1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十一日(土曜日)
午前十時五十九分開議
出席委員
委員長 菅野和太郎君
理事 有田 喜一君 理事 齋藤 憲三君
理事 前田 正男君 理事 岡 良一君
小笠 公韶君 小平 久雄君
椎名悦三郎君 須磨彌吉郎君
保科善四郎君 南 好雄君
山口 好一君 石野 久男君
出席国務大臣
国 務 大 臣 宇田 耕一君
出席政府委員
科学技術政務次
官 秋田 大助君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 有澤 廣己君
原子力委員会委
員 石川 一郎君
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五月十一日
委員大高康君辞任につき、その補欠として椎名
悦三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
核原料物質、核燃料物資及び原子炉の規制に関
する法律案(内閣提出第一四九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/0
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001・菅野和太郎
○菅野委員長 これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。すなわち、特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の第二次協定の締結について承認を求めるの件及び特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定第一条の特例に関する公文の交換について承認を求めるの件の両案が昨日外務委員会に付託されましたので、さきに連合審査会開会を申し入れた国際原子力機関憲章の批准について承認を求めるの件にあわせて、右両案について外務委員会と連合審査会の開会申し入れを行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/1
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002・菅野和太郎
○菅野委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/2
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003・菅野和太郎
○菅野委員長 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律案を議題といたします。
前会に引き続き、質疑を行います。通告に従いまして、質疑を許します。岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/3
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004・岡良一
○岡委員 一昨々日この法案についていろいろ原子力委員長から御意見を伺いました。その結果、若干なお念を押しておきたいことがありますが、幸い原子力委員の石川、有沢御両所ともお見えでございますので、この御両所にも、あわせて御確認を願いたいと思います。
そこでまず第一点として御確認を委員会としてお願いをいたしたいことは、原子力のこの規制法の実施に当りましては、原子力委員会の意思というものがきわめて重要であり、われわれもそれに大きく期待をいたしておるわ、けであります。そこで、製練なり加工なり処理なり原子炉の設置なりその運転計画等については、それぞれ原子力委員会の意思に問わねばならないということに相なっておりますが、今日までの原子力委員会の実績と申しましょうか、経過と申しましょうか、まことに遺憾ながら、この重要な法律案の運用において、十分にその御意思が実施面に反映し得るやいなやに、率直のところ私は多少の疑義を持つのであります。そういうことからいたしまして、原子力委員会の強化は、この法律案の実施と不可分の問題であるという点については、委員長の御同意をも得ました。そこで、具体的に、それでは原子力委員会をいかに強化するかという点であります。それにつきましはいろいろな構想もありますが、とりあえずのところは、原子力委員会に事務局を設ける。それは現在のように、原子力局から出向した二名の調査官に、さらになお若干名の補佐役を付するという程度ではいけないと思う。もっとこれを強化していただくということが一つ。それからさらに、従来の原子力委員会の御決定が、外務当局なり事務当局との間において十分な打ち合せがないために、しばしば政府の取扱いにおいては御意思通りにならないようなうらみもあった。そのことは当然なこととは申しますけれども、しかし、それにしてもやはり委員会の御決定というものは、関係行政官庁との間に事前にある程度の意思の疎通の上に御決定が下されてしかるべきじゃないか。これをいかにするかという点で、参与会が施行令で設けられておりますが、この中に関係行政機関の意思を代表するに足る人を加えていただいて、原子力委員会の御決定は、参与会を通じて、これをたたき台として、さらに実施上に責任を持ち得る、政府を動かし得る御決定に到達をしていただくような御努力を願い、同時に原子力委員会は、新しくまた湯川さんの御後任の方も御決定のようでありますが、全部の方をこの際やはり常勤ということにしていただいて、そうして、できたら委員会の委員といたしまして、十分委員会の運営に責任を持っていただくように、せめても全員を常勤にする、こういうくらいのことは当面絶対にしていただきたいと思うのです。それについては、申し上げるまでもなく、予算措置等も伴いますが、できるだけ所要の改正を行なっていただき、同時にまた予算の措置等についても、これは国務大臣としての宇田委員長も極力一つ御努力を願う、このことを御約束いただけるかどうか、この点、方向としてそういう方向が正しいのではなかろうかという私の考え方について、石川さんと有沢さんの御意見とあわせてまた委員長としては、一応一昨々日には御承認をいただいたのでありますが、重ねて特に必要な予算措置等について格段に責任のある御努力を願えるかどうか、この点をまずお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/4
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005・有澤廣己
○有澤説明員 ただいま岡さんの御質問でありましたが、この点につきましては、一昨日でありますか、私の見解は申し上げましたけれども、きょうの御質問はそれが一そう具体的な御質問になっておると思います。一つの問題点は、参与会に各省の関係官と申しますがこれを入れて、原子力委員会の意見の決定に当りましては、各省間の意見を十分参考として決定をするようにすべきであるということであります。これはこの前、私もそういうふうにした方がいいと考えております。また従来はその点において多少欠陥があったことを認めるということを申し上げしたが、私もその点は全く賛成であります。それから、事務局の方の拡充ということでありますが、拡充と申しますよりも、委員会そのものに事務局をつけたらどうか、またつけるべきである、こういう御質問であったと思います。これにつきましては、事務局を委員会が持ち、他方には科学技術庁に原子力局というものがあるということになりますと、この間の連絡とかそういうことについて相当よく研究しておかないと、屋上屋を重ねるようになっても困ると思うのです。それで、さしあたっては、この前も申し上げましたように、本年度の予算で調査官を二名、補佐官を四名ふやしていただきました。そしてなお原子力局の方々も、従来にも増してもっとわれわれの調査、企画に協力して下さる態勢に入りつつあるのでありますから、しばらくはこの程度で委員会としては最善の努力をしていきたいと思うのです。それでもなお仕事がたくさんふえてくるので、とてもやっていけないというふうなことでありました場合には、ぜひ今、岡委員のおっしゃった線に沿って、委員会の強化をはかるように、私自身も主張いたしたいと考えておるわけでございます。むしろ私はさしあたって最も必要なことは、最初に申し上げました参与会の中に官庁の方々に入っていただくということと、もう一つの点は、これも前回申し上げましたが、常置の専門委員会を設けて、それの研究、審議を経まして、そういうふうな常置の専門委員会の調査研究並びに審議を土台にいたしまして、委員会の方であやまちなき結論の決定をいたすようにまずすべきじゃないかと思うのです。今のところまだ委員会としましては、この規制法に関して申しますならば、いろいろ方針を具体的に立てなければならない問題がたくさん出てくるように拝見いたすのでありますが、それらの問題につきましては、十分の調査研究を土台にしなければならないのではないかと考えております。各分野においてそういう調査研究をする常置の専門委員会を設けて常時活動していただくことがまず先決の問題ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
最後に、湯川委員の後任の方も決定されているようでありますが、この委員を全部常勤の委員にしたならばどうかという御趣旨のようでありますが、できればそういうこともけっこうだと私は思っております。ただ、常勤になりますと、ほかの仕事を兼ねることが非常にむずかしくなります。全然できなくはないかとも思いますけれども、兼ねることが非常にむずかしくなりますので、その制約から、かえって適任者を得られないというふうなおそれもあろうかと思います。しかし、委員会の方の仕事がますます大きくなって参りますと、常勤の三名ではとてもこなしていけないという事態も起るかと思いますが、イギリスの原子力公社といいますか、あそこは、何人でしたか覚えておりませんが、たしか七、八名だったかと思います。そのうちの半分くらいはやはり非常勤の形になっているように記憶しておりますが、もし仕事がふえて、とても常勤王名では処理できないということでありますれば、むしろ常勤もふやすが、委員の方も、今の四名の委員のほかに、もう少し委員の数をふやしていただいて、常勤が四名なら四名、ほかに非常勤が三名くらいいる、こういう態勢の方がよくはないかというふうにも考えております。
以上でお答えいたしたことになるかと思いますが、また御質問があればお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/5
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006・岡良一
○岡委員 私は、専門委員のことはぜひそういうふうに運営を願いたいと思います。常勤の点も、委員長から、全部常動にしたいという御意思の表明もありましたので、かつまた、兼職の点については十分考慮し得るというような御意見もありましたので、そういうことであればその方がいいじゃないかと思いました。
それから、原子力局とは別個な事務局を設けて、仕事の上で競合するようなことになるということは、私も非常に懸念をいたしておるわけでありまして、将来は原子力省、少くとも原子力庁くらい設けて、専任の国務大臣くらいは置いていただきたいと思いますが、さしあたりはそういうわけにも参らないかと存じますので、事務局長は原子力局長が兼務するという程度で事務上の調整をはかっていただく、そういうことで、ある程度競合するようなむだなことは避けながら、運営はできるのじゃないかと思いまして、実は事務局の強化ということを申し上げたわけであります。
問題は、予算でありますが、委員長、これはどうでしょう。この九月ぐらいに、岸さんがお帰りになっておみやげの御披露があるときには、臨時国会も開かれるかもしれませんが、ぜひ一つ委員会としては補正予算を組んで、さっそく発足していただいて、所要の法改正についても手続をとっていただきたいと思いますが、いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/6
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007・宇田耕一
○宇田国務大臣 原子力委員会の強化については、ただいま有澤委員からもお話がありましたように、われわれ委員会では引き続き具体的な案を研究いたしております。当然予算も伴うことでありますから、そういう点につきましてもなお大蔵省と打ち合せをいたし、お説のような方向になるべく早くまとめたいと話し合いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/7
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008・岡良一
○岡委員 ぜひ一つお骨折りを願いたいと思います。さもなければ、われわれ国会として、当然法の改正等によって予算の要求を政府にいたすべきであろうとさえ私も考えておるわけであります。
それから、第二点でありますが、参考人の御意見を聞きましても、あるいはまた新聞等に伝えられておる関係各界の御意思等を総合いたしましても、この法律案がいよいよ実施されるということになると、とりあえず、東海村の原子力研究所には、まあ動力試験炉程度のものは導入することになる。一方、また民間の電力会社等においては、おそらく実用の原子炉が輸入されることになるというような見通しの公算が、これまでの審議の過程から、非常に大きいように私としては感ぜられるのでありますが、この点について、この法案の実施に伴う見通しはいかがでございましょうか。これは委員長か、石川さんか、有澤さんに御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/8
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009・石川一郎
○石川説明員 ただいまの岡さんのお話でございますが、電気事業者が自分たちだけで入れようという心持は、まだないように私は伺っております。すなわち、今、原子力委員会といたしましては、どういうふうな受け入れ態勢をこういう場合にやったらよいかということを研究中でありまして、よく皆さんと御相談いたしてきめたいと思っております。電気事業者はそういうことを今考えておらないようにわれわれは思っております。この点は、御了承願いたいと思います。もちろん試験炉を入れます場合においては、東海村の方に当分の間入れた方がよいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/9
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010・岡良一
○岡委員 原子力発電をやるための準備として、原子力委員会は、東海村にどういう規模のものを入れるか、どういうタイプのものを入れるかは別として、原子力研究所として当然そこに原子力発電の準備のための動力炉を入れるという御方針ははっきりしておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/10
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011・石川一郎
○石川説明員 大体そういう方針で研究を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/11
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012・岡良一
○岡委員 それから、先般も問題になっておりました点で、きわめてまだあいまいになっておりますが、それぞれ専門の方からの政府側の御答弁によりますと、コールダーホール改良型を入れました場合に、大体年間七十キロのプルトニウムが生産されるということに数字が一応推定されるということが報告されました。そこで、原子力局長は、英国側が示しておる一般協定草案によれば、その第三条によって、これらの使用済み燃料の核処理等に関する施設等についても、日本において建設することを援助するというのであるから、これをそのように取り扱っていき得るのであるという御答弁であったわけです。たた、しかしながら、これを処理するということは大へんな問題であろうかと私は思いますが、果してそのように使用済み燃料の処理によって生じてくるそうした原子兵器の原料となるようなものは、これを日本としては外国に譲り渡すべきではないと私は思うのです。この点の御方針は、党としてもこの法案に対する態度の重要な一つのポイントになっておるのでありますが、はっきりとした御決意を承わりたいと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/12
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013・石川一郎
○石川説明員 その問題につきましては、英国で、これはまだほんの予備的のお話し合いの程度でございましたが、あちらのAECの方々ともいろいろお話し申し上げたのであります。日本が、天然ウランを使いましてプルトニウムができますが、もしそれを英国に送るようなことになりますと、英国の原子力兵器の力を増すということにも相なりますので、その問題につきまして、まだきまってはおりませんが、話し合いは、日本にそれを置いておいた方がよろしい、それからもし置くのが困れば、イギリスで預かってもよろしい、それからまにもし一基や二基の分量では、それを再製する設備を作るのに金がかかりまして、非常に高くなるから、これをおやめになったらどうだろう、そういう場合においては、日本にとっておかれるなり、英国に銀行預金をするように預けるなりいろいろの方法があるから、そういうことを考えようじゃないかというような話し合いで別れてきたのでありますが、まだ決定はしておりません。アメリカの方では大統領が宣言なさいまして、結局返ってくるプルトニウムを兵器に使わぬ、こういうことはすでに声明されております。この点につきましても、われわれがアメリカの原子兵器を増すようなことのお手伝いをするという観念はできるだけとりたい、こういうような考えで、もし一般協定を進めるならば、そういうふうな方向に持って参りたいというような考えでおります。まだ決定しておりません。そういうことでは、向うはあるいは売らぬと言うかもしれませんが、まだ決定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/13
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014・岡良一
○岡委員 そこで問題は、この使用済み燃料の処理の結果、コールダーホール改良型を入れれば、プルトニウムが七十キロできる。そこで、これを日本の方で、この障害を防ぎ得るように処理をするか、あるいは国際原子力機関に寄託するかしかないわけです。その点、これを絶対に第三国の処理にゆだねるというようなことはしないという強い御方針があってしかるべしと私は思うのであります。これは相手があって交渉なさるのではありまするが、当方の決意としては、その決意をもって交渉に当ってほしいと私は思うのですが、その御所信を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/14
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015・石川一郎
○石川説明員 ただいま申し上げたようなわけで、そういうことを考えつつわれわれはやっておるということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/15
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016・岡良一
○岡委員 委員長、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/16
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017・宇田耕一
○宇田国務大臣 ただいま石川委員から所信を述べられた通りで、同じように処置いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/17
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018・岡良一
○岡委員 非常にぼやっとしたことなんですが、ぜひそれはそうすべきであるという御決意であると私は了解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/18
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019・宇田耕一
○宇田国務大臣 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/19
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020・岡良一
○岡委員 それでいいのでしょうな、原子力委員会としての御決意は。有澤さんいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/20
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021・有澤廣己
○有澤説明員 使用済みの燃料のあと処理について、化学的な再処理と申しますか、再処理の技術は大へんむずかしいし、そしてその施設にもたくさん金がかかります。これが相当の量の使用済みの燃料が出るようになりましたならば、むろんこれは日本でその再処理をやらなくちゃいかぬと思います。またそのことが、将来アジア地域においても原子力発電が行われるようになりますと、そういう炉の使用済みの燃料の再処理も日本で引き受けてやるというくらいのところにまで持っていかなくちゃならぬと思っております。しかし、最初に入ってくる一基や一基についての再処理はなかなか一これは日本ですぐそれをやるだけの技術をこれから開発していかなければならぬわけです。この技術の開発は非常に大事なことだと思って、私たちもその点の技術の開発に重点を置いた計画を立てつつあるわけです。ですから問題は、その日本における再処理の技術や工場ができるまでの問題でございますが、その間は、日本にそれを貯蔵しておくということもできると思います。しかしまた、それをイギリスなりどこか適当な工場に持っていって、そこで再処理をしてもらう、こういうこともできると思うのです。しかし、その場合にも、今、岡委員の御懸念がありましたように、これが核兵器に使われるようなおそれは絶対避けるべきだと思います。この点はむろん、どの国との一般協定を結ぶ場合にも、よほどはっきりとした要求ができることが望ましい、またわれわれはそのことを要求する、こういうふうに考えております。ですから、われわれの決意のほどは御了承願えると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/21
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022・岡良一
○岡委員実 は七十キロでどの程度の原子兵器ができるのか、私どもも全然わかりません。ただしかし、アメリカが外国に譲るのにも非常に大量な協定を結んで、ようやく十グラムのプルトニウムを譲っておるという実情でありまするし、それにまた先生方御存じの、この間のゲッチンゲン宣言なんか見ても、あるいは一昨々日の総合原子核研究所のソビエト圏の科学者の発表を見ても、今日では、小型の戦術兵器といわれているものも、優に広島、長崎のあの大きな破壊力を発揮し得るのであるというような事態でありまするので、わずかでも非常に慎重に取り扱わねばならぬ。特に原子力の平和利用ということを大きく考えているとすれば、この点はぜひとも——他の国との間にあるいは優先買取権とかいろいろな条件がついて、結局相手側は日本がプルトニウムを軍事利用にしないという希望のもとに条件を付するかと思いますが、わが方からすればかえってまた相手方に原子兵器に利用されるという危険もあるわけで、この辺の兼ね合いで、ぜひとも原子力基本法の精神というものを主権国家としては守り得るという建前でやっていただきたいと思うのです。特にまた増殖炉というふうなことになれば、プルトニウム・リサイクリングということになりますので、わが方でも平和利用の方面で重要な資料になりますから、十分お考えを願いたいと存じます。
それから、これは実はそれと関連してのお尋ねでありますが、これも再確認をいたしておきたいと思うのです。先般法制局長官が来られまして、そのときに政府の統一見解として、自衛のために使い得るものであるならば、核兵器も憲法の上からは法律上の解釈としては差しつかえない、しかし国民感情を考慮した上では、やはりその持ち込みや保有は拒否すべきであるというのが、最近における参議院の内閣委員会における岸総理の御意見であったわけです。この御意見は、解釈によっては、やはり原子力基本法と重大な関連を持つのであり、また今後における日本の原子力政策ともきわめて重要な関関連を持つわけでありますので、この際、委員長並びに各委員の統一見解を私は承わっておきたいと思います。それは、核兵器と呼ばれるものは、憲法上の解釈は別としても、原子力基本法第二条で、わが国における原子力の開発と利用は平和の目的に限るとはっきり限定をされて、明確になっておるわけであります。憲法七十三条によれば、内閣は法律の執行には忠実でなければならないという義務を負うておられるわけであります。そういう建前からすれば、わが国の何らかの組織が核兵器を持つことは、もとよりこの原子力の利用は平和の目的に限るという法律に違反することであり、また主権国家とすれば当然、このようなものをわが国にいる第三国の軍隊が保有するということは、平和の目的に限るという精神から見るならば、これに違反するものであると私は思うのです。思うというより、信じております。この点一つはっきりと、原子力委員会としての統一見解を私は承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/22
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023・宇田耕一
○宇田国務大臣 原子力基本法の第二条にいわゆる平和の目的とありますが、平和の目的という用語の解釈の内容につきましては、先般の法制局長官の説明ではなお不徹底なところがあるように私は考えます。それで、平和の目的というものと平和の利用というのと、法律用語としての言葉の内容というものがいささか違う点があると思います。従いまして、その点につきまして昨日閣議がありましたから、閣議のときに法制局長官にあらためて話は聞いてみましたが、原子力の平和利用に関する法律を審議した場合に、ただいまの問題となっておる第二条と憲法九条との関係について、中曽根委員の発言があってそれ、が議事録に残っておるそうであります。そういう点があるから、あらためてその点については法制局長官に委員会へ出席して説明してもらいたいということを、私は閣議に要求をいたしてございます。従って法理論上の憲法との相関関係が非常にあることですから、できましたら法制局長官から、憲法解釈と其一法の関係に対する議事録、その他から類推した明確な法理論上の意見花聞く機会を得たらと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/23
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024・岡良一
○岡委員 それでは一つこれは委員長から申し出されたのだから、法制局長官にもう一ぺん来ていただきましょう。ただ私は何も憲法を論議しようというのではありません。憲法の論議はもう八年越しやっていることなんです。そして結局戦力なき軍隊という、世界無類の言葉で終ってケリになった問題なんです。そんなことを今私は言おうとは思いません。ただ、原子力基本法第二条には、わが国における原子力の開発とその利用は平和の目的に限るこう甘いてあるわけですね。してみれば、原子力とは、原子力基本法によれば、原子核の変換過程において発生するエネルギーを言うと書いてあるわけです。だから、常識的に考えても、これらのエネルギーが人を殺傷する目的に使われるということになれば、平和の目的でないことは明らかなんです。このような目的にはわわるべきではない。とすれば、憲法第九条の問題は別として、今日憲法第七十三条により、法律の執行に対しては、内閣は忠実でなければならないのであるから、原子力委員会としても当然平和の目的に限るということで、従って、この小規模のものは自衛のために必要である、法律の解釈論から言えば必要と認めても差しつかえがなかろうというふうな、そういう解釈は許されないのである。やはり原子力基本法第二条によって自衛であろうが侵略であろうが、人を作する目的のために原子エネルギーが使われるということは、日本においては否定されなければならない大原則だ。このことを原子力委員会として、統一見解としてこの際はっきり私どもは確かめておかなければならないと思う。そういう事態を政府みずからが呼び起されたので、この際念を押して私は聞いておるわけなんです。有澤先生いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/24
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025・有澤廣己
○有澤説明員 これは私自身の考えでございますから、委員会で検討したものではありません。私は原子力の開発利用は、平和の目的に限る、こういうふうに考えております。従って、核兵器とか、兵器のための原子力の利用開発に委員会としては参与すべきでない、こういうふうに私は考えております。憲法と原子力基本法との関係はどうなるかという法理論は実は私はよくわかりません。ですから、今、岡委員の御質問は、憲法はさておいて、基本法だけでいけば、こういう御質問であったので、その点から申しますと、これはもうはっきりしておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/25
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026・岡良一
○岡委員 それでは、いずれ法制局長官にも、ここまできたら、ぜひ出てきていただいて、十分教えていただきたいと思うのです。ただ、私ども法律家ではありませんから、専門的なことはわかりませんが、憲法は国の大本ですし、万般の法律がこれからできてきておるのだから、基本法は憲法の精神を具体化しておると思うのです。だから、それを今度は逆行してまた憲法解釈から現在の法律を否定するというふうな方向に行くということになれば、私はやはり法治国の法治というもののあり方として、疑義を持つわけです。そういう点は別の問題ですから、いずれ法制局長官を呼んでいた、だいて、この法律案の上る前に、この点もあわせて一つ委員会としては結論を出すようにお取り計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/26
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027・菅野和太郎
○菅野委員長 石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/27
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028・石野久男
○石野委員 私はまずただいまの問題に関連しながら質問をしていこうと思います。原子力基本法の第二条は、平和の目的に限って原子力の研究開発及び利用をすることを規定しているわけです。憲法とこの第二条との関係、がどうありましょうとも、この第三条の基本方針というものは、大体民主的に、自主的に、そしてまた公開という三原則にのっとって、そして原子兵器をめぐる秘密主義を排除して、それからあの当時の考え方からしますると、日米原子力協定による濃縮ウラニウムや原子炉の管理上の必要からくる外国の不当な介入を取りのける。それから技術上産業上の外国への依存から自主的な態勢に移るという、こういう精神がこの三原則であったと思うわけです。そういうふうにわれわれは理解しておるのですが、委員長は先ほど憲法と第二条との関係というようなことで、岡委員の質問に対して答弁をぼやかしておるわけですが、私がただいま申しましたことに対しての所見はどうでごさいましょうか、もう一度一つはっきりさせておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/28
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029・宇田耕一
○宇田国務大臣 兵器の中で、直接殺傷をする効力を有する兵器の場合と、同じ兵器の中で、たとえば自動車とかトラックとか、そういうふうに直接殺傷効果はないが、しかし輸送の面では兵器である、あるいは汽車の機関車の場合、そういうふうな核燃料その他を利用することによって、原子力を利用することによってそれが動かされるものが将来できて、それが兵器として現われてきた場合に、それをも含めて原子力の平和利用の基本法の精神に触れるものであると断定するかどうか、そういう点につきましては、法制局としてはなお検討をしなければならぬと思っておる平和目的という目的の中に、果してそういうものをも含めて全部規定をするという内容であるかどうか、そういう点につきましては、法制局長官としては、必ずしもそこまで拡張解釈をしないという建前でなかろうかと思う、こういう見解であったと思っております。直接殺傷する、兵器にこれが用いられる場合、直接殺傷面外の方面の兵器にこれが用いられる場合、そういうふうな二つの場合があって、後者の場合におきましては、平和目的という平和目的の概念の解釈の中でそれは扱って差しつかえがないのだ、こういうふうに先日解釈をしておったと思っております。従って、そういう点につきましては、私は専門でありま出せんから、その平和目的という言葉の持つ概念の法律上の範囲はよくわからぬ点があります。から、その点は法制局長官に見解を明確にしていただく方がよろしいのではないか、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/29
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030・石野久男
○石野委員 その平和目的の概念規定についていろいろと法制局の長官の意見を聞くのはあとにしまして、原子力委員会の委員長としてのあなたが、基本法の第二条をどのように理解しているかということです。これをもう一度私は聞きたいのです。
もう一つは、たとえばウォーター・ボイラー型の改良型のものを一基入れまして、それで年間に七十キログラムのプルトニウムができてくる、それは原子兵器に対してどれくらいの影響があるかわからないけれども、外国にそれを渡すとかなんとかするようなことになり、かりにそれが原子兵器の面に使われていくというようなことになると、ちょうど原子兵器の下請作業を日本がやることになるわけです。そういう問題に入っていきますと、これは非常に基本法の第二条の精神とは背反する形が出てくる、こういうようにわれわれ考えます。そのときに、われわれは、外国はどういうように使うか、そういうものはわからぬ、こう言ってしまえばそれでおしまいになりますけれども、しかし、この基本法は少くとも日本の国内法ではありますけれども、世界に対してもこれを要求する内容を持っておるものだ、こういうようにわれわれは考えております。そういうふうに考えますと、そういうような点を含めて、この第二条の規定と今回われわれがここで法律案を法律にしようとしておる、現にここで上程されております核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律案というものは、そういうものに対する何かの規制というものを必要とするんじゃなかろうか。で、そういうことに対して政府は、どういうふうに考えておるかという点。この二点をまず大臣からお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/30
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031・宇田耕一
○宇田国務大臣 基本法の二条に言っております研究とか開発とかあるいは利用とかいうような三つのものを例示して、そしてそれは平和目的に合うようにということになっております、が、平和目的という意味は、おそらく軍事に利用されない場合を考慮してこれを掲げてあることは明らかでありますが、ただ平和目的の中で、先ほども申しましたような機関車とか自動車とかのエンジンの動力が原子力によって将来非常に使用分野が広くなった場合等は、当然、自然に利用することが起り得るというふうに考えられるので、この平和目的というもの、はそういうところまで規制はしておらないだろう、そういうふうに申しております。それで、その点につきましては、私はなお法制局の意見を伺っていただければけっこうと思っておりますが、プルトニウムその他の点につきましては、これが軍事目的に利用される方面にこれを提供するとか、そういうことはもちろんあり得ないことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/31
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032・石野久男
○石野委員 あり得ないじゃなくて、そういうふうにさせないために、せっかくこの法律を作る場合には、その危険が出るわけですから、この法律を政府が国会へ提出している以上は、そういう問題に対してどういう規制をしようとしておるか。この法案の中にはその点、が書かれてないので、(「書いてある」と呼ぶ者あり)書かれてありますけれども、明確になっていない。書かれておるなら、その点に対して政府の見解をここに出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/32
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033・佐々木義武
○佐々木政府委員 ごの法案では、平和利用の目的の点で一番疑義の持たれるのは、原子炉そのものの問題と、それから原子炉ではないが、核燃料物質を研究用に供するという二つの点が非常に問題だと思いまして、この二つの許可条項に対しましては、必ずその内容が平和の目的に限るものしいうふうに基本法ではそれぞれうたい、並びに本法の第一条でその目的を明記しておりますけれども、なお念を押しまして、その二つの場合には、平和目的に限って許可するというふうに明確に規定をしております。
それから、国際上の問題に対しましては、前々からその問題が論議の中心になっておりましたので、今後協定を結ぶ際には、特にその点を注意いたしまして、そうして先ほど石川委員からお話がありましたように、国連のような規定が一番望ましいのじゃなかろうかというふうに現在のところは考えてございます。で、相互協定の際に、国連との協定内容がその他の国に対してどれほど貫徹できるかという点は、今後の外交折衝の際の問題でございますので、ただいまのところは断言はできませんけれども、なるべく国連の線に近いような線で問題を処理していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/33
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034・石野久男
○石野委員 ただいまの国際間におけるその問題に対する対処の仕方は、いわゆる外交上の問題であるから、それに対する考え方はこうだということの大体の態度はわかります。わかりますが、しかし、この法律を作るに当って、その問題に触れておくべきで旧はないか。そうして外交上の問題はたとえば日本の主張と相手国であるいずれかの国との間に意見の相違がありましょうとも、そのいかんにかかわらず、われわれがせっかくここに基本法の第二条の平和目的というものにのっとって、そうしてこの法律を作るに当っては、明確にそれを法律の上に規定することはできるはずだ、こういうふうに思うのです。そういう意味で私は政府に、それをこの法律の中にはっきり出すべきじゃないかということを尋ねておるのですが、その意思があるかないか、それをはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/34
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035・佐々木義武
○佐々木政府委員 国内法の精神が、ただいま申しましたような精神になっておりますので、国際協定を結ぶ際にも、その精神を極力国際協定の条文その他にうたえるような努力は、当然すべきじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/35
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036・石野久男
○石野委員 非常に先ほどから言葉をうまく逃げられて困るのですが、われわれが考えておることは、基本法にはそれはうたってある。うたってあるけれども、それは外交上の折衝の過程の中でそういう危険が出てくる。たとえば先ほど私が申しましたのは、炉を一基借り受ける、その燃料を使って、使い残りのかすになるべきものの中からプルトニウムの七十キログラムというものが出てくる。改良型一基から出るわけです。それを向うに売るなり返すなりするということは、結局その使用によっ査て本法の目的に相反するような方向が出てこないとも限らない。だから、それを防ぐごとが大事なのじゃないかということを私は言っておるわけです。特に本法にしても、それから原子力基本法もそういうことを厳に戒めて、しかもその精神にのっとって立法されておるわけですから、そういうような危険が出ることは予想される、その危険は立法の立場からこれは当然防いでおくべきだ、こういうふうに考査えておるわけであります。そういう事前からわからないことであればいいが、予想される危険であるだけに、政府はそれに対して善意ある努力をすべきじゃないか。ただ外交折衝なり、そういう方向で行きますというのでは、危険が出てくるのです。それをわれわれは心配するから、そのためにやはり政府の明確な態度、これを大臣から所信を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/36
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037・宇田耕一
○宇田国務大臣 その点につきましては、具体的にイギリスなどと話し合いをした石川委員がおりますから、まず一ぺん石川委員からお話を聞いていただいた方がいいのじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/37
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038・石川一郎
○石川説明員 英国との話し合いは、先ほど岡さんの御質問に対して申し上げた通りであります。なお、アメリカの方は、大統領宣言で使わぬということをはっきりと宣言をされておりますから、それはそういうことを契約に織り込むこともできるんじゃないかと思います。
もう一つ御参考に申し上げておきますが、プルトニウムは全部兵器になるわけじゃありませんので、実はイギリスではドーンレイにプルトニウムだけで発電をする装置を作っておるということもございますし、なおまた天然ウランを使いまして、プルトニウムができないように全部燃してしまう。こういうふうな傾向に進んでおりますので、非常にこの問題が国際的に各国でめんどうに感じておりますものですから、将来はそういうふうな方向に、要するにバーン・アップ、燃料を完全に燃やしてしまう、プルトニウムを燃やしてしまう、こういうふうな方向に行きますから、大体そう御心配になるようなことは少いのじゃないかというふうにも考えております。なお、コールダーホールの現在の炉は、プルトニウムがかなりできますが、あれは温度を高くいたしまして今までは、干メガワットデー・パー・トンという、一トンの天然ウランで、それたけの電気が出ることになっておりますが、これを三千メガまで上げてしまう。そういたしますと、大体燃えてしまう。こういうような方向に進んでおるということも、御参考までに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/38
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039・石野久男
○石野委員 ただいまの点は、一つの参考にはなりますが、私の答弁にはならない。もしそうだとするならば、かりにアメリカは、そういうプルトニウムはとにかく兵器なんかに使わないのだということを言っているから安心したまえ、それからイギリスの方ではこれは電気に使ったり、あるいは完全燃焼させることによって、全部エネルギー化してしまうということだから、心配せぬでもいいじゃないか、そういうような御意見であるならば、なおさらのこと、やはり日本に発生するところのプルトニウムは、外国に売らないということをはっきりしておいて、日本がそれを使うというふうに方針打ち出しておいていいのじゃないか。それではなぜそれがやれないのかはっきりそういう態度を日本が出せないのかということが一つあります。もちろん現在の日本の技術的な何が低いから、それができないからだというのであるならば、そんなことはないだろうと私は思います。そこでわれわれは、石川さんが今おっしゃられるような点で、平和目的だから、それでいいのだというようなことだけで安心するなら、何もこういう責問をしないわけです。しかし、現在私たち、が一番心配しているのは、何といっても、兵器の中心になるのは、プルトニウムというものが軸になるわけですから、そういうものに使われることは、やはり世界に危険をばらまくことです。そういう点からみて、私はやはり大臣の考え方をはっきりしておいていただきたい。
それから先ほど来、基本法に平和目的と規定しているのだから、そんなことは心配せぬでもいいという声も聞くのですけれども、そういうことがまた必要がないのなら、何もこんな規制法案なんか出さなくてもいいわけです。だから、そういうふうな意味で、僕は政府のこれに対する態度をはっきりと出しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/39
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040・宇田耕一
○宇田国務大臣 平和利用の目的の中において、プルトニウムをどう処理するかということは重要な問題であります。従って、国連憲章の中にうたわれておりますように、当初数量の少い場合におきましては、国連機関の中に預託をするということによって、平和利用の目的よりはずれた方向にこれが乱用されるということを防ぐ。こういうふうになっておりますから、当然われわれといたしましては、新たに諸外国と協定を結ぶ場合には、そういう方向で、これが平和目的の利用以外に乱用されることを規制する条約の取りきめをいたさなくてはならないと考えております。国内法におきましては、基本法によりまして、平和目的のために利用するということに明確に基本法がなっておりますから、それに基く法律でありますから、それを新たに掲げて、そうして、ただいまの規制法の中に、特にそれを明示する必要はない、こういうふうに考えております。国内法に対しましては、そういう態度でございます。また、国際的な協定の取りきめ、新たなる条約の取りきめの場合には、国連憲章にうたってあるような平和目的のためにそれを利用する場合以外の余剰物は、国連の特別機関に預託されるという条項もありますから、そういう意味で、これが乱用を防ぐという方向に国際的な話し合いはいたすべきである。こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/40
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041・石野久男
○石野委員 確認しておきますが、国内法においては、基本法でうたわれておるからそれでいい。それはそれでも私は理解できます。しかし、国際的に本法の目的以外にそれる危険をわれわれは感じておるわけですから、そこで今、国連憲章の国際的な約束の中に、これは預託するというような形、平和目的以外のものはそういうふうにするという考え方が明確に打ち出されるような方途を、本法を立案あるいは決定するに当って、明確にしておくべき必要があるだろうというふうに考えておるわけです。政府は、国内法はそれの必要がないけれども、国際的にはそういう措置をしたいというふうに考えておるので、これはあとでなおもう少しその点を明確にして、本法を立案決定されるまでの間に措置するという考え方がないかどうか、もう一度お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/41
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042・宇田耕一
○宇田国務大臣 二国間の動力協定の場合におきましては、われわれは当然これを主張すべきものと考えております。また、ただいまわれわれが検討中の国連の憲章の中におきましては、そういう私たちの主張は通し得る内容があると考えております。従って、英国あるいは米国ないしカナダ等と協定を結ぶ場合におきましても、そういうことによって平和利用の面をはずさないような規定を主張するということは、当然である考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/42
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043・石野久男
○石野委員 二国間の協定を結ぶ場合には、それを主張することが当然であるということではなしに、その主張が通らない場合には、二国間の協定を結ばないということをここで政府ははっきり明言できないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/43
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044・宇田耕一
○宇田国務大臣 おそらく、この協定の内容がどういうふうになってくるのか私はわかりませんが、そういう精神をくむ内容になると考えております。従って、今それからはずれるような内容になるおそれがあるから、ここでどういうふうにするかというところまでまた考えておりませんが、日本の基本精神をはずれるような協定を結ぶというところには、行くべきではないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/44
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045・石野久男
○石野委員 これは将来のことになりますので、いろいろ論議してもなんですが、ただいまの大臣の答弁を私はもう一度確認しますが、政府としては二国間の協定をわが国が結ぶに当って、先ほど来の精神にのっとらない場合には、こういう協定は結ばないという考え方である、こういうふうに理解しでおいてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/45
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046・宇田耕一
○宇田国務大臣 原子力の平和利用以外に、軍事利用のおそれがある場合には、日本の根本の基本法に照して、二国間の協定は結ぶことはできないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/46
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047・石野久男
○石野委員 では次に質問を進めますが、本法案の提案理由の中で、「今後原子炉の建設が進むにつれて、燃料の加工及び使用済み燃料の再処理が研究段階から実施段階に移ることも当然予想されるのであります。こういうふうに言っているのですが、政府は現在における原子力に関する日本の実情は、研究段階から実施段階に移る過程の大体どういう位置にあるというふうに理解しておるか、その点をここではっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/47
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048・佐々木義武
○佐々木政府委員 再処理の問題は、御承知のように、この法案の四十四条に明確にうたっておりまして、原子燃料公社が一手でこれを処理する、それ以外のものには一切やらせないという建前でございます。ただ、研究の途上におきましては、原子力研究所が行うということで、経過的な、過渡的な措置といたしましては、研究の段階では、原子力研究所がやってもよろしいという原則でございます。従いまして、一体いつ事業としての再処理というものが成り立つやどうかという問題は、まだもちろん予測の限りではございませんが、原子力研究所の方では、今年度からこの問題を研究したいというので、本法四十四条にありますような研究は、本年度から着手するということになっておりますが、それが事業として、公社でみずからその事業を行うという段階が、四年後かあるいは五年後か、あるいは六年後かといったようなことは、もう少し研究を進めていきませんと、何とも言えぬのではなかろうかという感じがいたします。ただ、最近の各国の傾向を見ますと、先ほど石川先生もおっしゃったように、むしろ再処理等を要しないほど完全に燃料を、プルトニウムそのものも炉の中で燃焼してしまうというのが最近の傾向でございまして、おそらく今後日本でこの問題を取り上げる際にも、望むべくんばそういう方向に向けることが一番望ましいのでございますから、こういう方向に向うのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/48
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049・前田正男
○前田(正)委員 関連して一つ。先ほどの大臣の御答弁の中で、私は非常に工合が悪いところがあると思うので、大臣にちょっと質問したいと思います。この間、法制局長官も御答弁になりましたように、軍事的利用というものは、全部これではやれない、そういうものの協定を結ばないのだと言っておられましたけれども、軍事利用の中にも、この原子力基本法の平和の目的というものも入るかもわからないのです。たとえば、先ほど大臣自身で御答弁しておられた中に、将来船だとか飛行機だとか機関車だとか、そういうものができてきまして、しかも、その飛行機に例をとりますと、大体大型の旅客機がこれになるわけですけれども、いわゆる自衛隊の輸送機には将来そういうものは使ってはいかぬ、そういうようなことになってきましたら、自衛というものは成り立たない、従って、やはり条約を結ぶときにも、基本法に書いてある平和の目的に限るという範囲でやることはけっこうだと思いますけれども、軍事的利用だから協定を結ばない、そういうようなことをしておったら、今後アメリカと一般協定を結んでいって、それを原子船に使ったり、あるいは原子の飛行機に使ったりするときに困るという問題になってくると思うので、今の大臣の御答弁は、この前、法制局長官が述べられた通り、軍事的利用のものは結ばないという答弁を改められて、基本法の精神に書いてある平和な目的に限って結ぶ、こういうふうに改めらるべきではないかと私は思うのですが、大臣の御答弁を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/49
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050・宇田耕一
○宇田国務大臣 軍事目的ということと平和目的ということは全然違うと私は思っております。従って、平和目的のために自由に処分することができると、こういう文章であった場合に、その平和目的というものは、軍事目的をあわせて含んでおるとは解釈しない、これが正しいと思っております。平和目的とは明確に違う概念であって、平和目的の中に軍事目的という概念が含まれていない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/50
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051・前田正男
○前田(正)委員 それは、だから平和の目的に限って、これから協定とかそういったものを結ぶ、要するに基本法の精神でおやりになる、こういうふうにしておけばいいと私は思うのですが、基本法の精神ではいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/51
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052・宇田耕一
○宇田国務大臣 基本法の精神は当然そうであります。基本法の精神の平和目的という観念の中に、兵器の利用等がどうなっておるか私は知りませんけれども、平和目的ということは軍事目的ではない、こういう解釈です。しかし基本法の第二条の表現は、利用、研究、調査は平和目的である、こう掲げてありますから、その法理的な表現は、それで差しつかえない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/52
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053・岡良一
○岡委員 ちょっと関連してお尋ねいたしますが、さっき大臣が石野さんのお尋ねに対して、やはり他の国々との協定などにおいても、原子力基本法の精神にのっとって締結をするんだ、こう言われました。そこで、プルトニウムの問題になるわけですが、プルトニウムはそういう意味で国際原子力機関に寄託することが最善の道だ、それはその通りなのです。ところが、国際原子力機関の総会は、この八月にウィーンで開かれて、従って、わが方も今国会で批准をすれば、当然この憲章を認めなければならないことになる。そこで、国際原子力機関の憲章が発効する。ところが、その後日本はいよいよ一般協定というものについて交渉に入り、当然一般協定が結ばれたとしても、その時期は国際原子力機関憲章発効後になるわけですね。そうすると、米国のわが方に提案しておる草案を見ましても、その第十二条では、「日本国政府およびアメリカ合衆国政府は、原子力の平和的利用を助成のため、国際原子力機関の設立に対する共通の関心を確認する。このような国際機関が創設される場合には、一、両当事者はこの協力のための協定の規定をその規定中に修正することを希望する点があるとすれば、いかなる点において修正することを希望するかを決定するため相互に協議する。」こうなっておる。それから第八条のD項では、「アメリカ合衆国から受領した原料物質または特種核物質が再処理を必要とするときは、その再処理は合衆国委員会の裁量により、合衆国委員会の施設または合衆国委員会が認める施設において、後に合意される条件に従って行われるべきことが合意される。」向うの出方はこうなっておるのですよ。だから、アメリカから輸入をした原子炉において運転をして、その結果生ずるところの使用済み燃料については、このような激しい制限規定をとにかく現在持ち出してきておる。英国の持ち出しておるのは、英国は第一条のD項において、「使用済燃料についての公社または公社によって認可された者による処理」あるいはE項においては、「使用済燃料の処理のための日本国内における諸施設の設計、建設、操作に関する公社または公社によって認可された者による援助の供与」、こうなっておる。この間有澤委員も御指摘の通り、使用済み燃料の処理というものは大へんに大きな金のかかるものであるから、日本とすれば、一番安易な道は国際原子力機関に寄託することでしょう。ところが、国際原子力機関に寄託ができるかどうかは、双方のわが方に提示しておる一般協定草案によれば、アメリカ政府あるいは英国政府と日本政府が相談をして合意に到達しなければ、国際原子力機関に使用済み燃料を寄託するかどうかはわからないわけです。向うがいやだといえばできません、この草案の通りにいけば。そこで今、原子力一般協定の交渉に入ろうという方針を決定しておられる原子力委員会としては、あくまでも国際原子力機関に寄託する、この一点で今後における一般協定を結ぶ、こういう御方針であるのかどうか。単に漠然と原子力基本法第二条の精神を尊重するというのじゃなく、具体的に尊重するならば、この方向に具体的にいくならば、一般協定等は結ばないのだ、こうおっしゃるのかどうか。その辺はっきりとこれは原子力委員長、石川委員、有澤委員、御三名から、私は意見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/53
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054・宇田耕一
○宇田国務大臣 その点については、原子力平和機構の運営にわれわれがどういうように参加し得るかということがまだ見通しもつきませんから、そういう意味で、自分たちとしては、国連の原子力の平和機構に関するいろいろの取りきめの中に、軍事的目的を助長する方法でないことというふうな言葉も使ってあります。軍事的目的を助長せざる方法によるということもあります。それで、平和利用という言葉を使ってありますし、また非軍事的のためにのみ使用されるという言葉も見受けられます。従って、そういう意味でわれわれはこの日本の基本法にはずれないような方法で、条約を検討していくべきだと考えております。また、この国連憲章に盛られております文章の中でも、なおこれが実施の時期もまだしばらくありますから、われわれといたしましては、米英と協定を結ぶ場合には、もちろんこの国連憲章を中心として話し合いを進めたい、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/54
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055・岡良一
○岡委員 私はそういう国際原子力機関に対する態度を聞いているのではないのです。一般協定を結ぶ場合、とりあえず国際原子力機関というものの憲章は、この八月ウイーンの総会で発効するわけです。ところが一般協定は何と申しましてもその後に至るでしょう。
〔委員長退席、前田(正)委員長代理着席〕
そこで、わが方の方針として、使用済み燃料が軍事的目的に利用される危険が非常に多いものが出てくるのであるから、使用済み燃料はわが方が保管をするか、わが方が加工をして、あるいは国産増殖炉等のために利用するか、あるいは国際原子力機関に寄託するよりないでしょう。ところが、前二者の方法は経費もかかることであるから、国際原子力機関に寄託をするというのが、一番便法としていいのじゃないか。そこで平和目的というものを守って交渉に当ったんだと石野委員にも再三はっきり言明をされるから、しかもそれが国際原子力機関憲章あるいは一般協定に触れておっしゃるのだから、それでは具体的に、一般協定に対する原子力委員会としての態度は、その使用済み燃料については、先ほど読み上げましたように、米側の草案でも英国側の草案でも、とにかくわが方が処理をしないならば、向う側に優先買い取り権を与えておるわけです。こういうものは排除して、国際原子力機関に寄託するか、あるいはわが方で処理するか、この二つの方法でいくという具体的御決意があって、石野委員にあのようにお答えなのか。ただばく然と平和々々と言われても、これでは私たちも審議に責任が持てないので、話がそこまでいったのなら、一体この両案に対する態度はどうだということを私はお聞きしておる。国際原子力機関について言うておるのではないのです。一般協定に対して、この向う側の条章に対して、どういうふうにお取り扱いになるですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/55
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056・宇田耕一
○宇田国務大臣 一般協定の中の米英等との交渉につきましてはなお十二分に先方の意見も聞いてみたいと思っておりますが、基本の方針は、やはりそういうところに置かなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/56
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057・岡良一
○岡委員 これはまた外務委員会等にかかることですからこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/57
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058・石野久男
○石野委員 いずれにしても、両国間の関係は、軍事的な目的になるようなものには協定を結ばないというふうに理解をして、そして今度出されております法案が、先ほど局長のお話ですと、まだ実施の段階までは行っていないかということですね。実施の段階には行っていない、現在は研究の段階である、こういうふうに理解してよろしいわけですね。——そういうふうに理解して、本法はそういう段階で規定されるといたしましたときに、本法の成立と同時に、炉の取扱い、特に当分輸入されるべき炉というものに対する考え方でございますが、この考え方は、本法の規定の方向と非常に関係がありますし、またわれわれは、そういう段階からすれば、当分の間は輸入されるべき炉というものは、大体試験炉として利用されるべきでないか、こういうふうに理解いたします。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/58
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059・宇田耕一
○宇田国務大臣 われわれの考えは、試験炉として輸入する以外に、具体的に申せば、発電用の動力炉をどうするかというところまでは、当分話が進んでいかないものと思っております。最近のわれわれの調査では、燃料の使用、特に先ほど石川委員から言われたように、プルトニウムのリサイクリングが非常に発達してきているので、プルトニウムそのものの完全燃焼の方、の技術的な解決が期待される、こういうことが非常に顕著になって参りましたから、そういう点等もあわせ研究して、われわれは速急にどういう炉を入れるかということについては、なお研究の余地があると考えております。従って、日本原子力研究所を中心とする研究対象というものは、従来の計画のごとく非常に大型のものを直ちにここに求めてきてこれを対象として実験研究に入る、こういうふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/59
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060・石野久男
○石野委員 そういうふうに理解いたしますれば、これは非常にわかりやすいのですが、しかしそれにもかかわらず、日本の技術程度やあるいは受け入れ態勢の問題はどうありましょうとも、先般来参考人などの意見を聞いておりますと、日本にはエネルギーの不足の面が急速に出てきておる。そういう形から、それを補充するためにも、急速に炉を発電の方向に持っていく態勢を整えなければならぬという御意見も多いようでございます。そういうような態勢が国内の産業界などに多いといたしますならば、これらの問題をどのようにまた調整をとっていくかということは、きわめて大事な問題だと存じます。そこで、本法の成立後におきまして、そういう問題について何か別に規制していくというようなことを、今、政府はどのように考えておられますか。それをはっきり示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/60
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061・宇田耕一
○宇田国務大臣 発電用のリアクターの話だと思いますが、発電用のリアクターの場合には、昨年と今年とは技術的にもかなり変ったものがあるということは、明確になって参っております。そして、向うに意見を聞いてみると、注文を出しても、早くても四十何カ月を必要とすると申しておるようなわけでありまして、必ずしも今から何カ月後にこれが仕上っていく、この炉の運転を始め得るかということについても、なお不明確な点がかなりあります。従って、大型の動力炉のどういう形のものを今ここに求めることができるかということにつきましては、原子力委員会としても、決定的にこうであるという断定はない段階でございます。従って、そういう点については、今ここで直ちにその炉を中心としての具体的な話を申し上げるところには至っておりません。ただ、御心配になっておるような、われわれが実験する対象はどういうものであるかと申しますと、とりあえず今、発注してあるCP5までのもの、そして国産炉を何とかして仕上げていくということは決定をいたしております。その次のものを、どういう規模のもので、研究を確保して進めていくかということにつきましては、なお検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/61
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062・石野久男
○石野委員 大体輸入炉の問題については実験の段階であるし、今、委員長から話があったような状態であるとしますならば、われわれとしては、この際この法案ができました後に、そうふうな政府の意図にもかかわらず、もし非常に大きなものを民間の力で国内に入れようというようなことが出る場合、それに対して原子力委員会などはどういう態度で臨もうとしておりますか、その点もこの際聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/62
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063・宇田耕一
○宇田国務大臣 原子炉を民間で入れるという場合に、どういうような規模のものを許すのか、あるいはどういうふうな取扱いをするかということにつきましては、実は炉そのものに対する研究が不十分な点もありまして、われわれは今直ちに、これを入れることができるかできぬかという見通しにつきましては、委員会としてははっきりした方針を立てるまでには至っておりません。従って、ただいまのところ、民間の希望はあるでありましょうけれども、どの炉を入れるべきであるか、あるいはどの炉が好ましいものであるかということ等につきましては、委員会としては決定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/63
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064・石野久男
○石野委員 委員会としてはまだそういう問題に触れての決定はしてないということはわかりました。そこで、先ほどのお話によりますと、現在の日本における原子力産業に対す原子力行政の基本的な立場というものは、まだ実施段階というよりも、むしろ研究段階であるというような解釈をしておられるようですから、そういう研究の問題について、原子力委員会においては何か特別な配慮をこの際しておられるか、また今日その研究の問題についても法的な措置などの必要を感じておられるのかどうか、そういう問題は立法上の要求などもあるのかどうか、そういう点についての御意見を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/64
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065・佐々木義武
○佐々木政府委員 この法案におきましては、研究炉でありましょうと、材料実験炉でありましょうと、あるいは実用炉でありましょうと、そのいかんを問わず、原子炉そのものでありますれば、たとい小さいものであってもこの規制を受けることになるのでありまして、そのために第四章で、この原子炉の規制に関する許可の仕方、あるいは保安に対する取締りの仕方等を十分に規定いたしまして、そして利用と申しますか、研究を促進する反面、それから生ずる障害等のないようにという点を考慮いたしまして作ってございます。従いまして、研究炉の段階におきましても、ただいまは何らこれを拒否する法的根拠がないのでございまして、御承知のように、この法案が成立する以前におきましては、一応行政的な処分として考えるだけであります。言いかえますと、燃料といったものは全部国際法で規制されますので、燃料面からは、あるいは為替管理法等からは規制はありますけれども、国内法としては取締法規は何もないということになっておりますので、非常に行政面としてはまずいのでございますが、この法案ができますれば、その点は非常に明確になるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/65
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066・石野久男
○石野委員 この法案ができればそういう点は明確になってくるという場合に、それにもかかわらず、ここではやはり許可ないし指定というような形で、研究の軸というものが原子力研究所とか、あるいはまた研究ではない、実施の段階での燃料公社などを軸とする立場から、民間との関係が指定、許可というものに分散する形が出てくると思うのです。
そこで私はこの際お聞きしておきたいのですが、日本の原子力産業の現在における位置は、大体研究の段階である。その研究の方向というものを大体どういうような構想で原子力委員会が持っておられる、かという点です。私は端的に申しますれば、国がこれを中心として積極的に考えていくか、それともパラレルに民間にも同時研究をさせるという形で、どこでも許可、指定というようなものをどんどんやらす、それは研究の問題でも実施の問題でもそうですが、そういうふうな考え方でいかれるのかどうか、この点われわれにとって、この法案を考える上において非常に大事だと思いますので、政府の考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/66
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067・宇田耕一
○宇田国務大臣 実験研究等につきましては、官民を問わず研究をすべきものだと考えております。特に金属材料あるいはグラファイト、重水等いろいろあります。原子炉をめぐるところの技術的な、また科学的な分野というものは非常に広いので、全産業にこれが及んでいるもの、こういうふうに自分たちは考えております。従って、それの炉の組み立てを終る、あるいは炉の組み立てを終ってリアクターを動かす、そういう段階に参りますと、日本原子力研究所というものが、一つの政府の研究費用を負担することによって、研究の一段階の中における区画を持って研究措置をとれる、こう思っております。そういう意味の、リアクターを稼働せしむる、あるいはそれから起るところの放射能の研究等につきましては、これは国の研究で、当分いくべきである、こういうように考えております。しかし、それが民間の、たとえばメタルの研究、あるいはベアリングの研究、ビスの研究、いろいろあるでしょうが、そういうことのために民間が独自の研究をいたしたいという場合にも、これを民間ペースで研究せしむる諸機関を持たすことは差しつかえない。ただし、それに対しては、法律に規制してあります範囲内で許すということで、民間の研究を助長するということは差しつかえない、そうすべきである、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/67
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068・石野久男
○石野委員 委員長からの御注意もありまして、大臣は参議院の方に行かなくちゃいけないそうですから、あと午後にまた引き続いて質問させていただくことにいたしまして、一つだけこの機会にお聞きしておきたいのですが、本法によりますと、結局製練加工、炉の設置、あるいは再処理、あるいは燃料物質の使用の問題等については、それぞれやはり指定、許可の規定があるわけです。この指定、許可の規定というものは、日本における原子産業の発展のための方向からも一つ、もう一つは、先ほど来問題になっております平和目的の利用の観点からも、この二つの点からわれわれにとっては非常に関心を持たなければならぬ問題だ、こういうように考えているわけです。そこで私はこの機会に大臣にもう一度お聞きしておきますが、これらの指定とか許可という問題は、今日まだ研究段階の時期においては、当分の間は民間産業とか、あるいは民間の資金等にゆだぬべきでない時期でなかろうか、これはむしろやはり主として原子力研究所あるいは燃料公社等に集中的に集約いたしまして、そこで効率を発揮さすような方向でいくべきじゃなかろうかと考えておりますけれども、その点についての委員長の御意見、それからまた石川委員あるいは有澤委員等の御意見をこの際聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/68
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069・宇田耕一
○宇田国務大臣 考え方はあなたのお考えと全然同じと思っております。その通りと思っております。石川説明員
私らもそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/69
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070・前田正男
○前田(正)委員長代理 それでは、午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時より再開し、本案の審議を進めます。
これにて休憩いたします。
午後零時三十分休憩
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午後二時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/70
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071・有田喜一
○有田委員長代理 休憩前引き続き、会議を開きます。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/71
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072・石野久男
○石野委員 この法律案の最も大きな問題点である災害の防止という点についてでありますが、原子力の開発、利用、研究に伴う災害の防止については、まだわが国においても確実な自信がないという時情にあります。そういうときに、法案の中で特に燃料物質等に対する製練なり加工炉の設置、あるいは物質の使用というような問題について、原子燃料公社または原子力研究所その他のものに指定または許可を与えるということは、災害の防止の点で非常に危険を残すのでないか、またそういう点に対する対策に十分な確信がまだ持てないときに、こういう規定をするのはちょっと行き過ぎでないかというような感じがわれわれするのですが、政府はそういう点についてどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/72
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073・佐々木義武
○佐々木政府委員 本法の主たる精神は、平和利用の目的等にございますが、この災害をどうして防止するかという点が非常な重点の一つになっておりまして、ただいまお話にありました災害防止に関しましては、二重、三重の措置を講じてございます。申し上げますと、原子炉の設置、運転に関しては、設置の許可、あるいは設計、工事方法の認可、さらに施設そのものの検査、それからほとんど前例がないのですが、性能検査と申しますのは、本運転になる前に試運転の段階でこれを行うというふうに、あらゆる段階で行います。まず許可の段階でしぼる。それから設計、工事方法の認可でしぼる。それから施設そのものをへできたときに検査をする。それから中間試験と申しますか、試験行程においてしぼっていく。そうして制御法がどうだとか、あるいは放射線の漏洩がないかどうか、そういうものを全部調べ上げまして、その上で初めて本運転にかからせるというくらいまで締めておりますので、今までの取締法規でこれほど厳重なものはないというふうに考えております。従いまして、災害は、これくらいいろいろ置いてやりますれば、まずまず防げるのではないかというふうに考えてこの法案を提案した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/73
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074・石野久男
○石野委員 法的な整備の仕方としては、従前のその他の法律と比べますと行き届いておるようでありましても、核燃料物質の研究、開発、利用というような面からくる特に放射能の被害というものは、今の段階では、今日の科学でも容易に防ぎにくいものになっていると思われるのです。しかも、日本の技術は、世界に比べて非常におくれているわけでございますから、相当程度の法的措置をしましても、なかなか容易なことじゃなかろうと思います。そういうことになりますと、当然それを防止するための諸施策というものは、法におけるところの検査だとか許可だとかやれ何とかというようないろいろな制約はあっても、それ以前に、それらのことを可能にするような設備なり防衛の対策というものが、それの事業体等において、あるいは研究所において必要だろうと思います。そうなりますと、もちろんやはり国家が法の規定に従って検査をするわけですからよろしいようなものですけれども、そういう資金的な面なんかからいいますと、現状からいえば、民間等の事業体では、採算点からいいましても困難性があるでありましようし、またそういう採算の問題を考えれば考えるほど、従来のいろいろな法的制約を、他の事業体等において見てもわかるように、手を抜くとか、あるいはまた検査官の見落しがあったりなんかするというようなことがありまして、実際には法的には十分措置されておるはずのところに危険が醸成されてくるという事態があると思うのです。今回のわが国におけるところの原子力産業を開発するために持たれるいろいろなわれわれの配慮というものは、そういう点をもっともっと奥深くまで考えていかなければならないと考えます。そうしたときに、民間産業がそれを自分の力でやるということになりますとなかなか容易なことじゃないから、自然それらのものに対して国など、が相当程度の力を出してやらなければいけないだろう、こういうように考えられる面があります。従って、災害防止に伴うところの前提として、設備等をする場合において、今、完全に民間が自己の採算で投資を可能にする段階にある、だろうかどうだろうかという点に、私は非常に疑問を持っているわけですが、そういう点については、今、政府はどういうふうに考えておられるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/74
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075・佐々木義武
○佐々木政府委員 先ほど申しましたのは法律自体の内容でございますが、そういうふうに監督官庁が厳重にこれを検査するというばかりでなく、許可の際には条件を付しまして、その条件にはさらにその詳しい災害防止上の措置を講じたいというふうに考えております。また受ける方のところでは、それぞれ計画を出していただきまして、その計画に対してもまた認可をするというふうにして、画一的には問題を取り扱わないで、その場所々々の特性に応じて、一般的な制約をする以上に綿密な注意を払いたい。たとえば、特に風の吹く場所等でありますれば、それに対しては、許可に際して、特別に風の方向に対する注意、あるいは煙に対する吸収方法等を厳格に条件をつける、あるいは企業が申請をする際には、その条件を厳密に検査をするといったようなやり方をとるつもりでございます。さらに実際には主任技術者をきめまして、そうして保安を厳重にその主任技術者で見守っていただくというふうにしたいと考えております。ちなみに今年度の原子力研究所の予算を御紹介いたしますと、原子力研究所はただいまのところは二百人でございますが、四百人くらいの人員になるわけですけれども、そのうちで現地で働く人が大体三百何人かになるようでございます。その人たちを保護する意味も兼ねまして、もっぱら障害防止のために一億五千六百万円という非常に膨大な資金を設けまして、そうして障害の防止に関しては完璧を期するというふうな態勢をとってございます。もちろんお話にありましたような、かりに民間でこういうものをやるという際でも、この法律があります以上は、必ずやこういう規定を順奉しなければならぬ建前になっておりますので、その許可に際しましては、原子力研究所のやり方、あるいは各国の防止の対策等を十分研究しまして、そうして実際上民間でやる際にも、こういう面を手を抜いて炉を運転するというようなことのないように厳重に監督いたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/75
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076・石野久男
○石野委員 災害防止をするための日本における技術的な研究、そういうものの確立のために、今、政府は大体どういうような構想を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/76
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077・佐々木義武
○佐々木政府委員 ただいまの御質問は、原子炉そのものの災害という意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/77
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078・石野久男
○石野委員 原子力の研究利用等に伴って起きるところの災害ですね、災害全般にわたっての……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/78
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079・佐々木義武
○佐々木政府委員 災害の問題は、大体三つの範疇に分けられるのではないかと一般的には思われます。一つは、フォールアウトと申しますか、原爆等の実験から生ずる放射能灰に対する対策をどうするかという問題、もう一つは、原子炉あるいは製練工場等の本法に規定される災害の問題、もう一つは、アイソトープ等放射線そのものの使用から生ずる災害というふうに、三つの範疇が考えられるのではないかと思います。本法では、先ほど申しましたように、できるだけ特にこの方面の扱いを厳格に注意いたしまして、そうして、問題の発生しないように考えておるのでございます。これはあらゆる手段があるわけでございますが、たとえば、地下水にはなるべく流れないように、基礎その他をしっかりやるとか、あるいは煙の出る際は、その煙を煙突の中で放射能を持ったものは吸収いたしまして、煙になった際はほとんど放射能を持っていないようにする。なお念のためにしょっちゅう風の吹く方向には調査の機械を間隔的に置いておきまして、常時的にそれを検査するとか、いろいろな方法、あるいは先ほど申しましたように、炉の中では特に危険なのは製練関係の機械でございますので、そういうものは再三検査をする。大がいの炉は二重の設備になっておりまして、かりに一つがだめになってもほかのもので間に合せるという態勢をとっておりますので、そういう面で十分気をつけて持っていきたいと考えております。
放射線に関しては、先般皆様の御審議をいただきまして法案を通していただいたわけでありますが、これは観点が違いまして、むしろものそれ自体の規制という観点が強いものでありますから、こちらのように事業そのものから全般的にかぶせていくというやり方はとっておりませんので、向うはむしろ一定の基準を設けまして、その基準に適合するようにやっていきたいという取締り方法で、少し取締りの方法は違いますけれども、趣旨におきまして、あるいはその方向といたしましては、ほぼ同様かと考えております。
それから、フォールアウトの問題に関しましては、これは御承知のように厚生省で前々から各省を集めてやっておったのでございますが、原子力委員会の方では、この現状はどうなっておるかという実態を総合的にあるいは組織的に検査をしたいというので、所要の予算をいただきまして、ただいま各省と相談しながら、組織的な調査方法を進めつつあります。
なお、そういう問題に関しましては、御承知のように放射線医学総合研究所というものができますので、そこで十分障害の防止あるいは臨床等の問題を扱ってもらいまして、そして国としてあらゆる面から見まして、万全の措置を講じていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/79
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080・石野久男
○石野委員 この機会に私、大臣にお尋ねいたしますが、本法ではとにかく核燃料物質あるいはまた原子炉の規制に関するいろいろなものをきめるのですが、これらのものは、すべて日本におけるところの原子力産業を育成するための一つの過程であり、現在では研究の段階でもあるということは、先ほど来再三言われているところです。しかし、日本におけるところの原子力産業というものを育成する建前からいたしまして、私は、本法にはすでに規定しようとしておることですが、指定または許可等の措置をしないで、むしろ一切を国の力で進める方が、やはり研究が進められ、また実際の利用価値も早く国全体のものになるのではなかろうかというふうに考えているわけです。しかしまた他面には、こういうふうに民間に指定または許可をすることによってそれを果そうとする考え方もあるのでございますが、私どもの考えとしては、この両方の考えのうち、技術的にも、その研究の度合いにおいても、各国から非常におくれているような日本では、各作業界それぞれにおける無統制な研究などをして、こういう規制法案などでいたずらにある部分部分を規制していくということよりも、むしろこの機会に、国家の事業体とかあるいは国家の集中的な研究機関とか、あるいはそれの処理機関とか、そういうようなものに全部を集中的に集めて、そこで一切の衆知を集めるということの形へ持っていく方が、日本の経済の将来の場を考えましたときに、むしろ有利ではないかというふうに私どもは思うわけです。そういう点に対して大臣は今どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/80
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081・宇田耕一
○宇田国務大臣 日本の産業構造の現状から見て、国家でもって一元規制を加えるのは適当でない、やはりそれぞれの自由な企業心を刺激しながら、研究体制も、そういう世界的な科学的な知識を現実に応用できるような場に敏速に持ってくるという配慮のためには、国家規制は限界点を設けるべきである、こういうふうに考えております。従って、原子力の平和利用という面につきましては、特殊な条件をたくさんに含んでいますから、御説のように公けでこれを規制しなければならないと思われる点もたくさんあります。しかし、それがために本来の経済構造そのものに変革を加えるというふうな内容の全面国家統制にこれを入れていくべきであるという、そこまではまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/81
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082・石野久男
○石野委員 全面的な国家統制、あるいはまた一元的な集中化、そういうものは今の経済構造からいえばよくない、こう言われる大臣の意向は、それの立場ですから、それはそれでよろしいのでありますが、それであります。ならば、たとえば民間等におけるところの核燃料物質、あるいはまた原子炉に対しても、製錬とか加工とか、炉の設置、再処理というような問題をやられる民間産業は、今の事態のもとで、これらのすべてのものを自力でやり得るだけの力があるとお考えになっておられますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/82
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083・宇田耕一
○宇田国務大臣 先ほども原子力局長から申し上げましたように、災害防止に関してわれわれが考えている三つの点の中で、特に発電用動力炉等が一番具体的に——抽象的な話でなくて具体的にわれわれが災害を防止する対象としては慎重を期さなければならぬものというふうに考えております。そういう面について、民間だけで果して十二分な措置がとり得るかどうか、これはとり、得ない場合が多いと思われる点があります。それで、アメリカ等の前例を見ますると、国家が五億ドル、インシュアランスの責任を分担する、民間は五千万ドルのインシュアランスの保証責任に任ずる、そういうふうな立法措置をとるということも申されております。従って、原子炉が現実に日本に導入されるという場合あるいは国産炉がここに計画されるという場合で、民間がこれを持つあるいは官が持つという場合、どちらにいたしましても、相当国が責任を負わなければならぬという面はたくさん起ってくると思います。従って、その面につきましては、国家の規制を加えなければならぬ点あるいは民間の自由活動を制限しなければならぬ点は起るというふうに思っておりますけれども、その導入の時期が実はまた現実として現われておりませんので、法律の体系等についての整備の仕方等については、なおもう少し研究いたしたい、諸外国の前例も考究いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/83
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084・石野久男
○石野委員 アメリカなどでは、国家が五億ドルの、そうしてそれに対して民間が五千万ドルぐらいのインシュアランスとるということでいく、日本なんかでもそれに類似的なものを考えなければならぬというような御意向のようでありますが、アメリカの全体としての経済構造、その量と質の問題それらを日本のそれと比較しますと、それは相当な違いがあると思うのです。アメリカのように、非常に構造の大きい、しかも力関係においても、その個々の産業におけるところの力でも相当大きいものと、日本のように、非常に小さいもので、場合によれば十束にしてもなかなかアメリカのそれには太刀打ちできないようなものを、ばらばらに日本でさせるということを同時に考えることは、これは非常に大きな間違いであろうと思うのです。それにもかかわらず、炉一基なら一基に対するインシュアランスの持ち方というものは、絶対額におきましてはアメリカだって日本だって同じことになると思います。そうなりますと、アメリカの炉をそのまま日本に持ってくるということは、非常に非科学的なものの見方になるんじゃなかろうかと私は思うのです。だから、今の段階でどうしても政府がそういう援助をせねばならないような状態であるならば、むしろ当分の間は国家が全部統一的に研究なりあるいは実験なりをし、ある時期がくるまでは、研究とか実験とかいう形で、民間にも国家に協力させるという形をとる、それで、産業化の方向というものはもうしばらく待てという形の方が、全体の形からいっても、しかも日本の経済構造の立場からしても、早く利点が出てくるのじゃなかろうか、こういうふうにわれわれは考えますが、その点、大臣はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/84
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085・宇田耕一
○宇田国務大臣 実験段階の炉に関する限りは、日本原子力研究所に管理せしむるというのがただいままでの考え方でありまして、その点について、民間の方にこれを経営せしむるということには、今考えておりません。従って、その後に発電用の炉が入ってくるということがありました場合に、それにどういう管理方式をとるかということについては、まだほんとうの議がまとまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/85
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086・石野久男
○石野委員 それはよくわかります。研究の段階においてはそうしませんが、発電炉が入ってくるときはどうするかということはよくわかる。それはその通りです。そこで、発電炉を入れる時期の問題が出てくるはずです。この法律案は、そういう時期の問題とは関連なく、もう入ってきても、この規制の姿はここべ出てくるわけですね。そういうところから、輸入の時期という問題特に電力を起すであろう原子炉というものを入れる時期の問題等に対して、大体どういうような作業が政府において行われているの、だろうか、その点をはっきりお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/86
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087・宇田耕一
○宇田国務大臣 発電用の動力炉をいつ入れるかということにつきましては、おそらく今直ちに、最近のうちに入れるということは、技術的にもあり得ない、こういうふうに考えております。それはいつになるかという的確なことについては、原子力委員会も実はまだ見通しを正確に立てでおりません。少くともこの秋までにアメリカ及びイギリス等に調査団を派遣いたしまして、昨年と非常に違っておる炉の構造ないし技術的な方面の再調査いたさなければならぬ、こういうふうに考備えておるわけでありまして、その点につきましては、なお原子力委員会としては検討を続けておりますけれども、実は結論を出すことができないような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/87
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088・石野久男
○石野委員 一切のこれらの問題に関する日本の自主態勢を、政府はどの程度の熱意をもって確立する努力をされておるか、これはわれわれにとっても非常に大事なことでございますので、そういう点について、特にこの機会に、政府の考え方を明確に示しておいていただきたいと思います。
〔有田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/88
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089・宇田耕一
○宇田国務大臣 われわれの希望するところは、いずれにいたしましても、国産燃料によって国産炉を稼働せしめるという、これが究極のねらいであります。それがために実験炉はどういう形のもの、どういう規模のものを入れて、日本原子力研究所を中心として国産炉のための基本調査を確実に積み重ねていくか、これがただいまの自分たちの実験に対する態度、あるいは実験のための動力炉の購入計画の基本をなしておるわけでございます。従って、国産第一号炉を作るときに、それに関連するところの燃料あるいは諸施設、あるいはそれの基本になるところの技術、産業設備等、そういうものにつきましては、日本原子力研究所と民間の今までの技術と組み合せて、これを仕上げていかざるを得ない、こういうふうに考えております。ことに電気は、御承知のように、七割以上が、従来の火力発電のような発電用のボイラーをくっつけるわけでございますから、動力炉の部分とそれから大部分のものは日本で十分技術のあるものでありますから、簡単に発電用の動力炉といいましても、常にわれわれが火力発電その他で経験済みのものがたくさんあります。それでその面は、日本独自の国産第一号炉のときに、もう技術も設備も大部分が問に合う、こう思っております。くっつけるリアクターだけが問題になってくるでしょうから、そういう点につきましては、既存のいろいろの国内施設をうまく活用する。しかし、それは日本原子力研究所が総合してこれを企画、推進をしていく、これがただいままでのところの基本方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/89
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090・石野久男
○石野委員 現状では、国内の技術も相当に使えるわけですけれども、基本的な問題になると、外国の技術に負わなければならぬものが相当あると思う。政府は、日本の原子力産業に寄与すべきこういう研究、開発の問題について、特に炉を入れるとかなんとかのときには、諸外国との間に技術的な協定などを積極的に進めるというような方針を考えておられるのかどうか、あるいはまたそういうときに、外資の導入とかなんとかいうような問題についても、何か考えておられるのかどうか、そういう点についても聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/90
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091・宇田耕一
○宇田国務大臣 イギリスから輸入する場合、あるいはアメリカから輸入する場合が、実際問題としては話題になり、研究の対象になってくると思います。それについてイギリスがどういうふうな技術提携をするとか、アメリカがどういう技術提携を希望するか、これは将来の問題と思っております。この間、学術会議あるいは産業会議の代表の諸君といろいろ意見の交換をしてみましたとき、技術提携等につきましても国の主体性を失わないで、こういうふうにしたらどうか、こういうふうにしたらどうかといういろいろの新しい案を、われわれは聞かせてもらったわけでありますが、世界的に見て、技術的な提携についての方式等も非常に新しい方式があるということもかなりわれわれに明らかにされました。また資金計画等につきましては、世界銀行その他との話もあるのでしょうが、具体的にこれをどういうふうに話をするかということについては、研究はいたしますけれども、積極的に、どの炉を入れるために金をどうするかということについての話はまだ早い。また炉に対する研究が不十分でありますから、炉の研究を先に技術的に解決をしないと、その次の段階にはまだ入り得ない、こう思っております。従って、金融あるいは外資導入等につきましては具体的な話に入っておりません。そうして技術提携につきましても、われわれが今まで考えておりましたよりももっと別な方法がある、あるいは目と国とでもって技術の交渉をして、過去の商社と無関係にするとか、あるいは過去の商社と提携する場合にも、一年きりでよろしいとか、専門家の意見を聞いてみますと、非常に技術が進歩するので、二年も三年も縛りつけるというようなことのできるような内容ではないんだ。今年の技術は今年、これを何ぼでおれのところは資本を入れてやったんだから、これを幾らに売りたいんだ、こういうふうな話が非常に最近は多いということを言っておるのであります。従って、そういうところのいろいろな具体的な提携方法につきましては、もう少し掘り下げてそして国の主体性をくずさないでいける最善の方法を考えなければならない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/91
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092・石野久男
○石野委員 輸入炉の問題について、たとえば今言われたような外資の導入であるとか、あるいは技術協定の問題等もありますが、特にわれわれが将来のために考えておかなければならないことは、今、炉の輸出をすることについてアメリカにしても、あるいはイギリスにしても、将来の市場性との関連の中で、これを非常にまじめに、真剣に考えておるように見られる面が強いと思います。これは、将来日本の産業構造の上からいきましても、また国家、国民の経済の立場からいいましても、十分注意をしていかなくちやならないと考えます。ことに原力子基本法の打ち出しております三原則の中にも、自主態勢を強く打ち出しておりますし、それは単に技術的な面だけなくて、経済的な面からも、そういう点が非常に大事だと思います。この機会に、大臣は、そういう問題について、日本の経済的な自主性の立場で、これらの輸入炉の問題と、それから日本における国産炉というものとの関連性をどういうふうに考えておられますか、その御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/92
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093・宇田耕一
○宇田国務大臣 動力炉を入れる場合に、コールダーホール・タイプの話を聞いてみますと、七〇%は日本の技術で、日本の生産設備でこれを処理することができるということも、最近情報では聞いております。従って、経済性の自主態勢を失うということまでいくというほどの内容の金を使わなければならぬ、そういうふうにはならないんじゃないかと思っております。外国に依存して、外国の資金を導入しなければならぬ面がどれくらいになるのか、それは比較的思ったよりもそう大きくならないんじゃないか、そろばんはそういうふうになり得るようにわれわれは思っております。ただ、そういう場合に、最近は契約交渉をいたしましても、従来よりも担保その他についての要求は少くなっておって、経済活動が非常に不活発になるような危険は少い、こういうふうに思っております。いずれにいたしましても、こっちの管理権を向うに渡さなければならないというような、主体性が全然失われるようなことはもちろんやるべきではありませんが、また一部分を導入することによって、こっちの将来の国産炉が、日本の主体性による運営が困難になるようなことの原因を作るということは絶対にないように、これを避けるということは、もちろん考えなければならぬと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/93
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094・石野久男
○石野委員 法案の第二章第三条の規定によりますと、事業の指定は内閣総理大臣及び通産大臣の指定を受けなければならない。第四条は指定の基準を示しておるわけですが、この第四条の示しております指定基準に該当し、またこれの基準を受け得られるような今日の事業体というものが、日本にはありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/94
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095・佐々木義武
○佐々木政府委員 この指定の基準を打ち出しましたのは、むしろ許可というのでありますれば、一定の基準がありますと、その基準に適合した場合には許可をするという格好になりますが、指定の場合には、条件がそろっておっても、その他の面から、たとえば計画的な遂行という面がどうもむずかしいということでありますれば、それに対して別に指定をいたさないでもよろしいという解釈も成り立ちます。言いかえると、相当指定に対しましては自由裁量権と申しますか、そういうもの、がある程度考えられますので、この指定にいたしました理由は、できるだけ燃料公社で主としてやる。それ以外の企業体でもし希望者があれば、その企業体に対しましては、今申しましたような厳格な審査をいたしまして、その上でやっていきたいというように考えております。ただ、鉱業権は、御承知のように製錬までその中に含まれておりますので、既存の鉱業権者が自分で第二次的な製錬をやりたいという申し出を必ずや申請することも予想されますので、そういう点も考えまして、通産大臣との共管ということにいたしまして、両名で相談の上許可いたしたいというふうに考えております。そこで、第四条の第一項でございますが、計画的な遂行ということも非常に問題でございますけれども、これには基本政策に合うかどうかという問題ばかりでなしに、原料面から見て、そういう製錬工場を指定するのが妥当であるかどうか、あるいは技術の進歩から考えまして、日進月歩しておる企業でございますから、いたずらにオールド・アッションの古い型のものを許可するということでは実情にそぐわない。あるいは過剰投資、むだな投資ということにもなりかねませんので、そういう点も十分加味いたしまして、そうして指定をいたしたいというふうに考えております。
現在のところで、こういう指定を受けてやっていきたいという企業があるかないかと申しますと、完全に自分でやりたいというふうにはっきり申し出ておるところはないのでありますが、しかし、今年度中には、そういう企業体が出てくるやに予想されます。そのときにこの法律の規制がございませんと、何らそれを制約する法規がないわけでありますから、今の商法、民法の規定だけで申しますと、それは許可しなければいかぬということになりますので、ぜひそういう意味からいいましてもこの法案が早期に必要であるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/95
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096・石野久男
○石野委員 その場合、局長からも言われておるように、事業の計画的な遂行に支障を及ばさないようにということ、この計画的な遂行の管理といいますか、これは常時内閣または通産省がこれをなさるわけですか。またはその指導をその事業体に対して行なっていく、こういう意味を持つものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/96
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097・佐々木義武
○佐々木政府委員 実際、製錬所が許可された日後の措置の問題かと思いますが、それに関しましては、十一条以下等に規定がございまして、あるいは記録の保持とか、あるいは保安に伴ういろいろな諸規定等を設けまして、そうしてもし鉱山保安法なりあるいは労働基準法なり等で保安等が不十分な場合には、その政令等を変えまして、加重した保安に対しましては、十分対処できるようにという考えでやっておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/97
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098・石野久男
○石野委員 第十四条第三号に書れております「災害の防止上支障がないものであること」という、核燃料物質による災害、あるいは核燃料物質のそういう製練施設等からくる災害防止でございますか、これは今のところ基準がなかなか定めにくいだろうと思いますが、そういうものは今どういうところに置いておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/98
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099・佐々木義武
○佐々木政府委員 これは前にも斎藤委員から御要求がございまして、各国では一体どういう取締り方法をとっておるのかというのを詳細に調べまして、ある国では既存法のままで取り締っておるところもございますが、ところによりましては、特に放射能を含んでおる炭塵と申しますか、ちりを吸った場合に、けい肺になる率が相当高くなりますので、そういう点に関しましては一つ措置をしたいというので、予算的にも今年度から考えておりますし、また公社等でも十分その手はずはいたすつもりでございます。ただ、法律的にそういう規定が既存法だけではおかしいではないかという議論も出て参りますので、先ほど申し上げましたように、その点に関しましては、鉱山保安法あるいは労働基準法等の政令を改正いたしまして、そして加重したそういう危険負担に関しましては十分対処いたしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/99
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100・石野久男
○石野委員 災害防止の問題については、こういう核燃料物質等から出てくるいろいろな障害が、従来われわれが経験したよりも一そう強いものであるというだけに、非常に重要だろうと思うのです。ただいま局長からお話がありましたような加重した法律案をここ
作るといいますか、追加させるというようなことについての作業は、もうすでに進められておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/100
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101・佐々木義武
○佐々木政府委員 これは通産省の鉱山局並びに労働省と十分打ち合せてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/101
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102・石野久男
○石野委員 第九条では相続のことがきめられておるのですが、製練事業者の相続の問題は、これは今の民法や何かからいえば何も別個のものではないでしょうけれども、しかし、この事業体自体が持ついろんな特異な災害などが随伴しておるというようなことを考えましたときに、この相続を一般企業と一緒にみなすということは、ちょっと危険じゃないかというふうに思いますが、そういう点については政府はどういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/102
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103・佐々木義武
○佐々木政府委員 この相続は死亡相続の問題を想定しておりまして、相続を受けました者が不適格なものでありますれば、当然この指定の欠格条項のところで、事後の事態を見まして不適当であるという場合には、これは変更その他の処置をとらなければいかぬと思いますが、今までの大体の事業のや方から見ますと、死亡相続の際には大体欠格条項さえなければ許可してもよろしいのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/103
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104・石野久男
○石野委員 二十四条のこの炉についての許可の基準でございますが、これは第一号にも示されておりますように「原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」というふうになっておるわけです。研究炉は原子力研究所が持つわけですから、別に問題は起きないと大体善意に解釈できます。しかし、それにしても諸外国との、特に日米原子力協定というようなものから見ますと、この規定は果して規定通りに安心してわれわれは見られるかどうだろうかということを疑問に思います。そういう点で、この二十四条、特に「原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」ということと、それから日米原子力協定の中で、免責規定やあるいはまた秘密条項などの問題との関係を政府はどういうふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/104
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105・佐々木義武
○佐々木政府委員 日米原子力研究協定は別ですが、一般協定に関しましては、いわゆる向うの言っております制限資料、秘密を含んだ資料という意味でございますが、そういう制限資料はこちらに情報を提供いたしません。従いまして、この協定の内容には機密事項は何らないものというふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/105
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106・菅野和太郎
○菅野委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了することといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/106
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107・菅野和太郎
○菅野委員長 御異議なしと認め、本案の質疑これにて終了いたしました。
本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十三日、月曜日、午前十時より開会し、本案及び放射線医学総合研究所の設置に関し承認を求めるの件の両案について討論採決を行いたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03719570511/107
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