1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月五日(木曜日)
午後三時三十三分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 古井 喜實君
理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君
理事 中井徳次郎君
唐澤 俊樹君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 纐纈 彌三君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 灘尾 弘吉君
丹羽 兵助君 山崎 巖君
加賀田 進君 五島 虎雄君
櫻井 奎夫君 西村 彰一君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 太田 正孝君
出席政府委員
自治政務次官 早川 崇君
自治庁次長 鈴木 俊一君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁税務部
府県税課長) 細郷 道一君
総理府事務官
(自治庁税務部
市町村税課長) 鎌田 要人君
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六九号)
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、前日に引き続き、税目別に質疑を行います。昨日の市町村民税についてまだ残っておりますから、質問を継続することにいたします。亀山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/1
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002・亀山孝一
○亀山委員 きょうは固定資産税の項に入ったわけですか。固定資産税の方を質疑してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 それでは市町村民税の質疑は残っておりますから、それはあとからにして、一応固定資産税に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/3
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004・亀山孝一
○亀山委員 大規模償却資産所在市町村の当該資産に対します課税限度額の平年度化に伴いまして財源の急減する市町村ができると思うのでございますが、どういう対策を自治庁においては講ぜられるか、奥野税務部長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/4
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005・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のように、大規模償却資産に対します固定資産税の所在市町村の可能限度額の制限措置をとりましてから、昭和三十年までは若干緩和措置を置いておったのでございます。昭和三十一年からそれが平年度化いたしまして、特別緩和措置がなくなるわけでございます。従って昭和三十年度までは一定の金額で指定を受けます大規模償却資産に対します固定資産税の収入額が制限される結果、財政収入が減ってくる結果、基準財政需要額の一・三倍を下回る場合には、一・三倍までは限度額を引き上げて市町村が固定資産税を課するようにしておったわけでございます。この基準財政需要額の一・三倍まで基準財政収入額を保証するというのは、昭和三十一年度以後は一・二倍になってしまうわけであります。そこで一つには今回税制度を改正しまして、市町村あるいは三公社に対します国有資産所在市町村の納付金であるとか、目的税として都市計画税とかいうような新たな財源が与えられて参るわけでありますが、基準財政需要額の一・二倍になるかならないかという基準財政需要額の算定に当りましては、これらの新規の財源を加えない、昭和三十年度の現状において計算をしていきたい。そういうようなやり方をいたしますと、基準財政需要額の一・三倍で計算されたものが一・二倍になるわけでございますけれども、基準財政需要額として昭和三十一年に入ってくる新制度に基く収入が加算されておりませんから、それだけが別にプラス・アルファであるわけであります。従って実態的には一・三倍以上である団体も生じてくるのではないかと思うわけでございます。こういうふうに課税限度額のきめ方において新たなる財源は算入しないということによって、大規模の償却資産所在の市町村の財源確保をはかっていきたいと考えております。
第二には、そのようなやり方をいたしましても、なお今まで継続的な事業が行われているので、その財源が急になくなるという問題になって参りますならば、それらの事業の性質に応じまして、地方交付税の特別交付税を増額いたしますとか、地方債の発行につきまして特別な許可を行うというようなことで、団体の財政が激変する結果困って参るような点を補って参りたいと考えているわけでありまして、自治庁財政部ともこの点はよく打ち合せを遂げている点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/5
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006・亀山孝一
○亀山委員 大体了承いたしましたが、これに対していろいろ陳情等が出ております。この陳情に対しては、おそらく自治庁当局においては十分考えて善処されると思いますが、これに対するお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/6
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007・奥野誠亮
○奥野政府委員 市町村といたしましては、従来入っていた財源が急に減って参る場合、財政運営上非常に困ります。そういうこともありますので、新制度を作りました場合に、三カ年間の経過措置を講じたわけであります。その結果、最終年度にはいろいろ困ってくる団体が出てくるわけでありますが、いつかはそういう新しい制度をとった場合に、それに入っていかなければならないと思うわけであります。従いましてその間の緩和措置につきまして、ほんとうに市町村の実情に即したように、財政に混乱を来たさないようなことについては、政府としても、十全の配慮をしてやっていかなければならないと思います。いろいろ市町村の陳情される気持ももっともであります。また新しい制度にも非常に疑義がありまして、新制度の履行に当りましては、政府として、いろいろな対策をとりながら、円滑な推移を期し得るようにしてやらなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/7
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008・亀山孝一
○亀山委員 今奥野税務部長から、新制度に移行する場合の急激な変化、ことに歳入減等については特別に考慮するというお話でありますが、この具体的のことについて、もしも自治庁で方針をきめておられるならば、この際伺附いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/8
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009・奥野誠亮
○奥野政府委員 その点については、今申しましたように、基準財政需要額の一・二倍の収入が確保されているかされていないかという判断をいたしました場合に、新制度に基く財源は加算しない。それだけをプラス・アルファとして別ワクにしておく。これを一つの理由として考えておるわけであります。なお財源が減ってきます結果起って参ります事情に応じまして、その財源の穴埋めとしては特別交付税なり地方債なりによって円滑に地方財政運営ができるような措置を考えて参りたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/9
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010・鈴木直人
○鈴木(直)委員 ただいまのに関連しまして、今の自治法の三十年度の特例としてなっております分でありますが、いわゆる人口三万以上の市を全部一律に最高六億八千万でしたかに押えるということは、少しきざみ方が雑駁じゃないかというふうに感ずるのですが、大都市を見ますと十万あるいは十五万、二十万、三十万というふうになっておりまして、その財政事情というものは段階に応じて相当違ってきておると思うのです。それを人口三万以上に区切ってしまってそれを六億八千万円というところでその市に割当をするという点はどうも雑駁過ぎると思う。もっとその上の段階を作ることが必要ではないかと考えておるのですが、その点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/10
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011・奥野誠亮
○奥野政府委員 御承知のように人口三万以上につきましては昭和三十年度は六億五千万円以上の償却資産から該当いたします。これは課税限度額の制限をなし得る範囲として一応定めておるだけのことであります。その結果当該団体の基準財政収入額が基準財政需要額の一・三倍を割るようになります場合には一・三倍まで達し得るように六億五千万円を七億とか八億とか十億とかいうふうに引き上げていくわけでありまして、一応の該当の有無をきめます場合には六億五千万円なら六億五千万円に人員二万以上の都市については一律にきめておく。そういたしませんと、団体によりましてはたった一つの工場なんだけれども非常に大きな工場がある、反面にまた六億五千万円前後の工場が非常に数多くある、そういう場合におきましては六億五千万円の金額をちょっと引き上げるだけでみんなその規定からはずれて、その結果はたった一つしかないところは基準財政需要額の一・三倍かっきりの財政収入額しかないのに、限度額が引き上げられた結果、同じ程度の工場がずいぶん数多くあるという場合にはどれもその範囲に入ってきませんで、全部について固定資産税を課することができる。制限は受けない。その結果基準財政需要額の一・五倍なり一・六倍なりになってくるわけであります。そういう不公平をなくするようにするために一応ワクをはめておる。しかし基準財政需要額の一・三倍を下回った場合に一・三倍まで課税することができるように限度額を引き上げていく、こういうふうな考え方をとっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/11
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012・亀山孝一
○亀山委員 大臣の御出席をあこがれておりました門司委員がおいでになりましたので、(笑声)あとは門司委員に御質疑を譲ることにいたしまして、私はいま一つ奥野税務部長にお伺いいたしたいと思います。それは三十年度以降に建設に着手しました発電施設所在の市町村につきましてはその課税限度緩和の措置がないのであります。とられておるかどうかわかりませんが、この点を一つはっきりとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/12
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013・奥野誠亮
○奥野政府委員 固定資産税につきまして一定の限度以上の部分は府県が課税するという措置をとりました結果、従来の制度であれば発電施設が設けられました当時、相当の税収入を得ておった市町村との課税の均衡上、二十九年以前に建設に着手した発電施設についてだけ、若干平年度の場合の金額よりも多くの固定資産税収入が入るように定めておったと考えるのであります。しかしながら国会のいろいろの御論議を伺ってみますと、発電施設が設けられる場合の市町村の犠牲は非常に大きいものがある。そういうことを考えると、やはり少くとも電源開発を促進している期間においては、電源開発の促進を円滑に運ぶ上においてもある程度それらの市町村の財源を豊かにする必要があるのじゃないか、こういうことも十分考えられるわけでございます。そういたしますと昭和二十九年以前に着手された発電施設だけでなしに、この電源開発促進期間中に開発に着手されるものにつきましても同じような性質の規定を置かなければならないのじゃないか、かように考えるわけであります。しかし着手してから完成するまで事業の性格上相当の期間を要するわけでございますので、現在の固定資産税を課し得るような施設は、みな二十九年以前に建設に着手されたものだと思うのであります。従いましてこれらの市町村の実情をなお調査いたしまして、今後それらの調査結果に基いて実態に即した発電施設所在市町村の財源確保の措置を講じてもおそくはないじゃないか、かように考えておるわけであります。いろいろ御意見のあるところを伺って、検討いたしまして善処いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/13
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014・門司亮
○門司委員 大臣にこの機会に聞いておきたいと思いますが、地方税の審議をいたしております過程において、一応はっきりした政府の態度を承わっておきたいと思うのであります。それは昨日の委員会で次官にも一応御質問申し上げたのでありますが、地方財政が非常に行き詰まっておることは御承知の通りであります。政府が最近出されましたいわゆる地方財政法に基く報告書を読んでみますと、三十一年度からは赤字が出ないようになるだろうということを書いております。がしかしそうも参らぬと思うのであります。昨日の委員会で明らかになりましたことは、次官の答弁では次の国会いわゆる三十二年度においては国、地方を通ずる税制の改正を行いたい、こういう答弁があったのであります。このことは大臣も御承知のように政府がしばしば三十一年度、いわゆる本年度で税制改正を行いたいということを言明しておきながらこれが十分にできなかったということが言われておるのであります。そこで私ども特にこの際財政関係で聞いておきたいと思いますことは、税制改正をするに当ってどの程度の地方財源を増していこうというのかという一点であります。それは御承知のように一兆をこえております地方の財政計画の中に、地方税は四千億足らずであります。しかもその中には本年度特に百二十億余りの新しい国民負担による財源があてがわれておる。それでもしこういうことが考えられて参りますると、政府の税制改正による地方の財源賦与というものが国民の負担増によるものの考え方だとするならば、これは非常に大きな問題だと私は思う。財源をふやしたというが、その財源はいずれも地方の住民の負担による住民の犠牲においてこれがふやされる、いわゆる新しい税金である。われわれから考えて参りますと、今年新しい税金として定められたいわゆる三公社の課税、それから一つは軽油にかけてくるという問題、さらに公営住宅その他に対する固定資産税相当額の納付金をやらせようという考え方、いずれも国民生活に直接関係のあるものであって、間接的には税相当額よりも国民の負担は当然ふえるであろうということがはっきりしておる。軽油の税金が上ってくれば、税金は二十二、三億程度しか上ってはいないが、しかしこれによるバスその他の値上げによって、国民はそれ以上の負担をさせられるであろう。それから三公社にかけて参りましても、これも三公社の事業経営の態様から見て余りますと、必ずしも鉄道運賃の値上げの原因にならないとは考えられない。もしそういうことになりまするならば、五十億か七十億の税額より以上に国民は負担しなければならない。いずれにいたしましても、政府の処置が、三十二年度にとられると言明されておりまする税制改正というものが、そういう国民の負担と犠牲の上において税制改正をしようとされるのか、そういうことを考えていないで、他の方法で税制の改正による地方財政の増強をはかられようとするのか、大臣から一つ具体的にお話を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/14
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015・太田正孝
○太田国務大臣 大へん重要な御質問でございまして、地方財政の現状が非常に苦しいところにあることは、お言葉通りでございます。明年度の財政がどういうふうに動くかということは、地方財政の面から見ましても、いろいろな問題が考えられます。たとえば私どもが非常に心配しておる地方債の元利償還はどのくらいになるか。大まかな見通しでありますが、百二、三十億になるのじゃないか。もう一つは給与の関係でございますが、これの自然増がやつぱり百億円とみられるのじゃなかろうか。こんなことを考えますと、この現状だけをバランスを得ていく意味におきましても、一方で税の自然増収がどのくらいあるかということが大きい問題になるのでございまして、その自然増収は、何と申しても経済界の現状がどういうふうに推移していくか、俗にいいます景気、不景気の問題ともからんでおりますが、この見通しをつけた上で、自然にふえていく費用と、税の上で自然増収がどのくらいになるかということを見通していかなければなりません。お言葉の通り、地方の負担というものは相当に強いものになっておりますので、ただ理詰めだけでもって税をふやすというようなことは私は考えておりません。今申しました自然にふえていく費用と経費と、これに対応すべき自然増収とをにらみ合せまして、案を立てていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/15
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016・門司亮
○門司委員 私は自然増の面については、そう大きな期待はできないと思います。それは所得税の面で、少くとも政府がこれを軽減していくという今の方針を堅持して参りまするならば、結局これからくる市町村の最も大きな財源である市町村民税並びに県民税は、そうたくさんふえていくとは期待できない。固定資産税におきましては、新規事業等によるものがあれば別でありますが、今建築されておる建築の程度から申し上げますと、結局昨年の法律改正によって、来年までは固定資産税の単価を引き上げることは私はできないと思う。去年の一月一日の時価でこれも据え置かれておるということになりますと、この二つの大きな税金と、さらにその次にもう一つ地方税で大きなものと考えられる事業税につきましても、そう私はこれが大幅にふえていくとは考えられない。従って税の増収によって地方財政をこれ以上緩和することは、とうてい困難だと考えられる。そこで問題になりますのは、今大臣もお話になりましたように、地方財政の緩和をすることのために公債費に手をつけるということは、一つの方法であります。しかしこれも早川政務次官は、この間の会議でえらい勇ましいことを言われまして、利息が高過ぎる、日本だけだ、六分五厘もとっておるのはほかにはないというようなことを言われましたが、それはその通りだと思います。しかし早川政務次官がいかに力んでおいでになりましても、金利が地方債に対して二分まで下るということは考えられない。同時にこれを下げるということは、金利だけを下げただけでは効果がありません。結局償還年限を延ばすということと同時に金利を下げるということが、並行して行われなければ、これは公債の負担を軽減していこうということにはならぬのであります。この問題は非常にむずかしい。償還期限を十年なら十年延ばす、その上に金利を半分に下げて地方負担の実質上の増加を見ないように財政を緩和していこうということが、方法としては一番いい方法だと思う。しかしこれはなかなか今の政府では——太田さんにこういうことを言うことはいかがかと思いますが、資本主義の政府が、今の政府資金の資金繰りを、約三百億近いものを一応やめて地方の財源を豊かにしてやろうというようなしおらしい考え方は考えられない。そういたしますと、もしこの方法がだめだということになりますと、どうしても公債に手がつけられない。ただ、今までのように無制限にというか、あるいは無秩序につけておった公債をできるだけ取りやめることにして、そうして重要なものだけにつけていくという今後における公債政策の処理はかなりできると思います。これはまたやらなければならぬと思います。しかし今まである約五千億をこえております地方の借金というものはどうにもならない。このままの姿でいけば今のお話のように、毎年百五、六十億ずつふえていくことはわかっておるのである。そこでもし手がつけられない、十分なる措置ができないということ、あるいは窮余の一策として元金償還なら償還を五年なら五年繰り述べて、これによって二、三百億の資金繰りを何とかしていくという窮余の策が講ぜられましても、地方の自治体の根本的な解決策にはほど遠いと思う。従って今のお話だけでは私どもも納得するわけには参りません。従ってこれから一つお答えを願いたいと思いますことは、新しい税金によって地方の税財源をふやすことがかりに不可能だといたしますならば、その次の段階に来るものは、よくても悪くても今政府がとっております税財源を、地方に何らかの形によって移譲していくという方法以外にないと思う。政府は御承知のように一兆三百億の予算の中で、九〇%以上というものはほとんど税金でまかなっておる。地方は中央を上回る財政規模を持っておりながら、わずかに四千億しか税財源を持っておらない。この税財源に対する不公平なバランスをどう直していくかということが私は一つの大きな問題だと思う。従って大臣はこの面に手をつけられる御意思があるかどうかということを重ねてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/16
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017・太田正孝
○太田国務大臣 昨日も政務次官からお話し申し上げたということでございますが、この税の問題は、結局するところ、各自治体に入るところの税と国の税とのかかり合いが非常に多いのでありまして、今門司委員の言われる通り私も非常に心配しております。またきのう早川政務次官の言われた通り、国、地方を通ずる税制というものは、ただその場限りの文句でなく、真剣に取り組んでやっていかなければならぬ。国の方といたしましても、交付税は、二割八分とかいうような御説もございますが、二割五分といえば四分の一でありまして、国の三大税の四分の一まで食い込んでおる現状は、これまた考えなければならない。地方のいろいろな費用が増してくる。お言葉の通り地方債の問題を片づけるということもなかなかむずかしいが、私としては六百億をふえぬようにやっていくという一つのめどと、公債費の負担を少くするように、あるいは利子ですとか償還期限の問題を考えていかなければならない。また門司委員の言われました通り、借りかえの問題も考えていきたい。しかしその根本にはまだ触れることができないのであります。だがここにどうしてもいろいろな問題をつづめていきまして、税制の上において今国のとっておる国税の面と、非常に精一ぱいのところまでいっておる地方税の問題とをどう組み合していくか、やはり根本的な税制改革を要する、かように私は考えております。腹案としてのいろんなことも考えられますが、まだはっきりと私が打ち出して言うほどのところまでは参っておりませんけれど、国、地方を通ずる税制改革という問題は、政府といたしましてもほんとうに真剣に取り組まなければならぬ段階に来て、これを実行いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/17
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018・門司亮
○門司委員 今の大臣のお言葉でございますが、真剣に考えるということは毎年言われているのです。いつの年でもこれの言われないことはない。ところが一向にものが真剣に考えられていないのでありまして、ことしも財源を与えた財源を与えたとは言っておるが、さっき申し上げましたように、三つの新税というものはいずれも国民の犠牲による、あるいは国民は税金の数倍を負担させられるであろうと考えられる税金であります。間接税にいたしましても、比較的国民の税より以上の負担を求めない間接税もないわけではございません。たとえば一つの消費税のようなもの、あるいは酒たばこの税金は非常に高いといわれておりますが、これなどは何も税金が十円上ったからといって、酒の値段か十五円高くなったというようなことはあり得ないと思う。間接税であっても、こういう税金は、税相当額だけは当然国民の負担が増加するが、より以上の負担はない。ところが今度定められた三つの税というものは、先ほどから申し上げておりますように、税相当額の数倍が国民負担になってくるだろうという危険を持っております。政府はこういうところに目をつけて、そうして財源を与えるということになりますと、国民の負担というものはますます増加してくる。私はそういうことを実はおそれるのでありまして、従ってこの機会に明快に一つ御答弁を願っておきたいと思いますことは、来年度の税制改正がかりに行われるといたしましても、新しい税金を想定されておるかどうか、またこういうべらぼうな税金を政府は考えて、これで財源を与えたというような、国民の負担と犠牲によってやろうとするようなお考えがあるかどうか、この点をもう一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/18
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019・太田正孝
○太田国務大臣 税制につきましては、国の関係でも、私は直接税が非常に多いと思っております。それから現在の地方税は、やっぱり何としても直接税に少し肩がかかり過ぎていると感じております。先ほど来お話しの、三公社の課税については、私としては地方制度調査会の御答申にもあるし、各方面から長年唱えられた制度でございまして、あの税が新税として悪いという感じは持っておりません。問題は直接税と間接税の関係を考えますことと、国の税とのかみ合せになって参りまするので、私といたしましては、何としても直接税関係に手をつけていかなければならぬ、同時にそれは軽くするように手をつけていかなければならぬと考えております。間接税につきましても、いろんな問題が取り上げられるだろうと思いまするが、これもまた国の税との関係がありますし、たばこにしても同じでございます。それから酒の税などにつきましても、ただ酒飲みにかける税だからと簡単にはどうも私は割り切れないと思います。これらすべての点、国、地方を通じまして、現状が、直接税が重過ぎるという感じは私は強く頭にきておりますので、そういういろんな材料をもとにして、国、地方を通ずる税制改革に進めたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/19
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020・門司亮
○門司委員 今の大臣の御答弁では、実際何が何だかわからぬのであります。一体どこをどうするかということがわからぬのであります。私どもが心配いたしておりますのは、もう地方財政は単なる税談義では終らない段階にきていると思う。これは大臣、御承知の通りなんです。ただこの制度はいいからこの税金をどうだとか、この税金をこうだとかいう段階ではない。地方財政は全く行き詰まっておりまして、今問題になっております教育二法案のごときも、私は、教育二法案のほんとうの精神がどうかこうかということが議論をされておりますけれども、実際の問題は、地方の財政は非常に苦しいのだということがかなり大きなウエートを持っておると思う。そうしてその財源がどのくらいかというと、やめてみたところで、十億か二十億の節約にしかならぬのであります。しかしそれでもかなり大きなウエートになっておる。警察法にいたしましても、国に移管の問題が起ってきたのも、やはり財政の窮乏から来ておる。すべて民主主義の行政である最も重要な地方の行政事務というものが、口では地方に移譲する、やらせなければならないということを言われておるが、財政の裏づけのないことのために、これがだんだん中央集権になっていくという、今日の非民主的の行政の運営とは申し上げませんが、将来に対する推移を見て参りますと、少くとも税談義を離れて、財政をどうするかという段階に来なければならないと思う。そういたしますと、直接税をふやすとか、間接税をどうするかとかいうことでなくて、私は率直に大臣に聞いておきたいと思いますが、地方財政の何%までくらいを地方税によってまかなうことが正しいと大臣はお考えになるか。その割合はどのくらいでいいか。国は九五%までくらいは全く税金で国の財政を立てております。地方は今申しましたように一兆四百億近いもののうちに、わずか四千億しか持っておらない。この大きなアンバランスをどの程度まで縮めていこうとされる大臣の御意思であるかということを、もう一応伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/20
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021・太田正孝
○太田国務大臣 地方の負担の割合を明確に言うことはむずかしゅうございますが、また各地方によって違うことでございますが、平均してみたなら五〇%くらいがめどではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/21
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022・門司亮
○門司委員 五〇%くらいになるといいますと、ちょうど今の地方税を五〇%ふやさなければならぬ数字上の問題が出て参ります。そうなりますと、地方税をここで二千億ふやすということになりますと、国税からかりに持ってくるといたしましても、かなり大きな税の改革を行わなければならぬ。これを一体容易にどの程度行われるかということが問題になって参りまして、私どもといたしましては、今の大臣の答弁を聞いて、ほんとうにこの五〇%を税財源でまかなっていくということになりますと、少くとも二千億くらいのものを地方に出さなければならぬと思う。そのかわりにいろいろな補助金であるとか、あるいは国の負担金が出るかもしれない。こうなって参りますと、行政上にも非常に大きな改革が行われるということは必然的であります。もしこれを今このままの姿で、交付税の基礎になっておりまする三つの税金の中からこれを自主財源として地方に出すということになると、地方財政のアンバランスというものが、今度は個々の財政のアンバランスというものが、私どもは今の状態で出てくると考えるわけです。これもなかなかむずかしい問題であります。従って五〇%程度まで税金でまかなうということになりますと、どうしてもさっき申し上げましたように、今の税制に約二千億の増加を見るということになると思いますが、それらの構想について、もし大臣のお考えでもございますならこの機会に発表しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/22
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023・太田正孝
○太田国務大臣 ただいま私ただ見通しだけを大ざっぱに申し上げましたので、具体的なものはまだ確定をして申し上げるところに参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/23
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024・門司亮
○門司委員 そういたしますと、政府の言っておりまする三十二年度の税制改正というものは、ただ政府がそういうことを言っておるというだけであって、具体的には考えられておらないということに結論はなると思います。私がそれで承知ができないというのは、冒頭に申し上げましたように、国、地方を通ずる税制改正を行うのだということが、政府はずいぶん言っていたのだから、三十一年度でやれると思っておったがやられておらない。これは長い間の懸案ですから、おそらく政府には何らかの具体策がなければならないと思う。単に議会だけを切り抜けるために来年だ来年だと言っていたら、いつの来年が来るのかわからなくなってくる。どうしても問題は来年度において税制改正を国地方を通じて行うということにある。これが延ばされたといたしましたならば、少くとも本年度で計画されておりました範囲でもけっこうだと思いますが、どの税金をどうするかというようなごくこまかい具体的なことはもとより私ども求めようとは考えておりません、大体の線だけくらいは一応ここでお話が願えないと、政府がしばしば言明いたしておりますので、私どもといたしましてはどう一体この税制を審議すればいいかわからない。ただ出ておりまするものだけを検討するならこれはこれだけで済みますけれども、これだけをやっておったのでは地方財政というものは、いつまでたってもはっきりしたものが出て参りません。一応地方財政が安心してやれるめどをつけるためには、税制改正が行われるなら、そのめどをもう少しはっきりこの際示していただきたい、私はこう考えておるのでありますが、国税の中のどれとどれをどういうふうにするか、あるいはどれをどういうふうに考えておるというような御説明がもしできまするならば、この際一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/24
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025・太田正孝
○太田国務大臣 私がこの職についてから日は浅いのでございますが、地方制度調査会等の発表された案は全部この間日を通しまして、実行されない一番大きな問題は農業事業税でありました。口先ばかりでなく私としては長い間の問題であった三公社課税も片づけたし、相当なところまでは地方制度調査会などによって答申されたものを実行しつつあるのであります。決していばるわけではありませんが、口先だけでなく、私の考えはどこまでも実行いたしたいという考え方でございます。国の財政の面から申しまして、国税、地方税のかみ合せの問題は、何といたしましても数年の間、直接税に非常にたよってきましたので、この点を直すということになりますと、すぐ地方税にまた問題が及んで参ります。国の方で間接税と直接税の関係を整理していきますことは、ただ単純にいきませんので、やはり地方との関係を持って参ります。こうなりますると、その根本において国家財政の方をどういうふうな限度でやっていくかという大体の見通しをつけてからでないと、地方との税の関係もいかない。私は決して逃げたりしてかように申すのではなくて、やはり新しい立場から、現状におきましての国家財政の需要面とまたこれを埋めていく税、公債等の関係も考えまして、そして地方税とのからみ合いにおいて一体として考えていかなければならない。このことは私は常に品にしているところでございまして、どうしてもこれは実行いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/25
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026・門司亮
○門司委員 どうも抽象的の御答弁でございましては問題ははっきりしないのであります。私どもが心配しておりますのは、今の大臣の御答弁から議論を進めて参りますと、国の一つの政策まで発展しなければ問題は片づかない。国の政策まで発展するということになれば、今不必要だとわれわれが考えておる自衛隊の費用に手をつけるというようなことが考えられるのではないか。しかしこれは政府がなかなか考えない。なかなか削るわけにいかない。ふやすように大体持っていくと思う。そういたしますと、国税を地方税に移すということは、国のそうした面を改善しない限り私の考えではなかなか不可能だと思う。そうすると、どんな税財源を地方に委譲するといたしましても、これはなかなかできない。そこで、中央がもし税財源を譲って、そして中央の今の財政規模をそのまま維持されようとすれば、ここに国の方に出てくるものは公債政策であると思う。地方には公債政策がない。地方で公債政策があるとするならば、例の五万円ずつ出して参りました遺族その他に対する公債、これは一つの公債政策と考えられるかもしれません。しかしこういうものはそう大きな数字でもございませんし、同時にまた財政の規模の上からいって、これは私は公債政策だと言えないと思う。従って、もう一応この機会に聞いておきたいと思いますることは、そうした地方税を充実させることのために、現在持っておりまする国税のどれかを、今お話のありました程度地方に委譲しようとすれば、国は公債政策をとらざるを得なくなってくると考えるが、この点等について、話はちょっとそれるようでありますが、地方財政を充実させるためには国、地方を通ずる一つの財政政策も必要かと思いますので、従ってこれらに対するお考え等がもしございますならば一つお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/26
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027・太田正孝
○太田国務大臣 公債政策につきましても、今の財政当時者は非常にかたい考えを持っております。私は少し考え方も違っておりまするが、日本の現状におきまして、公債政策というものを、放漫財政にならぬように、インフレを避けるような意味においても、なお考える余地があるのじゃないかと考えております。ただし、国から地方に税を回すだけの力があるかという問題になりますと、現在の交付税そのものにおいても三大税の二割五分行っておるのでございまして、この税を独立税で振りかえることができるかという問題まで考えてみますると、ここにまた一つの限界があるように思います。私としては、交付税の二割五分というものは、もう実は精一ぱいのところじゃないかと考えておる次第でございます。でございますから、くどく申し上げるようですが、全面的に国税と地方税のからみ合いを考えていかないとこの措置がとれない。従って、国の財政、地方の財政を一体として、その中における税制もまたこれに合せていく。公債の点をどういうように持っていくか、地方債の方はふやさないという原則があるが、お示しの通りの大へんな過去の借金も持っておるわけでございまして、こんな点からも公債政策を見直さなければならないところに来ております。国の方でばかり公債政策をとっているということも御批判のあるところでございまして、この税をこう取り上げる、この公債をこうするというところにいくのには、どうしても国家需要——国の財政の歳出面の見通しをつけていかなければならぬのでございまするによって、私といたしましては、国、地方財政、その中における税制にほんとうに取り組んでやっていかなければならぬ、交付税等についてさえも、あるいは皆さんと御意見が違うかもしれませんが、私としてはもう限界に来たとさえ考えておるのでございますから、軽くこの問題を考えることはできない、かように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/27
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028・門司亮
○門司委員 そうしますと、どうも話のつじつまが合わなくなるような気がするのです。それなら一体どこで税制改正をして、地方の財政をまかなっていこうとされるのか、国の機構を変えるわけにいかない。国の税金を削るわけにもいかないということになりますと、冒頭に申しましたように、また新しい税金でも考え出してくることになりはしないか。その国民負担というのが減っておるような形を示しておりますが、必ずしもそうじゃないのでありまして、だんだんふえてきておる。この間からもいろいろ意見を聞いてみますと、地方の自治体というものは非常にたくさんの金が要るようにでき上っております。たとえば軽油税の審議の過程の上に現われて参りました数字でありますが、かりに今の地方の都道府県の持っております道路、いわゆる都道府県道を少くとも現在の交通機関が十分通り得る程度までこれを改修しようとすれば、一兆三千億くらいの金が要るのだということがいわれておる。政府の二千六百六十何億かの道路整備五カ年計画というものは、わずかに二割にしか当らないということがいわれておる。しかしこういう問題は地方の自治体がしなければならない問題である。そのほかに今地方自治体が要求されております上下水道の問題あるいは教育の問題というようなものが出てくる。それから産業の開発といたしましても、中心になるものはさっき申しました道路その他が開発されていかなければ、そう簡単にどこに物があるからといって、まさか飛行機で行くわけにはいかないと思う。こういう総合した地方財政の将来を考えて参りますと、非常に大きな問題がある。従って私どもの考え方としては、当面ありまする地方財政のこの赤字を解消する、あるいはこれから赤字が出ないようにするというだけでは、地方財政というものはまかない切れない。少くとも地方財政は、今日の地方自治体の行政が伸びていくという形を備えなければ日本の国のためにならぬと私は思う。自衛隊だけが盛んになれば、それで日本の国の産業も盛んになるかといったところで、自衛隊だけでは産業の発展は期しがたい。やはり産業の発展というものは自治体のたゆまざる努力と熱心なこれに対する施設が行われていかなければ、国の総合開発もできなければ、国の総合産業の発展進歩もあり得ないので、政府が幾らかけ声をかけたって、それはやれない。従って将来の地方財政というものは、そういう角度から物を見るべきではないかというふうに考えられる。そういたしますと、どうしてもこの地方財政を健全にしていきますためには、今のように半分近いものあるいは半分を越えておるものが政府の依存財源であっては、地方の自治体というものは十分にその役目を果すことはできないので、現在の地方財政計画よりもはるかに伸びた地方財政計画が立てられなければならないと考えております。私どもの考え方の上に立って税制を見て参りますと、今の大臣の御答弁ではどうしても納得するわけに参りません。従って先ほど申し上げましたように、少くとも五〇%くらいは国で持っていきたいというならば、それに相当額というものを——どういう形で地方の税財源をふやしていかれるか。新税をふやされるつもりか、新税をふやさないとするならば、国税の中にこれを取り込んでいくか、いずれの道を選ばれるのか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/28
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029・太田正孝
○太田国務大臣 申し上げるまでもなく地方財政の面から申しますれば、教育の問題にしても、道路の問題にしてもやりたい、またそうしなければならぬ点がたくさんございますが、ちょうど国の財政から一歩おくれた姿において、地方財政が進んでおるように私は見ております。俗にいう地固めという問題が、国でやったあとを追っておるようなのが今日の地方財政の現状かと思います。お示しの通りの教育を盛んにしなければならぬ、道路をりっぱにしなければならぬという積極面の要望は多いのでありますが、現状におきましては、三十一年度に関しましても事業の面も減らしてやっていったような次第でございます。三十二年度、明年度の計画につきましては、これはお言葉の点もよく私も考えてやっていきますが、それに対して新税を起すか起さぬかということは、どの程度において地固めがいったかということも見なければなりませんし、地方財政としては二十九年度前の旧債を処理するために苦しみつつ、しかも三十年度をやっと過ごしたばかりでございまして、三十一年度に今かかっているところでございます。今後の三十二年度以降の計画としてはいろいろしたいことはありますが、そこに進め得るかどうか、財源として公債にいくのか、税にいくのか、こういう問題になって参りまするので、私どもといたしましてはようよう国家財政のあとを迫ってやってきた地固めが地方財政としてこの程度でいいかということも、まだ判断しかねる状況でございます。私たちも教育にしろ、道路にしろ、お言葉の通りにやるべきことは非常に多いと思いますが、この財源をどうするかという問題は、今のところ過去の地固めとしての二十九年度前の旧債を処理しつつ、三十一年度の現状において国家財政のあとを追ってきた地方財政の姿を、さらに三十二年度においてどう進めていくかということは、地方の需要の面におきましても、また財源を作る面におきましても、それとつながる国の財源をどうしていくかという面におきましても、十分考えなければならぬことでございまして、新税を起すというようなところまで踏み切っていくのには、その前提条件をもう少し調べた上でなければならぬ、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/29
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030・門司亮
○門司委員 そうするとこういう結論になりますか。税制改正はしょうと考えているが、しかしその具体案というようなもの、あるいは方向というものもまだはっきりしておらない。ただ税制改正をしようと考えているということだけに解釈してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/30
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031・太田正孝
○太田国務大臣 ただいま申し上げました通り、国の財政は地固めがついたところへ一応きておりますが、地方財政はそこへきているかという判断は非常に大きな問題だろうと思うのです。私はその判断で地固めせずして進んでいくことは考えておりません。従って地固めして地方財政をここらでしっかりしたというめどをまずきめなければなりませんので、それには一番最初に申しました通り、地方債の元利もこんなにふえている。給与の方も百億円増すような考えであり、他の一面において新税はおろか、現在の自然増収がどのくらいいくか、交付税なり、譲与税なり、あるいは独立税なりの関係を考えてみまして、どの辺までいけるかということのめどをつけていかなければなりませんので、三十二年度の問題、まだ国家財政においてもそこまで入っておりませんので、よく国家財政とかみ合せてでなければ何ともいえない、かように申し上げる次第で、現状におきましては地方財政はまず固くしていく。そして赤字の出ない土台を作るというのが、現状の地方財政に対する私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/31
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032・門司亮
○門司委員 地方財政に対する考え方ということになりますると、議論が非常に長引いて参りまして、話がなかなか終らぬと思いますが、私が今聞いておりますのは、そういうことを加味された税制改正をどうされるかということでありまして、地方財政の地固めというようなことになりますると、これはもうただ赤字が将来出ないからといったところで、今の行政の切り詰めをする、要するに行政の切り下げをやって赤字が出ないようにするということは、これは容易に考えられます。しかしそれでは先ほど申し上げましたように自治体の伸びがなくなってくる。自治体が伸びていかないということは、国民全体の産業水準が萎縮するということであります。従って私はそうは考えたくない。少くとも地方財政が一方において今大臣のお考えのように、これ以上赤字を出さないという固い基礎の上に立つと同時に、やはり地方財政というものは伸びていくという形をとってこなければならないのであります。非常に苦しい税金を納めているが、その納めた税金が国民のふところに返ってこない。地方税は大体応能関係を持っていることは、はっきりしております。そうすればどうしてもやはり税負担をしただけは地方の行政の上にそれが現われてくる。税金が重たくても私はいいと思う。私は税金を決して軽くとは言いません。それだけの道路の改善が行われ、あるいは教育の施設が改善され、あるいは環境衛生が完備してきて、そうしてそのことが国民の直接の生活に目に見えて影響があるという考え方ができるならば、そういう施設ができるならば、私は住民は納得すると思う。国税の方は、国民の意思というものは、国の一つの大きな政策の上に立って行なっておりますからそれは困難かもしれない。しかし地方税というものはどうしても国民自体の直接の関係を持っておる税金でありますので、今のような非常に貧弱な税財源でやっておりますと、結局国民は税金を納めるだけだ、何のために税金を納めているのだかわからなくなってくる。言いかえるならば、ことし百二十億ばかりの新税で税金がふえております。しかし御承知のように去年よりも、大体これに匹敵するか、あるいはこれをこえるだけの公債費がふえております。公債費が百三十億ばかりふえております。そうすると住民は税金はよけいふやされたが、それは借金のカタにみんな持っていかれまして、去年よりも行政の切り下げが行われるということになると、何のために増税したか見当がつかなくなってくる。私はこれであってはいけないと思う。従って税制改正をしようとするならば、やはりそういうことを加味された十分の施設の行われる税制改正がここに行われていかないと、地方税としての取扱い上われわれはなかなか困ると思う。従って非常にくどく迫るようでございますが、この税制改正の方針というものは、大体今のところはいろいろの行政の状態を見なければわからぬというお話でありますが、それなら政府が今日まで国、地方を通ずる税制改正をすると言っておったことは、みんな私はほんとうではなかったと考える。ただ口先だけの、一時だけのごまかしであったと考える。今地方税を審議いたしております私どもといたしましては、こういう形で新税がだんだんふえてくる。そうしてそれは税金より以上の国民の負担が増してくる。大臣も御承知だと思いますが、つい二、三日前の新聞を見てごらんなさい。やっぱり市町村の持っておるものに、公益団体の持っておるものに固定資産税をかけてくるということになれば、家賃が引き上げられるであろうということが書いてある。私はそうなると思う。これは償還年限との関係がありますから、税負担をしただけ家賃を上げないことには私はどうにもならぬと思う。新税はこれ以上ふやすことはありませんが、ただずっと詰めて私申し上げて御答弁を願いたいと思いますが、一応税制改正はするという建前の上に立って、新税は来年は断じて起さないということが大臣のお言葉として、私ども承わることができるかどうかということを、もう一度聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/32
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033・太田正孝
○太田国務大臣 たびたび申し上げて恐縮でございますが、どうしたってこれは国の財政と地方財政、口先だけでなく、明年度以降の問題になりますと、大体の歳出と歳入をにらんでいかなければなりませんので、新税をここにおいて起すか起さぬかという問題は、やはりその問題がきまらない限りはどうにもならないのでございます。私もこういう意味におきまして現下の国の財政のあり方がどの辺にいっておるか、地方財政については少くともあとを追ったような形で、国の財政の地固め政策を追っている状況でございますが、財政というものも、妙な生きものであるように私は常に感じております。途中において一方に整理するが、一方にこれは必要だからふやすというようなやり方が、目的税的のものではできる場合はあるかもしれませんが、そうでない場合においてはやっぱり妙なもので、消極財政と申しますか、足固めのときにはそれを一応とめていくというのでなければいかぬような感じもいたします。門司委員のお言葉は、地方財政についてはそうでなく、国民も非常に苦しんでおるのだから、これは何かそういう教育なり道路なりなどについても考えられるようなやり方をしないか、こういうお言葉で、私も御趣旨には賛成でございますが、新税を起すか起さぬかということは、それこそ税制の基本に関することだと思います。私がそのことを言い切らないのは、何としても国の財政の基本がはっきりした上でなければきまらないことは、これは私としては当然に思うのでございます。従って新税云々ということは私としては言い切る段階にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/33
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034・門司亮
○門司委員 そうすると、ますますそれがわからなくなってくるのですが、国税の方にも手がつけにくい、それから新税を起すという考え方は何とも言えないということになってくると、結局みんな何とも言えない、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/34
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035・太田正孝
○太田国務大臣 私の申し上げるのは明年度の計画につきましての数字的要領がきまっておりませんから言うのでございまして、今ここで来年は防衛の関係はどうするとかあるいは社会保障はどうするとか、こういうような関係から国の財政がきまってくる。それから同様に、地方においてはこういうことをしたい、これを一緒に合せていって交付税はどうする、足らないのは独立税にするか、新税を起すか起さないかという問題がからんでくるのでございまして、三十二年度の計画をここに私がはっきり言うというようなことは、どなたがお考え下さっても、ちょっとできないことではないかと思うのでございます。従ってかような意味において新税云々というようなことを申し上げないので、むろん税制といたしましては、紋切り型でございますが、国税と地方税の関係、直接税と間接税の関係、流通税の関係、これらを全部見て、しかも物価にどうするか、公債との関係はどうするかとくるのでございますから、国、地方を通ずる財政の全般の腹がきまらないと、私としては言い切ることができないと繰り返し申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/35
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036・門司亮
○門司委員 大体今の大臣の御答弁を聞いておりますと、これ以上議論の余地はないというようなことになるかと思いますが、しかし問題になりますのは、今地方税を私ども審議しておる、毎年この地方税をずっとやって参っております。そうすると、地方財源というものを付与するということが、大臣のこの説明書の中にも書いてありまするが、これは地方財源を付与するというが、国民から税金を取り立てる法律をこしらえて、これで地方に財源を付与したんだという言い方は、今の国と地方との徴税といいますか、税の多寡の関係からいけば私は言えないと思う。もし、国が地方の税源を付与したというのでなく、国が今まで取り上げておったものを地方にこれだけ委譲したのだ、だからこれでいいじゃないかという考え方なら私は一応わかる。私が申し上げておりますのは、国民の負担というものは、ほとんどもう限度にきておるのであります。これ以上国民は負担を——新税を起されて、その新税が一片の法律で、これだけ地方に財源を付与したからこれでやっていけということになると、非常に迷惑すると思う。これは法律をこしらえるのだから政府の方はわけはないと思います。そうしてこれを財源を与えたんだ、税源を与えたんだというなら、私は今の国、地方を通ずる財源の関係からいえば、新税によって地方に税源を与えたという政府の言い方については疑問というより不満を持っておる。新しい税金を法律で起しておいて、それでお前の方にこれだけ税源をやったからいいじゃないかということは、繰り返して申し上げますが、今の国と地方との税財源の上からいえば、それは言えた言葉でないと思う。同時に国民の税負担の限度というものは越えていると思う。だからこれ以上政府が財源を地方に与えるからということで新税をふやされたのではかなわぬと思う。これもだからどうしても地方に税源を与えようとすれば、今の国、地方を通ずるすべての税種目の中の配置を変える以外に私はないと考える。そうすることによって初めて、国もこういう状態になっておる、しかし地方にこれだけの財源を付与するのだという、国と地方を通ずる税制改革と、同時に財政計画が立てられるということが、おそらく今までの大臣の御答弁だったと思いますが、国、地方を通ずる財政計画を一応見て、その上でという大臣の腹だと思いますが、それではこの税制を今審議いたしまする過程における私どもは納得をするわけには参らぬのであります。また来年も同じように新しい税金で、財源を付与したではないかということが言われると、これはたまったもんではないのです。だから来年度はこうした形ではなくして、税制の今のアンバランスを是正していくというお考えにお立ちになっておるならばけっこうでありますが、そういうお考えではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/36
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037・太田正孝
○太田国務大臣 たびたび申し上げた私の言葉が、ちっとも私としても進んで申し上げるところへきておりません。ただ御趣旨の点は私もよく考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/37
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038・門司亮
○門司委員 もしそういうことになりますると、これは非常に私は問題が出てくると思いますがね。これは今度の新税の中にも都市計画税なんという税金がある。一方に固定資産税をとっております。都市計画税という税の種目が変ったからというが、これは固定資産税と何ら変りがない。固定資産税は二年にわたって千分の一ずつ下げて参りました。百分の一・六を一・四に下げたと一応言っている。今度は都市計画税というものを設けて、大体百分の〇・二に相当するだけが上ってくるので、事実上は固定資産税を上げたとちっとも変らない。今まで固定資産税を下げてきたから、これを急に上げるということはどうかというようなことで、新しく考えられたのが私はこの都市計画税だと考える。これは一つの目的税だといわれております。しかし都市計画の実態をごらんなさい。都市計画というようなものはそう一年や二年ででき上るものではございません。都市計画の完成というものは、相当長い年月を経なければできない。従って都市計画ができないから最近は政府の補助を待って区画整理でいこうということになっておる。そうすると地方、ことに都会におきましてこういう新しい税金がふえてきたということは、明らかに固定資産税の増徴にほかならない。この固定資産税の増徴が直ちに家賃の中に響いてくることは間違いがない。私はこういう税制改正をいたすにいたしましても、ごまかしの税制改正をやってはならないと考える。従って新税がもしこういう形で行われてくれば、軽油税にしても同じであります。商工関係で国産ディーゼルの奨励ということで、一つの産業を通して援助しておる。一方にはこれに税金をかけておる。すべてこういう矛盾がある。今度の新税というものを考えて参りますると、ごまかしと言うとあるいはごまかしでないと言われるかもしれませんが、われわれの立場から考えればごまかしです。国民の犠牲による財源の賦与だとしか考えられない。こういう形で来年度も国、地方を通ずる税制改革を行うのだというお考えであるとすれば、これは非常に大きな問題だと思う。従ってより以上答弁ができないとあるいは言われるかもしれませんが、もう一応念を押しておきたいと思いますことは、こういう形で来年度の税制改革にせよ考えていない、少くとも来年度の税制改正は、現在の国と地方を通ずる税の所在をどう変更していくかということにその主眼が置かれるかどうかということを、もう一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/38
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039・太田正孝
○太田国務大臣 新税につきましての御意向を拝聴いたしましたが、すでに地方制度調査会において今回私どもがやった案は、全部妥当であるとして答申されたことでございまして、都市計画税も今の三公社の課税も、軽油引取税もすべて、議論になりますから私は申し上げませんが、政府が独断で新税をどうこうしたということでなく、長い間御議論なさった結果答申されたるものをとってきたのでございます。私はそういう意味において正しいと思うからやったのですが、ただあの答申の中で新税の一つとして大きに八十億円もねらっておった農林事業税は取り入れることができなかったのでありますが、大体におきまして私は世間様の考えている方向において、新しい税を取り上げたので、議論すべきではございませんけれども、門司委員の言葉はよくわかりましたが、私もそう乱暴に新税を起して国民の負担を重くしょうという考え方でなく、答申の線を尊重いたしましてやった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/39
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040・門司亮
○門司委員 大臣はあまり答申のことを言わぬ方がいい。大体大臣がそういうことを言われるならば、地方制度調査会の答申には、たばこ消費税を三十億上げるということが書いてあるが、なぜこれを実行されないか。この辺が実行されたならば、こういうめちゃくちゃな税金はできなくてもいいのですけれども、一体どっちをとるかということになりますと、国の財政に響く方はとらないで、地方の税金をとる方だけはおとりになるという心がけはあまりいい心がけではないと思う。だからあまり答申々々と言われると、私どもはどうも文句が言いたくなるのですが、そういう問題は大臣もおわかりになっておると思いますから、一応抜きにしておきまして、私はくどいようで恐縮ですけれども、ほんとうにこれから一体地方税財源をどうするか、地方財政をどうするかということを、今にして考えられなければ永久に地方財政は救えないと思う。もう三十二年度で抜本的な政策が講じられない限りは、大臣は計数に非常に明るいからおわかりと思うが、五千億の借金を背負っておって、なおかつどんなに縮小して参りましても、少くとも六百億、七百億程度の公債を発行しなければ地方はやっていけないと思う。そういたしますと、三十二年度をこえてはもはや地方財政は救いがたい現状になる。その場合に自主財源としてこれに借金をしないで仕事のできるような処置を、今にして講じなかったならば手おくれになると思う。これは私だけの心配じゃないと思う。全体の心配だと思う。そこで無理であるが地方制度調査会におきましても、今大臣のお考えのようなことが考えられ、さらにたばこ消費税も三十億くらいにしたらどうかということ、あるいは交付税にいたしましても、必ずしも二十億というような数字は出ていなかったと思う。同時に交付税の税率の増額につきましても、税率を増すと同時に、現実に個々の自治体が自主財源としてある程度これをまかない得る方法を講じたらどうか、調整財源はできるだけ少くするという方向に進めたらどうかということが、地方制度調査会の方針だったと考えております。私も地方制度調査会の委員であり、しばしば論議をした過程において私どもはそう考えておる。だからもし大臣が地方制度調査会の答申に忠実であるとするならば、新税を起す前にまずたばこ消費税を今の倍にふやしていただけば新税を起さなくてもやっていけると思う。交付税も今の二十億をもう少しふやして、地方制度調査会で大体議論になった焦点までふやしていただけるならば、私は大して問題はないと思う。従って旧自由党の諸君では、三十一年度から交付税も二八%に上げるんだという修正を出された。これは事実でしょう。うそじゃないでしょう。これも地方制度調査会の答申に基いた一つの考え方であったと考える。だからどうも今の大臣の御答弁では、少し議論にわたるようでありますがわれわれ納得するわけには参りません。従ってもし大臣が忠実に地方制度調査会の答申を踏襲される、あるいは実行されるという御意思があるならば、先ほどからくどく申し上げておりますように、国の持っておりまする税財源を地方に委譲するということが残された一つの大きな問題だと考える。従ってこの点についての大臣のお考えを、もう一応聞かしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/40
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041・太田正孝
○太田国務大臣 先ほど来申し上げました通りでございまして、国の財政、地方の財政の明年度の計画を見た上で、ことに税については統一した考え方において進んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/41
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042・北山愛郎
○北山委員 三十二年度については、まだ何もきまってない、考えていない、これからやるんだというお話でありますが、鳩山内閣の三つの政策、税制の改革と憲法の改正と行政機構、この中で税制の方は一番おくれてしまって、憲法の方は一番先へ進んでおるというふうに考えられるのですが、税制改革なんかは、何も国会の三分の二以上とらなくてもどんどんできることなのですから、もっと早くやっていただきたい、こういうように思うのですが、ただいまのお話の中で農業事業税が地方制度調査会の答申案にある。大臣はこれをおやりになりたいような、これだけは残ってしまったというようなお話だったのですが、それじゃ農林業の事業税をおやりになる気持があるかどうか、これを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/42
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043・太田正孝
○太田国務大臣 私としては今のところやる考えはございません。先ほど私が申したのは、地方制度調査会の答申にあったということだけであって、私がやるやらぬということは一切申しておりません。加うるに参議院の答弁におきましても、ほかの答弁におきましても、今私が言った通りに答弁しております。私の考え方といたしましては、農業事業税というものをやります場合においては、農業政策というものの立場からの考え方を織り入れなければなりませんので、税だけでもってこれを判断しない、かように私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/43
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044・北山愛郎
○北山委員 そうすると、地方制度調査会の答申があっても、その中でやるものはやるし、やらないものはやらない、ただ、やったときは、それは答申にあったといって国会で答弁ができる、その程度に口実に使うのだというふうに考えられるのですが、選挙制度調査会の場合でもこれと同じ考えで、今の事業税についてもそうだと思うのですが、それ以外に、私の記憶に間違いがなければ、消防施設税なんかもあったように記憶しておるのですけれども、それはなぜおやりにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/44
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045・太田正孝
○太田国務大臣 これは大蔵省との関係が話がまとまらなかったのでございます。これは申し上げるまでもなく、御承知のことと存じ上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/45
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046・北山愛郎
○北山委員 結局結論的に言えば、ただいまの門司さんの質問に対して、地方制度調査会の答申云々ということを根拠にすることは、あまり正しくないと思うのです。やはり大臣としてあるいは政府として、答申は参考であろうけれども、自主的な税制改革の考え方があるべきなんで、こういうことに口実を設けることは私は適当でないと思う。ことに新税の問題がありましたから、その点ちょっとお伺いしておきたいのですが、今度の地方税法の改正案の趣旨の中にも、非課税の規定をなるべくなくしたい、こういうような方針もある。それから大臣は、きのうもたしか均衡、公平をはかるというような方針でいくということを言われたと思います。それでその結果として、三公社の課税も今度は取り上げた、こういうような趣旨だと思うのです。ところが現在の地方税法の中には、非課税の種類とその金額というものは非常に膨大なものです。自治庁からいただいた資料を見ましても、これは一応四百億ばかりございます。この種類は、各種の税にわたってたくさんあるのです。今お話の農業事業税もその一つなんですが、それ以外にいろいろな固定資産税やあるいは電気税、その他たくさんあるわけです。なぜこれらの中の非課税の部分を取り上げないで、三公社の課税を取り上げたか。固定資産税についても、非課税の規定がほかにもあるわけです。そしてまた地方制度調査会は一般的に非課税規定を整理しろといって、三公社の場合は、ただ例示的にこれを言っているのです。ですから、三公社のみならず、それ以外のたとえば電力会社であるとか、そういうものがたくさんあるわけです。そういうものは整理しない、消防施設税は設けないというようなことで、三公社の課税や国有の貸付資産の課税をするということは、そういうものは鉄道運賃やあるいは住宅使用料、家賃等に転嫁ができる種類のものだ、大衆に転嫁ができるような性格のものであるから、そういうものには課税し、電力であるとか保険会社というものは大資本であるから取り上げない、こうふうにしか考えられないのですが、そういうふうに解釈してあやまちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/46
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047・奥野誠亮
○奥野政府委員 大へん地方団体から要望されておった問題でございまして、しかも相当の税収入を確保できる、そういうものに手をつけたわけでございます。もとより非課税として残っておるものがあるわけでございますけれども、税制の上に経済政策なり社会政策なりを加味することは絶対に悪いのだというようには私たちも考えていないわけであります。そういう意味から、存置を必要とするものは存置したわけでございます。それではあと残っているものに、非課税規定を整理して増収を上げるものは何もないのかと言われますと、なお検討する余地のあるものはあると思っております。しかしながら、多年地方団体その他から要望されて参ったものでございまして、相当の増収をはかり得るという問題につきまして、努力して参ったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/47
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048・北山愛郎
○北山委員 大臣からお伺いしたがったのですが、大臣のお話は非常に抽象的で、よくのみ込めなかったのです。ただ国でも地方でもその中に直接税が非常に多い、従って間接税の方へ移行すべきじゃないか、こういうような御意見を申された。それならば、もしもお考えの通りであるならば、住民税等におきまして、しかも非常な不公平がある、そうしてこの前にも道府県民税というものを創設をされて増税になっておるわけです。こういうものになぜ手をつけなかったのですか、大臣にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/48
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049・奥野誠亮
○奥野政府委員 一応私からお答えをいたします。北山さんの御指摘になっております住民税の問題は、一つは市町村間において税負担がかなり違っておるじゃないかという問題、もう一つは、同じ所得者であっても、給与所得者であるか、事業所得者であるかということによって負担がかなり違ってくるのじゃないか、住民の感情からいうと、どうも解せない点が残っておるのじゃないかという問題、この二つが中心じゃないかというように私は想像いたしております。前段の問題につきましては、地方財源を充足することによって無理な増徴政策にたよらないで市町村がやっていける点だと思います。この点につきましてはかなり前進してやっておるじゃないかというふうに思っております。
第二の問題につきましては、給与所得を計算する場合には、所得税の基礎になります給与所得、これをその通りに市町村民税の場合にも計算をするということになっておるわけでありまして、幸いにして勤労控除の割合が引き上げられたわけでありますので、将来市町村民税の所得割も引き上げられてくる、こういうことになって参るわけであります。その場合に三十一年分の所得から適用されるのであって、市町村民税の場合には三十年分の所得が三十一年度の課税の基礎になるのじゃないか、こういう問題があろうかと思うのでありまして、そういう点も考慮いたしまして、所得割の第二方式、第三方式のただし書きを採用する場合の所得税の計算以上に給与額の五%、最高二万円までを押えておくのだという規定を存置するということにしたわけであります。今後なおいろいろ問題はあるように思っておりますが、御趣旨に沿うように一そう努力をしていきたいと思います。検討も続けて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/49
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050・太田正孝
○太田国務大臣 この点につきましては、昨日早川政務次官も言われました通り、非常に大きな問題でございますので、税制改革のときにとくと考えて善処したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/50
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051・北山愛郎
○北山委員 奥野さんのお答えですが、これはもういつでも問題になって、しかも勤労者等の住民税が不公平であるということと、今のお話のように市町村間の不均衡があるということは周知の事実であります。常識になっております。そうして常識になっておるばかりでなくて、そういうものが不公平であるということを、市町村の徴税の方に回る理事者やあるいは議会ですらも認めておるために、特別なリベートまでも出しておる、払い戻しをしておる、あえて法を犯してやっておるという事実をきのういろいろ申されましたが、そういうふうな実態になっておるにもかかわらず、政府としてはほとんど手を打っておらないということなんです。昨年の修正でも、参議院修正でもって一部のものについて五%の控除をするということで、若干緩和をされた。ところが、今度所得税の勤労控除が二〇%になった。それならば、さっそく今年から地方税についても全面的にやるべきじゃないか。この措置もとらないで、ただ漫然と来年から全国的に適用される時期を待っている。だから私はきのうも激しく奥野さんを責めたわけです。この重大な問題について、自治庁としては何もしていないじゃないかということを申し上げた。そこで実は大臣においでを願って、確固たる政府の御意見を聞きたかったわけです。ただいまのお話では、次のいわゆる税制改革の場合に、住民税についてはとくと考慮をするということでございますが、それならば勤労所得税が非常に重いということと、もう一つの市町村間の不均衡と、この二つの点を是正するというふうにわれわれは了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/51
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052・太田正孝
○太田国務大臣 今御指摘の点は、私も十分織り込まなければならぬと思っております。ただそればかりでなく、財産関係、勤労関係及び事業税関係、この三つが、現われる地方税の姿の大きなものだと思いますが、そういう点を全面的に考えていきたいので、この点だけとらえてこうというようなことを申し上げるよりも、御趣意の点をよく織り込んでいきたい、こう申し上げるのが私として正しいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/52
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053・北山愛郎
○北山委員 織り込んでいくというのは、たとえば住民税というものの性格を、全然変更していくならばお説の通りなんです。ではかりに今の住民税というものを、大体今の形で三十二年度に残していく場合においては、少くとも今指摘をした点については是正をする——財産税であるとかいろんな税金を総合的に全部根本から変えていくという二とであれば、それはその部分だけを直すということにはならないかもしれないが、かりに今の住民税を三十二年度も続けていくということになったならば、今の勤労者の過重な負担と市町村間の不均衡は是正をする、こういうようにはっきりと言明をされた方がいいのじゃないかと思いますが、一つその言明をなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/53
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054・太田正孝
○太田国務大臣 私としては税制改革を非常に幅広く考えておりますので、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/54
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055・中井徳次郎
○中井委員 今北山君が熱心に御質問なさっていることは、大臣は実はあまり御存じないから、そのような抽象的な御返事をなさっておると思うのですが、この点はかなり具体的に御回答なさっても、これは実は当りまえのことなんです。全国の自治体関係に心を配っているものはだれでも感じておることでございますし、これは政党とか政派とかいうものを離れましても、だれが考えてもひどいことなんです。従ってそういう抽象的なことじゃなくて、まずそういう面について努力をするということぐらいは、自治庁長官として回答なさるのが当然だと思うのだが、ちょっとその辺で相談をして、率直なところを回答していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/55
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056・太田正孝
○太田国務大臣 私も税制にはたびたび関係しておりまして、非常にいろんな問題が関連を持ってくることに実は苦い経験を持っておりますので、私としては御趣意の点をほんとうに実行するときに現わすのが私の立場だと思います。決して政党関係とかそういうことでこの問題を考えておりませんから、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/56
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057・北山愛郎
○北山委員 大臣は何かひっかからないように、非常に用心をしてお話になっておるので、まことに残念であります。
そこで、直接税を減らしたいというのですが、今の住民税にしてもそうですが、固定資産税にしても今度の都市計画税のごときは、その実体は、固定資産を基準にして〇・二かけるのですから、明らかに固定資産税の付加税のようなものです。だからこの数年間の固定資産税の状況を見ると、まず第一に固定資産の評価というものをぐんぐん上げて増税をした、それから不動産取得税というものを設けて、不動産の取得の場合に何年分かの固定資産税を前取りする、いわば二重取りですが、その上に今度は目的税と称して都市計画税もとるというようなことで、大臣がお考えになっておるように決してその方の税が軽減されないで、ふえるような方向に行っておるのです。この行き方というものは、大臣のお考えからすれば邪道である、かように言ってもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/57
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058・太田正孝
○太田国務大臣 私は税制改革の今後の方向としては、所得方式というものの非常に強まっているという点を考えなければならぬという点を申し上げましたので、今回の固定資産税の問題とは切り離して申し上げた意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/58
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059・北山愛郎
○北山委員 切り離すといっても、少くとも税制を論ずる以上は、やはり現在の個々の税を土台にして、これをどう持っていくかということの話をしなければ、これは話にならないじゃないかと思います。ただ空中に新しい家を作るのだという議論と同じだと思います。そこで私は個々の税目について、これを基礎にして申し上げるわけなんです。それならばお伺いしますが、大臣は一部の県において、今やろうとしておる発電税について、どのようなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/59
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060・太田正孝
○太田国務大臣 発電税はたしか法定外普通税の点におきまして、自治庁に申請されつつあるように聞いております。新潟県と静岡県かと思います。こういう税の関係は、固定資産税にも関連がありますし、事業税にも関係がございますし、また電気、ガス税といたしましては、消費税的な性質を持っていると思います。さらに河川法によって、河川使用料というものもかけられる点を考えてみますと、簡単に今申された税金を自治庁としてすぐ許すということはできないように思います。よく調べさせておるのでございますが、私の頭に浮かんだところにおきましては、電気というものの各方面でかけられる場合を考えて、今思い出すままに言ったのですが、固定資産税もかかってくる、それから事業税もかかってくる、それから消費者としては消費税的のものがかかっている。河川使用料もかかっている、こういうようなことを考えますと、各地方では目の前にあるのですから、手の出るようにこの財源をつかみたいと思うかもしれませんが、そう軽々しく許すべきものじゃない、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/60
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061・北山愛郎
○北山委員 しかしそういうように二重、三重の課税をされておるということは、何も電力会社だけじゃないのです。ほとんどすべての個人でもいろいろな関係で、その財産についてあるいは所得について、あるいはその商品について、いろいろとかかっておる。ただいま申し上げた固定資産についてもそうなんですが、そういうふうにかかっておるのですから、ひとり電力会社だけを一本の課税にしていきたいというのは、私は現状では少くとも筋が通らないと思います。そこでお伺いしたいのですが、長野県や新潟県で、なぜ発電税というものを設けたいと考えてきたか、その動機といいますか、何もこれらの県においてはこの発電税というように特別な税金を——もう議決しておるのです。そして申請もたしかしているはずであります。だから自治庁としては目の前に出てきた問題です。もうイエスかノーかという返答をしなければならぬ現実の問題なんです。ですから一つそういう県においては、なぜ発電税というものを設けたいと考えてきておるか、その動機について大臣はどのようにお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/61
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062・太田正孝
○太田国務大臣 申請の理由というのを私はよく承知しておりませんので、税務部長から申し上げたあとで、私の意見を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/62
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063・奥野誠亮
○奥野政府委員 御承知のように、多くの府県は財政の建て直しに苦慮いたしております。その場合にどうしても収入の増加が得られませんと、将来にわたるめどが立たないわけであります。そういう意味で何らか収入の増加をはかりたい、そういう場合に一つ懸案になっている問題が河川法に基く、今大臣のおっしゃいました水利使用料の問題がございます。この水利使用料の限度額も政府の認可になっているわけでありますが、戦前常時一馬力当り一円であったものが、現在二百五十六円になっております。物価倍数からいきますと、三百三、四十円あるいは五十円が至当だという見解を府県当局では持っているようであります。しかし他面、電気の料金も低く押えて参っておりますので、水利使用料を簡単に増額を許すわけにも参らない。この点が従来から地方団体と電力会社それから政府の間に常に問題を起しているわけであります。この解決をむしろ発電税等でできないものだろうかという希望もあるのじゃなかろうかと私は推測をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/63
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064・北山愛郎
○北山委員 それでは私の解釈といいますか、想像を申し上げますが、そういう電源地帯を持っている府県なんかは、その他のいろいろな産業、ことに第二次産業等が起っておらない。そこで税収が少いわけです。貧弱府県に電源が多いんじゃないかと思うのです。ところが、その県内にある資源を電力の形になって、よその県、東京都とかそういうところへ流れて、そこの産業を盛んにし、またその府県の税収を多くしているというようなことからいたしまして、それから、その県の財政からして何とかして財源を求めたいというので考えてみたところが、発電所に対しては固定資産税を基準通りにかけちゃならぬことになっている。三分の一に値引きしなければならぬということに現実はなっているわけです。ところが、電力会社がそれだけの税金を納める力がないかというと、たしか昨年は下半期百億くらい黒字を出している。もうかっている。だから担税力はあるはずだ。しかも固定資産税はもう法律によって取れない。だからそれを補うためには発電税でも取らざるを得ない。こう考えて、私は新潟県や長野県がこういうことを計画をしてきたのじゃないかと思うのですが、そういう動機は一体私の想像が間違っているかどうか。それから、そういう県の考え方は妥当なものか、一つ大臣のお考えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/64
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065・太田正孝
○太田国務大臣 私、まだ新潟県からきた申請の理由などを確めておりませんので、お言葉の点もよく考えつつ善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/65
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066・北山愛郎
○北山委員 奥野さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/66
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067・奥野誠亮
○奥野政府委員 やはり自治団体でありますと、団体の構成員から強い反発を受けるような税はなるたけ避けたい、そういう意味で県外送電をしているわけでありますし、また一法人に多額の税金を求めますので、どうしてもそういう感情を持ちやすいと思います。しかしそのことは、自治の発展のためにはなるたけ避けなければならないと思っております。固定資産税は原則として市町村税でありますので、府県ではそれほど問題にはならないのじゃないかと考えております。事業税の問題等についてなるたけ発電施設所在の市町村に収入が還元されるように配分基準は固定資産の価額をとる。一般の場合はそういう配慮を制度上加えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/67
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068・北山愛郎
○北山委員 かけやすいからというような御説明なんですが、それらの府県はかけようにも財源がないいわゆる貧弱府県なわけです。だからまとまった税収が財政収入額の一部、一〇%とかあるいは一五%というようなところなのです。ですから県内で一般にかかるような税源を探そうと思ってもなかなかない。そういうところから私は発電税というものが出てくると思うのです。しかも市町村の税だというけれども、ある一定限度以上は今度は府県に入るわけですから、決して府県としても関心がないわけじゃない。その固定資産税も、もしも普通の三分の一評価でなくてまるまる評価になるならば、県にころげ込む固定資産税というものは相当大きなはずです。これは法律で押えられている。そこで発電税というものが出てくるのだという私の想像ですが、これは間違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/68
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069・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のような気持が多分にあると私も思っております。従いまして事業税の配分基準につきましても、先ほど申し上げましたような措置をとっているわけでございます。しかしさらに掘り下げて考えますと、水利使用料の問題になるのじゃないだろうか。水利使用料について各府県を通じまして二十億円内外の財源を得ているわけでございます。しかもそれらの府県の特殊な事情を考慮いたしまして、二十億内外に及びます水利使用料を基準財政収入額に算入しない方針をとって参っております。そこまでそれらの電源地帯の財政を考慮しているわけでございますので、これをさらに水利使用料の引き上げが困難だから、そのほかの法定外普通税に問題の解決を持っていくということは私たちはあまり好ましくない。しかし水利使用料については確かに問題もあるわけでありますので、これらの解決につきましては、自治庁としては大いに電源地帯の状況も考慮に入れて努力を払いたいものという希望は持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/69
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070・北山愛郎
○北山委員 ただいまのお話ですと、発電税はどうかと思うが、しかし水利使用料を上げる方は適当であるというようなお答えのようです。水利使用料を上げ得るならばその方がいいというような、お話だと思う。だから私は何でもいいと思う。固定資産税の今の評価がえでもよし、あるいは発電税でもよし、あるいは水利使用料でもいい。どの方法でもいいから、何とかこの発電税のようなものをかけたいと思っている電源府県に対して財源を与えるということに、自治庁としては努力をするというように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/70
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071・奥野誠亮
○奥野政府委員 水利使用料の引き上げの問題につきましては、多年にわたりまして建設省、通産省に話し合いをしながら努力をして参っているわけであります。今後も同じような考え方で続けて参りたいと思っております。たまたま電気料金の改訂等の問題と非常にからみ合った問題でございまして、電気料金の重要性にかんがみまして慎重に配慮をしていかなければならぬと思っておりますが、お話のような点は将来とも考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/71
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072・北山愛郎
○北山委員 そうすると水利使用料の方を上げれば発電税の方は認めざるを得ない、こういう論になると思いますが、どうでしょう。大臣、首をかしげないで一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/72
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073・太田正孝
○太田国務大臣 今朝の新聞にもそのことの論評があったと私は記憶いたしますが、だいぶ鋭敏な問題でございますので、先ほど税務部長の言ったのは、片っ方が悪ければ片っ方でいくという意味でなく、通産省なり建設省なりの関係をよく調節しつつきめていきたいという考え方でございます。また先ほどお話の申請の理由というものを、私よく承知しておりませんので、申請は来ているそうですが私まだよく見ておりませんので、その事情等も察してやりたい。お話の考え方についてはよくわかりましてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/73
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074・北山愛郎
○北山委員 もう一つ今の問題について。どうでしょう、固定資産税を特に発電所について三分の一にしたり、あるいは水利使用料をできるだけ高くしないようにしたりするということは、電気料金をなるべく上げないようにしようという政策の現われだ、われわれは再三そういうふうに聞いておるわけです。ところが現在の電力料金は、そういうものを加味して、しかも今のような税制上の特典を与えておるにもかかわらず、昨年あたりは相当な黒字が出ておる。この黒字がたしか下半期で百億ですか、上半期も出たはずです。そういうふうに電力会社に相当な黒字が出るということは、電力料金の算定上あまりに税金を安くし過ぎたのではないか。今度少しくらいとってもいいんじゃないか。これは大臣のいわゆる公平の原則でございます。農民に対しては田畑に対して特別軽減の措置はないのですから、電力会社が税金は安くしてもらって、そうして黒字を出して配当してしまったりするというようなことは、やはり公平の原則に反するのです。だから電力会社が黒字を出している以上は、固定資産税なり発電税なり、あるいは水利使用料なり、それを検討して、その面からも考慮する必要があろうかと思うのですが、どうでしょう。それはたとえば外航船舶についても、やはり同じように三分の一くらいの特典があるわけなんです。ところが最近船会社は景気がよくてもうかっておる。それで配当を復活しようとしたところが、配当を復活するならば利子補給をやめるぞ、こういうふうに大蔵省は言っておるようでありますが、それと同じことだと思うのです。ところが電力会社はちゃんと一割五分ですかの配当が保証されておる。しかも黒字を出しておるというような事態にあったならば、やはり固定資産税なり、こういう電力会社等に対する——特に地方税なんです、国税じゃないのですかち、これを再検討すべきじゃないか、私はそう思うのです。これは財政学者である大臣は当然そう思うべきだと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/74
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075・奥野誠亮
○奥野政府委員 私からお答えさせていただきますが、電力料金をどうするかという問題につきましては、雨量の状況等が大きく作用いたしますので、短かい期間だけでは考えられないのじゃないだろうかというふうに私たちは思っております。もう一つは、建設がどんどん進んで参りますと、必然的に電力料金の原価が上っていくということも聞いておるわけでございます。しかしまた電力料金も国民大衆に非常に大きな影響を持っておりますので、昨年電力料金を改訂いたしました際に、その改訂の結果三割以上料金がふえる場合には、三割で頭打ちにする、こういう制度をとらせたわけであります。それがことしの三月で二応切れたわけでありますが、もう一年この三割頭打ちを続けさせる。その結果電力会社の中には非常に因るところも出て参るようでありまして、いつまで続けられるのか知りませんが、かなりきつい方針を政府としてはなお続けて参っているように思うのでございます。しかしそういう事情とは別途に、電力事業につきましては、料金の認可制度をとっております関係上、利潤を課税標準といたしませんで、御承知のように収入金額を課税標準にしております。従って今のような利益状況でありましても、なお二十億円以上電力業界からは事業税としては増徴をはかっている、こういうことになるわけであります。税の徴収におきましては、単に負担を安くするのだ、高くするのだということだけじゃなしに、やはり所在の府県なり市町村なりの財政上の推移等ともからみ合せて、いろいろな政策を立てていかなければならないと思っているのでありまして、おっしゃいますような固定資産税の問題は、電源開発を促進していかなければならない今日、さしあたり急激に莫大な負担が電力会社にかぶってくる。所在の町村としては、さしあたりは非常に大きな収入が得られるけれども、どんどん下ってくる。こういうような問題の解決をもあわせてはかりたいというような配慮もあったわけでございます。もちろん電力料金に大きな影響を及ぼす問題につきましては、それも考えなければなりませんが、他の地方財政の問題も同時に考慮してきている点も御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/75
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076・北山愛郎
○北山委員 大臣からもこれについてお伺いしたいのですが、奥野さんは電力会社に都合のいいようなお話なんです。この前の電力料金の値上げでも、一応冬料金をやってみるのだ、そしてもとに戻すかもしれぬということだったのが、それをそのまま冬料金をずっと続けておる。だから値上げになっているのですよ。ただ三割というのはその値上げの一部を軽減しているにすぎない。そのことだけは十分考えなければならぬと思うので、三割が頭打ちだというのは、何にも値上げをしなかった電力会社は非常に苦しいのだという理由にはならないと思う。だからああいうような措置によって結局黒字が出たのじゃないのですか。黒字は三十年度幾ら出ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/76
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077・奥野誠亮
○奥野政府委員 電力会社は個々に非常に事情が違ってきておるわけであります。東京電力とか関西電力とかは非常によいようでございますが、非常に困っている電力会社もあります。総体的に幾らでありますか、今記憶がございませんので、別途申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/77
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078・北山愛郎
○北山委員 発電所のいろいろな建設が進むとこのコストが高くなるというお話、その通りだと思うのです。それならば、そういうふうなコストについて、一体発電の金利はどのくらいに見ておるのですか。一割くらい見ているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/78
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079・奥野誠亮
○奥野政府委員 これも融資を受けております先によりまして、たしか金利はいろいろ違っておったと思います。開発銀行の金利が六分五厘でありましたか、ちょっと今正確に覚えておりませんが、そういう面の緩和も政府としては、はかって参ったような気がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/79
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080・北山愛郎
○北山委員 まあ総体から見て、電力資本という独占資本、これは国のエネルギー資源の開発という名目のもとに、独占料金をきめられる。そしてその中でちゃんと十分金利だけは見ておる。だから銀行の方から見ればもう保証されていると同様なんです。おそらく電力料金の半分くらいは銀行に持っていった方か早いくらいなんだ、そういうような状態だと思うのです。だから私はこの発電税の問題にしろ、固定資産税と関連して、やはり十分まじめにお考えを願わなければならぬと思うのです。
それから公営電気について今度は固定資産税相当の交付金がかかるわけです。それを見ますと、各府県営の電気事業の業態というのはいろいろまちまちなようでありますが、必ずしもそう利益は出てこない。だから今度の交付金を納めると非常に苦しいような府県が出てきはしないか、こう思うのです。たとえば山形県の場合におきましては、純利益は千五百六十万円ですが、これに対する交付金額は五百二万円です。これはまあ払えるかもしれぬ。神奈川県の場合には、当年度の純利益は千四十二万四千円で、これに対する交付金というのは九百十九万円です。大部分が交付金にとられるというような格好になっておる。それから新潟県の場合におきましては、七百五十六万五千円に対して四百五十七万八千円、岡山県は七百七十三万六千円に対して六百九十二万円というように、交付金の金額が相当大きいのです。だから今の公営電気事業の営業状況から見れば、今度の新しい交付金というものは非常に過重負担ではないか。全体として見れば払えるような計算かもしれませんが、個々に見れば払えないような、非常に無理な重い交付金になりはしないか、こう思うのですが、この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/80
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081・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話しのように、発電地帯の立地条件がどうであるかということによって、キロワット・アワー当りのコストか違ってきます。従いまして交付金相当額がかなり過重になってくる団体もあるわけでございます。しかし将来こういう制度ができますと、キロワット・アワー当りの単価をきめます場合、原価構成の要素に入ってくるのじゃないかというふうに考えるわけでありまして、将来、かなり強くなってきます団体の料金の決定につきましては、自治庁としても骨を折って参りたいものだというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/81
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082・北山愛郎
○北山委員 公営電気については、そんなのんきなことを言っている。ところが民営の電力会社については、もう十分に黒字が出ることを心配して、それでもなおかつ税金はやつぱり安くしていかなければならぬ、こう言っておる。公営電気について、たとえば高知県の場合利益が七百八十五万円ですよ。ところが今度の制度による交付金が八百二十万円、足が出てしまうのです。それからこれは北海道でしょうが、利尻郡の町村電気組合は、利益が十九万円しか出ておらぬ。それに対して交付金というものは百二十四万円で、利益をずっと上回るようなところすらも出ておる。これでも今度の制度は無理でないと言えるかどうか。先ほど申し上げたように、民営の電力会社に対しては十分考えてやって、発電税のごときも、これは無理であるというような御答弁なんです。ところが公営、府県営の電気事業については、利益なんか考慮しない、赤字が出てもかまわない、こういう政策ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/82
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083・奥野誠亮
○奥野政府委員 資料として差し上げております利尻郡の町村電気組合の場合は、自分の村の問題でございますので、果して交付金を出すことにしますかどうですか、これは町村の任意でございます。片方のポケットから出して、片方のポケットに入れるだけでございますので、それほど問題にはならないんじゃないだろうかというように私たち考えておるわけでございます。民間の電力会社については、安くすることばかり考えているというお話でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、事業税におきまして所得を課税標準といたしますよりも、現行制度によりまして二十数億円の増徴をはかっているんだという事態もあるわけでございますので、単純にそういう考え方でやってはいないということを御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/83
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084・北山愛郎
○北山委員 しかし今の高知県のような場合だって、私が高知県の知事であれば、こういう表を見て、自分が上げておる利益よりもよけいな交付金を取られるというんじゃ、経営上これはやめなければならぬ。これは県議会の大問題になりますよ。その他の府県につきましても、これはここに一部しか載っておりませんが、赤字にならなくとも、岡山のごときは七百七十三万六千円に対して六百九十二万円、ほとんど全部を交付金に取られてしまう。これは府県営の、公営の電気事業というものを否定するものである。ばかばかしいからやめなければなりませんよ。何のために苦労して借金をして、起債をつけてもらってそして発電事業をやって、そうしてこんなような交付金を取られなければならないか、これはわけがわからぬということになるでしょう。それからその料金の中に転嫁をするというのですが、府県営の、公営の電気事業は卸売をやっているところが多いのですよ。そして電力会社に売電をしているんです。ところが御承知のように相当電気が豊富になってきたので、電力会社では三円五十銭で買ってくれといっても買いませんよ。安くたたかれる。それじゃほかへいって売ろうとしても、電気だから個々に配給するというわけにはいかない。一定の電力会社に売るほかはないのですよ。だからいわゆる買手市場といいますか、向うじゃ値切る。転嫁ができないでしょう。そういうことをお考えの上で、こういうふうな今度の公営電気施設に対して交付金制度を作ったのかどうか、これはあまりにも無謀なやり方じゃないか、こう思うのですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/84
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085・奥野誠亮
○奥野政府委員 今北山さんは、もっぱら県の立場で御議論になっているようでございます。しかし発電施設が設けられまして、非常な打撃を受けた市町村の立場というものも、私たちは考えたいのであります。やはり市町村にそれに相当する財源を与えていきたい。たまたま府県営だから一文の固定資産税も入らない、それじゃやはり所在の市町村としてはみじめな姿であり過ぎるのじゃないか、こういうふうな考え方を持っております。
第二に、租税の負担を全免する結果、民営であれば、相当なコストがかかるが、たまたまそれらの制度上の恩典の結果、非常にコストの高くつくところに国の資金をつぎ込んでいっていいのだろうかどうか、やはりある程度、原価に相当するものについては同じような形に置きながら、いかに公営でありましても、無理なところに電源開発をいたしますよりも、そういう点もやはり考慮して差しつかえないじゃなかろうか、こういう考え方も持っているわけであります。もとより公営電気事業は災害防除その他の多目的を持っておりますので、コストだけではいえないと思いますが、ただいたずらに制度的にそういうような恩典を与え過ぎて、資金の流れ方を曲げてしまう、これはやはり国民経済全体からはある程度チェックしてもいいじゃないか、こう思っております。しかし第三に、現状の公営発電事業については、将来とも、先ほど申し上げましたように、料金の改訂等を通じまして、でき得る限りそういうような過重の負担に陥らないような努力をしていきたい。また通産当局にもそういう考え方は申し上げて参っているのでございまして、今後とも御意見を尊重して努力して参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/85
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086・北山愛郎
○北山委員 所在市町村の立場を考えるということは、私もよく気持はわかると思います。しかしそれだからといって、こういうような状態になるのであれば、これは関係府県はみな困りますよ。それくらいなら、電気事業をやめてよその電力会社に売ってしまった方がいい、こういうことにならざるを得ないと思います。そうでしょう。とにかく利益を上回るような交付金です。今のお話は、やはり同じように民間の電力会社に対しても当てはめて考えてもらいたいと思う。民間の電力会社については、非常に電力会社の方の立場を守るようなお話をなさっておって、しかもこの公営電気事業については、まことに冷淡きわまる考え方だ、こう言わざるを得ない。この料金でも、おそらく個々に折衝するだろうと思う。その際にたたかれることはわかり切っているのですよ。大臣はこの問題についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/86
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087・奥野誠亮
○奥野政府委員 料金は主として原価計算にのっとっているわけでございますので、交付金制度ができますと、自然その原価計算が変ってくるはずだ、こう思っているわけでございます。従いまして、非常に無理をしているものにつきましては、自然料金改訂というような問題になるわけでありまして、これは単純に電力会社と府県との交渉だけの問題ではございませんで、政府もその中に入るわけでございますので、それらの点は十分考慮していきたい、こう思っております。今のところ、御指摘になっております問題で利潤を上回っておりますのは、府県営の中で高知だけじゃないか、こういうふうに思っておりますが、高知が七百八十五万円に対して八百二十万円ですから、三十五万円程度のものが上回っているということになろうかと思いますが、こういう点についても将来とも配慮していきたいという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/87
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088・北山愛郎
○北山委員 そうなまやさしい問題じゃないと思う。もしもこの交付金制度を設けたために、電力料金をそれだけ上げてくれるという保証があるかどうか、通産大臣に来てもらわなければならない。それから関係の府県当局を呼んでもらわなければならぬ。はたしてこういう経理で、君たちは府県営の発電事業が成り立つかどうか。そうでしょう。自分の利益を上回るような交付金、あるいはそれに近いような交付金を出さなければならぬというような発電事業を、県民の負担においてやるというような、ばかけた地方行政というものはあるものじゃない。ところが自治庁はこれと矛盾した政策をとっている。今度の地方債の割当について、公営電気事業についてはワクを五十億ふやしておる。奨励しているわけです。そうしておいて採算上は成り立たぬような矛盾した政策をとっている。だから公営電気事業を政府は一体どういうふうにやっていこうとするのか、根本問題を一つ聞かなければならぬ。大臣どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/88
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089・奥野誠亮
○奥野政府委員 先にお答えをいたしておきたいと思います。民営の電気と公営の電気との関係におきましては、税だけで申し上げますと、民営の電気には事業税がかかりましたり、あるいはまた固定資産税も公営電気以上に高いわけでございます。それにもかかわらずなぜ利潤が交付金相当額を上回るのか、多少疑問もあるわけでございます。非常に立地条件の悪いところに無理に発電事業をやっておるのじゃないか、こういう考え方もあり得るわけでありまして、それじゃどうしてそういうところで電気事業をやっておるのかといいますと、もっぱら災害防除等のようなほかの目的が関係して参るわけでございます。その場合に電気料金なんかを計算します場合にも、一体公共事業でやらなければならないものを電気事業の中に含めているかいないか、いわゆるアロケーションの問題でありまして、これは常にやかましい問題になるわけであります。その場合に公共事業に属するダムの建設費、それまでもこの交付金の算定額に入っておるかどうか、これも一応それぞれの公営電気事業の担当者が区分しております計算に従って行なっておるわけでございます。従いましてもし交付金相当額が利潤を上回っておるとすれば、アロケーションの問題で、本来ならば公共事業費としてやっているものまでも発電事業の費用の中に入れていいのじゃないか、これはよく検討しなければならないと思っております。
それからもう一つ、今御指摘になっております高知の問題にいたしましても、三十数万円の問題でありまして、企業努力もしてもらわなければなりませんし、従来かなり高い利子で公募債を発行しております。こういうような問題につきましては、将来借りかえの問題なり、金利低下の傾向が起ってきておりますので、企業努力なり、利子負担の軽減の問題などもあるのじゃないか、だから今現われました数字では、私たちはどうにもならない、状態であるとは考えていないのでありまして、この程度のものならば、企業自体においても、公営電気事業自体においても、解決できる問題ではなかろうかというふうな考え方をしておるわけであります。しかしそれはそれといたしまして、将来にわたりまして北山さんの御意見に従いまして努力はして参りたい、かように考えて御答弁申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/89
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090・北山愛郎
○北山委員 冗談じゃないですよ。これはそうでなくて、一体現在の府県営の発電事業というものは県民の利益になるかどうか、これは私非常に疑問に思っておる。たくさんの莫大な借金をして、そして資本を固定して——これは県民の借金でしょう。そうしておいてできた電力が特別に安く県民に配給でもされるというならまだ話なわかる。そのできた電気が大部分電力会社に売電になって、よその県、よその都市でもって使われてしまう。だから現在ですらも疑問に思っておる。その公営電気事業について起債のワクをふやしておることについても、私は疑問に思っておる。そこへ持っていって今度交付金でこんな莫大なものを負担しなければならないことになるということは、この数字を見ただけでも、これは府県営の発電事業の危機ですよ。この問題は重大問題ですが、大臣、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/90
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091・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 公営電気事業についての深い御関心からの御発言でございますが、御心配の点は私どももまことにその通りと考えております。ただダムの建設その他いわゆる公共事業の関連において、せっかくそれだけの堰堤を作るということでありますならば、それを府県が管理しておる関係から、あわせて発電事業も行う方がよろしい、こういう場合が多いと思うのであります。純粋に発電オンリーの府県営の公営電気事業というものは、お話のように私どもも若干疑問を持っております。今回発電事業の関係で相当起債のワクをふやしたということにつきましても、やはり現にこれは継続中の事業が御承知のごとく相当たくさんあるわけでございまして、それらの多くは単に発電オンリーというものよりも、むしろ公共事業との関連の見合いにおいて、いわゆる総合開発の関係において行われるものが多いのでありまして、そういうような関係からこれはふやしておるのであります。公営電気事業の経営それ自体につきまして、今回の交付金制度が相当の影響を与えることは事実でございますけれども、しかしこれはやはり市町村の財政の問題、先ほど税務部長から説明申しましたような市町村の立場ということも、やはり考えなければなりませんし、今の府県において生じました純益というものが、府県の一般会計において使用されるか、あるいはそれが市町村の税という形になって、市町村の福祉の形で使用されるかという、団体の関係の違いはございますけれども、結局において府県民といい、市町村民といい、ひとしく住民に返ってくることでございますので、そういう関係で、これは料金の改訂等によって調整をいたして参りまするならば、私は何らかの調整がつくものと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/91
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092・北山愛郎
○北山委員 市町村のことは、その気持はわかるのです。ただしかしこれは何もこの方法によらなければできないというわけでもないであろうと思う。この方法が適当でなければ別の方法でやってもやれないことはない。問題は現実に各府県が経営しておる発電事業が、こういう制度で成り立つか。この数字だけを見ると、利益を上回わるような交付金をとられる。そうすれば、これは岡山なら岡山の県でこの事実を知れば、これは県営の発電をやろうかやるまいかということになってくる。これは重大問題ですよ。これはやめてしまって、そんなばかげたもの、損がいくようなものは電力会社に売った方がいいのではないか、そういうようなことになってくる。だからこれは一般の公営電気事業の将来を決定するようなものなんです。致命的なものなんです。だからただいまの御説明だけではよくわからない。電力料金が果して引き上げられるものかどうか、これは通産省の関係でなければならないし、またこういう経理で、それでもなおかつ現在やっておる府県が電気事業を継続していく気持があるかどうか、重大な問題ですよ。だからこの点は大臣からどういうふうにされるか、お伺いをしておかなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/92
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093・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 条件が府県営の電気事業と一般の会社営の電気事業と同じ条件でございますならば、これはやはり先ほど説明がありましたように、事業税の関係におきましては、少くとも税負担が違うわけであります。従来公営企業につきましては、ひとり電気事業だけではございませんが、やはり企業努力の点において、一般私企業に比べましてさらに努力を要する点があるように見受けられるのであります。今回このような一般の電気事業と同じような形の交付金を課するということは、その面から申しまして、立場を一般の私企業と同じような立場に置いたのですが、しかしそういうことによって企業努力を相当促進をしてやってもらわなければならない、こういうことになってきておるわけでございますけれども、しかし反面事業税の点におきましては、なおかつ一般の私企業よりも有利な地位を持っておるわけでありまして、同じような企業努力を払ってもらいますならば、それだけは少くとも余剰を生むわけであります。そういうものが一般の福祉の面に還元されるであろう、これはやはり公営企業として当然考えられる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/93
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094・北山愛郎
○北山委員 ところが現実に生んでいないのですよ。今のお話の通りであれば、理屈通りにいけば、事業税なら事業税相当のものが余分にもうかっていかなければならない、余っていかなければならないというわけですが、問題は現実の問題なんです。民間の電力会社と同じような条件のもとに置こう、これは一つの理屈でしょう。ですけれども、そういう政策の変更によって今までやってきた府県営の企業がどうなるかという問題である。これでやっていけるか、また府県はこれでもなおかつ発電事業を継続していく気持が出てくるかどうか、これは地方行政にとっては重大な問題です。これは大臣からお答えがないようですが、委員長から関係の府県それから通産省、こういう関係当局を呼んでいただきたい。これは当然なことだと思う。それでなければ法案を撤回すべきです。考え直して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/94
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095・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は、先ほど来申しておりますように、この経過的な時期におきましては、御心配のような点があろうと思います。私どもはこの経過の時期におきまして円滑に参りますように、通産当局ともこの点については話をいたしておるわけでありまして、施行が円滑に参りますように、今後とも十分努力をして参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/95
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096・北山愛郎
○北山委員 話し合いをしておるならば、現在一キロワット当りの単価がいろいろ違うようですが、これはどのくらい値上げをしようという考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/96
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097・奥野誠亮
○奥野政府委員 私たちは直ちに値上げをしなければこの問題が解決しないとは毛頭考えておらないのです。やはりその前に企業努力といいますか、今例をあげておられる高知の問題は、わずか三十五万円の開きではなかろうか、こういう考え方で見ておるのでございまして、六千七百万円の売り上げに対しまして三十五万円の問題でございます。しかも御承知だと思うのですが、たとえば今岡山の例をおとりになりましたが、この料金計算の中には、特別償却費というものを二%見込んでおります。そういうようにいろいろなものを見込んで経費を落しておるわけであります。実現主義のもとにおける損益ではございません。発生主義のもとにおける損益でございまして、そういうふうにして借金してやりながらも、なおかつそれが将来においては完全に残っていくという計算になっておるわけであります。この計算によって三十五万円利潤を超過していますから、直ちにこれでどうこうという問題に持っていかれることは、私たちとしては少し解せない気持を持っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/97
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098・北山愛郎
○北山委員 この表にいろいろ書いてあるのですが、利益からいろいろな費用を差し引いて、いわゆる純利益というふうなものも残っておる。だから岡山の場合には純利益が七百七十三万円出ておる。ところが今度の交付金額は六百九十二万円、そうするとそれをほとんど全部持っていかれる、こういうことにならぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/98
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099・奥野誠亮
○奥野政府委員 これは費用の中には減価償却費を含んでおるわけであります。しかも減価償却費の場合に、普通償却費のほかに特別償却費まで加算をしておるのだ、こう申し上げているわけであります。これは資金繰りではございませんで、収益の計算でございますから、従いましてこれですぐに現実に実支出がふえてくるのだ、こういうふうにはならないわけであります。いずれも公営電気事業は新しいものでありますから、最初のうちは減価償却費が多く要りましてコスト高になるわけでありますが、将来だんだん費用の方は減って参ります。しかも交付金の額も評価額が下って参りますから減って参ります。収入の方は発電量は変りありませんからこれは減りません。ですから将来にわたりましてはやはり逆になっていくものだ、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/99
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100・北山愛郎
○北山委員 しかし民間の電力企業についても、経理上はやはりいろいろな償却だとかそういうものもとってしまって、そうしていわゆる黒字というものが上ってくるじゃないですか。そうすると同じ理屈からいけば、公営電気についてはそういう償却の費用とかいろいろな費用が出るならば、もうけは交付金にとられても差しつかえない。しかし民間の電力会社についてはそれからさらに株主の配当をとり、それから黒字が出てもいいんだ、こういう計算だったらば、率直な話が府県なんかは電気事業はやめると思うのですよ。そういうことになるかならないか……(「経営が悪い」と呼ぶ者あり)経営がいい悪いは別にして、現在のものをやめさすかどうかということが、腹の中になければこういうものは出せない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/100
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101・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 御心配の点は私どももまことに同感なんでございますが、先ほど来申し上げておりますように、現行制度のもとにおきましても、公営企業におきましては事業税が課されないという有利な条件があるわけでございますから、やはりこれは民間企業と同じように企業努力をしてもらいまして、できるだけそれで吸収をしていただく。しかし将来の問題としてはやはり電力料金の問題もございましょう、そういう点も今後考えていかなければならぬと思いますけれども、ただいまの程度のことならば、企業努力によって調整がつくものであろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/101
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102・大矢省三
○大矢委員長 それでは暫時休憩いたします。
午後五時五十四分休憩
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午後七時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/102
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103・大矢省三
○大矢委員長 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/103
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104・北山愛郎
○北山委員 先ほどの問題について大臣からお答えをお願いしておったのですが、一つ大臣から御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/104
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105・太田正孝
○太田国務大臣 公営電気事業はその大部分が洪水防御、灌漑用水の確保などの公共的目的をもあわせて行われているのでございますから、電気事業の経営状況のみをもってその運営の可否を申すわけにはいかないではないかと思います。従ってこれを企業的立場から見た場合、かりに赤字とは言えないまでも、大きな収益を得られないときでも電気事業以外の公共事業による莫大な利益をも考慮しなければ、真の住民福祉に役立つかいなかをきめることはできないと思うのでございます。
われわれは戦後においては単なる電気企業としての公営電気を認めてきたのではなく、むしろ多目的なるがゆえにこれを認めてきたのであって、この根本的な考え方は変えておらないのでございます。ただ従来公共事業の経済効果が的確に把握できないので、ややもすると公共事業と電気事業との間の費用分担に適正を欠くものがあったようでございまして、そうした地点の事業につきましては、電気料金が民間の場合に比べて高額となって、料金契約上不利を免れない面がございました。従ってかかる地点の事業につきましては、個々具体的に検討いたしました上、今後の事業経営の指導をいたしたいと思います。
すなわち電気事業につきましては、一般会計との間の費用負担につきましても、各県ごとに必ずしもその軌を一にしておりませず、また社債等の発行条件の改訂に伴いまして、公募債の利率引き下げ、または償還期間の延長による建設経費の負担軽減も予想され、さらにダム所在市町村に対する協力費等の名目による支出も若干あるようでございまするから、これらの点についてもなお一そうの経営合理化の余地が残されていると考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/105
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106・北山愛郎
○北山委員 まあいろいろの問題に触れておるのですが、ただ、先ほどここにあげましたものは、電気事業の費用につきましても、一応はすでにきまったアロケーションによってやられているのではないかと思います。その計算の所要額が出ているのではないかと思います。従ってさかのぼってアロケーションというか、負担の割合をお変えになることはできないと思うのですが、そういう問題はどうなるか。
それから一部は料金の改定といいますか引き上げ、あるいは一部は企業内部における合理化の指導、こういうことを言われているのです。そうすると公営企業についても自治庁としては何かの基準を設けて指導をされるのであるか、あるいはまた料金の引き上げはどういうような基準でやるのか、これらの点がもう少し具体的にわからぬといかぬのです。私が申し上げた通り、これらの問題は、本来ならば通産関係の電気事業の官庁の責任者に来てもらってよく聞きたいところなんです。ですから、一つこの疑問にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/106
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107・奥野誠亮
○奥野政府委員 公営電気事業をやりましてから、その電力会社の買電価格をきめます場合には、原則として原価がどれだけについているかということを基本にするわけでございます。その場合に、電力会社の主張いたします固定資産の価額には、一般公共事業で行うべき部分も多分に入っておるのではないか。従って、原価の中からその分を除いてもらいたい、こういうことが常に論争になって参るわけでございます。また府県といたしましては、一般財政が苦しいものですから、できるだけ電気事業の特別会計で持ってもらいたいし、またそれは料金収入でまかなっていきたい、こういう考え方もあるのでありますから、どちらかといいますと、一般会計で負担すべき公共事業費相当分と見られるものも、電気事業の固定資産の方に持って行きがちであります。現に持って行き過ぎておるということが、この交付金の問題が生じましてから主張されております。事実そうでありますならば、固定資産の評価額のうち、いわゆる河川改修事業費でありますとか、そういうふうに認められるものは、これは交付金の対象にはならないわけでございます。従いまして、府県が単に交付金相当額軽減の目的だけでやっているのか、事実一般会計の所得に属すべきものまで電気事業の会計の中で負担させて、これを固定資産の中に算入しているのか、ここはよく調べまして、無理のないような方針で、府県と市町村との間の調整をやっていきたい、かように考えているわけであります。
第二番目の料金の問題でございますが、これも今申し上げましたように、交付金制度ができますと、原価の中に入って参るわけでございますので、将来料金の問題につきましては、原価が変ってきたときに電力会社との間に話し合いの問題が起ってくるのではなかろうか。もとより電力会社としては料金を上げることは好ましくないだろうと思うのであります。しかし、公営電気事業がやっていけないものが生ずれば自然この間の調整を行わざるを得ないのではないか。将来にわたる問題は、当然制度が変ってくるわけでありますから、原価の中に入っていって相互にそれらの料金を基準にしてきめられる、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/107
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108・北山愛郎
○北山委員 今のお話はいろいろ重要な内容を含んでいるわけです。発電所の中には、そのダムの経費として、いわゆる防災用河川の維持というような経費まで含んで発電の方で負担しているものもある。そういうものを取りのけるという一つの方法なんですが、それはどこでどういう方法によってやるかなんです。それからまた、一般の河川維持費等に振り向ける分を算定したとすれば、それらは府県なら府県の一般財源で出すというだけではうまくいかないので、やはり財政需要額とかそういうものにみな影響してくるのです。従って、何らかの基準がないとおかしいと思うし、あるいは個々の発電所について組織的な調査をおやりになるのであるかそれらの点が疑問になってくる。それから買電の方の料金もコストが上ってくるから改定をするというのですが、しかし、政府が県営発電のコストが上ってきたというて電力会社に言えば、その料金で電力会社が買わなければならぬという義務があるのですか、それらの点がどうも明確でないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/108
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109・奥野誠亮
○奥野政府委員 たとえて申しますと、上流の河川の護岸を修築して、そうして下流の方でダムを作って発電機械を据え付けた、そういう場合に本来上流の方の河川の護岸工事は、一般の公共事業として一般会計の負担になるのだろうと思います。そういうものも固定資産評価の中に入っておる、こういうことがある。これがアロケーションの問題になるわけであります。この場合に、府県といたしましては市町村に対しまして固定資産の護岸の中に入れているけれども、こういう部分は本来いわゆる発電施設としての護岸の中に入らないものだからというわけで、そういった通達をすると思うのです。そうした場合に市町村としては不服があれば府県にそういうことを申し入れますし、なお府県が市町村の満足するような措置をとりません場合に、市町村として自治庁長官まで申し出てくるかもしれません。そういう場合には実態によって自治庁として適当な救済をやって参りたい、こう考えておるわけであります。
第二番目の問題につきましては、将来発電事業が開始される、そういうものについては問題はないと思うのであります。従来のすでに料金をきめている問題につきましては、こういう交付金制度ができたから直ちに料金を改定しなければならない、こういう問題にはならないと思います。ただその中でも、もしどうにもならないようなものがあるといたしますならば、そこは自治庁と通産省で話し合いをして電力会社にも要請をしなければならない、こういうことになるだろうと思うのでありますが、現状においてはそういう必要がないのじゃないだろうか、しかし将来の推移を見てその点は検討していきたい、こういう気持でおるわけでございます。料金のきめ方に当りましては償却費とかあるいは利潤にかえまして特別償却費相当額を織り込みましたり、あるいは管理費を見ましたり、修繕費を見たりいろいろしているわけでありまして、一定の方式できめておるわけでありますが、交付金相当額は全体の中から見ます場合には、ごくわずかなものじゃないかというふうに考えるわけであります。しかしいろいろ御心配になる点を御指摘になっておりますので、その点につきましては将来とも十分検討していくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/109
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110・北山愛郎
○北山委員 この点については、どうするという具体的なお話ではなくて何か非常に不安なんですが、問題はやはり先ほど数字を申し上げたように、かりに高知県の場合に七百八十五万の純益が出ておる。ところが八百二十万の交付金を今度払わなければならぬというような場合に、高知県においては県営発電というものを維持する意欲を失っていくのじゃないか、こういうふうに思うのです。これだけは公営発電所に対してこの交付金の制度というものは、そういう影響を及ぼすのじゃないかというふうに考えるのですが、こういう点については知事会議等においては、府県関係においては了解しておるのかどうか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/110
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111・奥野誠亮
○奥野政府委員 公営の発電施設につきまして交付金制度を適用するに当りまして、知事会の方とも相談をいたしております。その際に御指摘の高知県の方は非常にコストが高くついておる、こういう意味のいろいろな意見がございまして、その結果、なるほど多目的を持っておるものであるから、コストの高いところにもあえて発電事業を公営としてやっていく。その事情はよくわかるわけでありますので、民間の発電施設に対しまする固定資産税、それのさらに二分の一の額とする、こういうことであの案を決定したわけでありますが、もとより府県としてはこういう制度がない方が望ましいと思います。しかし市町村の立場も考えなければならない。従ってそういうような大乗的な見地といいましょうか、やむを得ないという意味で賛成をする、こういう意味でこの案を政府として確定するに至ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/111
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112・北山愛郎
○北山委員 まあ問題は、やはりこの制度によって、公営発電事業というものがいろいろ大きな障害にぶっかっていくのじゃないか、こう思うのですが、将来の問題でもありますから、また別の機会にその点はお伺いすることにします。
次に、この前もちょっとお伺いしましたが、町村合併の結果として合併促進法がしかれました当時は、町村の規模を合理化することによって税金も安くなるのだ、こういうふれ込みであったわけです。ところが合併市町村においては私の聞いているところでは、大体特に住民税が上っておるのです。なるほど合併当初の第一年度においては農村の住民税なんか下って非常に喜んだ。ところがもう第二年度から逆に今度は上ったというようなところがあるわけなんです。実例をここに持ってきておりませんが、こういうところが多いようです。これの資料などもこの前お願いしておきましたがこの実際の状況はどうであるか。せっかく税金が安くなるというので合併に賛成したところが、すっかり当てがはずれたと言うて失望しているところが多いようですが、この実数を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/112
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113・奥野誠亮
○奥野政府委員 この前もちょっとお答えを申し上げましたが、その後いろいろ調査しますと、やはり合併してすぐに税負担がふえるというよりも、むしろ低い方にならされていくという傾向のようでございます。ただ数年たつと逆にまた上ってくるのだというように北山さん御指摘になるのですが、その点実は調査がございませんで、ただ従来のままにやっていくという意味で、不均一な課税の仕方をする市町村の数だけわかっているので申し上げますが、四百九十のうち三十三市、町村のうちでは四千五百二十五のうち四十九ということになっております。これでは御満足いただけないのかもしれませんけれども、実情はそういう姿になっておるわけでございます。合併後数年してから、どうなったかということにつきましては、ちょっと調査も困難じゃないかと思っておるのでありますが、今後なおその問題については研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/113
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114・北山愛郎
○北山委員 いろいろな例を持ってくればよかったんですが、私の県においても合併した市でもって、私の隣の北上市というのは初年度は第一方式でやった。そこで農村は今まで第二方式等でやったので農村は安くなった。ところが次の年からもう第二方式ということで増税に転じておる。それからその南の方の市においても同様です。それから私の町も今度は固定資産税を上げるというようなことになってきておる。これは赤字とも関連がございますが、そういうところが多いんじゃないかと思うのです。そこでそういうふうな調査が一部しかできておらぬというのは、私は残念ですが、これは近いうちに町村合併関係の法案もかかるはずでありますから、その際に詳しい資料を一つお出しを願って、そしていろいろお伺いしたいと思いまする
それから問題は固定資産税のあたりになっておるのですが、駐留軍関係の固定資産、土地、家屋、そういうものがどの程度にあるか、これは駐留軍が持っておるものは少いと思いますが、使用しておるもの、これがどのくらいあるか、これを一つお示しを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/114
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115・奥野誠亮
○奥野政府委員 駐留軍が使用しておりますものを推定して評価額を算出し、交付金額を出したわけでありまして、先般その額が二十億二千九百万円だ、このようにお答えをいたしたのでありますが、推定評価額全体で申し上げますと、千六百八十五億円程度ではなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/115
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116・北山愛郎
○北山委員 これは土地が幾らで家屋が幾らという内訳はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/116
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117・奥野誠亮
○奥野政府委員 推定評価額で申し上げますと、土地が四百七十七億円、建物が五百六十二億円、工作物が五百三十八億円、船舶も入っておりますが、これが八十八億円、機械類が十九億円というふうな数字になっております。これは全くの推定でございますので、実際にあたりましてはかなり異同が生ずるかとも思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/117
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118・門司亮
○門司委員 ちょっと関連してお尋ねしたいのですが、この中には特需関係のものは含まれておりませんか。駐留軍が使用しておるものの中には、要するに特需関係のものと二つあると思いますが、これは特需関係は含まれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/118
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119・奥野誠亮
○奥野政府委員 これは合衆国の軍隊と国際連合軍の両方の使っているものだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/119
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120・門司亮
○門司委員 そうすると、今特殊会社が使っておるものは、国の財産を特殊会社が借りて使っておると大体解釈できるのですが、これは除かれているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/120
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121・奥野誠亮
○奥野政府委員 合衆国軍隊と国際連合の軍隊の使用しているものは交付金の対象からはずしておりますけれども、それ以外に使用させておりますものは当然交付金の対象になりますから、国の方から所在の市町村に対しまして交付金を交付することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/121
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122・門司亮
○門司委員 また聞きたいと思うのですが、この中には実は非常に複雑なものがあるわけであります。特殊会社が日本に大体四つですか、すべてで八つくらいあると思うのですが、これは駐留軍の施設を借りてやっておるという形のものと、国の施設を使っておるという関係のものと二つあると思うのです。この場合に駐留軍関係のものだけでなくて、そうしたものまでもこの中に含まれているかどうかということは私は一つの問題になると思う。だから特需関係のものがこの中に調べられておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/122
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123・奥野誠亮
○奥野政府委員 これについてこの前門司さんの御質問があったと思いますが、調べましたらあれは所有権が移っているようでございます。またかりに貸し付けているものがございましても、それは合衆国軍隊に貸し付けているわけじゃございませんので、当然国の方から所在の市町村に交付金を交付すべきだ、そういう法律案になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/123
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124・門司亮
○門司委員 そうだとすると、それは問題が起るでしょう。呉の地区でありますとか、あれは十年間の契約で一応軍に売り渡した形で、十年後に買い戻しをする、しかもアメリカのASBが、もし施設を新しくしているものはそのまま日本にその代価で売り渡すという契約書がついているわけであります。所有権が一応向うに移っております。だから、これについては固定資産税その他がかかっているのは、この間呉からもらった情報で明らかであります。今問題になるのは、たとえば相模工廠というようなものあるいは富士モーターの施設、これは軍の施設の中にあることは間違いないので、結局軍がこれを使っておるという形にすれば、軍が使っておるという形になる。しかし特需会社が軍から借りてやっているとすれば、特需会社が使用しているという形が出てくるのであります。従って私の聞いているのは、ああいうあいまいな形にして置かれているものが一体どうなっているかということであります。純然たる軍の使っているものは、これはもう軍に間違いありませんが、軍が借りて名目は軍の形になっていますが、実際の使用はそうした一つの営利会社が使用してやっているというものがあるのでございます。ですからこれがこの中に含まれておるかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/124
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125・奥野誠亮
○奥野政府委員 今申し上げました数字は調達庁について調べているのでございます。従いまして私たちはそういうものは含まれていないと思っておるのでございますけれども、また合衆国軍隊が借り受けまして、また貸している、そういう場合は、合衆国軍隊が使用しているという形になっています以上は、法律でそれは除外しているわけでございます。しかし直接に貸し付けます場合には法律では除外していないわけでございます。実際の問題は詳しくはないのでございますけれども、今申し上げましたような原則に従って振り分けをしていきたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/125
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126・門司亮
○門司委員 この問題について私は疑問を持っておりますのは、事実を申し上げると、たとえば相模工業が使用しておった鶴見の工場は、その持ち主は日産であります。従って日産がこの工場が使いたいから返してもらいたいということで、返すことのためにあそこでは実は首切りの問題が起ったわけであります。いわゆる軍が、持主である日産から返せといって取り上げられるなら、軍の仕事もそこでするわけにいかぬからというので、ここの従業員が全部首になったことがある。ところがこれに疑問を持ちますのは、いわば特殊会社が使っている形であって、特殊会社が借りておって、そうして私はよく調べておりませんが、固定資産税を日産が払っておれば私は問題はないと思う。ところが特殊会社であることのためにこれが何らか軍に関係のあったような形になって、一応軍がこれを使用しているのだということに形ができ上る、しかし実際に使用しているのは営利会社に問違いない、そういう場合の課税が少しややっこしくなるようだけれども、満足に今日まで行われておったかどうかということにかなりの疑問があるわけです。そこで今度政府がこういう税法を出して参りますと、たとえば相模工廠は政府の資産であることには間違いない。そして相模工業という会社が軍の仕事を請け負ってやっていることに間違いない。そうすると軍から請け負っております仕事は、調達庁が関係いたしております間接的のあるいは直接的の仕事ではないわけであります。日本政府は何ら介在しておらない。仕事自体は直接軍と業者との間に取りかわされている、使っているものは国の財産である、仕事は駐留軍の仕事であるというような、実は三角の関係を持っているわけであります。従ってこれに国有財産であるからといって固定資産税をかけるということになれば、これは納付金制度が私は出てくると思うのです。国の用に使っているわけではないのです。一つの営利会社として使っている。そうすると、相模原市のごときはかなり大きなものが固定資産税の納付の中に入ってくる。しかしこれが軍が使っておるということになれば、軍のものだけは除かれることになる。しかし実際の仕事をしておるものは営利会社であることに間違いはない。そこで営利会社でありまする場合は、むろん会社は莫大なものを使っておって、自分のものでないから固定資産税は納めない。国も駐留軍に貸してあるのだからといって納付金をしないという形が出てくる。そうすると、その中で、しかも仕事は営利会社がやっておる、こういうものが出てくるわけであります。そういうものに対しての課税のことを考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/126
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127・奥野誠亮
○奥野政府委員 所有権が移っています場合には御承知のように問題はございません。これは固定資産税として課していくわけであります。移っていないものでありましても、国が貸し付けている場合には国有資産でありますから、交付金を交付しなければなりません。それの例外として交付金を交付しないでよろしいもの、それは合衆国軍隊や国際連合の軍隊に使用させているもの、その使用させているものの範囲を交付金法の第二条第三項の第六号で、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律第二条の規定により使用させているもの、こういうふうに限定しておりますし、この法律の精神は、営利会社に使わせているものをまた貸しすることを認めていないように承知しております。しかしもしそういうような例外的な問題が起るといたしますならば、貸付の関係を改めてもらう、こういうことになってくるのではないかと思います。貸付の関係を改めて参りますならば、おのずから交付金の対象になるのではないかというふうに思うわけでありまして、なおそういう点のないように、運営に当りまして御注意の点注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/127
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128・門司亮
○門司委員 これは考えてもらいたいのですが、今の答弁で私はいいと思うのだが、実質上の問題としては相模原市の工廠、それから横須賀市にある追浜の工場、これはすべて日本の財産であることに間違いはない。同時に軍が接収しておるという形をとっておることにも間違いはない。しかし中の事業はさっき申しましたように営利事業が完全に行われている。そうしてこれは納付金も行わない。軍が使っているのだからといって税金も払わない。これを除外している。ところが営利会社もむろん軍のものを借りているのだからということで、固定資産税を納めないということになると、あそこで使っておる事業主といいますかは、ほとんど理屈から言えば何も固定資産税を納めないで仕事ができる。しかもそれは営利会社である。これは一つの特典みたいな形になるわけです。それで市にはそれだけの税収が減ってくるわけです。これらの関係は、私は今ここで解決しようとは考えておりませんが、十分に一つ考慮してもらって、もし納付金を納めることが至当だというならば、納付金を納めるようにしてもらいたい。同時に軍の建物を使っておるが、さっき申し上げましたように、日本政府は何も関係がないのです。これは駐留軍と全然別ですから、アメリカ軍隊と日本の企業家との間に、直接取引で仕事がされておるのです。だからそういう諸君はそういう特典を持っていいかどうかということ。それが出てくるのはどこから出てくるかと申しますと、たとえば多摩川にあります日飛のような問題になってきますと、これは自分の工場でやっておる。自分の工場だからアメリカ軍から受けてくる仕事でも固定資産税を納めております。片方はたまたま政府の財産である、アメリカ軍が接収しているからというので、固定資産税を納めていない、こういう不公平な問題が出てきやしないかと思う。だからその辺についてはここで解決をしなくてもいいと思いますが、よく調査をして、そういう不公平のないようにしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/128
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129・北山愛郎
○北山委員 それからこれは最初に大臣に実はお伺いして、はっきりと御答弁をいただきたかった問題があったのですが、それは地方税の昨年と比べての増税の問題です。国民所得というのは、昨年に比べて四・三%上った。ところが税金の方は、国税、地方税を入れまして七%くらいな増加になっておる。こういう点をずっと前にお伺いして、そうしてこれはたしかあとでお答えをいただくことになっておったはずですが、その後何かの資料で見ますと、国税の方は昨年に比べて五%の増額なんです。地方税の方は一〇%、従って平均としてはもちろん国民所得を上回っておるのですが、さらに地方税と国税と比べれば、国税の方は大体国民所得に見合っておるが、地方税は一〇%というように相当大きく伸びておるわけです。これは自然増収も新税分も含めての総額でございますが、そういったことを見ますると、やはり国税についても増税ぎみなんですが、さらに地方税についてはやはり増税というように見える。もしもそうでないとするならば、自然増収があるのだから、何も新税をそんなに立てる必要はないので、自然増が地方税について二百九十億もあった上に、さらにいろいろな税金をつけ加えておるということは、これはやはり増税の政策じゃないか、こういうふうに思うのですが、その点は御了承いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/129
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130・太田正孝
○太田国務大臣 お言葉のように普通税の見込みが三千八百九十六億円と見ますれば、前年度、三十年度の三千五百七十三億円に対して二百九十六億円の増加になります。しかしこのうちには法人税法の改正などによって三十五億、たばこ消費税の率値上げによる九十三億合計百二十八億ございますから、純粋なる意味の自然増収は百六十六億円と私は計算しておるのでございます。その自然増収の百六十六億円は、前年の収入の見込みに対しましては四分六厘に当っていると計算を見ております。国民所得の関係から見るというと、四分三厘で大体同じじゃないか。それに対して御指摘になりました国税収入との比例を見ますると、三十一年度の収入が八千二百六十億でございましたか、これに対して補正後の前年度予算、三十年度予算と比べてみますと、四分五厘でございますから、国税と地方税の関係についての割合をこの前申し上げなかったのですが、私の事務当局に調べさせたところはかような数字になっております。自然増収を税法改正という問題の中に入れて計算するかしないかによって、この差は出てくるわけでございますが、ただいまの私の計算は税法改正を引いて百六十六億と見たのです。なお詳しい数字については事務当局から御説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/130
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131・北山愛郎
○北山委員 それはあれじゃないですか。国の方のやつが五%伸びておるというのは、専売益金等が地方に一部移った、たばこ消費税が移ったというようなものを差し引いてもやはり五%くらい伸びておる。いわゆる総額として見るのですから……。そして国税の方の地方税に移った分を差し引いて国税の方が五%、そういうものをやはり地方税の方は入れなければならぬわけですよ。地方税だけを考えれば、その分は地方税として増税ではないというのですが、国税と両方合せてみた場合はやはりふえたのですから、その部分を入れれば昨年と比べて一〇%だ、こういうふうな数字を私は承わっておるのですが、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/131
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132・早川崇
○早川政府委員 たとえば数字的に見ますと、国民総負担の中に地方税全体の占める自主財源は、昭和三十年度は二八%、二十八年度は二六%、それが三十一年度には二九%、いわゆる自主財源をできるだけ充実していく、こういう線に沿ってふえてきておるわけであります。従って増税云々という問題は国民の租税総負担というもの、すなわち国税と地方税を合せたものが国民の総所得に対してどうかというのでなければ、税金を支払うのは国民一人のがまぐちから出るわけであります。従ってわれわれといたしましては地方税がパーセンテージで上ったといたしましても、それは自主財源をふやすという意味で上ったのであって、増税というものはむしろ国税、地方税全部を含めて国民所得に対しての増加というのでなければ全然意味をなさない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/132
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133・北山愛郎
○北山委員 いや、意味をなさないのではないですよ。自主財源をふやすとかふやさないとかということは、別個の観点からの問題なのであって、私のお伺いしたのは国、地方を通じての税の負担というものは、やはり国民所得の伸びよりも上回っておる。そのうちでも地方税関係が率としては国税よりも上回っておる。こういう数字が出ておるのですが、その事実を認めるかどうか、これを認めるかどうかの問題です。だから自主財源をふやそうとする動機とかそういうことは別問題だと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/133
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134・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方税の総額の伸びが、国民所得の伸びを上回っているかどうかという問題になりますと、国民所得を三十年度補正後にとりました場合には、大同小異でございます。国民所得を補正前の数字にとりますと、それは一〇四・三%でございますので、地方税の総額の方が上回っております。ただ地方税の総額の伸びはどういうところに由来しているかということを見ていきまして、いわゆる自然増収を中心に考えていきます場合には、大臣がお話になりますように、百数十億円にとどまるわけだから、それはむしろ下回っている、こういうことになって参るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/134
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135・北山愛郎
○北山委員 しかしその自然増を見るだけでは意味をなさぬと思うのです。やはり新税も税収なんだからそれも入れて、入れた数字でパーセンテージが出てこなければ自然増がどうのこうのというのではないと思うのです。両方入れて自然増で大体国民所得に見合うというならば、それでやればよろしいのだが、さらにその上に今度のいろいろな税金を考えているわけですから、これはやはりその上に税をよけい取ろうという政策をとった、こう言わざるを得ないと思うのですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/135
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136・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方税の中には、たとえばたばこ消費税の増額のように、本来なら専売益金として国のふところに入って参りますものが移り変って地方のふところに入ってくるものなどがあるわけでございます。従いましてそういう分を除外していきまするならば、大臣もお話になりましたように、かえって国民所得の伸びよりも不利になる、こういうことになって参るわけでございます。国税の伸びはお話のように一〇四・八%でございます。しかし国民所得は昭和三十年度の当初におきましては六兆三千二百三十億円と算定いたしております。その後六兆六千八百四十億円に算定し直しております。六兆三千二百三十億円を基礎にして参りますと、昭和三十一年度の国民所得は六兆九千七百十億円と見ておりますので、伸びは一〇四・三%、こういうことになるわけでございます。従いまして租税負担全体としては、特に著しくふえておるということにはならない、かように思っておるわけであります。国税と地方税との間に移しがえをたばこ消費税等を通じてやっております関係から、地方税の総額だけをそのまま国民所得の伸びとの比較に当てることは適当でない、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/136
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137・北山愛郎
○北山委員 次に、その際やはりお伺いしたのですが、この住民税——道府県民税と市町村民税について、これのいわゆる所得税に対する比率です。今度の改正案によりますと、昭和三十一年度の県民税の所得割というものは百十七億円、市町村民税の所得割は四百二十八億、合せまして五百四十五億になっております。ところが三十一年度の所得税の見積額は二千六百三十三億だと思いますが、そういたしますと、二千六百三十三億に対して五百四十五億という数字は二一%くらいにしかならぬじゃないかと思うのです。そういたしますとこの県民税と市町村民税を合せて二一%という数字は、大体標準税率といいますか、市町村民税が一五%、道府県民税の方が五・五%ですか、そうすると大体見合っているような感じがするわけです。これを全国的に見るならば、今年の所得税額に対して道府県民税についても市町村民税についても標準の率をとりさえすれば、それでことしすでに見込んでいる五百四十五億という数字は大体はじき出せるのではないか。従って第二方式あるいは第二方式のただし書きというものはあながち必要ないのじゃないか、こういうふうな疑問を私は持っておるのです。これは私の錯覚であるかどうか一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/137
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138・奥野誠亮
○奥野政府委員 所得税は当該年の所得を基礎にしております。当該年の所得は国民所得の伸びとしてかなり大きな増加を期待しておるわけでございます。住民税の場合には前年の所得を基礎にしておりますので、当該年の国民所得よりは総体的には低い所得が基礎になっていきます。従いましてその間に事情の食い違いが起ってくるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/138
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139・北山愛郎
○北山委員 そうすると三十年度の所得税は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/139
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140・奥野誠亮
○奥野政府委員 昭和三十年度の当初予算額は、所得税全体で二千六百九十九億四千万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/140
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141・北山愛郎
○北山委員 これは三十年度の所得税の見込みですね。二千六百九十九億ということになると、大体差がないのじゃないですか。そうすれば、今お話し申し上げたような標準税率で大体地方税の方の所得割の収入が見込めるのじゃないというような疑問を持つのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/141
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142・奥野誠亮
○奥野政府委員 道府県民税と市町村民税の見込みは、国の所得税の基礎になっております所得額、これを基礎にして標準税率ではじいております。ただ市町村民税の場合につきましては、所得額の半分は所得税額を基礎にするものといたしまして、標準税率の一五%で見ておるわけでございますけれども、あとの半分の部分につきましては、第二方式ただし書きの規定を適用するものといたしまして、昨日来申し上げております九十三億円程度の増収を計画では見込んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/142
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143・北山愛郎
○北山委員 そういうふうな立て方をしておるはずなんですが、その結果出てきたのが、この道府県民税の百十七億と市町村民税の四百二十八億という数字じゃないかと思うのです。それで合せて五百四十五億ですね。一方において基準になる所得税を今お話のように二千六百九十九億と見れば、大体二〇%ちょっとぐらいで今の五百四十五億になってしまう。だから何も標準以上の第二方式なんかを見る必要はないのじゃないか、私そういう疑問を持つのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/143
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144・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方税の収入見込みについては詳しい説明書をお配りしておるわけでございますが、当該年度に課税いたしましたものが当該年度のうちに入ってきます分を、申告分については九〇%見る、そうして前年から繰り越しになってきて当該年度で入ってくる部分を何%見るというふうな計算をしておるわけでございます。若干当該年度の分が翌年度以降にずれてくる。そのかわり前年度分が入ってくるというふうな問題が一つございます。それから国税は課税されるけれども地方税について非課税分が若干ある、そういうような問題もあるわけでありまして、計数をこまかく申し上げてもよろしいのでございますが、一応そういう計算ではじき出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/144
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145・北山愛郎
○北山委員 それではそんなに違うというのはちょっとおかしいと思うのです。二千六百九十九億という数字も、やはり所得税関係において収入見積額なんですね。調定額じゃないと思うのです。いろいろな計算をして徴収率なんかも見た上で出てきたのが二千六百九十九億、だからそれを土台にしてこれの二〇%としてみると、それだけでも五百三十九億になってしまうんですよ。そうすると今のお話のような数字がどの程度にあるものか、私この疑問を出すのは、申し上げるまでもなく、大体標準税率に近いもので各市町村ともやっても、所要見込額だけは取れるのじゃないか。無理に標準税率の二倍も二倍半もの市町村民税を取る必要はないのじゃないか、こういうふうな疑問を持つので、それをもう少し的確にお答えを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/145
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146・奥野誠亮
○奥野政府委員 今疑問を持っておられまする計数は、御質問中に、当りまして、あとでお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/146
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147・北山愛郎
○北山委員 その二点が残っておりましたのでお伺いしたのですが、それから固定資産税その他にも関係ありますけれども、最近宗教法人の固定資産等について課税をしてもいいのじゃないかというような意見を聞くのでありますが、これについて自治庁はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/147
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148・奥野誠亮
○奥野政府委員 宗教法人の持っております固定資産でありましても、信仰の対象になっております部分以外のものにつきましては課税をいたしているわけでございます。信仰の対象になっておりまする社殿でありますとか境内地でありますとかいうものは、国民感情から考えました場合にはなるたけ避けた方がいいのじゃないだろうか、こういうふうに思っております。ただ宗教法人法で宗教法人としての取扱いを受ける範囲におきまして、あるいは国民感情の上からいろいろ問題はあろうかと思うのでありますけれども、宗教法人法に基いて宗教法人として認められるものにつきましては、今申し上げますように信仰の対象になっておりまするものは課税の対象からはずす、それ以外のものは固定資産税を課すという考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/148
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149・北山愛郎
○北山委員 極端な例を言うと山そのものを神様として一山持っておるようなところもあると思うのです。そうするとこれは何億円というような資産ですね。これが信仰の対象である、富士山なら富士山そのものが神様だという信仰があります。たしか男体山は相当な財産を持っておると思うのですが、そういうものもやはり宗教上の資産として課税をしないのかどうか、これは適当かどうかをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/149
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150・奥野誠亮
○奥野政府委員 法律上はたしか境内地、構内地という言葉を使っておったと思いますが、境内地、構内地を不当に広く広げていくことは穏当ではございません。従いまして社有だからといって課税からはずすということはございません。境内地、構内地を不当に広く認めていくようなことは当然避けるべきことだと思います。もしそういう事態がありまする場合には、文部省ともよく話し合いをいたしたいと思いますが、現在のところそういう点についての話は市町村方面からはないわけであります。御意見がありましたらよく調べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/150
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151・北山愛郎
○北山委員 宗教法人のいわゆる宗教に直接使うというような資産の調べというものはあるのですか。これは極端にいえば京都みたいなお寺が一千もあるというようなところもあるわけです。それからたしか宇治山田ですか、あれは神宮に課税したらどうだろうという意見も聞いておるのですが、そういう調べがあるものかどうか。それから今申し上げた山そのものが信仰の対象であるというので、山を全部持っておるところがある。これは戦争までは国の財産として無償でその社寺に管理させておったものを、たしか数年前に無償で払い下げをしたのです。これは相当な財産なのです。その中には今申し上げたように山が信仰の対象だ、そのためにこれは山を持っていなければならぬということで、何万町歩というようなものを持っておる神社がある。それは全部この課税の対象にならないかどうか、こういうことをお調べになっておるかどうか、これをお伺いする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/151
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152・奥野誠亮
○奥野政府委員 社有財産につきましては、宗教法人法に基きまして届出の義務もございますし、それぞれ監督官庁も定められているわけでございます。しかしどこまで財産台帳が整備されているかということにつきましてはよく存じておらないわけでございますので、先年社有林等の整備の問題等がありまして、いろいろごたごたしたこともあったわけでございますが、逐次整備されつつあるものだというふうには考えておるわけでございます。なお御指摘のような場合についてどこまで境内地になっているのか、構内地になっているのか実は承知いたしておりません。きょう初めて伺うのでありますが、市町村方面から従来そういう問題についての疑義は、私まだ聞いたことはないのでございます。具体的な例についてお話がございましたので、その方面に問い合せてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/152
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153・北山愛郎
○北山委員 これは一例を言えば富士山がそうなのです。富士山については例の頂上の問題について、境内地がどの範囲までか、いわゆる宗教用の儀式に使う宗教の信仰の対象としている必要な分が、どれだけであるかということについて論争があるわけなのです。富士山の浅間神社というのは、山の上の方が全部これは神様そのものだから、どうしても宗教上これを持っていなければならぬということで争う。また一方からいえば、神社の境内だけの所有で差しつかえないのだ、山そのものを持っておる必要はないのだということで、相当深刻な論争がおととしあたりあったわけであります。同じような例がたしか男体山にあると思うのです。男体山の方は割合支障なく、この山を無償で払い下げを受けてしまった。そのことがあったから、私もよく知りませんが、一つそういうふうな例をお調べを願いたいと思います。
それから今度は日本競馬会について課税をするようになったのですが、その金額は幾らですか。七千六百万円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/153
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154・奥野誠亮
○奥野政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/154
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155・北山愛郎
○北山委員 ところが一方で、この代償だか何だか知りませんが、競馬会の国庫納付金というものを、今までは百分の十一であったものを百分の十に引き下げになっている。この金額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/155
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156・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のように納付金の減額によって、九千数百万円負担が軽くなっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/156
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157・北山愛郎
○北山委員 今度の税制の改革によって、競馬会の方は二千何百万かもうかるというような計算になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/157
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158・奥野誠亮
○奥野政府委員 実は日本競馬会法案を出しまする際には、競馬会の所有資産に対しましても固定資産税を課する、こういうことになっておったわけでございますが、その際に固定資産税を課さないことにして、逆に納付金率を引き上げたわけでございます。今回は固定資産税を課することにして納付金率をもと通りにする、こういう格好になっているわけでございまして、当初政府で考えたような姿に戻す、こういう関係にいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/158
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159・北山愛郎
○北山委員 競馬会については非常にいろいろな特別な配慮をしているように見えて、どうも大へんおかしいのです。その他の三公社であるとかあるいは放送協会だとか、そういうものはいわば取りっぱなしというのですが、競馬会に限ってこっちの方では取って、そのかわりに国の方に納める金の方は減らしてやる、まことに御親切なんです。しかもプラスなんですよ。特に競馬会についてこういう御配慮をしなければならぬという理由を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/159
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160・奥野誠亮
○奥野政府委員 競馬会の問題につきましては、競馬会の施設等の費用につきまして、従来からいろいろ問題もあることを聞いておるわけでございます。従いましてまた納付金の率なりあるいは固定資産税の課税問題なんかにつきましても、従来から紆余曲折を経て参ったわけでございます。当初政府が計画いたしました通りには参らなかったわけでございます。今回幸いにして当初政府が計画いたしました通りの案にいたして参ったわけでございます。納付金の問題もすべて競馬施設等の改善費などについて、農林省が適当な監督を加えているものだ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/160
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161・北山愛郎
○北山委員 競馬会についてこういう措置をするならば、先ほど申し上げた府県等の公営電気事業についても、交付金を市町村の方へ出すなら、やはり国の方でも何とかそのかわりにめんどうを見るというようなことも、これは当然考えてしかるべきものだけれども、公営電気についてはそんなことはさっぱり考えていない。どうも競馬会だけやって、しかもそれが納付金の方で国に納めるよりもうかってしまうというのは、どうも受け取れないのですが、競馬会がその経理が困る、事業の運営が困るというような何か特別な事情でもおありなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/161
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162・奥野誠亮
○奥野政府委員 二十九年でありましたか、日本競馬会法案ができましたときに、固定資産税を課し、今度改正しようとしておりまする納付金の率で納めてもらう、こういうことにしておったわけであります。その際も私たち競馬施設の改善について、多額の経費を必要とするのだということをいろいろ御議論のあったことを承知いたしております。しかし国会において固定資産税を課さないとするかわりに納付金率をお上げになった。しかしやはり地方団体において固定資産税は課したい、そのかわり国会修正で行われました納付金率の引き上げは引き下げる、もとの線に戻すということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/162
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163・北山愛郎
○北山委員 大体私の考えておったこまかい点については以上申し上げた通りでございますが、一つ最後に大臣にお伺いしたいのですが、先ほど地方税の改革についてはまだ何ら成案を得ておらない、これは地方団体の地固めが先である、こういうようなお話でありますが、そういたしますと、昭和三十二年度において、その地固めの方へ財政需要額がふえないようにするという御方針であるかどうか、もつぱらそういうふうなことで財政需要額を三十一年度のままで一応くぎづけにするというような御方針で進むつもりであるか、これを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/163
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164・太田正孝
○太田国務大臣 三十二年度につきましては、まだ計画を立てておりませんのでございます。今年度におきまして地固め政策を続けておる。三十二年度につきましては諸般の情勢を調べた上できめるということを、先ほど来申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/164
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165・北山愛郎
○北山委員 ただ地固めが先だ、しかも三十一年度でそれをやるのだということは、やはりその結果が出てくる三十二年度においては、三十一年度の地固めによって財政需要を押えていくというような御方針に私どもには聞えるのですが、それともまた先ほど門司さんもお伺いしたのですけれども、たとえば地方団体の公債費等について何らかの処置をする、いわゆる財政需要額ですね、財政需要である公債費——公債費というのは元利償還です。元利償還について、三十二年度については何らか手をつける、そういうことをやらなければ、財政需要額が減らないのであるから、やはりまた新税等の措置をしなければならぬ。毎年毎年元利償還が百億くらいずつふえていくのでありますから、それに見合うように今年の措置のように新しいいろいろな税金をかき集めて百二十億ばかりふやさなければならぬということになるわけです。もしそれをやらないとするならば、この公債費の増高というものを押えなければならぬ。だからこの公債費についての何らかの措置をする考えであるか、それらの点は大体お考えがあると思うのですが、その大体の御方針を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/165
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166・太田正孝
○太田国務大臣 これはもうすでに申し上げたことでございますが、三十二年度以降六百億以上にこさないことでありますとか、金利低下の情勢に応じてそれも公募債と政府資金とともにその方向に進めたいということ、並びに起債につきましての方針もなるべく償還方針というものをしっかり立てさせてやっていく、この三つの方向で今進んでおるわけで、かようにいたしまして総額がふえないように、それからまた公債費の負担がふえていかぬように、はなはだ消極的でございますが、これだけの計画は進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/166
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167・北山愛郎
○北山委員 そうしますと公債費は六百億で抑えていこう、従ってそれは方法としては借りかえもあるでしょうし、いろいろな方法があるでしょうが、それで押えて、三十二年度においてはやはり六百億以内に置くという御方針のようでございます。その他先ほど門司さんからも新税の話があったのですが、新税については考えていない、こういうお話しで、税制改革については、これから根本的に深く掘り下げて御検討するということで、成案がないというお話でございますが、そういたしますと、先般与党の発表として出されておる分についてはどうなんでございましょう。すみやかに遊興飲食税等について、あるいはその他の点について相当具体的な公約と言いますか、改正をやるという内容を盛ったものを持たれておるように思うのですが、これについては大臣は賛成していないのだ、こういうように考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/167
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168・太田正孝
○太田国務大臣 まだ出ておらぬことでございますが、附帯決議等において御要求がありましたときには、その趣意を奉じまして、よくきわめまして善処するつもりであります。私はそれ以上には何もまだ申し上げておらぬので、またこの委員会に公然と出ている話でもございませんので、私どもとしてはそれだけのことを申し上げておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/168
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169・門司亮
○門司委員 この機会にさっきの続きみたいですが、特殊のものについての考え方について、この委員会で一応お話申し上げたことがありますが、旧軍港に対する処置です。これはやはり国の財政計画で一つ考えてもらいたい、私はこう思っておるのですが、それは御承知のように、少し詳しく申し上げますと、佐世保、呉、横須賀、舞鶴という四つの軍港については、大体十八年くらいからずっと統計を見てみますと、昭和二十年まで、戦争の終りまでに佐世保が大体平均して一年に二十二万円、呉が大体三十二万円ないし三十三万円、横須賀が二十七万円くらい、それから舞鶴は昭和十九年には十八万五千円しか出ておりませんが、二十年には四十三万六千円出しておる。従って大体平均の数字というのは二十万から三十万の間が毎年補助されております。しかしこれは海軍の経理局から出ておった海軍助成金と称するものであって、算定の基礎は何もないのであります。従って戦争後におけるこれらの軍港の処置としては、当然運輸省港湾局が準特定港湾として転換助成に対する処置をとらなければならないことは法律できまっております。ところが調べてみますと運輸省は何もやっていない、こういうのです。法律はできているのだが、港湾の転換には何ら助成金の措置をとっていない、こういうのです。従って旧軍港が大きなものを抱え込んでおって、その中でも舞鶴は駐留軍もこれを使っておりませんし、事実上どうにもならない形に置かれております。従っていわゆる旧軍港を準特定港湾として転換に伴う処置は当然運輸省がとるべきであるが、これがとられておらない現状におきましては、これを転換使用することのできる、いわゆる軍港を商業港なりあるいは何かの港に改築するなり何かして、転換ができるような措置を政府はとっていくか、さもなければこの場合には従来の交付金と同じような形で、何らかの援助をすべきではないかとわれわれは考えておるのでありますが、これに対する大臣の所見を一応承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/169
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170・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は、今回の国有資産等所在市町村交付金法の直接の対象になりませんので、とりあえず今年度の措置といたしましては特別交付税等におきまして、旧軍港都市に対しましては、今お述べになりましたような事情を考慮して、相当処置をいたしたつもりでおります。しかし今後の問題につきましては御指摘のように確かに問題がございますので、十分検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/170
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171・門司亮
○門司委員 これは検討するというだけではなくて、ことし多少処置はされておるようです。数字も私は存じておりますが、幾らか色をつけたという程度であって、大したものじゃないと思うのですが、行政処置で考えられるのか、何とか立法処置をお考えになるのか、その辺の構想がもしあったら、もう一度お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/171
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172・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 これはまた税制関係の問題とも関連をいたしまして、本年さらに調査会等においても研究してもらいたいと思っております。もし適当な結論が出ますれば、立法上の問題として解決をいたしたいと思いますが、もし適当な立法上の措置がとられ得ないような状況でございますれば、行政上の措置において考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/172
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173・門司亮
○門司委員 これも大臣に方針を一応聞いておきたいと思いますが、この委員会で前に一応申し上げて、はっきりした答弁を得ておりませんので、この機会に大臣から、はっきりした答弁をお伺いしておきたいと思うのです。それは、最近各地にあります例の地盤の沈下に対する対策であります。これも現在までは実際の状態は、その都市あるいはその地方の公共団体が自分の負担において仕事をいたしております。ことにはなはだしい例を申し上げますならば、例の尼崎のごときは、財政事情からいえば明らかに富裕団体であります。ところが防潮堤をしょい込むということになって借金をうんとしょって再建整備を受けなければならないだろうというはめに追い込まれております。これらは全く気の毒な状態でありまして、この地盤の沈下は例の工業用水をあまりくみ上げるから、そういうことになったのだという説もありますが、私は必ずしもそうじゃないと思う。私の住んでおる横浜、川崎の海岸地帯も毎年下っております。すでに一メートル以上下っておる所もありますが、別に工業用水をくみ上げておるというものもあまりないようですが、下っておる、従ってこれらのものを、国は一つの災害と見て処置をするかどうかということも、一つの大きな問題であります。これは一つの自然の現象からきた災害だと見る方が正しいと私は思う。何も暴風雨、地震だけが災害ではないと私は思う。だから結局こういう問題については国が何らかの処置をとらなければならぬ。これを地方団体に負担をかけるということになると、尼崎市全体が引っ越しでもしなければ片づかない。ほうっておけばみな水びたしになるということであります。ですから、これらについても何らかの法的措置を講ぜられるということが、この際必要ではないかと私は考える。こういうものに対して、大臣がせっかく来年から税制改正をきちんとやるというなら、これも一つお考えを願っておきたいと思うのですが、この際大臣に一応御所見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/173
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174・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの点も地方問題として重要な点でございまして、尼崎あるいは小松島等におきましては、地盤沈下による非常に大きな地元市町村の負担あるいは府県の負担というものがあるのであります。これにつきましては、やはり特別交付税におきましてこれは相当見ておりますが、不交付団体等につきましては、その辺の見方が必ずしも十分ではないと考えております。将来の問題といたしましては——将来の問題と申しますよりも、特別交付税のほか、それに伴って生じます復旧事業あるいは地盛りと申しますか、そういう関係の事業のためには相当起債を見ております。しかし根本的にはお話のように、これを一つの災害と見て、一般の災害と同じような国の特別の助成措置を講ずるかどうかというようなことも確かに問題だろうと思います。これらの点も将来の研究問題として考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/174
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175・門司亮
○門司委員 そういう抽象的なことではしようがない。問題はやはりここまでくれば立法措置を講ずるとかなんとかいうことをしてやらないと、いつまでたってもこういう問題は大きな問題として残っていくと思う。そうしてさっき申し上げましたような矛盾が出てくるのです。特別交付税で見ているというけれども、おそらく不交付団体であればあまりめんどうを見ていないと私は思う。それではそれを借金してやっていけということについては、それをやったことによってこれを償還するだけの財源はここから得られないと思う。これは一つの防潮施設であって、積極的に償還財源を生み出すだけの仕事はできないと思う。だから、どうしてもこういう地区に対しては、特別の日本の現状から見て、大きな国の災害ですから、国の災害と言えなければ災厄と言ってもいいかもしれませんが、いずれにいたしましても、これは地方の責任に所属するものではないと私は考えるのです。従って、やはり国が法律でめんどうを見てやるというような、親切な態度がこの際必要ではないか。これはそうたくさんはありません。ごく限られた地区だけでありますから、ぜひこの際立法措置でこれを何とか考える、というよりも、立法措置をするというように御答弁願えれば非常に幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/175
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176・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は、先ほど特別交付税あるいは起債等において見ておると申し上げましたが、さらに現在の制度におきまして、災害復旧と認められるものにつきましては、御承知のように、災害復旧に要しました起債の元利償還費は、基準財政需要額の中で見ておるわけでございますから、それによって調整ができるわけであります。しかし災害と認められない部分の地盤沈下の問題、これはひとり公共団体の問題だけではございませんで、個人の家屋等につきましても、地盤沈下のために特別の費用を要するというような問題があるわけでありますが、そういうような問題になりますと、やはり全体としてそういう地盤沈下という問題をどういうふうに取り上げていくか、こういう問題で相当広範な影響を持つ問題でございまするので、御趣旨の点は十分一つ尊重して、今後検討したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/176
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177・門司亮
○門司委員 御趣旨の点とは言われますが、問題になりますのは、個人のものだと言いますけれども、実際の実情からいいますと、現実にたとえば私の住んでいる横浜で、一メートル以上の地盤沈下が現実問題として出ております。そうしてこれは、ある程度地殻の変動だと見ることが正しいと私は思うのです。大臣でもごらんになればすぐわかると思いますが、横浜で問題になっておりますのは、芦穂崎という小学校の校庭がちょうど地震のときと同じように一寸ないし二寸ぐらいの口をあけておりまして、そうしてそれは直線の線を引いており、その上に立っている校舎は一尺ぐらい割れて開いております。これは戦争前に補強して、辛うじて校舎だけは立っているが、そういうことが起っている。そうしてその地域については、やむを得ず——これは焼けたから幸いだといえば幸いですが、川からサンドポンプで土砂を上げて、大体三尺ぐらい土が上っている。これらの費用は地主に持てといっても、なかなかできる筋合いではございません。結局市なり県なりがこれを負担するという形でなければどうにもならなくなってくる。そういう問題は、今のお話のようにもちろん個人の問題にも上って参ります。下った土地を引き上げるということは、個人の所有である場合は、個人の負担にある程度帰属することもいいかと思います。従って個人の問題も当然出てくると思いますが、いずれにいたしましても、これを単なる地方の負担と個人の負担だけにかけておくということについては、どうも私どもは解せない点があると思う。従ってそういうものについては、行政措置でなくて、でき得ればぜひ法律的に何らかの処置をしてもらうということでなければならぬと思う。これは実は地方の繁栄等についても、非常に大きな影響を持っているのです。これを単なる個人の被害であるとか、地方の自治体の被害であるというようなことに考えないで、総体的に考えまして、被害を消極的に防止することのためには、防潮堤その他が要るし、もし積極的に被害を除こうとすれば当然土盛りをしなければならない、こういう二つの問題がある。いずれにいたしましても、やはり国が立法の処置によってこれを解決することが正しいと思いますので、せっかく地方の自治体を完全にしようとするなら、そういうものについてもこの際十分の御考慮をわずらわしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/177
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178・大矢省三
○大矢委員長 それでは、これはごく簡単に済むと思いますから、電気ガス税だけきょうやって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/178
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179・北山愛郎
○北山委員 電気税についてはこの前もいろいろお伺いしたのですが、いろいろな業種について相当な免税措置が行われており、その金額もばかにならない。電気ガス税というのは二百億くらいになってきたわけです。ですから、地方税の中で非常に大きな部分を占めておるので、その中で九十億ばかりの非課税があるのです。それで相当問題なんですが、私のお伺いしたいのは、そのようないろいろな生産事業等に非課税にするならば、やはりいろいろな公共用の電気、たとえば道路の照明用の電気等については、当然非課税にすべきものじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/179
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180・奥野誠亮
○奥野政府委員 道路の照明用電気を部落関係者で負担しているようなものもございます。そういうものにつきましては、むしろ私たち電気ガス税の問題でなしに、電気料金そのものの問題じゃないだろうかというふうに考えているわけであります。あまり小さいものを一々区分して課税する、課税しないということになりますと、税務行政が非常に繁雑になってしまうわけでございます。一割の負担でありますので、必ずしもいいものだと思っておりませんけれども、むしろ電気料金の政策の問題じゃないだろうかというふうな考え方をいたしているわけでございます。
なお先ほどの門司さんの御質問の、住民税の所得割の問題でございますが、国税の所得税の中で、市町村民税の方では課税の対象にならないものに、こういうものがございます。法人が株式配当を交付します場合に、源泉で一〇%ないし一五%の所得税を徴収しております。この配当が法人に交付される場合に、法人の所得でありますから、市町村民税の場合には所得割の中に入ってこないわけでございます。こういう分が七十八億ございます。それから原稿料等で源泉で徴収される分、これは全部把握されることが困難でございます。確定申告者に属するものでありますと把握できるのでありますけれども、源泉徴収のしつぱなしであります場合には、住民税の所得割の中では課税の基礎につかまえることが困難でございます。こういう分を四十六億二千万円見ております。それから国税の中で利子税等、地方税でございますと延滞金とか延滞加算金とかいうようなものが、国税でございますと全部所得税に入っているわけです。こういうものはやはり所得割の基礎にならない。そういう関係から御疑問のような問題が起きてきたのじゃないだろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/180
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181・北山愛郎
○北山委員 今の電気税についての奥野さんの御意見は私も同感なんです。そこではからずも意見を同じゅうしたわけでございますから、これは自治庁の方から通産省、関係官庁に対して、公共の道路に、特に個人が使っている場合は別といたしましても、市町村等の公共団体あるいは部落会というようなものが使っているような道路照明用の電気については、これはもう無料だ、こういうように通産省に交渉なさる意思がないかどうか。私も同感なんです。これは一割くらいな税金を安くしてもらっても大してありがたくない。全部ただにしてもらう方がいい。そのくらいなサービスを電力会社がやってもいいんじゃないか、こういうふうに思うんですが、そういうお考えがあるかどうか。やってみる気持があるかどうか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/181
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182・奥野誠亮
○奥野政府委員 昔東京市が配電事業をやっておりましたときには、低額所得者、特に生活保護を受けているようなものについては、定額一灯までは料金をとらないというような社会政策的な電気事業の経営のやり方をやっておったわけでございます。今のような点につきまして、通産省がどう考えておりますか、御意見を伝えてよく相談をしてみたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/182
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183・北山愛郎
○北山委員 これはばかにできない負担なんです。私も町の仕事をやっているときに、各町内で負担しておる電気料金について、これを全部町で負担するということにしてみたわけです。そういたしますと、相当な金額になって、なかなかこれを維持していくのは骨の折れる仕事なんです。しかし御承知のように大都会は別としても、地方の都市などは非常に暗くて、防犯上にも非常に困るのであります。こういうようなものをもしも無料にするというふうなサービスができるならば、明るい町が文字通りできるのじゃないか。私どもは今度の修正案の中では、電気税を無料にする、非課税にするというようなことを考えておりますけれども、これくらいじゃ足りないので、一つこれは自治庁から御努力を願って、これを実際にできるようにしていただきたい。それを希望として申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/183
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184・五島虎雄
○五島委員 大臣に質問いたします。ここで、税制のこととは別にちょっと聞きたいのです。今度はずいぶん政府もかんを立てられて、いわゆる組合の春季闘争について、革命であるとか何とか銘打って、ずいぶんそれに対する対策を講ぜられたわけです。ところがいわゆる春季闘争という賃上げ闘争については、民間労組の賃上げ要求は大部分解決を見ました。それから三公社五現業に対しても、いろいろの紆余曲折の末に、これまた解決を見ました。ところが国家公務と地方公務員に対するところの賃上げの要求は、いまだ解決を見ていない。ところが先日の新聞によると、国家公務員に対しては今回は何ら考慮しないというような閣議の決定が行われたやに聞きます。従って、当時質問をするのが当然だと思いましたけれども、北山さんや門司さんからも、大臣の出席が悪いので何にも聞けないじゃないかと言われたように、私も聞けない。従って本日委員会でお聞きいたしたいと思いますのは、大臣は一体地方公務員に対するところの給与の要求に対して、どう考えているかということを聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/184
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185・太田正孝
○太田国務大臣 昨年の年末のときにも、同じような問題が起りましたが、私が申し上げるまでもなく、地方公務員は国家公務員に準じてという考え方でおりまして、今の問題についても同様に私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/185
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186・五島虎雄
○五島委員 そうすると地方公務員の問題については国家公務員の問題に準じて、国家公務員に支給されたならばそれに従属して地方公務員にも考慮するというような意味として解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/186
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187・太田正孝
○太田国務大臣 私はそれを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/187
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188・五島虎雄
○五島委員 期待するということじゃなくて、積極的に地方公務員の生活というような状況を見て自治庁長官はこう考えるというような発意的な意見は、閣議に述べられなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/188
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189・太田正孝
○太田国務大臣 この前のときにも私は期待するという言葉を使いまして、地方に必ずこれを実行するようにということを、附帯決議でございましたか、申されたときにお答えいたしまして、また三十年度の補正の場合においてそれを満たしたようなわけでございます。私がこれを幾ら出すということになると、大蔵大臣と相談しなければできない問題もございましょうし、いろいろ問題がありますので、私としては国家公務員にやる場合においては、当然地方公務員にやるものと信じておりますから、口には出しませんが、御趣旨のような気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/189
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190・五島虎雄
○五島委員 そういうような気持はある、ただしその気持は国家公務員に支給されて、初めてその気持が発動されるというお考えになるわけですね。そうすると現在においては、まだ国家公務員に出さないんだから、地方公務員にも何ら考慮する必要はないということのようですが、大臣は地方公務員の要求は至当であるけれども、国家公務員に出さないから出さないんだという気持でおられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/190
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191・太田正孝
○太田国務大臣 国家公務員に対して出さないことに閣議できまっておりますので、それ以上私は地方公務員を特別に考えるという立場でなく、国家公務員に出すならば出さなければならぬ、これは通じた考え方であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/191
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192・五島虎雄
○五島委員 その気持、その言葉の意味はわかるのですが、ところが地方自治団体の長、自治庁の長官として、大臣として、当路の要職にあられる人が、地方公務員に対するところの生活の現状というものに対しては出さぬでもよいとお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/192
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193・太田正孝
○太田国務大臣 給与の問題については、給与担当大臣として倉石君が政府全体の考え方を統一しておるのであります。ただいまのところ政府としては国家公務員及び地方公務員に対して、この際特別なる給与はいたさない、こういうことを決定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/193
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194・五島虎雄
○五島委員 そうすると国家公務員、地方公務員に対しては、現在のところ出さないというその根拠、閣議決定されたところの理由をわれわれにわかるように御説明を願いたいと思います。かつて二月二十一日でしたか、三月二十一日でしたか、自治庁長官は知事合議を招集されて、何か新聞の伝うるところによれば、地方公務員の春季闘争に対するところの対策、秘策を授けるのじゃないかというようなことがうたわれておったわけでありますが、そういう秘策を授けられたのでありますか、そうしてまた閣議決定において、現在の段階においては出さないでもよいということにされたその理由と根拠を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/194
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195・太田正孝
○太田国務大臣 私は知事会議においてかかることを申し上げておりません。また政府としてこの給与対策をきめましたのは、現状においてはその必要がないという給与担当大臣の御説明がございましたので、私どもはそれを了承いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/195
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196・五島虎雄
○五島委員 出せないというんだったら出せない理由があると思うのです。国家経済が非常に窮迫しているから給与を上げたくないとか……。ところが現段階においては上げないという給与大臣の主張だから、その通りに賛成したと言われることは、自治庁長官の意見は何もないということになるわけです。従ってそれに賛成された立場の中に、地方公務員の給与は高過ぎるのかどうか、あるいは低過ぎるのかどうか。高過ぎるなら高過ぎるからやらなくてもいいという理屈と、給与大臣の主張があってそれを了解されるならば、それに賛成されるであろうと思うんですけれども、何も理由がなくて、出さぬでもいいよと給与担当大臣が言われるから、それに対して賛成だと言われるならば、数十万の地方公務員の生活ということに、自治庁長官は何も思いをいたさないということになるんじゃなかろうかと解釈されるわけなんですが、その理由があるでしょうから、一つはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/196
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197・太田正孝
○太田国務大臣 私は国家公務員と同様に取り扱うべきものと考えているので、地方公務員が悪くなっていいなんということを考えたことは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/197
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198・五島虎雄
○五島委員 地方公務員と同様に国家公務員も考えるというように、その点については自治庁長官としては言ってもらいたいわけなんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/198
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199・太田正孝
○太田国務大臣 地方公務員と同様に国家公務員を考えるというのは、私は逆でございまして、国家公務員の方がもしよいならば、それに必ずならわなければならぬ、——去年の年末手当のときも同様でございまして、地方が置き去りにざれちゃいけない、少くとも官吏として、同様に準じていかなければならぬ、右へならえの方式で行こうというのが私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/199
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200・加賀田進
○加賀田委員 給与の問題が出ましたが、太田長官の地方公務員に対する給与の考え方というものは、根本的に異なっておると思います。国家公務員は人事院の勧告に基いて政府がそれをいかにするかということをきめるわけですが、地方の公務員は地方の人事委員会あるいは公平委員会が、適正に地方公務員の問題を審議して決定するわけなんです。そういうものを、国家公務員に右へならえが正しいという長官の考え方は、地方公共団体の自主性を侵すことになると思う。それはおかしいと思うのです。地方公務員法を見てもらったら、第二十六条に、人事委員会は年に一度、いろいろな情勢を勘案して給与の値上げが適当であったという場合には勧告する、という別個の条項があるわけです。それに基いて地方議会が自主的にそれをきめるわけです。しかもその給与をきめる基準というものは、もちろん国家公務員の給与条件を考えなければならないけれども、そこに住んでおる民間団体の給与と物価指数との三つが要素になってきまるわけです。それを国家公務員に右へならえをしなければいかぬというような考え方では、地方公務員はたまったものじゃないと思う。もう一度その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/200
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201・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの点でございますが、御指摘のように地方公務員法の二十四条に、地方公務員の給与に関する一般原則があるわけでございます。この一般原則では「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」それから最後に「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」この両方の規定があるわけでありまして、御指摘のように地方公務員の給与はあくまでも自主的に各団体が条例で定めるということでありますが、その条例を定めます場合には、最初に申し上げました原則に基いて定めなければいけない。これは国なり他の地方団体の公務員の事情を考慮して定めよということは、今大臣が申し上げましたような趣旨で、国家公務員と地方公務員との間においては、おのずからなる権衡上の配慮を加うべきものである。そういう建前で条例は作られる、こういうのが原則としてうたわれているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/201
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202・加賀田進
○加賀田委員 それは私の説明した通りだと思うのです。そういう意味なんです。だから大臣としてはやはり地方公共団体が、今言った四つの要素を中心として賃金の値上げをしなくてはならないということで地方議会が決定されれば、その財源処置は極力努力するということが正しいと思います。国家公務員がそのままであるならば、地方公務員は現在のままでいいのだ。こんな大臣の答弁では地方団体の自主性というものはそこなわれて、大臣の支配に基いて地方公務員の給与までが決定されるという形になる。そういう思想であっては地方団体はたまったものではないと思う。大臣もう一ぺん答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/202
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203・太田正孝
○太田国務大臣 私の申し上げましたのは、国家公務員の方がよくなるという場合に、これに置き捨てられることはないようにという意味でございまして、決して悪く持っていくという意味ではございません。あしからず御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/203
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204・五島虎雄
○五島委員 大臣が言われることはよくわかるのです。ただ国家公務員と地方公務員のバランスをとっていくのだという親心を持っていると言われる心はわかるわけです。ところが今国家公務員もこれについては出さぬでもいいと閣議決定された。そうすると大臣が言われるように、国家公務員から地方公務員は置き去りにされないのだから、これでよかろうという気持、その気持を聞いているわけです。これでいいのかどうかということです。今鈴木次長が言われたように、また加賀田さんが質問されたように、そういうようなことならば、そういうことがあるということを自治庁長官はどう考えられているだろうか、そして鳴りをひそめて、出さぬのだから黙っておろうというような気持でおられるから聞くのです。そして地方の公務員、いわゆる自治労働組合は各都道府県や市町村、あるいは議会に向って、生活が苦しいから上げてくれろといって、ノイローゼにかかるくらいに一生懸命にいろいろの行動に出ているわけでしょう。それをじっとしてくさいものにふたをしろといろので、黙ってそのままにしておいていいだろうか。閣議決定で現段階では出す必要がないときまったから、おれもそう思うのだというようなことでは、地方団体としては非常に困るのじゃなかろうか。従って国家公務員に出さないときまったから、自治庁長官の太田もそう考えるのだという説明で終るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/204
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205・太田正孝
○太田国務大臣 私の気持は先ほども申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/205
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206・大矢省三
○大矢委員長 それでは次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこの程度で散会いたします。
午後八時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03119560405/206
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