1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月八日(火曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 西村 直己君
理事 内海 安吉君 理事 大高 康君
理事 久野 忠治君 理事 前田榮之助君
理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 荒舩清十郎君
伊東 隆治君 木崎 茂男君
薩摩 雄次君 徳安 實藏君
松澤 雄藏君 小川 豊明君
中島 巖君
出席国務大臣
建 設 大 臣 根本龍太郎君
出席政府委員
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部長) 尾村 偉久君
建設事務官
(計画局長) 町田 稔君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政局
理財課長) 山野 幸吉君
厚 生 技 官
(公衆衛生局水
道課長) 田辺 弘君
建設事務官
(計画局総務課
長) 志村 清一君
建 設 技 官
(計画局下水道
課長) 岩井 四郎君
専 門 員 山口 乾治君
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四月二日
委員松原喜之次君辞任につき、その補欠として
辻原弘市君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として三
宅正一君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員三宅正一君辞任につき、その補欠として中
島巖君が議長の指名で委員に選任された。
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四月七日
宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(内
海安吉君紹介)(第二八一三号)
同(江崎真澄君紹介)(第二八一四号)
同(堀川恭平君紹介)(第二八七二号)
国道十三号線栗子峠の改良促進に関する請願(
黒金泰美君紹介)(第二八一五号)
西大崎一丁目区画整理に関する請願(松岡駒吉
君紹介)(第二八七三号)
の審査を本委員会に付託された。
四月一日
首都圏整備促進に関する陳情書
(第七七六号)
指定市町村道の雪害防止費国庫補助に関する陳
情書(第八〇四
号)
下水道整備促進に関する陳情書
(第八三四号)
二級国道一五五号線の一級国道指定に関する陳
情書(第八八九
号)
中小企業従業員の住宅対策に関する陳情書
(第八九〇号)
関門国道トンネル通過料金軽減に関する陳情書
外一件
(第八九一号)
低家賃の簡易住宅建設促進に関する陳情書
(第八九二号)
土木行政の中央集権化反対に関する陳情書
(第八九三号)
東北縦貫自動車道建設促進に関する陳情書
(第
八九五号)
天ヶ瀬ダム建設工事着工に関する陳情書
(第八九六号)
低家賃住宅及び無宿者収容施設建設に関する陳
情書(第八
九七号)
災害復旧事業費全額国庫負担等に関する陳情書
(第八九八号)
二級国道徳島線の早期完成に関する陳情書
(第九〇〇
号)
二級国道第一九二号線等の一級国道昇格に関す
る陳情書
(第九〇一号)
国県道の改修等に関する陳情書
(第(九〇二号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
下水道法案(内閣提出第一四六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/0
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001・西村直己
○西村委員長 これより会議を開きます。
下水道法案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますから、これをお許しいたします。三鍋義三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/1
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002・三鍋義三
○三鍋委員 前回の委員会におきまして、地方行政委員会との関係上、途中で質疑を保留しましたために、残余の質疑を若干いたしたいと思います。主として条文について御質疑を申し上げておったのでありますが、その継続をさせていただきたいと思います。
第十条に「土地の所有者、使用者又は占有者」とありますが、使用者と占有者をどのようにして区別してこの文字を使ってあるのか、この御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/2
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003・志村清一
○志村説明員 土地の所有者は、第一項の第二号にございます「土地の所有者」でございまして、土地の使用者といたしましては、建築物の敷地である土地にあっては当該建築物の所有者で、これは占有者あるいは使用者という両方の場合がございます。たとえば土地を借りまして自分で建物を建てておられる方というのは使用者に当ります。その建てました建物を借りておられる方というのは占有者であります。三号の道路等の公共施設を管理すべき者というのは、占有者というものに該当する、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/3
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004・三鍋義三
○三鍋委員 そこで、第十一条に「排水に関する受忍義務」というのがうたってあるわけでございますが、これによりますと、「他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、又は他人の設置した排水設備を使用することができる。」こうなっております。そうしてその第三項では「当該排水設備の設置、改築若しくは修繕又は維持をするためやむを得ない必要があるときは、他人の土地を使用することができる。」このようになっておるのであります。そこでお尋ねしたいのは、この土地の所有者と権利を与えられる者との間に紛争が起きる場合があるのではないか、こう私は思うのでありますが、そのときには所有権はどのくらいまで認容させられるのかということと、第四項に「通常生ずべき損失を補償しなければならない。」とありますが、この損失補償の限度が問題になる、このように考えるのであります。具体的な問題といたしまして、紛争が起きた場合に、場合によっては裁判にかけなければならぬ場合もあると思うのでありますが、これがその当時者の負担になるということと、この調停あっせんの必要が生じてくると思うのでありますが、こういった場合に何か行政委員会のようなものを作る必要があるのではないか、このように考えるのであります。従来は私人と機関との争いというものが誘致されたのでありますが、今度の場合、私人と私人の争いというものが当然起きてくるのではないか、このように思うのでありますが、これに対するところの明権なる御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/4
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005・町田稔
○町田政府委員 ただいまのお尋ねのございましたまず第一点の認容の限度でございますが、これは第十一条の第一項に基準が書いてございますように、他人の土地を使おうと思う者は、「他人の土地又は排水設備にとって最も損害の少い場所又は箇所及び方法を選ばなければならない。」こういうようになっておりますので、他人が自分の土地に排水設備を設けます際には、最も損害の少い場所または個所及び方法を限度として認容する義務がある、こういうように考えております。それから損失の補償につきまして、特に特別の行政措置によってこれと紛争が生じた際に裁定をするという規定を設けなかったのでございますが、これはこの十一条全体が民法の相隣関係に関する規定の補足をしたような規定になっておりますので、民法の相隣関係の場合と同じような方法で行うことにするのがいいと思いまして、そういうふうにいたしたのでございますが、民法の相隣関係の場合には、争いがあります場合には直接裁判所に訴えるということで解決をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/5
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006・三鍋義三
○三鍋委員 次に同じく十一条の二項でございますが、「その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。」これをもう少し具体的に説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/6
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007・志村清一
○志村説明員 第二項に関しましては、これまた民法においても大体同様の考え方があるのでございますが、具体的の場合、いろいろの事項によりまして費用の負担の状況は違うのでございますので、これも使用する側と使用をせる側と、両者が話し合いをいたしまして負担をきめていくというのが従来の通例でございます。相隣関係といたしましてはさようなやり方が一番適当ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/7
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008・三鍋義三
○三鍋委員 次に第十二条でありますか、除害施設の設置等の規定が設けられてあるのでありますが、ここにおいて都市下水路が適用されていないように思うのでありますが、どういう理由でこれが除外されているか、この御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/8
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009・志村清一
○志村説明員 除害施設の設置等のことを規定しております第十二条は、公共下水道に関しまして規定いたしておりまして、都市下水路に関しましてはこれに近い規定は第二十九条あるいは第三十条において規定してございます。
一応第十二条は公共下水道のみについて考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/9
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010・三鍋義三
○三鍋委員 次にこの放流水の水質検査等の規定が設けられておるのでありますか、これは少し変なような感じがするのでございますが、どうでございますか。これは終末処理場というものは当然公共下水道と切り離すことができないものでございますが、それゆえにこそ事業計画の認可と内容について、第四条と第五条に下水道と終末処理場と連関させると規定してある。全然性質の異なったものがここにぽこんと第二項に出てきておるのは、何か法体系から無理なような感じがするのでございますが、これに対する御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/10
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011・志村清一
○志村説明員 第三十一条は放流水の水質検査の規定でございまして、その第一項に水質検査に関する記録に関して規定し、第二項に終末処理場に関して規定しておるのは多少矛盾といいますか、そぐわないのではないかという御質問であります。実は終末処理場自身は、屎尿を含んだ下水を最終的に処理する施設でございます。これが水質に関する非常に重要な施設なものでございますから、水質の検査等といたしまして、水質検査と並んで規定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/11
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012・三鍋義三
○三鍋委員 今出てきました終末処理場の取り扱いの問題でありますが、これは従来厚生省と建設省がその所管についていろいろと論議があったようであります。この法案によって施行される場合に、終末処理場の認可手続も厚生省に対して行われるものだ、このように解されるのでありますが、建設大臣と厚生大臣と何かここに協議の規定が当然必要である、このように考えるのでありますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/12
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013・根本龍太郎
○根本国務大臣 これは覚書で明確に規定いたしております。御指摘のように各方面からいろいろ御意見がございまして、不水道を完備する場合において終末処理場と下水道と分割するのは適当でないといういろいろな意見もございましたけれども、これは昨年はっきりと関係省の意見調整をいたしまして今日まで実施いたしておりまして、何ら差しつかえないということでありますので、この方針でもってやりまするが、御指摘になりましたように認可等に当りまして十分にこの間が連絡がとれるように覚書を交換した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/13
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014・三鍋義三
○三鍋委員 今も大臣がお述べになりましたように、市町村では終末処理場と下水道とは一体のものであるから所管を一元化されたいという要望が非常に強く出てきておるのでありますが、そのように修正した場合に行政上どのような支障がくるのか、これもやはりできるだけ能率的に、効果的にやるために多少いろいろと問題がありましょうけれども、すっきりとしておいていただきたいと思うのでございますが、これに対する御所見をもう一度承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/14
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015・根本龍太郎
○根本国務大臣 ただいまもお答えいたしましたように行政の所管は、見方によりましては、これはいろいろ取り方があります。下水道それ自身が一般の国民の衛生保持の観点に立って見るならば、逆に厚生省が全部所管していいじゃないかという意見もあるわけであります。しかしながら下水道の構築、維持、これがむしろ重要な政策として考えるならば、これはやはり建設省が一貫してやってもいい、こういう議論になるわけです。しかしながら終末処理場の方は先ほど御指摘になりましたように、汚水の処理さらには汚物の処理は最終的にあそこでなされておる、こういうような問題は、水質の問題、河川、海洋というように広範な公衆衛生に関するこの問題は、農林省その他もみんな関係はございまするけれども、やはり衛生上の措置が十分にできておるかどうかということの観点に立って見るのが行政上いいじゃないか、こういう観点で、現在では終末処理場が厚生省所管になっておる。しかし地元においては一本にしていただいた方が便利だというものの、現在終末処理場と二つに分けておるために、非常に地方末端の行政機関において支障を来たしておるかというと、それほど支障を来たしていない。しかし感覚的には一方にした方がいいという常識論が多いようであります。そういう観点からしまして、一カ年の経験でございますが、運用上非常に困るという実例がございませんので、現行のままで進めて参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/15
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016・三鍋義三
○三鍋委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、さしたる支障がないような御答弁でございますけれども、私はやはり筋として一貫管理された方が能率的である、こう思うのであります。もし衛生関係のそういう技術面の必要がありといたしますならば、建設省にそういう技術陣を設置されて、そして一貫した事業を遂行するように、このように考えるのでございますが、もう一度これに対するところの大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/16
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017・尾村偉久
○尾村政府委員 衛生行政の上からの汚物処理、ごみ等の処理でございますが、汚物が下水道処理で近い将来に全部まかなえるということになりますと、また少し違って参りますが、現在のところ約五百都市のうち、農村還元、いわゆる旧来のくみ取りで直ちに百姓に行くという以外のいろいろな処理方法でやっておるのが約三百都市あります。このうちの相当部分が現在、いわゆる屎尿消化槽と申しまして、くみ取ったものを自動車等に積みまして、あるいはくみ取ったままこれをちょうど終末処理場に当る屎尿の消化槽等に投入してやっておるというところが、現在多いわけであります。これを年々二十五カ所程度設けておる。実をいいますと、運搬処理は水路によるのがいい、つまり下水によるのが一番いいわけであります。これが地勢の関係、それから下水道に終末処理を作るといういろいろな難易の問題で、これは極力推進はしておりますが、すでにでき上りましたのは七都市でございまして、今年も約二十カ所継続事業として始めたばかりであります。本年またその程度今の予算の状況でやっていく。しかもやっております都市におきましても、地勢の関係等で全部が下水の終末処理に一挙に切りかえられない。つまり山の向う側とこっち側に分れておりますと、一方はくみ取ってこれを屎尿消化する、一方は終末処理する、これを逐次切りかえつつある。これは下水道をトンネル等をうがつこと等で逐次延ばしまして、屎尿消化を切りかえておる状況でありまして、現在のところはまだ大部分が下水道処理以外の他の汚物処理によってやっておる。これを極力チャンスを見ては下水の終末処理に切りかえる、それが当分続く状況であります。さような意味で、その都市の屎尿の消化処理が衛生上一番いい下水処理に早く切りかえるのはいつの時期かわかりませんが、そのときから下水道も終末処理が可能となって、屎尿のために使えるわけであります。現段階では、やはり汚物の全般的な最終処理という観点からこれをやる方が能率的であるという形で、構築一本のいわゆる一元化よりも、極力両省で協力し合って、不便を極力住民になくすということに努めて、今の衛生行政の一貫性によってその点からの便利と合理性をはかっておる、こういう形で地方ともうまく話し合ってやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/17
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018・三鍋義三
○三鍋委員 次にお尋ねいたしたいのは、国の補助と融資の関係でありますが、私はやはり第三十四条の補助率は法律で明定しておく必要があると、こう思うのでございますが、これが抜けているのはどういう考え方から抜けているのか、この点に対するところの御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/18
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019・町田稔
○町田政府委員 三十四条におきましては、補助率の決定は政令で定めるところによるとして、政令にゆだねてあるのでございますが、これは今後公共下水道を延ばして参ります際に、将来の事情の変化等に応じまして適宜補助、率等をもその地勢に合せて変える必要がある場合をも予想いたしましたことと、それからなお、最近定められまする法律等におきましても、補助率につきましては政令で定めておる場合が多いのでございまして、そういう例にもよったわけでございます。もし三十四条で補助率等を書く場合にも、従来の例によりますと何分の一以内というような書き方をいたしますので、具体的にはいずれ政令を必要といたします。そういうことも考えまして、政令で定めるところによりと、こう規定いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/19
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020・三鍋義三
○三鍋委員 この下水道事業が非常に立ちおくれておりますことは、当委員会におきましても論議の中心でありましたし、またこの改正案が出てきたのも、それを何とか早く挽回しよう、そういう意思から出てきておるといたしますれば、こういった点を明確にして、そうしてこういう意気込みでこういう工合にやるんだぞといったものがこの法文の上に現われておった方が、改正意図というものがはっきりしておって私は適切じゃないか、こう考えるのでございます。今のようなお考え、そして御答弁では、何かそこにみんなしり込みして周囲をながめておる
といったような感じを持つのでございますが、大臣はこの点についてどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/20
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021・根本龍太郎
○根本国務大臣 三鍋さんのただいま御指摘になった点は、一応そういうふうな考えにもこれはとられるでございましょう。ところが実は私の考えは、この下水道法を制定するに当りまして、今非常に立ちおくれておるからこれを画期的に推進したいということになりますと、これは事業量の問題と、それからそれに裏づけするところの財政の問題が出てくるわけです。そこで財政当局といろいろ話をしてみまして、大体この下水道に対する関心は相当強くなりましても、にわかに補助率を高くするということは非常に抵抗があるわけなんです。この際に下水道法を制定する場合に補助率を明定するとなりますと、勢いずっと低いところで法律化される傾向が出ることが看取されたのであります。しかもこれを作りましても、今事務当局からお答え申し上げたように、何分の何以下、こうなってまして、これは大した効果がない。それでわれわれといたしましてはざっくばらんに言いますと、この前の予算編成時期に当って、これで論争しておるとどうしても低率な補助になる可能性が強い。そうすると今度は地方財政面から見ますと、自治庁としてはそれじゃ困るということで、非常に難点がありますので、むしろ他の例にならって政令で定めていく。こうなりますと、地方財政の状況もそれまでに大体見通しがついてくるし、それから国の方についてもその実態を認識してもらって、そうして政令で一応定めて漸次——私は三鍋さんその他同僚議員諸君が言われるごとくに下水道の推進に当っては相当率を高くしないと普及しないだろうという考えから、まあ見方によりましては非常にしり込みしているように見られるけれども、実は私はこれから伸ばそうかとする気持ちでやっておるわけでありまして、今後ぜひ補助率並びに事業量とも率を高めるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/21
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022・三鍋義三
○三鍋委員 三分の一以下とか三分の二以下とか、そういう以下という文字をつけるから不安なのでありまして、それは以下なんというよけいなものを使わないで、はっきりと打ち出したらいいじゃないか。私の申し上げるのは、予算関係やいろいろな問題があるので、そう簡単に結論は出ないと思いますけれども、何といったってこの下水道というのは、一番先になすべきものが一番あとに回されておるところに問題があるのでありまして、私は、今後予算編成をされる場合におきましてこういった点を明確に強く打ち出して、そうしてこれをやるんだぞという政府の強い意気込みと、地方団体のこれに対するところの腹がまえというものを、しっかりと持たせるようになさるべきである、このように考えるのであります。そこでこの補助にいたしましても融資にいたしましても、この法文によりますと都市下水路に何ら規定がないのでありますが、これはどうしたわけであろうか、この点を一つ局長にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/22
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023・町田稔
○町田政府委員 都市下水路につきましては、事実は予算補助が従来からなされておるのでございますが、下水道といたしましては、将来特に力を入れていかなければならないのは公共下水道、いわゆる暗渠の改良下水道でございます。その下水道か現在普及いたしておりませんので、過渡的に都市下水路が用いられておるという状況でございます。しかもこの都市下水路は新たに作るということはほとんどないのでございまして、常に従来あります水路を指定いたしまして、それの改築をして当分の間下水道の役をさしておるという状況でございますので、特に性質としては過渡的なものであります。そういう意味におきまして、補助に関する規定といたしましては、公共下水道に関する規定だけをここに掲げたというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/23
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024・三鍋義三
○三鍋委員 そこでこの法文によりますと、災害関係に対しましては何ら触れておらないのでございますが、これは私この法律を実施していく上におきまして非常に片手落ちだと思うのでございます。なぜここへ挿入されていないのか、この点につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/24
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025・町田稔
○町田政府委員 災害につきましても、実は予算の補助はいたしておるのでありますが、下水道に関する災害についての根拠法規は、災害復旧事業費の国庫負担法の方で解決をいたしたいと思いまして、この下水道法には入れなかったのでございますが、負担法に関する改正は現在のところまだ関係格省の間で話がまとまっておこらないという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/25
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026・三鍋義三
○三鍋委員 これは当然国庫負担法の方にうたわるべきである、こう思います。災害に対するところの国庫負担法によってこれは当然処置あるべきである。
〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
私たちはこの公共土木の災害の国庫負担法の改正がなさるべきであるという前提のもとに、ここに特にうたってないことを了承するのでありますが、その負担法の改正が、どうも今のところなされるような気配もないのでございますが、これに対するところの暫定措置といいますか、どのようにこの災害問題を考えておられるか、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/26
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027・根本龍太郎
○根本国務大臣 お答え申し上げます。実は御指摘の通り下水道に対する災害復旧を補助の対象にすべきである、これはその通り私も思っております。ところがこの法律を作定するに当りまして、その意見調整ができません。その結果、将来公共事業に対する国庫負担法のときに検討しようということになっているのでありますが、これまた率直に申し上げますと、事突進んでおりません。結局この際いろいろとこの法律の態勢を確立するために最終的に、委員会の御趣旨に沿いまして今後何らかの措置によって善処して参りたい。これは補助もやっておるわけなんです。ただこれを法律に明定することについて財政当局と非常に意見が合いませんので、こういう状況になっておりまするが、漸次御趣旨に沿うごとくに善処して参りたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/27
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028・三鍋義三
○三鍋委員 意見調整が事実できていないのだ、このように率直に大臣のお言葉をお聞きいたしますと、それ以上追及するのは何か意地っ張りのような感じも受けるのでありますが、これは非常に大きな問題でございまして、地方自治体においても非常に心配しておる点だと思うのであります。これはこの委員会においても当然何とか適当なる処置を超党派的になさるべき問題であると、このように考えますので、この問題につきましては以上で終ります。
最後に私は、大臣また局長さんにお願いしておきたいのは、この下水道というものは、実は私自体もこの法案がここへ出てくるまでは、あまり関心を持たなかったといってはちょっと言い過ぎがもしれませんけれども、あまり関心を持たなかったのであります。ところがこの法案をずっと研究してみますと、実にまっ先になさるべきことが一番あと回しになっておるというその矛盾と、そこに関連するところの衛生上の問題あるいは経費の問題、こういったものが大きく浮び上ってくるのであります。そこで私は一般市民に対しまして、どうも私たち郷里はいなかでありますから、屎尿というものは肥だめからくみ取るのが常識である、このような考えか長い間の生活を通じていつの間にか浸み込んでしまっておるのでありますが、この都市生活というものを考えますと、これは一刻もゆるがせにすることのできない問題でもあります。こういう大きな事業をほんとうに国家の大事業としてやるときには、何といたしましても住民自体がこの問題をはっきりと認識せなければならない、こういう結論に達しておると思います。これでは大へんだという気持、早くこれを処理せなければならないという気持、これは何も、ちょっとした雨で床下へ水が入ってくるとか何とか、そういう問題だけでなしに、汚物処理という点から、そしてまたたまり水の非衛生的な状態、こういうものを考えましたときに、これはもうほんとうに何よりも先に解決しなければならない問題であるということがわかるのであります。過日もこの下水道に関する映画を見せていただきまして、あのばい菌のうようよと活動しておる姿を見ましたときに、何かこう急に、おそろしいところに私たちは生活しておるといったような感じを強く受けたのでありますが、こういった一般市民の啓蒙宣伝、こういう点につきましては、私は十分に力を入れらるべきであると思うのであります。そうしてみんなが一致してこれを早く解決しようというところへ持っていくことが、この事業を完成する上においても大へん重要な問題点であると考えますので、この啓蒙宣伝という点について、どういう処置をとってこられたか、今後どういうような処置をとられようとしておるか、この点について御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/28
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029・根本龍太郎
○根本国務大臣 三鍋さんが御指摘になっている点は非常に重要な問題です。実は私が建設省を担当いたしましてから、道路の問題とこの下水道に一番重点を入れたのでございます。道路の方は割合に一般国民も理解なさいまして、皆様方のおかげで相当推進して参ったのでありますが、下水道の問題は、実は私はこれについては相当関係当局あるいは都道府県知事の諸君に、強力にこの問題を取り上げて参りました。何しろ今までの状況は、三鍋さんが御指摘のように、屎尿処理とかなんとかは、大都市では困っておりますけれども、中間都市ではあたりまえだというような観念のために、なかなかこれか進んで参りません。そこで私の方としては、都市計画の際には道路と下水はまず優先的に計画を立てろ、それが整っていなければ、今後単なる区画整理では意味をなさない、こういうような指導方針をすべきだというように事務当局をしてやらしておりまするが、啓蒙宣伝の点はまだあまり十分ではございません。単に関係の地方行政機関あるいは学識経験者だけで、まだ大衆的な規模における認識が足らない。こういう点は私も非常に残念に思っていまして、先般も実は東京都の首脳部の方と会ったときに、都民の時間ですか、私はいつも朝これを聞いておりますが、一般社会面記事的なことは一生懸念命取り上げているけれども、国民生活に対する道路とか下水とかいう問題は、どうもあまり取り上げていないのではないか、もう少しああいうふうなラジオその他においても取り上げてほしいということを要請いたしましたが、お示しのように、今後一般国民の下水道の普及に関する必要性、それからまたこれが普及しない場合に、いかに国民衛生上有害であり、おそるべきことかということを極力検討いたしまして、進めて参りたいと考えております、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/29
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030・久野忠治
○久野委員長代理 中島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/30
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031・中島巖
○中島(巖)委員 今回政府が画期的の下水道法案を提出されたことについては、私全面的に賛成の意を表するものでありまして、実際明治三十三年に制定の下水道法のままで現在までやってきたという、そのこと自体が非常に驚くべきことであるのであります。その間所管官庁なんかがはっきりしなかったというような、いろいろな理由もあるだろうと思いますけれども、これは何としましても歴代政府の長い手落ちではなかったかと思うのであります。そこで先ほどからいろいろな委員の御質問がありましたけれども、問題は結局、これが公共施設であるかどうかということが基本的な問題であると思うのであります。
〔久野委員長代理退席、大高委員長代理着席〕
そこで今度の法律改正に当りまして、かつて旧法におきまして改良下水道と呼ばれておりましたものを、公共下水道並びに都市下水路というように、二つの呼び名に分けたわけであります。もちろんこの意味は、公共性の多分にあるものだという意味で、こういう名前にしたのだと思うのでありますが、この下水道事業を公共事業としてみなすかみなさぬかということが、先ほどから各委員の質問にありました予算措置の関係なんかに関連してくるのではないかと思いますので、そこで大臣は下水道を公共事業とみなしておるかどうか、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思ののであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/31
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032・根本龍太郎
○根本国務大臣 原則的には私は公共事業と見ております。またそうあらねばならない。ただし、これは道路とか河川と違って若干の特質を持っておりまして、先ほど来いろいろお示しのありました、今の終末処理に関係し、それから汚物処理という関係上、これはある意味において、公共事業ではありますけれども、その他の受益者も特定のものがあるという観点で、若干のプラス・アルファがありますけれども、本質的には私は公共事業だ、こういうような観念に立って実は進めて参りたいと思います。そういう意味においてこの立法をしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/32
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033・中島巖
○中島(巖)委員 大臣の御答弁は全く私同感であります。従いまして基本的の問題として、この法整備に当りましても、財源措置に当りましても、公共事業という基盤の上に立ってこれはなさるべきだ、かように考えるのであります。
そこで今回の法案において相当画期的な条文を盛り込んでありますが、何と申しましても一番中心の課題は下水道の財源措置だろうと思うのであります。そこでこの財源措置の関係については、計画局長の御答弁でけっこうなのでありますが、実際問題といたしまして、現在全国の下水関係を見ますと、上水道とからみ合せて多分に上水道に負担をわけておるような状態ですが、これはその地区々々の条件によりまして、あるいはそうしても公平なところもあり、そうすることが著しく不公平なところもあるというようなわけであります。そこで下水道を担当する建設省としましては、下水道の財源措置ということについて、ある程度の企画性と申しますか指導方針と申しますか、そういうものがなければいけ弘い、かように考えるわけであります。そこで本年度は相当大幅な起債も獲得したり、また下水道の使用料を定めた
り、これらも私賛成であります。そこで問題の本質に入りますけれども、下水道の財源措置に対しまして、どういう計画と申しますか、お考えを持っておりますか。計画局長から具体的にお伺いいたしたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/33
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034・町田稔
○町田政府委員 下水道を伸ばしますためには、ただいま先生の御指摘のように、財源措置を確立いたしますことが一番大切なことでございます。それで下水道の財源措置といたしましては、建設省ではまず第一に、国の補助をしていくということが必要と考えております。しかしそれ以外に自己の財源として、起債によって事業を処理していく、それからこの起債を償還するために使用料を取っていくということが、第二として必要であると思っております。それからなおそれ以外に、従来のように都市計画税等によりまして起債以外の分を調達をしていくということも必要だと考えておるのでございまして、われわれは国の補助がまず全事業費の三分の一、それから都市計画税その他自己財源によるものを三分の一、あとの三分の一程度を使用料等によってまかなう。その使用料は起債の償還に充てていくというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/34
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035・中島巖
○中島(巖)委員 今私の聞かんとするような数字が出たわけでありますが、私ちょっと聞き漏らしましたので、具体的にその率をもう一度御説明願いたない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/35
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036・町田稔
○町田政府委員 三分の一が国の補助、あと三分の二を起債、そのうち半分は使用料によって起債の償還に充てていく、あとの三分の一を都市計画税その他の自己財源で充当していくというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/36
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037・中島巖
○中島(巖)委員 そうしますと、ただいまの計画局長の答弁に対しまして念を押すようでありますけれども、三分の一が補助、あとの三分の一が起債、それからあとの三分の一が自己負担であって、これは都市計画税なんかで補う。こういうような構想でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/37
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038・町田稔
○町田政府委員 最初に私のお答えいたしましたのは少し違っておりますが、三分の一が国の補助、それから三分の二は起債、それでその三分の二のうちの半分に当るものを使用料等で取り、あとの半分を都市計画税その地で償還していくということでございますから、それぞれの率で申しますと、三分の一が補助で三分の一が使用料、それから三分の一が都市計画税というようなことになりますが、あとの都市計画税と使用料は起債の償還に充てていく、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/38
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039・中島巖
○中島(巖)委員 今の計画局長の御答弁によって、下水道の財源について最近にない画期的な独立財源を御説明になって、これは非常に気強いわけであります。これが下水道立法の上におけるところの、建設省の一番画期的な御方針だと思うのです。私もこれは非常に賛成でありますので、こういうような指導方針に基いてやっていただきた
いと思うのであります。
そこで本年度の起債のワクその他についてこの前お伺いいたしたわけでありますが、蒸し返すようになるのでありますが、大体本年度の起債のワクそれから国の補助なんかと比較いたしまして、全国における下水道事業の計画というようなものは大体出そろっておると思うのでありまして、これらとにらみ合わして事業量に対して何パーセント程度の起債もしくは補助金がいくというようなお見込みがあるか。お見込があるとすればお聞かせ願いたい。
〔大高委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/39
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040・町田稔
○町田政府委員 三十三年度は、まず国庫補助金から申し上げますと、建設省関係分が六億五千二百万円でございます。それから厚生省関係分が三億八千百二十五万円であります。国の補助が合計いたしますと千億三千三百二十五万円ということになっております。これに対しまして起債が、自治庁の御意向を伺いますと大体四十億円が下水道関係に予定されております。それで国の補助と起債を合せまして五十億になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/40
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041・中島巖
○中島(巖)委員 そこでもう一点。先ほども質問したのですが、その五十億程度でもって本年度の下水道事業に対
して何パーセントくらいに当るかというお見込みをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/41
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042・町田稔
○町田政府委員 本年度の事業費は全体で六十億と予定いたしておりますので、六十億のうち五十億を国の方でめんどうを見るという形でございます。あとの十億は各事業主体が自分の財源から出して事業を施行するということが予測されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/42
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043・中島巖
○中島(巖)委員 だいまの計画局長の御答弁によりますと、大体本年度の下水道事業は、大ざっぱに見て自己負担は二割あれば事業が遂行できる、こういうように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/43
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044・町田稔
○町田政府委員 三十三年度はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/44
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045・中島巖
○中島(巖)委員 大臣は十二時から御用事があるといいますので、ちょっと質問があとさきになりますけれども、一言お尋ねしておきたいと思うのです。本提出法案の第三十四条は財源措置について規定されてあるわけであります。しかしこれは国の予算措置において補助をするということになっておるわけであります。この画期的法案を作成するにおいては画龍点睛を欠く、私はこういうように考えるわけであります。そこでお尋ねするのは、これを将来法律でもって補助率を決定されるような御意思があるかないかということが一点。
それからもう一点は、本年度の建設省の通常国会提出予定法律案概要というものが出ておるのでありますが、この第九に、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案の第三号と申しますか、末尾に公共土木施設の範囲に下水道を加えようとするものである。こう説明が出ておるのであります。ところが今までの委員からなどの質疑応答から見まして、まだ各省、特に大蔵省関係なんかの意見の調整ができないから、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法は本国会に提出できない、こういうように私了解しておるのでありますが、もしそうであるとすれば、将来公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法にこの下水道を加えるような御意思かあるかどうか、この二つの点について大臣に質問いたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/45
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046・根本龍太郎
○根本国務大臣 ただいま中島さんがおっしゃった通り、実は私の方としては本国会においてこの下水道法と相関連いたしまして、さらにそのほかにも災害の国庫負担法の改正をする必要があるということで、今日まで実は各省関係と折衝しておりますが、どうもはかばかしくございません。従いまして、今国会にはとうてい間に合わないと、断念せざるを得なくなりました。しかしながら、われわれは先ほどいろいろと御説明申し上げたような趣旨におきまして、ぜひともこれは将来において国庫負担法の改正をいたして、下水道をその適用範囲に入れる、この方針を貫きたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/46
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047・中島巖
○中島(巖)委員 大臣に対する質問はこれでよろしゅうございますから、お帰りになってけっこうでございます。
次に、自治庁からお見えになっておるわけでありますから、これと関連いたしましてお伺いしたいのであります。と申しますのは、最初に問題のアウトラインを申し上げておいて御質問した方がいいと思うのであります。大体これは私の方の飯田市に起った問題であると同時に、旧来から自治庁の指導方針がそうであったように思えて、全国的に同じ類例があるわけであります。問題と申しますのは、飯田市が最近、ここ二、三年ほど前から下水道の建設にかかっておるわけであります。ところが、財源に対して非常に苦しんだあげく、上水道の料金の値上げを、大口消費者に対しては約八割ほどいたしまして、この財源をほとんど全額というほど下水道におんぶしてしまう。やはりああいう田園都市でありますから、上水道は全部に普及しておりますけれども、下水道は市街地の中心地の、ごく一部分が使うものである。そこで負担の不公平というようなところから、非常な問題が起きておるわけであります。従って、つまり公営企業に対するはっきりした指導方針をこの際お伺いいたしたい、こういうように考えるわけであります。そこで公営企業法におきましては、第二条におきまして公営企業の、つまり条件と申しますか、業種と申しますか、そういうものをここではっきりとうたってあるわけであります。それから公営企業法の第三章の財務において、特別会計の規定があるわけであります。この特別会計の規定は、「地方公営企業の経理は、第二条第一項に掲げる事業ごとに特別会計を設けて行い、その経費は、当該事業の経営に伴う収入をもって充てなければならない。」こういうようにはっきり基本方針が定まっておりまして、それからただし書きといたしまして、「但し、同条同項に掲げる事業を二以上経営する地方公共団体においては、議会の議決を経て二以上の事業を通じて一の特別会計を設けることができる。」こういうことになっておるわけであります。そこで問題は、このただし書きにおいて、二つの公営事業を通じて一つの特別会計を設けることができる、こういうことになっておるところが、いろいろ中心がぼけてくることになるのですが、結局その基本的な方針は、いかに「但し」があっても変りはないと思うのですか、この法解釈についてどういう御意見であるか、承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/47
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048・山野幸吉
○山野説明員 地方公営企業法におきましては、ただいま御指摘の通り、十七条におきまして特別会計の経理の方法を定め、二条一項に定める事業ごとに特別会計を設けてやるということは、あくまで原則であります。しかし、ただし書きで、特別会計を合せてやるということも、これは認められておるわけでございます。ただいまお話しの、上水道と下道をあわせて一つの特別会計を設けたような場合でございますが、この場合、私どもの今申し上げております公営企業法の問題は、公営企業法を適用しておる事業だけに該当する場合の規定でございます。飯田市の場合は、上水道も下水道も、法の適用を全く受けていないわけであります。すなわち、団体で任意に経営しておる事業でございます。従いまして、この公営企業法の解釈といたしましては、先生の今御指摘の通りの解釈でございますが、飯田市の場合におきましては、これは法以前の問題でございまして、むしろ厚生省なりあるいは建設省なりの御指導の問題ではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/48
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049・中島巖
○中島(巖)委員 そこで、飯田市の問題は別にして、基本的な問題をお聞きするのでありますが、第十七条の「二以上の事業を通じて一の特別会計を設けることができる。」こういうことで、二つの公営企業の性格なるものを一つの特別会計にする、こういう場合においても、この第十七条の前段の「その経費は、当該事業の経営に伴う収入をもって充てなければならない。」この条項に基いて、事務的には一つの特別会計とするにいたしましても、その一年間の決算をする場合においては、やはりおのおの特別会計で経理をせなければならぬ、こういうように私は解釈するのでありますが、自治庁の解釈はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/49
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050・山野幸吉
○山野説明員 二以上の特別会計を一の特別会計で経理する場合でございますが、その場合におきましても、それぞれの公営企業について各款を設けまして、たとえば上水道なら上水道、下水道なら下水道という款を設けまして、それぞれ経理することに私どもは指導しております。従いまして、それぞれの料金は、それぞれの事業の適正な原価に基いて算定されるというようなことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/50
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051・中島巖
○中島(巖)委員 さらにこの関係について御質問しますが、公営企業法の第二条におきまして、こういうように、公営企業の事業が明確にされておるわけで、それから第二条の二項におきまして、「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、地方公共団体の経営する地方公営企業以外の企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができる。」こういうようになっておるのですが、この条例は、施行令の第一条であると思うのであります。従いまして、施行令の第一条におきましては、モーターボート競走事業だとか自転車競走事業だとか地方競馬事業であるとかというものを明記いたしてあるわけであります。そこで、この公営企業といたしましては、下水道と上水道とを一つの特別会計にすることは先ほど申しました第十七条から見ましても、あるいは第二条の二項から見ても、経理の内容をごたごたにして一つの特別会計にするということは、これは法条から見てできないというように解釈するが、そういう解釈でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/51
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052・山野幸吉
○山野説明員 御指摘の政令で定める基準と申しますのは、政令第一条を指しておることは御指摘の通りでございます。ただこの一の特別会計を設けることにつきましては、企業法の十七条で、一応第二条第一項の事業ということに書いておりまして、事業対象は第二条第一項の事業に限っておるわけでございますが、政令第一条の趣旨に沿って法の一部を適用しました場合に、その政会の趣旨に従ったものと認定して企業法の一部を適用した場合に、一の特別会計に合せて行うことを全く排除したものであるかと申しますと、私どもはさようには解釈をしていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/52
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053・中島巖
○中島(巖)委員 そうしますと、あなたのおっしゃるのはどういう法律の根拠に基いてそう解釈しないとおっしゃるのですか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/53
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054・山野幸吉
○山野説明員 十七条は二条一項の事業についてこういう「一の特別会計を設けることができる。」と書いたものでございまて、二項の事業について任意適用をした場合の経理の方法を全く排除したものではないじゃないか、こういう工合に解釈をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/54
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055・中島巖
○中島(巖)委員 そうしますと二項のことは特別会計ができる、こういうように承わったわけであります。つまり二項はただいまお話のあったように政令第一条に規定されておるのですが、それ以外のものもあなたの解釈では一つの特別会計に含むことができる、こういうように御解釈なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/55
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056・山野幸吉
○山野説明員 これはあくまで政令の基準に従った事業であって、当該事業の収入でもって当該事業の経費を主としてまかなえる事業でなければいかぬということは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/56
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057・中島巖
○中島(巖)委員 そうすると具体的な問題として、下水道と水道事業とを一つの特別会計にするということは、僕は法的にどうしてもできぬと解釈するのですが、これはできるという解釈であるかできぬという解釈であるか。できるとすればどういう法的根拠に基いてできると言われるのであるか、この点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/57
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058・山野幸吉
○山野説明員 この任意適用される事業が主として当該事業の収入で経費をまかなえる事業であるかどうかということにむしろ私どもは問題があると思うのであります。下水道におきましても既設の下水道が大部分でございまして、その経営の基盤が確立しておるというような事業であれば、これを上水道と一緒に経営することを排除するものではない。しかしその下水道が全く新規の、これから始まる下水道で、とてもその収入で経費をまかなうことは初めから問題にならぬというような下水道をあえて法適用して、上水道と一緒に経営することは妥当ではないという工合に解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/58
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059・中島巖
○中島(巖)委員 そこで具体的な問題に入るわけなんですが、飯田市の場合は現在下水道の建設中で、何年先に料金が徴収できるかわからないというような状態なんです。そこで上水道と下水道と一本の特別会計にしまして、この建設費を全部上水道の方へおんぶしてしまった。従って八割というような高率な水道料金の値上げをしようとしておる、こういう状態にあるわけです。こういうような具体的な問題に対して、自治庁としての解釈は、一本の特別会計でいいのであるかどうか、それから一本の特別会計にした場合、その内容は事業ごとに、「経営に伴う収入をもって充てなければならない」ということを十七条に規定されておるのだが、これらの点はどう解釈しておられるのか、その点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/59
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060・山野幸吉
○山野説明員 結論的には下水道の経費を上水道へかぶせるという考え方自体が私は誤まりだと思います。ただ会計の処理の方法としまして特別会会計を一本にされるのは、私は事情によってはやむを得ないと思うのですが、しかしその場合にもあくまで下水道は下水道、上水道は上水道と、分離して経理して、そうしてその経費の不足については、上水道の経費を持ってくる前に、むしろ一般会計からの繰入金をするとかあるいは都市計画税を入れるとか、そういう方法を講ずべきものではないかという工合に考えるわけでございます。まあ事業の性質から言いましても、さような場合には私は特別会計を一本にすることは妥当ではないのではないかという感じがしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/60
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061・中島巖
○中島(巖)委員 そこで公営企業に対する料金のことについて、公営企業法の二十一条の二項におきまして、「前項の料金は、公正妥当なものでなければならず、且つ、これを決定するに当っては、地方公営企業の収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われなければならない。」こう規定されておるのですが、この「公正妥当」ということについて、自治庁はどういう御意見を持っておるのであるか。私の考えでは、公正妥当というのは、公営企業を経営する場合において建設費並びにそれに対する利子、それから維持管理費、こういうものを合計したものにおいて料金を決定するのが公正妥当だと、こういうように、解釈いたしておるのですが、「公正妥当な」というところの具体的な何らかの方針が必ずあるはずだと思いますので、これについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/61
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062・山野幸吉
○山野説明員 公正妥当なものでなければならないという解釈の点でございますが、これはあくまで公営企業自体が、どっちかと申しますと独占的な事業でございますので、その事業をあくまで能率的に経営管理する必要がある。従って能率的に経営管理するために事業の必要とする適正なる原価というものをとらえておるわけでございまして、適正な原価は一体何であるかという問題でございますが、これは御指摘の通り利息を含めました建設原価、そういうものにもちろん維持管理費は入ります。そうして建設された当該施設の適正な減価償却、そういうものをひっくるめて適正な原価という工合に考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/62
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063・中島巖
○中島(巖)委員 そこで先ほどの自治庁の答弁は、さっきの飯田市の例は公営企業に該当するものじゃないのだ、こういうようにお話がありました。これは飯田市のみならず、その他にもこういうような類例は必ず出てくると思うわけであります。そこで自治庁はこれらに該当しない——該当しないというか、頭数が足りないために該当しないわけでありますが、実質においては全部同じ意味を持つものであります。そういうものに対する指導方針は、公営企業法にのっとった指導方針をやるのか、あるいは別個の指導方針で臨むのか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/63
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064・山野幸吉
○山野説明員 現在規定されております公営企業法が各事業別に五十人、百人と従業者の数でもって適用、非適用をきめておりますが、私どもは近い機会に、公営企業法を全面的に検討いたしまして、この人数に満たない事業について、一体どういう取扱いをするか、あるいはここに掲げておる事業のほかに、公営企業で営んでおる事業があるのに対してどういう指導をするか、法的規制をとるか、そういうことにつきまして全面的に検討いたしまして、現在のような非適用の事業に対する指導をもっと公営企業として一元化して参りたいと考えております。従いまして、現在のところはこの公営企業法の適用されておる事業について、この法の条章に従って指導をしておりますけれども、近い将来はこの非適用の事業につきましても、少くとも地方公営企業として営んでおる事業でありますれば、同じような趣旨で指導できるような態勢に持っていきたいというふうな工合に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/64
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065・中島巖
○中島(巖)委員 ただいまの御答弁は、将来はこの人数に満たない非適用公営企業もこの地方公営企業法にのっとったような方法で指導するようなことを考えねばならぬ、こういうお話でありましたが、現在のことについて触れなかったわけです。現在は、これに満たぬものは、でたらめで、ほうりっぱなしで、向うの言う通りにしておる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/65
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066・山野幸吉
○山野説明員 現在は、たとえば地方債の許可に当りまして、いろいろ水道の計画を持ってこられますから、その際に私どもは十分指導をいたしております。
それからまた非適用の事業につきましては、団体の財政運営全般の問題といたしまして、そのような事業の指導を行なっております。なお非適用の事業については、現在建設省あるいは厚生省で、それぞれの所管の事業といたされまして、適切な指導が行われるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/66
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067・中島巖
○中島(巖)委員 それで今の御答弁は、地方債を持ってきたときに指導しておる、こうおっしゃったが、どのように指導されておるか、具体的にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/67
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068・山野幸吉
○山野説明員 当該事業の、たとえば御指摘のような料金問題等につきましては、そういう、常識的に考えられないような料金を取らなければやっていけない上水道があれば、そういう水道については計画を変えさせるとか、あるいは完成の年次を伸ばすとか縮める、そういう事業ごとに当該事業の経営等を考えまして指導しておるわけであります。ただ下水道等につきましては、これは一般会計の補助事業でございますから、従いまして、この補助事業として認められた下水道事業を現実に経営する場合に、特別会計一本にしてその経費を上水道にかぶせるという、そういう経理のやり方については私どもは全く予期もしておりませんので、今後よく指導していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/68
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069・中島巖
○中島(巖)委員 まあ下水道が非常に必要だということははっきりわかっておる。そうして、この財源に対するところの基本的な処置と申しますか、国の方針がなかった、こういうようなことがいろいろ関連しまして、市もしくは町の下水道を建設するものは非常に苦しんだあげく、そういうような処置をとらざるを得ぬようになったと思って、この点は私もまことに同情しておるわけです。それから官庁としましてもそういうような事情を知っておって、そうしてこの下水道はそう大幅な収入がなくて、従って起債の対象にもなりませんので、大体の指導方針はあっても、それを大目に見て今まで見のがしてやってきたのだ、こういうように私解釈して、従来はやむを得なかったのじゃないかというように思うわけであります。
そこで、これは建設省の計画局と自治庁との関係になるわけですが、この財源措置に関して、先ほど計画局長から答弁があったようなこういう画期的な方針が樹立されたのであるから、この方針に基いて指導していただきたいと思うのです。これは下水道と上水道との関連のあることはだれでもいなむものではないのです。ないけれども、法規制の上において明確なもの、あるいは指導方針に対して、両者で統一した指導方針がないと、ただいま申し上げましたように無制限に上水道にぶっかぶせていくというような、こういうとんでもない常識はずれのした事態が起るわけです。そこで法適用の上におきまして、特別会計の経理の上において剰余金が出た場合には、議会の議決を経て一般会計なりその他の会計に充てることができるという法規定があるのでありますから、従って指導方法としまして、先ほど申し上げましたような三分の一が補助である、三分の二が起債と自己負担、起債は使用料で償還する、自己負担は都市計画税で充当する、こういうように下水道の財源措置に対する一つのはっきりした指導方針ができたわけである。ところが都市計画税が、果して三分の一を負担するだけの都市計画税が取れるか取れぬかということも疑問なんです。もしそういうような場合においては、これは正確にいえば公正妥当なるところの料金でないがもしれぬけれども、若干余裕を見て、上水道会計は上水道会計として完全に、この法規制にある通りに一本にしておいて、余裕金を見て、その余裕金ができたら都市計画税の不足分だけは充当するというような、ある程度の処置をとられることが私は好ましいと思う、こういうふうに考えるわけでありますけれども、現在のような状態だと無制限に上水道にぶっかぶせるというおそれがあるわけですが、大体、私の申し上げたことは御了解できたと思いますので、計画局長並びに自治庁が今後どういう方針をとったらよいかというような御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/69
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070・尾村偉久
○尾村政府委員 先になりますが、今の上水道は私の方で所管しておるのでございますが、上水道の、公営企業法の適用を受けたものは、先ほどからの自治庁の説明の通りで、今の飯田のごとき例、すなわちまだ地方公営企業法の適用を受けておらぬもの、これは、料金に基きましてその経理等の他への流用等が起きるかということでございます。これは昨年立案いたしまして成立いたしました水道法によりまして、必ず認可をする場合にも供給規程を入れなければならぬ。その供給規程の一番の重点は料金でございます。これも、どれだけの料金を課するかということが認可条件になっております。しかも、すでにあるものを変更する場合にも一々認可を得ないと変更ができぬわけでありますから、しかもその認可基準の中には、「料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。」という大条件がついておる。従いましてほしいままに他の会計に、これの水道使用者から多額の料金をとりましてこれを他に回して、事業の財源に充てるというようなことでは一応この原則にはずれますので、さような料金変更の認可は得られないように、法そのものがなっております。ただこの場合に二つございまして、ただいまの委員の御意見のように、一つは料金そのものをある程度認可の通る範囲で改訂をいたしまして、その剰余金を大体能率的な経営であくまで節約をして出すということが一つと、それからもう一つ現実に行われておりますのは、下水道の使用負担料を個人々々にどういう方法で課すればいいかということが非常に問題なために、水道の使用料に準じまして、それの一割とか二割あるいは三割というふうに、徴収のときについでに水道料に比例してとってもらう。それは必ずしも水道会計の中に入れませんで、徴収等の便宜でそうやります。これを下水の負担料に直接回す、かような便法を借りまして、実際には会計と関係なしにやる、こういうことをやっておるところもございます。従ってこれは一向かまわない。前者の剰余金の場合には限度がございまして、あくまで節約をして出したものは当然通るが、最初からお話のように、八割も、あるいは倍にまでふっかけて変更を通して、そのふえた分をほかのものに回すという場合には、おそらくこれはそう簡単には変更は通らぬ、かような法の規制を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/70
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071・山野幸吉
○山野説明員 地方公共団体の経営します公営企業がそれぞれ適正に運営されることは、どうしても確保していかなければならぬ問題でございますので、私どもはそういう建前から、地方公営企業法の改正等を通じまして、適正な運営がなされるように十分検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/71
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072・町田稔
○町田政府委員 ただいまの中島先生の御意見と私たち全く同じように考えておるのでございます。将来厚生省、自治庁と十分連絡をとって、方針を定めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/72
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073・中島巖
○中島(巖)委員 そこで厚生省にお伺いしますが、私どもは公営企業の施設、たとえば先ほど申しましたように飯田市のような場合は、市会で条例の改正さえ行われれば水道料金はどうでも改正できるように考えておったのですが、今の御答弁をお聞きしますと、あなたの方で一々許可認可を水道料金について求めなければ、水道料金の変更はできない、こういうような御答弁のように承わったのですが、そうだとしたならば、それはいっそういうように法改正がなされたのでありますか。そういうことはいつから実施されておるのか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/73
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074・尾村偉久
○尾村政府委員 昨年六月に通過いたしました水道法の十四条に基きまして、昨年の十二月十四日から施行されております。その十四条の三項の供給条件を変更する場合には、当然認可条件の変更でございますので、これは厚生省の定めるところによって届け出るということになっております。届け出たものが不適正ならば、これは厚生大臣からその変更を命ずる、かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/74
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075・中島巖
○中島(巖)委員 そうするとただいまの御答弁は、この公営企業法の適用されるところの、いわゆる百人から五十人、使用の頭数の関係で公営企業であるなしが決定するわけでありますが、それ以下の私営、公営企業に対しても、今の法律は適用されるものであるかというのが一点。もう一点は、結局あなたの方の許可がおりぬ限りは条例改正は法の建前としてできぬわけでありますか。そういうように了解してもよろしいのか、この二つの点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/75
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076・尾村偉久
○尾村政府委員 今飯田市の問題が具体的に出ておりますが、地方公共団体の場合には、厚生省令の定めるところによって厚生大臣に届け出ます。その場合に不適当ならば、これは命令と申しますか、勧告をする。それからその以外、すなわち地方公共団体以外にも水道事業があるわけでありますから、その場合には認可を受ける、こういうふうに二項と三項で書き分けております。従いまして今のお話の、条例をきめた場合には、こちらの認可でなくて、届け出になってどうもなければそのまま通過します。不適当ならば、実質的には勧告をいたしますが、従って勧告の出方がおそければ、条例で成立はいたします。しかし先ほどの八割なんというようなことでございますと、原価計算してみまして、不適当だと思われれば、これは勧告を出すわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/76
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077・中島巖
○中島(巖)委員 今の御答弁だと、条例を改正して、届け出たから直ちに実施ができる、こういう解釈でありますが、結局勧告した場合に応じなければどうなるか、こういう規定はどうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/77
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078・尾村偉久
○尾村政府委員 法そのものでは、勧告して応じない場合に、これを取り消すとかあるいはその他処罰を加えるとか、こういうふうにはなっておりません。一般の水道所管の省と県並びに地方公共団体との指揮、指導監督の行政指導の範囲、こういうことに現在のところはなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/78
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079・中島巖
○中島(巖)委員 そこで慣例として、結局水道料金なんか値上げするには、あなたの方に大体内意を伺って、それならよかろうというようなことになって、条例を地方公共団体の議会の長が提出する、こういうのが慣例だと思いますが、慣例についてちょっとお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/79
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080・尾村偉久
○尾村政府委員 概して今のお話の通りであります。と申しますのは、今地方公共団体が水道事業をやります場合に、もう当分一切国のお世話にはならぬ、さようなところはまずまずないので、今後も引き続いて将来起債の世話をする、その他今度は管理義務者等を厳重に置かなければいかぬということになっておりますので、それらの設置についても一切相談をいたして指導を受けなければ、実際にはこの法の運営はできぬように、厳重な法になりましたので、さように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/80
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081・西村直己
○西村委員長 次会は明九日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれにて敬会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X02119580408/81
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