1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年二月十九日(木曜日)
午前十時五十九分開議
出席委員
委員長 鈴木 善幸君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
理事 門司 亮君
相川 勝六君 天野 光晴君
飯塚 定輔君 加藤 精三君
津島 文治君 富田 健治君
保岡 武久君 山崎 巖君
佐野 憲治君
出席国務大臣
国 務 大 臣 青木 正君
出席政府委員
自治政務次官 黒金 泰美君
総理府事務官
(自治庁行政局
長) 藤井 貞夫君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 金丸 三郎君
—————————————
二月十九日
委員保岡武久君辞任につき、その補欠として南條
徳男君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七三号)
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六四号)(参議院送付)
国有提供施設等所在市町村財成交付金に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七四
号)
地方財政に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/0
-
001・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
本案につきましては他に御質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局することといたします。
この際、保岡武久君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨弁明を聴取することといたします。保岡武久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/1
-
002・保岡武久
○保岡委員 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案の上程に当りまして、当委員会におかれましては同群島の復興の促進にきわめて深い関心を寄せられ、熱心かつ同情をもって審議せられましたことは、地元議員といたしましてまことに感謝にたえないところであります。ついては、ただいま本法案の決議を行うわけでありまするが、私は本法律の立法の趣旨にかんがみまして、同群島の完全なる復興をはかることはきわめて大切なる国の政策でありまするので、この際、さらに一段と政府の努力を要望するため、次の附帯決議を自由民主党、社会党両党の共同案として提案いたしたいと存じます。附帯決議案を読み上げます。
政府は、奄美群島復興特別措置法制定の本旨及び復興事業計画施行の現状にかんがみ、速かに復興計画を完遂して、その実をあげるため、特に左記事項に留意して産業の開発、金融の円滑を図り、同地域住民の経済力を強化しその福利を増進するよう、格段の努力をいたすべきである。
一、復興計画の完全遂行に必要な予算措置を講ずること。
二、復興信用基金制度を更に拡充強化すること。
二、群島の主要農産物たる黒糖の生産につき、税負担の軽減、価格の安定等必要な措置を講ずること。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/2
-
003・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/3
-
004・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。次に附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/4
-
005・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することと決しました。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/5
-
006・鈴木善幸
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/6
-
007・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
これより質疑に入るのでありますが、別に質疑の御要求もありません。また討論の申し出もありませんので、いずれもこれを省略して、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/7
-
008・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/8
-
009・鈴木善幸
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/9
-
010・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/10
-
011・阪上安太郎
○阪上委員 国有提供施設等所在市町村助成法規に関しまして簡単に一つ御質問を申し上げたいと思います。
今回財政措置をせられましたところの、これに対する総額が約十億円ということでございまするけれども、この内容等につきましては、趣旨の説明のときに了知いたしておりますが、将来あるいは現在において自衛隊の全施設に対してこれを適用することがないかどうか、これを一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/11
-
012・青木正
○青木国務大臣 御承知のように、国が直接使用いたしておりまする建物につきましては、地方公共団体はこれに課税しない建前になっておりますので、自衛隊の施設と申しましても、建物等につきまして課税するということは、他の同様の場合との関連等から見ましてこの際は適当ではないのではないか、かように考えるのであります。ただしかし、膨大なる敷地等を使用しておりまする場合は、そのために公共団体に非常な迷惑をかけておるわけであります。さらにまた、そのためにたとえば演習地のごとき、今回のまた火薬庫等の敷地がある場合に、たくさんの自動車等の通行がありますので、道路を損傷する点も非常に多いのであります。そういうことにかんがみまして、膨大なる土地を使用しておる場合はこの法律の適用をいたしまして、そうして公共団体のこうむっておる迷惑に対しまして国が若干の交付金を出す。こういう建前にいたしておるのでありまして、建物全体にすべて同様な扱いをするということは、他の場合との関連等から考えまして、この際は適当でないのじゃないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/12
-
013・阪上安太郎
○阪上委員 接収解除に伴うところの遊休状態にあるいろいろな施設、あるいは基地に関するドル勘定により設置されたいろいろな施設、こういったものについてはやはり同様な考え方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/13
-
014・青木正
○青木国務大臣 米軍が使用しておる期間におきましては、御指摘のように交付金の適用があるのでございますが、これが国に返還された場合、つまり返還されて自衛隊がこれを使用するということになりますと、国直接の使用の建物ということになりますので、先ほど申し上げましたような趣旨によりまして、この法律の適用をすることはいかがか、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/14
-
015・阪上安太郎
○阪上委員 大体お考えはわかったのでありますけれども、率直に言いまして、こういった今申し上げたようなこの十億の中に対象とされていないようなもの、これらのものにつきましても、地方自治体としては、これに対するところの財政需要というものは依然としてかかってくる問題でありますので、これが除外されてしまうということになりますると、何か骨抜きになったような計算になってくるとわれわれは思うのであります。
〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕
こういった点について、もう少し地方自治体のほんとうの財政需要額が、これらの面において増高されておるその面を何とか緩和してやるというような親切心から、思い切った全体に及ぼすような措置をとってもらいたいと思いますが、これらの点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/15
-
016・青木正
○青木国務大臣 御承知のように、かつては、たとえば軍港の所在地等につきまして国から特別の措置をいたしておったのであります。そういう措置がなくなりまして、そのために地元といたしましては財政面に非常に苦しい点ができているものと私ども承知いたしておるのであります。そこで、そういう市町村に対しましては、できるだけ地方公共団体の立場を見てやらなければいかぬというようなことで、特別交付税等におきましても若干の考慮をいたしておるのでありまして、法制的にこの機会にそこまで拡張するかどうかということにつきましては、なお検討を要すると思うのでありまして、現在の段階におきましては、できるだけ特別交付税その他の面において公共団体の立場を守っていく、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/16
-
017・阪上安太郎
○阪上委員 そういうようなお話を伺うと、何か防衛関係であるがゆえに対象としないのだ、こういうようにわれわれは聞えるのですが、それ以外のものにつきましてはやはり相当な財政措置が今までなされておると思うのであります。防衛関係だから、当然これは国の方の防衛であるがゆえに、国土防衛であるがゆえに考えなくてもいいのだというような考え方に受け取れるように思うのでありますが、これは少し不合理じゃないかと私は思うのであります。こういった点でなぜそういうようなものを対象にしないかというはっきりした理由を一つ承わりたい。
それから同時に、交付税でもってまかなっている、こういうような言われ方でありますけれども、こういった関係のものを交付税という——本来の趣旨からいってやはり財政調整的な役割を果している交付税でもってカバーするという考え方が果していいのかどうか、これらの点につきまして奥野さんあたりから一つ説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/17
-
018・奧野誠亮
○奧野政府委員 今お尋ねの問題は防衛関係の施設について地方交付税でめんどうを見ることは筋が違うんじゃないか、むしろ助成交付金の方で措置すべきじゃないか、こういうような御趣旨のように承わったのですが、そう心得てよろしゅうございましょうか。——防衛関係の施設だけを特に他の国の施設と別個の取扱いをすることは穏当ではないというように思うのでございます。ただ、先ほど大臣からお話がありましたように、飛行場でありますとか演習場でありますとか、今まで固定資産税の対象になっておりましたものが、そういう施設に変りますために税収入が入ってこない、今まで財源になっておったものが、たまたまそういうような用途に切りかえられたために莫大な財源を失ってしまうというような特殊な事情もございますので、そういうものに限りまして、固定資産税にかわる助成交付金を交付するというような仕組みをとっているわけでございます。防衛関係の施設であるがゆえに特に助成交付金の対象にしておるといいますよりも、今申し上げましたような特殊な事情からのものでございます。それ以外のものは、用途から見て本来固定資産税の対象になるのだ、たまたま駐留軍が使っているので——駐留軍の住宅の用に供している、あるいは映画館の用に供しておる、それが固定資産税の対象にならないということは穏当でございませんので、そういう意味で助成交付金の対象にしておるだけでございます、そうしますと、防衛関係の施設だから助成交付金の対象にすべきだということにはならない。しかしながら、防衛関係の施設のみにとどまりませんので、国のいろいろな施設の関係から特に地元の町村に特殊な財政需要を起さしておるというような場合につきましては、それはそれなりに地方交付税を計算しますよりも自由に見ていくべきだと思うのであります。そういう意味で、そういう部分については地方交付税の対象にして、当該市町村の財政状況に応じた配分の仕方をしたい、こういう意味で大臣が今お話しになった、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/18
-
019・阪上安太郎
○阪上委員 さらにこれに関連しまして、今回の地方財政計画の中にたしか十億計上されておったと思うのです。その算定の基礎は一体どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/19
-
020・金丸三郎
○金丸政府委員 これは一昨年から始まりました制度でございまして、一昨年が五億、昨年からずっと引き続いて十億ということで助成をいたす、こういうことになっておりまして、そういうことから本年度も総額十億の範囲内で助成をする、こういうふうにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/20
-
021・阪上安太郎
○阪上委員 もう少し合理的な算出をするというようなことは考えられないのですか。ただつかみ渡しでもって十億というワクをきめないで、昨年は初年度で五億だ、本年は十億にするんだ、こういうような考え方であって、それ以上に何ら合理性がないように私は思うのです。それでは本年度は一体どういうふうにしてやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/21
-
022・金丸三郎
○金丸政府委員 総ワクは予算上の措置でございまして、固定資産税そのものではございませんので、十億というふうに予算上の措置としてきまっておるわけでございます。配分は、昨年上りも三十四年度は総体の対象になる資産の価格は若干減少いたす見込みでございますけれども、予算の総額としては三十三年度と同様に三十四年度も十億にいたした次第でございますが、配分の方法は、十分の八を対象の資産の価格を基礎といたしまして、関係の市町村に配付をいたしております。十分の二はいろいろな事情によりまして関係の市町村に配分をいたす。大まかに申しますと、交付税の普通交付税と特別交付税のような考え方で配分をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/22
-
023・門司亮
○門司委員 私は、今阪上君の質問にあったと思いますが、自衛隊の問題で弾薬庫その他を含むと書いてあるのですが、そのことは自衛隊の持っておる住宅というようなものについても、固定資産税の相当額というものが当然配分されるべきだと考えるのですが、その点はどうなっておりますか。今の答弁では配分しないようなことをおっしゃっておるようですが、ほんとうにこの対象にならないというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/23
-
024・金丸三郎
○金丸政府委員 自衛隊の住宅とおっしゃいますのは、官舎でございますれば、これは一般の国有の官舎につきまして、交付金を地元に交付いたすと同じような方法でこれは交付いたすわけでございます。住宅とおっしゃいます意味が兵舎でございますれば、これは入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/24
-
025・門司亮
○門司委員 問題はそういうところにあるのですが、地元の意見を聞いてみますと、アメリカ軍だけでなくて、やはりそういう兵舎などについても考えてもらいたい、こういうことなんですが、問題は、ここの提案理由の説明の中に書いてありますように、こういう弾薬庫だとか、それからもう一つ書いてあります燃料庫というようなものが、「地元市町村においては消防施設の拡充、道路、橋りょうの整備等財政支出の増高を余儀なくされている実情にあります。」こと、こう書いてあるのだから、このことから考えると、私は皆出さなければならぬと思うのですが、こういう理由がくっつくなら同じことだと思うのです。兵舎がふえて、演習場がふえて、そこに自衛隊の諸君がたくさん来る。従って家を建てる、家を建てるから子供の教育をしなければならぬ、道路もこしらえなければならぬ、一切が同じ理屈だと私は考えるのですが、地方自治体のそうした行政上の恩恵というものを受けるのは、私は同じことだと思う。保護を受けるのでも同じだと思う。自衛隊だけで火事が消えるわけでもあるまいし、やはり消防施設というようなものも考えなければならないと思う。私は、そういうものも当然含んで、そして自衛隊だからという行き方ではずすのはどうかと思う。大蔵省に言わせると、そんなことを言っておると、税務署ができても、裁判所ができても、それではみな出さなければならぬのかということを言いそうだけれども、これも一つの考え方かもしれない。少くともこういう国有財産の形であるものが——字句の解釈からいえば国有提供と書いてあるから、多少法律上の問題があるかもしれないけれども、実際上の問題としては、そういう兵舎のようなものでも、やはり理由書に書いてあるように解釈していくと、当然中に含まれるものだと解釈する方が正しいのではないか。何もここだけが行政上の恩恵を受けているわけではないと思う。行政上の恩恵はみんな受けなければならないと思う。住宅があるのも、やはり兵舎があるから住宅が要るのであって、私はどうもそういう気がするのですが、これは説明書とちょっと違うような気がする。これはやはり行政上の恩恵であり、行政上の保護なのですね。地方自治体の行政上の恩恵を受ける、保護を受けるという建前なら、これは兵舎であろうと、弾薬庫であろうと、燃料庫であろうと同じことなのです。だから恩恵、保護を受けるということがこれの原因であって、こちらに移譲されるならば、やはり兵舎も同じような考え方がいいと、そう考えているのですが、それでも工合が悪いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/25
-
026・金丸三郎
○金丸政府委員 この制度の基本的な考え方に実は触れて参ることではなかろうかと思うのであります。御承知のように、この制度の大部分は、国が米軍に提供いたしております施設につきまして、固定資産税を徴収できない関係上、地元の市町村の負担を緩和する意味でこのような交付金を交付するということになっておるわけでございます。ただ自衛隊につきましてはどうかということになりますと、これは米軍ではございませんので、国が公用に供しておる建物であり、土地であるわけでございます。今も御質問の中にございましたように、国が公共の用に供しておるものにつきましては、固定資産税の対象にはもちろんならず、国から官舎等について交付しておりますような制度の対象にもいたしておらないわけでございます。ただ国が公用に供しておるものでありますけれども、従来自衛隊の飛行場、演習場だけは、地積が非常に広大でございましたり、また往復する大きな車両、重い車両等によりまして、地元に相当な負担もかかって参りますので、公用に供しておる国の資産の中で、自衛隊の飛行場と演習場の土地だけについて、例外としてこの交付金を交付するようにいたしておるわけでございます。今回、この自衛隊の飛行場、演習場と比較いたしまして、弾薬庫と燃料庫で相当広大な面積を占有しておるもの、その負担関係から申しまして、やはり地元の市町村の負担が飛行場、演習場と同じように認められますので、今回弾薬庫と燃料庫について範囲を拡充しよう、こういうふうな考え方であるわけでございます。従いまして、別に建物等につきまして、仰せのような事情はあると思いますけれども、国が公用に供しているものにつきましては、このような交付金ということは行わないということが、従来までの建前になっております関係から、今回新たに自衛隊も弾薬庫、燃料庫等につきまして、交付金の対象にいたすにいたしましても、やはり原則に対する例外でございますから、飛行場、演習場が建物を対象としないで、土地だけを対象としておることの均衡からいたしまして、やはり弾薬庫、燃料庫の建物はこの際は一応除外して、土地だけを対象とすることが妥当ではなかろうか、かように考える次第でございます。また、御承知のように、地方制度調査会の答申におきましても、弾薬庫と燃料庫の土地を新たに対象とすべきだ、このような御答申もございましたりいたしまして、そのようにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/26
-
027・門司亮
○門司委員 どうもこの問題の起りました原因はどこにあるかというと、今のようなお話もございましたが、本来の起ったところは、御承知のように固定資産税というようなものが居住者課税のような形になってきて、そうして今までかけておらなかった公団であるとか、あるいは三公社、五現業あたりのものについても、一応税金をかけるような形になってきておる。そういうようなところから、いろいろ考えられて、国がアメリカ軍に提供しておる公用のものについても相当額を地方に出すべきだという、こういう解釈が地方にあったということと、それからもう一つは、今のお話のように、非常に広大な土地を占めておって、従って地方の財政に及ぼす影響はきわめて大きいのだ。ただ普通の税務署を建てるとか、裁判所を建てるとかいうごく小さなものではないのだというようなことを勘案されて、こういうことをやられたのであろう。それからもう一つは、行政協定に基くいわゆる米軍の使用しておる建物等については、日本の自衛隊が共同して使うことができるという協定になっておる関係が一つ出てくる。そういういろいろな関係を勘案して、一応こう法律をこしらえる。従ってこれに対しましては、その当時の大蔵大臣の言葉を借りて言えば、税額はつまみ金だと言ったことを覚えておりますが、あれだけのことできめられておる。算定の基礎も何もない、大体これくらいなことで処置しなさいということで、何も基礎なしにこういうものがあてがわれておるのである。従って今阪上君からの質問等も、結局、そういうきわめて不確定な基礎の上に立ったものなのです。従って、配分の方法等についても政令でまかせてありますが、ある程度政府の行政上の措置でやれるのだ。別に法律できちんときめて例の交付税のような形をとっておりませんので、積み上げ方式も何もしておるわけではありません。今申しましたようなこともつまみ金程度であって、それも去年五億で少かったから今年は十億やろうかということで、来年は十億になるかもしれません。そういうようなことで、これがきまったときから現在まで、ほとんどはっきりした根拠がないのです。だから行政上の措置である程度やれると思うのです。今申しましたように、建物その他につきましても、当然やはりそういうものの配分の際に考えられていいのじゃないか、こういうことです。こういう弾薬庫とか燃料庫というものが一応建物と考えられるということになれば、やはり施設等についても一応考えられる方がよろしいのじゃないか。どう考えても、大臣の説明書を読んでみても、何か地方自治体の行政上の保護を受けておるからということがはっきり書いてある。そうすると、やはり行政上の保護を受けておるのと同じことです。大した違いはないと思います。そうすれば建物その他がどうして入らないのかということをもう少し話し合いをする必要があるのじゃないかと思います。どうしてもいけませんか。ほかのものをやることはどうしてもいけないというその根拠が実際ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/27
-
028・青木正
○青木国務大臣 端的に申し上げますと、門司委員の御指摘のように、まことに割り切れないところがあるということは確かにその通りであると私も考えるのであります。ただ、先ほどもお話がありましたように、国鉄の財産、固定資産の問題、そういうことから始まって参り、また米軍の使用しておる施設というようなものがさらに取り上げられて今日に至った段階から見ますと、もっと根本的に掘り下げて、どうあるべきかということを検討する必要があるかと思うのでありますが、現段階におきましては、そういうような沿革から発展して参りましたので、他の国有財産との関連からいたしまして、現段階ではやはりこの程度にするほかないのじゃないか。お話しのように結局程度の問題で、敷地をたくさん使っておるから地元はいかぬといえば、大きな建物を使っておればやはり迷惑をかけることは同じでありますので、結局程度の問題であって、建物はいかぬ、敷地はいい、こう断定することは確かにお話しのように無理な点があると思うのであります。そういう意味におきましては、なおこういうふうな問題、三公社五現業の施設の問題、さらに国の施設の問題、こういうものをあわせてもっと掘り下げて検討する必要があると私は思うのであります。地元の町村側の立場からしますと、国の施設であろうが、あるいはまた米軍の施設であろうが、こうむる迷惑と申しますか、同じことになっておりますので、米軍時代はそれに対する交付金があったが、これが今度自衛隊にかわったらなくなったというようなことになれば、地元の立場からすれば、まことに割り切れぬ気持があると思うのであります。しかしながら、一方におきまして、しからば国の公用に供する建物についてこういう制度を設けるかということになりますと、なお影響するところは大きいので、いろいろ検討しなければならぬ問題もあると思うのであります。そこで今回はこういう改正をいたしたのでありますが、さらに国の立場ということでなしに、市町村側の立場に立ってものを考える場合には、私どもも、もう少しこういう問題について考えてみる必要があるのじゃないか。今は端的にいえば弥縫的なやり方でやっているというそしりを免れないと思うのであります。なお当委員会におきましても十分そういう点につきましていろいろ示唆をいただきまして、私たちも引き続いて検討していきたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/28
-
029・門司亮
○門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、配分の基礎になっております価格の問題ですが、これがかなりでたらめと言うと怒られるかもしれませんが、でたらめに近いようなことになっていはしないかと思う。これは自治庁の方がよく御存じだと思いますが、たとえば本年度、三十三年度の例の福岡県の問題のようなことが起って参りまして、自治庁もかなり苦しまれたと思います。従って、この算定の基礎になる価格の問題等については、どこでこれをはっきりきめて、そうしてどういうことになるのか、この辺は一体どういうことにするつもりなのですか。おととしは御承知のように調達庁が大蔵省の資料に基いてきめたというし、去年は大蔵省の資料に基いて自治庁が査定したといっている。従ってこういうような価格を再調査して、そうしてどこの町村もやはり納得のいく線でやるべきではないかということ。もともと、もとがつまみ金なのだからそっちもつまみ金でよろしいのだというような考え方で配分されたのではかなわぬと思う。法律に基かないにしても、やはり配分の基礎というものは、価格等が厳重に査定されて、そうして行われた方が私はよろしいかと思う。大蔵省にある管財の書類等につきましても、ずっと前に国有財産であったときの古い台帳で割り出したところがある。また新たにとったようなところは新しい地価で割り出しておるというようなことがないわけではないと思う。そういうものについて統一されることについての何か具体案と、それから、それに対する調査というようなものを自治庁がやるのか、あるいは大蔵省の管財でそれをやるのか、どちらがこれを主としておやりになるのか、その辺をはっきり願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/29
-
030・金丸三郎
○金丸政府委員 この交付金を配分いたしますのは国有財産でございまして、国有財産の台帳に記載されております価格を基礎にして配分をいたしております。これは主として大蔵省の管財局と、それから量や額からいたしまして、調達庁、防衛庁、一部農林省というような関係の省庁にわたっております。従いまして、自治庁としてこの価格を決定する権限はないのでございます。ただ、この国有財産台帳の価格が明治時代のものもございますれば、大正や昭和のものもあり、また終戦前後のものもいろいろございましたりいたしまして、私どもも、全体として若干統一されていないような感じもいたしておるのでございます。従いまして、今回は地元の府県や市町村から不適当と思われますようなものを自治庁の方に申し出てもらいまして、できるだけ適正な価格に台帳の価格を改定いたしてもらうように関係省庁と話を進めております。そうしてできるだけ適正な価格に基きまして三十四年度の配分は行うように極力努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/30
-
031・門司亮
○門司委員 大体方向はわかりましたが、国有財産に書かれておるものといたしましても、地元の自治体側から言わせますと、一つの固定資産税の身がわりみたいなものであり、またそうはっきりいえると思います。地元も、やはり固定資産税の評価委員会という正式な機関が一つあるわけであります。それと大蔵省との考え方ですが、この辺に争いがあってもならぬと私は思う。それは先ほどから申し上げておりますように、機関を一つまとめてもらいたいということをお考え願いたい。大蔵省だけにまかしておいてよろしい、考えればわしの財産だから他人からよけいなことを言われなくてもよろしいと言われるかもしれないが、しかし、一般の国民の所有については、各自治体にある固定資産税評価委員会ではこれを査定している。これは間違いがない。そういたしますと、やはり今の市町村からこのくらいでということをあげてもらって、そうして考えてということになりますときに、主体はやはり市町村に置くべきではないかと私は思うのです。そして市町村はそれらの地域との、納得のいく線できめらるべきでないと私は思うのです。これはかなり大きな相違点が出てきますので、ただ大蔵省の持っておる帳面でいくということは、今もお話しのように、明治六年の地租改正のときのやつがまごまごするとあるらしい。今の時代に、一坪当り三円幾らというところがあるらしいのですが、そういう問題点。それからさらに下の方におりれば二千円とか三千円とかいうことがあるので、そういうことで配分されたのでは当該市町村はかなわぬと思うのです。実際はやはり市町村のそういう評価委員会等にある程度の権限を持たせて、あるいはこれにゆだねて、そしてその地方地方で多少違いましょうから、適当に同じ地方の他の土地とそう変らない評価というものが基準になって配分されることが望ましい形だと考えるのですが、そういうことはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/31
-
032・金丸三郎
○金丸政府委員 実は国有財産に対しましては、戦前は御承知のように税とか、こういう制度がなかったわけでございます。一昨年からこの制度が生まれましたために、国有財産の台帳に記載されております価格というものが、対外的にただいま門司委員の御指摘のような問題を起して参った、私はかように考えるわけでございますが、やはり基礎が国有財産でございまして、ほかの市町村の税の対象とか、あるいは府県税の対象とか、ほかのいろいろな社会的な関係でどうしても均衡を保たせておかなければならない、そういうような必要が、この制度ができます以前はあるいは必ずしもなかった、こう言えるのではないかと思うのであります。現在でも、基本的には国有の財産でございますので、市町村等におきまして固定資産の評価に関するいろいろな組織がございましても、当然その組織の意見に従わなければならぬというような絶対的な制約がないわけでございます。ただこの制度ができました関係上、御指摘のように非常に社会の常識と違っている。またほかとの均衡から見て非常に均衡を失しておる。そういうことが実ははっきりいたして参りましたので、私ども、できるだけその是正に努めたいとは思っておるのでございますけれども、現在の制度では、やはり大蔵省なり、こういうような行政財産を所管しております省庁の評価によりまして価格を台帳に記載をする。こういうような制度になっております関係上、私どもとしても十分に満足のできるような抜本的な是正の措置を直ちに講ずるということは、やはり制度的に非常に困難か、かように考えておる次第でございます。ただ現実に非常に常識にかけ離れましたり、他との均衡を失したりしておるような面もございますので、先ほど来申し上げましたように、三十四年度は、できるだけすみやかにその是正の措置を大蔵省なり関係の省庁に求めまして、適正な配分ができるようにいたしたい。実は関係省庁とも話し合いを進めまして、その準備にすでに着手しておる次第でございますので、御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/32
-
033・門司亮
○門司委員 これは十億というものがきまっておりますから、その配分ですからこれはどっちの台帳に載ったからといってふえるわけでもなければ減るわけでもない。ただ問題は、その地方の自治体が納得がいくかいかぬかというところに問題があると思うのです。従って、台帳によろうとよるまいと、地方の自治体はやはり納得のいく線できめていきたい。そうするには自治体がきめております個人の、いわゆる国民の財産については、一方的というわけじゃありませんが、評価委員会とか苦情申し立て機関もありますから、必ずしも一方的とは言いませんが、一応成規の機関で査定をしている。国有財産だからこれの査定ができないんだ、所管省にまかせるということになると、少しおかしいと思うのです。何もその価格で売買せよというわけじゃないし、無理に価格をどうしろというわけじゃない。要するに、交渉をしようとする一つの対象としておるこの標準と、この金を配分する基準とを改めようというだけのことであって、きわめて私は行政的な措置だと思うのです。基本台帳によってこうしなければならぬという筋合いじゃ私はないと思う。今日の固定資産税の査定をいたしておりまする問題についても、固定資産税のできたときには、御承知のように登記簿から移していって、登記簿が市町村役場に入って、これを基準にしてこれの何倍というようなことできめたので、その後も毎年度ごとに変えていく。査定というものは必ずしもそのときの登記簿によってはおらない。ところが、国有財産の方は大蔵省が持っておる財産台帳を変更するわけにはいかない、あるいは変更するにしても大蔵省がやるんだというような考え方は、これは交渉の対象にならなければけっこうだ、こういう配分の基礎にならなければ私はそれでよろしいと思う。しかし、少くとも税金のかわり財源として出しておるものについては、やはり税金をきめる基礎に権限といいますか、主体を置くべきじゃないか。そうすれば財産台帳のいかんにかかわらず、少くとも当該自治体の固定資産税評価委員会できめた価格で配分することが正しいのじゃないか、その村の納得がいくのじゃないか。はなはだしいのは、さっきも申し上げましたように、所をはっきり言ってもよろしいのでありますが、明治六年くらいから、あるいはその後の二十二、三年ごろの地租改正によって計算されておる。それからその下になれば、二、三千円台できまっておる。無理な価格は、少くともその近所のあるいはそれと同じような地価と考えられるところと同じような価格が基礎になって割り出されることが正しいのじゃないか、従って、この配分の基礎になる価格の決定は、当該市町村の評価委員会の申請に基いておやりになることは、私はちっとも無理じゃないのじゃないかと思う。そうすれば全部村中が納得がいくと考える。他の町村に対しても私は納得がいくと思う。大蔵省がこうきめたのだから、現実に合わなくてもお前のところはこれでやれというのではなくて、現実に沿う形でおやりになった方がいいのじゃないか。そのために十億からはみ出すとか減るとかいう問題じゃないのですから、逆算すればよろしいのですから、そういう地方の自治体のやはり納得のいく線できめてもらった方が無理がなくてよろしいと思うのですけれども、そういうことはできませんか。やはり大蔵省のごきげんをうかがわなければきめられない、こういう厄介なものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/33
-
034・金丸三郎
○金丸政府委員 御指摘の通り、別に価格がふえましても配分の基礎になる総体の十億の金額が動くものではありませんから、できるだけ市町村の納得のいくような額に近い線で配分をいたすことが、私どもも基本的には望ましい、こういうふうに思っております。ただ国有財産でございますので、では、それをどのように評価して配分をするかということになります場合、かりに帳簿価格によらないとすれば、全国に散在しております国有財産を全部評価し直さなければならない。これには数十億の経費を要することにやはりなってしまやせぬか、こういうふうにも思うわけでありまして、ほんとうにしっかりつかまえますと、大へんな経費が実はかかるのであります。そうかといいまして、市町村ごとの要望によりますと、やはりそれが適正であることを法律的に認定しなければならないようなことにもなって参ります。従いまして、私も必ずしも満足ではございませんけれども、やはりよりますものは国有財産でございますので、それを所管しておる各省庁の、やはりこれが国の公簿でございますから、それに記載されておる価格で全国的に統一性のあるものというふうに考えております。ただ、先ほど来私からも申し上げております通り、均衡を失したりあるいは常識にはずれたりしておるようなものもあるようでございますから、これはことしの配分の時期までに十分に早く是正をして、できるだけ常識に合い、均衡のとれたような価格に台帳の価格を訂正いたしまして、できるだけ地元の市町村の御要望にも一致するような配分をいたしたい、かように考えておる次第でございます。なお、将菜の問題といたしましては、直接これには関係はございませんけれども、固定資産の評価の方法も改めまして、できますならば、国有財産につきましても古いものでそのままになっておるものもございますが、そういう点を根本的に改めてもらいたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/34
-
035・門司亮
○門司委員 あとでまたこの次の会議でもよく聞こうと思いますので、大蔵省から来てもらいたいと思うのですけれども、今のような御意見だと、これはもうこの機会に全国の国有財産の台帳を変えたらいいと思います。そういういいかげんなままのものでやっておって、それに基いて国有財産の払い下げというものが行われておると、非常に厄介なものができ上ると思う。ですから、適正な価格に国有財産を直すということは必要だと思います。幾ら金がかかるとしても、やるべきことはやったらいいと思います。金がかかるから遠慮しておくということは、私は自治庁としては言うべきことじゃないと思います。当然はっきりした数字を出してもらいたいと思います。いすれこの次の会議で聞くことを委員長に頼んでおきますけれども、大蔵省に私はこのことを言わなければならぬと思うのです。大蔵省がこの間違いのもとをこしらえるので、この次の機会には、大蔵省から管財局長かだれかに来ていただきまして、そうして間違いのないようにしていただきたい。それから同時に、やはり地方の自治体の評価委員会等の意見も十分尊重していただきたい。それは何も全部の台帳を変えろというのではない。台帳が変えられなければ、そこだけでも私はけっこうだと思う。国民の所有については三年おきにきめているでしょう。しかも、税法には年度の属する一月一日の時価というものできめておる。国民の持っておるものは評価委員会が自由に評価がえして、国が持っておるものはできない。こういう理屈はないと思う。このことに関する限りは実はやってもらいたい。この前の委員会でもそういうことは話したような気がしたのだけれども、一向実行されておらないので、間違いをこしらえた例がありますから申し上げておきます。そういうことを一つ委員長にもお願い申し上げておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/35
-
036・亀山孝一
○亀山委員長代理 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。阪上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/36
-
037・阪上安太郎
○阪上委員 非常に簡単に一つだけ御質問申し上げておきます。
私が質問したいのは屎尿処理施設に関する起債の問題なんです。これはむしろ三十四年度の財政計画を論議するときに取り上げればいいのでありますけれども、実はこのことに関しまして、最近大阪府の吹田市で一つの問題が起っておるのであります。その起っておる原因を調べてみますと、吹田市は、屎尿処理を物理方式によらずに化学的な処理方式をとろうということでもって、市議会で議決して、その方向に起債を獲得するように運動を続けてきたのであります。そこで彼らが研究した結果採用したのは、清水市で現在行われておる清水式の方式で、不二工業株式会社にこれを契約するべく提案をしておった。その段階におきまして、どういったかげんか、突如——これは厚生省関係であったかどうか知りませんが、その方式を採用することよりも他の方式を採用することによって起債はつけることができるが、そうでなければ起債はつけることはできない。こういうことを強く要請されたので、仕方なく最近になって議会を開いて、その議案を引っ込めたというような事態があるのであります。そこで私が自治庁に御質問申し上げておきたいのは、一体補助事業としての認証は、化学方式に対しては今どういうような方針ておやりになっておるか、これをまず聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/37
-
038・奧野誠亮
○奧野政府委員 屎尿処理施設に対しまする起債につきましては、要望額に対して今までのワクが少いものですから、地方団体に大へん迷惑をかけております。しかし、緊急の仕事でございますので、できる限りそのワクを広げていきたいということで努力をいたして参っております。この施設のよしあしについて積極的に自治庁があれこれ言う考えは持っておりません。吹田市の場合につきましても、できる限り屎尿処理施設が早くできることは望ましいという考え方はあるわけでございます、再建団体でございますので、計画の変更につきましては協議を経ております。その場合におきましても、今までの積立金を取りくずしてそちらの方に持っていくというような話もございました。それもそれでけっこうだと思っておるわけでございます。なおまた地方債の点につきましても、できる限り年度内に若干でも許可できるように持っていきたいというようなことでいろいろ協議をいたしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/38
-
039・阪上安太郎
○阪上委員 自治庁の方針は私非常にけっこうだと思います。こういった事業が、物理的にはとにかく補助事業として認められておりますが、化学処理方式によるものに対しては、非常に長い間これは検討されておることと思いますけれども、いまだに補助事業としては認めていけないというようなことになっておるのです。これは厚生省の方のいろんな見解もあると思うのですが、その辺のことを御存じだったら一つ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/39
-
040・青木正
○青木国務大臣 吹田の屎尿処理の問題、私も前に自治庁におりましたときにお話を承わりまして、この問題について若干厚生省方面とも連絡いたしたのであります。私の考え違いも若干あるかもしれませんが、私の承知している範囲におきましては、厚生省で指定したやり方に対しては補助金が出る。従って補助金が出れば当然それに見合う起債という問題も出てくるわけであります。ところが、吹田の場合は厚生省の方の指定したやり方ではないからということで、補助金を出すわけにはいかぬ。出すわけにはいかぬが、それを聞いてみると非常にいいやり方じゃないか、できればそのやり方を吹田でやっていただいて、それに基いていろんなデータをとってみたい。しかし、今の段階では補助金を出すことはできないから、補助金なしで自治庁の方で何か起債を見てやってくれぬか、こういうお話はあったわけであります。私どももいろいろ吹田の方々のお話を承わり、また厚生省のお話も承わって、従来のやり方でなければ補助金が出せぬというのであったならば、いつまでたっても新しい方法ができ上りませんので、これはいかぬ。やはり新しいやり方でも、いいものがあったならば大いに推奨すべきであります。そういうことのためには、補助金が出なくても、自治庁の方としてできる限り起債の方でめんどうを見て、その仕事のできるようにしなければならぬということで、いろいろ財政局長とも話し合いをいたしておったのであります。ただ問題は、そういうふうな事情にありますので、補助金をつける場合に、一般的の補助金のある起債と同じようにやるわけに参りませんもので、一応その話が片づいて、あとで別個の問題としてこれだけは検討しようということで、実は打ち切ったわけでなしに、そういう意味合いで保留いたしておるのであります。私の考えとしては、できれば何とか起債のめんどうを見まして、そういう新しいやり方についても、吹田市がある意味におきましては危険まで冒して新しい方式をとってみようというのですから、これに協力することは当然なんで、また厚生省も、吹田市でそういう屎尿処理をやるということになれば、それについていろいろデータをとりたいし、そのための費用は厚生省として計上したい、こういうことも言っておるのであります。そういう意味におきまして、できるだけ耕しい方式が何とか採用できますように私ども協力を申し上げたい。現在吹田と、そのほかに私が承わっておりますのは鎌倉とか、国立とか、そういうところが何か化学処理方法を考えておるようであります。ただ問題は、その場合に回虫の卵や何かまで果して消滅できるかどうか。そういう点までも検討する方法があると承わっておりますが、できるだけ私どもも協力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/40
-
041・阪上安太郎
○阪上委員 そうすると、今のところでは自治庁としてはまだ起債はつけることについては保留しておきたい、まだつけておらないと、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/41
-
042・奧野誠亮
○奧野政府委員 年度内に起債許可に持っていきたいということで努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/42
-
043・阪上安太郎
○阪上委員 そこでもう一つ伺いたいのですが、厚生省からそれに対しまして何か推薦状のようなものが来ておるのでございますか。それからその推薦状には、安全性というものははっきりと明記されておるのですか、あるいは不完全な状態だけれどもということになっておるのですか、ちょっとその点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/43
-
044・奧野誠亮
○奧野政府委員 推薦状というようなものは承知しておりませんけれども、厚生省としても起債を許可するように希望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/44
-
045・亀山孝一
○亀山委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01219590219/45
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。