1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月八日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長代理 理事 纐纈 彌三君
理事 飯塚 定輔君 理事 渡海元三郎君
理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君
理事 阪上安太郎君 理事 門司 亮君
相川 勝六君 加藤 精三君
鈴木 善幸君 津島 文治君
三田村武夫君 保岡 武久君
山崎 巖君 太田 一夫君
川村 継義君 佐野 憲治君
野口 忠夫君 安井 吉典君
出席国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
出席政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
総理府事務官
(自治庁行政局
長) 藤井 貞夫君
大蔵事務官
(主計局次長) 吉岡 英一君
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(畜産局長) 安田善一郎君
水産庁次長 高橋 泰彦君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁行政局
振興課長) 山本壮一郎君
農林事務官
(振興局参事
官) 橘 武夫君
農林事務官
(食糧庁業務第
二部長) 村田 豊三君
通商産業事務官
(公益事業局経
理参事官) 吉岡 格君
運輸事務官
(航空局飛行場
課長) 吉田 俊朗君
専 門 員 圓地与四松君
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三月四日
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)(予)
同日
電気、ガス消費税撤廃に関する請願外十一件(
勝澤芳雄君紹介)(第六九五号)
同外十一件(櫻井奎夫君紹介)(第六九六号)
同外九件(中嶋英夫君紹介)(第六九七号)
同外六十二件(矢尾喜三郎君紹介)(第六九八
号)
同外二十三件(八木昇君紹介)(第六九九号)
同外四件(和田博雄君紹介)(第七〇〇号)
自動車に泥除装備に関する請願(阪上安太郎君
紹介)(第七一五号)
ゴルフ練習場の娯楽施設利用税撤廃に関する請
願(古川丈吉君紹介)(第七三〇号)
全日制市町村立高等学校教職員の退職手当全国
通算に関する請願(濱地文平君紹介)(第七五
四号)
同(堀川恭平君紹介)(第九一三号)奄美大島
の災害復旧に関する請願(保岡武久君紹介)(
第七七四号)
遊興飲食税減免に関する請願(田中榮一君紹
介)(第七八〇号)
同(荒舩清十郎君外一名紹介)(第九一一号)
同(亀山孝一君紹介)(第九一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第八
二号)(予)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)(予)
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第三七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/0
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001・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 これより会議を開きます。
濱地委員長にはお差しつかえがありますので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
予備審査のため、去る二月二十九日本委員会に付託されました消防法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。石原国務大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/1
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002・石原幹市郎
○石原国務大臣 ただいま議題に相なりました消防法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。
消防法の改正につきましては、すでに第三十一回国会におきましてその一部の改正を見たところでありますが、その後さらに火災の予防の徹底を期するため種々検討して参りましたところ、今回成案を得ましたので、ここに提案いたした次第であります。
以下この法律案のおもなる内容につきまして御説明申し上げます。
まず第一に、従来の防火責任者の制度を改めて、一定の防火対象物に防火管理者を設けさせ、その資格及び職務内容等について整備をはかり、もって防火管理の徹底を期することといたしました。
第二に、火災の拡大の危険の著しい物品の貯蔵または取り扱いの技術上の基準を市町村条例で定めることとし、これらに起因する火災の予防の徹底を期することといたしました。
第三に、従来は消防の用に供する機械器具等につきまして、設備すべき建築物その他の工作物の指定並びに設備の技術上の基準に関する規定は市町村条例にゆだねておりましたが、これを改めて、政令で指定した防火対象物に対しては、消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設を設置するとともに維持しなければならないこととし、これに関する技術上の基準は政令で定めることとして、これが徹底をはかり、もって火災等の災害の防止を期することといたしました。なお、技術上の基準につきましては、地方的実情に応じ、市町村条例でその付加をすることができることとして、実情に即した運営をはかることといたしました。また、この技術上の基準に関する法令の改正または防火対象物の用途の変更による切りかえを円滑に措置するため、現存の防火対象物等における消防用設備等についての法規の適用関係を調整する条項を設けることといたしました。
第四に、以上の改正に伴う罰則及び経過措置について規定するとともに、その他規定の整備をはかることといたしました。
以上がこの法律案を提出いたしました理由とその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/2
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003・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 次に、予備審査のため去る四日本委員会に付託されました地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。石原国務大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/3
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004・石原幹市郎
○石原国務大臣 ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
地方公共団体が経営いたしております企業は、水道事業、交通事業、電気事業その他数多くありますが、これら公営企業のうち比較的規模の大きいものには、地方公営企業法が適用されているのでありまして、その団体数は漸次増加しつつあり、成果は見るべきものが少なくないのであります。現在この法律の適用団体の数は、水道事業百三十九を初めとして、合計三百十四で、昭和三十三年度の決算状況は、総収益九百八十三億円、総費用九百二十五億円、差引損益計算上は五十八億円の黒字となっており、同年度末における資産総額は四千四百五十六億円、職員数は十万人をこえております。このほか水道事業、交通事業、電気事業及びガス事業で同法の適用を受けない公営企業の総数は約八百に達しております。地方住民の福祉を向上させるためには、今後ますます各種の公営企業の普及拡充をはかる必要があるのでありまして、その一段の発展が期待されるところであります。しかして、公営企業の健全な発展を期するには、企業の適正かつ能率的な運営を確保することが肝要でありまして、これがためには、これまで地方公営企業法の適用を受けない企業についても、企業会計方式による財務制度の採用をはかることが適当と考えられますとともに、公営企業運営の実際にかんがみ、若干規定を整備する必要が認められるので、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一は、地方公営企業法の適用を受ける事業のうち、従来水道事業の中に含まれていた工業用水道を独立の事業とし、常時雇用される職員の数が三十人以上のものにこの法律の規定を適用しようとするものであります。工業用水道事業は、現在まで地方公営企業法上は独立の事業とせず、水道事業に含めて扱って参ったのでありますが、その発展は著しいものがあるのでありまして、この際その経営の適正化を期するために、工業用水道事業を独立の事業として地方公営企業法を適用することにいたしたいのであります。
第二は、地方公共団体の経営する水道事業、工業水道事業、軌道事業、自動車運送業、地方鉄道事業、電気事業及びガス事業で、これまで地方公営企業法の規定が適用されない一定規模未満のもののうち、常時雇用される職員の数が二十人以上のものについても、地方公営企業法の規定のうち企業会計方式による財務に関する規定等を適用しようとするものであります。従来、これらの事業については、たとえば、水道事業は常時雇用される職員数五十人以上、軌道事業は百人以上というように一定規模以上のものに地方公営企業法の規定の全部を適用し、他は地方公共団体の条例によって規定の全部または一部を適用することができるものとされているのであります。しかしながらこれらの事業は、その性格から見て、漸進的に地方公営企業法の適用を受けることとすることが適当であると考えられるのであります。従って、従来地方公共団体の条例で同法の規定を適用することができることとしているもののうち、企業会計処理の実施が適当であると考えられる中規模程度の企業に対しても、この法律の規定のうち企業会計方式による財務規定等を適用して、複式簿記による会計方式をとることとし、もって資産の把握を容易ならしめるとともに、経営状況を明らかにする等、企業の合理的かつ能率的な運営を助長しようとするものであります。
第三は、地方公営企業を経営する地方公共団体には、各事業ごとに管理者を置く建前とされておりまするが、水道事業及び工業用水道事業をあわせて経営する場合または軌道、自動車運送及び地方鉄道の交通事業のうち二以上の事業をあわせて経営する場合には、事業の類似性にもかんがみ、組織をなるべく簡素にするために、特別の事情のない限り一人の管理者を置くことを建前としようとするものであります。
以上のほか、公営企業運営の現況をも考え、財務に関する規定に若干所要の改正を加えようとするものであります。
なお、この法律の施行期日につきましては、従来の官公庁会計方式による財務制度を、企業会計方式による財務制度に切りかえることとなりますため、準備期間を必要といたしますので、事業規模に応じて昭和三十六年四月一日から三十七年四月一日までの間に改正法が適用されるように所要の調整を加えることといたしました。
以上、地方公営企業法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/4
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005・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 次に奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を継続いたします。保岡委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/5
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006・保岡武久
○保岡委員 去る二月十六日に、ただいま議題になっております奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案の審議の際に、私は若干の御質疑をいたしたわけでありますが、時間の都合で残した問題をこの際さらにお尋ねいたしたいと考えております。
まず第一の問題は、奄美群島の主島であります大島本島に、空港整備法に基づく第三種空港の設置をぜひ実現していただきたいという問題でございます。最近の世運の推移というものはますます急テンポでありまして、航空路の開設ということは国内、国外を問わず、非常な急務とされているのでございます。鹿児島県だけ申し上げましても、鹿児島県のすぐ南にある離島であります種子島あるいは屋久島というところにも、すでに第三種空港が建設されつつあるのでございますが、奄美群島は何と申しましても、南に沖縄列島を控えまして、航空運輸の面からいたしましても、きわめて重大な地位を占めているわけであります。またそこには群島民が二十万余りも生活いたしている実情でありまするので、この時代の急テンポに間に合わせるように、ぜひとも第三種空港を整備していただきたいということは、群島民の非常な大きな念願でございまして、たびたび政府に対しても陳情等を申し上げて参っているような実情にあるわけでございます。そこで昭和三十五年度の奄美群島復興計画の実施計画の中にぜひこれを入れていただいて、その建設に一歩を進めてもらいたいというのでございますが、これについての政府、特に自治庁のお考えをこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/6
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007・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 奄美に第三種空港設置をいたします問題につきましては、御指摘にもありましたように、われわれといたしましてもその必要性というものを痛感をいたしておりまして、先般来鋭意適地についていろいろ調査をして参っておったのであります。立地条件、気象条件その他非常にむずかしい点がございますので、適地の選定についてはいろいろ候補地をあげまして検討を続けて参ったのでありますが、ようやく本島の笠利村の節田というところに適当な候補地が見つかりましたので、これをいろいろな角度から検討いたしまするために、本年度は調査費を計上いたしまして、いろんな角度から調査を行なって参りまして、基礎調査は大体済んだことに相なっておるのであります。現在の計画では、延長が千三百六十メートル程度で、幅員が九十メートル、事業費が一億六千六百万ということで計画をいたしておるのでありますが、この計画にのっとりまして、本年度実施をいたしました基礎調査の上に立って、来年度はぜひとも空港の用地買収程度は行なっていくということにいたしたいというふうに考えておるのであります。ただこれをやるにつきましては、事業費が今申し上げましたように一億六千六百万円ということに相なります。これを現在の奄美復興の計画の中に組み入れて参りますということになりますれば、当然他の事業に対する影響も出て参ることも考えなければなりません。そういう場合に、優先順位から申しまして、他にやはりもっと基礎的に早急に整備をしなければならぬ部面もあるわけであります。その重点の置き工合というような点についてもいろいろ問題があるとは思いますけれども、そういう影響も考慮して参らなければなりません。また事業の進捗に従いまして、なお全体計画とのにらみ合わせの上で、他の事業への大きなしわ寄せを生ぜしめない空港整備事業ということがやり得る余地があるのかないのか、かりにないといたしましたときには、計画自体これを組み入れる場合にどういう方法でやっていくかというような点につきまして、なお関係各省との間でいろいろ打ち合わせを遂げなければならぬ点もございまして、現在のところまだ最終的な結論を見るに至ってはおらないのであります。しかしながら、空港整備の重要性というものにつきましては、われわれといたしましてもっとにその必要性を痛感をいたしておるのでございまして、ぜひともこれは一つ実現をするという方向におきましてなお関係各省とも鋭意打ち合わせをいたしまして、その実現に努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/7
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008・保岡武久
○保岡委員 自治庁御当局の御熱意はよくわかりました。ぜひ一つ群島民の願いを達成していただくように御配慮願いたいと思います。三種空港と申しますと、これは多分空港整備法に基づきまして、鹿児島県知事がその設置許可を政府に出す。政府はおそらく運輸大臣だと思いますが、運輸大臣がこれを許可するということ等の手続が必要だと思うのでございますが、その点から運輸大臣としては奄美群島の空港をどういうふうに考えておられるか、航空局の御意見をこの際拝聴しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/8
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009・吉田俊朗
○吉田説明員 先生の御指摘の通りでありまして、航空局といたしましても、現在路線を開設しております奄美大島の東の喜界島の飛行場につきましては、間に合わせ的であり、十分なものとも考えておりませんし、また人口分布その他の関係から考えましても、適当な飛行場とは思えませんので、何とかして本島に飛行場を開設したいという念願でおりましたところ、昨年来自治庁、鹿児島県等でこの問題を取り上げていただきまして、われわれとしても技術的にいろいろ御協力申し上げまして、先ほど自治庁から御説明のあった通り、適地を見出すことができまして、この笠利村に飛行場ができることを航空局としても念願しておるわけであります。従いまして、自治庁において取り上げていただきましたならば、あらゆる協力を惜しまないとともに、その他今お話のありました航空法上の手続等につきましてもすみやかに処理したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/9
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010・保岡武久
○保岡委員 運輸省の御意向もよく了承いたしました。つきましては一億六千万円という巨額の経費が必要だということでありますが、先ほど自治庁の方のお考えでは、奄美群島復興特別措置法に基づく現在の復興計画のらち内でできるだけやりたい、こういう御意見のようでありましたが、あの計画は、微にわたり細をうがって、それぞれ奄美群島の復興のために絶対に必要だという最小限度の計画が作られ、そしてまたそれに基づく経費というものが積算されているとわれわれは考えておるのでございまして、その面からこの飛行場の費用を全面的に捻出するということはおよそ不可能であるというふうに私どもは考えております。従ってどうしても大蔵省の特別な御配慮をいただかなければ、この問題の解決ということはなかなか至難ではないか、かように思っているのでありますが、おそらく現在のこの世運の推移、また文化、経済、政治あらゆる面の急テンポな進展の恩恵にあの群島民を浴せしめるということは国家として最も大事なことじゃないか、その見地で、大蔵省におかれましても、この問題については十分な御協力があるものと私ども考えておるわけでございますが、その点について大蔵省の御意見をこの際拝聴いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/10
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011・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話のございました空港の問題につきましては、奄美群島復興事業計画の実施計画の一つとして、昨日小委員会で御披露があったようでございます。私ども主計官が昨日拝聴いたしたわけでありまして、いろいろな点これから検討させていただきたいと存じておりますが、ただいま先生のおっしゃいましたように、従来の事業計画のワク外で全然別個な新しい問題として考えろとおっしゃる問題でありますと、なかなかむずかしい問題になるのではないかと考えております。むしろわれわれとしては、きのうの小委員会で御披露があったというような点から、従来の実施計画の中にこれをいかにして入れるべきか、あるいは入れることは可能かどうか、入れるとしてもどの程度の範囲でというような問題のように実は了解をしておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/11
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012・保岡武久
○保岡委員 復興計画のらち外でこれをぜひやってもらいたいという私の趣旨じゃなくて、復興計画のらち内でやっていただくのではあるが、しかし復興計画のらち内でやるということがはたして十分にできるかどうかということを懸念いたしておるわけなんです。その点については、大蔵省としてよほど幅の広いお考えで御協力を願わなくちゃならぬと思う、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/12
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013・吉岡英一
○吉岡政府委員 御質問を取り違えまして大へん失礼いたしました。今のお話のように、事業計画の中で考えろというお話でございますれば、昨日承ったばかりでございますので、われわれとしてもこの空港の必要性、あるいはその他の事業計画との関連の問題その他をこれから十分検討させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/13
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014・加藤精三
○加藤(精)委員 関連して。ただいま主計局次長さんのお話は、どうも大へんおもしろくないのです。というのは、質問者は、そのワクの中の資金でも、ワクの中の仕事としてはやるけれども、従来のワク内の仕事に支障のないように相当ワクの追加をしてもらって、第三種空港の設営をしてもらう、こういう趣旨なんです。それを従来の金額のワク内でなら考えるという御答弁でございますが、そういう点、後進地開発というか、特に同じ日本の国土でありながら、行政権を他に移してあった地域が新しく日本の施政下に復帰したわけなんです。そういう地域でありまして、なお今度はいろいろ農業上の凶作にあったり、非常な苦労をしておられるのでありますから、そこのところを、従来のワクの金額の範囲内ならば考えるというようなことでなしに、もうちょっと十分温情をもって考えていただきたいと思うわけであります。と申しますのは、私は奄美大島に行ったことはありませんが、奄美大島振興法の最初のときの関係者で、奄美大島振興の実績をいろいろに聞いて非常に心配しておるのでありますが、ことに参議院のわが党の同志の議員等も、奄美大島の振興については非常に熱意を持っておるのですけれども、しかしながらその結果を聞いてみると、現実に行かれた門司さんなんかに言わせると、どうもあまり所期の目的を達していない。ハブなどもあまり減っていないという話ですが、米びつの中にハブなんか入っていたらとても容易じゃありません。単なる事務的な御査定でなしに、十分考えていただきたい。往年沖縄地帯に非常な暴風があって、学校が倒壊したのです。そういうところは特別だからというので、往時の主計局の次長さんだと思いましたが、荒川昌二という偉い方がおりまして、全部鉄筋で作って下さった。大蔵省にも人材があると思ったのです。どうぞそうしたような非常な思いやりのある——何もわれわれは好んで奄美大島というコンディションの悪い不しあわせな所に生まれたのではないのですから……。しかも奄美大島は若き日の西郷南州翁を育てて国家のために貢献したところです。何とかもう少し思いやりのある日本の国民性とマッチした少し血の通ったような御査定を特にお願いしたいと思うのでございますが、次長さんの御意見をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/14
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015・吉岡英一
○吉岡政府委員 お話の御趣旨はよく拝承いたしますが、なお先ほど申し上げましたように、きのう伺いましたばかりの問題でございますので、よく検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/15
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016・保岡武久
○保岡委員 この問題につきましての政府全体の御意見として石原国務大臣のこの問題についてのお考えを承り、なお、閣内においても御協力を願いたいということをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/16
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017・石原幹市郎
○石原国務大臣 奄美の復興計画につきましては、自治庁の所管になっておりまして、私も就任以来非常な熱意を持ってこの問題に取っ組んでおるつもりであります。先ほど来いろいろ論議を聞いておりまして、それぞれ積極的に何とか実現したいという意向で各省庁も努力しておるようであります。私といたしましても、でき得る限りの努力をいたしまして、御期待に沿うように今後とも努めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/17
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018・保岡武久
○保岡委員 大臣の御熱意を拝聴いたしまして非常に力強く思います。よろしくお願い申します。
それから次の問題は水産庁にちょっと承りたいと思います。奄美群島の一つの産業として漁業の問題がございます。漁業につきましては、奄美群島復興特別措置法の精神に基づいていろいろ計画が立てられて着々進められておるのでございますが、非常に有望な漁場でありながら、どうもそれがうまくいってないという一つの問題があるわけであります。それは捕鯨の問題であります。もちろん捕鯨の問題は、国際捕鯨条約に基づきまして大きな制約を受けておるのでございます。そのために奄美大島近海は捕鯨の漁場として非常に有望でございますけれども、それができない。しかしながら、ちょっと離れた沖縄はすでに日本の領土でないという建前から、ほとんど奄美大島の海域まで沖縄の関係の捕鯨が行なわれておる。われわれ奄美群島の者は手をこまねいてそれを見ておるというような実情が実はあるわけなんであります。そこで水産庁におかれまして何とか国際捕鯨条約会議でもあります際に、こういう問題等を念頭に置かれて、あの地域だけ条約地域からはずしてもらうというような何らかの手を真剣に打っていただきたい。この点についての水産庁の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/18
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019・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 ただいま奄美大島におきます捕鯨の問題について御質問がございましたのでありますが、日本におきまする捕鯨の状況と、ただいま御指摘のように若干沖縄にも関連した部門がございますので、一括してまず概観についての御説明をいたしておきたいと思います。
ただいま沿岸の捕鯨は、国際捕鯨条約に加入しておることを受けまして、それぞれの取り締まり規則が制定されておるわけでございますが、この現況をまず申し上げますと、現在沿岸捕鯨といたしましては、日本全体で二十五隻の船が許可されている現状でございます。しかしながら、この捕鯨の対象となりまする鯨資源を見ますと、マッコウクジラ及びイワシクジラも同様でございまするが、いずれも資源的には相当心配な傾向がございまするので、ただいまの方針といたしましては、これ以上の漁獲の能力を追加することは、かえって鯨資源に対しまして悪い影響があるであろうというような考え方からいたしまして、これ以上の隻数はふやさない方針でおるわけでございます。一方沖縄におきましては、御指摘のように終戦後若干の隻数の許可をいたした模様でありまして、ことしは、聞くところによりますと四隻の許可があるというふうに聞いておるわけでございますが、これもやはり軍政下には置かれておるわけでありましょうが、やはり条約の線に沿った許可の仕方のように聞いておりまして、とるべき鯨の、ザトウクジラその他の頭数につきましては制限があるように聞いておるのでございます。
以上のような状況でございまするので、わが国といたしましては、少なくとも現在以上隻数の増加をすることは資源の状況から見て非常に困難であろう、このように考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/19
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020・加藤精三
○加藤(精)委員 水産庁次長さんにお尋ねしますが、沖縄に許可された四隻ですか、それは国際捕鯨条約の線に沿って許可になったように聞いているというのは、聞いていると、国際捕鯨条約によって許可になったということとでは大へんな違いだ。むしろ向こうが国際捕鯨条約の線に沿わないで許可したような場合は、日本の船のとる鯨の数が減るわけです。ただでも資源が少ないのに、それは大へんな違いだと思うのです。条約の線に沿ったか沿わないか、条約の許す範囲で許可したかどうかということは——。おそらく私はお役人さんの謙遜な言葉で、聞いているというふうに修飾されたものだろうと思いますが、国会というところは、はっきりしたことが審議の対象になるのですから、そういう外交関係のことですから外務省とも関係があるでしょうけれども、そこはどうなのですか。はっきりしているのか、してないのか、そこらのところをまず第一番にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/20
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021・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 この沿岸捕鯨におきまする国際捕鯨条約関係で御説明申し上げますと、一国の許可すべき期間がきめられておるわけでございまして、終年の許可をすることはできないわけでございまして、たとえば日本では五月から十月というふうにこれを解禁しておるわけでございます。従いましてこれ以外の期間は、日本内では許可できないというのが国際捕鯨条約の規定に相なっております。それで御指摘の沖縄の方は、これと時期をはずしまして十二月から四月までの許可をしておりまして、その点も終年の許可をしておりませんので、従いまして、その点から見ますと、わが国が国際捕鯨条約を順守しておることはもちろんでありますが、沖縄の方も国際条約を守っておることは確かでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/21
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022・阪上安太郎
○阪上委員 関連して。私、地元を見てきたのですが、地元の島民が非常に不満としておる点は今の点なんですが、その国際捕鯨条約に加入しておるために、その期間内日本では沿岸の現地の人はとれないということになっておるのですね。ところがアメリカの旗を立てて日本の林兼とか日魯漁業とかがどんどんどんどんとっておる事実があるのです。これをどういうふうに見ておられるか。条約の範囲内ではどうにもならないのですか。問題はそこにあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/22
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023・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 ただいま御説明した条約の方から見ますと、いずれもこの条約を順守しておることは間違いない。ただ御指摘の通り、日本でとる鯨資源と沖縄を根拠にしてとりまする鯨資源とは、現在のところほぼ同一の資源であろうというふうに考えられておりまするので、従ってその資源の問題といたしましては、これは捕鯨頭数は南氷洋の捕鯨と違いまして何頭以上とってはならないというような国際条約はないのでありまして、ただいまのような月の制限だけでございますけれども、しかしながらただいま御説明しましたように、鯨資源は相当弱い資源でございますから、あまり船がふえますと、鯨が減ることは、現在の状況から見ましておおむね推定することが確実にできるというふうに思っておりますので、現在以上隻数をふやすことは、鯨資源に対して非常に悪影響を及ぼすことになろうというふうに考えまして、その点は日本の隻数の増加を抑制しておると同時に、沖縄の許可についても、これ以上増加されるようなことに対しては私どもも関心を持っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/23
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024・阪上安太郎
○阪上委員 そこがおかしいのですよ。その辺の条約の関係はよくわかるのですが、あの海峡の間にもう鯨がごろごろ入ってきておる。とろうと思えば幾らでもとれるのです。隻数もくそもないのだ。ところがとれないのでしょう。時期的に制限を受けておるのです。にもかかわらず、その制限を受けてとれない時期にアメリカの旗を立てて日本の船がとりに来ておるのです。これは一体どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/24
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025・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 御承知の通りに、公海におきまする同一資源を違った関係の国々が争うてとるようなケースが日本の漁業におきましては残念ながら非常に多いのでございますが、このような状況の場合に、やはりどうしても二国間の考え方が若干違う場合には、この種の境目におきましては若干現象的には困った現象が起こることは事実でございます。しかしながら、ただいまの鯨資源の状況から見まして、これ以上日本の漁船の数をふやしていいかどうかについては、はなはだ問題であろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/25
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026・阪上安太郎
○阪上委員 それはおかしいのですよ。鯨資源云々と言われるけれども、その資源をアメリカの旗を立ててとりに来ればとりに来れる。しかも日本の船がアメリカの旗を立ててとりに来ているのですよ。こんなことを水産庁の方でも全然干渉できないのですか。もしそういうことであれば、なぜ沖縄にかけ合わないのですか。どうにもしようがないというようなことでいっているのじゃ、おかしいじゃないですか。目の前に鯨が来ているのですよ。とれないのですよ。そのために島民は非常に不満と不平を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/26
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027・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 沖縄政府のライセンスを持った漁船に対して、日本政府の取り締まりの権限が及ぶかどうかという御質問が第一にあったわけでございますが、この問題につきまする両政府の合意がございません現在におきましては、日本の法律に照らし合わせてこれを取り締まるということが不可能なのが現状でございます。ただし、それでは問題が全くないかというと、そうではございませんで、資源の問題につきましては、ただいま以上隻数をふやすことに対しましては、私どもも同意しかねるような状況にございまするので、機会あるごとにこれ以上ふやしてもらいたくないというような趣旨の説明をしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/27
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028・阪上安太郎
○阪上委員 それはよくわかるのですが、それじゃ日本だけが資源確保のために隻数はふやさぬという方向を、条約をたてにとってわれわれは順守するのだ。ところが相手の方はどんどんとりに来ている。おそらく乱獲をやっているのでしょう。しかもそれをやっているのは日本の船だというじゃありませんか。その辺について、国際条約だからといって黙って見ているという手はないでしょう。何かそれに対して抗議を申し込んだり、あるいはそれを是正さしたりする方法があろうと思うのですが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/28
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029・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 これは、法制的な関係につきましては御説明した通りでございますが、御指摘のように、この漁業をやっております船舶の所有者は日本側の漁業者でございます。ただ経営の主体は向こうにあるわけでございますが、チャーターされるような形で日本の船舶が参加していることは事実でございます。従いまして、以上のような法制的な問題と離れまして私どもとしては、やはりるる述べましたような資源の問題がございまするので、向こうにチャーターされていくような船は、こちらを休んで行ってもらいたいというような行政指導を行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/29
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030・阪上安太郎
○阪上委員 向こうにチャーターされておる船というものは、どこの会社に所属しているどういう船なんですか、わかっておったら知らして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/30
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031・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 ことしは先ほど御説明いたしましたように四隻でございますが、大洋漁業株式会社に所属するものが二隻、それから日東捕鯨株式会社に所属するものが二隻というふうに承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/31
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032・加藤精三
○加藤(精)委員 鯨には沿岸捕鯨と大洋捕鯨とあるようですけれども、鯨というものは一体回遊するのかしないのか。それからノルウエーが捕鯨条約から脱退したと聞いておるのだけれども、ノルウエーは捕鯨のうちの最も主要な部分をとっている。それが脱退して勝手によけいとるなら、日本ばかり正直にやっていたら損なような気がする。
それから今の阪上さんの問題を心行き届くまで丁寧に審議すべきだと思うのですが、日本の領海、奄美大島の領海に出てきて、海峡のところに鯨がうようよしておる。阪上さんなんか御自分の目で見たというのですし、そういう状態のところを、幾らアメリカの旗を立ててきたって大へん迷惑な話で、これは国際条約の対象になると思う。それから国内法規でどうなっておるか知らないが、そういうものは国内法規でも漁業取り締まりも海上取り締まりもできるような気がするのですけれども、そういう関係はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/32
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033・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 まず御質問の第一点の捕鯨条約の関係でございますが、御指摘のようにノルウエーは国際捕鯨条約から脱退したわけでございます。しかしながら、このことの起こりました問題は、主として南氷洋の捕鯨の問題からでございまして、現在も脱退はしておりますが、脱退前とほぼ同様の規制を実質的に行なっておるようなわけでございます。なお、南氷洋を中心とする捕鯨の問題につきましては、ただいまいろいろと問題がございますので、検討を続けておる段階でございます。
それから御質問の第二点は、鯨が回遊するかどうかということでございますが、これは相当広範囲に回遊するものと考えられております。これは具体的に御説明をいたしてもいいのですが、大体奄美大島の周辺から沖縄、日本内地にかけての鯨の資源は、少なくともそのような範囲で回遊しておる資源であろうということは結論的にいえると思います。
それから御質問の第三点は、沖縄の船が奄美大島の周辺に入ってきた場合の、領海と公海における漁業操業の問題の御指摘でございますが、これは当然のことでございますが、日本の領海、従って奄美大島の周辺におきまする領海に入ってくる場合には、これは日本船舶のみならず、外国船舶といえども日本の漁業法の適用を受けることは当然でございます。ただ公海におきましては、日本漁船に対しては日本の法律が及び、外国船舶につきましてはそれぞれの国の主権が及ぶというふうに考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/33
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034・加藤精三
○加藤(精)委員 これでおしまいですが、私の質問の構成は三つにも四つにも分かれておるのですから、それに漏れなく回答できるように、鉛筆でちょっちょっと書いておいて答弁していただきたい。
阪上さんのお話にあったように、海峡ですから当然領海ですね。そこへアメリカの旗を立てて大洋漁業、日東捕鯨の船がやってきてとっておる。これは明らかに領海侵犯だろうと思う。公海の問題をお聞きしたのではないので、領海の問題をお聞きしたんですが、この領海の問題に対してどういう取り締まりを実際水産庁がやっておられるか。それからどうしても力関係でうまくいかないのか、そういうことです。監視船とかいうものがあまりないのでどうかという問題があろうと思います。そういう問題をこっちはお尋ねしたつもりなんです。
それから続けて申し上げますが、大体回遊する傾向があるならば、おそらく黒潮に乗ってぐるぐる回るんだろうと思うのです。そうすれば、そうした季節外に、いかに沖縄政府から許可を受けた船でも、とられたら黒潮の中を回遊する鯨の資源が減ると思うのです。これを漁業資源の保護の上から、沖縄政府に対して交渉なさることができるか、あるいは捕鯨条約関係を審判する場所がありますれば、そこに提訴できるわけです。そういうことになりますと、これは相当重要な問題なので、処置をしていただきたいということなんですが、それに対するお答えと、さらに日本としても捕獲し得る資源の一定の予定数があるわけですね。そうしますと、鯨一頭とれば七浦うるおすということを九州の海岸では言うんですよ。そうしてあるいは油をとるとか肥料をとるとか肉をとるとか、いろいろに仕事があるんです。そういうことになりますと非常に恵まれるわけですから、大漁業の方の捕獲量を少し制限して、もっと貧しい沖縄の漁民に対して許可を与えることができないかどうか。いかに沖縄政府からのライセンスであろうが何であろうが、季節外に不正漁業をやるような大会社には許可を半分くらい取り消してやることが、私はほんとうのヒューマニズムの行政だと思うのです。新しい時代はヒューマニズムの政治であり、ヒューマニズムの政治をするために民主社会党なんという新しい党が、今度中間階級の幸福を目ざしてできたというような時代です。それがうまく行くかどうかは、これからの門司さんたちの御努力、心がまえ一つによるので、私たちは監視しておりますが、われらの自由民主党におきましても、保守主義の哲学というものを持ち出しましてヒューマニズムの政治を目ざしてやっておる。お宅の水産庁には人材が非常に豊富だということを聞いております。海洋第一課長とか海洋第二課長とか、次長さんの下にもずっと優秀な人がおるので、ヒューマニズムの行政をおやりになるつもりはないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/34
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035・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 第一の御質問は取り締まりの問題でございますが、もちろんアメリカの旗を立てようがどうあろうが、領海に入ってきた以上は、わが方が断固として取り締まるということについては全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/35
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036・加藤精三
○加藤(精)委員 取り締まっているかどうかということを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/36
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037・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 これは御質問でございまするが、水産庁の方にも若干の指導船もあり、海上保安庁は漁業取り締まりの問題については主管行政庁でございますので、二つの庁がただいま全力をあげて取り締まりに当たっておる次第でございます。ただ、ただいまやや李ラインその他の方に主力を注ぐ関係で、手薄になっておる事実については御指摘の通りでございまするが、しかしその点は、この問題も重要問題でございますから、もし違反問題があれば、その方の船をこちらに回すということを考えてもけっこうでございます。それから第二点は、ただいま向こうでやっているのはどうも不正ないしは違反のきらいが非常に濃厚じゃないか、従ってそれは沖縄当局と交渉してやめさせるようにするか、何とかしたらどうかという御意見のように承ったわけですが、これは法制的に申しますと、違反ないしは不正というようなことはないというふうに先ほどから御説明いたしました通り、そういうことはないと思いますが、ただわが方の利害とかなり関連がありますので、御指摘によりまして、なお一そう関心を深めまして、この問題について善処して参りたいというふうに考えるのでございます。第三点は、ヒューマニズムの問題でございますが、もちろん私どもはこの精神に徹した行政をしたいというふうに常々心がけておる次第でございますが、たとえばこういう問題もございます。それは日本の隻数、鯨に対する隻数をふやすことはできませんが、しかしながら問題は地元に若干の金を落とすことがポイントじゃないか、こう思います。従いまして、できますれば処理場をこの奄美大島に設けることができれば、その一助になろうかと思われるわけでございますが、これは事会社の経営の採算の問題にも触れますので、なおその点は御趣旨を体しまして、よく事業者側とも連絡してみたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/37
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038・加藤精三
○加藤(精)委員 違反がないということをおっしゃったんですけれども、現に海峡に五月から十月までの日本側の漁期の間にうようよ鯨が泳いでいるのを、アメリカの旗を立てて日本のチャーターされた漁船がとっているという事実があるのだから、違反がないということを非常にはっきりおっしゃることは即断じゃないでしょうか。その点もし違反をして、チャーターされているようなそういう会社には、今度はみせしめのために許可を半分ぐらい取り消したらいいんじゃないかということです。世界一の漁業会社である大洋漁業なんというのは、少しぐらい漁獲範囲が狭くなったってしようがないじゃないですか。それより奄美群島の同胞がかわいそうじゃないですか、そういうことを私が言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/38
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039・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 ただいまの私のお答えがあまりにも法律論に終始したために、おそらく御了解願えなかったと思いますが、しかし御指摘の実情については私どももよく了解しているつもりでございます。ただ一応法制的な説明としては、領海内に入ってくる場合には断固取り締まります。公海におきまする漁業活動につきましては、法制的にすぐ違反だということは言えないと思いますが、御指摘のように領海内の問題だとすれば、これは明らかに違反でございますから、それは御趣旨に沿いまして今後取り締まりをするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/39
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040・保岡武久
○保岡委員 先ほどから加藤委員、阪上委員から熱心にいろいろ御討議をいただいたわけでございますが、私ども現地の者から考えますと、そういうむずかしいことじゃなしに、五月から十月までの漁期は、その国に認めておるのですから、ただあの端境であるがゆえに、禁漁期になって相当入ってくるということなんです。言いかえれば、解禁時には来ないということなんです。そういう端境の問題で、しかも沖縄においては端境にはとれる。これは一衣帯水なんです。だから国際捕鯨会議あたりで、そういう実情をよく抗議していただいて、あの地域だけは特別な措置を考えてもらいたいというのが私のお願いなんです。隻数もふやしてもらいたいということもよくわかりますが、そういうことでない。とることさえできればいい。しかもそれはほんとうにごく若干の幅なんです。そういうことをぜひ一つ考えてもらいたい。これは私は考え得ると思うのです。先ほどのヒューマニズムの行政じゃないですが、そういうことはやはり考え得るのじゃないか。できない、困難だとおっしゃらずに、国際捕鯨会議あたりに持ち出してもらいたいというのが、私どもの年来のお願いです。さらに鯨体処理場を作るということも一つの考えだとおっしゃったことは、私は非常な前進として感謝いたしますが、もう一つお考え願いたい。これでこの問題は質問を終わりますが、お答えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/40
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041・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 御趣旨を体しまして善処させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/41
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042・阪上安太郎
○阪上委員 関連して。大体の結論が出たようですけれども、私も同じことなんですよ。向こうは、とにかくとれる期間にとりたい、こう言うのです。相手がでたらめやっておるなら、こっちも少しぐらい許しなさい。そのくらいのことは腹をもってやりなさい。こっちが別に季ラインのまねをしなくてもいいと思いますけれども、もう少し寛大に見てやりなさい。五月から十月までという捕鯨条約の期日、これはやはり日本の大会社はこの時期がいいのだろうと思うのですよ。南氷洋その他においては、この時期を選ばなければならないのだろうと思いますが、そのしわ寄せが、ああいう沿岸の方にきておるわけです。この点についても、条約の改正といいますか、そういう提案をすることも必要だと思いますが、同時にもう少し大目で見てやりなさい。これは頭数制限があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/42
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043・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 御質問の点でございますが、頭数については制限ございません。なお、ただいまの両先生の御指摘の時期の問題は、これは御指摘のように国際捕鯨条約との関連もございまするので、御趣旨を体しまして、慎重に検討さしていただきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/43
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044・阪上安太郎
○阪上委員 この時期には小型しかとれないそうですよ。もう少し時期がずれると大型がとれる、こういうことなんですが、そんな点も勘案して、今、今とかとっておりますが、二十頭くらいとれれば、あの辺はうるおってしまって大へんなことらしいのです。ですから、わずかなところですから、少し大目に見るようなことに考えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/44
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045・保岡武久
○保岡委員 次にもう一点だけ。農林省の方は来ておられますか。これはこの前も御質疑申し上げたのでございますが、奄美群島のよって立つところの経済の最も大きな基盤はカンシャ糖でございます。従来カンシャ糖については、同じ甘味資源でありながら、北海道におけるテンサイ糖の資源の育成、保護とは違って、等閑に付せられていたきらいがないでもないと考えられる。というのは、北海道につきましてはテンサイ糖振興法等ができております。しかし奄美群島についてはそういう法制的なものが何らない。何らないということは、結局奄美群島のカンシャ糖は捨てておいても何とか産業になっていくんだ、北海道の方はそういうわけにいかないというところにあるのじゃないかと思うのでありますが、その点についての食糧庁の御見解を一応承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/45
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046・村田豊三
○村田説明員 御指摘の通り、寒冷地帯におきまするテンサイ糖振興対策につきましては特別の立法をいたしまして、また暫定的にはその一部のものを政府が買うというような措置をとりまして、わが国の甘味資源の自給度を高める態勢の一環としての措置をとっているのでございます。西南諸島におきまするカンシャ糖につきましては、保岡委員御承知の通り、従来大部分が黒糖の形で処理されて参っておるのでありまして、いろいろ保管管理上の技術的な問題等もございまして、黒糖の形だけでも政府が買うような、あるいはその他の安定措置をとれないかというふうな御要望のあったことも承知をいたしておりますけれども、さような措置が臨時的にもなかなかとりにくいということで、多年の懸案になっておったように承知いたしております。たまたま昨年来の関税、消費税の繰りかえ措置等によりまして、その反射的な効果といたしましても、西南諸島におきまして分みつ糖ができるという事態に立ち至りまして、現在若干の企業化が進められつつあるようでございます。何分にも寒冷地帯におきまするビート工場の進出対策と重なりまして、さようなきわめて歴史的な経過も浅いものでございますし、なおかつ一般的に申しまして、国内でも相当最良の上白の精製が行なわれておりますけれども、これについては特別のさような措置はとっておらないということで、この問題は具体的な論議に上ってこなかったのではないかというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/46
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047・保岡武久
○保岡委員 そこで分みつ糖問題が解決いたしまして、奄美群島、西南諸島のカンシャ糖が日の目を見ると申しますか、脚光を浴びて参ったわけでありますが、できるだけ蔗作農民の保護を考えていく段階になっているのではないか、かように実は思っておるわけでございます。そのためにこの前もお話し申し上げましたように、その生産者価格と申しますか、会社の収買価格というものをできるだけ適正に持っていくということについて行政的な指導をぜひやっていただきたい。これについてはこの前お話を申し上げた通りで、御意見はわかったのですが、同時にこういうことは考えられないか、会社自体、企業体自体のコスト・ダウンのために、現在奄美群島では開発銀行あるいは農林漁業金融公庫あたりからだと思いますが、ごく短期の資金を融資していただいて会社を作っているのであります。北海道のテンサイ糖工場のごときは、私も数日前現地に行って見てきたのでございますが、十五年、二十年というきわめて長期の、しかも低利の資金を借りて企業体を作り上げている。その点から考えましても、原料価格をある程度高く買い上げてもやっていけるということではないかと思うのです。ですから同じ分みつ糖の問題でございますので、奄美群島における融資の条件もテンサイ糖と同じようにしていただいたら、蔗作農民の保護のために、生産者価格をある程度適正に持っていくためにも資するところが多くあるのではないか。同じ国の政策としても、分みつ糖の問題でございますので、両者を区別することなしに同一条件で考えていただく方途はないか。この点につきましてちょっと御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/47
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048・村田豊三
○村田説明員 担当局の者が参っておりませんので、便宜食糧庁の方からお答え申し上げたいと存じます。
北海道のビート糖の開発にあたりましては、御指摘の通り北海道東北開発公庫から比較的長期の融資が行なわれておる現状でございます。それから御指摘の通り、奄美群島におきまする分みつ糖工場の融資につきましては、開発銀行の融資のあっせんをいたしております。これは北海道東北開発公庫の融資条件と、開発銀行の融資条件は同様でございまして、大体十年くらいの長期の償還でやれるように相なっております。おそらくその意味ではテンサイ糖、ビート工場への融資と、奄美群島におきまする分みつ糖工場の融資は、条件は大体同じと見てよいのではないかと思いますけれども、内地では、御承知のように結晶ブドウ糖については農林漁業金融公庫も融資をいたしております。これはただいま申しました開発銀行なり北海道東北開発公庫の融資条件よりもさらに償還期限は長い、金利も安いというふうな有利な条件の取り扱いになっております。従って、奄美群島におきまする分みつ糖工場の特殊性から申しまするならば、国内におきまする結晶ブドウ糖工場と同じような条件が得られるならば、これは願ってもないことだと私どもも寄り寄り検討をいたしておったのでございますが、国内の結晶ブドウ糖工場の融資につきましては、特別の立法措置がございまして、農産物価格安定法に定めておりまする農産物を原料にいたしまして、その新規用途の拡大、消費の拡大のための、そういう産業のための特別の措置であるというふうな、いわば特別な扱いがされておりまする関係上、そういう措置がとられておるというふうに理解いたしますので、この問題は、それと同一に扱えということになると、やはり相当困難な問題があるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/48
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049・保岡武久
○保岡委員 今ビート糖の工場の融資と、カンシャ糖の分みつ糖の工場の融資とは同一条件とおっしゃったと承ったのでありますが、その通りでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/49
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050・村田豊三
○村田説明員 重ねてお断わりを申し上げまするけれども、担当の局の者が参っておりませんので、便宜私が承知いたしておりまする範囲でお答えを申し上げますると、ただいま奄美群島におきまする分みつ糖への融資は、やはり開銀から出ておりまして、開銀の利率は九分で、十年間の償還に相なっておるように承知いたしております。東北開発公庫の融資につきましても、そういう条件になっておるように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/50
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051・保岡武久
○保岡委員 自治庁はどういうように考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/51
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052・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 農林省の方からお答えがあったのでございますが、融資の条件等につきまして御指摘がございましたように、われわれの聞いておりますところでも、奄美と北海道の場合は条件が違うようでございます。製糖工場の関係から見ましても、業務方法書等で五年以内ということに大体取り扱いがなされてきておるように聞いておるのであります。これに対して北海道の方は十年以内ということに相なっておるわけであります。それらの点について条件が違っておりますることになりました原因その他は、ただいま農林省の方から御説明のありましたような点もあろうと思うのでありますけれども、しかし同じ対象についていろいろ融資条件も異なるということでは——そうでなくても非常に悪い条件のもので経営をいたしていくものでございますから、せめてもやはり北海道並みということで運営されることは望ましいのではないかというふうにわれわれといたしましては考えておるのであります。そういう点、農林省当局とも打ち合わせをいたしておりますし、なお開銀関係とも折衝をいたしておりまして、まだ正式にきまったわけではございませんですが、開銀といたしましても、北海道並みに合わせて一つやっていくような方向で努力してみたいということで研究をいたしておるように承知をいたしておるのであります。われわれといたしましても、農林省の主管局ともなお緊密に連絡をとりまして、その方向に向かって改正をするように努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/52
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053・保岡武久
○保岡委員 私がお願いいたしますことは、そういうことによって蔗作農民の生産者価格を少しでも高めていただきたいという趣旨でございますので、今の融資条件等をもっと緩和することによって、今申し上げましたようなことが貫かれますようにぜひ一つ御努力を願いたいと思います。
最後にこの前貿易自由化の問題とカンシャ糖の砂糖の問題で御意見を拝聴いたしまして、小枝農林政務次官から、その点については農林省としても十分考えておるから絶対心配ないという御意見があったのでありますが、あのときに奄美群島の今盛んになりつつあるところのパイン産業についてのことを御考慮願う点をちょっと落としましたので、パイン産業が御承知のように非常に盛んになりつつあって、群島の経済の大きな支柱になっていく現状にありますが、パインは御承知のように外国からどんどん入ってくるものでもありますので、農産物全体の問題ではございますけれども、特に奄美の産業を育成するということで、パイン産業と貿易の自由化という問題についてもお手抜かりないように御高配いただきたい。この点を最後に要望いたしまして私の質問を終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/53
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054・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 門司委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/54
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055・門司亮
○門司委員 答弁は一つできるだけ率直にお願いしたいと思います。最初に聞いておきたいと思いますが、農林省の今までの答弁をずっと聞いておりますと、何か奄美の問題だけはまま子扱いされておるような気持がするのであります。これはこの法律との関係を私は考えるのだが、こういう法律ができて、奄美の復興事業については鹿児島県が大体責任を持ってやるべきだというような考え方に立っておるようであります。従って、農林省としては直接自分の関係したことではないというような気持があるように、どう考えても考えられるのだが、農林省の意見はどうですか。やはり奄美は日本の中であるし、農産あるいは水産に対する責任というものは農林省が一応負うべきだと思うのだが、その点の考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/55
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056・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 漁業関係について所管でございますのでお答えしたいと思います。御趣旨の点は、私どももできる限りの協力を申し上げたいという気持でただいままでやってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/56
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057・門司亮
○門司委員 農林省ができるだけと言っておりますが、それならこれから実態を少しずつお聞きすることができるかと思います。御承知のように、奄美の現状というのは、昭和二十八年に日本に復帰して今日までの状態は、ほとんど島民の生活の向上というようなことが考えられておらない。これは数字によって私は明らかに示されると思う。これの原因がどこにあるかということは後ほど総合対策としてお聞きしなければならぬと思いますが、農林省は、奄美の農民の実態というものについて、ほんとうにこれを把握しているかどうかということは私ども疑わしい。復興計画があるからそれに全体をまかせるということではなくして、農林省の所管の中で復興事業以外に、この法律以外に農民に対するどういう処置をとられたか。もしその点がおわかりならこの際はっきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/57
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058・橘武夫
○橘説明員 農業の関係で申しますと、今の復興の特別措置法以外の一般の農林省の行政といたしまして、奄美に対しまして農業の改良普及という面におきまして、一般の内地において実施しておりますと同様な農業改良普及員によります農業の指導ということが行なわれております。なお、試験研究の面におきましても、九州農事試験場の出張所なり、あるいは鹿児島試験場の大島分場に対します試験研究上の連絡指導というようなことは、一般的に農林省といたしまして力を入れてやっておるところでございます。そのほかいろいろ農業協同組合の指導その他一般、奄美に対して特に手を抜いているということは、私ども全然ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/58
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059・門司亮
○門司委員 今のお話にありましたように、農林省がほんとうに農業協同組合その他に対して十分な指導をしておるかどうかということについては、私どもは疑わしいのである。ということは、今日の奄美の農民の実際の生活、それから生産手段というようなものは、ほとんど進歩していないといっていいくらいに考えられる。幸いにサツマイモに対するアリモドキゾウが少なくなったということは聞いておりますけれども、その他の問題はほとんど指導されていないでしょう。
私はそれならこれからぼつぼつ聞いていきますが、畜産指導について一体どういうことを行なわれたか、その点を一つ聞いておきたいと思います。私がなぜそういうことを聞くかといいますと、奄美の農村の実情というものは、ほとんど全島農民でありますから、約四万の農家を持っておりますが、耕作面積は二反から三反にならないと思う。これは日本内地の平均耕作面積の三分の一程度しか実際に持っておりません。しかも長い間放置されておって手入れされておりませんから、きわめて土地がやせておる。に加えて、農道も農道らしいものはほとんど見当たらない。従って農民は全く原始的な仕事をしております。これではいつまでたっても奄美の復興というものはあり得ないのである。奄美復興に対します今日までのこの法律に基づく仕事というのは、大体公益事業その他が中心になって開発の一つの大きな条件になっておることは事実であると思う。しかし、そういう個々の農民の指導が十分にされておらない。これがもし農林省がほんとうに奄美の農民の、あの狭い耕地面積を持っておるところで生活を維持していこうとするには、どうしても立体的な農業経営というものがここで奨励されなければならない。カンショも必要であるし、あるいはその他パインの栽培というようなことで新しいものに切りかえていくことも必要である。しかし問題になりますのは、そういう農民のほんとうの個々の指導というものがほとんど行なわれておらない。豚にいたしましても、あるいは馬にいたしましても——牛は多少の種畜を入れたという事実は私も知っております。しかしこれが今日どの程度になっておるかということの報告が、もしできるならば私はしてもらいたいと思いますが、どういう形でなされておるかということ、私の希望というか、質問をいたしたいと思いますことは、そういうことであって、畜産関係に対する農林省のほんとうの意見というものを私は一応聞いてみたいと思う。それ以外にここで生きる道はないのであります。御承知のように、一年じゅう青い草のあるところだから、一つは例の粗飼料には事欠かないのであります。豚等の飼育についても、サツマイモなどについては一年に二回でも三回でもとりようによってはとれるところであって、相当飼料などには自給飼料で事欠かないようになっていると私は思う。こういうものがもう少し利用できて、農家当たりの収入がふえるような形が、どうしても農林省の指導でとられる以外にないと思う。この法律にたよっておってあなた方は鹿児島にまかしておるという態度であっては、そういうことはできないと思う。やはり農林省は農林省としての建前をとって、あそこに十分やってもらいたい。この点についてもう少し詳しい報告をこの際願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/59
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060・橘武夫
○橘説明員 ただいまの御質問でありますが、本日畜産関係を担当しておる者が参っておりませんので、御趣旨の趣をその方に連絡いたしまして、次の機会にでも御答弁できますように取り計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/60
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061・門司亮
○門司委員 それではその次の質問をいたしますが、カンシャいわゆるサトウキビに対しまする価格の安定その他等については各位からいろいろお聞きされておりますが、このことについてもあとで少し聞きたいと思いますが、問題になりますのは、やはり反当収入をふやしていくということです。農民の生産性というものを高めていくということが一つの大きなかぎなんです。そうしてそれはやり方によってはやれるという実績があなたの方にもあるはずだ。今の粗放農業のままで放置しておくならば、どんなにカンシャの値段を高く買い上げることをきめても、量自体が少なければ農民の手取りは少ないのです。どうしてもこの粗放農業から解放して、相当立体的な農業にこれを切りかえることが奄美大島の現状としては最も喫緊な要素です。これに対して一体どういうお考えを農林省は持っておるかということを、もし御答弁ができるならしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/61
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062・橘武夫
○橘説明員 ただいまのカンシャの今後の方向が反当収量の増加という方向にある、そのためにいろいろの耕種改善の面で格段の努力をしなければならないという点は、先生のお説の通りであると思います。その点につきまして、農林省といたしましても、鹿児島県と協力いたしまして、耕種改善のために、先ほど申し上げましたような改良普及員によりまして指導いたしますほか、カンシャの栽培改善のための展示圃というようなものがこの計画においても設けられまして、それによって耕種改善の実をあげるための指導なり展示をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/62
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063・門司亮
○門司委員 そのことはわかっているのであります。私がさっき畜産のことを聞きましたのは、ここにはどうしても肥料を入れなければならぬのです。それはすでにあなたの方も植物の種類も御存じだろうと思いますが、非常に土地を荒らす植物なんですね。この種の植物はトウモロコシにいたしましても同じことで、非常に肥料を吸う性質を持っておる。従ってここには単に金肥だけ、化学肥料だけではなかなかうまくいかない。やはりそこにはどうしても自給肥料というものが必要になってくる。そのことのためには、やはり畜産をこれとからみ合わせて行なっていくということが、奄美大島におけるカンシャの栽培の一つの大きな問題だと思う。従ってその前提としてさっき畜産のことを聞いたのです。これが完全に行なわれて、奄美の持っておる地理的条件というものが十分に利用されていく。そして片方は耕種の改善を行なっていくということ、そのことのために自給肥料の供給ができるという態勢が整えられなければ、この問題の解決はつかぬと思う。私はこう考えている。ところが今のようなお話だけで、畜産の状態がわからぬと言われれば、これ以上私は質問をいたしません。しかし農林省としてもそういう総合的な計画は一つ持ってもらいたいと思うのです。
それからその次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、農道の問題でございます。サトウキビの問題で一つの隘路は農道であります。搬出に非常に困難を来たしておる。従って搬出をすることのために、工場がだんだん大きくなって参りますと、結局遠隔の地になってくる。遠隔の地までやはり運ばなければならない。運ぶ道路というものは非常に悪い。農道の改善というものはぜひとも至急に行なわれる必要がある。こういう総合的の計画が一体農林省に立っておるかどうかということです。これは鹿児島県だけにおまかせになっているのですか。農林省で、今申し上げているような奄美の農村の振興策というものを何かお考えになっているかどうかということです。この点をもう一度聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/63
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064・橘武夫
○橘説明員 奄美の振興は鹿児島県にまかせっぱなしではないのかという御質問でございますが、御承知の通りこの法律の実施にあたりましては、一応第一次的には鹿児島県が原案を作って中央に持ってくる、そこで自治庁が中心となりまして、関係各省が御相談をいたしまして、その計画につきまして、それぞれ意見を申し述べて、それぞれの意見を取り入れていただいて、県としての計画を、総理大臣の承認を受けまして、計画をきめていただくということになっておりまして、その段階におきまして、鹿児島県の計画に対しましては、いろいろ農林省としても各局検討いたしまして、それぞれ意見なり希望を申し上げた格好で、農林省の考え方も取り入れたものとして、この計画を決定願っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/64
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065・門司亮
○門司委員 私は、その点に農林省の考え方の誤りがあるのじゃないかと思う。なるほどこの法律は奄美の復興のためにこしらえた特別法でございます。しかもこれは時限法でありますが、そのことだけでさっき申し上げたような奄美の復興ができるというふうには、私どもは考えていないのです。もしこれだけでできるとするならば、もう少し大がかりなものにして、この法律の改正を必要とする。そしてやはりある程度は恒久法に直していかないとできない。たとえばさっきもお話のありましたように、もしこの法律を直すとすれば、テンサイ糖と同じような特別立法をこしらえて、サトウキビの価格というものを安定さしていく。あるいはこれの振興をはかっていくというふうな特別の法律が、やはりこの後に必要になってくるというようなことが、後の問題として私は起こってくると思うのです。そういうふうに考えておりますので、今の農林省の答弁ではきわめて不満がある。そこでこの問題がなかなかうまくいっていない事実ができてきていると思うので、もう少し農林省は実態を見ていって、農林対策としての考え方——この法律は奄美復興という考え方から仕事をしている。単に農民だけを対象にした法律ではないのであります。あなたの方の仕事は農民を対象とした一つの仕事である。このけじめはもう少しはっきり農林省は考えておいてもらいたい。どう考えても、今日までこういう問題が解決していないのは、やはり官僚のなわ張り争いというものがあるように思う。奄美復興という特別法があって、鹿児島県が主体になって案をこしらえて、自治庁がやるのだから、やれるものならやってみろというあなた方の考えがありはしないか。農村の問題については私どもが専門だ、にもかかわらず、こういう法律ができたんだからそっちでやりなさいということで、一切がっさいなっていはしないかと思う。しかし、農林省としても、農村の実態を把握しないわけにはいかないと思う。従って聞いておきたいと思いますことは、現在のサトウキビの生産高が一体どのくらいあるのか、農林省ははっきりそれを把握しているかどうか、現在の反当収量は一体どのくらいあるかということ、これを今かりに農事試験場で試験をした方法によれば、昔からの栽培方法の六倍ないし七倍くらいの増収が私は得られると思いますが、それに対する施策はどういうふうなものをお持ちになっているかということをこの際数字で明らかに教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/65
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066・橘武夫
○橘説明員 奄美のサトウキビの栽培の現状でございますが、栽培面積といたしまして約四千三百町程度、反収が現在約八百斤余りで、生産高といたしましては約三千八百万斤ということになっておりますが、いろいろの試験なり耕種改善の実が上がりました場合には、この反収八百斤程度のものを現在の倍くらいまで高めることが耕種改善のいかんによっては可能であろうし、またそういう方向に指導して参らなければならないというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/66
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067・門司亮
○門司委員 私は、その指導の施策を実は聞きたいのですけれども、これについてはどういう形でそういう増産をしていく施策をお持ちになっておりますか。ただ試験場でやったらできたから、そうしたいということではでき上がらないものだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/67
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068・橘武夫
○橘説明員 この方法といたしましては、先ほど来申し上げましたように、一方においては奄美農業協同組合を通ずる営農の指導、一方においては農業改良普及員を通じます指導というものを、栽培の現状について改良普及の手段を通じまして耕種の改善をはかって参る。その際に、先ほど申し上げましたように、肥料の面については、畜産系統の地に着いた意味での自給肥料の増強を考えることは、非常に大切なことだと思います。そういう手段によりまして反収の増産というものを実現して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/68
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069・門司亮
○門司委員 今のような抽象的な答弁を私は必要としないのです。もし貿易が自由化されてくると、ジャワ、キューバの砂糖は四分の一ないし五分の一くらいの価格でできるのです。それでこれらとどう競争していくかということが一応内部的には考えられなければならない。それにはどうしても反当の生産性というものを上げていかなければなりません。そうして農民の所得をふやすと同時に生産量をふやしていかなければならない。これは日本の国策だと思う。それと同時に、実際は奄美の農村の現状というものは、たとえば徳之島はある程度たんぼを持っております。そうして米では自給ができると、こう言っておりますが、実際は個々の収穫高というものは二石か三石がなかなかとれないのです。そうすると、石が一万一千円あるいは一万円に勘定いたしましても、反当二万円か三万円しか上がらない。もしサトウキビの栽培がこれ以上——現状は大体八百斤とりましても、三百七十一円か三百七十何円くらいになっておりますから、大体二万四千円くらいのもので、実は稲を作っているのとほぼ同じようなことになっておる。しかし、これがもし適地適作というような考え方でカンシャに切りかえられるということになると、かなり大きな増産ができると思う。従って、係が違うからこれ以上答弁ができないというなら、この次の会議に一つぜひ畜産係の諸君に来ていただいて、畜産問題で少しお聞きしたいと思いますが、私は、どうしても自給肥料というものをやはりここに得ることのために四万農家に対する畜産の関係を少し進めていっていただきたい。畜産局長がおいでになったといいまするから、畜産局長からその点を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/69
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070・安田善一郎
○安田政府委員 ちょっとおくれて参りまして御質問に沿わない部分があるかと思いますが、その場合はまた御質問いただきたいと思います。奄美大島はその産業発展の場合におきまして、道路建設やなんかの産業が起こる基本的な振興をはかるべきだと思います。また農業が適当な地域でございますが、カンシャその他の飼料になり得る農業生産もございますので、特に土壌の改良、地方の増進、そして農業の振興とあわせまして畜産の導入、またそれが盛んになりますように援助を申し上げたいと思います。ただいまのところは、奄美大島につきましては特別の振興費が計上されておりまするけれども、鹿児島県を通じてやっておりますので、私の方としましても、門司先生の従来からの御意見を尊重いたしまして、鹿児島県に、特に奄美群島のような離島で他の地方より後進性の多いところは奄美大島振興費が特別に計上されておるような趣旨にかんがみまして、畜産部門におきましても特別の振興計画を立てていくように指導をいたしまして、それに応じまして予算、資金その他技術等にわたりまして助成をして参りたい、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/70
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071・門司亮
○門司委員 一つこの際はっきり具体策を示しておいていただけませんか。私どもの手元にあります現地からきた報告書には実は書いてないのでありますが、この資料は少し古いのでありまして、必ずしも数字が一致しておりませんが、三十三年度までに牛が百六十七で馬が十六で豚が九十八、ヤギが七十七、こういうことで、事業費として三千百余万円というふうなことが書いてございますが、これは当初の計画の約三割くらいの程度だということになっておりますので、従って時間的に見てもあまりいい成績ではないように私どもは考える。だからもしあなた方の方で数字があるなら、ここに種豚を一体どのくらい入れられたのかお示しを願えればけっこうだと思います。それから現実に今どのくらいいるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/71
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072・安田善一郎
○安田政府委員 よその委員会へ出ておりまして、手持ちの資料を持ち合わせておりませんが、養豚、和牛を中心にしまして、もし現地の段階が養鶏等を可能ならしめますれば、それらにつきましての家畜導入の予算、資金について援助いたしますほか、草地改良、自給飼料増産等におきまする補助予算、非補助でありますが、三分五厘の低利資金でございますが、農業改良資金、またそのための畜舎の共同施設その他につきましては農林漁業資金、来年度は飼料の給与改善施設という予算が立ててありますが、その補助予算等について考えたいと存じますが、目下のところ奄美大島郡に幾らというのは、予算に計上された奄美大島振興費として特に掲げてあるもののほかは全国込みでございます。県の計画を聞きまして、先生の御意見の御趣旨に沿いますように運用的に解決したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/72
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073・門司亮
○門司委員 そういうことでは私はこの問題はなかなか簡単に解決つかぬと思う。さっきも農林省の諸君にいやみを言いましたが、振興法があるから鹿児島県にまかしておくんだ、だからそっちから何とか言ってこなければ農林省は知らないというような何か紙を隔てたような、どう考えてもふに落ちないところがある。さっき役所のなわ張り根性だと言ったが、そういうことが局長さん、これはあるのじゃないか。農林省は農林省として、後進地域の開発には、振興法がどうあろうと、そういうものにはまかせないで、もう少し農林省からも特に十分の力を施すべきではないかということなんです。その施策が今非常におくれていると思う。さっきも少し話しておきましたが、畜産計画というものがほとんど立っておらない。それから農道にしても十分な計画が立っておらない。それではどんなにしても農民の生産性というものは上がっていかない。農民の生産性が上がらなければ、結果はどこにくるかということです。これから結果論を話して自治庁に聞きたいと思いますが、奄美大島の現状がどうなっておるかということを総体的に考えるときに、島民個々の生活を保障してやるという形で総合的な政策が当然立てられなければならぬ。その中で最も重要なものの一つはやはり畜産で、さっきの話で言いましたが、今の局長の話の中にありましたように、結局サトウキビの増産をはかるということにすれば、やはり自給肥料がかなりここには必要になってくる。速効肥料だけではこういう作物の性質上なかなかうまくいかない。これは促成栽培という形にいかない作物です。そういうものの解決には、一方にはどうしても畜産を奨励していくという形が望ましい。これはほんとうに画期的にやる必要がこの際出てきているのではないか、そういうふうに考えますが、この点について見解を一つ農林省と自治庁からもはっきり聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/73
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074・安田善一郎
○安田政府委員 奄美大島に畜産を導入しなければならない性質もありますし、門司先生の御意見もありますから、三十五年度の予算その他の行政措置、資金あっせん等におきましては、御趣旨を尊重してそのようにいたします。畜産におきましては、集約酪農の地域制度とかその他の制度は法律に基づいてあります。地域別に明確に農業振興開発計画を立てて、それに基づいてやっているものは原則としてありません。そういう意味におきまして、府県の計画で府県と農林省がよく打ち合わせまして適地適作の建前で従来やって参りましたので、先生のおっしゃいますような計画を立てて、それに応じて必ずしも約束してやるということまでやっておりませんので、今後努力をいたしたいと思います。自治庁と農林省が分かれておるからというので、意思の統一を欠くとか、県まかせにする気持はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/74
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075・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 先刻来いろいろお話がございましたのですが、われわれとしても反省をしなければならぬ点が多々あるということは、率直にこれを認めておるのであります。自治庁といたしましては、各省所管にまたがる事柄を総括するという責任がございますので、そういう方向で努力をやっておるのでございますが、これらの仕事を有機的、総合的にやって参ります際におきまして、どうしても振興計画自体を作成する段階において、県知事が主体にはなっておりますけれども、その案を作成いたしま参る際に、主管の仕事についてはそれぞれ各省とも連絡をいたし、またわれわれも総括の立場において各省との意見の調整をはかりながら具体的な計画を作っておるというように運んでおるつもりではございます。ただその間におきまして、お述べになりましたような隔靴掻痒という感がおおい隠せないという点は確かに絶無ではないというふうに考えておるのであります。しかし、われわれといたしましても、そのために各省も非常に手を抜いて他人行儀であるというふうには考えておりません。いろいろな方面におきまして積極的にいろいろ御協力をいただいておるというふうに考えておるのであります。畜産振興につきましても、これが奄美の群島経済ということを発展せしめる上におきまして、いろいろな角度から非常に枢要な、中心的な産業であるということは御指摘の通りでございまして、これらの振興方策につきましても、逐次重点的に実施に移して参っておるのでありますが、今後におきましては、ただいま農林省からお話がございましたように、それらの点につきましてもさらにとくと注意をいたしまして、振興方策にさらに重点を置いて努力して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/75
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076・門司亮
○門司委員 ただおざなりの答弁では、実は私は困ると思うのです。それで具体的な事実を少し知っておいていただきたいと思いますが、復興計画は大体進んでおります。しかし、この復興計画が進むにつれて島民の生活が悪くなる、その原因は一体どこにあるかということであります。これは政府、ことに自治庁にいたしましても少し気をつけてもらいたいと思う。当面の公益事業その他の復興事業というものはずっと進んでおりますが、これが終わりに近づけば近づくほど、たとえば名瀬市の例をとってみますと、世帯数の一七・七%というのが要保護者です。人工の一五%にも上っておる。日本の内地にそういう都市がどこにございますか。世帯数の約二割近いものが要保護者、市民税の、税金の上がった八割というのは公債費に使われておる、借金を払っておる。これが名瀬市の会計報告の事実なんです。なぜ一体そういうものが出てくるか。復興計画というものは特別措置法があってずっと進んでいるが、島民生活がだんだん下がってきているという現象はどこに原因があるかという、その原因を政府はほんとうに突きとめておるか。これはさっき申し上げましたように、表面上の学校がきれいになったとか、あるいは主要道路がきれいになったとか、港湾の設備ができたとかいう公益事業に関する部面はかなり整備されて参っておることは事実であります。それが一つ一つ片づくたびにだんだん職業がなくなっていく。そうして島民の経済力というものはだんだん低下していく。この復興計画からくる一つの大きな悲劇といいまするか、現象は、そういうところに現われてきている。従ってせっかくの復興計画というものが、今まで表面だけの復興にきゅうきゅうとしておって、従って悪くいえば、これで利潤を得たものは、私は土建屋さんだけだと思う。事業に携わった諸君だけはある程度利潤を得たかもしれない。また表面上は道路もきれいになり、学校もきれいになってよくなったかもしれない。しかし個々の島民生活というものは——ここに年度表がありますが、昭和三十二年に保護人員が大体三千八百人くらいでありましたが、名瀬では三十四年十一月の統計を見ると、これが六千八百に伸びておる。約七千に伸びておる。小さい都市でこういう形がたくさん出てきている。四万そこそこの都市である。こういう実態はどこからくるかということです。しかもこれらの諸君は、農村の実態というものは——農業地帯でありまするから、農村の実態というものがほんとうに復興しており、個々の生活が復興しておるならば、ここにこういう人口は集まらぬはずである。農村で仕事ができない諸君が復興事業に携わってきておって、その一つの事業が終わる。そこから解放されれば、どうしてもこういう形に転落せざるを得ないのである。私は今日の奄美大島の現状というのは、われわれがここで議論しておるような実態ではないと思う。個々の住民の復興というものはちっともできておらぬ。またその基礎すら私どもは今日まで十分見ることができない。製糖工場がかなり大きなものが奨励されておるからできておる。がしかし、できておるだけであって、さっき申し上げましたように、農道が非常に悪いというようなことでキビを十分に運ぶこともできない、そのことのためにコスト高になっておる。会社の方もカンシャ等を安く買い入れなければ、農民の方も高く売らなければ、両方困る結果が結局出てきている。
もう一つ私どもがこの問題でおそれているのは、御承知のようにたとえばパインの一つの工場ができる。あるいはこういう大きな砂糖会社ができる。ここにはある種の資力をつぎ込んで、どんどん開発していく。そうしてその企業の下にパインの栽培をやるというようなことになってくると、農民は、自己栽培から立ち上がろうとしている者が、この会社に隷属した農奴にならざるを得なくなってくる。これは決して奄美大島の復興とは言い得ないと思う。奄美大島の復興というのは、やはり島民の個々の生活を安定するということがほんとうの復興であって、一つの大きな会社ができて、そこだけが発展するということは、決して私は奄美大島の復興じゃないと思う。その事実は今申し上げましたように、毎年々々要保護者というものがふえてきているということです。これはここに各町村の統計表があります。これは自治庁に同じものがなければならないと思うが、見てみると、毎年ふえておる。こういう事実が一体自治庁なり農林省なりにわかっておるかどうかということです。もしわかっておるとするならば、これに対する対策を一体どうお考えになるつもりなのか、その点を一つ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/76
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077・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 今お述べになりましたような事実がございますことは、われわれも承知をいたしておるのであります。ただ復興計画が推進をせられるに従いまして、群島民の経済というものが相対的にだんだんと減っていくとはわれわれとしては実は考えておらないのでありまして、群民生産所得等について見ましても、漸次向上を見てきておりまして、所得総額についてみましても、三十一年度には七十七億、三十二年度は八十二億というふうに伸びてきておりますし、復興計画完了時につきましては、さらにこれがもう一段と伸びるということも一応計算の基礎に置いて、各種の計画を実は進めておるのであります。ただ、お述べになりましたようないろいろの現象ということは、これは確かにわれわれとして将来考えていかなければならぬ部面は多々あると思います。公共事業等がだんだんと完成をしていく、そのために事業が落ちて参ることに従って、これによって生活をいたしておりましたような者がだんだんと先細りになっていく。あるいは復興事業のために都市部に集中しておりました者が、仕事がなくなってしまったために、そのままその地域に定住をして、これが転落をしていくというような現象等もございまして、そういうようなことにつきましては、もう少し総合的、根本的な対策というものを考えて参らなければならぬのではないかというふうに思っておるのであります。名瀬市の問題については、今特にその赤字対策等について具体的に問題が出てきておりますので、私たちといたしましては、この赤字対策の問題を主眼といたしまして、これに関連をして各種の社会現象等について今精細なる分析を試みておるのでございますが、それらの点も総合的に一つ考慮いたしまして、将来にわたって恒久的な態勢、今お述べになりました島民の一人々々の生活水準が全般的に上がっていくというのでなければ、終局的な復興というものはあり得ないという観点については、われわれもその通りに考えておりますので、そういう方向に向かってさらに精細な検討と対策を考究しなければならない、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/77
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078・門司亮
○門司委員 これは、きょうは時間もありませんが、私はこの機会にもう少し実態を明らかにして——奄美のことについては、実は非常におくれておりまして、同じ日本の中にありながら、生活状態というものは非常に悪いのであります。従ってやはり政府が、下の方の島民の一人々々が立ち上がれるような施策を講ずるということに意を注いでもらいたいという考え方で、もう少しこまかく私は質問をすることがよろしいかと思っておりましたが、時間もございませんから、機会があればこの次の機会にでもいたしたいと思います。
その次に聞いておきたいと思いますことは、今ちょっと申し上げましたように、問題になりますのは、先ほどからいろいろ話がありましたサトウキビの買い上げの価格、いわゆる安定価格というものを設置されるかどうかということについては、農林省はきわめてあいまいでありますので、これは私は農林省の悪口を言うわけじゃありませんが、どうも北海道の方が割合に率からいえばいいんですね。砂糖を含有している量も多いし、それから分みつ糖というようなものの考え方からいっても有利だし、耕作作付面積も非常に広い。やはり日本がかなり北海道に力を入れるということは、甘味資源の確保の点から重要だということは私はわかります。しかしながら南の端の奄美も、地理的条件からいけば、そういうこと以外に鳥のほんとうの発展はあり得ないんですね。そうすると、北海道と同じような気持でここのサトウキビ等についても一つ考慮を払ってもらいたい。北海道だけは大事にしておくが、向こうの方はちょっとも色が変わっておるからあと回しにしておけ、やってみたところで全体の収量はこれだけしかないじゃないか、日本の総消費量からいけば何%にも当たらないじゃないかということで、私はなおざりにされては困ると思うんですね。そういうことが、どう考えても政府の頭の中にはあるような気がするんですね。私は、ここではっきり農林省に聞いておきたいと思うことは、北海道のテンサイ糖と同じような処置をとられるかどうかということであります。これは単に買い上げの価格をどうするかということじゃありませんで、製糖業に対する資金の融資その他もこれに含まれております。これは私は何も会社のちょうちんを持つわけじゃありませんが、非常に高い金利のもので会社が経営されておりますと、どうしても原料のコストを下げなければならない。そこにやはり農民との間に衝突がどうしても出てくる。これを緩和するには、ある程度会社も成り立つような無理のない資金計画というものが立てられて、そうして正当な価格で農民から買い上げのできるような仕組みにしておきませんと、争いが始終絶えないのですよ。ここに私は統計表を一応持っておりますが、これを見てみましても、現地の報告書がここに少しありますが、現地の報告書をちょっと見ましても、かなり争いが絶えないような、始終製糖会社と農民との間には価格の問題で議論しておるようです。その原因は、一つは農民の生産性が非常に低いということ、従って高く売らなければ生活できないということ、片一方は金利のコストが高いから、そう高く買ったのではおれの方は採算がとれないというような議論をされておると思う。そういうものを除いてやるということがどうしても必要だと思います。従って、農林省に向かってこの点について、ここだけ特別にやれとは私は言いませんが、島民の要求は、テンサイ糖と、北海道と同じような待遇をしてもらえないかということです。この点について、農林省の見解をもう一応聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/78
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079・小枝一雄
○小枝政府委員 門司委員から、奄美群島の開発について熱意のある御質疑を承ったのでありますが、私は実は先ほどまで法案審議のために他の委員会に出席いたしておりまして、この問題について特に権威のある門司委員のお話を伺う機会がなかったことは残念に思いますが、要するに、この奄美群島の開発はお示しのように非常に重大な問題であり、ことにへんぴの群島にわれわれの同胞がたくさん生活いたしておりますので、これの開発については、私どもも北で厚く南で薄いというようなことは考えておらないのであります。従いまして、今後の推移いかんを十分検討いたしまして、この製糖工場等の経営いかん、あるいは工場の存立いかんということが、島民の利益の上に重大な影響を及ぼすものと考えますので、融資の点その他の面におきましては、でき得る限り十分内容を検討いたしまして、善処いたしまして同島の発展に資したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/79
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080・門司亮
○門司委員 この問題は時間がありませんからこの程度にしておきまして、要望いたしておきますことは、従ってここの農村の立っていきますように、やはり畜産というものについては一つ特に重点的に力を入れていただくということと、そして地方を養っていく、反当たりの生産をふやしていくということ、さらに運搬費が実は非常にかかっております。へんぴなところでありますから、砂糖工場まで持っていくにはかなり大きな費用を使っておるようであります。ここに書いたものがありますが、約四百円くらいが運搬費にかかっておるといわれております。これは農道が悪いせいだといわれております。どんなものを持っていったところで、あの農道ではいかんともしがたい。牛の背に乗せるか、非常に小さな車で運ぶ以外にないのだということで、やはり運搬に非常に金がかかるというので、農道の開発について特に農林省として力を入れていただきたいと思う。法律だけでは間に合わないので、この点を特に要望いたしておきます。
その次に聞いておきたいことは、これは通産省にも関係がありますから、どこからでもお答えを願いたいと思いますが、これらの島の開発に必要なのは電気の問題であります。住用川の発電計画がなされて、これが十二月に大体完成をいたしております。ところが、実態はなかなか明るくならないというのです。そうして電気が新しく切りかえられると同時に、今まで十ワットであったものが、大体二十ワットを限度とするということから、十ワットであれば百円でよかったものが、今度は二十ワットになると百五十円払わなければならぬということになって、いろいろトラブルというほどじゃありませんが、そういうことがあるらしい。そこで問題になりますのは、住用川の発電計画に対します通産省の許可条件といいますか、あるいはそれらの問題がもしここではっきり言えるなら、どのくらいの出力であって——私のところにも調査したものがありますから、私の方から申し上げてもよろしいのでありますが、出力はどのくらいであって、そうして現在どのくらいのものが放出されているのかということを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/80
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081・吉岡格
○吉岡説明員 申しわけありませんが、手元に資料を持って参っておりませんので、あとの機会にお答えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/81
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082・門司亮
○門司委員 手元に資料がないということでありますから、答弁を求めても無理かと思いますが、現地から来ておりますこの報告書を全部見てみますと、この発電計画等についてもかなりいろいろ問題があるようであります。
そこで、この住用川の問題とあわせて徳之島の発電の問題であります。徳之島は御承知のように、ほとんど村の三分の二くらいが無灯火であります。電気をつけておりません。そうしてこれは製糖工場にもかなり大きな影響を持っています。電気がないために、重油の自家発電でやっているありさまであります。こういうものを考えて参りますと、島の開発のための電源の開発が一体どうして完全に行なわれないかということであります。従来ここは計画としては、一応住用川に今までありました古い発電機を徳之島の秋利神川に移設して、そうして水力電気を起こすということが当初計画のように私は聞いておりましたが、これがなされておらない。しかもこの秋利神川は、御承知のように非常に水系の多い川もありまして、かなりの水を持っておると思います。支流が非常にたくさんありますが、ほとんど徳之島の川というのはここに一本に集められていると言っていいくらいにたくさんの水量を持っておる川であります。従ってかなりの発電能力を持っておると思うのですが、この発電計画がちっとも進んでいないのだが、この理由は一体どこにあるのか、この際はっきりしておいていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/82
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083・吉岡格
○吉岡説明員 御承知のように大島電力の方で発電計画を立てて、われわれの方にも資金関係のことでいろいろ持って参っております。われわれの方では、需要に見合った必要な開発ということはやらせるように指導しておるつもりでございますが、特に現状において供給が不足しておるというような実情は承っていないのでございますが、具体的にどういう状況でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/83
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084・門司亮
○門司委員 私がさっき申し上げましたように、発電所がないから電気がついてないのです。あそこの地図とあそこの実情を調べてごらんなさい。昔はここに発電所があったのです。それから全部あの島に電気がついたのです。私はちょうど二十九年の二月でありましたか、ここに参りましたときには、きわめて薄い電気が亀徳の町にあって、おかしいじゃないかといっていろいろ聞いてみましたが、当時の状況はこういうことなんです。戦争前は発電所があって、そうして全部電柱が立っておって配電されておったのだが、沖縄にアメリカが上陸すると同時に、この次はここだというので、軍が全部電柱を引き抜いて電線を全部はずして持っていって陣地の構築をした。従って一切の設備がなくなった、こう言う。そのままに今日置かれておる。そうしてさっき申し上げましたように、この秋利神川には発電計画があったように聞いておる。ところがこれは今日いまだに放置されておる。それは大島電力とか九州電力とかいろいろ内部関係はあるでしょうが、内部関係があるからといってこれを放置しておくわけにはいかないと思う。無灯火地区です。戦争前はあったのです。これが製糖関係その他に非常に大きな影響を持っておる。農民の生活にもかなりの影響を持っておると思う。こういうことについて通産省はどういうふうにお考えになっておるのか。実情を知らぬというのならきわめてずさんな話であって、これ以上議論する必要はないかと思いますが、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/84
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085・山本壮一郎
○山本説明員 徳之島の発電施設につきましては、従来若干工事がおくれておったのでございますが、昭和三十五年度の計画におきまして五百キロワットの電気施設を増設いたす計画にいたしておりますが、来年度の計画といたしましては、徳之島の五百キロワットと、それから沖永良部の百八十キロワット、この二カ所の発電施設を設備いたしまして、これに伴いまして無灯火部落の解消、徳之島を中心に約一千軒——一千七十五軒でございますが、この分につきましての無灯火家屋の解消をはかりたい、こういう実施計画をただいま検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/85
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086・門司亮
○門司委員 ことしから計画を立てるというのですが、どのくらいかかるか。これが実現をしまして全部の電気がつくまでに、私はかなり長い間かからなくちゃならぬだろうと思うのですが、その計画はあっても、三十五年度からやるというのだから二、三年かかるかもしれないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/86
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087・山本壮一郎
○山本説明員 実は御指摘のように群島の民生安定上、無灯火部落の解消ということにつきましては、復興事業におきましても相当大きく取り上げておるところでございます。一応今私ども計画いたしておりますのは、点灯率を八四%までとりあえず持って参りたい。これはいろいろ地勢の関係等もございまして、まずこういう計画を立てておるわけでございます。全体の数字を申し上げますと、この八四%まで持って参りますのには、要点灯戸数が約一万戸ございます。従来実施いたしましたのは、三十三年度で九百四十五戸、三十四年度で三千百四十七戸を実施いたしまして、現在のところ三十五年度の一千七十五戸を入れますと、全部で六六%まで点灯率が伸びていきます。残事業は全部三十六年度におきまして完了いたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/87
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088・門司亮
○門司委員 それの事業主体はどこになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/88
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089・山本壮一郎
○山本説明員 これは島によりましては発電施設を公営でやっておるところもございますが、先ほどお話しの大島電力が本島と徳之島におきましてはやっております。無灯火部落の解消につきましては、町村が主体になりまして、補助金を使ってやる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/89
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090・門司亮
○門司委員 そうすると、こういうふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。無灯火部落の解消は町村がやるというのだが、秋利神川の水系の利用はどこでやるのですか。その発電所はどっちでこしらえるのですか。私は、この発電所がはっきりできてしまえば、かなり送電能力も持っておりますし、かなりの仕事もできると思うのですが、ただ従来ありましたように何か重油で発電機を回して電気を起こすというようなことでは、従来は、今も同じようなことだといわれておりますが、手紙を書くからランプをつけてくれというようなことがあったのでしょう。電気はついていることはついているのだが、非常に暗いために、手紙を書くから一つ石油ランプを持ってきてつけてくれというようなことが多かったのです。そういう状態で、それだけをただ村がやるといって、夕方の七時か八時から暗くなって、朝六時ごろから消してしまうのだというようなことでは、私はだめだと思う。少くともこれを開発しようとすれば、この秋利神川の水系の開発ということがこの際どうしても必要になってきやしないか。そうしてもっと大がかりなものがなければ、製糖工場その他の発電はやり得ないのじゃないかと考えているのですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/90
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091・山本壮一郎
○山本説明員 確かに従来電力が非常に弱い時代もございまして、若干点灯時間の制限等をいたしておったような事態もあったようでございます。先ほどお話しの、本島におきまして住用川の発電ができましてから、大体本島関係は九〇%以上の点灯率になっておりまして、一時機械の故障でそういう事態があったそうでございますが、現在のところではこの方は完全に動いておる。十ワットを二十ワットに引き上げましたのも、従来制限いたしておりました電力量がそれだけ豊富になったということであろうと存じます。なお、徳之島の発電につきましては、これはやはり大島電力がやる計画でございます。ただ秋利神川につきましては、水系調査はまだ十分できておりませんので、とりあえず本年度の計画は内燃力の計画でございます。水系、水量等の調査が十分できましてから、さらに水力発電の方もやる、こういう計画になっております。従いましてこれができますと、徳之島におきましては、先ほどお話しのようないわゆるろうそく電力というようなものは解消するだろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/91
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092・門司亮
○門司委員 そうすると、この秋利神川の水系の発電計画というのはまだできていないということなんですね。私は、こういうことでは実に島の開発として心細いと思うのですがね。それではいつごろその調査ができて大体やれるようになりますか。開発々々といったって、道路をこしらえたり、学校をこしらえたりしてみたところで、こういう産業の基本になるものの開発がそんなにおくれたのではどうにもならぬと思うのです。電気ぐらいついていると思ったら、この報告書を見ると、ちっともついていないという。そして秋利神川については、さっき申し上げましたように、住用川の古いのを持っていっても間に合うのだと島民は言っている。ところが住用はできた、こちらの方はちっともできない。これでは島の開発は非常におくれる、こういうことなんです。大体いつごろ目鼻がつくようになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/92
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093・山本壮一郎
○山本説明員 秋利神の水系調査はたしか三十四年度で実施いたしたようでございます。当初計画は、今お話しのように、住用の一部を秋利神に移しまして、徳之島の水力発電をやるという計画のように私ども聞いておったのでございますが、最近になりまして、徳之島におきます水力発電につきましては、まだ十分計画ができないから、とりあえず内燃力の五百キロワットを来年度は施設する、こういう計画になっております。なお、水力発電につきましては、特に現地の調査等を急がせまして、産業開発等には支障のないような適当な手段をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/93
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094・保岡武久
○保岡委員 関連して。徳之島の電力の問題は、いろいろ問題があるようでございます。実は秋利神が、今門司委員が御指摘になりましたように、相当水系もいいところでありますけれども、現在の秋利神の出力をもっとふやすためには、非常に大きな金がかかる。それでは島民にそういう大きなコストをかけて電気を供給するということになると、電灯一灯当たりの料金も高くなるというので、そのかわりに五百キロワットを今度計画する。その前に、門司委員がごらんになったときとは違いまして、その後秋利神の水力が非常に弱いものですから、とりあえず亀津町に火力発電所を作りまして島内の電力を補って参った。その上にさらに今度は、秋利神が非常にコスト高ということで、五百キロワットを作るということになっておるようです。ところが島民といたしましては、五百キロワットの火力発電を作るということにつきましては、非常に燃料その他で経費がかかるから、かえって恒久的な考え方からすると、徳之島の電力によるべきではないので、やはり秋利神を金をかけても発電するように、そして恒久的に島民の電力供給を安くしてもらいたい。こういうことで、今大島電力の計画に対しては相当反対の空気を出しております。しかしながら、電力会社の方で言っておりますように、水力によりますと非常にコストが高いから、安いコストにするために火力でやるのだということも、よく事情がわかるのでありますが、まだ島民には十分にPRされておらない。こういうふうに私どもは聞いておりますが、今自治庁の御答弁のように、今後秋利神もやはりおやりになるのだということであれば、島民の希望をかなえることになるのでありまして、そこら辺については、ちょっと正確なお話をしておかれませんと、島民の考え方に対していろいろそごを来たしてくる。かように考えて御質問した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/94
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095・山本壮一郎
○山本説明員 実は私、来年度の計画を申し上げたわけでございますが、これは県が作りました案を持って参りまして、私どもの方で今各省と意見の調整中でございます。秋利神の問題を最終的にどうするかということを、実はまだ詰めておりませんので、ただいまの御意見等も十分参考にいたしまして、関係方面とも意見調整をいたしまして、なお現地の住民の意向等も十分聞きました上で対策を立てたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/95
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096・門司亮
○門司委員 今の発電の問題ですが、どうもはっきりしていないように聞いておるのだが、これではいつまでたったって実際の島の開発は困難だと思います。ただ電灯だけがつけばよろしいというのではなくて、実際は、工場などで自家発電をやっておるのがかなりあるように書いてあります。そうすると、かなり単価の高いものについておるだろうと思う。それからもう一つ自治庁にはっきり聞いておきたいと思いますが、この秋利神川の発電を、もし地元の町村が共同で公営でやるというような計画をかりに立てた場合に、自治庁は資金関係等について考慮されるお考えがあるなら、この際はっきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/96
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097・山本壮一郎
○山本説明員 徳之島全体で将来どれくらい電力が必要であるか、これはもちろん電灯も動力関係も入れてでございますが、どれくらい必要であるかということから、徳之島における発電施設の量というものはおのずからきまって参ろうかと思います。その際に秋利神関係を地元の公営でやるのが、全体からいってはたして利益かどうか、その辺もよく検討してみませんと、ちょっとお答えいたしかねると思います。御指摘のように、電力関係は水道の問題と並んで非常に大事な仕事だと私ども考えておりますので、群島全体の開発という観点から、その点は十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/97
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098・門司亮
○門司委員 どうもそういうことだけでははっきりしないのですが、時間もおそくなっておりますから、あと林業関係だけを聞いておきたいと思います。
この復興の一つの事業の中にありますのは、林業をどうするかということです。かなり山がたくさんありますし、同時に亜熱帯の地帯でありますから、生長率も非常によろしいかと思いますが、農林省としては、ここに適する種類はどういうものか検討されて、そしてこれに対して何らかの方法が講ぜられておるかどうかということを、もしおわかりならこの際教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/98
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099・小枝一雄
○小枝政府委員 所管の長官が今出席いたしておりませんので、具体的な問題についてお答えを申し上げることは困難と思いますが、御承知のようにこの国会には、国有林野特別会計の中に、いろいろ治山関係の特別勘定を設けることにいたしておりますし、なおこれに関連いたしまして、これも門司委員よく御承知のことと思いますが、民有林の開発についても、この特別会計の中から、造林等に対してはある程度融資をし、またこれを助長するような政策も考えておるわけでございまして、私どもとしては、将来国有林、民有林を問わず、今後国の農林漁業政策の中で、山を育てるということは、治山治水が時流に乗っている問題でもあり、また今後の日本の行政といたしましては、当然やらなければならない問題でございますので、御趣旨に沿って善処いたしたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/99
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100・門司亮
○門司委員 今の農林省のお答えですが、私はそういうことだけではこれは済まされない状態になろうかと思うのです。御承知のように、ここの植林といいますか、その問題は、一方には岩崎さんという非常に大きな山主があります。従って、この林業の開発には、これがかなり大きな支障を来たしておると思う。その実情について、もし自治庁でわかっておるなら、この際聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/100
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101・山本壮一郎
○山本説明員 奄美群島、特に本島におきましては非常に山林地が多いのでございまして、復興事業の一環として、林道の開発ということも大事な仕事になっておるわけでございます。私ども特に現地ではマクマオ、琉球松等の品種が非常に適しておるということを聞いておりまして、雑木林を植えかえまして、逐次針葉樹の植栽を毎年計画的に進めておるわけでございます。なおこれに伴って林道の開設等も、毎年かなりの事業を計画いたしております。来年度も大体十七カ所に一万六千メートル程度のものを計画いたしておるわけでございますが、ただいまお話の岩崎という非常に大きな山持ちがありまして、住民との間にいろいろ感情的な問題があり、林道開設の場合にも、これが間々支障を来たしておるというようなことも聞いております。これは現在の制度といたしまして、そういう私有の大きな山があるということは、いかんともしがたい点でございます。そういう問題はあるのでございますが、先ほど申しましたような趣旨におきまして林道、それから植栽、その他木炭奨励あるいはシイタケの栽培等山林の開発といいますか、経営の方面の推進をはかって参りたい、こういうことで計画を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/101
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102・門司亮
○門司委員 どうも森林の開発と植樹というものが私は十分でないような気がします。それは今お話しのように、林道の開発自身についてもなかなかうまくいっていないということなんです。これは非常に迂遠なことを聞くようですけれども、きょうは答弁は要求いたしません。あとでよろしいのですが、一体奄美大島のあの岩崎さんが持っております非常に大きな民有地というものは、大体いつごろからあそこにあったのかということです。これはどう考えても、あの現地に行ってみますと、ずっと昔からあそこにあったのじゃないというような気がするのです。島民等の話、感情をいろいろ聞いてみますと、奄美の本島の林道の開発は岩崎山の開発にひとしい、島民のための開発にはならないんだということを聞くのです。そうだとすれば、そういうことになった経緯というものがどこかにあると思うのです。こういうことは、われわれの立場からすると、ずっとえぐり出していって、そして非常に貧弱な町村財政というものについても考えをしていかないと、結局復興計画というものが特殊の人たちだけの復興になっていって、一般の者が潤っていかないという結果が現実に山林計画で出てくると思います。その点についてお調べ願って、あとでよろしゅうございますから、資料等で御報告を願っておきたいと思います。
大臣はお急ぎだそうですから、率直に私は大臣にお聞きしておきますが、御承知のようにこの法律は一つの時限法でありますから、そう長く寿命を持っておりません。ところが、今お話し申し上げましたように、島民個々の生活というものはあまりよくなっておらない。逆に名瀬市のごときは年々要生活保護者がふえているというような形を示しております。従って、少なくとも今度改正されます直接島民に融資のできるこの種の金融処置というものは、相当長い間存続する必要がありはしないかということが考えられます。従って、もちろんこれの額もこういう少ない額でなくして、やはり相当額が必要だと思います。これから先は当面の復興というようなことでなくて、島民個々の生活の環境をよくしてやるという、ほんとうの復興に力を注ぐべき時期がきておると思います。従って、この法律を必ずしも恒久法でということは私はどうかと思いますが、相当長年月の——この振興法の時限が切れたときに延ばされれば別でありますが、延ばされないとするならば、この法律のここだけでも抜き取って、この際半恒久法にしておく必要がありはしないか、そして島民の復興に対する意欲というものをある程度確保しておく必要がありはしないかというように考えるのですが、その点に対する大臣の所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/102
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103・石原幹市郎
○石原国務大臣 この奄美振興法は、御承知のように四十一年まででございますが、今いろいろお話を承っておりましても、まだ相当の事業といいますか、復興計画、ことに総合開発計画をやっていかなければならぬように思うのであります。そのときまでの成果によってさらに検討をしていかなければならぬと思います。ことに御指摘の基金といいますか、融資面については、かりに振興法が時限立法の運命がどうなりましょうとも、その点は私は特に存続していかなければならぬのじゃないか、同意見に思っておりますので、今後もそういうふうに心組んでいきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/103
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104・門司亮
○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、さっきも申し上げましたように、農民の生活を守る一つの問題として、畜産その他の問題がございますが、とりあえずの問題としては農道に対する補助金の関係であります。これはおそらく県限りの補助だと私は思いますが、自治庁としてもそういうことを考えられて、鹿児島県に何らかのお話が願えるかということ、村の力、部落の力だけではあの農道の開発はなかなか困難だと思います。そうかといって、これは成規のものではありませんので、おそらく補助対象にするというようなことについても私はいろいろ問題があろうかと思いますが、この場合、特に奄美大島の農道についての補助金というようなものが考えられないかどうかということであります。この点大臣からもう一度承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/104
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105・石原幹市郎
○石原国務大臣 お答えをする前に、先ほどいろいろ御指摘がございましたが、ことに復興計画は進んでおるが、島民の生活はかえって低下しておるというふうなお話がいろいろございましたが、私は、これはやはりいろいろ復興計画が進むことによって、産業基盤あるいは開発の基盤が作られていっておるのであろうと思うのであります。このでき上がりましたいろいろの施設、こういうものを中心にして総合開発計画がはかられていくことによって、ほんとうの島民の幸福の増進がはかられていくと思うのであります。やはりこれは絶対にやらなければならないことではないかと考えております。こういう問題は中央の各省ももちろんでございますけれども、私、率直な感じから申しまして、やはり鹿児島県の区域でありますから、鹿児島県庁の力の入れ方というものに対してもう少し鞭撻をしなければいかぬのじゃないかと思っております。そういう意味で、今の農道の補助金などのこともございましたが、これはここですぐ右から左とは言えませんけれども、交付税の配分あるいは特別交付税の配分の際等に、御指摘になりましたような事情を十分勘案いたしまして、もしそういうことに全然考慮が払われていないようであれば、今後考慮を払うというふうにできるだけの努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/105
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106・門司亮
○門司委員 これで終わりますが、今の大臣の御答弁、それから当局の話を聞いていますと、私どもと多少意見の一致していないようなところが見受けられるのですが、私が言っておりますのは、公共事業に伴って民間事業等がどんどん減ってくる。そうして失業者がふえてくる。ここに名瀬市の統計表がありますが、失業の原因というところに、日雇い仕事の減少によってできた失業が四二・六%、農林漁業よりの転落が二一・四%、企業整備による人員整理というのはわずかに三・八%、事業不振が二・四%、病気その他が二九・八%、こういうことに出ております。従って大島の現状というのは、現在の島民の持っております生業がもう少しゆとりをもってきて、これらの人口を吸収するだけの農家個々の力が出てこなければ、この失業の状態はなくならぬと私は思う。これはいつまでも続くと思う。だからどうしてもこの際奄美大島の復興については、少なくとも今までの概念から少し離れた——という言葉を使うと行き過ぎかもしれませんが、あらためて島民個々の生活状態というものを向上していくということに一応考え方を直してもらって、そういう施策を講じていただくということ、今までの答弁を聞いてみますと、徳之島の電気等の問題についても、何が何だかわけがわからない。こんなことをやっておっては、いつの時代に全島に電気がつくかわからない、同時に産業の開発ということも考えられないのです。要約して申し上げておきますが、少なくともカンシャ糖については、農林省が北海道のテンサイ糖と同じような取り扱いをするということだけは、この際はっきりきめておいていただきたいということと、それから農民の生産性を高めていって、農民の労働の価値を高めていくということのためには、先ほどからいろいろ申し上げましたような施策をぜひ御検討願っておきたい、このことだけを最後に申し上げまして、私のきょうの質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/106
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107・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/107
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108・阪上安太郎
○阪上委員 もう論議、質問等がかわされておりますので、時間もありませんから簡単に質問いたしますから、また骨子だけ簡単に答弁願いたいと思います。
奄美の復興特別措置法、現状の把握といいますか、何かが先ほど門司さんからも話がありましたように、食い違っている点があるように思うのであります。確かに奄美群島だけをとって考えてみましたならば、復帰当時一人当たり一万八千円の所得でありましたけれども、それが昭和三十一年にはもうすでに三万四、五千円までに上がっておる。従って生活水準等につきましても、この復興計画によりましてきわめて急速に上がったような感じを受けるのであります。けれども、これを全国平均に比べてみましたならば、いまだに全国平均を一〇〇と見た場合に四一%しか所得がない。こういった現実を考えてみたときに、何かここに復興計画だけにものをたよっていて、そして奄美を復興するのだという考え方それ自体に大きな無理があるのじゃないか、私はこういうように痛感するわけなんです。従ってそういった考え方があるために、復興計画ばかりにたよっているという現実がやはり出てきております。普通、通常の行政経費等につきまして、全くこれを投与しないで、また府県も、当然やらなければならぬことをすべて復興事業の中にぶち込んでしまって、そうしてこれ一本でやっておるという結果から、全国平均よりこんな低いところに押えられてしまっている。この点の考え方というものを改めないと、奄美というものはこれ以上、この十年計画が終わりましても、先ほど門司委員等から指摘がありましたような状態のままで置かれているのじゃないか。町村合併をやっておったって、町村合併に対するところの何らの一般普通の本土で行なわれておるような行政経費の投与などというものが行なわれていない。災害復旧等にいたしましても同様であります。すべて災害復旧しなければならぬ事態が起こりましても、奄美の特別措置法の中へこれをぶち込んでしまっておる。こういうことをやっておりますから、全国的な水準からははるかに遠ざかったところに置かれている、こういうことだと思うのであります。その結果がこういうことになっておる。この点につきまして行政局長、どういうふうにお考えになっておりますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/108
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109・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 奄美の復興計画事業がございますために、国あるいは県として本来当然やらなければならない諸施策というようなものの投与が妨げられておるのじゃないかというような点でございますが、この点につきましては、絶対にそういうことはないというふうには言い切れない部面も多々あろうかと思います。ただ全然投与等がなされておらないかというと、これはそういうことでもございませんで、災害復旧につきましても、それぞれ基本方針がございまして、すでに復興事業でもってやって参りましたものの災害というようなものにつきましては一般並みにやっていくとか、その他いろいろ基本原則を立ててやっておりまして、必ずしも全部が全部災害復旧というものを、この復興事業にぶち込んでいくというわけで運用しておるわけでもございませんし、また例におあげになりました町村合併等につきましても、この復興計画とは別といたしまして、自治庁当局といたしまして組んでおります予算の執行については、当然内地並みの市町村と同じような待遇をしていくというようなことも当然やっておるわけでございます。お話がございましたような、復興計画というものがございますために、ややもすれば県当局といたしましても、あるいは政府当局といたしましても、これにたよりがちであって、本来的に、復興事業がなければ当然やっていかなければならないというようなものも全部ないというと語弊がございますけれども、でき得るならばここにぶち込んで参りたいというような気分がなきにしもあらずということは、これは疑いのない事実であろうと思います。しかしながら、今の建前で参りましても、この復興事業計画というもの自体は、一応時限法、年次計画になっておりまして、永久にこのまま続いていくものではありません。そういう際に復興計画というものが全部終わったときに、これに続くものが全然ないということでは、その格差が非常にひどいことになりまして、その後の群民経済の安定の上からいいましても非常に不都合な点が生じて参ることは事実でありまして、そういう点でやはり復興計画と本来の事業というものをできるだけ並行もさせて参りますし、重点といたしましては、漸次復興計画が進んでいくに従いまして、やはり本来のてこ入れとなる施策に重点を置いていくというような全体の進め工合というものも考慮に入れて参らない限りにおきましては、恒久的な群民経済の安定をはかり得ないということは御指摘の通りであろうと思うのであります。そういう点に事実上大きな問題があるということは私も常々痛感いたしておるのでありまして、この復興計画の推進と並行いたしまして、ただいまのような点につきましても総合的に一つあわせ考えてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/109
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110・阪上安太郎
○阪上委員 国としては、かなり措置法に基づきまして責任ある行動をとっておられると私は思います。先ほど大臣が門司委員の質問にお答えになりました中にありましたように、むしろ今申し上げましたことは大部分は県当局の問題なんであります。私、県知事にも会いましたが、そう言ったというと問題になりますからこういうことは言いませんが、厄介者扱いにしておるという印象を知事の言々句々の中から私受け取っております。全く厄介者扱いにしておる。私、調査に参りましたときに県知事さんにお会いして、ともに心配をして話をしていたのですが、県当局としては手をあげてしまっておるという状態であります。従って、群島に対するところの積極的な指導とか援助とか、当然府県がやらなければならないようなものが実際は出ていない、こういうことで私は非常に寒心にたえないわけであります。一つ自治庁の方からもよく御指導をいただきまして、もっと熱意をもって群島のために鹿児島県当局がやらなければならない仕事については責任をもって、再建団体でありますので、それに籍口しておるとは私は言いませんけれども、何かそこへのがれてしまって、ほんとうに群島をよくしていこうというような考え方はない、手をほんとうにあげてしまっております。でありますので、復興計画ばかりではなくて、鹿児島県当局に対するところの、赤字団体で大へん財政困難なこの団体に対して、群島そのもの以前に、やはりある財政援助の施策がもっとぶち込まれなければならないのではないかという点が一つあると思います。ただやれやれといったところで、やり切れない問題であろうと思います。そういった悪循環がずっとあるのではないかと思いますので、県を督励するとともに、同時に県に対する何らかの財政援助を考えてやり、そのことによって県が余裕を持って群島に対しての当然やるべき県行政というものが行なわれていく、こういうふうに進めていただくことが大事ではないかと思います。
一例をあげますと、これはあとで御質問申し上げようと思っておるのですが、大島群島の基幹産業は農業です。その農業を基幹産業とする大島には農業協同組合というものが皆無にひとしいのです。それに対して県は県信連を通じまして何らかの補償をしてやって、これが再建のために努力をしなければならないことは当然だと私は思うのでありますけれども、そういう手は十分に差し伸べられておりません。わずかに三千万円の補償をしておるにすぎないのではないか、こういうことであります。こんなことであのめちゃくちゃになった農業協同組合は立ち上がれないと私は思っておる。これはほんの一例であります。先ほど問題になっておりました農産物の反当収量の問題でもそうなんであります。水田等におきましても、二毛作をやりながら全く低いところに置かれておる。それは自給肥料の不足からきておるのであります。農村を回ってみますと、堆肥を作れというスローガンをポスターにして掲げておりますけれども、それだけのことでありまして、農業改良普及技術員が一体どこにおるのだかわからない。こんなことで反当収量が上がるということは考えられないと私は思います。県がほとんど手をつけていないといいますか、めんどうを見ていないという点に、やはり奄美群島が一方において十カ年計画でもってこれほどの基盤の確立のための公共土木等に対する措置が措置法でもって講じられておるにかかわらず、非常に低いところに置かれているという原因があるのじゃないかと思います。この点については私は希望だけにとどめておきますけれども、ぜひもっと真剣に自分の県民の生活に困っておるこの苦悶に対して目を注いでやっていかなければならぬということについて、県に対する督励を一つお願いしたいと思います。
そこで農林省が来ておられますのでお伺いいたしますが、先ほど問題になりました土地改良事業、これは国庫補助はあるのだろうと思っておりますが、おそらく措置法によってこういう関連性が出たのかもしれませんが、最高十分の七・五の国庫補助があるはずであります。ところが現地におきましては、その事業分量が非常に制限を加えられるために困っておる。農道の必要性が非常に高く叫ばれており、地元民は何とかして農道を作っていきたいということできゅうきゅうとしておりますけれども、また、補助率はきわめて高いところの十分の七・五ということになっておりますけれども、事業全体の分量が非常に制約を受けておるために、仕方なく十分の六くらいの補助を受けることによってずっと引き延ばしまして、自己負担で、あるいは土地改良組合等の負担によりまして事業の分量を延ばしていこうという行き方をしております。この問題につきまして、農道は非常に大へんな大事な問題でありますが、観念論ばかりで論議をしておりましても役に立ちませんので、この点につきまして、今年度における復興計画の中に、こういった真実困っておる農民、しかも何ら政治的な力のないこれらの人に対して、思い切って農道の補助等につきまして、むしろ事業分量をうんとふやしてやるという方策がとられているかどうか。農林省と自治庁の間でどういう御連絡があったかということにつきまして、一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/110
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111・小枝一雄
○小枝政府委員 土地改良事業でございますが、これは御指摘のように国庫補助がありまして、その中におきましても、一般土地改良事業に対する農道については、現在では補助金はないのであります。低利の融資を出すことにいたしております。それからまた離島振興法、これは先生十分御承知のことでございますが、今お示しの七分五厘とおっしゃったのはこれではないかと考えております。これは御承知のように昭和三十五年度は昭和三十四年度よりある程度の増額をいたしておると記憶いたしておりますが、金額についてただいま私記憶いたしておりません。さらにこれ以外に御承知のように特殊立法によるところの問題、あるいは急傾斜あるいは特殊土壌地帯、湿田単作地帯あるいはしらす地帯、これにつきましてもいずれも何割かの補助金があるわけでございますが、離島振興のように法律にはなっておらないわけでございます。従いましてこれらの問題については、特にただいま御指摘の奄美群島のごとき未開発地帯にでき得る限り重点を置くという方針のもとに予算をつけておるようなわけでございます。ただ、この問題につきましては、一つは御承知のように行政段階といたしまして、それぞれ県あるいは市、町等のところからくみ上げまして、農林省の方に要求いたして参ることになっております。これらのものを実際の状況と勘案いたしまして、事業配分をすることにいたしておるのでございます。いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたような状況でございまして、ことに離島であり未開発地帯であることについては相違ございませんので、われわれといたしましては、よく県当局とも相談をいたしまして、でき得る限りこういう地方に対しては事業を促進するように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/111
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112・阪上安太郎
○阪上委員 今大体概要がわかったわけでありますけれども、奄美群島のようなところには、公共的な土地改良事業というワク内ばかりに頭を使わずに——融資だけでやっていけないということはおわかりだと思いますので、もう少しこれは拡大して事業分量をふやしてやって、そういった土地改良事業の公共事業のワク内にうんとほうり込んでやるということを一つお考えいただくわけにはいかないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/112
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113・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま私がお答え申し上げましたのは、ただいま事務当局から聞いてみますと、この奄美群島の場合は自治庁と協議することになっております。今後十分自治庁とも相談いたしまして検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/113
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114・阪上安太郎
○阪上委員 次に簡単に伺っておきたいのですが、最近分みつ糖工場が進出いたしまして、これは時代の趨勢で仕方がないと思いますが、そのことのためにあおりを食いまして、黒糖工場が次々に倒産していくことはすでに御存じだと思います。そのこと自体はそれといたしまして、そこで問題になってくるのは、大工場の方におきましても、現段階におきましては、カンシャ栽培の農家に対しまして、かなりの理解を持っておるように私は見ておるのであります。しかし、これは暫定的なものであって、いつまでも続くものではないと私は見通しを持っております。そうなって参りますと、このカンシャの買い上げ価格という問題が問題になってくるのであります。この場合、私はどうしても大工場を相手にしてカンシャを売りつけていく場合におけるこういった経済行為を、ほんとうに強く会社と交渉でき、自分の自主的な立場において正当な価格で買い上げられるような方向に持っていくためには、どうしても農業協同組合等を中心としたところの一元的な集荷の組織ができ上がらなければ私はだめだと思っております。現在でも、若干の肥料を先借りいたしまして青田売りに近いような格好になりつつある。このことは、私は群島民にとっては大へんな問題ではないかと思っておるのでありますが、これに対して政府なりあるいは自治庁なり府県なりが真剣に取り組んでいただかなければならぬ段階にきておると思う。ところが、先ほどちょっと申し上げましたように、農業協同組合というものはあってなきがようなことになっておる。ひどいところにいきますと、その部落の農家の一一%くらいしか協同組合に加入していないというところがあるわけであります。そこで奄美群島につきましては、ほかのこともいろいろありますけれども、農業協同組合を再建整備していく形を強力に推し進めない限りは、現在農民は全く青田刈りのような悲惨な状態に追い込まれてしまうおそれがある。こういうように考えますので、この協同組合の助長、育成のために特別の配慮をし、場合によっては、特別の何らかの立法を作ってやらなければいけないのではないかというように考えておりますが、この点について次官の御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/114
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115・小枝一雄
○小枝政府委員 農民の利益を守るためには各地方にそれぞれ農業協同組合がありまして、これが主として経済部門を担当いたしておるわけであります。これは御指摘の通りまことに必要であると考えますので、この問題については、農林省といたしましても農業協同組合部もあることでございますから、県当局にも、これらの機関を通じましてこれがすみやかに行き渡りますように勧告をいたしまして促進するように努力をいたしたいと思います。
それからなおカンシャ、サトウキビの問題でございますが、これは先ほど門司委員に対しまして、いずれ事務当局からお答えを申し上げておることと存じますが、今鹿児島県当局に対しまして、特にこれらの問題をどういうふうに処理したら農民にとって有利であるか、どういうふうにした方がまた砂糖増産の上においても必要であるか、というようなことについて特に調査を要求いたしております。これらの回答があり次第農林当局としてはすみやかにこれが対策を立てたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/115
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116・阪上安太郎
○阪上委員 そのほかに耕土培養の問題でございますとか、あるいは灌漑事業等非常におくれております。そして農業生産性向上のためにもう一つの要素といたしまして、先ほどちょっと触れましたが、改良普及技術員が非常に不足しておるのです。全然指導してないと言ってもいいくらいです。これらについての何か対策というものをお考えになっておりますか。これも私は府県の責任だろうと思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/116
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117・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま御指摘の通り、これは大体府県の責任においてやっていただく。府県の要求によって農林省としてはこれに対して考えるということにいたしておるのであります。しかし、監督の立場にあるわれわれとして申し上げることができると思いますのは、こういう問題について特に鹿児島県当局にそういう農業指導部面について陣容の希薄の点があるとすれば、われわれの方からも十分勧告をいたしまして、できる限り将来の問題として善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/117
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118・阪上安太郎
○阪上委員 時間がありませんので次に移りたいと思いますが、きょう厚生省が見えておりませんから、自治庁の方にお伺いいたしますが、生活改善といいますか、環境衛生といいますか、こういう面で実に奄美群島というところはひどいところです。そこでいろいろとこれらを是正していかなければなりませんが、その最大の原動力になるのはやはり保健所だと思うのであります。保健所の数も少ないと同時に、保健所の機能というものは、内地にある保健所より非常に機能が弱いのです。こういうことを御存じになっておるかどうか私は知りませんけれども、この保健所の機能をもっと増加しなければ、とてもではないが、あの生活環境といいますか、これを改善することができないと思います。私も昔は南方方面にいくさに引っぱり出されておったのでありますが、まるで南方の未開発の島の土人のような生活をしている向きが非常にたくさんあります。こういうことについて厚生省との間で御連絡をとっていただいて、今度の復興計画の三十五年度の中に何らか措置がとられておるかどうか、これを一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/118
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119・山本壮一郎
○山本説明員 御指摘のように確かに衛生状況等悪いところでございます。私ども復興事業の計画といたしましては、大島の名瀬に総合病院、これは三百五十ベットでございます。これの計画が大体終わっております。その他各種の保健所といたしましては大体六カ所に保健所を立てる計画をいたしておりまして、逐次年を追いまして内容の充実に努めて参りたい、かように考えております。なお問題は、非常に便利の悪いところでございますので、医者がなかなか来ないというような関係もございまして、町村ではそのために特別の経費を持ちまして医者を呼んでおる模様でございます。土地の風俗等もございまして、なかなか簡単には所期の目的は達成されないだろうとは思いますが、計画に従いまして逐次努めて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/119
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120・阪上安太郎
○阪上委員 そこで結論ですが、保健所の支所を作らなければいかぬということではないかと思うのです。六カ所全島に作っておっても、ものの役に立たぬのではないかと思います。ああいう便の悪い所であります。ハブにかまれたからといって、二時間も三時間も船に乗って行かなければならないというようなことでは、人命にも大きく影響してきます。保健所の支所を相当数増設してやらぬと、ほんとうの環境衛生なんというものは改善されないし、守っていけないのではないか。この点は厚生省と御連絡をいただき、府県とも連絡をとっていただいて、ぜひとも一つ保健所の支所増設という問題と取り組んでいただきたい、こういうように希望しておきます。
それからいま一つ、水が悪いですね。そこで問題になってくるのは簡易水道だと思うのでありますが、それも復興計画にありますけれども、ほとんど遅々として進んでいないのです。この点については、本年度はどういうようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/120
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121・山本壮一郎
○山本説明員 簡易水道につきましては、このもとになる水源なり水質の調査というのが若干おくれておりまして、昨年度あたりから非常にこれに力を入れております。三十五年度の計画といたしましては、簡易水道を七カ所、給水人口にして約三万人、事業費にして七千八百万程度と考えております。先ほどお話に出ました無灯火部落の解消と、簡易水道の急速な普及ということを、民生安定上復興計画においても非常に力を入れて取り上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/121
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122・阪上安太郎
○阪上委員 計画はそうです。私が行ったときにも計画はあるのです。前年度の計画はあったわけです。それが実施に移せない原因があるわけです。ほとんどがサンゴ礁でありまして、地下水を求めようといってもなかなか求められないというような状態にあるわけなんですが、そういったものを解決しないで簡易水道の数だけ計画にふやしておってもなかなかいかないのです。この点現地を御視察になったらわかると思うのです。そのことのために、計画はあってもなかなか実施されないという状態のままに放置せられておる、こういうことです。これはわれわれの方では飲み水は大した問題ではありませんけれども、もう島へ行ったら大へんな問題なんです。悲惨だといっていいくらい水をくみ取り、運ぶための努力が払われておるわけです。こういった点を改善してやらなければ実に悲惨なものです。そこでただ単に内地にある簡易水道というような規模なり考え方でこれをやっていったとしても、私はできないと見ております。この点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/122
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123・山本壮一郎
○山本説明員 現地におきまして一番問題はやはり水源がないということで、従来水道の普及が非常におくれておったようでございます。そこで復興事業を進めて参りますにあたりまして、昨年度から建設省、農林省それから厚生省の専門家に委嘱いたしまして、まず水源なり水質、水量の調査をいたしまして、水源の発見に努めることが第一の要点でございます。発見いたしました水源を、農業の灌漑用水と水道等にどういうふうにして調整して使うかというふうなことを調査いたしました上で、適切な簡易水道の布設の計画を立てておりまして、これが実施に当たっておる次第でございます。給水計画は、先ほど進んでいないというお話でございますが、従来実施いたしましたものは、給水人口にいたしまして約七万名、全体の計画といたしましては約十万名の計画をいたしております。給水人口に対しまして、計画からいたしますと大体七〇%程度の進捗率ということになっております。ただ問題は、従来非常に水源の乏しかった沖永長部と与論でございます。この二つにつきまして、最近、先ほど申しました水源調査に全力をあげまして、特に沖永良部島につきましては新しい水源等も発見されております。この発見されました水源を、農業用水と水道とどういうふうに使うかという調整をよく考えまして、来年度は先ほど申し上げましたような計画を立てた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/123
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124・阪上安太郎
○阪上委員 水源は発見されたのですね。それで予算をどのくらいとっておられますか。一つの簡易水道につきまして、沖永良部島とそれから与論島についてどのようになっておりますか。沖永良部の例だけでもけっこうです。場所にもよりましょうから、典型的なのを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/124
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125・山本壮一郎
○山本説明員 先ほど申し上げましたように、来年度実施いたしますのは七カ所でございますが、たとえば沖永良部の例を申し上げますと、知名町におきまして、給水人口二千七百四十名に対しまして、事業費が九百万円、それから和泊町の例を申し上げますと、給水人口四千人に対しまして六千四百万、こういう計画になっております。これは水源地、導水管、濾過池、配水管等がその内容でございます。ただ問題は、これらにつきましては一年限りでは完工ができませんので、来年度へ若干事業が延びる分も含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/125
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126・阪上安太郎
○阪上委員 大体そういうことだと私も思います。九百万円で二千戸ですか、水源のあり方によりまして非常に違ってくると思いますが、相当経費を十分に見ておかれぬと、これは実施できないのじゃないかと思います。この点は水源地がすでに発見されたので、相当そつのない計画になっておると私は思いますけれども、この点だけは一つ十分配慮していただきたいと思います。
次に、先ほど問題になっておりました無点灯部落の解消の問題ですけれども、特に発電計画は、どういう事情か知らぬけれども先に進んでおるのです。そうして現地で私も調査いたしましたが、送電計画というものは事業の中にほんどわずかしか含まれておらない。電気を作っても、送っていく方向を考えておらないから無点灯部落が出てくるのはあたりまえです。今通産省の人が帰ってしまったそうでありますので、これ以上質問はいたしませんけれども、私が現地でつぶさにその発電事業、建設をやっております人に聞きましても、送電計画というものは今のところまだ完全に樹立していないというのです。電気は回せば起こるでしょう。たとい古い発電機をよそから持ってきたといたしましても、電気は起こるでしょうが、送電というものが全然考えられていないのです。だから電気が行かない。そうして無点灯部落の解消ということは計画年度に完成しないということになっております。ああいうようなずさんな、発送電全体の計画というものを持っておらなくて、そうして無点灯部落を何年に何ぼ解消するのだというようなことをうたっております。ここに群島の無点灯部落の解消計画というものが成り立つのに根本的なそごがあるのじゃないか。なぜ発電所ばかり先に作ってしまうのか。発電所なしに送電の設備だけ作ってもしようがないと思いますけれども、同時にそれが並行して行なわれていないということは事実のように思います。この点一つ自治庁の方でよく調査され連絡されまして、そういう事実が発見されましたならば、厳に忠告してやっていただかないと、これまた計画通りに進まないことになろうかと思います。この点一つ御注意を願いたいと思います。
ほかにいろいろ聞きたいこともございますけれども、時間もありませんし、この程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/126
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127・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 本案に対しほかに質疑はございませんか——別に質疑もないようでございますので、本案に対する質疑はこれをもって打ち切りたいと思いますが、別に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/127
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128・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 御異議がないようでございますから、さよう決定いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後二時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01019600308/128
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