1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十二日(火曜日)
午前十一時三十九分開議
出席委員
委員長代理 理事 纐纈 彌三君
理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
相川 勝六君 加藤 精三君
金子 岩三君 亀山 孝一君
鈴木 善幸君 高田 富與君
富田 健治君 三田村武夫君
山崎 巖君 太田 一夫君
野口 忠夫君 安井 吉典君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 木村 行藏君
運輸事務官
(自動車局長) 國友 弘康君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁保安局
交通課長) 内海 倫君
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四月六日
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)(参議院送付)
同月七日
遊興飲食税減免に関する請願(濱地文平君紹
介)(第一八八二号)
駐留軍及び自衛隊所在市町村に附する助成交付
金等に関する請願(馬場元治君紹介)(第二〇
〇六号)
全日制市町村立高等学校教職員の退職手当全国
通算に関する請願(松永東君紹介)(第二一一
六号)
は本委員会に付託された。
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四月八日
地方財政の安定対策確立に関する陳情書
(第五七六号)
町村道橋りようの新設、改良工事費起債許可に
関する陳情書
(第五七七号)
財政再建団体に対する助成措置強化に関する陳
情書
(第五七八
号)
新町村の育成強化に関する陳情書
(第五八〇号)
町村財政制度の確立に関する陳情書
(第五八一号)
地方自治の自主性確保に関する陳情書
(第六二三号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
道路交通法案(内閣提出第五八号)(参議院送
付)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/0
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001・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 ただいまより会議を開きます。
濱地委員長にはお差しつかえがありますので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
道路交通法案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/1
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002・太田一夫
○太田委員 総括的な質問をいたしたいと思うわけですが、最初に警察庁長官にお尋ねをいたします。
自動車教習所のことでありますが、今度の道路交通法は、もちろんこれは交通の緩和というねらいもありますけれども、事故の絶滅という点に主眼が置かれておるという御説明であります。従って、現在この自動車の運転手はほとんど自動車教習所を出ておるわけでありますから、この教習所がいかなる形であるかということが重大問題です。ですから、運転手の基礎教育の問題につきまして、これは東京都と地方とでは大へん違いかある。具体的な問題からお尋ねしますが、たとえば東京の混雑した町の中を通っておりますと、たしか練習中という字だと思いますが、そういう看板をつけた自動車がよたよた走っている。これだけ輻湊した、自動車の多いメイン・ストリートを、練習中というようなことで仮免許で運転するのがいかに危険なものであるかということは想像に余りがあるわけです。従って、これはそういう制度をなくして、教習所を出て試験を受け、正式に一人前の者として正当な運転ができるようにしてから道路を走らせるというのがほんとうだと思うのです。この自動車教習所のあり方について、東京都が特に違う、寛大であるというような点につきまして、長官としては今後どのように考えられ、どのようにこれを指導されるおつもりであるのか、その点を一つお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/2
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003・柏村信雄
○柏村政府委員 ただいまお話しのように、教習所で練習中、正式に免許を得ていない者が仮免許を受けて道路を練習して回るというようなことがあるが、これは適当でない。また東京都あたりにおいてはかなり教習所がルーズになっておるのではないかというお話でございますが、確かに現在の教習所がそのままでよいというふうには考えておらぬのでございまして、今回の道路交通法案におきましても、教習所について特に基準を設けて、これを厳重に監督いたしていくというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。御承知のように、自動車免許は各府県で運転免許を受けるわけでございますが、受けました者は、その府県のみならず、全国どこでも逆転できるということに別なるわけでございますので、府県まちまちな免許をするようでは、全国的にこれを適用いたしていくことが適当でないという観点から、中央において基準を設けて、その基準に合ったものについて教習所としての指定をしていく、そういうものについて一部試験の免除をするというような制度を考えておるわけでございます。
ただいま仮免許の練習中の問題についてのお話がございましたが、これにつきましては交通のひんぱんでない道路において、しかも助手台に運転の免許の技能を持っている者がつき添って運転するという場合だけこれを許すということにいたしておるわけでございます。非常に交通のひんぱんな輻湊したようなところにおいては、これをさせないように十分注意して参るつもりでございますが、教習所の練習場が必ずしも十分適当な広さを持っていないというような場合におきまして、ある程度熟練して参った者について、交通ひんぱんでない道路において練習をさせるということも、やはり一つの方法として許さるべきものではないかというふうに考えておるわけでございますが、全体の考え方としては、ただいま太田委員のお話しのように、教習所の規模等についても十分な基準を設けて、誤りのないように運営させるようにいたしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/3
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004・亀山孝一
○亀山委員 ただいまの太田委員の御質問ごもっともでして、私はたまたま自動車教習所の近くを通るのですか、今長官の御説明では、交通ひんぱんならざるところというような御趣旨と思いますけれども、実際はそうでないのです。それはもう交通のひんぱんなところで練習しておる。そのために非常に迷惑するのです。お言葉のように、教師がつき添っておるといいますけれども、逆転している者は仮免許です。交通法規についてもよく理解していないのか、あの交通ひんぱんな通路に出てこられ、しかもよたよた逆転をされるというと、あとが非常に困る。これは太田委員の仰せごもっともで、これは一つ十分これに対する指導方針をおきめ願いたい。それは長官のおっしゃるように、決して交通ひんぱんならざる道路なんかでありませんよ。交通ひんぱんなところに出てきて訓練している。訓練ならそれもいいでしょう、練習なんだから。けれども迷惑千万。これは太田委員に対する御答弁ではどうもわれわれ納得しないので、その点もう一度はっきりと御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/4
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005・柏村信雄
○柏村政府委員 現在実際に行なわれておる状況が、ただいまお話しのように、ひんぱんな道路において行なわれておる面も確かにあるかと思います。こういう点につきましては、今後十分に指導監督をいたして参りたい。要すれば、今後は公安委員会等で指定した道路についてだけ仮免許の練習をさせるというようなことも考慮いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/5
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006・太田一夫
○太田委員 ただいまの点ですが、しからば、九十八条に今後出てくるわけですけれども、政令で自動車の教習所の指定の基準が定められる。その場合に、練習所の規模は何坪くらいの規模をもって妥当なりと——特に東京都あるいは六大都市におきましては、どれくらいの教習所の坪数を一つの基準と考えていらっしゃるか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/6
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007・内海倫
○内海説明員 長官にかわりましてお答え申し上げます。
現行法に基づきまして各都道府県公安員会で指定いたしております状況につきましてまず申し上げますと、東京都におきましては、敷地面積については一千坪以上、大阪その他京部等におきましては、大体三千坪以上というのが実情でございますが、これにつきまして今後この新しい法案が成立いたしました場合、政令の定める基準としてどの程度のものにすることが妥当であるかということにつきましては、現在私どもの方の科学警察研究所におきましても、また私ども交通課といたしましても協力いたしまして、その必要な広さというものについての検討をいたしておりますが、結局この広さというものは、そこにおいて練習いたします自動車の量、入校生の量あるいは練習いたしますコースの引き方の状態、これらを比較勘案いたしまして、必ずしも一定のものを導き出すことは容易でないのでありますが、しかし、政令で定める基準として一定のものを定めたいという必要がございますので、そういう数字を現在算定中でございます。その算定の根拠といたしましては、要するに諸般の検討の結論として、少なくともこれだけはどうしても必要であるという結論を得て定めたい、こういうふうに考えております。今直ちに千坪であるとか、三千坪であるとかいう数字を、私ども、なおまだ確信を持って申し上げる段階に至っておりませんか、十分検討して、確信ある数字に基づいた基準を設定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/7
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008・加藤精三
○加藤(精)委員 関連して。現在一千坪が東京都で大体それくらいでいいだろうという坪数ですね、そういうお考えに立って検討しておられるのか。それから、どうも不十分だけれども、教習所をやっているところの当事者が非常に困るだろうからそれで間に合わしてやろう、実際は不十分だけれどもというお考えなのか。そこのところを明らかにしていただかないと困るので、それをちょっと明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/8
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009・内海倫
○内海説明員 現在の指定は現行法に基づいておるわけでありまするし、今度の法案は新たな観点から新たな目的を持って設定いたしたのでありますから、この法案の趣旨に従って私どもとしては指定の基準を設定いたしたいと考えております。従いまして、現在各都道府県で行なっております指定基準がそのまま妥当なものあるいは既得権としてこれを当然認めなければならないという考え方に立って定めるつもりは持っておりませんし、私どもとしましては、先ほども申しましたように客観的に必要かつ妥当な基準を設定して、それに合致するものを指定の対象にしていく、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/9
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010・加藤精三
○加藤(精)委員 そのことなんですか、私の考えは、むやみに道路面を練習用に使ったりするようなことがあるとすれば、それは教習所が狭いので十分練習できないから、教習所のグラウンドのかわりに一般の大きな道路を使っているというふうになるわけなんです。それですから現状から見てただいまの御答弁は、現行法はみないいのだ、現在の政令できめている基準というものは間違いないのだ、間違った基準をきめているということになれば警察庁の力の責任問題だ。そういうふうな考え方の御答弁のようで、非常に僕らは御答弁を聞いてあと味が悪いんですよ。こういうところは、これから思い切って自動車交通行政を画期的によくしようというときには、従来のものはほんとうは悪かったという反省に立ったお話ぐらいあってもいいような気がするのです。委員はみな内輪同士ですから、何も警察庁を攻撃するために質問しているんじゃないんです。そういう立場から現在の千坪というのは、ただいまも太田委員からお話しになりましたけれども、どうも狭過ぎやしないかという感じをわれわれは抱いておるのです。十分な練習ができないのじゃないか。学校のグラウンドや屋内体操場があまり狭いと、うつぼつたる小中学生はそこでがまんできなくて、外で遊んでけがをする。付近の海岸に行って海にはまって事故を起こしたりするようなこともある。それでただいま太田委員からの質問で非常に考えさせられたのでありますが、自動車を運転している人が平気で公の道路を使うような風潮が非常に多いのです、停車とか何かで。これは刑法上の未必的故意か錯誤の過失みたいなものに当たるものじゃないでしょうか。仮免許で腕も十分でないのに、交通ひんぱんなところで練習するのは、刑法上の問題になると思う。そういうようなことで道路を使うということはあまりに得手勝手だ。バーで酒を飲んだ文士が超スピードを出してけがして死んでしまう。本人が死んでしまうならいいけれども、人にぶつけたりするような風潮がある。そういうふうな面からいって、十分に練習して、これを世の中に、人の前に運転者として出しても心配がないような者だけを出して下されば、今の社会的不安の一つが解消できるし、小学校の一、二年、幼稚園の生徒を通学させております父兄も安心だ、そういうことを考えて御質問しているわけです。それで現在の千坪というものは著しく狭きに失すると思うのでありまするが、これを画期的にもうちょっと広くして、思う存分腕をならしてから免許を与えるというお考えはないかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/10
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011・柏村信雄
○柏村政府委員 現行法におきましては、政令による基準というのはございませんで、各都道府県の公安委員会が独自の見解で指定しておるわけでございます。改正法案におきましては、これを中央において政令で基準を定めて、合理的な基準によるもののみを指定するということで、ただいま御指摘のような懸念は去るのではないかと思います。
先ほど私答弁の際、あるいは言い違ったかと思いますが、そういう練習場が狭いから道路に出すというのではなくて、ある程度熟練した者に仮免許を与えて、交通ひんぱんならざる道路において練習させることによって、より道路交通上の熟練度を増させようという意味から、そういうことも許してよろしいのではないかということで、決して業者が従来の行きがかりというようなものにとらわれて、今までのものを既得権として認めるというような考え方は毛頭ございませんので、その点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/11
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012・太田一夫
○太田委員 今の長官のお話ですが、既得権として今までのものを認めないというそのお気持は、今までの制度に対する一つの反省としてわれわれは受け取るわけですけれども、千坪というような小規模の自動車練習場が指定されておる。しかもそれが大都会の東京都の中に無数にあって、東京都の中で仮免許という制度が横行しておるということは、見のがすことのできない事実だと思うのです。特に京都、大阪の方が三千坪以上だという先ほどの御説明ですが、地方の方が教育制度が充実して、一番輻湊する東京都が非常に軽い内容のものだということになるのは、非常に逆だと思うのです。
それから私がもう一度特に聞きたいと思うのですが、前進、後退、ストップだけを自動車教習所で練習をさせる、そしてあとは自由に曲がったりなんかするのは全部公道をもってやるというのが、今の東京都の自動車教習所の基本方針なんです。これはどうなんですか、こういうことを今まで気づいていらっしゃったのか、いやそんなことはないというふうにお考えになっていらっしゃったのかどうか、ちょっとお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/12
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013・木村行藏
○木村(行)政府委員 ただいま太田委員の御指摘の、教習所の中における教育の限度が前進、後進、ストップだけである、それ以外は道路上に出てやるというふうに私たち聞いておりませんけれども、一律にはそうなっていないのではないかと思いますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/13
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014・太田一夫
○太田委員 全部が全部そうだと私は言うのじゃない。今の自動車教習所は用地がないから、従ってちょっとしたあき地に自動車教習所を作り、そしてやっていることは一番基礎的な前進、後退、ストップだ、それは基本的な技術になっている。あとは先生がついて、あなたハンドルをとってやってみなさいといって、公道を利用しているのですから、大へんなことが起きつつある。だから道路交通法が新しく改正されて出てきた以上は、そういうものは一網打尽に否定してしまって、もっと整備拡充して、基礎教育だけは教習所の中で完全にやりなさいということにあなた方はほぞがきまっておらぬと、道路交通法が死ぬと思うんですよ。それの覚悟のほどをあらためて伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/14
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015・柏村信雄
○柏村政府委員 確かに府県によって非常に差がありまして、ただいまお話しのように、大阪あたりは相当に基準を高くきめ、東京は比較的低いということが実情であることは私どもも承知いたしております。今回のそういうことがございませんように、合理的な基準を定めて参りたいと思います。これは単に言いわけ的に申すわけでなくて、この近路交通法がほんとうに生きた法律として運営されるように十分に注意して基準も定めて参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/15
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016・太田一夫
○太田委員 従って、これは現行各地方におきまして相当りっぱなものがありますから、そのりっぱなものかさらにあなたたちの制度を通して、政令の内容としてもそういうものを全国的に普遍化するように、指定基準をどんどん上げていくんだというようになればいいのですが、いいのがあったけれども、今度の政令によって低くなりますと、いいものを一生懸命努力した人たちというのはずいぶんばかなことでございまして、妙な話ですが、悪いものによっていいものが征伐されていくというのは逆でありますから、非常にいいところを参考にされて、それに近づくように一つ十分今度の政令内容というのは高めてもらいたい。ただ巷間うわさされておることですから、真偽のほどはわかりませんけれども、東京都においてそういうことをやることは非常な勇断が要る。場合によっては命とりにもなりかねないような事情もあるんじゃないかというような妙なうわささえあるときですから、十分一つ決意をかためて、政令内容を自動車教習所の指定の基準については高めるように努力してもらいたい。こういう点についてはよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/16
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017・柏村信雄
○柏村政府委員 とくとただいまの御意見を拝聴したわけでございますが、そういう趣旨でわれわれも政令の基準を定めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/17
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018・太田一夫
○太田委員 次は、陸運事務所の運輸省の直轄化を要望する声が強くなっておる、こういう点についてお尋ねするのですが、特に自動車がこれだけふえているのに、陸運事務所の定員は、二十三年か二十五年ごろ発足した当時よりも、地方においてはどんどん下っているのです。そして自動車の方は逆にどんどんふえておる。こういう状態の中で、今の陸運事務所がその機能を発揮しようとすると非常に無理があるわけなんですが、その無理というのはどうしてできたかというと、当時は行政整理というかけ声が強かった時代ですから、官吏の定員を減らそうというところからそういうような取り扱いをされたと聞いているのですが、今日陸運事務所を今のような形にしておくのは、どうもどっちつかずで、機能を発揮するのには非常に不十分なものであるといわれておりますが、これに対する警察庁長官としての御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/18
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019・柏村信雄
○柏村政府委員 陸運事務所は、ただいまお話しのように、いろいろ現在機構なり系統なりの点について問題になっておるものでございます。運輸省におきましては、ただいま知事のもとにある陸運事務所というものを、運輸省陸運局陸運事務所という一本の系統にすっきりとさせたいという気持があるようでございます。また自治庁におきましては、総合行政の見地から、これをやはり知事のもとにもっとしっかりと握りたいという気持があるように聞いておるわけであります。警察といたしましては、運輸省なり自治庁なりの考えもさることながら、われわれといたしましては、陸運事務所のいろいろの仕事のうちで、一つは車の登録の問題と、それから車体検査の問題につきまして、この二者については都道府県の公安委員会でこれを受け持つのが適当ではないかという見解を持っておるわけでございます。
登録の点につきましては、たとえばひき逃げとか、その他車による犯罪捜査等におきまして、警察がいち早く捜査に乗り出して参るという点につきまして、他の機関にこれがあるということが非常に支障になるという問題があるわけでございます。
また車体検査の問題は、道路上における車体検査は現在警察でも行なっているわけでございまして、昨年の統計から申しますと、路上において整備不良なものを直ちに整備させた数が二十一万でありますか、それからその場では整備できない相当悪くなっているものを、その場でなしに整備させたものが三十四万、合わせて五十五万余の車両について整備不良車として警察で取り締まっておるわけでございます。しかし、これは実際に動いている整備不良の車に比すれば、そのうちの一部であると考えられるわけでございまして、やはり根本は車体検査をもっと厳重に的確にやることが事故防止の根本の問題になるのではないか。そういう観点からいたしまして、やはり車体検査というものは警察で行なうのが適当でないかというふうに考えておるわけであります。
これは一つの筋論でございますし、もう一つは、ただいまお話しのように、人員整理等で要員が不足しておる、設備が足りないというような問題もあるかと思いますが、現在運転免許等は都道府県の公安委員会でやっておるわけでありますが、身近なところでこれを行なうことに相なりますれば、必要に迫られてどうしてもそれに必要な要員というものは都道府県で充足するということにも相なりまするし、同時にまた車体検査料というものが府県の収入になることに相なれば、それと見合って要員とか施設とかいうものの整備についても十分手の届くようになりはしないか。両々考えまして、われわれとしては車体検査と登録の事務は、都道府県公安委員会に所掌させるようにしたいという希望を持っているわけでございますが、これにつきましては、運輸省について別な考えがございます。また自治庁等についてもいろいろ意見があるように聞いておりますので、簡単には参らないかと思いますが、見解はいかがかという御質問に対しては、私どもの考えとしてさよう申し上げたいと存じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/19
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020・太田一夫
○太田委員 そういう御見解はあろうかと思いますが、これは実は非常な大きな影響を及ぼすのではないでしょうか。特に道路運送法上の認可権というものを現在運輸省は持っているわけです。従ってこれは仕事の面から言いますと、運輸省の陸運局の持つ権限の、さらに具体的な地方的なものを相当に持っておりますし、もう一つは、今の車両検査というものがあるわけですが、実際の人事権は現在は運輸省が持っておる。ですから陸運局からみな係官が行く。陸運局から行ってまた陸運局に帰る。また運輸監督行政として一つのサークルをなしておるわけです。長年——昭和二十二、二十三、二十四年ごろに陸運事務所が固定したわけですが、それ以来十年間すでにそういう行政の一つのサークルができていて、陸運局の下部機関という性質が非常に強くなっている。このことは否定できないと思います。人間の面におきましても、特に予算も運輸省です。一体知事はこれのどこを見ていたのですか。現実十年間というものは、見るべきものはあまり見てないのではないか、ただ収入を取り上げていくだけじゃないでしょうか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/20
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021・柏村信雄
○柏村政府委員 陸運事務所が運輸省の系統で、知事のもとにあるけれども知事が十分これを握っていなかったということについては、私もおおむねそういうふうな傾向があったのでないかというふうに考えておるわけでございます。われわれとしましては、ただいまお話しの運輸事業、輸送事業等の許認可権というような運輸省系統の仕事を警察で取り上げる——取り上げると言うと語弊がありますが、警察によこせという考え方は毛頭ございません。ただバス路線等につきましては、もちろん基本的には運輸省で許可、認可するにいたしましても、交通の危険というような点から公安委員会の意見を聞くというようなことが必要ではなかろうか。これは現在も運輸省と私どもの方において、新しくそういう路線を許す場合には公安委員会の意見を聞くという覚書を取りかわして、交通上の危険防止に資しておるわけでございますが、一般的に申しまして、事業面の許可、認可というようなものを警察で所管しようとは考えていない。ただ車体検査につきましては、これは危険防止、事故防止ということか基本になるわけでございますので、そのための検査でございますから、これはやはり警察で所管するのが適当ではあるまいかということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/21
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022・太田一夫
○太田委員 お考えはよくわかります。やはりそういうのが実際かもしれませんね。そうしてみますると、今の事業量、定員配置の問題など機構の問題が非常に疑問になってくる。現在どれくらいの人間によって何両の車を受け持っておるのか、ある程度統計がありましたら、五年前と比較して、ピック・アップでもよろしいから御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/22
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023・柏村信雄
○柏村政府委員 実は私の方では、ただいま申し上げたように登録とか、車体検査というものを警察が所管するのが合理的ではないかという見解を持っておるにとどまるわけでございまして、実際には運輸省がそういう定員の配置であるとかいうことを考えておるわけでございます。私ども、今ちょっと車体幾つについて何人の要員を持っておるかということまで承知いたしておりません。それは運輸省の関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/23
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024・太田一夫
○太田委員 警察庁長官にもう少しお尋ねいたしますが、やはりこれから車体検査が事故防止上非常に重大な意味を持つという御認識があるといたしますれば、現在の陸運事務所において行なわれておる実態というものについて、ある程度究明が必要だと思うのですが、これはやはり公安委員会の指揮下に置きたいということをお考えになりつつ、現実にどの程度かということが統計的にも資料的にも不十分だという点はちょっと不可解なんですが、今まで陸運事務所があるということは忘れていらっしゃったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/24
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025・柏村信雄
○柏村政府委員 確かに申しわけない次第でございますが、われわれとしては車体検査が不十分であるという実態はよく承知しておるのでございますが、今正確に何人の人間で幾つやっておるかということを申し上げる資料を持ち合わせないという意味でございまして、車体検査が十分に行なわれていないので、路上を走る車について末梢的に警察が取り締まりをし、整備を勧奨しているという実情を先ほど申し上げたようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/25
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026・太田一夫
○太田委員 そういたしますと、あなたの方では、今日の道路交通法を立案される過程において、この問題も感覚の中に触れてきたのだ、こういうことに私もなるのじゃないかと思うのですが、予算は国の予算、しかもこの国の予算を運輸省が実際に取り扱っておる。人事権もこれまた運輸省が行なっており、身分は国家公務員である。こういう点について、地方の陸連事務所の職員というのは、全部陸運局の下部機関だという気持が現実の問題として非常に強い。ですから今のお話からいいますと、根本的に何か今の仕事の差配など、管理とか組織とかいうものを変えていきませんといけないだろうと思うのです。そういう点について警察庁長官としてはあまり陸運事務所のことについては深く御研究がないようでありますから、あまり深いことをお尋ねしてもいけませんので、國友自動車局長がおいでになりましたから、さっそくお尋ねするわけですが、実はいろいろと言われておる意見があります。陸運事務所というのは運輸省の直轄という意見が、現地の実際仕事をやっておる人の間に強いということから立論いたしまして、この際においてはっきりと陸運局の下部組織である陸運事務所といたすべきではないかということも考える。しかし、そうだからといって正しい理屈にそむいてはいけませんから特にお尋ねするんですが、あなたの方は、陸運事務所のあり方はいかにあるべきかとお考えになっていらっしゃるか、その基本的な考え方をちょっと承りたい。なおついでに、五年前と今日とは人数の点においてどれだけの変化があり、受け持ち車両においてどれだけの変化があるかということを、数字のしにおいてあわせて明らかにしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/26
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027・國友弘康
○國友政府委員 陸連事務所の所属の問題につきましては、私ども運輸行政を担当しております立場から、現在の陸運事務所のあり方というものが非常に中途半端な、運用上いろいろと支障を起こすような状態を、しておりますが、実はこの制度は、昭和二十四年から設置された制度でございますが、自動車の行動範囲もどんどん広がって参っておりますし、都道府県の範囲を越えて動きますものでありますし、交通行政上の、鉄道あるいはそのほかとの自動車に関する調整ということもぜひ考えていかなければいけませんので、これらの点につきまして、従来とも陸運事務所というものが陸運局の一つの組織であるべきであるということを考えておりましたが、実は最近ことに白ナンバー・タクシー等の取り締まりにつきましてわれわれが痛感いたしましたものは、陸運事務所というのは、予算も定員も国家公務員でありまして、身分の任免権もむしろ陸運局長が持っておるのでありますが、指揮命令の系統だけ都道府県知事に所属しておるという形になっております。いわば人事管理面からする指揮命令と、法規上業務上の系統からする指揮命令とが上から二本出て参りますので、陸運事務所長及びその職員といたしましては、非常にその立場に迷うことがありまして困るという状態で、現地の陸運事務所の職員その他からは、陸運事務所を陸運局の組織の一環として移管をしてくれということで、われわれに対して強い突き上げがあるわけなんです。そこで私どもといたしましても、こういう状況で陸運事務所長及びその職員が中途半端な状態であり、たとえば自家用の白ナンバー・タクシーの取り締まり等に関しまして行政処分をしようとする場合にも、これはやはり都道府県知事の決定に待たなければなりませんので、都道府県知事のある方におかれましては、そういう男についての取り締まり等についても消極的な態度を示される方々もありまして、そういう面において取り扱いが区々になるし、陸運事務所としても、今申しましたように、陸運局と都道府県知事の間に立って非常に困る。こういう状態で、昨年の夏ごろから自治庁と、陸運事務所の運輸省への移管問題について打ち合わせをいたしまして、いろいろと議論をしておったのですが、これは書面の往復等もいたしましたが、平行線でございまして、われわれとしては、現在の陸運事務所がそのままの形で、今都道府県のいわば外局のような形で存在しまして、指揮権は都道府県知事にあるわけでありますが、その指揮権の点だけを陸運局の方に移してもらえば、それでもう全部目的が達成するのですから、そのような方向でぜひ実現をさせてもらいたいということで、現在通常国会中でございますが、これに関しましては、私どもとしては極力その実現の方向に向かって自治庁とも交渉をいたし、その他関係の向きと折衝を続けておるような状態で、何とかしてこの中途半端な制度をこの際解消して、白タクの取り締まりとか、もぐりトラックの取り締まり等に関しまして積極的に陸運事務所が陸運局と力を合わせてできるような制度にいたしていきたいと思って努力しているところでございます。
それから定員と車両数の推移でございますが、昭和二十四年と三十四年の十年間で比較いたしてみますと、昭和二十四年におきまして自動車の総車両数は二十九万両でございましが、三十四年には、これは年央でございますが、大体二百六十万、現在は二百七十万両になっております。要員の方で申し上げますと、陸運事務所だけで申し上げますが、陸運事務所の定員が千八十四人でございましたのが、昭和三十五年には定員千三百人、非常勤職員その他を入れまして千四百三十七名、こういう状況でございます。最近ここ二年の間は定員増加は認められましたが、それまではむしろ定員が増加せず、ずっと減っている状態でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/27
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028・太田一夫
○太田委員 時間の関係で、私はきょうはこれで一応質問は打ち切って、あとは後日に回していただきたいと思いますが、先ほど中途半端で支障が多いとおっしゃった支障の中のおもなるものは、取り締まりに一番重点があるのか、検査か、登録か、何ですか。明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/28
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029・國友弘康
○國友政府委員 私どもが現在一番痛感いたしておりますのは取り締まりでございますが、その他輸送管理の面におきましてもいろいろとございまして、たとえば本省へ免許申請書を進達いたします場合に、陸運事務所から都道府県知事の手元を通す場合に非常に申請書の進達がおくれるというような状況も、ある県においては起こってくるというようなこともございますわけで、運輸管理の面が、陸運局とは事務的な連絡はいたしておりますが、業務系統を立てて指揮命令をするという段になりますと、やはり傍系である。直接の指揮命令は都道府県知事から出なければならないというような状況でございまして、輸送管理の面、取り締まりの面、その他においてございます。今登録、車検の面におきましては大体事務的に動いておりますので、これらの面よりはむしろ輸送管理の面と取り締まりの面において支障があるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/29
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030・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02219600412/30
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