1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十二日(水曜日)
午前十一時開議
出席委員
委員長 中村 寅太君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 助川 良平君 理事 原 捨思君
安藤 覺君 五十嵐吉藏君
石坂 繁君 大石 武一君
木村 文男君 草野一郎平君
小枝 一雄君 鈴木 善幸君
田口長治郎君 中馬 辰猪君
永山 忠則君 丹羽 兵助君
松野 頼三君 阿部 五郎君
赤路 友藏君 伊瀬幸太郎君
石田 宥全君 久保田 豊君
楯 兼次郎君 中村 英男君
細田 綱吉君 山田 長司君
出席政府委員
農林政務次官 瀬戸山三男君
農林事務官
(農林経済局
長) 渡部 伍良君
農林事務官
(蚕糸局長) 須賀 賢二君
委員外の出席者
農林事務官
(蚕糸局糸政課
長) 保坂 信男君
農林事務官
(蚕糸局繭糸課
長) 古西 一郎君
農 林 技 官
(蚕糸局技術改
良課長) 大村清之助君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十一日
委員安藤覺君辞任につき、その補欠として足立
篤郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
委員足立篤郎君、永山忠則君、小川豊明君及び
川俣清音君辞任につき、その補欠として安藤覺
君、千葉三郎君、赤路友藏君及び阿部五郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員千葉三郎君辞任につき、その補欠として永
山忠則君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十日
農林漁業団体職員共済組合法案(内閣提出第一
二九号)
同日
備前渠用水路改修促進に関する請願(荒舩清十
郎君紹介)(第一五二六号)
同月十一日
狩猟法の一部改正に関する請願(田中伊三次君
紹介)(第一八〇六号)
同(五十嵐吉藏君紹介)(第一八八八号)
藤田農協の種子麦保管倉庫建設に関する請願(
荒舩清十郎君紹介)(第一八八六号)
農協役職員年金制度実現に関する請願(江崎真
澄君外二名紹介)(第一八八七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
たばこ耕作組合法案及びたばこ専売法の一部を
改正する法律案(内閣提出第二号)について大
蔵委員会に連合審査会開会申入れの件
糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案に
ついて大蔵委員会に連合審査会開会申入れの件
繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九〇号)
農林漁業団体職員共済組合法案(内閣提出第一
二九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/0
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001・中村寅太
○中村委員長 これより会議を開きます。
去る十日付託になりました内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法案を議題といたし、審査に入ります。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。瀬戸山政務次官。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/1
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002・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 ただいま上程されました農林漁業団体職員共済組合法案について、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
農林漁業団体は、農林水産業の生産力の増進と農山漁民の経済的社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展に寄与するために設けられた農山漁民の団体であり、わが国経済の進展に貢献して参ったことは、今さら申し上げるまでもないところであります。しかしながら、これらの団体の現状を見ますと、必ずしもすべての団体が健全な発展を示しているとは言えない現状であります。国としましても、これら農林漁業者の中核的組織である農業協同組合等の農林漁業団体の農林水産政策上に占める重要性にかんがみまして、これら団体の育成強化をはかるため相当額の財政支出を行なってこれが助成を行なって参っているのであります。しかるにこれらの団体の役職員は、これと同一地域社会にあって、その職能上常に対比される立場にある市町村職員が恩給あるいは共済組合制度の恩恵に浴しているにもかかわらず、それと均衡のとれた身分保証がないため、優秀な人材を確保することが、保しがたく、このことが経営不振の団体の発生する一因ともなっているので、この際少くとも市町村職員が享受している程度の年金制度の実施はぜひとも必要であると考えられるのであります。一方、これらの団体関係者にあっても、農林漁業団体の役職員の共済制度の確立を自己の出費の増大をもいとわず熱望して参ったのであります。従いまして政府といたしましては、その必要性を認め、現在これらの団体の役職員の大部分が加入している厚生年金保険制度より相当充実した給付内容を有する年金制度を中心とする共済組合制度を設け、これらの団体関係者の永年の要望にこたえるとともに農山漁民への奉仕に十全を期することといたしたいのであります。
次に、本法案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、農林漁業団体職員共済組合は、農林漁業団体の役職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生をはかり、もって農林漁業団体の事業の円滑な運営に資することを目的とする特殊法人でありまして、本法案は、この組合の設立、組織、運営、業務、経費補助及び監督等に関して必要な事項を規定しようとするものであります。
第二に、この組合は、特別の法律によって設立された農林漁業団体のうち、農業協同組合、農業協同組合連合会及び農業協同組合中央会、森林組合及び森林組合連合会、水産業協同組合及び水産業協同組合共済会、農業共済組合及び農業共済組合連合会、漁船保険組合及び漁船保険中央会、土地改良区、土地改良区連合及び土地改良事業団体連合会、都道府県農業会議及び全国農業会議所、開拓融資保証協会、漁業信用基金協会並びにこの組合に使用される役職員をもって組合員とするものでありまして、その団体数は約二万七千、その役職員数は約二十六万人であります。
第三に、この組合は、組合員であった期間が二十年以上である者が退職し、五十五才に達したときに、退職年金、組合員であった期間が六月以上二十年未満である者が退職したときに、退職一時金、組合員であった期間が六月以上である者が組合員であった間に疾病にかかり、もしくは負傷したことにより退職した場合において、その退職のときにその傷病の結果として一定の程度の廃疾の状態にあるときに、その廃疾の程度により、障害年金または障害一時金、組合員であった期間が十年以上である組合員が死亡したときに、その者の遺族に、遺族年金、組合員であった期間が六月以上十年未満である組合員が死亡したときに、その者の遺族に、遺族一時金、退職年金を受けている者が死亡した場合において遺族年金の支給を受けるべき遺族がないとき等に、年金者遺族一時金の給付を行うのでありますが、いわゆる短期給付を行わない点が他の共済組合と著しく異なるところであります。
第四に、掛金及び国の補助についてでありますが、掛金は大体千分の七十八くらいで組合員とその組合員を使用する農林漁業団体等との折半負担とし、その掛金率は厚生年金保険における掛金率の二倍余りとなりますが、給付もこれに応じ約二倍となるのであります。次に、給付に要する費用の百分の十五及び組合の事務に要する費用の全額を国庫が補助することができることとなっております。
以上のほか、組合会、役員、審査会、農林大臣の認可、組合設立手続、厚生年金保険との関係等につきまして必要な規定をいたしております。
最後に、この法律の施行期日は、昭和三十四年一月一日でありますが、それまでにこの組合の設立手続も完了し、この組合も同じくその日に成立することとしております。
以上が本法案の提案理由及び内容の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/2
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003・中村寅太
○中村委員長 これにて政府の説明は終りました。
本案に対する質疑は後日にこれを譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/3
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004・中村寅太
○中村委員長 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。五十嵐吉藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/4
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005・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 生糸の価格が先行き十九万円の最低価格を割るだろうという心配が各方面から起ったわけであります。そこで、昨今糸価安定をめぐっていろいろ論議をされておりますが、まず第一番にお尋ねしたいことは、繭糸価格安定法という法律をもって糸価安定をはかるという以上は、糸価安定特別会計の買い入れ資金のワクが、これでもう終ったというようなことが起った場合に、金がないからもう生糸は買えないのだ、この法律の精神からいって、こういうことがあってはならぬと思うのです。いかなる場合があっても、この繭糸価格安定法がある限りにおいては、金がなくなったから生糸を買い入れることができない、こういうことは全然あってはならぬはずだ、こう考えておりますが、これについてどうお考えになりますか、この点をまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/5
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006・須賀賢二
○須賀政府委員 お答え申し上げます。繭糸価格安定法は、あらためて申し上げるまでもないことでございますが、最低価格によって生糸を買い入れまして、一方最高価格によって生糸を売却する、その買い入れと売却の両方の操作によりまして、生糸を一定の価格の幅の中に維持していこうという考え方なのでございます。従いまして、法律には第二条に、最高価格により売り渡し、最低価格により買い入れるということを規定をいたしておるのでございますが、これはものの売買でございますので、政府の特別会計によって運営をいたして参りまする以上、予算を編成いたしまして、一応その予算のワクの中で運営をして参りますことは、建前として当然のことと考えるわけでございます。しかしながら、特に最低価格の支持につきましては、一定の価格で買い入れをいたしまして、価格を支持しようという建前をとっておりまする以上、実際の需給関係におきまして、生糸が相当量過剰になってくるというような事態が起きました場合には、それに対応いたしまして、予算上につきましても必要な措置をとって参らなければならぬと考えるわけでございます。ただいま当面いたしております現実の事態は、二月末の現在におきまして、今回国会に糸価安定特別会計法の一部修正をお願いいたしております分を含めまして、資金の総ワクに対しましては約半分を支出をいたしておる状態でございます。その後三月に入りましても、ある程度の買い入れはございますので、今日の時点におきましては、約半分を越しておりまするが、なお相当量の資金は残っておるわけであります。ただ最近の一般繊維の不況の状況、それからことしの春繭は相当豊作ではなかろうかというようないろいろな条件が重なりまして、最近の糸価低落、特に先物相場におきまして糸価低落を見ておるようなわけでございます。われわれといたしましては、糸価安定制度と申しますものは、余剰の糸を買い上げまして最低価格を支持して参るという建前になっておりますので、今後の事態の推移を十分見きわめまして、現行制度による糸価安定につきましては、万遺憾のないようにいたしたいという考え方をもちまして、それぞれの方面とも事務的にも折衝をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/6
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007・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 生糸の最低を十九万円、最高を二十三万円、そういうことに現在きまっているわけですが、新年度の最高、最低をきめるために、明日繭糸価格安定審議会を開くことになったようですが、政府としては、新しい年度における最高、最低の価格というものは、これを変更する考えはありませんか。特に最低の十九万円というものは、どこまでも一つ堅持していく、こういうお考えですか、その点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/7
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008・須賀賢二
○須賀政府委員 前日繭糸価格安定審議会を招集いたしております。明日の審議会に、三十三生糸年度に適用いたしまする最高、最低価格並びに最低繭価について諮問をいたすのでございますが、計数上の作業を一応完了いたしまして、目下それぞれの方面と打ち合せをいたしております。生産費の面では、繭の生産費、生糸の生産費を総合いたしますと、前年度に比較してごくわずか低落をいたしておりますが、そちらの面からも、最低価格十九万円を動かさなければならないような材料は出ておりませんし、またこの糸価安定制度によりまして、生糸の価格を維持して参る建前を貫く考え方からいたしまして、三十三生糸年度につきましても、明日の審議会の答申の結果に待つわけでございますが、政府の考え方といたしましては、現在の水準を動かす考えを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/8
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009・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 ただいまの説明で、最高、最低とも全然動かす考えはない、こういうことが明らかになったわけでありますが、それにもかかわず横浜、神戸の取引所の先物の相場は相当下落をしている、ということは、これはやはり政府の糸価安定施策に対する信頼が置けないから、そういうことになったのだと思うのです。アメリカもその通りで、多分日本の糸価安定というものはこれは十九万円の最低値段はささえ切れないだろう、こういう予想をしていればこそ、アメリカ側も買いついてこない、こういう現況だと思うのです。そこで政府としては、もし万一十九万円というものが割れるようなことがあれば、これは申すまでもなく大へんな事態になると思うのです。絶対にそういうことはありませんか。下げるようなことは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/9
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010・須賀賢二
○須賀政府委員 横浜相場についてお触れになったのでございますが、横浜の相場は今月の三日に八月限が一千七百五十円というものが出ました。これは一斤の値段で、一俵に換算すると十七万五千円という値段でありますが、いわゆる糸価暴落という最もはっきりした形になって出た姿でございます。その後政府におきましても、三十三生糸年度の安定帯価格を動かす考え方はない、またそれを将来にわたって維持して参りますためには、総合的にそれぞれの手段を講じていくという意思を、それぞれの形において表明いたしております。その結果だんだん相場も持ち直して参っておりまして、八日には千七百五十円まで落ちておりましたものが千八百二十五円まで戻ってきております。きのう、おとといの相場も大体千八百円台に乗っておりまして、順次市場の気分も落ちついて参っております。私どもも、ただいま御指摘がありましたように、今後の糸価維持につきましては、万策を講じまして、現在の安定帯価格を維持して参るように極力努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/10
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011・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 政府の方で再三再四生糸は十九万円以下には下げませんよ、こういう声明をしておるにもかかわらず、やはり非常に不安があるということは、私は政府が、しっかりした、これはもう絶対に下げないのだ、それにはこういうような対策をとるのだということをもっと明確に、はっきりした態度を表明すればそれでぴしゃっと落ちつくと思うのです。だいぶ落ちついてはきましたけれども、まだまだ不安が相当多い。そこで、それでは幾ら声明してもなぜそうかというと、問題は、何べん声明しても要は買い入れ資金のワクがなくなればそれまでではないか、こういうところから不安が起ってくるわけです。そこで、この国会で今審議をしておるところのワクの増額二十億がきまれば、それで資金ワクが八十億ということになるわけでありますが、問題は資金ワクなのです。だから、この資金のワクさえ拡大をしていけばこれは心配ない、市場も落ちつく、養蚕農民もこれで安心をする、こういうことになるのです。いかなる場合があっても資金のワクを増額して、もう何ら心配をさせないというもう少しはっきりした言明がここであれば、それで大体落ちつくと思うのです。資金が足らなくなった場合に、資金をどんどん増額をして、そして不安がないようにする確信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/11
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012・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 その問題については、さきの当委員会においても農林大臣からお答えをしておると思いますが、政府といたしましても、農林省といたしましても、もちろん糸価安定の制度が確立いたしておりますので、御承知のような相場が出ておりますが、繭生産農家にも非常に重大な関係がありますので、この制度はあくまでも維持していくという方針を堅持していきたいと思います。今仰せの通り、それはわかったが、問題は資金のワクの問題だ、その通りでありまして、御承知の通りに、今二十億の増加の改正案をお願いいたしておりますが、それでも二十億、かりにあと四十億あっても今の状態でいくと二、三カ月で終りではないか、こういう懸念も一部にあると思います。そういう関係が影響していると思いますけれども、先ほど蚕糸局長からも御説明申し上げましたように、これはいわゆる相場でありますから、だんだん立ち直る気配も見えておるわけであります。従って政府の今の考え方といたしましては、二十億の借り入れ増加を決定してもらう、しかしそれでもなおかつ不安定な状況があるというようなときには、資金はいつでも増加をする、こういう決意をいたしております。これは法律の改正を要することでありますから、今審議中の問題でありますので、その経緯を見てさらにその方策を講ずる、こういうふうな考え方で関係省とも話し合いを進めておりますから、どうか御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/12
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013・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 政務次官並びに局長から糸価安定について非常に力強い御決意を承わりまして、まずこれで業界も大体安定すると思うのであります。どういうふうな事態が起りましても万違算のないように十分御配慮をお願い申し上げたいと思います。
それからもう一点、最後に玉糸の問題ですが、玉糸を一般買い入れにするようにという要望が今業者から非常に強く叫ばれており、玉糸業界の昨今の情勢はまさに危機に瀕しておる、こういう実情だと思うのであります。この一般買い入れという問題についてどうお考えになっているか、この点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/13
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014・須賀賢二
○須賀政府委員 玉糸の問題につきましては、前回にも御質問をいただいたのでございますが、あらためて申し上げるまでもなく、去年の夏以来玉糸業界は非常な苦況に立ち至っているわけでございます。昨年の暮れに一応立て直しを考えまして手当をいたしたのでございます。その後一般繊維不況等の状況が重なりまして、去年の暮れに手当をいたしましたのも必ずしも十分の効果を上げることができなかった、それでこれを一般買い入れにするようにという要請がかねがね強く出されているのでございます。この点につきましては私どもそれぞれ政府部内の関係方面ともその方向につきましていろいろ協議もいたしておりますし、またこれ自体蚕糸関係の関連業界にもいろいろ影響があります問題でありますので、その間の意見の調整もいろいろ機会を作りまして詰めて参ったわけでございます。現段階において私が考えておりますのは一般買い入れと申しますものは、玉糸の場合果して一般買い入れが玉糸業界のために一番いい方法であるかどうかは業界自体としても十分考えなければならない点もあるのでございます。これはいろいろこまかい問題が伴っておりますので、また必要がありますればその細部にわたって御説明申し上げたいと思いまするが、結論的に申しますると、一般買い入れという方向でやりますることは必ずしもこの業界の今後の価格持ち直しのためにいい方法でもないという点もありますので、できればただいまお願いをいたしておりまする法律の改正が成立をいたしますと、五月から新しい保管会社によりまして玉糸も生糸もともに買い入れをいたしていくわけであります。この線に玉糸を乗せるのが一番玉糸の実態に合った価格支持の方向ではないかと考えております。しかしこれは、この法案が御審議の結果お認めをいただきましても、仕事の発足は現実には五月以降になるわけでありますが、当面いたしておりまする四月の問題といたしましては、関係方面とも十分相談をいたしまして適当なる便法を講じまして、四月の間における玉糸の価格支持については私責任を持って処理いたしたい、かように考えておるわけであります。その程度で一つ玉糸の問題は御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/14
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015・安藤覺
○安藤(覺)委員 関連して。ただいま五十嵐君から質問のありました糸価安定の問題でありますが、一体蚕糸局あるいは農林省それ自体は、生糸あるいは繭をなお増産せしめることをよいと考えておられる現段階なのか、それとも多少とも自粛的な生産制限へ持っていく方が農民のためによかろうと考えておられる段階なのか、これを一つ御意見を承わってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/15
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016・須賀賢二
○須賀政府委員 問題は生糸消費の先行き等に対する考え方とつながる問題であると考えますが、私どもは五ヵ年計画等でも考えておりまするように、長期的に見ますれば、生糸につきましてもなお将来相当の増産をして、一方需要をつけていく可能性は十分持っておると考えております。特にこの数年の経過を見ましても、大体年間百万貫、糸にいたしまして一万俵程度のものは消費がずうっとそのくらいの年率で上って参っておるのでございます。少くともその程度の率のテンポをもちまして今後も全体の規模を拡大していくことは可能であると考えておるのでありますが、この産業はあらためて申し上げるまでもなく、不況と好況との波を非常に強くかぶる性質の産業でございますから、長期的には拡大をして参る考えを持ちましても、時の経済情勢によりましてはどうしてもある程度の調節をして参らなければならぬ事態も出て参るわけであります。過去の蚕糸業の歴史を繰ってみましても、そのようなことを繰り返しておるわけであります。従いまして糸価安定制度の運営といたしましても、長期的には需給が均衡をしておる姿におきまして、経済情勢の変動によりましてそのときに出て参りまする過剰の生糸をこの制度によって買い支えていくというような形において運営をして参りませんと、この制度の健全な運営ができないわけであります。従って当面の問題といたしましては、ある程度繊維全般の情勢としまして、ただいままでのような情勢が続くようでありますれば、当面の事態としてはある程度の生産調整ということも考えなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/16
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017・安藤覺
○安藤(覺)委員 もしお答えのようなことであるとすれば、ここで農林省は一つ大きく手を打たれなければならぬ段階にきておると思います。それはこの法案を出されて、買い入れ資金のワクの拡大までもはかられようとしており、この法案はおそらく前途を予想しても必ず通過成立するものと確信せられる。にもかかわらず今なお糸の値下りについての反発が出てこないということは、何かそこに大きな、五十嵐君が言われたような意味においても原因があると思う。その一番大きい原因は、一つにはやはり農林省の打とうとしている手がほんとうに力強く徹底しておらないことだろうと思う。そしてこのことはすぐ生産農民にも反映して、生産農民はようやく土室の手入れあるいは養蚕かごの消毒等に動き出しているのだけれども非常な不安を感じておる。そこでもしほんとうに将来においての生産を制限していくのだという気持でなしに、逆に今のお答えのごとくであるとするならば、今明日、明日は審議会が開かれるというのですから絶好のチャンスです。このチャンスをのがさずに農林省におかれてはマス・コミ時代のこの状況にかんがみて、決定的なる意思を表現せられる何らかの方法を講じられることを強く私は要望いたします。しかし要望では質問の形をなしませんから、要望いたしますが、私の要望に対してお答え下さる御用意があるかどうか、これを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/17
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018・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 特に答えろというお話はありませんが、今御心配になっておりますように、事は相当重大なことでありますから、先ほど来申し上げております趣旨と決意を、一般農家もよく認識していただきますような方策をぜひ講じたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/18
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019・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 玉糸の問題については今局長からお答えありましたが、これはなにしても暴落々々続きで、玉糸業界も全くせっぱ詰まった状態に追い込まれたわけです。必ずしも一般買い上げばかりが最善の方法ではないというお話でしたが、一般買い入れにしろ、特別買い入れにしろ、いずれにしても今の状態はあまりにもどうもひど過ぎる。従ってこれが養蚕農民に当然影響するわけでありまして、そういうような事態にありますので、これも十分御検討なされて、何らかの方策をなるべく早くお立てになった方がいいと思う。この点を一つ要望いたしまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/19
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020・中村寅太
○中村委員長 阿部五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/20
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021・阿部五郎
○阿部委員 ただいま最低最高の価格は変えないというお話を承わりましたので、その点はまことにけっこうと思いますが、変えなくとも相場の方は必ずしもそれで安定するとは思われないという不安があるのであります。これで少くとも最低は維持できるという御自信がございますか。それで、あるのでありますとどういうふうにそれが維持できるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/21
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022・須賀賢二
○須賀政府委員 先ほど私から申し上げましたように、明日安定審議会におきまして審議の結果、正式に来年度の最高最低価格を決定をいたしますると、政府といたしましては直ちにそれに応じまして、最高及び最低価格の正式の告示をいたすわけでございます。それで市場が今月の初めごろに持っておりましたような、政府の来年度に対する糸価維持の方針があるいは変るのではないかという考え方は、一応そこで解消をする筋合いでありまするし、これには、先ほど政務次官もお答えになりましたように、いろいろその裏づけとなりまする措置を講じて用意をいたしておるわけでございます。それらと相伴いまして漸次相場が回復をして参ると考えるのでございます。特に横浜市場におきまして相場が下落いたしましたのは先ほども申し上げましたように、先物、いわゆる七月限、八月限といったようなすっと先物が下ったわけでございます。これは先ほど私が申し上げましたようないろいろな要素を市場が非常に先走って織り込んだ相場を現出したわけでございます。私が申し上げましたような措置をそれぞれ追っかけて講じていきますことによって、相場の方も順次平静になって参る、かまうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/22
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023・阿部五郎
○阿部委員 心理的な作用によって下落というものはあるのではございましょうが、この下落の原因で、もっと重大な需要そのものの減退、ことに海外需要の減退という事実があるのじゃないかと思う節があるのであります。ことに海外需要全体としての減退かどうかはわからないとしても、たとえば中国の生糸との競争関係において日本の生糸に対する海外需要が減った、こういう点があるとしますると、単なる心理的影響で政府が断固たる価格政策を示しただけでは、容易に価格の立ち直りが困難ではなかろうかと思う点がありますが、その点はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/23
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024・須賀賢二
○須賀政府委員 単なる心理的な面だけではないのではないかというお尋ねだと思うのでありますが、ただいまお尋ねの中で中共生糸の圧迫等もあるのではないかという御趣旨の言葉がございましたが、中共糸は中共の最近の増産政策によりまして、年々相当量ふえて参る傾向を見せておりますことは事実であります。ただ現実に日本の糸と中共の糸とが市場が競合をいたしておりまするのはヨーロッパ市場でございまして、ヨーロッパ市場において中共の糸と日本の糸がどういう関係にあるかということだけが、現実に日本の糸に影響を持っておるわけでございます。その方の状況は、一昨年は中共糸が日本糸よりも進出をいたしたのでありますが、その後やはり現在の段階におきましては、中共糸は品質の問題等もいろいろありまして、昨年は逆に日本糸の方が中共糸よりも進出をいたしております。特に中共糸によりまして今度のような問題が起きたというような事態には現在なっておらないということだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/24
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025・阿部五郎
○阿部委員 そうだといたしますと、この蚕糸価格安定のための資金さえ十分であれば、一応安定は実現し得るということになると思いますが、その資金がこの改正法律案が通過しましたならば、一応上分であろう、こういうふうに承わりましたが、かりにそういたしましても、この生糸の価格は非常に変動の激しいものでありますから、これを運用する上においてはこれは成り行きによっては、政府が相当の損をしなければならぬことを覚悟しなければならぬと思うのであります。あるいはこれは将来にいきますと、食管会計、特にその中の農産物価格安定の勘定のごとく、相当政府の負担が激増してくる、こういうことも予想されないこともないと思いますが、その点蚕糸局におかれては、今までの成り行き並びに将来の見通しはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/25
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026・須賀賢二
○須賀政府委員 糸価安定制度と申しますのは、今私どもでやっておりますような、最低価格と最高価格によって売買いたします糸価安定のやり方というものは、これは過去においてもう数回このようなことを繰り返しておるわけです。過去において一番多く政府が糸を持ちましたのは約十一万俵まで政府が買い込みをいたしたことがございまするが、その場合はいずれもその後におきまして、糸の需要が大幅に回復をした時期がやって参りました。政府が買い込みました糸は全部その後放出をいたした。その結果この会計では過去において赤字を出した経験がない、むしろ相当もうけました経験がある。私どもの現在の場合は、十九万円で買いまして二十三万円になりました場合に放出をするわけでありますが、二十三万円以上の線まで糸の価格が上るというような時期がいつ来るかという問題になるわけでございますが、政府で持っておりまする経費といたしましては、借入金によりまして金利のつく金を使って糸を買い入れましても、大体保管料金利が一俵につきまして一年間で二万円くらいでございます。それで四年間は損をしないで持っておれるという勘定になりまするので、今後の情勢にもよりまするが、一応過去の経験等からいたしまして、この会計は損をしない運営をしているということに一応なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/26
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027・阿部五郎
○阿部委員 その点将来ともこれで損をせずにやっていけるという見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/27
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028・須賀賢二
○須賀政府委員 これはもちろん将来のことでございまするから、この会計は絶対に損をしないということは申し上げかねるわけでございますが、二十三万円になりまして、放出をいたしました結果の差引勘定によりまして、あるいは利益になります場合、あるいは一部多少の損失になる場合もあり得るわけで、そこは絶対に損をしないということはちょっと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/28
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029・阿部五郎
○阿部委員 最低で買い入れて最高で売るということにいたしておりましたら、これはまあしんぼうしておりさえすれば、金利の負担は別とすれば損はない、むしろ得をすることはわかり切った話です。ところが蚕糸業は農民にそう安く繭を売らすこともできませんし、そうかといって糸の相場というものはなかなか容易に上るものではない。それで企業としての幅の非常に狭いものだと思うのであります。そういうものでありますから、最高最低の範囲内の価格の変動でも繊維業に対してまた養蚕農民に対して非常に深刻な影響を与える。価格の面でわずかの上り下りにすぎないと思われるようなことでも、影響はなかなか深刻なものがあると思うのであります。それで政府としては、最高最低内部の変動に対しても調整の政策をとられているのだと思いますし、将来もとられるはずだと思います。そしてそれについてはまた十分そういうような施策をとってもらわなければ、単に最高から上らない、最低からは下らないというだけでは安定政策として十分なりとは言いがたいと思うのでありますが、その点どういう御用意がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/29
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030・須賀賢二
○須賀政府委員 四万円の幅の中で変動をいたしますことが蚕糸業にとってどういう影響があるかということでございますが、これは昔の糸価の変動の幅から考えますと、四万円の幅というものは非常に狭いものでございます。昔は四倍ないし五倍の幅で大変動がございました。そういう状態ではどうしてもこの企業として成り立ちませんので、過去におきましては糸価安定制度というものが生まれたわけでございます。それで四万円の幅が大き過ぎるか狭過ぎるかという問題は、これ自体としてあるのでございますが、最近の傾向といたしましては特に海外におきまして一般繊維の価格というものが非常に安定している、特に繊維の需要なるものが人工繊維に変りました関係で、非常に繊維価格水準というものは長期的にほとんど変らないような状態になっているわけであります。それで生糸につきましても、多少の価格変動に非常に敏感になってきておりますので、お話のありますように、なるべく変動の幅は小幅であることが望ましい。今回私どもの方で繭糸価格安定法の改正をお願いしております保管会社によります中間たな上げ方式と申しますものも、実はこれも価格変動の幅をなるべくなだらかにして参るということをねらっているわけであります。そういう意味において今回の改正案は一つの考え方を出しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/30
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031・阿部五郎
○阿部委員 自由経済時代には、生糸の相場の変動というものは実に今とは問題にならない大きな変動がございましたけれども、その時分には養蚕農民も年によっては非常に有利な年があったわけなんです。このごろは多少相場がしってもどうにか生産費を償うことができるかできないかというすれすれぐらいである。少し下れば生産費を割っているのである。非常にこれは養蚕農民にとっては、安定というものは敏感なものなので、特にこれは堅固な安定が要望されるわけなんであります。そうしてこれがもう地方では毎年養蚕農民と製糸家との間には買い取り競争などが深刻に行われまして、農村に混乱を、毎年々々巻き起しているのでありますから、それで単に最高最低の範囲内だからというてその変動を軽視することはできないと思うのであります。それで今度の改正案などもそういう点にも留意せられて、買い取り——何という会社ですか、今度特殊会社になさるというお考えのようでありますが、十分に機能を発揮させなければ、せっかくの改正をしましてもそれだけの価値がないということになると思うのであります。それで私たちの不安に感じますのは、単にこれだけで果して安定ができるだろうかということであります。私たちしろうとでありますから、何とも将来を見通すことを申し上げるのは僣越かもしれませんけれども、ここ数年来の成り行きを見ておりますと、養蚕ないし製糸というものの前途は決して明るくないのであります。先ほどのお話に上りますと、前途も長期的に見れば必ずしも悲観すべきものでない。また増産の余地あり、こういうふうなお話でありましたが、それにはよほどの農業政策上の努力が要ると思います。このまま自然にまかしておいたのでは、とてもそんな楽観的なことは思われないのではないか。ことに目の先のことを考えましたならば、先ほどのお答えにもありましたように、養蚕そのもの、桑の栽培そのものに対しても増産の奨励はできない。あるいは若干調整措置もとらなければならぬというようなお話でありますが、桑の養成というのは、調整するといったって、ほかの商工業のごとくに急にできるものではありません。どうしても五年くらいはかかるのであります。それで今調整をして減産をはかるというようなことになりましたならば、それが効果を及ぼしてくるのは五年先であります。増産しようとしても五、六年先ということになるのでありまして、とても世界的な需要の増減に対して的確に適応するということはできない性質の事業であります。そこでこの際、私たちは政府に対して、もっと根本的な養蚕対策といいますか、蚕糸業対策をどうしても要望せざるを得ぬのでありますが、この程度の蚕糸業対策で足れりとなさっておられますか。あるいは私たちが心配するがごとくに、なお一そう根本的な施策をしなければ、養蚕農民の安定、製糸業の安定がはかられないという不安があるのでありましたならば、それに対する御構想は何か蚕糸局の方でお考えになっておるのでありましょうかどうか、その点のお考えを伺いたいのであります。ことに品質という点につきましても、私たちはもちろんしろうとでありましてあまり知りませんけれども、この間農業関係以外の一般的な雑誌をちょっと見ておりましたところが中国においてはチシャ蚕というものを非常に奨励している。これは稚蚕の時分には野菜——チシャを食べさせ、そうして三齢か四齢かになったときに一般の桑を食べさせる。その品質は繊維の太細がなくて、非常に品質がいいもので、そういうものを奨励しているというような記事を見たのであります。それが的確であるかどうかは私存じませんけれども、しかし外国においてそういう新しい技術の研究が進んでおるということ、それだけの研究努力が行われておるということは、それ自身が成功しなくても、将来何らかの面で進歩があって、あるいは日本が追い越されるようなおそれがあるという不安を抱くのであります。そこでこの際農林省としては蚕糸業対策として何か根本的な対策はないものであるか、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/31
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032・須賀賢二
○須賀政府委員 蚕糸業の将来等を考えまして、根本的にどういうふうに考えておるかということでありますが、これはいろいろ問題があるわけでありますが、その一つは特に生産農家の態勢といたしまして、少くとも昨年くらいまでは、繭の生産者の関係と繭の需要との関係が、いわゆる繭につきまして売手市場にありますような状態で推移いたして参っておったわけであります。そのような関係がありまして、漸次情勢が変化をして参りますに応じまして、生産農家の側における対応措置というものにつきましては、農協等の態勢につきましても必ずしも十分でないところがあったわけであります。先般来、去年の秋以降の問題といたしまして、われわれもむしろ今後は生産農協等の態勢として、需給関係も相当に変化をして参る情勢に応じまして、従来の態勢を切りかえて、このような高度の商品作物を作っていきます農家の対応していくべき方向につきまして、農協側にもいろいろ問題を掘り下げてもらっておるわけであります。
なお生糸の品質の問題等につきましては、これは御指摘を受けるまでもなく、われわれとしても常に改良に努めておるわけであります。特に繭の種の指定等につきましては更新をいたしまして、できる限り生糸の現在の需要、また今後の需要の動向等をにらみまして、その時代に適応いたしますような品種に順次直して参っておるわけであります。従いましてここ数年は品種の入れかえ等も相当大幅にやっておるわけであります。むしろ生糸と申しますものは天然の繊維として非常にいい性情を持っておるのでありますが、他の繊維が生糸のいいところを見ならって、なるべく追いかけてくる格好になっておりますので、この追いかけられておる繊維自体が、さらに品質をよくしていくようにいろいろ努力はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/32
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033・阿部五郎
○阿部委員 最後に一点お伺いしておきますが、去年製糸業の企業整備を政府の補助金で行いました。それによって、その結果は現在どういうふうに現われておるか。またその結果従来売手である養蚕家の方に有利であった取引関係が、すでに逆転せんとしておるし、将来は逆に農民がはなはだ不利な立場に立って、買いたたかれるというような現象が現われないであろうか、これらの点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/33
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034・須賀賢二
○須賀政府委員 昨年の国会でお願いをいたしました生糸製造設備の臨時措置法の施行関係は、その後順調に進みまして、本年の二月に正式に機械設備につきましては設備処理組合の事業が発足をいたしたのであります。ただいまはまず第一次に任意の設備廃棄の申し出を今募っておる段階でございまして、もう第一次の申し込みが近々締め切りになるかと思いますが、相当量の任意廃棄の申し出がありました。われわれが当初予定いたしておりましたよりも瞬く、この問題は進行して参るのではないか。一日に申し上げますれば、予期いたしました以上に、順調に進行いたしております。ただこの結果、設備能力が減ることに伴って、養蚕農家に圧迫を加えるのではないかというお話でございますが、これは前国会におきまして御審議をいただきます場合におきましても、整理の規模、特に養蚕業に対する影響等につきましては、計数をもちまして十分御説明申し上げたのでありますが、その後実施に入ります過程におきまして、蚕糸業振興審議会の設備処理部会で念を入れて御検討いただきまして、それらに対する悪影響のないように十分念を入れて仕事を進めておるわけであります。相当量の設備が廃棄されますが、最近の状況から見ますと、一面設備の改良——具体的に申し上げれば、自動繰糸機の導入が非常に進んでおりまして、設備廃棄後の能力は、必ずしも能力としてはそう低いものにはならない。結局は、やはり一台当りの能率が上りまして、生糸の生産費が相当低下して参るという、私どもが予期いたしましたような結果になって参ると考えております。むしろ問題は、特に製糸と養蚕との関係におきまして起きて参ります問題は、設備の方からの問題ではなく、今後の生糸の需給関係、あるいは繭と生糸の売れ高との関係、そういうような関係から今後いろいろ問題が出てくることを予想しなければならぬと思います。設備の問題から養蚕農家を圧迫するというような問題は、今の設備処理の方の進行の状況から考えまして、私どもとしては心配をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/34
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035・阿部五郎
○阿部委員 もう一つ。先ほど玉繭についても価格の安定のための措置をとられるというお話を承わりまして、けっこうなことと思いますが、ここ三年ほど前までは、玉繭の製品が、むしろ上等のものより、一そう海外の需要がよくなって売れたというようなことを聞いておったのでありますが、去年くらいからそれが非常に逆転して、玉繭製品が売れないというような話も聞くのでありますが、この玉繭製品の海外における需要関係の現状なり、見通しなりは一体どういうふうなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/35
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036・須賀賢二
○須賀政府委員 玉糸はちょうど昨年が絶頂であった。いわゆる玉糸ブームといわれましたのは一昨年でございます。これは糸の性質から考えまして、非常に趣味嗜好の度合いの濃厚なものでございます。特に玉糸製品がアメリカ市場で喜ばれましたのは、婦人のドレスに一部用いられましたのと、一方男子のせびろにも愛用された。しかしそれはやはり一種のおしゃれというような性質のものでございましたので、どうしてもここに流行の変遷がありますことはやむを得ない。ところが、そういう流行の変遷がありましたことと、一昨年の玉糸ブームのあぶりを受けまして、特に一昨年非常に玉糸の設備が増設をされ、いわゆる玉糸の生産能力というものが非常に大きくふくらんだのでございます。そういうふうに生産能力が非常に大きくなりましたところへ持って参りまして、玉糸の需要が下り目になったものでございますから、去年以来玉糸の業界が非常に苦しい状態に相なったわけでございます。今後も玉糸業界といたしましては、ああいう一種の嗜好品のような性格を持っておりまするので、やはり相当吟味したいいものを作りませんと、今後の需要を維持していくことは困難である。いわゆる、節さえ入っておれば玉糸であるというような工合ではいけませんので、やはり節の入れ方等も、極端な言い方をすれば、芸術的な要素まで盛り込まなければ声価を高めることができないというような性質の商品でございます。従いまして、玉糸業界といたしましても、その後の状況から考えまして企業の再編成、あるいは今後の製品の持っていき方等につきましても、いろいろ工夫をいたしておるわけであります。それらの工夫と相伴いまして、私どもの方としても価格の持ち直しについてはできるだけ協力いたしまして、この産業の建て直しを考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/36
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037・中村寅太
○中村委員長 楯兼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/37
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038・楯兼次郎
○楯委員 先ほどほかの委員から質問がありまして、私、少し聞き漏らした点をなおしっかりと確かめておきたい点がありますので、二点だけ質問させていただきたいと思います。
先ほど五十嵐委員の質問に対して、現在八十数億の資金に二十億円増額をする。なお不足する場合には資金のワクの拡大を考慮する。こういうようなお答えがあったように記憶をいたしておりますが、それに間違いでございませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/38
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039・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 御承知の通りに、現在約六十億の資金で運営いたしております。それが多少不足であろうということで二十億加えまして八十億、こういうことを今改正案でお願いしているわけであります。それに対して、先ほど来御説明申し上げておりますように、ある程度そういう問題についての先行き不安等も心理的に影響したものと見えますが、御承知のような相場が現出いたしております。それに対しては、先ほど御説明申し上げたような考えでおりますが、それでもなおかつ将来の経緯を見まして、資金面において不足を生ずるということで価格の維持ができない、こういうおそれがあると判定いたしますれば、さらにその資金を増加する決意で、今検討を続けているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/39
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040・楯兼次郎
○楯委員 もし、ただいま答弁になったような状態になったと仮定した場合には、本国会において、法律の改正等御提出になる意図があるかどうか、こういう点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/40
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041・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 今、いわゆる二十億の借り入れ増加の改正をお願いいたしておりますが、これはぜひ御可決を願わなければなりませんけれども、今推移を見ているところであります。先ほども局長から申し上げましたように、最低価格にだんだん近づいて、相場が立ち直りつつある状況であります。その様子を見まして適切な時期に諮りたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/41
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042・楯兼次郎
○楯委員 予算の関係がありますので、非常にむずかしいとは思いますが、そういう場合には具体的にはどういう措置をとられるか。ただワクを拡大することを考慮するだけでは、あまり好影響をもたらさないと思いますが、具体的にそうなった場合には、どういう措置をされるかという点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/42
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043・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 将来のことでありますから、仮定ということになりますが、その仮定の場合はどうかというお話でありますれば、そういうふうに現実になりますれば、これは法律事項になっておりますので、法律の改正等をお願いしなければならぬと思いますけれども、そこに至るか至らないかの推移を見計らってその措置を講じたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/43
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044・楯兼次郎
○楯委員 いま一点お伺いしたいと思いますが、農林省はこの業者に現在操業短縮を行わせる考えがあるかどうか。それから、資金増額と引きかえに、そういう措置をとられるようなおそれがあるような気がしますが、この点をはっきりしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/44
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045・須賀賢二
○須賀政府委員 生糸につきましては、操業短縮を私の方で進めまして、自主的に調整組合の調整行為によって操業短縮を、四月、五月の二カ月ばかりやらせるように、今指導いたしております。こういうことに相なりましたのは、実はこの糸価安定制度と申しますものは、これは当然のことでございますが、こういうふうに不況になると、持っている繭をどんどんひいて、それを右から左へ政府へ持ってくるというようなことになりがちでございます。現実にこの二月あたりの姿がそういうことになったわけでございまして、政府へ持っていって十九万円で買ってもらえば一番手っとり早いところでありますが、こういう場合に自分で積極的に売りさばいていくという努力が鈍るわけでございます。さようなことになりますと、糸価安定という国が立てております制度も長く健全に運営をして参ることができません。この際手持の繭を製品化いたしまする点につきましても、多少の調節をいたしまして、企業としても製品を政府だけを相手にせずに、さらに需要家に積極的に売りさばいていくという方面にもこの際力を入れてもらう、その刺激といたしまして、とりあえず二カ月間の操業短縮をやることに勧告をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/45
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046・石田宥全
○石田(宥)委員 ただいま答弁を承わっておりますと、局長は蚕糸の価格については長期的には相当有望である、こういうふうに言っておられます。また従って、従来は政府が買い上げをやった場合に欠損をしたようなことがない、こういう答弁でありますが、これはちょっと時代が変っておるので、以前の統計や何かから出てきたものと現在では違っておるのではないか、化学繊維が今日のような高級な繊維が安く生産されるような時代になると、従来のような考え方でこれを処理するということは妥当でないのではないか、こう私は考えるのです。そこで従来はむしろ輸出中心にお考えのようでありますし、生糸は輸出が相当多いのでありますけれども、輸出についての市場の開拓あるいは糸価の安定をもたらすような措置というものについては、どうも研究が足らないのではないか、ある貿易専門の人の話でありますが、私はこれはそういう方面を詳しく研究したわけではありませんが、イタリアでは日本と同じほどの生糸の生産をやっておるが、非常に高級な加工品にしてこれを輸出するために手取りのドルは日本の四倍ないし四倍半もある状態である、ちょうどスイスが時計を作り始めたときに、一般のどこにでもありふれた品物だけを作っておったのでは、スイスの時計業界というものは立っていけないような状態になった。そこで非常に高級の品物だけを作るようになってスイスの時計業界が更生したと同じように、日本の生糸も高級品をねらうならばうんと高級の加工品を輸出すべきではないかという意見を実は拝聴したことがあるのでありますが、そういう面についての研究がまだ足らないのではないか、また国内の絹製品でも最近は相当量消費されておるようでありますが、これはまた加工賃が不当に高いのではないか、生糸の値段と製品の価格を検討してみますると、ちょっとしたマフラのようなものでも、あるいはネクタイのようなものでも、まだまだこれは安く消費者に渡すことができるのではないか、そういう面について業界に対する指導が徹底を欠いておるのではないか、政府の方針がその点に明確を欠いておるのではないかという疑いを持つのでありますが、そういう基本的な考え方について一つ伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/46
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047・須賀賢二
○須賀政府委員 特に生糸の輸出につきましていろいろ工夫、努力が足りないという御指摘でございますが、私どもも確かにさように感じております。ただ、今日までの状態を振り返ってみますると、大体去年の上半期ないしおととしころまでの状態をながめてみますると、日本の国内で作りました生糸は輸出と国内需要と両方でちょうどうまくさばけまして、大体三十一、二万俵の糸を作っておったわけでありますが、それが輸出に十万俵見当、国内で二十万俵見当というような格好において消費をされておった。従って糸を作ります方の側からいたしますと、あまり販売努力をいたさなくても製品の方にほぼ順調にさばけておったというような状態になっておったわけなのでございます。製糸家は何に一番力を注いでおったかと申しますと、繭を手に入れることに非常に努力をいたしておった。販売の方はあまり力が注がれていないというような関係になっておったわけでございます。これは当時の情勢からあるいはやむを得なかったわけでありますが、われわれも去年の春以来、製糸といたしましても販売態勢をこの際根本的に立て直さなければ生糸の将来をつないでいくことはできないということで、企業のあり方につきましても強く反省も求め、また指導もして参っておるわけでございます。
それから絹の輸出の形態につきましての問題でございますが、御承知のように、日本の生糸は現在ではなお糸の形において出ておりますものの方が多うございます。ここ数年の傾向といたしましては、絹織物で輸出をされる割合が年々大幅に増加をしておるわけでございます。ただこの場合絹織物として輸出されておりますものの内容に問題があるのでございます。イタリアやフランスのように、いわゆる高級品だけで輸出をしていくというような形には、遺憾ながらまだ現段階においてはなっておりません。しかし順次相当有力な企業におきまして、外国からもデザイナーを招聘をいたしまして、あるいは染色の方法にしてもいろいろ工夫をいたしまして、高級絹織物を作って出すような態勢に順次方向を向けられつつあるわけでございます。ただその場合、これは絹織物だけではないのでございます。日本の輸出産業の一般のあり方といたしまして、高級品を適当な価格で売っていくということがなかなか困難な場合があるわけでございます。それらの問題は全体の問題として、今後の輸出のあり方として十分検討いたし、また手を加えるところは加えて参らなければならぬと考えるわけでございます。国内の絹製品の価格等に関する問題もございましたが、これは今お話のように、原糸代と最終製品の価格の間には非常に大きな幅がありましてその間加工賃やあるいはマージン等の形において相当額を消費者が負担させられておるわけでございます。この点はもちろん基本の方向としてはもう少し絹製品が適当な価格で売られるようにいたさなければならぬわけでございます。現実には通産省あたりで指導をしていかなければならぬと考える問題でありますが、そちらの方ともうまく連絡をとりまして、今後の問題として考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/47
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048・石田宥全
○石田(宥)委員 聞くところによると、業界の一部には滞貨生糸が多くなってきますので、これを賠償物資に充ててはどうかという意見があるようでありますが、その点について政府の所見をただしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/48
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049・須賀賢二
○須賀政府委員 相当生糸が余って参った状態と関連をいたしまして、生糸ないし絹織物を賠償に充ててはどうかという話が先般から出ておるのでありますが、これは具体的にインドネシアの問題として考えますと、インドネシアは遺憾ながら現在、過去においては絹の消費がほとんどゼロに近い。絹織物としては日本からは一枚も出ておりません。それから生糸は今までに年間百俵程度出たのが最高でございます。それで実際に需要がありませんと、賠償の問題として考えることも困難でございますので、その問題を真剣に検討するに当りましては、インドネシアに絹織物の需要を現実に開拓することができるかどうか、出先の商社等も使っていろいろ調べてもらっておるような状況でございまして、それらの材料が手に入りました段階でさらに検討してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/49
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050・石田宥全
○石田(宥)委員 次に、生糸またたは繭のコストの引き下げの問題でありますが、高級な化学繊維がどんどん出回って参っておりまするから、どうしても繭も生糸も安く生産できるという状態にならなければ、国内の需要も海外の需要も伸ばすわけにはいかないと思うのですが、それについて、たとえば養蚕関係等では共同飼育場についての設備を完備するとか、そういうものに対する保護政策をとるとかいうような方途がある。加工についても、製糸については昨年から設備の整備をされておりまするから、老朽施設等はだんだん淘汰されて整備されていると思いますけれども、まだ改善の余地があるのではないか、そういう点についての政府の方針をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/50
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051・須賀賢二
○須賀政府委員 安定帯価格は動かさないという前提に立ちましても、生糸繭の生産費を漸次合理的に引き下げて参る必要のありますことは申し上げるまでもないわけであります。これは生糸の加工費と繭の生産費との両面から低下を考えて参るわけでございますが、生糸の加工費については、ただいま御指摘のありましたように、設備の再編成を今やっておりまして、それに伴って設備の近代化等も進んでおりますし、逐次その効果が上って参るものと考えておるわけであります。
繭の方はこれが農産物であります関係で、急激に生産費を引き下げて参るということはなかなか容易でないわけでございますが、私ども三十三年度から、繭の生産合理化の線に即して手をつけたのは、一つは凍霜害対策でございます。申し上げるまでもなく凍霜害が繭の生産関係では一番大きな被害になるわけであります。これをうまく防ぎとめることができれば究極には生産費へ響いて参る。それで来年度から重油燃焼を農業改良資金の無利子の融資で助成をいたすことにいたしました。すでに末端にもことしの晩霜時期に間に合うように今手配をいたしております。それから第二の問題といたしましては、戦前と戦後ではだいぶ変ってきているのでありますが、従来、繭作りというものは、集約的な形において労働がやられておったのでございますが、漸次その形を改めまして、農家の生産性を上げていくという方向にひっぱって参りたいと思うわけであります。それに関連しまして、来年から簡易飼育と申しますか、いわゆる屋外飼育をやる研究を五、六カ所の試験場を選びまして、農家経営と直結するような形において、簡易飼育でどういう方法をとるのが能率的であり、また実際的に普及する可能性があるかということで、来年度からその仕事に手をつけるようにいたしております。それらの総合的な手段をとりまして、繭価格の引き下げをはかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/51
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052・石田宥全
○石田(宥)委員 次に、製糸が売手市場から買手市場に移って参りますと、製糸価格とのバランスを破って、そのしわ寄せが養蚕農家に及ぶのがいつもの例であります。この点については掛目協定等に当ってやはり相当問題が起るのではないかと予想されるのでありますが、そういう場合に、その不況のしわ寄せが、あげて養蚕農家の負担に帰するという傾向が必ず起ると思うのでありますが、そういう際における掛目協定等に対する製糸家または養蚕家に対する指導の方針は、従来と少し変った方針をとられなければならないと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/52
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053・須賀賢二
○須賀政府委員 現に繭の需給関係が変って参りますこととのかね合いにおきまして、養蚕、製糸の力の均衡と申しますか、関係が変って参るということは当然予想されるわけでございます。その場合掛目協定等につきまして、国でいかなる指導をするかということでありますが、この掛目協定自体につきましては、これは現実に売り買いに関する値段のとりきめの問題でありまするので、従来におきましても、これにつきましては政府が直接関与はいたしておりません。末端の現実の交渉によってとりきめをいたしているわけでございます。ただ今後の問題といたしましては、先ほども申し上げましたように、養蚕農協のあり方として、従来のような繭の需給関係にありました場合と相当根本的に態勢の整え方を変えなければならぬという問題になると考えるのでございます。その意味におきまして、いわゆる共同販売の強化でありますとか、繭の生産農家の集まりとしての農協の今後の行き方につきまして、われわれとしても十分指導して参りたいと考えるわけでございます。養蚕技術員の補助単価等も、今年は約三割程度引き上げたのでございますが、これなども考え方によりますれば、できるだけ養蚕農協の、従来一部製糸に依存していたような度合いを今後の情勢を考えまして薄めて参りたい、養蚕農家の自主性を強めて参りたいという考え方をいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/53
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054・石田宥全
○石田(宥)委員 その養蚕農協が問題なんです。昨年、製糸設備の整備をするという法案が出たときに、養蚕農協の代表がいずれもこれに賛成をしている。養蚕農家の利益が漸次阻害されるところの法案にいずれも賛成しておった事実に見ても明らかでありますが、そこにこの繭の取引の重大な問題があるのです。養蚕農協の県段階はもちろん、さらに市町村段階等においても、その組合の役員が、ややともすると製糸家との何らかのひもつきになっておる場合が非常に多いのです。そういう実情を無視して、ただ共販体制を強化するというようなことは、むしろいたずらに蚕繭の処理を波乱に導くだけであって、これはとるべき策でないと思うのであります。しかしながらやはりこれは県段階における養蚕農協連合会の要望等となって現われて、各県においては蚕繭処理に関する府県条例によってその養蚕農家の自由販売の面を束縛しようとしております。現に今日各府県とも府県議会が開かれており、この問題がその議に上っておる府県が多いのでありますが、そういうことがむしろ蚕繭処理を混乱させるのではないか。もう少しその点をほんとうに養蚕家の利害の立場に立ってこの問題が議論されなければならないのであるけれども、事実はほとんど製糸家のひものついたような人たちの間でこれが議論されておる。おそらく蚕糸局長は末端の実情を御承知だと思うのですけれども、あるいはまた市町村段階等の実情はおわかりないかもしれないが、ただいたずらに法律や規則で農民の販売正面を規制する、束縛する、そこで抜け買い、抜け売りが起る、それに対して法律をもって処罰をする、こういうことを長い間繰り返してきておるのであります。これもお互いの利害の関係である程度やむを得ないが、しかしながらやはりほんとうに共販体制が養蚕農民の利益にマッチするものであるとするならば、これは当然共販体制を強化すべきであるけれども、そうでない場合が非常に多いのです。そういう場合には、やはり実情に応じたところの指導を行わなければならないと思うので、特にことしのように製糸が売手市場に変っておるという事態の中では、この問題がたくさん紛糾を起す原因であろうと思うのでありまして、これについてはただいたずらに法規をたてにとって養蚕農民の利益を阻害するようなことのないように配慮をしなければならないと思うのでありますが、どの程度に実情を御承知になって、またどういうふうにこれを指導すべきだと考えておられるか、承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/54
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055・須賀賢二
○須賀政府委員 お話の趣旨は、蚕繭処理について今後どういうふうに考えていくかということに要約されると思うわけでございますが、蚕繭処理の問題はわが業界におきましては非常に長い歴史のある問題でございますので、去年の暮以来蚕糸業振興審議会におきましても蚕繭処理部会を設けまして、この問題を審議にかけております。ただいろいろ情勢が急激に変りつつあるような情勢でもございますので、私どもは今直ちに今年の蚕繭処理につきまして従来の方針より変ったものを打ち出すという考え方を持っておりません。しばらくは従来の蚕繭処理の通牒の趣旨によってやって参りまして、今後の事態の動き等も見た上、なお審議会の方で十分検討してもらった結果によりまして、今後の蚕繭処理の指導の方針をまとめて参りたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/55
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056・石田宥全
○石田(宥)委員 今私が申し上げたようなことで、従来通りにされるということになると、実はいろいろ弊害が起ると思うのです。各製糸会社はそれぞれ特約組織のような状態をだんだん強化して参りますと、これはもうおそらく局長は御承知だと思うが、製糸家は繭をよけい必要としないような事態になると、蚕糸の量を減らして出す、よけいほしくなると蚕糸の量をふやしてやる、桑の需給計画のバランスがくずれてしまうというようなことがしばしば起る、現に私昨年の夏経験したのでありますが、ただ品質の改善を急ぐ余り、おそらくこれは原蚕種が固定しないものを支配したのではなかろうかと思うのであります。忙しいから私そこまで追及しませんでしたけれども、経過をずっと見ておったわけでありますが、蚕の二眠というものは、ちょっと休み始めたと思うともう数時間後に休んでしまうというものなのです。実は二眠のそういう非常に短時間に休んでしまうべきものが二昼夜半もかかって、非常に不ぞろいになってしまって、五段階にも六段階にも分けなければならないような状態を私は見ております。一部分の人はこれを捨ててしまったのです。これは品質の改良ももちろん必要であるけれども、そういうふうな製糸家の一方的な意図のもとに、いたずらに高級品位のものを望もうとして、そうして虚弱なものを交配したり、固定しないようなものを交配したりすると非常に違蚕が多くある。これは値段が暴落するどころの話じゃない。すべてをあげてやってきたものが違蚕が続出するということになって全部腐ってしまう、そういうような事態がことしは起ることが予想されるのです。また検定等についてもその通りであって、なるほど検定は公共の機関だから公正であるということはよくおっしゃるけれども、事実はなかなかそうではなくて、養蚕家の要望はいれられないにしても事実は製糸家の要望はいれられやすいのです。だからそういう点についても、こういうふうに全体の情勢が変った場合においては、やはり政府としては適切な指導措置が講ぜられなければならないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/56
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057・須賀賢二
○須賀政府委員 種の監督につきましては、私の方も特に力を入れておりまして、今お話のような、あるいはそれに類似するようなケースが出ました場合、直ちにその事実をつかみまして、当該業者に厳重な警告を与え、またその責任者等につきましても処置をしてもらっておるわけであります。なお今後も種の監督につきましては遺憾のないようにいたしたいと思います。検定の問題につきましては、御注意を受けるまでもなく、いろいろ情勢も変って参っておりまするので、過般検定所長会議を招集いたしました場合に、特にその点につきまして私から重ねて注意を喚起いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/57
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058・石田宥全
○石田(宥)委員 最後に、さっきちょっと触れました製糸家の特約組合の問題ですが、最近は特約組合ということでなしに、共販体制ということで表現されておりまするけれども、やはり組合の一部有力な幹部が会社のひもつきになる。そうすると品種のごときも、養蚕農民の意図が無視されて品種の選定が行われ、販売等については、もちろんそれを一本にしてほかに販売することを許さないということになる。こうなると独禁法にも抵触する疑いが起ってくるわけでありますが、そういうことから不測な障害が起って、スムーズな蚕糸業の発展を阻害する、養蚕家の間に紛糾を起すというようなことがございますので、これはただ法令一本やりで処理するというようなことのないように、特に県条例との関係については意を用いられて、府県の蚕糸課長等に対して十分一つ御注意を願いたいと思います。あらかじめ予想される事態でありますので、要望を申し上げて私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/58
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059・中村寅太
○中村委員長 久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/59
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060・久保田豊
○久保田(豊)委員 農林当局に基本的な点で二、三お尋ねをいたしたいと思います。今の先物の生糸相場の値下りの問題、またこれに関連する本法案において資金を二十億増しておるという一番基本になる問題は、今後の海外の市況がどうなるかという問題、またこれに関連して国内の市況がどうなるかという問題ではないかと思うのです。今いただきました資料を見ましても、大体生糸については、何としても大きいのはアメリカでありますが、これが年々相当減ってきておるわけです。逆に絹織物については多少ずつふえてきておるというのが年々の傾向のようであります。そして今のアメリカのいわゆる経済不況の問題、アメリカにはドル危機の問題はありませんけれども、経済不況の問題についてはいろいろ見方もあるようです。あるいはこれは一時的なものであって、近く不況は直るだろうというふうな見方もありますが、アメリカの態勢としては大体今度は単なる一時的な不況ではない、相当長期の景気的観点に立っているというのが態勢のようでございます。そういう上から御承知の通りいろいろの点で、アメリカの貿易関係等も大きな変化をしており、特に日本については、一面においては輸入制限の問題等が起きております。アメリカについての生糸の観点から見た今後の市況の見通し、しかも今政府が言っておるように、アメリカの景気も近い機会に政府の何らかの措置でもって簡単に直るだろう、こういう前提に立てば、そう大したこれに対する基本的な対策は要らないわけでありますけれども、政府は別といたしまして、どうもアメリカの一般の専門家その他の意見は、相当長期なしかも深刻な下降段階に入ってきておるという見方も多いようであります。こういう点について特に生糸関係から見ると、アメリカについてはどのような数量の点、あるいは価格の点——もちろんこれは関連の競争産業があるわけでありますが、こういう点についてどういうお見通しの上に立っておるのかという点が第一点。さらにそれ以外について、主として欧州であります。生糸についても欧州の方が大体総計としましてややふえており、二万八千俵ぐらい出ております。また絹織物についても大体約二千万ドルちょっとぐらい出ておるようであります。欧州は御承知の通り国によって非常にでこぼこがありますけれども、いずれも非常な深刻な外貨ドル危機に見舞われております。ドイツを除いてはそういう状態であり、しかも過剰生産競争というものが相当長期にわたって深刻になるじゃないか、こういうのが今の一般の見通しだろうと思います。これらに関連して生糸、絹織物の欧州市場についてどのような長期短期の見通しの上に立って政策を立てられておるかという点をお伺いいたしたいのであります。またそういう状態のもとであればこそ、国内において二十億程度の生糸の買い入れ資金を増しただけでこれがしのぎがつくものかどうか、これらの対策ということも非常に大きな問題になってこようと思いますから、これについて特に今後のアメリカなり欧州市場の見通しについて、農林省としてはどういうふうな見地に立って今度のこの改正なり政策を立てておるのかという点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/60
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061・須賀賢二
○須賀政府委員 内外の経済の見通しの問題でありますので非常にお答えがむずかしいわけでございますが、アメリカにおきまして去年生糸の輸出が非常に減ったという結果になっております。ただこれはいろいろ絹織物の出ました工合、それから欧州へ糸がたくさん出ました結果、そのかなりの量は再び製品として欧州からアメリカに輸出されているという関係もありますので、それらをいろいろ差引計算してみますと、去年は日本から糸の形でアメリカに出ましたものは確かに減っておりますが、アメリカにおける絹消費そのものは減っていない。むしろ逆に数千俵ふえているというような計算になっております。従いまして私どもアメリカ市場の先行きを、少くともそう大きく悲観的には見ておらないわけであります。ただことしの年初以来輸出が振いませんのは何となし生糸価格の先行きに不安があるというような関係で、多少買付が手控えられたというような結果になっているわけであります。欧州市場の方はドル不足の関係等もいろいろあることは御承知の通りでありますが、これは主として輸入いたしましたものを加工いたしまして、再輸出をする場合が多うございます。むしろアメリカの景気の動向によって全体の市況がきまって参る、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/61
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062・久保田豊
○久保田(豊)委員 主として世界の景気はアメリカが中心になるわけですけれども、アメリカの現在の不況、これは少くとも生糸の立場から見ますれば、見方はいろいろあるようですけれども、今後生糸に関する限りは、値段の点についてもあるいは数量の点についても大きな影響はない。大体において今後も従来通り、多少の先行き不安等はあるにしても、この際特に考えて置かねばならぬような状況ではないというお考えに立っておられるのかどうかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/62
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063・須賀賢二
○須賀政府委員 アメリカ市場におきましては、特に価格の問題につきまして現在の十九万円で高過ぎる、あるいはもっと価格を安くすればたくさん買ってやるというような考え方はございません。大体今の価格で生糸の価格としてはほぼ手ごろなところにあろうと思います。アメリカにおける生糸消費の先行きでございますが、私どもはいろいろ波の上り下りはあろうと思います。水準としては従来程度のものは少くとも維持しており、むしろこれをどういうふうにして従来の水準よりも上げていくかということについてどういうふうな工夫をし、また日本側も協力していくかというところが問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/63
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064・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点については農林省でそういうお考えだということでわれわれとしては一応安心であります。しかしアメリカの景気の先行きについては、今のアイゼンハワー政府が、中間選挙を目先に控えて不況の状態を特に軽く見ようというのは、現在の政府与党として当然だろうと思います。しかしこれについては、かなり相当長期にわたって不況段階、調整段階を過ぎてさらに恐慌段階に入ってきているという見方が漸次アメリカにおいて一般化しております。これらのことが、商品によって違いましょうけれども、生糸等に相当大きく響いてくる場合が決してないことはないというふうに思われるわけであります。その際に、これは私どもとすれば、今のお話のような見通しに立っておりますればどうこう言うことはありませんけれども、ともすれば今日の政府の世界経済なり国内経済に対する見方が甘くて、実は見通しがはずれがちである。その見通しがはずれた場合のしわ寄せが、一番弱い農民に寄ってきておるのが今日の現状であります。どうかこういう点については、さらに今後とも慎重な御検討と同時に、事態がある程度はっきり見通しがつきましたら、今の二十億程度の資金増というようなことでなく、二十億増といたしましても、かりに十九万円で計算をしましても、三十万俵といたしましても、全体で六百億程度になるのです。それに対して八十億程度の資金でもって、果してこれが防できるかというよう面について、さらに突っ込んだ御検討をお願いしたいと思うのです。
もう一つ、国内についてはどういう見通しをされておりますか。御承知の通り国内の経済については、大体において下半期ないしはそれよりもう少し早く景気がよくなるだろうというのが今までの政府の御答弁だった。しかし、最近の産業界の実情なり、あるいは消費の大体の動向を見ますると、この政府の見通しがだんだんはずれてきておる。逐次いわゆる調整段階が一順したなんという程度のものではなくなりつつあるようにわれわれは見ております。従ってこういうことが一般の購買力の問題についても、米価の問題についても相当大きな影響を及ぼしてくるでしょうし、特に繊維関係は、御承知の通り各品目ともに大きな生産制限をしながら、しかも片方においては大きな滞貨を持っておる。値段もぼつぼつ下りつつある。へたにまごつきますと、これが、かつてあったような大きなガラはないにいたしましても、相当大きく響いてくると思います。そういう段階で、大体二十万俵なり二十二、三万俵の消費が果して国内で安定をしていけるかどうか、あるいは二十億の資金増によってこれが防止できるかどうか、これらについての見通しは、どんなふうな見通しになっておりますか、この点もお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/64
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065・須賀賢二
○須賀政府委員 国内の経済の見通しにつきましては、その方の専門の立場の者からお答えをいたすべき節だと思いますが、われわれといたしましては特に今回の不況の波を繊維産業が強くかぶっておりますので、ある程度今後このような経済情勢が長引くような場合にも備えまして、今後の対策を十分進めて参りたい、そういうつもりで今やっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/65
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066・中村寅太
○中村委員長 他に質疑はありませんか。——なければ質疑はこれにて終了いたしました。
この際、午後二時より再開することといたし、暫時休憩いたします。
午後零時五十四分休憩
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午後二時四十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/66
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067・中村寅太
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、大蔵委員会に連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。
ただいま大蔵委員会で審査中のたばこ耕作組合法案は、法人たるたばこ耕作組合を設けることができることとし、その組織、運営について所要の規定を設けたものであります。またたばこ専売法の一部を改正する法律案は、葉タバコの収納価格及びタバコ耕作計画の決定等について適正を期するため、日本専売公社の総裁の諮問機関として新たにたばこ耕作審議会を設けるとともに、公社の行うタバコの耕作の許可の基準に関する規定を整備し、あわせて当該許可について異議の申し立ての道を開く等の規定を設けたものでありまして、いずれもタバコ耕作農民にとって重要なる利害関係を持つ法案であります。また同じく同委員会で審査中の糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案は繭糸価格安定法により糸価が最低価格を割るような場合は政府が本会計により買い上げ等の措置を講じて糸価の安定をはかっておるのでありますが、今年度におきましても糸価は安定せず、来年度の生糸価格の原資も不足を来たすおそれがありますので、今回この会計の一時借入金等の限度額を引き上げようとするものであり、ただいま本委員会で審査中の繭糸価格安定法の一部を改正する法律案とも関連を持っております。
以上の法案はいずれも本委員会と密接なる関連を持つ法案でありますので、この際大蔵委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/67
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068・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお本日は散会後酪農振興基金法案について懇談いたしたいと存じますので、委員の方の御参集を願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01319580312/68
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