1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月三十日(月曜日)
午後零時四十一分開議
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議事日程 第四十二号
昭和三十一年四月三十日
午前十時開議
第一 北海道開発公庫法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 日本原子力研究所法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 原子燃料公社法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 核原料物質開発促進臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
ただいま傍聴席に、MRA創始者フランク・ブックマン博士の御一行が見えられております。
ここに諸君に御紹介いたします。
〔拍手起る〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、全権委員任命につき議決を求める件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
内閣総理大臣から、日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定及び経済開発借款協定につき交渉しかつ署名する全権委員に衆議院議員水田三喜男君を任命することについて、外務公務員法第八条第三項の規定により本院の議決を求めて参りました。
内閣が、同君を全権委員に任命することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって内閣が同君を全権委員に任命することができると議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、北海道開発公庫法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事藤野繁雄君。
〔藤野繁雄君登壇、拍手]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/6
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007・藤野繁雄
○藤野繁雄君 ただいま議題となりました北海道開発公庫法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、北海道総合開発計画の一環として、北海道における産業の振興をはかるために、長期の資金を供給することを目的として設立いたそうとするものであります。
その内容のおもなる点を申し上げます。第一に、本公庫は、北海道における産業の振興開発を金融面から促進するため、長期の金融及び投資債務保証等をその業務の内容といたそうとするものでありまして、この点が他の公庫と異なる特色があるのであります。第二は、本公庫の行う投資または債務保証の対象でありますが、一、石炭または可燃性天然ガスの利用度の高い工業、二、農林畜水産物の加工度の高い工業、三、鉱業及び製練業、四、産業の振興開発等にかかる交通運輸業、五、その他の産業で、振興開発のため特に必要な事業で主務大臣の指定するものに範囲を限定いたそうとするものであります。第三に、本公庫の事業計画及び資金計画につきましては、四半期ごとに主務大臣の認可を受けることとなっております。また、投融資の対象及び条件等については、本公庫の業務開始の際に定める業務方法書により規定いたそうとするものであります。第四に、本公庫の資本金は、産業投資特別会計からの出資金十億円でありますが、本公庫は、資本金の二十倍を限度として、北海道開発債券を発行し得ることになっており、この債券については、その元本及び利子の支払いについて政府の保証ができることといたそうとするものであります。しこうして、昭和三十一年度は、十億円の資本金と資金運用部特別会計からの借入金三十億円、政府保証に基く債券発行による民間資金四十億円、合計八十億円を運用資金として予定しておるのであります。第五に、本公庫は、理事長一人、理事三人、監事二人を置き、理事長と監事は主務大臣が任命し、理事は理事長が主務大臣の認可を受けて任命することになっております。また、おもなる事務所は札幌市に、従たる事務所を東京都に置くことを予定しておるのであります。第六は、本公庫の予算及び決算に関しましては、公庫の予算及び決算に関する法律が適用されることとなっております。第七に、本公庫に対する監督は、内閣総理大臣及び大蔵大臣が主務大臣でありまして、主務大臣は、本公庫の業務に関し、この法律案に定められた認可を行うとともに、監督上必要な命令を発することができることといたそうとするものであります。
本案審議に当り、北海道総合開発第一次五カ年計画の実施状況及び第二次五カ年計画と本公庫との関連性、本年度の業種別投融資計画、本公庫の業務内容である融資、出資、債務保証等について質疑がなされたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終り、討論に入り、岡委員より、「本案の提案理由によれば、北海道の総合開発は、昭和二十六年より実施し、その結果、道路、河川、港湾、電源等、基礎施設の整備についてはかなり進展をみていると述べているが、北海道へ旅行してみると、第一次五カ年計画はまだその緒についたのみである。政府は第二次五カ年計画の基礎的資料を本委員会に未提出であるにもかかわらず、北海道の第二次産業を振興するということはさか立ちしていると思う。しかし、北海道は特殊立地条件にあるので、その開発を進めるための公庫を設立ずることは必要であるが、公庫は出資、融資、債務保証等の業務を行うことになっているので、その運営に当っては、責任者は十分なる配慮をなすべきである」との意見が述べられ、さらに、「付帯決議を付して、本案に賛成する」旨の意見が述べられました。
付帯決議の内容は次のごとくであります。
付帯決議案
政府は次の事項について適当の措置を講ずべきである。
一、本法施行に伴う投融資計画は不明確である。政府はすみやかに北海道総合開発第二次五カ年計画を策定し、開発公庫の対象となるべき投融資計画を明確にすること。
二、開発公庫の投融資対象は資本金の規模によることなく、中小企業に対しても開発に必要な事業に対しては投融資すること。
三、開発公庫が投資に重点をおき、かつ、低利な資金供給を可能にするため、次期国会において出資金を増額すること。
四、開発公庫役員の選任に当っては、公庫業務の適正を期するため慎重な配慮をすること。
五、開発公庫の業務運営に当り、有効適切かつ公正妥当な執行を期するため、理事長の諮問機関として、現地に学識経験者その他をもって構成する運営協議機関を設置すること。であります。
次いで土田委員より、「本公庫の運営に当っては、責任ある監督をしてほしい。また、役員の選任に当っては十分なる配慮をすべきである。さらに岡委員の付帯決議案に同感である」旨の賛成意見が述べられ、最後に藤野委員より、「本公庫は、長期の資金を供給すること等により、民間の投資及び一般の金融機関が行う金融を補完し、または奨励することを目的とするものであるから、その任務は重かつ大である。そこで事業計画及び資金計画の作成に当っては遺憾なきを期せられたい、また、事業の遂行に当っては、常に失敗を事前に防止するよう善導せられたい」旨の賛成意見が述べられ、討論を終り、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定し、また、岡委員提出の付帯決議案を採決の結果、全会一致をもって可決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二、日本原子力研究所法案
日程第三、原子燃料公社法案
日程第四、核原料物質開発促進臨時措置法案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員会理事白川一雄君。
〔白川一雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/11
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012・白川一雄
○白川一雄君 ただいま議題となりました日本原子力研究所法案、原子燃料公社法案及び核原料物質開発促進臨時措置法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
原子力開発利用の緊急性及びその重要性は、今や全世界をあげての課題でありまして、各国がこれがためにあらゆる努力を傾注していることは御承知の通りでございます。わが国におきましても、将来におけるエネルギー資源を確保し、産業の振興をはかるため、去る第二十三臨時国会において原子力基本法を超党派的に成立せしめ、原子力の開発利用を積極的に推進する基本方針を明らかにしたのであります。ただいま上程されました三法案は、いずれもこの原子力基本法に基いて行われる施策の一連をなす法律案でございます。
以下、三法案の概要につきまして順次御説明いたします。
まず、日本原子力研究所法案でございますが、この法案は、原子力基本法に基き、原子力の開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行うため、日本原子力研究所を設立しようとするものでありまして、次のごとき点を規定しております。
第一に、本研究所は、政府及び民間からの出資の合計額を資本金とし、政府が常に資本金の半額以上を持つ特殊法人となっております。なお政府は、設立に当って二億五千万円を出資することといたしております。第二に、役員について規定しておりますが、役員の任命に当っては、内閣総理大臣が原子力委員会の同意または意見を聞くこと等を要件としているのであります。第三に、研究所の行う業務は、原子力に関する基礎研究、応用研究、原子炉の設計、建設、操作、技術者の養成及び訓練、放射性同位元素の輸入、生産及び頒布等を行うこととし、その業務を行うに当っては、原子力委員会の議決を経て、内閣総理大臣が定める原子力の開発及び利用に関する基本計画に基いて行わなければならないことになっているのであります。第四に、研究所の財務及び会計でありますが、研究所の予算、決算、資金計画、財務諸表、利益金の処理、借入金、財産の処分等については、内閣総理大臣の認可または承認を要することとし、また政府は、予算の範囲内で研究所に補助金を出すことができることにしてあります。第五に、研究所の監督は内閣総理大臣が行い、必要な命令をすることができるようになっております。最後に、本研究所の設立と同時に、現在の財団法人原子力研究所は解散し、その権利義務を承継するとともに、職員もそのまま引き継ぐことになっております。
以上が、日本原子力研究所法案の要旨でございます。
次に、原子燃料公社法案の内容を御説明申し上げます。
この法案は、原子力基本法に基き、核原料物質すなわちウラン鉱等の開発、核燃料物質の生産及びこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行うため、原子燃料公社を設立しようとするものでありまして次の点を規定しております。
第一に、公社の資本金は一千万円とし、政府が全額出資することになっております。第二に、役員の数、任命方法等でございますが、これは研究所の場合と同様であります。第三に、公社の行う業務は、核原料物質の探鉱、採鉱、選鉱、売買、核燃料物質の生産、加工、輸出入、売買、貸付及び以上の業務にかかわる副産物の売り渡し等といたしてあります。第四に、公社の予算、事業計画等は内閣総理大臣の認可を受けることを要し、公社の会計は、会計検査院が検査して国会に報告することになっております。第五に、公社は国より補助金を受け、各種課税を減免される特典を有する反面、内閣総理大臣の監督に服することが規定されております。
以上が原子燃料公社法案の大要でございます。
次に、核原料物質開発促進臨時措置法案の内容を御説明いたします。
この法案は、原子力基本法に基き、ウラン鉱等の開発を促進するため、鉱業法の特例として一連の措置を講じようとするものでありまして、次のごとき点を規定しております。
第一に、内閣総理大臣は、地質調査所、または原子燃料公社の行う探鉱の合理的な実施をはかるため、核原料物質探鉱計画を定めることになっております。第二、地質調査所または公社が核原料物質の探鉱を行うに当り、必要やむを得ないときは、他人の土地や事業所への立ち入りや使用を認めることといたしております。第三に、ウラン鉱等を目的とする採掘権者が、その鉱区において、ウラン鉱等を経済的に開発できるにもかかわらず開発しないときは、通商産業大臣は開発の指示をすることができることになっております。さらに、開発の指示に従わなかった採掘権者があるときは、原子燃料公社が租鉱権を設定し、みずからの手でかわって開発することができることといたしてあります。第四に、鉱業権者または探鉱に寄与した者に対し、奨励金または賞金を交付することができることになっております。第五に、この法律は、その性格上限時法とし、施行の日より十年以内に廃止されることになっております。
以上が三法案の概要でございます。
商工委員会におきましては、これらの法案が密接な関連を持っておりますので、一括して審査を進めて参りました。審議の過程においては、三法案の有する重要性にかんがみまして、参考人の意見をも聞き取る等、慎重に検討を加えて参ったのでございます。
以下問題となったおもな点をあげますと、研究所の性格を、民間出資を認めて特殊法人としたことの是非、研究員の研究の自由と政治権力との関係、原子力発電の将来の見通しと長期電源開発との関連、外国の先進技術を導入することと国内の自主的研究態勢の整備にかかわる問題等の点について、政府当局及び参考人に対して活発な質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録によって御了解を願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、海野委員より、「政府は日本原子力研究所の運営に当っては、原子力基本法の精神に基き、民主的運営がなされるよう指導監督し、特に研究者の自治性と研究の自由がそこなわれないよう留意するとともに、その研究が十分原子力委員会に反映するよう万全を期すること」という趣旨の付帯決議を日本原子力研究所法案に付して三案に賛成の意見が述べられ、また白川委員は、「乏しきわが国の資力をもって高度の発展を期待する原子力の研究は、慎重に、から騒ぎすることなく、挙国一致体制確立の必要性を強調し、また政争の渦中に陥らしめざることを力説して、三案に賛成する」旨の意見を開陳せられました。
かくて討論を終り、採決いたしましたところ、以上の三法案は、いずれも全会一致をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、海野委員より提出されました日本原子力研究所法案に対する付帯決議案も、これまた全会一致をもって、原案通り本委員会の決議とすることに決定いたしました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/12
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。
三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/13
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014・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時六分散会
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○本日の会議に付した案件
一、全権委員任命につき議決を求める件
一、日程第一 北海道開発公庫法案
一、日程第二 日本原子力研究所法案
一、日程第三 原子燃料公社法案
一、日程第四 核原料物質開発促進臨時措置法案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X04219560430/14
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