1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十三日(火曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 菅野和太郎君
理事 赤澤 正道君 理事 有田 喜一君
理事 齋藤 憲三君 理事 前田 正男君
理事 岡 良一君 理事 志村 茂治君
小笠 公韶君 小平 久雄君
須磨彌吉郎君 平野 三郎君
保科善四郎君 岡本 隆一君
出席政府委員
科学技術政務次
官 秋田 大助君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
委員外の出席者
科学技術庁次長 篠原 登君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局アイソト
ープ課長) 鈴木 嘉一君
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本日の会議に付した案件
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律案(内閣提出第一四九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03119570423/0
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001・菅野和太郎
○菅野委員長 これより会議を開きます。核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律案を議題といたします。まず政府より提案理由の説明を聴取することといたします。秋田政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03119570423/1
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002・秋田大助
○秋田政府委員 ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律案について、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
原子力の開発が将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興をはかり、人類社会の福祉と国民生活の水準向上にきわめて重要な意義を有するものでありますことは、今さら論を待たないところでありまして、政府におきましてもその重要性にかんがみ、一昨年末原子力基本法が制定されまして以来、着々原子力研究開発態勢の整備に努めている次第であります。
わが国における最近の原子力開発の実施状況を見ますと、日本原子力研究所において第一号原子炉が近く運転に入るとともに、来年夏には第二号原子炉の建設を終る予定であり、国内ウラン鉱等の開発についても、地質調査所、原子燃料公社の全国的な探鉱と、これに基づく民間の探鉱の進歩を見ており、またウラン鉱等の製練については原子燃料公社において本年度中に製練所の建設に着手する計画であり、今後原子炉の建設が進むにつれて、燃料の加工及び使用済み燃料の再処理が研究段階から実施段階に移ることも当然予想されるのであります。
以上のように、国内において原子力開発利用が現実に進歩して参る一方、国際的にも原子力の平和利用に関する協力体制の確立への努力が着々と進められ、昨年十月、国際原子力機関憲章が採択され、わが国もその一員として参加することが決定いたし、原子力の開発利用に伴う安全保障が条約上も義務づけられることとなりましたので、核原料物質の製練、核燃料物質の加工、再処理及び使用並びに原子炉の設置及び運転等に対し必要な規制を加えることによって、原子力の利用を平和の目的に限り、官民の機関が行う研究、開発等を計画的、効率的に推進し、あわせて原子力の開発利用に伴う災害を防止して、公共への安全をはかることが必要であると考え、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。この法律案は、核原料物質の製練、原子炉に使用する燃料要素の加工、原子炉の設置及び運転、原子地炉内で使用された燃料の御処理並びに核燃料物質の使用を次のような方法によって規制しようとするものであります。
第一に、事業等の主体につきましては、原子燃料公社が製練、加工の事業を、日本原子力研究所が原子炉の設置を当然行い得るほか、再処理の事業は原子燃料公社に集中的に行わしめ、その他の者は、製練の事業については指定、加工の事業、原子炉の設置及び核燃料物質の使用については許可を受けなければできないことといたしております。また、特に製練、加工及び原子炉の設置については、原子力委員会の意見を聞いた上、原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認めるときでなければ指定及び許可をしないものとして、原子力の開発利用の計画的な遂行を確保することとしております。
第二に、平和的利用の確保については、特にの必要性のある原子炉の設置及び核燃料物質の使用について、平和の目的以外に利用されるおそれがないものでなければ許可をしてはならないこととしております。
第三に、災害の防止については、個個の指定、許可を行う際に、災害防止上十分な設備がある場合にのみ指定、許可を行うことができるものとし、設備の操作、運転等については保安規定を認可制とし、これを通じて保安を確保するとともに、原子炉、再処理等特に危険な場合については、国が検査を行い、または事業者等に各種の措置を義務づけるほか、直接保安のため必要な命令をすることによって、保安を確保することとしております。
第四に、核燃料物質の流通については、これが国際的にも流通を制限されている物質でありますので、流通の範囲を指定、許可等を受けた者に限定して、その利用の効率化をはかっております。
最後に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉は、先に述べました通り、国際条約上も厳重に規制され、ほとんど通常の商業的な取引の対象となっていない現状であり、従ってわが国が外国または国際原子力機関から何らかのもの、またはサービス等を受け入れるためには、その条件を備えるだけの国内的な態勢を整えておくことが必要であることを考慮いたしまして、各事業者等について記録を保持させ、報告徴収、立入検査等を行うことが、できることにいたしております。
なお、この法律の施行に伴い、科学技術庁設置法、核原料物質開発促進臨時措置法及び原子燃料公社法の一部について、それぞれ所要の改正を行うことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由並びにその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03119570423/2
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003・菅野和太郎
○菅野委員長 以上をもちまして、提案理由の説明を終りました。本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
本日はこの程度にとどめ、直ちに打合会を開きます。
次会は公報をもってお知らせします。これにて散会いたします。
午前十一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03119570423/3
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