1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年三月三日(火曜日)
午後二時十五分開議
出席小委員
小委員長 小平 久雄君
小川 平二君 岡本 茂君
中井 一夫君 加藤 鐐造君
中村 幸八君 勝澤 芳雄君
田中 武夫君 松平 忠久君
水谷長三郎君
出席政府委員
法制局参事官
(第三部長) 山内 一夫君
中小企業庁長官 岩武 照彦君
小委員外の出席者
議 員 南 好雄君
議 員 内海 清君
厚生事務官
(社会局生活課
長) 中村 一成君
通商産業事務官
(中小企業庁指
導部長) 馬場 靖文君
専 門 員 越田 清七君
―――――――――――――
三月三日
小委員大矢省三君同日小委員辞任につき、その
補欠として加藤鐐造君が委員長の指名で小委員
に選任された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
小売商業特別措置法案(内閣提出第二一号)
商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、
衆法第一三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/0
-
001・小平久雄
○小平小委員長 これより小売商業特別措置法案外一件審査小委員会を開会いたします。小売商業特別措置法案及び商業調整法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。
田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/1
-
002・田中武夫
○田中(武)小委員 先日に引き続きまして、まだ若干の疑問の点がありますので、質問を続けていきたいと思います。
企業庁長官に御質問いたします。第四条に主務省令で定めると、こうなっておって、二十一条で、主務省令は、大蔵省令、厚生省令、農林省令、通商産業省令、こういうようになっております。厚生省とか、通商産業省、あるいは大蔵省までは大体書いてあることがわかるが、この主務省令の中に農林省が入っております。これはどういうわけで農林省が入るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/2
-
003・岩武照彦
○岩武政府委員 購買会あるいは消費生協、それからその次の小売市場等には、生鮮食料品その他食料品関係のものが一番多いようであります。従って、そういうようなものの流通についての主管の関係もありまするので、農林省を入れたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/3
-
004・田中武夫
○田中(武)小委員 そうすると、それはたとえば米とか何とか農林省関係のものを取り扱っておる場合に限って農林省が参加してくる、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/4
-
005・岩武照彦
○岩武政府委員 建前としましては、今申しましたように、そういう食料品の生産、流通、消費につきましては農林大臣が主管となっております。しかし商業一般につきましては、ことに中小商業につきましては、通産省の所管でありまするから、タブっているところがありますので、共同省令にしたわけです。扱わない場合、扱う場合といいますが、制度的に申しまして、以上申しましたような三つの組織その他のものにおきまして、生鮮食料品を扱っておるもの、あるいは生鮮でなくても、冷凍食品、加工食品等を扱っておりますのが、全部とは申しませんが、まず大多数の場合でございますから、そういう場合に備えて、主務官庁の意見も入りますように農林省を入れたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/5
-
006・田中武夫
○田中(武)小委員 四条の一号から三号までの措置を命ずるところの基本となる主務省令なんですね。それにこんなにたくさんの省が必要なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/6
-
007・岩武照彦
○岩武政府委員 ひとり四条に限りませんで、二条の関係、六条、七条の関係もございますので、一緒にして一本の省令にする、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/7
-
008・田中武夫
○田中(武)小委員 それはそれとして、次に、この間の御答弁によりますと、この四条の一号から三号までは、そのときによって、あるいは一号だけ、あるいは二号だけ、あるいは三号だけ、あるいはこの二つあるいは全部、こういう措置を命ずる、こういうように了解したのですが、そうしますと、この条文からいえば、「次の措置をとるべきことを命ずることができる。」ということは、三つともを意味するようにも考えられるので、なぜ、そういう趣旨ならば、最初から、次の一部または全部の措置というような言葉にしなかったのかという疑問があるのですが、なぜそうしなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/8
-
009・岩武照彦
○岩武政府委員 これは法文作成上の技術の問題だろうと思いますが、解釈としましては、これは措置をとることができるとなっておりますので、おそらく全部でも一部でもそれぞれ選択的にできる、こういうことに解釈できることだと思っております。もしそういう立法技術の御疑念でございますれば、あるいは法制の専門家から御答弁する方がほんとうかもしれませんが、われわれ行政府としましては、これは選択的に全部または一部と書いてあるのと同じことだ、こういうように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/9
-
010・田中武夫
○田中(武)小委員 法制局の第三部長にお伺いします。四条ですが、今言ったように、次の措置をとることを命ずることができるという書き方と、次の一部また全部の措置をとることを命ずることができるという書き方と同じに解釈できるのですか。もしそういうように選択的に行うなら、なぜ一部または全部というような方法をとらなかったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/10
-
011・山内一夫
○山内(一)政府委員 この場合の結論は今中小企業庁長官がお述べになった通りでいいと思いますが、私どもといたしましては、今御質問にありました一部または全部と書いた場合と書かない場合で違うかという点につきましては、場合によっては違う場合もあり得る場合がありまして、全部の措置を命ずるというふうに書きました場合は、全部の措置をしなければならないような解釈の出てこない場合がないとは申しませんですけれども、この場合におきましては、相手方に不利益を与えるところの権力的な作用でございますので、権力的作用はなるべく少い方がある意味においてはいいわけであります。これだけできるというふうに書きました場合には、ぜひこれだけをしなければならないというふうにはわれわれは常に解釈いたさないわけでございまして、その一部は当然一部だけの措置を命ずることができるというように常に解釈しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/11
-
012・田中武夫
○田中(武)小委員 そうすると、法文としての表示の方法はどちらでも同じように解釈ができる、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/12
-
013・山内一夫
○山内(一)政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/13
-
014・田中武夫
○田中(武)小委員 次に罰則の点について、先日中小企業庁長官に質問いたしましたが、まだ十分了解できぬ点がございますので、法制局第三部長にお伺いしますけれども、実は本法案の二十六条に四条の規定に違反したときの罰則規定があります。それから消費生活協同組合法の百条にやはり員外利用の場合の規定があります。ともに一万円以下の過料ということになっておるのですが、これは一つの行為に対して、一方の刑量が高ければまた意味もあると思うのですが、同じ量刑のものを課するというこの点について二重罰則ではなかろうか、こういう疑問を持っておるわけなのであります。四条違反というのは、四条一号ないし三号までの一つまたは全部の措置を命ぜられてそれをやらなかった場合に課せられる、こういうふうに解釈すると思うのです。それも結局は員外利用ということにかかるのですが、そうすると員外利用という一つの行為に対して二重罰則、こういうことになると思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/14
-
015・山内一夫
○山内(一)政府委員 二重処罰の問題は、憲法三十九条の問題であるというふうに、田中委員すでに御了解の上御質問があったと思いますが、憲法三十九条の場合の一重処罰というのは、これは刑罰の関係における二軍処罰を規定いたしておるわけでございまして、この過料と申しまするのは刑罰ではございません。一種の普通行政罰、秩序罰というふうに言っておるのでございまするが、秩序罰は、憲法の解釈といたしまして、併科しても差しつかえないというのが、これはもうほとんど異論のないところの通説でございます。私、前にも田中委員からそういう御質疑があったことがわかっておりましたので、その点速記録を調べましたのですが、刑罰と過料を併科した実例もございます。それは刑事訴訟法の百三十三条と百三十四条の関係をごらんいただきますと、わかるのでございますが、これは同一の行為について過料を課してさらに刑罰を課するということも許されるように書いてある。またそれが合憲になるかどうかについても、学者の間では合憲であるというふうに言っておるわけであります。この場合におきましては、御承知のように過料と過料の問題で、われわれといたしましては、二重処罰ができるというふうに考えておるわけでございます。これはなるほどおっしゃる遮りに確かに一つの行為に対する罰則ではありますが、行政措置命令に対する違反と実体法上の消費生活協同組合法に対する違反、二つの違反を考えまして、そこへ一万円の過料は併科できる、こういうふうに考えておるわけであります。先ほど申しました刑事訴訟法の一つの犯罪に対しまして刑罰と過料とは併科できるという考えとは少しばかり異なるのでございまするが、これが一つの犯罪といたしましても併科は差しつかえない、私どもはかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/15
-
016・田中武夫
○田中(武)小委員 私が先ほど申しましたように、いわゆる行政罰と刑罰、あるいは行政処分と刑罰、こういうようなことはあり得ると思うのです。たとえば交通違反事故に対して、行政処分と同時に刑罰を課す、そういうことはあるのだが、これは量刑も罪質も同じものが規定してあるのですね。そこに何か特別の意味があるのか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/16
-
017・山内一夫
○山内(一)政府委員 これは消費生活協同組合が主務大臣の許可を得ないで員外者に対して利用を許すということに対しては、御承知のように消費生活協同組合法に過料はありまするが、この小売商業特別措置法で考えまするところの行政措置命令というのは、そういった員外者に対する無許可の利用が行われるおそれが非常に濃厚である場合に、具体的にこういった措置法に書いてありますところの措置をいたしまして、そうしてそれに注意を喚起しつつやらないと、無許可の員外者利用が起ると困りますので、それを具体的に措置する、その具体的な措置、命令に対する違反と、その実体法の違反とを重ねて行政罰をかけませんと、うまくいかないだろうという見通しを考えましたので、二つの過料を併科し得るというふうに規定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/17
-
018・田中武夫
○田中(武)小委員 生協法の百条は、いわゆる員外利用に対する罰ですね。それからこの二十六条は、四条によるところの行政処分といいますか、これをやらないということだから不作為、これに対する罰、こういうように考えた場合は、一応理解もできないことはないのですが、その根本を見た場合は、いずれも極端な員外利用ということから発生していると思うのですね。そうすると、この極端な員外利用という一つの事実に対して、両方が課せられているというところが、どうも過酷過ぎるのじゃないかということと、それからそういうことが許されるかということ、この二つの疑問を持ったわけです。そういうことが許されるかということは、法律的には今あなたのおっしゃったことになろうと思います。しかし、そういうことが消費生活協同組合というものの運営という面から見た場合に、これが二重になるというようなことは、今度は法律的というよりか、法理論というよりか、これは政治論というか、それとも行政的というか、それから見て、どうも私は納得がいかないのです。これはむしろ長官の方が適当かと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/18
-
019・岩武照彦
○岩武政府委員 法律論は今法制局から答弁した通りでありますが、政策論と言ったら言葉は悪いかもしれませんけれども、実際の問題としまして、許可を受けていない者に売ったということ、それから措置命令をしたにかかわらず、なお売ったということは、やはり措置命令に対する違反としても取り上ぐべきじゃないかというのが、端的なわれわれの気持であります。ただ、それが同じ罪質であるかどうかということは、いろいろ法律上の問題にもなりましょうし、また場合々々によって違うと思います。措置命令も、先ほど申しましたように、選択的に出すわけでありますから、あるいは罪質が違う場合があるかもしれません。あるいはどうなりますか、その辺は、私、法律上の解釈は知りませんが、いずれにしても、せっかく措置命令を出しながら、それに対して違反があって、罪則がないというのはいかがかと思われるような気がするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/19
-
020・田中武夫
○田中(武)小委員 大体員外利用そのものを犯罪視しているような考え方が、私はどうもいかぬと思います。員外利用そのものを犯罪視しておるのですか。あなたはこれによると、そうではなく、それを禁じている法律違反だからこうだ、こう答弁するだろうと思うが、私は、やはり員外利用は悪いんだというこの頭、これが犯罪だということにつながるということが、どうも納得できないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/20
-
021・岩武照彦
○岩武政府委員 その点は先日も田中委員の御質問に答弁したわけですが、やはり消費生活協同組合というのは、組合員に対して十分なサービスをするということが中心であることは、もう疑いないことであります。それがために、消費生活協同組合法でも員外利用を押えて、組合員に十分なサービスをすることになっているわけです。それが犯罪視というふうな言葉は、あるいは私の方でも頭からそういうことを考えておらぬというふうに御答弁申し上げればそれだけの話でありますが、本質的にはやはりそういう問題でありまするほかに、員外利用が付近の小売商に著しい悪影響を与えるというときは、これはやはり社会的に見ても相当考え直していただかなければならない問題でありましょうから、法律の規制の対象とするということは、小売商法という見地から見ますれば、まあうなずけるものであろうと思っております。頭から犯罪ということじゃございませんで、小売行為の調節という見地からこの問題を考えますときには、やはり何らか法律が介入して、その間の調整をはかる必要があると存じまして、そういう措置を命じますれば、やはり違反があれば、これは法律違反であるということになるわけでございますから、そこらあたりは、これは頭から犯罪行為と考えているのではありませんで、特定の場合に、そういうふうな措置をすることが必要な場合には、法規違反として処断されるということはやむを得ないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/21
-
022・田中武夫
○田中(武)小委員 二つの答弁があったと思うのです。小売商に影響を与えるから罰則の対象とするというような考え方も出てきた。もう一つは、この法律がいいか悪いかは別として、これがきまれば法律である、その法律による行政命令に違反した、こういうことが対象になる。この二つのいずれなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/22
-
023・岩武照彦
○岩武政府委員 その点は、前々から申し上げますように、単に員外利用があったからといって、国が介入しまして、違反云々ということを言うのは、これはむしろ消費生活協同組合法の立場からであります。この法律の立場は、その員外利用のおそれ――おそれといいましても、やはり客観的な認定によりまするが、その際には、むしろ小売商との間を調整するために、国が――国がといいますのは、法規が発動いたしまして、そこにある法律秩序を確立する、そういうことになりますれば、その法律秩序に違反した場合には、やはり違反者ということで処断されざるを得ないだろう、こう申し上げたのであります。頭からすべての場合に員外利用が犯罪行為だというふうな立場はとれないわけであります。それは、むしろ場合によっては消費生活協同組合法の問題だろうと思います。われわれの方は、こういうふうな小売商との間の摩擦が起るような場合に、法規が介入して法律秩序を確立するということを考えますれば、そのときには、違反した者には、やはり違反者としての責任を問わざるを得ないだろう、こういうことを考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/23
-
024・田中武夫
○田中(武)小委員 一つ具体的な事実を考えながらいきたいと思うのですが、生協がたとい一人でも員外利用を許した、こういう場合には、直ちに生協法の百条というのが――発動は一人や二人ならしないだろうと思うのですが、それが著しい場合に、まず百条の方が先に優先してくるだろう、それからなお四条の措置命令が出る。それでもやらなかったら二十六条ということになるのか。順序とすれば、員外利用をしておるのは、生協法の百条があるのだが、それの発動以前に四条の命令を出して、それを聞かなかったからというので、二十六条がくるのですか。そういうような具体的な場合には、順序はどうなりますか。法律の適用というか、命令あるいは処罰の順序はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/24
-
025・岩武照彦
○岩武政府委員 それはいろいろな場合によるのじゃないかと思います。先ほど申しましたように、小売商業特別措置法の立場は、いやしくも一人の員外利用があってもすべてこの法規に違反して処罰の対象になるというふうに考えておるわけではございません。そこはやはり小売商の事業活動に相当な影響を及ぼすというおそれがあって、初めてなるわけでございます。そこらあたりの法規発動の問題は、これはその場合々々に違うのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/25
-
026・田中武夫
○田中(武)小委員 具体的に、百条の罰則と二十六条の罰則と、その問の四条の行政処分が一体どのように動いていくのか、もう一ぺんよくわかるように御説明願います。かりに著しい員外利用があった、こういうような事実があった場合、一番最初どこが動くのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/26
-
027・岩武照彦
○岩武政府委員 署しい員外利用があった場合に、ただそれだけですと、これはやはり消費生活協同組合法の問題であります。それを違反行為に問うかどうか、これは消費生活協同組合法の運用の問題だろうと思います。そういうことが行われるおそれがあるというので、措置命令を出した場合は、そういう違反があれば、これはやはりこちらのものである。それはやはりいろいろ場合があるだろうと思います。それが単に偶発的なもので、将来継続されるおそれがないということになれば、これは措置命令を出さないで済むかもしれません。あるいは消費生活協同組合法上はあまり問題にならぬ員外利用でも、将来さらにそれが拡大して、付近の小売商に重要な影響を及ぼすおそれがあるということになりますれば、これは都道府県知事が員外利用を抑制する措置を命じまして、それになお違反する者があれば、この法規の対象にする、こうなるわけです。そこらあたりはやはり画一的には参らぬだろうと思います。その場合々々の情勢によるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/27
-
028・田中武夫
○田中(武)小委員 私の言うのは、この法律の建前、目的からいって、かりに著しい員外利用等があったとしても、まず母法が動くべきではないか、それから後のことではないか、こう思うのですがね。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/28
-
029・岩武照彦
○岩武政府委員 それは都道府県知事の方が少し見落しておって、この法律に基きます措置命令を出さない場合には、消費生活協同組合法しか動かぬわけであります。だから、そこはやはりその場合々々によると思います。常にどっちが先に動くということは言えないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/29
-
030・田中武夫
○田中(武)小委員 しかし、それをはっきりしておかぬと、第四条が先ばしってしまうと二十六条がついてくるわけだが、そうなると、生協法自体がもぐってしまうというか、そういうことになって、これが先ばしるというおそれがある。だからそこで一つの発生した事実に対する法の持って行き方、行政措置の持って行き方の順序というものがやはり必要だと思うのです。これははっきりしておかなければならぬと思うのです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/30
-
031・岩武照彦
○岩武政府委員 それはやはり先ほど申しましたように場合々々によって違うだろうと思いますから、そう一がいには申せないと思います。ただ消費生活協同組合に対する十分な思いやりをもって対処いたしますためには、やはり法律の発動ということを頭から考えるのではなく、事前に十分都道府県知事としては、員外利用をさしてはいかぬぞ、消費生活協同組合法にも規定してあることだし、またこちらの法律でも予防的にはできるけれども、しかし、それよりもまず行政指導で、法律発動前に十分に注意するようにということを、まず消費生活協同組合に対して十分行政指導して、しかる後にその法自体によって発動すべきものだと思っております。頭から何でもかんでも法律でおどかすということではございませんで、やはり事前に十分な行政指導が必要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/31
-
032・田中武夫
○田中(武)小委員 しかし、やはり物事は原則を必要とすると思うのです。場合々々ということなら、私はもう一つ、いわゆるそのときどきにおけるその職にある担当者の考え方によって左右される危険性があるので、原則が必要だと思うのですが、これ以上に言っておっても堂々めぐりのように思います。
そこでもう一つ方面を変えてお伺いしますが、二十六条の場合は四条の措置命令いわゆる行政命令違反に課せられる、罰則になるわけですが、たとえば組合員である旨を示す証明書を提示しない者に対しては物品の供給事業をさせないこと、かりに第二号の措置命令が出た、そうすると、たとえば証明書を提示しない者に物品の供給事業を許さない、これが一人の場合ももう違反としては厳格には出てくると思う。これが数人だった場合、これは一つの犯罪が――あなた方が言うなら行政措置違反が、一人に一個ずつ積み重なっていく累犯的なものになるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/32
-
033・岩武照彦
○岩武政府委員 私は昔習いました法律を忘れましたので、そういう場合は累犯になりまするか、連続犯になりまするか、どうもよく存じませんが、そこらあたりは一つ――いずれにしても違反だとは思いますが、そのあたりどうなりますか私ちょっと答弁できませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/33
-
034・山内一夫
○山内(一)政府委員 お尋ねの一人いる上にまた一人いる、その場合にどうなるか、こういう御質問だと思いますが、刑法の総則という規定はここには該当いたしませんので、累犯とか継続犯とかいう考え方はここでは考えなくてもよろしいと思います。それで純粋法律的に申しますれば、一人一回、また他の者に売れば一回というふうになると考えるのであります。これは消費生活協同組合法の十二条違反の場合も同様でございます。この場合でも同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/34
-
035・田中武夫
○田中(武)小委員 そうすると理論的に言えば一人について一万円、はっきり言えば、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/35
-
036・山内一夫
○山内(一)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/36
-
037・田中武夫
○田中(武)小委員 そうすると百人とすれば百万円、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/37
-
038・山内一夫
○山内(一)政府委員 それは一万円一ぱいにかけるかどうかは、これは裁量の問題でございますから……。最大限は百人おれば百万円になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/38
-
039・田中武夫
○田中(武)小委員 私の方も法律のことを忘れてしまったのだが、刑法総則の規定は――これは行政罰ですが、全部適用になるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/39
-
040・山内一夫
○山内(一)政府委員 刑法総則の適用は、過料の場合には適用ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/40
-
041・田中武夫
○田中(武)小委員 これはちょっとはっきりしておかなければいかぬのだが、一人に一つずつ違反事項として、この二十六条の対象としての違反が起ってくる、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/41
-
042・山内一夫
○山内(一)政府委員 先ほど申し上げたようにその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/42
-
043・小平久雄
○小平小委員長 勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/43
-
044・勝澤芳雄
○勝澤小委員 もうすでに基本的な問題については十分語り尽されていると思いますが、事務的でもけっこうですから、お答え願いたい。この小売商業特別措置法案の基本的な考え方というのは、小売商業の振興をはかるのが目的だというよりも、やはり秩序を確保するのだ、こういう立場の方に近いと私は思うのですが、そうした場合においても、やはり今日の小売商業の振興をさせなければならぬ基本的な原因は一体どこにあるのか、そして小売商業の経営困難という理由がどうなっているのか、これによって初めて基本的な小売商業に対する措置というものが生まれてくると思う。たとえて申し上げますならば、通産省の統計でも、この小売商店舗数は、昭和三十一年末で百四十一万七千店舗が、三十二年度末には百四十八万五千四百店舖となっております。一年間で六万八千店舗、四・八%増加をしている。さらに小売商に従事している者は、三百六十九万九千二百九十人から三百九十七万二千八百五十人へと、同じく一年間に二十七万三千五百六十人、六・九%もふえている。こういうふうな統計が出されているわけでありまして、やはり何といいましても、小売商の今日の実態は、同業者間の過当競争が多いということ、それから、なおかつ、これが失業者のたまり場になっている、こういうことに中心があるように思うのです。こういう観点からこの法律をながめて参りますと、どうもこの法律は現象的に出てきたものだけを取り上げておって、本質的に小売商の今日の困っている実態に鋭くメスを入れて、そうして根本的に問題を解決しよう、こういうことにおくれているように思うのですが、一つこの法の持っている基本的な立場といいますか、あるいは小売商の根本的な解決策といいますか、こういう問題について、もうすでにいろいろ話もされたことですから、事務的でけっこうですが、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/44
-
045・岩武照彦
○岩武政府委員 小売商の数がふえ、従業員がふえておることは、これはもう御指摘の通りであります。今手元にありまする最近の事業者統計の数字を見ましても、昭和三十二年末現在では、物品販売業百八十万という数を算しております。前の調査の二十九年末の百六十万に比べまして、一二%余りふえておるという状況であります。それで、今の御質問によりますと、この小売商の振興をはかるには、数を制限するのが第一ではないかというようにも拝察されますが、われわれの立場は、数の制限は、毎々申し上げますように、ひとり小売商だけではございませんで、同じくこの事業者統計を見ましても、サービス業におきましては、三十二年末におきましては、前回の二十九年末の調査に比べて、約三%ふえております。その他製造工業も、小企業の面でふえております。これも約三%ふえております。その他各業ともにみな数がふえております。おそらくこれは事業者の数のみならず、従業員もふえておるたろうと思っております。それのみではございませんで、一つの業態において排他的に他の方面からの流入を阻止いたしますれば、必ずやそのあふれた者はよその方の業態に行きまして、ますます向うの業態を悪くする、お互いが食い合いをするようになりますので、そういうことは基本的にいいますれば、よほどしっかりいたしました計画的な雇用配置の措置がとられませんと、とてもできることではないわけであります。これはおそらくそういうふうな強制的な労働力配置といった政策をとれるところは、きわめて少いだろうと思っております。日本の現状におきましては、もちろんそういうことは避くべきでありまして、むしろ着眼すべき点は、これは最初のとき申し上げたかと思いますけれども、小売商は御承知のように消費者に商品を提供するものでありますが、この消費者の消費購買力は、これはもう統計で示しますように年々消費水準は上って参っております。また消費購買力自体もふえておることでございますから、このふえる購買力をどの商品がどの店で吸収するかということになるわけでございます。そういたしますれば、小売商の競争相手は百貨店がございましょうし、あるいは各種の非営利的な小売行為を行うところもありましょうし、あるいはまたメーカー、問屋といったようなところもあるかもしれない。そこで、そういうような自分と競争の立場にあって小売行為を行うものをできるだけ押えて、小売商の事業活動の場を広くしょうというのがこの法律のねらいであります。従って、正面から小売商の振興をはかるということよりも、むしろ自分と競争の立場にある者の行き過ぎを押えようという措置でございまして、このふえる購買力を自分たち小売商が吸収するように各種の正攻法が要るわけであります。
その正攻法と申しますのは、やはり何といいましても、第一は客を引きつけるということであります。これには店舗改造、商品の配置、照明その他きわめてじみなものでありますが、そういうようなことによって、お客を引きつけるということ、それからその次はお客に対するサービスの問題であります。どうもいろいろ聞きますと、場所によっては小売商のサービスが悪いということを聞く場合もございます。そういうことではお客はやはりほかの組織に走りますので、お客に対するサービスも十分にこれはしてもらいたいものだと思います。この二つがおそらく小売商振興の第一要諦だと思っております。役所の方といたしましても、その二つにつきましては不十分ではございますが、各種の措置を講じておるわけであります。それで第三点といたしましては、そういうふうな個々の努力が足りないところは、お互いの組織を強くして、共同して自分たちの事業の発展をはかるということが、これがわれわれが言います各種の組合組織の強化であります。あるいはそれに対する役所の援助助成の問題がございます。これにつきましては、従来から若干措置を講じておりますが、なかなか思うように参りません。いろいろと役所の財政上の措置も限度がございますので、十分とは参りませんが、今後ともますますそういう方面で努力をいたしていきたいと考えております。以上申しましたことは、要するに小売商振興の正攻法は、これはこういうふうな自分の競争相手を押えることに尽きるのではなく――と申しますことは、自分の競争相手を押えたところで、自分たちが自動的に繁栄振興するものではありません。やはり自分たちの努力が要りましょうし、自分たちの足りないところは、お互いに手を組み合せてやっていくことが要りますから、何といいますか、正攻法の振興法にわれわれとしてはもっと力を入れたい。この法律は、不十分ながら百貨店法と同じような系列の法律で、自分たちの競争者の行き過ぎを国が押えて、小売商の事業活動の場を維持し、かつ、できれば広げようという法律であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/45
-
046・勝澤芳雄
○勝澤小委員 小売商の根本的な振興策については、またいろいろな立場から、またいろいろな方面からお考えになる、当面する問題点として、こういうような法律を出したというふうに言われておるのですが、この法案全般をながめたときに、私はこの法律というのは生協の弾圧法にしかすぎない。生協には片方に消費生活協同組合法という法律があるにもかかわらず、この法律が十分生かされておるにかかわらず、がんじがらめに二重的な取締りを行おうとしておる。そうしてその同じ並列の中へ購買会というものを入れ、また小売市場や生産者の直売行為、こういうものを中心にもっと規制すべきである、こういうように思うのですが、そういう点についてだいぶ不十分だと思います。なおこれらの問題につきましては、特に今日の生協の実態につきましては、厚生省の方にもお尋ねいたしたいと思うのでありますが、時間もありませんから、それはやめますけれども、この法律は生協のみに中心を置いた弾圧法だというふうに理解しておりますが、中小企業庁長官としては、そうではない、もっとほかのことも考えておるのだということを、もっと具体的に御説明を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/46
-
047・岩武照彦
○岩武政府委員 この法律を消費生協弾圧法というのは、失礼でありますけれども、誤解だと思っております。この点は前々から申し上げておるところであります。要するに消費生活協同組合というのは、組合員に十分なサービスをする、そのためには、やはり員外者の利用は極力押えるというのが、この消費生活協同組合法の趣旨でございます。従って、この員外利用の許可に当っては、極力その範囲を適正ならしめるように厚生省からも瞬次通牒が出てりおるわけでございます。
なお前回御質問がございましたが、小売商との摩擦の点につきましてとかく問題が起りますので、去る昭和三十一年の十月に、通商産業省の企業局長並びに厚生省の社会局長から――社会局長は九月でありますが、それぞれ都道府県知事に対しまして、小売商との関係について十分な配意をするようにという事こまかな通牒を出しております。内容を読むのは省略いたしますが、当時御案内のように三十一年の夏に内閣に中小企業振興審議会ができまして、いろいろ中小企業振興の問題が論ぜられましたが、同時に通産省に設けられました産業合理化審議会の商業部会におきまして、小売商と消費生協との調整につきまして、消費生活協同組合の設立の認可、あるいはこの本来の目的を逸脱する事業、あるいは組合の員外利用、それから市価販売、それから商業者と組合との調整措置ということにつきまして、こまかい答申、建議を両大臣に出しております。それを受けまして、先ほど申しましたように、三十一年の秋の候におきまして、担当の両局長から、それぞれ都道府県知事に十分な善処方を要望したわけでありますが、その結果は必ずしも十分でございませんで、前回申し上げましたように、各地で員外利用の許可を受けなくて、いろいろな問題を起している例がかなり起っておりますことは、はなはだ残念でありますが、事実でございますので、前に御報告した通りであります。
それで、この法律のねらいとしますところも、何もこういうふうな措置を講じて消費生協の活動を押えようということでは毛頭ございません。形だけ見れば、購買会と同じじゃないかということもよく御質問受けますが、員外者に対する関係においては、特に小売商との摩擦の点におきましては、購買会も消費生協も同様ではないかということで、同じように員外者の利用を抑制する措置を講じていただこう、こういうわけでございます。決して消費生協の活動を抑制するとか、弾圧するとか、これはもう全然法律の趣旨とは別であります。むしろ消費生協の本来の活動を十分に行わせるように、われわれもこういう点で、口幅ったい言い方かもしれませんが、行いやすくするために、員外者の方を押えて協力しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/47
-
048・小平久雄
○小平小委員長 次会は明日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104505X00219590303/48
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。