1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月六日(金曜日)
午前十時二十六分開会
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委員の異動
本日委員森崎隆君辞任につき、その補
欠として小笠原二三男君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松岡 平市君
理事
石村 幸作君
森下 政一君
小林 武治君
委員
笹森 順造君
佐野 廣君
田中 啓一君
堀 末治君
小笠原二三男君
加瀬 完君
松澤 兼人君
若木 勝藏君
鈴木 一君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
日本専売公社総
務部長 小川 潤一君
日本国有鉄道経
理局長 石井 昭正君
日本電信電話公
社経理局長 秋草 篤二君
参考人
横須賀市長 梅津 芳三君
東京都建築局長 藤本勝満露君
戸山ハイツ自治
連絡会委員長 永井 尽君
京都大学名誉教
授、日本租税研
究協会会長 汐見 三郎君
富山県知事 高辻 武邦君
芦屋市長 内海 清君
日本放送協会経
理局長 栃沢 助造君
私鉄経営者協会
専務理事 足羽 則之君
日本乗合自動車
協会専務理事 石塚 秀二君
全国石油協会会
長 森平 東一君
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本日の会議に付した案件
○国有資産等所在市町村交付金及び納
付金に関する法律案(内閣送付、予
備審査)
○連合審査会開会の件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/0
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001・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 委員会を開会いたします。
昨日、委員会におきましてお諮りいたしましたように、本日は、午前中、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案につきまして、参考人各位並びに説明員として出席していただきました関係公社の方々から御意見を聴取することにいたします。議事に入ります前に参考人各位に一言御あいさつ申し上げます。
本日は、公私御多用中、本委員会に御出席をわずらわしまして、厚く御礼申し上げます。御承知のように、ただいま国会におきましては、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、これはもう、案の内容につきましては、皆様方もいろいろ密接な御関係をお持ちでございますために、よく御承知のことでございまして、私からかれこれ申し上げませんが、申すまでもなく、これは従来なかったことを新しくこの法律によって創設する交付金といい、納付金と称しますが、いずれにいたしましても、新しく相当額の負担をさせるという新立法でございます。つきましては、当委員会といたしましても、この法案の審議については、非常に慎重な審査を続けております。審査の過程におきまして、この法案に関連する諸般の事情について、実情に明るい各位の忌憚なき御意見を拝聴いたしまして、今後の法案審査に資したいと存ずる次第でございます。ぜひこの機会に、皆様方の御意見を拝聴させていただきたいと存じます。ただ委員会は、たくさんの法案をかかえておりまして、審査に時間を非常に追われております。せっかくおいでを願ったので、十分に御意見を拝聴したいのでございまするが、午後はさらに、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、これまた多数の参考人の方々にすでにおいでを願う約束をしておりますので、その方の関係もございますので、まことに心外でございまするが、皆様方から御意見を伺うについて、時間の節約をしていただきたい、かように考えますので、本日御意見を伺う方は六人おいででございます。で、議事の取り運びといたしましては、私の方から順次御指名申し上げますが、最初に、お一人について十分乃至十五分程度、ぜひ十五分以内で一応の御意見をお聞かせ願いたいと思います。そしてそのあとで、委員から質疑を行いたいと存じまするが、質疑につきましても、時間の節約上、なるべく簡明に御答弁をお願いしたいと存じます。短時間の間にたくさんの方々の、これは関係者が非常に多うございますので、それらを代表しての御発言でございまするが、全部の御発言を一応聞きたいと考えておりますので、かような時間の制限等につきましても、ぜひ御了承願いたいと思います。
次に、議事の進め方につきまして、委員各位にお諮り申し上げますが、お手元に配付しております書類に掲げております順序で、一応一通り各参考人あるいは説明員の御意見を伺い、そして、あとで委員各位から随時それぞれの参考人もしくは説明員の方に御質疑を願うということにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/1
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002・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 御異議ないようでございますから、さよう進めることにいたします。
それでは、まず最初に横須賀市長梅津芳三君に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に関しての御意見をお述べ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/2
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003・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) ただいま委員長さんからお話しのございましたように、今回の御発案はまことに重要なことであると考えております。その直接の動機とでも申すものは、地方財政の窮乏の状態を匡救するところから出ておるとは思いまするけれども、この案全体を通して流れております思想から見ますと、まことに地方財政制度の上におきましては、画期的な進歩的なものであると私どもは考えておる次第でございます。と申しますのは、従来国有の資産または地方公共団体の持っておる資産等に対しまして、公課的なものを求めるというようなことは、おそらく明治以来の一つの税法上のタブーであったかと思いますが、この問題に対しまして、新しく歩を進められたことに対しましては、私ども当事者といたしまして、地方公共団体の実務をとっておるものの側からいたしますと、まことにありがたい仕合せな機会だと、深く感銘をいたしておるものであります。
しかし、この今回の案の内容について、少しく立ち入ってみますというと、せっかくの立案の基本思想が必ずしも一貫しておらないのではないかと思われる節々を発見いたすことを大へん私ども遺憾に思うのであります。せっかくここまで進歩的なお考えをお進めいただいているのに、何と申しますか、堂に上って室に入らないというような感じを若干抱かざるを得ないのであります。何かしら、途中からせっかくのこの新しい制度の鋭鋒が少しそれたような感じを私どもはもっておるのであります。私は、この方面の学問的な知識は全然ございませんが、聞くところによりますというと、英国の例等におきましては、あらゆる公共施設に対しまして、それぞれの地方団体等におきましても、交付金の制度がとられておるというふうに聞いております。こういう徹底的な行き方、これは、私ども地方行政に関与いたしておるものといたしましては、最も望ましいことではございますが、しかし、かようなことは一気に参らないということももちろん私ども承知はいたしておりますが、願わくはこの機会におきまして、もう少し国と地方公共団体との財政上の調整について一段とお考えを願いたい、こういう考えを持っておるのであります。こんな意味合いから、若干今回の案の一部に触れまして、私から所見を申し上げたいと存ずる次第であります。
第二条の第三項とでも申しますか、第六号で、駐留軍等の使用になっておる国有の固定資産に対しまして、これは交付金の限外にあるということに規定せられておるようであります。しかし、一体こういうことは私どもいかがかと実は考えておるのであります。この法案によりますというと、まず一応、ほかのものに使用せしめておる国有財産に対して交付金を交付するという原則を立て、これに対する除外の一つとして、ただいまの駐留軍等に関する条項が出ておるわけでありますが、一体そういうものとの区別が果たしてつくであろうか。それぞれの理由が除外の各項目にあるようでありますけれども、駐留軍の使っておるようなものは、もちろんアメリカとの例の条約に根拠をもっておることは申すまでもありませんが、しかし、その使用する状況をもたらす原因は、条約であろうとも、ないしは契約であろうとも、私どもは、その財産そのものの使われておるという形においては区別がないのではないかというふうに考えておるのであります。従ってこれらの固定資産は、交付から除外する根拠はないのだというふうに考えております。
ただいま申し上げました部分は、抽象的なことでございますが、私どもまことに当務者といたしましては、もっと現実的に考えてみますと、われわれの旧日本軍港のごときものは、もしこれが除外されるということになりましたならば、この法律がせっかくねらいをつけられました地方財政関係の救済と申しますか、匡救と申しますか知りませんが、そういう大きいねらいの一つが完全にはずれてしまうのじゃないかと私は考えておるのであります。新規財源の賦与ということが全くこの除外によって不能になる。同時にまた、そのことがどういう結果になるかと申しますと、結果的には、他の団体等とのつり合いの上から、きわめて不公平な結果に陥るというふうに考えられるのであります。ここで少し数字を申し上げておきたいと思いますが、大体私どもの旧軍港は、申すまでもなく、もともと海軍の施設を中心として発達した町でございます。従ってこういう財産の所在は、町のまん中にあるわけであります。最も主要な部分を占めておる。町のすべての生命を制するような地点に占拠しておるのであります。横須賀について申しますと、市街地の総面積は、横須賀において二千八百八十二万坪ございます。そのうちで市街地化しておるようなところが七百五十万坪くらいであります。そして駐留軍が使っております面積は二百七十八万五千坪ございます。非常な膨大な面積が駐留軍によって使われておるのであります。ついでに申しますが、防衛庁関係の、自衛隊の方で使っております面積は約三十万坪でありまして、そんなことから、割合をかりに計算してみますというと、駐留軍の、また自衛隊の使っておる、つまり内外の防衛施設のために使用されております土地は、一般に市街地として利用される面積に対しまして三〇%になっております。三割に相当するものが駐留軍と自衛隊によって使用せられておる、こういうふうな概観した形のものであるのであります。そういたしまして、面積の割合がそんなふうになっておりますが、そういう関係からいたしまして、一体市の固定資産税と、それからそういうただいま申し上げましたような駐留軍もしくは自衛隊の使っております固定資産、そういうものとの割合はどんなふうになっておるかということをここに一言申し上げますと、横須賀市におきまして市民がいわゆる固定資産税として納めております固定資産、その対象になっております固定資産の総額は百六十五億余りでございます。これに対しまして、前段申し上げました駐留軍と自衛隊の使っております財産を、相当根拠のある数字で拾い上げますと、三百五十億あるのでございます。この三百五十億という数字は、ちょっと注釈を要するのでありまするが、ほかの土地に、新しく駐留等をせられた土地におきましては、戦後終戦処理費等によって相当大きい評価が出ておりますが、ただいま私の申し上げました旧四軍港のごときの評価は非常に低いのであります。その非常に低い数字でもって、市民が納めておる固定資産税の対象になっておる固定資産との比率を申しますというと、横須賀市においては、市民の納めておるのは全体の三分の一にしか達しません。つまり三分の二に相当する固定資産に対しては全然財源をなくしておる、こういうふうなのが現実の姿でございます。これをかりに今税率をはじきまして計算したものがございますから、ちょっと申し上げますと、横須賀におきまして、ただいま申し上げました、内外の防衛施設に供与しております旧軍用財産を対象とするものをかりに固定資産税の今の率を掛けて計算してみますというと、横須賀市においては四億八千九百万円余りであります。これだけのものが課税の外に出ておるわけであります。また、呉におきましては、一億九千八百万円余りでございます。それから佐世保におきましては、二億九百万余りでございます。舞鶴におきましては、これは少しく少くなっておりますが、三千四百七十何方、こんな数字になっておるのであります。この四軍港だけで、内外防衛施設のために失っている固定資産税とでも申しますか、そういうものを合算いたしますというと、九億三千万余りということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/3
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004・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 梅津君に御注意申し上げます。結論をお急ぎ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/4
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005・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) そういうような数字が出ておりますので、私どもといたしましては、この駐留軍の除外、これを御工夫を願いたいというのと、ただいまあわせて申し上げますように、自衛隊の分につきまして、新しく交付金をいただけるような方法をこの法案においてお考えを願いたい。さように考えております。
御承知のように、もと海軍のありました時代には、海軍助成金というものがございまして、これが相当な数字に当時上っておるのであります。時間についての御注意もございますから、数字はただいま申し上げることを省略いたしておきますが、相当市民の納めております税金に対して高い割合の助成金を国の方から交付を受けておったのであります。また、もう一つ最後に申し上げますが、これらの状況に対しまして、とかくいわゆる交付税あるいは特別交付税、そういうものの制度によってこれを救済することができるではないかという議論がまま聞かれるのでありますが、これは、私どもは非常な間違いであると考えるのであります。これは、当然それぞれの他の団体において持ち得る税金であるならば、制度として、本来の制度の形において税金を与えていただきたい。あるいはその税金を与えられました結果、赤字が直ちになくなる団体もございましょうし、またそれのみでなく、不交付団体にまでなり得る団体があると思います。少くとも横須賀については、不交付団体になるつもりであります。そういうことが私どもの本来の姿でなければならぬという意味から、今回のこれをどうしても制度的におきめを願いたい。さように考えておるわけであります。
時間の制限もございますから、以上で私の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/5
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006・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に、東京都建築局長藤本勝満露君に、同じ問題につきまして御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/6
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007・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 私は、東京都の住宅を担当しております建築局長であります。従いまして、本案に対します見解は、東京都という自治体の関係と、もう一つは、住宅政策から見た本案に対する考え方と、この二つの観点につきまして意見を申し述べさせていただきたいと思うのであります。
財政的な面で、市町村財政あるいはそれに関連いたします都道府県財政の赤字等を克服し、あるいはそれに助成を与えるという考え方の線に立っての本案を見る場合においては、本案は、先ほど横須賀の市長さんがおっしゃったように、徹底はしておらないまでも、ともかく相当の前進をしておると、こういう点においては賛意を表するものでございます。しかし、住宅対策の面から見ましたこの案の内容いかんということについては、これはまた、一東京都ということでなく、全国的な都道府県あるいは市町村、こういうような面から見た住宅対策の上から見ますと、この案の一部ではございますが、その面については、またいささか別の意見を持つものでございます。
案に対する結論といたしましては、本案は諸般考慮を払っておるようでございますので、やむを得ざるものとは考えますけれども、これは、特に東京都の場合は、ちょうど市町村の性格に加えてこの住宅対策を遂行する、この二つの線を持っておりますので、具体的に実際面におきましては、東京都としてね、この案について、やむを得ざる案と考えておるのでございますが、これが住宅対策の面から見たときの府県の考え方等においては、また違った考えになるのであります。といいますことは、この案のうちにおきまして、市町村の財政の助成の問題と、それからもう一つは、国民負担の均衡の問題がおもな改正といいますか、立案の理由になっておるようでございますが、この負担の問題につきましては、実は公営住宅等におきましては、まず第一に、公営住宅相互間において、現在果して負担の均衡が適正かどうかという問題があるのであります。端的に言いますと、維持管理費、こういうような面なり、所要のその他の経費を見た場合に、現在の都営住宅、公営住宅、こういうものの家賃がそれにかかった建設費を基準としてずっと計算をしてきた関係上、相当不均衡になっておるのであります。こういう点について、まず基本的には是正が行われなければならぬと、かように感じておるわけであります。すなわち特に二十三年度以前の公営住宅、いわゆるインフレのはげしい時代の公営住宅と、それからその後の公営住宅とは、同じ当時かかった建設費を基準にした家賃の負担の計算の仕方をもちますと、どうしても現在では、維持管理費でも、その当時、二十三年以前に建てた維持管理費にも足らぬ、あるいは土地の借地料にも足らぬような家賃が出てくる、こういうような状況になっておりますので、まず第一には、これの調整を、公営住宅相互間においての調整をまずはからなければ困るという問題に全国的にぶつかっておるわけであります。この点において建設省は、ことしの一月、これの改正基準というようなものを各都道府県に、この範囲においては考えてもいいだろうというような指示も出されておるような状況でございます。
その次には、本案のごとくに、全国的な国民負担の均衡の面から、やはり都営住宅、公営住宅、こういうものの居住者のみが固定資産税を負担しなくてよろしいというような意見は、負担の均衡上出てこないのは当然でございます。こういう点につきましては、基本の考え方には賛意を表するものでございまするが、公営住宅のこの設立の趣旨が、いわゆる低家賃政策、社会政策的な考慮の上におきまして、公営住宅の建設が推進をされておるわけでございます。この点におきまして、やはり同じ公平の観念につきましても調整がとられなければならぬと、かように感じておるわけでございます。
本案におきましては、第一種公営住宅については大体四割、あるいは第二種については二割というような線があるやに承わっておりますので、こういう点については、現在の段階上一応の配慮がなされているわけでありますので、やむを得ないものと存ずるわけでありますが、ただ他の府県の場合におきましては、赤字の府県が黒字の市町村にこの交付金を出すというような例も出て参るわけであります。そういう点につきましては、先ほど横須賀の市長さんもおっしゃったように、こういうようなものはいわゆる家賃計算、家賃体系の中で、こういう固定資産相当額を組むということでなしに、別途にいわゆる先に考えられた使用者税というような税制体系の面から考えることこそ本来の姿ではないかと考えておるわけでありまして、公営住宅の家賃の中に織り込んでよろしいというような考え方は、いささか基本的には考え方がどうかというように考えております。また、この家賃体系の中でありますると、都道府県の、あるいは市町村の場合においても、これは、家賃はいわゆる使用料条例、自治法に基く使用料条例というものの条例を基礎として家賃を決定しておる地方もございますし、あるいはまた基礎条例を作らずに、全然賃貸借契約、民法上、私法上の形において家賃体系をなしておる公営住宅、こういうものもあるわけでございます。私法上の関係におきましては、各個別ごとにいわゆる承諾をとらなければ、この問題も値上げができないではないかというような問題になりますと、個々の居住者から承諾を得るという問題は、言うべくしてなかなか困難な問題になろうかと思います。もちろん国家的、法制的な根拠をもっていたしますものの、実施面においては相当の困難を伴うものであります。なお、この関係が居住者に、いわゆる家賃の体系でもって負担をかける、こういう場合には、使用料の場合は、二年間の場合ですが、使用料の場合におきましても、それからことに二年後の固定資産の形におきましても、現在の状況では実際台帳の計算、あるいは現在の家賃を基礎にした計算というものはなお紛淆を来たし、なお不均衡を助成するような形になりまするので、これが実施に当りましては、相当これの調整、整備に時日を要するという実情でございます。公営住宅に関する限りにおきましては、この実施について、ある期間この調整期間を必要とする、こういうように考えるのでございます。たとえば、土地などにつきましてみますれば、土地は借地もございますし、あるいは極端な場合には、公園あるいは学校の焼け跡、あるいは学校の一部、そういう所にも公営住宅は一部建っております。また、同じ敷地内において、一階と二階が居住者世帯が違っておった長屋、こういうようなものに対しますこういう税的なものをかけることにつきましても、具体的になりますれば、相当の調査なり、検討あるいは居住者との話し合い、いろいろな問題が出て参りますので、直ちにこれが公営住宅の場合に実施されるというようなことになりますと、かえって一部混乱を生ずるようなことが起きはせぬかということを危惧するので、こういう点については、多少実施に当って時日の余裕を認めていただきたい、こう希望するものであります。全体といたしましては、市町村財政、こういうものの赤字克服ということの基本の線につきまして、賛成をするものでございますが、公営住宅の面については、多少そういう点を御配慮願えれば幸いだ、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/7
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008・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に、戸山ハイツ自治連絡会委員長永井尽君に、ただいま議題に供しております法律案の関係事項について、御意見をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/8
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009・永井尽
○参考人(永井尽君) 私は、都営住宅の戸山ハイツに入っております関係から、公営住宅に関するだけのことしかお話するものを持っておりません。公営住宅につきましては、今都の建築局長さんからもお話しがありまして、詳しいことはそれでおわかりと思いますが、借家人の立場から申しまして、今度上程されました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案といいますものは、地方税法だけのお考えが非常に強くて、実際の公営住宅というものの実情は、あまり御研究にならないで立案なさったのではないかと思われます。そういうようなところから、一応反対と申し上げるよりほかはございません。それで、もしできまするならば、こちらの方にも建設委員というようなものもおありかと存じますので、その方あたりともよくお話し合い下さいまして、慎重御審議あることをお願いしたいのでございます。御承知のように、公営住宅の住宅法の第一条には「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」とうたわれております。今日公営住宅に入っております者は、大体引揚者か戦災者でして、いわゆる戦争犠牲者が大部分だと存じます。この法律にも、第二条あたりかに、生活困窮者の収容の用に供するものは一応免税というようなことまでおうたいになっているおぼしめしがあるものでしたらば、少くとも十五坪以下ぐらいの小さな部屋に住んでいる公営住宅の借家人に固定資産税に相当するものをかけるというようなことは、御免除願いたいと思うものであります。いただきましたこの太田国務大臣の説明要旨の中にも、「固定資産税の形式をとることもいかがと思われますので、固定資産税に準じて」云々というようなお言葉がございますが、形式上とれない固定資産のものから実際に取るというようなことは、どうも私どもとしてはふに落ちないものでございます。そういうようなところから、すっきりとしたものでとっていただけるならば、これはまた仕方ありませんが、何だか、片一方には非常に親心があるようなふうであり、一方におきましてそうでないようであり、どうも納得がいきかねまして、私どもとしては、衆議院から参議院へかけまして、この法案の一部修正でもできますようにというように請願を続けたものでございます。
以上簡単ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/9
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010・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に、日本国有鉄道経理局長石井昭正君。これは、御承知のように、本日は参考人を招致するということでお招きいたしましたが、以下三人の方は、これは政府の関係の代表者でございます。従って、参考人という資格でなしに、当然本委員会には説明員の資格においでおいでを願うわけですけれども、この三公社は、いずれも本法案については重大な関係を持っておりますので、説明員として参考人の方々と同時に並んで意見を聴取することにいたしたいと思います。どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/10
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011・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 今度の新しい法律案におきまして、私どもの企業で持っております固定資産に関しまして、固定資産税そのものではございませんが、固定資産を対象といたしまして、納付金を地方財政にお出しするという法律案が上程されておるのでございますが、これにつきましては、一般的に、公社のいわゆる公共企業体というものの性格から見まして、固定資産税的な税金というものはかけていただきたくないという考え方でございまするが、この問題は、他の専売並びに電電の両公社も同じような観点で御意見があるかと思います。私は、その点につきましては簡単に申し上げまして、さらに、国鉄の特殊事情からまたいろいろと御説明を申し上げて、御了承を得たいと思うのでございます。
ただいま委員長がおっしゃいましたように、私ども国会に参りますにも、政府の準機関として伺っておるということでございます。その通り、私どものやっております仕事は、公共企業体の本質は、決して単なる私企業と同一視さるべき性質のものでないということを十分承知しておりまして、私どももまた、公共の福祉に役立つことを念頭に置きまして、一生懸命努力をいたしておるわけでございます。この地方税と公社との関係につきましては、私どもの日本国有鉄道法によって、公共企業体が設立せられました当初におきましては、この地方税の関係は、国有鉄道法においてはっきり非課税ということをうたってあったわけでございます。これは、結局国有鉄道というものの公共企業体のあり方と一緒に、果して政府がこれをどう取り扱うかという全体の観点から、この税金関係につきましても、これを規定するということで首尾一貫いたしまして、そこで初めて私どもの方の公共企業体の性格が明瞭となり、それによって、その他の政府のいろいろ私どもに対するお取扱いも、首尾一貫を得るということではなかったかと思うのであります。それが、数次の改正におきまして、地方税の非課税規定は地方税法に移されたわけでございますが、これは実質的に見ますれば、ただ別の法律にこれを移したというだけのことになっておるようでございますが、そこで、やはり根本的な考え方として、公共企業体というものの本質をどういうふうにごらんになるかという観点が漸次薄れて参ったということは、いなめないと思うのでございます。結局われわれは、必ずしも地方税あるいはそういうものの御負担をすることを一がいに反対するものではございませんが、そういうお取扱いになるならば、やはり他のいろいろのお取扱いの面、財政上の自主性、その他いろいろの点につきまして、また公共的な仕事の負担というものに対する考え方等につきまして、おのずから税金を負担する、地方税を負担するというのと平仄のあった考え方でお取扱いを願うべきではなかろうかと思うのでございます。その点、税金の方だけは非常に、何と申しますか、やや民営的な思想にどんどんと進んで参りますが、他の方面はむしろ逆に、かえって公共性を強く要求せられ、また私どもも、それを当然のことと思って、その方面に努力をして参っておるわけでございます。この点の首尾一貫した政府の政策というものがうかがわれないということは、はなはだ遺憾に思う次第でございます。元来私どもの方の仕事は、もちろん全体としてバランスはとっていくような格好にあるべき筋合いでございまして、従いまして、一方においては収益のあがる路線もあれば、一方においては収益のあがらん路線もある。全体としてこのバランスをとっていくという建前は、これは当然でございまするが、しかしながら、もしこれを地方地方に分割してみます場合におきましては、地方によりましては、非常に経営上の負担になっておるところが多いわけでございます。それがほとんど大部分でありまして、また今回の税法の改正の御趣旨から見ましても、むしろそういうところの方が財政的の補助の必要が、いろいろ財源をお考えになる必要があるところであります。そういうところには、私どもの方でやっております施設その他は非常な赤字でございます。そうしてこれは、他にも鉄道の創業時代等にはもちろん例もあることでございますが、むしろ免税どころか、当該地方から補助を受けて営業をする、あるいは建設をするというような建前ででき上っており、またそういった事例もあるわけでございます。そこで、私どもの国鉄の特異性から申し上げますると、同じ運送事業にいたしましても、これは地方の便益を増すことが主たる目的でございます。もちろんそれが主目的でございますので、従って、たとえば道路交通などは、道路というようなものは、すべて国または地方で負担しておるのであります。鉄道を敷く場合におきましては、全部、線路からすべてこれを私どもの方の企業の採算でまかなわなければならない。これはほかの交通事業と全く違うところでございまして、船にいたしましても、港湾の設備は公共事業であります。また航空機にいたしましても、ひとしく空港その他の設備は、国の仕事あるいは地方の仕事としてやっておるわけでございます。私どもはすべての全設備を持っております。これは、鉄道が独占的に営業しておりました際におきましては、それでも間に合ったわけでございますが、今日のように道路交通等、いろいろの競争関係あるいは競合関係になります場合におきましては、世界各国ともこの点におきまして、非常な矛盾を生じておる。たまたま鉄道が近代交通機関として、他の交通機関よりも半世紀または一世紀早くスタートした。それがために、その当時におきましては、独占的な企業として十分いろいろの設備もでき、またそれに見合うところの報酬を得られたのでありますが、今日では非常に事情が異なっておる。しかるにもかかわらず、現在でき上っております設備は、これは撤去することも当然許されませんし、いかに採算に合わなくても、この営業を続けて、地方の利便を確保しなければならないという責任を私どもは負っておるわけであります。なお、そういうような観点で、私どもといたしましては、公共的な使命をもっておりますものに、そういう税負担というものが増していくことは、われわれが公共的な使命と責務を果していく上に、やはり企業的にものを考えざるを得なくなる。そういう場合におきまして、むしろ私どものもっております本来の使命に逆行するような施策なり、なんなりをとらなければならないような条件に追い込まれていくことになりはしないかということが、この矛盾がこういう制度に出て参りはしないかと思うのでございます。それからその点につきまして、あるいは同じ鉄道でも、私鉄は税金を納めておるというような御意見もございます。それからまた、今回の法律におきましては、従って評価額は二分の一にしておるのだ、公共性は十分考えておるのだという御意見もあるかと思うのであります。しかし、私鉄は御承知のように、みずから路線を選ぶ権利を持っておりますし、また、その運賃率にいたしましても、私どものように、国会の御承認を得て、これを改正するというのではなくして、企業採算の立場から見た点でもって、運輸省の認可を得て、直ちに改正できるものであります。従って、現実といたしましても、私鉄の賃率は、国鉄の率に比べて相当高いのもございますし、また、非常に大都市付近のような、費用の最もかかる貨物輸送もやっておらない、旅客輸送のみを対象としておるような、経営状態のいい私鉄などは、国鉄の運賃率よりは若干高い運賃率をもってやっておるようなわけでございまして、公共的負担がないということと、そういうような事情とを考えますれば、私鉄と同一に論ずることはいかがかと思うのであります。また、評価額は二分の一にして公共性を見ておるというような御意見もあるかと思うのでありまするが、しかしながら、これは鉄道――公営企業においてはすべてそうでございますが、特に鉄道企業におきますところの固定資産というものの資産の全体に占める割合は非常に大きなものであります。半面、運賃は非常に安いわけでございますので、固定資産の回転率がきわめて低いわけでございます。これは日銀調査の資料によりますと、全産業の固定資産の回転率は二・一%でございますが、国鉄の固定資産の回転率はわずかに〇・二五%でございます。これは、私どもの固定資産を全部現在の価額に再評価いたしまして、そうして計算をいたしたわけでございまするが、この通り、一般全産業の平均の十分の一程度というような低い回転率をもっておる企業であるということをごらん願いますれば、この二分の一ということでもって、公共性を十分考えておるのだということにはならないのではないかと思うのであります。従いまして、今回の法律の規定によりまして、大体私どもの方で負担が増加になります金額は、平年度にいたしますと、実に運賃収入の三%に当るわけでございます。これは、先般衆議院の委員会におきましても、その点を御説明申し上げましたが、三%も原価要素に響くというような税法の改正というものは、きわめて大きな改正ではなかろうかというふうなことをおっしゃっておられたのであります。まことにその通りではなかろうかと思うのでありまして、こういう大きな改正を、しかも公共的な使命を果さなければならないものに対して、卒然として一種の負担を増されるということにつきましては、ある程度それに見合うところのやはり御処置をお願いしなければ当然できないのではなかろうかと思うのであります。御承知のように、国有鉄道の財政は、非常な窮乏をいたしておるわけでございまして、当然減価償却費によって取りかえをして、輸送の安全確保をいたさなければならないというものが非常に償却不足になって、危険な状態になっております。私どもの方といたしましては、ぜひその点の御改正を願いたいということをいろいろお願いをして参っておるわけでございまするが、一般経済政策、あるいは財政政策の観点から、ここ数年間、その点の私どもの希望が常に入れられておらない状態でございます。私どもは、はなはだ残念でございますが、ある半分は努力をいたしておりまするが、あとの半分は、手をつかねて施設の荒廃に向っていくのを焦慮の感をもって見守っておるというような状態でございます。従って私どもは、もしここに幾らかの財政的な余裕があるならば、施設の取りかえ、改良の方へぜひ回したいという念が一番念頭にくるわけでございます。この場合は、結局やはり、私どもの現在の運賃構成の要素として、こういう公課関係というようなものが入っておらないということが一番の欠点でございまして、また、かりにこういう租税関係を入れたといたしました場合に、今度は国の政策といたしまして、現在危急に瀕しておる私どもの設備の取りかえの方へ充てるべきが先か、あるいは地方財政の窮乏を救う方が先かという、両方の軽重判断から御判断あるべきだと思うんであります。その御判断が、私どもの方としては、当然施設の改良という方に充てるべきだと思うのであります。これは、あるいは地方財政の窮乏が先決だというお考えもあるかと思います。いずれにいたしましても、しかしそれは、政府の政策として御決定願わなければならないのでありまするが、その場合の裏づけをはっきりさしていただきたいと思うのであります。その点、今回は、税関係の法律の御制定の方が先になっておりまして、その裏づけというものがあと回しになっておるという点で、私どもは非常な困難を感じておるわけでございます。
時間もございませんので簡単に……。しかしながら、今日政府の御方針として、こういう法律案が提出せられたのでございますので、この法律案に対しまして、ごく簡単に私どもの、もし入れられるならば入れていただきたいという御要求を申し上げますと、一つは、一括納付の制度でございまして、これは私どものように、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/11
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012・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 石井君に御注意申し上げます。結論をお出し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/12
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013・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 結論だけ申し上げます。
一つは、一括納付の制度をとっていただきたいということでございまして、これは、私どもの方は、全国に施設が散在いたしておりますが、また車両のごとく、全国を共通運輸をしておりますものにつきまして、個々別々の市町村にこれを配付するということは、非常に実務的にも困難でございますので、できるだけ一括配付にしていただきたい。この点は、英国鉄道におきましても、これは、英国鉄道は日本と違って、私鉄から国有になりましたものでございますから、税金関係がそのまま入っておりますが、そういう点で非常な難儀をいたしまして、一括納付をとられたという実例に徴しても明らかなように、個々別々にいたしますことは、非常に事務上、また現地におきましていろいろなトラブルを起すと思うのでございます。なお、できますならば、私どもの方は、御承知のように、予算制度をとっておりまするので、国家の予算と同一に、一緒に提出されておりまして、予算で支出権を縛られておりますので、従って予算の範囲内でこれをお納めするということをはっきりさしていただきたい。それから……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/13
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014・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 時間がございません。発言を停止いたします。あとで適当な時間がありましたらば御説明願います。
次に、日本専売公社総務部長、小川潤一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/14
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015・小川潤一
○説明員(小川潤一君) 私の方は、国鉄の方とだいぶ事情が違いまして、私の方の事業のたばこの製造販売の方の関係は、たびたび申し上げますのですが、半ば徴税機関みたいな格好になっておりまして、御承知のように、ピース一個四十円のうち、原価は約十円そこそこで、三十円というものは国に納めている。おととしあたりからは、その三十円のうちの約七円は市町村とか府県にまで納めているということで、実はもう徴税にはややなれっこになっているので、またかという感じなんですが、そうかといいまして、この税金の額が毎年、ここ数年千五百億程度、国及び地方公共団体にお納めして
いるのですが、今度またこの法案でいきますと、平年度約三億が追加されるわけであります。そうしますと、また私の方には税金の方をとれという、国会並びに政府が一生懸命やって、また三億を無理して供出しろというので、私どもの方のロードは非常に重くなりますので、できればもうごかんべん願いたいと申し上げたいのですが、どうも新聞紙上その他で拝見しておりますと、いろいろ国並びに地方財政も大へんなようでありますし、またわれわれといたしましても、ある地方に行きますと、専売公社の工場と鉄道の工場しかないというような所がありまして、何だかその市町村が固定資産税をとつていない、そこからとれないというのも、ちょっとお気の毒のような感じもしておりましたので、それぞれ勘案いたしますと、まあやはりわれわれも努力して、この分だけでも経費の節減その他に、大いに心をむちうちながら、この法案におつき合いしなければならぬかなあと思っているのが、偽わらざる心境でございます。ただおつき合いいたしますにしても、一つ、先ほど国鉄の経理局長が、最後に時間切れで、途中まで言われました件なんですが、一つこの各事業場が、全国におたがい公社というものが千以上あるわけです、工場とか出張所とか、いろいろなところが。そこがみな出先の市町村と、評価その他でごたごたがあったり、あるいは評価の計算が違ったりしますと、統
一上困りますので、一つ本部で一括して、自治庁と相談して納めさしていただくというふうにしていただきたい。どうも法案を見ますと、そういうふうに途中から直していただいているようで、その点は非常にけっこうな改正と思っております。
もう一点は、この点はまだどうも、諸種の事情で直すことはできないと、自治庁あたりはおっしゃるのですが、従来も、この地方のいわゆる厚生施設と称する固定資産には、従来市町村税をお納めしていたわけなんです。その分は放ったらかしで、今度一般事業用資産にかけるということで二本建てになりましたので、もしできれば、この点を一本にこの際していただいたらと思っておりますが、なかなか困難の趣きにも拝しておりますが、まだ改正の余地がありましたら、その点再考をお願いしたいということにして、私の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/15
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016・松岡平市
○委員長(松岡平市君) ちょっとその点をもう一辺。どの点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/16
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017・小川潤一
○説明員(小川潤一君) 最後の点です。従来厚生施設、たとえば宿舎とか野球のグラウンドとか、病院とか、病院はどうですか……。そういうものにすでにその固定資産を対象として、固定資産税をそれぞれの市町村にお納めしていたわけです。しかもその比率が今回のと違いまして、今回の初年度の比率の倍になっております。それが各市町村にずっとありまして、私の方で言えば、合計すれば約四千万円ほどの固定資産税を市町村におつき合いしているわけです。今度新らしく、それ以外の事業用資産にかけるということで、その率は、従来のより初年度は半分でいいというお話なんですが、それは中央で一括して相談にのってやる、こういうお話ですが、できれば従来のと一本にして一つお話にのっていただきた
い、こういう申し出でなんです。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/17
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018・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に、日本電信電話公社経理局長、秋草篤二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/18
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019・秋草篤二
○説明員(秋草篤二君) 本日、委員会
にお呼び出しいただきまして、この法案につきまして、私どもに意見を申し述べさせる機会を与えていただきまし
たことをまことにありがたく存じ、御礼を申し上げます。御案内のように、公社は政府関係機関でありまして、すでに法案も政府から提案され、御審議中のものでありますが、御案内のように、この法案につきましては、私どもの梶井総裁以下私どもは、昨年の暮以来、なんとかかんべんしていただきたいという意味におきまして、反対を続けて参ったのでありますが、また、私どもの監督官庁でございます郵政当局におきましても、幹部各位が非常に努力されて下さったのでありますが、政府当局としますると、諸般の事情から、やはり法案を上程するということになりまして、政府関係機関の一員としますれば、一応今日の段階におきまして、今さら反対をするということもできませんが、なぜ過去において反対しておったかという理由を御参考に申し述べ、それから最後に、この段階において何を皆様方に一縷の望みとしてお願いするかということだけを申し述べてみたいと思います。
御案内のように、この法案については反対してきたのでありますけれども、私どもがなぜ反対してきたか、その理由を一、二簡単に申し上げてみたいと思います。
第一番にこの法案に反対しました理由は、現在の私ども経営いたしております電電公社の事業、すなわち、わが国の電信電話事業の現状について、もう少し御理解をもっていただけたらよかったということでございます。どうもこの法案は、そういう意味におきましては、公社事業の将来につきまして、いささか将来暗影を投ずるような予感がしてならないのでございます。わが国の電話事業は、諸外国のそれに比べまして、非常に立ちおくれておることは皆さん御案内のことと思いますが、電話の普及率というものを申し上げてみましても、昭和三十一年の一月現在におきまして、人口百人当りわずかにまだ三・四個という程度の微々たるものでございます。これは世界におきましても、スペイン、イスラエル程度の二十二番目でございまして、まことに情ない状況でございます。一方、電話の需給というものはどうかというと、御案内のように、もう皆さんいつも御経験済みかと思いますが、幾ら申し込んでもつかないという非難というものは、今もって何ら解消されておりません。現在全国の電話局の窓口には、電話をつけてくれといって申し込んでいるのが、実に六十万に達しておるのであります。これを年々非常なスピードで解消いたしておりましても、幾ら解消しても、あとからあとから申し込みがふえるというので、平均しまして、二年半か三年たたないというと電話というものはつかないのだ、国民各位においても、電話というものは容易につくものではないというふうになっておる次第でございます。東京都内におきましては、あるいは大阪市内においての中心部におきましては、ややこの点は改善されておりますが、東京だけでも、周辺におきましては、まだ二年、三年たたなければつかぬという声はずいぶんお聞きになっておると思います。また、市外通話にいたしてみましても、東京、大阪、神戸、横浜、こうした幹線
の通話につきましては、おかげをもちまして非常によくなりました。しかし、いなかの県庁所在地とか、そうした中小都広間の市外通話というものは、御案内のように、まだ三十分、一時間、ときによっては二時間、ことに小さないなかに参りますと、すぐそこに見えるような部落のところに行くに一も、自転車で行った方が早いというような現状は皆さんよくお聞きのことと思っております。こうした状況でございまして、私どもは、何とかこの問題を改善しようとしまして、昭和二十八年以来、電電公社で一応第一次五カ年計画というものを打ち立てまして、これを着々実行しております。ところが、この資金というものは、ほとんど自己資金、公募債券、それにこれに加えて加入者に負担金というものを課して、あるいはまた債券というものをお願いいたしましてやっておるのであります。東京で申しますと、六万円の債券を買ってくれ、三万円の負担金をもってくれ、それに装置料の五千円を負担してくれ、九万五千円ぐらいのお金がないと電話というものはつかない、こうしたものでございますので、決していい制度ではないのでございます。何とかこういうものも改善したいと思いましたが、やむを得ず先般衆参議院とも通過いたしました電話負担金に伴う臨時措置法というものをもう五カ年間延長していただいたというような事情もあったのであります。これらを勘案しますと、非常に申しわけないような感じがいたします。
それからもう一つ、特に御案内いただきたいことは、この市町村の電話と市町村合併促進法との関係でございますが、御案内のように、市町村合併促進法におきまして、私どもの電電公社はこれに協力するということになっておるのであります。このために、二十八年、九年、三十年の国会におきまして、私どものかつての電気通信委員会、あるいは最近の逓信委員会におきましても、何とか地方の電話サービスを市町村合併に伴うために急遽改善しようという要望は非常に強く、そのために特に二、三回の委員会の決議すらもいただいているのであります。皆さん方も市町村におきまして、市町村合併はできたけれども、部落間の電話というものは一向整備されない。現在同じ市町村で合併された中に電話局が三つもある、あるいは四つもあるということは、やはりお聞きのことと思います。また、すぐ隣に見えるような所も市外通話でかけなければならぬ、しかも、それも三十分も四十分もかかる、これを何とか電電公社ができないかというような痛烈な陳情というものは枚挙にいとまがないのでありますが、まあそうしたやさきに、こうした法案で、私どもは懸命にこの改善に対して努力しようと思い、一方予算にも、これに対しては低利な長期の政府資金なり、あるいは政府支出というものをお願いしておったのでありますが、昭和二十八年以来、政府出資はおろか、一文の財政資金のお借りもできず、わずかに微々たる公募債を増額するという程度で、二十九年度は五億、三十年度は十億、それに無電話部落を二億だけ予算で出すというようなことでお茶を濁さなければならぬ。で、こうした地域におきます事業というのは、御案内のように、全くペイ・ラインには乗りませんが、公共企業体という、ほんとうの採算を度外視した公益性にかんがみまして、あえて私どもは、こうした通信のサービスに全力を尽そうと思っておるのであります。
こうしたやさきに、この法案が私どもに提示されて、今度は銭を出せというような形になってきましたが、何だか私どもとしますと、非常に割り切れない感じがいたすのであります。地方の私どもの電話局は、約九百ほどの電話局を直轄しております。その他一万数百になんなんとする小さな電話事業は、これは郵政省に委託しまして、郵政省の郵便局でおやりになっております。これも、私どもの電話に関する限り財産でございますが、よく珍談がありますが、地方の村長さんあるいは市会議員とかいう方はしょっちゅう陳情に参ります。そういうときにも、電話局長や郵便局長も一緒に来るというくらいに、非常に通信や郵便事業というものは、民衆になごやかに打ちとけておるのでありますが、私どもからすれば、電話局長が公社に陳情するというふうなことでは困るじゃないかとよく言うのでありますが、そのくらいに非常になごやかに、地方におきましては、この電話事業というものは、部落民、市町民と非常に打ちとけて密接になっております。そういうときに、今度は市町村に金を納めるのだというような気持は、何となしに私どもとして割り切れないというような感じがいたすのであります。
最後に、三番目の理由としまして、石井経理局長がおっしゃられたことと同じようなことになりますが、私どもの電話料金というものは、現在法定主義でございまして、法律上国会の議決を経なければ電話料金というものは直すことはできません。現在、今日の納付金というものは、七億七千七百万円という額でございますから、この額が今、電電公社で払えないとは私は申しませんし、そう大きな財政負担ではございません。しかしながら、やはりこうしたものは、経費として料金の一つの内容をなすものでありまして、行く行くはこういうものは、やはり、大衆、あるいは利用者に転嫁される性質のものであります。しかしながら、これは民営事業でございませんで、国会ですべて議決されますので、一方そうした口がふさがれておりながら、片方そうした負担がふえてくるというようなことも、理論としても何か割り切れない感じがいたすのであります。私どもは、昨今ようやく世評を幾分取り返しているのではないかといううぬぼれを持っておりますが、まだまだ地方農村等の電話というものにつきましては、たくさんの改善の余地がございまして、昭和三十年、三十一年から、特に大都市から中都市へという方向に転換をして参っております。三十一年度の予算などを見ますと、非常に中都市に対する重点をかけておりますが、こういうやさきにおきましても、私どもの地方に対する納付金の制度というものも非常に割り切れない感じがいたすのであります。
なお、申し上げたいこともございますが、時間もございませんので、私どもがこの数カ月来、監督官庁、自治庁等に御反対申し上げましたいきさつを申し上げて、最後にお願い申し上げたいことは、やはり何とか、ほかの自治関係の財源の確立、地方財政の確立につきましては、もっと本格的な名案をお考えいただきまして、この法案を永久の法案とせずに、公共企業体、あるいは政府関係の機関に対する納付金や交付金というものは、時限立法という形を取っていただけたら非常に幸甚の至りです。
それからもう一つのお願いは、自治庁におきましては、非常に御配慮していただきましたけれども、こういうものの事務手続でありますが、事務手続は、私どもが一文一銭、民営と違いまして、ごまかす意図はないのでありますが、こういうことで非常にトラブルが起きたり、あるいは非常に事務を作業する従業員にロードがかかったり、定員をふやしたりすることは、まことにくだらぬことだと思っております。ですから、一つ簡素に、一括して非常に簡単にお金だけは取れるというふうな方途を事務的に自治庁の方にお願いしたいのであります。従いまして、自主財源として完璧な固定資産税として、とことんまで正確を期していくということは、地方自治体から見れば非常に励みにもなり、また安心もいくような感じもいたそうと思いますが、一面こうしたものは、国全体としてまとめて適当に御処分なさるという考え方も、私はないとは限らないと思います。そういう意味からいっても、多少の不公平はあっても、固定資産税というものに立脚する分には間違いないのでございますから、大よそのところは合うのでございますから、あまりこれを突き詰めて、自主財源、自主財源で、地方の市町村長さんを激励されて参りますと、私どもの電話局長や、郵便局長といたしますと、非常に摩擦もあり、またいろいろな問題も起きまして、この点はかえってまずいのじゃないか、できるだけそういう点につきましては、自治庁の方で多少の自治団体に不公平はございましょうが、大きな不公平はないのでございますから、割り切っていただいて、簡素な、あっさりしたやり方でおとり願っていただきたいということを最後のお願いとして申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/19
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020・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 多少時間が余裕ができましたから、日本国有鉄道の石井経理局長に、結論をつけないままに御発言をおやめ願いましたから……。なおその前に、特に私から申し上げておきますが、専売公社の小川君が最後に言われた、専売公社では、厚生施設のものについては、市町村に合計では四千万程度の固定資産税を納めておる、こういう御発言でありました。国鉄関係ではその点がどうなっておるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。ごく簡便にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/20
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021・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 現在、私の方で事業用として課税されておりますものは、大体四億五千万円程度でございます。これを今度の法律では、別の形で依然として続行するということでございます。この点は、専売公社と同じように、今度の場合にも一緒にまとめて処理されていただけば非常にけっこうだと存じております。
それから、先ほどの結論の続きは、もうあまりございません、ほかの方もおっしゃいましたので。ただ一つ、たとえば、新線建設のような、新しい地方の要望で設置いたします線路につきましては、私の方で収益に非常にペイイング・ベースにのらないのを、さらに利子のつく借入金をしてやっておるわけでございます。そういうようなものにつきましては、免税というような考え方をとっていただく、いわゆる課税対象から除くという考え方をとっていただかないと、今後こういうものを地方の御要望によって企画して拡張して参るというような場合に、大きな障害になるのではないか、地方におきましては、工場誘致等につきましても、いろいろ免税その他の御措置もやっておるようでありますが、それ以上に理由のあり、必要のあることではなかろうかと思うのであります。この点は、新線建設そのほか駅の設置、いろいろたくさんの地方の御要望がございます。そういう点が今後、将来取り扱う上において大きな支障になることを非常に憂えるものでございますので、御参考までに申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/21
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022・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 大へん時間の都合上簡便にお願いしましたが、以上で、一応参考人並びに関係三公社の説明員の御意見の陳述は終りました。これより参考人並びに説明員の陳述に対して、委員各位の質疑を行います。御質疑のある方は順次、これはできれば梅津君を最初にした方がいいと思いますが……。そういう必要もないかとも思いますが、適宜御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/22
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023・小林武治
○小林武治君 横須賀の海軍交付金、助成金ですか、これは何年からどのくらい支給されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/23
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024・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) 当初、始まりましたのは、大正十二年でございます。当時の海軍大臣は、あとで総理になられました加藤友三郎氏が海軍大臣であった。そのときから助成金が始まった。十二年に話が出まして、その後実際に実行されましたのは大正十四年からでございます。十二年から話が始まった。その際に、御参考までに申し上げておきますが、軍港において助成金の話の出ました非常に大きい動機、またこれを実行するに至りました大きい動機の一つは、御承知の八幡の製鉄所でございます。八幡の製鉄所は、昭和九年まで官有でございました。その関係から、相当それらの点と、当時の軍港の当事者が研究いたしまして、当時八幡の製鉄所に対しまして、政府から毎年五百万円ずつ下付金があった、こういう記録になっておるようであります。
それから、ただいまのお尋ねでございますが、古いことはよくわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/24
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025・小林武治
○小林武治君 最近のです。最後は何年で幾ら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/25
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026・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) 最近のところを申し上げますと、ちょっと佐世保、舞鶴が戦災のために記録をなくしておるところがございます。わかります分を申し上げますと、昭和十八年におきまして、横須賀におきまして、いろいろの助成金で三百二十二万六千幾ら、それから呉におきましては、二百六十九万何がしでございます。佐世保におきましては、二百三十八万九千何がし、こういうことになっております。それから十九年には、横須賀におきましては、百四十二万何がしでございます。それから呉におきましては、この年は非常にふえまして、七百三十七万幾らということになっております。それから佐世保におきましては、百八十万何がしでございます。それから最終の年であります昭和二十年、この年には横須賀におきましては、二百九十八万余りを助成されております。それから呉におきましては、六百六十五万九千円余り、佐世保におきましては、三百七十五万余りでございます。舞鶴におきましては、この年の記録はございますが、九十三万五千何がしであります。大体こんな数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/26
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027・小林武治
○小林武治君 最後の年における市の財政規模はどのくらいかわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/27
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028・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) 財政の一般規模の数字は持っておりませんが、市税の数字を持っておりますから申し上げます。最終の昭和二十年度、この年においては、横須賀においては、市税が二百三十四万円でございます。繰り返して申し上げますと、助成金は二百九十八万円、それから呉におきましては、市税収入が百……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/28
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029・松岡平市
○委員長(松岡平市君) ほかはけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/29
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030・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/30
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031・小林武治
○小林武治君 国鉄に伺いますが、専売公社も同様ですが、従来の厚生施設は、初年度からですが、これは本来の固定資産税として徴収することにしたのでありまするが、従って課税価格等も今度の場合と違い、一括すれば、どんなふうな御希望を持っておりますか、課税価格も違うのです。それからして本来の固定資産税として課税しておったものと、今度はそうでない、こういうことになっておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/31
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032・小川潤一
○説明員(小川潤一君) 私らといたしましては、実は税率は同じなんで、ただ厚生施設関係は二分の一にするということはされてないわけです。従って今度課するのは比率が二分の一だというわけなんです。もし中央で一括していただいたら、比率は私の方は変えないで、そのまま厚生施設系統は従来通りの比率でけっこうでございます。ただ評価、納入事務その他に、かなり地方で手数をわずらわされておりますので、ついでのことですから、こっちに全部、不動産の元帳なり原簿があるものですから、中央でやっていただきたい、こういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/32
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033・小林武治
○小林武治君 国鉄の今度の負担は、相当の多額にわたりまするが、まあ先ほどからお話があるように、料金に転嫁しなければならぬ必要が生ずるというようなことについては、どういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/33
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034・石井昭正
○説明員(石井昭正君) この点は私ども、現在の運賃率では、とうてい支払いする能力がほとんどないのじゃないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/34
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035・小林武治
○小林武治君 先ほど、予算に縛られるとありましたが、今年は予算関係はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/35
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036・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 本年は初年度でございますので、さらに二分の一、三十六億支出予算には計上いたしております。それから、これを裏づけする資金収入があるかないかは別の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/36
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037・小林武治
○小林武治君 これは、くどく申しておきますが、あなたの方の見当では、これは料金改訂の一つの理由になる、こういうふうに国鉄ではきめておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/37
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038・石井昭正
○説明員(石井昭正君) いや、私どもの料金改訂をお願いしておるのは、税金の問題でお願いしておるのではないのでございます。ただしかし、税金をお払いするということになれば、それも御一緒にお願いしなければならぬということにはなるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/38
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039・小林武治
○小林武治君 電電公社の方に伺っておきたいのですが、今の特定局における電話施設についての固定資産税該当のものはないと、こういうふうに思っておりますが、そうでないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/39
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040・秋草篤二
○説明員(秋草篤二君) ございます。現在の私どもの財産の所有は、固定資産の対象になります。通信施設の財産
だけは電電公社の所有になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/40
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041・小林武治
○小林武治君 そうすると、今、特定局の中の施設も、すべて電電公社の資産として帳簿に載っておる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/41
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042・秋草篤二
○説明員(秋草篤二君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/42
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043・加瀬完
○加瀬完君 今、小林委員から御質問のあった点ですが、国鉄、それから電電公社の御説明によりますと、たとえば国鉄であれば、この負担、支出は裏づけがなければ困る、あるいは電電公社であると、たとえば、行く行くはこれは、大衆に転嫁される性質のものだ、こういうふうな御説明があったわけでございますが、運賃値上げとか、あるいは料金値上げとか、こういうものが先決しなければ、今、問題になっております納付金は納めかねる、財政的にそういう結論しか出ないと、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/43
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044・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 電電公社と私の方とは、経営事情が雲泥の相違でございますが、私の方といたしましては、ただいまお話したように、なかなか困難であろうというふうに、ただいまのところでは申し上げるほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/44
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045・加瀬完
○加瀬完君 私鉄の関係も御説明の中にあつたんですが、私鉄よりも運賃が安い。そこで、私鉄はいろいろの課税負担をしておるわけであるが、国鉄は、運賃が安いとか、その他の関係で、課税負担に耐えられないということでございますが、何か具体的な例を挙げて、たとえば百キロなら百キロの乗車賃なら乗車賃というものはこれこれこうで、私鉄の平均はこれだけである、それに対して公課負担はこれこれである、国鉄はこれこれだといったような具体的な何かものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/45
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046・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいま手元にございませんが、すぐ資料をお届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/46
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047・加瀬完
○加瀬完君 この三%の負担増になるということであったわけですが、国鉄の三%の負担増というものは、国鉄の現在の経営からいって、運賃値上げをしなければ三%の負担増にはたえられない、こういう理由は、もっと具体的にどんなことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/47
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048・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私どもの方のいわゆる減価償却費が、この間運輸大臣の諮問機関である経営調査会においても、四百二十億程度はなければならぬという御判定でございます。それに対しまして現在予算に組まれておりますのは二百七十二億程度でございます。従いまして経営上の純経費については赤字ではございませんから、減価償却費がふえればまたこれの支払いができるわけでありますが、そういうことをしていっては鉄道の施設が壊滅の方向へ向うのみだということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/48
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049・加瀬完
○加瀬完君 それらの具体的な資料もあわせて後刻御提出いただきたいと思います。
それからもう一つ、電電公社にお伺いをいたしたいのでございますが、七億七千万円というふうな御説明でありましたが、これは電電公社の経理の総額からいくと何%ぐらいに当りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/49
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050・秋草篤二
○説明員(秋草篤二君) パーセンテージにいたしますと、〇・七%くらいで一%にいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/50
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051・加瀬完
○加瀬完君 国鉄の三%というのは全体が幾らで、今度交付金として賦課されるものが幾らで、それで三%ということになるわけでございますか。その基本の数字をちょっと教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/51
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052・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 運輸収入は大体二千五百億とお考え願いたい。そうして税負担がたしか七十二億、これは平年度でございます。初年度は三十六億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/52
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053・加瀬完
○加瀬完君 質問が前後いたしましたが、横須賀の市長さんからいろいろ御説明がありまして、小林委員からの御質問もあったわけでございますが、現在交付税でございますか、交付金でございますか、それらはかつての海軍の助成金でありますか、交付金でありますか、こういうものと見合うような点で何か考えられて、市の方にくるというふうなことにはなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/53
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054・梅津芳三
○参考人(梅津芳三君) 数字的な見合い方を考えてはおりませんが、考え方としての見合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/54
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055・小林武治
○小林武治君 東京都の建築局長に伺っておきますが、御承知のように東京都は固定資産税は都税になった、従って他の府県におけるような市町村に対する交付金の関係は起きない、こういうふうに了解しておりますが、それで差し向き法律の面におきましては、今あなたの方で交付する相手はないというふうに思う。従ってそれに該当するような家賃に転嫁するとかいうような、こういうふうな問題は一応出ないと思いますが、しかし都の方でもってもし特別会計でも作ればこれに対する払い込みをする、繰り入れができる、特別会計など作るおつもりがあるかどうかということを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/55
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056・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 東京都におきましては三多摩を持っております。三多摩方面にはやはり公営住宅があるわけです。東京都全体では公営住宅は約四万七千戸くらいありますが、その中の三割程度は三多摩の市町村に、一部はごくわずかですが島の方にもございますが、三割程度は三多摩にございます。三多摩の市町村にはやはりこの法律が施行されれば、やはり交付金を支出いたします。御質問の区部の方につきましては、要するに七割程度のものについては御指摘のように特別会計を作りましてこれに当てる、こういう問題になるわけでございます。この点につきましては、ただいま決定はいたしておりませんけれども、やはり他面住宅の家賃の体系においては、やはり同時に、三多摩の方面だけ家賃体系の中で固定資産税の分を上げて、区部の、かえって交通の便利の方が家賃が上らないということは、住宅政策の面をあわせ考えますと、どうせ施行しなければならないならば、一緒に施行するという形になっていこうかと思っております。決定はしておりませんがそんなような線を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/56
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057・小林武治
○小林武治君 今の交付金に関する、たとえば今あなたの方は郡部に対しては交付金の問題が起きてくる。これはしかし全体の三割しかない、これは予算的にはどのような措置をしますか、都の財政としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/57
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058・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 交付金につきましては、現在まだ予算的に交付金を出すという措置は講じておりません。追加予算あるいは補正予算等の際におきまして、その措置をこの法律施行に伴いまして実施したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/58
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059・小林武治
○小林武治君 そうすると、今家賃の徴収あるいは公営住宅の維持、管理、そういうものは特別会計を持たないでおやりになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/59
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060・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) お話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/60
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061・小林武治
○小林武治君 そうすると、それはどういう工合におやりになっておりますか。現在の家賃あるいは管理は、一般会計でただ建築局で扱っているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/61
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062・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/62
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063・小林武治
○小林武治君 そうすると、今の特別会計を作る、そうして多少家賃の更正をするというようなことについては、これはもしやれば条例等も必要とすると思うのですが、これらについて今の理事者の方の話合いは相当進んでいる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/63
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064・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 実はこの家賃改訂の問題は、一応公営住宅法の中におきましても、都営住宅の中において家賃に著しく均衡を失するような事態が生じた場合には、建設省の認可を得て家賃の是正が行い得ることになっておりますので、この公営住宅法に基いて特別会計を作らなくても公営住宅法だけでも、実は不均衡是正という点において法的根拠は一応あるわけでありますが、この公営住宅法の関係と、それからこの法律がもし実施されればこの法律に基いて特別会計を設定する。こういう二点についての問題等を実は考えておりますが、東京都といたしましては、ただいまその点についていずれにするかというところまでの決定を申し上げる段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/64
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065・若木勝藏
○若木勝藏君 国鉄の石井さんにお伺いいたします。
あなたの方では、この税金は平年度三%ぐらいの支出になる、これに対しては非常に困る、料金の値上げなんというようなことが考えられなければならぬ、しかしこれもなかなかめんどうな話でしょう。そこでさしあたってこの問題について、もしこの法律が通った場合にとにかく支出しなければならないのでありますから、それらに対するところの何か今のところの構想というふうなものがおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/65
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066・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいま御指摘になりましたように、運賃の改正というようなお願いの際にその裏づけがないということになりますと、結局現在の資金収入状態が非常に好転いたしまして、現在予算に計上されている見積額程度上がれば今年度はお支払いできると思います。その際に資金収入でどうしてもそれに到達しないということになりますれば、あらためて政府に資金の手当を何らかの形でお願いするほか方法がないのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/66
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067・若木勝藏
○若木勝藏君 専売公社はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/67
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068・小川潤一
○説明員(小川潤一君) 私の方は初年度半分ですから、一億五千万円以下ですから、一つ勉強して何とか出したいと思っております。予算でも見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/68
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069・若木勝藏
○若木勝藏君 電電公社の方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/69
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070・秋草篤二
○説明員(秋草篤二君) 先ほども申し上げましたように、七億七千七百万円と予算は支出として損益勘定に計上されております。またその財源と申しますか資金上の裏づけも、現在のところ収入の面としては先ほど申しましたようなパーセンテージでございますので、間違いなくお支払いできるような態勢にはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/70
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071・若木勝藏
○若木勝藏君 そうすると国鉄の方が一番困難だというふうなことになってくるのでありますが、こういうときにすぐ手っとり早い方法で人件費を食うなんてというようなことが考えられるのですが、そういうことはどうですか、国鉄としては勤務者の給与問題というようなことについては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/71
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072・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私どもの方の人件費のレベルはほかの公社その他と比較して低いということは、この間の仲裁委員会でいろいろ調停を出された際にも明示されておられるのでございます。今私どもの方の財政状態としては、人件費を上げるということはできないということについて、いろいろ努力はいたしておりまするが、これをさらに節減するということは、ただいまの労働情勢なり、あるいはほかの公務員なり公社との振り合い上非常に困難ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/72
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073・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 他に御発言はございませんか。……他に御質疑がないようでありますから、この程度にいたしたいと思います。
参考人各位に一言御礼申し上げます。本日は大へん貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。今後本法律案の審査に際しましては、各位の御意見をも十分参考といたしまして、慎重に法律案の審査をいたして参りたいと存じます。おいそがしい中を長時間にわたりまして御意見お述べ願い、かつまた委員の質疑にお答え願いましてありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
委員会を休憩いたします。
午後零時十四分休憩
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午後一時五十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/73
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074・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 委員会を再開いたします。
委員の異動を御報告申し上げます。委員森崎隆君が本日辞任せられました。新たに小笠原二三男君が委員に任命せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/74
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075・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 連合審査会の開会についてお諮りいたします。本日逓信委員会より、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について、連合審査会を開会せられたい旨の申し出がございました。逓信委員会と連合審査会を開くことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/75
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076・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
なおこれは昨日お諮りいたしました建設委員会との連合審査会と同時に連合審査会を、すなわち逓信、建設と当委員会と三者の連合審査会を開きます。大体日にちは四月十日火曜日午前の予定でございます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/76
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077・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に、昨日お諮りいたしました通り、本日午後から地方税法の一部を改正する法律案関係について、参考人においでを願って御意見を聞くことにいたしてさよう取り計らっております。ただ昨日の委員会で本日おいでを願う参考人の方々について御報告申し上げておきましたが、その後に委員長におきまして、全国石油協会会長森平東一君を参考人として本日同時においで願うことに決定いたしました。この点御了承を願っておきます。
議事に入ります前に参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は公私とも御多端の折りから参考人として当委員会においでを願いまして、まことに感謝にたえません。御承知のようにただいま当委員会は地方税法の一部を改正する法律案の審議をいたしております。が、この税法の一部改正は、いろいろな方面において影響するところが甚大であると考えております。つきましては、関係各方面の方々の最も実務に通じておられる方とか、あるいはそのほかこの法案全般について十分うんちくを持っておいでになる方とかいう方々においでを願って、各位から忌憚のない御意見を拝聴して、今後の法律案の審査に資したいという委員一同の希望でございます。お忙しい中をおいで願ったわけでございます。せっかくおいでを願いまして、従って十分の御意見を拝聴したいのでございまするが、当委員会は多数の法案の審査に追われておりまして、午前中も大ぜい、別な法律案の関係で参考人あるいは説明員においでを願って、御意見を聞きましたが、午後も七人の方に御意見を聞く。なおまたあとで委員からそれぞれ御質疑等も申し上げて、そのために相当な時間を要する見込みでございますので、大へん申しわけございませんが、最初にお一人で大体十分前後、十五分をこえない範囲ということで一通り各参考人の御発言をお願いいたしたいと思います。そうしてそのあとで委員から御質疑をする、こういうことにいたしますが、質疑に対しましてもできるだけ簡潔な御答弁をお願いしたい、かように考えます。委員各位には午前中の例によって各参考人方の意見をそれぞれ今申しましたような範囲内でお述べを願って、それが終りました後それぞれ御質疑をお続け下さる、こういうことにしてもらいたいと思います。御了承願っておきます。発言の順序につきましては私から私の方の都合でそれぞれ申し上げますからその順序でおやり願いたいと思います。それではまず京都大学名誉教授、日本租税研究協会会長汐見三郎君に地方税法の一部を改正する法律案に関しての御所見をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/77
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078・汐見三郎
○参考人(汐見三郎君) 地方税法の一部を改正する法律案でありまするが、私は結論を先に申しますと、現在の場合といたしましてはこれが原則として妥当の線であるというふうに考えておるのであります。実はシャウプ税制によりまして地方分権の精神が相当強く取り入れられたのでありますが、税法におきましても付加税制度から独立税制度に移りまして、その精神はもり立てていかなければならぬと思っておりまするが、しかしわが国の国情からみましてやはりぎごちない点があるので、手直しの必要があるというので手直しをいたしまして、これがおそらく最終の手直しになるのではないかと存じます。これ以上の手直しをするのには税制というものがこれは行政の女房役でありますから、地方行政それ自体の再検討をしないで税制を幾らいじくったところでこの話は進まないのであります。現在の地方行政のあり方といたしましては、そのもとにおきましては私はこれは妥当の線であると思っております。ただ地方制度調査会におかれましても抜本的の改革を今地方行政で考えられております。それからまた臨時税制調査会におきましては、ただいま直接税部会と間接税部会、それから地方税部会の三つに分ってせっかく審議を進めておられるわけでありますが、三十二年度におきましては相当立ち入った改正が行われることだろうと予期いたしております。今度の改正はそうでありますから、シャウプ税制の毎年行なった手直しのうちの最終のものになりやしないかと思っております。
今度の地方税制の改正によりましていろいろ特徴がありますが、特に注意すべきは新税の問題であります。「旧税は良税なり、新税は悪税なり」というふうなことわざがありますように、新らしい税金というものはとにかくこれが国民になれるまで相当摩擦を起すものでありまして、新税といたしましては軽油引取税、それから都市計画税、これがおもなるものであります。そのほかに従来の懸案でありまして税の形ではありませんけれども、三公社それから二協会に対しまして事実上固定資産税に属するものを課するということになっておりまして、これが今度の地方税制改正の特徴と思っておるのであります。そのうちで軽油引取税の問題でありまするが、軽油引取税は道府県税でありまして、都市計画税が市町村税でありますが、いずれも目的税の性質を持っております。その収入をば一定の目的に使っていくというところに特徴を有しておるわけであります。従来、揮発油税の延長であります地方道路税で地方の道路財源をまかなっていくということに対しまして、その揮発油以外の動力をもって、軽油を動力にしているその自動車が、やはりいろいろ道路をこわす、それを軽油引取税のところで負担するという目的税の考え方を入れたわけでありますが、これは軽油引取税は地方道路税と類似した性質を持っておりますので、この課税の方式、免税点、いろいろなところにつきまして相当研究を要すると思っておりますので、これはよほど技術的の問題になっておるのでございまするが、その点も十分注意いたしまして、軽油引取税それ自体につきましては、私はいろいろの方面からみまして賛成でありまするが、その内容につきましてはいろいろ研究いたしまして、欠点のないりっぱな租税ができることを望むわけであります。
それから都市計画税でありまするが、この方は固定資産税にリンクしているわけであります。固定資産税の課税標準が土地、家屋、家屋以外の償却資産ということになっておりますが、固定資産税の中から償却資産を除きまして、土地と家屋に対しまして課税するという形になっております。都市計画が、戦災の復興もあまり進まないでおるわけであります都市計画も、これによって充実してそれで国土の復興をはかっていく。ことに都市の災害がずいぶんきついものでありますから、これを行なっていくということが必要だと私は考えております。それから三公社、二協会に固定資産税類似のものを課することはこれはシャウプ税制以来の懸案でありまして、従来行われなかったのでありますが、今度初めて行われることになりました。これで私は市町村は相当豊富な財源を得ることができて地方行政の上におきまして余力をもってくるというふうに考えております。
最後に注目すべきことを申し上げておきたいのでありますが、実は富裕団体とそれから貧弱団体、まあ言葉は少し穏当を欠くかもしれませんが、経済力の余裕がかなりある団体と、経済力の余裕があまりない団体との間の財源の調整をはかるべきか、はかってはならぬかということ、これは非常に大きい問題でありまして、全国一率にしてしまうのであれば国家一本でいいわけでございますが、地方団体というもののあることは、これはそこにそれぞれの色どりのあることも必要であります。しかしまた、その色どりが度を過ぎるといかないわけでございます。それで臨時税制調査会におきましても、事業税を法人事業税とか、あるいはまた市町村民税の法人税割りとか、それを国に移すとか、いろんな考え方が行われておったわけでございますが、それほどまでやるということは地方自治にいいかどうかというところでいろいろ問題があります。この入場譲与税の操作でこれを解決つけたわけでございます。これにつきまして不徹底だとか、まあ両方の論者から不徹底だと言われたところがありまするが、国民の租税負担を均一にしようという立場から見ると不徹底という考え方もあり、また一方地方自治に差等をつけていくということに他方自治の特徴がある、という点からいっても不徹底であると言われておりまするが、この両方の主張のまん中を行ったところであります。この問題の解決は、行政制度の改正をやらないと、ただいまの地方行政のあり方では解決つかないと、従って入場譲与税の改正というものは不徹底でありまするが、現行制度を維持して手直しをするとすれば、この辺のところが妥当の線ではなかろうかというふうに考えております。
ただいま申しましたように、たとえば三点を上げて申し上げたのでありまするが、そのこまかい点につきましてはいろいろ問題があるだろうと思っておりますが、全体といたしましては私は妥当の線であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/78
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079・松岡平市
○委員長(松岡平市君) それでは次に富山県知事高辻武邦君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/79
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080・高辻武邦
○参考人(高辻武邦君) 今回政府から御提案になりまして、目下国会において御審議中の地方税法の一部を改正する法律案に関しまして意見を申し上げます。
今回提案せられました地方税法の一部改正は、御承知の通り、毎年度窮迫の一途をたどりまして、このまま放置することが許されないまでに切迫いたしておりまするところの地方財政の現状に対しまして、これが財政再建のため他の財源措置とあわせまして、自主的に税財源の拡充をはかることを目的とせられたものでありまして、一般的に申しましてこれは異存のないところであります。現行法に比べて考えてみますと、改正法案によりましては、府県分におきまして約三十七億円、市町村分におきまして約八十三億円、合計百二十億円の増収が期待せられるわけでありまして、地方財政にとりまして相当のプラスであることは疑いのないところであります。しかしながら、ひるがえって改正税法の規定する地方税体制全体が、地方自治の安定と確保の見地から考えてみまして、果してこれをもって十分であるか、あるいはまた少くとも十分に近いものであるかということを検討いたしてみますというと、実はなおはなはだ不十分でありまして、特に府県税制は自主力に非常に乏しいのでありまして、財政的に国庫依存の度合いが非常に強いことは御承知の通りと存じます。このことにつきましては、十分今後御考慮を願わなければならぬ点と考えております。昭和二十九年度の決算を見ますというと、歳出の総額に対しまして、都道府県税及び譲与税を合計いたしまして、その割合は二八%に相なっております。そのうち徳島県の一一・六%を最低といたしまして、わずかに二〇%に満たないような府県が実に二十六府県の多きに達しておるような実情であります。このことは言うまでもなく府県自治の弱体化を招くのでありまして、給与費あるいは公債償還費の増加と税財源による弾力性の欠乏とによりまして、府県財政が今日極度に圧迫されておる事実にかんがみまして、将来は一そう府県自主的の税財源の拡充化をはからなければならないことは明らかであると存じます。このことは内容的にはいろいろ問題を含んでおるのでありまして、いわゆる地方交付税法の富裕団体に属する超過財源との調整問題とからんで、十分今後検討を要する事柄ではありますが、府県財政の再建、安定を確保するためにはさらに御配慮をお願いいたさなければならぬわけでございまするが、ことに昭和三十二年度以降におきまして実施を予定されておりまするところの国、地方を通ずる税制の根本的改革を樹立する際におきましては、ぜひともさらに進んでもっと広く府県の自主税源を拡充していただきたいと存じますけれども、今日ただいまの状況といたしましては、今回御提案の地方税法中改正法案は一応はこれをもって満足すべきものであろうと考えております。
地方税法改正に関する基本的な考えといたしましては、ただいま申し上げた通りでございますが、なおこの改正法案に対しまして衆議院において付帯条件が付せられるというように承わっておりますが、そのことにつきまして二、三の点について意見を申し上げさしていただきたいと存じます。
第一は、地方鉄道事業及び軌道事業に対する事業税の課税標準を、収入金額であることを改めまして、これを所得金額にいたさんとすることについてであります。御承知の通り、事業税は、本質的には、付加価値税が今日全面的に廃止と決定されておりますけれども、しかしながら府県行政が一般的に事業税につきましては、いわゆる応益原則に基いて外形標準によって課税することが合理的であるとする現行法は、私はあくまでこれは堅持しなければならぬものと考えるのであります。従って、今日衆議院において論議せらるるように、地方鉄道事業または軌道事業に対する事業税の課税標準を、収入金額より所得金額に改めようとする考え方は、私はこの場合におきまして反対の意思を表明いたすものであります。
第二は、大規模の償却資産に対する市町村の課税限度額を引き上げまして、昭和三十年度の特例をこれを平常化しようとする考え方であります。これは申し上げるまでもなく、大規模の償却資産に対する現行制度が実施せられるに至った理由は、極端なる税財源の偏在を是正いたしまして、府県を通じて当該地域の円滑なる発展運営に資せしめる趣旨に出でたものと考えられるのであります。しかして、昭和三十年度の特例は、その急激なる変化を一時緩和しようとするいわゆる経過的な措置でありまして、これを限度額を引き上げることによってこの特例を今後恒久化しようとすることは、この税制を創設いたしました趣旨に反するものではないかと私は考えるのでありまして、当該資産の所在団体とこれに近接する団体との間における均衡が破れることに相なりまして、行政上はなはだおもしろからぬ事態に相なるかと存じます。のみならず、地方交付税のいわゆる交付団体と不交付団体との間における税財源の調整問題が、今日すでに問題となっておるのでありまして、すでにそれが立法化せられておる今日、何と申しますか、これが逆コースとなるような修正は首尾一貫しないのでありまして、よほどこれは慎重に御考慮を願いたいと存じます。要するに大規模償却資産に対する問題は、これは三十年度限りの特例といたしまして、三十一年度からはむしろこれはやはり府県税として徴収せしむる方が適当であろうと考えます。
次は、第三でありまするが、遊興飲食税に関する公給領収証制度廃止に関する問題であります。本制度は去る二十二国会に新たに創設せられたばかりでありまして、実施後まだ日が浅いのでありますけれども、にわかにこれが廃止論が突如として現われたことにつきましては、一般に理解しがたいものがあるのではないかと考えます。もちろんこの制度につきまして、いろいろ不利不便の点があることは承知しておりますが、今日業者側におきましても、本制度に対して相当の理解と協力とを得つつある状況でありますので、少くとも当分の間は現行通り実施していただく方が適当ではないかと存じます。本来遊興飲食税は、その税金の実体を把握することがなかなか困難な税目でありまして、御承知の通り従来まで責任納付制度というものが長く行われておったのでありますが、現在のやり方は純粋の意味における責任納付制度ではありませんけれども、やはり業者と徴税者側との話し合いによりまして、税の総額を決定し、そうしてそれを各業者に配分するやり方、私どもの通常用いておる言葉で申しますというと、いわゆる均衡徴税ということをいたして参っておりますが、各業者間の均衡をとるということにつきましても、実は実体を把握することが極めて困難であります。でありますから、今日問題となっておりますところの公給領収証制度は、これは五年も十年も長くこれを存続せしめることは適当でないと存じますけれども、少くとも遊興飲食税というものの実体を把握するに必要な年度間、あるいは二、三年なり、三、四年というものの間は、これは御継続を願いまして、遊興飲食税の実体を徴税者において、これを把握するまで存続することが妥当ではないかと考えております。
なお今回の地方税法の改正法案に対しましては、このほか御意見もいろいろあるようでございますけれども、要するに、今回政府提出の税制に関する原案が修正をせられますということになりますと、これに関連いたしまして、地方財政計画の根幹に影響をきたしますので、せっかく軌道に乗らんといたしておりますところの地方財政再建の一環をくずすことに相なるのではないかとおそれますので、この際はむしろ政府原案通り御決定相なる方が適当であろうと考えます。
なお本改正法案の成立が衆議院において相当遅れて参っておるように存じますが、これは本院におかれましても格別の御高配を下さいまして、ぜひ早急に法案が成立せられますように、格別の御高配をたまわらんことをお願いを申し上げます。
以上をもちまして私の開陳を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/80
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081・松岡平市
○委員長(松岡平市君) それでは芦屋市長、内海清君に御意見の御開陳をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/81
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082・内海清
○参考人(内海清君) 市町村の現在財政が非常に逼迫をいたしておりますことは、皆さんも御承知であろうと考えるのでありまするが、これは私は終戦後の占領行政の行き過ぎというようなことが言われておるのでありまするが、多分にその点に関係を持っておるのではないかと考えておるのでございます。従いまして今日は地方制度、または国の制度全般につきまして再編成の時代である、再編成しなければならんということの言われておりますことも、まことに妥当ではないかと考えるのであります。要するに市町村が現在赤字で、ほとんど大部分の市町村が現在赤字で悩んでいるということは、すなわち一口で申し上げるならば、自主財源がない、非常に少いということに、私は尽きるではないかと考えるのであります。二十五年にシャウプさんによりまして、なるほど地方制度に対するところの自治権の拡充と申しましょうか、自主行政、財政権のことが確立されたのでありますが、悲しいかな、シャウプさんは日本の実情を存じないために、その行政に対するところの財政的の裏づけがなかったというところが、今日の市町村の財政というものが非常に窮乏しておるゆえんではないかと私は考えておるのでございます。この問題をめぐりまして、政府の方では、あるいは市町村というものは人気取り政策をやっておる、そうして仕事をやり過ぎておるということで市町村を責めておるのであります。ところがまた市町村の方では、国の方が市町村の財政、財源を考えないというようなことを言って、うんと財政の引き締めをやっておるというようなことで、どちらも私は理由があるのではないかと考えるのでございまして、従いましてそういうような観点からして、過去の赤字をたな上げいたしまして、この処理をするということで、皆様のお力添えによりまして再建促進法によって一応の赤字というものがこれによって解消されるのでありまするけれども、私はこれは臨時的の問題ではないかと考えております。二十九年度に赤字を出しておる市町村が、この再建促進法の適用を受けるということで、まことにその字の通り臨時的のものであると考えるのでありまするが、要は財政運営の円滑なる運営をするためには、どうしても自主財源の確立ということが今日大切ではないかと考えるのでございます。私の市を例にとってまことに申しわけないのでございますが、私どもの市は現在五万余りの都市でありまするが、国、県税の直接税、間接税は四十億ほど納めておる。ところが市町村の財源といたしましては、三億近くしかないというように、いかに自主財源というものが、国の財源に比較いたしまして少いかという一つの証左になるのでございます。比較的非常に富裕な階級が住んでおるのでありまするが、昔は金が余って困って、毎年々々その税金全部を翌年度に繰り越したというような実情を考えましても、いかに自主財源というものが今日貧弱であるかという
一つの例で、御参考までにお含み願いたいのであります。
そういう観点からいたしまして、特に市町村の自主財源というものを唱えておるのでございまして、現在も強く要望いたしておるのでございますが、たばこの消費税の引き上げ等をしていただく、こういうことが非常にこの自主財源の確立のために効果があるのではないかと考えております。この点につきましては地方制度調査会なり、あるいは税制調査会の方でもこの結論を出していただいておるのでございまして、地方制度調査会におきましては百分の三十、すなわち市町村の方は、百分の二十以上を市町村に与えなければならん、県の方には百分の十ということの地方制度調査会の答申がされております。少くともたばこの消費税につきましては、現在市町村というものは百分の九でありまするが、少くとも地方制度調査会の答申通り、これは引き上げていただくということが最も大事ではないかと考えるのでございます。これはのちほど申し上げまするが、そういうようなことで、自主財源というものが非常に少い。この点は地方制度調査会なり税制調査会が以上の点を指摘されまして、そうして昭和三十二年度においては根本的に国、地方に通ずるところの抜本的な税制改革を行うべきであるということが言われておるのでございまして、本改正案の立案に当りましては、この前提に立って昭和三十一年度において実施すべき部分的、かつ技術的改正程度にとどまっているものと考えられるのでありまするが、特に三公社の課税及び都市計画税などの創設をみますことは、これは適宜な措置と考えるのでありまして、市町村会といたしましてもとりあえず本改正案のすみやかに成立することを強く期待をいたすものであります。
この改正案に対する意見といたしまして二、三点を修正を要望いたすところがありまするが、第一は三公社の固定資産に対する所在市町村の課税権を認めていただくということであります。本改正案によりますると、三公社の固定資産に対しまして実質的には課税し得ることになったのでありまするが、元来本税は応益の原則に基きまして、所在市町村に賦与せらるべきものでありますから、納付金制度によることは応急の措置としてやむを得ないものと認めますけれども、本質的には地方税体系を乱すものでありますので、自治の本旨からいたしまして、当該固定資産につきましては市町村において自主的に賦課し得るようにしていただきたいということを特にお願いをする次第でございます。
それから大規模償却資産に係る固定資産税に対する課税権の制限を緩和していただきたい。昭和三十年度より大規模償却資産に対する固定資産税の一部が道府県に委譲されたのでありまするが、その実情をみまするに、所在市町村における社会労働経費及び土木関係費等の財政需要の増加も的確に把握することができないのでございまして、かつ財政補償というものは昭和三十年度の特例では一三〇%と規定されておりますけれども、この結果一例を申し上げるならば、新居浜市におきましては一一〇%以下に下っておる、特に町村におきましては不交付団体が交付団体に転落しておるというような事情がありますので、いたずらに当該市町村の行政を萎縮せしめる結果となっておるのでございます。このような観点からいたしまして、この不合理を是正するために、市町村の財政需要を十分に補償し得るように課税権の制限を緩和していただくことをお願いをしたいのでございまして、少くとも百分の百五十以上としていただきたいのでございます。
その次は非課税の規定の整理を徹底していただかなければならぬと考えるのでありまするが、これはすなわち租税負担の均衡をはかりまして地方財源を確保するために、少くとも減免規定は極力整理をしていただかなければならぬと考えております。従いまして信用保証協会であるとか、信用金庫、各種協同組合の倉庫あるいは特殊の私立学校法人等にも課税できるように改正をお願いしたいのであります。それからその次は駐留軍使用の固定資産につきまして、課税の方法を講じていただきたいということを申し上げたいのでございます。
それから最後に、私は結論といたしましては、先ほども申し上げたように、現在の市町村というものは税金とそれから借金政策でその財政を行なっておるというような現状でございまして、その地方税の総収入中に占めるところの割合が非常に低いのでございます。そうして地方債を一般財源に充当しておる実情にかんがみまして、また間接税の比重が二一%、国の方は四三%でありまするが、市町村の方は二一%というような現状にかんがみまして、特に私は取りやすい間接税を市町村に与えていただかなければならぬということを特にお願いをいたしたいのであります。その点といたしましては、先ほど申し上げたように、たばこ消費税の増率をこの際に考えていただく、それから市町村税として酒の消費税、砂糖の消費税を創設していただくということが最も大事ではなかろうかと考えております。
それから給与所得者と農業所得者間におきますところの、租税負担の不均衡を是正するための措置を講じていただきたいということをお願いするものでございまして、この点は給与所得者と農業所得者との負担割合は、市町村会が調査いたしましたところによりますると、前者が三四%を占めておるのに対しまして、後者の税負担はわずかに六%にすぎないというような実情でございますので、これらの点につきまして十分御考慮を願いたいのでございます。
それから最後に府県民税につきましては、地方制度の根本的改革に合せまして、廃止を前提として基本的の御検討を願いたいのでございます。要するに自主財源をたくさんにしていただきたいということを特に申し上げまして、簡単でございますが私の所見を述べた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/82
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083・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に日本放送協会経理局長栃沢助造君に御意見の御開陳をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/83
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084・栃沢助造
○参考人(栃沢助造君) 当委員会にただいま御審議中の地方税法の一部を改正する法律案、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案によりますと、現在非課税事業体であります三公社並びにNHK等の業務施設全般について、固定資産税が課せられることになりますので、NHKの立場から意見を述べさしていただきたいと存じます。
御承知の通りNHKは放送法によりまして、公共の福祉のために全国あまねく受信できるように放送を行うことを目的とする公共企業体でございます。過去三十年にわたりまして全国百十の市町村に放送局を設置いたしまして、その電波は全土をカバーして、各地域社会の文化の向上発展に寄与して参っておるのでございます。さらにテレビジョンにおきましても、一日も早く全国普及をはかる目標を立てまして、東京、大阪、名古屋のほかに、最近広島、仙台、福岡に開局いたし、それから今年度におきましては札幌、函館、静岡、岡山、小倉、熊本、鹿児島及び松山の地区にも開局いたしまして、地方の皆さんの御期待と御要望に沿うように極力努力を続けておるところでございます。これらの膨大な置局を計画いたしましたのは、国会のテレビジョンの促進決議と国民大衆の要望にこたえむとするものでございまして、公共放送が国民の日常生活に密接に直結いたしまして、国民文化の発展向上に強い使命と責任をになっておるからでございます。NHKがこのような使命と責任をになっておりますので、現行法においてはNHKの本来の業務施設について固定資産税を課さない、非課税事業体として除外されておるものと考えておるのでございます。しかるに今回の地方財政の再建と健全化のために、NHKの業務施設全般にも課税されようとすることは、この使命と責任を有する公共放送の普及発達の上からみても、国民文化の向上促進という点からみましても、はなはだ遺憾に存ずるものでございます。
つきましては、今回の地方税法の改正によりますNHKの影響を申し上げますと、NHKの固定資産の所在市町村は全国の約百十カ町村でございまして、これらの市町村に納付する額は初年度四分の一といたしまして二千百万円、平年度二分の一といたしまして四千二百万円でございます。この納税額は見方によりましては大した額とは申せないかもしれませんが、御承知の通りNHKの運営の財源は全国総世帯千八百万世帯のうち、一千三百万世帯の受信者の皆様から支払われております税的性格の受信料のみでございます。NHKといたしましては、全国の千三百万世帯の受信者の皆様から支払われる受信料が、たまたま放送局設置の立地条件に該当して設置された所在市町村のみに固定資産税が徴税せられる法律改正に疑問を持つものでございます。NHKといたしましては受信者の支払われる受信料の反対給付としては、全国的な置局増力計画を進めて、よい電波でよい番組を送って公平にお返しするという立場に立って事業の運営に当っておるのでございます。またテレビジョンにおきましても、一日も早く地方の農山漁村のすみずみまでテレビジョンの電波が普及するように置局計画を進めておるのが現状でございますので、たとえわずかでありましても、NHKに対する固定資産税を免除してNHKの財政力を強化するようにお力添えいただくことは、地方文化の向上に役立ち、ひいては地方財政を健全化する近道ともなるのではないかと考えておるものでございます。従いましてNHKの公共的使命と責任から今回の税法改正の際においても、NHKを現在通り非課税事業体としていただきたいと考えるものでございます。
なお、かりに課税される場合におきましても、その資産範囲と評価基準、非課税物件、税率及び賦課期日等につきましては、三公社と同等の条件を、そのまま地方税法中の関係各条項において特例を設けていただきたいと存ずるものでございます。
このような立場から、NHKの要望いたしたいことは、第一点といたしましては、今回の地方税法の改正が、地方財政の再建のため、やむを得ない措置であると認めるにいたしましても、今回の措置は、当然にその緊急必要性のある時限的なものでなければならないものと考えるものでございます。
第二点といたしましては、NHKの施設は、すべて電波の効率的使用の立場から、全国的な普及計画のもとに設置されており、単に放送局の設置されたその所在市町村のみを対象とするものではございませんので、納税するにしても、一括納付の方法をとらるべきであって、その配分はわずかなものにはなりますが、電波の到達している全国の市町村に、その受信者の数を基準として公平に配分せられることが理論的にも正しいものと考えるものでございます。
第三点といたしましては、NHKの施設は、無線工学の進歩発達により、新陳代謝の激しい機械設備を中心とするものでございますから、常に近代化をはかる必要性がございますので、これらの資産範囲及び評価は、毎年度決算において国会の承認をいただいております。その財産目録、貸借対照表にかかげる正味資産としていただきたいと考えるものでございます。また、税率は三公社を百分の一・四となさるならば、NHKも当然百分の一・四であるべきで、この点三公社と何ら差別する理由がないものと考えるのでございます。また、全国受信者の支払われる受信料の性格からみまして、単に所在市町村側の決定の仕方によりまして、百分の一・四から百分の二・五と全国的に差別がつくことは納得しがたいのでございます。しかも、百分の二・五の高率を決定しておられる市町村は、特にその地方の要望に基いて置局したものでございますので、これらの事情からみましても、はなはだ当を得ないものと考えるものでございます。
第四点といたしましては、NHKの技術研究所、文化研究所及び職員養成所は、広く学界、無線工業界、放送界の発展のために、その成果を公開し、または利用させる研究機関、教育機関でありますので、当然非課税物件として免税されるべきものと考えるのでございます。
第五点といたしましては、NHKの決算が、法律により三月三十一日と定められております関係上、賦課期日についても三公社と同じように、前年の三月三十一日現在の当該固定資産の価格を一月三十一日までに当該市町村に申告することにしていただきたいと存じます。
以上申し述べましたように、NHKといたしましては、NHKの運営の基盤が全国の市町村に居住される全国民の受信者でございますので、地方財政の再建の必要を決して対岸の火災視するものではございませんが、今回の地方税法の改正によりまして、わずか百十の市町村が利益を得ることによって、かえってラジオとテレビジョンの全国のネット・ワークの完成が遅れるようでは、その他の市町村に対し悪い影響を与える結果ともなりますので、何とぞ私どもの意見をお汲みとりの上、御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/84
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085・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次に、私鉄経営者協会専務理事足羽則之君に御意見の御開陳を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/85
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086・足羽則之
○参考人(足羽則之君) 地方鉄道と軌道の事業税につきまして説明を申し上げる機会を与えられましたことを厚くお礼を申し上げたいと思います。
この私鉄の事業税につきまして、収入金額に対する課税をやめて所得課税にしていただきたいという意見は、私鉄の業界としましては、昭和二十五年の地方税の改正以来、今日までずっと主張して来たところございますが、今回政府から提案の地方税法の改正法案におきましても、まだ実はその実現をみておりません。この私鉄の事業税の外形標準課税がわれわれは妥当でないという意見を持っておるのでございますが、それは次に申し上げるような理由によるものでございまして、ぜひ今回の地方税法改正の機会に十分御審議を願いまして、われわれの長年の希望が達成されるように格段の御配慮をお願いしたい、こう考えておる次第でございます。
まず第一点といたしましては、私鉄に対する外形標準課税は、他の一般企業の所得課税に比べまして、税負担の点において著しく均衡を失しておるとわれわれは考えております。その理由でございますが、この私鉄に対して外形標準課税が課せられておる一つの理由といたしましては、地方税制度としては、できるだけ外形標準課税が望ましい、ことに私鉄は概して大規模な企業であって、所在しておる地方公共団体から受ける便益も大きいから、収益のいかんにかかわらず、いわゆる応益原則によって、ある程度の負担はやむを得ないのではないか、こういう議論をされるのでございます。ただ、われわれがこの議論を聞きます場合に、大部分の業種は全部所得課税でございまして、外形標準課税というものは、きわめて限られた業種である。非常に応益原則ということが、こうした地方税の原則であるようなふうに説明はされておりますが、実情は必ずしもそうでないのじゃないか、非常に限られた業種だけに、この外形標準によって課税されておって、私鉄はその方に入るわけでございますから、その点非常に不均衡ではないか、そういうふうに考える。また、私鉄が大規模企業だという言い方でありますが、大部分の私鉄は必ずしも大規模な企業ではございませんし、また、その業績も良好ではない。従って、私鉄に対する外形標準課税というものは、所得課税の場合に比べまして負担が非常に大きく、かつ業績の悪いものほど、その負担が重うございまして、他の一般企業との間に著しく税負担の均衡を欠いておる、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。従って、そういう理由で私鉄に課せられるということは、どうもわれわれとしては、はなはだ納得しがたいものがある、こういうふうにわれわれはまず考えておるわけでございます。
ただいま申しましたのは、税の均衡を欠いておるという点から申したのでございますが、これは同時に、実情を見ますと、私鉄に対する地方税の負担は過重でございます。この均衡を欠いておるという点と過重であるという点については、もしこれを所得課税にいたします場合と比較して、現在の制度では、法律上の税率で計算いたしますと、約二倍の税を負担いたしております。所得課税の場合に負担する税の金額の約二倍の税を現在の制度のもとにおいては負担をする計算になるわけでございます。これは非常に均衡を欠くという点からも、また過重であるという点からも言えると思うのであります。また、私鉄が地方公共機関、地方の交通機関としましては、あるいは輸送力の安全を確保するために、絶えず施設の改良なり、あるいは保守の強化を行う必要があるのでございますが、一方公共的企業としていろいろな制約を受けておりますために収益力は非常に低い、私鉄全体の平均としては約五分何厘、六分足らずの収益力のように数字は記憶しておるのでございますが、かりに五分の収益力の私鉄の場合においては、外形標準課税とそれから所得課税とでは、ちょうど二倍半の税金を外形標準課税の場合には負担をする、こういうまあ格好になっております。
第二点でございますが、私鉄はいろいろこの外形標準課税を課される場合に、第二の理由として、私鉄のような公共事業では運賃は認可制度であって、運賃を定める場合にその税金は利用者に転嫁し得る、こういう説明が言われるのでございますが、しかし私鉄の運賃は、あるいは国の物価政策なり、あるいは国鉄、あるいはパスとの関係上決して独占事業ではない。従って運賃も独占的にきめられるものでない競争運賃でございまして、原価を償い得ないような運賃である場合が相当たくさんございます。あるいはそれがほとんどの場合と申し上げてもよろしかろうとも思われる。従ってこの事業税の相当額を利用者に転嫁できるのでいいのではないかという理由も必ずしも成り立たぬ、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。
第三点といたしましては、前回の地方税法の改正において、パスが外形標準課税から所得課税にこの事業税が改正されたのでございます。バスも、あるいは私鉄も同様に運賃については認可制度であり、同様な運送という使命を担い、それぞれの地方においてはお互いに競争関係に立っている性質において、何ら同じ運送事業という意味で差別をつける必要のないバスと私鉄とについて、片方が外形標準、片方が所得課税ということについては、まあ今申しましたような、いろいろな理由から納得しがたいものがあると同時に、現実を眺めた感情においても非常に納得し得ない点があるのでございます。
以上の点から考えて、ぜひこの機会に私鉄の外形標準課税を所得課税に改正をしていただきますように、事業税についての御審議をわずらわしたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/86
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087・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 次は、日本乗合自動車協会専務理事石塚秀二君に御意見の御開陳をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/87
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088・石塚秀二
○参考人(石塚秀二君) 日本乗合自動車協会の石塚秀二でございます。本日ここにお招きを受けまして、私は軽油引取税につきまして意見を開陳する機会を私に与えていただきましたことは、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。
この軽油引取税を今回政府が創設する案を出しておられますが、これにつきましては、私ども乗合自動車業界はもちろんのこと、各自動車運送事業界はこぞって反対でございます。また、日本自動車会議所を中心としまして、自動車運送事業者の団体はもちろん、あるいは車両メーカーであるとか、あるいは石油関係業者であるとか、その他いろいろの自動車に関係します各団体二十五団体が集まりまして、軽油引取税の反対同盟を結成いたして反対いたし、国会にそれぞれ陳情いたしておるのであります。なお、これらの関係団体の事業面に従事しておりますところの労働組合、たとえば全国自動車産業組合でありますとか、全日本交通運輸労働組合、全国石油産業労働組合、こういった各労働組合もこの法案に対して反対の意思を表明しておる次第でございます。お手元に、われわれ乗合自動車業者としての反対陳情の要旨を差し上げてございますから、後刻御一読を願いたいと思いますが、私はこの際簡単にこの反対の要旨を申し上げてみたいと思います。
まず第一に、担税能力の問題について申し上げたいと思います。今日の自動車による運送事業をやっておりますもの、これは運送事業は、事業としましては一般の事業者の受けております税のほかに自動車税であるとか、ガソリン税であるとか、地方道路税であるとか、あるいは道路の受益者負担金であるとか、そのほか税ではありませんが、道路を改修します場合に、業者としては各地区、その地方から要請がありまして、道路改修に対する現物給与を要求されております。いろいろなそういった自動車のみ特有な税金を、あるいは税金に似たようなものをしょっておるのであります。ところが、ただいまの税制におきましては、自動車というものを客体として、これに対して税をかけるということになっておりまして、ところが自動車を持っておりますものには、いわゆる自家用車を持っているものと、事業として仕事をしているために自動車を持っているものと、この二種類ございます。そうして自動車によって事業をしておらぬ、いわゆる自家用自動車の所有者というものは、これは自動車というものについては、まあいわばアクセサリー、自動車はアクセサリーのようなものである、あってもなくてもよろしいものだ。あってもなくてもと言っては極端でありますが、そういうふうに軽いものである。ところが営業のために自動車を持っているもの、自動車運送事業をやっておりますものは、これは自動車というものはその事業についてほとんど資産の全部であって、自動車がなくては仕事ができない。自家用においては、たとえば税があまり高くて、いやガソリン税は上る、自動車税は上る、これはもう自動車を持っておっては損だと思えば、いつでも自動車を放棄することができますが、自動車運送事業においては、営業を続ける上においては自動車というものは絶対に放棄することができない、かように、そういう意味からいたしましても、自家用を持っているものと、営業にやっているものと、自動車に対する、自動車関係の担税力というものは、これは全く違うものであるということが言えると思うのでありまして、ここに自動車関係の税問題についての根本的な問題があると私は思うのでございます。ところが、今回創設されようとしますところの軽油引取税は、これは軽油を使用する自動車を持っておる者がかぶるわけでありますが、なるほど自家用の自動車も、トラックにおいては相当ございます。けれどもバスにおいては、ほとんどこれは全部営業自動車でございまして、全般から申しますると、営業者がほとんど軽油自動車を持っておるということが言えるのであります。そういたしますと、結果において自動車運送事業者が軽油税をほとんど全部かぶらなくちゃならないという結果になりますので、ここに非常に問題が深刻になってきて、われわれとしては、どうしてもこの税に反対ぜざるを得ないということになると存ずるのであります。
それから第二の反対の点を申し上げますると、この法律案によりますると、軽油税を目的税的に使いまして道路の改修に充てるのであるということになっておりますから、一見したところ、いかにもそれでは税を納めた者へ戻ってくるのだから、これは合理的ではないかというふうに一応考えられるのでありまするが、実際はそうでないということが言えると思うのであります。それは、現在のガソリン税の経過を見てわれわれはそういうふうに心配するのでございまして、御承知のように、二十九年におきまして、ガソリン税が目的税となって、ガソリン税額が全部道路の五カ年計画に充てられるということになりましたが、私どもは最初ガソリン税だけで道路の改修をするのでない、一般国費のほかにプラス、ガソリン税分が道路改修費に充てられるのだというふうに了解いたしまして、それに賛成いたしたのでありまするが、現状におきましては、三十一年度、三十年度の予算を拝見しても、一般国費というものはほとんどゼロでありまして、全部これはガソリン税で道路を修理するということになっております。しかも三十一年度におきましては、このガソリン税のうちからさらに道路公団に二十億持って行く、そのほか失業対策のための、これはまあ道路に幾らか関係はあるのでございますが、失業対策費として二十億近くの、二十億前後ですか、十四億ですか、そういうふうな数字が計上されております。このように一般の国費からほとんど出ないばかりでなく、ガソリン税そのものから直接道路に関係のない方へどんどん持って行かれておるというような現状であります。これは初めの話と非常に違うのであります。今回の軽油引取税についても、私はおそらくそういう問題が将来起ってくるのじゃないか。ただいまは、いわゆる県単独の道路費でも、約百七十億程度使われておるそうでございまするから、今回の軽油引取税は、それに比べるとあまり問題になりませんが、今のガソリン税の場合と同じように、将来はこの百七十億という一般府県の予算は、おそらく次第に軽油引取税に型をかえて逃げて行くのではないかという心配がいたします。なお、そのほかにさらに悪いことば、今度はだんだんそういって一般の府県の予算が逃げて行くのみならず、軽油引取税で今後は一つ道路をやって行こうということになりまして、これでは足りないから軽油引取税をもっと上げようではないかというふうな危険が多分に出てくると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/88
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089・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 御注意申し上げます。時間の関係がありますから、結論をお急ぎ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/89
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090・石塚秀二
○参考人(石塚秀二君) この引取税を道路費の目的税的に使うということについては、あまり賛成をいたしかねるのでございます。むしろこれが府県の赤字補てんのために必要であるならば、目的税的に使わないで、何に使われてもやむを得ない、そのかわり自動車関係のみにこの税をかけないで、全般の軽油に対してかけていただきたいということがわれわれの主張でございます。
なお、第三としましては、これは石油の関係者も来ておられますので、詳しくお話があると思いますが、一部、主として自動車関係のみ税をかけるということになりますと、そこに、販売の際に徴税することになっておりまするからして、いろいろなトラブルが起ってくると思うのでございます。そういうトラブルに比べて、これは一般課税にすることとどちらがよろしいかという問題が必ずあると思うのでありまして、この点は後刻石油関係者から詳しくお話があると思います。
なお、軽油に課税いたしますると、従来自動車事業者が軽油車を使っておりますその魅力と申しますのは、これは軽油に課税されないでいましたために、ガソリンに比べて非常に燃料費が安くつく、ことに軽油はガソリンに比べますると、一リッター当りの走行キロが、軽油においては四キロ以上も走りますし、ガソリン車では三キロ程度でございますので、走行キロにおいても得をしますので、非常に燃料費が安くつく、これが唯一の魅力でありました。それが、これに高額の課税をされるということになりますると、その魅力を失うということになって、軽油自動車に対する需要が減ると思うのでありますが、今日軽油自動車は自動車の輸出の上におきまして非常な大きな分野を占めております。この自動車輸出の産業にも、国内需要が減退することによって単価が高くなるということから悪影響を及ぼすのじゃないか、これは運送事業と直接の関係はございませんが、そういった不利があるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/90
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091・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 全国石油協会会長森平東一君に御意見の御開陳を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/91
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092・森平東一
○参考人(森平東一君) 販売業者を代表いたしまして、軽油引取税に関しまして意見を申し上げたいと思います。
結論から申しまするというと、軽油引取税は現在無修正ではどうも悪税である、よってこれを取りやめていただきたい、または延期していただきたい、がしかし、予算がすでに通過しておりますので、この裏づけをなすところの軽油引取税が通過しないというと工合が悪いんだということでありまするならば、大修正をして通過をしていただきたい、こう考えるのであります。先ほど汐見先生が言われるには、新税は悪税なりでありますが、この悪税をいい税に修正するようにして、そうしてわれわれが喜んで徴収義務者として徴税ができるように御修正を願いたい、こう考えるのであります。
そこで、その理由の第一を申し上げまするというと、税率が六千円である、これが少し高過ぎると思うのであります。それで現在の小売価格を土台といたしまして申し上げますると、灯油が一万九千円でございます。それから軽油が一万七千円、A重油が一万四千円、これが経済価格でございます。これに軽油に対して六千円かけまするというと、灯油は一万九千円、軽油は二万三千円、A重油は一万四千円となるのでございます。すなわち灯油の方が四千円軽油よりか安くなるということであります。それからA重油は九千円これも軽油よりか安いということになります。ところが、燃料は灯油、軽油、A重油と一体の体系をなしております。そこで軽油のかわりに灯油を使うこともできる、またA重油もかわりに使うことができる、すなわち代用品があるということ、同時に軽油に灯油またはA重油をまぜて使うこともできる。そこで需要者の方は、何しろ一ぺんに六千円も高くなるのですから、経営上どうしてもこれはまぜて使わなければならぬということになりまするので、結局混合使用という問題が起るのであります。消費者そのものが混合してお使いになる場合は問題ないのでございまするが、われわれ販売業者が混合して軽油を売るとなるというと違法行為になる、そこでこれは処罰されるということでございます。でありますから、こんなに高い税金をかけないで、まず最高三千円くらいにいたしたならば、あまり問題は起らないのじゃないか、こういう点が一点であります。
次に、免税措置の問題でありますが、これはすでに戦争前に鉱油免税ということが行われたのであります。このときに相当に問題が起った、ということは、いろいろ免税措置に関して不正行為が行われた、その中に業者が引きずり込まれていろいろ処罰されたという問題が全国にずいぶん数多いのであります。今回の軽油引取税に対する免税措置ということからも、おそらく相当に問題が起きてくると思うのであります。たとえば免税許可証のおりないうちに免税軽油を引き渡してもらいたいというような要求が起ったり、あるいはまた申請者が水増し申請をするという問題が起ってくる。それから何といたしましても一キロ六千円のプレミアムがつくことになるのですから、結局いろいろの手段を講じて免税許可証をもらいたいという希望が起ってきます。その場合におきまして、こういう免税措置、すなわち戦争前の問題でありますが、このときも相当汚職問題が起きたのであります。キロ六千円というと、かりに十キロだというと六万円のプレミアムがつく、そうするというと、どうも汚職問題とか、あるいは業者の方がその中へ引きずり込まれるというような不祥事件を相当これははらんでおる問題であります。ところが業者の方はそういうことはあまり好まない、けれどもお得意様のことでありますので、これを拒絶するということによってお得意様に逃げられるという可能性がある、それを心配いたしますので、どうもいやいやながらその中に引き込まれて行くというような場合が多々あるのではないかと思うのであります。こういう問題を考えてみますると、どうもその免税措置はまずいということになりますので、過日衆議院においても、衆議院の地方行政委員会で参考人として大阪府の税務長の播磨さんが公述されたのであります。そのときに徴税者の立場から、軽油引取税は課税、非課税に区分される、で、免税証明書が要求されるのだが、この適不適を判断するのはまことに困難である、むしろ不可能ではないか、こういう御意見があったのであります。それで申請がありました場合に担当官が実際にお調べになって、そうしてその適不適を決定いたしまして証明書を出せば問題がないのでございますけれども、とにかく消費者は非常に多いのであります。そうして免税の資格者も多いからして、担当者が一々出かけて調べることはできない、要するに書面申請であります。書面申請にして間違っていなければ判を押して免税許可書を下すということであります。こういうような方法で今回も実行されるのであろうと思います。そうすると、どうしてもキロ六千円というものがついていると、その金額が大きいから、まあいろいろ不正問題が起ってくる、こういうふうに考えられます。この中へ販売業者がどうしてもこれは巻き込まれるような可能性がある、こういう見地から、われわれ販売業者としては、どうも税率が高過ぎるということを申し上げなければならないのであります。もし税率が安ければこの問題は起ってこないのです。すなわち値段の点からいって軽油と灯油があまり違わない。それからA重油との開きもあまり違わないというと、まぜて売るというような必要がなくなってくるわけであります。また免税申請者も、その税額があまり高くなければ何も好んで不正行為をする必要がないということになるのではないかと思うのであります。そこで、自治庁の方におかれましても、この税法を立案するにずいぶん御研究なされたことと思います。その関係か、税法の三分の二というものは罰則規定でございます。税金を徴収するという規定はごくわずかなんであります。これもすなわちこの新税の執行に当っていろいろむずかしい問題があるということなんであります。でありますので、われわれの考えといたしましては、どうか新税の創設に当りまして悪税とならないように、すなわちよい税金となるように御修正を願いたい。
そこで、しからばあまり税額を安くすると、予定の税額が上らないのじゃないかという心配もあるかもしれないのであります。けれども消費量は、軽油が三十一年度におきまして百万キロという数字が大体決定したようであります。けれどもガソリンの場合のごとく、自動車で使うところの軽油は相当にふえて参ります。われわれ業者の立場から言うと、おそらく自然増収というものは非常に多い、百万を突破して、百十五万キロぐらいになるのではないかと思います。現在もうすでにそういう傾向を現わしております。でありますので、かりに全消費量の約五〇%を課税対象の自動車の方面で使うといたしまして、もし税額を三千円に下げたといたしましても、本年度の予算に組まれているところの税額の徴収は十分私は可能ではないかと思うのであります。
それからもう一点申し上げたいのは、燃料油の価格は日に日に今下っているのであります。御承知のごとく、通産省では三十年度の下期から外貨予算を非常にふやしたのであります。また、三十一年度も三十年度の二割くらい外貨資金を増加したのであります。その関係でガソリン、軽油、灯油等は非常な供給過剰の市況を表わしました。その関係で値段はもうどんどん下っております。そこで昨年の九月と今日を比較いたしますると、ガソリンはすでに一キロ三千円下っているのです。それから軽油は二千円、灯油も二千円下っております。そういうふうに値段が安くなっておるのですから、かりに二千円かけたならば九月とパーになってしまう。九月のときにおいては、自動車業者が値段が高くて困るというような声は全然ないのであります。また漁業者方面においてもそういう声はない、農業者の方においてもないのであります。でありまするから、税率を安くすることによって適正課税にして、いい税にしたらどうかと私は思うのであります。
以上の点から考えてみますると、どうしてもこれは大修正をやっていただいて、減税にしていただきたいと思うのであります。それが税の施行上非常にいいことじゃないか、こう私は考えておるのであります。
それから、われわれ販売業者は徴税義務者となるのでございますから、徴税義務者は一カ月の税金を翌月の十五日に集めて納税しなければならぬ、その後六十日間の猶余を認めるが、しかし担保を要求する、これがちょっと無理の点がある。大体今まだ日本の経済があまりよくなっておりませんので、今われわれの取引は大体九十日、あるいはそれ以上で決済がついております。でありまするから、納税期間を九十日くらいに延ばしてもらいたいということであります。それから担保を出せというのですけれども、これは全然担保を出す余裕がないのであります。現在の取引におきまして、戦前とは事違い、ほとんどあらゆる財産、動産、不動産全部をあげて担保に提供しております。そうして商売をやっておるのでありまして、今度はこの引取税ができるというので、また担保をとられるのでは販売業者の方ではとても担保は出せない、こういうような状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/92
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093・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 結論をお急ぎ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/93
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094・森平東一
○参考人(森平東一君) そこで実はこの軽油引取税の問題につきまして、全国の業者が非常に心配いたしまして、去る三日に全国石油販売業者が反対決起大会を開催した、目下各地方から集まっておりまするものが百名くらい在京しております。それで反対陳情をしておるのでございますが、中にはこの指定徴収義務者をごめんこうむりたい、徴収義務者を総辞退したい、または軽油は全然売らないというような決議をして、全部でやろうじゃないかという提案もあったのであります。けれども、これは不穏当であるからして、われわれは参議院の先生各位にお願いして大修正を行なってもらって、これを実行するようにしてもらうから、そいうような行動はとらないようにしてもらいたいと実は押えている次第であります。
以上のような状態でございますので、どうぞこの問題を十分御審議下さいまして、修正が可能のようにしていただきたいのであります。衆議院の方では、何かある条件付きでもって無修正で通過されるようなふうに聞いておりますけれども、こういうふうに悪い点が十分わかっておるのでございますから、その点を修正して、そうして本税の創設をはかるということにすることが、すなわちこの本税が円満にスムーズに実行できることであるのではないか。どうかこの点を十分御審議下さいまして修正して下さるようにお願いいたします。
以上をもって私の口述を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/94
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095・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 以上で、本日おいでを願いました参考人の御意見の開陳は終りました。
これより委員各位の御質疑を願います。御質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/95
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096・小林武治
○小林武治君 汐見先生に伺いますが、先生は税制調査会においでになっておりますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/96
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097・汐見三郎
○参考人(汐見三郎君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/97
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098・小林武治
○小林武治君 そうしますと、私ども軽油引取税というものを目的税にされた、こういうことについては必ずしも納得しかねるのでありますが、どうしてこれを全面課税にされなかったか、こういうことを一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/98
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099・汐見三郎
○参考人(汐見三郎君) 税制調査会では軽油引取税はきめておりませんです。地方制度調査会の方で軽油引取税を考えたのであります。それはどういう考え方から来たかと申しますると、道路が非常にこわれる。それから道路というものがどうしても完備しないといかぬのじゃないか。それで地方道路税でガソリンに税金をかけて、それを地方道路の改修の財源に充てていく。そうすると、軽油の方の場合とのバランスをとるために自動車税というものを、自動車でガソリンを使う自動車と、ガソリンを使わない自動車ということで差別をつけておったのであります。ところがそうではなしに、自動車は一体にしてしまって自動車にガソリン税をつける区別、差別課税はよしてしまう。むしろ動力の方が、ガソリンとバランスをとるために軽油引取税というものを作ったらどうかということで、そこで軽油引取税という問題が出て来たわけでございます。ただこれは地方制度調査会――私間違っておりまして、税制調査会でも軽油税の答申があったそうでございますが、私ちょっと今……、その方が正しいので、今のは間違っておりました。地方制度調査会じゃなしに、税制調査会の方で軽油引取税の答申があったそうであります。地方制度調査会と間違っておりましたから訂正いたします。それでそういう関係でしたわけでございまして、技術上の点につきましては、どういうふうのところで全面的課税をするか、あるいは部分的の課税をするか、いろいろこまかい免税規定をどうするとかいう問題は、そう深く立入って研究はしなかったのであります。本来の趣旨から申しますと、ガソリン税のところでこの道路財源にするという目的税から参りますと、軽油をほかのところへ使う分に税金をかけるということは穏当を欠くではないか、目的税にしたものでございますから、免税規定を設けるということで、免税規定と申しまするか、私も少しうかつでございまして、今答申をこちらに持っておりませんから、ただ真の物の考え方というものは、そういう場合にガソリン税が主になって、それからガソリンとバランスをとるという意味で、そこで軽油引取税という考え方が出て来た、そういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/99
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100・小林武治
○小林武治君 先ほどから参考人のお話もあったように、一般財源はほとんどそのまま、ただ財源の肩がわりをするというような格好に主としてなるわけであります。ガソリン税もそうだし、また今度の税も同じことになると思いますが、これは税制としまして、私どもはあまり目的税というものは好ましくない、こういうように思って、ガソリン税を創設する際も、これは目的税としてほとんど例外的に設けられたのではないかというふうに考えておるのでありますが、こういうようにたくさん出てくるということは、私は税体系としても、むしろ今までのお説から言えば、これに逆行する考え方じゃないか、こういうふうに考えます。ことに今度のこの軽油引取税は、結果論から言えば、自動車にかけるために目的税にしたのじゃないかというふうな結果論まで出てくるので、ほかの農林漁業というようなものは全部、免税になっておるということについても相当異論があります。それで、ことに石油の扱い業者の方からのお話のように、ガソリン税を目的税としたのであるが、しかしこれは国税であるからして、これは非課税になっておる、販売業者はこれは影響ありませんが、今度は非常なめんどうな、さっきお話のように三分の二も罰則を作らなければ税金を取れない、こういうことで私は非常な弊害を認めておる。だからして、なるべくならばわれわれは目的税でない方がいいというような考え方をしておりますが、税のまあその学説と申しますか、方針と申しますか、これから目的税というものはだんだんふえてくる傾向にある、こういうふうにわれわれは考えるべきであるかどうか、その点を一つ承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/100
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101・汐見三郎
○参考人(汐見三郎君) 目的税は例外的なものでありまして、やはり一般税の方がこれは税としては好ましいというふうに思っております。ただ地方税、地方財政については例外的の目的税を作る。それで国税の方ではいろいろ揮発油税が一種の目的税とも考えられますが、今それで揮発油税から地方道路税というふうに分離いたしまして、地方道路税を地方譲与税に、国が地方道路税とガソリン税を一緒に取って、それからその分を道路の面積によって地方に譲与する、府県及び五大市に譲与するという形をとる。それで水利地益税、それから共同施設税、地方税だけについては目的税というものがあって、国税では目的税をやらない。それから都市計画税、この辺のところで大体終るのじゃないか、幾らでもふえてくるというのではないというふうに私考えております。
それから国税としては目的税は好ましくない、しかし地方税としては地方団体というものの性質、地方自治体の性質としてある程度までの目的税は許さるべきではないか、むしろ好ましいのじゃないか、地方団体の財政当局といたしますると、そういう御希望も相当、地方財政の運営の立場から見ますると、それも望ましいことじゃないかというふうに私は考えております。ただ、さっきお話がありましたように、何分にも新税でありますから、十分に具体的にこまかいところまでその税制調査会ではいたしませんですし、大綱だけを税制調査会は答申したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/101
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102・小林武治
○小林武治君 今の目的税、いわば国税でもガソリン税、地方道路税、これは国で取っておりますが、これは一種の目的税の性質を持っておると思うのです。で、地方税で実は目的税というものを大体作りたいのです、地方団体としては……。私はしかしあまり好ましくない。ことに教育なんかについては教育税なんという説まであるのですが、これは割合に差別待遇というものはあまりない。ところが消費税的なものには、どうしても私はめんどうな結果が出てくると思うのでありまして、地方に行くと、これは今度の問題については非常に不平が多い。要するに、その税の差別待遇というようなことについてですね。しかもこれがある程度従来の道路財源にプラスして使われるというならば、これはまた業者としても承認できるのでありましょうが、従来の財源はみな逃げてしまって、ほとんど財源が、今度この軽油引取税だけになってしまうというふうな傾向が強い。そうすると、さっきお話のあったように、ただこれは地方の財源を、赤字補てんするための税だけである、こう酷評されても、これはやむを得ないのじゃないか。これはまあ地方団体の経費の使い方から、そういうことが展開してくるのでありますが、しかし事実はそうです。従ってこれは目的税じゃない。ただ赤字埋めに使われるのだ、こういうふうな議論が出てくるのも私はやむを得ないと思うのでありまして、まあ繰り返して申せば、私は目的税というものはあまり役に立たない、こういうふうに思うのでありまするが、今、先生は、そうすると、大体目的税はこの程度でとどまるべきものだと、こういうふうなことでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/102
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103・小笠原二三男
○小笠原二三男君 関連して。その点ですが、石塚さんに伺いますが、この六千円課税ということで運賃という方面に与える影響となれば、どの程度のことになりましょうか、計算上……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/103
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104・石塚秀二
○参考人(石塚秀二君) まあ、これは今日自動車運送事業は非常に苦しいのでございまして、税金ばかりでなく、あるいは最近は、これはまだうわさでございまするが、非常に鉄鋼などが上っておりまするので、車の値段も上げなくちゃならぬというふうなことをメーカーがこれは言うておるそうであります。何もかも上りまして、これはあえて軽油ばかりでなく、全般が上ってくる傾向にありますので、非常にこれは今日の運賃では苦しいという状態になっております。そこにもってきまして、こういうふうに税金が多少でも上りますことは非常に痛い。今ここに軽油が六千円取られて運賃はどのくらいにしなければならぬかというふうな具体的な数字は作ってございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/104
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105・小笠原二三男
○小笠原二三男君 一般的に、このことが実施されれば、そういう運賃というようなのは上る傾向にありますか、それとも今の経済情勢では、上げればやはり業者は成り立たないということで、上げないということで行きますか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/105
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106・石塚秀二
○参考人(石塚秀二君) こういう税ができますると、それを機会に上げる方向に向って行くと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/106
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107・小笠原二三男
○小笠原二三男君 高辻さんに伺いますが、前段で御口述になっている一般的な地方財政の問題に関連してですが、今始まっておる財政再建団体ですね、あの団体に指定される場合には、知事会の方としては、一般公共事業費がどの程度下回って行くというふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/107
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108・高辻武邦
○参考人(高辻武邦君) 再建整備の指定団体に指定されました場合に、公共事業費をどの程度に押えるかということにつきましては、実はまだ政府の方から明確なる指示がないのであります。いろいろ私どもうわさを聞いておりますけれども、まだはっきりどの程度に押えるということの御指示は受けておりません。これは非常に私はむずかしい問題だと存じておりますので、知事会におきましては、この点を非常に今考究をいたしておるのでありますが、たとえ指定団体として指定されましても、この災害の予防、交通の確保というような関係からみまして、あるいはまた農業水利の増進というようなことからみまして、公共事業を著しく下回って押えるということは適当ではないのではないか。これはむしろ指定団体であればあるほど、やはり公共事業は著るしく下回って押えることよりも、むしろ財政的の援助によってやはり地方の民生の安定とか、あるいは福利の増進ということをはかって行かんならぬのではないかと思っております。一般的にそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/108
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109・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで、国の予算の執行の関係からみれば、補助事業その他については再建団体になる、ならぬによって負担能力があるかないか、地方がですね、そういう問題から、国の方の各省でそれぞれの事業について県等に金を渡すのについては、県の決意いかんであるというふうに手控えておる、県の方が誠意があるか、ないかというようなことで手控えておるというようなうわさを聞くんですが、そういうような点で困ることが起ってきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/109
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110・高辻武邦
○参考人(高辻武邦君) 再建整備の指定を受けたものに対しまして、ある意味における懲罰的の意味において公共事業を押えようとする空気が政府内にあるように実は私承わっております。つまり、お尋ねの地方団体の誠意の有無というようなことを、つまり赤字を出した団体はすなわち誠意に乏しい団体であるというように考えておられる傾向が私はあるように思うのでありますが、これは私は一がいにそういうふうに論定することは適当ではないのではないかと思っております。中には財政経理が妥当を欠きまして赤字を出したものもないとは私思いませんけれども、やはり連年の災害によって非常な財政が圧迫を受けておるとか、あるいはその県が特に直轄事業が多いために分担金を多額に負担をして参っておりますとか、あるいはそういう直轄事業の施行が戦前において行われた団体は有利であり、戦後にあと回しにされたものは不利であるというような事情もありますので、赤字団体がすなわち誠意がないんだというふうに政府内でお考えになるようなうわさを聞いておることは、私は適当でないと思っておりますので、これは要するに財政監督の立場に立たれる自治庁におきまして、建設省、農林省と御相談になって適当に押えて行く、赤字整備の団体に対しては、ある程度の公共事業費を手控えさせる必要があるとは存じますけれども、しかし限度があることと存じますので、橋梁のかけかえとか、道路の整備、それから農地改良というようなことにつきましては、やはり地方の福利の増進、民生の安定ということからみまして、著しく下に押えることは私は適当でないと思っております。でありますから、赤字整備団体に対しましては、適当な財政経理の監督を強化せらるる必要は私は認めますけれども、また反面におきまして、そういう団体であればこそ、やはり政府がある程度までこれに対する財政を育成せらるる意味において、公共事業におきましては、場合によって有利にお考え願わなければならぬ場合も私は多々あるのじゃないかと思っております。このことにつきましては、正確な結論はまだ私は得ておりませんが、政府の御指示が近く何分にもあることではないかと思っておりますけれども、今申し上げましたような意見は時々関係省には申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/110
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111・小笠原二三男
○小笠原二三男君 各県、市町村でその点を非常に心配して、そのことがどうなるかという見通しが立たないがために、再建団体の指定を受ける手続をちゅうちょしておるという向きがあるように伺っておるのですが、そういう傾向はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/111
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112・高辻武邦
○参考人(高辻武邦君) 御質問の通りの傾向がただいまあると思っております。やはり指定を受けますというと、非常な事業方面において不利益をこうむらないかということにおいて、事実ちゅうちょをいたしておる団体は相当数あると私は思っております。このことにつきましては、なるべくすみやかに政府内におきまして明確なる方針をお示しになって、必要以上にそういうことについて脅威を感じないようにさせる必要があるのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/112
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113・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 他に御発言はございませんか……。御質疑がないようでありますから、本日はこの程度にいたします。
参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は長時間にわたりまして大へん有益な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。今後、本法律案の審査に当ります際には、委員一同、皆さん方の御意見をも十分参考といたしまして、慎重に法案の審査に当りたいと存じております。この際、委員一同を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X01819560406/113
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