1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十二日(木曜日)
午後一時五十一分開会
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委員の異動
本日委員植竹春彦君及び長島銀藏君辞
任につき、その補欠として伊能芳雄君
及び佐野廣君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
伊能 芳雄君
遠藤 柳作君
木村篤太郎君
佐野 廣君
苫米地義三君
中山 壽彦君
田畑 金光君
高瀬荘太郎君
廣瀬 久忠君
国務大臣
運 輸 大 臣 吉野 信次君
国 務 大 臣 正力松太郎君
政府委員
法制局第二部長 野木 新一君
人事院総裁 淺井 清君
科学技術行政協
議会事務局長 鈴江 康平君
行政管理政務次
官 宇都宮徳馬君
行政管理庁管理
部長 岡部 史郎君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○運輸省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○恩給法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(野本品吉君外二
名発議)
○科学技術庁設置法案(内閣提出、衆
議院送付)
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○国家公務員制度及び恩給に関する調
査の件(公務員の給与問題に関する
件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/0
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。
委員の変更について御通知を申し上げます。
三月二十二日、委員植竹春彦君及び長島銀藏君が辞任せられまして、その補欠に伊能芳雄君及び佐野廣君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/1
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002・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。吉野運輸大臣より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/2
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003・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それでは申し上げます。
今回の改正の要点は、運輸省の付属機関でありまする中央気象台を運輸省の外局とすることであります。
現在、中央気象台炉所掌しております気象業務は、航空、海上はもとより、陸上におきましても交通安全の確保に最も重要な関係を有しておりますが、その他農水産業を初め他産業への寄与、国土の災害防止、学術研究その他各種事業に対する基礎資料の提供等国民の生活領域に深く浸透して、不可欠なものとなっているのであります。
気象業務は、右のように、関係各省の行政にもそれぞれ密接な関連を持っておりますので、常にこれらの機関と緊密な連繋を保持することが必要であります。
また、気象業務は、近年ますますその利用価値が高まり、利用の範囲も広汎な分野にわたり、気象業務法に基く行政事務の運営に一そう的確、迅速を要することになりましたので、同法に定める運輸大臣の権限を中央気象台に移して、気象業務の万全を期する必要があります。
このように、中央気象台の業務は、その性質が多分に現業的であり、かつ、全国的に百六十余の地方機関と、千五百余の観測所等が網の目のように有機的に組織されており、五千百五十名の職員を配置して、一体的に業務を遂行する大きな事業体であります。従いまして、中央気象台は、国家行政組織法第八条のもっぱら試験研究を行う付属機関であるよりは、むしろ同法第三条の外局とすることが適当であると考えますので、運輸省の外局として、気象庁といたしたのであります。
次に、この法律案の概要について御説明いたします。
気象庁は、従来の中央気象台の任務及び機構を踏襲することとなりますが、機構につきましては、本庁の内部部局として、総務、予報、観測及び海洋気象の四部を置き、付属機関として気象研究所、高属気象台、地震観測所、地磁気観測所、気象庁研修所、気象通信所及び気象測器製作所を置き、地方機関としては、管区気象台及び海洋気象台を、また、これらの事務の一部を分掌させるため、所要の地に地方気象台、測候所等を置いております。
なお、気象庁の設置に伴いまして、国家行政組織法、行政機関職員定員法、消防法及び水防法の関係規定を整備いたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要でありますが、気象業務の改善につきましては、今後予算措置と相待って、技術、制度、その他所要の改善を行い、交通の安全、災害の予防等に貢献いたしたい所存でありますから、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられるよう御願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/3
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004・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次に恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。発議者野本品吉君より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/4
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005・野本品吉
○野本品吉君 ただいま議題となりま押した恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、提案者を代表いたしまして、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
公務員の在職年に対する加算制度は、昭和二十八年恩給法の一部を改正する法律によって原則として廃止されましたが、改正前の恩給法第三十八条の四に規定する蒸気機関車の乗務員等のごとく、いわゆる不健康かつ危険な業務に従事する職員の加算制度については、別途措置ぜられることになつておりましたので、それまでの間、これらの人々については従前の通り加算を認めるととに恩給法の改正を行なったのでありますが、昭和三十一年三月三十一日をもって、その期間が満了いたしますので、更に一ヵ年その期間を延長して、これにかわる制度の決定をみるまで、移行による空白を補うための措置をいたそうとするのが本案の要旨であります。
何とぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんととをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/5
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006・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 以上二案の法律案につきましては、本日は提案理由の聴取にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議はし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/6
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007・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/7
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008・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次に科学技術庁設置法案を議題といたします。
本案に対する御質疑のおありの方は御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/8
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009・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 この前もどなたからか御質問があったように思いますが、はっきりいたしませんのでもう一度お尋ねしたいと思います。
一つは衆議院で修正されました第七条の問題でありますが、「科学技術に関し、」というのを削除せられたわけでありますが、その意味をもう少しはっきり伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/9
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010・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) この第七条の五の「科学技術に関し、」という字を削除いたしましたのは、日本学術会議は御承知の通り人文科学と自然科学両方面にわたっていろいろ審議答申をするということになっておるのであります。また一昨日御質疑がございましたが、自然科学と人文科学は截然と区別のできない部面もたくさんあるだろうということで「日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申又は勧告に関すること。」という点に関しては、自然科学と人文科学をこれは区別しないで、両方面にわたる広範囲な審議、答申、勧告にしておく方が科学技術全般の推進に対して寄与するところが多いだろうということで、衆議院においては修正されたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/10
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011・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 そうしますと、これを削除された意味は、自然科学ばかりでなくて、社会科学なり文化科学に関しましても、日本学術会議への諮問とか勧告というようなものをやりたいという点がおもなる点でありまし上うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/11
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012・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 日本学術会議を対象といたします場合は、自然科学と限定せずして、いわゆる人文科学も含めた広範囲なものにしておく方が全体の推進をはかることにおいて有無相通ずる便宜がある、そういう点で御修正になったと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/12
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013・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 私は元来科学技術の振興について、社会科学なり文化科学をも科学技術庁で所掌されるということを希望するものなのでありますが、しかし今度の科学技術庁設置法の趣旨から申しますと、社会科学、文化科学を除いた自然科学についての科学技術の振興をもっぱらおやりになるということになっているのじゃないか、その点とここが矛盾してきやしないかということを考えます。ことに日本学術会議へ諮問をされたり勧告するような場合に、文化科学なり社会科学についても諮問するというのなら、やはり平素から科学技術庁において、そういう方面についての調査なり研究というものをやっておられなければ意味がないのじゃないかというふうに思う。そうしますと、本来は私は社会科学、文化科学も入れることに賛成でありますけれども、設置法の趣旨からいうと、それは除いてある、除いてあるのにかかわらず学術会議との関連についてだけこれを取り入れるということは、非常に矛盾をするし、実は何にも役に立たないと思うのですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/13
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014・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 政府原案には、お説の通り自然科学に限定いたしまして、日本学術会議への諮問、答申、勧告ということにいたしたのでございますが、衆議院におきまする委員会での御構想は、自然科学と人文科学は一応区別をしておるけれども、自然科学をいろいろ研究進展していく過程においては、どうしても人文科学と相関連する部面も出てくる。だからこの際、この項に関する限りにおきましては、「科学技術に関し、」というものを削除した方がいいという全会一致の御意見でございましたので、この御修正になったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/14
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015・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 私は政府の、原案の方炉筋が通ると思うので、改正案はおかしいと思うのですが、その点政府もよくお考えになっていただきたい。
それで次になおお尋ねしたいのですが、まあ科学技術庁の役割のおもな点が、日本全体の科学技術振興に関するいろいろな総合的調整をする、こういうことにあるわけです。そしてそれをやるにつきまして、研究の補助金とか交付金というようなものについても科学技術庁の方で調整をされるというような趣旨になっておると思うのですが、日本学術会議でもこれをやっておった。それはもっぱら文部省関係の方面の補助金なり交付金なのでありますが、それについては今まで通り日本学術会議のやっておったことも認められるのか、その方は科学技術庁の方へ移されるのか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/15
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016・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 御指摘のように、従来学術会議におかれましては主として、文部省に関する人文科学、自然科学の問題に対して御審議があったように存じているのであります。この科学技術庁は、ここにもございます通りに、文部省の行いまする研究は原則としてこれを除外しているのでございまして、従来通り文部省に関しましては学術会議でこれをおやりになる。また科学技術庁の行います科学技術行政に関しましても、特に学術会議の意見を徴することが科学技術行政を全からしめるゆえんだと考えまして、この第七条第五号を設けたのでございまして、科学技術庁といたしましては、学術会議の御意見をあくまでも尊重する意味で密接な連関をとって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/16
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017・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 科学技術庁所管の対象から除外されているのは大学の研究なんです。文部省所管の研究の補助金、交付金というのは、大学に限らない、一般の学者の研究に対しても補助金、交付金を出している。その点との関係はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/17
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018・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) お説のように、文部省で扱っております補助金と申しますのは、大学に行きますのと、それから大学教授あるいは民間の方との共同研究に出しますものと、二種類あると思うのでございますが、それで、最初の大学に関するものの問題でございますと、これは科学技術庁の問題外かと思うのでございますが、それ以外の問題、たとえば試験研究補助金というのがございますが、そういったものは科学技術庁において取扱うことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/18
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019・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 私の理解するところでは、そういうものも日本学術会議の委員会でもって大方針を決定していたと思う。そうしますと、大学以外のそういうものについては、やはり文部省所管のものでも今度の科学技術庁の仕事の方に移される、こう理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/19
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020・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) お説のようでございまして、ただいまのところ、従来科学技術行政協議会で行なっておりましたやり方を申し上げますと、文部省の方から政府の方に提案炉ございまして、その結果、学術会議に諮問いたします問題と申しますのは、今高瀬委員からお話ございましたように、文部省の補助金の予算の交付の方針並びにそれを配付いたします委員の選定ということを依頼しているわけでございます。そういったことは今後も科学技術庁において、文部省を経由いたしまして、この科学技術庁に置かれます科学技術審議会、おそらくそれを経由いたしまして、その結果、学術会議の方に諮問することは従来通りであろうかと思います。それから、そのほかの省の研究補助金につきましては、従来は学術会議に対しまして方針の審議を求めていなかったのでございます。と申しますのは、各省の補助金の方は、文部省の補助金と違いまして、相当程度研究の目的がはっきりしておりまして、つまり応用研究でございますので、各省の行政に必要な研究を完成するためにはどういった補助金を出すかということは、それぞれ各省に審議機関もございまして、その方針を決定しているわけでございます。ただ、それにいたしましても、その方針のもとに、どういった人にその補助金をやった方がいいか、あるいはその方針のもとに、どういった研究テーマに金を与えた方がいいかというような問題を、やはり各省独自では決定しねいで、学術会議に諮問したいということで、各省といたしましては、そういった補助金を審議いたしますところの委員の選定を学術会議にお願いをしている。そういうことで、学術会議の方からそれに対する委員の推せんがありまして、その方々によって補助金の交付をするということでございました。従いまして、文部省の補助金と各省の補助金とはいくぶん学術会議との関連において相違があるということが今までの経過でございますが、おそらく科学技術庁になりましても同じような行き方になるのではなかろうかというふうに想像されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/20
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021・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 そうしますと日本学術会議でやっておりました補助金、交付金の交付の大方針の決定とかいうことは、今まで通り日本学術会議がやるのだと、こう考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/21
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022・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) 私どもたぶんそうなるであろうということに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/22
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023・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 次にもう一つ質問に移りたいと思いますが、大学の研究を除外されたという点なのですが、これは学者の方面からの申し入れもあって、大学の研究の自由、こういうような見地でお考えになったと思うのですが、日本全体の科学研究を総合的に振興していこうというような立場や、日本全体の科学の研究を促進するという立場からいきますと、大学の研究というものとほかの研究というものをやっぱり関連させて協力的な状態に置くということもぜひ必要なことじゃないかと思います。この前の委員会で参考人として学術会議の茅会長らその他学者も見えて、大学の研究というものをやはりほかの研究から全然分離するということはよろしくない、やはり何らかの方法でもって協調をする、あるいは協力をするということは必要だということを認められておって、ことに原子力関係なんかは、その必要は現在最も多いと思うのですが、そういうことはお認めになるだろうと思いますが、そうすれば大学の研究というものとその他の研究というものの連絡をどういうふうにお考えになるか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/23
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024・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) この大学の研究と一般科学技術の振興とをどういうふうに調整していくかという御質疑のようでございますが、これは非常に重大な問題でございまして、この点に関しましては政府といたしましてもいろいろ配慮をいたしたのであります。しかし原則といたしましては大学における基礎科学の研究は、一応これを科学技術の行政面から除外いたしまして、学問の自由、研究の自由というものを確保する。それはしかし非常に重大な科学技術伸展の基礎をなすものでありますから、これはどうしても科学技術の進歩発達のためには大学の基礎研究を取り入れていかなきゃならぬということは、これは申すまでもないことであります。従ってこの間の調整に関しましては、常に大学の研究において取り上げられるものはいろいろな方法においてこれを実施面に移したい、たとえて申しますならば、大学の研究室から出て参りました発明特許というようなものは、これを中間工業試験に移すという必要のあるものは、文部当局と相談をして中間工業試験に移すようにするとか、また常に大学の研究の実態についても、許される範囲内においては常にその報告等を求めて、これに注意を払うというようにいたしたいと、さように存じまして十一条の第三項でこれに関しまして「科学技術の振興及び資源の総合的利用に関する重要事項について勧告するととができる。」とか、あるいは必要があると認められるときはその報告を求めることができる。とかいう範囲内におきましては文部大臣との了解の上で、一切を含めてこれをやるということにいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/24
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025・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 十一条の項目はやっぱり大学に対してもで香るというこういうお考えなのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/25
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026・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) これに関しましては特に衆議院の委員会におきましても文部大臣の出席を求めまして大学の研究の独立自主性を阻害しない範囲内においては文部大臣も報告をし、それから勧告を受けるということに相なっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/26
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027・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 ただその程度だけでは実際に連絡が十分つきにくいのではないかということを私はおそれるのですが、やはり平素から大学と科学技術庁との連絡協議機関というものを作って、まあ強制するわけじゃないけれども、お互いに科学技術の研究についても両方を知らせ合うとか何とかというものは必要じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/27
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028・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 御指摘の点に関しましては第十六ページにございます科学技術審議会を設けまして、この審議会委員には学術会議の方からもそれから学識経験者の方からも委員になっていただきまして、大学の基礎研究とは密接な連関をもって科学技術の行政に誤りなきを期していきたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/28
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029・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 なおこの法律によりますと、日本の国民経済の発展、生活水準の向上のためという点が非常に重要視されているわけで、この経済的方面での科学技術の振興ということが非常に重点的に考えられているのではないかと思うのですが、そういう点につきまして特に何か具体的にやはりこういう産業科学とか産業技術というものについて重点的に振興したい、こういうようなことで具体的な方策はお持ちにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/29
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030・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 御承知のように政府で立案いたしました経済五ヵ年計画におきましても、重点的に取り上げておりますのは貿易の伸張及び雇用関係ということになっておるのでございますが、常に言われておりますことは、日本の科学技術がまだ外国のそれに比して劣勢であるがゆえに、日本の商品が外国の商品と国際市場において優位を争うのにまだまだ勉強する度合いが足りないのではないか、こういうことも言われておるのであります。また同時に日本に埋蔵されております未利用資源の開発によって新たな職場を作り、そうしてここに雇用関係の充実をはかっていかなければならないということも言われておるのでございますが、この点に関しまして日本がいかなる研究、実験を各研究所、実験所において行なっておるのかという点に対しましても再検討を加える必要があるのではないかと考えられるのであります。従いましてこの法案の重点的な考え方といたしましては、科学技術庁が設置いたされましたならば、まず第一に中央地方の研究所、実験所に対して再検討を加えて、そうしてどういうものを重点的に取り上げたならば国民経済の発展に寄与することができるかというようなことを、衆知を集めて決定いたしまして、この点に対する重点的だ施策を行なって参りますならば、この科学技術庁設置の眼目が徐々に達成せられるのではないかと、さように考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/30
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031・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 そういう産業科学、産業技術方面の研究行政機関として通産省に工業技術院というものがある。工業技術院との関係はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/31
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032・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 工業技術院は通産行政遂行の必要上各種の日本の生産業に対しての検討、助成を加えておりますととは御承知の通りでございます。ただ科学技術庁といたしましては、各行政機関にまたがっておりまするものを総合調整して、重点的な施策を推進していきたい、かように考えておるものでございますから、工業技術院の今日までのあり方に対しましても再検討を加えて、将来は必要によっては今まで工業技術院のやっておりましたもので各行政機関にまたがって総合調整を必要とするものは科学技術庁に持ってきてやって参りたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/32
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033・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 なお産業科学なり産業技術の研究ということになりますと、官庁でない産業会社の持っている研究所というものが非常に大きなものがたくさんあるわけですね。そこでもいろんな研究をやっておりますが、それとの調整というととはお考えにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/33
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034・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) まず第一着手といたしまして、御指摘のように各民間会社その他にありまする研究所の実態というものは、これは非常に充実せられて、また近代的意生産業に向っての研究が行われているものがたくさんあることは御指摘の通りだと思うのであります。これに対しましても、広く科学技術庁では実態を把握いたしたいと考えておるのであります。まずその一つの方法といたしましては、科学技術審議会というものにおきましては、十分にこの民間会社のそういう方面に携っておる尊重すべき人材を網羅いたしまして、その実態をよく検討を加えていくと同時に、この科学技術庁の中にもそういう科学技術全般に関する調査を行い得る組織を持ちまして、その検討を加えて、十分に科学技術行政の中に民間の考え方も取り入れて発展策を講じていきたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/34
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035・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 そういう民間の考えを入れるとか、民間の実態調査というばかりでなくて、実際にやっておる研究ですね。それと科学技術庁との連絡というものは、やはり相当必要だと思うのです。それを十分お考えにならなければいけないのではないか。
なお産業科学とか産業技術の振興というのは、どこの国でも非常に重要視しておって、なかねか成果が上がらないのです。それで御承知だと思うのですが、イギリスやフランスでは産業別に共同研究所というものを作らせておる。で、イギリスとフランスの奨励の仕方は別ですけれども、特に政府が金を出してやるとか、あるいは税金のような形でもって会費を出させて予算を作らせるとか、いろいろやっております。そういうものも日本でやらないと、科学技術を、ただこういう点を重要視するというだけでは、とても振興はむずかしいのではないかと私は思うのですが、そういうイギリスやフランスのああいう産業別共同研究所というものについては、この設置法をお考えになる場合に、御調査になりましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/35
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036・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) もちろんそういうものもできる限り資料を集めまして検討はいたしたわけでございますが、たとえば御指摘になりましたような各回一業種に対してどういった研究奨励をやっていくか、今お話にありましたような点は、イギリスにおきましては研究組合というようなものがあるわけでございますが、日本といたしましても当然そういったものは将来の施策として考えていかなければならない問題だと思っておりますが、まあ一方わが国におきましては、各公共団体におきまして、地方自治体にお誉まして、各種の研究機関を持っておりますので、そういったものとの関連はどうするかという問題が、イギリスとは違って、また別の点から検討する必要があるのですが、そういった問題はいろいろあるのでございますが、いずれにいたしましても科学技術審議会に十分諮りました上でそういうものを具現化していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/36
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037・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 そういう施策についても科学技術庁としても十分御調査になって、できるなら具体的な実行案をお作りになるように要望いたします。
それから最後にこの法案に上りますと、外国における科学技術に関する情報の収集というものも一つの仕事になっておるのですが、それはどうしておやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/37
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038・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) お答え申し上げます。海外の情報につきましては、まあわずかの人数でございますけれども、外務省といろいろお証をいたしまして、従来これは科学技術行政協議会においてのことでございますが、海外科学アタッシェを置いていただきたいということで外務省と話しました結果、ただいまワシントンに一人向坊という東大の助教授の方がワシントンへ行っております。その方がアメリカに関しましてかなりたくさんの資料を持ちあるいは情報を外務省にもたらされておりまして、それは外務省を通じましてSTACに、またSTACは各省とその内容を審議いたしまして紹介をしておる。逆にまた国内の情報は科学アタッシェを通じまして海外にも知らせるというようなことをやっておるのでありますが、この結果が非常に良好でございましたので、外務省といたしましてもさらに今度はヨーロッパの方にも置きたいということで、今その人選をされておるような状況でございます。
それからなお原子力局に関しましては、特に原子力局の予算におきまして海外にまたそういったアタッシェを出したいという計画を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/38
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039・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 ただいまのワシントンへ行っている方というのは、一時外務省の役人になって、行っておるのですか。それともどんな形で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/39
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040・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) ただいまの向坊アタッシェにつきましては外務職員になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/40
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041・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 それは外国の例ではあれじゃないですか、アタッシェというものを科学技術庁の人間として向うへ駐屯させるということが多いのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/41
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042・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) アタッシェは一番長く出ておりますのはアメリカだと思いますか、たとえばワシントン等におきましても、おそらく十何カ国の国からアタッシェが出ておりますがイギリスはたしかそのうち十八名のものを出しております。そのうちの半数はイギリスのDSIRの職員でございます。それでそういう職員の調査をいたしたのでございますけれども、そのDSIRの役人と申しますのは実際の行政官と申しますのがやはり半数でございまして、あとの半数は各大学の教授あるいは助教授をお願いしてDSIRの職員になる。それでそれからまあアメリカの方へ派遣されておるという状態でございますが、それで外務職員であるかあるいは各省のそれぞれの職員のままで来ておるかという点でございますが、やはり外務職員として来ておるものが多いのでございます。と申しますのは、やはり向うで活動しますのには外交特権と申しますか、そういうものがあった方が非常にやりやすいということで、各国とも大体外務職員になっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/42
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043・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 ただいまのお話ですとワシントンに今たった一人行っている科学官というのは、何という名前の科学官ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/43
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044・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) 普通の二等書記官でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/44
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045・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 書記官ですか。一人おられるそうでございますけれども、外国の例から見ましても、相当たくさんの者を科学技術の水準の高い風の大使館にアタッシェとして置くということがぜひ必要じゃないかと思う。ですからこれからは科学技術庁としてのそういう方針をおとりになりまして、正式の意味で海外駐在科学官というような制度をお作りになって、たくさんお出しになるというふうにお考えになっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/45
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046・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいまのお話でございますが、これは実はわれわれの方でも今度技術庁を作るについて、海外に技術者を出すことに非常に苦心したのでありまして、ことに原子力に至っては刻々新しい情報を知る必要があるのです。それで、ただ外務省の書記官ではできない。ほんとうの技術専門家を置こうということでだいぶ予算も実は要求したのですが、それもなかなか理解してくれないで、だいぶ予算も減らされたのですが、今度アタッシェとして行くのは外務書記官という名義にはならぬが、嘱託か何かになりましょうが、やはり外務省の職員ということにしなければ取りにくいのでありまして、そしてほんとうの専門家をやることにいたしたのであります。実際、先ほども申しました通りに、原子力におきましてはほとんど毎月新しいものが出てくる。ですから一日も早く外地の状況を取り入れなければ今日の現況がわからないのでありまして、これには非常な注意を払っておるわけであります。なるたけ御趣意に沿うようにやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/46
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047・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 私の質問は一応これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/47
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048・千葉信
○千葉信君 私の質問は、ただいま高瀬委員が御質問になりました第七条の衆議院の修正にかかわる部分についての疑義についてであります。先般来、先ほどもそういう御答弁がありましたが、との第七条の第五号、「科学技術に関し、」という条文を削除することによって、当初政府の方で考えていたようた日本学術会議への諮問もしくはそれらの答申または勧告に関する部門については当然のことですが、この法案の第三条に基く「科学技術(人文科学……及び大学における研究に係るものを除く。……)」とこういう政府案が、人文科学に関する部門について同様に諮問、答申もしくは勧告を行うことができるんだという解釈の上に立って修正は行われた。で、先ほどの御答弁では、その点について政府側の明快な見解についての御答弁はありませんでした。何かこれは衆議院における修正であるから、全会一致という条件はあるかもしれませんが、衆議院における修正であるから、その点についての政府としての明快な、これに対するどうなんだという見解の御表示はありませんでした。まあしかしこれはここで御答弁いただいて、その点が明快にならなければ、やはりその修正案を提出された方にここへおいで願って聞かなければならないと思うのですが、しかし御答弁のいかんによってはそういろ煩瑣な手続は要らなくなるかもしれません。
そこでお伺いしたいのは、一体第七条というのは何かといろと、今度の科学技術庁の中に設置される企画調整局の事務の範囲を規制したのがこの第七条です。第七条というのは企画調整局の事務の範囲を規制した条文です。ところがですね、第一条に、「科学技術庁の所掌事務の範囲及び権限を明確に定める」、この第一条の目的を受けて、第三条は、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」こう任務ははっきり規制されておる。いいですか、そうしてですね、第四条における権限、つまりこの任務を達成するための権限の中では、同条の第十一号によりましても科学技術の範囲なるものは、第三条の明確な規制の中にこの問題が取り扱われている。そうすると、科学技術庁の任務なりそれから権限なりに含まれていない事項が、第七条のこの一内部部局の事務の範囲を規制する条文の中で、突如としてここに「科学技術に関し、」という条章を削除したのだから、ここでは、任務にも権限にも含まれていかい仕事が、この第七条で可能になるという見解をおとりになっている。これはまあ政府の方で出された原案とは違うことはわかっております。わかっておるけれども、しかしこういう修正を行い、そうしてその修正の際に、先ほど御答弁になりましたように、ここには人文科学に関する諮問、答申、勧告を含まれるのだという解釈を政府としてはおとりになるような立場で、私はこれを了承されていると思うのです。一体政府としては、原案を希望される立場もあるし、気持もわかります。しかしこれは黙ってこのまま過ごすと、この法律案は国会で通過してしまう。政府の見解が不明確なままに……。一体科学技術庁に、そういう問題について諮問する資格があるのか、権限があるのか、そういろ問題について答申しろということを言える権限があるのかないのか、これは法律の条文から言いますと、そういう権限はたいということになるのです。これははっきりと。そうでしょう、任務にもない、権限にもない一部局の事務の内容について、この条章を削除したことによってそういう権限は出てこないじゃないですか、出るはずがないじゃないですか、同様にもう一つの問題は第十九条の日本学術会議への諮問、答申、勧告。科学技術審議会のところ。これも同様であります。権限外のことか、第一できるはずがないじゃないですか。除外してありますから。この点もし御答弁で、はっきり承服できる、ような状態にならなければ、これはやはり修正案の提案者において願うよりほかないと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/48
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049・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) 私からの答弁で不十分でございましたならば、一つ削除せられた方の御答弁あるいは法制局の方からの御答弁も申し上げたいと思うのでございますが、この第一条及び第三条は、御指摘の通り原則の規定でございまして、科学技術庁の取り扱います科学技術の範囲は自然科学に限定するが、しかし先ほども申し上げました通り、自然科学と人文科学というものは、截然と区別できることばかり炉全部じゃない。それで日本学術会議は、御承知の通り人文学も自然科学も、一切のいわゆる科学といわれる範疇に属する問題を取り扱っているものでございますから、日本学術会議への諮問、あるいは答申、勧告という中には、原則を侵さざる範囲内において、これは当然人文科学に関する問題は聞かなければならない場合も出てくる、そういうところを、この原則論に反せざる範囲内において、学術会議に限って、人文科学、自然科学競合して、いろいろな関係の及ぶところは、これは学術会議に諮問また答申を求める、それは科学技術審議会においてももちろんそういうところを残しておいた方が、科学技術全般の問題を考察をいたしまして、特に原則に規定せられた自然科学の行政に万遺憾なきを期し得る。それが適当であるというふうに主張せられたそのことに敬意を表しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/49
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050・千葉信
○千葉信君 その答弁じゃいかんせんあまりいい点数を上げられない。私もあなたの言われる、人文科学と自然科学がそんなに截然と区別できない要素があるんじゃないか、この点はわかるのです。それからまた日本学術会議の研究している項目がおっしゃるような、内容の広範なものであることも私はわかっております。しかしこの法律案というのは、科学技術庁の権限を規定している、そのはっきりと規制した権限外の事項について答申を求める、勧告を求めるということになったら、これは齊藤さんとか正力さんとかが懇談ずくで、話し合いでそういうことをやっておられるということならわかります。そうじゃなくて、明確にその権限の範囲外のもの、学術会議の研究の問題、こういう内容じゃないか、もしもちろんその区別がはっきりつかないからという理由で、人文科学に関する一切の研究についても場合によれば答申してもらうということになるかもしれない、かもしれないけれども、それは権限以外のことになる、この法律案ではだからそういう権限外のことについてまで答申してもらえるような余地が、また諮問するような権限は、第七条によっては出てこないんですよということなんです。そういうことは話し合いはもちろんできるでしょう。懇談はできるでしょう。非公式な懇談はできるでしょう。しかしそれはこの科学技術研究所設置法案の内容とする目的なり権限なりからははみ出たものである。そういうはみ出たものをはっきりとどこがはみ出て、どれが権限内だということを規制するのが法律じゃありませんか。そういうことになれば、学術会議の研究題目はこんなに広範だとか、截然と区別できないような要素を含んでいるなんという答弁だけでは、私は科学技術庁の権限は拡大されると思うのです。しかも第七条は、内部部局のうちの一つの局及び内容を規制したものにすぎない。そこのうちの条章が削除されたから、直ったからといって、その権限や任務をはっきりと規制している第三条、第四条を変改することにはならない、こういうことなんです。大臣どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/50
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051・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいまの点はごもっともです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/51
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052・野木新一
○政府委員(野木新一君) ただいま御指摘の点は衆議院の方の修正でございますが、便宜内閣法制局の立場といたしまして、実際の趣旨はこうであろうかと思われる点を法節的に考えて御答弁申し上げます。
御指摘のように、第一条でこの科学行政上の目的を書き、第三条で任務を書いてあるわけであります。しかし第三条をごらんになってもはっきりわかりますように、「科学技術庁は科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、」この場合の科学技術の振興という点には、カッコ書きはなくて、何ら限定はありません。それから下の方に、「科学技術(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」としまして、日本といたしましては科学技術に関する行政——との科学技術は狭い意味の方の科学技術でありますが——を主たる任務とすると。「主たる任務」と書いておるのであります。もっぱらの任務ということに必ずしも書いてないわけでありまして、この辺やや含みのあるところであります。それからさらに進みまして、この行政組織法におきまして任務権限及び所掌事務というように使い分けてありまするが、任務といい、権限といい、所掌事務というのも、大まかな点はまあわかっておりますが、こまかい点に行きますと、どれを権限としてとるか、どれを所掌事務としてとるかということは、各設置法で必ずしもぴたりと割り切っていないような点もあります。今まで国会で御設定になった各種の設置法を見ましてもそういうようになっております、それで衆議院の修正におきましても御指摘のように、この第七条の五号におきまして「科学技術に関し、」というのを削ったのみにとどまらず、ほかの方にも手当をしておけば一番はっきりした最善の方法で、おそらく御疑問のような点が起らないということは言えるかと思いますが、ただこの削除した第七条五号から「科学技術に関し、」ということを削除したということは、全くこの法律を混乱に陥れしめておるというほどのことも、まだないのではないかと存ずる次第であります。と申しますのは、御指摘のように権限のところにはなるほどはっきり日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申及び勧告に関することと書いてありませんが、この法律案として企画調整局の所掌事務の中にこういうふうにはっきり出ております以上、これは科学技術庁としての所掌事務ように範囲に入ってくるものでありますし、権限の点からみましても権限と所掌事務と大体うらはらになるという関係にある場合が多いわけです。というのは、権限というものはどちらかというと外部に対して発動——国家権力が発動するという方面からとらえた形でありまして、所掌事務というのはその組織である事務をつかさどるといった面からとらえたのでありますが、これも先ほど言ったように各種の設置法を見ましても非常に厳格に使い分けておろものむあるし、必ずしもそうでないものもあるようでありまして、この点は任務といい、権限といい、所掌事務といい、まあ大体大きくつかまえて中心の点を書いた、そういうように了解されるわけでありまして、任務、権限、所掌事務全部を合せて結局役所ではどういうことをやるかという点が出てくるのではないかと存ずる次第であります。ところでこの原案でありますると第七条第五号で「科学技術に関し、」とありまして、先ほども申し上げましたように第三条で「科学技術(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ)」「以下同じ」とありますので、ここで日本学術会議への諮問も人文科学のみにかかわるものなどはできなくなり、この科学技術庁の全部の役所の仕事の範囲外になってしまうというようなことに、解釈上はなってくると存じます。そこで衆議院の方におきましては日本学術会議の方は日本学術会議法によりまして、先ほど齋藤政務次官からも御説明を申し上げましたように、自然科学のみならず科学一般に関する事柄をつかさどっておりますので、それとのにらみ合い上、政府原案のように七条第五号におきまして「科学技術に関し、」という言葉が入っておりますと少し食い違いを生ずる、厳密に言うと食い違いを生ずるのではないかという点を指摘されて、そういう食い違いが生じないように科学技術庁でもそこで全部やることができろようにしたい、そういうことから修正になったものと存じ、でき上った法文から見てもそのように解せられるのであります。そうしてこれが最善の法文の書き方かどうかという点についてはいろいろ御批判もあるかと存じますが、これが絶対不可能だということは、また科学技術庁設置法の所掌事務の範囲、権限を明確に定めるということから非常に遠く離れるものだというほどまでのことは、ないかと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/52
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053・千葉信
○千葉信君 今の御答弁は法制局の方からの御答弁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/53
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054・野木新一
○政府委員(野木新一君) 内閣法制局の方から、修正済みの法文を見て解釈しての答弁です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/54
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055・千葉信
○千葉信君 法制局ともあろうものが、今のような法律の解釈の仕方を平気で国会でぬけぬけと答弁するのは許しがたいと私は思う。法制局の方で国家行政組織法の関係をお出しになりましたから、仕方がないから私の方でも出しますが、国家行政組織法の第二条によりますとですよ、「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」それぞれの行政機関の所掌事務なり権限というものは、あくまでも明確でなくちゃならぬ。その明確な分掌の上に立って各大臣がそれぞれの所掌事務、それぞれの権限に基いて行政権を行使する、これが国家行政組織法の建前なんです。それを今の答弁では、権限の方はとにかく一応はっきりしていても、その所掌事務についてはそれぞれ入りくんでいるのだ、それでいいのだという、こういう答弁を法制局みずから行うようなことになったら、これは日本で、何でも法律でもって権限を規制したり、設置法で明確な条文を、国会で目の色を変えて騒ぎ立てる必要はないのです。そうして今その第三条をお読みになって、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与する」、こういう任務を帯びているのだから、だからあとの方の科学技術に関する行政そのものについてカッコとして除外をしてあっても、こういう目的を達成するためならば、何もそんなにこまかく考える必要はない。もっと範囲を広く、人文科学の場合も含むという任務も科学技術庁の場合は帯びてもいいのだという答弁をされた。もってのほかだと思う。なるほど目的は「科学技術の振興を図る」とか、「国民経済の発展に寄与する」という大きな目的です。しかしそれをやるために科学技術庁では「科学技術に関する行政を総合的に推進する」、これが具体的な任務です。その場合に人文科学が除かれる、大学に関する研究は除かれる、それを目的がこうだなどという前段の方を取り上げて、こういう目的を達成するためには後段の方で規制してある以外に、もっと広範な、幅の広い解釈をすべきだなんということは、これは法文の解釈上出てこないのです。法制局がやったってだれがやったって出てこないのです。私は小学校しか出ていないから常識で問題を取り上げているんだから、常識でものを考えているんだから、そんなにうまく言いくるめたり、言うことをごまかしたりすることはできないけれども、しかしだれが考えたって常識上今法制局で言われたような、そういう人文科学の方を含んでもいいのだという解釈は、第三条では出てこないのです。そして第四条では、それを達成するための権限がつく。これは大臣の権限です。科学技術庁長官の国務大臣の権限が規制される、はっきりとそういう規制を受けておる、それが国家行政組織法第二条の第一項の建前なんです。それを今度はあとで内部部局の権限、内部部局の所掌事務の問題に関連して、科学技術に関して条文が削除になったから、だからもっと広範に解釈してもいいのだと、これじゃ私はだれが聞いたって筋の通らぬ話だと思うのです。が、しかし私は政府に対して無理やり衆議院が修正に際してとったような解釈をせいということを言っているんじゃない。ただ政府がそういう修正に了解を与えて、そしてその分を含んでここに答弁に来ておられるから、一体この修正に対しは政府もそういう衆議院の修正に際してとったような解釈をとっておられるのか、どうも今の御答弁、先ほどの御答弁から見ましても、その点が不明確だし、そこで政府の方としてこっちの納得で送るような答弁がどうしてもできなければ、これはやっぱり煩瑣な手続になるけれども、その修正を提案された人においでを願って聞かなければならない。今のような御答弁では私は、私ばかりではない、だれも了承できない。大臣どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/55
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056・齋藤憲三
○政府委員(齋藤憲三君) もう一度私から……。ただいま法制局から答弁がございました通り、第三条の「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、」という科学技術というものは、全般的な意味を含んでおるのであるが、特に科学技術庁の所掌事務といたしましては、その次に書いてございます「科学技術(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)」ということになって、これを主たる任務としてやるのでございますから、あくまでも科学技術庁の所掌範囲は主として自然科学に限定される。しかし衆議院内における圧倒的な御議論は、日本学術会議との連係をとって、自然科学全般にわたる行政に万違算なきを期するため、日本学術会議の意向をも十分に参酌をしていくということになると、自然科学と人文科学との関係あるいは大学との関係等にもいろいろ連関性を帯びることがあるから、この際特に「科学技術に関し、」と限定すると、そこにいろいろな支障がくるのではないか、それをゆるめて、一つ日本学術会議に関してだけはこの「科学技術に関し、」いうものを取った方がいいのではないか。しかし「科学技術に関して、」ということを取りまして、学術会議との間に関係を持ちましても、決して科学技術庁といたしましては主たる任務を逸脱するというようなことはない、だから科学技術の全般に関して日本学術会議との間においてだけはこういう形をとった方がいいのじゃないかという御修正の趣旨であったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/56
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057・千葉信
○千葉信君 衆議院の方の修正をされるに際してお考えになられた——ただいま齋藤さんが言われた学術会議との関連については、科学技術の振興をはかるためにもあまり局限した格好でいくといろいろな支障が起るから、やはりこの点についてはもっと広範な解釈のできるような格好にすべきだし、まあそう考えて「科学技術に関し、」という条文を削除した、その点は私はわかります。その点はわかるのですが、しかしそれだからといって、そういう解釈をとって修正した、そのことによって一体科学技術庁の、今あなたはなるべく主たる任務に沿うように、踏みはずさないようにやるつもりであるというそのことは、これまた私は了承しておる、そうするのだと考えておられても、実際上あなた方がこれから科学技術行政を運営されるに当って、この程度の修正では科学技術庁の方で事術会議に対して人文科学に関する答申等も行なってもらいたいとか、勧告も行なってもらいたいとか、もしくはあなたの方て諮問をするということについての明確な科学技術庁の権限なるものは、この条文の修正では出てこない、それでは困るのじゃないか、これなんです問題は。しかしもう大体勝負がついたからやめろという声がありますから……。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/57
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058・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 関連してちょっと質問しますが、今政府委員からの御答弁は主として政府から日本学術会議に諮問をする範囲を人文科学の範囲も入れたい、こういう趣旨だということのようでありますが、それだと、今千葉さんのおっしゃった意味で、私もこの筋がこの科学技術庁設置法の趣旨からいって通らないように思う。ただ、考えられますことは、日本学術会議の下部組織として科学技術行政協議会というのがある、これば日本学術会議できめました科学技術に関することを行政方面に反映させるための機関というような形になっておる。これを今度は廃止するのです。この科学技術庁を作ると同時に廃止して科学技術庁の内部に吸収するという形になってきておる。そうしますと、今まで日本学術会議がやっておりました科学技術を行政に反映するという部分も、自然科学については科学技術庁に吸収されるから実行できるのです。しかし今までやっておりました日本学術会議の勧告によって行政に反映させろという点が、科学技術行政協議会がなくなってしまいますと出しようがなくなってしまうと思う、機関がなくなってしまう。そこで確かに矛盾がありまして、その矛盾を解決する方法としてこういうことを考えたということは、考えられないことではないのですけれども、そういう点はお考えにならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/58
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059・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) 確かに高瀬委員のお話の通りでございまして、従来学術会議と政府の間に科学技術行政協議会がございまして、その間の連絡に当っておったわけでありますが、その点が科学技術行政協議会の廃止によりましてそれがどこも引き受けるところがないということでありまして、科学技術審議会は当然自然科学に関しましては当初からSTACの任務は自然科学に関するものだけを扱うように、これは大学に関するものは除くというわけでありまして、政府の案といたしましては、人文科学のみあるいは大学の研究に関するものを除きましても、自然科学の全体につきましては従来のSTACの機能が、この新しくできます科学技術庁の科学技術審議会において行われるということを予定したわけでありますが、確かに衆議院の御修正がありましたように、それ以外の問題につきましてはどこもその間にいたすところの機関がないわけでございます。そこでいろいろ学術会議の方でも苦慮いたしましたし、また衆議院の方にもその点よく会長からもお話がありまして、やはり原則的にはこういった人文科学のみとかそういうものを扱わないのが建前でございますけれども、学術会議に関する限りにおきましては、STACの従来の機能が生かされるようにという気持で修正を学術会議の方も支持しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/59
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060・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 そうすると千葉さんの言われる諮問する権限がないという点は、ある程度解決し得るかもしれませんけれども、今度は今までSTACの持っておりました権限の問題、これが科学技術庁へ入ることに上って縮小される結果にたるのじゃないか。縮小されてしまえば人文科学についてSTACの持っておった権限はなくなっちまうわけですね。人文科学について何ら対策としないという趣旨の秘中技術庁が、STACの持っておった権限を引き受けるという点だけでは、人文科学をも包含するということに、やはり矛盾が生ずると思うのですね。それをどういうふうに解決されるのか、これはこの条文と関連なくも問題になることだと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/60
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061・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) その点確かにお話の点ございますのですが、従来STACと学術会議の関係を調べてみたのでございますが、やはり四百何件の問題が諮問されあるいは勧告を受けておるわけでございます。そのうち人文科学のみに関するものが二件しかございません。それから大学に関するものも、まあこれは割合に多いのでございますけれども、しかし全体からいいますと割合にパーセンテージが少い。それらの問題をどうするかということで学術会議の会長、副会長とも御相談したわけでございますが、まあ一応その第七条の第五号に、こういうふうな「科学技術に関し、」という字句を除きまして、広範に全部扱えるようになっておりますけれども、事実問題として科学技術庁も、人文科学のみの問題を勧告いたしましても、これは処置に困るのじゃないが、そういう場合にはあるいはその直接、たとえば文部省がそれを実行すべき機関でございますれば学術会議からむしろ直接に文部省にいった方がいいのじゃないだろうかというようなお話もあるのでございまして、この点は私ども技術庁ができました上でさらに考える必要がございますけれども、一応それでもいいのではないだろうかというような感じを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/61
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062・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 その方をそういうふうにして解決をしようということになれば、一応はSTACの持っておった仕事については縮小する、これでいけると、こういうことになって、人文科学は入らぬでいい、こういうことになるので筋は通る。そうすればその分だけならば何も「科学技術に関し、」を削る必要も何もない。「科学技術」を削った点は、そうすればやはり千葉さんのおっしゃったような意味が入って削られた、こういうふうに考えるよりほかないと思うのですね。そうすれば私も削ったのが実は筋が通ら広い、削る必要がないのだと、削らない方がいい、こう考えるのですが、政府はそれに了解を与えたという点がどうも私どもには十分納得できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/62
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063・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) お答えします。人文科学のみの問題は先ほど申し上げた通りでございますが、ただ自然科学の問題に関しますると、大学の研究にかかるものがあって、しかも自然科学に関するもの、こういったものは本来科学技術庁の任務ではございませんけれども、学術会議から直接それぞれの省に、これはまあ文部省だと思いますが、文部省に勧告がいきますよりば、やはり科学技術庁を経由してい誉ました方が科学技術庁としては、まあ大学の方は除きますけれども、非常に関連の多い問題でございますので、やはり間を通していただくことによって大学の研究の問題にも触れ得るということができていいのではないだろうかという感じを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/63
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064・千葉信
○千葉信君 次にお尋ねしたいのは第十一条の第五項の問題、第五項によりますと、長官は、第三項に言うところの「科学技術の振興及び資源の総合的利用を図るため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し科学技術の振興及び資源の総合的利用に関する重要事項について勧告することができる。」この第三項が思う通りに進まないときには「第三項の規定により勧告した重要事項に関し特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し当該事項について内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。」この場合お尋ねしたいのは、内閣法第六条の規定というのは、内閣総理大臣が閣議で決定した方針に基いて行政各部を指揮監督する。この第五項の意味する「第六条の規定による措置」なるものは、閣議にかけて決定するという事項も含めて、行政各部を指揮監督するというその措置をとることの意見の具申かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/64
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065・野木新一
○政府委員(野木新一君) 第十一条第五項におきまして、「内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。」と規定いたしました趣旨は、勧告ということは指揮監督などということと違いまして、勧告をした内容に沿った行為をするという義務を、勧告を受けた場合に与えるものではありませんので、勧告した事項をもっと強力に進めようというためには、どうしても相手方がその内容に適するような方策が講じられなければならないわけでございます。ところが現在の内閣制度におきましては、そうしたことは内閣法第六条におきまして、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」という条文がございます。従いましてこの条文を活用するようにするのが一番妥当なわけであります。第十一条第五項は、長官が第三項によって勧告した重要事項に関して勧告したけれども、なおもっと強力にこれを推進したいというように考えて、特にそういう必要があるという場合、長官から内閣総理大臣に対してその勧告した重要事項について、内閣総理大臣が閣議にかけて方針を決定し、そしてその方針に基いて行政各部を指揮監督する、そういうような措置をとられるよう長官から内閣総理大臣に意見を具申することができるということでございます。これはこの条文がたくても、内閣法がありまするから、事実上長官からは内閣総理大臣に対して申し入れをすれば、実際問題としては行い得るかもしれませんが、特に重要でありまするので、はっきりと長官の権限として第五項に書いているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/65
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066・千葉信
○千葉信君 質問の言葉が長かったし、答弁もずいぶん長かったけれども、要はこの第五項による措置をとれということは、第六条に基いて閣議でこれを決定しろという事項も含めて措置しろということを言っておるのか、それとも行政各部に対して指揮監督すべきだということだけを対象として言っているのか。私は全部だと思うのですが、全部だと了解して差しつかえないかどうかという点についての答弁があればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/66
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067・野木新一
○政府委員(野木新一君) これは「第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申する」と書いてありますが、「第六条の規定による措置」というのは、内閣総理大臣が閣議にかけて決定した方針に基いて行政各部を指揮監督すると、そういうような措置がとられるように意見を具申する、そういうことじゃないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/67
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068・千葉信
○千葉信君 だから、その閣議にかけて決定するという条件も含めて措置するのかどうか答弁をもらえればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/68
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069・野木新一
○政府委員(野木新一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/69
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070・千葉信
○千葉信君 さあそうなると問題だと思うのです。今も法制局の方から答弁がありましたが、内閣法によりますと、そういう閣議決定については各大臣が同等の提案権を持ち、そして閣議で決定されて初めて第四条に基く「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」こういうことになっているわけです。そうしてその閣議に対しては総理大臣がこれを主宰して、各大臣はその閣議に対して同等の提案権を持っておる。これが内閣法の建前です。私は科学技術の振興ということが非常に刻下重要な問題だということはわかります。その点はもう全面的に賛成です。しかし重要だからといって、特に第六条による、総理大臣が閣議でこれを決定して指揮監督しろなどという条件を今度の設置法の中に入れるということは、今答弁があったように、なくてもいいことなのに、重要だからというのでこういうものを入れる。入れたために内閣法なり国家行政組織法などが乱されてくるというところに私は問題があると思う。先ほどの内閣委員会で運輸省設置法の一部を改正する法律案について提案理由の説明を申されました吉野運輸大臣、この人も閣僚の一人です。この人が在野時代に経済企画庁設置法案の審議のと巻に、こういう条文を法律の中に入れてはいかぬということを主張された。ところが、そのときの主張というのは、もっとこれよりも弱い意味の勧告、この場合でいえば、ちょうど第十一条の第三項に該当するような、科学技術の振興に関し関係行政機関の長に勧告することができるという、そういう勧告すらも、当時商工委員という立場から、商工委員会の委員長でしたか、商工委員長という立場で、それは内閣法からいうとその勧告という条項はおかしい。一体右の手が左の手にどうしろこうしろという命令や勧告なんかを与えるということなんかはおかしいじゃないか、こういう意見を吐いておられるのです、はっきりと。そういう意味からすれば、少くとも吉野さんは在野時代に主張されたこういう意見というものを閣議で主張されたに違いない。だから私はこういう条項を含む法律が閣議で決定をされて国会に出てくるとは考えられない。それはちょうど憲法第九条の解釈について鳩山首相のとられた解釈、在野時代の解釈と総理大臣になられてからとられた解釈と違うと同じだと思う。私は吉野さんはそんなことはない、そういう勧告を入れるべきでないという主張をされたと思う。ところが、それは第十一条の第三項の場合であって、同等の立場にある行政機関の長に対し勧告するというのだから、これは十一条三項。この場合は私はまだ吉野さんの意見から一歩さがって、第三項については妥協することができても、これを今度は第五項では、そういう勧告が実行されない場合には、今度これを内閣総理大臣に向って、閣議で決定をされ、閣議で決定をされた事項に基いて科学技術の振興のために指揮監督しろ、こういう法律なんです、第十一条の第五項は。これじゃますます内閣法に抵触する。違反とか抵触なんという言葉を使うとあなたがたはいやがるけれども、少くとも内閣法を乱しておる。一体国の行政機関というのは内閣の統轄のもとに一体として行政機能を発揮しなければならぬ、こう思っておる。閣議はまた閣議で、各大臣は案件のいかんを問わず総理大臣に提案し、そうして閣議を求めることができるということなんです。科学技術庁の第十一条第三項に基く勧告がうまくいかないときには、主務大臣から、こういう状態だからこれを閣議で決定してくれということを当然内閣法は期待しておるのでありまするから、そういう建前になっておるのに、それを特別に引っぱり出して第十一条の第五項にこんなことを条文として持ってきておる。どうも私はなぜこんなことまでしなければならないのか了解に苦しむのですが、大臣から一つ明快な御所信を承わっておきたいと思うのです、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/70
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071・野木新一
○政府委員(野木新一君) この第五項は、長官は意見を具申することができるとありまして、内閣総理大臣は必ずしもその意見に従うかどうかわかりませんし、また閣議で内閣総理大臣が誉めたものが必ずしもそう決定するかどうかわかりませんが、別に十一条五項は何ら現行の内閣法に抵触することはないものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/71
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072・千葉信
○千葉信君 そんなんだったらいつまでやってもしようがない、大臣答弁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/72
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073・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいま法制局第二部長が言った通り私もそう解釈されると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/73
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074・千葉信
○千葉信君 大臣、こんな条文なんか要らんということですね。内閣法が正当に遵守され運営されるのであれば、こんな条文なんか要らんというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/74
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075・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 要らんという意味じゃありません。やはりこれがあることで意味は強まると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/75
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076・千葉信
○千葉信君 意味が強まるというのはどういう意味です。これでもって閣議が左右できるのですか、こんな条文があることによって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/76
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077・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 内閣総理大臣を通して、内閣総理大臣がこういうふうにやることによって意味が強くなっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/77
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078・千葉信
○千葉信君 正力さん、国務大臣として、内閣法第四条によっても、いいですか、内閣法第四条によっても、第十一条の三項によって勧告したけれどもどうもうまく実行されない、どうも期待通りその勧告が行われない。だから一つこの際閣議でこの問題を決定願いたいということを、大臣は第四条の第三項によってはっきりこれを提案できるのですよ。そうでしょう。そういう内閣法、閣議の建前になっているのに、何もこんな条文がなくたって大臣は当然それをやらなければならんしまたやることができるんですから、そんなら何も内閣法なんかを混乱させるような条文なんかはかえってない方がいいのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/78
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079・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 今お話の通りに、これはなくてもいいじゃないかというお話も実はありました。しかしこれを書くことによって、なお意味を強くするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/79
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080・千葉信
○千葉信君 そんなことを言うから、正力さんは独裁的傾向があると言われるのです。閣議で公平に同等の立場で審議すればいいのではないですか。それをわざわざこの法律に持ってきて、勧告はしたがなかなか思うように進まない、そのときは総現大臣に対して、あなたから直接また第六条による措置をおとりなさいと言って大臣に勧告することが、総理天臣に対して意見を具申することができるんだというような条文を入れたりするから、公平に閣議で決定して、その状態に対して、あなたが独裁的な力でこれに臨もうとする傾向が強いという印象が今までにあるから、ますますあなたは出てくるおそれがあるのだから、それならあなたは勇敢にそういう誤解を解くためにも、こういう条文はやめたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/80
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081・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ここに書いてありますのは、勧告は念のために書いたものでありまして、別にほかに意味はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/81
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082・千葉信
○千葉信君 念のために書いたという、善意でやったことならば大目に見てもいいけれども、しかしそのために国家行政組織法なり内閣法なりで規制せられた政府としての、行政機関としての、内閣としてのですよ、体系に混乱を生ずるおそれがあるのですから、あなたは善意で出されたと言っても、そうであっても、何も実行できないような条文をここにわざわざ入れたりするような、あまり賢明でないようなやり方はおやめなさい、あなたは勇敢にとっぱずしてもよろしゅうございますと言いなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/82
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083・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 御趣旨のことはよくわかりましたが、これはなんです、念のために書いたので御趣旨のことはよくわかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/83
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084・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 別に御発言もなければ質疑は終了したものと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/84
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085・千葉信
○千葉信君 委員長ちょっと待った。質疑打ち切りの問題は、この間から問題になっている付帯決議をどうするか、修正案はどうするか、それを話し合いをつけた後に質疑打ち切りということにしないと、質疑を打ち切った、私どもの立場は質疑を打ち切ってしまったら何をほえたててみても、これはごまめの歯ぎしりです。だから質疑を打ち切るということは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/85
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086・野本品吉
○野本品吉君 委員長速記を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/86
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087・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ちょっと速記とめて下さい。
午後三時二十八分速記中止
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午後三時四十八分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/87
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088・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。
本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/88
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089・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/89
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090・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) それでは次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/90
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091・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 前回千葉委員から御要求のございました定員法の定員の増減理由について資料を出せということでいざいましたので、お手元に事項別増減理由説明書と、それから管定定員につきましての内訳の表を差し上げておきました。御承知おき願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/91
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092・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御質疑ございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/92
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093・千葉信
○千葉信君 行政管理庁の方にお尋ねいたしますが、第二十三国会で定員法の一部改正法案が審議されました際に、当委員会としては、野本品吉君の提案によりまして、次のような付帯決議が行われております。「現在、行政機関職員定員法のワク外にある常勤労務者及び非常勤職員の中には、その職務の性質、勤務の条件等において、定員法による職員と実質上何ら異ならないものが相当多数含まれている。従来、政府は、これらの者の処遇について、早急に検討を加え、適当な対策を講ずる旨言明したにかかわらず、いまだ今日に至るも、何らの措置を講じていないことはまことに遺憾にたえない。政府は、すみやかにこれらの職員の処遇について、根本的検討を加え、具体的措置を講ずべきことを要望する。右決議する」。この決議ばかりではなくて、政府委員たる岡部君の方から、この問題の解決について、行政各部の責任、それからまた今後のこの問題の解決の緊要であること等について、具体的な御答弁をいただいているのですが、今回定員法が国会に提出されます以上、私どもは大幅にこの決議の趣旨、それから委員会における御答弁、公約といいますか、委員会における政府の当時方針を了承した、その限りにおいては、私ども今回の提案は実に不満にたえない。この点一体どう今回これを取り運ばれたのか、その経緯とそれから結果を一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/93
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094・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) ただいまの千葉委員のお尋ねに御答え申し上げます。この問題につきましては、当委員会の御決議の趣旨を極力尊重し、その実現を政府当局といたしましてもはかりたい、こういうような固い決意を持っている次第であります。それにつきまして、今までどう結論を出したか、及びその経過はどうかというお尋ねでございます。これは非常に長い間の問題でございますので、まだ今のところ、最終的な結論を申し上げる段階ではございませんが、今日までのところを率直に申し上げますと、第一にこの問題につきまして定員外職員が苦しんでいる問題の第一は、いわゆる常動的非常勤職員の処遇、身分がきわめて不安定だ、これを改善してくれという要望が第一点でございます。この点につきましては、どういう措置をとったかと申しますと、この常勤的非常勤職員のうち、一万五千八百八十七人、これは大体におきまして常動的非常勤職員の約半数近くになると思いますが、これらの職員を常勤労務者に格上げいたしまして、その処遇の改善をはかりまして、これによりましてこの常勤的非常勤職員を抱えております、関係組合及び関係職員につきましても、ある程度のまあがまんのできる満足の措置を得られたんじゃないか、こう考えております。これが率直に申し上げまして、第一点でございます。御承知の通り常勤労務者になりますと、その給与も、給与法の適用を受けまして、級別号俸の適用も受けます。それから任用の資格におきましても、あるいは共済組合関係におきましても、あるいは退職金におきましても、有給休暇におきましても、定員法の定員と変らない待遇を受けることになりますので、その点は御了承いただけることと思っております。
それから定員法の定員との関係についてであります。これはかねがね申し上げております通り、今の公務員制度の根本に関する。問題でございますので、公務員制度調査会の結論を待っているということをこの前申し上げたわけでありますが、公務員制度調査会の結論が昨年の十一月半ばには出ることになりましたので、それを一日も早く具体化いたしますために、昨年の十一月一日から総理府に公務員制度調査室を設けまして、人事行政に関する専門家を集めまして、この問題の具体化に当っているわけであります。それからこれを中心といたしまして、政府関係方面におきまして、この制度をどうするかにつきまして、目下内外の制度とも比較して考えまして、いろいろ研究している段階であります。とりあえず簡単に今までの経過を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/94
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095・千葉信
○千葉信君 その今の御答弁あまり感服した御答弁じゃない。少し数字の上でも勘違いした答弁が行われているのではないかと思うのですがね。常勤労務者の場合には定員法と密接な関連のある問題であり、これに対しては即時にも定員内職員としての措置を講じなければならぬ職員ですが、しかし待遇等の関係ではかなり定員内の職員とそう懸隔のある状態ではないから、そういう意味で私はあまりこの問題について今直ちにここで目の色をかえなければならぬということにはならないと思うのです。そうでなくて、実際上こういう非常に極端な感心できない制度、定員内職員、常勤労務者、それから今お話の常勤的非常勤職員、こう複雑多岐なやり方をしていて、そしてしかも非常勤職員、常勤的非常勤職員のごときは待遇上も実に問題がある。前の御答弁を聞いておりますと、約半数の一万五千八百八十七人というのは、これは常勤労務者に切りかえたのだから、従ってこの点についてはかなり問題は緩和されたというけれども、私どもの持っている資料ですね、これはこの前の二十二国会の委員会でも相当論議を尽したのですがね。かなり今岡部さんの言われた数字とは食い違っているのです。今その質疑をやるために実はきょう出てこなかったものですから、その数字は事務所の方においてありますが、ここにある数字だけからいいましても昭和三十年十月一日現在で非常勤職員の在職状況というのは大体三十七万四千三百八人、これは去年の十月一日現在でありますが、そのうちの十二分一程度しかあなたの御答弁からいうと問題にされてないことになるのです。これはちょっと数字が食い違っていると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/95
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096・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 根本問題はさておきまして、今最後にお尋ねの点についてお答えするわけでありますが、非常勤職員は御承知の通り一般会計で三十二万、特別会計を加えますともっと多くなります。従いまして非常勤職員は私の方の資料では約五十万をこえております。しかしこの大部分は千葉さんに申し上げるまでもなく、きわめてその業務の形態自体が非常勤的なものがたくさんあるわけであります。例の各町村におります統計調査員でありますとか、そういうような類いのあらゆる形態の非常勤職員を網羅いたしまして三十二万幾らであります。現実に常勤労務者と同じように、あるいは定員法内の職員と同じような形態で勤務しておりますのは、これは実態調査によらなければなりませんが、各労働組合その他に当ってみましても、あるいはわれわれが入手し得る一切の資料によりましてもそんな数字でございませんので、その三十二万の約一割すなわち三万前後ということは、これは千葉さんも御了承いただけると思うのでございまして、全体の非常勤の数字は三十二万あるいは四十六万、五十万近く、これは季節によって変動いたしますから、その統計をとったときの数字で狂いますが、その三十二万あるいは四十が幾らを常勤化しろという要求もございませんし、またそういうことを私どもも申し上げたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/96
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097・千葉信
○千葉信君 非常勤職員の実態ですね、今言われたように、実際上はいわゆる統計員だとか、それから全く定員化したり、それからまた常勤労務者という取扱いをすることができないような状態において勤務している者、これはあなたのおっしゃる通りたくさんおります。しかしそのはっきりした資料を今持っているわけじゃありませんが、常勤労務者とそれから非常勤職員のうちの、実際にその常勤労務者と同様もしくは定員内の職員と同様の仕事をしている、しかもその勤務単数は六ヵ月以上になっている者の実態調査——数字の調査によりますと、十二万人には達していると思う。それはこの前の国会でもその点について論議されたんですから、それに対する明確なる資料については、私はまた次の機会にその正確な数字をもってあなたに御質問申し上げたいと思います。
そこで今日はこういうことをお何しておきたいと思いますが、今せっかく国会の付帯決議もあり、それから行政管理庁の方ではできるだけ適正な措置を講ずるために、適正な措置というのは、当然の措置としてこれは定員内職員とし、定員の増減を適正なものにするということなんですが、そういう約束が国会の決議を尊重しながら行われているか、今回の三十一年度の予算編成に際して、ある省庁が二千人の定員を要求している。これは新しく設置する少年院二ヵ所の関係、それから現にその他に散在する少年院の状態を考えても、今のような職員の配置状況では、単にその少年院に収容した少年少女についての逃亡を監視する程度しか配置されていない。これでは教護どころじやないというので、二千人の職員の要求が行われた。ところがそれに対して一名の定員増も認められていない。いいですか、そうして非常勤職員について百八十人だけを認めた。この事実は、もし事実だとすれば、私はやはり行政管理庁——実際上はその省庁と大蔵省側との折衝においてきまったのかもしれませんけれども、定員を管理し非常勤職員等の問題を管掌している行政管理庁としてこういう事実を見のがしているということは、私は当を得た措置ではないと思う。国会決議を尊重していないと思います。前の国会の答弁とは食い違った態度を行政管理庁はとっていると思います。この問題についてはその他にもたくさんありますが、一つお何しておきたいと思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/97
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098・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 法務省の全体の定員につきましていろいろ非常に窮屈な面が、今御指摘のございました少年院のほかにも刑務所自体の受刑者の収容定員がはち切れそうになっている、で、とれを監視するための警備職員も非常に勤務条件がつらくなっていて、定員の増加を望みたいという要求はよく聞いております。またその他各省につきましても同じような要求がございます。しかしながら私どもといたしましては、そういう要求は一応ごもっともであるけれども、一面におきましてこの定員をできるだけ少数の者で行政事務をやっていく上において、配置転換その他によってがまんしてやってくれないかということを一貫してお願いしている次第でありまして、今申し上げました法務省について申し上げまするならば、刑務所の監視の定員は窮屈だろう、その点はよくわかっているけれども、巣鴨の刑務所が戦犯がだいぶ減ってくるから、巣鴨の方の警備を少し減らしまして、ことしは三十九人だったかと思いますが、これをわずかでありますが、刑務所の特につらい方に回すということでがまんしていただいた事実はございますが、現在のところ少年院におきまして一挙に二千人の職員を増加しなければならぬということは、これはその矯正保護当局にとりましては理想的な数字としてそういう数字を盛っているかもしれませんが、現実の要請といたしましては私どもこのたびは聞いておりません。ただ少年院につきまして、定員が不十分で苦しいということはこれは十分聞いておりますが、何とか私どもはがまんで送る範囲内においてがまんして定員というものを押えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/98
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099・千葉信
○千葉信君 少年院刑務所の関係について御答弁がありましたが、刑務所の方は、これはまた人員が足りないようなお話がありましたが、こちらの方は大体飽和点に達しているということは、これは法務省認めているんです。そうじゃなくて、養護施設を拡充強化しなければならぬという考え方から、主として少年院の関係で二千人の定員の要求を行なったとはっきりこの委員会で答弁している、この委員会で。しかしそれはあなたの方との折衝だとか大蔵省の方との折衝でとうとうものにならなかった。私はその点をついておるのじゃなくて、その二千人の要求がだめだからといって、しかし百八十人の非常勤職員の採用は認めるということになった。ここに問題があると思うのです。あなたの方では非常勤職員、常勤労務員の定員化ということは当然の任務として合理的な定員化を行わなければならぬ、そういう立場におるはずなんです。それをあなたは刑務所の方の関係は別として、少年院の関係でどの程度法務省が要求しているかどうかのはっきりした御返事がない。しかもそういう定員の要求がすりかえられて、また新しく非常勤職員などという職員を採用する方式をとった。これじゃいつまでたってもあなたの方の態度としては国会の決議を尊重したことにならぬし、あなた自身の実際の担当している責任上からいっても、私はこういうことが新たに今ごろ起ってくることを行政管理庁が傍観したとは思わないけれども、少くともそういう事態が起っていることをあなた方が知らなかったことは心外だと思う。知っていてそんなことをあなたは言ったとすればなお罪が重い。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/99
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100・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) ただいま千葉さんのお説の通りです。定員が窮屈だからといって、これに最善の方途を講じてその定員を適正化しないで、常勤労務者あるいは非常勤職員というような種類の職員が発生して来て、それが定員内の職員と同じような仕事をして、結局またこれらの職員の処遇が悪いものですから不平不満が生じてくる、これは人事管理上非常におもしろくないことであろうと思います。でありますから、根本的に定員を適正なものに規正しようとしても、それが公務員制度全体と結びつかなければしばりがいれられないという点に悩みがあると思うのです。その点につきましては、今公務員制度調査室を中心として検討しているのであります。その点は最終的な結論まで達しないということを申し上げます。この点はまことに申しわけないと思っておりますが、この点につきまして目下研究中でございます。この公務員制度調査室の結論が出ますのも二、三年はかかるという予想で実はやっております。そこも御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/100
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101・千葉信
○千葉信君 とんでもないマンマンデーだと思う。あなたの方でこれの最終的な結論を出し、解決をはかるためには、それは公務員制度調査会の答申なり、あるいは公務員制度調査室の方の検討と、あなたの方が密接な連絡を取りながら、やらんければならぬということはわかるのですが、それが非常にこれから二年とか三年とかいうことになると、これは何と弁解してもまさしくマンマンデーという非難は免れないと私は思います。しかしそれと別に、私はそういう根本的な解決をはかるという方針で政府が進みながら、同時にこれから発生するそういう常勤労務者、非常勤労務者、特に例を私は法務省だけにとりましたが、たくさん実例を私は知っておる。その法務省の場合だけをとらえてみても、それからこういうものが採用されようとしておる、この年度から、三十一年度からですよ。そしてしかもその職務内容はどうかというと、二千人の定員要求を行なって、いれられなかったから、その仕事を非常勤百八十人で間に合せていこうという、これは臨時職員としての六ヵ月でもない、定員法にいうところの二ヵ月ごと更新する職員でもない、実際上明らかにこれからその職員等は、百八十人は、この年度内はちゃんと予算が計上されて、仕事を継続する、採用されたものも、何も二ヵ月、六ヵ月でやめるのじゃないのです。全く定員内の職員と同じ仕事をする、そういうものが、これからどんどん起ってくるということに対して、公務員制度調査会と行政管理庁は、それとタイアップして根本的な解決をはかるということはわかるけれども、これから起ってくる、今起ってくる問題に対して、行政管理庁が知らんのだと言っては相すまん、知っていてそういうことをやらしては不届きしごく、岡部さんにその点あまり言うのは無理かもしれませんけれども、政務次官もおられるから、行政管理庁として腹を据えて答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/101
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102・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 重ねてお答えいたしますが、この二千人なければ——これは決して法務省を非難するわけではございませんが、二千人なければ少年院を維持管理できないというところが、ほんとうに突き詰めた現実なのか。それからそれが現在の定員に、若干の常勤的な非常勤職員でもつければ、やれるのかという点につきまして、これは実際に当ってみなければ何とも言えないことでございますが、今のお話の点は、私は話が少し開きすぎる問題だと思います。合理的な定員管理の面におきましては、ちょっと現実の問題として、私自身といたしまして、この場で納得いたしかねるものがあると思いますので、その点は後刻調べたいと思いますが、定員法の改正に関します限りは、法務省におきましては、先ほどの刑務所の振りかえだけの問題で、私どもの方と折衝いたしたわけでございます。御了承いただきたいと思います。しかしその背後に、いろいろな定員の合理化に伴ないまして、非常勤職員の発生をどうするかというような問題が横たわっていることは、私は十分承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/102
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103・千葉信
○千葉信君 正直言うと、今の質問には少々はったりがあるのですよ。だからあなたもぴんとこないかもしれません。なぜかというと、二千人の定員要求は、売春禁止法等の成立を考えて——まだ喜ぶには早い。売春禁止法の成立を考え、その場合の少年院、札幌、福岡二ヵ所の新設等を見越して、その上に立っての定員要求です。いいですか、ですから、そういう点を、売春禁止法が先に延びたという条件を考慮に入れると、二千人という定員要求が、今日現在において正しいものであったかどうかということは、はっきり答えが出ると思うのです。しかしその二千人まるまるが、売春禁止法の関係の少年院の定員じゃないのです。二ヵ所新設されるところに対しても配置されるという条件を含みつつ、現在の少年院の状態においても、なおかつ足らないから、それを合せると二千人と、こういうことです。これはこの委員会ではっきりと答弁しているのです、法務省が。ですからそういう条件を考えた場合に、二千人という数字が出てきたのですが、私はそれをあなたにここで要求の内容がどうこうということは開きもしないし、あなたの方からも、またあとで調べて答弁するということですから、これはそれでいいと思いますけれども、問題はこれからそういうさっき申し上げたような採用の仕方、大蔵省が予算を認めた、だからその認めた予算によって、定員外の百八十人というものは、二千人の要求に対して振りかえられる、これからそういうものが臨時職の職員として就職する、こういう状態があとからあとからと起るようでは、行政管理庁が委員会で、われわれの意見を尊重するとか、全く御同感だからそういうふうに努力するなんというその御答弁は、行政管理庁としていいかげんな御答弁だと思う。これから新しく発生するものさえ押えることができないのに、どうして今までのものを解決できるか、その点なんですよ、問題は。他にもたくさんあるのです、こういうのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/103
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104・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 今のお尋ねの点が、制度に関連しますから、私申し上げるのですが、現実にある役所で人をぶやそうとすると、それが臨時のものか、ずっと恒常的なワクの中に入るものか、わからんものもある。わかるものもあるとおっしゃるかもしれませんが、わからんものもある。そうしますと、それが二、三年後にはもう縮小する見込のものもある。恩給局なんかそのいい例だろうと思います。あの膨大な一千人というようなものは、これは数年後にはぐっと減る見込のものでございます。それは本来は臨時職員として、私は押えておくべきものと思っております。そうして恒久的な規模の職員のみを定員法がとらえるのが、これがほんとうじゃなかろうかと思っております。それで現在におきましても、臨時のもの、あるいは将来にまだわからんもので、とりあえず仕事がふえるものについて人をつけなければならん、その人のつけ方をどういう方法で、今公務員法でやるかと申しますと、恒久的は職員でやるか、例の臨時職員でやるか、非常勤でやるか、その三つの方法しかない。臨時職員でやるということは半年しか使えない。そこに制度の欠陥がある。そこでとりあえず非常勤職員をつけることにします。当初から割合恒久的な性格のものは、常勤労務者をつけてやっていくのです。これはイージーなやり方ですが、すぐ業務量が縮小する見込のあるものは非常勤職員でやっていき、それがどうしても恒久的なものになってくるということになって、初めてこれを常勤労務者として、さらに進んで定員化したい、こんな形でやっているのでありまして、制度自体を変えませんと、今後もその形がぶえるということを、これは事務量に関係いたしますから、私どもとしてはこれを押えられない。それをどうするか、そのワクをどう作るかということが、いま一つの問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/104
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105・千葉信
○千葉信君 岡部さんの言う通り、制度自体に欠陥があるから、だからその制度を根本的に改めなければならんという問題が一つ。
それから今恩給局の例を引いてお話になりましたが、私もあなたの言うように職種がたくさんあって、そのたびに全く臨時的なものを押えるということは、もう不可能だ。そうじゃなくて、私の言ってるのは、当然定員内の職員でまかなうべき職種、仕事の内容、そういうものに対して、一体行政管理庁は、これから起ってくるものをどうするかという、特に少年院等の関係については、はっきりと牧野さんも二千人の要求をしてだめになったけれども、しかし百八十人のものはこういうふうに認めた、こういう答弁をして、私にどやされているのです。今ごろそんな採用の仕方をする話があるかと言って、私にどやされている。それをまあ法務大臣の方はいいとして、行政管理庁のこれは所管事項ですから、そこでその行政管理庁としては、今後もしこういうことが起ってくることに対して、黙って見ているということになったら、これは国会軽視——国会に対して答弁したことと食い違う、それじゃいかんと私は言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/105
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106・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 千葉さんのお話全くごもっともですが、ただいまお手元に差し上げまして御審議をいただいております定員法の改正案というものは、御趣旨を十分に完全に盛ったものとは考えませんけれども、どうしても初めから恒久的な職員でなければならないというものにつきましては、定員の中に入れているわけでありまして、現実にごらんいただけばわかります通り、都市関係の郵便事務量の増加というものは、これは恒久的はものでございます。それから電話交換の増加というもの、これも恒久的なものでございますが、そういうものは三千八百名ばかりはこれはふやした、そのほか先ほど科学技術庁の設置に伴いまして各省から移しかえできない最少限度の職員というものは、これも純増を認めて、純増をしている。その他各省におきまして現在定員法の中に入れるべき恒久的な職員は全部定員法の中に入れて操作した、その結果四千六百六十七名の増加に相なったと、こういうように一つ御了承いただきたいと思います。しかし千葉さんは、それは非常に不十分だ、われわれの定員を押えていねいじゃないかという御非難はあろうかし思いますが、ある程度までの努力はして、そこで押えておる。こういうように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/106
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107・千葉信
○千葉信君 今岡部さんが言われた通り果してそうかどうかということは、これはこれからの問題ですから、これから定員法を審議していけばあなたの言うことがうそかほんとうかということがわかっていくのですから……。そうじゃなくて、私はその定員法に入る三番叟として、まず第一にわれわれの国会の決意なるものが尊重されたかされないか。されないということになったら国会が幾らやっきになって決議をしてみても何にもならぬ。相手が悪いから、打政管理庁が悪いから。それならわれわれとしては、そういう行政管理庁を相手にしているのだということを念頭に置き意がら、今後審議をしなければならぬ、こういうことになるので、まあきょうはこれはまくらとして以上だけ質問しておきます。あとから、まくらじゃない本物についてはこの次にやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/107
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108・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) もういいですか。ほかに御質疑ありませんか。
本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめておきたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/108
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109・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/109
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110・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次に、国家公務員制度及び恩給に関する調査を追加して本日の議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/110
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111・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 国家公務員制度及び恩給に関する調査として公務員の給与問題に関する件を議題といたします。本件につきまして質疑のおありの方は御質疑を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/111
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112・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/112
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113・田畑金光
○田畑金光君 人事院総裁に給与問題をお尋ねする前に少しくお聞きしたいことがありますが、一昨日私は人事院総裁にお会いしたいと政府委員室を通じ申し入れておきましたが、連絡がありましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/113
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114・淺井清
○政府委員(淺井清君) 二時半ころまで国会におったと思っておりますが、それ以後ちょっと出かけておりましたので連絡がございません。私の所在がわからなかったのでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/114
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115・田畑金光
○田畑金光君 国会を出てから三十分後にあなたに連絡をとったわけですが、政府委員室の話しでは本院に帰ったというので、本院とはどこだと聞くと人事院だと、人事院に連絡してもあなたの所在はわからない。国会かあり重要なこの時期において人事院総裁の所在がわからぬということは納得いかぬわけですが、どういうことで所在をくらましたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/115
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116・淺井清
○政府委員(淺井清君) 大体、所在をくらましたわけではないので、実はここ一両日中機構問題につきましてちょっと飛び回っておるものですから、一々連絡はいたしませんが、大体国会の出席要請は午後二時ころまででわかろものでございますから、それでそれ以後は連絡しなかったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/116
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117・田畑金光
○田畑金光君 あなたの所在というものは何ですか、はっきり、たとえば人事院の管理局あるいはまたあなたの秘書官等々に告げないでいて、国会から要求があったような場合にもその急の出席に間に合わない、あるいは国会議員があなたに会うて話をしてみたいと思っても、こうしても行き先がわからぬ、こういうようなことで重大な人事院総裁としての職責の遂行がどうです、支障なくいきますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/117
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118・淺井清
○政府委員(淺井清君) ただいままで大体支障なくいっておるように私は思っておるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/118
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119・田畑金光
○田畑金光君 現実に、一昨日私があなたに会って重大な問題について話してみたい、こう思って所在をただしたが、どこに連絡をとってもわからない。人事院にいってもわからない。こういうことでよろしいものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/119
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120・淺井清
○政府委員(淺井清君) それは一昨日だけのことでございましょう。大体私はただいままで八年もいたしておりますけれども、大体支障なくいっておるように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/120
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121・田畑金光
○田畑金光君 支障なくいっていると言うけれども、一昨日現に私はあなたに面談を申し入れたけれども、会えなかったのです。五時半ごろまで人事院にいたけれども、あなたに会えなかったのです。これば支障なくいっているとは言えないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/121
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122・淺井清
○政府委員(淺井清君) それはたまたま一昨日田畑さんがお越し下されたときに連絡がとれなかったのでありますが、これは申しわけないと思っております。今日までそういう事態はあまり起っておらぬように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/122
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123・田畑金光
○田畑金光君 あなただけじゃない。人事官も全部いない。事務総長もいない。こういうような状態です。あなたもいない。事務総長もいない。そういうようなときは、あなたのあるいは人事官の留守中に、当局の留守業務を担当するというのは人事院の機構上どういうことになっているのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/123
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124・淺井清
○政府委員(淺井清君) 入江人事官が、田畑さんがお越しにみえたときに部屋の中におりました。事務総長は行政機構改革の問題で行政管理庁の管理部長のところに参っていたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/124
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125・田畑金光
○田畑金光君 いよいよおかしいと思うのです。私はあなたがいなければ事務総長にお会いしたい、事務総長もいない、そうなれば人事院総裁のいないときにその職務を代行される、あるいはあなたにかわって責任のある話し合いのできる人を求めたのです。だれもいない。やむなく給与局長にお会いしたのです。入江人事官がいて、しかも私がお尋ねしても、その入江さんがおるということすらも告げないというのが、あなたの事務機構の状態でありますが、これに対してどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/125
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126・淺井清
○政府委員(淺井清君) 入江人事官はたしかにおったんでありまして、田畑さんから別に入江人事官に面会をお申し込まれたことはないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/126
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127・田畑金光
○田畑金光君 そういう形式的な言いのがれで、私は済まそうとは考えていないのです。あなたも忙しいだろうし、われわれも忙しいです。あなたがおられなければ、入江人事官に会えば十分話もつくわけです。ところがだれもいない。事務総長もいない。こうして私は二時間以上の時間を空費したわけだ。そうなってくるならば、私はあらためて、あなたの不在中留守をあずかっていた管理局長あるいは給与局長その他の諸君を呼んで、ここで究明しなければならぬと思うのです。あなたの部下の管理局長はそういうふうなときはどういう措置をと木とあなたは指導されておるのか承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/127
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128・淺井清
○政府委員(淺井清君) 勤務時間中は入江人事官がちゃんといたわけでございますから、私はそれで役所としては支障がないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/128
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129・田畑金光
○田畑金光君 あなたは支障はないと言うかもしれぬが、あなたの大事な秘書官もいないんです。秘書官がおらぬからあなたの所在がわからぬ、こういうような話なんです。管理局長に聞いてみたら、人事官もだれもいない、こういうことなんです。じゃだれに会えばよろしいのか、こういうわけで給与局長に私は会ったんです。そういうようなことが答弁としてあなた人事院総裁として許されるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/129
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130・淺井清
○政府委員(淺井清君) 総裁がおりませんときは、だれか人事官がおるはずでございますから、それに御面会せられるようにおん申し出下されば、そのようになったと思っております。私の記憶では秘書官を私が帯同いたしまして外出いたしておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/130
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131・田畑金光
○田畑金光君 私の尋ねたいことは、あなたがいないとき、あなたに会おうと思って……。そのときは当然人事官が部屋におるならば、人事官がいるということをあなたの留守をあずかる管理局長その他の諸君は私に告げるのが建前ではありませんか。常識ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/131
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132・淺井清
○政府委員(淺井清君) お言葉ではございますけれども、三人も常勤の人事官がおるわけでございますから、勤務時間中だれかおるのは、これは常道であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/132
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133・田畑金光
○田畑金光君 そうなれば、なぜあなたのところの機構のもとにおける管理局長等はその旨を伝えないのか、話をしないのか、ここを私は聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/133
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134・淺井清
○政府委員(淺井清君) それはそういうとき、そういうことは当然田畑さんにもおわかりになっていると思って言わなかったんだろうと思います。言葉の足りなかったことはおわびいたしますけれども、三人も常勤の人事官がおるのですから、だれかおると思っておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/134
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135・田畑金光
○田畑金光君 そういう態度だから、あなたの部下の態度というものはわれわれから見まして不親切きわまる傲慢不遜な態度をとっておると言わざるを得ないんです。一つ私はあなたにお尋ねするが、当日官公労の代表があなたに面会を申し入力て、あなたにお会いをしていろいろお話を承わりたい、この事実は御承知でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/135
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136・淺井清
○政府委員(淺井清君) 事実は知っておりますが、その前日すでに人事院を代表して人事官が会っておるんでございますから、当日はあらかじめきょうは会えないと、きょう会ってもきのうと同じことを繰り返すにすぎないから会えないということを言っておるのに、しいて参りましたので、当日合わなかったことは私どもに落度はないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/136
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137・田畑金光
○田畑金光君 あなたが会わなかったのは落度があったかどうかは別にして、あなたにたとえば面会を申し入れる場合に、会わないという場合には、会わない、ただこの一言で拒否されておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/137
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138・淺井清
○政府委員(淺井清君) 一言で注意はいたしておらないのでありまして、十分に理由を申しまして、前日からきょうは会えないと断わったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/138
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139・田畑金光
○田畑金光君 公平局長に会って話をしてみたわけですが、どういうわけで会わなかったのか、人事院総裁はそれに対してどういう理由で断わったのか、これを私は聞いてみたんです。会う会わぬは個人の自由意思である、理由を言う者もあるし、理由を言わぬ者もいる、個人のこれは自由だ、断わるにしても理由を言う者もあるし、理由を告げない者もあるだろうが、それは個人の自由意思だ、こういうような態度で、あなたが会わなかったことを断わっているわけだが、いやしくも公務員の代表が——当日参加した者は国家公務員だけでなく、地方から上ってきた地方公務員の代表もいたようだが、たとえそのようなことがあったにしろ、理由も告げないで、会えないから会わないのだ、こういう態度で人事院総裁が対処されるということは、まことに遺憾と思うわけでありまするが、公平局長のこの言葉の通り人事院総裁は公務員団体の代表等に対し応対されておるのかどうか承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/139
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140・淺井清
○政府委員(淺井清君) それは公平局長の、言葉が間違っておると思います。もし公平局長が今、田畑さんの仰せられたような言葉でお断わりしたのならば、それは公平局長が悪いのであって、私が公平局長をしかりたいと思っております。そうでなくて、参りましたのは地方公務員の代表でありまして、先日参りましたときは地方公務員ばかりでございます。ところが地方公務員の給与問題は人事院は直接関係がないからと申しましたところが、しからば官公労の一部として会ってもらいたい、官公労の一部としてならば会おうといって、入江人事官が人事院を代表して会いました。そうしたらまた次の日に参りましたので、そう毎日来られても会うことはできないので、自分としてはきのう言った通りであるから、きょう会っても何も事実の進展もないし、きょうは会わないということを前日から申していたのに来たのでありますから、私は会う必要はないように思っております。
つけ加えますけれども、ちょっと一両日中忙しかったこともありますが、明日か明後日には地方公務員の代表にも会うことになって、そのように連絡がついております。ちょっとつけ加えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/140
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141・田畑金光
○田畑金光君 いつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/141
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142・淺井清
○政府委員(淺井清君) 明日か明後日なんでございますが、ただいま聞きましたら、明後日は何か予算委員会から出席要請があるようにも聞いておりますので、あるいは明日にいたしますか、あるいは明後日にいたしますか、その辺ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/142
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143・田畑金光
○田畑金光君 私は初めて人事院の局長や課長とお会いして話をしてみたわけですが、まことに私は人事院という役所の、法律の建前から見て、われわれの考えていた人事院というものと、現実の、あなたの部下であるのかどうか知らぬが、局長や課長の態度を見たときに、大きな違いがあることを見て驚いたわけです。あなたは公平局長がもしそのような答えをしたとするならば公平局長が間違っている、こうお話になったわけです。私はあなたが間違っているということを認めていただくならばそれでけっこうです。まことに傲岸無礼です。公平局長というものは、いやしくも人事院と公務員団体との窓口機関であると私は聞いているんです。にもかかわらず、その窓口機関において、しかも私が国会議員として話を進めていっても、万事がそういう……面会に対する断わりをするにも、理由を告げるも告げないも個人の自由意思である、こういう態度できているので、ましてや職員団体その他に対する態度というものは推して知るべしであります。あなたはこういう公平局長をかかえているが、これに対してどうお感じなされるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/143
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144・淺井清
○政府委員(淺井清君) 当日のやりとりはよくわからないのでございますが、田畑さんの御質疑の御趣旨はよくわかっております。もしそういう言葉て国会議員に対したのならば、これはちょっと間違いでございましょう。その点はよく戒めますから、どうぞ御容赦を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/144
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145・田畑金光
○田畑金光君 ちょっとの間違いじゃ済まされません。そういうようなふらちなというか、部下をかかえているということは、まことにこれは人事院のために私はよろしくないとこう思っております。あなたはちょっとまずいくらいで済まされるとお考えになるのか、私は非常にこれは遺憾に考えるんです。
それから当初の話に戻るけれども、入江人事官がいるなら、当然にあなたにかわる者、あるいは総裁の意思をそんたくして話のできる者、私はそういう人に会いたいということを明確に申し入れているにかかわらず、入江人事官のいることすらも告げなかったということ、これはどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/145
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146・淺井清
○政府委員(淺井清君) その点、はなはだ遺憾でございますが、そう田畑さんが申されたときは、もうすでに入江人事官は勤務時間も過ぎましたし、帰っていたあとじゃないかと思いますが、その辺よくわかりません。よく調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/146
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147・田畑金光
○田畑金光君 そのことはまだ十分に、勤務時間中の話ですから、その点はあらためてまた適当な機会に私は人事院当局にいって話し合ってみようとこう考えているわけです。まあこの点はこのくらいにとどめますが、もう少し人事院という役所は親しみやすいというか、親切に話のできる、局長や課長クラスとももう少しなごやかに話のできる、こういうことが一番大事なことだと思うので、あなたの指導監督よろしきを得るように御配慮を願いたい、こう私は希望を申し上げておきます。
次に、この間本委員会において千葉委員から質問がありまして、それに対し人事院総裁からいろいろ御答弁があったわけであります。要するに三公社五現業については調停案が出て、公社当局も、あるいは組合も、また政府もこれを認める、調停案をのむ、こういう態度が明らかに出て参ったわけであります。そうして三公社五現業という団交権を持つ公社あるいは一般公務員に対しては調停案によって措置がはかられる。これに比べて団交権を持たない一般公務員の措置がもし不公平な結果を招くような場合には、人事院当局といたしましても当然人事院の立場から善処すると、こういうような御説明もなされたわけであります。ことに私は今問題として取り上げてみたいことは、調停案の中にはいろいろな項目が含まれておりまするが、その中で当面一時金の問題に対しまして、総裁は一般職の団交権を持たない公務員について適切な時期に適切な方法をとりますと、こういうことを明らかにされたわけであります。そこで私は適切な時期に適切な方法をおとりなさる、あるいはなされた、この点に関しまして、これは具体的にどういう形式で、いつ政府当局になされたのであるか、この辺の事情について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/147
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148・淺井清
○政府委員(淺井清君) 一番先に人事院のこの問題に対する所信をちょっと述べさしていただきたいのでありますが、人事院といたしましては、ただいま仰せられたように三公社五現業の調停案が出まして、三公社は国家公務員でないから別といたしましても、五現業の調停案の結末いかんによりましては、あるいは一般職公務員と不均衡が生ずるかもしれない。もし不均衡が生じました場合は、団交権のある公務員だけが給与が改善せられ、団交権の意い一般職の公務員の給与が改善せられぬといたしましたならば、これは一般職公務員の勤労意欲を低下させますし、能率を阻害するものであると、こういうように思っておりまするので、人事院といたしましては、政府に対しましてぜひさようなことがないように望む。まず調停案の中にはいろいろな要素が含まれているように思うのでありまして、調停案自身も非常にわかりにくいところもありまして、どのような結果になるかわかりませんが、さしづめ間間になるのはただいま仰せの通り一時金であるということににはわれわれもまことに同感でございます。そこでこの点に対しましても遺漏なきを期したいと思っている次第でございまして、またさように考えて行動をいたしていると御承知おきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/148
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149・田畑金光
○田畑金光君 その程度の御答弁はすでにこの間の委員会の御答弁の中で明らかになされたわけであります。速記録を私も読みまして、総裁の考え方もよく承知いたしております。お話のように調停案の内容には多くの問題を含み、また調停案の解釈をめぐって当局と組合との間にいろいろな折衝が行われていることもよく承知いたしております。俸給表の改定の問題とかあるいは昇給の実施の仕方、あるいは予算の問題、あるいは期末手当の問題、こういう点は私は今直ちにここで取り上げようとしているわけじゃないのです。もちろん今後当局と組合との話し合いで三公社五現業の間に一つの協定が生まれてくるのでありましょうが、その協定に基く、あるいはその協定に比較いたしまして、お話のような団交権を持たない一般職の公務員の待遇炉もし低下するような場合があった場合には、当然人事院当局は全般の問題について、あるいは俸給表の勧告とか手続をとられることをわれわれは期待し、またそれを信頼いたしております。ただ私が今直ちにここでお開巻したいと思うことは、この間、先般ですが、人事院といたしましては政府に申し入れをなされたということを聞いております。適切な時期に適切な措置をとるということが、私はこの申し入れをなされたというこの事実であろうと見るわけであります。そのように解してよろしいかどうか。政府委員(淺井清君) お尋ねごもっともでございまするけれども、一体給与問題につきまして人事院が内閣、大蔵省その他と折衝いたしますことは、これは人事院の責務でもあり、またむしろ日常のできごとでもあるように思いますので、そのつもりでやっております。
それからただいま問題になっておりますのは、仰せのように俸給表であるとか期末手当であるとか、あるいは昇給昇格の問題は何もただいま速刻に解決しなければほらない問題ではないと思っております。今一番問題になるのは一時金の問題だろうと思っております。これはただいま仰せられた通りのように思っております。そこで人事院といたしましては政府と折働いたしまして、これが遺憾なきを期したいし、また期しつつある次第でございまするが、ただこの一時金が調停案においてどんな形で結末をするかがちょっとわかっておりませんで、五千円以上という数字がそこへ出ておりますが、これは一体何であるか、従来の業績手当にとどまるものであるか、それともそれ以上の何かプラスになるのであるか、その辺のこともわかりませんので、少し時間を要するんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/149
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150・田畑金光
○田畑金光君 人事院はその適切な時期に適切な措置をはかるという趣旨は、もうすでに政府当局に対しまして人事院の意思を明らかにされておると私たちは推測するわけであります。お話のように今後当局と組合間の話し合いで、三公社五現業のその一時金の問題について、従前の業績手当以上のものが出るかどうか、この問題はまだ明らかにされておりませんが、しかしいずれにいたしましても、今日までの事態の推移、あるいは今日の客観点な条件をわれわれが考えましたときに、従来以上の措置がとられることは明らかではなかろうかともわれわれは多く期待しているわけです。そのような期待を持たれる情勢にあるからこそ、人事院といたしましても政府当局に対し何らかの申し入れその他の形をとられたと私は考えるわけでありまするが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/150
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151・淺井清
○政府委員(淺井清君) 人事院が政府に対して何か申し入れをしたかどうかということは、これは政府内部の折衝の問題でございまするから、今日の段階においていかんとも答えられないのは非常に残念でございまするが、人事院といたしましては、給与問題について政府と折衝いたしますることは、これは義務でございまして、決してこの義務は怠っていないものと御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/151
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152・田畑金光
○田畑金光君 義務に基いて人事院当局がとられていることは、われわれもあえてこれを否定するわけじゃないのです。ただわれわれが不安に感ずることは、今総裁のお話のごとく、それは文書の形によってなされたか、口頭で申し入れされているか、折衝をいかなる方法で続けられているかは存じませんが、とにかく先般新聞の伝うるところによる、根本官房長官は人事院からきた文書については一片の私文書にすぎない、法律的に何ら根拠もないものである。こうして一蹴し去る態度をとっているわけであります。われわれはこれから判断いたしまするならば、人事院当局は文書をもって申し入れされただろうということを推察するわけであります。ところがこれに対しまして根本官房長官は法律的な根拠がない、一片の私文書にすぎない。こういう態度をとっているわけであります。まことにこれは遺憾なことだと考えるわけであります。また先般政府が三公社五現業の調停案をのむについても条件を付している。その条件の中には、明確に一般職の公務員には無関係である。これは調停案をのむことによって一般職の公務員に何らかの影響を及ぼすものとは政府当局としては考えない。こういうような条件付でもってあの調停案をのんでおるわけであります。で、そういうような政府の態度をわれわれから見ましたときに、人事院総裁が一生懸命努力されているその努力は、われわれは認めるにやぶさかでない。しかし政府のこれに対する感度を私たちが見ました場合に、一片の私文書にすぎない、こういうことでありますならば、今お話のような世論に聞く、あるいは公開によって国会にあるいは国民に事態の推移を知らしめるというような方法をとらずして、従前のような政府当局と人事院との話し合いだけで事を運ぶには、どうも今の段階においては私はその方法等において適切でないように考えるわけであります。
そこで私は整理してお尋ねいたしまするが、人事院は文書でこれを申し入れられたということは明らかであります。そこで従前こういうような形をとられた例があるかどうか、またそのような申入書の形で政府と折衝をなされて成功した事例があるかどうか、
第二にお尋ねいたしたいことは、政府当局は人事院の申入書を一片の私文書にすぎない、法律的な根拠がないということをぬけぬけと言っているわけです。しかしわれわれは好意的に見て、公務員法の建前からいっても、人事院がかりにその上らな文書を出したとするならば、それは当然政府としても尊重しなければならぬ政治的な責任があるとわれわれは考えまするが、人事院総裁は政府のとっておる見解に対してどういう判断であるか。
第三にお尋ねいたしたいことは、もうこの段階においては、この時期においては、当然申入書等は公開なされて、国会や世論の批判を聞くべき時期であると私は考えまするが、この点に関しまして総裁はどのように判断なされるか、まず三つについてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/152
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153・淺井清
○政府委員(淺井清君) お尋ねまことに一々ごもっともでございますが、まず第一に今回申入書を出したかどうかと申しまする点につきましては、最前お答えをいたしましたように、ただいまの段階においていかがとも申しかねる。しかしながら人事院のこの申入書というものについてこれ衣で例があったか、あるいはどのようなふうであったかというお尋ねならばお答えを申し上げたい。それは従来申入書というものを出したことはございます。それは夏季手当の場合あるいは年末手当の場合、これについてはむしろ出した方が多いでございましよう。ただ昨年の暮の期末手当は、動告が出ておりますから、この申入書は出しておりませんがそれで人事院といたしましては、この申入書というものは公文書でございます。そうしてこれは給与担当大臣にあてる例になっておりまするが、これまでこれが政府部内の折衝でございますから、これが外部に知れることもあり、知れないとともありますのです。一度はむしろとれは事務当局の手違いで人事委員会へこの文書を配付したことによって知れたこともございます。そういたしますと、この申入書というものは、私の見るところでは相当効果をあげているように思っております。それが第一点でございます。ただし今回のことにつきまして申し入れをしたかどうかということは、ただいまの段階でちょっと申し上げかねます。
それはただいまお尋ねの第一点でございますが、第二点の、この官房長官の新聞記者会見での話し合いを根拠としてのお尋ねであるわけでありますが、どうも国会におきまして新聞記事を基礎にして何も申し上げられないのでございますけれども、これは私、文書ではないのでございまして、これはやはり公文書とわれわれは解釈いたしております。
それから第三のお尋ねの、もうこの段階になったら公表したらどうかということは、御意見はよく尊重いたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/153
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154・田畑金光
○田畑金光君 まあ総裁の答弁で大よその人事院当局の意向というものは明らかになされたわけでありまするが、われわれといたしましては、またわれわれの眼から見る判断においては、この時期においては公開して政府当局に善処を求める時期に私はきておると見るわけであります。われわれが解せない点では、どういうわけで、人事院が堂々と公文書で申し入れられておる、しかもそれは公務員法の建前に基き、人事院の使命の趣旨に基いて公文書で申し入れられたにもかかわらず、なぜそれを内部の折衝という形で取り運ばなければならないのか。何か公開のもとにやるというととは、大きな目的を達成するためにそこでもきたすのかどうか、私どもは解釈に苦しむわけであります。先般の委員会において総裁の答弁をお聞きいたしましても、またただいままでの答弁をお聞きいたしましても、人事院当局が大よそどのような手続とどのような内容の趣旨を政府当局に申し入れられてこられたかということの推察はつくわけであります。なぜしからば堂々と公開のもとに事を取り運ばれないか、ことに今のような政治情勢のもとにおいては、この点が私たちは非常に理解に苦しむわけであって、その事情というものを私は聞かしていただきたい、かように考えるわけであります。
そこでもう一つ私がお尋ねしたいことは、お話のように官房長官の新聞記者との話し合いの表現はとにかくとして、もし、かりに公文書によって人事院が政府に要請なされたにかかわらず政府がこれを尊重しない、このような事態が発生したといたしまするならば、当然われわれは人事院当局といたしましては、勧告と法の建前から見ましても、人事院の最後の権限の行使というか、職務遂行のこの精神というものは発動なされるものと期待するわけでありますが、この点について総裁はどういう考え方を持っておられるか。
さらに私はもう一つあわせてお尋ねいたしますが、今後不均衡の是正というようなことでもって具体的に政府当局は何らかの措置をしなければならなくなってきた。こうなって参りますと、当然これは財源等の問題が出てこようと考えるわけであります。あるいは人事院当局といたしましてはそこは国会の問題である、こういうふうにお考えになるかもしれぬが、しかし責任をもって事を運ばれておられる人事院当局でありますがゆえに、財源等の問題等に関しましても、あるいは補正予算の問題等についても、十分な見通しの上に立って事を運んでおられることをわれわれは信じまするが、この点に関しまして総裁の見解を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/154
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155・淺井清
○政府委員(淺井清君) 一番初めの問題でございますけれども、政府と折衝いたしておりますのは、これは日常のことでございまして、その折衝には公文書を用いることも、これはたびたびあることでございまして、これらの公文書は公表しないのが普通でございます。たまたま今回は一部の新聞等にさように伝えられたのであり、また問題が問題でありまするから問題になったと思っておりますが、ただし、ただいまのこの文書はこの際公開する方がいいのではないかという御趣意に対しましては、御意見を尊重いたしまして善処いたしたいし思っております。それから万一不均衡を生じましたときの予算措置ということでございますが、これは三公社五現業等についても予算措置はしないように考えておりますので、さようなる場合は特に予算措置ということは不可能ではないかと、かように考えております。
それからその次にお尋ねになりました、人事院はそれではこれがうまくいかなかったときはさらに勧告するかどうかということは、ただいま考えておりませんが、今後はよく物事の推移を見定めまして、どのようにするか考えたいと思っておりますが、この点はまだ何ともきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/155
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156・田畑金光
○田畑金光君 私は特に総裁に感ずることを申し上げておきたいわけでありまするが、御承知のごとく、政府は行政機構の改革の問題等を取り上げて、本国会に提案するような情勢なることも、われわれは一応予測しなければならぬと考えております。その行政機構改革の重要な一つとして人事院の問題等があるわけであります。すなわち政府の考えておることは、今存在する人事院の機構等も大きく後退させるというねらいを持っていることも明かであるわけであります。私たちはもし人事院が法によって命じられた建前に対し消極的な態度であるとするならば、人事院の存在何をか言わんや、こういうことにならざるを得ないと考えるわけであります。ことに私が冒頭に申し上げましたように、あなたの部下等にはまことにどうも性質のよろしくない、心得のよろしくない諸君が相当いるようでありまするが、こういう諸君を抱えて、人事院が法の建前を遂行するというのは、やはりどうも私はいかがかとこう考えるわけで、人事院の存在に対しわれわれ自身疑問を持たざるを得なくなってくるわけであります。しかしこれはまあ一部の者でありましょうから、十分一つ総裁はその点を留意されまして、部下職員の指導監督は適正を得られると同時に、人事院のあり方については法の建前に基いて忠実に、勇敢に、信ずることば信念をもってやり遂げていただきたいと考えるわけであります。
当面の問題といたしまして、先ほど来私が御質問申し上げているこの申入書を中心とする一般公務員の一時金の問題等については、総裁として情勢をよく判断されて、ほんとうに総裁が考えておられるように、一般職の公務員に対しましても具体的な措置が政府としてとられざるを得なくなるように追及する、積極的に要請される、このことをさらに御努力願いたいと、私は希望を申し入れておくわけであります。どうか一つ、私はまた後日当初申し上げた人事院のあなたの部下の諸君の問題については追及する機会を持ちたいと思うが、本日はこの辺で一応総裁の頭に記憶していただくことにして、この辺で終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/156
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157・千葉信
○千葉信君 時間も時間ですから、簡単に二、三の点だけお尋ねしておきたいと思います。
まず第一番にお尋ねしたいことは、総裁は総理大臣やあるいはその他の大臣等から面会を申し込まれた場合に、前に一回会っているのと同じ返事だからもら会わなくてもいいというような格好でお会いにはらないように拒否されるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/157
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158・淺井清
○政府委員(淺井清君) ちょっとそういう仮定の問題にはお答えをいたしかねるのでありますけれども、結局千葉さんの仰せられるところは、この間の地方公務員の問題であろうと思っております。しかし前日大へん大ぜい来まして、それでもう一時間半にわたってるる人事院の考え方も申し述べたのでありますが、またあくる日会うということは、これはちょっと私の方では仕事の関係上できかねるからああいう事態が起ったのです。まあそういうことはないと思いますが……、それはもうすでにあすかあさっては会うことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/158
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159・千葉信
○千葉信君 総裁は頭がいいから先をくぐって答弁されたようですが、総裁が答弁されたように、これは総裁の言う仕事という意味は、私の申し上げる仕事という意味とは違うと思うのです。人事院の仕事の性質からいって……おそらくあるいは総裁は仮定の問題だから答えにくいということですが、実際上は総理大臣や大臣から面会を申し込まれたら、私は断ることはないと思うのです。そっちには断る意思がない立場であると同時に、やっぱり人事院の所着している仕事の性質からいえば、私はもっと親切な態度が公務員諸君に対しても必要だと思うのです。そういう親切さを欠くから要らないところにトラブルを起して、国会でごたごたと、とんでもない時間を空費しなければならぬと、こういう格好になると思うのです。この点はもう総裁を重々しかりおくから今後そういうことのないように、十分覚悟をしてもらいたい。
第二の問題は、まあ少し答えにくそうにして、十三日に内閣あてに出されたという文書の内容等について、それぞれ言を左右にして明確な態度を表明されることを避けておられるようですが、しかしこれは答弁のいかんにかかわらず、十三日に内閣に対して人事院が少くとも一時金の問題等について現業職の職員と格差をつけることは、人事院としてだまって見ているわけにはゆかないという意思表示をされたわけです。私はそういう人事院のやったところに対して、まあよくぞいつもの消極的な、全くはがゆい人事院としてはよくぞやったものだという点では、私は人事院の労苦を大いに多とします。しかしお尋ねしたいことは、せっかくそこまで踏み切った人事院の公文書なるものが、内閣に対して送られただけで、それで人事院は義務を果したと考えたら私はいかんと思うんです。間違いだと思うです。人事院としては、その公文書の効果を発揮するように、そうしてまた人事院が政府に対して申し送られたその事実が、結果として実現するような義務が人事院としてあると思うのです。つまり文書を出しただけでそれでいいかということになれば、そうじゃなくて、人事院はそれの実現のために努力をしなくちゃならんと私は思うのです。この点は浅井さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/159
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160・淺井清
○政府委員(淺井清君) まことに御同感だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/160
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161・千葉信
○千葉信君 そこで人事院としては、その政府に出された公文書なるものの効果いかんです。今、人事院としてはその問題についての見通しをどういうふうにとっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/161
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162・淺井清
○政府委員(淺井清君) 今日たしか郵政省では調停案を受諾したように思っております。これから団交が開始されるだろうと思っております。他の現業もこれにならうだろうと思っております。その結果不均衡が果して出るかどうかが問題になってくると思います。ですから今日ここでどのような見通しだということは言いかねまするが……。第一調停案における一時金の性格、これがどうなるかは今後の問題だろうと思っております。ただいまここではっきり見通しは申しかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/162
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163・千葉信
○千葉信君 おそらく今の御答弁は淺井さんの本音だろうと思うのです。私どもは調停案に盛られた一時金の内容が、業績手当に該当するものを含んでいるかどうかということについては、これは一応問題があると思うんです。しかし問題はあるけれども、いずれにしてもどの程度のものであっても、一般職の職員と現業職の職員とが、差をつけるような結果になってはならない、またつけるべきではない。また人事院としては、現業諸君の団交権のかわりに人事院が存在して、公務員の団交権のかわりに人事院が勧告とかその他の主張をする、こういうことになっているのですから、従って人事院としては現業職の職員と差のつくような結果になったとすれば、人事院の存在価値がなくなる。存在価値がないよりも、完全に仕事をしていないということになるのです。そこで、人事院としてはまず第一に公文書を送られた、しかしそれの実現の見通しについては、実は残念ながら今総裁が言われたように、まだその問題についての見通しは立たない。そこを人事院の立場からすれば、文書を出したらそれで済むというんじゃなしに、あくまで現業職の、少くとも現業職の職員と差がつくようなことがあってはならんという努力をしなければならぬし、そういうことを招来してはいかんと思う。ところが残念ながら見通しについては今のところまだそこをはっきりとここで答弁できるような格好にはたっていない。そこで私は人事院の努力も認める。ただしかし、それだけでは問題の解決はどうも今の状態では不可能だということになりそうなのです。この際人事院としては、あくまでも人事院の公文書の内容が成果を得るように、現業職の職員と一般職の職員とが少くとも差がつかないようにするためには、もう一歩人事院としては踏み出さなければいかんと思う。その踏み出すということは何かというと、あなたは内閣に対して文書を出された。しかし本来はあなたの方でその文書に法的な効果を期待するためには、やはり国会というものを淺井さんは忘れちゃいかんと思う。従ってその内容等について、できるだけ勇敢に——その勇敢さは当然な勇敢さですから、浅井さんとしては、その問題の解決をあくまでも期待するために、国会の存在ということを忘れてはならんと同時に、公文書を発せられたのですから、その公文書を、実はこういうふうに政府に出しておきましたといって、国会に対して意思表示され、表明されることは何ら行き過ぎではないと思う。しかも公文書を送られてから大体十日経過しておる。その過程の中では、田畑君が言っておるように、これは私文書だなどといきまいている閣僚などもいる。これは官房長官だが、そんなことだと、私はせっかく公文書を出されながらしりを結ぼうとしない人事院の卑怯な態度、弁解の口実として——そこまでは言い過ぎかもしれんが、弁解の口実として、こそこそ公文書を出したにすぎないという、こういうことも批判されるおそれがあると思う。そこでそもそも淺井さんとしては、全貌をここで発表しろとはそこまでは言わない。しかし、内容について一体何をその文書はうたったものか、どういう程度の均衡をとるような方法を人事院としてはとるべきだということを言われたのか。それを淺井さんは国会である程度表明されることが、人事院としての当然の責務である。その文書の内容を具体的に実現するという第一歩になるし、今のような見通しならば、人事院としてはそこまで踏み切らなければ、私はせっかく出されておるその公文書の効果は期待できない。その段階に私は今人事院が追い込まれてきておると思う。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/163
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164・淺井清
○政府委員(淺井清君) ごもっともでございます。この文書の公表につきましては、御趣旨を尊重して善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/164
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165・千葉信
○千葉信君 まあ善処大いにけっこうだし、その総裁の真意も了解します。ただしかし、ここで一言申し上げておかなければならぬのは、御趣旨に沿って行動するというが、あまりおくれることは、これは問題を紛糾させるばかりで、人事院みずから勇敢に踏み切ることによって問題の解決が早くなれば、それだけ私は人事院としてもりっぱに職責を果したことになると思う。最初淺井さんがその文書を出されることについて、公共企業体、もしくは現業職の職員等に対して当然実現すべき、もしくはまた解決すべき問題も、ほうら一般職の職員の方に飛び火したということで、障害になってはいかん、だから障害にならないような時期を慎重にねらわれたという苦心は私はわかるのです。しかしもう今の事態は、そういう御心配になるような時期は過ぎたし、人事院も踏み切って公文書を出されたからには、一体、全体としてのこの問題の解決がどうなるか、いつなるか、こういうところにきていると思うのです。そこで総裁も御承知のように、政府の方でいろいろ考えておられる機構改革の問題の中に、人事院の廃止、国家人事委員会の設置の問題が考えられる。その政府案の内容によりますと、今度は今までのように内閣と国会に対して勧告を行うというのじゃなくて、内閣に対して勧告を行い、内閣を経由して国会にその勧告が提出されるという、こういう経路をたどるという風説です。ひょっとするとその通りのものが出てくるかもしれない。そういうことになりますと、人事院が今ここで文書を出されて、しかも国会に対してもそれを公開しない。公開しようとしていても時期を失った時期に公開すろという格好では、結果としては人事院みずからが政府の考えている国家人事委員会の行き方、内閣と国会に対して勇敢に勧告をするということじゃなくて、政府の方で国家公務員法の改正の中で考えているようなやり方を人事院自身がとるということです。人事院自身は、その行動において政府の考えている国家公務員法の改正、人事院の廃止というその考え方を人事院みずからが実践してみせることです。これじゃ浅井総裁みずからが人事委員会に人事院を切りかえることに双手をあげて賛成しているかのような結果に理屈としてはなると思う。だからそういうふうなことがあってはいかんから、人事院としてはそのためにもこの際一つ時期を誤らないように、私はもうその時期は極限にきていると思うのです。少くとももう今日は極限だと思うのです。どうですか淺井さん、その時期についても適切に誤りのないように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/165
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166・淺井清
○政府委員(淺井清君) 今度はからめ手の方からお攻めになってきているようでありますが、なるべく早く公開せよと、こういう御趣旨だろうと思いますが、御趣旨に従って善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/166
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167・千葉信
○千葉信君 時間、もしくは日にちを切るわけにはいかんですか、問題は迫っておると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/167
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168・淺井清
○政府委員(淺井清君) それはただいままだ申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/168
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169・千葉信
○千葉信君 人事官会議でいつ御相談なさいますか。国会に発表するかしないかということの最終決定を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/169
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170・淺井清
○政府委員(淺井清君) まだその点はやっておりません。ただ千葉さんのおっしゃることはよくわかっておりますから、すべて御趣旨に従って善処いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/170
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171・千葉信
○千葉信君 時期を誤らないということも同時に返事していただけますね。(政府委員淺井清君「もういいでしょう」と述ぶ、笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/171
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172・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 本問題は、本日はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/172
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173・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないものと認めさよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01719560322/173
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