1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十五日(水曜日)
午前十一時二十四分開議
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議事日程 第三十四号
昭和三十二年五月十五日
午前十時開議
第一 千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第二 千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第三 日本国とエジプトとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第四 日本国とイランとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第五 南西諸島在住者等に関する在外公館等借入金整理準備審査会法特例法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 国際海上物品運送法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第九 国立及び公立の学校の事務職員の休職の特例に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第一〇 公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律案(文教委員長提出)(委員長報告)
第一一 国土調査法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一二 日本道路公団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一三 モーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一四 国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一五 国有財産特殊整理資金特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一六 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
第一七 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一八 農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一九 農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二〇 輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第二一 昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その2)衆議院送付)(委員長報告)
第二二 昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その2)衆議院送付)(委員長報告)
第二三 昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用総調書(衆議院送付)(委員長報告)
第二四 昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用総調書(衆議院送付)(委員長報告)
第二五 昭和三十一年度一般会計予備費使用総調書(その一)衆議院送付)(委員長報告)
第二六 昭和三十一年度特別会計予備費使用総調書(その一)衆議院送付)(委員長報告)
第二七 昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(委員長報告)
第二八 昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(委員長報告)
第二九 巣鴨刑務所在所戦犯者の釈放促進に関する請願(委員長報告)
第三〇 群馬県前橋地方法務局沼田支局庁舎新築促進に関する請願(委員長報告)
第三一 岡山地方法務局高梁支局庁舎新築に関する請願(委員長報告)
第三二 香川県丸亀拘置支所新築移転反対に関する請願(委員長報告)
第三三 恩赦審議会設置に関する請願(二件)(委員長報告)
第三四 印鑑法制定等に関する請願(委員長報告)
第三五 司法官等の優遇に関する請願(委員長報告)
第三六 桜木町、大船両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)
第三七 国鉄氷見、羽咋両駅間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)
第三八 熊本県小国、隈府両町間鉄道敷設促進に関する請願(二件)(委員長報告)
第三九 国鉄名羽線鉄道全通促進に関する請願(委員長報告)
第四〇 国鉄石勝線鉄道新設促進に関する請願(委員長報告)
第四一 国鉄野岩羽線開通促進に関する請願(六件)(委員長報告)
第四二 国鉄前谷地駅、津谷町間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)
第四三 国鉄篠栗、臼井正両駅間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)
第四四 国鉄二俣佐久間線鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)
第四五 国鉄飯田、下呂両駅間鉄道敷設に関する請願(二件)(委員長報告)
第四六 国鉄瀬の上、槻木両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)
第四七 左沢、荒砥両駅間鉄道敷設促進に関する請願(二件)(委員長報告)
第四八 大畑鉄道開通促進に関する請願(委員長報告)
第四九 国鉄殿田、小浜両駅間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)
第五〇 国鉄岩代川俣線の常磐線接続に関する請願(六件)(委員長報告)
第五一 山形県神町、谷地間鉄道敷設に関する請願(二件)(委員長報告)
第五二 国鉄矢部線羽犬塚駅、大分県竹田市間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)
第五三 国鉄鶴岡駅、山形交通間沢駅間鉄道敷設を東北開発促進計画に包含するの請願(委員長報告)
第五四 国鉄常磐線の複線及び電化促進に関する請願(二件)(委員長報告)
第五五 国鉄鹿児島本線複線化促進に関する請願(二件)(委員長報告)
第五六 積雪寒冷地域における鉄道施設整備促進等に関する請願(委員長報告)
第五七 南九州地区の国鉄整備に関する請願(委員長報告)
第五八 西武線中井駅附近踏切に踏切番常置の請願(委員長報告)
第五九 鉄道踏切に交通安全施設等設置に関する請願(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。議員白川一雄君は、昨日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。松澤兼人君から発言を求められました。この際、発言を許します。松澤兼人君。
〔松澤兼人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/2
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003・松澤兼人
○松澤兼人君 ただいま議長より報告かありました通り、議員白川一雄君は、最近御病気療養中でありましたか、昨十四日、急性肝炎で御長逝になられました。
同君が、本年二月ごろ、まだ聖路加病院に御入院中、お見舞に参上いたしました節は、肝臓病特有のお顔色でありましたが、しごくお元気の様子でありましたので、私もしばらく談笑して帰ったのであります。その後、幾ばくもなく御退院になり、御自宅で御静養の後、四月になりましてからは、二、三度商工委員会にも見えられ、私どもも、やや安心しておりましたところ、光月末から再び御自宅で御療養の由承わり、お案じ申し上げておりましたが、昨日、突然の計報を聞きまして驚愕いたした次第であります。まことに痛惜哀悼の情を禁じ得ません。ここに各位の御了解を得まして、同君の業績と風貌をしのび、一言追悼の言葉をさげたいと存じます。
同君は、明治三十一年三月、香川県丸亀市に生まれ、当時の金沢の第四高等学校を経て、大正十二年、東京帝国大学法学部を御卒業、その後、各種事業に携わり、昭和五年には株式会社白川保善社の社長となられ、自来、各会社の社長または重役として事業の経営に当つておられましたが、昭和十四年に満州に渡られ、同十六年には徴用されて、開演炭鉱の最高監督官となり、温情をもって占領中の炭鉱経営に縦横の手腕をふるわれたのであります。終戦に際しましては、その職におられた関係上、不幸にも戦犯容疑者となられましたが、もとより戦犯行為とは無関係で、当然のことながら不起訴となられました。二十五年には、旧中島飛行機の後身である富士重工業の招聘を受けて、その再建に努力し、二十八年の第三回参議院通常選挙において香川県より立候補、めでたく御当選になつたのであります。当選後も富士重工業の顧問として御活躍のかたわら、御自分で別に事業を経営しておられました。
同君の人となり温厚篤実、しかも強固なる意志と細心の注意をもって事に当る実行の人でありましたが、この実行力に加うるに、長年の事業活動を通じて体得せられた経済に対する高邁な識見を政治活動にも遺憾なく生かされたのであります。同君は、当選後しばらく純無所属におられましたが、その後、民主党に入り、保守合同の後は、自由民主党の政務調査会副会長として、多年にわたる知識と経験をもって政策面に貴重な貢献をされるとともに、委員会活動においては、当初より主として商工委員会、決算委員会等で、その深い造詣を傾けられたのであります。その一例といたしまして、商工委員会に、国産車振興に関する小委員会を設け、その委員長となられて国産自動車の振興に関する諸政策につき、積極的に調査検討の上、党派を越えてその諸施策の実現に努力されたのであります。さらに同君は、原子力問題についても非常な情熱を注ぎ、この問題に卓見を有せられ、すでに原子力合同委員会の有力議員として、わが国原子力政策推進にあずかつて功績があったのであり、昨年、原子力調査議員団として渡米され、つぶさにその国の原子力利用の状況を視察してこられました。今回の御病気の原因の一つとも考えられますのは、同君の昼夜をいとわぬ熱心な視察調査の結果でなかったかとも考えられるのであります。
同君は、このように一生、事業家として、また政治家として、一身を犠牲にして国の経済発展のために尽力されてこられたのであります。
今日のごとく、国家内外の情勢まことに多事であるときに、同君のように人格、識見ともにすぐれ、またと得がたい経済感覚の持ち主である政治家を失いましたことは、邦家のため惜しみても余りあるところであります。今ここに、高遠なる理想と豊富なる経論とを持ちつつ中道でたおれられた同君の心情を察するとき、私どもは哀惜の涙なきを得ないのでありますが、同時にまた、私どもは多年、同僚議員として、また商工委員会理事として、与野党を問わず、何人からも敬意と親愛の情をもって迎えられた同君の円満、れいろうなる人格をしのぶとき、悲しみの情まことにたえがたきものがあるのであります。
ここに、うやうやしく哀悼の辞を呈して、同君の御冥福を祈る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) お諮りいたします。白川一雄君に対し、院議をもってう詞を贈呈することとし、その弔詞は、議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
議長において起草いたしました議員白川一雄君に対する弔詞を朗読いたします。
参議院は議員正五位勲四等白川一雄君の長逝に対しまして、つつしんで哀悼の意を表し、うやうやしく弔詞をささげます。
なお、この弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(国立近代美術館評議員会評議員)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
内閣から、衆議院議員佐藤觀次郎君、竹尾弌君、本院議員津島壽一君を国立近代美術館評議員会評議員に任命することについて本院の議決を求めて参りました。
以上の五名の諸君が同評議員につくことに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって三名の諸君が国立近代美術館評議員会評議員につくことができると議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(更生保護事業審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
内閣から、衆議院議員高橋禎一君、本院議員宮城タマヨ君を更生保護事業審議会委員に任命することについて本院の議決を求めて参りました。
両君が同委員につくことに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって両君が更生保護事業審議会委員につくことができると議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、中央更生保護審査会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/12
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
内閣から、犯罪者予防更生法第五条第一項の規定により、坂野千里君を中央更生保護審査会委員に任命することについて本院の同意を得たい旨の要求がございました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/13
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014・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/14
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015・田畑金光
○田畑金光君 私は、この際、核兵器受け入れに関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/15
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016・宮田重文
○宮田重文君 私は、ただいまの田畑君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 田畑君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/17
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018・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。田畑金光君。
〔田畑金光君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/18
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019・田畑金光
○田畑金光君 私は日本社会党を代表し、憲法と核兵器問題について、岸総理並びに関係閣僚に対し、以下数点にわたり緊急質問を行わんとするものであります。
岸総理は、六月中旬訪米を前にして諸般の準備を進めております。すなわち、内にあつては国防の基本方針、長期防衛計画を定め、政府案としてアメリカに携行する準備に懸命であります。また一方においては、すでに有名無実と化した憲法調査会を発足させ、アメリカに対し媚態を売ることに懸命であります。マッカーサー大使との間には数度にわたる予備会談を行い、共同コミュニケの打ち合せまで終了しているとのことであります。岸内閣の本質は、ようやく各面に露呈されて参りましたが、ことに今回の春闘処分における政府のとつた権力介入や、佐賀県教組に対する官憲の弾圧等は、岸内閣の本質、性格を端的に示すものであって、しかも訪米を前にする対米ゼスチュアであること、これまた公然の事実であります。ことに岸内閣がおそるべきフアッショ内閣であることは、過般来、国会を通じ明らかにされて参りました憲法と核兵器保有に関する政府の統一的見解により、いよいよ明確になって参つたのであります。(拍手)
現行憲法が、各国との比較憲法論上、世界史的意義を持つといたしますならば、まさにその一大特色は平和主義憲法であるということであります。しかるに歴代の保守党内閣は、既成事実を積み重ねることにより、第九条を空文化して参りました。吉田内閣のもとにおいては、近代的戦争遂行能力、いわゆる原子爆弾を保有せざる限り戦力にあらずとして、戦力なき軍隊論を唱えて参りました。鳩山内閣はさらに一歩を進め、自衛のためには軍隊の保有、戦力の保持も許されるとの解釈をとりましたが、核兵器保有にまでは踏み切らなかったのであります。しかるに、民主政治家として反省したはずの岸総理は、過般、当院内閣委員会におきまして、小瀧防衛庁長官をして、政府の統一見解なるものを発表さしたのであります。すなわち、防御用なら持っても差しつかえない、核兵器という名のものがすべて憲法違反というのは行き過ぎであるという立場であります。さらにその後、岸総理は、これに関連し、憲法解釈論としては、自衛権を裏づけるに必要な最小限度の実力であれば、たとえ核兵器と名のつくものであつても持ち得るが、政策的に持つ意思はないという驚くべき解釈の発展を示して参りました。わずか二週間前、参議院予算委員会において、岸総理は、現在の憲法解釈上核兵器を持つことは適当でないと明確に言い切つておるのでありますが、これはまた何たる変節であるかと言いたいのであります。両岸と呼ばれるゆえんもむべなるかなと申さなければなりません。ワシントン七日発、共同通信によりますと、米官辺筋は、この岸言明は、日本が防衛的原子兵器を受け入れることもあり得ることを意味するが、しかし、原水爆実験に反対してきた日本の外交方針と矛盾するものではないだろうか。また実験に反対しながら原子兵器を持ちたいということは筋が通らない。結局、岸総理は、国民感情に押されて関係国の実験に反対しているものの、いずれは日本の国防上原子兵器の採用が必要になると考え、国民の反応を打診する観測気球を上げたものである、こう見ておるのであります。わずか十日前には、核兵器は憲法上許されないと言明し、日ならずして百八十度の転換をする。君子豹変するにも、ほどほどにしてもらいたい。この言明を契機に、今日国民の胸中には不安と恐怖が嵐まつて参っております。さすがは東条内閣の閣僚に恥じない人物であると、あらためて見直さざるを得ません。岸総理が真に民主主義政治家として深く反省し、過去の戦争責任を償いたいと心から念願するのであれば、戦争の廃墟の中から生まれた現行憲法を擁護することこそ、具体的な反省の証左で滞ります。総理は何ゆえに突然このよえな憲法解釈論をとるに至つたか、その事由を明らかにしていただきたい。同時に、この際国民の不安と脅威を解消するため、この解釈論を撤回する意思がないかどうか承わりたいのであります。
現内閣は、しばしばクリスマス島におけるイギリスの核実験に反対し、禁止を申し入れるとともに、またソ連の無警告実験に対しても、さらにまた近く行わんとするアメリカの実験に対しましても、たとえ領土内において行われようが、放射能の人類に及ぼす惨害にかんがみ、厳重に抗議を申し入れて参りました。このことは、日本国民が原爆の洗礼を受けた唯一の国民であるという事実のみならず、平和憲法のもとに一切の核兵器を保有しないという、憲法的要請が偉大な道義力となって、国際世論に訴えたその事実を忘れてはならぬと思うのであります。(拍手)岸内閣は、今後とも核兵器実験の禁止を国際的舞台において訴える方針でありましょうか。もしそうだといたしますならば、このような誤まれる憲法解釈論をもってしては、国際世論に訴える道義力に欠くるものがあると考えますが、どうでありましようか。(拍手)九日のモスクワ放送は、岸言明に批判を加えて、結局、この言明は、いつでも日本が実質的に核軍備を始めるための法的根拠を用意しようとする目的であると見ております。また読売新聞ロンドン特派員の報道によりますと、防御用の原子兵器の所有は憲法違反でないとする岸言明は、クリスマス島の実験に対する内外からの反対で、うしろめたい立場に追い込まれていたマクミラン政府に、側面から大きな援助を与えた形となつた。今回、岸首相が日本の核兵器所有の可能性を正式に肯定した点は、西ドイツに次いで、日本も近代的軍隊建設への決意を固めたものと見ておるのであります。このような国際的反響に対し、総理は換手傍観の態度をもって臨むつもりでありましようか。また、岸総理はしばしば、原子兵器は持ち込まぬ、あるいは原子支援部隊の駐留を拒否すると言ってきました。しかし、みずから、防御用なら核兵器も保有できるという憲法解釈のもとで、アメリカの要請を拒否することができるかどうかということを承わりたいのであります。(拍手)
ことに、最近の世界情勢は、戦略的に大きな転換期に立っております。英国の核兵器を中心とする新国防計画への転換、西独アデナウアー首相の原子武装宣言、また去る五月三日、NATO理事会最終コミュニケによって見るも、NATO加盟諸国が、いよいよ原子力戦略体制に踏み切つたのであります。このような背景のもとになされた岸発言は、日本の将来の防衛計画に大きな転換をはかろうとする予備行動にほかなりません。この際、現内閣の国防方針、長期防衛計画の内調と原子兵器武装に対する政府の根本方針を明らかにしていただきたいと思います。(拍手) 今日、政府の見解を総合すれば、防御用の核兵器、戦術的核兵器は憲法上禁止するところではないという立場をとつております。現在の戦術的原子兵器がいかに小型であつても、その一発の破壊力は、かつての広島に投下された一発に相当することを思えば、その国民に及ぼす惨害については区別はないというのが、ゲッチンゲンの宣言と呼ばれる西独科学者のアデナウアーに対する警告的声明の一節であります。同時に、昨十四日、湯川博士ら二十五氏はこの宣言を支持し、西独科学者あて、原子兵器に関する大国間の誤まつた見解を正すため、協力して調査をやる旨の公開状を発しております。軍事評論におきましても、戦術原爆、戦略原爆の用語や、核兵器の戦術的使用、戦略的使用の用語が使われておりますが、いずれも概念的なものであり、明確な限界はないと言われております。一たび、防御用の名においてこれを許すならば、日本はやがて完全にアメリカの原水爆基地化することは明らかであります。かくては、日本は東西両陣営の緩衝地帯ではなく、緊張の震源地となるでありましょう。岸総理の言明のこのコースをとりますると、日ソ平和条約の締結、従って歯舞、色丹を含む領土問題の解決や、日中国交回復は不可能に陥ると思いますが、岸総理の見解はどうでありましようか。また、日本が岸言明の道を歩むことは、確かにワシントンAP電の伝うるごとく、岸総理の個人的な立場を強め、渡米に当つて、沖縄、小笠原の施政権返還の問題、安保条約、行政協定の再検討、米駐留軍の撤退を求めるに当つては、確かに大きな反対給付の役割を果すでありましょう。岸総理は、こういう渡米の話し合いの道具としてこの核兵器の導入を使われる御意思であるのかどうか、承わりたいのであります。(拍手)
ことに、わが国におきましては、原子力の研究、開発が平和利用に限らるべきは、原子力基本法の明示するところであります。しかるに、岸総理によれば、原子力基本法と憲法とは別物であり、憲法第九条で核兵器保有を認めても、原子力基本法にね矛盾せずとの主張であります。まさに思想の混乱か、さもなくば許すべからざる曲解と言わなければなりません。原子力基本法は平和憲法に淵源し、憲法と一体をなして初めて本来の精神を堅持することができるつのであります。この際、総理は、原子力平和利用は原子力基本法のみならず、憲法の大精神であり、従って憲法論としても、政策論としても、わが国においては核兵器の採用は許されぬとの態度を、あらためて内外に宣言する勇気はないかどうか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)もし、このような態度を明らかにすることなく、岸総理が渡米するとせば、その結果はおのずから明らかでありましょう。一昨年八月、重光外相の訪問と同様に、日米安保条約、行政協定の片務的協定を、相互主義の上に立つ双務協定に改め、対等の軍事同盟に作りかえ、かくて太平洋軍事同盟やSEATO参加の道を開き、対内的には憲法改正、海外派兵、核兵器の持ち込みを導く道にしか通じません。総理のアメリカ訪問に対し、国民は希望と期待を寄せるよりも、かえつて大きな疑惑と不安を持っております。訪米によって岸総理は何を求められようとする御意図なのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
最後に、岸総理は国会終了と同時に、訪米に先立ち東南アジアを訪問するとのことでありますが、今回、総理の歴訪される諸国は、あるいはコロンボ・グループ諸国であり、SEATO参加諸国であり、台湾のようなアメリカの戦略拠点の国々であります。外交方針において、利害関係において、政治条件において、それぞれ異なる諸国であります。これら諸国訪問はいかなる目的のもと、いかなる成果を期待されての行動でありましようか。また、インドのネールやセイロンのバンダラナイケらとの会談を通じ、核兵器保有、実験禁止の国際的アピール等も準備されておると聞いておりまするが、事実でありましようか。ただ、これらの諸国に共通して言えますことは、いずれもかつて日本の軍国主義に悩まされ、侵略を受けた諸国であるということであります。これら諸国訪問を前にいたしまして、かかる憲法解釈論に立つことは、アメリカ向けならとにかく、東南アジア諸国に対し、友好を深めるゆえんではなく、かえつて警戒心と不安をもたらす以外の何ものでもないことを、深く銘記していただきたいと思うのであります。(拍手)
今日、岸総理のなすべき緊急の任務は、外遊を急ぎ、点数を稼ぐことではありません。国会が終了したら、まず国内体制を整備せよというのが国民世論であります。昭和三十年二月総選挙以降、ゆがめられた政界の折目を正すため、すみやかに解散、総選挙を断行し、新たな国民の審判を待つべしというのが圧倒的世論の動向でありましょう。(拍手)政府の唯一の看板として参りました健全財政、健全金融、経済の繁栄はいかようになりつつあるでありましょうか。新年度予算を実施してわずか一カ月余、インフレ様相は実行予算を組むべしとの論議を呼び、国際收支の赤字、投資の行き過ぎは二度にわたる日銀の公定歩合引き上げ政策となり、日本経済に対する危険信号は発せられておるのであります。岸内閣の急ぐべき課題は、これら内政問題をまず処理することであり、ぞれからでも外遊はおそしとしません。いわゆる岸体制の整備は、即権力政治、ファッンヨ政治の台頭であることを私は国民に警告したいと思うのであります。(拍手)天皇制の復活、紀元節への郷愁、伊勢神宮への参拝、すべてがその具体的な現われであります。新たな憲法解釈発展も、まさにその一環であるのであります。
民主主義と平和の名において、岸総理と現内閣に深甚な反省を求め、警告を発しまして私の質問を終ることにいたします。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/19
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020・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 田畑君の御質問に対してお答え申し上げます。御質問はきわめて広範な点に及んでおりましたが、私の承わりました最も主要点について、私の所信をお答え申し上げます。
第一点は、核兵器と憲法との関係でございます。この問題につきましては私は過日の内閣委員会等においてお答え申し上げておるように、憲法九条というものは自衛権を否定しているものではなく、自衛権というものに基いてわれわれは他から不正急迫の侵害を受けた場合には、これを排除しなきゃならぬ、排除するためには、それに必要な力を持たなきゃならぬ、この力というものは、あくまでも自衛権の範囲に限られているということが憲法のわれわれの解釈であります。しこうしてその力というものは技術的、科学的の進歩と常に対応して有効なものでなければならない。こういう見地から考えますというと、今日核兵器と言われておる原水爆や、あるいはこれを中心とするような核兵器が、われわれの自衛権に入らないことは、これは言うを待たない。しかしながら、今日、核兵器、原子力の利用というものは発達の道程にあつて、将来どういうものが出るかわからない。従って、単に核兵器という名前がつき、原子力を用いているという名前がつくだけをもって、これをことごとく憲法違反であるという解釈は、憲法の解釈としては行き過ぎではないかというのが、私の解釈でございます。しかし、今日皆さんがお考えになっているような核兵器を日本で持とうという考えは、私は毛頭持っておりません。従って今日、従来私が主張しておりますように、この外国の原子力部隊の国内への駐留を拒否するという態度並びに今日あるような核兵器でもって日本の自衛隊を裏づけるというような考えは、絶対に私は持っておらないのであります。私どもが、この原水爆等の実験に対しまして、これの中止を要望しているということは、これは言うまでもなく、人道的立場から私はこれを世界の人々に、日本国民を代表して強く要望いたしておるのであります。それは、ただ単に日本の憲法がこれを禁止しているからわれわれは反対しているとか、これが憲法上解釈がどうなったから、この主張が違うというものでは絶対にないのでありまして、私はあくまでも人道的見地に立って、将来といえどもこれを強く主張する考えであります。(拍手)
原子力の平和利用につきましてはこれは言うまでもなく日本の原子力基本法がはっきりと規定しているところでありまして、私どもの日本の政策として、この原子力というものをもつぱら平和的利用に用いるという政策をとつていることは、これは原子力基本法が明らかにしているように、私はそれは日本の政策の根本であると思います。しかし、それと憲法論とを混同している議論は私には理解できないのであります。(拍手)
東南アジア諸国歴訪の目的をお尋ねになりましたが、戦後、日本の首脳部がこれらの国々を歴訪して親しくこれらの国々の首脳者とひざを突き合わせて話し合つたことはございません。御指摘になりましたように、これらの国の多くのものに対しては戦争中いろんな迷惑もかけております。しかも、お互いにアジアの一国として将来、世界平和増進の上においては緊密に連絡をとり、親善友好の関係を深めて行かなければならぬことは言うを待たないのであります。そういう意味におきまして、私はアジアの諸国をできるだけ時間の許す限り歴訪して私の所信を申し述べ、また、これら諸国の首脳部の所信も聞いて、そうしてアジア共通の考え方に立って、そうして世界平和の増進に寄与したい、こう考えております。
第三は、これらの外国訪問の前に、国内体制を確立する意味において、解散をして民意に問うべきではないかという御意見であります。解散の問題につきましては、しばしば本国会におきましても私の所信を申し述べてきました。すなわち民主政治といたしましては、もちろん国民世論の動向というものに十分に聴従して行かなければならぬと思います。しこうして、今日国民の世論が解散を強く要望しているかどうかという点につきましては、遺憾ながら田畑君と私は所見を異にするものであります。今日におきまして解散をする意思を持っておらないことは明瞭に申し上げておきます。(拍手)
〔国務大臣小滝彬君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/20
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021・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) ただいま総理から申されましたと同じ見解を持っているものと御了承を願います。(拍手、「答弁、漏れている」「防衛計画に関する答弁が漏れているじゃないか」と呼ぶ者あり)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/21
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022・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど申し上げましたように、田畑君の御質問がきわめて広範にわたっておりましたので、私が勝手にその主要なものと考えるものに御答弁いたしたのでありますが、さらに二、三の点につきまして、補足いたして答弁いたします。
第一は、国防方針及びこの国防の長期計画というものを定めて、そうしてアメリカへ持って行って、日本の政府の考えだということを示す準備をしておるという点でありましたが、国防会議は過般開きまして、国防の基本方針について意見の交換をいたしました。まだ結論は出ておりません。また、長期国防計画については、まだ会議として審議に入っておりません。こういう現状でございまして、さらに時日がありますれば、私はこの問題については、かねて申し上げているように、なるべく早くこれを定めることが必要であるという見地において国防会議を督促いたしております。別にアメリカに行くまでに、私はこういうものをこしらえて、そうしてアメリカ政府に示すという意図で急いでいるわけではございません。次に、憲法の解釈は、私が先ほど申し上げましたように、憲法の解釈が、将来日ソ平和条約を締結することや、あるいは日中の国交回復について支障になるじゃないかという御意見でございました。日ソ平和条約の問題は、言うまでもなく、非常に困難な領土問題が解決しない限り、日ソ平和条約というものは結べません。私はこの問題については、従来両国の間における見解が真正面に違っておりまして、しかし、われわれは全国民の一致した意見であるところの、少くとも南千島のものは、日本の固有の領土として従来主張してきている、この主張は、われわれはあくまでも貫徹しなければならぬと思う。(拍手)従ってこの問題を解決するためには、ソ連側において日本の国民の考えを十分に理解し、また、日本とソ連とが友好親善の関係を今よりも一そう積み重ねて深めて行って、そうして理解が、これが到達しなければ、とうていわれわれの主張は通らないと思う。その通らない限りにおいては、遺憾ながら日ソ平和条約というものは、まだ締結できない。こういう意味におきまして、私はあらゆる面において、あるいは日ソの通商貿易の点において、あるいは文化交流の点において、いろいろな点において今後日ソ間におけるところの友好親善の関係を積み重ねて、この間において、ソ連をしてこの日本国民の考えを十分に理解せしめ、日本の主張が通るように持って行きたいと考えておるのであります。また、日中国交回復の問題につきましては、かねて申し上げている通り、令はわれわれはその段階ではないと考えております。これらの問題を処理するのには、それぞれそれに必要な準備的な、今申すような積み重ねを必要とするわけでありまして、その意味において、われわれはこれらの問題を解決して行かなければならぬと思いますが、この憲法解釈が、直ちにこれらの問題に非常に支障になるとは、私は考えておらないのであります。
また第三に、アメリカに行って、過去の日米間の話し合い等から見て、あるいは日本の相互安全保障というような意味において、海外派兵を求められるというようなことがあるのじゃないか、あるいはまた、日本側から、領土問題、安保条約その他の主張をする一つのそれに対するゼスチュアなり、あるいは対象として、憲法の解釈をこういうふうに変えたのじゃないかというお話でありましたが、これは田畑君の私は全くの曲解であつて、私はこの憲法解釈は憲法解釈として、私の解釈が正しいか、これに対して御批判は御自由でありますけれども、決して日本の大事な憲法の解釈を、取引の具として変えるようなことは絶対に考えておりません。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件
日程第二、千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准について承認を求めるの件
日程第三、日本国とエジプトとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件
日程第四、日本国とイランとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)
日程第五、南西諸島在住者等に関する在外公館等借入金整理準備審査会法特例法案(内閣提出、衆議院送付)
以上、五件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/23
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024・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長笹森順造君、
〔笹森順造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/24
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025・笹森順造
○笹森順造君 ただいま議題となりました四つの承認案件及び法律案一件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を順次簡単に報告いたします。
まず、千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書について申し上げます。この議定書は、わが国も参加しております国際捕鯨取締条約に二つの改正を織り込むため、昨年十一月十九日に作成され、わが国も同月二十九日に署名を了したのであります。
今回の改正は、第一に、ヘリコプターその他の航空機が、将来、鯨の捕獲等に使用されれば、これらによる鯨の無秩序な捕獲が予想されるので、ヘリコプター等を現在から条約の規制のもとりに置くために第二条を改正すること、第二に、母船に適用される監督官の乗船義務等の規定を、わが国などが使用しておる鯨肉の冷凍塩蔵船にそのまま適用することは不適当でありますので、これら冷凍塩蔵船については、母船に対すると異なつた規定を設ける必要があり、また、母船に従来の自国籍の監督官のほかに、公平な第三者としてのオブザーバーを乗船させる必要が認められますので、これら監督の方法に関する修正措置を捕鯨委員会が行えるよう第五条を改正すること、以上の二点が眼目でありまして、政府といたしましては、これらの改正は、いずれも時宜に適したもので、原則上異議はないとの見解でありました。
次に、千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約は政府の説明によりますと、十九世紀以来の海上運送の発展に伴つて、海上運送に関する免責約款が著しく発達し、最後には船主が何らの責任を負わないと同様の状態となりましたので、この免責約款を制限して、荷主を保護する見地から、運送人の義務、責任、免責事由等を統一的に規律することを内容とする本条約が千九百二十四年に作成され、わが国も翌二十五年に署名を了したのであります。しかるに、わが国に関して、現行商法が欧米とは逆に、船主にとって必要以上に過酷でありますので、この条約の批准を行うためには、わが国海商法の改正等の問題について検討を必要とし、その検討が行われたのでありますが、第二次大戦となりましたため、今日まで批准は実現しなかったのであります。そこで、このたびこの条約の批准を行い、この条約と現行商法との間の調整をはかる特別法の成立と相待って、わが国海運業が現行商法のことにおいて過大な責任を負わされる危険を解消させ、ひいて、わが国海運業の発展に寄与することを期したいとのことでありました。
次に、日本国とエジプトとの間及び日本国とイランとの間の文化協定それぞれの批准について承認を求めるの両件について申し上げます。
この二つの文化協定は、今国会においてすでに承認されました日独間、目印間の文化協定とおおむね同様の内容を有し、ともにわが国と相手国との間の文化交流のための便宜供与、文化活動の奨励、学者、学生の交換等について規定したものでありまして、エジプトとの協定は、本年三月二十日に、また、イランとの協定は四月十六日に、それぞれ署名が行われたのであります。
政府は、この二つの協定の締結はわが国とエジプト及びイランとの友好親善をはかる上にきわめて有意義であると説明いたしております。
最後に、南西諸島在住者等に関する在外公館等借入金整理準備審査会法特例法案について申し上げます。
政府におきましては、昭和二十四年、在外公館等借入金整理準備審査会法を制定して以来、終戦当時、東亜各地の在外公館等が、在外邦人の救済、引揚等に要する資金として居留民から借り入れた金を国の債務として確認し、これを査定の上、該当者に支払いを行なってきたのであります。しかるに、この審査会法の制定当時は、日本が占領下にあった事情から、沖縄に在住していた該当者を救済する道は講ぜられていなかったのであります。そこで、沖縄に在住していたため、審査会法の規定による借入金の確認請求をすることができなかった者に対し、右借入金の確認を請求する道を開こうとするのが本特例法案の趣旨であります。
委員会は五月十四日、以上五案件の質疑を了し、討論を経て採決を行いましたところ、承認案四件は全会一致をもって承認すべきものと議決し、法律案も全会一致をもって政府原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/25
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026・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより五件の採決をいたします。
まず、千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件
千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准について承認を求めるの件
日本国とエジプトとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件
日本国とイランとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件
以上、四件全部を問題に供します。委員長報告の通り四件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/26
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027・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって四件は、全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、南西諸島在住者等に関する在外公館等借入金整理準備審査会法特例法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/28
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029・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/29
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030・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第六、国際海上物品運送法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本米治君。
〔山本米治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/30
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031・山本米治
○山本米治君 ただいま議題となりました国際海上物品運送法案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果につき御報告いたします。本法案は、千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准に伴い、これを国内法として立法化しようとするものであります。元来、わが商法は条約に比べて、海上運送人に重い責任を負わせ、しかも、これを軽減する特約を禁止しておりますので、わが国の海運業者は、戦後、海運業の復興に伴い、国際競争上不利な立場にあるのであります。そこで、本法案は、条約にのっとり、海上運送人の責任を軽減することと、船荷証券に関する関係人の利害を調整することを目的として提出されたものであります。
その内容のおもなる点は次の通りであります。まず、運送人の免責約款について申しますと、第一に、海上物品運送で、船積み港または陸揚げ港が本邦外にあるものに適用すること、第二に、船舶の航海にたえる能力を保持する責任が、従来、無過失責任であったものを過失責任に改めること、第三に、商業上の過失については損害賠償の責任を負うが、航海上の過失により生じた損害については損害賠償の責任を負わないものとし、さらに、海上の危険等により生じた損害について免責方法を軽くすること、第四に、その損害賠償責任は、特約のない限り、原則として一包または一単位につき十万円を限度とすること、第五に、その損害賠償責任を免除し、または軽減する特約は幾つかの特例を除き無効とすること等、商法の規定に対する大幅な特例を設けております。
次に、船荷証券について申しますと、まず第一に、船荷証券に運送品の種類及び数量を記載するについては、荷送り人に書面による通告を正確にしなければならない責任を負わせると同時に、運送人にも原則として、その通告に従って記載すべき責任を負わせ、運送人が不注意により事実と異なる記載をしたときは、善意の船荷証券所持人に対抗することができないこととして、船荷証券の信用を高め、その流 を増すようにすること、第二に、通送品の一部滅失または損傷があった場合、荷受人が運送人に対し、その損害通知をすべき期間については、商法では二週間となっておりますが、これ友受け取りの日より三日とすること、第三に、荷送人の便宜を考慮して、受取船荷証券の制度を設けておること等であります。
以上が本法案の提案の理由並びにその大要であります。
さて、本法案は四月六日、本委員会に付託され、四月十六日、政府当局上り提案理由を聴取し、その後二回にわたり慎重に審議いたしましたが、それらの内容につきましては会議録をごらん願うことといたします。
かくて五月十四日、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/31
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032・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もたければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/32
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033・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をも、て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/33
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034・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第七、学体教育法の一部を改正する法律案
日程第八、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
日程第九、国立及び公立の学校の事務職員の休職の特例に関する法律案(衆議院提出)
日程第十、公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律案(文教委員耳提出)
以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/34
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035・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
日程第七より第九につきましては委員長の報告を、日程第十につきましては提出者の趣旨説明を求めます。文教委員長岡三郎君。
〔岡三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/35
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036・岡三郎
○岡三郎君 まず、ただいま上程されました文教委員会付託の二法案につきまして、委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
最初に、学校教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は養護学校の義務制がいまだ実施されていないために、養護学校に子女を就学させている保護者の立場からは、就学の義務を履行しているものと同様の事情にありながら、就学義務の猶予または免除を受けて就学させなければならないことになっている点について、これを小、中学校に就学させる場合と同様の取扱いをしてほしいとの強い要望がなされていることにかんがみ、義務制実施までの暫定措置として、養護学校における就学を就学義務の履行とみなすことにより、養護学校への就学を容易にすることとし、このための規定を学校教育法に設けることを、政府の提案理由及びその内容といたしております。
委員会の審議におきましては、格別の質疑もなく、討論に入りましたが、特に意見もありませんでしたので、直ちに採決の結果、全会一致をもって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は衆議院において修正議決されております。
まず、政府の本案提出の理由を申し上げますと、次の通りであります。市町村立の養護学校の教職員の給料その他の給与は公立養護学校整備特別措置法によって、昭和三十二年度から都道府県が負担することとなりましたが、現行の市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する教職員については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律並びに地方自治法の一部を改正する法律によって、その任免その他の進退を都道府県の教育委員会が行うこととなり、また、退職年金一等の基礎となる在職期間の通算に関する措置が講じられることとなりましたので、今後、養護学校の整備促進のためには、市町村立の養護学校の教職員の身分取扱い等については、市町村立の盲学校、ろう学校の教職員と同様に措置することが適当であるということであります。
法案は以上の趣旨により、市町村立の養護学校の教職員を、市町村立学校職員給与負担法第一条に規定する教職員とするとともに、関係法律の整備を行うことを内容といたしております。
次に、衆議院における修正点について申し上げます。従来、市町村立義務教育諸学校の事務職員にかかる時間外勤務手当は、都道府県負担の対象とならず、その全額が当該学校の設置者たる市町村の負担となっている関係上、ややもすれば市町村財政の大小によって左右されるため、その適正な額の支給がなされていないうらみがあるから、これらの学校の事務職員にかかる時間外勤務手当を、他の給与と同様に都道府県負担と規定し、その実支出額の二分の一を国に負担させることによって、義務教育の円滑な実施に資しようとする趣旨でございます。
委員会の審議におきましては、矢嶋、松永両委員から、寮母に対する時間外勤務手当支給、寮母に対する調整号俸の合理的取扱い、養護学校における教育の義務制の実施、養護学校における教育の振興及び特殊学級の設置促進等の諸点について熱心な質問が展開されましたが、これらの質疑内容と政府及び修正案提案者の答弁の内容の詳細について、会議録に讓ることといたします。
質疑を終り、討論に入りましたところ、矢嶋委員より、「養護学校教育の義務制のすみやかな実施を強く要望」して賛成意見の開陳があり、また同委員から、各派を代表して、本案可決に際し、次の付帯決議を付すべき旨の提案がなされました。
決議案を朗読いたします。
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を可決するに際し、本委員会は、政府に対し次の通り要望する。
盲学校、聾学校及び養護学校において特殊教育に携わる寮母についてはその勤務の特殊性にかんがみ、これに対し時間外勤務手当等を支給すること、及びその経費の地方負担を義務教育費国庫負担法の対象とすることについて、すみやかに適切な措置を講ずること。
かくて採決の結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。続いて、付帯決議案について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決いたしました。
次に、国立及び公立の学校の事務職員の休職の特例に関する法律案について申し上げます。
本法律案は、衆議院議員提案にかかるものでありまして、その趣旨は大学を除く国立または公立の学校の事務職員が、結核性疾患のため長期の休養を要する場合に該当して休職されたときは、当該休職の期間及びその期間中の給与については、教育公務員特例法の規定を準用し、教員と同様な措置を行おうとするものであります。
委員会の審議におきましては、現在休職となっている者の療養期間の認定、高等学校以下の事務職員の身分についての取扱い等の問題について熱心な質問が展開されましたが、これらの質疑と提案者及び政府の答弁の詳細については、会議録に讓ることといたします。
質疑を終り、討論に入りましたところ、湯山委員より、「事務職員の配置状況の改善をはかること、市町村費またはPTA負担の職員をすみやかに県費負担の職員とすること」の二点についての要望を付して賛成意見が開陳されました。
かくて採決の結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。
次に、文教委員会提出の公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律案につきまして、提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
学校医は、学校教育法施行規則によりまして各学校に置かれております。これら学校医は教職員の保健活動、児童生徒の健康管理はもちろん、修学旅行、遠足、運動会等の学校行事の企画運営等にも参画いたし、学校保健にきわめて重要な職務を持っております。現在、公立の学校におきましての学校医の身分は一地方公務員法におきまして特別職の非常勤職員となっております。従いまして、これらの学校医が学校の教育活動におきまして、公務上災害をこうむりましても、その補償が受けられないことになっております。去る昭和二十四年七月、熊本県津森小学校の修学旅行に同行いたしました一学校医が、突風による乗船の転覆事故によって遭難し、二十二名の児童、一名の教師とともに殉職いたしました事件は、当時、天下の耳目を聳動させたのでありましたが、学校医の公務災害補償についての法的規制がございませんため、適切な補償が行われす、遺家族をきわめて悲惨な状況に追い込んだのであります。また、このことが全国五万余名の学校医に与えました衝動も大きかったのであります。
近年、学校行事に伴います各種の災害が学校内外におきまして、ひんぴんとして起つておりますことは、まことに遺憾でございます。一方、これらの学校行事に学校医が直接に参加いたしますことは、その運営上きわめて適切な措置であることは申すまでもありません。すでに述べましたように、これらの行事に学校医が参加することは、きわめて必要であるにかかわらず、その際、万一不幸にして災害をこうむりましても、補償については何らの法的規制がありませんから、この現状を改善し、学校に対する学校医の熱意と関心とを深め、学校医が安んじて学校保健に積極的に参画できるように、公立学校の学校医の公務上の災害に対する補償を行うこととする必要があると存じますので、ここにこの法律案を提案いたしました次第であります。
以下、本案の内容のおもな点について申し上げます。
まず、地方公共団体はその設置する学校の非常勤の学校医の公務上の災害に対して補償をしなければならないことを規定いたしますとともに、その補償の種類を定めております。次に、右の補償の範囲、金額及び支給方法等は、政令で定める基準に従いまして地方公共団体の条例で定めることとし、その政令を定める場合には国家公務員災害補償法の規定を参酌する等の定めをいたしております。さらに、都道府県が市町村立の義務教育諸学校の学校医にかかわる補償に要する経費を負担することとし、国はその二分の一を負担することといたす等の規定を設けております。その他、市町村教育委員会と都道府県教育委員会との協議、補償の実施についての審査請求等の規定をいたしたのであります。なお、附則におきまして、本法律、公布の日から起算いたしまして、三カ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することといたすとともに、関係法に所要の改正をいたすこととなっております。
以上、本法律案の提案の理由と、その内容について御説明申し上げました。
文教委員会におきましては、慎重に協議検討いたしました上、政府の意見をただしましたところ、文部大臣より、「この法案の内容には問題があり、予算措置もなされていないので、にわかに賛成できない」旨の意見が述べられましたけれども、委員会といたしましては、本法案は、この際適切な措置であると思量いたしましたので、全会一致をもちまして、ここに委員会提案として発議いたした次第であります。なお、委員会におきましては、本法成立施行の際には、公務災害に対する認定は適正に行われるべきであり、法の適用に不当な拡大解釈があつてはならない旨の意見が述べられましたことを申し添えます。
何とぞ、すみやかに御審議の上、御賛成下さいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/36
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037・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。
四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/37
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038・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって四案は、全会一致をもって可決せれらました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/38
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039・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十一、国土調査法の一部を改正する法律案
日程第十二、日本道路公団法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/39
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040・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求ます。建設委員長中山福藏君。
〔中山福藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/40
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041・中山福藏
○中山福藏君 ただいま議題となりました国土調査法の一部を改正する法律案並びに日本道路公団法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、国土調査法の一部を改正する法律案について申し上げます。国土調査法は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するため、国土の実態を科学的かつ総合的に調査する目的をもって昭和二十六年に制定せられたのであります。以来、基準点測量より逐次事業を実施するとともに、各種準則の整備等を進めて参ったのでありますが、今日までの経過にかんがみまして、地籍調査事業を一そう促進し、かつ地籍の明確化をはかろうとするのが本法案の趣旨であります。
その内容について申し上げますると、第一は、地籍調査の実施方式についてであります。すなわち、特にすみやかに地籍調査を実施する必要があると考える地域については、国が地方公共団体と協議の上、計画を設定し、この計画に基いて地籍調査の実施を推進することにいたしておるのであります。また、これに要する経費については、国と地方公共団体との間に負担関係を明確にしております。なお、国君地の調査または測量で、地籍調査に相するものについても、所要の規定を設けております。第二は、地籍調査の成果の取扱いについてであります。本調査は、土地に関するきわめて正確な調査であります。従って、この調査の成果に基いて、単に土地台帳を訂正するだけでなく、不動産登記簿の訂正までも行い得るよう特別の措置を講じ、土地の権利関係について明確化をはかることとしたのであります。
次に、本委員会における質疑のおもなる点を申し上げますると、「現在まで、各地域において地籍調査が実施されているが、その調査の結果、どの程度、公簿面よりなわ延びがあったか、もしなわ延びがある場合、調査の成果が土地台帳の訂正となるのであるから、固定資産税に影響してくる。課税するに当って、調査済み地域と未調査地域との間に、担税の不均衡を生ずる結果となるが、これに対する措置いかん」という点についてであります。これについて経済企画庁長官は、「現在まで、地籍調査を実施した地域について、多少のなわ延びのあることは事実である。従って、本調査の成果が土地台帳が訂正することになり、固定資産税に影響することになる。なわ延びがある場合においては税の増徴となる。しかし、一市町村の一部の地域の調査において、直ちにその成果によって課税するのではなく、一市町村全域にわたって調査が完了した地域を対象とすることと考えている。」さらに、自治庁長官から、「固定資産税を課するに当っては、一市町村全域の調査が完了して、不均衡を生じないよう、慎重に行政指導等によって措置して行きたいと考えているが、本調査が長年にわたるようであれば、さらに検討を加えるようにしたい」旨のそれぞれの答弁がありました。なお、詳細は会議録によって御承知を願います。
かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して田中委員から、「地籍調査の成果に基いては、未調査の地域と税の不均衡を生じないよう特別の指導が行われ、慎重に実施されることを希望して賛成する」旨の発言がありました。
かくて討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、日本道路公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。日本道路公団は、有料道路の建設管理を総合的かつ効率的に行うこと等を目的として、昭和三十一年四月設立されたのでありますが、さきに今国会において成立いたしました高速自動車国道法及び道路整備特別措置法の一部を改正する法律に基き、同公団は、有料の高速自動車国道の建設、管理に当ることとなったのであります。これに関し、必要な施設の建設及び管理を同公団をして行わしめんとするのが本法案の趣旨であります。
すなわち改正の要点は、第一に、高速自動車国道の円滑な交通を確保するために必要な休憩所、給油所、その他の施設で、政令で定めるものの建設及び管理を行うことを新たに公団の業務に加えております。第二に、公団は、高架の有料道路の新設、改築に関し取得した土地において、高架構造物と一体として建設することが適当であると認められる事務所等の施設を建設、管理することを、建設大臣の認可の上できることといたし、また、委託に基きまして、これらの施設を建設することができることといたしております。なお、これらの業務を行う場合の基準を政令で定めること、不動産登記法及び政令で定めるその他の法令の適用について、公団を国と同様に取り扱うこと等を規定しております。
次に、本案についての質疑のおもなる点は、右の政令の基準の内容、委託によって建設した施設の所有権登記並びに転売に関する取扱い等でありまして、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
なお、「賃貸料、委託料はあまり安くきめると利権を与えることになるから、できるだけ高くすべきであり、委託による建設は好ましくない」との意見があり、これに対しては、「賃貸料、委託料は近傍類似の企業の実績を考慮して定め、委託による建設はできるだけ避けたい」との答弁がありました。
かくて、質疑を終了して、討論に入りましたが、別に発言もなく、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/41
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042・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/42
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043・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立を認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/43
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044・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十三、モーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長戸叶武君。
〔戸叶武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/44
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045・戸叶武
○戸叶武君 ただいま上程されましたモーターボート競走法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
まず、本改正案のおもなる内容を簡単に申し上げますと、その一つは、本年九月末日に失効する自転車競技法専の臨時特例に関する法律に伴うものでありまして、その内容を具体的に申し上げますと、第一に、国庫納付金制度を全国モーターボート競走会連合会への交付金制度に改めております。第二に、連合会の業務に、モーターボート、船舶用機関及び船舶用品の製造事業の振興業務を加えるとともに、交付金は、この振興業務以外の経費に充てることを禁止し、振興業務関係の経理は他の業務のそれと区分して行わせることにしております。第三に、交付金の運用計画を運輸大臣の認可事項とし、必要な場合は変更命令をなし得ることであります。第四は、連合会の解散の決議を認可事項とし、解散の場合、この振興業務にかかる財産は国に帰属するものとしておりまして、この交付金制度及び連合会の振興業務につきましては、三年間の限時的な措置とされております。
次は、モーターボート競走運営の適正をはかるための改正でございまして、その第一は、競走場の設置を許可制とすることであります。すなわち、競走場の設置については、従来、連合会への登録制が定められておりましたが、これを運輸大臣の許可制とし、競走場設置者に対し許可基準の維持義務を定めていることであります。第二に、競走会及び連合会につきましては、役員の任免、事業計画及び収支予算を認可制としていることであります。第三に、施行者、競走会、連合会及び競争場設置者に対しまして競走場内の秩序維持等のため、選手の出場に関する条件を適正にすべき命令、競走場の修理の命令等をなし得るほか、それぞれ特定の場合におきまして、競走の開催の停止及び制限、業務の停止及び制限等の命令をなし得ることとしております。その他、モーターボート競走の健全化のため、払戻金の最高限度額を定め得ることとし、また、勝舟投票券購入禁止の適用範囲を拡大していることであります。
委員会におきましては、柴谷委員より、競走の開催日数の制限について、松浦委員より、競走場における臨時雇の従業員の待遇問題、及び市川委員より、モーターボート競走の社会に与える悪影響について、それぞれ質疑が行われたのであります。これらの質疑に対し、政府委員は、現在のところ、月十二日の開催日数をさらに制限する考えはない、また、競走場における臨時雇の従業員の待遇問題については、よく実情を調査の上善処したい、また、モーターボート競走の社会に与える悪影響の縮減については、この法律案においても考慮されており、また、モーターボート競走は射幸性もあるが、一方、機械力による水上スポーツとしての特性もあり、この面から善導して行きたいとの趣旨の答弁をいたしました。
次に、松浦委員より、質疑打切り、討論省略の動議が提出されましたが、これに対して異論がありませんでしたので、直ちに採決に入りましたところ、本法案は、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/45
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046・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/46
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047・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/47
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048・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十四、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案
日程第十五、国有財産特殊整理資金特別会計法案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
日程第十六、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(衆議院送付)
以上、三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/48
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049・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長廣瀬久忠君。
〔廣瀬久忠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/49
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050・廣瀬久忠
○廣瀬久忠君 ただいま議題となりました二法律案外一件について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、国の庁舎等の使用調整等に照する特別措置法案について申し上げます。本案は、公務の能率向上と、公衆の利便増進のために、国の庁舎等について合理的な使用調整をはかり、さらに、特定の庁舎等については、耐火構造の高層建築物に立体化し、またはその位置を移転し、それによって不用となる庁舎等を住宅敷地に転用せしめる等の措置を講じようとするものであります。
以下、内容について申し上げますと、第一は、各省各庁の長は、毎会計年度末現在の庁舎等使用現況及び見込報告書を大蔵大臣に提出し、大蔵大臣は、それによって庁舎等の使用調整をする必要があるときは、庁舎等使用調整計画を定めて各省各庁の長に通知し、必要があれば所管がえ、所属がえ等の措置を求めることができることにしようとするものであります。第二は、大蔵大臣は、特定の庁舎等の耐火構造高層建築物への立体化、住宅敷地を提供するための再配置、これらに伴う庁舎等の処分及び取得について、特定庁舎等特殊整備計画を立て、建設大臣が定める建物の位置、規模、構造等の計画とあわせて閣議決定を求めることとするほか、不用となる庁舎等の処分による収入をもって、新しく庁舎等を取得する場合の経費に充てようとするものであります。
第三は、大蔵大臣が使用調整及び特定庁舎等特殊整備計画を作成する際の諮問機関として、官庁職員及び学識経験者で構成する庁舎等調整審議会を大蔵省に設置しようとするものであります。なお、この法律の施行日については、衆議院におして「昭和三十二年四月一日」を「公布の日」とする修正がなされたものであります。
次に、国有財産特殊整理資金特別会計法案について申し上げます。本案は、ただいま申し上げました国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案に伴うものでありまして、同法に基く特定庁舎等特殊整備計画が実施される場合、不用となる庁舎等の処分収入をもって、新しく庁舎等を取得する経費に充てることとなるのでありますが、その実施を円滑にするために、国有財産特殊整理資金を設けることとし、この資金は、特定庁舎等特殊整備計画による庁舎等の処分収入及び資金運用部に預託することによる利子収入をもってこれに充て、その使用は、一般会計を通じて、計画に基く建物の建築、模様がえ等の工事、敷地の購入等の代価に充てようとするものでありまして、この資金に関する経理を行うために、新たに特別会計を設け、所要の事項を規定しようとするものであります。なお、この法律の施行日についても、衆議院において「昭和三十二年四月一日」を「公布の日」とすることに修正されております。
以上の二法案につきましては、建設委員会と連合審査会を開く等、慎重に審議いたしたのでありまして、官公庁施設の建設等に関する法律との関係はどうなるか、庁舎等の使用調整と維持管理の関係はどうなるのか、庁舎等の再配置によって生ずる用地で宅地に不適当なものはいかに転用されるか、特定庁舎等の立体化の今後の構想はどうか、普通財産は住宅用地としてどの程度転用できるか、国有財産特殊整理資金と官庁営繕費との関係はどうか等について質疑がなされましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
二案の質疑を終了し、最初に、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案について討論に入りましたところ、栗山委員より賛成意見が述べられるとともに、本法施行の全きを期するために、
本法の施行に当り、政府は次の事項について必要な措置を講ずべきである。
一、庁舎の使用調整等に当り、中央官庁の出先機関を一カ所に集約せしめることを目標に合同化をはかること。
二、庁舎の使用調整等の結果、不用となった土地、建物の処分については、住宅地その他国民の必需の用に供するよう特段の配意をすること。
三、庁舎の建設、営繕に当っては、関係各省各庁の連絡調整をはかって、使用調整等に不都合をきたし、または不経済にならないよう厳重に注意すること。
という付帯決議案が提出され、採決の結果、衆議院送付案は、全会一致をもって可決すべきものと決定し、栗山委員提出の付帯決議案も、全会一致をもって、委員会の決議とすることに決定いたしました。
次いで、国有財産特殊整理資金特別会計法案について、討論、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
最後に、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件について申し上げます。
国有財産法第十三条第二項の規定によりますと、皇室用財産とする目的で財産を取得する場合には、所定の価額以上のものは、国会の議決を要することとなっておりますが、本件は、皇居仮宮殿の改装、仮宮殿前広場の舗装、皇居平川橋の改修、京都御所内の小御所の復元の四件について、皇室用財産として取得する必要があり、右の議決を求めたものであります。、
本件の審議の詳細は、会議録によって御承知願います。
質疑を終り、討論、採決の結果、全会一致をもって本件は異議ないものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/50
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051・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三件の採決をいたします。
まず、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案
国有財産特殊整理資金特別会計法案
以上、両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/51
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052・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/52
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053・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を問題に供します。委員長報告の通り本件を可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/53
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054・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって委員長報告の通り可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/54
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055・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第十七、農業災害補償法の一部を改正する法律案
日程第十八、農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案
日程第十九、農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
日程第二十、輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/55
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056・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長堀末治君。
[堀末治君登壇、拍手]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/56
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057・堀末治
○堀末治君 ただいま議題となりました農林水産関係の四つの法案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
まず、農業災害補償法の一部を改正する法律案でありますが、この法律案は、農業災害補償制度の合理化を期し、現行農業災害補償法に対し必要な改正を加えるため提案されたものでありまして、農作物共済について、引き受け方法を一筆石建として、石当り共済金額に選択制を設けること、農作物共済及び蚕繭共済の料率の設定方法を改め、かつその個別化をはかること、農作物共済及び蚕繭共済について、一定規模以下の農家については共済組合への任意加入を認める等、共済関係の当然成立を緩和すること、損害評価準則及び損害評価会等を明文化し、損害評価の方法を整備改善すること、農作物共済及び蚕繭共済の共済掛金の国庫負担を増加して、農家負担を軽減すること、市町村段階における事業実施主体として、特定の場合においては、農業共済組合にかわって市町村がその主体となることができること、事業の監督を強化し、行政庁は農業共済団体に対して業務の執行方法の変更、その他監督上必要な命令をすることができることとし、命令に違反した場合は、団体の役員の改選または解任を命ずることができること等をそのおもな内容とし、なお、この法律は昭和三十三年一月一日から施行し、共済掛金の国庫負担の増加等に関する規定は、水陸稲及び蚕繭については昭和三十三年産のものから、また麦については昭和三十四年産のものから適用することになっております。
次に、農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案でありますが、水稲と麦について、農家単位に減収石数を質定して共済金を支払う、いわゆる農家単位共済を五カ年間を限って試験的に実施するため、過ぐる昭和二十七年六月、農業災害補償法臨時特例法が制定されたのでありますが、試験の結果、この方式にはいろいろな利点も認められるが、今直ちに全面的に実施することは無理があるので、その期間満了とともに、この法律を廃止することとし、あわせて必要な経過措置を規定しようとするものであります。
続いて、農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案でありますが、農業災害補償法において、共済掛金標準率は五年ごとに改訂することになっており、水稲及び麦につきましては、本年度がその改訂の時期に当っておりますが、今回、農業災害補償法を改正して、昭和三十三年から農作物共済の引き受け方法及び料率の算定等を改めることになっておりますので、これと見合って水稲及び麦について、その料率の改訂を一年延期することにしようとするものであります。
委員会におきましては、これら三つの法律案を一括して議題とし、政府当局との間に熱心な質疑応答が行われたのでありまして、これが詳細については会議録によって御了承を願いたいのであります。
しかして質疑を終り、三法律案を一括して討論に入り、藤野委員から、「農業災害補償制度の完璧を期し、政府の一そうの努力を促すとともに、当面、法律の励行及び災害の防止について政府の善処を求める」ことを内容とする付帯決議を付して賛成があり、清澤及び河野両委員から、それぞれ意見あるいは希望を付して賛成が述べられ、続いて採決の結果、全会一致をもって藤野委員提案の付帯決議とともに、三法律案は、いずれも原案通り可決すべきものと決定いたしました。
最後に、輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案についてでありますが、この法律案は、輸出水産業の現況に照らし、輸出水産物の品質の改善と輸出水産業の振興をはかるため、現行法に対して必要な改正を加えるため提案されたものでありまして、その内容のおもな点は、輸出水産業者は、輸出水産物の製造に用いる事業場について農林大臣の登録を受けなければならないこと、輸出水産業組合の事業の範囲を輸出水産物の販売及び購買並びに輸出水産物の原材料の供給にまで及ぼし、かつ、その団体協約の締結についても、これが内容を拡大すること、組合が主原料の購入について漁業者と締結する団体協約については農林大臣の認可を必要とすること、輸出水産業組合のカルテル行為の認可制を届出制に改め、その内容が不当な場合には、農林大臣はその変更を命じ、またはこれを禁止すること、農林大臣の発する規制命令は、組合の調整規程の内容を参酌して制限を定め、その際、販売機関の指定はその同意を得べきこと、なお、この場合、指定機関の業務は農林大臣の認可を要すること及び農林大臣は必要な監督をすること、指定機関が農林大臣の認可または命令に基いてする行為には私的独占禁止法の適用を除外すること、農林大臣の規制命令による制限に関連して事業場の登録を停止することができること等でありまして、その他、農林大臣と通産大臣または公正取引委員会との関係並びに指定機関及び組合の役員等に対する罰則等について必要な規定が設けてあります。
委員会におきましては、提案者代表及び政府当局から、提案理由その他について説明を聞き、直ちに質疑に入りましたが、その詳細は会議録によって御了承を願います。
かくて質疑を終り、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/57
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058・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより四葉の採決をいたします。
四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/58
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059・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって四案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/59
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060・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二十一、昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その2)
日程第二十二、昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その2)
日程第二十三、昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用総調書
日程第二十四、昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用総調書
日程二十五、昭和三十一年度一般会計予備費使用総調書(その1)
日程第二十六、昭和三十一年度特別会計予備費使用総調書、(その1)(いずれも衆議院送付)
日程第二十七、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書
日程第二十八、昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書
以上、八件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/60
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061・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。決算委員長三浦義男君。
〔三浦義男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/61
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062・三浦義男
○三浦義男君 ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その2)外五件の事後承諾を求める件に関する決算委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、本件の内容について大略を説明いたします。昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その2)について申し上げます。昭和三十年度一般会計予備費の予算額は八十億円でありまして、そのうち昭和三十年十二月二十七日までに使用されました四十四億千三百余万円につきましては、第二十四回国会で承諾を与えておりますが、今回は昭和三十一年一月十七日から同年三月二十七日までに使用されました三十五億七千七百余万円につきまして承諾を求めているのであります。
次に、昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その2)について申し上げます。昭和三十年度各特別会計予備費の予算総額は六百五十三億二千六百余万円でありまして、そのうち昭和三十年十二月二十三日までに使用されました三百四億八千八百余万円につきましては、第二十四回国会で承諾を与えておりますが、今回は、昭和三十一年一月十七日から同年三月二十七日までに使用されました六億千余万円につきまして承諾を求めているのであります。
第三に、昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用総調書について申し上げます。この規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出されました特別会計は、交付税及び譲与税配付金特別会計並びに厚生保険特別会計でありまして、金額は合計五億五千八百余万円であります。
第四に、昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用総調書について申し上げます。この規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出されました特別会計は、郵政事業特別会計でありまして、金額は十億四千五百余万円であります。
第五に、昭和三十一年度一般会計予備費使用総調書(その1)について申し上げます。昭和三十一年度一般会計予備費の予算額は八十億円でありまして、そのうち昭和三十一年四月十九日から同年十二月二十八日までに使用されました金額は五十六億六千六百余万円となっております。
最後に、昭和三十一年度特別会計予備費使用総調書(その1)について申し上げます。昭和三十一年度各特別会計予備費の予算総額は七百十六億九千余万円でありまして、そのうち昭和三十一年五月三十一日から同年十二月二十八日までに使用されました金額は二億六千四百余万円となっております。
本委員会におきましては、以上六件について当局の説明を聴取した上、慎重審議いたしました。審議の経過の詳細は、会議録でごらんをお願いしたいのであります。
質疑応答のおもなものを申し上げますと、「三十年度一般会計予備費使用額のうち、農林、建設両省の災害復旧費において、年度末近くに予備費使用の決定をなし、年度内支出に至らず、多額を翌年度に繰り越したものがあるが、緊急に支出できない経費に対し予備費を使用したのではないか」との質問に対し、関係各省から、「予備費使用の決定された当時においては、緊急に支出する必要を認めたが、天候の関係で工事をはばまれ、または資材の運搬が意にまかせなかった等のため、工事費の支出がおくれた」との答弁がありました。また、「災害費関係補助金に対する予備費使用については、事業費の査定を厳密にするとともに、緊急な災害復旧費については、適時に補助金が支出できるよう処置しておるか」との質問に対し、大蔵当局から、「御趣旨の通り、実施各省とも協議し、努力しておる。ただ年度内の必要額を勘案の上、予備費使用を調整していたものがあるので、やむを得ずそれを第四四半期になって使用したものがあった」旨の答弁がありました。また、「治安対策費に予備費を使用した理由」の質問に対し、法務大臣から、「治安関係実態調査の経費が従来不足だったので、予備費の使用方を要求して増額をした」旨の答弁がありました。
以上のほかには、各委員において別段意見もありませんでしたので、右六件は、一括して承諾を与うべきものと多数をもって議決いたしました。
以上をもって報告を終ります。
次に、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書外一件に関する決算委員会の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
まず、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為の内容を簡単に御説明いたします。昭和三十年度一般会計予算総則第八条におきまして、財政法第十五条第二項の規定によって、災害復旧その他緊急の必要がある場合に、国が債務を負担する行為をすることができる金額は、三十億円と定めております。このうち、政府が先般、運輸省所管において南極観測用船宗谷の改装に必要な経費として、四億六千七百十三万円を限度として債務を負担する契約を結んだことにつきましては、すでに第二十四回国会において報告を受け、議決が行われた次第でありますが、その後政府は、昭和三十一年三月、法務省所管において、岐阜少年院療舎の火災復旧に必要な経費九百二十五万円を限度として債務を負担する契約を結ぶこととしたのでありまして、本件は、政府が財政法第十五条第四項の規定により、右の事項を国会に報告して参ったものであります。
次に、昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為の内容について御説明いたします。昭和三十一年度一般会計予算総則第八条におきまして、財政法第十五条第二項の規定によって、災害復旧その他緊急の必要がある場合に、国が債務を負担する行為をすることができる金額は、三十億円と定めております。これに基きまして、政府は、昭和三十一年十二月、文部省所管において国立競技場の建設に必要な経費九億五千万円を限度として債務を負担する契約を結ぶこととしたのでありまして、本件は、政府が財政法第十五条第四項の規定により、右の事項を国会に報告して参ったものであります。
本委員会におきましては、右二件の報告につきまして、それぞれ当局の説明を聴取した上、内容を審議した結果、いずれも別段異議がないと議決した次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/62
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063・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより八件の採決をいたします。
まず、昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その2)
昭和三十年度特別会計予備費使用松調書(その2)
昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用総調書
昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用総調書
昭和三十一年度一般会計予備費使用総調書(その1)
昭和三十一年度特別会計予備費使用総調書(その1)
以上、六件全部を問題に供します。委員長報告の通り六件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/63
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064・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって六件は、承諾することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/64
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065・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書
昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総長書
以上、両件全部を問題に供します。両件は、委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/65
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066・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両件は、全会一致をもって委員長報告の通り決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/66
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067・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二十九より第三十五までの請願を一括して議題とするごとに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/67
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068・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本米治君。
〔山本米治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/68
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069・山本米治
○山本米治君 ただいま議題となりました請願の法務委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。
請願第二百五十号は、巣鴨刑務所内の戦犯者が、すみやかに釈放されるよう院議をもって促進せられたいとのものであります。
請願第三百三十七号及び六百八十七号は、群馬県前橋地方法務局沼田支局庁舎並びに岡山地方法務局高梁支局庁舎の新築に関する件でありまして、両庁舎とも老朽はなはだしく、狭隘で、国家機関として事務の円滑を欠くおそれがあると思われるので、すみやかに庁舎新築を実現せられたいというものであります。
請願第千三百八十五号は、香川県丸亀拘置支所の新築移転反対に関する件でありまして、現在の移転予定地が、丸亀市繁華街の将来の発展延長線上にあるため、当該地への新築移転を変更して、新たに市当局の用意するかえ地に移転新築せられたいとのものであります。
請願第二千五十三号及び二千七十一号は、いずれも恩赦審議会設置に関する件でありましてこれを内閣に設置し、政令恩赦の適否を諮問するよう、現行恩赦法をすみやかに改正せられたいとのものであります。目下、当委員会で恩赦法の一部を改正する法律案を審議中でありますが、本請願は、恩赦法全部について検討を要する趣旨のものとして採決いたしたものであります。
請願第六百一号は、第一に、印鑑使用上の重要性よりして、その証明書の作製に際し、各市町村において、その書式及び手数料等が区々であることは適当と思われないので、すみやかに印鑑法を制定され、その統一をはかられたいとのものであります。第二は、戸籍手数料について、物価の高騰にかんがみ五十円に増額せられたいとのものであります。
請願第千八百十九号は、司法官等の優遇に関する件でありまして、その職務の特殊性にかんがみ、身分保障並びに信賞必罰制度を強化し、一般よりも報酬を上位に置くことによって、これらの職務に従事する者が十分にその本来の使命を達成し得るようせられたいとのものであります。
以上、いずれも慎重に審議をいたしましたが、請願第六百一号の印鑑法制定に関する件かうち、戸籍手数料増額の点を除く旨の意見書案を付し、そのほかは、いずれも願意は妥当と認め、これを採択して議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/69
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070・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
日程第三十四の請願については、意見書案が付されております。日程第二十九より第三十五までの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/70
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071・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/71
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072・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第三十六より第五十九までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/72
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073・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長戸叶武君。
〔戸叶武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/73
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074・戸叶武
○戸叶武君 ただいま上程になりました日程第三十六から第五十九までの請願について御報告申し上げます。
日程第三十六から第五十三までの請願は、いずれも鉄道の新線建設に関するものでありまして、日程第二十六から第三十八までは、鉄道建設審議会から運輸大臣あてに、昭和三十二年度から着工すべきものとして建議された線で、日程第三十九から第四十六までは、同じく鉄道建設審議会から運輸大臣あてに、昭和三十二年度から調査を開始すべきものとして建議された線であります。また、日程第四十七及び第四十八は、鉄道建設未成線で、日程第四十九は一部建設未成線で、一部鉄道敷設法予定線であります。次に、日程第五十は、鉄道敷設法予定線であります。
請願の趣旨は、日程第三十六は、桜木町・大船両駅間の鉄道敷設に関するものでありまして、この鉄道延長計画は、これと一体的関係に立つ根岸湾の埋立計画とあわせて、横浜市の最高課題であって、県、市、業界、財界はもとより、全市民あげて早期実現を熱望しているものであるが、埋め立てについては、横浜市において関係漁民の生活不安を来たさないように努力するから、すみやかに鉄道の建設を実現し、根岸湾の埋立工事が推進できるように善処してほしいというのであります。また、日程第五十三は、山形県鶴岡駅と間沢駅間を結ぼうとするものでありますが、この鉄道の建設を東北開発計画に追加せられたいとの趣旨であります。その他はいずれも沿線の産業、経済の発展、資源の開発、交通網の完成、文化の向上、民生の安定等のために、すみやかに鉄道の建設をしてほしいというものであります。
日程第五十四及び第五十五は、沿線の産業、文化の向上、発展、輸送力の増強のために、常磐線、または鹿児島本線久留米・鹿児島間の鉄道の複線化と、常磐線の電化を促進してほしいというものであります。
日程第五十六は、山形県は多雪地帯で、積雪期間はすべての道路交通が途絶し、住民の不利不便がはなはだしく、また客貨車の不足もはなはだしいので、羽越線温海・吹浦両駅間、及び新庄駅を中心にディーゼル・カーを運行し、あわせて客貨車の優先的増配車を行う等、積雪地帯における交通並びに輸送力を確保してほしいというのであります。
日程第五十七は、鹿児島県の後進性を打破するとともに、対琉球、対中共貿易を発展させるためには、中央と鹿児島間の輸送力を増強する必要があるから、特急「あさかぜ」号の鹿児島乗り入れ、久留米・鹿児島間の複線化並びに貨車の増配車等をしてほしいというのであります。
日程第五十八及び第五十九は、近年鉄道踏み切り事故がますます増加の傾向にあるので、事故防止と人命保護の見地から、すみやかに交通安全施設または踏み切り警手を配置してほしいというものでありまして、日程第五十八は、西武線中井駅付近の踏み切りに関するもの、日程五十九は、鹿児島県下の国鉄に関するものであります。
委員会におきましては、審議の結果、いずれも願意を妥当と認め、議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/74
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075・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/75
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076・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。
次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十一分散会
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○本日の会議に付した案件
一、故議員白川一雄君に対する追悼の辞
一、故議員白川一雄君に対し弔詞贈呈の件
一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(国立近代美術館評議員会評議員)
一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(更生保護事業審議会委員)
一、中央更生保護審査会委員の任命に関する件
一、核兵器受け入れに関する緊急質問
一、日程第一千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された
国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件
一、日程第二、千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准について承認を求めるの件
一、日程第三 日本国とエジプトとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件
一、日程第四 日本国とイランとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件
一、日程第五 南西諸島在住者等に関する在外公館等借入金整理準備審査会法特例法案
一、日程第六 国際海上物品運送法案
一、日程第七 学校教育法の一部を改正する法律案
一、日程第八 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案
一、日程第九 国立及び公立の学校の事務職員の休職の特例に関する法律案
一、日程第十 公立学校の学校医の公務災害補償に関する法律案
一、日程第十一 国土調査法の一部を改正する法律案
一、日程第十二 日本道路公団法の一部を改正する法律案
一、日程第十三 モーターボート競走法の一部を改正する法律案
一、日程第十四 国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案
一、日程第十五 国有財産特殊整理資金特別会計法案
一、日程第十六 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件
一、日程第十七 農業災害補償法の一部を改正する法律案、
一、日程第十八 農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案
一、日程第十九 農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案
一、日程第二十 輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第二十一 昭和三十年度一般会計予備費使用総調書(その2)
一、日程第二十二 昭和三十年度特別会計予備費使用総調書(その2)
一、日程第二十三 昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用総調書
一、日程第二十四 昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用総調書
一、日程第二十五 昭和三十一年度一般会計予備費使用絆調書(その1)
一、日程第二十六 昭和三十一年度特別会計予備費使用総調書(その1)
一、日程第二十七 昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書
一、日程第二十八 昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書
一、日程第三十九乃至第三十五の請願
一、日程第三十六乃至第五十九の請願発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X03519570515/76
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