1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月二十五日(金曜日)
午後一時十三分開議
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議事日程 第五十三号
昭和三十一年五月二十五日
午前十時開議
第一 千九百五十五年五月三十一日
に東京で署名された農産物に関す
る日本国とアメリカ合衆国との間
の協定第三条を改正する議定書の
締結について承認を求めるの
件(衆議院送付)
(委員長報告)
第二 農産物に関する日本国とアメ
リカ合衆国との間の協定の締結に
ついて承認を求めるの件
(衆議院送付)(委員長報告)
第三 会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出)(委員長報告)
第四 特定物資輸入臨時措置法案
(内閣提出、衆議院送付)
(委員長報告)
第五 建設業法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
(委員長報告)
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、千九百五十五年五月三十一日に東京で署名された農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件日程第二、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)
以上、両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長梶原茂嘉君。
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〔梶原茂嘉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/3
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004・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ただいま議題となりました農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定について承認を求めるの件及び千九百五十五年五月三十一日に東京で署名された農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につき、外務委員会におきまする審議の経過並びに結果を報告いたします。
今回の農産物に関する日米間の協定は、昨年五月締結されました日米農産物協定に引き続く第二次のものでありまして、本件協定の趣旨及び仕組み等は、ほぼ第一次の場合と同様でありますが、内容において異なるところは、おおむね次の諸点であります。すなわち、農産物の購入総額は六千五百八十万ドルであること、対象品目は大麦、小麦、綿花、葉タバコのほか、トウモロコシその他の飼料が加わり、米穀が除かれましたこと、積立円の使用率は、日本側が七五%、アメリカ側が二五%となったこと、日本側の使用分は、電源開発、農地開発及び生産性向上施設のほか、山林、畜産関係等に拡充せられたこと等であります。また、学童等の給食のための農産物の贈与は協定からはずし、交換公文で定めることになったのであります。
次に、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書の趣旨は、第一次協定第三条に規定せられておりまする贈与農産物のうち、綿花の分を小麦及び粉乳に振りかえることに日米間の合意が成立いたしましたために、第三条を改正せんとするものであります。
委員会は、農林水産委員会との連合審査会を合わせて五回にわたり両案件の審議を行なったのであります。
質疑のおもなる事項は、第一次協定の場合に比べ諸般の情勢は相当の変化を示しつつあり、特に外貨保有の状況に関連して、本協定の意義及び価値の検討、食糧のごとき消費物資の輸入は外貨をもって行い、他面、輸出の増進により外貨を獲得するという、本来の建前が国際収支の実相を国民に認識せしむるゆえんであって、長期の外国借款に依存する施策が果して適当かいなかの点、食糧の代金を基礎とする外国借款と内国債政策との関係、第三次以降の協定に対する政府の方針並びに今後協定が打ち切られた場合における投融資計画再編成の問題、わが国農業、特に葉タバコ耕作に与える影響の問題、学童の精神面に対して贈与農産物の及ぼす影響、贈与を政府みずからが取り扱うことの適否等であり、これらの諸点及びその他につき活発な質疑が行われたのでありますが、詳細は会議録によって御了承をお願いいたします。
委員会は、五月二十四日質疑を了し、討論に入りましたところ、羽生委員は社会党を代表して、「本協定は、わが国に積極的に利益をもたらすものとは思われない、現在のわが国の外貨保有量からみて、食糧の輸入は商業ベースで行うことを妥当とする。長期低利のゆえをもって安易に外国借款に依存することは、他に多額の対外債務もあり、国民負担の面も軽視し得ない。かつ本件協定による農産物の輸入は、零細なわが国農業を圧迫することは避け得ないところであり、しかも本件は、農産物の購入でありながら、一面軍事的関連性を持つものであることを見逃してはならない等の意見を述べて反対せられ、須藤委員は、「産業開発の資金が必要であるとしても、他に道があるのであって、本協定のごとき方法で高利のものを借りることは妥当ではない」と反対の見解を述べ、上林委員は、「わが国の農業経営の改善と輸出振興の見地よりして、タバコ耕作は重視せらるべきものである、葉タバコの輸入は、わが国のタバコ耕作に悪影響を与える、今後十分な留意を政府に要請する」との要望を付して賛成されました。
次いで採決を行いましたところ、二件とも多数をもって承認すべきものと議決いたした次第であります。
以上、報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 両件に対し、討論の通告がございます。発言を許します。須藤五郎君。
〔須藤五郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/5
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006・須藤五郎
○須藤五郎君 ただいま議題となっておる農産物協定並びに議定書の承認を求める件に対し、反対の意見を述べたいと思います。
まず第一は、日本農業に与える影響であります。この点に関しては、第一次協定の場合も、強く各議員諸君から指摘され、本院農林水産委員会の総意による申し入れが外務委員会に対し行われ、私ども外務委員会もまたこの趣旨に同意し、本壇上より、かつての石黒外務委員長から報告されたことは、記憶に新しいところでありますから多くを述べませんが、今回さらに第二回の協定を結ぶに至った食糧の外国依存政策は、今年度における農業関係予算の大幅な削減、予算に現われている低米麦価政策、日本農業発展についての無策と相待って、日本農業をさらに苦しめるものであることを指摘せざるを得ないのであります。実は今回アメリカから受け入れようとする余剰農産物、すなわち小麦、大麦、綿花、葉タバコ等のアメリカにおける在庫は八十億ドル、すなわち二兆八千億円をこえる莫大な数量に上り、その倉庫代だけでも一日七、八十万ドル、すなわち一日二億五千万円以上かかっておるのであります。そうして昨年はアメリカのベンソン農務長官みずからセールスマンとして、ヨーロッパ行脚に出かけて行ったという、つまりアメリカがもてあまし切っている農産物であります。政府は、本協定は外貨の節約になり、日本にきわめて有利であるというが、調印をした昨年と異なり、外貨事情も好転しておる今日、食糧輸入がたとえ必要であるとしても、何を好んでヨーロッパ、アジアで非難の的になっているひもつき借款を行う必要があるのだろうか。食糧は世界的に買手市場であるから、必要ならば必要なものだけ、必要なときに安くてよい品を、堂々と通常貿易ルートによって買えばよいと思います。さらには日本綿製品に対するアメリカの不当な排斥に関して、政府みずから輸出の自粛をするなどという情ない態度をとることをやめて、これを積極的に解決し、アメリカからの輸入超過約三億二千万ドルという、昨年一カ年の実績にも現われているようなアメリカとの片貿易を、平等互恵に向って改め、堂々と輸入するという積極的施策をとるべきだと思います。
本協定がアメリカの余り物の押し売りであることは、通産、大蔵各省が反対している十万俵の綿花、千五百トンの葉タバコに最もはっきり現われておりますが、この押し売りのみならず、アメリカの政策に他国を縛りつけるところのひもつきの役割こそがもっと重要であります。前にも述べたベンソン農務長官は、U・S・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌の昨年十月八日号で、はっきりこう言っております。「私は食糧は一種の武器だと考えております」、こうはっきり書いております。本協定においても、余り物の農産物を売った代金で、米軍の宿舎建設、軍需物資の買付等を行うことを規定しております。またこのアメリカ使用分の円資金の規定の中の一項、すなわち交換公文の中に詳しく述べられているように、合衆国の農産物の販売の促進及び市場の調査のため、並びにこの問題に関係する合衆国及び日本国の公務員及び事業家の交換訪問のため使う分が合意されております。日本の公務員が、アメリカの余剰農産物の市場開拓のお先棒をかつぐというこの規定は、昨年の第一次協定審議の際も、本院外務委員会において、国家の体面に関する恥ずべきこととして指摘され、重光外務大臣も、「まことに気がききませんことで」と答えたことは、速記録にはっきり残っておるのであります。ところがこの規定が、また今次協定にも入っているのであるから、「気がききません」では済まされぬことであります。私は速記録を読み上げ、外相の誠意ある答弁を求めたところ、今度は、「よいことだと考えます」と前言を翻した次第であります。これが日本の外交を背負って立つ外務大臣の言葉でありましょうか。どうしてもアメリカでパン製造その他の研究が必要ならば、日本の金で公務員を派遣すべきであります。
次に、余り物を買ったため、付録としてついている贈与分について述べたいと思います。これは、たとえて言えば、キャラメルのおまけについている人形のようなもので、政府が感謝の念にたえないように扱っているのは、全くばかげたことであります。この贈与は、学校給食用の小麦と脱脂ミルクであります。昨年交渉のときには、この中に三百万ドル分の綿花が含まれることになっており、これで学童服百八十万着分が予定されていたのでありますが、アメリカ側は、アメリカの恩恵をたっぷり日本の児童、父兄に植えつけるために、全部完全に無料で配給し、製造費等は日本政府が受け持つことを最後まで強く要求したので、話がつかず、綿花三百万ドル分は小麦の方に回されたいきさつから見ましても、アメリカが何をねらっておるかが、はっきり見抜けるのであります。今次協定は、贈与に関する日米往復書簡で、前回にはなかったこまかい取りきめを行なっております。これが今回の特徴であります。
このうちの一、二の例をあげましょう。第四項には、日本政府がこの利用について三カ月ごとにアメリカに報告する義務が定められ、第五項には、アメリカ側が給食の現場視察を行う権利を認め、さらにこの贈与の積み出し、配給、利用等のありさまを日米合意で作る広報で報道することまで約束されております。このような約束を取りかわすことは、明らかに内政干渉であります。特に児童に与える教育上の影響から見のがすことのできない規定であります。
私は外務委員会におきまして、特に清瀬文相の出席を求め、質問いたしましたところ、日ごろ平和憲法をマッカーサー憲法と呼び、いわゆる愛国心の鼓吹を叫び、反動教育二法案を押し通そうとしておる文相は、これに対して平然として、「何らおそれはありません。よいことであります」と答えておるのであります。全くあきれた次第でございます。外相といい、文相といい、日本国民としての誇りは、みじんも見られないのであります。私は、かかる自主性を喪失した協定、交換公文、書簡を、日本国民の名誉のために断じて認めることはできないのであります。
最後に、資金が必要であるからという政府の論拠に触れたいと思います。最近の国際情勢はどうでありましょうか。ソビエト首脳のイギリス訪問、フランス首相、外相のモスクワ訪問が続いて起り、その共同声明は、平和共存と貿易の拡大をうたっております。世界は大きく動いております。日本もまた日ソ漁業協定の調印を機に、日ソ国交正常化の第一歩を踏み出し、平和関係の樹立は目前に迫っております。そのような今日、インドその他が双手をあげて歓迎しておるひものつかない長期低利、年二分から二分五厘のソビエトの借款は、現実的に可能な問題となってきておるのであります。このような方向は、日中、日ソの大幅な貿易拡大と同時に、日本経済の繁栄を約束するものであります。最近訪米したインドネシアのスカルノ大統領は、全米記者クラブの会合で、インドネシアは、アメリカ、中国、ソ連から援助の申し入れを受けておる。インドネシアは、いずれの国からでも援助は受けるが、自由をこれと引きかえることは絶対しないと、きっぱり言っております。この態度こそ、日本政府のとるべき態度ではないでしょうか。私はこのことを強く政府に要望いたしまして、反対討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより両件の採決をいたします。
両件全部を問題に供します。委員長報告通り両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第三、会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長岡崎真一君。
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〔審査報告書は都合により追録に掲載〕
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〔岡崎真一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/9
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010・岡崎真一
○岡崎真一君 ただいま議題となりました会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
現行の会計法によりますると、国が民間と契約をしようとする場合には、公告をして競争に付することが原則となっております。建設工事の請負についても競争入札を行い、最低の入札者と契約を結ぶこととなっておりまするが、最低の非常に安い落札価格では、工事の完全な履行ができない場合があることも考えられまするので、本案は、最低の入札価格では契約通りの工事が施行されないおそれがあると認められるときには、予定価格の制限の範囲内で、次順位のものも契約の相手方とすることができるようにしようとするものであります。
本案は、第二十二国会に議員提出で継続審査となっておりました建設業法の一部を改正する法律案とも密接な関係がありまするので、建設委員会と連合審査会を開きまして慎重審議をいたしましたところ、その改正規定の適用を受ける建設工事の規模や、各省各庁の長が作成した予定価格と最低の入札価格に非常な差異があり、工事の完全な施行ができないと思われるおそれがあると認められる場合の基準等をどうするかにつきまして質疑があり、特に建設業法の一部を改正する法律案に対しては、政府委員より、「予定価格の十分の八以下の入札をすべて無効とする同法律案の趣旨には反対であるが、この改正規定の運用により、契約された工事の完全な施行に相当役立つものと思う」との答弁がなされました。それらの詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終り、討論に入りましたところ、岡委員より、「この改正は、一歩前進であることは認めるが、契約担当職員や契約審査委員が、業者の働きかけに対し、公正な判断ができるかどうかとの疑問を持つ、むしろ多額の保証金または担保の徴収等の法規を確立して、不正の根絶を期すべきであり、これらの方法について、政府はさらに検討してほしい」旨の反対意見が述べられました。
採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、特定物資輸入臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長三輪貞治君。
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〔審査報告書は都合により追録に掲載〕
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〔三輪貞治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/13
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014・三輪貞治
○三輪貞治君 ただいま議題となりました特定物資輸入臨時措置法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本法案は、外国為替及び外国貿易管理法に基く輸入貿易管理令の規定によりまして、輸入数量が著しく制限されている物資、たとえばバナナ、。パイナップル・カン詰、時計、スジコ等は、輸入数量がかなり制限されているために、国内における需給の不均衡が大きくなって、異常な利益を生じているのであります。このような異常な利益は、外貨資金の割当によって、いわば反射的に生ずるものでありますから、この全部を関係業者に帰属させることは適当でないと思われます。従いまして、この利益の一部を特別輸入利益として国庫に納付させて有効に活用しようというのであります。
その内容のおもな点を申し上げますと、第一点は、異常な利益を生ずると認められる物資を政令で定め、これらの特定の物資の輸入について外貨資金の割当を受けたものは、その割当申請の際における特別輸入利益を一定の期日までに国庫に納付させるのであります。第二点は、外貨資金の割当を受けたものは、特別輸入利益の納付の保証として担保を提供し、納付期日までに特別輸入利益を納付しないときは、この担保をもって納付に充てるのであります。第三点は、特別輸入利益を納付したときは、担保を返還するのはもちろんでありますが、そのほかでも、外国の輸出制限、輸出禁止とか、戦乱、革命等のような不可抗力の事故のために輸入ができないときは、特別輸入利益の納付義務を免除するとともに、担保も返還することであります。第四点は、政府は、本法の施行前に特定物資の輸入外貨資金の割当を受けたものから寄付金を受けることができる点であります。なお、本法案は三年間の臨時措置にしてあります。
以上が本法案のおもな点でございますが、本法によって国庫に納付される特別輸入利益は、別に政府から提案されております特定物資納付金処理特別会計を通して産業投資特別会計に繰り入れられることになっております。
以上の内容の本法案につきまして、当委員会は慎重に審議を行なったのであります。その質疑におきましては、特に輸入外貨資金の割当方法に対する政府の基本的態度、バナナ輸入に関する入札制度の可否、レモン等観光ホテル用品の外貨割当方法、農産物資の輸入と国内産業の関連及び特定物資の範囲とその基準等がおもな点として論議されましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
質疑を終了しまして討論に入りましたところ、高橋委員から自由民主党を代表して、本法案に賛成の意を表せられるとともに、「本法案によってさしあたり予定されている特定物資は、バナナ、パイナップル・カン詰、時計、スジコの四品目とのことであるが、これ以外にも該当する物資があるから、通商協定等の特別の事情のあるものを除いては、該当品目に指定すべきである」との趣旨を述べられ、次のような付帯決議案を提出されました。すなわち「政府は、本法第一条の政令を定める場合においては、一定の基準を設け、これに該当する物資は通商協定等による特別の事情あるものを除き、必ずこれを指定するよう措置すること。なお、通商協定による特別の事情のあるものについても、一部の者に不当なる利益を与えざるよう適宜の措置を講ずること」というのであります。次いで河野委員から、「外貨割当を受けている物資は、額の多少にかかわらず該当すると思われるから、四品目に限らず、付帯決議にもあるよう追加指定すべきである」との趣旨の意見を述べられ、また海野委員からは、「外貨割当に際しては、流通秩序に無用の混乱を生ぜしめることのないように措置すべきである」との趣旨の意見を述べられて、それぞれ原案並びに付帯決議案に賛意を表せられました。
かくして討論を終り、採決をいたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。
最後に、高橋委員提出の付帯決議案も、全会一致をもって商工委員会の決議とすることに決定した次第であります。
以上をもちまして本法案の審査の経過と結果の報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/14
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015・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第五、建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員会理事石井桂君。
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〔審査報告書は都合により追録に掲載〕
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〔石井桂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/17
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018・石井桂
○石井桂君 ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
建設業法は、建設工事の適正な施行の確保と建設業の健全な発達に資することを目的として、昭和二十四年に制定されたものであります。建設工事の請負契約に関する紛争は、昭和二十五年から三十年までの六年間に合計一千三百八十一件の多数があり、これらの処理につきましては、同法第二十四条の規定により、建設業審議会が解決のあっせんに当ってきたのでありますが、審議会のあっせんの方法のみでは紛争処理におのずから限度があり、未解決またはせん延等の事態を生じてきておりますので、これに対処する措置として、新たに紛争処理機関を設置し、紛争を適正かつ迅速に処理しようというのが本改正案の趣旨であります。
その内容を申し上げますと、改正の第一は、建設工事の請負契約に関する紛争の処理に関して新たに一章を設け規定したことであります。その内容を簡単に説明いたしますと、まず、建設工事紛争審議会を設け、あっせん、調停及び仲裁を行う権限を持つ機関とし、中央審査会を建設省に、都道府県審査会を都道府県に置くことにしたものであります。審査会の委員は十五名以内とし、建設大臣または都道府県知事により任命せられ、その任期は二年であります。また審査会には、紛争処理に参与させるために、別に任期一年の特別委員を置くことができることになっております。あっせんまたは調停は、当事者の双方または一方から、それらの申請が行われたとき、または公共性のある施設または工作物にかかる紛争で、審査会が職権によって必要と認めたときに開始されることになっております。次に、仲裁は当事者双方かち申請が行われたとき、または当事者の合意によって、その一方から仲裁の申請が行われたときに開始されることになっております。仲裁については、民事訴訟法の適用により確定判決と同一の効力を有することになっております。仲裁委員は三名とし、委員または特別委員のうちから当事者の合意によって選定せられるのでありまして、少くとも一人は弁護士となる資格のある者といたしております。また、都道府県審査会の行なった仲裁判断に対し、不服のある者は異議申立を行なって、中央審査会による仲裁を受けることができることといたしております。なお、紛争処理の手続に要する費用は、原則として当事者各自の負担と定めております。
改正の第二点は、都道府県審査会の設置に伴い、従来都道府県の建設業審議会の行なってきた事務の重要部分が審査会に移管されますので、都道府県建設業審議会は、都道府県の条例により設置される任意機関とするとともに、審議会の規定について所要の改正を行なったものでございます。
本法案は、四月二十四日、本委員会に付託せられ、自来慎重審議を重ねたのでありますが、質疑のおもなる点は、紛争処理の手続、手数料及び建設業審議会の運営等に関するものでありました。なかんずく、「紛争を未然に防止するため、まず請負契約約款の完全履行をはかるべきではないか」との質問に対しましては、建設大臣から、「そのようにする方針である」との答弁がございました。
かくて質疑を終り、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時五十二分散会
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一 千九百五十五年五月三十一日に東京で署名された農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
一、日程第二 農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第三 会計法の一部を改正する法律案
一、日程第四 特定物資輸入臨時措置法案
一、日程第五 建設業法の一部を改正する法律案
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X05319560525/20
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