1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月八日(水曜日)
午前十時五十五分開議
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議事日程 第三十一号
昭和三十二年五月八日
午前十時開議
第一 地方自治法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
第二 美容師法案(衆議院提出)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)を議題といたします。
まず提出者の趣旨説明を求めます。地方行政委員長本多市郎君。
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〔本多市郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/2
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003・本多市郎
○本多市郎君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、提案の理由と内容の概略を御説明いたします。
わが国戦後の新しい地方制度において、知事、市長、町村長について住民による直接公選制度を採用いたしましたことは、実に新制度の中核をなすものと言うべく、その地位と責任の重かつ大であることは多言を要しないのであります。このことは、現行地方自治法において、「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表する。」と規定されていることによっても明らかであります。すなわち地方公共団体の長は、住民の総意を体現し、全体の奉仕者として最も公正な地位に立つべきものでありますから、一部の私の利害と結ぶこと、あるいは結ぶがごとき進退が常に排斥さるべきは、けだし当然のことであります。特に金銭的な利害と直接的につながる関係に立つことは、その地位の性質上最も不適当であり、厳に戒しむべきものと考えます。この意味から、現行地方自治法においても、知事、市町村長等については、請負人等となることを禁止する規定がありますが、しかしこの規定による制限は、その地方公共団体との請負関係を中心としたものであります。会社等につきましても、その会社の業務が主としてその地方団体との請負関係となる場合に限り、知事、市町村長等は、その会社の役員等を兼ねることができないものと定めているにすぎないのでありまして、はなはだ徹底を欠くうらみがあります。
当委員会におきましては、以上申し述べました諸点について、各般の事情をつぶさに検討いたしました結果、その所掌する行政事務あるいは事業の質と量等の内容にかんがみ、特にこの際、都道府県知事及び五大市の市長について、その区域内に事務所、事業所を有する私企業を営む会社その他の団体の役員等と兼ねることも報酬を得て、その区域内に事務所、事業所を有するその他の団体の役員を兼ねることを禁ずるとともに、この規定は、副知事、出納長及び五大市の助役と収入役に準用することと改め、また、この改正規定は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することを適当と認め、ここに委員会として本改正案を提出することとなった次第であります。
なお、委員会決定に際し、小林委員より、「諸般の事情を考え、今回は知事と五大市の市長にとどめたが、この制限の趣旨は、すべての市長に通ずべきものと考えるから、その意味で自粛自戒を希望したく、自治庁としても、この趣旨に基き、適当に取り計らわれたい」との発言があり、田中自治庁長官よりは、「御趣旨を尊重し、何らかの形で行政指導的に徹底をはかりたい」旨の答弁があったことを申し添えます。
以上、本案の趣旨を申し述べたのでありますが、何とぞ御賛成を得たいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二、美容師法案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長千葉信君。
〔千葉信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/6
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007・千葉信
○千葉信君 ただいま議題となりました美容師法案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
近年、美容業界の実態は、国民の保健衛生とともに、その技術的な分野もいよいよ高度な理論と知識とを必要とするに至ったのであります。現行の理容師美容師法において、美容業を理容業とともに一括処理することは、最近の実態からかんがみて、斯業の発展の上からも考慮を要し、また、保健衛生の立場からも幾多の不便が生ずる憂いなしとしないのであります。ことに、美容技術の範囲も、パーマネントを主体とした頭髪調整の段階から全身美容にまで進歩発展し、幾多の高級で複雑な成分を有する薬物の使用がひんぱんになりまして、旧来の整髪美容は、実質的にも大きな転換が行われつつあるのであります。よって、今回、理容業とは別に、新たに美容師法を制定して、美容業の発展をはかるとともに、なお、この際あわせて美容及び理容の業務が一そう適正に行われるよう所要の改正をいたそうとするのが、本法律案の提案の理由であります。
本法案の内容は、現行の理容師美容師法のそれとほぼ同様でございますが、現行法と異なるおもなる点について申し上げますれば、第一は、美容師の養成施設の養成課程に関し、従来、省令で定められていたものを本法に明文化したこと。第二は、健康診断の結果、美容師の業務を停止することができることとしたこと。第三は、美容師が本法に違反して刑に処せられた場合における知事の免許取り消しに関する規定を設けたこと。第四は、美容師または美容所の開設者の組織する会またはその連合会が、美容師の養成に関する事業を行い得ることを明記したこと等であります。
なお、本法案の附則において、現行法を単独の理容師法とすることに関する改正を行なったのでありますが、本法案と現行法と特に相違する点について、美容師の場合と同様の改正を行なったものであって、結局、理容師法案としての部分は、内容的には、本美容師法案とほぼ同様といたしたのであります。
以上が本法律案の要旨であります。
本案につきましては、委員会において熱心に慎重審議が行われたのでありますが、そのうち最も論議の中心となった問題を申し上げますと、現行法を美容師法と理容師法とに分けることが、何ゆえに斯業の発展をはかるゆえんであるか、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案との関係、特に美容師会と美容組合との調整問題、行政処分と罰則との権衡問題、免許の取り消し及び取得に関する諸問題等でありまして、その詳細は会議録により御了承願いたいと存じます。
かくて質疑を終りましたところ、本案について、高野委員より修正案が提出せられ、その趣旨の説明がありました。
その要旨の第一は、無免許営業を行なった者または違反行為による免許の取り消し処分を受けた者には、免許を与えないことができること。第二に、美容師の本法違反行為に対しては、すべて第一次的には業務の停止をもって一第二次的には免許の取り消しをもって臨むこと。第三に、疾病または本法違反行為により免許の取り消し処分を受けた者であっても、疾病がなおり、または改俊の情が明らかになったときは再免許を与えることができること。第四に、美容師の本法違反行為に対する罰則を整理し、第二の行政処分との重複を避けるとともに、結核予防法等関係法令との調整をはかったこと。第五に「美容師または美容所の開設者の会を美容師の会とし、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案との調整をはかったこと。第六に、改正後の理容師法についても、右の第一ないし第五と同趣旨の手入れを行なったこと。その他所要の字句の整理及び経過規定を定めたこと等であります。
討論を終り、修正案及び修正部分を除く原案について、順次採決いたしました結果、本案は、全会一致をもって、修正議決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会の修正通り議決せられました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。
次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十分散会
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案
一、日程第二 美容師法案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03219570508/9
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