1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月三十日(土曜日)
午後一時二十二分開会
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委員の異動
本日委員鮎川義介君辞任につき、その
補欠として八木幸吉君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
稲浦 鹿藏君
木暮武太夫君
下條 康麿君
高橋進太郎君
土田國太郎君
苫米地英俊君
大矢 正君
椿 繁夫君
野溝 勝君
杉山 昌作君
前田 久吉君
八木 幸吉君
国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
政府委員
大蔵省主計局次
長 宮川新一郎君
大蔵省主計局法
規課長 中尾 博之君
大蔵省主税局長 原 純夫君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省主税局税
制第二課長 吉国 二郎君
大蔵省主税局税
関部長 山下 武利君
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本日の会議に付した案件
○産業投資特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○とん税法案(内閣提出、衆議院送
付)
○特別とん税法案(内閣提出、衆議院
送付)
○印紙税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○日本国有鉄道に対する政府貸付金の
償還期限の延期に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/0
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001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
議事に入る前に委員の異動について御報告をいたします。
本日付で鮎川義介君が辞任し、その補欠として八木幸吉君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/1
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002・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について内容説明を一つ簡単にしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/2
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003・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、内容を簡単に申し上げます。
産投会計の財源につきましては、御承知の通り貸付金の回収金及び利子、余裕金の運用利益あるいは特定物資納付金処理特別会計からの受入金と申しましたような、どちらかと申しますと、もうすでにきまっておるきわめて弾力性のない財源でございます。需要の情勢に応じてこれをかげんすることのできない財源でございまするので、今後これらの財源だけを当てにしまして産投会計の投融資を実施いたして参るという態勢に置いておきますることは、将来におきまして投融資の方の需要が意外な変動を見ましたる場合におきまして、当然不足というような事態も考えられるわけでございます。このような場合におきまして、財政並びに産業投融資ということは車の両輪のごときものになっております。このいずれにおいてもその工合が悪くなって参りますと、いわゆる財政金融の調整問題といたしまして、重要なる問題になりつつある次第でありまするので、このような場合に備えまして、産投会計の投資資金の財源をあらかじめ財政事情の許します場合において準備いたしておく。この資金をもちまして、将来その需要に応じまして、一般会計の財政負担とはまたある程度独立いたしまして、利用し得る財源をこの会計に持っておるということがきわめて必要であるということから、今回この産業投資特別会計に資金を設けることといたしたのでございます。
予算措置といたしましては、この資金の財源は一般会計から繰り入れることにいたしまして、昭和三十一年度におきましては、補正予算をもちまして三百億円をこの会計の資金に繰り入れております。これでこの会計に資金を設ける措置を講じておるものでございます。内容は大体そういうことで尽きておりまして、あとは資金の設置をいたしますにつきましての技術的な規定を整備いたしたものでございます。
何とぞ御審議下さいまして、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/3
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004・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/4
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005・杉山昌作
○杉山昌作君 これは先だっての補正予算とうらはらのような問題となると思うのですがね。あの予算のときの説明ですと、三百億円のうち百五十億円は三十二年度、百五十億円は三十三年度、こういうような話があったのですが、そうするとせっかくこの規則を変えて資金を設けても、二カ年度、その資金は全部歳入歳出の資金から、投資部門へ入ってしまいますね。そうしますと、今後資金を置くには、ことしあったように財政上の余裕、あるいはやはり今のような自然増収があるというときには、資金を作るために一般会計からの投資も考えているんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/5
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006・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) とりあえず三十一年におきましては歳入金をもちまして三百億円を割愛いたしまして、この補正措置を講じまして、これにつきましてはさっそく三十二年度におきまして産投会計の投資財源に百五十億円を取りくずす計画になっております。残る百五十億をいつ取りくずすかということにつきましては、政府といたしましては全然まだ計画はございません。ただこれによりまして、今の産投会計の弾力性がそれだけ担保されておるということにとどまります。
なお、この資金は一般会計からの歳出金をもって現在まかないましたので、将来これをもって足りないという場合におきましては、さらにほかの財源からこれを補足するということは十分考えられるところでございます。あるいは必要がございました場合におきましては、財源さえございますれば、一般会計からまたここに、資金に繰り入れるということも十分考えられるところでございます。それらの点につきましては、また将来の問題に属しますので、現在いつ幾らを繰り入れるというような考え方まではございません。ただ一定割合の金をこれに繰り入れるといったほどの繰り入れの制度のととのった資金ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/6
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007・大矢正
○大矢正君 財政法第六条に規定している、会計年度末において生じた決算上の剰余金についての使途に対しては、翌々年までに二分の一を下らない金額は公債や借入金の償還に充てるべきであるという規定をしておるわけでありますが、会計の年度末に決算をして出てきた剰余金であるという形ではないかもわかりませんが、政府は、合法的脱法行為というかどうか、これはわかりませんけれども、いずれにしても年度末にならないうちに三百億の金を産投会計に繰り入れていくという、こういうやり方は、明らかに財政法上の第六条に即違反をするということにはならないにしても、その基本的な考え方である剰余金の処理、使途に対する基本的な概念の上において私は明らかに正しくない措置ではないかと、このように考えるわけでありますが、この面に対してどのような御見解を持っておられるか、まずお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/7
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008・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 財政法第六条との関係についての御疑念でございますが、政府といたしましては、形式的にはもちろん、また実質的にも決してお言葉にございましたような合法的脱法行為というようなきらいのあるものとは考えてございません。その理由を二つほど申し述べます。これによってあるいは御理解を得られるのじゃないかと存じます。第一は、この第六条の規定は、決算が済みましてからの会社でいえば利益金処分に相当する規定でございます。今回の補正予算のとりました措置は、同じく財政法の規定に基きまするところの予算の補正追加でございます。予算の補正追加ということは、財政法二十九条によりまして、当然内閣といたしましてその案を作りまして、国会に御提出いたしますということは、当然の制度として認められておるものでございます。この二十九条の措置と六條との措置は、互いに相関渉する規定ではないわけでございまして、これらの追加予算が組まれ、それがさらに実行せられまして、その結果出てきました剰余金の処分の規定が財政法四十一条並びに六条といったような規定になっておる次第でございます。
次に、この資金を作りますということ自身が、今年度の予算措置を必要といたしました一つの施策でございます。これは今年度補正予算をもって措置いたしましたものでございまするので、これは国の経費の支出でございます。というのは産投会計の需要に充てるために直接の歳出権を作ったものではないのでありまして、それがまた財源となります資金を作ったのでございます。この資金を作るということが一つの歳出になるということは財政法二条の関係でございます。さような施策が積極的にございますので、その点を御理解いただきまするならば、それが二十九条で行われたということでございます。二十九条で行われたのは補正予算の問題でございまして、六条はまたそれが済んでからの問題でございます。その辺で御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/8
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009・大矢正
○大矢正君 それは、財政法に直接に違反するということは、私もこれは言えないと思います。私はまた言うつもりもございませんが、ただ財政法六条に規定をする考え方と、今政府が行おうとする行為には非常にそぐわない面があるので、その面に対して慎重に検討を要するのではないかということを申し上げているのです。あなたは、二十九条に補正予算を組むことが認められておるのであって、しかもこの第六条は、決算が終了した以降における剰余金という二つの考え方から違法行為ではないというように言われますけれども、まあいうならば、第六条にいう年度末決算の以前において、政府が自然増収があるからという理由に基いてやられることでありまするから、この辺についてはなるほどそういう面が私は言い得ると思うのであります。しかし実際上、補正予算を組むなり、あるいはまたそういう行為をするからには、その資金の使途なり見通しなりというものが明確に私はならなければならぬのじゃないかと思っておりまするが、実際上においては三百億の金を産投会計に入れるけれども、百五十億はこれはまあ明瞭であります。ところがあとの百五十億というものは何に使うものなのか、どういうことをするのか、全然不明瞭であります。そういう不明瞭ないわゆる金を残すということ自身が、やはりはっきり二十九条の補正予算を否認する私は根拠になるのではないかと、こういうように思うのであります。少くとも今の予算の現状、そうしてまた実態から考えて、ほかに使うべき用途が幾らもあるにかかわらず、百五十億の金をいうならば寝せ金として置いており、しかも将来それがどういう形で使われるかということについても不明瞭な点については、非常に疑問とするのでありまして、こういう実態的な姿から判断をした財政法上の見解との相違を、私はこの際指摘しておきたいと思うのでありますが、この点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/9
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010・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 御質問の趣旨はよくわかるのでございます。この資金を設けますということ自身が、先ほども申し上げましたように財政法二十九条に基きますところの補正予算の措置でございます。この資金を設けますということが、どういう必要があって現在これを設ける必要があったかということにつきましては、提案理由の説明並びに先ほどの私の補足説明でこの点は御理解を得んと試みたところでございまして、それに尽きるものでございます。すでに資金を設けますこの資金というものは、資金を設けることが目的で資金を設けたものでございまして、これで施策は終っておるわけです。さらにその資金というものが将来いかなるものに使われるかということにつきましては、この今回の改正法律におきまして、この資金は第三条の二といたしまして「この会計においては、投資の財源の一部を補足すべき原資の確保を図るため資金を置き、」とございまして、要するに産投会計におきまして投資を行います場合の歳入の補てんに用いるものでございます。それはその産投会計の歳入財源の弾力性を補足するためであるから当然のことでございますが、それに尽きるのでございます。それ以上の見通しといいますか、ということは、これは法律の問題ではございません、見通しの問題でございます。将来のことといたしまして、この資金がいかなるものに充てられるかということは将来の問題でございまして、この資金も含め、産投会計のほかの歳入も含めまして、それがその年の財政投融資の財源として充てられるものでございます。たまたま昭和三十二年度は、この二年度の予算を作ります場合と三十一年度の補正を作ります場合では時期がほとんど一致しておりましたので、三十二年度の産投会計の財源に充てまする分の百五十億というものは、この資金を設置いたします場合と同様、前後いたしまして、これが具体化しておるからこれがわかっておるだけでございまして、将来の分もその時期になりますればこのように明確化されるわけであります。これが明確化いたしました場合には、今度は今回のような資金の設置とは違いまして、今度は資金の取りくずしでございます。取りくずしてこれをどう使うかということは、その年度その年度の産投会計の歳入歳出になるものでございまして、これはまた予算として別途国会の御審議を得ることになるわけでございます。事の順序がそういうふうになりますので、今これがどこに充てられるかどうかということは、その程度に限定されてちゃんと明確にされておるわけであります。どこの会社の何に当るかということは、これはただいま申しましたような関係でございますから、将来のことであり、将来としてはどの分というふうには充てがたいものであるという点の御理解をちょうだいいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/10
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011・大矢正
○大矢正君 私はあなたと、法律に果して適合しているかどうかということに対する論争をすれば、これはあなたは専門家だし、商売にしているのだから、これは私はかなわないですよ。私はそういうことを法理論の上においてどういう具体的な違法行為があるかということよりは、現実的な判断の問題として、少くとも今日食管会計の中においても非常に大きな赤字があり、また健保の会計においても非常に膨大な赤字が出ている。一面においてはこういう赤字が出ておるにもかかわらず、そういうものをほうっておいて、他に百五十億もの膨大な金を寝せておくという、将来はっきりした使途も明瞭になっておらない金を寝せておくということに対するこういう考え方、こういう措置が、すでに財政法の基本的な考え方と私は反しているのではないかということを申し上げている。少くとも当三十一年度なら三十一年度における剰余金ないしは自然増収その他によって当然出てくるであろう金については、その年度内において使用するのが一番すなおな正しい考え方であり、なおまた、そこで剰余金が出る場合、初めてあなたの言われる通りに、寝せ金も出てくるかもわかりませんけれども、原則としては、やはりその年度内において赤字を生じておるものを埋めて、そうしてその後に持ってくるべきものではないかと思うので、これはまあ政治論であって、あなたに具体的に申し上げてもいたし方ない問題だと思うのでありますが、そういうものの考 え方が、私は財政法の趣旨と反しておるのではないかと思うのです。手続上において——それはあなた方でありまするから、みすみす手続上誤まっておることをやるということはないと思いますから、あなた方は、非常にうまい理屈をつけて、そうして先ほど私が申し上げましたように、年度末会計の決算をやる以前において、これは補正予算だという形の中で三百億の金を繰り入れるというような、非常に上手な脱法行為をやっておりますから、これは法律の面から指摘する面はないけれども、今私が再三申し上げたような考え方や行為の中で、非常に法律に触れる感じがするというものがあることを指摘しておるのですが、どうですか。そういう現実的な判断から推して、あなたはなおこれは今やっておる行為が正しいとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/11
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012・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 大矢委員の御指摘の点、ごもっともなところでございます。法律論といたしましては、法規課長から御答弁申し上げましたように、おおむね御了承願ったようでありますが、今回、産業投資特別会計の中に資金を設けまして、これに三百億を繰り入れる措置をいたしましたのは、御承知のように、産投特別会計の原資と申しますものが、特別減税国債の発行による収入金でありますとか、米国対日援助見返り資金特別会計からの承継資産から生ずる収入金でありますとか、特定物資納付金処理特別会計からの繰入金でありますとか、非常に限定されておるわけであります。一方特別会計におきまして出資を要しまする、また逆に申し上げまするならば、出資の需要が各方面に巨額に上っております。こういうふうに特別会計の持っておりまする原資が非常に制約を受け、一方非常に多額な要請がある。こういう際におきまして、非常に窮屈な特別会計の原資に弾力性を持たせまして、経済の発展に即応するような働きをいたさせまするためには、資金を保有させまして、これに所要の繰り入れをいたしておくことが適当と認めたことによるわけでございまして、法律的に申しまするならば、資金を作り、これに所要の財源を繰り入れる、これが三十一年度の歳出の要因であります。これによりまして、その財源といたしまして、三十一年度の自然増収をもって充てる。これは三十一年度の歳入をもって充てることでありまして、年度独立の原則を破るものではない。ただここで政策的に、たとえば食糧管理特別会計の赤字を埋めてはどうか、あるいは健康保険の関係の赤字を埋めるためにさらに多額の繰り入れをしたらどうか、これは大きな政策論でございます。ところが、今問題になりました二点につきましては、たびたび大蔵大臣も各委員会を通じて答弁申し上げておりまするように、食管の赤字につきましては、決算の確定を待って、かつ特別調査会の結論を得た上で処理することになっておりまして、今日決算の確定を待たずして、急いで三十一年度の赤字を埋めることは適当でない。また健康保険関係につきましても、ただいま御審議願っておりまするように、国庫も一部の負担を行い、また受診者にも若干の負担をしていただくことによりまして、健康保険特別会計の方の収支が健全になるような方策も講じておるというようなことを彼此勘案いたしまして、この際、産業投資特別会計に資金を設置をして、これに所要の財源といたしまして三百億繰り入れることが適当と、かように判断したものでございます。御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/12
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013・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/13
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014・平林剛
○平林剛君 あなたがさっきお話しになった中で、法律論としては一応筋を通してお話ししたが、いろいろ政策上のこともあってこういうことの措置をとったと、こうお話しになったんですが、その答弁の中で、たとえば減税をもう少しやったらどうかというような声がある。そういうことをやろうと思えばできないことはないのだというような意味のことをおっしゃられたように思ったのですが、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/14
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015・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 平林委員の御指摘ですが、速記録をごらん願うとわかると思いますが、さようなことは申した事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/15
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016・平林剛
○平林剛君 これは結局、昭和三十一年度に政府が考えていたより、税金の自然増収がたくさんあった。それでこれをみすみす剰余金に回してしまうのはどうも分別のないことだ。こういう機会だから何かやろう。こういうことが動機だと私は思うのですけれども、その理由をあなたの方は、まあ財政経済の調整を推進する考え方であるとか、あるいはいろいろな財政投融資に余裕を持たせるためだという御説明をしておるわけであります。あとでいろいろとってつけた理由と私は思うのですがね。今のようなふうに措置をとったことが、法律上は疑問でないとお話しになったのですが、こういう自然増収の分は、国民の税金がたまったものであるから、国民に返せという理論も、素朴な意見としてはあるわけですね。減税をもしそれでやろうと思えばできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/16
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017・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 当委員会では私、減税に充てることも考えられるということは申したことはございませんが、一つの政策論として、行おうと思えば私は行えるのじゃないかと思います。一千億に上る自然増収があった。これは一応税法は、国会の御審議を得まして適当なものとして施行しておるのであります。ただ経済の伸びに応じまして自然増収が出た。これは税法としては御協賛を経ておるのでありますが、この際、国民に返そうじゃないかという配慮のもとに減税することも私は可能であると思います。ただ、政府といたしまして、この際、資金を作って三百億繰り入れましたのは、先ほど来御説明いたしましたように、この際やはり経済の伸びに応じて、さらに経済の底力を作り、発展さすためには、こういうことをした方がいい、こういう配慮に基くものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/17
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018・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ほかに御質疑はございませんか。——質疑はこれをもって終了したものと認めて御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/18
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019・平林剛
○平林剛君 私は社会党を代表して、反対の意見を簡単に述べさしていただきます。
反対の理由の一つは、先ほど大矢委員が指摘いたしましたように、財政法第六条の建前から見まして、今回とられた政府の措置にはなお疑問が残されておると思います。もう一つの反対の理由は、先ほど私が指摘しましたように、結局、これは、昭和三十一年度に政府が予想していたよりももっと思いがけない税の自然増収があった。こんなに自然増収があるならば、これをそのまま今までの規定によって明年度の剰余金に回してしまうということでは策がないじゃないか。そこで、それならばいっそのこと、財政法の建前からは従来やったことはないのだけれども、今回はその分を、政府の説明によれば、財政上の弾力性を持たせるとか、産業投資特別会計の方のいろいろな調整を推進するという方にやろうじゃないか、こういうふうに、自然増を中心にしてそのやり場をここに求めた。決して政府が説明していることを主体としてこの措置がとられたのではない、こういうことが言えるわけであります。従って、あとは政策の違いになってくるわけです。私どもとしては、これだけの財源があるとするならば、やはり緊急性のある食管の赤字を埋めたりしたらどうだろう。あるいは税の自然増収であるから、これは国民の手元に返せ、そういう意味で、なお、政府の減税政策は低額所得者に及ばないのだから、そこに補充するようにしたらどうか、こういうことも当然とれたはずであります。しかるにそれはおやりにならなかった。私どもの政策とその点において相違があるわけであります。私どもは、むしろそちらをおやりになるほうがほんとうではないか、こういうことを主張するものであります。従ってこれが反対の理由第二であります。
もう一つは、特に、昭和三十三年度になお百五十億円の繰り入れが行われることになりました。このごときは、まだ使途も全く不明確である。来年度の使途については、一応政府の方で産業投資に対するいろんな計画がありますから、もっともだとしても、三十三年度については全くわからない。まあいくら自然増収がたくさんあってやり場に困ったからといって、そこまで行くのは少し行き過ぎじゃないか、こう思うのであります。
私はそういう三つの理由から、この法律案に対しましては、反対の態度を明らかにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/19
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020・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/20
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021・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を問題に供します。本案に賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/21
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022・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 多数でございます。よって、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)本案は可決すべきものと決定いたしました。
諸般の手続は慣例により、委員長に御一任願います。
なお、本案に賛成された方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
木内 四郎 西川甚五郎
天坊 裕彦 稲浦 鹿藏
木暮武太夫 高橋進太郎
土田國太郎 苫米地英俊
下條 康麿 杉山 昌作
前田 久吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/22
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023・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、とん税法案及び特別とん税法案の両案を一括議題として、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/23
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024・大矢正
○大矢正君 最初に、この法律の中の字句の解釈ではないのですが、内容についてちょっとお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、法律の中に出てくる純トン数という「純トン」というのは、どういうことなのか、この点ちょっとお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/24
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025・山下武利
○説明員(山下武利君) 純トン数と申しますのは、従来登簿トン数と称せられておったものであります。普通使われております総トン数から、船員の室でありますとかあるいは機関室、あるいは船舶の操縦に必要な各室の容積を除外したものでありまして、理論上これが貨客の運送用に供すべき容積でありまして、とん税その他の課税標準となっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/25
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026・大矢正
○大矢正君 これは、客を乗せる部分という意味ですかね。客船の部分は除外されるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/26
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027・山下武利
○説明員(山下武利君) 貨物を載せるところとお客を積むところとが両方入っておる、こういうふうに御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/27
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028・大矢正
○大矢正君 両方課税の対象になるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/28
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029・山下武利
○説明員(山下武利君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/29
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030・大矢正
○大矢正君 それでは次に、開港数は、関税法ですかによりますと、六十六になっているわけでありますが、その六十六の開港しているところは、いろいろ港湾施設その他の修理であるとか、補強であるとかいうものを逐次当然やっておると思うのでありますが、こういうような港湾の施設その他の費用は、これを国が負担をするものであるのか、国が行なっておるのであるか、地方自治体が行なっておるのであるか、その点ちょっとお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/30
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031・山下武利
○説明員(山下武利君) 港湾法の第二十九条によりますと、港湾の普通の維持運営に伴います経費は、港湾管理者が自弁でこれをまかなうということになっております。それから港湾の修築に要します経費、いわゆる公共事業に当る部分は、法律によりまして、国がその一部を補助するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/31
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032・大矢正
○大矢正君 そういたしますと、港湾施設の修理補強というものは、多少政府の補助はあるけれども、原則的には地方自治体がその費用を負担するというように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/32
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033・山下武利
○説明員(山下武利君) 法律に基きます国の補助の部分を除きましては、原則として地方自治体であるところの港湾管理者にまかしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/33
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034・大矢正
○大矢正君 港湾の補修であるとか、補強であるとか、そういう費用が、事実上地方自治体で支弁される状況下にありながら、とん税は国がこれを吸い上げるということについては、どうも理解に苦しむのであります。もちろん、新しく創設をされる特別とん税は、これは地方に譲与になるのでありますから、この点は問題がないのでありますが、さほど国が力を入れておらぬこういう港湾施設に対して、そこから上ってくるところの外航船舶に対するとん税は、これは国が吸い上げるというのは、何か、地方自治体に仕事だけやらして、金は国が吸い上げるというようなことで、まことに不可解なんでありますが、これは一体どういう根拠からこういうことをやられるのか、その点お伺いをいたします。私は、前の法律であるとん税が今日あることについては多少疑義があるのでありまして、こういう点に対するお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/34
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035・山下武利
○説明員(山下武利君) とん税と申しますのは、この前法案の内容を御説明申し上げましたときにも一応触れたのでありますが、外国貿易船が開港に入港いたします際に、その純とん数に応じまして課します一種の流通税であります。これは世界各国とも同じような法制を持っておるわけであります。国によりまして、国税である場合もあり、あるいは地方税である場合もあり、あるいはまた一部国税で一部地方税であるような場合もあります。しかしながら、いろいろ調べてみましたが、港湾の修理その他維持運営に伴う経費として、これを目的税に還元するという制度をとっておる国はないように見受けております。日本におきましては、もちろん、これは明治以来国税でありまして、何らの目的を付さずに国庫に収納いたしておったわけであります。これを一種の目的税のような形で地方に還元してもらいたいというような御要望は、かねて港湾管理者側から伺っておったところでありますが、私は、これは私見でございますが、とん税の性格から申しまして、また、世界的な慣例から申しまして、目的税にするということは必ずしも妥当でないというふうに考えております。
それからまた、先ほど申し上げましたように、日本の港湾法の建前が、あくまで港湾管理者の自費自弁であり、港湾修築に要する費用は、法律の定めるところに基いて国庫が補助するという原則がはっきりいたしておるのでありまして、たまたま開港に入っておりました船舶に課しますとん税は、そのまま、たまたま開港に還付するということは、法律全体の建前からして妥当でないというふうに考えておるわけでございます。港湾の計画は必ずしも開港に限りません。それからまた開港に入ってくる外国船の隻数に関係なく、独自の立場から計画され、そうして法律の定めるところに基いて国がそれに対して補助をするということでいくわけでありまして、とん税をこのまま還付して港湾の事業に充てるということは妥当でないと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/35
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036・大矢正
○大矢正君 開港されている港はいいのでありますが、不開港という言葉があるかどうかは存じませんが、開港していない港に船が入っても、実際的にはこれはとん税はとられないということになりますね。その辺がちょっと不可解なんですが、同じ船が入ってきても、開港であるからとん税がとれる、だから開港はそのとん税を基礎にして港の港湾の修改築もできる。ところが開港していない港に同じ船が入ってきても、とん税がとれないから、その港ではこういう港湾施設の修改築ができないというような、こういう矛盾があるのでありますが、これと、それから特に外航船舶に対する固定資産税の問題と関連をさして、一つあなたの御見解を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/36
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037・山下武利
○説明員(山下武利君) 特別とん税、トン十円と申しますのは、このたび固定資産税を軽減いたしました分に対する補てんとして市町村に譲与されるものでありまして、いわゆる市町村の一般財源として還付されるわけでございます。不開港に外航船が入りました場合には、なるほど、とん税はとられないのでありますが、とん税に相当する程度の不開港入港手数料というのを国が徴収するわけでございます。この手数料はもとより市町村の財源にならないので、不開港については固定資産税だけはまけてしまって、とん税は入らない、従って不公平ではないかという御議論があろうかと思います。かねて地方自治体とこの点は相談をいたしまして、不開港都市につきましては固定資産税の配分方法を若干ふやす、そしてその辺の不公平を是正するということに打ち合せをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/37
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038・大矢正
○大矢正君 特別とん税が創設をされて、一トン当り十円というものが譲与税として開港所存の市町村に還付をされるということがこの法律の建前になっております。私はこの十円だけではなくて、当然八円のトン税の方も、これは開港所在の市町村にやっぱり還付をしてやるべきではないかと思うのでありますが、提案の趣旨はそうではありませんので、この面についての意見は述べませんが、私は特別とん税の十円だけでは当然開港所在の市町村では不足だと思いまするので、別途何らかその入港手数料と申しますか、あるいは何と申しますか、これは御勘案いただいてけっこうだと思うのですが、別途に徴収するような方向を考慮してもよいのではないかというような気もするのですが、この面に対するあなたの御見解を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/38
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039・山下武利
○説明員(山下武利君) 現在港湾法におきましては、港湾管理者は入港料をとることができる建前になっております。本来の趣旨から申しまして、先ほど申しましたように、港湾の維持運営に要する経費は、港湾管理者の自費自弁でやらなければならないわけであります。まさに入港料をとって港湾管理者がその経費に充てるというのが法の筋でございます。ただ実際問題といたしまして、各港湾とも船舶の誘致等に相当の競争がありまして、なかなか入港料というものはとりにくい建前である。従ってこれは一つ国が税としてとって、それを港湾都市に還付してもらいたいというのが、従来からのいろいろな御意見であったわけであります。しかし、少くとも今の港湾法の建前から申しまして、国が税としてとったものを地方に還付して、それを港湾の維持運営費に充てるということは、今の港湾法の建前に反するということからして反対をしておるわけでございます。お尋ねのような、入港料というものは、現在とれる建前になっているし、これをとることによって港湾の経費に充当していくというのが、まさに法の建前であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/39
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040・大矢正
○大矢正君 最後にもう一つ。これはちょっと疑義があったのでお尋ねしておきますが、不開港は、これは当然とん税がとられないわけですね、だから入港手数料をとる。この入港手数料は国の方に行くのですか、その港のいわゆる管理者ですか、地方の自治体がとるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/40
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041・山下武利
○説明員(山下武利君) 国の収入でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/41
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042・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。——質疑はこれをもって終了したものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/42
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043・大矢正
○大矢正君 私はこのとん税法案、それから特別とん税法案、両案ともに反対をいたします。
反対の理由でありますが、先ほどの質問の中でも具体的に述べておいたのでありますが、特別とん税の一トン十円のみの経費をもって港湾施設の補強その他に充当することはなお不足であり、私は両とん税とも地方自治体に当然譲与すべきである、こういうように考えております。次に、当然今申し上げましたような考え方でございまするからして、とん税法案、それからさらには特別とん税というように二本の法律を必要といたしません。これは当然一本にすべきであって、一つのとん税法案にまとめて、ただいま申し上げましたように、そのすべてを地方自治体に譲与をする、このように考えて、私は提案にありまする内容の両とん税法案に対しては反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/43
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044・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御意見もございませんか。——討論は終局したものと認めて、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/44
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045・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) それではこれより採決に入ります。とん税法案(内閣提出、衆議院送付)を問題に供します。本案に賛成のお方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/45
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046・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 多数であります。よって、本案は可決すべきものと決定いたしました。
諸般の手続は慣例により、委員長に御一任願います。
なお、本案に賛成された皆さんは順次御署名を願います。
多数意見者署名
木内 四郎 西川甚五郎
天坊 裕彦 青木 一男
稲浦 鹿藏 木暮武太夫
高橋進太郎 土田國太郎
苫米地英俊 下條 康麿
杉山 昌作 前田 久吉
八木 幸吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/46
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047・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、特別とん税法案について討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/47
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048・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 異議ないものと認め、それではこれより採決に入ります。
特別とん税法案(内閣提出、衆議院送付)を問題に供します。本案に賛成のお方は御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/48
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049・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 多数でございます。
よって本案は、可決すべきものと決定いたしました。
諸般の手続は慣例により、委員長に御一任願います。
なお、本案に賛成された方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
木内 四郎 西川甚五郎
天坊 裕彦 青木 一男
稲浦 鹿藏 木暮武太夫
高橋進太郎 土田國太郎
苫米地英俊 下條 康麿
杉山 昌作 前田 久吉
八木 幸吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/49
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050・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 都合によりまして、この次には、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を行います。(「質疑なし」「異議なし」と呼ぶ者あり)別に御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/50
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051・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) それではこれより日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/51
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052・平林剛
○平林剛君 私は、この法律案に対しては反対をいたします。その理由は、前の質疑の際に述べましたように、結局、国鉄当局は運賃の値上げによりまして、今日国民に生活費の膨張を強要しておる。政府またこれに必要な法律案を議会に上程いたしまして、すでに本会議を通過したところであります。結局この法律案は、この運賃の値上げということを前提として償還計画を立てたものでありますから、私はそういう意味でこの法律に賛成しがたいのであります。
簡単でありますが、これが反対の理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/52
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053・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/53
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054・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を問題に供します。本案に賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/54
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055・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 多数でございます。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
諸般の手続は慣例により、委員長に御一任願います。
なお、本案に賛成された方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
木内 四郎 西川甚五郎
天坊 裕彦 青木 一男
稲浦 鹿藏 木暮武太夫
高橋進太郎 土田國太郎
苫米地英俊 下條 康麿
杉山 昌作 前田 久吉
八木 幸吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/55
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056・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、印紙税法の一部を改正する法律案、本法案について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/56
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057・大矢正
○大矢正君 今度の法律改正によって手形の額面によって金額を決定する、こういうことになるわけでありますが、今までのところ、まだ具体的にこの額面に入る手形の枚数、そうしてそこから上ってくるところの税収入というものに対する参考資料と申しますかが、まだ私どもいただいておりませんので、その点に対する政府の数字の発表をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/57
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058・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。今回階級別定額税を課しまする手形は、為替手形及び約束手形のすべてでございますが、その中で金融機関相互間の手形の一覧払いの手形につきましては、定額税二十円を課することになりますが、それらの階級別の枚数、それから金額について簡単に御説明申し上げます。
手形の総枚数は、これは正確には全体を対象とした統計はございませんのでございますが、手形交換所を経由している手形につきましては、これは枚数がはっきり出ております。それから銀行の手形貸付を継続いたします場合に書きかえをいたしますが、この枚数ははっきりつかめております。この問題になりますのは、銀行の当座貯金で決済されまして、交換所に渡らない手形の枚数がはっきりいたしておりません。これは統計はございません。それから私人間で振り出しまして、私人間でそのまま銀行を通さずに直接決済される手形がございますが、これは数字的には資料がないわけでございます。これらも、また、後ほど御質問がありますれば詳しく申し述べますが、いろいろの統計を使いまして推定いたしました結果、課税対象になります手形の総枚数は、七千四百七十一万枚という数字になるわけでございます。その総体のうち、階級別に申し上げますと、今回の改正で非課税になります一万円未満の手形が——従来三千円未満が非課税でございましたが、その分が百二十二万五千枚、新たに非課税になりますものが、二百八十七万三千枚ということになります。次いで、今回二〇%の税率を適用されます十万円以下一万円以上という手形が四千五百九十万枚、これに対します税額が九億一千八百万円、これは従来十円で課税いたしておりますので、増差税額、つまり増収額が四億五千九百万円ということになります。それから次に五〇%の税率の適用を受けます。五十円の定額税率の適用を受けます、五十万円以下の手形、これが一千八百九万枚、これの税額が九億五百万円、これは従来は十円の税額でございますから、増差税額、つまり増収額は七億二千四百万円、次に百円の階級定額の税率の適用を受けます百万円以下五十万円超という手形が三百五十三万五千枚、これの税額が三億五千三百万円、これによる増収額が三億一千八百万円、それから次に、二百円の階級定額の税率の適用を受けます五百万円以下百万円超の手形が百六十九万四千枚、これの税額が三億三千九百万円、これによる増収額が三億二千二百万円、それから五百円の階級定額の適用を受けます一千万円以下五百万円超の手形が二十万一千枚、これによる税額が一億、増収額は九千八百万円、それから一千万円を超えます、つまり千円の階級定額の税率の適用を受けますものが十六万二千枚、これによる税額が一億六千二百万円、増収額が一億六千万円、さらにそのほかに一覧払いのもの、それから金融機関相互間のもの、外貨表示の手形、この三つ——先ほど二つと申しましたが、ちょっと落しまして、この三つが二十円の定率になっておりますが、この適用を受けるものが百二万七千枚ございまして、これは税額が二千万円、増差税額が一千万円、合計いたしまして七千四百七十一万九千枚、税額にいたしまして、二十七億九千七百万円、増差税額が二十億六千二百万円でございます。その中から、増額分の手数料が平均三%になりますので、六千二百万円を差し引きまして、差引増差税額が二十億という計算をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/58
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059・八木幸吉
○八木幸吉君 今議題になっておりますこの印紙税法の改正案、これは非常に税の増徴が急激であるという点、それから、算の増額二十億円というのは過少である、こういう二点を私懸念をいたしますので、その観点からお尋ねをいたしたいと思います。
私のお尋ね申し上げます根拠は、民間商社の実績を根拠として伺うので、大蔵省は御当局のいろいろの推定等のエレメントがたくさん入っているのではなくて、実際こうなっている、だから大蔵省の考えは予算が過少ではないか、また増徴の率が非常に多いではないか、こういう意味で伺うのであります。
本年の二月十九日に日本スフ商協会、大阪スフ糸商協会、大阪合成繊維商協会、この三つの団体が、大中小の五十七社の昭和三十一年の一年間の統計をとった、その結果がここにあるわけでありますが、その結果によりますと、現行税法に上っての税収額は八百三十三万六千円、それが今回の改正税率によりますと一億八百八十万九千円、十三倍〇・五の増徴になる、こういう数字がございます。それから次に、大阪綿スフ織物商懇話会というのがありますが、これもまた過去一年間の百三十一社の調査をいたしました結果があるわけでありますが、それによりますと、現行税額は一千四十九万七千円になっているのが、改正税率によりますと一億四八百八十万一千八百円、ざっと十倍になっているわけであります。それから日本絹人絹織物商協会が、東京四百社、京都百二十九社、大阪九十二社、名古屋二十一社、福井百三十二社、金沢二十七社、神戸六社、合計八百七社について調べたところによりますと、現行税額では二千四百三十八万五千円、それが改正税率によりますと一億八千七百五十三万七千円、ざっと七倍七分になっているのであります。この三者を合計いたしまして、そのほかになお七十社ばかり追加の数字がありましたので、私それを計算いたしますと、全体が九倍一分四七の増加になっております。これは千六十五社の平均で、あります。ところがこの前、予算委員会で大蔵大臣に、この通りどうも私どもに入っている資料では十数倍、少くとも八倍ぐらいになるので、政府は一体どういう実績に基いてこの計算をお出しになったのか、こういうことを伺いましたら、池田大蔵大臣のお答えには、政府の方でも約千社ばかりの民間の実績を調べた結果であるから、そう間違いはないはずだ、こういう答弁がありまして、私事務当局の方に、その千社の実績を見せていただいたら、私どもに来ている資料と比較する上に非常に便利である。私どもに集まっているのは、繊維を中心としての資料しか集まっておらんから、ほかの方とは比較できぬかもしれぬから、こういうことを申し上げまして、その千社に対する資料の要求をいたしたのであります。そういたしますと、その当時に何か御答弁のときの行き違いで、実は千社ではなくして百社であったのだ、こういうお話がございまして、いや、それは百社でもけっこうですから数字をいただきたい、こう申し上げて、今朝ようやくその数字をいただいたのでありますが、その数字によりますと、政府でお調べになりました数字によりますと、資本金一億円以上の会社をお調べになった結果が二十三倍二七になっておる。それから一千万円以上の会社が、お調べになったのが十一倍五八、二百万円以上の会社が九倍六、二百万円以下の会社が五倍、こういう結果で、これはお調べになった数が九十八でありますが、そういう結果が出ております。お調べになりました業態は、製造業としては繊維、紙、鉄鋼、電機、食料品、機械、船舶その他、それから海運、電気、ガス、銀行、販売業は百貨店、卸売その他の商事会社、小売業では洋品、呉服、酒、紙、袋物、食料品、化粧品、小間物、こういったような方々にわたってお調べになったのでありますが、要するに五倍から二十三倍二七になっている。それから昨日予算分科会で御当局に伺いましたところによりますと、手形交換所の手形の平均の金額は、額面金紙が約二十五、六万円である、こういうお話でありまして、かりにそれを見ましても、やはりこの税率では十円が五十円になるのでありますから、五倍であります。そこで今の税金は約七億見ておるとおっしゃるのですから、五倍といたしましても三十五億円、今の予算の二十七億よりは八億円ばかり多いのであります。
そこで私の申し上げたいのは、とにかく大正十二年から三十五年間この単一税率できておったものを、今回急にこれを階級別の定額にお改めになる。しかもそのお改めになった結果が、実績によれば、私の調べたところでは少いもので八倍、多いものになれば上二倍、政府の調べでは二十三倍、何でもないようでありますけれども、税金が一ぺんに八倍とか十倍になるということは、これは実は大へんなことで、三十二年度予算は御承知の通り二千五百億の自然増収が出るといっておるのでありますから、こういう税額の上に非常な変革をもたらす、ような階級別にお変えになるときには、なるべく少な目に見て、徐々にこれを改めていくというのが当然であると思うのですが、われわれがまた繊維の方の約千社ばかりの実績から見ましても、約十倍内外の増額になっておる。ところがもう一つ考えなければならぬことは、これは法人税なんかと違いまして、利益があってもなくてもやはり税金は払わなくちゃならぬ。これはファースト・コストになるわけでありまして、そこで私も伺うのも、間違いがあってはいかぬと思いまして、この最初の五十七社の一体税金はどれくらい払っておるのだということを商社に聞きましたら、最近写真電報で言ってきたのですが、それによりますと、五十七社が昨年一カ年に支払いました収益税、法人税その他諸税の一切を含めまして十二億六千百九十九万三千円、これが税額であります。ところがこれだけの税額を払っておる商社が昨年一年に払いました印紙税の金は八百三十三万六千円でありましたのが、今回は一億八百八十万九千円、こうなりますから、つまりもうかって納めた税金のうち八分五厘は、もうかろうが破産しようが取引の過程において印紙税を払わなければならぬ、こういう事態になっておりますので、税額はわずか二十億円と政府はおっしゃる……金額の問題ではありますけれども公正の立場から言えば、私は相当これはとり過ぎじゃないか、しかも急激じゃないか、こう思いますので、この点を政府に伺うわけであります。
なおそれに関連いたしまして、一体どのくらい、一番多くとられるところではどれくらいとられるかということを聞きにやりましたら、三百八十三万円税金を払っているものが二百三十万円、ざっと税金の六〇%くらい印紙税を払うような商社もできているということを言って参りましたので、こういうような実情を政府は一体どういうふうにお考えになっておるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/59
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060・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) ただいまのお尋ね、いろいろ内容がございましたが、簡単に分けてみますると、一つは、今度の階級定額の階級別を手形に適用することが無理なのではないかという点が一つと、それから実績から見ると、政府の見積りは過少ではなかろうかという二つだと存じます。
まず、最初の点でございますが、今回階級別定が税を印紙税手形につきましても適用をいたしましたゆえんにつきましては、先般の内容の説明の際にも申しあげたのでありますが、現在印紙税法でとっております税率は三種類あるわけでございます。一つは定額税でございます。これは額面金額のいかんにかかわらず、一律に同じ金紙で課税をするわけで。ございます。もう一つは定率でございます。紙面金額に比例して課税をするものでございます。これは現在では一つだけ物品切手、いわゆる商品券についてだけ適用になっております。これは定率でございまして、比例税率で、百万円であればかりに一〇%なら十万円、そんな大きなものはありませんが、十万円、下万円ならば百万円というように比例してかかって参ります。その中間をなしておりますのが階級別定額税でありまして、比例税ほど税額に比例いたしませんが、階級別階段を切って、やや低度の比例と申しますか、上にいくほど安い税率になるという形でとっているのが階級別定額税でございます。現在階級別定額税を適用しておりますのは、不動産の売買所有権の移転に関する証書、それから消費貸借に関する証書、請負に関する証書、運送に関する証書、傭船契約書、こういうものが階級定額になっておるわけでございます。その中で消費貸借の証書は信用の授受に関する証書でございまして、たとえば銀行が証書貸付をいたします場合にこの証書によるわけでございますが、この場合には階級別定額税が課せられるわけでございます。現在の階級別定額税率は、三万円以下二十円、十万円以下六十円、五十万円以下二百円、百万円以下三百円、五百万円以下千円、千万円以下二千円、五千万円以下五千円、五千万円をこえますと二万円という階級定額になっております。ところが手形の実際の運用から申しますと、手形が、短期では。ございますが、信用授受の機能を中心として動いていることは事実でございますし、銀行の貸付におきましても手形貸付が一番多いわけです。ところがこの手形につきましては、一円の一律の税額しかかかっておらない。十億円借りましても十円、一万円借りましても十円ということになっておるわけでございます。しかも手形の貸付でございますと、手形のたとえば不履行の場合に執行手続その他が消費貸借の証書に比べればよほど有利でございます。そういう観点から、しかも転々流通して、貸付金を回収できるという面もございまして、むしろ手形貸付の方が弾力性もあり有利であるわけでございます。それに対して十円という階級定額であるために、実際の負担が著しく不均衡になっておるわけであります。そこで今回その消費貸借と同じ信用授受の手段としての証書と申すべきものにつきまして同じ扱いをすべきであるというので、この階級定額をとったわけでございますが、ただ手形の場合は、実績から申しましても大体三カ月程度が貸付期間になっております。証書貸付の場合に比べて三分の一ないし四分の一の負担でないと割合が合いませんので、御提案申し上げたような税率にしておるわけでございまして、これは大体におきまして三〇%、消費貸借の証書に対して適用されまする定額税率の三分の一ないし四分の一、たとえば十万円以下のところで申し上げますと、六十円に対して二十円、三三%、五十万円のところでは二百円に対して五十円、二五%、百万円のところは三百円に対して百円、三三%、五百万円のところでは千円に対しまし二百円、二〇%といったような、大体三分の一ないし四分の一の軽度の額にいたしたというわけでございます。階級別定額を採用いたしました理由並びにその内容は簡単に申し上げますればそういうところでございます。
先ほど御指摘ございました、大蔵省の見積りは実績から見ると非常に少いのではないかというお話がございましたが、先ほど御提示になりました各種の資料は、実は一部は私どもの手にも送って参っておりまして入手しております。そこで問題は、なるほど大きい商社の平均の階級別分布を見ますると、手形の振り出しが大きいだけに増徴額の倍数が多くなっております。それは今まで十円張っておりましたものが、二十円、五十円、百円、二百円、五百円、千円というふうに額に応じて変えて参りますから、一番高い手形は百倍になるわけでございます。従いまして高い手形ばかり出しておりますところでは、倍率がどうしても大きくなります。大蔵省で調べました実績でも、資本金一億円以上の会社では、先ほど御指摘のように二十三倍ぐらいになっている。しかしそういう商社、ことに最初に申されました大阪の五十七社と申しますのは、綿、スフの問屋でございまして、その取引の一件当りの金額が非常に大きいのでございます。先ほどお話がございましたように、全国の手形交換所の二手形の平均金額は、全国で、小切手を含めまして二十七万四千円でございます。しかも小切手の方が額が大きいので、手形だけを見ますると、大体二十四、五万ということになるのでございます。先ほどの五十七社の手形の平均を見ますと、これは二百万ちょっとこえるくらいでございます。ということは、十倍の大きさの手形の分布によっているということになるわけでございまして、たとえばかりに全国の手形が百万円と十万円の間に散らばっているといたしますと、先ほど申されました五十七社の手形は、千万円と百万円の間に分布いたしておるということになるわけでございます。そういたしますと、税率が十万円以下のところは二十円でございます。百万円以下のところは百円でございますから五倍になる。それから千万円のところが五百円、それに対しまして、百万円のところは百円でございますから、そこの十倍の開きはやはり税額にして五倍ということになる。そこで全体の平均を五で割れば、先ほどのは少し小さくなり過ぎましたが、二倍ぐらいになる。その階級別をそのまま大蔵省で出しました七千四百万枚の枚数に適用いたしまして、糸商で計算をされました数字によりますと、増徴額は約百億円になるということを言っておられますが、その百億円を、ちょうど私が今申しましたような計算で割りますと、五分の一で二十億ということになるのでございます。これはもちろん、それだからと申しまして、糸商の負担が小さいということを主張するのではないのでございまして、そういう大きい取引のあるところは大きい税額になるので、全体として平均をいたしますと、実際に全国の手形の平均が二十四万九千円でございますから、それに対応する倍数というのはやはり四倍程度というのが正当ではなかろうか、そういう意味では税額の計算には私どもほぼ間違いはないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/60
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061・八木幸吉
○八木幸吉君 いろいろ技術的なお話がありましたが、これ以上私は議論する気持はありませんが、ただ二点だけ申し上げたいのは、今の政府委員の御答弁でも二十五万円が手形額面の総平均である。二十五万円ということは、政府原案によれば、十円を五十円にするということである。五十円ならば、二十五億円の予算を見なくちやならぬのを二十七億円にしている。その理由がわからない。それから五一七社を目のかたきのようにおっしゃいましたけれども、そういう議論がちょっとあなたの方にあったから、電報で聞いてみたのですが、三十億円以上の商社二つの今度の改正案によるふえる額の税金との率は、一つが四・七%、もう一つは六・七%、必ずしも大きい商社だからといって負担が多いわけじゃない。ところが五千万円のある会社は税金を…百八十三万円、これは成績のあまりよくない会社だそうですが、三百八十三万円払っているのに、今度の改正率だと印紙税を二百三十万円払わなくちゃならない、つまり税金の六割の印紙税を払う、六割はこれはもうけようが、損しようが、確定のコストになる。だから商社が大きいからといって必ずしもこの負担が多いというものでもなければ、利益が少なければそれだけ負担の率は多くなる、実績でたとえば二億円の会社で四百七十四万円税金を払って、印紙税は改正率で百五十四万円になって三一%、もう一つは一千万円の会社で三百六十三万円の税金を払っているのが、改正率で印紙税は百一、万円で、これも一、八%でありますから、大きいところは少々払ってもいいのじゃないかというような議論がありますけれども、それはそうはいかない。またもう一つ、今の五十七社でも資本金五千万円以下千万円までの商社が二十二、千万円以下の商社が十二で、一億円以下が六ツ、五億以上が十七しかないので、必ずしも一億円以上の会社ばかりではないということを私は申しておきたい。なお、八百七社の方の資本構成を見てみますと、一千万円以下が七百十八ありまして、一千万円以下といえば、政府が今度御提案になる中小企業団体法のいわゆる中小企業で育成強化しようというものであります。八百七社のうちで七百十八まではいわゆる中小企業、それの増税率が八倍になる。一体、大正十二年から三十五年も続いた税金を、一ぺんに定額を階級にして、そうして八倍の十倍のという増徴をするということが、果して正しいかどうか。これは事務当局に伺うべき筋ではなくて、もう少し政治性のある返事を聞きたいと思うので、大臣がお見えになったときに伺いたいと思います。これ以上、政府委員の方のお話を伺う気はありませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/61
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062・大矢正
○大矢正君 最初に私は一つ政府委員に苦情を申し込んでおきたいと思うのでありますが、きょう印紙税法が具体的に審議をされるに当って参考となる資料が一つもない。どこからもらったかといえば、この印紙税法に反対をする繊維協議会というところが御丁寧にも資料を先方からくれた。これをもらわなければ、質問もできないし何もできない。私は少くとも政府はもっと親切に、これは根拠が薄いかもしれない、十万円以下のものの枚数がどのくらいある、その税収入がどのくらいあるかという点では、なかなかむずかしい点ではあるかもしれないけれども、一応やはり二十億の増収が見込まれるということが提案の中に明らかにされているのでありますから、ある程度の根拠になるべき資料は提示をしていただきたいと私は考えております。
そこで、お尋ねしたいのですが、これは衆議院で修正をされまして、三十万円以下の場合は三十円ということになっておりますが、ここに三十万円以下十万円までの間のランクを設けたということは、特に中小企業の手形の現況から考えて、こういう新しいランクを挿入したと思うのでありますが、伺ってみますと、この三十万円の中のランクというものは、非常に何と申しますか、枚数が多いのではないかと思いまするし、それから当然そのことによって税収の面での大幅な変化もあるような気もするわけでありますが、この衆議院の改正案によって、今あなたが述べられたのは、これは改正以前の政府原案に基く資料でありまして、修正された以降の数字を発表していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/62
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063・原純夫
○政府委員(原純夫君) 修正案による減収額は、大体の計算でございますが、約三億円前後ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/63
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064・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/64
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065・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。
四時に再開することにいたしまして、休憩いたします。
午後三時一分休憩
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午後四時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/65
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066・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/66
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067・八木幸吉
○八木幸吉君 印紙税の改正の問題について大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思います。この前私が予算総会で、業者によっては二十倍にも今度の税率で増徴になるというところがあるという話をいたしましたら、大臣の方から、いやそうはならぬはずだという話がありました。けさ政府の方から資料をいただきました。その資料によると、政府でお調べになったのは、約百社ばかりの実績であるのでありますが、一億円以上の会社だと約二十三倍になるわけであります。一千万円以上の会社だと一一・五八倍、それから資本金二百万円以上の会社は九・六倍、二百万円以下の会社は五倍、こういうことになっておるわけであります。ところが私の方の調べは、約千六十五の東京ほか六都市にまたがっての主として繊維業者の昨年一年の実績を調べたところによると、約九・一四倍になっております。そういうわけで、相当やはり大蔵省がお考えになっておるのより、全体の業者に当ってみましてもふえるのじゃないか。それで手形交換所の流通の総平均は、約一枚の金額が二十五万になっておる。こういう御当局の御答弁ですと、やはり十円の印紙税が五十円です。五倍になる。こういうことで、現在七億とすれば、七億三千万枚ですから、ざっと三十六、七億の税収で、政府案より八、九億ふえるじゃないか。こう私は、政府の言われることがかりに正しいとしても、そういうことになる。ところが今度衆議院で、三十万円以下に一本筋を引かれまして、政府御当局では三億円の減だというお話でありましたが、…十万円で線を引かれたので、初めて手形平均のちょうど二十五万円のところもあって、政府の立場からいって三十億くらいになるのじゃないか、こう思うわけでありますが、そこで私の大蔵大臣にお伺いしたいのは、政府の方のお調べでも一億円以上で二十三倍になるということは、これは実に大へんな増徴であります。二百万円以上一千万円以下でも十一倍以上になるので、これは中小企業団体法のいわゆる中小企業のカテゴリーに入るものでも約十倍になるというのは、これは税制の改正をしてはずいぶん思い切った上り方なんで、やはり私はこういう三十五年も続いた定率のものを階級別にするのですから、相当おだやかなカーブでいくのが正しいんじゃないか、こう思いますので、その辺のことを政治的に一つ大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/67
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068・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通り印紙税につきましては、手形に特に定額制でずっとやってきたのでございます。印紙税の改正は、ほかの税法ほどたびたび改正いたしませんが、改正いたしましても、よくよくのときでないとやらないのが今までの例でございます。ことに手形はそういうふうな関係が強かったのであります。たびたび変えるとか、あるいは定額制も、あまり階級区分を多くすることも、実際面として施行上厄介なものでありますから、原案は相当荒っぽくいっておったのであります。何分にも長い間ずっと据え置いておったものでございますから、この際は、先般もお話し申し上げましたように、借用証書その他との権衡をとって、相当の担税力があるものと見て改正をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/68
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069・八木幸吉
○八木幸吉君 そこで手形の分布状態なんですが、政府の方の御案だと、十万円以下の手形が六七%九、十万円から五十万円までが二四%五、百万円以下が四八、五百万円以下が二三ということになっておりますけれども、私の今申し上げました千六十社余りの分布の状態は、十万円以下が二四%五五、五十万円以下が三六%四五、百万円以下が二三%七四というふうに、政府の方の、約七割近いものが十万円以下というお見込みと、繊維関係業者千六十五社の割合とは非常に違っております。そこで私は政府の方が間違っておるとか、こっちの方が正しいとかいうことは申しませんが、私の方は、繊維業者しか資料を持つことができないので、こういう数字が出ておるのですが、政府はもう少しこういうような場合には広く資料をおとりになる必要があると思いますので、かりにほかの資料がどうありましても、とにかく全国で、千社余りのもので、しかも八百七社のうちで七百十数社はやはり相当資本金も少いのでありますから、こういうものが倍、一ぺんに十倍も税金が上るということは、これは相当大きなことで、八百七社で一千万円以下のものが七百十八社で、いわゆる中小企業に入るものが七百十八社ぐらい、たくさんの。パーセンテージを占めておるのでありますから、こういう税制の改正は順を追うて、おっかなびっくりでやるというふうな行き方が、業界にそう大きな衝撃を与えないことで穏当である。いわんや、これが何か奢侈的なものであるとかというものなら別でありますけれども、とにかく信用取引の手段、一種の奨励すべきものの方に入るのですし、これが収益にかける累進税ということなら、とにかくもうかるのですから一向差しつかえないわけですけれども、もうかっても損をしても、極端にいえば破産するようなものでもやはり税金は取られるのですから、よほど小さ目に見ておく方がいいのじゃないかと思いますので、先ほども政府委員の方に申し上げましたが、大蔵大臣も御研究願いたいと思います。一番しっかりしておる、あるいは資本金が多いと、政府委員の方がたびたびおっしゃられる五十七社の昨年一カ年に支払った収益税、法人税、その他の諸税金等の総額は十二億六千一百万円、十二億六千一百万円の税金を払ったものは、在来の現行印紙税法では八百三十万円しか税金を払っていない。それが改正案になりますと、一億八百八十万円払って、つまり収益税の八・五をファスト・コストで取られてしまう、相当大きな負担じゃないかと思います。ここに極端な例かもしれませんが、五千万円の会社で一年三百八十三万円の税金を収めた会社の手形から割り出してみると、改正案では印紙税を二百三十万円つまり税金の六〇%の印紙税を払っておる。二億円の会社が四百七十四万円税金を払って、百五十四万円の改正印紙税、これは約三割二分、一千万円の会社が三百六十三万円税金を払って改正率で百二万円の印紙税を払って、これは二八%、こういったように個々の場合をとりますと、かなり収益に関係のない経費の面で相当今度の改正税率は重い負担になっている、こう思うのであります。しかしこのようなことを幾ら申し上げてもこれはせんのないことでありますが、そこで私結論的に簡単に申し上げますが、今年まず衆議院の修正案でいけば、政府では二十四億ぐらいに収入がなるだろう、こういうお見込みなんですが、かりにこれが五十億も六十億もというふうに非常に政府の思惑よりも収入がふえたというような実績が出てきたら、将来この税率を低減するということを一つここでお聞かせ願いたいと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/69
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070・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 今の八木先生のおっしゃいます会社は、おおむね繊維関係その他としますれば、非常に取引が繊維はかさむものでございまして、一般の会社の分はそういうふうには取引はいかぬと思います。
それから第二の点は、たとえば三百万円の利益が上っているところが百万円の印紙税を納めるということになりますと、従来、たとえば十万円納めておったのが百万円印紙税を納めるということになりますと、三百万円の利益が二百十万円になってくる。だから印紙税というものは損金になってきますから、九十万円利益が減ってくるということになります。それから印紙税を安くして利益がたくさん出ますと五十何%か法人税で取られるということになりますから、負担の点につきましては損金に見るので、税の負担が半分以上少くなる、こういうことで一つ御了承願いたいと思います。
第三の点は、印紙税がこの手形の改正等によりまして非常に上った場合に、何によって上るかということがなかなかこれは厄介なことでございまして、印紙税収入は登録税、それから罰金、それから普通の領収書がおもなるもので、今度は手形は十円のところが上りましたら相当ふえるでしょうが、ふえた金額が、手形の改正によってどれだけふえたかということは、なかなか調べにくいのでございます。しかし私は、税金が増収になったからということでなしに、施行してみまして、非常に負担が多いというふうなときには、これは全体の税金のいかんにかかわらず考えなければいけませんし、それからまた非常に増収になった場合におきましては、どこを減税するかという問題も一つ考えなければならぬ問題で、全体の問題といたしましては常に注意はいたしますが、私は大体これでいって、今非常に業者の方々が驚かれるほどには結果は出てこないんじゃないか。たとえば損金が非常にふえるとかで……まあこの程度で今まで長い間非常に安かった分をやっていくということは、大体各国の例なんかを見ましても御了承願えるのじゃないかと思っております。しかし御意見の点は十分将来研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/70
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071・八木幸吉
○八木幸吉君 今、昭和二一十年度で十円の収入印紙、約五十六億円の収入があるのですが、その中の内訳なんか多少わかっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/71
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072・原純夫
○政府委員(原純夫君) これはせっかくでございまするが、総額がわかりますだけで、内訳、何の用にどれだけ使われているかということはわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/72
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073・八木幸吉
○八木幸吉君 今の政府の案では、現在では七億三千三百万円印紙税、今度の改正になる対象になる印紙税が七億三千三百万円ばかり入っている。この計算がかりに正しいとすれば、この今議題の対象になっているもの、それは約五十億円あると大ざっぱにいって見られる。それで三十二年度の決算をやってみて、かりに百億円十円の印紙が売れたということであれば、ごく大ざっぱな話ですけれども、五十億円はこの改正税法による増収と、こういう一応……政府は何も根拠がなければ、逆に私の方から根拠を示せばそういうことになるのですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/73
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074・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御承知のように、これは多分印刷局でやりました十円の印紙からきておると思います。印刷をもとにした……。御承知の通り手形や受取りはみな十円でございます。手形の方がふえたのか、あるいは領収書がふえたのか、デパートの売り上げ等がうんと多くなったということもございます。それからまたいずれにいたしましても、十円一枚張る場合もありますし、十円五枚張る場合もあるわけであります。で、印紙の額面の種類はよく覚えておりませんが、あわせて使うことがあるものでありますから、大体のそれはわかるかもしれませんが、正確なところはなかなか困難かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/74
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075・八木幸吉
○八木幸吉君 大蔵省の方でだんだんにという言葉は私は合うかと思いますが、とにかく現在では七億三千六百万円ですか取っておるのだ、どんな基礎か知らぬけれども、こういう数字を一応出して議論しておるわけなんですね。だからこの資料がまずそう間違いのないとすれば、ここ過去三年なら三年、大体毎年五十億前後だと言うなら、そのふえ方は一応、これ以外は特別な何か状態が起れば別ですが、ほかの要素が同じようであれば大体見当がつくのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/75
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076・原純夫
○政府委員(原純夫君) ただいまの七億何千万と申しますのは、今回申し上げております手形の枚数でございます。現在十円でございますから、枚数に十円掛けて出したのであります。従いましてこの実際のデータのうち、印紙税、手形の印紙には幾らだというものから出たのじゃございません。また、印紙税法で規定しておりました十円のものというのは相当たくさんございますから、十円の実績がわかりましても、その中でどう振り分けるかということは、今ちょっとわかりかねるような状態でございますし、安に二十円のものを十円を二枚張っておるというのも多々あると思いますので、その辺大へんわかりにくいようなシステムになっておるので、いつも不便をしておるのでございますが、そういうことでございますから、いろいろな今後の数字が出て参りますれば、確かにその変化を分析して考えるという面はいろいろあると思います。私どもも十分その際は勉強いたしたいと思いますが、あまりはっきりどうはじけば出てくるかというまでのことを、今ちょっと急に申し上げにくいので、だんだん勉強させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/76
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077・八木幸吉
○八木幸吉君 私が今ぜひこれを一つつかむという熱意があれば、民間の方から言えば、この手形に張る印紙の色を変えたらわかる。そこで、もう一つ大蔵大臣に伺いたいのは、こういったような印紙税法の改正ではなしに、増収の面から考えれば、それが必らずしもいいというわけじゃありませんが、株券が約一兆二百億くらい出ておりますね。債券が七千百億ぐらい出ております。これの何というか、証紙の金額を階級別に上げていくというようなお考えはありませんか、この方が順序としては私は先じゃないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/77
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078・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) いろいろ議論があると思いまするが、私の考えでは、登録税とかあるいは株券の印紙は少し高いのじゃないかという気がいたしておるのでございます。先だってもこれを審議しましたときに、私はこの増資免税その他につきましても、少し登録税は、今の生産拡充をずっとしていかなければならぬときに、株券その他の方が少し高いのじゃないかという気がして、このことは主税局長に言ったことがあるのであります。まあ負担の均衡ということは、流通税じゃなかなか厄介な問題です。所得税は割に早く出てくるのですけれども、流通税につきましてはなかなかその点があるようでございまして、勘といたしましては、私は登録税や株券というものは、あまり上げるべきではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/78
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079・八木幸吉
○八木幸吉君 この問題と少し離れますが、もう一点だけ伺いたいと思う。これは不動産の取得の登録税といいますか、登記の税金ですが、裸地の場合と上に家が立っている場合と、やはり同じような固定資産税の評価標準でやっておられますか。あるいは家が建っておればそれだけ地面は安くなるのだから、その安い方でやっておられますか、そういうことは大蔵大臣御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/79
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080・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 土地につきましては、借地権があるところとないところがございまして、最も極端なのは東京でございますが、横浜の方も大阪の方も相当借地権が出てきたようでございます。昔は借地権のあるところは東京しかありませんで、関西はなかった。このごろは非常に出て参りました。従いまして、借地権についての課税はなかなか困難です。従いまして、裸地のところにつきましても借地権を考えて相当安くしていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/80
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081・八木幸吉
○八木幸吉君 そういたしますと裸地一で坪五万円までするところは、家が建っていると一万円というふうに差等を設けるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/81
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082・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 相続税のときは、もちろんそういたしております。登録税のときは、借地権者に対して取ることはむずかしいものでございますから、しょせん相続税のように借地権を引くということはあまりしていないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/82
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083・八木幸吉
○八木幸吉君 どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/83
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084・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、評価についてある程度手心を加えているのでありますまいか。私は実地にやったことはございませんが、相続税は借地権をみな引きます。しかしその借地権も、昔のことで申し上げますが、種々の理由で少し安く貸しているところもありました。たとえば、小石川と原宿、また繁華地と郊外では非常に違う。各区ごとに町ごとに借地権を評価してやっておりました。今は登録税のときには片一方の借地権の方は取りようがございませんから、借地権は引いていないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/84
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085・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。質疑はこれをもって終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/85
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086・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「討論省略」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/86
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087・八木幸吉
○八木幸吉君 反対討論。
ただいま議題になっております印紙税法の一部を改正する法律案に対して反対の意見を申し上げたいと思います。
質疑の過程におきましていろいろ私の意見も申し上げておりますので、きわめて簡単に申しあげたいと思います。
第一点は、何と申しましても印紙税の改正、この印紙税は信用取引に圧迫を加えるものでありますから、かりに消費貸借の方と均衡をとるという意味であれば、その用途に使う手形だけを階級別にして、そうして信用取引自体に使っておる手形はむしろ低額に、これを安い額にするということが正しいのである。これが私の反対する第一点であります。
第二点は、とにかく大正十二年以来三十数年間にわたって現在の定額制が、単一定額制が維持されておったのに、急に今回階級別になるのでありますが、その上げ方が非常に増徴率がひどい。たとえば十万円以下でも一ぺんに二倍にするということは、これは信用取引そのものを保護する、奨励する立場から申せば、これはおだやかでないので、階級別にするといたしましても、十万円以下というような、主として中小企業に使われるような手形は現状のまま置いておいて、そうしてゆるやかな累進税的な税率を適用して、その実績を見て、さらにこれを段階別に調整をしていくというのが最も穏当なやり方であって、現在のように急激に上げるということはよろしくない、これが第二点。
第三点は、われわれ民間人でも相当千社ぐらいの実態をすぐつかめるのでありますが、政府という大きな機関がかような改正をするに当りまして、わずかに百社ぐらいの実態しかつかめない、しかもそれでも増徴率が大きいのに、ただ机の上のそろばんで出た結果に基いて改正をするということは、受ける方の側から見れば迷惑で、非常にこれはよろしくないことである。しかもその上げ方というものが非常に急であるという点が、私の第三の反対の大きな理由であります。
それから私のいろいろ前に述べましたような千社ぐらいの商社は、これは全体から見れば一部分というようなお考えもあるかもしれませんが、千六十五社の改正税率による納税額というものは四億一千万円余りにすでに計算が出るのであります。四億円というのは、政府案の増税額のこれが七分の一でありまして、わずか千社の中でもすでにこれは為替や約手の使い方が多いといたしましても、七分の一もすでに納めるというぐらいに税率が上っているくらいでありますから、これは全体としては相当大きな金額になると思うのであります。もう少し政府としては親切に実態をきわめてからかような改正案はお出しになる方がよろしい、これが私の反対理由の第四点であります。
大体以上のような理由をもって本案に反対いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/87
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088・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/88
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089・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/89
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090・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 多数でございます。よって本案は、可決すべきものと決定いたしました。
諸般の手続は慣例により、委員長に御一任を願います。
なお、本案に賛成された方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 天坊 裕彦
青木 一男 稲浦 鹿藏
木暮武太夫 高橋進太郎
土田國太郎 苫米地英俊
下條 康麿 杉山 昌作発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/90
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091・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 明日は午前十時より委員会を開きます。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X02119570330/91
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