1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月四日(金曜日)
午後四時八分開会
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委員の異動
四月三十日委員村尾重雄君、矢嶋三義
君及び荒木正三郎君辞任につき、その
補欠として岡三郎君、久保等君及び戸
叶武君を議長において指名した。
五月一日委員笹森順造君辞任につき、
その補欠として剱木亨弘君を議長にお
いて指名した。
五月二日委員戸叶武君辞任につき、そ
の補欠として山本經勝君を議長におい
て指名した。
五月四日委員中川幸平君、三木與吉郎
君、山本經勝君及び久保等君辞任につ
き、その補欠として石井桂君、重政庸
徳君、荒木正三郎君及び矢嶋三義君を
議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 加賀山之雄君
理事
有馬 英二君
吉田 萬次君
湯山 勇君
委員
石井 桂君
川口爲之助君
剱木 亨弘君
重政 庸徳君
白井 勇君
田中 啓一君
三浦 義男君
秋山 長造君
安部キミ子君
荒木正三郎君
岡 三郎君
矢嶋 三義君
飯島連次郎君
高橋 道男君
竹下 豐次君
国務大臣
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した案件
○公聴会開会に関する件
○地方教育行政の組織及び運営に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方教育行政の組織及び運営に関す
る法律の施行に伴う関係法律の整理
に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/0
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001・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) これより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
四月三十日、村尾重雄君、矢嶋三義君、荒木正三郎君が辞任、その補欠として岡三郎君、久保等君、戸叶武君が選任されました。
五月一日、笹森順造君が辞任、剱木亨弘君が選任され、五月二日戸叶武君辞任、山本經勝君が選任されました。
本日、久保等君、山本經勝君が辞任され、矢嶋三義君、荒木正三郎君が選任されました。また、中川幸平君、三木與吉郎君が辞任され、石井桂君、重政庸徳君が選任されました。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/1
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002・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 次に、理事会の経過について御報告いたします。
公聴会開会日時につきましては前回、四月二十八日の委員会において委員長及び理事に御一任いただいておりましたので、その後協議を重ねて参りましたが、その経過を報告いたしますと、二十八日委員会散会後の理事会において、自民党側としては五月七、八の二日を主張されておりましたが、社会党側では同日日時の決定を行うことに同意されず、結局本日に至ったわけであります。
本朝来理事会において自民党側よりは依然七日、八日が至当と思うが、今日に至ってはやむを得ず十一日一日とする、社会党側からは十四日、十五日の御主張があり、この点について協議を重ねたのでありますが、結局決定するに至らなかった次第であります。本件については、かねてより理事会において本日これを決定することに相なっており、会期及び手続のための日数を勘案し、最も適切な日時を決定し、議長の承認を得なければなりませんので、両側の御意見をしんしゃくして委員長の裁定に一任していただくように御協議を申し上げた次第であります。公聴会開会日時は、委員長において各派の御意向を考慮して決定することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。(「ちょっと委員長」「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/2
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003・湯山勇
○湯山勇君 この問題は、この委員会から理事会に付託されておりました問題だし、それを再びここでお諮りになるわけですから、なるべく冷静に話し合うために、速記をとめて懇談会に移っていただきたいと思います。(「賛成」「その必要なし」「委員長一任」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/3
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004・吉田萬次
○吉田萬次君 この問題はもう念に念を入れ、検討に検討を重ね、そして折衝に折衝を続けてここまで来たのでありまするによって、私は懇談の必要なく、直ちに委員長のお考えによって解決の方法をたどるべく、私は懇談会開会に対して反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/4
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005・秋山長造
○秋山長造君 これはやはりまあ懇談に懇談を重ねたとおっしゃるけれども、実はそれほど重ねているわけじゃない。これは問題がむずかしいのは、これは当りまえのことです。これだけの重要法案を審議するのですから、それがたんたんとして、大道を目をつぶって進むようなわけにいかんことは、これは当然な話しです。だからこそ、理事会というものがあって、そうしてその理事会において十分に話し合うという努力を根気強くやらなきゃいかんと思うのです。だからこの問題についても、できることならば、われわれはやはり理事会でもっともっと話し合っていただきたいと思うのですけれども、しかし今委員会が開かれましたので、一つ願わくば、湯山委員が提案されましたように、この委員会を懇談に切りかえてでも、もう少し取りまとめの努力をすべきじゃないか、していただきたい。何といいましても、この公聴会なんかを、理事会の話がつかないままで、いきなり本委員会で多数決でやってしまうというようなことは、私は穏当でもないし、また非常に悪例を残す、またこの重要法案を慎重審議していく今後の議事運営ということから考えましても、私はとるべき道じゃないと思います。どうぞ湯山委員の提案のように、委員長において取り計らっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/5
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006・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長からちょっと申し上げたいと存じます。先ほど経過を簡単に申し上げましたが、実はこの公聴会の問題が出ましたのは、この審議を本委員会が付託を受けた直後でございまして、で、大事な法律案であるがゆえに公聴会はぜひ開くべきだと、これはもう全員理事諸君の一致した御見解でございまして、従いまして公聴会を開きます以上は、先ほど御報告で申し上げましたように、最も適切な時期を選ぶということが、非常に肝要であろうと、早過ぎてもいけないし、おそ過ぎてもいけない。最も適切な時期を選んで公聴会をやって、最もこの適切な審議にまた貢献し得る日取りを選びたいというのが理事会の意思でございます。で、しかるところこの懇談を重ねたわけではないという秋山委員のお話がございましたが、理事会におきましては、この付託を受けて以来、何回にもわたって、この公聴会開催の日時は懇談をいたしております。で、それをきめるには、なるべく早目にきめた方が審議の日程によかろうと考えまして、最初は二十六日の木曜日と存じておりますが、に、まず第一回、この日にきめようじゃないかという打ち合せをいたしましたが、この日はどうしても社会党側でこれをまだ早過ぎてきめられない、こういう御主張でございまして、なるほどまだこれは審議を始めたばかりでありますので、ごもっともであると考えました。それでは一つ、三日間審議を続けた上、土曜日二十八日にはきめようじゃないか、で、大体これについてはきめるということを、御確約は湯山理事から伺いませんでしたけれども、大方の含みとしては二十八日に一つきめようということでございました。しかし、この日も先ほど御報告申し上げたようにきめられませんで、その後は御承知のように日曜とメーデーと祭日とが続きまして、本日、その後においては初めての委員会でございますので、で、中に日もあることであるから、四日までには、ぜひ一つ各党は御相談の上、四日にはきめよう、これはもう私は各派から御了承を得たものと解釈いたしております。四日という日は、もうきょうはすでに四時を過ぎておりますので、もうここで御決定を願わなければならない段階であると申し上げるのが、委員長としての立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 若干委員長にお尋ねいたします。その第一番は、私は委員長のとるべき態度の原則論についてお伺いいたしたいのでございますが、いずれの案件もそうでございますが、特に、こういう重要な国民世論を喚起しているような法律案を取り扱うに当っては、私はどなたが委員長になられても、この法律案をつぶすと、流すというような意図を持って、あるいはこの法律案を早急に通すというようなそういう意図を持って運営さるべきものでなく、それぞれ与野党の委員に尽すべき点を十分尽させて、そうして修正して通過さすべきのが至当と思うのは、委員会の総意によってそういうように取り扱う。あるいは審議の結果、これは継続審議にするがしかるべきだというものは、そういうふうに結論づけていくというような態度で、私は委員長さんはおられるものと推察しますし、また、そういう態度が望ましいものと考えておりますが、委員長さんの御所見はいかがでございましょうか。念のため承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/7
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008・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。お問いまでもなく委員長におきましては、その通り考えて、この法律案をただ最も静かに冷静に、また慎重に、これはもちろん、他のいろいろの方面の意見も聞きつつ、そうして委員自体の御見解を、正しく一つ御批判になって、この結論を出していただかなければならん。結論と申しますのは、先ほど矢嶋委員が言われたように、結論というのはいろいろございましょう。これで日数が足りない、だから結論が会期中に出ないというのも、一つの結論でもございましょうし、あるいは与えられた会期中に、ぜひとも審議を要すると、これは委員会としては私は当然持つべき態度と考えますが、いろいろの立場はございましょうが、私はとにかく先月の二十日に参りました法律案でございますので、その会期中約一カ月、この期間は法律案審議としては、過当に短かいものであるというふうには、私は外の第三者から見ても考えられないと思いますので、この与えられた審議期間を、最も能率的に合理的に使いまして、しかも、精力的にこの委員会をやって、そして結論を一つ皆さん方につけていただく、これが委員会の義務であろうと、かように委員長としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 続いて承わりますが、委員長は、本法律案を本委員会で処理されることになりまして、常に、参議院らしく、第二院としての使命を十分果すために、慎重審議をいたしたいということを、発言されているのを、私は聞いて参りました。まことに失礼かもしれませんが、私は衆議院においては、この法律案の実質的な審議は十分でなかったのではないか、かように私は思っております。それだけにわれわれ参議院としては、十分これを審議するところの義務があると、かように私は考えているものでございます。衆議院の方では、三月八日に政府の方から提出されて、四月の二十日に本会議を通過いたしております。その間、実に四十四日間審議をなさっているわけでございますが、私はこれにも匹敵する、これ以上の実質的審議を、私どもやらなくちゃならぬと考えております。先ほど委員長から、四月の二十日にこちらに回ってきて云々という言葉がございましたが、決してそれ以来、われわれ参議院文教委員会は、審議をなまけたというような点は私は全くないと思います。たとえば、例を申し上げますというと、私は前委員長時代に、許容されたところの質問も、途中で切れているわけでございますが、委員長の御要望によって、委員長、理事打合会の決定によって、先週の木、金、土、すなわち二十六、二十七、二十八日三日間も、継続中の審議を打ち切ってまで審議して参っているわけであります。その後のゴールデン・ウィークというのは、休みであったのだからいたし方ない。従ってわれわれ参議院文教委員会としては、この法案を受け取って審議を意識的にサボったというようなことはなく、あくまでわれわれは、誠心誠意審議を続けようとしているということは、これは私はどなたもお認めになると思うのですが、そこで私は委員長にお聞きいたしたい点は、先ほど私申し上げました、実質的に内容面を掘り下げて十分審議をされる御意図であられるのか、それともこの会期は十七日までだから、十七日までは、しゃにむにこれを本会議において採決に持ち込みたいというような御意図のもとに、委員会を運営されておられるのか、若干私はお伺いしないと、判断に迷う点がありますので、一応委員長のお心がけを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/9
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010・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) そのことは委員長から皆様方に伺いたいと思うので、委員長一個の見解をもって、これをどうしようとかいうようなことを考えることは、むしろ私はよくないと思っております。各委員のお考え次第で、ただ、委員長としての希望を申し上げるならば、先ほど申しましたように、与えられた期間内に能率的に、合理的に審議を尽して結論を出すというのが、正しい態度ではないか、かようにお答えをいたした次第であります。この法律案をどうするかこうするか、それは委員長が先見をもって、こういうことをどうしようなどということを考えるべき問題ではない。これこそ各委員が十分審議をされてお考えになる問題だと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はぶしつけにも、どうしてこういうことをお伺いするかといいますと、私本院に席を置いて六年になるわけですが、いろいろの案件を扱いましたが、重要な案件の場合には、委員会の運営をまとめるために、委員長、理事打合会というのを、本委員会終了後、かなり夜おそくまで打ち合をされたような場合が、かなりあったと思うのですが、委員長さんの先般来の運営を見ておりますと、たとえば、けさがその象徴的なものですが、十時委員会開会で、九時半に理事会を開いて、三十分間に一切をまとめようとなされ、それがちょっとある党の理事の意見が食い違ってまとまりそうにもないと、もうこれならばしょうがないから、本委員会を開いて採決でやる以外にしょうがないというようなお態度が見えてくるわけで、こういう重要な案件を審議する場合の委員会をまとめていく場合の委員長、理事打合会のあり方としては、私はいまだかつてなかったケースじゃないか、かように私思いまして、私は委員長はどういうお気持でいらっしゃるのかという立場から、あえてお伺いしたわけですが、重ねて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/11
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012・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。御忠告大へんありがとうございましたが、実は先ほどそのために御報告申し上げたので、本問題はすでに先週の木曜日、二十六日から始った問題でございまして、四日にきめるということをお約束しておるのですから、私はその前の理事会において大体話がきまる、こういうふうに確信をしておりました次第でございます。なお、理事会をおそくまでやらないというお話しでございますが、理事会で話してきめるべきことがあれば、また、きまる見込があるならば、これは夜を徹しても理事会を開くことに、われわれはやぶさかではございません。ただ、理事会で幾ら話しても、党の決定がないから、党の線はここまでだということでは、理事会を何回開きましても、何時まで開きましても、これは決定するまでに至らない。この事情は矢嶋委員もよく御承知のことだろうと私は推察するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/12
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013・荒木正三郎
○荒木正三郎君 ただいま委員長の方から、理事会の経過について御発表になりまして、委員長に一任してもらいたい、こういう御意見でございました。しかし、私どもは二、三の点についてなおお伺いしなければならない点が残っておるように考えます。そういう意味で、湯山委員から御提案になった懇談会を開いてもらいたい、こういう要請には応じてもらいたい、かように考える次第であります。なぜかと申しますと、委員長報告の中にもありましたが、自民党の方の主張は、公聴会を一日にするという御意見がございました。これは衆議院におきましても公聴会は二日開いておりますし、従来からこの法案は非常に重要な法案であるということは、お互いに十分認識しておるところであります。こういう法案に対する公聴会を、一日だけで切り上げてしまおうというような御意見を持っておられるようであります。このことにつきましては、十分私は自民党の皆さんにその真意をお伺いしたいというふうに考えておるのであります。なお、私どもの方からは、地方公聴会の件について、ぜひ地方公聴会を開いてもらいたい、こういう意見を述べておるはずでございます。この問題についても、委員長報告には全然ございませんでした。こういう問題についても、委員長に対しましても、また、自民党の皆さんに対しましても、あるいは緑風会の皆さんに対しましても、十分私は御意見を承わりたい、かように考えておるわけであります。さらに、理事会において非常に難航であったということは、私も十分承知いたしております。また、委員長理事打合会においても、非常な御努力を願ったことも、十分承知をいたしております。しかし、難航をいたしましたけれども、だんだん接近してきているということもまた事実でございます。従って、なお意見の交換をすることによって、打開される道も生まれてくるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。そういう問題を残して、特に私は公聴会を一日にするというふうな御意見、あるいは地方公聴会については、何ら触れておられない、こういう点を残して委員長に一任するということは、私としてはできがたいのであります。これは私は決して非常に無理なことを言っておるつもりはないのでありまして、こういう点をよくお考えをいただきまして、湯山委員から提案されておりまする懇談会において、これらの点についてなお意見の交換をするということは、非常に私は意義のあることだと思うのです。そういう意味において、ぜひ取り上げていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/13
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014・吉田萬次
○吉田萬次君 関連して……。この問題は、四月の二十八日の理事会におきまして、非常にいろいろと、今荒木さんがおっしゃったようなことも交渉、あるいは検討してみたのであります。ところが、当日の理事会は、理事会をもっと慎重にやれというような矢嶋さんのお話もありましたので、当日どうかというと、二時に開会いたしまして、そうしてしかも七時になって結論を得ないと、決然として退場せられたというようなふうのことがありまして、この理事会というものについては、相当こちらも慎重に検討したいと思いまして、われわれも非常にその間慎重な態度で、しかもどうだというと、非常にこの問題を何とかおさめたいということで譲歩して参りましたのが、そういうふうに終ったのであります。
それからまた、一日にするというようなお話もありましたが、これは湯山さんとの議論が対立して並行に進んでおって、ちっとも進捗しない。また、衆議院の方の例を引かれましたが、衆議院の方の例を見ましても、佐藤觀次郎氏がたびたびの、毎日開いてくれという要求に対しても出席をしない。しかもどうかというと、出席をした場合においては、これは結論を得なければならぬように打ち切られるといかんから延ばしたといったようなことを、言っているようなこともありますし、また、これも長くなりましたのについても、その間におけるところの裏面的の事情なんかを考察してみますると、容易にこの問題に対しての審議を進めようとせられるところの様子もないように拝聴する次第であります。従って、この並行線によって、すべての問題を解決しようとしたところが、いろいろな問題が、ことに地方においてもこの公聴会を開けというようなことを言われるのは、やはり衆議院において、小選挙区制においての公聴会を地方において開けと言われるのと同じことであって、与えられた期間においてそれが果してできるかできぬかということを考えてみなければならぬと思います。また、そうしてその結論も区々まちまちで、そして結論を得て、この問題をさらに俎上に上していくということになったら、一年かかってもできぬということまで言いたくなるのであります。従って、私は並行線において進んでおるものに対する解決というものは、ある程度断固たる措置をとらなければならぬ。遺憾ながらやむを得ずこういう挙に出なければならぬという考えから、私は理事会において決しないなら、やはり委員会において決してもらうのが当然だと思って、私は懇談会ということに反対する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/14
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015・岡三郎
○岡三郎君 今懇談会の問題になっているわけですが、実際問題として、理事会にこの問題は一任する、こういうふうなことになっておったろうと思います。委員長さんの方で非常に御努力をいただいてきておることは、よくわかっておるわけですが、自民党と社会党との意見の相違というものは、そこのところは十三日の日曜をはさんで、幾ばくかの日取りなんです。だから第三者が見ても、大体歩み寄ってきているという事実は、認められると思うのです。ただ問題は、十七日という一つの会期の切れを固執せられておるということもわかりますが、しかし、客観的に見れば、だれもそれほど固執すべき問題でもないのじゃないか、いろいろな議論があるわけであります。しかし、私はあえてこれを委員長に言おうとは思いませんが、少くとも事実問題として、ただいまの委員長報告の中にあったように、社会党は単に十四、十五という前に、もっとやはり慎重審議した後においてこれを決すべきである。しかしそういうことを言っても、やはり理事会というものを、妥協する方向にゆかないということだけで、固執してはいかぬということで、社会党としても折れて、国会対策委員会の最終的な決定として、あまり理事会でもみにもみ抜いても、やはり法案を審議することが第一なんだから、十四、十五に折れようじゃないかというところで、たっていわゆる文教委員会各位の意向というものを入れてやったわけです。ところが、今委員長の方からお聞きするというと、十一日の一日のみに自民党の方々が主張されておる。これは私は初耳なんですが、しかしこれは両院を通じて慎重審議する場合において、公聴会というものが従来アクセサリー的な感がずいぶん強かったわけです。つまり公聴会というのは、単に人を呼んで聞きっぱなしでおく、その意見がどう出ようと、そういうことに関知しないというふうな悪い習慣というふうな感じを国民にとられておるということも事実だと思う。私はそういうことではなくして、やはり十分世論を聞くということになれば、自民党の方々にも一日ということは固執しないで、私は十一、十二日というふうなことを聞いておったのですが、一日ということになるならば、これは何ともならぬ。そこで委員長の方で十一、十二という妥協線を出されたという話を聞くわけですが、そこまでゆくと、十一日、十二日という線と十四日、十五日という線との妥協点というものは、十三日をはさんでのっぴきならぬ問題では私はないと思う。のっぴきならぬ事態でも私はないと思う。そこで自民党の方々は、十一日の一日ということを私は固執するということではないと思う。だからそういうふうな点で、私はどうしても十一日、十二日というものと、十四日、十五日というものを考えてゆけば、委員長はその中をとって、これは私の方でもいろいろと検討せられておる問題でありまするが、たとえば話によれば、十二日と十四日というふうな中をとった産婆役を、委員長がするのが私は至当ではないかと思うわけです。これがいいか悪いかは別ですよ。そういうふうに具体的に問題を展開するというふうな御努力もなさらずに、今言ったような形の取扱いということについては、私は疑義がある。十二日、十四日という線がいいか悪いかは別ですよ。しかしそういうような産婆役を……、委員長が円滑に問題をまとめようとするならば、そういう話が出てきたかどうか、そういう点をちょっとお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/15
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016・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。十二、十四ということは、まだお話しの過程では出て参りません。今、岡委員が言われる通り公聴会をやる以上は、これはむろん問題に深い造詣のある者や、非常に関心の深い方にわざわざ来ていただいて伺うわけですから、これがその後の審議に効果を持つ、つまりわれわれの審議に対して、この公述の方々の御意見を十分に参酌し、検討するいとまがなければ、公聴会が、岡委員が言われた通りアクセサリーになってはいけない。それにはやはり公聴会をやったあとに、ある程度の日時が必要である。ここで私は公聴会の日時があまりにも両派が、岡委員が言われるように、わずかに日曜をはさんで両方にあるのに、互いに対立するという御気分が、私にはどうも納得できないので、これは両者が非常に、何といいますか、良識をもってお考え願えば、わけなく一致する問題だと考えている。ところが不幸にして片方は七日、八日を非常に強く主張してこられたが、これはもう物理的に不可能になっている。従って十一日、一日というようなお説が出てきたわけです。片方の御主張は、どうせ延長になるのだから、延長後だって考えられるじゃないか、そう公聴会を急いでやることはないじゃないかというお説もあった。しかし、これは私どもの立場として、議員の立場といたしましては、あるいは国会が延長になるかもわからん、延長にならないかもしれない。これを今予断をして、どうせ延長になるのだから、われわれがそれを頭に置いて、その前提のもとに審議日程を組むということは、これはナンセンスでございます。やはり与えられた期間というものを前提として審議日程を組むことは、これは当然のことだと私は考える。従いましてこれが早過ぎる、いわゆる一般質問なんかがまだ行われないうちに公聴会が行われることは、これは公聴会の効果を全からしめるゆえんではないし、また、逆に公聴会が終って、この結果を待って審議をする日取りがあまりに少い場合は、これまた公聴会の効果を減殺する。われわれの審議に参考にするという意味からいったら、先ほど岡委員の言われたようにアクセサリーというようなことになってしまう。これではいけないと考えまして、で、御両者側の御見解が、おそらく両派ともそういう御見解に立っておられることで、しかもその間が非常に近づいていったことであるから、その御見解を参酌して委員長にここで一つおまかせ願って、その間できめさせていただきたい。これはもうまことにささやかな委員長のお願いなんです。それがお聞き届けないということになれば、これは何をか言わんやでございますが、委員長はそういうふうにお願いを申し上げます。(「委員長、委員長」と呼ぶ者あり)もう御意見は大体……。(「委員長、議事進行」「今の点について」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/16
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017・岡三郎
○岡三郎君 私が言っているのは、そこまで歩み寄ってきておるものを、それを結局委員長に一任するかどうかという問題については、相当会派で非常に大きな問題があるわけなんです。社会党としては、十四、十五日を最終的に折れて妥協するという点で、本日も総会を開いて、そこまで折れておるわけですが、従って私が言うまでもなく、委員長としては中をとっていろいろな話が出てくるべきが私は至当ではないかというふうな意見を実は申し上げたわけです。その点までの懇談がなされておらぬということになるならば、いろいろと話を進めて、そういうふうな話にも行き得るのではないか。今委員長が言ったように、私としては委員長が固執している十七日という会期を尊重して、私は十四、十五とやって、十四日に公聴会を開き、十五日十分質疑を行なっていくならば、これまでに大体七日から十二日まで一週間法案の大体の見当がつけるような段階になって、公聴会を開けば、あと逐条審議をせられていけば、その間においては国会両院において会期延長という問題も明確になってくるならば、私は十分その間におけるところの話し合いができると、こういうふうに考えておったわけです。それを委員長の方では、どうしても十一、十二日、これは自民党がどう言おうと、何と言おうと、委員長の方では十一、十二日を固執するのだというところに、この問題がデッド・ロックに上っていると考えざるを得ない。ですからもう一ぺん理事会へ戻して、この問題についてその間におけるところの検討を進められるとすれば、私は短時間である程度まで話し合いがつくというように考えておるわけです。この点については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/17
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018・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 岡君にお答えいたしますが、たとえば十一日、十二日とか、十四日ということを提案をされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/18
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019・岡三郎
○岡三郎君 私は委員長が具体的に一任してもらいたいというふうな要請をする限りにおいては、ある程度内容的なものをやはり出して、そういうような問題について、理事会でもう一ぺん検討するというふうに持っていかれることが、私は至当ではないかということを言っておったわけです、今のところ……。ここへ委員長が今意見を挟まれたわけですが、その点私は何もとやかく言いませんが、要するに私の言っている真意というのは、おわかりになっていると思う。ですから従来公聴会というものは、委員会で多数決でやったらというような前例は実際はないわけです。そうなれば小数派のような自分らは、推薦する公述人というものについても、委員長が一方的にこれを決裁して持っていくというようなことになるならば、これは公聴会自体というものは、非常に変型的なものになるということを私はおそれる。すなわちこれは従来衆参両院を通じてそういう例はないと思う。だからその点については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/19
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020・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 念のために申し上げます。その内容まで委員長に一任と言ってはおりません。日時だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/20
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021・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、委員長の方に一任というのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/21
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022・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 日時だけの問題です。自民党でこれは一方的にきまらない問題であって、自民党から当初七日、八日というお説があって御主張が強く、それから社会党から十四日、十五日という御主張があって、党で一歩も退けないという御主張でございますれば、委員会としてこれをきめなければならぬ場合には委員長に御一任願うか、皆さんにお諮りして皆さんがおきめ願うか、二つより方法はないと思うのです。だから一方的なことばかりで、しいて委員長はきめようと考えておりません。現に今日まで議事の進め方は、もっぱら野党の立場、野党の御主張を中心にして今日まで議事を進めて参ったつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/22
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023・湯山勇
○湯山勇君 今の岡君の発言は、ああいうところから(「議事進行」「発言中だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)今朝私が申し上げたのは、会期延長も、衆議院議長の口を通したお話では公式に、政府与党の意見は大幅にフィリピン賠償の関係もあって延長する、こういう意向が明示されましたから、そういうことになれば、多数を持っておる与党の方でそういう方針ならば、まずこの会期延長は百パーセント確かである。こういうことに立てば、必ずしも十七日というこの会期に固執しなくてもいいのじゃないかというような観点から、中間でございましたけれども、十七日以降において委員長の適当と認める日に御決定願いたいということを申し上げましたところ、委員長の方では、それは困る、委員長の立場としては十七日をこえての約束を今するわけにはいかない、いろいろお話がありまして、委員長の御発言を私も了として、会派の方に持ち帰っていろいろ審議した結果、十四、十五という案を持って参ったわけでございます。ところが、これに対しまして委員長のおとりになった態度は、それはたとえ与党の方が承知されても、十四、十五というような日は、委員長として承知することができないというようなお話で、ございまして、その十四、十五をめぐっての話というものは、もっぱら委員長と私との話だけになっております。私どもも与党の方々の十一日一日ということにつきましても、その他の問題につきましても、先ほど荒木委員が御指摘になりましたように、いろいろお伺いしたいし、また与党の方で、われわれの意見に対する御意見を聞かしていただきたいし、また理事会にほお出になっていらっしゃらなかった緑風会の方々の御意見も、この際ざっくばらんの形で聞かしていただく、そういう形をとってこそ、初めて委員長も全部の意向がよくおわかりになって、委員長にまかしてもらいたいという御提案が生きてくると思います。とこるがそういう一切の手続を省略して、ただ今委員長がおっしゃったように、朝から時間をかけたというようなことだけでもって、今まかせとおっしゃいましても、実際は朝からの話は、委員長と私の話に終始しておりまして、委員長もまた、委員長の立場においてのお話しだけでございますから、そういうことから岡君の発言も出たものと思います。そういうこともありますから、ぜひこの際は、この議事をスムースに運ぶために懇談会に移っていただきたい、重ねて要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/23
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024・田中啓一
○田中啓一君 議事進行。委員長が先ほど公聴会の日取りについては、委員長一任の提案をされて、委員会にお諮りになりました。(「諮りゃせんよ。」と呼ぶ者あり)それに対しまして湯山委員からその前に懇談をいたしたい、かような御動議が出たわけであります。まあ議事進行の動議であろうと私存じます。それに対しまして反対の向きの発言もあったのでございますから、私はこの際、懇談に移るべきかいなかの御採決を願いまして、次に委員長の御提案について御採決をお願いしたいと思います。
〔矢嶋三義君「その議事進行について、委員長、その議事進行について」と述ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/24
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025・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 今田中委員から、懇談会を知るべきかいなかということについて御意見がございましたが……。
〔矢嶋三義君「それについてですよ」と述ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/25
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026・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この懇談をするかしないかということについて採決なんというのは、これは前例のないことだと思うのですよ。(「それは多数としての意見を聞かなければやむを得ないじゃないか」と呼ぶ者あり)静かにしておって下さい。先ほどから吉田委員の御発言を承わって滞りましても、また、御一任願いたいという委員長の提案につきましても、お伺いしなければ、こちらの判断のつかない点がたくさんありますよ。それを十分ただしてから、われわれは決断を下したいという立場で、この湯山委員の方から懇談をいたしたいという提案をなされたわけであって、当然だと思うのですよ。それを採決でやってただすべき点をたださせんなんというのは、おかしいと思うのですよ。私も現に湯山委員の発言を聞いていると、非常に重大な発言があったと思うのです。委員長さん、お聞き願いたいと思いますが、委員長さんは先ほど私のお尋ねした点について、委員会の運営について、格別委員長が自分の意見を発表したりするのはおもしろくない、皆さんの意見を十分承わって、そして妥当な線を出すのが、委員長の態度だとお答えいただきました。私はごもっともだと思うのですが、今の湯山委員の発言の中に、たとえ社会党の提案である十四、十五日に与党が賛成しても、委員長としては了承できない。そういうふうに委員長理事懇談会で発言されたということ、湯山委員……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/26
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027・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) その通り申しました。岡君のさっき言われた言葉と同じ意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/27
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028・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私に発言を許しておいて……、ちょっと待って下さいよ。委員長さんはその発言許した者の発言をお聞きになって御発言いただいた方がいいと思うのですが……。(笑声)そこで先ほど私にお答え願った委員長さんの基本的態度と、たとえ与党と社会党の間でまとまっても、委員長としては了承できないというのは、ちょっと矛盾している点がありましてね、そういう点は速記なんかつけてやりたくないですよ。湯山委員の提案した懇談会にして、お互いの考えていることがすっかりわかって、そうしていかにすべきかというふうにいくのが、私は順序だと思うのですがね。委員会始ったばかりで、今ここで懇談にするかしないか採決にいくというのは、前例のないことです。これは委員長さんの御善処をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/28
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029・安部キミ子
○安部キミ子君 いろいろ皆さんの意見もありましたが、私委員長にお尋ねしたいんです。この法案は重要法案だというので、日本の国民が非常に関心を持っております。で、衆議院であのようにろくろく審議もされないで、しかも中間報告というような強引なやり方で参議院に送られたので、国民は参議院の良識がどのように発揮されるかということを、非常に期待していると思う。わけても、加賀山先生は緑風会という立場から委員長になっておられますので、加賀山先生の……、先生と私はあえて言いますが、先生の態度というものがその国民の期待に沿うか沿わないかという決定的なかぎになると思います。先日来各種の団体が加賀山先生に陳情に来られましたときに、加賀山先生はどの陳情者の前にでも、十分審議はいたします、国民の輿望にこたえますと、こういうふうにおっしゃったということを聞きまして、私は大へん意を強うしております。そういう立場であられますのに、先ほど湯山さんからお話がありましたように、そうしてまた矢嶋さんからお話がありましたように、いかにも委員長の裁断で、何かこの運営を引きずっていくというふうな印象をお与えになるということになると、私はこれこそ大へんなことになると思います。御承知のように衆議院では小選挙区法があのように混乱しましたけれども、与党側の議長さんが最も良識を発揮されまして、あの混乱の危機を免れたということで、国民の全部が双手をあげて喜んでおります。こういう前例もありますので、与党でない、しかも良識ある緑風会、是々非々ということを常にモットーとしておられます緑風会の加賀山先生が最も妥当な立場で、しかも一方の党派の委員の賛成も得ないで、そうして一方的に採決などというふうなものの持っていき方をなさいますと、それこそ私はこの法案は非常に、問題がますます混乱してくると思いますので、先ほど湯山委員が最初提案になりました、お互いに十分に話し合うという、そういう機会をぜひ持ってもらいたい。いかなる困難な問題でも、世界の情勢でもみんな話し合いで解決しようとしているのが通念になってきておりますときに、私は加賀山先生の良識を一そう期待いたしまして、あらためて強く湯山委員の提案に賛成するものでありますから、最善の処置をとってもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/29
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030・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長からお答えいたします。委員長はその通り考えておりまして、別にどう引きずろうということではなくて、ただ、この委員会が能率的に、合理的に少しでも進むようにやるのが、委員長の責任である、かように感じてやっておる次第でございまして、先ほど公聴会について岡君の御発言もございましたが、公聴会というものは御承知の通り審議のある段階においてやることではございますが、それにはやはりおのずから、この時期にやるのが一番適切だという時期があると思います。それすら、このやはり会期ということを前提において考えないといけないと、かように考えていたしたのでございまして、別に他意はございません。誠心誠意この委員会がスムースに、静かに合理的に審議ができますようにということを努めるのが、委員長の責任であろうと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/30
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031・岡三郎
○岡三郎君 私がたびたび出ているから、ちょっと言わしてもらいたい。問題は結局衆議院と参議院の審議日程というものが、先ほどから言われていると思うんですが、結局私は委員長がそれだけの誠意があるならば、やはり実質的に公聴会をやるというならば、十三日をはさんで両方に固執していく必要はないと思う。五十歩百歩だと私が言えば委員長は十一日、十二日でいいんじゃないか、こう言うかもわからんけれども、実質的にその間における話し合いというものは私はまだやるべき段階にあると思うのです、実際の話が。それで、私はまあさっき一つのたとえ話として申し上げたわけなんです。今ここで懇談会についての採決をするとか、審議日程について、一応委員長に公聴会の日取りを一任するということについては、やはり疑義が出ておるわけでありますから、その間における話し合いというものをもう一歩進められるように、私は委員長に先ほどから要望しておるわけです。それでこそ、実も花もあるところの公聴会というものが私は成り立つと思うのです。その間においてやはり与党、野党と両党の話し合いというものがあるのだから、委員長としては具体的に、こういうふうにしたらいいかという提案が、もう一歩私は前進した形であるべきが至当だと、こういうようにお願いしておったわけです。ですからこの点について、私はいろいろなむずかしいことは言わないが、委員長がもう一ぺん理事会を開いてやることを期待しておるのですが、その点はどうですか。ここまで来たのならば、やはり理事会できめるということが委員長、できているでしょう。だからその点をもう一歩進められることを要請することは、私はいいことだと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/31
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032・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) その御提案の前に、委員長が御提案を申し上げておるので、それについてお諮り願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/32
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033・岡三郎
○岡三郎君 それについても、私の方もまた提案しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/33
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034・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それについて質問があるのですよ。その点について、お伺いしたい点があるのですね。荒木さんの質問に対して、あなたがまだ答弁なさっていない点があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/34
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035・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) それはお答えいたしますが、一任ということは条件付ということではないので、両方の御意見を考慮してきめるから御一任を願いたい。一任はあくまで一任ということでお諮りしておるわけです。委員長において、いろいろの御意見をしんしゃくすることはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/35
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036・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで委員長がどういう形で、一任をされた場合どういう結論を出さんとしているのかを、われわれは推察する資料とするためにお伺いしなければならぬのですよ。委員長も、それから自民党さんも、冒頭から慎重審議ということをずっと言われてきておるわけですね。それが先月の二十八日の話し合いのときは、自民党さんは公聴会は八、九の二日、かように言われておった。ところが、きょうになったところが公聴会は一日だと、こういうように変られることを、委員長さんはどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということですね。私はただすべき、審議すべき点は審議して、そうしてこの法律案の採決をなさるように委員会は運営さるべきもので、政府から法律案の提案が三月八日にあったわけですが、これはずいぶんおくれておると思うのです。しかも衆議院で四十四日間審議して、こちらに回ってきて、日数がないから公聴会も縮めよう、逐条審議も一般質問も縮めよう、そういう私は審議の仕方はないと思うのです。そういう点から考えますと、二、三日のうちに公聴会が二日から一日になった、こういう点委員長はどう考えられているのかという点と、それから荒木委員がさっきお伺いして明快なお答えがなかったわけですが、それは、この法律案は教育に関する法律案、教育というものは、これは富める者から貧しき者、全国民のあらゆる階層の方々が関与し、関心を持っておる問題、しかも、この法律案の内零から大きな、この全国民的な世論を巻き起しているということは御承知の通りです。こういう案件なればこそ、わが湯山理事から先般来要望しておりますこの地方公聴会というものは、私は必要だと思うのです。で、かつては、わが参議院においてはスト規制法のときにやりました。また先年解散で一応流れましたけれども、義務教育諸学校職員法案、いわゆる義職法案のときも、当時の文教委員会は地方公聴会を正式に本委員会で決定いたしました。しかし、解散のために、それは実施されないで終りましたけれども、そういう先例もあります。また近くは、公職選挙法の一部歌声法律案について、衆議院においては御承知の遡り地方公聴会をやられたわけです。従って、わが党としては、この法律案件については地方公聴会は必要であるという主張をしてきておるわけですが、それについて先ほど荒木委員からお伺いしたわけですが、明快なお答えがございませんでした。今委員長としては、先ほど御発言になりましたように、この国会は五月十七日までだと、表座敷では国会は五月十七日までで、そのあとは考えられないということも耳に入ります。しかし、実質的には今国会の会期延長というのは、これは国会内における常識になっております。現に、第一党、与党の大粋事長岸さんがわが党の代表に対して、フィリピンの賠償協定その他に関連して、国会は相当大幅に延長するということを、公党の幹事長として野党の代表者に話されているわけなんです。従って、今そういう、この決定的なことをされませんが、そういう含みをもってわれわれが今後この法律案の審議日程をお互いに腹と腹で話し合おうということは、私は決してはずれていない、それは当然だと思うのですね。従ってそういう会期延長等があった場合に、この必要であるところの地方公聴会について委員長はどういうお考えを持っていらっしやるのかという、この地方公聴会の必要性についての委員長の考えをやはり私は承わっておかなければ、なかなか結論を下す資料がそろいませんので、その点承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/36
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037・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。その公聴会については、委員長といたしましては、二日が一番適当であろうと考えて、一日では足りないというように考えておりますが、地方公聴会の問題も理事会で出まして、いろいろ御相談をいたしましたが、これは委員長が地方公聴会はやるべきものだということをお答えしてみたところで、これは何らあれはございません。これは地方公聴会については与党の方からも、これは地方からも来てもらえるのであるから、一々地方に出てやることもあるまいというような御見解があったと思っております。で、ここで委員長の意見を述べろということですが、委員長が地方公聴会をぜひやらんならぬものであるか、あるいはやらないでもいいものであるかというようなことについては、見解を私は申し上げてみても仕方がないと思うのです。それから念のため申し上げますが、これは公聴会の日時をきめるだけの問題でございまして、審議日数を減らすとか、少くするとかいう問題ではございません。ただ公聴会のいつ開くかという前後、しかも日曜をはさんで両側に立つ日だけの問題でございますので、委員長としては、公聴会をやる以上は、一般質問が来週中、大体皆さんに御勉強願って、そうしてそのあと、来週の終りが一番適当であろうと考えて、しかもそれは二日が適当であろうというふうに考えている次第で、あまり公聴会が会期の終りにくっつきますことは、事実上、会期をもとに考えますと、その後皆さん方に審議をしていただく日取りがなくなるおそれがございます。それでは先ほどのお話しのように公聴会がただ形式的に開かれただけだということになるきらいがないでもございませんので、委員長といたしましては、その中間をとって、来週の終りが最も適切であろう、かように考えている次第でございます。
で、御提案がございましたが、あまり長いのもどうかと思いますので、速記をとめまして——速記をとめて。
午後五時九分速記中止
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午後五時二十七分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/37
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038・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記を始めて下さい。
本件に関する議論は出尽したと思いますので、(「出尽さない」と呼ぶ者あり)これから採決することにいたします。
公聴会の開会日時については、委員長に御一任願いたいと存じますが、賛成の方の挙手を願います。(「そんなむちゃなことがあるか」「もしそういうことをやるなら、社会党は退場する」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/38
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039・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 多数であります。(「そんなこと言うなら、勝手にやったがいいよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)よって五月十一日、十二日の両日、公聴会を開くことに決定いたします。
なお、公述人の人選その他手続については、委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/39
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040・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。(「そんなでたらめをやりなさるな」「何だ、暴言を吐くな」と呼ぶ者あり。その他発言する者多し)静粛に願います。
次に、今後の審議日程としては、五月七、八日、十日、十一、十二日に委員会を開会することになりましたが、九日の水曜日については、衆議院の委員会の事情を確かめた上で、改めて決定いたすことに相なりました。(「了承」と呼ぶ者あり)
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/40
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041・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記を始めて下さい。
お諮りいたします。主婦連合会の方から、今回の地方教育行政の組織及び運営に関する法律案その他について陳情を求められておりますので、この際これを五分間に限りまして聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/41
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042・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。速記をとめて。
〔速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/42
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043・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記を始めて。
それではまずこれより日程に入りたいと思います。本日の議題は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び同法施行に伴う関係法律の整理に関する法律案であります。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/43
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044・吉田萬次
○吉田萬次君 私は文部大臣に、このごろ中日本の学術会議が開かれまして、その学術会議の動向というふうのものについて、きわめて注視をしておりましたところ、その結論というものを見たのであります。四月二十九日の朝日新聞に、意思表示やめる、学術会議最終日の激論、というような見出しで詳しく出ております。これを見ますると、いわゆる教育二法案というものを俎上に上して論議するが適当であるかどうかということについて、非常な話題がにぎやかになっているように思いまするが、しかし、このうちには、政治に関与するといいながら、やはり将来をおもんばかったような、この問題を爼上に上して、そうしてわれわれが結論を出すべきだという説もあります。その反面において、学者は政治に関与すべきものではないという立場から、これを戒めている人もあります。いろいろありまして、結論においてこれを爼上に上すか上さないかというような問題が取り上げられましたときに、これに賛成する人とこれに対して賛成しないというふうの人とに分れて、この問題を爼上に上していけない、こういうふうの問題は議すべきでない、また結論を出すべきものでないというように言っておる人が過半数——大多数を占めておるように思います。もちろんかような問題は心配すれば、また仮定というものを根拠にして考えましたならば、あるいはどんな危惧の念にかられるようになるかもしれません。たとえて申しまするならば、私はたばこを吸う、マッチを持っておる。しかしながらそのマッチを持っておるというふうのことを根拠にして、そうして彼はマッチを持っておる、危険なことをしやしないかというように感ずるということはこれは杞憂であって、私は実際問題として、かような問題は考える余地のない問題だと思います。この点はいわゆる学術会議に出席しておる多数の有識者というものは、お互いにその立場において認識しておられるはずであり、また、かような問題について議論をするというふうのことは差し控えるべきだというようなことについても考慮せられておると思います。ただ、そのうちの二、三の人、あるいは一部の人がこの問題については政治的に考えて、そうして将来を危惧せられるというようなこともありますが、これは要するにこの前矢内原学長を初めたくさんな人が署名をしまして、そうしてもしこういうことがあったらという仮定のもとに、ああいうふうの声明を出されましたが、それはやはりそういう思想を持っておる人は、私はこの学術会議のうちにおけるところの一小部分の人にすぎないと思うのでありまするのと、そしてまた、仮定をもって、そうしてことを世間に発表するということが、いかに世道人心に影響するかということを考えましたならば、私はこの人たちに向って反省を促さなければならぬと思うのであります。私は学問の自由というもの、独立というものは十分に認めまするけれども、教育そのものは私は自由のものではないと思うのであります。従って、この指導を誤ったならば、とんでもないことになるというようなことを考えましたときに、あの声明を出された諸君に対して、反問をしたいというような念まで起ってくるのであります。この点は学術会議の諸君は、きわめて慎重によく了承しておられまするか、とにかく学者というものの立場というものをはっきり認識せられておって、ああいう結果になったかと思うのであります。荒木貞夫さんが軍務局長をやっておりましたとき、あの荒木あるいは眞崎というような人が、軍人は少くとも自分の所信に向って、善と信じたならば、勇往邁進しろというようなことを言いましたがために、今度のこの大きい戦争の動機になったと同じように、矢内原総長が真理の探究をせよと言っておりますことも、その真理の探究ということが、五年や十年で果してできるかどうか。また、その真理の探究というものを浅く考えて行動を起したならば、どんな危険な問題が起るかというようなことを考えましたときに、私はもう少しあの人たちに自重してもらいたいと思う。この学術会議におけるととろの結果というものが、きわめて私は妥当なものであり、そうあるべきものだと私は考えますが、これに対する文相のお考えが承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/44
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045・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 学術会議におきましても、また、その他の学会におきましても、私は問題の取り上げ方によると思うのであります。教育のことも、教育学といって大きな組織ある学問になっておるのでございまするから、教育学に造詣の深い学者が、学問的にこの案を分析検討されてゆき、意見を御発表下さるならば日本のためには、大へんいいことじゃと思います。しかしながら、それが一種の思想または特定の政党、政党以外の団体の立場を擁護するとか、反対するということが、間接にでもありまするというと、御意見の価値はたちまちに下ってしまうのであります。教育学の立場において、学説の御研究はなさっていいのでありまするが、ときと場合、世の中の情勢に応じて、取り上げ方に御注意あることを、私は希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/45
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046・吉田萬次
○吉田萬次君 それから私は文相にお尋ねしたいと思うのは、各方面において教育委員の辞退が相当行われるように見受けております。ことに、東京都におきましては教育委員を辞任するというようなふうのことを盛んに言われておるように、また新聞紙上で見るのでありまするが、私はもしこの人たちが教育委員というものをほんとうにやめるものであったならば、この法案が通過して後にやめるべきものであって、少くとも選挙によってなった者が、自己一身の考えによって、ことを処断するべきものではないと思うのであります。しかるに、軽率といいまするか、牽制といいまするか、あるいは脅迫といいまするか、とにかく委員会の委員を辞任するというような声がございまして、また、それがいわゆるすべての委員会の代表のような形、あるいは立場というようなふうに考えて声明せられておりまするが、私はしごく遺憾に思う。もし、かような行動をせられました結果において、今辞任をせられた、そのそういう教育委員会の委員を辞任せられた例があるか、また辞任せられるとしたならば、辞任せられた後において、文相はどういうふうにこの跡始末をしようとせられるか、どう取り扱っていこうとせられるかということについて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/46
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047・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 地方ならびに都道府県の教育委員の方は、私は一人残らずわが国の教育には熱心な方だと思っております。それゆえにこの案は国会を、すなわち国家の唯一の立法機関である国会を通過したからといって、全部同盟して辞任なさるようなことは断じてないと思っております、それは自己矛盾でございまするから……。みずから日本の教育に一番熱心な者だという方が、国会が適法に通過した法律ができた、それに対してレジスタンスのために皆やめるということは私は断じてないと思っておりまするから、ないことについて、あらかじめ研究の必要がございませんので、今は、もしそういうことがあったらということについては、言わないことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/47
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048・吉田萬次
○吉田萬次君 先ほど質問申し上げたうちに御答弁がなかったように思いまするから、当局に質問いたしまするが、そういうふうに、今のところ、今までにおいてやめたという、地方にそういうことをお聞きになったかどうか、やめた人がありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/48
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049・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今までに教育委員がこの問題のために辞任されたということは、私ども一件も聞いておりません。まあ、いろいろ動きがあることは情報として伝わっておりますけれども、現実におやめになったという事実は聞いていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/49
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050・田中啓一
○田中啓一君 私は教育基本法並びに教育委員会法の成立当時の事情についてお伺いをいたしたいと思います。本日ちょうだいいたしました資料の中に教育刷新委員会第一回建議事項、こういうものがございます。これは昭和二十一年十二月二十七日の建議でございますが、このときに教育基本法というものは出ておりましたのでありますか。それは二十二年であったか、ちょっと私は記憶ありませんが、これは文部大臣というよりも、初中局長の方が、その辺の事情をよく御存じだと思いますから、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/50
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051・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 教育基本法の制定、これは公布は昭和二十二年三月三十一日でございますので、この刷新委員会の建議がございました二十一年十二月二十七日には、もちろん出ておらぬのであります。できない前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/51
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052・田中啓一
○田中啓一君 それから、私も多分これを受けて教育基本法はできたのであろう、こう実は思っておったのでございますが、教育委員会法につきましては、これはちょうだいしました資料は教育委員会制度、あるいは地方教育の組織、教育行政の組織並びに運営に関する制度というようなものについての昭和二十三年四月二十六日の建議でございます。これと教育委員会法の提案あるいは成立とはどんな関係になりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/52
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053・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 教育委員会法の方は二十三年七月十五日が、制定公布の日が今申しました七月十五日でございますので、この建議はその以前でございます。この建議があったあとで、国会におきまして成立した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/53
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054・田中啓一
○田中啓一君 そこでこの建議を見ますと、「教育委員会制度の実施について」という題目がございまして、中身をまあちょっとざっと拝見しましたのですけれども、必ずしも地方教育行政の制度についての第一回の建議であるとも思えない、その次ぐらいであるようにもとれますが、それはまあどちらでもけっこうでありますが、非常に慎重な態度をとりまして、市町村の教育委員会についてはあのような公選制による委員会とも、はっきりこれには見えておりませんし、また、時期についての特別考慮を要するというところを見ましても、実は非常に慎重な、いわゆる漸進的の態度であるように思われるのであります。それからそれの六あたりのところに参りまして、人事あるいは任免権等につきましても、市町村教育委員会があの法律のごとく持つことについては、相当ちゅうちょをしておるようにも見えるのであります。その他私がお尋ねしたいと思いますことは、今日まあ、市町村の教育委員会から公選制を取り去ったならば、全く委員会は意味のないようなことが世間に言われておるのでありますけれども、刷新委員会の態度というものは、果してそういったところまではっきり考えておったものであるのか、それはいろいろに考えられるということであったのか、その辺もどうもこれだけでははっきりいたしません。が、法律はあのように整然たる公選制度がとられておるわけであります。また、任免権についても、全く独立をした任免権になっておるのであります。そういうようなところがはっきりいたしませんので、当時の教育刷新委員会の委員会の内容に対する意見とあの法律が、私おそらく政府原案でお出しになったと思いますが、その関係がもしわかっておりますならば伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/54
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055・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この教育委員会法を政府で国会に提案いたしたわけでございますけれども、先ほどもお示しがございましたように、この教育刷新委員会の建議を受けまして、それを土台にいたしまして政府で研究をした結果、成案を得まして提案したことは、これは間違いございません。その提案の日取りは、二十三年六月十六日になっておるわけでございます。そこで内容的に申しますと、ただいま御指摘のように、この刷新委員会の建議の内容と、現行法として成立しておりまする教育委員会法の、当時の政府が成案いたしましたその内容とは相当違った点がございます。特に今もお話がございましたように、選任の制度につきましては資料でごらんのように、この刷新委員会の答申は、一定の選考委員によって候補者を選んで、それについて一般投票を行うというようなことになっておりますけれども、政府が提案いたしました内容は、御承知のように直接の公選に相なっております。なおまた、これも御指摘がございましたように、人事につきましても、都道府県の委員会がその任免権を持つことが必要である、こういうふうな答申になっておりまするが、現行法の内容は、これも御承知のように市町村の委員会が持っている、かようなことでございます。ただ、実施に当って適当な期間を置いてまあ漸進的にやっていくというような趣旨は、これは現行法の中にも取り入れまして、その設置を初めは都道府県と五大都市に設置して、それから漸次年月を、段階を置いて、これを漸次全面設置に持っていく、こういうような内容で提案をいたしたわけでございます。その間の関係というお話しでございますけれども、これはいろいろ当時の事情はあったと思いますけれども、いずれにいたしましても、文部省といたしまして、当時刷新委員会の答申を受けまして、それを土台にいたしまして、そうして政府で、当時は占領中でもございましたので、その方の指導も相当受けまして、そうして成案を得て提案をいたした、こういうふうに一般的に申し上げるほかはないと思いますが、以上のことで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/55
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056・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02219560504/56
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057・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記を始めて下さい。
それでは本日の文教委員会は、この程度で散会いたします。
午後五時五十九分散会
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