防措置といたしまして、相当の警察官を派遣する必要があるということは、警視庁自体警察署長から申し込まれる以前からわかっておったことでありますので、それらの点から申しますならば、地元の警察署長と警視庁と協議の上であれだけの人数をきめたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/157
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158・門司亮
○門司委員 今、係の者が協議の上できめたというお話でありますが、警察庁はこれをどの程度まで御存じであったか。同時に立ったついでに申し上げておきますが、こうした態度を起すためには、公安委員会も、警察の運営管理を受け持っておる以上は全然知らなかったとはいえないと思いますので、公安委員会としてはどういう態度をおとりになっておられたか、その点を一つ明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/158
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159・石井榮三
○石井(榮)政府委員 国家公安委員会は、先ほど大臣からもお答えがありました通り警察全般の管理をいたしております。その管理のもとに私以下本庁の事務部局として警察の執行の基本的な仕事をいたすのであります。さらに第一線は私ども中央から基本的なことにつきましていろいろ指示するところに基きまして、日常個々具体的な執行には第一線の都道府県本部長が執行の最高責任者としてこれに当っておる、こういう建前になっておるのであります。従いまして今回の、一昨日の取締りというような問題につきましては、警視総監が執行の最高責任者として計画を立て、具体的実施に当る、こういうことに相なるのであります。私どもその計画の細部について一々こうしろああしろという差し出がましいことをする立場ではないのであります。しかし問題が問題であるので、私たち事前に全然知らなかったかというと、決してそうではないのでありまして二十五日にこういう大きな行事があるということは、もとより事前に報告を受けております。また国家公安委員会にも、われわれ毎週定例日には必ず大きな行事につきましては、過去一週間の行事のおもなるものを報告し、また次の週におおよそ予定されておる、われわれの承知いたしておる大きな問題についてこれまた参考までに報告をする、そうした報告に基いて国家公安委員会としては、警察全体の運営をどうするかという基本的な方針、態度を協議検討されて、私どもにお示しがある、こういう建前になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/159
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160・門司亮
○門司委員 大臣、国家公安委員会は何も知らなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/160
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161・大麻唯男
○大麻国務大臣 今石井長官から申した通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/161
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162・門司亮
○門司委員 私は警察の機構として、少くとも警察官を数千名動員しなければならなかったと思われるようなことを考えた警察の行動に対しまして、公安委員会が何も知らなかった、一週間に一ぺん開けば公安委員会はそれでいいのだというようなことはないはずだと思う。何のために公安委員会賀——公安委員会は一週間に一ぺん開けばいいなんということは警察法にもどこにも書いてない。公安委員会の仕事は、日本の治安維持の任に当る一つの役所であります。従って事態が予測されておるならば、やはり公安委員会としてもこれに対するお考えというものがなければならぬはずだと思う。これを下にまかせておいて、そうして問題が起ればそういうことは知らなかったというようなことで、一体今日の公安委員会の責務が勤まりますか。公安委員会は単に警察を管理するだけではございますまい。警察自体の運営管理は、やはり公安委員会がその権限を持っておるはずである。そう考えて参りますると、不測の事態もありますから、——この際私は念を押して聞いておきますが、警察官を二千名以上動員しなければならないくらいの問題は、公安委員会も警察庁の長官も知らなくてもいいのだ、それは警察署にまかせておけばいいのだというふうにものを考えておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/162
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163・大麻唯男
○大麻国務大臣 そういうふうには考えておりません。非常に重大なことだと考えております。それで知らなかったとは申し上げておりません。二千人出すとか、千五百人出すとか、三千人出すとか、そこらあたりまで干渉はしておりませんけれども、適当な処置をとるべきだ、これはもちろん注意もしておりますし、また警察の方からも報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/163
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164・門司亮
○門司委員 そうしますとさっきの石井君の答弁と、警察庁の答弁とちょっと食い違っておるようです。定例の委員会を開いておるということですが、もしそうだとすれば、大麻さんの今の意見をそのまま受け取りますと、やはり公安委員会が開かれて、公安委員会としても協議をしておる。そうして事前に知っておった。いわゆる適当に処置すべきものだと考えておったというのは、公安委員長としての大麻さんのお考えであって、そうお考えになっておるのか、委員会全体の御意見であるのか、その点を一つ明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/164
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165・大麻唯男
○大麻国務大臣 ちゃんと警察庁では報告もいたしておりますし、こちらも協議をいたしております。けれども何千人出すとか、何百人出すとか、そこまではいっていない。大方針だけをきめて——警察というものは、従来の大方針の通りに、労働運動には関与すべきものではない、労働運動の健全な発達をこいねがうべきだ、これが一番大切なことだと思うのです。このルールを間違えたら大へんなことになってしまいますから、決してどっちのひいきもするものではない。この方針さえきまっておりさえすれば、あとは信用ということが大事であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/165
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166・門司亮
○門司委員 時間がありませんから、そう長くも聞きませんが、警察法を改正したときに、こういう事態が必ず出てくるということを危惧して、われわれは反対したのであります。少くとも閣僚たる大臣が政府と厳正公平であるべき警察行政とにあって、同じ人間が使い分けをするということに非常に疑問があったのであります。大麻さんは国務大臣として閣議にも臨まれ、治安閣僚として相談も受けられる。そしてこれが政府の機構から独立して厳正公平であるべき公安委員会の委員長である、このように人間をそう使い分けするわけには参りません。責任の所在をおのおの明確にしなければなりませんときに、国務大臣をもって公安委員長に充てるということは不適当だとして、われわれは反対をしたことがあった。これが今日のような物議をかもすのであって、今大臣はたまたま政府の方針とわれわれの方針とが一致したと言われたが、それは一致するはずです、同じ人間ですから……。これが別なものになったらおかしなものにでき上ってしまう。だから問題はこういうところにあるのです。従って私どもから考えて参りますと、今回とられた処置というものは、善意に解釈すれば、ものにおびえて警察が少しあわて過ぎたということが言い得るかもしれない。しかし、本質的にものを考えて参りますと、政府の取締りと同じような形で、労働組合というものは集まれば必ず問題を起すものである、従ってこれを厳重に取り締るべきであるということで、単に労働組合員のみならず一般の通行人まで迷惑をかけるこのこと自体は、国民に対する一つの警察の行き過ぎであり、組合員に対する明らかな一つの威嚇であるというようにしか考えられない。予防警察、予防警察と言うが、一体威嚇によって権力によって、力によって治安の確保ができると、あなた方はお考えになっておるか、治安の確保はどこまでもまじめな住民の協力によってのみ初めて民主主義下における正しい治安の確保ができるのであって、権力によって断じて治安の確保はできないということは、大臣よく御存じだと思う。従って最後に聞いておきたいと思いますことは、大臣は、今私が申し上げましたように、国民の協力を得て治安の確保をするという建前にお立ちになっておるのか、国民の行動に対しては権力を持って臨むというお考えに立っておられるのか、その辺を一つ明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/166
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167・大麻唯男
○大麻国務大臣 およそ政治をやるのに、国民の協力なくしていい結果は決してできるものではないと考えております。それでありますから、警察も厳正公平な立場をとってまっすぐしていきますれば、必ず国民がこれに協力してくれると、さように確信しております。われわれ政府におきましても、門司さんどうぞ御信用下さい、私は使い分けは決していたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/167
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168・亀山孝一
○亀山委員長代理 次会は明後二十九日午前十時三十分より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01419560227/168
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