1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十五日(火曜日)
午後一時四十九分開会
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委員の異動
本日委員松野鶴平君辞任につき、その
補欠として斎藤昇君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 竹下 豐次君
理事 石井 桂君
稲浦 鹿藏君
西田 信一君
田中 一君
委員 岩沢 忠恭君
斎藤 昇君
中野 文門君
安井 謙君
内村 清次君
小酒井義男君
坂本 昭君
村上 義一君
国務大臣
建 設 大 臣 根本龍太郎君
政府委員
自治庁財政局長 小林與三次君
自治庁税務局長 奧野 誠亮君
建設政務次官 堀内 一雄君
建設省計画局長 町田 稔君
建設省河川局長 山本 三郎君
建設省道路局長 富樫 凱一君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○下水道法案(内閣送付、予備審査)
○道路整備緊急措置法案(内閣提出、
衆議院送付)
○道路法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○日本道路公団法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/0
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001・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ただいまより建設委員会を開会いたします。
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002・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 委員の異動について御報告いたします。本日松野鶴平君が委員を辞任され、その補欠として斎藤勇君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/2
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003・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) まず下水道法案について、建設政務次官から提案理由の説明を聴取いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/3
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004・堀内一雄
○政府委員(堀内一雄君) ただいま議題となりました、下水道法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
下水道は都市における浸水の防止、生活環境の改善、公共水の汚濁防止等に重大な関係を有し、都市の健全な発達と公衆衛生の向上のために、欠くことのできない施設でありますが、近時市街地の急激な発展、化学肥料の普及による屎尿処理の行き詰まり、工業用水の大規模な使用等は、下水道の整備による下水の計画的かつ合理的な排除を、一層緊急を要するものとしているのであります。
しかるに、下水道は都市の公共施設のうちでは、最も整備のおくれた分野でありまして、今後大いに力を入れてその整備をはかっていく必要があるのであります。
しかも、下水道の整備は、都市における今後の道路網の整備と軌を一にする必要があり、この意味においても下水道の整備は、今後都市計画の一環として、急速かつ強力に推進されなければならないのであります。
政府におきましては、従来より下水道の普及に意を用い、所要資金の確保、維持管理の強化、国庫補助金の増額等をはかってきたのでありますが、これを規制する下水道法は古く明治三十三年制定のものであり、下水道の整備を促進するために、必要な設置及び管理の基準、下水排除の責任、使用料の負担、下水道の管理を妨げる行為の制限、国の助成措置等の規定が整備されておらず、今後大いに促進する必要のある下水道を律するには、不十分な点がありますので、今回その全面的改正をはかることとしたのであります。
以上がこの法律案を提出した理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
第一に、下水道を、公共下水道と都市下水路とに分けて規定することといたしました。
公共下水道とは、従来改良下水道と称されてきたものでありまして、主として暗渠により、道路の地下に埋設され、市街地に網状に布設されるものであります。
都市下水路とは、従来在来水路あるいは公共溝渠等と称されているもののうち、規模が大で、市街地の浸水防止及び生活環境の改善に重大な関係を有するものであります。
この公共下水道及び都市下水路の整備は、その公共性にかんがみ、地方公共団体において管理することが最も適当でありますので、公共下水道及び都市下水路の管理は、第一次的に市町村が、第二次的に都道府県が行うものとして、下水道の管理責任を明確にしたのであります。
第二に公共下水道に関しては、その構造、放流水の水質、終末処理場の維持管理等について、技術上の基準を定め、また技術者による設計及び工事の監督管理、公共下水道台帳等の制度を採用し、これによって公共下水道の健全な発達、及び公共水の汚濁防止の実現を期したのであります。
都市下水路に関しても、その構造及び維持管理の基準、都市下水路台帳その他の規定を設け、必要な規制を行うこととしたのであります。
第三に、公共下水道及び都市下水路の利用の調整に関する規定を設けることといたしました。
公共下水道に関しては、その供用開始の際下水排除の責任を負うべき地域を排水区域として、これを公示せしめるとともに、その区域内の土地の所有者または占有者に、その土地の下水を、公共下水道に流入させるための排水設備を設置する義務を課することとして、公共下水道の利用の増進をはかることとしたのであります。
これに伴い、その利用者間の受任義務の規定を設け、また、公共下水道に特に悪質の下水を排除するものに対して、除害施設の設置を命じうる道を開くこととする等の規定を設けることとしたのであります。
なお、都市下水路に関しても、特に都市下水路の機能を妨げるおそれのある下水を排除するものに対し、特定排水施設として構造上の基準を定めることとしたのであります。
第四に、公共下水道及び都中下水路の公共性にかんがみ、下水道の維持管理に障害を及ぼすおそれのある行為の制限の規定を設けて、その機能の保全をはかることといたしました。
第五に、公共下水道に関して使用料及び工事負担金等の制度を設け、国民に過当な負担とならない範囲内において、その設置及び維持管理の費用の一部をまかなわせることとし、公共下水道の急速なる普及に役立たしめることといたしました。
第六に、公共下水道に対する国庫補助、資金の融通、並びに公共下水道及び都市下水路に対する国有地の無償貸付、もしくは讓与等の助成の制度を設けることといたしました。
その他下水道の監督に関する規定等、下水道の管理に関し必要な規定を設けることといたしております。
以上が下水道法案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/4
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005・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは引き続いて、計画局長から逐条説明を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/5
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006・町田稔
○政府委員(町田稔君) 下水道法案の概要を条を追って御説明申し上げます。
第一条につきましては、下水道法の目的を明示いたしたものでありまして、この法律は、公共下水道と都市下水路について、その設置その他の管理の基準等を定めることによって、公共下水道及び都市下水路の整備を促進することとしておりますが、下水道のうち最も重要なこれら二種類のものについての整備をはかっていくことが、すなわち都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与することとなる、趣旨を明らかにしようとしております。
第二条は、この法律において用いられる用語の定義を掲げたものでありますが、まず下水道を流れる下水を、生活もしくは事業に伴って生ずる廃水と、雨水をいうものとし、農耕に伴う潅漑排水を除くすべての廃水を下水道において取り扱うごととし、従って下水道とは、この下水を排途するために設けられる排水施設、及びこれに接続してその下水を処理するために設けられる施設、またはこれらの施設を補完するために設けられる施設の総体をいうものといたしました。
次に、公共下水道及び都市下水路について定義を掲げ、この法律において規制の対象となる二種類の下水道について、その意味を確定いたしました。
公共下水道とは、主として市街地における下水を排除または処理するために、地方公共団体が設置するもので、下水を排除すべき区域が、政令で定める規模以上であるか、あるいは終末処理場を有するものであり、その構造は、排水施設の相当部分が暗渠でなくてはならないものといたしました。
都市下水路は、これに対しまして、地方公共団体が管理している在来の水路、溝等であれば規模について若干の規格がありますほかは、当該団体が單に指定することによって都市下水路となって、この法律の規定の適用を受けることとしたのであります。
次に終末処理場についてでありますが、これは屎尿を含む下水を最終的に処理する施設であるといたしまして、下水道の終末処理場は、必ず屎尿を含む下水を処理する機能を果すべきものとしたのであります。
以上で第一章の総則を終え、第二章は公共下水道に関する章といたしまして、公共下水道について詳細規定いたしております。
まず第三条は、公共下水道の設置その他の管理は、原則として市町村が行うべきものとし、都道府県は、二以上の市町村の行いがたい例外的場合にのみ、その同意を得て行い得るものとしましたが、これは現下水道法では市のみに限定していたことと対象をなすものと考えられます。
第四条は、公共下水道を設置しようとするときは、まず事業計画を定めて、主務大臣の認可を受けるべきものとしたのであります。公共下水道は特定区域を排水区域と定めて、その区域内のすべての土地家屋の所有者等に排水義務を課するほか、その構造が複雑であり、かつ長期の計画的配慮のもとに設置すべきものでありますから、国の後見的監督を必要とされるのであります。
第五条は、その重要な内容を列挙して、事業計画の記載事項とした規定であります。
第六条は、主務大臣が認可しようとする際の、審査すべき事業計画の判断基準を示したものであります。この規定は、一面よりすれば、事業計画の作成基準を示したものと言えるのでありまして、公共下水道の配置、能力、構造、排水区域、または処理区域の範囲、工事着手の適時等について、よるべきおもな基準を表示したものであります。
第七条は、公共下水道の構造についての技術上の基準を、別途詳細政令で定めることとしたのであります。
第八条は、公共下水道から放流される下水の水質の基準を、政令で示すこととしたものでありますが、下水道からの放流水による公共水の汚濁を防止するには、まず放流水の水質基準を定める必要があると考えられるのであります。
第九条は、公共下水道を公共の利用に供しようとする場合に、あらかじめ必要な事項を公示して、排水設備を設置し、下水を排除する義務を負う排水区域等を住民に明示して、その利便に供すべき旨を規定したものであり、特に終末処理場による下水の処理を開始しようとする場合には、処理区域を示して、その区域内の下水は屎尿を含む下水として、公共下水道に流入させてもよいこと、すなわち水洗便所を下水道に直結させてよいことを、あらかじめ公衆に知らせるようにしたものであります。
第十条は、公共下水道の排水区域内の土地の所有者等は、その土地の下水を公共下水道に流入させるために、必要な排水設備を設置し、及びその他の管理をすべき義務を負う旨の規定でありまして、現下水道法の規定と同趣旨の規定を、より明確にしようとしたものであります。
第十一条は、その排水義務の履行のために、他人の土地または他人の排水設備を利用しなければならなくなる場合に、その利用を法律上当然に可能とする旨の規定でありまして、民法の相隣関係を若干拡張したものでありますが、現下水道法の考え方を受けついでいる規定であります。
第十二条は、特定の悪質な下水を流入させる者に対し、政令で定める基準に従って、条例によって除外施設の設置、あるいは下水を適切に処理した上で、公共下水道に流入させるように命ずることができることとしたものであります。これによって、公共下水道の施設を保護し、またはその放流水による公共水の汚濁を防止する措置の、相当の程度が可能となるわけであります。
次に第十三条は、公共下水道に下水を流入させる措置を講じ、そのために適当な排水設備を設けさせるようにいたしましたので、これらの義務履行を監視するために、公共下水道管理者に対し立入検査権を認めた規定であります。
第十四条は、公共下水道の供用を一たん開始した以上は、下水排除の性質上当然に任意に供用を停止することは、公共の利益に著しく反する結果となるわけでありますから、法律としては特定の限られた場合にのみ、その供用の一時停止を認め、かつその場合にもあらかじめ公衆にその旨を知らせて、不便なからしめるようにすべきものとしたのであります。
第十五条及び第十六条は、公共下水道の公共性にかんがみ、その施設の部分的改築、修繕等の工事、あるいは通常の維持行為は、これを利用し、あるいはこれによって利便を受けるすべての者に行わせる方がいいのでありますが、その趣旨にのっとる一方、公共下水道の工事の複雑さも考慮に入れて、公共下水道管理者との協議、またはその承認に基いて、他の者に行わせることを認めたものであります。
第十七条は、そのうち公共下水道の施設が、他の工作物の効用をかねる場合の、費用の負担区分の規定であります。
第十八条及び第十九条は、それぞれ公共下水道の施設を損傷した行為により、あるいは一定量以上の排水能力のある排水設備を、公共下水道に接続させる行為により、公共下水道の施設の修繕または改築をする必要を生じた場合における、費用者払の規定であります。
第二十条は、公共下水道を使用して下水を排除する者に対して、条例ご使用料を納入させることができることとしたものでありますが、元来下水の排除は、地方公共団体の事務として行うべきものではありましても、公正下水道の布設には多大の資金を必要とし、また住民に著しく利益を与えることになるわけでありますから、公共下水道により利益を受ける者から、その布設に要する費用の額を限度として、使用料を徴収して、その布設の促進をはかることは、現在の段階では適切な措置であると考えられるのでありまして、第二十条はこの趣旨に出て、その使用料の限度を明限したものであります。
第二十一条は、放流水の水質管理上必要な規定であり、第二十二条は構造管理上、第二十三条はその利用、保全上必要な規定であります。
第二十四条もこれらの規定の趣旨と同じく、公共下水道の施設の管理の適正を期するため、これに物件を設ける行為を制限し、または禁止する措置を講じたものであります。
第二十五条は、この法律に規定するもの以外になお必要な事項については、条例で定めることができる旨を規定しております。
第三章は、都市下水路に関し規定をいたしております。
まず第二十六条においては、都市下水路の設置その他の管理は、公共下水道のそれと同じく、市町村を原則とし、都道府県は例外的にのみ行い得るものといたしました。都市下水路はその性質上新たに設置していく場合が少く、在来の水路について、改修管理を行うものでありますから、第二十七条の規定により、指定行為によってその施設を特定するものとし、その際灌漑排水施設の効用をも果している場合には、当該効用について利害関係のある土地改良区等の意見を聞くことによって、その間の調整をとることといたしております。
第二十八条及び第二十九条は、その構造管理上、あるいは利用管理上必要な規定であります。
第三十条も同様の趣旨に出でるものでありますが、特定量以上の下水あるいは悪質の下水を、多量に排出する排水施設が、都市下水路に接続する場合には、一定の構造基準によったものでなければならない旨を規定することによって、都市下水路の整備をはかって
いくのと並行して、これら大規模な排水施設についても、都市下水路に準じた整備を要求して、当該地域の下水の処理の完璧を期することといたしました。第三十一条は、公共下水道に関する工事及び費用負担の規定と、台帳整備及び条例による規制に関する規定を、そのまま都市下水路に準用したものでありますが、都市下水路の公共性について、公共下水道と軌を一にする面をとらえたものであります。
第四章以下は、公共下水道と都市下水路に通ずる、共通の管理権の行使の態様、主務大臣の監督権の行使、国の助成、主務大臣の所管区分等について規定したものであります。
まず第三十二条は、公共下水道または都市下水路に関する調査、工事等のための他人の土地の立ら入りまたは一時使用の権限を、当該管理者に対して付与する規定であります。
第三十三条は、当該管理者が、第三者に、工事または行為の承認または許可をする際に、最小限度の条件をつけることができることとした規定であり、公共下水道または都市下水路の公物たる性質上、最小限度必要であると考えられるのであります。
第三十四条から第三十六条までは、国の助成に関する規定であります。
第三十七条は、主務大臣の公共下水道または都市下水路に関する監督規定でありまして、公共下水道についての事業計画あるいは構造と、都市下水路の構造を、この法律の命ずるところに従って保持させるために必要な規定であります。
第三十八条は、公共下水道管理者または都市下水路管理者に対して、当該施設の維持管理上必要な公権力を付与した規定でありますが、むしろ範囲を限定し、特定の違反行為の場合のほかは、工事のためにやむを得ない場合、その他公益上やむを得ない場合にのみ、行使し得るものとしたものであります。
第三十九条は、主務大臣による監督上必要な報告徴収。
第四十条は、主務大臣の都道府県知事に対する権限の委任。
第四十一条は、国または地方公共団体が、公共下水道または都市下水路に施設その他の物件を設ける場合の特例に関する規定であります。
第四十二条において、公共下水道及び都市下水路は、東京都におきましては特別区とせず、都において一括行うべきものといたしました。
第四十三条は、公共下水道管理者または都市下水路管理者のした処分につ
いて、異議の申し立ての途を開いて、その権力行使の適正を求めることができることとし、当該管理者に認めた公権力行使との調整をはかったものであす。
第四十四条は、この法律に規定する主務大臣は、原則として建設大臣とし、終末処理場に関する事項についてのみは厚生大臣として、先に定められた所管分割にのっとって、明確に権限分配を規定したものであります。
第五章罰則の規定は、必要最小限度のものを設けております。
附則におきましては、この法律の施行は、公布の日から一年以内に政令で定めることといたしましたが、これはこの法律の施行につきまして、各種の政令の準備が必要となるので、その必要な期間を置いたものであります。
公共下水道に関する経過措置といたしましては、現下水道法に基いて築造した下水道は、すべて公共下水道として取り扱い、その排水区域または処理区域は、そのままこの法律に基く排水区域または処理区域とし、公共下水道となるべきものに設けられている施設その他の物件は、そのままこれを認めるものといたしました。地方財政法、建築基準法その他の法律の改正は、この法律の規定の趣旨あるいは規定の文言上、当然に改正すべきものとして取り扱ったものであります。
以上で逐条による大要の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/6
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007・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 計画局長にお願いしたいんですが、ただいまお読み上げになりましたものと同じものを、印刷物にして全員に御配付願いたいと思います。
速記をちょっととめて下さい。
午後二時十五分速記中止
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午後二時三十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/7
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008・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは速記を始めて下さい。
下水道法案に関する質疑は、次回以後の委員会で行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/8
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009・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 次に、道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案、及び日本道路公団法の一部を改正する法律案を一括して議題にいたします。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/9
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010・田中一
○田中一君 提出された資料について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/10
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011・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 前回の委員会におきまして御要求のございました資料で、まず差し上げてございますのが、外貨関係の資料でございます。国際復興開発銀行の貸付規程第四、それから国際復興開発銀行と愛知用水公団との貸付契約、これは一例を出せというお話でございましたので、愛知用水公団との貸付契約について資料を提出いたしております。
それから政府と国際復興開発銀行との保証契約、そのほかに世界銀行が外国の道路関係にどれだけ金を貸しておるか、という一覧表を提出しております。
それからもう一つは、長期外貨借款についてでございますが、これは三十三年度中に契約される見込みの額を上げております。これを世界銀行と輸出入銀行とに分けて上げておりますが、この中で道路の関係は三十三年度中に契約見込みが一億ドルになっております。これは契約の見込額でございます。三十三年度につきましては、総計が三億七千二百二十八万三千ドル、こうなっております。この資料は三十三年二月十日の大蔵省の調べでございます。
それから契約の見込額につきましては、今後の交渉によりまして増減があり得るということになっております。それから道路借款の契約見込額は一億ドルでありますが、昭和三十三年度におきまして必要となりますのは、約四十六億円と見込まれております。
それから前回御質問のございました、道路公団がどういう条件で外貨を借りるつもりであるか、という御質問があったわけでございますが、これは公団といたしましては、できるだけ安い利率でということを言っておるのでありますが、愛知用水公団等の例もありますので、利率は年五・七五%以下という希望を持っております。それから期限と償還の方法でございますが、期限は二十五年で、このうち五年は据置期間にいたしまして、元利を均等に償還しようという希望でございます。で、これの契約は三十三年度にいたしたい希望でございますが、総額は先ほど申し上げましたように一億ドル、三百六十億円であります。
それから道路整備五カ年計画案につきまして資料を提出いたしております。この案は一応基本方針と概要につきましては建設省できめたものでございますが、その内訳となります分につきましては、これは道路局の試案でございます。草案の草案ということでございますので、御了承を得たいと思いますが、道路整備五カ年計画案につきまして、
道路整備五カ年計画策定の基本方針
道路整備五カ年計画は、法律施行を待って閣議決定することになるのであるが、おおむね次のごとき方針をもって立案する予定である。
すなわち、今後五カ年間における総道路投資額九千億円より地方公共団体が単独で実施すべきものおよそ千九百億円を除いて、その規模を総額七千百億円とし、昭和三十三年度より五カ年間にわたり道路の整備を行わんとするものである。
その整備の基本方針は次の通りとする。
(1) 幹線的道路の整備の促進をはかり特に一級国道は七カ年間に完成することを目標とする。
(2) その他の道路については重要な区間すなわち交通量多く輸送上の隘路となるべき区間並びに産業開発上必要な路線で特に緊急に整備を要する区間を整備する。
(3) 有料道路事業の計画的実施を図るため、これをこの計画の一部として包含するものとし、また高速自動車国道の整備の促進を図るものとする。
(4) 一級国道は原則として国が直轄で建設するほか、交通量多く重要な区間は国が直轄で維持修繕を行うものとする。
(5) 「積雲寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法」に基く道路整備事業はこの計画に包含するものとする。
道路整備五カ年計画の概要
上記の方針によって実施すべき道路整備五カ年計画の内容については、整備の基準等について今後検討しなければならないのであるが、事業費の配分についてはおおむね次のごとくしたい考えである。
有料道路事業 千五百億円
一般道路事業 五千六百億円
内 道路事業 四千二百五十九億円
街路事業 千六十四億円
機械整備 百五十九億円
調 査 十一億円
雪寒道路事業 百十二億円
合 計 七千百億円
なお、これら実施に要する財源の確保をはかり毎年度の事業規模の拡大強化に備えて道路整備特別会計を設置する考えである。
以上が基本方針と概要でございます。
これによりまして道路局が作業いたしました内容が、その次の「道路整備五カ年計画案その一」、「その二」でございます。
「その一」は、道路事業、都市計画事業、有料道路事業に分けまして、これを一級国道、二級国道、主要地方道、その他の地方道に区分けいたしております。なお、そのほかに道路事業調査費、機械整備費、雪寒道路事業費に分けております。これは事業費をあげたものでございまして、道路事業費につきましては、総計のところにございますように、四千五百三十六億三千五百万円。それから、都市計画事業につきましては千六十三億六千五百万円。これを合せますと、五千六百億円になります。それから有料道路事業につきましては、千五百億円でございまして、これらを総計いたしますと、七千百億円になるわけでございます。
それから「その二」の方につきましては、これは道路事業につきまして区分けいたしたものであります。これを内地の直轄、内地補助、北海道の直轄、北海道の補助、こういうように分けております。これらにつきまして、高速自動車国道と一級国道、二級国道、主要地方道、その他の地方道、道路事業調査費、機械整備費、雪寒道路事業費、これらに分けております。これによりますと、内地の直轄が、総計千七百九十五億六千五百万円、内地の補助が千九百二十八億六千六百万円、内地の計が三千七百二十四億三千百万円でございます。北海道の直轄が六百二十五億四千八百万円、それから、北海道の補助が百八十六億五千五百十万円、北海道の計が八百十二億四百万円でございます。で、道路事業の計が四千五百三十六億三千五百万円、こうなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/11
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012・田中一
○田中一君 提出された資料については、十分に検討をしてみたいと思うんですが、この問題について、道路局の方に伺つてもわからん点かと思うので、あとに議りますが、次に、第一次五カ年計画をお出し願いたい。そうして、年次計画がわかつているはずですから、第一次五ヵ甲計画の第五年目に当る、三十三年度事業の実態というものが、明らかになっているはずでございますから、それを資料としてお出し願いたい。これはむろん調製する必要もない資料だと思いますから、お取り寄せになって、第一次五カ年計画の総計と、閣議決定の額、閣議決定されたもの、それによって過去の三十二年度まで年度別に消化したものはどうなっているか、計画と実施との関係。それから第一次五カ年計画の五年目、すなわち第二次五カ年計画の初年度の分は、一つの考え方としては現われておるはずでありますから、直ちに第一次五カ年計画を提出していただきたい。同時に、それによって実績というものが加味されたものが検討されてあるはずでありますから、それもあわせて御提出願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/12
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013・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/13
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014・田中一
○田中一君 次に資料として要求したいのは、軽油引取税、これは地方税でありますが、それから地方譲与税、ガソリンの讓与税、これの府県別の過去の実績をお出し願いたい。同時に、三十三年度の見込額というものが考えられておると思いますから、それもあわせてお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/14
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015・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 揮発油讓与税、地方道路讓与税それから軽油引取税について、府県別の資料をというお話でございますが、これは自治庁と連絡いたしまして、こういう資料がありましたら提出することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/15
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016・田中一
○田中一君 きょう実は要求しなかったのですが、やつぱり自治庁と大蔵省が来てもらわんと審議の対象になりませんから、直ちに自治庁の小林財政局長と奥野税務局長、それから大蔵省からは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/16
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017・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/17
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018・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/18
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019・田中一
○田中一君 じや、大蔵省の場合は次回の委員会で質疑をいたします。とりあえず自治庁から二人の局長をお呼び願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/19
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020・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それじやひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/20
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021・田中一
○田中一君 第一次五カ年計画は、これはあなた方の要求する日も迫つておりますから、今すぐにお取り寄せになって下すつてもけつこうであります。お待ち申しておりますから。次回とか何とかといいますと、また時間がかかってもいけませんから、直ちにこの点は調整の上御提出願いたいと思います。その点はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/21
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022・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 第一次五カ年計画につきましては、至急に調製いたしまして提出をいたしますが、今すぐには間に合いかねますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/22
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023・田中一
○田中一君 そういう御答弁ということは、非常に意外に思うのですがね、事実第一次五カ年計画というものは現在も実施中なんであります。従って第一次五年計画の際に、われわれも財源確保の法律のときに、再三再四五カ年計画の提出を求め、そうしておそらくこれ以上のこまかいものが出たはずだと私は記憶しておるのです。法律を通した後になって、むろん閣議決定されて今日までやつておるものだと思うのでございますが、ついでに閣議決定のされた当時のものが、直ちに調製できないということはあり得ないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/23
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024・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) その成果は持っておりますけれども、印刷して整理してお出しする必要がございますので、しばらく時間をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/24
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025・田中一
○田中一君 それ拝見しないと、この建設省案として提出されるところの道路整備の五カ年計画は、この程度のものではのみ込みができないのであります。これはむろんあなただってこれで全貌がわかるというお考えで提案されたものではないでしょう。私ども求めておるものは、やはり第一次五カ年計画で決定された案の草案程度のものがほしいというとなんです。もしもそれらの第一次五カ年計画の閣議決定の計画が、このようなずさんというか、われわれ全然わからぬようなものでは困るわけなんです。そうして年々行なって参りましたところの実績というものは、おのずからあるわけなんですから、第二次五カ年計画を策定するに当つては、当然第一次五カ年計画というものに対して、十分に検討の上立案されたものだと思うのです。従って十分検討したという形のものくらいはあるはずだと思うのです。従って閣議決定の計画と、過去四年間事業の消化をして参りました実績というものを、あわせてちょうだいしたいのですが、その点はよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/25
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026・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/26
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027・田中一
○田中一君 いつお出し願えるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/27
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028・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 明日中に提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/28
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029・田中一
○田中一君 では私は、今提出された第二次五カ年計画の草案と、第一次五カ年計画の計画並びに実績というものとあわせて、次回にこの問題については質疑いたしたいと思いますから、これは本日はこの問題に対しての質疑は留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/29
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030・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ほかに質疑のある方は御発言願います。
ちょっと速記やめて。
午後二時五十五分速記中止
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午後二時五十五分速記中止
午後三時二十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/30
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031・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/31
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032・田中一
○田中一君 奥野さんにお伺いしたいんですが、地方税のうち、軽油引取税と地方道路税、この二つを現在まで各都道府県で徴収した実績ですね。これを一つお示し願いたいのが一つ、それから、三十三年度の見込額というものがあると思いますから、それも一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/32
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033・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 軽油引取税から申し上げますと、昭和三十一年度の実績が二十四億三千万円、三十二年度の見込みが五十五億一千四百万円、三十三年度が六十四億九千三百万円となっております。地方道路譲与税の方は、便宜府県分と五大市に分けてお話しいたします。三十年度の府県分が七十一億七千三百万円、三十一年度七十三億七千二百万円、三十二年度、これは見込みでありますが、百十億四千九百万円、三十三年度、これもやはり見込みでありますが、百二十六億九千三百万円、なお五大市が、地方道路譲与税としまして三十年度に五億三千百万円、三十一年度に四億六千八百万円、三十二年度に三億三千四万円、三十三年度四億六千万円。三十二年度と三十三年度は、これは見込みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/33
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034・田中一
○田中一君 ちょっとその数字、資料を出していただけるか、さもなければ、それをこちらへお貸し願つて、写さしていただけませんか。私、知りたいのは、五カ年計画が、一応の総ワクとして示されておりますけれども、この計画と、実際地方負担という面を考え議すならば、今説明された数字が府県別に知りたいんです。地方が負担能力がない面もあるのじゃないか。ことに今度の一級国道に対する、国の直轄になりますと、負担率を負担し得ないというような面も、道路網と地方の道路費に充てる税収というものとがアンバランスになつた場合、強制されることになります。今度の場合には、特別会計で、それに見合う地方負担分を借りることになりますから、そういう点について非常に懸念しているわけ三なんです。そこで、その資料をお出し願うとして、道路網、この法律の改正によって政府が行おうとする直轄管理、直轄新築改築、直轄維持管理、修繕も含めたもの、この計画と地方負担の計画とがどういう工合になるかということの実態を知りたいんです。むろん自治庁としても、そういう点をお調べになつたと思うんですが、五カ年計画の実態を、計画の閣議決定を見ないまでも、第一次五カ年計画というものが策定されてあるんです。そうして第一次五カ年計画の五年目が、第二次五カ年計画の初年度になっておりますから、過去の実績から見て、三十二年度のこの法律改正によるところの事業と税収とがどういう見合いになるかという点の御答弁を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/34
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035・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 軽油引取税と地方道路譲与税の総額は、大体二百億前後でございます。それに対しまして、府県の道路費の負担分として考えられております額が五百九十六億円くらいあるわけでございまして、従いまして、この財源以外に、基準財政需要額によりまして補償しておる額もございますし、むしろそれ以上に、府県が他の財源を捻出して追加していかなければならないのじゃないかというように存じておるわけであります。従って、また、この財源が、国で考えられております府県別の道路費には、今のところでは、とうてい満たし得ないものだというように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/35
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036・田中一
○田中一君 それに加えて五カ年間で、これはおそらく建設大臣は、五カ年間九千億の事業をやるのだと言っておりますけれども、この五カ年計画の第二次の案の草案を拝見いたしますと、一億九千万の地方単独工事というものは別だと、この計画外だということがはっきりしたわけでありますが、これを加えまして、一体地方としては、どういう年間負担になって、それが国の補助並びに地方税、二つの地方税から来るところの収入と見合つて、数字としてはどういう程度になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/36
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037・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) この今後の五カ年間分の計画は、実はまだ建設省の方で数字の御相談がないもんですから、われわれも見当がつかぬのでございますが、要するに、総体の計画でも、これもまあ直轄と、それから補助事業費の割り振りでもきまらなければ、正確なこともつかみがたいのでございますが、一応の概算の見通しは、千九百億の単独事業は別にいたしまして、五千六百億の公共事業につきましては、現行の、ことしの補助率を基礎にすれば、大体地方負担が一千億じゃないか、一千億ちょっと超えるかもしれませんが、そういう程度だろうと見当をつけておるわけです。そのほかに、まあ直轄事業に対する地方負担額がございましてこれは交付公債で払うわけですが、それが三百七十億前後になるのじゃないか。これは一応の推定ですから、数字が違うかもしれません。それでございますから、この一千億の経費を五年間で負担するとなれば二百億平均、こういうわけでございます。この二百億と申しますと、二百億に直轄の分が加わるわけです。二百億と申しますと、ことし、三十三年度の地方負担分が百八十三億円でございます。それでございますから、来年度以降は、どうせ五カ年計画通りおやりになろうとすれば、事業量が相当伸びんといかぬわけです。三十三年度では、とてもあんな計画ができませんから、事業量が相当ふえることになります。ですから、地方負担分だけでも二十億くらいは私はふえるのじゃないかと、そういう見当をつけております。そこで、今度は地方税の問題は、それは、先ほど税務局長が話しました数字がどれだけ伸びるかという、こういう問題が一つございます。あとは結局、一般財源がどこから出るかという問題でございまして、これはわれわれも、来年度以降一般財源がどう伸びるかという見当はつきません。要するに、道路財源だけでもかりに二十億伸びれば、それをさばきのつくように、地方財政の上におきましては財政計画を調整して作つていくと、こういうことになるだろうと思います。少くとも財政計画の調整できるような限度でほんとうの具体的な実施計画を作つていただくということにならざるを得ないと思います。
そこで、もう一つの問題は、補助率が確定せぬものですから、これはまあ計画の立ちようがないのですが、かりに補助率が来年でやめちまう、普通の道路法の原則でいくということになりますというと、地方負担の総額が千五百億ということになって、五百億ぐらいはふえるだろうという見当です。そのほかに、直轄事業の交付公債分が面億ほどふえるという見当でございます。それですから、そいつがあとの四年間にしわが寄るわけでございますから、どうしたって百何十億という数字がふえるという見当になりまして、これではまあ、地方財政計画の上じゃ、ちょっと今のところはもう計画が立つことが困難で、来年交付税はそうふえるはずはありませんし、税は普通の伸びで考えなければならぬ。普通の伸びで考える税ならば、一般の普通の公共事業も伸びるに違いないし、一般の経費も、当然にこれはふえるわけで、道路ばかり伸びるわけではございませんから、そういう一般の経費の増ということを一般の自然増収でまかなっていくことを考えなければいかぬのですね。それでありますから、補助率の引き下げだけに伴う増というものを一体どうして埋めるかということにつきましては、われわれ非常にこれは心配をいたしておるわけでございます。それがまあ総体計算の問題。それから、具体の計算の問題になってくるというと、まあ個々の府県について考えないといけませんが、これは、私が言うては語弊があるかもしれませんが、結局これからの仕事は、どっちかといえば弱小町村、裏街道の方にこれから仕事が伸びていく。表街道の方はだいぶ、どうせ緊急に整備されるに違いないから、そうすると、金持の府県の方が高い比率でいって、裏街道の貧乏な府県の方が今度それをつぎ込まぬといかぬ、そこで急激に仕事がふえていくと、こういうことになりますというと、個々の府県の問題といたしましては、これはなかなか容易ならぬ問題になりはしないかと、まあそこらの具体の計画を建設省の方でお立てになって、そいつに見合つてこっちが見当をつけんといけませんが、大ざっぱなことを大観いたしますというと、そういう点を非常に心配いたしておるのであります。それですから、空の計画を作るのなら、これは一向にかまいませんが、ほんとうに具体的な実施計画ということになれば、そこらの財源の受け入れ態勢を総合的に考えながらお考え願わんといかぬ。それと、もう一つの問題は、おそらくガソリン税はもう道路財源に特定しておりますから、ガソリン税は相当伸びますが、結局伸びた部分が、今までは地方の道路譲与税に使ったわけですけれども、みんなつまり国の経費に充てられるわけです。そうすると、それだけ仕事の伸びが非常に大きくなって、地方がまあ逆になると、こういう仕事の伸びが、またアンバランスがそこに生ずるわけでございまして、これもまた問題になってくる。それで、現在のおそらくガソリン税と地方の道路譲与税とのバランスというものは、大体今の五カ年計画を基礎にして、国費と地方費のやはり道路財源の公平な配分という見地から、補助負担率を前提にしながらこれはきめられておるに違いないのでございまして、そこのところが、これはまた食い違って来ざるを得ない。あとになれば、やはり特定財源だって、地方はそうなれば、特定財源をもっとふやすべきじゃないかというふうな論議も、私は率直に言って、巻き起る可能性がこれは出てくるわけでございます。そういう意味で、道路計画とともに、道路財源というものを総合的に考えないというとまあいかんじゃないか、だからこれはまあ新しい法律を別に作ることになっておりますから、その法律の際には、ぜひ、われわれとしては、そういう方向で法律を作るように、こっちとしても十分主張しなくちゃいかぬと、こういう見通しを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/37
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038・田中一
○田中一君 まことにわれわれが予想しておるような困難が、今の小林財政局長の言葉でも察知されるわけなんです。
そこで、もう一つ小林さんに伺いたいのは、第二次の五カ年計画というものは、すなわち第一次の五カ年計画の五年目に当るということになっておりまして、その第一次五カ年計画の閣議決定の実施計画というものを、あすかあさって当委員会に政府は出すことになっております。むろん、第一次五カ年計画の五年目に実施する事業が第二次五カ年計画の初年度の量と、初年度という観念から見合った量とが減ることはないだろう。ことに相当な伸びを示すのではないかという予想を持っておるわけです。そこで、第一次五カ年計画の五年目の計画というものは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/38
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039・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) ちょっと今知っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/39
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040・田中一
○田中一君 僕の言葉の言い方がややこしいから、わからぬかもしれないけれども、これはおわびしますが、建設省は、第一次五カ年計画を五年前に閣議決定をしております。その第一次五カ年計画の五年目が第二次五カ年計画の初年度に当るわけです。従って、第一次五カ年計画の実施計画の五年目の事業、すなわち三十三年度の事業というものの内容は御存じですかということを伺っておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/40
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041・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは、私率直に言いまして、手元に資料がございませんので、具体的の数字は知っておりませんが、結局、それぞれの年度の実施計画は、その当年度の予算の確定を基礎にしてきまって参りますから、まさしく三十三年度の計画というのは、われわれが今予算を基礎にして算定しておるものが具体的の計画だと言わざるを得ないと思います。その数字は、もちろんこれは、われわれも承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/41
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042・田中一
○田中一君 道路局長に伺いますが、その第一次五カ年計画にのっとつった三十三年度の計画だったんですか、それとも三十三年度は、第二次五カ年計画の初年度としての新しい構想のもとに生まれたところの計画だったんですか、三十三年度予算というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/42
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043・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 三十三印度予算は、第一次の残りを実施するということではなくて、新しい構想に慕いてやるわけでございますが、しかし、道路事業は継続して実施するものでありますから、個所がとたんに変るというものではなくて、従来の計画を計画通り実施するというのが大半でございます。ただ、そのやり方としましては、最近の交通情勢に応じた道路計画を立てなければなりませんので、従来の計画をそのまま踏襲しておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/43
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044・田中一
○田中一君 では奥野さん、先ほど申しました軽油引取税と地方道路税ですね、この二つの府県別、それから、あなたの御説明の資料にもあったように、府県別と五大都市別の過去の実績というものは、あの法律でできて、ちょっといつできたか、いつから実施しておるかちょっと記憶ありませんけれども、第一次5カ年計画にのっとった分でけっこうですから、一つ資料としてお出し願いたいと思います。この二点ですね、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/44
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045・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/45
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046・田中一
○田中一君 それから小林さんにお願いしたいのは、三十三年度の予算面に表われただけの事業費というものから見合つての地方財政というものじゃなくして、過去四カ年間実施した実績というものがあるわけですから、これと見合った地方財政と、道路費と地方負担というものは、奥野さんの方から提出される税収というもののほかに、一般財源からどのくらい出ておるか、同時にまた、起債の面、地方公債の面でどのくらいそれを補てんしておるか、その第一次五カ年計画の道路事業の面から見た計数を、プラス・マイナスを一つ府県別にお出し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/46
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047・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) できるだけ差し上げますが、道路費というのが、道路プロパーのものもあれば、特失とか臨就とかにまぎれ込んでいるものもありますし、ですから、多少数字はでこぼこが出るかもしれませんが、できるだけまとめて差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/47
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048・田中一
○田中一君 それは地方単独事業ですね。地方単独事業の府県別の五カ年計画の線に乗っている今までの事業、実施したところの実績を、これもお出し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/48
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049・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 決算を調べまして、差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/49
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050・田中一
○田中一君 私は、その点につきましては、これは日をあらためて、その資料が出てから十分に質問をしたいと思います。自治庁関係は。
それから大蔵関係は、次回の委員会で、主計局長に来てもらいまして、質疑を進めたいと思います。従ってきょうは、私の質問は、今御提出をお願いしましたところの資料に基いて、次回に質問することを留保します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/50
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051・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ほかに御質疑はございませんでしたら、きょうはこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01519580325/51
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052・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは、これにて散会いたします。
午後三時四十七分散会
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