1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月二十六日(金曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 羽田武嗣郎君
理事 堀川 恭平君 理事 南 好雄君
理事 中島 巖君 理事 山中 吾郎君
理事 塚本 三郎君
逢澤 寛君 川崎末五郎君
砂原 格君 徳安 實藏君
橋本 正之君 廣瀬 正雄君
石川 次夫君 岡本 隆一君
兒玉 末男君 坂本 泰良君
實川 清之君 三鍋 義三君
今村 等君
出席国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
出席政府委員
大蔵政務次官 奧村又十郎君
建設事務官
(大臣官房長) 鬼丸 勝之君
建設事務官
(大臣官房会計
課長) 志村 清一君
建設事務官
(計画局長) 關盛 吉雄君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建設事務官
(河川局次長) 曽田 忠君
建 設 技 官
(道路局長) 佐藤 寛政君
建 設 技 官
(住宅局長) 稗田 治君
建 設 技 官
(営繕局長) 櫻井 良雄君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 宮崎 仁君
建設事務官
(大臣官房参事
官) 高田 賢造君
専 門 員 山口 乾治君
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二月二十三日
委員兒玉末男君辞任につき、その補欠として柏
正男君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員柏正男君辞任につき、その補欠として兒玉
末男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員岡本隆一君辞任につき、その補欠として島
上善五郎君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員島上善五郎君辞任につき、その補欠として
岡本隆一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員山本猛夫君及び實川清之君辞任につき、そ
の補欠として大倉三郎君及び坂本泰良君が議長
の指名で委員に選任された。
同 日
委員大倉三郎君及び坂本泰良君辞任につき、そ
の補欠として山本猛夫君及び實川清之君が議長
の指名で委員に選任された。
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二月二十二日
綾瀬川等水防対策強化に関する請願(天野公義
君紹介)(第六一〇号)
特殊土じよう対策事業の推進に関する請願(瀬
戸山三男君紹介)(第六五四号)
五反田駅前の明治道路横断用歩行地下道建設に
関する請願(宇都宮徳馬君紹介)(第六六〇
号)
東海道第二国道建設に関する請願外一件(辻寛
一君紹介)(第六六一号)
肝付川の改修工事促進に関する請願(二階堂進
君紹介)(第六八〇号)
都城市、指宿市間県道の二級国道編入に関する
請願(二階堂進君紹介)(第六八一号)
県道唐津呼子線等の国道編入及び改修に関する
請願(保利茂君紹介)(第六八二号)
県道八戸軽米線市野沢、盛岡間の二級国道編入
に関する請願(三浦一雄君紹介)(第六八三
号)
名神高速道路建設の鉄筋コンクリート高架式採
用に関する請願(江崎真澄君紹介)(第六九一
号)
は本委員会に付託された。
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二月十九日
治水事業五箇年計画の法制化に関する陳情書
(第三八号)
天龍川上流改修促進に関する陳情書
(第四九号)
街路事業及び公共土木施設事業の推進に関する
陳情書(第五〇
号)
公営住宅法の一部改正に関する陳情書
(第五一号)
海岸崩壊の復旧と浸蝕防止に関する陳情書
(第五二号)
十五号台風による海岸及び河川堤防の復旧に関
する陳情書(第五
三号)
木曽川沿岸堤防の完全強化促進に関する陳情書
(第五四号)
治水事業五箇年計画の法制化等に関する陳情書
(第一二三号)
大阪湾の高潮防災対策に関する陳情書
(第一三八号)
公営住宅建設事業予算増額に関する陳情書
(第一四三
号)
東京都中央区沿岸の高潮対策に関する陳情書
(第一四四
号)
中央自動車道建設促進に関する陳情書
(第一四五号)
県道姫路、豊岡間等の国道編入に関する陳情書
(第一四六号)
中央自動車道の早期完成に関する陳情書
(第一四七号)
北九州五市、福岡間高速自動車専用道路の早期
建設に関する陳情書
(第一四八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四八号)
建設省関係重要施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/0
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001・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより会議を開きます。建設業法の一部を改正する法律案、海岸法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。砂原格君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/1
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002・砂原格
○砂原委員 建設業法の一部を改正する法律案について建設大臣にお尋ねをいたします。本案を実施するようになりますと、既存の建設業者に圧迫を加えるような結果をもたらしはしないかと考えるのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/2
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003・村上勇
○村上国務大臣 建設業法の一部を改正する法律案の根本の改正要綱は、ただ単に建設事業に従事しておるいわゆるその従業員の技術検定を行なうということだけでありますので、別にこれによって建設業者を圧迫するとか、あるいは非常に建設事業が困難になるというようなことは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/3
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004・砂原格
○砂原委員 労働省の所管の職業訓練法の制定によって、すでに職種別の技能検定が現在実施されておるのであります。これと類似するような目的を持っておる法律の改正であると思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/4
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005・村上勇
○村上国務大臣 労働省で施行いたしておりまするこの技術能力試験と申しますか、技能者の検定につきましては、これは単なる大工、左官というような、通常に申しますと、職人の技術検定というのであります。建設省で今回改正して技術検定をいたしたいという目的は、それと違う施工技術の検定ということでありますので、この点はいささか違っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/5
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006・砂原格
○砂原委員 第五条第一項第二号の改正を行なうとしますと、今後建設業者の登録は当然ふえてくる。その登録がふえてくるということは、結局既存の業者を圧迫することになる。かように私は考えるのでございますが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/6
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007・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 今回提案されておりまする改正案の中で、第五条の第一項第二号が改正されるわけでございます。従来、法律や命令による免許とかあるいは技術技能の検定、認定等があれば、それが建設工事に関するものであれば当然資格要件になるというのが従来の規定でございます。ところが、建設業法が制定された当時は、あまりこういうものがないだろうということで考えておりましたが、その後登録要件として認めるのにはふさわしくない認定、免許等が出てきました。たとえて申しますと、労働安全衛生規則によりまする溶接工あるいは発破技師、あるいはボイラー及び圧力容器安全規則によりますボイラー溶接士、こういうものが建設業法制定の後に出てきまして、こういうものも登録要件として認めるのはふさわしくないじゃないかということで、こういうものを今回はずして、適当なものは、建設大臣の指定によって認めよう。どういうものを認めるかと申しますと、建築士法による建築士の免許あるいは技術士法による技術士の判定、それから先ほど技能者検定のお話が出ましたが、あの技能者検定による指導員のうち、建設工事に直接関係しておる者、こういうふうな者を建設大臣の指定によって認めていこう、こういうわけでございます。 そこで、従来溶接士と発破技師一人おるだけで建設業の登録を認められておるという事実は、私どもの調査した結果によりますればございませんので、現在の業者には影響はないものと考えます。将来はこういう溶接士、発破技師一人だけで登録を認めるのは適当でない、かように考えて提案された次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/7
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008・砂原格
○砂原委員 今回提案されておりますものでは、こうした機械オペレーターの免許を持っておる者が申請した場合には登録を許さねばならぬということになるのじゃないですか。かりにそういうものができた場合、一人だけいたんでは許可はできないといってみても、法律で許可をすることになっておる場合に、私は官房長の御説明通りに許可することはあり得ないとは言えないと思うんです。そういう意味から言うと、どうしても既存の建設業者に対して相当の圧迫をする結果を招来するのではないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/8
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009・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 実は私どもこの改正をいたします際に、府県に照会をいたしまして実態を調べましたが、先ほど申し上げました溶接士とか発破技師とかボイラー溶接士というような単純な作業についての免許等を受けております者が一人だけで、その資格で登録を受けておるという事実はございませんので、ほかの五条の一号なり三号の資格をあわせて持っておるということによって登録されております。また筋道といたしましても、こういう単純な作業だけで業者の登録の要件として認めることはいかがかというふうに考えられます。
ただ、お話のオペレーター等で、今後この改正によりまして施工技術の検定をパスしたオペレーター等、あるいは労働省の技能者検定を一級で合格した技能者等につきましては、それが建設工事の施工技術を相当持っておる、適当な能力を持っておると判定されるものは、この要件として大臣の指定をして参りたい、かように考えておる次第でございまするから、事実上今後既設の業者を圧迫する結果にはならない、またならないように留意して運用して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/9
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010・砂原格
○砂原委員 この際、私は大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。むしろこうした部分的な改正をおやりになるよりも、建設業法の第五条というものを大幅に改正をなさる御意思はないものか。と申しますのは、現在、昭和三十三年において登録を受けております業者の数は約七万余りあり、しかもこれだけの数を持っておりながらも、この業界は非常に簡単に登録を受けることができる。たとえば一つの登録を持っておった会社が不幸にして解散でもするということになりますと、その会社の専務とか常務とかいうような幹部級の連中が二、三人集まって、すぐまた会社を設立して、新らしく登録をするというようになって、建設業それ自体がまことにどうも生まれてはつぶれ、つぶれては生まれるというような結果になるのがたくさんある。しかも私は、世界の中の文化の一番先端を走るものは建設業者であると考える。このいわゆる近代科学を取り入れた設計の指導によって業者がこれを建設していくのであります。そういう先端を走るものが、非常に根が張っておらない。しかも、その根が張っておらないだけでなくして、またこうしたものを育成するということについて政府自身も真剣に私は考えられておらないのじゃないかというような感じがいたすのであります。たとえば公共事業の線で一般に入札に付せられますものを考えましても、建設省の中にはいわゆる門外不出の階級の制度が設けられておって、たとえば業者をA、B、Cに分けられて、そのA、B、Cの段階の中で指名が行われる場合がある。こういう場合に、現在国内の大企業と称せられますいわゆる十社ばかりの大企業者——国の公共性を帯びた事業の七割程度までは十大業者で施工をしておる。そうすると、七万数千の業者がおる中に、その大物が全部の七割なら七割までのものを消化して、残りの三割程度のものを七万近い中小、ことに小の部分に属する個人企業のものたちが、アリがえさにたかるような格好で非常な争いをして、この仕事をしておる。こういう事実を見ますときに、もっと国自身が建設業というものに対して真剣にお考えになって、特に中小企業の育成の方面から、この問題に大臣は真剣に取っ組んで、お考えをいただく気持はないか。大企業の場合は、天井知らずの底なしという立場で現在は事業を行なっておるわけであります。天井知らずの底なしという表現は、大企業は何十億のものであろうと、当然入札に入り、施工する能力を持っておる。底なしの方はA、B、Cにお分けになっておる中でも、そのAの地帯には一応底の方に線がなければならぬのに、天井はなしに底なしになると、下の方の部面までどんどん進出してきて、中小企業を圧迫しておる事実は私は否定できないと思う。こういうことであっては、いつまでたっても、この建設業界のものがほんとうに業界発展のために活動をし、奉仕をするということは私は不可能だと思う。
一例でありますが、たとえば大企業の会社が全国に支店網を張って、その支店網を張っておる場合には、そうしたときの大企業の連中が、十人の指名者の中に四、五人入っておると、中小企業のものの線に対してはその仕事を取らせないような工作をやるのです。そうして、中小企業者と入札をする場合には、無理な受注をさすというようなことがだんだん起こっておるのであります。また、これは何も建設省がそうだというのじゃございませんが、そういう大企業の中には、役所の方のかっての優秀な技術者とかあるいは相当地位のおありになった、にらみのきくような人が、そういうときには大企業のところへ退官の後には必ず入る。入札ごとがすべてなれ合いことになってしまうというような結果が招来しつつあるのではないか、こう思うのです。こういうことでは公平適切な、特に今日社会保障などというような法律まで作って、国民に保護を加えておる時代に、こうした中小企業に対する面なども、もっと積極的にお考えになる必要があるのではないか。
一例でございますが、大企業の株式なんかの表をとってみますと、これも一つの例でございますが、舗装工事をかりにやるとするなれば、何といっても国内における舗装では、みずから最高権威者という日本舗道などというものは、どこへいっても伸びておる。その日本舗道の株式は、現在でも株式の相場が、五十円の株が五百六十九円もするというような優秀なものです。これらが持っております舗装では、一番必要なものとして、フィニッシャーだとか、ローラーだとか、プラントとかいうようなものがそろえば、パテントを持っておるもの以外の場合には、大体今日の日本の国内におけるところの舗装技術を持っておれば、ほとんど施工することができる。そういう設備を持った、支店網を張っておる店は、たとえば五千万とか一億とかいうような仕事の方へはどんどん有利にとっていく。その仕事は何も五千万、一億の仕事の量にならなくても、それを二つか三つかに切り分けていきさえすれば、一千万とか一千五百万とか、二千万とかいう程度にやるのでありますから、地方業者でいくらでも施工ができるはずであります。それを、ことさらにそういう大企業がとるような仕事だけは区切らないで、大きくして入札に付する。お前のところは設備がないのだから設備をしろ、フィニッシャーを買えとか、ローラーを買えとかいうようなことを要求されて、それだけの機械を整えてくると、お前のところは能力の点において力がないというので、七、八百万程度の仕事でおさらばさせられるというようなことになると、機械設備はさせられたが、実際の施工のときには、いいところは大企業がその上前をはねてしまうというような状態であっては、いつまでたっても国内の中小企業者が成長することはないと私は思う。
だから、こういう問題については、もっと政府自身が中小企業を育成して真剣にこれを育てていくのだというお考えをお持ちであるかどうか。そのお考えをお持ちであるとなれば、具体的にどういうような方法を今後考えていくのかというような問題について大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/10
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011・村上勇
○村上国務大臣 請負業者の登録要件の改正につきましては、非常にめんどうなので、今、中央建設業審議会で検討いたしております。従って、今ここで私どもがこうあるべきだというようなことをはっきり申し上げても、これは中小企業のためになるだろうと思って私がお答えしても、あるいは中小企業のあらゆる角度から検討すると、ためにならぬのじゃないかという場合もできてくるし、ただ単に大企業を育成強化するというようなことは、政府としては考えていないのですけれども、しかし従来の伝統ということだけでなくて、いわゆる企業の力というものがその事業の重要性というものに適合するということでは、比較的大企業は適合していく。これならまかしても安心だというような度合いが、非常に大企業の方が安定感があるので、自然にその方面に指名が多くなっておると思います。しかし、ただいま御指摘になりましたように、それが七割は大企業で三割が中小企業だというような比率は今日では相当改善されまして、大体フィフティ・フィフティになっているということであります。ただいまの御意見の中にありましたが、たとえば大企業の出張所あるいは支店等を各地方に出すことはどうか、そうして五億とか十億以上の仕事ならともかくも、あまり小さな中小企業でやれる仕事にまで大企業が入ってくるということはどうも好ましくないのじゃないかというような御意見もあります。これはごもっともな点もありますが、しかし今デパートでこれをたとえてみますと、三越なら三越は、これはいわゆるあの種の企業の大企業でありますが、三越でもやはり針を売っているんだ、高級品ばかりは売っていないというようなことから、どうしてもいろんな仕事に関連を持っておりますので、今直ちにこれを御指摘になったような方向に持っていけるかどうかということについては、大へん困難があろうと思うのであります。従いまして、登録要件の改正につきましては、目下中央建設業審議会で慎重に検討いたしておりますので、いずれこの結論が出ましたならば、ただいまの第五条の改正等も行なわれるものと私は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/11
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012・砂原格
○砂原委員 もう一つは直営工事の問題であります。直営工事に対しましては、かつて昭和三十三年十二月二十二日に、「直営、請負より非能率」というので朝日新聞に載っておったのですが、「行政管理庁、道路工事改善で勧告」というのが出ておるようでございます。直営工事をおやりになることはけっこうでございますが、先ほどから申し上げましたように、一般の業者自身も、仕事の量からいいますと、中小企業の線なんかは今非常に困っておる。この中小企業の困っておる連中を救済する意味からいっても、建設省は機械等の設備は何といっても大きな資本を擁するのでありますから、国が持っておるそういうものを一般の業者に貸与して、能率を上げさせる方法をとるというようなお考えをお持ちであるかどうか、これも伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/12
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013・村上勇
○村上国務大臣 中小といい、あるいは大企業といい、直営工事をできる限り業者に施工せしめるということは、私も同感であります。と申しますのは、結局経済企画庁あるいは行政管理庁等の意見を待たなくても、これは私ども常識からいっても、とにかく直営工事というものは非常に不経済であるということは、はっきり言えると思うのです。従って、昔のように業者の技術が非常に幼稚な時代には、重要な部分についてはどこまでも直営でやって、経済というものもある程度度外視しなければならなかったのでありますが、業者の技術あるいは業者の工事に対する考え方というものが非常に変わってきている今日では、私は直営で施工しても、あるいは業者が監督を受けて施工いたしましても、何らその仕事のできばえには変わりはないと思うのでございます。むしろ業者でやる方が、早く、よく、安くというこの三点にかなうのじゃないか。よくという点では同じであろうと思いますけれども、早く、安くという点は、むしろ直営工事よりも請負工事の方がこの線には十分沿い得ると思う次第であります。従いまして直轄工事等につきましては、たとい業者にその一部の機械類、資材等を貸し与えてでも今日施工いたしておるのでありますから、だんだんと直営から業者に切りかえて参っておりますので、その点、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/13
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014・砂原格
○砂原委員 奥村政務次官がお急ぎのようでありますから、ちょっとその方に関連をしたことをお尋ねをさしていただきたいと思います。
道路整備の五カ年計画に対する再検討を大臣はせられて、私はむしろ本年度で前の五カ年計画というものは打ち切りをせられて、さらに本年度からこの一兆円のワクを拡張してせめて二兆円ぐらいにして道路網の計画をお立てになる御意思があるかどうかということをまずお尋ねをしたいのであります。
それと、奥村政務次官にお尋ねをしたいと思いますのは、このガソリン税による道路計画をわが党で立案計画をいたしました。業界の者は大きな反対をし、圧力をかけてきたのでありまするが、がんとしてわれわれはこの政策をとらなくてはならぬというので、ガソリン税をもって一兆円の道路計画を立てたわけなのであります。ガソリン税の伸びというものは三%ないし四%程度をその計算の中に入れておったのでありますが、一四%も伸びるという非常に高率な伸びを示してきた。そのときには党政調の方と、かつまた大蔵省の方との考え方も、話し合いの面においても、五カ年計画の間に少なくとも五百億の一般会計からの支出はするというお考えであったように私たちは記憶しておるのであります。それが当初百四億程度の予算を一般会計からお出しになっておったのが、いつの間にか補正予算の方では八十八億に減額されておる。それでガソリン税が九百六十億余にも膨張をするという見通しがつくと、三十五年度の予算に対しては二十四億程度しか一般会計からの支出をしておられない。まだそのおまけに、ガソリン税の収入から道路公団とかその他の出資を六十億も支出さしておる。こういうことは私は少なくとも大蔵省はわれわれから見るとインチキ予算の編成だ、けしからぬことだと思うのであります。なぜもっと一般会計からこれを出して、目的税たるガソリン税というものを有効適切に使わせないのか。こういう点については、少なくとも本年はずいぶん村上建設大臣も御努力になっておるようでありますし、また委員の各位も非常に努力をせられて、一応来年度の分はおさまりがついたのでしょうが、少なくとも三十六年度からは、一般会計から百億程度の金は当然出して、目的税たるガソリン税をほんとうに生かしてもらいたい。こういうような方法が、私はとっていただきたいと思うのであります。
さらに、このガソリン税に対しては道路局長さんにもお聞きいたすのでありますが、ガソリン税によって一級国道だけがやるということは、私はおかしいと思う。少なくともガソリン税の負担をいたしておりますものは、林道、町村道、あるいは府県道の線に至るものの負担をするものが相当私はあると思う。こういうところのガソリン税を負担しておるものが大きな負担であると考えるのでありますが、これには全然恩恵に浴さしておらない。そんなことでは税の公平な利用にはならないと私は思うのであります。特に不愉快に思うのでありますが、ガソリン税を払って、公団の方へ出資までして有料道路のところでさらにその使用料を払って通るのであります。そうすると、ガソリン税を負担した上になお使用料を支払うということになると、ガソリンの消費者というものは二重にも三重にも負担をしなければならぬというような、私は不合理な問題が起こってくると思うのであります。特に私は、この問題については町村に至るまでの府県道、あるいは町村道に対してもガソリン税の余恵を受けせしめるという方法をとってもらいたい。このことを特に私は強く要望するわけであります。
奥村政務次官にお願いをいたしますことは、一般会計からもっと金を出されて、実際に国の産業の発展ということになりますと、何といっても道路網の完成ということが、私は国の産業を興こす上においても一番必要な必須の条件だと思いますので、一般会計から出資することに対して現在のようなあり方の予算編成をなさらないように、明年度の予算編成、明後年度の予算編成にあたっては、一般会計から相当額のものを出されて、二十億、三十億、五十億出してもまだガソリン税の方から出資金まで取り上げるというようなことのないように。さらにオリンピックの問題もございますし、今後道路行政については、建設大臣も相当三十八年度までにやらなくてはならない東京都内の問題等もあると思うのであります。予算の編成にあたって国情のいろいろな点からお考えになりましたときに、最も適切な支出をしたのだとおっしゃられるだろうと思いますが、われわれ納得のいくものではないのであります。目的税は目的税たるの意義ある使途をお定め願いたいと思う。特に建設大臣には、本年度までの五カ年計画を一応本年度で打ち切って、明年度からはさらに五カ年計画の一兆円道路計画、二兆円道路計画というような大幅な計画を立てて、ガソリン税の目的税の伸びとにらみ合わせて、この道路政策をお立てになる御意思はないかどうか、この点をお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/14
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015・村上勇
○村上国務大臣 お答えいたします。道路の五カ年計画は、すでに三十五年度で第三年目に当たりますが、ただいま御指摘のように、オリンピックとか、あるいはまた最近の道路交通の輻湊等にかんがみまして、私どもとしては大体今年あたりこの五カ年計画の規模を相当拡大する必要があろうと思っております。そのことにつきましては目下検討いたしておりますが、関係各方面と協議の上、何とかこの五カ年計画の規模の拡大をはかりたいと思っておる次第であります。
それから、一般会計においての今年の二十数億につきましては、いろいろと御意見があることと思います。これは大蔵省の方で答えられるのが適当かと思いますが、実は先般分科会で山中委員にお答えいたしたのでありますが、私どもとしても、どうしても各公団に出資をする金は一般会計で支出してほしいということを強く要望いたしたのでありますが、しかし何と申しましても、今年は大台風の復旧事業費等が非常にかさみまして、大蔵当局としても非常に財政支出に困難を来たしておったような次第であります。五年間を通じますれば必ずこの点については当初の計画通りにいたしたいから、今年は、決してこれを例にするわけではないが、一つこれで何とかまかなってほしいというようなこともありまして、一応これで了承した次第でございます。この点に関しましては、そういう御意見が当委員会等においても出ることを私どもかねがね非常に心配いたしておったのでありますが、ただいま御指摘になりましたような、公団出資金を一般会計でまかなうことができないという点については、これは今後われわれは三十五年度を例としないということを大蔵当局にも話してありますので、次年度からはまた十分に考えて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/15
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016・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 特にお名ざしでありますので、私からもお答えを申し上げます。大体三点のお尋ねかと存じます。
まず第一点は、道路五カ年計画をこの際改訂してもっと規模を大きくすべきではないかというお尋ねでございます。ただいま村上建設大臣からお答えになりましたように、建設大臣としてはいろいろ検討中の模様であります。大蔵省といたしましては、現在の五カ年計画は、御承知の通り昭和三十三年度から始まりまして昭和三十七年度まで一兆円ということでやって参りましたので、この一兆円の五カ年計画にしても、この計画策定のときは、いわゆる新長期経済計画において、初め大体総額六千六百億から九千五百億くらいな線を出しておったのを、思い切って一兆円と踏み切ったので、来年の三十六年、再来年の三十七年のこの二カ年間をもって一兆円の計画をりっぱに達成して、次にまた新たに大きな計画に発足したい、かように考えておるのであります。これは財源関係もいろいろあるのであります。しかし今建設大臣からお話のように、非常な交通の錯綜から、これではいけないという声もあります。また一方に、いわゆる所得倍増計画もだんだん具体化する機運でありますから、そういうことが具体化していくにつれて、道路の方も新しい角度でまた取り上げるということに相なりますならば、また改訂することもあり得る。かように考えますので、私の立場とすれば、この計画の問題についてはこれ以上はちょっとお答えいたしかねる、こういうことで御了承願いたいと思います。
次いで、一般会計からの繰り入れが特にことしはわずか二十五億円である、少な過ぎるというおしかりでございます。これも今、建設大臣が御答弁の通り、一応建設大臣にも御了承いただいて、これはことしだけで、これを将来の例とはしない。財源の余裕があれば将来はまた考え直すということで、昨年は御承知の経済基盤強化基金から百億円というものを一気に繰り入れましたので、やりやすかったのでありますけれども、ことしはそういう金もない。こういうことでございます。
そこで、これに関連して今の御質問は、一体ガソリン税の収入をいろいろなところへ出しておるし、また出し足らぬ。市町村道路にも、また林道などにも均霑させるべきじゃないか。一方において、それには出さずに有料道路などに出しておる。これはそんなところへ出すべきじゃない。こういうような御意見のように承ったのであります。決して私は議論を申し上げるつもりではございませんが、しかしこれは大事なことですから、大蔵省としての考え方を一つのみ込んでいただきたいと思いますのは、市町村道路の整備ということについては、申すまでもなく地方財政法に基づいて市町村の責任である。しかし、これに対しては、特に財政の苦しい市町村に対しては、いわゆる交付税でもって、こういった道路の整備費も交付税で総額で渡していく。こういうことでやっておりますので、そこへガソリン税も持っていくということになりますと、交付税とのにらみ合わせということが非常にややこしいことになる。地方団体の財源調整という問題にもからんでくるので、こういうことはなるべく避けまして、一方において有料道路にガソリン税の収入を充てるのはどうかということでございますが、これも政府から出しておくならば、これは無利子でありますから、有料道路会計全体としては資金コストも安くなる。そしてまたそれが回収されるならば、また新しい有料道路に支出していくということでガソリン税収入の使用の目的にかなう。これは道路整備特別措置法にも規定してあることでございます。もっとこれの収入を見ていきたいというふうに思っております。これは御承知の通り、私、政務次官になる前にも、大蔵委員会でガソリン税の税率という問題についてずいぶん苦心しておりました。幸い当委員会においては御協力をいただいて、現在は四千四百円ということでありますので、どうにか政府の計画より上回った収入を示しております。これは全部ここへ充てていく。こういうことでありますから、大蔵省の苦衷のほどもお察しいただきまして、できるだけ御趣旨に沿うように今後やって参りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/16
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017・砂原格
○砂原委員 もう一つ、希望だけでございます。なるほど市町村に対する交付金によって考えてあるということでございますが、これがまことに、実際を言いましたら、あるいはなんです。この面は、私たちが地方議会におりますときなどでも、内容を調べてみますと、とにもかくにも、交付金というものはなかなかわからないのです。いろいろなものを取りまぜてありまして、やはり適切なつまみ金のような格好になっておるので、そういう意味で、こうした地方道などは当然自分の力においてまかないをつけなければならないのであるけれども、地方財政というものは困窮しておる。しかし、実際にはガソリン税を払っておる車が一番そうした道路をいためておる。いわゆる破損をせしめるような交通量はそういうところに多い。だから、それが一級国道だけにつぎ込まれるような結果になることはおもしろくないというふうに考えておるわけです。時間がないようですから、私は一応この程度で打ち切りますが、ただ、ガソリン税を払うものは二重の負担をしておるのではないか。いわゆる有料道路の使用料も払い、ガソリン税も払いというような結果になりつつあることだけは、いなめない事実である。この点をお考えいただいて、明年度からの一般会計からの支出に対して、もっと責任のある方法をとって、道路網の完成を期していただきたいということを希望いたしておきます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/17
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018・羽田武嗣郎
○羽田委員長 砂原君に申し上げますが、奥村政務次官は地方行政委員会で、もうとぎれてしまっておるらしいのですが、もしほかの御質疑があれば、続けてやっていただいてけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/18
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019・砂原格
○砂原委員 それではもう一つ、建設大臣にお伺いをいたします。
高速道路その他の道路の事業を完遂していきます上において、現在の土地収用法では遅々として事業は進まない。このままでおやりになったのでは、やはり同じ結果を繰り返すことになるのではないか。予算は確保しておりながらも、事業は進展しないというのが事実であります。この土地収用法を、もっと公益優先の意味から強化して、これを大幅改正するというような御意思があるかどうか。また、この大幅改正を今議会においておやりになるかどうか。これは先ほどから申しますように、オリンピックの問題等もからみまして、こういう状態でおやりになっておったのでは、おそらくそのときに間に合わぬのじゃないか。このままでは、どうしても間に合わぬのじゃないか。だから、公益優先の意味から、この土地収用法を強化するという改正を提案せられるかどうか。この点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/19
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020・村上勇
○村上国務大臣 公共事業の用地取得につきましては、御指摘の通り非常に困難な個所もある次第でありまして、私どもは今後の道路、河川、あらゆる公共事業の用地取得につきまして、現在の土地収用法では、どうもいささか物足りない点があろうと思います。従いまして、この三十五年度予算の中に計上しておりまするいわゆる公共用地取得制度調査議会というものを設けまして、これによって十分御審議を願って、これが立法化の方向をとりたいと思っております。ただ、予算の審議とそれから今国会の会期というものから、はたしてこの国会中にその法案が制定できるかどうかということについては、ただいまのところ、まだはっきりお答えできませんが、ともかくもできる限り急いで、この隘路打開のための法案を提出いたしたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/20
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021・羽田武嗣郎
○羽田委員長 兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/21
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022・兒玉末男
○兒玉委員 時間がありませんので、きょうは治水問題について質問したいのでありますが、特に緊急な問題として発生しております、大分、熊本両県にかかる下筌ダムの問題について、大臣並びに局長にお伺いしたいと思っております。なお、法的その他の問題については、あとで坂本委員の方からも御質問されるそうでございますので、私は一般的な問題について二、三点お伺いしたいと思っております。
まず、新聞、ラジオを通じて報道されておりますように、地元民が猛烈に反対をいたしておるわけであります。特にダム建設については、相当の用地、人家、その他その地域の住民の財産等にきわめて重大な関係を持っておるわけでありますが、このように地元民が反対する根拠にも多くの、何といいますか、同情すべき余地がたくさんあるわけです。特に河川局長としては、このダム建設に関する問題について事前に地域住民の理解を得るための努力あるいは調査、それらの点についてどのような措置をとってこられたのか。この点について見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/22
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023・山本三郎
○山本(三)政府委員 お答えいたします。これらのダム地点につきましての調査は、御承知かもしれませんが、昭和三十一年から続けておるわけでございまして、実は、三十一年当時におきましては、地元の方々も御協力をいただきまして、測量等ができたわけでございます。その後、三十三年度から実施計画調査ということで予算がつけられまして、三十四年度も引き続いてやっておるわけでございます。その間におきまして、いろいろと地元の方々に御説明をいたしまして、御納得がいただくような努力をいたしたのでございますが、初めのうちは、今強硬に反対をされておる方々も非常に協力的でございましたけれども、途中から、何かのいきさつがございましたか、はっきりつまびらかにいたしておりませんけれども、途中から強硬な反対に変わったわけでございます。その後におきましても、絶えず地元の方々に計画等の説明をいたしますし、また御協力を依頼しておるのでございますが、大多数の方々は、いろいろ説明会にも御出席をいただきまして、いろいろ御意見を述べられておるわけでございますが、一部の方々は説明会にもおいでいただけませんし、また会見をお願いいたしましても、お会いできないというような状況でございまして、非常に当事者といたしましては、困却をいたしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/23
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024・兒玉末男
○兒玉委員 そういうきわめて条件の悪い困難な地域に、無理にこのダムの設定をしなくても、ほかの地域に変更するとか、そういうことはできないのかどうか。それから、聞くところによりますと、もう一つの支流であります玖珠川でございますか、この方がはるかに水量も多い。そういう点から、このダムの目的が、いわゆる筑後川の流量の調節ということによって下流地域の水害を防ぐというのが目的だとするならば、むしろ水量の多い玖珠川の方がより効果的ではないか、こういうふうなことも言えるわけですが、聞くところによると、それが何らかの形によって、今のところに変更になった。このようになったことは、やはりそういう科学的な根拠に基づいてなされたのかどうか。その点について見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/24
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025・山本三郎
○山本(三)政府委員 この問題につきましては、御承知のように、昭和二十八年に筑後川に大水害がございまして、これの被害がまことに激甚でございましたために、筑後川の洪水対策を至急検討しなければならぬという立場に立たされたわけでございます。下流の河川を安全にするためには、どうしても上流地帯に洪水の調節をしなければこの処置はできないという結論に到達いたしまして今仰せになりました筑後川の——筑後川は、上流は玖珠川と大山川の二大川が日田地区において合流いたしまして、下流にいっているわけでございますが、玖珠川も大山川もほとんど同じくらいの規模の川でございまして、御説のように両方にダムを作ることができますならば、非常に有効適切に洪水の調節ができるわけでございまして、当初におきましてはそういう観点に立ちまして、大山川、玖珠川の両川にわたりましてダムの候補地点を物色いたしたわけでございます。それは二十九年当時から本式にそういう調査を進めまして、当初におきましては、十数カ地点の候補地点がございましたが、それがだんだん地形、地質等の条件に縛られまして、六カ所に減り、それがさらに三カ地点にしぼられ、しかも調査の進むに従いまして、地質等の条件から、高いダムを作ることの方がさらに下流に危険を及ぼすという心配がありますものですから、慎重に地質等の点を研究いたしまして、最後にやむを得ずこの松原、下筌という地点によるよりほかないという結論に到達したわけでございます。この二カ所のダムによりまして筑後川の洪水八千五百立方メートルのうち二千五百立方メートルを調節いたしまして、下流の流量を六千立方メートルに調節いたしまして、この流量を河川の改修によりまして安全に海に流下させよう。こういうことに計画をいたしておる次第でございまして、そのほかの地点ももちろん十分に調べたわけでございますが、やむを得ざる事情によりましてこの二カ地点によるよりほかないということに決定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/25
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026・兒玉末男
○兒玉委員 私は今の局長の説明で多少わからないところは、玖珠川の方のこのダム設定について、どういう点が科学的に困難であるのか。その点をもう一ぺん一つお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/26
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027・山本三郎
○山本(三)政府委員 玖珠川の詳しい資料はただいま持ってきておりませんが、あの地域におきましては御承知のように、地形も非常に平坦でございまして、ダムを作るような地形的なところはございますけれども、地質が非常に悪いという点と、さらに補償物件も非常に多額にわたりまして、御承知のように、幾らでも金をかけてやるということになれば、もちろんこれは不可能とは申しませんけれども、おのずからそれらの点につきましては限度があるわけでございまして、そういう点からやむを得ずそれらの地点は破棄するような状況になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/27
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028・兒玉末男
○兒玉委員 今度のその二つのダムの設定によって、約二千五百立方メートルの流量調節ということを言われましたが、私の今までいろいろ資料を見たところでは、今度の治水十カ年計画の中において、木曽川だとかあるいは筑後川、利根川等の河川改修が大幅に取り上げられておるわけです。その場合の流量については、毎秒大体一万二千立方メートルまでは耐え得る、こういうふうな計画のもとになされておることが資料に出ております。今までの最大の量というのは、一万七千立方メートルの流量になるということで、当初の五カ年計画でも十分な設備はできないというような見地から考えますと、今、局長の言われました下筌と松原ダムの二つが完成しましても、やはり今後何年か先に起こり得る豪雨に対しても、ほとんどその効果が期待できないのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。ですから、ほんとうに治水対策という立場から考えるならば、今九州開発の一環として問題になっておるところの筑後川水系を利用して、北九州方面の工業用水対策という、もう少し大規模な立場からの治水計画というものを再検討すべきではないか、私はこのように考えるわけです。ですから、将来にわたる十カ年計画を通じての中から、こういう問題の起きている地域を避けて、もう少し大規模な形における計画というものを考える必要があるのではないか。このように私は考えるわけですが、これに対する御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/28
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029・山本三郎
○山本(三)政府委員 ただいまのお話でございますが、われわれが計画しておる対象の洪水量といいますのは、明治以来のいろいろの統計によって調べておるわけでございます。筑後川においては、明治時代にそれに匹敵するような洪水が一ぺんございましたが、これ以上の洪水が絶対にないということは、天然現象でございますので、われわれとしても確言はできないわけでございますが、昭和二十八年にあれだけの大災害を受けた大洪水でございますので、その洪水に安全であるような程度の河川の治水対策を立てるということを目標にしたわけでございます。このダムが完成いたしますれば、二千五百立方メートルの調節ができるわけでございますので、下流部分の改修は、主として現在できておる堤防を補強いたしますれば、安全に流下できるというふうなことに相なっておるわけでございます。
それから、利水対策の問題でございますが、もちろんこれらのダムを作るに際しましては、それらの点を十分勘案いたしまして、計画を立案するわけでございますが、これ以上ダムを作りましても、貯水量をよけいに得られるということはなかなかむずかしいわけでございまして、現在の状況においては、二つの地点にわれわれとしてはできるだけ大きなダムを作って、最大限の調節をいたし、しかも利水にも資して参りたいというふうに考えておるわけでございます。このダムを作りますならば、洪水の調節ができると同時に、下流の渇水の補給にも役立つわけでございますので、これらの水をどの地方にお使いになるかは今後の問題でありますが、そういうふうな利水面におきましても、大いに役立つものであると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/29
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030・兒玉末男
○兒玉委員 時間がありませんので、最後に大臣にお尋ねしたいと思います。
聞くところによりますと、一時警察権力を行使してもその調査を強行するという、非常に険悪な状態が伝えられておったわけでありますが、昨日の新聞によりますと、そういうふうな調査については、来月に延ばすということが出ておるわけであります。しかし私は、このダムを建設することに決して反対するわけではないのでありますけれども、やはり地域住民の生活権の問題、あるいは永年住んだ自分の土地を放棄するということは、これはきわめて大きな問題でございまして、これらに対してものを言わせず警察力等を使ってやるということは、われわれは絶対承服できないわけであります。そういう点については、特に大臣は自分の地元のことでありますから、それについてはもう少し理解と納得のできる、だれが見ても妥当だというふうな、最善の努力を払うべきではないか、このように考えるわけであります。また同時に、地理的な条件その他についても考えられれば、ここは、しゃにむにやらなくちゃいけないという性格のものでもなかろうと思います。そういうふうな広範な立場から、大臣がこの問題に対処していただきたい。こういうことを考えておるわけですが、大臣の見解を一つ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/30
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031・村上勇
○村上国務大臣 個人の所有権に対して、たといそれが公のためであったとしても、これを問答無用で押し切っていくようなことは、私どもとしては断じてとってはならないと思うので、これはただいま兒玉委員の御意見と同じであります。この下筌ダムの地点は、今、河川局長から、るる御説明のありましたように、この地点にかわるべき地点がありますならば、われわれとしては、どういう措置でもいたしたいと思います。しかし、どうしてもこの地点でなければ、ダム・サイトとして適当なものがないということになりますと、少数の方にはまことにお気の毒でありますけれども、曲げて一つ御納得いただかなければならないと思います。
警察権を、乱用ではないでしょうが、使って、そして有無を言わさず実測にかかるということについても、私ども、こういうことを当初から考えてやろうという気持は、前もなければ、今日でもない次第であります。ただ、この点に関しましては、警察側で、現し地の人たちの心構えとでも申しますが、反対の熱度が非常に高まっている。そこで、建設省の係官が測量に入ろうとすれば、相当な危険があるのじゃないかということを考えておられるようでありますが、これも私はできるだけ避けたい、かように思っております。ただ、先祖の墳墓の地を水没させたり、あるいはまた公共の用に供することは、実に忍びがたきものがあると思います。しかし、そうだからといって、それでは何も手をつけないで、建設省がじんぜん日を送るということもできない。と申しますことは、下流の数十万の人の生命、財産ということを考えますと、これらの人たちに何ら被害を及ぼさないという保証がありますならば、たとい一個人のものであろうとも、これをお願いはしないつもりです。けれども、下流の数十万の生命、財産が危険にさらされておるという現状にかんがみて、どうしても御納得をしていただきたいのであります。反対される人の御胸中、お気持もよくわかります。たといつけもの石一つでも、先祖がそこへ置いたものを動かすことは、これは忍び得ないものがあることもよくわかります。しかしながら、それが何十万の人のためになるのだということになれば、またもって、そこには十分な御理解ができてくるのじゃないか。こういうことを私は考えております。幸い社会党の方々が、このお忙しいときにせっかく調査団を派遣されて、そして非常に綿密に御調査を願ったということを承りまして、私は非常に感謝いたしておるところであります。決して手荒なことをいたす考えはありませんけれども、室原さんですか、当事者が、だれが行ってもほとんど会ってくれない。建設省の者が何べん参りましても、もちろん会ってくれない。私は熊本県知事にもお願いして、寺本知事も参りましたが、お会いできなかった。あらゆる人が入れかわり立ちかわりこの問題で参りましても、この問題でお伺いした人は、たといその方が非常に仲のいい代議士さんであっても会ってくれないというようなことを聞き及んで、内心まことにどうも遺憾に思っておる次第であります。これと申しますのも、何か——初めは非常に協力的であった。ところが、途中から変わったというのでございますから、何かそこにわれわれの方にも感情のもつれを生ずるような原因があったのじゃなかろうか。こうも考えておりますが、相手方は非常に徳望家で、教養もあり、非常な資産も持っておられる方で、決してわからぬ方ではないと思っております。従って、今回せっかく社会党の方々も御調査願っておるので、皆さん方からも何らかの御意見を承った上で適当な処置をいたしたいと思っております。
ただ、建設省としては、玖珠川の話も出ましたが、玖珠川にいたしましても、その他の地点にいたしましても、あの地点を除いて他に適当な候補地がないということになりますれば、私どもはここで断念するということは、これは下流数十万の人たちのことを考えますれば、どうしてもできないのでありますから、御了承の上、何とか御協力をむしろ私の方からお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/31
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032・羽田武嗣郎
○羽田委員長 坂本泰良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/32
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033・坂本泰良
○坂本委員 実は私は、社会党の九州総合開発の特別委員会から現地調査に行ったわけです。行きますについては、建設省の方が非常に強引で、裁判所には二月四日に妨害排除の仮処分の申請をしておる。そうしてその仮処分の決定を持って、反対する者を公務執行妨害で引っくくる。さらに強制測量並びに強制試掘、試錐を強行する。これには強力な反対があるから警察権を頼まなければならないということで、二月十二日に下筌警備の打合会——これは新聞に出ておった通りでありますが、こういう打合会が熊本、大分、福岡の三警察関係でなされ、小国にその警備の前線本部を置き、警官三百人を動員して強引にこれをやるというような状態になりまして、現地に参りますと、なかなか深刻な、単にダム反対でなくて、社会問題になっておる。こういうような関係で現地に行ったわけであります。二、三建設省の御意見も聞き、反対のところへも、幸い例の蜂の巣のとりでの中にも初めて入りまして、報道機関の方も了解を得て一緒に会ってきたわけであります。
そこで、今大臣が御説明になったのですが、最初は大山川と玖珠川が合流する久世畑に一カ所やれば二千五百立方メートルのものができるということで、ほとんどその計画を立てて、地質の調査をしたら、地質の関係でダム・サイトが高くできない。しかし、これは全然高くできないというんじゃなくて、金をかければできるということなんです。現在松原・下筌の計画は百十八億の計画だそうでありますが、大体その倍もかければ久世畑一カ所で済む。結局経費の問題なわけです。
もう一つは、水没家屋が片方の久世畑の方は五百幾戸。下筌・松原の方は三百戸余り。だから百五、六十戸少ない。大きい理由はこの二つで、久世畑をやめて松原・下筌に変更したというようなことも聞いたわけです。
その前に、久世畑で玖珠川と大山川の二つに大きい川が分かれているわけですが、玖珠川をはずして大山川の方に持っていったことについて、何ら科学的あるいは具体的調査をされた根拠がない。それが反対の大きい理由になっておるわけです。それと、洪水は玖珠川の方が多くて、大山川の方が少ない。ただ、二十八年の洪水の際は、気流その他の関係で大山川の方が多かった。一般としては玖珠川の方が多い。それをどうして玖珠川の方は全部はずして、大山川の方に持っていったか、久世畑と松原・下筌の関係ですね。われわれは両方から説明を聞いたので、しろうとなりに判断しますと、経費の関係ならば久世畑でいいんじゃないか。いろいろと久大線の鉄道の関係があって、そっちの方から意見が出て大山川の方に持っていったとか、その他いろいろありますが、大きい点は、久世畑か両ダムかという関係にあるわけなのですが、それを変更された理由について、ただ地質の関係だ、地質の関係は費用の関係だけだ。こういうことになるわけですから、こういうふうに最後にしわ寄せされた点について、建設省側の九地建の説明においても、その科学的根拠とか、ぜひともこっちにしなければならぬ、片一方はどうしても工合が悪いのだというのは、ただ工合が悪いのだということだけであって、その工合が悪くなった根拠が不明確なんです。ですから、その点を一つ最初に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/33
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034・山本三郎
○山本(三)政府委員 その点につきましては、先生、現地においでになりましたので、地方建設局からいろいろと御説明をいただいたと思いますが、今おっしゃいましたように、久世畑ダムというのはなるほど候補地点でございまして、これは先生は今玖珠川と大山川の合流と申されましたけれども、これもやはり大山川でございまして、合流点より川目になっている地点でございます。当初はこの地点は、一カ所ダムを作りますと相当の洪水の調節量がございますので、地形上は貯水池の状況からいいますと非常によろしいという見当をつけまして調査をいたしたわけでございます。今ここに詳しい資料は持ってきておりませんけれども、この地点はやはり噴火によりまして堆積をいたしました地帯でございまして、地質的に見ますと、断層がございますし、中に二メートル以上の非常に弱い層をかんでおるということでございまして、一カ所の地点にダムを作りますためには相当の高さを必要とするわけでありますが、その高さに応じて十分の安全性を持つのにはなかなか費用もかかる。これは金をかけて、相当機械等をやりますればできないわけではございませんが、それらの点につきましていろいろ検討をいたしたわけでございます。一応の手当をいたすといたしましても、やはり一カ所のダムで百五十億以上の金がかかる。補償物件につきましても、ただいまお話がありましたように、相当多い補償もかかるということでございまして、そういう状況になりましたために、さらに下流よりも条件は悪いわけでありますが、上流地点をいろいろ探しました。その結果松原・下筌という候補地点にたどりついたわけでありますが、その地点はやはり噴出の岩でございまして、何と申しましても堆積岩よりもしっかりしておるわけでありまして、この点ならば多少の手当をいたしますならば、現在までの経験上、現在考えているくらいの高さのダムならば安心して作れるということの見当がついたわけでございます。その結果、今まで久世畑を作るということで進めておったわけでございますが、やむを得ず上流地点に変更をいたしたわけでございます。それらの二つのダムを合わせますると百十億余りでできる。従いまして、工事費の概算におきましても四十億程度の違いがある。それから、戸数においても少なくて済む。また構造上からいいましても、下流はそれだけの金をかけましてもやはり非常に心配だという点を総合判断いたしまして、やむを得ず上流地点の二カ地点に変更いたしまして、現在まで進めて参ったのが実情でございます。
それから、玖珠川につきましても、先ほど御説明いたしましたように、二十八年度大洪水のあとに十数カ地点を、大山川、玖珠川地点をあわせて調査いたしたわけでありますが、玖珠川の方におきましては地形上十分な貯水量を得られる地点がないということ、それから地質の点におきましても今申し上げた松原・下筌筌筌に匹敵するようないい地点が得られないという点、さらには鉄道等も相当長距離にわたってつけかえ等をやらなければならない。非常に金もかかるというような点を総合勘案いたしまして、やむを得ず玖珠川地点はあきらめざるを得なかったというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/34
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035・坂本泰良
○坂本委員 あきらめざるを得なかったことについて、ただ九地建の方も今おっしゃったような説明だけなんです。ですから、そういう地質とかあるいはいろいろの点を科学的に調査したかどうか。どうもわれわれが説明を聞くと、数カ所をあげて、これこれはいけないからここにしろ、結局は久世畑にきめて、久世畑が費用の関係でいけなくなったから松原・下筌に変更したというようなことで、何ら科学的その他権威ある調査の結果そうなったかどうかということがわからないのですから、反対する人としては、何も根拠がないのに官僚の方でここにしようときめたら、すぐにそれを強行するという点が反対の大きな理由だと思うわけです。今度松原・下筌にせざるを得なかったということですが、その地点も今初めてボーリングを入れて横穴を掘って試験をするというのだから、ここがいいときめたのは何できめたのか。いろいろ政治的にやられたのではないだろうかという疑惑がそこに深まってきて、反対が出てきたわけです。落とされた場所が十六、七カ所あるようですが、どういうふうにして落としたかという理由がはっきりしないから、それが反対の大きな理由になっておると思うのですが、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/35
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036・山本三郎
○山本(三)政府委員 これは建設省においてもいろいろ調査いたしますし、大学の先生なり、ダムの地質の権威者等にも見ていただいておるわけでございますが、それらの問題につきまして、やはり地元の方々に十分納得のいくように御説明を申し上げなければいけないわけでありまして、それらの点についての説明を御要求あるならば、私ども積極的にこちらからも説明はいろいろ申し上げなければならぬと思っております。ただ、現地で申しますのは、説明を申し上げようと思いましても、なかなか会えないという点がございます。従って、私どもといたしましては、その点につきましてお聞きいただくならば、十分納得のいただくように説明するように準備はいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/36
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037・坂本泰良
○坂本委員 あとでまた質問しますが、建設省が、説明します、どうしますと言われたのは、ごく最近のことでありまして、すでに松原・下の予備調査というのは、大体三十二年の八月にきまっておるようですね。その当時、こういうふうにして実地調査した結果、松原・下筌二カ所が一番適地であるし、やむを得ないという説明があればよかったんですが、昨年の五月、反対するならば土地収用法で強制測量をするんだといって、強引にこんな大きな杉の木をたくさん切り倒す、それから相当りっぱな雑木山を全部切り倒した。だから建設省というのは法を無視し、法によらなくても強引にやってしまって、山間僻地の農民は泣き寝入りになっている。こういうことで、強引なダム建設で犠牲になった人は、一時は補償金をたくさんもらっても、今はみじめな生活をしている。移転をしても、その移転先はやはりうまくいかないで、開拓その他もほとんどだめになって、その犠牲者は悲惨な状態になっておる。こういうことをつぶさに調べておるわけなんですね。そういうわけで、今盛んに、話をしようと思うけれども向こうが受け付けないと言うが、もうこうやるのだときめてしまって、そうして杉その他の大木を強引に切り倒したあとで話し合いをしようじゃないか、こういうふうにきておるから、そこに大きい反対の理由があるわけなのです。それで、説明を聞いてもらえないという点は、反対者側の方にその責任があるわけではなくてその責任はやはり建設省側にあるのじゃないかというふうに、またわれわれも、無理じゃないかというような考え方も出てきているわけです。
それから、次は土地収用に対する事業認定に対して意見を求められ、それに対して昨年の九月二日付で意見書を出しているわけです。それは十七カ条になっておりますが、十七番目は絶対反対だということですから、内容的には十六カ条になるわけですが、この意見書をよく検討されたかどうかという点です。そこで、もし検討されたとするならば、この筑後川の洪水防止のための方法では——これは室原氏も大学を出ておるし、東京にも一カ月くらいいて、いろいろと研究されておるようですが、砂防治水事業でこれはできるというような考え方があるわけなのです。そうすると、建設省側では、先ほど来御説明があったように、二千五百立方メートルの流量をするためにこの二つのダムを作らなければならない。ここに非常に対立の点があるわけですが、砂防並びに治水によって洪水の防止ができないものであるかどうか。こういう点についての検討をされたかどうか。されたならば、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/37
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038・山本三郎
○山本(三)政府委員 土地収用法の適用に対しまして地元の御意見が出ております。これは計画局の所管でございますが、それについて私どもも拝見をいたして、今検討中でございます。
ただいまの御質問は、説明をしたかという点と、それから砂防ダム等によりまして筑後川の治水はできないものかどうか、こういう二点だろうと思います。これらの計画につきましては、小国町というのが今の中心でございますが、昭和三十二年八月十七日に小学校におきまして説明会を催したわけでございます。その後におきましても、さらに説明する意図のもとに開催方を町議会に申し入れたわけでございますが、地元の方々の絶対反対で、聞く必要なしというような決議のために機会を得られなかった。しかし、そのほかの四カ町村につきましては、説明会等にも出席をいたしまして、御説明を申し上げておるわけでございます。内容につきましては、筑後川の計画につきまして御説明をいたしまして御協力をいただくという趣旨のものでございました。
それから、砂防ダムによりまして筑後川の治水はできないかということでございますが、なるほど、土砂の流出の問題につきましても砂防等を行なうことは必要でございますが、御承知のように筑後川の水源地帯、特に大山川等は非常に雨の多い地帯でございまして、御承知のように、昭和二十八年の六月におきましては、大体一週間弱の期間におきまして千ミリ以上の雨が降っております。そのために筑後川に大出水が起こりまして、四十数カ所の破堤を招いたわけでございまして、これらもいずれも堤防の上を大量に水が越しまして破堤いたしたような状況でございます。砂をとめることはもちろん必要でございますけれども、砂防ダムにありましては、水を調節することは、これは大量に調節することはできないわけでございまして、両方相待ってやらなければ筑後川の治水はできないというふうな観点に立っているわけでございます。砂防ダムをやりますれば、なるほど下流の河床の安定はできるわけでございますが、河床の安定はできましても、それ以上の水が上流から参りまするならば、また二十八年のような結果になるわけでございまして、どうしても水を調節する施設を設けなければ、二十八年のような大災害の根源を絶つことができないというのが実情でございますので、それらの点につきましてもできる限り説明をいたしまして、御了解をいただく努力はいたしているのでございますが、先ほどのような次第で御説明ができなかったというのが実情でございましたので、今後におきましても、それらの点につきましては、機会が得られまするならば十分御説明をいたしまして、御納得をいただくような処置を考えたいというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/38
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039・坂本泰良
○坂本委員 実は、この事業認定の意見書にもありますが、説明したというのは、学校でただ一ぺんダムについての話があっただけで、あとは、中津江村あたりは大分県ですから、大分県知事が一度来られてやったのですが、下筌の関係の、熊本県の志屋部落の方にはそういうことは一ぺんもなくて、土地収用法を語るという手紙が八円切手を張って一ぺん来ただけだ。そういうことで、勝手に樹木を伐採して、そうしてくいを打ち込んで、それの払い下げの契約を、反対の大分県側の国道から見て入札してやる。そういうような強引な処置がとられた。そこで、その後は建設局の方でも、一生懸命朝がけしたり夜中に行ったりしたけれども、もうそのときはおそいのです。ですから、児玉君も質問しましたが、どうしても個々にやらなければならぬという点とか、それからただいま簡単に砂防ダム、治水の問題についても局長からお聞きしましたが、こういうような点は詳しくパンフレットか何かにしてやればできるのじゃないかと思います。それをただ、会ってから話す、会ってから話すと言うものだから、何もやっていないじゃないかということになる。こういうようなところにも大きい誤解が生じているのじゃないかというふうに思われます。
何と申しましても、三十四年の九月二日付で事業認定に対する意見書が出ている。これは室原氏ほか四百名余りの連署で出してあるわけですが、これがとにかく反対の重要な十六カ条の理由になっておりますから、これに対してわかりやすいような説明をしなければならぬと思うのですよ。それを、会ってからやるのだ、測量はどんどんやるのだ、こういうところに非常に反対が激化しているという点があると思うのです。こういう点について、大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/39
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040・村上勇
○村上国務大臣 坂本先生の御苦心のほどはよく私もわかりますし、またこの点については感謝いたしております。パンフレット等説明書、いわゆる「松原下等両ダム計画の手引き」というようなものを出しまして、それらが私としては現地の方にも、声でなくて、何かこういうような書類、パンフレット的なものがいっているんじゃないかと思いますが、そういう点について、もう少し積極的に九州地建の方でやれということについては、私もそういうふうに思います。
ただ、これは現段階で言うべきことじゃないかもしれませんが、松原ダム、下筌ダムと、二つのダムが同じ時期に、同じような状態で交渉が開始されているわけなんですが、松原ダムの方は、その水没家屋等がむしろ下筌よりも多いわけですけれども、松原ダムの方では、そういうことならやむを得ないだろうというところまできているわけなんです。一方の方は、もうこれは今会わぬというだけでなくて、去年あたり私も九州に参りました際に、よくひざを交えて話せば非常にりっぱな方だからわからぬはずはないからということを言って、地建あたりにも話したのですけれども、なかなか会いやしない。御親戚の人にも聞きましたが、これも会いやしないと言うのです。私が同じ九州でありますので、実は私も大臣という立場でなくて、一個人の村上として一つお会いしたいと思ったのです。私もちょうどあなたの今の御意見のように、また地元の人の考えられるように、あの二十八年大災害のあと、すぐあの地点にダムを作ろうということを建設省で——当時の局長は今の米田参議院議員だろうと思いますが、そういう相談を受けたときに、私はもうまっこうから反対した。ということは、福岡県、佐賀県に災害があったからといって、直ちに大分県なりあるいは熊本県なりのその奥地の、この狭い土地を全部ダムで沈めてしまうなんというばかなことがあるか。それよりも、もう少し計算をして、そうしてたとえば砂防施設を完璧にならしめて、静水を流して、あるいはまた堤防等を上げたりなんかする方法を講じて、一洪水出たから、一つ犠牲者が出たから、すぐ村をつぶしてしまえというような、そんな措置は私は絶対反対だ、こう言って、私もその当時反対した一人であります。これは廣瀬さんも私と同じところですが、廣瀬さんも同じ気持であった。ところが、その後建設省で詳細に、微に入り細にわたって計画を立て、あるいはそういうような観点から防災ということについて学者の意見等も聞いていろいろやった結果、どうしてもこれだけのことはしなければならぬということに到達したので、その後私も、これはやはり権威ある技術者のやることをわれわれ政治家が、ただ単にわかりもしないであれは反対、これは反対ということもできない。それから、その後米田君に会っていろいろ聞いてみますと、なるほどこれはやっておかなければ大へんだ、こう思って、私も多少のダム等に経験はございますけれども、まっこうから反対した一人であります。それが、結局こうしなければ下流の人たちは助からぬということに私も考え直して、大分県の方が相当犠牲者も多いんだけれども、私は犠牲者の方も、村長も、あるいはあの地区の人たちもみな知っておりますが、その人たちが、帰ればいろいろ陳情に来ますけれども、私はこれはやむを得ないのだ、僕も反対したいんだが、しかしこれはどうしても、いわゆる民主主義の原則に従うとか、いわゆる最大多数の人のためには、やはり少数の人が、こういう場合にはやむを得ない犠牲を払わなければならぬだろう。しかし、国家が補償する場合に、その国家補償等については最大限の補償をしてもらわなければいかぬ、というようなことを言って慰めてきております。
ところが、今この一方の言うことが、かりに技術的観点から絶対にこれ以外ないというのに、今度はまた一方がこう言うからといって、その方に耳をかして、この方は取りやめよう、そうして松原だけやれ、そしてもう少し高くするからということを言うと、今度は松原の方の、今せっかくまげて了承願っているところが、そんなことならおれの方も反対だ、こういうことになりますと——そういうおそれがなきにしもあらずであります。——そういうことになると、多数の人の生命、財産を守るべき日本の公共施設というようなことも、それを遂行することが非常に困難になる。こうなれば何やらわからなくしまうので、どこか別の地点があれば別でありますが、しかし、その地点がないということであるのですから、その人たちはやはり私と同じしろうとですから、たとい学問があってもしろうとにわかるようにはよく説得する必要があろうと思います。でありますから、ただいまの御意見のように、そういったいわゆる反駁者に対する反駁ではなくて、反駁者に対しては納得のいくような、理論的にこうであるということをお示しすることが、私はまず第一だろうと思っております。これは、さっそく私どもの方でその手続をとりますから、一つ御了承願いたいと思います。大体現地には「松原下筌両ダム計画の手引き」というものは差し上げてあるはずでありますが、何もかも受け取ってくれなかったり、会ってくれなければこれは別でありますけれども、大体関係者は十分御承知のことだと思っております。ただ、下筌の今の方たちには、よくわかってない、徹底してないところがあろうと思いますが、その点十分われわれの方でも努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/40
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041・坂本泰良
○坂本委員 ただいまの大臣の御説明で、少し違った点は、実は室原さんなんかの志屋部落の水没するのは松原ダムで水没するのです。その部落の上に——志屋部落といっても広いのですから——その部落の上に今度下筌ダムができるのです。そこで、それはなにか、私はしろうとですが、まだ四十メートル水深があるらしいのです。しかし、そこが場所がいいというので、下筌にやる。下筌のダムができると、その志屋部落のうちの半分くらいと、それから大分県の方の部落が水没する、こういうわけになっているのですね。それで、松原ダムについては全然異論がないというのではなくて、松原ダムのダム・サイトができる、あそこの場所を測量するについては異論がない。しかし、それも多少認識不足の点は、これはまだボーリングを入れて、そして穴を掘って岩壁を検査した上でなければほんとうにきまるのでないのだから、ここが悪ければ変更になるかもしれない、こういう話があるから、それじゃ、それをやってもらおうというので、松原ダムのあそこのダム・サイトのところは承諾があるらしいのです。ところが、よく聞きますと、もう松原ダムもここにやることはさまっているのだ。ただ、ダム・サイトを作る関係で、岩壁とかいろいろなのをやるために横穴を掘ったり、ボーリングを入れたりするのだ。こういう点でも、官僚からわれわれはごまかされておるというような考えも、地元に行けば非常にあるわけなんですよ。
そういうような点で、手引きというようなものも、われわれ行ったとき、そういうのがあれば、一部でももらえればあれですが、それは資料としてもらわなかったものですから……。やはり意見書の十六カ条は十分検討しなければならぬ点だ、こう思うわけなのです。
それは今大臣がおっしゃいましたから、そうすることにしまして、次に、昨日、三月末までの測量延期ということを大臣が言われましたから、問題は一カ月延びたわけなのですが、今土地収用法の十一条と十四条の関係で、建設省は強引に強制立ち入りと申しますか、測量とあれをやろうとしておるわけです。そこで一番問題は、あそこに建造物が——昨年強引に伐採してそのままほったらかしておったから、それを横に積みまして、あそこに十一軒かの家、物置きとか集会所その他ができておるわけです。この点も、強引にこれを取り払って、そうして穴を掘るのにはダイナマイトもやらなければならぬですから、爆発物の取り締まり関係もあるわけです。そういうような法にずいぶん違反した、強引なやり方がとられようとしておったわけですが、その点について中央では十分認識されておりますか。
なお、土地収用法の十四条で木を切るとか、あるいは、かきをくずすぐらいはいいけれども、建造物の場合は別な処置をとらなければならぬのじゃないか。こういうふうにも考えられるのですが、その点については、建設省の本省の方ではどういうような事実を把握しておるか。そうして、地建で強引にやろうとした点がいいか悪いかという点についての御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/41
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042・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいま土地収用法の関係についての御質問でございましたが、私、計画局長でございまして、土地収用法の所管をいたしております。今の御質問の前に、今回のダムにつきましての工事の実施のための地方建設局からの土地収用法の事業認定の申請書につきましては、昨年九月に建設大臣あてに提出されたのでございます。先ほど地元の意見書の提出が九月というふうに拝聴いたしたのでございますが、土地収用法の起業者の側からの認定の申請書が九月でございます。その後内容につきまして、計画局といたしましてはいろいろ検討いたしまして、とりあえずこれについての地元の意見を聞くために、事業認定の申請書を地元縦覧をいたしました。それが本年の一月二十日ごろでございます。それに対しまして、地元縦覧の結果、地元の利害関係人の意見、ただいま先生のお話の十七カ条の意見というものに該当するような大部の意見書が建設省に到達いたしましたのが、ちょうど二月中旬ぐらいであったと思います。この意見書は、ただいまお述べになりましたようないろいろな問題を含んでおりますので、従って、土地収用法の手続に従いまして、まずこの意見書は、ダムをここで特定する必要があるについての地元に対する弁明書を関係行政機関として求めなければいけません。従って、これは土地収用大臣としての問題じゃなくて、事業所管大臣としての弁明書をとるべく河川局に送付いたしたのでございます。それが今日までの土地収用法関係の手続の進行状況でございます。
それから、ただいまの御質問は、土地収用法に基づきまして、起業者がいわゆる事業準備のための立ち入りの問題でございまして、土地収用法の十四条におきましては、いわゆる当該起業者が地域について立ち入りをしなければならないというときには、知事または市町村長の許可を受けました場合におきましては、障害物等調査のために必要なものを除去するというところの一つの権限を取得するわけでございますが、これは事業準備の段階でございますので、やはり障害となるべき樹木とか、かき、さく等、こういうことになっております。居住の用に供するような、つまり家屋とかそういったものが、法律の建前といたしましては入らないことになっております。事実問題として、あの地域に建っておったところのものがそういう意味の家屋であるのかどうかということについては、私たち現場を見ておりませんからわかりませんが、法律はそういう形になっております。そういうことで、実際の調査の立ち入り等の現実の行為につきましては、またその起業者の立場から御説明があることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/42
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043・坂本泰良
○坂本委員 さっきの意見書は九建三四用発第五四八号昭和三十四年九月二日付の事業認定書に対して三十五年の一月二十五日付で提出した意見書なんです。そういうふうに訂正します。
そこで、強引にやられずに、延期になったからあれですが、一カ月後においてはまた問題が当面の問題として起こると思うのです。そこで、調査しますと、本年の二月四日に国から室原知幸、穴井隆雄あてに妨害排除の仮申請書が出ております。これに対しまして、室原、穴井、そのほかに、この指定の中には末松豊の地所があるわけです。この三人に県知事から出した許可書ですね、これが小国町長を経てきておるわけですが、さらにこの立ち入りの点については、建設所長から通知が出ておるわけですが、それはこの二人だけに行って、末松という人には行っていないわけです。そうして、実際現場を見ますと、すでに樹木は切ってしまって、その跡に建造物ができておるというようなわけで、この五名の土地の境界が実際はっきりしていない。これは図面をあそこに持ってきておりますが、ただ図面を書いて、そうして一町五反はこれだけだというので通知をしてきたわけです。それで、さらに室原、穴井から、ただこうやってもらってもどこが境界かどうかわからぬじゃないかというのを、熊本県知事に申し立てをしましたから、熊本県土木部長から、大体三十一年に作った図面と、それから試掘、試錐個所は、番地を、室原氏の方は五千八百二十三番の三、五千八百二十五番、五千八百二十六番のうち山林六反四畝二十五歩、こうなっておるわけです。穴井隆雄氏の方は五千八百二十七番の一、同番の二、同番の三、五千八百二十八番の一、同番の二、五千八百三十番の二のうち山林八反五畝五歩、こうなっておるわけですね。そこで、それでは熊本県の方は、こういうふうに番地をあげて何反何畝と出しておるけれども、どこをどうして地所をはかったか。しかもこの図面の中にはもう一人の所有者があるのじゃないか。これは実際でたらめで、いいかげんな通知を出しているというのが非常な大きい主張になっておるのであります。ですから、こういう仮処分に対しては、裁判所は口頭弁論を開いて慎重に審議してやらなければ、図面そのものがでたらめだし、宅地の所有者の所有坪数なんかもでたらめである、こういうことになっておるわけです。さらに、今度この反対者の室原、穴井、それから末松、この三名から、家屋の占有保全の訴え、これは民法の百九十九条による訴えなんですが、これが出されておる。そういうふうな関係になっておるのですが、これは強引にこういうことをやるべきでなくて、この土地収用法の施行について根本的な法的の欠陥があるわけなんです。だから、こういうような問題については、双方から仮処分の申請並びに訴えが出ておりますが、これはやはり裁判所で実地検証するなり、あるいはその実地の現場で証人等も呼んで、そして裁判で解決して、何といいますか、納得というところまでいかぬにしても、そういう裁判によるところの結論が出た上で強行すべきじゃないか。こういうふうに考えるわけですが、この点についての大臣の所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/43
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044・村上勇
○村上国務大臣 一応認定を受けておりますので、その必要はないと思いましたので、仮処分の申請は、建設省としては昨日取り下げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/44
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045・坂本泰良
○坂本委員 しかし、取り下げても、反対側の訴えは残るわけなんですね、それとその仮処分は。そこで、これはやはり大臣も行かれなかったのですが、今になって行って、説明するから集まれ、聞けと言っても、これは聞くような状態じゃないし、現場に行ってみればわかると思うのです。そこで、これは三月の末までになっておるのですが、われわれとしては、これは裁判所の判決によれば、どっちが勝っても負けても、一つの合理的な解決になるわけで、その処置を促進してやるよりほかにはないのじゃないかというふうにも考えるわけですが、そういう点も御考慮願って、なおあとの方がございますから、この問題はもう少し書面は検討して出されると言われましたが、その内容その他について、また現場との折衝、こういう点についても、また土地収用の問題についても、一時間もあればもう少し御答弁願って解明できると思いまするが、本日はこれで中止しておきたいと思いますので、ぜひ一つ……。
御存じのように、熊本では水俣の奇病問題についても、大きい問題で暴力問題まで起きておる。また、阿蘇のあの山奥に警官三百人も動員して強引にやる。強引にやるといいましても、あの砂川の宅地を強引に測量したのと違って、やはりこれは数日間、あるいは一カ月間くらいかからなければ岸壁の調査はできない。最初十三カ所をやることになっておったのを三カ所に減らし、あと一カ所にした。それではほんとうの岸壁の調査はできないのではないかと思う。だから、何とか解決の道を講じなければならないと思うし、さらにこれは、われわれしろうと考えですが、はたしてこの筑後川の総合開発の問題について、反対者側が言われるように、砂防ダムあるいは治水、ほかに何も目的はない、あとは九電をもうけさせるだけだというような点も耳をかさなければならないし、この点も十分考慮されて、少くとも警察官の擁護によってあの地質の調査をするということは、とうてい実際上はできないと思うのですから、一つ十分に慎重にやっていただきたい。
なお、その前に委員長にお願いがあるのですが、私はもう一度このことについて機会を与えていただいて国民のために御質問したいと思っておりますから、そのことをお願いして本日の質問はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/45
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046・羽田武嗣郎
○羽田委員長 ただいまの坂本君の御希望に沿うようにいたします。
三鍋義三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/46
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047・三鍋義三
○三鍋委員 久しぶりで建設大臣の御出席を得まして、委員一同心から喜んでおります。
そこで、委員長に、今後のこともあるから善処をお願いしたいと思うのですが、私は審議を効果的に、能率的にやっていく意味におきましてこの運営というものを考えていただかなければならないのではないか。と申しますのは、大体三十五年度の予算が出ましたら、この予算に対するところの総括的な質問をやる。それから各部局の部分的な、総括的な質問に入る。それを二、三日か四日くらいで切り上げて、あとまた随時法案の審議もありますが、長い期間において、それぞれの問題点をまた個別的に取り上げていく、こういう工合にした方が非常に能率的になるだろうと思います。また各局長さんも、ずっと、いつ質問があるかわからないのにここに朝からおるということは、非常に実行予算編成の重要なときにおいて大へん非能率的だと考えます。
そこで、大臣は非常にお忙しいので、予算委員会その他にも出なければならないし、いろいろな党の方の仕事もあるし、事情もよくわかるのですが、こういう点は一つ御勘案下さいまして、最初の二、三回目は何とか都合してぜひ大臣にお聞きしたいという問題を一つ切り上げていく。あとまた随時御出席を願って必要でないときはほかの方でそれぞれやっていただく、こういう工合にやっていった方がいいのじゃないかと思います。大臣がおいでにならないものだから、自民党の二階堂委員にしても、各委員にいたしましても、みんな質問を保留してそのままになっているわけです。それで部分的な問題に入っておる。そういう形になっておりますので、やはりみんなに十分その職務を遂行してもらう上からも、今後の審議の上において、委員長はこういう点をぜひ十分考慮に入れていただきたい。私はこのように思います。
そこで、そう言いながら私の質問が部分的になるわけでありますが、これは総括の中でやりたい、こう思っておったのですが、ことしは大臣その他与党の各委員の方によって二千九十六億という膨大な建設予算、当切予算に比して三百三十九億といったような増になったわけであります。これに対しましてもいろいろ批判があるわけです。こんなことでふやしてそして予算がふえたからいいといったものではないと思うのです。これは、平時においてこういう熱意が予算の面においても示されて初めて治山治水、そして人命その他国土の保全という点から大きな役割をなすのでありまして、大きな災害を受けて、そうして仕方なしに、のっぴきならぬでこういう予算を組むのでは、ほんとうにやはり血税の浪費だ、こういわれても仕方がないのではないか。しかし、大臣の災害に対する熱意は各委員ひとしく認めるところでありまして、これは党派を超越して心から敬意を表するわけであります。
そこで、この膨大な予算が組まれたのでありますが、要は、二階堂委員も御質問になったと思いますが、これをどうして効果的に、効率的に生かして使うか、こういうことになるわけです。それについては、機構改革の問題から、いろいろあるわけでありますが、これらの点は必ずしもまた建設当局の考えておられるようにいっていない。そこで、各部門にわたっていろいろの問題があるのでありますが、時間もずいぶんおくれておりますから、やはり事業を完成する上におきまして最も重要なる点の一つであるところの定員問題、これにつきまして大臣の御所信、そして御決意をお尋ねしておきたいと思うのであります。と申しますのは、これを生かすか殺すかは、何といいましても現場で働く人々の能力によるわけであります。この定員法の問題は毎回のこの委員会において、また関係委員会におきまして取り上げておりまして、自民党の方々もこれに対しまして、その不合理を何とかしなければならぬという熱意は一致しておるわけです。また、毎回国会におきまして、官房長は今度こそこの改正を出しますということを言っておられるわけです。というのは、その必要性を認めておられるからだと思うのであります。そこで、ことしは百四十八名ほど増になっておりますが、こういうことをされたのでは困るのです。この前の根本建設大臣のときに四百七十何名だったか——現場では一生懸命同じことをやっておりながら、そのうちの一部が定員の中に入っていく。取り残された人はどうなる。定員化された人は満足でしょうけれども、しかし同僚のことを思うと、自分だけいい立場に立つということは、心からやはり満足しておらないだろうと私は思うのです。そういうことが現場においてどういう影響を与えるかということを、やはり考えなければならないのではないかと思います。準職員とか、あるいは常勤的非常勤職員とか、何かわかったようなわからないような名目で、やることは定員内の職員と同じことを責任を持ってやらしておる。日給である、あるいは二月の契約であるということになっておりますが、これではあすの命はどうなるかもわからないという現実に直面して、その人たちはほんとうに全生命を打ち込んでその事業に携わることができるかどうかということは、だれだって自分の身に立ってみれば明らかであります。私たちにしてみれば、もういつ解散があるかということになれば、落ちついて慎重に勉強して委員会でやるということは、何ぼやろうと思っても、なかなかできない。足がうわついてしまう。それと同じことで、やはり一生懸命にできるんだという希望を持って仕事に当たらせるか当たらせないかというところに、この予算を生かすか殺すかの大きな根元があると思うのです。やっておることは同じことです。
そこで、どうですか、全部定員にしてしまった場合にどういう弊害があるのか。いろいろ問題点があると思いますが、これは制度調査会あたりでも一番困っておる問題だと思うのですが、この点につきまして、大臣、官房長、会計課長でもよろしいのですが、準職員、それから常勤的非常勤職員なんて、よくわからぬですな。これは、全部やっておることは同じことをやっておるのですね。同じ責任を持ってやっておるのです。給料その他の関係は、定員と同じような待遇を受けておる。なぜこれが定員化されないか。定員のワクに縛られておるということはわかっておりますから、その他においてどうしてこれができないか御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/47
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048・村上勇
○村上国務大臣 ただいま御指摘になりました百四十八名、三十五年度でふえるというのは、いわゆる定員の純増でありまして御指摘の定員外定員の者を職員として定員に引き上げる、これは私ども全員を御説のように定員にしたいというので毎年努力しております。年々幾らかずつは認められるのでありますが、建設省だけで勝手にやることができない措置でありまして、今行政機関等で検討しております。この点については十分努力して、できる限り多くの人を、でき得れば全員を定員化したい、かように思っております。
なお、詳細につきましては事務当局から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/48
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049・志村清一
○志村政府委員 常勤職員等の定員化に関しましては、かねがね建設省といたしましても努力しておるところでありますが、昭和三十五年度の予算におきましても、定員化につきましていろいろ議論があったのでございますが、今後とも関係の行政機関において引き続いて検討を続けまして、いずれよい結論が出されるものと期待しております。
建設省といたしましては、ただいま大臣からお話がございましたように、今後とも関係行政機関と折衝を続けて、ぜひともなるべく早い機会に全員定員化の実現をはかりたいと努力しておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/49
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050・三鍋義三
○三鍋委員 私、先ほど質問したのは、なかなかできないところに何か隘路があるわけですね、どういうところが険路となっておるかということです。と申し上げますのは、私もわかっておるのですよ。わかっておるけれども、やはり責任ある当局として、はっきりとこういう問題で、そうしたいんだけれどもなかなかできにくいんだ、相当に年数をかけておるができにくいんだという、その点をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/50
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051・志村清一
○志村政府委員 定員外の職員には、いわゆる常勤職員と、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、常勤的非常勤職員の二種類あります。常勤職員の定員化につきましては比較的順調に進んでおりますが、常勤的非常勤職員の定員化についてはいろいろ問題があるわけでございます。と申しますのは、その職務の内容とか勤務の形態が、はたして本質的に定員内職員と同じであるかどうかというふうな問題等がありまして、これは各省々々によりまして若干の相違があるわけでございます。そこで、建設省といたしましては、一昨年におきまして職務の内容と勤務の形態が定員内職員とほぼ同一だという常勤的非常勤職員を、明確にする必要があろうというので、登録制度などを作りまして、明確にその辺の区別をつけまして、この分だけ定員化してくれというような要望を続けておるわけであります。これは私ども建設省については割合はっきりいたしておりますが、各省については私もその点よく承知しておりません。その辺のニュアンスの問題が問題点になっているのじゃないかと私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/51
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052・三鍋義三
○三鍋委員 これは建設省だけの問題でなくして、各省にわたっておるのです。だから、建設省の方はこうだけれども、各省の方はどうかわからぬということでなく、これは調査室でもやっておるのでしょうけれども、やはりもう少し熱意を持って調整をして、そうしてある線を早く出していただきたい、こう思うのです。と申し上げますのは、先ほども申し上げましたように、今度の予算というものは非常に膨大である。また膨大な予算の工事が施行されたあとにおきましていろいろまた問題が起きているのであります。これは現場に働いている人々の能率いかんと精神的な熱意、良心、こういうことに大きく関連をしておると思います。そういう意味において、これらの人々が良心的に一生懸命に仕事をやりたいけれども、何かあすの不安があるという状態に置かれておるところに、いろいろと非能率的な、またもっとりっぱなものができるはずなのが、意識的でなくして、無意識的に出ておる場合があるのじゃないか。この前の根本さんのときの話をちょっと先ほど出したのですが、四百幾ら、そうすると定員化される人はいいけれども、あとに残される人は非常に不満がそこに残るわけであります。そこで、定員化されないで残される方と、定員化されようという立場にある人たちが一緒になって、そういう弥縫的な、一部だけやるというやり方だったら現場にまずい空気ができるから、全面的にお断わりしようという声さえあるのは、大臣はどう考えておるか。そんないやなものならやめてしまえと、すぱっと言われたことがあるのですが、これでは話にならないのでありまして、私はやはり、同じことをやっているのに差別をつけているところに問題があるのであってこの点はもう少し真剣に、もう少し能率的に解決をしていただくようにお願いをしなければならぬと思うのであります。
そこで、大臣に伺いますが、何か聞くところによりますと、これはいろいろ問題があるから、いっそ定員のワクをはずしちゃって、三公社五現業式のああいう方向に持っていったらどうかというような意見も出まして各省に意見調整をされておるということを聞くのでありますが、この点につきまして御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/52
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053・村上勇
○村上国務大臣 定員外職員の定員化につきましては、建設省が従来から一番熱がかかっておるそうであります。私はただいまの御意見のように、同じ待遇で、少なくとも一つの誇りを持ってその事業に、あるいはその職域に従事するということが最も好ましいと思いますので、どうしてもそういうように一刻も早く全員を定員化したい、かように思っております。去年も千三、四百名ばかりに定員化されたのでありますが、それらの点につきましては、今お説のように、同じ立場でおる者が一人は定員化された、ところが他の者はされなかったというようなことがあってはなりませんので、なるたけ全員をそういうようなことにしたい、こう思っております。
ただいま、三公社五現業のような工合に建設省をしたらどうかという意見が出ておるということでありますが、そういううわさも、私よく耳にいたしております。しかし、これは各方面ともいろいろ非常に緊密な関係がありますので、今まだ検討しておる段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/53
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054・三鍋義三
○三鍋委員 この問題につきましては、現場の人々から非常な切実な要望があるのです。名刺に肩書きが書けないのです。日給だから、あるいは二カ月後の運命がわからないから。それがために、建設省に勤めておられるそうだがということで縁談なんか持ち上がったときに、身元を調べると、何だ、あれは雇じゃないかというようなことで、全然問題にならなくて、破談になったというようなこともあるのです。これは当人にしてみますと、私は非常に切実な問題だと思うのであります。今大臣のお話を聞きますと、全員を定員化するように努力したい、このようにおっしゃっております。大臣は非常に温厚な人柄でありまして、部下の局長、課長さんも喜んで働いておられる。これはやはり大臣の理解があるからであります。そういう意味におきまして、何とかしてあすの安定というものを与えて、そして全身全霊を自分の仕事に打ち込める体制、これがこの膨大な国民の血税を治山治水対策に、国土保全、災害予算として今度大きくクローズアップされたこの予算を生かすか殺すかの問題でありまして、一つ大臣の熱意で、何とかこれを全員定員化の方向へ踏み切っていただくように御努力を願いたい。これはうわさのことでありますが、事業費でこれらのワクをみなはずしてしまって現業の方をまかなうということになりますと、これは地方財政に及ぼす影響が非常に大きいのでありまして、また感情的ないろいろの問題もあると思いますので、この点、うわさに乗っておる程度でありますけれども、十分御検討願います。私たちは全員定員化という大臣の御答弁の方向を心から願っておるわけであります。この上とも一つ大臣の御熱意と御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/54
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055・羽田武嗣郎
○羽田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00619600226/55
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