1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十日(火曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 長谷川四郎君
理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君
理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君
理事 加藤 鐐造君 理事 田中 武夫君
理事 松平 忠久君
新井 京太君 岡部 得三君
木倉和一郎君 始関 伊平君
關谷 勝利君 細田 義安君
渡邊 本治君 板川 正吾君
今村 等君 内海 清君
大矢 省三君 勝澤 芳雄君
小林 正美君 鈴木 一君
中嶋 英夫君 永井勝次郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 大島 秀一君
通商産業事務官
(重工業局長) 小出 榮一君
通商産業事務官
(繊維局長) 今井 善衞君
通商産業事務官
(鉱山局長) 福井 政男君
中小企業庁長官 岩武 照彦君
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 川瀬 健治君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(銀行局特別金
融課長) 磯江 重泰君
中小企業信用保
険公庫理事長 山本 茂君
中小企業信用保
険公庫理事 野見山 勉君
中小企業信用保
険公庫理事 菅 博太郎君
参 考 人
(商工組合中央
金庫理事長) 北野 重雄君
参 考 人
(商工組合中央
金庫理事) 加藤 八郎君
専 門 員 越田 清七君
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二月七日
輸出品デザイン法案(内閣提出第一三一号)
石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一三二号)
工場立地の調査等に関する法律案(内閣提出第
一三五号)(予)
同月九日
繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一四一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
輸出品デザイン法案(内閣提出第一三一号)
石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一三二号)
繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一四一号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六一号)
中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律
案(内閣提出第六二号)
航空機工業振興法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八五号)
プラント類輸出促進臨時措置法案(内閣提出第
一〇一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/0
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001・長谷川四郎
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
去る二月七日に当委員会に付託されました輸出品デザイン法案及び石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案並びに昨九日付託されました繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を一括して議題とし、審査に入ります。
まず、通商産業政務次官より趣旨の説明を聴取することといたします。大島政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/1
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002・大島秀一
○大島政府委員 ただいま議題となりました輸出品デザイン法案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明いたします。
わが国の輸出品がしばしば外国デザインの模倣を行うため、海外からこれに対する苦情の申し入れがひんぴんとありますことは、すでに皆様御承知の通りでありますが、このような事態が続きますことは、輸出貿易におけるわが国の国際的信用を著しくそこなうこととなり、ひいては、これに籍口した仕向国の関税引き上げ、輸入制限等を招来するおそれなしといたしません。またデザインの模倣は国内輸出業者相互の間にも行われております。すなわち、ある業者がせっかく努力をしてよいデザインの商品を創作し、輸出しても、直ちに他の業者がこれを模倣し、しかも安価で輸出するため、お互いに値くずしをすることになり、かえって海外のわが国輸出品に対する信用を害するという、いわゆる過当競争の状態を引き起しているわけであります。
このような事態に処する対策といたしましては、現在法制的には、意匠法等工業所有権関係の諸法令、不正競争防止法、輸出入取引法等がありますが、これらは、あるいは私権の保護という見地からの当事者相互間の損害賠償の問題を規制し、あるいはまた不公正な輸出取引に対する制裁を規制しているものであり、いずれもすでに行われてしまったデザインの盗用に対する事後的規制にとどまっております。
一方、業界の自主的規制策といたしましては、輸出入取引法に基く輸出組合の意匠協定によって、繊維、陶磁器及び雑貨の一部につき、デザインの模倣を輸出に当り事前にチェックしようとする方法が実施されております。すなわち、輸出組合員が、協定で定めた特定の貨物を輸出しようとするときは、協定によって設立した意匠センターにより、その貨物が他人のデザインを盗用したものでない旨の認証を受けなければならない、ということになっているのであります。本来デザインの盗用防止というような問題は、このような業者の自主的規制に待つのが最善の策と考えられますが、かかる自主的な協定の締結を行うことが相当困難である業界も存するのであります。
以上のような現行法上の欠陥と、業界の自主的規制の困難さとをあわせ考えまして、特定の機関による輸出品のデザインの事前認定を行うことを主眼とする本法案を提案いたす次第であります。
次にこの法案の要旨を御説明いたします。
まず第一に、輸出貿易上デザインの模倣を防止することが特に必要である貨物であって、輸出入取引法に基く業者の協定により自主的規制が行われていないもの、または協定はあってもその目的達成が困難であるものにつきましては、これを政令によって特定貨物に指定いたします。なお、この指定に当りましては、事の重要性にかんがみ、事前に輸出入取引審議会に諮問することといたします。
策ニに、特定貨物を輸出しようとする者は、あらかじめ、次に御説明いたします認定機関の認定を受けなければならないことといたします。なお、この認定を円滑、迅速に行い得るようにするため、希望する者にはデザインの登録が受けられることといたしますが、これはあくまでも認定のための便宜的な手段でありまして、権利の設定を意味するものではありません。
第三に、以上の認定の業務を行う認定機関は、その申請を待って、通商産業大臣が一定の指定基準に適合すると認めたものにつき指定することとし、業務の運営その他につき十分な監督を行うことといたします。
以上簡単でございますが、この法律案提出の理由及びその要旨の概要につき御説明いたしました。
何とぞ慎重御審議の上御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。
次に石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案の提案理由を申し上げます。
本日ここに、御審議を願います石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
第二十二国会におきまして石油資源開発株式会社法が制定され、同法に基き昭和三十年十二月石油資源開発株式会社が設立されたのでありますが、現在までに三年余りの年月を経過いたしまして、この間、同社の探鉱活動も着々進められ、その成果も次第に現われて参りました。
しかしながら、同社の資本金調達にもおのずから限度があり、しかも、この限られた資本金はあげて同社の探鉱部門に投入されることになっておりますので、同社が探鉱の結果発見いたしました油田の開発に必要な資金の調達は、もっぱら銀行融資その他の借入金に依存せざるを得ない実情にありますが、現状では今後における開発資金の調達についての困難等が予想されるに至りました。
このような事態に対処いたしますために、同社の債務について政府が保証することができるよう措置する等の必要が生じましたので、ここに石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を提出いたしました次第であります。
この法律の改正点の第一は、先ほども若干触れましたが、石油資源開発株式会社の債務について、政府が保証をすることができる旨の規定を新しく設けることであります。なお、この点に関しましては、石油資源開発株式会社法が制定されました第二十二国会におきまして、政府は債務保証について、必要に応じて可及的すみやかに所要の措置を講ずるよう附帯決議がなされております。第二は、石油鉱業権評元審査会の廃止であります。石油資源開発株式会社は、設立時に帝国石油株式会社から、一時に多くの鉱業権を譲り受けることになっていたのでありますが、その際の評価を適正ならしめるため、臨時に石油鉱業権評価審査会が設けられたのであります。しかし、同審査会は、現在すでにその使命を終了いたしておりますので、今回これを廃止することといたした次第であります。
以上がこの法律案の提案理由及び内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
次に繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を申し上げます。
ただいま提案されました繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
現行繊維工業設備臨時措置法は、昭和三十一年六月に公布され、同年十月より施行されて今日に至っております。
御承知の通り、最近におけるわが国繊維産業は、国内経済の動向及び輸出不振の影響を受けまして需給の均衡を失い、長期にわたって不況状態を呈し、一部を除いて高率の操業短縮を余儀なくされておりますが、これは繊維産業のみならず、関連産業にも悪影響を与え、国民経済の広範囲にゆゆしい事態を招来してきております。
政府といたしましては、昨年八月に繊維不況打開のための重点施策につきまして閣議決定を行い、鋭意これの実施に努力いたすとともに、また、十月以降業界人、学識経験者、労働者代表等よりなる繊維総合対策懇談会を設け、繊維産業の不況打開並びに長期的再建対策の樹立につきまして、総合的見地から種々審議を重ねて参りましたが、その審議の結果を尊重し、政府は、現行繊維工業設備臨時措置法の改正による化学繊維の製造設備の調整の必要を認め、その線に沿って検討をいたしました上ここに成案を得ましたので、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案として上程いたすこととなった次第であります。
本改正法案は、現在四、五割に及ぶ高率の操業短縮を継続している人絹糸、スフ綿の製造設備を登録制の対象に追加し、もって輸出の過当競争の改善をはかり、あわせて操業度の向上による輸出価格の低減及び安定を期待し、また、合成繊維につきましても同様の登録制を実施することにより、繊維製品全体の需給を勘案しつつその計画的伸長をはかることにより、他の繊維部門のごとき設備過剰状態とこれによる輸出秩序の混乱を防止しようとするものであります。
次に、改正の主要点につきまして御説明申し上げます。
第一は、化学繊維製造設備の登録制の実施であります。現行繊維工業設備臨時措置法におきましては、精紡機及び織物幅出機について登録制が実施されておりますが、前述の理由によって化学繊維の設備規制が必要でありますので、今回精紡機及び織物幅出機と同機に、化学繊維製造設備のうち主要な機械である紡糸機を登録制の対象に追加しようとするものであります。
なお、既存設備は当然に登録をいたしますが、新規の登録につきましては、繊維工業設備審議会の意見を聴取して、目標年度の繊維製品の需給を参酌して、設備が不足である場合にはその不足設備について、設備の新規登録を認めていくものであります。
第ニは、新規の登録の場合における処理設備の優先であります。政府といたしましては、需給の調整をはかり、市況の安定を期するため現行法の規定により、過剰設備の格納等の指示をいたす算定でありますが、過剰設備の処理を円滑ならしめるために、政府の指示に基いて、廃棄、格納等により処理された繊維工業設備につきましては、新規の登録の場合に優先的に登録を認めようとするものであります。
第三は、仮登録事項の変更であります。新規に登録を受ける際に、まず仮登録を受けなければなりませんが、現行繊維工業設備臨時措置法では、仮登録段階において、機械の種類、設置場所等の変更は認められないため、実務上支障を来たしておりますので、これらの変更も認めようとするものであります。
第四は、目標年度の変更であります。現行繊維工業設備臨時措置法におきましては、繊維工業設備の新増設を認め、あるいは過剰設備の処理をはかるための需給見通しの目標年度は、昭和三十五年度となっておりますが、計画的に設備調整をはかるためには、ある程度長期を見通す必要があり、特に、新たに設備調整の対象となります化学繊維につきましては、計画的伸長が望まれますのでは、本法の目標年度を二年延長し、昭和三十七年度に変更しようとするものであります。
以上が改正の主要点でありまして、各条につきさましては、今後御審議の過程を通じ詳細に御説明申し上げるつもりでありますが、このたびの改正は繊維製品の正常な輸出の発展に寄与するため、繊維工業設備に関する規制を行うことによって、繊維工業の合理化をはかるためにぜひ必要なものと考えられます。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切にお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/2
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003・長谷川四郎
○長谷川委員長 以上で、三法案の趣旨の説明は終りました。
なお、各案についての質疑は後日に譲ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/3
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004・長谷川四郎
○長谷川委員長 この際お諮りをいたします。商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の両法案審査の必要上、商工組合中央金庫の方に参考人として御出席願うこととし、その選定並びに御出席願う日時につきましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/4
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005・長谷川四郎
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
なお、本日は、理事長の北野重雄君及び理事加藤八郎君に御出席を願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/5
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006・長谷川四郎
○長谷川委員長 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険公庫法の一つ部を改正する法律案、航空機工業振興法の一部を改正する法律案及びプラント類輸出促進臨時措置法案の四案を一括議題とし、審議を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。小林正美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/6
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007・小林正美
○小林(正)委員 私は信用保険公庫法の問題について政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。この公庫に対する政府の出資金を十億円増額してこれを融資資金に充てるということは、大へんそれ自体としてはけっこうなことでありますが、私は自分みずからが長い間中小企業を経営いたしておりまして、過去において自分みずからが保証協会を利用したこともある。また人の金融についていろいろ御相談を受けて、それをお助けしたことがあるのであります。そういう自分の体験を通じて、この信用保険公庫とそれからその一番関係の深い保証協会のあり方について、政務次官のお考えを一つ拝聴いたしたいと思うのであります。
金融機関が融資する場合において、信用保険公庫がこれに融資保険を行うときには、五〇%の損失カバーをする。保証協会が融資する場合においては、これに保証保険をつけて、最悪の場合七〇%を国庫から損失カバーするということは、私も大へんけっこうなことであろうと思うのでありますが、ただ一番私が心配に思うことは、せっかくこういうりっぱな機関がありながら、それが本来の目的に使用されることなくして、むしろゆがめられて運営されておるのではないか、こういうことを心配するのです。たとえばこういう保証協会であるとかあるいは信用保険公庫などを利用しようとする企業というものは、いわゆる融資の対象となり得るかなり得ないかの、ほんとうにボーダー・ラインにあるところの企業である、かように考えるのですが、ややもするとそれがそうではなくて、ボーダ一・ラインにあるほんとうに保証してほしいところの企業に対しては、これがオミットせられておるというような形において、多分にその実績があるように思うのでありますが、どんなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/7
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008・大島秀一
○大島政府委員 そのようなことはよく私たちも耳にするのですが、これはその当局にそのようなことのないように政府からも十分の注意もありましょうし、また皆さんなかなかお達者な方ばかりですからせいぜいその方に攻撃して、そうならぬようにしていただきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/8
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009・小林正美
○小林(正)委員 ぜひそのように政府の方から厳重に通告を願いたいと思うのでありますが、実際にはボーダー・ラインの人にはあまり借さなくて、単独で借り得られるような企業体に対して銀行が保証協会の保証を強制しておる。こういう事実が非常に多い。それともう一つ非常にけしからぬことは、これは全国の例をお調べになればわかると思うのでありますが、各都道府県などにおける保証協会の一番の責任者、すなわち会長の地位にある人はだいていの場合銀行の頭取が多い。こういう事実をどうお考えになるか、これが果して好ましいことであるか、そうでないかお尋ねをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/9
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010・大島秀一
○大島政府委員 それは必要な場合も間々あると思うのです。地方の銀行の頭取がそれの会長になっておるために非常に便利な場合もありましょうし、またただいま言われるようなそれが、何か代表者にだけというようなこともあるかもしれませんが、これは運営の妙によって、なるべくそのようなことのないように十分の注意をするというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/10
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011・小林正美
○小林(正)委員 大へん名答弁で喜んでおります。そこで私は実際の事例をあげて申し上げますと、こういうことがある。大体金を借りるという人は所要の額を所要の時期に融資を受けたいというのが、一番の眼目であろうと私は思う。ところがなかなか所要の時期に所要の金が出てこない。極端な例を出し上げますと、保証協会において保証する場合においてもなおかつ――たとえば五十万円の融資を申し込んだときに二十万円の歩積みをさしておるという事実があるが、この点について政務次官は御承知かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/11
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012・大島秀一
○大島政府委員 その通りであります。そういうようなことは時々あるのです。ただこれは私なども、やはり中小企業のことをよく存じておる一人なんですから、そのような場合がしばしばあるということは、私たちも十分聞いておるのですが、しかしやはり返済をしてもらわなければならないという責任があるので、借す立場においても多少慎重を期するということが、今言われるような結果を招来するということが間々あるように存じておりますが、そのような点はこれからその責任者に対しまして、政府といたしましても十分なる注意を払うようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/12
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013・小林正美
○小林(正)委員 次官は大企業に関係しておられまして、こういう中小企業問題についてはあまり御関係がないだろうと思うのでありますが、いやしくも保証協会が保証する場合において、歩積みをさすようなことが間々あるというような御答弁をいただくということは、私たちとしては非常に遺憾なんです。保証協会が保証をするような融資については絶対に歩積みをさせない、この確約をいただきたい。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/13
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014・大島秀一
○大島政府委員 その確約はちょっとむずかしいですが、理想からいきますと、大体銀行が歩積みをさせること自体は保証協会という問題でなく、普通銀行の場合でも、われわれは非常に不満なわけであります。ですから今度保証協会が保証する場合に歩積みをするというようなことが、今までかりにあったとしたら、今後はこれを是正する必要がある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/14
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015・小林正美
○小林(正)委員 単独で借りられる場合は、これは信用の限度とかいろいろ関係があって歩積みの場合もあると思うのですが、しかしその場合でも結局借りる人にとっては非常な高い金利を払って莫大な金を借りて、そして実際に使うものはその半分になってしまうということで、これは直接本人が銀行から借りて保証協会がタッチしない場合は、ある意味においては望ましくないと思うのでありますが、やり得る場合はやむを得ないと思いますけれども、いやしくも損失があった場合はそれを補てんするという保証協会である以上は、そういうことが絶対ないように厳重に今後御監督をいただきたい、かように考えるのです。
それからここでちょっとお尋ねをしたいのでありますが、都道府県にあります信用保証協会というものは、これは法的根拠があるところの法人であるということで差しつかえないと私は思うのでありますが、法的に何ら根拠を持たないところの、たとえば地方自治体などが信用保証協会と称するものを作りまして、そして保証機関と同じような仕事を現在行なっておる、こういうことについてはいかがなものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/15
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016・岩武照彦
○岩武政府委員 今のお話実は私も初耳でございますので、よく実態を調べてみたいと思います。ただ現実に保証行為を行うものであるかどうか、これは私よく存じません。あるいは保証協会に対するいろいろな業務上の監督なり何なりを行うための一つの委員会組織かと考えられます。もう少し実情を調べてみたいと思いますが、できますれば、ありまする県とかをおっしゃっていただけば調べやすいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/16
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017・小林正美
○小林(正)委員 これは実は私が作ったのです。三重県の四日市の市が金を出して、これに銀行が若干金を出して信用保証協会というものをずっと前から作っているのです。信用保証協会というものが発足する以前からずっとやっておりました。ところが今こういういわゆる信用保険公庫などもできまして、やっぱり法的根拠のあるものでないと、保証協会でなければ、いわゆる信用保険公庫の対象にもならぬと思います。幸いに今のところは非常にうまく行われております。一回も問題が起っておりませんが、一応三重県四日市の市役所の中における信用保証協会のあり方について御研究を願いたいと考えております。
それからどうも私自身非常に金に困っておりますので、金のことばかり聞きますがお許し願いたいと思います。同一企業で保証貸付が二年も三年も続いておるのがざらでございます。これはその企業がいつまでもいわゆる融資の対象に十分なり得るかどうかわからないボーダー・ラインのところをさまよっておる場合においては、二年、三年保証協会が保証する、大へんけっこうなことと思うのでありますが、どうも実際はそうではなくて、こういうような長く続いておるところの保証対象になっておる企業というものは、中にはだんだんよくなってきておるのがあるのです。ところがやはり依然として銀行が金を貸し付ける場合には保証協会の保証をとっていらっしゃい、こういうことを言う。そのために私は二つの非常な大きなマイナスが出るものであると考えるのですが、第一には単独で借りれば金利も安い。ところが保証協会の保証を受ける、あるいは信用保険公庫の方からさらに保証を受けて、結局少しでも高い金を借りなければならぬ。こういうことが第一点。第二点におきましては、それだけボーダー・ラインにあって、真に保証協会から金を借りる必要のある人が、ワクが狭められて借りることができない、保証協会の機能を十分に活用できない、こういう事例がしばしば見受けられます。現に三重県の場合なんかは、ほとんど長期間にわたって貸し出しをしておるのが全体の半分以上を占めておる、こういう事業でありますが、こういう点は今後どのように御指導になるおつもりか、中小企業庁長官に一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/17
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018・岩武照彦
○岩武政府委員 お尋ねの点は二つありまして、一つは金利に対する保証料低下の問題でありますが、保証料をできるだけ下げたいということは、われわれの前々からの念願でございます。政府で保証協会に何らかの財政的な援助を与えるという趣旨で設けておりますのが、現在の保険公庫からの融資でございます。本年度二十億の融資を行います。その結果だけでございませんが、その他の情勢をあわせまして、大体全国で保証料の率によりまして一割ないし二割方の引き下げを見ております。明年度も十億の貸付を予定しておりますが、これからの運用の際にできるだけ保証料は各保証協会の採算の許す範囲で下げさせたい、こういうことで目下具体的なやり方を研究しております。
それからもう一つは保証のワクが少いので希望者に十分な保証ができないという問題でございます。これも実は非常に頭が痛い問題で、現在までに保証協会の付保いたしました債務の残高と申しますか、貸付の残高は約七百億見当でありましたか、全体の中小企業向けの金融機関の貸し出しの比率では、わずかに二%余りというふうなことでございまして、これはもう少し保証のワクを広げて実際の付保が行き渡るようにしたいというふうに考えております。これも御案内のように保証協会に対しまして、政府なりあるいは地方団体の財政的な援助が出ますれば、それだけ保証協会の保証能力は広がるわけでございます。現在は政府関係の融資金の方は、わずかに残高三十億でございます。明年度十億といたしましても四十億でございますから、とても十分とは申せません。地方団体の方も現在九十億円程度の保証金になっておりますが、まだ十分とは申せませんが、両方相待ちまして何とかして保証のワクを広げたいと思っております。それがなかなか急速に参りまん事情もいろいろあるわけでございますが、さりとて信用補完制度の理想は、資力、信用の薄い者が手軽に金を借りられるということが理想でございますので、早くこの保証のワクを広げるように措置したいと思っております。大体今度十億円出資いたしますれば、この金額をもとにいたしまして、各保証協会を通じまして大体保証の延べ高にいたしまして二百五十億から三百億程度の保証ワクがふえるかと思っております。こういうことでできるだけ早くこのワクを広げて参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/18
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019・小林正美
○小林(正)委員 御説明の意味はよくわかるのでございますが、ちょっと私の質問の要旨をはずれておりますので、もう一度お尋ねいたします。そういう工合にワクそのものを広げていただくことも大へんけっこうでございますが、もう一つは、その限られたワクの中で実際に保証する場合において、大体銀行などは非常に慎重をきわめ過ぎて、最初はボーダー・ラインであった企業であるがゆえに、これに対して保証協会が保証をしておった。ところがその企業がだんだんよくなって参りまして単独で銀行から借り入れができるようなところまで、幸いに高められてきておるにかかわらず、依然として銀行は単独貸付をしないで、非常に安易な気持で、保証協会の保証をとっていらっしゃい、そうしないと工合が悪い、こういうふうなことを言っている例が大へん多い。だから一つの企業に対して二年も三年も続いて保証協会の保証をくっつけておる。しかもその企業の内容は非常によくなっている。こういうことは、保証協会の会長が銀行の頭取によってそのいすをしめられるところに、一つの原因があるのじゃないかと思うのですが、そこいら辺はどんなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/19
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020・岩武照彦
○岩武政府委員 具体的な問題になりますといろいろなことがございましょうから、一がいには何とも申せませんが、銀行と常時取引がありまして、前の取引の金も無事に元利そろえて返しておる。しかも事業の方もかなり順調に進んでおるということでございますれば、これは銀行としましてもある程度融資態度を、何と申しますか第一回目よりか寛大になるということは普通のことだろうと思いますが、今の御指摘の場合はどういうことでございますか、ちょっとわかりかねるかと思いますが、中小企業の方もせっかくいろいろ苦労をして仕事をやっておりまして、将来の見込みがあり、かつ業績の上っておる企業でありますれば、金融機関の方もその業績を具体的に見た上で、融資態度等につきましては、中小企業の伸びるようにしてもらいたいと考えております。ただ保証協会の会長を兼ねておるからということは、必ずしも言い切れないのではないだろうかと思います。そこらあたりいろいろ現実の問題としましては、個々のケースでいろいろな問題もございましょうが、一がいには申せません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/20
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021・小林正美
○小林(正)委員 私は最後に、せっかく中小企業信用保険公庫が、今度十億円出資金もふえるような運びになっておりますので、この公庫のほんとうの目的がいわゆる中小企業者を救うための公庫であってほしい。これが金融機関を助けるための公庫にすりかえられないように特に要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/21
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022・長谷川四郎
○長谷川委員長 松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/22
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023・松平忠久
○松平委員 中小企業全般の金融について、若干お伺いしたいと思うのですが、大蔵省はどなたか来ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/23
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024・長谷川四郎
○長谷川委員長 特別金融課長が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/24
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025・松平忠久
○松平委員 第一にお伺いしたい点は、一昨年来の傾向から見まして中小企業の金融というものは都市銀行、地方銀行の占めるウェートが幾分ずつ減ってきて、相互銀行、信用金庫並びに政府系三銀行等の中小企業向けの金融が少しずつふえてきておるというのが実態のように、統計では出ているわけであります。この場合において政府の考え方というものは、今のような工合に都市銀行なり、他方銀行の中小企業向け金融がだんだん減ってくるこの傾向を是認して、後者である相互銀行、信用金庫もしくは政府系三銀行の資金源を増していってこれを強化する、こういうような方針をとらんとしているのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/25
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026・磯江重泰
○磯江説明員 お答えいたします。中小企業向けの市中の金融、特に大銀行あたりの金の流し方がだんだん減っているのじゃないかいうようなお尋ねでございますが、昨年秋以降におきまして中小企業向けの市中の金融は、量としましてはかなりふえているわけであります。また市中銀行等の金融も量的には決して減っているわけじゃございません。それでは率がふえているかという点でございますが、この点につきましては、私資料を持ち合せていないのでございますけれども、急激に上昇するという傾向にはないことは事実かと思います。しかしながら市中銀行金融は、全体として見ました場合に、中小企業向けの資金量は決して減っていない。もちろん波があるわけでございますが、金融がゆるみましてから、特に昨年の秋以降におきましては、相当の金が中小企業に回っておるわけでございます。政府関係の金融機関は、もともと趣旨からいたしますれば、市中金融の補完金融であるという考え方に私どもは立っているわけでございます。しかしながら補完金融と申しましても量の面と質の面と両方あるわけでございまして、両面から低利の金を潤沢に流すということを私どもは考えているわけでございまして、あくまで補完金融という立場に立っているわけでございますから、市中金融の金利も低下いたし、また資金源も潤沢になりますれば、補完金融の度合というものは薄くなるというふうに考えられるのであります。現状におきましてはまだそこまでは至っておらないわけでございまして、市中金融と政府関係金融とが両々相待ちまして、中小企業金融の円滑化に貢献すべきものと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/26
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027・松平忠久
○松平委員 量は確かに去年でもふえております。ふえておるけれども、大企業向けの量の方が圧倒的に多くて、中小企業はふえ方が少いということは統計に現われておるわけであります。従って中小企業向け全体の金融からいうと、幾分ずつ都市銀行、地方銀行というものは減ってきておる。そしてそれをカバーするがごとく政府系三銀行並びに相互銀行、信用金庫という方面がふえておる、こういうふうに統計はふえておるわけであります。従って私は量はふえてないということは言わない。昨年に比べましてことしはふえておりますが、しかしそのパーセンテージからいって、中小企業向け全体の金融の率を申しますと、比較的に妙な傾向が出てきておる、こういうことを申し上げておるわけであります。従ってそういたしますと、政府は補完的な役割を持つものを少し増強しなければならぬというふうに考えてそういうふうになったのか、あるいは都市銀行、地方銀行というものがいろいろ融資先の懸念というようなことから手控えるということになったのか、いずれにしても統計はそういうふうに出ておるわけであります。従って私が申し上げたいのは、政府自体としてはあくまで政府系二銀行は補完的な役割をしているんだという考え方に立っているように思うのでありますが、しからば相互銀行、信用金庫というようなものに対しては、どういった態度をもって臨んでおるのか、これをもっと強くしていきたいという考えであるのかどうかということと、それから都市銀行と地方銀行の中小企業向けの金融というものが、率からいって少くなってきたという点については、どういう指導をしておられるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/27
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028・磯江重泰
○磯江説明員 二番目の御質問の点から先にお答え申し上げますが、市中の金融機関に対しまりして、これは都市銀行も含めておるのでございますが、ことに金融引き締め以来、中小企業に対して金の出し方が薄くなると申しますか、大企業偏重になるというような傾向が見られる場合におきましては、銀行局といたしましては、中小企業に対して特に配意するようにということを、かねがね指導いたしておる次第でございます。数字の点につきましては、比率が下ってきておるじゃないかということなんでございますが、最近先ほど申しましたように、昨年の秋以降の状況を見ますと、比率は下っておらない、むしろ増加しておるわけでございます。特に資金の量のふえる中におきまして、中小企業向けの資金量がふえる率が従来から見まして、非常に高くなっておる実績でございまして、一がいに比率が下っておるじゃないかということはいえないかと思います。特に最近においては、必ずしもそうではないということを申し上げたいと思います。それから相互銀行等につきましては、これは実は私の所管外なのでございますが、もちろん大蔵省といたしまして、こういった金融機関の内容を充実させ、そして健全な金融機関として中小企業の金融のために円滑な機能を営むことを期しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/28
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029・松平忠久
○松平委員 所管外であることだから、あまり聞いても、これは答弁がむずかしいかと思うのだが、相互銀行、信用金庫というものの中小企業における分野というものはかなり。パーセンテージは上っておる。全体の中に占める比率というものは、政府の統計を見ても三〇%以上になっているように思うのであります。従ってこの三〇%以上を占めておるこれらのいわゆる中小企業向け金融機関というものを健全にしなければならぬというわけでありますが、これらの銀行、相互銀行や信用金庫が行き詰まったというようなときに、日本銀行はこれを救済してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/29
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030・磯江重泰
○磯江説明員 実は所管外のことでございますので、十分答弁できなくて申しわけございませんですが、日本銀行からの借り入れば、こういった機関はできないことになっております。そういった場合におきましては保障協定または地区協定等によりまして、親銀行その他からいろいろめんどうをみてもらうというようなことをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/30
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031・松平忠久
○松平委員 その親銀行というのはどういう銀行ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/31
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032・大島秀一
○大島政府委員 相互銀行あるいはこういった小さい銀行には親銀行というのが御承知の通りあるのです。たとえば第一銀行が何の親銀行であるとかいうような工合ですから、もしこの連中の方で行き詰まるようなことがあれば、親銀行が可能の範囲においてめんどうをみるというのが常識なんでありまして、それが思うように行ってないということは御承知の通りなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/32
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033・松平忠久
○松平委員 常識論でやっているんですね。相互銀行、信用金庫は、法律の上からいえば日本銀行が保証金を積みさえすれば援助してくれるのです。ただしかし、現在信用金庫にしても相互銀行にしても、保証金が高過ぎて積み切れない、従って日本銀行はこれを援助してくれない。だからこの間の第一相互みたいにああいう導入が来てやりまして失敗した場合には、一時的なモラトリアムをしておるというような格好でやっているほかに方法がない。だれもこれをとことんまで普通銀行のような工合に、日本銀行がめんどうをみてくれるというようなシステムになっていない。ここに中小企業金融の弱点が、三割近いものを扱っておりながら、その親銀行がこれをめんどうみてくれないというところに私は非常な不安が今日あると思う。きょうは専門家の銀行局長を呼んでおったんだが、来ないのでしょうがないのであって、あまり詳しく申し上げたくないのでありますが、そこを政府自体が考えてもらわなければならぬ、こう思うのです。そこで商工中金は一体これらの信用金庫の親銀行となるような資格はないものですかどうですか。これはそういう方向に持っていくのも一つの方法だろうと思いますが、そうはいきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/33
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034・北野重雄
○北野参考人 現在商工組合中央金庫法の法律上の建前では、信用金庫も系統機関に入れ得るという立場に立っておるように伺っております。ただ現実問題といたしまして、まだ信用金庫の方にもいろいろなお考えもあるようでございます。この問題につきましては今後もよく検討いたしまして、現在信用組合が系統機関になっておるわけでありますが、それに準じて扱い得るように今後研究を進めていきたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/34
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035・松平忠久
○松平委員 私は相互銀行と信用金庫の親銀行を何か作った方がいいのか、あるいは相互銀行は相互銀行としてやっていって、相互銀行の直属の親銀行というものを作ってやって、そうしてそれが日銀と同じような機能を発揮するような工合に持っていって、中小企業の金融というものをよくやっていくということが一つの便法であり、信用金庫は信用組合とともに商工中金が親銀行になりまして、そうしてこれから資金を流していくなりなんなりするということでもって、中小企業者が安心して行ける、預金者も安心して行けるというような方向をとるのか、そこらのところを政府はどういうふうに考えておられるか。責任のある者がきょうは来ておりませんので、御答弁はむずかしいかと思うのですが、個人的な見解でもあったならば、この際、政務次官でも、理事長でもお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/35
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036・大島秀一
○大島政府委員 そのようなことは実際よく聞くことなんです。でありますので、これは今私がそのように実行に移すというようなことはもちろん言明はできませんが、そうしたような声がありますことを私どもも十分存じておりますので、十分研究いたしました上で、一つまた申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/36
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037・北野重雄
○北野参考人 ただいま私申し上げたことに少し間違いがございましたので訂正をいたしておきます。現行法によりますと、信用金庫は商工組合中央金庫の代理店に指定できるということになっておりまして、さっき申し上げましたように、いわゆる系統機関、所属団体にはまだできないわけであります。従いまして現行法の建前だけですと、代理店として活用していくという程度でございますので、系統機関として今松平先生のおっしゃったような、いろいろな資金的バックをするというところまではまで現行法でもできない。結局将来法律改正の問題として検討しなければならぬ、こういう筋道になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/37
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038・松平忠久
○松平委員 その通りです。今申し上げたのは政策論として申し上げたわけでありますが、そこで現行法の範囲内でやるということになると、商工信用組合というものが系統の下部機構のような工合になるわけですが、現在いわゆる信用組合というものに対しての代理店は、幾つくらい持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/38
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039・北野重雄
○北野参考人 昨年の秋に二十組合指定を増加いたしまして、現在百十一組合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/39
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040・松平忠久
○松平委員 信用組合はたしか五百四、五十あったように思うのですが、中にはあまりよくないものもあった。そこで方針としてはそのうちのどの程度まで一体お返しになるつもりであるか、半分程度か、あるいは三分の二くらいまでいくというようなことになるのか、その辺のお見込みはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/40
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041・北野重雄
○北野参考人 私どもの立場からいたしますと、商工信用組合はできるだけ数多く代理店に指定いたしまして、特に零細金融の面で商工信用組合を通じて金融の促進をはかりたい、こういう考えでおりますが、代理店に指定いたしますにつきましても一つの基準がございまして、基準に当てはまるまで組合が伸びてきておりません場合には指定できないのであります。今までは大体年に一回くらいいろいろな選定基準によって選定をいたしまして、この数をふやしてきておるのでありますが、できれば年一回といわずできるだけ早く、信用組合の力がつけばつくだけこれを早くして、代理店に指定していくように持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/41
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042・松平忠久
○松平委員 代理店にした場合における取扱いの方針と申しますか、基準と申しますか、代理店にされた信用組合の方々の苦情を私どもは聞いておると、商工中金の代理店になった場合、同じく国民金融公庫の代理店になった場合に、両者を比較してみますと、国民金融公庫の方はかなり親切と申しますか、割合に包括的に代理店に権限をまかせましてやっていくわけであります。ところが商工中金の方は支店で非常に統制を加えて、代理店にあまり裁量権その他を与えないような方針を今日とっておるように思いますが、その点はどうですかしら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/42
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043・北野重雄
○北野参考人 そういう御批判もあるようでございますが、実際は私どもの方では商工信用組合が代理店として金融をいたします場合には、この回収についての責任は全部信用組合にあるわけでございます。従いましてその融資について商工中金の側からとやかく言うということはやっておらないという実情なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/43
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044・松平忠久
○松平委員 どうも北野さんはその点はまだよく実情をお知りにならぬかと思う。だから下僚の人にいろいろ聞いてお答えになっておるようだが。実際の代理店の声は、国民金融公庫の金は使いよい、商工中金の金は使いにくいというのが各組合長の意見なんです。それは私はどういうところに欠陥があってそういうことを言うのかわかりませんけれども、少くとも系統金融を整備していこうという考えがあるならば、他の系統外の国民金融公庫の方の金なら使いやすくて、お宅の親の方が使いにくいというのでは、これは伸びないと思うのですよ。だから私はそこをもう少し下部について声を聞いてもらって、そうして国民金融公庫と少くとも同じか、もしくは国民金融公庫よりも使いやすいような工合に、部内のいろんな規則を改正するなら改正される必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに思いますが、御所見のほどを伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/44
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045・北野重雄
○北野参考人 言いわけをするようでございますけれども、その点は国民金融公庫の方の融資の対象なり金額なり実際の扱い方と、商工中金の方の信用組合に代理委託しております長期にわたる設備資金とか、運転資金とかいうようなものの貸し方とは、おのずから違うんじゃないか、私はそう思うのでございます。しかしまあ御指摘の点はさらによく私の方も反省いたしまして、できるだけ改善していきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/45
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046・松平忠久
○松平委員 今のお言葉はちょっとふに落ちない。それは信用組合というものは、もともと一番零細な金融をやっているのですから、これは五万、十万、二十万、五十万程度の金融がこの信用組合では最高だ。これが信用組合の金融なんです。だから今あなたがおっしゃったように長期の金とかなんとかいうことでなくて、信用組合で貸し付ける対象というのは十万、二十万、二十万程度のものなんです。ですからその心配はないんです。国民金融公庫の金融とは、ぴったりなるほどその点はいっていますけれども、しかしあなたの方は小さく分けたってかまわないわけなんです。信用組合の方へは百万二百万という融資を申し込んでくるということではないのです。やはり小さい金融をやるわけです。だからその点は一つ反省されると言ったから反省してもらって、国民金融公庫の金が使いやすいと同じような工合に使いやすいという気風を一つ大いに作ってもらいたいと思うのです。
それからどうですか、支店長は訓練や何かよく行き届いているかどうか知らぬが、だんだん見ているとよくなってきているように思うのですが、やはりいろいろな人が寄ってたかってできた金庫でありますから、なかなかうまくしっくりいかぬ面もあるのですが、訓練はどういうような年次計画――一年の計画の中で研修会なり何なり、そういうようなことはやっておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/46
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047・北野重雄
○北野参考人 私もまだ就任一年でございますが、今松平先生の御指摘のように、商工中金は不親切だというようなことはよく聞いております。それだけに就任早々からできるだけ特に第一線機関の支所を回りまして、職員を全部集めて、ほんとうに中小企業者の気持になってサービスに万全を期すようにということを、くどいほど言っておるわけであります。特別に訓練という問題はやってはおりませんけれども、私どものそういった気持を、職員の一人一人も十分身につけてくれるように努力しております。なおまた、一般に検査部だとかあるいはまた役職員が地方に参りました場合にも、特にサービスの点について十分注意をするように、趣旨の徹底をはかっておるわけであります。まだ十分とは参りませんが、だんだん改善されるだろう、またぜひそうしたいというように考えておりますので、一つこの上とも御叱正をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/47
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048・松平忠久
○松平委員 それから、今度の法律案によりまして預金の受け入れ先の追加等があるわけでありますが、預金の勧誘というか、そういう方面の仕事が商工中金は割合手不足で、また下手であまり行なっていないんじゃないか、こういうふうにわれわれも見ておるわけであります。そこで、この預金を受け入れるような態勢の職員の整備というようなものは、やはりこの法律の改正案とともにやっていかれるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/48
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049・北野重雄
○北野参考人 御指摘の点は私も全く同感でございまして、本部に預金課も作ったわけでございますけれども、まだ現在の状況では、所属団体あるいはその構成員に対しての預金の協力を求めるという点において、人の数からいいましても、またその努力の程度からいたしましても十分でない、特にことしからはその点に力を入れたい、またこの預金は、御承知のように私の方は所属団体とその構成員に限られております。今度法律改正をされて幾らか範囲がふえるわけでございますけれども、それだけにいわゆる両建、歩積みというような拘束的な形になくてはならぬわけであります。あくまでも商工中金のメンバーとして、自分らの銀行の力を増すために協力してやるのだという気持になってもらわなければなりませんので、非常にその点が微妙でもございます。その点に十分注意しながら預金の増加をはかっていきたい、人的にもやり方にも一段の工夫を加えていきたいというので、目下いろいろ検討を加えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/49
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050・松平忠久
○松平委員 所属団体等の取引先の人は、商工中金というのは金を預かる機能もあるのかということをみんな考えています。だれもそういうことをよく知りません。ただ金を貸してくれる機関だ、こういうふうに思っているのですよ。また職員も預金をとるということをちっとも熱心に言わない。支店長のごときは、これは上から言われておるから、私ら預金も預かるのですということを言いますけれども、積極性がないのです。だからこの積極性を少しとらせるような工夫を部内で考えられて、預金課というものも作られたというお話なんですが、その点はこの法律改正とともに、かなり力を入れてやらなくてはならぬところでなかろうか、こういうふうに思うのです。お気づきのことだろうと思うから、それ以上申し上げませんが、もう一つ伺いたいのは、商工中金と農林中金の事務の分担と申しますか、なるほど紙に書いた上では、ちゃんとはっきりしていますけれども、最近の傾向といたしましては、農林であるのか商工であるのかわからない業種がだんだんできてくると思うのです。たとえば漁業にいたしましてもちょっとした加工をするとか、あるいは農業の面にあっても、従来のいわゆる農業ではなくて、企業の形態として農業をやっていく、つまり果樹、園芸であるとか、あるいは集団的な養豚事業であるとか、あるいは酪農というようなものが集団的に企業としてやっているものがある、あるいは種苗会社みたいな工合に種を生産するという会社がある。これが農林の方へ行ってもだめだ、商工の方へ行ってもだめだというので、これが現在の金融のネックになっている、盲点になっているわけです。これは政府は一体どういうふうになっておりますか。政府の方で説明できる人がおったら説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/50
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051・磯江重泰
○磯江説明員 農林中央金庫と商工組合中央金庫の両組合の関係についてのお尋ねと存じますが、農林中央金庫は大体農民の系統金融機関の中枢機関であるわけでございまして、その貸付の対象となりますものは、系統の下部の機関、農信連等の組合が主たるものであります。それらを通じまして下部の単協なり、農民団体へ金が流れていくわけであります。大体そういった系統に属するところの組合金融が主であるわけでございまして、それ以外にも、農林中央金庫はいわゆる余裕金の運用といたしまして、そういった農業関連の法人等に貸し出すことができることになっておりますが、これはあくまで余裕金の運用として現在やっております。本来は農協の下部の組合ないしそれを通じて農林漁業者に金融をつけるというのが、主たる任務となっておるわけであります。従いまして、そういった加工部面等につきましては、現在もちろん系統の中に属するたとえば組合ないし組合員というものにつきましては、農林中央金庫の金が流れていくということはあるわけでございますが、それ以外の部面につきましては商工組合中央金庫の系列に属しますのは、商工組合中央金庫から金が流れていくというような制度にはなっておるわけでございます。しかしながら現実の問題といたしまして、ただいま御指摘になりましたように、性質的には農業系統にくるのかあるいは商工系統にくるのかミックスしたようなもの、それから系列といたしましてどちらの系列にも属し得るのではないかというようなものもあるかとも思いますが、こういった点につきましては、それぞれの事業の実態ないし取引関係等に応じまして、それぞれの機関で適宜実情に応じた融資を行うということが望ましいわけでございまして、その分野が非常に混淆して、どっちにも入るあるいはどっちにも入らないというようなことで混乱することはできるだけ避けていきたい。しかし制度的にはそういうわけで一応は分野が分れておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/51
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052・松平忠久
○松平委員 制度的に分野が分れておるけれども、最近の生産事実のいろいろな複雑化というか、そういうことによって非常に分野が紛淆を来たしておるのではなかろうか。たとえば百姓が豚を飼うという場合の豚舎その他の資金は、これは系統機関たる農林中金が信連を通じて流してくるのです。ところがここに肉屋が一軒ありまして、その肉屋が大量の豚を飼うという場合には、これはだれが金融してくれますか。農林中金じゃないでしょうか。商工中金が金融しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/52
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053・磯江重泰
○磯江説明員 ただいまの具体的な問題は別といたしまして、商工組合の系統に属する組合に所属しているものであれば、商工組合中央金庫からの金融が行われるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/53
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054・松平忠久
○松平委員 そうすると、たとえばリンゴなんかをやっている場合、農民がやっている場合はいいとして、たとえば普通の商人がある人に相当リンゴを作らせる、そういうのに金融をつけてやるという場合には、これは商工の方になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/54
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055・磯江重泰
○磯江説明員 先ほど申しました通り、融資を受けるものがいずれの金庫の系統に属する組合に所属しているかということによりまして、その所属する組合の親機関から金が流れるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/55
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056・松平忠久
○松平委員 そうすると属人主義になってきますね。ところが、それが末端にいきますと、なかなかその点がはっきりしません。それから政府で出しておるのですが、金融機関が持っておるところの貸付業種のリストがあります。このリストを見ておっても、リストだけではなかなか判定できない。だからもっとこれは政府で考えまして――これは何も農林中金と商工中金だけの問題じゃないのです。農林関係と中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫との間にも紛淆があるわけです。そういう盲点が最近は非常に出てくるということは、農業の企業化ということが最近行われてきております。そこで農業の企業化もしくは企業家が農業をやるということがだんだんと出てきて、日本の農業形態も変ってきておるという実情であって、御承知のように農業の法人化ということまで最近は考えなければならぬという議論があるがごとく、非常に違った経営形態が出てくるということになりますので、農民であるのか農民でないのかわからないようなことになるのです。ですからそこは今まであるリストをもう少し親切に解明をして、各銀行の支店長の方へ流していくというふうにお願いしたいと思うのだが、それはどこでやってくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/56
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057・磯江重泰
○磯江説明員 ただいま御指摘のありました点は、大蔵省といたしましても最近の農業金融ないしは商工金融というものの実態を見て参りますと、確かにおっしゃるような点が出ておるわけであります。現に政府関係の金融機関の内部におきましても、たとえば農林漁業金融公庫の融資対象、あるいは中小企業金融公庫の融資対象というところが、業種といった性質的にはかなりダブってくる面も現われてくる。それから農林漁業中央金庫におきましても、現にそういった関連の、かなり純然たる製造工棄でございますが、そういった面にも金が流れていくというような実情でございます。確かに農業自体が、そういった法人形態になるということとは別に、またそういった企業を農業関連産業として農業自体ないしは農民のために育成しなければならないというような面が出てくる、ことにそういった傾向がだんだん広がってくるのが事実だと思います。そこでそういった面につきまして、ある程度思想をはっきりしなければならないのじゃないかというような点は、私どももそういうふうに考えております。しかしながらこれをはっきりと、この業種はどちらに関連が強いのだ、だからどういう性質のところから金が出なければならないという工合に割り切ることは、実際問題としてなかなかむずかしい面がございます。政府といたしましては、なるべくそういった業種の事業の性質、それからそれが実態的に果してどういう関連事業ないし下部の事業から成り立っておって、どういう効果があるかというような面もよく考えた上で、業種というものをそれではこういう性質のものとしてどういう金の流し方をするのが適当かということを考えなければならないと思っております。今の業種をどういうふうに分けて、どういうふうに指示するというような点につきましては、もちろん一般の金融機関につきまして今融資準則というようなもので業種がきまっておるとか、あるいは政府金融機関につきましては法令ないしは業務方法書というようなもので業種がきまっておるという点がございますが、その業種という範疇だけでは必ずしもその実態面を十分に整備することは困難な面もございまして、そういった御指摘の点につきましては私どもとしてもよく研究させて、十分それぞれの実態に応じた円滑な金融が行われるように心がけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/57
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058・松平忠久
○松平委員 どうもちょっと今の御答弁、最後の点がはっきりしなかったのですが、今の状態はいわゆる経営をしておる人の政治力のようなものによりまして、ある場合には商工関係の人であっても農林中金の金を使っておる、商工中金の金も使っておる、両方の金を使っておる。ところがそういう人がいない場合には両方から締め出しを食っておる、こういう実情なんです。たとえば前に参議院議員をやっておる滝井君のタキイ種苗というのがありますけれども、あれは京都にある全国で一番大きい種苗商だ。これは商売なんだ。商売をやっていながら、農林中金の金を相当借りていますよ。長岡とか、あちらこちらで農場を経営しておる。それは農林中金の金で相当やっております。ところが小さいものは農林中金はむろん相手にしなければ、また同時にそれは商工中金なんかに持っていっても、これはどうも農業関係だからといって断わられるというのが実情なんです。ですからこれは何か一つそこのところを、そういう借り手の方の政治力によって盲点をつかれるというようなことではなくて、だれでもどっちかの金融機関が利用できるような工合に、そのボーダー・ラインのところはうまくやってもらうということを、ぜひやっていただきたいと思うのですが、私が先ほど質問したのは、そういうことをやる機関は大蔵省だと思うのですけれども、大蔵省のどこで、銀行局の何課でやるのですか、あなたの方の課ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/58
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059・磯江重泰
○磯江説明員 農林漁業中央金庫と商と工組合中央金庫との関係に属する問題でしたら、これは銀行局の特別金融課の所管でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/59
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060・松平忠久
○松平委員 それではあなたのところでそれをやってもらえば大体いけると思うのです。農林と商工とは両方があなたの所管だから、そこである程度のものを、もう少し親切にやってもらえば、ほかの銀行もそれに準じてやるのではなかろうか、こういうふうに思いますので、ぜひ一つそれはやっていただきたい、かように思います。
もう一つ伺いたいのは、昨年の中小企業全体の金融が、日銀の調査で幾らあったという中で、商工中金の占めておる率は一昨年に比べて幾らか滅ってやしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/60
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061・北野重雄
○北野参考人 統計数字を見ますと、全体の中小企業向けの金融融資額のうちに商工中金が占めておる割合が、大体その三%、これはほとんど上り下りがない。それで昨年の十一月ですと、三・一%になっております。今、十二月の数字がございませんが、若干ふえても減ってはおらないと思うのでございますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/61
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062・松平忠久
○松平委員 大体三%ですか。――今度の政府の出資その他によって、そこはそれではパーセンテージは幾らかふえるというお見込みですか、三・ニ%くらい、あるいは一%増か。そういうようなことは別に考えておらなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/62
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063・北野重雄
○北野参考人 それは別に考えておりませんので、これは三十四年度の見通しということになりますと、全体的にも非常に問題で、私どもの方としては大体三十四年度は貸し出し純増百五十億。それでいきますと、貸し出し累計額におきまして、三十四年度は三十三年度に比較して約一〇%ふえる、こういう見通しで来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/63
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064・松平忠久
○松平委員 それから最後に、商工中金等のあれについてお伺いしたいのは、商工中金というのは、これは中小企業金融公庫も同じですが、大蔵省の所管であり、通産省の所管であるのですが、この両方の所管であるという理由ですね、これは一体どこにありますか。これは政府から答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/64
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065・岩武照彦
○岩武政府委員 これは設立のいきさつもございますが、商工中金というのは、御承知のように、純然たる政府機関でございませんで、半官半民の金融機関でございます。それで設立の当時から、金融関係の所管庁でありまする大蔵省と、中小企業の主たる所管庁であります当時の商工省等の共管といいまするか、両方が広い監督権を持っているという組織でございます。現在もそれを引き続いてやっておるわけでございます。やはりその理由は、両省の所管にまたがっておるし、しかも関係がきわめて深いことでございまするから共管でやっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/65
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066・松平忠久
○松平委員 関係がきわめて深いという今の御答弁であったわけでありますが、この設立のときには、商工中金は、当時の商工省で発議をして、発案をして、こういうものを作ろうじゃないか、こういうふうになったいきさつがありますかどうですか。それから中小企業金融公庫も、当時の通産省、つまり商工省かで発議をして、案を練って、大蔵省の方へ話しかけて、それでできたから共管だ、そういういきさつはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/66
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067・岩武照彦
○岩武政府委員 商工中金のことはちょっとこれはだいぶ前のことでございますのでつまびらかにいたしませんが、大体主たるイニシアチブは当時の商工省がとっておったようでございます。それから金融公庫の方は、これは当時の問題としましては、むしろ特別会計でこういう中小企業の政府金融機関ができないものかということで、いろいろ両省の間に折衝されたのでございますが、特別会計で金を貸すということも、いささか実情に即しないというふうな大蔵省方面の意向もありまして、それで両事務当局が、それならば特別の金融機関、政府関係機関を作ってやろうということで、意見が一致したような事情でございます。こういう中小企業の金融の問題でございますから、多くの場合はイニシアチブは商工省ないし通産省がとっておる、これは御指摘の通りであります。その後のいろいろな、ことに政府機関になりますと、これは全部政府まるがかりでございますから、どうしても共管でないとうまくいかぬだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/67
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068・松平忠久
○松平委員 どうも私は、事の性質上、これは中小企業の金融であるから、両省の所管であるべきは当然であると、もちろん思いますけれども、その発生の過程によって、あるものは共管であったり、あるものは共管でない、こういう二本の制度がおかしいと思うのです。たとえば国民金融公庫は大蔵省が専管である。通産省は全然発言権がない。片方の二つは両省の所管になっておる、こういうことでありますが、その理由とするところは両方とも共通なんだけれども、一方においては共管であり片一方は専管だということは、どうも発生の過程が、通産省からイニシアチブをとったのは共管になるけれども、あなたの方でイニシアチブをとらなかったものは共管にはならなかったというふうにしかこれは思えないわけなんだ。そこでこれはこの委員会でも決議をして、国民金融公庫は両省の共管にしたらどうかという決議をしたけれども、これは委員長の計らいで向うの委員長に諮ることになっておる。それで委員長に質問したいのだけれども、その後委員長はこの問題について、何らか大蔵委員会との間に話し合いをしたかどうか。もう一つは、政府はこれに対して何らかの話し合いをしたかどうか、そのことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/68
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069・長谷川四郎
○長谷川委員長 お答え申し上げます。私、まだ委員長になってから承わっておりません。従って初耳でございますので、そういうような御要望があるとするならば、ごもっともなお説だと思いますので、一応交渉してみることに、やぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/69
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070・松平忠久
○松平委員 それは初耳だというのはおかしいので、当時委員長は小平君が委員長のときでなかったかと思いますが、長谷川委員長も当時理事だった。そこで、ここで決議をして、それで委員長から委員長に引き継ぎがなかったということは、これはおかしい。至急調べて、一つ積極的な行動をとってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/70
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071・長谷川四郎
○長谷川委員長 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/71
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072・岩武照彦
○岩武政府委員 国民金融公庫は御承知のように、戦前ですか戦中にありました恩給金庫と、それから庶民金融金庫でございますか、この二つが終戦後に合体されてできたものであります。それで実は御指摘のように、当時の商工省あるいは軍需省といいますか、それがイニシアチブをとらなかった問題であることは事実でございます。ところが現実は御承知のように、最近の情勢では、普通貸付においては、やはりこれは零細企業金融あるいは生業金融あるいは小規模事業者の金融という面が非常に強いわけであります。従ってわれわれの方も、実はこれは別段、法律上の問題は所管であるとかないとかいう理屈はありましても、実際はわれわれの中小企業金融公庫と同じように、自分の子供と思ってかわいがっている次第であります。ただ、いろいろ特別貸付とかあるいは恩給担保の貸付等もございますが、ああいう方は中小企業金融の筋から若干はずれますので、その辺まではなかなかめんどうが見きれませんが、われわれとしましては、自分の子供が一人おると思って大いにかわいがっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/72
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073・松平忠久
○松平委員 次に、中小企業信用保険公庫法のことをお伺いしたいのですが、一つこの商工中金との関連があることがありますので、登録税のことをお伺いしたいのです。これはだいぶ前の国会でございましたが、保証協会関係の登録税は、国民金融公庫並びに中小企業金融公庫とともに、免除した方がいいのではないかという議論が、ここでずいぶん出たわけであります。中小企業の方の、ことに保証協会なんというものは一番零細な企業であるから、これは当然そういう意味からは免除をされるべき性質のものではなかろうかと思うし、また商工中金も今申しました政府関係の三機関ということになっておるので、商工中金の方の場合の借り入れのときの担保等の関係がいろいろあるわけですが、その場合の登録税も同時にこれは減免をしていくべきではなかろうか、こういうふうに中小企業の立場からは考えるわけでありますが、大蔵省は一向にそれをしていない。そこでその点についてお伺いしたいのですが、前に研究をするという答弁があったわけであります。すでに三年くらいたっておるわけでありますが、どういう研究をして現在どういう方法をとらんとしておるのか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/73
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074・岩武照彦
○岩武政府委員 政府機関の関係の方は登録税は免税されているのじゃないかと思いますが、商工中金の方が実は困っておるのです。それからもう一つは、保証協会ですけれども、この辺のところを実は登録税が免税にならぬものかと思っていろいろ折衝しておりますが、税務当局の方は、やはりこれが響きますところいろいろあるようであります。ひとり商工中金だけというわけに参らぬということで、話が打開されないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/74
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075・松平忠久
○松平委員 これは大蔵省の方にその答弁を要求したいのですが、今おられないようなので次に移ります。
中小企業信用保険公庫の今度の十億円に関連しまして、発足してからまだ半年くらいでありますからその実際というものがよくわかりませんが、一応ここへ来ておる方に発足以来どういうふうに動いているかということを、ごくかいつまんで、ここで御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/75
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076・山本茂
○山本説明員 かいつまんで信用保険公庫発足以来の業務の御説明を申し上げます。
まず私どもの方のやっております仕事は、保険の仕事と信用保証協会の仕事と二つございます。保険の仕事の方の関係をかいつまんで申し上げますと、保険契約の締結高でございますが、これは第一番に融資保険の方、これは金融機関四百に対して九十四億という契約を行なっております。それから保証保険の方は四十九協会に対しまして百五十億の契約を取っております。それから包括第一種保険の方は五十の協会に対しまして五百七億四千万円、これだけの契約になっております。それから包括第二種保険の方は、これは数が少うございまして、契約を結びました協会は三つでありまして、金額は二十五億五千万円、総計しまして七百七十六億九千万円の契約を結んでおります。
次に保険につけた、付保の状況でございますが、これは特別会計当時の保険契約によりますものが一万九千件ございまして、金額として六十二億九千万円ございます。それから公庫になりまして、これは七月一日以後でございますが、公庫になりましてからの保険契約によるものが九万四千件、金額にしまして二十六億七千万円になります。合計しまして十一万三千件、八十九億六千万円、こういうことになっております。
それから公庫が十二月までに支払った保険金でございまするが、保険件数が千九百二十三件で、金額にしまして四億二千三百万円になります。それから回収した金額が七千八百九件で、一億一千五百万円、こうなっております。
それから次は融資の業務でございますが、公庫が信用保証協会へ貸し付けました金額は、これは長期と短期とありまして、長期の金額が二十億、短期の金額が一億五千万円でございます。長期の金額はこれは信用保証協会が保証能力を増加するための原資となるものでありまして、短期の方は信用保証協会が代位弁済するための場合の金繰りの必要上、代位弁済が早くできるようにというわけで短期資金から借す。それから特別会計当時の貸付の残高が、長期貸付の残高八億五千万円残っておりまして、総貸付高は三十億円になっております。大体そのような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/76
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077・松平忠久
○松平委員 大体今リストをいただいたわけでありますが、特別会計の仕事というものは、全部この保険公庫の方へ入ってしまったということに了解をしておるわけでありますが、政府は幾分まだ中小企業庁の中に信用保険公庫でやるべき事務を一部やらしておられるというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/77
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078・岩武照彦
○岩武政府委員 全部移しております。実は私の方はもう一月末にこの成規の公庫の資本金となるべき額を確定いたしまして引き継ぎまして、公庫でやるべき仕事は少しもしておりません。またそういう余裕もございませんので、全部旧特別会計の仕事は公庫に移っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/78
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079・松平忠久
○松平委員 しかし承わるところによると、かなりこまかいことを政府は保険公庫に対して指示をしたり何かするということを聞いておるわけであります。私はこういう公庫ができてしまったら、もう全部まかしておやりになった方がいいかと思うけれども、そういうようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/79
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080・岩武照彦
○岩武政府委員 これは政府機関でございまして、政府の監督下にあるわけでございます。また国会に対しての責任もございまするから、全部公庫まかせというわけに参りません。いろいろな業務の一般方針あるいは先ほど来のお話がありますような貸付の基準等につきまして、やはりこれはわれわれとしましては公庫の業務を監督するのを本来の仕事としております。ただ具体的な付保の問題であるとか、あるいは債権回収の問題だとか、あるいはどこの保証協会に幾ら金を貸すとかいうふうなことはこれは一定の基準のもとに公庫がやられるのが建前でございますから、そういうこまかいことはあげて公庫にまかしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/80
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081・松平忠久
○松平委員 中小企業庁がそういう態度でおやりになっていることは非常にいいと思うのでありますが、ただこの保険行政と申しますか、そういう建前からいわゆる保険理論というものをお立てになって、そうして確率とかいろいろの保険上の理論に拘泥をされて、その保険理論をもって指導、監督をする、こういうようなことが少しあるのではなかろうか。それは行政でありますから一つの理論をもって行政指導をされることは当然であるけれども、しかしこの保険公庫というものは社会政策的な意味でできた保険公庫でありますから、これを一般の保険行政を取り扱っておる大蔵省的な感覚に基いて確率を重視するというような理論を立て、その理論に基いてこの行政を指導することがあるならば、これは間違いではなかろうか、こういうふうに思うのですが、その点についての企業庁のやり方はどういうふうにお考えになって、どういうやり方をやっておられるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/81
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082・岩武照彦
○岩武政府委員 お尋ねの点、はっきりいたしかねる点もございますが、これは信用保険という一つの保険制度でございます。やはり保険となりますと一つの事業でございます。収支という問題も考えざるを得ないのではないかと思っております。そういたしますれば、やはりある程度の事故率その他御指摘のありましたような確率というようなことも、これは保険事業につきものでございます。ただこれは政府機関でございますし、ことに信用保険のようなものは、これは普通の生命保険とか火災保険と違いまして、やはり経済情勢にも幾分左右されますから、顕から一定の確率論といいますか、理屈をもって公庫に臨んでおるということではございません。あくまで信用保険事業という一つの保険事業がうまくいくようにということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/82
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083・松平忠久
○松平委員 事業であることには間違いないのでありますが、収支ということを考えるのだというお話があったのでありますが、やはり法の精神というものは、事業ではありますけれども、一種の社会政策的な事業である、こういうことになっておりますから、この点は大蔵省の保険行政をやるがごとき、独立採算制でやっていって確率を十分に気をつけろというような指導の仕方は、何としても間違っているのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、その点もう一度御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/83
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084・岩武照彦
○岩武政府委員 ごもっともな御意見だと思っております。実情を申しますと、実は特別会計より引き上げて公庫に含めまして、特別会計当時締結いたしました各種の保険契約の、いわばしりぬぐいというと言葉は悪いですが、その契約に基く各種の問題を現在公庫は処理しておる段階でございます。もちろん新しい保険契約その他もやっておりますけれども、おもな仕事はやはり前の特別会計から引き継いだ仕事をやっている。従っていわゆる保険的な意味の確率とか、あるいは事故率とかいうことを、まだ論ずるほどの時間的な経過もございませんし、従ってそういうことに基いて公庫の採算といいますか、あるいは収支といいますか、そういうことが公庫の理想的な姿だということを論ずる段階でございませんで、むしろもう少し保険事業というもののあり方を論ずるのには、まだまだ時間が足りないと思っております。従って現在のところは、先般の国会で通過いたしました信用保険法の改正に華さました保険料率なり、それから填補率なんということでやっておる次第でございます。実はそれがまだほんとうに事業としての基礎になるかどうかということも、現状では判定しがたいという現状でございますから、決して収支第一主義あるいは画一的な経営観念で公庫を指導しているわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/84
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085・松平忠久
○松平委員 今緊急代議士会が始まりましたから、私はあと一間で終って行かなければならないのでありますが、まだ二、三残っているわけであります。それは後刻に譲るといたしまして、一言お伺いしたいのは、ちょうど税制第一課長がお見えになっておりますから、先ほどの件の商工中金並びに信用保証協会関係の登録税の減免の問題でありますが、これを一つお答え願いたいのです。これは前にも研究するというお話であったが、その後どういうようないきさつになっているかということと、もう一つは保証協会の出指金の問題でありますが、この出指金を損金に落してもらいたいというのが各銀行等の希望なのです。地方公共団体の財政状態がよくないので、やはり保証協会の基金を若干増額するという場合には、銀行等の出捐を求めなければならない実情なのですが、銀行等の意向は、損金に落してくれるというならこれは出捐するのだ、こういう考えを持っているわけです。ところが今まで保証協会でつぶれたものはございませんし、またこれを解散して、そのときに出捐金をとるのだという気持もない。もう出し放しという金なんです。ですから出捐という名前であるけれども、寄付したと同じような格好になっているというか、そういう実情なので、これを損金に落すということによって、保証協会の基金の増額ということが見込まれるのではないかということでありますので、この点どういうふうになっているか、これはもう年来からのわれわれの希望なんですが、その二点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/85
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086・塩崎潤
○塩崎説明員 まず第一点の登録税の問題でございます。前国会でございましたか御質問を受けまして、私ども登録税全般につきましては古くから非常に問題がございまして、研究しなければならない、こういうことを申し上げました。しかし登録税は御承知の通り非常に範囲の広い問題でございまして、研究には相当時間をかしていただかないと、なかなか根本的なバランスの問題からいいましても解決のできない問題でございまして、今のところはまだ先生のおっしゃったようなところまでは行っておらないのが現状でございます。今年度の改正の中心は、何と申しましても所得税あるいは租税特別措置法の改正あるいはまた間接税というような点に重点を置かれましたので、今回におきましては登録税の改正までは手がつかなかったわけであります。前回以来私どもはずっと研究を続けているつもりでございます。
第二点の信用保証協会に対する出指金の問題、この問題も私どもはときどき質問を受け答弁もいたしております。なお保証協会のほかに、その他の政府出資の団体の出資につきましても、同様な希望が往々にしてあるわけでございます。ただその場合に、中には評価減というような制度すなわち配当制限あるいは残余財産の請求権がないというような法律上明白な基準をつかまえまして、ある程度の評価減を認める制度はございますけれども、どの程度にいたしますか、非常にむずかしい問題でございますので、今のところ信用保証協会についてだけその出指金を出資いたした法人の損金に算入するというわけには簡単にいかないのではないか、こんなふうに私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/86
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087・松平忠久
○松平委員 ここで質問を留保しまして終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/87
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088・長谷川四郎
○長谷川委員長 小平久雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/88
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089・小平久雄
○小平(久)委員 私は主としてプラント関係を聞きたいと思います。その前に今論議されております保証協会ないしは中金等に関して一点だけでよいのですが、それぞれの御関係の方々のお考えをこの機会に承わっておきたいと思います。と申しますのは、各地の事情等によってそれぞれ違うと思うのですが、ややもすれば中金なりあるいは保証協会なんというものが、政治的に利用されるような傾向が従来地方によってはあったと思います。保証協会は言うまでもなく自然発生的な経過をたどったわけですが、今では法律もできたし、公庫の方から政府資金も流れていっておる、こういう関係にあるし、それから中金の方ももとより純然たる政府機関ではございませんが、政府も相当出資しておる、こういうようなことでいずれもが金につながる、要するに庶民が一番待望している問題であります。従っていずれもそこに職を奉ずる諸君はもちろん公務員ではないでしょうが、いわば公共企業体の職員に準ずるような立場にあるんじゃないかと思う。法律で地位がどういうふうに規定されているか、私も実はよく知りませんが、そういう立場にある者が、従来も繰り返します通り、地方によりけりでありましょうが、ややともすると、選挙などに非常に熱を上げて、一方においては保証してやるとか、やったとか、金を借りてやったとか、借りてやるとか、そういうことで、どうも選挙などの際の渦の中に巻き込まれた実例を私も知っているし、他の地方にもそういうことがあったように聞いておるのです。そういう点に関して、政府当局並びに中金なりあるいは公庫なりの理事者の方々は、一体どういう考えをお持ちなのか、また部下に対してどういう処置を従来とってきておるのか、この点一つこの機会に承わっておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/89
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090・岩武照彦
○岩武政府委員 御指摘がありました商工中金あるいは信用保証協会等は、これは政府の監督下にある民間機関でございますから、政治活動についても別段にその制限は法制的にはないと思いますけれども、やはり融資とか保証とかいう経済的な関係につながって政治活動をすること、これはまずいことであります。ことに政府の監督下にあるものでありますから、これは厳に避けなければならぬと思う。私も間々そういうふうなうわさを耳にすることもございまするが、中金に対しましては、これは直接の監督でございますので、そういうことのないようにときどき注意しております。保証協会の方は、何せ直接の監督が都道府県知事になっております。中央から一般的な監督はできることになっておりますが、具体的な問題についての監督はなかなかむずかしいと思います。そういう傾向が、今度の地方選挙等に関連してもしありとすれば、はなはだまずいことでございます。厳重な注意をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/90
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091・北野重雄
○北野参考人 ただいま商工中金の問題も中小企業庁長官からお話がございましたが、御指摘のように、政府の監督を受けております政府機関でもございます。また金融機関でもございますので、特にその点につきましては、あやまちのないように、末端までも徹底するように善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/91
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092・山本茂
○山本説明員 ただいまお話のございました点についてお答えいたします。私は、就任の際に、多くの人が官庁からかわってきたのでありまするが、公庫というものは官庁とは違う、しかし一般の民間会社とも違いまして、政府機関でありまするから、厳正に公正に仕事をするように訓示もしましたし、それから折に触れてそういうことはしょっちゅう言っておるわけでありまして、私としましては、厳正公正にするよう下僚を監督していきたいと思っておりますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/92
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093・小平久雄
○小平(久)委員 お三人の御答弁、考え方といたしましては、われわれもその通りに考えておるわけですが、実情から見れば、必ずしも監督の立場にある皆さんの言明の通りには行っていないと私は思う。そういう点、私は厳正中立というか、政治的な偏向をしないように、これはあえて与党といわず、野党といわず、その点は十分部下に徹底するように、今後とも善処を願いたいと思います。
それからそれと関連して、特に保証協会の監督という問題、これは、今も長官からお話がありました通り、直接は地方長官にあるんでしょうが、保証協会の運営の状況を見ておりますと、必ずりしも妥当に行っていない。一部の勢力というか顔というか、そういうことで、ほんとうに保証をしてやるべきものにやるというよりも、むしろ顔で保証してやるといったような面が相当あるんじゃないか。しかもそれらが間々問題を起す。この点は、私は詳しくは申しませんが、たとえば私は栃木県ですが、栃大県などでも具体的に問題になって、そして県議会なども特別委員会を設けて調査しておる。ところが、それが業務の秘密だからということで、一向保証協会の理事者も実情をあまりよく説明をしないらしい。そういう問題がかりにあった場合、私は今栃木県に起った問題をかれこれ言おうと思いませんが、それらから考えて、一体保証協会の運営というものに対する県の監督などというものは、私は万全には行われていないと思う。また一部には、さっきも言いましたが、むしろ単に顔というか、地位というか、そういう関係で、適当な運営をされているんじゃないかと思われるような面もある。従って、保証協会の運営を監督するという点から、企業庁なり、あるいは保険公庫なりは各地の保証協会に対してどういう監督をしておるのか。あるいは地方長官が監督するのだからということで、ただ投げやりにしてあるのか、それとももう少し具体的に業務の内容に立ち入って、それぞれの立場から企業庁なり、公庫なりが今後監督していくのかどうか、あるいは問題が起きた場合に、それの批判というか、調査というか、そういうものも、これは刑事事件にでもなれば別かもしれませんが、一体これはどこでどう論議するのが正当な道なのか。これらも一つこの際見解を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/93
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094・岩武照彦
○岩武政府委員 保証協会に対しまする業務上あるいは人事上あるいは会計上の監督は、都道府県知事になっております。これは国の行う監督事務を都道府県知事に委任してある、一任してある、こういうふうに解釈いたしておるわけであります。それは都道府県知事という職といいますか、地位に対して委任してあるわけでありまして、都道府県という地方団体に委任しているわけではないのであります。従って、保証協会の各種の業務その他に関しまする批判その他につきましては、もちろん中央の通産、大蔵両大臣並びに地方の各都道府県知事がその責任を負うべきものである、こういうふうに考えております。従って、それに対しまする正規の御批判が中央の国会なり、あるいは都道府県の議会において行われることは当然だと思っております。またわれわれも都道府県知事の不適当な監督行為に対しましては、中央から都道府県知事を監督できるもの、こういうふうに考えております。公庫の方は、これは政府機関でありまして、別段行政権を委任されているわけではございませんで、これは保証協会に対しまする融資あるいは保険契約の締結という関係を通じましたいわゆる一種の公権力を背景としておりますけれども、私法上の経済の当事者の立場であります。その範囲内で保証協会に対してある種の要望を付し、契約を締結するという立場でございます。だからその契約の履行状況あるいは融資の管理者という立場からの一定の要望なりが出ておりますが、これは保証協会を監督するという任務ではございません、その監督の責任は、あげて通産、大蔵両大臣、並びに都道府県知事にある、こういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/94
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095・小平久雄
○小平(久)委員 最終の権限は御説明の通り、通産、大蔵両大臣にあるのでしょうが、従来要するにその監督権というものは知事の職のものにまかしておいて、どうもみずからもう少し積極的に監督するという面が非常に欠けていたんじゃないか、それは保証協会が自然発生的にできたといういきさつもありましょうが、とにかく今度は法律もできたんだし、そういう金も保証協会にどんどんつぎ込んで行き、だんだん多くなる、それをわれわれは期待しておるのですが、そうなればなるほど、単に発生の経過などから遠慮していずに、もう少し、少くも企業庁の長官あるいは担当の部長くらいは、それぞれの保証協会についてもう少し監督する必要があるのじゃないか、先にも言った通り、業務の内容が秘密だといって一般に公表されなければ、外部から批判するといっても、うわさの程度で批判する以外に何ともしょうがない。それはわれわれが正式に資料でも要求すれば出てくるのかもしれませんが、その点もどうですか。われわれが国会議員の立場において、どこそこの県の貸し出しの内容なら内容について、資料をかりに要求したならば、当局は出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/95
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096・岩武照彦
○岩武政府委員 最後の具体的な御質問にお答えいたしたいと思いますが、これは金融機関の貸し出し内容を出せ、ことに政府関係機関、たとば開発銀行の貸し出し先別の残高を出せというような意味の資料要求の問題でございますが、その点は事柄によりまするが、いろいろ前例に従ってやっていきたいと思います。それから監督を遠慮しておるじゃないかというお話でございますが、これはそれほど遠慮しておるわけではございません。ただこういう問題があるということだけは御承知願いたいと思います。先ほど来自然発生的なと申し上げましたが、その通りでございます。実は保証協会の現実の財産になりまする補償基金の出し分は国が出しておりますのが現在まで三十億円でございますが、地方団体の方は九十億円前後になっております。どうも国の方の発言権がその関係だけではございませんが、やや弱いということで、なかなかわれわれの方の監督権が十分に徹底しないうらみがございます。しかしそういうことでは困りますので、ことにいろいろ御指摘のように、業務内容等につきましては、なお監査をする必要がございますし、まず第一に資産内容等につきましても、各保証協会いろいろまちまちのこともございますから、その辺をすっきり統一的なものにして監査できるようにいたしたいと思っております。出先の方の各地の通産局、あるいは大蔵省の財務局あるいは財務部といったものと力を合せまして、もう少し内容に対しまする監査、それから業務のやり方に対します一般的な監督といったことには力を入れたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/96
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097・小平久雄
○小平(久)委員 それらの点は善処を要望して、これでとめておきたいと思います。
次にブラント類輸出促進臨時措置法案について二、三伺いたいのですが、この制度は一口にいえば、ブラント類の輸出者の、言葉が適当かどうか知らぬが、相互保険というか、そういうものを国が世話をしてやるといったような考え方に立った制度でありますか、そこをちょっとわかりやすく説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/97
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098・小出榮一
○小出政府委員 今回御提案申し上げましたプラント類輸出促進臨時措置法案のねらいは、今御指摘のブラント輸出を促進するための現在非常な障害となっておりまするものといたしまして、補償契約をいたします際の保証リスク、これを従来輸出をしますもの自体あるいはメーカー自身が、自分の企業の負担においてこのリスクを背負わなければならぬということがプラント輸出を促進するための一つの障害になっております。従いましてこれを国が何らかの形におきましてその背後において補償してやる、こういう建前でございますが、実際の運用はただいまお話がございましたように、それぞれの補償契約をいたしますものから一定の補償料をとりまして、この補償料によりまして大体収支償うように国庫において運営をしていくという意味におきましては性格的には相互保険的な性格を持っております。しかし厳密な意味におきましては保険とはやや性格が違う、こういうものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/98
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099・小平久雄
○小平(久)委員 今の説明からしても、あるいは法案の第七条かにうたってある補償料の算定の仕方などから見ても、国は別段負担を実質的にはしない。補償料をとってそれでまかなっていく、こういった仕組みになっておるようにこの法案だけを見ると思うのですが、補償料でも足りない場合は一体どういうことになるのです。国は国家予算を出して積極的に補償することになるのですか、何条かにうたってあるかもしれませんが、ちょっと一覧しただけだから見当らぬが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/99
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100・小出榮一
○小出政府委員 これも制度の運営のやり方といたしましては、ただいま御指摘になりましたような相互保険的な運営をいたしまするので、従いまして大体これは補償料率のきめ方の問題にも関連するわけでございますが、これは具体的には政令において補償料率は定めますけれども、実際の運営といたしましては、大体発足の当時におきましてはやや安全性を高く見て補償料率も最初はやや安全度を見た補償料率を制定いたしまして運営をするわけでございますが、実際に事故が発生いたしまして違約金を支払わなければならぬという事態になりますのは御承知のようにプラント輸出をいたしましてから、それが工場の運転等に入りまして、実際の補償状況と違った結果が出てきてからでございますので、正常の場合におきましては少くとも二年くらいは要する。従いまして初年度からはまず補償契約を締結いたしましたものから補償料が入って参ります。それらによりまして実際に支払いの事故が起りますのは二年ないし三年先になる、こういう関係でございますので、大体それによってまかなうことができる、こういうふうに考えております。しかしこれはまだ今後経験を積まなければわからない、未知の問題が起るわけでございますので、初年度以降における実施の結果によりまして、さらに補償料率の改訂なり、あるいは政府の予算措置なりというものも考える場合もあろうかと思いますけれども、実際問題としては大体相互保険的な運営でやっていける、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/100
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101・小平久雄
○小平(久)委員 そうすると相互保険的な考え方というと、国が積極的に輸出振興のために助成をするのだということにはならぬというふうに、私は思えるのだが、なぜそこまで――どうせこの促進法といったような法律まで作ってやるのならば、国が予算を出してちゃんと補助というか補給というか、そういうものをしてやるところまで行くならば、これはいかにもあれだが、そうでないならば、あえて法律まで作ってこういうことをやらぬでも、民間で勝手にやらしたり、あるいは行政措置によってやったならば、それで事足りるのではないかという気もするのですが、その辺はどういう考え方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/101
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102・小出榮一
○小出政府委員 ただいまお尋ねの点は、実際にプラント輸出契約をいたしまする際におきまして、従来はとかく補償契約の条項が、相手方が主として後進国であり、また日本の機械輸出、プラント輸出というものの経験がまだ浅いために、日本の機械メーターなりあるいはコンサルティング会社に対する相手の信用力がまだ少いというようなことから、とかく他の先進国に比べまして不利な保証条項を押しつけられる場合が多かったのでございます。従いましてどうしても契約をいたしまする場合に、それらの点を全部企業自身が負担しなければならぬということになりますので、とかく契約をちゅうちょしがちになる、あるいは引き合いがありましてもその契約に応じられないというような場合が、非常に多かったのであります。従いまして今回の措置は、これらの企業リスクというものを相当程度国が背後において負担し得る制度を確立することによりまして、もちろん補償料は取りますけれども、この補償料は大体最高限度の場合におきましても、輸出契約全体の一・四%程度の計算になろうかと思います。従いましてごくわずかの補償料を納めることによりまして、安心して補償契約を締結をすることによりまして、プラント輸出が促進される、こういう意味においては非常に効果があるのではないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/102
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103・小平久雄
○小平(久)委員 その点はわかるのです。わかるのですが、僕が聞いているポイントは、国が支出をしないでいけるのではないかという見通しなんですね。要するに補償料を取るだけで、それが二年、三年たってから違約金というかそれを払うのだからいいんじゃないか、こういうお話だが、それならば行政的な指導によって純然たる民間の組織でもできるんじゃないか。国がバックにある、補償料をとって補償してやるということになっているが、しかしどうも国の方が積極的に予算も出さぬで、いわば俗な言葉で言えば、人のふんどしで相撲をとるということをやろうというわけです。だからこの程度のことならば、民間の団体もそのぐらいの実情は知っているだろうから、民間だけでいわば任意的にやってもできるのではないか。そこまで民間の自覚がいっていないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/103
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104・小出榮一
○小出政府委員 先ほどの最初の御質問に対しまする私の説明が多少足りなかったと思うのでありますが、初年度あるいは第二年度等においては、主として補償料収入だけが入りまして、実際に違約金を支払い、さらに政府がこれに対して補償金を支払わなければならぬという事例が実際起きてこないだろう、従いましてさしあたり御承知のように昭和三十四年度の予算におきましては、とりあえず百万円だけの補償金を予算に計上しておりますが、それは実際上はほとんど支払わなくて済むだろう、一種の見せ金と申しましては非常に言葉が足りないかと思いますけれども、そういうような程度の予算を組んでおります。しかしながらこれが数年たちまして、相当に補償契約を結んだ事例が出て参りまして、実際に相当の違約金を払わなければならぬ、そして企業が全部しょい切れないという場合におきましては、その経験に応じまして国は補償金の相当の予算を計上いたしまして、これに支出していくわけでございます。従いまして補償料収入で大体全部をまかなうというわけではございませんで、補償金の予算の措置というものはやはり背後にありまして、それによってまかなうわけでございまするので、従って性格的には相互保険的なものでございますけれども、国が補償金という予算措置をすることによりまして、この制度は初めて国の助成という形において動いていくのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/104
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105・小平久雄
○小平(久)委員 まあ今の説明の通りでなければ、私は、せっかくこういった法律を出すのに意義がきわめて薄いような気がするのですが、どうもそういったものは、この法案のうちにはどこにも見当らぬのじゃないかという気がするのですよ。たとえば第七条を見ても補償料のきめ方がうたっておりますが、「保証損失の発生の見込、補償契約に関する国の事務取扱費等を勘案して政令で定める料率を」云々、こういうことになっておるのです。ここに国の事務費までも補償料率に入れて、これを取ろうということがはっきりうたってあるのじゃないか。そういう点からいえば、今局長の説明のように将来は国も相当の支出をして助成するのだというような精神はどこにも出ていない。むしろこれは国の事務費までも補償料に入れておるということをはっきりうたっておるのじゃないか。そういうことはこの法案のどこに現われておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/105
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106・小出榮一
○小出政府委員 国がこのプラント輸出促進のための補償措置とてやりまする事柄は、先ほど申し上げましたように補償契約を締結いたしましたものに対しましては、一定の条件が整います場合には国が補償金を支払いますというその制度の骨子そのものが、実はこの補償制度の根本でございます。ただ具体的に今御指摘になりました第七条の補償料の算定の方法につきましては、これは実は考え方といたしましては、もしこれが本来の保険的なものでありますれば収支相償うという精神で、むしろこれは七条の中に掲げて、そういうような趣旨によって算定するというふうに書くのが通常だろうと思いますけれども、しかしながら先ほど申しましたように、これは性格的には相互保険的ではありますけれども、国があくまで補償するという建前でございますので、そういう趣旨でなくて、ただきわめて事務的に補償料の算定については、これを具体的には政令に委任しておりますけれども、やはり国が補償するという形でございますので、その国の事務というものがそれに伴って出てくるわけでございます。ある程度の事務費もこれに算定をいたしますけれども、しかし具体的には実際にどのくらいの保証損失の事故が発生するかという事故率をどう見るかということが一番根本でございまして、それらにつきましては経験を積み重ねるに従いまして、できるだけ補償率も低下していく、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/106
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107・小平久雄
○小平(久)委員 せっかくの御説明ですが、少くとも私はきわめて不徹底のそしりは免れないと思う。政務次官せっかくお見えですから、どうも私はこの法案を一読して、このくらいのものならば何もこんな法律まで作らぬでも、民間で、指導したらそのくらいできるのじゃないか。少くとも通産省はそのくらいの力があるのじゃないかという気がする。少くともこの法律を出す以上は、将来国が相当の負担をしても補償するのだということだけの考えが政府になければ、私は大した値打ちがない法律になってしまうと思うが、どうですか。将来相当出た場合は国費でこれも補償するのだというぐらいのことは大臣も覚悟ができておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/107
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108・大島秀一
○大島政府委員 これは先生の言われる通りに確かにそういうことが考えられますね。やはり国がこれだけのものを考えるというからには、相当の補償も考えていくということがなければ何か骨抜きのようなことではないかという御質問は、確かにそのように考えられますので、また大臣とも十分一つ協議をいたしまして、御趣旨に沿うようにやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/108
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109・小平久雄
○小平(久)委員 まあその点はそのくらいにして、かりに国が国費を出さぬまでも、とにかく法律によって国が責任を負うということだけはこれで明白になった。その点は若干取り柄だと思いますけれども、そういうことになってくると、これは外国の例などを簡単に承わりたいと思うのだが、というのは、こういう輸出の問題は外国ではどんなふうに扱っておるのか。今後わが国でやろうとしておるようなことをやっておるのか。
それともう一つは、リスクが起きた場合において、その原因が果してどこにあるかということは、なかなか判定がむずかしい問題だろうと思うんです。今まではとにかく輸出業者なり、あるいはメーカーなりがその責任を負ったんでしょうが、こういう制度がかりに逆用されると、要するに輸出業者あるいはメーカーというもののみずからの責任感がどうも薄らいでくるのじゃないか。今までは自分で責任を負わなければならぬから万全の処置をしたのが、今度はせっかくこういう制度ができたのを幸いとして、どうも責任感が薄らいで、逆にねらいとは相反して、むしろ日本のプラントというものに対して信用を失うような事態が続出するというようなことにでもなると、これはまるつきりこの法案のねらっているところと逆の現象になってしまう。これは杞憂といえば杞憂かもしれませんが、そうするともちろん補償料などはとらぬから、政府もますます金を出さなければならぬ。そういう点で一体個々の輸出業者あるいはメーカー等のみずからの責任感というものをどうして維持し、向上するのか、その点が私はよほど必要じゃないかと思うのだが、そこらについての考え方を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/109
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110・小出榮一
○小出政府委員 御指摘の点は確かに問題の点でございます。従いまして今回立案いたしましたこの補償制度の内容につきましては、御承知のように補償の対象といたしまする保険価額に相当いたします補償価額というものも一〇〇%補償するわけじゃございません。しかもそれに対しまして実際にこの補償金の対象といたしまする補償金額の限度も、結局最高の場合においても、輸出契約総額の二〇%以下というふうに押えてあります。従いまして国がもちろん補償いたしますけれども、全額国が補償するわけじゃないわけでありまして、当然にこれは輸出をいたしまする者自身あるいはメーカー自身の企業リスクというものも相当一方において負担しなければならない、こういう点でありまして、両々相待っていこうというのがねらいでありますので、従って全部国におんぶするというような安易な制度に流れないような処置も考えてあるわけであります。
それからもう一つは、かりに相当程度国が補償するといたしましても、もしそういうコンサルティングの欠陥等に基きまして事故が起りました場合におきましては、輸出をいたしまする者自身、あるいはそれらの製品のメーカーなり機械の輸出者といたしましては、海外に対する信用を大きく失うわけでありまして、従って企業者自身といたしましてもその辺のことにつきましては十分な配意をいたしました上で、補償契約をするわけであります。また現に補償契約の締結の申し込みがありました場合におきましても、まず国がこれを十分に審査いたしまして、申し込み全部に応ずるというわけでもございませんし、選択の方は、契約をするかしないかは政府の側に相当の選択権があるわけでございます。それらの点を勘案いたしますれば、ただいま御心配のように安易な気持で全部国におんぶして、不当な補償契約を結ぶというような事態は実際上は起らないように運用できるのじゃないか、かように考えております。
それからなお外国においてこういうような制度があるかどうかという点でございますが、これはもちろん先進国におきましてはアメリカを初めといたしまして非常に強力なコンサルタントというもの、そういう会社がたくさんございまして、工場を建設する場合におきましては、国内におきましても、あるいは海外におきましても、まずコンサルタントに設計から何から全部まかせまして、でき上ったところで、初めて工場を引き渡すという慣習がすでにできております。従いまして、資本力におきましても信用力におきましても、また技術的な面におきましても、非常に強大なコンサルタントがすでにありまして、これらのものと海外において競争しながら、日本においてまだ非常に弱体のコンサルタントを育成しなければならぬというような現状でありますので、特に日本におきましてはこういうような特別な措置をとらざるを得ない、こういうふうな建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/110
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111・小平久雄
○小平(久)委員 私の伺っている後段の点は、国がみずから補償する、こういう制度をとっているかどうか、こういう点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/111
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112・小出榮一
○小出政府委員 それは先ほど申し上げましたように、すでに強力なコンサルタントが育成されておりまして、特に国がこういう助成措置をとっておる例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/112
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113・小平久雄
○小平(久)委員 外国で国が直接とっていないとすると、これは私が先ほども言ったように、どうせやるならば国も負担を覚悟してやらなければ不徹底じゃないかということを言ったのですが、かりに国が負担してやるということになっても、外国から見た場合これは不当な競争というようなことになる心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/113
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114・小出榮一
○小出政府委員 実はその点につきましては、この法律の制度を考えまする場合におきましても、われわれといたしましても相当問題にした点でございまするが、この制度の建前がいわゆる輸出補助的なものではなくて、やはり政府が企業者からも一定の補償料を徴収し、企業者自身にも相当の企業リスクを負担させながらやっていくという、まあ先ほどもお話がございました相互保険的な性格もかなり強い制度でございますので、従ってたとえばガットの協定等において指摘されております輸出補助制度というようなものには該当しないということは、明白だろうと思います。従いまして、これによって諸外国から特に日本だけが、国が前面に出て特別な措置をしておるというような非難を受けることはない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/114
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115・小平久雄
○小平(久)委員 それでは先ほどの質問に若干戻るわけですが、かりに輸出先から補償を要求された場合に、その事故の原因が、果してメーカーが万全の処置をとってなおかつやむを得ず起きたリスクなのか、それともメーカーが万全の策をとらないために起きたリスクなのか、そこらのところの判定はなかなかむずかしいと思うのですね。これは政府がやるんですから、今までのやり方から考えれば、政府はただいまのお話からしても、おそらく補償料をなるべく払うまいとするんじゃないかと思う。そうすればせっかくの制度を作っても役に立たぬということになるし、また逆に業者からいえば、なるべく政府からもらおうとかかるに話がきまっている。そういうことで紛争が起きた場合、いずれに原因があるのか、あるいはかりに十のリスクがあった場合に、そのうち幾つがメーカーの当然の責任である、幾つがまたやむを得ないリスクであるとか、そういうことは一体どういう機構によって何人が決定するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/115
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116・小出榮一
○小出政府委員 この制度を運用するに当りましては、この条文の中にもございまするように、これは本来政府の業務、政府の制度ということでございまするけれども、ただいまも話がございましたように、内容が技術的な問題が非常に多いわけでありまして、輸出契約に伴いまして補償契約をいたしまする際に、その補償契約の各条項というものは相当専門的な条項になろうかと思います。従いまして実際の業務はこれらの専門家を相当程度にかかえました特定の適当な機関に相当程度委託してやるということになるわけでございます。ただ問題は、保証条項の内容、補償契約をいたしまする場合の約款の内容、これがまず問題だろうと思います。従いまして、これにつきましてはある程度組合の定款例みたいな、保険約款の一つのタイプといいますか、そういうような約款の例をある程度基準に定めまして、できるだけその基準に従って審査をする、こういうふうな建前をとりたいと思います。
それから具体的に違約金を支払わなければならないという事態が起りました場合に、その違約金を払わなければならないという原因がどこにあるかということにつきましては、この法律にもございますように、コンサルティングの欠陥に基く保証条項の違約という問題に限定してあります。従いましてそれがコンサルティングの欠陥に基いたものであるかどうか、その中に故意なりあるいは重大な過失というものはなかったかどうかということにつきましては、もちろん十分に審査をしなければならぬ、かように考えます。従いましてそれらにつきましては、実際に業務をいたしまする機関、これはさしあたり社団法人日本プラント協会を一応考えておりますが、その協会を十分に指導いたしまして、特にこの業務を行いまするための事務的な態勢も整えまして、審査を円滑にやっていきたい。具体的には補償契約の約款の内容なり、あるいはペナルティ・クローズのきめ方等によりまして、相当詳細なところまで、条項の中に定められると思いますので、それの約款なり条項の審査ということにおいてまずチェックをいたしまして、あとはその条項に照らしまして、具体的にどういう原因で事故が起ったかということにつきましても、十分審査をいたしまして、不当にこの制度が曲げられないように十分注意して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/116
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117・小平久雄
○小平(久)委員 すると実際問題とすると、日本プラント協会の審査にゆだねる、こういうことのようですが、その審査の結果に、国の方はゆだねるのだからそれに従うのかもしらぬが、業界の方が審査の結果に不満であったという場合には、どういうことになりますか。一般の民事裁判上の手続を経て争う、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/117
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118・小出榮一
○小出政府委員 第一段階といたしましては、この法律の第十五条でございますか、不服の申し立てができることになっておりまして、この不服の申し立てというのは、これは補償契約の当事者はもちろん入りますし、あるいは当事者でなくとも、およそ直接の利害関係のある者は不服の申し立てができるという制度がございます。これによって、もし不当な内容のものであったというような場合におきましては、場合によりましては補償契約の解除というような手もございますし、また、プラント協会なり、そういった指定機関というものの運営につきましては、現在は社団法人でございますけれども、特別な監督規定も置きまして、その業務の運営につきまして、普通の民法上の監督のほかに、さらに特別な監督も加えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/118
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119・小平久雄
○小平(久)委員 最後に具体的にこれをちょっと伺っておきたいと思うのだが、六条にうたってある補償契約締結の限度ですね。これは国会の承認を経て毎会計年度において締結するというのですが、これはたとえば年度別に予定があるのだと思いますが、それをちょっと発表していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/119
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120・小出榮一
○小出政府委員 年度別ということになりますと、まだ先の方のことは経験を積んでみないとわかりませんが、とりあえず昭和三十四年度の一般会計予算におきましては、予算総則の第十一条におきまして六十億円ということに一応掲げてございます。つまり国が昭和三十四年度において、この法律によって、違約金を支払ったことによって受けた損失を補償する旨の、いわゆる補償契約を締結できる限度が六十億円でございます。これを先ほど申しましたいろいろな補償金額のパーセンテージとか、補償価額のパーセンテージということから逆算いたしますと、昭和三十四年度においては、大体四百億円くらいのプラント輸出契約について、この補償契約を締結できるということでありますので、これで十分であろう。しかしながら三十四年度の経験に基きまして、さらに三十五、三十六年度と、新たな予算総則に掲げたい、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/120
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121・長谷川四郎
○長谷川委員長 本日は、これにて散会いたします。
次会は明日午前十時より開会いたします。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01319590210/121
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