1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月十五日(木曜日)
午後二時七分開会
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出席者は左の通り。
理事
古池 信三君
高橋 衛君
阿具根 登君
河野 謙三君
委員
上原 正吉君
小野 義夫君
西川彌平治君
白川 一雄君
藤田 進君
加藤 正人君
政府委員
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省通商
局長 板垣 修君
通商産業省軽工
業局長 吉岡千代三君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
参考人
経済団体連合会
事務局長 堀越 禎三君
日綿実業株式会
社監査役 秀島司馬三郎君
新三菱重工業株
式会社機械部長 牧田与一郎君
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本日の会議に付した案件
○輸出保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○理事の辞任及び補欠互選
○経済自立方策に関する調査の件
(セメントの生産状況に関する件)
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001・古池信三
○理事(古池信三君) それではただいまから商工委員会を開会いたします。
本日は輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、参考人の方から御意見を伺うことになっております。参考人の方はあらかじめ公報をもって御通知いたしました通り、経済団体連合会事務局長堀越禎三君、日綿実業株式会社業務部長秀島司馬三郎君、新三菱重工業株式会社機械部長牧田与一郎君、右御三人の方にお願いをいたすことになっておるのであります。まず、最初に参考人の方から御意見の御開陳を願いまして、それが終ってから参考人並びに政府当局に対して御質疑をお願いする順序に取り運びたいと考えております。そこで参考人の方に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
各位におかれましては、本日御多忙の中を特にお差し繰り本委員会のために御出席を賜わりまして、まことにありがとうございました。この席におきまして各位の貴重な御意見を拝聴できますことは、本委員会として仕合せに存じまするので、委員会を代表いたしまして厚く感謝の意を表します。
本改正案は二月二十一日に本委員会に先議として付託されましてから、今日まで数回にわたって慎重なる審議を重ねて参ったのでありまするが、なお一段とその審議を慎重にいたすために、皆様の御出席をお願いいたしたような次第でございます。従いまして参考人の各位におかれましては、どうかこの機会に忌憚のない御意見を腹蔵なく本委員会のためにお聞かせを願いたいと考えます。どうかさようにお願いいたします。
順序といたしましては御着席の順で、まず経済団体連合会の堀越禎三君からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/1
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002・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) 堀越でございます。
経団連といたしましてこの海外投資保険の問題につきまして、いろいろ研究して参りました経緯、並びに、要望を出しましたことをまず申し上げまして、どういう理由でそういう要望を出したかということも、それにつけて申し上げたいと存じます。
経団連がこの問題を取り上げましたのは、昨年のビルマ賠償に伴います経済協力協定の成立がございましたのを契機にいたしまして、昨年来通産省と海外投資保険の制度につきましていろいろ意見を交換いたしております。結局、当時通産省で考えておられました海外投資保険の形は、まことに経済界としても支持し得る、十分納得し得る内容のものであるので、ぜひこの通りに法律案として通していただきたいということを申し上げておりましたところが、結局いろいろ大蔵省その他との御折衝の結果だと思いまするが、ここへ現われました投資保険法の改正案を拝見いたしますと、送金保険、当初の原案にございました送金保険が削除されております。そして元本の保険のみとなっておりますが、しかも当初われわれがまずそれでがまんし得ると思っておりました補てん率の八O%が五〇%に下げられておりまするし、保険料率も一分五厘に引き上げられております。従いまして、経団連としては、はなはだ不満でございまして、いろいろ委員会などを開きまして、皆様の御要望を聞きました結果、先月の初めに、とりあえず本年度において送金保険の復活を要望いたしても、なかなかむずかしい御事情があるようでございますので、送金保険の復活は望み得ないといたしましても、元本の保険につきまして、その補てん率を九〇%まで上げていただきたい、そうして料率を一%程度にしていただきたいということを、とりあえず要望いたした次第でございます。
この点について少し敷衍をして申し上げたいのでございますが、大体昨年来政府におかれまして、われわれ産業界の者も大ぜい入りまして立てました五カ年計画、この五カ年計画によりますると、輸出の目標は三十五年におきまして二十六億ドルということになっております。三十年が十九億五千万ドルでありますので、約一三六%近い増加でございます。こまかく各部門別に検討されました結果、今後繊維その他における消費物資の輸出は、南方諸国その他のいわゆる工業化によりまして非常にむずかしくなり、従ってその重点を機械あるいは化学品、こういうものに置かざるを得ないという結論になりまして、三十五年度における機械の輸出目標は四億五千万ドル、化学品の輸出目標は一億六千三百万ドルということになります。三十年度の機械の二億七千万ドル、化学品の八千五百万ドルに比較いたしますると、この五年間において機械は実に一六六%、六割六分を増進させる。化学品は二〇〇%、二倍に増加させると、こういう結論になっておるのであります。なるほど最近におきまして機械の輸出が二億七千万ドルと非常な昨年は進出、非常な増進を見ました次第でございますが、そのうち船舶が一億一千万円になっております。その他のものは一億六千万円にすぎないのであります。しかるに御承知の通り、私から申し上げるまでもございませんが、船舶の造船ブームは戦争中のブランクによる船齢が非常に老齢になったための取りかえというものが、非常に重きをなしておる今日の造船ブームというものを考えますると、これが長く続くとは考えられないのでございます。従いまして、ことしの二億七千万ドルのうち一億六千万ドルしかないこの機械類の輸出に、日本としてはどうしても重点を入れていかなければ、この五カ年計画の目標はなかなか達成できないのであります。
しかるに最近における南方諸国その他におきましてのプラントの輸出促進には、必ず並行的に企業の投資というものを要望して参っておるような状態でございます。そこで一体日本は過去におきまして、どれだけの海外投資をいたしたかということを見まするのに、非常にこれは計算がむずかしいので、いろんな数字が出ておるようでございますが、大体純投資と認められまするものが今までで八百万ドル、それにプラントとかその他いわゆる延べ払い、あるいは貸付をいたしましたもの等を入れますると、大体クレジットとして与えたものは千五百万ドルでございます。これを年間ベースに直しますと、百五十万ドルないし五百万ドルという数字になります。これを西独がやっております今日の年間ベース五千万ドルというものに比較いたしますと、まことに十分の一ないしは三十分の一といったような非常に少い数字でございます。なお、米国を見ますと、これは米国は特別でございますが、一九五三年の累計で三百九十五億ドル、英国にいたしましても、一九五五年の累計におきまして二十億ドル海外へ投資いたしております。西独が今申し上げましたが、五流年の累計におきまして一億六千万ドル、日本はこれに対しましてわずか一千五百万ドルといったような状態であります。
われわれの一番心配いたしております点は、かくのごときことによりまして漸次日本が立ちおくれて結局日本の市場を失ってゆく。将来五カ年計画を立てましても、とうていその目標を達成し得ないような状態になるのではないかということが、われわれといたしましては、一番の心配でございます。そこで私たちがこの補てん率を九〇%に上げていただきたいと申し上げましたのは、現在すでにプラントの輸出、つまり延べ払いでございますが、その延べ払いの輸出代金保険の補てん率が八五%ないし九〇%ということになっております。これは現在やっておりますものは、性質上ほとんど投資と変らないのであります。すでに八五%、九〇%で現行行われておるのにもかかわらず、新しい保険だということで、わずか五〇%に下げられておるということは、まことに均衡を失するものだと思うのでございます。むしろ日本といたしましては、従来から投資が非常にかくのごとくただいま申し上げましたように外国よりおくれておるのでありまするから、これをむしろ促進するという意味におきまして、最初においては思い切った投資保険をしていただいて、そうしてインセンティヴを与えるというような政策がむしろ大きな政策としては必要であるのではないかと思われるのでございます。
この海外投資という形におきまして、投資保険というものを外国がどういうふうにやっておるかということを調べていただきました。通産省でも非常にお調べになったようでございますが、どうも輸出保険の中にいわゆるリスクの保険を入れてやっておる国が多いようでございまして、米国の特別なやり方以外におきまして、特に投資保険として現われている制度はないようでございます。しかしながら、外国にないからといって日本におきましてこれをどうこうという問題ではございませんので、日本としては、また別に私は殊特な事情があるということは、今こういう機械類その他におきまして、投資保険の当面の衝に当るべきいわゆる機械工業の会社でございますが、これらのおもなる会社を見ますると、資本金が大体一番大きな目立が六十六億、小さいところになりますと、大体相当に大きな古河とか三菱とかというふうなところでも、三十億ないし五十億といった資本金であります。しかるにこれを投資ということになりますと、かりに十億の投資をいたしますと、その十億がかりにまるまる損になったということになりますと、三十億の会社が三分の一の資本を失うということになりますので、なかなか重役としては、株主に対する責任上決心いたしかねてちゅうちょせざるを得ないということになります。そうしてそのために漸次そういう外国に対するプラント輸出がおくれて参りまして、そうして市場を外国に取られていくということが、非常にわれわれとしては心配いたしております。むしろ極端なことを申すようでありまするが、日本は立ちおくれておるのであるから、一そうインセンティヴを与えるという意味で、むしろ一〇〇%くらいの保険にしていただきたかったと思うのであります。おそらく五〇%となさいました趣旨は、これは最初のものであるから、初めは小さく出発して、漸次情勢を見て広げていくというお考えもあるのではないかと想像いたしまするが、ただいま申しましたように、こういうものはむしろインセンティヴを与えて立ちおくれを戻すという意味におきましては、むしろ一〇〇%くらいにしてスタートしていただいて、そうして情勢を見、またこれら当該会社の資本の充実の状況ともにらみ合せて、漸次料率を下げていくということでやっていただくのがむしろ大きな政策として適当ではないかというふうに考えるのでございます。
なお、つけ加えて申し上げるまでもざいませんが、これは保険料を払ってやる投資でございますので、従来の砂糖とのリンクのようないわゆる輸出を保護するといったようなガットの上での問題はこれは起らないということを私は確信いたします。なお、予算の面で云々というような問題があるようにも聞いておりまするが、現在輸出代金保険というものは過去におきまして問題が起りまして保険元本そのものを払って補てんされましたケースはわずか一件しかございません。従いまして輸出保険は毎年保険料が積み立てられて、基金が年々ふえておるといったような情勢であります。もちろんこの現在ありまする基金の総額がすべてこれが余るものとは思われません。将来におきまして、これはまた時勢の変化によりましては、ほとんどそれだけでは足りないといったような場合も起ってくるかもわかりませんが、少くとも本年度または来年度等におきましては、これらの基金がありまするし、この投資保険をかりに九〇%でお始めになったところで、直ちに予算の措置をしなければならないといった問題ではないと思うのであります。現に今日こちらへ参ります前に、こちらからいただきました政府から提出されておりまするこの資料を拝見いたしますと、この投資保険、いかなる保険におきましても保険をやるときには、保険の事業としていかなる収支になり、そうしていかなる損失補てんが起るかといったような計算書類が出ておらなければならないはずでございますが、それが出ていませんところは、つまりだれにも一切将来どれだけの危険が出るかということが判定できないということを示しておる次第でございまして、さしあたってまずやっていただきまして、そうして立ちおくれを取り戻し、そうして非常に金額がかさばりそうであれば、このパーセンテージを下げるということもまた考えられるのでございます。
さらに、私は一つ最後につけ加えておきたいことは、なぜ政府が五〇%というようなことで非常に臆病な出発をなさるのか理由がわからないのでありまして、実は政府の中に、いわゆる為替管理法に基いた為替関係、物の輸出関係等の各省の権限によって民間の海外投資の申請を検討して承認を与えるための海外投資連絡会というものが、大蔵、通産、外務等の各省によって設けられております。これはもちろん法律上に設けられたものではない、行政上に設けられたものだと思いますが、少くともそこにおいてあまりにも危険なものはチェックなさることができるのであります。政府として適度にチェックできる機関を持っておりながら、なお非常にこういう臆病な、むしろ五〇%というようなことでは、せっかく今まで考えていらしたところも取りやめをしなければならないような情勢でございます。
そういう具体的な問題につきましては、なお秀島さんあるいは牧田さんの方から詳しくお話がございますと思いますので、私はどうぞ参議院におきまして一つ思い切って九〇%くらいの修正案をお出し願って、そうして日本が貿易に立ちおくれないよう、しかるべく早く手を打っていただきたいということを申し上げます。お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/2
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003・古池信三
○理事(古池信三君) ありがとうございました。では秀島さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/3
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004・秀島司馬三郎
○参考人(秀島司馬三郎君) 私は日綿実業株式会社の監査役をいたしております秀島でございます。さっそく申し上げます。
今回の輸出保険制度の改正は、輸出保険法の一部を改正する法律案の提案理由の説明及び改正要綱にありますが、その骨子は輸出代金保険の中に従来含まれておりませんでした物の輸出に伴わない技術の提携及びこれに伴う労務の提供をこの保険の中に含めて対象としたこと、いま一つは後進国に対して各国の国際経済協力戦に対し、特にわが国といたしましては賠償に付随して今後海外投資が盛んになりますことを考えまして海外投資保険制度を創設されたことであります。
この第一の輸出代金保険につきましては、後進国に対し製造技術の指導とか、水産漁業等にありましては操業技術及びその指導等の提携が盛んになって参りました。ところが今までこれらに対しその対価の回収に関し非常な危険を付保する制度がなくて困っておりました。今回この制度ができますと、今後安心して技術及びこれに伴う労務の進出ができることとなりまして、わが国の海外における経済基盤の培養ができることと喜んでおります。
第二の投資保険につきましては、現下の世界の趨勢はクレジット・エキスポート・ウォー、信用輸出戦争とでも訳しますか、といわれるありさまであります上に、わが国がビルマとの賠償に随伴して取りきめられました民間投資につきましては、コンマーシャル・ベーシスではありますが、これが遂行につきましては、好むと好まざるとにかかわらず国際信義上わが国としてはできるだけの手段を尽す義務を持ちます。かつこの賠償及び投資を通じまして後進国の経済地盤に食い込むことは、長期的に見ればわが国市場の確保となりまして、わが国将来の発展のためにきわめて大事なことであります。ゆえにかかる海外進出を容易ならしめるためには、当然輸出保険制度は創設されるものでありましたので、今回これが提案されましたことはまことに時宜に適したことと存じます。
しかし、その内容を検討してみますと、まことに不満足なものであります。その不満足のおもな点は、第一に、担保危険に相手国の為替制限等による利潤送金リスクが含まれておらないこと、第二に政府が填補いたします保険金額は最高五〇%であり、保険料率は百円につき一円五十銭という高率である点であります。以下不満の点について所信を申し上げます。
すでに申し上げました通り、最近の国際貿易は商品輸出と並んでプラント輸出及び海外投資競争時代となりまして、フィナンシァル・タイムスの最近号によりますと、世はまさにクレジット・エキスポート・ウォーの時代であると称しております。何ゆえそういうことになったかと申しますと、後進国が工業化を目ざしておるために、先進工業国よりの消費物資の輸出は減少いたしまして、後進国開発地域と一体になって市場及び経済地盤の確保をしなければならないという時期になったのであります。英国におきましては輸出信用保証局の業務の中に、特殊危険の負担がありまして、相手国の政治その他の情勢が不安のため、商業ベーシスに乗らない契約でも、国家的見地から見ましてその契約が成功することが望ましい場合には、輸出信用保証制度で引き受けておりまして、昨年三月末に終る一カ年間に、輸出信用保証総額は一億三百万ポンド、約一千三十億円に上っております。そのうち特殊保証は六千八百万ポンド、約六百八十億円に上っております。これを見ても、いかに他国が国をあげてプラント輸出と海外投資に熱心であるかということがわかります。翻ってわが国を見ますと、戦前は消費物資の輸出がほとんど大部分でありましたが、わが国のこれら重要輸出国はいわゆる後進国でありまして、政治的にも、経済的にも安定を欠いております。その上これらの国は民族意識が盛んで、いずれも工業化を目ざしております。従ってプラント輸出及びこれに伴う海外投資を渇望しております。ところがわが国のこの分野における取引経験は浅く、わが国製品の名声が普及しておらないばかりでなく、実力においても先進国に比して劣っております。従って普通の条件では国際競争にはたえられないのであります。そういう状態でありますので、投資に対する危険はよほど国家的にバック・アップせねば、業者がその危険にたえかねて、かかる国への投資はできなくなります。その上国内的に申しますと、金融を受ける場合でも担保及び金利の点では相当不利な面が出て参ります。現在たとえば呉羽紡がアルゼンチンとの綿紡織工場の現物出資による合弁事業に乗り出しておりますが、この場合同社の長岡工場を輸出入銀行へ担保に入れ、また豊田自動織機がメキシコにおいて紡織機の現物出資による合弁事業においても、同社の苅谷工場を担保にして、ようやく融資を受けておるようなありさまで、今回の五〇%の填補率では、一般のところでは金融上から見ましても、海外投資は非常にむずかしい。また、保険料率が一円五十銭でコストが非常に高くなって競争国との競争に打ち勝つことができないということをおそれております。また、海外投資の果実である、利益金及び配当金の送金につきましても、その国の為替管理法その他のために送金を受けられないというような不安定のままでは、投資意欲はよほどそがれてしまいます。
私は今まで長期払いのプラント輸出と投資とを一緒にしてお話して参りましたが、長期延べ払いのプラント輸出も海外投資も、実体的にはほとんど同じものであるという解釈を持っております。と申しますのは、最近ではプラント輸出がデリバリー後八年間の延べ払いを認められておる状態であり、競争国におきましては十二年、十三年というような長い延べ払いも認められておりますので、かかる長期のプラント輸出というものと海外投資とはほとんど同じように考えられます。プラント輸出は商品を売りっぱなしにいたしまして、代金決済が済んだら一応縁が切れてしまうので、代金決済の面から申しますと後くされがなくてよいようなものでありますが、海外投資はその国の経済内部にとけ込んで、わが国の経済進出に貢献するものでありますから、プラント輸出よりも一そう重要なものであると思います。
しかも今回提出されておる海外投資保険での保険填補率を算定する場合には、次年度以後は利益または配当金があるなしにかかわらず、年一割の配当金があったものとして填補率から控除いたしますから、十年目からは填補されないことになります。ゆえに保険からみたら最高の二カ年の延べ払いともみられるのであります。かく考えますと、輸出代金保険においては為替制限等の非常リスクを認め、かつ填補率は最高九〇%でありながら、それと同じ性質を持つ投資保険において、利益または配当金の送金に対する非常リスクも認めず、填補率においても五〇%としておりますのは理解し得ないところであります。
本制度立案関係当局の御苦心もさることながら、全体的に見まして本法案はその趣旨がきわめて適切なるものでありますにかかわらず、内容は低調なもので、業界といたしましては本制度が画龍点睛を欠くものとして遺憾に思っております。よって填補率を九〇%くらいに引き上げていただき、保険料は百円につき一円程度にしていただきたいこと、為替制限等による送金不能の非常リスクをカバーすること、それから利益なき場合にもあるものとみなして填補額より控除することをやめて、実際の収益を差し引くことと改めていただきたいことを切に希望いたします。
しかしどうしても諸般の事情により以上の希望が全面的にかなえられない場合は、近い将来に改正していただくということにして、ともかくもこの制度が一日もすみやかに発足することを希望する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/4
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005・古池信三
○理事(古池信三君) ありがとうございました。次は、牧田君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/5
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006・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) 私新三菱重工業の機械部長をしております牧田であります。私が申し述べようと思っておりましたことは、ただいま堀越さん並びに秀島さんからほとんどくまなく申し述べられまして、蛇足を加える必要もないくらいなんでございますが、私といたしましては機械メーカーの一員といたしまして私なりの御意見を申し述べたいと思います。
最近海外市場で特に目立って参りましたことは、消費物資を除きましては、安いだけでは物が売れないという状況でございます。ただいま秀島さんから申されました通りに、いわゆるクレジット・エキスポート・ウォーというようなことがいわれておりまして、支払いの条件の問題とか、あるいはさらに投資の形でそれぞれの国々の経済建設に協力せよ、こういうような問題が出て参りまして、なかなか業者だけの力で物を安くよくしただけでは物が出てゆかない次第でございます。
そこで海外投資の問題、あるいは海外投資の保険の問題というようなものが急に浮び上ってきたわけでございますが、海外投資の問題を分けて考えますと、一つはただいま秀島さんの申されました通り、それぞれの国の経済建設に協力する、これには林業、農業、紡績業、鉱業の開発というようないろいろな面がございますが、協力的な問題ともう一つは、支払い条件の緩和と申しますか、延べ払いの一種の形となって参りました投資で残せという要求が出てきておるわけであります。
第一の協力的な投資、資本の海外進出とでも申しましょうか、これは戦前やっていたものの大部分は、このカテゴリイに属するものでありまして、現在戦後ささやかなりとも行われております海外投資も、大部分はこの部門にまず属するものでございまして、最近は後進国と申しては語弊があるかもしれませんが、東南アジア方面の国々はそれぞれ民族意識に燃えまして、それぞれの国でできないまでも工業の独立化をはかりたいということで、国内産業の開発に協力を求める声が非常に多いわけでございます。もちろん、これらの開発につきましては、米国側あるいはソ連側はそれぞれ大きな手を打ちまして、開発に援助を与えておるわけなのでございます。そういう大きなことはわれわれとしては望み得べくもありませんで、われわれの考えとしては、わが国の最も特徴としております室内軽工業的なものとか、あるいはプラント輸出の面でわれわれのねらうべきところをねらってゆけばいいのではないかと考えておる次第でありますが、特にこのごろ各国から要望のありますのは家内工業的の、いわゆるコテージ・インダストリーというようなものに対する協力が叫ばれておりますわけでございます。こういうものの、協力的のものの助成には、これは民間だけでできる問題でもありませんで、国策的な海外投資機関、各国にありますような海外投資の助成機関の設立も必要かと存ぜられますが、その前にコンマーシャル・ベースに乗るものもありますので、こういうものには、せめて早くこの海外投資に対する非常危険を保証して下さる輸出保険の改正が望まれておったわけであります。また、それから出てきます外貨を内地に送金してもらうというようなこと、こういうことがなければ、民間としても幾らコンマーシャル・ベースで考えて採算がたちましてもやれないわけでございます。ぜひこの点からも、ただいま堀越さん並びに秀島さんから申されたごとくに送金保険の条項の復活、あるいは填補額の九〇%、少くとも九〇%ぐらい填補してもらいたい、あるいは料率の引き下げというようなことはもちろん当然であります。
もう一つの機械輸出に関連しまして、いわば延べ払いと同一に考えられます投資、このものについてでございますが、これがわれわれ機械業者としては一番問題になっている点でございますが、プラント輸出の場合に各国とも非常に外貨が不足しておりまして、いわば今までは最高ユーゴスラビアに人絹プラントの輸出をした場合に、七年ぐらいの延べ払いが認められたのが一番長期かと思いますが、最近ではこれが十年、十四年という要求が出て参っております。いわば月賦払いがますます伸びてきた。各国とも競争で月賦払いの期間が延びてきた、こういうわけなんでございますが、その上に月賦払いの金も自信がない。ついてはある部分を投資の形で残せ、こういう要求が非常に多くなって参りました。現にインターナショナル・モネタリー・ファンド、IMFといっております。あるいはウォールド・バンク、こういうところでは、外国から機械を買うときには、十四年ぐらいの年賦払いを要求しろ、もしそれができなかったら一部を投資の形に残せ、その場合には十年払いぐらいまで緩和してもよろしい。これは現に。パキスタン政府が最近ウォールド・バンクに融資を要請した場合に言われた言葉であります。こういうような情勢でございまして、延べ払いも延び、また投資も要求されるというようなことになりますと、なかなかにプラント輸出の重要性は認識されながらも、われわれ業者としてはそれに乗り切れないという点があるわけでございます。
先ほど堀越さんからお話がございましたが、プラント輸出については、今までいろいろと助成策が講ぜられまして、統計上から見ますと二十八年度は、私ので見ますと六千九百万ドルくらい、二十九年度は二億ドル、三十年度は五億一千二百万ドル、約二千億円弱の数字が三十年度には出ておりまして、非常に飛躍的に増加しておるようなんでございますが、これはただいま堀越さんから申されました通り、船と車両を除いてみますと二十九年はわずかに五千六百四十六万ドル、三十年になりますと逆に、総対的には五億一千二百万ドルというようにふえているにもかかわらず、そのうち四億四千万ドルは船舶の輸出でございまして、それを除いた場合に、船と車両を除いた場合には逆に三千万ドルと減っておるわけです。二十九年、三十年は御承知の通り砂糖リンクという特別の助成があったんでございますが、それにしてなおかかる事態でございまして、一般のプラント輸出というものがいかに競争激甚であるか、また今後特別の助成策をとられない限り、いかに重要性を感じていても、これでは伸ばすことができないのじゃないか、こういうようにわれわれは心配しておる次第でございます。この助成策につきましては、われわれ経済同友会からも新種保険というようなことを願い出てあるわけでございます。その際も対外投資保険は少くとも八O%以上で業界の要望通り出るものと思っておったのであります。ところが新種保険どころじゃなくて海外投資保険の填補額がわずかに五〇%、しかも送金保険は認められないという情勢を伺いまして非常にわれわれはがく然としたわけで、まあプラント輸出を何とかしろと言われておるにかかわらず、政府の打つ手はこれじゃおかしいんじゃないかというような意見が非常に多かったわけでございます。もちろん、われわれ業者といたしましても、いたずらに政府の施策におすがりするわけじゃございませんで、自己反省ということについては大いに努力しておりまして、船、車両のほかに何とかコンマーシャル・ベースで外国と太刀打ちできる機械を作り出すという努力を重ねておるわけでございまして、幸い、もちろんそのほかにも繊維機械等は十分に世界の市場で濶歩できる業種でございますが、化学繊維機械もまたそのカテゴリーに入っておりまして、最近実例を申しますと旭化成株式会社、これがパキスタンの商社との間に人絹プラントのホール・プラントを立ててやろう、こういう話がまとまって参りましたのですが、パキスタン政府の方からウォールド・バンクの方にファイナンスを要請しまして、その際にただいま申しました通りな非常に長期のファイナンスあるいは一部投資をせよ、こういう話が参ってきておるわけなんでございます。ただいまの現状ではなかなか受け切れない要求で困っておる次第でございます。英国、米国、ドイツ、フランス等ではこれらの諸点に関しまして適切な手段が常にいち早くとられております。こういう情勢できますと、われわれが幾らプラント輸出の重要性を認識しておっても何ともできない時代が来るのではないか、こういうような心配をしておるわけでございまして、物事にはタイミングが必要でございまして、門戸が閉されてから、注文を取られてしまってから、幾らあわててみてもだめなんでございまして、私は一刻も早く、タイミングをはずさぬように、ただいま堀越さん、秀島さんから申されたように、填補額の総額、あるいは料率の低減、送金保険の問題等、業界の希望をおくみ取り願いまして、一刻も早く、来年までわれわれは待っておりましたら、あすではおそいということがございますが、明年ではおそうございますので、一刻も早くお考え直しを願いたい。これがわれわれの切なる希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/6
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007・古池信三
○理事(古池信三君) どうもありがとうございました。それでは御質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/7
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008・河野謙三
○河野謙三君 本法の産業界から見た問題点は、料率の問題、補填率の問題、送金保険の問題、こういうところに大体しぼられているようでございますが、料率なり補填率、料率を一%にすべきである、補填率を九〇%にすべきである、こういう根拠を一つ伺いたいのです。ただ、つかみでこういうことをおっしゃっているとは私は思わない。私はあとで政府の方に聞きたいと思いますが、九〇%と計算されました根拠ですね、たとえば、政府の側に立って本保険の収支決算等をされました結果、九〇%で十分本事業が収支が償うのだというような根拠を持っておられるか。それともまた別な根拠で九〇%、料率を一%とおっしゃっているのか、こういう点について、われわれしろうとでございますから、主張の根拠を一つ御説明願いたいと思います。どなたでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/8
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009・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) ただいまの御質問は、九〇%はどういう根拠から出されたかということなんですが、われわれは九〇%じゃ困るのでございまして、実際は一〇〇%をもらい、その上に何とか助成金をもらわなければ、とうてい海外におきまして競争ができない。と申しますのは、われわれの機械工業はいろいろ宿命的な問題がございまして、たとえば鋼材価格が英米諸国に比して非常に高い、あるいは何と申しますか、経営の簡素化を大いにやりたいと思っても、これはなかなかやれるものではないとかいろいろの面がございまして、競争していきます上には、プラント輸出をいたしまして、こういう保険法、その他助成してもらいましても、おそらくはもうからない商売なんでございますので、国内の事業を継続していくために、何とかしてここに活路を求めていかなければならない立場にある。それを一〇〇%といわずに、まあ保険でございますから、せめて九〇%をいただきたいというのが願いでございまして、どういうわけで、五〇%ではいけない、九〇%でなければいけないかという理由はないわけなんでございます。また料率につきましても、一円五十銭ではいけない、一円にしてほしいということは、安ければ安いほどいいわけでございまして、どういう危険率があるから一円でなければいけないというような計算上の問題はございません。しかし、今までの数年間やって参りました輸出保険の結果を見ますと、これは輸出奨励のための保険でありながら非常な黒字になっておる。もちろん保険が二、三年やっただけで赤字になるようなことでは、これは問題でございますけれども、目的が輸出奨励のための保険であるということでございますから、これはノミナルな料金でやっていただいて、もし非常危険が起きた場合には政府に補てんしてもらいたい。しかしノミナルと申しましても、一銭でいいかという議論も成り立ちますが、それは今までの輸出保険の例にならって、せめて一円ぐらいにして欲しいと、こういうような比較的な問題からこういうことを申し上げておるわけなんであります。どうか一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/9
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010・河野謙三
○河野謙三君 非常に業界としてはざっくばらんな御意見だと思うのですが、そもそも業界としては安ければ安いほどいいのだ、保険率は高ければ商いほどいいのだ、しかし政府の立場があるだろうから一〇〇%と言いたいけれども、九〇%のところで遠慮しておこう、こういうことであって、いわゆる科学的な要するに計算上に出てきた九〇%であり、一%じゃないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/10
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011・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) さようでございます。はっきり申し上げましてそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/11
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012・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、今度は私はこの際ちょっと参考人の方には御迷惑ですが、政府の方から一つ伺いたいのですが、今の参考人の御三方の御意見を聞いておりますと、本法に対しては全く政府と見解を異にしているのですが、一々今問題点とされました点につきまして政府の見解を一つ改めて伺いたいのですが、特に私今参考人の方に伺いました政府原案の五〇%とし、または料率を一%とされました政府の方に私は根拠があると思う。これは政府は業者じゃないのだから、これは何か大蔵省と折衝の結果五〇%にしなければこの本事業の収支が償わない、一%にしなければ困るのだという根拠があると思いますが、これを一つ説明されたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/12
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013・板垣修
○政府委員(板垣修君) 今主として問題になりました点は、保険填補率と保険料の問題だと思いますが、まず保険填補率の問題につきましては、もちろん根本的な考え方につきましては今の業界の意見と私どもは変っていないわけでありまして、もちろん保険でありますから、できるだけ多く填補した方がいいということはわかっているわけでありますが、一方政府の立場といたしましてはやはり財政上の点をどうしても考えざるを得ない。しかも今度の制度が先ほど業界の御意見にもありました通り、全く世界的にも新しい制度でありますし、今後またどれくらいの海外投資が行われるかという点の推定もつきかねますので、まず最初は一つ着実にいかなくちゃならないというところで五〇ときめました次第でございます。それで五〇ときめました理由といたしましては、やはりこの際財政上の理由といたしまして、新しく保険の財政をふやすということもできませんので、できるだけしぼって算定いたしました。そういたしますと現在の予算で引受限度が大体三十億ということになっておりまするが、それの根拠といたしましてすでに既投資になっておりまするものが二十八億円ございます。従ってこれの利用率を大体八割とみましてこれに五〇%といたしますと二十四億、既投資が二十八億、それに今後新しく起ります投資を、ビルマの経済協力あるいはタイの特別円の経済協力、あるいはフィリピン等とも新しく起りましょうが、それを全体合せまして三十二億、結局六十億の投資につきましてその八割が保険にかかる、その場合に五〇%の填補率ということにいたしますと、大体二十四億円になります。多少余裕をみまして三十億の引受限度をしていただいたわけでございます。従いまして六億円の多少余裕はあるということで、これをたとえば九〇%にするというようなことになりますると、やはり予算をいじらなければならんという問題になるわけであります。それから保険料の方につきましては、私どももできますればできるだけ安い方がいいということはわかりまするが、やはりこれも財政上の見地からいたしまして不測の財政上の負担を招くことも心配いたしまして、制度創設といたしましては、着実に考えていこうということで一円五十銭にいたしました。その根拠といたしましては、別に科学的というほどではございませんが、一応参考にいたしましたのは、アメリカのMSA法でやっております収用に関する補償契約の料率と比較をいたした次第でございます。このアメリカの制度によりますると保険料一年につき一円になっております。併しながらアメリカの制度はこの補償契約の担保との危険がわれわれ今度提案いたしておりますよりはずっと範囲が狭いのでございまして、単に収用、没収等わが国の制度における担保危険よりずっと狭くなっております。今度の投資保険ではその他の非常危険も負担しておりますので、範囲がせまい。それからアメリカの保証の対象となっておりまするものは、相互安全保障計画に合致する海外投資のみとなっておりますのに、わが国の制度はこれはもっと一般に広く海外投資全体を対象にする、こういうような点で保証の範囲が狭いというような関係からいいましてアメリカで一円、それが日本で一円五十銭、これが一番適当でないか。また、日本の現在の財政負担の実情からあわせまして、この辺で出発をしたいということに一応きめた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/13
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014・河野謙三
○河野謙三君 私はにわかに今の参考人の方、いわゆる産業界を代表された方々の意見に賛成するものではございませんけれども、問題はこの本法の目ざすところの果して効果を上げ得るかあげ得ないかということは、結局今の料率と補てん率とこの問題だと思うのです。この問題は双方の意見を私はよく聞いてみなければいかんと思うのです。そこで政府にもう一点伺いますが、業界が主張するところの九〇%に引き上げ、一円五十銭を一円にした場合に、財政負担がふえるということは計算ないでしょう。一応架空な計算で財政負担は一体どれくらいふえるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/14
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015・板垣修
○政府委員(板垣修君) 填補率の方をかりに五〇%にいたしまするとまだ六億、予算総則できめていただいておりますワク三十億円に対しましては六億のワクがございますので、この範囲内においてはまだ多少填補率は上げ得る余地はございますが、かりにこれを八〇%以上にいたしますと、もう予算そのものを変えるということにならざるを得ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/15
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016・河野謙三
○河野謙三君 料率の方は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/16
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017・板垣修
○政府委員(板垣修君) 料率の方は政令事項でございまして、今後大蔵省と折衝をいたしますが、今一円五十銭の計算で収支ゼロになっておりますので、これを一円にいたしますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/17
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018・河野謙三
○河野謙三君 いずれにしてもその計算を一つ政府が一円五十銭とし、五〇%とした計算の基礎を、これは単なるデスク・プランかもしれませんけれども、一応見せていただきたいのです。それはいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/18
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019・板垣修
○政府委員(板垣修君) 多少デスク・プランの作文になるかもしれませんが、差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/19
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020・河野謙三
○河野謙三君 もう一つ政府に伺いたいのですが、今その六億をリザーブしてあるわけですね。その六億のリザーブを一ぱい使うと、一体補てん率は幾らまで上ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/20
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021・板垣修
○政府委員(板垣修君) それはほんとうのデスクの計算でちょっとやってみたわけですが、かりに三十億が動かないといたしますと、既投資二十八億は動きませんし、これはしかも従来やったやつの八割は返ってくるだろうという前提のもとに、これにかりに七〇%補てんいたしますと、これが十五億六千万円になりますので、結局残るビルマの協定額として遂行しなければならん十八億円、タイの特別円に関連する経済協力分の十分の一の十億円、その他をあわせて三十億円以上の投資を見込んでおります。かりに今後一年間二十億くらいしかないという推定をいたしますと、ちょうど七〇%くらいまでいくんじゃないかという一応かりの計算になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/21
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022・河野謙三
○河野謙三君 業界の方に最後に一つ非常にぶしつけな質問をいたしますがね。そうすると今あなたの手元にきている政府の原案の五〇%とか一円五十銭とか、こういうものであるなら、本法の精神というものは堀越さんの言葉を借りれば画龍点睛を欠いておる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/22
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023・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/23
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024・河野謙三
○河野謙三君 そうすると、この原案そのままであるならば、こんな法案が通っても通らなくても業界としては無関心だと、あってもなくてもどうでもいいものだと、こういうふうなことにまで言われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/24
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025・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) それはちょっと極端におっしゃいましたのでございますが、これは実はこの投資保険を通産省で考慮しておられるということは、ビルマ協定以後大体われわれの方にもわかっております。要するに通産省の案というものもわれわれの方にもわかっております。業界としてはこの保険法が成立するであろうことを予定して下交渉に入っておる会社もかなりあったわけであります。われわれの方へ通産省の方からこの法案の御説明がありましたときに、あとでみなで話しましたときには、五〇%では現在この保険法が成立するという予想のもとに交渉しておったものを断わらざるを得んだろう、こういうことを言っておられます。あってもなくてもいいんじゃなくて、私たちとしてはこれは実際八〇%、少くとも八〇%、あるいは九〇%を望んでおりますが、少くとも八〇%くらいで実際のところやっていただかないと、現在進んでおるものを断わらざるを得ないということの問題になっておるわけであります。あってもなくてもいいんじゃなくて非常な関心を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/25
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026・河野謙三
○河野謙三君 参考人、しかしですね、非常に九〇%を主張されるが、場合によっては八〇%というようなことでありますけれども、これはもし、仮定ですよ、その政治的答弁は別として、仮定でありますけれども、もしこれが原案通り通ったとした場合には、一体本法の効果はおさめ得るか得ないかということについて一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/26
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027・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) これはまあ先ほどちょっと業界の資本金の問題を私申し上げましたが、その大きな業界であれば、わずかなものはこの保険法が通ろうと通るまいとやるということはあるかもしれませんけれども、現在は相当大きなものをこの保険法を当てにしてやっておられる方がかなりあるのであります。それを五〇%とするとこれは非常に会社として大きな問題になります。わずか三〇%の違いではありますけれども非常に大きな問題であるので、これはやめなくてはならんということになりやすいと思います。しかし、それじゃこの法律が通らなくてもいいかというお話しになりますと、これはやはり通していただかなければ、少くとも全然足がかりがなくなるということになる。その点は非常にデリケートな関係がございますので、われわれとしてはできるだけ補てん率を八〇%にしてお通し願う。そうして予算等の措置云々とおっしゃっておりますが、私は大蔵省でどういうお考えかは存じませんが、これは今年三十億用意されたからといってすぐ出る金じゃないのでありますから、危険が生じたとき初めて出る金でありますから、来年度においてまた考え得ることはあり得るのではないか、とにかく最初の二十億というものを与えるという点において早くやっていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/27
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028・河野謙三
○河野謙三君 ほかの委員の方の質問もあると思いますが、私もう一度政府にちょっとお伺いしたいのですが、本法提出に当って通産省は先ほど参考人からもちょっとお話がありましたが、投資協議会の意見等は十分聞かれたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/28
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029・板垣修
○政府委員(板垣修君) 投資協議会そのものにかけたというよりは、構成メンバーが全部われわれの交渉相手であります。外務省、大蔵省みな関係がありますから、各省と交渉をした際、構成メンバーは投資協議会委員ですから、十分意見は聞いたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/29
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030・加藤正人
○加藤正人君 政府に伺いますがね。予算総則によると契約総額を三十億にきめた、それが窮屈だからこういう問題になった。これがどうも輸出ドライブと盛んに言っておる政府として、この三十億にきめたという金額は僕らはまことに小さいと思うんだが、これは何ですか、総予算の方の関係でそうなったのか、今のようにこれだけあれば足りるという方からこうなったのか、そういう点はどっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/30
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031・板垣修
○政府委員(板垣修君) 今の引き受け限度そのものの方は非常に根本的な理由ではなくて、むしろこのようになりましたのは、前々から申し上げております通り全く新しい制度でもあり、政府といたしましては安全をとっていこうということで五〇%くらいとなったものですから、それから逆計算いたしますと三十億くらいの引受限度で十分だということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/31
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032・加藤正人
○加藤正人君 そこらが僕らと違うのですね。もう少しこれは日本の今の立場が輸出によって生きていくより仕方がないということであり、やはり政府もそれを非常に主張しておられるのですから、その点ちょっとわれわれとしては残念だったと思うのです。それから今いろいろお話があったようだが、僕はもう過去の議論は別として、こういう法案が提出されている以上、業者の方でも九〇%でなければ承知できんというわけでもないが、五〇%ではとにかく足らぬ、一〇〇%あったって別段大してありがたくないのだという気持はよくわかるのです。だけれども今政府のお話を聞いても、六億という余裕もあることだから、何も原案通りでなくてもいいのではないか。また九〇%でなくてもいいのだ、その間をとって七〇%という方法もあるのですから、そういうようなことで委員諸君がもう少しこの問題を検討されて、賛成なら幾分でもあなた方の主張に近寄るように努力してみたらどうですか。また、委員諸君の方でもまだ十分意見が固まっておらぬと思うのですが、皆さんもし御賛成ならこれは輸出上必要なことですから、われわれも大いにふやすことは大賛成です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/32
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033・藤田進
○藤田進君 今参考人の口述を聞きますと、どういう保険の対象を主としてお考えになっているかという点が、私の想像では海外投資のようなものが重点に発言されているような気もいたしますが、今度の場合、目的の拡大という点、あるいは直接物の輸出じゃなくて、技術的な人的な問題、いわゆる労務提供というものも含めていく。それからして担保危険に対する保険というようなものであろうかと思うわけでして、その中で技術の提携からくるところの担保というそういうものじゃなくて、海外投資という面が重点のように聞えるわけですが、そうでございますか。どなたでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/33
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034・秀島司馬三郎
○参考人(秀島司馬三郎君) 物の輸出に伴わない労務及び技術の提供につきましては、先ほど私が申し上げました通り、今回の改正はまことに私どもとしては喜んでおる次第であります。もっぱら問題は海外投資保険の方にあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/34
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035・藤田進
○藤田進君 そこで政府に対して若干の質疑、調査をいたしましたが、果してその担保危険についての認識がどうであろうかという点ですが、一応例示されていますものを申しますと、御承知の通り海外投資をしたものが左記の事由により損失を受けることである。それが三つありまして、一つは海外投資の目的たる株式などを外国政府またはこれに準ずる者により没収されまたは収用されたこと、それから第二が旧投資法人が戦争、革命または内乱により損害を受けて解散した場合において、当該株式等を処分したこと、または清算が結了したこと、最後の第三ですが、旧投資法人が戦争、革命または内乱により損害を受けて一定期間以上事業を休止している場合において、その事業の再開前に当該株式などを処分したこと、こういうことになっている。およそここ近い将来を予想してみて、そういう担保危険という事態が起り得るだろうか、少くとも起り得るだろうか、御承知の通り中南米等においては内乱がいろいろありますけれども、一応今予想し得る海外投資の領域等を考えてみて、そういう面から二つの結論はその人たちによって違うと思います。だから填補率が一〇〇%だっていいじゃないか。保険経済上から見てもそういうことは問題ないのじゃないかという説もあるし、また、それほど担保危険もないとすれば、さして保険のこういう改正自体が必要なのかどうか。それは一歩譲っても、それほど填補率について議論が必要なのかどうかという、いわば基礎的な認識についてどのようなお見通しであるのか、担保危険に関する限りの御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/35
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036・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) これはだれしも見通しのつかない問題でございます。今お話しの、危険がないところにやるのだから、保険の填補率が低くてもいいじゃないかというお話がありました。これは会社の重役として、株主の責任を持った重役として相当のリスクを負ってやりますときは、これはこれだけの補てん率がある保険に入るのだから、危険がないからやるのだということでいかなければ、かりに例はありますけれども、パキスタンあたりでやるのでありますれば、ほとんど心配ないじゃないか、保険の必要もないのじゃないかというお話も出るかと思いますけれども、しかし、やはり外国のことでありますから、わからないわけであります。それでそういう場合には、政府からの保険があり、われわれとしては保険料を払ってこういうことをするから、こういうことは株主としても許すべきではないかという、株主総会に対しても一つの重役責任としても投資の実行において非常な助けになるわけです。それが五〇%であれば、かりに十億やるとすれば、五億は全部引き受けるということはなかなか思い切ってできない。十億のうち一億だけなら何とかできるというそういう問題なのです。先ほど牧田さんが言われましたように、一〇〇%出せばこれはけっこうなのです。それが私も申し上げましたように政府としても投資協議会というスクリーンを持っておられる。そのスクリーンにかかったものが実行されていくのでありますから、私は相当大きな填補率をお考えになっておっても、政府は大きな損失をこうむらずに済むのではないかと思われます。つまり掲げられた看板というものが非常に実効があるという点を私は強調しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/36
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037・藤田進
○藤田進君 かつて、今では海外になってしまったわけですが、満州あるいは朝鮮、台湾等に膨大な投資をしたけれども、結局は今日在外資産の補償というものがないものですから、かなり投資に対しては警戒気味ということが、今日十年になってもぬぐい去れないと思うのです。そういう点から言いますと、お説のようにできるだけ、できれば一〇〇%の填補をして、少くとも安心感を百パーセント与えて投資を促進するということは、わが国にとって大切なことだと思います。しかし、政府側の従来の説明を聞きますと、必ずしもそう簡単にいかない。今の説明のように七〇%であれば予算上におけるいろいろな操作の面から見ても、その程度ならば何とか一ぱいでいくのではないだろうかということで、参議院だけではなく衆議院においても若干の修正をすべきではないかという意見が出ているわけです。私どもが勇気をもってかりに修正すれば、する場合に、そのために皆さんのせっかくここで意見をお聞かせいただくわけでありますから、具体的に何か現行五〇をさらに七〇ないし一〇〇、少くとも今のお説では九〇、そうすることによってかような投資の促進等がなされるのだというか、また気持の上での状態というものが私どもはよくつかめるのであります。何かもしありましたら、そうなればこういう今ちゅうちょしているものもこういうふうになるとかいうものがありますれば、聞かしていただきます。なければそれほどはっきりしなくてもいいのですが、なければ仕方がないですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/37
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038・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) 先ほど申し述べました通り現在パキスタンの関係で人絹紡織の問題がございます。そのほかにインド方面に砂糖プラントを作る計画がございますが、これらのものの場合、常に投資という問題が出て参りますが、これが今御承知の通り日本の機械工業は造船ブームの余波を受けてなかなか忙しいのでございますから、今出しておきませんとおくれまして、よそがやりまして、この次われわれが進出する機会がなくなる、こういうことをおそれているわけなんですが、とは申せ、投資に対して五〇%しか保証がないということになりますと、どうも私はまだ機械部長でございまして、重役じゃございませんので、重役へ大丈夫だからやってほしいということが私としても言えないわけなんです。そうしますと勢いチャンスを見ながら、指を加えて見ていなければならないという事態がいろいろ現在われわれ自身でもある。おそらく他の商社あるいはいろいろの業者間で、この投資保険が九〇%になりましたら、ことに中小の家庭のインダストリーに類するものを出そうとしている空気は非常に多いのでございますから、この填補額の増額によりまして、海外投資は非常に促進される、こういうふうにわれわれ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/38
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039・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) それに関連してもう一つちょっと申し上げておきたいのですが、板垣通商局長まことに申しわけないのでございますが、今ちょっと言葉を濁していらっしゃいました点が非常に重大だと思われますので……。つまり五〇%にした根本は海外でもまだない投資保険をやる、そうして日本としても初めてのことであるから、まず初めは大事をとって五〇%ということで、それからはじき出して三十億というワクということをおっしゃいましたけれども、それはわれわれとは非常に感触が違うわけであります。金額のはじき方は私はどうでもできるのじゃないかと思うのでございますが、それは極端な言い方かもしれませんが、それは一つ思い切ってここで海外投資を奨励するという立場に立ってお考えいただきたいということをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/39
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040・藤田進
○藤田進君 通商局長にお伺いしますが、七〇%までは諸般の事情から許せるということであったと思います。そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/40
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041・板垣修
○政府委員(板垣修君) 許し得るとか、そういう点をまだ申し上げる立場にございませんが、かりに今度の予算できめられておりまする引受限度の範囲内で一ぱいに使えば、七〇%くらいまではいくということでございます。それ以上になりますと、予算そのものへ入れなければならない。また、改正を願わなければならぬということになるということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/41
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042・藤田進
○藤田進君 でありますから、現在並行して当院で審議いたしております予算関係とですね、あまり競合しない、またこれが修正等しないでも七〇%まではなし得ると、それを大事をとって五〇%で現在提案をしていると、こういうことで、事態の認識としてお伺いするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/42
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043・板垣修
○政府委員(板垣修君) 余裕を見たと申しますのは、今後どのくらいの投資が起るかということは全然推定がつかないわけです。従ってあるいはわれわれ予想したよりはふえるかもしれんということで六億の余裕を見たわけでございます。従ってもしことしは少くともそう多くないだろうということになりますれば、七〇%まで填補率を上げる場合、約二十億円くらいという想定をすれば可能という計算になって参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/43
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044・藤田進
○藤田進君 そうすると先ほど参考人の御意見を聞きましても、五〇よりは九〇、九〇よりは一〇〇%、これはよくわかるわけですが、かといって九〇でなければどうしてもならぬとか、あるいは今河野委員の方からでありましたか、五〇では価値があるのか、ないのか、この改正の……、という点ではあまり明確に切り得るものでないだけに、その点がよりベタールというふうに聞えたわけでありますが、その点は九〇という基本的な具体的基礎がない以上、われわれとしてはできるだけ全体的に見て、しかもそのマキシマムの点で考える場合には、必ずしも皆さん方の御主張通りにはもちろんむずかしいと思いますけれども、しかしこの原案である五〇より七〇の方がいいということについては、もう聞くまでもなく問題はないかと思うわけです。その場合に保険料率の点ですね、これはやはりいろいろ填補率より以上に問題もあろうかと思うわけですが、これは今出されている九〇、それに対して一分という点は切り離して考え得るものかどうかですね、お伺いしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/44
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045・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) ただいまの填補率の増加と料率の低減、この問題はどちらに重点を置くかと申されれば、申すまでもなくこれは填補額の増率にわれわれは重点を置いている次第であります。もう一つ、ちょっと通商局長にお伺いしたいのでございますが、ただいま六億と申されましたが、六億円……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/45
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046・板垣修
○政府委員(板垣修君) 円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/46
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047・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) その六億円のワクと申しまするのは填補金が六億円ということで押えるという意味、予想が六億円という意味でございますか、それとも認証額が六億円しかないという意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/47
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048・板垣修
○政府委員(板垣修君) 三十億円というのは保険契約を結んで引き受け得る最高限度でありまして、今の一応の計算では二十四億円の引き受け見込みとなっておりますが、三十億円までは余裕があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/48
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049・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) そうしますと、われわれはまず先ほどのお話を承わりますと、六億円の投資しかいわばお認め願えないということになりますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/49
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050・板垣修
○政府委員(板垣修君) そういうことはございません。しかしすでにその中で二十八億の既投資がございまするから、今後三十二億円はワクがあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/50
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051・牧田与一郎
○参考人(牧田与一郎君) 三十二億円だけしかないんでございますか、それでよろしいんでございますか、海外投資は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/51
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052・板垣修
○政府委員(板垣修君) それは一応予算でございますから、もしそれ以上どんどん幾らでもふえますれば、これはやむを得ず今後補正予算か何かで引き受け限度を変える、これは当然起ると思います。今年度の初めにおきましてはそれだけの予定をしたということだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/52
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053・秀島司馬三郎
○参考人(秀島司馬三郎君) ちょっと補足させていただきますが、私どもの方が九〇%ということをお願いいたしましたのは、プラント等の延べ払いについた輸出代金保険というのがございますが、これが最高九〇%まで認めております。それでまあ投資と申しましても、プラントの長期輸出というものと実質的にほとんど変らないものではないか、それには輸出代金保険と同じように九〇%見ていただいていいんじゃないかというところを根拠にしております。
それから要するになぜそういう填補率をお願いするかと申しますと、最近各商社とも自己資金が非常に少いものでございます。ところがプラントとか投資というものになりますと、相当の金額になります。それですから少しのところと申しましても、それが万一引っかかったような場合になりますというと、その会社の基礎を危うくしてしまうというようなことがございますのでこれを九〇%にしていただきたい、こういうところでお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/53
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054・古池信三
○理事(古池信三君) ほかに御発言ありませんか。ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/54
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055・古池信三
○理事(古池信三君) 速記をつけて。
それでは参考人の方の御意見の聴取は一応これで本日は相済みました。まことにどうも長らくの間貴重な御意見を伺いましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/55
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056・古池信三
○理事(古池信三君) この際ちょっとおはかりをいたしたいと思いますが、小松委員から、都合により当委員会の理事を辞任したいという申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/56
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057・古池信三
○理事(古池信三君) 御異議ないと認めさように決定いたします。
つきましては、その補欠互選を行いたいと存じますが、その方法は成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/57
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058・古池信三
○理事(古池信三君) 御異議ないと認めます。よって私から阿具根君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/58
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059・古池信三
○理事(古池信三君) それでは引き続きましてセメントの生産状況に関する調査をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/59
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060・河野謙三
○河野謙三君 軽工業局長に一つわかるように教えてもらいたいんだが、何か聞くところによると、建設委員会に東北興業に新しく政府の投資を増額して岩手県下にセメント工場を作らせるというような意味の法案が出ておるようですが、これにつきましてセメント工業を担当しておられる軽工業局長から率直な意見を伺いたい。一応御説明を伺った上で質疑をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/60
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061・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) お答え申し上げます。ただいまお話しのございましたように、現在東北興業株式会社法の一部改正の法案が衆議院を通過いたし、まして、現在参議院の建設委員会に付議せられております。その改正法案の要点は、東北興業に対しまして国会の議決を経ました金額の限度において政府が債務保証をすることができるという規定を設けようという趣旨でございまして、一方三十一年度予算におきましては、予算外契約として九億円を限度として東北興業に対して債務保証ができるという予算が計上せられておるようでございます。
そこで、現在建設委員会に付議せられております法案そのものには、直接セメント事業云々ということはうたわれてないわけでございますが、この九億円と申します金額は、ただいま東北興業が計画しておりますセメントの設備資金十四億、これに対しまして三十年度予算で政府が一億出資いたしまして、さらに三十一年度予算におきまして二億の政府出資が予算に計上せられており、合計三億の政府出資がございますのと、これと合せまして資金運用部の資金二億円を東北六県を経由いたしまして東北興業に貸付をするという手続が現在進行中でございます。従いまして、セメントの所要資金十四億のうち、三十年度並びに三十一年度の政府出資額三億、資金運用部資金二億円と、合計五億円を差し引きました残額が九億円になると、こういう計算でありますので、一応これはセメントの事業化計画を前提とするものであると、こういうように考えられるわけでございます。
そこでこのセメントの計画につきましては、昨年来建設省の方からいろいろ御相談があったわけでございます。御承知のように、セメントにつきましては、別段通産省においてこれを許可とか認可とかいうような制度はとっておらないわけでございますが、セメント工業の主管省といたしまして、その御相談のありました点については、意見を申し述べてございます。その要点といたしましては、御承知のようにセメントは一昨年の夏ごろまでは非常に活況を呈しておったわけでございますが、その後公共事業の円滑な遂行をはかるために、価格の引き下げが要請されました。その方法としてはどうしてもこの際相当の設備をふやす必要がある。それまではセメントにつきましてはどちらかと申しますと、設備過剰ではないかというような考え方のもとに、大蔵省におきましても設備資金の融資等について抑制する方針をとっておったわけでございますが、ただいま申し上げましたような事情から、大蔵省にも話をいたしまして、一昨年の夏ごろであったかと思いますが、一昨年の八月でございますが、次官会議の決定を経て、閣議にも当時の通産大臣から御報告をしたわけでございます。セメント工業の合理化及び価格の安定をはかるための必要な資金については、実情に即して考慮をはらうものとする、こういう決定がなされました。その後相当程度の設備の増加が行われております。大体から申し上げますと、一昨年の問題が起りました当時、約一千万トンの設備能力に対しまして、ほとんど九四%程度の操業をいたしておったのでありますが、その後設備の増強によりまして三十年度の、今年度の終りにおきましては、大体千四百万トンの能力になるであろう、また三十一年度の終りにおきましては、大体千六百万トン近くの能力になるであろう、こういう状況でございます。これに対しまして、需要面は、内需、輸出両面について相当の増加を予想しておったわけでございますが、輸出の方は当初考えました以上にむしろ伸びておりますが、内需の関係がやや予想いたしましたより内輪になっておりますので、全体といたしまして操業度は二十八年度の九四%に対しまして、二十九年度が八八%、三十年度は七五%、三十一年度は七二%程度になる見込みでございます。われわれが一応安定操業度といたしまして大体八割程度のものを予想しておったわけでございますが、現状はややそれよりも下回っている、こういう需給状況でございます。で、そのような関係で、セメントの価格もお手元にちょっと「国鉄契約価格推移」を御参考にお配りいたしておるわけでございますが、二十九年の八月におきましては、東京地区においては着駅オン・レールで八千七百円程度でございましたのが、その後逐次下落いたしまして、現在におきましては七千四百五十円、千数百円の値下りをしておる。そこでセメントの需給関係並びに価格の推移はこういう状況でございますので、今後事業を開始されるに当っては、今後の同業者との間に、十分競争にたえ得るような点を十分に検討される必要があるであろうということを申し上げておったわけでございます。
それから第二の点といたしまして、この東北興業の計画は従来の回転がま、横がまと異なりまして、縦がま、いわゆるシャフト・キルンという方式を採用したいという計画になっております。で、縦がまの方式はわが国におきましては明治年間までは、こういう方式を採用しておったわけでございますが、その後は全部ロータリー・キルン、いわゆる横の回転がまになっております。しかしドイツなどにおきましては、大体全体の三割程度が縦がまであるというようなこともございまして、この縦がまの特徴といたしましては、建設費がこのロータリー・キルンの場合に比較いたしまして、相当安くできるというような点、それからそういう点が主たる特徴でございますが、技術的にいろいろむずかしい問題がございまして、われわれとしてもこれは一つの研究のテーマであるというように考えております。で戦争中蒙疆におきまして、磐城セメントがこれを試みたことがあったようでございますが、その当時この製品の品質なり、歩どまり等の点において十分の結果が得られなかった。それから最近におきましては宇部興産がドイツのロッシュというところの機械並びに特許を買いまして、昨年の九月から試験繰業をやっておるわけでございますが、現在までのところ、回転がまと同程度の強度にはまだ立ち至っていないというような関係もございまして、これは一つの研究のテーマではあるけれども、新規にやられることについては、技術面において十分の準備なり、研究を必要とするであろうというような点を意見として申し上げておるわけであります。しかし、御承知のように、この東北興業は建設省において特別の監理官を置かれて、これが監督をせられておるわけであります。それらの点をいろいろお考えの上、事業計画を立てられたということでございます。すでに予算等の措置もとられておるようでありますので、通産省といたしましては今後とも計画の内容なり、技術面につきまして、できる限りの御援助をする、また、現在日本においてこれを現実にやっております宇部興産に対しても、技術上の御援助をするということを申しております。
それから先ほど申し上げましたセメントの需給関係の点でございますが、これは今回の東北興業の計画が大体年産二十万トン程度でございまして、これによって全体のセメントの需給関係に影響を及ぼすというような程度にはないと考えますので、ただいま申し上げましたような技術上の点、収支採算の点について、十分の検討をされた上、他の同業者と対抗し得るということであれば、セメント全体の需給関係からは特に問題とすることもないであろう。大体以上が通産省の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/61
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062・河野謙三
○河野謙三君 このセメント工業はもとより認可、許可によってするものではありませんから、だれが工場を作ろうが、どういう計画を立てようが、勝手でございますけれども、今度の場合は東北興業をして政府が保証までして、この企業を起させよう、こういうことでございますね。そこで私の伺いたいのは、今市価などもずっと下って、七千何百円ということになって、七千四百円ですか、ところがこの東北興業の事業目論見書を見ますと、これは少し甘い計算かもしれませんけれども、五千五百円になっていますね。約その間に二千円の開きがありますね。こういうことは、この裏を返せば、市価が下って七千四百円になっても、なおかつ現在のセメント工業は暴利に等しい利潤を得ているというふうにもなりますが、そこらのところの見解はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/62
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063・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) 東北工業のこの事業計画につきましても他の一般の計画等と対比いたしますと、必ずしも余裕の十分ないという点もあるわけでございますが、先ほどちょっと申し落しましたが、実は具体的にその工場敷地等が決定いたしましたのが昨年の暮でございます。本年の一月に開発銀行に対しまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/63
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064・河野謙三
○河野謙三君 ちょっと発言中ですが、いやもうかっているかもうかっていないかということを聞いておる、あなたの方の計算では。現在のセメント工業が七千四百円という市価ですね、これに対して一体原価との開きはどのくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/64
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065・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) 先ほどちょっと申し上げましたが、二十九年の夏に八千七百円の大体ベースであったわけでございますが、その当時われわれは三カ年にこのコストを大体二割切り下げたい、こういう目標で合理化の三カ年計画というのを立てまして、それによってその融資等を受けておるわけでございます。それで二割と申しますと、大体七千円前後になるという見当になります。それで現在の輸出価格なり、国際的の競争力等から考えまして、その程度にはぜひ合理化いたしたい、こういう目標でもって進んでおるわけでございます。そこで現在の市価でもうかっているかもうかってないかと申しますと、これははなはだ私どももそう会社経理の内容まで深く立ち入って検討いたしておりませんが、少くとも従来に比べますと相当競争が激しくなり、会社経理も徐々に窮屈になってきておる。最近日本の業界の代表的の会社におきましてもある程度の減配もいたしまして、また来期はさらに減配するであろうというような予想も立てられておるわけであります。現状において事業経営を遂行する上に支障をきたすという程度ではないと思いますが、逐次まあ窮屈な状況に来ておるということは申し上げ得ると思います。
それから先ほどちょっと申しかけましたのは、東北工業の事業計画が五千数百円の原価になっておるという点でございます。この点につきましては、ただいま申し上げましたように開発銀行に現在融資申し込みをせられておりますので、その予算の組み方についての内容等につきましては、開発銀行においても、現在審査中であります。その辺の予算の見方等との関連もあるかと思いますので、その点をつけ加えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/65
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066・河野謙三
○河野謙三君 この問題の急所は、私は現在のセメントの工業がもうかっているかもうかっていないかということだと思うのですよ。現在の適正な利潤以上に利潤を得ているなら、これは新しく企業というものはむしろ積極的に政府は起して、そうして市価をうんと下げるということは必要だと思う。従ってもうかっていないなら、先ほど御説明のような非常に生産が急激にふえて、いわゆるオーバー・プロダクションの形になって、操業度は現在七五%とおっしゃいましたが、私の手もとに来ているので、同じあなたの方から来ているので三十年七六%というのをもらっています。いずれにしても操業度は非常に低くなっておる。低くなっていて、しかも非常にもうかっていないということならば、政府が進んで保証までして、いかに企業許可制でない本事業にしても、これは大いに考えなければならぬと思う。しかしもうかっておるならば、これは進んで政府がこういう施策をとることは私はけっこうだと思う。特に余談になりますけれども、過去のセメント工業は横暴の限りを尽しているじゃありませんか。国家の財政投資をしておるところの電力なり、鉄道なり、これらの大口需要家に対して一般の市価よりも高い値段でセメントを売っておる。こういう事実は通産省でもお認めにならざるを得ないと思う。数字で明らかです。いわゆる三白景気の中の一つのセメント工業というものは言語道断でしょう。それだけにまあ過去のことであって、今日もしくは今後においては事情が一変して操業度が非常に下った、利潤ももうほとんど適正利潤も危なくなってきた。こういうことならば私はこの東北工業の問題は考えなきゃならぬと思いますが、そうでないならば、相変らず過去のようにセメント工業が組合の結束によって、いわゆるトラストですかのあれによって、そうしてその鉄道なり、電力なり、こういうような大口需要に対してまで値段を一本にして押しつけるというような形をとっておるならば、これは私は東北工業の存在は必要だと思うのですが、そこらの判断の基礎になるのは、現状のセメント工業が一体もうかっているのか、もうかっていないのか、ここなんですよ。これはしかしその開発銀行のコストの計算とかによって東北工業の事業計画を検討するとかなんとかということでなしに、吉岡さんのところでこういうことについては、あなたの方で十分御検討済みだと思う。七千四百円の市価というのはセメント工業の平均コストに対して一体どのくらいの利潤になっておるか、ここらのところを一つ、これは私たちは建設委員会じゃないですから、いわゆる通産省のふところに入って一つ伺おうというのでありますから、そして何も私の方で水くさい質問をしているわけじゃないから、あなたの方でもざっくばらんに一つこの東北興業の法案に対して批判すべきところは十分批判してもらって、われわれは通産省の軽工業局長がこう言ったからといって建設委員会に行ってあなたと建設省を噛み合せるというようなこと、そんなことを考えておらないのですから、建設委員会との合同審査に臨むに当って、いろいろわれわれはあなたから知識を求めておる。そういうことで一つ学校の先生になったつもりで一つ教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/66
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067・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) セメントの価格についてのお話がございましたが、先ほど申し上げましたように二十九年の八千七百円と申します値段は、大体二十六年からずっと上下なくして推移しておるわけであります。二十六年ごろにそれまでは非常に生産額も少なかったんでございますが、朝鮮事変等によりまして非常に需要が旺盛になりまして、需給関係から申しますと、値上りの要素が現われて参ったわけでございますが、当時通産省の、私の前任者の当時でございましたが、この際操業度も上るであろうから、値上げは差し控えるべきであるという話をいたしまして、二十六年からずっと八千七百円で価格は変らずに二十九年までいっておったわけであります。しかしもちろんいわゆるこういう設備産業のことでございますから、先ほど申し上げましたように一〇〇%近くの操業をやっておるという場合には、これは御指摘のように相当の利潤があったと思います。しかしその半面に、ちょっと申し上げましたように、従来設備の合理化について資金が抑制されておった。従って二十九年の夏ごろに、ちょうど公共事業費につきまして予算のたしか七%節約するというような話もございまして、閣議の席で建設大臣から、この際セメントの価格の引き下げについて考慮してもらいたいという御要望がございまして、これは行政措置として二、三百円程度の公共事業向けの販売価格について自粛と申しますか、引き下げを慫慂いたして実行したわけでございます。しかし同時にこれを解決するためには、先ほど申し上げましたようにむしろ能力をふやす必要がある。それでコストを切り下げ、需給関係を安定させることが実質的な方法であるという関係から、先ほど申し上げましたような措置をとったわけであります。その後の推移は、お手元の表にございますように、ここ一年半ばかりの間にこれだけの値下りをしておるということは、これは需給関係が緩和したということから、逐次限界生産費と申しますか、利益の幅は薄くなってきておる、こういうことを申し上げられると思います。そこで、これは以前と異りまして価格の協定等もいたしておりませんので、操業度が八割を切るというような現状におきましては、ここに掲げましたのは国鉄に対する契約の単価でございます。一般の取引におきましては相当の競争が出てきておるということは事実であろうと思います。極端に申しますと、多少銘柄によっても違いはあるかと思いますが、ものによりましては七千円程度のものも出てきておる。それからもう一つの問題は、現在の市価がそういう状況であり、また今後も相当能力の増加が予想せられますので、東北興業がその趣旨とせられておりますところは、できるだけ安い良質のセメントを供給したい、こういうことでございますが、既存の設備も相当償却し、合理化した同業者と十分に太刀打ちできるかどうかという点について、先ほど申し上げましたように、東北興業が真にその目的を達せられるために相当いろいろの点について十分検討する必要があるであろう、こういうことでございます。われわれといえども東北興業が安い良質のセメントを供給されるということについて、これが今回の計画の目的であると思いますけれども、その点について十分の検討をする必要があるであろう、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/67
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068・河野謙三
○河野謙三君 ほかに御質問もあるでしょうが、私ちょっと懇談をさしてもらいたいので、速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/68
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069・古池信三
○理事(古池信三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X01419560315/69
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070・古池信三
○理事(古池信三君) 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十七分散会
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