1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十四日(火曜日)
午後一時五十四分開会
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委員の異動
四月二十三日委員阿具根登君辞任につ
き、その補欠として内村清次君を議長
において指名した。
本日委員内村清次君辞任につき、その
補欠として阿具根登君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 三輪 貞治君
理事
西川彌平治君
白川 一雄君
阿具根 登君
委員
大谷 贇雄君
古池 信三君
高橋 衛君
苫米地義三君
中川 以良君
深水 六郎君
海野 三朗君
小松 正雄君
藤田 進君
国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
政府委員
総理府原子力局
長 佐々木義武君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省鉱山
局長 松尾 金藏君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○参考人の出席要求に関する件
○日本原子力研究所法案(内閣提出、
衆議院送付)
○原子燃料公社法案(内閣提出、衆議
院送付)
○核原料物質開発促進臨時措置法案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/0
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001・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) ただいまから本日の委員会を開きます。
まず委員の異動について申し上げます。四月二十三日阿具根登君が辞任され、その補欠として内村清次君が指名されました。また本日内村清次君が辞任され、その補欠として阿具根登君が指名されました。以上御報告いたします。
なお右の異動の結果理事一名が欠けることになりますので、その補欠互選を行いたいと存じますが、その方法は成規の手続を省略し、委員長にその指名を一任することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/1
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002・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないものと認めます。よって委員長は理事に阿具根登君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/2
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003・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 議事に入ります前に、原子力関係三法案の審議に当りまして、参考人の意見を聴取することに前回の委員会で御決定をいただきました。その日時と参考人の人選を委員長に一任されたわけですが、委員長は日時につきましては四月二十六日午前十時より、参考人の人選については七人の候補者をあげまして御本人の都合を伺った上次の三名をひとまず決定いたしております。関西電力常務一本松珠機君、原子力研究所副理事長駒形作次君、同和鉱業社長久留島秀三郎君、以上の三名であります。
なお学界関係につきましては、日本学術会議議長茅誠司君及び前東大教授嵯峨根遼吉君の両氏の都合を伺いましたところ、茅君は二十六日より学術会議が始まり、その議長を勤められるので出席不可能ということであります。なお嵯峨根君は今週は関西方面に旅行されるのでこれまた出席できません。
なお先ほどの懇談中に藤田委員より、中立的な立場でやはり学界から聞く必要があるのではないかというので立教大学教授の武谷三男君にただいま交渉させましたが、これまた出張中であります。従ってその一名については努めて委員長において努力をいたしまして御希望に沿うようにすることにいたしまして、まず一応今述べました三名を御決定願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/3
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004・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) それではさよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/4
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005・海野三朗
○海野三朗君 ここに純然たる学者の立場からの意見を聴取したいと思いまするので、茅君が出られなければだれかそのかわりに学者の立場からの人も一人入れてもらいたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/5
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006・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) そのことについて今お諮りして大体委員長に御一任願ったところでございますからそういうふうにいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/6
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007・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 次に日本原子力研究所法案、原子燃料公社法案、核原料物質開発促進臨時措置法案、以上三案を一括上程議題といたします。各法案とも予備審査の際提案理由の説明を聴取しておりますが、時日もかなり経過しておりますのであらためて法案の要項について担当政府委員よりそれぞれ説明を聞きました後、質疑に入りたいと存じます。日本原子力研究所法案、原子燃料公社法案についてまず補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/7
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008・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) それでは日本原子力研究所法案に関しまして要点のみ御説明申し上げてみたいと思います。この法案を提案いたしました理由等に関しましては昨年の暮、原子力に関する基本法が皆さんの力で成立いたしましたので、その基本法の趣旨にのっとりまして、その法案に予定されておりましたこの日本原子力研究所法案を提出した次第でございます。この法案の中で最も要点と思われますか、例文的な個所を除きまして主たる点を述べますと、第一条は設立の目的でございまして、先ほど申し上げましたようにあくまでも原子力基本法の精神を生かしまして、その方針に基いて編成したものだという点を明示してございます。第二条、第三条は例文でございまして、第四条でございますが、これはこの研究所の性格を律します上におきまして非常に重要な規定でございます。第四条はここにもございますように国家資本と民間資本との合計額で成立することになっておりまして、その意味はこの研究所の性格に関しましては、あるいは国立研究所論、あるいは公社でいったらどうだというような御議論も従来からございまして、この法案をまとめます際にも最後まで議論の戦われた点でございますが、最終的にはこの法案にありまするように主として官民学三者合体でまあ総力をあげまして研究を進めたいという点と、もう一つは経営に弾力性を持たせたい、何となればこの原子力の研究は非常に広範囲であるのみならず、新しい科学の分野でございまするので、各国ともに日進月歩、それぞれこの進歩の状況にありまするから、経営はどうしても固定的なものでなしに弾力性を持って経営した方が本来の目的に沿うんじゃなかろうかというような趣旨をかね合いまして、官民学合体のこの特殊法人にした次第でございます。ただし、この民間の出資そのものに対しましては、いわゆる株主——商法に基きます株式会社と根本的に相違してございまして、いわゆる株主権に付帯する諸権利はほとんどこの法案にはございません。第五条に出資証券というのがございまして、民間からの出資あるいは政府からの出資、同じでございまするが、出資証券というものを発行いたしましてこれは要するに出資の持ち分に対する一種の証明書というようなものでございまして、株式に付帯する諸権利等は、何らこの中に含まれておりません。従いまして後ほど出て参りますように、株主権に当然付帯してくるような株主総会的な諸権利、発言権、人事問題、あるいは業務の内容等に関するこの民間側の発言は、ほとんど出資したにもかかわらずないようになってございます。
第六条、第七条等は例文でございまするので省略申し上げまして、この研究所の役員でございまするが、これは第十二条に任命の項がございまするので、これをごらんいただきたいと思いまするけれども、第十二条にございまするように理事長、副理事長、理事、監事とも全部内閣総理大臣が任命することになってございます。ただ基本法にもございますように、この重要な使命を持ちます役員に関しましては、時の内閣の総理大臣が自分の意思のみでこれを任命するという点は避けまして、民主的な意味で作られました原子力委員会の意向を十分取り入れてそうして委員会の趣旨を体して内閣総理大臣が任命するというふうにしたわけでございます。ただその間に理事長並びに副理事長、理事あるいは監事等に若干の任命の手続の差のございまするゆえんのものは、理事長に関しましては原子力委員会の同意を得て、あくまで同意を得まして、その上で内閣総理大臣が任命することになってございます。従いまして同意を得ないで任命すればこれはもちろん違法でございまするので無効でございまするが、あくまでも同意を得て任命するというふうに非常に強く出しておりますが、副理事長、理事に関しましては委員会の意見を聞いてということで、若干においを違えておりますが、この趣旨は副理事長あるいは理事は理事長と一心同体のもとに運用するのが本来の経営の妙味かと思いまするので、できるだけ理事長の意見も尊重し、同時に委員会の意見も尊重しながら、そうして内閣が任命するというふうに、理事長の考え、あるいは原子力委員会の考え方を十分聞いた上で、誤まりないように任命しようというふうな趣旨にしたわけでございます。
十三条以下は例文でございまして、別に申し上げることもございません。
ただ十四条におきまして、この理事のいわゆる兼務制度を避けまして、この業務に役員の皆さんは専任して下さるというふうな意味合いでそれぞれの規定を設けてございます。
十五条では解任の場合の問題でございますが、これに関しましても就任の任命の際と同じように委員会の同意、あるいは意見を聞きまして、そうして時の内閣の都合によって勝手にはかえられんぞというふうな一つの独立性を持たした任命制度にしてございます。
例文でございますのでその以下は略しまして第三章の第二十二条、業務の範囲でございまするが、第二十二条がまた非常に重要な法規でございまして、これもいろいろ議論のあったところでございます。一つの御議論はこの研究所は民間からの出資を認めるがゆえに、ややもすれば応用方面にのみ力を注ぎ、この基礎的な研究の方がなおざりにされるんじゃなかろうかという御疑念もいろいろございまして、実はそうじゃないんだ、この研究所は基礎的な研究はもちろん並行して、合せて業務の遂行を行うんだという趣旨で、この目的のところに明確にうたいまして、第一項に掲げてありますように、基礎的な研究を行うというのを第一番に出しまして、そうして次には応用あるいは実験、あるいは人間の、技術者の養成訓練というふうな諸業務を掲げた次第でございます。
それから第二十四条でございますが、ただこの研究所の業務の運営に関しましてはあくまでも原子力はこの運用のしようによりましては人類の福祉にもなりまするし、また運用のしようによりましては非常な災害等も及ぼすものでもございまするので彼此思い合せましてこの第二十四条にございますように、委員会で基本計画を定めましてそしてその基本計画にのっとってこの研究所では業務を行うというふうに規定してございます。従いまして毎年年度の基本計画を作りあるいはただいま策定中でございまするが長期にわたる国家の原子力平和利用に関する基本計画等定めまして、その線に沿うて研究所の研究を進めたいというふうに考えたわけでございます。
第四章は財務及び会計の問題でございまするが、これは先ほども申しましたように、国立あるいは公社に見まするこの予算の組み方、あるいは審議の仕方等に関しましては趣きを変えまして、毎年度の予算あるいは事業計画、資金計画等は内閣総理大臣の認可を受ければよろしい。で、あとにございまするが、財務に関する諸問題に関しましては内閣総理大臣の認可を受けると同時に大蔵大臣の協議決定を受けまして、そうしてその協議の上で認可をするというふうになってございます。これが一つの弾力的な運営の現われだと考えてございまするが、第二十九条、三十九条にございますように、二十九条では書類の送付という規定になっておりますが、この意味はお読みになって下さいますように、普通の株主総会のようにいろいろ事前に問題を審議するのではございませんで、先ほど申しました業務計画、あるいは資金計画、あるいは財務諸表といったようなものに関しましては、内閣総理大臣の認可を受けまして、その認可を受けたのをただその出資者に送付すればよろしいという、事後にこの送付をすればよろしいとなっておりまして、業務そのものには民間側の出資者は何ら発言権はないようになってございます。
第三十条でございますが、これには利益及び損益の処理の問題が相当詳しく載っておりますけれども、これは本来利潤を生む研究所ではないのでありまして、長い間なかなか利潤を生まない形態のまま進むのではなかろうかと思いますけれども、しかしあくまでも出資という問題があるからには、やはり財産の処分あるいは利益金の処理等に関しましては、十分の事前の規定を必要とするのではなかろうかという面のために、こういう規定を設けまして、主としてそれは海外移住会社あるいは日本航空等最近できました公団、あるいは特殊会社等の形式を大体参照して作ってございます。
それ以外は例文でございますので省略さしていただきまして、それ以外はほとんど大体従来の公団の方式とほぼ同じというふうにお考え下さればけっこうじゃなかろうかというふうに思います。
付則でございまして、付則の第二条には、この研究所ができまするまでの設立の手続がございます。これは従来の公団の設立手続と大した相違はございません。
第三条に、ただいまございます財団法人原子力研究所との関係の問題がございますが、要約して申し上げますると、この法案ができまして、新しい日本原子力研究所ができました際には、従来ありました、現在もありますその財団法人原子力研究所を一たん解散いたしまして、そうしてその権利、義務等はいわゆる一般承継をいたしまして、清算事務等はしないで、そうして一般承継という形でそれを受けようというふうにしてございます。ただ役員は別でございますが職員に関しては第三項にございまするように、ただいま財団法人原子力研究所に勤務しております者はそのまま新しい日本原子力研究所に承継されるというように法律で規定してございます。
それ以外は主として免税——税法上の特権の問題がございますが、長くなりますのでこれは省略さしていただきたいと思います。
次は原子燃料公社法案でございますが、原子燃料公社法案に関しましては、まず一番に問題になります点は第三章の十九条でございまして、この燃料公社というのは一体何をやるところかという問題が一番重要でございますので、第三章十九条から御説明を申し上げます。
十九条にございまするように、この公社の主たる任務は、「核原料物質の探鉱、採鉱及び選鉱」「核原料物資の輸入並びに買取及び売渡を行う」、第三号としまして、「核燃料物質の生産及び加工を行う」、ここで核燃料物質と原料物質と分けてございますのは燃料物質というのはそのまま燃料に使いまするウラン——金属ウラン、あるいはトリウム等をさすのでございまして、原料物質というのはそれを含んだ鉱物をさしておるのでございます。第四号は「核燃料物質の輸入及び輸出並びに買取売渡及び貸付を行う」、第五号には号、三号に伴い生ずる副産物の売り渡し、第六号は、以上に関連する第条の目的達成に必要な——と申しますのは、第一条にこの目的が明示してございますので、今までの五号以外に目的落成に必要な業務を行うというふうに考えてございます。言いかえますと、これはたとえば核原料物質の輸出等が将来生ずる場合には当然ここで行うべきだというふうな考え方でございます。
この中で問題になりますのは、この公社の主たる任務は核原料物質の採鉱あるいは選鉱を行い、あるいはそういう物質の管理を国家に代行して行うという点が一つの大きい任務でございます。第二点は核燃料物質の生産及び加工をするという点でございまして、この点は最終的な精練は、能うべくんばこの公社であるいは一定的に最終的な精練を行わせたらどうだろうか、あるいは加工の点でございまするが、この加工に関しましては、いろいろ金属ウランを棒にしたり、あるいは板にしたりという加工もございまするが、廃棄物の処理に関しまして特に再生の問題等もここで行うべきじゃなかろうかというふうな意味を含んで考えてございます。
それから核原料物質の輸出入その他の管理の点でございまするが、これは非常に危険物でもございまするし、公衆衛生にも関係の深い問題でございまするので、あるいはこの今後の原子の平和利用という、原子力の平和開発といったような、一番基礎になる点でございまするので、この点は十分注意をして、この公社で大体まあ主として行わしめるというふうな点を業務の主たるものとしておるのでございまして、こういう内容を持ったものでございまするからできるだけこれは業務の内容から申しましても、非常に危険なもの、あるいは強度の管理を必要とするもの、あるいは精練のごとく独占的な性格を持たすもの等の重要な任務を持っておりまするので、普通の特殊会社あるいは特殊法人、あるいは公団というふうな形式をやめまして、公社という形で、そうしてこの法の第四条にございまするように、全額政府で出資をいたしまして、そうして今後とも運用をしていきたいというので、はっきり公社という形態をとったわけでございます。ただそういうこの業務の内容、あるいは趣旨等から見まして、公社という形態をとったのではございまするが、その運営自体を考えてみますと、必ずしも従来の公社の形態がこういうふうな事業に関しまして、あるいは予算的な弾力性の問題あるいは人材を広く集める点等から考えまして、運営が妥当かどうかという点には相当議論のあるところでございまするので、あくまでも趣旨は公社ではございまするが、しかしその運営の内容に関しましては、若干公団的な色彩を持たせまして、経営の弾力性を保持したいというふうな考え方に立っておるのでございます。大部分の条項は先ほど申しました研究所法、あるいは従来の公社、公団の方式に似ておりますが、たださっき申しました研究所と若干趣きを違えておりますのは、たとえますと、第二十条にございますように、業務に関しましては業務報告書は総理大臣に提出するというだけじゃなくて、必ずこれは内閣総理大臣が意見を付して国会に報告するというふうな報告義務を持たしたこととか、あるいは資金計画等に関しましては会計検査院にそれを提出せにゃいかぬというふうな、いわゆる公団の色彩から相当強い公社的な色彩を持って規定したのもございます。あるいは最後の方に出て参りますが、恩給法の関係問題あるいは他の公社にございます港湾法との関係、あるいは公職選挙法との関係等いろいろ従来の公社とほぼ同じような規定を設けまして、本質は公社であるけれども、運用に際しては若干予算の扱い、あるいは給与の扱い等に関しまして公団的な色彩を持たしたというふうな格好になっております。
簡単でございますが、以上御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/8
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009・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 次に核原料物質開発促進臨時措置法案について政府側の補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/9
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010・松尾金藏
○政府委員(松尾金藏君) 核原料物質開発促進臨時措置法案の内容の要点を簡略に御説明申し上げます。
この法律は、第一条の法律の目的に掲げられておりますように原子力基本法の第一条に規定されております原子力の基本的な考え方の目的達成に資するため、核原料物質開発促進の目的のためにこの法律を立案されておるわけであります。御承知のように、前回の国会におきまして、核原料物質といたしましてウラン鉱、トリウム鉱を鉱業法による法定鉱物に追加をされました。鉱業権の関係は応その方の規制を受けることになったのでありますが、さらに今回この開発促進法によりまして急速な核原料物質の開発の促進をはかろう、そのねらいとするところは基本的には原子力基本法の第一条の目的の達成にあるこういう趣旨にこの規定をうたっておるわけであります。
そのような目的に沿いまして、法律の内容といたしましては、まず第一に、この法律の第三条に掲げておりますように、核原料物質の開発促進を合理的に実施をいたしますために年々探鉱計画を決定をするように相なっております。この探鉱計画に基きまして年々の探鉱計画の実施の合理的な結果を得たい、こういうことに相なるわけであります。
次に第二章第五条から第二十七条までの間におきまして、このような核原料物質の探鉱をいたします際に、地質調査所、あるいはまた今回法律で御審議を願っております原子燃料公社がみずから国家的な見地から広い範囲に核原料物質の探鉱を進めて参ります際に、土地の立ち入り使用、または事業場の使用等について一般的な鉱業法の規定に対する例外的な規定をここに設けたわけであります。内容といたしましては各条にかなり詳細な規定が設けられておりまするが、鉱業法の一般的な規定によりまするとかなり繁雑な権利調整の規定があるのでありまするが、この法律の目的といたしますウラン鉱、トリウム鉱の開発を特に急いで国家的な見地から国家機関の手で探鉱を進めるという意味合いから申しまして、特に簡略な、また迅速な手続の実施ができるような配慮のもとに、このような特例の規定を第二章において設けたのであります。この内容は各条文に詳細に規定されておりますが、各逐条につきましては説明を省略さしていただきます。
次に第三の大きなねらいといたしましては、第三章第二十八条以下に規定が設けられております点でございますが、ウラン鉱、トリウム鉱の鉱区につきまして採掘権者が一応鉱業権としての権利者ではありまするけれども、そのような権利者が権利の上に眠ったような状態になりまして、せっかくのウラン鉱、トリウム鉱等の開発が実際上行われないような状態にある場合、二十八条に規定をしておりますように、そのようなウラン鉱、トリウム鉱等にかかる事業に着手をしない、あるいは六ヵ月以上事業を休止する、そのような場合におきまして、そのようなウラン鉱、トリウム鉱の開発が非常に経済的に開発をすることができ、かつその開発を急速に行う必要があるというような場合におきましては、その開発を促進する意味におきまして、通産大臣が開発の指示をすることができるように相なっております。しかし、その指示にも従わないで同じような休眠の状態が続けられます際には、やむを得ない次の措置といたしまして、第二十九条以下に規定されておりますように、原子燃料公社がみずからそのような鉱区につきまして租鉱権の設定の協議を進めることができることに相なっております。そのような形におきまして、原子燃料公社が眠っておるウラン鉱、トリウム鉱の鉱区につきまして租鉱権を獲得することによってみずから開発に乗り出すというようなことができるような規定を設けまして、これによってウラン鉱、トリウム鉱の開発を促進したいという大きな一つのねらいに相なっておるのであります。
なお第四章雑則におきまして、ウラン鉱、トリウム鉱の探鉱を促進する意味合いにおきまして、奨励金あるいは賞金の制度を設けるようにいたしました。このような奨励策によって一般の探鉱を促進するような趣旨をねらいといたしております。
全体といたしまして、先ほど来御説明をいたしましたように、ウラン鉱、トリウム鉱の急速な開発の促進のための法律でございまして、その中には若干強権的な規定も入っておることでございまするので、この法律のそのような趣旨に基きまして、付則の第二項に掲げておりますように、この法律は十年の時限立法ということに相なっております。この法律の要点を概略御説明を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/10
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011・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 右三案に対して、これより質疑をいたしたいと存じます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/11
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012・白川一雄
○白川一雄君 研究所法案について二、三点お尋ねいたしたいのですが、資本金が二億五千万円、政府出資となっておりまして、予算措置としては七億円あるのだが、これを二億五千万円にとめた理由の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/12
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013・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 政府の出資と補助金の場合と両方ございまして、七億円の内容は両方実は含まれておるわけでございます。そこで出資をどれほど組み、補助金をどれほど出すかというこの分別の問題になりまするが、この出資に関しましては、おおむね固定資産的な性格を持ったものに対する出資というのが妥当であろうし、補助という段になりますと、人件費その他のものを主として対象にするというのが趣旨でございまするので、三十一年度の研究所の業務をいろいろ研究してみますと、大体民間の出資等も合せましてまずこのくらいの資本金であればやっていけるのではなかろうかというふうな考えをもちまして、政府の出資額を二億五千万円にしたわけであります。ただし、この二億五千万円に限るわけじゃございませんで、第四条第三項にございまするように、必要がありますれば、資本金の方を増加いたしまして、そうして補助金の方に振りかえをするというようなことも、あるいは可能かというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/13
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014・白川一雄
○白川一雄君 第四条の五項によりますと、政府以外の出資は二分の一以下に限定しておりますが、これの根本理念はどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/14
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015・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 本来は、こういう性格の研究所でございますから、大部分の資金は初期におきましては、少くとも初期におきましては、政府からの出資あるいは補助金に仰がざるを得ないと考えております。ただし、先ほども申しましたような法案の趣旨から申しまして、民間側の出資も認め、そうして経営にも弾力を持たせ、あるいは官民合体の思想も生かしたいというのでこういう特殊法人になったのでございまするので、その際におきましても、やはり政府の出資額がほとんど初期においては大部分ではなかろうかと思いますので、あるいは三分の二以上とか、あるいは四分の三以上とかいうふうに書くのが至当だったのかもわかりませんが、しかしながら大体二分の一以上に当る額というふうにしておきますと、その幅が非常に広うございまして、まあいかように、といっては語弊がありますが、かりに民間出資が次年度以降相当減っても、政府では必要な金は出し得るというのがこの五項で読み得るわけでございますので、少しこの規定そのものが幅が広過ぎるかとも考えまするけれども、そういう趣旨をもって一応二分の一以上は政府が保有するけれども、これは三分の二でも四分の三でもかまいませんと、こういうふうな考えを持ったわけでございます。ただ、あくまでもこういう重大な性格のものでございまするから、政府は少くとも二分の一以上は常時持っておらにゃいかんぞというふうに、後年の場合を考慮いたしまして、こういうふうに規定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/15
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016・白川一雄
○白川一雄君 第五条の出資証券による出資者には、研究所の運営については、株式会社のように別に議決権も与えないし、発言権も与えないという先ほどの御説明でございますが、そうだとしますと、あながち四条の五項のように、二分の一以下というように限定するということがちょっとおかしくはないか。むしろ積極的に資本的にも参加させるというような奨励方法をとるべきではないか。こういう意味におきまして、最初の資本金を予算があるのに二億五千万円にしたということも少な過ぎるのではなかろうかというような感がするのでございますが、どうも発言権、議決権まで押えておきながら、出す方の金は半分以下であるということは、原子力を超スピードで推進しなければいかぬ過程においては、ちょっと矛盾しておるように考えられるのでありますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/16
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017・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 民間側の出資に対して、単に出資証券のみを与えて、それ以外の業務的な権限はほとんどないという、この問題に関しましては、実は先ほども御説明申し上げましたように、この研究所は民間の出資を認めた際には、ややもすると応用方面にのみ走って、そしてこれから何が飛び出すかもわからないような基礎的な研究というようなのが、今ちょうど緒についた、といっては語弊があるかもしれませんが、原子力研究の基礎的な分野は無限に広い分野を持っておりますので、そういう分野をめぐって応用のみにこれが走るということでは、本来の趣旨に沿わないのではなかろうか。従いまして、なるべくこの本来の趣旨を生かすためには、応用の部面と、それから基礎的な研究の部面と相並行して進むのが妥当ではなかろうかというところに先ほど御説明申し上げましたように落ちつきましたので、そういう趣旨も考えますと、なるべく民間側の出資に対しましては、そういう業務そのものはあまり発言をなさらないで、そうしてこの成果あるいは共同研究という面に力を注いでいただくというのが妥当じゃなかろうかというような見解から、こういうふうな制度にした一かけでございます。
第二段の、それではなぜ二分の一以上というふうに限ったのか、むしろ民間の方から増してもいいのじゃなかろうかという議論でございまするが、それに関しましては、一つは、さっき申しましたように、初期においてはなかなか民間からの出資というものは困難じゃなかろうかという点と、それから第二点は、さっきのような本来の趣旨を通すならばやはり国として最も重大ね将来役割を占める研究所でございますから、大部分のものは国の出資でそうして本来の使命を生かさしていきたいというふうな考え方から、こういうふうにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/17
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018・白川一雄
○白川一雄君 この出資証券を実質的に見てみますと、ほとんど寄付行為に近いようなものと考えられるので、この運営についても原子力委員会の方が権限を持っておるので、金をたくさん出したから必ずしも利用の方面のみに偏重しなければいかんというようなことはこの法律の上からちょっともうかがわれないので、基本的な線から進め得るということになっておるように思うのです。ただ、原子力というのを、書物を見ますと、アメリカなんかは四兆何千億という金を使ってやっておるところへ、二億五千万円か七億円くらい出してやっていこうという段階でありますれば、非常なここに特別な努力が官民一致して要るものだろうと思うのです。このときに民間が加わるのをおそれたような格好で規定を設けられるということは、むしろ原子力の発展に阻害をしゃせんかという点を心配するのでお尋ねしたのですが、この研究所法が立案されました当時には非常に国営論が強かったように承知いたしておるのでございますが、大へんおくれた日本の原子力の研究が国営となった場合の当時われわれの心配いたしましたのは、研究のテンポがおくれて実際の利用のスピードが速くなったときに、今度の研究所というものが無用を唱えられるような時期が来やせんかということをわれわれ非常に心配しておったのでございますが、今度官民一体となっていわば挙国一致の連帯責任の体制でこの特殊法人として研究所ができるということは非常に進歩したことだろうと思うのでございますが、すでに御承知の通り、発電関係等においては動力炉の建設計画の要請等が出てきておること等からみまして、積極的にわれわれ出資もさし、また有効な発言ならばこれを受け入れて検討してみるという道を立てて、末節にとらわれないでここで挙国一致して突入しないと、原子力というものは金が出ても世界の進歩のレベルに沿うて行けないのじゃないかということを非常に案じておるのでございますが、この点につきまして大臣の御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/18
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019・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいまお話しの通り、日本は原子力の研究が非常におくれまして、戦後約十カ年間外国よりおくれております。そのおくれたのを立ち上ったわけでありますから、政府当局としてもこれはとても政府だけではいけない、官民合同でやらなくちゃならんということで、すでに御承知の通りに学術会議というものを設けて学者の意見も徴しながら、また一面民間には産業会議というものを作って民間の協力を求めることにしております。それでただここに注意しなくちゃならぬことは、外貨を受け入れるということにばかり夢中になって基本的な研究が留守にされはせぬかということをおそれております。それで今度学者をして基本的に研究させるということに非常な力を入れております。しかし一面それをやると同時に、二面におきましては外国のいいところも取り入れるということを考えまして、学者を外国へやるということ以外にもなお外国に情報機関を、つまり外国のニュースを早くするためにそういう機関をアメリカにも置き、イギリスにも置きまして、その新しい情報は努めて日本に入れるようにする。学者は学者で研究し、常に情報は情報としてこれを入れるということにしておるし、また先ほど申し上げておる民間の産業会議というものは、これは非常な勢いをもって立ち上ってきました。産業会議としましては、これはアメリカにも例があり、あるいはフランスにもあります。けれども日本のように有力会社がこぞって入ったというような例はないのであります。こういうふうにして官民一致協力態勢を整えつつある次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/19
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020・白川一雄
○白川一雄君 最後にもう一点お尋ねしたいのですが、最近武山問題でかなりやかましく伝えられておるのでございますが、また一面今度決定した東海村というのが立地条件として武山よりよいんだ、いいんだというようなことも聞くのでございますが、この経緯について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/20
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021・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 武山問題についてだいぶん世上を騒がせましてはなはだ相済みませんが、武山についても私ども一番遺憾に思いましたのは、あそこでは実験炉と動力炉とやれないのであります。ですから、従ってあそこでは実験炉だけでやらなくちゃならない。そのあとで動力炉を作るという悪条件があるのでありますが、そういうことでありますからして、最初研究所を作るには政府におきましては専門家の選定を見まして、そうして実験炉と動力炉の両方を置くことをやらしたのであります。ところがなかなか両方置くところは見当らなかった。そのうちに、いやそれよりも一つ動力炉はあとにしてまず研究炉だけを作ろう、それについてはなるたけ学者の研究の便利なところ、そうしますると、立地条件について便利という点は武山にありますけれども、他の点においては水戸の方が、つまり東海がまさっておるのでありますが、ただ学者の便利という点もあったから、それではこれを分離して、そしてこれを武山に持っていこうということになったので、決して初めから武山を最適地としたのじゃありません。最適地というのは学者の交通上便利という点だけであります。これを設けるについてはあそこではどうしても動力炉を設けられないのであります。従って動力炉をあとで設けるとしたら二重の設備が要る。要るけれども学者の人も皆希望するし、それからまたすぐ既存設備でも使えるところがあるからまあまあということになったのであります。ところがそのうちに政府としては閣議に諮りましたところ、武山については防衛上の計画も考えておるがまだ立っていないのだ、一つ委員会の方でもう一ぺん考慮をしてくれぬかということでありました。そこで委員会の方で考慮した結果、もともと武山が最適地ということじゃなかったのです。先ほど申し上げた通り動力炉を別にしなければならぬ、動力炉を別にすれば非常に費用がかかるのです。けれども一時的便利を考えたことですから、そういう事情も参照して、もともと二つの研究炉と動力炉を置くのがほんとうであるからして、それじゃ一つ水戸にしようじゃないかということにしたのであります。もっともこの水戸にする声のおくれた理由は、初めに水戸に指定した場所は進駐軍にとられておったところであります。ところが最近になって、二月ごろになって大蔵省の所有地にいいところがあるということになって、水戸の東海村の声が上ったのはずっとあとなんであります。あとだが、そのときに武山の問題も進んでおるし、距離的に近いことは事実であるから一時的に武山ということにしたのでありますが、幸い政府の方の注意もありまして、原子力委員会全会一致をもって東海村にきめたようなわけでありますので、ところが私どももきまってから現地へ行きまして、私は専門家じゃありませんけれども、われわれども説明を聞いてしろうとながらもなるほどという感じを得たのでありまして、これは私しろうとの説明であるけれども、実は武山につきましてもずいぶん反対論があったのです。それはどういう点かというと、あそこで廃棄物を出す、あの出した廃棄物が逗子方面に流れて、鎌倉沿岸に流れて行きはせぬかと杞憂した人があったのであります。ところが東海村に至っては海岸の汚物が全部沖へ行ってしまうんです。全然その心配がない。そういう非常な有利な点がこれは東海村にあるのであります。それからなおまた御承知の通り、原子力には水が非常に要るのです。そうしますと、武山であると水道よりほかに、それに海水を使うとしても、水道をおもに使わなければならぬ。東海村は幸いにして今敷地のすぐわきに阿漕浦という大きな湖水があります。直径一町、長さが四、五町あります。これが非常に天然のわき水だそうです。これが使っていない。魔の池といってだれも泳ぎもしない。そういうのが近くにあるのです。さらに一面久慈川という川があります。さらに少し離れたところに那珂川という川がありまして、水利の便にあれほどいいところはなかったのでありまして、われわれどもも初めから、初めからというか、中途からしてこれは水戸の方がいいなという議論が起ったのです。そういうような事情であるから、先ほど申し上げました通り、政府の注意と同時に委員会全会一致をもって東海村と決定したのでありまして、世上いろいろな揣摩憶測、流言流説が広がっておりますが、真相はこうでありますから、どうぞ御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/21
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022・海野三朗
○海野三朗君 ただいま大臣の御答弁、私はこの純然たる学者の立場から考えて、何ゆえ武山を選んだのであるかという説明を私は聞きたいために、この参考人として学者側を要求しているわけでありますが、その研究者の方は、総理大臣が任命するというふうにこの法案を見るとありますが、総理大臣の頭が大切か、研究者の頭が大切なんでありましょうか、どちらでありましょうか。もし総理大臣の頭が足りない、学者の方が頭がすぐれているという場合は多々あるのでありますが、そういう際には総理大臣は権力をもってこれをどうにでもすることができる。遠くはこのブルーノという学者があって天動説、地動説を主張した、その際にこれはとんでもない、頭が狂っているやつであるからといって当時相手にもしなかったし、またそれに一つの罰則を加えたような歴史があるのであります。また近くはアメリカにおきまして、科学者がこの溶鉱炉の高圧操業、圧力の高い高圧操業を主張してここに二十有余年経過しているのでありますが、それがこの説を主張してからようやく十五、六年にして初めてこの高圧操業の実験ができた、ところが果せるかなコークスの消費が半分以下に下っているのであります。この科学者の主張はほんとうであったのであります。ところが当時のアメリカの政治家はそういうことには金を出してくれなかった。そういう場合が考えられるのであります。この原子力研究所にいたしましてもそうなんです。研究する学者が意見をまとめて出した際に、その上に総理大臣がこれを認可する。もし総理大臣の頭がその研究者の頭に沿わかった場合にはいかがなさるお考えでありますか。これを一つ大臣からはっきりと御所信を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/22
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023・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいまお話の通りで、原子力委員会の決定したことは総理が尊重しなければならぬことになっております。従って原子力だけのことを考えておるならば、総理はもちろん尊重してくれると思います。ただ総理は国家的の立場から、原子力だけでなしに、国家全体の立場からのことを考えて、必ずしも武山がいいとは言わなかった。しかし武山いかぬとは言わない。武山にはこういう事情があるから、原子力委員会に再考してみてくれぬかと言ったのであります。武山いかぬとは言ってきておりません。総理は実際委員会を尊重し、学者を尊重したのであります。それで学者の方にいたしましても、すでに先ほど申し上げました通り、武山ですと原子力研究所と原子炉が分れるからいかぬという意見もあって、東海村になったのです。政府に政策的にそういうことがあるならば、それは一つむしろ武山をよして水戸にしようと、こうきめたのでありまして、しかもそれは全会一致でありまして、内輪の話を申し上げますが、そのうち委員の二人が一週間ほど延ばしてくれと言ったが、そういう事情なら一週間ぐらい延ばしてくれということを言いましたが、しかし水戸に対する異存はなかったのであります。しかしもう少し待ってくれと言われたが、これは急を要することでありますからやってしまおうということで、まことにきれいに一致したのであって、決して政府がいかぬといったから水戸にしたのではないのであります。学者の意見をどこまでも尊重しております。すでにあの声明書にも委員会の立場を認めてくれたことは了とするということが書いてあります。学者はどこまでも尊重されておるのであります。委員会は決して無視されておらぬのであります。この点はどうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/23
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024・海野三朗
○海野三朗君 ただいまの国務大臣の御答弁は、国務大臣としての御答弁として私は拝聴いたしておきまするが、研究者がほんとうにこれをこうやっていかなければならない、ああやっていかなければならないというときに、委員会の方のあれを尊重するというだけでは、ここの原子力研究所の法案の中に、何ら今私がお伺いしたことが載っていないのです。研究をやればいいといいますけれども、研究者の考えておることが上司の方からあまり大して必要だと考えられないような場合、今例に私は引いたのですが、あのブルーノという学者があれで迫害をこうむったような、また近くはアメリカの高圧操業法が唱えられてから十有数年にして初めて一つの実験炉ができたというような例を私は申し上げた。これはもっと早くやっておけばもっと人類に貢献したと思うのでありますが、そういう場合はどういうふうにするかということがこの法案の中に一つも盛ってありません。総理大臣の任命であり、また国務大臣の任命であり、そういうことであって、ただその形だけはできておりますけれども、学者のほんとうに盛り上る知識といいますか、研究力といいますか、その考えというものは何人もこれには及ばないはずであります。そういう場合にはどういうふうに取り扱うということが、この法案の中には一つも盛っていないように私は考えておるのでありますが、この点について政府御当局の御意見を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/24
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025・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ここに書いてあります原子力の平和利用に関することについて、原子力委員会が誉めたことは総理は尊重しなければなりませんと、これは御承知の通りちゃんと法案に出ております。ただし、さっきも申し上げた通りに、その委員会の決定したことは原子力ということだけの範囲であります。しかしながら国家として、国家全体の政策上どうするかとなってくると、これはまた総理も考えなければなりません。総理は特に原子力委員会の立場、学者の意見を尊重してくれましたが、国家的立場から考えてもう一ぺん考えてくれぬかとなったので、武山いかぬとは言っておりません。そこまで学者を尊重してくれました。だから私はこの法案にも学者の主張は出ておると信ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/25
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026・海野三朗
○海野三朗君 ただいまのお話はよくわかるのでありますが、国家全体の立場から考えなければいかぬということで、総理が、お前の方は要求されても予算の関係でできないと言われれば、それは国家の存立上から割り出してくる議論になります。予算がとても窮屈でだめだとなれば、それまでです。その学者の考えをやめさせていくということに対してどこに保障がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/26
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027・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 委員会の決定を尊重するということになっております。これはりっぱな保障だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/27
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028・海野三朗
○海野三朗君 原子力委員会の構成委員は学者ばかりからなっておりますか、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/28
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029・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) これは申し上げるまでもなく、委員長合せて五人おります。委員長は国務大臣で、これは学者ではありません。委員四人のうち、一人は御承知の通り湯川博士であります。それから藤岡博士、有沢博士です。石川さんは財政的の立場から財界人代表として入っていただいております。こういうように学者を三人も入れて、学者をどこまでも尊重して委員会を作っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/29
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030・海野三朗
○海野三朗君 今のお話は私はもっともだと思う点もあるのですが、学者の意見を尊重するとおっしゃっても、尊重するだけで、もし意見が両方に分れたような場合にはどうなさるのですか、一方は研究の立場から言っておるのに、一方はしろうと考えで、その必要をあまり認めないで、それに力が入らないということでは私は困ると思うのです。なぜ私がこういうことをお伺いするかと申しますと、私は三十有余年も研究に従事して来たのでありますが、いつも頭打ちになっておる。それは必要だからやれやれといっても予算の方で削られる。だから私はそこに何らかの保障がないといけないと思う。この法案はりっぱにでき上っておりますが、これはワクをきめたのです。そのワクというのは、いわゆる総理大臣なり、国務大臣なりが考えておるそのワクの中で大いにやれやれと言っておるのです。それでは驚天動地のすばらしい発明なり、発見なりはなかなか生まれにくいと思います。そこを私は言うておるのです。ただ尊重するだけでは、真の研究というものは非常に心もとないものでありますから、それを私はお伺いしておるのです。ただ尊重するだけではいけないと思うのでありますが、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/30
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031・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 実は仰せの通り、まことにごもっともです。しかし今までは学者を尊重するという規定はなかったのですから、これは一歩前進だと思います。それですから、これで当分の間はがまんしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/31
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032・海野三朗
○海野三朗君 私はそういうことについてはっきり国務大臣の御信念とお言葉を伺っておきたいと思うのでありますが、たとえばこういう場合があります。石炭の研究をいたしまして、ある学者が十有余年やっておる。ところがそれをやっておりますときに、そんなことをやったって一つももうからぬじゃないかとあざけっておった。それでありますから、今度予算を与えない。しかしその学者は十有余年の間それをやりましてすばらしい理論を発見した。そういうことがドイツにもなければ、イギリスにもない、アメリカにもむろんない。それが今日ものをいうてきておるのでありまして、そこを私は申し上げたい。一つの例といたしましても今申しました石炭の問題、それから比熱の問題、金属の熱に関する問題、これは私がやったのでありますが、二十年間やってきた。ところが当局はどうかというと、熱などというそんなことをやるより石炭の倹約をすることをやったらいいじゃないか、そういうことを言われておったので予算をもらえない。もらえないのでありますが、もうごくわずかの予算でもってやってきた。ところが今日はどうかと申しますと、金属の熱に関する問題はもう実に重大なことになってきておる。これはもう少し早く日本が着手しておいたならばもっともっと効果があったと思うのです。
そこで私ははっきり国務大臣から伺っておきたいのは、ただ尊重するといっても予算をやらない、こういうことが起ってくると研究者は実に気がくさってしまうのです。ですからそういう点について何かはっきりした、この法案に盛ってはないけれども、そういうことも一つはっきり御答弁を伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/32
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033・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 今の御心配まことにごもっともです。私はそれは結局為政者が頭が悪かったと思うのです、そのときの……。それだからこういう頭の悪い人を為政者にしてはいけません。けれども私は今海野委員の言われたことはごもっともと思います。その趣旨は私は賛成なんです。しかしながら為政者は神ではない。頭が悪いとそういう間違いをしでかす。触るたけこれは注意しなくちゃならぬことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/33
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034・海野三朗
○海野三朗君 ただいま正力国務大臣のような方でありますればそういう点は少しも心配ないと思うのでありますけれども、ややもすると、権力の方が先に立つのです。研究するということの思考力と申しますか、そういうものを権力で押えていくということになりやすいので、私はその点を非常に心配しておるのです。大臣はその点をよく御理解があって、私どもまた学者の立場から見ましても正力国務大臣のお考えは十年、二十年と先を言っていらっしゃるように今考えておるわけでありますが、単に法案を見ますと、総理大臣がこうだ、役員の任免はこうだということになりますと、とかく研究者がいわゆる人夫扱いされる。それを私はおそれる。いわゆるワクの中でお前研究をやっていけというようなことではすばらしい研究ができにくいと私は思うのですが、そういう点に対してどういうふうにしたならばそういうことがないようにできるでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/34
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035・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 今の御趣旨ごもっともでして、できるだけ注意いたしてやりますから、どうぞそれでごかんべんをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/35
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036・海野三朗
○海野三朗君 それでは条文の中に入って伺います。第三十二条に「政府は、予算の範囲内において、研究所に対し、その業務に要する経費の一部を補助することができる。」ここにこういうふうになっておりまするが、ほんとうに必要な研究問題が起ってきました場合には、もう少しこれは予算を、切り詰まった予算ではなく、相当量お出しになるお考えがあるでしょうか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/36
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037・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 経費の一部を補助でまかなうという問題ですが、この額等につきましては、先ほど白川委員からも御質問がございまして、昨年までは原子力の研究は大体二億三千万円から、あるいは繰り越しまで合せて昨年度は三億幾らという予算にすぎなかったわけでございますけれども、今年度原子力委員会ができまして、国会の皆さんのお力添えもあずかって、両々相待って初めて三十六億という非常に画期的な予算がついたわけでございます。その三十六億の予算といいますのは国際的に比べて見ましても、米国あるいは英国、フランス等を除きますと、ほぼその次くらいに位するような相当膨大な額でございまして、決して今の準備段階といたしましては、あるいは原子力の初期の段階といたしましては決して小さな額だとは考えておりません。
そこで今後、それではさらに次年度以降研究を進める際に、必要な金は必要なだけ出せるかという御質問かと思いますが、これに関しましては、ただいまの原子力の研究あるいは応用に対する必要性、今後の日本の経済に対する役割と申しますか、そういう重要性の認識いかんにかかってくるわけでございますけれども、おそらくは私は今の大蔵当局の考えからいたしましても、あるいは国会の皆さん、あるいは委員の皆さん、特に委員長の正力大臣の推進力と申しますか、こういう点から見ましても、必要な金は必ずやつけるのではなかろうかと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/37
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038・海野三朗
○海野三朗君 ただいまのお話、それで私は今あなたに一つお伺いしたいのは、予算の範囲内とか何とか言うけれども、大蔵省がどうこう言うけれども、この原子力の研究には国家が総力をあげてやらなければならない。予算の百億や二百億くらいは何としてもやらなければならぬじゃないかと私は思うのです。なぜかならば、原子爆弾の発明によって政治も経済も、日本の三千年の歴史も一朝にして吹っ飛んだじゃないですか。政治も経済もあらゆるものがこの原子爆弾の出現によってひっくり返ってしまった。世の中がこれほど大事な事柄に対し研究費を与えて、そうして総理大臣が監督してやらせるなんということ自体が、私はちょっとどうかしていると思う。ほんとうに研究ということについては国が総力をあげてやらなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うことが一つ。
それから三十六条に「内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、研究所に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」この業務というのは研究業務でありますか、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/38
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039・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 研究業務並びにその他あるいはさっきからお話がありました敷地の問題とか、あるいは経理の問題とか、いろいろございましょうけれども、必ずしもここでは研究業務そのものに限っては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/39
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040・海野三朗
○海野三朗君 研究も入っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/40
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041・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) まあさっき申しましたのは、基礎研究的なものはもちろん各人の創意を伸ばして実験するのが一番望ましいのでございまするから、その面に関しましては、あまり干渉、監督、あるいは不当な命令というものは出さんつもりでございますが、それ以外の問題に関しまして、たとえばこの法案に規定した以外の業務といいますか——に逸脱しないように、あるいは逸脱するような状況が見えます際には、本来の基本の精神にのっとりまして、本来の軌道に戻すということが当然だろうと思いますので、こういう規定を設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/41
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042・海野三朗
○海野三朗君 それからもう一つの今の予算については、あなたどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、予算……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/42
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043・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) ちょっと聞き漏らしましたが、研究所の予算ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/43
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044・海野三朗
○海野三朗君 この原子力研究にほんとうに必要であるという、つまりこの方面に従事している研究学者のグループが、予算を要求した際においては、百億でも、二百億でも政府が出すという決意を持っておられるのか、どうなんですか。つまり原子爆弾の発明によって政治も経済も歴史も一朝にして吹っ飛んだじゃないかと私は申し上げるのです。それほど重大な研究でありますから、少し国が借金をしたって何だって、ほんとうに学者グループがこれをやらなければならないのだという、こういうふうに申しましたときには、総理大臣の権限において、予算がないからだめだと、こうおっしゃらないで、それをほんとうにやらせていこうというお考えがあるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/44
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045・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 先ほど申しましたように、総理大臣は原子力委員会の意見を尊重するということになっておりますから、従って予算の面にもなるべくこれを尊重してやります。しかし国家はやはり財政が縛られておりまするから、国家をあまり苦しめてやるわけにはいきませんから、なるべくほかよりは……、いわゆる現に今年の予算でも、各省に比較して原子力の予算が非常にいったということは、これは総理大臣が認めてくれた証拠でありますから、従ってなるべく御指摘の通りにいくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/45
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046・海野三朗
○海野三朗君 今大臣はそうおっしやるけれども、私はこれほど大事なものに対しての、研究に対しての予算と、今国防上の、防衛上の予算なんかを見ると、昨年度予算の余り、それが相当残っておる。そういう面をずらりとこの方面に注がなければいかんのじゃないかと私は考えるのです。政治も、経済も、歴史も一朝にして吹っ飛ぶようなことがここから出てくるのですから、そういう点から考えますと、総理大臣はあまりわかっていらっしゃらないように思うのですが、大臣はいかように考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/46
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047・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) まことに御熱心な私どもの支持者を得て、私ども心から感謝をいたしております。われわれもそのつもりでありますから、今後ともよろしく御支援を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/47
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048・白川一雄
○白川一雄君 燃料公社の政府出資金が一千万円となっておりますが、一千万円では事務所一つこしらえても、金がすぐからっぽになってしまうように思うのですが、あとの資本金なり、資金に対する資金繰りというものはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/48
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049・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 公社の使い得る本年の予算額は一億五千万円でございまして、うち五千万円は予算外契約国庫負担分に入っておるのでございます。残りの一億は大体本年度の原子力予算として使用できるわけでありますが、その一億円の中で、九千万円は補助金で、出資金が一千万円にいたしました。使用の額は、実はこの公社は先ほど業務の際に御説明いたしたように、各般の非常に重要な任務がございます。しかしながら本年度客観的な情勢と申しますか、今までの調査、あるいは研究の範囲等からいたしまして、今年度すぐ手をつけ得るものは一体どういうことかと申し上げますと、今年度すぐ精練等膨大な設備に着手しても、それがそのまま動き出すというまでにはまだなっておりません。そうでなくて、本年度はむしろ地質調査所の方は概査をいたしまして、そしてその概査に基きまして、この公社の方ではその主要なる地点の精査、あるいは一部の採掘を行うというのが主たる業務になってございます。従いまして政府出資、固定資本に該当するようなこの事項に関しましては、これは今年度はあまり実は金はかからないのであります。従いまして採掘用の機械等に大体一千万充当いたしまして、これを資本金に見るわけでございます。しからば残りの九千万円の補助金分はどういうところに使うかと申しますと、大体本年度は百四十人くらい、この公社の人員を考えておりますが、それに必要な、一般管理費、あるいは探鉱に実際参りまして、そこでいろいろの仕事をする探鉱費、あるいは今後の精練等に備えまして、研究をする経費、そういうものに千三百万円等を充当いたしまして、そしておもな建物、あるいは大きい機械類は、先ほど申しました債務負担行為の分に当て込みまして、ことしはいろいろ建設工事はいたしますけれども、支払いは皆来年度繰り延べというふうな考え方で、先ほども述べました一億五千万円の内訳とするのでございます。従いまして一千万円はいかにも小さいのじゃないか、この公社と銘打つからには、まことに小さいのじゃないかという御疑念はまことにごもっともで、方々でそういう御批判を受けるのでございますが、本年度の実際の業務というものを考えますと、どうしてもこの順序からいたしまして、こういうふうな以外にはいきかねますので、こういうふうな予算を組んでおりますが、おそらくは先ほども申しましたように、将来この公社が、あるいは廃棄物の再生等を一手に引き受けるようになりますと、現在の例で申しますれば、あるいは石炭、あるいは石油等に相当するような原料一切、発電、船舶その他に必要な原料面はこの公社が担当するというふうな、非常に規模雄大なものに将来発展するものでございますので、今年度はまことに小さいのでございますが、そういう点から考えますと、決してこの公社と名づけても、必ずしも今年度一千万円だからおかしいという議論にはならないのではないかというふうに感ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/49
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050・白川一雄
○白川一雄君 常識的にはおかしいと思うのでございますが、大体理事長、副理事長、理事五名というように、役者はそろっておって、しかも公社でこの業務六項目のこれをやるというように、呼び声だけでも一千万円で公社を作るという格好は、どうもこういうところに出て政府の説明を聞いた者はわかるかもしれませんけれども、一般社会の人はもうわからんだろうという、まあ事務所も今度どこに置くのか知りませんけれども、かりにどこかのビルディングでも借りてやられるとしたら、権利金だけでも一千万円ではおそらく足らぬだろうと思われる、ということも考えられるのであって、大体事業の初めというものは、ランニングになったときよりも固定することが多いもので、従って初期にむしろ金の寝るのが多いのではないか、また多くなければ仕事というものは進捗しないのじゃないか、こう考えてみますと、一億円のうち、補助金が九千万円で、出資金が一千万円で、公称資本金は一千万円で、公社創立というのは、ちょっと常識的に見て、あまりに小さ過ぎるのではないかという感じがするのでございますが、まあ最近ではこれをふやしていくというのですが、もし来年予算でももらえれば、それだけ純資本に入れていくというお考えなのでございましょうか、それともこうやって初めから利益が出て、その利益金でまかなっていけるというお考えなのか、その辺の見合いを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/50
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051・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) お説の通りでございまして、まことに常識的には少いのでございますが、先ほど御指摘ありましたいわゆる運転費的なものは、この補助金の九千万円で今年度見るつもりでございまして、さらに固定資本に該当するようなものは債務負担行為の五千万円でこれを見たい。この五千万円の方はおそらくは来年度は出資あるいは補助金に肩がわりしてくるわけでございますので、次年度からは業務の発展……、当然発展するはずのものでございますので、その業務量に従いまして資本金あるいは補助金等が画期的にふえていくのじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/51
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052・海野三朗
○海野三朗君 国務大臣に重ねて私はお伺いいたしたいのであります。大臣は、総理大臣は原子力委員会の意見を尊重しなければならないということがあるからという御答弁でありまするが、今までの在来の、過去の経験を思いまするときに、研究というものを権力でもって押えたことのために、取り返しのつかない事柄がたくさん起っておるのであります。その一例を申し上げますると、あの戦争当時B29がやって来ますときに、B29を他の方法においてこれをつかまえるところの方法を考えた者があった。それでそれを陸軍省に持っていきましたところが、そんな命を的にかけて働いておるわれわれは命だけを助かって敵を撃砕するというような卑怯な考えは相ならぬ、陸軍省の兵器局長、それがそういう答弁をやったのです。それで民間においてあの当時に反動のない大砲を考案しまして、これを飛行機の上からでも撃てる、そういうところの実験までして、そうして陸軍省に迫ったのでありますが、陸軍省は兵器の採用の権力を握っておる、お前たち何を言っているのだというようなことでこれを採用しなかった。ことほどさように軍部が腐敗しておったのです、実は。名前はちょっと古くなりましたが、高見之通という自由党の代議士と私はこの間の事情をよく知っておった。研究に対しては彼は熱心だった。ところが権力を持っておるものがこれを押えるということになりますと、せっかくの研究が現われなくなってくるのであります。で、私はその点をおそれるのです。総理大臣がその権力を握っておる、これはけっこうでありますけれども、ここに何らか保障する文句を入れておいていただかなければ、せっかくの仏作って魂入れずというような結果が招来するのではないか、こういうように私は非常に憂えるものであります。この点についてなおもう一つ国務大臣に御考慮を願ってお選まして、近いうちに何とかはっきりした保障するような言葉を伺いたいものだ、こう考えておるわけであります。そうでありませんと、先ほどもるる申し上げましたように、あのころの学者がああいうことになり、またアメリカの溶鉱炉高圧操業というようなものが十有数年間も投げ捨てておかれたということ、そういう数々を見まするので、どうかその点についてのはっきりした保障をするようなお言葉を私はいただきたいと思います。どうか近いうちにそのことを一つ御考慮を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/52
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053・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ちょっとお答えいたしますが、お話の言葉一々ごもっともです。ただ今までは何でも、軍部でも何でも精神力々々々であって、科学の力を軽視しておったのです。その軽視したことが、御承知の通りいくさは負けたので今や科学の力、学者を尊重するという、技術によらなくちゃならぬということは皆さんが信じております。従って今度の科学技術庁も皆さんの御協力によってできたようなわけでありますから、これから大いに科学の力、技術者を尊重いたしまして、従ってこの法律のどういう面において出すかということは申し上げかねますが、できるだけ御趣旨に沿うようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/53
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054・海野三朗
○海野三朗君 そこでこの原子力研究所と、防衛庁の研究所とどういう関係にあるのでありましょうか。防衛庁の方は予算をうんと持っておりますから、防衛庁の研究所の方がぐんぐん伸ばしていくというと、科学技術庁とかこの方面が影が薄くなりはせぬかというふうに私は思いますが、どうなんですか。そこがいわゆる権力があり、金をたくさん持っている所の方がものを言うようになるのです。その辺はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/54
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055・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 先ほども申し上げた通りに、原子力の平和利用というものが今度の眼目であります。従って私どもはこの眼目まで進んでおります。防衛庁はこれは同じ原子力を研究しても、これは瞬間的の放射線の測定をやっておりますので、私どもの継続的放射線の測定をやっておるのと性質が違います。従って私どもと研究は別々にやっておりますが、平和利用ということは、総理が尊重するという文句があるだけそれだけ防衛庁よりも有利だと思います。従って実際要るということが確かならばたくさん取れると思います。決して防衛庁に負けないように大いに努力するつもりでおりますから、また御支援を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/55
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056・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 本日の質疑はこの程度で終了いたしまして、次回の委員会に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/56
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057・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) それではさよう決定いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02419560424/57
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