1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月六日(金曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 堀川 恭平君
理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君
理事 二階堂 進君 理事 南 好雄君
理事 中島 巖君 理事 三鍋義三君
逢澤 寛君 荒舩清十郎君
井原 岸高君 大久保武雄君
川崎末五郎君 砂原 格君
橋本 正之君 服部 安司君
小川 豊明君 兒玉 末男君
東海林 稔君 塚本 三郎君
武藤 武雄君 山中 吾郎君
山中日露史君
出席国務大臣
建 設 大 臣 遠藤 三郎君
出席政府委員
建設政務次官 徳安 實藏君
建設事務官
(大臣官房長) 鬼丸 勝之君
建設事務官
(計画局長) 美馬 郁夫君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建 設 技 官
(道路局長) 佐藤 寛政君
建 設 技 官
(住宅局長) 稗田 治君
建 設 技 官
(営繕局長) 櫻井 良雄君
委員外の出席者
専 門 員 山口 乾治君
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二月四日
公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二二号)
同月五日
熱塩加納村の砂防えん堤工事促進等に関する請
願(八田貞義君紹介)(第九二五号)
城端八幡線の冬季交通確保に関する請願(松村
謙三君外一名紹介)(第一〇〇五号)
道路整備五箇年計画実施に伴う地方負担割合に
関する請願(小沢貞孝君紹介)(第一〇一〇
号)
同(松平忠久君紹介)(第一〇一一号)
同(下平正一君紹介)(第一〇三三号)
同(吉川久衛君紹介)(第一〇七三号)
夏川改良工事促進に関する請願(鈴木善幸君紹
介)(第一〇七二号)
国土開発中央自動車道建設促進に関する請願(
吉川久衛君紹介)(第一〇七四号)
横根地域の農地地すべり防止対策促進に関する
請願(田中角榮君紹介)(第一一二八号)
芋鞘新田地内地すべりによる被災民救済に関す
る請願(田中角榮君紹介)(第一一三三号)
主要地方道若松小出線改良工事促進に関する請
願(田中角榮君紹介)(第一一三四号)
は本委員会に付託された。
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二月四日
一級国道四号線の舗装等に関する陳情書
(第二五六号)
中央自動車道建設促進に関する陳情書
(第二五九号)
同
(第三二三号)
国、県道の整備強化に関する陳情書
(第二六六号)
同(第三
二四号)
水害防止対策事業促進に関する陳情書
(第二六八号)
公営住宅建設促進等に関する陳情書
(第二六九号)
砂防予算増額等に関する陳情書
(第二七〇号)
夏川改良工事促進に関する陳情書
(第三二五号)
夏井川川代地域の砂防えん堤工事費国庫補助に
関する陳情書(第
三二六号)
夏井川河川災害復旧工事促進に関する陳情書
(第三二七号)
利根川上流にダム建設促進等に関する陳情書
(第三二八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出
一二二号)
建設省関係重要施策(昭和三十四年度建設省関
係予算)に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/0
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001・堀川恭平
○堀川委員長 これより会議を開きます。
一昨日付託になりました内閣提出、公営住宅法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず提案理由の説明を聴取いたします。徳安政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/1
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002・徳安實藏
○徳安政府委員 ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として、昭和二十六年六月に制定されたのでありまして、以来七年有半にわたり、この法律に基く公営住宅の供給が、国の重要施策の一として強力に推進され、戦後における住宅難の解決のために大いに役立って参ったことは御承知の通りであります。しかしながら、この間における年数の経過に伴いまして、その管理については、公営住宅の目的から見て、不合理な面を生じ、これがため改善を要する点がかなり見受けられるに至っております。
すなわち、公営住宅法が、低額所得者に対して低家賃の住宅を供給することを目的としているにもかかわらず、一方においては、収入が著しく低額である者が第二種公営住宅にも入居できないという事態が生じているとともに、他方においては入居後収入が増加しすでに低額所得者とはいえない者が、依然として低廉な家賃で公営住宅に入居している事態が相当見受けられるのであります。
また、初期に建設された公営住宅の家賃は、その大部分が建設当初に定められた低い家賃のまま据え置かれておりまして、このままの家賃では、適切な維持修繕ができないばかりでなく、最近建設された公営住宅の家賃に比しその差が著しく、住宅の効用を考慮いたしましても、同一階層の低額所得者に対する家賃としては、はなはだしく公平を欠いている状態であります。
このような不合理を是正し、管理をより適正に行い、もって公営住宅法本来の趣旨に沿い得るようにするため、公営住宅の家賃の変更、割増賃料の徴収等について所要の規定を整備いたすこととした次第でございます。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次に本法律案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、公営住宅の管理の一般的義務として、事業主体は、常に公営住宅及び共同施設の状況に留意して、その管理を適正かつ合理的に行うよう努めなければならないことといたしました。
第二に、事業主体は、入居者の収入が著しく低額である場合は、家賃の減免をすることができることを明らかにいたしますとともに、事業主体が著しく適正を欠く入居者資格を定めた場合には、建設大臣はその変更を命ずることができることといたしました。これにより、収入の著しく低額である者の公営住宅の入居が容易になるものと考えております。
第三は、収入超過者に対する措置について必要な規定を設けました。すなわち、公営住宅は本来低額所得者に賃貸されるべきものでありますから、収入が一定基準をこえた場合には、引き続いて低廉な家賃で当該公営住宅に入居していることは適当と認められません。そこで、収入が一定基準をこえる者が引き続き三年以上入居している場合には、その者に対し当該公営住宅を明け渡するように努力義務を課するとともに、事業主体においても、当該入居者が他の適当な住宅に入居できるようにあっせんする等、その明け渡しを容易にするように努めなければならないものといたしました。
さらにこの場合において、入居者が引き続き当該公営住宅に入居しているときは、割増し賃料を徴収できることといたしました。この割増し賃料の額は、公庫公団等による住宅の家賃の水準をも勘案し、第一種公営住宅にあっては、その家賃の変更の限度額の〇・四倍、第二種公営住宅にあってはその〇・八倍に相当する額を限度とすることとし、入居者の収入に応じて政令で定めることといたしました。この場合において経過措置として、現在公営住宅に入居中の者につきましては、原則として三年間は明け渡しの努力義務及び割増し賃料に関する規定は適用しないことといたしました。
第四に、事業主体が家賃を変更する場合の合理的な限度を設けることといたしました。この家賃の変更の限度額は、建設大臣が政令で定めるところにより住宅対策審議会の意見を聞き、建築物価の変動を考慮して、地域別に定める率を当該公営住宅の建設に要した費用に乗じて得た額を基礎として、家賃を定める場合の限度額の算定の例に準じて政令で定めることといたしました。この限度額は、家賃を決定する場合の限度額とみなし、従って、この限度額以内で家賃を変更する場合号には、家賃を決定する場合と同様、公聴会を経ることを要しないものといたしました。
第五に、先ほど述べました家賃の減免、他の住宅のあっせん、割増し賃料の徴収等の措置を行うためには、公営住宅の入居者の収入状況を的確に把握する必要がありますので、事業主体の長は、これらの措置を行うため必要があると認めるときには、公営住宅の入居者の収入の状況について、当該入居者またはその雇い主、その取引先その他の関係人等に報告等を求めることができることといたしました。
以上のほか、公営住宅のより適正かつ合理的な管理をはかるため、事業主体の修繕義務の範囲、敷金の運用にかかる利益金の使途等所要の改正を行うことといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/2
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003・堀川恭平
○堀川委員長 次に、建設省関係重要施策に関する件につきまして調査を進めます。
前回の委員会におきまして、昭和三十四年度建設省関係予算につきまして、大臣並びに政府委員よりその概要の説明を聴取いたしたのでありますが、本日は、引き続きその説明に対する質疑を行います。二階堂委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/3
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004・二階堂進
○二階堂委員 私は、昭和三十四年度の建設省全般の予算に関連いたしまして、基本的な建設行政の諸問題につきまして大臣の所信を承わっておきたいと存じます。
昭和三十四年度の建設省関係の予算は、非常にりっぱな予算だと考えております。なお自由民主党が公約をいたしました、一兆円道路の実施についての予算も大幅に増額されております。なおまた治水対策の予算につきましても、従来のような災害復旧の跡片づけをするといったような治水対策から一歩前進をいたしまして、積極的な治水対策並びに災害復旧等をさらに進める積極予算が盛られておることを非常に喜ぶものであります。なおその他下水の問題にいたしましても、あるいは住宅対策の予算にいたしましても、非常な積極性が見られておるのでありまして、全体として、先ほど申し上げましたように、本年度の予算は非常によくできておる、またこのような予算を考えまして、国民の期待も非常に大きなものがあるのではなかろうかと考えております。
私は、本日はいろいろこまかい点につきましては、法案と関連をいたしましてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、時間も限られておりますので、おもな点についてだけお尋ねをいたしたいと思います。このように国民が非常に期待をしておる予算であるだけに、政府とされましても非常な努力と、また腹を据えてこの予算の実施に努めていただかなければ、国民の期待を裏切るようなことが結果において出てくるということになりますと、大へんな問題になろうかと考えますので、この予算の実施につきましては、相当大臣の政治力、今後の事務当局の実施に対する努力を期待いたさなければならないわけであります。
そこでこの予算は、昨年に比較いたしましても、公共事業関係で四百億近くも膨張しておると考えられます。この非常に膨張した予算を執行するに当って、従来の予算執行の過去の経験等から考えてみまして、これだけの大きな予算を執行するについて、いろんな支障が出てくるのではなかろうかと懸念をされるのであります。
第一に考えられますことは、御承知の通り、昭和三十三年度の予算の執行その他のことを考えてみましても、相当の散布超過があるといわれております。なおまた三十四年度の散布超過につきましても、相当な額が予想されるのではなかろうかと考えております。一面におきましては、金融政策等をよく考えて、これらの散布超過に対する財政金融上の適切な措置を政府はとるとはいっておりますけれども、このような散布超過を予想されるときに、なおまた公共事業関係で膨大な費用が流れていく、この膨大な予算に伴って、また大きな資材等の消費が予想されるわけであります。鉄材にいたしましても、セメントにいたしましても、木材にいたしましても、また相当な河川、道路、あるいはダム等の大規模な仕事が施行されるにつきまして、膨大なそれに必要な用地なんかが、相当関連して使用されなければならないわけであります。そういたしますと、このインフレを懸念される今年の経済界において、このような膨大な資材が使われるという予想が一応考えられるわけでありますが、もしかりにこういうような刺激が経済界に与えられると、物価の騰貴を来たすような懸念があろうかと私は考えられるのであります。もちろん政府全体としても、この物価の高騰に対する施策はお取りになろうかと考えるのでございますが、このような物価の値上りというものを大臣はどういうふうにお考えになっておるか。またこれらに対する政府としての施策、これは建設大臣の所管ではないかもしれません、政府全体の責任であろうかと考えますが、これらの点についてのお考えを承わりたい。
さらにまた世間では、非常に公共事業関係の予算がふえた、一般には土木予算だといわれているくらい公共事業関係の予算がふえておりますが、このように物価の値上りが必然的に起って参ることによりまして、実際の単価の上にこれが相当影響して参りますと、国民が期待したほどの事業量の伸びがなくなるのではないかということも、一面において考えられるわけであります。そこで、先ほどお尋ねいたしましたような諸点につき、大臣のお考えをこの際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/4
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005・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 三十四年度の予算の編成に当りましては、委員各位の直接間接の御援助をいただきまして、必ずしも満足ではございませんけれども、ある程度の国民の期待に沿うことができるような予算ができましたことに対して、私はこの席を拝借して、厚く感謝を申し上げたいと思います。
御指摘のように三十四年度の予算は、建設省関係でほぼ四百億程度の増額を来たしております。事業分量から申し上げますと、三千六百億円程度の事業分量になって参ります。事業分量の増額は、昨年の予算に比べまして約四百四、五十億円の事業分量の増加になって参りまして、非常に膨大な予算になって参りましたが、ただいま御指摘のように、これが物価に及ぼす影響は相当大きいと思います。今私が簡単に計算をしてみたのでありますが、この予算を施行して参りますと、鋼材関係におきまして四十一万八千トンばかり必要になって参ります。これは、昨年に比べまして約六万四千トンばかりの鋼材需要の増になって参ります。さらにセメントについてみますと、四百十一万九千トンのセメントが必要になって参りまして、昨年に比べますと——昨年といいますのは本年度でありますが、三十三年度に比べまして、四十七万九千トンの需要増加になって参ります。それから木材について申し上げますと、八百十三万八千石の木材が必要になりまして、四十八万五千石の増を来たすような結果になって参ります。これは、いずれも三十三年度の資材必要量に対して、三十四年度の資材必要量が増加してくる分であります。これらの問題を手放しでやって参りますと、相当影響があります。かたがたただいま御指摘のように、住宅建設もだんだん進んで参りますので、土地の価格の問題についても、相当の影響があると思うのであります。これらの問題につきましては、注意深くそれぞれ資材の手当をやっていく、そうして必要に応じてそれぞれの資材の増産の計画を立て、あるいはストックを持っておるものについては、そのストックの適当な利用方法を考えていくというようなことをやりまして、従来あまりこういう方面に力を尽しておらなかったきらいもありますので、今回の三十四年度の予算の施行に当りましては、こういう点についても十分注意を払って参りたい、こういう考えでおります。
日本全体の経済の動きについては、先ほども御指摘がございまましたが、今回の予算を施行して参りますと、二千四百億円の散布超過になって参ります。この散布超過は、対外収支の関係で一億六千万ドルの黒字になるという計算の上に立った場合に、二千四百億円の散布超過になるのでありまして、この対外収支がもう少し黒字が大きくなって参りますと、この散布超過の金額もふえて参ります。御承知のように昭和三十三年度は、一千五百億ないしは二千億以上の散布超過の帳じりになってきておるのでありまして、これらを合せて参りますと、景気に対して、よく使われております過熱的な現象が相当現われてくるおそれもございます。そういう点については、経済一般についての重要な仕事として、大蔵大臣もきわめて注意深く、あるいは日銀のマーケット・オペレーションを強く推進していくとか、あるいは準備金の制度を考えていくとか、いろいろなことを工夫しておるようでありますので、これに協力して参りまして、日本経済全体が安定していく方向に、私どもも全力を尽し協力すると同時に、今後資材の問題については、その需給関係のアンバランスからくる部分的なインフレ的な傾向が出てこないように、注意深く進めて参りたい、こういう考えでおることをお答え申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/5
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006・二階堂進
○二階堂委員 私も物価騰貴等の現象が必ず起るのではないかというふうに考えてお尋ねをいたしたわけでございますが、さらに大事なことは、先ほどから申し上げておりますように、膨大な建設関係の予算をいかに円滑に、しかも国民の期待に沿うように実施するかということが、大臣に与えられた重大な責任であろうかと思って私はお尋ねをいたすわけでございます。これらの予算を実施するに当りまして、今申し上げましたようなことも、十分一つ注意をしていただかなければなりませんが、さらにまた来年度昭和三十四年度の予算を見てみますと、ダムの工事等がさらに促進される、また公団道路、あるいは一級国道、その他東京都内における首都高速道路等の建設が始まるわけであります。このような場合に一番大きな問題になりますのは、やはり用地の取得の問題であります。これは、現に昭和三十三年度の予算の執行に当りましても、執行がおくれておる一つの原因は、やはり用地の取得に相当な長期間にわたる紛争があったとかいうようなことが原因で、執行がおくれておる面も多々あるわけであります。それにさらに何倍もするような大きな事業を、建設大臣としては実施されるわけでございますが、この用地の問題にからんで、相当大臣の政治力を期待しなければならぬ問題が今後も起るだろうと考えておるわけであります。具体的になりますが、来年度、昭和三十四年度にダムを相当作られるので、このダムを作るに必要な用地とか、あるいは宅地の移転並びに国道関係について、農地その他一般の土地を取得しなければならないような、問題になるような個所が相当多いと思われるのです。なおまた、東京都の道路を作る場合におきましても、用地の問題の解決に相当な力が払われなければ、思うように仕事ができない、こういうふうに考えます。従来この用地の問題につきましては、当局が非常な心配をしてこられたところでございますが、昭和三十二年度においても、たとえば道路の直轄事業につきましても、用地買収、物件移転費等の事業費に占める割合というものは二〇%以上に達している。さらに都市計画につきましては、五五%にも達している。このような状態であります。さらに本年度、昭和三十四年度の予算との関係を考えてみましても、これらの割合というものが相当大きなパーセンテージを占めていくんではなかろうかと思われますが、こういうような総事業費の中に占める用地等の関係が、一体どういうような比率になっておるのか。さらにこの用地の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、地価が非常に上昇の過程にあることは御承知の通りであります。昨年の一般の土地の値上りを考えてみましても、一般物価の値上りに対しまして、約一倍半以上になっております。こういうような土地の値上りのことも予想されるのでありますが、これらの土地の値上り等に対して、どういうふうに考えておられるのか。なおまた、補償費の問題、これはいつも問題になりすが、一般の補償、公共補償、生活補償、あるいは権利に対する補償、こういうようなものが関連して必ず問題になると私は考えるのであります。なおまた、評価等についても、ここでくどくどしく申し上げませんが、いろんな問題が起ることは当然であります。
今申し上げましたような、たとえばダムあるいは直轄道路、都市計画等、これらの総事業費の中に占めるところの用地費、あるいは物件移転補償費等の関係というものを、一体どの程度に考えられておるのか。また用地の値上りあるいは補償の問題に関して、これを解決するのにもっと積極的な考え方をもっと善処していただかなければ、たとえば公団の道路の促進にしましても、あるいは東京都の高速道路の仕事にしましても、非常におくれてくるような結果にならぬとも限らぬ、こういう点について一体どういうような考えを持って仕事をおやりになるつもりか。もっと突き詰めて申し上げますならば、これらの仕事を敏速に進めるために、土地収用法を将来改正せられるような御意思があるかどうか。道路にしましても、五カ年計画のうち向う三カ年あるわけであります。さらに建設関係の大きな予算を執行されるためには、用地が非常に大きな問題になってくる。これを従来のような考え方で処理していくならば、大きな支障が出てくる。これを解決するのに長期にわたっておったのでは、結局予算の執行が思うようにできない結果になってくる。こういう問題に対して、どういうようなお考えで進めていかれるのか、お考えを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/6
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007・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 ただいまの御質問の中に、二つの重要な点が含まれておったと思うのであります。
第一は、この膨大な予算を消化していく、完全に実施していく場合に、その用意があるか、これが重要な一点だと思います。この問題につきましては、御承知のように、道路について申し上げましても、三百十億円内外の増額になって、事業の分量が膨大にふえて参ります。従いまして、この事業を実施して遺憾のないようにするために、どうしても人員の整備をしなくてはならぬということで、大体二百九十人ばかり道路関係の職員の増加をいたしました。今、一方においては失業者がおりますけれども、他方において、その技術者が足りなくて弱っている。ことに道路とか河川など、ほんとうに役に立つ技術者がおりませんので、これから技術者の養成も組織的にやっていかなければならぬと思うのであります。さしあたり今年度の予算を消化するために、これを完全に実行するために、人員の整備をやっていくという考えをまず持ったのであります。そうして人員の整備をやって、それぞれ担当の部面について、全力を尽して事業の実施を進めていくという考えを持っております。
第二点の問題は、これをやっていく場合、用地買収その他で非常に困難を来たしはしないか、ことに土地の価額が値上りになって困りはしないか、さらに、用地買収が進まなくて、せっかくの道路計画、あるいは治水計画も進まないおそれがあるではないか、こういうお尋ねであります。これも非常に重大な問題でありまして、最初からこの問題について私どもこまかい注意を払ってきたのでありますが、用地買収の問題につきましては、昨年暮れ近くになって、土地収用法の運用について、もう少し勇敢に、しかもそれをことさら回避するような態度でなくして、よく関係者に周知徹底をせしめて、早く事を運んでいくということをやってみたらどうか。今までの土地収用の手続を見ておりますと、平均いたしまして一件について二百五十日くらいかかっておるのであります。こういうことをしておりましたのでは、とうてい仕事が進まない。しかし、一方においては、個人の所有権の問題に触れるのでありますから、簡単に取り上げられたんではかないません。そこはきわめて民主的に運ぶ必要がありますけれども、同時に、仕事をどんどん進めていく必要がありますので、一応土地収用法の運用について、各都道府県知事にもっと促進をしてみたらどうかという通牒を出しまして、今その運用の経過を見ておるわけであります。これを督励いたしまして、問題点を明らかにすると同時に、それをどんどんどんどん進めていく態勢に持っていきたいと思っております。しかし、御指摘のように、今回の予算では、首都圏の高速道路の予算が決定しておるのでありまして、三十五億円程度首都高速道路のために投ずることになっております。特に首都圏の道路をやって参りますと、非常に用地問題がやかましく出て参りまして、これは、用地問題について特別のやり方を考えていかなくてはいかぬのではないか。今アメリカが公共事業をやる場合にとっておりますような、ああいう価格の評価についても、有識者が集まって、ごく公平に、ここの土地はこれだけの価格だというふうなことをきめて、そうしてそれを一つの基準にしてずばずばと解決していくような、所有者の利益も考え、国の方の工事を施工しなければならぬという立場をも考えて、公平な機関を設けて進めるようなことを考えてみたらどうかということで、今事務当局に具体的な案の検討を命じております。成案ができ次第、促進についての一つの具体的な制度を作って参りたい、こういう考えを持っております。
なお用地買収等の予算が非常に多くなっておりまして、今官房長からこの紙が回ってきたのですが、事業費に対しまして、ダムは二〇%だそうであります。道路は二〇%ないし三〇%の用地費がかかっておるようであります。しかし、この用地費はやむを得ない費用でありまして、それをむやみに安く買いたたいてしまうことは、国民のためにとらないところでありますから、相当な値段で無理のない値段で、話し合いでもってどんどん進めていくという態度をとる以外には仕方がない。このために予算がかかっても、私はやむを得ないと思うのであります。そうして納得の上で公共の施設を作りたい。政府の考えをよく了解をしていただいて、そして積極的に地元の人たちに協力をしていただく。そういう姿勢で私は参りたいと思います。用地問題については、単にそういう法律的な立場から考えるのみでなくして、さらにまた公団の住宅等については、用地の取得について、あるいは住宅地の造成等についても、今回の予算には若干の経費を計上してございます。こういう問題についても、十分にこれを活用して、そして用地費等がむやみに上らないようにやっていくことが必要だろうと思うのであります。ただいま御指摘の点については、われわれも重々考えておったことでありますし、しかもこの問題は、非常にむずかしい問題でありますので、今後十分勉強して、御質問の趣旨に沿うようにやって参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/7
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008・二階堂進
○二階堂委員 これは、非常に大きな問題であろうかと思って、大臣の考えを承わったのでありますが、具体的にいろいろ御検討なさっておるようでありますのでそういうような検討をさらに加えられ、落度のないような処置をとっていただきたいと考えるわけであります。特に農地などの買収等が必要になる個所が相当多いと思います。これらについては、従来も非常に問題があったところであります。
さらにまたこの用地の取得等に関連いたしまして、本来ならば純然たる経済問題であるとか、あるいは法律問題であるといったような問題であるにかかわらず、これらの問題が、最近は、非常に政治的に利用されておるような傾向もあるわけであります。こういうこと等につきましても、どうしたら、いいかというような考え方を、一つ積極的に持っていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいのであります。
さらにまた、このような土地の買収等についての手続の簡素化というようなこと等につきましても、もう少し私は簡素化する必要があろうかと考えておりますし、特に農地等の関係は、農林省等の関係もありますし、さらに国立公園等の中を通る場合には、林野庁の関係の用地の問題等もありますが、話し合いに非常に時間がかかる、手続が非常に複雑になっておるというようなことなども、従来の用地取得の困難な一つの要因になっております。こういう点につきましても、関係各大臣と積極的に話し合いをされて、法制等の改正が必要であるならば、そういうような準備を進められることが、私は適切なことではなかろうかと考えております。まだいろいろお尋ねしたいことがありますが、用地等の問題につきましては、この程度にいたします。
さらにもう一点お尋ねしておきたいことは、なるほどことしは国の予算が非常に大きくなっております。事業量も、建設関係は特に大きくなっておることは、先ほど申し上げた通りでありまするが、問題は、これを受けて立つ地方の側であります。地方財政は、最近いろいろ問題が起っておりますように、相当な財源の不足を来たしておるというような声も出ておるわけであります。こういうようなときに、臨特の廃止によりして、補助率等が非常に減っております。従いまして、国が大きな公共事業を、全額国の負担になっておるものは別としまして、地方の負担を伴っていくようなものの事業量がふえて参っております。事業量そのものはふえても、地方の負担能力がないというような現象が必ず起ってくると私は思う。私は、本年度の建設省関係の予算執行に当って、非常に大きな問題点をここに一つ投げかけておると思います。もちろん地方との財源調整につきましては、大蔵省当局も自治庁と怠りなく交渉をいたしておるようでありますけれども、しかし地方の方から申しますと、これは大へんな負担になるわけであります。これらの負担を地方が背負い切れないといったような事態が起って参りますならば、せっかく大きな仕事をやろうという大臣の意図に反するような結果にもなりかねないと考えるわけであります。先日自治庁の発表による地方財政計画を見てみますと、一兆三千三百四十一億円の計画を立てておりますが、これは三十三年度に比べますと、一千十八億の増加になっておるといわれております。公共事業費についてだけ申しましても、約四百億の歳出増であります。これは、地方の団体においては、選択の余地のないところの歳出増であります。地方は、減税と公共事業費の増大と、さらに国庫補助の減額あるいは打ち切り等によりまして、財政計画上約二百億に近い不足が見込まれておる、こういうことをいっております。もとより国が河川や道路の仕事を一生懸命やれることは、いいことであります。いいことでありますが、それに伴って地方の負担が非常に増額されてきておる。道路や河川、都市計画等の事業等を見てみましても、地方負担の増額が約二百十八億程度といわれておるわけであります。さらに直轄事業の増加に伴う交付公債の発行額の増加が、約二百十億といわれております。これらも、やはり地方の財政を将来長きにわたって圧迫する一つの材料であります。このような地方財政の負担等をどういうふうに調整していかれるのか、これは、もちろん自治庁や大蔵省との折衝の問題ではありましょうが、私は、ある知事にきょうも聞いたのでありますが、国は河川や港湾、その他の仕事を進められておりますが、私の県は、とうてい地方の負担に耐え切れません、あれだけの仕事はやれませんということを申しておりました。こういうような現象が私は起ってくると思うのでございますが、こういうような公共事業全体の仕事を進めていかれる上において、地方との負担の関係を、これは現在もいろいろお話し合いなさっておられると思うのでありますが、こういう調整を、一体どういうふうにお考えになっておるか、重大な一つの問題であります。臨特廃止に伴う地方負担の問題、これは将来の問題でもありますし、また政府全体の問題でありますが、大臣のお考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/8
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009・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 公共事業を実施して参ります場合に、地方負担の問題が現在の段階におきましては最も大事な問題であることは、今二階堂委員御指摘の通りであります。従いまして、私は予算の編成の途上におきましても、事務当局に非常に厳重に言っておりましたことでありますが、地方財政をもう少し勉強しておいてくれ、地方財政の方の事情がはっきりしないと、せっかく予算は組んだけれども、地方の方がこれを返上せざるを得ないような状況になるおそれがある、でありますから、地方財政を自分の仕事のように思って一つやっておってくれということを、常に私は言っておったのであります。そこで、事務当局としましても、この問題については非常に精細な検討をしてくれておりましたので、大体地方の財政と今回の公共事業との関係を、ここで私は皆さんに申し上げておきたいと思います。
今回の建設省の予算を執行していく場合に、地方財政、つまり地方負担がどの程度かかるかと申しますと、直轄事業におきまして百五十億円であります。そうして補助事業が五百四十三億円になります。合計いたしますと六百九十三億円が地方負担になって参ります。六百九十三億円の地方財源を考えてやらなければ、今回計画しておりますところの三十四年度の建設省関係の公共事業の施行ができない、こういうことであります。そこで、この六百九十三億円という数字は、昨年に比べてどの程度ふえておるかといいますと、百三十七億円の増加になります。それだけ地方財政の方の膨張になるわけであります。この百三十七億円の増加の内訳を見ますと、直轄事業が五十億円であります。そうして補助事業が八十七億円になります。その直轄事業五十億円の内訳を計算してみますと、一般会計が十七億円であり、道路特別会計が二十三億円、ダム特別会計が十億円でございます。それから補助事業の八十七億円の内訳を見ますと、一般会計分として二十五億円、道路特別会計が五十六億円、住宅施設の関係が六億円、こういうことになります。ところが御承知のように、直轄事業の方の五十億円は交付公債でまかなって参りますから、交付公債計画でもってこれをつっくるんでいくことができます。補助事業の負担額の八十七億円の増額をどうして地方はまかなっていくかという問題でありますが、この補助事業のうち道路特別会計の分の五十六億円というものは、地方の道路財源がふえて参りますので、それでまかなうという計画になります。地方の道路財源は幾らふえるかといいますと、軽油引取税が七十一億円ばかりふえることになって参ります。地方道路税の増が十七億円であります。合せて八十八億円ばかりふえて参りますから、五十六億円の道路特別会計の方の負担増の問題に対しては八十八億円の収入増が地方団体の方に出て参りますから、これで十分間に合っていける、こういう計算が出て参ります。そこで、道路特別会計以外の補助事業の負担増の残りが三十一億円でありますが、この三十一億円は、地方税の収入の全般の増が、今回の予算におきまして五百六十二億円になり、起債の方の増が六十五億円になっておりますので、この全体の増の中からまかなっていく、この点については大蔵省自治庁とも十分打ち合せまして、十分間に合うという計画になっておるわけであります。この建設省の事業を執行していく場合に、地方財政が苦しくてこの事業の返上をしなければならぬというようなことが出てこぬように、なお、単に数字をながめるというだけでなくして、実際の運用にこまかな指導をして参りまして、遺憾のないようにして参りたい、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/9
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010・二階堂進
○二階堂委員 ぜひ一つ、そういう点につきましては十分注意をしていただきまして、地方の団体がこの国家の大きな予算の趣旨を十分生かすことができるように、今後大蔵省、自治庁とも一つ十分御連絡をとって仕事を進めていただくようにお願い申し上げておきたいと思います。
さらにもう一つ、この予算執行の上について、問題は、従来建設事業を推進される場合に、もとよりこれを実施する省は建設省でありますが、これをいよいよ入札に付し、仕事をするまでに至る過程において、起債に関連する自治庁、予算折衝に関連する大蔵省、その折衝に非常な手間がかかっていることは、私が申し上げるまでもないのであります。特にこの大蔵省の予算執行に関する今までの考え方と申しますか、あるいは会計法上の手続と申しますか、そういうようなことで、建設省の事務当局自体においても非常な心配をいたしておることは、私もしばしば経験をしておるところであります。こういうような大きな仕事を推進する上におきましても、大蔵省当局の事務官、主計官等が、建設省で計画した設計をさらに再検討する、そうして微に入り細に入って、そのいろいろな技術上の問題点についても、干渉ということを言うとはなはだ語弊があるかと思いますけれども、干渉に近いような態度でもって、予算執行にいろいろ言い分をつけてきておる。そのために、予算の執行がおくれてきているというような場合がしばしばあるのであります。私は、建設省関係は、本年はそういうようないろいろなことで執行がおくれているものはないと思っておりますが、特に昨年度等は非常にひどくて、私ども政務次官会議におきましても、このような問題を取り上げて、閣議で問題にしたこともございますが、これは、会計法という一つの法律による手続上、そういうことになっておるかとも思われます。一つ一つ当局が設計を立てて、大蔵大臣の承認を受けなければならぬというようなことが、財政法の第何条かに規定されておるようでございますが、こういうようなことは、私は、将来改めるべきではなかろうかと考えております。そのために、事務当局も非常に何べんもの折衝に時間をとられる。当然これはもう予算上含まれておるものが、仕事をする段取りになってくると、自治庁の折衝にひっかかる、わけても大蔵省との折衝に長時間を要する、こういうようなことが、今日までしばしばあったわけであります。先ほどから申し上げておりまするように、ことしの予算は大きいだけに、早くことしの年度初めから仕事にかからなければいけないというようなことも、私が申し上げるまでもないのでありまするが、先ほどいろいろ申し上げましたような、予算執行上について問題がある上に、さらに大蔵省その他の関係省との間の事務的な折衝に非常に時間がかかるというようなことであってはいけないと私は思っております。大臣は、こういうようなことを十分知っておられると思うのでありますが、将来、予算執行に関する会計法のそういうような非常に支障になっておるような点を、改正する御意思はないか。これは、私はできなければ、われわれ議会の議員の仲間においてでも、会計法の改正等を議論し合ってみたい、こういうふうにも考えておるわけでありますが、こういうことが従来しばしばありましたので、今後そういうような事務折衝に、一つ一つ大蔵省の主計官あたりが、さらにその計画について詳細な検討を加えて、くぎの長さまで干渉するというようなことがあってはならない。そういうことがないように、一つ大蔵省当局とも十分打ち合せをして、善処していただきたいと思いますが、これらの点について、一つお考えを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/10
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011・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 ただいまお尋ねの事業施工上における対大蔵省問題ですが、これは、私も長い間経験をしておりましたし、その点が非常に事業の施工をおくらせる大きな原因になっておったこともよく承知しております。特に今回は、御承知のように昨年の暮れまでに公共事業の繰り上げ施工をどんどんやって参りました。従って昭和三十四年度の予算を施行する場合におきましては、前年度においては七十億円内外の繰り越しがあったのでありますけれども、今度はその繰り越しが非常に減っておりますので、四月予算が通りましたならば、すぐ着手ができるようにして、予算が通る前にあらかじめその用意をしておきまして、そうして予算が通り次第、四月早々から予算が執行できるような態勢にしておきたいと思いまして、事務当局も今せっかくその準備を進めております。この点については、大蔵省とも完全に意見が一致しておりまして、あらかじめ用意をしてくれ、ずっと用意をしておいて、四月予算が成立すると同時に、そのとたんにもう仕事が始まるような、そういう態勢にしたいと思っておるのであります。しかるに今御指摘のように、大蔵省が予算を施行する場合に、一つ一つの計画について検討を加えておる、これは事実でありまして、これは、やはり相当大幅にまかしてもらわなければやっていけないのじゃないか。早くやれやれといっても、全国の各県の計画がずっと出てきて、そして全体の計画をまとめることになりますと、非常におくれておる県もあるし、進んでおる県もあって、それをまとめますと、また相当の期間がかかってしまう。それをまた全部一本々々査定することになっていきますと、非常におくれますので、一方においては、財政の支出の方の面からいいまして、一兆四千百九十二億という金がそこにあって、それを使うのではなくして、漸次収入が上ってくるのを使っていく、その収入の上り工合と支出の方とをにらみ合せていくという大蔵省の立場もよくわかるのでありますが、だからといって、個々の事業にこまかいことを干渉してこられたのでは、仕事が進みませんから、この点については、非常に問題がありますので、私は十分大蔵大臣とも話し合ってみたいと思っております。そのことは、今事務当局にも頼んでおりますが、事務当局としては大蔵省に遠慮して、なかなか大蔵省の役人のやっておることが悪いようなことを言わないのであります。言わないのですけれども、やかましく言っておるわけです。そして、大蔵省も決して事業をストップするということが趣旨ではないのでありますから、話し合えば必ずよくわかってくれる。そして、大蔵省も事業を促進するということに協力していただく。お互いに話し合いをして、今までおくれておったようなものについては、そういうおくれることがないように、今度は一つ手ぎわよくやっていきたい。三十四年度の予算は手ぎわよくやって、この委員会でもあまり小言を一言われないで、ほめられるような施行を一つやってみたい、こういう考えでおりますことを御了承いただきたいと思います。
〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/11
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012・二階堂進
○二階堂委員 手ぎわよくやっていただきたいと思うのでありますが、やはり大蔵大臣等との話し合いも相当積極的にしていただいて、手ぎわよく仕事がやれるようにしていただきたい。これは、大臣の政治力に期待しなければならぬと思うのでありますが、私は、やはり会計法そのものにも欠陥があると思うのでありまして、この問題については、私どもはまた委員の立場において、一応検討してみたい、こういうふうにも考えております。
さらにもう一点、最後にお尋ねいたしたいことは、建設行政全般にわたる予算の問題であります。将来の予算の財源措置に対する問題であります。御承知の通り、本年度の予算をいろいろ私も新聞その他で見ておりますと、本年度は、昨年度、あるいは三十三年度の余裕財源、あるいはたな上げの財源というようなものがあって、それらを十分使ってりっぱな予算を組んでおります。問題は、三十五年度以降の財源の措置の問題であります。道路の予算にいたしましても、今年度は、一般財源からようやく百億投入いたしておりますが、われわれといたしましては、この財源の措置についてもいろいろ問題がありまして、少くとも百五十億以上の一般財源を道路財源にも投入せよという主張をいたして参ったのでありますが、大蔵省当局との了解ができずに、ようやく百億程度の一般財源を入れておるというような結果でございますが、三十五年度以降の一般財源等の問題を考えてみましても、相当問題が出てくるのではなかろうかと考えております。
なおまた、道路をよくすることには相当な金が要るわけでございますが、この費用の大部分をガソリンの値上げにばかり待つということも、御承知の通りいろんな問題もあります。しかしそれらの議論は別といたしまして、三十五年度以降の財源措置を一体どういうふうにするのか。また治水対策の問題にいたしましても、ことしは大幅な予算の増額ができて、事業量そのものも、臨特令の廃止に伴って相当大幅な増加が見えておりますが、私どもはこの予算編成の途上におきましても、治水の事業につきましても、積極的な予算措置を講じてもらいたい。これはもう治水公債を発行すべきじゃないか。あるいは道路の財源にいたしましても、道路財源の確保に公債政策をとるべきじゃないかというような議論も強くいたしたのでございますが、本年度は、この公債に踏み切ることはどうしても大蔵大臣が返事をしなかった。ところが三十五年度以降の財源の問題をいろいろ考えてみますと、余裕財源もそうない、たな上げ財源もない。ほとんどこの財源を食いつぶしてしまったような状態である。こういうような財源を考えて、建設事業のふくらんでいきます将来を考えてみますと、どうしても財源の点について、思い切った踏み切った政策をとらなければいけない段階にきているのではないか。特に治水対策の予算等につきましては、私どもは予算編成の最中におきましても、ダム特別会計というような特別会計の制度があって、借入金等を行なって積極的にダムの治水対策を行なっている。これと同じような考え方で、この治水事業を促進すべきじゃないかということを強く主張いたしたわけであります。これも、やはり公債政策といった方向に踏み切っていく一つの前提である。そういうような措置をとらなければ、来年度以降一般財源から大幅な道路予算であるとか、あるいは治水の予算というものを確保することが困難ではなかろうかという見通しを、私は立てておるわけでございますが、このような将来の、三十五年度以降の財源等について、一体どういうお考えでおられるのか、大臣の所信をこの際承わっておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/12
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013・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 三十五年度以降の公共事業の財源の問題については、実は昨日、一昨日も予算委員会でいろいろ論議になった点であります。なるほど三十四年度は、相当いろいろな財源を食いつぶしております。しかし一般論といたしましては、三十四年度の経済の上昇、それからくる税収入その他の自然増収の問題が相当大きく働いてくると思うのでありまして、三十五年度の予算の編成については、なるほど一千億近い財源を三十四年度に食いつぶすことは食いつぶしたのですけれども、三十五年度の予算については、まだいろいろ手があるというふうに私は見ておるわけであります。特に治水公債の問題でありますが、私は、三十五年度には公債政策に転換をしていくというふうな意味で、特別会計を作って治水関係の財政投融資を要求しておったのではなかったのであります。昨年の暮れの国会におきまして、しばしば治水関係において五カ年計画を定めて、そして特別会計を作り、その特別会計に投融資の形でもって借金をして、治水事業の事業分量をふやしていきたい、そうして国民の要望にこたえたいということを私は申し上げておったのでありますが、今回この五カ年計画も、三十四年度は一応見送って参りまして、来年三十五年度にはっきりしたものを作るという閣議の了解を得まして、今検討を続けておるところであります。
そこで私の考えておりますのは、来年度はどうしても特別会計を作ることになっておるわけでありますが、その特別会計を作る考え方は、一般公債政策に転換をするという意味でなくして、財政投融資の形で現在の必要に対して投入をしていきますけれども、それを十年なりあるいは十五年の長い将来においてくずしていく、返済をしていくという建前、今の人が全都道路を直してしまい、あるいは河川を改修してしまうということになりますと、あまりに負担が多くなりますから、それを日本の国民全体が長い間にくずしていくという考え方をとるべきであるという考えであったのであります。しかも、その財政投融資を投じていくという考え方は、先ほども申し上げましたように、二千四百億円以上上の散布超過になっていくものをそのまま自由に民間の資金の動きにまかせておきますと、かえってインフレを刺激していく。ですから、もっとインフレを刺激しないような、しかも国家の基本的な施設を整備するのだ、国家の資産を作っていくのだ、しかもそれは、インフレには大きな刺激的な材料にはならない公共事業に投資すべきである、民間の散布超過になっている遊んでおる金を——遊んでおる金というのは語弊があるかもしれませんが、動いておる金を公共投資にしていくことが、インフレを押えるのに最も効果を持っていくのだ、こういう建前で主張しておったのでありますが、この点は、大蔵大臣といろいろ議論をしまして、大蔵大臣としては、この散布超過の金を公共投資に使うということは、かえって貨幣価値を動揺させていくのだ、物価の上昇に大いに拍車をかけるのだという議論をしまして、結局私の考え方はいれられないで、今回は特別会計を作って借金をしていくという建前がとれなかったのであります。しかし五カ年計画を定め、特別会計を作って、財政投融資を仰いで大きな仕事をやっていく、こういう問題については、二つの点をはっきり確定することによって、来年は踏み切っていこうということになったのであります。
その二つの点というのは、一つは、一方において砂防事業について農林関係の砂防事業との調整をはかっていく。御承知のように農林関係におきましては、国有林の砂防事業と民有林の砂防事業があります。国有林の砂防事業は、国有林の特別会計によってこれをやっております。民有林の方は、一般会計でやっております。そうして、もう一つの特別会計ができて河川の方をやって参りますと、三つの形の砂防事業が行われて参りまして、一方において借金をして砂防事業をうんと進めて参りますと、山地砂防の方がおくれていくのだ、こういうことになれば、そこに調整のとれないところが出て参りますから、そこを三位一体の形で、きちっとした計画を作るということが与えられた一つの課題であります。これは今年の八月ごろまでに、関係各省、有識者の方にも集まっていただいて、審議会のようなものを作って、そしてこれを固めていきたい。
もう一つの問題は、国有林との関係があると同時に、もう一つは私どもが提案をしておりました三千五百億円の五カ年計画案というものに対して、一方においては二千四百億円でその目的が達成されるのではないか、年々二千四百億円程度の災害があるものを、一千億円程度災害を減少させるのだ、それが第一の目標としては必要である、この点については、政府部内も一致したのであります。しかし、その一致した目標を達成するために三千五百億円必要だ、いや二千四百億円で足りるという純技術的な問題について、議論が二つに分れたのであります。そういった問題も、河川を個別に当って参りまして、そうして計画を積み重ねて参りますれば、おのずから結論が出て参ります。それも、今度の懇談会のようなものでもって八月ごろまでに結論を出しまして、九月ごろの三十五年度の新しい予算の編成に間に合うようにしていく、そうして三十五年度においては特別会計を作って、大幅な治水事業をやっていく、こういう構想で、一時三十四年度の特別会計論というものを研究の課題として延ばしたようになっておるのが実情でございます。今御指摘の、相当借金をして、そうして治水事業なり道路事業をやっていくという御意見に対しましては、私は全く賛成でございます。これも、それを今の人たちが全部背負わないで、将来の人たちに、やはり十年なり十五年なりの長きにわたって、だんだんくずしていく、そういうことをこの際はとるべきであるということを私は固く信じております。そういう主張でもって三十五年度の問題にも対処して参りたいという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/13
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014・二階堂進
○二階堂委員 私も、昭和三十四年度からそういうような構想に踏み切るべきであるということを主張して参ったのでございますが、昭和三十五年度以降においては、当然この公債政策に踏み切らなければならない時期が、私は来ておると思う。そういうようなお考えのもとで、今後とも建設行政の予算、財源等の問題について善処していただきたい。特に、この治水の対策については、本年度の予算ではややこの予算もふえて参って、積極的な構想も出ておりますが、この治水対策については、もう大臣は一番よくおわかりの通り、昨年の災害等には現地に親しく出向かれまして、現地の人たちの声も十分聞いておられると思うのでありますが、どうしても三十五年度以降は特別会計に踏み切るか、あるいは公債政策に踏み切るか、思い切った積極的な政策の転換をされまして、そうして災害復旧の跡を追うような治水対策ではなく、ほんとうに毎年この災害に悩んでおる国民の気持を十分に建設行政、治水行政の上に生かしていただくように、私は非常な決意をして臨んでいただきたいと思う。毎年二千数百億の損害を国民に与えておる、七十万町歩以上の耕地が荒らされておる、五千名以上の人命がこの危険にさらされておるというような実情を考えてみますと、どうしてもこの治水対策というものは、今までみたような治水対策の政策であってはならないと私は考えております。どうか一つこの治水の対策につきましても、思い切った決意でもって進んでいただきたい、かように考えるわけであります。
なお、私は、道路あるいは治水、これについての政策を実行されるに当って、従来建設省の方での、これら公共事業の経済的な効果についてのPRというものが非常に足らなかったのじゃないかと思っております。災害があったときには、みんな地方の人はわんわん騒ぐけれども、災害が済んでしまうと、そう騒がなくなる。また国会におる私どもも、災害のときには関係の議員の方々は必死になって一生懸命努力されるが、災害が済んでしまうと、あまり関心がないと言っては語弊がありますが、関心をお持ちにならないような傾向がある。あるいは道路の一兆円の仕事を遂行するにいたしましても、一体これほどの資金を投じて、国家財政の上に、あるいは経済の発展の上にどういう効果が出ていくのであるか、いい効果をもっと宣伝すれば、ガソリン税の値上げについても、みんなが不払いをするような反対の意見も、私はそう強く出なくて済むのじゃないかと考えております。治水の仕事等につきましても、経済効果の面に対するPRが非常に足らないので、治水の対策等について少し熱意の欠けるような面もしばしば出てくる。裏から見た経済効果というものを、私は積極的に啓蒙される必要が今後あろうかと考えております。こういう面については、今後建設省とされましても、これほどの資金を投じたならば国民経済の上に、国家経済の上にどういう影響があるのかということを国民にわかりやすく、もう少し具体的に啓蒙、啓発される必要が非常にあるように私は考えるわけでございますが、こういう点についても、今後大臣の御善処を特にお願い申し上げておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/14
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015・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 建設省の所管の事業についての経済効果の問題でありますが、御指摘のように、私はもう率直に述べますが、確かに経済効果についての勉強があまり足りなかったのじゃないかと思います。われわれも非常に反省をしております。
治水事業の例を一つとってみましても、三千五百億円の治水投資をやって参りますと、年々一千億円の災害が減って参ります。これは、純経済的に見ましてもきわめて有利な国家投資である、そういう数字がはっきり出てくるわけであります。これはもう少し精細な経済効果の調査をいたしまして、そうして国民によく理解していただく、こういうことを十分やって参りたいと思います。
特に道路の問題につきましては、昨年来事務当局にもいろいろ研究していただいておるわけでありますが、一兆億円の道路投資をやって参りますと、日本の全産業のコストが大体五%下る。これは大ざっぱに見て五%という数字を出しましたけれども、私はもっと大きな効果があるのではないかと思うのであります。今までの建設省の道路事業というのは、ある町と町との間に昔ながらの道路があって、そこを通る車が多くなり人が多くなって非常に不便だから、その道路の幅を少し広げるとか、道路の改修をするとかいうのが根本的な考え方であったかもしれない。しかしこの五カ年計画でもってデビューしておる今後の道路建設計画、道路投資というものは、そんな問題を取り上げておるのではなくして、日本の全産業のコストを下げるのだ、これもごく簡単な例を申し上げますと、この間私は多治見へ参りましたが、多治見のあの有料道路ができたことによって、瀬戸物の包装費が全然かからなくなった。そのままトラックへ積んで名古屋へ持っていくことができるので、運賃がかからなくなるし、包装費がかからなくなる、包装費の計算をしてみますと、一年間に大体百六十億円くらいプラスになって参ります。経費がかからなくなって参ります。これが日本の産業全体に及ぼす影響というものは、実に大きいものであります。今日本は何をやっておるかといえば、世界的なコストの競争をやっておるのであります。この間台湾でもって硫安の入札があったのでありますけれども、わずか一%のことでもって日本の硫安が負けて、ドイツの硫安にとられてしまった。五%のコストが下っていくということは世界的な競争力を強めることになるのでありまして、日本経済が質的に大きな変化を来たしてくる。そういう目標のもとに、そういう経済効果をはっきり現わして、そして全国民にそれを理解していただいて、この道路計画というものをもっと堂々と、日本の重要国策中の重要国策なんだということで一つやっていきたい。河川のことについても同様であります。そういう考え方でやっていく考えでありますから、どうか一つ、私どもの気がつかないことは十分御注意いただいて、私どもも大いに今までのやり方について反省をして、新しい公共事業にスタートして参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/15
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016・木村守江
○木村(守)委員 関連して。ただいま二階堂委員から申されましたように、三十四年度の建設省関係予算に対しましては、われわれが要望しておったものと近いものであると考えまして、これはまことに御同慶にたえない次第でありますが、特に四百億円に近いところの増額を見ましたことは、まことにけっこうなことだと思いますが、要はこの金額をいかに有効に、いかに適切に使いまして、真にわが国土の開発と保全に使用するかということにあるだろうと思われます。そういう点から考えますと、ただいま二階堂委員から、いろいろ地方の自治体の負担の問題等申されましたが、この金を最も適切に使うためには、何としても地方のいわゆる出先機関が十二分に活動して、初めてこれを発揮することができるのだと思うのであります。ところがこの建設省の出されました予算書を見ますと、建設省本省の職員は職員給が増加しておりますが、一例を地建にとってみますと、地建の職員給の予算が減少いたしております。直轄工事が大体三割程度増加しておるというようなときに、この職員給が減少しておるようでは、工事、いわゆる事業の進捗が不可能になるのじゃないか、ほんとうに適切な仕事ができなくなるのじゃないかというようなことを心配いたしますと同時に、また非常に不思議に感じますことは、本省の職員がもらすところの職員の諸手当、あるいは特別手当あるいは暫定手当、こういうものが、地建の職員のもらうものと比較いたしますと非常に違うのです。たとえば本省の職員がもらうところの職員の諸手当が大体〇・〇〇九五に対しまして、地建の方にいたしますと〇・〇〇四六になっております。それから暫定手当につきましても、職員の特別手当につきましても、地建の職員と本省の職員はかなりの開きがあるように思われるのです。こういうような状態であっては、本省にいればいいのであって、地方に行くといわゆる差別的な待遇をされるというようなことから、地方に出ていく人はおもしろがらない。ほんとうに能力を全部出して働いていけないというようなことになりまして、せっかくたくさんとった予算を効果的に使っていくことができなくなるおそれがあるのじゃないかというような心配をいたしますが、これはどういうようなことなんでしょうか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/16
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017・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 ただいま御質問の点でありますが、基本的な方針といたしましては、私はこういう考え方でやっておるのであります。それは、建設省の全分野におきまして、あるいは公団や公庫のようなものまで含めて、その間の人事交流をひんぱんにやっていく。道路公団におる者を建設省の本省に持っていく、本省の者を道路公団に持っていく。しかしそういう場合に、優秀な者をやっていく。第一線に働く者に対しては優秀な者をやっていく。そのかわり第一線で勉強して帰ってくれば、本省でその第一線の仕事の経験がすぐ役に立つというような、そういう態勢でいかなくてはならぬ。事実、人事の問題についても、そういう方針でやっておるつもりであります。特に私は、建設省の何々出張所とかいうようなところに行ってみまして非常に感じましたことは、そういうところにおる人たちが、それぞれ非常に自信を持って、ここにおいて実際の仕事をやっておるけれども、将来非常に大きくなっていくんだというような自信を持ってやっておる。そういう気分が横溢しておると思うのであります。私がそういうことを申し上げますと、何か手前みそを言っておるようで、まことに恐縮ですけれども、事実そういう見地から皆さんも見ていただきたいと思うのであります。県の土木の出張所だとか、あるいは県の地方事務所の末端の仕事をやっておる役所の雰囲気と、建設省の末端の事務所の雰囲気とは、非常に違うことを私は感じとっておるわけであります。そういう点をよく見ていただきたいと思うのであります。これは、結局末端の方と中央とが常に交流をしているのです。末端の方に非常に優秀なのが出ておる。それらの人たちは自信を持っておる。であればこそ、建設省には汚職のようなことも出てこない、私はそう思っておる。ほかの省に比べて非常に少いと思うのです。結局職員が自信を持っておるというところから、あらゆる問題がくるのじゃないかと思っておるわけであります。そういう考え方でやっておりますけれども、その具体的な数字が地方の方が少いというのは、はなはだ私も困るのですが、おそらくやりくりをやっておるのだろうと思います。予算書の形の上では少いように見えますけれども、おそらくやりくりを会計課長や官房長がやっておると思いますから、一つ官房長から伺っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/17
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018・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 大臣のお答えに対しまして、若干補足させていただきますが、まず地方建設局の定員の問題でありますが、三十四年度の定員は一万四千六百二十五人に相なりまして、三十三年度の定員に比べまして、二百五十四名の増ということに相なっております。それから諸手当等につきまして、平均が本省に比べて下回っておるではないかという御意見でございますが、これは個々の問題につきましては、なお具体的に申し上げないと十分の御了解をいただけないかと思いますが、一つは、管理職手当のごとき、政府全体といたしまして、本省と地方出先機関とのパーセンテージの差のあるものがございます。それからなお平均給与が、地方建設局におきましては、現場の関係の比較的下級の職員が多いために、平均を割り出しますと若干下るという事実があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/18
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019・木村守江
○木村(守)委員 ただいま大臣の答弁されましたように、末端の地建の職員が非常な熱意を持って自分の与えられた仕事に精進しておることは、私も同感であります。地方に参りまして、非常に熱意を込めて仕事をしておる人が、本省におる人と差別待遇をされるというような実際の状態であってはならないと思う。それに対しまして、何かやりくりをしておるのだろうというようなお話でありました。私はやりくりをしておるとは思っておりません。これはやりくりをしておるはずはないと思うんです。実際に当って計算してみましたが、いかなる手当もみな違うのです。ただいま官房長が言われましたように、もとの俸給に差がある関係上、こういう数字が出てきたのだといっておりますが、個人別の人員数の割合でなく、金額全体としての割合、数字が少いということは、やはり手当が少いということになるだろうと私は思う。そういう点を今後是正して参りまして、ほんとうに末端の職員を十二分に働かして、りっぱな三十四年度の建設予算を施行いたしまして国民の要望にこたえられますように心からお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/19
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020・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 ただいまの御注意はごもっともでありますので、その考えでずっと進めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/20
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021・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/21
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022・中島巖
○中島(巖)委員 実は午前の理事会で、予算審議に入るか、法案の審議に入るかというようなことをきめたのですが、私どもの要求でもって予算審議に入ろう、そうして二、三日でもって上げて、大体二十日ごろまでに上げようというようなこともきめたのであります。だいぶ与党の質問が多いようなので、お約束が実行できるかどうかわからぬということを、あらかじめ申し上げておくわけであります。
そこで、建設行政全般に対して御質問をいたしたい、かように思っておりましたが、時間がだいぶおそくなりましたので、道路行政に関する件のみ、ごく要点だけを簡単に質問をいたしたいと思うのであります。
そこで、本年度予算は、先ほど大臣からもお話のありましたように、建設省の総予算において三千数百億になる、そうして本年度は四百億程度昨年度に比較して多くなる。しかもその中で三百十何億というものは道路予算である、こういうようなお話でありました。それから先ほどの二階堂委員との最後の質疑応答のところで、大臣の御意見といたしまして、この一兆予算は、今までの道路政策と違って、全産業のコストを下げて対外貿易にも打ち勝つような大きな構想のものである。これはまことにごもっともだと思います。われわれもこの道路整備事業の緊急なことにつきましては、しばしば当委員会におきまして意見を開陳し、政府を督励してきたわけであります。そうして昭和三十三年度におきまして道路整備特別措置法が制定されまして、政府とこいたしましては、新たに道路整備五カ年計画を策定いたしたわけであります。これは岸内閣の大きな政策の柱であると思います。ところが昨年の道路整備五カ年計画なるものは、五カ年間に九千億の予算であるということで出発いたしたのでありますが、その後、自民党よりの要望によりまして、五カ年間に一兆億予算、かように決定いたしたわけであります。そこでこの九千億予算のときにおきまして、当時の富樫政府委員は、この九千億予算の予算内容につきまして、有料道路事業が千五百億、一般道路事業が五千六百億それから地方補助において行うのが千九百億である。合計九千億予算である。一般道路事業の内容といたしまして、道路事業であるとか、街路事業費であるとか、機械整備であるとか、あるいは雪寒道路事業であるとか、調達費であるとかいうように、こまかい内訳までも発表されたわけでありますが、それの前に、非常に短かい時間でありますので、私の質問する意図はどこにあるかということを一応大臣並び政府委員の方々に申し上げておかねばならないのでありますが、道路事業費は非常に伸びたのであるけれども、それに対するところの政府の基本的な方針がないじゃないか、こういうことについて申し上げたいと思うのであります。それからこの財源に対して非常な無理をしておるではないか、この二つについて政府の所見をただしたい、こういう考えでありますので、そのつもりで御答弁をお願いいたしたいと思います。
質問の第一点といたしましては、この道路整備五カ年計画の九千億予算に対して一兆億になったのでありますが、その一千億はいかなるところへ増額したのであるか、あるいはただたいま申しました富樫政府委員の答弁を変えたのであるか、ごく大ざっぱな数字でいいから、これを承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/22
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023・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 道路整備五カ年計画の問題でありますが、実は五カ年計画をもうとっくに提示するはずでございましたが、おくれておりましたことはまことに恐縮であります。おくれておりました理由は、第一には、例の補助金の臨時特例の問題がなかなか解決しなかったことであります。しかし臨時特例の問題も、道路については、従来通りの補助金の利子でもっていくということが暮れの閣議で決定いたしましたし、その問題もようやく解決いたしました。さらに一千億の増額の問題について、その配分についての議論もなかなか解決しなかったのですから、それも道路整備五カ年計画がおくれておった理由の一つになっておりますが、その問題もようやく解決いたしまして、大体公共事業の関係の道路の整備に五百億、有料道路の関係に五百億、こういうことでもって五カ年間に一千億を投資していく、そういう方向できまったのであります。前国会で富樫技監が説明されました基本的な数字は変っておりません。公共事業五百億、有料道路に五百億、こういう大きな構想で進んでおります。ただ東京都の高速自動車道路の公団を作りまして、こちらの方へその五カ年計画の一部分の費用を投じていくことになりましたので、有料道路の計画の内訳が少し新しく追加されたような格好になっております。しかし基本構想は変っておりませんことをここで申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/23
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024・中島巖
○中島(巖)委員 ただいま大臣の答弁によりまして、有料道路が五百億増になり、一般道路が五百億増になった、こういうことがはっきりいたしたわけであります。そこで今お尋ねする一点は、これは先ほど二階堂委員から質問いたしたこととよく似たような問題でありますけれども、昭和三十三年から向う五カ年間の道路整備事業に五カ年計画を立てて、そして一兆億予算を盛ったわけであります。しかしすでに予算の面におきましては、本年度の予算が成立いたしますと、二カ年分の予算が成立いたすわけでありまして、従ってあと残るところ三カ年となるわけであります。そこで大幅な道路予算を盛ったのでありますけれども、大体私の思いでは、昭和三十三年、三十四年に国の道路予算が約二千五百億程度だと思うのです。大体概算で、地方負担を合しまして三千億ないし三千二、三百億という大きな数字がつかめるわけでありますが、そういたしますと、あと三カ年間に七千億の予算を消化せねばならぬ。この財源問題については、いろいろ御議論はあると思います。あるいは道路公債を発行するとか、あるいはガソリン税の増徴、あるいは一般会計から投入するとか、財政投融資を入れるとか、こういろいろな問題があるのでございますけれども、いやしくも五カ年間に一兆億予算を計上した以上は、昭和三十四年度以降、つまり三十五、三十六、三十七の三カ年間に使う大体の予算の内訳はできておると思うのでありますが、その数字をお示し願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/24
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025・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 ただいまの御質問に対しまして、私から御説明を申し上げます。ただいま大臣から御説明がございましたように、御質問の御趣旨の点は、道路整備五カ年計画の策定の段階でただいま検討中でございます。従いまして、確定したことはただいま申し上げる段階に至っておりませんが、従来事務当局といたしまして建設省部内で検討いたしておりました点において申し上げてみたいと思います。
五カ年計画の事業に要します国費関係は、五カ年全体で五千三百二十二億程度でございます。三十三年度におきましては六百七十三億、三十四年度は九百九十億、従いまして三十五年度以降に残ります分は三千六百五十九億、まあ三千六百六十億程度と予定しております。この経費につきまして財源として考えられますことは、三十五年度以降の三千六百五十九億に対しまして、揮発油税として予定されます分が三千二百三十九億程度、直轄地方負担金相当の借入金といたしまして二百五十七億、一般財源から百六十三億程度を予定いたしまして、三千六百五十九億の所要国費が得られる見込みでございます。こういうふうにただいま建設省の部内では予定いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/25
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026・中島巖
○中島(巖)委員 今道路局長から国費の分だけお話があったのですが、道路整備五カ年計画は、大ざっぱに申し上げて一兆億のワクでしょう。それに持っていって三十三、三十四年度におきまして、財政投融資であるとかいろいろ入れて、私の推定といたしましては、都道府県の負担まで入れて三千億か三千百億程度だと思うのです。そうするとあと七千億程度を三カ年間に消化せねばならぬが、三十五年度は幾らで、三十六年度は幾らで、三十七年度は幾らであるという年次計画が、一兆億予算を立てた以上必ずあると思う。その内訳は、今あなたの申された国費も入るでありましょうし、その他財政投融資も入るであろうけれども、いやしくも一兆億予算を立てた以上は、あとの三十五、三十六、三十七年の年次計画があるはずだと思う。その大ざっぱな数字はどういう数字であるかお示し願いたいというのが、私の質問の要点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/26
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027・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 全般にわたって申し上げますと、こまかい数字までやると長くなりますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/27
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028・中島巖
○中島(巖)委員 一年ごとの大きな数字だけでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/28
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029・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 それでは、ただいまは一般道路の国費関係だけ申し上げました。これに対応する地方費関係を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/29
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030・中島巖
○中島(巖)委員 一本にまとめて、総額でいいのです。三十五年に一兆億予算の幾らを投入するか、三十六年に幾ら投入するか、三十七年に幾ら投入するかという年次計画が必ずあるはずだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/30
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031・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 それでは、なお詳細はまた資料を作って御説明いたすといたしまして、全体的に申し上げます。昭和三十三年からこの五カ年計画の事業は、総額で八千百億円と予定いたしております。この内訳は二千億の有料道路と、それから六千百億の一般道路事業でございます。年度割につきましては、一試案はございますが、こまかいことはただいま検討中でございます。それでただいままで進行いたしております数字を申し上げますと、三十四年度末までに、八千百億円のうち二千三百六十億円、パーセンテージにしますと二九%くらいになります。三十四年度を含めまして約二九%の事業を行うことにいたしております。従いまして三十五年度以降におきましては、金額にいたしまして約五千七百四十億円、全体に対するパーセンテージにいたしまして約七一%の事業が残っておる、これが三十五年度以降に実施される、こういう予定に相なっておるわけでございます。この計画に対しまして国費の点を申し上げますと、一般公共事業に伴う所要国費は五千十億円、有料道路の整備のために公団への出資いたします金が三百十二億円、合計いたしまして五千三百二十二億円、つまり総額八千百億円に対しまして、国費は五千三百二十二億円要る、こういうことになっておるわけでございます。これに対する財源措置といたしまして、揮発油税が大部分でございまして、揮発油税で約三千五百五十三億円、直轄事業の負担金に伴う借入金で約三百八十四億円、一般財源の投入可能見込み額が約三百十七億円、合計いたしまして約四千二百五十四億円、これと国費の所要額との差額約一千七十億円、これを一般財源からいただきまして、五カ年計画の財源といたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/31
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032・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 私から申し上げますが、中島委員のお尋ねは、その年度割ができておるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/32
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033・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 それでは、少し詳しく説明してよろしゅうございますか…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/33
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034・中島巖
○中島(巖)委員 いや、大づかみな数字を伺えばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/34
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035・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 一応私どもの検討しておる数字はございます。ただ、ただいまちょっと資料を持ち合わせてございませんから、その数字は、この次の委員会で申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/35
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036・中島巖
○中島(巖)委員 これは質問ではありませんが、私の意見として、いやしくも道路整備五カ年計画で、岸内閣の大きな大黒柱の政策として一兆億予算を組んだ以上は、すでに二カ年経過してあと三カ年しか残っておらぬのだから、大きな数字で、三十五年はどれだけを投入する、三十六年はどれだけを投入し、三十七年はどれだけを投入する、その財源の内訳は、やはり経済の動きやその他で変更はあるだろうけれども、いやしくも公約してあれだけ大きく打ち出したのだから、そのくらいの大ざっぱなものはあってしかるべきだと思う。それがないというと、これは悪口みたいになるけれども、羊頭を掲げて狗肉を売るところの政策である、こういって誹謗されても仕方がないだろう、こういうふうに私考えるわけであります。
それから次にお尋ねしたいことは、先ほど大臣からも道路局長からも弁解もありましたし、私としては、ここで本日はこれ以上追及はいたしません。しかしこの道路整備五カ年計画の第二条におきましては、「建設大臣は昭和三十三年度以降五箇年間における高速自動車国道、一級国道及び二級国道並びに政令で定める都道府県道その他の道路の新設、改築、維持及び修繕の案を作成して閣議の決定を求めなければならない。」すなわち昭和三十三年の予算を執行する以前に、五カ年計画を定めて閣議の決定を求めねばならぬ、こういうことになっておるわけです。さらに二項において、「道路整備五箇年計画には、次の事項を定めなければならない。一 五箇年間に行うべき道路の整備の目標 二 五箇年間に行うべき道路の整備の事業の量」こういうようにきまっており、さらに第四項におきまして、「建設大臣は、第一項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、道路整備五箇年計画を都道府県知事に通知しなければならない。」こうなっておるわけであります。これについて本日は追及をやめますけれども、驚くべき法律違反をして数千億の金を今まで使ってきておるわけなんですが、それはそれとしまして、これは道路局長でもけっこうですが、この二項に「道路整備五箇年計画には、次の事項を定めなければならない。五箇年間に行うべき道路の整備の目標、五箇年間に行うべき道路の整備の事業の量」こういうことがあるのですけれども、これはどういうふうに解釈しておるか。たとえば大ざっぱにいえば、五カ年間にやるだけの事業は、ただいま説明のあったたほどのものであるか、また「都道府県知事に通知しなければならない。」とここに規定してあるのだから、おそらく都道府県知事に対して、一級国道はこれだけやるんだ、二級国道はこれだけやるんだ、地方道については、これだけやるんだという通知を出すのか、あるいはさらに個所別の青写真までこしらえて通知を出すのか、この法律に対して道路局長はどういう解釈を持っておるか、この点をお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/36
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037・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 五カ年計画の第二年度目でございます三十四年度予算の御審議をいただきますに当りまして、そのもとになっております道路整備五カ年計画がいまだ確定しておらない、こういうことにつきましては、私といたしましてもまことに申しわけない次第でございます。先ほども大臣からお話がありましたように、ただいま鋭意策定中でございまして、本年度の予算の御審議に十分間に合うように、できるだけ早くごらんに入れられるようにいたしたいと努力いたしておるわけでございます。その点は大へん申しわけない次第でございますが、どうか御了承をいただきたいと存じます。
なお御質問の閣議決定でございますが、法律によりますと、事業の目標と事業の量を閣議の決定にしなければならない、こういうことは御指摘の通りでございます。従いましてその目標、ことに事業の量ということになりますと、数、量、延長で表わしますか、金で表わしますか、いろいろそういう問題もございます。数字になりますものでございますから、方針が若干変りますと、その数字も変ってくる、こういうような次第でございまして、ただいまそれらの数量をまとめておる状態でございます。その事業の目標と量につきまして、閣議の御決定をいただくように準備をするつもりでございます。
なお府県へ通知する点でございますが、これも法律によりまして、閣議の決定が得られましたならば、すみやかにその結果を府県の方へ通知いたさなければなりませんし、またそういたすつもりで考えております。その通知いたします内容につきましては、当然閣議決定そのものを御通知するほか、どの点までどういうふうにお知らせするかというような点につきましても、ただいま検討中でございまして、五カ年計画の内容を十分その府県でわかっていただけるような連絡はしなければならぬ、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/37
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038・中島巖
○中島(巖)委員 この点も、まだ建設省で一定した方針ができておらぬようでありますが、この五カ年間に行うべき道路の整備目標、これはどういうふうに解釈するのであるか。五カ年間に行うべき道路の整備の事業の量、こういうことになっておるわけでありますが、どの程度までのものを出して閣議で決定するのか、あるいは地方長官に対して通知するのであるか。この法律の建設省の解釈がどの程度のことをやるんだか、こういうことをお聞きしたわけでありますが、またこの次の委員会でもけっこうでありますけれども、一つお調べ願って、大体の様子をお聞きしておかぬと、われわれとしてもまことに審議に差しつかえるわけでありますので、希望いたしておくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/38
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039・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 ただいまの御質問に対しまして、詳細はいずれもう少し先でないと申し上げる段階にならぬかと存じますが、事業の目標と事業の量、この内容は、大体一級国道、二級国道という道路の種別ごとに目標を掲げ、また事業の量も掲出いたしまして、閣議決定の案をまとめるようにいたしたい、これがただいまの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/39
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040・中島巖
○中島(巖)委員 ちょっとあいまいなようですが、これはあなたの方でこしらえた法律なんだから、法律をこしらえるとき、ある程度のことはおそらく協議してあるのじゃないかと思うので、一つお調べ願っておきたいと思う。
次にお伺いいたしたいことは、これは私が申し上げるまでもありませんけれども、例の東京から吹田までいく国土開発縦貫自動車道路の件に関連して質問するのですが、この点については、具体的ではなかったけれども、先ほど大臣から、全産業のコストを下げるのに非常に役立つ、こういうようなお話であり、またこの縦貫道法案も、そういう日本の全産業をどうするかという見地から出発したのですが、これに対して二、三お伺いしたい。
その第一点は、小牧—神戸間については、七百九十億ですか、予算はあるわけなんです。ところが、こちらに対しては五カ年計画の中にどれほどの予算を盛ってあるか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/40
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041・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 中央道の問題については、実はまだ議論が多少ありますけれども、私は大体百億見当この五カ年間にやるような方針でいきたい、こういうことで今折衝しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/41
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042・中島巖
○中島(巖)委員 わが国の道路行政の基本になる問題について、建設省の考え方をお伺いしたいのですが、この問題については、前の根本建設大臣とも私数次にわたって質疑応答したのでありますけれども、ついに結論が得られず、また私も了解することができなくて終っておるわけなんです。そこで、道路整備五カ年計画でありますが、現在建設省でやっておるところを見ると、あれは僕は道路政策じゃないと思う。徳川時代にこしらえた道を一級国道とか二級国道という名前をつけて、それの改修整備をやっておるだけで、道路工事工程表というもので、あれは道路政策じゃないと思うのです。つまりあとからあとからと、ここが交通量が多くなったからこの道を広げんならぬ、舗装せんならぬというのは道路工事工程表であって、道路政策じゃないと思う。いわゆるあとからついていく後進性の道路政策であって、日本の産業経済は将来こうなければいかぬ、それがためには、大きな国策の点から見て、どこへ道路をつけて、これを骨幹として将来の道路政策を打ち立てなければいかぬ、こういう先行性の道路政策も含めていかなければならぬと思うのです。近い話が、イギリスにおいては、九五%まで道路整備の舗装が完全にできてしまっておる。ところが、最近における自動車の発達によって、高速自動車道路が必要だということで、これを片っ端から新しい構想の高速道路を中心とした政策に切りかえんならぬという羽目になって、非常な大騒ぎをしておるということがある雑誌に出ておったのでありますが、わが国の道路整備は非常に悪くて、ワトキンス報告書を見ましても、わが国の道路は、普通の文明国に比べて四十年もおくれておる、日本の産業を非常に萎靡させておるのはこの道路が悪いためだ、こういうことを書いてあったのですが、もっともだと思うのです。従って現在の道路整備ももちろんやらなければならぬけれども、それと同時に、並行して画期的な先行性の道路政策をやらなければならぬ。それがためには、どうしても縦貫道に重点を入れてやらなければならぬ。これは、東海道がいいか、あるいは中央道がいいかという議論は、この法律ができる前にさんざん三年間にわたってもみ抜いたのであって、今さら法律が決定した以上、これを蒸し返しておるというようなことは、大へんな間違いだと思うのです。さてそこで、そういうような道路の基本政策が決定いたしますと、この建設省の現在やっておるところの道路政策というものの根本的の問題に触れてくるわけだ。それのまず一つとして、道路公団をここに取り上げなければならぬ。道路公団が二百数十億の金を使って何をしておるかということを考えてみると、たとえば下田道路なんかは、東急と西武ですか、両方の会社が私鉄を入れるために三年も争っておって、最近決定したそうだが、そういうところに持っていって道路公団が有料道路を入れる、民間がやれるようなところに持っていって競合して有料道路を敷く、あるいは霧島だとか阿蘇だとか、あっちの方の観光道路、民間のバス会社にでもやらしておけばいいような観光道路を敷く、こういうようなこまかい仕事ばかり三十も四十もやって、そういうような基本的な問題をなおざりにしておる。従っていかに道路事業に大金をつぎ込んでも、先ほど大臣が言ったような、全産業のコストを下げられるような道路政策は成り立たぬのだ、こういうふうに私は考えておるわけです。そこで、まずこれは大臣にお聞きしてもわからぬと思うから、道路局長でけっこうです。昨年小牧—吹田間に九十六億だと思いましたが、予算があったわけです。私の承知しておる限りでは、昨年の十一月、京都山科付近で六億二千万円ほど鹿島組に工事の請負をしただけであって、その後工事をしたということは聞いてない。おととしも三十何億予算をつけたけれども、ほとんど全額が繰り越しになっておる。従ってことしの九十六億のあの予算は、現在までにどれだけ消化してあるか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/42
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043・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 名神高速自動車道路の事業実施に関する御質問かと承わりましたが、昨年は繰り述べ、繰り越し等を含めまして、三十三年度は約百億の予算をもって事業を進めているわけでございます。鋭意事業を進めるように努力をいたしておったわけでございますが、用地買収等に非常に問題がございまして、ただいままでのところ、工事の進捗がなかなか予定通りいっておりません。しかしながらその後用地も少しずつ解決いたして参りまして、大体用地関係につきましては、予定の二五%くらいはことしのうちに解決がつくだろう。それから工事のお話でございましたが、この年度の後半に至りまして、ただいま実施しておる区域の橋梁等につきましては、これは用地等の関係も比較的少うございますので、たとえば木津川の橋梁、猪名川の橋梁、藻川の橋梁というような橋梁につきましては、年末から年始にかけて事業を発注いたしまして、ただいままでのところ、工事関係として約二十億近くは今年度中に消化できる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/43
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044・中島巖
○中島(巖)委員 大臣は一時から御用があるようでありますから、ただ大臣の方には要望だけをしておきたいと思います。実際問題といたしまして、道路公団が二百数十億の金を使って事業をやっておりますけれども、ただいま私の申しましたような、そこらの観光会社のやれるようなところへ競合してもぐり込んでいって、そうして片方の、国会を全会一致で通った、将来の道路の幹線になるべき道路に対しては三十二年度に三十何億かつきましたが、ほとんど八〇%が繰り越しになっておる。ことしは九十何億に昨年の繰越金で百何億ついておりますけれども、私の知る限りでは、先ほど申しましたような六億二千万程度の請負をしたきりで——あと用地の買収もしておるでしょうが、遅々として工事が進まぬ。従って、道路五カ年計画を立て、そうして国会の総意できまった法律であるのだから、吹田—東京間は何年計画でやられる予定か、何年度に完成して供用開始になる予定であるか、これらについて腹案があったら、それを大臣から承わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/44
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045・遠藤三郎
○遠藤国務大臣 有料道路の問題についてのお尋ねでございますが、道路公団が観光地を結ぶ道路を作っておることにつきましても、こういう考え方でいるのであります。日本の観光収入というものをもう少しあげなければいかぬ。イタリアは六億ドルも観光収入を取っておるのに、日本はわずかに三、四千万ドル程度しか観光収入があがらない。重要な産業として、産業道路の意味で、外客を誘致する可能性のあるような観光地の道路を整備するということが一つのねらいになっておるわけであります。ただ御指摘のように、用地その他の関係で、名神国道の工事なんかも非常におくれておりますけれども、これを先ほど来申し上げましたように、しりをたたいて用地買収を促進させる。そうして計画通りにいかないとしましても、計画に近いようなものまでとにかく追い込んでいくということで、道路公団も一生懸命で今やっておるわけであります。
道路政策の基本の問題については、先ほど御指摘のように、単に町から町への道路の補修をするということでなくして、日本の産業の将来を見通して、そうして産業開発の根幹になるような道路も当然作らなければならない。特に私は、それを強調したいと思っておるわけであります。従って、そういう方面にも今度の五カ年計画では投資をしていく考えでございます。ただ東京都の道路を整備する、ことに高速道路を作るような問題につきましては、もう昭和四十年になりますと、自動車がほとんど通れないようになってしまう、これは現実の必要がこれを要求しておるわけであります。ですから、そういう自動車の輻輳をするようなところは、輻輳の行き詰まりが大体四十年ごろ行き詰まってくるとすれば、それを目標にして、それをまず解決する方途を講じておきませんと、道路関係は何をしておったかというようなことで、国民全体から非難を受けるようなときがくると思うのです。そういう方面の道路の整備も進めると同時に、産業の開発という方面にも力を入れていく。両々相待っていかなくちゃならぬじゃないか。そういう意味で、私は先ほども申し上げましたが、縦貫道路についても、この五カ年計画で許し得る程度の最大限度の道路の建設をやっていきたい。大体今私は、百億程度の投資をこの五カ年間でやったらどうか、こういう考えで、その計画を今各方面と折衝をさしておるような次第でございます。その年次別の計画まではまだ参りません。しかしこの五カ年計画の中には、それを百億程度入れていきたい、こういう考えで今その数字を固めておる、しかも計画を固めておるところでございますので、御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/45
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046・中島巖
○中島(巖)委員 今私のお聞きせんとしたのは、縦貫道東京—吹田間を何年までに完成する計画になっておるかということをお聞きしたかったのですが、それはないようであります。これは私が申し上げるまでもありませんが、運輸省は昨年度東京—大阪間の広軌の問題を持ち出しまして、そうして昭和四十年度完成、こういう目標でもって現在計画を樹立しておるわけであります。しかもこの縦貫道法案は国会の総意によって通り、しかもこれは、昭和三十年から三十二年までもみ抜いて通うた法案であります。すでに向うは着手して二年目になるのであります。従って東京までを何年間にやるという計画を樹立すべきではないか。こういうように考えるわけでありまして、この縦貫道審議会の会長は総理大臣であり、副会長は建設大臣、運輸大臣である責任者でありますので、そういうような御努力をお願いいたしたい、こう希望意見を申し述べておくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/46
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047・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長代理 本日はこの程度で散会いたしまして、次会は公報をもってお知らせいたします。
午後一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00519590206/47
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