1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十三日(月曜日)
午後零時二分開議
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議事日程 第三十九号
昭和三十一年四月二十三日
午前十時開議
第一 夜間課程を置く高等学校こお
ける学校給食に関する法律案
(文教委員長提出)
第二 公立養護学校整備特別措置法
案(文教委員長提出)
第三 盲学校、ろう学校及び養護学
校への就学奨励に関する法律の一
部を改正する法律案(文教委員長
提出)
第四 中小企業振興資金助成法案
(内閣提出、衆議院送付)
(委員長報告)
第五 新市町村建設促進法案(内閣
提出) (委員長報告)
第六 消防団員等公務災害補償責任
共済基金法案(内閣提出、衆議院
送付) (委員長報告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
この際、お諮りいたします。河井彌八君から、病気のため八日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案
日程第二、公立養護学校整備特別措置法案
日程第三、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも文教委員長提出)
以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、提出者の趣旨説明を求めます。文教委員長加賀山之雄君。
〔加賀山之雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/5
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006・加賀山之雄
○加賀山之雄君 ただいま議題となりました文教委員会提案の三法律案につきまして、その提案理由と内容の概略を御説明申し上げます。
まず、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案について申し上げます。
戦後の新教育制度の一環として、昭和二十三年度から発足しました高等学校の定時制教育は、恵まれない勤労青年たちに大学進学への道にも通ずる正規の高等教育を与えるもので、多数の青年に明るい希望を抱かせつつ、技能と知識と教養とを修得させる点で大きな意義を持つとともに、多大の成果を上げて参ったのであります。しかしながら、近年地方財政の窮迫と国の財政的援助の不十分なことから、この画期的な制度が行き詰まりつつあるという声が次第に強くなって参っておるということも事実であります。この際、国としても、これが振興につきまして何らかの適切な措置を講ずる必要があると考えられますが、特に必要な、しかも緊急を要する問題としては、夜間課程に学ぶ生徒に対する給食の実施ということがあります。今日、定時制課程に学ぶ約五十四万人の生徒中、夜間の生徒はその七割の約三十八万人を占めておりますが、働きながら学ぶこれら青少年の体位が劣っており、結核罹病率の高いことは各方面の調査で明らかになっております。しかも、生徒たちの多くは職場から直接夕食もとらないで学校へかけつけて勉学し、帰宅後十時、十一時といろ時刻にようやく食事をしているのが実情でございまして、このような状況が発育途上にある生徒たちの健康に悪影響をもたらすことは当然であり、給食の実施は、これら生徒および関係父兄、教師から、かねて切実に要望されているところでございます。このような実情にかんがみ、夜間の生徒に対する給食の実施については、国としても適切な援助を与えることが緊急を要する課題であると考え、今回本法案を提出いたした次第でございます。
次に、本法案の内容について御説明申し上げます。本案の第一の重要点は、第一条に掲げました目的でありまして、ここにおきまして、義務教育諸学校を対象とする現行の学校給食法の目的とはやや異なり、この給食が勤労青年のからだの健全な発達に資するためのものであることを規定いたしております。第二点といたしましては、第二条以下、夜間学校給食の実施について諸種の規定をいたしておりますが、これは現行の学校給食法とほぼ同一の規定でございまして、すなわち夜間課程を置く高等学校の設置者は、夜間学校給食が実施できるように努めるとともに、国及び地方公共団体も、夜間学校給食の普及と健全な発達をはかるように努めることを規定いたしております。また、国は公立、私立を問わず、その設置者に対し、予算の範囲内で夜間学校給食の開設に必要な施設、または設備に要する経費の一部を補助することができる旨規定するとともに、夜間学校給食用の小麦は、国が食糧管理特別会計の負担において、価格を低廉にしたものを使用させることができる旨規定いたしております。なお、附則におきまして、本法律は公布の日から施行すると規定しておりますが、給食に使用する小麦または小麦粉の価格を低廉にするための食糧管理特別会計に関する規定とへ施設、設備費の国庫補助についての規定は、昭和三十二年四月一日から施行することといたすとともに、給食用の乾燥脱脂ミルクについては、小中学校と同様関税を免除することとし、関税定率法の一部を改正いたしております。従いまして、本年は準備段階として、一部の希望生徒に低廉な乾燥脱脂ミルクを使用させるにとどめ、来年度から本格的な給食を行うことを企図いたしております。
以上をもって、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案の提案理由並びに内容の説明を終ります。
次に、公立養護学校整備特別措置法案の提案理由及びその内容の概略について御説明申し上げます。
昭和二十二年に学校教育法が公布されまして、学齢に達した子女の就学義務がその保護者に課され、都道府県には、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、盲者、ろう者、または精神薄弱、身体不自由その他心身に故障のある者を就学させるために必要な盲学校、ろう学校または養護学校の設置義務が課されたのでございますが、同法の附則におきまして、これらの諸学校への就学義務並びにこれらの諸学校の設置義務の施行期日は政令で定めることとなっておりました。その後、盲学校及びろう学校につきましては、昭和二十三年度から、政令により、就学義務及び設置義務が学年進行をもって施行され、本年度をもって完成を見ることとなりましたが、ひとり養護学校のみは、今日なお義務教育のらち外に置かれているのでございます。
しかるに、昭和二十九年度においての学齢児童生徒中の肢体不自由児の数は約十二万人、身体虚弱児は約二十七万人、精神薄弱児は実に七十八万余人と推定されるのでございまして、これらが学齢児童生徒の総数に対して占める比率は、それぞれ〇・六七%、一・五五%、四・五〇%に達しておりますのに対しまして、これらの児童生徒を収容して教育を施す学校といたしましては、昭和三十年度の調査によりますと、全国に公立二校、私立四校、計六校の養護学校を数えるにすぎず、この六校に収容しております児童生徒の総数は、わずかに三百二十六人というきわめて少数でありますのみならず、これらの児童生徒のための一般義務教育諸学校における特殊学級の増設すらも遅々として進まず、わずかにその必要数の五十分の一に相当する約一千学級が全国に設置されているのにすぎないのが現状でございます。
去る昭和二十九年の第十九回国会におきまして、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律成立の際、本院文部委員会の付帯決議として、「盲者、ろう者以外の心身に故障のある者に対する義務教育の現状にかんがみ、これが充実をはかるため、関係法令及び養護学校、特殊学級等の教育施設の整備その他必要な措置を講ずること」が、全会一致をもって議決され、衆議院文部委員会におきましても、これと全く同趣旨の付帯決議が付されましたし、また、同年十二月に答申された中央教育審議会の、特殊教育並びにへき地教育振興に関する答申中にも、「養護学校を義務制とする前提として、その設置を進め、これを設置しようとする地方公共団体に対して、国は財政措置を講ずること。特殊学級の設置のための年次計画を立て、これが促進のために必要な教育及び設備につき財政上の措置を講ずること。」が指摘されたのでありますが、学校教育法公布以来、すでに九カ年をけみする今日、いまだに養護学校教育に対する根本的措置が講じられず、本年度においてようやく二枚新設のための経費として千五百万円の予算計上を見たにすぎない実情でございまして、このような現状のまま推移いたしますことは、教育基本法にうたわれておりまする教育の機会均等の趣旨にもとりますばかりでなく、今日手をこまねいて彼らの教育をおろそかにしますことは、他日彼らの生活保障のため莫大な経費を必要とすることとなり、国策上からも賢明を欠くものと申さなければなりません。
如上の理由によりまして、本法律案は、養護学校における義務教育のすみやかな実施を目標として、公立養護学校の設置を促進して、その教育の充実をはかることを目的とし、建物の建築、教職員の給料その他の給与等に要する国及び都道府県の費用負担、その他必要な事項に関し、特別の規定をいたしております。
内容の主要点について申し上げますと、その第一点は、公立の養護学校を新築または増築する場合に要する経費の二分の一を国が負担することとし、危険校舎の改築に要する経費の二分の一以内を国が補助することといたしたことであります。第二点は、教職員給与費は都道府県の負担とし、その実支出額の二分の一を国庫負担として、義務教育費国庫負担法の例にならい、教材費についてもその一部を国の負担としたことであります。第三点といたしましては、教職員の給与の種類及び額を、当分の間、各都道府県の条例により、盲学校、ろう学校の教職員の給与の種類及び額を基準として定めることといたしました。第四の点は、本法の施行期日についての規定でございます。すなわち第三条から第六条まで及び附則第六項の規定は、昭和三十二年四月一日から施行することを附則において規定し、第二条の建築費の負担関係につきましては、すでに本年度予算に計上されておりまする関係上、本年度からこれを施行することを明らかにいたした次第でございます。なお、附則におきまして、教育公務員特例法、地方財政法等について所要の改正を加えております。
以上をもちまして、公立養護学校整備特別措置法案の提案理由の説明を終ります。
次に、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
御承知の通り、昭和三十一年度予算には、盲学校、ろう学校の高等部生徒全員に対する教科用図書購入費について、国がその三分の一を補助する経費約二百万円が計上されております。このことは、盲学校、ろう学校の教育が特殊事情にあることによるものと考えられるのであります。すなわち、かような特殊教育は、義務教育九カ年だけでは十分と申せないので、盲者やろう者が社会に出て、普通人と伍して働けるようになるためには、少くとも高等部へ進み、適当な職業教育を修めることがぜひとも必要であり、そのような意味合いから就学奨励の一端として今回の措置がなされたのであります。
しかしながら、教科書時代の二分の一を補助するということは、設置義務を課せられておる都道府県が残りの二分の二を支弁することを期待しての措置でございまして、これはやはり小学部、中学部の児童生徒に対する教科書代の支弁方法と同様に、国と県が半分ずつ持つことが適当であると考えるものであります。よって昭和三十一年度に限っては、盲、ろう学校高等部生徒の教科書代を国が三分の一以内支弁することといたし、昭和三十二年度以降は、盲学校、ろう学校及び養護学校の高等部の生徒の教科書代の二分の一を国が負担することと規定いたしました。これが本法律案の第一の改正点でございます。次に、現行法第三条では、この種の就学奨励費の支給方法を規定しておりますが、同条第二項におきまして、県教育委員会から経費の交付を受けた校長は、政令の定めるところにより、現物または金銭をもって該当者に支給しなければならないとありまして、政令は現物支給を建前といたしております。このような法令のワクがあるため、現場においては種々困った問題があるのであります。すなわち、この就学奨励費は貧困度に応じて段階がありまして、そのため生徒に支給する寝具、日用品、学用品等の物品に差異が生じ、生徒児童に差別感を抱かせる結果となり、教育上種々の支障を生じておるのであります。それゆえ、現金支給を主とし、特別の場合にのみ現物を支給し得ることといたしました。次に、第三の改正点について申し上げます。現行法はその制定当時、国会の修正によって養護学校の生徒児童をも就学奨励の対象といたしたのでありますが、まだ義務制になっておりませんので、現実にはその措置がなされていないのであります。この現実は、養護学校教育の振興をはばむものであると考えられますので、別に提案いたしました公立養護学校整備特別措置法案と並行して、養護学校教育の普及を促進するために、昭和三十二年度以降、養護学校の生徒児童も盲、ろう学校の生徒児童と同じく、この法律の恩典が受けられるよう現行法を改めた次第でございます。
以上が本法律案の提案の理由並びに内容でございます。
右、三法案につきましては、文教委員会におきまして、慎重に協議、検討いたしました上、政府の意見をただしましたところ、「これらの法案の趣旨に対しては異論がなく、今後の財政負担の問題もあるので、今直ちに賛成することはできない」旨の意見が開陳されましたけれども、文教委員会といたしましては、この際きわめて適切な措置であると思量いたしましたので、全会一致をもちまして委員会提案としてここに発議いたした次第でございます。
何とぞすみやかに御審議の上、御賛同賜わりますよう、お願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。
三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、中小企業振興資金助成法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長三輪貞治君。
〔三輪貞治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/9
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010・三輪貞治
○三輪貞治君 ただいま議題となりました中小企業振興資金助成法案について、商工委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、中小企業振興対策の一環といたしまして、現在実施しております中小企業に対する補助制度を根幹として法制化しようとするものでありまして、その内容を簡単に申し上げますと、協同組合の共同施設及び中小企業者の経営合理化のための設備を設置するのに必要な資金の貸付を行うために、都道府県ごとに特別会計を設けさせ、国は、都道府県がこの特別会計に資金を繰り入れるとき、これと同額以内の補助金を交付し、両者を合わせて財源として協同組合及び中小企業者に無利子で貸付を行うことといたしており、昭和三十年度までの間に、国からすでに支出されました補助金の回収分は、この新設される特別会計に繰り入れさせ、再び貸付資金として回転運用されることになっております。そうしてこの特別会計が存続する限り、国は都道府県ごとに適当と認める金額に達するまで補助金を交付することとなっております。このほか特別会計についての基礎的規定、協同組合または中小企業者に対する貸付の限度、条件、貸付に関する都道府県の事業計画についての規定等を設けております。なお、衆議院において、本法案の施行期日につきまして所要の修正が施されております。
当委員会の審議に際しましては、国の補助金の都道府県への割当方法、設備近代化のための貸付対象となるべき業種の問題、あるいはこの特別会計より借り入れる際に、借り主の自己資金調達の必要性の問題等を中心に質疑応答が重ねられまして、特に本法案による無利子貸付と中小企業金融公庫並びに商工組合中央金庫による融資との調整の問題については、参考人といたしまして中小企業金融公庫総裁の出席を求め意見を聴取する等、審議の慎重を期したのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、河野委員から、「本法案による貸付を行う場合には、借り主が所要資金のうち一部については自己調弁することを条件とすべきであり、貸付金の回収には配慮をなすよう」に要望して賛成の意見を表明されました。西川委員から、「本法案による貸付方法は、都道府県がその窓口となっている関係上、地方事情にとらわれて趣旨がゆがめられることが懸念されるから、運用に当っては格段の注意を払うよう」要望を付して賛成意見が述べられました。次いで海野委員から、「中小企業助成のため、国の補助金を大幅に増額するよう」強く要望して賛成の旨意見が述べられました。
かくて討論を終り、採決に入りましたところ、本法律案は、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/12
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第五、新市町村建設促進法案(内閣提出)
日程第六、消防団員等公務災害補償責任共済基金法案(内閣提出、衆議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/13
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014・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長松岡平市君。
〔松岡平市君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/14
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015・松岡平市
○松岡平市君 ただいま議題となりました新市町村建設促進法案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
町村合併促進法の制定風来、町村合併の事業は大体順調に進捗し、二年数カ月の間に計画の八割五分を達成し、今や大勢は町村合併から新市町村建設の段階に入り、町村合併促進法もいよいよこの九月末限りで三年の有効期間が終ることになりますので、この際、新市町村建設の基本となるべき事項を明らかにし、これに対する国または都道府県の協力^援助の措置を定めることにより新市町村の建設を促進し、その健全な発展の基礎を固めんとするのが本法立法の趣旨であります。
法案内容の大体は、新市町村は、その地域の自然的、経済的、文化的その他の条件に即して総合的に建設を進めることを基本方針として、その一体性を確立し、組織及び運営の合理化をはかり、健全な財政運営に努め、建設を計画的かつ効果的に進めるべき旨を明らかにすること。新市町村建設計画の実施の促進に関する国、都道府県及び公共企業体の協力援助に関する措置を定め、特に国は日本電信電話公社の行う電話の加入区域の変更等に必要な資金の融通について配慮すべきものとすること。新市町村建設計画の実施を促進するため、地方債、不均一課税、地方交付税算定の場合の特別補正、国有林野払い下げの場合の条件等について諸法律の特例を定めること。町村合併に伴う争論の処理及び未合併町村の合併の推進に関し規定の整備をはかること。町村合併促進法中、町村議会の議員の任期の延長の特例を、人口五万未満の市が町村を編入する場合に準用し、また、知事が町村合併促進審議会の意見を聞いて勧告した町村合併については、人口十五万未満、現行は十万未満であります、の市について、町村合併促進法の規定を準用すること。本法は公布の日から施行し、五カ年間に限り効力を有すること等を定めるものであります。
地方行政委員会におきましては、三月二十日、政府側より提案理由の説明を聞いた後、数回の委員会において関係当局との間に質疑応答を重ね、慎重審議を行いましたが、その詳細については会議録によってごらんを願いたいのであります。
四月二十日、討論に入りましたが、討論に先だち、委員会全員の意思に基いて便宜委員長より修正案を議題に供しました。
修正案の要点は、国は国有林野整備臨時措置法の規定により国有林野の売り払いを受けた市町村が新市町村となった場合のほか、同法の規定により売り払いを受けた林野が町村合併により新市町村に引き継がれた場合においても、第二十五条第二項に規定する新しい売り払いの条件に準じて前の売り払いの条件を改めることができるものとすること。昭和三十一年四月一日から同年九月三十日までの間に行われた町村合併により設置され、または他の市町村の区域の全部もしくは一部を編入した新市町村については、第二十一条の規定は昭和三十七年三月三十一日までその効力を有するものとして、これらの市町村が改正前の町村合併促進法によって受け得べき起債の特例の期間を保証すること。町村合併促進法施行前に合併した新市町村で、同法第三十四条の適用または準用を受けるものについては、同条の規定ににより新市町村建設計画を定めた日の属する年度及びこれに続く五カ年度は、地方交付税の計算につき改正前の同法第十五条の例により算定した額を保証すること。その他数カ条にわたり、町村合併促進法と本法制定の趣旨にかんがみ、所要の改正を加えること等でありますが、これまた会議録によって御了承を願います。
かくて討論に入りましたところ、石村委員は、次の付帯決議を付して本法案に賛成する旨を述べられました。石村君提出の付帯決議案は次の通りであります。
付帯決議案
新市町村建設促進法の趣旨を実現し、新市町村の健全な育成を期するには各省各庁の積極的協力が根本であるにかんがみ、政府は、本法に規定する各般の措置については格段の配慮をなし、実施上遺憾なきを期し、特に左の諸点について配慮すべきである。
一、新市町村育成のため十分なる予算措置を講ずること。
二、合併については関係市町村の意思を尊重して、いやしくも中央の一方的計画に基き、これを強行するようなことを避けること。
三、財政再建整備団体になった新市町村については、合併市町村の特殊事情にかんがみ、財政再建の実施に当っては本法の趣旨ができるだけ達成されるように努めること。
四、新市町村建設計画の実施上必要と認められる国有財産、特に国有林野の払い下げは積極的に行うものとし、その払い下げ条件は市町村の実情に即するように定めること。
右決議する。
以上であります。
加瀬委員は、「本法の実施に当っては、合併促進の手続の明確化、独立財政確保のための援助の強化、弱小町村の合併を強制するかの印象の払拭等の諸点に政府が努力すること」を強く要望して、本法案に賛成する旨を述べられました。小林武治委員も賛成の旨を述べられました。
かくて採決の結果、右、修正案及び修正部分を除く原案のいずれも全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。よって本法案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定した次第であります。
次いで石村君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、これを本委員会の決議とすることに決定いたしました。なお、この付帯決議に対しましては、政府委員より、「政府としては決議の趣旨が達成されるよう努力する」旨を述べられました。
以上、御報告いたします。(拍手)
次に、消防団員等公務災害補償責任共済基金法案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、従来市町村の責任において行われて参りました非常勤消防団員及び消防作業に協力援助した者にかかわる損害補償について、その実施状況が、地方財政の窮迫、その他の事情により必ずしも十分でないという実情にかんがみ、これらの損害補償を的確に実施するために、消防団員等公務災害補償責任共済基金を設け、あわせて基金について、会計、監督等に関する規定を定めんとするものであります。その内容の大体は、第一に、市町村はこの基金と共済契約を締結して一定の掛金を基金に支払い、国庫は基金に対して補助金を交付することができること、第二に、基金は契約を結んで掛金を支払った市町村に対して、その請求に基き、政令で定める一定の金額を支払うべきこと、第三に、基金は公法上の法人とし、定款をもって目的、業務その他所要の事項を定め、一定の方法で選ばれた理事長以下の役員を置くこと、第四に、市町村が行う補償の内容を向上させ、不均衡を是正する等のため消防組織法及び消防法の一部を改正して、市町村が定める条例に一定の基準を与えること等を定めるものであります。
地方行政委員会におきましては、四月五日、政府当局より提案理由の説明を聞いた後、数回にわたり関係当局との間に質疑応答を重ね、慎重審査を行いましたが、その詳細については会議録によってごらんを願うこととし、その中で主要な問題点と見られる二、三の事項について簡単に申し上げますと、まず第一に、本法案中にうたわれている国庫補助金については、大麻国務大臣より、「政府としては本年度内に四千万円程度の予算措置をする」旨を言明され、第二に、「市町村の料金と基金の市町村に対する支払いとの関係については、第九条の契約締結は義務ではなく、制度上の原則を宣言したものであり、基金の健全な運営を確保するためには、政令、定款等の内容に、市町村の掛金の額及び掛金の支払いは年度を単位として定めること、基金の支払いは納期までに掛金を支払った市町村の当該年度内に起った事故について責任を負うが、納期以後に掛金を支払った市町村については、当該市町村の掛金を支払った日以後の事故についてのみ支払いを行うこと、おくれて契約を結ぶ市町村は、当該市町村が当初から契約を結んだものとみなして、支払うべきであった掛金の全額に相当する金額を支払わなければ基金からの支払いは行われない、この場合においても、右支払いの日前に発生した事故については、基金はさかのぼって支払いを行わないこと等の諸点を明らかにしたい」旨の答弁があり、第三に、「基金の役員について、いわゆる天下り人事のおそれがないか」との質問に対しては、「さような弊に陥らないように十分注意する」旨の答弁がありました。
かくて四月二十日、討論に入りましたが、討論に先だち、委員会全員の意思に基いて、便宜委員長より、次の修正案を議題に供しました。
修正案の内容は、基金の理事長または理事は監事を兼ねることができないことになっておるが、常務理事に対しても、理事長または理事と同様に監事との兼任を禁止せんとするものであります。
討論においては、伊能委員より、要望として、「この基金に対する国庫補助については、予算に計上されていないが、政府の言明を信頼すること、水防団員に均霑するような法的措置をとること、基金の事務費を最小限度にとどめること」等をあげて本法案に賛成する旨を述べられました。
採決の結果、右、修正案及び修正部分を除く衆議院送付案、いずれも全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。よって本法案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/17
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018・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
地方税法の一部を改正する法律案可決報告書
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案可決報告書
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、地方税法の一部を改正する法律案
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長松岡平市君。
〔松岡平市君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/20
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021・松岡平市
○松岡平市君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、一、非課税範囲を縮小し、租税負担の均衡化をはかりながら増収を期待する、二、受益者負担の制度を拡張し、施設充実に要する財源を確保する、三、税務行政の規律を明確化する、四、財源調整機能を強化するための措置をとるという方針のもとに行われる地方税制改正の一環として、地方税法中、風下申し述べるような諸点について改正を加えようとするものであります。
すなわち改正点の第一は、総則に関する事項でありまして、市町村が、個人の市町村民税とあわせて徴収した個人の道府県民税が過誤納となった場合、これをその納税者の未納の市町村税に充当することができるものとすること、また、道府県が、個人の道府県民税とあわせて徴収した市町村民税についても同様に取り扱うこと、第二は、道府県民税及び市町村民税について、その地方団体内に寮、宿泊所等のみを有する法人等に対して均等割を課することができるものとすること、第三は、不動産取得税について、住宅の定義を「人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分」とすること、第四は、娯楽施設利用税について、学生生徒等のスケート場の利用は、すべて非課税とするとともに、本税の徴収方法について、普通徴収の方法によることができるものとすること、第五は、遊興飲食税について、特別徴収義務者が申告納入の期限までに料金及び遊興飲食税を受け取ることができなかったことにより、遊興飲食税を納入することができないと認める場合、すなわち売掛等の場合には徴収猶予をすることができるものとするとともに、貸し倒れとなった場合等には、すでに業者が遊興飲食税を立てかえて納入しているときは還付し、いまだ納入されていないときは納入の義務を免除すること、第六は、自動車税について、「揮発油を燃料とする自動車」以外の自動車の標準税率を、「揮発油を燃料とする自動車」の自動車税の標準税率まで引き下げるとともに、自動車の用途等の変更により適用税率に異同があった場合等においては、月割課税を行うものとし、自動車について所有権留保付売買があった場合においては、売主及び買主を共有者とみなして課税することができるものとすること、第七は、固定資産税について、日本放送協会及び日本中央競馬会の所有する全固定資産を非課税の範囲から除くこととし、特に日本放送協会が所有する固定資産で、直接その本来の事業の用に供するものに対しては、その公共性にかんがみ、課税標準は価格の二分の一、昭和三十一年度においては激変を避けるため四分の一とすること、第八は、電気ガス税について、日本国有鉄道が直接一般交通のための旅客または貨物の運送の用に供する電気に対しては、私鉄並みに電気ガス税を課さないものとすること、第九は、目的税として軽油引取税を創設すること、すなわち軽油引取税はすべての都道府県が課税するものとし、特約業者からの小売人または消費者の軽油の引き取りを課税客体とし、納税義務者はその引き取りを行う者とし、徴収は特約業者を特別徴収義務者として特別徴収の方法によること、税率は一キロリットルにつき六千円で、これは揮発油に対する揮発油税及び地方道路税の合計額一キロリットルにつき一万三千円の約半額に当っております。本税の税収入は、その徴収に要した費用に充てた残額は、すべて道路に関する費用に充てなければならない。なお五大市所在の府県は、その徴収した軽油引取税を、道路の面積を基準として五大市に交付することとし、五大市はその交付された額を道路に関する費用に充てなければならないものとすること、第十は、同じく目的税として都市計画税を創設すること、すなわち都市計画税は、都市計画区域として決定された区域の全部または一部の区域で、市町村の条例で定めるもののうちに所在する土地及び家屋に対して課することとし、課税標準は固定資産の場合と同様、その土地及び家屋の価格とし、税率は百分の〇・二をこえることができないこと、徴収については固定資産税とあわせて行うものとする、なお、この税は目的税であるから、収入は全部都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てなければならないこと、その他自動車損害賠償責任保険にかかわる収入金額を正味収入保険料の百分の十とし、外航船舶を運行する法人の事業税の課税標準である所得の算定について特例措置を定め、国民健康保険税について、課税限度額を現行の三万円から五万円に引き上げること等であります。
地方行政委員会におきましては、本法案の重要性にかんがみ、二月二十八日、太田国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、数回にわたり委員会を開いて当局との間に質疑応答を重ね、ことに四月六日には、京都大学名誉教授汐見三郎君ほか六名の参考人の意見を聴取し、さらに四月十日には運輸委員会と連合審査会を開く等、努めて慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細は会議録によってごらんを願うこととし、ここではおもな問題点の二、三を簡単に御紹介いたしますと、一、「軽油引取税は不適当な税種であり、かりに課税するとしても税率が高過ぎると思うがどうか」との質問に対しては、「実施の経過を見た上で善処する」旨を答えられました。二、「軽油引取税は目的税として、その税収入を道路に関する費用に充てなければならないことになっているが、地方財政の現状から見て、地方団体は一般財源のかわりに本税収入を充てる結果、道路費の財源充実という目的を達しないことになるおそれはないか」との質問に対しては、「さような事態を生じないように十分注意する」旨を答えられました。三、「私鉄に対する事業税の課税標準を改める考えはないか」との質問に対しては、「将来の研究課題として十分検討したい」旨を答えられました。
四月二十三日、討論に入り、松澤委員は日本社会党を代表して、「軽油引取税、都市計画税等、多分に消費者、地方住民の負担に転嫁されるおそれのある新税の創設を含んでおり、欠陥の多い本法案には反対である」旨述べられました。小林武治委員は、「軽油引取税は全面課税とする必要があり、その他事業税等について必ずしも賛成しがたい点があるが、地方団体において本法案の早期成立を期待している事情にかんがみ、やむを得ず本法案に賛成する」旨を述べられました。伊能委員は、「付帯決議を付して本法案に賛成」の旨を述べられました。伊能君提出の付帯決議案は次の通りであります。
付帯決議案
国、地方を通じ税制は累次の部分的修正によつて不均衡の面を生じている。政府は、これらの不均衡の是正を含め根本的な租税体系を樹立すべきであるが、なかんずく次の各項については最近の機会においてこれを措置すべきである。
右決議する。
記
一、事業税の種別について一そうの均衡をはかること。たとえば、大工、左官、板金工または植木職として行う事業、公衆浴場業、写真業、注文洋服仕立業等に従事する少額所得者の所得は勤労所得に近いものがあり、軽減の措置を講ずること。
二、私鉄に対する事業税の課税標準を是正すること。
三、昭和三十年度以降新たに建設に着手した水力発電所の大規模償却資産の課税限度額については激変緩和の経過的措置を講ずること。
四、軽油引取税については、税率の軽減その他適切な措置を講ずること。
五、遊興飲食税については、税率、徴収方法その他につき根本的な検討を加え適切な措置を講ずること。
かくて採決の結果、本案は多数をもって原案通り可決すべものと決定いたしました。
伊能君提出の付帯法議案は、多数をもってこれを本委員会の決議とするに決し、これに対して太田国務大臣より、「決議の趣旨を体して善処する」旨を述べられました。
以上、御報告いたします。
次に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、地方財政の現況にかんがみ、地方制度調査会等の答申にのっとり、国または地方公共団体が所有する固定資産のうち、貸付資産、国有林野及び発電施設については固定資産税に相当する額の交付金を、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社のいわゆる三公社が所有する固定資産のうち、固定資産税を課せられないものについては固定資産税に相当する額の納付金を、それぞれ当該固定資産所在の市町村に交付し、または納付することとする制度を創設しようとするものであります。
その要点は、一、国有資産等所在市町村交付金は、国または地方公共団体が、その所有する固定資産のうち、公用または公共用等に供していない資産で、当該国または地方公共団体以外の者に使用させている固定資産、国有林野にかかわる土地、発電所、変電所または送電施設の用に供する固定資産について、当該固定資産の交付金算定標準額に百分の一・四を乗じて得た額を交付金額として当該固定資産所在の市町村に交付するものとし、交付金算定標準額は固定資産の価格によることとし、その固定資産の価格は、原則として国有財産台帳または地方公共団体の財産台帳に記載された価格によるものとする。ただし右に対しては、経過的にまたは当該固定資産の性質等により若干の特例措置を定めること。二、公社有資産所在市町村納付金は、三公社が所有する固定資産のうち、固定資産税を課せられないものについて、納付金算定標準額に百分の一・四を乗じて得た額を納付金額として当該固定資産所在の市町村に対して納付するものとし、納付金算定標準額は固定資産の価格によることとし、その固定資産の価格は、自治庁長官が固定資産評価基準に準じて評価を行なって決定した価格を総理府令で定めるところによって関係市町村に配分したものによること、この場合、納付金算定標準額は、公社の公共的性格等にかんがみ、特に当該価格の初年度四分の一、平年度二分の一の額とすること。三、各省各庁の長が管理し、または一の地方公共団体もしくは一の公社が所有する償却資産で、地方税法における大規模の償却資産に相当するものについては、固定資産税における大規模の償却資産の特例に準じ、一定限度をこえる額については、当該市町村を包括する都道府県に国有資産等所在都道府県交付金または納付金を交付または納付するものとすること。四、交付金の交付方法または納付金の納付方法としては、市町村が交付金額または納付金額を算定し、これを記載した交付金交付請求書または納付金納額告知書を各省各庁の長もしくは地方公共団体の長にまたは公社に送付して交付金の交付または納付金の納付を求めること等であります。
地方行政委員会におきましては、二月二十一日、太田自治庁長官より提案理由の説明を聞いた後、数回にわたり政府当局との間に質疑応答を重ね、ことに四月六日には、横須賀市長梅津芳三君ほか二名の参考人及び三公社当局より意見を聴取し、さらに四月十日には、逓信委員会及び建設委員会と連合審査を開く等、慎重審査に努めたのであります。その中で、特に大学の演習林は、今回の交付金の対象からはずされているが、これを国有林野並みに扱わないわけをただされたのに対しては、文部当局より、「大学の演習林については、従来行政財産の特例として、地元市町村に対する予算補助の性質を持つ交付金を交付しているが、将来これに国有林野並みの基準を設け、またこれを増額する等の問題は、よく検討して善処したい」旨の答弁があり、そのほか、本法との関係において、旧軍港市所在の旧軍の諸施設や駐留軍等の使用する国有資産をどう扱うか、また公営住宅の場合に、本法の交付金が家賃に転嫁される結果にならないか等、幾多の問題について活発な論議が行われたのでありますが、その詳細については会議録によってごらんを願いたいのであります。
今二十三日討論に入り、松澤委員は日本社会党を代表して、「三公社の納付金は結局鉄道運賃その他に転嫁され、公営住宅について交付金が家賃に転嫁されるおそれが多い。かくのごとく消費者、地方住民の負担を重くするような内容を持つ本法案には反対せざるを得ない」旨を述べられました。小林武治委員は、「本法案に賛成」、伊能委員は、「付帯決議を付して賛成」の旨を述べられました。伊能君提出の付帯決議案は次の通りであります。
付帯決議案
政府は、本法施行に際して左の点に特別の配慮を加うべきである。
一、米国及び国際連合の軍隊が使用する固定資産所在市町村並びに旧軍港市等に対しては、特別交付金交付等適切なる方途を講ずること。
二、公営住宅については、交付金が家賃に転嫁されないように努力すること。
右決議する。
かくて採決の結果、本法案は多数をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定した次第であります。
なお、伊能君提出の付帯決議案は、多数をもってこれを本委員会の決議とすることに決し、これに対して太田国務大臣より、「決議の趣旨を体して善処する」旨を述べられました。
以上、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/21
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022・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十九分散会
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○本日の会議に付した案件
一、議員の請暇
一、日程第一 夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案
一、日程第二 公立養護学校整備特別措置法案
一、日程第三 盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第四 中小企業振興資金助成法案
一、日程第五 新市町村建設促進法案
一、日程第六 消防団員等公務災害補償責任共済基金法案
一、地方税法の一部を改正する法律案
一、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X03919560423/23
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