1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十日(金曜日)
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議事日程 第三十二号
昭和三十二年五月十日
午後一時開議
第一 国際海上物品運送法案(内閣提出)
第二 日本道路公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出)
第三 国有財産法の一部を改正する法律案(内閣
提出、参議院送付)
第四 国有財産特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した案件
議員請暇の件
春闘処分問題に関する緊急質問(淺沼稻次郎君
提出)
美容師法案(本院提出、参議院回付)
日程
第一 国際海上物品運送法案(内閣提出)
日程第二 日本道路公団法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
日程第三 国有財産法の一部を改正する法律案
(内閣提出、参議院送付)
日程第四 国有財産特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、参議院送付)
午後二時二十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/1
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。議員篠田弘作君及び同伊瀬幸太郎君より、中国人の遺骨送還のため、五月十一日から本会期中請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/2
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003・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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春闘処分問題に関する緊急質問
(淺沼稻次郎君提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/3
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004・山中貞則
○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、淺沼稻次郎君提出、春闘処分問題に関する緊急質問を許可されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/4
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005・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/5
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006・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
春闘処分問題に関する緊急質問を許可いたします。淺沼稻次郎君。
〔淺沼稻次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/6
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007・淺沼稻次郎
○淺沼稻次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、三公社、五現業の労働者の春闘に関する不当処分並びに岸内閣の労働政策について緊急質問を行わんとするものであります。(拍手)
政府並びに関係公社は、八日から九日にかけて、国鉄労組、機関車労組七百二名、全電通六十名、全専売六十八名、全逓三十五名、全印刷十名、全造幣四名、合計八百七十九名を解雇、停職、減給、戒告、訓告等の処分に付しました。数においては、戦後、官公労の関係においては最大の犠牲者であります。今回の政府の行動は春闘に対する政治介入であって、われらの断じて承服できないことであり、断固反対をするものであります。(拍手)わが党は、政府がこの処分を即時撤回することを要求するものであります。(拍手)この観点に立って、以下、重要なる諸点について、順を追うて岸総理に質問をいたします。
第一は、党首会談の信義に関する問題であります。申すまでもなく、今回の春闘、特に公労協関係の争議は賃金べースの引き上げにあったのでありまするが、公労協関係の労働組合は、ストライキ権なき組合として、調停委員会に提訴し、調停の結果これをのんだのでありまするが、政府並びに公社側はこれを拒否して、仲裁裁定を求めることになったのであります。仲裁裁定進行中、両者の間の対立が激化し、三月の十六日に公労協の臨時第四波の実力行使が行われることになったのであります。わが党は、事態の重要性にかんがみまして、岸総理と鈴木委員長の会談を行い、第一、政府は仲裁裁定を尊重し、誠意を持って実施する、第二、給与関係の改正案の修正は誠意を持って処理する、第三、責任者の処分については慎重に考慮する、と申し合せをいたしました。この会談には私も立ち会ったのでありまするが、この会談は、対立する二大政党の現実の中で最高レベルにありまするところの党首間の申し合せであります。この申し合せは、尊重され、現実に実行されなければなりません。(拍手)しかるに、仲裁裁定の結果は完全に予算が伴わず、解雇者二十三名を含む八百七十九名の犠牲者を出すに至ったことは、党首会談の信義に反するものとして、はなはだ遺憾であるといわなければなりません。(拍手)
二大政党対立の場合において、憲政運用に関して一番必要なことは、与野党間の信頼であります。与野党間において信頼が裏切られるようなことであっては、政治の運営は円満を期することは断じてできません。(拍手)国会の運営の正常化を期することはできません。本国会の始まった際、国会正常化を申し合せて参ったのでありますが、いよいよ会期の終了となるや、党首会談の信義を裏切って、抜き打ち大量制裁というがごときは、初めは処女のごとく、終りは脱兎のごとき政府並びに与党の態度であって、まさに糾弾をされなければならぬと思うのであります。(拍手)
また、石田官房長官も、わが党の代表との会談において、仲裁裁定が完全に実施され、問題が片づいてから、処分の問題は真剣に考慮すると言明をしております。仲裁裁定は完全に実施されず、現に参議院予算委員会で審議中であります。それにもかかわらず抜き打ち処分を行うということは、これまた政府の言明を裏切るものといわなければなりません。(拍手)さらに、その後、松浦労働大臣は、三月二十三日の実力行使については、その責任は政府並びに公社側にある、と言明をしておるのでありますが、何ら反省するところがございません。(拍手)
そこで、私は、岸総理に対して、党首会談の申し合せ等、二大政党間において話し合ったことについて、その信義の問題についてお伺いをしたいのであります。もし、二大政党対立の場合において、トップ・レベルでありますところの党首間においての決定せる信義が裏切られることになりますならば、もう議会政治は運営からいえばやみにならざるを得ぬと思うのでありますが、これに対する責任ある答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
第二には、政府みずからその非を認めながら反省もせず、ストライキ権を奪った労働組合には、仲裁裁定の規定があるにもかかわらず、これを完全に実施せず、政府みずから労働者の団結権の侵害をなし、憲法違反を犯すところに、日本政治の危機ありといわなければならぬと思うのであります。(拍手)政府みずから憲法を軽視し法律を軽視するところに、これまた日本政治の危機があると感じまして、(拍手)この点に対する岸総理の所信を承わっておきたいと思うのであります。(拍手)
さらに、次は岸内閣の労働政策についてであります。岸内閣の最近の労働政策は反動的であり、反労働者的であり、資本家の労働者に対する搾取を強化する資本家奉仕の政策であると言っても、断じて過言ではございません。(拍手)特に権力をもって労働争議に干渉する姿はますます露骨であって、われらがこの点は断固糾弾をせなければならぬ点であります。(拍手)
さらに、特に、労働大臣は、最近の労働組合の運動は政治闘争であって経済闘争ではないことを呼号し、宣伝をしております。官公労の組合は、その生活条件が国及び自治体の予算に関係があるので、必然的に政治闘争に転化することのやむを得ざる状況にあるということを知らなければならぬと思うのであります。(拍手)また、政府の労働組合に対する政治的介入が続く限り、労働組合運動が政治的闘争へと発展することも、これまたやむを得ないといわねばならぬと私は思うのであります。(拍手)労働組合が本来の闘争である経済闘争を行わんとしても、次から次へと政府の干渉があり、この政府の干渉が争議の拡大生産を行わしめ、ために、労働組合の闘争が、政治的に、政治闘争の中に巻き込まれていく現実を見なければならぬと私は思うのであります。(拍手)現に、今回の処分についても、当事者同士の間においてはその犠牲を最小限にとどめんとしたのでありますが、政府並びに与党の干渉が犠牲を拡大せしめておるということは、争うことのできない歴然たる事実であります。(拍手)このことに、多くの犠牲を強要されてその処理に苦しんだ運輸大臣の、おれの方ばかり犠牲を強要することは、これはひどいじゃないかというこの言葉の中に、運輸大臣の強要された姿がよく現われておろうと私は思うのであります。(拍手)
さらに、今回の国鉄及び機関車労組において解雇された者は二十八名を発表しておりますが、現実には国鉄は十九名であります。さらに機関車労組は四名、合計二十三名であります。あと残った五名は、すでに前の争議のときに解雇されている人たちであります。前の争議のときに解雇されております者を加えて二十八名にしたということは、いかに政府の圧力が強くて、公社が耐え切れなくてとった苦肉の策であると言っても、断じて私は過言でないといわなければなりません。(拍手)また、国鉄公社と国鉄労組との間には、二十三日の実力行使については、公社側がその責任を認めて、労組の責任は追及しない、いわば責任追及の対象としないということで、団体交渉が成立をしておるのであります。しかるに、この成立したものをじゅうりんして、二十三日の政府の誤まれる行動がああいう事態を起さしめたにもかかわらず、これをこの争議の犠牲者を出しまするところの対象としたところに、これまた強要の姿が現われておると言っても過言ではございません。(拍手)今のような反動的な、誤まれる労働政策を堅持する限り、春闘の解決はもちろん、労働争議の解決はございません。
わけても、昨日発表になった公共企業体関係の職員は、公労法によって労働基本権を奪われ、行動の自由を有しない組合であります。この労働者を守るために、公労法においては調停あるいは仲裁の制度が明記されておるのであります。しかし、過去七回にわたって仲裁裁定が行われておるのでありますが、政府は一度も仲裁裁定を完全に実施したことはございません。(拍手)岸内閣も初めは完全実施をするがごとき口吻を漏らしておったのでありますが、現実には完全実施をしておらないのであります。国家活動の源泉たる憲法を守り、法律を守らなければならない政府が、憲法を犯し、法律を軽視して、労働者のみに法律を強要するところに混乱があります。私どもはこれを見なければなりません。この際、私は、政府に対して、国家公務員、地方公務員、公共企業体職員に対し、憲法で保障されたストライキ権を復活する意思はないかということを伺っておきたいと思うのであります。(拍手)
また、最近における政府の反動的労働政策の象徴的なものは、佐賀県教組の幹部の逮捕事件であります。(拍手)四月二十四日、政府は、春闘に対する報復手段として、佐賀県教組本部初め四十カ所の家宅捜索を行い、前委員長中島勇君以下十余名を逮捕し、五百余名になんなんとする教員の取調べを行なったのであります。この事件については、私みずから現地に参りまして調査をいたしましたが、これは、中央、地方を貫いて政府、自民党、検察庁、警察が一体となった計画的な政府の弾圧政策であり、労働組合に対する撹乱戦術であり、日教組に対してテスト・ケースとして弾圧せんとした試みの現われであると言っても、断じて過言ではございません。(拍手、発言する者あり)これは岸内閣の労働者、国民に対する第一の挑戦であります。佐賀県の教組に対する挑戦は、岸内閣の労働者、国民に対する第一の挑戦であるといわなければなりません。(拍手、発言する者あり)今回の大量処分は、まさに労働者と国民に対する第二の挑戦であると私は思うのであります。(拍手、発言する者あり)岸内閣の資本家的性格の露骨なる現われであるといわなければなりません。政府がこの反動的な資本家的労働政策を改めない限り、労使間の紛争、争議はさらに拡大生産が行われていくと私は信ずるのでございます。
この意味において、私は、あらためて、八日、九日の三公社、五現業に対する処分がいかに悪らつであるか、これを明確にして、政府の、その処分の即時撤回を要求するものであります。(拍手)もし政府がその処分を撤回せず、明日から混乱が起きても、それは、労働組合の責任にあらずして、(発言する者あり)断じて政府の責任であるといわなければならぬと思うのであります。(拍手)政府が労働者、国民に挑戦していくとき、私は国民が一体となって総抵抗を試みることもまた当然であるといわなければならぬと思うのであります。(拍手)私は、明日から起るであろう混乱を予想いたしまして、政府に対して、ここに処分の撤回をあらためて強く要求するものであります。総理の真剣なる答弁を承わりたい。(拍手)
最後にお伺いいたしたいと思いますることは、岸内閣の労働政策の貧困は大臣その人を得ないというところにあると思います。(拍手)岸内閣は石橋内閣の延長内閣としてでき上って、閣僚全体、この会期中を通じて、相当試験台に乗せられた者があることは、これはいなむことのできない事実であろうと私は思うのであります。(拍手)この中でも、松浦労働大臣のまじめ性はこれを認めるのでありますが、その識見、抱負、さらに、現在のごとく労働組合が非常な進歩をしておるときにおいては、この人は適任であると言うわけには参らないと私は思うのであります。(拍手)ことに、彼は小資本家出身であるということでありまして、ことごとに小資本家的な発言をなして、労働階級の憤激を買っておることは、皆さんの御了承のことであろうと私は思うのであります。(拍手)ことに、労働大臣の名古屋の放言のごときは、その軽率さを雄弁に物語るものであるといわなければなりません。(拍手)われわれは松浦労働大臣の不信任案を提出することになっておりまするが、政府はその非を悟って、われわれが不信任案を出す前に、総理大臣はその罷免権を発動して辞職せしめる意思はないかということを、この際承わっておきたいと思うのであります。(拍手)
以上の三点について明快なる答弁を承わりたいと思いまするが、答弁いかんによってはもう一ぺんこの壇上に立つことをお許しあらんことを切望いたしまして、一応私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/7
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008・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 淺沼君の御質問に対しましてお答えをいたします。
今次の春闘に対する政府の方針は、かねて声明いたしました通り、私どもは、こういう闘争ができるだけ労使双方の話し合いによって円満に妥結することを望みまして、従って、民間の事業に対しては、労使双方の話し合いに対して政府が介入しないことはもちろんのこと、これが法規その他に違反しないように、その反省を求めました。また、公企業体や公務員につきましては、これはその行うべき事業の内容や職務の上から申しまして特殊の意義を持つがゆえに、公労法等の制約を受けておることは、御承知の通りであります。従ってこの法規に違反しないように——法規を無視し、法規に違反する場合においては、その職務の重大なるにかんがみ、政府はこれに対して厳然とした態度をとるということを明らかにいたして参っておるのであります。(拍手)
しかして、今回の、いわゆる三公社、五現業の公企業体の争議につきましては、これが国民経済に及ぼすことの重大な影響や、国民一般の生活に及ぼすところの影響の重大にかんがみまして、私どもはこれが特に円満に妥結されることを望み、三月十五日に鈴木委員長と私とが会談をいたしまして、この件の円満処理について話し合いをしたことは、今淺沼君の御質問の通りであります。しかしながら、その内容につきましては、これは淺沼君自身がお立ち会いになりましたから、よく御承知であると思いますが、私が、第一に、政府は仲裁裁定を申請し、その仲裁裁定はこれを誠実に誠意をもって尊重し、その実現をはかるということは——誠意をもってその実現をはかるということは、言うまでもなく、仲裁裁定の内容を完全に実現するということであります。しこうして、この意味におきまして、すでに衆議院を通過いたしましたこの追加予算は、その内容を盛っておるものであります。(拍手)
しこうして、その際の処分については、犠牲者を出さないようにという強い要望が鈴木委員長から私になされたことは事実であります。しかし、私はその要望をただ承わっておくにとどめたのであります。決して、私は、これを処分しないという意味におけるお約束はいたしておりません。(拍手)この点は淺沼君自身よく御承知のことと思います。
私は、そういう意味におきまして、今回この問題を処理するにつきましては、あくまでも、一面において政府のなすべきことを忠実に実現する、しこうして、一面、行き過ぎや、あるいは法規に違反している者については、その責任を明らかにして、将来かかる事実を発生せしめないように、また、その企業自身が国民経済や国民生活に悪影響を及ぼさないように、国民から信頼されるようにするために努力しなければならぬと思っております。(拍手)
処分の時期についての政府の言明を裏切っているというお話でございましたが、政府はそういう言明をいたしたことはございません。
岸内閣の労働政策について、いろいろ御批判があり、御質問がございましたが、言うまでもなく、健全なる労働運動及びその中核をなす組合運動は、これが発達を期すべきことは当然であります。しかしながら、組合運動や労働運動が、その本来あるべき姿を逸脱して、そして、特に公企業体のごとく国民生活や国民経済に重大な意義を持つものにおいて、そういう行き過ぎがあることは、私は許されないと思う。(拍手)あくまでも健全なる姿において、これが発達を企図しなければならぬと思います。しこうして、私どもは、いかなる意味におきましても、健全なる労働運動や組合運動を弾圧する意思は持っておりません。(拍手)
公労法におけるストライキ権を認めろという御議論につきましては、私は、組合運動が健全に発達した場合におきましては罷業権も全部持つことが相当であると思います。しかし、遺憾ながら、現在の公企業体の組合の実情に照らしましては、私はストライキ権の復活をするには適当な時期でないという考えでございます。(拍手)
佐賀県の教組問題についての御質問でございました。その詳しい内容は所管の大臣より申し述べますが、私どもは、いかなる意味におきましても、今御指摘にありましたような一つの弾圧の意思を持ってこれに臨むことは全然考えておりません。(拍手)
従いまして、以上のような意味において、今回の処分は、公企業体におきまして、公社におきまして、いわゆる企業当局において、慎重にこの検討をいたしました結果、こういう処分が発表されたのでありまして、従いまして、政府としては、これを撤回し、もしくは撤回せしめる意思は持っておりません。
また、労働大臣の発言につきましては、すでに予算委員会等において遺憾の意を表明いたしておりまして、私は今日労働大臣の罷免の意思は持っておりません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/8
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009・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 淺沼君から再質問の申し出がありますから、これを許します。淺沼稻次郎君。
〔淺沼稻次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/9
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010・淺沼稻次郎
○淺沼稻次郎君 今、岸総理大臣の答弁を承わりましたが、納得のいかない点が一、二ありまするから、再質問をいたしたいと存じます。
第一は党首会談に関する問題でありますが、私も立ち会ったことは事実でございます。従いまして、私どもは、立ち会ったあと、新聞にも発表しておりますが、きょう、実は、演説をやる前に、こういうような問題については、やはり話し合ったことが完全につかめておらないというと、あとに疑義を残すと思いまして、わざわざ私は当時の新聞を三つ四つ取り寄せて内容を点検いたしまして、そのことを私は申し上げたのであります。(拍手)今、岸総理の話によりますと、どうも慎重なる考慮を払うと言ったことはないと言っておるのでありますが、新聞にはみんな書いてあるのでありまして、もしそうだとすると、言論機関の虚偽になるということであります。私は、やはり、われわれの感じたことを新聞がよく裏書きしておると思うのであります。
それはまあそれといたしまして、この党首会談は、いわば、二大政党対立の場合において、一番トップの人が話し合うのであります。トップの人が話し合ったものに対して、お互いが疑義を持つ、内容にも責任を持たないということになりまするならば、もう二大政党対立の意義というものは失われたと言っても私は過言ではないと思うのであります。(拍手)
さらに、この問題につきましては、憲法の問題を中心といたしまして、岸・鈴木会談が行われました。そのときは私は加わっておりませんけれども、あとから報告を伺ったところによりますと、仲裁裁定については完全に実施するということを時折強調されておったということも承わっておるのであります。こういうようなわけでありまして、過去のことをこれ以上追及してもいかぬと思いますが、いずれにしても、二大政党対立の場合において、党首間で話し合ったものは、あとで疑義を残さないように、お互いがそれを実行するという慣例だけは作っていきたいものであるということだけを、私は申し上げておきたいと思うのであります。(拍手)
それから、もう一つ申し上げたいと思いますることは、弾圧はやっていないと言う。しかし、佐賀県における事態だけを考えてみましても、佐賀県に起きた事件は、二月に起きた事件であります。しかも、それは、大会を開いて、合法的に公開の席上できめた。実行したのも二月であります。二月にきめて二月にやった。それを四月になって検挙しておる。それはなぜであるかといえば、全部本庁との打ち合せを済ませておいて、これならばということでやっておるのでありまして、明らかに日教組弾圧の現われ、いわば日教組に対する政府の弾圧の現われであったということは、少しく調査してみるならば、よくわかることであろうと思うのであります。(拍手)まあこれは文部大臣から答弁ということでございましたが、文部大臣の答弁は、私は委員会において詳細にまた質問をするということにいたしますから、文部大臣からの答弁は要りません。総理は大きな弾圧行為がそれぞれの部署において行われておるということだけは知ってもらわなければならぬと思うのであります。(拍手)
さらに、ストライキ権に関する問題でありますが、三公社、五現業、これらの公企業体というものは、ストライキ権をとられて、その上に調停、裁定の制度が設けられておるのであります。従って、憲法で保障されましたところのストライキ権がとられておるのでありますから、調停、裁定が行われたときには、政府が完全にのむことが、私は当りまえであろうと思うのであります。(拍手)奪う方は奪っておいて、やる方はやらないということになりますると、政府みずから憲法を軽視し、さらに法律を軽視する姿がどうしたって現われてくるのが現実でありまして、(拍手)まことに聡明なる総理大臣としても、この現実は無視するわけには参らぬと私は思うのであります。従って、政府の行為の中には、憲法で保障されたる労働者の団結権、団体交渉権、ストライキ権に対する侵害が行われておるのでありますから、この侵害をやめるようにし、そして、ストライキ権を与えるようにするということは当然であろうと思うのでありまして、この点については、もう一度私は答弁を願いたいと思うのであります。
以上申し上げまして質問を終りまするが、岸総理にいたしましても、総理大臣になられた当初は、非常に物事を合理的に考えられ、合理的な答弁もされました。しかし、最近になりましてから、少しく私は昔の形が出てきたのではなかろうかと思うのであります。(拍手)いわば、イギリスに対して松下さんを原水爆の反対のために送っておきながら、核兵器は受け入れてもいいといったような矛盾をやるところに、岸内閣の反動性、矛盾性があるということを指摘しまして、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/10
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011・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 二大政党下におきまして、両党首が会って話し合いをしたというような場合におきましては、事はきわめて重大でありまして、お互いが信義を守り、信じ合って、この会談の結果を誠実に実現するということは、淺沼君の御質問の通り、私もそう考えておるのであります。(発言する者あり)私自身が——今回の問題に関して、これはいろいろな御議論があるかもしれません。御議論があるかもしれませんが、私どもが誠心誠意をもって仲裁裁定の内容を完全に実現するという意思で(発言する者あり)この予算を提案したことは、予算委員会その他におきまして私どもが詳細に御説明を申し上げた通りであります。(発言する者あり)
それから、佐賀県の事態は、これは、私どもも、事態としてああいうことになることは、ことに教員組合であるだけに、非常に遺憾に考えます。しかし、このいきさつを考えてみますると、佐賀県の教組の今回とりました態度は、確かに教員の本来の使命にもとっておるのみならず、教員組合の本来のなすべきことからはずれておるということは、これは広く世の人が認めておる次第であります。今、これが果して法律違反として法規の処罰を受けるかどうかは調査中でございますから、その結論は申しませんけれども、しかし、一般にこの事件が良識ある世人から非常に非難を受けておる、行き過ぎであるということは、私は間違いのない事実であると思います。(拍手)決して私どもは特に意図を持って弾圧を加えようとするものではないということを重ねて申し上げます。
公共企業体の組合にストライキ権が認められておらない、それであるから調停や仲裁裁定の方法がこれにかわる最後のものとしてきめられておることは、御指摘の通りであります。しこうして、過去の実例が、あるいは仲裁裁定が完全に実現されておらないじゃないかという非難に対しましては、それは確かに従来のなににつきまして完全にしておるとは、私もこれを弁護はいたしません。しかし、今回われわれのとりました措置は、仲裁裁定の趣旨を誠実に実現をしておると私は信じております。こういう意味において、党首会談における私どもの申し合せにつきましては、あくまで信義をもって、また将来もそうでなければなりませんが、守っていくということにつきましては、私は何らもとっておらない、こう考えております。(拍手)
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美容師法案(本院提出、参議院回
付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。参議院から美容師法案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/12
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013・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
美容師法案の参議院回付案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/14
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015・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
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日程第一 国際海上物品運送法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、国際海上物品運送法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長三田村武夫君。
〔三田村武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/16
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017・三田村武夫
○三田村武夫君 ただいま議題となりました国際海上物品運送法案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知の通り、一九二四年ブラッセルで署名されました船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約が今国会におきまして批准される運びとなりますので、これを国内法として立法化する必要があるのであります。
すなわち、本案は、現行商法の特例法として、右条約の趣旨にのっとり、国際的海上運送における船主の責任を軽減するとともに、船荷証券に関する関係人の利害を調整し、もって船荷証券の国際的価値を高揚し、わが国における海運界の伸展に寄与せんとするものでありまして、海上運送人の責任を軽減するにつきましては、船舶の航海に耐える能力を保持する責任が、従来無過失責任であったものを、過失責任に改め、また、運送品の損害については、原則として一梱包または一単位につき十万円を限度としてのみ賠償責任を負うこととした等がおもな点であります。また、船荷証券に関する関係人の利害の調整につきましては、船荷証券に運送品の種類及び数量を記載する際、荷送人には書面による通告を正確にしなければならない責任を負わせ、他方、運送人には原則としてその通告に従って記載しなければならないもの等とし、もって船荷証券の信用を高め、その流通を容易ならしめようとするのであります。
本法案は、去る四月六日当委員会に付託せられ、同十二日政府より提案理由の説明を聴取し、自来慎重審議を重ねて参ったのでありますが、質疑の詳細につきましては会議録に譲りたいと存じます。
かくて、五月七日質疑を終了し、討論に付しましたが、別に発言もなく、採決に入りましたところ、本案は全会一致をもって政府原案通り可決いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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日程第二 日本道路公団法の一部
を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/19
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020・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第二、日本道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事荻野豊平君。
〔荻野豊平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/20
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021・荻野豊平
○荻野豊平君 ただいま議題となりました日友道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、本改正案のおもなる点について申し上げますと、新たに日本道路公団の行う業務といたしまして、第一には、高速自動車国道の円滑なる交通を確保するために必要な休憩所、給油所その他の施設で政令で定めるものの建設及び管理を行うことができるものとすること、第二には、建設大臣の認可を受けて高架の有料道路の新設または改築と一体として建設することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を当該道路の新設または改築に伴い取得した土地に建設し管理することができることとし、また、委託に基いても、これらの施設を建設することができるものとすること等を加えますとともに、これらの業務を行う場合の基準を政令で定めることといたしたのであります。
本案は、去る四月五日本委員会に付託せられ、五月八日に至る間、慎重に審査いたしたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
かくて、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/21
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022・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/22
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023・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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日程第三 国有財産法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第四 国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第三、国有財産法の一部を改正する法律案、日程第四、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長山本幸一君。
〔山本幸一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/24
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025・山本幸一
○山本幸一君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果について簡単に御報告申し上げます。
まず、国有財産法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、国有財産の管理及び処分の適正を期するため、大蔵本省及び各財務局にそれぞれ国有財産中央審議会または国有財産地方審議会を設けるとともに、国有財産の境界の確定に関する規定を設けようとするものであります。
次に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、住居の用に供せられている国有の建物で、保安上危険なもの、その他その管理が困難なものにつきまして、地方公共団体がこれを取りこわして、その敷地に第二種公営住宅を建設し、これに取りこわした建物の居住者を収容しようとする場合には、その地方公共団体に対し取りこわすべき建物を譲与するほか、公営住宅の建設に必要な国有の土地を減額譲渡することができることといたそうとするものであります。
右両法案につきましては、去る八日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって両案とも原案の通り可決いたしました。
なお、国有財産法の一部を改正する法律案については、社会党の横山委員より附帯決議が提出され、これについても採決いたしましたところ、全会一致をもって可決いたしました。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/25
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026・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/26
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027・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
午後三時十分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 中村 梅吉君
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
農 林 大 臣 井出一太郎君
運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
労 働 大 臣 松浦周太郎君
国 務 大 臣 大久保留次郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 足立 篤郎君
厚生政務次官 中垣 國男君
運輸省鉄道
監督局長 權中田 良彦君
労働省労
政局長中 西 實君
建設政務次官 小沢久太郎君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X03919570510/28
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