1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十三日(金曜日)
午後一時五十七分開会
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委員の異動
本日委員佐野廣君及び伊能芳雄君辞任
につき、その補欠として井上清一君及
び酒井利雄君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
井上 清一君
遠藤 柳作君
木村篤太郎君
酒井 利雄君
苫米地義三君
中山 壽彦君
木下 源吾君
菊川 孝夫君
田畑 金光君
吉田 法晴君
高瀬荘太郎君
廣瀬 久忠君
国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
国 務 大 臣 船田 中君
政府委員
科学技術行政協
議会事務局長 鈴江 康平君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
防衛政務次官 永山 忠則君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 林 一夫君
防衛庁教育局長
事務取扱 都村新次郎君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
防衛庁経理局長 北島 武雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○科学技術庁設置法案(内閣提出、衆
議院送付)
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/0
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) それではただいまから開会いたします。
委員変更についてお知らせいたします。三月二十三日、佐野廣君及び伊能芳雄君が辞任せられまして、井上清一君及び酒井利雄君が委員に選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/1
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002・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 科学技術庁設置法案を議題といたします。
本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/2
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003・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、付帯決議案御提出、修正案御提出の方は討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/3
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004・千葉信
○千葉信君 私は本法案に対し次の修正案を提出し、修正案を除く原案に対し賛成をいたします。
最初に修正案を朗読いたします。
科学技術庁設置法案に対する修
正案
科学技術庁設置法案の一部を次の
ように修正する。
実はその次に少し挿入漏れになっておる事項がありますので、その点を含めて朗読いたします。一行だけです。
第三条中「以下同じ。」を「次条
第十七号及び第七条第六号を除き、
以下同じ。」に改める。
第四条中第二十号を第二十一号と
し、第十七号から第十九号までを順
次一号ずつ繰り下げ、第十六号の次
に次の一号を加える。
十七 人文科学のみに係る科学技
術に関し、日本学術会議への諮
問及び日本学術会議の答申又は
勧告に関する事務の総合を行う
こと。
第五条中「四局」を「四部」に、
「企画調整局」を「企画調整部」に、
「原子力局」を「原子力部」に、「資
源局」を「資源部」に、「調査普及
局」を「調査普及部」に改める。
第六条第十一号中「他局」を「各
部」に改める。
第七条(見出しを含む。)中「企
画調整局」を「企画調整部」に改
め、同条第五号中「日本学術会議へ
の」を「科学技術に関し、日本学術
会議への」に改め、同条中第七号を
第八号とし、第六号を第七号とし、
第五号の次に次の一号を加える。
六 人文科学のみに係る科学技術
に関し、日本学術会議への諮問
及び日本学術会議の答申又は勧
告に関する事務の総合に関する
こと。
第八条(見出しを含む。)中「原
子力局」を「原子力部」に改める。
第九条(見出しを含む。)中「資源局」を「資源部」に改める。
第十条(見出しを含む。)中「調
査普及局」を「調査普及部」に改め
る。
第十一条第五項を削る。
第十一秦第一項中「、各局に局長
を」を削り、同条第三項を削り、同条第四項中「原子力局」を「原子力
部」に改め、同項を同条第三項と
し、同条第五項中「局長」を「部長」
に、「局務」を「部務」に改め、同
項を同条第四項とする。
第十四条第一項及び第二項中「各
局」を「各部」に改める。
附則第四項中「科学技術庁原子力
局」を「科学技術庁原子力部」に改
める。
以上申し上げました修正案の内容は、すでに御案内のように、本法案中、科学技術庁の権限として、人文科学のみにかかる科学技術についても、日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申または勧告に関する事務の総合を行うことができる旨を明らかにしました。
次は、行政組織法の趣旨にかんがみまして、科学技術庁の内部部局である企画調整局他三局を部とすることに改めました。
次は、内閣法の趣旨にかんがみまして、第十一条第五項による長官の権限規定を削除することといたしました。
以上の条項のごとき修正案を提案いたしました理由並びにその他の原案に対して賛成を申し上げまするその理由を申し上げたいと存じます。
私ども日本社会党は、当然科学技術の向上を期するということ、提案理由の説明にありますように、これが国民経済の自立発展と生活水準の向上に寄与することができることについてはわれわれも同感であり、同時にまた国内資源が乏しく、脆弱な経済基盤の上に今日の膨大な人口を擁する日本の段階において科学技術庁の位置そのものが適切なものがあることについては、あえてその妥当性を認めることにおいて人後に落ちるものではございません。しかしわれわれが今回の法案を審議するに当りまして、その法案の示すところの内容について、たとえばその権限が明確を欠くという問題、もしくはまた行政権の発動を閣議によって行うという現在の憲法、あるいは内閣法の建前から言いまして、少くとも今回の法律案におきましては、この閣議の決定の方式等について疑義を持つがごとき条文を内包しているという点、それからまた、各行政機関相互の権限を明確にし、かつその有機的な結合によって国家行政を運用するという組織法上の建前からいって、その条文に照らして失当であると思われる点等に対しては、どうしても今回所要の改正を行わなければならないという事情が委員会における審議を通じて明確に露呈をした次第でございます。特に第一の科学技術庁の権限の問題につきましては、たとえば衆議院における第七条の第五項の修正によりまして、日本学術会議への諮問もしくはこれからの答申、勧告等に関する権限につきましては、企画調整局の事務内容を規制をしたその条文の修正を行うことによって、科学技術庁自体の任務なり権限なりに変更が加えられるという、そういう考え方については、私どもどうしても賛成することができないのでございます。御承知のように、第三条における科学技術庁の任務を規制しました条文ないしはその権限を規制しておりまする第四条等におきましては、人文科学に関するいかなる事務についても、もしくは人文科学を通ずるいかなる総合的な任務というものについても、その範囲外におかれているということはもはや質疑によりましても明白な状態になったのでございます。従いまして、私どもは政府当局の答弁により、もしくはまたその修正の意図しました科学技術の向上をはかる、その任務のために行われる日本学術会議への諮問、あるいは答申あるいは勧告等の総合的な処理を行うという問題につきましても、これはどうしても第三柔ないしは第四条の任務ないしは権限の規制の中にそのことを含むのでなければ、政府の答弁するがごとき権限が科学技術庁の中に確立し得ないというそのための解決を、今回第四条の修正によってこれを確立するという方針に出たわけでございます。
次に、第十一条の第五項を削除することにいたしました意味は、従来たとえは国家公務員法第二十八条等に基く中立機関としての人事院の給与改訂等の場合における勧告は全く異例の場合でございまして、行政機関内各部門の関連という立場から言いますならば、その関係行政機関相互の間に勧告を行うことができるというその方式は、一応はわれわれとしては認めざるを得ないとしても、しかし今回の場合はそれをさらに一歩進めて、科学技術の向上をはかるための関係行政機関に対する勧告のその結果について、もしも科学技術庁長官がその措置について不満を有する場合、十分にその期待通りに行われないと考えた場合には、ざらに今度は総理大臣に対して内閣法第六条に基く勧告を行うことができる、意見を具申することができると規制をした点でございます。私はこの条章は、少くとも科学技術の重要度に名をかりて、内閣法の体系をみだる独裁的な傾向がここにはっきりと露呈してきておるということを指摘せざるを得ないのでございます。御承知の通りに、内閣法第四条によりますと、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」、行政権の発動に際してその閣議によって方針を決定するという条件、同時にまたその閣議には、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」という現在の内閣法の建前から言いますならば、第十一条の第三項に基く勧告の成果について、かりに科学技術庁長官がこれに不満を有し、もしくは所期の成果を期待できないという場合において、さらにこれを総理大臣に提出して閣議にかけてこれを決定し、指揮監督することを具申するがごときは、当然その閣議に正常な形において提案して閣議の検討を願うというやり方をとろうとしないところに、私どもはこの条章は内閣法第四条をみだすものである、この考え方から私どもは第十一条第五項は削除をすべきものという結論に達した次第でございます。私どもは科学技術の向上が国民生活の基本的な命題を左右する重要なる問題として、将来に向ってはできるだけすみやかに科学技術省の設置を希望する次第であります。もちろん委員会の審議を通じましても、私どもは常にその立場に立って科学技術庁の設置、同時にまた科学技術庁内における機構の拡大強化という目的に対して質疑を展開して参りました。その立場からいたしますと、今回私どもが第五条による内部部局をそれぞれ部に改めるという修正は一見奇異な感じを与えるかもしれませんが、私どもは逆に、今回のこの修正が筋を通して、国家行政組織法第七条に基く内部部局として法の認めない企画調整局、原子力局、資源局、調査普及局等の設置は、行政各部における機構の設置について明確にその根拠法として行政組織法が規制するそのワク外にそれて、しかも何らの明確な根拠なしに、たとえば委員会の質疑等におきましても、この措置をとったその理由としては、たとえば引揚援護局、たとえば防衛局等にはその前例があると言って、その悪例を踏襲しようとする態度に出、もしくはまた科学技術の向上という問題の重要度に籍口して、そのために国家行政組織法をじゅうりんしても省みないという態度に出て提案して参ったそのことに対しては、私どもはとうていこれを看過することはできないのでございます。従いまして、私どもはこの際は国家行政組織法に基く正当な各部の設置ということにこれを切りかえ、むしろそのことによってどうしても現在原子力局として総理府にある一つの機構が、科学技術庁に包含されることによって部に落されるという現実的ないろいろな付随する問題等について、それを適正に解決するための方法としては、将来われわれの主張する科学技術庁に昇格させるという今後の努力が必要であり、またその目標に向って努力をすることに一つの跳躍台として、端緒としての条件がこれらの四局を部に落すという条件の中から期待できるであろう。その意味では、私どもはこの際は涙をふるってこの局を部に落す、落すという言葉は語弊がありますが、あえて局を部にするという、そういう修正案を提案するに至った次第でございます。
御承知の通り、国家行政組織法第七条第二項によりましては、内部部局として設けられる庁に設置されるべきものは、官房、部、課と明確に規制されております。同法における例外措置として認められておりますものは、第二十一条の現業の行政機関に対する場合の特例のみが認められ、さらに国家行政組織法制定当時に、すでに存在しました各府省における局以外の部については当分の間暫定措置として認めるという、そういう明確な建前に国家行政組織法が立っているという点から言いましても、私どもは今回提案の理由とされましたような理由に基いて国家行政組織法を乱るがごとき法律案の内容については、これを修正によって適正化するより道がないと判断するに至った次第で、ございます。
以上、御提案申し上げました修正案の内容及びその趣旨を申し上げて、自余の修正部分を除く原案については御賛成を申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/4
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005・島村軍次
○島村軍次君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました科学技術庁設置法案について、衆議院送付の原案に賛成をいたし、なお別途の付帯決議を付して賛成いたしたいと存じます。
わが国の科学技術の振興は、その重要度がますます加わり、かつまた戦後一そうその必要が認められまして、現にわが国の科学技術は他の先進諸国に比して非常な遜色のあることは、すでに一般の認めておるところであると同時に、ことに原子力の平和利用等については格段の相違のあることも、国民のひとしく認めるところでありまして、この振興をはかり、かつその研究を進めて参ることは、今回の科学技術庁設置法の提案理由でも明らかな通りでありますが、われわれは特にこの際強調いたしたい点は、従来わが国の科学技術がややもすればセクト的になり、いわゆる総合調整が十分行われていなかったということと、それがやがて有機的な活動が非常に阻害されておったということに対しては、特に注意を要する点であると考えられると思うのであります。衆議院の審議の過程あるいは本委員会の審議の過程等から考えて、これらの諸点は一そうその必要性が認められて参ったと思うのであります。
そこで、ただいま社会党から御提案になりました修正案の理由につきましても、ある部門につきましては、われわれもその御趣旨の点は同感である点もありますが、かように前段申し上げましたように重要度を加えて参る科学技術が、しかも各省にわたっており、これを総合して参るのには、国家行政組織法の条文に照らしまして、多少の矛盾があることはわれわれも認めるのでありますが、質疑を通じてわれわれの明らかにいたしました点は、すなわち国家行政組織法はその基準を示すものでありまして、第七条第二項の庁における内部部局の構成については、必ずしもこれを禁止した意味ではないということも明らかになって参ったのであります。さような点から考えまして、われわれは将来、この科学技術庁は、試験研究機関はもちろんのこと、中央、地方を通じて、この振興のためには特に政府においてこれを強化していただきたいことを念願をいたすものであります。さような点から、現在提案されております部局の制度も、局の構成が行政組織法に必ずしも抵触するものではないという見解に立ちまして、この原案に賛成いたしたいと思うのであります。
ただ、ここに原案賛成と同時に、将来の重要性にかんがみまして、左の付帯決議を付したいと存じまして、これを朗読いたします。
附帯決議
政府は、科学技術振興の重要度と
その緊急性にかんがみ、中央地方を
通じて試験研究機関、特許行政機構
に再検討を加え、科学技術庁を更に
整備拡充し、科学技術の振興を強力
に推進すべきである。
右決議する。
かような付帯決議を付して原案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/5
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006・野本品吉
○野本品吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、修正案に反対し、衆議院送付の原案並びに島村君提出の付帯決議案に賛成の意を表します。
なお、この際一言つけ加えておきたいと思いますことは、科学技術庁の仕事の対象になって参ります関係行政機関の試験研究機関は、その数においても質においても非常に複雑多様でありますので、これらの複雑多様な機関に対する総合調整が円滑に進められるという点におきまして、格段の御注意をお願いしなければならぬと思っております。もら一つは、長官の権限が、千葉委員が指摘されておりますように、かってその例を見ないほど強化されておるわけでありますが、この強化されました権限がきわめて適正に行使されますようにという点でございます。
以上の二点の希望を申し上げまして、私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/6
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007・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 他に御意見もなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/7
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008・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
これより科学技術庁設置法案について採決に入ります。
まず、討論中に提出されました千葉君の提出の修正案を問題に供します。千葉君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/8
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009・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 挙手少数、少数と認めます。よって千葉君提出の修正案は否決されました。
それでは衆議院送付原案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/9
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010・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 挙手多数、多数と認めます。よって本案は多数をもって衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、島村君提出の付帯決議案を議題にいたします。島村君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/10
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011・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 挙手多数、多数と認めます。よって島村君提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続きにつきましては、慣例により、これを委員長に御一任願うことといたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/11
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012・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。
それでは報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
高瀬荘太郎 井上 知治
遠藤 柳作 井上 清一
木村篤太郎 苫米地義三
中山 壽彦 廣瀬 久忠
酒井 利雄 島村 軍次
野本 品吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/12
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013・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
御質疑を願います。どうぞ御質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/13
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014・吉田法晴
○吉田法晴君 従来の政府の発言を整理して系統的に質問をいたしますことは他日の機会に譲りまして、二、三確めて参りたいと思います。
問題になりました鳩山首相の予算委員会における発言に関連をいたしまして、船田防衛庁長官が衆議院の内閣委員会で読み上げられました点は、急迫不正の侵害がある場合には、ほかに方法がなければ外国の基地を攻撃することができる、こういうことでまああったと思うのです。別な機会には、飛んで行ってたたくこともできる、こういう言葉が使われた。その辺についてもう少しお尋ねをいたしたいのでありますが、これは自衛権の発動であるからという、その自衛権の説明をせられたように考えるのでありますが、飛んで行ってたたくことができるという点で、予算委員会の一般質問をいたしました際に、防衛庁長官もおられましたけれども、飛んで行ってたたく、あるいは飛行機、ロケットというようなものが問題になりましたが、飛行機で飛で行く、飛んで行ってという言葉は確かにあるのです。そういたしますと、外国の領土あるいは領空に達するのではないか、外国の基地の上から爆弾を落すという事態は、これは想像されているか、認められているのかどうか、こういう点をお尋ねをしたい。そのときに、いや、海外派兵は考えておらない、こういうことでありましたけれども、ほかに方法がないから、飛行機に乗って行って外国の基地をたたく、あるいは爆弾を落すということになりますと、まさに外国の領空に達する、あるいは外国の基地の上に達します。そういう点はこれはお認めになるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/14
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015・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいまお尋ねのことでございますが、ここに今までたびたび申し上げたことを、もう一度繰り返してはっきり申し上げておきたいと思います。もしわが国の、日本の区域において敵対行為または敵対行為の急迫した脅威が生じた場合に、いわゆる非常時の共同防衛及び協議ということにつきましては、御承知の通り行政協定二十四条によりまして、その場合におきましては、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置をとり、かつ安全保障条約第一条の目的を遂行するため直ちに協議しなければならないと書いてありますが、その通りに、いかなる共同措置を講ずるかということにつきまして、両国政府の間において協議が行われるものと存じます。また、かような場合におきましては、おそらく同時に国連に提訴するということも起ってくるであろうと存じます。これが日本の区域において敵対行為が行われてくる、すなわち外からの侵略が行われた場合においては、そういう措置が講ぜられるであろう、これが原則的に考えられるわが方の措置であると存じます。しかし先般御質問がだんだん進んで参りまして、そういういとまのないときにはどうするか、こういう御質問でございました。それに対しまして、ただいま御指摘のような趣旨の答弁を申したのでありますが、政府として確定した答弁として、私が衆議院の内閣委員会において御答弁申し上げたことは、次のようなことでございますから、ここにその点をもう一ぺん繰り返して明らかにいたしておきたいと思います。わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものだと思うのでございます。鳩山総理大臣が昨年の六月か七月でございましたか、第二十二国会において答弁いたしましたのは、普通の場合、つまり他に防御の手段があるにもかかわらず、侵略国の領域内の基地をたたくことが防御上便宜であるというだけの場合を予想し、そういう場合に安易にその基地を攻撃するのは自衛の範囲には入らないだろうという趣旨を申しておるわけであります。かような点におきまして、私が答弁申し上げておることと、総理大臣が昨年の第二十二国会において答弁申し上げておることは何ら矛盾しておらない。こういう趣旨を申し上げたのでありまして、その節特にいわゆる先制攻撃をするとか、あるいは海外派兵をするとかということは全然政府としては考えておりません、かように申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/15
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016・吉田法晴
○吉田法晴君 先制攻撃をする意思がないということはしばしば言われるのです。で、今行政協定二十四条、それからその二十四条の協議の間がないときに、正当防衛として自衛権の行使を発動する形態、これを衆議院の内閣委員会で答弁しており、その内容をもう一ぺん読み上げられた。これは承服いたしました。それと首相の二十二国会における答弁とは矛盾しないのだという答弁ですけれども、私はそれを言っているのじゃない。この前の二十二国会のときの首相の答弁は、これは今までのこの国会に臨まれた以前の鳩山内閣の態度であるということは了承しております。ところが今度の国会で、予算委員会で——まあ本会議でも、陸海空軍の持てない憲法には反対だ、こういうことを言われましたが、これはまああとで釈明をされましたけれども、その真意は取り消されていないと私は思っているのです。予算委員会での発言は先ほど私が申し上げました。ここには持って参りません、何べんも問題になったことだから、速記録を持ってきて問題にする必要はないと思うのですけれども、今あなたが説明をされるような、誘導弾等の基地をたたく云々ということじゃなくて、飛行機も入っている。そしてほかに方法がなければ外国へ飛んで行ってたたくことができる、こういうことが書いてありますから、従来の答弁よりも一歩進んだ——これは論理だと言われるけれども、あるいは仮定の問題だと言われるけれども、少くとも答弁の中に出ておりますものは、今度の国会に出ております、その出ておる姿が、飛んで行って外国の基地をたたくことができる、ほかに方法がなければ——あるいはいろいろ条件がついておりますけれども、急迫不正の侵害である場合にという条件はついておりますけれども、飛んで行ってたたくことができる。飛行機に乗って行ってたたくことができるという、たたくというときに、爆弾を落すというときに、それは外国の基地の上空に達しておるのじゃないか。誘導弾ならば、これは無線か何か知りませんけれども、向うに飛んで行くでしょう。この飛行機で、まあ私はそういうのは知らぬのですけれども、そのほかに方法があれば別ですけれども、飛行機は基地の上に行かなければ、これは爆弾を落すということはできないだろう。飛んで行って基地をたたくことができる、こういうことを言われておるから、そうすると、ほかに方法がなければ外国の基地に行って、そしてそこから爆弾を落すという方法で攻撃することができると、こういうように今度の国会に当っては意見が変ったのか、こういうことをお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/16
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017・船田中
○国務大臣(船田中君) これは今国会におきまして、鳩山総理大臣の自衛権の解釈が変ったというふうには私は考えません。先ほど来申し上げておりまする通りに、普通の場合、日本の区域に不正な侵略が行われるという場合においては、行政協定の二十四条によって、いかなる共同措置をとるかということについて、日本政府とアメリカ政府の間において協議をする。また同時に、おそらくその場合におきましては、国連に提訴するというようなことをいたすであろうと存じます。ただ侵略が急迫不正であって、そしてある地点に対する——ただ自滅を、このままでおれば自滅を待つのみということは——何も憲法九条の規定があるからと言って、自滅を待ってもよろしいということではあるまい。従って誘導弾等によって攻撃をしてきた場合に、他に方法がどうしてもないという場合には、その敵基地をたたくこともこれは自衛権の範囲内に許ざれることである。これは法理的に許されることである。実際問題としてそういうことをやるのだということを申しておるのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/17
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018・千葉信
○千葉信君 関連して。この問題については船田長官も同席しておられるところで私は鳩山首相にはっきり尋ねたのです。ですから鳩山首相の御答弁についてはあなたも全部御承知のはずです。速記録にもちゃんと載っておる。そのときの答弁によりますと、行政協定の二十四条による共同措置、共同防衛、これの結果としての甘木の軍隊の行動はあくまでもその憲法のワク内において行われるべきものだと、この点はあなたは確認されておりますね、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/18
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019・船田中
○国務大臣(船田中君) 行政協定二十四条によって共同措置を日米両国政府において協議いたしますときに、わが自衛隊はもちろん憲法及び国内法規に従って行動をするということは当然であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/19
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020・千葉信
○千葉信君 そうしますと、船田さんは一体現在の段階において、日本の国防の問題について、今あなたのおっしゃったような急迫不正の攻撃が行われ、他にこれを防御する手段がなくて自滅を待つ以外に道がたいときには、これは敵の基地に対しても攻撃をすることは憲法違反にはならないという解釈だとあなたは言っておられる。そこで、まず第一は、そういう敵の基地に攻撃を加え、敵の領空に飛行機が飛んで行くということは、これは陸軍の海外派兵、海軍の外国領海の侵入、これと全く条件は同じです。つまり海外派兵は行わないという国会の決議、これを順守しなければいけない。この点か第一。それから、あなたは防衛庁の長官として、かりにそういう事態が起った場合には、日本の自衛隊の行使できる今申し上げた権限の範囲、それから同時に条約に基いて日本の国内に進駐しているアメリカ軍の日本の国土の防衛についての協定は現存している事実です。そうしてなぜ一体アメリカの軍隊が日本に来ているか。日本の国家は武装を解除されて、そういう場合に適切の措置を講ずることのできたい状態にある。だから、そういう日本の状態だから安全保障条約を結んで、そろいう場合にはアメリカの軍隊は日本の国土を防衛するのだと、そういう建前に立っておるじゃありませんか。そういう条約を結んで、そのために日本がいかに大きな犠牲を払っておるかわからないのです、現状として……。そういう犠牲を払いながらこういう条約を結んで、日本の国土を防衛してもらうという条約が日本の防衛態勢の中にちゃんと既成されている。だからあなたのおっしゃるように、急迫不正なる侵害が行われるとか、他に防衛の手段がないから、座して自滅を待つのは憲法の精神でないと思うから、日本の自衛隊が飛んで行ってやっつけるべきだと、向うを攻撃できるのだというようなことは、これは単なるあなた方の詭弁であると思います。実際問題としてそういうことが起りっこないということははっきりしておる。そういう事態が起った場合には安全保障条約がある、それだから安全保障条約を結んでいるんじゃありませんか。なぜあなたはそういう急迫不正な事態が起るなどと言って、国民を極度の危険感に陥れ、国民の不要感につけ入ってあなたは交戦権を行使できるような拡大解釈を押しつけようとするか、そういうことになってきた。はっきり条約上あなたの言うような事態が少くとも起っても、日本に駐留しているアメリカの軍隊が日本を防衛するといち建前じゃありませんか。他に方法がないなどということはあなたたもの一つの方便から出た言葉じゃありませんか、どうですか、この点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/20
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021・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は何も急迫不正な侵害があるから、そうしてそのときには他に方法がないというときに初めて敵基地をたたくこともできると、そうしてしかもそれは非常な制限的なことを申しておるのでありまして、私の方から積極的にこういうことができますと言って申し上げたのじゃないのです。こういう場合にはどうするかという質問がありましたから、そういうときには自衛権の範囲内に入るものと考えるということを申し上げただけのことでありまして、私は何も今、千葉委員がおっしゃられるようなことを予想して、そうしてどんどん自衛隊の増強をはかろうなどということを考えて言っているのじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/21
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022・千葉信
○千葉信君 それは仮説としてあなた方がそういう答弁を用意されたのだ。これは鳩山さんも言われております。いいですか、全くの仮説だと……。従って実際にそういうことが起るとか、起らないとかということを考えたのじゃなくて、そういうことが起った場合の一つの論理的な結論として出しただけだ。こらあなた方は答弁しておられます。それは今のあなたの答弁と同じだ。何もそういうことを、そういう事態が起るなどということを考えてわれわれはこういう結論を出しておるのじゃない。実際を離れて、そういうただ仮説に基いて、そういう事態が起ったときには外国に出撃しても憲法の違反にはならないというふうに解釈すべきだと、自衛権の最小限度の解釈はそこにあるのだ、こう言っておられる。ところが、問題はあなた方がそういうふうにしてこれは仮説だ、単なる論理的な結論だなどということを言っていることが、どんなに大きく国民に不安を与えておるかわからない。それからどんなに大きく国民に対して……、そういう場合が実際に起るかもしらぬと、起った場合には日本の自衛隊は出撃しても憲法には違反にならないのだという解釈を国民に押しつけようとしている。そういうやり方によってあなた方は逐次、今までもそうだ、既成事実をあなた方は作ってきている。今度もあなた方はわれわれの質問に対しては仮説だと、実際にこういうことが起るなどということは考えていない。こう言っていながら、逐次あなた方はその閣内の統一した意見だなどということを押しつけて自衛権の拡大解釈を行おうとする。そこに問題があるのです。一体この問の参議院の海外出動をなさざることの決議、これをどうお考えになりますかと言ってわれわれが聞いたときに、鳩山首相も国会の御意思を尊重いたしますと言っておる。国会の意思は海外出動をしてはいかぬと、そのときの提案者の説明にもありますように、海外出動を絶対にしないなどということは非常に窮屈な考え方だ。非常に窮屈な考え方であるけれども、現在の憲法がある限りわれわれは海外出動などということを考えるべきじゃない。まあこういう考えに立って海外出勤をしてはいかぬという決議が行われた。その海外出動の含む意味は敵の領地に侵入する、敵の領海に侵入する、同町に領海と領空と領地との間には差別がないということは国際法規でも明らかなんです。そうしたら、あなた方は国会のそういう決議を尊重しなければならぬというあなた方の行政の立場からすれば、海外出動してもいいのだなどという仮説を立てること自体を慎しまなければならない。それをこれを仮説だ、起りっこないのだから、ただ論理的にはそういう場合には可能であるという、そういう答弁をしたのだというのでは、それではおさまらない。海外出動じゃありませんか、それができるのだということをあなたが答弁するのは不届きです。答弁して、こらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/22
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023・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は何も解釈をあなたに押しつけてはいません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/23
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024・千葉信
○千葉信君 僕に押しつけなくとも、あなた方の解釈は国民に押しつけることになるのだ、君。しかもその解釈は憲法に違反しているじゃないか、国会の決議に違反しているじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/24
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025・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本の地域において敵対行為が行われたときに、行政協定の二十四条によっていかなる共同措置を講ずるかということについて日米両国政府によって協議をする、それからその場合にはおそらく国連に提訴するであろう、そういうことは原則として申してあるのであります。そうしてしかも衆議院における内閣委員会において受田委員の御質問になっておる点は、速記録をごらん下さればわかりますけれども、非常にきわどいまれな場合をあげて、こういうことはどうだああだ、そうしていかにも今直ちに日本が侵略されるがごとき口吻をもつて御質問になったのです。そこでもうごくごく限られた場合において、敵基地をたたくこともそれは自営権の範囲であるということを申し上げたので、そしてその後それが総理の第二十二国会における答弁と違うじゃないかということを指摘されましたから、それは違わないということで先ほど申し上げましたような統一解釈をはっきり申し上げたわけなんでありまして、決してこれはそういうことを、解釈を押しつけておるとか何とかということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/25
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026・千葉信
○千葉信君 その衆議院の内閣委員会で、あなたがあの条件、この条件、こういう事態、ああいう事態にはどうするかということでもって問い詰められたから、最後に答弁に詰まって、まあ詰まらなかったかもしらぬ、詰まったかもしらぬけれども、その最後のどん尻でもってあなたは、日本にその場合には防衛の手段がないという考え方に到達した、そのあなたがそういう考えに到達したこと自体が誤まりなんです。そういうどん尻の危険なる、今のように日本が自滅するより他に防御の方法がないような気持になったことが、あなたの防衛庁長官としての立場からいうと誤まった結論をあなたは申した。その場合には日本に駐留しておるアメリカの軍隊が、現在の状態においては日本を守ることになっているのだとあなたはなぜそう答弁しない。あなたはそれを忘れて、何かもうアメリカの軍隊はどこへ行ったか、頭のすみへ忘れてしまって、仕方がないもんだから、自衛隊一本やりで考えておるものだから、そのときには座して自滅を待つことはできないから出撃することは憲法の認める自衛権の範囲内である、こういうチンプンカンな答えになってしまう。そういう仮説、そういう問い詰められた場合でも、やっぱり日本の現在の状態においては、こういう条約が結ばれた、そして日本に対する侵略が行われた場合には、それに対する防衛の体制というものは条約上きちんと出ておる、そのときのあなたの答弁自体が誤まりなんです、そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/26
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027・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、千葉委員が言われておるよらなととは、私は否認も何もしておりません。それで先ほど吉田委員に答弁を申し上げたことでおわかりの通りに、日本の地域において敵対行為が行われた場合においては、行政協定二十四条の発動に待つ、またおそらくそのときには国連に提訴するであろう、こういうことを申しておるので、それはちっとも否認はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/27
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028・千葉信
○千葉信君 それならそれでよろしいが、それならばあなた方は急迫不正の侵害が行われた場合には、座して自滅を待つことができないから、だから外国の基地を攻撃してもこれは自衛権の範囲内だ、日本憲法の認めるところだなどというそういう仮設を出してはならぬ。あなた方は日本の国民の生命や財産を守っておる立場なんです。しかもそういうあなた方の解釈が、日本の自衛権の限界に拡大した解釈が行われておるかのような印象を、あなた方は今言っていないと言うが、そういう印象を国民に与えて、そうして逐次そういう印象が拡大されて行って、あなた方はそういうことを考えていないと言われるかもしれないけれども、自衛権の拡大解釈が行われ、憲法の拡大解釈が行われて、いや、一たん事あるときには日本の軍隊、飛行機はどんどん出て行ってもいいのだ、こういうことになる危険があるとはあなた方お認めになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/28
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029・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は飛行機でもって敵の基地をどんどんたたいていいなんということは一度も言っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/29
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030・吉田法晴
○吉田法晴君 今お尋ねしておることはちゃんと御存じだと思うから私は速記録を出さなかった。衆議院の話じゃございません。参議院、二月二十九日、あなたも横におられた。これは「○国務大臣(鳩山一郎君)海外派兵ということをわれわれは考えておりません。私も考えていないし、船田君も考えてない。」、ところがその次ですよ、「飛行機でもって、日本に侵略してくる飛行機の基地は粉砕してもいいというようなことを、無条件に船田君が言うはずがない。これは条件があって、どうしてもその飛行基地を粉砕しなければ、そこに飛んで行かなければ、日本の防衛ができないというような場合には、その基地を侵略してもいい、」、ここのところが今問題になっておるのですが、「侵略というのは、攻撃してもいいという意味であります。」、その侵略の意味を言っておる、だからそれは了承いたしますが、残っておるのは、急迫不正の侵害があった場合に、ほかに方法がなければ、最小限度と言われるが、しかし飛んで行って外国の基地を粉砕しなければならぬというときには粉砕することができる、こういうふうに答弁されておるが、そういう答弁は今度の国会で初めてですから、そういうように何と申しますか、自衛権の範囲を拡大するように今度の国会でなったのですから、これは防衛庁改正法に関連をして聞いておるのでありますから、新しく今度の国会に出てきた方針ですから、そういうように方針がきまったのか、拡大されたのか、こういうことをお尋ねしておるのです。もう一ぺん現実に戻して一つ答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/30
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031・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛権の範囲を拡張解釈するというようなことは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/31
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032・吉田法晴
○吉田法晴君 拡張しておりませんと言うが、それじゃ拡大したか、拡張せぬか、それはあとからの話に……。急迫不正の侵害があって、ほふに方法がなければ、あるいは外国から飛行機が飛んでくる云々、こういうような場合には、そこに飛んで行かなければ日本の防衛ができないというような場合には、外国のその基地に飛んで行ってこれを爆撃することはできる、粉砕することはできる、こういう点はそれじゃお認めになりますか、どうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/32
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033・船田中
○国務大臣(船田中君) これも先ほど答弁申し上げたことでございますが、もう一ぺん繰り返して申し上げます。わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのであります。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきであると思います。かような趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/33
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034・吉田法晴
○吉田法晴君 それは知っておりますよ。それは衆議院で飛行機のことを内閣総理大臣から出してこられたのです。これは総理に聞くのですけれども、予算委員会で聞いておったら、そこのところ時間がなくて聞かれなかったから、あなたに聞いておる。防衛庁長官で防衛の当面の責任者だから聞いておるのです。そこの今の答弁の中に誘導弾ということが書いてありますが、誘導弾でたたくということが書いてありますが、飛行機で外国の基地をたたくというようなことはこれは含まれておらぬとおっしゃるのですか。含まれておるのか含まれておらんのか、それを伺っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/34
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035・船田中
○国務大臣(船田中君) この飛行機の場合におきましては、おそらく戦闘機で邀撃をする、迎え撃つとか、あるいは高射砲で撃つということができるが普通だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/35
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036・吉田法晴
○吉田法晴君 私は外国の飛行機が飛んでくる場合には、それでは戦闘機なり、あるいは高射砲でこれを防ぐ、あるいは撃ち落そうという行動をしよう、これはわかります。それじゃここに言われておりますような、飛んで行って外国の基地をたたく、あるいは攻撃するというようなことはこれは考えられませんと、そういう発言は間違いでございます、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/36
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037・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は間違った発言はしておるとは考えません。先ほど申し上げましたように、これは何べんでも申し上げます。こういう場合について申し上げておるのでありまして、何べんでも申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/37
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038・吉田法晴
○吉田法晴君 何べんでも言われれば何べんでも質問いたしますが、誘導弾の話ですが、ここに書いてありますのはわかっている。飛行機で飛んで行って外国の基地に爆弾を落すというようなことは自衛権の範囲に入っておるとは考えませんと言われるか、それとも入っておると考えると言われるか、そこのところを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/38
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039・船田中
○国務大臣(船田中君) 飛行機の場合は先ほど申し上げましたように、わが方の戦闘機や高射砲で撃つということが普通にできると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/39
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040・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると、外国の飛行機がかりに飛んで来た場合には、それはかりの話ですよ。さっきからの話ですよ。正当防衛の自衛権の範囲の論争ですけれども、論争というか、質問ですがね。これは高射砲なり戦闘機で迎え撃つことができる、それでは日本からの、日本の自衛隊の飛行機がその外国の飛行機が飛んで来た根拠地に、あるいは基地に飛んで行ってこれを爆撃するというようなことは考えられない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/40
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041・船田中
○国務大臣(船田中君) 飛行機の場合におきましては、わが方の戦闘機やあるいは高射砲で撃つ、あるいは最近できておりまするGMというようなものができますれば、それで撃つということが普通になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/41
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042・吉田法晴
○吉田法晴君 普通になると思いますが、それでは日本の飛行機が飛んで行くというようなことは考えられない、それは自衛権の逸脱であると、こういう工合に考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/42
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043・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほどもたびたび申し上げておりますように、他に、防ぐに万やむを得ない必要最小限度、このそういう攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度、他に方法のないときには敵の基地をたたき得る、これは法理的に私はそれは自衛権の範囲内に属するということを先ほど来申しておるわけでありまして、その説を変えることはできません。私はさような場合において、他に方法がないという場合におきましては、これを防衛するのに、いわゆる正当防衛に属する最小限度の手段は自衛権の範囲内に属するものと、かように解釈をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/43
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044・吉田法晴
○吉田法晴君 自衛権の範囲を船田防衛庁長官なり、政府ではどういう工合に考えるということを質問をいたしておるわけでありますが、必要最小限度、あるいは万やむを得ない場合、こういうような条件がくっついていることは私も百も承知いたしております。いたしておりますが、その抽象的な文句ではなくて、今お尋ねをしておるのは、飛行機が飛んできた、あるいはその飛行機を粉砕しなければ自滅をする云々というような場合に、その外国の基地まで飛んで行ってこれを粉砕することができるか、それが自衛権の範囲に入るかどうか、その点については、前の国会ではこれは鳩山総理は否定をされた。先ほどあなたが読み上げられたときも否定されてきた。今度はそれができると言われる。だからそのできると言われるという点について、この前の国会で答弁されたものと違っているのかということをお尋ねしておる。必要最小限度とか、万やむを得ない場合には云々と言われる前提はいいです、条件はいいです。具体的に外国の基地を爆撃することができるかどらかということを、そのところをもう少しはっきり御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/44
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045・船田中
○国務大臣(船田中君) これは侵略の態様によって非常に違うと思います。具体的にこの場合はどうだ、こうだということはできませんけれども、それに対して法理的には繰り返し申し上げておるように、それを防衛するのに他に方法がない、万やむを得ない、そうしてしかも最小限度の抵抗をする、最小限度の措置を講ずるということを申し上げる以外に私は道はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/45
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046・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは必要最小限度、万やむを得ない場合にはその抵抗の中に、かっては否定されたけれども、外国の飛行基地まで飛んで行ってたたくということも含まれる場合があり得る、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/46
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047・船田中
○国務大臣(船田中君) 法理的には先ほど来申し上げておりまするように、これを防衛ずるのに急迫不正な侵略があって、それでこれを防衛するのに他に方法がない、万やむを得ない必要最小限度ということで、その最小限度の措置をとる以外に道がないというときに、その最小限度の措置は許される、こういうことを申し上げる以外にない、それ以上の解釈をしているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/47
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048・吉田法晴
○吉田法晴君 その必要最小限度の中なんです。必要最小限度の中に、あなたは従来ロケット弾のことを言われたことがある。それから先ほどは戦闘機が飛び上って行ってこれを迎える、あるいは高射砲で云々ということを言われたのですが、それに日本の自衛隊の飛行機が飛んで行って外国の基地を攻撃する、粉砕するという言葉を使っておりますが、そういうことが入り得るのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/48
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049・船田中
○国務大臣(船田中君) 必要最小限度ということを申し上げるので、その内容がどうこうであるということを具体的にあげろといっても、それは私は現実の場合にぶつからなければ、これ以上のことを予想して申し上げるということはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/49
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050・吉田法晴
○吉田法晴君 ぶつかってみなければ、そのときでなければわからぬ。それじゃぶつかった場合には何でもできるといろのですか。ぶつかった場合に何でもできるというわけじゃないでしょう。そのぶつかった最小限度の中味は、これは具体的な話が出ているのだから、私の方から申し上げるわけではない、あなたは衆議院では、受田君が言った云々と言われるけれども、それはあなたの発言が問題になっているとき鳩山総理大臣の口から出たのだから、そこで私どもは問題にしている。最小限度の中に飛行機が飛んで行って外国の基地をたたくということは前のときにはないと言われた。そういうことは自衛の行き過ぎであって入っていないと主張された。今度は入っておると言われた、そこで船田長官にどっちがほんとうですかと聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/50
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051・船田中
○国務大臣(船田中君) 急迫不正な侵略がありまして、それに対しまして、これを防ぐのに他に手段がない、万やむを得ない、必要最小限度の措置をとるということが自衛権の範囲内に属する、こういうことを申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/51
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052・吉田法晴
○吉田法晴君 何度聞いても答えてもらえないのですが、その最小限度、ほかに方法がなければというその最小限度の中に、日本の飛行機が飛んで行って外国の基地をたたくというか、攻撃するというか、そういうことが入るのか、入らぬのか御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/52
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053・船田中
○国務大臣(船田中君) 万やむを得ない必要最小限度の措置をとることができるということが自衛権の範囲に属すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/53
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054・木下源吾
○木下源吾君 ちょっと関連して伺います。具体的に、しからば自衛隊が、あなたが今おっしゃるような装備とか、また実際の日常の訓練とか、あるいは教育の中に、事実においてそろいうようにしておやりになっておられるかどうか。急迫不正の場合に備えるために、そのときには敵の基地まで行って爆撃する、撃ちまくると、こういうようなことをできる、これは自衛の範囲だと考える、あなたはそういうことを予想しておるのだ。であるからして、現実に今の自衛隊はそういうことを教育し、そろいうことが可能な装備を持ち、実際に日常そういう訓練をしておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/54
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055・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊は自衛隊法の命ずるところに従って訓練をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/55
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056・木下源吾
○木下源吾君 法に従っていることは当然だが、具体的に今私が尋ねておるようなことをやっておるかどうかということを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/56
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057・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊は直接の侵略または間接の侵略に対してわが国土を守るということを主たる任務として、その任務を遂行するに差しつかえないような訓練をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/57
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058・木下源吾
○木下源吾君 どらもあなたはあまりおどおどしなくてもよろしいんだ。これは問題は非常に重大なんですよ。あなたは万一だとか、起り得ることを予想しない法理論だとか、いろいろ言っておるけれども、国民の側、なかんずくアメリカの方でも心配しておるでしょろ。この間グレスさんがこられて、日本の自衛隊の装備はこんなにやることは要らぬのだ、敵の侵略のときには一時的にわずかの時間これを食い止めることができるというような装備でいいのだと、こう言われておる。このことをわれわれは非常に吟味して考えなければならないので、日本がアメリカまでもやがて侵略し得るようなことにもなりかねないんじゃないかと、あるいは向うさん心配があるかもわからぬのです。(笑声)いや、これは笑いごとじゃないんですよ。そういうような重大な問題で、また仮想敵国と見られておるところから見れば、いつ何どき一方的判断で急迫不正の侵略といって、あるいはそういう事をかまえて日本から爆弾を搭載して爆撃しない限りもないと、こういう心配を持っておる。また国内においては現行憲法では戦力を持たない、交戦権も云々とみな心配しておるのです。それなのにこういうことをやられては、これは憲法にも違うし、また憲法ばかりではない、国民の生活に非常な脅威を感じさせると考えておる。だからして、あなたが言われるようなそういう禅問答のようなことじゃなく、実際のわが国の今日の自衛隊は、今言われるように戦闘機ではなく爆撃機をもってそういう訓練をしておるか、まず一つ具体的に聞くならばそういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/58
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059・船田中
○国務大臣(船田中君) 爆撃機の訓練はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/59
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060・木下源吾
○木下源吾君 そういうことが可能な爆撃機がないんでしょう。それならば、あなたよけいなことを言わぬでいいのじゃないか。そういうつまらぬことを言うて、みなにしかられるようなことをしたり、国の内外に心配かけるようなことをどういうわけであなたはおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/60
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061・船田中
○国務大臣(船田中君) 私の方からこれは進んでそういうことを御披露申し上げたのではございません。委員から御質問があって、そうしてだんだん熱してきて、そういう場合には、自衛権の範囲においてはこういうことはでき得ると思うということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/61
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062・木下源吾
○木下源吾君 それは何ぼ熱したからといって、こういういきさつでこうなったとあなたはおっしゃるけれども、いやしくも防衛庁長官は、昔ならば陸海空のあなたは一番最高の大将じゃないですか。(笑声)そういうあなたが、かりそめにも熱したからといって、そんなでたらめなことを言うからみなが心配するのですよ。現に私どもはこの委員会から新潟の基地拡張の問題の調査に参りましたとき、朝霞の司令官は、ここのところでわれわれは爆撃機を飛ばす、そんな考えはないのだ、敵がやって来たときに、朝霞からならば七分か十分かかかるが、ここのところでやればすぐ戦闘機で迎え撃つことができると、われわれが公式に調査に参ったとき、司令官がそう言われておる。ここに同僚もおりますが、それほどあなた方の仲間としてやってくれるアメリカがそう言っておるのに、あなたは、さも爆撃機の精鋭機を持っておって、いつ何どきでもこい、おれの方はお前の方をたたき得る、それは自衛の範囲に属するとか、それがわれわれの正当防衛だと、あなたは威たけだかになって言う必要がどこにありましょうか、あなたは身をもって自分の考えが、そういうような侵略とはいわぬが、先には侵略と言ったらしいが、そういう敵のところを爆撃するということも、これはわれわれは大和魂を持っておるから差しつかえないという考えを持っておるから、そういうことをおっしゃるのだろうと思う。それはどういう心境でそういうことを言ったか私は聞きたいのです。それから今度、日常の防衛態勢を整えておって、いざという場合に備えておるのだと思うが、その急迫不正の場合にはアメリカと協議するということは、そのときの現実にぶっかったときの状態でいろいろ協議ずるのであろうと思うが、日常、防衛に関することについてはアメリカといろいろ話し合いをしておやりになっておるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/62
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063・船田中
○国務大臣(船田中君) わが国の防衛態勢の整備につきましては、現にアメリカからたくさんの兵器、艦船等の供与を受けておりますから、アメリカ側とも随時相談をいたして意見の交換もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/63
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064・木下源吾
○木下源吾君 その交換の中に、急迫不正の場合には、あなたは敵陣地を爆撃することも可能であるというような建前でいろいろ話し合いをしておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/64
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065・船田中
○国務大臣(船田中君) さような話し合いはしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/65
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066・木下源吾
○木下源吾君 話をしておらぬと同時に、この間ダレス長官が来て、この防衛に関する定義とでも言いますか、敵の侵略を受けた場合において一時的に防ぎ得る装備でたくさんだ、こういうことをダレス長官が言われた。この点についてどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/66
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067・船田中
○国務大臣(船田中君) ダレス長官と懇談をいたしました内容につきましては、ここにお話しを申し上げるわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/67
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068・木下源吾
○木下源吾君 あなたはお話申し上げるわけには参らぬというが、私はちゃんと新聞で拝見しておる。それをあなたはなぜ秘密にする必要があるのか、新聞に出ておるから私はお聞きするのです。そういうふうに不誠意でこの委員会であなたは通ると思っておられるのですか、これは大きな間違いではありませんか、ダレス長官はそれを記者会見でちゃんと言っておる。でありますから、私はあの新聞を見たときに、これは仲間になってわが国を防衛してくれるアメリカの意図を越えてあなた方は防衛力の増強をやっておるのではないか、こういうように国民が考えておる。ですから問題を私は提起しておるのです。アメリカと日常あなた方は防衛の問題を常に御協議になっておって、たまたまさっきお話しの急迫不正の場合における問題等について日常やっておられるのか、そこまでやっておられないというならば、あなたが先ほど寄ったことはよけいなことだ、そんなことはよけいなことだけれども、そういうふうに考えておるならば、それはまたアメリカの意図に反することであると、こう考えるのです。ですから、ダレス長官がああ言われたことを、あなたは何も秘密にすることはないでしょう。お話しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/68
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069・船田中
○国務大臣(船田中君) 私はダレス長官と防衛問題について話し合ったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/69
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070・木下源吾
○木下源吾君 あなたは話し合わなかったとしても、総理大臣と話しておる間にあなたがわきで聞かれたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/70
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071・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は直接にも間接にもダレス長官と防衛問題について話し合ったことを聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/71
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072・木下源吾
○木下源吾君 それじゃ防衛力の増強に関する問題で、ダレス長官が新聞に発表されておることはあれはらそだと思うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/72
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073・船田中
○国務大臣(船田中君) 新聞の記事については私は責任を持ちません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/73
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074・木下源吾
○木下源吾君 責任を持たぬけれども、それに持てとは言わぬが、そのことが間違っておるとあなたは考えておるかどらか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/74
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075・船田中
○国務大臣(船田中君) 新聞の記事については責任は持ちません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/75
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076・木下源吾
○木下源吾君 何も私は責任を持つとか、持たぬかを聞いておるのじゃない。事実においてダレス長官の言明に対して、あなたはその言明をどう考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/76
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077・船田中
○国務大臣(船田中君) 私はダレス国務長官と防衛問題について話したことはございませんから、従って新聞の記事については責任を持ちません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/77
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078・木下源吾
○木下源吾君 アメリカのダレス長官の言われたことは、日本の防衛力とは、侵略を一時的に間に合せるのだ、それだけの防ぎ得る程度でよろしい、こういうことを新聞で発表しておられるのです。これはごらんになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/78
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079・船田中
○国務大臣(船田中君) 新聞記事は読んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/79
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080・木下源吾
○木下源吾君 しからば、あなたが今やっておられるところのわが国の自衛隊の力というか、装備というか、そういうものがダレス長官のこの言明に対して沿うておるものであるか、沿うておらないものであるか、適合しておるものであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/80
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081・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在の自衛隊の戦力、実力というものは、ダレス長官の抽象的に述べられておる程度あるいは限度と申しますか、それを越えておるものとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/81
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082・木下源吾
○木下源吾君 それではダレス長官が言われた程度のもので、そうしてこれはこれ以上に増強するという必要がないと考えておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/82
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083・船田中
○国務大臣(船田中君) わが自衛隊は国力、国、情に相応する程度に増強する必要ありと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/83
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084・木下源吾
○木下源吾君 国力が強くなったら、爆撃機を持って敵をやるという考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/84
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085・船田中
○国務大臣(船田中君) 爆撃機を持つという計画は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/85
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086・木下源吾
○木下源吾君 爆撃機でなくて、どうして敵の陣地を爆撃することができるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/86
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087・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は敵の陣地を爆撃するとほ申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/87
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088・木下源吾
○木下源吾君 現に敵の基地をたたくということを言っているじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/88
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089・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど申し上げましたように、もう一ぺん繰り返します。急迫不正の侵害があって、そうしてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅か待つべしというのが憲法の趣旨というふうには、どうしても考えられないと思うのであります。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものであると思います。この趣旨を述べておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/89
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090・千葉信
○千葉信君 質疑応答を聞いていると、多少冷却しないと審議が全然進まぬという格好になっておりますから、一つ今日は、法律案一件の討論採決を終っておりますから、委員もお疲れだし、特に御答弁される方はかなり熱しておられるようですから、少しさまして、審議が進む措置を講じなければなりませんから、きょうはこれで散会して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/90
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091・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 今、千葉君から、質疑は本日はこの程度でとどめたいという動議がありましたが。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/91
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092・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 別に御異議ないと思いますから、さよう決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01819560323/92
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