1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月三十日(金曜日)
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議事日程 第二十六号
昭和三十一年三月三十日
午後一時開議
第一 原子燃料公社法案(内閣提出)
第二 核原料物質開発促進臨時措置法案(内閣提出)
第三 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第七 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案(法務委員長提出)
第八 工業用水法案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案(岸信介君外四名提出)
北洋漁業確保に関する決議案(岸信介君外四名提出)
日中貿易促進に関する決議案(岸信介君外四名提出)
日程第一 原子燃料公社法案(内閣提出)
日程第二 核原料物質開発促進臨時措置法案(内閣提出)
日程第三 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第六 船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案(法務委員長提出)
日程第八 工業用水法案(内閣提出)
中小企業振興資金助成法案(内閣提出)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件
公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
官庁営繕法の一部を改正する法律案(田中角榮君外九名提出)
農業改良資金助成法案(内閣提出)
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
午後三時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案(岸信介君外四名提出)
(委員会審査省略要求案件)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/2
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003・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、岸信介君外四名提出、在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/4
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005・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。木村文男君。
〔木村文男君登壇]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/5
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006・木村文男
○木村文男君 私は、ただいま上程せられました、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案につき、その趣旨を弁明せんとするものであります。(拍手)まず、案文を朗読いたします。
在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案
在ソ未帰還同胞の早期引揚促進のため、政府は日ソ両国間の交渉を継続すると共に最善の措置を講ずべきである。
右決議する。
〔拍手〕
理由
日ソ交渉において解決が期待されていた在ソ抑留者の送還が、いまだ解決されていないことは、人道上許しがたいことであり、誠に遺憾にたえないところである。
抑留以来すでに十年余、異境の地に悶々の歳月を過したこれらの同胞や、留守家族の痛心はまさに察するに余りあるものがある。
政府は、ここに思いをいたし、抑留者の引揚促進のために、日ソ両国間の交渉を継続すると共に最善の措置を講ずべきである。これが、この決議案を提出する理由である。
〔拍手〕
皆さん、私は、酷寒風雪のシベリアに十有余年、あらゆる苦難に耐えながら、肉親とまた会う日の一日も早からんことを夢見ながら、ひたすら帰国の日を待ち望む同胞がいまだに多数残されていることは、国民として、ひとしく遺憾にたえないところであります。(拍手)しかも、この抑留同胞が、身は囹圄にありながら、日ソ交渉の成り行きにつきまして心を痛めながら、累を祖国に及ぼすことをおそれて、みずからの生命をみずからの手で守りながら、国策でありまする日ソ交渉の上に誤まりを犯すなかれと絶叫いたしまして、待遇改善の請願運動を起していることに思いをいたしますると、まさに断腸の思いをいたしておるのであります。(拍手)これは、ひとり私のみならず、全国民の共通の思いであろうと存じます。政府は、かねてから、全国民の要望を代表し、日ソ交渉に際し、あくまでも、抑留者の送還を、人道上の問題として、国交回復に関する交渉とは別個に実現されたいとソ連に対し強く主張を続けて参り、特に引揚援護局長をロンドンに特派いたしまして、当方の資料を提示し、調査方をも依頼したのでありまするが、ソ連が依然として条約調印を前提要件なりと主張し、国民あげての要望でありまする抑留者の調査究明についても、いまだに何らの回答すら行わない状況にあることは、まことに遺憾千万と申すほかはございません。(拍手)
在ソ同胞は、長期にわたる強制労働のために、心身ともに疲労困憊の極にあるとのことであります。事はまことに急を要します。われわれは、ソ連の正義人道に立脚した考慮を促したいのであります。この際、ソ連が、日本全国民のこの切なる要望を考え、在ソ同胞の身を案じて涙もかわかぬ留守家族の心情を思い、日ソ交渉の成り行きとは切り離して、正確なる消息の通報と、無条件に即時全抑留者送還をすみやかに実現されんことを切望するものであります。(拍手)これこそが両国国交の基であります。不幸にして、日ソ交渉は自然休会の形とはなりましたが、政府は、事の緊要性にかんがみ、人道問題たるの本旨にのっとりまして、昨日の重光外務大臣の所信表明に基いてあらゆる方途を講じ、在ソ抑留同胞の健康保持と、その即時引き揚げに万全を期せられんことを本院を代表して切望し、ここに決議案を提出せんとするものであります。満堂の御賛成をお願いいたす次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/6
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007・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 討論の通告があります。これを許します。櫻井奎夫君。
〔櫻井奎夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/7
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008・櫻井奎夫
○櫻井奎夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本決議案に賛成の意を表明━━━━━━━━━━━━━━━━━━━せんとするものであります。(拍手)そもそも、鳩山内閣は、第一次組閣前の総選挙の公約以来、日ソ国交回復をうたい続けてきたのであります。しかるに、政府は、この日ソ国交回復問題につき、━━━━━━━━━━━━━━━━━特に、この引き揚げ促進問題に関しましては、一万二千四百五名の在ソ抑留同胞及びその家族の方々に対して、一体何という言葉をもってその悲痛なる落胆に報いんとするものでありましょうか、この際、私は、留守家族の人々の言葉をここで語るということも、現内閣の閣僚諸君に対しては、決してむだでないと信ずるのであります。在ソ同胞留守家族会代表委員、小畑富子さんは、新聞紙上において次のように述べておられるのであります。すなわち、「こんな事にならぬ様に一生懸命にお願いしていたのでした。鳩山内閣の正面に立てた公約は年内妥結との事でした。私共はせめては今春迄にはと期待致して居りましたが、全く見通しもつかぬ事になりました。引揚問題は人道問題だと特別に考慮される事と希望していましたが、一つには引揚団体の運動の足並みが揃はず、留守家族でない人達の引揚団体の中には「人よりも領土を」という強硬論が強く、留守家族の声が小さくなっています。領土も大切ですが、領土は一月や二月で変化の起るものではないのに反して、人命は明日をも知れないのであります。これを実現するには現実に即したやり方が必要です。政府はもう一度考へ直して一日も早く交渉を再開して頂き度いのであります」と、このように、実に切実なる願いを訴えているのであります。このたびの日ソ交渉の無期限休会の報を聞いて、かの地に残された抑留同胞及び留守家族の悲愁、失望は、また格別のものがあると思うのであります。顧みますれば、昨年五月十七日、日ソ交渉開始に際して、われわれ、本院において、未帰還同胞の引揚促進に関する決議を全会一致にて採択いたしたのであります。その際、重光外務大臣は、政府といたしましても、本問題の重要かつ緊急性にかんがみ、早急に、御決議の趣旨に従い、これが解決するよう、さらに一段の努力を尽す決意でございますという答弁をなされたことは、決してお忘れではないと考えます。
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一方、日本との交渉がかくも長引いておる間に、オーストリア及び西独とはすでに国交調整が成立をいたしました。しかも、なま身の人間の苦悩を目前に見聞きしながら、抑留者をどうするおつもりであるか、お伺いいたしたいと思うのであります。━━━━━━━━━━━━━━最後に、私は未帰還者の人々について政府の言う誠意が、また努力がいかなる形で行われておるかを具体的に述べたいと思うのであります。
昨年の十二月十六日、本院の海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会におきまして海外抑留同胞に対する慰問措置に関する決議を全会一致採択いたしました。━━━━━━━━━━━━━━━この件につきまして答弁に立ったところの山下厚生政務次官はなおソ連地区抑留者に対する慰問品の送付につきましては明年度予算には計上されてありませんが、国会の決議の趣旨を尊重いたしまして、とりあえず、本年度におきまして予備金を支出して抑留者全員に慰問品を送付ずるよう折渉中であります、と答弁しておるのでありますが、その内容は抑留者一人一カ月二千円見当、三十年度必要予算三カ月分八百万円の要求という次第であります。━━━━━━━━━━━━━━━━思うに、厳寒はだにしみる異境の地にあってはるか南の星を仰ぎつつ祖国の山河をまどろみ、一日も早く帰国して祖国の再建に携わりたいと、一刻千金、切々の情にかられている在ソ同胞の期待にこたえ、かつ、これら未帰還者の老いし父母及び妻子に、せめてあたたかい心のともしびをともして差し上げるためにも、政府は、本院の決議を十分尊重し、万難を排して施策を打つべきであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/8
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009・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 櫻井君、申し合せの時間が過ぎましたから簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/9
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010・櫻井奎夫
○櫻井奎夫君(続) 最後に、私は、人命地球より重しというたとえのごとく、人命に関するこの引き揚げこそ政府の一刻━━━━も許さざることを重ねて申し上げて、本案賛成の趣旨とするものであります。(拍手)
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) この際暫時休憩いたします。
午後三時五十二分休憩
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午後五時二十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/12
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013・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 櫻井奎夫君から、先刻の賛成討論の演説中、共同提案の趣旨に反し、政府糾弾にわたる部分は、すべてこれを取り消したい旨の申し出がありましたから、議長としては、これを許可し、会議録から削除いたします。
これにて在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議案に対する討論は終局いたしました。
採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/14
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015・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、岸信介君外四名提出、北洋漁業確保に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/16
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017・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
北洋漁業確保に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。川村善八郎君。
〔川村善八郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/17
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018・川村善八郎
○川村善八郎君 私は、自由民主党並びに日本社会党の共同提案にかかる北洋漁業確保に関する決議案について、提案の趣旨弁明を行わんとするものであります。(拍手)
まず、その案文を朗読いたします。
北洋漁業確保に関する決議案
政府は、わが国北洋漁業の安全操業を確保するため、日ソ両国間の交渉により最善の方途を講ずべきである。
右決議する。
理由
北洋におけるさけ、ますの漁業は、わが国の国際漁業としてきわめて重要な地位を占めている。今次ソ連閣僚会議はこの地域における漁獲制限を決定したが、これは公海自由の原則にかんがみ遺憾であるとともに、万一この決定が実行せられる場合は、わが国の北洋漁業は致命的影響を受くることも明らかである。よって政府は、速かに善後処置を講ずべきである。これが、本決議案を提出する理由である。
ソ連は、去る二月十日と三月二十一日の二回にわたり、日本が北洋においてサケ、マスを乱獲したため、サケ、マス資源が一割くらいに減ったとして、資源保護維持のため、ソ連の閣議の決議として、北洋のサケ、マス漁場の区域の制限と、漁獲尾数をも二千五百万尾に制限し、しかも、公海において国際法を無視して、この制限したる漁場内でサケ、マス漁業を行わんとする者は、内外人を問わず、ソ連漁業省の許可を受けなければならないと発表したのであります。
私は戦前より北洋漁業に経験がありますが、このたびサケ、マス資源の減ったというソ連の見解は、日本が北洋において乱獲したのだということで決定づけておるようでありますが、私は決してかようには考えておりません。日本の昨年の北洋の漁獲高は六千万尾であり、かつ、日本は、数十年前よりサケ、マスの孵化事業を行い、資源の保護培養に努め、現在でも毎年四億のサケ、マスの稚魚を孵化放流しておりまして、ソ連の言われるように、日本は乱獲ばかりしておるのでは決してありません。真にソ連の言われるように漁獲が減つたとするならば、他に大きな原因があるものと思われるのであります。真相はいすれにあるにせよ、出漁を目前に控えて、北洋、すなわちアリユーシヤン海域、オホーツク海域、千島周辺海域にも出漁できないように、日本の漁業を締め出しする方針をとろうとするやのソ連の真意を疑わざるを得ないのであります。(拍手)しかし、事ここに至っては、両国間の交渉により、北洋漁業の安全操業が確保せられるよう最善の方途を講ずるよう努力すべきであり、本決議案の上程の趣旨もここにあるのであります。(拍手)
そもそも、北洋漁業は日本人が開発したのでありまして、明治の初年ごろから帆前船を母船として出漁したのでありますが、逐年改善されて今日に至つたのであります。戦前の最盛期、すなわち昭和十四年ごろには、サケ、マスの総漁獲高は二億二千万尾という記録を示しているのであります。その後、昭和二十七年に、日米加三国漁業条約の締結によって北洋漁業が再開されたのでありますが、敗戦した日本は、千島、樺太の領土を失い、カムチャッカの漁区の賃借権を失ったのでありますから、現在のように母船式サケ、マス漁業が主となったのであります。ソ連当局は、北洋のサケ、マスが著しく減ったのは日本が乱獲しておるからであると発表しておりますが、決してかようなことはないのであります。昭和三十年度における日本のサケ、マス総漁獲高は大体九千万尾で、戦前の最高漁獲高の約四〇%にすきないのであります。また、昭和三十一年度の計画についても、一見非常に拡大されたかに見えますが、なるほど母船は五船団も増加されましたが、付属独航船は四十八度線以南の流し網漁船の繰り上りでありまして、実質的には、北洋のサケ、マス漁船は、全体として増加とはなっておらないのであります。従って、その漁獲高におきましても、前年度よりさほど増加することは考えられないと思うのでありますが、しかし、ソ連は、公海漁業である日本の北洋サケ、マス漁業を、どこまでも、発表したごとく、力によって圧迫を加え、操業を不可能ならしめることになりますれば、準備万端整いました母船及び独航船その他流し網漁船による漁業は経済的にもまた精神的にも多大なる打撃を受けるとともに、働く漁民約四万人とその家族二十万人の生活を奪われるばかりでなく、死活問題を引き起すことになるのであります。また、国家経済面から申しましても、約百二十億円以上の貿易が不能となり、財政上に及ぼす影響もまた多大であるとともに、食生活の問題にいたしましても深刻な影響を受けることになるのであります。従いまして、政府は、すみやかに日ソ間の漁業問題を円満に解決し、北洋漁業の安全操業を確保するよう最善の努力を払われんことを強く要望いたしまして、私の趣旨弁明を終る次第であります。
何とぞ満場の諸君の御賛成をお願い申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/19
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020・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/20
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021・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、岸信介君外四名提出、日中貿易促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/21
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022・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/22
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023・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
日中貿易促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。帆足計君。
〔帆足計君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/23
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024・帆足計
○帆足計君 私は、ここに、日本社会党並びに自由民主党共同提案になる日中貿易促進に関する決議案の趣旨を御説明申し上げ、諸兄の御賛同を願いますとともに、政府においてこれが趣旨を理解せられ、適切なる措置を講ぜられんことを要望するものでございます。(拍手)
日中貿易促進に関する決議案
政府は昨今の国際情勢緩和の状況に即応して、日中貿易促進のため、この際ココム制限の緩和に努め日中貿易の促進と発展のために最善の方途を講ずべきである。
右決議する。
理由
日本と中国との貿易は歴史的にも、立地的にもきわめて重要なるにかんがみ、又昨今における国際情勢緩和のすう勢に即応して兵器、軍需にあらざる一般平和物資については、この際ココム制限の緩和に努め日中貿易の促進発展のため最善の方途を講ずべきである。
〔拍手〕
以上が決議案並びに提案理由でございます。
周知のごとく、わが日本は島国でありまして、島国とは海の国、海の国とは平和と貿易をその生存の絶対の要件とする国でございます。(拍手)今日、世界の貿易は、平均して戦前水準の一六〇をこえ、アメリカは二七〇、イギリス一八〇、フランス二〇〇、西独一九〇という躍進を示しておりますにもかかわらず、ひとりわが国の貿易は、いまだに戦前水準の六〇%にも満たぬという、まことに憂慮すべき状況でございます。かかる意味におきまして、今日わが国にとって、平和と貿易の問題は、党派を越えたる国民的要望と申しても過言ではなかろうと存ずるのでございます。(拍手)しかして、かかる日本貿易不振の原因は、もとより一にしてとどまらぬのでありますが、なかんずく、北米合衆国に対する生糸の凋落と、東南アジアに対する民族産業の勃興と競争の激化、しかして、その最も大いなるものは、隣邦中国との貿易の途絶でございます。過去において、日本と中国との貿易は、わが国貿易総額の、多きは四割、少きも二割以上を占め、今日の価格に換算いたしますれば、輸出四億ドルないし八億ドルにも及ぶべきものでございます。日中貿易促進の声が、党派を越えたる全国民の要望として、燎原の火のごとく燃え上っておりますことも、まことにゆえなしとはしないのでございます。(拍手)
しからば、日本と中国との貿易の現状はどうでございましょうか。今日、共産圏と資本主義諸国との貿易、いわゆる東西貿易の総額は、輸出入総計において、昨年度およそ四十億ドルの巨額に達し、そのうち、わが国の占むる地位はわずかに一億ドル、世界において十四、五位という立ちおくれの実情でございます。しかしながら、数年前には全く途絶の状況でありました日中貿易も、諸兄の御努力によりまして、曲りなりにも、とにかく一億ドルに達するに至りましたことは、御同慶の至りでございます。一億ドルの内訳は、輸入七千万ドル、輸出三千万ドルでございまして、輸入の内訳は、大豆、米、工業塩、螢石、粘土、松やに、マグネシア・クリンカー、カシミヤ、桐油、粘結炭等の各種有用なる原料で、特に米は、わが国の愛国第何号という優良品種が黄河、楊子江のほとりで実ったものでありまして、その品質においては一級すし米に匹敵し、いわゆる外米、南京米、黄変米の比ではないのでございます。さらに、工業塩は、今年度すでに百万トンの輸入が予想せられ、わが国化学工業、化繊工業の基礎をなすものでございます。中国への輸出は、塩の見返りといたしましては、今日すでに人絹糸、スフ糸、各種染料、化学薬品等が相当大量に輸出せられまして、さらに米の見返りといたしましては相当量の硫安が輸出せらるるに至っておるのでございます。
しかるにかかわらず、われわれの今日最も遺憾といたしますことは、ヨコム禁輸によりまして、全体としての対中国輸出の振わざることでありまして、輸入七千万ドルに対し、輸出はその半ばにも達せぬ、まことに悲観すべき現状でございます。昨年において、中国よりの輸入がすでに七千万ドルに達しましたと申しますことは、自然、今年度においては、輸入一億ドル以上になりますことは当然予想されるのでありまして、一億ドルの輸入は、人為的制限さえなければ、当然一億ドルの輸出を伴うものでありますから、本年度において、すでに輸出入二億ドルの貿易は、現実に可能のワク内に入っておるのでございます。(拍手)しかして、本年度二億ドルの貿易が可能でありますならば、明年度二億ドルの貿易はさほど困難でなかろうとも考えられるのでございます。従いまして、今日、ココム制限の緩和並びに解除こそは日中貿易打開のただ一つのかぎと申しても過言でないのでございます。(拍手)
ここにココムと申しまするのは、周知のごとく、バトル法によりましてアメリカより援助を受けております国々に対し、共産圏に対し戦略物資を輸出してはならぬという協定に基くものでございます。しかして、当初のソ連に対する戦略物資の輸出禁止は、主として狭義の兵器、軍需品に限定されておりましたから、わが国にとりまして、さほど深刻な問題ではなかったのでございます。ところが、その後、朝鮮戦乱の勃発を機会といたしまして、隣邦中国に対しまして、チンコムという奇妙なる名称の別表が登場いたしました。今や、木造船、汽船、トラック、薄板、電線、電纜、鉄板、自動車、ラジオ部品等に至るまで、ほとんど一切の平和物資の対中国輸出が禁止せられるに至ったのでございます。従いまして、対中国輸出制限の内容は、一般の国民各位が当初考えられましたような単純な軍需品、兵器の輸出禁止ではなくして、その内容は、広く、ほとんどすべての平和建設資材に及ぶものでございます。これを客観的に今日見まするならば、それは中国に対する軍事戦略と申しますよりも、アメリカの競争相手になっておりまする日本やイギリスが中国市場に早めに進出することを妨げようとするところの、商業戦略の意味を帯びておるということは海外論調のあまねく指摘するところでございます。(拍手)
しかして、ここに国民各位の御注意を促したい一つのこと、ココムにすべての国々が加入しておりますかというと、しからず。西欧の精密機械工業国でありますところのスエーデンにしても、スイッツルにしても、ココムには加入しておらずに、自由に貿易を続けておりまするし、アジア諸国においてココムに加入せるものはトルコ一国に限られておる現状でございます。この意味におきまして、たるの底はすでに抜けておるのでありまして、底の抜けたたるの番人を仰せつかっておりますところの日本の立場は、はなはだ迷惑しごくなことに相なっておるのでございます。(拍手)
本来、貿易というものは互恵平等を原則とするものでございますから、利益もともに受けますかわりに、逆に、相手に多少の損害や打撃を与えたつもりでありましても、こちらの側がより多くの打撃と損害を受ける場合がしばしばあることも考えねばならぬのでございます。ことに、わが国と中国との間は、地理的にも歴史的にも関係密接にして、経済の生命線といわれたほどの関係でございまするから、とうてい西欧諸国やアメリカとの比ではないのでございます。この点、アメリカのような大国におきましては、日本のような小国の利害と悩みは、なかなかわかってもらえないもののごとくでありますことは、まことに遺憾しごくでございます。(拍手)もし、それ、いかなる理由があるにいたしましても、かりに大英帝国に対してインドとの貿易を断てと要求し、フランスにアメリカとの、あるいはまた、北米合衆国にカナダ、中南米との貿易をやめろと命ずるものがあったならば、これらの国々の国民の世論は、これをどのように受け取るでありましょうか。(拍手)かりに、このような干渉を無批判に受け取る政府があったといたしましたならば、国民の批判と反撃を受けないで済むことでございましょうか。(拍手)私は、あえて皆様とともに、アメリカの政府に対し、礼儀正しく、言葉穏やかに、おのれの欲せざることを人に施すことなかれと申したいのであります。(拍手)
今日、世界はすでに原子科学の平和利用の段階に移りました。他面、原爆は水爆に、水爆は、さらに数千キロ電気誘導弾という兵器としての極限に達しようとしております。平和を望む声は全世界に満ち、人類はまさに世界平和の前夜にも差しかかりつつあるかのごとき思いがいたすのでございます。ソ連もまた大いなる変貌を遂げつつあり、同時に、アイゼンハワー大統領、チャーチル前首相、ネール首相等、現代の指導者たちの良識と相待ちまして、国際情勢は今や新しい平和の展望を示しつつありますことは、諸兄とともに御同慶の至りでございます。このような国際情勢の緩和を前にいたしまして、すでに五カ年前の、朝鮮戦争たけなわなりしころの、あまりにも広き中共禁輸の幅を、今日そのまま踏襲しようといたしますことが、いかに時代に適応せぬものであるかは、イギリス、フランス、インドを初め、世界の世論のひとしく指摘するところでございます。(拍手)政府におきましては、よろしく、かかる国際情勢の展望を正しく理解せられ、世界の世論に呼応して、この際、ココム緩和に対し有効にして適切なる手を打たれんことを切望するものでございます。(拍手)
さらに、各位の御理解を求め、政府の善処を要望いたしたきことは、日中貿易促進の一環として今秋北京、上海において開催予定の日本商品見本市に対する政府の理解と、これが成功のための適切なる御指導、御協力でございます。過ぐる数年前、私が初めて革命後の北京を訪れまころは、新中国は、いまだ、日本の技術と日本の機械、日本の規格による修理復旧の段階でございました。しかるに、昨秋同僚議員各位とともに三たび北京を訪れましたときの印象は、今や、中国の経済建設は第一次五カ年計画の終りに近づき、近く第二次五カ年計画は膨大なる建設と発注を示さんとしつつあったのでございます。しかして、機械は機械を呼び、規格の統一を要請し、このまま、じんぜんと禁輸を続けますならば、ソ連、チェコスロバキア、ポーランドあるいは西欧諸国の機械類は優先的に中国の市場に殺到し、わが国はいよいよ窮地に立つことを諸兄とともに憂うるものでございます。(拍手)コンクリートが固まってからではハスの実も育たないことを、われらは考えねばなりません。さらに、隣邦中国は、今や漢字を制限し、この一月からは新聞、雑誌一斉に横書きを断行し、さらに数カ年後には、改良されたローマ字、音標文字に移行する情勢を示しているのでございます。かくて、漢字は過去のものとなってさらに機械は他国より求められようとするときに、隣邦中国に対し、数千年にわたる同文同種の国民よと呼びかけてみたところで、それは三十年前に別れた恋人の面影をしのび、接吻の味を語る愚かなわざと何の異なるところがありましょう。(拍手)
しかるがゆえに、われわれは、今日に至るまで、日中貿易の打開をもって、イデオロギーを離れ、党利党略を越えたる国民共通の願望として畏友池田正之輔君、宇田耕一君、その他同憂の士とともに、日中貿易促進議員連盟を組織し、世論を喚起し、政府を鞭撻し、隘路の打開に協力し、ついに日中貿易額一億ドルにまでこぎつけたのであります。かかるときに、日本商品見本市が北京、上海において開催されますことは、まことに時宜を得たるものであり、その意義いよいよ大にして、効果また大いに期待すべきものと思うのでございます。(拍手)政府は、よろしく、その施策並びに予算の物心両面におきまして、この見本市の成功のために適切なる援助をお願いしたいのでございます。
巷間、一部には、見本市にココム禁制品は全面的に展示不可能であることを唱える向きもありますけれども、かくのごときは法令を解せざるもはなはだしきものでありまして、商品見本市に商品を出品し、日本産業の実勢を海外に展示いたしますことは、断じて輸出ではなく展示はあくまで展示と解すべきでございます。あたかも、再びわが家に帰る短かい海外旅行が海外移民でないのと全く同じでございまして、移民と海外旅行との相違につきましては、三才の児童といえども理解し得ることでありますから、これを一々外国にお伺いを立てる必要はあるまいと私どもは思うのでございます。(拍手)
わが日本国民は、由来、国家の運命に関する重大事項につきましては、小異を捨てて大同につき、祖国の運命、民族の幸福を党派の利害より上に置くところの醇風美俗を持っておるのでございます。(拍手)平和と貿易の課題こそは、原子科学の光に照らされつつ世界の激流を漂う島国日本にとりまして、何ものにもまして重要な国民的課題の一つでありまして私は、ここに党派を越えて同僚議員各位に満場一致本決議案に御賛同をお願いしまするとともに、政府当局は、よろしく、すでに時代おくれと世界の世論が断定しておりますところのココム制限について、これを自国本位の立場から固執しておりますところのアメリカ政府に対し、その不合理なるゆえんをじゅんじゅんとして説明せられ、同時に、日本国民は、アメリカ市民がアメリカを愛するがごとく、みずからの祖国とその独立と自由を愛する国民であることを悟らしめていただきますことをお願いいたしまして、趣旨説明にかえさしていただく次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/24
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025・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたし品ます。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/25
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026・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
この際外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣重光葵君。
〔国務大臣重光葵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/26
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027・重光葵
○国務大臣(重光葵君) ただいま御決議になりました三件、すなわち、一、在ソ未帰還同胞の引揚促進に関する決議、二、北洋漁業確保に関する決議、三、日中貿易促進に関する決議、以上の三件につきましては、本院の御決議の趣旨を尊重して、政府としては十分これに善処いたしたい所存でございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、原子燃料公社法案、日程第二、核原料物質開発促進臨時措置法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長有田喜一君。
〔有田喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/28
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029・有田喜一
○有田喜一君 ただいま議題となりました原子燃料公社法案及び核原料物質開発促進臨時措置法案に関する委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
〔議長退席、副議長着席〕
原子燃料公社法案は、さきの第二十三国会において成立いたしました原子力基本法に基き、原子力エネルギーの源泉となるウラン、トリウム等の核原料物質の開発及び核燃料物質の生産、並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、原子力の開発及び利用の促進に寄与することを目的として、原子燃料公社を設立しようとするものでありまして、その資本金は全額を政府出資に待つこととし、その設立に当りましては、とりあえず政府は一千万円を出資することになっております。公社の役員は理事長、副理事長、理事及び監事とし、原子力委員会などの意見を聞いて、それぞれ内閣総理大臣が任命することといたしております。公社は、その業務を行うに当っては、原子力委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める原子力の開発利用に関する基本計画に基いて行われなければならないこととするとともに、公社は毎年事務報告書を内閣総理大臣に提出し、内閣はこれを国会に報告することといたしております。公社の予算などは、内閣総理大臣の認可または承認を要し、公社の会計は会計検査院が検査し、検査を経た決算書類を毎年国会に報告することとなっております。
次に、核原料物質開発促進臨時措置法案について申し上げます。ウラン鉱などの開発は、他の鉱物とは異なり、全く新規のものであり、相当の資金と技術とを要し、かつ、企業リスクの多い事業でありますので、当分の間、国ないしこれに準ずる機関がみずから探鉱を行う必要が痛感されるのであります。このため、原子燃料公社と地質調査所が探鉱を実施して参ることになるわけでありますが、この探鉱を支障なく行うために必要とする土地の立ち入り、使用などの手続を定めるとともに、ウラン鉱等の開発、特に採掘を促進するために必要な諸措置と助成とを規定する限時法となっておるのであります。
両案は、三月十二日本委員会に付託され、十三日提案理由の説明を聴取いたしました後、数回にわたって熱心活発なる質疑を行なったのであります。その詳細は速記録に譲ることといたします。
かくて、三月二十七日採決を行なった結果、両案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/29
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030・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/30
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031・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
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〔松原喜之次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/31
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032・松原喜之次
○松原喜之次君 ただいま議題となりました四法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、別途今国会に提案されました地方交付税法の一部を改正する法律案及び入場譲与税法の一部を改正する法律案に相伴って、交付税及び譲与税配付金特別会計法についても所要の改正を行おうとするものであります。すなわち、第一に、地方交付税の総額の引き上げに伴いまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法においても、毎会計年度、地方交付税相当分として一般会計からこの会計に繰り入れるべき金額を、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込額の百分の二十二から百分の二十五に引き上げることといたしております。第二に、入場譲与税として都道府県に譲与する金額が、現行の入場税収入額の十分の九相当額から、その全額に引き上げられることに伴いまして、この特別会計法においても、毎会計年度、入場税収入額の十分の一相当額を一般会計へ繰り入れるという従来の制度を廃止することといたしております。
次に、余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、先般調印を了し、別途今国会に提案されました第二次の農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基いて借り入れる資金の受け入れと、この会計が行う貸付との間の時間的なズレを調整するため、支払い上現金に不足を生ずるごとき場合には、この会計の負担において一時借入金をすることができることといたそうとするものであります。なお、この措置は、昭和三十年度における第一次協定に基いて借り入れた資金についても臨時的措置としてとられたのでありますが、三十一年度以降の分についても同様の措置を講じようとするものであります。
次に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、別途今国会に提案されました健康保険法等の一部を改正する法律案により、政府が行う健康保険事業の執行に要する費用の一部を国庫において補助することとなるに伴いまして、厚生保険特別会計の健康勘定の歳入に、一般会計からの受入金という事項を加えるとともに、この勘定の歳入不足を補てんするため、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度十億円を限度として一般会計から補てんすることとなっているのを、昭和三十一年度分についてはこれを取りやめ、昭和三十二年度以降に繰り延べることに改めようといたしております。また、健康勘定、日雇健康勘定及び年金勘定の各積立金のうち、業務勘定から組み入れた金額を限度として、予算で定める金額を業務の取扱いに関する経費に充てるため、業務勘定に繰り入れることができることといたしております。
最後に、船員保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、別途今国会に提案されました船員保険法の一部を改正する法律案により、船員保険事業のうち、療養給付等の一部について国庫で補助する措置が行われることとなるに伴いまして、一般会計からの受入金の精算規定等について所要の改正を行うとともに、療養給付等に要する費用の財源の一部に充てるため、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度二千五百万円を限度として、一般会計から船員保険特別会計に繰り入れることができることとなっているのを、昭和三十一年度分についてはこれを取りやめ、昭和三十二年度以降に繰り延べることといたそうとするものであります。
以上の四法律案につきましては、審議の結果、去る二十七日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、いずれも起立多数をもって原案の通り可決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/32
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033・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 討論の通告があります。これを許します。有馬輝武君。
〔有馬輝武君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/33
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034・有馬輝武
○有馬輝武君 私は、ただいま議題となりました余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案外三法律案について、日本社会党を代表いたしまして反対の討論をいたさんとするものであります。(拍手)
最初に、余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案について、反対の理由を明らかにいたします。
私たちは、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との協定自体が日本にとっていかに不利益なものであるかということを、しばしば指摘して参りました。受け入れ価格は割高であり、その上、運送は米国船優先になっており、見返り円の使途についても多くの制約が加えられているからであります。最も遺憾なことは、この余剰農産物の受け入れによって国内産の農産物が極度に圧迫されることであります(拍手)この協定の実施によって、わが国の現行食糧管理制度の機能は麻痺し始め、食糧増産対策、食糧自給度の向上など、根底からゆさぶられておるのであります。この事実にさらに拍車をかけ、現内閣の外交、貿易に対する無定見さと、国内農業に対する冷酷な仕打ちを露呈しているというのが本法律案であります。(拍手)政府が輸入業者のために、一切の契約、運送の世話をするばかりでなく、代金支払いを、農産物がわが国の港に到着して業者の手に渡るまで待ってやろうとしております。一方では、電源開発、農地開発、あるいは日本生産性本部への貸付を急ぐあまり、業者の代金支払いがあるまで、政府が二十億もの借り入れをやってこれに充てようとしておるのであります。政府が特定輸入業者をこれほどまで優遇してやる必要はこうもないのであります。
反対理由の第二は、この特別会計の資金運用計画が当を得ていないことであります。余剰農産物の受け入れば、その影響が国内農民に転嫁されるのであるから、その償いといたしましても、見返り資金は、国内農業開発のため、優先的に、かつ重点的に使われるのが至当であります。しかるに、本年度資金運用部計画の中に、生産性本部貸付金十億円なるものがあります。これは単なるトンネルであって、商工中金に、二分五厘の利ざやを取って、また貸しするものであります。政府は、商工中金の利子を引き下げるとか、あるいは生産性向上に資するとか、体のいい説明を加えておりまするけれども、これは明々白々たるピンはねを許していることにほかならないのであります。(拍手)生産性本部に二千五百万円ものピンはねをさせる理由がどこにあるでありましょうか。
反対理由の第三は、必要以上の過剰輸入が行われているということであります。本年度分の葉タバコ千五百トンのごとき、まさにそれであります。政府は、アメリカ産の黄色種のかおりの高い原料を入れて品質の改善を行なって愛煙者を喜ばしてやるのだというような、体のいい説明をいたしております。ところが、当の専売公社では、三年分のストック一万トンがあって、輸入の必要はないのでありまするけれども、政府の御命令であるからやむを得ませんでしたと、みずから言明して、過剰輸入であることを告白いたしておるのであります。(拍手)
以上あげました三つの理由からだけでも、われわれは本法律案に断固として反対せざるを得ないのであります。(拍手)
次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対する反対の理由を申し述べます。
政府は、今国会に地方交付税法の一部を改正する法律案並びに入場譲与税法の一部を改正する法律案を提出いたしまして、交付税率を百分の二十二から百分の二十五に引き上げ、入場譲与税の全額を地方に譲与することによって、本年度の財政需要額は、赤字を出さずに、この財源をもって充足されるといたしております。政府がこの措置をもって地方財政の赤字克服なれりといたしますならば、ごまかしもはなはだしいものといわざるを得ません。(拍手)業界、地方住民の反対はもとより、与党の中でも一部の良心的な方々の反対を押し切って、与党では、すでに、軽油税、固定資産税、都市計画税など、地方税の増税を決定いたしているではありませんか。(拍手)
昨年の十二月二十五日、現内閣は、その閣議で、地方財政の再建に関しまして、地方財政についてはその根本的健全化をはかり、今後赤字の発生を見ざるよう抜本的な施策を講ずると決定いたしております。ところが、本法律案の審議の過程で、政府は国税と地方税の関連についても将来の検討に待たなければならないと答弁して、閣議決定など夢のように忘れ去られておるのであります。(拍手)公約の、赤字克服の根本的な立て直しなどそっちのけで、減税どころか、実質的には増税の一途をたどっている施策には、もはや、あきれてものが言えないのであります。(拍手)かくして、吉田内閣、鳩山内閣の積年の政治の貧困が——地方自治体、地方住民は、その貧困の結果を、いやおうなく、しわ寄せさせられているのであります(拍手)これが本法律案に対する反対の理由であります。
次に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案並びに船員保険特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対の理由を明らかにいたします。
反対理由の第一は、政府管掌の各種健康保険は日本の社会保障制度の中核をなすものであって、これらの保険はそれぞれ全体の調和と調整の中に改正が考えられなければならないのに、その不均衡が無視されたまま放置されておるのであります。(拍手)たとえば、国民保険の国庫負担が療養費の二割であるのに対して、健康保険では医療費の補助がなかったのであります。今回三十億を補助しようとしておりまするけれども、国民保険並みの二割としますと、少くとも百六十億を要するのでありまして、保険財源を一部雇い主が負担するからというような理由で、補助率のはなはだしい相違がそのまま放置せられているのであります。さらに、国庫補助の額をどのようにすべきか、あるいは一部負担がどうあるべきか、こういう点についても、今年度は、ただその調査費用を計上したにとどまり、全体の調和と調整はあげて将来に残されているのであります。(拍手)
反対理由の第二は、健康勘定に生じた赤字を被保険者の一部負担などに求めんとする政府の不当な措置についてであります。政府管掌健康保険の被保険者の大半が中小企業、零細企業に依存しており、政府のとった経済政策、財政政策、産業政策の一番大きな被害をこうむったのがこれらの業者並びに労働者であり、その賃金報酬実額の減少が保険経済に響いていることは争えない事実であります。このような赤字は、当然国の財政によって全額見込まるべきであります。
反対理由の第三は、千三百四十八億に上る厚生年金の積み立てについて、今年度の還元融資の原資が三百十五億しか見込まれていないことであります。労働者、零細企業者の貴重な積み立てである以上、これらの人々のために、むしろ還元融資のワクを増大すべきであります。にもかかわらず、いまだにこのようななまぬるい管理を続けておるところの大蔵大臣の責任は重大だと申さなければなりません。(拍手)
反対理由の第四は、船員法第八十九条で、船員が業務上負傷したり、または疾病にかかった場合は、船舶所有者に全額その費用の負担を命じているにもかかわらず、今回の改正で、一部を被保険者の負担にしたことであります。その後に船主が支払う立てかえの方法がとられているとは申せ、実際には請求などできるものではないので、十分な療養を妨げることはなはだしく、明らかな健保制度の後退であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)この二法律案に照応する健康保険法の一部を改正する法律案並びに新医療費体系が、保険医の総辞退など全国民の反撃にあって、ゆゆしい事態を引き起していることと相待って、鳩山内閣の社会保障制度に対する不誠意と怠慢はここにきわまれりといわなければならないのであります。(拍手)
以上申し述べたように、不利益な協定で日本の農民を圧迫し、減税の公約を裏切り、社会保障制度を後退せしめるところの四法律案に対しまして、断固たる反対の意思を表明して、私の反対討論を終らんとするものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/34
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035・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。
四案を一括して採決いたします。四案の委員長の報告はいずれも可決であります。四案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/35
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036・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、四案とも委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/36
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037・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 日程第七は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/37
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038・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
日程第七、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を求めます。法務委員長高橋禎一君。
〔高橋禎一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/38
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039・高橋禎一
○高橋禎一君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案につきまして、提案の理由並びにその要旨を御説明申し上げます。
御承知のように、昭和三十一年三月二十日午後十一時ごろ、秋田県能代市畠町二十番地より出火した火災は、折柄北々東十五メートルの強風にあおられ、たちまち西方に延燃し、店舗、住宅等の木造建築物の密集地帯を総なめ にし、二十一日午前六時ごろ、同市の最西端に至り、ようやく鎮火いたしました。この焼失戸数約千五百戸、罹災人員約六千名、焼失面積九万五千坪、被害見積り額は二十億円に達したのでありますが、同市には昭和二十四年二月二十日にも焼失家屋千七百戸という大火災が発生しているのであります。たび重なる災害をこうむられました能代市民各位に対しまして、深く御同情申し上げる次第であります。
さて、かかる災害に対する国の措置といたしましては災害救助、免税等の方途もありますが、今回の罹災区域における借地率三六%、借家率一六%に及ぶ実情から見ましても、今後激しい住宅紛争の起るであろうことも予想されるところでありますので、法務委員会におきましては、これら住宅を失った罹災者を保護し、かつ同市の復興再建の一助とするため、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二を早急に発動し、同法を同市の今次災害にも適用する必要あるものと認め、三月二十八日全会一致をもって委員会の成案を得た次第であります。
以上、提案の趣旨を御説明申し上げました。何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/39
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040・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/40
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041・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/41
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042・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、日程第八とともに、中小企業振興資金助成法案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を追加して、三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/42
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043・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/43
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044・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
日程第八、工業用水法案、中小企業振興資金助成法案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事鹿野彦吉君。
〔鹿野彦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/44
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045・鹿野彦吉
○鹿野彦吉君 ただいま議題となりました工業用水法案外二件について、商工委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。
まず、工業用水法案について申し上げます。
御承知の通り、工業用水は、原材料や動力と並んで、工業生産上不可欠のものでありまして、その豊富低廉な用水の確保は、わが国産業発展上きわめて重要でありますが、従来ほとんど積極的な対策が講ぜられていなかったので、最近では用水事情の悪化を来たし、特に工場密集地域においては、蹄下水の過度のくみ揚げによって水源の枯渇、塩水混入及び地盤沈下などの事態が生じており、工業生産の維持発展上まことに重大な障害となっておるのであります。このため、工業地帯における産業立地条件整備の総合的施策の一環として工業用水道の布設を促進し、これに要する費用の四分の一の国庫補助を行うなど、必要な助成措置をとる一方、地下水の過度のくみ揚げを防止して地下水源の保全をはかり、かつ、地盤沈下の防止をもあわせて行う必要があるのであります。
次に、本法案の内容の概略を申し上げます。第一に、工業用地下水の過度くみ揚げによって弊害が著しく現われておる重要な工業地域を政令で指定し、かつ、その地域において新たに一定の規模以上の井戸によって工業用水を坪取する場合には通商産業大臣の許可を要することといたしたのであります。第二に、新設井戸の許可については、指定地域ごとに、その深さ及び規模について一定基準を設け、これに適合する場合に許可をすることのほか、工業生産上特に必要かつ適当と認められる場合には、地下水源に著しい支障のない限り、この一定基準に適合しない場合でも許可をすることといたしたのであります。第三に、指定地域内の既存の井戸については、地下水源の合理的利用のため特に必要があると認めるときは、通商産業大臣は、工業用た道への転換、地下水使用方法の合理化などについて、適切なる指示をすることができることといたしたのであります。
本法案は、三月十、四日本委員会には託せられ、翌十五日政府委員より提案理由の説明を聴取いたしたのであります。次いで、二十三日質疑に入り、越えて二十七日及び二十八日と慎重審議を行い、二十八日質疑を終了いたしました。その内容の詳細については会議録を御参照願います。
引き続き、本法案を討論に付しましたところ、自由民主党を代表して小笠公韶君、及び日本社会党を代表して山口丈太郎君より、それぞれ賛成の意を表明されたのであります。討論終了の後、採決いたしましたところ、全会一致をもって可決いたしたのであります。
なお、採決の後、日本社会党山口丈太郎君より本法案に対する附帯決議案が提出され、その趣旨弁明の後、これを採決いたしましたところ、全会一致をもって可決いたした次第であります。決議の詳細は会議録を御参照願うことといたし、朗読を省略いたします。
次に、中小企業振興資金助成法案について申し上げます。
わが国の中小企業対策として、協同組合制度が最も基本的な制度の一つであることは、申すまでもないことであります。従いまして、昭和二十二年以来、中小企業協同組合の生産、加工、検査、試験、輸送、保管などの共同設備並びに組合員の経営の合理化をはかるために、都道府県と協力して、これらの共同施設に対して補助金を交付して参ったのであります。また、一方、産業の基礎的地位を占めております中小企業者は、遺憾ながら資本力、信用力が薄弱となっておりますので昭和二十九年度より、それまで都道府県が実施いたしておりました中小企業の設備近代化のための融資に対しましても補助金を交付し、その経費の半額を無利子で貸与いたして参りましたのであります。以上が従来実施して参った措置の概要でありますが、最近特に現行制度に基く資金需要の対象の件数も多きを加え、その管理、回収も長年月にわたります関係上、この制度の責任分野を明らかにいたしますとともに、内容を一そう拡充、整備しまして、資金の反復利用を可能ならしめ、もって本制度の効果を最高度に発揮せしめようとするものであります。以上が本法案の提案の趣旨であります。
次に、内容の要点を申し上げますと、第一に、都道府県に協同組合の共同施設並びに中小企業の経営の合理化のための設備を設置するのに必要な資金の貸付を行う特例会計を設けさせることといたしたのであります。第二に、国は都道府県が特別会計に繰り入れる資金と同額以内の補助金を交付し、両者を合せて回転、運用せしめることといたしたのであります。第三に、特別会計からの貸付金は無利子、無担保として、ただ保証人を必要とし、償還期限は五年以内といたしております。第四に、貸付金の最高限度は必要資金の二分の一以内といたしております。第五に、国より補助金を受けた都道府県は、主務大臣が規定した基準に従った事業計画を作成しなければならないことといたしております。なお、昭和三十一年度国の予算において補助金四億七百万円が計上されております。
本法案は、三月十四日当委員会に付託せられ、翌十五日政府委員より提案理由を聴取いたしたのであります。二十八日には本法案の内容の詳細にわたりまして政府委員より聴取いたし、三十日質疑に入りました。質疑の内容は会議録を御参照願います。
次に、自由民主党小笠公韶君より修正案が提出せられ、提案の趣旨弁明があり、次に討論に入り、社会党松平忠久君の討論終了後、修正案につき採決いたしましたところ、全会一致をもって可決いたしました。次に、修正部分を除く原案につき採決いたしましたところ、これまた全会一致で可決いたしました。
次いで、社会党松平忠久君より附帯決議が提案され、趣旨説明が行われ、これにつき採決いたしましたところ、全会一致をもって可決いたした次第であります。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件について御報告申し上げます。
繊維製品検査所は、輸出品取締法に基いて輸出絹、人絹織物検査表示を行うとともに、その他の輸出繊維製品については、民間検査機関において行う検査表示の監督を実施いたしており、現在、京都以下八カ所に本所を、東京以下二十五カ所に支所及び出張所を設置いたしております。今回繊維製品検査所の出張所を設置しようとする和歌山県高野口地方は、戦前から輸出入絹シール織物の生産が旺盛でありましたが、戦後においても、昭和二十五年ごろより輸出の引き合いがあり、その生産高も逐年増加し、昭和三十年における出張検査高は約四百五十万ヤールに達し、戦前に比較し約五倍の検査高であります。従いまして、検査業務の能率を上げ、業界の便宜をはかるために、同地に出張所を設置しようとするものであります。
本件は、三月二十九日当委員会に付託せられ、三十日政府委員より提案理由を聴取いたしました。本件については質疑、討論もありませんので、直、に採決に入りましたところ、全会一致をもって承認を与えることと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/45
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046・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第八及び中小企業振興資金助成法案の両案を一括して採決いたします。日程第八の委員長の報告は可決、中小企業振興資金助成法案の委員長の報告は修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/46
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047・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、参両案は委員長報告の通り決しました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/47
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048・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/48
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049・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案、田中角榮君外九名提出、官庁営繕法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/49
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050・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/50
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051・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案、官庁営繕法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事荻野豊平君。
〔荻野豊平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/51
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052・荻野豊平
○荻野豊平君 ただいま議題となりました公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法案の提案の理由並びに内容について申し上げます。
現在公共工事の前払金保証事業に関する法律に基き保証事業を営んでいる保証事業会社は全国で三社でありまして、前払い金の円滑なる支出により公共工事の適正な施工に顕著な効果をおさめているのであります。しかしながら、木事業の発展に伴い、その反面において保証事故の増加も予想され、この場合における保証事業会社の保証能力を確保する必要がありますので、この際その責任準備金及び支払い備金の算出方法を改めようとするものであります。
本法案は三月十六日本委員会に付託されたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることにいたします。
かくて、三月三十日討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案通り決すべきものと決定した次第であります。
次に、官庁営繕法の一部を改正する法律案につきまして建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
官庁営繕につきましては、さきに第十国会において成立いたしました現行官庁営繕法に基いて、営繕計画の統一とその合理化をはかっているのでありまするが、官庁建築物の災害の防除、公衆の利便と公務の能率の増進等をはかるという本法の目的を推進するには、なお不十分な点が少くないのであります。従って、この際、現行法を一部改正し、一新たに官公庁施設の集団的建設を実施すること、官庁建築物の保全に関する技術的基準を設けること等の点について規定を設け、さらに統一的、計画的な営繕を推進しようというのが本法案の要旨であります。
本法案は、去る三月二十六日本委員会付託せられ、三月三十日に至るまで前後数回にわたって審査を行なったのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
次いで、自由民主党の内海安吉君より、原案の字句の一部につき修正案が提出されました。
かくて、質疑を終り、討論を省略して修正案並びに修正部分を除く原案についてそれぞれ採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/52
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053・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 両案を一括して採決いたします。公共工事の前払金保障事業に関する法律の一部を改正する法律案の委員長の報告は可決、官庁営繕法の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/53
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054・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/54
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055・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、農業改良資金助成法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/55
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056・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/56
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057・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なと認めます。よって、日程は追加せられました。
農業改良資金助成法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事吉川久衛君。
〔吉川久衛君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/57
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058・吉川久衛
○吉川久衛君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、農業改良資金助成法案につきまして、農林水産委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
本案の趣旨は、従来の補助金政策に対して種々の批判が行われている事態に即応いたしまして、従来農家に交付されていた農業改良関係の奨励的補助金のうち、すでにある程度の普及度を示し、かつ、純然たる営農融資では危険性が伴うという中間的段階にある農業技術を導入しようとする場合におきまして、都道府県がこれに対して償還期間三カ年以内の無利子の資金を貸し付けますことと、組合系統資金の余裕金で固定施設の導入を行う際に、その系統融資について債務を保証することの二点を骨子とする事業に対しまして、政府がそれぞれ助成を行わんとするものであります。
本案は、去る二月十七日に本委員会に付託され、同月二十一日政府より提案理由の説明を聴取し、三月二十二、二十七日及び本三十日の委員会において質疑を行い、慎重審議を行なったのでありますが、詳細については会議録により御承知を願うことにいたします。
かくて質疑を終局いたしましたが、この際、自由民主党及び日本社会党を代表して小川委員より修正案が提出いたされました。その内容は三点ございます。第一点は、固定施設の導入資金に対し国の利子補給措置を明確にしたことであります。第二点は、水稲健苗育成施設及び耕土培養事業に対する国の助成方針を明らかにしたことであります。第三点は、施行期日を変更したことであります。
討論を省略して、この修正案及び修正部分を除く原案について採決を行いましたところ、いずれも多数をもって可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対して社会党田中委員より附帯決議を付したい旨の動議が提出されました。この附帯決議は会議録に譲ります。本附帯決議案もまた、多数をもってこれを可決した次第であります。
以上をもって御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/58
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059・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/59
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060・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/60
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061・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/61
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062・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/62
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063・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事、長谷川四郎君。
〔長谷川四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/63
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064・長谷川四郎
○長谷川四郎君 ただいま議題となりました衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案につきまして、提案の理由を簡単に御説明申し上げます。
改正案の本文は、参事及び常任委員会調査員の定員の増加でありまして、参事の定員を、主事の定員から振りかえによって十人増員して百八十五人と規定し、常任委員会調査員の定員を十四人増員して五十四人と規定しようとするものであります。
なお、附則におきましては、参事の増員を四月一日以降、常任委員会調査員の増員を七月一日以降とするよう、それぞれの条項の施行月日を規定いたすとともに、主事の定員は参事の定員への振りかえによって十名減となりますが、七月一日より十名の増員によって元に復させることとし、六月三十日までの間は四百四十四人と規定しようとするものであります。
本案は議院運営委員会において検討の上起案したものでありますから、何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/64
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065・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。場本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/65
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066・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/66
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067・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後六時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02919560330/67
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