1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月七日(月曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
五月七日委員石井桂君及び重政庸徳君
辞任につき、その補欠として中川幸平
君及び小幡治和君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 加賀山之雄君
理事
有馬 英二君
吉田 萬次君
湯山 勇君
委員
雨森 常夫君
小幡 治和君
川口爲之助君
剱木 亨弘君
白井 勇君
田中 啓一君
中川 幸平君
三浦 義男君
秋山 長造君
安部キミ子君
荒木正三郎君
矢嶋 三義君
高橋 道男君
竹下 豐次君
国務大臣
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○地方教育行政の組織及び運営に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方教育行政の組織及び運営に関す
る法律の施行に伴う関係法律の整理
に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/0
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001・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、理事会の経過について報告いたします。先日理事会に一任された公述人の数等につきましては、一応十二名とし、明日までに自民党、社会党から各五名、緑風会から二名推選していただき、公募の数等とにらみ合せて適宜決定することにいたしました。以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/1
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002・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 本日は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び同法施行に伴う関係法律の整理に関する法律案であります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/2
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003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいま議題になりました案件に対する質疑に入る前に、委員長に若干お尋ねいたしたい点がございます。
第一番にお伺いいたしたい点は、去る四日の文教委員会の状況は各位御承知の通りでございますが、私は、当日のお互いの意見の相違の中心というものは、会期延長の有無にかかわる点にあったと考えます。双方だいぶん歩み寄りましたが、不幸にして、御承知のような事態を招来したわけでございます。文教委員会としては、まれに見る運営でありまして、私は非常に遺憾に考えておりますが、ここで委員長にお伺いいたしたい点は、四日以来本日まで、会期延長の問題というものはずいぶんと明確になって参りました。昨日の国会討論会を聞きましても、中村国会対策委員長が日比賠償協定の承認を国会に受けるに必要なだけの会期延長をやるということを明確に述べております。さらに、与党の大幹部であるところの大野伴睦氏も、繰り返し繰り返し、そういう点を明確にいたしております。この段階になりましても、委員長としては会期延長は絶対にないというような考えで本委員会を運営されようとするのか、それとも、会期延長という含みを持たれて、あくまで本法律案の徹底的慎重審議をわれわれ委員としてやらせようというお気持で運営されようとされるのか、私はその基本的態度を承わりたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/3
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004・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。委員長といたしましては、今もって何ら正式の機関から会期延長をするという確定したことを承わっておりません。従いまして、現在のところといたしましては、会期延長の含みを持って審議をしているというような気持ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私の伺っておりますことは、重点としては慎重審議という点にあるわけでございまして、あえてお伺いするわけは、たとえば前委員長時代から私お許しを得て質疑を続けておりました案件につきましても、途中で質疑を切られたままになっているわけです。さらにまた、今朝湯山理事を通じて御要望申し上げました山口県の秋吉台の、これは国定公園であり、わが国の学術上必要な、学術上とうとぶべきものがあるわけでございますが、これが米軍の爆撃演習地として早急に接収——拡大接収されようとしておる。そういう点について緊急にお伺いいたしたいという、それらのことにつきましても、なかなかお許しをいただけないように承わっておるわけです。これは私は、委員としての審議権を抑制されているように私はとれるわけでございます。これらの事柄というものはすべて、会期は十七日までで、会期の延長というものはないのだ、そのために他の案件に関する質疑等は一切許さないで、そして四日の委員会の運営に見られたように、きわめて強引に委員会を運営されようと。これでは私は納得いたしかねるものがございますし、特にああいう形で公聴会を議決されて、かりにここに自由民主党さんが推選される法案賛成の公述人だけで公聴会を開くというような事態になりますれば、これは新憲法下、新国会法下開かれました戦後の国会で、前古未曽有の公聴会と相なるわけでございまして、私まあそういう点を非常に懸念をいたし、明確に会期の延長というものは決定していませんですが、私の伺いたい点は、その緊急案件あるいは本法律案件については十分審議権を認め、審議させていただきたいと、こういう強い要望を持っております。そういうわれわれの要望に沿うような委員会の運営をしていただくお気持でいらっしゃることとは存じますが、非常に懸念されますので、あえてお伺いしている次第でございます。その立場から、重ねて委員長のお気持を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/5
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006・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。委員長は、かねがね申します通り、全く今矢嶋委員が言われたと同じ気持でございます。従いまして、この委員会が開かれます日は、たとい十分でも一時間でも私は貴重だと思いまして、定刻に始めるということを提唱し、そしてこれはとにかく途中でこの審議を打ち切るというようなことは非常によろしくございませんから、十分に静かに審議を尽すということを前提としてやっているつもりでございます。ただいまお話のございました矢嶋委員の、一般文化学術に関する調査案件等についての御質疑の残っておることも十分承知しておりますが、これはやはり重要法案優先の気持でただいまやっておるのでございまして、決してこの質疑を打ち切るというつもりではございません。
なお、秋吉台云々の問題は、けさの理事会におきましてお話が出まして、どうしてもここでやるということにまだお話し合いもできていないような工合で、たとえば本会における緊急質問というようなお話もあるということを承わりまして、その問題が落着をいたして、おきまりになった上で、本委員会で扱ったらどうかというような打ち合せになっておる次第で、決して審議権を私押えるというような気持は毛頭ございません。むしろ皆さんの審議権を十分尽していただくために、十分でも一時間でも時間を多くとりたいという念願で、けさも早くから、十時から皆様方のご出席をお待ちしておったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 具体的な問題が出たのですが、秋吉台の問題については広範にわたりますので、あらためて委員長理事会で御協議なさって、一問一答を要しますので、本委員会で質疑のある委員に、短時間でよろしいですから、質疑の機会をお与えいただくようお取り計らい願いたいことを要望しておきます。
そこで、私は四日の日の点についてもう一点ただしておかなければならぬ点があるのですが、それは本委員会の決定が議院運営委員会に持ち込まれまして、そうして議院運営委員会を私は傍聴しておったわけでございますが、本委員会の決定と相違する報告が議院運営委員会に持ち込まれたことは、私はこれは重大と思います。従って、時間をかけません、事が明白になればいいわけですから、委員長にお伺いをいたします。委員長は、採決の場合に委員がその席に着席していなくても、これは表決に参加したと、かようにお考えでございましょうか、どういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/7
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008・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 第一点につきましては、私が聞いておりますところでは、議院運営委員会における議長の報告が内容が違っていたということでございまして、こちらからの報告が間違っていたわけではないはずでございます。
なお採決でございますが、私が皆さんに採決のあれをいたしましたときは、皆さん御着席でございまして、そのもとに行われた採決でございますから、私は当然有効であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は有効、有効でないということを伺っているのではございません。で、採決する場合に自席についていない者が、採決権を行使したと考えられるかどうかということです。
具体的に申し上げましょう。たとえば委員がこの位置に、あるいはその位置に、ある委員が立っておった。あるいは本会議場で私が要件があって自民党さんのうしろの席に行っておった。そこで私が採決に対して賛成だ、反対だ、こういう意思表示をした場合、あるいは私が黙っている場合に、それがあるいは賛成の、あるいは反対の採決権を行使したことに相なるかどうか。そういう点について、委員長、どうお考えになっておられるか。私は本会議場においても、委員会においても、その委員がその席に着席していない限り、私は採決権を行使したものとは相ならない、かように私は考えております。それで私は今委員長さんにお伺いしておる点は、四日の日の決定が有効とか無効とか、そういうことを伺っているのではございませんで、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/9
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010・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長が採決の宣告がございました場合には、各委員は、審議中最も重要な段階でございますので、もちろん議席に私は着席されたままで自分の採決権を正当に行使されるものと確信いたしております。で、その場合に議席を何かの理由で離れられる場合には、これはその方の御意思をよく伺わなければならないと思うのでございますけれども、原則としては、議席において採決の行動をとられることが正当であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は具体的にお伺いしているわけでございます。まことに残念ながら、四日の委員会では、最後に荒木委員から発言があって、それに対して自由民主党の委員さんに御考慮をわずらわし、自由民主党の理事の方からそれに対して発言があるのかないのか、私たち顔を見て待っておる瞬間に、委員長さん採決に入られたわけです。それでわれわれとしてはびっくりして、今この採決の段階じゃないじゃないですかという、私たちみんな、われわれ委員は総立ちになって、あなたに御要望に参ったわけ、でございまして、あの当時われわれ社会党委員は一名も委員席に着いていなかったわけです。従って、まことに残念ながら、あのときは私どもあなたの採決について、賛成も反対も、いずれの意思表示もできなかったわけでございます。従って、われわれは遺憾ながら採決権を行使する機会をお与え願えなかったわけであって、あの決定が多数決できまったということは、私は大きな疑問があると考えるのですが、委員長、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/11
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012・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長が採決の宣告をいたしました場合には、大へん、この審議中最も重大な段階でございますので、各委員はその採決について正しい行動をおとり下さるように御要望をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 短時間で終りたいために、委員長さん、明確にお答え願いたいと思うのです。それは、採決のときは重大段階だから、委員は着席しておって慎重な態度をとっていただきたい。その通りです。われわれずっとそれをとって参りました。ところが、四日の日は、さっき申し上げたように、とっさに採決に入られたので、今採決の段階じゃないじゃございませんかと言って、われわれはとっさにあなたのところに要望に参るために、立って行ったわけです。従って、われわれ委員は一人も着席していないわけです。これは遺憾ながら採決権の機会を与えられなかったわけであって、われわれは採決権を行使したことにならぬと思うのです。私はそう確信します。もしかように、席から離れておった者が採決権を行使したということになるというと、今後委員会においても、本会議においても、ずいぶんと私はゆゆしき問題が起ってくると思うのでございます。従って、委員長さんが有効とお考えになっていらっしゃる四日の採決は、これは多数決できまったものでない、かように私は解釈が明確に立つと思うのですが、それを承わっておる。
ところが、私は議院運営委員会へ出てみますというと、委員部長は、多数決で公聴会が決定された、それに基いて議長に要求が出た、そこでそういう報告をなして、議長の諮問機関である議院運営委員会にこれを諮られたということは、私は大きな誤まりがあると思うのです。従って、あの議院運営委員会に諮られた委員長の発言というものは、私は訂正されなければならない。これは本文教委員会のことだけでなくして、今後本院を運営していく場合に当って、採決権の行使と、その有効、無効の点については、私は重大な一つの先例になると思いますので、明確にする必要がありますので、委員長に伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/13
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014・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 矢嶋委員に申し上げますが、本来の審議に入りたいと思いますので、後刻理事会においてよく御意見は承わりまして、とくとそのときの事情なんかを調べて、そしてまた御意見を承わり、こちらも意見を申し上げたいと思います。
質疑のある方は順次御発言を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長、理事会で明確化されますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/15
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016・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/16
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017・安部キミ子
○安部キミ子君 ただいま矢嶋委員からお話がありましたように、私は四日の委員会では、常識ある加賀山先生に大へん期待をかけて、あの日も、あんなような形で委員会が終るものとは考えなかったのでございますが、まことに遺憾だと思います。そういう点で今後ともこれからの審議に当りましては、十分なる、親切な気持で、私ども野党の委員にも当っていただきたい、なるほど多数党の自民党からいろいろの注文があり、また、緑風会が新聞にも出ておりますように、与党化してきたというふうな世論もあります。そのことについては、私どもはそういうふうな態度で今後加賀山委員長が処理なさるようであれば、私どもとしても今までの緑風会というものが是々非々というふうな態度でおられて、そしてまた、そういうふうな考えで今日まで参ったことが間違ったことになると思いますので、今後はそういうふうな、もう一度失敗して、またそのとき悪かったと、今度は十分やりますと言いながら、もうその口の下で同じ間違いを侵すということのないように、大へん僭越でございますけれども、加賀山委員長に私は深くお願いする次第であります。
つきましては、私文部大臣に御質問いたします。今度の法案が非常に重大な法案である、ただ委員会法を一部変更したというふうな問題ではなくて、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律案は、国の教育の変革であるということを私どもは強く感じておりますが、文部大臣はどういうふうに感じておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/17
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018・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この法律に書いてある限度は、現行とは変るものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/18
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019・安部キミ子
○安部キミ子君 衆議院の委員会で、文部大臣が発言しておられます趣旨を見ましても、文部大臣はこの教育法案をごく簡単なような扱い方をし、また、考え方をしておられると思うのです。しかし根本的にこの憲法の第二十三条に私は抵触しておると、これは憲法違反ではないかという疑いを持つものでありますが、大臣はどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/19
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020・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 憲法二十三条は、「学問の自由は、これを保障する。」という規定でございます。この法律案も、現在の教育委員会法も、学問の自由を障害するものじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/20
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021・安部キミ子
○安部キミ子君 私はこの法案の全逐条審議にわたって、どういう点がどう抵触するのじゃないかということを次に、その逐条審議に入った節に大臣にお尋ねすることといたしまして、文部大臣は去る三月十九日の学長声明に対して、新聞記者団に子供の民主主義であって、そういうことはまことに児戯にひとしいものだというふうな意味のことを言われたということが、新聞に載っておりますが、そういうような発言をされたことはほんとうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/21
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022・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その通りではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/22
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023・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと、新聞がうそを報道したということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/23
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024・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 正確じゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/24
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025・安部キミ子
○安部キミ子君 それでは、新聞の報道は正確でないということになりますが、誤報だということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/25
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026・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 正確でないということであります。学長声明に対する私の考えは、かつて、その翌日でありましたか、衆議院の文教委員会においても、少し後にここの予算委員会においても述べてあります。あれがほんとうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/26
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027・安部キミ子
○安部キミ子君 私は大臣がこの学長声明に対して、実に何といいますかその態度が傲慢だと思うのです。このことについては、先日総理大臣の質問でも申しましたが、事が教育でございますだけに、文部大臣という席におられますあなたは、もっとそうした学長さんの声明というものにすなおな気持で、謙虚な気持で私は聞き入れられなきゃならないのじゃないか。少くとも日本の国の最高学府と仰がれている学長の方々のこの声明はですよ、日本国民にとっては非常な関心の的でございます。そしてわけても、東大というようなものは、もう最高学府と言って、だれもが何といいますか教育の殿堂だと、こういうふうに考えている。その学長さんが日本の教育の将来に非常に暗い陰がさしてきたというこの心配から、かつてこういう態度があったことがないと言われるほど慎重に、しかも先日も声明文はよくできていると大臣はおっしゃいましたほどに、実にりっぱな声明文が出してある。で、そういう立場の方が出された声明に対して、子供の民主主義であって、何も現実のことはお前たちにはわからないのだというふうな態度、そしてそういう気持をそのままに何の反省もなくて、衆議院ではあのような形でこの法案を通してこられたという、私は教育を文部大臣自身が何といいますか、否定されるような格好になる。このことは非常に教育的に見て重大な問題だと思うのです。どうですか大臣、そうでしょう。そういうふうにお考えになりませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/27
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028・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今の御質問は、教育のことは重大だと、そう考えないかというお結びでありましたが、それはその通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/28
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029・安部キミ子
○安部キミ子君 教育が重大だというよりなことはあなたがおっしゃらなくても、もうわかりきっていることなんです。あの学長声明に対してですね、文部大臣のとられた態度、あるいはものの考え方というものは、日本の教育界、教育全体です、教育界に非常に悪い影響を残す、こういうふうに私は考えておりますが、悪い影響は残さないと、あなたはお思いになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/29
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030・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 安部さんも御承知でありましょうが、私が衆議院でも、参議院の予算委員会でも答えたことは、学長声明はよろしいということなんです。第一段、教育の中立性を維持すること、民主主義でいくべきこと、大賛成であります。また、これを変更する場合には、委員会その他諮問機関の意見を聞いて慎重にやれということ、これも賛成でございます。ただ、第三段に教科書問題についても、私どもが中央教育審議会に諮問しなかったということであったら、これは間違っておる。現に諮問して八、九分まではその通りのことを法案に書いておるのだと、私が間違っておると言うて非難したのは、第三点だけでありますけれども、これは学校におられて御承知がなかったんだろうから、これも別段非難はしておらない。指摘しただけで、全体を通じてこの声明には敬意を表しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/30
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031・安部キミ子
○安部キミ子君 矢内原総長は中教審の一委員でございますのでこのことについて知っておられないということはないと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/31
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032・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 矢内原先生の心事は知りませんけれども、あれは多くの人の共通のものですから、執筆者が何か誤まられたので、そのあげ足をとろうという考えは、私はちっともありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/32
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033・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと、矢内原先生は人まかせであの声明を出された、こういう御答弁でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/33
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034・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 矢内原先生の心持は、私はようお答えしませんと申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/34
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035・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと、さっきあなたは執筆者が間違えてそれを書いたのだろう、こういうふうにおっしゃったじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/35
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036・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 現に教科書法案については諮問しておるのです。また、答申も出ておるのです。そうしてそれと同じような案を作ったのだが、それに諮問しないということをおっしゃる以上は、書いた人が誤まっておるに相違ない。けれどもその責任を私はあげ足をとるのじゃない、こう申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/36
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037・安部キミ子
○安部キミ子君 矢内原先生はただ教科書法案のことだけ言っておられるのじゃないのです。そのことは大臣もよくおわかりになっておられる。今日この自由党から今度自民党になりましたが、こうした今の大政党の行き方に対して、教育の扱い方、この教育の問題は国の基本になるものである、こういう考え方から今の文部省が出されているこの法案は国の変革を意図しておるものじゃないか、そういう心配が多分にあるということを言っておられるし、それから先日私は内閣と文教委員会で、矢内原先生の公述がありましたときに、矢内原先生のあの発言内容も読んでおります。また、大内先生やそのほかの大学の学長先生が、新聞やラジオでいろんな機会で、この教育法案に対して見解を述べておられます。そういう総合した方々の話を考えますときに、今の政府のやっているような教育方針では、日本の国の危機に立つのだ、教育の危機に立つということは、これは国の危機に立っておるのだ、こういうふうに述べておられます。矢内原先生が今年の三月の大学の卒業式にも、卒業生に言葉を与えておられますこの内容を見ますと、やはり今の国の政治、あるいは教育のあり方に対して非常に心配しておられるのでございますので、ただ、今大臣がおっしゃいますように、教科書の問題だけを取り扱って、それを問題にしておられるのではないのです。わけても、中教審にあなたはかけたかけたとおっしゃいますけれども、この教育委員会法案を教育委員会設置の問題について、存廃の問題については、あなた自身も御承知のように、大連大臣が存命のときに出されたので、もう今から三年前の話なんでしょう。それをもうこれはかけたから、もう問題は済んだのだ。ただし、教科書法案についてはこういう答えが出て、そうして自分たちはそれを取り入れなかったのだ、こういうふうな軽い扱い方で大臣がおられるところに、私は今日の学長さんあたりの心配があると思う。この地方教育行政については、矢内原先生は教育者であるだけに、もうもちろん大臣も教育のことはよく御存じではございましょうけれども、わけても専門家でありますこの大学の学長先生たちというものは、ほんとうに教育ということについては、根本的に研究しておられると思うのですが、どうですか。大臣はもう少しこの日本の教育というものをあなた自身が尊ぶ気持になられないでしょうか。私は第一、教育というものを、あなたは尊ぶ気がないと思うのです。そういう謙虚な気持が、あなたの言動なり、態度なりから一つも感じられない。ごらんなさい、あの問題になった小選挙区法案でも、やはり国民の世論が高ければ、いくら多数党で、何でも力で通すんだということだって、できなかったじゃありませんか。私はこの地方教育行政の組織及び運営に関する法律案というこの法案でも、世論というものはどのようにこの法案に対して反対しているかということは、もちろん知事やあるいは市町村長の動きはありますけれども、そうしたものより、もっともっと大きなものがあるということは、大臣も御承知の通りだと思いますが、この世論をあなたは無視するお考えでしょうか。私は大臣の気持をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/37
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038・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は世論を無視するという考えはございません。表面に新聞等に表われておる議論のほかに、また国民の全般にびまんしておる国民の考えというものもあるのであります。また、われわれ代議士は一人一人世論に耳を傾けて、意見を立てておるのであります。この法案が世論に逆行したるものだとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/38
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039・安部キミ子
○安部キミ子君 おかしいじゃないでしょうかね。数日、二、三日前も参議院の陳情の個人署名が、七百二十万人という人の署名が参議院議長にあてられて運び込まれたということは、新聞にも出ておりまして、大臣も御承知の通りです。七百二十万人というのですね、この一般国民の気持を、世論を大臣は大事だと思うと言いながら、この法案は自分は正しいんだ、だから世論を聞く考えはない、こういうふうにおっしゃいましても、あなたのおっしゃることと、そうして事実とは反対じゃないでしょうか。そのほかに、御承知のように大学の先生から、学長さんから、学者から、教育委員の方から、地方教育委員の方から、先生から、もう一々署名を取れば何百万人になるかわからないのですよ、何千万人になるかわからぬのですよ。そういう手はずは、なるほど省いておりまして、たまたま七百二十万という数かこの国会に出されておるのですけれども、私はこの国民の声を、どうして文部大臣という立場の方が無視して、この教育法案には間違いがないと、こうしらを切られるか、私にはわからない。でありますから、学長声明にもありますように、もう一度中教審にかけて、そして事が教育であるだけに、大事だからもっとひまをかけて十分検討されて、あらためて、もしこの教育委員会制度というものが悪いということがあれば、またそのように、今の国情に合うような、あるいは国民が納得するような形で法案を出されたらどうかと、こうみんなが言っておるのでございますがね。大臣はどうしてもこれをもう無理やりに通すと、こういうお考えなんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/39
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040・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は無理やりに通すなんということは、考えたことも何もないのです。衆議院は通過して参りましたが、先刻加賀山委員長のおっしゃる通り、時間の限り、皆さんの御意見をよく聞いて最善なる御表決に従いたいと、こう思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連して。ただいま安部委員の質問は、世論との関係について質問を展開されておりますが、その前提となりました文部大臣の発言の点については、ここで一、二明確にしておかなければならないと思います。少くとも一国の文部大臣でございます。この重要法律案の提案責任者でございますので、前提として明確にし、また、大臣に慎重なる態度をとっていただかなくっちゃならぬと思うのでございますが、先ほど来承わっておりますと、文部大臣はこの矢内原東大総長以下総長、学長の文教政策の傾向に関する声明について、新聞で伝えられた文部大臣の批評の言葉は正確でなかった。そして文部大臣としては、学者が学内にこもっておられる関係上、教科書法案は中教審の答申を求めて、それに基いて出されたということを御存じないようだ、その点を自分は批判したのだと、こういうふうに言われますが、これはこのまま聞きのがすわけにはいきません。はっきりお答え願いましょう。この文教政策の傾向に関する声明のどこに、教科書法案は中教審に諮らなかったというような点がございましょうか、はっきりお答え願いたい。おそらく私は十人の学者の方々は、大臣の先ほど以来の安部委員に対する答弁を承わったならば心外だと思う。少くともわが国の最高水準をいくところのこの十総長、学長が教科書法案は中教審に諮ったものである。それからいわゆる新教育法案については中教審を無視したものであるということは表面御承知の上で、その前提のもとにこの文教政策の傾向に関する声明というものは出たものだと思います。そこで私は文部大臣に明確にお答え願いたい。どこに新教科書法案は中教審に諧らないで出したということを誹謗するところの文章がございますか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/41
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042・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この声明の第一段には、たとえば教育委員会について、あるいは教科書制度について、そのいわゆる改革案を見ると、部分的改正ではなくして民主的教育制度を根本的に変えるものだという文章がございまして、第一段は、教育委員会と教科書制度、二つを取り上げておらるるのであります。第二段に至って、もし制度上改正を要する点があるならば、政府はそのことを適当な審議機関に諮問して十分審議を尽さしめ、また広く関係方面の専門的意見を聞いて世論に耳を傾くべきだと、こういう二つの構造からなっておるのです。適当な審議機関に諮問してということは、文部省の平常の諮問機関である中教審等を含めておっしゃられると私は解したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/42
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043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 だから新教育委員会法案については、文部大臣の最高諮問機関である中央教育審議会に最近諮問せずに早急に出されたのだから、この文章正しいじゃございませんか。教科書法案を中教審の答申を求めなかったということはどこでこの文章出てきますか。批評する根拠はないじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/43
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044・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今安部さんのお問いに対しては、教科書法案については諮問している、このことを申し上げたのであります。先刻以来お聞きの通りと思います、だけれども、しかしながら教科書法案について中教審に諮問をしておるのに、それをもひっくるめておっしゃるということは、事実が間違っておるのだ、しかしながらそれをあげ足とりには私は言わないのだ、こういう断わりをしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ポイントをはずれては困ります。問題は、日本の最高水準をいく学者の意向というものは聞いてよろしいのじゃないか。傾聴してよろしいのじゃないか。ところがこういう声明が出た翌日の新聞は、全国の新聞が、学者の言うことは子供の民主主義だ、それじゃだめだということが伝えられた。このことはまことに遺憾だという立場から質問されているわけです。あるいは全教委の代表に、教育委員会制度を改正するに当って、その意向をただすことは、刑法を改正するときに囚人にその意見を求めると同じことだ、こういうことを文部大臣が申されたということが、全国の報道機関を通じて国民の耳に通じておる、そういうこと自体が問題だと、承わっているわけです。そうすると、あなたは先ほど以来、自分が指摘したのは、その第一点、第二点はけっこうであるが、教科書法案については中教審に諮問をし、その答申を求めたということを知らない点を、自分は批判したのであって、別に子供の民主主義であっていけないとか、こういうことは言わないということですが、私の言っていることは、この中には、教科書法案については諮問をし、その答申を求めたが、大事な地方教育行政の組織及び運営に関する法律案については中教審を無視した、これはまことに遺憾だという立場で書かれているのです。ところがあなたの言われることは、学者が象牙の塔にこもっておって、教科書法案について諮問をし、答申のあったことを知らないのはまことに遺憾だ、それを誹謗したのだと言うが、それは私は学者にとっては心外千万だと言っておる。従って私の伺っていることは、ここにどこに教科書法案については諮問をしなかったという意味が現れているかということを聞いているのです。お取り消しなさい、さっきの言葉を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/45
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046・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 前段においては、教育委員会と教科書制度についてわれわれが改正案を出しておることを問題にしておられます。その次の段において、もし法制上改正を要する点があるならば、政府はそのことを適当なる諮問機関に諮問して、十分審議を尽さしめる、しかるにそれをしておらんということであります。前段と後段とを対照すれば適当なる諮問機関に諮問せんということは、教科書法案についても諮問しておらんという意味に日本語としてはとれるのでございます。それゆえに、ここは事実が間違っておる。しかしながら、この事実の間違いを、あげ足をとるのじゃないと私は言っておる。余裕をもって私は答えております。全体としては、教育は大切なこっちゃから、前段にあります政治の動向に支配されないようにするということも賛成、次の段の必要なる改正は、やはり適当な諮問機関等に諮問して十分審議をするということも賛成なんです。これを誹謗は一つもしておらんのです。むしろほめておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 事は明確にしておかなくちゃなりません。あなたのさっきの地方教育行政の組織及び運営に関する法律案、教科書法案について、一方は諮問したが一方は諮問しなかった、その点を両方含んでいるのに、学者はそれを一緒にしているのは遺憾だということでありますが、これは全く私はお話しにならないことだと思う。そこで私は結論的に伺いましょう。全国の新聞には、学者の言う態度は、子供の民主主義だと大臣が言われたということが報ぜられたわけなのです。それを先ほど安部委員はただされたわけですか、報道は正確でないということを言われておりますが、あなたは学者の声明をそういうふうにとられて、一体新聞記者にはどういうことをお話しになったのか、ここで正確に一つ承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/47
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048・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私の心持は、前段申し上げた通り、民主主義を守るということ、教育において民主主義を守るということは賛成です。必要な改正はやはりしなきゃならん、する時分にはいろいろの意見を聞いてやるということも賛成なんです。その心持でおりますから、そのときの言葉はどうでありましても、趣意はそういう趣意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/48
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049・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 関連質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/49
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050・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これで最後です。大臣の発言については、他日まだただすことがございます。あなたは文教委員会に出て文教政策を伺いますと、自分は党の小使だというようなことを言われますが、ところが他においては、ずいぶんと重大な発言をされておるわけですが、それは他日ただします。私ここで念のためはっきり重ねてお伺いしておきたい点は、子供の民主主義という言葉は使われなかったということなんですね。今あなたの言われたことは、これはだれが聞いても問題ないことですよ。ところが当時の報道は、先ほどから言われますように、学者のやっておることはこれは子供の民主主義だ、お話しにならん、こういうふうに文部大臣が批判されたということが報じられておるのです。そういうことはない。もし証人が出た場合はよろしゅうございますね。はっきり言っておきます、もしあなたがこれを先ほど来言うように、否定されて、もし証人が出て、文部大臣は確かにあの学者の態度というものは子供のときに覚えた民主主義だ、こういうふうに言明されたという報道陣の一、二の証言があった場合は、文部大臣はいかなる責任をとるか、その点を明確にここでしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/50
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051・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 民主主義に子供の民主主義、大人の民主主義と二つの型があるのじゃありません。子供の民主主義という言葉は断じて使うておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/51
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052・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もし証人が出たらどうします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/52
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053・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 証人の人もほんとうを言うかしれませんが、私もほんとうを言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/53
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054・安部キミ子
○安部キミ子君 今子供の民主主義のお話しから大へん質問が展開されて、結局大臣は、私は子供の民主主義だと言うた覚えはない、こういう結論であったと思いますが、それに間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/54
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055・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は民主主義に子供の民主主義、大人の民主主義と二つの民主主義があろうと思うておりません。そんなことを申しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/55
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056・安部キミ子
○安部キミ子君 それではこの問題はここで議論いたしましても、質問いたしましても、水かけ論になりますから、後日私は朝日の新聞だの、ほかの新聞で見ました。およそ日本で一流の新聞の記事でございますので、そういう記事を取られた方の責任にもなることかと思いますから、この問題は後の問題に保留して次の質問に移ります。
大臣は中教審に直接自分が文部大臣になってからはかけなかった、これは全く事実でありますし、また大連文部大臣のときに、この問題がかかって、そのときの中教審の答えでは、教育委員会法の存廃、委員会の存廃については反対の答えが出ていると思うのであります。そういうことを無視して、しかも今度の法案を出されたという大臣の教育に対するものの考え方の根拠はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/56
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057・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) わが国の教育をよくしようという考えであります。そのほかには雑念はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/57
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058・安部キミ子
○安部キミ子君 大臣は自分の考えだけでわが国の教育はよくなると、こういうふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/58
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059・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この案に達するまでは、十分に前任者等が諮問いたしておりまする諮問機関、あるいはまた個別に言ってこられる各方面の意見をたくさん聞いて、ことに党内の専門代議士等の意見、これを集積してこの案ができたのであって、私一人が単独に作るもんじゃございませんので、今も矢嶋委員から攻撃がありましたが、私は謙虚な態度で、(「謙虚だと」と呼ぶ者あり、矢嶋三義君「攻撃したのじゃないですよ、質問しただけですよ」と述ぶ)小使のような気でこれをやっているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/59
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060・安部キミ子
○安部キミ子君 私は、党内の専門代議士という言葉をまた新しく伺ったわけなんですが、党内の専門代議士とあなたが目されている方はどなたとどなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/60
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061・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 専門代議士という言葉は取り消します。(「取り消さぬでもいいよ」と呼ぶ者あり、笑声)言葉が適当でないから取り消したのであります。よくこのことを知っておられるという意味で、専門というとほかのことをしないように聞こえますから、教育についてよく知っておられる代議士という意味で……(「もっと本質論をやったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/61
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062・安部キミ子
○安部キミ子君 本質論ですよ。この法案が出た根拠ですよ。(「議事進行」と呼ぶ者あり)発言中じゃありませんか。私はこのことをあげ足取りや何かで言うのじゃないのです。この今度出された法案は、国の教育行政の変革だと、こういうふうに思うからですね、どういう根拠で大臣がこの法案を出されたか、ほんとうに国の形を変えていこうという意図があって出されたか、その意図はどういう根拠に立っているかということをお尋ねしたいから聞いている。ところが、今私個人の意見じゃないと、党内の専門代議士の意見の総合がこういう形になって現われたんだと、こういう意味のことをおっしゃいましたから、それでは党内の専門代議士という方はどなたとどなたですかと、こういうお尋ねをしたのです。(「まじめな質問」と呼ぶ者あり)まじめな質問でしょう。そうすると、いや、これは言葉が間違っていたと、こう言う。専門というとその専門で、ほかのことをしない、教育のことだけしかしない代議士というふうな誤解を招くから、私はこれを取り消しますと、こう文部大臣は、自分の言ったことをすぐその口の舌がかわかぬうちにですね、あるいは否定してですよ、取り消される。私は、こういうふうな大臣の、まあ、ある意味では軽率な態度が、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律案にも出ていると思う。もっと、こういう国の変革にも値するような重要法案ならですよ、あらゆる人、党内だけの人でなくて、ほんとうの意味の教育専門家というような、あなたは専門家という言葉が好きのようでございますけれども、ほんとうの意味の教育の専門家の方々の意見も十分聞かれて、そしてこの教育に関する問題は、国民のすべてが納得する、私はこの教育問題は、社会党とか自民党とか、そういうちゃちなものじゃないと思うのですよ。自民党のあなただってお子さんおられるでしょう。社会党のわれわれだってみんなあるでしょうよ。社会党の方だってみんなお子さんおられるのです。社会党であろうと自民党であろうと、そんなことは問題でないのですよ。ほんとうに子供に仕合せな教育をしてやることがわれわれの重大な責任だと、こういうふうに考えますだけに、今度の法案もあなたの軽率な、たとえばですよ、その何が軽率であったかといえば、この間も答弁にあったのですが、中教審にはかけなかった。もう何しろ時間が切迫していたからかけなかったと、こういうようなお話だったのです。まあ、ほかにも理由はありましょうが、そういうことも言っておられる。ではですね、そんなに急いでこの法案をこの国会に出さにゃならぬかどうかということですよ。それほど大事な教育法案であるだけに、あらゆる階層の人たちに集まってもらって、そうして国民が納得して、(「簡単々々」と呼ぶ者あり)みんなが喜んでこの法案を支持するような、そういう形で私は出してもらいたいと思っていたのです。でありますから、学長声明にも、そういう意味のことも含めて出されておるし、またこの法案が重大なだけに、今日もたくさんの方が傍聴席におられますが、ことにお母さん方は、この法案が成立した暁には、自分たちの子供の将来、運命がどうなるかということを気づかってですよ、婦人団体の代表者もみな心配して、代表者だけじゃない、婦人団体の人たちもみな心配して、反対の署名をしておられるわけなんです。あなた一人のお子さんなら、文部大臣一人のお子さんなら、こういう法案を出されても、それはどうにでも責任はあなたが負われるでしょうけれども、人様の大事なお子さんの運命をきめるようなこの法案を、一党の、あなたの言葉でいえば、専門代議士の意見を聞いて出されて、しかも、ほんとうに日本の教育の中核体となるべき学長さんたちの反対しておられるこの意見を、みじんだに聞こうとしない、むしろ聞くどころではない、まるで侮っているような、子供の民主主義だなんだと言われるような大臣の態度そのものに私は問題があると思う。それだけにまた日本の運命にかかわるこのような重要法案を、大臣はもう少し自分の責任において、責任の重大性を十分考えられて、まああやまちはあやまちとして、ここまで、参議院には来たけれども、もう一度ゆっくりあらためて考えよう、そうして無理に今国会に成立しなくても、次の国会でもいいじゃないか、教育委員の選挙があるなら、また臨時立法でも考えて、そうしてほんとうに国民が、なるほど清瀬文部大臣はものわかりのいい人だと、こういうふうに、教育の第一線に立っている者は、文部大臣が答弁しておられるような軽い気持じゃないですよ。(「本論本論」と呼ぶ者あり)実際こういうふうな法案が成立したら、一体第一線に立つ先生方は非常に混乱されると思う。そうして学長さんというようなおえらい方も、一応民主主義というものを教育の体系をして立ってきておる、その民主主義教育というものが、根底から原則的にこわれかけていくということを心配しておられるわけなんです。でありまするから、私は今大臣にくどく御質問しているようですけれども、この法案はどこにどういう間違いがあるか。まして衆議院では、ああいうふうにろくろく審議もしないでこっちへ来たのだから参議院では参議院の良識という言葉に沿うような、これは与野党、緑風会と一かたまりになって、国民の要望にこたえて、この法案がいいか悪いか十分審議して、悪いところがあれば、今後の国会であらためて新しいいい法案を出して、そうして国民にこたえよう、こういう気持を私は大臣に持ってもらいたいと、こう思うからこそ、今こういうふうに質問しているわけなんで、大臣、いいですか。今私が申しますことは、(「質問したらいいのだ」と呼ぶ者あり)今質問ですよ。(矢嶋三義君「かよわい女性だ、やじりなさんな、やじると質問しきらぬですよ」と述ぶ)それで大臣、これが、ここが大事だ。この問題の基本になる、この法案の基本になるこの問題を大臣は撤回せられる意思はないかということを聞きたかったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/62
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063・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) お答えいたします。その前に一言申し上げたいのは、私は党内の専門議員のみの意思を徴してこの案を作ったと言った覚えはございません。専門という言葉は取り消しましたが、しかしながら、そのまま言いますと、この法案を作るのには、前任者の作られた各種の委員会、その意見も参考にし、また委員会じゃなく、単独にお申し出になった意見もこれを聞き、その上に党内の専門家と言いましたが、専門議員等の意見を徴してこの案ができたというので、党内の友人の言うことだけを聞いてこれを作ったと言った覚えはございません。それだけ訂正しておきます。これは前提です。そして、あなたのお問いに対しては、撤回する考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/63
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064・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと、幾らかでも修正してもらってでも通すと、こういうお考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/64
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065・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それはあなた方の持っておられる審議権ですから、御修正なさろうと否決なさろうと、それを私がここで御注文すべきじゃないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/65
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066・荒木正三郎
○荒木正三郎君 関連して。ただいま安部委員からこの法案を撤回する意思がないかという質問に対して、撤回する意思はないという答弁がありました。この問題に関連をして、私は請願の問題を少しお尋ねしたいと思うのです。先ほど安部委員からもお話がありましたように、この法案に対しまして、非常に多数の方々の署名のある請願が国会に出されておる。私もそのことを承知いたしております。その数は七百二十万に達しておるというふうに聞いておるわけでございます。一つの法案に対しまして、かようにたくさんな人たちが国会に請願の手続をしたということは前例のないことであるというふうに私は考えておるのですが、大臣はどういうふうにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/66
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067・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 七百二十名の同文の請願の前例があるかないかは今ちょっと答えかねますが、私の記憶ではもう少したくさんの請願のあった事件もあると思います。往年の普通選挙の請願のごときは、列をなして国会に来たもんでありますから、あったと思います。しかしながら、それは数だけじゃないので、やはり多数の人がそういう請願をさるるということは、国民の重大な権利でありますから、いずれ請願についても、それぞれ国会法によって審議さるることでありましょうし、御採択になりました以上は、内閣にも送付されます。敬意を表してこれは読むつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/67
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068・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この七百二十万という多数の方々が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/68
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069・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) これは間違えました。私七百二十名と聞きましたから……。七百二十万ならば、これは空前でございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/69
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070・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この法案に対して、かようにたくさんの人が国会に請願を出しておられるこの事実に対しまして、この法案を出されておる文部大臣としては何らかの私は考えがあるはずだと思う。この法案に対していかに強い反対が国民の間にあるかということについて、文部大臣は私は反省なさるべきではないかというふうに考えるのですが、大臣の心境を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/70
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071・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それは請願書を拝見いたしまして十分に考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/71
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072・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はそれでは大臣にお伺いいたしますが、いつお読みになって十分考える……十分考えるということは、この法案を撤回するかどうかということについてお考えになるというふうに解しますが、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/72
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073・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その請願を拝見しておりませんから、どういう心持で書いてあるかどうかわからないのです。読まないものについて、それによって撤回するとか撤回しないとかいうのは早いのじゃないかと思う。見てから私の思案をきめるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/73
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074・荒木正三郎
○荒木正三郎君 すでに請願は国会に出されておるわけなんです。ですから、御覧になろうと思えばいつでも見られるわけなんです。こういう請願はこの法案の審議が終ってから見られても何の役にも立たないのです。いつ御覧になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/74
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075・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この国会の請願権は重大なものでございまして、お見せ下さるならば私も拝見しまするが、請願審議の上、採択なされば内閣に参りますから、そのときに拝見する、正式には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/75
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076・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は、この際委員長にお伺いしておきますが、こういう大きな請願が出されておるわけなんです。当然本委員会でこの請願を採択するかどうかは審議しなければならないと思うのです。この法案の審議の途中において、この請願について、本委員会において審議せられることは私は当然であると思いますが、文教委員長のこの際お考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/76
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077・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。よく理事会に諮りまして、また取扱いを、皆様方にその結果を御報告し、皆様方の御意見を伺った上で取り扱いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/77
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078・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は、委員長の答弁、はなはだ不満です。こういう請願は、別に理事会に諮らなくとも、それは何月何日にやるということはお諮りになってけっこうですが、しかし、この法案審議の途中においてやるということは、これは文教委員長としての私は重大な責任だと思うのです。そういう点は、私は文教委員長お一人のお考えで十分であると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/78
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079・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) お答えいたします。委員長一人できめますと、また独善とか何とか皆さんに叱られますから、よく御相談をいたしまして、取扱い方をきめたいと存じます。しかしながら今、荒木君が言われますように、この重要な法律案に関係の深い請願でございますから、時を過ぎてこれをやりましたのでは、これは何か六日のアヤメとかいう言葉もございますから、委員長においては、理事会に諮りまして、皆様方の意に沿うように取扱いをきめたい、かように考えておる次第であります。
いかがでございますか、関連質問まだございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/79
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080・荒木正三郎
○荒木正三郎君 そこで私は文部大臣にもう少しはっきりお伺いしておきたいのですが、この請願の問題で、これは文教委員会で審議され、おそらく私は採択されると思います。その結果においては、この法案を撤回する場合があるということも予想されると思うのですが、文部大臣の所見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/80
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081・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 請願が、まだ採択さるるか、あるいは採択されないか、参考送付されるかわからないうちに、また請願の本文も私見ておらぬうちに、その結果を言えとおっしゃっても、それは御無理だと思う。申されません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/81
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082・荒木正三郎
○荒木正三郎君 ただ明白なことは、七百二十万という多数の方がこの法案に反対しているということは明白です。この事実に対して、文部大臣は反省する考えはないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/82
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083・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) まだそれを拝見いたしておりませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/83
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084・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと関連……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/84
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085・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) さっき中川君から発言を求められております。先ほどから御発言の……中川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/85
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086・中川幸平
○中川幸平君 先刻の安部委員の質問並びに社会党の各委員の質問を聞いておりますと、現在の政党政治の実態をお認めでないようなことを(「冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり)やっておられることは非常に遺憾であります。もっとも、政府提案である以上、文部大臣の責任であることには間違いありませんが、ただ文部大臣の思いつきから出された法案ではないということをはっきり認めていただきたい。すなわち、わが自由民主党においては、文教政策の重要性にかんがみ、文教委員会があるにもかかわらず、特に文教制度調査特別委員会を設けて、この教育委員会問題、あるいは教科書の問題、教育の中立性確保の問題を取り上げて慎重審議した結果、教育委員会行政をかようにやった方がよかろうということで、でっち上げて提案されたものであることははっきりお認め願いたい。(笑声)また今までも全国から七百何十万の反対陳情がある、なるほどそれは私どもも聞いております。われわれの手元にも、各婦人会の代表あるいは小学校の先生方から非常に反対の陳情が参っております。けれども、それは全部この法案の内容を慎重に把握しての反対の陳情であるかどうかということをわれわれは思うのであります。また学者たちが反対の声明を出されました。なるほど権威のある方々の反対声明であるから、非常にわれわれは尊重せなければならぬ問題でありまするが、これもこの教育委員会の改正の実態を十分調べての声明であるかどうか、われわれは疑わざるを得ないのであります。われわれは国家の行政をあらゆる面から検討してかような提案をされたことを前提において御質問を願いたい、かように議事進行にかりて申し上げる次第であります。(「その前提を聞いているのだ」と呼ぶ者あり、荒木正三郎君「何が議事進行か、議事進行じゃないじゃないか、われわれの審議権を束縛するような説教はしてほしくない」と述ぶ)政党政治を否定するようなことは……「われわれの発言を押えるような言動は自民党は慎しんでもらいたい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいま中川委員の御発言は拝聴いたしましたが、議事進行ではございません。議事進行の内容は何にもなくて、われわれの審議に当っての心がけを承わったので、(中川幸平君「政党政治を把握してやってもらいたい」と述ぶ、「お説教です」と呼ぶ者あり)一態耳に入れておきますが、しかし中川さん、政党政治を否定するがごとき君らには言動があると言っていますが、われわれは政党政治を絶対に否定していません。その点は誤解ないようにしていただきたいと思うのです。
そこでさっきの点について、関連して委員長に強く要望しておきますが、先ほど来、請願というものは非常に重視しなくちゃならぬということを文部大臣は言われております。そうしてまた、まだ自分はこれを見ていないので何とも意思表示ができない。しかし七百二十万の主権者の署名については、これは前古未曽有の事柄である、尊重すべきものだという立場から答弁されておりますから、いずれこの請願をいつ扱うかということについては、委員長理事打合会できめられるということでございますが、私は先ほど来の質疑応答から明確になることは、本法律案の審議に当って、この請願はぜひとも審議の過程において取り扱うようにお取り計らい願いたい。これはもう私は当然な要求と思いますので、委員長に強く要望しておきます。
それともう一点、関連と申し上げましたのは、文部大臣も世論に十分耳を傾けなければならないということを常常言われております。そこでこれに関連してお伺いしておく点は、今までの審議の過程において、きょうも文部大臣からも、また中川委員からも発言がございましたが、世論はずいぶんとこの法案について批判的である、それは法律案の内容について誤解があるからそれに基くものであるということを主張されています。(「その通り」と呼ぶ者あり)二十八日の私の総理に対する質問に対して、文部大臣は総理の口をしてそういう答弁をさせました。そこで私は新聞社の論説で誤解に基くというものの資料を出していただきたいということを要望いたしました。そうしましたところが、その要望に基いて、朝日新聞の二月二十六日、それから同じく朝日新聞の三月十四日の社説が誤解に基くものだとして資料が出ています。われわれはこの法律案を審議していくに当って、世論に耳を傾けると同時に、また請願の趣旨を尊重し、参考にしなくちゃならぬわけでありますが、この二つしかないのですか。きょう私はこの内容は聞きませんが、このたった二つに基いて、この新聞論調は誤解に基くものだと断定されておるのでありますか。私はもう少し資料を出していただきたい。で、それに基いて他日審議をいたしますが、この際、この朝日新聞の二つの社説以外にないのかどうか、その点を承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/87
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088・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) これを代表的なものと見たのでございまして、数百の日本の日刊新聞を全部出すわけには参りません。これによって御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長、要求……。朝日新聞の二回の社説だけでは、われわれは文部大臣並びに総理大臣が誤解に基く論調だと言う結論を出すわけに参りません。従ってあとう限りの資料を早急に本委員会に出していただくことを委員長を通じて要求いたします。よろしいですね、出して下さいよ。資料として出していただきたい。よろしゅうございますね。返事しないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/89
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090・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 可能であるかどうか、いずれ調査します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 可能であるかどうかって、資料として出して下さい。総理と文部大臣が発言された以上、その裏づけになる資料を出すのは当然ですよ。だから委員長を通じて要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/91
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092・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長は資料を要求いたしますが、文部大臣においてどういう資料が出せるか、不可能なことは要求できませんから、可能かどうかを考えて提出すると言われるのだから、文部大臣の御検討を待って、そうして資料を提出を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それに基いて審議します。早急に出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/93
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094・小幡治和
○小幡治和君 世論はこの二法案に対して反対である、そういうことを一体知っているのかということの非常な質問が今出ておりましたので、私は文部大臣に別な見地から御質問申し上げたいのですが、われわれのところに来ておる世論というものは、私のところには県下の各町村長並びに町村会議長、あらゆる人たちからこの法案を通せという非常な強い要望というものが毎日毎日山のごとく来ているわけです。(「うそ言うな」と呼ぶ者あり、笑声)こういうような面について——実際来ている、あなた方知っておるか。(笑声、「お前の部屋に入れられないだろう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/94
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095・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 不許可の発言はお慎しみ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/95
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096・小幡治和
○小幡治和君 君ら知りもせぬでそういうことを言うな。そういう面について、一つ文部大臣は御存じかどうか。要するに今の話は、それこそ何百万とか何とかというように、とにかく反対だというような……われわれのところにもほんとうにそれはずいぶんたくさん来ておる。そういうような、(「山のように来ている」と呼ぶ者あり、笑声)それは一つの形容詞だ。常識で一つ考えていただきたい。どうも非常識なことを言われるので困るのですが、そういう面について、われわれのところにも町村長並びに町村会議会、これはもう一つの決議をもって、要するに町村民から選挙されておるところの町村会議会は決議をもって、その町村民全体の意思としてこの法案を通せということを盛んに言ってくるのに対して、これは一つの世論だと思う。そういう世論に対して文部大臣は御存じかどうか。これを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/96
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097・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 重要な問題でありまするから、民主政治のもとにおける国民は、こういうことは関心を持つのは当然でございまして、この法律案を骨折って通過すべきだという激励並びに督促の書面、電報及び面接等は応接にいとまはございません。(「一方はどうだ、一方は。反対するのは来ないのですか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/97
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098・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 発言を求めて発言をされるように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/98
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099・安部キミ子
○安部キミ子君 文部大臣は、七百二十万……ただ私は形容詞の山とか川とかいうのではなく、事実、一人々々集めた事実、それに署名した人が七百二十万、このことはもうはっきりわかっていることであります。ただ形容詞とか架空なものではありません。事実でありますね。そういう意味で、この七百二十万の請願が誤解に基いてなされていると、こういうふうに大臣はそれではお考えになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/99
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100・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その請願はいまだ拝見いたしておらないのです。それゆえに誤解に基くか、基かないか申し上げるわけに参りません。先刻荒木さんにお答えしたことで御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/100
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101・安部キミ子
○安部キミ子君 先ほど、この法案に反対しているのは誤解に基いていると、こういう意味で先ほど中川委員からも発言がありました。そうすると私は、この請願は誤解に基いてなされているかいないかという基本的な問題からまたせんさくしなきゃならないと思う。そういう意味で、こういう請願を出された人たちの声を聞くために、なるほど公聴会もここでございますが、地方の公聴会も私は必要だと思う。そういう意味でこれは加賀山委員長にもお願いするわけなんですが、もちろんこの席で地方に公聴会を持つということはきまらないと思うのですけれども、七百二十万の声が誤解に基いていると、こういうことであってはこれは大へんなことにもなりますので、理事会で十分この地方公聴会を開くということをもう一度議題に乗せて御審議いただきたいと同時に、文部大臣には、そういうことも当然民主主義の立場から十分お互いに理解をし合うという意味で、地方公聴会も妥当である、こういうふうにお考えになるかどうか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/101
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102・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 参議院の委員会で地方公聴会をお開きになることが適当であるやいなやは、政府側より申し上げることではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/102
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103・安部キミ子
○安部キミ子君 それでは加賀山委員長にお尋ねいたしますが、この問題を議題としてもう一度理事会にお諮りいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/103
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104・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) すでにその問題は理事会において御相談を申し上げましたが、(「必要なし」と呼ぶ者あり)必要ないという御意見も多かったように思いますが、安部委員の御提案によりまして、もし各理事の御了解が得られれば、委員長といたしましては、御相談はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/104
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105・安部キミ子
○安部キミ子君 ただいまの委員長の御答弁は妥当な答弁だと思います。なるほど先日地方公聴会を持つということは、必要なしという自民党の多数の意見で、一応は否決されましたけれども、あのときと今日とは、また今とは事態が変ってきております。現にこの請願は誤解に基いている、全部が全部そうであると御否定なさらないまでも、そういう心配もあるというふうな御発言がありますので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/105
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106・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そんなことは言いやせぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/106
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107・安部キミ子
○安部キミ子君 そういう意味の発言がありましたと思うのでありますから——それは文部大臣とそれから(「簡単簡単」と呼ぶ者あり)この間総理もおっしゃったじゃないですか。——でありますので、私はぜひそのように取り計らっていただきたい。なるべく多くの人の意見を聞くことが、文部大臣が言われる民主主義にかなったいい法案ができる意味にもなりますので、口では民主主義、民主主義と言いながら、ほんとうの民主主義の実態にぶつかるときには、否定したりそっぽを向いたりしてしまったのでは民主主義の実態はつかまれぬので、私はなるべくそういう機会を委員長の方で作ってもらいたいということをお願いしまして、私の今のこの質問は一応終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/107
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108・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長から申し上げますが、委員会はもちろん声なき声を聞き、あるいは意見があればこれを十分聞くということは、当然なすべきことだと思いますが、委員会の本来の務めは、これはどなたがどう言われたということを聞き、これを参照いたしまして、参考としてみずからの意見を、みずからの審議を尽すということが、本来の目的であると存じます。その方の言われる通りにするならば、委員会というものは要らないのだというふうにすら考えておりますので、どうぞそのおつもりでお願いいたします。
他に御質疑の方はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/108
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109・川口爲之助
○川口爲之助君 私は、この法律案を審議するに当りましては、やはり教育の現状がいかにあるかという面からも検討さるべきものであろうと存じます。そういう観点から一、二御質問を申し上げたいと思うのであります。戦後十年、あるいは民主教育の効果と申しますか、成果と申しますか、それがどの程度に児童、生徒の幸福をかち得たかということ、それから教育の民主化がどの程度に推進されたか、さらにまた基本法の根本的な理念とも申すべき民族精神、これがどの程度に高揚されたかということにつきましては、私は大きな疑問を持つものであります。と申しまするのは、次第に変り行く青少年の行動、これを見るにつけましても、また敗戦国民をどのように教育をしていくか、どのように育成していくかということに対しまして、ほとんど熱意と自覚とを失っておるのではないかと思われる教育委員会のその状態をながめまして、もしこのままの教育制度が続けられるとするならば、おそらく教育の将来、ひいてはみくにの前途もどうであるかということが非常に心配されるのであります。この法案はそうした教育環境から生まれてきたものと考えるのでございます。しかしこの程度の改正をもっていたしましては、わが国の教育を正常の姿に返すということは困難であろうと思います。この現在における教育の状態、これにつきまして一つお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/109
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110・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 川口さんよりこの案提案の根本、核心のことの御質問にあずかりました。戦後の新教育は、一面においてはある程度結果をあげておるのでございます。わけても戦前の知識の詰め込みという学校教育が、自発的創意を主として運行される、それがために学生、児童は現実に朗らかになった面もございます。しかしまた、これも程度をもって申し上げることは困難でありまするが、一方においては道徳的、人格的の低下が結果しておるのではないかという声が相当多いのであります。数万の学校のうちで一つ二つのことを申し上げてはいかがでありまするが、過日も学校卒業生が門からひっくり返って教わった先生をなぐって気絶せしめた。血が出たらその血でもって先生の顔をまっかに塗った、こういうふうなほとんど従前想像もしなかった事件が起りましたです。京都においては旭ヶ丘事件といった事件も起っております。ある公立高等学校では一学校に五十人万引をやったという人もあるのです。これらは例外といたしましても、日本人の、再び文化国家として立つべき日本の教育としては、これではならぬという声が非常に多いのでございます。こういうことでありまするから、数字としてあげることは困難でありまするけれども、再び、今の現教育に満足せずして再建日本の出発点を作らなければならないということは、これは私はこの方は世論と思います。また教育委員会といたしましても、大へんいい委員会もございまするのです。けれどもところによっては、県または町村の理事者と事ごとにあつれきをいたしまして、今わが国は地方行政は赤字財政でありまして、実に困り返ったという、もう涙をこぼして訴える町村長もあるのでございます。それゆえに、人間の力でできるならば、これは正常に返したい。もっともすべての改革は、どかんと大きく革命的の改革は、あるいは角をためて牛を殺すたとえの通りでありまして、いろいろ考えまして、ある方面では教育委員会はやめてしまえと、これは強い議論があるのでありますけれども、つらつら考えるというと、今日町村が合併いたしまして、小さいいなかに行っても、一村に十四、五の学校があるという場合でありますから、戦前のような教育委員会だけでやるということも十分でなく、かつまた教育行政の民主性ということも、これ一つの侵すべからざる原理でございますから、民主性を保持しつつ、すなわち選挙された長が選挙された議会の同意を得てこれを構成していけばよく運行できるのだということでこの案ができたのでございます。やや今川口さんのおっしゃる通り不徹底のきらいはあるのでございますけれども、このぐらいの程度がようやくわが国においてとるべき姿である。ただ教育のことはほかと違いまして、一ぺん法律を作ったらすぱっとよくなるわけにはいきません。やはり子供も学年進行でずっとなるのでありますが、これを御賛成下さいまして、またこの案の趣意を教育関係者が十分のみ込んで、再建日本の教育をやっていこうという決心をすれば期年ならずして適当の結果を得るのではあるまいか、かような考えで出しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/110
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111・川口爲之助
○川口爲之助君 ただいまの御答弁で大体了承がつくのでありますが、私は昨年の本委員会におきまして、次のようなことを申し上げたことがあります。これは今大臣の仰せられたこととほぼ軌を一にしておりますが、一応この際繰り返してみたいと思います。義務教育が延長されたにもかかわらず、一般に学力は低下しておる、こう申された。それから教育の重点が人間形成、人格形成、これに置かれておるにかかわりませず、学園はだんだんと荒れまして、青少年の犯罪増加率は空前の数字を示しております。一体これはどこから来ておるのか、どういう原因に基くのであるか、(「それは自民党の政治が悪いからだ」「静粛に願います」と呼ぶ者あり)これは教育制度が悪いのか、あるいは教科課程が悪いのか、もしくは教える先生がよくないのであるかということを申したのであります。(「大事なところを落している」と呼ぶ者あり)しかし今にして考えてみまするというと、いずれもが独立日本の国情に即しておらないものがあるのじゃないか、かように考えるわけでございます。教育の現状を見まするというと、今大臣が仰せのごとく、学生生徒のうちから凶悪犯罪者を出しております。また暴力教室も出現いたしております。今いう師の影を踏まずという先生に対して暴行を加える。暴力を加える。それからして万引その他によりまして警察の補導、保護を受くる児童生徒が多数に上っております。一面勤労意欲というものは非常に低下いたしておりまして、純農村には嫁に行き手がないというようなこともございます。また高校を出ましたところの企業体の従業員が、労働争議には率先して参加する。一面教員の方を見まするというと、これまた凶悪犯罪者を出しております。さらに体罰が盛んに行われておる。あるものはろうそくの火で児童の手を焼くというような極端なものもある。教育労働者なりと称して教壇を顧みず組合運動に専念するものもある。さらにまた政治運動に没頭しておるものもある。この二つの流れを比較検討してみるときに、ここに何らかの関連性を持つものがあるのではないか。相関関係があるのではないかというふうに考えられるのでございます。もちろん頽廃気分がちまたに満ちておる。享楽を追ってとどまることを知らない一般社会情勢が相当教育の面にも及んでおるということはうなずかれるのでございますけれども、やはり民主教育の結果というものがここに至ったということは全然否定ができないのではなかろうかと私は思うのであります。この状態に対して、一体教育委員会がどういう監督、どういう指導をしておられるか、寡聞にしてあまり聞かないのであります。でありまするからして、教育委員会関係の方々の話を承わりますと、学力は決して低下しておらない、また教育の民主化というものはきわめて円満に進行しておる、こう言われるのでございまするけれども、私どもはこの現前の事実をながめまして、一々これを肯定することはできないのでございます。従いまして、本法律案というものは、こういう面から生れざるを得ない環境に置かれたのではないか、かように考えるのでございます。この点につきまして、ただいまの御答弁で大体了解はつくのでございまするが、なおお考えがございましたならば、一応御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/111
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112・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 全くただいま御指摘の通りに考えております。(「もうちょっと大きい声で大臣願います」と呼ぶ者あり)児童生徒それ自身も、また教員もやはり敗戦後の日本の状態には相当影響されておると思い出す。(「それはみんなが影響されてます」と呼ぶものあり)中には熱心に、気の毒なくらい熱心に教職員諸君が薄給に甘んじて教育に従事されておる例も承知いたしております。しかしながら、何を申しても六・三・三・四という、もう直ちに学校を非常に拡大いたしまして、今日は大学のごときは四百九十九校もできております。それでこれに適当な人間を配するということは、これは容易なことじゃございません。それゆえに、私は責めるのじゃございませんけれども、教職員諸君もやはり時代の影響を非常に受けておられるのじゃないかと、これが一つ私の考えであります。
それから真の民主主義、真の自由主義は、伝統のいいところはこれを存して、さらに進歩をすべきものであるというのでありまするけれども、急激な変化でありましたから、日本人及び日本国のいいところまでも玉石混淆に焼いてしまったということがもう一つあるのじゃないかと思います。ことに人格の陶冶といったことが十分に私は行われておらぬじゃないか、これをどういうふうにすればいいのであるか。別に本院にも今御審議下さっておりまする臨時教育制度審議会等によっても一つこの辺を、すなわち簡単な言葉でいえば、倫理道徳の基準をどうして維持するかということも考えていただきたいと思うのであります。
それで学力の低下は、これも今自主自立の創意による勉強の仕方はいいんです。いいんでありまするが、何もかも創意というわけにいきません。自然法則というものはこれは先人が発見し発明したものであって、これを授けてその応用面を創意工夫しなければならぬというのがほんとうであろうと思いまするが、初めのころは何もかも創意だということで、まだ幼稚な子供に相互討論をやらしてみた、こういうふうなこともありまするが、これは教授法の誤解でありまするが、そういうことはまあ比較的末梢なことでありまするけれども、教授法についても幾らか検討の余地はあろうと思います。そこでこういうことを政府の方から明治時代のように直接干渉しないで、地域社会の知能でもってこれを導こうというのが本来教育委員会でありましたが、これを直接選挙のみによるということは、実際にせっかくその村のうちに相当な名望家なり常識を持っておられるりっぱな人がありましても、選挙してまではといったようなことでございます。また婦人なども、ことに小学校の教育には女の方の意見は非常に用いなければなりませんが、さあ選挙ということになるというと、相当の家庭の奥さんは立候補ということはなさらないということで、今の制度では、はや数年間の経験で、わが国の風土には適しがたいということが発見されたのです。それで今回の案のような、直接公選によった町村長が、私は町村長に非常に敬意を表するので、新教育があれだけ日本が破れたあとに六・三・三制というように、戦争に負けておいて、負ける以前よりもなお大きな教育を作ったのですから、それには町村長は非常に苦心いたしております。これらの人の眼識によって、町村会と相談をして、村内一流の教育熱心家を教育委員会に集めることができましたら、この弊害を除くことができはせぬかと、これが私どもの念願でございます。御趣意において川口さんと同じ憂いを持っております。(「休憩々々」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/112
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113・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) この問題は非常に重要な問題でございますから、もう少し御質問を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/113
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114・川口爲之助
○川口爲之助君 よき伝統を重んずるということは、これは大切なことだと存じます。今、大臣仰せのごとく、古い伝統が滅びて、新しい思想による道徳というものがいまだに起ってこない、そこに混乱の原因があると、かように考えるのであります。でありまするからして、この際どうしても教育の力によって国民の気持を引き締め、国民精神に背骨を入れていただくということが必要ではないか、かように考えるのでございます。そこで、この最近の報道によりまするというと、アメリカ民主国、この大黒柱となっておる、また支柱となっておるところの民主教育に大動揺を来たした。そうして国家の危機が叫ばれるに至ったその原因は何だと申しますると、第一に施設費が非常にかかり過ぎる。従来市町村の固定資産、これによってまかなわれておったものが、現在は連邦政府からして五五%の補助がある。な中央政府からも若干の補助が与えられておるということであります。
第二には良質な教員が得られない。これは何に原因するかと申しますると、一般国民が享楽に流れ、派手になった。従いまして、地味な教育、いわゆる教員を志願する者が非常に少くなったために、現在全国で八万名余りの不足を告げておる。
第三には、進歩主義者、デューイと申しますが、この方式教育の失敗ということであります。教科内容の欠点からして、一般に学力が低下した、基礎教育をおろそかにしたということ、さらにまた学校を楽しいものにする、精神面の抑圧を除く、こういう指導方針が一般の生徒児童を甘やかした、規律、道徳の破綻を来たした、国家思想の喪失、続いて青少年の犯罪が激増をしてきた、こういうことがあげられておる。ために積極的な指導方針に切りかえると同時に、全国二千名の専門家もしくは有識者を寄せまして、教育大会を開きました。民主教育に一大改革を与えたということになったと報道されております。で、もしこれが事実であるとするならば、与えられたわが国の民主教育というものは全きを得ないということはこれはもとより当然のことであります。まして偏向教育も加わりまして、わが国の状態はアメリカ以上に危険な状態に追い込まれておるのではないかと存じます。でありまするからして、先に申したごとく、この改正法案にさらに一歩前進しまして、わが国の教育制度というものも根本から変えなければならぬ、かように考えておるわけでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/114
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115・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今川口さんから御説明のこととほぼ同様なことをある新聞で私は読みまして、わが国と、アメリカのような富んだ国、すなわち金持ちの国と同じような悩みがあることを見て私も驚いたのであります。教育と財政との関係、教員の欠乏その他非常に同様な状態にあると思います。わが国は、前にも申しました通り、特殊の事情があるので、敗戦後経済はあの通りであるし、人心は動揺しておるのであります。幸いにして戦後十年、わが国の経済もやや安定した時期でありまするから、本年はちょうど私はいいときであると思います。この案と同時に教育の根本について御検討を下さる委員会も提案いたしておるのでございます。これらと相待って今川口さんの御指摘のようなことが改まることを念願いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/115
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116・川口爲之助
○川口爲之助君 ただいま私は偏向教育ということを申し上げましたが、この点につきましては、時折現場の先生から、教員から、直接承わる機会もあるのであります。また行管の特別委員会におきましてもこの点は指摘されておるのであります。さらに日本在住のスイス国国際記者のアメリカ雑誌への投書、通信記事、そのうちにこういうことが書いてあります。日本は民主的方法を導入いたしましてから、教育は事実上混乱に陥った。ある小学校の教師は共産党の宣伝を彼らの教育よりも重要であると考え、またカール・マルクスの資本論を教材といたしておる学校もある。児童に対して両親の言うことを聞かなくてもよろしいと教えている教師もある。(「午後にやったらいい」と呼ぶ者あり)さらにあらゆる手段を尽して生徒の自衛隊への志願を阻止している学校もある。そうして著しくその権威を減殺された文部省は、この混乱に対して、秩序を与えることができない。こういうことが記されております。一体こういう事実が日本の義務教育の面に行われておるのかどうか。もしこういう事実がありとするならば、教育の中立性、それはもちろんのこと、思想の自由、学問の自由というものもすでに奪われておると申して差しつかえないと思うのであります。一体この状態を何人が制限をし、秩序を与えるのであるか。おそらくこれは教育委員会以外にはなかろうかと存じます。もし教育委員会が、こういう事実がありと仮定した場合に、果して制限を与え、秩序を与えでおるかどうかということを私は疑問とするものであります。また独立した一国の文教の府に指導監督権がないということは、これは一つの錯誤ではないか、かように考えておるわけであります。指導監督の権限があってこそ真の教育というものが行われる、かように考えております。大臣のお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/116
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117・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) お話の前段の教育界における思想的偏向です。私としてはありと断言はできませんが、偏向のおそれありという声は非常に大であります。現に衆議院の行政監察委員会において証人を呼びましたところ、宣誓の上、それを述べた証人もあるのであります。非常に重大なことである。さようなる声がある以上は、これについちゃ非常な注意をしなければなりません。教育委員会はこれらのことについて十分に注意をすべき任務を持っております。この案では、私の方の考えでは、今よりもいい、または強い教育委員会ができ得るつもりで提案いたしております。文部省には、教育委員会法五十五条の二項でありましたか、今の規則では、文部大臣は、都道府県委員会または地方委員会に対して、行政上、運営上指導監督をしてはならぬという法律があるのです。(「そうじゃない」「指導じゃない」「指導では責任があるよ」と呼ぶ者あり)これは私はちっと行き過ぎだと思っております。それゆえ今回の案では、この規則は変えました。日本全体の教育がよき連繋ある一体として運営できるようなふうに改めたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/117
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118・矢嶋三義
○矢嶋三義君 議事進行について。川口委員大へんに御熱心に質疑中でございまして、川口委員の御了承を得れば、ここで昼食にして午後続けていただきたい。ということは、われわれのところは、きょうは副議長選挙があって、先刻来再三再四議員総会に帰ってこいという要請があるものですから、やはり他の委員の質疑の内容を聞きたいと思いまして、われわれ議員総会にまかり出ることもできないでいるわけです。それで時刻も相当になっておりますので、川口委員の御了承を得まして、ここで昼食時間にしまして、午後続いて川口委員の質疑を続けるようにお取り計らい願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/118
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119・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) それでは、川口委員、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/119
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120・川口爲之助
○川口爲之助君 それでは、質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/120
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121・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 文部大臣から発言を求められました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/121
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122・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今の教育委員会法の五十五条を読んだときに、運営上指導監督をしてはならぬと読みましたが、これは指揮監督をしてはならぬであります。(矢嶋三義君「当りまえですよ」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/122
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123・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) それでは矢嶋委員の議事進行の動議通り、ここで休憩をいたします。
午後零時四十八分休憩
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午後二時十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/123
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124・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) それでは午前に引き続き、委員会を再開いたします。
委員の異動について報告いたします。本日午前石井桂君、重政庸徳君が辞任され、中川幸平君、小幡治和君が選任されました。
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125・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 午前に引き続き、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/125
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126・湯山勇
○湯山勇君 午前中の川口委員の質問に関連して文部大臣にお尋ねいたしたいと思います。川口委員のお尋ねになりましたことは、われわれがただいままでいろいろ、文部大臣にただして参りましたこの法案を提案するに至った経過、並びに現在政府、特に文部大臣が国民の意向をどうとらえており、これに対してどう対処しようとしているか、こういう点についての問題と関連がある問題であったと思います。そこで川口委員の御質問の中に、現在の青少年をどう考えておるかというような質問に対して、文部大臣からいろいろ具体的な例をおあげになって、現在の学校教育あるいはその他の面における道義面の低下というようなことをおっしゃいましたが、これについて文部大臣の御答弁を承わっておりますと、文部大臣は現在の断面を御指摘になっただけであって、そのよって来たるところのものを十分御把握になっての御説明がなされなかったと思います。もし、ただいま文部大臣が御答弁になったようなそういう見方で現在の子供たちの教育を見ていくとすれば、それは非常に冷たい見方ではないかというように考えますので、その点についてのお尋ねをしたいわけでございます。
それは本年成人をした二十才の青年という者は、ちょうど戦後十年たっておりますから、戦争中に十年間を過ごし、戦後十年間を今日の社会で過ごしております。で、この青年たちが一体戦後十年の間でどれだけのまともな学校教育を受けてきたか、これは戦後数年間教室もなく、机もなく、腰かけもなく、教科書もなく、ノートもなく、食べるものにも不自由しながら、私も当時の実情をよく知っておりますけれども、板の間に座って、そこでいろいろやって参りました。だから今日教育を評価するその対象になるようなそういう教育は受けてきていなかったわけでございます。そういう子供たちを、そういう経過を経てきたというあたたかい目で見てやらないで、ただ、今日いろいろ問題があるということだけでそれに対する批判をし、それに基いて今日ただいまの教育を処理していこうというところには私は大きな問題があるのではないかということを考えます。さらに日本特有な重大問題であった戦後の数百万の青少年を虫ばんだヒロポンにいたしましても、決して、戦後の教育の所産とか、あるいは社会自体の所産ではなくて、ヒロポンを使うということは戦時中の予科練等、そういうところで覚えたものが、そういうところの教育が戦後につながりを持ってきてああいう社会現象、特有な憂慮すべき現象を起したことも文部大臣はよくおわかりのはずだと思います。けんかをしたというようなこともおあげになりましたが、私も実例について申し上げますならば、戦争中勤労動員で工場に出ていた生徒が切り出しナイフで同じ工場に出ていっておる他の学校の生徒を突き刺して殺した例もございます。あるいはそういう中におきましては、夜業などのときに、いつの間にかたばこを吸うことを覚え、あるいは品物が不自由しておるためにいろいろそういうものを持ち帰ったりしたなどで問題になった例もございます。従って今日道義が頽廃しておるというようなことを文部大臣御指摘になりますけれども、そのよって来たるところの多くのものは、あの戦争末期の教育よりも勤労動員が優先するのだという方針から、教育に対する熱意とあるいは教育に対する信頼を失ってきた、そういう国のやり方そのものが、敗戦という現実、社会の混乱という現実の中で一そう拍車をかけられてきた、そういうところに大きな原因があったと考えなければならないと思うのですが、そういうことをつぶさに検討していったならば、今日の青少年を責めるより前に、あるいはその欠陥を指摘するより前に、われわれとしてはなさなくてはならないこと、政府としてなさなければならないことがあると思います。十分今日の新しい制度において新しい教育を受けてきた者が、十分なる教育を受けてきた者が大臣のお考えになるように果して悪いかどうか、誤っているかどうか、そういうことの検討なくして、ただ、今の青少年、あるいは今成人したような若者たち、そういうものだけを見て結論を出すことには早計のそしりが免れないと思いますが、こういう点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/126
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127・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) けさほど川口さんのお問いに対して、私はまず第一に、教育というよりも戦後の特殊の状況、社会の動揺、そういうことが影響しておるということは申し上げたので、その点はあなたと言葉は違いますが、同じことを言っておるつもりです。誤解のないようにそれは繰り返して申し上げておきます。
それからまた私が今の青少年を責める言葉は一つも使っておりませんです。どういう原因であろうとも、こういうことを言っております。今日学徒の道徳性、あるいはまた学力低下といったようなことは、これを数量で示すことはできぬけれども、世間でその声がある以上は、これは重大だから耳を傾けなければならぬ、こう言っておるのであって、今の学徒を責めるのじゃない、責むべきは今まで長い間この教育を元に返すことのできなかった政治家にあるのです。しかしだれを責めるというのじゃなく、現状がこうである以上は一日も早く回復の道を講じなければならぬ、こういう心持ちで答えておるのであります。あなたの御意見とちっとも違いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/127
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128・湯山勇
○湯山勇君 ただいまの大臣の御答弁につきましては、いろいろ問題があると思いますけれども、そういう問題についてはまた別な機会によくお尋ねいたしたいと思います。ただ大臣のおっしゃったうちで世間の声と、具体的に精密な調査に基かないで、世間の声ということをおっしゃいましたが、これは私は非常に問題だと思います。それは大臣にしても、あるいは昔から今どきの若い者はという言葉がありますが、今どきの子供はという言葉も昔からございます。そういうことと今日の大臣が御把握になっておるそういうものとは異質のものか、同質のものか、そういうことに対する精密な調査がなければ軽々には判断できない問題じゃないか。これはどの社会でも同じような言葉は、今どきの若い者はとか、今の子供はとか、あるいは老いては子に従えとか、そういうことは今に始まった言葉ではありません。だれもが常に子供たちをよくしたいために、子供たちを励ます言葉、子供たちにこうあってもらいたいという念願の言葉をそのまま受け入れて、それがあたかも具体的にそうであるような言い方をされることには私は疑議があると思いますので、これは一つ大臣に御反省も願わなくてはならないと思いますし、そうでないとすれば、風潮というようなことでなくて、精密な資料に基く御答弁がいただきたいと思います。
これは一つそれだけにしまして、次に私は教育基本法と本法案との関係、これをお尋ねいたしたいと思います。教育基本法によれば、すべての文教関係の法律というものは教育基本法に基いて、教育基本法を実施するために必要があって出されるものだというような規定がございますが、大臣はこの点をお認めになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/128
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129・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 教育に関する法律及び行政は、教育基本法の趣旨に基くものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/129
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130・湯山勇
○湯山勇君 そういたしますと、本法もまた教育基本法に基いておる、こういうふうに大臣はお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/130
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131・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/131
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132・湯山勇
○湯山勇君 教育の中立性を守る二法案には、明らかに法律の目的として八、十条が指定されてございます。あるいは教育公務員特例法には明らかに六条が引用されております。それから現教育委員会法には明らかに十条が引用されております。本法は一体教育基本法のどれどれの条文を直接受けておるのか、一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/132
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133・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 全部であります。この教育基本法に書いてある全体は、教育行政をするについて心得なければならぬことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/133
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134・湯山勇
○湯山勇君 そういう心がまえとかいうものではなくて、私は法律についてお尋ねしておりますから、どの点とどの点とどの点と、明瞭に一つ御指摘願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/134
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135・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 全部でございます。この教育基本法十一カ条のうち、どれを省くという条項はありません。地方教育行政をやるのにこれ全部を前提としてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/135
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136・湯山勇
○湯山勇君 それではこの教育基本法にはそれぞれ見出しがついております。たとえば第一条には教育の目的、第二条には教育の方針、それからずっと飛ばしまして、第八条には、二法案の基底になった第八条には政治教育、あるいは教育公務員特例法の目的になっておる部分については第六条学校教育、現在の教育委員会法は、これは教育行政ということに地方中央を通じて該当いたしますから、やはり第十条が明かに引用されております。この法律は、一体教育基本法の見出しのどれに最も直接つながりを持っておると大臣は御判断になるか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/136
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137・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今申す通り、全部であります。これと類似したのは学校教育法ですが、これも全部に関係があると思ったのか、条項をあげてはおりませんので、地方教育行政をやるのにはやはり学校において人格の完成ができるように、そういう目的を始終頭に置かなければならぬし、また教育の方針は自他の愛敬と協力によるといったようなことも考えのうちに置かなければなりません。本案の二十三、四条をごらん下さっても、そういう趣旨で教育を指導しなければならぬのであります。あなたの御引用の第八条の、一党一派に偏せないということもその通り、十条の、不当な支配に服することなく、また国民全体に対して直接に責めを負う、これら普遍的なことはみなこの法案のうちにあるのであります。それでこの教育の根本の目的を失った場合には何とか措置をしなければならぬといって、五十二条には教育基本法全体を引用しておるのです。教育本来の目的にかなわぬ行いがあったならば、それについて措置をするということでありますから、地方教育行政全般をおおう広範な法律でありまして、どの規則は守らんでいいということはありません。これ全部です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/137
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138・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、本法は教育行政の法律ではなくて、教育全体の法律、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/138
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139・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 地方教育行政の組織運営に関する法律でありまするが、運営をするのについてはやはり基本法全体を頭におかなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/139
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140・湯山勇
○湯山勇君 私はそういうことをお尋ねしようという意思はございません。この法律は地方教育行政を規定するための法律なのか、教育内容を規定することを目的とした法律なのか、それをお伺いしておるわけでございますから、一つ御答弁は端的に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/140
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141・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 地方です。全体ではなくて地方教育行政の組織と運営に関することです。運営に関係しますと、やはり内容にも触れて来ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/141
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142・湯山勇
○湯山勇君 内容に触れる触れないということをお聞きしておりませんから、どうか一つ簡明にお答え願いたい。地方教育行政の組織と運営、わかりやすく言えば地方教育行政の運営、こういうことではないのでしょうか。地方教育行政と教育運営、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/142
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143・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 地方教育行政の組織と地方教育行政の運営であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/143
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144・湯山勇
○湯山勇君 よくわかりました。そうすれば大臣はどの条にもつながっておる、これは私も認めます。どの条にもつながってはおるけれども、少くともこの法律は地方教育行政の組織と地方教育行政の運営ですから、そうすれば結局教育行政に関係する法律、こう規定するのが私は正しいと思いますが、間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/144
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145・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 同じことを言って恐縮でありまするが、地方教育行政の組織と並びに地方教育行政の運営、運営といいますと、やはり内容に接近いたしますので、現にこの二十三条等をごらん下さるというと、教育基本法全体をこれ頭におかなければこのことは委員会は理解しません。このことが抽象的なようなことだけれども、一番大切なことですね。だからこれを省くわけにはいかないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/145
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146・湯山勇
○湯山勇君 私はもっと大臣はすらすらとお答え願えるかと思ったのですが、こういうところであまり時間を費したくないのですけれども、どうも御答弁が納得できません。この組織というのは地方教育行政の組織、これはお認めになったようですが、運営というのは教育内容の運営でしょうか、教育行政の運営でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/146
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147・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 地方行政の運営でございます。しかしながら地方行政の——地方教育行政の運営といいますると、学校でやっておることを見定めて指導なり助言をしなければなりません。この点において教育委員会の委員はやはり教育内容について目を光らすということになりまするから、内容のことを除いて申しますると、あなたのお問いに端的で話が早ようつくようですけれども、実際はそうではないのです。教育委員会の委員の人が学校でどう教えておるか、修学旅行をどうしておるか、それらはやはり委員会の大きな使命でございますから、その部分を切り捨ててあなたにお答えするということはできないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/147
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148・湯山勇
○湯山勇君 それでは、大臣のおっしゃるのはそういうことが伴ってくるというようなことを私は否定してはおりません。教育委員会の職務権限の中にそういうものが含まれてくるということもこれは否定しておるのではありません。しかし法律は何を規定する法律かといえば、地方教育行政の組織と地方教育行政の運営に関する法律なんだから、そうすれば当然この法律は教育行政の中の地方教育行政に関する法律だ、こういうことになってくる。そうすれば教育基本法の第十条に明らかに教育行政と題目があげてありますから、これと直接結びついてくるということは、私は率直にお認めになるべきじゃないかと思うんですが、質問の方向を変えて、なぜ大臣はそれをお認めにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/148
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149・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 皆さんの御審議を正しくするためでございます。第十条が関係しておることはむろんでございます。それは否定したことは一ぺんもございません。しかしながら、これをごらん下さいませ。二十三条の第五号、「学校の組織編制、教育課程、学習指導生徒指導」、それから第六号をごらん下さい。「教材の取扱に関すること」、こういうことが教育委員会の重要な仕事である以上、委員会は作るだけが能じゃないんです。そこで仕事をするということが一番中心であります、眼目であります、生命でありまするから、それで、私は教育内容に関し、基本法全体をやっぱり背後に持ってこの法律案は作ったと、こう申し上げておるのです。第十条が関係しておることはちっとも否定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/149
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150・湯山勇
○湯山勇君 大臣のおっしゃることは非常に、わかっておりながらあいまいに言っておられる点が見られまして、遺憾でございまして。それでは、今の文部大臣の御見解からいえば、旧法で目的として直接第十条を掲げておることは、これは間違いであったということになると思いますが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/150
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151・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 旧法の立案者はこれでいいと思われたのでありましょう。第一、今回の案は、地方教育行政の運営で、委員会だけのこっちゃございませんから、第一条をごらん下さるというと、「教育委員会の設置」、これは元も同じことです。「学校その他の教育機関の職員の身分取扱その他地方公共団体における教育行政の組織及び運営」と、で町村長のすることも、やはり二十四条には掲げておりまするのです。ですからして、元のようなあの一カ条をここで抜くということは適当でないです。しかしながら、この一条に、教育基本法を特に再び復唱しないでも、あれは教育基本の法律でありまするから、どの教育関係の法規もそれを上にかぶっておるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/151
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152・湯山勇
○湯山勇君 それでは、大臣のお説によれば、町村長とか知事とかという問題は別として、旧といいますか、現行法において、教育委員会法がですね、明らかに目的として第十条を掲げておりながら、教育課程や教育内容に触れるというのはふさわしくないと、こういう御判断に立って今のような御答弁をなさっておると思いますが、それをそう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/152
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153・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それは法律を起案する技術のことでございます。戦前の法律は同じことを繰り返さないで、もう一ぺんあったことはその通りで進んでおります。このごろの法律では繰り返していくこともあるんです。ですから、あなたのおっしゃる通りです。こういう基本法の重要なものをここへ書いても、それは間違いじゃないんです、このごろの立法技術としては……。しかしながら、教育基本法全体が関係すると思っておりまするから、それを一々ここへあげるのはいかにも重複だと、書いてはおりませんけれども、教育基本法を全部をかぶってこの法律ができておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/153
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154・湯山勇
○湯山勇君 教育基本法の全部をかぶるということになれば、それは現行の教育委員会法も同じだと思います。決して、第十条を特に目的にあげておったとしても、他の条章を無視するというわけでもなく、他の条章も当然考慮に入れて現行教育委員会法もできておると思います。ただその中で、特に現在の教育委員会法は、第十条を直接強く受けておるんだという表現がなされております。大臣は今回はそういうことをしなかった、その理由として、この十一カ条全部を平等に受けている、こういう意味の御説明のように私は受け取りますが、そういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/154
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155・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 少しあなたのおっしゃる通りを了承しがたいのです。あなたのお問いのうちにありました通り、教育関係の法規または行政、これはもう教育基本法を前提としておるものでありまするから、それで書かなかったのであります。それから現在の教育委員会法もあなたのおっしゃる十条だけじゃないのですね。「公正な民意により、地方の実情に即した教育行政を行うため」、こういうこともついておるのです。これも今回はつけてもいいのです、つけようと思えば。しかしそれほどする必要はなく、公正な民意によるということは憲法にもあることであります。それからまた地方の実情に即するということも、これも当然のことであります。また教育基本法全体をかぶっていこうということは、日本の教育法規の当然でありますから、立法の技術に関することでありまするが、この方が簡明でよかろうと、これから読む人にもこの方がいいではないか、この一カ条をとりまして、ほかの方をとらないと誤解も生ずる、現在の教育委員会法も十条だけじゃないのです。ほかのことも順法してやるのは当然です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/155
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156・湯山勇
○湯山勇君 私のお尋ねしたのと同じようなことを答弁でおっしゃいましたが、私も同じようなことをお尋ねしているわけです。それで、特に十条だけだということも申し上げておりませんけれども、教育行政ということになれば、特にこの法律が教育行政を規定した法律であれば、特に第十条とのつながりというのは、他の条項以上に密接なものであるということは肯定しなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/156
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157・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 教育基本法のような精神的の法律に差別をつけるということは、どうも私おもしろくないから、みな関係しているとは申しておりますけれども、組織ということになると、あなた御指摘の通り十条が一番密接であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/157
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158・湯山勇
○湯山勇君 それで大臣の御意向よくわかりました。第十条によりますると、これはまあ、大臣よくおわかりの通りに、不当なる支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負って行われるべきものである、こういうことになっております。ここで端的にお尋ねいたしたいのですが、この現在提案されている法律によって、教育に対して住民に直接責任を持つ、国民に直接責任を持つのはだれということになっておりましょうか。だれが教育に対して直接責任を持つ、国民に対してそういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/158
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159・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この法律で地方教育行政をする人はみなでございます。すなわち知事も、それからして市町村長も、教育委員も、教育長も、指導主事も、すべて地方教育行政に関係するとしてこの法律にあげた者は、みな国民全体に対して責任を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/159
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160・湯山勇
○湯山勇君 直接ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/160
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161・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 住民といいましても、村の教育委員会じゃから村民だけに責任を負うというのじゃなく、これは国民全体に対して責任を負う、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/161
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162・湯山勇
○湯山勇君 従来現行法の説明では、教育委員会は地方においては全責任を持つのだということをしばしば説明されておりましたし、現行法では制度の上でもそのような形になっております。そこで今回の法律によれば、直接国民に対して責任を持つものが変更になった、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/162
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163・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は現行の法律でも、教育関係者は国民全体に対して責任を負うておるものとかように考えております。ある村の教育委委員会だから、その村だけに責任を負う、そういうふうには今も考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/163
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164・湯山勇
○湯山勇君 私がお尋ねしているのはそういうことではなくて、現行法では地方の教育については教育委員が全責任を持つ、それは教育委員会が全責任を持つということの意味は、教育長も含め、指導主事ももちろん含めておると思います。ともかくも教育委員会が全責任を持つのだということになっておりました。ところが今回のただいまの御説明では知事も持つ、市町村長も同じように直接国民に対して責任を持つ、こういうことでございますが、そうだとすれば、従来の現行法の趣旨とは責任を持つ者が変ってくるということになるのではないかということをお尋ねしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/164
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165・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 現在の法律によりましても、やはり、いやしくも事教育に関する以上は、知事であろうと町村長であろうと、やはり教育基本法十条の趣旨を受けて、みな国民全体に対して責任を負うと、こういうことに私は考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/165
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166・湯山勇
○湯山勇君 そういうこの倫理規定は私も認めます、大臣の言われる通り。けれども法制上そうなっているかどうかということについて、今法律の審議ですからお尋ねしておるわけで、それでは現行法において知事あるいは市町村長、その他の者が直接教育に対して国民に責任を持つということはどこに示されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/166
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167・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それは教育基本法の第十条でございます。あなたの御指摘された十条第一項にそのことが書いてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/167
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168・湯山勇
○湯山勇君 私は教育基本法の方をお尋ねしておるのではなくて、現在の教育委員会法において制度上そういう指摘のある条項はどこかということをお尋ねしておるわけですから、それについてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/168
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169・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 現在の制度でも、どの法律によって教育関係者すなわち委員会長、これなどが責任を負うかというお尋ねでありましたが、やはり現行のもとにおいても教育基本法の第十条と、もう一つさかのぼれば憲法第十五条の第二項、国民全体に対して責任を負う、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/169
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170・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと関連して。大臣の答弁承わっておりますと、どうしても基本的に納得できないものがございます。それで伺いますが、この法律は大臣の御言明によると、教育行政の組織と、それから教育行政の運営に関する内容の法律だと言います。でありましたならば、少くとも教育行政の組織教育行政の運営をやるに当っての基本的な立場、基本的な心がけというものがこの法律に明記さるべきだと思うのを、現行教育委員会法と違ってその基本的なよりどころ、基本的な心がけ、その根拠は教育基本法にあるわけですが、それをなぜしるさないのでございますか、その点よくわかるように説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/170
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171・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 教育基本法はその前文にもあり、また第一条にもありまする通り、日本の教育法規はすべてこの精神によってやることは当然でございます。それでもう一度書くに及ばないと考えたのでございます。今湯山さんに対して数回お答えした通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/171
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172・矢嶋三義
○矢嶋三義君 湯山委員に答弁されたのを了解できないからお伺いしているのです。先ほどあなたはこういうことを認められました。この法案は教育基本法の全条文を受けているのであるが、しかし教育行政という面から教育基本法の第十条に最も密接なつながりがあるということを肯定されました。従って現行教育委員会法においてはこの第十条の精神、基本的な心がけというものを受けて、先ほど以来指摘しているように、現行教育委員会法の第一条にそれを規定しているわけです。そこで私は立法体系としてすっきりしていると思う。それをあえて落さなければならぬというのはどういうところにその説明される点があるわけですか、どうしてもそれが納得できない。当然これを記されるべきだと思うのに、これを落された理由はどういうことですか。納得できるように一つ説明して下さい。あるいはそれとも、それともですよ。今度は裏返して考えると、今後臨教審でも設けて教育基本法を検討する場合に、この第十条の表現は今後変える必要があるというような御見解のもとにおられるのか、そういうことも私は推察されるわけですが、どうなのか。よく理解できるように、これは非常に重要なところですから御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/172
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173・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) お答えする前に、湯山さんに私の言ったことをもう一度申さなければなりません。教育行政に関しては第十条が直接というのじゃなくして、これは行政の組織と運営ということが書いてある。行政の組織という面については十条が一番関係いたします。運営ということになりますると第一条その他非常に重要なことがある、こういうことで前の応答はおさまっておるのであります。何ゆえにこれを書かなかったかと言いますると、日本の教育の組織としてはやはり教育基本法全体が響いておるという場合には、それは必ずしも書かないでわかることだと、もう一つ言えば憲法です。憲法も全体が関係しております。そこで私は、前の執筆者は十条と、及び民意によるというふうなことをお書きになっておるけれども、今度はひとり委員会だけじゃなくして、地方行政の組織と運営に関する法律でありまするから、教育に関する法規が基本法全体をかぶっておるということは当然ですからして、その必要なしと考えたのであります。
最後のお問いの臨教審ができたら、あるいは第十条を削除するのじゃないかとおっしゃいましたが、その考えは私は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/173
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174・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一回。私は今伺っている重点は、あなたは教育基本法軽視のお考えを持っておられるやに私推察されるから承わっておる。あなたは今教育立法をするに当って、これは教育基本法全部を受けてやるのだから、だから湯山委員が指摘されたような現行教育委員会法のああいう表現は必要ないということを言われているのだが、たとえば社会教育法を見ますと、この教育基本法には社会教育というのが第七条に出ておるわけですが、社会教育法を見ますと、教育基本法の立法精神に基いて云々ということを目的のところに明記してある。ところがこのたびの立法に当っては、教育基本法とのつながりが従来は非常に明確であったのを、不明確にして参った、そこに教育基本法軽視の考え方をあなたは持っておられるように考えられる、いかがでございますか。お伺いしましょう。社会教育法なんかはっきりしてあるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/174
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175・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 教育基本法軽視の考えは毛頭持っておりません。一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/175
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176・安部キミ子
○安部キミ子君 委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/176
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177・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 関連ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/177
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178・安部キミ子
○安部キミ子君 関連質問です。清瀬文部大臣は、去る四月の十三日の閣議が終了したあとで、記者会見をされました。臨教審を六月の中旬に発足させたいと、こういうふうな御意見を述べられましたあと、七項目にわたる臨教審に対する諮問事項を発表されました。そのことは事実でございましょうか。まずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/178
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179・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は諮問事項を発表したことはございません。まだ臨教審の委員会にさえもこれが諮問事項であるということを発表しておらないのです。おおよそどういうことを審議されるかという問いに対しては、三点をあげて答えております。諮問事項はできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/179
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180・安部キミ子
○安部キミ子君 私はこの新聞にその記事がちゃんと出ておりますので、私はこの新聞を通して今お尋ねしておるのですが、そうしますと、諮問事項は発表していない、こうおっしゃるのですね。そうだと、この新聞はうそだということになりますが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/180
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181・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その新聞は私今読んでおりませんけれども、諮問事項を発表したということはないのです。もう一つ申せば、諮問事項はまだ起草いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/181
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182・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますとですね、この新聞に七項目というふうにちゃんと明記して、しかもその中の第五項目に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律その他の問題の改正によって影響する点があれば改正する」と、こういうふうにおっしゃったということが書いてあるのですがね。このことはそれじゃうそだということになるのですね。重ねて念のためにお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/182
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183・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それを諮問事項なりとして発表したことはございません。安部さんも御承知の通り、この委員会またはその他の会で、ここに地方教育行政の組織運営という法律を出す、しかしながら、もし臨時教育審議会で国の責任ということを審議するに当って、国の教育全般に着眼をして案ができる際に、たまたま地方教育行政にも影響することがあるならば、そのときは修正にやぶさかでないというお答えはたびたびここでいたしております。けれどもそれを私は諮問事項として起案した覚えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/183
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184・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと、私は先日の総理大臣への質問の際、総理大臣に教育基本法を改革される、修正なり改正される御意思がありますかと、こういう質問をしましたときに、ちょうど大臣もそこにおられましたので、総理大臣の御答弁を聞いておられると思いますが、総理大臣は、教育基本法を書き変える意思はないと、こうはっきりしておられたわけですね、そのことは議事録を見ましてもわかることでありますが、今文部大臣のお話ですと、その状況を見てにらみ合せた結果、そういうことは可能かもしれない、こういう御趣旨のように私は受け取りますが、どうですかその点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/184
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185・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は、今そういうふうに答えたつもりじゃないのです。教育に関する国の責任ということは、深く広い意味において、今度の臨教審では御研究願う。その研究の結果が、もしもそれが地方教育行政に及ぶことがあるならば、その部分は再考の余地があり、今これをきめたからといって、これは絶対に変えないということじゃないということを申し上げたのであります。国の責任は、必ずしも教育基本法だけではなく、文部省の設置法、文部省の組織令にも、あるいは学校教育法にも、あるいは地方自治法にもいろいろなことに関係いたします。そういう審議の結果が、先にきめたのだから、これは一カ条もそのときには改廃されることはならぬ、そういう態度じゃないということを言ったのです。私の答えからあなたの御質問は出てこないように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/185
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186・安部キミ子
○安部キミ子君 国の責任ということをおっしゃいまして、それでこの法案を国の責任において、その教育全体を明確にしたいと、こういうふうな御趣旨だとたびたび大臣から聞いているわけですね。そうしますと、先ほど教育基本法の全体の意思が、この今度出された地方教育行政の組織及び運営に関する法律案の中に皆織り込まれていると、こういうふうに御説明があったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/186
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187・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そうじゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/187
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188・安部キミ子
○安部キミ子君 いや、そのようにおっしゃった。それはウェイトは教育基本法の第十条に最もはっきり連関を持っているけれども、その教育全体というものは、教育基本法の、この何といいますか、全体の趣旨ですね。趣旨全体がウェイトの差こそあれ、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案に織り込まれていると、こういうふうに私はあなたが説明なすったと、こう解釈しておりますが、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/188
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189・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 違います。これは地方教育行政の組織及び運営に関する基本法であります。教育には、地方教育行政以外の教育行政もございます。しかしながら、地方教育行政以外の行政について考える時分には、地方にも影響することはあり得るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/189
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190・安部キミ子
○安部キミ子君 ですから、あなたのお答えはですよ、それはあの教育基本法というものは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案の全部じゃなくとも、その中に含まれている趣旨というものは、ウエイトこそ違え、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律案に織り込まれていると、だから私は先ほど湯山委員がこの法案の趣旨は、教育基本法の第十条に最もつながっているのじゃないかということを強く質問されましたときに、あなたは初めそうじゃないというふうなことをるる述べられましたけれども、結局湯山委員が言われた第十条の趣旨に直接につながるそのウエイトがとても大きいのだと、こういうふうな御答弁があったと私は思いますが、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/190
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191・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 大体今のおっしゃることならばその通りですけれども、しかし地方教育行政ですよ。それからしてお答えしたのは組織という部分については十条が一番密接だ、しかしながら運営ということになりますというと、やはり一条、二条、三条、これまた非常に重要なことで教育の魂であります。それでどっちが全体として重い軽いを言っておらぬので、ただ地方教育行政の組織ということだけを切り離してみれば、湯山さんのおっしゃる通り、十条が一番直接だとこう申し上げておるのです。それと私が今申すこととはちっとも矛盾も何もいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/191
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192・安部キミ子
○安部キミ子君 大体私が問いたいということに焦点が合ったように思いますので、私はこれ以上追及しませんが、実は今、湯山委員の質問は川口委員の関連質問から出発しているのでありまして、私は今度は湯山委員の関連質問でなしに、川口委員の関連質問につながって質問したいと思いますが、委員長質問をお許しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/192
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193・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 湯山君いかがですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/193
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194・安部キミ子
○安部キミ子君 それではあとにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/194
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195・湯山勇
○湯山勇君 大臣にただいままで関連質問のあった事項を含めてお尋ねいたしたいのですが、大臣の御答弁によれば、知事、それから市町村長、それから県教委、市教委、こういうものは従来も教育に対して国民に直接全責任を持っておったということですが、それは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/195
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196・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/196
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197・湯山勇
○湯山勇君 そうしますと、現行法の第四条をごらん願いたい。現行法の第四条によれば「教育委員会は、従来都道府県若しくは都道府県知事又は市町村若しくは市町村長の権限に関する教育、学術及び文化に関する事務、並びに将来法律又は政令により当該地方公共団体及び教育委員会の権限に属すべき教育事務を管理し、及び執行する。」そのあとに大学と私立学校でありますけれども、これは別です。この大学、私立学校を除いて、今まで知事、市町村長あるいは県、市町村、そういうものにあった教育、学術、文化、そういうものの一切が教育委員会に移っております。そうすると現行法では一体何が、この第四条第一項にある中で何が県に残り、何が市町村に残り、何が知事にあり、何が市町村長にありますか。具体的に御指摘願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/197
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198・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 現在ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/198
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199・湯山勇
○湯山勇君 現在です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/199
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200・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それは知事、市町村が教育行政をなすものとして第十条第一項の適用を受けるか否かのことに関係しての問いと考えます。そこで大学、私立学校はあなたお読みの通り、知事または市町村長に属しております。それからまた学校の建設等に要する予算はやはり長が提出するのであります。二重予算として、二本建予算として委員会の方からも出すことはありますが、責任は、市町村長または知事が出すのであります。それがために事実としても戦後窮乏の財政で各長はいろいろと苦心をして、教育施設を作ったのでございます。でありますから、現行法においても知事、市町村長が教育には少しも関係しないということはございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/200
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201・湯山勇
○湯山勇君 大臣の御答弁はそのまま納得するわけには参りません。従来この教育委員会法ができるより前に市町村長なり知事の持っておった教育、学術、文化、そういうものに対する事務、並びに将来制定さるべき諸種の事務の管理、執行は教育委員会だと明確に示されてあります。そうすればこの委員会法ができるまで知事、市町村の持っておった教育、学術、文化に関する事項はすべて教育委員会に移った、こういうことが法律に明記されております。ただし私立学校あるいは大学はこれは別です。そうだとすれば、この現行法においてもすべての国民に対して直接教育に対する責任を知事、市町村長が持つといっても持ちようがないのじゃないでしょうか。この第四条の規定によれば、大臣がもし予算を出すということが教育行政だと、こうお考えになれば、それだって教育委員会でできます。こういうことになるわけですから、この法律の趣旨からいえば、私が最初申し上げましたように、すべて教育に関して、私立学校及び大学を除いた他の教育に関する、あるいは学術に関する、文化に関することは全部従来市町村長、知事が持っておったものも教育委員会に移ったということは、当然この法律の通り認められてしかるべきだと思います、それをも大臣は否定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/201
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202・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) いやしくもたとえ一つでも知事、市町村長が教育に関する仕事をする以上は、やはり教育基本法十条の精神でやるのです。すでにこの第四条第二項に大学があるじゃありませんか。私立学校があるじゃございませんか。これらについて知事その他の地方の長が教育に関し干渉する以上は、これをもし逆にですね、私が落して答えたら答えが間違いです。分量の大小は別として、知事、市町村長も教育に関する行政をやります。やる以上は、基本法第十条第一項の心がけでやらなければならない、これは明白だろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/202
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203・湯山勇
○湯山勇君 そういうことは私はわかっておってお尋ねしておるわけです。だから大学と私立学校とは別としてということを繰返し申し上げております。大学と私立学校を除いた部分で、よろしゅうございますか。知事、市町村長の権限に属すること、これは何がございますか。教育、文化、学術について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/203
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204・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) さっき申しました学校建設の予算を出すことは大きなことの一つだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/204
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205・湯山勇
○湯山勇君 それは知事に限られた権限ではありません。市町村長に限られた権限でもないはずです。そうだとすれば、予算を出すということはまた別の見方もできると思います。それは県財政全般の中のある部分としてのことならば、それはまた別の解釈ができると思うのですが、この条文通り言って、大学と私立学校をのけて、この条文を忠実にお読みいただいて、教育委員会が知事、市町村長の持っておったものを全部受け継いでおる、こういうことは明記されておるのですから、それを大臣は認めるのか認めないのか、そこが問題なんですから、その点だけ認める、認めないと、こうはっきりおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/205
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206・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 現在の教育委員会法にあなた御朗読の通りの第四条のことは認めます。しかしながら、あなたが今のところで教育基本法第十条の適用を受けるものは、どれどれだとおっしゃいまするから、たとえ私立学校だけでも、知事の所管にある以上は、大学も入っておりますが、知事または市町村長とある以上は、やはりこれは第十条の適用を受けるもののうちに数えなければなりません。それから先刻予算提出と言いましたが、提出より、予算の調整ということですね、提出までの調整ですね、これなどは大きな仕事でございます。委員会の方でも、二本建予算を出そうという規則はありまするけれども、しかしながら原則として市町村長はそれを調べて出すのであります。意見が違ったら、違う意見をつけて出す。つけて出すことそれ自身も一つの行政なんです。でありますから、あなたのお問いに対して、私は正確に正直に答えるために、知事、市町村長を入れたのであります。それを除いてどうだというお問いだったら、私は別に答えたかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/206
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207・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ質問の方向を変えます。よろしゅうございますか。大学と私立学校を除いて、その問題を全部切り離します。そして第四条の第一項に指定された事項だけについて申します。これについては教育委員会が全責任を持ち、直接責任を持つ、こういう唯一の機関だということについてはよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/207
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208・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それもまた少し漏れております。宗教法人に関することはやはり知事の責任であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/208
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209・湯山勇
○湯山勇君 そういうことを私はお尋ねしていないのですから、尋ねていないことをおっしゃらないようにしていただきたい。第四条には宗教はあげてございません。第四条は、教育、学術、文化です。宗教のことは触れておりません。なぜ大臣そんな御答弁をなさるのです。宗教なんてありませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/209
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210・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 第四条があなたの御朗読の通りのことは認めます。今質問応答に関係するのは、第十条の適用があるものが、委員会のほかにあるかということから起っておるわけです。そうすると、知事も市町村長も、やはり教育、文化、宗教に関することについて責任がありまするから、責任がある以上は、基本法第十条が関係してくる。そこで漏れなきがため、基本法第十条の適用があるような関係者はほかにないかとおっしゃるから、知事、市町村長がある。そうすると第一項についてはどうかとおっしゃるから、まだあります、宗教法人に関すること、こう言っているので、あなたに丁寧に答えるために、詳しく答えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/210
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211・湯山勇
○湯山勇君 私は第四条第一項についてだけお尋ねしておりますから、第四条第一項についてはという質問に対して、大臣はまだあります、宗教法人がありますとおっしゃるのですが、第四条第一項には宗教は触れておりません。大臣ごらんになっていただけばわかります。大臣が、まだ宗教があるといった宗教は、これにないのですから、そうすると第四条第一項に関する限りは、教育委員会が現行法では全責任を持つということは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/211
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212・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それはもうすでにお答えしましたです。第四条第一項はあなた御朗読の通りなことは認めておるわけです。ですけれども、そのほかに第十条の適用をかぶるものはないかとおっしゃるから、私は申し上げておるのです。それは第四条第一項はあなたのおっしゃる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/212
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213・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、新しい今審議中の法律では、第四条第一項に関することで、知事とか市町村長とか、そういうものが関与するものが新たにできるかできないか、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/213
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214・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今回の法律では、少しできておるんです。それは法案第二十四条をごらん下さると、第三号、第四号、第五号がそれであります。今まで教育財産の取得は委員会自身がやっておる。これがおかしいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/214
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215・湯山勇
○湯山勇君 大臣、簡単にあるならある、ないならないでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/215
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216・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) そう大臣の答弁を制限しない方がいいと思います。(「それじゃ詳しくてけっこうです。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/216
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217・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それで今度は委員会でなく、これが市町村長が財産の取得処分をするんです。第四号の、「教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと。」、これは今までなかったんです。それから「教育委員会の所掌に係る事項に関する収入及び支出を命令すること。」、これだけふえました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/217
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218・湯山勇
○湯山勇君 まあ大臣が御指摘になった以外に、教育委員の任命とか、いろいろ大きい問題があると思います。そこで、そういうふうに現行法第四条第一項の教育に対する権限、責任の内容が今度若干移動したわけですから、そうだとすれば、移動する対象に対する調査は十分なさったと思いますが、つまり市町村長というものの性格、知事というものの性格、そういうものに対する検討は十分なさっての上だと思いますが、これは抽象的ですけれども、なさったかなさらなかったか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/218
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219・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) われわれの力の及ぶ限りはやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/219
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220・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ若干お尋ねいたしますが、従来は合議制の教育委員会が執行機関であった、今度はそれが任命というようなことも行われることになります。そこで一体知事というのは実情どうなっておるか、市町村長はどうなっておるかということについて、相当私は検討を要すると思いますので、これは何でしたら事務当局からでもけっこうですから、一つお答え願いたい。それは現在の教育委員会と、あるいは知事、市町村長とで、刑事事件を起しておる数は、どちらが多いか、これを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/220
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221・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) それは今のお問いに対しては、調べておりませんので、ただいまお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/221
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222・湯山勇
○湯山勇君 これは私は非常に重要な問題だと思いますので、お調べになったと思っておりましたが、お調べになっていないことは非常に遺憾です。それでは教育委員会で、あるいは委員でもけっこうです。在職中に起訴された者、これはどれくらいあるか、あるいは知事、市町村長で、在職中、あるいは在職中の事由によって起訴された者がどれだけあるか、これはお調べになっておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/222
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223・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまの点も、ただいま資料を持ちませんので、ここでお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/223
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224・湯山勇
○湯山勇君 それでは次に、任期途中で教育委員会が総辞職した例、件数ですね、それから任期の途中で、知事、市町村長が辞任した例、この件数はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/224
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225・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これも調査の上お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/225
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226・湯山勇
○湯山勇君 次に、教育委員会には、やはりリコール制があります。教育委員にしてリコールを受けた教育委員数、それからリコールを受けた知事、市町村長数、これはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/226
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227・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 教育委員で、リコールを受けたという事件につきましては、従来私ども聞いておりません。知事、市町村長につきましては、ただいま資料を持ちませんので、お答え申しかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/227
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228・湯山勇
○湯山勇君 それから次にお尋ねいたしたいのは、教育委員で再選……三選はないですかね、再選された数、それから市町村長で、あるいは知事で再選された数、これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/228
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229・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これも資料として差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/229
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230・湯山勇
○湯山勇君 それから次にやはり市町村長、知事の性格を明らかにするためにお尋ねしなければならないのは、現役の知事が、あるいは市町村長が立って、それからその人が候補者で出ておりながら破れた、こういう例はしばしばあると思うのですが、そういう例がどれくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/230
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231・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまのお示しの点につきましても、調査ができておりません。資料を持ちませんので、ただいまお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/231
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232・湯山勇
○湯山勇君 私は今お尋ねしたことによって、従来教育委員会の持っていた権限あるいは仕事の内容が、知事、市町村長に移るものもある、それから大きいのは やはり公選任命の問題で、それがこのたびは知事、市町村長に移る、そういうことであれば、こういうことを確かめないと、一体安定するかしないかということが尋ねられません。先ほど大臣にお尋ねしたときには、大臣はまあ声としてはというようなことでしたけれども、こういうことは今後この法律を審議するに非常に重要な要素になって参りますので、いろいろ今日この法律に対して心配しておるのもこういう点での心配が大きいわけです。従ってこの点については政府の方も資料として出すということでございますから、委員長の方からも資料として御要求願いまして、それが出ました上で私は今の問題を重ねてお尋ねしたいと思います。従ってその資料が出るまで、この点に関する質問を留保いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/232
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233・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまお話しになりました全部のことにつきまして、資料として提出できるかどうかは調べてみませんとわかりませんので、私お答えしましたのは一、二の点については、それを資料として差し出しますと申しましたことにつきましては、資料として提出をいたします。あとは調査をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/233
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234・湯山勇
○湯山勇君 調査では困るので、私の県なんかでも今お尋ねしたような件についていろいろ問題が起った実例を持っております。それから先般新聞に出ましたように、どこでしたか、奈良県の大柳生村というのですか、そこでは非常にファッショな村長さんがあって、ずいぶん無理をして、町村議会が総辞職したというようなこともあります。こういった具体的に末端の市町村なりあるいは県が、一体それで安心してやれるかどうかということを知るためには、今申し上げたような資料、ほかにもございますけれども、そういう資料はどうしても必要欠くべからざるもので、そういう検討なくしてばく然とお出しになったとすれば、これは大へんなことになりますから、一つ私が要求した分についてはぜひ全部お出し願いたい。(「お答えは。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/234
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235・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) できるだけ調べてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/235
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236・湯山勇
○湯山勇君 委員長の方から一つ提出を要求していただけないでしょうか。私は決してこれは無理なことではないと思います。すでにそういう資料は自治庁にでもあるんじゃないかと思うのです。ある資料を文部省が取っていない。この法案を出すには、そういう資料を検討していないとすれば、怠慢だと思うので、審議の中でそういう資料が必要だということになれば、これは別に全国を歩いて回って調べる問題じゃありません。全部法律によって届け出が来ているはずですから、政府に。一つ全部そろえていただくことをお約束願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/236
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237・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) ただいま御要求のものは、文部省所管以外のものが入っておりますから、極力そういうところに依頼をして、そうして調査をして出すと言っておりますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/237
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238・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連。湯山委員の質疑はきょう一応終られたようですが、これに関連ですから一、二点私は伺っておきたいと思います。それは湯山委員の質疑に対して文部大臣お答えになっておることが、故意にピントをはずされるようで、どうも私はっきりしませんので、あえて一、二点伺うわけですが、それは国民に責任をとる、その責任の所在がどこに現行法においてはあり、新法においてはどこに重点があるか、こういう角度から湯山委員は質疑を展開されたのでございます。そこで不明確な点をあえて明確に答弁を要求する点は、大学と私立学校を除いた、すなわち公立幼稚園から小中公立高等学校までの学校教育と、それから社会教育とにおける基本法十条の精神から出る責任の所在は、新法案においてはその重点が現行教育委員会法と比べるときに移動した。文部大臣は、教育基本法十条の精神は、この法律案におっかぶさっている、けれどもその重点は移動した、それが教育委員会から市長の方に重点が移動した、こういう立場において答弁されていると思うのです。それが明確でないのですから、あえてその点を伺います。それと同じようなことですが、そういう意味から教育基本法の第十条の精神は、新しい法律案においては、文部大臣としては生きているという御見解ですが、少くともその生き方、重さというものは軽くなった。すなわち教育基本法の十条の精神というものは、現行教育委員会法に比べれば、新法律案においては、そのウエイトが軽くなった、こういう立場において答弁されておるように私は拝聴しました。念のためにこれを伺っておきます。答弁次第では、再質問しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/238
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239・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は新法案と現行法との間に基本法第十条の責任が移動したとは申し上げておりません。しかしながら新法では先刻御説明申した通り、あるいは第二十四条では市町村のする事務が少しふえましたから、その範囲において責任の範囲が大きくなったとは言えます。移動はいたしません。現在でも市町村長がやはりいやしくも教育行政に関係すれば、基本法第十条第一項の責任は負うのであります。それからして新法ではその責任が軽くなったということ、これは断然ありません。同じことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/239
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240・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの答弁は納得できません。私は関連質問ですから、これは重大な点ですし、他日伺います。まあ失礼ですけれども、ただいまの大臣の答弁はお話しにならない。改めて他日質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/240
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241・安部キミ子
○安部キミ子君 質員の許可をいただきましたので、大臣に質問いたします。先ほど川口委員から、現在の教育の欠点の一つとして、倫理道徳の教育が非常に低下しておるという意味で、いろいろな事例が出されました。その質問に対して大臣は、川口委員が心配しておられるような懸念のないような今後の教育方針をとっていきたいと、こういうふうな意味の御答弁があったと思いますが、これに対して湯山委員から、それはただ教育だけの責任じゃなくて、すでに戦争時代から今日の教育の頽廃、倫理道徳の頽廃は根を持っていたものである、こういうふうな意味の見解が述べられたと思います。そこで私は文部大臣が今度臨教審というものをお作りになって、いの一番に倫理道徳という教育を非常に重く見ておられるということを察知するのでありますが、大臣の御感想はそういう点にもございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/241
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242・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今のお問いのうちで、少し違うことがあろうと思います。川口さんは倫理道徳の教育が低下しているとおっしゃったのじゃなくて、学徒、児童のそれ自身の倫理観念が低くなっている心配があると、こうおっしゃったのです。そこが少し意味が違います。で湯山さんは、それは子供に対して責めることじゃない、終戦後のわが国の社会状態が、非常に影響しておる、こういう趣意でありました。これに対して私もその通りでございますと、こう答えたのでございます。そこのいきさつが記録で違うといけませんから、申し上げます。
そこで果して人間の道徳心、教育ということは非常にむずかしいことでありまするから、どうなるか知りませんけれども、国民道義の高揚のためにどうしたらいいかということは、審議会にはお尋ねするつもりでおります。先刻申し上げた通り、諮問事項は起案いたしておりませんけれども、各方面におてこれだけの声がある以上は、これはお調べを願おうと思っておるのであります。その結果がどうなるか、いい案があればよかろうと待って期待はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/242
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243・安部キミ子
○安部キミ子君 そこで今大臣の言明の通りでありますが、その中心となる道徳理念というものを、国に対する忠誠などについて、これら日本人としてのあり方、一流国家の国民としての気品をどのように教育するか、こういう点を諮問したいとこう言われたということがある新聞に出ておりますが、御趣旨はそういう意味にとってよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/243
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244・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その新聞を正確に見ませんと、先刻のようなことになりまするが、私の心持は、川口さんも同じことだと思います。わが日本人のいいところはこれは保存しなければならぬ。いいところの一つには、やはり親族、わけても、父母に向って恩愛の情のこまやかなことがこれも一つであります。それからまた、軍国主義的の忠孝じゃいけませんけれども、いやしくも国を組織している以上は、国家に対する忠誠ということは保持すべきものと思っております。そういう意味ならば、その新聞に書いてあることはその通りであります。しかしながら世間でややともするというと、逆コース超国家主義、戦前に戻るというふうなことを心配されるのであったら、私どもの心持を了解しておらぬ言論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/244
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245・安部キミ子
○安部キミ子君 ただいまの答弁によりますと父母に対しては恩愛の情、国家に対しては忠誠、こういう趣旨の教育方針を諮問したい、それが賛同を得られて、そういう答えが出たら、これを国の教育の基本にしたい、倫理道徳教育の基本にしたい、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/245
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246・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 言葉に拘泥しないで私の育った心持で、もしそれを完全にする工夫があるという答えが出ましたら、これを教育の上に実現するのは当然と存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/246
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247・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと教育の上に実現する方法は、どういうふうな構想を持っておいでになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/247
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248・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それを諮問するのであります。諮問する前にこうだと諮問者の方で言うてしまっちゃ、これは諮問になりませんが、しかしながら、いかにすれば日本の教育が回復、日本の国民の姿として、今の言葉で言えば人間像として適当なものであるかをおきめ願って、またこれをどうすればいいかということも、いずれ天下の大家が集って下さることでありましょうから、お出し願うことを私は期待いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/248
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249・安部キミ子
○安部キミ子君 戦前の教育の中核になったものは、教育勅語であったと思うのです。その教育勅語の中で父母に孝に君に忠に、忠君愛国ということがうたわれておりました。この忠君愛国という言葉で国民は自分の意思も、あるいは自分の家も、家庭も、妻も、子も皆捨てて戦争へ戦争へと一目散に走って、そうしてあのような結果になったことは、これはもう私が申すまでもないことであります。そこで大臣が国の忠誠とこう言われますけれども、受ける方のわれわれにとってみますれば、この忠誠という言葉には、いささか疑義を持つわけなんです。体国の忠誠といえば具体的に何をどういうふうに解釈したらいいのでしょうか。私どもがわかるように、あるいは戦前の忠君愛国と違うとこういうふうにおっしゃいますならば、今日の国の忠誠という姿はどういうふうなものと大臣はお考えになっておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/249
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250・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 戦前の徳育が教育勅語によったことは、あなた御指摘の通りであります。これを全体として考えれば、戦前の道徳は外からの力で外界の力で服従せしめる方向をとっております。ところが、いいにもせよ、悪いにもせよ、今日の道徳観念は、心の内から外へ出る道徳であります。強制されて親に孝しても、孝行ではありません。心の中から親切がほとばしらぬといけませんので、これは午前中に教授法について申したのと同じことです。忠義しろ、忠義しろというのでなくして、自分の心で出ていく、こういうことでなければなりませんです。このことは宗教界、今は道徳ですが、宗教界においても同じようなことがあるのですね。他力と自力というのがそれです。自力でいくのです。それが道徳の根源でございます。それから忠誠ということ、戦前では国家または天皇に主権がある、こういう建前であった。この主権者に対して今言った方法で尽す、場合によれば命まで捨てる、こういうことを忠と言いましたが、今日は国民に主権がある。国民全体が主権であります。これからの忠は自発的であって、かつまた、主権者たる国民全体に向って尽すのが、これが忠でございます。民主主義のアメリカにおいても、大統領は就任のときに忠誠の誓いをいたしておる。あれと同じでございます。そこのところはこういうふうに委員会で静かに言わしていただけばよくわかるのでありまするけれども、まだ世間の人に十分に納得してもらうまでにいっておりません。それゆえに、私どが忠誠と言うと、やはり昔あったように天皇陛下の前で死ぬんだと、これのみに誤解されておることは残念でございます。私はそんな無理解なことを考えておるのじゃございません。やはり自発的の心で、孝なり忠は出なければならない。しかも、だれにするかといえば、主権者にするので、主権者は国民になっております。こういうことを申し上げたら、ほぼわかるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/250
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251・安部キミ子
○安部キミ子君 そうしますと、国民に対する忠誠と、こうまあ結論的に言いますと忠誠という解釈を大臣はとっておられると思うのですが、これに間違いはないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/251
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252・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) さっき申しました通り、主権のあるところに向って忠でございます。今の主権は国民全体にあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/252
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253・安部キミ子
○安部キミ子君 ところが、先日の天長節の際に、東京でも軍楽隊を奏して「かしら、右」の閲兵式をやった。また、各地方の小学校でも天長節式日をやって、「今日の吉き日は大君の」と、私どもが昔歌ったあの天長節の歌を歌った。これに対して世論も相当あったようであります。この点についてはラジオや新聞でも非常に問題にして取り上げておる通りであります。このことについて文部大臣の見解をただしますと、文部大臣はそれは、一向差しつかえがないじゃないかと、まあ簡単に平く言えば、そういう御趣旨のお気持があったということを、またこれをラジオや新聞で言っているわけなんです。それともう一つ、今度は憲法改正という問題が出てきているわけなんです。その憲法改正の第一条の問題、天皇の主権のところで、その主権というものの象徴という言葉をどういうふうに改正するかといういわゆる憲法改正論が所々出ているわけなんです。そうしてたまたま今日この法案がまた忠誠、恩愛の情と、こいうふうに教育基本法を変えていきたいと、こう大臣は感想を漏らしおいでる。これは今お伺いした通りなんですが、これら一連の動きと、そうして一方には、自衛隊というものを公然ともう軍隊として認めようという、いわゆる憲法第九条の問題が持ち出されている。そうして多数党の自民党は、これを強引に通そうとしている。実際たくさんの兵隊がわれわれの血税からまかなわれているわけなんです。こういう国内の諸情勢を勘案して、今日のここに出された法案が、また昔の国家の忠誠とか、あるいは恩愛の情とか忠孝というふうなことを強く文部大臣が主張なされる、また来るものが来たなんと、こういう感じを受けまいとしても受けないではおられない、こういう国民の不安があるわけなんですね。そうしてこうした国内の動きというものが、日本の国自体の国民の総意によって歴史が作られていくのではなくして、安全保障条約というようなあの国際的な制約によって、日本はどうしてもアメリカさんが言うように三十五万の兵隊を作ってほしいというこの要請などと勘案しますと、やっぱり私は文部大臣が言葉は美しく巧みに、そうしてほんとうにこういう機会で忠誠論といいますか、倫理道徳の問題を論じたいとこうおっしゃいましても、あなたがおっしゃられればおっしゃられるほど、実は国民が理解するのじゃなくて、不安を持つ、一そう不安を多くする、こう私は思うのです。そこで今度の法案に対しても国民の世論がなぜこのように反対が強いかという一番大きな焦点は、それはいろいろありましょうけれども、もっともこの法案は膨大な法案でしてね、これはもう先ほどお話がありましたように、教育基本法に匹敵する法案なんですよ、あなたも認めておいでになる通りにね。教育基本法の精神が、大なり小なり総合的に含まれているところの教育行政の変革を目した法案なんですよね。こういうふうな重大な法案の姿となってやはり復古調といいますか、昔の戦前の空気、思潮、ものの考え方の流れというものが、清瀬文部大臣だけではなくして、鳩山総理のあの施政方針の中から、一連関連して私どもはあなたがおっしゃいますところの倫理道徳論についてもいささか不安を持つ、いささかじゃない大へんな不安を持つわけなんです。でありますので、もしそれほど大事な変革を意味するこの法案であれば、もう少し時をおいて、時をかして、今わずかの倫理道徳、恩愛の情とか、国家の忠誠という骨子の熟語の内容を検討するだけでも、これは相当な意味があると思うわけなんです。でありますので、文部大臣がこういうふうな重大な法案を出されました以上は、午前中に申し上げた通りに、ちょっとやそっとの一部の修正だけを意味しているのじゃないのですよ。あなたの意図しておられるところは、この国の忠誠とか、恩愛の情とかいう道徳理念から発した国体の変革を、国体の変革をですよ、意図されて私はこの法案が出されていると、こう断じているわけなんです。それでこの法案は、ただ地方教育行政の組織及び運営に関する法律案というふうなことだけで黙過できないわけなんです。あなたの心の底に動いているものは、もっと、もっと奥におそろしい、それはですよ、今あなたは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/253
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254・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 安部委員に御注意しますが、関連質問になっておるのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/254
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255・安部キミ子
○安部キミ子君 やはり関連質問なんです、これは。こういうことで国の教育行政の一部の変革だけじゃなくて国の変革を意味する、こういうふうに考えるわけでありまして、私は先ほど川口委員が質問なさいましたあなたの答弁と、そして今度臨教審というものが置かれたことの意図と、それから先ほどあなたが自分の道徳観というものを述べられました、これらを総合して、どうしても大事な日本でただ一人しかおられない文部大臣を私どもは信頼できないわけなんです。信頼できない、このことは私一人でない、先ほども言ったように七百二十万の人、学者あるいはあらゆる階級の人、国民こぞってあなたに信頼を置かないということの意思表示をしているのですが、どうしてもあなたはこの国民の意思表示を無視するお考えか、私はもう一度、これはこの法案が終りますまで私は文部大臣にこのことについて質問しますが、どうしてもこの法案を撤回する御意思はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/255
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256・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この法案を撤回する考えはございません。それからこのお問いの前提としておっしゃられたことについて申し上げますれば、天皇誕生日は上から強制されてじゃなく、これも心から国民の象徴の天皇に敬意を表そうということでやるならば、宮城の前には十六万人集まりましたが、だれも出ていけと言った者はないのです。ああいうふうにボランタリーに敬意を表することは、私はとめる考えは持っておりません。憲法九条関係の、わが国の自衛は敵が攻めてくれば、独立国でありまするから、これは防がなければならない。防ぐための最小限度の防衛は必要としまするが、侵略戦争はいたす考えはございません。われわれが願っておりまする憲法の改正は、やはり国民主権を前提とし、平和主義を支持し、基本的人権の尊重はいたそうと思っております。この三つがそろう以上は、国体の変革にはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/256
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257・安部キミ子
○安部キミ子君 私はもうちょっと最後にとどめというか結論を……。(笑声)(「今の名言だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/257
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258・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 雨森君に発言を許しましたから……。(「関連質問じゃないですよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/258
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259・安部キミ子
○安部キミ子君 関連質問です、道徳教育の……。(「まあ女性だからそう言いなさんな」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/259
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260・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 安部君、雨森君もさっきから発言の要求をしておりますが、それでは安部君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/260
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261・安部キミ子
○安部キミ子君 まことに恐縮ですが、一言だけ、大臣は何回お尋ねしましても撤回する御意思がない、こういうふうにおっしゃっておられます。(笑声)田中さんおかしいじゃないですか、あなたに質問しているのじゃないのですよ。私は真剣に話をしているのです。私は真剣に話をしているのですよ、こういう質問こそ一番大事な話ですよ。(「いい質問だ」「一人よがりだ、押し問答はいかぬよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/261
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262・安部キミ子
○安部キミ子君 この質問が解決しなければこの教育法案を審議する根底がなくなると思う。この教育法案が出された意思は、そういうところから出ているということを、私ははっきり大臣に突きとめたいのですよ。それはほんとうのことを言ってもらいたいと思って、私はこういうふうに話しておる。ところが大臣は弁護士でございますので、白いものでも黒いものと言うことが大へんお達者でございますから、なかなか本心をおっしゃいません。でありますけれども、私はこの問題は重大な問題でありますから、先ほど申しました通りこの法案の審議が終りますまで、事あるごとにこの問題を出しますから、大臣はよくそのことを心に入れて御答弁いただきたいと思います。一応質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/262
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263・雨森常夫
○雨森常夫君 二十六日のこの委員会で今回出されております法律案の第三十三条に関して若干の質疑応答があったのであります。そのときの大臣御答弁を要約して申しますというと、第一項において「管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定める」となっておる。これを受けて、第二項の、教科書以外の教材の使用について、委員会に届け出させる、そういう定めを作る、こういうお話しであったのでありますから、結局教科書以外の教材を用うべきものは基本的な重要事項、こういうふうに考えておられると思うのでありますが、なお、その教科書以外の教材のうちどういうものが重要と認めて届け出させるのか、そういう点をお伺いいたします。局長でもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/263
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264・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) ちょっと私答えまして足らぬところを……。今お問いのうちにありました通り、教材のすべてを一々網羅するとか、抽象的に全部の教材はというふうにこの規則はいたすつもりじゃないので、私の言ったことを御引用になりました通り、教材のうち必要なもの、それについて規則を設けて、届け出ろとか届け出るに及ばぬということをやってもらうつもりであります。そこでどれが必要だということは、原則として地方にあります委員会自身のみずから定めるところによろうと思っておるのであります。しこうして想像さるべき教材というものは、どういうものであろうかということは一応調べておるものがございますから、局長よりなお補充してお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/264
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265・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいま大臣からお答えがございました通りでございますが、三十三条の規定といたしまして、一項におきましては、教育委員会が自分で所管いたします学校その他の教育機関のここに掲げてありますような事項につきまして、その運営管理の基本的な事項について教育委員会規則でそれを定めることを規定したわけでございます。これは教育委員会と学校、特に学校が主でございますけれども、学校との関係につきまして、基本的な事項につきましていかようなものを学校にまかしてやらせるか、あるいはまた、教育委員会がいかような指導監督をしていくかというようなことにつきまして、特に教育委員会規則を定めるというふうな原則を第一項に掲げたわけでございまして、そういう教育委員会規則を定める際において、第二項に掲げてありますことは、教科書以外の教材の使用についてあらかじめ届け出させるとか、あるいは承認を受けさせる、こういう定めを設けることとする、こういう規定が第二項であります。そこでこれも今大臣のお答えの通りでございまして、そういう定めをすることは必要でございますけれども、いかような教材について届出をさせるか、あるいはまた承認を受けさせるか、あるいはまた、そういう手続を一切とらないで、学校で自由に使うことをきめていくかということは、教育委員会の判断によって、その地域々々の必要を見て、教育委員会で判断をしてこれをきめるのだ、かような趣旨でございます。そこでその教材とはどういうものかということでございますけれども、これは千差万態であろうと存じます。いろんなものが教材として学習指導に利用されて参りますので、さような学習の材料に供されるものを、教材といってもよろしいと思うのでございますけれども、まあたとえて申しますならば、例を申しますならば、あるいは副読本、解説書、その他の参考書、それからあるいはまた、雑誌や新聞その他の図書、各種学習帳、ワーク・ブック、練習帳、地図、掛図、年表、その他写真も教材に供せられるでございましょうし、レコードとか映画のフィルムとか、幻燈のスライドとか録音テープ、あるいは放送、こういうふうないろんなものが考えられるわけでございます。これらのものが学習指導の用に供せられる場合には教材でございますが、ただ、今申しましたようなものを全部届出させたり、あるいは承認を受けさせたりすることが、この三十三条の趣旨ではないのでございまして、教育委員会が判断いたしまして、あるいはその教材として使われるものの教育的効果なり、その価値なり、あるいはまた父兄負担の面からなり届出をさせることが必要だと思うようなもの、あるいはあらかじめ承認を受けさせることが必要だと思うようなものについて、さようなものはさような手続をとることを、そういう定めを教育委員会規則できめるものである、こういうことをきめましたのが第三十三条の二項でございます。さような次第でございますので、御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/265
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266・雨森常夫
○雨森常夫君 今例をいろいろあげられましたのは、教材をあげられたのですが、文部省としては定めるときに各地方に合ったようなそれらの中から自発的にきめていくものであって、文部省としては別にこういうものは定めたらよかろうというようなことはなさらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/266
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267・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この法案が成立しましたならば、ただいま申しましたようなこの法律の趣旨につきましては、十分教育委員会を指導していかなければならぬと思うのでございます。その趣旨の徹底には十分尽したいつもりでございますが、しかし先ほども申し上げましたように、学校を所管しておりまする教育委員会の判断において、いかようなものを届出をさしたり、承認を受けさしたりするかというようなことは、その教育委員会の判断によってきめさせるというのが、この法の趣旨でございますので、文部省からこれこれのものは届出した方がいいとか、あるいはしなければならぬとか、承認を受けさせなければならぬとか、こういうふうなことは申さないつもりであります。ただ、法の趣旨につきましては、十分徹底をさしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/267
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268・雨森常夫
○雨森常夫君 この問題は現場の教員の、第一線の教員の方々が相当関心を持っておられる問題だと思う。私「放送教育」、これをちょっと偶然にも見たのですが、これに東京教育大学の教授の馬場さんが、どういう方か私は知りませんが、論説を出しておられる。こういうふうに書いてある。「要するに現場の教師が、教科書以外の教材を用いようとする場合には、すべて教育委員会が何等かの定めによって許可したもののほかは、一切使用してはならないという趣旨である。」、それからずっといろいろな例をあげまして、「もしこの法案に示す通りのことがおこなわれるとすれば、われわれは安心して、ラジオのスイッチを入れることすら困難になるだろう。」、それからずっと最後になりまして「私たちは、いまこそ、こういう悪い法律の成立することを阻止するために、積極的に反対しなければならない。」、こういうふうに書いてあるわけなんです。こういうようなものを東京の教育大学の教授が、いずれこの法案を見て検討しておられると思うのでありますが、ここに書いてあるようなすべて教材を一から十まで全部制限をされ、そのラヂオのスイッチを入れることすらできなくなるであろうというようなことを書いて全国に出しておられるということは、私は非常に遺憾なことだと思う。文部省はもう少し親切に何らかの措置をとって周知徹底するようにしていただいたらどうか、今までにやっておられるかどうか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/268
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269・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまの御引用になりましたラヂオの放送を全部が全部届出をしなければ教材として使えない、こういうふうな趣旨でないことは、先ほど御説明申し上げました通りであります。(「法律にはそう書いてある。」、「法律はその通りだ。」と呼ぶ者あり)これが成立いたしましたならば、十分文部省としましてもその趣旨の徹底には十分努力いたすつもりでありますが、現在法律御審議中でございますので、積極的にこの点につきまして解明をいたしておりません。この趣旨はそうでございますので、誤解のないように今後十分努めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/269
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270・吉田萬次
○吉田萬次君 関連、今の雨森先生の御質問に対して、私も文部省に対して何とかこの問題を打開し、そうしてまたこの問題を打開するというわけじゃありません。この案に対して周知徹底する方法を講じてもらいたい、それに対してどうお考えになっているかということの質問をするのであります。それは今日も非常にやかましくなっておりました七百二十万人の請願書云々ということがありましたが、私もどういう方が出したのか見ませんけれども、これはおそらく学校の先生がPTAその他に運動し、そうして集められたものが基本になっておりはしないかと思うのであります。そういうふうのものを基本にしてそうして国民の声である、たくさんな人の声である、それはたくさんの人の声でありましょうけれども、しかしながら国民全体の声のように聞くということは、私は多少そこに対して疑義を持つのでありまして、本日におきましてもここに全国の町村長会長の関井仁、あるいは全国町村議会会長の岡田徳輔の両氏からここに陳情が出ております。(「全部読んで下さい。」と呼ぶ者あり)いわゆる地方教育行政の組織及び運営に関する法律案の成立促進に関する要望ということでここに出ております。これを見ましても、全国の町村長会長であるとか、あるいは議会議長であるとかいうような名前を公然とここに書き、そうして代表者としてここに陳情せられるということにおいては、私はこれこそほんとうの全国の町村会におきましてこの法案の成立というものを望んでいるというふうのことの有力なる一つの材料であり、また声であるということを私どもはうかがうのであります。従ってさらに大阪府におきましても、市の方といたしましても、また郡部の方といたしましても、この法案の通過を要望せられ、あるいはわれわれが県へ帰りましても、あるいは内容に多少疑義があり、あるいは修正というふうのことに対しても考えるが、少くともこの法案に対しての通過ということを要望している声というものは私はあるいはこの方が大きいと思う。従ってかような点から考えまして、ただ遺憾ながらこの声がありましても十分に国民に徹底しておらない。従ってこの間の婦人の方方のここへ陳情せられましても、ほんとうにこの法案の内容を知っておられるかどうかということを私はそんたくに苦しむのでありまして、これがほんとうに必要であるということが周知徹底せられたならば、私はこの問題は簡単に解決するものだと思います。従って、この周知徹底が文部省において欠けておるように私は思う。従って何らかの形式においてこの法案というものの内容、あるいはこれが今日の状態において適切なる要求であるというようなことに対する弁明といいますか、宣伝といいますか、あるいは声明といいますか、何らかの形式において文部省がこれを出すという意思があるかどうか、またこの問題についてどう展開したらいいかというような腹案でも持っておられるか、お承わりしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/270
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271・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この案はただいま本院で御審議中でありまするが、審議は公開でやっておりまするから、自然皆さんの御熱心なる質問に対し政府の所信は世間に伝わると思います。ただ、今言論及び発表の自由を憲法で保障いたしておりまする以上、新聞等の書くことについて、とやかく言う力は政府にはないのでございまするが、文部省には、微力ではありまするけれども、文部広報というものがあります。今日許された範囲において今後とも誠意を持って皆さんに御了解願いたい、こういう考えでおります。具体的方策をここで直ちに発表し得ないことは実に遺憾であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/271
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272・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それに関連して。ただいま吉田委員から大臣にお尋ねございましたが、私は大きく分けて二点について伺います。それは一つは、新聞、ラジオ等の報道機関がこの法案に批判的である、これは誤解に基くものであると文部大臣は断定をされ、その一つに、世界に名をうたわれる朝日新聞の社説を資料として出されたわけです。まあこれは他に資料も要求してありますから、それがととのったときに、あらためて審議するとして、さらに今大与党の文教委員会の理事の吉田委員は町村長から通してくれという陳情が来た。これは誤解に基くものでないが、どうも七百二十万の署名とか、あるいはこの前御婦人の代表が陳情に来られたが、どうも誤解に基くもののようだ、こういう御意見はちょっと私は聞こえないと思う。私は賛成論を唱える人も、反対論を唱える人も、それなりにこの法律案を研究されて、そうしてそれぞれ陳情なり意思表示をされていると思うのです。私をして言わしむれば、一部の人がこの法律案について警戒心を起し、警告を発しているその真精神が、果して全国の町村長さんに徹底しているかどうかという点を若干疑わないわけでもないですが、そういうことは私は言いません。ただ、私はここで吉田委員に聞いていただきたい点は、私も町村長さんをずいぶん知っております。その町村長さんは私の知っている限りは、すべての町村に地教委を、教育委員会を置くというのがどうも一番納得できない。権限が少し強過ぎて小さな行政規模では困るという点に重点があって、このたびの法案の中に文部大臣の権限等を強める、それらの点については非常に心配してどうも賛成できかねると言っております。ただ、中央でああいうふうに、全国町村長会の本部でああ言っているから、われわれはそう言っているだけであって、実際私も心配ですとわれわれが知っている町村長さんはずいぶんそういう意見を言われている人もあるわけなんです。だからそういうことも耳のどこかにちょっと挾んでおいていただきたいと思います。そこで吉田委員は、反対論は誤解に基くものだ、従ってこの法律案の立法精神、その内容がよくわかるように一つ広報宣伝活動を盛んにやれ、その腹案いかんと、こういうふうに文部大臣にたたみかけられました。ところがそれを受けたところの文部大臣は文部広報というものがあるからと、こういうふうにお答えになりましたが、そこで私は第二段、下段の質問に相なるわけですが、文部大臣、私は文部広報というものは立法府できまったこと、さらに立法府で立法されその精神を受けて行政府の権限と責任の上にきめられたところの政令、それから規則、そういうものを周知徹底させる限りにおいて、文部広報という行政府の広報活動は行われるべきものであって、政府があの法律案を国会に提出して国権の最高機関の立法府の審議を仰いでいる。ところがその案件についてはまさしく国論というものは二つに大きく分裂している。そのときに政府と反対の論を抑圧するために、政府の見解が有利になるように国民を啓蒙啓発するために、宣伝機関紙として使うということは、私は文部広報を逸脱するものだと思う。どうですか。案件が立法府において審議中のものをですよ。それを国論が分裂しているときに、政府側に有利な世論が全国民に巻き起るような立場から、これを吉田委員の教唆扇動によって(笑声)あなたがやられるということは、これは重大なる問題だと私は思う。お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/272
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273・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 吉田委員は反対論を圧伏せいとおっしゃるのじゃないのです。雨森さんの質問に始って、この案の趣意をよく世間に徹底させるようにということです。しこうしてこの法案を出すことは、これは内閣提出の法案でありまするが、性質上文部省が責任を持っております。今こういう案を出しているのじゃということを周知徹底せしめることは、文部広報のなすべきちょうど適切な仕事と思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/273
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274・吉田萬次
○吉田萬次君 関連して。先ほど誤解に基くものと言われましたが、私はそういう意味でなしに、その真意が徹底しておらないということを言ったのであります。また、この問題について自分が聞く範囲においては、自分の知る範囲の町村長さん、あるいは議員の話を聞いてのように言われました。しかしながら、私がここへ出したのは、最も新しいのであって、昭和三十一年五月七日のものであります。それでその内容を読みますると、
地方教育行政の組織及び運営に
関する法律案の成立促進に関す
る要望
今国会に提案審議中の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律案」は、われわれの要望するところと若干意見を異にするものであるが、この法案は地方公共団体の実情を充分に勘案せられ、行政の一元化への配慮がなされたものと解し、われわれは本法案の成立を願うものである。
つきましては、本法案が今国会において速やかに成立せられるよう特段の御高配を賜わりたく要望する。
こういうものが来ております。従ってわれわれはこれが全国の町村長会の代表者であり、あるいは議会の代表者である方の連名の、しかもそれに対する捺印をしてあるこの書類につきましては、これはやはり当然その声と聞くべきが至当であると考えまして、そうしてこの声は決して小さい声でない。私はこの全国における町村全体の声として取り扱って何ら差しつかえないということを考えまして、この声に対する私は方法として徹底させる必要があるということで、私は質問したのであります。従って私は一身上の弁明として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/274
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275・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 別に大臣の答弁は要りませんな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/275
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276・吉田萬次
○吉田萬次君 要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/276
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277・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣の私の第二段に対する質問の答弁は了承できません。たとえば雨森委員が教育大学の馬場教授の引用をされましたが、これはいずれ機会あるときにこの条項については私どもさらに深く掘り下げて伺いますので、きょう内容的なことは伺いませんが、少くとも日本語を解しているものにとって、この表現は馬場教授が活字を並べられたように私はとれると思うのです。それをたとえば文部広報に、ある政党ではこういうことを言っているがこうだとかある学者はこう言っているがこうだというようなことを、文部広報によって啓発宣伝をやるということはこれは逸脱だと思うのです。それは今国会にこういう法律案を提案して審議を仰いでいるという程度のことを出されるならいいでしょう。けれども国会の審議と並行して国民のこの法案に対する世論の動向を見きわめて、適時的確にそれに対処する立場から、吉田委員はそういう立場において大臣によこされたと思うのです。文部広報に出されるということは、私は行政府の越権だと思うのです。今政党政治です。もしそういうことをやられるならば、自民党の機関紙でやって下さい。われわれは社会党の機関紙においてやりましょう。(「その通り」と呼ぶ者あり)これをすべきですよ。少くとも行政府の、文部広報の名においてそういうことを断じてやるべきでない、私はそういうふうに確信をいたします。これは文部大臣に要求しておきます。従って今後文部広報出たたびに、本委員会に資料として出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/277
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278・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) およそ答えは問いと対象してお聞き下さらんというと、あやまちを生ずるのであります。この案の内容が十分に知れておらんから、それを知らす方法をとれという雨森さんの御発言に始まって、それを吉田さんが受けて、政府は適切の措置をとれ、自由民主党は党でやります。今のお問いはこの内容をよく知らせということなんですよ。そして内容をよく知らすのは、文部省の責任でやっておる。法案の内容はこうでございます。法案の文字通り掲載するのも一つでありまするけれども、前後の脈絡でこれはこういう意味でございますということを、親切にすべき解説するのがどこが悪いのですか。それをするために広報というのはあるのですよ。問いが自由民主党の主張を宣伝せい、こういう問いではなかった、内容を誤解する人があるから、よくわかるように解明すべしというのですよ。そういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/278
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279・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私が申し上げておることは限度があるわけなんです。あたかも新聞並びにラジオ、あるいは学者、あるいは政党、われわれも入るかもしれませんが、そのこの法案に対する意見に対しての、それに対処する立場から文部広報を編集されおる、こういう意図がうかがわれる点を、問題に私はしているわけでございます。あくまでそれらの問題は二大政党下でありますから、自民党の機関紙と社会党の機関紙のワク内においてやればいいのであって、法律案の内容をよく説明し了解させるということはこの委員会を通じてわれわれにすればいいことです。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/279
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280・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私はこの今日の民主主義の政治において、政府の出しておる案を周知徹底せしめるということは民主主義の第一段と思います。私はこの文部広報において矢嶋議員はこういったけれども、あれは間違てっいるなんという討論をするつもりまないのです。お問いもそうではなかったのです。この内容があやまち伝えられることがあるから、これをよく国民に知らす方法はないかとおっしゃるから、文部省の責任を持った大きな法案としては、単にこれを法文だけをこんなに出しましたというより、この案はこういう意味でありまするということを解説して、多数の読者に了解してもらう、これは矢嶋さん適当じゃございませんか。だれが内閣をあずかってもそれをしてはならんというのでは……。(「押し問答だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/280
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281・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 本論にお帰りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/281
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282・矢嶋三義
○矢嶋三義君 水かけ論になると困るですから荒木君に……。私はここで終ります。要求しておきますがね。今まで出された文部広報まとめて出していただきたい。それから今後出される文部広報を全部本委員会に出して、それに基いて、そのときにあらためて具体的な問題について伺いますから。
〔荒木正三郎君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/282
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283・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) この問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/283
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284・荒木正三郎
○荒木正三郎君 ええ。文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/284
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285・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/285
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286・荒木正三郎
○荒木正三郎君 文部広報の性格ですね。これは政治的な中立性を持っていなければならんと思うのです。これはおそらく文部大臣も否定はされないと思うのです。なぜかならば国費をもってこれは出されておるわけなんです。そこで先ほど文部大臣の答弁は、この法案の趣旨の徹底についてこの文部広報を活用したい、こういう答弁でございました。しかし、この法案をお出しになっているのは自民党の内閣でございます。そしてこの趣旨をお書きになるのは自民党内閣のお考えが出るわけです。この法案の解説ということにいたしましても、これは自民党の考え方というものが出るわけです。そういたしますと、どうしてもこれは政治的中立性というものは片寄ってくる。こういう意味において私は文部広報を使ってこの趣旨の徹底を国民にはかる、こういうことは許されないことだ、そういうことは断じてすべきでないと思います。それでもあえて文部大臣はそういう手段をとりますか。はっきり言ってもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/286
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287・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この案は内閣提出法律案でございまするが、文教に関することは非常に多いのでございます。地方自治にも関係いたします。それゆえに文部省が担当しておるのであります。この案が世間に十分に了解されるように努めるということは、われわれの務めでございます。これにつてい討論なり、あるいは自画自賛なりをしようという考えは持っておりません。それは自由民主党に別の機関があります。しかしながら、この案自身の意味を解明するということは、これは私は文部当局として、ひとり広報のみならず機会あるごとに私は世間に知らす方がいいと思います。民主政治というものは、違った了解のもとにぐんぐんものごとを進めるんじゃないんで、知ってもらうのが第一であります。それを知らさずにおけとおっしゃるのは、それはあなたの方が御無理ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/287
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288・荒木正三郎
○荒木正三郎君 文部大臣、法案の解明をすると言いますけれども、(「それは押し問答だよ」と呼ぶ者あり)質問しておるのに黙っておれよ。法案の解明をするといっても、人によってその解明の内容がですよ、変ってくるのですよ。だれが解明しても、文部大臣は同じ解明になると考えられますか。私はそこに異る内容が出てくると思うのです。そういう意味においてですよ、それは自民党の解明になるのですよ。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そういうことですよ。一方的になる。もしそういうことをするんならですね、われわれの解明も、同時に載してもらいたい。そうしなければこれは政治的中立を阻害する。悪意をもってそういうことをやるべきではないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/288
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289・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 案それ自身の意味は起案者が一番よく知っておるんであります。そのゆえに起案者が筆をとって公平なる解明をすることは、何も悪いこっちゃございません。どんな解明をするかは、細工は粒々仕上げをごらんじろ、見てからおっしゃって下さい。私はそんなものでかすりを取って、文部広報で政治に勝とうというようなけちな考えは持っておりません。よくわかるように書くだけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/289
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290・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 打ち切りますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/290
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291・湯山勇
○湯山勇君 大臣は今非常にはっきりおっしゃいましたので、承わりたいと思います。文部広報に出ておる内容については、全部大臣責任を持たれますか。どういうことについても。(「そんなことを言い出したらきりがないよ」と呼ぶ者あり)当然ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/291
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292・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 行政長官として私の責任であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/292
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293・湯山勇
○湯山勇君 あれにはですね、それぞれ執筆者名、たとえば次官談とか局長談とか、あるいは第三者、そういう人の意見も載せておりますけれども、それについても大臣は全部責任をおとりになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/293
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294・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) これを採択したのは、やはり文部省でございまするから、採択をしたということについての責任はとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/294
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295・湯山勇
○湯山勇君 採択の責任はもちろんですけれども、その内容が妥当であるとかないとか、そういうことは人々によって違うと思います。でその内容に誤りがあっても、あるいは述べておる意見に国民の入れないものを持っておっても、それも大臣はあなたの責任として責任をおとりになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/295
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296・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 編さん採択の責任はとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/296
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297・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) ほかに質疑のある方は質疑を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/297
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298・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほど矢嶋委員からの文部広報の提出の要求がございましたが、従来のものは全部差し上げてあるそうでございますので、今後のものももちろん引き続いて差し上げますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/298
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299・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 雨森君はまだ質疑をお続けになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/299
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300・雨森常夫
○雨森常夫君 この問題については終了しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/300
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301・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) ほかにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/301
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302・湯山勇
○湯山勇君 私はさっき質問をしておったのですけれども、政府の資料がないためにとぎれておりました。今の問題から若干つながりができてきましたので、そのつながりのできた分だけお尋ねをいたしたいと思います。それは大臣は広報については責任を持つということを、今はっきりおっしゃったわけですが、そういたしますと、あの広報にいろいろ次官とか局長とかがお書きになっておるこの内容についても、責任をおとりになる、こういうことが明らかにされたと思います。で、そうすると、これは先般文部大臣みずからずっと以前に出された問題ではありますけれども、次官通達を無視されたことがありますが、大臣御記憶ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/302
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303・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 何のことをおっしゃるのかちょっと見当がつきませんが、具体的におっしゃればお答えをいたします。私は古い文部省の次官通達などは一々見ておりませんから、どの程度の相違になりまするか、今私の方でやっておるのは、これは今日の時勢にかんがみて、これは妥当だというところをやっておるので、ずっと昔の占領中の通達などには、幾分違うところがあるかもわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/303
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304・湯山勇
○湯山勇君 大臣はわからぬと言いながら、よくわかっておるようです。確かに占領中の通達です。たとえば皇居遥拝を学校の儀式としてはやってはいけないというような通達が出ておりましたが、この通達は今も生きておるのでございましょう。その生きておるものを、今大臣は、そういうものについては無視している、こういう御発言、そうだとすれば広報について責任持つとおっしゃいましても、はなはだ私は言葉だけであって、実質が伴わないと思うのですが、また、かりに広報で解説されたとしても、そういうものに対しての国民の信頼というものも、これまた持てないと思うのです。そこで文部省の、おそらく省議を経たものと思いまするけれども、そういうふうにして出された次官通達を、大臣の記者発表程度で抹殺されてもいいというお考えなのか、どうなのか、そうだとすればそれでまた非常に重要な問題が出て参りますから、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/304
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305・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今のはどの通達ですか、ちょっと聞きそこないました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/305
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306・湯山勇
○湯山勇君 皇居遥拝ですね、学校行事としての皇居遥拝。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/306
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307・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あれはたしか昭和二十二年ごろの次官の通達、ここにいらっしゃる剱木次官のころじゃありませんか。(「答弁」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/307
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308・湯山勇
○湯山勇君 そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/308
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309・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そのころでありまするが、あのころはまだ教育委異というものができておりませんの一です。それで次官から直接に、この本人の意思に反して皇居遥拝せしめるといったようなことはよくないと思って、学校へ通知をしたのだと思います。その後教育委員会ができて、教育委員会で、よく検討する機関ができましたです。このごろは皇居は自発的にも、あの遥拝のみならず、陛下の前に行って拝む人も、頭を下げる人もできております。こういう時勢にかんがみまして、各村々で委員会と協議して、この程度がよかろうということをおきめになったら、それでいいだろう、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/309
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310・湯山勇
○湯山勇君 その点はそれでけっこうだと思うのですけれども、その通達は生きているのか、死んでいるのか、もし大臣がそういうお考えならば、これは法律事項でも何でもないのですから、大臣の方でお取り消しになる、そういう努力はなぜなさらないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/310
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311・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あの趣意は、本人の意思に反して無理に遥拝最敬礼せしめるといったようなことでありまするから、それは私は悪いと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/311
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312・湯山勇
○湯山勇君 取り消したらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/312
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313・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) いや、置いておいていいと思うのです。意思に反して、天皇を神格化して最敬礼するということは、今日といえども私はよくない、しかし意思に反せないで、自由でやるのであったら、これは許さなければならない。遥拝することも自由、せざることも自由が、今日の日本の立場であります。そこであの通達は、前後ずっと読んでみまするというと、本人の意思に反して、やはり戦前の継続ですからして、遥拝したくない者もせいといったようなことになるというと、よろしくないと、こういうことですから、その限度においては生きておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/313
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314・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、本人の意思によってやる分は、だれが考えたって大臣のおっしゃる通りです。それをなぜ一体教育委員会の許可を得なければならない、こういうことになるわけですか。教育委員会の許可を得ようが得まいが、それは本人の意思によってやるわけですから、とめる必要もなければ拘束される必要もないと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/314
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315・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 本人の意思と申しましても、学校の場合は子供で、意思未成熟なものであります。また地方の人の感覚で、これは学校でやってもよかろう、本人、わけても親権者の意思には反しておらぬだろうということを見定めて、教育委員会がその村ではその程度はよかろうといっておきめになれば、これは自由意思によったものとひとしきもので、それはいい。けれどもその村においてそれはいかぬ、まだまだ占領後十年たって、今遥拝さすということは、天皇を神格化するのだからよくないといったような意見がプリベールすれば、それは意思に反することになりますから、そういうことをよくやるために、今度のこの案ができておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/315
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316・湯山勇
○湯山勇君 私もそのことをお聞きしようと思って、今の問題をお聞きしておるわけです。つまり抽象的な理論も必要ですけれども、具体的に現場にどう響いてくるかということをぜひただしたいと思うので、今のような点をお聞きしておるわけですが、そうすると、大臣の今のお考えからいえば、現在の教育委員会というのは、たとえば次官通達にしても、あるいは局長の通牒にしても、そういうものを無視してやってもいいと、こういうことを決定してもいいということを、大臣はやはりお認めになっておる、こういうふうに解釈してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/316
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317・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 少し言葉づかいになりまするけれども、先刻私が言った通りに一つ御了解願いたいのです。あの通達はまだ教育委員会というものができない先であったから、昭和二十二年当時の次官は学校に直接に通知した。何万からある学校でありますから、当時は文部省より知事にあててやりましたが、そのほかはなかったのであります。しかし今では教育委員会は直接選挙によっております。この案ができましても、やはり選挙された議会が同意した、やはり国民を代表する委員会ができておりまするから、その委員会が地域社会の空気、父兄の考え、これを察して遥拝なさるのであったら、必ずしも一律に自由を無視してやるということにもならぬからそれはよろしい、こういうことであります。すなわち不本意の、自由意思に反する遥拝を禁ずるという点においては、あの通達は生きております。やり方は、今度は教育委員会というものができましたから、委員会の裁量によるということが加わっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/317
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318・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、大臣の御意見を聞いておりますと、あの場合は大臣が新聞記者に発表されたのは、決して通達の趣旨に反してない、こういうことですね。そうだと解釈して、次にやはり同じような例をお話しいたします。今は解除されたかどうか存じませんけれども、とにかく本年度の初めごろまで、学校におけるなぎなたがとめられておりました。柔道は許可になりました。剣道も最近許可になりました。ところがなぎなたに関する限りは、まだ解除になっておりません。これなんかはやはり古いことです。けれども、どの教育委員会も、多くの教育委員会は女の生徒なり先生の要請があるにもかかわらず、学校の正課、これはもちろんですけれども、クラブ活動としても、そういうものを取り入れてはならない、またそういうものを学校の中でやってはいけないということにしております。つまり当時の次官通達、そういうものあるいは文部省の通牒が判断の基礎になっております。だから今大臣がおっしゃったようにやるとすれば、当然判断を教育委員会にまかせるということであれば、こういう通牒などというようなものは、是正するか撤回しなければ、そういう通達が出ておるということが理由になって、大臣が今おっしゃったような良識に立っての判断ができなくなるおそれがある。そういうことを私は事実をもってお伺いしたわけですが、それについて大臣の御答弁を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/318
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319・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) これも教育課程の取扱いに関することでありますが、過日もなぎなたの女の先生が五、六人見えまして、これは運動にもなるし、護身にもいいという御説明がありましたが、通達するつもりはありませんが、これに対してどういう意見を発表していいかどうかは、今ほんとうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/319
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320・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、教育委員会が今の具体的の問題について、なるほど護身にもいいし、体育にもなるというような判断を下して、今学校で正課でやらないにしても、クラブ活動なり、あるいは放課後の指導なり、あるいは学校の施設を提供してそういう行事をやる、こういうことについては、委員会がやれば、大臣はそれについてはけっこうだという判断を下されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/320
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321・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) ごく最近に私その問題に気がつきまして、どういうふうに答えるかは今研究中ですから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/321
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322・湯山勇
○湯山勇君 私はなぎなたの問題や皇居遥拝の問題をお聞きしておるわけでない。現在教育委員会がそれに対してどういう態度をとっておるかということです。それに対して文部省の態度はこうだ、こういう関係が今度の新しい法律でどう変ってくるかということを、具体的な問題からお聞きしておるのです。なぎなたの問題について待ってくれではなくして、一般論として大臣は、そういうふうな場合に、現在委員会が、現在の父兄の要望なり、あるいは子供たちの要望なり、そういうものを入れて教育委員会が許す。遥拝の問題もそうです。こういうことになったときには、現在の次官通達なり、局長通牒なりというものに対してどういう立場をとるか、こういうことをお尋ねしておるわけですから、もし具体的なお答えができなければ、一般論としてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/322
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323・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 一般論としますれば、前の祭日における遥拝の仕方のことと少し違っておるのです。これは体育でございまして、体育は一つの教科課程なのです。(「なぎなたのことを聞いておるのでない」と呼ぶ者あり)教科課程でございますから、これがとにかくいいか悪いかは、やはり文部省が基準を作りまして、その基準を知った上で教育委員会がきめるのです。今柔道、剣道はありますが、なぎなたはないのです。これを基準に入れるか、入れないかについて、しばらく時間をおかし願いたいと、こういうふうに言っておるのです。前の遥拝の仕方と、この体育の課程とは少し意味が違うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/323
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324・湯山勇
○湯山勇君 大臣の御答弁は、私の聞いておる一般論を具体的なものをかりてお答え願いたいと思うのですが、そういうふうなことに触れないで、具体的な末端の問題だけについてしか御答弁をいただけないので、やはりそうだとすると、文部省のお態度がきまらなければ、これ以上聞けませんので、これで一応終っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/324
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325・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一つ関連して、この際、伺っておくのがいいと思います。それは湯山委員はこの通達の効力とその責任という手続関係から伺ったようですが、私はこの際お尋ねしておく方がいいと思う点は、安部委員との関連においてですが、私は内容的にただ一点伺いたいのですが、よく聞いておってお答え願いたいと思うのですが、私は先ほど文部大臣の答弁を聞いておって明確になった点は、かつては君主国時代に君に忠といったのは、今では主権在民下において国民に忠誠を尽すということだ、それから遥拝等に関連して、天皇を再び神格化するというような点については考えてないし、そうあってはならない。この内容的には二点を明確にされたようです。私はまあその通りだと思います。私は日本国の象徴である天皇、その人柄を私は尊敬をいたしております。しかし問題は、政府の国務大臣である文部大臣の発言でございますが、それは、私は国家の象徴である天皇の誕生日を祝う、あるいは敬慕するに当っての国民のその情を表わす仕方というものは、私は考えられなくちゃならぬと思うのです。それで、文部大臣の立場にある人が積極的に、よろしいですか、ここが大事なところです。積極的に今天皇誕生の日という祝日になっているわけですが、かつての天長節のような考え方のもとに、都内でもたとえば国士館短期大学のごときは閲兵分列をやったようですが、こういう形におけるところのお祝いの仕方、あるいは日本全国津々浦々において学校行事としてこの遥拝という形において敬慕の情、あるいは祝意を表するのがいいような、それを積極的に慫慂するがごとき大臣が発言をすることは、私は若干行き過ぎではないかと思います。さっきも大臣がお認めになっていらっしゃいましたが、天皇誕生の日に国民が多数全く自発的に皇居に参って、そして賀帳に記載し、そして祝意を表するというようなのが、ほんとうは私は望ましい形であって、少くとも学校教育の場において、たとえば遥拝をやるということになるというと、私は完全なる自由意思というものは出てこないと思うのです。小中学のああいうふうないたいけな子供に、いわゆる皇居遥拝というような形において祝意を表することが好ましいというように慫慂するがごとき文部大臣が態度に出られますというと、あなたが大前提として天皇を神格化するような、そういう何は考えていないし望ましくないという、その通りに私はなるおそれがあると思うのです。従って私は大臣に伺いたい点は、結局、その敬愛の表し方、敬慕の情の表わし方というものに問題があるのであって、文部大臣の立場から積極的にそういうものを慫慂するということは、私は文部大臣がこの主権在民下において国民に忠誠を誓うのだ、それから神格化というのでなくて、やはり人間天皇として国家の象徴として、国民の敬慕のシンボルとするのだ、こういう立場と私は逆になるおそれが出てくると思う。現実に若干の学校にはそういう点が出てきているように私は思うのですが、これはやはりわが国の基本的な問題だと思いますので、大臣は積極的にそれを慫慂するお考えでああいう御発言をなさっているのかどうか、私はこの際に慎重に主管大臣の意のあるところを明確に御答弁を私は願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/325
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326・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は積極的に皇居遥拝を勧めたことは一度もございません。前提が一つ違っております。昭和二十一年の一月一日に天皇陛下は、国民と自分の関係は、信頼と敬愛の関係だ。真に陛下を敬愛している人が遥拝するのにとめることはできない、これが私の立場であります。私自身は非常に敬慕いたしておりまするからして、もし旅行して遠方におったら遥拝いたしたいと思うのです。幸いに東京におりましたから、宮中へ行って参賀申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/326
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327・田中啓一
○田中啓一君 私は本来の質問をいたしたいと存じます。
ただその前に、先般私どものお願いしました資料をいただきましたのでありますが、見てみましたところ、なおそのときに私申したか申さぬかわかりませんが、政令諮問委員会の教育制度改革に関する答申、地方行政調査委員会の行政事務再配分に関する勧告、こういうものがないようでございますので、あるいは見落しているかもしれませんが、もし収集可能でございましたならば、ちょうだいいたしたいと存じます。それから質問申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/327
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328・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいま御要求の資料は、この前にたしか差し上げたはずでございますけれども、教育委員会制度に関する意見という表紙をつけまして相当各種諮問委員会の意見をまとめまして差し上げてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/328
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329・田中啓一
○田中啓一君 私、大へん粗漏でございまして、鉄箱の中に入れてあるぞという御答弁でございましたが、まだ鉄箱を探すひまがございませんので大へんどうも……。そこでこれから質問でございますが、従ってこの前の続きでございます。教育刷新委員会の教育委員会制度の実施についてという建議で、その中に教育委員会委員の選挙に関する……(「あ、大臣が……」「聞いていなければ答弁できぬ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/329
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330・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 大臣に対する質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/330
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331・田中啓一
○田中啓一君 それじゃそこのところはいずれ来られると思いますので、それでは大臣不在の間小中局長に御答弁を願いたいと存じます。一生懸命資料を見ておりますと、これは実におもしろい構想でありまして、教育委員の選挙は当分の間次の方法によること、そうしてこういう選挙は何といいますかわかりませんが、まず選考委員会を作って、そうして候補者を定員の三倍立てて、そうして選挙をやれ、こうなっております、注文は。まず府県教育委員の選者、委員の顔ぶれを見ますと、都道府県議会議長と都道府県内の首長の互選によるものが一人、それから都道府県単位の町村長会長、都道府県内の大学長、高等学校長、中等学校長、小学校長、町村長会長は一人でありますけれども、大学長も一人か二人でありましょうが、順次数が多くなっていって、小学校長も全部お入りになるのでありましょうから、大へんなこれは人数で、しかもこれは互選でありまして、そこから一人、それから教員組合の選出も一人、この三人のほかに、都道府県知事が産業経済関係から二人、文化関係から一人、労働関係から一人、婦人から一人を議会の同意を得て選任したもの、これは五人になります。書いてあるものはどうも八人でありますが、何か印刷が落ちておるかどうか、よくわかりませんが、計十人の選考委員により、と書いてありますが、読みようが悪いのかもしれません。とにかくこういう選考委員を作って、そうして候補者を選考して、府県民、そうしてまた、これは市区委員についてもこれに準ずると書いてあるのでありますが、あるいは町村委員についてもこれに準ずるのでありましょう。そうして選挙をやる。翼賛会の選挙みたいな実はことであります。そこで初中局長、この方法によらないでああいった被選挙人についても、選挙人についても、全くほかの公職選挙と同じような選挙法をとられました当時の何か理由について御記憶なり、何か御承知があるならば伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/331
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332・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは私前回にも御質問に答えたのでございますけれども、教育刷新委員会の建議といたしましては、今お述べになりましたように、結局十名の選考委員によりまして定員の三倍の候補者を選んで、これについて一般投票を行う、これはちょっと御質問の中にございましたので申し上げますけれども、その当時は教育委員会は当分の間都道府県、市及び特別区のみに置く、町村には置かないという前提がございましたので、これは都道府県の教育委員会だけについての答申になっております。かような答申が出て参ったのでございます。政府といたしましては、これを受けまして、もちろんこれを十分尊重して検討したことと存じますけれども、実は私その当時の事情を必ずしもつまびらかではございませんけれども、ただいま現行法のような形で一般公選ということにかえて提案をいたしておるわけでございます。その間の事情につきましてはここに、建議にありまするこの選挙方法というのは、非常に複雑な方法でございまするし、なおまた、当時占領中でございましたので、前回にもお話し申し上げましたように、占領当局の指導もございまして、ただいまのような案に、現行法のような案にして提案した、これが実情だろうと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/332
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333・田中啓一
○田中啓一君 私の今お尋ねいたしました意味は、府県の教育委員の選挙にしても、なかなか一般の公職選挙法の方法によるのでは適任者が得られないだろう、こういう趣旨で刷新委員会はかような建議をなさったのであろう、こう思うのであります。けれども、今の初中局長の御答弁では、これを御採用にならなかった理由を、必ずしもこれまた明白でございませんけれども、とにかく御採用はなさらなかった。そうして現行のごとき教育委員会法というものができましたが、この建議にもあります通り、町村においては相当の期間実施を見なかったのであります。
ところが昭和二十七年に実施をすべし、いや時期尚早だ、少くとも時期尚早だ、こういうような意見が出て参りました際に、結局文部省のお出しになった延期の法律が間に合わないでとうとう実施をされた。こういう実は沿革であるのでありますが、そこでその論議をされておる時分に出ました、これも今ちょうだいしました資料でございます、教育学者の市町村設置反対理由と題がございます。これを見ますると、確かに反対の趣旨であろう、こう思うのであります。従って当時はこの方たちは、というのは、すなわち今回また意見を御発表になっております学者の方とほぼ同じような顔ぶれのように承知するのでありますが、その当時は反対であった、そうしてまあ反対の論拠には、いろいろな調査会があるが、一つとしてすぐ置くのに賛成の意見はない、自分らも非常にこれは工合が悪いと思う、そうしてその理由としておあげになっておるのを見ますると、「教育に関する意志の主体は国民自身であり、地方住民の何等かの形における教育行政参加も必要であることは疑ないところである。しかし一方では現在における国民の教育委員会に関する理解の程度、他方では市町村の間にある文化水準および行政的、財政的能力の差異を考慮するならば、今一挙に一斉に市町村教育委員会を置くことは到底賛成できないのである。大部分の国民は教育委員会の何たるかを知らない。国民に周知させるための努力がこれまで欠如していたのだから、それも当然といわねばならない。また巨大都市と小町村との文化水準およびその行政的、財政的能力の差異は誰の目にも明らかである。かかる実情を無視して、早急に同一の権限をもつ教育委員会を設置することの無謀は明瞭であろう。」というようなのが理由になっておるように思うのであります。私はこの教育をできるだけ地方的な自治の手にまかそう、こういうことが私は教育基本法の一つの基本的な考え方であろう、ことに自治体の基礎的な単位的なものは市町村であります。府県となりますればその上の連合体ともつかず、国の下請機関ともつかずまことに性格の二重であるのか、どういうのか実は自治体としてははっきりしないものであることは、今日府県というものをどうするかということが非常に問題になっているのを見てもおわかりだろうと思います。その市町村にやらすのがいいのだ、こういう考え方ででもあるのか、あるいは別段その建議には、先ほどの刷新委員会の建議には、これは明らかでございませんけれども、教育委員会法によりますと、市町村にできるまでの間は府県の教育委員会がやると、こう書いてあります。つまり府県という中間的な自治機関にやらせればいいので、ほんとうの憲法にも書いてある自治の本旨に一番かなっておる市町村からは教育というものについては取り上げてしまう、こういう行き方がいいと考えておられたのか、それは不明であります。市町村がやれ、やったらいいと考えておられたのか、あるいは市町村という自治体からは教育というものは取り上げて、そうして府県教育委育会がやったらいい、こう考えておられたのか、この刷新委員会の方の意図はこれだけの文章ではわかりませんのですが、そういう状態で、従って学者方の御意見も実はわかりません、そこのところは。わかりませんが、反対をしておられたということだけは、どうもこれで私は明らかのように思います。しかし、ここに日本教職員組合中央執行委員長岡三郎君から、文部大臣岡野清豪殿にあてられた文書によりますると、(「きょうは文教委員会のはずだ」と呼ぶ者あり)どうもこれは委員会ができてから町村の分は廃止をしろ、こういうことが書いてあるように思うのであります。これも市町村長に戻せというのか、あるいは県教育委員会がやればいいというのかわかりませんですけれども、それからその後府県なり市町村側の公共団体の代表者からは、私の受けた印象では、教育委員会は府県も市町村もやめろ、それは府県知事あるいは市町村長の自治体の首長としての一番大事な仕事だと思うので、そこへ一つ戻してもらいたい、教育委員会ができない前に同じにしてもらいたい、こういうような意見であったのであります。こういうところを見ますると、要するに教育委員会の廃止論というものが二十七年ころからは一方に非常に濃厚になった、そうしてまあ何らかの改正を文部大臣としては迫られておる、こういう事情にあったと、こう私は思う。従ってそれ以来文部省としてはどうこれをしたらいいか、御研究になってきただろうと思うのであります。(「質問、質問」と呼ぶ者あり)それでこういう一方にあります廃止論に対してのお考えはどういうふうに文部大臣はお考えになりまして、今回こういう教育委員会法をお出しになりましたか、これを一つお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/333
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334・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今お説の通りで昭和二十七年以来、資料にもある通りいろいろと各方面の意見がございます。政令諮問委員会から教育委員会制度協議会、いろんなものがあります。それからまた私の属しておりました元の政党では、すなわち日本民主党では、(「日本民主党というのがあったか」と呼ぶ者あり)県の程度においてはこれを改める、市町村の程度においてはこれはやめたらどうだという案までできておったのであります。過日申し上げました通り、この案は解党二日前にようやくできたもので党議にはしておりませんでしたが、しかしながら党内の有力な人の支持するところでありまして、そこで私文部省の責任を負いましてからこのかた、従前の今田中さん御指摘の各種の文献も調査いたしました。各方面の意見も聞きました。そこでいろいろ考えた結果、千思万考の結果、やはりたとえ町村内においても、今日合併の結果、初め廃せよといった時分と町村の大きさが大へん違っております。少くとも三つ、多ければ五つの町村が一緒になりまして、学区は十か十五も町村であるんです。生徒は二千名以上、先生は百人以上、で、この程度で全く廃してしまうということにすれば、やはり何かの機関、昔の学務委員でも置かなければならんことになる、それよりはやはり新教育の精神に従って町村の一般行政から独立の地位を持つところの教育委員会はこれを置くと、置くけれども直接選挙ということが従前弊害のもとだったということに考えを及びまして、党内各方面の意見を徴し、むろん参議院の同僚の方にも御相談を申し上げ、最後の結論が本件のようなものになったんでございます。突然これをこさえたんではなく、これをこさえるまでには、廃止論も存続論もやはり党内にあったんです。また、直接選挙がやっぱりいいという人もありましたが、みんな寄って国家のために考え考えた結果、これになったんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/334
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335・田中啓一
○田中啓一君 あとは総括質問においてしてもよし、あるいは逐条審議においてしてもよし、こういった質問でございますので、私は本日はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/335
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336・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) それではお諮りいたしますが、この程度で本日は散会したいと思いますが……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/336
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337・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 本日はこの程度で散会いたします。
午後五時二十九分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02319560507/337
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