1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十日(金曜日)
午前十一時三十一分開議
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議事日程 第三十八号
昭和三十一年四月二十日
午前十時開議
第一 常任委員長辞任の件
第二 国の債権の管理等に関する法
律案(内閣提出)(委員長報告)
第三 機械工業振興臨時措置法
案(内閣提出)(委員長報告)
第四 家事審判法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
(委員長報告)
第五 首都圏整備法案(内閣提出、
衆議院送付) (委員長報告)
第六 国土開発縦貫自動車道建設法
案(第二十二回国会衆議院提出)
(委員長報告)
第七 森林開発公団法案(内閣提
出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 道路運送法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
(委員長報告)
第九 会計検査院法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
(委員長報告)
第一〇 昭和三十年度一般会計予備
費使用総調書(その1)(衆議院
送付) (委員長報告)
第一一 昭和三十年度特別会計予備
費使用総調書(その1)(衆議院
送付) (委員長報告)
第一二 政府資金の金利引下げに関
する請願 (委員長報告)
第一三 旧海軍文官の退職賞与未払
金支払促進に関する請願
(委員長報告)
第一四 補助金等に係る予算の執行
の適正化に関する法律の運用に関
する請願(二件)
(委員長報告)
第一五 三級清酒設定反対に関する
請願(二件) (委員長報告)
第一六 宮城県仙台市附近に国立た
ばこ試験場設置の請願(二件)
(委員長報告)
第一七 山林所得税の軽減等に関す
る請願 (委員長報告)
第一八 岡山県津山市に国民金融公
庫支所設置の請願
(委員長報告)
第一九 山形県新庄市日本専売公社
出張所を総合出張所に昇格するの
請願 (委員長報告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
この際、日程に追加して、日本電信電話公社経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
内閣総理大臣から、日本電信電話公社法第十二条第一項の規定により、大橋八郎君、中山素平君を日本電信電話公社経営委員会委員に任命することについて、本院の同意を得たい旨の申し出がございました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、常任委員長辞任の件
内閣委員長小柳牧衞君、文教委員長飯島連次郎君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたい旨の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/8
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009・剱木亨弘
○剱木亨弘君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/9
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010・森田義衞
○森田義衞君 私は、ただいまの剱木君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 剱木君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
よって議長は、内閣委員長に青木一男君、文教委員長に加賀山之雄君を指名いたします。
〔拍手〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/12
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二、国の債権の管理等に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長岡崎真一君。
〔岡崎真一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/13
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014・岡崎真一
○岡崎真一君 ただいま議題となりました国の債権の管理等に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
現在、国の債権の管理については会計法等に部分的な規定があるだけで、法規的にも機構的にも不備であり、そのために国が損害をこうむった事例も少くなく、また小額債権なども一律に処理されておりまするために、事務能率をも阻害している現状であります。このような実情にかんがみまして、本案は、国の債権の適正かつ円滑な管理をはかるために、統一的な規定を設けようとするものであります。
以下、内容の主要な点を申し上げますると、第一は、本法の対象となる債権の範囲は、いわゆる金銭債権のうち租税債権、国の預金債権、罰金等にかかる債権などを除いたものとしております。第二は、国の債権の統一的な管理機構として、各省各庁に債権管理官を置くこととし、適確な処理ができるように一般的な管理準則を定めております。第三は、国の債権のうち、債務者が所在不明で徴収見込みの立たない債権や、取り立て費用にも満たない零細債権などについては、徴収停止として内部的に整理ができることとするほか、債務者が無資力であるとき、または債務の全部を一時に履行することが困難であって履行延期をすることが徴収上有利であるとき、もしくは災害、盗難の事故があったときなど、特別な場合には五年または十年以内の債権の履行延期の特約ができることとし、さらに一定の場合には減免などの措置ができることとしております。第四は、債権の徴収を確保するために、その発生原因である契約の内容を定める場合に取りきめなければならない条件について規定しております。
委員会の審議におきましては、従来債権の管理がルーズであった理由と、本法の効果、契約内容に従わなかった場合及び債務不履行の場合の処理、履行延期の特約をする場合の基準、債権管理官の専任化の問題などについて質疑があり、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じまするが、特に今後の運用については、「まず担当職員に本法の趣旨を徹底し、具体的な方法を指導し、時日を要すると思うが、厳正な施行に万全を期して行きたい」旨の答弁がありました。
質疑を終り、討論に入りましたところ、岡委員より、「従来の事例からみても、本法の完全な実施は困難なことと思うが、万全の努力をする旨の言明があったので、質疑の過程における答弁の要旨が十分生かされるよう期待する。また契約者が、すべて善意であるとは思えないので、心がまえを改めて実行されたい。本案の提出はおそきに過ぎたが、少しでも国損をなくすよう、今後の真剣な努力を強く要望して賛成する」との意見が述べられ、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/14
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015・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第三、機械工業振興臨時措置法案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員会理事阿具根登君。
〔阿具根登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/17
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018・阿具根登
○阿具根登君 ただいま議題となりました機械工業振興臨時措置法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果にづいて御報告申し上げます。
本法案は、経済自立五カ年計画の趣旨に従って、わが国機械工業の設備の近代化、能率の増進、技術の向上等を促進し、総合的に機械工業の振興をはかるため、五カ年を限って次の諸施策を実施しようとするものであります。
その第一は、わが国機械工業中、特に合理化のおくれておる基礎部門及び共通部品部門を本法案の適用対象とし、これら法文でいう特定機械工業に対し合理化計画を策定するのであります。第二に、この合理化計画達成のために、所要資金の確保、合理化カルテル実施のための指示、生産技術向上のための基準の公表等の措置を行うことを規定しているのでありますが、まず、所要資金の確保について、政府は三カ年に約百億円も三十一年度にはさしあたり十五億円の日本開発銀行の特別ワク融資を予定し、これは一般開銀融資より低利、長期貸付、担保条件の緩和等、特別措置を講ずることになっております。また、合理化カルテルの指示については現行独禁法の趣旨を一歩進めて、生産品種及び使用する部品の規格の制限のほか、生産品種別の製造数量の制限、部品または原材料の共同購入などについて、積極的に機械工業合理化のためにカルテル行為を締結させることにしておるのであります。さらに、生産技術向上のための基準の公表についてでありますが、政府はこの基準の公表によって工場全体の技術的向上を企図しているのであります。なお、本法案全体の運用に当っては、関係行政機関の職員並びに学識経験者等、五十名以内をもって構成する機械工業審議会を設置して、本法実施の適正をはかっておるのであります。
本委員会におきましては、関係工場を視察する等、審査に慎重を期するとともに、熱心なる質疑応答が政府との間に行われたのであります。特に、法案の適用対象となる特定機械工業の指定基準、本法案に基いて政府が予定しておる日本開発銀行の特別ワク融資の対象にならぬような中小企業に対する政府の助成策、さらに機械工業審議会の構成等が論議の中心になったのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
以上で質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して、海野委員より、次のごとき付帯決議を付して本法案に賛成するとの意見の開陳があったのであります。すなわち
本法による貸付の対象とならない中小企業が競争条件の上で不利となるおそれがあるので、政府は本法の実施に当り、このような企業に対し資金の確保その他の助成策に遺憾なきを期し、機械工業全般の技術水準を向上せしめ、もって品質の改善とコストの低下が実現できるよう努力しなければならない。これが付帯決議案の全文でございます。
かくて採決に入りましたところ、本法案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。次いで、海野委員提出の付帯決議案も、同じく全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたした次第でございます。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/20
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021・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、家事審判法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。
〔高田なほ子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/21
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022・高田なほ子
○高田なほ子君 ただいま上程されました家事審判法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過及び結果について御報告を申し上げます。
御承知のように、この家事審判法は、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持をはかるため、扶養及び離婚に伴う財産分与等の家事事件については、これが債権債務の財産上の争訟であっても、訴訟の方法によることなく、まず家庭裁判所で取り上げ、審判または調停の手続によって、当事者間でなるべく穏やかにこの争いを解決せしめようとする法律でございます。
このたびこの改正法律案が提案されましたのは、この法律の制定以来、家庭裁判所によって審判または調停で定められた義務の履行の状況が好ましくないものがはなはだ多いためでございます。すなわち現行法のもとでは、かような家事債務の履行を確保する最終の手段として強制執行が認められておりますが、この手段は、家事債務のような小額債権の実行方法としては、手続、費用等の面から必ずしも実際的でない上に、当事者としては、かつての近親関係にあったものであることなどにより、あくまで強力に訴えて権利を実行しようとする例はきわめて少く、大部分が義務者による任意の履行に待ちますために、せっかく権限が確認されながら、結果としては不履行に終って実効が上らない場合が少くない実情なのでございます。そこでこれらの実情にかんがみ、現行法を改正し、債務に対する任意の履行を促進せしめ、さらには履行を確保するための新たな手続を定めようとするのが、この改正法律案の骨子でございます。
以下、その主要点について申し上げますと、その第一点は、家庭裁判所は、審判または調停で定められた義務、すなわち家事債務の履行状況を調査し、義務者に対し履行を勧告できる旨の規定を新たに設けたことでございます。
第二点は、家庭裁判所は、金銭の支払い、物の引き渡し等、財産上の給付を目的とする家事債務を履行しない義務者に対して、権利者の申し立てによって、その義務の履行をなすべきことを命ずることができ、正当な事由がなくこの命令に従わないときは、五千円以下の過料に処すべき旨規定いたしておることでございます。さらに第三点は、家庭裁判所は、金銭の支払いを目的とする家事債務の履行について義務者の申し出があるときは、権利者のために支払うべき金銭の寄託を受けることができる旨を規定いたしたわけでございます。
以上がこのたびの政府提出案の主要点でございますが、これに対しまして、衆議院におかれましては、先ほど私が第一点として申し上げました第十五条の二の規定に、「権利者の申出があるときは」、との字句を挿入し、「家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対して、その義務の履行を勧告することができる。」と修正し、送付されたのでございます。そこで当委員会におきましては、この修正送付案を爼上に、一松、井上、宮城、亀田、赤松、羽仁、市川の各委員から、熱心かつ適切な質疑が行われる一方、参考人の出席をも求める等、慎重に審議を重ねたのでございます。
以下、その論点を申し上げますと、第一は、「政府提出案では、家庭裁判所は義務の履行状況を調査し、義務の履行を「勧告することができる。」とあり、また別条では、相当と認めるときは、義務の履行をなすべきことを「命ずることができる。」とあるが、この勧告ないしは命ずることが「できる。」という字句についての法律的解釈いかん、「勧告できる。」という裁量権の規定だけで権限行使の義務については規定されていないが、履行の確保をはかるのにこれで十分であるか、権限が妥当に行使されなかった場合のため、たとえば、異議申し立てのごとき救済措置を規定する要はないか」という点でございます。これに対しまして、政府側及び最高裁判所側から、「「勧告できる。」という字句は、家庭裁判所にこの勧告する権限を与えるという意味であるが、かくて勧告なり、命令する権限を与えられた審判官には、これらの権限を適正に行使しなければならない職責が当然に負荷されてくるのであるから、「勧告してもよい」とか、「命令せずともよい」ということにはならない。かように裁量権を与えているのは、家事審判の精神から実情に適した措置をとるためであって、家庭裁判所としては、勧告権について法的な根拠のない今日でも積極的に勧告している状況であり、法文上不当行使に対する救済規定はなくとも、また強制執行の手段に待たなくとも、履行確保のため相当と認められるときはその権限が適正に行使されるでありましょう、このことは当局を信頼されたい」という旨の答弁がなされたのでございます。論点の第二は、「衆議院の修正送付案では、第十五条の二については、「権利者の申出があるときは、」、家庭裁判所は義務の履行を勧告することができると修正されているが、この場合、法理的には勧告の権限はどのように行使されるのか、「権利者の申出があるときは、」という字句を挿入すると、「権利者の申出」が勧告権行使の要件となるため、むしろ履行確保の実はあげられないのではないか、また、改正法律の運用上支障を来たすようなことにはならないか」等の点でございました。これらにつきましては、衆議院法務委員長から、「この「権利者の申出があるときは、」という字句が入ると、政府提出案とは異なり、権利者の申し出があるときに限って調査ないし勧告が行われることになるが、家庭裁判所が権利者の意思いかんにかかわりなく調査を行なった場合、それに要する時間や費用の問題はさておくとしても、せっかく履行に努めようとする当事者の感情を悪化させる等、アフター・ケアーが好ましくない結果になる場合もかなり起るのではないか。また、申し出が要件になるとは言え、その手続は形式は不要で、口頭でも足りることであり、もともと調停の申し立てをなし得たものにとって、この程度のことなれば、権利確保のため重ねて申し出ることがさほど困難であるとは考えられない。それゆえ、今日なされているような調査官の活動に比べ、より効果を見ることは間違いない」との答弁がなされたのでございますが、一方、最高裁判所側からは、「審判、調停の結果についても見守らなければならないという家事審判の精神からしても、また、改正後における新規の寄託制度の運用面からしても、家庭裁判所としては、権利者の申し出の有無にかかわらず、履行確保のため、臨機に職権で調査または勧告し得る規定が必要である」との見解も披瀝されたのでございます。
かくて討論に移りましたところ、宮城委員から、緑風会を代表されまして、「さきに衆議院が修正挿入いたしました「権利者の申出があるときは、」という字句を削り、政府提出案に戻す」旨の修正案が発議されました。その理由は、「家事債務の権利者の大多数はもともと弱い立場の婦人であるから、履行に対する調査や勧告が権利者の申し出を待ってなされることになると、義務者側から申し出を阻止される場合も憂慮されるので、履行確保のためには、家庭裁判所として権利者の申し出を待つことなく、強度の関心を持って自発的な活動ができるように法的根拠を与える必要がある」との趣旨によるものでございます。これに対し、羽仁委員から、「この修正案に対しては賛成するが、当局としては、もともと家事債務の不履行は法自体の不備もあるけれども、社会の経済的、政治的な原因に発することが多いことを思い、たとえば、生活保護法の適用による生計費の扶助を受けることは、文化国家の国民の当然の権利と解すべきであり、その第七十七条による履行義務者の調査は、本来家事債務と性格を異にすることであるから、本法の調査の範疇からこれを除くべきものであるとする法文の解釈と、その取り扱いに対する政府の所見をただし、その了承を得、さらに進んで、特に職権行使の行き過ぎを戒むべき」ことが強く主張されました。また、「特に弱い立場の婦人といえども、婦人は権利の上に眠ることなく、不断の努力で、みずから問題の解決に当らしめるよう留意すべき」旨の討論がありました。また、亀田委員は日本社会党を代表し、「この修正案について同じく賛成」の旨発言され、「いまだ両性の平等が確立されていない日本社会の現状においては、一たん債務の履行が停頓した場合、これが確保のため、権利者をして申し出ることは経済的にも弱い立場におかれた婦人としては、はなはだ困難な実情である。従って原案のごとく、権利者の申し出を職権発動の前提要件としたならば、今日家庭裁判所が自発的に行なっている活動より、なお実効を期待し得なくなる」旨開陳されたのでございます。
かくて討論を終え、まず、宮城委員提出の修正案について採決いたしましたところ、可否同数のため、国会法第五十条によりまして、委員長の決裁をもってこれを可決すべきものと決定し、次に、この可決いたしました修正部分を除いた原案全部について採決いたしました結果、可否同数のため、同じく委員長の決裁をもって可決すべきものと決定いたしました。すなわち本案は修正議決と相なりました次第でございます。
以上、御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 委員会修正案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。亀田得治君。
〔亀田得治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/23
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024・亀田得治
○亀田得治君 委員長報告に対し賛成いたします。
本件で特に問題となりましたのは、衆議院において、政府原案に対し十五条の二に、「権利者の申出があるときは、」、この字句を挿入するかしないか、この点であります。この点に関し、私ども委員会においておのおの論議はいたしました。この問題は理論的に考えますと、賛否おのおの相当な理由があると私ども考えます。しかしながら、われわれが立法上一番大事なことは、自己の持っている理論よりも、現実にそれがふさわしいかどうか、こういう点であろうかと考えます。こういう立場からこの問題を見ますると、第一に、もし衆議院修正のごときやり方で、「権利者の申出があるときは、」という字句を挿入して、特定の場合にこの救済ができることにいたしまするならば、結局家庭裁判所に申し出することすら遠慮するような弱い立場の婦人は、この立場を守ることができないのであります。
それからもう一つは、現在でも家庭裁判所は、法規はありませんけれども、適宜調停の成立した約束の履行につきまして裁判官が善処をいたしておりまするが、もし衆議院修正のごとき字句を挿入いたしますると、この法律ができたために、かえって今までよりも悪くなる実情が予想されるのであります。私はこういう二つの実際の面から見まして、理論は一応おあずけにいたしましても、この衆議院修正は、はなはだ当を得ないものである、こういうふうに考えるのであります。
で、衆議院の段階におきましては、これは全会一致で修正されたのでありますが、社会党におきましては、その後国会対策委員会におきましても実情を再検討いたしまして、婦人の地位を守るという立場から、政府の原案に戻すべきであるということになったのでありますが、残念なことには、肝心の政府の与党である自民党の方が、最後まで婦人の立場を無視されまして、意見を固執されたことは、はなはだ残念であると思うのでありまして、一応この点だけを特に私は申し上げて、討論を終ります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/24
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025・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 市川房枝君。
〔市川房枝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/25
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026・市川房枝
○市川房枝君 私は、ただいま議題となっておりまする家事審判法の一部を改正する法律案の委員会修正案、すなわち政府原案に賛成するものでございます。政府案並びに修正案の内容については、委員長報告あるいは亀田さんの御説明がございましたので、重複を避けて、その他の点について簡単に申し上げたいと思います。
私は、政府から提案されました原案全体について、実は不満な点が多々あります。それは今度の改正案については、債務者が履行しない場合に命令をする、あるいは罰金を科するということを規定しておりまするけれども、しかしイギリスでやっておりますように、資力がありながら扶助料あるいは慰謝料等を支払わない人たちに対して、俸給から差し引くというようなことをやっておるのに、日本の今度の改正案では、結局まあ取れない、払わないという事態を認めておることになっております。その点で不満を持っております。ところが、今度の衆議院における修正案は、その不満な政府案に対してさらにワクをはめて、いわゆるその権利者、すなわち気の毒な婦人たち、そういう人たちが申し出をしなければ調査並びに勧告をしないということに実は狭めてしまわれたわけであります。もちろんその理由としては、まあ法理論あるいは権利の上に眠るものは保護する必要がないといったような理論もおありになったようでありまするが、しかし、この法でもって守られる人たちは、ほとんど大多数が婦人であります。そこでその現状から、私どもはどうしても政府原案で、裁判所自身が自然に裁判の決定に対して、それが履行されているかどうかということを調査し、さらに勧告をすることができるという権限を与えることが、せめてもの救済策だと考えられるわけなんです。従って、政府原案をむしろ支持するものでありまするが、この問題については、直接調停に参加しておりまするいわゆる参与あるいは調停員の人たちによってできておりまする家庭裁判所参調会という団体を初め、あるいは婦人人権擁護同盟、あるいは主婦連合会、大学婦人協会、日本看護協会、日本キリスト教女子青年会、日本婦人平和協会、日本婦人有権者同盟、全国未亡人団体協議会、全国地域婦人団体連絡協議会、そういうすべての婦人団体が原案に戻すことを熱心に実は要望しております。いや、実は衆議院の際には、当然政府原案が通るものとしてみんな楽観をしておりました。ところが、修正案が通りましたので、びっくりして参議院の方へ熱心な運動が展開されたわけであります。
この案は、先ほど亀田さんからお話がありましたように、衆議院においては、自由民主党並びに社会党の党としての修正案であったわけであります。ところが社会党は、今お話のように、世論に聞くということで態度を変えられました。自民党の方も、実は社会党がもし賛成するならば賛成すると、こうおっしゃいました。それは私は間に立っておりまするから、これは確かです。ところが、自民党の方は結局御賛成になりませんでした。委員会においての修正案が出ましたときに、自民党の方からは、どなたも修正案に対する反対討論をなさいませんでした。従って、どういう理由で御反対になるのかちょっと了解に苦しむのでありますが、私はこの問題は、政治問題ではないんだ、いわゆる小さい問題と言えば言えると思います。しかしながら、婦人にとっては実に大きな問題なんです。そこで、しかもこれは政府原案なんであります。その政府原案に戻してほしいという婦人側の熱心なる要求があるにもかかわらず、自民党の方々がこれを党議として反対する、衆議院の修正案を支持するということでありますれば、これは婦人に理解がないと、こういうことに私はなるのではないか。かりに私は衆議院の自民党の方が非常に強いとしても、それは第二院としての参議院の性格から、参議院の自民党は私は御賛成を願いたい。いや、そういう先例は前にございました。同じ法務委員会で、少年院法を、これは政府案に対して参議院の法務委員会が修正をいたしました。そのときには、自民党の方々も全部御賛成になって、本院を満場一致で通りました。しかし残念なことに、衆議院の方で三分の二の多数でもってこれは通りませんでしたけれども、しかし、私はやはり参議院というものの本来のあり方から見て、そういうふうなことがあってもいいんではないか。衆議院の強い意見に同調されるというのであれば、参議院というものは要らないということにもなってしまうんじゃないか。どうか私は参議院の自民党の方々が、この問題に対して御賛成を願えれば大へんにありがたいと思います。
これをもって終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/26
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027・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。
委員長の報告は、修正議決報告でございます。まず、委員会修正案全部を問題に供します。
本修正案の表決は記名投票をもって行います。委員会修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は、青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。
これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/28
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029・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百五十三票
白色票 七十一票
青色票 八十二票
よって委員会修正案は、否決せられました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 七十一名
河井 彌八君 加賀山之雄君
梶原 茂嘉君 奥 むめお君
井野 碩哉君 山川 良一君
赤木 正雄君 森田 義衞君
森 八三一君 村上 義一君
宮城タマヨ君 三浦 辰雄君
前田 久吉君 廣瀬 久忠君
野田 俊作君 土田國太郎君
竹下 豐次君 杉山 昌作君
島村 軍次君 佐藤 尚武君
河野 謙三君 高良 とみ君
小林 政夫君 後藤 文夫君
北 勝太郎君 高田なほ子君
久保 等君 清澤 俊英君
山本 經勝君 安部キミ子君
海野 三朗君 河合 義一君
田中 一君 上條 愛一君
三橋八次郎君 小笠原二三男君
竹中 勝男君 内村 清次君
山下 義信君 藤原 道子君
村尾 重雄君 佐多 忠隆君
市川 房枝君 八木 幸吉君
鈴木 一君 長谷部ひろ君
千田 正君 亀田 得治君
矢嶋 三義君 小松 正雄君
重盛 壽治君 吉田 法晴君
大和 与一君 加瀬 完君
藤田 進君 湯山 勇君
千葉 信君 近藤 信一君
田畑 金光君 大倉 精一君
阿具根 登君 天田 勝正君
秋山 長造君 棚橋 小虎君
羽生 三七君 松澤 兼人君
中田 吉雄君 森下 政一君
岡田 宗司君 戸叶 武君
三木 治朗君
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反対者(青色票)氏名 八十二名
白波瀬米吉君 松原 一彦君
井上 清一君 伊能 芳雄君
小沢久太郎君 青柳 秀夫君
佐藤清一郎君 酒井 利雄君
有馬 英二君 仁田 竹一君
滝井治三郎君 関根 久藏君
吉田 萬次君 白川 一雄君
木村 守江君 菊田 七平君
岡田 信次君 田中 啓一君
榊原 亨君 高橋進太郎君
上原 正吉君 大矢半次郎君
藤野 繁雄君 木島 虎藏君
西川甚五郎君 宮田 重文君
谷口弥三郎君 三浦 義男君
左藤 義詮君 館 哲二君
石原幹市郎君 寺尾 豊君
中山 壽彦君 青木 一男君
野村吉三郎君 泉山 三六君
津島 壽一君 苫米地義三君
大野木秀次郎君 佐野 廣君
小幡 治和君 宮澤 喜一君
石井 桂君 雨森 常夫君
西川弥平治君 白井 勇君
高橋 衛君 長島 銀藏君
宮本 邦彦君 最上 英子君
寺本 廣作君 小滝 彬君
青山 正一君 石川 榮一君
石村 幸作君 剱木 亨弘君
高野 一夫君 横川 信夫君
松岡 平市君 野本 品吉君
川村 松助君 堀末 治君
西郷吉之助君 杉原 荒太君
中川 以良君 吉野 信次君
笹森 順造君 黒川 武雄君
小林 英三君 一松 定吉君
石坂 豊一君 三木與吉郎君
井村 徳二君 岡崎 真一君
重政 庸徳君 入交 太藏君
川口爲之助君 木内 四郎君
深水 六郎君 古池 信三君
井上 知治君 重宗 雄三君
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/29
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030・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) よって原案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/30
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031・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/31
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032・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第五、首都圏整備法案(内閣提出、衆議院送付)
日程第六、国土開発縦貫自動車道建設法案(第二十二回国会衆議院提出)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/32
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033・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長赤木正雄君。
〔赤木正雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/33
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034・赤木正雄
○赤木正雄君 ただいま議題となりました首都圏整備法案並びに国土開発縦貫自動車道建設法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、首都圏整備法案について申し上げます。
東京都の首都としての整備については、昭和二十五年、第七国会において首都建設法が制定され、都の区域内に施行される重要施設の基本計画の作成並びにその実施の推進がはかられてきたのでありますが、単に東京都の区域内の整備だけでは不十分でありとして、同法の趣旨を拡充強化して、新たに本法案が提出されたものであります。すなわち本案は、東京都の区域及びその周辺の地域を一体とした広域について、総合的な計画を策定し、わが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設並びに秩序ある発展をはかろうとするのがこの趣旨であります。
その内容のおもなる点は、第一に、首都圏整備計画は、新たに設置される首都圏整備委員会が関係行政機関の長、関係都県及び首都圏整備審議会の意見を聞いて作成することになっております。第二に、整備計画の作成と実施に関する事務の調整等を所掌する首都圏整備委員会は、国務大臣たる委員長と、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する四人の委員をもって構成され、総理府の外局として設置されることになっております。また、委員会の諮問機関として、両院議員、関係行政機関の職員、関係都県の知事及び議会議長及び学識経験者等、四十五人以内をもって構成される首都圏整備審議会が設置されることになっております。第三に、整備計画に基く事業は、各実施官庁、地方公共団体または関係事業者が実施することになっておりますが、委員会は必要に応じまして、実施に関し勧告することができることになっております。なお、委員会は首都の整備あるいは首都の過度の膨張を防止するため、必要に応じ市街地開発区域または工業等制限区域を指定することができるほか、地方公共団体が事業計画に基く公営企業の建設改良等を行う場合の地方債の許可について、必要な措置を講ずることができることになっております。
本法案は、去る三月十七日、本委員会に付託されたのでありますが、質疑のおもなる点は、第一は、「首都圏の整備は、国土総合開発の一環として行うべきではないか」という点でありますが、これについては、「首都圏の整備は、広域的な都市計画と考えるものであり、異常な人口過密状態にある首都の緊要性から特別措置として処して行きたい。しかし、国土総合開発法による全国総合開発計画とは緊密に連係して進めて行きたい」との答弁でありました。第二は、「首都圏整備委員会の委員あるいは審議会の委員の選考方針」についてでありますが、この点については、「都市計画、土木建築、交通、地方行政関係等、一流の専門家を不偏不党の立場から選考するつもりである」とのことでありました。第三は、「首都建設委員会の廃止には住民投票を必要としないか」との点でありますが、これについて、「同法の趣旨はそのまま拡充強化されて本案に盛り込まれており、本質はそこなわれていないので、投票の必要はない」と考えるとのことでありました。その他、首都人口抑制の具体的方策、整備計画における交通施設との調整、実施予算の計上方法、委員会の勧告措置、開発地域における農地の取扱い、既成市街地の高度利用化等に関する質疑が行われました。
本案は、昨十九日質疑を終了、討論に入りましたところ、近藤委員から、本案の立法趣旨を推進するために、「政府は、本法制定に伴い、首都圏整備に関する事業の強力な推進をはかるため、昭和三十二年度以降の事業計画にかかる予算は、首都圏整備委員会の予算に一括計上し、その実施に当っては、これを関係各省に移しかえる措置を講ずること。」の付帯決議案が提出されました。
かくて討論を終り、採決の結果、全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
続いて、討論中にありました付帯決議について採決の結果、全会一致をもって、本法案の付帯決議とすべきものと決定いたしました。
次に、国土開発縦貫自動車道建設法案について申し上げます。
本法案は、国土の開発をはかり、産業の立地振興及び国民生活領域の拡大を期するため、国土を縦貫する高速幹線自動車道を開設することを目的とするものでありますが、その内容とするところは、第一に、本法の自動車道及び一般自動車道を道路運送法によるものと規定したことであります。第二に、国土開発縦貫自動車道の予定路線を明示したことであります。第三は、予定路線のうち、建設を開始すべき路線の建設に関する基本計画の決定は、内閣総理大臣が行うことにし、これが調査、審議及び建設に要する資金の調達、融通、あっせん等に関する調査、審議をする機関として、総理府に国土開発縦貫自動車道建設審議会を設置することにしたことであります。第四に、政府は、建設線の基本計画の立案に必要な基礎調査を行わねばならぬことにし、また、建設資金については継続費支出を認めるようにしたこと等であります。
本法案は、去る第二十二回国会において本委員会に付託され、今日まで審議を継続して参ったのであります。その間、参考人を招致し、あるいは運輸委員会との連合審査を行う等、その取扱いに慎重を期したのであります。審議の過程において問題となりましたおもなる点は、第一は、資金に関する問題であり、第二は、幹線自動車道の予定経過地点を法律で明記することの妥当性についてであります。第三は、道路輸送と鉄道輸送との関係についてであります。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、小澤委員より修正案が提出されました。その要旨は、「本法案の「自動車道」の定義を、ひろく「自動車のみの一般交通の用に供することを目的として設けられた道」と改めること、第二は、予定路線の最終決定は別に法律で定めることにし、政府はその立案に当って、原案の予定路線を基準として作成するよう」に規定したことであります。また、緑風会を代表して村上委員からは、次の付帯決議案が提出されました。すなわち
一、路線の決定に当り、本法の目的達成を阻害するおそれあるときは、第三条別記記載の経過地点については弾力性を持たせ得ること。
二、政府は、国土開発縦貫自動車道を含む高速幹線自動車道に関する立法措置をすみやかに講ずること。
三、政府は、国土開発縦貫自動車道建設審議会の設置に当り、すみやかに各行政機関の意見の調整をはかり、かつ早期達成をはかるよう事務局の構成につき措置すること。
であります。
次いで、自民党の石井委員からは、「本案第九条の損失補償等の措置について特に公正を期せられたい」との希望が述べられました、さらに、社会党の田中委員からは、「本法の目的達成に対して政府の努力を強く要望する」との意見が述べられました。
討論を終了し、小澤委員提出の修正案及び修正部分を除く原案について採決の結果、それぞれ全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
続いて、村上委員提案の付帯決議案について採決の結果、全会一致、本法案の付帯決議とすべきことを決定いたしました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/34
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035・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
まず、首都圏整備法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/35
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036・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/36
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037・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、国土開発縦貫自動車道建設法案全部を問題に供します。
委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/37
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038・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正の通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/38
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039・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第七、森林開発公団法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長棚橋小虎君。
〔棚橋小虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/39
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040・棚橋小虎
○棚橋小虎君 ただいま議題となりました森林開発公団法案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
この法律案は、森林資源が豊富であるにかかわらず、地理的条件からその開発が十分行われていない特定の地域内の森林を、急速かつ計画的に開発して、林業生産の増大と林業経営の改善に資するため、新たに森林開発公団を設け、余剰農産物資金融通特別会計等から資金の融通を受け、林道の開設、改良、復旧及び維持管理並びに受託造林等の事業を行うこととする目的をもって提案されたものでありまして、これが理由とするところは、わが国の林野面積は国土のおおよそ七割を占め、立木蓄積は六十億石をこえるのでありますが、そのうち、すでに開発されているものは約四割にとどまり、なお多くのものが未開発のまま残されており、年間二億石をこえる木材の需要は、ほとんど既開発林から、しかもその生長量を上回って供給されておる状況でありますが、木材の需要は国民経済の発展に伴って年々増加する一方でありますから、かような不均衡を改めて、森林資源の保続をはかるためには、造林事業とあわせて林道網を整備して、奥地未開林を開発することが必要であるためであるとされております。
しかして、本法案に基く事業計画の骨子とするところは、全国的に概観して、森林資源がきわめて豊富で、針葉樹用材の割合が高く、跡地造林にも適当な条件を備えている熊野川流域及び剣山周辺地域を対象とし、昭和三十一年度及び三十二年度の二カ年間に、三十億円の資金を借り入れて、奥地幹線林道三十二路線、二百五十五キロメートル余の開設を予定し、三千六百町の造林を行い、林道開設事業の完了によって、開設後十五年間、年平均、木材約百十三万石、木炭約百十三万俵の増産が期待されております。
本法案は、おおよそ既定の農地開発機械公団法等の前例にならって、公団の性格、役職員、業務、財務及び会計、監督、設立及び解散、役職員に対する恩給の特例、罰則、各種税法上の特例その他を規定したものでありまして、そのおもな点を申し上げますと、第一は、公団の役員についてでありまして、役員は理事長一人、理事二人以内、監事一人とし、理事長及び監事は、農林大臣が任命し、理事は、理事長が農林大臣の認可を受けて任命することとし、その任期は三年となっております。なお、公団の主たる事務所は東京都に置き、必要な地に従たる事務所を置くことができることになっております。第二は、公団の業務についてでありまして、公団の業務の範囲は、農林大臣の定める基本計画に基き、三重県、奈良県及び和歌山県並びに徳島県の区域内で、政令で定める区域、すなわち熊野川流域及び剣山周辺地区域における林道の開設または改良、これらの林道の災害復旧、以上の林道の維持、修繕その他の管理並びにそれら林道の利用地域において、受託による造林事業を行うこと等であります。しかして、林道の開設、改良または災害復旧については、国はおおむね現行の公共事業の例に準じ、公団に補助金を交付することとし、補助金については、本年度において、昭和三十二年度以降四年度以内に、四億九千四百万円を限度として債務を負担することができることになっており、また公団は、受益者から費用の一部を賦課徴収することができることとし、さらにその強制徴収の道を開いております。第三は、公団の財務及び会計についてでありまして、予算、業務計画及び資金計画等については、農林大臣の認可を要するものとし、また借入金及び余裕金の運用等についても一定の制限を設けておる等であります。
委員会におきましては、まず政府当局から、本法律案の提案の理由及びその内容並びに本法に基く森林開発事業計画、事業費予算、資金計画、事業効果、資金源に関連して、今回の米国余剰農産物協定の内容及びこれが見返り円の使用計画等について説明を聞き、続いて質疑に入り、諸般の事項にわたって審議が行われたのでありまして、その間において問題となった事項を摘記いたしますと、今回の事業対象たる熊野及び剣山両地域は、いずれも国土総合開発特定地域に指定されているが、これら総合開発計画と今回の森林開発計画との関係、事業費三十億円の算出基礎、使用区分及び事業費の確保並びにその消化の見通し、公団業務について受託方式をとることの当否、ひいて従来の林道開設事業と今回の公団事業との対比、本法による事業の実施が予算等の関係から、他地域のこの種事業に及ぼす影響の有無、本事業による県負担分と県財政との関係、公団業務の範囲及びその当否、公団事業に対する国の補助及びこれが補助率及びその当否、その他でありまして、これが詳細については会議録に譲ることを御了承願いたいのでありますが、政府の答弁によって明らかになったおもな点を要約いたしますと、「着工は七月以降となるが、初年度の十億円は年度内に消化し得る見込みであり、本法による森林開発計画と総合開発計画、特に電源開発計画並びに県道及び国道等の整備計画との調整に十分意を用いることとし、事業費の受益者負担分については、おおむね関係県その他関係者の了解を得ておる」等が述べられております。
かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、三浦委員から、「本法による事業を実施するため、他地域の林道事業等、一般公共事業を犠牲としないこと、この種の開発事業を熊野川流域及び剣山周辺地区にのみ限定せず、将来他の地区にも拡大すること、事業の実施に当っては、関係県当局を初め、各関係方面と緊密な連絡を保つこと、公団にその人を得るよう公団の人事に遺憾なきを期すること」等の希望を付して賛成があり、他に発言もなく、続いて採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/40
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041・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/41
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042・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/42
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043・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第八、道路運送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長左藤義詮君。
〔左藤義詮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/43
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044・左藤義詮
○左藤義詮君 ただいま議題となりました道路運送法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、この法律案の要旨は、最近の自動車運送の急激な発展に伴い、営業用自動車と自家用自動車が激増しておりますが、これらの総合的調和をはかり、輸送事故を防止し、輸送の安全性を確保するとともに、輸送秩序の確立をはかり、道路運送の健全な発達を促進せんとするものでありまして、その改正のおもなる点は次の通りであります。
第一に底運送事業の定義中から、有償の要件を削りまして、他人の需要に応じ旅客または貨物を運送する者は、その運送に対する対価を収受するといなとを問わず免許を要することとしたことであります。第二は、現行法では、一般乗合、一般貸切及び一般乗用旅客自動車の運転者は、一定の要件を備えておらなければ運転してはならないとして、運転者を直接規制しておりますのを、今回の改正案では、これらの事業者に対して、一定の要件を備える運転者でなくては使用してはならないと改めまして、事業者を規制の対象とし、さらに規制の対象事業に特定旅客自動車運送事業を加えたことであります。第三は、自動車運送事業者に対しましては輸送安全準則を、運転者に対しましては運行安全準則を整備するための根拠規定を設け、命令によって必要な規律を行うことができることとしたことであります。第四は、報告及び検査の規定を整備して、監査の責任を明確にしたことであります。その他、特定自動車運送事業の免許基準の整備等、所要の改正を行なっております。
以上が改正案の概要でありますが、いずれも輸送の安全確保と輸送秩序の確立を目的とした改正であります。
この法案は、三月九日より数回にわたり慎重審議いたしました。その詳細は会議録でごらんを願いたいのでありますが、質疑におけるおもなる点を申し上げますと、小酒井委員、大倉委員より、この法案の目的の一つである事故防止に関し、当局の運転取締りの緩急につき現実に即した質疑があり、さらに行政処分と刑罰との併科、事故対策本部の行なった措置、かつ交通安全確保のためには労務管理を是正すべきことを強調せられた趣旨の質疑が行われました。また有馬委員よりは、事故の原因についての究明が行われました。岡田委員よりは、旅客自動車の運転者の資格を事業者について規制した点につき政府に説明を求められ、早川委員よりは、有償を削り、無償のものでも免許を要する事業としたことについて、また特定自動車運送事業における免許基準の強化についてその理由をただすとともに、有償を削ったことだけでは、自家用貨物自動車の営業類似行為に対する規制について、十分その効果を期待し得ないとの趣旨のもとに、自家用貨物自動車の現状並びにその営業類似行為の取締りについての政府の所信をただされ、また平林委員よりも、自家用車の経済効果についての質問がありました。
以上に関し政府答弁の要点を申し上げますと、「運転の取締り及び労務管理の強化につきましては、摘発主義に対し、指導主義を十分加味する」との趣旨の答弁があり、また、「免許に当っては、十分、労働条件、労務管理の点についても考慮し、既存の業者に対しては行政指導により交通の安全確保に努力する」とのことでありました。旅客自動車、運送事業用自動車の運転者の制限につきましては、「事故防止の見地から、雇い主を処罰の対象といたした」とのことであり、また特定自動車運送事業の免許基準に事業適格遂行能力を加えましたことも、「特定自動車運送事業のその後の発達状況から見て、安全輸送を確保するためである」との答弁がありました。有償を削った事由についての政府答弁は、「無償に名をかりる無免許営業の取締りということでありましたが、これにより自家用貨物自動車の営業類似行為の取締り効果をも期待しておる」とのことでありました。
以上の質疑がありましたあとで、早川委員より、委員長に対し修正案の提出があり、その提案理由として、「自動車の発達がわが国の産業経済の発展に寄与していることは顕著なものがあり、特に貨物自動車の産業経済界に及ぼせる影響は甚大なるものがある。しかしながら、これら自動車は秩序ある姿において運営されることが望ましいにもかかわらず、その実情は自家用貨物自動車の営業類似の行為が行われ、業界が混乱に陥っていることは、はなはだ遺憾であるが、これを捕捉し根絶することは困難な現状にある。今回の政府提出の改正法律案の中にも、その思想の一端はうかがえるが、それは有償を無償に名をかりて行う営業類似行為の取締りであり、現在横行している自家用貨物自動車による営業類似行為の取締りには不十分であるので、修正案を提出した次第である」との趣旨の説明がありました。
修正案の要旨は、自家用貨物自動車運送の現状にかんがみ、その実情を把握して輸送秩序の確立をはかるとともに、正常なる自家用貨物自動車の使用者に対しては、不測の迷惑のないよう十分配慮を加えておる。その現行法と異なる点は、現在は自家用貨物自動車は届出だけで使用できることとなっているが、今回自家用貨物自動車を使用しようとする者は、自家用貨物自動車である旨の運輸大臣の認証を受けなければならないということにいたしました。また認証の申請書に虚偽の記載事項があったとき及び自家用貨物自動車の使用の適正を欠いた場合、認証を取り消すことができることとし、その場合は、当該自動車の検査証を返納させる義務を課したこと等、所要の修正を加えたことであります。
この修正案に対して、木島委員より、自動車検査証の取り上げ期間及び自家用自動車の共用の可否等、修正案の補足説明を求められましたのに対し、提案者の早川委員より、その期間は最大限六カ月である旨、また自家用貨物自動車の共同使用については、政府委員より、「認証のほかに、成規により共同使用の許可を必要とする」旨の答弁がありました。次に内村委員及び左藤委員より、認証の手続が長引くことをおもんぱかっての質疑があったのに対し、提案者より、「この認証は届出に近いものであるから、形式的要件を備えれば認証しなければならないものであるので、その手続に要する期間も、従来の届出制による場合とほぼ同様である見込みである」との説明があり、政府委員よりも、「同様に解している」とのことでありました。
以上で政府原案及び修正案に対する質疑を終り、直ちに政府原案及び修正案を一括し討論に入りましたところ、大倉委員より、日本社会党を代表せられまして、「修正案及び修正部分を除く原案に賛成」の旨の意見の開陳があり、「自家用貨物自動車の営業類似行為のばっこは、すなわち中小企業の困窮を物語るものであり、政府の政策の貧困の結果である。しかしながら、中小企業の振興、ひいては日本経済の発展のためには、道路運送事業が公正な競争、正常なる秩序のもとにあることが望ましく、自家用貨物自動車の一部の営業類似行為のばっこにより、輸送の安全、秩序を混乱に陥れる現況にかんがみ、本案によりすみやかに正常なる秩序の回復を期待するものである。しかしながら、その運用に際しては、事故防止のための行政指導を重視し、罰則の適用については、真に悪質なるもののみを対象とし、いやしくも業者保護のみを重視するがごとき印象を与えることのないよう厳に戒むべきである。さらに、政府はこの際、道路運送の輸送秩序確立のため、総合的に抜本的に方策を立てるとともに、中小企業の振興に対して積極的な施策を講ずべきである」旨の発言がありました。
これにて討論を終り、採決に入り、まず、修正案を議題に賛否を求めましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決定し、続いて修正部分を除く原案全部につき賛否を求めましたところ、これまた全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/44
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045・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/45
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046・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/46
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047・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第九、会計検査院法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第十、昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その1)
日程第十一、昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その1)(いずれも衆議院送付)
以上、三案を一括議題とせることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/47
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048・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。決算委員長田中一君。
〔田中一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/48
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049・田中一
○田中一君 ただいま議題となりました会計検査院法の一部を改正する法律案及び昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その1)ほか一件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
最初に、会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、本法律案の提案理由として政府の説明いたしました要点を申し上げます。今回、物品管理法が制定されるに伴いまして会計検査院法の一部を改正する必要が生じたのでありますが、その改正の第一点は、物品管理法で政府が物品の増減及び現在額総計算書を作成し、会計検査院がこれを検査することになりましたが、従来は国の所有する物品は会計検査院の任意検査事項となっておりましたので、これを必要検査事項としたことであります。第二点は、物品管理法で、従来物品の出納保管に関する事務をつかさどる職員にだけ課せられておりました弁償責任が、広く物品の管理に関する事務をつかさどる職員、物品の供用に関する事務をつかさどる職員にまで課せられることになったことなどであります。そのため弁償責任の検定等につき所要の改正を加えたことでありまして、以上が本法律案のおもな改正点であります。
決算委員会は、三回にわたり本法律案を審議いたしました。審議の詳細は会議録に譲りますが、委員の質疑に対して、会計検査院から、「物品管理の適正化については、検査を一そう徹底すること、また物品管理職員の弁償責任の検定に際しては、個々の事案について十分損害額を勘案して決定すること」等の答弁があり、四月十九日、質疑を打ち切り、討論に入りましたが、別に発言もなく、本法律案の採決をいたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。
以上、御報告申し上げます。
次に、昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その1)ほか一件の事後承諾を求める件に関する決算委員会の審議の経過並びに結果について御報告いたします。
まず、本件の内容について大略を説明いたします。昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その1)によりますと、昭和三十年度一般会計予備費の予算額は八十億円でありまして、そのうち昭和三十年四月十五日から同年十二月二十七日までに使用されました金額は四十四億千三百余万円となっております。
次に、昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その1)によりますと、昭和三十年度各特別会計予備費の予算額は五百五十三億千五百余万円でありまして、そのうち昭和三十年九月十三日から同年十二月二十三日までの間において使用されました金額は三百四億八千八百余万円となっております。
本委員会におきましては、右二件について当局の説明を聴取した上、慎重審議いたしました。審議の経過の詳細は会議録でごらんを願いたいのでありますが、質疑応答のおもなるものを申し上げますと、「一般会計予備費使用額約四十四億円のうち、各種災害復旧事業費補助は約半額の二十一億余万円でありまして、これらは適正に査定されているか、また一面使用分は必要な方面に適切な時期に交付されているか」との質疑に対しまして、大蔵省当局から、「厳密に査定していること」、また農林、建設、運輸、文部の各省当局から、それぞれ「交付の時期が若干おくれる傾向があることについて、その事由と、これが改善方に努力している」旨の答弁がありました。また、「一般会計の予備費八十億円は、年度末までにほとんど使用し尽される見込みであるとのことであり、三十年度は災害等が少かった事情を考え合せると、三十一年度一般会計予備費が前年度同額の八十億円であるのは少額に過ぎないか」との質疑に対しまして、大蔵省当局から、「特別の大災害等が発生しない限り、一応この程度で足りると考えている」旨の答弁がありました。
以上のほかには、各委員において別段意見もありませんでしたので、右二件は一括して承諾を与うべきものと全会一致をもって議決いたしました。
以上をもって報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/49
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050・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。
まず、会計検査院法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/50
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051・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/51
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052・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その1)
昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その1)
以上、両件全部を問題に供します。両件は、委員長報告の通り承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/52
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053・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両件は、全会一致をもって承諾することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/53
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054・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十二より第十九までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/54
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055・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事藤野繁雄君。
〔藤野繁雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/55
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056・藤野繁雄
○藤野繁雄君 ただいま上程されました大蔵委員会付託の請願につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
紹介議員から趣旨の説明、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、その上質疑応答を重ね、審議をいたしましたのでありますが、その結果は次の通りであります。
日程十二は、政府引き受けの地方債の金利を引き下げられたいとの趣旨であります。日程十三は、連合国最高司令官の指令により支払いを停止されていた元海軍文官の退職賞与の支払いを促進せられたいとの趣旨であります。日程十四は、積雪地域においては工事可能の期間が短かいから、補助金の早期交付、繰り越し制度の円滑なる運用等により、事業の遂行を推進せられたいとの趣旨であります。日程十五は、三級清酒の設定は、酒類業界を混乱に陥れ、酒税収入はかえって減少するから、三級清酒の設定に反対であるとの趣旨であります。日程十六は、東北地方のたばこ栽培振興のため、仙台市付近に国立たばこ試験場を設置せられたいとの趣旨であります。日程十七は、山林所得税等の軽減をはかるとともに、林業資金を増額するよう考慮せられたいとの趣旨であります。日程十八は、岡山県津山市に国民金融公庫支所を設置せられたいとの趣旨であります。日程十九は、葉たばこ耕作関係者の便宜をはかるため、山形県新庄出張所を総合出張所に昇格せしめられたいとの趣旨であります。
いずれも妥当と考えられます。よって以上十一件は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/56
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057・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/57
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058・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時七分散会
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○本日の会議に付した案件
一、日本電信電話公社経営委員会委員の任命に関する件
一、日程第一 常任委員長辞任の件
一、常任委員長の選挙
一、日程第二 国の債権の管理等に関する法律案
一、日程第三 機械工業振興臨時措置法案
一、日程第四 家事審判法の一部を改正する法律案
一、日程第五 首都圏整備法案
一、日程第六 国土開発縦貫自動車道建設法案
一、日程第七 森林開発公団法案
一、日程第八 道路運送法の一部を改正する法律案
一、日程第九 会計検査院法の一部を改正する法律案
一、日程第十 昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その1)
一、日程第十一 昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その1)
一、日程第十二乃至第十九の請願発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03819560420/58
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