1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十七日(木曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 小平 久雄君
理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君
理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君
理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君
有馬 英治君 大倉 三郎君
菅 太郎君 神田 博君
齋藤 憲三君 櫻内 義雄君
南 好雄君 村上 勇君
佐竹 新市君 田中 武夫君
中崎 敏君 永井勝次郎君
水谷長三郎君
出席政府委員
経済企画政務次
官 鹿野 彦吉君
通商産業政務次
官 白浜 仁吉君
通商産業事務官
(企業局長) 松尾 金藏君
中小企業庁長官 川上 為治者
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁税務局
市町村税課長) 鎌田 要人君
総理府事務官
(経済企画庁総
合開発局参事
官) 生駒 勇君
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 稲益 繁君
専 門 員 越田 清七君
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三月二十七日
委員山口喜久一郎君及び柳田秀一君辞任につき、
その補欠として大倉三郎君及び永井勝次郎君が
議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
工業用水道事業法案(内閣提出第一二二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/0
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001・小平久雄
○小平委員長 これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。昨日、中小企業信用保険公庫法案外一件の審査小委員会を設置いたしましたが、今後、委員異動に伴うこの小委員、小委員長の補欠選任並びに小委員、小委員長の辞任許可及びこれに伴う補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/1
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002・小平久雄
○小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/2
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003・小平久雄
○小平委員長 次に、工業用水道事業法案を議題とし、審査を進めます。質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/3
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004・加藤清二
○加藤(清)委員 ただいま議題になっております工業用水法について二、三質問をいたしたいと存じます。
御承知の通り、この工業用水、電気、輸送ということは、工場設立の基本条件でございます。ところが、すでに各地区において、工業用水の非常な不足を来たし、その不足のゆえに、工場設立か行き悩んでいる面が方々に見受けられるのでございます。そこで、お尋ねいたしたいのでございますが、通産省としては、この工業用水の不足にかんがみて、これを補給するための準備調査ということが、一体どの程度行われておるのでございましょうか、まず、その点から承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/4
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005・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用水の不足が、非常に重大な問題になって参りましたのは、比較的最近のことであろうかと思いますが、前に、通産省といたしましては、工業用水法を本国会で制定を願いまして、とりあえず工業用水を地下水からむやみに汲み上げまするために起る調整をやったのでありますが、その際にも、大体おもな工業用水を多く要求する工業地帯等の状況は、調査をいたしております。その後、全国的に産業立地条件の調査をいたして参ったのでありますが、その際には、産業立地条件を考える際の重要なポイントとして、工業用水が、各地域でどういう状態であるか、特にどういう不足状態であるかということは、従来おもな地点については、だんだんと調査をいたして参っております。そのような調査の結果の判断からいたしまして、各地に計画されております工業用水事業について必要な援助もし、また今回提案いたしております法律によりまして、今後の指導育成をはかっていきたいという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/5
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006・加藤清二
○加藤(清)委員 私の聞いておりますのは、地下水の資源調査をやったことがあるかないか。もしあればお示し願いたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/6
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007・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用水と地下水との関係につましては、先ほど申しました工業用水法の非常に重大な問題でもありますし、従来、通産省では、地質調査所におきまして、地質問題とあわせてある程度の調査を進めて参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/7
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008・加藤清二
○加藤(清)委員 ある程度では困るのでございまして、京浜工業地帯、阪神工業地帯、名古屋工業地帯では、すでに地盤沈下が始まっております。特に阪神、名古屋地区においては、もう地下水をくみ上げての工場設立は、不可能な状況にまで立ち至っているのでございます。そこで、地盤の沈下を来たさない地下水の調査を行われたことがあるかないか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/8
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009・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用地下水の調査につきましては、ただいま申しました地質調査所におきまして、工業用水の水源として多量に使用されておる地下水の状況を調査いたしますために、経過的に申しますと、昭和二十六年度から三十度までは、五カ年間にわたって経営調査と申しますか、基礎的な調査を進めて参っております。さらに引き続きまして、昭和三十一年度から三十二年度につきましては、特別研究費の予算をとりまして、ある地区については委託調査その他を進めまして、重要地点について、そのような調査を進めて参っております。今、御指摘のございました、地下水のくみ方によって地盤沈下を来たさないような方法についての調査の点でございますが、地盤沈下を招来いたしますような場合は、主として地下のいわゆる上層部地層から地下水をくみ上げます場合が、やはり地盤沈下を伴いやすいというのが、大体従来の定説であるようでありまして、そのような大体の通説といいますか、従来の定説をとりまして、現在におきまして、地下水のくみ上げを工業用水法によって規制いたします際には、その地下水をくみ上げる土地の深さ、深度を制限いたしております。ある一定の深さよりも深いところから水をくみ上げる場合には、地盤沈下を招来するおそれがほとんどないというような場合もございます。そういう地層の深さで、やはり地下水のくみ上げを制限、規制いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/9
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010・加藤清二
○加藤(清)委員 私は、規制されていることを聞いているのじゃなくて、この土地ならば、何メートル掘れば地盤沈下を来たさない。たとえば、名古屋工業地帯においてはこうだ、四日市の工業地帯においてはこうだ、それから阪神地区の地盤沈下を来たさない掘り方というものはこの深さである、そういう調査をなさったことがあるかと聞いているのです。それがあったらお示しを願いたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/10
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011・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 御承知のように、現在、工業用水法に基きまして、地盤沈下防止のために、地下水のくみ上げの規制をいたしております地域は、すでに三ヵ地点あるわけでございます。尼崎、川崎、四日市の三ヵ地点につきましては、現在すでに、たとえば尼崎につきましては、百メートルよりも深い地層から地下水のくみ上げをやっても、地盤沈下のおそれはないというような調査に基きまして、尼崎については百メートル以下、川崎地区においては七十メートル以下、四日市につきましては百二十メートル以下、そういう深部からの地下水くみ上げは地盤沈下を招来するおそれがないというような調査に基きまして、そのような規制措置をとっておりますが、今、例としておあげになりました名古屋地区につきましては、現在まだそのような調査を進めておる段階でございまして、名古屋地区の地盤沈下の問題については、いずれ地下水のくみ上げ制限の措置をとらなければならないだろうという予定に考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/11
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012・加藤清二
○加藤(清)委員 今あなたが「以下」とおっしゃったのは、それ以上深いところという意味ですね。以下というと、数字からいくと、浅いところという感じがするが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/12
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013・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 深いところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/13
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014・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは、至急調査を進められたいところがございます。それは、たとえば名古屋のごときは、港湾の隣接工業地帯を、ここに今設営しようということであります。愛知用水の点は、あとで質問したいと思いますけれども、工業用水くみ上げは、やがて港の沈下を来たす。そのことがネックになりまして、工場設営の都市計画が立っているにもかかわりませず、この土地に工場を設営することが、ただいま難渋いたしておるわけであります。こういう地区は、必ずしも名古屋港湾付近のみならず、すでに京浜工業地帯にも、あるいは浜松地区にも散見されるところでございます。そこで、至急この調査をお進め願いたいのでございます。なぜかならば、御承知の通り、千葉の川崎製鉄の地下水を御調査なすったことがございますか。おそらくございますでしょう。あすこは、九十万坪の土地を擁して、今、製鉄業をやっておるわけですが五万坪平均から、日に十万トンの水をくみ上げたとしても、なおこれは地盤沈下を来たさない、こういうことになっておる。あすこは、御承知の通り、埋め立て地なんですね。しかも、九十万坪の土地に、五万坪区切って十万トンずつ吸い上げたって、地盤沈下を来たさないというのですから、これは全くいいテスト・ケースだと思って、ここで調査してみますと、あにはからんや、これは岩盤の下から水をくみ上げておるということですね。今、沈下を来たしておるところは、岩盤の上から吸い上げておるから、沈下を来たしておる。従って、これをいい例に、岩盤がどの程度にあるか、どの深さにその岩盤があるか。それを打ち抜くには、どれくらいの費用が要るかということを、地質調査所ですか、そこで御調査なさって、それを指示なさることが、やがて通産省の目的とするところの工場を設営する基礎になるのではないか。何メートルではいけないとか、何メートルならばよろしいというだけでなくして、もうちょっと親切に調査して教えてやるということの方が、より大切ではないかと思いますが、この点、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/14
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015・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいまお話しの通りでございまして、先ほど申しましたのは、すでに調査を終り、またそこには工業用水の普及をやり、くみ上げ制限をやっておる、現在実施している地区についての御説明を申し上げたのであります。もちろん、地盤沈下のおそれのある地域等につきましては、特に早く調査をいたしまして、その調査の結果をよく徹底するようにするのが、まず先決であろうと存じます。先ほどおあげになりました名古屋につきましては、昭和二十九年におきまして、名古屋市付近の調査に手をつけております。なお三十二年におきましても、愛知県の豊川流域について調査に着手いたしております。これらの調査を至急に進めまして、地質調査所の調査の結果を待って、ただいま御指摘のような点に進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/15
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016・加藤清二
○加藤(清)委員 昭和二十九年から始めたとおっしゃいます。それはまことにけっこうなことです。ところが、これはそんなに時間を要する問題ではないと思う。ボーリングをやってみれば、すぐにわかることです。すでに、本省の力を借りずに、そこに工場を設営しようとする企業家でさえも、自力によってこの調査を進めているというのが実情でございます。そこで、ああやってはいかぬ、こうやってはいかぬと、あとで規則を作っていろいろ当てはめて、企業家の自由を結果において束縛することになるような、そういう指示をなさる。本省は、すべからくそれ以前に、調査を完了されるべきではないか。全国全域とはいいません。すでに地盤沈下が行われて、しかもなお、そこに工場の設営の必要性のある地区、こういうところだけは、すみやかに調査完了されるべきであると思いますが、たとえば名古屋、四日市地区のごとき地帯の調査完了は、一体いつごろに相なるでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/16
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017・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 地質調査所で進めておりますこの調査の内容を、私、実はあまり詳しく承知いたしておりませんけれども、現在までのところでは、大体三十三年度、来年度におきまして、現地の審議会に諮りまして、その内容を正式にきめるというような目安で、現在鋭意進めておるという手はずになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/17
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018・加藤清二
○加藤(清)委員 三十三年度に完了して、その調査結果のデータを、地方自治団体ないしはその企業家に、通知することかできますか、なぜ、こんなことを聞くかというと、名古屋市会では、相当問題になっているからです。それで、うそを言われますと、今度は私がうそを言ったことになりますから、はっきりしたところを、自信のあるところをお示し願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/18
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019・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 先ほど申しましたような調査が、だんだんと進んで参っておるように聞いておりますが、大体三十三年度中には、工業用水の審議会に付議できるようなところまで、その調査のデータがまとまってきておるようでございますから、三十三年度中には審議会で正式決定できるもの、というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/19
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020・加藤清二
○加藤(清)委員 実は、水に悩んでおります地区におきましては、その住民のみならず、その市会が、地下水の調査の必要を痛感しまして、本年度の市会の予算には、その調査費及び補助費を計上しなければならぬというところまで、追い込まれているような次第でございます。従って、こういうことは、むしろ地方自治団体にやらせるべきではないか。もうすでに工業用水法あるいはこのたび水道法等々が行われようとするゆえんのものは、これは国家の手でそれの調査をし、国家の手で手当をしてやる、こういう意味にほかならぬわけでございます。もし、それを早急におやりにならないと、以下私が述べるような、いろいろな支障が生じてくるわけでございます。そこで、支障については、あとで述べるとして、ほんとうに三十三年度のいつ、本省の調査が完了して、それがいつ地方自治団体ないしは企業家に通知されるようになりますか。大体の目安でよろしゅうございますが、そのところを、はっきりしておいていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/20
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021・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいま申しました調査は、同じような問題が、大阪その他にございまして、大阪の方は、おそらく三十三年度の比較的早い時期に、正式にその調査の結果がまとまると思います。名古屋地区は、それよりも若干おくれて、この時期は、ここであまり明確にはお答えしにくいと思いますが、大体三十三年度の終りごろまでには、正式に調査のデータがまとまって、決定できるようなことに相なる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/21
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022・加藤清二
○加藤(清)委員 工業用水の必要性は、次に述べるような問題にも影響があるのでございます。すなわち、本省の指示に従って工場を設営した。その設営の結果は、近所、隣の井戸が全部かれてしまった。井戸のみならず、周辺のたんぼまでがかれてしまった、こういう実例がございます。そこで、その周辺の住民及び農地の耕作者と工場とが、トラブルを起しております。せっかく工場誘致を喜んでやった地区が、もう工場さん、帰ってもらいたい。これでは、とてもじゃないが、工場誘致をして、町の財政にプラスになると思っておったら、とんでもない話だ、帰ってもらいたいという争いが、今起っております。少くとも大府地区、あの東海道線のここには、トラブルが一年半の余続いております。そこで、こういう問題が起きた場合に、通産省としては、まずその事件について、どう処置なさろうとしていらっしゃるのか、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/22
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023・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいま具体的にお述べになりましたお話の内容を、十分承知いたしておりませんけれども、かりに、地下水のくみ上げが過度になる結果、その工場の所在地の周辺に非常に迷惑を及ぼしておる、そのために、今お話しのような現地でいろいろトラブルが起っておるというような場合でございますれば、これは現在の工業用水法の建前から申しますと、その地区の工場の工業用水を、いきなりとめてしまうわけには参りませんので、まずその地区に、工業用水の何らかの方法による供給を考えまして、と申しますのは、具体的には、その土地にやはり別の工業用水の水源を求めて、そこの地区の工業用水の確保をはかることに、まずできるだけ努力をいたしまして、そのようなある程度の見通しがつきます場合、その土地の地下水のくみ上げの制限をやって、地下水の過度くみ上げによる弊害を除去するような方向に持っていかなければならないと思いますが、この辺のところは、やはり工場側の工業用水に対する要求と、地元のそれに対する迷惑を受けておる点の調整問題になりますので、具体的な場合によって、適当な措置をとらなければならないと思いますけれども、原則的な方向としては、ただいま申しましたような考えで進んで参らなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/23
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024・加藤清二
○加藤(清)委員 トラブルの調整でございますが、これはやはり町役場とか、あるいは県庁とかでは、ちょっといたしかねる問題でございます。そこで、実は至急調整を願いたいのでございますが、工場側では、井戸水がかれ、たんぼの水がかれたのは、必ずしも工場が水をくみ上げたからではない、こういう意見で、なかなか解決の糸口が見つからなかった。ところが、幸いにして工場は、企業の状態からして、操短をしなければならぬことに相なって参りました。操短ということは、やがて水のくみ上げ量も操短するということに相なります。ついに、しばらく水のくみ上げが休止状態になりました。とたんに、井戸水が出るように相なりました。それで、これは確かに地下水を工業用水としてくみ上げている結果であるということが、必然的にわかったわけです。それで、なお心配なのは、さてこの工場が百パーセンと稼働をし始めたら、一体どうなるだろうというのが、この土地の住民の心配でございます。そのときに、一体工場側はどういう補償をするかということは、まだ決着がついておりません。私は大府町の工場の一例を申し上げているのでございますが、このようなことは、知多半島に行けば、あちらにもこちらにも散見されるところでございます。さなきだに水に苦しんでいる知多半島では、水というものは、いわゆる山の地区の人の感覚とは事変りまして、非常な貴重品でございます。それが飲料水にも事欠くということに相なりましては、これは問題が、それのみにとどまらなくて、社会問題に相なって参りまするし、地方自治団体のトラブルの原因に相なっておる次第でございます。従いまして、この件について、本省としては、至急調整方をやられるべきではないかと思いますが、局長としては、いかにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/24
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025・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 先ほど私からお答え申し上げましたのは、工業用水のくみ取りと、それから現地のその周辺の地区が、非常に迷惑しておるということの関係が、非常にはっきりした場合についての最終的な対策を申し上げたのでありますが、現実問題としては、今お話しのように具体的なケースの場合には、その原因等について、非常に論議があるのが通常の例でおろうと思います。ただいま例としておあげになりました場合は、たまたま工業用水のくみ上げが減った場合に、付近の井戸水等が非常に楽になったという因果関係が、非常にはっきりしているのではないかという、一つの例をおあげになったと思いますが、しかしこれとても、やはりそのような紛争があります際には、できるだけ客観的な調査を十分に進めることが、まず先決でありましょうし、そのような調査を進めた後において、紛糾について、とりあえず双方の紛争調停をできるだけ現地でやっていただきますし、さらに必要でありますれば、その土地々々の状況によりまして、あるいは現地の通産局長なりその他が、その問題にある程度の調停役を買って出ると思います。しかし、その前提となります調査につきまして、やはり先ほど来申しております地質調査所等を活用していただきまして、十分客観的な調査を進めることが、まず先決だろうと思います。現地において、そのような調査がまず必要であるということでございますれば、地質調査所に対して、委託調査の方法もございますし、その具体的な事情によりまして、調査あるいは紛争調停というようなことに入って参らなければならないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/25
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026・加藤清二
○加藤(清)委員 お話を聞いていると、その通りでございますが、それでは地下水調査ということが、手おくれじゃないですか。そういう調査は、工場を設立する前に、工場の設立条件として、地下水をくみ上げても、周辺に迷惑を及ぼすか及ぼさないかを、あなたの方でちゃんとデータを持っていて、そうして、ここでする場合は、悪影響があるからいけないとか、あるいはその悪影響を除去するためには、地下水のくみ上げの井戸の深度をこの程度にしろとかこういうふうにおやりになれば、工場に帰ってもらいたいなどということはあり得ないし、またあなたるがおっしゃるいますように、地下水でいけなければ、よそから水を持ってくるとおっしゃいましても、山国ならいざ知らず、知多半島のごときは、容易によそから持ってこれるものじゃございません。できてしまってから、その紛争の処理も必要でございましょうが、工場の設立を許可する前に、その調査が完了しておることの方が、より望ましいと思います。そういうことが、地図の上で、この地区はどう、この地区はどうということが、はっきりしておれば、工場側といえども、あえて紛争の起きることを承知の上で、そこに工場を設立するようなことは避けるだろうと思います。そういう調査の結果が明らかにされていないがゆえに、起きる問題だと思います。そういう点について、早くデータを御発表になり、工場を設立しようと思う企業家に対して、前もって明らかになるような制度なり何なりを作っておくことの方が、より先決だと思いますが、そういうことは行われていないのでございますか。また今度の法律によって、そういうことは事前に防げるようになっていないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/26
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027・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいま御指摘のございました点は、全くその通りでございまして、実はそういう点につきましても、従来、各都道府県なり市町村等で、自分のところに工場誘致をやりますために、自分の周辺地区の工場立地条件をある程度調査をし、あるいは工業用水の問題等についても、ある程度の調査をして、こういういい条件があるから工場にきてもらいたいということで、調査なりそれを足場にした工場誘致が、従来行われておったと思います。しかし、そのような工場誘致のための工場立地条件の調査というのは、必ずしも従来十分ではなかったと思います。やはり、もっと合理的な科学的な調査をしなければならないはずであります。この点につきましては、通産省としましても、前々から、すでに工業地帯として大きな役割を果しているような地帯につきましては、相当程度調査を進めて参ったこともあります。また今後工業地帯として発展をするような条件が備わっておるような新規の工業地帯についても、若干の調査を進めてきておったのでありますが、この点は、従来、決して十分ではなかったと思います。しかし、来年度の予算におきまして、約一千万円程度の予算を計上していただきまして、このような新しい工業地帯の企業の立地条件の調査、その中には、その地区で工業用水の関係がどういう状態にあるかという点が、当然重要な調査項目に入ると思いますが、来年度におきまして、全国的な規模におきまして、おもな地点の調査を進めて参りたいという計画を現在進めております。さらに現在、今お話しの地下水の問題につきましては、地質調査所の調査を、さらに進めていただくことにしまして、そのようなデータを、各地区の工場立地の指導室というようなものを今予定いたしておりますが、工場立地指導室に、そのようなデータを備えつけまして、企業家が自分の工場立地を定めます際に、そのようなデータによって、自分の工場立地を定めていかれるための資料を、提供して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/27
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028・齋藤憲三
○齋藤委員 関連。
簡単にお伺いしますが、工業用水の問題は、工業の発展途上にある日本といたしまして、まことに重大な問題で、これに対する政府当局の処置いかんによって、いろいろな問題が起きてくるだろうと思うのであります。ただいま加藤委員から、いろいろ御質問がございましたが、この工業用水というものは、経営する工場の位置のいかんによって、いろいろな考え方が浮んでくるだろうと私は思います。その工場で使用した工業用水は、浄水装置をつければ、直ちに循環的に工業用水として使用することもできるところが、たくさんあると思います。ところが、従来の工場は、工業用水というものを、浄化装置をつけないで、循環的にこれを使用するということをやらないで、どんどん廃水として流しておる。そういうことをつぶさに検討して参りますと、最近の進歩した浄水装置というものは、割合に、一トン当りごくわずかの金額でもって、これをまた工業用水として浄化をして還元使用することができるということを、私は方々で見るのでありますが、そういう点に対して、当局はどういうふうなお考えを持っておるか、御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/28
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029・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいまお話のありましたように、工業用水の水源は、決して容易に得られるものではございませんし、工業用水の循環使用といいますか、そういう方法を、当然研究しなければならないわけでありますが、現状で私どもが調査いたしております限りでは、やはり水源の窮屈な地域では、すでに相当程度工業用水の循環使用も行われておるという調査も出ております。通常、全体の取水量の二、三割くらいの循環使用という程度が、比較的多いようでありますが、しかし、そういう研究を十分進めておる企業につきましては、六〇あるいは七〇%くらい循環使用しておるというような、合理的使用をやっておる企業もございます。いずれにいたしましても、循環使用につきましては、そのための浄化装置といいますか、そういうような問題について、できるだけ低廉で、かつ効率的な循環使用ができるようなことを、さらに検討を進めなければならないと思いますが、今後の工業用水使用合理化の問題として、考えていかなければならない問題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/29
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030・齋藤憲三
○齋藤委員 そういう工業地帯における工業用水の浄水循環使用という研究は、通産省としては、どこで責任を持ってやっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/30
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031・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用水が、いわゆる冷却用水として使われる場合に、比較的多く循環使用が行われておったと思いますが、そのような問題は、従来、熱管理の一環として、熱管理課か中心でやって参っております。今後も、冷却用水の循環使用というような意味では、同じようなところでやって参ると思いますが、さらに循環使用という中に、そういう単純な循環使用ということのほかに、工業用水の合理化使用の一環として、一たん使用しました工業用水を、さらに地下に圧入して利用するとか、あるいはいろいろな化学的処理をして利用するというような問題が、あるわけであります。そのような、特に化学処理をして云々というような問題につきましては、従来三十二年度、三年度におきましても、工業技術院が中心になりまして、それぞれの研究所に、その研究をしていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/31
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032・齋藤憲三
○齋藤委員 工業技術院管下の諸研究所のうち、主としてどういうところで、その工業用水の浄化循環についての研究をしているか。それに対する予算措置は、どういうふうになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/32
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033・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 今申しましたような意味の研究は、三十二年度におきまして、たとえば海水を冷凍いたしまして、これを淡水化して使うというような意味の研究は、東京工業試験所におきまして、三十二年度に千六百万円の予算で特別研究をいたしております。あるいはまた、亜硫酸パルプ廃液処理の結果の工業用水を利用するという意味の研究も、同じく東工試において七百万円の予算で三十二年度に進めておりますし、その他これに類似したような調査は、東工、資源技術試験所というようなところでやっておりますが、三十三年度におきましても、引き続き同じような予算をもって研究を進めていく、かような計画になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/33
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034・齋藤憲三
○齋藤委員 工場における冷却用水というものは、海水でも使えるという場合がたくさんある。しかし、工業用水としていろいろな夾雑物を含有して流れ出てくるところの廃液に対して浄化装置をつけると、これは循環的にまた使える。それから今日の状態においては、これはどうしても廃液として流さなければならないというようなものの識別は、通産省としては研究しておられるのですか。たとえば、今、往々にして世間の問題となっておりますパルプ工場における廃液のごときは、これはおおむねかけっぱなしといって、どんどん廃液として流しておる。しかし、あれに浄化装置をつけると、幾多の含有しておる物は、有用物として回収かできる。そういうような見通しがついておるにかかわらず、一日に何十万石という水がどんどん流れておる。そういうものは、当然通産行政の一環として、浄化装置をやって、循環工業用水として使わせるかたわら、その中に含有しておるところの有用物を抽出せしめる。こういうような工場に対する工業用水の考え方が、当局としてはあっていいのじゃないかと思うのでありますが、そういったことに対する研究、及び将来どういう考えをもって、工業用水の処置をお考えになっておるか、それを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/34
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035・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 今お話のございましたような、汚水処理の問題を兼ねて工業用水の利用ということは、非常に重大な研究項目でございまして、先ほど東工試におきまして亜硫酸パルプ廃液の処理ということを、三十二年度において研究しているということを申し上げましたが、三十三年度引き続き千百万円の予算をもって進めたいということになっております。さらに発酵研究所におきましては、有機物を含んだいわゆる廃水の細菌処理によって水を回収できるというような研究も、三十二年産、二十三年度、引き続き進めていく予定であります。さらに炭鉱で洗炭をやります洗炭の廃水処理の問題も、先ほど申しました資源技術試験所で、来年度二百四十五万円の予算で進めていく予定にいたしております。さらに最近非常に問題であります天然ガス採取の際の鹹水の処理の問題、これもやはり処理のいかんによっては、工業用水として、あるいは水源として利用できるはずであります。このような研究も、来年度やはり東工試で研究題目として項目の一つにあげて研究を進めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/35
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036・齋藤憲三
○齋藤委員 その発酵研究所における細菌によっての夾雑物の有機物質回収方法は、すでに研究は完成しておる。そうして、新たな微生物が発見されて、従来の微生物よりは一%ないし二%アルコールをよけいに発生せしめておるものも見つかっておるにかかわらず、パルプ会社のごときは、そういうアルコールの回収のできる有機物を、どんどん廃液の中に入れて流している。そして廃水の魚族に対する害毒に補償金を払っておる。そういう実態があるにもかかわらず、当局は、パルプ会社に対して、何らの処置も講じていないということは、私は非常に不合理だと考えている。こういう問題に対しまして、当局は一体どういうふうにお考えになっているかということを、承わっておきたいと思います。
それからもう一つは、ただいまお話のありました選炭水の汚濁をどう浄水化して流すかという問題に対しましても、すでに試験によって、選炭水の処理ということは、世界的な発明として完成しておるのです。そういうものが、世の中にどんどんあるにかかわらず、当局が依然として、これに対し何らの処置も講じられないということは、私は非常に不合理だと考えていますが、そういう点は、当局としてどう考えておるか、御回答を願いたい。そういうことを御存じかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/36
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037・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 今、お話のありました汚水処理の問題と相関連しての問題でございますが、これは従来も、非常に重大な問題であり、今後、早急に解決しなければならない問題であると思います。しかし、こういう問題は、やはり経済性ということが当然伴って参りますので、そういう角度からの検討につきましては、すでに国営アルコール工場において、ある程度実用化しておるのであります。実用化の実施の状況で、経済性の問題が、資料としてある程度データが整って参ると思います。その検討の結果を待ちながら、経済性の問題と相関連して、今研究されておりますいろいろな方策を、早急に実施に移して参ることが必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/37
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038・齋藤憲三
○齋藤委員 工業用水と直接関連性がある、ないということは別といたしまして、今、経済性というお話がございました。これは申し上げるまでもなく、日本は資源が乏しいのであります。たとえば、パルプ会社において汚水処理をやることが、非常な利益をもたらさないといたしましても、パルプ会社において、パルプになる部分は、必要とする木材のほんの一部分であり、大部分は、汚水の中に混入して廃水として海に流れていってしまうということを考えますと、経済性というものにもいろいろございますが、利益が二割にならないからやらないとか、三割にならないからやらないというものではなくして、国家的見地に立って、工業用水という問題とも関連して、この汚水の中に夾雑されておる有機物の回収をやることが、国家の資源を有効に使用することになる。そういう立場から工業を総合的に考えないと、日本のような資源の乏しい国においては、まことに不合理な点が多々出てくる。たとえて申しますと、選炭のあとに含まれている微粉炭というものは、三百万トンあるといわれている。三百万トンを増産するために、石炭合理化法とかいろいろな法律を作って、莫大な金をここへつぎ込んで、無理な採掘法もやらなければならぬ。ところが、微粉炭として三百万トン選炭水の中に含まれていて、これがどこへか消えてしまうということが現実にわかっている。しかも、この微粉炭を、超短波によって回収できるということが現実にわかっておるのに、当局は、この微粉炭の処理に対して、何ら手を打たないということは、日本のような石炭の少い国においては、私は重大問題だと思う。当局は、いつかはこういうものに手をつけるだろうと思っておったけれども、そういうものに積極的に手をつけないことは、行政として、はなはだ遺憾である、そう考えておるのでありますが、こういう点に対して、一体どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/38
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039・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 試験研究の結果が完成をしておって、それを実用に移します際には、ただいま申しました経済性の問題が、やはり常に伴うのであります。しかし、今、御指摘のございましたように、日本のような資源の乏しい国、しかも、水についても同じような問題がある際に、そのような試験研究の成果がなかなか実用化されないという点は、今後早急に解決をしていかなければならないと思いますが、しかし、先ほど申しました経済性の問題は、同時に、企業が自分の経営上の立場からのいろいろな主張等もございますので、今後、それぞれの産業部門の企業を行政指導して参ります際に、十分その点を考えて、できるだけ早くそのような方向に実施ができるように、進めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/39
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040・加藤清二
○加藤(清)委員 引き続いて、愛知用水を工業用水に転用する計画をお尋ねいたします。
御承知の通り、愛知用水は、当初、農業用と考えられておりましたが、今や、これが多目的的な用水に変貌しつつあります。特に受益者の農民負担が非常に重いということは、当然のことながら、農民だけに負担させるのは無理である。従って、これを飲料水及び工業用水に利用させて、農民の負担を、片や軽くすると同時に、工業用水に悩み、すでに地盤沈下も来たしているような地区を救おう、一挙両得をやろう、こういうことでございまして、すでに本年度予算に、それが盛り込まれているはずでございます。ところが、この工業用水が、愛知県の計画によりますれば、当初は一立方メートル当り十円、去年いろいろ操作の結果六円五十銭、それを先般予算委員会において、あなたは、四円にするのだ、いや四円だ、こうおっしゃってみえたわけでございますが、四円でもまだ高いと思っておりますのに、県に移管されたおかげで、県の計画が六円五十銭であるとか、あるいは十円であるとか言われては、どんなに工業者がほしくても、高嶺の花で手が出ません。一体、愛知用水を工業用水道として引くに当って、どういう計画のもとに、どの程度の価格にしようとしていらっしゃいますか。またその計画は、何年度において完成を見るのか等々、御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/40
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041・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 愛知用水の事業内容については、すでに御承知と思いますが、ただいまお話のございましたように、愛知用水の水量の中から、ある程度工業用水にも分けてもらう計画になっております。計画としては、大体三十五年度に工業用水を給水できるような予定で、進められておるのでありますが、その工業用水の水量あるいは価格等につきましては、大体、現在の計画によりますと、年間二千七百万トン程度の工業用水を受けることを計画されておるようでございます。今御指摘のございましたトン当り十円の値段の点は、これはおそらく半田と刈谷地区についての工業用水の給水計画の価格を御指摘になったのではないかと思いますが、実はこの半田、刈谷地区の工業用水の給水の問題は、この両地区につきましては、独自の独立した工業用水道として、給水計画あるいは施設をいたしますよりは、むしろその近くまできております上水道の施設と共用してやった方が、計画としては経済的であるというような判定に基きまして、現在の計画では、この半田、刈谷地区については、上水道と共用という計画になっております。そのようなことで、上水道の計算をいたしますと、現在の試算によりますれば、大体上水道としては、トン当り二十四円くらいのコスト計算になるというふうになっておるのでありますが、しかし、二十四円というような高い工業用水は、とうてい使い切れるものではございませんので、その趣旨によって、半田、刈谷地区の工業用水につきましては、特に二十四円のコストのものを十円程度で供給するように、工業用水の計画を、県では現在考慮しておるように聞いております。これは半田、刈谷地区が、そのような地点であることによるやむを得ない措置であろうと思いますが、工業用水道本来のプロパーとして独自の給水をやります名古屋地区につきましては、先般申しましたように四円、いわゆる工業用水として適当な価格といいますか、十分使用し得る価格まで引き下げ得るように、国庫補助その他の措置をとっておるのであります。これは名古屋地区と半田、刈谷地区の立地条件の差によりまして、このような差がつくことは、現状では、どうにもやむを得ない結果に相なっておるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/41
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042・加藤清二
○加藤(清)委員 主として名古屋地区にしかれる工業用水の計画について、もう一点承わりたいのですが、この工業用水に必要な資金、政府の補助、それから完了はわかりましたが、一体、いつ手をつけるのか、工事はいつ始めるのか。しかも、それはどの地区にどう布設されるのか、名古屋のどの地区であるか。年間二千七百万トン程度では、九牛の一毛にしかすぎませんが、名古屋のどの地区を一体予定しておられるのか、そういう点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/42
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043・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいま申しました名古屋地区に対する独立した工業用水の給水計画は、いわゆる名古屋の南部地区といわれております工業地帯に対する給水計画であります。三十三年度早々に事業に着手できると思いますが、そのような見込みで、来年度の約五億円の工業用水補助金の中から、七千五百万円程度を、名古屋地区の工業用水道事業に予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/43
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044・加藤清二
○加藤(清)委員 三十五年度完了までの費用の内訳を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/44
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045・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 名古屋地区の工業用水の計画は、御承知のように、愛知用水公団の基幹水路から水を受けまして、愛知県が県営でやることになっておるのであります一三十三年度から三十五年度にわたりまして、総事業費として十三億四千万円の事業費が予定されております。その十三億四千万円のうちの初年度の事業に対しまして、大体四分の一程度の補助ということで、先ほど申しました七千五百万円を三十三年度に予定いたしておるのでありますが、三十四年度、五年度の事業につきましては、引き続き継続事業として、国の援助をして参りたいと思いますけれども、これは来年度、三十四年度以降の予算のことでありますから、ここで明確なことはお答えを差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/45
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046・加藤清二
○加藤(清)委員 総工費十三億四千万円のうちの四分の一を、今度行われようとする法律に基いて国庫補助を出される、こういう御予定でございますか。四分の一でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/46
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047・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 現在、工業用水道事業に対する補助金は、四分の一ということを一応建前にいたしておりますので、先ほど申しましたのは、三カ年にわたり十三億四千万円の事業予定のうち、初年度分に対しての四分の一、七千五百万円ということであります。次年度以降につきましては、当然継続事業として、引き続き援助いたしたいというのが、私どもの気持でございますが、補助金は、年々計上されるわけでありまして、ここで三十四年度以降何がしということは、確定的なことは申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/47
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048・加藤清二
○加藤(清)委員 確定的なことは言われなくても、これははっきりしてもらわないと、かつて簡易水道を布設されました折に、やはり三年間の工事、それも仕越しでやった。ところが、二年度分、三年度分はどうやるか、変るとか変らぬとか、ついに金がこなくなったとか。それが、やがて入札の汚職にまで発展して、愛知県の吏員は逮捕されてしまった、こういう事件がある。そこで、やはり計画というものは、その年になってみなければ、はっきりしたことはいえないかもしれませんけれども、工事としては、あるいは仕越し工事でやるかもしれない。だから、大体の見通しは立つはずです。しかも、今われわれは、その法律を審議しようとしておる。従って、これが通れば、必然的に予算が計上されるというものであるならば、この際、ある程度の見通しは、何十何円何銭ということを聞いておるのではない、四分の一とか、あるいは三分の一とか、これは必ず確約できるか、できないかくらいのことは、当局の責任者として答えてもらわぬと、これを受けて工事を進める方では、仕事にならないわけです。また、かりに仕事になっても、そこに不正事件が介入するおそれが、過去の実績に徴してみても、十分にあるわけです。それで、お尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/48
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049・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 従来、工業用水道事業に対する国の援助、補助につきましては、継続事業については、従来の実績を見ましても、引き続き補助いたして参っております。そのような従来の実績ということから判断いたしましても、愛知県の工業用水道につきましては、三カ年にわたる継続事業でございますので、当然引き続き三十四年度以降につきましても、継続事業として、補助金の交付等に十分努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/49
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050・加藤清二
○加藤(清)委員 総合して、結論的に工業用水が、名古屋地区では四円である、こういうお話でございます。それで大ていいけるだろうというお話でございますが、私ども、その他の地区と比較したところから見ますと、必ずしもこの四円というのは、安い値段ではありません。かりに、今度の法律によって生まれてくる水が——それは各地区によってローカル・カラーがあるでございましょう。しかしながら、さきの工業用水法によれば、これは平均一円六十銭から一円七十銭になっておるはずでございます。最低は九十銭程度、最高でも四円以下、こういうことでございますが、当局としては、これで十分であるとお考えが。特にまた半田、刈谷地区は、御承知の通り、東海道の沿線にして、すでに工業がずっと発達している所でございます。この地区の工業用水が十円だ。それはローカル・カラーがあるから、しようがありませんという答弁では、これは満足いたしかねるのでございます。十円の工業用水を使って、一体何を作るのですか。私は、今ポケットに目薬を持っているのですが、目薬でも作るのですか、化粧水を作ろうというのですか。とんでもない話です。これでもって、先ほどのパルプ工業なり、合成繊維の工場を経営してごらんなさいよ。とんでもない、ポンド当り二百円でできる合成繊維が、五百円以上かかります。そんなことでもって、この工業用水の水道法を作られようというならば、これは反対せざるを得ない。こういう地区における凹凸をそのままにしておくというならば、こんなものは、何も本省がやる必要はない、県なり市なりが、勝手にやればいいわけです。そういう凹凸があっては、工場の立地条件が変る。たとえば、同じ東洋レーヨンにしても、滋賀の琵琶湖のほとりに作った場合と、半田地区に作った場合、刈谷地区に作った場合とでは、てんでコストに相違がくるといういうことに相なりますならば、工場の経営者の立場に立っても、これはとうていやり切れる問題ではないということになってくるわけです。そこで、十円でやむを得ぬと、これでは困るので、それに対する政府のいわゆる凹凸是正の努力点ないしは努力目標、それなりとも聞かなければ、この工業用水道法は、通す必要がなくなってしまう。はっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/50
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051・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいまお話のございました十円という工業用水の価格は、これは先ほど申したと思いますが、刈谷、半田地区の立地条件の特殊事情による結果という、やむを得ない形が出ておるのでありまして、刈谷、半田地区に現在あります工場にとって、確かに十円という価格は、相当な負担であろうと思います。工業用水の価格としては、大体五円以下というところが一つの目安に……、(加藤(清)委員「高くしちゃいかぬ、前は四円以下ということになっておったのだから」と呼ぶ)四円ないし五円でもけっこうでありますが、これはそれぞれの立地条件によりまして、工業用水のコストにある程度の差があることは、条件としてやむを得ないところであります。むしろ、この点を逆に申しますならば、できるだけ工業用水を安く供給し得るような地点に工場立地を定めるのが、本来の理想であるはずであります。これは、先ほど御指摘のあった通りであります。しかし、すでにもう工場ができてしまっておって、そこに工業用水を必要とする場合には、できるだけ国の補助その他をやりまして、工業用水を安く供給することに努力しなければならないのでありますが、今、御指摘のございました刈谷、半田地区につきましては、先ほど申しましたように、その立地条件が離れておる関係から、上水道と共用するということしか、現在では考えられない。むしろ、独立した工業用水道事業を、ここにかりに実施をするといたしますと、現在の国の補助金の補助率四分の一の支出をもってしましても、とうていトン当り十円以下に下げることはできないというような、立地条件の悪い所に当っておるのであります。そういう事情で、国の補助四分の一をやっても、なお十円以下に下げることが困難であるというような立地条件でございますので、やむを得ず上水道との共用によって、現状では十円の供給価格で、がまんをしていただかなければならぬという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/51
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052・加藤清二
○加藤(清)委員 がまんなりません。がまんしようたって、これは無理だ。たとえば、飲料用水と共用している点で、かりにあったとしても、名古屋市内におきましては、ただいま幾何級数的に水量を多く使った場合には、補助金をもらわぬでも、コストを下げて工業用水を提供しておるのでございます。しかも、その価格は四月以下に相なっておる次第でございます。今度、新しく工業用水が必要だ、地盤沈下がきている、だから、一つ工業用水をやろうというわけで、特別に立法措置までしてやろうとしているのに、その責任者のあなたが、十円でやむを得ませんなどということを言っておられては、どうにもならぬじゃありませんか。たとえば、北伊勢のごときは、九円何ぼかかるのを、四分の一補助によって三円五十銭にすると、あなたの報告書に書いてある。それなら、刈谷、半田地区だけは取りこぼして、それで十円でよろしいということでは、私はこの法律に賛成することができない。それはむちゃですよ。なぜ政府は、かりに設備費がかかったとしても、その水を工業用水として使用して、なおコストが成り立つ、バランス・シートが成り立つという程度のところまで、こぎつける努力をなさらぬのか。すでに、名古屋市ひとりでさえも、やっている。できないはずはない。コスト高を解消することができないというのは、それは地区が悪いのではなくて、あなたの頭か悪いのか、あるいはあなたのような頭のいい人で、なおできぬというならば、それは頭の問題ではなくて、努力する気がないということなんだ。そのいずれかなんだ。そんな、二十四円でござるの、十円でござるのというて、これで工業用水としてこの法律を通すことができますか。飲料用水だって、そんな二十四円なんていうところはありませんよ、あったら例を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/52
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053・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 御承知のように、工業用水のコストの大部分を占めますのは、やはりそれに投下される資本費であるわけでございまして、工業用水の従来の供給を見て参りますと、それぞれの工業用水を受ける地点によりまして、その水源からの関係、あるいはそこまで水を引いてくるための資本費等の関係から、工業用水のコストに差があり、また供給価格に差があるというのは、これは工業用水の観点からだけ見ても、やはり工場立地条件の一つでありまして、それをできるだけ安く、また工業用水として使用にたえ得るように努力することは、当然でございますが、それにも、おのずから立地条件によって限度があるということを、申し上げたつもりでありまして、決してそれぞれの地区について、工業用水が高いのは仕方がないのだというだけで、申し上げておるつもりはございません。ただ、何度も申し上げますように、刈谷、半田地区の立地条件が、先ほど申しましたように、独立の工業用水道事業を行い、それに国の四分の一補助をやりましても、なお十円以下ということにはならないという計算になるものでありますから、それであれば現状で、やはり愛知県で計画しておりますようなことで、最終的に現在の上水道と併用の条件で、許す限りのぎりぎりのところまで値段を下げることを、私どもの方では要請いたしておるのでありますが、これは今後、工業用水の供給を続けていきます過程におきましても、さらに、できるだけ工場の負担に耐え得るようなところまで、工業用水の価格を低廉にしていくように、今後の問題として努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/53
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054・小平久雄
○小平委員長 佐竹新市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/54
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055・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私は、まず、具体的な点についてお尋ねする前に、経済企画庁に、水について、総合的な立場から質問をいたしたいと思うのであります。
国土総合開発審議会の中に、水制度部会というのがありまして、水の制度の原則の確立を目ざしまして、昭和二十七年以来、ずっとやっておるのですが、いまだにその結論が出ていないと思うのでございますけれども、一体、日本の政府の行政といたしましては、水は、各省にわたって関係がある問題であります。とりわけ農林省の関係としては農業用水、あるいは建設省、厚生省、通産省、こういうように、いろいろ各省にわたっておりますが、これらの問題が、いつもバランスの押し合いの上に立って、総合した水制度の対策というものが、まだわが国では確立されていない。もし確立されておるというならば、それに対してどういう方途があるか、お答えを願いたい。確立されていないとするなれば、それは一体どのようにお考えになるのか、その点、経済企画庁の方にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/55
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056・鹿野彦吉
○鹿野政府委員 ただいまの御質問に対しまして、国土総合開発全般から見まして、水資源の重要なことは、全く同感でして、それにつきましては、やはり国が、一本の姿において、水の解決策をやらなくちゃならないということになりますが、国土総合開発計画は、御承知のことと思いますけれども、実は非常に急いでやってきておりますが、まだ全体計画ができておらない。近く計画についての、めどがつくことになっておるわけであります。つきましては、しからばそれまでの間はどうするか、こういうことについては、それまでの間は、調整費でもって、そうした各省間の水の問題についての調整をやっていく、こういうような現実の施策をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/56
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057・佐竹新市
○佐竹(新)委員 ただいまの御説明は、どうも私たちの納得のいかない御説明でありますが、現在の水制度に対する行政上の措置としては、従来の、要するに明治時代からやってきたものが、やはり慣習的になっておると思うのです。しかし、原子時代といわれる今日におきまして、あらゆる産業部門において、非常に急激な進歩をもって、ものが移り変っていきつつある。その移り変っていく上において、水の関係は、やはり産業の重要部門でありますから変ってこなければならぬ。と申しますのは、依然として、最近、国会に、水に関するいろいろな法律案が出されます。これには、どうしても助成などがついたり、いろいろ国の施策上やらなければならぬことでありましょうけれども、そうしたようなことが、いつも繰り返されておるのです。近代科学の進歩に伴いまして、政府が水というものの施策の上に立って、それに伴って考えていかなければならないのではないか。一例は、さっきも工業用水の問題について、齋藤委員から、非常に有益な質問がありましたけれども、冷却水なんかの問題にいたしましても、冷却塔なんかでこれを冷却し、そうして、流しっぱなしにせずに、もう一度使う、いわゆる水の再循環をして使う。こういうような考え方は、すでに学者の間においては、相当会合が持たれたり、研究がなされたりしているのですが、そういうことについて、経済企画庁は、一体どのようにお考えになっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/57
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058・鹿野彦吉
○鹿野政府委員 佐竹委員のただいまのお話につきまして、確かに水の重要性については、全く同感です。冷却水にして、水を循環して活用するという問題につきましては、企画庁としても、まだ具体的に計画が立っておりませんがそうした趣旨に沿いまして至急に研究して、そうした施策が行われますよう、努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/58
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059・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私の質問に対して、鹿野政務次官も、別に学者じゃございませんし、また専門家でございませんから、もし十分説明することができないような場合には、経済企画庁の専門の人から、答えてもらいたいと思います。
例をとりますならば、さっき加藤委員が、愛知用水の問題で、松尾局長と質問応答がございましたけれども、最近の工業用水の不足の問題、これに対しまして、一方において農業用水との関連が、非常に多いのでございます。また千葉県の両総用水も、そういうふうに聞いております。これらの点を総合して考えますと、一面わが国の農村におきまして、農林省は、稲作の早期栽培を奨励しようとして、その計画を立てております。この早期栽培をやりますと、五月に植えつけて、もう八月には刈り取るのですから、夏の渇水期には水が余ることになる。そういうようになってくると、今考えている愛知用水なんかの問題も、これは早期栽培をいたしますと、渇水期に水が余ってくるということになって、あれだけの膨大な費用をかけなくても済むことになり、水の問題は、非常に変ってくると思うのですが、こういう点について、経済企画庁ではどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/59
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060・生駒勇
○生駒説明員 ただいまお話がございました早期栽培の点につきましては、企画庁の総合開発局におきまして専門の研究をしておられる方々から、御意見を承わっておりまして、今、佐竹先生のお話しのように、この結果が非常に良好でございますと、水の使い方が変って参りまして、従来の農業用水という概念が、だいぶ違う格好で出てくるというふうな感じを持っておるわけでございますが、まだこの早期栽培の研究について、農林省の方から正式の結論を得ているように聞いておりませんので、現在、十分その点も考えまして、方々の意見を聴取いたしまして、検討をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/60
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061・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私、先般、昨年の十一月から十二月の初めにかけまして、中国に参りました。北鮮まで行こうと思ったのですが、ちょうど北京で病気になったので、行けなかったのですけれども、北鮮へ行って何を見ようと思ったかというと、今、北鮮では、非常に早期栽培をやっているわけです。あの立ちおくれておる北鮮が、ソ連の技術を入れまして、将来の工業用水との関係において、早期栽培をやって、多角的に工業用水の問題も解決するというような研究を、すでにやっておる。私は病気で行けなかったので、北京に残って、中国は水の問題を、将来どういうようにするか見ておりますと、農業では、やはり近代の機械化農業に持っていこうとする方向をとって、非常に急速なピッチを上げている。もちろん、わが国のような政治制度とは違って、統制国家でありますが、役所で図面ができれば、それを直ちに予算を裏づけて実施に移すということで、将来の中国の農業というものも、そういう点については、大きな発展をしていく。またそれに伴って工業も発展していく、かように見て戻ったのです。そのときに、私は、水の問題を第一番に考えまして、われわれが昔おった当時、原始的な水利用をやっておった中国が、今日これだけ工業生産においても、農業生産においても発展過程をとっておるので、水の利用について、どのように考えておるかと思って、いろいろ尋ねましたが、もうちゃんと水利の専門の局ができて、各省バランスの上に乗るというような形でなく、一貫して熱心に、ソ連の学者を入れまして、中国の国土建設とともに、将来の水制度に対する研究をやっている。すでに北鮮も、早期栽培を今日どんどん実施しておる。これは日本においても、当然来る問題です。私は、これは農業用水と関連して、工業用水の大きな革命であるとさえ考えておる。こういう点を、一つの役所の中だけでなく、あらゆる学界の者とも連絡をとるようにして、さっき言った冷却用水の循環使用をやるという問題にしても、総合的に考えなければいけない。法律を出す、そして地下水をくみ上げると地盤が沈下する。そこで、また農業用水の法規を出す、今度は事業法を出す、これに助成をする。こういうようなことが繰り返されているわが国の水制度というものの、根本的な考え方を変えなければならない。日本の工業生産も、農業生産も、この水という問題について、依然としてこういう体系であってはならない、こういうように考えておるのであります。
そこでもう一つ、私は農村関係については、多分に関心を持っておりますので、稲作問題についてお尋ねいたしますが、早期栽培というものについて、農林省の方でまだその成果がまとまっていないというような御答弁でございましたが、これは大へんなお考え違いでありまして、もうすでに学者の間においても、農家においても、早期栽培をやらなければならぬと考えるようになっております。その根本的な理由は、どこにあるかというと、二毛作の裏作として、今後の日本農業をいかに転換さすか、こういう問題については、裏作としては、麦ではなく、飼料の問題を考えていく。日本農業が、従来の米、麦を繰り返しておったのではだめだ。これからは、牧野の開拓をして、牧草地を作って、協同化によるところの酪農を発展させていかなければならない。こういう点から、早期栽培というものは、農民の中で相当熱心に研究する人も各県に出てきている。こういうときに当って、経済企画庁は、総合的な日本経済の企画を立てられるのでありますから、こういう稲作と工業用水というものについて、どのような企画の上に立って考えられるのか、その点、納得のいくように御答弁が願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/61
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062・鹿野彦吉
○鹿野政府委員 佐竹委員のお話について、経済企画庁としては、十分なる研究調査の段階に至っていないことを、まことに申しわけないと思いますが、こうした方向について、だんだんと検討いたしているわけでございますから、早急に対策を立てまして、そうした日本経済に非常にプラスになるという方向については、積極的なる施策を進めていきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/62
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063・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私は、あまり深く質問はいたしませんが、愛知用水あるいは両総用水の下流で、その恩恵を受ける農民の負担金が、反当三千円くらいあるわけです。ところが、早期栽培をやるなら、そう水の問題は困難でないから、反当三千円の割当は負担しないという考え方に、ぼつぼつ変ってきている。これは政府の総合施策の上に、大きな問題になってくると思うのです。早期栽培は、牧穫もいいのです。また農村においては、米と麦を繰り返していては、農家経済が成り立っていかない。山を切るといっても、一ぺん切れば、あと二回、三回とは切れない、植林をしなければだめなのです。どうしても将来、農村は、新しい転換をしなければならない段階に来ている。こういう点から考えますと、やはり早期栽培ということが、究極の目的であるという方向にいくことが、必然的であると思う。私は、ここ四、五年のうちに日本農業が、特殊の地帯は別として、早期栽培というものにほとんど全国的になるといっても、あえて過言でないと思います。そうなってきたときに、政府がこれだけの国費をかけて、渇水期にも余るほど水があるのだということになれば、何がためにあれだけ大きなダムを作るのかということを考えるわけです。そういうようなことを考えて参りますと、やはり先ほど申し上げましたように、農林省は農林省、厚生省は厚生省、通産省、建設省と、なわ張り争いでもってからに、そして自分のところにこれを一つ持っておこうという、何か官僚のなわ張り争いがあって、依然として日本の行政組織のうちからは解決のできないものだ、それを解決していく推進役を勤められるのが、経済企画庁である、私はこのように考えておる。これはうわさでありますから、わかりませんが、水質汚濁の法案も、すでに経済企画庁で、今国会に提案する準備をされておったと、確かに聞いております。しかし、どこでどうなったのか知りませんが、これが今、工業用水との関係におきまして、そういう法律が出ると、下流における沿岸漁民なんかの文句がどんどん出てきて、大きな政治問題になるし、うるさいから、引っ込めてしまおうということになって、そういうものを引っ込めてしまわれたというような問題、そういう点を考えますと、やはりここに根本的な一つの施策というものが打ち立てられなければならない。経済企画庁においては、大臣や政務次官は、もうかわられるのですが、かわらぬのは官僚でありますから、国会でわれわれの納得のいくような、将来に対してはこういうような角度から考えておるのだ、また一貫した計画も企画もしておるのだということが、一体経済企画庁では考えられなかったのですか、どうですか。その点を、一つ政務次官でなしに、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/63
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064・生駒勇
○生駒説明員 ただいまのお話の早期栽培の点に関しましては、今、事情を聴取いたしましたということを申し上げたわけでありますが、その他の点につきましては、経済企画庁ですべてのことをやるというよりは、やはり農林省の方とよく打ち合せをいたしまして、農林省省の方でそういう考え方を取り上げてもらうかどうかという点につきまして、打ち合せをいたしながら、仕事を進めて参りたいと考えておりますわけございます。また、部局といたしましても、私が所属しております開発局が適当であるか、あるいはほかの局が適当であるかというような点もございますので、今の御趣旨のほどは、政務次官とも御相談いたしまして、どういうふうに進めて参るかということを、検討して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/64
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065・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私、ただ早期栽培だけを取り上げて言うのではないのです、その一つの例として言ったのです。しかし、一体日本の政府の、経済企画庁が中心だと思うのですが、将来の科学の進展に伴うところの水制度というものに対して、経済企画庁で一つ音頭をとられて、そうしてそこには、いろいろ科学というような問題の伴う問題でありますから、従来の役所の行政機構では考えられない問題でありましょう。そこで、役所ももちろん入られるが、それに広く学者も入れて、水制度に対する何か一つの機構を経済企画庁のもとに持たれて、そうして、そこが一つの指導性を持って発足していくというようなお考えをお持ちになりませんか。この点は、政務次官に一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/65
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066・鹿野彦吉
○鹿野政府委員 ただいまの御意見に対して、私も非常に賛成いたすものでございますので、そうしたことを推進いたしますように、積極的に努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/66
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067・佐竹新市
○佐竹(新)委員 今度は通産省の方に、具体的な二、三の点について質問申し上げます。
この工業用水道事業法に対する具体的な質問でありますが、工業用水法の趣旨は、地下水をくみ上げるために地盤が沈下するということで、先国会から起っておる問題であるが、その特徴的なものは、尼崎市の地盤沈下状況なんかも、私は視察をいたしましたが、非常にひどいものです。こういうことから、国会で法案ができまして、この事業法は、そういう意味におきまして政府の助成もこれにおのずから伴ってくるのだ、かように考えるのでありますが、工業用水道に特殊な助成をするというようになったのは、どういうわけであるか、こういうことについて質問します。それはどうしてかというと、厚生省の管轄になっておりますところの飲料水道の問題ですが、これの助成は、たしか昭和三十年ではなかったですか、打ち切られたように思ったのですが、今度の工業用水事業法で助成をされるということになれば、同じ政府の中で、一方上水道の方では助成を打ち切る、一方はこれでもって助成するという、二つの矛盾が起きはしないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/67
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068・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいまお話のございました上水道について、いつから補助金が打ち切りになりましたか、私、十分事情は承知いたしておりませんが、工業用水の補助云々の点は、先ほども申し上げたと思いますが、結局工業用水の水源問題から、また工業用水の供給を受ける方の側の負担力の問題から、どうしても工業用水のある特定の地点のものについては、助成をせざるを得ない状態にあると思います。上水道につきましては、私の承知いたしております限りでは、大部分の場合が大体採算がとれ、また利用者の負担に耐え得る程度の価格で供給できるということで、最近は上水道自身に対しては、補助金がないように聞いております。しかし、御承知の簡易水道につきましては、事業量の割合に経費がかかるというような点から、引き続き助成措置がとられておるように聞いております。工業用水につきましても、ただいま申しましたような特殊の地点にある工業用水について、その価格を引き下げて、利用者の負担に耐え得るための助成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/68
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069・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私の心配いたしますのは、今のあなたのような御説明もありましょうが、水道の方の助成は打ち切られて、今度工業の方の助成がなされるということになると、地方団体が、これはへんぱな扱いじゃないか。こっちを打ち切って、またこっちへ持っていってやるということは、一般の大衆が利用する点においても、地方自治体等の財政の面からも納得できないといって、運動を復活してくるようになれば、ここへ持っていって、寝た子を起すというようなことがまた生まれてくるのではないか。こういうように思うので、質問いたしたのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/69
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070・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用水道に対して補助をいたしますのも、実は工業用水道事業の計画のうちの、ごく一部であることは、御承知の通りであると思います。先ほど申しましたように、特定の地点について、水源等の関係から施設費が常非にかさんで、その結果その工業用水のコストが非常に高くなるために、それに対する緩和策として、少数の地点、やむを得ない地点だけについて、助成措置をとっておるわけであります。これは三十一年度から、比較的大きな金額の助成措置をとるようになったのでありますが、これは上水道につきましても、たしか、補助金は別といたしまして、上水道経営者の起債計画等については、財政資金からその起債のワクが出ておるはずであります。工業用水につきましても、補助金は出ないけれども、起債のあっせん等をすることによりまして、できるだけ工業用水の価格の引き下げ等をやっておるわけであります。いずれの場合も、それが需要者の耐え得る価格に対する調整措置として、最小限度のことをやっておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/70
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071・佐竹新市
○佐竹(新)委員 次は、政府の考えております工業用水のトン当り四円という考え方ですが、これは、さっきも加藤委員か、トン当り十円になるというので、実は私も驚いたわけです。工業用水は、水利権の問題であるとかダムであるとかということになれば、どうしても事業経費が相当上ってくるのです。そうすると、トン当り四円で押えるという通産省の基礎は、どういうところに持たれるのですか。その点を、一つ十分納得のいくように説明していただきたいと思うのです。事実は、今、加藤君の言われたように、四円でなくて十円に上っておるのですが、どういうことで四円という根拠を出されたのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/71
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072・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用水として使用されます水を、水源についてみまして、現在、たとえば工場のその場所で地下水をくみ上げておるような場合の価格は、御承知のように、平均で申しますと一円台というように、非常に安い価格でございます。それと相対応して見ますれば、工業用水として供給されます水の価格は、できるだけ安いことが望ましいのであります。しかし、やはり工業用水の供給には、事業としても経費がかかりますので、それとの兼ね合いということに相なるわけであります。これは現在の状態で申しますと、工業用水として供給されておりますものを、全国の平均で見て参りますと、三円以下というようなところになっておりますが、これから工業用水を建設いたします際に、できるだけいろいろな援助をやりましても、なお引き下げ得る限度というのは、大体五円以下、あるいは四円くらいのところかせいぜいので、その辺を目安にすることは、一応ほかの国の例を客観的に見ましても、この辺までは最低最小限度といいますか、ぎりぎりまでぜひ下げる措置をとることが、工業用水の政策上、必要の最小限度であろうという程度の目安でございまして、四円なり五円以下というのが、科学的に幾ら幾らという算出の根拠で出されるものではなくして、達観的に見て、この辺が一つの目安になるであろうという意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/72
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073・佐竹新市
○佐竹(新)委員 しかしながら、実際問題は、今、加藤君の言うのを聞いておりますと、松尾局長との間に、相当大きな食い違いが出てきておるのです。そうすると、やはり事業ですから、採算の合わない事業をやったってしょうがない。国の助成にも限度があるでしょう。そうしますと、水利権とかダムとかいうような問題で、案外そういうトン当り四円というあなたの構想と、実際には食い違いがくるのじゃないか、こういうように私は思うのです。それは、もちろん工業用水は、あなたの言われるように、安いのにこしたことはありません。しかしながら、実際問題として、その四円という線を、出されておって、それが四円を上回って、今のように、とんでもない十円なんかになると、むしろ工業用水のために、また工場から不平が起きてくるというような結果になる。私の今質問しておりますのは、それは、外国の例もお話になりましたけれども、しかし、日本として実際に、これをダムの建設とか、あるいは水利権の問題とか、こういうものの複雑した中に工業用水をやっていくということになりまして、案外多額な経費がかかってくるということになったのでは、それか実際に可能であるかどうかという基本線を、もう少し納得のいくように説明が願いたい、こういうのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/73
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074・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 先ほども申し上げたかと思いますが、やはり特殊の地点、いわゆる工業用水の見地からも、立地条件の悪い特殊の地点につきましては、いかように援助に努力いたしましても、どうしてもコストが下らない。従って、工業用水の供給価格の下げようのないような特殊の地点があることがやむを得ない場合もございます。しかし、工場立地条件からいいますと、そういう地点には、理想的に申しますれば、できるだけ用水型の工場が行かないように、むしろ工場配置の際に、十分考えなければならない問題であったはずでありますが、現実には、必ずしもその理想通りにいっていないという実情なのであります。しかし、今後、工業用水の供給を確保いたします際には、やはり需要者の側か負担し得る限度の工業用水のコストは、絶えず考えなければならないわけでありまして、各地で工業用水の計画がございます際には、私どもの方で、その計画の内容を伺いまして、そのコストで果して計画通りにいくものであるかどうか。またその計画通りのコストにするためには、どういう起債あるいは助成措置をやらなければならぬかというような点を、しさいに検討して、行政指導なり、あるいは必要な助成をやっておるつもりでございますが、今お話のございましたように、今後、計画の実施の場合に、いろいろな食い違いが出て参りまして、需要者の満足するような価格に、必ずしもならないではないかというような点、今後、工業用水の事業の運営については、特に十分細心な注意を払っていかなければならない点であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/74
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075・佐竹新市
○佐竹(新)委員 どうも納得がいきません。それは、現実に特殊な地帯ということを言われますけれども、一応こういう法律ができまして、政府の許可制にもなるのでありますが、また陳情等があって、よほど十分納得のいくようにしていないと、政府の方ではトン四円ということを考えておられましても、なかなか私は事実と並行していかないというようなことが起きてくると思う。それも当面の問題でありますから、これはどうしても工業用水のことで考えなければなりませんけれども、齋藤委員が相当強く質問されました冷却用水の問題、これらの点は、一体通産省としても、どれだけ真剣になって実際に考えておられたか。これは経済企画庁との関係もありましょうが、これはむしろ、そういうようになって参りますと、助成なんかも大幅にしていかなければならぬというようなことになってくる必然性を持っておると私は思う。そうでなければ、工業用水を引くということになってくると、一たん引いたということになれば、相当単価が上るということになれば、何かここに処置しないと、工場の生産が成り立たないということになる。それよりは、むしろ、助成をするのであったならば、今の循環使用の冷却なんかの問題に対して、早急に研究を進められて、そうしてその方向を指導するという通産行政の行き方が、むしろいいのではないが。さっきも松尾局長か言われましたけれども、現在の各社のいろいろな研究の結果の発表によりますと、七〇%から八〇%、循環して冷却に返すことができる、こういうように言われておるのですが、そういう点についてば、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/75
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076・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 工業用水の循環使用につきましては、たとえば製鉄業のようなものは、非常に多量の冷却用水を必要とするわけでありますが、特にそのような努力をしておりますものは、さっき申しましたように七〇%あるいはそれ以上の循環使用をしておるような優秀な例もございます。これは、各工場に、そういう努力をしていただきますように、今後とも十分行政指導その他でやって参りたいと思います。
なお、この水の循環使用の問題につきましては、先ほど、各通産省関係の試験所でも、それぞれそのような研究をしておることを、例示的に例をあげて申し上げたと思いますが、さらにそういう研究の成果等を集大成いたしまして、そのような研究の成果が実用化し得るような方策を研究するために、今、工業用水審議会がございますが、その工業用水審議会に、そのような研究の学識経験者等に特にお集まり願いまして、このための専門部会を作って、今後、さらに実用化を、あわせて研究を進めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/76
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077・佐竹新市
○佐竹(新)委員 それを聞かしてもらったらよかったのです。私、今、手元に資料がありますが、ずっとこういうことを研究しておるのです。東京工業大学の葛岡さんとか、東京大学の工学部の内田さんとか、あるいは気象研究所の伊藤さんであるとか、それから農業技術研究所の三原さんであるとか、こういうような方が、農業用水を兼ねて集まって研究しておられるのです。こういうような研究と政府の行政とをやはり結び合せて、さっきも私は、経済企画庁に御質問申し上げたのですが、一貫したものにして、そして、今日の科学の進む時代においては、学者の研究を多く取り入れて、できれば大きな工場に対しては、そういう冷却塔を作って、そして水の循環をよくするというようにしていく。そうなると、結局どうかというと、悪水が流れないから、ノリであるとかカキであるとか、沿岸漁民の問題も、あわせて一石二鳥、解決のつく問題なんです。これを流しっぱなしにするから、ノリに影響するとか、カキに影響するとか、ここでまた今の汚水法を作らなければならぬというようなことになる。これを作ろうとすると、工業家が反対するということになるのですから、やはりそういうことが世論として出ている時代には、役所は積極的な指導をする。そこがどうも、法律を作って何とかして助成金を出しておいて、これで何とかいけるのだということになると、また地方から陳情して、がたがたやるといういうようなことが、年中行事のごとく繰り返されているということになったら、根本的な解決がつかない。だから、私が申し上げるように、科学はどんどん進歩するのだから、その進歩を大幅に取り上げて、それを行政の一環としてやっていくというようにされるならば、水の問題も案外解決かつく。そういうことがなされずにこういう立法がされて、それへ持っていって助成金がついていくということになれば、国の経費が幾らあっても足りない。こういうことを、十分に考えていただきたい。特に、当面の問題といたしましては、私が資料をあっちこっちできるだけ集めて、あなたの手元へ持っていって、相当りっぱなものを今やれるように、その機械なんかのことを話すと、すぐ、こいつは会社の手先になって動くとか考える。そういうようないろいろなことを考えずに、すなおに、あらゆるものを総合的に見て、早くそういう方向へ持っていくというような考え方でやられることを、切に私は希望いたしまして、法案の具体的な内容については、もう一回質問させていただきますが、きょうは、大体の点について希望をいたしまして、質問を打ち切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/77
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078・小平久雄
○小平委員長 本日はこの程度にとどめます。
次会は来たる四月一日午前十時十五分より開会をする予定であります。
これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02319580327/78
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