1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月九日(水曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君
理事 高橋 等君 理事 保科善四郎君
理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君
理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 北 れい吉君
薄田 美朝君 辻 政信君
床次 徳二君 福井 順一君
松浦周太郎君 粟山 博君
山本 勝市君 横井 太郎君
茜ケ久保重光君 井手 以誠君
稻村 隆一君 片島 港君
下川儀太郎君 西村 力弥君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
農林政務次官 大石 武一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
特許庁長官 井上 尚一君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房文書
課長) 村田 豊三君
農林事務官
(大臣官房総合
開発課長) 庵原 文二君
専 門 員 安倍 三郎君
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五月八日
委員大村清一君及び辻政信君辞任につき、その
補欠として福井順一君及び松村謙三君が議長の
指名で委員に選任された。
同月九日
委員松村謙三君及び林唯義君辞任につき、その
補欠として辻政信君及び山本勝市君が議長の指
名で委員に選任された。
同日
委員山本勝市君辞任につき、その補欠として林
唯義君が議長の指名で委員に選任された。
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五月八日
経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一六七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一五四号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一五五号)
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001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/1
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002・受田新吉
○受田委員 今度の改正の主目的であるところの特許庁の内部組織の整備で問題になることは、発明及び実用新案の審査に関する事務が増大したということになっておるが、これは実情はどのようになっておるのかを御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/2
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003・井上尚一
○井上政府委員 お答え申します。最近の特許実用新案の出願の状況につきまして申し上げますと、去年、昭和三十年は、新規の出願件数について申しますれば、特許は約三万五千件でございます。それから実用新案は約六万件、特許庁としてはこのほかにもちろん意匠、面標というのがございますけれども、これらを合計しますと約十四万五千件ということでございますが、なかんずく特許実用新案の最近の出願の増加は非常に顕著であります。これを戦前の昭和七年ないし十一年平均と比べてみますれば、大体特許につきましては、昭和三十年で二二〇%、すなわち二倍以上に相なっております。実用新案につきましては一六四%、すなわち六割四分の増でございます。こういう傾向と並行いたしまして、最近毎年人員の増加も続けて参ったのでありますが、昭和十四、五年当時と今日の状況、新規の出願の状況と定員の方とについて申しますれば、新規出願が約倍になっておるのに対しまして、定員の方は、昭和十四、五年に比べまして今般八十名の増加になりましても、なおかつ百数十名ほどの減少という状況でございます。こういう状況で、審査官をわれわれとしましては督励して審査に精励しておるわけでございます。そういうように、最近の新しい特許初め実用新案がどんどん激増の傾向にあるというので、従来は審査第二部という一部でもって全体を統轄しまして、特許実用新案の審査をやって参りましたが、どうしましても一部長だけでは全部の監督、指導が十分でないと考えまして、今般戦前にもございました機構を考えまして、ここに審査第三部と第四部を増設をしまして、結局特許と実用新案につきましては審査第二、第三、第四とこの三つの部で機械的なもの、電気的なもの、それから化学関係というふうな、大体そういった分担でもって、一層審一査の迅速適正を期して参りたいというのが、今般の機構改革の中心のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/3
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004・受田新吉
○受田委員 行政機関職員定員法の上に現われた変動はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/4
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005・井上尚一
○井上政府委員 最近の定員増加の状況を申しますと、かりに昭和二十五年以降を申しますれば、昭和二十五年には特許庁の定員全部で六百五十九名、これが二十六年に六百九十五名、二十七年に六百七十二名、二十八年が七百名、二十九年が七百三十五名、三十年にはこれが七百六十五名となりまして、今般三十一年にはこれの八十名増加、合計八百四十五名というのが、最近の全体としましての定員の推移であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/5
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006・受田新吉
○受田委員 その定員の三十一年度分の八百四十五名、八十名の増員には、少し年度を越えてこの法案がおくれておりますが、それはどういう調整をされることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/6
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007・井上尚一
○井上政府委員 さしあたってとしまして五十名程度を採用しまして、数カ月間の経緯、すなわち、九月、十月の候に追加しまして三十名君度の増員を考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/7
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008・受田新吉
○受田委員 これは公布の日をもって施行期日にする法案だと思うのです。そうしますと、この定兵法の上に現われた人員とその予算とは——今九月、十月、ころから大半を採用するようなお話でありましたが、予算の上ではその定員をどういうふうに見たわけでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/8
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009・井上尚一
○井上政府委員 予算の関係上も時期を区切りまして定員増加を見ておる、そういうふうな組み方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/9
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010・受田新吉
○受田委員 その時期は、八十名の増員をいつから何名、いつから何名と予算の上の数字として現われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/10
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011・井上尚一
○井上政府委員 今そのはっきりしました時期と数字につきましてはちょっと正確な記憶がございませんですが、大体予算とこちらの実際の定員とが並行するような組み方になっております。言いかえれば、予算の組み方と定員の増加の方とが食い違いないようにわれわれの方では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/11
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012・受田新吉
○受田委員 そうしますと、この江津がいつから実施せられると予定して予算を組まれたのか。そして、たとえばこの法案の通過するのが今月末として、そのときに何名採用、それから十月に何名採用、こういうふうにすればそれに伴って予算の明瞭な数字が出るわけなんです。これを見ると法律の公布がいつになるかがまだはっきりしないで予算が立てられておるのか、あるいはもう公布があったものとして予算が立てられておるのかわからないので、そこをはっきりしていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/12
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013・井上尚一
○井上政府委員 この通産省設置法改正案は第三部、第四部というような機構の改正案でございまして、定員の増加の問題とこの機構の改正の問題とは切り離して考えてよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/13
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014・受田新吉
○受田委員 そうしますと、定員はすでにもう年度の初めからきめてあってただその間の機構を差し繰りするだけということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/14
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015・井上尚一
○井上政府委員 おっしゃる通りでございます。すなわち、現在は第二部が非常に膨張した形になって、定員の方は増加になっておるが、機構の方が従来通りというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/15
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016・受田新吉
○受田委員 そうしますと、長官戸房の職員定数がそれぞれの部へどういうふうに分配されたのか、各部の定数を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/16
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017・井上尚一
○井上政府委員 申し上げます。三十一年度の予算定員の特許庁内部の配分の状況でございますが、官房が六十四名、それから総務部が工場をも包含しまして二百十五名、審査第一部が百六十九名、審査第二部が三百十七名、審判部が五十一名、資料館というのが二十九名、合計八百四十五名、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/17
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018・受田新吉
○受田委員 これを新しい三部、四部をお作りになられた後の配分ではどういうように考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/18
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019・井上尚一
○井上政府委員 第三部、第四部が増設になりました場合の仕事の配分については、大体の構想を狩っておりますが、具体的な人数の配分につきましては、まだ正確な数字はきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/19
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020・受田新吉
○受田委員 官房を廃止して部を増設されるということになる以上は、それに伴う人員の配置が予定されなければこういう案が私は出ないと思う。案を作っておいてからあとから適当に人員を考えるというのでなくて、この部にはどういう仕事を持ってきて、それにどれだけの人員が要るかということは、当然同町に考えられて法案をお出しにならなければ、精密な法案とは言えないと思うのでありまするが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/20
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021・井上尚一
○井上政府委員 現在審査第二部には農水産、有機材料、無機材料、繊維、機械、電気、運輸建設、通信測定、日用品、そういう九課あります。今般もし法案が通過しまして、第三部、第四部の増設を見ることになりましたならば、審査第二部で農水産関係、それから機械関係、運輸建設の関係、それから審査第三部の方では無機材料、有機材料、繊維の関係、節四部が電気、通信測定、日用品というふうに現在の各裸にまたがっております事務の分担、配分につきましては、第三部、第三部、第四部の配分は予定しておりますが、大体について申しますれば、あまり三つの部の間に人間の不均衡、不つり合いがないように考えつつ、現在各課に所属しておりますものが、今申します事務の配分に応じまして、第二部、第三部、第四部の所属ということに相なります。もっとも今般課長制度はこれを廃止しまして、これを審査長制度に切りかえましたので、課という名前は第三部、第四部にはなくなりまして、全部審査長という機構でございますが、審査第二部だけには第二、第三、第四の特許、実用新案関係の三つの部を横断的に統轄する関係上、管理課という課を設ける予定でございます。
なお定員について今まだはっきり配分はきめていないと申しましたが、大体の見当は今申しましたような、この事務の配分に応じまして、第二部は百十数名、第三部が九十名、節四部が百十数名、そういう配分を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/21
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022・受田新吉
○受田委員 第三部、第四部には課長を置かない、ただ管理課が一つ統轄する意味で置かれるということでございますが、これは国家行政組織法の全般的な立場からの、課長制の廃止という政府の方針とタイアップするものですか。あるいはあなたの方で今度別に考えられた問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/22
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023・井上尚一
○井上政府委員 おっしゃる通りでございます。大体課長の数をこの際減らすという方針に応じまして、この際特許庁の機構としましては、その事務の性質上課長制度を審査長という制度に切りかえましても支障がないという判断で、こういうふうに改正をしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/23
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024・受田新吉
○受田委員 今回の課長の定数の縮減方針に基いて通産省全体での課長の整理数及び特許庁としての整理数をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/24
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025・岩武照彦
○岩武政府委員 通産省では、今回の課の整理の対象になりまするのは、本省と外川であります特許庁及び中小企業庁であります。当時課の数が百二十九ございます。その二割といたしまして二十五減少したのであります。その中で特許が課を八つほど減らしております。その他は本省の方と、それから中小企業庁は差し引き増減ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/25
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026・受田新吉
○受田委員 石橋通産大臣御苦労でございます。大臣がお出でになる機会に一つ伺いますが、この法案については、最近における発明及び実用新案の審査件数が非常にふえたので、しかも中には質のいいものもあって、文明国らしい申請がどしどし出て大いに歓迎すべきだという発言があったわけです。われわれも特許庁の仕事の大いにふえるということは、これは国民の科学愛好心の現われでもあるし、大いに敬意を表するわけなんです。通産大臣は政治力も党内において非常に高い地位にある。常に鳩山さんの跡目相続の話にも上っておる方でもありますので、あなたの御努力によって、この通産行政は非常な高いウエートが置かれると思う。わけても特許業務というものが一層進むというのは、これは文明のバロメーターとしても十分われわれ了承できることなので、今回特許庁の内部組織の整備と定員増加という措置をとられたことに対しては、もちろん異議を持ちません。むしろまだその人員が少いということに対しては人員をふやすということを協力申し上げたいくらいでございます。ところがお役所の仕事というものは、とかく機械的になりがちでありまして、発明や実相新案の審査を申請されても、それに当る定員が少いというような理由で、これがいつまでも放棄されて、国民の側から見たら、とっくに決定をしていただけるだろうと思うものが、二年も三年もかかっておるという実情であって、この点今回の改正を機として、徹底的に国民の側の期待にこたえてやらなければならぬと思うのですが、大臣とされてはこの発明及び実用新案の審査に関して、あなた御自身は通産行政の中で、これは日本の文明度を示すものとしてきわめて重大なものであるという意味から、いかような見解を持っておられるか、また国際的に見て、諸外国の発明及び実用新案等の問題と関連して、日本の立場はどうあるべきかというような諸点について御構想を拝聴申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/26
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027・石橋湛山
○石橋国務大臣 特許庁の出願件数が非常にふえておることは顕著な事実でございます。ただ過去においては、日本特許庁の仕事の件数は多いけれども、内容はどうもあまりおもしろくないというような批評もありましたが、最近においては内容もだいぶいいものが出て参ったようであります。その点は喜んでおります。なおお話のように、特許庁の仕事が非常に数が多いために、せっかく出願しても時間がかかり過ぎるという苦情もしばしば耳にいたしますので、最近は宮丘としてはなるべく人員をふやさない、あるいは課も減らすという方針でありますが、通産省におきましては、特に特許庁だけは一つ人員をふやすということで指令をいたしておりまして、実際またいろいろの繰り合せをしまして、省全体としては人間をふやさないけれども、特許庁だけは特に人間をふやすというような方針を、もうすでに一昨年以来とっております。実際人員もふえておりますから、だんだんお話のように、事務もはかどるようになるものと信じております。なお一つ今後も続けて特許庁の問題は特別に取り扱いたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/27
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028・受田新吉
○受田委員 アメリカとの行政協定に伴う取りきめで、特許関係の制約があるんじゃないかと思うのでありまするが、これは通産省として、どういうふうに取り扱っておられるのか、お伺い申し・上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/28
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029・石橋湛山
○石橋国務大臣 こまかいことは事務当局からお答えをさせますが、特に制約を受けておるということはないと思います。ただ秘密特許とか、これは一般的な問題である種のものは特別に取扱いをしておるものはございますが、そのために日本の特許事務が制約を受けておる、こういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/29
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030・井上尚一
○井上政府委員 今行政協定とおっしゃった意味が必ずしも明確ではございませんが、おそらく今般調印の日米特許技術上の知識に関する協定という御趣旨であろうと考えます。今大臣から申されました通り、この点につきまして、日本がアメリカから受け入れるにつきまして、特に制約を受けておるということはないのでありますが、防衛目的の関係で、アメリカ政府から日本政府に提供になる技術上の知識、その技術上の知識がこちらに提供があった場合に、その知識に関しましてアメリカで特許の出願が出ておる、その特許の出願に相当する、ちょうど相呼応する出願が同じ内応について日本の特許庁に出願があった場合には、米国における取扱いと同様な取扱いをこちらで与えるという関係でございますが、これはアメリカでは、そういう場合におきましては、いわゆる特許権は与えませんで、出願を秘密の扱いにするという扱い方でございますから、これと同一内容の発明につきまして、日本で特許出願があったり合には、日本の側についてもこれを秘密にするという扱いをしようというのが、今般の日米特許技術協定の特許に関しまする中心の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/30
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031・大坪保雄
○大坪委員 関連してお尋ねいたしたいと思いますが、私は実は思いつきでまことに恐縮でございますけれども、今通産大臣のお話に行政機構改革をやったり、行政整理をやったりして、他の官庁や他の部局で人員を減らしても、特許庁だけはそれをしないつもりだ、むしろふやすつもりであるというくらいなお気持ちでのお話でございましたが、この二、三年間に特許審査官の人員増加というようなことはございましたでしょうか。これは大臣からでなくてけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/31
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032・井上尚一
○井上政府委員 先刻ちょっと申しました通りに、最近数年間の特許庁の定員の増加につきましては、先刻申しましたことを繰り返しますと、二十五年以降、無年の数字をここで申し上げますが、二十五年が六百五十九名、六百九十五名、六百七十二名、七百名…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/32
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033・大坪保雄
○大坪委員 それは審査官ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/33
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034・井上尚一
○井上政府委員 これは特許庁の定員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/34
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035・大坪保雄
○大坪委員 審査官のことをお伺いしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/35
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036・井上尚一
○井上政府委員 今申しましたのは特許庁全体の定員でございますが、その中で審査官と申しましても、特許と実用新案と、意匠と商標、四つがございますが、その四つのうちから特許とそれから実用新案の審査官をピックアップして申しますと、二十五年以降百三十八名、百五十八名、百五十八名、百八十四名、二百二十四名、二百五十四名、本年が二百九十四名、そういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/36
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037・大坪保雄
○大坪委員 これは私があらためて申し上げるまでもなく、少し人員もふやすというようでありまして、その点の御配慮はなされていると思うのでありますけれども、実際上それで特許出願があった場合に、これに対する審査の能率向上の工合、要するに審査のはかどり工合、それがどういう工合になっておりますか。私どもが友人、知人等から依頼されて特許庁にいろいろお伺いなとしてみることがあるわけでありますが、現状では発明特許の請求をいたしまして、約一年間というものはもう全然書類を見ないで、ただ高閣につかねてある。一年間は全然手がつかないという実情であります。おそらく今日は一年以上かかっているのではないか。そうしてその上にやっと審査をなさるということでありますが、御承知のように、特許発明の権利というものは、日本一国だけの問題であれば問題ございませんけれども、国際的に効力を持つものであると私は思う。実例を申し上げて恐縮でありますが、私の友人である機械関係の発明をいたしまして、特許の申請をいたした。これは昨年七月のことだと言っておりましたが、昨年八月にアメリカに参りましたところが、時分の考案したのと同じものが、昨年の七月、彼が渡米する一カ月ほど前に特許許可になっている。これで驚いた。本人は自分の発明したものと同じ発明内容を打つものがアメリカでもなされたというので、いささか得意のようでもありましたけれども、私はその話を開いて非常にこたえたのです。もし日本の私の友人の発明特許の申請が一日でも半日でも早くて、ただ審査の能率がアメリカにおいてよかったがために日本よりも早く特許権が与えられた。日本は一年間も高閣につかねられているがために、審査がおくれて特許権がおくれたということのために、国際的に効力を持たぬということにでもなれば、これは非常な損害じゃないかという感じを私は受けたのです。その点の私は国際関係についての法律上の知識を持ちませんけれども、そういう点から考えまして、発明特許についてはよほど能率を上げるようにやっていただかないと、日本の産業の振興にも非常に大きな影響がある。発明をやるような人たちは大てい貧乏生活に甘んじて——ということは、いろいろの費用をそれに注ぎ込むわけでありますから、貧乏生活に甘んじて、非常に苦心惨たんして発明をなしているが、それが特許庁の能率の上下のために外国によって圧倒されるということは、まことに残念至極な話だと思うわけであります。その点について、大臣がちょうどおいでになりますから、そして大体人員をふやすことも考えているということでありますから、まことにけっこうでありますけれども、今度機構を改革になって、これによっていささかでも能率が上ることになる御計算であるかどうか、そのお見込みを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/37
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038・井上尚一
○井上政府委員 従来も特許庁としましては、審査官を督励いたしまして相当勉強をいたしております。実は戦前と比べますれば審査官もはるかに少い人数でもってその審査の処理件数はかえって逆に非常に多いのでございます。言いかえますれば、審査官の審査の能率は戦前と比べてはるかに上っておるということは、はっきり申し上げていいのでございますが、仰せの通り、今特許出願から出願公告、あるいは権利の設定までには、相当期間を要しております。これは機械、電気、農水産というふうにいろいろ各部門々々によって審査件数と人間との状況が違いますから、一がいには申せませんけれども、平均としましては一年半ぐらいかかっているというのが、実は正直な現状でございます。今後も審査官の数的増加と並行しまして研修を徹底してやるというような、いわゆる能率の増進と申しますか、質的の増強、そういった方面にもわれわれとしましてはいろいな手を尽しつつあるという実情であります。それから、この機構の改革によって能率がどうなるかというその関係について申しますれば、従来は審査上第二部ということで一部長が統括しまして、その下に九課長を擁しておりましたが、今度は三部になりまして三部長ということになりますれば、課長にかわるべき審査長も加わりまして、そこに審査官の教育、指導、監督あるいはその他の点に十分徹底を期していき得る、かように考えております。なお、今、申しましたが、件数が一年間に特許、実用新案を通じまして九万件と申しますれば、結局一日に新しい出願が三百件ずつどんどんどんくるという勘定であります。そして審査官の事務といいますものは、どうせ発明、すなわち特許、実用案としてきますものは、すべて新しい少くとも出願者としては新しいアイデアのつもりでございますから、新しいアイデアがどんどんくる。そしてまた技術の進歩向上につれまして、調査を要する文献の範囲がますます広くなるというわけで、審査官の労働としましては、いわゆる先願主義というのによりまして、逐次順序を踏んで審査をするわけでございますけれども、いつも追いかけられているような、いわゆる切迫火をもって仕事に追われておる。そして一方調査を要する文献の範囲はますます大きい。そしてこれは断わる場合にも、あるいは認める場合にも、相当な理由を要するというわけで、私どもとしましては、審査官の労務といいますか、非常、な苦労について十分な御理解をお願い申したいと考えるのであります。なおついででございますが、アメリカとの比較についてお話があったのでありますけれども、アメリカでは最近——これは欧米各国を通じまして、戦後今日まで、出願の件数に対しまして特許庁の審査の増員がこれと並行しないというので、各国を通じまして審査は非常に停滞しておるという状況であります。米国について申しますれば、最近審査官の数を五割増しまして、そして土曜日出勤をやるというような態勢によって、これまでかかっていた審査期間を半分にする、半分にすることによって一年半ないし二年になるのだ。言いかえますと、従来は三年ないし四年かかっておったというのが、米国の特許の審査の実情でありますので、われわれとしましては、なるべく審査の早いことをもちろん期しておりますけれども、外国と比べておそきに過ぎるということはないつもりであります。大体以上をもって御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/38
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039・大坪保雄
○大坪委員 いろいろ御説明がございましたが、私には弁解の辞のようにのみしか聞えない。審査官が非情に能率を上げられておる、非常に御苦労なさっておることはわかりますが、私はそういうことを言っておるのではありません。アメリカの例をあなたは今お引きになったが、アメリカでは審査請求が多くて、それに対する審査が間に合わないから、昨年かのごときは五割も増員したということをお話しになった。そういう手を打ってもらいたいということなんです。現在の審査官のみに労働をかけておる。しかもアメリカに比べて審査日数が必ずしも多くないというようなことに晏如としておられては国民が非常に迷惑なんです。のみならずこれは産業の振興に非常に影響を及ぼすことなんですから、場合によってそれこそ通産大臣は政治力を発揮されて、審査官の増員のごときは五割でも十割でも増すくらいの決心、覚悟を持って国民の需要に応ぜられる御措置をとっていただかなければならぬ。機構の改革も審査の能率をあげる上において役に立つことならば、いかようにおやりになってもいいのでありますが、ただ機構いじりをやっただけでは国民の今日の需要と申しますか、それに対する熱望、さらに出願というものに応じ得ないのです。一年間もただ受け付けてから何にも見ないで、書類は一年間ほったらかしておるという現状を打破することには、やはり十分力を入れてお考えにならなければいけないことだと思うのです。発明特許をやっておる連中は、特殊の趣味とか特殊の熱情でやってふる。これは子供を生んだような気持なんです。それが一年間も何もしないでほったらかしにされておるというこは、とうていたえられない気持だろうと思う。しかもそれが中にはきわめて優秀なものもありましょうし、わが国の産業の興隆は、こういうところを進めていくよりほかにないだろうとさえ私は思うのでありますから、機構いじりもけっこうでありますし、また現在の審査官の諸君を督励、鞭撻されることもけっこうでありますが、こういう現在の審査官のみに労働をかけるということでなしに、大臣初めあなた方が少し彼らの荷を軽くしながら、しかし国民の要望にこたえるようなふうにやっていただきたいと思うのであります。これは希望でありますが、これだけ一つ申し上げて御善処をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/39
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040・薄田美朝
○薄田委員 それに関連しまして一つ大臣に承わりたいと思います。戦争中にいろいろな発明がありました。その発明というものは町の発明者でありまして、特許局にお願いして審査をお願できる程度ではないのでありますが、それがいろいろ産業あるいは兵器などについて非常にいい発明がありました。当時われわれもそんなことを相談いたしまして、東京都なり府県なりでそういう発明についてはいろいろ奨励金を出したりしていろいろ援助した結果、非常にいろいろな方面に効果があったのであります。これは特許局の範囲ではないだろうと思いますが、大臣のようないろいろな方面に頭の働く方が、そういう方面について一つこれから考えられて参りますと、思いがけないいろいろな発明がある。そういうふうな点について将来考えていただきたいと思うのですが、何かそういうような点についてお考えがありますか。案外なものがありまして、当時東京都とかいろいろな府県などでわれわれが経験したのであります。そういうような人には、当時のお金で数百円とか数千円とか援助いたしまして、それが非常な効果があったというようなことがあったのであります。そういうような点についてお考えいただけますれば、大へんそういうような空気を助成して——今のような状況では特許庁に行ってお願いすることは非常にむずかしいことなんです。何かそういうような点についてお考えでもございますか。また将来何か、現在と将来のことについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/40
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041・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話のように戦時中などにおいて地方などで、だいぶ地方だけの発明奨励展覧会などをやりまして相当な効果があったようであります。現在でも発明協会などはそういう仕事をやる機関だと思いますが、残念ながら実は正直申しますと、今までのところでは国家としてはそういうところにあまり金をつぎ込んでおりません。これは先ほどからの特許庁の問題も同様でありまして——これももちろん金だけではない。審査官にいたしましても人員だけふやしたらそれでいいわけではないので やはり有能な人を養成しなければならないので、急にふやそうとしても人を得るのに実は困難なようであります。ですからそういう点には政府はむろんでありますが、国全体でもっと発明奨励というものには意を注ぐようにしなければならないと考えておりまして、今具体的にどういうふうにやるという考案を通艦名として持っておるわけではありませんが、お話の点もありますから、十分その点に注意して善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/41
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042・薄田美朝
○薄田委員 もう一つ、特許庁についてお願いがあります。私どもも再々自分の選挙区関係、友人から、そういう問題について早く催促してくれということをよく言われるのであります。それで特許庁に参りますとなかなかむずかしいのでありまして、その人に会ったり、いろいろ相談したりすると、なかなか片がつかないのです。そういう人が将来自由に特許庁に入れるように、何かそういう人が来たときにその受け入れ態勢と申しますか、簡単に受付の人が今どういう状態になっておるとか、こういう状態になっておるということを親切に知らせてくれるような、受付とか相談所というものがぜひ必要じゃないかと思うのでありまして、私どもは行政整理をたくさんやって、うんと整理した方がいいと思いますが、必要な点については、今大坪さんも申された通りうんとふやしてもらいたいと思う。そういう話でわずかの人がふえるのでありますが、将来町の人が相談に来て、簡単に状況がわかる、また状況によってはそういう人から手紙が来たときには、すぐ回答してもらえるというふうなもっと大衆が出入りするにいいような施設をこしらえていただきたいと思う。こういう点について何かお考えがございましたら、当局から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/42
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043・井上尚一
○井上政府委員 実は従来特許庁は、総務部奨励課に発明相談所というものがありまして、外部から見えます方には懇切にいろいろ申し上げ、あるいは必要なる。パンフレットを差し上げましたり、あるいは審査の状況につきましてわかり得る範囲内では申し上げておるのであります。そういう相談所があるということが、あるいは外部の方々にまだ周知徹底が十分でない面もあろうかと思いますので、そういう点につきましては、一そうサービスの徹底を十分期して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/43
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044・江崎真澄
○江崎委員 今の大臣は総理級の方ですから、あまり特許庁のこまごました話を申し上げても始まりませんが、特許庁の長官に申し上げますが、これは今社会党の方からも、大坪さん、薄田さんからもお話が出ておるように、およそ特許庁は役所の中でサービスの悪い尤たる役所です。まずあそこに行くと不愉快になってしまう。仕方がない、ごつちは特許を何とか許可してもらってやろうというわけだから、まあまあということで帰ってくるわけですが、いつ出しましたか、こうくる。相談所ですが、相談所の相談のやり方がまず悪い。いつ出しましたか、こうだと言うと、そんなものはとうていまだまだ先のことですよというような調子で、けんもほろろです。これは思うに特許庁の長官——この方はそうじゃないかもしれないが、特許庁の長官になる人は、その次の自分の就職運動を考える人が長官になる傾向が強い。あなたは非常に気鋭のりっぱな方ですからそうじゃないが、今までの傾向がそういう傾向がある。そこでこの役所をどういうふうに改善するかということに中心がなくて、逆にまあうまく勤め上げてどこかへ転出しよう。これはどうも事の性質上、また特に科学する日本というような立場に立った場面においては非常にこれは残念でたまらぬと思うのです。
そこで忙しいとおっしゃるならば、毎日三百件来るその処理の仕方を失礼ですが、教えてあげましょう。われわれだって実に忙しい。代議士くらい忙しい者はいない。秘書は多い人で二人か三人、普通は一人で、委員会にも出る、陳情はわんさと来る、それからいろいろな書類はどんどんたくさん来る。これをどう処理するかというと、やはりABCくらいに分ける。何でもない陳情もあるし、これは大へんだという、ぎくりとくる陳情もあるし、これは何とか形をつけて結論を出してやらなければならぬというものもあるわけです。特許庁にしたって三百出てくる中でほんとうに審査に値するもの——それは本人にしてみれば大へんな大発明のつもりかもしれぬが、あなた方の専門的な立場で見れば何でもないというものがずいぶんあると思う。それをただ全部これは何、これは何と分けておられる。これは私現実に調べてきた話なんです。だからそれを窓口精鋭主義で、窓口にりっぱな熟練した審査官を配して、そしてまずこの大よりをして、しかる後にほんとうに価値あるものはその方へ回す、あまり価値のないものはなるべく一週間か十日のうちに却下してやる。これがまたひいては初心者的な考案者に対する一つの奨励の道でもあろうかと思う。いたずらに気を持たせておいて、一年たったら、実はだめだったというので一通の書類をつけて返ってくる。こういう非能率きわまるやり方が実際にあなたのところで行われていると思う。そこで今薄田さんのおっしゃったように、窓口精鋭主義で、専門家が一々見てわからぬはずはない、およその見当というものはつくわけでありますから、そこで荒よりをして審査をせられるようにする。どこの役所へ行っても、人員が足りないからといって、これが一年過ぎたか、二年だか、二年半過ぎたかわからぬという事務はおよそ考えられないと思います。やはり事務である以上は、大体この程度のものならば、およそこの見当には結論が出るということを受付と同時に出すことが困難であるならば、受付から大体二週間、三週間以内には本人の手元にはおよその審査結果が出るであろうくらいのことは、はがき一本でいくんだから、これくらいのサービスは心得られたらよろしい。そういうことも何もなく、ただ漫然と待っている。これくらい不親切な役所はないと思う。三、四へん行くうちにすっかりこっちも根気負けがしてしまって、まああまりやかましく言わないで、秘書でもやっておけということについなってしまうのですが、長官たる者はよくお考え願いたいと思うのです。こういうふうに機構をだんだん整備せられるという御着想は長官は、なかなか一生懸命な証拠と思って、われわれも大いに協力して、おそらくこれは満場一致できようにでも通るはずですが、ただそう簡単にうまいことを言って、それで通せばいいんだということでなしに、われわれもこの法案が午前中に通過をすることに協力しますから、一つ一年というと長過ぎるが、一ヵ月くらいでは無理かもしれぬから、半年くらいのうちには、なるほど長官やるわいというように、何か感心させるような事態をはっきり出してもらいたいと思う。荒よりなどといったような、何か特別な御着想でもあれば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/44
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045・井上尚一
○井上政府委員 特許行政につきまして、おしかりと同時に非常な激励の御質問でございまして、まことに恐縮でございますが、二言だけ申し上げておきたいと思いますのは、特許の出願、実用新案につきましても同様でございますが、これは言うまでもなく農水産から日用品の改善、あらゆる技術の分野にわたっておりまして、審査第一部に分類審査室がございまして、いろいろの技術内容を持った出願を各担当官が自分の専門的分野について事務を分担しております。ですから、電気と申しましても、その中に弱電、強電とあります。あるいは繊維と申しましても綿と化繊というふうに分れたり、非常にこまかい事務の専門別に別れておりますので、その審査第一部の分類審査室を通しまして来ます書類を全部配分するわけであります。今御質問の中にございましたように、たくさん来るが、その中での審査に値するものと値しないものがあるのではないか、重要なものと重要でないものがある。その大ぶるいができないかという御質問であったと思いますが、これはとにかく出願者の方から申しますと、自分が新規な工業的発明をやったという場合には、特許ないしは実用新案登録を受ける権利があるわけでありますから、これはどんなにまずい説明が書いてございましても、一々審査をずっとやりますと、非常にいいアイデアがあるというふうに、やっぱり克明に請求の内容を読んでみないことには、大体の見当でもって、これは通るとか通らないというような軽率な判断は、特許出願、実用新案登録の場合にはできないのではないか。これはわれわれとしては、各出願人の立場について考えますと、一応全部の新しい件数につきまして、おまけにこれはいわゆる先願主義でございますので、同じような内容の新規の出願が来ましても、きのうの分はきょうより先にむろん審査する。先刻相談所に来ると、いつかと、すぐ聞くということをおっしゃいましたが、これは特許出願、実用新案等の出願の場合には、いつ出したかということが非常に決定的な、重要な点でありますので、そのいっであったかということをお伺いしまして、そして大体一ヵ月前とか二カ月前というのであれば、最近の審査の状況等から考えまして、やはり順番がずっとございますから、そう近い将来に審査に入ることは困難であろうということは、その出願の期日を伺うことによって大体の見当がつくわけでございまして、その意味で出願期日をお伺いするわけでございます。
今申しましたような分類の方法につては、そういうわけでございまして、われわれとしましては、特許出願という事柄の性質上、普通の陳情書と違いまして、さっと目を通しまして、これは重要でないから蹴るというわけには参らないのでありまして、断わるにつきましても、拒絶の理由を示さなければならないということが法律上要求されているわけでございます。
なお今申しましたけれども、今後われわれはできるだけ迅速を期して参りまして、関係者の方々に御迷惑をなるべくかけないように十分研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/45
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046・江崎真澄
○江崎委員 あなたのお話はよくわかりますが、それは聞いておると、はなはだきれいことの話に聞こえますが、それはお互いの心構えの問題です。一つ一つ苦心の果てに出してきた新考案に対して、親切にこれを審査するということは当りまえなことです。当りまえなことですが、今のあなたのお話で、私は能率が上らぬことがなるほどとわかった。それは熟練した人が見れば、克明に一から十まで読まなくても、およその見当はついてそこでさようならということにしなくても荒よりはできるはずです。そしてその荒よりしたものを、またあらためてこれはAクラス、これはBクラス、これはCクラスという形で審査にかけていくようなことにすればいいので、ただ分類するということは、これは日常品の関係、これは機械の関係、これは何、そしてそれぞれ同じような能力のある人のところへ下積みにして入れる。だからこれは考えてみれば、砂の中から金を探すようなもので、この砂の中にもひょっとすれば大へんな金があるかもしらぬから、克明に一粒々々えり分けるのだ、それは腹構えはそうです。心構えとしてはりっぱです。話としてはりっぱですが、やはり現実には、熟練した審査官を配して、およそのそこに見当をつける。そしてなおこれがお粗末なものであっても、もう一度疎漏のないようにふるいにかけるという段階が必要だ。何でもかんでも、ほんとうのダイヤモンドでも、あるいガラス玉でも、あるいはほんとうかもしれないからといって克明に見ておるということは、これは熟練せる、またいかにも洗練された事務の扱い方とは言われませんよ。幾ら法律に規制されておったって、そういうのをしゃくし定木というのです。ですからあなたのようなりっぱな、長い間役人経験を積まれた方が、そんな御説明をここでなすっても、あまり感心しませんから、やっぱり私は事務能率をしっかり上げていただくようにやってもらいたいと思います。これは大臣のいらっしゃるところで、いやな言い方をして失礼ですが、もう一ぺんあなたは庁へ帰って、特許庁のやり方をよくお考えになっていただきたい。あれくらいサービスが悪くて、これからおれたち見てやるのだ、あんな格好は名医の聴診器の前に坐ってもいたしません。ですからよくよく考えた人が熱心に希望を持って来ておればおるだけ、あなたの今おっしゃった事務的な言葉を人情の上に表わして、よくこれに対して接するように、あるいはまた機構を整備し、事務能率を上げるように訓練なさるということに力を入れてもらいたい。これは強く要求いたしておきますから、本気になって考えておいて下さい。また半年ばかり過ぎたときにここへ来てもらって、その後のあり方を伺いますから、よろしく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/46
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047・受田新吉
○受田委員 関連質問からまた本論に戻るとします。
私はいま日米間における特許に関する協定の御質問中であったのでありますが、この際これに関連してお伺いしておきたいとことは、祖国日本の防衛生産において、発明はいかに申請されておるか、また特許されている状況はどうであるか。すなわちアメリカの中古エンジンを高く買って日本の艦艇に据え付けるような、そうした対米依存主義から、日本の軍備らしく、日本独自の実力による防衛生産というところへ転換をするお心がけがおありでありますので、その点でお伺いするのでありまするが、日本の兵器生産について、発明の申請がどの程度なされているか、これはあなたの方の御管轄でありまするので、お伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/47
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048・井上尚一
○井上政府委員 兵器関係についてのみを、われわれの方としましては、的確にその件数、現在の状況を調査してやったことはまだないのでありますが、いろいろ防衛産業に関連しまして、逐次そういう出願件数が増加してくるであろうということは、十分想像がつくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/48
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049・受田新吉
○受田委員 現に兵器生産、防衛生産に関して、どういうようなものの申請がされているか、あらましの点はおわかりじゃないかと思うんですが、主として艦艇のエンジンあるいはその他の装備に関しまして、どういうようなものが多く申請されているかというようなところをお伺いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/49
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050・井上尚一
○井上政府委員 防衛生産関係の技術と申しましても、もちろん非常に範囲が広いわけでございますが、汎用的な機械、一般的な機械で同時に防衛にも利用できる、これは非常に多いと思いますけれども、特に兵器関係だけというような申請は、あまりないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/50
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051・受田新吉
○受田委員 日米間の特許に関する協定で、特に秘密保護法にも関連するのでありますが、秘密保持の立場から、あちらで作られた兵器をこちらへ持って来て日本の軍隊に使わせる関係上、その秘密を十分保持するための措置がとられるのは、これはやむを得ぬと思いますけれども、日本人自身の手によって発明工夫されたものが、たまたまあちらの兵器によく似たようなものがあったからというので、一々こちらの発明、特許が制約されるというのは、日本の科学の進歩にも阻害を来たすことになると思うのですけれども、日米間の話し合いというものは何か秘密保持の立場からの特許に対する制約ですか、あるいは向うの発明をこちらが横取りしないようにという意味の制約ですか、その意図はどこにあるようですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/51
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052・井上尚一
○井上政府委員 今般の協定は秘密保持ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/52
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053・受田新吉
○受田委員 日本人自身の手によってりっぱな武器が作られるという形が正当な政府の考え方じゃないかと思うのであります。兵器生産の総元締めであられる通産大臣にお答え願いたいのでありますが、あなたは今回の国防会議構成法案においては、遺憾ながらその議員たることができない身分に立ち、必要があるならば議長の要請であなたは出席される、しかし出席されてもただ意見を述べるだけで、会議の議決にも参画できないし、重要な議題に対しての取りきめもできないという、いわゆる参考人としてそこへ出る程度の存在でいらっしゃるわけです。これははなはだお気の毒で、あなた御自身としても御不満があったと思うのでありますが、この防衛生産というものの考え方、その中における発明、特許の置かれている地位、日本自身の力による兵器生産、さらに日本の兵器生産から進んで海外に兵器を輸出する、武器、弾薬をすでにだいぶ輸出する計画もあるようでありますが、そういうところへ発展する政府の構想からいうならば、日本自身の日本人の手による発明、工夫、創作というものが防衛生産に根本的に動く態勢がいいと思われるかどうか、それに対するあなたの施策はどういうものであるかという点につきましても、構想をお漏らし願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/53
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054・石橋湛山
○石橋国務大臣 日本に防衛力がある限りはそれの使う武器についてもやはり独立性を持っておる必要があるとは考えます。しかし今のところでは、ことに最近の兵器というものは非常に広い科学技術を利用しておりますし、特に兵器は、これははっきり兵器だ、むろん特殊の兵器限りに使うというようなものもあり得ますけれども、むしろ一般にもっと広い意味のものが多いのだろうと思います。従って科学技術、あるいは特許庁の関係におきましては、私どもとしては特に防衛生産のために云々ということを今取り上げてはおりません。一般に科学技術の向上という点から考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/54
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055・受田新吉
○受田委員 今防衛生産に関係したので、関連して発展的な御質問を申し上げるのですが、シリアその他の国々に武器、弾薬をお売りになるという計画が一時通産省であったように思います。これらの中近東諸国に武器、弾薬のようなものを売り出すほど日本の兵器生産に実力がついたというふうにお考えかどうか。また今売り出すという計画を一時中止されたとも聞いておるのでありますが、日本自身の平和愛好の観念を各国に植え付けるためには、武器、弾薬のようなものを諸外国にどんどん売り出すような、アメリカの援助協定に基いて、そうした兵器生産を、アジアの諸国における割当の分を日本で作らせてよそへ売る、そういうことを引き受けることが是か非かというようなことについても、大臣の御意見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/55
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056・石橋湛山
○石橋国務大臣 この間一時新聞か何かにぎわしましたシリアへ何か輸出するというような話がありましたが、これは通産省の計画でもありませんし、またわれわれ何もまだ連絡がございません。ただ一部の砲弾か何か作っておるメーカーがアメリカの規格によって作っておるものを買いたいというような希望があるのですか、そういう会社とアメリカの間に規格の問題についての打ち合せがあったということは耳にしました。これは輸出したいということをわれわれのところへはまだ持ってきておりません。また私どもとしてはこれは外交関係にも関係しますから、ただむやみにシリアへ何かを売る、ちょうどそういうものができるから売るというような簡単な取扱いはしないつもりでおります。また今後いろいろ世界の形勢も変りましょうから一がいに今きめるわけにもいきますまいが、日本として、さっきも申しましたように、防衛力を持つ限りはやはり防衛生産というものが必要だと思っておりますから、これはしなければならぬだろうと思いますが、それによってその防衛生産のものを特に日本の輸出品として海外へ大いに売るというような構想もただいま持っておりません。これはそう簡単には取り扱えないことでありますから、これはそういうふうに考えておりません。実際にそういう事実が起って、たとえばシリアの問題にしましても、そういう問題を持ってこられた場合に十分検討しますが、現在のところはむやみに輸出などはさせないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/56
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057・受田新吉
○受田委員 非常に平和的な感覚を持った大臣が国防会議に御出席できないということは非常に遺憾であって、あなたのような人が国防会議の構成員になることを私どもは御期待申し上げます。
最後に一つ、特許庁長官にお伺いし、また政策的には大臣にお伺いして質問を終りたいのでありますが、発明、実用新案とこういうような問題を大いに奨励し、これに特許を与えられたるもの、あるいは新案の登録をされたるものに対しては、奨励金を大いに出して、あとに続くものをして、叱咤激励せしめるという、これは文化愛好、科学振興の上からもきわめて大事な国策であると思うのです。これに対して政府の施策はどうなっているか。各省にまたがるこれらの関連事項をあわせ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/57
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058・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは私から簡単にお答えいたしますが、むろんお話のように、発明奨励は大いにやらなければならぬし、先ほど申しましたように、今まで国としてそういう方面へ金のかけ方も足りないのです。これはもっと大いにやらなければならぬ、こう考えておりますから、そういうことは私の力でできる限り促進いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/58
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059・受田新吉
○受田委員 現にある制度を具体的に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/59
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060・石橋湛山
○石橋国務大臣 現には、今通産省としては特に発明奨励ということはうたっておりませんでも、いろいろな意味で技術の振興、それから新しい製品の試作とかいうようなものには相当の予算をもらってやっております。これもむろん十分といえばなかなか数限りもありませんから、十分というのはどこまでいけば十分というのかということはなかなか問題でありますが、今の予算としてはある程度のものをつぎ込んでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/60
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061・受田新吉
○受田委員 そのことで、たとえば学校の研究を大いに促進せしめるための、文部省の科学教育振興費とか、あるいは午後審査されるであろう農林省の振興局設置ということも考えておるようでありますが、そうした農村改良などの立場からの農家の農機具その他の器具の発明、工夫、こういうものに対しての奨励規定、そういうものがそれぞれの省であると思うのでありますが、そういうものも、やはり特許の総元締めである通産大臣が、あらゆる角度から、各省にまたがるそうした科学振興に寄与するであろう発明、あるいは実用新案というものに対する援助ということを、一体的にお考えにならなければならぬと私は思うのです。そういう点を今あわせてお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/61
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062・石橋湛山
○石橋国務大臣 これは一方においては統括してやるという必要もあります。地方においては、文部省は文部省、農林省は農林省として、それぞれ現場の関係がありますから、農林省の仕事は農林省でやるのが一番適当だと考えられます。今度は科学技術庁ができますから統轄の方は今までよりも一層進むのじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/62
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063・山本勝市
○山本(勝)委員 ちょっと伺っておきたいのですが、今の発明、奨励ということはもちろん大賛成です。ただ特許権の侵害ということで中小企業者を苦しめる場合があるのでちょっと伺っておきたいのですが、ある人が熱心に研究して発明した。それをブローカのような者が自分の名前にしてそれで特許をとってある。つまり特許がなかなかとれないから自分がとってやろうというので、自分の名前で特許権をとって、そうして今度はそれを材料にして、百貨店に行って品物を見て、これは侵害だ、侵害だといって百貨店をおとしておるというような場合が——ここで具体的には名前は言いませんけれども、起って、中小企業者が非常に困っておる。たとえばビニール製品、あれはかたく押えれば必ず切れるのです。簡単なものです。ビニールを押えて切るものは一般化してしまっている。一般化してしまっておるのですけれども、それを材料にして百貨店をおどして金を取る。それで非常に困っておる。私は前の特許庁長官のときに、何とか通産省の方でも——発明は奨励せなければならぬけれども、本人が発明したのじゃない、ある技術者が発明した。その発明した人自身というのは、何もそういう世の中の業者を苦しめるつもりで発明したのではない。世の中の利益のために発明したので、非常にりっぱな人なんですけれども、自分の名前で特許をとってやったという人がはなはだ質がよくない。そうしてビニール製品を作っている人が困っている。そういう場合に通産省は中小企業者の利益のためにも、何か特許権を乱用する——乱用ということが言えるかどうかしませんけれども、発明者自身がそういうことを好まないにかかわらず、名目上の特許権者がそういうことをやった場合に、これを何とか制肘する方法はないものか、これはどうでしょうか。ここまで言えば具体的事例も御存じだと思う。ところがいよいよ最後の裁判の結果は、この人間が勝って、みんなさんざんやられてしまった。つまり乱用の結果、実際の業者が困る。そういうケースはたくさんあるのじゃないかと思いますが、そういう場合はどういうふうに出られるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/63
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064・井上尚一
○井上政府委員 具体的な事件につきましては、いろいろ事情を調査した上でないと、場合々々によってその判断の結果が変ってくるかと思いますが、今おっしゃったように、特許権としてある発明があって、その発明に該当する製品がもうすでに市場にたくさん出ているというようなこと、これはいわゆるその技術が公けに用いられている、もうみなよく知っておるというようなものは、もちろん特許権にはならないわけでございますけれども、かりに特許権が与えられたのがあって、権利が成立しました後に、そういうふうな問題が非常に広い範囲に起きたというふうな場合にはなかなかむずかしいと思いますが、その権利者と実際その技術を使っておる人間との間にいわゆる実施契約の関係でも作るように、関係者の方であっせんの労をやってみるというふうなことが実際いいのではないか、そういうふうに一応考えますが、権利の乱用という問題になりますと、そういう事実がはっきりしますればまた別の考え方があるかと思いますけれども、ケース、ケースにつきましてわれわれの方でも十分事情をお伺いしまして善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/64
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065・山本勝市
○山本(勝)委員 これはおそらくそういう弊害もあるのだろうと思います。二十年か三十年前ですけれども、色をつけたガラスの輪、あれについてやはり同じようなケースがあった。そういうガラスの穴などというものは中小企業でどこでもここでも作っておる。それを片っぱしから見つけ次第差し押えていった。私はそこの弁護士の家の書生をしていてそれを伺っておったのです。それが非常な発明ならばよいけれどもどこでもここでもやっておるのだけれども、法律上からいうとやはり権利があるらしい。あるらしいが、その権利でも一般の中小企業者がどこでもここでも使っておるような場合には、たとえ権利があっても通産省として何かそこに入って業者が困らぬような方法をとれるものか、とれぬものかということなんです。今のビニールの場合も、一枚のビニールで押えてすぐ切るというのが発明なんです。しかしそれは押えたら必ずビニールというものは切れるのです。それをのがれるため二枚で切るというのを発明して対抗して出たけれども、それは負けてしまって、業者としては、何というか悪いやつにさんざん痛めつけられておる、そういうふうなものを見つけた場合に、通産省は通産行政の方から、特許権の乱用——乱用というのは法律上乱用といえるかどうか知りませんが、事実上そういう簡単な特許があるならば、契約というようなことでなく、どこでもここでも実際使っておるという場合には、何か中に入って乱用を押えてもらわないと困る場合が実際にある。これを一つ頭に置いて、起るべき権利の乱用の場合に特許の立場でなしに、通産行政の立場から考えてほしいという希望だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/65
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066・江崎真澄
○江崎委員 ちょっとお尋ねしますが、ドイツの特許を中心とする例のPBレポートが、国会図書館はもちろんですが、全国の図書館でもそのプリントが重用せられておるのですが、今の山本さんの話にも関連するのですが、日本の戦前の特許と戦後の特許との間の区別はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/66
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067・井上尚一
○井上政府委員 日本人の権利の場合、別段区別はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/67
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068・江崎真澄
○江崎委員 するとPBレポートは連合諸国がドイツの占領下において特許権を公開したわけですね。しかし日本の特許権というものは、アメリカはそれについてはどういうふうに対処したのですか。何ら制肘は加えなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/68
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069・井上尚一
○井上政府委員 私特許については詳しく存じませんが、たとえば商標につきましては日本人がアメリカで商標権を持っておりますし、いろいろなブランドがございます。そういう場合には敵産管理となっております。これを最近はだんだん情勢も変って参りましたので、そういう敵産管理になっておる状態から関係業者の申請によって返す。返す方法としましては有償または無償で返す、そういうような措置を講じておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/69
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070・江崎真澄
○江崎委員 主としてその発明考案ですね、こういったものは、ドイツには全部公開を迫って全世界にいわゆるPBリポートの形で報告したわけです、公開したわけですね。従って日本も無条件降伏ということであれば、重要なというか、少くとも世界的にその価値の認められるものは何らかそこに占領政策の一環として手が打たれたんじゃないか、ひいてはそれが今言われたところの権利の問題とおのずと差し合う点があると思うのですが、そういうことはありませんか。そうすると日本の場合は完全にそのまま機密が保持されたり、権利が公然と国際的にも認められておるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/70
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071・井上尚一
○井上政府委員 占領行政として日本人が持って購った権利について特別の処分はなかったという点につきましては、戦争中、戦前にはいわゆる秘密特許というのがございました。これは昭和二十三年くらいまであったと思います。結局軍事上の機密に該当するような発明については秘密特許というのがございます。この秘密特許に該当する分につきましては占領軍によって公開されました。私の今承知しておりますのは大体この程度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/71
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072・江崎真澄
○江崎委員 それはどうですか、具体的に——今の秘密のものが公開されたことはわかりますね。そのほか権利についてはそれを公開して、自由にいわゆる戦勝国である連合諸国においては、勝手に使ってよろしいというような形になっておるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/72
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073・井上尚一
○井上政府委員 これは日本人が日本で持っております権利でございましょうか、日本人が外国において持っておる権利でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/73
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074・江崎真澄
○江崎委員 日本の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/74
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075・井上尚一
○井上政府委員 日本の場合については、そういった事実はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/75
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076・山本粂吉
○山本委員長 この際、委員長から特許庁長官に二つの点で質問をして結末をつけておきたいと思うのですが、各委員の熱心な御質問を拝聴しておりますと、一つはサービスの問題について特許庁が特にサービスが悪い、国民に親しまれておらないという異口同音の御質疑がございました。それからもう一つは特許庁本来の仕事の能率が悪いというのか、特許の申請、実用新案の申請等々を行った場合に、一年も一年半もかからなければ手がつけられぬということでよろしいのかという本来の仕事の面の御質疑と、こう二つの点で重要な発言があったのですが、長官の御答弁を拝聴しておりますと、サービスの問題についてはいろいろ御弁解があったようですけれども、さらにこうしてああしてサービスを向上して、そして国民、ことに発明家というような得がたい人々に対する特許庁としたの態度がもっと親しまれる特許庁になって、この発明という大きな科学的な日本の発展に資する人々に親しまれるような役所にするための特段なる対策というか、心がまえの問題ですから、そういう心がまえについてどういう考えを持っておられるのか。現在でよろしいというお考えでいろいろと弁解をなさるのか、この点について長官としてのはっきりした心がまえを伺っておきたいと思うのが一点であります。
それからもう一つは、本来の仕事の面でありますが、どんなに申請件数が多いからといって一年間も手をつけられないで放置してあって、そうして代議士などが交渉に行っても、そんなものはいつかわからぬというようなことであってはならぬと私は思うのです。それは予算がないからできないのだ、もっと能率を上げろというなら予算をくれろ——予算がないからできないというのは捨てぜりふで何をか言わんやでありますが、そうでなくて、こうしてもらえればもっと早く発明に対する特許庁の態度の決定ができるのだが、それにはこういう工合にしてもらえばいいのだという積極的な対策がなければならぬと思う。この二つの点について長官の心がまえをお伺いして、本案の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/76
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077・井上尚一
○井上政府委員 特許庁の第三者に対しましてのサービスの改善につきましては、従来もいわゆる発明相談業務というのでやって参りましたが、正そう人的、物的にこれに改善を加えまして、一般国民、出願者に対しまして懇切な、丁寧な、十分な指導あるいはサービスの徹底を期することができますように改善を加えて参りたいと思います。
それから第二点の特許庁の審査能率の問題につきましては、審査官の数的増加と並行しまして研修と申しますか、新人の教育は言うまでもなく、中堅人の再教育あるいは幹部の教育、そういう審査官としましての質的向上改善といいますか、そういう面、あるいはまた文献の収集という点についても、文献がなるべく広い範囲にたくさんそろっていますれば調査もそれだけ早いわけでございますので、そういった調査に要する文献資料等の整理、あるいは事務の問題につきましてはカード・システムの採用というふうな、人的、物的両面の方からでき得る限りの改善を加えまして、一層審査の促進を期して参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/77
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078・山本粂吉
○山本委員長 これにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入りますが、別に通告もありませんのでこれを省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/78
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079・山本粂吉
○山本委員長 御異議なければさよう決します。
これより採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/79
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080・山本粂吉
○山本委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/80
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081・山本粂吉
○山本委員長 御異議なければさよう決します。
暫時休憩いたします。
午後零時十九分休憩
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午後三時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/81
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082・山本粂吉
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林省設定法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
その前に政府から新農山漁村建設総合対策について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/82
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083・大石武一
○大石(武)政府委員 御承知のように、今までの日本の農政というものは、割合に政府の方針が中心でありまして、それによって農村がいろんな生産の方向に動いてきたというのが実態ではなかろうかと思うのでございます。たとえば食糧が足りないといいますと、急に食糧増産せいというような農林省の方針がきまる。そうするとどの山村でも、漁村でもみんなイモを作ったり妻を作ったり米を作ったりしてそういう方向に向う。あるいは繭が非常によくなって生糸が輸出できるようになりますと、どこへ行っても桑を作る。それが数年たって今度は輸出が非常に弱って参りますと、桑はやめてしまえというので、桑畑の桑をみんな抜いてイモ畑に変えてしまうというように、大体地方の各町村の自主性というものを無視して、中央からの方針による農村の経営という傾向が強かったと思うのでございます。こうして参りますと、どうして日本の農村の経済的な自立ということはなかなか簡単にできて参らないのでございます。ことに御承知のように、世界の農産物は非常に増産の方向に進んで参りまして、農産物の価格に対する影響というものがわが国に押し寄せて参り、日本の農村にも非常に影響を及ぼすような状態にあるわけでございます。従いまして、もちろん政府といたしましては、でき得る限り日本の農村が十分立っていけるように、農村の経済が少しでも向上するようにという意味におきまして、あらゆる手段を講じて、外国の農産物の価格に左右されない、影響されないようにという努力はいたしておりますけれども、いつまでもこのような状態において農村を保護するということは、容易ならぬ問題でございます。従いまして私どもといたしましても、今後農村が外国の影響に負けないように、そして一日も早く明るい豊かな生活に向上することができるようにという考えのもとに、何とかして農村が経済的に自立できるようにということを考えているわけでございます。それには結局は日本の農村の状態というものは、地勢的にもあるいは経済的にも非常に多岐にわたっておりますので、各町村の自主性というものを認識して、各町村の立地的条件というものを十分に勘案いたしまして、農村が十分に経済的自立ができるような、いわゆる適地適産ということを目標といたしまして、新しい農業政策をやっていきたいというのが最近の農林省の考え方でございます。この考え方が基調になりまして、ここに新農村建設というような政策が出て参ったわけでございまして、結局はここに書いてあります通りに、農山漁民の自主的な総意に基く適地適産を基調とした農山漁村の振興に関する計画の樹立及び事業の実施を総合的に推進することにより、農林業経営の安定と農山漁民の生活水準の向上をはかるということになったわけでございます。これが新農山漁村建設総合対策の方針でございまして、これを三十一年度より実施いたしまして、大体五カ年の間に日本の全農山漁村に及ぼしまして、そして経済的に自立できる新しい農山漁村を作り上げるということにこの目的があるわけでございます。これが大体新農村建設のわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/83
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084・受田新吉
○受田委員 せっかく御説明があったので、まだ説明が足らぬところがあるのですが、それに対する予算措置あるいは具体的な計画等について、明日質問する前提としてお聞きしておきたい点がありますからお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/84
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085・大石武一
○大石(武)政府委員 この予算とか、いろゆる計画の年次につきましては、大体五カ年と区切ってその間に日本の全農山漁村にこの計画を実施したいと考えております。予算の大体の標準は、一農村に大体一千万円というものを考えておるわけでございます。そうしてその新農山漁村の単位は、大体農家戸数千戸ぐらいを標準とした一つの新しいブロックを考えております。これは必ずしもいわゆる行政的な区画にとらわれないで、あるいは大きな町村の一区画であり得ることもありますし、二カ町村にわたる一つの区画であり得ることもあるのであります。そのように必ずしもいわゆる行政的な町村の区分にとらわれないで、大体農家千戸を中心にして、それを一つのブロックとしてそういう計画を進めて参りたいと考えておるわけでございます。
なお詳しい予算的なこと、その他に関しましては、ここに係りの庵原課長がおりますので答弁さしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/85
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086・庵原文二
○庵原説明員 予算について御説明申し上げますが、新農村建設対策に関しまして本年度新たに計上されましたものは、補助金で約十四億六千万円でございます。その中で十三億円が、ただいま御説明のありました農山漁村に直接参る事業費補助でございまして、残りのものが計画の樹立その他調査費等の事務系統の費用でございます。その十四億六千万円と、それから別に農林漁業金融公庫の資金といたしまして新たに十五億円を追加いたしまして、この二つを合せまして特別助成と称しておるわけでございます。これが一つの骨になりまして、そのほかに従来農林省でいろいろ助成をして参りました各種の施設と、ただいま申しました特別助成とが総合的に農山漁村において実施されるというような仕組みになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/86
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087・床次徳二
○床次委員 適地適産ということでありますが、これは結局現在の農産物の価格の安定と、どの程度に維持するかということに根本的な関係があると思うのです。適地適産ということは、言葉は簡単でありますが、実際はなかなかむずかしいと思うのですが、これはどういう考え方に立って指導されるのですか、この点について御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/87
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088・大石武一
○大石(武)政府委員 ただいま床次委員のおっしゃるように適地適産と申しますが、言葉は簡単でございますけれども、実際にこれを効果あらしめるということは非常にむずかしいと思うのでございます。私どもは適地適産という言葉を使っておりますけれども、結局このようなことによりまして、農村が経済的にやっていける——もちろん今まで政府がいろいろ農村に保護的なことをいたしております。農林省の予算というものは、ほとんど補助であるとか融資であるとかいうものに尽きておるわけでございます。そういうわけでありまして、土地改良をするにも政府からいろいろ補助を出しております。土地改良にしろ、耕種改善にしろ、いろいろなことに政府から補助なり融資なりをいたしまして、その村なり地域なりの農業経営の改善、農家経済の安定ということにいろいろと努力が払われておるのでございます。これらは今いろいろ考えられておりますけれども、非常にしっくりといろいろの助成なり、融資なりが渾然一体の一つの形で結びついている場合が割合に少いのでございます。ばらばらに土地改良は土地改良にくる、ほかの耕種改善は耕種改善にくるというふうに、非常にばらばらになって一体になっておりませんので、今度の特別総合助成を行いまして、これらの問題がしっくりと結びついて、それが有機的に働きまして、十分に農業経営と申しますか、農家経営の向上に役立つようにしたい、そうすれば非常に増産にもなりましょうし、外国の農業の、圧迫にも対抗できるような増産もできましょうし、ある程度価格は下りましてもこれに対抗できるような経営ができるであろうというような意味を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/88
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089・床次徳二
○床次委員 これは国際価格と内地産価格とのつり合いによって農家収入というものがきまるのだと思うのですが、今の適地適作という考えでいけば、大体現状の価格というものを前提として、地方々々で適地適作ということを考えて一応計画を立てる。大体価格からいえば、あるいは国際価格にだんだん近づいてくるという立場を容認してのお考えであるかどうか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/89
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090・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。仰せのように、現在においては現在の国内の農産物の価格ということを一応中心として考えておりますが、おっしゃるように、灯火はどうしても国際価格に近づいていかなければなりませんし、いやでもおうでも近づいていかなければならないことでありましょうから、それに対処できるような増産なり、あるいは多角経営の方式に向いていかなければならない、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/90
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091・床次徳二
○床次委員 なお、従来の農林省の補助の行き方につきましては、いろいろ種類別にかなり種類が多かった。しかしこれが地方にいきますと、必ずしもその種類が適合しない場合が少くなかった。しかし今度の振興計画でいえば、農林省のいわゆる助成方針というか、個々の種類の助成にとらわれずに、その地方々々にふさわしいところの成助が行える、そういった弾力性が与えられるように思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/91
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092・大石武一
○大石(武)政府委員 おっしゃる通りでございます。今までの個々の助成でございますが、それはさっきも言いましたように、割合に個々にとらわれるというか、ばらばらになっておりますので、それにとらわれないで、総合的かつ農村の特性が生かせるような方面に金を使いたいという広い意味の弾力性を持った助成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/92
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093・粟山博
○粟山委員 今御提出になっている法案は、農林省設置法の一部を改正する法律施行に伴う定員及び予算ということですが、これは主としてただいま配付になっております新農山漁村建設総合一対策というもくろみに対する定員に関するものと解釈していいですか、ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/93
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094・大石武一
○大石(武)政府委員 これは文書課長からお答えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/94
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095・村田豊三
○村田説明員 お手元に御配付申し上げておりまする参考資料に、振興局関係といたしまして新農山漁村建設総合対策内名という新規定員の増加が計上されております。これは先般当委員会において行政機関職員定員に関する一部改正を御審議賜わりました際にもあるいは議題になかったかと存じまして、すでに当委員会でも御承認いただいておりまする事項でございますが、これは今度の新農山漁村対策を推進いたしますために、新規に定員増加になった数字でございます。この新農山漁村建設総合品対策といたしましてはそれ以上の定員は新規にはございません。この四名だけでございます。なお予算といたしましては、この資料に二十四億という数字が計上になっておりますが、先ほど庵原総合開発課長から御説明した通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/95
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096・粟山博
○粟山委員 そうすると、これから五カ年の間にあなたの御説明になった範囲で総額どれくらいのお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/96
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097・大石武一
○大石(武)政府委員 大体五カ年間で日本の全農山漁村にこれを実施する方針でございますが、その総額は事業費で五百億円と考えております。そのうち補助が二百億、あとの三百億は融資で参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/97
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098・粟山博
○粟山委員 この内閣委員会に諮問されることは、要するに定員法に関する限りにおいて行えると思う。なるほど質問は広範囲にわたって私ども許されるものと思いますけれども、諮問される政府当局としての範囲は定員に関するものですか。どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/98
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099・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。定員のことに関しましては、先ほど文出課長からお答えいたしましたように、四人だけの定員であります。あとは内部機構の改正と申しますか、機構を変えることでございます。それが大きなものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/99
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100・粟山博
○粟山委員 私の伺いたいことは、ただいま大石次官からの御説明によると、地方下部組織の農村単位に重点を置いて施行される事案のように伺いましたが、そう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/100
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101・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。今お願いしております農林省設置法の一部改正は、大体大きな問題が三つございます。一つは農林水産技術会議の設置というので、あらゆる資金機関を統合して、有効適切にいたしたいというのが一つの考えでございます。もう一つは今まで農業改良局というものがございましたが、これを廃止いたしまして、新たに農業振興局というものを作りたいという考えでございます。もう一つはいろいろな付属機関設置の岡垣でございます。さっきるる御説明申しました新農山漁村建設総合対策の問題は、この第二番目の振興局設置に関する仕事でございましてこの新農山漁村建設総合対策の仕事を振興局に担当せしめたいという考えのもとに、振興局としてできたのでございまして、それが一つの案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/101
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102・粟山博
○粟山委員 この構想は非常に新しい構想であって、今日まで非常に重要視されておりまする農山漁村に関する弊害やら、特徴やら、その本質にかんがみまして、時代に適応する農山漁村のあり方はかくあらねばならぬということにお気づきになっての御計画と察するのでありますけれども、まことにこれは考えかによっては大きな問題であると思うのであります。それは御説明にあったように、今までは上から指示したところの方針によって全国津々浦浦に一律に施行しようとした。そういうことがいろんな面においてマイナスの避け得ないものが積み重なってきておるということについてもこれは改良を加えなければならない。それからいろいろ新しい指導方法も講じなければならない。けれどもおっしゃるごとくに、地方の末端の農山漁村を中心として、それからさきにおっしゃったところのものを、逆に全国的に集中的な効果を現わそうということを考えた場合においては、これはもう一本の大木をさかさにして育成することを考えるような大きな欠陥であると思う。それであるからこれはもう実に大きなことにとりかかるものであるが、それに対して、これだけのことで一体そういう大きな構想をなし遂げるだけの確信を持たれるのか。実を申しますとずいぶん大胆な御計画をなさっておるものと私は考える。そこで私どもの承わりたいことは、農村のあり方について、何といっても農村は一家の家族の生活を保障しなければならぬ。それは自分の手で生産するものによってやらなければならぬ。さらに家畜を飼う必要があれは、その家畜を養うフィードというものを生産しなければならぬ。さらに支出をまかなうためにいろいろの収入をはからなければならぬ。これは古い話であるけれども、現代においてもなおかつ、経済の様相がどんなに複雑に進行しましても、私はこれは変え得ない一つの原則だと思う。そこであなた方のこの大事業を百八十度転換して、大きな国家的な意義をもたらすだけに効をおきめようとするならば、今後において農村というものは大体自給自足でいくものであるか、あるいは日本の農村というものは自給自足というワクからはずして別に考えなければならぬものであるかということについての、今日までのあなた方の御経験を集約して、どういう考えにあるかということを一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/102
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103・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。全く仰せの通りでございます。私、先ほどるる御説明申し上げましたけれども、少し言葉が足りなかったと思うのでございます。しかし私どもはこの新農山漁村建設総合対策というものを今回行おうと考えておりますけれども、これは先ほどちょっと申し上げましたように見方を少し変えたのでございまして、上からの見方でなくて町村から見た見方をした場合の行き方であると思うのでございまして、もちろん今までの農林省がとっておりますいろいろな農業政策の方針というものはいつも変りがあるものではございません。それは農林省が行いますいわゆる農政と、下からの農村を中心とするものの考え方と、この二つを合せた方が、より農村の経済的自立が早かろうという考えのもとにこのようなことを考えたのでございます。最初、日本の農村というものが一体自立できるかという御質問のようでございますけれども、現在の状態では大多数の農家というものはおそらく手放しで自立できないものと考えております。そのためにわれわれも、御承知のように、いろいろと米価をきめましたり、あるいはいろいろな農産物の価格を政府できめましたり、あるいは増産されますように、いろいろな補助金を引き上げたり融資をしたりして、できるだけ農家が自立できるようにということに努力しておるわけでありまして、約八百何十億の現在の農林省の予算がございますけれども、それもほとんど大部分このような助成や何かの方面に使われるものでございまして、確かに仰せのように、日本の農家は今のところ手放しではとうてい自立でき得ないものでございますので、できるだけ早い機会に自立できる方向に手を差し延べていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/103
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104・粟山博
○粟山委員 私の今伺いたい根本問題は、日本は敗戦後納四割以上の面積を失っておる、その上に人口においてはおびただしい数が増しておる。この人間が一体日本の国内で自給自足ができるのか、これはもうできないことははっきりしているのです。外国からも米を買っているし、麦を買い粉を買っておる。そこで私の考えるところでは、日本の農村というものは、いかにわれわれがもがいたところで、置かれたる運命の範囲を逸脱することができない、そういうような冷厳なる現実から考えて、自給自足ということはやはり農村としては基本的観念においてしかるべきと思うのであって、最近聞くがごとく、農林大臣河野君のごときは、価格政策を中心とした農産物の生産にときどき何か主張なり抱負なりを述べておられるように思うけれども、それがはたして是か非かということは、現実の問題として私はこれは大いに考えなければならぬ問題と思うわけです。河野さんという人はああいうような人柄であるから、思いついたことを大胆に一言うこともよいでしょうけれども、しかしながら長年にわたる実績の上に積み軍ねられたる経験を持つところの農林省のお歴々としての結論は、なかなかそう簡単には私はいかぬと思う。何となれば昨今のごとく年々のことであるけれども、凍害、冷害、霜害、全国の天災を避け得ない日本において、帯のごとく亜熱帯から亜寒帯にわたっており、大陸に接近して太平洋をかかえておるというこの特殊の環境にある日本としては、年々の天災を避け得ない状態なんです。そういうような国柄において、さあ霜害だというと何百億円の霜害——桑園において、果樹園において蔬菜において、今裂帛の叫びをもってこの救済を求めておる。これはもう聞き捨てにはならないのです。ならないということはすなわちこれは好むと好まざるとにかかわらず、日本の経済信号というものは、近来価格本位に、希望をするとせぬとにかかわらず、そういうふうに流れてきている。現実にそういうことをしなければならぬところの一つのウイーク・ポイントがあると思う。だからして、なるがままに果樹栽培を奨励する、なるがままに特殊な蔬菜を奨励する、敵地適産だというけれども、この日本の災害の避け得ないことを考えましたときに、価格本位でいってよいかどうかということは根本的な問題です。そういうことに皆さんお歴々が今までの御経験の上から百八十度の転回をした農業政策を、大胆にやり得るだけの確信とテーマを持っておるかということを私は聞きたい。私は何といっても、日本は自足自給ということを中心にして考えるべきがほんとうではないかと思う。そうしてオーバー・プロダクションを考えて、それがつまり農産物を必要とする他の地区に輸出をはかる、またそれに見比べての輸入をはかるというようなことが、国家の大局から見たところの農林行政でなければならぬと私は思うのです。私は老婆心ながら、この一言を呈して、価格政策にのみ片寄るところの農業政策というものは果して是か非かということについて、根本的に検討する必要があるのではないか。それがためには、あなた方の長年のデータによる、経験による、研究によるその結論を、決して軽々しく取り扱ってはいかぬと思う。農林大臣がときに勘のよさをもって声明するとか、あるいは何か気がついたようなことをもって、この重大なる日本の農業政策というものはいたずらに変更すべきものではない。いずれにしてもよほど慎重にする必要がある。これだけのことを申し上げまして、もう一ぺんまた機会がありましたら質問をいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04319560509/104
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105・山本粂吉
○山本委員長 残余の質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後三時十二分散会
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