1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月六日(火曜日)
午前十一時八分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君
理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
纐纈 彌三君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 灘尾 弘吉君
丹羽 兵助君 山崎 巖君
坂本 泰良君 櫻井 奎夫君
西村 彰一君 門司 亮君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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三月六日
委員堀内一雄君辞任につき、その補欠として小
澤佐重喜君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律案(内閣提出第六四号)
地方税方の一部を改正する法律案(内閣提出第
六九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
前会に引き続き地方交付税法の一部を改正する法律案、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/1
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002・北山愛郎
○北山委員 それではこの前に続いて地方債計画のことをお伺いをしますが、地方債計画の中で単独起債についても昨年より若干減額されておる。この単独起債の中にはいろいろなものが入っておると思うのです。たとえば町村合併等に伴う建設計画の拡充のための起債財源も入っておるでしょうし、あるいはいろいろなものが入っておると思うのですが、特に高等学校の増築あるいは新築等に対する起債は、今までどういうふうになっておりますか、また新年度においてはどういうふうな程度にワクを考えておるか。これを一つお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/2
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003・後藤博
○後藤政府委員 高等学校の増改築債は一般単独でやっておるわけでありますが、それは個々の県の事情によりまして、道路、港湾その他の一般土木等とのかね合いの問題でありまして、県によりましては毎年何千万ずつか希望を持ってくるところがございます。それから県によりましては、そういう高等学校の増改築は大体一般財源でやりまして、他の投資的な事業の方に単独債をつけてもらいたいという希望を持ってくるところがありまして、別にわれわれの方でワクを作っているわけではありません。もちろん高等学校が全然起債のない場合には、われわれの方で一応注意はしておりますけれども、別に一般単独の分につきましてワクがあるわけではありません。ただ一般単独の中でワクがございますのは港湾関係の起債であります。港湾関係の起債は一応港湾整備法との関連、あの法律ができました際に大体十億見当のものをつけてもらいたいという希望かありますし、国会の決議がございますので、その線に沿ってつけております。それ以外はワクを別に作っておるわけではありません。その団体の事情によりまして優先順位に従ってやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/3
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004・北山愛郎
○北山委員 ワクを特別に作っておらないというお話でありますが、しかし今までの実績がどの程度になっておるか、これはおわかりになっておると思いますが、どの程度の高等学校の新増築等の起債が許可されておるか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/4
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005・後藤博
○後藤政府委員 ただいま手元に持っておりませんが、たしか県の一般単独のうちでは、やはり一番数が多くて量も相当多いと思っております。三十年度の実績はあとから資料でお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/5
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006・北山愛郎
○北山委員 ただいまのような、計画的でない配賦をやっておるようでありますが、しかし自治庁としては再建法が適用実施になるということに関連をしまして、高等学校の新増築に対する財源という点については、やはり十分考えなければならぬじゃないか。というのは高等学校の生徒がふえる、あるいは新しい科目がふえる、あるいは建物が古くなるというような関係で、高等学校の新増築の現実の必要が相当起ってきておるわけであります。ところがこれを地元から県に対して要請すれば、県は財源がないからというので今ほとんど大部分の——全国的にそうだと思うのですが、大部分の府県においては地元負担でやっておる例が非常に多いのです。地元の市町村が新増築のほとんど全額を出して、そうしてこれを県に寄付しているというような例か非常に多いと思うのです。ところが今反再建促進法が適用になりますと、それが、あれは何条でありましたか、他の公共団体等に対する寄付負担金の制限という規定によって制限を受けますから、これは再建団体はもちろんのこと、自主再建をする場合においては、おそらく赤字団体等はまずまつ先に寄付負担金、法令によらないものを切っ飛ばす、これは当然の方針であり、再建法の精神もそこにあると思うのです。そういたしますと、地元負担で今までやっておったものがやれないということになれば、県の方も財政に余裕がありませんから、やはり起債等によってワクをふやしてやらなければいりません。こういうふうな関係については財政部としては何らお考えになっておらないか、そういう必要がないと思うか、これを一つお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/6
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007・後藤博
○後藤政府委員 地元負担の高等学校が非常に多いことも事実でありますが、単に普通の地元負担とは違ったものがこの高等学校の場合にはあると考えております。それはもちろん県によりますけれども、高等学校は市町村立の高等学校を県に移管したものが相当あります。またその量が非常に多いところがございます。そういうところでは移管する場合には地元負担を条件にして移管をするということになっております。そういう場合の地元負担については、これはその経緯に考えまして、市町村と府県との間の一つの問題こし、またその協議を尊重して現在までやっておるわけであります。従ってそういう特殊なものが高等学校の場合にはございます。それからもう一つ、寄付制限にもちろん引っかかる場合もございます。その場合に、今申しましたような何年間は校舎を改造していくという約束があるような場合には、やはり許可をせざるを得ないのではないか、かように私は考えております。もちろん厳格にこの地元負担を制限して変りますれば、どうしても一般財源ないし起債を待たなければならないという結果にはなると思います。しかし県の単独事業のうちで一番優先的に取り扱うべきものは、やはり学校、特に高等学校の起債ではないかとわれわれも匂えておりますので、一般財源でやるか、起債でやるかの問題は別にいたしまして、やはり高等学校の老朽危険校舎等につきましての増改築につきましては、再建整備団体でありましても、やはり従来通りのことができるように指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/7
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008・北山愛郎
○北山委員 これはお話のように初めから地元が全額負担するというような協議によって、新しく生れた高等学校のみならず、ほとんど高等学校については、建築費だけではなくて、あとの維持費についても相当地元に負担をかけておる。それはやはり中小学校については一応補助なり起債なりのワクが戦後ずっととられてきましたので、多少財源の道がある。府県の方では高等学校の方についてはほとんどそういう措置がないから、地元におっつけるわけです。しかも単独起債のワクが少いものだから、そこで地元におっつけ得るものは地元へおっつけるような方針で、初めから単独起債の申請をしないのではないかと私は思う。もしもそうでないとするならば、ほとんど全府県について起債申請というものが平均してあるべきはずである。おそらく非常にむらがあるでしょう。だから府県で負担するという気持のある府県においては、政府の方に起債申請をしますけれども、そうでなくて、もう高等学校は地元負担という建前で行くようなところは、むしろ自分の府県の起債のワクをほかの事業に振り向けたいために、高等学校については地元負担に一おっつけてしまうというような傾向があると思うのです。そういう傾向があるかないか。おそらく全府県ごとに非常にむらがあるのは、そういう現象を現わしておるのではないか。従ってこれはやはり市町村が自分の事務として、自分の負担すべからざる経費を相当に負担しておる一つの問題だと私は思いますので、従来の高等学校新増築の単独起債というものが、一体どういうふうな配当になっておったか、一つそういうものを資料にして出していただき、またその上でこの問題は十分財政部においては、高等学校の起債のワクをある程度押えるというようなことでやっていただかなければ、特に市町村の赤字立て直しという問題もこういう点で解決がつかないのではないか、こういうふうに思うわけでありますから、その点一つ資料も出していただく、それから高等学校が一体どの程度に新増築の必要があるのか、こういう点についても、もし資料があれば出していただきたいと思うのです。
その次に、今度は公営企業体というもののワクをふやしたのですが、特に公営電気事業、いわゆる府県営の電気事業のワクが、百二十億から百五十億にふえて参りました。そこでこの問題は前にも委員会で、府県営で発電事業をやることは適当であるかどうかということで質問したことがありますが、一体どういうわけで三十億をふやしたのであるか。一体どこを対象に予定してふやした三十億であるか、これを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/8
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009・後藤博
○後藤政府委員 電気事業の公営企業分の起債を百五十億にふやしましたのは現在まで継続しておりますものが、たしか二十一か二かあると思います。継続分の総事業費が四百三十五億でございまして、三十一年度分の継続分の最小限度のものが百三十億あります。それから準継続のものが総事業費百三十四億でございます。それに対するものが大体十五億くらいと見当をつけております。それから新規につけなければならないものが数カ所ございますのうに予定しておるのでございます。この問題は私どもといたしましては、やはり電気の場合には、公共事業との間のアロヶ−ションがあります。従って公共事業と並行してやるか、電気の方を先にやるかという問題があります。来年度の計画は、従来の公共事業と並行してやるという行き方でなくて、むしろ電気の方を先にやっていくというような格好・にせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
事業費の面からいきますと、百五十億でもやっとくらいのものでありまして、御承知の通り電気を早く起すことが必要でありますからできるだけ早く電気関係分をつけていくという必要はもちろんございます。しかしそれに見合うところの公共事業分の問題もありまするので、多少公共事業分の肩がわりをするということになるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/9
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010・北山愛郎
○北山委員 最近において府県営の公営の発電施設を、他の電力会社等に売却をしたというふうな例はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/10
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011・後藤博
○後藤政府委員 電気施設ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/11
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012・北山愛郎
○北山委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/12
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013・後藤博
○後藤政府委員 施設を売却したということは、私聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/13
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014・北山愛郎
○北山委員 私ども非常に疑問に思っている点は、府県営の事業でありまするからして、県民が利益を受けなければならぬ。利益を受けるからという理由で県債を起して発電所を作るところかその電気たるや、県内で使われないでよその電力会社に売電されて、よそり地域に流れてしまう。たとえば東北なら東北全体として、各府県で公営で発電をする。ところがそれを東北電力に売電をすると、電力が東北全体としては過剰になっているから、東京地域の方に売電をしておるというような事態だと思うんです。そうすると何のことはない、東北の県が公営電気をやって、その電気は東京の方に供給するために発電せざるを得ないという結果になって、私は県民が直接利益を受けることにはならないんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点について後藤さんどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/14
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015・後藤博
○後藤政府委員 電気だけをごらんになりますとそういうことになると思います。しかし私どもは総合開発の一環として、公共事業と一緒にやる電気事業につきましては、これは別の観点を持たなければならないというふうに考えております。従って電気オンリーの事業というものは、私どもは必ずしも肯定をしておりません。最近では電気オンリーの事業をやることは、地方団体としても慎しむべきものではないかというふうに私どもも指導しております。しかし総合開発の一環として電気事業をやる場合には、これはやむを得ないというふうに考えております。この総合開発なるものそれ自体にも、やはり問題はあります。ちょっと砂防へつばをつけ、あと電気事業というふうな総合開発もありますので、そういう場合にはやはりほんとうの総合開発になるような事業をやって、その上で発電ができるということであればやっていくというような方式が、地方団体としての望ましい姿ではないかというふりに考えております。電気事業だけをごらんになりますと、おっしゃるようなことになりまして、地元に利益がほとんど還元しない。現在のところでは大して利益は上らない。償還をした暁には多少の利益はありますが、償還をするのがやっとだというようなこともあるのでございます。現在のところはそういうことでありますので、電気のオンリーはあまり指導しておりません。できるだけやらないように指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/15
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016・北山愛郎
○北山委員 しかし総合開発という名のもとにやっておる、いわゆる多目的ダムにしても、必ずしも発電を公営でやっておるとは限っておらない。電源開発もやっていますし、また普通の電力会社が、総合開発の一環として発電の部分を担当しているという例が、私はほかには相当あると思います。ですから総合開発なるがゆえに公営でやらなければならぬという理屈は成り立たないし、また現実にそうでもないんしゃないか。どうして総合開発だかり、そういう多目的のダムの際に府県営でやらなければならぬか。どうもそういう実態から見ましても、私は後藤さんのお話が納得できないんですが、何かそこに、総合開発だから公営の発電でなければならぬという特別の理由があるならお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/16
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017・後藤博
○後藤政府委員 総合開発であるから電気事業は公営でなければいけないというふうには私は考えておりません。しかし総合開発という見地から見ますると、やはり治水の関係というものが加わっておりますので、そういう意味電気事業もあわせてやった方が、治小の上からもいいのではないか、他の経営者が電気事業だけやっておる場合には、その間にうまくいかない場合もあり得るのであります。従ってうまくいくという見通しがあれば、私は分けてやってもよろしいと思いますが、そうでない限りは、やはり公共団体が、全体を総合的に運営できるような態勢をとることが必要ではないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/17
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018・北山愛郎
○北山委員 おっしゃるような場合は、総合開発の多目的ダムにして、その発電部分について電源開発なりあるいはその他の電力会社がやらない、だれもやる者がないので仕方がないから府県ででもやらなければやれない、そういうときに府県でやるというのならわかるのですが、そうじゃなくて、総合開発だからという名のもとに、公営電気をしゃにむにやろうとする府県が相当あるのではないかと思うのですが、その点については後藤さんは是認されるかどうか。私の方はどうも納得できないように思うのですが、しゃにむに公営電気にして、そうして総合開発ということを言いますけれども、実態はむしろ他のずっと遠い大都市などの利益のために一生懸命になって借金をして県が発電をしておるというふうな結果になっておるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/18
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019・後藤博
○後藤政府委員 一時は総合開発の名のもとに電気事業をやりたいという気持が相当あったようですが、最近になりましてほんとうの総合開発でなければいけないという気持が地方団体にも出ておりますし、電気事業だけを目標にするような総合開発事業は意味がないということもわかってきておりますから、最近は総合開発熱というものは前ほどひどくなっておりません。従って毎年新しく電気をつけることが問題になりますのは三カ所ないし四カ所程度であります。この程度であれば私は
そう心配したことにはならないのではないか、電気事業の起債を見ましても、三十年度が山でありまして、三十二年度からは電気関係の起債はうんと落ちて参ります。従って三十二年度からは、電気関係の起債はうんとほかの公営事業に回せるものと現在から期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/19
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020・北山愛郎
○北山委員 三十二年度からどのくらい減ることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/20
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021・後藤博
○後藤政府委員 継続分が大体落ちて参ります。新規をどのくらいとるかという問題が一つございますが、継続分で、三十二年度以降で大体残ったものが十億くらいになって参ります。準継続分が百二、三十億はあるかと思いますけれども、それをどういうふうに準継続分をつけていくかという問題ももちろんございます。しかし三十二年から、がたっと継続分が落ちて参りまするから、私は相当余裕が出てくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/21
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022・北山愛郎
○北山委員 しかし先ほどのように、やはり後藤さんも府県営の公営の発電については、どちらかといえば消極的な考え方を持っておられるようです。そういうことになればいかに継続分についての割当が少くなるといっても、新規をまたふやしていくということではやはり同じことになってしまうのではないか、こう思うのですが、その新規をふやしていくかどうかということは、これは重大な1地方行政についてもそうでありますが、電気事業をどういうふうに持っていくかという基本方針、こういうものと関連するのでありますから、一体自治庁としてはそういう点について通産省等と打ち合せしたことがあるかどうか。これは曳舟としての公営電気と、全体の電源開発との関連をきめていかなければならぬのではないかと思うのですが、そういう話合いをしておるのかどうか、これを一つ後藤さんからお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/22
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023・後藤博
○後藤政府委員 電気事業につきましては、先ほど申しましたように総合開発の問題がありまするし、それから電源開発の一環という点もございますので、電源開発審議会というのがございます、その下にその幹事会もございます。私もメンバーになっておりますが、この電源開発審議会にいろいろなものを出す前に、各官庁で相談をいたしております。関係いたしまするところは通産省と、それから経済企画庁、大蔵省、建設省、それから農林省、そういう大体関係のあるところは全部寄ります。寄りまして、たとえば本年度の電気事業を、どこに重点を置いて起債をつけるかということにつきましては、それぞれの官庁がそれぞれの立場からいろいろ主張をいたします。それを私どもと大蔵省と経済企画庁と三者で最後に総合調整いたしまして、電気事業の起債をつけておるのであります。新しくやる場合もそうであります。従ってそれぞれの官庁は、一つの官庁だけが幾ら希望いたしましても、そう簡単に電気事業ができないような格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/23
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024・北山愛郎
○北山委員 私がなぜこのことを申し上げるかといえば、やはり地方債というものを地方団体の最もやりいい、しかもやった効果が住民の福祉に非常に役に立つというような事業に自分の財源を使っていく、あるいは借金もしていくということでなければならぬと思うのであります。ところが現在の公営発電事業等の状況を見ると、電源開発という名前のしり馬に乗って犠牲になっておるのじゃないか、そして地方債をそれに食われてしまっておるのじゃないか、何のことはない、府県は無理な発電をして、そのほとんど全部を電力会社に売電をして、その結果の供給料金というものは何も特別安くなっていないのだ、特定の配給などもほとんどないというような事態では、しかもその地域でないよその地域にその電力が流れていくというようなことでは、府県が何のために一体無理をして起債の配当を受けて発電事業をやるのか。国家的な総体の見地から見れば、一つでも発電所がふえればいいというようなことなら別ですけれども、これは国の方で考えるべきであって、地方団体がやる仕事ではないのじゃないか。むしろ百五十億という金は、もっと別な地方の公営事業の方に使ったならばもっともっと役に立つようなことができるのじゃないか、そういう見地から私は申し上げておるのであります。この点はさらに経済企画庁なり、あるいは自治庁長官等にもお伺いしなければならぬと思うのであります。
次にもう一つだけお伺いしておきます。これは地方税に関係をいたしますが、工場誘致に関する条例というものが各府県、市町村、方々にございまして、それが直接、税の減免をするというような内容を持っておる場合は地方税法に違反するものである、こういうような御答弁であって、そしてそのような通牒も自治庁はお出しになった。ところが実際には一向その通牒が実行されておらない、こういうふうに思うのですが、奥野さんはその事態についてどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/24
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025・奥野誠亮
○奥野政府委員 工場誘致条例を多くの団体で制定して参ったわけでありますが、当委員会での御注意もございまして、先般自治庁から地方団体に対しまして自粛をするように連絡をいたしたわけであります。これにつきまして、やはり相当の効果が出て参っておると私たちは思っておるわけです。すでに期限の来たものにつきましては打ち切るようになって参ってきておりますし、また条例の制定されておるものにつきましても、これを廃止するというふうな団体が相当多くなって参ってきておるようであります。またかりに相当の援助を与えようとするものにつきましても、税の減免の形をとりませんで積極的に施設を供与するというものについては歳出予算に計上するわけですから、住民全体の批判も十分受け入れられるというふうな姿になって参っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/25
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026・北山愛郎
○北山委員 現実は相当に方々で誘致条例があって、政府の通牒が出たあとでも、そんなものを無視してやるといりような方針でいっているところもあるようです。それから盛んに工場誘致について、こういうふうな特典を企業に与えるという勢いは衰えておらないのではないかと私は思うです。これに関連をして最近新聞で拝見をしたのですが、宮城県でしたか、ある町で町の圧民税について、勤労者の税金が非常に高いということで労働組合から交渉を受けて割り戻しをした。たしか勤労控除を二五%に計算をして、そしてその超過分の払い戻しをするというようなことがいわれておる。これは前にもたしか聞いたと思いましたが、税法上正面からは許されないことだ、こういわれておるのですが、一方でこの工場誘致条例のようなことが実際に行われておるとすれば、やはりこういう事態も勤労者の住民税が高いという実態でございますから、そこでそういうような措置をしてもこれはやむを得ないのじゃないか。工場誘致条例が悪いのなら、それはそういうやり方も悪いじゃないかと思いますが、工場誘致条例そのものが実態はある、現実に違法であるといわれながら行われておるとすれば、やはり勤労者に対するそういうふうな税の特典を与えるということも許されてしかるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、奥野さんどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/26
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027・奥野誠亮
○奥野政府委員 勤労所得者の租税負担がかなり重いものですから、数年来絶えずこれが問題になり続けて参ってきておるのであります。これにつきましては、政府の面とそれから運営の面と両方あると思うのであります。政府の面におきましては所得税法の改正によって勤労控除を漸次引き上げていく、今回もさらに従来の一五%、六万円を二〇%、八万円まで上げることにされておるわけであります。もう一つは、運営の面は事業所得を正確に把握していくということであろうと思います。地方税法に直接関連する問題といたしまして第二方式及び第三方式のただし書きを採用していきます場合には、従来所得税の場合の勤労控除が一五%、六万円であったわけですが、二〇%、八万円になるように差額の五%、二万円を控除したものを課税標準とするのだ、こういう規定が入っておるわけであります。今回二〇%、八万円に所得税法が改まったのですから、この特別規定を削除すべきではないか、こういう問題もあったわけでありますけれども、二〇%、八万円になった後の所得税法による所得・計算を使って参りますのは三十二年度の住民税からになる関係もございますし、今北山さんが指摘されましたように、なお給与所得者の負担の方が重過ぎはしないだろうか、こういう疑問もあったものですから一応この規定には手を触れないでそのままにしておるのです。従ってもしこれをそのままにしておきますれば勤労控除は第二方式、第三方式のただし書ぎの場合だけは国税よりもさらに多くなる、こういうことになるわけであります。この問題はなお一年よく研究した上で、結論を得たいというふうに思っておるわけであります。いずれにいたしましても、そういう問題は制度的に解決をしていかなければならないじゃないか。個々の団体でそれをやりますと、実は幾らたっても運営が軌道に乗ってこないのじゃないか。やはり地方団体の方も国と協力いたしまして、不均衡になっているものにつきましては均衡のとれますような協力をしていかなければならない、こういうような考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/27
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028・北山愛郎
○北山委員 これは税を取られる者の実感として、取る方の実感もですが、地方の市町村あたりで実際に町村の理事者なんかから見ても、どうしてもだれが考えても勤労者に対する住民税が高いというような実感から、ああいうふうな措置がとられたと私は思うのです。ですから制度の問題もそうですが、また一方においては、この工場誘致条例等によってやはり企業について特別な措置がとられるということを放任しておいて、一方だけをもしも奥野さんたちがそんな勤労者に対する特免
はいかぬとかそういうことをやかましく言われるならば、これは非常に権衡を失するのじゃないかと思うので、徐徐に制度的に改正するのはけっこうでありますけれども、さしむきの行政指導としてむしろそういうふうな事態が起ってくる原因というものを把握して、そうして大目に見ると言えばおかしいですけれども、やはりやむを得ざる事情というものは認めなければならぬじゃないか、何か合法的な一応法律に抵触しないという方法をとるならばやはりやむを得ざる事態ではないか、こういうふうに思うのですがどうでしょう。勤労者の住民税について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/28
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029・奥野誠亮
○奥野政府委員 税金の割り戻しという考え方は避けなければならないじゃないかというふうに思っております。ただ労働者のための施設を充実していく、そういうことは労働者だけに限らず、いろいろ公共の福祉を増進するのが市町村の任務でもありますので、それはけっこうじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/29
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030・北山愛郎
○北山委員 最後に後顧さんにお願いしておきますが、今度の再建法の中で、寄付金の制限ということはやはり非常に特別な規定だと思うのです。これは再建団体であるといなとにかかわらず、地方財政建て直しのやはり一つの妙薬です。この分が決算から見ましても二百億くらいある、こう言われておるのですから、特に市町村の場合においてはこの点を合理化するというか、そうすることによってよほど私は助かると思うのです。また市町村も自分たちで相談をしてそういう負担金はしないんだというような動きも強く見えてきておるのですから、それでこの規定を適用するために一つ具体的な指示といいますか、そういうものをやはりお考えになる必要があると思うのです。特にこの再建促進法の、国に対してじゃなくて、他の公共団体に対してやるものについての制限は、御承知のように前年度の基準財政需要額というものの百分の一ないし百分の三ということで、金額のワクでもって制限をされておりますので、どういう種類のものが入ってくるか、いろいろ雑多な種類のものが総体のワクで制限をされますから、やはりある程度の指導をし、その範囲等についても、これはむしろこの規定をどんどん実施するというように促進をするのが私は正しいやり方じゃないか、こう思うのですから、一つもしもお考えがあればここで述べていただくし、またまだそういう用意がなければ一つやっていただきたい。後藤さんから何か意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/30
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031・後藤博
○後藤政府委員 寄付金の禁止の問題につきまして法律が通りまして、いろいろ各地の地方課長が説明をいたしておりますが、必ずしもはっきりしないものが寄付金の中にございます。寄付負担金と言い得べきものであるかどうか、そこから問題が起って参りまして、われわれの方にも直接いろいろの事情を話しにこれらる方もありますので、近くこういうものは寄付負担金に入らない、こういうものはこういう措置をするように、こういう具体的な内容の通知を出したいと考えております。大体原案を作って私どもも見ておりますから近く出せると思っております。問題は直営でやれば問題でない事業を寄付負担金の形でやっている事業が市町村に相当ございます。それから委託をすればいい事業、委託事業でやればいい事業を寄付負担金の形でやはりやっておるというものもありますし、それからその名前が寄付負担金とか補助金とかいう名前になっておるために、それがたまたま寄付負担金の性格を帯びておるように見られるものもあります。いろいろの性格のものが入っておりまして、県になりますると百種類以上、二百種類ぐらいあります。市町村の場合には数はそうありませんが、やはり百種類ぐらい種類はあります。その中でわれわれが法律でもって規定された趣旨に当るものがどの程度あるか、まずより分けをして、そうして直営事業にすべきものは直営にする、委託事業とすべきものは委託事業、共同事業とすべきものは共同事業、そういうものに振り分けた上でもって個々の検討をすべきものだと考えております。簡単に申しますと、委託事業の方式をとるべきものはそれでいく。それから共同事業で共同出資——名前は何であろうと出資のようなものは共同事業でありますから、これは寄付負担金には入らない。それから広告料のようなものにもまたいろいろ性質があります。そういものもほんとうに市町村の広報活動の一端をになうところのものであればそれは寄付負担金ではない、こういうふうな分類で、こまかい点につきましてはもう少し検討いたしまして通達を出したいと考えております。何もかにもひつくるめて寄付負担金ということになりますれば、これはいろいろ問題はあると思いますし、市町村自体の活動に影響がございますので、その辺を十分指導していきたいと思っております。大まかに申しまして市町村の中に金が落ちるものは私はできるだけ認めて、寄付負担金でないものがもちろんありますから、そういうものはやはり一種の事業として考えていくというのがいいのではないか、かように私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/31
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032・亀山孝一
○亀山委員 ただいまの北山委員と後藤政府委員との応答に関連してちょっと関連質問をお許し願いたいと思います。それは地方財政再建促進法の適用にからんで国体の問題なのです。先般国体の参考人の御意見をいろいろ伺う際に、太田自治庁長官でありましたか、後藤財政部長かどっちからか、財政再建促進法の適用のある府県並びに市町村は国体に対してある種の負担金あるいは寄付金といいますか、そういうものに対しては制限すると言われたか、認めないと言われたか、多少そういう制限をされるようなお話を承わった。そこで今のようなちょうど寄付負担金のような問題のある際に、この財政再建一促進法の適用を受けた府県市町村は国体の地方持ち回りに関して非常にこの問題でちゅうちょしておるような傾向がありますが、国体の地方持ち回りの際の府県もしくは市町村の負担金もしくは寄付金、今北山委員の質問に対してお述べ忙なりました寄付金、負担金の許すものとしからざるものというような点についてどういうふうなお考えか、この前のときに少し気になりましたから、この際あらためて一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/32
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033・後藤博
○後藤政府委員 国体の問題に関連しまして二つ問題があるわけであります。一つは、再建整備団体、赤字の多い団体と申しますか、そういう団体が国体関係に金を支出することを再建計画で認めるかどうかという問題が一つあります。私どもとしてはそういう場合には国体の関係を——もちろん他の事業との関係も調べなければなりませんが、そういう団体は普通の公共事業、それから自分の施設等の事業で大体手一ぱいではないか、従って国体などに出す財源がないのではないか、従ってそういう場合には国体の方に経費を出すことを、われわれはおそらく容認することができないであろう、そういう相談があれば私どもは適当ではないだろうとお答えをする、こういうふうにお答えしたのが一点であります。
もう一つ、国体に寄付金、負担金を出す場合、これはおそらく体育協会その他の団体に出すものがあると思いますが、そういうものがある場合にはやはり制限の中で出してもらいたいということであります。おそらく制限を超過するような支出になると思います。普通大体市の場合でも、制限を出るものに対して認めるか認めないかということになりますと、やはり赤字団体の特殊な制限でありますから私どもはそういうようなものを許可するわけには参らないということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/33
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034・亀山孝一
○亀山委員 そうすると先ほどの北山さんに対する御答弁のうちに、市町村に金の落ちるようなものはある程度その限度を越えてもいいといようなお言葉があったが、国体が来れば相当にその府県市町村は潤うのですから、そういう点等のしんしゃくはあり得るのですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/34
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035・後藤博
○後藤政府委員 国体に出す場合に、私は必ずしもその市町村に還元してくるものばかりはないと思います。県の体育協会に出す、いわゆる県の何とか協会に出すという形をとるわけであります。その場合には自分のところへ返ってくるかどうかははっきりしない一ような寄付金もございます。そういう場合に出すのはおかしいではないかということを一般的に申し上げたのであります。つまりその団体の、市に何かの施設を作るために出す場合はおそらく寄付金、負担金の形をとらず直営事業の形をとると私は考えております。その場合にはやはり赤字団体であるからそういうところに出すだけの余裕がないのではないかということを、第一の問題について私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/35
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036・北山愛郎
○北山委員 これはどういうものができるか若干心配な点もあるのです。地元に金が落ちる場合にはいいのだというようなことで基準を作ると若干私どもも木安に思うので、でき得るならばその試案というものを作った際にこの委員会に説明していただくというような方法をとれないかどうか。それからいろいろな団体の負担金といいますか、分担金等も共通費だということにして、みんなそれからはずされてしまえばさっぱり意味をなさなくなってしまうのではないかというふうにも考えますので、もう少し——最終的な案を示せとは申し上げませんけれども、大体考え方をもう少し整理したもので基準を察し願い、われわれも意見を申し上げて、そしてこの再建促進法の精神が実現されるようにしたいと考えておりますので、そういう案を作る場合の基準というようなものを、ある程度の具体的な項目について分類したものをお示し願えればけっこうではないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/36
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037・後藤博
○後藤政府委員 これは実は調査課でやっておりますので、私も協議にあずかってはおりますが、正確に申しますと私の所管ではないのでありまして、これは帰って相談をしたいと思います。
それから市町村の中のものは大体いいという意味は、私が先ほど申し上げましたように全部いいという意味ではありません。しかし市町村の中のいろいろな団体に対する寄付金、負担金という名前を使っているのは共同事業的なものも委託事業的なものもある、ちょっとよそに出す負担金と性格の違ったものがあります。同じ名前を一使っておりましても市町村の行政との関連の非常に強いもの、また委託事業的な性格の強いものは、その金が市町村の中に落ちるものであれば、そうひどい制限をする必要もないのではないかという気持もあります。市町村自体り仕事の運営に支障のない限りやはりある程度認めていくという気持の方がいいのじゃないか、こういう気持でそれぞれの具体的な問題についてお答えしておるということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/37
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038・門司亮
○門司委員 この機会に二つ三つ後藤君に聞いておきたいのでありますが、先に聞いておきたいと思いますことは、この法案に多少関係を持っておる例の土地の沈下に対する政府の考え方であります。これについては地下水をくみ上げるからといって、地下水をくみ上げること等について制限をしようとする傾向になっておる。しかし実際は工業用水として地下水をくみ上げたことのために地盤が沈下するのであるか、あるいは地殻の変動からくる地盤の沈下であるかわからないわけです。どこに行ってもはっきりしておらない。場所によってはそういうことの全然ないところで地盤が沈下しておる。たとえばその場合に防潮堤を築かなければならない、あるいは埋め立てのかさ上げをしなければならないというような事態がかなりあるわけであります。従ってこれらの問題は一つの公共団体の問題として今日まで取り扱われているが、これは本来天災というか、災害と同じような取扱いをすることが正しい行き方ではないかという考えがするが、政府の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/38
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039・後藤博
○後藤政府委員 地盤沈下の問題は一種の災害的な考え方をしていいのではないかというお話ですが、私どももやはり広い意味の災害というような考え方をしておるのであります。しかし現在のところ災害の中にはそういうものは入っておりません。従って取扱いとしては災害に次ぐものとしての取広いをしているのであります。今度三十一年度予算から地盤沈下対策の補助金ができることになりまして、そういうものができてくれば当然優先的に取り扱っていきたい。これを一般公共事業の中でやるか、地盤沈下対策というものは大体工業用水の関係になって参りますので、水道の方のワクの中でいくかという問題があります。たとえば尼崎のような場合はどちらでやるかという問題が一つあるのであります。これもつまり負担部分の起債をどうするかという問題に関連がありますので、事業全体ができるような起債のつけ方をしていくという考え方を現在とっておるのであります。要するに災害と同じような考え方をとっていくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/39
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040・門司亮
○門司委員 今尼崎の例をおっしゃいましたが、必ずしも工業用水をくみ上げるからということにはならぬと思います。たとえば京浜間には工業用水をくみ上げていないところでも、ここ十年の間に一メートルくらい下っているところがある。今その学校が焼けたかどうか知らないが、たとえば横浜の芦穂崎の小学校の運動場に筋ができている。地震のときのようにひびが入っておる。まわりで工業用水をくんでいるわけでも何でもないのに年々下ってきている。潮田というところは三尺くらいに大体鶴見川の土砂をポンプで上げている。そのことのために鶴見川の改修を国の費用でやっている。ああいう小さな川ではあるが国庫河川として堤防工事をしている。しかし別にあの辺で工業用水をくんでいるものはありません。なくてもそういうことがある、これは自然の沈下だと思います。川崎の埠頭にかけても全部沈下している。だから単なる工業用水のくみ上げだけでなくて、そういうものが各所にあるわけでありまして、これらの問題についてはどうしても自然の災害と同じような取扱いにすべきである。これは建設委員会に聞かなければわかりませんが、私の考えでは政府はこういう問題については起債の話だけはございましたが、起債でなくして政府が災害復旧にとっておると同じような態度をとるべきではないかと考えておるのでありまして、後藤君の言うように、ただ出に工業用水をくみ上げたから地盤が沈下したというようなことは、その通りではないのであります。政府の考え士をもう少しこの際はっきりしておいていただきたいと思います。
それからその次にもう一つ聞いて心きたいと思いますことは、今度の国の財産その他についての納付金の問題広あります。これについて問題になりますのは、例の国及び地方公共団体の直接使っておらない土地あるいは住宅等がこれの対象になっておる。そうするとかつての使用者課税みたいになりはしないかという危険性が生まれてくるわけであります。これは使用者には絶対に迷惑をかけないという建前の上に考えられておるのかどうか、それもはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/40
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041・奥野誠亮
○奥野政府委員 貸付資産につきまして国なり地方団体なりが所在の市町村に交付金を交付するわけであります。その場合に所有者であります国や地方団体は使用料を使用者から徴収しているわけでありまして、これにプラスして交付金の額も徴収するかどうか、これを国なり地方団体なり交付金を交付する側、言いかえれば所有者の側の任意にゆだねられておるわけでありまして、おおむね使用者から交付金相当額の負担を求めることになるだろうというふうに予想をいたしております。そういうこともございますので、できる限り住宅の負担は緩和しておいた方がよろしいのではないかというふうなことから、十分の二ないし十分の四の負担にとどめるという立法を講じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/41
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042・門司亮
○門司委員 これは法案の説明の中にも書いておりますが、国の住宅政策等にも関係してということで、今の奥野君の答弁のようなことが書いてある。しかし問題になるのは、これは明らかに一つの使用者課税です。使っておるから課税するという一つの考え方です。使用者課税という考え方は実はずっと昔にはなかったわけではございません。あったのであります。しかしこれはいけないとしてやめられた。ところがまた今度のことでこれが使用者に転嫁されてくる。これは明らかに使用者課税として、それだけ家賃なり地代なりか上ってくるというようなことになると、法律の内容あるいは説明では、多少それを考えて課税額を低くするということになっておりますけれども、私は本来課税すべきものではないというように実は考えるのであります。これは少くとも地方の公共団体なり国が一つの政策としてやっておる仕事であって、そこに使用しておるものがそのことのために一課税をされるということは、どうも私は理論的にはおかしいと思うのです。だから国の施策に基くこういうものがあって、特にそのことのために一般よりも家賃が安いとか、どうとかいうなら別の話でありますけれども、私は今日の公営住宅やその他の家賃は必ずしも安いものばかりではないと思う。と同時に国の住宅政策として考えられておる今日、私はこの法については賛成しがたいのであります。今の奥野君の御答弁から言えば、これは明らかに使用者課税であります。そうして大体これの見込みはどれくらいあるつもりですか。全部でかなりたくさんあると私は思うのです。この内訳に書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/42
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043・奥野誠亮
○奥野政府委員 実は臨時税制調査会の答申によりますと、国や地方団体の持っている資産につきまして使用者課税をやるか納付金制度をとるか、何か考えて固定資産そのものの負担の均衡化をはかっていきたい、こういうことになっておったわけであります。しかし住宅等について使用者課税を行います場合には、それぞれの人に対しまする評価額の分配の問題等もあるわけでありますし、またそこに特別な負担緩和の政策をとることもなかなかむずかしいというふうないろいろな問題がございまして、現在のような交付金制度にいたしたわけであります。公営住宅を例にあげられたわけでありますが、御承知のように公営住宅につきましては、第一種公営住宅にあっては二分の一を国が補助し、第二種公営住宅にありましては三分の二を国が補助しております。あとの部分は府県なり市町村なりが負担をしておるわけでありますが、この部分につきましては使用者に転嫁させることになっておるわけであります。国の補助部分についてはもとより転嫁はございません。それに金利あるいは利潤等というような面におきましても、金利は見ておるわけでありますけれども、利潤はもちろん見ておらない。そういうようなことから言いますと、使用料は非常に低くなっております。これはこれでけっこうなことだと思っておるのであります。ただ国でやっておるために住宅がどんどんできてくる。市町村としては教育施設を作らなければならない、衛生施設も作っていかなければならないという場合に、何ら財源が得られない。これはやはり市町村としても困った問題じゃなかろうかというふうにも思われますし、また固定資産その他の負担の均衡ということもございますので、無理でない範囲において若干やはり負担してもらった方がよいのではないか。しかし、それを府県や市町村があえて自分でまかなっていけますれば、それもけっこうでございます。それはいけないということではありません。しかし負担を使用者に求めようとすれば求められる。また先ほど申しましたように一般的にそういうふうになるのではないかと思っておるわけであります。そういたしましても、全体としてはたお負担は一般の民営の住宅から考えましたら低くなっておることは、申し上げるまでもないと思っております。なお北山さんから、実は貸付資産の内訳を資料として出せというお話がございましたので、今作っておりますから、きょうあすには提出できるかと思います。それによって何分御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/43
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044・門司亮
○門司委員 あまりいい考え方ではないと私は思うのです。これは国の住宅政策という一つの政策に基いてやっておることであって、その家賃が高いとか安いとかいうようなことは、もとより営利を目的としない考え方であり、それから現在の社会事情では営利を目的として家屋を建ててそれを他に貸し与えるということについては非常に高くなって住民が負担にたえられないというようなことから、国その他で行なっておるのでありまして、それからまた使用者課税を取るということは、私は本来の住宅建設の使命と少しかけ離れたことになりはしないかと考えておるので質問したのであります。
ついでにもう一つこれは後藤君に聞いておきたいと思うのでありますが、再建整備法の指定を二月十五日ないし二十日に受けた公共団体が六つある。そのあとまだ三月一日から今日までに十ぐらいあるのではないかと思うのだが、これらの再建整備の指定を受けた団体の問題になっております、あるいは従来からずっと問題になった実際の当該公共団体と自治庁との間に約束をいたしましたいわゆる再建計画の内容をこの際一つ示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/44
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045・後藤博
○後藤政府委員 再建法の指定を受けるための申し出をした団体をこの前申し上げたのでありまして、また再建計画を承認した団体はございません。指定を受けました団体、指定を受けるべく申し出をいたしました団体が、県は三つでありますが、市は十二くらいになっております。町村もやはり十二、三。ほとんど毎日のように出てきておりますから、もう少し最近ではふえてきておるかもしれません。この団体の再建計画の説明を毎日聞いておるわけであります。現在のところ議会にかけておりますのは京都府だけであります。別に京都府との間に約束はいたしておりません。それから個々の市町村につきましては、再建計画を持って参りましてその説明を聞いておりまして、私どもはえらく長くかかるように計画の場合はもう少し短かくとか、二十年かかるような計画もありますので、そういうものは十五年くらいにするとか、そういうふうな包括的な指示を与えております。それから歳入の見積り等につきましてわからないままにいろいろな計算をしておりますので、そういうようなことについて注意をいたしております。われわれは個々の再建計画の案につきまして一応の注意をいたしておる程度でありまして、別にそれぞれの団体と約束をいたしたものは現在のところではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/45
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046・門司亮
○門司委員 約束をしたものはないという答弁ですが、大体指定するということにきめた団体が私はすでにあると思うのです。問題は申請をして内容を一応ととのえ、それがさらに議会にかかって議決して、さらにほんとうにきまることになると私は思う。少くとも地方の議会で一応内容の約束をあとにしてとにかく自治庁に申請をしてやろうという段階において大体の自治庁のものの考え方なり、当該公共団体のそれに伴う内容というものがはっきりしなければ、地方の自治体では議決が非常に困ると思う。また困っておることは事実だと思う。とにかく何でもいいから一応申し出だけしてみようじゃないかというようなあいまいなことで申し込みをするわけにはいかぬと思う。自治庁との間に申し出をして、そうしてそれじゃ一応条件はこういうところでさらに再建に対する申請をしようじゃないかというようなことが議会に提案されて参りますと、御承知のようにこれを否決した場合というような問題が出て参りまして再議に付さなければならない、再議に付してまた否決すれば自治法の百七十八条が生きてくるというような問題を起す一つの原因になります。従ってすでに地方の団体から申請をしようとするならば、その申請をするときにはおそらく地方の議会で大体の内容というものがはっきりしておらなければ、地方の自治体にそう簡単にできるものではないと私は考えるから、従って申請をしてくるときには、大体その交付団体というものは内容を持ってきておると私は思うのです。だからその内容等は決して秘密ではないと思うのだが、一体どういうものを内容として地方の自治体が来ておるのか、あるいはまた自治庁はどういう内容であれば、次にほんとうの議決になってきたときにこれを再建団体として認めるというお考えになっているのか、その辺のことは私は発表しても差しつかえないと思うのだが、お話できるならこの際はっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/46
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047・後藤博
○後藤政府委員 自治庁の方で何か尺度を持って一つの型にはまったことで指導しておるようにお考えになっているかもしれませんが、そうではなくて、やはり個々の団体の財政の実情も織り込んだ案をそれぞれ申し込みをします場合は一応作っております。ところが作っております計画自体が非常にずさんなものもありますし、それから計数等につきましてもやはりわからないままに、たとえば起債だとか交付税の見積り、税の見積り等でもいろいろわれわれと違った考え方をしておりますので、そういうものにつきましてはわれわれは注意をいたしておりまして、それは一種の償還計画のようなものでありますから、われわれ型にはまったものを押しつけようという考えは持っておりません。従って団体によりまして非常に違っております。特に市になりますと、団体によりまして非常にこの型が違ったものがあります。投資的事業をやめてほとんど消費的事業だけでしばらくやっていくとか、それから競輪とか競馬の収入を当てにして再建計画を立てるとか、いろいろな型があるのであります。別にわれわれの方でこういう型でなければ承認しないとか何とかいうようなことではないのでありまして、その団体のいろいろな事情を考慮しながら間違っておる点を訂正して、そして実行可能な再建計画を立てさせるというふうな方針で現在作業をしておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/47
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048・門司亮
○門司委員 私の聞いておりますのは、作業をしておることはもちろん作業をしておると思うが、個々の団体で問題になりますのは再建をするに必要な歳入をどうするかということが一つの大きな問題であります。その場合に法に書いてありますように自治庁は徴税の強化あるいは新しい特別の法定外の普通税を設けるとかあるいは授業料、手数料の値上げをする、いわゆる住民の負担においてこれをなくしていこうとする一つの考え方がないわけではありません。法にはっきり書いてあるから私はあると思う。それらの問題について一体どういうようにお考えになっておるのか。それからもう一つは、これも十七条の施行令ではっきりしておりますように、かりに公共事業としても一つの制約を加えて、そのことによって補助の率を増していこうという考え方をいたしております、従って補助を増すが行政は自治庁に相談しなければならないというようなことは、住民にとってはいろいろな問題を起すと私は思う。従ってこれについて自治庁はどういうお考えをお持ちになっておるか、同時にそれなら今まで京都そのほかから来ております内容を何か発表されるような御意思は院ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/48
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049・後藤博
○後藤政府委員 再建計画の内容の問題でありますが、歳入の点につきましては私は滞納が多い団体につきましては増税をすぐやるというようなことはおかしいじゃないか、こういう意見を持っております。従ってやはり一応滞納の整理をした暁において増税を考えるなら考えた方がよろしいという態度で、別に新増税をすぐやれというような指導は私どもはいたしておらないつもりであります。ただもう他の経費の節約ができなくて、どうしても財政需要があるというような場合には、やはり増税もやむを得ないことかと思いますけれども、そういう判断はそれぞれの団体でするように私どもは申しておるのであります。それから投資的経費の方につきましては、おっしゃいますように一定の規模に投資的経費の総量が下って参りますれば補助金を上げるということになっております。しかしそれは下った場合に上げるのであって、上げてもらって歳入を多くした方がよろしいか、事業を多くやっていきたいか、その辺の判断は各団体にまかしておりまして、別にこれは強制的な規定ではないということもよく説明をいたしております。
それから京都の問題は現在府会に出しておりまして、二、三日前も府会の各会派の幹部の方々が来られまして、十点ばかり疑問の点を話されましたので私どもが説明をいたしたのであります。これは別に増税の計画になっておりません。徴税強化の計画はございますけれども新増税の計画はたしかなかったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/49
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050・門司亮
○門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますが、問題は今申し上げましたようなことで、自治庁はいろいろお話をしておりますが、現実の問題としてはすでに申し込みをするときにある一定の規模というものを示されなければ地方の議会では私はうまくいかないと思う。そのことをとにかく一応申し込んで見るから申し込みだけを一応議決させる、そうして申し込んだあとでいろいろ自治庁との話し合いができてさらに申請をするという段階になっておる、従ってまず申し出をしたときに、今京都なら京都がすでにかかっておるときに、今お話のように不審な点があれば大体自治庁に話し合いに来るわけであります。従って自治庁として当該の庁との間には一応まとまったものでなければ、私はその次の段階の議会にはかけられないと思う。ここに非常に大きな問題がありますので、私どもこの再建整備法については、いろいろ世間の問題もたくさん持っております。従ってそれの一つの参考資料として今お伺いをしておるわけでありまして、もし京都とあなた方との間に話し合いをされて、大体京都はこういうことで再建整備計画に対する議決をするのであろう、というようなことの発表はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/50
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051・後藤博
○後藤政府委員 京都府が出しておりますところのものが、私どもが見ましたものと同じであるか、私どもはっきりわからないのであります。一応この前に申し出をしました際に持ってきまして、私どもが説明を聞いたものはございます。それがそのまま府会に出ているかどうか、私もちょっと自信を持っておりません。大体同じものが出ていると私は考えております。それから申し出をしまする場合には、大体その団体としてはやはり非常に長期の場合もありますが、一応の案は持って来ております。そうして説明をいたしております。それから申し出をするかしないかをきめますのは、これはよほど慎重にやる必要がございますので、申し出をする前に、たびたびわれわれのところに参りまして、再建法の趣旨の説明を求めております。そういう場合には、こういうふうな再建計画を作るということを詳しく説明をいたしております。それからその場合に、市町村の場合を見ますると——県は大体再建法の適用を受けるべき団体と、そうでない団体とが割合はっきりしておりますし、また自主的にきめられるのであります。市町村の場合には、必ずしも再建法の適用を受けないでも自主再建も三年くらいでやれるようなところも参ります。しかしそういう場合には、別にわれわれの方は再建法の適用を受ける必要もないだろうという説明をしております。ある一定の段階以上は、これは再建法の適用を受ける必要があるだろうというような区分をして話をしております。その上で再建計画なるものの説明をし、帰って議会に諮って態度をきめてくる、こういう形になっておるのであります。そういうふうなことで、毎日再建関係の連中が非常にたくさんやってきておりますが、法律そのものの誤解が相当あるようであります。そのたびごとに私どもは個々にその誤解の釈明をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/51
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052・門司亮
○門司委員 法律の誤解でなくて、手続がそういう変な手続になっているからだと私は思う。まず申請をしておいて、要するにこれは指定ですか、指定という言葉を使うのでしょう。だから指定を受けて、たとえば今月のさようならきょう、三月の六日に指定を受けたということになると、その指定を受けたということに基いて議会では再建計画を立てて出す、こういう段取りになるのじゃないですか。従って指定を受けた場合には、すでにその内容は、当該市町村と自治庁との間には私は了解がなければならぬと思う。今後藤君の答弁では大体承知しているけれども、京都ではまた違うものを出しているかもしれないと思う。それはそういうことも言えるかもしれない、あるいは全く同じものを出しているとも言えないかもしれない。しかしいずれにしても、段階的に見ればそういうややこしいものがそこにあると私は思う。従って今非常にたくさんの、問題になっております市町村が、これを受けていいか悪いかということについては、私はたくさんの問題を持っていると思います。従って京都の事情は京都の事情であり、長崎は長崎の事情、あるいは兵庫は兵庫の事情があるにいたしましても、自治庁は一応一番最初に自治庁が指定した公共団体と自治庁との間に話し合いをした問題は、この際公表されることの方が、あとのこの問題に対する受け入れあるいは申請という時分に非常に便宜じゃないか、どうすればいいかということに、自治体は実際は非常に迷っております。従ってそれらの団体に自信と了解を十分得せしめるには、まず京都はこういうものであった。これは個々の団体で違いますから、必ずしも京都のようにはいかないと思います。しかし最初のモデル・ケースといもいうべきものは、一応この際自治庁が公表した方が、他の団体が迷わないでいいのではないかと私は考えるのでありまして、この点について一つお考えがあったら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/52
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053・後藤博
○後藤政府委員 おっしゃいますような点と考えまして、再建法に関するいろいろな疑義がありますし、また再建計画自体の疑義もありますので、もう少しこまかいものを作って地方に流して指導いたしたい、かように考えて、現在そういうものを作ったらどうかということを調査課の方に申しておるのであります。もちろん参ります団体については、個々にいろいろ私どもははっきり申し上げております。従って来られた団体は大体話がわかったということで帰って行かれるのでありますが、その趣旨をさらに徹底する意味で、何らかもう少しこまかいものを流していきたい、かように考えて、現在検討をしていただいておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/53
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054・門司亮
○門司委員 それに関連してもう一つ聞いておきたいと思いますが、四条との関連性であります。四条は御承知のように再建整備の承認を受けたらそれを住民に公表しなければならない、変十更した場合も同じだ、こういう規定になっております。しかしそれは地方住民から考えると、この手続は逆であって、受けようとするときにその内容を公表して住民の意思を聞いてくるということが、私は民主主義の建前からいって正しいと思う。地方が都合のいいことだけを先に自治庁との間にとりきめてきて、こういうとりきめをしてきたぞといって公表したところで、あとから住民が困ったといっても間に合わぬと思う。四条はこれを逆にして、必ず住民に知らせるという親切さが私は必要だと思う。われわれは地方から聞かれますれば、一応そういうことは話はするのでありまするが、法律は、四条は全く逆にでき上っておる。きまったときに公表すればいいというのだから、あと直しようがない。意見を言う場所がない。従って民主主義の建前として、今のお話のような親切さがあるならば、第四条を至急修正して、まず申請をする前に公表しなさいというようなことに直した方がいいと私は思うのだが、そういう御意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/54
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055・後藤博
○後藤政府委員 公表の事後報告のようなことになるのでありますが、これは再建計画の公表は事後報告になるのでありまして、その団体の実情につきましては、自治法の何条か私は忘れましたが、白書を出すということになっておりますので、そういう団体においては、すでに何回も白書を出して、住民に財政の実情を一訴えておるのであります。その上に立って再建の申し出をし、再建計画の議決をして参るのであります。従ってその間において私は公表を——問題になります点は大体住民か納得したものが出てくる、かように実は考えておるのであります。別に第四条を改めなくても、現在の法規でもって手続ができるのじゃないか、また民主主義のルールに乗った方法がとれるのじゃないか、私はかように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/55
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056・門司亮
○門司委員 それはとんでもない認識不足である。自治庁のいう経済白書というものは単なる経済白書であって、計画は何もないのであります。あるいは赤字がどれだけあるとか、あるいは税収入がどれだけあって、どう使われておるかというようなことは書かれておるかもしれない。しかしそれに対する措置をどうするかということについては、経済白書には載っていない。これは一年二回出せという法律があったところで、事実上の経済白書を見てごらんなさい。どういうものができ上っておるか。出していないところがかなりたくさんあると私は思う。出したところでも、広報か何かで、タブロイドの半分くらいのものに何か絵をかいて、絵で説明した程度のものが私は大体出ておると思う。あなた方のお考えになっておるような経済白書ではないと私は思う。また同時に、経済白書を見てみたところで、将来の計画というものはそれに何も書いてあるものじゃない。赤字がなんぼあるということはわかるかもしれない。繰り越しがどれだけあるということはわかるかもしれない。しかしそういうことだけでは将来の住民の負担の増大と行政の切り下げを行おうとするということは、住民に直接関係のある非常に大きな問題であります。従って自治法にこう書いてあるから、大体やれておるだろうなんということはとんでもない間違いであって、それならば何も再建計画として、あとから自治法に基いて出せばいいのであって、ことさらに四条など設けなくてもいい。事後承諾で住民に無理に押しつけて、そうして仕事を遂行していこうとするところに、官僚的なフアッショ的な物の考え方があるのであって、もし自治法の民主主義のルールというものを一応尊重するならば、赤字は一応報告してある。その赤字をどう始末するかということについても、十分住民に聞くことが私は正しいと思う。またそういう手続をとるべきである。議会の中だけでこれをやるわけにはいかないと私は思う。それはさらにつけ加えて言うならば、現在この指定を受けようとされる市長さんあるいは知事あるいは議会の議員の任期中にこれが遂行されるものではございません。後世の住民にこういう制度を残すのであります。従って住民に納得させるということが私は正しい方法だと思う。だから今四条の規定を改正される御意思はなかったかということはそういう意味で聞いたのです。もし改正される意思がなくて、そうして先ほどのような御親切があるのなら、その通達の中に住民の意思を問うた方がいいということを書かれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/56
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057・後藤博
○後藤政府委員 住民に直接意見を聞くという方法をとらないで、現在の自治法の建前では、議会が意思決定をするという建前になっておる。議会の活動の一分野として住民の意思を聞くというのはあり得る方法かと思いますけれども、現在の制度の上ではやはり議会というものを中心に考えておりますので、議会にかけて再建計画を進めていくという建前になっておる以上、やはり住民の意思は議会に反映する、かように考えていいのではないかと私は考えておるのであります。従ってきまりましたものを公表する必要はあるかもしれませんが、きまらない段階において住民の意思を聞くというのは現在の制度の上ではどうかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/57
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058・門司亮
○門司委員 議会制度というものだけを取り出して考えればそういうことが言えるかもしれません。しかし第四条も全部知らせるとは書いてない。要領という文字を使っている。この要領という文字をどうして使ったかということは私はいろいろ疑義があると思う。そうなると議会が責任を持ってやるのですから、何もこれを住民に教える必要は毛頭ないと思う。事後承諾を得る必要は毛頭ない。われわれは事後承認を得るよりも事前承諾を得る方が直接住民に関係のある仕事であるだけに必要だと思いますが、これはさっきも申し上げておりますように、単にその年度内における、その責任の範囲内においてこれが完結するものでは決してないのである。ことに行政の切り下げを行われ、税の増徴等が行われる。住民の負担、犠牲においてこれを行おうとする場合に、私はこれは慎重でなければならないと考えて、今の質問をしたわけでありますが、そういう考え方が自治庁にないとするならば、これはわれわれの方で一応考えなければならない。そう簡単にこういうものを押しつけるわけにはいかぬと思う。
最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、将来への見通しですが、これは大臣に聞かなければ後藤君にはわからぬと思うが、問題は三十一年度以降に地方の財政計画の中に一体赤字が出ないという自信をお持ちになっているかどうか。この点をもう一度ここで念を押してはっきり聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/58
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059・後藤博
○後藤政府委員 三十一年度以降絶対に赤字が出ないということは申し上げかねるのでありますが、一応従来のようなきびしい財政になるかもしれませんが、運営の仕方をまじめにやっていけば、私は三十一年度単年度としては赤字が出ない。三十二年度以降のことは私どももどういうふうに世の中が変っていくか見通しがっきませんので、そのことはちょっと申し上げかねるのでありますが、一応三十一年度は単年度として赤字が出ないはずだというふうに言い切れると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/59
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060・門司亮
○門司委員 三十一年度に赤字が出ない、そういう財政計画が一応立てられるということになると、再建整備を受けて行政の切り下げをした団体との関係はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/60
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061・後藤博
○後藤政府委員 三十一年度単年度で赤字が出るか出ないかという問題と、それから過去の赤字をたな上げしまして、それを償還していかなければならない団体との問題とは違ってくるのであります。過去の赤字をたな上げして参りますれば今度は償還計画が出て参ります。その償還費をどうするかという問題になって参りますと、単年度の収支がとんとんでは間に合わないのでありまして、黒字を出していかなければならない。その黒字を出し得るような程度に財政規模を圧縮するなり歳入の増加をはかる、こういうようになります。従って再建団体になりますれば、やはりそれだけの準備を三十一年度にしていかなければならないということになりまするので、収支とんとんで赤字が出ないということではなくて、むしろプラスを相当生み出すような財政構造を作っていくということにしなければなりません。従って、苦しいことは苦しいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/61
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062・門司亮
○門司委員 議論が妙なことになって発展するようでありますが、問題は、もう一つは自治体というものの見方であります。かりに財政計画の上で黒字とまではいかなくても大体やっていける、いわゆる現在の行政機構でやっていけるという見通しがつくということになって参りますと、今非常に赤字で毎年困っておりまする地方自治体が、かりに再建整備を受けない団体は、それだけ行政が伸びるわけであります。むろん切り詰めなくても済むわけであります。そうすると再建整備を受けることのために、従来の行政を切り詰めなくてもいいという一応の計画は立っても今までの赤字があるから、これを解消するために行政の切り下げをしなければならぬというのが、大体今の自治庁の考え方だ。しかしその場合に問題が起ってくるのは、自治体相互の間の伸びといいますか、発展に相当大きな影響を持ってくる。従ってわれわれから考えれば三十一年度以降において、大体財政上やっていけるという見通しがつくならば、この再建整備法が規定しているような行政の切り下げというものを無理にする必要はないじゃないか。いわゆる行政の切り下げをやらなければ補助率を増してやらないというような行き方というものは、その点非常に矛盾がありはしないか。自治体というのは伸びております。また伸びなければならぬのである。将来の財源確保のためには、どうしても町村が伸びなければ財源確保ができない。いわゆる財源の涵養ということができない。行政が切り下げられればそれだけ土地は荒廃するのだから、荒廃したものに対しては将来また非常にたくさんの費用をかけなければならなぬ。同時にまた将来の自治体の財源となるべきいろいろな施設が行えないということになれば、当面の赤字をたな上げするために、将来経費を非常に増すような危険があるではないか。だからもし三十一年度から赤字が出ない財政が立つならば、行政の切り下げをしいて行うような法律自体はやはり改正していくことが必要じゃないかというように考える。ことに施行令の十七条のごときは変えていったらどうか。補助金をよけいやるというえさで行政の切り下げをさせようという物の考え方はあまりいい考え方じゃないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/62
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063・後藤博
○後藤政府委員 赤字のあります団体と黒字の団体との間で自治体相互の発展がしばらくは違うということは私はやむを得ない状況ではないかと考えております。過去において赤字があるのでありまするから、赤字団体におきましてはやはりある一定期間は財政規模を収縮していくということはやむを得ないのであります。そういう場合に国の関係します公共事業がある程度行われなければ困るというような問題も、国の立場から考えればあるのであります。そういう国の立場と地方団体の実情とを調和するためにできたのがこの政令の十七条の規定なのであります。従って国もある程度援助するから国がねらっておるところの事業もある程度やってもらいたい。そういう意味で二割五分花度を落した場合には補助金をふやして、そうしてやりやすくしてやる、こうういう建前でできておるのでありまして、これは国の建前からする規定なのであります。従って地方団体の方でもしもそれを望まないのであればそれ以上の仕事をしてもそれはやむを得ない。その場合には国の補助金はふやさない、こういう建前にできております。主として国の立場からの規定なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/63
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064・中井徳次郎
○中井委員 私は税金のことで一、二聞きたいと思いますが、今の問答を承わっておりましてちょっと関連して伺いたいのですが、この再建整備法案が出まして半年ほどたつ。先ほどから伺っておると県で三、市で十二、町村で十二、三出されておるというが、これはどうなのですか。私は不勉強なのですが、正式にこの再建整備法の適用を受けたいという書類を出しておるのですか。それともそれは議会の承認を得て初めて正式な申請ということになるのですか。どちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/64
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065・後藤博
○後藤政府委員 先ほど申しました数字は申し出をしておる団体で、議会の議決を経て申し出をしておるのであります。これがおくれておりますのは私どもの政令がおくれておりましたのが一つあります。それから本年度内からやるか、来年度からやるかという問題があります。本年度内からやります団体だけが意思表示できるわけでありまして、申し出期間は五月三十一日でありますから、来年度からやる団体は、現在再建整備法の内容を検討しながらまだ申し出をいたしておりません。しかし県会、市町村会が今月になりますと順次開かれて参りますので、その際に相当申し出の議決をして、三月中には相当出てくるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/65
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066・中井徳次郎
○中井委員 そういたしますと、県の三つ、市の十二、町村の十二、三というのは決議を経てお出しになっておるということになれば、その内容を発表していただくわけにはいかぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/66
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067・後藤博
○後藤政府委員 申し出だけの決議でありまして、再建計画を議決して出しておるのではないのであります。だから今持ってきておりまする案というのは、これは理事者側の試案でありまして、それが通るか通らないかはっきりわかりません。従いまして私どももまだ公表はできない立場に現在おるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/67
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068・中井徳次郎
○中井委員 そういたしますと、正式に申し出をして、自治庁はそれではこれで行けということになって、それをまだ今議会にかけておる、議会にかかっていよいよ実施というのはまだ一件もない、こういうふうに了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/68
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069・後藤博
○後藤政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/69
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070・中井徳次郎
○中井委員 ずいぶんこの法案は大騒ぎをしてまた天下に大きく響いたのでありますが、承わるとまだどうも一件もやっておらぬというふうなことです。この点は実は私ども社会党の方でも大いに議論をいたしておるのだが、こういうことは、法案の内容がどうもあまり期待したほどのものでなかった、従ってフグは食いたし命は惜ししというわけで、後藤さんは内容に対する理解が足りないというような説明を先ほどからされましたけれども、実際はどうでしょうか。これが出たときは相当みんな喜びまして研究をしたと思うのですが、それがいまだにこういう状態であるということ、期限は五月の三十一日といいましても、政府がお考えになったようにもっとたくさん——たとえば最初十二の府県は必ず出してくるであろうというふうなことが、いまだに三件ということはどうもよくわからない。あなたの言われる通り、もう県会も市町村会も始まっております。始まる前に、自治庁の方に交渉しない限りはやはり計画案は出せないわけであります。その点について、非常にたくさん出るであろうといいますが、具体的にどの程度出る見通しであるか、この聞の説明の通りであるか、もう一度聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/70
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071・後藤博
○後藤政府委員 私どもが聞いておりますのぱ政令がおくれたためにおくれたのが一つでありますが、一つは三十二年度の中からやるかどうかという問題で迷っておるようであります。それからもう一つは、理事者側はやりたいという気持を相当持っておりますが、議会その間の話がつかない、従ってその話になかなか手間取っておる団体が相当ございます。また議会側の面子もありまするから、それをうまく運んで行きたい、申し出だけで問題は解決しませんで、再建計画の議会の承認も必要でありましょうから、従ってその時期を考えておるのだというふうな答弁をされる向きが相当ございます。それから別に今まで議会を開いてやらないで、通常の市町村会、府県会でもってこの間の申し出の話し合いをしていくというような団体もありますので、三月の終りまでには私は相当出て参るだろうと考えております。しかしこれから先どんどん出て参りますが、それは三十一年度からやるという計画のものが大部分であります。三十年度の分はもうあまり出てこないのではないか、かように考えております。どのくらいあるかということでありますが、これは府県のそれぞれの理事者側に当って話を聞きますと、府県は受けるべきものが十七、八あると考えております。そのうちで十二、三くらいは出てくるだろうということを前から私は繰り返しておりますが、大体そのくらいは出てきそうに私どもは考えております。市は、とり方の問題がありますが、私は百から百五十くらいではないかと思う。これは、人によっては二百出てくるというのもございますが、百から百五十くらいの数ではないか、かように考えております。町村は非常にわからないのでありますが、地方課長あたりの最近参りました話を聞いて参りますと、大体二百前後じゃないか、少い人は百五十から二百の間、こういうことを言っておりますが、大体その辺の見当と考えております。やりたいという希望の団体が必ずしもそのまま再建法に乗っからなくて、自主再建ができる団体ももちろんありますので、そういう団体は自主再建の方向に法令で持っていくということも考えられます。大体私どもの見通しは前とあまり変っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/71
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072・中井徳次郎
○中井委員 それと関連しまして、先ほど三十一年度単年度において大体赤字がなくなるというふうな考え方を表明されましたが、これは非常に重要なお見通しであろうと思うのです。私どもそうは考えておりませんが、しかし、政府がかりに三十一年度単年度において赤字を出さないといったことに考えておる。また一方において、今年は自己再建もだいぶふえたということになりますと、三十一年度は相当不交付団体がふえてくるのじゃないか、その不交付団体が一体どのくらいふえるお見通しであるかお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/72
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073・後藤博
○後藤政府委員 不交付団体は、私は府県の方はむしろ減って参ると思います。府県は東京と大阪くらいになって、神奈川が不交付団体でなくなるのじゃないかと思います。市町村の方は、合併関係がありまして、必ずしも数ではいかんのであります。従って、市町村の方も私はそう動きがないのじゃないか、超過額の問題と関連があるのでありますが、超過額は相当多い団体が不交付団体になっておりますので、従ってそう大した変化はないのじゃないかと私は現在のところ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/73
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074・中井徳次郎
○中井委員 税制度でもって自然増収を見て、総額において五百億ばかり三十年度の予算よりふえておりますが、それでもって不交付団体がふえないというのは私はちっともわからないのだか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/74
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075・後藤博
○後藤政府委員 これは基準財政需要額との関係があります。今年の通りにやるか基準財政需要額を上げていくかという問題がありまして、上げていきますとその関係で、多少税の増収額がありましても、基準財政需要額が上って参りますから、やはり不交付団体にはならないということになると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/75
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076・中井徳次郎
○中井委員 どうもこの点は私わかりません。現実に非常に大きく税収入がふえるということになって、不交付団体がふえなければならぬと思うのだが、あなた方がお出しになった地方財政計画で、不交付、交付の区別がついておりますね、あの区別は一体どうしてつけたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/76
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077・後藤博
○後藤政府委員 二十九年度の決算を基礎にいたしましてとりました数字を基礎にして一定の率を出しまして、その率で分けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/77
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078・中井徳次郎
○中井委員 そうしますと、現実に当ってみるとまた大きい変更があり得るわけですね。こういう表は一応の分け方にすぎない、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/78
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079・後藤博
○後藤政府委員 多少は団体によって違って参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/79
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080・中井徳次郎
○中井委員 この点はまたあとで私どもの方も研究してお尋ねしますが、奥野さんに一、二伺いたいのだが、第一は都市計画税の問題です。これは課税をしようとしまいと市町村の勝手であるというふうな形でありまして、大臣の説明によると、三十一年度は三十億三千九百万円というふうになっておりますが、この数字を出されました基礎は、どういうふうにお出しになったか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/80
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081・奥野誠亮
○奥野政府委員 都市計画施行区域内にあります土地家屋の評価額を推計いたしまして、そのうちの半分くらいの団体は、都市計画税を起すのではなかろうかというふうなところから、この収入額を推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/81
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082・中井徳次郎
○中井委員 そうするとことしは五〇%ですか。明年はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/82
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083・奥野誠亮
○奥野政府委員 両方とも半数の部分について推定いたしておるわけであります。ただ初年度でありますと、徴収率が若干低い。翌年度へずれていく部分がある。平年度になると、前年度からずれてきた部分も入ってくる。こういうふうな関係で数字の移動があるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/83
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084・中井徳次郎
○中井委員 そこで今その都市計画を施行している区域が、全国で一体どれくらいあるか、それを御調査になっておると思いますが、あるいは資料にあると思いますが、これを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/84
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085・奥野誠亮
○奥野政府委員 都市計画施行区域は、旧市は全部やっております。新市の中でまだやっていないところが若干ございます。町村だけでありますと、合併後の関係があったりいたしますので、いつ現在の町村によるかということ百で違って参りますが、数百だったように思います。調べて見つかり次第お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/85
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086・中井徳次郎
○中井委員 次に、この間もわれわれ参考人を呼びまして、事業税の課税の問題について、私鉄関係の陳情を聞いたわけであります。外形標準は困るから所得課税ですか、そういうふうにしてもらいたいというふうなことでありましたが、そのことについて今自治庁はどういうように考えておりますか、簡単に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/86
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087・奥野誠亮
○奥野政府委員 事業税の性格から考えますと、所得課税よりも、むしろ収入金額等を課税標準とした方がよろしいんじゃないかというふうに思っております。しかし全体的に切りかえることについては、非常に問題があるのであって、もし切りかえても、その事業に特別な悪影響を与えないものであるならば切りかえたい。従って逆に現在外形課税を行なっておるものにつきましては、これは存続をしていきたいというふうな考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/87
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088・中井徳次郎
○中井委員 大臣の説明を聞いておりますと、私鉄関係は、今御答弁のようにとにかくそのまま変更はしないというが、一方大臣の説明の終りの方にいきますと、外航船舶の関係会社につきましては、去年でありましたか、課税標準を所得に改めた。それを、今の所得税の課税と多少違うので、さらにまた軽減をするということですが、どうも同じような交通運輸関係でこの変更をする理由は、私どもは理解に苦しむわけなんですが、政府はどういう考え方でこの外航船舶の方だけを——大体ことしはどこも自己財源を確保するという美名のもとに、とにかく新しい税制なんかを作って、そうして増収になっているわけでありますが、その中でこれだけ特にどうして減免の方に向つたのか、どうも私にはよくわかりません。その辺のところをお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/88
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089・奥野誠亮
○奥野政府委員 外航船舶の事業税の課税標準を所得に改めたのは、昭和二十九年でございます。実は外形課税制度をとりましたのは、大体において料金統制の行われている部分について行なっていきたい。料金統制の行われている部分でありますと、料金を含める場合に事業税相当分を算入していかなければならないが、外形課税を取ることによってそれが可能じゃないか。しかも、大体においてその料金が守られていくような企業について続けていきたい。こういう考え方であったわけでありますが、海運事業につきましては、外形課税を始めます前後に、その統制がはずされてしまったわけであります。従って、なおそれを続けていくことについても多少問題があったわけでありますが、二十九年にかなり思い切った地方税制の改正をする機会に、料金統制のはずされたものは所得課税に移してしまうというやり方をいたしたのであります。従いまして、外形課税をやっておったときから問題があったわけでありますが、御承知のように、海津事業は非常な赤字を出しておりまして、減価償却自体を子分やっていない。そういたしますと、その減価償却を損金経理にしていないものを二十九年以後の所得計算の場合にどう扱っていくか、それをせっかく法人税の計算の例によって税務計算を簡素にしておきながら、そこに大きな食い違いをしていくこと自体が若干問題でございますし、それと同時に、海運事業につきましては、固定資産税の問題あるいは利子補給の問題につきましても、国際競争ということを頭に置いて、相当な援助を国がしているわけであります。それをいまだ減価償却額を損金として落していないものを、すぐに落させないで、あとあとまでも引っぱっていくという行き方は、少しその辺の政策に矛盾するのじゃないか。そういうようなところから総合的に考えまして、現在提案しておりますような、法人税の例にそっくり乗っかっていくような計算の仕方をしていこうということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/89
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090・中井徳次郎
○中井委員 これで一体幾らぐらい減収になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/90
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091・奥野誠亮
○奥野政府委員 海運全体はまだ赤字を出しておりますし、減価償却も、今までの部分をしないでそのままになっているものですから、三十一年度では、現行法でいっても収入にはなってこないだろうと思います。将来にわたりまして、減価償却部分はいずれは損金に見なければならぬわけでありますから、早く見るかあとで見るかという違いだけでございまして、ただ欠損金で繰り越していっている部分がございますが、これも欠損金にするか、減価償却をしないで済ますか、経理上の問題にすぎないわけでございますが、一応減価償却だけはして赤字は出してしまっているものですから、形式的には、この部分は課税すれば課税できるじゃないか、こういう問題になるわけであります。この欠損金の額が五十一億九千万円と予定しておりますから、それの一二%としますと六億円くらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/91
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092・中井徳次郎
○中井委員 どうも今帳簿上は欠損になって、赤字だ赤字だというお話であるが、去年の七月ごろから海運界、造船界は、一般に非常に好景気であります。帳簿上はそうなるかもしれませんが、このままでいけば、ここ一年もたてば今度は黒字に転換すると考えるのでありますが、こういうふうな交通関係一般、国鉄、専売公社その他にまで税金を取りながら、この外航船舶、日本郵船とか大阪商船とかいうようなところが、いかに赤字であるといえども、外形標準を今度は所得に変えて、特にことしは収支に関係がないのに、わざわざこの法律を変更するということは、まことに行き過ぎのように思うのです。そこまで援助していかなければならないのですか。私はこの点がどうもわかりません。自治庁当局はどういうようにこの点をお考えであるか、助成々々といいますが、ほどほどがあります。これはおととしの例の造船業、そんなものにもつながるものでありますし、また私ども聞いておりますのに、大蔵省の預金部の貸付その他の点につきましても、地方公共団体は元利金を延滞をしているというのは一件もないように伺っておるが、こういうものと関連を持っておりまする一連の業者は、はなはだどうもその点怠慢であるといわれておるのに、さらにまたこんなものを改めていくというようなことについての考え方、これは私どもはとうてい理解できないのですが、どういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/92
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093・奥野誠亮
○奥野政府委員 二十九年の四月から外形課税を所得課税に切りかえたわけであります。外形課税時代におきましては、先ほどちょっと申しましたように料金の統制がはずされた、そうすると外形課税をすること自体にも問題があるのじゃないかというようなことから、その上にまた海運業が非常に不況にあった時代でありますので、その損益の事情に応じまして外形課税を建前にしながら、それに対して相当の減免措置を講ずる、こういうやり方をしていたわけであります。それを二十九年に切りかえたわけでありますが、切りかえるときの、立法政策をどうするかという問題であります。その場合に正直に申しますと、もう少し早く立ち直るという感じもなかったわけではありません。従いましてそれ以前の減価償却未済の額を切りかえと同時に損金に落す必要はないだろうと思っておったわけでありますが、御参考に申し上げますと、二十九年の三月期におきまして繰り越して参りました損金の額が、先ほど申し上げましたように五十一億九千万円であります。償却不足の額、減価償却の額を損金に立てればいいものが経理が、事業が悪いものですから、損金によう立てないできて、その額が二百三十三億八千万円であります。これは海運二十社についての集計でありますが、三十年の九月期におきましては、繰り越しの損金の方は二十七億五千万円、償却不足額は逆に四百八十六億七千万円とふえて参ってきておるわけであります。こういうような姿でありますので、法人税をいつまでも計算を違えていくということは相互に煩煩瑣にたえないのじゃなかろうか、いずれは損金に落すものだから、現在の所得計算から減価償却不足額も繰り越しを認めて損金に落していいのじゃないか、こういう考え方をとったわけであります。そうしますと残って参りますのは繰り越し損金の問題であります。これをいろいろ調べて参りますと、海運が非常に不況になった、そこで海運会社によっては先に納めた法人税を繰り戻してもらいますために、ことさらに減価償却を損金に立てて赤字を増大して、法人税の繰り戻しを受けた、そのこと自体は事業の健全な経営のために望ましいことですが、減価償却を不足額のままにしておけば、損金経理が認められる、ところがそれを減価償却は損金で落して赤字を多くした、その結果損金の繰り越しという格好に持っていった場合は、その部分についての繰り越しが認められない。それでは健全な経理を行なったものがかえって不利な取扱いを受ける、こういうことになってしまいますので、同時にこれを法人税の計算であれば繰り越しが認められるわけでありますから、繰り越しを認めて同時に税務行政上完全に合せていった方がいいのじゃないか、そのことがまた海運政策全体としてとられている政策にも合致していく面があるのじゃないか、こういうことに考え至ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/93
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094・中井徳次郎
○中井委員 今のあなたの答弁を伺っておると、外国船舶関係の法人は非常に赤字である、それで特に見たというのですが、それならば私鉄関係のものにも赤字のものはずいぶんあると思う。そういうものだけ外形標準にそのまま行くということがどうもよくわかりません。それから運賃統制が撤廃されたので外形標準の課税が非常に困難になったというのですが、そういうことならば、統制が復活すればまたもとに戻すとつもりなんです、その辺のところを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/94
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095・奥野誠亮
○奥野政府委員 料金統制が行われておりまして、その料金が厳格に守られていくという筋合いの事業でありますならば、むしろ外形課税をした方がいいのではないかというような考え方を持っておるわけであります。料金統制が行われてもそれが厳格に守られる事業であるかどうか、国際間の競争になって参りますと、日本の政府だけではいけないのだというふうに思われるわけであります。さような問題は、また料金政策が変りましたときには、当然研究問題になってくるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/95
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096・中井徳次郎
○中井委員 私鉄の赤字の会社の関係はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/96
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097・奥野誠亮
○奥野政府委員 私鉄の問題につきましては、赤字を出しておる、しかも国としてはそれを相殺していかなければならない、そういう事業につきましては、運輸省からその私鉄を指定いたしまして、補助金も出すような立法がすでになされておるわけであります。こういうような指定を受けた企業につきましては、事業税を課さないという建前のもとに、所得計算を行うというふうな規定を地方税法の中には入れておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/97
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098・中井徳次郎
○中井委員 そうすると赤字を出しておる私鉄については、事業税は現実にはとっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/98
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099・奥野誠亮
○奥野政府委員 赤字を出しておる私鉄であって、ほっておけば事業をやめてしまうだろう、そのことが国の立場から見て好ましくない、そういう場合にはその事業を特に指定するわけであります。そうして同時に国が相当の補助金を出していくわけであります。こういう事業につきましては所得課税にするのだという規定を入れております。従いましてその分につきましては事業税は課税されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/99
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100・中井徳次郎
○中井委員 その私鉄は全国でどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/100
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101・奥野誠亮
○奥野政府委員 ちょっと正確に記憶しておらないのですが、何か先日委員の側から八社だというようなお話がございました。なお正確に調べてみまして、もし間違っておりましたら訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/101
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102・大矢省三
○大矢委員長 よろしゅうございますか。——それでは本日の会議はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせいたします。
午後一時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01819560306/102
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