1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三十一日(木曜日)
午後四時五十七分開会
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委員の異動
本日委員後藤義隆君、櫻井志郎君及び
栗山良夫君辞任につき、その補欠とし
て紅露みつ君、谷口弥三郎君及び秋山
長造君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 加藤 武徳君
理事
高野 一夫君
坂本 昭君
藤田藤太郎君
委員
鹿島 俊雄君
勝俣 稔君
谷口弥三郎君
徳永 正利君
山本 杉君
小柳 勇君
藤原 道子君
村尾 重雄君
竹中 恒夫君
委員外議員
栗山 良夫君
国務大臣
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
政府委員
法務省矯正局長 渡部 善信君
厚生省社会局長 高田 正巳君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
厚生省公衆衛生
局精神衛生課長 長友 浪男君
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本日の会議に付した案件
○精神薄弱者福祉法案(内閣提出、衆
議院送付)
○社会保障制度に関する調査
(一般厚生行政に関する件)
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001・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。
まず、委員の異動を報告いたします。
三月一三十一日付をもって後藤義隆君、櫻井志郎君、栗山良夫君が辞任され、その補欠として紅露みつ君、谷口弥三郎君、秋山長造君が選任されました。御報告をいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/1
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002・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから精神薄弱者福祉法案を議題といたします。
なお、厚生省からは渡邊大臣、高田社会局長、長友精神衛生課長、山田社会局更生課長が出席しております。法務省からは渡部矯正局長、大津医療分類課長が出席をいたしております。
御質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/2
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003・藤原道子
○藤原道子君 まず時間もございませんので、ごく要点だけを御質問いたしまして、法案が通っても、通ったらいいというのでなく、さらにその後において私はただすべきことを十分ただし、よりよき福祉のために努力していきたい、かように考えております。
従って、要点のみをお伺いしたいのですが、大臣に伺いたいのです。私は声なき者の声を取り上げるのがほんとうの政治だと思う。生まれながらにして自分の責任でもなく、こうした不幸な子供が今までどれだけ守られてきたかということが問題なんです。私は特に——不十分ながらも児童福祉法で子供の場合は若干守られてきている、ところが、成人になってほとんど野放しだったのが、少しここに芽を吹いたことに対しては、こんな法律なんていやだけれども、まあ一歩前進、半歩前進と思ってこの法律に協力しておるわけでございますが、大臣は将来こういうことで満足と思っておられるのか、どういう方針をもって精薄対策を進めておいでになろうとするか、その点についての御覚悟を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/3
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004・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) 御指摘の通りでございまして、この精薄者に対しましては、まことに藤原さんの申されるように、声なき声というよりも、私どもが地方を回ってみますというと、これほど大衆の中に困った、悲痛な状況に置かれておるというような状況を見まして、このたび、おくればせではありましたけれども、この法案を作ったわけでございます。しかしながら、予算面におきましては、わずかに五千万円足らずの初年度の予算でございますけれども、しかしながら、逐年これを拡大いたしまして、この法案の援護の拡大というものをやっていきたい、かように考えておるわけでございます。まず、私はちまたを彷徨するところの、要するに、ああいう精神薄弱者というものを救うためのいわゆる明るい一つの道というものが開けたものとして、まだ非常に不満足ではございまするけれども、一歩前進の意味において御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/4
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005・藤原道子
○藤原道子君 私は、与党の諸君とある会合へ出たことがある。そのときの話では、今度は相当精薄対策はできるのだとずいぶんふろしきを広げていらっしゃったのです。あけてみたらたった五千万円なんですね。そのとき私たちがこういう要求をしたのです。精薄が生まれてからの対策も大切だけれども、精薄が生まれることの原因の究明ですね。発生原因、それに総合研究所というようなものを作ってほしい、それは作るのだというような声もございましたが、それが今度は出ておりませんが、そういうお考えがおありになるのですかどうなんですか。また、あるとすればいつごろからこれができるのか。生まれてから不幸な子供の対策を立てるよりも、発生原因をなくしていく、少なくしていく、この対策を立てなければ、大切な国民の税金もむだ使いになる結果になる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/5
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006・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) 現在厚生省の精神衛生研究所におきましてその研究はやっておりまするけれども、しかし、まだそれとてはとても足りないのでございまするから、このたび精神衛生研究所の中に精神薄弱部というものを設けまして、そしてさらに一そう各方面のいわゆる検討を加えていきたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/6
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007・藤原道子
○藤原道子君 その予算はどのくらい予定していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/7
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008・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) それは事務当局から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/8
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009・長友浪男
○説明員(長友浪男君) 国立精神衛生研究所に新設を予定されております精薄研究部の予算額は約三百三十万であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/9
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010・藤原道子
○藤原道子君 この重大な精薄の発生原因の対策に三百三十万円で一体何ができるのですか。そういうところに私たちはおざなりの政府の精薄対策が現われていると思う。第一、今大臣がお話しになりましたように、ちまたの精薄をかかえた親たちの苦労というものは、それはもう言葉に尽くせないものがある。だからこそ大学教授の奥さんが、良識のある方がわが子を締め殺さなければならぬ。この子ゆえにこそという不幸がどのくらい多いかということを私は現実に見聞きしてじっとしておられない気持なんです。従って、こういう面を担当している厚生大臣としては、気の毒な人があるから何とかしなければならぬ、一歩前進ですなんてのほほんとしたことを私は聞き流しにするわけにはいかないと思う。私は、政府にお考え願わなければならぬのは、予算がずいぶんむだ使いされていると思うのです。そこで私は、法務省の矯正局長にお伺いしたいのですが、今の犯罪者ですね、私が刑務所なんか調べて、私は私で承知しておりますが、あらためてお伺いしたいのですが、受刑者の中に精薄者の占める率、それから性格異常者、これの占める率、これを一つ伺わしてほしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/10
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011・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 受刑者の精神薄弱者並びに精神障害者の数でございますが、昨年末調査いたしました対象者、六万二千三百九十名の受刑者を調べました中で、精神障害者は約一五%を占めております。その中で精神薄弱者は全体の五・九%を占めております。精神障害者の中で精神薄弱者の占める率は三七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/11
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012・藤原道子
○藤原道子君 このパーセントは知能指数は幾つ以下を調査していらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/12
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013・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 七〇未満。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/13
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014・藤原道子
○藤原道子君 私はせんだって和歌山の刑務所へ参りました、それから栃木の刑務所の調査をいたしました。ところが、今お答えのとは少しパーセントが違っているのです。だけれども、私はまたさらに時間がございませんので、こまかい追求は後日に譲りますけれども、あらかじめ正確な調査をこの際御依頼しておきたいのです。私の調べたのとは大へん違う。私は性格異常者とそれから精薄者、これが占める率は約半分違い数字と私は現地で伺ってきている。そこで考えてほしいのです。家庭の悲劇はもう申し上げるまでもない、本人の不幸な状態というものは……。山下清画伯も元は精薄だったわけです。ばか、ばかといわれて犯罪を犯している。ところが、施設に入って、山下画伯というような画才がそこで育てられたわけであります。ところが、彼は性欲というものは全然ないわけです。全然性欲はございません。ところが、これと反対に何もないけれども、性欲だけ旺盛だというのがあるのです。これがいろいろな犯罪、性犯罪を起こす原因になっております。あるいは売春婦の中で精薄の占めている率は、もう矯正局長は十分御承知でございましょうけれども、このごろ更生施設に行って見れば、ほとんどが精薄の施設かという状態です。大蔵省の方はこれに対して精薄施設で売春対策をやる必要はないといって予算を締めている。そんなら精薄の対策はどこにあるかというと何もない。勢い精薄者が野放しにされている。売春婦になって、だまされて麻薬中毒患者になって、どうにも手がつけられなくなっているのがみんな精薄者なんです。少し能力のある者は転向いたします。こういう方をうっちゃっておけば犯罪が起き、社会、不安が起きる。それで警察だ、裁判所だ、刑務所だの費用というものは、私は莫大なものが要っていると思う。その予算をこういう不幸な原因を起こさせないために使われたら、世の中は私は明るくなると思う。こういうことを真剣にお考えになっているならば、精薄の発生原因に三百万円、精薄対策を今度出しましたというのに、たった五千万円、これでのめのめと予算でございますというようなことは私はいかないと思うのです。一体これに対して大臣は今後における御覚悟をもって明確にしておいてもらいたい。私はこれはうんと条文によってやりたかったのでございますが、時間がないから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/14
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015・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) まことに御指摘の通りでございまして、これからは、三十五年度におきましては三カ所ということになっておりますけれども、しかし、逐年先ほど申しましたように、全国の各府県に一カ所ばかりずつどうしても近いうちに設けたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/15
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016・藤原道子
○藤原道子君 私は大臣もそれ以上の答弁はできないと思いますが、私は満足しないのです。私は精薄問題を取り上げて十三年くらいになる。議会のつど言っていることは高田局長はよく知っていると思う。いつの答弁も今の答弁も同じです。もう十三年になります。それでは社会の不安を増大するばかりです。放火する犯人だってずいぶん精薄が犯しておりますよ。そういうこと以上に、人間的な不幸ということを考えますと、もっと私は真剣にやってもらいたいということを強く要望いたします。
今の三百三十万円の対策費だって、これはほとんど人件費に消えちゃうんでしょう。精神課長だか何だか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/16
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017・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) これは人件費も含んでいるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/17
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018・藤原道子
○藤原道子君 じゃ、どういうことなのよ。どういうことをするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/18
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019・長友浪男
○説明員(長友浪男君) 三百三十万円の内訳は、大部分は研究室を作る費用になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/19
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020・藤原道子
○藤原道子君 建物ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/20
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021・長友浪男
○説明員(長友浪男君) 研究室の中にいろいろ研究に必要な資材や器具等を整備する費用もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/21
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022・藤原道子
○藤原道子君 いつからそれは発動できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/22
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023・長友浪男
○説明員(長友浪男君) 予算といたしましては、十月以降六カ月分組んでございます。従いまして、十月までに建物を建てまして、いろいろ研究者を採用いたしまして、十月から実際の研究をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/23
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024・藤原道子
○藤原道子君 何とも情なくて質問する勇気がないのですよ。それでは精薄を抱えておられる親たちにわれわれ議員としたって会わす顔がないんですよ。それでこの予算編成までは自民党さんは鳴りもの入りで宣伝をしたのですよ。精薄対策は今度立てるといって。私は精薄の親たちの手をつなぐ会に行って、今度はよかった、自民党さんも協力しますよ、今度はやりますから安心して下さいと言った。親たちもうんと喜んで手をたたいて泣いたのです。それなのに、私はこれではのめのめとあの親たちの前に顔出しできませんよ。私は委員長のお苦しい立場もありますので、のれんに腕押しのような質問をしても仕方がございませんので、きょうはこの程度でやめます。そのかわり大臣にはっきりお願いしておきます。このことを十三年一日のごとくのんべんだらりとだまされてきましたが、今後はだまされないように不幸な親たちにかわって対策を推進していただきたい。社会の不安をなくしていただきたいということを強く要望して私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/24
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025・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ただいま栗山良夫君から、委員外議員の発言を求められております。これを許可したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/25
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026・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。栗山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/26
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027・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) 委員外の発言をお許しをいただきまして感謝申し上げます。
実は、きょう精神薄弱者の福祉法案を御審議になるということを伺いましたので、私はかねがねその問題につきまして、ごく限られた部面ではあるかもしれませんが、社会的に非常に重要ではないかと考えられる問題がありまするので、でき得れば本法案の中にもう少し明確化していただきたいという希望を持っておるのでありますが、もしそれが不可能でありまする場合には、私の意見を述べて、なるべく近い機会に政府として善処せられたいという意見を申し上げたいと思うのであります。
実は、今度の法案を拝見いたしますると、法律の目的第一条に書かれておりますのは、「その更生を援助するとともに必要な保護を行ない、」というのが目的になっております。でありまするから、知能指数がどれだけ以下の問題でありまするから、私はまだお尋ねをいたしておりませんが、とにもかくにも正常な知能以下の人に対して更生の手助けをする、そういう意味でこの法律の主たる目的が貫かれていると私は思うのであります。特に十八才以上のいわゆる成年に対しましても収容その他の保護のことが書かれておりまするが、私がお尋ねをいたしたいのは、更生の可能度の強い者から順次これらの施設に収容をせられて保護を行なわれるのか、そういう建前であるのかどうか、これをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/27
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028・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 更生の可能性の強い人を重点にものを考えていかなければ、ただいま施設が非常に不足をいたしておりますのでいきませんけれども、しかし、精薄者の特殊性から申しまして、非常に重度な方で非常に家庭の重荷になっている方もありますので、これらの方につきましても、やはり門戸を開いていかなければならないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/28
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029・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) と申しまするというと、法第十六条の第一項第二号によりまして紹介がありまして、そうして第十八条によってこれを収容する、そういう建前になっておりますが、その法第十六条第一項の二号によって紹介をせられて第十八条で保護施設に収容される者は重度の精薄者も入るということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/29
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030・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/30
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031・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) そういたしまするというと、重度の精薄者というものはただいま全国で何名ぐらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/31
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032・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 全国でIQ五〇以下で、全国には五〇以下といたしまして約五十八万人ほどあるわけでございます。そのうちで児童福祉法の対象になりますのが大体半分ぐらいでございます。それからあと半分ぐらいが成年でございます。十八才以上でございます。それでしかしこれは五〇以下でございますので、重度と申しましても必ずしも、白痴クラスになりますと非常に重度ということになりますると、数字は非常に小さくなって参ります。まず、これは程度によりますけれども、数万という程度に相なるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/32
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033・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) 私がただいま問題にいたしたいと思っておりますのは、成年の、ただいま御説明になりました白痴に類する数万の人のことなのであります。おそらく私が聞きましたのはほんとうの白痴、自己で生活の用件のできないという人はそんなに多くはないだろうと聞き及んでいるのです。あるいは一万以下ではないかもしれない、そう聞き及んでいる。その人のことをなぜ特に問題にするかと申しますと、今日わが国の憲法は旧憲法と違いまして家族制度を全面的に否定をいたしました。従いまして、もちろん係累による扶養の義務というものはございまするが、こういう複雑、しかも困難な社会情勢の中で白痴に類する人がもし自分の眷属である親もなくなってしまうというようなことになって参りますというと、いかに肉親としての愛情は持っておりましても、兄弟といえどもこれをよく私はめんどうを見ることはできないと思います。そういう意味におきましては貧富の差はございません。貧富にかかわりなく、人の親として、もし自分が今この世を去ろうとするときに自分の子供に全く白痴に類する子供があったという場合には、もし法律が許すならば、その生命を断って、自分とともに他界をしたいという心情にかられる人があると思います。そういう白痴を街頭にほうり出すということでなく、やはり保護者のない場合には国がこれをある程度強制的になるかもしれませんが、収容して、そして墓場まで届ける、こういうやはり思いやりがなければいけないのではないか、こう考えるわけです。それで私は、配偶者、父母または成人の子のいずれもいない人あるいは右に該当しない者でも当該重度精神薄弱者を扶養することによってその配偶者、父母、または成人の子の生活が著しく困窮のおそれのある者、そういう境遇にある精神薄弱者というものはやはり国家施設に収容してしかるべきではないか、更生度のある人をもちろん軽視するわけではありませんが、人道上の立場からそういう者は率先して国の施設あるいは直接国の施設が設けられない場合には地方公共団体その他でありましょうが、そういうものを設けてとにかく収容する、こういう施設がなければいけないのではないか。非常に言葉は悪うございますが、ある意味においては人間に慕ってくる犬猫よりもやはり感情的には劣っているわけで、しかし、人間としてこれを保護しなければならぬ、そういう立場でありますので、そういうことについては特別な私は保護を必要とするのではないか。これは厚生大臣の御所信も伺いたいのでありますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/33
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034・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) まことに昨日もこの問題につきましては、衆議院の社労委員会で大いに問題となったところでございまして、御指摘の通り、私どもは将来そうした面にできるだけこの幅を拡大していきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/34
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035・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/35
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036・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
それでは質疑を終局して討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/36
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037・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、修正意見等おありの方は討論中にお述べを願います。
他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/37
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038・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決をいたします。精神薄弱者福祉法案全部を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/38
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039・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 全会一致でございます。よって本案は、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/39
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040・高野一夫
○高野一夫君 私は、この際、ただいま議決せられました本案に対しまして、次のような附帯決議を付することの動議を提出いたします。
案文を朗読いたします。
精神薄弱者福祉法案に対する附帯
決議案
政府は、本法実施にあたっては特に次の諸施策の実現に努力すべきである。
一、精神薄弱者の実体を明らかにするため積極的に調査を進め、その発生予防、援護、更生のための総合的対策を速やかに確立すること。
二、精神薄弱者の援護施設の収容力が入所必要者の数に比し著しく不足している現情にかんがみ、国立施設の増加、公私立施設に対する国庫負担の増額等積極的対策をはかること。
三、児童福祉法と成人たる精神薄弱者を対象とする本法の施設との関連を明らかにし、経費の負担、責任の分野など遺憾なきを期すること。
四、技能を修得した精神薄弱者の雇用を促進するための措置を速やかに講ずること。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/40
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041・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ただいま高野君提出の動議を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/41
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042・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないもりと認めます。
それでは高野君提出の附帯決議案を議題といたします。提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/42
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043・高野一夫
○高野一夫君 時間がございませんかつ簡単に申し上げます。ただいま朗読いたしました案文がそのまま説明文になっていると思いまするけれども、従来野放し状態にありました成人たる精神薄弱者に対する福祉法ができることになりますれば、従来と比べて画期的の施策が行なわれるはずであります。しかしながら、現在の国立、公私立の施設等を見ますれば収容すべき必要者と申しますか、それをことごとく収容する能力がございません。この現状にかんがみまして、国家は積極的の国立施設の増加、あるいは国庫負担を増加したりいたしまして、更生施設に援助を与えて積極的対策に乗り出さなければならない。同時に、児童福祉法の対象になる児童からこの福祉法の対象になる成人に移る時代が最も危険であると考えます。この時代において婦女子の転落、あるいは青少年の不良犯罪行為などが起こる最も危険なる年令的時期であろうと考えまするけれども、ともすれば法の実施にあたりまして、どの法律の対象になるか、あいまいもこであるというようなことが理由になりまして、いずれの法律からもその適用を受けられない事態が行政措置の間においてまま起こると考えられまするので、さような事態のないように十分の御配慮を願いたい。さらに技能を修得しました、知能指数に応じて修得したそれぞれの精神薄弱者に対しましては、今後審議せられるべき雇用促進法案ともにらみあわせまして、雇用の促進をはかっていただくと同時に、この決議案の第一に戻りましてこの援護更生の対策も必要でございまするが、それよりも精神薄弱者の発生をいかにして予防するかということに重点を置いた総合的対策を講ずべきである。先般数日前、この当委員会において審議いたしました優生保護法のごときもあわせてこの対策に適用をお考え願わなければならない。かようなことを考えまして、以上の決議案を提案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/43
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044・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ただいまの附帯決議案につきまして御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/44
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045・高野一夫
○高野一夫君 なお申し忘れましたが、私が提案いたしましたる附帯決議案は、当委員会関係の各党各会派共同の提案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/45
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046・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 別に御質疑もないようでありまするから、これより採決をいたします。
高野君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/46
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047・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 全会一致と認めます。よって高野君提出の附帯決議案を本委員会の決議として本案に付することに決定いたしました。
厚生大臣から発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/47
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048・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) ただいま本委員会に採択になりました決議案の内容につきまして、十分に尊重いたしまして検討いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/48
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049・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/49
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050・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/50
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051・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから社会保障制度に関する調査の件を議題といたします。一般厚生行政につきましての御質疑がございましたら御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/51
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052・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) 先ほど厚生大臣は、重度の精神薄弱者の取り扱いにつきましても格別の措置を将来いたすことに努力をしたい、こういう御発言がありました。私はそのお考えは了といたしますが、問題はまだ実数も捕捉されていないのでありますから、突き詰めた議論はできないのでありますけれども、とにかくわが国の社会にそういう人がいるということは事実であります。そういう人を緊急にやはり法律的措置を講じて国の施設なり、地方公共団体の施設に優先的に収容するということが必要であろうと私は思いますが、そういう積極的な御意思をお持ちですか。実は私は、ただいま参議院の法制局の御支援を得まして、重度精神薄弱者保護施設の充実に関する法律というものを提案いたしたいというので、いろいろ研究をいたしております。そういう積極的な御意思があられるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/52
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053・渡邊良夫
○国務大臣(渡邊良夫君) 御指摘のように、この法律は、そうした意味におきまするところの保護並びに援護ということが十分に法の中に含まれておると、こういうことで御了解願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/53
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054・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 大臣の御答弁の通りでございますが、補足をして一言お答えをさしていただきます。この第一条をごらんいただきますと、「更生を援助するとともに必要な保護を行ない、」と、更生の援助とそれから保護とが並列に書いてございます。身体障害者福祉法等におきましては、保護をするということも書いてありますが、その保護は、すべて更生を援助するために保護するというふうな書き方をしております。それでこういうふうに書き分けましたのは、今先生御指摘のような、精薄者の重度な方々につきましては、これは更生を援助するということは、非常に幅が小さくなりまして、保護が重点になりますので、その重度な精薄者の保護ということを予想いたしまして、実は第一条を書き分けておるわけであります。それでただいま先生御指摘のような方々につきましても、この法律でもって、施設が十分に整備されて参りまするならば、この法律の適用の対象になるという建前になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/54
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055・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) いや私が優先度をお尋ねいたしました意味は、あるいは本法によってただいま御答弁をいただいた通りであるかもしれません。しかし、行政運用の実態として、たとえば更生可能度のある者が相当いる、全然可能度のない者が相当いる、その場合に、国の収容施設としては、その絶対数に対して不足をしている。そういうときに、たまたま重度の精神薄弱者が国の施設に保護をせられたい、そう求めて参りました場合に、それを優先的に収容する、あるいはそれを退けて更生度の高い者から順に収容する、そういう問題であろうと思います。この点の御答弁が明確でないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/55
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056・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) この重度な方々を優先させるということに相なりますると、今日では施設の収容力が非常に少のうございますので、重度な方々だけになりますと、この更生し得る方々がほとんど入れないということになります。それで当分の間は、これはやはり両方を考えまして、重度な方でも程度によりまするし、また、家庭の状況とかいろいろなファクターがあると思います。両方をねらってこの施設の運用をやって参りたい、こういうのが私どもの今日の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/56
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057・藤原道子
○藤原道子君 関連。一体今度の法律で何人収容できるのですか。それで、重度の人と、更生できる人とにらみ合わせてやる、幾人できるのですか。要するに、私たちが心配するのは、重度の者はほんとうに全部施設へ入れて、社会の不安や本人の不幸や家庭の不幸を何とかしなければならない今非常に切迫した状態にあると思うのですよ。だからもっと腹をくくった答弁を欲しいのですよ。だから今すぐできなければいつごろになったらそれができるか、重度の者は完全に収容するというぐらいな考え方でなければ、法律の精神泣いちゃうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/57
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058・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 今日ただいま直ちにそれを実現することは、これは不可能でございますけれども、近い将来においてそういうことができまするように、私どもといたしましては十分の努力をいたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/58
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059・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) そういう実際現在の施設、国の予算の状態からいえば藤原委員が指摘された通りに、十全の対策はできないと思いますけれども、そういうことで放置していいかどうかということなんですよ。たとえばただいまボーダー、ライン以下の生活をしておる人は、家族、あるいは個人、たくさんありましょう。それはよって来たるいろいろな原因があります。失業もあれば、あるいはまた、交通事故等によって、本人の意思にかかわりなく労働能力を喪失して、生活の困窮に入っていく、こういういろんな人があろうと思います。しかし、この重度の精神薄弱者というものは、全く自己の用を弁ずることができない人であります。従いまして、たとえば非常に困窮な生活度合いに入った人は、たまたま新聞の社会面にも出ておりまするように、心中をするとか、あるいはまた、他人に依頼をして自分を殺してくれとか、こういう工合いにいろいろ意思表示ができる。ところが、重度の精神薄弱者というものは、そういう意思表示の能力すら持ってないのですね。で、日本の法律がそういう人を殺してよろしいということであれば別でありますが、これはやはり人命尊重でありますからそういうことができないということであれば、別でありますが、
〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
これはやはり人命尊重でありますから、そういうことができないということであれば、やはり何としても保護しなければならない。私は実はなぜ厚生大臣、こういうことをしつこく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/59
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060・高野一夫
○理事(高野一夫君) 栗山君、御髪言中ですが、厚生大臣ただいま本会議で報告がありますから席をはずされますが、いいですか。あと局長が残ってお参りますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/60
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061・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) けっこうです。申すかというと、私の知人、あるいは身辺でこういう重度の精神薄弱者の青年、児童じゃありません、青年を持っておる人が本名以上あります。私はその家庭の悲惨さを身をもって知っているのです。そのうちの一人は私の無二の親友でありますが、不幸にして二人の男子を持っております。子供二人を持っております。二人とも重度の精神薄弱者であります。しかも、本人の家庭状況は決して貧乏ではありません。相当な資産を持っておる。ところが、最近心配のあまり結核になりましてあるいは自分はあまり余命がないかもしれないということで、ますます苦悩をいたしております。それが私に訴えましたことは、もし自分が死んだときにはこの子供は一体どうするのだ、もし国が許してくれるならば、国が法的措置を講じてくれるならば、自分の全資産を国に寄託する。そのかわり国は、国の施設に収容して墓場まで送ってくれないか、こういう切々たる訴えをしている。私はこれにこたえるべきであると思うのですね。これは私の友人は若干の資産を持っておりまするが、資産のない人もこれと同じようなことが言えるのであります。だから、資産のあるなしに関係なく、こういう者は国が収容すべきである。もしそれが収容できないということであれば、親が心配のあまり死んでも死に切れないということであれば、そういう意思のない人でありますから、命を縮めてもよろしいということであれば別ですよ。しかし、これは何としても現在の憲法で許さないでしょう。であれば、やはり国が保護してやるということでなければいけないと思うのです。そういう意味で、この法律にも資力のあるものについては国に出すということが書かれておりまするから、その点は思想的にはそろっておると思いまするが、従って、なおさら重度の精神薄弱者については特別法をもってしても、とにかく緊急に実態、実数を調べて、そして世の多くのこういう精薄者を持っておる不幸な親を安心させてやる。そしてまた、その意思のない重度の精薄者の生命をとにかく自然に保障すると、こういうことでなければ私はいけないと思うのですね。そういう積極的な何と申しますか、施策に対する厚生省の御答弁がないものですから、私はしつこくお伺いをしておるわけです。私は軽度の精薄者は軽視していい、そういうことは一言も申しておりませんし、より以上に重度の精神薄弱者はさらに悲惨ではないか。こういう本人は悲惨であるかどうかわかりませんよ、本人は意思がないわけですから、わからない。その置かれている環境の人が非常に悲惨である。これをどうするかということであろうと思います。特に財産のある場合等はそういう精薄者の親がなくなれば、おそらく後見人というものを法律的に設けなければなりませんから、後見人は設定されるでしょう。だけれども、その後見人はおそらくその精薄者の保護ということでなくて、財産目当ての行動が多くなると思います。たとえば過日の伊勢湾台風で完全に孤児になった家庭がたくさんあります。百人をこえております。それらの孤児について資産のない人はほとんどめんどうを見る人がないのですね。ところが、幸いにして親の残した遺産のある人は後見人になり手が多いんです。その後見人になり手が多いということは、本人を保護しようということではないんですよ。その遺産に対する支配権を持とうということなんですね。そういうことは断じて私は今日の社会において許されるべきじゃないと思いますね。それから本人についても相続遺産というものがはっきりしておるわけでありますから、そういうものをやはり対象にして国がめんどうを見る。相続遺産というものがない場合には、これはやはり国の責任において見る、こういうやはり積極的な施策というものが必要ではないか、こう考えるわけであります。この点についてもう少し厚生省は、これは人道問題ですからね、できるできないは、それは政府の施策、方針によってきまりますが、少なくとも厚生を担当しておられる厚生省としては、積極的に一つ研究をし、努力をする、それくらいの御発言があってしかるべきだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/61
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062・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) ただいま御引例になりましたようなケースは相当やはりあると思います。従いまして、これらの方々に対して御心配のないように、私どもとしてはこういう収容施設なり何なりを拡充をして参りたい。それがこの今回御審議をいただいておりまする法律案の実は目的でもあるわけでございます。それで、これによりましてレールが敷かれるわけでございますので、今後大いに努力をいたしたいと考えております。なお、ただいまの具体的なケースにつきましては不十分な収容力でございますけれども、これを一つ具体的な問題として何らかの解決をいたすように努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/62
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063・坂本昭
○坂本昭君 簡単にただいまの栗山さんの意見などを含めて委員会として精神簿弱者福祉法案は一応われわれとしてはこれに賛意を表してただいまから本会議に回るところですが、審議を通して今栗山委員からも発言されたような、きわめてわれわれとして不満に思う点がたくさんあるのです。特に厚生当局の意思の熱意を疑うといったら少し語弊がありますが、あなた方としても御苦労なさっておるでしょうが、もっともっと積極的にやっていただきたい点がたくさんある。たとえば売春問題に関連する問題、あるいは犯罪との問題、あるいは特殊な犯罪との関連性、そうした社会性の問題もあれば、栗山委員の指摘されたようなきわめて人道的にも、個人的にも悲惨な実例、こういう点について私たちは当委員会であらためてもっと徹底的な審議を尽くしていきたい。特にどうも問題の中心は精神薄弱者という、厚生省所管の対象になるでしょうが、及ぶところは非常に広い。その広い問題になってくると、どうも厚生省は能力はなはだ欠けてくるのです。社会局長さんはその点で社会局行政を通して一番よく知っておられるはずだと思いますから、あらためてこれはこの法案の審議というよりも、これでできてくる精神薄弱者福祉審議会がどういう活動をするか、そうして横との連絡をどう達成をしていくか。また特に、雇用の問題、これなどは社会局長と安定局長と連れてきて両方で対決さしてやりたいです。両方ともはね返しているんですよ。両方ともやってないと思うんです。労働省の方では精神障害者は雇用促進の中に入れたくないんです。今の段階で入れるとは私は見ておらない。それからあなた方は雇用の問題労働省でございますと言って逃げている。それで結局こういう附帯決議も出ているわけです。こういうことを今後一生懸命われわれは推進をしたいので、これは委員長にお願いいたしますが、今後この問題について、特に当委員会で問題にしていただきたいということを最後にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/63
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064・藤原道子
○藤原道子君 私は今、坂本委員の言われましたように、この問題はもっともっと真剣に審議したいと思うのです。このことには全面的に賛成してぜひそうはからってほしい。それからこの次まででけっこうでございますから、一つ資料を出してほしい。矯正局長に悪いのでございますけれども、いつか刑務所に行ったときも、知能指数を六九以下という計算をしている。七〇と六九では非常に違ってくる。外国に行くと八〇くらいを精薄の線に引いている。ところがわが国では七〇ということになっている。それを刑務所は六九に引いている。何かごまかすような方針のように思うのでございます。でございますから、私は七〇以下の精薄者、これを一つはっきりお調べになって数字を出していただきたいと思うのです。今六九で抑えているようでございますが、これを一つぜひそういうふうにお願いしたい。
それから厚生省にお願いしたいのは、今麻薬患者がどのくらいいるか。麻薬患者の数でございますね。それから密輸入されておる麻薬の推定額ですが、これもわかっておるはずです。この間べらぼうに多い数が出ましたので、どうも私納得できない点がありますので、これを一つこの次までにお調べになって資料としてお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/64
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065・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 受刑者でよろしゅうございますか。受刑者、それから少年院もございますが、今申し上げましたのは受刑者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/65
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066・藤原道子
○藤原道子君 少年院も合わせてお願いしたいと思います。
それから売春婦と麻薬中毒患者の関連ですが、数というか、これも調べてほしい。売春婦が麻薬中毒患者にずいぶんなっているんです、こういう点、これを一つお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/66
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067・栗山良夫
○委員外議員(栗山良夫君) 先ほど局長から具体的な問題については特別に善処をしてよろしいと、こういうことがありまして私はその点は大へんに了といたします。問題は重度の精神薄弱者、青年の薄弱者でありましても、今直ちに一万人もかりにあるといたしますと一万人全部保護者がなくて国が保護しなければならぬというものでもないと思います。でありますかり、特に家庭的な事情によってどうしても保護する人がない、そういう人がやはり相当ありましょう。それからこういう人が現地において具体的に発生したときには、優先的に国の施設に収容するような道を開くために、厚生省としては各機関にいろいろ今後指導をされるでしょうが、そのときに特に頭に置いて善処せられたい、こう私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/67
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068・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 十分御意見に沿うように取り計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/68
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069・高野一夫
○理事(高野一夫君) 坂本委員と藤原委員に申し上げますが、坂本委員のおっしゃるように、また、理事会で打ち合わせまして、そういう委員会の機会を持ちたいと思います。それから藤原委員はこの間売春対策審議会に御欠席でありましたが、あそこで麻薬と売春婦関係の問題を取り上げて特別の小委員会ができまして、そこで審議することに決定をいたしました。そこでその前にせめて社会労働委員会あたりでこの問題を取り上げたいと実は考えているところなんです。今予算関係の法律案に追われておりましたのでその機会がございませんでしたけれども、できるだけ早い適当な機会をつかまえたいと思いますから、委員長理事打合会で協議をすることにいたします。
ほかに御質疑ございませんか。別に御発言もなければ一般厚生行政に対する本日の質疑はこれをもって終了することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/69
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070・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
これをもって散会いたします。
午後五時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414410X02119600331/70
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