1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二日(水曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 羽田武嗣郎君
理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君
理事 二階堂 進君 理事 南 好雄君
理事 中島 巖君 理事 山中 吾郎君
理事 塚本 三郎君
逢澤 寛君 川崎末五郎君
砂原 格君 徳安 實藏君
橋本 正之君 廣瀬 正雄君
堀内 一雄君 松澤 雄藏君
石川 次夫君 岡本 隆一君
兒玉 末男君 三鍋 義三君
今村 等君
出席国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
出席政府委員
大蔵政務次官 奧村又十郎君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設事務官
(大臣官房長) 鬼丸 勝之君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建設事務官
(河川局次長) 曾田 忠君
建 設 技 官
(道路局長) 佐藤 寛政君
建 設 技 官
(住宅局長) 稗田 治君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 宮崎 仁君
専 門 員 山口 乾治君
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三月一日
委員岡本隆一君辞任につき、その補欠として山
口シヅエ君が議長の指名で委員に選任された。
同月二日
委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として
岡本隆一君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十九日
住宅地区改良法案(内閣提出第八六号)
公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出
第八七号)
三月一日
治山治水緊急措置法案(内閣提出第六九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会において参考人出頭要求に関する件
海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
七号)
建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四八号)
住宅地区改良法案(内閣提出第八六号)
公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出
第八七号)
治山治水緊急措置法案(内閣提出第六九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/0
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001・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより会議を開きます。
建設業法の一部を改正する法律案、海岸法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
前会に引き続き質疑を行ないます。
二階堂進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/1
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002・二階堂進
○二階堂委員 建設業法に関連いたしまして私はただ一点だけちょっと大臣、局長にお尋ねをいたしておきたいと思います。
先般の委員会においても、同僚の委員から建設業の健全な育成強化の対策等について質疑をされたそうでありますし、私も前々回の委員会におきまして二、三この問題についても局長、官房長にお伺いをいたしたのでございますが、御承知の通り建設事業の飛躍的な増大が前年以来引き続き今年以降において行なわれるわけであります。しかも、これらの公共投資が直接、間接に国民経済の発展、国民生活の安定向上に寄与する割合というものは非常に莫大なものがあろうかと私は考えます。国、地方、あるいは小さな自治体等が直接、間接行なう公共事業の事業量の総額というものは、おそらく一兆何千億にも及ぶのではないかと思われるわけであります。このような大きな事業が国や地方を通じて行なわれるわけでございますが、国が直接直営として河川、道路その他をやる事業、それから国や地方が請負に出して行なう事業というものが、最近非常に開きが大きくなってきている。この建設関係の事業費を調べてみましても、直営と請負の比率というものは、昭和二十八年度におきましては直営が六一%、請負が三九%、昭和二十九年度におきましては、同じく比例が五九%と四一%、三十年度が六一%と三九%、三十一年度が五九%に対し四一%、三十二年度が五五%に対して四五%、こういうふうになっておりますが、昭和三十三年度以降におきましては直営が四〇に対して請負が六〇%、なおまた三十四年度におきましては、実際の締めくくりはまだできていないと私は思いますが、大体の推定は、直営が三五%に対して請負が六五%、こういうふうな傾向になっておるように出ておるわけであります。私はこの直営でやる仕事についても、先般、能率の向上の問題、あるいは仕事をする機械等の稼働率の問題等とも関連いたしましていろいろ意見を申し述べておいたのでございますが、このように直営でやる仕事と請負に出される仕事というものに非常に大きな差が開きつつあるわけであります。
そこで問題は、このような莫大な公共投資を国、地方を通じて国のためにやるわけでありますが、この仕事が国家目的のために能率的、効果的に行なわれるということは、きわめて私は大事なことだと思っております。もとより直営でやられる部面におきましても、先ほど申し上げましたような、仕事の能率化あるいは機械等による効率化等も、ぜひ一つ考えていただきたいと思うし、その他工事を施行する上におきましての管理行政、あるいは機械等の管理行政の一元化等、いろいろと私は真剣になって検討しなければならない部面もあろうかと思いますが、問題は、請負に出される仕事の分量が非常に大きくなってきておる。しかも、工事の量が大きくなって参っておりまする今日、一工事の工事区間、事業の区間が、仕事を能率的に効果的にやれる上からも、非常に大きな工事量が発注されるという傾向は、これはやむを得ないと思っております。従って、これらの仕事をする者も、傾向としては、大きな企業が大部分請け負わなければならぬという形に私はなってきているのではないかと思う。これは、ある一面からいうとやむを得ないかと思います。大きな業者は機械を持っている。資金も、ある程度十分な裏づけを持っておる。しかも国、地方を通じて莫大な公共事業を年度内において消化をしなくちゃならぬというような面からも、私はこれはやはりそういうふうな指導をやられることも当然かと思っておりまするが、しかしながら、この業者の実態は、私は土建業でもありませんから十分承知をいたしておりませんけれども、いわゆる中小の建設業者というものが、おそらく全体の八割以上を占めるのじゃないか、かように推定をいたしておるわけであります。そういたしますと、一般の仕事をする管理の上からいうと、仕事が早く、効果的に能率的に年度内に完成するという上からいうと、大きな業者中心になる。ところが、この八割、八〇%以上にも及ぶ中小業者の受け持つ仕事の割合というものがだんだん少なくなってきておる。これは大へんな例を引いて恐縮でございますが、私の鹿児島県あたりも、何千という小さな業者がおる。一千万とかあるいは四、五千万の仕事をやれる業者というものは、ほとんど数社にすぎない。あとは五十万とか百万とか、あるいは二、三百万とか五、六百万以下の仕事をやれる業者である。最近二、三年災害がない。従って、その小さな業者がもらう仕事というものは、非常に減ってきておる。そういうようなことで、外から見ておりましても、こうした小さな業者の間においても、私はある程度これは自主的に対策を講じ、またみずから自粛していかなければならぬ面もあろうかと思いますが、しかしながら、それかといって、そのままにほっておいて、やはりこの中小の業者というものの健全な育成というものがおろそかにされていくようなことでは、決して私は望ましいことじゃないと思っております。
そこで、こういうような公共事業がふえていく一面において業者自体の間においても、何らか調整をはかっていかなければならぬいろいろな現実的の問題が出てきておると思うのでございます。先般の委員会におきましても、官房長からいろいろとその具体策につきましては意見が述べられました。私はそれについてはしごく同感でありますが、大体そういうような傾向を大臣はお考えになりまして、一体このような業者間のアンバランス、何と申しますか、差があるわけでございますが、こういうような差を一体どういうふうに是正するというか、そのような考え方に立って中小土建建設業者の育成というものを考えていかなければならないのか、こういう点について、一つお考えがありましたらお聞かせを願っておきたいと思います。私は、たとえば、工事、事業というものが非常に大きくなっていくことは、先ほど申し上げましたようにやむを得ませんが、そのかわり道路とか、いろいろなものの局部改良等の予算というものを、もう少し増額して——いなか道で、ちょっと直せば車が通れる、しかもまた道路交通上において安全が期せられるというところがたくさんある。そういうようなところを、もう少し局部改良事業の第一種、第二種の予算というものを増額して、そうしてそういうような個所をうんと仕事を増して、そういうようなところの仕事で、一面中小の土建建設業者というものを救済していくというようなことも、私は、現実に即して考えられていいんじゃないか。ところが、道路等の予算を見てみましても——後日私は道路行政全般についていろいろ具体的な数字をもって大臣にお尋ねしたいと思いますが——局部改良事業等の予算というものは非常に少ない。しかしながら、現実には地方に参りますと、地方の県道とかあるいは町村道というものは、ちょっと手直しすると車が通れる道がたくさんある。あるいは交通上安全を期せられるような個所がたくさんあるわけであります。そういうところにも、もう少し予算の増額をはかっていけば、一面道路等の交通の安全を期し得るということと、同時にまた、小さな業者自体を救済していく道があるのじゃないかと思うが、実際にはそういう予算等が少ない。こういうこともちょっと私は、実際あちこちへ歩いてみていろいろなことを感ずるままに、私の私見として大臣に一つ申し上げておくのでございますが、大臣の御所感をちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/2
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003・村上勇
○村上国務大臣 まず、今までの直営事業がだんだんと請負に切りかわってきておる、その数字をあげて御指摘になりましたが、全くその通りであります。私どもといたしましても、昔と申しますか、旧内務省時代には、ほとんどもう内務省土木局というものは、全部直営、絶対に請負業者というものを入れないでやって、施行して参っておりました。昭和十五、六年になって、関門トンネルと横須賀の国道トンネルというようなもの、これを業者に渡したのが、内務省土木局というものが土建業者に仕事を請け負わした初めのように私ども聞き及んでおります。なぜ、そういうことであったかと申しますと、当時の仕事の進捗等がさほど経済基盤にも大きな影響がなかったせいもあったろうし、また土建業者の技術というものが、信頼に足るだけの業者がたくさんいなかったというせいもあったろうと思います。従って、技術を誇る当時の内務省土木局としては、どうしてもこれは直営で施工するんだということで、ある年代までそういうことになっておりました。しかし、その後非常に土建業者の技術がみがかれてそうしてももう監督がなくても絶対に手抜きなんかしないというような、非常に責任を持った良心的な業者が出て参りました。また事業の非常な膨大というようなことから、定員等の関係もあって、どうしてもこれは直営だけではやれないということから、ついにだんだんと業者に請け負わせるようになったのであります。第一、予算の面から申しましても、業者の施工する方が直営よりも安く上がるということ、それから速度、いわゆる工事竣工の期間が非常に早い。これはもう安く、早く、よく——よくという点については、これはいい仕事は、やはり直営と良心的な土建業者の仕事は、必ずしも私はどっちがいいとか悪いとかいうことは言い得ないと思います。従って、早く安く、よくという、この三つが全くいわゆる国の要請にこたえるようになりましたので、だんだんとめんどうな、しかも高くかかるような直営事業というものを請負に切りかえてきておる。こういうように私は思って、今かりに、たとい直営が三〇%、あるいは請負が七〇%であっても、これは妥当なあり方であろう、かように思っておるのであります。
ところが、御指摘されましたように、この中で大業者はどんどんと伸びていくけれども、地方の中小企業は比較的事業量に恵まれぬために疲弊こんぱいしていくという、この現状をどうするかということでありますが、私どもとしましては、もうすでに日本の土木業者は国際入札に参加するというほど飛躍的なものになってきておりますので、できる限り大手業者は大きな仕事に臨む、また海外にまでも発展するというようなことで、地方のいわゆる中小企業は、その大手筋が目にかけないような中小工事をどこまでも担当して、これを誠実にやって経営を強固にするという以外にないと思います。災害があっては絶対いけませんが、しかし、災害等が何年もないために、中小企業者がほとんど手をこまねいて、悪い言葉で言えば、そんな人もありませんけれども、あるいは雨の降るのを待つ人が中にはあるかもしれない。そういうことであってはなりませんので、私どもといたしましては、今回の伊勢湾台風等におきましても、できる限りこれをあの地区なり、あるいは大手業者だけでなく、新潟からも広島からも、この地方に来て事業をやり得る地方における大手筋というものは、これをどんどん採用して、これに施工せしめております。従って今度は、新潟県なり広島県における業者は、それだけ他の地方にその人が発展していけば、そこにまた手すきができてくる。そこで、今度は地方のほんとうの小企業というものが恵まれてくるように持っていきたいと思っております。しかし、そういうことをしても、今の業者の数と事業の量というものが必ずしもうまくバランスがとれていない。そういうことから申しますならば、ただいま御指摘されたように、そういう地方にも局改等の事業量をどんどんとつけて、そして事業地が、ある県ならある県にあまり集中しないように、災害の復旧が非常に費用のかさむところは一応災害復旧に力を入れて、そしてあとの改良とかあるいは新設工事等は、また他の全然災害のない手あきの業者の方へ回していくというような、予算措置の上からも御指摘のような方法を講ずることが私は妥当ではないかと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/3
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004・二階堂進
○二階堂委員 私もその大臣の御意見に全く同感でありますが、今後の経済政策の重点は、やはり中小企業と大企業との格差をどうするかとか、地域差の是正をどうするかとか、あるいは工業産業方面に就労している人たちとの賃金格差をなるたけ是正していくということが、大きな政策の中心課題となって取り上げられていかなければならぬと思っております。政府におかれましても、今度樹立されようとする十カ年計画の中には、地域差の是正と、中小業者の育成あるいは中産階級の育成とかいうような表現で出されておりまするが、問題はやはり、政策全体の上からいっても、大企業と中小企業との格差をどう縮めていくか、あるいは大企業中心の地域と後進地域といわれるような地域との格差をどうして是正していくかということが、私は政策の一番大きな問題でなければならぬと思っています。そういう点から考えましても、やはり大土建あるいは建設業者と中小零細と申しますか、そういうものとの格差を縮めていくことは、これは経済政策の一環としてあわせて重大な関心を持って、今後お考えになっていただきたいと考えているわけであります。
いろいろお尋ねしたいこともありますが、あとまた同僚議員の質問もありますので、建設業に関しては以上申し上げまして私の質問を終わります。
次に、海岸法についてただ一点だけお尋ねいたしておきたいと思います。御承知の通り、この海岸法が制定されましたのは昭和三十一年であったと記憶いたしております。その海岸法の制定に伴って、国として責任を持って護岸その他の工事をやらなければならなくなってきておるわけであります。私は詳しく勉強する時間もなかったので、ちょっとお尋ねしたいと思いますが、これは河川局長にお尋ねしたいと思います。一体海岸法に基づいて指定されております海岸区域——これは運輸省あるいは農林省もあろうかと思いますが、それは所管外の問題になりますのでおわかりでないと思いますが、建設省としてやらなければならぬ海岸法に基づく計画の中に入っている海岸の延長というものはどのくらいになっており、同時にまた今日までその上において施行された区間は何%くらいになっているか、残事業は一体どのくらいか、ということをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/4
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005・山本三郎
○山本(三)政府委員 ただいまお話しのように、海岸法は昭和三十一年に制定されまして、その後各省が督励いたしまして海岸保全区域の指定をやっているわけでございます。現在までに海岸線のうちで保全区域として指定された分は六千八百三十二キロに達しております。これは海岸線の総延長が約二万五千六百キロございますので、約四分の一が海岸保全区域として指定されている。その他の地域は、もちろん残っている地域の中で指定されなければならぬような地域もございますけれども、主として断崖等によりまして海岸の保全の取り締まりなり、あるいは工事をする必要がないような地域は、もちろん保全区域として指定されないわけでございます。現在の事情はそういうことでございまして、その六千八百三十二キロのうち、建設省の所管といたしまして指定されている区域が三千九百十キロでございまして、六割程度が建設省所管の分になっております。これらにつきまして建設省といたしまして工事をやらなければならぬ金額でございますが、これにつきましては
いろいろまだ検討する必要がある分もございますけれども、大体これらの区域のうち至急にやらなければならぬ分
の工事費が約四百億程度ではないか。そのうち現在までに行ないました改良なりの工事は大体約百億程度でございますので、約二割か二割五分程度が現在までに施工されておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/5
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006・二階堂進
○二階堂委員 海岸法に基づいて指定されている区域の中の大体六割程度が建設省所管の工事担当の区域であるというようなことであります。しかもその中で急ぐものが、金額にして四百億程度の工事費が必要であるということでございます。そのうちで現在までに事業を終わっているものが大体百億程度だ。こういう御説明であったと思うのであります。そういたしますと、まだ相当な危険な個所が残っているわけであります。
私は今回のこの海岸法の改正によって、伊勢湾台風の経験にかんがみて管理面を一元化されて、しかも各省との調整あるいは設計その他工事の施行等についての管理を一元化されて、早急に応急措置ができるようになったことは非常に前進だと思っておりますが、問題は、残された区間におきましても、運輸省の所管、あるいは農林省の所管、あるいは建設省の所管と、こういうふうに分かれておるわけであります。根本的にこの分かれておる所管をどうするかという問題は、やはりこれは行政機構の改革に待たなければならぬと思っております。幸い昨年の災害にかんがみて、この災害のときに緊急を要する場合には主務大臣が一括して施行できるようになった。これは非常に前進であり、また好ましい姿だと思っております。しかしながら、やはりこの残された海岸の地域につきましても、またこの災害を受けて耕地あるいは住民、住家が大へんな危険にさらされるというようなところもあろうかと私は思っておりますが、こういうような何百億にも上る工事をまだ施行しなければならない今日の段階において、やはりでき得べくんばこういうような工事の施行区域が三省間にまたがっておるということは、私はきわめて不自然な、不合理なあり方であると思っております。私はこのような不合理な状態を今後一日も早く是正して、少なくとも海岸とか、あるいは災害が再び起こるような個所の工事等につきましては、所管が分かれておらない姿に変えていただくことが緊急を要する問題じゃないかと思っております。私はいずれこの行政機構、特に公共事業関係の事業を担当する所管行政の問題についても、いずれ機会を見て大蔵省や、あるいは各庁長官に来ていただきまして、いろいろと私の私見を申し上げてみたいと思うのでありますが、この所管が分かれておることによって事業の遂行の上において非常なロスがある。これは大へんな問題だと思っております。公共投資が莫大な費用を増大している。しかも、これが高い国民の税金によってまかなわれておる。金は各省によってふえてきても、これを効果的に、能率的に国民生活、国民経済の上に十分役立つように使っていくためには、各省自身が責任を持って——もちろん今の姿で仕事をやっていかれることも、私はいいとは申しませんけれども、やむを得ないとしても、今後はやはり、何としても公共事業関係の仕事をする担当の部局というものは、一元的な管理のもとにまとまって、そうして人といい、技術といい、あるいは機構といい、すべてが一体となって、公共投資を国民経済の上に効果的に施行していくような行政機構の確立というものが最大の急務じゃなかろうかということで、私は公共事業のいろいろの問題点を検討すればするほど、結局結論はそういうことになってくると思うのです。
ですから、大臣もみずから公共事業の大部分の仕事を担当しておる責任大臣でありますが、将来私は党においてもその問題を取り上げて、真剣に一つこの行政機構の問題を取り上げてみたいと思っております。政府におかれましては、やはり所管をいろいろ統合する場合になりますと、各省が縄ばりと申しますか、いろいろなことを言って、自分の仕事がなくなるような気持で反対を唱えるところもありますけれども、しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、公共投資事業というものは莫大な数字をもってふえて参っております。ですから、先ほど申し上げましたように、この事業を国民経済の発展の上に、国民生活の安定の上に効果的に、能率的に、むだのないように行なっていく上においては、どうしてもやはり人と技術と機構という問題が一元的に管理されていかなければならない時代がきておると思う。そういうことが私は非常に緊急な問題になってきていると思うのです。
こういう一つの海岸法の施行の問題とも関連して考えてみましても、やはり三本の姿に残された区域がなっておるということを非常に遺憾だと思っておりますので、この点について、大臣も十分一つそういうところからお考えをいただきまして、できる限り一本の姿に持っていくように努力していただきたい、かように私はお願いを申し上げるわけであります。質問の形ではございませんでしたが、そういうことを一つつけ加えてお願いを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/6
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007・羽田武嗣郎
○羽田委員長 山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/7
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008・山中吾郎
○山中(吾)委員 海岸法の一部を改正する法律案と建設業法の一部を改正する法律案について、大臣並びに局長に御質問を申し上げたいと思います。
まず、海岸法でありますが、前に局長に質問をしてまだ確認をしていないので、きょう前回の疑問のところをお答え願っておきたいと思います。
海岸法の直轄工事の中に災害復旧工事を繰り入れたということによって、海岸法自体によれば二分の一の補助率であって、一方に高率の補助金を規定しておる災害復旧事業費国庫負担法があるが、そういうものとの関係について矛盾がないかどうか、お答えを願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/8
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009・山本三郎
○山本(三)政府委員 その点につきましては、この前、御質問がございましたので、本日あらためてお答えを申し上げます。
公共土木施設の災害復旧事業費国庫負担法の第五条におきまして、「第三条各号に掲げる施設について国が施行する災害復旧事業費で、地方公共団体がその費用の一部を負担するものについての当該地方公共団体の負担の割合」が規定されております。従いまして海岸事業につきまして、直轄でやらない場合はもちろんこの条項が適用されないで、一般の災害としてやられるわけでございますが、今度直轄でやる場合につきまして、他の法律で地方の公共団体が持つということを規定してないと、この公共土木施設の負担法が適用できないことになります。海岸法それ自身におきまして、海岸の直轄災害復旧事業費は国と地方公共団体が両方で持つのだということを書いておかないと、この負担法の条項が適用できないわけでございます。その意味で海岸法の方に両方が持つのだということを書いた次第でございまして、その中には二分の一ということが書いてございますけれども、その二分の一につきましては、国庫負担法の方に書いてありますように「他の法令の規定にかかわらず、」ということで除外しておりますので、これは国庫負担法の計算によった国の負担率がそれできまってくる、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/9
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010・山中吾郎
○山中(吾)委員 その点は了解をいたしました。
次にお聞きいたしたいのは、災害復旧事業は現行法では知事が行なうのであって、大臣が直轄事業としては行なえない。今度の改正によって国土保全に重大なる影響のある災害復旧工事は建設大臣が直接行なうことができる、こういう改正です。その知事が行なった場合と建設大臣が直接行なう場合は、補助率がいつも問題になるのであって、その場合に建設大臣が直接行なうということにどれだけの長所があるのか。今までの経験からいって、この改正をぜひしたいという具体的な説明を少しお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/10
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011・山本三郎
○山本(三)政府委員 今おっしゃいましたように、災害復旧である限りは、国でやりましても県がやりましても、負担率は同じでございます。従いまして、その点におきましては同じでございますけれども、たとえば伊勢湾に大事件が起きた、災害復旧を急いでやらなければならぬ、そうしてその事業も非常に大規模なものであるというようなものが去年起こりました。従いまして、これは国が乗り出して災害復旧をやらなければならぬというような事態が起きてくるわけでございます。ところが、昨年におきましてはまだ災害復旧を国でやるという規定がございませんので、県が一応やる建前になりまして、それを国に委託したというようなことになったわけでございます。これが国でできるということが可能でありまするならば、重要な部分につきまして国が乗り出して復旧事業ができる。県も、もちろん向こうでやる分をおのずからきめまして、やるわけでございますが、そういうような場合に国が乗り出してやることができるようにしておこうというのがおもなる目的でございます。国がやりますれば全国的にたくさんの道具を集めることもできますし、また人を動員することもできますし、また全国的の視野から業者等の選定もできるわけでございまして、非常に有利ではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/11
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012・山中吾郎
○山中(吾)委員 その点も了解をいたしました。
次に、直接法律には関係ないのですが、大臣にお聞きいたしたいのです。今度の五カ年計画の根拠法である治山治水緊急措置法の中には海岸関係は除かれておるはずであります。治山関係が農林大臣で、治水関係は建設大臣ということによって年次計画を立てる義務があり、それで経済企画庁と協議をして定めるということになっておるわけですが、海岸関係が同時に年次計画を立てられないと国土保全の目的を果たすことができないのじゃないか。その点について、やはり海岸の事業というものはそういう年次計画の法的な根拠がないものですから、その辺が片手落ちになる。ことに昨年の伊勢湾の高潮災害というものは、海岸から災害の起きる事情があるわけでありまして、伊勢湾台風を直接の動機として治山治水五カ年計画が出たのに、海岸事業をその年次計画からはずしておるということは、まことに私は解せないことなんです。御承知のように、河川は源流から上流、中流、河口に至るまで一つの流れでありますから、全体が治山治水五カ年計画をもって、やはり海岸まで入れるべきじゃないかと思うのであります。海岸法の部改正というのは、災害復旧事業だけを大臣の直轄事業にするような一部改正が出ておりますけれども、こういう改正だけでは国土保全のための改正というふうな意味が少しもないような感じで、非常に楽しみがない。その点の事情、並びに国土保全の一貫作業としての治山治水、海岸事業、その関係について心配がないのかどうか。一つ大臣の方から将来に対する自信、あるいは事業の心配のない点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/12
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013・村上勇
○村上国務大臣 海岸につきましては、御承知のように各省それぞれ関連があることでありますので、各省と緊密な連絡をとりつつ、五カ年計画の中には入っておりませんけれども、五カ年計画を待たずして、海岸だけは安心のできるように早くやりたいということに主眼を置いております。しかし、いずれにいたしましても、近く各省との、また建設省独自の各調査資料等も出まして、これに対する基本的な計画を立ててやって参りたいと思いますので、一応この五カ年計画からは、はずれておりますけれども、治水事業あるいは治山事業というものと海岸との比重は、決してこれにまさるとも劣らないような気持で、私ども今十分検討いたしておる次第でございます。
なお、補足的に局長から説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/13
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014・山本三郎
○山本(三)政府委員 海岸事業の重要性につきましては、もちろん私どもも十分認識をいたしておるわけでございます。ただ、海岸につきましては、昨年の伊勢湾台風等の結果、東京湾と大阪湾につきましても、こういうふうなものが来たときにはどうなるかというような問題がございます。これにつきましては、もう少しいろいろの点から調査をしなければいかぬ。従いまして、三十五年度は東京湾、大阪湾につきましての調査費を大幅に計上しております。従いまして、全体の計画を立てるまでに、もう少し時間をかけた方がよろしいじゃないか。しかも、各省の事業がございますので、その間の調整もはからなければいかぬという点から、今回の五カ年計画におきましては、その内容等をきめるのをもう少し先にして、調査の結果を待った方がよろしいじゃないかということに相なりまして、そういう結果に相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/14
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015・山中吾郎
○山中(吾)委員 治山治水緊急措置法はまだ提案になっていないので、なんでありますけれども、海岸関係はあの法律の適用外になっておるので、今、調査ができたならば五カ年計画の中に組み込めるような御説明でしたが、入れないのじゃないですか。そこで私、心配をして御質問申し上げておるのですが、一番大事な海岸の方が五カ年計画から、はずされておるものだから、治水治山だけがどんどん進んで、海岸の方は必ず抜けるのじゃないか。そうして、また災害が起こったときに泣きどころになって、そこから建設大臣に非難がごうごうとくるのじゃないか。一番大事なものが、何か五カ年計画の適用の外に出たという気がいたしておるのでありますが、そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/15
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016・山本三郎
○山本(三)政府委員 その点につきましては、そういうお考えを抱かれる点もごもっともでございますけれども、治山治水の五カ年計画は三十五年度から発足するということがきめられたわけでございます。従いまして、それをなるべく早い機会に閣議決定をお願いしたいというのが措置法の内容でございます。海岸等につきましてそういうことをやりますと、治山治水五カ年計画等を早くきめようというときに、あれになりますから、海岸の問題につきましては各省の調査も進み、各省間の連絡ができました上に、総体計画等もきめた上でつ考えよう。しかし、現在立てておる事業につきましては非常に促進しようということで、たとえば高潮対策につきましても、東京、大阪等の事業は治水等の事業に比べましても大幅にふやしておるわけでございます。たとえば東京の高潮対策は、私どもの関係も昨年に比べますと二倍以上になっておりますし、大阪の方は四倍以上にもふえておるというのが実情でございますので、決して海岸について心配があるということはないわけでございます。五カ年計画の立案のあれに合わせるように、措置法を提案申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/16
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017・山中吾郎
○山中(吾)委員 これはあとでなお御研究下さい。私はこれを見ると、御説明が合っていないように思う。これは事実上今心配ないというのじゃなくて、この法を改正しなければ海岸事業はここに入れないように、ちょっと見るとありますから——これはまた治山治水緊急措置法の提案になったときにあとでいろいろ御質問しますけれども——この法律を改正しなければ入らないのじゃないかと思うのです。
いま一つ、現行法では、災害復旧の場合は別にして、海岸の改良事業その他は二分の補助ですね。それから治水治山の場合には補助率はもっと多いのではなかったのですか、二分の一ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/17
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018・山本三郎
○山本(三)政府委員 補助率の点でございますが、お説の通り海岸におきましては二分の一でございまして、河川の方は、補助河川におきましては中小河川二分の一、直轄の分が国の負担率が三分の二になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/18
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019・山中吾郎
○山中(吾)委員 そこで、私、これもあとの宿題で、御検討願って大臣からお答え願わなければならぬのですが、心配ないとおっしゃいましたが、今のように直轄河川の場合について、治水関係には三分の二補助、そして海岸の方は二分の一補助である。それで一貫をした国土の保全計画というものを大臣がこれだけ努力をされて、今ほっと安心をされておるわけですが、同じやる場合に、海岸の方は二分一の補助、それで治水の方は三分の二の補助だ。そういうふうなことでは、私は地方の関係からいって、一貫をしたものはやれないのだ。少なくとも補助率は同率にしないと、どこかに破綻を来たすのだ。また、この国土保全の事業率はずいぶんと欠点が残っておるのじゃないかと思うので、その点を一つ御検討願って、あと五年、十年の問題なんですが、そのときには自分は大臣じゃないからというふうな安易な気持で——もちろんそんなお気持はお持ちにならぬと思うのですが、これは非常に欠点があると思うので、その辺を御検討願っておきたいと思います。答弁はけっこうです。
次に建設業法でございますが、改正の理由を御説明なさった理由によりますと、建設工事の一そう適正な施工を期するため、そして施工技術の向上をはかる、こういう改正の理由なんです。その理由から考えてみますと、この改正はまことに微温的で、その改正理由の効果が上がらないような内容であるので、私はこの改正に反対するのではなくて、もっとその目的に合うような大胆な改正をすべきではないかというふうに思うので、その点をお聞きいたしたいと思うのです。
この法案の改正の一つが、いわゆる登録の条件の第五条の二号に、法律または命令による免許または技術もしくは技能の認定で建設工事に関するものの認定を受けた者、これに対して「建設大臣が指定したものを受けた者」というだけの制限を加えられる。それで「建設大臣が指定した」という場合の指定基準とか、そういうふうなものが明らかでないと、私たちはこの法案を、その提案理由にいう有効なる改正であるかどうかということが不明で、審議はできないのであります。それで、建設大臣が指定するという基準はどういうところにあるか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/19
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020・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 今回提案されております第五条第一項第二号の改正に伴います建設大臣の指定の基準を、どういうふうに考えておるかというお尋ねでございます。それは提案の理由にも御説明がありましたように、建設業法が制定されましたのは昭和二十四年でございますが、当時は第二号の現行規定にありますように、単に、建設工事に関し法令による免許とか、あるいは技術、技能の検定があればすべて要件として認められる。こういうことで差しつかえなかったのでございますが、建設業法施行後、登録の要件として認めるのには適当でない、他の法令による免許等が出て参りました。たとえて申しますと、労働省所管の労働安全衛生規則に基づきます溶接だけをやる溶接士、あるいはハッパを専門にやる発破技士、こういうものが最近それぞれ制度が確立されて資格が認められておる。こういうものにつきましては、建設業法の登録要件として認めるのは適当でないんじゃないかということが今回の改正の動機になったわけでございます。従いまして、今回大臣が指定するという指定の基準といたしましては、ただいま申し上げましたような、非常に単純な作業について免許されているというようなものは、これは、はずして参りたい。非常に抽象的な基準でございますが、そういうものは、はずして参りまして、さらにもう一つ現行第五条第一項の第一号あるいは第三号とのバランスを考えまして、建設工事について、たとえば十年以上の実務経験のある、こういうような第一号なり第三号の要件との均衡も考えて認めて参りたい。具体的に申しますと、建築士法による建築士の資格を持っている者、あるいは技術士法によります技術士の判定を受けている者、こういう者は指定をして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/20
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021・山中吾郎
○山中(吾)委員 官房長の御説明は、結論としては、結局建設大臣の自由裁量なんです。気の毒だと思えば指定してやれるのだという説明になると思うのですよ。だから、指定する場合の方針をこういうふうなつもりでいるというだけなので、これはざる法になるということを心配するわけです。それで、今御説明のように、第一号は工業学校とか専門教育を受けた人だ、第三号は十年経験があるのですから、それは正規の学校を出なくても十分に登録に値する人だ。中の第二号というのは、何もない。免許すればそれまでだ。ほとんど第二号というのは、おそらくこの法律を作るときに、業者その他、あるいは既得権を侵してはならぬとかいろいろな論議が出て、結局条件にならない条件として第二号が入ったのではないかと私は邪推している。それに対して、ただ、大臣が自由裁量で指定するというだけでは同じことではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/21
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022・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 今回の改正によりましても、大臣が単に指定するということだけではしり抜けになるのではないかという御懸念でございますが、大臣の指定の基準といたしましては、先ほど申し上げましたような方針を行政措置として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/22
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023・山中吾郎
○山中(吾)委員 御説明はわかっておるのですが、施行令か何かで規定するのですか。そういう方針ならば、やはり自由裁量ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/23
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024・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 これは政令、省令ではありませんで、一つの方針によりまして指定という行為をいたします。行政上の措置ということになりますと、法律に指定とありますから、指定して告示をいたすということになるのであります。
そこで、建設業法の登録の要件は、御案内のように、ほかにも、たとえば営業所ごとに主任技術者を置かなければならないというような規定もございまして、それとの関連もございます。その各号の資格者は主任技術者になるというような要件もございますので、本来登録要件として適当でないものを無条件に登録要件として認めるということはいかがか、こういうことで改正しよう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/24
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025・山中吾郎
○山中(吾)委員 お答えは同じようなお答えなので、よくわかりましたけれども、おそらく実効が上がらないと思うので、私は今後の改正においてさらに検討を願わなければいかぬと思うのです。大臣、御意見があったらあとで言って下さい。次にまとめてお聞きいたしたいと思います。
それから、技術検定についてですが、技術検定を受けても、これは資格試験でなくて称号を与えるというだけです。別に何もきき目がない。名誉検定なんです。その次を見ますと、手数料を取ると書いてある。手数料を取るために検定試験をやるのじゃないかというような感じも私するのですが、その点もまず、いろいろむずかしい問題があるので、十分検討をされた改正だろうと思いますけれども、やはりもう一歩進んでやるべきではないか。ことに今度は治山治水五カ年計画も出てきましたので、相当膨大な予算になり、そしてこれが税金でありますから、むだ使いをさせないように建設業者に対する監督をもっと強化すると同時に、保護政策もとるべきだ。今のようなままで私はいけないと思うので、そういう意味において建設業法をもっと抜本的に改正する必要があるのじゃないか。
先ほどの大臣の指定についての御方針について御意見があればそれと、今後の建設業法の根本的な再検討ということについての御意見がおありになればお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/25
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026・村上勇
○村上国務大臣 山中委員の御指摘になりました点は、要するに登録要件の改正をせいということであります。私どももこれは十分考えて今中央建設業審議会にかけて、目下審議いたしております。ただいまの御意見のように私ども考えますが、しかし、あまりこれをきびしくしてしまいますと、今度は非常に小さな業者を圧迫してしまうおそれもありますし、それらをみな除外するようになったのでは、これは一つの非常な社会問題にもなるんじゃないかということも考えております。しかし、さらばといって、公共事業に携わる者が、無能力者をただ看板だけで、これを業者として採用することについ
ては非常にまた危険もありますので、まあ今回の称号を与えることも、それぐらいの一つの基準をきめていったならば、やはり一つの誇りを持って、その事業に十分誠意を持って実を上げてくれるであろうというようなところにねらいがありますので、この登録要件の改正につきましては、別途に一つ中央建設業審議会で検討して、その結論を得てまたお諮りいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/26
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027・山中吾郎
○山中(吾)委員 なお、この建設業に対する国の監督のあり方について、予算が多くなるので疑問をたくさん持っておるわけでありますが、その一つに、私は、法案というものを非常にふまじめに上げてしまうと、あとで非常に弊害が出るという感じがいたすのであります。この間、新聞に「建設ブームが河川を痛める」という投書がありました。それを見ますと、最近「建設工事に欠くことのできない砂利が大小の河川から無計画に、しかも大量に採取されているので、河川が非常に破壊されているという事実である。」こういうことを言っております。一方において、国道の新設工事でどんどんと必要だから砂利を運ぶ。一方において、治山治水の関係で砂利をやたらに取る。こういうことでは困るということで、相当問題になっているのじゃないか。それが今度は両方とも五カ年計画でいくのですから、今後いろいろと矛盾が出るのじゃないかと思うのです。
そこで、昨年、私の印象に残っているのは、砂利採取業を権利として特許する——局長は特許という言葉を使ったはずですが、権利として与えるという法改正がございましたね。あれは砂防法でしたか、河川法でしたか。あの一部改正の場合に、私は疑問を持って御質問したはずですが、今まで砂利採取権という権利ではなかった。ただ許可してそれを取らす。そして、いつでも取り消すことができた。それが昨年の一部改正において権利として付与して、そのかわり手数料を正当に取るという格好にしたので、その権利として付与した限りについては、向こうは権利ですから、どういうふうに取ろうがこちらからは監督できないのじゃないかという感じを持って、私は質問をした覚えがあるのです。それで、まあ、とにかく疑問を持ちながら賛成をいたしました。そうして、今度一年たってみると、その改正の結果は、権利として採取権を獲得した業者がどうでも取れるというふうな乱用の姿が出てきている。こういう弊害も少し加わっていないかということを疑問に思うのです。そこで、一部改正を部分的に三つ四つやっているうちに、今度は二年ほどするとその欠点が重なって、十倍ぐらいになるということを心配いたしまして、私は、きょうも法案についてまじめにお聞きしておるのです。その意味において、昨年の法改正の関係とこの砂利の乱取ですか、それと道路計画の混乱との関係を、もし御承知でしたら御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/27
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028・山本三郎
○山本(三)政府委員 この前、河川法の一部改正をお願いいたしまして、砂利の採取というものは法律上許可を受けなければならぬということに御決定いただいたわけでございます。それに従いまして、罰則も強化いたしたわけでございます。
それから、そういうふうに許可になると、権利として採取業者が勝手に取っていくというようなお話でございますが、もちろん、許可に当たりましては、この部分からこれだけの量を取ってよろしいという内容になっております。それからまた、期限等もつけておるわけでございますから、その範囲におきましては採取をする権限と申しますか、そういうことができるわけでございます。それ以外のものを取ったり、あるいは期限を越して取ったりするものにつきましては、罰則が強化されておりますので、取り締まりが非常にやりよくなったということでございましてたとえば神奈川県あるいは兵庫県等におきましても、その法改正に従いまして法改正の結果、取り締まりが非常によくできるようになったというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/28
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029・山中吾郎
○山中(吾)委員 その通りならけっこうですが、許可という言葉を使っておるが、これは前と違って特許として、権利として設定する改正であったはずですね。だから、最初に地域の設定とか、採取の仕方について、こちらが間違った判断でその権利を付与した場合には、今の局長の御説明の中では予想されていないような弊害がうんと出るのじゃないかと私は思う。この一部改正のために何か弊害が出ているような感じがするので、なお実情を調査していただいてまた御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/29
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030・山本三郎
○山本(三)政府委員 あの改正は、むしろ取り締まりを厳重にできるような改正でございましたので、決してあの権利を——前の法文では府県知事が条例を作ってやることができるような規定になっておったわけであります。今度は、はっきり許可を受けなければならぬということを法律にきめまして、そういたしますと罰則が強化できますので、取り締まりを厳重にしようという趣旨で改正をいたしたわけでございますので、今おっしゃるような疑問はないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/30
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031・山中吾郎
○山中(吾)委員 大体了承いたしました。ただ、将来にいろいろ問題を残しておる改正でありますので、なお今改正した方向に一歩進めるような、同じ方向の改正をお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/31
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032・羽田武嗣郎
○羽田委員長 三鍋義三君。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/32
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033・三鍋義三
○三鍋委員 建設行政の総合性といいますか、計画性に対しましては、当委員会においてもしばしば問題になりまして、歴代の大臣、当局にいろいろと御質問申し上げ、また、基本構想というものをただして参っておるのでありますが、どうも私たちの考えているような方向へいっていないのでございます。もう少し計画性を持って、効率的にやってもらいたい。
今の海岸法の一部改正にいたしましても、建設業法の改正にいたしましても、どうも行き当たりばったりで、直面して、その部分を何とか少しよくしていくといったような、非常な消極的なことになっておると思う。例は悪いかもしれませんが、これはちょうど大部分はきましたくつ下のようなものでありまして、一部分をつくろいましてもまたその隣が破れてくる。このごろは、くつ下でさえなかなか丈夫でありまして、ほとんど破れないのであります。そのような根本的な観点に立って、もう少ししっかりやってもらわなければならぬと思うのです。たとえば海岸保全の問題にいたしましても、国から地方にさして整備計画を立てるということを、先ほど局長さんもおっしゃっておりましたが、そんなことは実におかしい話で、これはずっと前からわかり切ったことなんです。こういうことを長い間政権を担当しておられるので、もう少し真剣に考えていただきたいと思います。
そこで、この海岸法が成立をいたしましたときに、補助率の問題につきまして自民党の委員の方々も、やはりそういう強い意思表示をしておられたのです。これは少なくとも直轄で全額国庫負担にすべきではないか。二分一のというのはあまりにもおざなりで、ある。少なくとも二分の二くらいに、河川関係の補助率と同じように出すべきではないか、こういう意見があったのです。しかし、この法案を出すのになかなか苦労をしたのだから、まずこれでやって、もう少し経過を見てから、三分の二なり、もっと補助率を引き上げようじゃないか。こういうようなお話もありましたから、私も予算関係もありますから、一応了解しておったわけでありますが、どうですか、これはこのままやはり二分の一でいくとお考えになるのか、もう少し来年度あたりこの補助率を引き上げようという熱意をお持ちになっておるのか。この点をまず大臣に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/33
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034・村上勇
○村上国務大臣 公共事業のまちまちな行き方でないようにということでありますが、これは先ほど二階堂委員から強く御要望のあったところであります。私どもも、終戦以来、日本の公共事業が各省にいろいろと分かれておるということを非常に批判をいたしまして、ともかくこれは国土省というものを作って、すべての公共事業というのはこの国土省でやればいいということを立案して、いろいろと交渉いたしましたが、なかなかこれは言うはやすく実現ということは困難であります。けさの経済閣僚懇談会におきましても、池田通産大臣、あるいは福田農林大臣と、とにかくこういう点について非常に不合理な点を一元化しようじゃないか。われわれほんとうに欲のない者たちばかりなんだから、この際一つ何とかここで考えようじゃないかというようなところまで話が出ておりまして、私どもも、今の三鍋さんのお説なり、先ほどの二階堂さんの御意見には十分共鳴しております。従って、その点については十分今後心配して参りたい、この努力を続けていきたいと思っております。分かれておっていい場合もあるし、また分かれておったのでは絶対にいかないという場合もありますが、しかし、これは一元化した方がいいということを、私どもとして今の常識では考えておりますので、そのように努力いたしたいと思います。
それから、海岸の補助率の二分の一を上げる気持があるかという点。これは私ども建設行政をあずかる者としては、少しでもこの補助率は上げていきたいという希望を持っております。従って、その方向に向かって大いに努力をいたしますが、何さまそこにちゃんと控えておりまして、これは国全般からいろいろ考えてくれば、必ずしも何省がこれに反対するとかいうような、そういうなわ張り根性的なものでなぐて、やはり国全体を考えて——従来、私どもの幼少のころは、私も波打ちぎわに生まれたんですが、海岸に対して、補助どころではない。幾ら流れようが、どうもしなかったのでありますが、国が二分の一まで持ってきているので、これを基礎として、これから三分の二とか、あるいはそれ以上になるようにということを私どもは努力して、十分地元の人達の要請にこたえていきたい。この努力を続けることをお約束して、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/34
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035・三鍋義三
○三鍋委員 その海岸の保全事業というものが、いかに膨大な費用と高度な技術を要するかということは、皆さんよく御了解の点だと思うのであります。私は海岸に疎開して住んで、今そのままになっておるのでありますが、まことに残念なのは、事業費がなかなか思うようにつかないために、ほんの弥縫策しかできない。一貫してずっとやればいいのだけれども、部分的にやる。それができ上がったか、でき上がらないか、やれやれと思うその瞬間に、また大きな波浪でこれが破壊されていくということを繰り返しておるわけです。これでは、幾ら優秀な県でありましても追っつかない。非常に財政に苦しんでおるわけなんです。また、血税の浪費でもある。こういう観点からいたしまして、お金さえあれば何とかなるということなんでありますけれども、そのお金が思うようにならない、こうおっしゃるのでありますが、私は自分が実際海岸に住んでおって、でき上がって、みんなやれやれと思っておるその次の瞬間に、これがまた根こそぎ破壊されてしまう。こういうことを現実にまのあたりに見ておるので、何とかこれを直轄で、国の予算を全額注ぎ込んで、そうして安心して生活ができるようにならないか。こういうことを常に考えておるわけであります。こういう点は、大臣もよく了解しておられる点だと思う。ただ、惜しむらくは財源が思うようにならない。なぜ財源が思うようにならないか。こういう点を根本的にお考えになって、こういう浪費的な保全事業というものからなるべく早く脱却していくような建設行政を根本的に考えていただきたい。
以上、要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/35
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036・羽田武嗣郎
○羽田委員長 ほかに質疑の通告がございませんので、両案に対する質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/36
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037・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/37
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038・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより両案の討論に入るのでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/38
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039・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。
まず、建設業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/39
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040・羽田武嗣郎
○羽田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
次に、海岸法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/40
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041・羽田武嗣郎
○羽田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお、ただいまの両案議決に伴う報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/41
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042・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/42
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043・羽田武嗣郎
○羽田委員長 去る二月二十九日付託になりました公営住宅法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。
村上建設大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/43
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044・村上勇
○村上国務大臣 ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
公営住宅法第八条の規定によれば、国は、地震、暴風雨等の異常な天然現象により滅失した作毛に居住していた低額所得者に賃貸するため事業主体が第二種公営住宅の建設をするときは、災害により滅失した住宅の戸数の三割に相当する戸数の範囲内で、その建設に要する費用の三分の二を補助しなければならないことになっておりますが、この場合の国の補助は、災害により滅失した住宅の戸数が被災地全域で五百戸以上または一市町村の区域内の住宅戸数の一割以上であるときに限られております。
しかしながら、この基準によるときは、滅失した住宅の戸数が被災地全域で五百戸以上に達する場合は別として、たとえば集中豪雨が発生し、その被害が一市町村の区域内の住宅戸数の一割には満たないけれども、その滅失戸数が相当の戸数に達する場合が予想されるのであります。一方、災害のうちでも、火災の場合には、滅失した住宅の戸数が被災地全域で二百戸以上あるときは、国の補助の対象としているのでありまして、これとの均衡をも考慮し、地震、暴風雨等の異常な天然現象により滅失した住宅の戸数が一市町村の区域内で二百戸以上である場合を新たに災害の基準に加え、この基準に該当するときは国の補助の対象とすることとした次第であります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/44
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045・羽田武嗣郎
○羽田委員長 次に、去る二月二十九日付託になりました住宅地区改良法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。
村上建設大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/45
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046・村上勇
○村上国務大臣 ただいま議題となりました住宅地区改良法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
御承知の通り、不良住宅地区改良法が、昭和二年に制定され、以来、昭和十七年までこの法律に基づいて改良事業が施行されていたのでありますが、昭和二十七年度以降は、公営住宅法に基づく第二種公営住宅を建設することにより不良住宅の建てかえをはかって参ったのであります。
現在、密集して存在する不良住宅の戸数は、全国で二十万戸をこえるものと推定されますが、不良住宅が密集する地区は、保安上、衛生上その他危険かつ有害な状況にあるのであります。
政府といたしましては、かかる状況にかんがみ、昭和三十五年度から不良住宅地区改良事業を本格的に実施することとし、所要の経費を明年度予算に計上するとともに、現行法を廃止して、新たに、住宅地区改良法を制定することといたした次第であります。
すなわち、現行法は、事業施行方法等につきまして法的に整備されていない点が少なくなく、最近の実情に適合していない状況にありますので、この際、新たな構想のもとに住宅地区の改良事業を実施し、地区の環境の整備改善をはかるとともに、住宅の集団的建設を促進することといたしたのであります。
以上が、この法律案を提出した理由でありますが、次にその内容の要旨について御説明申し上げます。
第一に、住宅地区改良事業は、不良住宅が密集し、保安、衛生等に関して危険または有害な状況にある相当規模の一団地で建設大臣が指定するものにつき、原則として市町村がこれを施行することとした点であります。
第二に、施行者は、事業計画を定めて建設大臣の認可を受けなければならないものとし、事業計画においては、住宅地区改良事業の実施計画のほか、改良・地区を健全な住宅地区に形成するため、改良地区内の土地の利用に関する基本計画を定め、この基本計画に住宅、公共施設、地区施設等の用に供する土地の配置、規模等を定めることとし、事業計画の策定にあたっては、関係のある公共施設の管理者や住宅経営を行なう地方公共団体等とあらかじめ協議することとした点であります。
第三に、施行者は、改良地区内にある不良住宅をすべて除却した後、健康で文化的な生活を営むに足りる、耐火性能を有する構造の改良住宅を建設することとし、改良地区の居住者で改良住宅への入居を希望し、かつ、住宅に困窮すると認められるものを改良住宅に入居させなければならないこととした点であります。
第四に、国は、改良住宅の建設については、その費用の三分の二以内を、不良住宅の除却に要する費用については、その二分の一以内を補助することとし、改良住宅の入居者が低廉な家賃で居住することができることとした点であります。
以上のほか、住宅地区改良事業の施行のため必要がある場合の土地等の収用または使用、建築行為等の制限、一時収容施設の設置等について所要の規定を設け、住宅地区改良事業の円滑な施行を確保することといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/46
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047・羽田武嗣郎
○羽田委員長 続いて昨日付託になりました治山治水緊急措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。
村上建設大臣。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/47
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048・村上勇
○村上国務大臣 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
治山治水事業は、国土の保全及び開発を行ない、経済基盤を強化し、もって国民生活の安定と向上をはかる見地からきわめて緊要な施策であることは申すまでもないところでありまして、政府はつとにその促進をはかって参ったのであります。しかしながら、近年における台風、豪雨等による激甚なる被害並びに産業経済の発展に伴う諸用水の需要の急増等の事態にかんがみまして、政府といたしましては、治山治水事業につきまして昭和三十五年度を初年度として、新たな構想のもとに長期計画を策定し、これを強力かつ計画的に推進することといたしました。すなわち、昭和三十五年度以降の治山事業及び治水事業に関する十カ年計画を、昭和三十五年度以降の五カ年間の前期五カ年計画及び昭和四十年度以降の五カ年間の後期五カ年計画として策定し、これを計画的に実施することといたしたのでございます。
以上が、この法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
まず、この法律の目的は、治山治水事業を緊急かつ計画的に実施することにより、国土の保全と開発をはかり、もって国民生活の安定と向上に資することでありますことは、先ほど申し上げた通りでございます。
第二に、治山事業及び治水事業の各十カ年計画の内容となるべき治山事業及び治水事業の範囲について定めました。すなわち、この法律でいう治山事業または治水事業とは、国が行なうもの及び国の負担または補助により都道府県または都道府県知事が行なうものでありますが、計画的に実施することが不適当と考えられる災害復旧事業、災害関連事業等は除くものといたしております。
第三は、治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画の策定の手続を定めたことであります。農林大臣及び建設大臣は、それぞれ昭和三十五年度以降の十カ年間において実施すべき治山事業または治水事業に関し、昭和三十五年度以降の前期五カ年計画及び昭和四十年度以降の後期五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものといたしました。なお、農林大臣及び建設大臣は、計画の案の作成にあたりましては、治山治水事業の総合性を確保するために、あらかじめ相互に調整をはかるとともに、長期経済計画との関係において経済企画庁長官と協議することといたしたのであります。
第四に、治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画の実施を確保するためには、財政上はもちろん行政上の見地からも諸般の措置を講ずる必要がありますので、政府はこれらの計画を実施するため必要な措置を講ずるものとすることといたしたのでございます。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/48
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049・羽田武嗣郎
○羽田委員長 この際お諮りいたします。住宅に関する小委員会において、月賦住宅の現状並びに今後の対策樹立等のため、住宅問題につき今後調査を進めるため参考人より意見を聴取したい旨小委員長より申し出がありました。つきましては、同小委員会において参考人より意見を聴取するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/49
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050・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
なお、参考人の人選及び手続等につきましては委員長及び小委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/50
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051・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。
次会は明後四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00719600302/51
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