1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十九日(火曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長代理理事 飯塚 定輔君
理事 田中 榮一君 理事 吉田 重延君
理事 加賀田 進君
相川 勝六君 金子 岩三君
亀山 孝一君 津島 文治君
富田 健治君 三田村武夫君
山崎 巖君 太田 一夫君
川村 継義君 佐野 憲治君
野口 忠夫君 安井 吉典君
大矢 省三君
出席政府委員
自治政務次官 丹羽喬四郎君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
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四月十五日
委員津島文治君及び高田富與君辞任につき、そ
の補欠として中川俊思君及び辻寛一君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員辻寛一君及び中川俊思君辞任につき、その
補欠として高田富與君及び津島文治君が議長の
指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/0
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001・飯塚定輔
○飯塚委員長代理 これより会議を開きます。
濱地委員長には、本日病気のため御出席できませんので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
去る六日、本委員会に付託されました内閣提出、地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は、予備審査において提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/1
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002・加賀田進
○加賀田委員 地方公営企業法の一部改正案に対しまして、二、三の点に対して質問をいたしたいと思います。
まず、この地方公営企業は、第三条にも規定している通りに、企業の経済性というものももちろん維持しなければなりませんけれども、これの主なる目的としておるのは、やはり公共の福祉を増進するということが、この企業を発展さす大きな目的じゃなかろうかと思うのです。そこで先般、ガス協会の方からいろいろ自治庁の見解等について質問のありました、いわゆるガス事業の兼業としてプロパン・ガスの兼業、その承認を求めてきたと思うのですが、聞くところによりますと、本月の十二日に、この兼業は、諸般の手続さえ完了すれば差しつかえないというようなことで了承を得たということを聞いておりますけれども、このガス事業とプロパン・ガスの兼業、プロパン・ガスそのものがはたして公共の福祉を増進するという公営企業の目的に沿うて許可されたのか、あるいはその他の理由があるのか。ガス事業とは、ガス供給事業をいうということが大体規定されてあると思うのですが、この範囲にこれが入るのかどうか、非常に大きな疑義が私はあると思うのです。それに対して、自治庁としての見解を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/2
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003・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のように、ガス事業法に規定しております字句をそのまま読んで参りますと、プロパン・ガスの販売業がそれにいうガス事業にはならないと思います。しかし、ガス事業の付帯事業ということで考えていきますならば、導管によりますガス事業を行なって、まだ導管がそこまでいかないけれども、そういうようなものを必要としている地域に付帯事業として供給をしていくということは十分考えられることではないか、かように考えまして、同意の返事をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/3
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004・加賀田進
○加賀田委員 これは都市によって違うのですけれども、大体現在民間企業がこういう事業をやっているのじゃないかと思うのです。従って、そういう事業のうちに、地方公共団体がこういうものを並行的にやるということになりますと、民間企業にも相当な影響をもたらしてくるということと、このことが普及されて参りますと、ガスの普及に影響が逆に及ぼすというような傾向も起こってくるのじゃないかと私は思うのです。ガス事業の、いわゆる導管配置というものを中心にして拡大発展さしていこうという政策、これに対して、このプロパン・ガスが非常に普及されてくるという一つの逆現象が起こってくるのじゃないかという懸念も私は起こるのです。従って、本来の目的であるガス事業の発展、すなわち、公共の福祉を増進さすためにこの事業を発展させなければならないということと、経費その他の関係上、あるいは住民の負担の関係上、導管がなかなかそこまでいかないという場合に、便宜上一時的な現象としてプロパン・ガスというものが出てきたわけですから、これと公共事業を発展さすということと、逆現象が起こるような傾向を私は考えるのです。だから、兼業を許可するということとガス事業の発展ということとの関係で、逆現象が起こるような危惧が起こるのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/4
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005・奧野誠亮
○奧野政府委員 プロパン・ガスの販売業だけがガス事業として行なわれていくということはあり得えない、私たちはこう考えているわけであります。ガス事業を行なっているものが、導管のない地区にプロパン・ガスの販売を行なう、こういうことは付帯事業として十分認められることではないか。導管がないから、またプロパン・ガスの販売はやれないからということで、その地域を放擲しますことは、いかにも気の毒なように思われるわけでございます。そういう意味で、あくまでも付随事業として、ガス事業を行なうものがプロパン・ガスを販売していく、これは何ら否定すべきではないだろう、こう思っておるわけであります。御指摘のように、プロパン・ガスの販売業を公営企業として積極的に推進していくという考えは持ち合わしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/5
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006・加賀田進
○加賀田委員 市町村に、そういうプロパン・ガスの配達をする営業所がない場合に、公共団体でもって便宜をはかるということも一つの方法だろうと思います。もし同じようにプロパン・ガスの販売等をやっておる業者があるところへ、あらためて地方公共団体が競争的なそういう形で起こってくるならば、地方公共団体は収益を目的としておりませんから、従って一般の企業との競争の中では、価格の点では地方公共団体が有利な立場に立つ。それらの一般業者との関係の調整という問題に対してどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/6
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007・奧野誠亮
○奧野政府委員 プロパン・ガスの販売事業を行なうというので、かりに地方債の許可の申請があったといたします。その場合に、民営の競争企業があるにもかかわらず、そういう事業を行ないたいという場合には、私たちは慎重であるべきだ、こう存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/7
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008・加賀田進
○加賀田委員 そういう地方公共団体に民営がない場合、住民へのサービス行政として行なうことは差しつかえないと思いますが、将来民間との競争という形の中でいろいろそういう問題が起こってくる場合もあると思いますから、これは自治庁として十分指導していただきたいと思います。
それからもう一つは、従来もあったわけですが、電気事業に対する噴気料金の問題で、地方公共団体の職員間におきましても、電気料金が安い。従って、そのことは九電力会社に電気を売るだけであって、住民に対して直接的な福祉増進にならないのだ。従って公共企業という目的と非常に相反するような場合も起こってきて、いわゆる収益を目的としておりませんから、比較的安い電気を九電力会社に売って、しかもそのことは、民間企業という形の中で収益を付加して、住民に同じ価格で売り渡しておるということで、地方公共団体がこういうことを興したために住民が利益を得るというような形になっていない。しかも、電気料金の算定についても、非常に電力会社との交渉の過程に矛盾がある。この点に対して、何らか本来の目的に沿うような形で地方住民に対する電気料金の値下げ等に対する方法がないかというようなことが、よく要請されておったわけですが、聞きますると、通産省の方では、電気料金の算定基準というようなものを事業者に出して、自治庁の方でも、そういうものに基づく公営電気事業者の電気料金算定要領というものを出したということを聞いておりますが、大体この電気料金を決定されるのには、どういう内容が含まれているのか、一つその点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/8
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009・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のように、通産省から、公営発電の電力を電力会社が買い受けます場合に、こういう算定方法をとるべきだということについて通達を示しておるわけでございます。端的に言いますと、それぞれの公営発電所におきます原価を基礎としてはじき出すということでございます。従いまして、経費は償われるけれども利潤というものが十分でない、こういう問題はあるかもしれません。しかし、それぞれの発電所におきます原価に若干のプラス・アルファをして参るわけでございます。その方法といたしましては、諸経費をまかなうほかに、特別償却の経費を、減債積立金及び特別積立金というような理由で見込んでいくというような形にしておるわけでございます。なお、こまかい点につきましては、さらに御指摘によって詳しく申し上げてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/9
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010・加賀田進
○加賀田委員 当初の目的としては、別に電気を発電するということが目的じゃなくして、いわゆる治山治水という立場の上に立って多目的ダムを建設し、その一環として発電事業を行なうというのが従来のやり方だと思うのです。そういたしますと、減価償却費とかその他の算定については、そういうダム建設に使った費用そのものが償却資産として算定されるのじゃなくして、一部分だと思いますが、それらの基準は何か明確になってるのですか。なっておったら、この際お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/10
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011・奧野誠亮
○奧野政府委員 多目的ダムの場合には、治水目的の部分と、電気関係の部分と、それぞれ両用の役割をしておるわけであります。従いまして、ダム建設に要しました経費を、治水関係の部門と電気関係の部門とに割当をするわけでございます。この割当の仕方につきましても、一つの計算方式が設けてあるのでありまして、それによって割当を行ないまして、電気関係のものについては、電力料金を算定する場合の経費の基礎にされていくわけでございます。ダムの所要経費の全額が電気料金に算入されていくわけではございませんで、常にアロケーションをいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/11
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012・加賀田進
○加賀田委員 そういたしますと、これは最初に申し上げました通り、収益事業じゃありませんから、減価償却費とか、あるいは日常営業に必要な経費、人件費その他、また固定資産の所在市町村の必要経費というようなものを原価計算をして、それが電気料金となってきまっているということになると、民間企業と違って、全く収益というものを無視というか、考えずして原価がきまって、九電力会社にこれが売却されておる。九電力会社はこれを買って、一般の民間企業と同じように、収益を付加してこれを住民に売電していくということになるわけです。そうすると、私の考えるのは、多目的ダムの一環として作られたことに対しては了承いたしますけれども、公営企業としての性格と、住民に対する福祉あるいはサービスを増進するという目的が全然達せられないような気がする。逆に申し上げれば、電力会社に利益を贈与しているような立場でこの電気事業が作られておるような気がするのです。せっかく発電事業を行なって、住民の福祉に貢献しようという目的のものが、そういう目的を達していないということに対して、何らかの方法はないものかと私は考えておるのですが、一般住民の中には、電気を興しても、それは電力会社に金をもうけさせておるのであって、公営企業としては何ら住民のサービスになっていないじゃないかという意見があります。せめてこれらの住民に対して電気料金だけでも少しくらい安くするとか、何かの便宜をはかるようにしてもらいたい。あるいは街頭の電灯等においても、料金を安くするとかなんとかするという形で、住民サービスとか、住民の福祉に貢献するような方法を考慮する必要があると思うのですが、この点は自治庁としてどうお考えになっておるか、一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/12
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013・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のような問題は確かにあろうかと思っております。公営電気は、発電をしてもそれをそのまま民間に供給できないわけでございまして、必ず電力会社に売り渡さなければならないというふうになっておるわけです。従いまして、民間に幾らで売り渡していくかという問題は、電力会社の問題になって参ります。もとより電気料金の問題でございますので、通産省が料金改訂については認可を行なうわけでございます。従いまして、その認可の場合に、公営電気から買電しております価格というものも当然考慮されて参ってきているのだろうと思います。ただ公営電気でも、立地条件からいたしまして、安いコストのところもございますし、高いコストのところもございまして、いろいろでございます 今後公営電気を興してそれを売り渡していきます場合に、ある程度地方団体のその電力の供給に対しまして発言力を留保していくという問題があろうかと思うのでございます。いずれにいたしましても、現在は電力会社へ売り渡すだけのことであって、直接供給できないというところにそういう考え方を反映させる隘路があるのじゃなかろうか、こう思っておるのでございます。将来ともそういう問題をあわせまして検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/13
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014・加賀田進
○加賀田委員 もう一つ、ダム建設には、多目的ですから、農業用水とかあるいは治水目的とか、その他都市の周辺では工業用水等いろいろな目的があると思うのですが、発電事業となりますと、一定の推量を保持しなければ発電は不可能でありますから、従って治水等において、急に一時的に出水があった場合に、はたして放水操作というものが完全に治水という目的に転化されて行なわれているかどうかということで、いろいろ各所において問題が起きているわけなんです。しかも発電事業に従事している職員は、やはり特殊な技術が要りますから、電力会社からもその技術者が派遣されるというような形態もあって、どうも出水期等においては、発電そのものに大きなウエートを置いて、治水等の操作に対しては時間的におくれたりしていろいろ問題が起こるようなことがあると私は思うのです。従ってそういう問題も、各所に損害補償というような形でいろいろ訴訟事件も起こっているのですが、これらに対しても完全な目的を達成するため、単なる発電目的ということだけじゃなくして、もっと管理にも大きな——いわゆる当初の目的である治水であるとか、その他平穏なときには農業用水等にも利用するというような、そういう形を明確に区分していただかなければ、非常に困難な問題が起こってくるのじゃないかと思いますが、その点自治庁としてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/14
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015・奧野誠亮
○奧野政府委員 水の問題は非常にむずかしい問題でございまして、利害問題も錯綜しておるわけでございますので、それらの点について運営に当たっても十分な配慮がなされているものだ、こう私たちは考えているわけでございます。多目的ダムを作った。それが治水の目的と発電の目的を兼ねているという場合におきまして、やはり発電のことばかりを考えておりませんで、常時どの程度まで水量を維持していくかということについても、あらかじめきめられておりましょうし、なおまた台風が来るということがわかりました場合には、何時間前にどの程度放水を始めるかというようなこともきめておりまして、そういう放水の結果、河川のはんらんその他が防げたという事例も相当多く上っているわけでございます。やはり治水のためにダムを、作っています場合には、電気に利用しておりましても、そういう調節を十分やっておりますので、治水目的は果たされている、こう私は考えているわけでございます。多目的ダムを作りながら、電気事業を興しておったためにかえってそれが治水に役立たなかったという話は、私は承知していないわけでございます。しかし、御指摘の問題につきましては、具体的のこと等をお教えいただきますれば、なお注意を喚起して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/15
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016・加賀田進
○加賀田委員 これは最終的なダム管理の責任者は知事だと思うのです。実際にはダムの操作をするのは、今申し上げたように普通の状態であれば円満に行くのでしょうが、急に出水があった場合に、どうしても二つの目的を持っておりますから、治水と発電という形を持っておりますから、やはり発電には一定の水量が必要であるので、どうも操作が困難だ。従って、もっと早く治水中心において放出しておれば、こういう悲惨な状態が起こらなかったのじゃないかという住民の声が相当あるわけです。これはダム管理に対する責任は知事であろうと思うが、日常発電関係の職員が実質的な権限を持っているという形で操作されている懸念が相当あるのじゃないかと思うのです。先般和歌山県にも、あるいは京都にもそういう問題がありましたけれども、これは多目的ダムとして、最終責任の管理は知事でありますが、発電事業を主に置いておりましたからそういう事態が起こった。どうもそういうことで電気事業の目的が、今申し上げた通り住民の福祉にも直接影響していない。しかも発電事業が興ったことのために、出水時期においての操作が時間的におくれて、もっと早く操作しておればそういう水害も起こらなかったというような住民の声も相当あるので、電気事業に関係しては、私はもっと根本的に公営企業という目的に沿うように検討していただかなければならない性格を相当含んでいるのじゃなかろうかと思うのです。従って、全国的にいろいろなケースがあるだろうと思うのですが、自治庁にしても、どういうようにして管理操作というものを明確にやっているか、その目的に沿うようにやっているかということを一ぺん調査していただきたいと思うのです。調査の結果、今言ったような懸念のことがあるとするならば、管理についてももっと知事等を促して、住民に迷惑をかけない、ダム目的を完全に遂行できるような管理方法というものを検討していただきたいと思うのです。改正の内容につきましては、公営企業の範囲を拡大して、会計等は企業会計方式に明確にするということで、われわれとしては納得いたすわけでありますけれども、公営企業自体が拡大されてきますると、今申し上げた通り、住民の福祉を増進するという基本目的から離れた方向に発展するおそれも各企業の中にあると思いますので、この点十分自治庁としても、将来の指導に当たって留意していただきたいことを希望条件として、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/16
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017・飯塚定輔
○飯塚委員長代理 安井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/17
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018・安井吉典
○安井委員 今の法案に対して二、三点明らかにしていただきたいと思うのでお尋ねをしたいと思います。
初めに、第二条で法律の適用を受ける企業の範囲についての改正が行なわれておりますが、この中で工業用水道事業については常時雇用職員三十人以上のものに適用すると改正が行なわれているわけです。これは各水道事業が分かれて規定をするという考え方によるものだと思うのですが、そうしますると、水道事業は今まで五十人以上だったものが、工業用水道については三十人以上というふうに、本家と分家の関係で適用基準が違っているのはどういう関係か、その点ちょっとお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/18
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019・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方公営企業法を適用する企業の範囲を、従業員数できめることがよろしいか、あるいは売り上げ金額できめることがよろしいか、あるいは固定資産の投資額できめることがよろしいか、いろいろな考え方があろうと思います。一応公営企業法は人数をその尺度に使っているわけでございます。しかし、事業によりましてはその人数に差をつけております。同じように水道事業と工業用水道事業との間におきましては、人数で両者の規模をそのまま比較することは穏当でないと思っておるのであります。そういうところから工業用水道の資産価額なり売り上げ金額なりというようなものでバランスをとって考えて参りますと、従業員数としては、水道事業の場合よりも少ないところでバランスがとれるのじゃないかと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/19
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020・安井吉典
○安井委員 それほど大きな問題でないかもしれません。ただ私、今のお答えと、第二項に、今度は二十人以上のものについても適用する規定が出てきたわけですね。この場合は一律に二十人というふうな規定のされ方のように思えるわけです。この第一項の方は、今申し上げましたように水道小業についても、人間の飲むものと工業用水道との間のニュアンスを五十人、三十人というような数字的な表現で定められておるわけです。あるいは軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業が百人、電気やガスは三十人ときめられているわけですが、今度の第二項では、それらのニュアンスを全く無視して、二十人というきっぱりした数字で一律に足を切っているわけです。その点、今のお答えとちょっと違うように思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/20
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021・奧野誠亮
○奧野政府委員 第二項の方は、財務の規定を強制適用する場合の尺度でございます。財務の規定を適用するにはある程度の職員数があるならば、その職員の中には企業経理のこともできる職員を置くことができる。従って従業員数だけで線を引けばいいじゃないか、こう考えておるわけであります。しかし第一項に書いてありますのは、地方公営企業法を全面的に適用するわけでございますので、管理者も設ける同時にまた職員の身分取り扱いにつきましても特別な扱いができる。管理者が、特別の職員以外のものは自分で任免をしていく。言いかえれば、一つの独立の主体的な運用をやっていくことができるような姿にしているわけでございますので、それだけの規模を持ったものでなければならない。その規模という場合に、従業員数だけで縛ることは、かえってバランスを失することになるのじゃないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/21
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022・安井吉典
○安井委員 私、その点具体的にどういうものか、内容についてはあまりよくわかりませんが、常識的に考えて、たとえば電気事業なんかは、単に発電だけというふうなことになりますと、その規模の大小にもよりますが、割合に人が少なくて済むし、たとえば軌道や自動車の運送業ということになると、非常にたくさん人が要る。そういうような点からいって、単に人間の数だけで一つの区切りをつけるという点に若干矛盾を感ずるわけです。ですから、きわめて重大な問題だというふうに私申し上げているわけじゃないのですけれども、そういうような意味で少し考慮が不十分でなかったのかという気がするわけです。ところで二十人ということになれば、適用企業はどのくらいふえましょうか。それぞれの企業についてどのくらいの割合までいくかということについてちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/22
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023・奧野誠亮
○奧野政府委員 現在二項に書いてありますような事業にかかる事業は、全体で七百九十三くらい、そのうち第二項の適用を受けるものが百六十三になっております。事業別に申し上げますと、水道事業では七百四十四のうち百四十六が該当する。工業用水道事業の方は七のうち三が該当する。それから軌道事業は六ございますが、該当いたしません。自動車運送事業は十三ございますが、これも該当しません。地方鉄道事業は二ございますが、これも該当しません。電気事業は十五ございますが、これも該当いたしません。ガス事業は六ございますが、これも該当しません。要するに全体で七百九十三あるうち百六十三が二十人以上で該当し、六百三十が二十人未満で該当しない、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/23
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024・安井吉典
○安井委員 そういうことになると、主として水道事業が中心になるわけですね。ですから、何か全体的な適用規定のしように思いましたら、主として水道だけというか、水道だけに限られておるような気がするわけでございます。先ほど申し上げましたように、決定的な重大な問題だというわけじゃありませんが、ちょっとそういうふうな印象を受けたものですからお尋ねしたわけです。ところで、公営企業の事業内容について、本来のここに定められているようなもののほかに、いわゆるその他事業というようなものがずいぶん地方で経営されているようでありますが、事業の選択がまずかったり、損益の見通しが非常に甘かったり、あるいはまた非公益性の事業があったり、そういうようなことで、せっかく事業を始めてもうまくいっておらない、そういう事業はありませんか。その点、現在の総体的な公営企業の特にその他事業といったような面についての現状を一つお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/24
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025・奧野誠亮
○奧野政府委員 その前に、先ほど資料の読み通いをやりましたので、おわびを申し上げておきます。第二条第二項の改正規定の適用を受けるものがないと申し上げた中で、自動車運送事業が十三のうち五、地方鉄道事業が二のうち二、電気事業が十五のうち五、ガス事業が六のうち二、従いまして、水道事業の百四十六、工業用水道の三と合わせまして、百六十三になるわけでございます。
それから、その他事業で問題を起こしているのはないかという御指摘でございます。御指摘の事業の中に入るのかどうかわかりませんが、病院事業の中にはかなり経理に苦しんでおる。その結果、一般会計の相当な負担になっておるものがかなりございます。私どもは、病院については、どのような配置になっているか、こういう点についての十分な考慮がないままに設立された結果、その運営が困難を来たしておる、あるいはまた小規模の病院事業であるためにどうも採算がとりにくいというような姿になっているように見受けられるわけでございます。将来病院を新しく設けます場合には、私たちの方でも、もっと各種の病院を通じまして、地域間でどのような配置状況になっておるかという点について深い研究をさせていかなければならぬというような考え方でおるわけでございます。その他の事業につきましては、特にそういう意味の顕著な事例はございません。ただ場合によりましては、せっかく企図した意図が必ずしも達成されないということが間々あるわけでありますが、一般的な問題としては、指摘するほどの事態はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/25
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026・安井吉典
○安井委員 この資料によりますと、水道や軌道なんかは大体黒字でいっておりますが、ガスは何か赤字になっておるようですが、これは心配ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/26
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027・奧野誠亮
○奧野政府委員 ガス事業の場合には、投資的な投下資本が非常に大きいわけでございます。当初減価償却などが大きく出てくると思います。その結果、始めました当初はとかく赤字になりがちだということはあるいは否定できないかもしれません。同時にまた、ガス事業を興すようなところは、将来相当発展していく地域が多いだろうと思います。そういうこともあわせ考えまして、かなり最初から規模を大きくしていくというような面もあろうかと思います。その結果、減価償却額が経費として大きく計上せざるを得ない。従って、収益の面ではむしろ損失が出るというようなこともあろうかと思います。そういうことが考えられますが、ガス事業が特に経営上損失になりがちだということはない、こう私たちは考えておるわけでございます。今後も、しかしそういう面の指導につきましてはなお慎重を期していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/27
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028・安井吉典
○安井委員 私ども、地方財政の一般会計の面については、たとえば交付税法との関係もあって、地方財政計画というふうなことで資料を十分見せていただいて、それこそ常に真剣な討議を繰り返しているわけです。ところが、同じ地方財政の分野の中でも特別会計に当たる部分、たとえば国民健康保険事業だとか、さらにまたこの公営企業の関係については、自治庁から資料も十分に今まで出ていないようにも思うし、また法律的にも、地方財政計画がこの委員会に提出されて審議をされるという中にも、そういうものも入ってないのですから、何か少しまま子扱いみたいな気がするわけです。ところが、今ちょっとお話の中にもありましたように、病院事業の赤字が一般会計を相当強く苦しめている。そういうような事情があるといたしますと、またそれは当然だと思うのですが、つまり、一般会計プラス各特別会計あるいはまた公営企業勘定、こういったような全体的なものが地方財政の姿だとすれば、そういうふうにその全体的な姿を把握できるようなふうにわれわれも常に考えていかなければいけないわけでありますけれども、しかし法律的にもそういうような姿になってないわけでありますが、今後そういったような問題が国会の中でもっと明らかにされていくというような万両について、何かお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/28
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029・奧野誠亮
○奧野政府委員 御意見、私ども全く同感でございます。地方財政なり地方行政の実態を明らかにする意味においては、一般会計の姿だけでは十分でないと思います。同時にまた、地方団体は住民の生活に直結した活動を活発に行なっていく必要があるのではなかろうか、こう思っておるのでございます。そういう考え方もございまして、毎年地方財政の状況を国会に報告いたしております。ことし地方財政の状況報告書を作成するにあたりまして、公営事業の内容を新しく取り入れたわけでございます。これは初めての試みでございます。今回提出いたしました地方財政の状況の中に、昭和三十三年度地方公営事業の状況といたしまして、一般的な状況、水道事業、交通専業、電気事業、ガス専業、病院事業、下水道事業、その他の公営企業等、収益事業、国民健康保険事業というふうな項目を分けて取り上げておるわけでございます。同時に、地方団体の行なっておりますことにつきましても、学校がどれほど建築されたか、あるいは道路がどれほど舗装されたかというようなことも取り入れたのでございます。全く新しい試みとしてそういう努力を払ったつもりでございます。今後なおそういう方向には力を注いでいきたい、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/29
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030・安井吉典
○安井委員 そういうふうな方向で一つ一そう御努力を願いたいし、一般会計の面とは違いまして、こういう公営企業についてはなかなか目が届きかねがちなものですから、それだけに指導の適正をお願いいたしたいわけです。そこで現在でも、地方公営企業の経理について、この法律ができましてからだいぶ改善されているようでありますけれども、まだやはり企業会計の方式が十分に理事者なり議会なりでのみ込めずに、何としても大福帳式の一般会計方式というものがなつかしいというわけでもありませんけれども、予算の場合なんかにも、その複式簿記の方式だけではなしに、やはり大福帳式の予算も出せといったようなことで、いわば二重経理的な状態にあるということもちょっと話に聞くわけですが、そういうような点どうなんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/30
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031・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のようなのが実態だと思います。そういうことでもございますので、今回、企業の経営成績なりあるいは資産の状態なりを明確にいたしますためには、どうしても発生主義に基づいて経理を行なわせなければならない。その結果は複式簿記を採用する、こういうことになろうと思うのであります。公営企業課を設けることができましたので、公営企業課がもっぱらその面の指導に当たっておるわけでございます。同時にまた、現在公営企業の経理の手引きを作成いたしておる最中でございまして、これができ上がりますと、さらに指導の徹底を期するようにいたして参りたい、かような計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/31
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032・安井吉典
○安井委員 今度の提案理由の御説明の中にも、「公営企業の健全な発展を期するには、企業の適正かつ能率的な運営を確保することが肝要で」というふうに言われているわけでありますけれども、現実に地方公営企業の内部においては、まだそこまでいっておるどころか、この法律の適用によって、むしろ経理内容が混乱しておるといったような、能率的どころか、混乱の方向にあるといった事態がまだあるというような段階にある気がするわけであります。ですから、今おっしゃったような方向で一つ一そうの御努力を願わなければならないと思います。
下水道の関係でありますが、これは今度から準公営企業としての扱いがずっと拡大をされているようでありますが、負担金といいますか、使用料といいますか、そういうものと支出との関係は、普通の上水道とはだいぶ違うと思うのですが、実際はどんなような姿になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/32
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033・奧野誠亮
○奧野政府委員 下水道事業の場合に、処理いたしますいわゆる下水は、雨水にかかるものと汚水にかかるものがあるのではないか、こう一般にいわれておるわけであります。雨水にかかるものについては公営負担に属するものだろうし、汚水にかかるものについては排出するものの負担にかからせるべきものだ、こういうふうな考え方もあるわけでございます。そういう意味で下水道の整備されて参る地域におきましては、使用の水道水の量に応じましてある程度の使用料を負担しておるわけであります。少なくともその管理に要する費用はそれでまかなわれておるわけでございまして、それ以上にどこまで建設費をまかなうかということは、かなりむずかしい問題でございます。現在私たちが地方交付税を計算いたします場合には、大体水道料金の四分の一程度の使用料収入があるものとして単位費用等を算定してきて参っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/33
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034・安井吉典
○安井委員 まだこの面は問題が出ましてから日が新らしいものですから、まだ固まったこれならばというふうな方向がなかなか出ていないのではないかというふうな気もするわけでありますけれども、今雨水と汚水との区別の問題がございましたが、これははっきり区別できるものと、できにくいものもあるのではないかと思います。そういうようなことで公共的な性格というものにまで使用料がかけられるというようなことでは、これは問題が非常に大きくなりますので、その点御指導に万全を期していただきたい、そういうふうに思います。
最後に地方債の関係でありますが、ことしの公営企業に対する起債の充当率はどれくらいになりましょうか。全体的にふえているというわけでありますけれども、しかし需要の方も相当それに対してふえてきていると思いますので、その点の状況をちょっとお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/34
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035・奧野誠亮
○奧野政府委員 まだ三十五年度の起債申請額はまとめておりませんので、一般公共事業のようなものにつきまして、地方債の充当がどうなるかということは言えるわけでございます。しかしながら、御指摘の公営事業につきましては、どうなるというパーセンテージを申し上げることは困難かと思います。
そこで三十四年度の充当率がどうなっておったかということを申し上げることが、ある程度参考になるのじゃなかろうかと思います。公営企業分で申し上げますと、電気が申請に対して七割四分、水道が五割五分、それを上水道と工業用水道に分けて、上水道が五割五分で、工業用水道が五割四分ということになっております。交通事業が四割三分、病院事業が四割、その他企業が四割七分ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/35
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036・安井吉典
○安井委員 ことしのものがまだつかまれていないわけですが、一応ワクがふえたにいたしましても、やはり相当需要の方もふえて出てくるのじゃないかということを思うわけであります。そこでやはり問題になりますのは 地方公営企業法の二十二条に定められた許可制の廃止の問題ですね。これが相変わらず附則で殺されたままになっているのを、一日も早くおもしをとってやるというふうな方向がどこからいっても望ましいわけです。地方公営企業という場合になりますと、これはもう一一般会計の問題よりも、何といっても起債といったような問題が一番大きな要素になってくるだけに、その問題が大きいわけでありますが、少なくとも公募債は財政投融資のワクをはずすとか、そういっような措置が一日も早く望ましいわけであります。自治庁はそういうふうな御努力をされているということは聞いておりますが、一体いつごろまでにそういったような方向にいけるかというお見通しを一つお知らせ願とたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/36
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037・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方公営企業も地方団体の経営するものでありますから、究極的には地方団体の財政責任にかかって参るものであります。そういう意味では、この地方公営企業法では——地方自治方でもそうでありますれども、本来許可は要らないのだか、当分要るんだという建前について、今日では相当な疑問を持っておるわけであります。やはり許可制を置いておくべきではないか。また許可制を通じて、資金運用部の資金もあれば、簡易保険や郵便年金積立金の資金もあり、あるいは公営企業金融公庫の資金もある。そういうような資金の配分を適切に行なっていくことができるのじゃないだろうか。また許可制を通じて、そういうような低利かつ安定した資金を地方団体の経営する事業に必要な額だけを用意していく責任を負っていることになるのじゃないか。こう私たちは考えているわけでございます。ただ問題は、地方債計画でワクが十分でないから、ことさらそのワクの中に無理やりに押し込めてしまう。こういう運営は避けなければならないと思うのであります。一応地方債計画に基づいて地方債のワクを配分したい。しかし、企業によってはそれではどうしても必要な専業を遂行できない、しかも客観的にその事業が必要であり、その企業にとっては縁故の資金も相当に利用できるのだ、許可さえ与えられればそれでよろしいのだという場合には、特別に金融上大きな影響がありません限り、私たちは原則として地方債の許可を地方債計画のワクの外でやって何ら差しつかえないのじゃないか、こう考えておるわけでございます。そういうような考え方を強く打ち出して参ったわけでございまして、政府部内でも、そういう考え方が大体一致して参ってきておるのでございます。そういう意味において、三十四年度におきましても、地下鉄その他の事業につきましては、かなり大きな金額の地方債を許可いたして参っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/37
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038・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、現在の法の原則は許可制をはずす、ただ特例として当分の間地方自治法第二百五十条の規定の適用がある。そういう考え方を根本的に変えようというお考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/38
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039・奧野誠亮
○奧野政府委員 そのことがいいか悪いか、それは今後の批判の問題だと思います。それで非常に率直に過去の経過を申し上げますと、地方団体について政府が持っている権限を、終戦直後総司令部は事ごとに排除することを求めたわけであります。総司令部の民政局の方面では、中央政府の権能を抹殺してしまえ、また経済科学局の方では、金融に混乱を与えるじゃないか、インフレの進行している最中に無計画に地方団体が借金をしても困るじゃないか、こういうような意見もございました。その間の妥協が、許可を必要としないが、当分の間許可を必要とするという立法になった経緯がございます。これは経緯だけでございまして、今日の実態に当てはめて、これをどう将来持っていくことが適当であるか、これはなお将来も検討しなければならない問題だと思います。ただ私は経過を申し上げただけのことでございますけれども、さしあたっては、今この許可制度をはずすということを適当とは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/39
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040・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、今度ごく差しさわりのない部面だけの改正が行なわれているようでありますが、自治庁としては、現在のこの地方公営企業法について、近い将来根本的に改正を考えようというお気持はお持ちなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/40
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041・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方公営企業法をさしあたって根本的に改正する必要をわれわれは認めていないわけでございます。もとより絶えず研究いたしておりますので、漸次整備していくことは必要だろうと思います。また今御指摘になりましたような点につきましては、確かにどうするか検討を要する問題点も含んでいるわけでございます。しかし、将来にわたりましてなお研究はしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/41
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042・太田一夫
○太田委員 関連して一つお尋ねいたしたいと思うのですが、上水道の起債のパーセントですが、大体基準が五五%というお話が今あったと思いますけれども、小さい町村において上水道の起債の確保をいたしました場合に、その設計について、君の町村は小さいんだから、そんな大それた計画を立てては相ならない、もっと規模を縮小して予算額を圧縮しなさい。こういう指示があるというように聞いておりますが、ほんとうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/42
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043・奧野誠亮
○奧野政府委員 そういうような一般的な指示をするようなことは毛頭ございません。もとより、その団体の水道事業が給水を受ける戸数に対しまして少な過ぎる、多過ぎるという両様の問題がございましょうから、それは相談相手になることもあろうかと思います。しかし、地方団体が必要と強く考えておるものにつきまして、ことさら起債の面から事業分量の縮小をさせるというようなことをやったことはございません。また充当率が五五%でございますが、その結果は、地方団体の希望している程度の水道事業を今直ちに行なえないだけのことでありまして、一年おくれ、二年おくれになっているということでございます。たくさんの希望のものを三十五年度にやりたいと思っているけれども、資金がないので一部しか起債は立てられない。従って順送りに翌年度に事業が出ているというのが現状でございます。もとよりこの改善につきましては、今後とも努力を払わなければならないとは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/43
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044・太田一夫
○太田委員 そうしますと、町村という団体におきまして——市というものを除きます。町とか村という地方団体におきまして、今まで上水道を計画した場合の平均事業目論見による資金需要量はどのくらいになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/44
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045・奧野誠亮
○奧野政府委員 これは給水戸数によって違ってくるわけでございまするけれども、五千戸までのところでございますと、簡易水道ということで、むしろ国が四分の一の国庫補助までいたしておるわけでございます。また市の区域でありましても、一部簡易水道の区域があり、また上水道も行なっているというような地域もございます。従いまして、町村平均してどうこうということではなしに、給水戸数からきまってくる問題でございます。給水戸数が何戸ぐらいでどのくらいというような問題になるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/45
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046・太田一夫
○太田委員 そうすると、今の給水戸数できまるとしまして、一般上水道におきまして、一番小さい規模のものは最低幾らくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/46
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047・奧野誠亮
○奧野政府委員 簡易水道なんかになりますと、百万円前後でできるのもあるわけでございます。これはもちろん簡易水道でございます。上水道になりますと、給水戸数が五千戸以上でありますから、はるかに大きくなるわけでありまして、五千戸になりますと、五千万円前後は建設費を必要とするだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/47
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048・太田一夫
○太田委員 五千戸で五千万円、そんな小さな一般上水道がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/48
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049・奧野誠亮
○奧野政府委員 その程度のものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/49
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050・太田一夫
○太田委員 そこで私心配することは、今の局長のお話ですと、市町村の上水道計画について、いや、それは君のところの町政から考えて少しぜいたくだから、もっと簡単なものにしなさい、こういう指導はしないということで、そういうことなら私は安心をするわけなんですが、現実はそうでない。どこかでその設計の計画の変更、修正を指示しているところがあるように思うのですが、ほんとうにないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/50
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051・奧野誠亮
○奧野政府委員 上水道の規模によりまして、小さい規模のものは県知事の認可を事業について受けるわけでございまして、また規模の大きいものは厚生大臣の認可を受けるわけでございます。その事業計画の認可をいたします際に、市町村からの計画が適当でないという考え方を持っていろいろと注意をする場合があるのではなかろうか、私はこう想像するわけであります。事業計画の認可のあったものにつきまして、地方債の許可をする際に、その計画をさらに縮小せよというようなことは毛頭ございません。事業計画の認可を知事なり厚生大臣がいたします場合に、これは助言の意味においていろいろお話をいたしているのだろう、こう私は想像するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/51
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052・太田一夫
○太田委員 事業計画の認可の際に問題があるというのは、おそらく地方財政の規模とにらみ合わせての助言ではないでしょう。知事がやるとするならば若干考えられますけれども、厚生大臣は、これは適正ならずと、おそらくこれは上水道としての厚生という所管の角度から見た助言でしょう。地方財政規模があなたのところは小さいから、こんなぜいたくなものはいけないということではない。私が最初からこだわることは、どうも自治庁のどこかで、君のところは一年間の予算規模はこの程度だ、これに対してこのようなものを作ることは少し不適当であるから縮小しろということを言っているらしいのです。そのために最初の計画がだんだん縮小されてしまっている実例があるんです。絶対ないとおっしゃられるならば安心しますが、上水道というものは、町村としても給水戸数というものは大きくなるのですから、最初からしっかりしたものにしなければいけない。それを一億五千万と出したら、これはちょっと大きいから一億に縮小しろというような助言が出てきては困る。そこで一億に縮小して五五%くらい起債を認める。こういうことになってくると、起債のワクによってどこか事業計画は不完全なものができるような気がするのですが、そういうことはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/52
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053・奧野誠亮
○奧野政府委員 私たちは、一般会計が赤字を出しておりましても、公営企業はむしろ積極的にやってもらいたい、住民の生活を楽にしてもらいたい。その経費は事業収入でまかなえるのではないかという考え方を持っておるわけです。従いまして、財政規模がどうだということで、公営企業の事業の縮小を求めるようなことはまずあり得ないわけでございます。もし何か具体的な事例がございますならば、その事例を教えていただきたい。もし私の方の庁内において、そういう間違った言動をしている者がありますならば、これは戒めていきたい、私はこう考えるわけでございます。私の常識ではそういうことはあり得ない、こう思います。
なお、水道事業をやろうといたします場合に、起債の認可がございます。ワクの関係もございまして、あるいは一年で全部つけてもらいたいというのを、二年にまたがって、あるいは三年にまたがってつけざるを得ない場合があろうと思います。しかしながら、最初につけました場合には、あとの部分はどのような年次割でつけるかということは、現在地方団体にすでに通達しております。三十四年度で新しい地方債をつけました水道事業につきましての年次割はすでに通達を終わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/53
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054・飯塚定輔
○飯塚委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/54
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055・飯塚定輔
○飯塚委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませのんで、直ちに採決いたします。
地方公営企業法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/55
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056・飯塚定輔
○飯塚委員長代理 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決いたすべきものと決しました。
次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/56
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057・飯塚定輔
○飯塚委員長代理 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十七分散発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X02519600419/57
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