1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月三日(火曜日)
午後二時五分開会
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委員の異動
二月二十八日委員近藤鶴代君及び杉山
昌作君辞任につき、その補欠として梶
原茂嘉君及び前田久吉君を議長におい
て指名した。
三月二日委員大谷藤之介君辞任につ
き、その補欠として林田正治君を議長
において指名した。
本日委員井上知治君及び林田正治君辞
任につき、その補欠として小山邦太郎
君及び安井謙君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 加藤 正人君
理事
土田國太郎君
山本 米治君
大矢 正君
平林 剛君
委員
木暮武太夫君
小山邦太郎君
迫水 久常君
塩見 俊二君
西川甚五郎君
廣瀬 久忠君
宮澤 喜一君
安井 謙君
小酒井義男君
前田 久吉君
政府委員
大蔵政務次官 佐野 廣君
大蔵省主税局長 原 純夫君
大蔵省管財局長 賀屋 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 塩崎 潤君
大蔵省主税局税
制第二課長 吉国 二郎君
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本日の会議に付した案件
○所得に対する租税に関する二重課税
の回避及び脱税の防止のための日本
国とのノールウェーとの間の条約の
実施に伴う所得税法の特例等に関す
る法律案(内閣提出)
○国税徴収法案(内閣送付、予備審
査)
○国税徴収法の施行に伴う関係法律の
整理等に関する法律案(内閣送付、
予備審査)
○塩業整備臨時措置法案(内閣送付、
予備審査)
○厚生保険特別会計法等の一部を改正
する法律案(内閣送付、予備審査)
○昭和三十三年産米穀についての所得
税の臨時特例に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○接収貴金属等の処理に関する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/0
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001・加藤正人
○委員長(加藤正人君) ただいまから委員会を開会いたします。
まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェーとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、国税徴収法案、国税徴収法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、塩業整備臨時措置法案、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案、以上五件を一括議題とし、順次、提案理由の趣旨説明を聴取することといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/1
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002・佐野廣
○政府委員(佐野廣君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェーとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案外四法律案について提案の理由及びその内容を御説明いたします。
まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェーとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案について申し上げます。
政府は、今回ノールウェーとの間に所得税及び法人税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため、別途御審議を願っているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
以下この法律案の内容について申し上げます。
まず第一に、利子所得等に対する所得税法の特例を定めることとしております。すなわち、今回の条約によりますと、わが国及びノールゥェー両国とも、国内に恒久的施設を有しない非居住者等に対して支払われる利子所得等につきましては、百分の十五をこえる税率で課税をしてはならないこととなっておりますが、わが国の所得税法では、これら利子所得等に対する税率は百分の二十となっておりますので、条約の適用のある場合には、所得税の税率を百分の十五に軽減することとしているのであります。
第二に、特許権等の譲渡により生ずる所得に対する所得税法及び法人税法の特例を定めることとしております。今回の条約によりますと、わが国及びノールウェー両国とも、国内に恒久的施設を有しない非居住者の特許権等の譲渡による所得に対する租税は、収入金額の百分の十五をこえてはならないこととなっておりますが、わが国の所得税法及び法人税法では、この種の所得につきましては一般の所得と同様に、個人につきましては累進税率により、法人につきましては一般の法人税率により課税することとなっております。従って条約の適用のある場合で、これら所得に対するわが国の税法による税負担が収入金額の百分の十五をこえることとなるときは、その負担を収入金額の百分の十五に軽減することとしているのであります。
最後に、今回の条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしているのであります。
次に、国税徴収法案について申し上げます。
現行国税徴収法は、明治三十年に制定されて以来すでに六十余年を経ておりますが、その間若干の部分的な改正があったとはいえ、その全般にわたる根本的な改正は行われることなく、今日に至ったものであります。しかし、わが国の経済事情も国税徴収法制定当時に比べて著しい変革をとげており、法律制度自体も大きく変っております。さらに、戦後税制改正に伴い租税体系そのものに大きな変化が現われており、また戦前に比べて滞納が増加しているなど、国税徴収法が現在の実情に沿わない面が次第に顕著となり、その全面的な改正が従前から強く要望されていたのでございます。
政府におきましては、昭和三十年以来三ヵ年にわたり、公法、私法の学者、弁護士、金融機関、経済団体等各界の学識経験者及び関係官庁の職員をもって構成する租税徴収制度調査会において国税徴収法の根本的な検討を求め、この問題に取り組んで参ったのであります。同調査会は、八十回にも及ぶ審議の結果、昨年十二月八日、大蔵大臣あてに答申を行いましたので、政府は、これに基いて現行国税徴収法を全面的に改正することとし、ここに関係二法案を提出した次第でございます。
改正案におけるおもな問題としては、三つをあげることができます。すなわち、租税徴収の確保、私法秩序の尊重及び徴税制度の合理化がこれでございます。
まず、租税徴収の確保の問題でありますが、租税が国の財政の需要をまかなう上で最大の基盤をなすものであり、その徴収を確保する必要があることはあらためて申し上げるまでもないことでございます。さらに、各税法に基いて賦課された租税を確実に徴収することは、租税負担の公平の実現のためにも欠くべからざるものでございます。このような事情に顧み、各国とも原則として、一般の私債権に対する租税の優先権を認め、かつ、徴税機関による自力執行、すなわち、滞納処分を認めているわけでありましてこの改正案におきましても、この租税の優先権と自力執行権は従前通り維持することにいたしております。
しかしながら、租税の徴収を確保する必要があると同時に、私法秩序が不必要に乱されぬようできるだけ配慮すべきことは言うまでもありません。この観点から現行の国税徴収法を顧みますと、そこに少からぬ問題点が見出されるわけであります。
まず第一は、質権または抵当権と租税との関係であります。現行制度においては、抵当権または質権によって担保される債権は、その設定時期が租税の納期限よりも一年以上前であることを公正証書によって証明しない限り、租税の方が優先することとなっております。改正案におきましては、これを基本的に改正して、租税の存在が客観的に明らかとなる時期、すなわち、原則として法定納期限後に設定された抵当権等によって担保される債権に対してだけ租税を優先して徴収することとしているわけでございます。言いかえますと、私法秩序の基礎をなす公示の原則と、租税についてさきに申し上げました特殊な性質とを考慮してこの法定納期限という時期を、私法秩序の尊重と租税徴収の確保との両面の要請の調整をはかるべき時点と考えたわけでございます。この改正により、抵当権者等が予測できない租税の発生により不測の損害をこうむることを防ぎ、取引の安全をはかり、また企業の資金の融通を容易にさせ得るものと考えております。また、質権、抵当権の証明の方法につきましても、現行の公正証書による証明を必要とする制度を改め、登記、登録のある抵当権等は証明を必要とせず、その他のものについても内容証明郵便による証明を認める等、私債権保護の措置を講じ、さらに、株式その他有価証券に対する質権については、有価証券の特殊性に顧み、特定の書類による証明を要せず、その事実の証明で足りるように措置しております。
第二は、先取特権または留置権と租税との関係であります。これらにつきましては、従来租税の徴収に際して何らの保護が加えられていなかったのでありますが、私法秩序尊重の見地から、抵当権等との権衡も考慮してそれぞれの地位に応じた適当な保護を加えることといたしております。
第三は、滞納処分手続における第三者の権利の保護であります。抵当権その他第三者の権利のある財産の差し押えは、原則として、他に差し押えることができる財産のない場合に限って行うという制度上の制約を設けるとともに、やむを得ず第三者が占有する滞納者の動産を差し押えるときも、従来のように直ちに差し押えることなく、その第三者に引渡命令を発した後行うこととし、さらに、現行制度のように、ほとんど無制限に第三者が占有する財産を捜索できるという制度を改め、滞納者の親族等が占有する場合等特定の場合を除き、その第三者の承諾がなければ捜索を行うことができないこととする等、滞納処分に当って努めて第三者の権利を害しないような措置をはかることにいたしております。
次に、徴税制度の合理化をはかるための制度の改正について申し上げます。
まず第一に、納税者の実情に応じた徴収を行うため、私債権の強制執行では見られない徴収の猶予の制度、すなわち、徴収猶予、滞納処分の執行猶予の制度を拡充することにいたしております。すなわち、災害や疾病等の理由で税金を納めることが困難な場合に認められる徴収猶予の制度は、従来一年間に限って行われていたのでございますが、事情によっては二年まで延長できることとしております。また、滞納処分の執行猶予の制度につきましては、これを換価処分の猶予と名称を改めるとともに、大幅に要件を緩和し、従来事実上の猶予ないし納付誓約として行政的に処理されておりましたものについても、原則として、すべてこの換価処分の猶予を適用することとし、納税者の権利の保護をはかったわけでございます。
なお、滞納処分を執行することにより納税者の生活を著しく窮迫した状態に陥らせるおそれがある場合にとられる滞納処分の執行停止の制度は、現行通り存続させることとしております。
第二に、差し押え禁止財産につきましては、一般的に制度の合理化、近代化をはかることといたしております。特に給料の差し押えに関しましては、従来金額の多少を問わず、一律に七五パーセントが差し押え禁止とされておりましたものを改めて、給料の額に応じた差し押え禁止の額を定めることとし、いわゆる最低生活費的な金額は全額差し押え禁止とすることにより、高額所得者には厳に、低額所得者には緩になるようにしているわけでございます。さらに、原材料、仕掛品につきましては他に納税者が差し押えできる財産を提供する限り、差し押えができないこととし、企業活動の遂行にできる限り支障を与えないよう配意いたしております。
徴税制度の合理化の第三は、譲渡担保または仮登記によって担保される債権と租税との調整でございます。すなわち、前に述べましたように、抵当権等によって担保される債権に対し租税の優先徴収権を制限する反面におきまして、経済的実質においてそれらと同一の性質を有する譲渡担保によって担保される債権につきましても、これらの担保が租税の法定納期限後に行われた場合に限り、譲渡担保設定者の租税をその譲渡担保の目的となった財産から優先して徴収できる措置を講ずることとしております。担保の目的でされている仮登記についても同様でございます。
第四に、担保権付財産の譲渡と租税との調整といたしまして、抵当権等が設定された財産が譲渡されたときは、抵当権者等は譲受人の租税の存在を予測できなかったわけでありますから、その譲受人の租税は常に抵当権等に劣後することとする反面、財産の譲渡による租税の回避を防止し、かつ、その公平をはかるため、租税に劣後していた抵当権等が財産の譲渡という偶発的なことにより利益を受ける部分については、抵当権者等から譲渡人の租税を徴収することができる措置を講ずることとしております。
第五に、法人の形態を利用して租税の徴収を免れる場合等第三者の地位を利用する租税徴収の回避に対処するため、従前から同族会社、財産譲受人等に対して行われていた第二次納税義務制度を整備合理化するとともに、実質課税が行われた場合等にもこの制度を拡充することといたしております。
第六に、査察が行われた場合において、従来租税が確定する前に財産が散逸して徴収不足を生ずる事態が従来から生じておりましたので、これを防ぐために、租税についても、民事訴訟法の仮差し押えに準じた保全差し押えの制度を設け、租税の徴収を確保できるよう措置しております。
徴税制度の合理化の最後の問題といたしましては、徴収法全般にわたる規定の整備をはかったことであります。現行国税徴収法はわずか六十条足らずで、その規定が簡に過ぎるため、民事訴訟法を類推した国税庁の通達によって、かなりの部分の事務が処理されてきたわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように徴税機関に強い自力執行権が与えられていることに顧み、この改正案におきましては、その細目に至るまで法律に規定することとして、徴税職員の権限を明確化するとともに、滞納者及び利害関係人の権利の保護をはかったわけであります。特に、民事訴訟法に準じて、売却決定手続を設けるとともに、差し押え処分または公売処分に関する異議の申し立ては、期間を制限することとして、公売手続の安定をはかり、また公売処分が取り消された場合の措置も明確にいたしまして、公売財産の買受人の保護をはかることとしております。
以上、要するに、今回の改正の根本的な考え方は、租税の優先権や滞納処分手続につきまして、私法秩序の尊重という観点から改正すべきものはこれを改め、他方、譲渡担保や第二次納税義務の拡充等租税徴収の確保のための措置を講じ、租税徴収制度全般をバランスのとれた一つの体系として改正しようとするものであります。
なお、この法律案による改正規定は、公布の日から起算して九月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとしておりますが、徴収の猶予、換価の猶予等納税者の利益となる部分につきましては、他の規定と切り離して、五月一日から執行できるよう経過的措置を講じております。
次に、国税徴収法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、説明いたします。
この法律案は、国税徴収法の全部改正に伴い、所得税法その他の国税に関する法律及び国税徴収法を準用する諸法律の整備合理化をはかるため所要の規定の改正をしようとするものであります。
まず第一は、国税に関する法律の改正でありますが、各税法に規定されている督促の規定、法人が解散した場合における清算人の納税責任、酒税法等の徴収猶予の担保の処分方法等について、国税徴収法案に一般的規定が設けられたことに伴い、各税法の該当規定を削除する等の整理をはかることとしております。
第二に、現在国税徴収法を準用して徴収すべき公課はきわめて多数に上り、その優先順位も多岐にわたっているため、配当手続の面において煩雑となっておりますので、その徴収手続及び優先順位を整理統合し、法文の表現もできるだけ同一のものとすることとしております。
第三に、国税徴収法案に消滅時効の絶対的効力等の規定が設けられたのに即応して、会計法その他の法律の時効に関する規定の整備をはかることとしております。
最後に、国税徴収法の全部改正に伴い、他の法律の引用条項の整理等所要の改正を行うこととしております。
なお、この法律案による改正規定は、国税徴収法の施行の日から施行することといたしております。
次に、塩業整備臨時措置法案につきまして申し上げます。
政府は、最近における国内塩業の実情にかんがみ、塩の需給の調整のため、一定期間に限り、塩またはかん水の製造を廃止した者に対して塩業整理交付金を交付することとし、また、塩の需給調整上必要があるときは製造の許可を取り消すことができることとする等所要の措置を講じて、過剰生産力の円滑かつ適正な整理を行うことが必要であると考えまして、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
まず、過剰生産力の整理は、塩またはかん水の製造者に自主的に、または勧告により、一定期間内に製造廃止の許可を申請させ、日本専売公社がこれを許可するという方式によって行うことを原則とし、この許可を受けて製造を廃止した製造者に対して、公社が塩業整理交付金を交付することができることとしております。
この塩業整理交付金は、製塩施設の製造廃止による減価を埋めるための費用、廃業に伴って必要とされる退職金を支払うための費用等について、それぞれ一定の算定基準によって算定した金額の合計額を交付することとし、また、その算定の適正を期するため、製塩施設の残存価額等については、鑑定人の意見を聞いて定めることとしております。
次に、自主的な、または勧告による、製造廃止のみによっては塩の需給調整の目的を達成することができないと認めるときは、公社は、一定期間内に限り、塩の製造の許可を取り消すことができることとし、その取り消しを受けた製造者に対しては通常生ずべき損失の補償を行うこととしております。ただし、その補償金の額が塩業整理交付金を交付するものとした場合におけるその交付金の額に満たないときは、その満たない額に相当する金額をこえない範囲内で、塩業整理特別交付金を加算して交付できることとしております。
次に、交付金等の財源の一部に充てるため、残存する塩の製造者は、昭和三十五年度以降四年度にわたり、一定額の納付金を日本専売公社に給付しなければならないこととしております。
また、製造の許可の取り消し等の処分について異議のある者は、日本専売公社の総裁に対し異議の申し立てができることとして、その救済措置を講ずることとしております。
さらに、廃業者が取得する交付金または製造の取り消しを受けた者が取得する補償金等につきましては、今回の塩業整備の実際に即した課税が行われるよう税制上の特別の措置を講ずることとしております。
次に、昭和三十六年一月一日以降引き続き塩の製造を継続しようとする製造者は、別途定める基準収納価格のもとにおいて健全な経営ができることを目標として事業合理化計画書を作成し、これを日本専売公社に提出しなければならないこととしております。
なお、日本専売公社の総裁の諮問機関として臨時塩業整備審議会を設置し、製造の許可の取り消しの対象とすべき製造者の選定、補償金額等塩業整備に関する重要事項を調査審議させることとしております。
最後に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
まず、厚生保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。
政府は、第二十二回国会において、政府管掌健康保険の給付費の異常な増高等に伴う支払財源の不足を埋めるため、昭和三十年度以後七ヵ年度間、毎年度、一般会計から十億円を限度として、厚生保険特別会計の健康勘定へ繰り入れることができる措置を講じたのであります。その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、この一般会計からの繰り入れを昭和三十四年度以後に繰り延べたのでありますが、今回、昭和三十四年度におきましても、別に借入金によりこれを処理することといたしましたことに伴い、一般会計からの繰り入れを、さらに昭和三十五年度以後に繰り延べることとしようとするものであります。
次に、船員保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。
船員保険におきましても、第二十二回国会において、療養給付等の部門における給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以後六ヵ年度間、毎年度、一般会計から二千五百万円を限度として、船員保険特別会計へ繰り入れることができる措置を講じたのであります。その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、健康保険と同様に、一般会計からの繰り入れは昭和三十四年度以後に繰り延べたのでありますが、今回、昭和三十四年度におきましても、健康保険におけると同様、一般会計からの繰り入れを昭和三十五年度以後に繰り延べることとしようとするものであります。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/2
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003・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 右各案に対する補足説明並びに質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/3
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004・加藤正人
○委員長(加藤正人君) ここで、委員の変更について御報告申し上げます。
本日付をもちまして、林田正治君及び井上知治君が辞任し、その補欠として安井謙君及び小山邦太郎君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/4
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005・加藤正人
○委員長(加藤正人君) これより、昭和三十三年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/5
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006・大矢正
○大矢正君 この法律は一年ぎりで終るわけですね。毎年々々この法律ができるわけですけれども、結局、この三十三年度の米穀の買い入れの受付をやるわけだけれども、事実上この法律は、この国会で通ったときに初めて有効になるわけですね。そうすると、三十三年度のいわば米の申し込みを受ける場合には、法律がない中で申し込みを受けるという格好になるのじゃないかと私は思うのだけれども、その点、私の感違いですかね。結局、きょうこの委員会で通過をして初めて事前売り渡し申し込みを受け付けるに、いいというわけじゃないけれども、法律的な根拠が生れてくるけれども。いうならば、来年の八月の二十五日までに申し込まなきゃならぬわけですから、そうすると、法律に基かないで申し込みを受ける、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/6
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007・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) この法律は、昭和三十年産米につきまして予約買い上げの制度をとられましたときからでき上りました制度であることは、御存じの通りでございます。ただ、予約買い上げは、御存じの通りに、農林省の食糧管理法に基きまして、これによりまして買い上げておる制度でございまして、税法はその買い上げられましたあとの所得税の減税を規定しておるだけでございます。従いまして、ここに書いてあります「昭和三十三年八月二十五日までに申し込み、その申込により締結した契約に基いて」という意味は、食糧管理法に基きますところの契約というわけでございます。
それで、こういう法律を今ごろ出すとは何だというおしかりを受けるかもわかりませんが、毎年々々、米価との関連もございますし、集荷の状況等を見ながら、その集荷の期日その他の条件を見ながら、こういう減税をしておる次第でございます。法律が通りますれば直ちに、現在ちょうど申告時期に当りますので、この通りの減税が行われる予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/7
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008・大矢正
○大矢正君 だから、結局、この法律が制定をされるまでの間は、いわば所得税のある部分の非課税を行うということを前提にした申し込みの受付ということじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/8
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009・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) この法律が通りませなんでしたら、もちろん減税の特権はないわけでありますが、毎年々々そういうふうにやってきておりますから、その期待を持っておるかと思いますが、この法律が出るまでは、おっしゃる通り、法律的には減税の利益が受けられない、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/9
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010・大矢正
○大矢正君 それから、最近の予算の説明を見ると、この法律は三十三年きりにして、三十四年度産米以降は米価に加算をするという形で提案をされておるわけですね。この法律を三十四年度以降は行わないと。それで、三十四年度以降のものについては米価の中に織り込んだ方がいいのだという考え方を、この際一つ聞かしておいて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/10
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011・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 御存じの通り、この米穀所得の課税の特例は、予約米の集荷の一環といたしまして、税の見地からの奨励策であったわけでございます。ところが、御承知の通り、この措置の適用を受けますのは農民の中の一部でございます。と申しますのは、御承知の通り、所得税を昭和二十五年以降毎年々々減税をいたしまして、農家のうちで課税対象となります者は、全納税者のうち約八%程度でございます。従いまして、予約米の申し込みをなす者が、三百万ばかりの農民がおりますけれども、そのうちの対象となる人員はきわめて少いわけでございます。農業の課税人員は、三十三年度の予算におきましては五十四万人でありまして、そのうちの対象となっております人間は約四十九万人程度といわれておりますが、今回の減税によりましてこれがはるかに減るわけでございます。御承知の通り、今回の所得税の減税が農家に最も有利な扶養控除の引き上げによりますところの減税でございますので、こういう点からも、この制度の政策的な措置の意味が失われるわけでございます。そこで、この措置が、予約米奨励策の一環として考えますれば、むしろ米価の形で、今回の予算については一石当り七十五円の加算方式をとっておりますが、こういう形で全体の予約米を予約いたしますところの農家に還元する方式の方が、政策措置としては適当ではないか、こういう考え方のもとに、毎年々々単行法として出しますところの予約減税はこの際はやめようというのが、政府の今回の方針でございます。もちろん、単行法でございまして、来年の、昭和三十四年産米についても出すはずということになるわけでございますが、そういう法律は来年度の通常国会におきましては出さない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/11
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012・大矢正
○大矢正君 事前売り渡し申し込みによって減税の恩典に浴する人々の数が、今のお話では四十九万人だそうですが、石当り七十五円の加算の総金額というものと、それから四十九万人で割ってもこれらの人々が受けるところの非課税の対象の金額というものは、大体一致するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/12
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013・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 今の数字、若干正確ではございませんでしたが、昭和三十三年におきましてこの対象となる人間の数は七十三万人でございまして、うち約八万人がこの措置により課税されることとなる人間でございます。この措置による減収額は約三十億円でございます。これは国税額だけの減収額でございます。そこで、国税のほかに地方税につきましても、御承知の通りに、総所得金額の中に算入されませんので、減税の適用を受けるわけでございますが、それと合わしまして、私どもは約住民税におきまして八億円ばかりの減税額を見ております。ところが、御承知の通りに、今回所得税の減税が行われることになりますと、この所得税の減税後の利益は十五億円でございます。この十五億円と住民税の八億円を足しまして二十三億円、これを予約米の三千二百万石で除しますと、七十二円になるわけでございますが、これを切り上げまして七十五円、こういうふうにいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/13
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014・大矢正
○大矢正君 この法律が、そもそも、三十年だったか、作られたときに、あのときには、特例措置を設けるについては理由があったろうと思いますが、そのときの理由というのは、一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/14
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015・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 御存じの通りに、予約米の制度ができ上ります前の米穀につきましての食糧管理制度は、供出制度であったわけでございます。そのときまでのいきさつといたしまして、超過供出奨励金、早場米奨励金等の奨励金につきましては、供出奨励の趣旨から非課税となっておったわけでございます。その金額が約八百円ばかりでございました。それからもう一つ、予約奨励と同時に、米価の問題がかねて議論されたわけでございます。何か一つ税金の形で米価を上げるということはできないものかということで、百円程度米価は税の形でめんどうを見る、こういう思想がこの際入ったわけであります。米価を百円上げるためには、上積み税率二割といたしまして、二割で割りますと、約五百円、この分だけ所得から控除いたしますと、値段といたしましては五百円の二割の百円だけ上る形となります。その分が五百円。もう一つは、予約申込金でございます。予約制度ができまして、申込金が払われるわけでございますが、これは予約制度の趣旨からいいまして、この百円は課税しなくてもよかろう、こういう趣旨で千四百円の控除を設けましたのが、この制度の趣旨でございまして、三十年以来、毎年々々千四百円、平均でございますが、控除することにした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/15
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016・大矢正
○大矢正君 これは、かりに七十五円米価に加算をされるというふうになると、一見すれば、確かにあなたの言われた通りに、減税の恩典を受けるのは一部の富農だけであるから、そういう意味から、全体にうるおう方がいいんじゃないか、こういう議論になると思うけれども、しかし、翻って考えてみて、それでは七十五円のことしの加算というものが、将来のために、実質的にこれが加算された形において、米価というものがきめられるかどうかということについては、疑義のあるところじゃないかと思うんです。数字の上ではそういう結果が出てきても、結論としては、米価の具体的な内容を毎年せんじ詰めていけば、七十五円が結果としては一銭も加算にならないということもあり得るんじゃないかと思いますが、そういう心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/16
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017・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 政府内部の検討の際にも、そういう議論が出たわけでございます。そこで、一般米価の形で七十五円を織り込むということになりますと、パリティ計算その他で種々の要素と混同されますので、そういう形は避けよう。はっきりと予約申込金と同じような形で、加算金の形で七十五円を加えよう、こういうことに政府内部では考えておる次第でございまして、その分だけ米価の方で一緒になってわけがわからなくなるというようなことには、今のところ考えておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/17
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018・大矢正
○大矢正君 そうすると、三十五年度ないしは三十六年度というふうに、年次が進むにつれて、七十五円というものは別ワクにしておいて、それ以外の米価というものをまずきめておいて、それに例年七十五円というものを加算していくという格好になるわけですか、米価をきめるときには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/18
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019・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 米価の所管は農林省でございまするので、私が有権的なお答えをすることは適当でないかもわかりませんが、少くとも三十四年度産米につきましては、今申し上げましたような別ワクの加算という形で行われる、かように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/19
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020・大矢正
○大矢正君 三十四年度は初年度だから、これはいいのだけれども、三十五年度の米価をきめる場合に、その七十円の分だけ横へ寄せておいて、パリティ指数ならパリティ指数、所得補償方式なら所得補償方式に基いて米価をきめてそれに七十五円だけプラス・アルファをするという考え方があるのかどうか。これは、今あなたがお答えできないなら、政務次官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/20
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021・佐野廣
○政府委員(佐野廣君) 私もちょっと、米価の問題になりますと、正式にお答えできるかどうかわかりませんが、大体そういうふうになるというふうに考えられますが、ちょっと、精確なことになりますと、米価の問題は即答いたしかねるわけでございます。(「名答弁」と呼ぶ者あり、笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/21
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022・大矢正
○大矢正君 わかりました。いや、わからないことがわかったという意味です。
それで、これは政務次官御存じのように、開業医に対する社会保険の医療報酬、これについては、ちょっと数字を忘れたけれども、たしか七二%は課税の対象にならないことになっているのですね。で、あとの二八%は課税の対象になっている。こういう形をやって今日まで来ておるのですが、私どもは、米価のいわば非課税がなくなるときは当然、医師に対する社会診療報酬の問題も、非課税というものがなくなるのじゃないかというふうに考えておったわけですが、これは一般的にいっても当然なことであるし、特例措置というものは、極力これは排除をすべきだという考え方は、おそらく政務次官も持っておられると思うのです。その場合に、米の問題については一時的な加算という形ですりかえていくのですが、社会保険の診療報酬の非課税部分については、今度の法律改正にもちろん出ていますし、非常に従来から、米の問題の非課税がこれとは関係があるので、この際政務次官に聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/22
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023・佐野廣
○政府委員(佐野廣君) これも、大矢さん御承知のように、今、医師団、それから歯科医師団と折衝を重ねておりまして、これも、今お説のような同一類型のものかどうかということは、いろいろ議論があると思いますが、医師会、それから歯科医師会と今折衝中でございまして、そういうふうな点も合理的にやろうという考えのもとに進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/23
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024・小酒井義男
○小酒井義男君 政務次官じゃなしに、政府委員にお答え願ってけっこうですが、今の社会保険の診療報酬の問題が、以前も出たことがあるのです。そのときには、やはり単価の問題を解決つけるべきだということで、それまではこの特例を残しておくということに、大体そういう考え方だったと思うのです。単価の問題は、一応変ったのですね。それで、この産米の問題と、米穀の所得の特例の問題と、やはり思想としては私は同じような考え方で扱っていくべきものじゃないかと思うのですが、これだけ扱って、医師会や関係の団体と相談をするということじゃなしに、政府としてはどうあるべきだという方針がやはりあってしかるべきじゃないかと思うのです。その点はどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/24
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025・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 社会保険診療報酬課税の特例と申しますか、現行法によりますと、先ほどお話のございました通りに、経費を七二%と見るという制度でございますが、所得だけは二八%になります。こういう特例が、ほかの業種につきましては、適当な——適正と申しますか、経費をはじきまして、所得を個別的に計算するという方式の例外となっておりまして、その制度自体、私どもはきわめて不合理な制度と考えております。この制度は、昭和二十九年に、御承知の通り、一点単価が適正化されるまでの暫定措置だという意味で、国会におきまして議員立法の形ででき上りましたものでございますが、私どもといたしましては、こういう制度はできるだけやめたいといまだに考えております。
で、御承知の通り、昨年の十月から一点単価は約八・五%上ることになっておるわけでございますが、私どもの現在まで研究いたしました結果は、なお単価の問題につきましては相当問題が残されておりまして、この八・五%がどの程度上ったかという数字も、今までのところはっきりした数字もない。こういう点が、私ども今回の社会保険診療報酬につきましての特例について手を触れるにつきまして、慎重とならざるを得なかったところでございます。
第二点といたしまして、米穀所得課税の特例との比較でございます。この米穀所得課税の特例につきましては、先ほど来申し上げております通りに、農家の所得税の納税者自体が、今回の減税によりまして、なお一そう減るという新しい事態が入っておる。ところが、御承知の通り、お医者さんの方は農家と違いまして、ほとんどの方々が納税者である。そういうところが、政策措置といたしましても、農家の方につきましては政策措置の意味がますますふえてくる。ところが、一方社会保険診療報酬につきましては、まだまだ政策的に問題はある。私どもは、不合理であるとは思いますが、少し事情が違っておる、こういうふうに考えております。
第三といたしまして、先ほど政務次官もおっしゃられましたが、この措置の不合理性は、先ほどから申し上げております通り、私どもも痛感いたしておりまして、何らかの形で合理化いたしたい、かように考えておりますので、種々の案を検討いたしております。その案はいろいろな案がございますが、その案の及ぼす影響を考えますと、軽率にやること自体がどうか、こういうふうな考えもとられますので、もう少し事情を見て検討いたして、関係の各省あるいは関係方面との協議も十分ととのえた上で、何分議員立法の関係もございますので、慎重に一つ取り扱いたい。
かような理由から、ただいま提案いたしておりますところの租税特別措置法の改正の中には織り込まなかったわけでございますが、研究ができ上り次第、この特例につきましては合理化いたした姿にしたいというのが、私どもの気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/25
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026・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/26
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027・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もないようでございましたら、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/27
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028・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。昭和三十三年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/28
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029・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、前例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/29
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030・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/30
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031・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 次に、酒税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/31
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032・大矢正
○大矢正君 この間の衆議院の大蔵委員会で、大蔵大臣に酒の公定価格のことで質問があって、答弁なされておりますけれども、当委員会ではまだそのことについて触れていないのですけれども、大体大蔵省としてどんな考え方を持っておられるか、この際聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/32
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033・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) 先日の衆議院大蔵委員会におきまして、酒類業団体——俗称酒類業団体法でございますが、その改正をするかしないか、それから公定価格を今後どうするかという御質問がございました。それに対しまして大蔵大臣から答弁をいたしました要旨を申し上げますと、酒類業組合法の改正法案は早急に提出をいたしたい、それから公定価格につきましては、将来漸次廃止の方向にもっていく所存でございます、こういう答弁をしておられるわけであります。
ただいま大蔵省としてどうかというお話がございましたが、酒類の公定価格は、御承知の通り、物価統制令によっております。現在まで、物価統制令による公定価格は漸次廃止をされて参りました。現在では、物価統制令そのもので直接に公定価格をもって価格を規制いたしておりますものは、消費者の米価、それから銭湯のふろ代、それと酒類、これだけになってしまったわけでございます。従いまして、酒類の公定価格につきましては、先国会におきましてもしばしば、その存否につきまして御質問があったわけでございます。一時は公定価格を早急に廃止すべきであるという議論もかなり強く行われたわけでございますが、御承知のように、この酒類の公定価格は、なるほど現在の段階におきましては、酒類の生産が戦前並みに復活して参りました。一部には、むしろ生産過剰の状態も出て参りました。公定価格よりも、何円、あるいは十何円、さらには何十円という値引きまで行われておるという状況で、消費者物価を安定して何とか消費者の保護をはかりたいという面から申しますというと、一部の酒類を除きましては、ほぼその目的を達したと申しますか、もう必要がない段階になったんではないかというふうな考えをしております。
しかし、一面におきまして公定価格がございます関係で、これが酒類の価格維持に役立つ面がある。と申しますのは、御承知のように、酒の平均税率は小売価格の四五、六%でございますから、税引価格に対してほぼ同額の税金を負担しておる。従って、小売価格のかりに一割の値引きが行われて、その一割分がそのままメーカーにまで反転いたしたといたしますと、メーカーのコストに対しては二割以上の大きな響きを持つ。そういう点から考えますと、酒の価格がかなり微妙な動きを示すことが、影響は非常に大きいということが申せると思うのであります。そういう関係で、何か基準になる価格、公定価格は御承知の通り上を押える価格で、下には別に規制がございませんけれども、公定価格が幾らということによって酒の取引が円滑に行われる。その反面で、酒税の確保もはかられているという面がございます。そういうことが、酒につきましては一部二十五年には雑酒についての公定価格をはずしましたが、その後酒類の大宗を占めます清酒、ビール、しょうちゅう、合成酒等について公定価格が維持されてきた原因であるかと思うのでございます。
ただ、これは、物統令によってこれを実施していくことが、物統令自体の目的から見て妥当であるかどうかという点の御質問が、特に先国会においても繰り返されたわけでございます。大蔵省といたしましては、現在の公定価格というものが、先ほど申し上げましたような酒類の取引における地位を考えながら、同時にそういう点から見れば、より合理化した価格が考えられることが妥当ではないかということで、先年以来いろいろ検討して参ったわけでございますが、ただ問題は、長年、二十数年来やっておりますマル公でございますので、これを直ちに廃止をするということになりますと、心理的影響も非常に大きい。また、廃止いたしましたあと、自由価格で果して酒類が円滑に取引されるかどうかということにも大きな問題がございますので、とりあえず、酒類業組合法の一部を改正いたしまして、公定価格が廃止された場合にも酒類の取引が混乱せずに、酒税の確保がはかられるだけの措置をまずつけておいて、今後諸条件が整っていくに従いまして、マル公についての、具体的にどれをどうするという態度を決定していくべきではなかろうか。まずマル公が廃止された場合の手段だけは講じておきたいというような考え方で、酒類業組合法の一部を改正する法律案を御提案いたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/33
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034・大矢正
○大矢正君 相当以前から、大蔵省では公定価格はやめたいと言っておるわけですが、なかなか、去年も僕はこれを原さんに質問して、原さんは、やはり一日も早く公定価格はやめたいと、こう言っているのですよ。いつまでたってもこれはやめないわけだが、そのやめない理由というのは、今あなたの話を聞くと、一番大きな問題は、過剰生産によって市場価格が下れば業者のいわば影響が大きいということも、有力な一つの根拠になっているようですがね。まあ公定価格をいつまでもこうやって置いておくということは、言いかえれば、大蔵省自身が独占価格を認めてやるようなものです。業者が協定して価格の引き下げを行わないということを、言うならば、法律的にわざとしてやるようなものです。そういう点では、税金は確かに去年幾らか下げたけれども、あとでコストが高くなったからといって引き上げて、これはまたほとんど減税という点で効果が現われていないのです。それから、業者がより積極的に合理化を続けることによって小売価格を引き下げようというような努力も、こういう公定価格をとらえて、それをよりどころとして市場の販売価格というものを、問屋筋は別として、小売価格が押えられている現状では、消費者としてはこれはなかなか迷惑な話です。これだけ保護されているいわば業種というものは、私どもは他にあまりないと思うのですよ。ですから、そういう意味においては、やはりいろいろ内部の事情はあるだろうけれども、公定価格の廃止という問題は、僕はやはり一日も早くやるべきではないかと、こう思うのですが、それは議論だから、しょうがないと思うのですが、この「みりんと酒の税負担の権衡を考慮し」、こうなっておりますが、均衡が失われているというように書かれておりますが、そのために二十二万円のみりんを十四万円まで引き下げるというのですが、この権衡がとれていないというのはどういう理由なんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/34
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035・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) みりんにつきましては、戦前はしょうちゅう等と同じ税率が適用になっております。ところが、御承知のように、戦時中におきまして、みりんが非常にぜいたくな調味料である、というよりは、実は米を非常に使うものですから、みりんの生産制限をしたわけであります。同時に、それだけに、みりんの価格が非常に上って参りまして、そこで、御承知のように、戦時中の、ことに末期から戦後にかけましては、酒税の税率が、実勢価格と申しますか、実勢価格にかなり引きずられて決定された経緯がある。そういうことから、みりんの希少性に基きまして、みりんの税率が非常に高くなってきた面がございます。で、そういう点から、現在みりんの価格も非常にほかの酒類に比べますと高くなっておりまして、そのために、みりんの造石数も、戦前八万石程度であったものが現在では二万石程度である。かたがた、みりんと同じような状況にございます酒類はほかにもございます。たとえば特級の清酒、一級清酒等がそうでございますが、ただ、みりんは、御承知のように、九〇%ないし九五%までは致酔飲料として飲用されているのではなくて、調味料として用いられているという面から見ますと、特級酒、一級酒と同じような高い倍率になっているということが実際上権衡を失するではないかということで、その点から、みりんの税率が戦前戦時中を経過して高くなり過ぎているということがいわれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/35
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036・大矢正
○大矢正君 この二十二万四千五百十二円というのを十四万円に引き下げることによるいわば減収というものは、どのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/36
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037・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) この減収は、みりんの消費量自体がかなり少いもんでございますから、同時に、これだけの減税をいたしまして、みりん本来の調味料としての用途が相当に伸張するという点を見込みまして、大体減収額は初年度で四千八百万円程度見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/37
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038・大矢正
○大矢正君 最後に、一つ、これは事務的なことですが、酒の場合、まあビールの場合も同じだと思うのですが、庫出しをするときに課税の対象になるわけですね。それから今度、実際に徴税をする場合の期間ですね、どのくらいかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/38
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039・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) 一カ月中に移出をいたしました石数を翌月十日までに申告をいたしまして、その翌月末に納めるわけでございますから、かりに平均的に出荷がされたといたしますと、平均四十五日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/39
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040・土田國太郎
○土田國太郎君 原局長に、これはちょっとお願いしておきたいのですが、法定みりんの前年度の総生産石数ですね、法定ですよ、ここに問題になっておる。それと、主たるメーカー名とその生産石数ですね、どんなものかということをお願いしておいたんですが、まだお調べになりませんか。できていなければいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/40
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041・原純夫
○政府委員(原純夫君) 後ほどお手元に差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/41
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042・小酒井義男
○小酒井義男君 私も一点ちょっとお尋ねしたいのですが、このみりんを調味料として使う家庭なりあるいは料理屋なんというのは、あまり私は大衆的な、一般国民が利用するような場所じゃないのじゃないかという気がするのですが、特級酒、一級酒と違うという考え方は、ちょっとぴったり来ぬのですが、どういう御解釈か、一ぺん承わりたい。
それともう一つは、これだけ税金が下ると、市販されるみりんの値段というものもやはりそのくらい安くなるという見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/42
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043・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) ただいまのお尋ねの、前の点でございますが、みりんの用途、家庭で用います場合は、なるほどかなり高級な家庭ではないかという感じがいたしますが、みりんは、御承知のように、うどんのつゆでございますね、これに非常に多く使う。それから、一番多いのはおそらくウナギであろうと思います。ウナギのたれでございます。これは大衆も相当に食用に供すると思うのでございますが、それともう一つは、清酒一級、特級と違うと申し上げましたのは、清酒一級、特級は同じような事情にあるけれども、これは致酔飲料としての酒の用途として、高級な用途として特に考えられておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、みりんの方は、なるほど調味料としては高級ではございますけれども、調味料が用途でございます。そういう面から見ますと、味の素はちょっとひど過ぎるかもしれませんが、その他、砂糖と比較いたしましても、砂糖も相当重い税率でございますが、これよりもみりんの方が重いというような格好になるわけで、酒とは申しましてもかなり違った性質である。酒よりもむしろ調味料であるという点から、特級、一級とは事情が違うのじゃないかということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/43
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044・小酒井義男
○小酒井義男君 値段はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/44
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045・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) 失礼いたしました。——値段は、御承知のように、これも公定価格がきめてございますので、税額を引き下げた分は、もちろんそれだけ引き下げた公定価格を決定いたしますから、市販されるみりんは当然それだけの額は下っておる。むしろ、これだけ大幅に税額が下りますと、卸売価格、あるいは小売価格に対するマージンの影響が相当ございますから、むしろ税率引き下げ以上に価格は引き下げられるのではないかという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/45
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046・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は終了したものと認めてよろしゅうございますか。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/46
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047・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もなければ、これにて討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/47
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048・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。酒税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/48
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049・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御議異ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/49
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050・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/50
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051・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 速記を起して。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/51
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052・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 次に、接収貴金属等の処理に関する法律案を議題に供します。
質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/52
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053・小酒井義男
○小酒井義男君 この法律案はもう衆議院で——参議院でも初めてではないそうでして、前に審議に御参加になった方はもう十分御承知だと思うのですが、私は実は初めてでありますので、少し考え方をお尋ねしておきたいと思うのですが、接収貴金属の今度処理せられる内容が分れておるわけでございますね。一部所持者に返る分と返らない分とがあるわけなんですが、これは返らない分を、供出ですか、戦時中の供出ですね、供出されたものと、戦後に軍の命令で接収されたものと、二色になっておるんじゃないかと思うのですが、それが戦後まで供出をしないで残っておった理由ですね、戦時中に貴金属のいろいろな供出をやったわけですが、それが戦後まで残っておった理由は、どういうわけで残っておったのか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/53
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054・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 戦時中、金、銀、ダイヤモンド等につきまして、政府が国民に協力を求めまして、これらの貴金属あるいはダイヤモンドを戦争、軍事目的に使うということをやったのでございますが、まあこれによりまして回収せられましたものが、そのまま使われずに戦後まで残っておった。これが接収されたものもありますし、また供出されないで国民の手元に残っておったものが、戦後連合国占領軍によって接収された、こういうものも若干あろうかと思いますが、まあその正確な数字はわかりませんが、私どもは大体昭和二十七年の接収貴金属等の数量等の報告に関する法律に基きまして、接収せられた人から報告をとりましたのをいろいろ検討いたしますと、法人にしろ、個人にしろ、民間の方々で接収を受けた方々はおおむね、自己の本来の業務用に必要なものとして持っておられたというのが大部分であるというふうに推定いたすのでございまして、若干その間、純然たる個人が、本来供出すべかりしものを何らかの理由で怠って、戦後に至って連合国占領軍に接収せられたというものも、おそらくは若干はあろうと思います。民間の分全体で四十一億ばかりでございますが、しかも、個人の分はその中でも約二億というごくわずかな数字でございまして、その中のごくわずかな分がそういうふうな、戦時中の供出を怠って戦後に持ち越して接収されたものであろう、こういうふうに推定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/54
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055・小酒井義男
○小酒井義男君 それで、供出をした者と、そうして今度の法律で返せる者との間に、取り扱い上に少し公平を欠く点があるのじゃないかという気がするのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/55
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056・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 法律的に申しますと、戦時中に国家の回収に応じまして供出いたしました人は、その当時の適正な価格を受領しておるわけでございます。ところが、戦後接収せられた人は、そういったような事情があったにいたしましても、強制的に連合国占領軍に持っていかれまして、それが今度日本政府に引き継がれましたので、それをもとの所有権者に返そうというわけでございます。
それからもう一つ、均衡の問題でございますが、実は昭和二十一年に臨時貴金属数量等報告令というのを出しまして、貴金属を持っておる人に報告をさしたわけでございます。個人について申し上げますと、約一万人の人がこの報告を出しておるのでございますが、そのうち現実にこの一万人のうちで接収を受けた人は、わずかに七人にしかすぎなかったというようなことで、接収をされた人はどちらかといえば、非常に不運な目にあったというふうにも見られるわけでございます。接収を免れた人との均衡という点をやはり考えまして、たまたま接収された人を今度返さないということにいたしますのも、ごくわずかな人に対して酷に当るのではないかというふうに考えるわけでございます。また、日銀の売り戻し条件付で日銀が金製品を買いましたが、これもどんどん戦後売り戻しをいたしておりまして、戦時中にそういった条件で日銀が買いましたうちの約六割はもう売り戻したのでございまして、約四割が残っておった。それを日本銀行が接収されたということでございますので、この点を考えましても、たまたま接収された人個人について全然返さないというような、あるいは没収に近いような、税に相当するような納付金をとるというようなことは、その面からいたしますと、やはり不公平な措置といわなければならないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/56
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057・小酒井義男
○小酒井義男君 それから、この返還の見込み数量は非常に切り捨ての単位が大きいのですね。この保管の数量を見ますと、億で切り捨てておりますね。この資料の二枚目ですね、評価額調というものに、億以下は切り捨てということになっておるんで、非常に大きいのじゃないかと思うのですが、これはもう少しこまかい数字というものが大蔵省の方としては把握されておるかどうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/57
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058・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) これは、お手元に配ります表として、一応便宜上億以下を記載しなかっただけでございまして、資料といたしましては、詳細な数字を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/58
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059・小酒井義男
○小酒井義男君 それは、絶対に正確なという数字はなかなか把握がむずかしいと思うのですが、これだけの品種を、数量を全部億で切り捨ててしまうと、合計欄では相当大きな違いが出てくるのじゃないですか。六百七十四億と出ていますね、この額というのは、相当まだ上回ることになるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/59
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060・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) おそらく、接収貴金属等返還見込調という表について、あるいは数量及び評価額調でもそうでございますが、これで申し上げますと、この表は実は注二に書いてございますように、「本表は接収貴金属等の数量等の報告に関する法律(昭和二十七年法律第二百九十八号)による報告を基礎にして作成したものであり、返還数量は、法案が成立した後、返還請求に基き接収貴金属等処理審議会の議決を経て決定される」のでございまして、一応返る先がどういうところへどの程度行くものかという一応の推算をいたしましたものでございまして、はっきりこの通りいく数字ではございません。報告が出ました数量と、それを集計いたしました数量と、それから現に私どもが日本銀行にお願いして保管しております数量とは、もちろん違うのでございまして、報告の数量を合計いたしますと、約七百十二億という数字になります。ところが、保管しております数量は、ここにあります六百七十四億でございまして、それを報告によって大体按分等の一種の推定をいたしまして、返る先別の大体の見込みを見たのがこの数字でございます。そういう意味合いにおきましても、この億以下のあまりこまかい数字は必要ないかと思いまして、このような数字を掲げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/60
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061・小酒井義男
○小酒井義男君 それから、連合国占領軍に接収された貴金属のこれは処理ですが、これと同じように、占領軍によって何らかの違った形で国民が損害というか何かを受けたような例は、もうほかにはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/61
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062・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 戦後、例の刀剣類を、連合国占領軍の命令によりまして、民間人の持っておりましたのを回収した例がございます。それから、麻薬をやはり連合国占領軍の、これは直接行動によりまして、やはり接収いたしております。しかし、これらはいずれの場合も、後ほどそれぞれの所有者に返還いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/62
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063・小酒井義男
○小酒井義男君 それと、これは大蔵大臣でないと……。何か今度の国会に土地の問題が、やはり調査の法律が出ているようです。例の解放農地の関係の調査のですね。こういうようなものについて、私は、あらためてこれは大蔵大臣なり政府の責任者にお尋ねした方がいいと思いますが、たとえば、占領中に各地で自動車事故等で非常なけがをしたとか、あるいは生命を失つたというような人の問題が、処理されておらない問題がまだ残っているのじゃないかという気がするのですが、こういう問題は、何か大蔵省の方で補償か何かをお考えになったことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/63
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064・佐野廣
○政府委員(佐野廣君) ただいまちょっと、私どもの手元でわかりません。調査してお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/64
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065・小酒井義男
○小酒井義男君 それから、この民間に返るのがやはり問題になるのですが、交易営団だとかあるいは貴金属特別会計などに、これの一割ですか、交付されるのですね。そういうふうになっていましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/65
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066・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。交易営団でありますとか、戦時物資活用協会とか、その戦時中の回収を担当いたしました機関が持っておりますうちに占領軍に接収された分につきましては、これは実質は国のものと見て差しつかえないと思いますので、これを今度の法律によりますと国庫に帰嘱させることになっておりますが、しかしながら、これらの機関が回収するに当りまして供出者に払いました費用は、これは当然お返しすべきであるという考えで、これを交付金という形で、二十一条の規定によって交付するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/66
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067・小酒井義男
○小酒井義男君 たとえば、交易営団一つを例にして、交易営団というものが今どういう形で残っておって、この手数料が戻っていくとすれば、どういうふうに使われていくことになるのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/67
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068・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 交易営団は、例の閉鎖機関というものに指定されましてただいま特殊清算の手続を行なっているわけでございまして、この交付金を受け取りますれば、それが結局出資者に分配されるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/68
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069・小酒井義男
○小酒井義男君 出資者というと、その閉鎖機関は現在赤字を背負い込んでいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/69
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070・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 交易営団の清算の状況でございますが、現在のところ、一般債務の五〇%を支払っております。そうしてただいまこの本法案が通りますれば、その交付金の交付を受けるべく待っているというような状況になっておりまして、現在同営団の未払い債務は十億円に達しております。で、交付金が入りますれば、もちろん追加弁済を行うことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/70
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071・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/71
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072・加藤正人
○委員長(加藤正人君) 速記を始めて。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X01219590303/72
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