1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月一日(金曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 薩摩 雄次君
理事 内海 安吉君 理事 二階堂 進君
理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 荒舩清十郎君
伊東 隆治君 大高 康君
久野 忠治君 徳安 實藏君
中島 茂喜君 堀川 恭平君
山口 好一君 井谷 正吉君
小川 豊明君 山下 榮二君
渡邊 惣藏君
出席国務大臣
建 設 大 臣 南條 徳男君
出席政府委員
建設事務官
(計画局長) 町田 稔君
建設事務官
(住宅局長事務
取扱) 鬼丸 勝之君
委員外の出席者
参 考 人
(日本住宅公団
総裁) 加納 久朗君
専 門 員 山口 乾治君
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三月一日
委員田中彰治君辞任につき、その補欠として久
野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員久野忠治君辞任につき、その補欠として田
中彰治君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
ダム建設等水利権の許可による利益の調整及び
損失補償の問題について、参考人出頭要求に関
する件
日本住宅公団法の一部を改正する法律案につい
て本日参考人より意見聴取の件
日本住宅公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/0
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001・薩摩雄次
○薩摩委員長 これより会議を開きます。
この機会にお諮りいたします。近時電源開発その他多目的ダム建設等の建設工事に関連いたしまして新たに設定せられました水利権と、従来から認められている河川の水利権その他諸種の権利等との間に、種々重要な問題を惹起しつつあることは御承知の通りでありまして、これらの水利権等の調整をはかってこの問題の解決をはかることは緊急の要務であると考えます。つきましては、このような問題に対する調査の一つの方法として、かつて本委員会において取り上げられました島根県の江川水系における発電所建設に伴う関係漁業者に対する損失補償の問題につきまして、現地における利害関係者及び河川管理者等を参考人として本委員会に出頭を求め、その間の実情並びに水利権調整に関する意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/1
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002・薩摩雄次
○薩摩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお参考人の選定、意見聴取の日時は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/2
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003・薩摩雄次
○薩摩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/3
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004・薩摩雄次
○薩摩委員長 日本住宅公団法の一部を改正する法律案の審査方法に関しましてお諮りいたします。先ほどの理事会において御協議を願ったところでありますが、委員各位も十分御承知の通り、本案は住宅公団の業務範囲を拡張しようとするものでありますので、あらかじめ委員長からここにおいでを願っておきました公団総裁から、参考人として本案に対する御意見を承わり、あわせて業務内容等について委員各位より御質疑を願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/4
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005・薩摩雄次
○薩摩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
それではこれより日本住宅公団法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。本案に関しまして建設当局より詳細な説明をいたしたいとの申し出がありますので、これを許します。計画局長町田政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/5
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006・町田稔
○町田政府委員 日本住宅公団法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。なお今回の改正のうち、一部は住宅局所管に属するのでございますが、便宜私から一括御説明申し上げます。
まず第一条中「造成するための土地区画整理事業を施行する」を「造成するために土地区画整理事業等を行う」に改正する点について御説明いたします。第一条は、公団の目的を明らかにした条文でありますが、従来の規定によりますと、公団の目的の中に、健全な新市街地を造成するためには、土地区画整理事業を施行することのみがあげられているのであります。しかるに公団の造成する宅地の規模は往々きわめて大きく、しかも大団地造成の必要性は今後もますます増大すると思われますので、健全な新市街地を造成するためには、単に土地区画整理事業の施行のみでは足りず、一定の場合には学校、病院、商店、工場等の用に供する宅地の造成、賃貸、譲渡等の事業の施行も必要であり、また水面埋立事業の施行も必要となって参っております。従って今回土地区画整理事業の施行以外に、これらの事業の施行をも公団の目的の中に加えるため、従来健全な新市街地を造成するための土地区画整理事業を施行すると規定せられておりましたものを、土地区画整理事業等を施行すると改めることといたしたのであります。
次に第三十一条第二号以下各号の改正について御説明いたします。第三十一条の各号は、公団が第一条の目的を達成するために行うことのできる業務の範囲を定めたものでありますが、今回、先ほど申し上げましたような二つの事業を、新たに公団の行う業務の範囲に加えるため、第二号以下を改正するわけであります。
まず第二号中「宅地」を「住宅の用に供する宅地」に改正する点について御説明いたします。従来日本住宅公団が造成していた宅地は、住宅に困窮する勤労者のために供給する住宅用地、公団住宅等の居住者の利便に供する施設の用に供する宅地及び道路、公園等の公共的施設の用に供する宅地でありまして、健全な新市街地を造成するための学校、病院、商店、工場等各種の施設の用に供する宅地は含まれておらなかったのであります。しかるに今回健全な新市街地を造成するための学校、病院、商店、工場等各種施設の用に供する宅地を造成すること等について、第三号として新たに一号を加えましたので、第二号の「宅地」についてもその範囲を明確に表現する必要が生じましたので、「住宅の用に供する宅地」と改めることとしたのであります。
次に第三十一条第三号とし三号加える点について御説明いたします。公団はさきに申し述べました通り、従来は住宅の用に供する宅地のほかには、公団住宅等の居住者の利便のための施設の用に供する宅地、及び公共的施設の用に供する宅地を造成する等のことのみができたのでありますが、新市街地を造成するためには、これらの施設の用に供する宅地のほかに、学校、病院、商店、工場等の用に供する宅地の造成等の事業を行うことが適当である場合がまれでありませんので、今回これらの場合に、以上の諸施設の用に供する宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡を公団において行うことができるように改めようとするものであります。本号中「工場等」として概括的な規定を置きましたのは、本号に掲げた学校、病院、商店、工場のほかに、これらに類するものが考えられますが、その全部を制限列挙することがむずかしいので、代表的なものを例示し、その他は概括的に「等」と表現して含ましめたものであります。
次に、同条第三号を第四号に、同条第四号を第五号に改め、第五号中「前三号」を「前四号」に、及び同条第五号を第六号に改正いたしますのは、第三号として新たに一号を加えますので、これに伴って、以下順次一号ずつ繰り下げる必要が生じたからであります。
次に第三十一条第七号として一号を加える点について御説明いたします。本号は水面埋立事業を施行することを公団の新たな業務としてつけ加えたものでありますが、これは公団が大規模な団地を取得するためには近時土地事情にかんがみ、水面埋立事業による土地の造成が適当である場合がしばしば存するのでありますが、かかる場合、公団が水面埋立事業を施行し得ることを明らかにするためであります。
次に同条第六号を第八号に改め、同号中「前五号」を「前七号」に改正いたしますのは、第三号及び第七号として新たに二号を加えましたので、それに伴って順次二号ずつ繰り下げる必要が生じたからであります。
次に第四十八条の改正について御説明いたします。第四十八条は、住宅公団の利益及び損失の処理の方法を規定いたしたものでありまして、従来は毎事業年度経営上利益が生じたとき、前事業年度からの繰り越した損失があった場合は、まずそれを埋め、なお残余があるときは全額を積立金として整理し、また毎事業年度経営上損失が生じたとき前事業年度からの積立金があった場合は、それを減額して整理するように規定されております。住宅公団におきましては、設立当初は政府の一般会計からの出資六十億円と地方公共団体からの出資十六億円、計七十六億円で発足いたしましたが、三十一年度には、政府からの出資は産業投資特別会計から出資されることになり、同会計から十五億円、地方公共団体から四億円が、また三十二年度には同会計より九十五億円の出資が予定いたされております。同会計が出資に対する配当金または納付金等を歳入とし、これを産業開発、貿易の振興のために再投資することが建前となっておりますので・住宅公団においても、利益が生じたときは、これを政令で定める基準により相当額の積立金を積み立てて、なお残余が生ずるような場合には、これを国庫に納付し、あわせて公団に出資した地方公共団体にも納付する制度をとったものであります。
第四十八条第一項中、政令で定める基準により計算した額を積立金として積み立てるようにいたしましたが、これにつきましては、産業投資特別会計から出資された類似機関の制度を参考とし、妥当な基準を定める予定であります。同条第三項は、以上の趣旨により、国庫及び公団に出資した地方公共団体に納付の規定を定め、同条第四項は納付に関するその他必要な事項を政令に委任したものであります。なお第四十八条第一項及び第二項中、経営上を「損益計算において」と改めましたのは、以上の趣旨により表現を明確にいたしたものであります。
次に附則第三条に新たに一項を加える点について御説明いたします。住宅公団の業務である住宅の建設及び宅地の造成並びに住宅、宅地の賃貸その他の管理及び譲渡のほかに、当分の間、コロンボ計画、国連技術援助拡大計画及び米国ICAの研修計画等の国際約束に基き、技術研修生として来日する学生、特に東南アジア諸国からの技術研修生の住宅及び施設を供給する者に対し、住宅公団の本来の業務の遂行に支障のない範囲内で、これら技術研修生のための住宅及び施設の建設、賃貸その他の管理及び譲渡を住宅公団ができるように改正したものであります。
最後に、附則で建設省設置法第四条第三項及び第六項を改正する点について御説明いたします。第三項は計画局の所掌事務を、第六項は住宅局の所掌事務を規定した条文であります。現行法では、計画局においては日本住宅公団の業務の監督その他日本住宅公団法の施行に関する事務のうち、土地区画整理事業にかかるものに関する事務を、住宅局は土地区画整理事業以外の事業にかかるものに関する事務をつかさどることになっております。今回改正しようとする点は、先ほど御説明いたしました公団の業務に新たに加えられました水面埋立事業にかかるものに関するものを計画局の所掌事務として加え、従いまして住宅局の所掌事務は、日本住宅公団の業務の監督その他日本住宅公団法の施行に関する事務のうち、土地区画整理事業及び水面埋立事業以外の事業にかかるものに関する事務をつかさどることといたしました。水面埋立事業にかかるものに関するものを計画局の所掌事務にいたしますのは、日本住宅公団が所期する健全な新市街地を造成するためには、水面埋立事業は土地区画整理事業と一体として施行するのが適切かつ妥当であると考えるからであります。
以上簡単でありますが、日本住宅公団法の一部を改正する法律案についての御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/6
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007・薩摩雄次
○薩摩委員長 次に参考人日本住宅公団総裁より御意見を承わることにいたします。日本住宅公団総裁加納久朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/7
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008・加納久朗
○加納参考人 今度新たに法律が改正されまして、日本住宅公団に新しい使命が与えられまして、住宅公団といたしましては、政府のきめられました通りに、完全にその任務を遂行するために、できるだけの準備を整え、機構の改正、人員の充実、支所を増設すること、そういうような準備を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/8
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009・薩摩雄次
○薩摩委員長 これより本案に対する質疑を行います。久野忠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/9
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010・久野忠治
○久野委員 ただいま政府側より住宅公団法の一部改正の法律案についての逐条の解説がありました。従来の業務の範囲を拡張して、水面埋立事業をも行うことができるようにしようというのがこの法案の骨子のようでありますが、しかし条文では簡単に水面埋立事業を行うことができると書いてございますけれども、これを実際に施行する場合には、相当な困難とまたこの事業を進める上における支障とが、私は当然起きてくるのではなかろうかと思います。そこでただこの法案の審議に当りましては、これらの障害となります事項等につきましても、十分当委員会において検討し、また政府側の意見をも十分ただしまして、それに対する適切な措置を講じておかなければ、必ずやこの事業達成のための困難が伴うものと私は考えますので、いろいろの点についてただいまから政府側の意見を徴してみたい、かように考えるような次第でございます。実は建設大臣と住宅公団総裁とにまず意見をお伺いいたしたいと思っておりましたが、予算委員会に大臣が御出席のようでございますので、まず住宅公団の総裁に一言お尋ねをいたしたいと思うのであります。
今日日本の住宅政策を推進するために、住宅公団が設立をされまして以来、着々その内容が充実され、しかも日本の住宅政策改善のために努力が続けられておりますことは、われわれ国民にとりましてもまことに喜ぶべきことでございます。しかしながらこの住宅政策を進めますのに一番大切なことは、宅地を造成するということであろうかと思います。しかるにこの宅地造成には、数多くの困難が今日露呈をいたしております。たとえて申し上げますならば、最も住宅不足をいわれております東京都を例にとってみますならば、旧東京市内では一万円以下では宅地を求めることができないというのが、今日の実情ではなかろうかと思います。ところが不動産屋と称します土地の売買によって利益を得ようといたしております人たちは、まず住宅公団が東京都内において求める土地の総坪数は、本年度の予定計画で何坪あるかということはすでに予見をいたしております。さらに住宅金融公庫の坪数から換算いたしまして、公庫に必要な宅地はどれだけかということも、これらの商売を目的としておる人たちはすでに予見をいたしております。そういう事柄から、公庫あるいは公団等が必要とする宅地を先回りをいたしまして、そうして前もってこれに手付金を打つことによって、その土地の値上りを策し、利得を得ようとしておるのが、今日の宅地造成の困難を来たしておる一つの理由ではなかろうかと私は思うのであります。この問題等につきまして、住宅公団においては、今日宅地造成の際にどういう措置を講じておられますか。まず総裁にこの点をお伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/10
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011・加納久朗
○加納参考人 宅地造成につきましては、一昨年から全国で三百万坪の宅地を造成するということで、すでに百パーセント以上の手配をいたしまして宅地造成にかかっております。そしてその中から今年度幾分かは公団の用地に使うことができると思います。それが第一でございます。
それから第二の東京周辺でございますが、これが一番むずかしいのでございます。従いまして小さいところをねらっておりましてはなかなからちがあきませんので、東京周辺の山林または原野というようなところで一時間以内に通勤のできるような場所を物色いたしまして、まとまった小団地を開拓していきたい。小団地と申しますと、二万坪くらいでもやってもいいと思いますが、二万坪、五万坪、八万坪というような小団地を物色いたしますと、まだ坪五百円、六百円程度で入手できるところもございますので、そういうところを物色いたしまして、あまり小さいところを当らないで、公団が宅地をみずから造成していこう、こういうことにことしは方針をきめております。
なおただいまの御質問で、旧東京市内にブローカーが入っていろいろ土地を買い占めておる、あるいは手付金を打っておるからというお話でございますが、旧市内の方は高層の住宅を作るという方針で、店舗がついたりあるいは他の事務所がついたりしたところにできるだけ上の方へと高層化をはかっていくというふうにして、地面はそのまま所有者のものにしておいて、その持っている建物の上に住宅を建てて、その地主に対しては地代を払っていくというようなやり方、またある場合にはその持っておる人から地面を共有にしてくれというような請求のある場合もございますから、そのときには適正な比率だけは公団が土地の代金を払いましてそれを買収いたします。たとえば十万円のところを三万円だけ公団が出して、その前の所有者と共有にして、上の方に公団の住宅を建てていくというふうに、土地をなるべく買わないで空間へと伸ばしていくということに、東京の方は力を入れるつもりでおります。そこで初めのうちは非常にむずかしかったのでございますけれども、意外に思ったのは、すでに三十何件の申し込みがございまして、あるものは映画館を提供してその上を住宅にする。また溜池の場合には、自動車のショー・ルームを下に作ってその上に十階の住宅を作る。ある場合には、大きい会社でございますが、自分のオフィスを三階だけ公団に作らせて、そのかわりその上に公団が住宅を作ってくれというようなのもございます。また今交渉しておるのは横山町、馬喰町の問屋街でございますが、これを下の方を倉庫及び店舗にして、上の方へ高層住宅を作っていくというような式にして、東京では土地の値段を上げないで既存の地主に交渉して高層にしていく、こういうような方針でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/11
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012・久野忠治
○久野委員 ただいま高層住宅の構想について総裁からるる御説明がありました。これは本法案にはあまり関係のないことでございますから、私は今の小団地の開発のことに関連して一、二お伺いをしたいと思います。ただいま郊外の都心地へ来るのに一時間以内くらいのところに小団地を経営することによって、ここへ住宅公団の建物を建てたいという御意見でございました。しかしながら当然そういう団地を作るということは、この団地から通勤する者のための輸送の改善もはからなければなりません。その輸送の改善をどういう形において処理をするか、あるいはまた上下水道あるいはガス、衛生面の設備はどういうふうな形にしていくか、こういうような問題もあわせて解決を必要とするのではなかろうかと思うのであります。今日都心地へかりに一時間で通勤でき得たといたしましても、自己の通勤する会社のある都心に出ていくためにはまた相当の時間が必要となりましょう。しからばこの通勤の往復の時間にほとんど労力を奪おれて、実際には会社で自分が十分な能力を発揮することができ得ないというのが現実の姿ではないでしょうか。そういう意味合いからいきましても、でき得る限り東京都の中心部に近いところに公団住宅を建てることによって、ただいまの高層アパートの建設も一つの大きな例ではありましょうが、でき得る限り労力を使わないように、時間を節約でき得るような地域に公団住宅を建てることによって、この面を改善するということが必要ではなかろうかと私は思うのでありますが、そういう輸送の問題等についての折衝とか、あるいはそういう構想等についての御意見があれば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/12
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013・加納久朗
○加納参考人 ただいまの御質問でございますが、まことにごもっともでございます。それで輸送につきましては常に私鉄及び国鉄と交渉い、たしまして、ある場合には新駅を作ってもらうように交渉いたします。ある場合には延長してもらうように、ある場合には車両をふやしてもらうように交渉いたしております。そればかりでございません。団地から駅まで参りますのに適当な交通機関のない場合には、バス会社に交渉いたしまして新しくバスの路線を作ってもらっております。現に千葉県の柏の光ケ丘の団地でございますが、バス会社二つの会社に交渉いたしましたところ、喜んで通勤時間は多くしてくれるし、それから夜もおそくまでやってくれるし、昼間も一時間おきにバスを走らせるというような交渉もいたしておる次第でございます。それから東京都内の通勤者のためというお話でございますが、できるだけ東京市内にも地面を求めておるのでございます。ただいままでのところきまったものは、やはり大会社の持っておったものまたは都の持っているものを譲り受けたのでございまして、あまり小さいところをあさって、そうして土地をひどく上げていったという例はあまりないのでございます。むしろ公団がそれを作りましたために付近の地面をえらく上げまして、青戸の場合には七千円で買ったのでございますけれども、もう付近が二万円以上になってしまいました。おまけに間口三間の八百屋が権利金六十万円というような暴騰でございます。公団から申しますと、それならなぜ七千円で地面を二万何千坪買ったときにもっとたくさん買っておかなかったか、こういうことになるのですけれども、そこまではなかなか手が回らなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/13
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014・久野忠治
○久野委員 ただいま総裁のお話を聞きますと、あれもやったこれもやったと仰せになる。まことにりっぱな構想でありますから、その通り事務が進んでおりますれば今日私たちは何も心配いたしません。伝えられるところによりますと、うわさでありますからその真偽のほどはいかがになっておるか私は存じませんが、昭和三十一年、本年度の住宅公団の予算が十分消化し切れずに、次年度に繰り越される額があるのではないかといわれております。どれくらい繰り越されるのか、その繰り越される原因は一体どこにあるのか、そのことをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/14
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015・加納久朗
○加納参考人 今の御質問にお答え申し上げます。公団の計画は三十年度に二万戸を作る、こういうのでございますが、土地の手当その他がありまして、三十年度に結局発注を終るということになります。それから三十一年度二戸三千戸、これも三月三十一日まで二万三千戸以上の発注を終る計画でございます。そういたしますと初めの年の百六十億の予算、次の年の二百二十三億という予算は、半分くらいは次年度に繰り越さなければ使い切れないのでございます。これはどうも住宅の性質から申しまして、コンクリートの家でございますから、土台を作る。それから契約いたしましたときに三分の一は払いますが、あとの十分の六、七というものは次年度で払うという場合も生じておるわけでございます。そのために繰り越しておりますけれども、しかしこれはだんだんとその年度に使う金が多くなってくるように今仕事を急がしております。そういうような状態
であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/15
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016・久野忠治
○久野委員 大体どれくらい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/16
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017・加納久朗
○加納参考人 百億以上になっており
ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/17
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018・久野忠治
○久野委員 ただいま総裁から百億前後の金が繰り越されるというお話でございますが、私の見たところでは、これは宅地造成が建設に伴わないために、そういう繰越金が生じてきたのではなかろうかと私は想像いたしております。総裁と私との意見が違うかもしれませんが、他の同僚諸君の質問もありますから、さらに一つ進めて御意見を伺いたいと思うのでありますが、先ほど一時間以内のところに小団地を設けることによって、公団住宅の建設の改善をはかりたいというお話でございました。ところが私たちが見るところでは、最もその住宅を必要としておられる人たちは工場の労働者であろうと思います。この工場の労働者が就業いたしております地域は、主として港に面接した工場地帯、ここに一番密集していると思う。その港に面接しておりまする工場地帯へ通勤するために一時間以上も山の方に参りましたところに住宅を設けて、そこから長い輸送機関を通じて海岸地帯の工場に通勤するというのが、今日の実情ではなかろうかと思います。この際さらに一歩を進めて、その工場に近接している地域、すなわち海岸地帯の海面を埋め立てすることによって、その住宅を建設することができ得るということでありますならば、通勤のロスもこれで防げますし、またそのことによって起きます経済的な効果というものは、莫大なものがあろうかと思うのであります。またそのことによってなお輸送の困難も克服されるわけでございまして、そういう意味合いから水面埋立事業ができるように、今日法案の整備に当って業務内容を拡張なさろうといたしておられますことは、私たちにとりましてはまことに希望するところでありまして、ぜひこの事業を一刻も早く推進できるように一つ御努力をいただきたいと思うのでありますが、まずこの希望を申し上げまして、さらにこれに伴う困難な諸情勢等につきまして、一、二お伺いいたしてみたいと思うのであります。
この水面の埋立事業につきまして一番困難な条件となりますものは、漁業権であります。現在ノリの養殖であるとか、あるいは浅海漁業等によって生活のかてといたしております相当数の漁業者がおります。これらの漁業者の生活の将来の安定をでき得る限り措置してやらなければ、おりてらく漁業権を確保することは困難であろうと思いますが、これについて総裁はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/18
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019・加納久朗
○加納参考人 ただいまの御質問に三つに分けてお答え申し上げたいと思うのでございますが、初めの繰越金の問題でございますが、繰越金と申しましても、別にお金が余ってそれが銀行に入れてあるというわけではないのでございまして、これだけのお金を使い得るというのが繰り越されたので、それだけお金を借りてございません。公団債の発行も延びておりますし、生保、損保等から借りますお金も延びておるわけであります。できるだけ金利のむだをしないように、必要のつど借り入れるということでございますから、その点はちょっと誤解のないようにつけ加えさしていただきます。
それからただいまお話の埋め立てをしてそこに住宅を作って、港の折所にある工場に通う勤労者のために便宜をはかる、これはまことにごもっともなことでありまして、今度埋め立ての使命を帯びれば、できるだけそういうようにして、勤務地、職場に近いところに埋め立てをして住宅を建てていきたい、こういうふうに考えております。もう一つ逆の場合がございまして、御承知でございましょうけれども、朝築地の方面に参りますと、あの埋立地に住んでおる人が都電に乗りまして今度は逆に市街地に出ていくというのがたくさんあるわけでございます。こういう人のためには、ただいま私の方で設計しております入王子の付近の日野、ここがほとんど日野ヂーゼルその他の工場地帯になりつつございますので、あそこに住宅地を作ることによって、東京から通っている。あるいは横浜方面から通っているというような勤労者の交通の緩和をすることができるのではないかと存じております。
それからその次に漁業者の安定の問題でございますが、まだ私の方で一度も埋め立てをしたことがないものでございますから、その問題に出つくわしましても私は全く未経験でございますが、しかし私の考えを申しますならば、賠償というものは払い得るだけ払って、その人たちが他の生業に移れるようにするということがわれわれのすべきことではないだろうか、できるだけ値切って、困るようにして漁業権を取り上げるということはよくないことだと私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/19
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020・久野忠治
○久野委員 その漁業権の問題については、もうすでに調査を始めておいでになると思います。これはその地域の条件、環境等によりまして漁業権の内容もおのずと違うと思うのですが、東京都を中心にした東京湾一体の漁業権の支払い条件と申しますか、賠償の条件と申しますか、そういうものについて御調査なさったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/20
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021・加納久朗
○加納参考人 調査しておるかもしれませんが、詳細はまだ存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/21
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022・久野忠治
○久野委員 でき得る限り御善処をお願い申し上げたいと思います。
次に港湾法との関係を少しお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。今回宅地造成を必要といたします地域は、主として港湾区域に入っておろうかと思います。港湾区域に入っておるものは、やはり将来の港湾計画あるいは港湾地帯における工業地帯の造成計画、こういうものとおのずと関連性ができてこようかと思うのであります。そうした点等につきましては、これはその所管官庁との間に当然摩擦も起きましょうし、また意見の食い違い等も起きてこようかと思うのでありますが、これらの点について総裁はどう善処なさろうとなさるのですか、御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/22
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023・加納久朗
○加納参考人 これは建設省それから運輸省及び地方の公共団体、こういうところと十分連絡をとりまして、摩擦のないように任務を果していきたい、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/23
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024・久野忠治
○久野委員 これは十分事前に御連絡をなさるか、あるいはこの法文は簡単なものでありますから、これだけではおそらく解決は困難であろうと私は思います。先ほどの漁業権にしろ、港湾法との関係についてもさらに何らかの法的な措置を講じなければ、この事業を推進する上において支障を来たす場合があるのではなかろうかと私はひそかに心配をいたしておりますが、こういうような法的措置を講ずる用意がおありでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/24
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025・加納久朗
○加納参考人 まだ実際問題に出つくわしませんので、そういう点は私は何にも考えておりません。しかしただいま申し上げましたように、できるだけ摩擦のないように各方面と折衝いたしまして、任務を遂行するようにしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/25
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026・久野忠治
○久野委員 これは総裁にお尋ねするよりも、むしろ政府側にお尋ねをしなければならぬのではないかと思うのです。裁総はまだ何も事実にぶつかっておらないから十分検討してとおっしゃる。ところがもうすでに法案が通過をいたしますならば、事業予算もきめられておるようでありますから、直ちにこれは着工しなければなりません。工事に着手するといたしますならば、私が申し上げましたこれらの問題を何らかの形において解決するような用意を整えておかなければ、早晩これは壁に突き当ると思うのです。だからこそ事前にそういう用意があるかないか、どういう形において解決なさろうとおっしゃるのか、それを私はお尋ねいたしておるのでありますが、一つ政府側の御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/26
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027・町田稔
○町田政府委員 ただいま久野委員が御質問になりました関係機関との連絡でありますが、関係方面と十分連絡をいたしませんと、この事業が所期の目的を達し得ませんことは御説の通りだと思うのであります。港湾計画のある港湾につきましては、この計画に基いて行うようにいたしたいと思うのであります。港湾関係者の御協力をその際は十分得るように努めたいと思います。なお公有水面埋立等につきまして免許料の免除の問題がございますが、これは勅令の改正を要するわけであります。これらの点につきましても関係方面と今後折衝して参りたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/27
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028・久野忠治
○久野委員 これからこれからと言っておられますが、そういう無準備のもとにおいてこういう法案の整備をなさると、大へんな問題が起きてくるであろうと思います。なぜかと申しますならば、主としてこの埋立事業をいたします地域は、ノリの養殖をいたしております。ノリの養殖は三月の終りごろに終りますが、そうすると五、六月ごろにはすでに次の年のノリの養殖の準備をいたすのであります。ノリそだの買い入れだとかあるいはひび立ての材料の買い入れであるとか、とにかくこのノリ養殖事業に必要な材料を、一世帯によって金額は違いましょうが、五万円から十万円くらいの金を出して買い入れをするのであります。この準備がすでに五月から六月に始まろうといたしております。しかるにまだこれから考えてやるのだというようなのんきなことを言っておられますと、漁業者がこの準備を始めてしまいます。そうしたならば漁業権を支払う上にさらに当該年度の損害補償もしなければならぬというような事態に突き当るだろうと思います。だからこそこれは、一刻も早くこれらの諸情勢を解決するための実際的な面を、今のうちから措置をなさらないと、時期おくれになるおそれがあるからということで私は申し上げておるのでありまして、そういうことについて実際に事業遂行に支障のないように御準備なさるお考えであるかどうか、一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/28
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029・町田稔
○町田政府委員 ただいま久野先生からお話のございましたように、漁業権の補償等に関しましては、時期的に早目に準備をいたしますことが大へん必要であると思いまして、それで幸いこれらの関係法律が成立をいたしました際には、なるべく早く着手ができますように、各種の調査その他は事前に十分進めるようにいたしておきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/29
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030・久野忠治
○久野委員 総裁にちょっとお尋ねをいたしたいのですが、そういう際に、本年度の繰り越し財源をこれに充当するということができ得ましょうか。そういう御用意があるかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/30
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031・加納久朗
○加納参考人 埋め立ての場合には、繰り越しである財源のうちから遂行するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/31
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032・久野忠治
○久野委員 まことに満足すべき御答弁でございまして、敬意を表する次第でございます。次にお伺いをいたしたいことは、大体どれくらいの予算規模をもって、三十二年度は水面埋立事業を行わんとしておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/32
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033・加納久朗
○加納参考人 埋立事業をいたしますのに、やはり相当の準備が要るのでございます。地質の検査、測量、それからまたその地勢の上からそれが適当であるかどうかというようなことの準備をいたしますから、おそらく初めの年に要る金は、準備をしてもあまり使えないのではないだろうか、こう思っております。そのかわり初年度に準備を終りましたならば、三十三年度からは本式の埋め立てにかかっていくのではないだろうか、私はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/33
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034・久野忠治
○久野委員 私がお尋ねをいたしましたのは、三十二年度にどれくらいの予算規模の内容で事業に着手されようといたしておるのか、それをお伺いいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/34
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035・加納久朗
○加納参考人 およそ十億円程度までは埋め立てに使ってもいいと思っておりますけれども、しかし実際それだけの金は、正直申し上げまして使えないだろうと思っております。おそらく調査とか測量とか、いろいろな点でもって二、三億せいぜいで今年度は終るのじゃないか、そしてほんとうに着手するのは三十三年度からである、そのときにはほんとうの埋め立ての予算を計上していただく、こういうことになると私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/35
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036・久野忠治
○久野委員 その御答弁は、私はどうもまことに納得が参りません。なぜかと申し上げまするならば、現在水面埋め立てについては各地で公共団体が主体となりまして、すでに計画を進めておるのです。東京都を例にあげて申し上げまするならば、東京都、川崎市あるいは千葉県の一帯、こういう地域において、すでにその地方々々の公共団体が主体になって、先ほど総裁が仰せになりましたような調査、検討、測量、これはすべて終っております。そして資金のめんどうさえ見てやれば、今日ただいまからでも着工でき得るような態勢ができておるのであります。そういう際に公団がまた新しく調査、検討を始めよう、これはまことに奇怪しごくな御答弁です。このような調査が進められておるというならば、むしろ公団の事業計画をこれらの公共団体へ委託することによって事業を進めるということが、一刻も早く住宅政策を進めるということについて妥当な措置じゃないでしょうか。そういう点等について、どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/36
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037・加納久朗
○加納参考人 埋め立ての問題は、法律案が通りまして初めてわれわれの方は具体的に調査を進めるわけでございますので、ただいまから早まってあちこち手をつけるわけに参りません。ただいま久野議員からお話のありました通り、場所によりましてはもうすでに調査がすっかりできていて、地勢その他から見てもこれは住宅地として適当な場所である、こういうふうに私の方の公団できめましたときには、もちろん公共団体にお願いして、すぐにも着手していいと思っております。しかしそれはそういう場合が生じてからの話でありまして、それまではやはり公団の責任として十分調査その他をしなければならないと申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/37
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038・久野忠治
○久野委員 そういう際に、従来計画をいたしておりました公共団体等に事業を委託する場合があろうかと思いますが、そういうお考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/38
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039・加納久朗
○加納参考人 そういう場合もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/39
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040・久野忠治
○久野委員 しからば今年度予想をされておりまする事業個所等につきましても、検討をなさったことがございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/40
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041・加納久朗
○加納参考人 あっちこっちと検討をいたしておりますけれども、決定はどこもいたしておりません。どこもあるだろう、かしこもあるだろうということだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/41
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042・久野忠治
○久野委員 主としてどういう地域でこの事業を行おうと考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/42
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043・加納久朗
○加納参考人 やはり主として入口が一番稠密であって、人口がそこへ集中してくるような工業地の周辺、すなわち公団の考えておりますのは、京浜地区の周辺、それから阪神の地区、名古屋の地区、北九州の地区、こういうところで物色するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/43
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044・久野忠治
○久野委員 最後に一つ建設大臣にお尋ねをいたしたいと思います。新しく業務内容を拡張することによって、住宅公団が水面埋立事業を行うことができるようになる構想について、先ほど来住宅公団の総裁よりいろいろ御意見を伺ったのでございますが、要するにこの新しい事業は、いろいろの困難が伴うことは必然であろうと思いまするけれども、今日の国家的な要請からいきまして、当然やらなければたらない事業であろうと思うのであります。すなわち今回の内閣の重要使命は、予算に盛られたところによりますれば、まず生産力を拡大することによって雇用の増大をはかる、そのことによって国民生活の安定、向上をはかりたい、これがいわゆる三十二年度予算の中に盛られた政府の重要政策の一環であろうと思うのであります。こういう事業を進めるためには、まず生産設備の拡大に伴う工場の新設、住宅の新設が行われなければなりません。ところが従来から工場の新設は、貴重な食糧増産のための田畑をつぶしまして、これを工場用地に充てております。また住宅用地にも充てております。しかもこれに伴う輸送難を克服するために、新しく輸送計画を立てまして、それに対する経費も莫大につぎ込まれておるという実情であります。とのような国家的な要請に沿うためには、一刻も早く距離を短縮でき得る地域、すなわち水面の埋立事業を行うことによってとの要請にこたえることが一番妥当であろう、こういう意味合いから私はこの事業計画というものが出されたと想像いたすわけでございまするが、これについて建設大臣はいかにお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/44
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045・南條徳男
○南條国務大臣 海面の埋め立てによる宅地造成のことにつきましては、ただいま久野委員のお説のように、生産拡充、産業設備の拡大というような面から考えまして最も必要でありますので、海面の埋め立てをいたしまして宅地造成をするということに、このたびの予算でお願いしてあるのでございます。今回の三十二年度予算に、宅地造成で、海面埋立事業のうち、十億ばかり組んでおりますのは、東京の首都圏の関係も含んでおるのでありまして、ただいまのお説のように、首都圏整備委員会におきましては近郊地帯を作りまして、この方面に工場を作って、旧都市には今後はなるべく工場を新設しないという方向によって、首都の旧都市内における人口の増加を防ぎたいというのが構想でありますので、このたびその方向から新しい工場は海面の埋め立てによって宅地を造成したい、今度の住宅公団にもその面の仕事をしてもらおうというので、それらの予算も組んでおるのでありまして、その予算の中には、住宅だけの水面の埋め立てではないのでありまして、工場の宅地の埋め立ての予算も加わっておるわけであります。でありますから、ただいまの久野委員のお説のように、できるだけこの工場についての宅地造成は水面の埋め立てによってしようということは、首都圏整備委員会における意見によりまして、この予算にも盛り込んだような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/45
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046・二階堂進
○二階堂委員 ちょっと関連して。二、三私はこの法律案に関連いたしまして、建設大臣及び住宅公団の総裁にお尋ねをいたしてみたいと思うのでありますが、まず第一は、今回の一部改正法律案のうち、ただいま久野委員からいろいろ御質疑がありましたような点のほかに、今回はさらに住宅用地の造成とあわせて、学校、病院、商店、工場、こういうような施設に必要な宅地を造成して、そしてそれらを賃貸、分譲する、こういうことが改正の要点になっておるのでございますが、私はこの中で、学校の敷地のことについてちょっと意見を申し上げてお尋ねをしてみたいと思うのですが、御承知の通りに住宅公団が集団住宅をあちこち作っております。非常に多くの居住者が一定の集団地域に集まるのでございます。従ってそこに学校の建設という問題が必然的に起って参ります。この学校建設の問題につきましては、私は先々国会のときも、との学校の問題を取り上げてお尋ねをいたしたことがあったのでありますが、今回学校の用地をさらに公団が造成してやるという改正をいたされるようになりましたことは、私は非常な進歩であると思っております。しかしただこの際学校用の敷地を別に公団が用意してやるというだけでは、私は足らないのではないかというふうに考えるのであります。すでに住宅公団が作っておりますあらゆるところの公団住宅には、たくさんの申込者が殺到いたしておるやに伺っております。一たびでき上りますというと、その住宅には何百何千という入が入っていく、従って学校に通う子供もそこに一緒に移っていくわけであります。そういたしますとそれからまた、敷地だけは公団が提供しても、学校は自治体なりあるいは文部省等がいろいろ骨を折って作っていかなければならぬということになります。私は一つの集団地域に集まってくる子供のために、公団の住宅ができると同時に、学校の設備も整うように処置をとることが適当ではないかと思うわけであります。学校の設備がおくれてくると、そこに引っ越してきた家族の子供は一体どうなるのか、私はやはりこれは公団の住宅ができると同時に、学校も同時にでき上るというような措置をあわせて考えていかなければならぬと思う。学校を作る際には、御承知の通り地方公共団体は自分の自己資金を出す場合もありますし、あるいは大かた起債の問題にぶつかるのであります。ところがこの起債の問題等もなかなかワクがあったり、手続が繁雑だったり、これは相当な年月がかかり、期間がかかるおけであります。それらの条件が備わってから学校の建設を始める、家族はみな集団地域に引っ越してくる、そういうことでは私は非常に困ると思うのでありまするが、この改正では、学校の建設も同時にできるということになっておるのかどうか、その点をちょっとお伺いしてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/46
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047・加納久朗
○加納参考人 今の点でお答えいたします。おっしゃる通りでございまして、学校といろものは住宅にどうしてもついてこなければ、そこに人が住むことができないのであります。そこでそこにあります地方公共団体が学校を一緒に作ってくれればいいのですけれども、なかなかただいまのお話のように、財政その他の関係でやってくれません。手が回らない場合がございます。敷地のない場合がございます。そういう場合には敷地を私の方の公団で作って、さらに今年度は今四カ所の学校を認可を得まして作っております。そうして地方団体には、その財政によりまして、あるところは三年、あるところは四年、五年というような年賦で建物を売っておるわけであります。さらに三十二年度は十五カ所の学校を作ることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/47
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048・二階堂進
○二階堂委員 私は非常にけっこうな措置だと思うのでありますが、あとの学校の処分——地方公共団体との間における処分のことでございますが、これは三年ないし四年というふうにおっしゃったのでありまするが、大体土地の造成費とかあるいは金利等を含みますと、相当な価格になると私は思うのでありまするが、大体どのくらいの坪当りの償還価格になるのか、大体の。当がありましたら、一つ教えていたきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/48
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049・加納久朗
○加納参考人 これは公団としては、もちろん利益を見る団体ではないものでございますから、実際のコストでもって地方公共団体に売る、こういうふうにやっております。それからちょっと申し加えますが、学校の場合には、やはり公団の住宅が不燃性でありますように、学校もすべて鉄筋コンクリートで不燃性の学校を、その団地に合うようなのを作っております。もう一つつけ加えますことは、その団地に入った人だけの子弟を入れるということでなしに、その地方公共団体のために学校を作るのですから、作ったあとはその団地の外におる方もそこに通い得るというふうにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/49
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050・二階堂進
○二階堂委員 大体学校の問題は、そういう措置をとっていただけば、実際に即した解決ができると私は考えておるのでございます。なお宅地造成のことについて二、三総裁にお伺いしてみたいと思うのでありますが、先ほど久野議員の質問に対して、宅地造成について相当な繰り越しがあると私は伺ったのでありますが、そうではないのでございますか。さらにお尋ねいたしますが、三十年度の字地約二万戸分、これはもう全部確実に獲得できておるのか、あるいは三十一年度二万三千戸分でありますが、との宅地は確実に獲得できておるのか、手続等は完了しておるのかどうか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/50
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051・加納久朗
○加納参考人 三十一年度分の住宅建設に必要な用地は、すべて獲得してございます。三十二年度までの分承、大阪、名古屋、九州においてはある程度まで獲得してございます。四半期分くらいまで獲得してございます。しかし東京の分が足りないのでございます。東京の三十二年度の分を今急いで獲得しつつあるわけでありまして、おそらく今月のうちに四月以降に取りかかる住宅の分の用地をある程度まで獲得し得る見込みがついておるわけであります。
それからちょっとさっきの御質問にお答えいたしますが、学校の場合の費用でございますが、今大体一校が四千万円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/51
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052・久野忠治
○久野委員 ちょっと関連して。今学校を年賦で地方公共団体に譲るとおっしゃいましたが、一体地方公共団体の財源はどこから持ってくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/52
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053・加納久朗
○加納参考人 半分か何%か存じませんが、文部省の補助金とそれから自己資金、これはやはり起債をいたしまするか、あるいは財源があればその年々の地方公共団体の収入で払っていく、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/53
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054・久野忠治
○久野委員 そういう際に何か、住宅公団が学校建設をやった場合には必ず起債をつけなければならないとか、そういう法律上の規制があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/54
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055・加納久朗
○加納参考人 それは地方公共団体を信用いたしまして、起債でいくとか、あるいは自分の方の財源で年々払っていけるとか、その地方公共団体の個々の財政状態でお話をして契約をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/55
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056・二階堂進
○二階堂委員 今の問題にまた返るのですが、ちょっと関連してお伺いいたします。それは学校建設に対する文部省の補助というものは、私はよく承知いたしておりませんが、私の承知いたしておる限りでは、老朽校舎あるいは災害復旧のための校舎建築というようなものについてはある一定の補助がある、また起債というものも当然つくような形になっておるわけであります。ところが公団が集団的に公団住宅を作って、そこに学校を新しく作るというような場合、これは不正常授業の解消に該当するかどうか存じませんが、災害復旧のための住宅建設でもなければ、老朽校舎の復旧ということにもならないわけであります。またその自治体においては、現在は不正常の解消も必要としない、要求もない、あるいは災害復旧の校舎もないといったようなところに、そういう集団住宅ができて学校ができるというような場合には、文部省の方ではそれらのいずれにも該当しない場合でも補助金を出すのか、あるいは起債等についていろいろ自治庁あたりがむずかしい文句を言うことは往々にしてあるのでありますが、そういうような点についてはどういうふうに打ち合せをしておられるのか、また公団住宅に伴う学校建設については、起債等について建設大臣は自治庁とよく打ち合せをされまして、起債等の許可がおくれることのないように十分の措置をとっていただくことが適切ではないかと考えるのでありますが、このことについて所見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/56
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057・加納久朗
○加納参考人 ちょっと先ほどの御質問につげ加えますが、三十一年度分の、四カ所の学校を作ります場合の地方公共団体の起債でございますが、それは自治庁とすでに打ち合せができております。それから今の、異常に人口がふえて、子供の数がふえたわけですね。急に生まれたのと同じことなんです。そういう場合の文部省の補助の問題は、今度法律を改正して提案されるそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/57
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058・二階堂進
○二階堂委員 先ほど宅地造成の問題で、三十年度はもう全部獲得しておる、三十一年度についても三月末日までには用意ができる見込みだ——済んでおるかいないかわかりませんが、私はいろいろ実際の事務当局の意見を聞いておるのでありますが、必ずしも全部済んでおるようには伺っておりません。なおまたさっき伺いますと、三十二年度の四半期分くらいは宅地の用意もいたしておると言われますが、三十二年度の予算はまだ通っていないのです。それを三十二年度の分まで金を払って幾らか用意しておるということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/58
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059・加納久朗
○加納参考人 二つの点に分けてお答えいたします。三十一年度の分、つまり今月の三十一日までに建設いたします住宅の用地は全部手配が済んでおります。それから三十二年度、すなわち四月一日以降に建てます部分の土地は、これは住宅公団の会計の規則で、次の年度の分まで先に契約し得ることになっておりますので、それで手配して獲得いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/59
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060・二階堂進
○二階堂委員 東京都内に計画されておる公団住宅の用地というものは、もう全部済んでおることになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/60
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061・加納久朗
○加納参考人 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/61
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062・二階堂進
○二階堂委員 私は前の国会の委員会においてもお尋ねいたしたのでありますが、この住宅建設について一番大きな問題は、やはり宅地造成の問題であろうかと思っております。総裁もそのときには、宅地造成に非常に困難を来たしておるから、協力してくれというようなことを言われたほどであります。私はこの宅地の造成については非常に困難があると思うのであります。特に東京都内においても相当な公団住宅の建設を用意されておりますが、用地の問題は、今後困難がさらに加わっていくと思っております。そこで一面においては高度に土地を利用して、高層住宅に持っていくというお考えもあるようでありますが、これはきわめて適切な考え方だと思っておりますが、さらにこの実際の宅地の造成に当りましては、東京都内は土地が非常に少くなってきておるということが一つと、だんだん土地の値段が高くなってきておる。これはさっき久野委員の質問に答えられましたように、土地が非常に高くなってきておるということが一つあるわけであります。そこでこの土地がだんだん高くなりつつあるような今日、その価格を押えるという対策、これも一面必要かと考えております。そこで埋め立ての問題も必然的に起ってくる。これを積極的にやってもらう方法が一つと、また土地ブローカー、不動産屋等が、久野君がさっき申されましたように、大体敷地に困っておるということを十分察知して、あっちこっち手金を打って土地を買い占めておる実情も聞いております。でありますから、そういうようなことに対する対策というものを、政府も当然考えていくべきだと私は思っておりますが、そういうような対策についてどういうふうにお考えになっておるのか。これはむしろ政府当局にお尋ねをいたしてみたいと思います。
さらにそれに関連をして、国が持っている土地、これは都内においても探せばまだあると思っております。先般の委員会におきまして社会党の三鍋委員からもこれについての質問がございましたが、さらに東京都内においても国が持っている敷地あるいは土地が、必ずしも都の中心になくてもいいようなものが探せば相当あると思っております。そういうものは、やはり都の中心をはずして外に持っていって、そういうような国が持っているような施設とか土地というものを 積極的に使うというような施策を当然とるべきであると考えておりますが、こういうような住宅敷地の対策について、あるいは土地の値段が上っていくということについての対策をどういうふうにお考えになっておるのか。この敷地の問題が解決しなければ、幾ら政府が五十万戸作るといっても、あるいは政府供給の建物を約二十万戸建てるといっても、非常に問題が残ると思っております。これに対して積極的にどういう対策をお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/62
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063・南條徳男
○南條国務大臣 ただいまの御質問、まことにごもっともなことでありまして、三十二年度の予算編成の場合に五十万戸の住宅建設ということに踏み切ります際に、これは非常な予定以上の金額であるから、そこで一番問題となるのは宅地の問題だ。それで大蔵省に折衝いたしまして、資材の面もさることながら、宅地の点について大蔵省は一段と考慮する必要があるのじゃないか。それは今お説のような、都内にも相当な坪数の不用の国有財産があるはずだ、これに対して大蔵省は非常に消極的な態度であったが、今度これだけの住宅政策を計画する以上は、大蔵省は積極的にこれに協力をして、そして宅地の造成に当ってもらわなければ困るということを要請いたしました。ところが快くこれを承諾されまして、管財局においては、特にこのたび国有財産の整理につきまして特別会計を作って、宅地造成のために協力する態勢にありまして、この国会にこの国有財産処分の特別会計法案を提出したような次第でありますから、この面においては、十分宅地造成について自信が持てると考えるのであります。一面お説のように宅地が値上りされる。不正なブローカー等による不要の値上りを防ぐ方法はどうかというようなお説もありますが、これらにつきましては、なかなか法律上規制することは容易ではございませんので、さようなものを防止する意味からいっても、この国有財産のような大規模なものを処分いたしますれば、おのずから需要供給の関係でこれらのものが介在する機会もなくなるであろうとも考えますので、今のところは先ほど公団の総裁から申されたように、三十二年度についての宅地の手当は十分ついておりますので、今後三十三年、三十四年というようなことになりますれば、これらの国有財産の処分によりまして、相当数のものが造成されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/63
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064・二階堂進
○二階堂委員 公団の総裁にお聞きしますが、東京都内において宅地の価格の値上りといいますか、これは昭和三十年度から三十一年度、最近こういうものを実際に比較されまして、どの程度上っているとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/64
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065・加納久朗
○加納参考人 場所によってずいぶん違うものでございますから、ちょっとはっきりしたことは申し上げられません。しかし場所によっては五割上っているところもあるのではないかと思います。先ほど申し上げましたように、宅地を作りましたあと二倍にも三倍にも上っているところもございます。けれども、概して市街地でありましたならば、この二年の間に五割以内の値上りと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/65
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066・二階堂進
○二階堂委員 上っておることは事実であろうと思っております。そこでお伺いいたしたいと思いますが、ことしは政府供給の建物が約二十万戸と見ましても、平均三十坪と見ましても約六百万坪ですが、大体そのくらいの用地が必要だということになりますが、そこで公団の機構の問題ですが、現在の機構のままで宅地の処理も十分できるとお考えになっているのか、あるいは先ほど久野君の質問にもありました通り、また今度の法律改正によりますと埋め立ても始める。その他ほかの仕事も始められるわけでありますが、今のような公団の機構では宅地造成が十分間に合わないのじゃないか。私は公団の総裁に対してかれこれ申し上げて苦情を申し上げるつもりではないのでありまするが、非常に公団の事務の能率が悪いのじゃないか、非常におそいじゃないか、こういうことをよく承わるのであります。これは実業界におられる加納総裁でありますから、ほかの役所と同じようにスローと申しましては、はなはだほかの役所には語弊があるかもしれませんが、役所というものは事務的にはスローであります。実際に事業をやっておられたり、経済に明るい総裁は、そういうようなことを打開して、早く事務処理をするというようなことを常にお考えになっておるということでありますが、私が現在伺っておるところ、あるいはまた現在調べて見たところでは、事務的に非常にスローであるという感がいたすのであります。これは相当大きな住宅の開発もやられるわけでありますが、現在のような機構でもって一体置かれるつもりか。あるいは機構を改革されるとするならば、どういうような構想で機構を改革されようと考えておるのかということが第一点。それから第二点には、公庫住宅の特に高層住宅を都会の中心に作るという計画を進めております。ところが公団住宅についてもそういうような方向で進められておる。そういたしますと、宅地の狭いところに同じような方向で住宅建設をする二つの機関があるわけであります。これらの用地を求めることについて、同じ場所を二つのものが探していくというような結果が必然に出てくる。そこで私は、公団の住宅建設については、都会の中心に高層住宅を建てる土地を求めていくことも一つの方法でありましょうが、やや住宅建設の区域を拡張する、こういうことも私は当然考えていかなければならぬと思うのであります。東京都及び神奈川、あるいは千葉県とかいうような都心を中心にした区域だけを探しておるというようなことでなくして、もっと広い地域にわたっても宅地の造成を積極的にお考えになるべきである。それと同時に、交通の施設の面もあわせてお考えになる必要があろうかと思うのであります。この点に対してどういうふうにお考えになっておるのか、この二点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/66
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067・加納久朗
○加納参考人 初めの御質問の新しい仕事をしていくについての機構改革の問題でございますが、まず東京支所で京浜地区を受け持ってやっておりましたのが、来年度からは当初の倍になるわけでございます。そうして神奈川、埼玉が特に大きな部分を持つおけでございます。そこで関東支所というものを四月一日から開設いたしまして、できれば今月からでも予算が通ったらすぐ作りたいと思っております。そうして神奈川、埼玉及び信越を別の支所において取り扱う、こういうことでございます。それから工場の用地の造成及び埋め立ての仕事、こういうものにっいては、別に部または課を作って、そうして新しい態勢に備えたいと思っております。従ってできるだけいい人を、これは主として技術家でございますが、公団の方に採ってやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/67
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068・二階堂進
○二階堂委員 まだ社会党の方の御質問もあるようでありますから、まだお尋ねいたしたいこともありますが、あと一点だけお尋ねいたしまして、またあとの機会に譲ることにいたします。現在空地に家を建てる場合には、木造の場合は面積の三割とか四割、こういうような基準になっておるように伺っております。これは正確でないかもおかりません。これは大体木造建築を対象として考えられたものであろうと思っておりますが、今後のこの住宅は、耐火あるいはブロック、そういうものであります。従ってこういう建築基準法の規定ですか、これは改正さるべきものだと考えておりますが、これは建設省の方にお伺いした方がいいと思いますが、そういうふうな点についてどういうふうにお考えになっておるのかということであります。
それから最後にもう一つ、これは建設大臣に特にお願いしておきたいと思うのでありますが、われわれ保守党におきましても、住宅難解消については、前の内閣以来非常に積極的にこの対策を研究し、なおまた建設戸数の拡張もはかってきたわけであります。ところが鳩山内閣のときの住宅建設の政策も、建設省自体が考えておった戸数よりも、大蔵省が上回った戸数の計画を出してくる。また今度の内閣の住宅建設政策につきましても、建設省自体の考えておる戸数よりも上回った戸数の計画を大蔵省が出してくる。こういうことでは私はいかぬと思う。これでは、最近はどうも大蔵省が住宅省になったような感じを受けるのでありますが、来年度の計画等につきましてはそういうことのないように、建設省自体がもっと積極的に住宅の計画も取り上げて、大蔵省からいわれた戸数をのんでいくというようなことのないように大臣も注意をしていただきたい。これは私の率直な感じでございますので、大臣にお願いを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/68
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069・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 お尋ねの第一点の用途地域における建蔽率の問題でございますが、これは御存じと思いますが、現在は住居地域につきましては六割、商業地域につきましては七割というような原則的な制限になっております。それでお話の御趣旨はごもっともだと思いまして、実はわれわれも目下不燃建築を建てる場合の建蔽率につきましては、具体的に検討を進めております。ある程度緩和するように考えて参りたいと思って目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/69
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070・南條徳男
○南條国務大臣 住宅政策について、建設省よりも大蔵省の方が飛躍的な考えを持っておるのは不都合じゃないか——不都合ということよりも、建設省が少し手おくれじゃないかというお話でございますが、三十二年度の予算につきましても、建設省は国の出資によります住宅の予算を相当額要求したのであります。ところがこの面について大蔵省が削除しまして、民間の自力建設の方の予算と申しますか、民間資金あるいは産業投資等によっての計画を強めたために、その方の戸数がふえたから、そこでいかにも建設省の要求よりも上回ったような感じでありますが、建設省といたしましては相当額の国の予算による住宅建設計画を進めたのであります。従いまして、別に建設省が大蔵省よりもこの住宅政策について消極的だということではないのであります。今後国の予算の許す範囲におきまして、十分建設省におきましてこの住宅予算を増強するように進めたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/70
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071・三鍋義三
○三鍋委員 各委員からそれぞれの御質疑があったわけでありまして、なおこの法案に対しましてはいろいろと質疑がございますが、時間もお昼を過ぎましたので、これを継続して次会に検討させていただきたい。なおこの法案に関しまして所管の農林、運輸両大臣にも次会に御出席願えるような手配をお願いしたい、このように思います。どうか委員長にお取り計らいをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/71
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072・薩摩雄次
○薩摩委員長 承知いたしました。
それでは本日はこの程度にいたしますが、総裁には御多忙中御出席を願いまして、まことにありがとうございました。
なお委員各位にお諮りいたしますが、審査の都合上次回の委員会にさらに総裁の御出席をお願いいたしたいと思いますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/72
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073・薩摩雄次
○薩摩委員長 それでは御異議なしと認めます。御苦労ですが、加納総裁には来週水曜日午前十時もう一度御出席をお願いいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X00519570301/73
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