1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年四月二十三日(水曜日)
—————————————
昭和三十三年四月二十三日
午後一時 本会議
—————————————
○本日の会議に付した案件
義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案(内閣提出、参議院回付)
第四次日中貿易協定に関する緊急質問(中崎敏君提出)
最低賃金法案(内閣提出)
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
電波法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
著作権法の一部を改正する法律案(参議院提出)
へき地教育振興法の一部を改正する法律案(参議院提出)
へき地教育新工法の一部を改正する法律案(参議院提出)
午後二時四十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/0
-
001・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/1
-
002・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) お諮りいたします。参議院から、義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案が回付されております。この際右両回付案を逐次議題とするに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/2
-
003・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。右両回付案を逐次議題といたします。
まず、義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/3
-
004・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/4
-
005・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/5
-
006・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 次に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/6
-
007・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/7
-
008・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/8
-
009・山中貞則
○山中貞則君 緊急質問に関する動議を提出いたします。すなわち、この際、中崎敏君提出、第四次日中貿易協定に関する緊急質問を許可されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/9
-
010・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/10
-
011・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
第四次日中貿易協定に関する緊急質問を許可いたします。中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/11
-
012・中崎敏
○中崎敏君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日中第四次貿易協定に関し、二、三の質疑を試みたいと存ずる次第でございます。
まず、日中国交回復に対する首相の所信をお尋ねいたします。ソ連との国交回復は鳩山内閣によって実現いたしました。当時自民党内には根強い反対論があり、鳩山首相は国論のとりまとめのつかぬままにモスクワに出発したが、わが党は、超党派的な立場から鳩山首相に協力し、ついにその妥結に至らしめたのでございます。次に来たるものは中国との国交回復であることは言うまでもありません。中国との国交回復については種々の困難を伴うとしても、一歩前進の決意を持ってさらに格段の努力を払うべきは理の当然だと考えるのであります。今や、全世界にほうはいとして起りつつある核兵器禁止の世論を背景として、貿易などを通じて平和手段による日本民族の生きる道を求めることが強く要求されておるときに当り、日中貿易の発展、ひいては日中国交の回復を重視する必要があることは、衆目の一致するところであります。首相は、安易なるアメリカ一辺倒の外交方針を是正して、中国との国交回復に対し、いま少し腰を据えて一歩前進の努力を払うべきだと考えるが、所見いかん。
第四次日中貿易協定調印前後においては、自民党内の事情は、日ソ暫定協定調印当時をほうふつたらしめるものがありますが、わが党は、平和共存の外交方針と善隣友好の見地から、ひたすらこの協定の成立を希求し、超党派的にこれが妥結に努めた結果、ついに調印の運びに至ったことは、国家のために慶賀にたえません。しかるに、その後の経過を見るに、日中両国間の貿易の発展を一そう促進し、日中両国人民間の友好を強化するために、平等互恵の原則に基き協議決定された日中貿易協定の実施が、愛知官房長官の談話を契機として重大なる障害にぶつかったことは、返す返すも遺憾であります。この協定の実施に伴って相互に設けられる通商代表部において国旗掲揚をする権利を否定すれば、かかる結果に立ち至ることは当初より明らかであって、この点にかんがみ、わが党は、しばしば政府に対して懇請し、または警告を発して、慎重なる配慮を促したにもかかわらず、政府が官房長官談話を発表せしめて最悪の事態を惹起せしめたことは、その政府の責任重大であるといわなければなりません。首相は、愛知官房長官をして発表せしめた談話の中で、ことに国旗掲揚の権利を否定しても、暗礁に乗り上げるようなことはないと考えたかどうか、お尋ねしたいのであります。
次に、政府が民間三団体に手交した支持と協力を与える旨の回答文の中に、現在の国際関係を考慮し云々とあるが、まず、台湾政権との間に交渉が行われたことは容易に想像できるのであって、その台湾政権に対して首相が送ったところの親書の内容はどういうものであったかをお尋ねしたいのであります。次に、数次にわたる台湾政権との交渉の経過についても明らかにすることを要求するものであります。さらに、アメリカとの交渉の経緯についてもお尋ねしたいのであります。あわせて、チンコムに対するところの最近のアメリカの態度を明らかにされることを要求するものであります。由来、日米間の関係はきわめて緊密で、ことに、日本の米国からの輸入超過額は昭和三十二年度だけで十億ドルの巨額に達しておるのにかかわらず、近年日本品の対米輸出に対してはきびしい制限を設け、最近においても、日本輸出の体温計に対して実に八五%の禁止的高率関税を決定したといわれておるのであります。その他の国々においても大なり小なり日本品締め出しの傾向にあり、唯一の活路を中国に求めんとする日本国民の努力と願望が一朝にして消え去ることは、何といっても耐えがたいことであります。それで、その協定を犠牲にすることによって、日本の失う経済的損失を何人が保証してくれるであろうかということを考えてみたときに、対米並びに台湾に対するところの交渉の経過がいかなるものであったかということを、特に首相に対して要請するものであります。
よって、再び国旗掲揚の問題についてお尋ねするものであります。友好関係のできていない国の国旗を単なる個人財産として取り扱うという刑法上の解釈は一応うなずけるが、何だかそれだけでは割り切れないものを感ずるのであります。すなわち、中国が実在しておるという事実、その象徴たるところの国旗には多かれ少かれ敬意を払うべきことは当然だと考えます。従って、犯人がその国旗を国旗と認めてこれを凌辱した場合には、これをふんどし同様に取り扱っていいかどうかということについてお尋ねしたいのであります。理論的には日本の国旗も中国において、同様の取扱いを受けるものでありまして、日本の国旗が、中国において、ふんどし同様の取扱いを受けるときにおいて、国民感情は一体どういうふうなものであるかということをお尋ねしたいのであります。次に、両国間にはまだ国交が回復されていないから、国旗についても全面的な保護を受けられないにいたしましても、通商の目的を達するに必要な範囲内においては特別の取扱いをしてもよいのではないかとも考えられるのであります。
以上、国旗掲揚については複雑な要素があり、微妙な点もあるのであるから、その取扱いは慎重を要するものであって、その法の解釈について、行政府の意見をもってこれを判断するということは、いささか早計に過ぎるのではないかと思うのであります。むしろ、こうした問題が具体的に起った場合においては、裁判所の判定にまかすべきものであります。政府が、単にこれを個人財産云々というふうなことを言って、ことさらに国際問題を起すというようなことは、いささか用意を欠いているのではないかというふうに考えるのであります。次に、立法論といたしましても、かつて指紋の問題について法律を改正して特別の措置を講じた例もありましたが、今回の国旗のような場合においても、特別の規定を定めまして、通商の上において必要な場合においては、たとい外交関係が調整されていない場合においても、何らかその国旗に対するところの保護の規定をするような余地があるかどうかをお尋ねしたいのであります。
次に、この協定がデッド・ロックに乗り上げることによりまして、日本に及ぼすところの影響についてお尋ねしたいのであります。政府においては昭和三十三年度三十一億五千万ドルの輸出入の計画を立てておるのでございますが、この問題が起るや、中国側におきましては日本の商社員の滞在延期を拒否しているという事実もあり、あるいは、すでに協定されたところの鉄鋼協定についても、あるいは当時話が進められておったところの人絹の取引等についても、あるいはまた予定されておるところの名古屋、福岡などに見本市を設けるということについても、相当の困難性が考えられるのでありまするが、これらの点について政府はどういうふうに見ておるかということをお尋ねしたいのであります。
以上、社会党は、こうした結果によるところのものがいかにも重大であるということを考えまして、愛知談話の取り消しを要求しておるのでございまするが、要はすみやかに両国間の貿易の発展を促進し、両国人民間の友好を強化するにあるのだから、政府はさらに現在の国際関係に改善を加える一方、中共の誤解を一掃して問題の円満解決に努力すべきだと思うが、所見いかん。
以上、お尋ねいたしまして、私の質問にかえる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/12
-
013・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま御質問がありましたが、この問題につきましては、アメリカと何らの交渉もいたしたことはございません。アメリカは、わが国貿易の拡大を十分承知いたしておりますので、中共との貿易について何らの圧迫もいたしておらないのでありますから、そういう意味で、アメリカと何らの交渉をする必要もないのであります。国民政府に対しましては一時、国民政府が事実を誤解しまして、若干の反撃があったわけでありまするが、われわれは、それらの内容について十分説明をして了解を得たと思います。
チンコムの問題につきましては、御承知のように、ココムの線において現在統一されておりまして、その範囲内において、各国は自国の生産品目の関係上、それぞれの意見を持っておりますので、単独にどれがどうということを申し上げるということは、現在の段階ではできない次第であります。
その他の点につきましては総理から御答弁願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/13
-
014・岸信介
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。
日中の国交回復の問題に関する御質疑でありますが、この点に関しましては、わが自由民主党といたしましても、また、それを代表しておる岸内閣といたしましても、従来その方針をきわめて明確にいたしております。それは、貿易は増進するけれども、現在の段階において中共政府を承認する意思はないということを明確に申し上げております。
第二の、国旗掲揚問題についてのいろいろな点に関する御質問でありましたが、言うまでもなく、国旗としての国内法上の保護を加えるためには、刑法に明示してありますように、われわれが承認をいたしております国からの請求があって、初めてこれを取り扱うということになっております。先ほど申しましたように、われわれは中共政府を承認いたしておりません。また、今これを承認する意思を持っておらないのでございますから、この国旗が、日本において、もしも損壊される等のことがありましても、九十二条によって、われわれの承認しておる国からの請求というようなものがあり得るわけはないのでありまして、従って、九十二条の適用はない。しかしながら、私は、そうかといって、今大へんこの国旗を扱うのについて通俗な言葉で比喩せられましたけれども、私はそういうふうには考えておりません。やはり国旗としてこれがある程度の尊敬を受けなければならない。従って、そういうものが、今の九十二条の適用のできないようなところへ掲揚されるということについては、いろんな間違いが起る原因になりますから、この第四次協定をする場合におきましては、国旗の問題については覚書がああいうようになっているけれども、これを覚書のうちから取り除くようにということを、ずいぶん三団体の方々にお話しをし、その努力をされたのであります。しかしながら、中共側においてはこれを承認しない。しかし、われわれは、今申しました理由で、これを権利として認めるということは、理論的に申しましても、実際からいきましても、これはできないことであります。なお、私は、この問題に関しては、貿易は増進する、また、これに必要な通商代表部をこちらに設置するということについては、私どもはできるだけ便宜の取扱いをし、その生命、財産等につきましても、できるだけ保護を加えていくということは当然でございますけれども、通商代表部が、今かくのごとくやかましい問題であり、国としても非常な面子のかかっておる国旗を掲げなければ商売ができないという性質のものでは私はないと思います。この点を中共政府が十分に理解していただくならば、われわれは決して特に奇異の言を弄しているわけでもありませんし、愛知官房長官の談話もそういう見地に立ってこれをいたしておるのでありまして、従って、これを取り消すというようなことは絶対に私どもは考えておりません。
なお、この問題に関して、国民政府との交渉及びアメリカ政府との交渉等について御質問がありましたが、その点は、外務大臣から答弁済みでございますから、私は触れません。
なお、これができない結果として、今年度の三十一億五千万ドルの輸出目標に対して、重大なるそごを生ずるのではないかという御懸念に基く御質問でありますが、昨年この無協定の状況におきまして六千万ドルのなにができております。また、三千五百万ドルの鉄鋼の協定は、いろいろな御懸念もあったようでありますが、私どもの承知いたしております限り、きわめて順調に話は進んでおります。従いまして、この目標に大きな支障を生ずるというようなことは、万私どもはないと考えております。
それから、こういうふうな状態であることは、私は、はなはだ遺憾と考えております。従いまして、中共政府におきまして、われわれの真意、これについては従来も中共側におきましてはいろいろな点において誤解があるようでありますが、この点に関しても、われわれのさっきから申し上げておるようなきわめて筋の通った話を十分冷静に理解してもらうならば、私はこれが和解することを信じて疑わないのであります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/14
-
015・山中貞則
○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、最低賃金法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/15
-
016・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/16
-
017・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
最低賃金法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員長森山欽司君。
〔森山欽司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/17
-
018・森山欽司
○森山欽司君 ただいま議題となりました最低賃金法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
戦後、わが国の労働法制は急速に整備され、近代的労使関係の確立と産業の合理化を促進し、わが国経済の復興に寄与するところ少くなかったのであります。労働条件のうち最も基本的なものである賃金については、労働基準法に定める最低賃金に関する規定は中小企業、零細企業の多数存在するわが国経済の複雑なる構成のもとにおいては、今日まで実施を見るに至らなかったのであります。しかしながら、最低賃金制の実施は、ただに低賃金労働者の労働条件を改善し、大企業と中小企業との賃金格差の拡大を防止することに役立つのみではないのであります。さらに、労働力の質的向上をはかり、中小企業の公正競争を確保し、輸出産業の国際信用を維持向上させて、国民経済の健全な発達のために寄与するところが大きいのであります。かかる国内的事情並びに国際的条件にかんがみまして、中央賃金審議会の答申をできるだけ尊重しつつ、産業別、規模別等に、経済力、賃金に著しい格差があるわが国経済の実情に即した最低賃金制を実施し、多くの、無言の、日の当らない労働者の要望にこたえようとするのが、本案提出の理由であります。
以下、その内容を簡単に御説明申し上げます。
第一に、最低賃金の決定は、業種、職種または地域別に、その実態に即して行うこととし、全産業全国一律方式を採用しなかったことであります。
第二に、最低賃金は労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定めることとし、最低賃金が決定された場合、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないことといたしております。
第三に、最低賃金の決定については当事者の意思をでき得る限り尊重し、もって本制度の円滑なる実施をはかるため、業者間協定による最低賃金、業者間協定による地域的最低賃金、労働協約による地域的最低賃金及び最低賃金審議会の調査審議に基く最低賃金の四つの方式によることといたしたのであります。
第四に、家内労働については、決定された最低賃金の有効な実施を確保するために必要な限度において、行政官庁が、最低賃金審議会の意見を聞いて、最低工賃を定め得ることとなっております。
第五に、最低賃金審議会は中央及び地方に置き、委員は労、使、公益各同数とし、ほかに特別委員として関係行政機関の職員を加え得ることとし、また、必要に応じて業種別、職種別の専門審議会を置くことができることとしたほか、本法の有効な実施を確保するため、所要の規定を設けておるのであります。
なお、本法案の適用範囲は原則として労働基準法及び船員法の適用あるもの全部とし、これが施行に関する主務大臣は、それぞれ労働大臣及び運輸大臣としておるのであります。
本案は去る二月十八日本委員会に付託せられ、同二十日石田労働大臣より提案理由の説明を聴取した後、慎重な審査を続けて参ったのであります。また、本案の重要性にかんがみ、本二十三日には特に岸内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行いました。また、四月十七日には、藤本武君外五名の公述人を招致して公聴会を開会し、その意見を聴取したのであります。四月十九日には名古屋、大阪、福岡にそれぞれ委員を派遣し、地方の意見をも聴取したほか、さらに、稲葉秀三君を参考人として、その意見を聴取した次第であります。それらの質疑応答の詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。
本案は、本日の委員会において、岸総理に対する質疑終了後、古川委員の動議により質疑を打ち切り、討論に入りました。社会党委員は全員退場したのでありますが、委員会はそのまま継続し、自由民主党を代表して小川委員より本案に賛成、社会党案に反対の意見が述べられたのであります。
かくて、討論を終了し、採決に入りましたところ、本案は原案の通り可決すべきものと全会一致議決した次第であります。
なお、社会党提出にかかる最低賃金法案及び家内労働法案については、すでに内閣提出法案が可決せられましたので、議決を要しないものと議決いたしたのであります。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/18
-
019・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。
井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/19
-
020・井堀繁雄
○井堀繁雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されておりまする最低賃金法案に対し、反対の意見を述べんとするものであります。
そもそも、本法案に対する政府の提案理由の説明と法案の内容とに対する著しい相違点を、まず指摘しなければなりません。こういう法案の提案のいたし方は、国民を欺き、議会をめくらにせんとする、無謀なる提案と申さなければなりません。
申すまでもなく、最低賃金の必要でありますゆえんについては政府もその提案理由の中でるる説明をいたしておるところで尽きるのであります。すなわち、政府のいう提案理由の第一は日本の労働法規が今日まで多くの労働者の保護と日本経済に貢献したことをたたえて、そのあとに、労働基準法に画龍点睛を欠くところの労働条件の最も重要な部分である賃金について、ことに低額賃金の労働者の保護に欠くるところがあったと、大胆に主張しておるのであります。今日の最低賃金の必要な一つの理由はここにあるのであります。すなわち、労働基準法の第二十八条、第二十九条、第三十条に明らかにされておりまするように、「一定の事業又は職業に従事する労働者について最低賃金を定めることができる。」この規定に従いまして、行政官庁は、いつ何どきでも、最低賃金の必要な場合には、第二十九条によって定められておりまする中央賃金審議会に対して諮問することを命じておるのであります。また、三十条におきまして、中央賃金審議会は、この政府の諮問に対して、「一定の事業又は職業に従事する労働者の最低賃金額についての意見を、行政官庁に提出しなければならない。」と命じておるのであります。また、行政官庁は右の意見について公聴会を開き、「賃金審議会及び公聴会の意見に基いて、最低賃金を定めなければならない。」と、きわめて明確に規定してあるのであります。
このように、すでに労働者保護立法の中における最も重要な法案でありまする労働基準法のこの条文に明らかなように、政府は、ここに、くどくどと提案理由の説明を述べておるのであるが、このような賃金の格差が大企業と中小企業の間にはなはだしくなって、その賃金格差は、ひとり労使関係の紛糾の種をまくだけではなく、日本経済の実体を危機に導くものである点を指摘しておるのであります。その言うところは、大企業と中小企業との賃金格差を防止するに役立つとともに、労働者の質的向上をはかり、中小企業の公正競争を確保して、輸出産業の国際信用を維持向上せんとするものであるという理由をここに述べております。まさにその通りであります。すなわち、今日の賃金格差の問題は、ひとり労働問題、社会問題の限界にとどまらないで、日本経済の基礎的な要素となって、ことに輸出貿易に依存する日本経済にとりましては、どうしても国際正義に基くところの公正な競争の上に立つ市場開拓でない限りにおいては、一歩も日本の経済が国外に進出することもできないことは、あまりにも明瞭であります。しかるところ、その輸出も、一大部分依存するところは中小企業であります。その中小企業のもとに働く労働者の賃金というものが、いかに弁解をしようといたしましても、今日の統計は、その生活の最低を維持するどころではなく、生存権を脅かすような低額なる賃金であるということは、あまりにも顕著な事実となって現われておるのであります。このような事実に目をおおうことは、それは、政府も提案理由の中で言っておりますように、かつて日本はソーシャル・ダンピングの非難を浴びた。まさにテープ・レーバーについてはそのソーシャル・ダンピングの実体を白日に露呈いたしておることを指摘しなければならぬのであります。
このような問題解決のために最低賃金制度が必要であることは今さら申すまでもないのでありますが、かかる理由を述べておいて、政府の提案しております法案の内容をここに一、二指摘いたしてみたいと思うのであります。
すなわち、政府案の最もよくない点は二つに要約することができると思います。
一つには、提案理由の説明の際にも、また委員会における総理のわれわれに対する答弁におきましても、最低賃金法をめぐります国際信義の一つのものさしともなるべきものは、ILOの条約に対する勧告の態度であります。申すまでもなく、ILO条約の最低賃金決定制度に関する条約、すなわち二十六号でありますが、これと勧告案、これは言うまでもなくILO憲章の基本的精神を貫く重要な条約の一つであります。この条約を政府が批准する用意があるということ、この法案が成立することによって、直ちにその手続きがとれることを繰り返し述べておるのであります。しかりとするならば、ILO条約に対するこの法案が全く矛盾しないものであるかどうかが当然問題になるのでありますが、この法案は、明らかにILO条約をじゅうりんするところの、きわめて露骨なる政府の陰謀を含んでいるものであります。
いま一つの問題は、一応民主的な形において組織されております中央賃金審議会、その中央賃金審議会の答申に対して、いかにも誠実にその精神を尊重しているかのごとき口吻をたびたび述べておりながら、その実質はその答申案を巧みにくぐって、その精神と全く違反いたしておる点を指摘しなければなりません。
この二つの点におきまして、政府の提案しておりまするこの法案というものは羊頭狗肉であります。言うところは一人前でありますけれども、法案の内容は似ても似つかない反動的要素を持つ内容であると言うことができるのであります。せっかくの機会でありますから、その具体的事例をあげて政府に猛省を促したい。
その第一の条件は、ILO条約に違反いたします点におきましては、政府案の第三条、すなわち、このことは最低賃金の性格を決定する基本的なものであります。この第三条によりますと、政府は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び——これからが問題であります。——通常の事業の支払い能力を考慮してこれを定めるということを第一項にうたっておるのであります。これも明らかにILO精神に反するのであります。ILO条約に対して違反するものであります。これは申すまでもなく、最低賃金を定める四つの要素について、ILOは勧告において指摘をしておるのであります。すなわち、最低賃金を定める原則としては第一には、労働者の生計費、次にはなされた労務の公正かつ合理的なる価値を取り上げなければならない、第三には、労働協約によって、類似または比較することのできる仕事に支払われる賃金、第四は、十分に組織されている地域における産業と比較する一般賃金水準、こういう四つの要素を明らかにいたしまして、この要素を満たさなければならないと命じておるのであります。ところが、ここに重大な点は通常の事業の賃金支払い能力を規定いたしましたことは、このILO条約が第十一回、第三十四回の二回にわたって審議検討された総会の記録によりますと、支払い能力をもし問題とすることになりますならば、最低賃金の正常なる設置は困難である。いつも経営者側からその議が出たのでありますけれども、この二つの総会におきましては満場一致によりまして、かかる支払い能力に言及するということは、ついに否決されておるのであります。それをここにわざわざ取り上げておることに、われわれは重大なる関心を持たなければならぬのでありまして、これは政府の提案理由と全く相反する重大なる点でございます。
次は、一般に指摘されておりますように、本九条及び十条による業者間協定の問題、三は労働協約に基く地域的最低賃金の定め方、第四には賃金の変更やその改正に対する手続の問題、この点はいずれも日本の労働法規にも抵触いたすのであります。業者間協定の問題は、言うまでもなく、労働基準法、労働組合法によりまして、賃金は雇い主と労働者が対等な立場に立って定めなければならぬものでありまして、業者間協定は雇い主の一方的意思によって決せられるのでありますから、賃金の原則をくずし、ILOの精神にそむくのみではなく、基準法の精神をじゅうりんするところの方法でありまして、これは近代的な賃金の要素ではなく、封建的な奴隷的労働を求めるところの考え方がここに如実に現われておるということを指摘しなければなりません。
次は、労働協約による地域協定の問題は、労働組合法第十八条に規定されておるところでありまして、ここに改正をいたさんとするものは、むしろ労働組合法の精神を婉曲に踏みにじらんとする野望があるのではないかと学者から指摘されておるのは、すなわち、労働協約によって自主的に定めるものについて、労働組合法あるいは労調法はこれに保護を与えておるのでありますが、この法案に名をかりまして、この法案の改正をここに出してきておるところに、今日の政府の反動性をみずから暴露しておると申さなければなりません。(拍手)
かくのごとく、一々あげて参りまするならば、政府の提案理由にありますところの世間に訴えておりまするものと、法案の内容とは、氷炭相いれない異質のものをなしておるということを、われわれは指摘しなければならないのであります。
各種の、まだ多くのものがございますが、最後に一言しておきたいと思いますのは、中小企業の支払い能力の問題は、ILOの条約もしくは労働基準法の定めがあるなしにかかわらず、現実の問題として処理しなければならぬ点については、われわれも認めるのであります。そこで、政府は、かかる法案を出す際においては、最低賃金の支払い能力をはなはだしく欠いております中小企業、零細企業に対する保護が同時に考えられなければならないのみではなく、具体的にこの法案と相前後して本国会に提出さるべきものであったのであります。ところが、この点は全くほおかぶりしておるのみではなく、私は本日岸総理に対して質問をいたしましたところ——先日、参議院において、岸総理は、日本の国民経済の回復の一例として、国民所得が、すなわち税の自然増の形において、来年度においては約千五百億の税の自然増を予定して、そのうち六割を減税に回し、四割を社会保障制度に使うなどと、まことに国民に耳寄りな選挙宣伝をやっておると思われる節があるのでありまするが、もしこのように国民の経済基盤というものが税の上に正直に現われたようなものであるとするならば、言うまでもなく、低額所得によって生計でき得ないような、正当な労働力が評価できないような経済というものをそのままにしておいて、こういう、要するに自然増というものがそのまま認められるとするならば、言うまでもなく、岸内閣は弱肉強食である、働きながら食えない低賃金の労働者に対しては何らの具体的保護政策を持たない、(拍手)紙に書いた宣伝用の最低賃金制度であるというこの事実は、インチキもはなはだしいものと申さなければならぬのであります。(「時間だ」と呼び、その他発言する者多し、拍手)くやしかったならば、具体的に最低賃金の額を表わすべきである。この質問をしておるのに、与党の諸君は、この重要な質問の最中に質疑打ち切りをするがごときは、この急所を刺されることをおそれて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/20
-
021・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 井堀君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/21
-
022・井堀繁雄
○井堀繁雄君(続) われわれの言論を弾圧したものと思うのであります。かかる重要法案に対して、与野党の正常なる論議の機会を奪うごときことは民主政治を否定する最も露骨なる一つの態度であって、国会の正常化のために遺憾に思いますと同時に、最低賃金制度に対する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/22
-
023・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 井堀君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/23
-
024・井堀繁雄
○井堀繁雄君(続) 真摯なる態度をもって臨まれんことを要望いたしますとともに、本案は最低賃金の名を冠するにはふさわしからざる、また、反動的な諸条件を備えておるものといたしまして、十分なる審議のできないうちに本案の一挙採決に入るということに対しては絶対に反対であることを申し上げまして、私の討論を終りたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/24
-
025・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 田中正巳君。
〔田中正巳君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/25
-
026・田中正巳
○田中正巳君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の最低賃金法案につき、賛成の討論をいたさんとするものであります。(拍手)
そもそも、わが国経済は、過去において低労働賃金による低コストを基盤としての貿易収入に依存し、もって狭隘な国土に多数の国民生活を維持せしめてきたということは、否定し得ない事実であり、これはわが国の悲しくもまた現実の姿であったのであります。このわが国が今日幾多の障害を乗り越えて最低賃金制を実現せんとすることは、きわめて画期的なことである反面、はなはだ困難な問題でもあるのであります。すなわち、わが国経済の構成はきわめて複雑でありまして、大企業と中小企業との経済力の差異ははなはだしく、賃金においても大きな格差が存在するのであります。ために、中小企業は良質の労働力を得られず、過当競争により、みずから不利益をこうむることが少くなく、また、諸外国からも低賃金労働という非難を受け、輸出の振興にも好ましくない影響を与えてきた実情であります。かかる現状にかんがみまして、低賃金労働者の保護と、これら中小企業の経営の強化、合理化の面から見て、この際幾多の困難を排除しつつ最低賃金制の実施に踏み切るべきことは今日きわめて緊要の事項でありますが、かく考えるならば、最低賃金制は、単に労働者保護という見地にのみ立脚することを許されず、広く国の経済政策の一環としての考慮をも入れて発足しなければならないことは論を待たないところであります。(拍手)
今回、政府提出の最低賃金法案は賃金の低廉な労働者について業種別、職種別または地域別に最低賃金を定めることにより、労働条件の改善をはかり、もって労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としているのであります。また、最低賃金の決定方法としては、本法案に規定されている四つの方式を採用し、わが国経済の実態に即して、これら四方式を総合的に運用し、漸次最低賃金の適用を拡大して行かんとするものであり、他面、この最低賃金の決定に伴い、関連家内労働の最低工賃をもきめ得ることとして、最低賃金制の有効な実施をはからんとするものであります。
社会党は、本法案に反対をし、全産業全国一律方式の最低賃金制を主張し、施行当初六千円、その後八千円の金額を掲げています。しかしながら、わが国中小企業の賃金は大企業に比して著しく低く、五百人以上の大企業に比し、五人以下の企業では約三五%という低位にあり、しかも、この賃金格差以上に企業の生産性の格差は著しいものがあるのが現状であります。政府の統計によれば、六千円未満の労働者は二百万人以上、八千円未満の労働者は四百万人以上と推算され、これを最低賃金額まで引き上げるに要する金額は八千円の場合は年間約千三百億円、六千円の場合は約五百億円にも達するものと推定され、さらに、最低賃金額以上の労働者に対するはね返りを考慮すると、この額は一そう膨大なものとなると考えられるのであります。しかも、これら低賃金労働者は中小企業に集中している現状から見ると、この金額は中小企業の経営負担を著しく増大させ、これが経営を困難にさせ、ひいては経済界の摩擦と混乱を惹起することは火を見るより明らかでありまして、労働者の保護というこの制度の目的は達せられないのみならず、かえって、社会党案を実施する場合、首切り、事業閉鎖等を惹起し、労働者の生活を不安に陥れる結果となるの、あります。従って、全産業一律という方式はわが国の場合、その金額が高きに失すれば中小企業の負担にたえず、低きに失すれば労働条件の向上に役立たず、いずれにせよ、わが国の実情においては全産業に共通な適切な金額を算出することが困難であって、私はかかる社会党の主張するごとき全産業一律方式はわが国の実情から遊離したものであると考えるものであり、また、世界各国の立法例においても、かかる方式をとるものがきわめて少いという事実を考えるときに、これを経済の底の浅い日本に今急に実施せんとすることが、いかに困難かつ危険なものであるか、容易に想像できるわけであります。
これに対し、政府提出法案は、業種、職種、地域別に、それぞれの実態に応じて最低賃金制を実施し、漸次これを拡大して行かんとするものであります。この最低賃金法案は昨年末の中央賃金審議会の答申を十分に尊重して立案されたものであります。
この法案に対する批判の一つとして、業者間協定に基く最低賃金は業者が一方的に決めるものであって、ILO条約の労使対等の原則を無視し、また、低賃金を固定化するものであるとの意見がありますが、しかしながら、政府案によれば、業者間協定が直ちに最低賃金となるのではなく、労使が対等に参加する最低賃金審議会の意見を聞いて、労働大臣が適当と認めたもののみを最低賃金として決定することとしているのであり、幾ら業者間協定であっても、不当に低いものは最低賃金として認められないことは、法案において明らかであります。また、現に実施されている業者間協定を見ても、これによって賃金は一割ないし二割程度の改善を見ているのが現実の姿でありまして、また、この業者間協定による最低賃金を第一の段階として、今後労働者組織が強化するに伴い、他の方式による最低賃金にも移行することができるのでありまして、社会党の言うがごとく、賃金を極度に低位に釘づけするものであるとの批判や、ILO条約の精神に反するとの意見はすべて当を得ておらないものであります。
一般に、最低賃金制を最も必要とするのは中小企業、零細企業において、低い労働条件のもとにおいて営々として働いている労働者諸君であります。これら労働者諸君はたといそれが漸進的なものであれ、一日も早く最低賃金制の実現されることを鶴首しているのであります。社会党の諸君が、かかる労働者の期待に反し、実現不可能な案にこだわって、政府案に反対を唱えられることは真に遺憾であると思うものであり、かかる主張を繰り返す限りにおいて、社会党は今日なお批判政党、人気取り政党の立場にとどまるものであるとの世間の批判を払拭できないものであると思わねばならないのであります。
われわれは、以上述べて参りました通り、日の当らぬ労働者諸君の声なき声に耳を傾け、また、この法案が中小企業経営の合理化、近代化をも促進し、もって国民経済の健全な発展にも寄与することを信じ、ここに内閣提出の最低賃金法案に対して賛成するものであります。
以上、私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/26
-
027・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/27
-
028・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/28
-
029・山中貞則
○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/29
-
030・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/30
-
031・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長齋藤憲三君。
〔齋藤憲三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/31
-
032・齋藤憲三
○齋藤憲三君 ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
本案の要旨について簡単に申し上げますと、現行法におきましては、すべての核燃料物質の使用は、政令の定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならないことに規制されておりますが、核燃料物質のうちでも、濃縮ウラン、プルトニウム、ウラン二三三等のいわゆる特殊核物質は別として、その他のものについては、その種類ごとに放射線障害が発生するおそれのない量を政令で定め、それ以下の使用につきましては規制をしないことと改め、その他核燃料物質の使用許可の基準の適正化並びにその譲り渡し及び譲り受けについての制限の緩和をはかる等、所要の改正を行なっております。
委員会におきましては、去る四月十六日本案の付託を受け、本日正力国務大臣より提案理由の説明を聴取し、審議に入り、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/32
-
033・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/33
-
034・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/34
-
035・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) この際暫時休憩いたします。
午後三時四十一分休憩
————◇—————
午後四時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/35
-
036・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/36
-
037・山中貞則
○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出、参議院送付、電波法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/37
-
038・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/38
-
039・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案、電波法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。逓信委員長片島港君。
〔片島港君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/39
-
040・片島港
○片島港君 ただいま一括議題となりました二つの法律案に関し、逓信委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。
まず、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は去る三月六日内閣から提出されたものでありまして、その趣旨とするところは、現行法は昭和二十四年の制定にかかり、今日の実情からすれば、寄付金付郵便はがき等の難行手続、寄付金の配分を受ける団体の範囲及び寄付金の処理等に関する規定等に相当不適当な点があるので、本案による改正をはかろうとするものであります。
本改正案のおもなる内容を申し上げますれば、第一は、寄付金を配分する対象範囲の拡張でありまして、現行法によれば、郵便はがき等に付された寄付金は社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体に対してのみ配分されることになっておりますが、寄付金額も増加し、各方面からの要望もありますので、風水害、震災等の非常災害の救助、ガン、結核、小児麻痺等、特殊な疾病の研究、治療及び原爆被災者に対する治療、援助を行う団体に対しても寄付金の配分ができるように改めようとするものであります。
第二は、寄付金付郵便はがき等の発行手続を整備しようとするものであります。
第三は、郵便募金管理会という特殊法人を設立し、寄付金の出納、保管及び配分金の使途などの監査の職務を行わしめ、寄付金処理の明確化をはかろうとするものであります。
第四は、寄付金の使途の適正をはかるための措置として、寄付金処理の責任体制を確立しようとするものであります。
なお、この法律は、公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内において、政令で定める日から施行することになっております。
以上が、この法律案の概要でございます。
逓信委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、数次にわたる会議を開きまして、提案理由の説明を聴取し、質疑応答を重ねたのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。かくして、委員会は四月二十二日に至り質疑を終了し、引き続き、理事森本靖君より、自由民主党、日本社会党の共同提案として、寄付金配分額の一部を、逓信省の職員の保健または保養を目的とする事業を行う団体に対しても寄付金の配分ができるようにすること、並びに、郵政省設置法の一部を改正する法律案の審議状況に徴し、郵政省の省名が逓信省に改められるまでの間、本案中「逓信大臣」または「逓信省」とあるのは「郵政大臣」または「郵政省」とすることの二点につき本案に修正を加える修正案が提出され、次いで討論を省略して採決の結果、右修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決、ここに本案の修正議決を見た次第であります。
次に、電波法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、内閣提出、参議院送付にかかるものでありますが、その提案の理由とするところは、電波科学の進歩、電波の利用面の増大と、これに伴う無線局の増加並びに従来の電波監理の実績等にかんがみ、無線局の免許手続及び検査制度、無線従事者制度並びに手数料等につき現行法に改正を加える必要が認められるに至ったので、本案を提出しようというのであります。
改正のおもな点を簡単に申し上げますと、まず無線局の免許に関してはその一として、無線局の規模、種別または電波監理上の必要の度に応じて新設検査その他の免許手続について一部を省略し得るようにし、その二として、免許人である法人に合併があった場合の免許人の地位の承継が、現行法では当然承継となっているのを、許可を要することに改め、その三として、無線局の免許の欠格事由のうち、特に放送局については外国性排除の条件を加重する等、一般の無線局の場合より厳格にすることとし、その四として、予備免許、免許または許可には必要最小限でかつ不当な義務を課することとならない範囲で条件または期限を付することができることとすることであります。
次に、無線従事者に関しては、免許の有効期間の定めを廃し、新たに初級のアマチュア無線技士の資格を設け、また無線従事者の無線設備操作の許容範囲を法定事項からはずして、政令で定めることとしております。
次に、監督に関しては、毎年行うことになっている定期検査を電波監理上の必要の度に応じて省略することができるように改め、また、免許を要しない微弱電波の無線局に対しても、障害排除のための措置命令または検査ができるようにしており、また、手数料の徴収単位を改めるとともに、その料額についても改訂すること等の改正をいたしております。
なお、この法律は公布の日から起算して六月をこえない範囲内で、政令で定める日から施行することとなっております。
本案は、去る三月一日内閣より参議院に提出され、同院において郵政省設置法の一部を改正する法律案不成立の場合に備えて若干の修正が加えられて、四月十八日本院に送付されたものであります。逓信委員会においては、本案の予備付託以来、数次の会議を開いて、政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を重ねたのでありますが、質疑応答の詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて、委員会は四月二十二日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって本案を可決いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/40
-
041・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正、電波法の一部を改正する法律案の委員長の報告は可決であります。両案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/41
-
042・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/42
-
043・山中貞則
○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、参議院提出、著作権法の一部を改正する法律案、べき地教育振興法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/43
-
044・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/44
-
045・益谷秀次
○議長(益谷秀次君)御異議なしと認めます。
著作権法の一部を改正する法律案、べき地教育振興法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員長山下榮二君。
〔山下榮二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/45
-
046・山下榮二
○山下榮二君 ただいま議題となりました、参議院の提出にかかる著作権法の一部を改正する法律案につきまして、その要旨及び文教委員会における審査の経過とその結果について申し上げます。
本案は、著作権保護の目的を達成するために現行法の罰則を強化するものであって、その改正の要点は、一、著作権侵害等の罪に対して最高二年の懲役を科するなど、新たに体刑を加えるとともに、罰金についてもその最高額を五万円に引き上げること、二、著作権侵害等の罪に対する公訴の時効が二年となっている現行法の規定を削除すること、従って、今後公訴の時効は刑事訴訟法の原則によって三年となることなどであります。
本案は四月十八日当委員会に付託となり、以来、慎重に審議されたのでございます。その質疑のおもなるものを申し上げますと、一、本案の施行によって国際的信用が回復されるか、二、本案は民権保護の立場から立案せられたものというべきであるか、三、最近の判決によってみれば、かかる立法をする必要性は解消したように思うがいかん、四、著作権法の全面的改正が必要ではないかなどであります。これらについて熱心に検討され、提案者から懇切な答弁がございましたが、その詳細については速記録によって御承知を願いたいと存じます。かくて、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第でございます。
次に、参議院の提出にかかるへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、その要旨及び文教委員会における審査の経過とその結果について御報告申し上げます。
本案は、僻地教育の振興をはかるため、現行法に規定してある国庫補助の対象を拡大するとともに、教職員に対する僻地手当支給等についての規定を設けるものであって、その要旨は一、僻地学校の健康管理及び通学改善に関する市町村の任務を新たに義務規定とし、国は、市町村が行う事務に要する経費について、その二分の一を補助すること、二、僻地学校に勤務する教員の養成施設を設けること等、都道府県の任務を明確に規定し、国は教員養成施設に要する経費について、その二分の一を補助すること、三、都道府県は、僻地学校教職員に対し、新たに僻地手当を支給すること、及び当該手当算出の方法を法定し、さらに、それに関する僻地学校の級別指定の基準を全国的に統一することとし、これを文部省令で定め、都道府県はそれに準拠して条例を定める旨を規定していること、四、本案は昭和三十四年四月一日から施行することなどであります。
本案は、四月十八日当委員会に付託となりまして、以来、慎重に審議され、特に文部省令で定める僻地学校級別指定基準の内容はいかなるものか、僻地学校教職員に対する恩給加算についての対策、本案の成立を急ぐ理由、本案によってはいわゆる教育上の実質的僻地が解消されないため、さらに根本的な改正が必要ではないかなど、各般にわたって熱心に検討されたのでございますが、その詳細については速記録によって御承知を願いたいと存じます。
かくて、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、起立総員をもって本案は原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。
右、御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/46
-
047・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/47
-
048・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/48
-
049・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X03419580423/49
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。