1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年五月十日(木曜日)
午前十時二十六分開会
―――――――――――――
出席者は左の通り。
委員長 加賀山之雄君
理事
有馬 英二君
吉田 萬次君
湯山 勇君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
剱木 亨弘君
白井 勇君
田中 啓一君
中川 幸平君
三浦 義男君
三木與吉郎君
秋山 長造君
安部キミ子君
荒木正三郎君
矢嶋 三義君
高橋 道男君
竹下 豐次君
国務大臣
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○地方教育行政の組織及び運営に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方教育行政の組織及び運営に関す
る法律の施行に伴う関係法律の整理
に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○連合審査会開会の件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/0
-
001・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) これより文教委員会を開会いたします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び同法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を一括して議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
なお、先日の委員会におきまして要求のございました資料につき政府から提出されておりますが、それにつきまして政府委員から御説明を御聴取願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/1
-
002・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 資料の御要求のありましたもののうち、ただいまお手元にプリントで差し上げましたものは、新聞記事のものが一つでございます。それから一つは、教育委員会の予算案、条例案等に対しまして問題となりました事例といたしまして五件をこの前御報告いたしましたが、その内容について出せということでございましたので、福岡、佐賀、島根、滋賀、奈良県につきまして、その内容を資料として提出いたしました。それからもう一つは、これは湯山先生の御要求でございましたと思いますが、知事、教育委員の再選または三選の調べというものをプリントで差し上げてございます。もう一つの資料を差し上げてあります中に、教育委員の職業別比較、それから都道府県教育委員の前職別比較、この二つのプリントがございますが、これは昨日高橋先生の御請求がございました。ちょっとこれ内容を御説明申し上げますと、教育委員の職業別比較――内容の多い方でございます。両ページにわたりまして刷りましたのは、これは昭和二十七年の選挙のときに、その選挙の結果出られました方々のそのときの職業でございます。そういう意味でここに提示いたしました。それからもう一つのページ半分に書いてありますものは、都道府県教育委員の前職別比較でございまして、三十年十月現在におきまして、そのときの委員の方々の前職調べというのを特別にいたしまして出したのがこちらの表でございます。これを御説明申し上げます。
それからそのほか御要求のありましたもので、本日口頭で御報告を申し上げたいと存じますが、教育委員会の予算案、条例案の二本立の事例を前回五件だけ申し上げましたけれども、そのほかにあるじゃないかという御質問でございまして、これを従来の記録等で調べました結果、一応調ばりました数だけを申し上げますと、(「それはプリントないでしょう」と呼ぶ者あり)これはちょっと御説明加えませんとと思いまして、プリントとしないで、数だけでございますので、口頭で御報告申し上げたいと思います。都道府県におきまして十六件でございます。それから市三件、町四件、これだけ記録から拾いました結果、(「町は何件」と呼ぶ者あり)町は四件でございます。市は三件でございます。都道府県が、これは道府県でございますが、十六件。(「これは二本立予算というわけだな」と呼ぶ者あり)予算の二本立、条例の二本立問題で問題があった件数でございます。ただこれは今申し上げましたように、統計的に当初からとっておりませんので、従来残っておりました記録を調べました結果出た件数でございますので、そのほかにも若干件数は漏れておるかもしれません。このことは御了承願います。
それから教育委員と知事の任期中に辞職した数というのが御要求がございました。これは二十九年四月以降、教育委員につきまして、文部省から報告を求めた調べがございます。二十九年四月以降でございますが、県の教育委員で任期中辞職した数が二十四人でございます。二十九年四月以降の知事の任期中辞職というのはございません。ゼロでございます。
それから解職請求の件数でございますが、これもはなはだ資料が不備でございまして、自治庁関係とも打ち合せておりましたが、自治庁におきましても、自治法施行後昭和二十五年末までの調べがございました。この期間におきまする数を、これも資料がありますものだけを申し上げますと、市町村長に対しまする解職請求の成立いたしました件数が四十九件、不成立が四十三件でございます。知事に対しましては例がございません。教育委員会の委員の解職請求の件数もございません。(「資料に載っておるのですか」「これなんかプリントになっていないと意味がないな」と呼ぶ者あり)それは御説明を加えませんと、(「プリントを出してそれに説明を加えるべきですよ」と呼ぶ者あり)それじゃさっそく差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/2
-
003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 資料要求は、今あなたが質問されたのは湯山委員からなされたわけですが、われわれは正式な資料に基いてこの審議をいたしたいわけです。従って補足説明をしなければならない点は補足説明けっこうですが、さっきのように教育委員の場合、あるいは知事の場合、都道府県の場合、市町村の場合、その数字はですね、プリントしてそして要求通りに資料として出していただきたいと思います。その資料に基いて補足説明するならする、こういう形態をとっていただきたい。これを委員長に御要望申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/3
-
004・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) それじゃ、ただいま申し上げます数字は御審議中にさっそくプリントにいたしましてお配りいたします。一応一つ説明を、口頭の御報告をお聞き取り願いまして、(「それじゃ書く間がないからゆっくり読んで下さい」と呼ぶ者あり)ゆっくり読みますから……。これは先ほどから申し上げておりますように、統計的数字でございませんので、ありました資料につきまして調べたものでございますので、この点は数字としてプリントしてそのまま差し出しますと誤解を招きますので、こういう形をとったのでございますので、御了承願います。そこで続けて申し上げますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/4
-
005・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと今の四十九と四十幾らというのはあとで聞こうと思ったのですが、初めから言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/5
-
006・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) あとで資料が出るそうですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/6
-
007・湯山勇
○湯山勇君 それじゃわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/7
-
008・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 現職知事で二期または三期目に当選人とならなかったものの数、つまり落選をしたものの数、これは二期目は十二人、三期目は八人、こういう数でございます。
大体御要求の関係は以上であると思います。あとで今申しましたような条件のもとに、数は差し出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/8
-
009・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと資料の点でお尋ねするんですが、せんだって矢嶋委員の方から要求した資料が、この初めの新聞の論説だと思うのです。これはこの法案に対する誤解があるということを大臣がおっしゃったので、じゃそういう資料があればということからこの資料の提出となったんだと思いますが、同時にその場合、われわれの方から要求したことは、積極的に今度の法案を支持するような日刊新聞の論説があったら、それも提出してもらいたいということがあったんですが、それはこの前の提出の資料にも、今度の資料にもないのですが、これは結局積極的に支持する論説というものはないですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/9
-
010・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは格別資料御要求というふうに私受け取らなかったんでございますけれども、別に書いて差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/10
-
011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣が探して出しますといって答弁した。探さなかったんですか。それは出さなければ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/11
-
012・秋山長造
○秋山長造君 この点はまあわれわれの方から資料要求を大臣にもして、大臣も探してみようとおっしゃっているんですから、ぜひ探してもらいたいと思うのですが、しかしこの点は皆さん、文部大臣の方でもですね、これは当然これだけの世論を巻き起しておる問題ですから、当然全国の日刊新聞の論説等には、これは非常に注意しておられるものと思いますし、また事実おられるでしょう。だからこのわれわれの方から資料要求がなくっても、文部省の方でこれは当然そういうものは集めておられるはずだと思うのですから、まして正式に資料要求をしたわけですから、すぐ出るわけだと思うのですけれども、そういうことをなさっておられないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/12
-
013・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私はただいま申しましたように、格別資料御要求という意味に受け取らなかったものでございますから、そういうふうにお答えいたしましたけれども、これは格別に見当りませんので、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/13
-
014・秋山長造
○秋山長造君 じゃ資料要求、正式の資料要求と受け取ったか受け取らなかったかという問題は別問題として、現実の問題として、そういう積極的に支持するような論説は見当っていないというのが実情なんですね。
で、ついでに資料の点でもう一点お伺いしておきますが、文部省にはせんだってまで広報課というのがあったし、まあ機構改革で広報主任官というふうになったんですけれども、まあいずれにしてもこの広報機関というものを持っておられるのです。そういうものを通じて、あるいはその他何らかの機関を通じ、この教育委員会関係の法案なり、あるいは教科書関係の法案なりについてですね、何か世論調査、あるいは厳格な意味の世論調査とは言わないまでも、たとえば新聞の論説を集めてみるとか何とか広義の意味における世論調査というようなことを今日までおやりになっておりませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/14
-
015・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 広報関係者におきまして、さような格別調査ということは行なっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/15
-
016・秋山長造
○秋山長造君 では、文部省の機関を通じてはおやりになっていないということですが、内閣にも、あれは審議室ですか、内閣審議室というのがあるわけですね。で、その内閣審議室を通じて、いろいろな問題についての世論調査が行われておるようです。たとえば憲法改正是か非かというような問題の世論調査もいつだったかやったということも、国会に報告されております。で、この問題について、内閣の審議室あたりで何か世論調査をおやりになったことはないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/16
-
017・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 関係の、各省関係の事項があった場合には、大体そういうほかの機関でやりました場合にも通知があるのが普通でございます。このたび何も聞いておりませんので、私はやられたかどうかは存じませんけれども、おそらくおとりになっておらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/17
-
018・秋山長造
○秋山長造君 結局文部省といわず内閣といわず、いかなる機関を通じてもこの問題についての世論調査、あるいはそれに類する調査というようなことは全然おやりになっていない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/18
-
019・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ほかの機関のことは私は正確には存じませんけれども、文部省におきましては、特別にさようなことをやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/19
-
020・秋山長造
○秋山長造君 これでやめますが、その世論調査の点はどうもおやりになっていないように了解するわけですが、初めに戻りまして全国の日刊新聞百何十かあるわけですが、どうもその中でこの法案を積極的に支持するような論説は見当らないという局長のお話があったんですが、これは何ですか、見当らないということは、大体全国一紙残らず百何十全部の新聞を毎日見ておられるということでもないだろうと思いますけれども、しかしまあ大体地方新聞あたりでもおもだった新聞の論説くらいは、一応文部省において目を通された上で見当らないという御発言なんですか。その点はどの程度の御発言なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/20
-
021・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この前からお話のありますのは、新聞の論説ということでございましたので、そういうふうな限定された意味で調べたのでありましょうから、これは新聞に出ております投稿とか寄稿とか、そういうような中にはいろいろ意見がございますけれども、社説につきましては、大体目の及ぶ範囲というふうに御了承いただきまして、お話のように全国各紙を一々目を通すというわけには参りませんが、一応……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/21
-
022・秋山長造
○秋山長造君 そこで文部大臣にお尋ねしますが、文部大臣はそういうものを探してみよう、こういう御答弁だったわけですが、今局長のお話では、今まで目を通したところでは見当らないということなんですけれども、これは文部大臣、探してみようということになれば、やっぱり見当らなかったということよりも、もっと少し積極的にやっぱり全国の、少くとも地方新聞でもまあおもだった地方新聞ぐらいはずっと目を通されて、そうしてどっかからかそういうものを拾い出していただく、こういうことになるわけですが、それ至急に一つやっていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/22
-
023・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今も私は見ておりますが、全面的にどの個条もみな賛成だという、政府の案を全体にわたって賛意を表しているものはまだ見当っておりません。あるいは公選の問題を今のような政府の任命にするがいいか、あるいはまたこちらの方の選任方策がいいかといったような部分的のものはありますけれども、全部よかろうということはまだ見当っておらぬです。もっと勉強してみようと思いますが、何分夜おそくなりますので、ちょっと仕事がはかどらぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/23
-
024・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣、清瀬文相にみずから全国の新聞を探せと言っておるのじゃないので、そんなことはわれわれだって言うはずもないでしょう。それから文部大臣、それだけの御老体でしかも毎日おそくまで精励しておられるのに、さらにその上に全国の新聞を文部大臣みずから探せと言っておるのじゃないので、そんなこと言っておられたらいつその資料が出るやらわからないことになってしまいますから。一つ文部大臣が見ようとおっしゃるならば、直ちにその旨を、文部省のそういう仕事を専門にやる人が大ぜいおるんですから、そういう下僚を動員してまとめるだけまとめてもらって、それを文部大臣の責任において出してもらえばそれでいいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/24
-
025・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) こんなことで争う必要もありませんが、この間矢嶋さんがおっしゃったときに、一つ探してみましょうという意味は、私が一つ見てみようという意味であったのです。それでいろいろ、(「そうじゃない」と呼ぶ者あり)いやしかし、世論なんというものは人に調べてもらって、その結果を、そのエッセンスを見てもよく納得できません。私もできるだけ原文について読んでみようと思って勉強しておるのです。あのときに探してみようというのは、私が探してみようという意味だったのです。で、局長が資料要求と解さなかったという感じを受けたのもそうだろうと思うのです。あのときの質問応答は、じゃ一つ見てみましょう――速記にどう載っているかしりませんけれども、そうなんです。そこで約束通り私の郷里の新聞から、京都の新聞からずっと、日刊でも九州とか名古屋に大きな新聞がありますから、それを逐次見ておるのです。なかなかいいことは書いてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/25
-
026・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこであらためて確認しておきますが、今資料の問題がここになっているのは、本法律案と世論との関係についてという点で質疑応答がかわされた段階に、世論を形成しておるところの新聞論調というものは誤解に基くのだと、そこで誤解に基くところの論調を一つ、新聞の方から社説を中心に一つピック・アップして資料として出していただきたいという、結果が二回にわたって出てきておるわけです。このどこが誤解だとあなた方が判断されているのか、この資料を読んだだけじゃわかりません。それはまたあらためてただすことにして、もう一つの資料は、この法案を支持している論説記事、そういうものがあるかと聞いたところが、それは探してみましょう、こういうように答弁されたわけですが、この重要法案の提出者である内閣が、この国会において成立させるためには、文部直内においては特別なスタッフも作って努力されていることでし、提案者であるあなた方の意がよくこれは通じているな百パーセントとはいわないが、これは最もよくわれわれ提案者の意が通じているという記事でよろしいですから、それを出していただきたい。何も大臣が探さなくたって、あなたの部下には優秀なるこの法案の立案作業に携わった方がおられるわけなんですから、大臣によって探していただきたいなんて言っているわけではないのですから、最もこれは提案者のを意よく尽していると、こういうように思われる記事を早急に一つ出していただきたい。
それからもう一つは、任命制の方がいいのだという論拠に立って論陣を張っているのを出していただきたい。それによって、先般来私が本委員会で審議しました本法律案と世論との関係についてこれを究明したいと思いますので、早急に出していただきたいということを重ねて要望申し上げます。よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/26
-
027・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) よろしゅうございます。新たにそういう御要求があれば……。あのとき私とあなたの話で、一体賛成しておるものがあるかというから、それは一つ探してみましょうといって、私がそういうものを一つ勉強してみようと、こう解したわけです。資料要求とはこの点は解していなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/27
-
028・吉田萬次
○吉田萬次君 議事進行について。資料提供に対してこういうようにじんぜんとして時間をつぶすということは非常に惜しいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/28
-
029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質疑に入ります。吉田委員の御発言は適切でございますから質疑に入ります。しかし、要求した資料は的確にその都度出していただきたいと思います。
質疑に入りますが、今までわれわれが質疑して参った点は、先ほど問題になりました世論との本法律案の関係というのを一通り通って、今私どもが大臣に質疑している段階は、この法律案を早急に提案しなければならなかった理由というものをただしているわけでございます。そのうちの先般大臣が発言されました、直接選挙では政治的中立性が保てない、この点につきましての質疑をいたしたいと思います。そこでまず第一番に承わりたい点は、この前総理がおいでになって総括質問をした場合にも、こういうことを総理は答弁されております。それからまた文部大臣も同様なことを答弁しているわけですが、それは現行法のように直接選挙をしなくても、住民の直接選挙によって選出された議会の承認が要ると同時に、その議会に承認を求めるところの首長は住民の直接選挙によって選出された方であるから、それでけっこうだ、こういう答弁を繰り返しされております。そのときに、それでは首長の公選制が廃止になった場合には大前提がくずれるではないか、それに対してどういう見解を持っているのかという質問に対しては、総理大臣は、首長の公選制をやめると、すなわち憲法九十三条を改めるというような考え方はないと、こういうことを言われております。そこで私が承わりたい点は、二十四年の六月十日に社会教育法というのが成立しているわけです。この社会教育法の本国会で審議されるときの議事録を調べてみますと、こういう問答がずいぶん行われております。それは戦後におけるわが国の社会教育というものは非常に重要である、だから社会教育法を出すわけだと言って、社会教育の分野その他についてずっと質疑応答がかわされて、社会教育委員の構成――十五条の段階に参ってどういう質疑が行われているかというと、こういうことが行われているのです。この社会教育を社会教育委員の方々がやられていくわけであるが、この社会教育委員の構成いかんによっては社会教育が曲げられるおそれがあると、従って社会教育委員をいかようにして選任するかということについて御承知のように、これは公選されたところの都道府県の教育委員が推薦するから、それでけっこうだと、社会教育も教育の一部である、その社会教育を含む教育、その教育を主権者の直接選挙によって選ばれ委託されたところの公選教育委員が社会教育委員を推薦するのだから、選任するのであるから、けっこうだと、これが直接選挙でない首長が、たとえば県知事が、自分らの選挙をやるときに青年団、婦人会が都合よく動くために、この知事が自分の好きな社会教育委員を任命すると、そういうことではこの社会教育は曲げられる心配があるけれども、公選された教育委員が社会教育委員を選任するのだからそれでけっこうだと、こういう質疑応答がなされておるわけです。ところが、このたびこの教育委員の選出方法として、公選制が廃止されて、そうして任命制になれば、当時の質疑応答というものは、全くこれは崩壊してしまうわけですが、こういう点については、文部大臣どういう御見解をお持ちになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/29
-
030・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 昭和二十四年には私は国会におりませなんだので、今のいきさつはよく承知いたしておりませんけれども、先輩の矢嶋さんがおっしゃるので、その通りであろうかと思ってお答えをいたします。
今の御論は、公選の市町村教育委員が社会教育委員を委嘱するのだから――委嘱と書いてあります――委嘱するのだから、それで民主主義は貫いておるのだという論があった。どちらの方から御論があったか知りませんけれども、その論は正しいと思います。それはちょうど私が今公選の市町村長が公選の市町村会議員の同意を得て選任するのだから、教育委員をその方法で選任するのもやはり民主主義には反するものではないと言うのと同じようなものの考え方と思うのであります。そこで今度は、その教育委員が社会教育委員を委かつするのですから、それがダブることにはなります。二度ダブることにはなりまするけれども、それがために民主主義をことごとくじゅうりんしてしまうということにはやはりならぬではないかと、今日一定の官職の者を政府の提案で国会が同意しております。あれもわれわれが国民から選挙されて、その選挙された者がほかの官職の者を任命するのに同意すると、その同意もダブっておるのです。けれども、もとをたぐってみれば、やはり国民の意思に基きまするから、民主主義を無視してしまうと、こういうことにはならぬと私は今考えておるのです。このことは今初めて私は聞いたことで、二十四年の議事は知りませぬけれども、やはりあれで一向差しつかえはなかろうと、こういうふうに今感想を持ちます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/30
-
031・秋山長造
○秋山長造君 今の御答弁でもそうですし、前からしばしば文部大臣は、たとえば公安委員にしても、あるいは人事委員にしても、その他いろいろな行政委員会の委員が、首長が議会の同意を得て任命するという形をとっておるではないかと、それと全く同じじゃないかということを繰り返し言われるのですけれども、それはちょっと私は違うと思うのです。たとえば公安委員もそうですが、府県の公安委員にしても、人事委員等に対しても、これは選任方法というものは、その制度ができたときから、最初からもうそういう任命制――議会の同意による任命制という形をとっておるのです。ところが、この教育委員というのはそうではないのでしょう。教育委員というのはあくまで、教育行政の民主化なり教育行政の自主性というものを確保するためには、あくまでこれはもう直接公選によるということがこの制度の本質的な要素だと、こういう前提のもとにこれは直接公選制というものが行われておったのです。それをここで任命制に切りかえるというところに私は問題があると思うので、これは公安委員だとか、人事委員だとか、その他いろいろな政府なり、あるいは地方の自治体の首長が議会の同意を得て任命する行政委員会の委員というものとは、これは前提がすっかり違っていると思うのです。それを結果だけを同じように議論されるのは、私はちょっと筋が違うと思うのです。その点はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/31
-
032・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 初めから公安委員のようなふつうの選び方をしてもいいのであったが、一たん直接選挙にしておいて、やはりこれを変えるということはできるものと思うのであります。制度の初めにできることは中途で修正の手段によってできない、こういうことはなかろうかと、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/32
-
033・秋山長造
○秋山長造君 それは一片の形式論だと思うのです。で、今矢嶋さんがるるこの教育委員会法発足当時の国会における質疑応答、政府側の答弁等の話がありましたが、さらに教育委員会法が公布になりましたときに、文部次官から次官通達というものが地方に対して出ておるのです。これはおそらくそこに大臣か局長か資料をお持ちになっていると思うのです。二十三年の七月十五日付の次官通達というものが出ている。それなんかを読みますと、これはその一部ですが、「ここに地方教育行政の民主化が達成されるとともに、教育行政の一般行政よりの分離による教育の自主性の確保が企図されたのである。」ということを、この公選制ということについて大いに特筆強調しておられるので、つまり文部当局の考え方は教育行政に関する限りは、やはり直接公選によらない教育委員会制度のもとでは、教育の民主化あるいは教育の自主性の確保ということは困難である、だからどうしても直接公選ということがこの教育委員会制度の本質的な要素であり、また教育の民主化、教育の自主性の確保の不可欠の要件であるということを、これは文部当局みずからが繰り返し、あるいは通達をもって、あるいはその他いろいろな手だてをもって特筆強調してきておられるのですよ。それを今ただ文部大臣のおっしゃるように、これは議会も公選によったものだから、その公選によった議会の同意を得て任命するのだから、やはり民主主義だというような通り一ぺんの理論でもって簡単に公選制を廃止して、そうして任命制に変えて、しかも教育委員会の本質は何ら変ってないという議論は、これはもうあまりにも私はこじつけな議論だというように思う。特に公選制という問題は、憲法九十三条にも関連しておる問題なんですね。憲法の九十三条の二項には、「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」、この教育委員というのは、「その他の吏員」というものに該当しておるのだと思う。これは憲法に直接関連を持った制度なんです、教育委員の公選制というのは。それからまた地方の住民の側から考えた場合、これは教育委員に対する選挙権というものは、これは侵すことのできない基本的な地方住民の権利だと思うのです。それをただ単にお上の都合で一方的に地方住民の教育委員に対する選挙権というものを取り上げて、そうしてどうせ選挙された首長や議会がやるのだから、それにまかしておいていいじゃないかというのは、これはあまりにも一方的なしかも、どう言いますか、地方住民の基本的な選挙権なりあるいは教育に直接参与する権利というものをあまりにも一方的に私踏みにじって省みてみない乱暴な議論をじゃないかと思うのですが、その点いかにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/33
-
034・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今のお問いの前段のことですね、私は当時の説明が直接公選が教育委員会を一般行政と分離した絶対条件だというふうに言っているとは解しませんです。しかしながら、この解釈いかんにかかわらず、世の中は刻々進歩発達しております。日々新たにして日にまた新たなり、これが政治の要諦で、当時そう考えましても、やってみればそれよりほかにいい方法が見つかれば、それに移ることが、ことにあなた方進歩主義者であります、その進歩をはばむということはできません。ここは立法府ですから、これが解釈なれば、その当時こう言って立法したんだということは典拠になりまするけれども、われわれ立法府でございまするから、その当時そう言っても、やはり直接公選よりは世の中の推移にかんがみてこういう方法がいいんだということを発見すれば、それに移ることをちゅうちょすべきものじゃないと私は考えております。
後段の憲法の規定は、「法律の定めるその他の吏員」である。直接選挙をせいという法律に定めた吏員があればそれはやれということであって、委員会の委員までも直接選挙にしろというのじゃないと解釈しております。現に、公安委員も、人事委員も、公平委員も、直接選挙しておりゃしません。これを許さぬという憲法じゃないと、私はかように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/34
-
035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はちょっと話が戻りますが、伺っているところはこういうことなんです。今度公選制を任命制にしたということについては総理もあなたも言葉を尽して住民によって公選された首長が議会の承認を得て任命するんだから十分じゃないか、こう言っているわけなんですね。ところがその一方では、あなたのところの憲法改正特別委員会の方では憲法九十三条の公選制を検討するということを公式に発表されているわけなんです。私は今伺わんとするところの重点は、わが国は政党政治が行われているわけなんです。政党の操並びにその責任はいかなるものかという点を私は今伺わんとしているわけなんです。それは社会教育法が審議された当時も、その名は違いますけれども、保守党の方々が政権の座にすわってそうして法律案を国会に提案された。そのときの質問に対しては、社会教育は非常に重要である、社会教育委員の選任法というものはきわめて重要である。社会教育も教育の一部だ、その教育全部を住民の直接選挙によってまかされているところの教育委員が、知事とか市町村じゃない、公選された教育委員が任命をするのだから、だからそれでけっこうだ、こういう説明をされた。私どもそれでけっこうだという記録が残っているわけなんです。そういうことを説明して、そうして法律案の審議を願って法律が成立してきた。それはあなた方の前身であるところの政党の方々なんです。ところがあなた方そういう説明をしてきて、今あなた方は今度はその大前提になった教育委員の直接選挙というものをやめようとしているわけなんです。これはさらに今の教育委員の直接選挙を首長の任命に持ってくれば、あなたのところの憲法改正特別委員会が高揚しているように、今は、あなた方は極力公選された首長が云々だからそれでけっこうだという。ところが一方ではその首長の公選制というものは検討するというのです。おそらく今の日本自由民主党の政権が続けば年を経ずして都道府県知事が官選になるおそれは、あの特別委員会の発表から見るというと私は多分にあると思うのです。そうなりますと一体政党の責任と政党の政治的操というものはどうなるか、この点を私はお伺いしているわけです。それはわれわれはこの日進月歩というものをもちろん考えないわけではございません。ある時代にある政党がそういう説明をして法律案を提案する、時代は変る、他の政党がこれに変ってそれに即応した違う見解のもとにこの法律案を提出し、その説明をするならばこれはわかるのですけれども、同じ流れをくむところの政党がかような事柄を繰り返す、私はこの公選制について、総理とあなたが答弁されていることは、教年ならずしてこれはついえ去るおそれがあるという懸念があるがゆえに、過去の社会教育法を審議した当時の事実に基いて私は政党政治の責任とその操という立場から伺っているわけでありまして、その角度からお答え願いたい。ただ憲法九十三条を変える考えはない、それだけでは過去の社会教育のこの実例からいっても私は納得できかねる。あくまで政治というものは責任を持たなくちゃならない、責任政治が行われなくちゃならない、政党としての節操というものはきわめて大切である、こういう立場から私は過去の事実に基いて今後の相愛のもとにお伺いしているわけであります。その立場から納得のできるような御答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/35
-
036・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 府県知事または市町村長、すなわち長の選挙をやめる考えがないということは、鳩山総理が言明された通りであります。それからして社会教育委員でありまするが、現在の教育委員会法について申しますと、今度のも同じことでありますが、社会教育に関することは教育委員会の権限であることは、矢嶋さん御承知の通りであります。教育委員会の権限であることを、さらにまたこれを委嘱すると書いてありますが、ある委員に委嘱したのであります。しかしながら委員がさらに委嘱するのであるから、そこはまた間接のようになっておりますけれども、それをよろしいと吉田内閣当時にだれかが答えたということは、ちょうど私が今選挙された首長が、町村長が選挙された議会の同意を得て教育委員を選ぶということと同じような考えと思います。当時おっしゃられたこと、私自身の同じ系統の政党じゃございませんけれども、当時言われたことは理屈あると私は考えております。それと同じようなリーズニングを私も今いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/36
-
037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣、同じじゃございませんよ。一般行政と教育行政と分離する形で教育委員会法というのはできているわけです。この場合において、首長が教育委員を任命するというのと、教育委員を見てごらんなさいませ。教育から、学校教育あり社会教育あり、全部含めて教育委員会法というのができているのです。その教育委員というのは教育全般を直接責任を持って行うように公選されているのです。その教育委員が教育の中の一分野である社会教育の委員を任命するのと、今まで一般行政と教育行政は分離されておった時代とかわって、一般行政をつかさどるところの責任者、首長が教育委員を任命するのは、任命という活字は同じでしょう、しかし内容は全く違いますよ。なぜ私はこういうことをお伺いするかというと、社会教育の重大性は適当なとき伺うとして、ここではちょっと横にそれますから触れませんが、社会教育委員が公選された教育委員会から任命されておった当時の社会教育と、この法律が成立施行された後における首長が任命したところの教育委員、その教育委員が任命するところの社会教育委員によって取り運ばれるところの社会教育というものは非常に変ってきますよ。私は社会教育の重大性と社会教育の自主性、あるいは中立性、こういう立場からこれは非常に私は重大な問題を持っていると思うのです。だから私は当時の速記録を調べてみた。そうしたところが教育委員は住民から全部公選されているのだから、その公選されているその教育委員が教育の一分野である社会教育を責任をもって扱われるところの社会教育委員を任命されるのは当然だと、なるほどと、そのときは納得しておるわけなんです。その点を私は伺っておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/37
-
038・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私頭が悪いか、よくわかりませんが、その当時公選された教育委員が社会教育委員を委嘱しても民主主義に反しないという物の考え方は、公選された町村長が社会教育委員を委嘱するのと同じような行き方であると、かように思っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/38
-
039・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと今のことで、今の社会教育委員の問題は矢嶋委員の方へおまかせしますが、さっきの御答弁の前段の、鳩山総理が地方公共団体の長の直接公選制を変更するつもりはないと、こう国会で言明しておるから変更しないと、こういう御答弁がありましたね。これは文部大臣は一つ言い落されている言葉がある、それは前提があるのです。「現在のところ」ということを文部大臣はおっしゃっておらない、言い忘れられた。鳩山総理は絶対に直接公選制を維持するということをおっしゃったんじゃない、現在のところ維持すると、じゃ将来はどうか、明日以後はどうかということについては、これはもう疑問符のままなんです。その点を矢嶋さんは聞いているのですから、それは文部大臣は「現在のところ」というまくら言葉を忘れてしまうと議論が平行線になる。じゃ、現に明日以後はどうするかということになると、ちゃんと文部大臣の所属しておられる自由主党の憲法改正案というものが発表されておるでしょう。それは御存じだと思う。その中には、これは最近発表されたのだから文部大臣はおそらく憲法問題の権威者ですから、これは大いにあずかって書き上げられたものだろうと思うのですが、この地方自治の問題については、自由民主党案では、直接公選制の緩和という項目で、都道府県知事などについては、直接公選以外の選出方法を考えるということをうたわれておる。これはもうずっと前に発表された当時の自由党案にしても、あるいは改進党案にしても――清瀬文相が中心になってやられた改進党案にしても、それから緑風会の廣瀬さんの廣瀬私案、廣瀬私案にしても、それからまたその他保守党の関係のいろんな方が私の案、私の案を発表されておられますが、そういう私案についても、この地方公共団体の長の選任方法については、もうこれは例外なしに公選制をやめる、そして何か公選以外の方法、それは直接官選ということは評判が悪いからうたっておりませんけれども、しかし公選以外の方法をとる。公選を廃止するということは一致しておるのですからね、だからさっきのように総理大臣が変更するつもりはないと言ったから公選制は変更せぬということは、それは今もうこの瞬間での議論ならそれでよろしいけれども、これは明日以後のことになったら矢嶋委員が質問されたような、抱いておられるような心配はたちまち現実の問題として出てくると思うので、そういう点はもう少し良心的に一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/39
-
040・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あのときに総理がただいまのところと言ったか、あるいは現在ではと言ったかちょっと記憶しませんけれども、しかしあす公選廃止案を出すなんということは、どんな言葉づかいをしても、それは極端な解釈と思います。かりにも一国の総理大臣が今考えておらぬということは、現内閣で考えておらぬ、また自分の政治信念としてはやっておらぬということに通ずるのでありまして、今考えておらぬと言うたから、じゃ、あすは考えるのだろう、そんなことまで言って議論してもそれは成り立ちません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/40
-
041・秋山長造
○秋山長造君 それはたとえですよ。それは、あす以後のことというのは、これはたとえなんです。そこまで文部大臣が食いついてこられるなら、これはやはり清瀬弁護士の癖が出ると思うのですよ。そんなことを私は言っておるのではないので、現在のところとは言っておられるけれども、鳩山さんもあなたも、いずれもこれは熱心な憲法改正論者でしょう。できるならば、現内閣の手によっても憲法改正にまで持っていきたいような熱を持ってやっておられるのでしょう。しかもその憲法改正の案というものは、自由民主党案というものは、ちゃんと公選制を廃止するということを天下に出してあるのです。その点、あなたが今おっしゃることと、この自由民主党の天下に発表されておる憲法改正試案というものとは矛盾しておるじゃありませんか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/41
-
042・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この法案は現内閣の政府提出法案であります。その論議のときに、改正しないということは、この内閣では改正しないということを含んでおるのであります。過去の私どもの属しておった政党、または合同しました自由民主党の政務調査会で研究するという文字があったからといって、すぐこれを改正するわけのものじゃございません。憲法改正については、一党一派の意見でやるのではなくして、ここで憲法改正調査会法案を出して、もしそれが通りましたら、皆さんの御意見によってやるものであります。それゆえに、総理が九十三条を改正するの意思なしということは、私は全く当然のことと思います。その前提のもとにおいてこのただいまやっておる案を御調査願うことは、これは論理上当然のことである。これが変るものじゃ今御審議を願う必要はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/42
-
043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はもう少し伺います。これは基本の問題でしてね、私自身、国民すべてが日本の政党の節操というものをどう見るかということは、日本の今後の政党政治の成長と民主政治の確立と至大な関係があるわけですから、私はちょっとこれを掘り下げて伺っているわけなんです。ただいま文相は今の内閣は、今の内閣はということを言われますが、御承知のようにあなたの政党においても、政党政治、民主政治を育成するために政党法というような法律を作りたい、選挙等に当っては公認制というものを確立いたしたい、しかも今の内閣制というものは、これは議院内閣制になって、御承知のように国会議員が閣員に加わることが原則になっております。若干議員以外の人が閣員になることを許容はしておりますが、議院内閣でございます。従って私はこの民主政治、政党政治下においては、その政党の生命というものは永遠です。だから内閣の何々内閣というその内閣が変ろうとも、私は政党の責任というものはすべて長く続くものであり、そこに政党の節操というもの、これが確立されない限り、私は民主政治というものは育たない、こういう私は前提に立っておるわけです。そこから私は伺っているわけで、今の私の所論は、清瀬文部大臣、御異議ございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/43
-
044・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 少し異議があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/44
-
045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どの点に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/45
-
046・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) われわれはあなた方が始終引用される通り、憲法第九十九条で、現在の憲法を尊重する義務を持っておる。この憲法がある限り、この憲法のもとにおける法律案の提出は、やはり憲法九十三条の原則も尊重しつつこの案を出さなければならない。私どもが、また私どもの友人が憲法改正を最後の目標として考えておっても、改正されることを予期してこの案を出したり討論することはできないのです。これがすなわち政治家の節操であります。しかしながら他日憲法改正がございましたら、変った憲法もまた尊重する義務があります。けれども、今この憲法のもとにおいてこの法案を出しておるのでありますから、これを尊重するということは、何も私どもの節操に変りはないのです。憲法改正がならぬうちに、変ったような言辞を弄することは、それはいけません。そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/46
-
047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣、もう少しお互いにピントを合して一つ質疑応答をやりましょう。政治家はときには片一方の耳が聞えなかったり、説き方のうまい人が優秀な政治家と言われるわけです。私は先ほどから伺っていることは、清瀬さんにわからないはずはない。あなたのようなりっぱな人が、さらにまた明晰なる人が公選された教育委員が社会教育委員を任命するのだ、首長が教育委員を任命するのとは同じことだなんだということを言われておりますが、こういう論がわからないはずはない。ことさらに私はとぼけられておると思う。(「とんでもない」と呼ぶ者あり)とんでもないじゃない、ヤジらないで下さい。その点御注意をいただきたいと思う。
で、私はもう少し伺いますが、それは、なぜ私がここでこういうことを伺うかというと、おそらく数年後における文教委員会で、あるいは地方行政委員会で、都道府県知事が官選になってくる、あるいは憲法改正特別委員会というような委員会を開かれて、そういう委員会で憲法九十三条の改正によって都道府県知事が官選になる、ところが昭和三十一年の五月、六月ごろの速記録を見るというと、公選された都道府県知事が県教育委員を任命するのだから、りっぱなこれは民主々義だ、かような質疑応答が当時の清瀬文相と社会党の委員との間において展開されておった。それはどうかというようなことは必ず繰り返されるおそれがあるという立場から私は伺っているのです。で、今の憲法のワク内においてお互いが議論をし、また疑義……、あるいは内閣が法律案を出すということは、これは言うまでもないのです。しかし私はここで一つ政党の節操という立場から伺えば、総理並びに文相がここで都道府県知事は公選を廃止する考えはない、だから公選された都道府県知事が任命するのだから一つも差しつかえないのだという一方、鳩山さんが総裁であるところの自民党の憲法改正特別委員会の責任者が、わが党として憲法を検討するに当っては、この公選制を改正する必要があるように考えているので、最終決定はしないが、そういう考え方をしているということを述べられることは、これは私は立法府のわれわれに対する政党の誠意と申しますか、節操というものに私は疑点がある、そういう立場で私は伺っているわけです。もう一回一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/47
-
048・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私どもが始終答えておるのは、選挙されたる市町村長が選挙されたる議会の同意を得てやるのだから、もとは選挙という国民の意思から来ておるがゆえに民主主義には反せない、こういうことを言っておるのです。町村長が選挙されておるということと町村議会、これが選挙に基いておるから、その選挙はやはり人民の心につながりがある、こういうことを申しておるのであります。(「つながる程度が違う」と呼ぶ者あり)だからして独任制の選任、こういうことをこの案はとっておりません。くどいようだけれどもいつも選挙されたる町村議会の同意を得てということを始終付け加えておることを頭におお、願いたいと存じます。それからして国家の生命は長いからあるいは将来はわかりませんけれども、今日われわれが現在の憲法を尊重してこれを出すのであります。今一体鳩山さんでもわれわれでも市町村の長、知事、これを将来官選にする考えだから、そこでこの案を承認してくれ、そんなことが言えますか。(「そういうことを言っているのじゃあありません」と呼ぶ者あり)われわれはこの憲法を尊重して、この憲法のある限り、この憲法の存続する一分間前までこの憲法のもとによって法案を審議するのであります。これを変える考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/48
-
049・荒木正三郎
○荒木正三郎君 関連。ただいま問題になっているこの都道府県知事の公選制を続けていくのか、あるいは公選制をやめて他の方法で選ぶかどうか、この問題はこの法案の審議する上に非常に重要な問題になってくると思うのです。先ほどから文部大臣は公選制をやめる考えはないということをしばしば繰り返しておるわけであります。しかしそれだけで私どもは簡単に了承することはできないのであります。私どもは吉田内閣当時に、知事の公選をやめて、そうして政府の任命に切りかえたい、こういう主張が行われて、非常にこの問題を重視してきておるのであります。従ってそれ以来保守党の考え方について非常な注意を払ってきた問題であります。ところが現内閣である自民党内閣におきましても、憲法を改正する、改正したい、こういうことをはっきり打ち出されて、そうしておいおいその内容についても研究を進められておるようであります。それにつきまして、秋山委員からも指摘になりましたように、あなたの党では現在すでにこの知事公選の問題についていろいろ検討を進められておるということは、これは私は事実であると思うのです。しかも先ほど指摘されましたように、あなたの党では公選の方法を緩和するということを考えて、憲法九十三条について研究する、こういう態度を表明されておるわけです。公選の方法を緩和する、あるいは公選以外の方法によって知事を選ぶという問題について研究をするということをすでに分けにされておるわけであります。そういたしますと、今文部大臣がいかに知事の公選を廃止する考えはないんだ、こういうふうにおっしゃっても、大きな政治的な立場から見れば、すでに憲法改正の中身について研究がされておる、しかもその中に知事の公選の問題が取り上げられておる、こういう情勢であります。従ってこの問題を私どもは軽視できないということは文部大臣もよくおわかりになると思います。そこで私どもが幾ら繰り返えして尋ねても、それは公選を廃止する考えは今持っていない、これ一本になってしまうと思うのですが、しかし公選を緩和するとか、あるいは公選以外の方法によって知事を選び出すということを検討しておるということは、これは公けにされておるのでありますから、これをまさか文部大臣は否定されないと思うのですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/49
-
050・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 言葉の魔術ということがありますが、あなたは公選を緩和するという文字をとらえて公選廃止とすりかえて御議論になっておるのです。政務調査会で多年憲法改正を議する時分には、緩和した公選をやろうじゃないかという考えを持っておる人もありましょう。しかしながら公選を廃止するということと、それはまた違うんです。しかしそれに私は深入りしたくありません。この案は現行憲法のもとにおいて提案しておることでございます。問題はそれで尽きておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/50
-
051・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はそういうことをお尋ねしておるのではありません。私はもう少し正確に申し上げたいんですが、あなたの方で考えられている大体の要点は、直接公選制の緩和、直接公選ということ、それを緩和するということについて、都道府県知事などについては、直接公選以外の選出方法も定め得るよう規定を緩和することを研究するというふうに発表されておるわけであります。そういたしますと、これは研究の結果ですよ、どういう結論が出るか、それは清瀬文部大臣自身にも今はっきりお答え願うということはできないと思います。私もそれを要求するつもりはありません。しかし直接公選制についてこれを変えていこうと、そういうことについて研究するということを党の方できめておられるということは事実じゃないかと、こういう質問をしておるんです。これはそういうことはないんですか、どうですか。その点をお答え願いたいと思います。この法案が現憲法下で出ておることは、私は説明を要するまでもありません、これはわかり切っております。現在憲法が改正されておらないんですから、現憲法下でこの法案が出ておるということはよくわかっておりますが、憲法改正について、こういう点について研究するということについてお尋ねをしておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/51
-
052・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 研究中のことはあろうと思います。しかしながら憲法改正の腹案についてはまだ党議は決定いたしておりません。私の前に属しておりました会も調査会として一応の案を得ましたが、これもまだ党議として決定しないうちに解散しております。しかしながら、さような研究をしておるものがありましても、今問題となっておる法案は、現在の憲法のもとにおいて改正案を出しておるのでありまするから、さよう御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/52
-
053・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私も、自民党の方で、憲法改正の草案といいますか、自民党案ができておるというふうには承知いたしておりませんし、そういうことを聞いておるのではありません。そういうことが研究されておると、研究しようということで研究されておるということについて質問をしたのですが、そういうことについて研究されておると思うということであれば、それでけっこうなんです。そこで研究の結果どういう結論が出るか知りませんけれども、これは将来あなたの党では、あるいは都道府県知事の公選は廃止した方がいいと、こういう結論が出るかもしれない。まああなたの党の政治的な立場はそういう立場にあるわけでございます。そういう点を明らかにしなければ知事が将来任命制になるかもしれない、その知事によってまた教育委員が任命されるということになれば、非常に私ども重大であると思います。そういう点を明らかにしないでこの法案を審議するということは、非常に私は粗略になるというふうに考えておるからであります。しかし、この問題についてなおお尋ねをいたしましても、そういうことは、公選廃止は考えていないと、こういうことに尽きると思いますが、しからば清瀬文部大臣は、知事の公選制について、政治的信念としてあなたのお考えを私はお伺いしたいと思うんです。これはあなたのお考えはここで御発表願えると思うんです。あなたは、知事は公選すべきものだと、こういう信条を持っておられるのかどうか、そういう点についてあなたの考えをはっきりこの際明瞭にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/53
-
054・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は公選廃止は反対です。それから、あなたのはお問いはありませんでしたが、つけ加えて申しまするが、憲法のことは山崎巖君が座長で一週二回ほど今研究最中であります。研究の席においても、公選絶対反対を唱えた人は私はないと記憶しております。やはり公選は維持するけれども、それをあるいは間接の選挙とか、あるいは議会内の推挙とか、いろいろ説が出ております。まだまとまっちゃおりませんけれども、公選が撤廃されるからこの教育委員会の性格までにも及ぶといったような、そういうえらい意見はないように私は思っております。それはお問いじゃありませんでしたけれども……。私は公選は廃止すべきものじゃないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/54
-
055・秋山長造
○秋山長造君 関連して。文部大臣は公選廃止は絶対反対だとおっしゃるんですけれども、どうも今の御答弁を聞いておりますと、公選という言葉の内容をしごく弾力的に幅広く解釈されて、直接はもとより、間接も何も全部公選の中へひっくるめておられるような御答弁なんですけれども、それはちょっと私は困ると思うんで、今荒木委員の聞いておるのは、公選というのはもちろん直接公選と、現在のような直接公選制度についてどう考えるかということを聞いておるんですから、その点誤解のないように一つ御答弁を願いたいと思います。(「再答弁」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/55
-
056・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は公選という意味はもう少し広く解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/56
-
057・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は用語が厳密でなかったかもしれません。しかし、私が言っておる公選というのは、国民による直接公選と、こういうつもりで大臣の所見を伺っておったわけであります。で、大臣は公選を廃止するということについては反対であるという御意見がございました。そこで重ねてお尋ねをいたしますが、この公選というのは、国民による直接公選、それの廃止に反対である、こういう御意見ですかどうですか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/57
-
058・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は公選はもっと広い意味で考えております。最も民主主義であるアメリカの大統領でも、直接ではございません。これを間接にしたからといって、民主主義に反するものとは私は考えておらないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/58
-
059・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今民主主義に反するかと反しないとか、そういうことをお尋ねしておるのではないのです。今あなたの党の出されておる意見として、直接公選制を緩和するということが研究されておるということなんです。これについては、知事の公選をやめて、そうして官選にすると、そういう考えはないと、これはいつまでも水掛論であるので、私は文部大臣の所見を聞いたわけですが、そうすると文部大臣は、直接公選ということについてはやめてもよいと、そういうお考えを持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/59
-
060・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) お答えしまする通り、公選ということはもう少し広い意味に私は解しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/60
-
061・荒木正三郎
○荒木正三郎君 国民による直接公選、私が聞いておるのは国民による直接の選挙です。都道府県の知事を国民投票による直接選挙、これについては賛成の意見を持っておられるのか、あくまでも反対だとおっしゃるのか、それを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/61
-
062・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今の憲法の存続する間は、直接公選は私は異存を言うものではございません。憲法尊重です。しかしながら、一般の法律論として、また他年一日憲法が改正される場合においては、私は公選を広い意味において解したいと、かように思っております。いつまでも直接公選と、県じゅうあげて直接に男も女もたった一人の知事を公選しなければならぬというこの制度は動かすべからざるものとは考えておりません。研究の余地があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/62
-
063・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の憲法のもとにおいては直接の選挙をやめる考えはない、これは私は当然だと思うのです。今の憲法は、九十三条において、直接選挙を要求しておるわけなんです。それはどんな内閣ができたって、憲法のある限りできない。しかし、あなたの方は憲法も変えようと、その中で九十三条についても変えていこうと、こういうような態度をとっておられるわけなんです。そこで私は、文部大臣は直接の国民による選挙をやめようということを考えておられるのかどうか、そういう考え方を持っておられるかどうか、憲法改正に当ってそういう考えを持って臨もうとしておられるのかどうか、文部大臣の私は意見を聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/63
-
064・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) よく速記などがあと先を切って引用されることがありまするから、私はつけて言うのであって、今の憲法の続く限りは直接公選は私は反対いたしません。しかしながら、他年一日憲法を改正する場合には、やはり選挙の方法については考慮をしてみたい。しかしながら、民意に基く民主主義の選挙を廃絶するという考えは私は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/64
-
065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは重大だと思うのですがね。重大だと言ったのは、二つの要素がある。一つは、私どもの今までの質疑に対して、公選された首長が任命するのだからけっこうだ、これでずっと押し通されてきているわけです。その公選された首長というのは、大臣は、現行憲法下において法律案を提出し、これを審議しているのですから、憲法九十三条の直接公選、これを意味していることは言うまでもありません。これが一つの要素。それからもう一つの要素は、あなたは先ほど憲法を改正するというような前提に立って、そういう心がけで法律案を出すというようなことは考えられない、そういうことはできない、憲法九十九条のある限り当然だ。その通りです。われわれは承認いたします。この二つの前提要素があります。ところが、先ほど以来の質疑を承わっておりますと、あなたはずいぶんと苦しい答弁をしておりましたが、自分の言う公選というのは範囲が広いんだ、荒木委員の言う公選と、自分の言う公選とは概念が違うんだ、こういうことを言われている。そうなれば、あなたはわれわれに公選々々と言われておったが、公選というのは、憲法九十三条に基く公選ではなくて、住民から直接選挙を受けた議会において間接選挙をする、これもあなたは公選というわけに考えられているのだが、これは憲法の改正を予想してのあなたは発言になっているのじゃありませんか。これは先ほど以来のわれわれの質疑に対する事柄と重大な矛盾を来たしております。これを明快にしない限り、次の質問は展開できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/65
-
066・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そういうことをおっしゃるから、私はしじゅうつけ加えておるのです。この案は現在の憲法のもとに出した案であります、しこうして現在の憲法の存続する限りは、たとえ一秒前といえども、現在の選挙の続く限りは、首長は直接公選でございます、それに違反する考えは一つもないということを、必ず繰り返してくっつけて、しかしながら法理論として単純の理論として私にお問いになるから、他年一日憲法改正が論じられるという場合があるならばですよ、今のことじゃありません、あるならば、公選の方法についてはゆとりを持って考えなければならぬ。あなたの今の御論のような理屈が出るものですから、くだくだしいけれども、きっと前のことをくっつけて私は言っているのです。どうぞ誤解のないように願います。(「明瞭じゃないか」「黙っておれ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/66
-
067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長、整理して下さい。真剣な質問だから(「あまりちゃちゃ入れるな、真剣な質問だから」「押し問答ばかりしている」「重要な問題だから」「質問があったら自分でせいよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/67
-
068・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 矢嶋君、質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/68
-
069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 審議権を妨害するようなことはやめてもらいましょう。
それではちょっと今度は角度を変えて承わります。それは、直接公選でない方法で選ばれた首長が教育委員を任命する、それは議会の承認を得て任命するのであるが、そういう形態について文部大臣はどういう御見解を持っておられるか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/69
-
070・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それはただいまの問題じゃございませんけれども、(「その通り」と呼ぶ者あり)ただいまの問題じゃございませんけれども、民主主義というのは、間接選挙によった首長が直接選挙によったものの同意を得て選任するならば、民主主義には私は必ずしも反しないものと思います。アメリカの大統領が、これは間接選挙です、国会の同意を得ていろいろな行政をするのを、これを民主主義に反すると言う者はなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/70
-
071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は、民主主義とは何ぞやとか、それから民主主義に反するとか反しないとか、そういうことを伺っているわけではございません。それで大体大臣の気持はわかったと思うのですがこういうことなんですね。それはまあ現在現行憲法の厳然として存在する間は住民によって直接選挙された首長が教育委員を任命するのであるから、現行法のように住民が直接選挙によって教育委員を選ぶ必要はないと、こういう立場でこの法律案を出しているのであると、しかし清瀬文部大臣としては、将来において首長を住民の直接選挙で選ぶ選挙制度が改正されて、たとえば議会の選挙によって教育委員が任命されるような場合、あるいは議会によって選挙された首長が任命するような場合があり得るが、それでけっこうだと自分としては考えていると、また将来の憲法改正が自民党によっていかように推進されるか、今明確に答えはできないが、都道府県知事が時の政府によって任命され、その都道府県知事が議会の承認を得て任命するような場合もあり得ると、それについては、清瀬文相としては、そういう場合も民主主義はこわれない、それでもいいと、こういうような二つの将来に対する予見も持っておられるのだ、かように先ほど以来の私は答弁を了承するわけですが、さようなお気持でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/71
-
072・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 半分ほどその通りで、半分ほど違います。先刻以来荒木さんとの質疑応答の際にも、知事が官選の場合については論及しておりません。やはり選挙制度は維持したい、しかし学問上どっちがいいかという場合、または他年一日憲法でも研究しようという場合には、知事の選挙制度は維持したいが、しかし必ずしも直接選挙というものに固守する必要はないじゃないか、こう言っておるので、あなたのお問いの後段は少し私の言ったことと進みすぎております。(「その通り」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/72
-
073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 じゃ、この点について最後にもう一点伺います。さきほどから私は政党の責任の永続性ということを前提にして承わったわけですが、明確にお答え願いたいのです。今の自由民主党としては、鳩山内閣の母体になっているわけですからお伺いできると思う、としては、時の政府によって任命された都道府県知事、まあいわば官選知事ですね、こういう人によって議会の承認を得て任命するようなことは絶対賛成いたしかねる、こういうお考えは持っているのだと、こういうふうに了承してよろしいですか。(「行き過ぎておる」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/73
-
074・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 府県知事の官選は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/74
-
075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 自民党としてそういうお考えを持っているとすれば、今のあなたの発言というものは、政党の責任の永続性という立場から未来永劫にわたって私は責任を持たるべきものだと、かように考えますが、御異議ございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/75
-
076・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は今党の代表じゃございませんけれども、ここにも党員がたくさんおられまするが、わが党では全くの官選知事、明治時代の知事の復帰は考えておらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/76
-
077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 きょうこういう質疑が行われましたが、まあ小選挙区制でも現在の政府与党で強引に国会で成立をさせて、(「話が違うよ」「やわらかいもんだ」と呼ぶ者あり)保守政権が続けば数年にならずして本日の速記録を見た場合には、いろいろと(「そんな心配ない」と呼ぶ者あり)問題が起ってくることがあるであろうということを私は一応ここで予言をいたして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/77
-
078・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 質疑をお願いいたします。予言じゃなくて。(「議事進行」と呼ぶ者あり、有馬英二君「問題の核心を離れています」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/78
-
079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 有馬さん、伺いたいことがありますからそう言わぬで下さい。核心に触れているつもりで私どもは一生懸命お伺いしているわけですから、そう言わないでちょっとまあ聞いて下さい。文部大臣に伺いますが、文教の問題、まあ文教政策と申しましょうか、それはわが国は政党政治が行われているわけですが、政党の政策と関係があるということはお認めになりましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/79
-
080・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) むろんのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/80
-
081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そうすればここに教育委員選挙がされたときに、ある政党の候補者がその政党の文教政策を公約として掲げて選挙を戦った、そしてAなる政党の公認候補が当選したということは、Aなる政党の文教政策が国家の主権者である住民に支持された、このことは間違いないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/81
-
082・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) むろんと思いまするが、何か伏線がありますればその事情によって……。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/82
-
083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 伏線も何もない、答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/83
-
084・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 一般的のことでしたら、当選した者は選挙区から支持されておるので、その言葉通りですからイエスというほかはありませんが、あなたのいつもの御論の通り何か伏線があればまた……。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/84
-
085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もうよけいなことは言わぬが、伏線も何もないから率直に答えてもらいたい。それでは次に伺いますがそれは、あなたは直接選挙では政治的中立性が保てないと答弁された、それの件について今質疑がわれわれの間で展開されているわけですが、そのときにあなたはこういうことを申されております。なぜかというと五人とも一つの政党で独占されることがあるから、こういうふうにその説明をされております。このことはどうなるのでしょう。選挙があれば必ず公約というものを掲げましょう、その政党公認の候補はその政党の文教政策を掲げるわけです。それが支持されて当選された、これは住民の支持があったということに間違いないということはあなたはお認めになっている通り。これが直接選挙をやめて任命制に切りかえなければならぬ理由だということがどうしても納得できない。その点を一つ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/85
-
086・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) その点はきのう安部委員よりの御質問について、私御了解を得るために努力して答えたつもりであります。(「その通り」「できなかった」と呼ぶ者あり)それは民主主義、すなわち民意を反映する、こういう一つの命題とそれから中立を保つという一つの命題とは必ずしも一致しないのであります。民主主義、民意を保つといいましても、今日は単純な選挙じゃなくして政党を基礎としてやる選挙でございます、現実は。教育委員の選挙だから政党に関係せずに投票せよといったところが人が聞くものじゃない。(荒木正三郎君「文部大臣、そんなことないですよ」と述ぶ)すなわち民主主義からすれば、やはりそれは選挙というものを固執されるということはよくわかります。しかしながら一方また教育は政党、政派の派閥に超越した中立を保っていくということが、あなた方御引用になる教育基本法にあるもう一つの命題なんです。この二つは必ずしも両立いたしませんです。だんだんと日本の政治は民主政治も進歩し、二大政党主義も発達し、村々の末までやはりあなた方の政党の御発達も国民は喜んでおるでありましょうし、またわれわれの党派もまた十分に働いて末々までもわれわれの保守主義が徹底することを努めておるのであります。その中で教育委員の選挙をするというと、やはり党派的の欠陥が現われることはこれは事実なんです。本人の委員は教育委員だからして党派的の考えを捨てようということを考えましても、人間の心は水を別の器に入れるようにはなりませんです。そこで政党組織で選挙をするということになれば、一党専制ということになりがちなんです。それをどうするか。民主主義、国民から出てきたという筋は維持しながら中立を保とうというのでありましたら、一方、二人以上は同じ党派に属さないようにという工作をして、そこで学識、識見の高い、教育、文化に造詣の深い人を選ぼう、こういうことで、あったら、一方は選挙によって出てきた町村長が選挙によって出てきた議員と相談してきめるのだから国民の意思という系統はそこでつながる。一方、二人以上は同じ党派に属せぬというのだから中立も保てよう。しかのみならず、昨日も申しましたように、教育委員は政党幹部であってはならぬ、また積極的政治運動をしてはならぬという制限もつけられるのです。もしこれ、選挙による委員に政党幹部になるなとか、積極的政治運動をするなとかいう規則をつけることは穏当でありません。けれども選任によれば、そういうこともつけられる。しかしてこれは新たな冒険じゃなくして、公安委員会なり人事委員会なり、公平委員会なりをやってみてよくできておるのであります。そこを弁別してよくお考え願いたい。中立主義と民主主義はどっちもいいことだけれども、必ずしも一致しない。その現実を認識して審議をお進めあらんことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/86
-
087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 人事委員会、公安委員会の例を二、三度引かれましたが、これと違うということはあとほど質疑応答をやります。ここですぐそこに入っていきますと、お互いの質疑応答は横にそれますので、あとほどさらに質疑応答をやりますが、それで人事委員会、公安委員会と教育委員会を同一視してこの人事委員会、公安委員会の名において答弁されるということは了承できません。そこで私は伺いたい点は、この政治からの中立性ということを言いますが、一体先ほど伺ったように、教育の問題を取り上げていく場合、具体的に地方教育、学校教育だけでも一つ想起して下さい。その中の予算だけ考えた場合に、一体政策、そういうものと離れて考えられるかということなんですね。教育の内容そのものは政治的中立を保たなくちゃならぬのです。これは教育の基本法にも書いてある。それは教育の場において教育に携わっているところの教育者そのものに要望されることなんですね。これは現行法でもちゃんと規定されている。ところが教育の予算をどの程度にしてどういう教育政策をやるかという、そういう問題をくるめて一切政治と分離するという、こういう文部大臣の説明はこれは私は納得しかねるのです。おかしいと思うのですよ。まあいわば教育委員諸君はもうこの政治的活動力もない、全く中性みたいな、失礼かもしらぬが、隠居さんみたいなそういういわゆるこの活動力に乏しい人で構成していくというように、さように私はとられます。結論としてはそうなるかもしれません。一体国家の中における教育のこの位置づけからいって、その政策とかあるいは予算とか、そういうものと分離して一体教育というものは伸展するでしょうか。私は先ほど申し上げたように、これはわが国の文教政策というのは、これはいろいろそのそれぞれの立場々々によって見解を異にするでしょう。それをあなた掲げてそれを住民に訴え、一人々々の秘密投票によって意思表示をしていただいて出てきた結果というものは、私はこれはその地域の住民の総意と、かように解釈するのはこれは火を見るより明らかだと思うのです。それが最も正しいと思うのです。そのしかも打ち出されるワクというものは憲法、教育基本法、学校教育法、社会教育法の一連の教育立法のワク内において打ち出される、それを受けて現場の教師が、公務員が政治的中立を保ちながら教育を展開する、どこがこれは間違っているでしょうか。大臣はこの前私の質問に対して、住民の意思表示の方法としては、住民の一人心々の秘察投票が最も正確に出るということをお答えになったじゃございませんか。納得できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/87
-
088・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あなたはあるときは教育は政治行政と分離せいと言い、他のときは分離してはいけないとおっしゃるのですね。(「そんなことは言っていない」「聞えたな」と呼ぶ者あり)しかしながらそれにはかかわらずお答えいたします。学校教育が一党一派に偏してはならぬということは、教育基本法にありまするから、これをお認めになると思います。教育委員はどうする役ですか。教育委員は学校教育を指導し管理する役でしょう。教員の服務もつかさどる、また教科書その他教材の取捨もやるのです。それから学校の組織、編成、教育課程、学習指導、生徒指導、職業指導もやるのです。学校教育が政治的中立を保てという命題がある以上は、それを管理する教育委員会は政治的中立を保つのは当然じゃございませんか。教育委員会は政治的中立を保つべからずというのじゃ私は少しいけないと思うのです。(「そんなことだれも言ってないよ、文部大臣」と呼ぶ者あり)これをもってお答えといたします。(「そんなこと言っていないよ」「何のことかわからぬのだよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/88
-
089・荒木正三郎
○荒木正三郎君 まだ続行されるかどうかによって、私質問したいと思いますが、この際資料要求をしておきたいと思います。文部大臣は公選制の廃止、任命制に切りかえについて、公選制を続けていけば政治的な中立がそこなわれる、あるいは一党によって教育委員が独占される心配がある、こういうことをたった一つの、たった一つといいますか、非常に大きな理由にしておられます。私は非常にこの判断と反対の考えを持っているのですが、そこで資料を一つお願いしたいのですが、現在の教育委員、私の考えではほとんど政党に入っておる人はないと思うのです。あっても非常に少いと思うのです。教育委員の選挙は政党が推薦をして政党が中心になってやったと、こういう例は非常に少いように思っております。そこで現在教育委員をしている人で政党に籍を置いている人はどの府県の教育委員で何人くらいあるのか、あるいは地方教育委員で何人くらいあるのか、その資料をできるだけ早く提出をしてもらいたい、要望しております。
なお、質疑が委員長において続行されるならば、この問題について質疑しますが、この辺で休憩されたらどうかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/89
-
090・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 調べたものがございますから出しまするが、調べは現在、ただいまということになるというと、(現在です、将来はわからぬでしょう」と呼ぶ者あり)できませんので、少し古くなりますけれども、一両年古くなりまするけれども、提出いたします。
それから私の数日以来言っているものは、過去のことよりも現在の情勢から将来どうなるだろうという心配がおもです。二大政党に去年組織ができまして、あなたの方も非常に発展されつつあります。こちらも勉強しております。この情勢を考えて言っておることをあらかじめ御承知おき願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/90
-
091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの資料と関連があるわけですが、早急に出していただきたいのは教育委員です。議会に承認を求めるために提案権を持っている首長の政党所属別表並びに首長の提案を処理されるところの議会を構成している議員の政党所属別表、これは先ほど荒木委員が要求された資料と裏表の関係になるわけでありまして、ぜひ必要でございますから至急に出していただきたい。それを要求申し上げまして、あとは議事進行になりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/91
-
092・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それに追加したい。今の矢嶋さんの要求された資料に都道府県の知事の政党別ということがありましたが、それはそういうふうにしていただきたい。ただ、さらに昨年の選挙においてどの政党の、どの政党というよりも、選挙に当って政党の推薦を受けて、どの政党の推薦を受けて選挙活動をやったかということも、私ははっきりしておいてもらいたいと思います。これは非常に大事です。政党に入っていなくても、首長選挙はこれは文部大臣おっしゃるように、政党が全部関与してやっておりますよ。ですから入っていなくてもその政党色彩が問題になります。従ってどういう政党が推薦をして知事選挙をやったかということもあわせて調査して資料として出してもらいたい。私は都道府県だけでよろしい。市町村まではと言いませんが、それだけは出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/92
-
093・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまの資料御要求のうち教育委員会に関しますものは、これは文部省の所管でございまして、それは提出いたします。先ほど大臣からお答えになったと思いますが、知事並びに県議会議員の選挙につきましては、私の方に手元にございません。関係機関に打ち合せました上で、できるだけのことをいたしますが、その前提を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/93
-
094・矢嶋三義
○矢嶋三義君 念を押しておきますが、市長と議員関係のは、あなたおっしゃる通り、あなたの手元に資料がないでしょう。だからお集め下さるのに骨折られるかもしれませんが、若干の大新聞社の政治部に問い合せたもの、そのものでもよろしいですから、朝日新聞の政治部ではこういう数字を持っておる、あるいは毎日新聞、あるいは読売新聞の政治部ではこういう数字を持っておる、この数字でよろしいのでございますから、その数字はあとであなたの書き方が悪いというような追及はいたしませんから、すぐ出ると思いますから、そういう資料を早急に出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/94
-
095・田中啓一
○田中啓一君 資料要求。だいぶ市長あるいは委員の選挙問題が出ておりますので、私は県教育委員、現在当選なさっている方が、いかなる政治団体の、これは政党といわず範囲を広げて、いわゆる選挙において政治団体の推薦を受けて出られた、もしわかりましたら、あるいは前にあったかというようにも思いますけれども、なかったらお願いをいたしたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)それからまたさらに落選、当選を問わず、最近の県教育委員会の選挙において、候補者がいかなる団体の推薦を受けてやっているか、これももしわかりましたらあわせて提出を願いたいと思います。(「それはいい資料だ」「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/95
-
096・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) ただいまの田中委員のは教育委員だけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/96
-
097・田中啓一
○田中啓一君 ええ、県の教育委員だけです。(「市町村はよろしいですか」と呼ぶ者あり)よろしいです。とても大へんだと思っておりますから。市町村も出したらどうかね、出した方がいい(「これはあんた要求しなさい」「市町村はPTAだとか、青年団が推薦しているよ」「必要だよ」と呼ぶ者あり)それは遠慮します。(「遠慮せぬでもいいよ」と呼ぶ者あり)いや遠慮します。(「社会党から要求しますよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/97
-
098・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまの教育委員の選挙のときの支持団体別ということは、非常に資料がむずかしいのでございますが、何というか、出身団体と申しますか、そういうものの調べは一応大ざっぱな調べがございますから、それをお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/98
-
099・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それは出ているよ。それじゃなしに、間違えたら困るよ、推薦団体を出してもらいたいというのです、それはあるよ、(「自治庁の選挙部に行ったら」「そんなこと調べていたらこの審議はできないよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/99
-
100・湯山勇
○湯山勇君 それから現在の県教委だけではなくて、前回と最近のと比較がほしいと思いますから、これは二回やっておりますから、それによって傾向を見なければならない。前回はどうであった、現在のはどうであったという、比較できるような表に今の田中委員の表をしてもらいたい。これは教育委員、県教委についてはです、これはできましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/100
-
101・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 十分調べてみますので、その結果またあらためて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/101
-
102・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは笑いごとじゃないですよ。この公選制を任命制に切りかえた理由は、直接選挙では政治的中立性が保てないからだと、こういうふうな理由を明確に提案者が説明している以上ですね、どちらが中立性が保てるのか、果して中立性が保てないのかということを明確にするためには、今われわれが要求した資料なり、さらに自民党の田中委員が要求した資料なり、全く私は適切なものだ。これは田中委員は都道府県だけで市町村は遠慮すると言いましたが、私は遠慮しません。これは市町村教育委員も、いかなる団体の推薦を受けて出た人が出ているかということを、これは選挙部なり、あるいは先ほど私申しました教育関係の団体なりですね、あるいは教育関係の新聞等を発刊しているところとか、あるいは日刊新聞とか、そういうところのしかるべき機関に問い合せれば、明確に出ますので、一つでは判断に迷いますから、二つ、三つですね、出所を記して委員会に出していただきたい。
なお加賀山委員長、質問どうかということですが、十二時二十五分になっていますので、一応ここで昼食にされ、午後……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/102
-
103・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 矢嶋委員の質疑は終るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/103
-
104・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いや、終りません。今私がしておるわけではなくて、委員長の委員会運営の基本方針に従って、一つの問題が取り上げられる場合に、その問題にみんなでただしておるわけでございまして、私どもこれはまあ序の口ですよ。今基本のところをやったわけでしてね、ここで昼食にして、午後……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/104
-
105・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) では議事進行の御発言ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/105
-
106・矢嶋三義
○矢嶋三義君 という議事進行の発言でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/106
-
107・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) いかがでございますか。矢嶋委員から御発言ありましたが。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/107
-
108・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) それでは午前中はこの程度で休憩にいたします。午後は一時二十分から再開いたします。
午後零時二十六分休憩
――――・――――
午後一時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/108
-
109・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) これより委員会を再開いたします。
本日ただいま審議中の二法律案につきまして、地方行政委員会から、文教委員会との連合審査会の開会について決議を行い、正式に申し入れて参りました。お諮りいたします。本院規則第三十六条に基き、本法律案について地方行政委員会と連合審査会を開くことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/109
-
110・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。
ついては、連合審査の開会の日時を御決定いただいておかなければならないと思うのでございますが、地方行政委員会からは十四日(月曜日)午前中というお申し入れでございます。右のように取り計らいまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/110
-
111・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。さように決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/111
-
112・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 安部委員より、昨日の委員会における発言中不適当の個所がありますのでこれを削除いたしたい旨のお申し出がありました。右削除につきまして御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/112
-
113・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 右削除につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/113
-
114・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 御異議ないと認めます。委員長においてさよう取り計らいます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/114
-
115・矢嶋三義
○矢嶋三義君 さっきの連合審査について関連して伺うのですが、わが参議院の内閣委員会で審議している臨教審の案件についての委員外発言の機会は、次回はいつということに相なっておりましょうか、その点念のため伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/115
-
116・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) これは二十八日の委員会後でございましたか、理事会において、内閣委員会から三十日に委員会を開き、今矢嶋委員から申された法律案についての審議をする、委員外発言があれば出席するようにという連絡がございまして、これを理事会において湯山理事に申し上げ、御連絡方をお願いしたのでございまして、三十日に委員外発言をする機会があったわけでございますが、その後私といたしましては内閣委員会に連絡はいたしておりませんし、内閣委員会からも何ら連絡受けておりません。
速記をとめて。
〔速記中止〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/116
-
117・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記を始めて下さい。
午前中に引き続きまして、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/117
-
118・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今質疑をやっている焦点は、直接選挙では政治的中立性が保てないというところをやっているわけですが、これを審議するに当っては、午前中から私どもから要求いたしました資料の提示を待って私は審議するのが妥当だと考えます。それによって、直接選挙の方が中立性を喪失するのか、それとも現在公選されたところの首長が議会の承認を得て任命するという形態をとる方が中立性が保てるのかということが、私は一応判断されるだろう、かように私は考えております。で、早急に要求した資料を出していただきたいわけですが、これと関連ある問題についてもう少し大臣に伺いたいのですが、これは公選制をとることが教育基本法あるいは現行教育委員会法の一つの重要なポイントになっているのだ、だから、今の日本の段階では公選制を堅持していくべきだという意見と、政府則の意見では、あえて公選制をとらなくても民主主義はこわれないし、また教育基本法あるいは現行教育委員会法の第一条の精神にもとるものでない、こういう答弁を繰り返されているわけですが、私は質問を続けていくに当って、公選という言葉が出た以上は、決して私は揚げ足を取るわけじゃないのですが、文部大臣に念を押してから、次に進みたいと思います。
それは、一昨日の他に委員の質疑の最後において、公選制を主張するのは迷信だと言われました。で、委員長が散会を宣しましたので、私はあえてそのときはたださなかったわけですが、あの当日直接的に、その他に関連して、われわれとしては公選制の問題をずっと論じてきた。きょうもまたそれを論じなければならないわけですが、あのときに最後に、公選制を云々するのはこれは迷信だと言われましたが、これは大臣は私は不穏当だったと言って取り消されれば、これはもう触れません。しかし、それを取り消されない以上は、一体われわれの主義が迷信だとはどういうことなのか、解明していただかなければ、私は次の質問を続けるわけに参りませんので、まずこれを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/118
-
119・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) お答えをいたします前に、今の質疑の前段の中のお言葉に、私が公選では中立が保てないと断言したかのごとく御引用でありましたが、これは相対的のことで、公選の場合でも中立は保てましょうけれども、しかしながら、われわれの案の方がより中立が保てるので、公選の場合は絶対的に中立なしと、こういう意味じゃございませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/119
-
120・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういうことは私も言っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/120
-
121・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 始終あなたの言葉は強い文字をお用いなので、私の言葉を引用されたのをそのまま経過しまするというと、私が公選では中立は保てないと断言したごとくだんだん進んでいきますると、世間に誤解を与えまするから、相対的のこととお考えを願いたいのであります。
それからして、一昨日のことは、公選を信ずることを迷信だと言うたのじゃございませんですよ。教育基本法の十条なり、あるいは教育委員会法の第一条なりに、教育行政は国民全体のために行うというあの文字から、この各地方における直接公選をしなければならぬという意味が含んでおるといったようなことを多数の人が言うのは迷信のごときものだと、こういうのです。迷信というのは、科学的真実じゃないことを多くの人が共通して信じておることを、一般に迷信と申します。しかしながら、その言葉が用語上穏当でございませんから取り消します、迷信の二字は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/121
-
122・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣が取り消されましたので、こういうことで時間を費すとおもしろくないから、もうこれで触れませんが、ああいう言葉は今後御用心願いたいということを申し上げておきます。
そこで質問を続けますが、大臣、この都道府県教育委員、市町村教育委員にある方を任命する場合、政党に所属しない方と政党に所属している方は、どちらが望ましいというお考えを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/122
-
123・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それは、今どちらとも申すわけに参りません。これからだんだんと政党に所属する人が多くなりましょう。政党に所属するからといって、教育をゆるがせにするというわけのものじゃございません。また政党に所属しない人も、教育に経験あり達識の方のたくさんあることは、御承知の通りであります。どちらがいいかということをあらかじめ決定はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/123
-
124・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの答弁に関する限り、了承します。私はなぜあえてこういう愚問を発したかと言いますと、私は先般来あなたの発言を承わっていますと、どうも政党人でありながら政党不信という、極端にいえば、教育に関する限りは政党否認というお考えが、そこにあるやに推察される御発言が非常に多いので、考はあえて承わったわけでございます。そこで伺うわけですが、私は昨年、日本の教育委員会制度が発足する当時にいわば指導的役割を果したアメリカの地方教育行政制度を、短時日でございますけれども、相当数視察して参ったわけです。そのときに、公選制と任命制とはいずれがよろしいか、どういう状況かという結論を出すために、一つ資料を得たいと思って、私のできる範囲内で努力したわけですが、私がつかんだ結論を簡単に申し上げますと、今まで長きにわたって教育委員会制度のもとに教育を展開して参りました、そういう点からいえば、われわれよりは経験の深い彼らでございますが、その当事者が言うことには、結局公選制がいいか任命制がいいかということは、その地域のいろいろの条件、特に民主主義理念とその実践が、どの程度に進んでいるかということによってきめるのが妥当であるだろうという発言です。そして日本の場合どう思うかということを至る所で私は聞いてみたのですが、日本は戦後初めてこの民主制度というものが発足したのであって、アメリカの教育委員会制度の発足並びにその後の発展過程等を見る場合に、まあよその国のことについてとやかく言うわけではないのですが、われわれが持っている知識によって判断する範囲においては、日本では将来はともかくとして、当分公選制を若干の支障があっても実施するのが適当だと思う。これは私は六、七人の人に会ったのですが、みなそういう意見を吐かれたのです。私はなるほどなあと思って帰って参ったわけですが、私の申し上げたこの発言は、自民党の木村委員も同行してですから、一緒でない場合もありましたが、一緒の場合もあったから、木村委員も聞かれているわけですが、従って、私は今公選制を任命制に切りかえるという点について政府側が答弁している内容というものは納得しかねるわけですが、必ずしも他国の制度というものが、日本に左から右に持ってきて、そのまま適用するということはできないわけですけれども、そういう世界的な制度の現状というものをどういうように参考にされたのか、文部大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/124
-
125・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 教育委員制度に限らず、すべて政治行政の制度は、一国で成功したものが必ず他国で成功するというふうに限りませんので、その国の歴史とか、あるいは民情とか、外国人ではちょっと了解のできない国民の気分とか、いろいろなことに関係いたします。イギリス、アメリカ、フランス、ドイツの制度も、われわれ立案の際には調べましたけれども、最も私どもの注意深く考えるところは日本自身のことであります。外国でよく花が咲いたバラも、日本へ持ってきて植えれば、いい花が咲かぬということもあり得るのでございます。外国の制度も調べましたが、結局日本の現状を顧みてこの通りの案が出たのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/125
-
126・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は日本の現状という立場から私の所感の一端を申し述べて、大臣のこれに対する御意見をお答え願いたいと思うのです。
それは、アメリカにおいても、英国においても、二大政党下における民主政治が行われている。それは望ましいものであるということは、国内の世論であった。で、わが国に二大政党が昨秋以来発足した。そこで二大政党下における民主政治の育成にお互い努力しているわけですが、しかし日本の政党の歴史と、それから政党人の政治的識見並びに経験というような立場から、この二大政党下において共通の広場を持つことが大事だと言われながら、頭ではわかっているのだけれども、ともに未熟なるがゆえに、なかなかその共通の広場を持ち得ない。それが現在の日本の国会の運営に現われているし、日本の民主主義の危機というふうな識者の批判も出てきておる状況です。確かに、私は未熟な点は認めて今後努力しなくちゃならぬと思うわけですが、これはまあ一つの例として申し上げておるわけですが、そこでこの法律案に関係があるものとして申し上げますと、今首長が議会の承認を得て任命するという場合を予想した場合に、いずれ正確な資料を出していただいてさらにただしますが、大臣みずから認められているように、二大政党下に入って各党は、当然でありますが、党組織の拡大強化という立場から、全国町村にわたって党の支部を作っている現状です。これは文部一臣、先日も発言されたところです。それで最近は、従来と違って、首長というものはほとんど政党的立場を明確にしつつございます。その一つの現れとしても、たとえば院内を考えましても、私は三年前の参議院選挙を前にした当時の院内の各交渉団体の状況と、二大政党後における参議院選挙を前にした現在とは、若干私は趣きが変ってきていると判断しております。これは日本に二大政党が誕生した影響として現われてきていると思うのです。昨年の選挙を見ましても、ある政党に公然と所属するか、それとも保守系かあるいは革新系かという立場を明確にして、それを明確にするということは政策を明確にすることなんですが、選挙戦が展開されております。これは市町村段階に参りましても、特定の場合を除いては、そういう傾向はきわめて顕著なんです。
しかも、この民主政治、民主主義の実践というものはまだきわめて経験浅い日本の国です。そういうときに、そういう首長さんに教育委員を選任させる方が住民の総意に沿うような委員が得られるのか、それとも、この過去数年間経験してようやく地について参りました住民一人々々の秘密投票によって、自分のかわいい子供の教育をまかせる人を選ぶ方が民主的であり、住民の総意というものが出るのか、この点については私は相当はっきりと答えが出てくると思う。従って、私は何らか他にどうしてもこうしなければならぬという理由か、何か他に意図があってこういう改正をされておるのじゃないか、その意図が本委員会において明快に答弁されないところに、この問題についての質疑が堂々めぐりをしておるのじゃないか、かように考えておる次第です。それらの点について大臣の所見を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/126
-
127・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今回提案いたしたような、直接選挙によって選ばれた町村長または知事が、直接選挙によって選ばれた議員の同意を得て教育委員を選任する、しかしながらその際に同じ党派からは二人しか選べない、こういう制限がつき、しかも選ばれた人は積極的の政治運動もできず党の役員にもつけない、こういう制限で選びますというと、中立性を保ち得ると、私はかように信じております。その中立性を保ち得る度合いというものは、直接選挙の場合よりもなお安全、確実だと思っております。理想的のまた選挙制度になれた時代においてはともかくでありますけれども、わが国の現状から見れば、選挙といえば必ず政党の応援になります。いやしくも公職といったようなものはわが党にとろうといったような心が起りまして、これを選挙にかける時分には、選挙は勝つのがいいですから、一人候補を立てるよりも二人、一人当選者を得るよりも二人、二人よりも三人、政党の方が欲が出まして、しまいには全員をわが党にとろう、こういうふうなことになりますと、ややともすると、教育の中立を害する。けさほどは教育委員会の中立を保てるという法文はないじゃないかとおっしゃるけれども、これは学校を管理する委員会で、学校それ自身は中立でなくちゃならぬということが法規にあるのでありますから、やはり私の方の考えた案の方が、国のために、教育の中立なり安定なり、この間申し上げました通り、地方議会との調和なりを得て、この方が私は理想に近い。世の中のことは、これが完全無欠ということはございませんが、現状にかんがみてよりよきことであったら、これをとるにちゅうちょしてはならぬ、これが私どもの心境でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/127
-
128・秋山長造
○秋山長造君 今の文部大臣のお考えは、抽象的に純理論的に考えると、そういうことも一応納得ができます。納得ができますけれども、しかし実際問題としては、文部大臣は口癖のように、今後の見通しということを考えた場合、政党の各組織がもう町村の末端に至るまでできてしまう、自民党にあらずんば社会党、社会党にあらずんば自民党というようなことになりかねない、そういう事態のもとで選挙をやれば往々にして一党独占というようなことになるおそれがある、だから、公選制よりも任命制の方がよろしい、こういうことを繰り返しておっしゃっておるのですけれども、しかし、これはけさほど憲法の問題で、将来のことは考えないのだ、目前、目下の状態において考えておるのだということをしきりにおっしゃっておりますが、今度は打って変って、この問題になると、現状においてということよりも、今度は将来町村の末端支部ができてどうこうという、将来のことをもっぱら前提にしてお考えになっているような御説明なんです。その点がまず第一点。
私はちょっと、あまりその場その場で勝手などうも前提を置かれ過ぎるように思うのですが、それと、それからもう一つは、将来の見通しということについて考えてみましても、しからば現状において、各府県、市町村の教育委員の党派別という統計はいずれ資料として提出されますから、それをごらんになればわかりますけれども、これはもうごらんにならんでも、大体常識としてこれは非常に党派に所属する教育委員というのが、議会から送られている委員は別ですよ、しかしそれ以外の一般公選で出てきている公選委員で、政党に所属し党籍を持っている委員というものは、まことにりょうりょうたるものです。今後はしかし、それはそうはいかぬ、一朝にして一変するくらいに党派色が濃厚になってくるだろうというお話ですが、これはなかなかそうはいかぬだろうと思うのです。これはどこの国の例を見ましても、どんなに政党政治の徹底した国の例を見ましても、一町村の末端まで、自民党にあらずんば社会党、平家にあらずんば源氏というような、そんな事態というものはなかなかあるものじゃない。いわんや日本の国情において、なかなかそこまでの事態というものは、これはまあ何十年かかるか、何百年かかるか知らぬけれども、何十年かかっても、そういう事態というものはちょっとただいま予想ができない。むしろ、そういうことよりも、これは地方団体の首長なりあるいは議会の議員なりの政党化ということの方が非常に早いだろうと思う。だから、公選制をやめて、そうしてさて諮ろうとする議会というものは、これは非常に党派的な色彩の濃いものになるだろうと思うのです。文部大臣のおっしゃるような見通しならば、非常に濃いわけです。往々にして一党が議会の全議席を占めるというような事態も、これは教育委員の場合よりももっと近い将来に起り得ると考えられる。それからまた首長の方も、府県知事や市町村長にしても、そうです。だから、そうなりますと、そういう非常に党派色を帯びた首長や議会によって選任される委員というものは、なるほど形式的には同一党派に所属する委員が過半数を占められないという制限はあるけれども、これはもうほんとうに形式的な制限だと思うのです。だから、その任命をするときには、暫時その委員の任期間だけ党派をはずしても、これはいいわけだし、それからまた直接党籍は持っていなくても、実質的にはその党派の人と何ら変らないような人を選ぶということは、大いにこれはあり得ると思うのです。だから、むしろそういう別に危険を犯してまで、今の直接公選制を廃止して任命制に持っていくということよりも、やはり直接公選制の建前は堅持して、そうしてそれと、どうしても文部大臣のおっしゃるような御心配が、一党で独占するというような御心配がどうしてものかないならば、直接公選制で、しかも同じ党派の人が過半数を占められないという制限を置いたらどうですか。町村の末端まで政党政治が徹底するという時代ならば、当然政党の党内における統制、規律というものも、これは十分徹底してくるであろうと思う。だから、その過半数は占められないという制限が一方にあれば、政党が候補者を立てるにしても、その範囲内で党の公認候補者を立てるということになるでしょう。そうすれば、今の直接公選をやって何ら差しつかえがない。むしろ直接公選によって一般の地方の住民、特に子を持つ親たちが直接自分たちの好む教育委員を選ぶという機会が与えられるわけです。またそのことによって、親たちの教育なり教育行政に対する関心というものが一そう刺激され、そうして高揚されるということも考えられる。かたがた、またその地方の実情に即した教育、教育行政ということも私は期待できるんじゃないかというように考えるのですが、その点についての文部大臣のお考えを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/128
-
129・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今のお問いの初めに、純理的にいえばこの案も理屈があるといって、一部御同意があったことは、大へんありがとうございました。(「よけいなことは言いなさんな、そこは重点じゃない」と呼ぶ者あり)また御論の進め方も実質的のお進めで、非常にりっぱな御質問を得てありがたく思います。ただ、私の言いまするのは、政党の勢力が伸びても、日本の八千万一々が政党に入党するのは、それはずっと先のことです。またそんな時代はないかもわからないけれども、この情勢でいくならば、やはり教育委員も、町村会の議員と同じ党の背景で、党の推薦または公認で選挙が始まることは近いものじゃと思います。教育委員の選挙が、日教組系だとか、社会党系だとか、あるいは自由系だとかいうことを標榜せぬと、選挙が進行できないというふうな時代は、そう遠くない。ここのことなんでありまして、私が将来といっても、個々の有権者が両派に分れてしまうというようなことを予想しているのじゃありませんから、そこを一つ御了解願いたいのであります。
もう一つ、あなたの御案で、選挙制度でも、二人以上当選してはならぬといったような選挙法も作れるのじゃないかというのですが、これは理屈だけで、もし二人以上当選してはならぬということで選挙したら、本人の自由意思というものはそこで遮断されてしまうのです。選挙の妙味というものがそれで消えてしまうのです。ほとんどわれわれの案と同じようなことになる。いやしくも選挙をする以上は、一つの投票は一つの力を持たなければならぬ。社会党から三人当選した、一人ははずせといったら、三番目に投票したその投票の力はどうなります。公選制の趣意は貫かないのです。公選制の妙味は人にあるのです。投票の多少にかかわらず、当選した人は国民の意思からきたのだということを認めることによって初めて、公選の妙味が生まれるのであります。公選か選任かという場合に、やはり当選した人はみな委員になれるという原則でないと、公選に向って信用を持つということにはいけない、こういうことになると思います。あなたの御主張を全面的に反駁するじゃございませんけれども、そう考えてみるというと、やはり直接選挙によったものが寄り合ってきめる。そうしてこれも実際を一つ考えて下さい。選挙にしますというと、何しろ選挙は大きな仕事なんです。選挙区を割れということもありますが、府県の選挙のごときは一府県ですからね、参議院議員の地方区と同じ一区なんです。それでもってやるということは非常なことで、相当教育に熱心な人でも立つことをちゅうちょするです。ことに東京のことを考えてみても、東京都内から五人を選ぼうといったら、いい人がありますよ、ここで名前言っちゃいけませんけれども。けれども、その私どもが、またみなが認めていいと思う人が、君、選挙に立てといえば、いや、選挙はごめんこうむるということもあるのです。制度はよく運用しなければなりませんが、よく注意して運用しませんと、この方法で非常にりっぱな教育委員会ができる見込みは、非常に濃厚でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/129
-
130・秋山長造
○秋山長造君 まず第一点では、大臣は、言葉を返すようですけれども、私の理論が、理論的には納得できるといって御賛成下さったので、ありがとうございました。(笑声)いや、そうおっしゃったんだから、私ありがとうございましたと言うのです。で、大臣は、私が今の直接公選制のままで、そうしてこの一党派の所属委員というものを縛れば、それでこの弊害を除けるじゃないか、こう申し上げたのに対して、あなたの御論は、理論的には一応了解できる、こう言って御賛成下さったのです。これはただ抽象的な理論ばかりではなくして、実際的にもそれはできると思うのです。もしそれが、今大臣がおっしゃるようにですね、それじゃ選挙民の意思を不当に縛ることになっていかぬということだったら、この政府与党で大いに力んでおられる小選挙区制なるものは、これはその最たるものです。今の小選挙区で、選挙区を小さくすることのいい悪いは一応ここでは別問題としまして、政府与党の案を見ますとしますよ、一人一区の選挙区では、政党はそれぞれ一名の公認候補しか立てられぬと、こういうような制限もありますね。それからまた、全国にわたって五十名ですか、数ははっきり覚えておりませんけれども、五十名以上の候補者を持った政党でなければ政党として認めないというような、いろんなこの勝手のいい制限を設けておられますね。これは一体どうですか。これはもう法律をもって不当に選挙民の意思を縛ることなんです。で、この文部大臣の理屈で言いますならば、これはもう選挙というものはすべて、これは比例代表制にすべきだと思う。そうすれば、選挙民の意思というものが一番尊重される、一番忠実に政治に反映されるにもかかわらず、そういう方面へ行こうとしないで、不当に候補者を制限し、不当に選挙民の選挙権を制限をするというか、その候補者の選択権を制限するというような方向に行っているのは、私は納得ができない。この点をひとつ論理一貫した説明を願いたい。
それからその次には、全県一区と、全県一区というようなことで教育委員を選ぶということはおもしろくない、こういう御論。私はおもしろいと思うのです。文部大臣はおもしろくないと思われる。これはまあ見解の相違です。相違ですけれども、それならば、なぜ、――全県一区が広過ぎるからということだけの理由をもって直接公選制を廃止するというのは、これはあまり理論が飛躍し過ぎていると思う。一区、二区というように選挙区を作って、選挙区をもっと小範囲に分けても私はかまわぬと思う。そういうことがなぜいけないんで、直ちに選挙制度そのものを廃止するということになるのか、この理由を説明願いたい。
それから最後におっしゃったですね、どうもああいう人が教育委員になってくれればいいがと思うような人があっても、そういう人はなかなか選挙にはお出にならぬ。これはもう選挙制度すべてに共通した問題です。だからいかぬということならば、これはもう翼賛選挙か何かにして、そうして政府の方で、あるいは多数を握った与党の方で、適当だと認める候補者だけを立てて、(「その通り」と呼ぶ者あり)そうしてあとの者は全部排除するような制度を作れば、これは一番今の文部大臣のお意思に沿うのではないかと思います。
その三つの点について一つ、丁寧、懇切、親切に一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/130
-
131・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 三つとおっしゃったが、貫通した議論のようにございまするけれども、選挙にしたところが、候補者の数を限定することができると、今の小選挙区案で候補者の数を限定するといったのと同じじゃないかと、こういうことでありまするが、町村をまだこの小選挙に分けたらどうなりましょうか。大字でやるのでしょうか。(「いや、それは違うんです、県だけです」と呼ぶ者あり)そのことは県の場合ではないのです。二番目に言うことです。それゆえに、この前にも、理屈上はそうだけれども、実際上はそうはいかぬと言うたのはそこのことです。教育委員会の場合に立候補数を政党別に制限したり、また当選した者で上から二人だけを取るとかいったようなことをしては、選挙の妙味はうせるということなんです。選挙をする以上は、やはり地域社会の者が投票した投票権を一番尊重するということがよろしいと言うたことで、あなたの御論とは正反対に突き合っていることじゃございませんです。
二番目に、私がこの選挙区が広いからしてりっぱな人が出にくい、とおっしゃいましたが、現在がそうであるからそう言ったんでありまして、たとえての教育委員会の制度を、これを選挙区を分けましても、県の選挙区を分けましても、やはりその選挙のわずらわしさにおそれて、よう出ない人がたくさんあることは事実であります。これは程度の問題です。今のような全県一区にしないで、これを数個の小選挙区に分けましても、適当な教育に識見のある人の出ることがちゅうちょされるということは、程度の問題、同じことでございます。
それから最後の点はどうですか、第三段とおっしゃったのは。三つのことについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/131
-
132・秋山長造
○秋山長造君 今おっしゃったのが第三点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/132
-
133・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) まあそういうことをもってお答え……。(「翼賛」選挙「抜けておる。よく聞いておらぬ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/133
-
134・秋山長造
○秋山長造君 今最後におっしゃったのが、私が第三点に御質問したことに対する答弁の一部なんです。全部じゃない。文部大臣がおっしゃるように、適任者がおっても選挙制度ではなかなか出てもらえないから、選挙をやめなきゃいかぬと。こういう論法でいけば、これはもうあらゆる選挙、国会の選挙でもそうです。現にもういろいろな有識者がそう言っておるでしょう。だから、これはもう程度の問題。これは民主主義、民主政治、議会政治の価値判断という問題につながってくる。それはもう文部大臣のおっしゃるようなことを突き詰めていけば、プラトンか何かギリシャの賢人が言ったような、哲人政治ということが一番いいのです。金もかからぬし、そうして哲人的政治家が出て、一々選挙のわずらわしさを経ぬでも、選挙民の気持が鏡に手に取るようにぴちっとのみ込めて、そうして寸分の間然するところのないようなりっぱな政治をやってくれるんですからね。これは一番いいにきまっておる。しかし、そういうことはなかなか望めないから、人類の何千年の長い歴史と経験に基いて、そうしてもう絶対の善ということではないけれども、しかしながら、お互い不完全な人間同士がやることとして、まあまあこれなら弊害が比較的少くて我慢ができるというところが、今の議会政治ということになってきたんだろうと思う。選挙によってこの代表者を出して政治をやっていくということになったと思う。これはもういわば次善策ですわね。しかし実際には、お互いに経験上からして、それ以上に、それよりもよりいいという制度が見当らぬのです。だから、そうなっておるにもかかわらず、そういうただ教育委員の選挙だけではない、あらゆる選挙につきものの、幾らかの弊害なり、不十分な点というものを、直ちにそれをたてにとって、だから選挙はいかぬ、こういうことは、もうこれは全く東条式な翼賛選挙と私は同じ思想だと思うのですがね。
その点についての御答弁がちょっと漏れておったことが一点と、それから最初の点の、公選のままでそして一党所属の委員数についての制限だけおく、こういうことがなぜそれほど、文部大臣がおっしゃるように、これはもう選挙をやってもやらぬでも同じことだ、こういう議論につながるのか、私はよくその点がのみ込めないんですがね。それは各政党がそれぞれ候補者をコントロールしていたらいい問題でしょう。町村で二名以上自分の党でとれないということなら、一名だけ公認候補を立てればいいんですから、それでいいじゃないですか。それでそれ以外に無所属の候補者も出れば、有権者が、選挙民は当然その政党所属の公認候補がいいか、あるいは無所属の候補者がいいか、それはおのずから選択の自由があるんですからね。だから、私はそれでりっぱなものだと思うんですがね。なぜそれがいかないんですか、その二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/134
-
135・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は選挙制度を否認したんじゃないですよ。選挙制度はいけないんじゃないです。しかしながら、中立をとうとぶところの教育委員の選任の仕方は必ずしも直接選挙に拘泥しないでやる道があり、その方がよろしいというので、これがために、一般に代議士の選挙も県会議員の選挙も、選挙がいかぬ、翼賛選挙にせい、こんな言葉を弄したつもりは一ぺんもありません。あなたの言葉にまあまあという言葉がありましたが、私もまあまあなんです。比較して、教育委員の選挙は私の方のとっとる方が目的によく合する、こういうのであります。
もしも、第二段です、あるいは候補の数を小さい村で割り当てたり、あるいはせっかく当選しても二人しかとらないということになりますると、やはり選挙制度の妙味はそれでなくなってくる。選挙というものは、だれの一票も働いて、その数に応じて結果をみるということに、選挙の妙味があるのであります。たとえばある村で千人有権者があると仮定して、某党はたったそのうちの百人しか持っておらない、あと九百人持っておるということで、どっちも二人、二人ということであったら、選挙民は承知するものじゃございません。あなた方の方の選挙制度のいいことは、有権者の心がすぐに鏡に映るように映るから、選挙とおっしゃっておるのだろうと思うのです。それを映らぬようにするような選挙だったら、これは選挙の値打はありゃしません。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/135
-
136・秋山長造
○秋山長造君 どうも私の説明が悪いか、文部大臣がどうも誤解しておられるか、どうも質問と御答弁とのピントが合わないんですが、文部大臣のような論法でいきますと、私は小選挙区なんというものがどうして出てきたか不思議なんですけれども、同じ頭の中から教育委員については今おっしゃるような議論が出てくるし、国会の議員の選挙については小選挙区のような議論が出てくるし、これはちょっと筋が通ってはおりませんね、この両論は。結局どっちが自民党にとって都合がいいかというところから出発しておるんじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/136
-
137・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そうじゃございません。事の性質によるんです。それから小選挙区と申しまするが、町村の選挙区は小選挙区以上の小選挙区なんです。これをまだ分けるなんといっては、ほとんど選挙にならないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/137
-
138・秋山長造
○秋山長造君 その点は非常な誤解なんです。私は小選挙区というのは、町村の小選挙区ということを言っておるんじゃないんです。今衆議院で現実に問題になっているあれを小選挙区という言葉で表わしている。町村を小選挙区に分けるということは一言も言っておらぬです。ただ、その背後に流れる思想というものが、今教育委員について文部大臣のおっしゃっておることと、あの衆議院で問題になっておるいわゆる小選挙区制度のこの背後に流れておる思想というものとが、どうも食い違っておる、一致しないということを言ってお尋ねをしている。その点はちょっと誤解がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/138
-
139・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は誤解をしておらぬつもりです。国会の選挙は、結果が党派に分れることがむしろ望ましいのです。そのときの様子で一党が勝つなれば大いに勝つべし、またその次に他党が負けるなら大いに負けるべし。けれども、教育委員の方はそうはいきませんのです。中立を保って、かつ永続を保って、政治圏外に立つべき学校を管理する委員会でございますから、事物が違うのです。二大政党組織下の二大政党が交互にやろう、そこで勝負がはっきりするという場合に、小選挙区をとろう。こちらはそうじゃなくて、甲党が勝つ、乙党が勝つということなしに、中立の委員会を作ろうというので、要求が違うのです。まあ相反するというと言い過ぎですけれども、非常に要求が違うのです。そこで事柄が違ってくるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/139
-
140・秋山長造
○秋山長造君 それでわかりました。それならば、これは選挙民の十分教育委員の選挙をやる前提となる心がまえの問題なんです。そうでしょう。だから、文部大臣はもう選挙民に選挙をやらせたら何でもかんでも党派に流れてしまうということをおっしゃるのですが、そんなことはないと思うのですよ。おのずから選挙民というものは、国会議員や町村会議員を選ぶ場合の選挙の心がまえと、教育委員を選ぶ場合の選挙の心がまえというものは、おのずから違うのです。特に今おっしゃるように、法律において教育委員の中立性、教育行政の中立性ということを強調しておられる。だから、その教育行政というものはできるだけ中立でなければいかぬ、党派に分れてしまうということは好ましくないということは、選挙民もわかっている。またそれは選挙民にわかってもらえばいいことなんです。で、そういうことを腹に持った上で公選をやってもらえば、何にも文部大臣おっしゃるような一党独裁とかなんとかなどに流れる心配はありゃしない。自民党からも一人候補者を出される、社会党からも候補者を一人出す、さらにどちらの党派にも属しない候補者も何人か出る、こういう形で選挙をやるのですから、選挙民はおのずからその候補者の顔ぶれを見て投票なさるわけですから、その投票の結果、自民党が一人も出ないということもあるかもしれない。社会党が一人も出ないことがあるかもしれない。全部党派に所属しない候補者ばかりが当選するということもあるかもしれない。あるいは自民党一人、社会党一人、無所属一人というようなことになるかもしれない。いずれにしても、その結果で、これはもう全く好ましい結果が私は出てくると思う。何にも文部大臣が御心配になるようなことはない。これはもう杞憂ですよ。全く理由のない心配だと思うのです。その点どうですか。私はどうもその点よくわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/140
-
141・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今のは私の説明に対する御批判のように承わって、答えをいたしても同様だと思いますが、選挙制度をこさえた以上、この選挙は党派の感情を入れるべからずといったようなことを言い回っても、または、たとえこの選挙は党派のことを考えずして投票すべしなんという法文をこしらえても、そんなことが実行可能でございましょうか。私は選挙を争う以上は、やはりその背後に政党の勢力がまじることは、この情勢では避けがたいと思うのです。これはあなたと私と、世の中の認識がつまり違うので、そこでおのおの意見が違うということになりましょう。私はこの情勢でいけば、やはり公認とは言えなくても、あなたの方の社会党系の委員、また私の方の系統の委員、所によれば共産党の委員といったようなことは、必ず出てくる、その結果、でてきた委員会というものは、党派偏向のおそれは非常にある、この認識のもとに立っておるのです。これ以上は近代日本の認識ということになるのであって、議論じゃございません。事実の見方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/141
-
142・秋山長造
○秋山長造君 いや、文部大臣、そう早くあきらめてもらっては困る。これは見解の相違というようなことで済ませる問題じゃなくて、もう少し、そこまで行く前に、もう少し私御答弁を願いたいと思うのです。
そうなりますと、これは党派には所属しなくても、何々系の委員というような、その思想傾向、あるいは政治的信条の傾向というようなことまでも取り上げて、問題にされるということになれば、これはもう任命制にしたら、一そうその傾向が私は強くなるおそれの方が大きいと思う。最初に申し上げましたように、これはもう教育委員が党派色を帯びるという速度よりも、見通しとしては、町村会議員、あるいは府県会議員、あるいは府県知事、市町村長、こういう現実政治の衝に当っておる人たちが党派色を帯びる私はテンポの方が早いと思う。だから、そういう、これこそ一党独占という議会は、これは現実に私はあり得ると思う。そういうところへ、いかに同一政党から二人以上の、過半数の委員はとらないという形式的な制限を置いても、さっき文部大臣がおっしゃるように、党派色ははっきりしないけれども、社会党系だとか、あるいは日教組系だとか、あるいは自民党系だとかという、系の字のついた委員が選任されるおそれというものはよほど大きいと思うのです。よほど大きいのですよ。これはなかなか理屈でなしに、実際問題として、自由党の町長で、そうして町会も自由党がもうほとんど独占している、そういう町会で、そうして自由党の町長がその自由党一色の町会に対して、三人の委員をきめてくれといって相談した場合に、それから出てくる結論というものは、形でこそ同じ党派の人は二人はないかも知れぬけれども、実質的にはこれは自由党系の委員が三人、これはもう出されるにきまっております。これは理屈でなく、これこそ文部大臣がおっしゃる実際問題で、きまっている。それを私は心配しておる。だから、任命制によってそういう人が出てくるこのプロバビリティーと、それから公選制によってそういう人が出てくるプロバビリティーを比較考量してみた場合、現実の問題としては任命制によってそういう人が出てくる可能性の方がよほど大きい。よほどそれの方がおそろしい、こういう質問をしておるのですから、それは見解の相違だといって片づけずに、もう少し一つ考えていただけませんか。その点ゆとりを持って考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/142
-
143・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私の認識では、党の応援を得た当選者は、私は党派の拘束なり、支配を受ける可能性は非常に強いと思います。選任の場合においては、二人だけはなるほど党員を選んでいいのでありますが、そのほかは党員は選べないのです。(「いや、二人は選べない」と呼ぶ者あり)で、そのほかの人が、たとえこの自由党議員がたくさんある町村会から選ばれましても、選挙の際に、自由党の応援で選挙を受けた委員とは、そこはまた違うのです。その差異というものをよく心に認識してみまするというと、われわれの方の案が安全でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/143
-
144・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先ほど来秋山委員が質疑を続けたわけですが、これは私も見解の相違でこれを片づけるわけにはいかないと思います。で、明快な、納得のできる答弁ができない限りは、われわれ委員が納得しないことはもちろんのこと、国民も私は納得をしないと思います。従って、さらにこの点について伺います。
どうですか、大臣、私はね、この質疑に対して、私はあなたの方から、今この公選制度で教育委員会を構成しているが、どうもあの教育委員会の構成じゃどうにもならぬから、だからこういうふうに変えて、自分の気に合うような構成に変えたいのだ、それが国のためだと、こういうような、今の教育委員会の構成に対するあなたのお考えから出ているだろうと、こういうふうに推察するのですが、そういうことであれば、そのよしあしは別として、一応話はその限りにおいてはわかるのですが、そうじゃないのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/144
-
145・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この案でやる方が、私は将来国のためによりよき委員会ができると、かように思っております。(「そんな答えじゃだめだよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/145
-
146・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういうことじゃ答弁にならないのです。そういうことをあなたが言われると、繰り返してやらなくちゃならぬのですがね。それはこの質問が始まる冒頭に、教育制度は朝令暮改であってはならない。ある制度をある制度に変える、しかもその発足して三年そこそこしかたっていないものを変えるというのには、ぜひ変えなくちゃならぬ根拠というものがなけりゃならぬ。あればこそ、あなた方としては法律案を作って、ここに審議を求めてきているわけですから、その理由として、あなたがさつき予防線を張られまして言われておりましたが、直接選挙では政治的中立性が保てないということを言われている。これは少くとも制度を変えてこうする以上は、今は中立性は保たれていない、今のままでは困るという、私は根拠がなくちゃならぬと思う。その根拠は、審議しているわれわれ委員を納得させるものであり、また国民を納得させるものでなくちゃならぬと思うのです。どういうのがあるのですか、それを一つお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/146
-
147・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そのことについては、一昨日、五つの項目に分けて、あなたにお答えいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/147
-
148・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いや、それは今の二番目です。二番目だけ、あとはいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/148
-
149・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) で、今の制度よりは、私の方の考えておる案がより目的に達するので、いいことは早くやらなきゃなりません。朝令暮改とは、あなたおっしゃいまするけれども、決して朝令暮改じゃないので、委員会制度は、ごく出発のときじゃありませんが、地方に教育委員会をあまねく作ったという二十七年以来、各方面で非常に論議されたことです。論議され論議され、され尽してこの案が出たので、朝に令し、夕に改むる、そんな軽率なものじゃございません。そうして今申す中立のことについても、理屈は別としていたしまして、これは大きな選挙じゃないのです、町村会は。あなたも熊本でよく御承知ですが、今度は町村合併になって一万もの所がありますが、今までは二、三千です。二、三千のところで選挙で争ってがんがん噛み合って、そこで出て来た一党派が大きくて片一方が敗けた選挙の確執です。うらみというと大きいけれども、そのしこりが残ったまま委員会をこさえて、そこで真の中立を保つことは人間の心としてできましょうか。再び神様の心になることはいいのでございまするけれども、人間性を人間性と見てのこれは話であります。それよりも民主政治を貫くためには、選挙をされた町村長が選挙をされた町村会議員にはかって、村内のたれが見てもこの人ならよかろうかという者を選び、しかもそれに制限をつけて二人以上は……、以上という言葉を使うと三人以上ですが、二人までは同党派でもいい、三人以上は同党派に属せないといったような制限で、しかも委員会委員になる以上は政党の幹部にはなってもらいたくない、積極的な政治運動はする、こういうふうな多数の条件でこの案のようにやっていきまするというと、日本のこれからの教育委員は非常によくなりますよ、それは受け合っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/149
-
150・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣、この方が国のためになると思います、あるいはさっきは神様なんか言い出したが、そんなことじゃ審議にならぬですよ、何がゆえにこの方が国のためになるか、納得させるところの理由を持たなければ……。そこで私は今尋ねている点にピントを合してさらに伺いますが、制度は変ったと、これよりこちらがベターだというのできまった。その改変をわれわれに審議を求めて来たという以上は、われわれにこれはベターなんだということが納得できる根拠というものを示さなくちゃなりません。それであなたは直接選挙では中立性が保てない、だからよりよくするためにこうしたのだと言われているのです。それはそういう事例というものが必ずあるはずだから、それを納得できるようなものを示しなさい、こう言っているわけです。それを神がかりなことで答弁したってこれは納得できません。どういうのがあるのですか、それをお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/150
-
151・秋山長造
○秋山長造君 矢嶋さんに関連して……。大臣は教育委員の選挙を何か血で血を洗うような、まるで源平両派に分れて、それこそひどい血なまぐさい選挙をやってその結果教育委員というものが出て来ているようにどうもおっしゃっているのですけれども、これはちょっと形容詞がひど過ぎると思うのです。これは全国の教育委員の選挙の実態をごらんになったら、そういう形容詞は出てくるはずはないのです。で、この選挙のしこりが教育委員の選挙について残って、もうあいつはあの場合にああいうことをやりやがったというようなことで、その後成立した教育委員会というものが選挙のしこりがいつまでも残ってそのために紛争を繰り返して、内輪もめを繰り返して、そうしてその地域の教育行政が非常にそこなわれるとか、あるいは政治的に中立性が非常にそこなわれたというような実例がありますか。血で血を洗うというような最高度の形容詞をつけておっしゃるからには、何ぼかそういう実例を大臣はお知りになっておられると思うが、そういう実例があったら一つ今矢嶋委員がおっしゃる通りに示していただきたい。われわれの知る限り、教育委員の選挙というのは首長の選挙だとか、あるいは議員の選挙なんかとだいぶ趣きがさすがに教育委員の選挙だけあって、これは私違うと思う。候補者になる人もそういう心がまえでやっておられるだろうし、また選挙をなさる選挙民もおのずから頭の置き所が違っている関係からか、そういう血で血を洗うような教育委員の選挙というようなことは私は寡聞にして聞いたことがないのですが、一つその点お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/151
-
152・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この事例は、この委員会であなたの方からの質問中にあった事例でありまするが、教育委員には町村長の落選者がなって、事ごとに町村にたてつくようなことがあって困るというようなことは私が言ったんじゃなくて、あなたの方の議員の口から出た事例でございます。
それからまたこの案は必ずしも過去のことばかり言っているのじゃない、今の現実を見て将来の見通しが大いに関係いたしているのです。すぐに資料を出せとおっしゃいまするが、それは一々資料で言うんじゃなく、お互い選挙区を持っておりまするが、よくわかっておるんです。これであなた、将来やっていけばやはり教育委員の選挙も党派の別で争われるに相違ないのです。そのうちには選挙には勝敗があります、勝敗がある以上は、まあしばらくすれば直りもしましょうけれども、その当時においてはやはり人間であります。神がかりとおっしゃいまするが、今の人間は神さんがこういうふうに作ってくれているのです。やはり負けた方が恨むといったようなことになるのですよ。どうかその程度で御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/152
-
153・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そんなことでは了解できません。大臣は町村長の選挙と教育委員の選挙が、血で血を洗ったなんということはたれも言ってない。教育委員会が発足した当時、そういういざこざの選挙があったが、だんだんとこれが理解され、落ちついてきて、最近はそういう事例がなくなってきたと、こういうふうにわれわれは申し上げているわけです。実情をあなたはよく知っておられません。最近の都道府県の教育委員の選挙にしろ、市町村の教育委員の選挙にしろ、大体あの人ならけっこうだなというような人が出て参ると、最近は多く無競争でいっております。その推薦母体は何かというと、あるいは青年団、あるいはPTAあるいは婦人会あるいは教育団体、あるいは政党とか、そういう人々と一緒になって、あの方がいいだろうといって、適当な人が出た場合は大がい無競争にいっている。ところが前科者とか何とか、特別政治的意図を持った、教育委員にふさわしからぬ人が候補者の意思を表明した場合には、あんな人が教育委員に出てもらっては困る、それでは何かりっぱな人を候補者に両立しなければ……、こういうふうにして選挙になってくるのが今の実情です。それが実情なんです。従ってやがて資料が出て参りますから、教育委員会はどういう構成になっているかということはわかると思うのですが、ここで一つ一歩進めて大臣に伺いますが、それはもし教育委員の政党所属別の一覧表が出て、社会党所属の教育委員が非常に多かった、あるいは自民党所属の教育委員が非常に多かったということになれば、それはあなたのこの立案された裏づけになる若干の根拠を持ちましょう。ところが出てきた資料が、教育委員は無所属が圧倒的に多かった場合は、あなたの二日ばかりにわたって述べられたことは全部崩壊してしまうわけなんです。そういうことでございましょう、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/153
-
154・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 資料は追って出しますが、委員はおそらくは自民党が多いと思います。このままにすればだから党派的に見ればわれわれの党派が有利なんです。けれどもそんなことで教育委員を……(笑声、「ごまかしちゃいけない」と呼ぶ者あり)それでしかしながら将来いけば、あなたの方は新しい党派として各方面の支持も受けておられるから、やはり府県市町村においても二党対立の情勢があるのです。資料といいますとどうしても去年以前のことになりますから、少し古くなりまするけれども、今の現実の情勢を政治家の感覚として判断をして、なるほど教育の委員は皆党派的に考えてくれるなということを幾ら言っても、やはり党派の応援になることは目に見えておるのです。党派が応援になって出てきたら、やはり党派的の色彩で初めは相談が始まるということになるのです。そのことは中立であるべき学校の管理としてはよろしくないから、そのほかに方法がなければ仕方がないです、人間界のことだから。しかし、われわれがよく考えて、こういう案を作ってこの方がよかろうということがおわかりになったら、どうか御賛成を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/154
-
155・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そのことはなんですね、政党に所属してない無所属の委員が多かった場合は、このあなたの採用された根拠というのは薄らぐから、それは修正なり、この法案を撤回するということに相なると思うのです。そうですね、そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/155
-
156・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 違います。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/156
-
157・矢嶋三義
○矢嶋三義君 違いますとは何ですか。あなたは今の制度でいけばこの政治的中立性が保てないというのでしょう。少くとも保てないおそれがある、それで教育委員の構成を調べてみたら、今の公選制でやった結果は圧倒的に無所属が多かった、それはあなたの意見では出ないかもしれません。しかしもし出たら……、これはあなたは今の資料を持っていない、そのことが誤りなんですよ。これだけの法律案を出すに当って都道府県教育委員、市町村教育委員の政党所属の分布がどうなっているかという資料を持たないで、こういう法律案をわれわれに審議を求めるということは行政府の怠慢ですよ。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)しかし、今あえて資料を要求した。もしそれが出てきてそういう結果が出れば、あなたの立案過程に持った立案意図というものはつぶれ去るわけですから、今までのわれわれに対する答弁を全部取り消し、それからこれをわれわれにその角度から修正してもらうなり、あらためてあなた方が修正してこれを出し直すなり、そうしなければ筋が通らない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/157
-
158・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 資料は前回の選挙の資料なんです、よろしいですか。多くは四年前の選挙の資料なんです。それ以来わが国の政治情勢は非常に変化いたしました。戦後最近四年の変化は非常に大きなものであります。わけても昨年下半期に至って二大政党組織ができて、われわれ党におります者も、また全国一般の世論も、日本の政党政治完備せりと言っておるのであります。その運営について近時批判も受けておりまするけれども、今から出てくる資料はこの情勢の出る前の資料なんです。われわれは現在のただいまの時の上に立って、その直近がどうなろうかというそれを政治的感覚でもって判断をして、この法案ができたのです。昭和二十七年や二十八年ごろの選挙の結果をそのまま受けて立案をするといったようなぶざまなことじゃないのであります。現実を直視して、そして日本のために一番いいものを作ろうというのでありまするから、どんな資料が出ようと、この期において案の撤回なんということは決していたしません。(「その通り」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/158
-
159・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの発言はきわめて重大でございます。(「何で」と呼ぶ者あり)それは国のために。よけいなことを言いなさんなよ、でっち上げては困る。国のためにいいことをやるといっても、これは自民党のためにいいことをやるわけではないことは言うまでもありません、国のためになることをやるわけですからね。あなたの今の言葉が重大だということは、資料を出して下さい、その資料に基いてのことを質問を展開していきますと、前の選挙のときのことで今の資料というものでないから大した資料の価値がないというようなことを言われるが、これだけの法律案を出すのに、なぜ現在の情勢をはっきり把握されて正確な資料を持ってあなた方は立案されないのですか。またそれがなくてわれわれ審議できますか。委員会の審議はできないと思う。委員長どうお考えになりますか。これは決して私はむちゃなことじゃないと思う。公選制を任命制に切りかえる、その辺は今までの資料ではどうしてもいけない、政治的中立性を保てないからよりよくするためにこうした、それなら今現状をどういうふうに把握されておるのか、ただ、今よりよくなるというような抽象的なことじゃだめだから、数的にわれわれが納得できるような、また国民が納得できるような現状の把握資料を示しなさいというと、今から出します資料は二、三年前ので、その後は二大政党ができて国内の政治情勢は非常に変っておるから、そういうふうな資料ではどういう結果が出ようともそれは大した価値のない資料だ、これは暴言じゃないですか。少くとも現在のわが国の状態は、この法律案に関する範囲内についてわが国の現状というものは十分把握できて、そうして審議ができるような資料を出して下さい。それがなければ幾ら問答しても私どもは意味をなさないと思う。これは法律案の提案者であるところの行政府の怠慢です。委員長の御善処を要望いたします。(「議事進行」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/159
-
160・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 委員長の意見を求められたので申しますが、あまりどうも興奮しないで、(「いや興奮していませんよ」と呼ぶ者あり)大臣の言われたのは、前の選挙が四年前にあって、その後は全体的な教育委員会の選挙はない、それで四年前の資料というふうに言われたと私は理解したわけでありますが、どうぞ政府側からも答弁を求められておりますから、緒方政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/160
-
161・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 昭和二十七年に一斉改選、これは都道府県につきましては半数でございましたけれども、改選がございましたから、その結果の資料を提出する、かような予定で今作成いたしておりますから、御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/161
-
162・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それから今から出す資料は価値はないと言ったことはございませんですよ。それは訂正しておきます。価値はあるのですけれども、その資料は去年やことしに選挙はなかったのですから、そのときの所属ということを見ることはできない、こういう意味ですから、あなたのお言葉に価値のない資料を出すのじゃないかというおとがめがございましたけれども、そうじゃございません。正直な資料を出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/162
-
163・荒木正三郎
○荒木正三郎君 先ほどからの文部大臣の説明を聞いておりまして、私にもなかなか理解できない点が多いのです。二大政党論というものを基礎にして将来教育委員の選挙をやっていけば、一党が教育委員を独占するおそれがある、こういう議論の展開は私は現実というものから遊離した架空のものだというふうに感じておるわけなんです。それはなぜかというと、従来の教育委員の選挙を見ましても、政党が候補者を推薦して選挙活動をやったというふうな事例はほとんどない、あるいは非常に少いという事実ですね。それからかりにそういう事例があっても、私の知っておる例を考えてみましても当選をいたしておりません。やはりこれは国民が一番よく知っておると思うのです。教育は政治的に中立でありたい、これは法律を知らない国民でもそういうことは直感的に知っておるわけなんです。今日社会党でも自民党でも、この教育基本法にある政治的中立という問題を尊重していこうという考え方があるわけなんです。これを無視しようという考えは全然ないわけなんです。国民もまた過去の幾多の選挙においてこのことははっきり示してきておると思います。二大政党ができたのだから将来そういう心配があるということですが、二大政党といってもこれは保守、革新ということは昔からあったのですよ。形の上では昨年の暮にまあ二つにちょっと形は整いました。しかし保守、革新という対立はそれ以前からあったわけなんです。しかし特に昨年は相当に教育委員の選挙が行われております。市町村合併によって相当多数の教育委員が選ばれておるわけなんです。けれども、またことしに入ってからも選挙が行われておるわけですが、二大政党下において選挙が行われましたけれども、教育委員の選挙は従来の傾向から少しも変っておらないのです。だから二大政党になった今後そういう心配があるということでは、これは全く根拠のない私は議論だと思います。ただもっと胸襟を開いて大臣もお答えになったらどうかと思うのです。私はただ、もし言い得るならば、現在までの教育委員の選挙において教育専門家の立候補、当選が多かったのじゃないかという議論であれば私どもは傾聴しなければならぬと思うのです。それはただいまお配りいただいた表を見ましても、市町村の教育委員には教育専門家の教育委員というのは非常に少いのです。特に町村におきましては一%余りです。ほとんどおらないと言ってもいいくらいの数であります。しかし都道府県になりますと、この表では三五%という数字を示しております。これがいいか悪いかは別問題として、相当多いということはこれは言い得ます。このことが果して教育委員会の立法趣旨からいって、こういう結果が出てくることが趣旨にかなっているのかどうか、そういう点を検討するということは、これは私は相当現実に即した問題として私は重要な価値があると思うのです。しかしさっきのように二大政党論を振り回して政党が独占するのだというふうなことは、私は夢を見ていらっしゃるというふうにしか考えられないのです。こういう点もう少し文部大臣率直に言えないのですか。
それからもう一つは、この教育委員の選挙をやるよりもこの任命制にした方が教育委員としてふさわしい人を選ぶことができるのじゃないかという議論が清瀬文部大臣の答弁の中にありました。この問題はやはり私は一つの研究問題だと思うのです。しかしこれはそれでは任命制にすればいい人が選べるかどうかということを、これは相関比較して検討されなければならない問題であると思うのです。そういう意味でそういう面から大臣の所見が伺えるなら、私ども十分聞く値打があると思うのですよ。しかし二大政党論を振り回して一党独占になる、そういう心配がある、だから政治的中立が保てないのだ、そこで任命制にしたのだという理由では何も根拠がないわけです。二大政党になったから教育委員の選挙がそうだと、そういうものではありません。そういう点もう少し率直に、なぜ任命制にしたのか、もう少しはっきり私は率直に言ってもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/163
-
164・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 立法はすべて現状を見て将来を規制するのであります。過去に遡及するものじゃございません。そこでわれわれが日本の現状を見るというと、このままで推移するというと、中立であるべき教育委員会の選挙に政党が背後にあって争うという場合はくるとわれわれは認識しておるのです。争う以上はどっちかが勝ち、どっちかが負けるのです。それよりもやはり民主主義は貫かなきゃなりませんが、すでに民主主義でできました町村会の議にかけて、また民主主義で選ばれた町村長が推挙する、識見が高邁で教育文化に経験のある者、こういう者を選びまするというと、りっぱな委員会ができる、こういう認識でございます。どの立案でも立法は将来に向って法律を適用するのでございますから、私どもの認識は日本の現情をさように見ておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/164
-
165・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この任命制によってよい人が得られるかどうか、その点は次に十分質疑をいたしたいと思います。しかし、この公選制を続けていけば非常に片寄った人が、片寄った構成になる心配が出ると……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/165
-
166・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/166
-
167・荒木正三郎
○荒木正三郎君 こういうことはどういうところに根拠があるのか、(「その根拠私はわからぬ」と呼ぶ者あり)二大政党論を言われますが、これは昨年の十一月です。昨年の十一月に自民党は結成され、社会党が統一されたわけです。それ以来相当の数の教育委員の選挙をやってきております。市町村合併によって教育委員の選挙が行われてきておるわけなんです。少くともこの二大政党結成以来の教育委員の選挙を通じて、そういう傾向が出てきておるという事実があれば私たちも承服いたします。あなたのおっしゃる意見を承認をいたします。しかし私どもが知っておる限りにおいては、そういう徴候は全然出ておらないのです。これは二大政党結成以前の教育委員の選挙の様子と全然変ってきておらないのです。だから大臣が言われるように将来そういう心配が起ってくるということの根拠はどこにも見出すことができないというのです。ですからそれは納得できないわけなんです。これはやはりわれわれにも納得できるような説明をしていただきたいと思うのです。政府に資料をこれは要求します。二大政党結成以来の教育委員会の選挙、これが果して清瀬文部大臣が心配されておるような徴候が出たかどうか、出ておるとすれば、どこの選挙にどうなっておったか、昨年十一月以来行われた地方教育委員会の選挙、その数と、そしてその間に現われたいわゆる政党独占の傾向があったかどうか、私はやはり示していただかなければならない。そういうことなしにそういう心配があるというので任命制に切りかえられるということは、これは自民党の党利 略をはかっておるのだといわれても仕方がないじゃないですか。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)そのほかに理由を発見することができないわけなんです。もちろん教育委員の公選制を廃止するかどうか、教育委員の選び方をどうするかということは、政治的中立性だけの観点からだけできめることはできません。今日の教育委員会制度は、申すまでもなく教育行政の民主化ということが非常に大きな柱になっております。これは先日来非常に論議をされてきましたので、私はここでは申しませんけれども、この教育行政の民主化と、そうして今論議している政治的中立性をどうして確保するか、これは少くとも教育委員会の委員の選び方をどうするかということを考える場合に、重要な私は柱になっておると思うのです。ところが、その教育行政の民主化という観点から見れば、これは公選制一本ということになります。これは何といったって教育が国民に責任をもって行われる、この原則に立っている以上、直接選挙が最も理想的な形であるということはもう言うまでもありません。これは論を待たない。そこで清瀬文部大臣は逃げておられるところは、政治的中立制の問題である。ところがこの政治的中立性の問題については、私どもがるる言っているように、何ら清瀬文部大臣の言われるようなそういう理由を発見する、事実を発見する、そういうことはできないのです。これはそうすれば公選制を廃止した理由はないじゃないですか。だから私はもう少し水をさして、文部大臣の言いたいところじゃないかと思って、先ほど教育委員には、都道府県には教育の出身が多いじゃないか、これはけしからぬというなら、はっきりそういうことを言うべきです。これは事実に即していますよ。そうでなしに、この二大政党論ばかりじゃ納得できないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/167
-
168・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 政治のことは一夜にして変更はできないのです。二大政党の組織のできましたのは、言うまでもなく昨年の十一月十五日でございます。この内閣の発足したのは十一月二十二日でございます。しからば、二十三日目にすぐに二大政党組織で大選挙が行われたかというと、そうでもないのです。そういうふうな選挙が国内に三つや四つあったからといって、その方向で全部を判断するということは危険なことなんです。それよりも人間の良識であります。そこがその政治家のむずかしいところで、わが国の実情からいたしまして、お互いの心と、それでもってこうやっていくというと、だんだんと二大政党下に県の委員会の選挙をし、町村の委員会の選挙をするというと、これは政党の争覇戦になるということは考え得るところです。このくらいな考えをしなければ、政治的感覚というわけにはいかないのです。われわれはその感覚を持っておるのでございます。しかしながら、そのほかにあなたのおっしゃった通り、この問題は中立だけで考えるべき問題じゃなく、そのほかにもこうやれば一般行政と教育行政との調和も保ち得るであろう、また優良な人を容易に得られるであろう、行政の簡素化もこれによって行われるのであろう。いろいろなことをあわせて、これを勘案して国家のために最良な案を出そうということが、われわれの衷情でございます。それを分析して一々あの点はいかぬからそれでやめろといったような、たった一つのことだけでもってすぽっと法案を撤回せよなんとおっしゃることは、これはおっしゃってもいいんでありますが、私は納得できない、こう申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/168
-
169・吉田萬次
○吉田萬次君 資料の御提出を願いたいと思いますのは、昨年から今年にかけて町村の合併が最もたくさん行われたと思います。そうしてその合併によって新しくできた市町村における教育委員会というものにおいて選挙が行われておるか行われておらぬか、私はこれは行われておらぬのが多いと思うのであります。それは本年の十月に再選挙があるということをよく認識しておりまする関係上、私はかような点を勘案いたしまして、そうして新しく合併した町村に対して教育委員の選挙が行われておるか、行われておらないかという数字に対する資料を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/169
-
170・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今、資料の要求が、先ほどは二大政党実現後の選挙について政党所属別の要求でございましたし、ただいまはまた町村合併についての関係の選挙があったかどうかというようなお話であります。これらにつきまして十分調査いたしますが、これはおのおの選挙管理委員会が地方で管理いたしております。一々その結果を報告いたすようになっておりませんので、文部省といたしましても、その選挙のたびごとにはっきりわかるような仕組みになっておりません。従いまして調べてみますけれども、特に政党所属別の資料というものは非常に困難だと思いますから、あらかじめ御了承おきを願いたいと思います。調査いたしてみますけれども、さような事情がございますので、あらかじめ御了承いただきたいために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/170
-
171・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと関連して…。今の資料ですが、それは文部省には今すぐあるかどうか知りませんけれども、これは自治庁の選挙部に必ずありますから、一つ自治庁の方と連絡して、その吉田委員のおっしゃった資料を至急に出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/171
-
172・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今申し上げましたように、十分調べてみますけれども、もちろん選挙部にも連絡をいたしますけれども、地方の選挙につきまして一々そういう仕組みになっていないように私思いますので、まああらかじめ御了承だけはいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/172
-
173・荒木正三郎
○荒木正三郎君 資料のことなんですが、非常に文部大臣が強く主張されるので、そういう傾向を事実調査されて、そういうふうにおっしゃっているのじゃないかと思っておりましたから、すでに十分調査されているのじゃないかと思っておったのですが、それは別として、できるだけ早く出してもらいたいと思います。
私は文部大臣の考えは独断だと思います。そこでなぜ私が独断かということを申し上げるかというと、今日教育委員の公選制を廃止して任命制にした方がいい、そういう意見を持っておる人もあります。しかしそういう人たちも清瀬文部大臣が心配しておられる点を心配しておっしゃっている人は、私の不勉強かもしりませんが、一人もないのじゃないかと思います。私もこの間から若干勉強するつもりで衆議院における公聴会の記録を読みました。この公聴会には自民党推薦の人たちの中には、任命制をよいと考えておられる方もあるわけであります。そういう人たちの公選を読んでみましても、将来二大政党ができたのだから、教育委員の選挙を続けてゆけば、これは一党独占になる心配があるのだ、こういうことをおっしゃっている人は、私が読んだ限りにおいては一人もいないのですがね。任命制を主張している人でも、清瀬文部大臣の強く主張されるような点をもって、公選制をやめなければならないとおっしゃっている人はないわけです。ひとり文部大臣がそういう主張をされる、私はこれは独断だと思うのです。私がそういうふうに判断することは、文部大臣間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/173
-
174・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あなたの御判断を、私が批評すべきものじゃないと思います。私は独断じゃないと思います。総合的に考えて今お答えしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/174
-
175・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それでは独断でないという主張を、一つお意見を聞かしていただきたい。私はあなたのお考えは独断だと思う。これは私あるいは失礼に当るかもしれない。ですから文部大臣独断でないという理由をおっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/175
-
176・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 独断だとおっしゃる方が独断の主張なのであって、私の方から独断にあらず、無的事実の証拠はあげることあたわずという格言があります。これはちょっとあべこべじゃありますまいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/176
-
177・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣は行政府の立場にあって、われわれの法律案審議を求めておって、荒木委員はずいぶん慎重に、失礼かもしれないがという敬意を表して、審議しているのに対して、行政府の長がわれわれに法案の審議を要求しておりながら、そういう言葉は慎しみなさい。なぜ独断かということを、われわれに納得できるように、説明していただきたい。はっきりした根拠をもって御説明願いたいということをお願いしているわけです。ところが先ほどからわれわれがただしたことではっきりしたように……。今の教育委員諸君はどういう政党に所属しているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/177
-
178・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 矢嶋君に申し上げます。ただいま質疑を続行中ですから、質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/178
-
179・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの大臣の発言について許可求めたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/179
-
180・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 先ほど申し合せましたように、お互いに言葉じりをつかまえてもよろしくないと思いますから、質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/180
-
181・矢嶋三義
○矢嶋三義君 やはり今の大臣のお言葉は穏やかでない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/181
-
182・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) ただいま質疑の継続中です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/182
-
183・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今の大臣のお言葉をちょっと取り消しなさいませ。私が取り消せということの発言に関してあなたは何とお考えになりますか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/183
-
184・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 独断ということは、根拠なくして自分が勝手に言うことを世間で独断と言っております。人数が一人、二人という意味じゃないと思います、独断の独の字は。……そこで先刻からいろいろと私は理由をあげております。わが国の現状を顧みるということと、だんだんと政党的にものが運ばれるということと、これらを総合して、政治家の良識をもってこのままにしていけば、やはり教育委員会の選挙もほかの委員会の選挙と同じく、政党の区別でもってゆくゆくは争われるようになる。しかるにほかの代議士の選挙とか、県会の選挙のように政党の勝ち負けを本来争うことを公然認め、それがいいのだと思っておったところの選挙とは違って、教育委員会の選挙というものは、学校は中立でおれということが、教育委員会であります。その学校を管理する委員会だからして、いやしくも一党に偏してはいけない。私は独占ということをはっきりするために使いましたけれども、五人のうちで三人が一つの政党において入るというところにマジョリティがある。甲の村は社会党さんがいつも三人でいられる。隣りの方は自由党の方が三人、で、学校の管理が二つ出るということもおもしろくないのであるからして、なるべくは政党の勢力からこれを遠避けて、むろん政党本位で構成される町村会でありましょうけれども、そこで一党からは二人はいいが、三人以上は委員を取らず、また、委員になった以上は、積極的な政治運動はせぬ、または政党の幹部にはならぬ、こういう予防方法をもって委員会を作る方がよかろう、これだけの理由をもってやっておるのは、独断というわけには私はいくまいと思う。人数が多いか少いか比較のことだったら、日本にもう一人私と同じ人があったら独断、独じゃない。私は理屈を言いまするが、そんなことを私は言いたくない。二大政党論でやる人がもう一人あったら、それでは独断ではないのか。そういうふうなことは子供の論です。私と同じ議論を持っている人もあるのです。この案も私一人が出したのじゃないのでありまするけれども、あなたの意味は、独というのは一人という意味でおっしゃっておられるのじゃなくして、理由なき勝手な論旨だというふうな意味に私は解しております。私の理由はるる述べる通り、日本の現状と人間の本性と、それからまた、これにかわる案があるということで提案しておるということは、先日以来たびたび述べております。これだけの理由があれば、これをもって独断と称されても、独断ではないという理由のために、きのう以来述べたことをやはり敷衍するだけのことでございまして、必ず御了解下さることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/184
-
185・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私の質問ははっきりしているわけなのです。文部大臣は、二大政党下の将来は、教育委員の選挙をやっていけば、一党によって独占されるという心配はある、こうおっしゃっているわけなのです。その点を私は伺っているのですよ。二大政党下においては、教育委員の選挙をやっていけば、教育委員が一党に独占される心配がある、しかしこれは何ら根拠のないものだ、それには私は例をあげているわけです。二大政党を結成して以来の選挙を見ても、また、従来の選挙を見ても、教育委員の選挙は、市町村会や、府県の議員の選挙や、あるいは知事や市町村長の選挙、さらに国会議員の選挙、そういうものとは区別して選挙民は選挙している。むしろ政党が正面に出て候補者を立てたり、そういう選挙は国民はいやがってくる。これが実情だということを言っているのです。これは、もし私の認識が間違いであれば、おっしゃっていただけばいいわけです。
さらに、任命制を主張している人も、清瀬文部大臣のおっしゃるような心配をしている人は、いまだ私は聞かない。あなた方が推薦された公聴会の人たちも、そういう点をおっしゃっておらない。そうすればこれは、清瀬文部大臣の独断になるじゃありませんか。私はそういう理由をあげて独断じゃないかと言っているのです。そういう方が、お前が独断、それでは全く言葉のやりとりですよ。ですからそういう点について、私がはっきり今質問した点について、任命制を主張しているような人で、あなたのような主張をしている人があったらそれをあげてもらいたい。これは事実に基いて言ってもらわないと困る。これを私はあまりやりとりする考えはないのですが、堂々と言われると、やっぱり、しかもそれが質問の要点をはずれておる。もう一ぺんおっしゃっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/185
-
186・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 今あなたのおっしゃることで、二つ間違いがあると思うのです。私は日本の教育委員会が二大政党のもとにおいては全部一党の独占になるというようなことを言ったことはない。しかしながら、この調子でやれば、あるいはわずか五人のことであるから、全部独占ということもなきにしもあらず、少くともマジョリティ、五人のうち三人はマジョリティですから、そういうこともあり得る。そういうふうに政党主義で委員会ができることがあり得べしと言ったので、それをもう一つ誇張して独占になると言ったじゃないかとおっしゃることが、少し私は了承できぬのです。その前提のもとにおいてお話を進めなければならない。それから独断ということは、この主張をする人がたった一人という意味ではないと私は考えておるのです。根拠なくしてやる断定を独断と言うのです。私はこれだけの根拠を申しております。現在の日本の現状です。それからして日本人の心持です。二大政党の組織はある方面においては賞讃されておるのです。これでいきまするというと、なるほど教育委員会は中立であるべきものだから、この選挙だけは政治と離れていこうということを言い合せましても、選挙は何といっても競争でありますから、はなはだしきは、法を侵してまでも競争するくらいな競争を持つのでありますから、やはりしまいには政党単位でもって争われることあり得べし、これだけの理由を備え、これだけの認識をもって立つ以上は、私は独断とは考えておりません。何ら理由なくして、頭からこれだということが独断なんです。ほかに公聴人が、五人や十人の公聴人がどういう言葉を使ったか知りませんけれども、人数が少いということは独断――独という字は一人という字でありますけれども、しかしながら理由を備えて、(「根拠はないと言っている」と呼ぶ者あり)これを説明する分には、これは独断じゃございません。根拠は非常にある。重大な根拠があります。私の根拠に向かって賛成して下さる人もあるのです。これ以上申し上げても言葉をあらがうだけでありまして、私は独断にあらずと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/186
-
187・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ、私文部大臣に静かに聞きますからよくお聞きを願いたい。国民が二大政党を支持したのは、一方の政党を抹殺して、一方の政党だけを強化しよう、こういう考えからではありません。二大政党を支持したのは、これは大臣の所属しておる自由民主党の立場の人も、またわれわれの立場の者も、二大政党を支持して参りました。それは二大政党の理想というのは、将来両党の勢力が次第に接近してくる。そして、現在懸隔のある政策が次第に接近してくる。そういう場合、政権の交代もスムーズにできていくような状態になってくる、こういう基本的な理論に立って、二大政党を支持したわけでございます。そういう理想があればこそ、国民ほとんど全部が二大政党を支持して参りました。大臣が論拠にしておる二大政党の対立になれば市町村に至るまで二大政党対立の風潮といいますか、そういう傾向はできてくる。これは現在片寄っておるものをだんだん接近させていこうという、そういうことの徹底以外には、末端にまでこのことが及んでいく方法はありません。そうするとですね、大臣は二大政党ということの論拠に立って、教育委員が一党独占になるということをおっしゃいますけれども、これが逆であって、もしあなたのやっておられる一人一区という選挙であれば、確かに独占になります。これは知事にしても市町村長にしても、政党所属のただ一人をその中から選ぶということになれば、一票の差でもその人は全部を獲得しますから、確かに一党独占になります。けれども、二大政党が国民全体によく行きわたっていった場合には、少くとも、事実を大臣おあげにならないのですから、理論から申しますと、両者の勢力が接近するというのが、これが事実です。そうすると、教育委員は独任制ではありません。少くとも今日では五人、七人です。現在ある傾向を持った者が四もありましても、将来二大政党の勢力が接近して参れば、その傾向だけでもだんだんバランスがとれてくる。これが私は二大政党の根本的な理論であると思う。にもかかわらず、大臣は二大政党になれば、一党独占になる、そういう傾向が強まる、こういう理論がどこから出るか。荒木委員が独断だと指摘したのも、国民全体が二大政党を支持したその考えと、大臣の考えとは逆です。だれもが大臣のような説を立てないのは、私は当然だと思う。そこで二大政党対立の現代において、あるいは先例をイギリスなりアメリカなりにおとりになって、二大政党対立になれば、こういう複数制のものが一党独占になる傾向が強まる、こういう理論を私は大臣から明確に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/187
-
188・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 二大政党でやれば一党独占になってしまうと、私は極言したことはありません。しかしながら政党組織によって選挙をすれば、やはり教育委員会は政党色がつく。ある場合には三人までは一党が取ることもありましょう。あるいは極端な場合は、皆取ることもあり得るのだと、(「それが独占」と呼ぶ者あり)そういうことを私は申し上げているのです。前提を穏当なところに一つおとり願いたい。そうして二大政党の原理は、やはり政権交代にあるので、実際の投票がそう違わないでも、一党が安定した多数を得るということが、小選挙区制なり、二大政党のまず考えであります。それは一見不平なようでありまするけれども、政治はそれで動く方がいいというのが、今の日本の世論で、二大政党を支持されるゆえんもそれにあるのです。それは国会、県会のことなんです。ただしかし、その理論を教育委員会に当てはめて、そのままでいいかというと、それは違うのです。それは湯山さんも御承知の通り、教育委員会法において学校教育というのは、八条の二項でありまするが、特定の政党を支持し、特定の政党に反対する教育はしてはならぬということからきいているのです。それは学校教育のことでありまするけれども、委員会は学校自体じゃありませんが、その学校を管理する委員会だからして、やはり一党に偏しない方がいいと、そういうことにするのには、やはり一党には、二人以上の同党派の者がないようにし、一たん委員会の委員になった以上は、積極的の政治活動をしないようにすると、こういうふうなことで、選挙によって選ばれた町村長が選挙によって選ばれた議員に相談をして作るという方法もあるのだから、これがよかろうと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/188
-
189・湯山勇
○湯山勇君 大臣の御説明は要点に触れないで、不必要なことを非常にたくさんおっしゃいましたから、私は必要な点を特にしぼってお尋ねいたします。それは大臣は、二大政党というものは必然的に中立というものの存在を少くしていく、極端な場合には中立というようなものがなくなってしまう、こういう基礎的な考えに立って市町村民も、あるいは教育委員も、いずれかの政党に所属しなければならないはめになってくるのだ、こういうことが前提に置かれて立論されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/189
-
190・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それは違う、違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/190
-
191・湯山勇
○湯山勇君 もしそれが違うとすれば、今あなたは違うとおっしゃいましたけれども、先ほどからの御立論は消えてしまうわけです。大臣の言われたのは、二大政党の今日においては、とにかく政党に支配されることになってくる。政党に所属するというのは、党員になるならないということじゃなくて政党の支配を受けるようになってくる。そうなった場合には一党独占という言葉を確かにお使いになりました。全部とかそうでないとかいうことを私は申しませんけれども、一党独占という言葉を大臣は使われないというのであれば、私は速記録をお調べ願いたいと思う。(「何べんも使っているよ。」と呼ぶ者あり)ただいまはまた、全部の委員が五人が五人とも一つの政党によって占められるという場合もあると肯定しておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/191
-
192・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) そうは言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/192
-
193・湯山勇
○湯山勇君 その原因は何によるかというと、大臣の立論では、二大政党だから五人の委員を一党の政党が独占する場合もあるという理論を立てておられます。これも間違いはないと思います。私は逆に、二大政党なるがゆえに、五人の委員が五人とも一つの政党によって占められるという傾向は少くなっていく、大臣の心配しておる点が緩和されていく、それが二大政党の基本であると、こういうことを申し上げて、そうじゃないかということをお尋ねしております。教育は中立しなくちゃならないとか、その他の立論の要素は、また別な機会にお尋ねいたします。私は今荒木委員の質問について、特に二大政党とそして複数制の公選による教育委員が一党独占または五人の全部が一党によって占められる、そういったことの理論的な裏づけがどこにあるかということを大臣にお尋ねしておるわけですから、その点に限って、他の要素を入れないでお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/193
-
194・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あなたの御発言中に、私が言葉を差し挾んで失礼でございましたが、あなたの今の理論の初めの部分には、町村民がいずれかの政党に属するようになると私が言ったとおっしゃいましたが、そういうことはないんです。(湯山勇君「言ったとは言わない」と述ぶ)それはしかしながら選挙が党派の区別でせられることは、だんだんと多くなると言いました。それからまた、一党独占という言葉を私が使ったことを否認したことはございません。極端な場合には、五人とも一党で占めることもあり得ると、そうでなくても、マジョリティ、三人を占めることもございますると、そういう場合になるというと、教育の中立を妨げるというので、一党独占ということになるということは、非常に極端な場合であります。二つの党派が五人の選挙を競争するのに、一つも一つの党派がよう取らんなんということは少い例でありますけれども、世の中にはあり得る例です。そう言ったのであります。この二つの注釈を加えてお考え下さるというと、だんだんと国民の政治意識が党派別に動くということになりまするというと、教育委員会の選挙も党派別になります。党派別になれば、勝つのが目的であります、選挙は……。勝つためには、違法行為までも行われるのです。中立じゃからといって、二人以上は取らぬといったような抑制的な態度ではなくて、勝つならもっと勝とうという選挙も行われるのです。日本の町村の数は非常に多いのであります。四、五千に及ぶのでありまするが、どっかの町村では。あるいは全部取ることもありましょうし、ほかのところでは三人を取ることもありましょう。そういうことは予見できぬのであります。絶対になしということは保証できません。あなたは両党の主張が漸次接近するということをおっしゃいました。私もそれを希望しております。ある程度まで、日本に対する根本思想が接近いたしませんというと、内閣がかわれば根本的に政治アイディアまで、一方ではある種類の非常に極端な社会的イデオロギーでいかれまするし、他の方は自由主義でいくと、一ぺんに何もかもひっくり返っては困りますから、相当のところまで私の方も進歩政策をとりたいと思いまするが、あなた方の方もやはり自由主義政策に御接近願いたいと、イギリスの程度までにはいきたいと思っております。それでも、アイディアが接近したからといって、党派が違う以上は、党派的な選挙はやはりあるのです。しこうして、それも一般、すなわち国会議員の選挙、県会の選挙は、党派的でやったということは少しも責めるべきではないのです。むしろ喜ぶべきことです。ただ、教育委員の選挙だけは党派的色彩が侵入しないようにと、こう考える。これはひとり私が言うのみならず、ほかにもたくさんあるです。今まで各種の委員会においても、指名制度の方がよろしいという答申がたくさん出ております。私一人の意見ではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/194
-
195・湯山勇
○湯山勇君 大臣とこれ以上、この問題について私は論ずることの情熱を失いました。それは大臣は、私があれだけお願いしたにもかかわらず、端的に私のお問いにお答えして下さらないで、非常に他のことをおっしゃって答弁をそらしておられます。ただ最後に、この問題に関する最後のお尋ねとして、二大政党というのは、両方の勢力の差をつけるためにできたものか、両者の勢力の接近をねらうためにできたのか、つまり、一党独占という言葉をお使いになった。その一党独占に二大政党の対立ということが逆行するのか、その方へ前進するのか、二大政党の対立は一党独占の傾向を増すのか増さないのか、最後の点だけ一言御答弁願います。これは現実の問題ではなくて、理論的にどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/195
-
196・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 失礼ですが一党独占という意味をもうちょっと一つお願いしたいのですが、政府を一党で独占するということですか、教育委員会のことではございませんね。もっと広い政治理念をおっしゃるように思うのですが、もうちょっと一つ教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/196
-
197・湯山勇
○湯山勇君 大臣にそういうふうにおっしゃられますと、私もそういうことについては専門家ではありませんから、大臣の御要求になるようなお尋ねができるかどうかわかりませんけれども、一つの政府とか、一人の知事とか、あるいは一人の市長とか、そういうものについては、この際別にいたします。国会議員とか、県会議員とか、あるいは市町村の議会の議員とか、あるいはそれと同じように直接公選という範疇の中だけ考えて、複数の人数をもって構成される、たとえばその中に教育委員を入れることも可能だと思います。そういう複数の公選された者をもって構成する機関が、一体二大政党対立の場合に一党独占の傾向を増すものか、あるいはそういう傾向を減していくものか、そういう点についての一般論として大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/197
-
198・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 世間で、わが国も二大政党で進もうという希望の出ましたのは、おそらくは国会に数党派がありますというと、その合同分離等の際、フランスの政治のように政治の安定を欠くからして、そこで二つの党派でやった方がいい、こういうことのように思います。あなたのお問いのことは、あるいは選挙制度のことかもわかりません。小選挙区でありますと、必ずしも党派に比例せず、少したくさんのものがみな取りますわね、五十五まであったらもう百みなとってしまうのです。これが一つの選挙区に数人の代議士をとりまする比例代表とか、中選挙区になれば必ずしもそうじゃありません。小選挙区のねらいは国民の世論が違えば少しでも多い方が勝ちすぎると言ってはおかしいけれども、安定した政権を取ります。(「安定じゃない、独占だ」と呼ぶ者あり)あなたの議論は、選挙制度のこととしては、そういう傾向があることを知って、小選挙区を主張する人もあろうと思います。イギリスの政治がそうなんで、労働党と、保守党との差が二、三十であっても、保守党が勝って全部内閣を数年間自分が作る。けれどもフランスの方ではそうはいきません。比例代表制ではそうはいきませんので、あなたのお問いが選挙区制度のお問いとすれば、小選挙区制は半分以上勝ったものが全部取るという制度ですから、その通りであります。二大政党の方は必ずしもそうじゃなかろうと思います。一方の方が独占するということではなく、やはり議席に比例して事が進行されるものだ、こう私は了解しておるのですが、私も政治学者じゃありませんから、間違ったらお許しを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/198
-
199・湯山勇
○湯山勇君 今大臣の御説明によって、私の質問のやはり足りないことがよくわかりました。確かに大臣のおっしゃるように、小選挙区の場合は二大政党というものはあるいは一党独占ということにつながる場合もあると思います。そこでもう一つ条件をつけます。現在のように、たとえば県教育委員会のようなのは県単位でございます。あるいは現在の衆議院の選挙は一人一区という制度をとっておりません。従って今教育委員の場合を例にとって申しますならば、これは例でございますから、教育の問題と切り離して、例だけとしてお聞き願いたいのですが、七名の中の六名を、あるいは半数改選で三名を、一回の選挙で全県的に選挙するあるいは先般の選挙のように市町村の教育委員を四名なら四名を、その市町村で選挙する。つまり大臣が選挙区の条件をお出しになりましたが、選挙区は大選挙区、もしくは今言った程度の中選挙区――一人一区ということではございません。そういう選挙制度のもとにおける二大政党というものでは、ただいまの一党独占という傾向に近づくのか遠ざかるのか、こうお尋ねすればよかったかと思います。そうなればどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/199
-
200・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この中選挙区のことについて、前に貴族院議員であられた藤沢利喜太郎先生、これは数学者であります。その研究を私は読みました。ふしぎにも中選挙区制では、結果において比例代表制をとったのと同じそろばんになっておるとおっしゃるのです。だから一選挙区で四人または五人をやりますから、自然的に、少し弱い党派と見ればそれが全部で当りますし、強い党派は自発的に区を分けるというような作用で、中選挙区制は、結果においては、むずかしい比例代表制をやらんでも、同じような結果になったということを、選挙読本という本に書いておられます。私がそろばんしたのではありませんが、そうすると中選挙区制が、もし藤沢先生がおっしゃるような比例代表制に近い結果になるというと、二大政党を理想とするのには、中選挙区制は適当でないということになります。ほんとうに二大政党をやろうとすれば、少し無理はできるけれども、小選挙区がいい。私自身は学問的に言えば、やはり比例代表論者なんですけれども、国民が二大政党をいいという今日に立っていけば、党でおきめになっておる小選挙区制には、今は賛成いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/200
-
201・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと今の御答弁を聞くと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/201
-
202・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) いや、お問いがありましたから、余談ですけれども答えたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/202
-
203・秋山長造
○秋山長造君 いや、余談ではないので、やはり同じ選挙の制度を考える場合に、やはり文部大臣のただいまのような基本的なお考えはやはり承わっておくことが参考になると思います。で、文部大臣は、これは今もお述懐になったのですが、小選挙区反対論者なんですね。いつだったか、私はあの牧野さんと大臣と放送討論会を大いに耳を傾けて聞いたことがある。なかなかいいことを言われる。私はもう全面的に清瀬文相の小選挙区反対論に、もう双手をあげて、手を打って賛成したのです。(笑声)ところがいつのまにか自民党の小使だからというようなことで、今は二大政党は小選挙区でなければいかんというような論者に変っておられるのですがね。で、これはどうでしょうか。文部大臣は長年議会政治家としてやってこられて、政友、民政の、あの二大政党対立の時代も経験されてきておられるわけなんですが、今藤沢利喜太郎博士の説によると、中選挙区が期せずして比例代表制と同じように、国民のあらゆる階層の声をあの政治の上に反映するのには、まあまあしかるべき方法だ、こういうことをおっしゃったそうで、それを文部大臣も今御議論になっている。にもかかわらず比例代表制と言えば、小党分立するからいかんということを、現在は自民党の方では主張しておられるのです。しかもこの中選挙区制度で、藤沢利喜太郎博士がそういう意見を吐かれたにもかかわらず、現実の日本の政治は政友、民政という二大政党でずっとやってきたわけです。それからまた、今日に至っても、二大政党という形だけはできておるが、この二大政党も別に小選挙区の結果じゃないし、やはり今おっしゃる中選挙区の結果、二大政党というものになったのだから(笑声)、だから文部大臣はちっとも意見を改められる必要はないので、いつか放送討論会で大いに牧野さんとやり合われたあの意見を、一つ大いに党内でも主張されて、そして清瀬一郎健在なりと、こういう清瀬文相の良識をここらで一つ大いに強調されて、そして(「問題外だな」と呼ぶ者あり)問題にならんのですか、清瀬さん。(「いや、質問が」と呼ぶ者あり、笑声、「冗談じゃない、いや、答弁が問題にならなかったよ」と呼ぶ者あり)いや、もう少し理論的に、理論を尊重されるというところに、私は清瀬文相の政治家としてのこれは存在価値というものがあるように……、われわれ子供のときからずっと承わってきているのですからね。だからあまり目先の事態によって、自分の政治信念をあれこれ動かされないで一つやられたらどうかということを、ただいまの御答弁を聞いておりまして、率直な感想として申し上げたい。(「もう答弁は要らんでしょう」と呼ぶ者あり)いや、ちょっと参考になるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/203
-
204・清瀬一郎
○政府委員(清瀬一郎君) あなたの御引用の、牧野君と私とが対談したときは、牧野君と私とも多少党派が違っておりました。あの当時は日本に大きな政党が四つあったのです。あなた方の社会党自身も右と左、私は当時改進党でありましたが、牧野君は自由党だった。四つありました。議員の数は少いけれども共産党もあるので、これを入れれば五つ、労農党を入れればこれで六つです。(「緑風会」と呼ぶ者あり)緑風会も大きな御団体でありますが、政党ということにお引き合いすることは失礼かと思いますので、まあそういう相争う六つの政党がある時分に、どの政党が国民の支持を一番得ているかということをやるのには、やはりこれは比例代表によるべきであり、ただ比例代表は計算等に非常に繁雑がありますけれども、藤沢先生のおっしゃる通り、中選挙区で比例代表と同じ効果を生ずれば、あのときの政情としては、これで一番たくさんの投票を取った党派が第一党で、第一党の総裁に総理大臣をまかそうということも、やや確定したあの当時の法則でございました。かつてはあなたの方の片山さんが社会党の、あなたの方では委員長とおっしゃるか、あられたから、絶対多数ではなかったけれども、片山内閣を支持した。吉田さんがその次に自由党の総裁であったが、これも絶対多数ではない、後になりましたけれども、ないときにも吉田さんに政権を渡した。そういう慣例があることと、当時五つも六つも政党があったから、こういう時分には比例代表は一番公平である。その後日本の政治もだんだん変りまするし、世の中も変り、ついに二大政党がいいということは、あれから後の国論といってよかろうと思います。これができる過程については、いろいろの過程がありましたけれども、ともかくも二大政党の形はできたのです。この二大政党の形ができたのを、もとの小党分立に戻そうということは、これはよくないことであります。二大政党の形ができた以上は、これをもってゆく、選挙法ももってゆけるようにするということで、わが党は総裁初め、そのためには小選挙区制がよかろうという御論であって、適切なことと思いまして、私は今日の時勢にかんがみて、この案と同じことです。この案も今日の時勢にかんがみてこれを作ったのでありまするが、日本の情勢から考えて、私は党の小選挙区論には今は賛成いたしておるのであります。いたしておるのは、私が意見を変えたというよりも、世の中の情勢が変ってきたのです。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/204
-
205・荒木正三郎
○荒木正三郎君 文部大臣は公選制を廃止して任命制にした方が党派に片寄らない、政治的に中立を保てるような教育委員会ができる、別の言葉でいえば、教育委員にふさわしい人を選ぶことができるという主張をしておられるわけであります。しかし、この主張が正しいかどうかという問題ですが、これはやはりそのときの政治情勢、それから社会情勢等について十分検討されなければならないことであると私は考えるのです。特に政治情勢はどうであるかということを十分検討しなければならないというふうに考えるのですが、議会の承認を経て首長が任命するという形になっております。しかし、今日の首長、これは申すまでもなく直接選挙によって選ばれておるわけでございます。しかし、この首長の選挙を見ますと、これは非常に政党的な背景のもとに選挙が行われておるということは事実であります。午前中これについての資料の提出を求められておるわけでありますが、私はおそらく資料が出されても、この首長選挙というものは非常に政党色の強い選挙が行われておる、そういう事実を統計が示すと私は考えておるわけであります。もちろん首長だけでなしに、議会になりますと、さらにこの傾向は一段とはっきりしてくるというふうに考えるのです。ほとんど都道府県におきましては、政党に所属の議員が大多数を占めておるというのが現状であると思うのです。それから都道府県の知事にいたしましても、政党に入っておられる人は何人くらいあるか私はよく知りません。これは資料を提出された後にはっきりわかるわけですが、しかし、政党に所属されておらなくても、政党の支持を受けて、そうして選挙されたという人がほとんど、大部分の人がそういう状態にあるのじゃないかというふうに考えるわけであります。これは言いかえれば、特に都道府県の知事は政党に入っておるか、あるいは政党的な色彩を持っておるか、こういう人たちが大部分を占めておると思うのです。議会もまたほとんどが政党人によって占められておる。全部とは言いません。ほとんどが政党人によって占められておる、こういう政治情勢であります。そういう中において、議会の承認を得て首長がこれを任命するということになれば、どういう人選が行われるか、果してこれが政治的中立性を十分に保ち得るような人選が行われるかどうか、こういう問題は現実の政治情勢を勘案して考えなければならない問題であると思うのです。清瀬文部大臣は先ほどから、公選制であれば非常に、一党独占の場合も起ってくるということで、非常に強く公選制を反対しておられました。任命制になってくればそういう心配はないのだ、特に三人以上は法律をもって禁止しておるのだから、ということでございます。しかし、先ほど申しましたような地方の政治の実態というものを考えて、今提案されておる任命制を考えますときに、私はこの任命制によって、むしろ任命制によって構成される教育委員会というものは、非常に政治的に中立を保ちにくい、政治的中立性がこわれるような教育委員会が構成される、こういうふうに判断をしておるわけなんです。こういう私が申しました政治情勢について、文部大臣はどういう認識をしておられるのか、それからそういう政治情勢のもとにおいて任命された教育委員というものが、政治色を多分に帯びてくるということに対して、どういうお考えを持っておられるのか、そういう点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/205
-
206・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あなたのお話しの前段の都道府県知事及び議会の情勢はその通りと認めていいと存じます。言葉の緩急はありましょうが、知事なり、議会議員は政党に関係しておる者が多いことは事実であります。しかしながら、それらのものが知事提案の委員に同意を与える際には、同党派は二人しか取れぬ、こういう大きな制限と、党派の党人であっても、政党の幹部にはなれない。また積極的政治運動ができない、こういうことで中立性を保ち得ると思います。人間界のことでありまするから、思うた通りにはできないでも、それで中立性を保ち得ると思うのであります。知事や府県会議員が政党を根拠に当選してくるということは、同時にこの情勢から見れば、教育委員会の委員も政党を根拠として出てくると見なければなりません。政党を根拠として出てくる人に政治運動をするなという制限は、これはちょっと無理であります。それからまた、政党を根拠とすれば、先刻申す通り、勝ち負けが大事でありますからしで、一つの党派が三名以上を取るということもあり得るのであります。党派の数は二つじゃない三つありましても、いわんや二大政党で、党派の数が少くなるというと、三名以上のこともある。場合によっては相当少いでもありましょうが、音取ることもあり得る。この二つの場合を考えてみますると、私どもの計算した方が中立性を保つのに最も安全である、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/206
-
207・荒木正三郎
○荒木正三郎君 ただいまの文部大臣の説明でありますと、私はどうもこういうような結果になるのじゃないかと思うのです。教育委員会は議会を縮小したような、いわゆる第一の政党の代表的な人、それからまた他の政党の代表的な人が推薦されてくる。ちょうど府県会議会を縮小して、五人で構成された議会だというふうな格好に近い。同じだとは申しません。格好に近いような教育委員会が私は構成されるのじゃないかと思う。もしそういうことになれば、この政争ということが、そのまま教育委員会へ移ってくる。それは大きな政党は二人くらい出すでしょう。小さい政党はまあ一人くらい出すかもしれません。それから、そのほかに、二人は政党に入っていないけれども、このシンパ的な人と、そういう人々が選ばれる。こういうようになって、私は教育委員会は政争の場になってしまう。こういうことを強く感ずるのですが、大臣どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/207
-
208・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) もし教育委員会が県会の比例でいけばそうなりますけれども、この案ではどんな大きな党派でも二人以上は出せないのです。かりにここで四分の三がAの党派で四分の一がBの党派といたしましても、Aの党派からは二人しか出せないのです。五人のうちBの党派は小さくても、人間は一人以下という人間はありませんから、これは一人出せる。三対一になります。でありまするから教育委員会は県会の縮小だということにはならないようにしてあるのです。これがこの案のみそです。(笑声)そういうことにして公安委員会も、人身に関する重大な公安委員会も、公平を旨とする公平委員会も、人事委員会も、それでやってみてうまく運行されておる前歴があるのです。でありまするから、私の方の案は政争の巷とならざるように、非常にいい案と私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/208
-
209・荒木正三郎
○荒木正三郎君 文部大臣も先ほどお話がありましたように、選挙というものは非常に激しいものだ、選挙は勝たなければならぬ、血で血を洗うような激しいものだというお話がございました。それで考えなければならない問題は、知事が選挙をするにしても、これはやはり勝たなければならぬ激しい戦いになるということは私も認めます。また、議会の議員の選挙でもこれは同じです。そういう激しい選挙を経て出てきている知事が、教育委員を任命するときに、やはり第一に頭に浮んでくるのは、文部大臣、選挙のことじゃないでしょうか、これはお互いに選挙をやってきた者はぴんとわかるはずですね、わかるはずですよ。そこで、教育委員を一人きめるにしたって、これは神様でない以上、やはり自分の選挙というものがまっ先に頭へ浮んでくるわけなんです。議会もまた同じですよ。どういう教育委員を選ぶかということになると、選挙のときにどれだけ利用できるか、こういうことが考えられるということは、選挙が激しければ激しいほど、そういうことは実際問題として、起るとは言いませんけれども、起る可能性は私は十分あると思う。そういう心配は十分あると思うということは、十分言い得ると私は思うのです。もし、そういうことで、かりそめにも教育委員の任命に当って、そういうことが実際に考えられていくということになれば、これはどうなりますか。これは全然ない、あり得ないことだというふうに言い切ってしまうことはできないと思いますよ。これはお互いに選挙をやっておれば、それはわらでもつかむという気持は、清瀬文部大臣もよくわかっていると思いますね。それはあらゆる力を結集したい、そのためにこの教育委員の人選が利用されるおそれが十分あると言うのです。これをどうして防ぎますか。やはりこれを十分防ぎ得るというものが、この法案の中になければ、任命制というものは、今日の政治情勢からいえば、非常に危険であると言い得ると私は思うのですが、大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/209
-
210・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あなたの御心配のようなことも私は絶無と言うのじゃございません、人間界のことですから。しかしながら、知事もそれから県会議員も選挙のことを心配しますよ、自分の選挙のことを。そこで教育委員は「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」、これを選べと法律にあるのに、人格が劣等で無学で、学術も文化もちっとも知らん者を選んだならば、自分の選挙に不利益です。あの知事はああいう人事をする、今度は選挙できぬぞ、こういうことでありまするから、やはり私は選挙を気にするところの議員や知事はそうむやみやたらなことはしないと、私はかように信じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/210
-
211・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それは人格が劣等で無学な者を選びませんよ、そんなことは私も言っていないです。そんなことをすればかえってマイナスになりますよ、そんなことを言っているのじゃないですよ、それは人格が高潔で、そうして見識も高い、これをはかるものさしというのは、なかなかむずかしいですよ。ですからそれはやはりそれぞれの人が選ばれてくるでしょう。しかし、私が今問題にしているのは、やはり政治的立場、政治的傾向です。知事を支援する……、もっと私は極端な言葉でいえば知事の腹心、それを教育委員に入れる、こういう場合だって絶無とは言えないと私は思うのです。先ほど文部大臣は絶無とは言えない、絶無どころじゃない、相当な、今のこの政治情勢、社会情勢から考えて、相当危険があるというのですよ。ところがこれを防ぐ何らの規制がこの法律にないじゃないですか。大臣は絶無とは言わぬ、若干はあるだろうというのだったら、どうしてもその点の配慮がこの法律になければならぬですよ。配慮がないのは、どういう意味でですか、何でですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/211
-
212・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) まあ今事柄がわかるために、人格高潔ならざる場合を悪い言葉で言いましたけれども、二人までは同党派は選べるのです。ところがあとの者を選ぶに当って、みすみす党派に所属しておるのに党員の登録がないということに口をかって、知事がえこひいきな人事をするということになりますというと、これは党利党略だという非難を受けまして、そこに世論というものがありまするから、立憲政治のもとにおいては世論の善意ということをこれはもう前提といたさなければなりません。二人だけは選べまするが、三人も四人も党臭ふんぷんたる者を選ぶということになると、知事は選挙に必ず損をします。県会議員も損をします。そこの善意を一つ考えておかなきゃなりませんので、こうやればきっと悪いことをするだろうといったようなことで法律は立てられません。今の公安委員会でもそうです。人事委員会もそうです。どこの市長やどこの知事が、世の中で指弾されるようなものを身びいきでやりましたか。大ていこれで公平にいっているんです。こういう道徳的の文字をこの法律に書くというと、これは役に立たぬという非難もありまするが、やはり法律は法律です。国民もこれを知っているのだから、これだけの法律を作っておけばやはり不公平な、何ら身びいきな人事は私はできないだろうと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/212
-
213・荒木正三郎
○荒木正三郎君 よく公安委員とか、あるいは人事委員の例を引かれますが、これは非常に私は様子が違うと思うのです。――ちょっと質問中はよく聞いておいてもらわぬと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/213
-
214・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) よく聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/214
-
215・荒木正三郎
○荒木正三郎君 よく公安委員とあるいは人事委員の例を引かれますが、教育委員とは非常に趣きが違うと思うのです。公安委員は警察官を使って選挙運動できませんよ。実際は。人事委員だってそういう要素はありません。しかし教育委員会に非常にそういう要素を持っているですよ、持っている。特に教育委員会が任命する社会教育関係の委員、これは非常な選挙における力ですよ。これはもう選挙のオーソリティである文部大臣よく御存じでしょう。この力を利用すれば、選挙にいかなる大きな力になるか、これは教育委員会が選挙に使われるということになると非常な力を持っている。これは文部大臣も認められると思います。性格が違いますよ。ですから私はやはりこの任命制の場合は、どうしても政治的色彩の強い現状における知事が議会の承認を得て人選をする場合に、どうしても政治的に片寄った人選というものが行われる心配が非常に強い。私はこれは十分この法案では考えなければならない大切な問題だと思うのですよ。私はこういう例を知っております。これは名前や、県の名前は言いませんが、知事選挙で自分の使っている部課長を選挙に動員したいということで、選挙に入る直前にやめさして、そうして選挙参謀に使って、選挙が終ったら間もなくそれを元の地位に据えている。しかもこれを二回の選挙を通じてやっている。これは名前をもし文部大臣が言えとおっしゃればその知事の名前も私は言います。そのくらいのことをやっているのですよ、知事選挙というものは。私はこういう実情から考えて、任命制で最もおそれる問題はやはりそこにあると思うのです。片寄った人選が行われる、いわゆる政治的中立性を失う、そういう人選が行われるということです。これはどうして防ぎますか。これを防ぐはっきりとした手立てがなければ、この任命制というのは、私は非常な害毒を教育界に流すものだというふうに考えているわけです。こういうことを大臣どうして防ぐのですか、それをおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/215
-
216・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 世の中は比較の問題であります。直接選挙して社会党、自民党と相争った場合の政党色、一つの派から二名以上は選べないんだぞ、しかも選ぶのには人格高潔、教育、文化、学術に湛能なる者、こういうことでやる場合と、どちらが中立的であろうかという比例的なことなんです。私は直接選挙よりは、この方が中立を保ち得ると、こう見ているのです。間違いですか。(「間違いです」と呼ぶ者あり)ここにこれと同じような気持で人事委員会の選定がされております。あとでまた数字を申し上げてよろしいが、今度は自発的に一つ資料を出しますが、人事委員会は百三十四人です。そこで自由党に所属する者が三人です。これは前の時代のことですから……。私どもの属しておった民主党は一人、社会党は三人、無所属は百二十七と、こうなっているのです。こうなんで、やはりどこの知事も、どこの県会議員も、むやみに自分の党派をひいきするということはなかろうと思うのです。そういう人事をいたしまするというと、県民から指弾を受けて選挙には損をするのです。そこの人間の良心あるいは世論ということに信用を置くのが、民主政治でございます。これ以上しゃくし定木の規定をたくさん作るということは、これはよくないので、ちょうどこの辺がいいのであります。法律はきつ過ぎてもよくありません、ゆる過ぎてもよかありません。非常にころ合いを得たいい規定だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/216
-
217・田中啓一
○田中啓一君 今日午前中から引き続きまして、公選の方が政治的中立を保証するものだ、いや、直接公選ではそれを保しがたい場合も県、町村個々のものを考えると、そういうものも出てくる可能性が、二大政党対立ということになって以来は多くなる傾向を持つであろう、こういう点で全く見解が違って質疑応答が繰返されて参りました。だいぶ明らかになったと思うのでありますが、そこで実は率直にこの際私はどう考えているか、実は今思うのだと、またこの今度の新法律案というものが清瀬文部大臣によって提案されようとした際にどういう感想を持ったかということもあるいは御参考になり、また、文部大臣はそういうふうにはお考えにならなかったかということを一つただしたいと思う。というのはどういうことかと申しますと、実は二大政党対立でやっていこうということが、今日ほとんど識者の私は世論になっておるように思うのであります。そしてまたその理想とするところは先ほど湯山さんのお話しのように、だんだんこれは政策が接近せにゃいかぬと私も思います。そういうことを私どもも希望いたします。また努めるつもりでおります。が、実は村などへ帰ってみましたり、また婦人や青年団に聞いてみますとあまり感服しておらぬ。両方で組織のとり合いをやられては困る、わしらは中立でいきたいのだ、それを政治の好きなものもおるから、だんだんくずされては困るのだというような素朴な意見もあるのです。が、まあいろいろ論はあっても、すでに事実としてそういう勢いが今日はできてしまった。できた以上は、その勢いにだんだん輪がかかっていくであろう、こう私は思います。そこで私どもがそういうことであるけれども、もうこれは勢いだから大いに組織活動をやって党にも組織委員会を作って、そして村も一つ、自分の村皆入れちゃおうというくらいのつもりでおったのですよ。県もこれまでとかく県教育委員会の選挙というのは無関心でほったらかしておった、これはいかぬ、大いにやろう、やれるだろう、こういうつもりでおったのです。ところが文部省から出てきました案を見ますると、まず第一に今度の教育委員は判検事と同じことで、あまり積極的に政治活動をしてはならぬぞ、今まではどれだけやってもよかった、大いに頼みになった、どうもそういったものを取っとけば取っておくほど確かに党派活動には、選挙には工合がいい。それから委員の党派につきましても二人までしかいかぬ。これはどうもえらいものができたというて相当反対をやろうかと実は思ったのです。だけれども考えてみますると、自由民主党が永久政権を作ろうとしているというような非難もある、決して法律をもって他の政党を禁止できないですし、またできないことは、法律をもってしてもできないことは、憲法にも明らかなんです。できやせぬことでありますけれども、あまり一生懸命努めるものだから、それを目的にしておるのかというような非難も受けた。そこでまあこれは非常に憲法なり法律に明るい文部大臣は、自由民主党も少し自制しなきゃいかぬと、教育委員会までそういう方に巻き込んじゃいかぬぞと、こういうようなことですね、どうもわれわれみずから抑制をする法律をとうとう出してしまった。そこでまあ実はちっとはやったんですよ、そういう論を。やったんですけれども、まあ最後はですね、それもそうだと、とにかく何よりも教育委員会を政争に巻き込む、先生が巻き込まれる、今おっしゃったようですね、やがて生徒が巻き込まれて、父兄が巻き込まれる、こういうことになってですね。教育というものは非常にまあ何といいますか、工合の悪いものになる。そういうことを考えるとですね、まあ現在かりに県知事を見ましても、自由民主党の党員になっておる者もおり、系だと言われる者もおる。でも、社会党に入党されておる方もおり、これまた系だと言われる方もおられるわけです。そこでまあ心配すれば切りはないけれども、まあこれぐらいまず委員そのものの積極的政治活動を禁止して、それからまた党派に属する者も制限をしてそうしていくならばですね。まずまずいいところにいくかもしれぬ。あまりどうも教育委員会をこれはまあ利用すると思っておったことは、どうもこれは大政党の手前自粛するほかないと、かように実は考えましてですね。そうして賛成をいたしました。実は先ほども私この委員会の席でですね。もとからこういったまあ任命制のことを考えたと申しましたが、そのときは判検事と同じ性格のものを作るのだというふうには実は考えておらなかったのですよ。やっぱりまあ政治活動はいいのだと、こういうふうに思っておった。ところがまあ見まするとそういうことですね、初めはいささか意外に思いましたけれども、まあそういうことで、文部大臣はそこまでお考えになったかどうか知りませんが、これはまあ何ですね。二大政党の苛烈なる政争に入ることに対して、ある程度おのおの政党は手控えろと、こういう声が教育の府にある方々としては出ざるを得なかったのだと、こういうふうに実は私は解釈をしまして賛成をしておるようなわけでございますが、これらの辺に対する文部大臣の、まあこの法案をお作りになるお考えはどうでございましたか、一つこの辺で何か参考にお伺いができますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/217
-
218・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この案を作るまでには、世の中の意見も聞きました。それからしてたびたびの諮問委員会、協議会のものもよく聞いたのです。しかしながらわれわれが十一月十五日に新たなる党派として結党するときの約束の一つに、教育委員会のことがあるのでございます。結党早々のことでありまするから、やはりもとの党派のこともすっかり忘れることができません。そこでまあいろいろとこの案については代議士諸君の御論もございましたのです。田中さんの御意見は今おっしゃる通りでございます。あれと同じ意見も、非常にありました。この地方議会の区分を見まするというと、元の自由党が一番大きいのです。これは昭和二十七年の選挙でありまするが、教育委員会の所属は、旧自由党が二百七十七に対して、私の属しておった改進党は四十五です。社会党さんの方は八十七であります。そこで教育委員を自由党さんの方は二百七十七も持っておられるのでありますから、これを政党所属から除くことは非常に困難でございました。しかしながら、教育委員会の性質にかんがみまして、党の勢力拡張はほかの方でする、教育だけは一つ無色透明にしてもらいたいということを私どもたびたび提唱したことでございます。私は文教委員の委員長じゃございませんので、文部省側でありましたから、常に抑損の態度をとっておりましたけれども、やはり教育委員会に多数を持っておられる諸君としては、この中立案は御不服であったのじゃないかと思います。しかしながら、教育の中立ということを尊んでかくのごとき案になったのであります。こちらの方が委員を二百七十七、改進党の四十五を寄せれば三百以上も持っておるのです。社会党さんの方は八十七でございます。それで教育委員を政党外に置こうというのですから、よほどこれは犠牲を払った案に相違ないのでございます。これで田中さんのお問いに対する答えになっておりましょう。当時の事情はそうでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/218
-
219・秋山長造
○秋山長造君 先ほどの荒木委員の質問に対する御答弁について、私はどうも文部大臣が比較すべからざるものを比較してそうして御答弁なさっていると思うのです。私も実は地方議員の経験があるのです。その経験に基いて申し上げるわけですが、府県の場合、公安委員なり人事委員なりというものとそれから教育委員というものは、予算面から見ましても、また持っておる権限から見ましても、また影響力から申しましても、これはもうてんで比重が違うのですよ。たとえば、公安委員なんかは、特に今度の新しい警察法のもとでの府県の公安委員なんかというものは、これは全く、極端な言葉で言えば、これはもうお飾り物にすぎないのですね。地方の警察行政の責任者である警察本部長なんかの任免というものは、中央がやるのでしょう。それからまた警察署長にしても、あるいは一般警察官にしても、その人事権というものは、地方公安委員会が持っていないのですからね。これは中央の任免にかかるところの警察本部長が握っておるのです。だから、公安委員なんかというものは、ほとんど魅力がないのですよ。食欲が動かないのですよ。それからいわんや人事委員なんかになりましたら、これはもう公務員法を見られてもわかる通り、ほんとうに県庁の職員の勤務条件を調査したり、またときどきどうしたらよかろうという勧告書を知事に提出する、あるいは県会に提出する程度の仕事であって、これまたあまり政治的な魅力がないのです。だからこそ、議会なんかにおいても、あまりこの人選なんかについて党派による争奪戦を演ずるというようなことはなしに済んでいるのです。もし、たとえば公安委員会でも、人事権から何から一切持っているということになったら、これは相当公安委員の人選なんかというのは県会でもめますよ。ただ、今はそういう権限がない、盆栽の飾り物みたいな、あってもなくてもいいような存在だから、ただいま文部大臣がおっしゃるようなことで済んでいるのです。ところが、教育委員はそうじゃないでしょう。予算を見ましても、おそらく多くの府県においては、府県の予算の三分の一あるいはそれ以上占めておる。しかしその人事権に服するところの教職員の数からいいましても、何万でしょう。これはその影響力からいっても、その比重からいっても、非常に大きいのです。従って、これに対しては非常な魅力がある。大きな権限に対する魅力があるのです。食欲が動くのです。だから、従来のような制度において一般公選の委員のほかに議会から一名だけが代表を送ることになっておりますが、その議会から送る一名の委員を決定することについてすら、これは非常に党派間の争奪戦が演ぜられておることは、御承知の通りです。それほど魅力のあるポストなんです。教育委員というのは。ですから、これはただ単に一党から過半数は出せないというようなことをおっしゃるけれども、それは党員であるかないか党籍を持っておるおらないかというほんの形式的な要件にすぎないのであって、党籍こそ持っていないけれども、党則以上の実質的には政党政治に徹した人もおいでになるわけですし、また、党友というような制度もあるわけですし、あるいは党友ということでなくても、党友的なその党の影響下にある人物、あるいはその影響下において動くであろうという期待を持てるような委員を一党によって独占したという意欲が動くのは、これはもう当然過ぎるほど当然なんです。だから、そういう地方政治の実態ということを十分文部大臣が御把握になったならば、これはただいまおっしゃるように、ただ形式的に公安委員も人事委員も同じことだ、公安委員の人選にだって、人事委員の人選にだって、そんな問題のあったことはない。だから教育委員も同じことだというようには簡単には割り切れんと思うのです。これは必ずや教育委員の人選をめぐっては、非常な党派的な争奪戦というものが起る。しかし、その場合に一党の努力が議会において過半数を占めておる場合、あるいは知事なり市町村長なりが一党に属する、あるいは党派に属しないけれども、実質的にはその党派の人と何ら変りないというような人であった場合、しかも文部大臣はそうなることが火を見るよりも明らかだとおっしゃるのですから、そうなるでしょう。そういう状況のもとで教育委員を選ぶということになれば、これはもう実質的には非常に政治的な偏向を起しますよ。従って、口ぐせのようにおっしゃる政治的中立性というものの確保というものは、非常に困難になってくるということを、私どもはほんとうにこれは腹の底からおそれるのです。だから、もう少しやはり地方の実情ということを考えていただきたいと思う。これが一点です。
それから二点は、なるほど人格が高潔だとか教育に対する識見を持っておるとかというようなことをおっしゃるけれども、しかし、これまた荒木委員がおっしゃる通り、これを具体的にはかるものさしというものはあり得ない。だから、実際に選考する場合には、実際問題としては、そういうことはあとからどうにでもとってつけられる理窟であって、とにかくその場その場での成り行き次第によって適当な人が選ばれるということになるのは、もう火を見るよりも明らかです。もちろんその場合、極端なことはしないでしょう。選挙の人気に関係するような、だれが見てもその県下で札つきの人間というような者を選ぶことはないでしょうけれども、札つきではないが、しかしさてはといってだれが見ても、ほんとうに人格が高潔で教育に対する識見を持っているというような人もまた、なかなかこういう方法をもっては得がたい。その中間のどっちつかずの人が選ばれる。こういうおそれが実際問題としては多分にあるわけです。こう思うのですがその両点についてお伺いいたします。人格が高潔といっても、たとえば私生活の面から言うのか、私生活においてたとえばめかけを持っておる人は人格が高潔の中に入るのか入らぬのかというようなことまでふみ込んでせんさくするということは、実際問題としてできないでしょう。どうですかその点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/219
-
220・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 秋山さんは今予算の額について、教育予算は各府県においては三分の一非常に大きな額を持っておるから食慾が生じるというのですけれども、予算が大きくても、これは自分が取るわけじゃないので学校の経営であります。学校も大切でありまするけれども、荒木さん、警察も大切なことですよ。それは人間の自由に関するところの重大問題です。ゆえにこの法規を見ましても、これは警察本部長は公安委員会の同意を得て任命されまするし、警察庁並びに都道府県警察本部はそれぞれこの公安委員会の管下であるのでございます。そこでどっちが重い、軽いということは言えませんです。ただ問題は中立性、公平にやらねばならぬということは警察も教育も同じだと思います。警察が不公平であったら人が承知するもんじゃありません。また、教育が中立を害しては、これはよくないことであります。その公平、中立を必要とするところの公安委員、また人事委員で、日本は四十数個の委員がありまするが、これがこれと同じ手続でやったがために、不公平な委員ができたという非難は私はまだ聞いたことがないのです。それゆえにその県会の同意を得て知事がやる。しかもそれはどっちも同じ文字が書いてあります。人格高潔で、その仕事について理解がある、また、選ばれたら、積極的の政治運動ができぬ、こういう機構でやりまして、警察や人事のような公平を主眼とすることに、ともかく一つ二つじゃありません、五十近くの都道府県においてこの選任法が悪かったからという非難は実はあまり起っておらないです。これを私はいい試練だと思います。今人格のことをおっしゃいましたが、衆議院でも質問があったのです。めかけを持つ者は人格高潔かといったような高津さんの御質問がありましたけれども、それは社会通念でいろいろのことを総合して考えなくちゃなりません。まず人格高潔といえば、総合的な意味で非難のない、人に迷惑を及ぼさぬ、学問もあり、行いもいいというので、こういう規則は全く無意味じゃございません。こういう規則があるにかかわらず、我意を通して知事なり、県会議員が自分の党派に非常に有利な、相手の党派に不利な人事をいたしまするというと、きっと次の選挙には非難を受けると思うのであります。こういう人間性の善意に信頼してこれをやるということは、私は今日の立法としてはよかろうと思います。これ以上切り刻んでこういうものはいかぬ、ああいうものはいかぬという欠格条項をたくさんつけるということはよくない。これだけの道徳的か何か知りませんが、基準を置いてやってみて、ほかにこれと同じく中立を要する、公正を要することを託して、四十何県の都道府県であやまちがなかったのだから、この機構はいいものであろう、かように私は思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/220
-
221・秋山長造
○秋山長造君 今の答弁もうちょっと……。文部大臣は理論的におっしゃるのですけれども、私はまあ実際論でお尋ねをして、文部大臣のお考え直しを求めておるのです。これはまあ繰り返しになりますけれども、公安委員が中立でなくても何でもいい、不公正でも何でもいいということを言ったのじゃないのです。実際問題として公安委員を選考する場合、人事委員を議会において選考する場合と、それから教育委員を選考する場合と、比重が違うのですよ。これはもう理屈でどう説明をなさろうとも、実際問題がそうなんです。これは議会から出すたった一人の教育委員の選考でも、これは非常に各政党食指が動く。ところが人事委員なり公安委員なんというものは、その仕事は重要であるかもしれぬ、あるかもしれぬけれども、これはあまり問題にならぬ。問題にならぬということは、今おっしゃるような理由もありましょうが、地方議会の実情からいうと、問題にするだけの政治的な価値といいますか、意欲が動かないのですよ。そのことを私は言っておる。それに比べると、この教育委員というのは、これは自分が使うわけじゃないけれども、これはやはり人間ですから、権力欲というものが大いにあるでしょう。だから権力あるところにおのずから集まる。だからその膨大な予算も握り、そうして大きな人事権も持つというところへやはり集中してくる。だからどうしてもこれはその県会なり、あいは知事なりの政治的な動向、背景、そういうようなものが濃厚に出てくることは、これは理屈じゃない実地がそうなるのですから……なっておるのですよ。だからその実情をもう少し私は文部大臣に把握していただきたい、こういうことを言っておる。それから人格高潔とか何とかいう要件も、この条文には無意味だろう、こんなものは要らぬ、こう私は極言しておるわけじゃないですけれども、こういうことはあるけれども、実際問題としては、こういうことはあとからどうにでも説明がつく場合が多いのであって、実際にはこういうことよりも、選考する場合には、党派的な関係がどうとか、あるいはその候補に上った人の党派的な傾向がどうとか、そういうことが先に立つのです。そういうおそれも確実にあるような方法よりも今までやってきた公選制の方が、同じおそれがある、それは絶対にないとは断言はできないにしても、その程度が私は小さくて済むと思う。その点を申し上げた。その点についてもう少し実情をお調べになっていただきたいと思うのです。もう一ぺん御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/221
-
222・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 私も及ばずながら政界に身を置いておる者であります。実情は承知いたしております。この公安委員会というものは、これも予算は相当あるのです。けれども、予算だけのことじゃない、この権力は大したものですよ。人心の機微に触れることであります。地方の治安に触れることであります。もし、こういう選任の方法が悪かったら、日本には非常にたくさんの府県、四十余りもあるのだから、どこかにこの方法が悪かったという馬脚を現わしそうなものなんです。それが現われておりませんよ。私寡聞にして公安委員の選任が悪かったからして、こんな不公平な警察ができたといったような非難を聞いておらぬ。ですから、この方法というものは相当値打ちのあるものだ、私はこう評価いたしておるのであります。物事は予算の金額でもゆきまするけれども、また事の重大性にも関係するのです。これが決して私は悪いものとは思っておりません。これをやらないで直接選挙でやって、けさからも申し上げましたる通り、党派のうしろだてでぐんぐん党派選挙をやって教育委員会を構成するということよりも、この警察や人事や公安でもって試験済みのこれでやるというと、これは私は公平な、平穏な、りっぱなものができると思う。わが国はほかの国と違って、学問を非常に大切にする国でありますから、私は選挙は困る、政治は困るけれども、委員会なら一つやってみましょうというものも相当あるのじゃと思います。こいつはそろばんでははじけませんのです。大体これでもってうまく委員会がゆけるのだという私は考えを持っておるのです。もしこういう規則があるにもかかわらず、不公平な人事をすれば、さっき申す通り、必ずこれは非難を受けるのです。もっとも二人だけは、これは自分の党派の者を入れることは許しておりますけれども、ぎりぎり二人まで必ず入れなければならぬということじゃないのです。あるいは遠慮して一人も入れぬ知事もあるだろうと思います。私は人間の善意を前提としたこの案が、やはりいいという心は捨てることはできません。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/222
-
223・矢嶋三義
○矢嶋三義君 人事委員会並びに公安委員会との関連については、ただいま秋山委員から質疑がありましたので、私多くをお伺いいたしませんが、これと教育委員会を比較するということは、どうしてもそれは私は間違っておると思います。で、文部大臣に伺うわけですが、県の行政のその一部である人事行政、給与関係を扱うところの人事委員会ですね。それから警察は、警察職員の中には国家公務員もおれば地方公務員もおるわけですが、そういう公務員によって構成されておる警察行政、これはやはり衛生行政等と並立するわけですが、それを扱うところの公安委員会の職務の内容と教育というものは、時の政権をになっておるところの一党一派の政策によって、政権の変るたびごとに大きく右に左に動いてはならない。教育というものは国家百年の根基をつちかうという立場で、人間の育成であるから、そういう立場でやらなければならないという、この教育行政を扱うところの教育委員会とは同日に私は論ぜらるべき性質のものではないと考えます。これが戦後わが国に教育基本法、さらに教育委員会法というような立法がなされ、そうして教育委員会が発足した一番大きな根拠である。かように考えるわけですが、大臣の御説明を承わっておりますと、納得いたしかねる点があります。全くあなたは並立して、お考えになっておるようですが、私の意見に対しては、どういう御見解を持たれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/223
-
224・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 反対でございます。およそ世の中のことは、大きな会社の製造もテスト・チューブでテストして通過すればその方法をとるのです。私はあなたのおっしゃる通り、警察は軽く教育は重いと区別はしません。どっちも重いのです。しかしながら、公安委員会でうまくいったのだから、そのテストを教育委員に使うということは、これは当然のことであります。世の中に同じものは二つありません。皆違っておるのです。しかしながら、中立を要するという点では同じことです。中立を要する公安委員会でパスしておるのです。それなら同じ中立を要する教育委員会でこれを使うということは、誤った方法じゃございません。選挙があなたいいとおっしゃるが、選挙は別として、選挙以外にこの方法よりいい方法があったら一つ教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/224
-
225・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これよりいい方法は、私の見解は現行の方がいいと、こういうふうな立場に立って伺っておるわけです。そこであなたは変えられたのだから、先ほど言ったように、公安委員会、人事委員会、これでやってさしつかえない、だからそうだといえば、そちらに変える以上は、悪かったから変えるというが、その悪かったというのはどういうことがあったか、言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/225
-
226・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) けさから申しまする通り、今日のわが国の情勢、人間の心、これなどをずっと考えてみると、このまま直接公選でゆけば、政治の争いがやはり教育委員の選挙にも色をつけてくる。それがため、中立であるべき教育委員会が、政治の分野で争われるというおそれがあるということでございます。あなたの方もこれを絶無だとはよもやおっしゃらないと思います。その選挙による教育委員とこの方法による委員とを比べてみると、やはりこの方法の方が中立であって、安全だと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/226
-
227・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その意見については先ほど来ずいぶん質疑応答がされたから、私はここで繰り返さないで、若干具体的に伺いますが、この教育委員選挙に青年団長とか婦人会長、ことに青年団長の場合のごとき、非常に若い方が立候補されて当選された場合がずいぶんあります。で、立候補した当時は、あんな若造に何ができるかというような見方で、年寄りの方が見ておられたのに、全く当選以来、心身ともにその村の教育行政に投入されて、そうしてその村の青年団活動、あるいは婦人学級、あるいは生活改善、簡素化の運動等とか、あるいはスポーツの振興とか、さらに学校施設の設備の充実等に、若さの情熱で努力された例はずいぶん私は知っております。これは大臣お認めになられると思うのですが、念のためあとでそれを伺いますが、こういう教育委員は、今後のこういう任命制になった場合には、出てこなくなるのではございますまいか。私はそこに教育委員会を構成する委員の質的な大きな変化がもたらされる、そのいずれが国家民族のためになるかどうかということが、まあ人によって判断が違いましょうが、出てくるわけですが、今私が申し上げましたような、公選なるがゆえにそういう方々が教育委員になられてずいぶんとお働きになったというこの事実と、それから今度任命制になってくれば、そういう方々は教育委員に出てこられないのではないかという私の懸念に対して、あなたはどういうお考えを持っていらっしゃいますか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/227
-
228・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) あなたの今おっしゃる例がどこの県、どこの村か存じませんけれども、優秀なる青年はあろうと思います。それからまた、あることを希望いたします。そういう青年があるならば、おのずから村内の支持を得まして、やはり村議会、県議会において推挙を受ける、やはり就任する機会は私はあるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/228
-
229・矢嶋三義
○矢嶋三義君 きわめてこういう段階になると、大臣は非現実的な意見を述べられております。現実はそんなものではないと私ども確信を持っているから伺うわけです。そこでさらに私はお伺いするのですが、私はこの都道府県の場合を考えた場合に、こういう任命制をとられた場合に、大きく分けて選任の具体的な方法は二通りあるのじゃないかと推測をいたします。それぞれの首長並びに都道府県議会においてやられるわけですが、私は大きく分けて二つの場合があるのじゃないか。その一つの場合はいずれの党にも属しないし、それから八方美人的な、可もなければ不可もないという、よく言えば無色、悪く言えば活動力のない委員で構成される場合と、それからもう一つの場合は議会内において一つ、五人を議会勢力に応じて按分比例でいこうじゃないかという形で、その都道府県議会を構成している各派交渉団体の勢力に応じてこれを選出する、こういう私は二つの場合が大体予想されるのではないか。前者の場合においてはきわめて私は力、迫力に欠けたところの教育委員会が生れるであろう、後者の場合においては、都道府県議会の縮図みたようなものが生れて、そうしてそこは大きな政争の渦に巻き込まれる、ひもつき教育委員と、かように相なるわけでございます。私は大体そういう大きく分けて二つの場合が予想されるのではないかと思いますが、文部大臣はこの立案者として、いろいろな場合を予想されているでしょうが、どういうふうにお考えになっておられるか、それを承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/229
-
230・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 教育委員を選び、または同意する場合は、種々あろうと思います。あなたのおっしゃるような場合もありましょうが、また各県、各村においていろいろな状況が現われるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/230
-
231・矢嶋三義
○矢嶋三義君 他にどういうのが予想されますか。特に予想されるのは。そういうものを持っているはずですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/231
-
232・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) それはこの地方の自治でありますから、その方を今ここで言ってしまうことは、いかがでありましょうか。(「いいですよ」と呼ぶ者あり)いろいろな方法で選ばるると思います。しかしながら、最後の裁決は議案として裁決するまでのことは、実にいろいろあろうと思います。最後に裁決は、同意はその議会の多数で同意するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/232
-
233・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一つの制度を考える場合は、私はこの制度が実施された場合には、どのようになるかといろいろな場合を予想し、かかるがゆえにこれがいいのだ、こういう私は結論が出てくると思うのです。その点について文部大臣が明言されないということは、大体私と同意見で、その二つの場合も困るというようなお気持で私は明言されていないと思うのです。他にこういうふうになって、それが一番いいのだというあなたが予想を持っておられたら、あなたは発言されるはずだと思うのです。私はこの任命制で一番欠陥は、公選制であったならば、都道府県の場合考えて、委員が五人だと、少くとも一人は革新的な意見を持った人が出てくると思うのです。それぞれ人々によって意見が違うでしょうがね。そういう革新的な意見を持った人が一人いるということは、その人の意見が全部通って、その都道府県の教育行政が行われるとはもちろん限りませんけれども、非常に私はプラスの面があると思います。ところが任命制になりますと、結局旗色鮮明が、そう鮮明でなくても、推薦権を持っている知事、それからその決定権を持っている議会の息のかかった人が多く選ばれるというこのことは、もうお答えを求めるまでもなく、まあ他の委員からもずいぶん指摘されたことでございますが、非常に私は明確だと思います、この点は。で、ここで私はちょっと角度をかえて考えるのですが、今お互いに共通の広場を持っていないというようなことが言われているのですが、わが国の現代の政治、経済、学術、文化の現情というものは、他の国とは若干私は異なった激動期にあると思うのです。そういうこの今日本が置かれている情勢というものを私ははっきり把握して、そうして今後いかにあるべきかということを考える必要があると思う。それは国家の基本法である憲法自体が今風前のともしびと相なっているわけでございます。それからまた、それぞれ政党によって意見が違いましょうが、今の日本の再軍備政策については、合憲だという人とこれは全く違憲だという政党並びに学者、それから国民も多数おるわけです。こういう日本の現状から、日本の教育はどう現われてきておるかというと、教育費の父兄の負担状況とか、あるいは教育の機会均等の状況とか、要するに日本の教育の現状というものがいろいろと皆さん御承知の通りに現われてきておるわけです。こういうときに国民は安定した状況下に政治行政が行われておる他国の国民とはよほど違って、今の日本の国民は今の再軍備政策をどうすべきか、それと関連ある教育予算というものは、今の程度でいいのかどうかという点については、私は国民の世論というものは大きく二つに分裂しておると思うのです。こういう今日本の置かれている情勢下においては、はっきりとした私は文教政策を掲げた人が教育委員となって、私は教育行政をやるにあらざれば、可もなければ不可もない、無色透明というような方々が私は教育委員会を構成しているのでは、私は今の日本の置かれている状況下においては、日本の教育というものはこれは守れない、子供の教育と成長というものはもたらされないと、かように私は考えます。で、この私どもの角度から見ますと、私は文部大臣自身はいかがか、どう考えておられるかということは、断定的には申し上げませんけれども、少くともあなたはあなたの所属される政党の決定された文教政策を、ここに持っておいでになっておるということを言われるわけですが、私は現代の与党である自由民主党の、教育支配の自由民主党の政策に奉仕できるような教育政策を日本の末端まで滲透させたいという政党の教育支配の野望というものが、この法案の私は根底をなしているにおいが非常に私は濃厚だと思うのです。こういうことで今の日本の教育というものがよろしいのかどうかですね。そう考えるときに、これは若干の欠陥はあるにいたしましても、主権者である住民の一人々々に、秘密投票によって意思表示された方々に、ときにはまあ十五、六億円の選挙費用は要りましょう。しかしそれは十五、六億円の金額の問題ではないと思うのです。そういう歴史的に見て今の日本は一つの激動期に、そういう時期にあると思うのです。そういう意味において私はこういう制度に改変されるということは、納得できないわけなんですが、私のようなこういう意見を持っている人は、これはわが党の国会議員だけに限らず、党人以外にも相当にそういう考えを持ち、今の日本の、大きく言えば、日本の政治その中から、それから全国に展開されている日本の文教政策、末端の教育というものを非常に懸念されている国民が多数いるということは、これは先般来ここにも出ました七百二十万の署名にも現われてきているわけです。こういう国民の声というものを、これを清瀬文部大臣はいかように考えられておるか、単にその公選制を任命制に切りかえるというような簡単なことでありますけれども、本質的なものは、そこまで私は掘り下げて検討されなければならぬ、かようにまあ考えているわけですが、御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/233
-
234・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) わが国が今激動期にあることは、あなたのおっしゃる通りでございます。容易ならぬときでございます。かようなる激動期にあればあるほど、教育は安定したる中立の状態におきたいというのが私の念願でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/234
-
235・田中啓一
○田中啓一君 関連……、ただいま矢嶋さんの御質問の中に、ちょっと私ども聞き捨てるわけにはいかないようなお言葉もございました。まさか文部大臣そうはお考えにならぬと思うのでありますが、自由民主党の教育支配の野望の表われでないかと、こういうまあお言葉がございました。御意見でありますから、これはまあ私どもがどうと言うわけにも参りませんでしょうが、矢嶋さんの御意見は、そうでないということは、先ほど私質問にも申し上げたつもりです。で、まあ矢嶋さんの御質問は、これはまあ無色透明な、可もなき、不可もなき、どうでもええというような人間の集りになるか、さもなければ、要するに何もせん委員会になってしまいやせんか、それからまた、(「何もせんというのは語弊がある」と呼ぶ者あり)さもなけらねば、また、おそらくそういうことが困るということですね。それからもう一つは、県会の縮図になってしまいやせんか、まあこういうようなお話しだったと思うのです。私はまあこういうような傾向を持つのじゃないかと、実はこの選挙制度、直接公選制をとらないで、任命制にする際に、どうも地方には政党ぎらいというのが今日非常に多い。で、私ども実はちょっとやってみたんです。周囲の者に、いやだと言う、おれは政党はきらいなんだと。だけども選挙のときにはお前を支持してやるから、安心しておれというような話だ、ざっくばらんな話は。どうもそのずいぶん、この本委員会がこの法案を始めまして以来いろいろおっしゃってこられる方がございます。まあ、本日も県の教育委員会の婦人の方たちがいらっしゃった。それで中座をして大へん失礼いたしましたが、要するに可もなき不可もなき者を任命するようなことになりはせんかというようなお話がございました。というのはそのまあおそらくですね、PTAにしましても地方の多くの人にしましてもですね、どうもその政党員というものはきらいなんですね、でありまするから、それはやはり反映されると思うのですよ。何というても今日教育のいろいろなものを作ってくるPTAというのは、私は相当な場だと思うのです。そうでありますから、結局どちら側の知事にしましても、御承知のように知事ならば両側おるわけですが、どうも私は政党員はいないんじゃないかというような気がしてならなかったんです、当時から。それでまああるいは無難で無難でということばかり追うていくとですね、結局まあ悪い言葉で言えば、沈香もたかずへもひらずというようなことになりはせんかと、これは無難ですから、どうもそのように私は思いますが、しかし何分にもやっていかなければならん、仕事はもうしばしば御指摘になっておりますように大仕事です。そうしてまた相当その活気ある人を相手にやっていく仕事でありますから、やっぱり一県の知事としてはですね、その人がどういう党派に属しておろうと、私はやはりりっぱな教育をやりたいということは、これは共通だろうと私は思うのです。でありますから、まあとにかく党派のいかんにかかわらず、とにかく県民大多数の支持を得て知事になっておられる方はですね、そう不見識なことは私はおやりにならんであろうと、こうまあ考えましてですね、そうしてこれはまあだんだん苛烈になる、まあ私などは多少不心得であったかもしれませんが、今後は大いに……、県教育委員会の選挙も、自由民主党が二つに分れておってどうにもやりようがなかったですよ。(笑声)そこで一つになったのだから今度は一つ大いにやると、こういうつもりでおったところを、まあどうも理の当然の制度を持ち出されて、まあこれはなるほどそう言えばそうだと。まあ前の私ども吉田さんをいただいて何年か一生懸命やったんでありますけれども、あまりまあ独裁的だと、ワンマンだということで、仏の顔も三度だというようなことで、非常に国民から何度も非難をされた。いやがられたということも、こういうことも争うべからざることであります。でありますから、やはり大きいものは大きいなりに自制するところもなくちゃいかんという、まあこういうようなことで、あとはお選びになる首長に信頼し得ると、こうまあ実は考えておる。そう私は今日一県なり一市町村の教育は非常に大事なことで、中にいろいろ問題のあることも知らん首長はないと思うのです。でありますから、私はもう党派のいかんにかかわらず、首長を信頼していく、まあこういうことで私は今の点はよろしいかと思うのであります。どうぞ、私は自由民主党の教育支配の野望だということでないということをるる申し上げるつもりで申し上げるのでありますが、一体私どもの方にそういった野望が、この制度でなくて一つ野望を抱いたものはあるかもしれませんが、この制度というものを利用しで一つ野望を抱くというようなところが一体あったかどうか。文部大臣はこの法案をまとめるために、非常に長い間御苦労なさったことは、ここでもしばしばおっしゃっている通りであります。どうぞ一つ率直にお話しになっていただいて、誤解があるといけませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/235
-
236・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 矢嶋さんのお話しのうちにありましたが、この案にかかわらず、自由民主党は教育を自己の党派のために支配する、そういう野望はございません。ございませんが、あなたは言葉が元気でまた雄弁家でいらっしゃるからそうおっしゃったので、わが党が教育支配の野望を持っているということは、ございませんです。今はなくなった某党派の綱領を見ると、裁判も教育もある主義化するということが一ぺん載っておりましたが、われわれはそれは反対したのです。教育は中立のものだという信念を持っておりますから、教育を自由民主党の支配にしよう、そんな野望は決してございません。(「委員長、きょうはこの辺でよしましゃうや」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/236
-
237・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 矢嶋委員の御質疑はいかがですか。明日は公聴会でもございますし、できるだけ総括質問を進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/237
-
238・矢嶋三義
○矢嶋三義君 五時までという大体の目標ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/238
-
239・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 精力的に御勉強願うということは、委員長は前からお願いしておきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/239
-
240・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 政府委員から資料のことについて御説明いたします。(「総括質問は一体どうするんだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/240
-
241・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほど御要求の資料を取り急ぎまして提出いたしましたので、ごらんを願いたいと思います。新聞の賛成意見を出せというお話しでございますからここに四件差し出しました。それから教育委員会の委員の党派別比較ということで、ここに出しました。それから加入団体別比較、これも同様二十七年の選挙の当時の結果をここに出しました。それからなお、議会議員及び長の党派別比較、これも御要求がございましたのでここに差し出しました。申し上げておきますが、先ほどもお答えいたしましたように、文部省所管以外のものにつきましては、御審議非常にお急ぎの都合もございますので、取り急いで他の資料を求めまして提出いたしましたので、その点御了承いただきたいと思います。それからなお、二大政党体制確立後今日までに行われました教育委員の選挙についてのことというお話がございましたけれども、これは自治庁にも御注意がございましたから、連絡いたしましたが報告が参っておりません。従いまして政党所属がどうなっているかは資料がございませんので、御了承いただきたいと思います。ただ三十一年一月、本年の一月から三月までに行われました地方教育委員の数でございますが、これは三百六十九と出ております。これだけわかったのでございますけれども、それ以上詳しい資料はございませんから、この点は御了承願いたいと思います。
大体御要求の資料を非常に取り急ぎましたけれども、提出いたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/241
-
242・矢嶋三義
○矢嶋三義君 議事進行について。本日われわれから要求しました資料の一部を可能な分から早急にプリントしてここに出された努力に対しては敬意を表します。しかし、これは私ども要求しました資料のごく一部でございまして、本日早急に間に合わなかったことはいたし方ないと思いますが、明日あるいは明後日中に出していただきたいと思います。
それで今日の質疑の重点は、公選制と任命制と、教育の中立性を守るという立場から、どちらがよりよいのかという角度から質疑が行われたわけでございまして、それ以外に質疑はたくさんあるわけでございますけれども、なお委員長に対しましては、私としては他に質疑事項を数十点お知らせしてある通りでございます。ここに要求によりまして、本法律案に対する賛成の、あるいは反対の新聞の記事が資料として出されておりますが、これをまだ読んでいるわけじゃございません。今いただいたばかりでございます。この数字につきましても、今いただいたばかりでありまして、数学的に検討をする余裕はございません。それでもう時間も六時前になっているわけでございますが、大かた委員会の時間というものを委員長、理事の方々でお打ち合せになって、そうして委員会をお取り運び願いたいと思います。本日のところは、もうけさ十時から連続午後まで質疑をして、しかも今いただいた資料というものを、さらに検討をしなければ、適切なる質疑もできないわけであって、これは故意にどうしようというような悪意から出たところの議事進行の発言でも何でもございませんです。お互い良識をもって審議している場合に考えれば、そう御納得いただけないこともないと思いますので、本日のところここで散会せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/242
-
243・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 矢嶋君よりただいま動議がございましたが、いかが取り計らいましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/243
-
244・田中啓一
○田中啓一君 本二法は本委員会に付託になりましてから、今日でまさに二十日でございます。確かに努めておやりになったのに違いありませんが、休みもまた事実多かった。二十日をたってまだ総括質問が尽きない、こういう状態でございまして、私はこういうふうになりますれば、一つ本日はこの辺で夕飯を食べておやりになるとか、あるいはまた明日、明後日はもう公聴会は確定いたしておりますので、次の日曜にはおやりを下さるとか、そうして一つできるだけ審議を能率的にまたやっていく、こういうことでないと、審議は進まんのらはないかというふうに存じます。でありますから一つそういったお計らいを願いたい。総括質問というものの、中には、もうむろんこれは各条の条文にも触れることは当然でございまして、だいぶ進んでおる、あるいはいわゆる逐条質問の方は、そういうわけで分量はもうあまり残っておらんのかもしれませんが、本委員会というものは、あくまでも私は審議は尽したいというのが本願であります。でありますから、そこは一つわれわれ体力的には、今日だんだん大つごもりになってきたようなわけでありますから、えらいといえばえらいでありましょうが、一つ御勉強を願いまして、本日は一つできるだけ夜まで続け、なおそれでも総括質問が終らなければ、日雇にもおやり願うというくらいのこの際われわれ意気込みでやっていきたい、かように存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/244
-
245・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長、速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/245
-
246・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/246
-
247・加賀山之雄
○委員長(加賀山之雄君) 速記を始めて。本日はこれで散会いたします。
午後六時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X02619560510/247
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。