1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十七日(水曜日)
午前十一時三分開会
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委員の異動
本日委員石原幹市郎君及び堀木鎌三君
辞任につき、その補欠として最上英子
君及び横川信夫君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 戸叶 武君
理事
江藤 智君
木島 虎藏君
三木與吉郎君
大倉 精一君
委員
植竹 春彦君
後藤 義隆君
成田 一郎君
平島 敏夫君
相澤 重明君
柴谷 要君
中村 正雄君
松浦 清一君
加賀山之雄君
高良 とみ君
森田 義衞君
市川 房枝君
岩間 正男君
国務大臣
運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
政府委員
運輸省鉄道監督
局長 權田 良彦君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
日本国有鉄道常
務理事 藤井松太郎君
日本国有鉄道常
務理事 石井 昭正君
日本国有鉄道経
理局長 久保 龜夫君
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本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/0
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001・戸叶武
○委員長(戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。
委員の変更について報告いたします。三月二十七日堀木鎌三君辞任、横川信夫君補欠、石原幹市郎君辞任、最上英子君補欠選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/1
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002・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のおありの方は順次発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/2
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003・相澤重明
○相澤重明君 昨日に引き続いてこの際少しくお尋ねをしてみたいと思うのです。それは国鉄の経営管理の点について若干お尋ねをしたいと思うのですが、経営の健全化ということは、何といっても国民の最も期待をしておることでありますから、まず、国鉄の経営の健全化について、所管の責任者として運輸大臣はどういうふうにお考えになっておるか、その所信を御披瀝願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/3
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004・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 国鉄は、国鉄の経営調査会で国鉄の今後のあり方についていろいろ御調査を願いまして、大体御承知の通り成案を得まして、それに基いて昨年末から今年にかけて機構の改革も行いまして、一通り内部の整備を行なって、そうして国鉄の本来の使命を完遂するように態勢を整えたところでありまして、新しく出た五カ年計画とともに、一つ予算の成立とともに新しい意気込みをもってこれから出発していこう、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/4
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005・相澤重明
○相澤重明君 ただいまの大臣の所信の表明がありましたが、まず第一に、経営管理については、特に国民世論の上からも、綱紀の粛正ということが、いわゆる岸内閣の重要な国民に対する考え方の表明もあったと思うのでありますが、運輸大臣として、綱紀粛正については、どういうふうに今後具体的に実行に移されていくか、この点についてお尋をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/5
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006・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 綱紀粛正の問題は、岸内閣といたしましても、一つの重要施策になっておりますが、これを具体的に一つ一つ進めていかなければならぬこともちろんでありまして、国鉄に関しましても、今世間の問題になっておりまするいわゆる民衆駅を中心とする問題、あるいは国鉄の固定資産のうち、その利用についての問題、またそのうちの一部の賃借についての問題等たくさんありまして、しかもまた、工事の請負その他に関しても、いろいろの問題が決算委員会その他を通じて御指摘をこうむって恐縮しておるのでありますが、この大きな広範な組織の上でありまして、やはり何といっても抽象的ではありますけれども、国鉄職員以下の気持の持ち方を改めていくということがもう根本であろうと思います。その点につきましては、十河老総裁のもと、相当そういう方面に一つ力を入れているのでありますから、具体的一つ一つの問題といたしましては、一番最近問題になっておるガード下の問題からまず手を染めたい。これは従来のような行き方でなく、ほんとうに少し具体的に成果を上げるように、来月早々から委員会の発足をいたしまして、一つそれをお手本にやっていくような気持でやって、それから順次各方面に及ぼしていきたいと思うのであります。また、工事量の増大に伴いまして、この発注その他の関係につきましても、やはり業者として、単に注文を受けて利益をおさめていくという、むろん私企業でありますから利益は大切でありますが、国鉄の仕事をしていくという意味では、私企業であっても、やはり公共的な心持をもってもらわなければならない。それらにつきましては、国鉄当局者も新年度の出発に当って、業者の協力を得て一つ新しい気持をもってやっていくようなことを始めたい、こう言っております。それらの点を勘案して、一つ今後のこの委員会における皆さんの御質疑の御趣旨を体して、少しあらためてやっていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/6
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007・相澤重明
○相澤重明君 ただいま運輸大臣から綱紀の粛正について抱負が述べられたのでありますが、十河国鉄総裁にお尋ねをしておきたいと思うのであります。これは昭和三十年度決算検査報告——会計検査院から提出されておる文書でありますが、その中の国有鉄道の経営管理の問題について、土地建物等、固定財産の管理運用について、この中で、今大臣のお話のように、昭和二十八年度以降、諮問機関として新たに民衆駅等運営委員会、土地建物等評価委員会を設置し、また二十九年三月以降、固定財産の管理に関する諸規定を改めるなどして改善に努めている。しかし、会計検査の結果によると、土地建物等の部外使用料の決定に当り、二十九年度において料金額の増額改訂を緩和して、次年度以降に漸増することとしたものを三十年度にそのまま据え置いた、処分価格の決定が適切でないもの、こういう事態を生じたものがあったということが、調査の結果明らかになっておるのでありますが、今大臣の言われたように、大臣としては、就任早々ではあるけれども、非常に御努力されておる考え方が御発表に、なったのでありますが、国鉄当局としては、この諮問機関をどういうふうに運営をしてきたか、その結果を御発表を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/7
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008・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 民衆駅等運営委員会につきましては、まず民衆駅基本方針、それからまた民衆駅をいかなる場合に、どういう基準の場合に承認するかという基本方針をきめていただきまして、それから次に、この固定財産の管理の基本方針、これをきめていただきまして、そうしてしかる後に今度は、個々の懸案となっておりますケースにつきまして一々御審議を願いまして、その後決定に基いて、私どもの方としては、民衆駅運営委員会の御結論の趣旨に沿った措置をいたして参っておるわけであります。
それから土地建物等評価委員会につきましては、これは東京と大阪に設けまして、具体的に各土地建物等の評価をやっていただきまして、これは特にそういう方の専門家の方々を御委嘱申し上げておるわけであります。その御決定に基いて、二十九年度の土地建物の使用料を決定いたしたわけでございます。その決定に当りまして、非常に急激な変化をいたすものもございまして、いろいろ業者の方からは、まあそれは上げる理屈はわかるけれども、いかにもひどいじゃないかと、四倍にも五倍にもなり、はなはだしきは十倍にもなるというのは、理屈は合うけれども、社会慣行に反するんじゃないかというようなお話もございました。中には、申し上げるのもいかがかと思いますが、不払同盟というようなものまで結成して、非常に強硬に反対になっておる向きもあります。しかし、私の方といたしましては、あくまで土地建物等評価委員会の決定をしていただいたのを逐次ぜひいただきたいと、こういうふうに考えておりますが、やはり既得権というものはある程度考えなければならぬということで、いろいろ御相談申し上げて、結局段階をつけて、逐次上げて最終的には最初決定された料率まで持ってくるというのが一番時宜に適しているのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/8
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009・相澤重明
○相澤重明君 ただいまの常務理事の御発言で、それぞれの委員会において、あるいは運営規則等も作って万全を期してきたという御発言だと思うのですが、具体的に、たとえば民衆駅等運営委員会は何回くらい持たれて、どういう事項を扱ったか、あるいは土地建物等評価委員会は何回くらい開催をして、どういう事項を扱ったか、で、その中に、今の不払同盟を作ったような地域があると言うが、そういうものはどういうふうになっておるのかという点を、これは今すぐお答えできればけっこうですが、できなければ、突然ですから、あとで資料でお出し願ってけっこうですが、もしおわかりになったなら御報告をしていただきたい、こう思うのです。無理に今でなくてもよろしいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/9
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010・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいま手持ちの資料におきましては、ごく抽象的なことしか、概略的なことしかお答えできないと思いますので、お話の点は記録が詳細に取ってございまするので、後刻資料として差し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/10
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011・相澤重明
○相澤重明君 ただいま私の申し上げたのは、なぜそういうことを申し上げたかと言いますと、運賃の上る反面において、やはり国鉄が十分にいわゆる利用者の立場を考えて資金というものを使っておるか、あるいは国鉄財産について正当な管理が行われておるか、こういう点について非常に関心を持たれておりますから、誤解のないように、また正当な立場で使用されるように私どもも期待をしておるわけです。従って、そういう点については、今まで非常に国鉄の、とかく今申し上げたような事項についてはよくどうもわからぬ、どうもそういうところがくさいのじゃないか、こういうようなことを言われることはまことに残念だと思います。従って、できればそういう点を明らかにして、正当な使用、あるいはこの成果というものを上げていただきたい、こういうふうに思うわけです。
次に、これは特に今後のやはり料率等の改訂等を含むというと問題になろうと思いますからお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、重要路線におけるいわゆる何と申し上げますか、急行列車等には食堂車が連結をされておると思うのであります。この食堂車のいわゆる貸与料と申しますか、こういうものについて、今まではどういうふうにして、参ったか、あるいはまたこれが特に一般から言いますというと、非常に貸与料が安いというふうなことが言われておるが、それについて今後当局としてはこれを改善をする考えでおるのかどうか、こういう点についてお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/11
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012・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 急行列車等の食堂車を連結いたしますのは、これはいわゆる旅客の利便をはかって、御承知のように、急行列車等は停車駅も少く、かつ停車瞬間も短かいために、しかも、長距離の旅客が多いわけです。食事の御便宜をはかるというのは、これは鉄道の旅客輸送の使命だと考えております。これは各国ともそういうサービスをしてやっておるわけであります。これは諸外国におきましては直営で、鉄道の経営体自体がやっておるところもございます。何分にも特殊な業態でございますので、私どもの方は適当な業者を選定いたしましてこれにやらしておるということでございまするが、そういう関係でございまするので、実は食堂営業というものは、率直に申しますと、あまり収益の高い営業ではないのであります。と申しますのは、ああいう移動された、非常にこまかな制約されましたところの設備でもって、相当各種の料理等も調製しなければならない、しかも、地域的に非常に分散して、東京から鹿児島までいわゆる店舗と申しますか、そういう派出所的なものを持って、しかも相当長距離、人件費も相当ほかの場合よりもかかりますし、いろいろそういう設備上の問題がある。しかしながら、差し上げます料理等につきましては、これはやはり国民感情として、動いているところで乗っておって食べるのだから仕方がないというような利用者のお気持はございません。やはりどこで食べたのも同じような値段で、同じようなおいしいものが食べられるということが御希望でございますが、これはまた無理からぬことだと思う。そういうわけで食堂営業自体につきましては、あまり収益性の高いものではないのでありますが、しかしながら、やはり乗客の利便上ぜひこれは良好なサービスを提供してもらいたいというのがわれわれの念願でございます。従いまして、営業料金の算定につきましては、私どもはこの食堂設備に対する資本、利子、減価償却を回収するという建前で計算しておりますが、ただ線区によりましては、非常に利用の多い線もございますし、また線区によりましてはあまり利用の高くないのもございます。そういうものも勘案いたしますと、これを定額的に取るよりは、売り上げに、大体見合って、それに比例して取っていく方が妥当ではなかろうかと、かように考えて、ただいまのところは、食堂車料金といたしましては、構内営業料金の一種といたしまして、別の料金制度で定める、売り上げ料金の千分の三十を徴収しているわけであります。私どもといたしましては、最近旅客もふえておりまして、食堂営業もやや利用者が増しておるようでございますので、この際料率の改訂をいたしたいと考えておりますが、しかし、一面またできるだけ、御承知のように、食堂はまずく、しょうがないというようないろいろ旅客の御苦情を拝聴しております。われわれも機会あるごとに改善を監督いたしますし、また厳命もいたしております。そういう意味からいいましても、この際料率を高くするよりは、なるべくサービスの向上に持っていって参りたいという気持もございます。しかし、相当収益もふえて利用者もふえておりますし、かたがた私どもも雑収入の増加という点を考えて、来年度からはさらにこの料率を一段上げて参りたい、こういう考えは持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/12
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013・相澤重明
○相澤重明君 ただいまのお話で食堂車の使用料は千分の三十といいますと、十万円の場合に三十円ですか、そういう計算になりますね。十万円の売り上げがあって、しかも、一車買い切りで三千円で使えるということは、これはなかなか普通の計算ではちょっと出てこないと思うのですが、まあ料率改訂をお考えになっておるようでありますから、特に国鉄が電車もふやさなければならぬ、あるいは客車もふやさなければならぬという時期に、やはり食堂車は旅客の便利をはかっておるわけでありますから、そういう点については十分一つ調査をして、そうしてこの使用料というものは適正なものであるかどうかということをやはり私は、検討する必要があるだろう。中には、この前の衆議院の方でも一時両国国技館の問題が論議をされて、くしカツの問題が出たようですが、やはりこの食堂車に乗ってみても、今必ずしも常務理事が話しておるように、旅客がこの食堂車は非常によろしい、こう言って食べておるものばかりではないと思う。私どももときどき利用してみると、比較的にもうおれたちが売ってやるのだというような考え方を持っておるのがおる。中には、全くホームで買った方が安いというのがある。こういうふうなものもやはり単に使用料さえ取っておればいいんだというようなことでは、国鉄当局者の責任というものは済まぬのではないか、こう思いますので、こういう点について、今後どういうふうに具体的にあなた方はこれを行うつもりであるのか、その点についてお尋ねをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/13
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014・石井昭正
○説明員(石井昭正君) まことに適切な御意見でございまして、私どももぜひ、旅客の皆さんに喜ばれる食堂サービスを提供するようにいたしたい、かように考えているわけであります。昨年の改正に当りましては、今までの業者以外に都ホテル、新大阪ホテル等、新しい、新規業者を加えました。まあお互いにサービスの競争をさして参るということも一つの適切な方法だと思っております。幸い、今までに聞きしました範囲におきましては、結果として、各業者とも今までより一そう真剣にサービスの向上をはかっておるようでございます。なお、私どもはこれを機会に各業者から、その食堂の運営の基本方針、あるいは従事員に対するサービスの訓練等につきましても、どういうふうにやっていくかということをチェックする方法をとりまして、全部各業者から、それぞれいろいろの規定なり、あるいは監督のやり方等も徴して、これの検討もいたしております。なお、われわれとしては、私どもが乗ったという場合において、監督者が乗ったという場合においてのみ、そのときだけお体裁のいいことをするということもいけないので、各界の方々に御委嘱をして、いわゆるモニターという制度を作りまして、一般の一乗客の方、まことに普遍のお客さんとして入っていただいて、その御感想を見ますと、いろいろの点の御指摘をいただいて、何月何日のどういう列車では、どういうふうなサービスだというような、具体的な御報告をいただかしていただいて、それに基づいて厳重な注意をするという方法も講じて参っております。いろいろ適切な御注意をいただいております。この点もよく業者に通達いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/14
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015・相澤重明
○相澤重明君 次に、運輸大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、今回の料金の、いわゆる国鉄運賃の引き上げ、あるいは各項目に従うところの改訂に伴って、いろいろ等級等もきめてあるわけですが、特に私は国民の義務として、今日まで、戦後教育の問題は、非常に国家的な政策の中で重要視されて参りました六三制の問題があるわけですが、特に小学校、中学校等の児童に対する輸送、あるいはまたこれらの輸送に対するところの料金という点については、政府でも非常に関心を持たれておったと思うのでありますが、中学生等の輸送について、当局側としてどういうふうに具体的にお考えに今までなっておったか。たとえば団体輸送をする場合の料率というものは、どういうふうに割り引いたのか、あるいはおとなと子供の中間の料金というものを、どういうふうに今後改訂をしていく考えでいるのか。少くとも国定の義務として教育を行うわけでありますから、そういう人たちに対しては、国家的な政策の中で運賃料金というものをきめてやるべきものである、こういうふうに考えているのでありますが、所管大臣としての運輸大臣のお考えをお導ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/15
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016・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) この中学生の通学の問題と、今の春季の団体旅行、これは従来のしきたりをそんなに変えないで、今まで通りと思っておるのですが、これは国鉄の方から一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/16
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017・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 学生の輸送につきましては、いわゆる通学輸送、団体輸送と二つございます。これにつきましては、新制中学、今の六三三制への改正によりまして、何と申しますか、義務教育の方の、いわゆる列車通学ということが非常にふえて参ったのでございます。これは各地方に出てきた現象でございます。これらにつきましては、私どもといたしましてば、できるだけ通学時間に有効な列車を配置する、あるいはそのために新駅をいろいろ開業をした例も相当ございます。そういうふうにしていろいろ御便宜をはかっておる次第でございます。料率につきましては、御承知のように過去におきましては十才まででございましたか、そういうふうになっておりました。小学校の上級生からおとなの運賃をいただいておったのでございますが、この点につきましては、戦争中であったかと思いまするが、これは小学生にはほとんど全部小人運賃で参るというふうにいたしております。これは各国の例をとりましても、一番何と申しますか、ゆるやかな例でございまして、私どもといたしましては、取扱い上の便宜も若干ございましたが、その上にただいまの御趣旨を体してやっておるということに相なるかと思っております。これも今回はそのまま継続いたしたいと思っております。
なお、そのほかに御承知の学生割引、いわゆる個人旅行の場合の学生に対しまして五割引をやっております。これは国鉄だけ五割引で、私鉄の方はたしか二割引だったかと思っております。これも戦前は御承知の通り全部二割でございましたが、非常に高率な割引でございます。これも学生の修学、研究等、あるいは帰省等の便宜をはかっておるわけでございまして、これらの点につきましては、私どもといたしましては相当大きな財政収入の負担になっておるわけでございまするが、これもこの際はこれを改めないという考え方を持っておるわけでございます。ことに、通学定期につきましては、御承知の通り極端な割引をいたしております。これも御趣旨に沿いまして、今回は割引率は今までと変りないというふうにいたしておりまして、特段の配慮を払っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/17
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018・相澤重明
○相澤重明君 本日は文部大臣がおらないので、担当の所管大臣からその考え方というものは聞くわけには参りませんから、深くお話し申し上げることはできないのですが、少くともやはり国家の政策として六三三制を実施する、民主教育を徹底するということでありますから、小学生なり、あるいは中学生の取扱いについては、国鉄当局としても十分考えていただきたいし、また運輸大臣としては、政府の閣僚としてこれらの教育問題については、十分一つ関心を持って今後閣内において中学生の通学、あるいはまた団体の輸送等について、配慮をしていただきたい、こう思うのです。本日は関係者の関係で、これは簡単にしておきます。
次に、少しこまかい点で事務当局にお導ねをしておきたいと思うのです。まず、委託業務の問題でありますが、国鉄自体の直接の仕事としては、合理化を促進し、あるいは定員を削減をして、今日まで努めておると思うのでありますが、その結果、いわゆる国鉄と社線との連絡業務、こういうものについて、どういうふうに具体的に指示され、あるいは取扱いを行なっておったか、この点についてまず第一に先にお尋ねをしておきたいと思います。それからいわゆる乗車券の発売等の問題にも入っていきたいと思いますが、まず最初に、その取扱いについて、大綱をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/18
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019・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 大へん恐縮でございますが、御質問がどういうことを私答弁申し上げていいのか、ちょっとわからないのですが、もう少し具体的におっしゃっていただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/19
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020・相澤重明
○相澤重明君 これはたとえば交通公社、あるいは清掃業務の委託、あるいはまた私鉄と国鉄との連絡口のいわゆる改札掛の勤務の仕方、これがどういうふうに行われておるか、国鉄が持っておるもの、私鉄が持っておるもの、あるいは持っておる場合の費用というものはどういうふうに区分をされておるか、こういう点についてお尋ねをしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/20
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021・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 連絡運輸の場合におきます関係は、共同使用契約というのがございまして、その契約によって個々に異なっております。たとえば社線の発売業務を私の力の職員、私の方の設備でやっておる場合もございます。また逆に社線において全部私の方の仕事をやっておるような所もございます。それからまた別に、同じ駅の中に改札口、出札口を分けましてこの範囲は国鉄の職員がやる、この範囲は社線の職員がやるということもございます。個々の状態によって異っておるわけであります。しかしながら、原則といたしましては、お互いにやりましたものにつきましては、これは正当な対価を共同使用料という形でもって支払うということにいたしておりますし、また設備その他につきましても同じでございまして、使用料を相互に払い合うという格好でやっておる次第でございます。
それから交通公社の乗車券は代売業務を委託しておりますので、手数料を交付しております。また清掃その他の業務委託につきましては、これは契約によりまして単価を定めて支払いをいたすということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/21
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022・相澤重明
○相澤重明君 それでは一つ一つについて少しくお尋ねしておきたいのですが、まず連絡運輸の問題について、国鉄の職員が非常に不足しておるために、精算事務等は主としていわゆる社線の職員が扱う、こういうような場合が各所に見られるわけでありますが、その結果、精算事務を扱えば、当然それに伴うところの手数料、あるいは今申し上げた根本的な使用料、そういうものが国鉄から私鉄にどの程度のパーセンテージで流れておるか、こういう点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/22
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023・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私、こまかなことは存じませんが、いわゆる精算事務と申しますと、たとえば乗り越し不足運賃というものの徴収であろうかと思います。これはただいまも御指摘のように、ある駅におきましては、社線から国鉄に入るような場合におきましては、社線の所に窓口が設けてございまして、そこで掌理いたしておるような所があると思います。これらにつきましては、おそらくその取り分が国鉄の方であれば国鉄でもらうし、社線の方であれば、そのまま社線の方で取っていただくというようなやり方をいたしておるものと思いますが、そこに別にその収集額についての手数料の分割というものはないのではないかと思います。はなはだ記憶で申し上げて申しわけありませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/23
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024・相澤重明
○相澤重明君 それはないのですか。きょう御返事できなければ、この重要な連絡等の問題については、あとでお調べになって、できたら次の委員会等でお話し願ってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/24
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025・久保龜夫
○説明員(久保龜夫君) 私から少しその点に関して補足して御説明申し上げたいと思います。いろいろの問題があると思いますが、運賃の精算事務というものは、一切こちらの国鉄側でいたしておりまして、これについては、若干の手数料を取っておるわけでございます。
それからもう一つ、先ほどお話の出ました駅の共同使用、これはいろいろのケースがありまして、向うの私鉄のお客様が国鉄の改札を通る、あるいは逆の場合もありますが、実例といたしましてはほとんど全部こちらが向うに対してサービスを提供する、こちらの改札を向うの私鉄のお客さんが通るという例がほとんど全部でございまして、例外的に私鉄の改札を使う、そういうことでございまして、この結果、私どもの方で大体今の駅の共同使用料の関係で二億円あまりをいただいておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/25
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026・相澤重明
○相澤重明君 次に、第二点の乗車券の委託問題に入りたいと思うのですが、今交通公社に扱わせておるものは、どういう種類のものを扱わせておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/26
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027・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 交通公社に扱わせておるものは乗車券の大部分でございまして、普通乗車券、特殊乗車券、急行券とか、寝台車券、それから定期乗車券、回遊乗車券あるいは団体乗車券、こういう各種の乗車券について扱わせておることと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/27
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028・相澤重明
○相澤重明君 ただいまの常務理事の話では、ほとんどが交通公社に乗車券を扱わせておる、その乗車券を扱った場合の交通公社に対する手数料というものはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/28
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029・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 手数料は、これは契約できめておりますが、扱い額の五%、ただし、団体乗車券につきましては二%ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/29
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030・相澤重明
○相澤重明君 これもいわゆる国鉄の出札係が少い、あるいは出札より交通公社の力がいわゆる長距離であるとか、上級のものであるというものが多く利用される、こういうような点はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/30
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031・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 交通公社に代売を委託しております理由は、お客さんのサービスのために、いわゆるシティ・センターに発売所を持つということが主でございましたが、今でもその基本方針は変りございませんが、最近のお客の激増等に対処いたしまして、駅の窓口を緩和するという趣旨も織り込まれておることは事実でございます。また交通公社は、私どものあっせん以外に社線もやっており、あるいは航空機もやっており、あるいは船会社もやっており、さらに旅館等についてもあっせんをいたしております。いろいろ旅行計画をお立てになる方等は、ばらばらにあそこの窓口で切符を買い、個々の旅館の案内所に行って旅館の契約をするというようなことよりも、一本にまとめた交通公社を御利用になるという方が便利でございますし、またお客さんのサービス上当然そうあるべきだと思っております。それがまた交通公社の使命かと存じております。また各国におきましても同じよな制度——システムというものが行われておるものでございます。従いまして、そういう所にごあっせんを受けにおいでになるお客さんはいろいろと御相談になり、仕事なり、事項なり、プランの相談などもございますので、一人にかかる窓口の時間というものは相当長いのでございます。これが今の一般の国鉄の乗車券を売っておる窓口にかかりますと、自然この窓口の仕事が多くなり、ほかのお客さんの御迷惑にもなるということを考えて、なるべくそういうものは交通公社の方に適切な販売業務を当てて行わせるようにいたしたい、かように考えております。その結果として、従って、高級旅館等の御利用が交通公社の方に若干多くなっておるということは事実かと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/31
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032・相澤重明
○相澤重明君 次にお尋ねしておきたいのは、これは会計検査院の報告の中にもやはり出ておりますが、清掃業務の委託について、現在どういうように委託をしているか、その点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/32
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033・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいま電車の清掃作業につきましては、業務を委託しておりますが、御承知のように、電車がございますところは都会地が多いのでございまして、そういう所におきまして、この掃除というような純然たる労務職、率直に申せば、あまりうれしくない仕事というものを職員が行いますことは——また職員をそこへ長い間はりつけておくわけにいかない、昇進も考えてやらなければならない、また昇給も考えてやらなければならないというようなことでございますと、自然能率その他におきましても欠くる点もございますし、また時間的に見ましても、いろいろな関係で朝早いラッシュ時は車はほとんど出回っている。従って、出てくるのはもう十時ごろでもいいというような関係もございましょうし、国鉄職員の一般の勤務態勢の中に入れて考えることよりも、むしろ純然たる、率直に申すと、いわゆる掃除おばさんとでも申しますか、そういうような人を割安で雇った方がうまくゆくと、それは国鉄の建前ではできませんので、業務委託の形でやっているということでございます。で、その結果といたしまして、国鉄が直営でやるよりもはるかに経済的になっており、また仕事の能率も上っているかと思っております。検査院の指摘になりましたものは、私の記憶では、その契約の単価について、若干積算上の間違いがあるような御指摘でございまするが、この点につきましては、決算委員会で御弁明する機会もあるかと思いますが、全体としてみれば、はるかに安くなっておるので、前年の検査院の御報告では、検査院からかえっておほめをちょうだいしたようなことになっておるわけでございます。そういうわけで私どもとしては、合理化され、また資金もそれによってかえって割安になっている、かように私ども考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/33
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034・相澤重明
○相澤重明君 常務理事の話では、電車の清掃作業等については、むしろ国鉄職員を使っておったときよりも、能率的にもあるいは資金的にもよくなっておると、検査院の指摘されている事項についても、今年ですか、むしろさらにほめられるようになっておる、こういうのですが、それは事実ですか。事実だとすると、これは会計検査院をあとでちょっと呼んで調査をしなければならないことになりますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/34
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035・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私の申し上げましたのは、前年におきましては、会計検査院はこのやり方はよろしいというふうにおっしゃったのでございます。それから三十年度の御指摘につきましては、ただいま申し上げましたように、検査院の御指摘に対して、私どもといたしましては、決算委員会で御弁明申し上げる機会もあろうかと思います。こう申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/35
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036・相澤重明
○相澤重明君 これは若干常務理事の方の言葉の問題もあると思うのですが、少くとも清掃作業を委託する場合には、具体的にやはりどういうふうな作業を行うかという内容まで当局側としては検討しなければならない問題だと思う。ただ予算単価が幾らあるからそれで契約をしてめくら判を押してしまうという、そういう性質のものではなかろう、こう私は思うのです。そういう点について、私としては、将来こうした検査院から指摘されたような問題はぜひなくしてほしい。それで根本的に言うならば、私はむしろこういう国鉄の作業というものをどんどん民間に委託してゆくということ自体が間違いではないか、こういうふうに思うのでございますが、その点については、あなたの先ほど言われた民間に委託した方がよろしい、こういうお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/36
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037・石井昭正
○説明員(石井昭正君) これは私思いますのに、原則的にこちらがいい、こちらが悪いというわけにいきかねると思うのであります。で、なるほど国鉄職員が直営いたしますときには、責任態勢が明らかになるというような点は、私はこれははっきりしていい点もあると思います。しかし、現状から見まして、たとえば都会におきまして、ああいう仕事を年若い鉄道職員にやらせておきましても、何ら将来昇進の希望もないということで、かえって能率も下る。むしろそういういわゆる、率直に申しますれば、先ほど申しました掃除に専念するおばさんというような人たちの一生の仕事としてやっていただいた方がいい、しかし、地域によりましては、鉄道職員がこれを自分の仕事としてやった方が、りっぱな仕事もできるし、能率も上ることもあると思いますが、これは原則としてそうやっていくのではなくて、具体的に現状におきましては、今日の程度がかえって合理的ではないかと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/37
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038・相澤重明
○相澤重明君 国鉄経営の中におけるこれらの問題については、一部の問題でありますから、いずれあとで御討議申し上げ、意見を申し上げる機会もあろうかと思いますから、きょうは質問ですから清掃業務については以上で終りまして、次に、共同踏切りの問題について、昨日も柴谷委員から指摘されておったのでありますが、たとえば国鉄として共同踏切りに対するいわゆる割合といいますか、経費の持ち方といいますか、そういう点について、ちょっと御説明を願っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/38
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039・石井昭正
○説明員(石井昭正君) これははっきりしたことを申し上げられないので大へん恐縮でございますが、たとえば国鉄線が通っておる、同じ場所を私鉄が並行しておる、その踏切りはたった一つであるという場合に、私鉄の方で踏切りを管理される場合もあるし、私の方で管理する場合もある。そういう場合におきましては、おそらく電車が通っております量に按分して費用を負担しておることと思います。これは多分そうだろうと思っております。これはちょっと詳しいことは知りませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/39
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040・相澤重明
○相澤重明君 少し、きょうはあまり追及しませんが、よく調べてもらいたいのですが、それから純然たる国鉄の職員が看守をしておる、つまり共同使用ですから国鉄線と私鉄線がある、しかし、踏切り看守は国鉄が行なっておるという場合には、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/40
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041・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいま御説明申し上げましたように、そういう場合には、その私鉄の交通量の割合、私鉄が動いております割合で、その費用を私鉄に分担してもらって徴収していると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/41
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042・相澤重明
○相澤重明君 きわめて国鉄の支出面というものは膨大になるわけでありますから、十分関係機関との調整等もありましょうが、私はやはり確固たる一つ幕本理念というものを確立して、そうしてこれらの問題についても、ぜひ、たとえば共同踏切りの場合においては国鉄はどうするのだという点を確立しておいていただきたい、こう思うのです。さもないと、これは単に使用料の問題ばかりでなくて、交通事故が起きた場合に、これは非常に大きな論争点にもなってくるわけです。従って、いわゆる交通関係者の特別の法案というものも作るというような意見まで議員の中にはすでに出ておるわけですから、そういう点もあわせて国鉄の監督者としての立場というものを私は早く確立をしていただきたい、こう思うのです。だいぶこまかい点に入って大へん恐縮でしたが、実は、今次の運賃値上げに伴う国家的な財政規模、あるいは総合輸送の問題について御質問申し上げたかったのでありますが、関係の経済企画庁長官や大蔵大臣がおりませんから、本日は保留をしておきます。以上で私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/42
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043・市川房枝
○市川房枝君 運輸大臣並びに国鉄総裁にお伺いしたいのでありますが、この間の二十三日の国鉄の抜き打ちストの問題でございます。あの日私、自分の家で友人を少し夕食に呼んでおりましたが、あの事故のために、そろいましたのは夕方八時過ぎになってしまいました。そういう人たちから、各駅でのいろいろな状態の報告も受け、一般の大衆の人たちがどんなに憤慨していたかということも実は聞いたわけであります。その程度の被害は大したことありませんけれども、しかし、全国的にいってずいぶん、あのために大衆の受けました被害というものは相当大きかった、いや、実際的な被害といいますよりも、心理的なといいますか、非常な憤慨をし、ついに一部において暴行も起ったような状態でありました。この責任は国鉄労組並びに国鉄及び運輸省、三者にあると思うわけです。ああいう事態が発生した原因について、いろいろ言われておりますけれども、一般の大衆の立場からいえば、いかなる理由があってもああいうふうな抜き打ちのストをする——問題は国鉄当局と労組との紛争でありまして、その紛争に一般の大衆を巻き込む、一般大衆のそれによってこうむる被害というものを考慮に入れていなかったという点において、私は非難をされても仕方がない。いわゆる国鉄労組の要求というものが当然であったとしても、私はそう言えるのじゃないか。そこで、その問題に対しての責任の所在といいますか、ただあのままでは、私は大衆が納得しないと思うのです。それぞれの当局が、私は大衆に対して、はっきりと遺憾の意を表するといいますか、あるいは今後再びああいう事態が発生しないようにしてほしい、こう思うわけでありますが、二、三日前の当運輸委員会で、柴谷委員と運輸大臣との間で、その問題についての質問応答がございまして、私傍聴しておったのですが、あのとき、たまたまそうであったのかもしれませんけれども、運輸大臣の御答弁の中で、あまり大衆の問題にはお触れにならなかった。いや、国鉄の副総裁がその責任を感じて辞意を表明しているということに対して、私は何も聞いていない、事実そうであったのかもしれませんけれども、伺っておった者としては、少し納得しかれたのであります。もっとも、その後予算委員会においての運輸大臣のあの問題に対する答弁を私は傍聴しておりましたのですが、運輸大臣としては責任を究明するといいますか、決意を持っているというお言葉でございました。どういう決意をお持ちになっておりますか、それをちょっと伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/43
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044・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 今度の事態が、このようなことが起りましたのについては、わが国の労働運動というものの今日までの歩んで来たうちに、私はたとえば国鉄に関しましても、国鉄の職員並びに従業員が国鉄日常の自分の職務を行うについては、非常に規則正しく、また上下あるいはその他の連絡も密にして、事業の上では非常な熱意をもって、今日設備の足りないにもかかわらず、昨年以来この困難な輸送状況を打開し非常に協力して仕事をやってきてもらっておるのであります。ところが、一たび労働運動となりますと、全く人柄が違ったような方向にその考え方を持っていく、こういう点はやはり労働運動の未熟というか、あるいはまた労働組合並びに労働運動に対する指導の誤まりというか、こういう点については、私は労働組合の動き方に対して、これはまあ外の力が大きく左右するからやむを得ないとは言いながら、やはり今日までの長い間の国鉄の当局者の私はこの指導に遺憾がなかったとは思わないのであります。もう少し組合運動というものの今日まで長いこの十年間の指導に心を用いたならば、こんなにならなかったのではないかと思うのであります。日常の仕事のやり方を見るのと、組合の運動となるとまるきり人間が変ったような行き方をする。二十三日の事柄にいたしましても、私どもの常識をもってしては、組合がなぜああいうことをしたかということが理解できないのであります。業績手当を出すということは、十六日にもうはっきり国鉄の当局者から組合に通じてある。それがたまたま二十三日という日にちに約束をしたのであります。ところが、二十三日は土曜日であります。で普通のこのわれわれの、私企業においても、営経者と組合との話し合いで支給するときまったものが一日くらいおくれたからといって、その現金の支給を、手渡すことをその日にやるということに間違いがなければ、あの騒ぎをするわけはないのであります。しかるに、国鉄の当局者は朝からやはりきょうはまあいろいろの手続があるから——手続ということはやはり運輸省の形式的な許可である、従って、夕方までは待てと、こういうことを言ってあるのであります。ところが、いろいろな方面から運輸省と大蔵省の話し合いがつかないというような情報が伝わって、これはだめだろうと推測したのであります。ところが、実質につきましては、運輸省と大蔵省の話は、朝の九時半には大綱において大蔵大臣と私の間についております。あとは次官同士で、計数の問題だけになっている。これは役所の仕事ですから法規に合った計数を出すということには手続がかかったわけであります。しかしながら、夕方までには責任をもって出すということは話しておるにもかかわらず、そのいろいろなただ情報を得て、これはいけないのだと判断をしてああいうことをやり出す。これは組合運動というものと、組合の指導者を初め組合の役員、関係者も国鉄職員でありますが、日常の仕事については非常に熱心にやっておるにもかかわらず、事一たび組合のことになると、こういうような形になる。国鉄のみならず、他の組合においてもこういう傾向がありますけれども、従って、この国民大衆にかけた迷惑というものは、これは精神的にも、また事実物質的にも非常に大きな問題であります。法規的には知りませんけれども、一体損害の賠償ということもどうなるかというくらいに、私どもはたとえば、私ども日常の点において、この停電その他によって損害をこうむっても電気会社というものは一向賠償いたしません。これは不合理なことである。今度のことに対しても、国民大衆から国鉄に対してこの損害の賠償というものがあったら、私は償わなければならぬことになるだろうと思いますけれども、一個一個の賠償は百円とか、三百円とかいうことになってそれは現在裁判の手続をとるということはできないから、事実上できないことになっているのであって、これはやはりそういうふうな物質的な損害をかけているが、みんなただ泣き寝入りになっているということだろうと思うのですが、従って、私、世間は国鉄の組合に対しては相当峻厳な御承知の通り態度をもってその責任を追及しております。国鉄当局者並びに運輸省においても、決してその責めを免れるということはありません。この事態を引き起したのですから、関係者としては申しわけない。しかし、事実上私どもは普通のわれわれの、国鉄当局者としては、当局者としてやるべきことはすべて尽しており、私どももこの監督官庁とし、またこの業績手当の支出に対して、やるべき手は十分打っておったのでありますから、従って、これは実に申しわけがないけれども、やむを得ない事態だ。今後残る問題は、国鉄の組合というものの動き方に対して、相当にこれは改めてもらわなければならない、こう思うわけであります。たとえば法規の上で見ますと、処分をするということは、解職する、職をやめさせるという以上のものではないのであります。それから減俸とか——ところが、今日の組合では、そういうことは実際問題としてのほんとうにその人たちに罰になるかならぬか、減俸されれば組合から金を出して、聞くところによると、その給料の足りないだけはくれてやる、組合に金がある、またやめられた人はやめられた人で適当に組合で給料を支給して相当な職につけてやるというようなことで、実質的にはやめられても、罰を食っても困らないというような立場に追い込まれる点もありますけれども、これらに対して、政府としては、全然これは法規を無視しておるのであります。この法治国において今日の法規を守らないでいくということが許されるならば、もうこれはほとんどめちゃくちゃなんです。それに対して、一つ善後処置をはっきりと今度は講じなければならない。この法規を無視してきたため、ほとんど五、六年こういうことが続いてきております。これを一体今日までの政府が無視しておいたということは、私は政府の怠慢だと思う。これは政府の側に私は重大な責任がある、この事態をそのままにしてきたということは。それに対して、今度は一つ相当な固い決意をもって、この事態を切り開いて正常な道に組合というものを置いていかなければならない、こういうような心持を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/44
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045・市川房枝
○市川房枝君 予算委員会で松浦労働大臣は、何ですか、公労法違反だから解雇するというようなお言葉もたしか出たかと思うのですけれども、もしこの跡始末の一つとして、国鉄労組の幹部を逮捕する、あるいは馘首するというようなことが行われるとしますと、また、現在の状態において考えられることは紛糾をして、またああいうことが起り得るのではないか、という心配を一般の者はするのでありますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/45
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046・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) この法律の建前は、どこまでも一つ法を守るということにいかなければならない。しかし、それを政府が行うからまたいろいろの事態が起るということは、これは困ったことではありますけれども、一つそういう事態を起さないようにしてそれを貫いていきたい、法を守るようにしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/46
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047・市川房枝
○市川房枝君 国鉄総裁はどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/47
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048・十河信二
○説明員(十河信二君) 事件につきましては、大臣からお話のありました通り、私も考えております。国民の皆さんに対してまことに申しわけない次第でございます。深く遺憾の意を表する次第でございます。この原因につきましては、ただいま大臣からお話のありました通りで、補足して申し上げますと、労働運動というものは、戦後こういうふうに新しく台頭して参った。もちろんその前からもありましたけれども、それで経営者といたしましても、また労働組合としても、どちらもまだ非常に未塾であります。その結果が私はせんだってのような事態を引き起したのじゃないかと思います。組合に対して、また経営者自身として、深くこの事件を慎重に検討いたしまして、われわれとして改めるべき点は改め、組合に対して改めてもらうべき点は改めてもらうように、また取扱い、あるいは法規等におきまして改正を要する点はぜひ改正をいたしてもらいまして、今後こういうふうなことで国民の皆様に御迷惑をかけるようなことのないように、できるだけ早くそういう処置を講じたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/48
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049・市川房枝
○市川房枝君 国鉄の場合は、私はあの際今の組合の現状であれば、ああいう事態が起ってそういう心配を、まあ手当をもらえるかどうかというような心配があった場合に、ああいうふうな抜き打ち的なストライキもやりかねないという見通しは、私は、まあ運輸大臣はそういう点まではお考えにならなかったかもしれませんけれども、国鉄当局としては、組合の現状はよく御存じのはずですから、ああいう事態の起らないように、あの際何か手がお打ちになれたのじゃないでしょうか。ただまあ、ああいうことが起ってしまって済まないというだけでは、どうも私ども一般国民としては少し納得しかねるのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/49
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050・十河信二
○説明員(十河信二君) 国鉄といたしましても、さっき大臣からもお話がありましたし、また先日来、副総裁その他からも申し上げましたように、尽せるだけの手は尽したつもりでおりまして、さっき大臣からもお話のあったように、支給するということはもうはっきり大臣からも伺っておるのであります。ただその手続ができるまで待て、それで私どもとしては、実は袋に入れてちゃんと用意してここに持っておるん、だから、まあしばらく待ってくれということを組合員である職員に話をして、極力ああいう事態が起らないように、いろいろ騒いでおりますから、そういうことをまあ待ってくれと言って、極力慰撫これ努めたわけなのであります。不幸にして私どもの誠意が通じなかったか、努力が足りなかったか、ああいう事態を引き起しましたことにつきましては、まことに何とも申しわけがないと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/50
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051・市川房枝
○市川房枝君 国鉄の当局は国鉄の組合からあまり信頼をされておいでにならないということになるわけでしょうか。組合を説得するといいますか、よくお話し合いになれるそういう場合の組合とほんとうにフランクに話し合うということは今までもあまりしないのでございましょうか。私どもどうもそれが少し納得がいかないのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/51
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052・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は、国鉄を再建して、これを国民の国鉄として国民の皆さんから御満足のいくように愛せられるように、信用せられるようにするためには、どうしても四十五万の職員が一心同体になってやらなければならぬということを、かねてから私考えておりまして、就任以来、その点につきましては私は全力を傾倒してやって参ったつもりであります。従って、労働組合に対しましても、でき得る限り多くの機会に幹部の方々とも、あるいは平組合員の方々とも、またさらに進んではです、家族の方々ともひざつき合せて談合するという機会を作って、中央におきましては、大体問題があろうとなかろうと毎月一回和みずから組合の幹部の方に来てもらいまして、そうして相当長い時間、いろいろな点について懇談をいたしております。私が地方へ出張いたしますときには、必ず地方の組合の幹部、それから平組合員の方々、家族の方々にまで会ってです、私はこう思う、私はこうしたい、あなた方の御意見はどうか、あなた方の御希望はどうか、あなた方の不満はどうかということを私は聞いて、そうしてできるだけ四十五万の職員が満足をして誇りを持って働いてくれるようにしたいと、これが私の今日まで死力を尽してやってきたところであります。私の力の及ばなかった点につきましては、私はざんきにたえません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/52
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053・市川房枝
○市川房枝君 私はまああの事件で組合初め国鉄の方でもそのときに犠牲者を出すことを望んではいないのであります。それからまあ今運輸大臣並びに国鉄総裁からお話ありましたが、将来国鉄のあり方といいますか、あるいは組合のあり方といいますか、そういうものについてこの際考える、こういうお話でありましたが、お考えを願いたいのですが、まあその際、やはり私は国鉄の四十五万の従業員の人たちがとにかくまあ一生懸命やってて下さるわけですから、そういう人たちの生活、そういう人たちを圧迫するというようなことにならないようにしていただきたい。しかしながら、この国鉄の、私はまあこの間の争議なんかのあり方は、これを反省をしていただかなくちゃならない、いや、もうすでに反省をなすっておいでになるらしい。二十六回の実力行使の場合には、その反省が現われておったようでありまして、その点は私どもも喜んでおるわけでありますが、国鉄組合の方も、一つ大衆の国民から私は反対をされる、国民の同感を得ないのでは組合の目的を達し得ないと思います。国民の納得を得るような方法によって、組合の人たちの福祉を増進する、こういうことであってほしいと思うのであります。その点国鉄並びに運輸当局でもって、私は国民にああいうことが二度と起らないように安心を与えるといいますか、納得させるような、これはなかなかむずかしいことかもしれませんが、お願いをしたいと思います。
この点はその程度にいたしまして、次には、今度の運賃の値上げの問題に関連しまして、少し御質問申し上げたいと思います。今度の運賃の値上げに際しまして、婦人団体で今まで反対の陳情なり、請願なりいたしております団体が、私の承知しているだけで四団体ございます。大阪主婦の会、関西主婦連合会、東京の主婦連合会、これは三つとも違う団体でありますが、それから全国地域婦人団体連合会、これは非常に大きな全国的な婦人団体でありますが、こういう団体、はっきり反対をいたしております。それから表向き反対をしておりませんでも、やはり値上げに賛成していない人たちが多数ある。それで私はそういう人たちと会合をしまして、いろいろどういう点で不満があるか、反対があるかというような点を問いただしたわけであります。で、それから見ますと、婦人団体、これは一般の大衆もそうでありますけれども、いろいろなこまかい数字的なこと、あるいは国鉄自身はいわゆる一年に五千億、六千億という金の収支のある非常な大きな企業体でありまして、なかなか外からはよくわかりませんので、結局新聞で伝えられるようなこと、あるいはお互いに感じといいますか、というようなものになるのでありまして、必ずしも正確とは言えないかもしれませんけれども、私はそれが一つのいわゆる国民感情と申しますか、多少間違っているかもしれませんけれども、やはり何となくいい感じはしない、いやなんだ、こういう点が政治の上では非常に重大だと思います。そういう点を一つ申し上げて御答弁願いたいと思います。私自身も数字のこと、経営のことなんかは一向わかりません。この委員会には与党、野党とも国鉄関係の方が多数おいでになりまして、非常な専門家の方ばかり。私のようなしろうとの者が何か申し上げますと、きっと見当違いのことを申し上げるかもしれませんが、一つその点お許しを願いまして、少し申し上げたいと思いますが、一般の婦人団体の国鉄の今度の値上げの問題に対しまする考え方は、第一番には、国鉄というものに対して、何といいましょうか、国鉄はまだ節約すれば節約する余地があるのだ、ずいぶん経営がルーズだといいますか、あるいはいわゆる交通の安全についても、この前の洞爺丸とか、あるいは紫雲丸あるいは参宮線の問題とかで、どうも不安だ、そういう一種の何といいますか、率直にいえば、一種の不信の念というものが相当多くある。そして今度の値上げも従ってしなくてもやっていかれるのじゃないか、まあこういう考え方、これが一つ大きな点じゃないかと思います。それからもう一つは、運賃の値上げが各家庭の家計の上に影響を及ぼし、またそれはわずかだとおっしゃるかもしれませんけれども、勤労者あるいはサラリーマンあるいは学生という面からいいますというと、家庭においては相当の支出の増になるわけであります。その点から、国鉄が上げれば結局私鉄も上げる、バスの値上げもある、あるいはいわゆる運賃値上げからくる物価のはね返りというものを心配をするわけであります。そういう点から私は反対をしているのじゃないかと実は思うわけであります。そういう点について一つ伺いたい。
個々について伺いたいわけですが、一番第一の問題は、大衆からいいますというと、もう済んだことでありますけれども、洞爺丸、紫雲丸、参宮線のあの事故については、その当時新聞にいろいろ出ておりましたし、そのことに対しての国鉄の、あるいは運輸省当局の対策というようなものも出ておりましたけれども、まだあれについてすっきりしない。一体ああいうことが二度と起らないということはない、また起るのじゃないかというような不安を持っております。それからああいう事態が起りますと、それについて金がかかる、いや、それよりもあのために犠牲となったたくさんの人がおりまして、そういう人たちの精神的な非常な損害といますか、それはもちろんでありまするけれども、国鉄自身の経営の上からいっても、ずいぶんああいうために損害を出しておるわけなのであります。ああいう事件も、大きいのはさっきの洞爺丸、紫雲丸、参宮線の三つの事件でありますが、あのときのそれぞれの責任者といいますか、これははっきり処罰になったかと思いますけれども、もう結論は大てい皆さんについているのじゃないかと思います。一つどういうふうになっているか。それからその問題から今後の対策といいますか、それと関連しての対策をどういうふうにお立てになったか、国鉄の関係者の方から一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/53
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054・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいまの紫雲丸あるいは参宮線事故につきましては、まことに申しわけない次第でございます。責任者の問題につきましては、これは洞爺丸の場合におきましては、監督上の責任者につきましてはすべて処分を了しまして、当時の最高責任者であった青函の鉄道監理局長は戒告処分を受けて、その後退職をいたしておりす。しかし、実際の船を動かしておりますところの責任者、これは船長は御承知の通り死亡しております。その責任問題につきましては、目下海難審判所で係争中でございます。この点につきましては、まだはっきり確定をいたしたということにはなっておりません。
紫雲丸の場合は、これはもう明らかに私どもの方の重々の過失でございまして、これも当時の責任者であります四国の鉄道監理局長を戒告処分し、以下それぞれ部署に応じまして処分をいたしたはずでございます。なお、当該船長等につきましても、司法処分も行政処分もあったのでございます。
それから参宮線の事故につきましては、これは監督上の責任者である局長あるいは関係の部長、区長等につきましては、処分を完了いたしまして、かつまた、その職を変えております。また現場の責任者につきましては、ただいま検察当局の手で取調べ中でございまして、どちらの責任であるか——いずれにいたしましても国鉄側の責任であることは当然でございまするが、具体的な個人については、どちらの責任であるか、まだ判明をしておりません。その判明を待って相当の処置をいたす考えでございます。
事故の対策につきましては、これは船の関係につきましては、船の構造の問題あるいはいろいろ船員の基準の問題その他いろいろの点につきまして、運輸省におきましても対策委員会が設けられて、また私どもの方もその御指示を受けまして、その御意見によりまして、改造すべき点はすみやかに改造いたしておりますし、構造上の問題、またいろいろ運航上の問題につきましては、その御指示に従って改革をいたしております。また船舶管理の組織につきましても、船舶部を設け、あるいは宇高船舶管理部を設け、青函の鉄道局を船舶鉄道局に改めまして——青函の鉄道監理局を船舶鉄道管理局に改めまして、船舶の管理機構を強化するというような手を打っております。
参宮線の事故につきましては、事故防止対策委員会を私ども設けまして、これらの点についていろいろと究明をいたし、その結論に基いて、ただいま各般の措置を実施しております。特に安全を保持するために、車内警報の設置という点に重点を注ぎまして、これは相当の費用と時日を要しまするが、二年または三年計画でこれを完了いたしたいと思います。さしあたりの問題といたしましては、信号の確認ということにさらに一段の意を用いるために、全国の信号機に対しまして、ウオーニング・ボードと申しております信号警報板、それを設けまして、これはもう皆様御旅行になります際に、汽車の窓からごらんになりますとお気がつくかと思いますが、黄色い板に二本の黒筋でもって、この地点に来たら乗務員はもう一ぺん信号を確認することを必ず励行する。これは昨年中に全国一斉に設備を完了いたしまして、そういう点の注意を喚起することにいたしております。いろいろ各般の点にわたって対策を立てておる次第であります。詳細はここに申し上げる時間がございませんので、適当な機会に御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/54
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055・市川房枝
○市川房枝君 犠牲者に対する補償は全部済みましたかどうか。それからもう一つ、そういう事故に対して、国鉄としてはどれくらいの損害といいますか、まあ大体の数字だけでいいのですけれども伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/55
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056・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 事故に対する損害の補償は、紫雲丸並びに参宮線事故につきましては、おおむねその事故の直後、二カ月以内に全部補償の仕事を終りまして、また御遺族の方にも、もちろんそれで満足を得るというわけにはとうていいかないのでありまするが、尊い生命は金銭であがなえるものではありません。しかしながら、できるだけ御納得を得る方法で御慰謝の方法を完了をいたしております。それから洞爺丸につきましては、突発当時におきまして、閣議決定をもちまして、五十万円のお見舞金を差し上げたのでございますが、その後二ヵ年もたちまして、いろいろ御遺族の方方でお困りの方もあるこの際、一挙に解決をしたらというお話もございましたが、まだ審判も係争中でございまするので、いろいろ遺族会の方々とも御相談申し上げまして、結局示談と申しますか、そういうような形で全部その話をまとめていただきまして、これも昨年中にほとんど大部分の支払いを了しました。ただ権利者が非常に確定しないとか、あるいは権利者間においていろいろの御紛争があるというような、ごく一部の例外を除きましては、全部完了いたしたはずでございます。
損害額につきましては、これはいわゆる私どもの方の鉄道の車両あるいは船舶というもの被害額というもの、その他いろいろ遭難当時の救助関係の費用、それからその後の補償額等も合算いたしますと、どのくらいになるか、今はっきり申し上げかねるのでございますが、一番大きいのは、何と申しましても洞爺丸のときでございまして、これは洞爺丸以外に四はい船が、これは貨物船でございますが、沈んでおります。これには従事員も相当乗っております。従事員だけでも約五百人以上の犠牲者を出したのでございます。これらを合せまして、船というものは非常に高価なものでございますので、何やかや、これは大ざっぱで恐縮でございますが、大体の数字のオーダーという程度でお聞き願いたいと思いますが、約五十億程度ではなかろうか。紫雲丸の場合は、約四、五億かと思います。この間の参宮線のは、大体一億五千万円くらいであると思います。そういう程度の損害を受けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/56
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057・市川房枝
○市川房枝君 参宮線のことで、ちょっとこれは非常にこまかいことですけれども、あの補償額の決定の際に、男の子と女の子が犠牲者にいたわけです。何か金が違ったんですね、女の方が安かったんですね。それがちょっと問題になっていたんですけれども、それはどういう計算の基礎ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/57
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058・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私直接の担当でございませんので、正確なお答えは申し上げかねるかと思いますが、私の聞いておりますのは、男であるから、女であるからという区別をしたわけではなくして、男の学生の方々が、たしか四年生の方です。それから女の方々は二年生の方々で、年令の差で若干差がついたというふうに聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/58
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059・市川房枝
○市川房枝君 事故の起りますのについては、いわゆる船あるいは汽車の、何と申しますか、一番大事なところをやっておいでになる職員の方たちが責任をお打ちになるわけですが、どういう職種になるか、私にはちょっとわからないんですけれども、同じ国鉄の職員の中でも、そういう部署においての方と、それから駅などにおいでになる方とでは、だいぶ違うと思います。この間委員会での質問をちょっと私伺っておりまして、職員の中で、特にそういう部署に働いておる人たちに対しては、何か特別な手当といいますか、あるいはこの間は住宅の問題、休息の部屋の問題なんかが問題に出ておりましたけれども、そういう点の御心配をどの程度しておいでになっておるか、それをちょっと伺わせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/59
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060・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 直接運転の責任に関与いたしております部署と、そうでない部署とがございます。まあたとえて申しますれば、乗務員で申しますれば、機関車に乗っております乗務員が、これは機関車を動かす一番の責任を持っている。また駅の側におきましても、信号を扱います者はこれは非常に重大な責任を持っております。で、国鉄におきましては、そういう責任の内容も加味いたしまして職種別に俸給をきめております、給料を……。従って、そういう責任の内容は、これはその給与額の決定や、いわゆる職階的な決定によって加味されているということに相なるかと思います。ただ乗務員につきましては、これは別に乗務員に対しましては、乗務員日当と申しますか、あるいは旅費と申しますか、そういうものが支給されております。特にただいま責任手当とか、責任に対する手当というものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/60
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061・市川房枝
○市川房枝君 国鉄の職員は業務量がふえているわけですけれども、それでも人数はふえていない。あるいはまあ来年度もふやす予定がなさそうにちょっとまあ伺ったわけですが、もし人数がその業務量に適応していないとそこでオーバー・ワークという問題が起り、そういう事故を起しやすいということにもなるわけですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/61
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062・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 御承知のように、鉄道の仕事は非常に全国に散在いたしておりまして、非常に列車密度の高い線区もございますし、まあ一日に何回しか列車が通らないというような所もございます。現在業務量がふえて参って、列車の回数がふえて参る、当然列車回数はふえて参るわけでありますが、それは、乗務員の方でありますれば、乗務時間できまっておりまするので、乗務時間によってはじいた乗務員というものを必ず充足しなければいけません。ただその際に、まあ列車密度の高いために、非常にまあ今までよりはむずかしい運転をしなければならないというようなことはあるかと思いまするが、いわゆる労働時間が延びるとか、あるいは労働の量がふえるとかいうことにはならないと思います。それからまた駅の方の側におきましても、これは今まで三本通っておったところが五本になるというようなことになれば、これは確かに量はふえるのでございますが、しかし、そういうやはり労働時間の範囲内で密度が高まってくるということでございまして、労働強化という言葉の使い方にもよりますければも、確かに負担は増加しておりまするが、労働強化という意味で負担が増加していくというのではなく、この点はやはり所要の従事員の増加をはかって参りたい。ただ人をふやさないでそういうことがどうしてできるかということが、前回からいろいろ御説明申し上げましたように、機械化その他によりまして、なるべく業務を合理化して、人間を浮かして、そういう方面に重点的に回したい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/62
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063・市川房枝
○市川房枝君 それじゃ次には、この国鉄の経営の問題でありますが、先ほどちょっと申しましたように、一般の国民は国鉄に関していろいろ新聞に出ますような事柄が割合に頭に残っておるわけです。そして割合にいつまでもそういうことは覚えているわけなんでありまして、全部がそうでないかもしれませんけれども、まあ国鉄に対して疑問の感じを持つわけなんですが、それでこれはもう昨年でしたか、その国鉄の高級の職員の方々がおやめになってから、その公舎にいつまでもおいでになっている。あるいはその公舎を安くお買い取りになるといいますか、そういうことが相当国会の問題にもなり、大きく新聞に出ている。それでこの問題は今でも種々話題に上る。これはいわゆる国鉄の経営の上からいえば大したものではないだろうと思うのですけれども、しかし、国民の感情からいいますと、そういうことがなかなか頭に残っているわけですが、現在そういう事態がまだ残っておりますかどうか。どの程度残っておりますか。その数も伺えたら大へんけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/63
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064・石井昭正
○説明員(石井昭正君) まことに申しわけのないことでございます。世間をお騒がせして恐縮に存じておりますが、今では、現在はさようなことは一つもございません。全部処置を完了いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/64
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065・市川房枝
○市川房枝君 何だか、そうおっしゃられても、ちょっとほんとうにそうかと思えないくらいなんですが、(笑声)ほんとうにそうなら、それをもっと国民にはっきりと知らしていただいて、もうそういうケースは一つもないのだというふうにしていただけるといいと思うのですが、まあおやめになってからお移りになるまで、新しい家が見つかるまで、多少の時日はもちろんこれはお使いになってもいいわけですけれども、ただこの前のはずいぶん長かったから、ああいうわけで、それでまあ問題になったわけなんですが、これは一つ何かの機会に知らしていただくといいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/65
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066・石井昭正
○説明員(石井昭正君) その点はお手元に経営改善の経過という冊子を差し上げたかと思っておりますが、その中に、この公舎問題につきまして処理をいたしました経過を書いてございますが、昭和三十二年二月というのの経営改善の経過の三十一ページに「退職者の宿舎退去状況について(一)高級役職員の退職者については、退去の処置は完了した。(二)一般職員の退職者については、次のとおりである。昭和三十二年一月一日現在における未退去者三五九」、これは五月末現在の未退去者七百十名に対して、五〇%の減少。宿舎の交換禁止については、一切これは交換を禁止いたすというふうに書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/66
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067・市川房枝
○市川房枝君 それから一般で問題になっておりまするもう一つほかの問題は、いわゆる国鉄のパスの問題であります。これも全体の経理からいえば、それほど大したことでないのかもしれませんけれども、やはり国民大衆からいいますと、いつも問題になる点でございます。まあパスはわれわれ議員ももらっておるのでありますが、しかし、この議員がパスをもらっておることについてもとかくの意見が出ております。これは返上して、直接議員も買うということでもいいし、あるいは国がそれだけの金を国鉄に支払うということでもいいと思うのでありますが、その議員以外に国鉄のパスはどのくらい出ておりましょうか。あの国鉄の家族パスなんというようなのもございましたですね、それを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/67
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068・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 乗車証についてのお尋ねでございますが、数字はちょっとございませんが、家族乗車証はことしの一月三十一日限り発行をやめました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/68
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069・市川房枝
○市川房枝君 その家族パスのは何か割引でなさるので、回数が前よりもふえてかえってよけいになったということが新聞にちょっと出ておりましたけれども、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/69
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070・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 経営調査会の御答申にも、そういうものは廃止しても、さればといって、ある程度の処遇は必要じゃなかろうか、これらは割引制度によって考えるべきであるというようなことの御答申もいただいております。ただ割引につきましては、私どもの方でこれは単独にきめても差しつかえないのでございますが、一応組合側と話し合いいたしまして、職員側の了解も得まして実施いたしたいと考えておりまするが、不幸にして意見の対立を見ておりますので、ただいまのところでは、まだ割引ということはきまっておりません。従って、割引制度も実施されておらないという状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/70
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071・市川房枝
○市川房枝君 それではパスも停止しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/71
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072・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 発行の停止はやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/72
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073・市川房枝
○市川房枝君 家族パスは国鉄の職員の方からいえば一種の既得権だったのかもしれません。それをその大衆の側から剥奪するといいますか、とやかく言うのもいかがかと思いますが、しかし、国鉄が非常に赤字で、そうして値上げもするというような事態に対しては、ある程度そういう国民感情というものも考えて、ある程度の制限をしていただくことも必要かとも思うわけでございます。ほかにパスが国鉄から相当出ている、それが相当国鉄の、多少何といいますか、政治的な意味に使われているというようなうわさもちょっと聞くのでありますが、そんなのうそだろうと思いますけれども、ごく最近に何だか運賃値上げ反対運動を相当一生懸命やっておった人が、これがパスをもらったので急に静かになったというような話もちょっと耳にしたのですが、そういうふうな、どの程度といいますか、相当自由に国鉄としてはお出しになれるわけなんですね。その点もう少し具体的に伺いましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/73
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074・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私どもの方の無賃乗車証関係は、発行の処理につきましては厳格な規定を設けて処理しておりますので、私、実はこの方面を担当しておりませんので、詳しい内容を存じません。ただ私、承知しておりますのは、国鉄におきまして、われわれの仕事を御援助をいただく意味で、いろいろまたこの前の国鉄法の改正のときの衆議院の付帯決議等もございまして、諮問委員というような方を御委嘱申し上げておる方もありまして、こういうような方々に対して、国鉄の実情を御視察願う意味において乗車証を差し上げておるというようなことはあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/74
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075・市川房枝
○市川房枝君 もう一つ、念のために伺いたいと思うのですが、国会議員がいただいておりますパスは、あれは計算をすると国鉄の方でどのくらいになりますか。あれはやはり国鉄が出しているのですね。もっとも法律があるわけではあるけれども、どのくらいになりますか。一年に国鉄がそのために負担をしておいでになる金額。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/75
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076・石井昭正
○説明員(石井昭正君) これは、私どもの方で発行して差し上げております。もちろん根拠は法律に基いております。
一体それでは幾らになるかというような、これは私どもの方で皆さん方の御旅行を全部トレースしておるわけではございませんので、それが果して幾らになるかということはちょっと見当がつきかねるのでございますが、ただ損害がどのくらいあったかということは、これは考えようでございまして、いわゆるマージナル・エクスペンスの問題になりますと、果して幾ら損害があったかというと、なしといえばなしということになるかと思います。もし運賃収入に見積ったら幾らになるかということでございますと、これはちょっと見当がつきかねますが、大体のオーダーはおそらく何千万円というところが、一億程度というところではなかろうかと、これはほんの勘の推量でございまして、確たるトータルではございませんのでお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/76
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077・市川房枝
○市川房枝君 次は、先ほど相澤さんからもいろいろ問題が出ておりましたが、国鉄の持っておる財産の使用の仕方といいますか、まあ地所なり、建物なり、そういうものが非常に安い。この間衆議院の決算委員会で問題になりました新橋のガード下の京浜デパートでありますか、あそこは国鉄の関係者の方々で組織しております鉄友会というのが安く借りて、そうしてそれを京浜デパートにまた貸ししておいでになっている。新聞によりますと、月ですか一年ですかわかりませんが、京浜デパートから百八十万円取って、そうして国鉄の方へは四十五万円入れる。そうすると幾らもうかりますか、百四十万円くらいもうかっているわけですが、そういうふうな非常に安く借りてほかへまた貸しをしているといいますか、ある特定の人たちがもうけているというようなことが、ああして問題になりますと、これは非常に国鉄に対しての国民感情というものが悪くなる。運輸省ではこの問題について特に善処するようにおっしゃっておるようでありますけれども、委員会ですか、何か特別な委員会か何かお作りになってなさるというのですが、その大体の構想を一ぺんお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/77
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078・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 過般、衆議院の決算委員会で御議論がございました。私ども高架下の、その他用地の適正な管理について、いろいろ努力して参ったのでございますが、ただ先生の御指摘に、誤解をされていらっしゃる点もあるのではないかと思うのでありますが、私どもは用地と申しますと、高架下だけの用地を貸しております。そこへいろいろの施設をいたしまして、設備をいたしまして、その設備が一つの独立した財産として用地を借りたものの資産になっており、それに税金もかかる、償却もしなければならないというようなものも含めますので、さやがあるというようなふうに考えられる点もございますので、ただ用地を国鉄から四十万円で借りて、それに匹敵するものが百八十万円で貸しておるというような筋合いではないのでございます。その辺はよく御了承を願いたいと思うのであります。しかしながら、いずれにしましてもまた貸しその他が行われており、また不当に何と申しますか、非常にぼろいもうけの仕事をやろうとする者がそういう高い権利金などを取って、そういう所をまた貸しをして転々としておるという実情は確かにあると、申しわけないと思っております。管理能力不足のためにこういうことができております。今後は管理能力を増すために、現場には管財区を設けまして、今まで保線区と、あるいは建築区、鉄道の線路を保守するものあるいは建物を保守するものが、まああいまいと申しては恐縮でありますが、その付帯業務としてそういう所の管理をやっておりましたものを、それだけ取りのけました管財区という機構を設けまして、そこでやらせたいと、それから東京鉄道監理局におきましては、一月からでございますが、今まで営業部の中の一課でやっておりましたものを独立した管財部を設けまして、部長が責任をもって全般の処理に当るようにしたい。それからなお高架下の管理の刷新をはかるために、四月一日から高架下管理刷新委員会というものを置くつもりでございまして、これは部外の学識経験のある方々、あるいは民意を代表すると認められる団体の代表者の方々からのいろいろ御推薦を願いまして、そうして委員会を結成いたしたい。この委員会では高架下の管理をどうしたらいいかという最もプリンシプルなルールをきめていただく、あるいは無断で転貸する、第三者に使用させる、不法侵害するというようなものには、一体どういう方法を講じ、排除していくべきか、またこの問題につきましてはいろいろ法律的なむずかしい問題もありますので、必要ならば立法措置もお願いしなければならぬじゃないか、そういう場合にはどういう立法措置が適切かというようなことを御検討願って、早速発足させたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/78
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079・戸叶武
○委員長(戸叶武君) これをもって休憩といたします。
午後一時三分休憩
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午後二時十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/79
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080・戸叶武
○委員長(戸叶武君) これより運輸委員会を再開いたします。
午前中に引き続き、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/80
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081・市川房枝
○市川房枝君 午前中にこのガード下の地所の問題について御質問いたしたのですが、そのガード下の地所の問題については特別な委員会を作って、そこで処理をするという御答弁がありましたが、国鉄としてはこのガード下だけでなく、ほかに地所も相当お持ちになっているでしょうし、建物も、たとえば鉄道会館の問題等もございますから、そういう全般のものについてお考えになっているというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/81
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082・石井昭正
○説明員(石井昭正君) おっしゃる通り高架下ばかりでなくして、その他の土地あるいは建物等についてもいろいろ貸付等の問題がございます。ただこの問題につきましては、先般当国会で鉄道会館問題がいろいろ御論議になりましたので、私どもといたしましては民衆駅運営委員会、これはまあ民衆駅ばかりでなくして固定財産の管理という基本方針についてもこの方々の御意見を伺って基本方針をきめるというやり方をいたしておりまして、先ほど相澤先生の御質問にも御答弁申し上げた通り、民衆駅運営委員会ではまず第一に民衆駅に関する基本方針をやっていただいたあとで、今度は固定資産の管理原則一般についても御審議を願います。それに基きまして固定財産管理規程等も御趣旨に従って改正を加えまして、また一方評価につきましては土地建物評価委員会というものを現地の局に設けまして、公正な御評価をしていただくということにいたしたわけでございます。ただこれらの方面につきましては、高架下と違いまして、転貸とか、第三者使用とか、非常に何と申しますか、雑然としたところがない。要するに適正な値段で適正な条件で貸してあれば、まかすことができれば大体いいんではないか。ところが、高架下のような、貸したものがまた転貸をする、さらに権利金を取って貸すというのが、非常に乱脈をきわめておると申しますか、乱雑になっておるので、よほどこの点についてはっきりした方針を打ち立てて整理に着手しなければできない。さしあたり実はこの委員会を作ります際にも高架下ばかりでなくして、ほかの方も含めてはどうかというような御意見もあったのでありますけれども、いろいろ勘案いたしまして、さしあたり高架下が一番難物である、その難物をまず第一に貸し付けるということで高架下に限定したもので、決してほかの方をおろそかにしているということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/82
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083・市川房枝
○市川房枝君 そういうのは国鉄の一種の資産といいますか、それは国有財産になりますか。国鉄としてはどこの課で、どこの局でそういうのを総合して監督しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/83
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084・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 国鉄自体の資産につきましては、輸送の業務本来の仕事に使いますものについては、それはおのおの所管のところでやっているわけでございますが、部外に貸し付ける関係につきましてはこれは昭和二十八年の問題以来、本社に管財部というものを設けまして、そこで全部統轄してやっておりまするが、なお現地におきましては東京鉄道監理局が非常にボリウムは多うございますので、局長の下に管財部を設けまして管理する。大阪鉄道監理局は営業部の中に事業課という独立の一課を設けましてやらせております。そのほかの局につきましては、用地関係では用地を所管しておる課、それから用地全体を所管しております課、あるいは建物につきましては建物全体を所管しております課、それから構内営業につきましては旅客課という、おのおのの所管に従ってやっておるわけであります。一番重点は別に独立した専門の部課を設けて、おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/84
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085・市川房枝
○市川房枝君 今のお話を伺いますというと、出先機関といいますか、各部局でそれぞれにやっておいでになるようで、そうなりますと、なかなか統一がとれない、あるいは値段が一定しないといいますか、そうしてそこにやはりいろいろの問題が起ってくる余地を残すのではないかというふうに考えられますが、それで先ほどそういうことに関連して、立法措置を考えておるというちょっとお話がありましたけれども、どんな構想であるか、多少でも伺えましたら、大へんけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/85
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086・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 各地方でいろいろスケールが違うと困ることになりはせんかというお話でございますが、実はこの問題の財産管理事務につきましては、東京、大阪以外の局に全然ないとは申しませんが、非常にボリウムが少いのでございます。専門的に人を配置して、あるいは機構をこしらえてやることは、実はケース・ワークとしてはそれほどないわけです。方針は本社の管財部で全部画一した方針を定めて、これによってやらせたいと思っておりますので、ちぐはぐのことはしていないと考えております。
それから、ただいまの立法措置は考えているかということでございますが、私どもは立法する権限はございませんので、これは政府にお願いして立法措置を講じていただくのでございますが、問題は、今までの高架下の問題で、いろいろ問題になりますのは、結局私どもの方ではいつ何どき、あれを返してもらうときはもらう、あるいは線路を直したり、増設したりするときは、いつでも立ちのいて、返してもらう、こういう考え方で参ってきております。従って、そういう不安定な要素を含みますから、どうしても建前上料金が普通の賃貸借の行われております民間と、均衡を失しておるのである。そこへ結局いつでも立ちのけというような条件がいろいろついておりましても、現実問題としてはなかなかそういう機会はない。現に神田の高架下などは複線工事に従って、そういう事例も出て参ったのでありますが、しかし概して申しますと割合ない、そういう条件はあるけれども、立ちのくことという具体的な問題になることは少い、してみれば永久に借地権が設定されたと同じような感覚で、また借りた者が又貸しをする、そこに権利金などをうんととる余地が生じてくるというようなことに欠陥があるわけです。従ってそういう点で、私どもの方の貸借関係をもっとはっきり民法上いたす、率直に申せば借地借家権の適用がないのだ、従って、入っていた者は決して保護はされないのだ、これは鉄道事業上必要なときは、立ちのかなければならないのだというようなことなども、現在の法規では必ずしも明瞭ではございません。そういう点もはっきりいたしますれば、いろいろ承認したり、取り消したり、立ちのかせたりするのにも都合がいいのではないか、こういう点も考えられます。しかしそういう点が、いろいろとほかの法制との関係でどういうことになるのか、慎重に研究してお願いしなければならない、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/86
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087・市川房枝
○市川房枝君 この間公聴会のときにもどなたかからかお話があったのですが、国鉄にはあと払い制度があって、通運業者あるいは防衛庁、駐留軍、新聞社などに、そういう特別の便宜を払っておる、そのために多額の滞納がある、こういう御発言があったのでありますが、どの程度の滞納があるか、その業者別といいますか——で、ちょっと伺えればありがたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/87
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088・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 現在あと払いで運賃料金をいただいておりますのは、旅客運賃につきますと交通公社取扱いのもの、あるいは諸官庁でお払いを願うもの等でございます。また貨物運賃につきましては、通運業者の扱っておりますもの、それから官庁、それから駐留軍等がございます。そのほかに、連絡精算、よく国会でいろいろ御質問を受けますのは連絡精算、これは私鉄との間に連絡運輸と申すものをやっております。わかりやすく申しますと、国鉄の窓口で私鉄への通し切符を売る、その場合に、運賃は国鉄の分と私鉄の分を合せてお客さんからいただくわけであります。その私鉄の取り分を精算事務にかけまして私鉄に払う、ところが逆に私鉄の力から国鉄の運賃まで通して切符を売ります場合、私の方へまたそれをいただかなければなりません。それを相殺して、受取る分は私の力でいただき、支払う分は私鉄にお払いするということをやっております。その相殺した残りの、私の力の取り分になっておりますものの、各私鉄から払ってもらう分がおくれている分がございます。これが連絡未収金と称しております。運賃の後納がいろいろ御指摘を受けまして問題になりますのは、結局通運業者の支払っております貨物運賃の後納、それから今申し上げました連絡未収金の二つでございます。これは一時非常に多額でございまして、両方とも四億ないし五億ぐらい、もちろん国鉄の総収入からみればわずかでございますが、しかしながら額そのものとしては、何方とも四億とか五億とかという多額のものがあったわけであります。この回収につきましては、ただ取りさえすればいいというわけでなくして、やはりいろいろ業者、あるいは私鉄の経営の難点から、こういう問題が発生いたしたのでありますから、私どもといたしましては、できるだけすみやかに御完済を願うと同時に、業者の経営のできなくなるようなことをしては、これはまあかえって公衆の御不便になるわけであります。この点を勘案いたしまして、あと払い運賃につきましては昭和二十九年の九月十六日に、今までの分を全部一応そこで打り切りまして、それはもう業者の能力に応じて何カ月までに必ず完済する、分割返済の方法をとらせました。それからその後に起ったあと払いの未納というものは、厳重に処置する、あと払いを停止するという方法をとりましたところが、幸い各業者の非常な御協力を得まして、それ以後は、そう滞納はなくなりました。そうして過去におきまする分も逐次毎年の分割納入計画に従って納まって参り、ただいまでは、昭和三十一年の十二月末では三億一千九百万円に、約半減いたしております。これは私ここ二、二年のうちにはゼロになると思うのでございます。ただ先ほど申し上げましたように、各業者の経営を存続しつつ取り立てて参るのでございますから一挙にというわけには参りませんので、しばらく時日を要すると思います。新しく滞納が発生しているという事実はございません。連絡会社の方につきましては、これは私鉄、通運業者と同じような工合には参りかねる。と申しますのは、結局連絡精算を止める以外に制裁方法はないということになりますと、結局会社自身が困るばかりでなく、旅客、荷主がお困りになるので、そこでまあいろいろ苦心をいたしまして、これも大体銀行保証を一年分をかけてやることにして毎月きちんと今までの滞納分を納めていただいて今後は滞納は作らないという方法を、これは昨年のたしか末でございますが相当取り立てました。それまでにも大体まあ会社の業績も、最近経済界の好況で好転して参りまして、両々相待って成績が上っております。これも一時五億八千万円程度でございましたが、ただいまでは二億九千万円、これは十二月末でございますが、またさらによくなっておると思いますが、これも半減いたしております。これも遠からぬうちにまあほとんど解消するこしができるのじゃないかと思っておりますが、ただまあこの私鉄につきましては、ほんとうに残念なことには非常に一生懸命努力いたしましても、なかなか成績の上らない会社もございますので、これはまあ通運業者のように何用何日になったらゼロになるというふうにまではっきり申し上げかねると思いますが、非常に改善されて参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/88
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089・市川房枝
○市川房枝君 そういう未収の金というのは予算の面には出てきてないのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/89
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090・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 私の方の財務関係は発生主義でございますから、結局そういう未収金といえども私の方では取り立ての分は私どもの収入に上げているわけでございます。従ってその予算上とか決算上は別段未収金があってもなくてもまあ同じことでございます。ただ実際は金繰りといたしましては私の方はそれだけ現金がおくれて入ってくるとうい不利はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/90
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091・市川房枝
○市川房枝君 三十二年度の国鉄の予算の、その雑収入というのがあるようですが、その雑収入が三十二年度は八十八億、三十一年度は八十七億円、一億数字の上からふえているだけなのですが、それでこの雑収入の内容ですが、病院の収入、運輸収入及び雑収入ということになっておりますが、もう少しこれを具体的にどんなものが雑収入としてあるか、それからどうしてもっとたくさん、今年ふえてもいいというか、少し国鉄の方のやり方でもう少しふえてもいいんじゃないかという気がするのですが、そういう点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/91
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092・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 予算に組みました雑収入の内訳を御説明いたします。土地物件貸付関係で十二億、それから車両の使用料で三億、広告料で八億、構内営業料で六億、それから駅の共同使用料で三億、預金利子で一億五千万、その他、雑収入が五億、病院収入が十二億、貯蔵品の繰り入れが三十六億、その他に一億五千万くらいございまして、八十八億、こうなっております。これがあの予算面上から見ますると対前年度一億しかふえてないような格好になっておりまするけれども、実はこの雑収入の中に三十一年度までは恩給法納金があったのでございますが、それがすでによく御案内のように国有鉄道の職員は恩給法から適用をはずして、共済組合法によって、前国会で通過いたしました法律で切りかえましたので、三十二年度からは恩給法納金がなくなります。これが約八億ございますから、予算面上一億の増ということは実際上はこういう雑収入で九億ふやしておることになっております。従いまして、たとえば今問題になっておりますような土地物件貸付料は昭和三十年度では七億でございます。それを三十二年度では十二億にいたしておる。広告料でも三十年度は六億でございましたが、それを八億にしておる。で、私の方の予算査定上は相当雑収入の増収に九億ばかり期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/92
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093・市川房枝
○市川房枝君 私どもしろうとの考えで申しますと、まあ、こういうところでなお収入をふやしていただくこともできるのじゃないかという感じがするわけなんですが、まあ、国鉄の経営の中で今までお伺いしましたほかに問題になっております外郭団体への補助金といいますか、そういう問題なんかもあり、あるいは国鉄自身の備品の買い入れでも相当節約していただく余地があるのじゃないかというような実は感じがするわけなんですが、そういう点である程度赤字はこういうところから出てくるのじゃないか、こういう感じを、これはただ感じでありますけれども、持つわけでございます。まあ、国民大衆としてはそういう感じを一つ持っておることを申し上げておきたい。
それから今度の運賃の値上げに関連いたしまして、旅客の運賃は黒字なんであります。貨物が赤字なんであります。その貨物の中にはずいぶん企業者に対して特別の割引をしている、こういう数字が出ているようでありますが、まあ、国鉄の経営としては貨物の赤字を旅客の黒字で埋めるということは一向差しつかえないことかもしれませぬけれども、まあ旅客の立場からいえば、それはどうも旅客が黒字になっておれば旅客の方はそれでいいじゃないか、赤字だけを上げたらいいじゃないか、こういう議論が出てくると思うのでありまするが、まあ貨物も上れば物価にそれがはね返ってきますから結局は大衆へもある程度返ってきますけれども、しかし国民感情からいえば、どうもこの点も少し納得しかねるのでありますが、その点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/93
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094・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) この営業係数でございますが、いつも申し上げておりますように、一応この係数は決算原価で決算という数字をもとにして平均原価で出しておりまするが、昭和三十年度の営業係数で見ますると、旅客が一〇二、貨物が一一〇、全体で一〇六、この営業係数というものは収入一〇〇に対しまする支出の割合でございまするが、いずれも赤字である。ただ旅客の方が赤字の限度が少い、こういうことになっております。まあ、これはいろいろ御意見もございまして、今回の若干の運賃改正で双方とも黒字になるというふうに見合うようになると思いますのですが、この旅客にどれくらい負担させるか、貨物にどれくらい負担させるかという問題に相なって参ります。これはまあおのおのそれぞれの鉄道においていろいろな事情から世界各国でも非常に事情を異にしておりまするが、日本の国有鉄道の場合には、これまたすでに御案内のように、戦前ではいろいろな事情を勘案しまして、貨物の力は比較的何と申しますか、もうけが少い。旅客の方で黒字が出る。こういうような建前で日本の鉄道がずっと発達してきております。と申しまするのは、まあアメリカなんかの鉄道では、逆に貨物の方でもうけて、旅客の力で損するというような歴史をたどってきておりますが、これが戦後いろいろ鉄道のあり方を再検討いたしまして、戦後の累次の運賃改正によりまして、これを逐次原価に見合うように引き上げて参ってきた。従いまして戦後の引き上げ率を見ますると、ある程度旅客の方が少くて、貨物の方が非常に大きな割合で値上げをして参る。それで今日まあ三十年度では、赤字が約一〇二と一一〇と、少しの開きばありまするけれども、まあ大体貨物の方も原価主義へ次第に近づいて参ってきております。これを一挙に逆転せしめるかどうか、あるいは全くパーにするかということの判断でございまするけれども、また累次のそういう経過並びに日本の持っております鉄道の特質というような点から、まあ今回は大体両方とも一割三分程度ということで考えたわけでございまして、この点はいろいろなそういう今までのいきさつなり、またここで急に経済界に異常な影響を与えるということも、日本経済の伸びていきますときに支障がございまするので、そういう点を勘案して、今回はまあ大体同じような程度を上げる、こうしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/94
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095・市川房枝
○市川房枝君 私のここにある数字は、旅客の方は二十八年度は九四ですか、二十九年度が九二ですか、三十年度九七という数字になって、幾らか黒字になっているように見えるのですが、旅客の方の運賃を払っておりまする階級は、これは一般の勤労大衆、つまり三等の客がほとんど大部分でありますから、まあ勤労階級ということになるわけですが、だからそういう人の負担において貨物の方の不足を補うということは、これはどうも納得がいきませんけれども、まあだんだんその歩合を改めていくというお話でございますから、一応それを伺っておきますが、国鉄の路線の二百二十七路線ですか、全部で二百二十七路線のうちで、線だけの収支の点から見ると、黒字はたった十一線しかない。あとは全部赤字なんです。その赤字も、まあ線によってはだいぶいろいろ違うようでありますが、今度の一割三分平均の値上げで、その黒字が十一線しかなかったのが、どのくらいに黒字の線がふえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/95
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096・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) お手元の、多分運送原価の数字は、これはいわゆる旅客で、人キロ当りが出ていると思うのでありますが、これに付随いたしまする手小荷物その他、いわゆる旅客列車に荷物車がついております、こういうものの原価が入っていない。だからその旅客と同時に、手小荷物その他を旅客列車で輸送しておりまするので、そういう意味においての旅客を申し上げますと、私の申し上げた数字になるのであります。
それから今御指摘の、この線別の営業係数でございますが、これもお手元に資料がいっているかと思いますが、具体的にはどの線が黒になるかと申しまするのは、今の建前が、決算原価ではじき直しまする平均原価でございまするから、まあ三十二年度の決算をいたしてみないとわからないのでありますけれども、大体営業係数が一一三程度になっておりますようなものは、まあ一三%の値上げがあれば、大体一〇〇前後になる。大きなものでは、東北線なんかは現在赤でありますが、あるいは三十二年度の決算の模様によってはとんとんになるかどうか、大体営業係数の一〇〇をちょっと上回っているようなものは、おそらく今度は償うような線区になるかと存じますが、ただまあ二〇〇だの、三〇〇だの出ておりますような所は、これはとうてい一三%程度の値上げでは赤であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/96
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097・市川房枝
○市川房枝君 そうしますと、そういう赤字の線は、やはり黒字の線の所で穴埋めをしていくということよりしょうがないといいますか、そういう赤字の線をなくしていくという経営は、これはできないものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/97
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098・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) これはどこの国の鉄道でもそうでございまするが、この線別々々に、すべての支線に至るまで黒になるということは、これはちょっと考えられないのではないか。やはり鉄道というものが、大きな国の動脈なり産業の基盤でありまするし、また国民の足でありまするので、全体としてこれが正しい原価を見合って参れば、これによって大きな機能を果して参るという公共性がおのずから本質的にございまするので、従ってこれがすべての線が黒になるという鉄道というものは、ちょっと考えられません。しかしまあ全体の総合原価として、これが正しく原価を償って参れば、これはいろいろ発展して参るのでありまして、まあだんだんいろいろ経営合理化はもちろんいたしまするし、あるいはまた支線区においては、蒸気列車をやめて、ディーゼル・カーに置きかえるとか、いろいろなことを行いますので改善されて参りまするが、今言ったようなことで、全部が全部というわけにはこれはとうてい永久に参らないんじゃないか。また運賃制度と申しますものが、これまたいろいろ考え方がございまするけれども、特に日本の国有鉄道のような場合に、線によって運賃が違うという、いわゆる地帯制運賃と申しますか、線別運賃と申しますか、こういうことを採用することは、これはちょっと不可能じゃないか。やはり日本全体にわたって共通の賃率、共通の制度というものをとることによって産業の開発なり、国民生活に利便を与えるという点から、やはりこの線別運賃はとれませんですからして、全体でやはり総合原価を見合う、こういう考え方でいかざるを得ないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/98
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099・市川房枝
○市川房枝君 その赤字の線が、今お話のように、国の経済政策からいってどうしても必要なんだ、こういうのが全部でありましょうか。あるいはそれほど大してそういう役割には立っていないんだ、あるいは国鉄でなくても、それをバスにかえてもいい、その方が経済的だというような線もあるんじゃないかと思うんですけれども、そういう検討はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/99
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100・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) ただいまの御説は、まことにごもっともな点でございまして、大体鉄道の近代化と申しますることには、積極的に電化をするとか、あるいはディーゼル・カーにするとかいう問題と同時に、この際他の交通機関に置きかえたらどうかという点の考慮も払わなければならぬと存じます。まあ概して申しますると、一般的に申しますると、現在の日本の状態における国有鉄道の交通網の普及状態という点から参りますると、私どもはまだこれがとことこんまで発達したものとは考えておりません。これはヨーロッパやアメリカ等では、特に今次大戦後に、相当の鉄道を廃止をいたしておりまするけれども、これはやはり人口の割合なり、産業の割合なり、面積の割合から普及度を見ますると、日本とは比較にならぬほど発達して、網の目が完成されております。その結果、これを縮小の傾向に入っておりまするが、全般的に申しますると、日本の場合には、まだ鉄道網というものは、そういう面積なり人口なり産業なりから見て、伸び切った限度にきておるとは私どもは考えておりません。一般的には、まだもう少し鉄道網の普及が必要だと存じております。しかしながら、今度は具体的に個々のいろいろな線区の経営合理化を考えました場合には、これは例外的にはやはり一部置きかえ得るものが出てくるのではないか、ことに地方鉄道軌道と申しますか、私鉄においてもそういう面を検討しなければならぬ面がありまして、私どもといたしましてもそういう交通政策にまことに同感でありまして、実は具体的な事務的な検討には着手しておりますが、これはいろいろ荷物の性質なり、旅客の流れなり、特に貨物の場合にはやはり積みかえるということによって非常に大きな障害も出まするし、またこの原材料物資であるとか、大量物資であるとかについては、直通運輸の必要なものもございます。そういう点は慎重に検討いたさなければならぬと思っておりまするし、また日本の場合には特に気候が問題でございまして、特に雪国では冬季間において路上交通が途絶する場合が多うございます。こういう場合にもやはりその経済の維持、国民生活の維持で、鉄道でございますと途絶しませんものでございますから、そういう点も特別に考えなければならぬ、全体的に申しますと、やはりそういう交通も、またそれがおのおの何と申しますか、培養線になりましてそういう支線から人も荷物も流れ込んできて、それでまた全体として幹線の黒がでてき、また全体として見合っていくというような事情もございまするので、そういう点も判断して私どもは今後もなお検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/100
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101・大倉精一
○大倉精一君 関連してちょっとお伺いしておきたいのですが、どうも昨日からのいろいろの説明を聞いておりますというと、權田局長の方では個々の線区の赤字、黒字というものが、これは取り上げて議論すべきものではなくて、全体として赤字だ、黒字だという、こういう問題をやはり重点に置くべきだというようなお話なんです。ところが、三十一年の一月十四日号のエコノミストで、十河総裁が「国鉄を刷新する道」という、こういう一つの談話を発表せられておるのですが、それによりますというと、国鉄の財政の健全化の大きな目標は、百七十億にも上るところの、幹線でない赤字を出しておる地方線をどうして黒字にするか、これが大きな眼目であるという工合な発言をしておる、これはどうもニュアンスが違うような気がするのですが、この点について総裁から一つ御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/101
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102・十河信二
○説明員(十河信二君) 今お話の通り、赤字の線区が相当多いのであります。しかしその赤字の線区が、さっき局長の言われたような、そういう何といいますか、日本経済に寄与する面も相当ある、それで私が最も力を入れたいと思いますのは、その赤字の線区の日本経済に寄与する面は助長していく、もっと経営を合理化してそして経費をできるだけ切り詰められるところは切り詰めたい、それにはどうするかと申しますと、先刻權田局長からもお話のありましたように、あるいは大きな列車をできるだけ少くして小さなレール・バスとか、あるいはディーゼル・カーとかというふうなものに置きかえると、さらにまた機構を改正いたしまして、ある線区は独立した簡易な合理的な経営のできるように機構を改正いたしますとか、そういうふうなことをして国民経済に寄与する面を傷つけないで合理化の方法を講じたいということで、今極力検討もし、また一部着手しておるところもあります。そういうふうな方面を私は強調して従事員を督励いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/102
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103・相澤重明
○相澤重明君 今の総裁の言でお聞きをしてみますと、赤字の線区でも場所によると独立採算制のことも考えていきたい、ということの言葉の裏には、いわゆる独立採算制をもしとれない場合には、それは国有鉄道、いわゆる公共企業体ではなくなるという考えがあるのかどうか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/103
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104・十河信二
○説明員(十河信二君) 今のところそういう考えは持っておりません。そういう考えは持っておりませんが、独立採算制をやって、ここでこれだけ収入を増加すれば、その一部分は従事員の方へ還元するとか、あるいは共同の、何か施設の費用に使うとか、そういうふうなことをさせたらどうか、そういうことをやっておる個所も少しはある、経験的にやっておる所がある。そういうことを申し上げたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/104
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105・相澤重明
○相澤重明君 これは毎々私どもから指摘しておることですが、とにかく黒字の線というのは、線区にすれば十七線区しかない。あとは赤字の線区である。ところが、今までの審議の中ではいわゆる線区によって赤字であるとか、黒字であるということは考えておらない、こういう今まで答弁があったと思う。ところが、今の総裁の言葉によると、線区というものはかなりウエートを持ってきておる。これは權田局長との意見の食い違いだと思う。その点について權田局長の方の答弁を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/105
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106・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 私が再々申し上げておりまするのは、いわゆる財政経理と申しますか、あるいはまた運賃の建て方という場合に、どう原価を見ていくかというような見方においての総合原価の見方を申し上げたのでありまして、この場合において運賃制度で線別運賃制度もとれませんですからして、そういうことになるのでありますが、今度は一方、この営業係数をいわゆる部内の経営合理化の目標として考える場合には、個々の線区における営業係数、指数というものは、これは努力目標に相なるのでありまして、いわゆる部内の経営を合理化する指数としての扱い方、あるいはそれに対する、また各線区における経営合理化の方途というものについては総裁の言われた通りになると思うのでありまして、これはそれぞれの面が違いまするし、見方が違いまするから何らの矛盾はないと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/106
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107・相澤重明
○相澤重明君 これは大へんな問題だ。その見方の違い、いわゆる考え方の違いというものは公共企業体の国鉄を運営する場合に出てくるわけで、どういうふうに見方が違い、どういうふうに考え方が違うのか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/107
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108・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 私がただいま申し上げましたのは、いわゆる一つ事に対する意見といいますか、見方の違いではないのでありまして、違った事に使っておると、いわゆる運賃の原価を見ましたり、あるいは財務経理全体として総合原価を考えまする場合の見方は私の申し上げた通りであります。今度は一方全然違ったことで経営合理化を行なっていくと、その合理化の具体的な方策を立てる見方というものは、これは経営分野でございまするからして、この方はまたこの方の見方があり、これは全体の今度は総合原価として見る見方においては私の御説明した見方になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/108
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109・大倉精一
○大倉精一君 どうも納得できませんですが、経営合理化の面を見る目と、総合的にものを見る目と違う、こうおっしゃるんですが、これは結論するところは、経営合理化も総合的な目も、やはり国鉄経営の一つの方針があって、経営合理化という方針を出しておる、それに立つと思うんですが、見方によって違う、こういうことはどうも納得できない。(相澤重明君「大臣が出席しなければ審議できない」と述ぶ)大臣もしょっちゅう言っておられるんですが、赤字の線があって黒字の線があるんだ、赤字の線区があってこそ黒字の線区があるという主張を繰り返しておられる。ところが、十河総裁のお言葉をずっと聞いてみますというと、これはそうじゃなくて、やはり国鉄の経理の健全化の大目標というものがこの赤字線区をいかにして黒字にするかという、これが大目標であるということをこのエコノミスト誌で発表しておられる。しかも国鉄の電化にしても、その他のことにしても、総裁のずっといろんな御意見を総合してみるというと、その中にニュアンスはいわゆる産業経済に寄与するために電化をするというんじゃなくて、やはり国鉄の利益がこうだ、利潤がこうだからこうなればもうかるからという、そういう考えから出発して電化の問題も、その他の問題も総裁は考えておられるような気がするんです。ところが、今の総裁のお話によるというと、黒字の線区といえども社会経済に寄与する面は云々という言葉がある。どうもその辺が一貫していないようなところがあるような気がするんですが、その点はどうでしょう。これは大臣に聞かなければわからぬ点があるかもしれないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/109
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110・十河信二
○説明員(十河信二君) 本日でしたか昨日でしたか、電化について申し上げましたが、電化をする何はただその経費を切り詰めるというだけではない。輸送力を増強する最も手っとり早い方法として、一番まあ経費が少くて一番早く効果の上る方法は電化である。それゆえに国鉄ではもう早くから電化の方針を立てて、促進して参ってきたんであります。ところが、占領中に一部のこれに反対するような占領軍の見解がありまして、それで一時電化というものは足踏みさせられた。それで私はそれを元に復して電化を促進したいと、こういうことに、まあ多少、何といいますか、重点を切り変えるということをいたしたということを申し上げたのであります。
それから赤字線区とか、黒字線区とか申しますけれども、この赤字線区、黒字線区、あるいは旅客はもうかっておるが、貨物は損しておるとかいうふうなことは、この計算はこれはもう世界中一定した計算というものはないのでありまして、どこの国でもいろいろと問題がありまして、はっきりはこれはわからない。またわかるべき性質のものではないのであります。ただ大よその目標でここはもうかっておると、ここは経費がかかり過ぎると、この貨物はもうかると、この貨物はもうからないというふうな大体の目標を立てて経営を合理化していくということにいたしておるのであります。必ずしも赤字だからやめるべきだと、黒字だからどうというふうな、これを、何といいますか、ものさしみたいにしてはかるわけには参りかねるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/110
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111・大倉精一
○大倉精一君 電化の問題のお話があったんですが、先般の公聴会のときにはですね、こういうような、どなたか発言があったわけです。それは東北線を電化をする、こういうような計画に対しまして、今東北線の輸送状態は電化をするよりも複線にしてもらいたい、あるいは複々線にしてもらいたい、それが急務であるということを、仙台の局長はそういう意見を具申をしておるということを聞いております。私はそういう問題は専門家じゃありませんからわかりませんが、今のお説のように、とにかく輸送力を増強をするんだ、それがために電化をするんだ、このお説ですというと、複線、あるいは複線よりも電化をやった方が輸送力が増強されると、こういう結論になるんですが、しかし、どうもあなたのずっとこの書き物なんかを見ておりますというと、そういう工合にはニュアンスが受け取れない。電化をすれば石炭がこれだけ節約になってこれだけ安くなる、人員がこれだけ減ってこれだけ安くなる、ですからこれだけ収入が上ってこうなるというようなことで一貫しておるような気がするんですが、果して現在の当面の輸送力増強はやはり電化ということが唯一の手段、方法であるかどうか、それを一つ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/111
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112・十河信二
○説明員(十河信二君) 輸送力増強の方法は決して電化だけじゃないのでありまして、根本的に輸送力を増強するにはもちろん線路容量を増す、車両を増加するというふうないろいろなことをやらなければならぬのであります。電化はただある程度輸送力を増す、昨日も申し上げましたように、索引トン数でも、あるいは速力でも大体その勾配区間では電化をすればおよそ倍くらいにふえておる。これは理屈でない、事実であります。国鉄ではこの電化も進めておりますが、同時にまた複線化も進めておる。東北におきましても、どうしても東北は複線化をやらなければならぬ。それで至るところ一番有効に複線の効果を発揮し得るように、まあ飛び飛びに複線を今やりつつあるのであります。仙台の局長が言ったことも決して間違いではないのであります。仙台の局長はただウエートをその複線の方に重きを置いて言ったと、私は電化の説明をするときには電化の力に重きを置いて説明をしたというだけの違いじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/112
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113・大倉精一
○大倉精一君 この問題、大臣から聞きたいと思いますから保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/113
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114・相澤重明
○相澤重明君 きのうからの僕の質問があって、僕は今のような意見の食い違いがあるからたださなければならぬ。
総裁にお尋ねしたいのですが、この当局から出しておるやつですね、この出しておるやつの中にもあなたの方で言われておるのが言われておるでしょう。今言ったところの赤字の線区であるとか、黒字の線区であるとか、それから各この支線別に、あるいは各種別に全部こう出ているでしょうが。そういうことを言われる場合に、その赤字の線区とか、黒字の線区というものが具体的にわからぬという総裁の答弁が今あったと思うのです。これはどういうことなんです、一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/114
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115・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 鉄道の原価計算については専門家である相沢先生はもうよく御存じだと思うのでございますが、(笑声)鉄道というものは非常に旅客、貨物の種別につきましても、共通費が多いわけでございます。大体六〇%以上が共通費でございます。その共通費を旅客、貨物の力に配分するのはいろいろな仮定をおいてやっておるわけでございます。これが各国の鉄道の原価計算の非常な難問になっておるわけで、いろいろ研究しておるわけであります。従って一つの仮定をとってその仮定によって配分した結果がそうであるということをお見せしたわけでございまして、これだけ実際に費用がかかったということを申し上げるわけにはいきかねると思うのです。われわれはそれによりまして先ほど申し上げましたような、この線区については経費をもっと節約することが、何とか講ずることが国全体、国民全体の利益になるという点については、その方面でそういう数字の傾向をいろいろ検討しながら改善策を講じていくという資料にいたしておるわけであります。個々の運送について原価が幾らかということを議論していては、これはきっと運賃制度は成り立たないということは先生御存じの通りだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/115
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116・相澤重明
○相澤重明君 今の私のお尋ねしておるのは、そういうことを聞いておるのではないのです。そういうことは、もう少くとも飯を食ったものならわかる。(笑声)交通政策全般の問題について私どもとしてはこれを討議を進めておるわけです。ですから、きのうも私が質問をしたように、国鉄とは一体どういう性格のものなんだ、今回のこの運賃値上げというものはどういう性格を持つものなのか、国鉄のあり方はどうしたらいいのか、こういう点を私はきのう具体的にあなた方に質問をしているわけなんです。そういう中で今ここに資料を提出をしてもらい、そうしてまた各それぞれの責任者なり、担当者から御説明を願う場合に、資料の提出の仕方と、そしてまた説明の仕方が違ってくれば、これは反論するのが当然なんです。だから、私の言うのは、資料というものに載せられておることと、やはり言われることというものとは、私は一致をしなければならない。特に先ほどの問題については赤字線区についてどうするかということは非常にこれは大きな関心を持たれておる。運賃の値上げをしなければどうしても国鉄の採算がとれないということをいわれておる。そのために一割八分の最初の計画を立て、あるいは一割五分の計画をとり、ようやく政策的に一割三分の値上げを行うということになったのでしょう。われわれ社会党としてはこの値上げは反対なんですよ。けれども、あなた方の方で一割三分の値上げを行うというその基礎はどこなんだ、これを私どもは追及しておる。そういう点については、やはり確たる信念をもって答弁をしてもらわないことには私らは困る。だから、その信念を持って答弁するには、やはり資料と同じように私どもは答弁をしてもらいたい、こう思うのは当然な話なんです。だから、きのうからのいわゆる質疑の中において、まあ私どもとしては大蔵省関係を呼んで、なぜ国鉄がこれだけ苦労をしておるのに大なたをふるって予算というものを削減するのか、あるいは根本的に、またなぜいわゆる他の造船や、あるいは電力開発について融資を行うのに国鉄への融資は少いのか、こういう点を私どもはやはり明らかにしていかなければ、国民が国鉄は運賃値上げしてしまえばどうせいやだって乗るのだから、これはもう増収ができるのだという考え方は私はいかぬと、こういう点をやはりはっきりするために、私どもは今そういう点を申し上げたわけなんです。この点については十分一つ今後もそういう点をお考えになって答弁をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/116
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117・市川房枝
○市川房枝君 赤字線でも国の経済に寄与する線は、私はやはり続けていかなくちゃならないと思います。ただ、まあその際その負担をいわゆる運賃値上げによって私は補充するということは、これはどうも納得がいかない。それから、その赤字線でも経済的に国家に寄与するかどうかという一体判定がどこでなされるのかという問題、まあその問題に関連しまして、私の手元に今ここにありますのは、今もうすでに新しい、新線として国鉄の方で着手しておいでになり、現に着手しておいでになる線——十四線の数字を今持っておるわけですが、その線がいよいよ運転をして収支の大体の見通しというものが国鉄当局でちょっとあげられておりますが、それを見まするというと、いずれも赤線ばかりであります。それもずいぶんひどい赤線……、今の営業係数からいうと、その十四線の平均が一九〇という数字があるわけなんですが、こういう赤線をまたこれだけふやして、また赤字がよけいふえていくということになるわけでありまして、この線がそれでは日本の経済の発展に非常に重要なる線であるかどうかという決定をされて、これは着手しておることになるのかもしれませぬけれども、まあ巷間伝えられる、いわゆる政治的なこれは線だということが事実だとすると、一般の国民大衆はずいぶんそれの負担もまたしなきゃならぬ。これについての国鉄当局の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/117
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118・藤井松太郎
○説明員(藤井松太郎君) お答え申し上げます。
ただいまやっておりまする十四線の、これは営業すればいかになるかと申しますと、ただいま御指摘の通り、大体営業係数から考えますと、一九〇から二〇〇前後であろうと存ずる次第でありますが、この一九〇といったような営業係数は、当然その中には一〇〇に該当するような金利も含んでおりますし、償却も含んだすべての金であるということをまずもって申し上げまして、しからばその一九〇の営業係数を持つような路線をやっていたらどれだけの、国鉄は赤にきまっているのだが、国家的に利益があるのかと申しますと、それによりまして森林資源が開発されるとか、あるいは地下資源が開発されるとか、電力開発が容易になるとか、こういった面がございまして、関連的には大いに国家のために役立ってるということは申されますが、私どもいろいろ経済学者その他の方の御意見も聞きまして、お亙いに納得しやすいようにこれを数的に表現したいというふうに研究したのでございますが、その点はなかなかむずかしい。国鉄は損しているが、これだけ外部でもうかっているという表現は非常にむずかしいので、遺憾ながらその点はお答え申し上げかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/118
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119・大倉精一
○大倉精一君 今のに関連質問をするのですが、先ほどの総裁の言葉と関連もしているのですが、地方線で産業経済に寄与すると、こういうような発言があったのですが、具体的な一つの例を申しますというと、樽見線ですね、樽見線は産業経済にどういう寄与をしますか。これは国鉄当局を私は責めるわけじゃない。当局としてはこちらできまったものはやらなければならぬから、参考のためにお伺いするのであって、これは根本的には大臣に聞かなきゃならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/119
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120・藤井松太郎
○説明員(藤井松太郎君) まことに申しわけないのですが、線名を聞き落したのでございますが、何線でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/120
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121・大倉精一
○大倉精一君 樽見線です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/121
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122・藤井松太郎
○説明員(藤井松太郎君) 樽見線の例はまことにいい例かどうかしませぬが、あの線はそもそもが、御承知だろうと思うのでございますが、大量の石灰がございまして、そこでセメント工場を経営するという計画がほぼ確定しておりましたが、御承知の佐久間ダムの電源開発が起りまして、できるだけ近いところでセメント工場を興したいということで、金沢市にその計画が移ったということに相なりまして、ただいまその石灰だけを輸送しているということで、営業係数必ずしもよくないのでございます。しかしながら、まあその樽見、それから奥地帯の森林資源といったものの開発に効果があるという見方はできまするが、しからばどれだけ効果をしているのかと申しますと、先ほど申し上げましたように、数的に申し上げかねますので、一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/122
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123・大倉精一
○大倉精一君 私の尋ねたいことは、ああいうような線——ああいうような線というとはなはだ失礼かもしれませぬが、何か政治家の偉い人が言ったのかどうかわかりませんが、そういう新線建設をやって、何か必要であるからやったと思いますが、にもかかわらず大垣の接続設備をやらずに一年間もほったらかしておいて、そうしてこれを一年間もほったらかしたあとで接続設備をやって、通したときにはもう赤線になって沿線は草ばかり。これをとるのに人夫の水増しをやったり何かして、大へんな、まあ会計検査院あたりからも指摘されておるのですが、これもみんな運賃で負担しなければならぬ、そういうようなものは、かりにやったものは仕方がないので、これは地方産業経済に寄与しないということになったらあのレールはひっぱがしちゃって、そうしてバスか、トラックか何かしらぬけれども、そういうものをやる、こういうことはお考えになるのですか。これはあとで運輸大臣に質問を保留します。これはけっこうです。ひっぱがしてやることはやはり計画の中に入ると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/123
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124・藤井松太郎
○説明員(藤井松太郎君) ただいま申しましたように、産業開発その他の面で著しく寄与したということは、現在の段階では申し上げかねる。しからば全然寄与してないかと申しますと、寄与していると存ずるのでありまして、かくのごときものを、一度できた線路を撤去するかいなかということは、先ほど来御議論になっているように、国家の交通政策の問題でございまして、私としてはお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/124
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125・市川房枝
○市川房枝君 今申し上げましたように、赤字の新線といいますか、そういう施設を決定する機関、私はよく知らないのですが、鉄道建設審議会ですか、そこで決定されるまでの手続といいますか、その機関をちょっとお如らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/125
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126・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 日本国有鉄道の鉄道新線の敷設に関しましては、鉄道敷設法というのがございまして、この法律で国有鉄道の敷設すべき予定鉄道路線は別表に掲ぐるところによるとございまして、この別表で路線が皆きまっております。この路線のうちから国有鉄道限りではこれがいたせませんので、運輸大臣の許可が要るわけでございます。運輸大臣は新線建設の許可をいたそうとする場合には、あらかじめ審議会に諮問すべしということになっておりまして、ここに鉄道建設審議会というのが法律で置かれておるのでありまして、鉄道建設審議会は二十七人の委員で、衆議院議員の中より衆議院の指名したる者六人、参議院議員の中より参議院の指名したる者四人、運輸政務次官、運輸事務次官、大蔵事務次官、農林事務次官、通商産業事務次官、建設事務次官及び経済企画庁次長、それから運輸審議会の会長、日本国有鉄道総裁、運輸業、鉱工業、商業、農林水産業、金融業等に関しすぐれたる識見と経験とを有する者六人、鉄道建設に対し学識と経験とを有する者二人、こういう構成メンバーででき上っておりまして、この建設審議会の御答申をいただきまして、それによりまして新線建設の許可をいたす、こういう手続に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/126
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127・市川房枝
○市川房枝君 その建設審議会で決定なさる場合に、さっきお話のありましたように、こういう新線は赤字になる、しかも少しばかりじゃない、だいぶ赤字になるということはちゃんと御承知の上で決定されるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/127
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128・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 具体的な線の決定に関しましては、この線の持つ意味あるいは使命あるいは道路交通計画等の関係、全体的な交通政策の関係等々、相当深く御論議になりまして、それで決定されるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/128
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129・市川房枝
○市川房枝君 そうなりますと、こういう一応国家的に必要だという少くとも表向きの理由は、それで決定されておるのでありましょうけれども、そういう新線、あるいは赤字線もそうですが、そこから来る赤字をやはり運賃の値上げということに転嫁してしまおうということはどうしても納得ができない、むしろそれは国家が責任を負うべきだという感じを持つわけでございまするが、今の問題に関連してきますが、いわゆる黒字線ということからいいますと中央線、山手線が一番黒字でもうかっているようです。この中央線、山手線も今度値上げになって、値上げの率は一割三分よりも少し多くなるのではないですか。どれだけになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/129
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130・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) これは先ほども申し上げましたように、運賃制度というものを考えまする場合には、地帯別運賃とか、あるいは線別運賃というものは採用が不可能でございますので、総合原価からいろいろ考え、さらに運賃法の四原則で考えておりまするので、どの線どの線の運賃というふうには出ておりませんで、全国一律の運賃でございます。旅客の場合には現在三等の第一地帯が二円十銭でございますのが二円四十銭になる、これは一割三分かけましてランド・ナンバーに整理いたしますから二円四十銭になるわけでありまして、この率でこれをキロ程に適用いたして上るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/130
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131・市川房枝
○市川房枝君 山手線、中央線はほんとうは前からの割合でいくと少し高く切り上げになっておったわけですね。今度もやはり十円、二十円という勘定でいくから比較的高くつくといいますか、今お話のようにどの線は高くする、どの線は安くするということはできない、全国一律でいいと思うのですが、ただ山手線、中央線というのが一番もうかっておるといいますか、一番あそこがああいう殺人的な混雑を来たしておるという現実の問題と照らし合せて運賃はほかと比べてそういう関係でたまたまといいますか、高くなる。しかも値上げして、それじゃ山手線がどれだけ緩和されるか。これはこの前同僚委員から御質問があって、運賃値上げの結果山手線、中央線としては一体どれだけ緩和されるかという御質問がたしかありまして、車両が三十二年度で何ぼ出ておるとか、四十両ですか、ですけれども、それでは大衆の側からいいますというと、納得ができない。運賃値上げをされたらば何らかそれによって幾らか緩和される、これはまあ少し気が短かいということになるかもしれませぬけれども、しかし何らかそういう日に見えるものがなければやはり納得をしないと思うのですけれども、山手線、中央線についてその間の事情をもう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/131
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132・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 今大ざっぱに申し上げまして失礼いたしましたが、特に御指摘の問題は例の環状線の問題だと存じます。御案内のように、運賃制度の形態として距離比例制、それから遠距離逓減制、地帯制、均一制、また例外的には逆に遠距離逓増制というものも考えられますが、これは珍しいのであまり考えられませんけれども、こういった形態がございまして、これはわが国では距離比例制をとらずに日本国有鉄道では原則として遠距離逓減制をとっておる。しかし電車の環状線、これは東京の環状線と大阪の城東線でございますが、これはいろいろな沿革、歴史もございまして、やはり都内の交通機関、市内の交通機関でございますので、他の都電なり、市電なり、バスなり、地下鉄等の関係がございます。そういうことから古くから運賃制度は地帯制をとっておりました。区間制でございますね、一区間幾らというような……。それで現実には御案内のように、ここだけは十円、二十円という制度になっておるのですが、これはそういったいきさつから実はこの営業キロ程に二円十銭掛けたものではないので、営業キロ程を四割引いたしまして、たとえば十キロの所でございますと六キロにいたしまして、それに二円十銭を掛けていく、こういう制度になって割引してございます。これは今申し上げましたように、以前の何銭々々という賃率時代から独得のそういう事情がございましたために、営業キロを短縮しておる。これは若干不合理な点もございますので、今回国鉄の申請は、これを三割引に少し合理化の方向へ是正してくれ、こういう申請でございました。十キロを七キロにするわけで、これは値上げになるわけでございますけれども、これはいろいろな都市交通の他の関係、あるいは今までの値上げ率等から見て四割の線は維持しようということで、私の方は四割引でいくものとしてそういうふうにしてございますが、その結果、この十円、二十円という制度は変らないわけでございます。あとは今度この四割引した営業キロに二円十銭でなく二円四十銭を掛けますと、端数の切り上げ、切り下げの関係で起って参る。従って、たとえば十四円九十九銭まで出ましても、これは十円にしてしまう。それから十五円一銭出ますと、二十円になってしまうということで起るのでありまして、この全体の影響は、現在、大阪の城東線は今回は四割引を持続しますので、現在の運賃に変りません。一割三分上げましても、値上げがない。これはキロの関係等で出て参ります。東京では大体現在十円区間が四百八十八口切符の種類にしてございます。そのうち上るものが九十一口、で、三百九十七口は十円のまま据え置き、それから二十円区間は百七口ございますが、これは一つも上りません、全部二十円。従いまして、全体では五百九十五口のうち九十一口が十円が二十円になる。これはまあ十円のラウンド・ナンバーで運賃を立てておりますので、その関係でこういうことに相なりまするが、そういう結果でございます。
それからなお前回も申し上げました、この全体の運賃収入で自己資金、外部資金が出て、設備が改良されまして、岩間先生の御質問に記憶でお答え申し上げましたので、画数で少し不正確でございますので、正確に申しますと、前回申し上げましたように、本年度では全体の電車は六百十四両、それから通勤輸送について言いますと、五カ年計画では千百八十両。で、そのうち特に三十二年度で、山手線なり、大阪の城東線、その他に、東京、大阪に入ります電車は、東京が百七十八両でございます。それから大阪が五十二両、その他八両、それで三十二年度の通勤輸送電車は二百三十八両、こういう数字で、これだけの電車は三十二年度でふえるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/132
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133・岩間正男
○岩間正男君 ちょっと関連して。この前、非常に素朴な質問かもしれませんが、山手線で一年間の大体利益ですね、これの資料がほしいと申しておったんですが、これをちょっと出してもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/133
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134・久保龜夫
○説明員(久保龜夫君) 先般御要求がございましたのを口答で申します。山手線——これはただし御承知かと思いますが、品川—田端間で、東海道線、東北線に該当するものは抜いてございますが、収入が四十六億一千七百万、それから原価、つまり経費の方は三十一億二千三百万、差引いたしまして、いわゆる利益が十四億九千五百万、これがこの表にございます六八%、原価が六八%に当る。ただし、先ほど石井理事から申し上げましたように、たとえば品川駅における各線区の分担とか、そういったいろいろ推定をたくさん用いておりますので、一応そういう前提で作りました原価計算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/134
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135・市川房枝
○市川房枝君 山手線で十円のところが二十円になるのが九十一区間あるというお話でございますが、この十円から二十円になるのは一割三分どころではない、十割上るわけなんでして、どっかの新聞で私ちょっと見たんですが、そういう区間に限って十五円の回数券を出す、そうすると幾らかその点が緩和できるんだというのを読んだことがありますが、そういう計画はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/135
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136・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 九十一区間と申しますか、口数でございまして、いろいろな組み合せがございます。その組み合せの中の九十一だけが上って、あとは据え置き、それから今申し上げましたように、これはそういうことで二十円に相なりまするので、非常に率としては高くなります。で、ここで私どもが考えましたのは、百五十円で十枚の回数券というものを作って、まあ定期をお買いになるほどではないが、比較的ひんぴんとお乗りになる方は回数券が御便利でございましょうから、この回数券を買っていただくことによってこれを補充したい、国鉄の方にこういう回数券を作らせたい、またこれを作ることにしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/136
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137・市川房枝
○市川房枝君 だんだんいろいろ伺って参りましたのですが、国鉄自身の経理の合理化という面で、ある程度私ども赤字になる所が出てくるんじゃないかという気が今お話を伺ってもするわけです。しかしそれでも足りない、先ほどからのいわゆる日本の国の経済、産業の立場から、赤字でも運転しなきゃならないという個所なんかがありますると、どうしてもこれは足りない面は、それこそ私は国がこれを負担する、いわゆる出資としてでもいいし、あるいは財政投融資からなり、あるいは政府の方があっせんをして金を借りるというようなことでもいいと思うのですが、いや、それよりも利息のつかない国の方から当然補充すべきだ、これを使用者に負担させるということはどうしても納得できないと思うのですが、その国から出すということについて、実は私ここに日本国有鉄道の運輸審議会の速記録を持っておるのですが、これをだんだん見ていきましたら、一番おしまいに、石井常務理事が総括の意見を申しておられます。その中で、運輸審議会でもそういう意見がだいぶ出たようで、それに対する答弁としておっしゃっておりますが、その中でこういう言葉がある。「徒らに国家の補助をうけることはかえって企業意欲にブレーキをかける、放漫な経営の方に流れて参る。国民全体に対してはかえって大きな輸送コストをかけるというような方向へ向く虞れがあることを心配いたしておるのであります。私どもは自分の力で企業経営ができる自信をもっております。かかる故にそれに見合う適正な運賃収入さえお認め願えれば十分やって参りたいという考えでございます。」、こういう言葉があるのですが、国の金は要らない、これは国鉄の御意見でございましょうか。総裁から……。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/137
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138・十河信二
○説明員(十河信二君) 国がくれりゃ私どもはもらいたいと思います。(笑声)運輸審議会でたびたび、国家資金でまかなうべきものであるというふうな趣旨の御決定があったように記憶いたしております。政府でもそうしてやりたいというお考えがあったようであります。ところが、なかなか政府のお台所も楽でないと見えて、そうしてやろう、してやろうと言いながら、いつまでたってもしてくれないのです。そこで石井理事の発言が出たんじゃないか。政府が補助をしてくれる、政府が利息のつかない金を出してくれる、こういうことを言っておったんじゃ、どうも従事員を引き締めて、企業合理化をやる上にたるみが出てくる、だからそういうことはよろしくないというので、ちょっとまあ気ばって(笑声)発言をしたんじゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/138
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139・市川房枝
○市川房枝君 国がくれないから、わざとそう言ったのだというようなお言葉ですが、これは国鉄御自身が私は強力に政府へ働きかけをなさらなければいけないのじゃないか。国には私は金がないわけじゃない、幾らでもあると言っては悪いかもしれませんが、とにかく国鉄のこの運賃値上げによって収入がふえる程度の金は私は出し得る——それは政府さえその気になれば出し得るのであって、私どもはそれを強く主張するのですが、肝心の国鉄が要らぬとおっしゃれば、どうにもしょうがないことになりますので、これはやはりこういう公けの所では、まあこういうふうにおっしゃるのはまずいのですね。今総裁から御訂正になりましたから、一応それでいいと思うのでありますが、むしろ運賃値上げよりは、国から出すべきものだというお考えをいろいろ伺いまして、なおそういうふうに考えるようになったわけであります。
あと運輸大臣に、運輸省の国鉄に対する監督権といいますか、それを伺いたいのでありますが、これは運輸大臣、おいでになってから伺うことにいたしまして、一応私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/139
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140・岩間正男
○岩間正男君 先ほど終戦後の新線建設の問題ですが、これは終戦後の新線建設のずっと今までの実積があると思うのですが、どんな線が建設されて、これの建造費はこうで、それからその後の営業状態はどうなっているかということの資料をお持ちだと思うのですが、この資料を急速に出してもらえませんか。ついでに建設審議会の名簿があると思いますが、そういうものを出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/140
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141・藤井松太郎
○説明員(藤井松太郎君) 戦後に作りました路線は十六線でございますが、これにいかなる建設費を使ったか、いつ作ったかというようなことは、資料をそろえられますが、その後の経営が、これはいわゆる営業係数がどれだけになったかといったことは、時期的にも、最近やったようなものもあるので、半年くらいでどうこうということも議論もできませんし、それには相当の時間を要する、かように存ずるので、御了承願いたいと思います。ただし建設費とか何とかいうことは、すぐそろえられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/141
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142・岩間正男
○岩間正男君 わかっているだけでいいですよ。
それからついでに新線建設のおもな建設をするに至た理由ですね、たとえば今の産業開発だとか、石灰石が出るという話がありましたが、そういう点をちょっと入れていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/142
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143・加賀山之雄
○加賀山之雄君 先ほどの市川委員の御質問の中に、ここでいろいろこまかく伺っても、国鉄の経営が十分に合理化されて、あるいは入るべき利益の損失があったり、あるいは経費にまだつめるところがあるのじゃないか、こういった気持がどうしてもまだ十分納得できないというお話があったのです。これは新聞、雑誌等世論を見ても、また国民感情としても、こういうことが一般の通念になっているように私は思うのです。この国鉄経営改善の経過というものをつぶさに拝見して、国鉄が特に問題になっている点について改善の歩を進めておられることは、私どもにもよくわかるのですが、御苦心はよくわかるのですが、その中で一番大きなテーマになるものは、何といっても資材調達の関係が合理化され、ここにむだなり、あるいは余分な出費がありはしないか、あるいは調達の方法、あるいはその機構にまた欠点がありはしないか、これが一つの私は大きなテーマだろうと思う。それから次は工事請負の面、これは国鉄の請負に付せられる工事は、件数からいったら十万件をこすでありましょうし、その経費に至っては数百億、これは非常に大きなものです。これは建設工事も入れれば大したものになるわけですが、この工事請負に関して単価のきめ方、あるいは請負方式、こういったものをいろいろ検討しておられると思いますが、こういうところにやはりまだしろうとにはっきりのみ込めない点がある。もう一つは、管財の問題だろうと思う。膨大な土地、あるいは施設を持っておる国鉄のことでありますから、その中にむだな使い方をしたり、あるいはもっと早く整理をしてしまえば、もっと経営上有利ではないかといったことがありやしないか、こういったこと、私はほかにもたくさんあると思うのですが、この三つが大きな筋のように思う。ここにたくさん専門的に書かれておる。私どもはよく拝見すれば、ある程度はわかります。それらのものについて大衆にアピールするように、わかるように説明をされたらどうか、そういう方法があるのかないのか、そういう点について、運輸省側でも、国鉄側からでもいいですが、お考えがあったら承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/143
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144・石井昭正
○説明員(石井昭正君) お説、まことにごもっともでございます。資材の購入につきましては、御承知の通り資材購入費の八割以上が車両、鉄鋼、石炭、セメント、木材というようなものでございまして、こういう大きな品目についての購入実績にについては、他産業の購入実績、その他から御比較になれば、いかに私どもが苦心して低廉な購入をしておるかということは、購入価格でおわかり願えると思うのであります。ただ、こういうものを一般に公表することが可能かどうか、私、専門でございませんので、ちょっと申し上げかねるのでございます。残余の物件につきましては、いろいろたくさんございます。これらの物の購入の仕方、これは額は少うございますが、これらについても十分意を用いなければならないことは申すまでもございません。この点についてはいろいろと努力いたしております。ただ事柄が事柄でございますので、どういうふうにいろいろPRすれば大方の御理解を得るかということを考えておるのでございます。ことに問題が専門的な問題になりますので、非常に一般の方々に、何と申しますか、食いつきにくい問題でございます。ただいまでは経営改善の方向につきまして、おわかりにくいものを絵にかいたパンフレットでも作ってみたいと思って目下作成をしております。また諮問委員会というのがございまして、これには各界の有力な方々が私たちに強力に御助言をいたすために、この前の国鉄法の改正の際に、国会の付帯決議によりまして作ったものでこざまいす。これらの委員の方々にもそういうものを御配付申し上げて、これらの方々の所属しておられる各層に、そういう方々からPRしていただくというようなことをやってみたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/144
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145・高良とみ
○高良とみ君 ただいまの石井常務理事のおっしゃったそのPRの材料として今まで最近私に下すったいろいろの国鉄のこの老朽施設の改善等についての図解は大体わかりいい、そういう式に、いろいろな入札はこれだけである、それでこういう鉄はこうで、木材は、まくら木は今度はセメントにしたらこうなったというようなことをわかりよくまとめて下さらないと、この国鉄に対する疑惑というものはなかなか解けないと思う。ぜひ一つ膨大な資料でしょうけれども、数字でなく、さらに加賀山先生の言われたことに追加して希望するのでありますが、図解がお上手なようですから、(笑声)ぜひそういうふうなパンフレットを、中学校から高等学校の下級の社会科の人がわかるように、国の鉄道は、というふうにして一つお出しになっていただくことを希望申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/145
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146・市川房枝
○市川房枝君 国鉄総裁にもう一つちょっとお伺いしたいのですが、五カ年計画によりますと、私が間違っているかもしれませんが、運賃の値上げは、今度はあとはもうしなくってもいいようになっているのじゃないか、その点、はっきり。またこれからしょっちゅう値上げがあるのか、あるいはもう今度上げたらもう五カ年計画ができるまで値上げがないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/146
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147・十河信二
○説明員(十河信二君) 私どもがこのたびの一割三分運賃値上げをお願いすることにつきまして、もう三、四年がかりでやっておるのであります。非常な苦労もいたしました。皆さんからいろいろとお小言や御注意を伺いました。もう運賃値上げはこりごりでございます。(笑声)これからどうか一つ運賃値上げをしないでもいいようにやりたいと、私どもは運賃値上げはこりごりでございます。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/147
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148・岩間正男
○岩間正男君 何ですか、相澤君の質問で大臣が見えられるまで、その間ちょっといただいて私二、三質問したいのですが、いいですか。大臣見えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/148
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149・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をちょっととめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/149
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150・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/150
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151・高良とみ
○高良とみ君 すでに御説明があったかもしれないのですが、この一般消費者あるいは国鉄の利用者にわかるように、私にも一つ御説明願いたいのですが、今回の十三%の中の三%は、所在市町村交付金の納付題であるというのでありますが、それは今までどういう経過でこの三%を出さなければならなくなったのか、この表によりますと、五カ年計画案では固定資産税、一八%の場合は、四百八億、一五%の場合は四百二十五億、十三%の場合は四百六億、こういうことなんでありますが、これは今まで所在市町村に対してずっと払ってこられたと思うのです。固定資産税設置以来ずっと払ってきたと思うのですが、これが三%になった理由を一応御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/151
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152・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) この固定資産税に見合う納付金というのは、実は本年度が初めてなのでございます。三十年度はないわけでございまして、三十一年度から支払うことになりました。これはいろいろな事情がございまして、いろいろ地方財政の再建その他から大きく取り上げられまして、まあ国の公共企業体もやはり地方に面倒を見てもらう面もあるのだから、そういう固定資産については、地方的ないろいろな経費も消防なり警察なり何なりもあるし、まあ一つこういうものを納めてはどうかということがございまして、非常に深く論議されまして、ではまあそういうものもこれを納めることにしよう、で、初年度は半額、次年度以降から全額にする、その全額というのは大体固定資産税に比べますと半分なのでございます。固定資産税は、固定資産価額にある率を掛けまして出しますが、この納付金はその対象となる固定資産の価額を半分にいたしましてそれに率を掛ける、従って、初年度はさらにまたその半分、こういうことであって、それで三十二年度からこの七十二億ばかりの数字になる。三十一年度は三十五億くらいでございます。従いまして、これを払うべきか払うべきでないかということは、論議を尽しまして、法律でおきめ願いましたので払うことになっておりますが、これは経営調査会当時にもちょうどこの問題がまだきまらないで論議されておりまして、経営調査会でもずいぶん議論していただきまして、結局払うべきものときまれば、これは原価に入れるべきである、当然運賃を構成する原価の構成要素の一つである、こういうお考えをお示しいただいたのであります。従って、私どももこの三十二年度以降の収支の見通しでは、これは経費としてずっと固定資産価額の新規設置による増額を見込んで、逐次三十三年七十六億というふうに経費として見込んでおりますが、たまたまこの額がこの運賃値上げ対象額に比較いたしますと、三分くらいに見合うと、こういう意味で三分と申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/152
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153・高良とみ
○高良とみ君 そういうわけで今払うか払わないかはっきりしないようなものであったということは初めて承わりましたので、これ、もうちょっと詳しく伺いたいのは、ある町は全然こういう鉄道が通っていない、ある町はたくさん鉄道の線路が、国鉄が通っていて便宜も得ていて、その上に固定資産税をもらう、そのすぐ近所の村は全然もらっていない、そういう不均衡も出るだろうと思うのです。それはまた不利益な方からいえば、鉄道事故を起されたり、いろいろなことがありましょうけれども、その不均衡はそのままとして、やはりやられるのであるかということ。それからもう一つは、本年度は四月からといえば年度変りになるのですが、どうしてこれは半額になるのか、これはフルに七十二億お払いになったらどうかというふうに思うのですが、その点、第二点。第三点は、私鉄はどうですか。これはあなたの方でお払いになるとすれば、私鉄もまたその町村に対して固定費産税を右へならえで払わせることになるかどうか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/153
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154・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 今私が御説明いたしましたのは、少しいろいろなことを申し上げましておわかりにくかったと思うのでありますが、払うことはきまっているのでありまして、三十一年度から支払っております。ただその支払う額が、三十一年度は平年度の半額ということで三十五億ばかりを支払ったのであります。三十二年度以降からは、その法律にきめられた全額を払いますので七十二億取られるのでございます。その額が普通の固定資産税に比べると、三十一年度は普通の固定資産税式な計算をすると、それの四分の一、三十二年度以降はそれの二分の一できまっておる、これは法律できまっておるのでございます。この支払い法でございますが、これは国鉄としては、これを一括地方自治庁へ預けまして、地方自治庁が今度鉄道の通っております割合、その他地方の状況を見まして各地方へ配分をいたすのであります。その際には、鉄道の通っておりません地方にはこの金は行かないのであります。その固定資産のある所へ行くのでございます。
私鉄でございまするが、私鉄の方は、これはもう地方税として従来からずっとこの固定資産税はその普通の地方税法による額、だからこれと比べますと倍でございままして、これは支払われておりまして、経費で支弁しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/154
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155・高良とみ
○高良とみ君 では次に伺いたいのは、今回の国鉄の運賃値上げが地方の私鉄に及ぼす影響について、すでに御調査したと思うのですが、そういう申請があるのか、あった場合にはどうするのか。私どもの手元に配付されている資料によりますとですね、私鉄は常に赤字であるというようなことを申し入れて、しかもなお、拡張の路線を要求しておるという実態でありまして、私どもとしては釈然たらざるものが幾多あるのであります。どうでありますか。また民間でも、消費者としても、私鉄もこれにならっていくだろう、バスもこれにならっていくだろうというふうに思うのですが、監督局長あるいは国鉄当局として、これを十分にコントロールおできになるおつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/155
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156・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) この地方鉄道軌道、いわゆる私鉄でございますが、私鉄の運賃はこれは申請がございますると、そのつど個別にこれを審査いたしまして、改訂の必要のあるものはこれを運輸審議会に諮問いたしまして、その答申を尊重して、個々別々に処理して参る建前になって、またさようにやっておるのであります。従いまして、国有鉄道面が上ったからという理由だけから、私鉄の運賃値上げを認めるということは絶対にないのでございまして、今回の国有鉄道の一三%程度の運賃値上げとの関係についての御質問のように思いますが、従いまして、私鉄と申しましてもいろいろございます、二百数十社ございまして、地方の中小私鉄から都会地付近の大電鉄等もございますが、今回地方の中小私鉄については、これはもう毎年々々ばらばら出て参りまして、実はここ一年間昨年の一月一日くらいから二百数十社のうち二十二社ばかり、そのつど申請がございまして、しかるべく査定を厳重に加えまして、運賃の値上げをいたして参っております。それから最近では、今申請でたまっておりますのが十五社くらいございますが、これは大体地方の中小私鉄でございまして、都会地付近の大電鉄からはいまだ申請が出て参っておりません。従いまして、いわゆる私鉄の運賃については、そういうふうな申請がございますれば、そのつど個々に厳重に経費を査定いたしまして、しかるべきものについては、認可をいたしておる。で、今回の大電鉄がどうなるのであろうかという御質問であると思いますが、今のところ出て参っておりませんが、もしこれが値上げの申請があれば、やはり地方鉄道軌道法に基きまして個々に審査いたさなければなりませんが私鉄の運賃価上げに対しましては、私どもとしては、これはやはり原価というものを相当厳重に見ております。で、経費の各項目も十分検討いたしまして、それで特にまた国鉄なんかと違いまして、いろいろ兼業をやっておるものが多うございまして、そういう兼業部門については、原価計算上その方の赤字は認めませんのでございます。鉄道部門についての原価計算をいたしまして、兼業等の赤字を運賃でカバーするということは認めておりません。これもまたいろいろやはり輸送力の増強から、いろいろ私鉄の保守、輸送力の増強、近代化というようなことの充当分だけを査定したいという方針で臨んでおりまして、大体そういういきさつになっております。ただ、ここでちょっと原価と見合わなくなる分というのは、たとえば同じホームから同じホームへ平行線に走っているというような私鉄がよくございます。で、これについては交通調整の見地から、運賃上の競争をさせますことは、こういう公共企業に対して不適当でありますので、そういう場合に特殊の線区について、調整運賃というものを認可いたす場合もございます。しかし、その場合は今度私鉄についていえば、その線区だけでなしに、全体の総合原価にそういうものを織り込みまして、かりにその線区で赤字が出れば他の黒字でカバーするし、またその線区で黒字が出過ぎれば他の赤字はこれによって吸収させて、全体の原価で見合うように、その社会全体の原価計算に織り込みまするけれども、そういった問題はございます。そういたしますると、今回かりに国有鉄道が四月一日からやりますると、たまたまそういう区間がありますると、事実問題としては大電鉄の申請が出ておりませんので、ある時間的には国鉄の方が高くなったりする特殊な例外的な線区は出るかと思いますが、これは私どもとしてはやむを得ないと考えております。私どもは、万一こういうものについて申請がありますれば、これは十分検討をいたし、またいろいろなことを考えまして判断するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/156
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157・高良とみ
○高良とみ君 これはやっぱり運輸省に伺わなければわからないことでありますが、国鉄は、これば大臣いらっしゃったら詳しく伺ってもいいのですが、国鉄が公共企業体として最近はサービスとか、あるいはお客様とかというふうなことは非常に従業員の中からも声を聞くのでありますけれども、私鉄の方とのこれがどういうことになってきているか。やはり公共企業体としてこういうふうに伸びてきて、大会社ももちろんでありますが、その場合に、その運賃は監督局あるいは運輸省、あるいは審議会のみできめていかれるつもりか、あるいはアメリカのような自由経済の公共企業体においての社線の格上げ、あるいは新要求等に対しては、国会に提出してこれの審議をすべしというふうな、つまり国民の審査のもとにあるわけです。その点は運輸省としてはどうお考ええになっているのですか。今のような形で私鉄をコントロールし、またその点についても十分に支配して、また今までのお話ですと、たくさんの申請があったが、そのうち却下したのが少くて、小さい地方鉄道であるからでありましょうけれども、いずれは小さいのから始めて全部やっぱり値上げをしてくるという可能性があるのではないか、その点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/157
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158・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 地方鉄道軌道の運賃につきましては、ただいま御説明いたしましたように、申請を待ってこれに査定を加えて運輸審議会に諮問をいたして、その答申を尊重して運輸大臣において処分するという行き方については、これを変更することは考えておりません。で、外国におきましても、アメリカ等においても、この私企業の鉄道運賃というものは、例のICCでございますか、あれでやっておりまして、多少国情によって制度が違いまするのですが、運輸審議会というものは、戦後そういうために作りました一つの準司法的機能と申しますか、アメリカで申しますとああいったようなものに近いものを営んでおりますので、こういう制度によってこれをやっていきたいと考えております。従って、公共企業体、正式にこういうような国有鉄道みたいなものの運賃につきましては、これはまあ、たとえばイギリス等の運賃審判所というような制度もこれはまあ司法機関に近いわけでございますがございますけれども、私どもは現在の段階では、この公共企業体の運賃は、現在のように法律として国会で御審議を願う制度で考えて、現行通りに考えておるわけでありまして、従いまして、両者の運賃審査体系を変更する意思は、ただいまのところは考えておりませんでございます。従いまして、今後の私鉄につきましても、何と申しますか、ケース・バイ・ケースで、個々に処理して参る方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/158
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159・高良とみ
○高良とみ君 今の問題の要点であるところの、その小さいものから始めて、だんだんだんだんみんなが値上げをしてくる、それを非常に消費者は心配しているわけなんです。従って、バスもまたこれにならうであろう。それについてケース・バイ・ケースで、実際の経営状態を見てと言われますが、まあこれは産業が伸びて輸送力がふえ、国民の動くことがふえ、また施設も老朽化してくるという点では無理もないかもしれないけれども、その伸び方が、国民の経済の伸びていくのと、国鉄が運賃を上げたからそれにならっていくというような傾向について、確かである、大丈夫である、十分に時間をかけて、国民の経済指数と合わして私鉄の方も支配していくという保証をお持ちでいらっしゃいましょうか。そうしてそういうことを責任を持ってなさるかどうか。その点を私たちは消費者に言わなければなりませんので、お聞かせ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/159
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160・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 先ほど申し上げておりますようなことで審査いたして参りたいと存じておりますが、将来の見通しでございますので、申請がどういうふうに出てくるか、実はこれは申請主義によっておりますので、私どもの方でもこれを的確につかみがたいのでありますが、一般論として申し上げますれば、今先生の御指摘の通りに、これはやはりこういう私鉄の運賃というものは、ただ国鉄が上げたからということではこれはあるべきものではないのでありまして、そうじゃなくて、個々の事情によりまして、たとえば輸送力増強のためのほんとうの施設をどういうふうにするか、そのための減価償却費、支払い利子をどう見るか、あるいは必要な線路の補修費だの、保安設備等、動力費、物件費等について、真にやむを得ないものがあるかどうか、しかもそれによって、施設の補修、輸送力の増強、サービスの改善、近代化ということをやらなければならないかどうか、またやらせる方が全体の産業、あるいは国民生活の上からいいかどうか、そういう点も判断していたさなければなりませんが、まあ概して申し上げますと、まあ大きな電鉄の運賃というものも、これはここ数年上げておりません。従いまして、いろいろな情勢の変化等も考えあわさなければなりませんが、これはどうしてもやはり一律にはいかないのでございまして、その社その社の事情も十分精査いたしまして善処いたしたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/160
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161・高良とみ
○高良とみ君 次には、この物価の方の上昇ということに対して、この説明書にもあります通り、国民の生活に影響を及ぼすことを考慮し、今回は一三%にしたということでありましょうが、最近は、閣議においても電気の値上げもしないというような御決定もあったようで、やはり運輸省としても、この値上げによって物価の上昇があらゆる方面に多少響くであろうということは、注意深く見守っておられると私たちはまあ信じたいのであります。この点は、いろいろ消費物資の中でも、いろいろ値が上った場合にはどうするとか、あるいは生活費における運賃の割合は非常に低いとか、いろいろお話がありましたが、すでにこのインフレーションの傾向というものが見えておるところから、国民はインフレーションでひどい目にあったものですから、超過敏である。それに対して十二分にお考えになって、今後とも大丈夫ですというだけの保証を輸送機関として国鉄が持っていただけるだろうというふうに考えてよろしいのかどうか。これはいろいろな物資について、たとえば鮮魚とか、野菜とか、木材、木炭その他建築材等についてもいろいろな意見があります。そして中小企業者なども、ないしは出版業なども、やはり物価は運賃が上ったために、それだけどこかにかけていかなければならないということをはっきり公言しているわけであります。これについてどうお考えになりますか。たとえば雑誌その他についての、どうしてもその運賃をどこかへかけるという場合に、税金は別にしても、一割は上っていくという可能性がないかどうか。雑誌などは、それじゃ外国からのものを入れて、制限するというわけにもいきませんし、過剰に生産している実情でありますから、それについては何と私ども心得たらよろしいのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/161
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162・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 今御指摘のように、このインフレーションというものは、これは絶対避けなければならない。で、まあこの点については、いろいろな施策を関係の方で講じられているようでありますが、私どもといたしましても、この運賃値上げということによって、物価の上昇を来たすということについては、大いに注意しなければならぬと思っております。従いまして、今後の推移についても十分検討はいたしたいと存じまするが、また、これも数字ばかりではきまらぬという御説もごもっともでございまして、必ずしもこの数字の通りいくものとも考えませんけれども、一応の判断の手がかりとしては、いろいろ数字も洗ってみておるわけでございますが、まあ加重平均で申しますと、大体今回の改訂案によりましても、価格に対して占めるトン当り運賃の割合というものは三・八くらいでございまして、昭和十一年が四・一%である。これは物資別によっていろいろ、それぞれまた違いまして、これもまたいろいろの物資別な取引状態その他も考えなきゃなりませんですが、まあその点についても、実はまあいろいろすでに御承知の通りに、今まで運賃値上げの在来の数字もまとめておりますので、それらも一つの参考の材料にはなる。で、まあ二十六年、二十八年当時の運賃改正前後における卸売物価の推移等も、各品目によって調べておりまするが、大体、たとえば生活必需品においても、あるいは原材料においても、改正前後における運賃が直接原因となった値上りはないように、在来の例では判断をしております。しかし、まあそれが必ずしも正しいとも申せませんので、なお慎重に検討はいたしておりますが、まあ、ただいまのところでは大体運賃が価格に占める位置以外にも、このいろいろな市場の取引の関係、それからあるいは荷作り費というような問題、こういうものが相当大きな要素を占めておりまして、これらとも考えあわせまして、今申し上げたような判断をいたしておるわけであります。それからまた旅客運賃はいろいろ生計との関係等はデリケートでございまして、これもまあ数字だけではたよりになりませんが、一応生計費指数等を総理府で調べておりまするものの交通、通信費の割合やら、あるいは国民所得に対するいろいろな家計上の交通費の占める割合——まあ、これは日本にはまた日本独得の事情もございまするし、またあるいは各国の例等をも調べまして、この程度では影響は少いのじゃないかという判断をしておるわけであります。また、ある意味におきますと、いわゆる直接、間接、国民の税金の負担を増加せしめますることは、これは財政の面からも、財政インフレの要因も考えられます。そういうことも避けておりまするし、また、ある意味ではこの運賃値上げというものは、純粋に経済的にいえば、一種の反対のデフレの要因としての理論づけもあり得るというような説もありまするけれども、まあそれと輸送力のバランスの見合い、取引なり、いろいろ人の行き来の利便さが増す点等々から勘案しまして、私どもはただいまこの運賃のこの程度の値上げでは、ゼロとは申し上げられないけれども、比較的軽微で吸収し得るものと、こういう判断をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/162
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163・高良とみ
○高良とみ君 今の話のデフレの要因になるという説明は、どういうふうに考えるのですか。国民の中でそういうことを考えている人はあまりないと思うのですけれども、理論家は別として、一般消費者として、汽車賃が高くなったから送るものも送らない、行く所にも行かない、そして非常に縮小していくような、熱くなったものへ——神武以来の景気とかいうようなのぼせたものに対して、多少冷水をかける効果があるのか、あるいは生産を多少冷静化するというお考えですか、ちょっと御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/163
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164・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) これはいささか私見に属しまして恐縮でございまするけれども、考え方によりましては、浮動購買力の吸収となって、今度その資金が生産資金に投下されまして、これは輸送力拡充となって返って参るという点から考えますると、いわゆる財政投資で、国民の税金で吸い上げて、これを財政の投資が出ていくのとは姿が変った格好になるという意見も成り立ち得るかと思いまして、申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/164
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165・高良とみ
○高良とみ君 それはすべて推定のもとにおける理論ですから、今ここでそれを議論しても現実はすでに運賃の値上げに傾いてきておるんでしょうから、その議論はまた後日春ながの日に承わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/165
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166・岩間正男
○岩間正男君 ちょっと関連して。私鉄の運賃値上げですが、これは今お話を聞いていますというと、ケース・バイ・ケースでやるんだ、そういう話です、申請に基いて。しかし、今度の国鉄の運賃値上げは、とにかく一応輸送力の増強を目ざして、建設的なちゃんと案を持ってとにかくやられているんですが、私鉄の場合は、そういう問題まで検討して、それで値上げのことを考えるようになりますか。監督局として、この点明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/166
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167・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 先ほど申し上げました今までやりました例でもそういう点を考えて、すべて原価の計算の際に査定をして行なってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/167
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168・岩間正男
○岩間正男君 ずいぶん私たち私鉄に乗っているわけですけれどもね、最近はすごいと思うのです。これはどういうふうに——東京近郊あたりの私鉄の状態を見ましても、非常に観光ですか、そういうものを中心に比較的長距離の列車を運転している。近距離の通勤者というのは、そのために非常に多くの犠牲を払っていると思うのですが、私の例をあげてみますというと、私は今、小田急に乗っていますけれども、あそこから、新宿から小田急に行く間に、ひどいときは三回ぐらい待避線に入れられる。そしてそこのところを何本かの観光車みたいなやつがどんどん動いていく、そういう格好になって非常に通勤は、もう定期を買ってそして前金を納めてしまえば、あとは貨物並みに扱われておるというような実情じゃないかと思うのです。そういう点について、これは監督局の監督は今までどういうふうにやられたか、それからそういう点についてどういうふうな監督を今後強化するか。どうも輸送力の増強ということが、私鉄においてもこれは十分に監督局の目が光って、そうして合理的に行われない限りは、今の隘路は打開できないのじゃないか。しかもこの近距離の通勤者は非常に不満を持っているだろうと思うのです。ところが、なかなかこの不満がはっきりとした形で表面に出ていないというのが実情だと思うのですが、こういう点について、監督局の考え方はどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/168
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169・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) いろいろ私鉄の輸送内容あるいはその施設、また特に安全度の問題等については、定例的に現場の監査をいたしまして、そのつど改善要目を指示しておりますが、なお、この輸送量の急激な増強によって、特に通勤、通学輸送のラッシュに対しては輸送力が不足しておることは事実でございます。これらについて、これをどう改善していくか、私どもとしましても、今いろいろな具体的な線区について、この土木関係、電気関係、車両関係、建物関係等で、これをどういう施設増強を行うべきであるかということを個々に査定を加えております。この計画をどういうふうにして実施せしめるか、それには現在の経理状況はどうであるかという鉄道部門についてのまたいろいろな検討はいたしておりまして、そういう点については、この輸送力増強についても、なお一段と検討を加えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/169
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170・岩間正男
○岩間正男君 監督権を非常に強化されておるのですか、そういうところはうまくいっておりますか。何だか私鉄はほとんど監督外にあるような形でどんどんやっていくと思うのです。そういう点では国鉄よりも公共性は非常にやはり低くなっておるのじゃないか。そこに最近の私鉄独占資本のぐっと大きな前進が始まっておるのじゃないかと思うのです。それがすぐに生活に響いてくるわけです、通勤者なんかの。そういう点は監督権はどの程度まで運輸省持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/170
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171・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) これは地方鉄道軌道法をごらん願うとわかると思いますけれでも、これは非常に監督は強化はすでにされておりまして、国鉄とは違いまして、相当いろいろなことについて当方の認可を受けないとできないようにやっております。運賃は認可制であるのは当然でありますが、さらに安全度についてもそうでありますし、そういう点についての施設その他工事についても、すべて厳重な監督をいたしております。そのために本省の出先としましては、地方の陸運局に鉄道部というのが設けてございまして、これは地方鉄道軌道法をごらん願えばわかりますが、国鉄とは違って、むしろ微に入り細にわたり過ぎておるというようなこともございますけれども、相当強い監督がこれは行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/171
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172・高良とみ
○高良とみ君 それではせっかく値上げをなさるについては、国民として要求することは、サービスとそれから輸送の安全化、近代化、両方を要求するのでありますが、今の私鉄に関する御監督の話がありましたから、それに関連したことをお伺いしますが、たとえば四号路線、そういうものが、そこを通る交通量が一定の車馬、人員がふえた場合に、そこには警報機を置くべしとか、あるいは少くともいろいろな施設をして三号にすべしというような監督局長の指令が出ておると思うのです。それは早い話です。これも出てから何年にもなりますが、こういうものを私鉄などで実行しないものがあるとすれば——それは実際そういうところは多いのです。全国の交通事故は、国鉄自身もでありますが、先ほどのお話にも、許可を得なければいろいろなことはできないという、できないことはできないでしょうが、いいこともしないのじゃないか、すべきこともしないのじゃないかという点、一ついかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/172
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173・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 踏切りの御質問だと存じますが、踏切りについては、地方鉄道法、軌道法の付属命令の建設規程で、交通量のひんぱんな所にはこうしろというのがございまして、ただ具体的な基準が示してございませんので、もうだいぶ前になりますが、監督局長通牒でその基準を与えております。それには列車の密度、スピード、それから通行量、通行量は自動車、車馬、歩行者、こういうものの換算数をきめまして、この限度のものはこうする、あの限度のものはこうする、こうしております。この基準で大体精細に調べまして、この基準に合わないものは基準に合わさせるように年次計画でいたさしております。それから、基準から見て逆に下げてもいいようなものが、実はその後の交通事情の変化であるのでありますが、下げるものについては、これは安全度が下るから、基準からいえば少し酷であるが、下げることは許可をしておりません。現在で維持さしております。ただ問題は、私どもが今研究しておりますのは、この基準が果していいかどうか、これが甘いのか辛いのかというものを、またそろそろ再検討いたすべきではないか、実は踏切りの問題につきましては、相当問題がございまして、現在の踏切りというものが、鉄道の方から見ますると、建設規程で縛りますところの鉄道施設でありますが、一方、道路の方から見ますると、一種の道路でございまして、道路法の付帯工作物と兼用工作物によって処理されております。この間に踏切りについては、実はこの事故もふえておりまして、ほかの事故は逆に減っておりますが、踏切りの事故がどうもふえる、これは自動車が非常に伸びておりますので、それからも原因しておると思いますが、これは事故の原因からいえば、八割以上は直前横断を注意してやめれば減るのでございますけれども、しかし、設備はこのままでいいとも思いませんので、何とか改善したい、それには、今申し上げました法的な不備が実は現在ございます。道路法であり、地方鉄道法の建設規程でありまして、その間この両方が、道路管理者と鉄道管理者というものが常に何と申しますか、同格で、当事者で相対の協議という線に追い込まれております。従いまして、これは協議の建前でありますので、この協議ができないとなかなか進まないという欠陥がございます。この点がありますので、実は現在、内閣にも、事故防止対策協議会の中に、特に踏切り部会を設けまして熱心に検討が進められております。近く答えが出ると思いますが、関係省としては、運輸省、それから建設省、それから警察、それから地方自治庁、非常に多岐にわたっておりますが、私どもは、この際これをきっちりしたいというので、実は相当法案の準備に長くかかりましたが、ある程度めどがつきかけております。今申しましたような根本的な欠陥を改めて、こういうものにつける監理者というものと、費用分担というものをはっきりしたい、根本的には立体原則を打ち出しまするけれども、当面とりあえず平面交差のものについてこれを改善していきたい、これはもしできまするならば、早急に案をまとめまして、来たるべき国会等で実は御審議願いたいと思いまして、今準備をしておりますが、こういう点も合せて、この踏切りについては、今後十分私どもも力を入れていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/173
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174・高良とみ
○高良とみ君 一つ、それじゃ大臣にお伺いしたいのですが、今もお話が出ましたように、末端の実情からいいますと、監督局長の通牒が出てから、あれは二十七年だと思うのですが、もう五年たっておるのですよ。ところが、この間都市における交通量はますますふえようとも減ることがない。それはもっぱら自動車の増加とおっしゃいますが、これもまた運輸省の監督下であって、どんどん自動車をおふやしになるのは、あなたの方の自動車局なんです。そしてしかも、私鉄は人間がふえて、人が通ってそこで毎日事故を起しながら——この国際統計を見ますと、日本は不名誉なくらい交通事故が多いし、今、国民としても、あるいは生命保険会社等においても、交通事故による死亡者は非常なもので、あなたの力からお出しになったあれでも二万人からの交通事故であります。そうしてこの方に関係のある石井さんなんか、年中カラスの鳴かぬ日があっても鉄道事故のない日はないと言われますが、それどころじゃない。国民からすると、やはりもう一つ連絡が悪過ぎるのじゃないかということが、私の伺いたいことなんです。そして実際末端から申しますと、警察が何ぼ言って、これだけ交通人員がふえているからここへ踏切りの警報を置けと言いましても、五年、七年、もうまるで何らの反応もない私鉄もあれば、国鉄もある。こういう実情は、少くとも交通安全をつかさどっておりまする警察とか、それから私鉄、あるいは国鉄、それから監督官庁の連絡がまことに意思不徹底であると思われるのです。これは一つの例です。これは今の踏切りの御説明で、今もっぱら建設省その他と御折衝のようでありますが、早くしないと、どんどん事故はふえていく。
ところが、もう一つ伺いたいのは、連絡のとき、国民の立場から不十分だと思いますのは、この間の二十三日の抜き打ちストのごときものでも、それを労働大臣は御存じのようでありましたが、それは時間がはるかに過ぎてからであります。私などは改札者もいない東京駅、あるいは新宿駅でもどこでも、みな通って、そして何時間待てど暮せど列車が出ないばかりか、どちらへも列車か動がない。これを知っているのは誰であるかというと、駅長がただラウド・スピーカーで、まことに申しわけないと言うだけで、全くの無政府状態、一人の警官も顔を出さない。そしてその間どういう交渉があったか存じませんけれども、こういうときにあの無政府状態が——日本の動脈というものが、一体ああいうときに、日本は電話のない国なのか、あるいはラジオのない国なのか、何とか責任者があってもよさそうにみんなは申したわけであります。こういうときには、どういうふうに御連絡がおとりになれる可能性があるか、その点をあなた方、労働組合が抜き打ちストをしたのはいけない、これは私どももみなそう思いました。けれども、それに対する対策というようなものが、連絡が遺憾であったように思うのですが、いかがですか。そしてその場合に、国鉄等の労組と国鉄の当局、それから運輸省というものの対立があって、そこで全然オミットされておるのは国民という面、これをいかに考えたらよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/174
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175・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいまの踏切り等に関する手落ちがたくさんあちこちにある、そのままなおざりになっているという問題は、なるほど、お話を伺えばおそらくそういうことがたくさんあるのだろうと思います。それらの点も、ただいまお話の行き届いた連絡がなかったということも一つの原因だろうと思いますので、これは一つ、お話もありますし、当然なすべきことで、今さら言うわけではありませんけれども、ことに私鉄等道路の、いろいろ鉄道等の問題もありましょうが、これも一つの重要な点として、一つ早速それぞれ手配をしてみたいと思います。それから先ほどの二十三日のストに対する連絡という点は、何分にも国鉄従業員の実力行使に参加する者は四十何万、それに対する組合外の者というものはわずかに三万何千ということで、あの大きな機関が、ほかの連絡によって、あの事態を何とか動かしていくというようなことはとてもできない、なお一部にはやはり通信士まで一緒になって、電話までそれに参加するというようなことですから、国鉄自体はほとんど国鉄内部の鉄道電話によってそれで全部連絡をとった、それが動かなくなったというような非常な事態でありまして、これに対しては、いろいろな重大な、一つこのままでおけない点を考えなくてはならぬ時期にきておる。それらは別といたしまして、今お話の点も、ただいまの点に対して運輸省と国鉄の間に対立なんということは全然ありません。これは十分に連絡をやっておりまして、何しろ組合自体との間にああいう行き違いができた、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/175
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176・高良とみ
○高良とみ君 その場合に、保安員はというものもあるはずでありましょう。それから、ああいうふうな、まあ所によってはまことに遺憾な暴力が行われたという、そのもとはやはり一つの暴力的に国民が感じたのでありまするが、その辺の交番に行ったところで、警視庁から何も話がない、しかも、労働組合のするところの抜き打ちストに対して、われわれ警官は政府の要望なくしては何ともできない、この大群集が右往左往しているときに対して、われわれは何ともしょうがないというような顔をしておったことは、まあこれは東京のみではなく、この近郷から湘南、各方面みんなです。トラックとバスと全部道路をふさいでしまって、数時間の遅滞があっても、それは警官が来なければどっちも譲らないというようなことで、輸送機関は麻痺したということなんでありますが、こういう事態のときには、私どももどうしたらいいのかということを教えておいていただきたいと思います。だれが一体この輸送の血管の硬化を、何とか、どうこうやったらどうなるかと、たまたま国会議員であるという者がそこにすわっておりましても、何らの知恵はない。一般の国民とともにあれよあれよと見るだけなんですが、どういう機構によってこれは何とか処置がつくものであるか。まあ時間からいえば、午前九時から始まったことでありましょうが、午前の六時、それから最後は十時ごろまでいったわけです。これは非常に恥だと思うのです。どちらを責めるのでもなく、私ども一般国民の側でどう心得たらいいか、一つお知恵を聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/176
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177・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) どうも、ただその筋を申し上げるきりで、それに対して知恵というものもありませんが、鉄道公安官は約三千数百人おりますが、東京には六百人しかおりません。それはもうばらばらで、ことに警察官の出動ということはできるだけこれを避けないと、ああいうときにはさらに感情を激発して事態を紛糾させるということになりまするから、まあ警察官はやはりほんとうのやむを得ないときだけというのにいたしまして、なるたけ警察官を入れないで事態を処理したいと、今日まではこういう方法できたのであります。これにももう限度がありまするので、これから先のことは、やはりもう少し考えを改めにやならぬのじゃないかというようなことも、このたびのことから一つ考えられるので、お話のような点に関しまして今までのようなか行き方ではいけないのじゃないかと、労働組合運動なり大衆の動きなりに、もう少し、民主的という言葉はなんですが、秩序というものがおのずからなければならない。その秩序を無視した行動が平然と行われるというときには、これは国家としてはやはり権力の発動ということをいやでもおうでも考えなければならぬことになるのではないかと、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/177
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178・高良とみ
○高良とみ君 まあこれは、ああいう事態はまたとないことでありましょうが、あれがたまたまあのくらいで済んだのはけっこうなんですけれども、少くとも、ただ責任者であるところの駅長等が、申しわけがありません、申しわけがありませんと言うだけで、どうしたらいいかということは何ら言わない。それならば運輸省にでも電話をかけて、一体これはどういう事態ですかと、ただいま交渉中であって、午前何時ごろには妥結したはずでありますと、いずれそのうちには、労組のストをしておられる方も出て来られましょうが、この際急行券をお持ちの方は払い戻しをやむを得なければいたしましょうと、そうして何時ごろまでは中央線は動くけれども、それから先は動かないから、しばらくお持ちを願いますとか、何とか頭のある放送をすれば、国民だってあんなに激高しなかったと思う。その点が責任を持っている駅長なり、公安員というものの頭の働かせ方が不十分であったのではないかと思います。それはいかがなものでしょう。そういう方法というのは運輸省ももう少し気をきかして、あるいは労働組合も気をきかして、今こういう妥結になっているんだ、それをラジオで放送してもいいし、何でなすってもいいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/178
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179・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 今から考えると、そういうふうにもっと行き届いたことをしたらよかったと思います。手落ちがありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/179
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180・高良とみ
○高良とみ君 問題を簡潔にいたしまして、国によりましては、先ほどの踏切り等の看守の費用の五〇%は国家が出すというような国もあるのですね。たとえばフランスとか、その他あるのですが、今のようなあまりに交通事故が多い、その上にいろいろな故障をお起しになる国鉄を持っていらっしゃる運輸省としては、国において国民の生命を守る方法として、もう少し特別な安全装置の方法をお考えになったことがありますか。今のようなままに放置しておられて、それで国民よ勝手に気をつけろ、踏切りはお前の方が気をつけなければいけないというのですか。列車というか、私鉄も国鉄も非常なスピード化して、それで列車と列車の間がほとんど接触し過ぎておりますので、幼い子供たちの被害もあって、ほとんどPTAでこれに悩んでいない所はないと思うのですが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/180
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181・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) 踏切りについては、今御指摘のようにいろいろ問題がございます。これは世界各国でも非常にばらばらでございまして、たとえばアメリカ等においても、州でみなそれぞれ違うのでありますが、概してアメリカ系統では、何と申しますか、鉄道の方に責任を持たして、鉄道の方が自分のために走る道だからして、全部これを防護すべきだという思想の強いようであります。ヨーロッパ系統でもまたいろいろございますが、ドイツ等においては、大体まあ公共企業体式な国の機関になっておりますので、これは大体折半原則というようなことと原因者主義になっておるようであります。フランスの鉄道では、私鉄といえども軌道敷というものは道路に見合うものであるという観念がございまして、軌道敷に対するところの国の補助というものが比較的徹底して、鉄道始まって以来行われておる。それぞれ違います。日本におきましては、先ほど申し上げましたように、現在までこの点は非常に御指摘のように不備でございます。鉄道は鉄道の立場、道路は道路の立場から消極的に規制しております。従って、特にその中枢的な問題の、管理費用の分担ということについては、当事者の協議主義になっております。私どもは、これは今後においては国の立場から判断して、この点を一番重点を置いて改正点でついてみなければならぬ、さように考えておりまして、それにはやはり現行法では無理でございますので、新しい独立の法規制が必要のように思います。その場合に、大体既存踏切り道に対しまする経過措置として、主要道路にかかるものについて、国がみずからの計画と負担においてこれを立体交差化するという問題、それから平面交差については、管理者間における費用区分を明確にして、もしでき得るならば時限法的な整備法というものも並立させて、これに何らかの補助を与える方法がないか、これが次の大きな問題でございます。この点について、これはいろいろ関係するところも多く、また法制的な建前からもいろいろ新しい点を考えていかなければなりませんので、この点に重点を置いて今せっかく各省と協議し、また具体案を練っておる次第でありまして、将来については、私は今先生の御指摘の点は織り込むべきだという意見で、今作業に当っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/181
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182・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/182
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183・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/183
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184・高良とみ
○高良とみ君 これは大臣に確認しておいていただきたいのでありますが、市川さん、その他からだんだんお話のあった通り、国鉄一家の団結はいいといたしましても、最近暴露して参りました汚職あるいは不正事件があまりに多いことに対して、今度の値上げに伴いまして、ああいうふうな一つの巨大な組織であって、それでしかも、その中には何があるのだかわからないという国民の疑惑を一つ取り除くことに特に御尽力願いたいと思うのでありますが、聞くところによりますると、あれだけの世帯が大きいからでもありましょうが、局長権限限りの特別割引とか、あるいは貨物の種類によりましては、何かそういう特別な顔がきくような、そういう近代的でない運営の面があるかのようにいわれておるのでありますが、そういうことはもう絶対にないのか。あるいは習慣としてあっても、これを今後どういうふうにしていかれるか。大臣も御多忙でありましょうが、割省との連絡のほかに、これは国鉄自身の問題ですから御関心願いたいと思います。いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/184
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185・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) お話のうち、今の顔というような問題はなくしてありませんけれども、しかし、お話の点についてはさらに——私も就任まだ二ヶ月でありますので、一つ国会でも済んだら本質的に時間を持って当りたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/185
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186・石井昭正
○説明員(石井昭正君) ただいま運賃割引の問題についてお話がありましたが、運賃の割引はすべて本社の権限で総裁の決裁を経てやっておるのでありまして、監理局長限りで、顔でやるということは絶対にないはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/186
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187・高良とみ
○高良とみ君 ではこの値上げに伴うところのサービスについて、もう一点だけお伺いしておきたいのでありますが、先ほども、PRを御考慮になっていることは非常にいいことだと思うのですが、思い切って、何といいますか、非常に国民も手紙を書いたり投書したりするのが好きになってきたようでありますが、鉄道の中に投書箱でもお置きになりまして、目に余ることについて、そういう民間の世論をお集めになるような努力をなすったらどうかと思うのです。それとともに、あわせて私どもの見聞から希望したいことは、車内におけるごみためですが、これはもうほかの国なんかに比べて、あまりにどうもごみの中で——三等車、二等車、急行、準急、これはまことにひどいことでございます。せめてガラス類のびん類を売らせないような——非常に危険率が高いですから、こういうことについて御考慮になったことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/187
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188・石井昭正
○説明員(石井昭正君) いろいろお話がございましたが、実は鉄道はもう古くから各駅に申告箱というものを設けておったのでございます。ところが、戦前はただいまと時代が違うせいか、あまり利用がなくてほこりにまみれておったわけでございます。その当時は私どもはサービスがよかったのでお客の方から苦情も持たれなかったのかもしれませんし、あるいはまだ国民性が今日のように民主主義的に発展していなかったせいか、それは存じませんが、最近は十河総裁が御就任になりましてからは、努めて国民の声を聞く、総裁自身も一々投書に御返事をなさるというふうに、私ども非常にきつい御訓示を受けております。また各駅でも投書に対して慎重に取り扱っておりますのみならず、最近私どもは本社及び各局に旅客サービスの面につきましてはモニター制をしきまして、モニターを御依頼申し上げまして、一般のわれわれ監督者が見回ったときはよくても、実際の場合はどうかわからないという弊をモニターの御活躍によってなくするつもりで、これは昨年の鉄道記念日を機会に発足いたしまして、着々実施をいたしております。いろいろ有益な御意見を拝聴さしていただいて改善に努力しておるわけであります。
なお、ただいま車内のごみの点についてお話がございましたが、この点につましては、日本人のこれは国民性でございますか、こういう公衆道徳というものがなかなかレベルが高くなりませんので、モニターからの御意見も、そういう点について非常に強い御意見もございます。われわれもこれはうまずたゆまず何とか努力しなければならぬということを十分考えておるわけでございます。飲みもの類のびんについては、これはごもっともでございまして、また同町にびん代が非常に高いもので、中身の値段よりもびん代の方が非常に割高になりますために、非常にお客さんに御迷惑をかけている——牛乳ではポリエチレンと申しますか、ああいう衛生的の点もよく検討いたしまして、そういうものに入れるようにテストをやっておりますが、逐年そういう点について改善を加えて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/188
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189・高良とみ
○高良とみ君 私どもお互い国民が、これは国民の習慣であるといって神経も相当麻痺してきておりますが、これらのごみとそれから飲酒については、婦人側から何十年とずいぶんやかましく言ってきておるのでありますが、何とか方策が立ちませんか。ことに最近の近郊への週末旅行などは、まるで酒類を持ち込んで四、五時間の所まで宴会場であり、乱舞の場になる。これについて、国際的にもやはりあれは公けの機関なのでありますから、張り紙をなさるなり、何とか乗客を教育する方法についてお考えなにったことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/189
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190・石井昭正
○説明員(石井昭正君) まことにごもっともでございます。私どもとして一番残念なことは、御満足な輸送力を提供することができないために、お客様にいろいろお願いしたいことも思い切って言えないというような立場におるわけでございます。いつもそういう点について、もっと強力にお客さん自身の再教育と申してははなはだ失礼でありますが、ともかくそういういろいろなやり方をやりたいと思いますが、あんなにすし詰めになって何を言うのかと言われますのが、私どもとしては一番つらい点であります。できるだけ早く輸送力を拡充いたしますことを先にして、そうしてその上で私どもはただいまの御趣旨に従ってやりたい、こう思っておりますが、皆様の御協力をいただきまして、われわれの輸送力を拡充することができる見通しも立ちますれば、私どももそういう点について今までよりもより積極的にやりたい。ただし、その場合に押しつけがましくなるというようなことは考えなければなりませんので、何とかそこを非常にやわらかな方法で、しかも効果ある方法を研究するようにやっていきたい。総裁からもその点は昨日私ども御指示を受けた次第で、研究いたして参りたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/190
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191・高良とみ
○高良とみ君 そこの根本問題を実は総裁に伺いたいと思っていたところなんです。公共企業体であるということの気持からみんなお客様である。そこで皆さんの末端の掃除する人にもおっしゃっていると見えて、何しろどんなにあばれてもお客様でございますからと言われることに、私は釈然としないところがある。一体国のそういう輸送機関を預かっておられて、そうしてまるで私益を追求しているその辺の宿屋の番頭さんと同じような態度で、お客様であるからどんなによごされても、どんな乱暴をされても何とも申し上げられません、商売は商売でございますと言わんばかりのお話ですね。これは国民を尊敬した言い方ではない、あるいはやり方ではないということを思うのですが、ですから、押しつけがましいことは、それはもちろんだれもいやでありましょうけれども、やはり秩序を守るような国民であるという期待をちゃんと持って、そしてみずからも秩序を守るとともに、そうでないものに対しては、公安員もあることですから守っていただきたいと、こういうふうに思うのですが、無理でしょうか。そしてそれがこの前に運輸委員会で申し上げました通り、特殊な人たちがどんなにたくさんの米袋を列車の中に持って歩いて、それを駅頭に何百俵と並べようと、これはお客様でございますから、そういう食糧違反をなさいましても、これは私どもは、鉄道は何とも知りませんというような、そういう卑屈なことになってくると、これは私は公安員にしても、あの人たちはこわいから私たちは手を出さないということになると、どこにも訴えるところがない。迷惑をするのは国民ばかりであるということになると、これは一体公共企業体なるものはどういう性質のものであるかということを疑問に思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/191
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192・石井昭正
○説明員(石井昭正君) 御趣旨はまことにごもっともでございまして、私どももお話の御趣旨は十分に体しまして、きぜんたる態度を内に秘めまして、外は円滑なる方法をもって逐次改善して参りたいという決意を持っております。よろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/192
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193・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/193
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194・戸叶武
○委員長(戸叶武君) それでは速記をつけて下さい。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X01319570327/194
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