1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月七日(金曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 赤澤 正道君
理事 生田 宏一君 理事 畠山 鶴吉君
理事 濱野 清吾君 理事 山本 友一君
理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君
有田 喜一君 伊藤 郷一君
神田 博君 小泉 純也君
塚原 俊郎君 中嶋 太郎君
永山 忠則君 藤枝 泉介君
早稻田柳右エ門君 小山 亮君
下平 正一君 中居英太郎君
正木 清君 森本 靖君
眞鍋 儀十君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中村三之丞君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 奧野 誠亮君
運 輸 技 官
(港湾局長) 天埜 良吉君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 權田 良彦君
運輸事務官
(自動車局長) 山内 公猷君
運輸事務官
(航空局長) 林 坦君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁警備部
警ら交通課長) 内海 倫君
大蔵事務官
(主税局税関部
業務課長) 加治木俊道君
建設事務官
(道路局高速道
路課長) 鶴海良一郎君
日本国有鉄道副
総裁 小倉 俊夫君
日本国有鉄道常
務理事 久保 亀夫君
専 門 員 志鎌 一之君
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三月七日
委員河野金昇君、關谷勝利君及び原健三郎君辞
任につき、その補欠として永山忠則君、藤枝泉
介君及び神田博君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員神田博君、永山忠則君及び藤枝泉介君辞任
につき、その補欠として原健三郎君、河野金昇
君及び關谷勝利君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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三月六日
南島線敷設に関する請願(濱地文平君紹介)(
第一三三四号)
同(長井源君紹介)(第一三六六号)
同(山手滿男君紹介)(第一三六七号)
東北本線相去駅設置に関する請願外一件(小澤
佐重喜君紹介)(第一三三五号)
熱海駅改修促進に関する請願(畠山鶴吉君紹
介)
(第一三三六号)
熱海観光港の施設整備に関する請願(畠山鶴吉
君紹介)(第一三三七号)
熱海国際観光ホテル建設に関する請願(畠山鶴
吉君紹介)(第一三三八号)
四日市、津間短絡路線敷設に関する請願(田中
久雄君紹介)(第一三六四号)
同(山手滿男君紹介)(第一三六五号)
玉野市営バス事業免許に関する請願(星島二郎
君紹介)(第一三六八号)
那珂湊市営バス事業免許に関する請願(大高康
君紹介)(第一四一三号)
羽後平沢駅に急行列車停車の請願(齋藤憲三君
紹介)(第一四一四号)
佐久間線敷設促進に関する請願(戸塚九一郎君
紹介)(第一四一五号)
国鉄電化に伴う新駅建設費助成に関する請願(
山口丈太郎君紹介)(第一四一六号)
岩手飯岡駅の貨物取扱いに関する請願(山本猛
夫君紹介)(第一四一七号)
国鉄稲沢操車場陸橋改築等に関する請願(江崎
真澄君紹介)(第一四五二号)
石勝線敷設に関する請願(椎熊三郎君紹介)(
第一四五三号)
平、小名浜間鉄道敷設に関する請願(高木松吉
君紹介)(第一四五四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
九号)
陸運及び海運に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/0
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001・赤澤正道
○赤澤委員長 これより会議を開きます。
最初に航空法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。井岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/1
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002・井岡大治
○井岡委員 先般の委員会でもお尋ねをいたしましたように、今度の航空法の改正は主として航空の安全を目的としたものでありますが、政令に非常にたくさん委譲されて、たとえば十条の三項の「運輸省令で定める航空機の運用限界」こういうように一つ一つこれを政令に委任をいたしておるわけであります。従ってこの委任事項の内容あるいはこれが具体的に執行していく上において、もしあやまちがありとするならば、せっかくの改正も水のあわになるというような懸念もなきにしもあらずだと思うのでにあります。従って二、三の点をお尋ねをいたしたいと思います。すなわち「耐空証明は、航空機の用途及び運輸省令で定める航空機の運用限界を指定して行う。」こういうように載っておるわけですが、この航空機の運用の限界というものはどういうものであるか、まず一点お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/2
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003・林坦
○林(坦)政府委員 運用の限界と申しますのは、航空機運用の限界は、速度、積載限界、動力装置運転限界、換気対気温度限界、風及び水上条件の限界、乗組員及び旅客の限界、運用様式の限界、運用高度の限界、あるいは過重倍数の限界、こういったような非常に技術的な内容でございます。たとえば用途と申します場合は、曲技に適するかどうか、あるいは輸送の用途であるか、その他そういったような種類のことでございますし、また対気連座限界と申します場合は、たとえば超過禁止速度――これ以上の速度を出すことは飛行機がこわれてしまう、こういうようなこと、それから場合によっては飛行中に突風に合っても機体速度に影響のない速度というものはどういうものであるか、どの程度であるか、それからフラップの操作の速度もございます。飛行中にフラップを上げ下げしても、フラップの強度に影響のない速度はどういうものであるか、それから着陸装置の操作速度についての限界と申しますと、飛行中に着陸装置を上げ下げしても、着陸装置の強度に影響のない速度とはどういうものであるか、そういったようなこと、たとえば積載限界について最大離陸の場合あるいは最大着陸重量等の問題についてでございますが、これは積載限界というふうに直しまして、これは重量に関する制限を大体次のように規定する。たとえば重量は最大離陸の重量、最大着陸重量についてきめる、それから重心位置をきめる、それから重量分布、それから床面の強度、たとえば手荷物室、貨物室、パラシュート置場の内容物について最大許容重量はどうであるか、あるいは荷重の強さと分布に関する特別な制限をしたい、こういったような非常にこまかい内容になって参るわけでございます。あるいは説明の要領をお配りしてあるかもわかりませんが、相当こまかい内容にしてきめるわけであります。現在も実は用途、速度、あるいは先ほど申し上げたようなことについてきめておるのでありますが、現在の規定ではやや列記的になっております。従ってこれを今度の改正案で包括的に書いた形でございますが、要するにこれはだんだんこまかくなって参ります関係上、これを省令に譲りまして規定する、こういうことにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/3
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004・井岡大治
○井岡委員 ただいま御説明をいただいたので大体わかるわけですが、ただこの法律の改正で機長の路線資格、出発前の確認というような区分をしておられるわけですが、今御説明いただいたようなことをどういう方法で周知徹底せしめるか、こういう点についてお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/4
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005・林坦
○林(坦)政府委員 機長あたりに今度いろいろこういう義務づける内容になっておりますが、省令によって詳しく規定いたしまして、これは当然機長としては見るわけでありますので、それではっきりすると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/5
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006・井岡大治
○井岡委員 機長に徹底をせしめるだけではなしに、もちろん当該飛行場あるいは当該飛行場の管理者等にもその点を徹底せしめることであろうと思いますが、最近の交通事故、しかも大量の交通事故にかんがみて、国民自体が必ずしも飛行機それ自体は安全だとは考えおらないわけであります。従って国民自体についても、こういう方法をとっておるから航空機は決して心配するものではないということを知らす必要があるのではないかと思いますが、この点の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/6
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007・林坦
○林(坦)政府委員 航空に関する規制の内容について非常にこまかい点まで規定いたしておりますが、航空審議会の下部機構に耐空性基準部会というのがありまして、そこで大体世界的な標準にのっとりましていろいろと細目について検討をし、標準を作っておるのであります。その耐空性基準にのっとっていろいろと航空機の安全に関する規定を作り、またそれに従って検査をするという実際のやり方をしておりますので、飛行機の安全については特に心を用いまして安全を期しておる次第であります。しかも航空機の運航につきましても、これも現在世界的なICAOの基準に従いまして航空交通管制も行いまして、また一々その内容を航空機の運航に関しましても適切な指示を与えるというようにしてやっておりますので、航空機の運航あるいは管理等につきましては、大体わが国は世界的な標準を対象としてやっておるのでありまして、この点については決して外国に対して劣るものではないと考えております。一般に知らせる方法等つきましては、あるいはわれわれの周知宣伝の努力が不足であるというような面もあるかもしれませんが、だんだん航空機を利用される方にも、日本の航空機が事故が少いという点を実績をもって示して御了解を願い、御認識を願うように持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/7
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008・井岡大治
○井岡委員 飛行機それ自体について、いろいろな方法で御注意いただいておることについては感謝をいたしておるわけであります。たとえば先般の伊丹を離陸後直ちに正不時着をやらなければならない、こういうような問題が起っております。もちろん当時機長の非常に沈着な努力と注意によって事なきを得たわけでありますが、ああいう問題が次々に起ってくるのも、今局長は世界の水準に達しておる、優秀だ、こういうように申されておりますが、必ずしもそうでないのではないか、あるいは抜かっておったところがあるのじゃないか、こういうように考えるわけであります。従いまして法律を改正いたしましても、この法律を実際に行うためには十分な用意がなければならないと思います。しかるに本年度の予算においては、昨年に比べまして約五千万円ほど少くなっている。もちろんこれは単に航空局全体の予算のことでありまするから、今度の法律改正に伴って所要の経費の増大ということは考えられるわけでありますが、こういう点についてどういうようにお考えになっているか、一つお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/8
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009・林坦
○林(坦)政府委員 来年度の予算において、本年度よりも減っておるという御指摘でございます。これは主として日航の今後の発展に関連いたしまして出資その他の問題が、総額において若干減っておる、本年度ほどにいかなかったということでございますが、こうした航空機の安全でありますとか、あるいは航空機の乗員の問題等につきましては、従来よりもさらに力を入れまして措置をするというふうに計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/9
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010・井岡大治
○井岡委員 そこで今度のこの航空法を改正されて、どれくらいの人員の増加をお考えになっておりますか、一つお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/10
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011・林坦
○林(坦)政府委員 実際問題といたしまして、この内容につきましては、特に人員の増加を来たさないでも、現在の人員をもってこの航空法の改正程度のことはやれるということで計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/11
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012・井岡大治
○井岡委員 私は家が大阪なものですから、ときどき伊丹の方へ遊びに行くわけですが、所長さんたちといろいろ話をしておると、安全についてもっといろいろなことをやりたい、しかしこの人手ではとうていできない、一日ここで遊んでわれわれのやっていることを見ていただきたいというようなことで、よく一日遊ぶわけですが、それによりますと、私はほんとうに所長さん以下の方々がどんなに苦労なさっておるかということがよくわかります。にもかかわらず、今度は大きな改正をなさって一そうの安全を期そう、こういうことになるわけでありますが、これでやれるのだという局長さんの御見解は、私は議会における答弁としては聞き入れても、どうも実際にはそぐわないと思う。そこでせんだってお尋ねいたしましたように、これをやるためには大いに民間等の協力を得なければならないということになって、いわゆる怠りというようなことはないであろうと思いますが、いかにも抜かるというようなことがあるのじゃないか、こう考えられるわけです。こういう点でどういうようにお考えになっておるか、一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/12
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013・林坦
○林(坦)政府委員 伊丹の点について実地にごらんいただいて、そういう御注意をいただきましたことはまことに恐縮でございますが、伊丹につきましては、伊丹の空港が返還になりますので、今お話のございました工務関係の要員としましては、現在四名程度配員いたしておりますのを今後十二名程度にふやすというようなことをやっております。全般的な問題としましては、一番われわれが問題にしておりますのは、やはりまだ保安施設その他の設備をもっと改善しなければならぬというような問題が多分にあるのであります。しかしこれはまだ日本側に返っていない飛行場もございますし、だんだんこれを整備していく上だ、来年度もその点についてさらに予算を計上してもらいましてやるようにしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/13
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014・井岡大治
○井岡委員 三人や五人ふやしましても、三月の十八日から現実に伊丹は返ってくるわけなんです。そこで航空管制塔等の要員等のことを考えると、私は非常に心もとない感じがするわけです。もちろん発展途上にある航空でありますから、局長以下非常な熱意を持っておいでであろうと考えますが、しかしものには限界というものがありまするから、こういう点は十分にお考えをいただきたいと思うのです。同時に、これはひとり伊丹だけでなしに、日本の滑走路の底というものは非常に浅い。従って飛行機の発着によってかなり痛みの度がひどいのではないかと思うが、こういう点について、航空当局は飛行場の整備等にももう少し力を入れていただかなければ、幾ら法律改正をしてみても、いわゆる他動的なところから事故が起って、航空全体に対する国民の信頼というものはなくなってくるのではないか。その結果、いわゆる世界的水準から劣っているという国民の劣等感が起き、しかもそれによって航空に対する不信というものがわいてくるとすれば、これは非常に不幸なことだと私は思うのですが、こういう点について大臣並びに局長の御答弁をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/14
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015・中村三之丞
○中村国務大臣 おっしゃる通りであります。従って日本航空株式会社などの使用しておりまする飛行機そのものを、最近は新しいものを買うということもしております。またかりに中古でありましても、常にこれの部分品を取りかえていくとか、こういうふうにして飛行機そのものに精密さと安全性を持たせなければならないと思っております。それからこの法律にもございますごとく、機長というものがしっかりしておらなければならない。機長は指揮命令をするのでございますから、機長の技能と、その精神力と申しますか、あるいは判断力というようなことを考えて、機長の養成、操縦士の養成ということについてせっかく努力をし、現に宮崎の航空大学などもある程度拡張して操縦士の養成をするということになっております。それから飛行場の設備でございますが、私も一向にそういうことは今まで知らなかったのですが、就任以来各地の飛行場を見まして、ことに国際空港でございますか、そいうところの設備は十分やっていくということが必要だと私は思うのでございまして、これらの三つが一体になって参りまするならば日本の航空というものは安全である、また世間の信頼をかち得るものと思うのであります。
伊丹に起りました雲仙号の事故につきましては、不幸にああいう事故が起きましたが、あれは今原因の調査をいたしております。これらも一つ今後資料といたしまして、あの事故はどういうところに原因ががあったのか。今、油であるとかいろいろ言われておりますが、そういうことも一つしっかり調査をして今後の資料にいたしたいと思います。辛いあのスチュワーデスが沈着な行動をしてくれまして、胴体着陸のあの処置がうまくいって、二、三負傷した人もございますけれども、全員ほとんど無事だった。まれに見るああいう不幸中の幸いを見ましたことは喜んでおりますが、そういう点につきまして、これは現実にやっているのは日本航空株式会社でございますから、ここらの監督も私どもといたしましては十分にいたしまして、日本の飛行機は安全であるということに私どもは実質ともにやって参りたいというふうに心がけているということを申し上げまして、御了承を得たいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/15
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016・林坦
○林(坦)政府委員 航空の安全の画につきまして御心配をいただいておりますこと、まことに恐縮でございます。私どもも実は神経質過ぎるようなところまで航空機右記の安全の問題を考えておるのでございまして、来年度も飛行場その他の安全施設の整備についても相当予算を計上いたしまして努力いたしておりますが、今後ともこの点については特に注意していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/16
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017・井岡大治
○井岡委員 今の大臣の御答弁ですが、大臣のお考えになっておることは私はそれでいいのです。しかし現実には昨年もやはり同じようなことが言われておった、ことしも同じようなことが言われて、そうしてその場その場がつながれていっておるというようなことでは、ほんとうに航空の安全をを期したということにはならないわけです。そこで私は、少くとも航空というものが単に今までのいわゆるぜいたくというような立場でものを考えていくのであれば、これはけっこうでございますが、今日では航空というものは単に楽しみとかそういうものではない、もっと実用化したものだ、こう思うのです。そういう点を考慮するならば、当然本年度予算で、日航に対する融資その他の問題が減ったのだから減ったというように局長は答弁なさっておりますが、少くとも実情に即した予算の組み方というものが必要ではないかと思います。こういう点を考えて十分やはり配慮してもらわなければ、私は今の大臣の御答弁の裏づけにならないと思うのですが、大臣の御所見をもう一度お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/17
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018・中村三之丞
○中村国務大臣 戦後日本航空株式会社などをして運航せしめておりますが、もく星号とかあいるはさっき申しました雲仙号というような不祥なこと、遺憾なことも起りましたけれども、大体におきまして操縦士の技術の向上、飛行場の管理の完備、また当該会社の十分な努力によりまして、私は次第にそういう遺憾なことは減っておると思います。しかし空中の飛行機というものは、非常な整備をしても、ときには突発的な変化が起るというのは常道のようでございますが、しかしこれは何といたしましても整備をよくして、操縦士の技術が優秀であるということ、やはり人的、物的基礎というものが一番必要だと思うのでありまして、この点におきましても航空法の今回の改正が、安全と飛行場の管理を十分にするという目標のもとに改正が行われ、また御承認を得ますならばこれを実施していきたい、こういうのでございまするから、この点につきましては今後十分注意して、しかもその注意が実際的に効果となって現われるように、私どもは監督官庁として努力をいたして参りたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/18
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019・井岡大治
○井岡委員 今度の問題は主としていろいろな従来やっておったことをさらにこまかくするということでありますから、私は法そのものについて言っておるのでなくて、少くともこれを実施するためにはかなり人手も要るわけなんです。ところが実際には増員というものが考えられておらないということ、同時に飛行場の整備等についても十分日本の飛行場がこれでもう安全だ、こういうことではないと思うのです。大臣も伊丹へ行っておわかりになると思いますが、単に伊丹だけではなしに、日本の滑走路はところどころつぎはぎをやらなければならないというように、非常に底が浅いわけなんです。こういう状態では安全だとは言えないので、今後航空全体について十分な注意を払ってもらうと同時に、法律を改正する熱意を飛行場の整備あるいは人、こういうものに当てていただくようにしていただきたい、こういうようにお願いをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/19
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020・林坦
○林(坦)政府委員 ただいまお話のございましたように、日本の飛行場は割合に底が浅いという点は大いにございます。従ってこれらの点については私どもも非常に心配いたしておりまして、羽田の滑走路の改修または伊丹の飛行場の滑走路の問題についても、それらの点も考慮いたしまして、今後十分整備をはかるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/20
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021・赤澤正道
○赤澤委員長 森本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/21
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022・森本靖
○森本委員 この航空法の一部改正に関連をいたしまして、私はおもに航空通信の観点から質問を行いたいと思います。現存の日本の飛行場において航空通信の設備のない飛行場はどのくらいあるのですか。いわゆる保安通信設備のない飛行場はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/22
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023・林坦
○林(坦)政府委員 少くとも民間航空に使う飛行場につきましては、通信は第一に考えておりますので、航空通信のないといいますか、全然ないような飛行場はまずないと言ってよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/23
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024・森本靖
○森本委員 そうすると航空通信というものを、保安通信というものの定義を大体どういうように考えられておりますか。いわゆる通信というものとそれからいわゆる航空保安という面の通信設備というものとの解釈をどう考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/24
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025・林坦
○林(坦)政府委員 ただいまないと申し上げましたのは、要するに通信という意味において申し上げたのでありますが、航空保安という点から考えますと、今御指摘のございました点でございますが、いわゆるビーコンでありますとか、あるいはその他の航空保安施設、これは一種の通信といえば通信なんでございますが、そういったような面につきまして、まだ整備できてない地点はもちろんございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/25
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026・森本靖
○森本委員 そこで私がお聞きしておりまするのは、これはむろん飛行機で通信設備がない飛行機はないと思いますが、飛行機で通信設備がないというのはありますか、まずそれを先に聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/26
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027・林坦
○林(坦)政府委員 ごく小型の航空機につきましては、無線機を特に装置しなくてもいいという飛行機はむろんございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/27
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028・森本靖
○森本委員 それは旅行機でそういう小型の飛行機でありますか、そうでないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/28
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029・林坦
○林(坦)政府委員 航空運送事業に携わっておるものにはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/29
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030・森本靖
○森本委員 そうすると、一応通信設備というものは旅客機においては全部持っておる、こういうことが言えるわけでございますね。そこで航究保安通信の設備がないという飛行場は日本でどのくらいありますか。それからその飛行場はどこどこですか。今後われわれも飛行機に乗るのに十分考えて乗らないと危ないと思いますので、保安通信設備のない飛行場についてこの際はっきりしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/30
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031・林坦
○林(坦)政府委員 少くとも定期とか不定期とかいうので旅客を輸送する場合には、通信施設は十分考えた上で認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/31
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032・森本靖
○森本委員 そういたしますと、ビーコンは全部あるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/32
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033・林坦
○林(坦)政府委員 ビーコンになりますと、必ずしも全部の飛行場にあるわけではございませんが、ビーコンのない場所につきましては、天候その他を見定めました上で現地と連絡をとって輸送をする、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/33
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034・森本靖
○森本委員 だから私が言っておるのは、そういうビーコンなんかがないような、いわゆる機上の方の通信設備だけしかないというふうな飛行機で発着をしておるところの路線はどこか、こういうことを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/34
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035・林坦
○林(坦)政府委員 たとえば離島あたりで、八丈島のような場所でありますとか、航空路離が比較的短かくて、途中の天候の急変とか、その他のことが比較的予想されないような場所で、そういう施設がなくてもやっておるという場所はもちろんございます。たとえば小倉あたりにもまだビーコンはございませんけれども、しかしそこに行きます場合には、いわゆるわれわれの方では有視界飛行と申しておりまして、目で見て飛べる気象条件等の場合に、そこに離着陸ができる、こういうふうに限定をいたしまして認めておるわけでありまして、定期はできない、しかし不定期ならば許す、こういうような形で規制をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/35
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036・森本靖
○森本委員 その有視界飛行というのは、言い方によればめくら飛行ということになりますので、通信関係からいえば、われわれはめくら飛行としか考えないわけでありますが、そこでそういうふうな飛行機が飛んでおるところは八丈島と小倉ということでなくして、日本でどこどこでそういう飛行機が飛んでおるか。これは一昨年でございましたか、私の方の飛行機もそういうことで飛んでおったので、これはこの委員会でも私も一ぺん注意を申し上げたことがありますが、そういうことで飛んでおる飛行機は具体的にどこどこかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/36
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037・林坦
○林(坦)政府委員 夏場でございますが、たとえば北海道の札幌から飛んでいきます網走、女満別、それから今の八丈島、それから小倉、それから最近開く状態になっております種ケ島、大体そういうところだと思います。高知もまだビーコンはできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/37
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038・森本靖
○森本委員 高知だけでなくして、たとえば松山、高松というようなところはどうなっておるのですか。このごろついたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/38
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039・林坦
○林(坦)政府委員 高松はすでにビーコンはできております。それから松山はまだ今飛行場を整備中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/39
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040・森本靖
○森本委員 そうすると県庁所在地で、定期に飛んでおるところで、ビーコンがないというところは高知だけですか、そんなあほうなことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/40
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041・林坦
○林(坦)政府委員 おっしゃる通り高知、それから松山は今まだ休んでおりますけれども、そういう場所でございます。しかしいずれそれはビーコンを作るように飛行場の整備計画ではできておりますので、そういう整備をするつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/41
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042・森本靖
○森本委員 私は通信関係が元来が専門でありますので、自分の選挙区だから高知のことを取り立てて言うわけではなしに、全国で定期旅客機が飛んでおって、そしてビーコンがないというのはたまたま私の選挙区だけであるというので、こういう質問になるわけでありますが、このビーコンを設備する場合、その経費はどのくらい要るものですか。これは実際、先ほど有視界飛行と言われたけれども、僕らみたいな通信関係を専門的にやっておる者から見ると、それは逆にめくら飛行というふうに言わざるを得ないのじゃないかということが非常に気にかかるわけです。しかもあそこは飛行機が二便飛んでおるわけでありまして、場合によっては双発の、見てもちょっとこわそうな飛行機が飛ぶわけでありますが、そういう場合にこれが完全なめくら飛行で、比較的正天候に支配される航行ということになりますと、まことにわれわれとしては妙に心細い感じがするわけでありますが、一体この飛行場に対するビーコンの設備はいつできるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/42
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043・林坦
○林(坦)政府委員 高知につきましては、まだビーコンがございませんので、現在不定期飛行という形でやっております。従って天候の悪い場合は休むということになりますが、高知につきましては三十四年度以降定期がやれるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/43
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044・森本靖
○森本委員 これは局長も御承知のように、しょせん不定期航空というようなことをいっても、これは二便定期的に行っているわけで、ただきょうは曇って雨が降っているから飛行機の飛ぶのをやめようということでやめるわけです。そこでいつも私、この飛行機がかりにそういうことで落ちたら、一体どこに責任があるかということを聞きますと、いや、これは気象庁の方と確実に連絡をいたしまして、そうしてやっております、絶対にそういう間違いはありませんという前の局長の答弁だったと思いますが、しかしあそこの飛行機が飛ぶ場合に、大阪から一時間ちょっとかかります。そうしますと、あの辺は南の風が非常にきついところでございまして、場合によっては風なんというものは突発的に起ることがあります。それからさらにあそこのところは気流の関係もありまして、非常にそういう変化がきびしいという場合も起るわけであります。今の路線は不定期と申しましても、実際には定期的に行なっているわけであります。こういうところに、ビーコンがないということは、われわれは飛行機のことは知りませんけれども、通信関係の専門的な立場から見た場合におきましても、非常に危ないという気がするわけであります。一体飛行機が、天候の急変とかいうことで、飛行機自身でなしにその天候によって、この間の南海丸みたいに、天候に左右されてもし事故があったという場合には、一体これはどこの責任になりますか。天候が悪いときには、先ほどあなたが言ったように、大体飛ばないということになっている。ところがその天候が急変するとかなんとかいうことでかりに事故が起きた場合は、これは一体どこに責任があるかということです。今から聞いておかぬと、もし乗って天候の急変によって事故があった場合に因りますので、あらかじめ聞いておきたいと思いますが、今までいつも起ってからあとで、南海丸の問題にしても、問題が持ち上るわけでありますが、私は必ずいつかは何か事故が起りそうな予感がして仕方がないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/44
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045・林坦
○林(坦)政府委員 航空機につきましては、毎時観測をやっておりまして、予報と実況が大体確実でなければ飛びません。従って今のお話の場合には、たとえば伊丹を出る場合に、気象状況がどうであるか等を現地とも連絡をとりながらやっているわけでありまして、途中で天候が急変して現地におりることができないという場合には伊丹に帰って参ります。それだけの燃料も十分積んで飛んでいるわけでありまして、別にそういう場合、ビーコンがあったらよかったのにということにならないような運航方式を使っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/45
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046・森本靖
○森本委員 そういうことで、それでは絶対に事故がないということを局長が保証しているので安心して乗りますが、それはそれといたしまして、そこで今あなたがおっしゃったようなことはたびたびありますので、その点も私はちょいちょい乗って、聞いてみたいと思っておりますが、どうしても何日何日の何時に演説会に着かなければならぬということで、たまたま高い飛行機料を出して乗って、そうして下の方に雲が一ぱいあって着陸ができぬということで、あの飛行場の上をぐるぐる三回くらい回って、またもう一ぺん伊丹の飛行場に戻ってくる。往復二時間かかる。それからその晩の夜行に乗ってようよう選挙区へ帰ったところが、演説会が済んでおった。これは代議士だけではありませんで、ほかの商売任でもそういうことがたびたびあるわけでありますが、そのときの料金は別として、そういうところの営業的な妨害、それから仕事の妨害という点について一体どう考えるか。そういう例が非常に多いのです。あの上まで飛んでいって、急に天候が悪くなって着陸ができぬという場合があるわけです。だから、この飛行機には安心をして乗れぬ、落ちるだけでなしに、そういうことがあってよう乗れぬわけです。だから、そういう点については航空局の方も十分考えて、早急にこの設備をやってもらわなければならぬ。この路線は今満員なのです。大体三日くらい前に申し込まなければ乗れないのです。それだけお客が一ぱいなのです。私はこの収益がどうなっているか知りませんけれども、あの状態ではそう損にはならぬと思う。だから、非常に有望な航空路だという点にかんがみまして、ビーコンについても三十四年と言わずに本年度やれぬものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/46
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047・林坦
○林(坦)政府委員 失礼申し上げました。完全なる定期ということについてはいろいろまだ問題がございますけれども、今のような点につきましては極力急がせまして、来年度くらいには設備ができるようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/47
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048・森本靖
○森本委員 それで私は特に高知のことを申し上げたのはさきに言ったように、何も自分の近くだから言ったのでなしに、全国でたまたまここだけしかないので問題になったわけですが、将来航空路を開拓して旅客機を飛ばすという場合については航空保安の通信設備というものを完備してからぜひともやってもらいたい。特に人を運ぶ場合については、そのことを十分考慮に入れてやってもらいたいというふうに考えておるわけであります。
そこで、私だけが時間をとってもいけませんけれども、この際でありますのでちょっと聞いておきますが、今飛行機と地上との通信はどういう方法でやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/48
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049・林坦
○林(坦)政府委員 超短波のラジオでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/49
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050・森本靖
○森本委員 それは今日全部日本側でやっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/50
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051・林坦
○林(坦)政府委員 たとえば航空交通管制等も含めて申します場合は、航空交通管制は現在まだ米軍の責任においてやっておる関係で、そこと連絡をとってやっておりますが、現実にはそこに配属しておる人間も大部分日本人でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/51
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052・森本靖
○森本委員 だから私が聞いておるのは、超短波ラジオにおいてやっておるところの機上通信の場合は、この機上通信のもとの指令というものは、日本の航空におけるいわゆる統一したものでやっておるのか、それとも米軍の航空管制の中の一環としてやっておるかということを聞いておるわけです。これはそれぞれいわゆる超短波の割当があると思う。日本の航空についてはこれだ、それからラジオについてはこうだ、テレビについてはこうだ、あるいは船舶についてはこうだという、それぞれ波の割当があると思う。その波の割当の中の超短波で機上通信をやっておると思うのですが、超短波の機上通信は米軍の航空管制下の中の一環としてやっておるのか、それとも日本が独自にやっておるのかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/52
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053・林坦
○林(坦)政府委員 電波法に基きまして免許を受けてやっておりまして、相手局は管制局あるいは米軍のセンターという場合はもちろんあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/53
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054・森本靖
○森本委員 だから、かりに免許局のところの免許を受けてやっているとするならば、一応米軍の航空管制の中には入らぬもの、これは日本独自のやり方でやっているもの、こういう解釈をしていいですかどうですかということを聞いているわけです。これは大事な点でです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/54
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055・林坦
○林(坦)政府委員 米軍の方と交信する場合には、米軍の手続に従って交信をしなければなりませんけれども、法規的には電波監理局の監督のもとにやっておる通信でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/55
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056・森本靖
○森本委員 そうするとこれは国内航空、たとえば東京の羽田から大阪の伊丹、伊丹から北九州、さらに北海道の千歳というこの定期航空路の機上通信もそういう形でやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/56
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057・林坦
○林(坦)政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/57
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058・森本靖
○森本委員 そういたしますと、具体的にはこの航空通信の中においても、実際には日本側がやっているものがかなりあるということが言えるわけですか。私の解釈では一つの航空管制の中の一環だと思うのですが、ただそれはたまたま日本側が運営をしておる、こういう考え方ではないかというふうに解釈しておりましたが、そうじゃないですか。航空管制下の航空通信の点についてもう一ぺん念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/58
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059・林坦
○林(坦)政府委員 航空交通管制につきましては、全般的に米軍がまだ全体的責任を持っているわけでございます。従って米軍の方の責任のある航空交通管制のセンターからいろいろと指示が出るわけであります。もちろんそれに携わつておる人間は日本人がもう相当多く入ってやっておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/59
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060・森本靖
○森本委員 だからその辺がちょっとはっきりせぬわけです。免許の許可がちゃんとおりてやっているならば、それは交信をする相手としての取引であって、自分が通信をするという意思を持ってやるならば、その免許局の免許された条件において通信が勝手にできるわけです。ただ相手側と通信をする場合には相手側の同意が要るけれども、しかしそういうことで今日航空通信、機上通信というものが完全にわれわれの自主的にやれるかどうか。それは航空通信というものが全般的にはまだ米軍の航空管制下にすべてありはせぬか。その場合に、通信をどこかとするというときに、その航空通信全体の指令で、あっちの通信はちょっと待ってもらいたい、あるいはこっちはちょっとやめてもらいたいというようなことがあった場合はやめなければならぬ、こういうふうなことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/60
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061・林坦
○林(坦)政府委員 通信をコントロールするといいますか、そういう制限をするというようなことはないのでございまして、航空交通管制のセンターは相手方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/61
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062・森本靖
○森本委員 だから、これは相手がなければ通信ができぬわけですから、その相手方の方からの指示その他によってやるので、やはりわれわれの考えておる通りにできるものではない。こちらが免許局を持っておっても、それはこっちの自主的の方針によって自主性のある通信というものはできるものではない。やはり全国的な一つの一環としてのものである、こう解釈されるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/62
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063・林坦
○林(坦)政府委員 今のお話でややわかりましたが、実際には会社のカンパニー・ラジオを持っているのでございまして、これらの場合には何らそれとは関係なく、自分の会社の相手方であるものと交信をするということもできるわけでございまして、決して通信をコントロールされている、こういうような意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/63
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064・森本靖
○森本委員 この通信関係のことは長くなりますけれども、あなたがそういう答弁をされるので、それではお聞きいたしますが、今の日本の航空関係において割り当てられる波は一体どういうようになっておりますか。航空関係に使用しておるところの波の割当です。わからなければいいですが、今の答弁で私はちょっとまだふに落ちぬ点がありますけれども、これはどうも話が長くなり、専門的な事項になって他の人が退屈せられると困りますので、この辺でやめますけれども、この問題については若干ふに落ちぬ点もありますので、あなたの方でも十分研究をしていただきたいと思うのです。この問題については他日日を改めて私はもう一ぺん質問をして、今の日本の航空通信の内容について明らかにしておきたいと思っておりますので、他日に譲りまして私のきょうの質問は以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/64
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065・赤澤正道
○赤澤委員長 ほかに御質疑はありませんか。――なければこれにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/65
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066・赤澤正道
○赤澤委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。
航空法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/66
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067・赤澤正道
○赤澤委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお、ただいま可決されました本案の報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/67
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068・赤澤正道
○赤澤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/68
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069・赤澤正道
○赤澤委員長 次に陸軍及び海運に関して調査を進めます。
質疑の通告がありますから、順次これを許します。眞鍋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/69
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070・眞鍋儀十
○眞鍋委員 私は道路交通などの問題につきまして、この際政府の総合的な意見を伺ってみるわけでございますが、答弁の方は必ずしも大臣に限ってとは思っておりません。その道のエキスパートの方で私の質問にお答えが願えればけっこうと思いますが、運輸大臣は御用が繁多だと思いますので、一点だけ大臣の御答弁を願っておきます。
それは今まで自動車の免許についてたびたび問題が提起されまして、大臣は個人営業は認めない趣意の御発言をしていらっしゃるわけであります。この点を一つ具体的にお伺いしてみようと思います。事故の起る一番ピークと申しますか、運転手を年令別に検討してみますと、相当の経験を持ち、相当の年令に達しておる者は非常に事故の率が低いということは統計的にはっきりしておるのでありますが、どうでしょう、一つ年令四十才以上にして経験十年以上を有する者、そういう運転手には特別に選考をして個人営業を許す、ただしその所有する台数は一台に限る、こういうことにして十年以上の経験者に個人営業を一台だけ認めてやるということに対して、今までお耳にも入っておることだとは思いますが、どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/70
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071・中村三之丞
○中村国務大臣 私も耳にいたしております。一両持ちと申しますか、個人営業というものの特色は、自分の車でございますから非常に大事にする、またその走行についても慎重にするという長所、美点というものはあると思います。現在は郡部の郊外電車の停留場とか、そういうところに一台おるというものも認められておりまして、そういうところから見ますると、これは私の経験でございまするが、そこにおる人は今おっしゃるように相当経験のある人です。年令も四十くらいの人で、おそらくこういうことに相当従事しておった人だと思いますから、物腰もしごく丁寧であり、慎重でございます。だからある会社なら会社に十年とか二十年とか勤続をして無事故である、またその生計も比較的安定してきたというような人に対しまして個人営業を認めさすということは、これは私は研究すべき課題であると思います。それによってそれらの人々の生計が安定し、またその運転についての経験と、それから自分の一両持ちに対する責任と、こういう点からいって私は長所があると思います。これは率直に申し上げますと、私もあなたと同じような気分は持っておる。これを実際に大都会に適用できるかどうかということを私は今一つ検討してみたいと思うのでございまして、御趣旨のところは私も同感である。これをいつどういう方法で実行するかということは、これは私どもは慎重にやっていきたいと思いまするが、仰せのことは私も全く同感な点があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/71
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072・眞鍋儀十
○眞鍋委員 今日ほど自動車交通の問題が取り上げられたことは私はないと思っております。幸いにして先般交通関係の閣僚協議会もできまして、大蔵、農林、通産、建設、運輸等、そういう方たちが真剣にこの問題を取り上げていただいておりますこともこれが一つの証左だと思いますけれども、一方にはまた自動車の事故対策本部をお作りになりましたその中に、新たに自動車部を設けられておるし、先日はまた警察庁が国の交通警察の担当官会議を開かれまして、真剣にこれを検討されておるようでございます。そこで私はこの際小出しでなしに、政府当局者の将来の自動交通政策に対する意見というものをはっきり打ち出していただいて、それで国民に対する安心感と申しますか、安定感というものを与えていただきたい、そういう観点に立って御質問を申し上げようとするものでございます。
けさの新聞を見ますと、警察庁で発表いたしました昨年の一年間の交通事故の数が出ておるようでございます。実に驚くべき十四万六千八百三十三件となっておるようでありますが、この中で三十二年に死亡しました者だけでも七千五百七十五人となっております。ちまたにはまたこういう数字をつかまえまして、どの戦争で何人死傷者があったか、それと一年間の、自動車事故、交通事故の数字と比較して云々といったような話まで出てきておるような始末でございます。これは外国の話でございますが、アメリカの国家安全会議の発行しております事故の実態というものには、日本の自動車が一万台で六十五人の死亡者を出しておると書いておりますが、アメリカから見ますと実に十倍に当っておるようでございまして、この際何とか考え直さなければならない時期に差しかかって参っておるはずでございます。そこでこれをどういうふうにして解消していくかということについて、一つ一つ私が実例を申し上げて御答弁をわずらわそうとするのでありますが、自動車事故の中で、間接ではございますが、道路工事というものが非常に自動車の交通を妨げておる。これはしばしば取り上げられておるようでございますが、大体は口頭禅で終っております。水道工事がやっとしまいますればガス工事が出る。ガス工事がしまえば電気工事が出る。電気工事がしまえば下水工事が出る。こうして一本の道路を年じゅう掘り返していっておるような始末でございます。そこでこういう不経済な、まことに不統一なロスを今後どういうふうにして解消していこうとしておられますか。ありきたりの解決方法では、なかなか連絡が不十分のようでございますが、新規にどういう構想を持ってこういう道路上のロスを芟除しようとしておられますか。主として警察庁の方から御答弁を願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/72
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073・内海倫
○内海説明員 お答え申し上げます。現在交通の状況を見ておりますと、お説のように道路におきまする工事のために、非常に妨害を受けておる事実はきわめて明白であります。東京都について申し上げますと、三十二年一年間で、約年間七万五千件のものが、警視庁の方に道路工事のための道路占用ということで届出が出ております。こういう状態でありまするので、非常に多数の掘り返しが行われる。このほかに、いわゆる穴ぼこと称する道路の損壊もきわめ多いようであります。なお東京都に届けられたもので、七万五千件のうちで、道路工事の道路を直すために行われたものは、年間三千五百件程度でございまして、あとは大部分が先ほどおっしゃったようなことのためのものと考えられます。これにつきまして警察側としましては、関係方面については極力時期的な調整を行う。同時に一度にいろいろなところに手をつけるというよりも、一ヵ所をやった場合は、関係の仕事はその点においてできるだけ同時に行われるようにしてもらいたい、あるいは交通の状況を見まして、この部分を工事する場合には、この部分の工事はやめて、ここの交通を流すようにしてもらいたいというふうな申し入れを、今までもしばしば行なって参りました。ある程度まではそれが聞き入れられておるのでありますが、依然として今申し上げたような状況でありまするので、各県におきましても関係者の打ち合せを十分了して、少くとも交通の上に生ずる支障を最小限度にとどめるようにしていただきたい。建設省ともしばしば話し合いをいたしまして、建設省の方におきましても、そういうふうな調整について極力努力するというふうな言葉を得ておりまするので、今後につきましては、単なる工事をどうこうというより以上に、積極的なそういう面における調整を、関係機関でやっていくように協力していきたい、こういうふうに私どもとしては希望いたしておる次第であります。そのための努力もいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/73
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074・眞鍋儀十
○眞鍋委員 やはり警察庁の道路交通取締法によって警察署長の認可を得るという形になっておりますから、その面はきっとうまく連絡はとれると思います。ところが、府県の方でやはり直接の自分の仕事としてやっている工事もございますので、府県と、交通の面からいいますと監督の面と、それから運輸省の面とが、ぴったり三者が呼吸を合せなければいけないと思いますが、府県には陸運事務所というのを持っていると思いますが、かりに東京にしませば、東京には陸運局があって、その陸運局の中にまた府県の陸運事務所があるようでございますが、この陸運局の中にある府県の陸運事務所は、一体どういう形になっているのでしょうか。一体府県の陸運事務所の役人はどこの身分で陸運事務所に勤めておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/74
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075・山内公猷
○山内(公)政府委員 陸運事務所は、府県知事の指揮命令に属しております組織でございますが、予算及び人事に関しましては、運輸省がこれに携わっておるわけでございます。職員の身分といたしましては、地方自治法の地方公務員の身分を保有しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/75
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076・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、身分は運輸省であって、命令はだれから受けるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/76
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077・山内公猷
○山内(公)政府委員 府県知事の命令を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/77
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078・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、陸運局の中にある陸運事務所は、身分は運輸省であるが、命令は府県知事から受ける、こういうふうになってくるわけでありますが、三者が一体になるという建前から、身分と命令をする者との間に食い違いが出てくるようなことがないかという心配が起りますが、その点は円滑にいっておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/78
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079・山内公猷
○山内(公)政府委員 そういう事務の連絡につきましては、府県知事は陸運局長と緊密な連絡をとるということによりまして、行政の円滑は期しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/79
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080・眞鍋儀十
○眞鍋委員 私には多少疑問がありますが、それでけっこうです。それでなるべく取締り官憲とも協調せられまして、先ほど申し上げましたような不統一な面を、今後は醜態を繰り返さないようにしていただきたい。これは取締りの面からでございますが、片方道路そのものの面について、これはワトキンスの報告を待つまでもなく、一級国道の七七%はまだ未舗装である。東京―大阪間の幹線一号道路にしましてすら、三分の一はまだ舗装をしていない。こういう面から、一応自動車交通の問題を取り上げていかなければならぬと思いますが、一昨年でありましたかできました日本道路公団というものがあるわけです。それをこれからどういうふうにして監督をしていくか、そういう面で、少し私は掘り下げていってみたいと思いますが、その前に、今度明後日開通になります関門トンネルのことですが、これが料金の問題でだいぶ物議をかもしまして、世紀の開通として祝福しなければならないにかかわりませず、比較的地方でいろいろの非難を招くような事態が起りましたことは、今後引き続いて国道が開通される場合を考慮いたしまして、出発点にあまり思わしくない汚点を印することになって、今後の問題について非常に心配されるものでありますが、通称関門国道トンネルと申しておりますのは、本名は一体何というのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/80
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081・鶴海良一郎
○鶴海説明員 ただいまお話のありましたトンネルの名称は、公式には関門トンネルというふうに申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/81
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082・眞鍋儀十
○眞鍋委員 それは違いはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/82
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083・鶴海良一郎
○鶴海説明員 違いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/83
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084・眞鍋儀十
○眞鍋委員 あれは大阪―門司間の一級国道の二号線ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/84
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085・鶴海良一郎
○鶴海説明員 道路の正式の名称としましては一級国道の二号線でありますが、トンネルの名称はただいま私が申しました名称になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/85
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086・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、あれは建設省が直接工事をするはずであったものを公団に引き受けさせて、それで公団が今度それを経営することになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/86
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087・鶴海良一郎
○鶴海説明員 この道路につきましては、建設省が直轄事業で工事に着手いたしております。工事をやって参りまして、途中で公団に切りかえまして、ただいまでは公団がそれを管理しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/87
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088・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると公団の建設した道路は、これから国道という名前でいくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/88
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089・鶴海良一郎
○鶴海説明員 公団が一級国道を建設すれば一級国道でありますし、府県道を建設すれば府県道になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/89
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090・眞鍋儀十
○眞鍋委員 どうして今私がそういうことをお尋ねしておるかというと、国道法によりますと、大体は無料公開の原則で料金を取らないようにできておるわけです。それを今度おそらく整備の措置法で料金を取ってやられるのでしょうが、この国道の上に賃取り営業を許して、その賃取り営業の上にさらに自動車営業を許す、こういうふうになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/90
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091・鶴海良一郎
○鶴海説明員 自動車営業は公団ではやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/91
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092・眞鍋儀十
○眞鍋委員 私もちょっとわからぬところがあるので教えていただきたいと思いますが、この国道の上の賃取り営業は、まあ料金を取るということは許されるからその問題はかまいませんですが、その上にさらに自動車営業と一般自動車営業というのを許すわけになるのか、こう伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/92
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093・鶴海良一郎
○鶴海説明員 道路公団は自動車営業はできないようになっております。従いまして、道路公団に自動車営業を許すということは考えられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/93
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094・眞鍋儀十
○眞鍋委員 道路公団は自動車営業ができないとなると、その上の自動車の営業というものは、日本道路公団と離れて別に建設省が許可をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/94
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095・鶴海良一郎
○鶴海説明員 道路公団が管理いたしております道路も、これは料金を取るという点を除きますと一般の道路と同じでありますから、これは一般道路の自動車営業と同じように、運輸省の免許を得て自動車の営業が行われておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/95
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096・眞鍋儀十
○眞鍋委員 わかりました。そこで賃取り営業なりあるいは自動車営業なりというものを許す場合の料金は建設省できめるのでしょうが、その料金のきめ方が今度の問題になってきておるわけです。それでこれは、この料金のきめ方が、地元の商工会議所などから言わせると、想像しておったものより四十割も高い、そういうことが問題になってきておるわけですが、この料金の裁定には建設省は大体誤まりがなかったとお考えになっておりますでしょうか。私は別に業者の方から話を受けたわけでも何でもありませんが、問題として取り上げられた以上は一つ筋を通しておかなければいかぬと思いますが、認定された、許可されたあの料金というものは、大体妥当なものであったと今でもお考えになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/96
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097・鶴海良一郎
○鶴海説明員 ただいまのお話の中にあった道路の通行料金の問題と、それから自動車の料金の問題と、両方あったように思うのであります。自動車の料金につきましては、建設省は関与いたしておりません。従いまして、道路の通行料金のみについてお話し申し上げますが、御承知のように関門トンネルの通行料金につきましては、地元で非常に高過ぎる、もっと負けてほしいという要望があったことは事実であります。これにつきまして、すでに認可した料金が妥当なものと考えるかというお話でありますが、料金の算定につきましてはいろいろな不確定な要素もあるわけでありまして、たとえば交通量の推定というようなものにつきましてはいろいろの見方があると思います。公団が推定しました交通量の見込みと、それから地元の人々の、これはどういう方法で推定したのかわかりませんが、推定されました交通量の見込みとの間に、相当な開きがあるわけであります。そういうことから、高過ぎるとか、いや高くないのだというような話が起きてきているわけでありますが、建設省といたしましては、一応公団の推定しました交通量の見込みというものが正しいものといたしまして計算いたしますと、認可いたしました料金は妥当なものになるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/97
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098・眞鍋儀十
○眞鍋委員 この基準というものはこの際はっきり打ち出しておきませんと、これから高速自動車道路というものがどんどんできてきます場合に、一ぺん一ぺんああいう問題がからまってきたのでは、将来非常に災いを起すと思う。今のこの算定の基礎ですが、通過台数などについても、審議会が推定したものが大体六十八万七千台となっているようでありますが、建設省の工事事務所の推定というものも大体百二十六万台となっておるようですね。業者の方は百五十万台をこす、そうなって参りますと、この開きはだいぶ多くなってきております。私は何と申しましても道路というものは無料公開の原則に立たなければならぬものだと思うので、庶民の産業、経済から割り出して、あまり高価なものをお認めになることは、先々またそこへいろいろのこだわりが起ってくると思います。そういう観点に立つと少し高過ぎるような印象を受けております。運輸省にお伺いをいたしますが、今建設省できめられましたこの関門国道の料金は、運輸省の意見としても大体はこれを妥当とお認めになったわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/98
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099・山内公猷
○山内(公)政府委員 関門トンネルの料金に関しましては、一般の有料道路と法律関係がちょっと異なる点がございますので、その点から御説明を申し上げますと、一般の有料道路につきましては、建設大臣は運輸大臣の意見を聞いてから料金をきめるということになっておるわけでございます。ただし建設大臣が直轄していました有料道路につきましては、道路整備特別措置法の附則第三条というのがありまして、公団が新法第三条により有料道路として許可を受けた事項になりますと、運輸大臣の同意を得なくてやっていいということに法律ではなっておるわけでございます。そこで当初におきましては、われわれの方は昨年十二月に一応の料金算定の説明はお伺いいたしたわけでございますが、正式に法律的な意見の聴取でもないので、運輸省としての意見は差し控えておったわけでございます。しかしわれわれといたしましても交通に直結する問題でございますのと、御承知の通り関門隧道のバスの免許というものとも、運賃の関係で関係がありますので非常に関心を持っておりまして、実際上の料金はどのくらいが適当であろうかということは、各地方陸運局にも指示をいたしまして調べておったわけでございます。われわれの立場といたしましては、建設省の算定されましたのは有識者の意見も十分聞かれ、交通量の調査も十分やられた上でのことでありまして、十分根拠があると思います。しかし先般の料金というものは常識的に少し高過ぎるという気がいたしましたので、そういうような非公式な意見は申し述べておったわけであります。それで今般建設省から、この料金につきまして開通祝賀というような意味からいたしまして、開通後三カ月にわたって割引をする、これは正式な意見の聴取を求められております。われわれといたしましては料金の低減になることはけっこうなことでありますので、了承の返事を出しておりますが、三カ月後に旧に復して高くなるかということにつきましては、直ちに御賛成しかねる点があるので、両者の状態あるいはその三カ月間のただいま先生の御指摘になりました交通量の状態というものの実績を見た上できめたいという意見を申し述べてあります。問題はどういうところにあるかと申しますと、現在の国鉄から転嫁する輸送量あるいはフェリー、並びにあそこの連絡船による輸送量という実績がありますが、問題になりますのは、世界にも例のない画期的な交通の変革になると思うのは、本州と九州というものが、今まで海であったものが陸続きになってつながる。その場合の開発交通量といいますか、誘発交通量といいますか、どの程度の交通量の増加があるかということは、見る人によっていろいろ意見の存するところであります。それでは運輸省の見解がどの程度正しいかについても、いろいろな資料に基く推定でございます。この点については新しい交通態勢ができますので、どのくらいの数量がこれで増加するであろうかということは、なかなか交通的にもむずかしい点がございます。たまたま三ヵ月の割引制度というものを実施されるので、その三カ月間の交通の実態を十分研究してから、さらに恒久的な料金の決定はいたしたいという意見を運輸省は持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/99
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100・眞鍋儀十
○眞鍋委員 今の御祝儀相場というものは一応暫定的にきめたものでしょうが、ある一定期間が経過した後には、関門国道トンネルの料金は改訂される過渡的な今のきめ方というわけになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/100
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101・鶴海良一郎
○鶴海説明員 ただいま開通記念特別料金として定めておる料金は、三カ月限りの暫定的なものであります。それから一応恒久的なものとしては、すでに建設大臣が認可した料金がきまっております。ただし三ヵ月間の実績を見まして、交通量の伸びがどのようになるかということを検討して、料金を変更することが適当であるという結論になりますれば、料金は変更することになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/101
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102・眞鍋儀十
○眞鍋委員 大へん含みのあるお言葉でございますので、けっこうです。それ以上には私も追及いたしません。ただここで申し上げておきたいのは、今自動車局長の答弁を聞きましても、建設省の算定基準と運輸省の算定基準とが基本的に合致していないと、数学的な結論は一致してこぬわけですね。そこで道路整備法十三条に意見を求めろと書いてある以上は、運輸省の意見も専門的な意見ですから、相当尊重していただいて妥当な線を見つけるというふうに、なるべく協調的態度をとってやっていただきたいことを望みます。特に料金の方では、通常節約することのできる額をこえないものでなければならぬと特にうたってあるわけでございますから、私どもは、市道であれば別です、国道としてうたい出した以上は、第三者が公平に見て高過ぎる、公団が商売をやり過ぎるというふうな印象を残されないように監督をしていただきたいと思う。それはお願いだけしておきますが、運輸省の方で意見を求められるときは口頭で回答するのですか、書類で回答するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/102
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103・山内公猷
○山内(公)政府委員 意見を求めるのも法律上の条文によりますので、建設省からも書類によって求められます。私どもの方も公文書をもってこれに答えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/103
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104・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そこで関門国道トンネルというこの国道は、どこの財産ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/104
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105・鶴海良一郎
○鶴海説明員 これは公団が管理しております期間中は公団の財産として所有いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/105
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106・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、公団の持っておる国道という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/106
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107・鶴海良一郎
○鶴海説明員 国道を構成する物件の所有権といいますか、財産権は、公団が管理期間中は持っておるという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/107
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108・眞鍋儀十
○眞鍋委員 それで二十六年なり三十年なりすれば無償で国に移管するわけでしょう。そういう意味で国道としてお取扱いになる分はよろしいですが、今度国道を国道に移管するときには、どういうふうにして移管するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/108
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109・鶴海良一郎
○鶴海説明員 国道を国道に移管するということはないのでありまして、初めから国道であり、移管したあとでも同じ性質の国道であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/109
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110・眞鍋儀十
○眞鍋委員 いや、私の言い方が悪かった。今の国道は償還年限がきて全部償還されれば無料公開される国道になるのですね。そのときには国有財産に移管するわけじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/110
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111・鶴海良一郎
○鶴海説明員 道路の種類に応じましで道路管理者がきまっております。その道路管理者に移管いたします、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/111
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112・眞鍋儀十
○眞鍋委員 国に移管するのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/112
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113・鶴海良一郎
○鶴海説明員 道路の種類によりまして所有権が違うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/113
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114・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、償還期限がきて国に移管しますときには、この国道に付属したものもくっつけて全部国に移管してしまいますか、残るものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/114
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115・鶴海良一郎
○鶴海説明員 移管いたします場合に、それ以後無料になるわけでありますから、たとえば料金を取るための施設というふうなものは移管する必要ないと思います。それ以外の道路そのものを構成するものにつきましては移管いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/115
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116・眞鍋儀十
○眞鍋委員 一般の道路観念からしまして、これが付属しているものが完全な道路だ、そういう範囲のものだけを移管して、あと直接道路の構造上必要でないものは公団に残すということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/116
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117・鶴海良一郎
○鶴海説明員 残すと申しますか、もう要らなくなるわけでありますから、それは撤去するなり処分いたすことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/117
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118・眞鍋儀十
○眞鍋委員 私移管の仕方で少し納得のいかぬところがあるのですが、道路そのものが持っていなければならない付属したものは全部移管するときに移してしまうが、今の道路を建設するために特別な恩典に浴して道路に直接必要でないものまで、いろいろの付属物があった場合には、これだけのものはこの国道を作ったときのいろいろないきさつから便宜は得ておるものであるけれども、これだけは公団のものにするということで残せるものがありませんですか、こう伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/118
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119・鶴海良一郎
○鶴海説明員 公団の作ります道路も、これは普通の道路と本質が違わぬわけでありますから、そうよけいなものが作られておるわけではないのであります。ただ普通の道路と違います施設としては、たとえば料金を取るという施設があるわけであります。こういうものは無料開放になれば要らないわけであります。そういうものまで移管する必要はない。これは撤去するということになるわけであります。道路そのものを構成しておる、普通の道路としてこれだけは必要であるというものにつきましては、これは当然一緒に移管いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/119
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120・眞鍋儀十
○眞鍋委員 それでわかりました。残すものもあれば、移管するものもある、二つ考えられるわけでありますから、それは今二十年、三十年先のことをせんさくする必要はありませんけれども、そういう場合に問題が起らないように、限界をきちんと今からきめておく必要があると思います。
それでこの関門だけでなしに、これから高速自動車道路というものができるわけですし、現に名古屋から神戸の方には発足しておるわけですね。この高速自動車道路の上を走る車はどういうものを許して、どういうものを許さないという、車の制限がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/120
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121・鶴海良一郎
○鶴海説明員 これは自動車専用でありますから、自動車以外の車は制限いたします。自動車の中につきまして、自動車もいろいろ種類があるのでありますが、その中である種類のものを制限するかどうかということにつきましては、まだ結論を得ておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/121
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122・眞鍋儀十
○眞鍋委員 私はその車の中でかりに大型とか小型とか、大型ならば許す、小型ならば許さぬ。たとえば中型ならばどれは許すというような問題についてまだきまっておりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/122
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123・鶴海良一郎
○鶴海説明員 そこまでまだきまっておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/123
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124・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、もう一つ問題になりますのは、この高速自動車道路というものができました場合に、それのスピードは一体どういうふうな制限をして、どういうふうな許可をするかということはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/124
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125・鶴海良一郎
○鶴海説明員 スピードにつきましては、今の段階では工事をやっていきますためのデザイン・スピードといいますか、設計速度をきめております。たとえて申しますと、今やっております名古屋―神戸間の高速道路につきましては、平地部は百二十キロ毎時のデザイン・スピードでやっておりますし、山地部におきましては八十キロ毎時、丘陵部におきましては百キロ毎時というようなデザイン・スピードで設計をいたしております。ただこの上を実際に通る車がそれぞれ百二十キロなり、百キロなり、八十キロで通るかと申しますと、これはそう参らぬと思います。車の種類によりまして速く走るものもあれば、若干おそく走るものもあろうと思います。ただいまのところこれを何キロで走らなければならぬというふうな、将来の交通の制限という面につきましては検討中でありますが、設計といたしましては平地部は百二十キロで走っても安全なようなデザイン・スピードでやっていくということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/125
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126・内海倫
○内海説明員 スピードの問題につきましては、道路交通取締法で格都道府県の公安委員会が政令に定める基準に基いて定めることになっております。現行法におきましては普通自動車の最高速度を六十キロと定めておりまするので、高速度自動車国道ができました上は、道路交通取締法の一部改正を行いまして、高速自動車国道を通行する自動車の最高速度というものを定めたい、こういうふうに考えております。その場合とういう程度にこれを定めるかということは、今建設省から説明のありましたいわゆる道路設計で、どの程度までの速度を許容するように設計されておるかということを最高限にいたしまして、実際の交通量を見ましての一応の安全性を算定するとともに、その路上を交通するであろうものの経済問題も勘案いたしました上で、その最高速度を定めるべきもの、従いまして道路の設計が百二十キロであるから直ちに百二十キロに定めるというふうなことにはならないと私どもは考えております。同時にこの問題は最高速度の設定とともに、最低速度の設定も考えなければならないのではないか。そういう意味において最低速度はいかなるところが適当であるかという問題もあわせて検討し定めたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/126
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127・眞鍋儀十
○眞鍋委員 せっかく高速自動車道路というものができましても、その上を走ります車の力で制限があったのではセーブされてしまいますので、その点を一つあわせて御研究おきを願いたいと思います。これはノン・ストップになっておるようでありますが、交差のときには立体交差ときまって、平面交差はないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/127
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128・鶴海良一郎
○鶴海説明員 他の道路等との交差はすべて立体交差にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/128
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129・眞鍋儀十
○眞鍋委員 立体交差にはいろいろありますでしょうが、大体どこの国の方式に従って立体交差をやろうとなさいますか。一般的にいえば、一口にどういう構想でこの立体交差というのはやられるのですか。かりにケースがあるとすれば、どこの国のケースをお使いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/129
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130・鶴海良一郎
○鶴海説明員 立体交差と申しますのは、他の道路をまたいで行くか、あるいは他の道路の下を行くか、どちらかでありますが、またいでいく場合は橋をかけますし、他の道路が上にあります場合には他の道路に橋をかけるということになるので、別にどの国の方式ということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/130
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131・眞鍋儀十
○眞鍋委員 そうすると、今度は名神間の道路にはインターチェンジがあるわけでしょうが、それは一体どのくらいな構想をもって広さをとられていくわけですか。何カ所くらいあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/131
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132・鶴海良一郎
○鶴海説明員 名古屋―神戸間のただいま考えております高速道路につきましては、インターチェンジは十三カ所考えております。一カ所の面積、規模でありますが、これは地形によってそれぞれ違うと思いますが、大体二万坪から三万坪程度要るのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/132
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133・眞鍋儀十
○眞鍋委員 それからここで一つ御勘考願わなければならぬと思うのは、路面の耐久性です。どうもせっかく今舗装したかと思うようなところが一カ月も通っていると、穴があいたりでこぼこしたりしている。これはもう少し、せっかく専門家がおられるのですから、二割なり三割なり耐久力の合理化をするというような案がありませんか。今までの通りですか。高速道路に対しさも今まで通りの舗装方法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/133
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134・鶴海良一郎
○鶴海説明員 高速道路につきましては、特に土質の調査をやりまして、土の安定といいますか、処理といいますか、そういったことに重点を置いてこわれにくい路面を作り上げたい、かように考えております。それで公団の方でも国内の技術だけでは不十分だということで、近く外国からもその専門家を呼ぶような構想を持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/134
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135・眞鍋儀十
○眞鍋委員 これは一つ御研究になる必要があると思うのは、両国に旧国技館がありますが、その下に進駐軍が固めましたスケート場があります。あれを改築するためにずいぶん手をかけてみましたが、どうしてもこのコンクリだけは手がつかない。そこで改装をやめたわけですが、そういう面から申しますと、もう少し御研究になって、耐久力の強い、たとえば輪幅何インチについて何十キロというような、数字的に御研究にならないと、せっかくできた高速道路というものがすぐ表がでこぼこをこしらえるというようなことになると思いますので、この点も一つ御研究おき願いたいと思います。
最後に一つ、これは委員長に御相談してみたいと思うのですが、参議院でもこの交通問題については非常に関心を持たれて、運輸委員会で小委員会を設けて勉強されているようであります。衆議院でも地方行政委員会でこれを取り上げているようでございますが、今日のように問題が重大化して参りますと、最も関係のある運輸委員会におきましても、この問題の解決のために一つ小委員会を設けられて、最善の方法を尽されるようにお取り計らいを願いたいと思います。これは別に動議ではありませんが、そういう御要求を申し上げて私の質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/135
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136・赤澤正道
○赤澤委員長 御希望ごもっともだと思いますので、理事会に諮りまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/136
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137・井岡大治
○井岡委員 資料の要求をしておきたいと思います。国鉄要員の事情について、これは定員並びに予算定員、配置定員の実情はどうなっているか、それから現在臨時職員を非常にたくさんお使いになっているが、臨時職員の実態、それから臨時職員の配置の状況、給与、第三点は国鉄五カ年計画の実施の状況、第四点は昭和三十三年度の工事計画の詳細な資料以上四点の資料要求をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/137
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138・赤澤正道
○赤澤委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後は一時三十分から再開することにいたします。暫時休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
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午後二時十一全開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/138
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139・赤澤正道
○赤澤委員長 これより再開いたします。
陸運及び海運に関して調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。松尾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/139
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140・松尾トシ子
○松尾委員 トン税問題に関連いたしまして、港湾の実情についてちょっとお伺いを申し上げます。
わが国に画期的な港湾法が通りまして、港湾法が通った暁に関係地方団体には港湾管理権というものが与えられまして、港務局あるいは地方団体においては港湾の管理並びに建設、改良、開発、役務というようなことを担当することになっておるのですが、これらの業務を行う場合の経費は、港湾の管理、運用に伴う収入でまかなうというのが財政原則になっていることは承知しているのですけれども、今の実情に照らしますと、収入と支出が相見合わないで非常にやりにくいという形になっているそうですけれども、これらの面にどういうふうな御見解を下していらっしゃるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/140
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141・天埜良吉
○天埜政府委員 お話のように港湾法ができましてから、各港湾について港湾管理者というのを設定いたしまして、港湾管理者の使命といたしましては、港湾の開発、管理、経営ということをいたすことになっております。これが管理費は相当の額を必要といたします。一方港湾管理者の収入となるべきものにつきましては、これは港湾施設の使用料あるいは役務の利用料、そういうものでございまして、これがともすれば管理費に及ばないという状態でございますので、これについては極力港湾管理者の収入の道をはかれるように考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/141
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142・松尾トシ子
○松尾委員 そればかりでなく、このごろに至りましては国の直轄工事に対する地方公共団体の負担金も非常にふえまして、私の選挙区なんかの実例をあげますと、少いときで四千万円くらい、多いときは六、七千万円ほどの経常費を一般会計から繰り入れなくては、やっていかれないというふうな格好になっているそうです。それにつけても港湾法がありながら、この港湾法を全面的に実施することができないような機構になっているということが、非常な隘路になっているというふうに伝えられておるのです。たとえばある場所は厚生省に、ある場所は大蔵省に、あるいは税関直属、海運局にというふうになっておる関係から、どうも運営上まずい。将来港湾法を一本化いたしまして、行政の簡素化をはかることが最も適切ではないかというふうに言われておるのです。もっとひどく言いますと、港湾法はあってなきがごとくで、ときにはじゃまになるようなときもあるというようなことさえ地方では言っておるのですけれども、この改正を行う御意思があるかどうかをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/142
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143・天埜良吉
○天埜政府委員 港湾の修築に対して地方の負担が相当大きいということは、これはかなりな額になっておるのでございますが、しかしこれについては国といたしましては、起債の量を全面的に見るというようなことでまかなっていくようにしておるのであります。なお先ほども管理費について直接の収入が十分でないので、一般会計から港湾管理者の方の支出に補うために繰入金などをやっておりまして、こういうのはなるべくそうでないように、港湾法の趣旨のように管理者の収入をあげて、そうして管理費をまかなっていけるようにというふうなことで、財源を見つけるということについてはいろいろ研究いたしております。なお港湾のいろいろな手続その他の簡素化というようなことにつきましては、港湾の管理者にいろいろなことを委譲するというようなことで、これについてもいろいろ研究はいたしておりますが、ただいま直ちに港湾法を改正するというような段階にはまだ立ち至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/143
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144・松尾トシ子
○松尾委員 話をまた逆に戻しまして、港湾法が通ってから直後今日に至るまで、いわゆる経常費の足りない部分、こういったものを補てんする意味から、ただいま大蔵省が管轄しているトン税というものを地方自治体に経常費として譲与するというようなお考えは、港湾局長としてはいいものですか悪いものですか。それともかつてこういうような方向で大蔵省に勧告といいますか、御相談、話し合いをしたことがあるかどうかをちょっとお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/144
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145・天埜良吉
○天埜政府委員 ただいまの点は実は御承知の通り昨年四月からトン税が改正になりまして、従来外国貿易のために本邦と外国との間を往来する船舶について、純トン数一トン当り五円でありましたものが八円に値上げをされております。それから特別トン税というものが設けられまして、純トン数一トン当り十円というのが新たにかけられまして、これは特別トン譲与税というのを同時にやりまして、開港所在の市町村に譲与するということになっております。お話の点はその純トン数一トン当り五円が八円になりました、このトン税を国で取らないで港湾管理者にこれを渡すようにということであろうと思いますが、これにつきましてはいろいろ研究はしておりますが、まだ直接に大蔵当局と折衝したという段階までには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/145
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146・松尾トシ子
○松尾委員 では大蔵省の方にお尋ねいたすのですが、二十六国会の末期のころにこれが問題になりましたとき、将来―カ年間研究期間を与えてもらえば、このトン税を地方自治体に譲与することを研究してみる、こういうようなことも答弁なさったそうですし、あるいは場合によっては特別措置で委譲することもできるかもしれない、こういうような御答弁があったそうですが、この点についてお答えを願うと同時に、噸税法として国際条約か何かがあるのかどうか、こういう点も一つお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/146
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147・加治木俊道
○加治木説明員 前の国会で、今仰せられたような答弁をだれか大蔵当局の者がしたかどうか、私案は当時日本におりませんでしたので、つまびらかにいたしませんが、いろいろ問題となりましたことは十分承知いたしております。われわれが現在この問題をどういうふうに考えるかということを結論的に申し上げますと、やはりトン税は何といいますか、港湾使用の対価というような性質のものではない。やはり収益というものに着目した船舶の一種の流通税的な、そういう税金である、かように考えております。従って港湾使用の対価としての意味合いで、これを港湾管理者に当然還元すべきではないかということには、にわかに賛成しがたい点があるのではないか、かように考えております。
それからもう一つ、大体トン税は各国との通商条約上、通常の場合関税と一緒に政府が最恵国待遇なり何なりの約束を与える慣例になっております。関税だけが取り上げられて、トン税が問題にならないという例はないようであります。これは条約でございますから、条約の内容によってはどういう内容にしてもよろしいのでありますが、いずれにいたしましても、通常通商航海条約上国際的に関税と一緒に問題にされますので、国家が約束する場合に、やはり国家が直接マネージできるような、国の直接の税といたしておった方が都合がいい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/147
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148・松尾トシ子
○松尾委員 御答弁の中に、問題になりましたときに日本におられなかったというので、それはもっともなことでございましょうけれども、昨年問題になりましたときには、これは別に考えてやる方法があるのではないかというふうにおっしゃられたのです。私の考えでは、従来ずっと明治以来から取っていたトン税というものは、国が港を管理していた当時の遺物ではないかというふうにも考えられるので、この際地方自治体の窮乏な状態からしますと、ぜひ何かいい方法を講じて、譲与してあげる方法を講じていただきたいと思うのです。それにつきまして、これはしろうと考えですけれども、トン税として解釈をしているために地方に譲与できないということでしたら、港湾法の四十四条の二「港湾管理者は、当該港湾に入港する船舶から、当該港湾の利用につき入港料を徴収することができる。」政令に定めた船舶はこの限りではない、というようなことがありますので、入港料として取るわけに参らないのでしょうか。いわゆる噸税法というものは別途に扱って、入港料を取る。従いまして外国船の場合や何かの振り合いもございましょうけれども、こういった考えはどういうふうにお考になるかを御指示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/148
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149・加治木俊道
○加治木説明員 入港料の問題は別建になっておりますので、トン税がかりに取られておっても、入港料は入港料として徴し得る制度になっていると思います。従いましてそれぞれの地方当局の状況に応じて、必要な入港料を徴収すればいいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/149
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150・松尾トシ子
○松尾委員 そういたしますと、いわゆる地方の港湾局で、自分の考えからトン税は別にして入港料を取ることもできるわけですね。ただし港湾に出入する船舶に対する影響というものも考えなければならないのですけれども、今ほどに、それをやりましたときにスムーズに運行できるかどうか、お見通しがございましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/150
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151・加治木俊道
○加治木説明員 港に入りました場合に、船にはいろいろなチャージがかかるのであります。入港料も一種の港湾使用の対価と考えられますけれども、そのほか岸壁とかブイの使用についても通常その対価が取られております。それから引き舟等がもし港湾管理者の運営に属するものであれば、そういうものの使用料も取られております。従いまして単純に入港料だけで比較することができるかどうか。荷揚げに要する費用等もやはり一種のチャージがかかるわけであります。そういう全般的な船にかかる負担といいますか、あるいは運んできた貨物にかかる負担といいますか、そういったもので総合的に検討せられて、それぞれの具体的な状況に応じて港湾当局者の方で御判断してしかるべき問題じゃないか、かように考えます。
〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/151
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152・松尾トシ子
○松尾委員 そうしますと、この前の船舶の固定資産税が半減になりましたときに、三つの法律ができまして、結局のところは、そのときに全体をひっくるめて、従来一トン当りトン税が五円だったのを十八円になったのですけれども、その十八円のときに、トン税という法律はやめてしまって、全部をいわゆる特別トン税として譲与に充てるということはできなかったのでしょうか。ただいまの御説明によりますと、関税と伴って、トン税というものが裏にかくれて問題視はされておらないけれどもというような御説明とにらみ合せますと、昨年の三十二年四月一日から施行されましたときに、トン税はやめにして特別トン税として全部ひっくるめて十八円取って、国庫に収入するのをやめて全部譲与するというようにはいかなかったものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/152
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153・加治木俊道
○加治木説明員 去年の措置は、大体トン税は、日本のトン税は当時五円でありましたが、各国の状況を調べますと二十円から五十円というような状況になっております。従ってわれわれはかねてからトン税を適正な金額にまで改正すべきでないか、かように考えて、五円を当時は大体二十円程度まで上げるつもりで立案しかかったのであります。ところが一方日本の船舶については国定資産税がかけられておりまして、もしトン税を二十円に引き上げますと、日本籍の船舶だけについて固定資産税という負担がかかっているために、外国の船舶との競争上不利である、こういう問題が起きたのであります。従って地方税当局の方で、そういった点で、船舶のトン税を引き上げることによって特に日本の船舶が不利となる、今までよりもさらに不利となることのないように、大体他に見合った分だけは、船舶の負担となる分は引き下げる。大体半減いたしたのであります。これによって総額で計算しますれば、固定資産税の引き下げ額による利益の方が、トン税の増徴額――トン税というのは特別トン税も加えてですが、トン税の増徴額よりも利益になる方が大きい、こういうように考えて、大体その引き下げ額を決定いたしたのであります。ところが固定資産税を下げますと、それだけ地方財源の方に穴があきますので、しからばこれをどうするかということになりまして、たまたまこれと措置が関連しましたので、最後には十八円ということになったのでありますが、十八円のうち十円を特別トン税という名目で取ってこれを譲与税という形で地方に分与する。当時の見積りでは地方公共団体と固定資産税の減収題よりはトン税譲与の形で受ける利益の方がやはり大きい。地方当局も、また日本の船主にとってもいずれも不利益はない、むしろ若干利益になる、こういうようなことで、そういう措置をとったのであります。従いまして、これはもっぱらそういう日本の船舶に対する考慮、これに対する地方税当局の影響、副作用をある程度カバーするという意味合いで一部を分与する、こういうことにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/153
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154・松尾トシ子
○松尾委員 ある程度話はわかりましたけれども、六大都市の港湾を持っておる都市の人たちの陳情によりますと、どうも経常費が足らないで、一般会計の窮乏をなおさら圧迫するので、何とか国の方から管理経費の方も見てもらいたいというのが要望なんです。お話を聞いておりますと、トン税とは別個に入港料というものは考えても差しつかえない、こういう御説明でしたが、日本の今の重要港湾の都市において、入港料を取っても差しつかえないような状態にあるかどうかを港湾局長からちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/154
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155・天埜良吉
○天埜政府委員 入港料を新たに取るかどうかという問題は、このところずっと研究はしておるのでございますが、入港料というもので取るべきか、あるいは現在の岸壁の使用料というようなのをもう少し高くすべきかというような点にいろいろ問題がございますので、今そういうような点について、特に研究をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/155
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156・松尾トシ子
○松尾委員 それはいつごろ結論が出るでしょうか、ちょっとお教えを願えればけつこうなんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/156
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157・天埜良吉
○天埜政府委員 これには私の方も入りまして非公式な研究の委員会を作っておりますが、まだ結論というところまでには至っておりませんけれども、なるべく早くこの点も考究して、結論を出したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/157
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158・松尾トシ子
○松尾委員 もう一点大蔵省にお伺いしたいのは、従来トン当り五円でしたので、上った分の三円でも、いわゆる特別トン税の中に入れて地方に譲与することはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/158
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159・加治木俊道
○加治木説明員 先ほど申し上げました通り、トン税は、税金の性格上国で徴収するのが適当でないかと実はわれわれは考えておるのであります。従いまして、港湾局の方で財政上非常にいろいろ問題があるということであれば、そういう意味の問題として別個に何らかの解決策を見出していただけないものであろうか、これを直ちにトン税と結びつけて初めて解決せざるを得ない性質のものであるかどうかという点について、いささか私むしろ疑問を持っておるものでございます。従いまして今の御質問に対しては、大へん大きな問題でございますので、私限りでは御答弁いたしかねますが、私はむしろ消極的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/159
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160・小山亮
○小山(亮)委員 ちょっと関連して。加治木業務課長にお伺いしますが、今課長のお話では、トン税の性格上、これは国の税金として国が直接取るべきものだというふうなお話でございましたが、トン税の性格は諸外国の実例を見ましても、これは港湾を使用するものが、その港湾にいろいろな設備をするために費用を多く要しますので、そのためにかけられた一種の目的税であるというふうに私は思っております。諸外国のトン税発生の当時の性格から、これは一つの目的税のような性格を持っておるものである、こう私は思っておる。だから国は外国の船や日本の船が港に入ってくる、そういう船に対しては税金を取り立てる、たとえば一日のうちに二つの港にも三つの港にも入る場合に、どの港でもみんな税金を取り立てる、それは国の収益として取り立てるという意味でなくて、いろいろな設備のある港湾に入るのであるから、そのために船が金を払っているのだというふうに私は承知しているのですが、そうではないのですか。大蔵省のトン税に対する解釈をいずれゆっくりあらためて御質問申し上げたいと思いますが、この点についてもう一度おっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/160
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161・加治木俊道
○加治木説明員 これはいろいろ疑問のあるところでございまして、各国の実例を見ましても、トン税のほかにそれぞれの岸壁の使用料等――港湾の設備を使用するについての使用の対価というものは、別個にまた徴せられているのが大体の状況であります。従いまして港湾使用の対価というような意味では、むしろそれぞれの設備の使用料として徴せられてしかるべきではないか、トン税はむしろそのトン数によって表現された船の収益力といいますか、これはいわば流通税的な意味合いをもって船舶から徴収する、こういうふうにわれわれは解釈いたしております。しかしお説のような説もあることも私承知いたしております。なかなか議論のあるところでありますが、われわれはさように解しているというふうに申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/161
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162・小山亮
○小山(亮)委員 なるほど岸壁使用料もある場合には払いますし、あるいは浮標の使用料も払いますし、その他必要な税金というものは払いますが、それは船が岸壁を使用した場合には岸壁使用料を払う、港に入っても岸壁を使用しない場合には岸壁使用料を払いませんから、浮標を使った場合には特定の浮標を使ったものに対しての金を払うのであって、浮標を使わない船でいかりでもってとまっている場合には、何も浮標の使用料は払わないのです。灯台の税金も払いますが、それはその付近を通って灯台を見た船が払うのであって、灯台の付近に行かないで、その灯台を使わなかった船は払いはしないのです。港に入るトン税を払うのは、港に入った船です。その船がそこで払うのですから、これは私はあくまであなたのおっしゃるように、だれでもかれでも港に入った船は全部取るのだというのではなくて、これは一種の目的税としての性質が含まれているものである、従って今松尾委員が質問されましたように、今度税率の改正によって地方の財源が著しく収入減になった場合には、国家はこれに対して地方の財政の窮乏を援助する意味において考慮してやる必要がありはしないか、改正をした結果、収入が著しく減ったがために苦しんでいるということになれば――著しくというふうな程度でない、負担を軽くする意味において一応考慮してやる余地がありはしないか。それはあなたに考慮する余地があるかないかということをここで聞くのじゃございませんけれども、私は税金の性格上、トン税という特殊の税金に対しては、六大都市の要求というものも無理からぬことなんだから、こういう点に対しては特に考慮してやる必要がありはしないか。大蔵省はむしろ何もトン税を取り立てなければやっていけないのではなくて、ほかの収入が関税でも何でもいろいろあるのですから、トン税は地方の財源としてこれを割愛してやってよい性質のものだ、私はこう思うので、これは大蔵省においては今すぐにどうしろとか、こうしろとかいうのではない。これは一応考慮してやる余地がありはせぬか、こう私は思うのですが、重ねて御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/162
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163・加治木俊道
○加治木説明員 私の答弁に余るような内容でございまして、帰りましてよく御意見のほどは上司に伝えておきますけれども、確かにブイや岸壁を使わない場合には、ブイの使用料とか岸壁の使用料はございません。しかし日本でも入港料を取るか取らないかは運輸当局の方で御研究になっておりまして、いろいろ問題があろうと思いますが、各国ともそういう船が単純に入るというだけについて、トン税のほかに徴収している例はあるようであります。それからかりに目的税というふうに考えるとしましても、果してそれでは地方の経費に直ちにこれを結びつけ得るかどうか。政府も港湾のために、私ちょっと今つまびらかにしておりませんが、百億近い経費を使っております。トン税は総額でせいぜい十億見当のものでございます。従いましてこれによって得られる収益と、現実に国が港湾の建設費等でに負担している金額とでは、相当な開きが現在でもあるような状況であります。地方財政の窮乏その他についてどうするかという問題は、一般的な財源調整の問題として考えていただいた方が適当ではあるまいか。もっと大きい場で考えた方が適正な答えが出るのではないか。これは私限りの考えた点を申し上げているのでありまして、あるいはもう少し関係方面ともこういう問題については折衝してみなければわかりませんが、一応よく御趣旨のあるところは大蔵省に帰りまして、上司の方にもお伝えいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/163
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164・小山亮
○小山(亮)委員 今おっしゃったように、なるほど日本の各港湾の施設に対して投じておる金は百億をこえております。トン税としての収入は十億くらいなものだとおっしゃる。そんなささいな収入であるならば、なおさらそんなものをあまり当てにされないで、地方の財源の方に回してやったらどうかという意見も成り立つのです。私に言わせれば、海外貿易をやって日本の収益をふやそうというのですから、港の設備をするということは当然なんです。船が安心して入れないような港の設備をやって、収益だけをふやそうといったってこれは無理なんです。たとえば御承知のように現在では船の構造が戦前と違って大きくなりまして、戦前にはとうてい想像のつかなかったような船が今日はどんどん建造されております。日本の近海ですと、戦前は一万五千トンくらいの船が大きな船であると言われておりましたのが、戦後はそれがどんどん大きくなった。それはどういうわけかと言えば、私が申し上げるまでもなく、スエズとかパナマとかいう運河の深さで、それを通過してくる船はトン数が制限されておったのが、スエズ、パナマの運河を使わないで、直接南米のベネズエラだとかその他の方面から、油や鉄鉱などというものをどんどん運んで来られるような状態になったので、八万トンとか六万トンとかいう船がどんどんできるようになった。そうするとスエズ、パナマを通過しない大きな船がどんどん東洋と西洋との間の往復ができるようになった。従ってこれから日本に八万トン、十万トンの船がどんどん入って参ります。しかるに日本の港はどうかと言えば、八万トンの船が入る港は残念ながら一港もありません。わずかに四万五千トンないし五万トンですと、和歌山県の下津がようやく入れるだけで、その他の港はどこも入れるところがない。そうすると日本は取り残されるのです。急速にこれだけの船が入れるところを作らなければならぬ。それは全部の開港場をやるというわけには参りませんから、これは大蔵省の方もよく承知しておられると思いますが、たとえば東京湾においては一港、伊勢湾においては一港、瀬戸内においては一港、北海道は一港、九州一港という五港くらいのところを、八万トンくらいの船が楽に積荷ができ、あるいは荷揚げができるというところを作らなければいかぬ。これは私は大蔵省の方も考えておいでになることだろうと思うのです。それだけのためには数百億の設備費を必要とします。しかしそれによって、どこの国のどんなりっぱな船も、日本のりっぱな設備のある港で安心して荷役ができるということになれば入ってくるのですから、それ以上の収入を日本ははかり得るのです。そういうわけですから、これは将来の収入を見込んでの設備費としてこれだけのものは当然国家が出すべきものだ。しかし船が出たり入ったりするところの港は違うのです。横浜に船が入港するのは、横浜の港の利益のために入るのではない。国全体の利用するところの品物を持ってくるのです。そうすると横浜の港はただ通過するだけですから、それがために一切の費用を地方の細い財政に負担をさせようということは無理で、これはあくまで国がめんどうを見なければならない。そういう横浜であるとか、東京とかいう港を持っているところのものが得るところの収入というものは、わずかにトン税だけでしょう。私はトン税は目的税としての性質を持っているものだと考えるがゆえに、これをなるべく多く地方財政の苦しい方に回してやるべきだと思うのです。これは意見の相違だとおっしゃるが、先ほど入港税ということをおっしゃいました。しかし日本だけが、あるいは特定の港だけが、入港税を作るということはなかなかむずかしい。日本が入港税を取るということになれば、相対的なものでありますからほかの国も取ります。そうするとものの値段が高くなるし、従って税金も高くつく、そういうところへは船を回してきません。なるべく費用の安く済むところに船を回す、そういうこまかい計算をしなければ船を運航させないのです。そういう意味からしまして、費用が要るから入港税を取っても差しつかえないじゃないかというようなことは軽々しく言えないと思うのです。それですから、外から入ってくる船も安心して入ってこられるようにするためには、なるべく費用がかからぬようにしてやるという親切な行き方でなければならぬと思うのです。そういう意味からいって国が負担するのが当然であって、地方財源に多く負担させるということは無理じゃないか。税制改革をしましたために、地方財政というものが多くの負担をしなければならぬということになって苦しいという声があれば、それに耳をかしてやる必要がありはしないかと思う。ただあなたとしては今ここで共感をしたようなことをおっしゃるわけにはいかぬでしょうけれども、これは今後の問題として十分御考慮願いたいと思う。ただいかぬとおっしゃらないで、できはしないかという前提のもとに、やってやろうというように御考慮願いたいと思う。重ねての御返事がいただけたらいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/164
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165・加治木俊道
○加治木説明員 私も港の仕事に関係いたしている者の一人としまして、ことに貿易立国という日本の国是からいきましても、現在の港湾の状況をもう少し大幅に改善しなくてはならない状況にあることは承知いたしております。従いましてわれわれはそういう観点からも――これはむしろ港湾の設備ということになりましたら、運輸省の所管でございますけれども、できるだけ関係方面にも働きかけているつもりでございます。従いましてそういう意味におきましてのお説は全く私も同感でございます。ただ直ちにこれをトン税と結びつけて、しからばトン税を地方に付与すべきではないかという点につきましては、必ずしも現在のところそういう意見は出ていないのであります。しかし重ねての御質問、あるいは仰せでございましたので、御意見のあるところは帰って十分上司に伝えた上で検討してみたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/165
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166・松尾トシ子
○松尾委員 この際自治庁の奥野税務局長が来ておられますから、この点に関する御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/166
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167・奧野誠亮
○奧野政府委員 おくれて参りまして恐縮でございますが、どうしてトン税の一部を港湾所在の市町村に譲与することになったかというようなお話もあったようでございます。当初外国航路に就航しておる船舶を所有している人たちから、外国船との競争の関係もあるので、外航船舶に対する固定資産税をやめて、そのかわりトン税一本で取ってもらう、必要な部分はそのうちから市町村へ譲与してもらえばよろしい、こういう見解の表明があったことが始まりでございます。そうすれば外国船と日本船とが全く同じ負担で競争できるのだ、そこでそういう意見もございましたので、外国との競争も考えまして、従来から外航船舶の固定資産税は、普通の船舶の固定資産税の三分の一の負担に軽減しておったわけでございますが、それをさらに半減いたしまして六分の一の負担に軽減をしたわけでございます。その減収と見合いまして、トン税の一部を市町村に譲与することにしたのであります。ところがその後に、外航船舶の固定資産税を下げたものでありますから、国内におきましては内航船舶の負担の均衡の問題が起って参りまして、内航船舶に対する固定資産税の負担も軽減せざるを得なくなったわけであります。そうしますとその結果起って参りました減収は、トン税の一部譲与では補てんされなかったわけであります。そこで昨年特別噸税法を制定いたしましたときに、特別トン税に回すべきものをもっと多くすべきだという議論がずいぶんあったのでございますトン税の一部を市町村に譲与するということにいたしましたならば、今のように十円分の譲与でいいのか、もっと譲与分を上げるか、あるいは全額を譲与するか、これは私は理正論的な問題ではないと思います。沿革の問題なり、あるいは港湾所在の市町村の財政をどう考えるか、他の地方交付税制度、あるいは国費、地方費の負担区分の制度、その他の諸制度と総合的に検討して結論を出せばよろしい問題だ、かように私は考えています。
もう一つ、今小山さんもお話しになりましたように、港湾があるからトン税収入がある、港湾と非常に結びつきの深い財政収入のものでありますから、自然港湾の経費を負担する市町村の財政収入にしてもらいたいという気持が起ってくるのも、私は無理からぬことだと思うのであります。これは今も申し上げましたように、理論的に幾らでなければならないという問題ではない、全額を譲与してしまっても差しつかえない問題だろうと思いますが、その場合にはやはり港湾所在の市町村の財政状況ということも、頭に置いて検討しなければならないことだと思うのであります。今後なおただいまのような御意見を基礎にいたしまして、政府部内でも十分検討をして参りたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/167
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168・松尾トシ子
○松尾委員 よくわかりました。この際大臣に、こうした諸問題をどういうふうに片づけていくか、あるいは今後も非常な努力を傾けていただきまして、いわゆる小山先生の言う目的税的のものでありますから、地方に譲与できるように御奔走願いたいと思うのですが、大臣の御見解を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/168
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169・中村三之丞
○中村国務大臣 目的税としてそれを地方に移すということも一つの考え方でありますが、地方の財源をもっと根本的にどういうところに確保していくかということにあると私は思うのであります。そういう大きな立場からもっと研究していかなければならぬと思います。港の方はこれは今運輸省の関係で、現在貿易港、工業港あるいは一般地方港湾は陳腐化しておりますから、こういうものを近代化していく、こういうことにわれわれの方で努力をいたしておるのでありますが、そういう方面に私は特別会計の設置を主張して参ったのであります。今後港そのものの設備を近代化していく上において、一般会計からよけい経費を取っていく、ことしは昨年に比べて三億円ほどふえておりまするけれども、こういう意味においてむしろ積極的に私はやっていきたいと思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/169
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170・松尾トシ子
○松尾委員 今の状態からしますと、なかなか見解がまちまちでございますので、要は運輸省の方からもっとたくさんの港湾費を地方に出すことが一番適切ですし、将来港湾行政がもっと発展するようにするためにはまだ時間的にかかりますから、その間において、結局経常費の足りない分を、窮乏している地方自治体の一般会計から出さなくてはならないようなことを排除していくために、大蔵省にお願いしているのです。ですから先のことよりもただいまのところ大いに大臣に努力を傾けていただく、言いかえますると大蔵省から今国庫に入っているところのトン税を譲与していただくというのが、一番手っとり早いのです。大蔵省としましてもこれについて検討していただくということにして、私は質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/170
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171・井岡大治
○井岡委員長代理 中居君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/171
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172・中居英太郎
○中居委員 私は鉄道の問題に関連いたしまして、国鉄当局並びに運輸大臣初め運輸当局に一、二の御質問を申し上げたいと思います。
その前に一つ大臣に確かめておきたいことは、一昨日の当委員会で、ここにおられる松尾さんが、現在運輸省で懸案になっておる私鉄運賃値上げの処理をどうするのだという質問をなさったのに対して、大臣は、結論を簡単に申し上げますと、おれの在任中ほそんなことはしないということを御答弁なさっておるわけであります。私はその結論を聞いてまことにけっこうだと思っておりまするが、ただそれだけでは、そういった短かい言葉だけでは、この問題のすっきりした運輸当局の考え方が私どもには納得いかない。そこでどういう経過を経てさっき申し上げたような、自分の在任中には許可するわけにはいかない、こういう結論になったのであるか、もう少し親切に、審議なさってその結論に至るまでの大臣の心境を重ねてお伺いいたしたいと思います。
それからもう一つ、鉄監局長が見えておりますから、この際一体地方鉄道の何社がどの程度の運賃改訂の申請を出しておるか、そしてそれが現在どの程度認可されたか、そうして懸案のものはどういうものであるかということを、鉄監局長からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/172
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173・中村三之丞
○中村国務大臣 私鉄の場合は、いわゆる大私鉄十三社でございますか、これと、それから中小私鉄と、やはりこれを分けて考えております。大私鉄につきましては、日本の経済が回復をし、その経営も、単に赤字だから値上げするというふうではなくして、ほんとうに経営の合理化、サービスの改善ができるようになることを希望し、ことに輸送力の増強をやってもらわなければならぬ。しかし輸送力の増強のためにはやはり値上げをしなければならぬというのが私鉄側の意見なんです。しかし私はそれは今日の低物価政策をとっておりまするときに、政府が許可認可権限を持っておりまするものをどんどん競争的に上げて参りまするならば、これはやはり物価の上昇を刺激し、一般大衆の生活を脅威するというので、現にラジオの聴取料なども上げておりません。そういう意味で政府が許可認可するものはなるべく抑えていきたい。しかしこれは私が松尾さんの御質問にお答えいたしましたごとく、一つのストップでございまして、将来日本の経済がよくなり、家庭の生活の吸収力が出て参りまするならば、適正な運賃料金にしていかなければならぬという点は私は見通しておるのであります。ただ現在私鉄は軌道事業そのものだけを切り離して見ますると、必ずしももうけておるとは言えません。しかしながら兼業におきまして相当成績を土げております。しかもその兼業というものは、自分の線路を敷いておる沿線の人のお客ということからも成り立っておるのみならず、これによって私鉄の経営は、大私鉄は今のところそう悪いものではない。しんぼうしてもらってもその余裕力はある、こういうふうに見まして私は今ストップをいたしております。この間松尾さんは選挙の前にやるのかやらぬのかとおっしゃったけれども、私はそういう選挙目当てに考えておりませんと申したのであります。まず景気がよくなるのは、この下半期から日本の経済は正調を取り戻していくというように私は見通しておりますけれども、私の在任中そこまでいくかどうかわかりませんから……。ちょっとざっくばらんの言葉を使い過ぎましたけれども、私の一応の心境を申し上げたわけでございます。それから中小私鉄は、これは経営の実際を見まして成り立たないものもあるということは、これは独自で増資もできません。といって借入金もできませんから、改善費を値上げしていただくという意味で許しております。ほとんど中小私鉄はある程度の最小限の料金の改訂は許したと私は記憶いたしております。ことに最近五、六を許しました。それは関東方面で、一つは関西方面です。すべて監査さしましたところが、レールは曲っており、犬くぎは抜けて、駅舎というものはぼろぼろである、電柱も腐っておる、これを捨てておきますと安全に関係いたしまして、もし万一脱線したとか、人を殺すようなことがありましては大へんなことでございますから、こういう方面は値上げ分は必ずこれを線路の整備、あるいは停車場の改良、こういうことに充ててもらいたいという条件付で許しております。それがために多少改善されておるところもございまして、現に横浜の近くのある私鉄のごときは、まだとびらを手であけておるそうです。これでありますからラッシュになるとそこに人がふら下る、こういうものは自動的なとびらにしてもらう。あるいはある駅には駅長一人だけしかおらなかったというところは、改善命令を出しましてやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/173
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174・權田良彦
○權田政府委員 私から補足して御説明いたします。私鉄は大体わが国で百七十六社ばかりございますが、そのうちいわゆる大手私鉄十三社の旅客運賃はただいま審議中でございまして、三十二年の六月下旬から七月上旬にかけて認可申請がございました。これはただいま運輸審議会の方に回して、運輸審議会でまだ最終決定をいたしておりません。これは大臣のおっしゃったような方針で臨んでいるわけであります。その他中小私鉄の旅客運賃につきましては、運賃の認可申請がありましたつどその内容を慎重に検討いたしまして、さらにその輸送諸施設について厳密な技術監査を行いまして、その結果運転保安の確保、輸送力の増強並びに企業の健全化をはかるためにこれを認めることが適当であるというものについては、運輸審議会の答申を待ってそのつど個々に行政処分をいたしておりますが、ただいまのところ一月二十三日現在で申請中のものは、先ほど申しました大手筋の十三社のほかには中小私鉄としては三社でございます。それからすでに認可いたしましたものは、昭和三十一年度に十六社、昭和三十二年度は今日に至るまで五十九社ばかりでございます。これはほとんど中小私鉄でございまして、昭和三十一年度に認可したもののうちには大手筋は南海鉄道だけが入っております。以上のような状況になっております。その値上げ率は各社個々でございますが、ただいま申請中の中小手筋の三社について見ますと、大体一つは均一制の十円を十二円にしたい、他の一つはキロ当り四円二十銭を五円、もう一つは三円七十五銭を三円九十五銭にしたい、こういう内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/174
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175・中居英太郎
○中居委員 大臣の私鉄運賃申請についての基本的な考え方はわかりました。私も全く賛成であります。遺憾ながら去年の国鉄運賃の改正当時の官澤運輸大臣は、必ずしもあなたと同じような政策をとっておられなかった。あなたが一年前に運輸大臣になっておられたとすれば、国鉄運賃の値上げはなかったと私は思っております。非常に残念だと思っております。この低物価政策をあくまで竪持して、将来経済的な見通しがよくなった場合には実情に浴うような許可をする方針だ、こういうことであります。そして今鉄監局長の言われた中小私鉄については、個々のケースで値上げを認めているということでありますが、一体この運賃の決定をするに当りまして、個々のケースだけで決定することが正しいことであるかどうか。私は決してそうは思っておりません。地域の実情を考えてやらなければいかぬのではないか。たとえて申し上げますれば、関東地方なら関東地方の大体東京を中心にした地方における私鉄の運賃は、Aの会社であってもBの会社であっても、大体キロ当りの運賃は均等でなければならない。Aの会社はたまたま企業の合理化が進んで、たとえばキロ三円でも採算ベースに合う、Bの会社は三円でも同じ地域で採算に合わないというような個々のケースにぶつかって、Bの会社だけを一割なり二割なり値上げするということは、私は必ずしも運輸省としてとった処置が正しいものとは考えておりませんが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/175
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176・權田良彦
○權田政府委員 御承知の通りにこの私鉄運賃というものは、地方鉄道法によりまして認可制度をとっております。先ほども申し上げましたが。個々の申請がございますれば、その内容を吟味して運輸審議会に諮問をし、その答申を尊重して処分をいたしますが、運賃制度の考え方といたしましては、個々の申請について個々に検討をする建前になっております。しかしこの検討の場合は、いわゆる実績主義による原価ではございません。平年度にいろいろ換算して査定をいたします。すなわち収入についてもその地区の状況を一般的に考えて見通しを立てまするし、支出についても人件費なり物件費、保守費、修繕費につきましても、それぞれのあるべき姿、標準原価と申しますか、そういうもののあるべき姿に厳密な運送原価の検討を行います。なおその線の立地条件がいろいろ違うのでありまして、それらも考え合せます。また特に私鉄は国鉄と異なりまして、概して運転区間も短こうございまして、独得の運転制度も考えられます。さらにまた他の交通機関の運賃との関係は、もちろん十分に検討いたすわけでございます。あるいは利用者の負担力というものもございますので、そういう意味において御指摘のようなことを検討はいたしますけれども、その社の運賃の審査ということは、免許の態勢をとっている公企業としての運賃のあり方としては正しいのではないか。従って現在の地方鉄道法等による方針で私どもは臨んでおるわけでございます。
〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/176
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177・中居英太郎
○中居委員 さっきの大臣の御答弁の中に重要な点があったのです。それはいわゆる大手十三社は資金の調達が大体自力で可能だ。従って現在の運賃べースでは非常に困難な実情にはあるが、自力で資金調達が可能だから価上げはストップするのだ。中小私鉄は資金の調達ができないから運賃の値上げによってまかなわせるのだ。こういう答弁でありました。昨年国有鉄道の運賃改訂が国会で審議されました際に、私どもはちょうど大臣と同じような説を主張したのです。今日の経済のネックは電力、鉄鋼、輸送だ。そしてその根幹をなす国有鉄道の輸送の窮状を打開するための五カ年計画を推進するために、運賃一三%のアップをやるのだ、こう政府は言ったのですが、私どもはそういう輸送力の増強のための費用というものは、当然国の責任において支出すべきものだと主張して値上げに反対しました。ところが政府の考え方はそうじやなかったのです。設備の近代化あるいは輸送力の増強、こういうものはある程度企業から生じてくるところの利益というものを投下することが、今日の国有鉄道としてのあるべき姿だ。こういう理由で一三%の値上げ案を政府は提出して、これを与党が強引に成立さしたのです。ところが現在の中村運輸大臣は、全然別の考えをここで答弁されました。そういう輸送力の増強のための費用は自己調達をするのが正しいのだ。一体これは大きな矛盾ではないかと思うのです。昨年国鉄運賃を自分たちが値上げしようとする際の政府の見解と、現在中村運輸大臣が考えておられる私鉄運賃の値上げについての考え方とが矛盾するのではないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/177
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178・中村三之丞
○中村国務大臣 大私鉄に対して私はストップをいたしました。しかし大私鉄の中には、私がさっき申し上げましたごとく、今増資をやっているところもあります。それからさっきも申しましたが、もう一つ大私鉄はアメリカ式近代経営で、その終点にデパートでございますとか、そういうものを経営しておられるのです。私はこれはよいことだと思うのです。一つの近代経営なんですから。軌道事業というものはなかなか資本が固定をいたしまして、収益というものもそうすぐ上るものではございません。また常に補修をしていかなければならぬのでございます。そういうためにアメリカあたりではデパートの経営をしている。これはいいことである。それでございますから、大私鉄は兼業収入によって相当の配当も維持もできておるという点に私は特色があると思うのでございます。国鉄の値上げは私は、その当時所管大臣ではございません。しかし自由民主党の一員といたしまして、党議できまったことでございますから確かに賛成をいたしました。しかし国鉄の場合は値上げになったわけです。そのときの議論は私はここにいたしませんが、少くとも国鉄は、その値上げ分をもって将来の計画を立てていこう、こういうところにねらいを持っておるばかりか、国鉄にはそういう大きな兼業収入もございませんから、過去のことを別とすることは私はいたしませんけれども、あの値上げによって国鉄は五カ年計画を遂行し得る――三百億でございますか、あるいは国鉄の公共事業体としての維持発展ができるということになりますならば、私はそれはいいことではないかというふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/178
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179・中居英太郎
○中居委員 大臣の言うことはわかりますよ。わかりますが、しかし大手十三社は、あなたが例にとったように近代的総合経営をやっておる。その一つの例としてデパートをあげられました。デパートのほかに不動産事業というようなこともやって、莫大な利益を上げていることも私は知っております。従いましてそういった大手十三社の運賃の問題を、傍系会社等も含めて総合的な研究の対象にすることはよいことだと思います。ただあなたが言われた国鉄には兼業収入がないから、設備の近代化やあるいは輸送力の増強のために要する費用は運賃アップでまかなうべきだ、これは私は大きな矛盾だと思うのです。国有鉄道がありまして、これを国家経済が利用することによって国家はどれだけ大きな利益を受けているか、このことを考えてみなければならぬと思うわけです。従いまして国有鉄道のそういった輸送力の増強あるいは近代化のための費用にこそ、国家が国有鉄道を利用することによって受ける経済的な恩典、そういうものに見合うような投資をするのが当然だ。私鉄がデパートをやりあるいは不動産事業をやり、それから上る利益をもって私鉄の経営をカバーしなければならぬという理論が成立するならば、国有鉄道から国家経済が受ける利益を、国家は国有鉄道に投資することによってカバーしなければならぬと思うのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/179
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180・中村三之丞
○中村国務大臣 私は全然国鉄が国家の資金その他予算においてやってはいかんとは申しません。これは大いにやらなければなりません。しかしその一部分を値上げに求めたということは、大私鉄の場合と多少事情を異にして見なければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。従いまして国鉄の事業につきましては、資金運用部資金からも出しており、またそういうふうな投資的な形あるいは一般利用債の消化によって事業をやる、こういういろいろな方法をやっておるのでありますが、いずれにいたしましても公共企業体でございますから、公共企業体に対して国家が発展及び新しい事業をするのに支出をするということは、大いに努めなければならぬと思います。これが私の考えであります。いろいろの手段をもって、この国鉄という大きな事業を、時代に合った事業もやりましょう、また古いものはこれを補修していく、老朽施設はこれを改善していく、こういうふうに私は考えておるのでありまして、私鉄と公共企業体の国鉄とは多少事情を異にするのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/180
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181・中居英太郎
○中居委員 国家財政と国有鉄道の会計との原則的な関係というものについて、この際私は言おうとは考えておりません。あなたもまた一がいにそれを否定なさってもいないようですから、その点をここで言うことは私は避けますが、ただ国家がそういう何がしかの投資を国鉄の輸送力増強のためにやるのだ、しかしそれでもなおかつかくかくの部分だけは運賃値上げでやらなければならぬものがあるのだということで、一三%の運賃値上げを昨年国家がやったのです。そういう考えをもってするならば、たとえば大手十三社の私鉄にいたしましても、私はそういう理論が成り立つと思うのです。私は今ここで私鉄の大手十三社の値上げをしろと言っているのでは決してない。ただ昨年の国鉄運賃の法案が審議される際の政府の態度と、現在あなたがとっておられる態度というものは全然相反する、こういうことを私は申し上げたいのです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/181
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182・中村三之丞
○中村国務大臣 一つはやはり経済事情もだいぶ違っておると思います。それから去年国鉄が上げたから右へならえで申請しておる、この点は私は少しく考えなければならぬと思うのです。ことに大私鉄がまた上げるということになりまするならば、これは大都会における一般大衆は両方のはさみ打ちになっていくのじゃないか。それを両ばさみにせずして、せめて一方は上げないでいく。これは率直に申しますと、私が運輸省に参りましたときにはもう国鉄は上ってしまっているのですから、そこへもってきて大私鉄とはさみ打ちをしては一般大衆の生活を圧迫する、また政府の低物価に安定さすという政策にも反するということでこうしたのであります。しかしながら私は、未来永劫大私鉄の運賃をストツブしておくというようなことはおそらくないと思います。やはりこれを適正な料金に直していく時代はくると思います。それは私がやりますか、次の大臣がおやりになるか、これは将来に属さなければなりませんが、今の私の心境では、私の時代には私自身としてできないというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/182
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183・中居英太郎
○中居委員 大臣はとぼけてそういう御答弁をなさっておると私は理解しております。国鉄の運賃が値上りしたから私鉄の運賃を値上げすると、結局両ばさみになるから、一方にだけ犠牲をしいる、こういうような答弁は私は失言だと思うのです。運輸担当大臣としてそういうことを言うことは、これは私は大きな失言だと思う。大体今日の交通の問題は、経済の情勢を反映して増大の一途をたどっておる。輸送難です。その輸送の混雑を解消するということが私は運輸行政の根本だと思うのです。設備の近代化をして輸送の混雑を緩和して、そしてなおかつ低廉な運賃でなければならぬ、こういうことが原則なんです。しかし一方近代化をするということ、あるいは輸送難を緩和するということ、これにはまた莫大な費用というものが要ると私は思っております。この莫大な必要経費と、それからまた安くなければならないというこの国民的な要請をどこでどう調和させるかということが運輸大臣、あなたのこれは任務なんですよ。それをあなたが、国鉄の運賃が値上りになったのだから、国民の負担が大きくなったのだから私鉄は安くともがまんしろ、こういうようにただ感情的な物事でこの問題を処理することはいかぬと私は思う。私鉄の運賃の値上げがいかぬというなら、それを納得させるような説得力というものがあなたにはなければならぬのです。その理論というものがなければならぬのです。これが他の関係外の閣僚が言うならばいいと思いますが、しかし担当の運輸大臣がそういう無責任なお考え方で、こういった問題を処理することは許されないと私は思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/183
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184・中村三之丞
○中村国務大臣 あなたの議論から言えば、それならば私鉄も上げろということになるのでございましょう。しかしながら私鉄は国鉄の当時と経済事情も変っております。今日は非常に悪いときでございまして、ある意味におきまして国鉄の一割三分値上げをしたときは、神武景気と申しますか、日本の経済は比較的ここまでいかなかったときでございます。そこで私は感情をもって私鉄を圧迫するとか、そんな考えは持っておりません。私は大私鉄に対して何の恩怨もございません。ただ私は繰り返して申し上げまするならば、政府が低物価政策をとって国民の生活を安定させていくというところに目的を置いておりまする以上は、政府の認可権を持っているものを、この経済状態、この政策のもとにおいて、競争的にやるべきものではないという意味で、私は私の所管の私鉄の値上げをストップしたのでございます。ちょうど戦時物価停止令というものを作りまして、物価が非常に混乱して収拾することができないときに一応線を引いてストップして、そうして適正物価制度というものを設けたことがありますが、それと同じごとく、私鉄の運賃につきましても、経済回復の時期がきて、ことに一般家庭の吸収力ができてきましたときには私は再検討をする、それまでしばらくストップというわけでございまして、この点は意味を御了承願わなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/184
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185・中居英太郎
○中居委員 私は私鉄運賃の値上げ申請を許可しろということは言っていない。あなたの言っているのは、ただ運賃のあるべき姿の半面だけを言っているのです。片面だけを言っている。その片面だけの理由をもちまして、この混雑している交通難が緩和できるかどうかということを私は聞いているのです。去年は片面だけの理由を私どもは主張しました。運賃値上げするべからずと主張しました。しかしそれでは当面しているこのいろいろな問題の解決ができないからということで、強引にあなた方は一三%アップをしたのではないですか。そうして今あなたは運賃のあるべき姿の片面だけを言っている。安くなければならぬとか、物価の値上げを刺激してはならぬと言う。そういう一面だけを言って、片面の輸送力の混乱をどうして解決するかという点についての、担当大臣としての説明が不十分だと私は思うのです。その点を私は聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/185
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186・中村三之丞
○中村国務大臣 十三社の大私鉄は、それぞれ輸送力増強の五カ年計画を持っているのです。昨年九月ごろでございましたか、私はこれを発表いたしましたが、千億をこえるものでございます。この計画は当分のところ増資その他自己の力でやって参りたい。ことに大私鉄は今申しましたごとく、兼業収入において今にわかにそう逼迫した状態にはないので、従ってある時期のくるまでストップするという方針をとったのでございまして、私は感情的に大私鉄に向っているのではないということを一つ御了承をお願いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/186
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187・中居英太郎
○中居委員 大体わが国の現在の交通の料金というものの基礎をなしているのは国鉄運賃です。国鉄運賃がある定定した姿でいる間はいつでも、自動車の運賃にいたしましても、私鉄の運賃にいたしましても、それに右へならえで据え置きされてきたのが今日までの状態です。国鉄は昭和二十八年だったと思いますが値上げをいたしました。そのとき一斉に自動車関係の運賃、私鉄関係の運賃も、国鉄の運賃値上げと同じような理由、それから国鉄の運賃値上げに伴うところの運賃差の均等化というような意味合いも含めて、二十八年に改正になったのです。そして国鉄はさらに五年ぶり、昭和三十二年から、また改正運賃というものを決定して実施しております。常識的に言うならば、この国鉄運賃値上げを機会に、一応その他の運賃等にも検討を加えなければならぬことは当然なんですよ。現にこういう不合理が出ておるのです。国鉄は一三%のアップをいたしました。そして一例を申し上げますと、こ汐留から品川に行く運賃が国鉄は百三十円になりした。私鉄は依然として百二十円、これは並行線ですよ。それから大阪から名古屋、これは近畿日本鉄道ですが、国鉄は運賃改正で四百円になりました。私鉄は三百八十円、同じところを同じ時間をかけて同じものが走っておって私鉄は安く、国鉄は運賃改正で高くなっておる。こういった現実的な不合理というものが出ておるのです。そして距離はどうかというと、逆に私鉄関係の走行距離の方が数キロ長くなっておるのです。こういった矛盾をあなたはどう解決なさろうとするのですか、こういう姿でいいと思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/187
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188・中村三之丞
○中村国務大臣 私は今日のそういう状態は知っております。たとえば中小私鉄のそれに沿うておるバスがストップしておるというところもございましょう。これは国鉄と私鉄両方上げるというあなたのお考えだと思いますが、しかし私はこういう事態におきましては、どこかに緩衝地帯があっていいと思うのです。何でもかんでも並行に上げるよりも、どこかに一つの緩衝地帯を置いておった方がいいのじゃないか。従って私鉄を利用せられる大衆が、毎朝行く割引の人が、それは国鉄も同じでありますが、そういう緩衝地帯を設けておくことは一見矛盾でありましょうけれども、そういうところを設けておくことは意味なしとは私は考えないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/188
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189・中居英太郎
○中居委員 緩衝地帯を設けておくことも考えようによってはいいでしょう。しかし運賃というものは、私鉄のみならず国鉄でもそうなんですが、厳正な原価主義をとっておるのです。そして原価とはかくかくのものであるということまで法律で規定しておるのです。そしてその厳格な原価主義に基いて、一方は四百円だ、こういう数字が出てきた、ところが一方は三百八十円でがまんしろ、こういうことは運輸省としてとるべき親切な態度ではないと思うのです。これが何がしかの利益を相当見込んでの運賃が算定されるような現況ならはいいのですよ。これは厳重な原価主義によらなければならぬということを法律できめておるのです。そしてその最も厳正なるべき原価主義によって生まれてきた国鉄運賃が、同じ場所を走っておって高い、私鉄の運賃の方が安い、それでがまんしろということは原価主義に反する運賃だと私は思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/189
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190・中村三之丞
○中村国務大臣 原価を償うものである、そして同時に第四には物価の安定に寄与するといたうことがありまして、この四つは一つだけとって考るべきではない、経済全般総合的に考えるべきものだと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/190
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191・中居英太郎
○中居委員 具体的にお答え願いたいと思うのです。もう一つ例をあげて申し上げます。上野から船橋までは去年の三月三十一日までは国鉄も私鉄も五十円、ところが国鉄が運賃改正で六十円になり、私鉄は依然として五十円、上野から成田、上野から千葉、全部そうなんです。改正前は私鉄の運賃でも国鉄の運賃でも同じであった。しかし改正後は国鉄の運賃の方が高くなっている。私は国有鉄道というものがあり、それに並行的に私有鉄道というものを政府が許可して運営さしておる根本的な理由は、公正な競争を国鉄当局にもやらせなければならぬ、こういう考え方が一つあると思います。もう一つは、国有鉄道だけではカバーし切れない時間的な不便を私鉄によって補おう、そういうことによって住民に便益を与えようというような目的で複数制、国有鉄道に並行する私有鉄道が許可されておると思う。そういう原則に立って考えてみます場合、同じ距離を走ってAは百円でありBは八十円であるというような姿であっては、公正な競争にならぬと思う。料金の面は同じであっても、どっちがサービスがいいか、料金を除いたサービスの面、施設の面、時間的な面、そういうところで利用者に取捨選択をさせるこういうところに複数制の意義がある。それを初めからハンディをつけて、Aの会社の汽車に乗ると八十円、安く行ける、Bのものに乗ると百円だ、こういうように当初から料金の面でハンディをつけるということは、公正な競争ではないと思うのです。私はこういった現象はむしろ国鉄に大きな損を与えておると思うのです。たとえば品川から横浜まで行く場合に、十円安ければみな安い方を利用しますよ。そうしてに国鉄の乗客が私鉄に吸収されてしまう、こういう原因の一つになっておるのではないかとも思うのですが、この点について大臣はいかがですか。またこういった現実的な料金上の不公正についての国有鉄道の御意見を、小倉副総裁か、ら承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/191
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192・中村三之丞
○中村国務大臣 国鉄が上って大私鉄がストップされておる、それでどれだけ国鉄の収入減になっておるか。今私ここに数字を持ちませんが、国鉄はその計算をしておるだろうと思います。しかし今おっしゃったことは、私もよくわかります。今日のそういう政策の状態において――別にこれはさきに申しましたように永久にそうではないのでございまして、あるときの一つのギャップとして生じておることはやむを得ないことで、これによって政府の認可、許可による料金値上げ競争を幾分でも時間的に延ばしていくということならば、ある意味におきまして、大きな政策の立場から私は御了解が願えるだろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/192
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193・小倉俊夫
○小倉説明員 運賃のことは運輸省が私鉄並びに国鉄を通じて監督されておることでございますから、私は答弁を差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/193
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194・久保亀夫
○久保説明員 ただいま私鉄の運賃とのギャップのために減収があるかということでございます。もちろん安い方に乗るというのが常識でございますが、偶々の線区についてみますと、必ずしもそういうことも言えませんで、たとえば大阪――名古屋間につきましてはサービスの改善、現に準急電車の増発といったようなこともございます。これは現われていないようにも思われますが、一例をあげますと、日光線あたりを考えますと若干影響があるかな、これは的確には出ませんで、ごく常識的な答えで恐縮でございますが、あるといえばあるという程度にしか申し上げられないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/194
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195・中居英太郎
○中居委員 私はこの問題で大臣とこれ以上意見の交換をし合っても交差点がないと思いますから、この程度でやめますが、ただ大臣に申し上げておきたいことは、あなたの考え方は非常に理解できるのです。私はその考え方もいいと思います。ただそういったあなたの真意というものが、必ずしも正当に理解されていない。これは私は遺憾だと思うのです。ですからあなたももっと率直に、もっとざっくばらんにあなたの考えておられるその運賃についての方針というものをもっと親切に、もっと納得のいくように説明して、そして少くとも地域的に生じておる不合理という面だけでも、さらにあらためて検討してもらいたい、こういうことを申し上げて、私はこの問題についての質問はこの程度にしたいと思います。
次にお伺いしたいのは、新年度の新線建設について国鉄あるいは鉄監局長にお伺いしたいと思っております。国鉄の五カ年計画を見ますと、昭和三十二年から引き続き年間七十億の建設資金を預金都から融資を受けて、合計三百五十億で予定されておる新線を建設していきたい、こういうことが私どもに当初説明されておるわけであります。昨年はその趣旨に従って七十億の建設資金が投融資された。ところが先般衆議院を通過した予算を見ますと、この建設資金が九十億にふやされておる。しかもその内容を私ども聞いてみましたら、七十億の計画には変更はないのだ、昨年まで全然考慮の対象になっておらなかった首都圏建設の一つの大きな構想として、根岸線、武蔵野線というものを本年度から着手するのだ、そのためにそれぞれその両線にプラス十億ずつをつけて合計九十億になったのだ、こういうようなことを私ども聞いたわけでありますが、この間の経緯について小倉副総裁あるいは鉄監局長でもけっこうですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/195
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196・權田良彦
○權田政府委員 お答え申し上げます。前国会で国鉄五カ年計画の見通しについて御説明いたしましたときに御説明いたしましたが、当時申し上げました通りに、今ここに実はそのとき御提出した表を持っておりますが、工事経費としていわゆる改良費と建設費と分けて御説明したと記憶しております。建設費につきましてはカッコ書きをもって一応七十億、七十億として三百五十億と見ておく、しかしこの問題は建設線を重点的に施工する場合に、建設審議会等との関係もあり、それによって計画の変更があるということを出し上げておきましたが、実はこの三十三年度の建設費に関しましては、昨年の春ございました建設審議会で、その当時の調査十一線が着工線となり、新たに調査十六線が調査せよという御建議を受けまして、そのときいろいろ御討議をわずらわしまして、相当先の建設費の見通しを立てたわけでございます。今申し上げましたような線をある程度の長期計画でこなして参りまする場合に、三十三年度がどれぐらいの規模になるであろうか、当時建設審議会では百三十億程度ということは御指摘になりまして、実は私どももその内容をいろいろ検討してみたわけでございます。あの当時の計画でも大体十カ年計画ぐらい、線によってもちろん違いますが、大ざっぱに申しますると、十カ年計画ぐらいの計画に相なっておりまして、その規模でいろいろそういったすでに工事に着手しております線、新たに今年度から着手いたします線、今後の調査線等を考えまして、三十一年、三十二年の実績から見まして、いろいろ財政投融資の関係もございまして、これを九十億に圧縮いたしたところでございまして、それが九十億が計上された理由でございます。従いまして三十三年度の九十億につきましては、これは今着工しております線が継続が十五線、それから三十二年度から着いたします線が十一線、これは美幸――興浜、中村―窪江がありますので十三線とも言えますが、十一線ないし十三線、これらに対してどうこの九十億を割り振るかということは、近く附かれるでございましょう建設審議会の御意向によって予算を配分いたすつもりでございますので、ただいま御指摘のように七十億が九十億にふえましたその二十億が、直ちに武蔵野線、根岸線の工事費であるということには決定をいたしておらぬのでございます。今私どもが考えておりますのは、大体九十億の配分は、これは御案内の通り建設費は総係費と車両費と工事費とに分けなければなりませんので、車両費が大体工事費の五分近く要りますから一応三億、それから総係費にいろいろ建設関係の人件費でありますとか材料運搬賃でありますとかいうものがございますので、これに約十二億、純粋の工事費として七十五億、これは御提出いたしました予算の説明書の上に明細が載っておりますけれども、そういう配分にいたしております。従いまして今後これの配分内容については来たるべき建設審議会で正原案を御審議願いたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/196
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197・中居英太郎
○中居委員 この九十億の工事費の線別の配分は建設審議会で御審議を願いたい、こういうことのようですが、そうすると原案はあるわけてすね、原案があったらお示し下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/197
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198・權田良彦
○權田政府委員 お答えいたします。これは大体予算の技術士のことに属しますが、例年大蔵省と協議をいたしまして予算を定めまする場合には、すでに継続工事分だけの線を計上しております。その他の線については計上いたしません、従いまして一応九十億の配分は総係費と車両費と工事費と先ほど申し上げましたが、これは実は予算編成上は、ただ先ほど申しましたうちの既設十五線分について額上いたしております。従いまして予算積算基礎としては、先ほど御説明いたしました新規に着工すべき十一線ないし十三線並びに調査十六線については計上いたしておりません。しかし建設費につきましては、建設審議会の御意向もありまするので、額確定後に再び工事費の配分額を御相談申し上げまして組み直すことを、毎年々々お許し願っておりますために、これがどういうふうにそちらへ回るかということは、今後建設審議会の十分なる御審議を経た上で決定に相なるのでありまして、これは今までもそうやっておりまするので、ことしもそうやりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/198
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199・中居英太郎
○中居委員 これは運輸大臣にお伺いしますが、九十億なら九十億というものが預金部資金から融資されて、そして国鉄会計の工事勘定に入つたわけです。そうしてその工事勘定に入った九十億をどのように使うかということは、運輸省が細目を決定するのですか。今の權田さんの話では、運輸省が審議会の議を経て細目決定して云々ということですが、私は一たん国鉄会計に入ったからには、国鉄の自主性というものが取り入れられて配分がなされなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/199
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200・中村三之丞
○中村国務大臣 これは毎年慣例上建設審議会の議を経るということになっておりますから、本年もやはりそういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/200
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201・中居英太郎
○中居委員 私はそこで常日ごろから疑問に思っているのですが、一体鉄道建設審議会というのはどういう権限を持った委員会なんですか。国会で予算の配分の内容を示してくれというのに対して、それを拒否して、そして審議会で審議をしなければ公表できない、こういうことはおかしいと思うのです。大体建設審議会というのは大臣の諮問に応じて、どういう線を新線にするかということを調査研究して、それを大臣に具申する機関なんです。それが国会の審議権を持つ委員会でも発表できないようなものを、委員会に先がけて、そういう審議会の議を経なければ公表できない、決定できないというようなことでは、私は運用の面で非常におかしいと思うのですよ。この点は一体どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/201
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202・權田良彦
○權田政府委員 御説明申し上げます。御案内のように日本国有鉄道法の五十三条によりまして、鉄道新線の建設に関しましては運輸大臣の許可を受けなければならないことになっております。これはもうすでに御承知の通りであります。それで、鉄道敷設法という法律の三条によって、日本国有鉄道の鉄道新線の敷設に関し必要な事項を調査審議するために、運輸省に鉄道建設審議会が設けられてございます。またその四条で、運輸大臣が先ほど申しました新線建設の許可に関して必要な措置をなす場合におきましては、あらかじめ審議会に諮問しなければならぬことになっております。なおその第四条の三項で、審議会は新線建設に関して建議をすることができる、こういうことに相なっておりまして、ただいまの問題は、新線建設の初めの許可に対しましてはこの四条一項で諮問をいたしまして、その答申で建設の許可をするわけでございまするが、一方鉄道建設審議会が鉄道新線の敷設に関して必要な事項を調査審議するため設けられたものでございますので、運輸大臣からも常にこの鉄道建設審議会にいろいろ諮問をいたしております。たとえば鉄道新線建設の方策をどうするか、あるいは建設に関しとるべき具体策をどうするかというような諮問をいたしておりますが、それらに基いて逐次御答申もございまするし、また各建設費の配分につきましては、各年度当初の建設審議会に大体原案をお示しいたしまして、これで御審議をわずらわして、その結果を尊重して最終的な配分をきめる、こういうやり方をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/202
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203・中居英太郎
○中居委員 審議会の運営としては私はいいと思うのです。ただその審議会が設置されたことが、われわれの予算についての審議を拘束するというような結果を招来していることは、私は非常に遺憾だと思うのです。毎年聞いてもこの問題については審議会云々ということでいつも逃げを打っている。私は何も三日や十日早く、この九十億の金がどこどこにかくかく配分せられたということに対して興味を持っているわけではないのです。そんなことに私は興味は持っておりません。ただそう言えばおそらくあなたが審議会云々で逃げるだろうということを予想して、それをつかまえて私はこの審議会の性格を論議したいために聞いたのです。案の定あなたはその手に乗ってきたのです。この審議会が設置せられたことは、決してわれわれの予算審議を拘束するものでないと思うのです。しかも私どもがこの委員会で九十億の算定の基礎を示せということを聞くことは当然なんです。そしてあなたは知っている限りにおいて答弁なさることは当然なんですよ。決してそれは審議会の性格からいって、審議会でおしかり正をこうむるようなことでないのです。また審議会の権限を踏みにじることにもならないと思うのです。従いましてそういう意味合いで、私はあなたが現在考えておられる九十億の基礎をお示し願いたい、こう申しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/203
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204・權田良彦
○權田政府委員 その点はお説の通りでございまして、私どももその点に反対をするものではもちろんないのでございまして、その点は先ほど申し上げました通り、九十億の積算基礎は継続工事の十五線で全部割り振って計上してございます。しかしそれは総係費、車両費、工事費をなお再検討いたしまして――実は実行上の配分については今研究をいたしておりますが、線別の最後的な実行案はまだ持っておりません。これは予算執行に間に合うように、十分注意をして作り上げたいと思っておる次第でございます。従いまして予算の積算の基礎になりました数字は、今ここに表は持っておりませんが、十五線にしか配分せられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/204
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205・中居英太郎
○中居委員 それを言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/205
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206・權田良彦
○權田政府委員 それでは十五線の名前を申し上げます。北から遠羽線、根北線、辺富内線、この三つは北海道でございます。青森県の津軽線、それから石川県の能登線、福井県の越美線、三重県の紀勢線、奈良県の阪本線、兵庫県、岡山県にわたる赤穂線、広島県と島根県にわたる三江線、山口県の岩日線、福岡県の油須原線、宮崎県の内海線、鹿児島県の国分線、枕崎線、以上十五線がすでに工事継続中のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/206
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207・中居英太郎
○中居委員 九十億の基礎の数字を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/207
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208・權田良彦
○權田政府委員 それは実は今表を持っておりませんが、表は百三十億で作っております。百三十億で要求いたしましたときには、既設線九十億に対しましてさらに東海道新幹線の調査工事費として二十億、それから青函の海峡連絡鉄道と四国の連絡鉄道についての調査費として十億を入れてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/208
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209・中居英太郎
○中居委員 私は意地悪く数字を聞こうとは思いませんが、ただ今後、もちろん工事費の配分は行政権ですから、私どもがみだりに意見を言うこともどうかと思いますが、少くとも予算審議の過程で、その基礎を説明願いたいと、こういうような際に、審議会云々ということで、われわれの審議権、国会の審議権というものを軽視するような態度はやめてもらいたいと思うのです。これは今後厳重に大臣からもその旨を運輸当局並びに国鉄に徹底さしてもらいたいと思うわけです。
さらにもう一点、鉄道審議会が出ましたから、これの基礎をなしておる敷設法について私はお伺いをしたいと思います。その第一点は、この鉄道敷設法は昨年の六月一日改正になったということが公布されているのです。ところが私ども去年の二十六国会で鉄道敷設法というものを審議した覚えはないのです。去年はおろか、数年以前からずうつとこの鉄道敷設法というものを審議した覚えはない。ところが昨年の六月一日改正法律が公布されておる。私はこの六法を見まして、はてそんなことはないと思っていろいろ検討してみました。ところが別の法律で、国家行政組織法の一部を改正する法律が改正されて、そしてそれに準じてこの敷設法というものが自然に改正、公布されておるということを私は知ったわけであります。そういう法律の取扱いがあるのかと聞いたら、まあ変則的なものではあるが、ちょいちょいそういうことが行われているのだ、運輸省が知らないうちに、運輸省の法律が改正されておるというような事例もあるのだ、こういうことを私は聞いたのですが、幸い昨年改正されたのは、審議会の委員の資格の名称の変更だけでありますから、法の性格それ自体を改めるというほどでなかったから私はいいと思いますが、少くとも自分たちの担当しておる法律案が、他の省の、これは総理府関係で内閣委員会で改正したものでありますが、そういったところで改正されることによって、自然発生的に運輸省関係の法律が改正されるというようなことがありましたならば、国会審議中でありますから、私どもに報告を願いたいと思うのです。こういうものが改正されて、こういう内容になりますということを教えてもらわなければ、めくらさじきに置かれたようなものなんです。この点を申し上げておきたいと思いますが、權田さん意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/209
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210・權田良彦
○權田政府委員 ただいまの御指摘の問題は、鉄道敷設法第六条に「審議会ハ委員二十七人ヲ以テ之ヲ組織ス「委員ハ左二掲クル者二付内閣之ヲ任命ス」とありまして、その三号に「運輸政務次官」云々とあって、一番下に今までは「経済審議庁次長」とございましたのが、「経済企画事務次官」となっているという問題だと思いますが、これは要するにメンバーの役所そのものが名称変更と申しますか、そっちの方の設置法の方で変りますので、法律的な扱いとしては、こういう場合にはそっちの方の附則でこちらの名称を読みかえ改正をやろうということが通例でございますので、その意味の改正と了知いたしております。今御指摘のようなそういった意味でなしに、もし実体的にこの敷設法が変更になるような改正でございますれば、これは鉄道敷設法改正法案で処理いたすべきでありまして、他の法律の附則でやるべきでないと私どもも存じておりますので、そういった問題は十分注意をいたしますが、今御指摘のは、この六条の名称変更の読みかえでございますので、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/210
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211・中居英太郎
○中居委員 何かの機会に教えてもらいたいということです。
大臣でも国鉄でも鉄監局長でもけっこうですが、もう一点考え方をお示し願いたいと思うのは、さっきも鉄監局長から報告がありましたように、現在継続中の鉄道新線は十五線と、それに昨年さらに十一線が編入され、十六線が調査線になっている、こういうことでありますが、一体現在の敷設法に基く予定線には百五十カ所、二百数線あるわけですが、大体どの程度までのものをいつごろまでに具体化するかということについては、まだきめておられないのですか。昨年までに決定している調査線の十六線で終りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/211
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212・權田良彦
○權田政府委員 敷設法の別表予定線、これが二百九線ございます。それから敷設法の附則二項で前から審議されておって、当然これも予定線と同じであるという扱いが七十一線、すなわち敷設法の線としては二百八十線あるわけでありまして、これが一万六千九十キロでございます。このうちすでに開業いたしておりますものが、今日までで全線開通したものが九十七線、部分開通したものが四十七線、七千八百二十八キロ開業しております。従いまして残っておりますものは、キロで申し上げますと、全線で残っておりますのが百三十六線、部分で未開業部分が四十七線、合計キロ数は八千二百六十三キロでございます。この八千二百六十三キロのうち先ほど申し上げましたすでに工事中のもの、これが継続のものが十五線と、本年度から着手する御建議を受けているものが十三線で二十八線、このキロ数が千二百三十一キロでございます。それから調査線として御建議になりまして目下国鉄をして調査せしめております線が七百九十キロ、従いましてこの八千二百六十三キロから工事中の千二百三十一キロと七百九十キロ、すなわち二千二十一キロを引いた残りが今御指摘の問題になるわけでありまして、それが約六千キロ以上あるわけでございます。この処置につきましては、実は私どももかねがねいろいろ研究をいたしておりまして、これがどういうふうに始末をつけるべきものであるか、この点については各線別に内容を図上調査いたしますとともに、またいろいろ近代の新しい交通政策の立場から道路との関係その他も検討するように、これは建設審議会からもまた国会からも御指摘を受けておりますので、研究は続けておりますが、最終的な、これを全部始末してしまう年度計画といったようなものは、実はまだ最終案としては持ち合せはございません。しかし私どもは今言えますことは、この全部についての最終建設計画というのは、目下のところでは直ちに作りにくいのでございますけれども、このうちでもいろいろ重要度から見て重点的にこれは建設すべきではないかと思われる線もあるわけでございます。これをいろいろな交通政策の立場から実は四十数線この中からさらに調査候補路線として拾い上げたものがございます。これはまだ確定はしておりませんが、ある程度は申し上げても差しつかえありませんので申し上げます。四十幾つにはならぬかと思いますが、簡単に申し上げます。たとえば北海道の釧路―相生問、松前―大島間、青函海峡連絡鉄道、青森県の大畑―大間問、岩手県の久慈―袰野間、浅内―小本聞、今のは三陸沿岸鉄道でございます。山形県の鶴岡―大鳥、左沢―荒砥周、山形、福島県の西米沢―熱塩間、福島、新潟県の大日川―只見閥、福島県の平―小名浜間、栃木、茨城県の長倉―大子間、水戸―鹿島間、富山、岐阜両県にまたがりますが朝日―北濃間、愛知県の武豊―師崎間、岐阜県の垂水―神海間、兵庫、京都にわたります園部―福住問、福井、京都にわたります小浜―殿田閥、例の本州、四国の連絡鉄道、鳥取県と岡山県にまたがりますが、関金―勝山間、島根県の浜田―今福間、福岡県の黒木―矢部間、熊本、宮崎県の湯前―杉安聞、宮崎県の宮崎―小林町間等々、なおこのほかにさらに十数線、実は表を置いて参りましたが、多分四十五、六線以内と記憶いたしますが、今例示にあげましたような線は比較的それぞれ重要な目的を持っておりまして、その開発資源の関係なり、その交通任務から、これはまだ調査線にはなっておりませんけれども、近い将来において調査候補路線としてこれの御検討を願いたいということで、事務的には今一応図上の調査をいたしております。これらの問題は実は建設審議会におきまして、在来の経緯上、先ほど申し上げました建設線十五線と新たな着工線十三線と、それから調査線十六線と、それからその次の線をどうするかというときに御議論になるカテゴリーに属する線かと心得ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/212
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213・中居英太郎
○中居委員 今お話が出ましたから申し上げますが、この鉄道敷設法というものは大正十一年に制定された法律ですね。この法律を読んでみると、帝国議会とか朕とかいう言葉が出ております。そしてこの法律に基いて今のいわゆる予定線別表というものが作られております。本州に九十九カ所ですか、それから四国に九カ所、九州十九カ所、北海道二十三カ所、二百五線出ておりますが、大正十一年にこの敷設法が制定され、これに基いて別表いわゆる予定線というものが百五十ヵ所制定されたわけでありますが、この別表を読んでみますと、すでに予定線でなくなっているのがたくさんあるのです。今もあなたがお話しなさったように、全線開業したものが三十数線、あるいは部分開業が四十数線という工合に、約七千八百キロ、八千キロにわたってすでに既成線になっております。またさらに二千キロ近いものが建設線に編入になっておる、こういうことでありますから、根本的にこの機会に別表を改正して、わが国の将来における鉄道網はかくあるべきだという確たる方針のもとに、この別表の改正をなさるべき時期にきているのじゃないか、私はこう思うのです。幸い国鉄は新たな決意をもって、五カ年計画あるいは引き続いて第二次五カ年計画というものに着手しておる。従ってこの時期に将来のわが国の国鉄鋼はかくあるべきでだという構想のもとに、大正十一年以来の別表の大改正をやることが必要ではないかと思っております。私はこの百五十カ所は、よくわかりませんが、私の関係しておる地方だけについてみましても、すでに全線開業しているものがある。花巻―釜石間あるいは山田―釜石間、これらはみな既成線です。こういったものは全国各所にあると思います。おそらく整理したら半数以下になると私は思っております。従いまして、この際将来の確固たる鉄道のあるべき姿というものを検討の上に、別表改正をやるべき時期にきているのじゃないかと思います。さらにまたこのでき上つたものを削除して既成線に編入することと同時に、大正年間以来経済情勢の変化等で、当初予定されていなかった個所に当然鉄道の必要性というものもできてきていると私は想像しております。私どものところに何とかして鉄道予定線にでも繰り入れてもらいたいという陳情がたくさん来ます。おそらく国鉄や運輸省のあなた方には、私どもに数倍するそういうことの要請が行くと思いますが、そこで大正年間以来の経済情勢あるいは客観情勢の変化で、そういった新たな考えに立ってさらに編入すべきものも出てくると思いますから、そういう点もあわせ考えましてこの別表の改正を早急に行なってもらいたい。少くともこの別表の改正はともかくといたしましても、今のわが国の法律から朕なんという言葉はとるべきだと思うのです。帝国議会、こういった言葉も私は当然修正すべきだと思うのです。従ってそういったこともあわせて別表改正についての大臣の所見を承わって、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/213
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214・中村三之丞
○中村国務大臣 別表は仰せの通りにできております。しかしこの別表は大体日本の鳥瞰図と申しますか、そういうふうにできておるのでございまして、今後追加すべきものがあればこれを追加していく。現在のところはそういう意味であると御了承を願っておきたいのであります。朕とか帝国議会、こういうようなことは体裁じゃない、帝国憲法と今日の憲法と違うのでありますから、こういうことはすみやかに直すことはやらなければならぬと思っております。ただ別表についてはさように御了承願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/214
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215・中居英太郎
○中居委員 私は質問をやめようと思ったが、それではやめるわけにいきません。さっきも私が言いましたように、すでにこの百五十ヵ所二百九線のうち七十線ほどが完成しているのです。予定線ではないのです。既成線なんです。すでにでき上って営業開始しているのです。従ってこういう法律を作っておくこと自体おかしいじゃないですか。たとえばさっき言った花巻から釜石、これは釜石線と称して昭和二十四年ですか、五年ですか以来開業しているのです。それが依然として法律では予定線であると規定されておるのです。そういうことが全国各所に百カ所くらいあると思うのです。そういうものを当然予定線から抜き、さらにその後の客観情勢の変化等で当然編入しなければならぬような要請というものも出てきておると思うから、この際そういったすでにでき上ったものを削除すると同時に、新たな観点に立ってこの別表を策定する時期に来ているのではないか、こういうことを私は申し上げているのです。これをただ単にわが国の鉄道の総攬として考えて、そのままにしてもいいだろうというような大臣の答弁では私は納得できないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/215
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216・權田良彦
○權田政府委員 ちょっと先ほどの大臣の御答弁に補足してお答え申し上げます。御指摘の問題三つございますが、その最後の一つ、これは大正十一年時代の法律第三十七号でございますが、御案内の通り昭和二年、八年、九年、十一年、十二年、十七年、二十四年、二十六年、二十八年と改正になっておりまして、朕とか帝国議会という字はもうございません。その点昭和二年の改正のときに、現在の敷設法の形になっておりまして、この附則にありますように、明治二十五年時代の法律は廃止になっております。
それから次に別表の問題でございます。これは御指摘のように、ある時点を定めて、その時点以後今後敷設すべき予定鉄道線路を別表に掲げたらどうかというお説も確かにございます。私どもも数年前それを検討したことがございます。しかしこの第一条を見ますると、「日本国有鉄道ノ敷設スヘキ予定鉄道線路ハ別表に掲クル所二依ル」こういたしておりまして、国有鉄道の敷設すべき鉄道線路の予定図と申しますか、一つのネット・ワークを図示して、その間の関係を明示いたしております。従いまして今申し上げました数次の改正にも、御指摘のように全部開業した線がずいぶんございます。別表の八ノニ、十八、あるいは五十ノ四、五十一、五十四、五十八、六十三ノ二等々ございますけれども、これは今申し上げておりますように、ある時点をとらえて、それ以後建設すべしという考え方を一条でとっておりませんので、これを残しましても、実際上の建設が済んでおりますれば、それで目的を達していいのでありますが、あえて削除する必要もないと考えております。
次に第三の問題にからみますが、追加すべき線路に関しては御指摘の通りであります。先ほど申し上げました各改正の主要なるものは、在来とも別表追加でございます。特に一番新しい昭和二十八年には十三線の追加をいたしております。またこれはすでに御承知かと思いますけれども、先ほど申し上げました鉄道建設審議会に、この点について私どもも政府として御諮問いたしているのです。いかなる線を新しい時代に沿って追加すべきであるかということが、実は鉄道建設審議会の小委員会で保留になっているのです。毎回その小委員会で御検討をわずらわしておりまするが、近くこれの御結論を得て御答申を得るならば、私どももその線に沿って、この別表の改正案を立てて御提出いたしたい。しかし実は今のところその小委員会が終結いたしておりません。私どもも小委員会ごとに事務当局としてこちらからいろいろその審議の御経過をお尋ね申し上げておりまして、こういう経過をたどりまして、ある姿が出ますれば、私どもとしてもこの別表追加の立案に着手をしたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/216
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217・中居英太郎
○中居委員 時間がだいぶ経過しましたので、私の質問はこれでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/217
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218・赤澤正道
○赤澤委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は来たる十一日午前十時より開会いたします。
午後四時二十五分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01219580307/218
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