1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十九日(金曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 羽田武嗣郎君
理事 木村 守江君 理事 二階堂 進君
理事 南 好雄君 理事 中島 巖君
理事 山中 吾郎君 理事 塚本 三郎君
逢澤 寛君 川崎末五郎君
砂原 格君 徳安 實藏君
橋本 正之君 服部 安司君
廣瀬 正雄君 堀内 一雄君
岡本 隆一君 兒玉 末男君
三鍋 義三君 山中日露史君
今村 等君
出席政府委員
法制局参事官
(第二部長) 野木 新一君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設事務官
(大臣官房長) 鬼丸 勝之君
建設事務官
(計画局長) 関盛 吉雄君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建 設 技 官
(道路局長) 佐藤 寛政君
建 設 技 官
(住宅局長) 稗田 治君
委員外の出席者
専 門 員 山口 乾治君
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二月十九日
委員川島正次郎君辞任につき、その補欠として
服部安司君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
七号)
建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四八号)
建設省関係重要施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/0
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001・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより会議を開きます。
建設大臣は、目下参議院の本会議で補正予算を上程中でございますから、出席をいたしておりません。
まず、建設業法の一部を改正する法律案、それから海岸法の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますから、これを許します。
二階堂進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/1
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002・二階堂進
○二階堂委員 今回海岸法の一部改正が提案せられておりますが、これは提案理由の説明にもありました通り、災害等の被害が非常に大きかった場合に、あるいはその復旧工事にあたって所管の責任者たる大臣を明らかにして応急復旧の工事を敏速に施行する、こういう建前が主であろうかと考えまして、私もこういう趣旨には賛成をいたすものであります。昨年、御承知の通り伊勢湾台風当時、海岸堤防その他干拓、港湾の防波堤等に非常に甚大な被害があって、これが復旧にあたっては関係各省とも非常な苦心をされ、特に建設省はその事業が大きかっただけに、大臣以下局長、地建の当局、それぞれ大へんな努力と苦心を払われたことは御承知の通りであります。従って、昨年の災害の復旧にかんがみて、災害復旧にあたってはかくあるべきだという反省の上に立っての事業の推進、復旧改良事業等の促進をはかるという考え方に立たれたことは、今後再び災害が起こった場合に、従来のようないろいろな復旧工事等に支障を来たしておったようなことがなくなるということであろうかと思っております。問題は、責任の大臣が今回は災害のひどい場合の復旧工事にあたっては明らかになったとはいうものの、そういう体制がほんとうに確立されるまでは、機構の問題等もあわせて私は同時に考えられていかなければならない問題ではなかろうかと思っております。先般の委員会におきましても、私は一部機構の問題にも触れましたが、やはり公共事業を推進する上におきましては、何としても公共事業全体を一本の管理行政のもとに置くという建前でなければ、貴重な国民の税金をもって最大の効果をおさめるというこの建設、公共事業の推進は適正にかつ効果的に行なわれ得ないと私は考えておるのであります。さしあたって災害の復旧にあたって、とりあえず一つのそうした方向に足並みがそろってきたということは一歩前進であると考えておりますが、伊勢湾の災害復旧等の工事について、今日まで農林省や運輸省等の間において、当時復旧工事にかかる際には運輸省の方との港湾施設の計画あるいは設計、あるいは農林省の干拓工事についてのいろいろな今後の施行のあり方等について、各省間において意見の良い違いもあったと思うのでございます。今日事業も相当進捗いたしておると思うのでございますが、これらの関係各省との間においての話し合いというものはどういうふうになってきておるか。また、今後そういうような仕事を進める上においては、従来災害の起こった直後において見られたような混乱というものがなくなって、仕事がりっぱに進め得られるというような方向になっておるかどうか。これは河川局長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/2
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003・山本三郎
○山本(三)政府委員 海岸の問題につきましては、根本的にこの主務大臣を統一するという点につきまして、そうできますならば私どももこれに越したことはないと考えておるわけでございまして、この点につきましては将来にむいて十分検討しなければならぬ問題だと考えております。昨年におきまして一番大きな事件を起こしました伊勢湾等の沿岸における高潮対策の問題でございますが、これの復旧あるいは今後の基本的対策の問題につきましては、各省がばらばらにやっておったのでは、これはまた将来に悔いを残すという点がございましたので、災害の直後に伊勢湾等高潮対策協議会というのを設置いたしまして、これは関係各省はもちろんのこと、科学技術庁、あるいは経済企画庁、あるいは気象庁等のいろいろの関係者にメンバーになっていただきますし、さらにこの方面の学識を持っておられる方々の意見も拝聴しようということで、十一月以来しばしば幹事会、協議会等を開催いたしまして、各省ともいろいろ意見は出たわけでございますか、最後に成案を得まして、伊勢湾等高潮対策事業の計画の基本方針というのが各省の間できまりまして、私の方も実は本日大臣の決裁をいただいたというような状況でございます。各省ともそういうようなことで了解点に達しております。その基本方針といたしましては、伊勢湾の沿岸の高潮対策につきましては、十五号台風によりまして起こったような高潮に対して安全になるようにしよう。そうして、しかもそれよりまた大きなものも考えられるので、それらが起こった際におきましても被害を最小限度に食いとめるように、堤防等は少なくとも切れないようにしようということで、堤防の高さなり、あるいはその構造を、各省とも統一とったことでやろうということで決定しております。内容につきましては、相当長くなりますが、基本方針としてはそういうことでございます。それから、御心配になる点かと思いますが、運輸省で防波堤等の計画をしております。それがもしできますならば、波がそれによって減殺されるわけでございまして、その防波堤の背後にある防潮堤、海岸堤防につきましてはその波の低くなる分だけは低くしていいわけでございます。従いまして、この計画が六月か七月ころまでには計画を決定いたしまして、運輸省がその計画を決定いたしまして建設省に連絡をすることになっておりますので、それがはっきりできる。しかも、波がそれによってどの程度はっきり減殺できるということが結末を得られるならば、それに応じた防潮堤を作ろうということに相なっておりますので、それらの計画は迅速にやってもらう。その結果を待ってはっきりした計画、あるいは完成年度等をつかみまして、それに応じた計画にするという、その辺の調整事項は残しておりますけれども、もしそれができないならば、たとえば名古屋付近の堤防におきましては七メートル五十の高さにしよう。それができた場合におきましては、波が減殺するだけは低くしようということで基本方針が決定いたされておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/3
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004・二階堂進
○二階堂委員 そういう基本計画ができて、それに基づいて、今後昨年のような事態が起こった場合には一本になった管理機構と申しますか、そういうような機構のもとで災害復旧工事に当たることができるということになっておると了解するわけです。それにしましても、たとえば構造の問題、あるいは設計の問題、あるいはそれに要する単価の問題等、これらの問題については昨年の災害復旧に関する補正予算の編成当時、各省間の技術者の間にも単価、構造その他について意見の食い違いがあったことも承知いたしております。また、特に大蔵省の事務当局は、単価の問題等について非常に独善的な考えを持って、工事費のメートル当りの単価について建設省その他とも非常な意見の食い違いがあったことは承知いたしております。実際、一本の機構のもとで一つの基本方針というものがきまって仕事をするにしましても、問題はその工事を敏速に、いかにして機動性を発揮して災害復旧をやるかということでなければならぬと思っております。これにはやはり、今言ったようなそうした細部にわたる基本的な考え方というものが、特に大蔵省を入れての考え方というものが統一されておらなければいけないと思うのです。そういうようなところまで具体的に話を進めておいていただくことが、一たん災害の場合に、今言ったような基本方針が的確に、効果的に仕事の面に出てくるということになろうかと思っておりますが、そういうような点についても十分の打ち合わせがその基本方針の中にできておるのかどうか。
また、通信連絡等の機構の問題についても、災害が大きいときにはそういう機関の連絡と申しますか、通信等の連絡機関というものが非常に不十分である。また、仕事を行なう場合においても機動性を持った、たとえば機械を動かす場合においてもまちまちになってきておる。あるいは昨年の災害のときには自衛隊の力というものが非常に大きな効果を実際の仕事の上において発揮したというようなこともありますが、これらの自衛隊の出動ということも将来大きな災害のときには予期される。そういう場合に、地元において仕事をする請負業者との関係の問題、あるいは自治体の方の長、たとえば名古屋市においては、これは私の憶測かもしれませんが、市長の考え方と国の考え方というものとが必ずしも一致していなかったというようなこともあるやにその当時聞いておった。そういうようなこまかいところまでも十分打ち合わせをしておいて、そして万一の場合に備えるという体制を今日災害のないときに建設省が中心になって考えておくということは必要なことじゃなかろうかと思うのです。そういうようなところまで深く掘り下げて今後の災害に対する対策というものをお考えになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/4
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005・山本三郎
○山本(三)政府委員 先ほど御説明申し上げましたのは、たとえば防波堤なりあるいは防潮堤等の施設の建造計画の点でございましたが、この基本的方針の中には、築造計画のみならず非常時における通信、水防及び避難その他被害軽減の諸対策がいろいろあるわけでございますが、それらも全面的に今後検討して参ろう。それから、高潮対策に対する科学的の調査研究をしなければいかぬということに相なっておりまして、すでに科学的調査研究の面につきましては、各省に調査費が本年度も計上してありますが、来年度はさらにそれを増強いたしまして科学的調査研究をやろうということで、実施に踏み出しておるわけでございます。水防や通信あるいは避難等の問題につきましても、建設省がもちろん水防時におきましては責任ある官庁でございますので、これらが名ばかりで実際の効力を発揮しないということに相なっては申しわけない次第でございますので、今後各省とも連絡をいたしまして、基本的体制を作るようにお願いすると同時に、従来の機構もさらに活発に活躍できるように処置したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/5
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006・二階堂進
○二階堂委員 一昨日か昨日の参議院の予算委員会において、総理大臣かあるいは建設大臣か、私は記憶しておりませんが、災害基本法というような法律を準備しておる、こういうことでありました。これは、今申し上げたような考え方を実際の法律の裏づけをもって、一つの一元化された管理のもとに敏速に災害復旧、あるいは災害が起こった地域における民生の安定等の諸施策を実施しようという建前で、ああいう考えを持っておるということを政府が表明したと思うのでございます。この法律ができることを私は望んでおるわけですけれども、この法案等の準備についてはいまだ一ぺんもわれわれは建設省の当局からも意見を聞いたことがないのでございます。一体あれは内閣の方で準備しておる法律であるか。それにしても、建設省は今まで何ら話し合いを受けていないというのであるか。その点は、大臣がおられなければ、政務次官がおられますから、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/6
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007・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 災害基本法の制定につきましては、内閣が中心になりまして、基本法制定について問題になるべき点をあげまして、各省にその検討を予備的にさせておるという状態であると承知いたしております。まだ建設省といたしましても、省議としてそれに対してどういうふうに意見を定めていくかというところまで参っておらぬような状況でございます。私も新聞紙上で見たのでございますが、災害基本法の制定につきまして総理のお考えをうかがい得ましたので、省といたしましても至急さらに検討を進めまして、できるだけ早く基本法の制定が、ただいま二階堂先生の御質問の中にありました御意見に沿うような方向で定められますように、省としても努力しなければならぬと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/7
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008・二階堂進
○二階堂委員 災害のたびに私どもはそういう機構とか、あるいは法律とかいうものができなければならぬということを強く叫んで今日まで参っておるわけですが、いまだそういうような法的な裏づけができずにおった。そこで、去年の伊勢湾台風等の災害の現状等にかんがみて、また広く世論もそういう声があったことにかんがみて、政府がそういう施策をぜひやろう、法律を作ろうということに踏み切っておることは、私は非常にけっこうだと思っております。ぜひ一つ、そういうような万一の災害の場合に、しかも災害がひどいような場合に、混乱している災害地の実情に適応して災害復旧、民生安定のいろんな仕事が敏速にやれるというような裏づけを法的にされるということを、切に私はお願い申し上げておきたいのであります。
災害のときに一番問題になっておりました住宅復興の問題であります。住宅局長が見えておられると思うのですが、いずれにしましても、昨年の災害で一番困った問題の一つは、大へんな数に上る民家、特に零細な企業を営んで生活を維持しておる人たち、あるいは山梨、長野方面における農家、しかも零細な農家の家が数多く倒壊しておる。これが復旧にあたっては、地元の団体の長あるいは知事、その他国とされましても非常な心配をされておったことは、私も現地に行きまして十分実情を見て参りまして、そのことをひとしお痛切に感じたものであります。従って、わが党の災害対策特別委員会におきましても、特にこの災害住宅の復興、建設については、思い切った施策を今後講ずる必要があるのではないかということを、私も自分の私見をまじえて、るる意見の具申をいたしましたが、不幸にして私の考え方は通っておりません。ただ政府は、現在もある制度、たとえば住宅金融公庫の中にある災害住宅のワクをもってまかなうとか、あるいはその他の方法をもって資金を貸し出し、家を建てさせるとか、あるいは第二種公営住宅の一部をさいて、応急の民家の復興に資するというようなことで、とにかくとりあえずこれでもって間に合わしていくというようなことで今日まできておると思うのです。事務的な取り扱い等については、相当簡素化され、また協力態勢ができてきて、数年前に見られたような住宅復興の措置よりも非常に前進をして参っておると私は思うのです。今ここで資料をお願いしてもどうかと思うのですが、災害における住宅復興の貸し出しの状況、民家の復興の状況というものがどうなってきておるかということについての資料を、この次の委員会に一つ御提出願いたい。
政務次官もおられますが、これはあなただけに申し上げていいかどうかわかりませんけれども、一番困るのは住宅の復興なんです。特に金を持っておる人の住宅が倒れた場合には、何らかの方法でそれに増して大きな住宅を作り得る可能性を持った人がたくさんおる。しかしながら、台風とかいうようなものがところきらわずやって参りますと、住宅倒壊の被害をこうむるものは、一番弱いところにしわ寄せがくることは、これは当然であります。従って、災害を受けたときの倒壊家屋の復旧にあたっては、一番弱いところの階層の住宅復興というものをどうすればよいかということを、私は非常に重点的にお考えにならなければいかぬと思うのです。金を借りようにも担保能力がない。保証人になってくれといっても保証人になり手がないというような民家ほど倒れておる。しかも一週間も二週間も、長いときには一カ月も六カ月もバラックに住んで、そうしてまた来たるべき豪雨とか風には戦々きょうきょうとして、空を仰いで暮らしておるというような人たちは、現地に行ってみるとたくさんおる。伊勢湾地域におきましても、あるいは長野県の一部においても私は見て参りました。委員長のおられたところも、付近の部落でも相当の民家が倒れており、回ってみますと、この災害の陳情というものは、何とかして早く政府の金を貸し出してくれ、そうして家を建ててくれということなのです。ところが、家を建てる場合の金の手当については、金融公庫にしましても、あるいは銀行の協力等が足らなかったり、あるいは当事者の指導が足らなかったりする面もありますが、金を借りて家を建てるという場合には、なかなか金も手に入りにくいし、資材も物価騰貴を来たしてなかなか手に入りにくい。しかも昨年の伊勢湾台風のごとき、広い範囲にわたって非常にたくさんの民家が倒壊したような場合には、資材の入手も、東京地方に仰いでもなかなか間に合わぬ。長野県の地方においては、これは名古屋地方も間に合わぬ。大阪方面、あるいは北九州方面にまで手配をして、くぎとかトタンとか、そういうものの手配をしなければいかぬというような実情に直面しておった。こういうような実情は、私どもは政府の方にも、また党の災害対策特別委員会の方にも真剣になって訴えた。こういうようなことが災害のたびごとに起こっておる。今申し上げましたような、今ある既存の金融機関なり、制度を利用して家を建てるというようなことについての事務的なこととか、あるいは銀行等の協力の態勢は漸次改善されつつありますけれども、根本的には、たとえば災害のときに自衛隊が早急に出動して、海岸の堤防なり道路の修築なりをやっておった。非常に機動力を持って、出かけていって仕事をしてくれる。民生の安定、いわゆる災害を受けたところの人たちが、夜も電灯がない、住む家がない、盗難が起こる。実におそれをなして暮らしておるようなときに、そういう大きな機動部隊などが出てきますと、非常に地元の人が安心をして、仕事が身についてくる。住宅の場合も、やはりそういう災害のときに備えて、一つの方法があろうかと私は思っております。たとえば、私は常に主張しておりますが、組み立て住宅の資材を用意しておく。そうして一定の地域、九州なら北九州地域、あるいは近畿等においては大阪とか、あるいは関東、あるいは東北とか、そういう地建を中心にしてでもよし、あるいは自衛隊の本部を中心にしてもいいわけですが、そういうところに千戸なり、あるいは数千戸の組み立て住宅の資材の用意を常時しておくことが一番いいじゃないか。これを私は政府にも、なぜやらないのか、おやりなさいと、今日まで声をからして主張をしてきております。そういうような話をすると、なかなかいい意見を言うといってほめてくれる人はおりますが、政府がその気になってその用意をしておらぬ。また来年そういう台風が違った地域に起こるかもしれません。一番心配するのは民家の復興、復旧であります。やはり政府が、そういう災害のときに対処するための施策というものをぜひ講じていただかなければいけないと私は思っております。そういうようなことの考え方について、政務次官もおられますからして、今後建設省の方におかれても、一つ中心になって考えていっていただきたいと思うのです。ほんとうに田畑を失い、あるいは民家を失った人たちは、これはあくる日からの生活、あくる日からの住居に困ってくるわけなんです。一番困る人は一番貧乏な、百姓を営んでおる人とか、あるいはその日の暮らしをしておるとかいうような人たちが、一番困るわけなんです。実際、これは現地に行って、見てみなければわからない。ただ東京におって、民家が何千戸倒れたというような報告を聞いておったのでは、実際の実感というものは出てこないのであります。そういうな人たちの痛切な要求にこたえる施策をやるというのが、私は政治の要諦ではなかろうかと思っております。こういう問題もぜひ真剣になって、今後一つ考えていただきたいと思うのですが、何か考えがあったら、一つお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/8
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009・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 ただいま二階堂委員から、災害住宅の復興対策につきまして、まことに切々たる御意見がありまして、いつもながらのことでありますが、傾聴いたしておりました次第でございます。私も昨年の災害の復興対策の審議の過程を通じまして、ただいま御意見にありました通り、ことに罹災者が住宅に苦しんでおりまする状況につきまして、胸を痛めました一員でございます。お話の通り、経済的に弱い階層に、この住宅災害がしわ寄せをされまして、その罹災者の痛苦は察するに余りあるものがあるのでございます。これに対しまして、住宅金融公庫の融資等、お話にございました通り、償還との関係におきまして、なかなか私どもが考えておるほど思うように進捗がない実情でございます。もとより事務的には相当にいっておりますが、これを政治的に見た場合に、非常にもどかしいものがございます。市町村の保証というようなことを盛んに私どもは勧奨したのでありますが、これまた実際には私どもが考えているように参らないわけでございまして、償還能力との関係、その他いろいろの点で思うにまかせない。どうしても、これはさらに構想を別にしました根本的な対策が必要であるという御意見に対しましては、全く同感でございまして、災害基本法を立案するにあたりまして、そういう点について検討を進めることが適切であるし、必要ではないかと考える次第でございます。
なお、応急住宅等の問題につきまして、現在これは厚生省の所管でございまして、他省のことについてかれこれ言うわけではございませんが、ややともいたしますと、この応急住宅が長い間、応急でなく恒久化しまして、言葉が悪うございますが、一つのスラム的な形を呈して、建設省でやっておりまする住宅対策と矛盾を生じてくるというようなことも、私ども実際問題として考えさせられるわけでございます。そういう点を考え合わしてみた場合に、現在組み立ての住宅ということが、今御意見の通り非常に進んで参りました。ことにプラスチック等の組み立て住宅ということが、今新しい方式としてでき上がって参っておるわけでございます。私はこういうものを考えまして、この応急施設の住宅にこういうものを政府として取り入れる。建設省の住宅政策との矛盾も来たさないように、まずこういうところから始めまして、ただいまの御意見の趣旨に沿うて、復興住宅の迅速な、また完全な回復を期していくという方向がいいのではないか、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/9
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010・二階堂進
○二階堂委員 今、政務次官のお話の中にもありました通り、やはりこの災害の基本法というものをお考えになる場合には、今言ったような、そういうことも一つ強く考えて進めていただきたい。特にこの厚生省の所管になっております災害救助法の適用をする場合にも、今言った住宅の問題のみならず、生活保護者に対する手当の問題、あるいはボーダー・ラインにある、生活保護を受けるか受けないかという境目にある人たちに対する見舞金とか、あるいは家を修繕するための補助金とかなんとかいう、三万円くらい現金をやる制度がありますが、そういうような制度についても再検討をしなければならぬと思っております。災害のたびにそういう矛盾が非常に暴露されてきておる。ですから、私はやはりこの基本法というようなものをお作りになる場合には、そういうような関連する——しかもこの災害の復旧あるいは民生の安定等のために役立たせる関係の法案自体の中にも矛盾した点がある。ですから、そういうようなことを一つ十分御検討されて立案をされるように、政府の方にも、内閣でまとめて作るなら内閣の方に、一つ申し入れておいていただきたい。
問題は、災害のときには、地元におって災害を受けた者が一番困るのは何かというと、家を建てる場合においても資材の問題、金の問題、あるいはトタンの問題、運搬の問題、そういうことですね。しかも、電気が長くこない。あるいは製材所がとまっておる。材木の要求をすると、林野庁が山の中の原木を払い下げてくる。そういうことでは災害の復旧は、住宅に例をとってみても、間に合わない。ですから、災害を受けた者が家を建てる、あるいはその用地を見つける、くぎを探す、トタンを探す、食糧を探す、こういうようなことを、どうしたならばよくやり得るかということを中心にして、災害対策を立てていかなければいけないと私は思うのです。そういうことが、言っては失礼ですが、役所の立てられたペーパー・プランというものには、実態に触れない災害対策というものが今日まで往々にして出てきておる。数かさなる災害の体験にかんがみて漸次改善されつつある。しかしながら、まだほんとうに地についた災害対策というものが行なわれてきてない。これが今出ております海岸法の施行の問題についても、あるいはそれに伴う住宅対策の問題についても、やはりそういうことを重点的にお考えにならなければ困るということを私は特に一つ申し上げておきたいと思うのであります。
時間も長くなりますので、建設業法が出ておりますから、関連して、二、三お尋ねいたしておきたいと思います。御承知の通り、公共事業は、先般の委員会で私が申し上げた通り、各般の公共事業を通じて非常に大幅な投資がなされることになる。町村の小さな仕事まで含めて、すべて公共事業に投資される金は、私は相当な額になると思っています。昭和三十二年度においても、総建設事業量というものが一兆二千八百五十億円になっておるというふうにいわれております。三十一年度に比較して一四%も増になっておる。特に私は、昭和三十二年、三年、四年、さらに本年の予算等を考えますと、総量において莫大な公共事業が日本全国にわたって行なわれてきておると思うのです。これらの問題については、いずれ私は次回の委員会において、大臣等にも御質問申し上げたいと思うのでございますが、これらの仕事が国民経済全体に及ぼす影響というものは莫大なものがある。従って、この公共事業全体を含めた建設事業を、国家、国民の経済にいかに効果的に、能率的にこれを行なわせるかということについては、建設省も相当な部分を担当しておる責任省として、私は非常な責任があると思っています。このうち国あるいは地方団体等、直接公共的な機関によって仕事が進められるものが、おそらく四四、五%じゃないかと思っております。あるいはそれ以下になるかもしれない。あとはほとんど民間の企業に仕事が委託されるということになる。そうしますと、建設業者が受け持つ役割がいかに大きいかということがわかるわけであります。従って、今回建設業法の一部を改正されまして、そうして仕事をする責任の体制を明らかにする。資格者というものを明らかにすることは、私は当然のことだと思っております。ふえてくる仕事を能率的に、効果的に、しかも正確に、国民の税金を公共のためにりっぱに役立たせるというような意味からいって、今まで足りなかった資格の問題等について、その資格の面を強化されるということは、きわめて重大なことだと思うのでございますが、一体昭和三十四年度、五年度において、一般の建設業者が施工する事業量は、総体の中でどのくらいの割合になるものか。その割合は、大まかにどういうふうな推計をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/10
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011・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 建設業者が担当しまする厳密なものは、今ちょっと数字を検討さしていただきますが、先ほど昭和三十二年に一兆三千億というお話がございましたが、昭和三十四年度の実績は、まだちょっと推計的な要素が入っておりますが、建設工事の全量は一兆五千億と考えております昭和三十五年度になりますと、今回の予算案から推計されます事業量と、民間経済の伸びから推測されます建設事業を推定ではじき出しますと、約一兆八千億近くになるんじゃないかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/11
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012・二階堂進
○二階堂委員 地方建設局が執行いたした事業の調査の資料をお願いしたところが、こういう統計が出てきております。これは直営と請負になっておりますが、地方建設局において執行した事業というものは、昭和三十三年度におきましても、直営が四〇%、請負が六〇%になっておる。これは大へんな金額でありまして、昭和三十四年度においても、請負の金額が六五%になっておる、大体二百四十億以上の仕事が請負業者によって施行されるということになっておる。
しかも、この事業量というものが非常に大きく伸びていけば、これはやはり年度内に仕事を消化させなければならぬという責任も出てくるわけです。そうすると、地方の建設局等においては、この設計をする者とか、あるいは監督をする者とか、人の不足も当然来たすでありましょうが、本年度の予算においてはある程度の増員が認められた。だが、この事業を年度内に進めるためには、ある程度の機械化とか、あるいは建設業の管理とかいうようなものが強化されなければならぬと思っております。
〔委員長退席、南委員長代理着席〕
一工事の区間、区域というものも非常に大きな工事の量にならざるを得ないと思っております。また、そうすることがりっぱな工事が効果的にできるというような一面もありましょう。しかし、工事が大きくなることによって、機械をたくさん持っておる者とか、資金をたくさん持っておる者とか、そういう大きな業者がより多く使われることは当然であるかもしれません。これはやむを得ない結果になろうかと思っておりますが、その反面、力の弱い中小の建設業者の育成というものを同時に考えていかなければならぬ。私はここに建設業の管理行政においての悩みがあると思っております。しかも、日本においては、中小と申しますか、そういう業者が数においても非常に多い。一区間の工事の量が多くなればなるほど、大きな業者を、しかも能率の上がり得る業者を優先的に考えていかなければならぬ。先ほど申し上げました通り、これはある程度やむを得ないかと思っております。同時に、私は、小さな業者、そういう部類に属する業者というものはおそらく八〇%以上じゃないか、あるいはそれ以上になるかと思っておりますが、そういう業者を一体あなた方はどういうふうに育成していこうとお考えになっておるのか。しかも、あなた方は、経済的に、効果的に仕事をやらせなければならぬという一つの国家的な使命を負っておるわけです。この小さな業者の育成強化というものをあなた方はどういうふうにお考えになるか。そういうことで、建設省は建政局というものを考えておったと思うのですが、建政局もできない。これは非常に重大なことだと思うのです。所得倍増計画、国民の経済を大きくするという計画を進めておるが、問題は、地域差をどうするか、あるいは企業別の格差をどうするか、賃金格差をどうするかというような問題も同時に考えられていくときに、やはり大きな建設業者と小さな業者とのバランスというものを何とかして、はかっていかなければいかぬ。このような考え方をあなた方は、一体責任省としてどういうようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/12
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013・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 ただいま御指摘のように、建設工事量の大部分は建設業者によって施工されておるのでございますが、特に建設省の直轄事業につきましても、昭和三十一年度は直営と請負が約半々でございました。それがだんだん請負の占める割合がふえまして、昭和三十五年度におきましては請負が約七〇%になるだろう、直営が三〇%程度になるという見込みでございます。それから、府県におきましてはほとんど請負でやらせておりますので、直営というのは非常に少ない。そこで、来年度千八百億に近い建設事業の大部分は建設業者の手によって行なわれる。しかも、すでに二階堂先生も御案内のように、全国で現在建設業の登録業者が七万二千余おりまして、そのうち大臣登録を受けております者は約三千足らずでございますから、この登録だけでも御推測いただけますように、数といたしましては大部分が中小業者である。私どもは一応中小業者の概念を、従業員百五十人以下、あるいは資本金千万円以下というふうに考えておりますが、大部分が中小業者である。
そこで、建設行政を担当いたしております建設省といたしましても、また膨大な公共工事を施行する発注者の立場といたしましても、これら建設業の中小業者に対する対策ということが重大な問題になるわけでございます。
現在とっております対策のおもなものを簡単に申し上げ、また今後進めていきたい問題もこの際申し上げますと、中小建設業者の健全な育成をはかっていくというために、従来も努力はいたしてきておりますが、その方策といたしまして、まず入札制度の合理化対策というものを中央建設業審議会等に十分検討していただきまして、今これを審議会の名において勧奨し、行政的な指導をいたしておるわけでございます。この中でも、特に中小関係の問題といたしましては、一つは、発注の工事の金額、高によりまして、受注分野を中小業者に行き渡るようになるべく勧奨しよう、受注分野を発注者にお願いしまして確保させるように努力をしようということが一つでございます。
それから、これは経理の問題でありますが、やはり経理を上手にやっていくということが特に中小業者の場合に必要であると考えられますので、中小業者の帳簿の記載の要領等を、合理的なものをきめまして、これを指導いたしておるというようなことが第二点でございます。
次に契約の問題、特に請負契約につきまして、いろいろ昔からの一つのしきたりによる、極端に申しますと多少片務的な、発注者の一方的な条項が入っておるというような契約が従来ございました。これにつきましては、請負契約の標準約款を作りまして、その約款を実際の契約にあたって取り結ぶように、これは発注者の方と業者の方と両方にお願いをしておるわけであります。下請のための約款につきましても同様の措置をとっています。なお、標準約款につきましては、まだ具体的に検討する余地もございますので、たとえば内訳明細書の問題等につきまして、これの取り扱い方等を目下審議会等に諮って検討いたしております。今後この標準約款も、もっともっと整備して参りたいと考えております。
これらが入札制度合理化対策のおもな内容でありますが、さらにまだ十分徹底いたしておりませんけれども、いわゆる共同企業体、ジョイント・ヴェンチャー方式もお勧めしまして、中小業者の方が相当な工事を共同企業体の形でやっていけるようにすることが望ましいと考えて、進めておりますが、その点はまだ十分の成果をあげておりません。
そのほかに、中小建設業者の方の共同化という問題がございます。これは先生も御承知の、中小企業等協同組合法による、あるいは中小企業団体の組織に関する法律という、この二つの法律によります組合等の組織を作ってもらいまして、中小業者のいい意味の団結による自主的な活動を促進いたしたいということで、こういう方面の御援助もいたしておるわけでございます。
それからなお大事なことは、もう一つは機械化の問題でございます。最近、御承知のように、非常に建設機械もすぐれたものがどんどん国内でもできておりますし、また外国にも優秀なものがある。これらを導入いたしまして、技術の向上とあわせて能率を上げるということがまた経営全体の合理化にも役立つゆえんでもございますので、機械化の施工を促進いたしますために、従来やっておりますことは、機械の購入資金の調達を円滑ならしめようということで、一般金融機関からのあっせんはもちろん、開発銀行等に対しましても、建設省と開発銀行が直接相談いたしまして、この機械購入資金のあっせんをいたしておりますが、そのほかに建設機械抵当法による、いわゆる購入した機械を担保にして一般金融機関から金を借りやすくするということが最近非常に普及して参りまして、大いに機械化に役立っておるようなわけであります。
ところで、機械化の問題にからみまして、すでに御案内のごとく、オペレーターが、特に熟練した、施工管理能力をある程度持ったオペレーターが割合に少ない。これを充実したいという声が業界にも強く出て参りまして、それが直接の機縁となりまして、今回の建設業法の一部改正と相なった次第でございまして、いわゆる建設工事の施工技術に関する技術検定を行ないますゆえんのものは、この前提といたしまして建設省の建設研修所、あるいは地方建設局のモーター・プール等におきましてもこのオペレーターの養成をいたしまして、養成した者ばかりではございませんけれども、一般の民間におりますオペレーターの優秀な者も含めて技術の検定をして、この人たちに一そう誇りを持って仕事をしていただくと同時に、また機械の施工技術の面で大いに実力を発揮していただこう。こういうのが今回の建設業法の一部改正の一番のねらいでございます。
そのほか、今回まだ提案に至っておりませんけれども、前払金の保証事業に関する法律におきまして、工事完成保証人の負担の軽減をはかるということも、これはおおむね中小業者にとってある程度プラスになる問題である。かように考えておる次第でございます。
以上、かいつまんで申し上げましたが、なお今後これらの問題はもちろん、そのほかの問題につきましても、具体的に一つ取り上げて、一そうの努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/13
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014・二階堂進
○二階堂委員 まだいろいろ聞きたいこともございますけれども、もうやめますが、やはり問題は、建設省の内部においても道路、河川、都市計画、相当な仕事がふえてきておるわけなんです。これをその計画のもとに、しかも効果的に仕事を末端まで行なわせしめるという責任は、やはりそういったような建設業の指導監督ということのよろしきを得なければ、適正な効果的な効率のある仕事というものができないことになるのであります。これは私は重大な問題だと思っております。ですから、私はこの建設業の育成強化という問題を特に取り上げて、あなたにお尋ねしておるわけなのです。
〔南委員長代理退席、委員長着席〕
また、今言われましたようないろいろな制度の改善等についてもお考えがあるようでありますから、こういう点は特に留意されまして、このふえていく公共事業を国民の経済の発展、民生の向上のためにいかによく生かすかということを一つ十分考えられまして、そうして建設省の内部においても、やはりそういうものの陣容と申しますか、強化をはかって、衆知をしぼって、そうしてこの莫大な公共投資が、先ほど申しましたような国家目的に沿うように一つ指導監督をされるようにお願いを申し上げます。こまかい点については、いずれ機会を見て質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/14
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015・羽田武嗣郎
○羽田委員長 山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/15
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016・山中吾郎
○山中(吾)委員 今、議題になっております建設業法、海岸法の二点、それに関連することをお聞きしたいと思います。
今、二階堂委員からいろいろ質問がありましたが、この建設業法の一部改正は、建設省が建政局を設置する方針で予算を出したという意気込みから考えまして、この一部改正を見ますと非常に微温的である。建設業法の提案の内容と、建政局を新設するべく政府に予算措置を要求したところに、何らバランスがとれていない。一見私はそういう感じがする。そういう点で、私はこういう微温的な改正は、ある意味においては反対であります。今のような膨大な予算、それをまた適正に業者を指導し、履行せしめるということになれば、こういう微温的な改正では私は不満だと思うのです。
その一例について質問いたしますが、今度の改正の中で、技術検定を受けしめることができる一部改正がございますけれども、それはどういう効果が予定されておりますか。これを見ますと、合格した者には称号を与えるのだというだけのことであって、技術検定を受けた者を建設工事に従事する者の資格条件とするというふうな、そういうふうな効力を持たせないで、ただ称号を与えて、間接的に何か刺激を与えるという程度の一部改正でありますが、この点についての提案の趣旨を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/16
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017・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 今回、建設業法の一部改正として提案されておりまする技術検定の問題でございますが、これの必要性につきましては、先ほどもお答え申し上げました通り、現在の建設業界において、最新の科学技術に対処して建設の工事の施工能力を高めて参りますのには、機械化施工が一つの大きな重点になっております。この機械化施工の問題の一環としてオペレーターの技術検定を行なうことになりました。理由はそういうことですが、この法律的な効果といたしましては、ただいまちょっと御指摘がございましたように、別に特別な、たとえばこの検定に合格した者でなければ仕事ができないというような意味の効果はございません。つまり称号を称することによりまして、合格者がますますその技術の向上に励む。また漸次社内においても実力を発揮してくれば、だんだん優遇されてくるであろうということを期待しておるわけでございまして、特別な恩典と申しますか、そういう効果はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/17
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018・山中吾郎
○山中(吾)委員 小学生を激励するような制度だと思うのです。そういうふうな一部改正で目的を果たすかどうか疑問であるということです。なお、これは次の機会にそういうものに関連してお聞きいたしたいので、次に譲ります。
建設業法の第五条、登録の要件の二号「建設工事に関し、法律又は命令による免許又は技術若しくは技能の認定を受けた者」、こういう免許の内容が私はわからないものでありますし、こういう条件にかなう者というのは非常に幅が広いのであり、ほとんど無条件に近いようなものになるのじゃないか。そこで「大臣が指定したものを受けた者」と改正するようですが、大臣の指定の基準はどういう基準なのか。明らかにしてもらいたい。ただ自由裁量で済むならば、ほとんど意味がない。そういうことを一つお聞きしたいので、次までに準備していただきたい。
それから、こういう無条件に近い資格条件を前提にしておりながら、社長とか主任その他使用人のだれか一人だけがこの条件を備えればいいのだというふうなことも、今の重大な公共事業の遂行からいって、いわゆるざる法に近い。そうして、これを前提として、こういう人々に技術検定を行なう。非常に基本的な条件であって、そのあとにこういうふうな技術検定を行なうことができるというふうな行き方をとっても、ほとんど効果がないのじゃないか。
あるいは二十五条の「施行技術」、これは説明の中には「専門の知識及びその応用能力」と書いてありますけれども、これの確保に努めなければならぬという道義的努力義務を与えておるような内容でありますが、こういう微温的な一連の改正だけでとどめようとしておる事情。その他この法律の具体的な内容について次にお聞きいたしたいと思いますから、お願いしておきます。
それから、海岸法の点についても、この災害復旧の関係を挿入されたことは、当然必要なものとして入れられたことはわかるんですが、この災害復旧に関する工事について、一部挿入して、大臣が施行する場合については、改良、新設の場合と同じ取り扱いを受けるということになると思うのです。そうすると、この海岸法は二十六条を見ますと、主務大臣が施行するものについては、国及び地方公共団体がそれぞれその二分の一を負担する、こういう規定になっておるわけです。それで、海岸法に基づいて災害復旧をやる場合には、二分の一の負担しか受けられないという法規の中に入るのであって、いわゆる災害復旧国庫負担法の非常に手厚い補助の適用を除外されて、二分の一という軽い補助によるというふうなことにはならないか。その点、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/18
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019・山本三郎
○山本(三)政府委員 これは、主務大臣が直轄工事をやる場合の費用の負担が二十六条に書いてございまして、災害復旧も書いてございますが、災害復旧につきましては、御承知のように、公共土木施設の災害復旧の国庫負担法がございまして、海岸につきましても、もちろんその対象になるわけでございます。公共土木施設の災害復旧の国庫負担法は、河川法、あるいは海岸法、あるいは砂防法の特例を定めたものでございますので、その負担は、公共土木施設の災害復旧の国庫負担法によるものでございます。河川法におきましても、河川に関する工事といいまして、その中には新設、改良及び災害復旧も含まれておりますけれども、その災害復旧の負担につきましては、国庫負担法の方で取り扱うわけでございますので、それと同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/19
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020・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうならば、非常に変な改正ではないかと思う。最初から国庫負担法によるなら、国庫負担法によって施行されるべきで、この海岸法の一部を改正しようとするのは、災害復旧に関する工事も海岸法でやろうという意図のもとに出されたのではないかと思うのです。海岸法には二分の一の負担と書いてある。その中にわざわざ災害復旧を改良工事と新設工事と同じように入れるという改正は、おかしいじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/20
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021・山本三郎
○山本(三)政府委員 二十六条のあとに、災害復旧はこの限りにあらずということを書けばいいわけでございますが、それは負担法の方で特例に扱っておりますから、その規定がなくてもよろしいという解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/21
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022・山中吾郎
○山中(吾)委員 それじゃ改正をしなくてもいいのでしょう。それは一つ御検討下さい。時間がないから、次にお答え願います。
それから、法制局の部長さんにわざわざ来ていただいているので、お聞きしたいのですが、今度のガソリン税の使用について、法律的に私は少し疑義を感じますのでお聞きいたしたいのであります。政策的でなしに、純法律的にお聞きしますから、それでお教えいただきたいと思うのであります。
今度の道路整備五カ年計画の特定財源として法定されたガソリン税を、道路公団に出資をしているというのは、法律的にちょっと疑義があるのではないかと私は思うのです。それは、道路警備緊急措置法第三条に規定をされておるのでありますけれども、公団に対する出資はこれは公団の財源として何に使ってもいい法的性格がある。法人格を持った公団に出資をするのでありますから、五カ年の整備計画に使わなくてもいいので、そういうところにガソリン税を使用することは、この法律の違反にならないかどうか。それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/22
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023・野木新一
○野木政府委員 御質問の趣旨は、道路整備緊急措置法第三条におきまして、「政府は、昭和三十三年度以降五箇年間は、毎年度、次の各号に掲げる額の合算額」「に相当する金額を道路整備五箇年計画の実施に要する国が支弁する経費(以下「道路整備費」という。)の財源に充てなければならない。」この条文に関するものだと存じます。これを純粋に法律的の見地から申しますと、まず道路整備五カ年計画の実施に要する国が支弁する経費の財源に充てるというのでありますから、まず道路公団の有料道路の事業等が道路整備五カ年計画の中に入っていなければならないわけでありますが、それはこの計画書を見ても入っております。そうしてこの出資というのは、資金として出すわけでありますから、ほかに流用してもいいじゃないか、限定されていないじゃないかということになりますが、この道路整備五カ年計画といたしましては、その計画書の中に、有料道路事業としまして、有料道路事業の予算額は出資金及び補助金である、こう書いてあるわけであります。そうすると、この道路整備五カ年計画といたしましては、この道路公団に補助金または出資金として出す。そういう金も、この計画に載っておるわけであります。そして、実質的に考えてみましても、この出資金は有料道路の建設等に充てられるものでありますから、形式的にいうと、資金だから、ほかの人件費などにも使えはせぬかといっても、人件費といっても、結局道路建設のための道路公団の使途でございますから、結局、実質的に申しましても、建設法に合う、そういうことになります。しかも、純粋に、形式的に申しますと、計画の実施に要する国が支弁する経費でありますから、出資すればそこで一応この目的は果たされる。法律的にいうと果たされることになるわけであります。それでありますから、計画がこうできております以上、またこういうような計画を作るということ自体が、直ちに道路整備緊急措置法の関係条文に違反になる、そういうことにはならないと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/23
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024・山中吾郎
○山中(吾)委員 道路公団が、道路整備五カ年計画に予定された事業以外は行なわない公団ならば、お説の通りに私もわかるのでありますが、道路公団は、この五カ年整備計画以外の事業もなしておるのでありますし、そういう公団に対して、五カ年整備計画にのみ使用すべきであると法定をしておるところのガソリン税を、ひもつきでなしにその公団に出資をするということは、やはり三条違反でないかと私は思うのでありますが、いま一度御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/24
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025・野木新一
○野木政府委員 道路五カ年計画の実施に要する国が支弁する費用でありますから、道路整備五カ年計画というものはどういうものであるかということが、まず法律的に存在するわけであります。そして、道路整備五カ年計画というものを見ますと、今言ったように、道路公団の有料道路事業がありまして、それに対してする国の出資金及び補助金であるとなっております。計画自体がそうなっておるわけであります。従って、そういう計画の実施に要する国が支弁する経費ということに、純粋法律的に申しますと、これで当たってくるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/25
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026・山中吾郎
○山中(吾)委員 道路局長にお伺いいたしますが、道路公団の事業は、この整備計画の事業に限っておるわけでありますか。それから、事実そういう事業計画がそうなのか。公団そのものの権能といいますか、仕事は、法的にはこれに拘束をされない。もっと広く、観光道路その他もやっておるようでありますけれども、五カ年整備計画に限られない事業を行なう団体であると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/26
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027・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 ただいま道路公団で実施いたしております道路事業は、一級国道の事業とか、あるいはまた観光的の色彩の強い道路事業とかいろいろございますが、それらの道路事業は、全部道路整備五カ年計画の事業ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/27
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028・山中吾郎
○山中(吾)委員 これは法的に、あと一年後、二年後においても、道路公団の行なうものは五カ年整備計画の事業とみなすということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/28
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029・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 道路整備五カ年計画は、御承知のように、昭和三十三年から三十七年までの道路事業を計画してあるものでございます。従いまして、それまでの道路事業はすべてただいま申しましたように、五カ年計画のうちに含まれて、その一環として実施するように相なっておりますが、それ以後におきましては、ただいまのところでは、道路整備五カ年計画が三十七年まででございますから、何らかの措置をとることが必要であろうということになろうかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/29
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030・山中吾郎
○山中(吾)委員 出資金でありますから、それは五年以内に使おうが、十年、二十年の間にそれを消化しようが、私は、法的には拘束はない。それで事実上、現在の道路公団の事業は五カ年整備計画の事業だけだと、かりにしても、私は、公団に対する無条件の出資というものは、法的にはガソリン税の使途においては違反じゃないかと思うのですが、この点について法制局と見解の相違があるようですけれども、それが一つ。あとでお答え願いたい。
それから、いま一つお伺いいたします。有料道路に投資をしたこのガソリン税というものを考えてみますと、ガソリン税を使用する——いわゆる自動車を使用しておる人々から、受益者負担の性格をもってガソリン税を道路整備の特定財源にした。そうしてまた、それを有料道路を作る公団に投資をして、そうして作った道路からまたガソリン税を課せられた業者から使用料を取る。実質上、二重課税になるのではないか。こういう点からいっても、私はガソリン税を公団の有料道路の事業に投資をするということについて法的疑義があるのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/30
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031・野木新一
○野木政府委員 まず最初の方の点でございまするが、道路整備五カ年計画、この中において道路公団の有料道路事業が指定せられ、しかもそれに対する補助金または出資金という形で計画が組み立てられておるわけでありまするから、この計画の実施に要する費用の支弁というのは、出資金なり補助金なりをそこで支弁すれば、純粋の法律的の意味においてはこの三条の目的を達しておるわけであります。そして、この道路整備緊急措置法を見ますると、その出資した金はあとでどうしなければならないということは、これ自体には書いてないわけです。従いまして、道路整備五カ年計画が終わった後におきましても、その金をどう処理するかということは、この法律には直接には規定してありません。出資ということでこの三条の目的はそこで一応達せられる。「道路整備五箇年計画の実施に要する国が支弁する経費の財源に充てなければならない。」というところで、財源に充ててしまったわけですから、そこで一たん切れるという考えであります。
それから、ただいまの二重負担にならないかという点につきましては、まず有料道路の料金なるものの性質でありまするが、これは道路整備特別措置法におきまして、どういう場合に有料道路を作るとか、その設置の要件といたしましては、同法の第三条におきまして、「当該道路の通行者又は利用者がその通行又は利用により著しく利益を受けるものであること。」及び「通常他に道路の通行又は利用の方法があって、当該道路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと。」こういうような条件のもとにおきまして有料道路というものが作られるわけであります。そうして、その料金の条件といたしましては、この法律の十一条、及び具体的には施行令の第一条に規定されておるわけであります。料金は、要するにその利用者の受益の限度をこえてはいかぬということになっておるわけであります。従いまして、有料道路は一般の道路とは違いまして、そういう特殊条件のもとにおきまして迅速に作っていく。そしてその道路を通る人は、一般の道路と違いまして特殊の利便を得る。その特殊の利便を得るという限度で特別の料金を払うんだということになりますので、ガソリン税を実質的に負担したという点とその趣旨、目的などにおいて違いますので、おっしゃるような二重負担になる、そういうようなことには法律的にはならないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/31
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032・山中吾郎
○山中(吾)委員 だんだんわからなくなってきたので、いま一度私も研究しますから、次の機会にまたおいで願って、なお検討したいと思います。
そこで、道路局長にお聞きしたいのです。なぜ私はこういうことを質問しておるかといいますと、ガソリン税の伸びがだんだん多くなり、一般財源から出すのはだんだんと少なくして二十五億になった。そして有料道路を作る公団に五十何億ですか、出しておるという中に、私は、今度の特別会計の財源についての使途に脱法的な姿が出るのじゃないか。今、私、法制局と論議をしておるのも、そういう法律違反すれすれのところで、不適当であることはもう明らかじゃないかと思う。政策的な部面からいっても不適当だと私は思うし、法律的に見ても疑問でありますので、なお大蔵省からも見解を聞きたいと思うのでありますが、もっと厳格にガソリン税の特定財源を使用する方向に、建設省の方でも御検討願いたい。またそれに伴ってガソリン税の伸びは自動車の使用者がふえたことであり、五カ年計画の再検討も必要でありますから、そういう総合的な問題として御検討願いたいと思うのです。これも私は質問を打ち切りません。
それから、法制局がおいでになっておるので、一つだけお聞きしたいのです。土地収用の問題について、オリンピック道路その他を含んで、今度は道路幅の拡張、その他大事業が上っておるのでありますけれども、営業権の侵害その他で立ちのきということが非常に困難である。それで、超過収用の道を開いて、その場で宅地の立体化をはかり、そこで商売ができるような方途を講ずると住民の協力が得られて、初めてこの計画が成功する事情にあるわけでありまして、その点について超過収用の道を開く法案を建設省で準備をされておられるようであり、私は大賛成であります。そういう点からいって、私は憲法の関係からいっても疑義はないと思うのでありますけれども、その点について部長の方から、純粋の法律解釈を、一つぜひお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/32
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033・野木新一
○野木政府委員 先生のおっしゃる超過収用というものはどういうものであるか、これは学者の説くところも必ずしもはっきりしない点もあるわけでありますが、少なくとも現行実定法の上におきまして、都市計画法十六条二項ですか、これに一種の超過収用と申しましょうか、そういう規定がございます。これは現行法にあるわけでありますから、憲法違反という問題は、まずないのじゃないかと存じます。そういう意味で、古い法律ですが、特に削除もしないで存置しておるのだと承知しております。ただ、今具体的におっしゃったような建設省からの法案、これはまだ具体的に拝見しておりません。法案というものは、実際に審議してみないと最終的の結論はわかりませんが、憲法上合理的な範囲であるならば、今言った都市計画法の十六条二項のような思想もすでにありますし、問題はその内容をどういうように合理的に作っていくか、そういう点にあるのではないかと存じております。それから、超過収用の論を抽象的に議論しようということになりますと、なかなかむずかしいこともありますので、具体的の法案のときに、またこれに関連して御議論願えたらいかがかと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/33
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034・山中吾郎
○山中(吾)委員 この問題は次の機会にまたいろいろと御質問申し上げることにして、今、法制局のお話で大体私も納得はしたので、次に移りたいと思います。質問の全部をあとに回しておりますけれども、私の質問は全部結論が出ていないのでありますが、時間もありませんから、次の機会に、建設省の方でも十分検討されたあとを聞きたいし、大臣のおるときから本論に入りたいと思いますので、私は質問をこのくらいにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/34
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035・羽田武嗣郎
○羽田委員長 中島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/35
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036・中島巖
○中島(巖)委員 時間もありませんが、今、山中君から法制局に対していろいろ質問がありましたが、公団の出資金については、どうも法制局の解釈でわれわれは釈然としないのであります。
そこで、基本的な問題として道路局長にお伺いいたしますが、私はこの有料道路の問題について、かつて根本建設大臣のときにずいぶん質問したわけであります。国道なんかで有料道路をこしらえる場合においては、一般財源を投入したらどうかというようなことを言いましたけれども、一般財源は投入するわけにはいかぬのだ、すなわち、有料道路は投資額がペイするものに限られるのだと、一枚岩に当たったような答弁ばかり何回か繰り返されたわけであります。そこで、これは大臣に質問すべき問題だと思いますけれども、一般財源は有料道路に投入する方針であるのか方針でないのか。基本的な問題として、この点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/36
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037・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 御承知のように、有料道路事業に対しまして出資金を出しておるわけでございますが、この出資金はいろいろ議論もございましたが、道路整備特別会計から出しておるわけでございます。これは一般財源と申しますか、特別会計そのものにはガソリン税収入とその他の収入を受け入れまして、受け入れたものから公団に対する所定の出資金を出しておる、こういう形に相なっております。そういう意味では一般財源から出ている、こういうふうに言えるのじゃないかとも思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/37
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038・中島巖
○中島(巖)委員 これは、金額はわずかな金額でも、非常に重要な問題なんですよ。有料道路へ一般財源を投入し
ていいのか悪いのかという基本的な問題になるわけです。借り入れや、いろいろによってペイして償還するというのが原則で、一般財源は使わない、こういうような方針で今まできたと思うわけなんです。そういう幾たびかの答弁を得ておるわけです。一般財源を投入できるということになると、これはまたいろいろ有料道路を建設する上において、考え方を違えてこなければならぬ。そこで、基本的の問題として、一般財源を有料道路に投入していく考えなのか、投入せぬ考えなのか。イエスかノーか、はっきりお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/38
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039・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 ただいま御質問を承りまして、一般財源というものの先生のお問いになることがちょっと私には、はっきりいたさないのでございますが、御承知のように、有料道路事業に対します出資金は、要するに国費から出しております。相当国費を出して、そのほかに借入金、つまり利子のつく金を借りまして実施をいたしているわけであります。その出資いたします国費は、道路特別会計の方から出しておる、こういうことに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/39
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040・中島巖
○中島(巖)委員 そこで、今年度予算は、たしか国費は二十五億だかでありまして、そのうち十一億何千万かは北海道関係の事務費に充てられておる。そうすると、差引十三億幾らというものが道路整備五カ年計画の国費で、それしかない。そこへもっていって公団に対して六十億の出資をしておるわけです。国費が六十億以上オーバーしておれば、われわれもここで議論をすることはできないのでありますが、国費は十何億何がししか入っていない。ガソリン税からとった出資金を、六十億公団に出資している。ここに法律論にもからんで異議が出てくるわけです。従って、一般会計から幾らでも国費を有料道路に投入するという政府の方針なれば、またその方針で今後の有料道路の新設計画などにも大きな狂いが出てくるが、ところが、ペイする道路だけで、一般会計からは投じないという原則であるとすれば、またそのつもりにならなければならぬ。それとからんで、緊急措置法の第三条、先ほど山中君からも質問がありましたけれども、国が支弁する経費の財源に充てなければならぬ、こういうように、はっきりなっておる。従いまして、これはちょうど岸内閣の憲法第九条の解釈みたいなもので、ものすごい拡大解釈をしてしまって、そして将来、最初予定したよりガソリン税の非常な伸びがあるから、一兆予算をさらに一兆二千億くらいの予算に組みかえなければならぬのじゃないかという考えが僕らにはあるわけなんで、こういうことを許しておけば、どんどんよそへ行ってしまう、この点心配するわけです。これは法律論としても、法制局の方から伺ったけれども、どうもわれわれ釈然と了解するわけにいかぬ。どうもすっきりした御答弁が困難なように見受けるわけであります。いずれこれはまた、あらためて大臣の見えるときに御質問したいと思いますけれども、よくこの点研究しておいて、政府の基本方針をはっきりしていただきたい。こういうことを希望いたしまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/40
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041・佐藤寛政
○佐藤(寛)政府委員 ただいま先生の御質問の中で、本年度二十五億、北海道等が十一億何がしあるからというお話でございましたが、三十五年度におきましては一億余の道路整備五カ年計画外の区画整理事業がございますので、それを除きました二十三億八千万ほどのものは全部道路整備五カ年計画の事業の資金の中に充当されるわけでございますから、さよう御承知願います。ただ、特別会計の扱いといたしましては、北海道分だけ、北海道の工事事務費だけ便宜上それは取り除いてある。こういうわけでありまして、全部道路整備五カ年計画の事業でございます。
なおまた、本年度の一般ガソリン税以外の国費と、それから道路公団等に対します出資金との数字を見ますと、後者の方が多くなっておりますので、そこに先ほど来いろいろ山中先生、また中島先生の御質問の原因があるかと存じます。これにつきましては、申すまでもございませんが、法律解釈的には先ほど来、法制局から御説明がございました通り、かねがね私ども打ち合わせてやっていることで、法律上の問題はないと思うのでございますが、ただ数字の上を見ますと、出資額の方が多くなっているということに対しましては、私も非常に残念に思っているわけでございます。これにつきましては、ただいま中島先生のお話のような、今後さらに計画そのものを拡大していく、そういういろいろな考え方もできるであろうし、できるならばそういうふうにしていかなければならないのじゃないかと思っているわけでごいざます。
それからもう一つ、数字的にでございますが、三十五年度予算の数字をながめますと、そういうような事情でございますが、これは道路整備五カ年計画といたしまして、必ずしも各年度だけ見ないで、五カ年間を通じてながめる。すなわち、三十三年度から過去三年間にわたって見ますと、ただいまいろいろ御疑問になっております一般財源と出資金の割合は、ただいまのところは出資金の方がかえって相当少ないような状態になっておるということも、一つお含みいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/41
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042・羽田武嗣郎
○羽田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00519600219/42
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