1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十一日(火曜日)
午前十一時二十六分開議
出席委員
委員長 村松 久義君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
理事 芳賀 貢君
赤澤 正道君 足立 篤郎君
安藤 覺君 五十嵐吉藏君
伊東 岩男君 石坂 繁君
大野 市郎君 大森 玉木君
加藤常太郎君 川村善八郎君
木村 文男君 楠美 省吾君
小枝 一雄君 中馬 辰猪君
原 捨思君 本名 武君
松浦 東介君 松野 頼三君
赤路 友藏君 淡谷 悠藏君
伊瀬幸太郎君 井谷 正吉君
稲富 稜人君 石田 宥全君
小川 豊明君 神田 大作君
田中幾三郎君 中村 高一君
日野 吉夫君
出席政府委員
農林政務次官 大石 武一君
農林事務官
(大臣官房長) 谷垣 專一君
農林事務官
(農林経済局
長) 安田善一郎君
農林事務官
(農地局長) 小倉 武一君
農林事務官
(農業改良局
長事務代理) 庄野五一郎君
農林事務官
(畜産局長) 渡部 伍良君
林野庁長官 石谷 憲男君
委員外の出席者
専 門 員 岩隈 博君
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二月十六日
委員足鹿覺君及び細田綱吉君辞任につき、その
補欠として田中幾三郎君及び稲富稜人君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員中村英男君辞任につき、その補欠として中
村高一君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十六日
農業協同組合整備特別措置法案(内閣提出第五
三号)
同月十七日
公有林野官行造林法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二七号)(参議院送付)
農業改良資金助成法案(内閣提出第五六号)
同月二十日
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六六号)
同月十五日
農地改革の行過ぎ是正に関する請願(草野一郎
平君紹介)(第五八八号)
同(河野金昇君外五名紹介)(第五八九号)
同(堤康次郎君紹介)(第五九〇号)
同(松岡松平君紹介)(第五九一号)
同(小林郁君紹介)(第五九二号)
同(中垣國男君紹介)(第五九三号)
同(今井耕君紹介)(第五九四号)
同(渡海元三郎君紹介)(第五九五
号)
同(江崎真澄君紹介)(第六六二号)
農林漁業金融公庫法の一部改正に関する請願
(鈴木善幸君紹介)(第五九六号)
造林事業促進に関する請願(北澤直吉君紹介)
(第五九七号)
農産物価格安定法の一部改正に関する請願(原
捨思君紹介)(第六二〇号)
旋網漁業の調整に関する請願(鈴木善幸君紹
介)(第六二一号)
漁船建造並びに合成繊維漁網購入のための融資
わく拡大に関する請願(鈴木善幸君紹介)(第
六二二号)
漁業信用基金協会の運営改善に関する請願(鈴
木善幸君紹介)(第六二三号)
魚価安定のための基本対策確立に関する請願(
鈴木善幸君紹介)(第六二四号)
暴風浪による水産関係被害救済措置に関する請
願(鈴木善幸君紹介)(第六二五号)
北洋さけ、ます流網漁業への転換促進に関する
請願(鈴木善幸君紹介)(第六二六号)
夏まぐろの処理販売改善に関する請願(鈴木善
幸君紹介)(第六二七号)
国費による魚群探見飛行実施に関する請願(鈴
木善幸君紹介)(第六二八号)
漁具保険における分損の取扱に関する請願(鈴
木善幸君紹介)(第六二九号)
漁船損害補償法の一部改正に関する請願(鈴木
善幸君紹介)(第六三〇号)
いわし不漁対策確立に関する請願(鈴木善幸君
紹介)(第六三二号)
かんがい用排水機設置費国庫補助に関する請願
(佐藤觀次郎君紹介)(第六六三号)
新農業団体の設置反対に関する請願(川崎末五
郎君紹介)(第六七八号)
同月二十日
農地改革の行過ぎ是正に関する請願(黒金泰美
君紹介)(第七一七号)
同外九件(河本敏夫君紹介)(第七四八号)
新農業団体の設置反対に関する請願(平野三郎
君紹介)(第七一八号)
同(植村武一君外四名紹介)(第七一九号)
同(河本敏夫君紹介)(第七四九号)
同(長井源君紹介)(第七五〇号)
同(木村俊夫君紹介)(第七五一号)
同(田中久雄君紹介)(第八〇〇号)
同(中井徳次郎君紹介)(第八〇一号)
同(田中幾三郎君紹介)(第八〇二号)
農産物価格安定法の一部改正に関する請願(山
下榮二君紹介)(第七二〇号)
同(池田清志君紹介)(第七九六号)
同(原捨思君紹介)(第七九七号)
加勢蛇川沿岸地内のかんがい施設事業促進に関
する請願(足鹿覺君紹介)(第七二一号)
小樽輸出インチ材協同組合に原木払下げに関す
る請願(椎熊三郎君紹介)(第七二二号)
耕地整備事業費国庫補助増額に関する請願(平
田ヒデ君紹介)(第七四七号)
わら工品の需給安定対策確立に関する請願(赤
城宗徳君紹介)(第七五二号)
国立伝貧研究所設置の請願(助川良平君紹介)
(第七九八号)
米の統制継続に関する請願(池田清志君紹介)
(第七九九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に
ついて、大蔵委員会と連合審査会開会に関する件
関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正
する法律案について、大蔵委員会に連合審査会
開会申入れに関する件
農業協同組合整備特別措置法案(内閣提出第五
三号)
農業改良資金助成法案(内閣提出第五六号)
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六六号)
公有林野官行造林法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第二七号)(参議
院送付)
昭和二十九年産米の追加払に関する
件
昭和三十年産の余剰米の新集荷制度
に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/0
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001・村松久義
○村松委員長 これより会議を開きます。
去る十六日付託になりました内閣提出、農業協同組合整備特別措置法案、去る十七日付託になりました内閣提出、農業改良資金助成法案、内閣提出参議院送付、公有林野官行造林法の一部を改正する法律案及び昨二十日付託になりました内閣提出、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を順次議題とし、審査に入ります。
まず各案の趣旨について、逐次政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/1
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002・中村時雄
○中村(時)委員 議事進行について。先々週木曜日の日に砂糖の件に関する資料の提出方を依頼したわけなんでありますが、ちょうどそれは土曜日までという期限を付しての提出要求をいたしましたが、その後一向返答もないし、その結果すでに八日間を経過しているわけなんです。この問題に関しましては非常に現実的な問題が多々起るわけなんで、たとえばその砂糖の問題に関しては、現在の二十五万トン輸入をする件に関する割当の問題、あるいは実需者の問題等が速急の問題として行われているのでありまして、そのため一日も早くこの資料は整備され提出されんことをもう一度要求する次第であります。委員長の方でせっかくお取り計らい願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/2
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003・村松久義
○村松委員長 では委員長において厳重に申し入れをいたしますから御了承いただきます。
農業協同組合整備特別措置法案についての説明を求めます。経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/3
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004・安田善一郎
○安田(善)政府委員 大臣、政務次官がたまたまやむを得ない事情で欠席または遅れて参りますので、お許しを得まして農業協同組合整備特別措置法案の提案理由を御説明申し上げたいと思います。
わが国の農業を振興いたすためには、農業協同組合の整備強化をはかる必要があることは今さら申すまでもないところであります。従って政府といたしましても、農業協同組合の整備強化につきましては、鋭意努力を重ねて参っておるものでありますが、御承知の通り、特に経営が不振な農業協同組合につきましては、すでに昭和二十六年度から農林漁業組合再建整備法によりまして強力にこれが再建整備をはかることといたしました。
この再建整備措置は、本年三月末をもって終了いたすことになりますが、同法の適用を受けた二千四百八十の単位農業協同組合及び百四十二の同連合会の再建整備は多くの成果をあげ、法定目標であります増資と固定化資産の資金化もおおむね良好な成績を収めております。二十九年度末までは単協五十三億円、連合会百八億円の増資が達成されました。すでに再建整備の目標を達成し、二十九年度から奨励金の交付を打ち切られたものも、百五組合に達した次第でございまして、本年三月末の法定期間終了時には同法の適用を受けました組合の大半が再建整備の目標を達成し、ほぼ所期の目的を完遂いたすものと信じております。
また連合会の整備促進につきましては、農林漁業組合再建整備法によります再建整備措置が、ただいま申し上げましたようにおおむね順調に進捗して参っておるのでありますが、連合会はいずれも多額の欠損金を有しておりますために、同法による再建整備方式のみをもってしましては、真にこれらの連合会の健全な発達を期するには、なお必ずしも十分ではないことにかんがみまして、昭和二十八年八月に、農林漁業組合連合会整備促進法を制定し、従来の再建整備の方式を確実に実行せしめるとともに、累積した欠損金の克服を目標としましてこれが整備をはかることといたしました。すでに整備を要する県経済連の大部分の指定を終え、目下鋭意その整備に努めている次第であります。
以上申し述べましたように、政府といたしましても、農業協同組合の整備強化につきましては、従前から努力を傾けて参っておるものでありますが、いろいろの原因によりまして、今なお総合農協の一部は、遺憾ながらその経営が不振で、本来の目的を十分に果していない実情にありますので、これらの農業協同組合につきまして、おおむね五カ年間のうちにすみやかにこれが整備をはかることといたしまして、本法案を提出した次第であります。
次に本法案のおもな内容について御説明を申し上げます。
経営不振の農業協同組合に対しましては、元来都道府県農業協同組合中央会の指導を強化することを基調といたすべきものでございますが、本法は、特に経営不振の程度がいちじるしいもので自主的に整備の意欲の強いものにつきまして、経営不振の原因に即応して、都道府県の助成により、次の特別の措置を講ずるものであります。すなわち、第一に、役職員の強化を必要とする農業協同組合に対しましては、駐在指導員による指導を行い、第二に、累積された多額の欠損金を有する農業協同組合に対しましては、信連が、これらの農業協同組合に対し、繰り越し欠損金に見合う債権の利息を減免するなど積極的な援助を行うことを期待し、その援助を行う信連に対して元本の五分以内を政府において補給する措置を講じ、第三に、経営規模の過小な農業協同組合に対しましては、都道府県知事がその合併を勧告し、その勧告に従って合併いたした場合に奨励金を政府より交付する措置を講ずることといたしました。政府は、都道府県がこれらの助成を行うのに必要な経費についてこれを補助いたすことといたしておるのであります。
この法律によりまして整備を行おうとする農業協同組合は、都道府県に設置する農協関係者などの組織する協議会等の指導を受けて整備計画を樹立し、都道府県知事の認定を受けることといたしておりますが、本法による農業協同組合の整備は、これを急速に行う必要がありますので、農業協同組合の整備計画は、昭和三十三年三月三十一日までに立てることといたしております。この整備計画におきましては、おおむね五カ年間に固定した債務の全部の整理と欠損金の全部の補填を目標とすることにいたしておりますが、整備につきましては組合の自主的な努力を強く期待することはいうまでもございません。
このほか法人税法の特例を設けまして、その整備計画が適当である旨の認定を受けている農業協同組合につきましては、所得の計算上、整備期間中欠損金の繰り越しを認めることといたしまして、その税負担を軽減し、整備の目標の達成を容易にいたしておる次第でございます。
以上が、本法案のおもな内容でございますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/4
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005・村松久義
○村松委員長 続いて農業改良資金助成法案についての説明を求めます。庄野農業改良局総務課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/5
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006・庄野五一郎
○庄野政府委員 ただいま上程されました農業改良資金助成法案の提案理由を御説明申し上げます。
申すまでもなく農業改良のための補助金、特に直接農家に交付されるものは、いわゆる奨励的補助金でありまして、新技術の導入に当り、そのための資本投下を要する場合に一定の危険負担を伴いますので、無償の資金を与えることによって技術導入を円滑ならしめるためにとられているものでありまして、対象とたる技術が相当な普及度を示した場合は、一般営農資金による農家の自主的な施行にゆだねられる建前とされております。
しかしながら現在の補助金の対象となっております事業の中には、ある程度の普及度を示し、補助金の対象とする理由は逐時希薄となりつつある反面、なお、若干の技術上の危険も残り、単純に一般営農資金による農家の自主的な実施にゆだねる段階には距離がありますため、何らかの奨励施策を続ける必要のあるものが相当数存在しております。
従いまして補助金と一般営農融資の中間段階に、農業者が自主的に農業経営の改善をはかるため、能率的な農業技術を導入するに際しまして、都道府県がこれに無利子の資金を貸し付けるという新しい奨励制度を創設し、従来の補助金制度と並んで農業経営の改善と農業生産力の発展の財政的支柱といたすことが必要であると考えますとともに、あわせて現在補助事業に対して提起されている各種の批判にもこたえんとするものであります。
また、現在組合系統資金に相当余裕金があり、経営改善のための農機具・畜舎等の各種固定施設に対しまして、農家の側にも多大の資金需要があるのでありますが、リスクその他の理由から、これらの施設に対する系統資金の融通に円滑を欠く場合が少くないと認められますので、この際農業者が自主的に農業経営の改善をはかるため農業改良上必要であり、かつ普及事業の指導の対象とすることが適当な固定施設を導入するに際しまして、都道府県が系統融資の債務保証を行うという制度を設けることにより農業協同組合の農業者に対する融資を円滑ならしめ、その余裕金の活用をはかることが適切であると考えられる次第であります。
この法律は以上の理由によりまして無利子の技術導入資金の貸付と農業協同組合からの施設資金の借り入れに対する債務保証を行う都道府県に対しまして、政府が必要な助成を行う制度を確立し、もって農業経営の安全と農業生産力の増強に資することを目的といたしております。
次にこの法律の内容を御説明いたします。まずこの法律の対象といたします資金を技術導入資金と施設資金に分けてそれぞれ定義いたしますとともに、都道府県が、農業者またはその組織する団体に対する技術導入資金の貸付またはこれらのものが農業協同組合から施設資金を政令で定める利率、償還期間、及び据置期間で借り受けることにより当該農業協同組合に対して負担する債務の保証を行います場合には、政府は当該都道府県に対し、予算の範囲内において必要な資金の一部を助成することといたしております。
技術導入資金の貸付につきましては、貸付金の一農業者等ごとの限度、利率及び償還期間を定め、また保証人、貸付の申請及び貸付を行う場合を規定いたしますとともに、貸付金の目的外使用等の際における一時償還、災害その他政令で定めるやむを得ない理由による支払いの猶予及び違約金について定めております。
次に施設資金を借り受ける場合の債務保証についてでありますが、当該都道府県は債務保証規程を定めて、農林大臣の承認を受けることとし、また保証債務の合計額の限度及び一被保証人の債務保証の限度を規定するとともに債務保証の申請及び債務保証を行う場合を定めております。
また、都道府県がこの事業を行う場合には、当該事業の経理は特別会計を設けて行わなければならないこととし、その歳入歳出について規定するほか、保証債務の弁済金の財源につきましてはこれを基金として特別に管理することを定めております。
以上のほか都道府県が当該事業を行います場合に、その事務の一部を農業協同組合連合会に委託することができることといたすとともに、国が都道府県に交付する補助金の額及び都道府県が当該事業を廃止いたしました場合の政府への納付金について規定いたしております。
なお、附則におきまして耕土培養法及び水稲健苗育成施設普及促進法の助成規定に必要な改正を加えることにいたしております。
以上がこの法律案のおもな内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/6
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007・村松久義
○村松委員長 次いで公有林野宮行造林法の一部を改正する法律案について、石谷林野庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/7
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008・石谷憲男
○石谷政府委員 ただいま上程せられました公有林野官行造林法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
公有林野官行造林法は、大正九年、当時著しく荒廃いたしておりました公有林野の造林を促進する目的をもって制定されたものでありまして、国が公共団体との契約に基き、収益を分収する条件をもって、公有林野に造林することができる旨を定めたものであります。この法律に基きまして、公有林野官行造林事業は、約一十万町歩の造林を目標として出発し、明三十一年度をもって、おおむね当初の目顔面積の植栽を完了する予定でありますが、御承知の通り公有林野につきましてはなお造林を要すべき土地が相当にありまするし、また部落有林野につきましては、いまだに造林が十分に行われていない現状であります。従って引き続き公有林野の官行造林を実施いたしますとともに新たに部落有林野を官行造林契約の対象として、その造林を促進することといたしたいのであります。元来、部落有林野は、農民の共同利用の対象とされてきている林野でありますが、その利用の状況はとかく粗放で、土地の高度利用の見地から造林を行うことが望ましい土地があるにもかかわらず、資金の不足、従来の使用慣行による規制や森林経営の知識・経験の不足等のため自力による造林がなかなか行われない場合が少くないのであります。このような土地に国が造林を行うことは、これら農民の要望にも適合し、国の造林政策としても、まことに適切なものと存ずるのであります。しかも部落の共同利用に供せられている林野のうち市町村の所有名義となっているものは、従来から官行造林の対象とされてきておりますので、それ以外の共有等の私有名義のものでも、実質的に部落有林野であるものについては、公有林野に準じて官行造林の対象にする必要があると存ずる次第であります。
なお、水源林の造成が目下の急務であることは申すまでもありませんが、その方法として、土地や所有者の状況から見て、国が造林を行う方が、より確実にして、効果的である場合があるのであります。このため、従来公有林野官行造林事業においては、保安林を契約の対象から除いておりましたが、本年度初め、これを水源林にまで拡大実施することにいたしました。ついては、水源涵養のため造林を行う必要のある土地であって、公有林野及び部落有林野の官行造林地とあわせて造林をなすことが必要であると思われる一部私有林についても、百行造林を行うことができるようにすれば、官行造林地の管理経営の面からも、水源涵養の目的達成の上からもまことに望ましいことと考えるのであります。
以上の理由によりまして、官行造林契約の対象とすることができる土地の範囲を、従来の公有林野のほか、新たに部落有林野及び水源涵養のため造林を必要とする土地の一部にまで拡大し、もって国有林野事業が一般林政に協力することにより、造林の促進に資することができますようにいたしたいのであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/8
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009・村松久義
○村松委員長 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案の政府の説明を求めます。小倉農地局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/9
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010・小倉武一
○小倉政府委員 ただいま上程されました農地開発機械公団法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
昨年八月に公布されました農地開発機械公団法に基きまして、同年十月、農地の造成及び改良の事業の効率化に資することを目的とする農地開発機械公団が発足いたしましたが、本公団は、目下その業務に鋭意専念し、その目的の達成を期しておる次第でありますが、一方、わが国の酪農の合理的かつすみやかな発展をはかるためには、外国産の優良な乳牛を輸入して、これを国内の適地に導入することが肝要であると考えられます。この点にかんがみまして、政府は従来から優良乳牛の輸入を行なってきたのでありますが、今回さらにより多くのジャージー種の乳牛の導入をはかるため、国際復興開発銀行から融資を受けて、農地開発機械公団が乳牛を輸入することにいたし、これを機械開墾地区を含む集約酪農地域に導入し、もって農業経営の合理化と農業生産力の発展に資せんとするものであります。さしあたり八十八万二千ドル相当額の融資を受け、三カ年計画をもって五千頭のジャージー種の乳牛をオーストラリア等から輸入し、これを都道府県を通じて、北海道の根釧地区周辺地域、青森県の上北地区周辺地域その他の集約酪農地域の農家に導入いたす予定であります。
なお、右のほか、農地開発機械公団の保有する機械等のより一層効果的な運用をはかるために、本来の業務に支障のない範囲内において、当該機械等を道路工事等の農地の造成または改良の事業以外の事業の用にも供することかできるようにし、もって本公団の健全なる運営に資せしめたいと存ずるものであります。
以上が本法案を提出いたしましたゆえんでありますが、以下簡単に法案の内容を御説明申し上げます。
第一に、農地開発機械公団の業務の範囲を拡張しまして、公団は、乳牛を輸入し、これを集約酪農地域にかかる地方公共団体に売り渡すことができることといたし、またこれに伴いまして本法の目的を改めたのであります。
第二に、農地開発機械公団は、その保有する機械等を、本来の業務の遂行に支障のない限り、農地の造成または改良の事業以外の用にも供することができることといたしたのであります。
以上が本法案の内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/10
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011・村松久義
○村松委員長 資料の御要求があれば承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/11
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012・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 農業協同組合連合会の整備促進の現況、連合会の現在の実績の資料を要求したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/12
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013・淡谷悠藏
○淡谷委員 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案にございますジャージー種の乳牛が入って以来の搾乳量その他に関する資料がございましたら、なるべくたくさんいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/13
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014・石田宥全
○石田(宥)委員 今淡谷委員の請求されましたものに、もう一つ過去五年間おける一般乳牛の輸出入の状況についての資料をつけ加えておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/14
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015・村松久義
○村松委員長 この際休憩いたしまして、午後再開いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後三時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/15
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016・村松久義
○村松委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。去る十六日開拓者資金融通法案及び農林漁業金融公用法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会より連合審査会開会の申し入れがありましたので、この際両案について連合審査会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/16
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017・村松久義
○村松委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
なお開会の日時につきましては、両委員長協議の上、公報をもってお知らせいたしますので、さよう御承知願います。
なお現在、大蔵委員会で審査中の関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、大豆及び脱脂ミルクの関税税率免除の期間を昭和三十二年度まで延長しようとする規定を含んでおりまして、国内産大豆の価格維持あるいは酪農振興とも関係いたしておりまするので、この際大蔵委員会に連合審査会の開会を申し入れを行いたいと存じまするか、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/17
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018・村松久義
○村松委員長 御異議なしと認めさように、取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/18
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019・村松久義
○村松委員長 次に昭和二十九年産米の追加払いの問題について、石田宥全君より発言を求められております。これを許します。
石田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/19
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020・石田宥全
○石田(宥)委員 先般来、本委員会におきまして調査を続けて参りました昭和二十九年度産米追加払いに関しまして、日本社会党を代表して次の動議を提出いたしたいと存じます。すなわち
昭和二十九年産米追加払いに関する件
パリティ指数の上昇による追加払いは、昭和二十二年以来、米価決定方式として採用せられ、かつ今日まで確実に実施せられており、すでに動かすべからざる慣例となっているにもかかわらず、二十九年産米についてのみこれを実施しないのは、明らかに政府の背信行為である。
よって、政府は昭和二十九年産米のパリティ指数の上昇に伴う追加払い額、石当り四十五円を二十九年産米の供出全量に対しすみやかに支払うべきである。
右決議する。
昭和三十一年二月二十一日
衆議院農林水産委員会
以上の動議を提出いたします。すみやかに御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/20
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021・村松久義
○村松委員長 討論の通告はございません。よって直ちに採決をいたします。昭和二十九年産米の追加払いの問題について、石田宥全君より提案せられました昭和二十九年産米の追加払に関する件を本委員会の決議とするに御賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/21
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022・村松久義
○村松委員長 起立少数。よって本件は否訣せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/22
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023・村松久義
○村松委員長 次に昭和三十年産米の新集荷制度の問題について中村時雄君より発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/23
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024・中村時雄
○中村(時)委員 まず先日来から問題になりました昭和三十年産余剰米の集荷制度に関する件といたしまして、次のような議決をなすことを提案いたします。まず案文を読み上げます。
昭和三十年産余剰米の新集荷制度に関する件
政府は、昭和三十年産米につき、近く新集荷制度を実施すべく考慮中であるやに伝えられるが、本措置は、余剰米集荷対策としての効果に乏しいのみならず、現在の安定した集荷方式および集荷機構に無用の混乱を生じ、次年度以降の集荷に対し悪影響を与えるものである。
よって政府は、より一層の集荷を必要とするならば、予約制度を強化拡大の上継続することとし、いかなる名目によるかを問わず、臨時又は特例の措置を講ずべきでない。
右決議する。
昭和三十一年二月二十一日
衆議院農林水産委員会
どういう理由で私たちはこういうことを考えるかと言いましたら、先日来農林大臣並びに食管長官との話し合いの中におきまして、今度の特集制度におきましては、三つの要点があるとおっしゃっている。一つは買い取りの問題、一つは県内全部に地域を広げる、一つは新しい商社を二百もふやすという問題、こういう問題が重なってきたのであります。昭和二十七年度におけるところの特集制度の骨子は、この三つが中心になっている。ところが法令の上におきましては、省令をもって、昭和三十一年八月三十一日まではこれを行わないというふうに言われている。にもかかわらず同様の根拠を持った新しい方向を打ち立てるということが反対をする第一点でございます。第二点は、農林大臣はしばしば農業協同組合を強化育成をすると言いながら、事実の上においてはこの特集制度を設け、新しい商社をここに設立し、そうしてこれによるところの権限を拡大していこうという考え方を持っている骨子、すなわち農業協同組合を一面において圧迫せんとするがごとき考え方、これが私の反対する第二点、第三点は、少くともこの買い取りをやらないとおっしゃっているにかかわらず、実際の問題といたしましては食管法におきましても買い取りはやってもいい、また予約をやってもいいということになっているのであって、そこにきめ手もないという状況下において、このような行為をとることは、まず私たちはこれに反対せざるを得ない。すなわち農協を育成するという建前と、法的な責任上の建前と、この買い取りという三つの観点から私はこの決議をする次第でありますが、どうか慎重御審議の上御賛成あらんことを、特に良識のある自民党の方々にお願いをいたしまして、提案する次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/24
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025・村松久義
○村松委員長 ただいまの中村時雄君。提案の昭和三十年産余剰米の新集荷制度に関する件について、御意見、御質疑があればこれを許します。——別に発言もございませんので、昭和三十年産余剰米の新集荷制度に関する件を、本委員会の決議とするに御賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/25
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026・村松久義
○村松委員長 起立少数。よって本案は否決せられました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00919560221/26
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