1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十九日(火曜日)
午前十時三十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 杉山 昌作君
理事
上林 忠次君
山本 米治君
大矢 正君
永末 英一君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
岡崎 真一君
梶原 茂嘉君
木暮武太夫君
河野 謙三君
西川甚五郎君
林屋亀次郎君
堀 末治君
木村禧八郎君
成瀬 幡治君
野溝 勝君
平林 剛君
原島 宏治君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
政府委員
防衛庁装備局長 塚本 敏夫君
大蔵政務次官 前田佳都男君
大蔵省主計局法
規課長 小熊 孝次君
大蔵省主計局税
関部長 木村 秀弘君
大蔵省為替局長 酒井 俊彦君
説明員
防衛庁装備局調
達実施本部長 武内 征平君
外務省経済局技
術協力課長 斎木千九郎君
大蔵省主計局主
計官 佐々木達夫君
通商産業省通商
局経済協力第二
課長 三井 太佶君
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本日の会議に付した案件
○国有財産法第十三条第二項の規定に
基づき、国会の議決を求めるの件
(内閣送付、予備審査)
○臨時受託調達特別会計法を廃止する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○経済及び技術協力のため必要な物品
の外国政府等に対する譲与等に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○補助金等の臨時特例等に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○関税定率法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○関税暫定措置法案(内閣送付、予備
審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/0
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001・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) ただいまから会議を開きます。
国有財産法第十一条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題として、提案理由の説明を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/1
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002・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) ただいま議題となりました「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件」につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
本案は、両陛下の御住居を皇室用財産として、皇居内吹上上に新書しようとするものであります。
現在御住居となっております御文庫は、戦時中防空施設として作られたもので、御住居としては適当でないと考えられますので、御文庫に連接して鉄筋コンクリート作り二階建延べ四百十坪の御住居を増築しようとするものであります。
その間取り及び設備は、一階には居間、書斎及び書庫、食堂、談話室等のほかサンルームを設け、二階には御寝室、御召換所、納戸等を設け、また、南面してバルコニーを設ける設計でありまして、装備としては、冷暖房設備、電気電話設備、ガス設備等のほかエレベーターを設備する予定であります。
以上御説明申し上げました通り、皇室用財産の取得の必要があるわけでありますが、そのためには、国有財産法第十三条第二項の規定により国会の議決を経る必要がありますので、ここに本案を提案した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成の議決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/2
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003・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 本件に関する補足説明並びに質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/3
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004・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案を議題といたします。
前回に続きまして質疑のある方は、順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/4
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005・須藤五郎
○須藤五郎君 この前ちょっと質問して、答弁がなかったのですが、きょうは答弁する方、防衛庁の方は見えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/5
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006・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 見えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/6
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007・須藤五郎
○須藤五郎君 それで、ちょっと伺いますが、きょうもらった資料で大体わかるわけですが、なお、私ちょっとわからぬ点は、この第一番艦と第二番艦の値段ですね。第一番艦が三菱造船所、第二番艦が新三菱重工業ですね。開きが一千三百万円余あるのですが、これはどうしてこういう開きが出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/7
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008・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 千三百十八万四千円ほど開きがありますが、これは二艦の共通予備費を一番艦より二番艦の方によけい含めて調達をいたしております。共通の予備費を三番艦の方はよけいに含めて調達いたしております。それから、なお、船の模型でありますが、模型を二番艦の契約の中に入れて調達いたしております。その他、二番艦につきましては、兵装の装備位置をちょっと変更いたしまして、それらを合わせまして、二番艦が、大体全部本体は同じでありますが、そういった点におきまして違いが出たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/8
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009・須藤五郎
○須藤五郎君 こういう船を作るときにですね、設計費というものは大体船価の何%くらい見積もるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/9
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010・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 今すぐこの担当をやっております調達実施本部の本部長が参りますので、その方からお答えいたしますので、ちょっと保留願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/10
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011・須藤五郎
○須藤五郎君 この場合の設計費などというものは、わかっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/11
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012・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ただいま本部長が参りますので、その方で全部やっておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/12
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013・須藤五郎
○須藤五郎君 それがわからないと、次の質問に進むことが……。すぐ来るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/13
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014・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) すぐ参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/14
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015・木村禧八郎
○木村禧八郎君 搭載武器ですね、搭載武器は日本で国産のものですか。どういうものを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/15
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016・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 搭載武器は、ラピッド・ファイアとかそういう砲類でございますが、そのほかに詳しい点は、ただいま申し上げましたように、本部長がすぐ参りますので、そのときお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/16
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017・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/17
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018・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/18
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019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 F104J、DJですね、この原価計算については資料をいただきましたが、しかし、この資料だけではまだ十分わかりませんので、この説明をしていただきたいと思うのです、この資料に基づきまして。われわれしろうとですから、その技術的なことはわかりませんので、普通の常識を持っている者がわかるように、技術的な点を解説上ながら、一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/19
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020・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ただいま本部長参りましたので、さっきの御質問にお答えさせていただいてから、説明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/20
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021・武内征平
○説明員(武内征平君) OSP艦の船価につきまして御説明申し上げます。三月二十九日のこの資料がお手元に参っておりますが、これに従いまして御説明をいたします。
まず、設計委託費でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/21
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022・須藤五郎
○須藤五郎君 あなた、今来たんで、僕の質問の要旨が徹底していないから。今説明を聞いてですね、一番艦と二番艦の間に千三百万円ほどの開きがある。その差はどうして出たかという質問をしたんです。それはわかったんです。それで、次の質問は、この設計費が占めるパーセントですね、船価と設計費とのそのパーセント、並びにこのときの金額を尋ねているわけです。設計費に幾ら払ったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/22
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023・武内征平
○説明員(武内征平君) 設計委託費は、一艦につきまして千七百四十九万六千円でございます。一艦につきまして、一千七百四十九万六千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/23
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024・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、一番艦、二番艦、同じ艦を作るのに両方に設計費を払うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/24
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025・武内征平
○説明員(武内征平君) ただいま申しましたのは、このトータルの約三千四百八十万何がしの設計費は、一本といたしまして、防衛庁が船舶設計協会に委託をいたしまして、それで一つの契約といたしまして委託しました。それを折半いたしまして両艦に付加した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/25
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026・須藤五郎
○須藤五郎君 わかりました。三十四年度DDE型なんですね、護衛艦というのですか、デストロイアー・エスコート・ベッセル、その一番艦を三井造船所に委託しましたね。トン数で千四百五十トン、そのときの船価は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/26
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027・武内征平
○説明員(武内征平君) 三十四年度でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/27
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028・須藤五郎
○須藤五郎君 三十四年度DDE型です。それから、二番艦がこの同契約されたはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/28
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029・武内征平
○説明員(武内征平君) ただいまデータをちょっと持っておりませんが、私、暗記をいたしておりますが、あるいは違うかもしれません。八億六千五百万円が三井との契約でございます。それから、つい最近長崎と契約いたしましたのは七億七千五百万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/29
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030・須藤五郎
○須藤五郎君 その通りなんです。三井造船所に作らした一番艦は八億六千五百万円。それから、この間三菱造船所と契約したのが、三月十五日契約ですね、七億七千五百万円、プラスアルフアとして九百万円の保険料、これで契約をなすったのです。そうすると、この場合、一番艦と二番艦の差額が八千百万円差額があるが、この差額はどこから出たのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/30
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031・武内征平
○説明員(武内征平君) これは、私の方の予定価格といたしましては、大体同じ予定価格が出ております。ただ、二番艦でありますので、多少この設計等は、基本設計は第一番艦でやりますので、それと慣れというような点を見まして、多少の差異がございますが、大体同じような何が出ておりますけれども、一番艦の三井との契約は、御承知のように随契でございます。それから、第二番艦の方の場合におきましては、これは御承知のように、三菱長崎と浦賀の指名随契でございます。従いまして、そこに競争のファクターが入る関係があると思います。多少のその間における材料等の値上がり、値下がり等もあると思いますが、主としてその関係だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/31
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032・須藤五郎
○須藤五郎君 ここに私たち疑惑を持つわけなんですね。一番艦、二番艦、同じ型の艦です。同じ性能を持った艦です。しかも、設計費は一番艦の中に含まれておるわけです。だから、安いと言うだろうと思って、私は先ほどの設計費の金額を尋ねておるわけなんです。普通、これよりもトン数の多い艦でも、設計費は三千万円ほどで済んでおるわけです。ところが、一番艦と二番艦の間に八千万円も開きがあるということは、どうもわれわれはふに落ちない。もしも安くできて同じものができるならば、なぜ安い値でさせないか。国費です。八千万円もむだな金を使う必要がない。同じ所で——そうして競争したからと言うが、それじゃなぜすべての艦を競争させないか、入札させないか。一つはたくさんの金をやって指名でさして、あとはこういうふうに競争さして、そうして同じ艦を作る。こういう点が、私はあんたたちのやり方としてふに落ちぬ点です。そこはどういうふうに説明なさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/32
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033・武内征平
○説明員(武内征平君) ただいま御指摘の点はまことにごもっともな点でございますが、防衛庁といたしましては、艦の発注につきまして、競争入札にするかあるいは随契にするかということにつきましては、いろいろ当初から慎重に検討してきたのであります。大体、見積もり合わせ随契ということを何回かやっております。これは会計法に基づきまして、長官が特命随契というふうに御決定になる。その理由につきましてはいろいろあると思います。艦を競争さすことにつきましては、確かに価格は安くなるということになりますけれども、艦というものは、御承知のように、場合によっては非常事態に向かわなければならぬということで、性能を非常に尊ぶものでございます。また、この建造にあたりまして、船会社が手を抜くか抜かないかということは、ただ監督だけではよくわからないといったような、競争を不利と認めるといったような種類のものでございます。それからまた、会計法にあります監督が十分できないというようなものでもありますので、それで大体警備艦等につきましては、特命随契の線を出してきておるわけであります。ときによりまして、このOSP艦のごときも随契でありましたけれども、見積もり合わせ随契ということは、競争のファクターによって安くなりますけれども、はたしてこれが安かろう悪かろうといったような結果になりはしないだろうかというようなことも心配されるということで、いろいろ研究の結果、特命随契という場合が多いのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/33
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034・須藤五郎
○須藤五郎君 それは笑いものですよ。そんな答弁は僕の質問の答弁にならぬし、少しも釈然とさせないのですよ、こういう疑惑に対して。安かろう悪かろうなら、なぜ高い金を出していいものを作らないか、そういうことですよ。競争さしたら、値段は下がるかもしらぬけれども、ものはよくならぬ。——それじゃ、なぜ最初の一番艦を作った造船所に同じ値段で二番艦を作らせないか。八千何百万円も安く三菱にさして同じものができるならば、三菱と同じような値段でさしたらどうだ。値段が安くなって悪くなれば、なぜ同じものを作るのだということを私は言いたいわけなんです。そこをどういうふうに説明するかですよ。そういうふうに一番艦と二番艦の間には、わずか八億かそこらの金で一割にも近い金が安くなったり高くなったりするところに、われわれ疑惑を持つわけですよ。そういうことに対する説明をあんたにしてくれというのです。今のような説明では、何ら説明にならないですわ、それは。それはお笑いものですよ、そんな説明じゃ。答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/34
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035・武内征平
○説明員(武内征平君) 今回のこの約八千万円の差につきましては、一艦についての設計費の約三千万円というものは、これは抜いて考えなければならない。従いまして、五千万円前後の差がどうして出たかということでありますが、これは私は競争のファクターの結果出たものであろうと思います。われわれが無理ない原価計算をやりますと、七億七千五百万円では私は利益が出ないし、一般管理費にも相当食い込む結果、われわれも原価計算を相当慎重にやってみたのでありますが、おそらく第二艦の場合におきましては、利益はもちろん出ないし、一般管理費にも食い込むであろうというふうな見方をいたしました。従いまして、相当無理をしてこの何をとったのだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/35
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036・須藤五郎
○須藤五郎君 同じものが安く作れるなら、国費を使う場合に安く作らす方がいいのですよ。そうすると、あなたは今同じものができているという意見ですね。一番艦と二番艦と同じ性能で、同じ質のものができているという見解でしょう。違うのですか。安い方は悪いのですか、三菱で作った方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/36
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037・武内征平
○説明員(武内征平君) これはやはりこのスペックがございますから、スぺックに適合しなければわれわれの方は受領いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/37
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038・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは、同じものが安くできるならば、安く作らす方が国家としては得ですよ。そうすると、あなたは、おそらくあれでは採算がとれていないのだろう。出血受注をして三菱の方が何にももうからぬ仕事をやったのだろう、そういうふうな見解ですね今あなたの見解は。それでは、なぜ三菱がそんな無理をしなければならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/38
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039・武内征平
○説明員(武内征平君) その点は会社の方のお考えですから、ちょっとわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/39
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040・須藤五郎
○須藤五郎君 そこに問題があるわけですよ。この前、長崎三菱造船所でエリコンを作るか作らぬかという問題が起こったわけです。そのときにあそこの労働組合は、エリコンを作らないという決議をしたわけです。それから、続いて長崎の市会におきましても、エリコンは作らぬという決議をやったわけです。ところが、市会の決議のすぐあくる日になって、三菱造船所の工場長が市会へ行って、そういうことを決議するならば、あそらく三菱造船所にはこれから軍艦の注文を受けることはできないだろう、そうすれば固定資産税にも響いてくるのだ、市に対する税金も払えないよ、ということを言ったわけです。それで市当局があわててもう
一ぺん市会で、前日に決議したものをあくる日にもう一ぺん決議し直して、
エリコンを製造することに反対しないという決議をやり直したという醜態があるわけです。こういうふうに、要するに会社の方は圧力をかけ、その会社に対しては政府の防衛庁の方から圧力をかけているわけです。労働組合がそういうことを言うならば、お前のところには軍艦はやらぬぞ、製造させないぞという圧力をかけているわけです。そういう無理があるから、三菱造船所がよその会社より八千万円も安く引き受けなければならぬというような状態が生まれてくる。そういう無理をしてまでも軍艦の注文をもらわなければならぬ、こういうことであるかもわからない。
それで、これは、二番艦というのは浦賀船渠と競争したのでしょう。競争の結果こうなったのでしょう。そうならば、これからこういうふうによその造船所と競争して安くできるならば、今後ずっとこういう方法でやったらどうですか。国費の節約です。何も三井造船所だけに八千万円よけいもうけさす必要はないじゃないですか。どうもここら辺はわれわれは釈然としない、何か疑惑を持つことがたくさんあるわけです。防衛庁はそういうことを、労働組合が強いところに対してはこういういやがらせをするということをしているでしょう。その結果がこういうふうに現われてきたのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/40
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041・武内征平
○説明員(武内征平君) 労働組合に云云という御質問でございましたが、そういう点は一切ございません。われわれは、物を調達するということで見積もりをやらせるときには、その線に沿って、ただ事務的に行なっているというだけでございまして、それ以上の工作その他は一切いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/41
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042・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは、今後の方針はどうですか。今後艦の注文をするときには、やはり二番艦を注文したようなそういうやり方で競争さして、そして注文するようにするのですか。それとも指名でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/42
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043・武内征平
○説明員(武内征平君) これを指名競争でするか、あるいは随契にするかという点につきましては、これは長官の御決定になることでございまして、長官の御方針によるものでありますが、従来、旧海軍等におきましても、いわゆる軍艦に相当するものは競争入札をやったという例はほとんどないようでございます。これらのいろいろな、あるいは現在の法規、あるいは過去の例等を参考にされまして、長官が御決定になる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/43
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044・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、まだ、ただいまの答弁では釈然としないものがありますが、これでやめます。こういうやり方で、あるところに対しては長官の指名で船を作らせたり、二番艦に対してはこういう競争をさせて八千万円も安く作らせる。こういうことが今後続いていくならば、こういうものに対する国民の疑惑というものは晴れないと思う、こういうことを私はここで強調して置いて、これで私は質問をやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/44
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045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 防衛庁から配付していただきましたロッキードの原価計算も資料がございますが、これについて一補足説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/45
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046・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) F104Jにつきまして、百十二万ドルの場合の説明といたしまして、資料をお配りしてあると思いますが、説明をいたします。
三十五年度の予算案に要求いたしておりますF104J及びDJ、これは複座機であります。この単価は、Jの方が百十二万八千五百九十五ドル、それからDJ複座機、これは百四万七千二十七ドル。Jの方は百八十機であります。それからDJ複座機の方は二十機であります。これを平均いたしますと、百十二万四百三十ハドルになる。こういうことで、従来ロッキードにつきましては、単価は約百十二万ドル、こういうことで御説明申し上げているわけであります。
その内容につきまして御説明を申し上げますと、複座機の方は、これはさっき申し上げましたように二十機だけでありまして、練習機でありますので、普通のJとは相当違っておりますから、少数の飛行機をこちらで作りますことは、相当費用がかさみますので、全部これはロッキードで作ってもらいまして、その分を、ばらばらにしましたものを国内に持ってきまして組み立てて防衛庁に納める、こういうようなことでありますので、大体複座機の百四万七千二十七ドルは、輸送及び組み立て費用のほかはロッキードにおける工場の渡し値段になっております。
それから、F104Jの方でありますが、これは固定費——固定費と申しますのは、ロッキードから技術者がこちらの会社に参りまして技術の援助をいたします、そういった技術援助費、それから経営、技術あるいは製造の、特許ではございませんがノー・ハウ、こういったものに対する費用、それからロッキードから支給されますところの工具の費用、それからロッキードで提供いたしますところの技術資料複製あるいは企画サービス、開発費、こういうものを含んでおります。これを合計いたしますと、一機当たり八万四百八十四ドルになります。それから治工具は、これはそのまま治工兵でありまして、治工具の中にはロッキードから来るものと国内で作るものと両方ありますが、これを合わせまして一機当たり平均三万一千七十九ドル。それから機体製作費でありますが、これはまず百八十機の中の二十機はノック・ダウンで、ノック・ダウンと申しますと、アメリカである程度のものを作りまして、複座機ほどにまでは作りませんが、ある程度まで作りまして、それを日本に持ってきて組み立てる。複座機よりさらに手がロッキードでかかっていないようなもので、それをばらばらにしたものを日本で組み立てる。初めから日本の会社で全部作りますと、相当技術的にも困難な点がありますので、ある程度見習い、練習という意味もありまして、二十機だけはそういった、従来も86、33、P2Vについてもノックダウンという制度をとっております。この二十機のノック・ダウン機の費用、それから残りの百八十機につきましての材料費、この材料費につきましては大体全体の四〇%を日本国内で国産するという計算で計上いたしております。これが合計いたしまして一機当たり平均四十七万一千五百八十一ドル。それから次に、官給品費と書いてありますが、これはエンジンあるいはFCS——FCSと申しますのは、火器管制装置といいますか、ナサールのことであります。その他搭載の通信機、こういったものは官給品、防衛庁の方で官給することになりますので、その分につきましての費用、これが平均いたしまして四十六万六千八百九十ハドル。それから、「その他」の項でありますが、「その他」は、これはロッキードから材料等を輸送いたします輸送費、及び日本側の会社におけるところの技術費、それから一般管理費、利益、これが入っておりまして、これを総計いたしますと、一機当たり七万八千五百五十三ドルになる。これを総計いたしますと、百十二万八千五百九十五ドルになる。
これがJでありまして、このJと、さっき申しました二十機の練習機の百四万七千ドルを平均いたしますと、大体全体の一機当たりの平均は百十二万ドルになると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/46
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047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ただいまの御説明の中で、固定費の中の開発費というのがありますね。これはどういうものですか。開発費というのはどういうふうにして御計算になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/47
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048・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは御承知のように、104Cから104Jに、日本向けの飛行機にしたわけでありまして、その場合におきまして、特にナサールを積むことにいたしましたので、従来の104Cにはほかの火器管制装置が載っておりましたのを、さらに日本に必要なナサールにいたしましたので、そのための設計変更、これが大部分でありましてその開発費の内訳、これはなかなかわれわれとしましても、ロッキードにつきまして原価計算を一々こまかくやるわけに参りません。これは向こうもなかなか申しませんので、大体従来の開発費等とも比べまして、向こうの値段を聞きまして、それに対しましていろいろ西独、カナダ等の例とも比べまして、なお西独、カナダ等の開発費をどうするかといったような問題につきまして、いろいろ交渉をいたしまして、相当の値引きをしたのでありますが、そのこまかい原価計算は、われわれといたしましては、実際に現場につきましてこれを計算することはできませんわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/48
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049・木村禧八郎
○木村禧八郎君 聞くところによりますと、ロッキードの単価を安くするために、今お話しのように、開発費、これを非常にまけてもらった、俗な言葉で。そうであるやに聞いておりますが、しかし、これは非常に不安定な要素を持っていると思う。今後、向こうでこれがふえるようなことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/49
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050・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) われわれが考えておりますF104Jを、さらに、日本側におきましてロッキードにこれ以上改造を命ずるという場合以外は、現在の開発費でロッキードと話し合いがついております。それ以上ふえることはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/50
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051・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、FCSですが、これはいわゆる全天候のものになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/51
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052・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 全天候のものになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/52
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053・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、「その他」の中の一般管理費及び利益、これは、利益というのはどのくらいの見積もりになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/53
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054・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは、具体的にこの場合の利益を幾ら見たかということにつきましては、まだ契約前でありますので、差し控えたいと思いますが、大体、普通、航空機の場合におきましては、全体の価格の一二%ないし一八%くらいのところで契約ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/54
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055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まだ契約していないというお話ですが、前に源田さんがアメリカから帰ってきまして、青森の方にカン詰めになっていろいろ計算して、そうして国防会議に出席されて、何か数時間のうちにきまってしまったというのですね。そのときに、ロッキードを採用するということがきまったと同時に、これを新三菱重工業の方に注文するということもきめられてしまった。そうして発表されました。ですから、新三菱重工業に発注することにきまっているわけですが、その契約はまだしていないということは、どういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/55
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056・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは、御承知のように、予算の要求の段階でありまして、あくまで積み上げのものであります。この予算が通りますれば、具体的には調達実施本部の方で担当会社と折衝いたしまして、値段をきめるこういう段取りになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/56
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057・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それにしても、原価計算が出ているのでしょう。原価計算が出ているのに、利益をどのくらいと見積もるということが出てこなければ、この原価計算は出てこないはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/57
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058・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) もちろん、原価計算は、一応、予算の仕様といたしましては、われわれといたしましてやっておりますが、これを言いますと、向こうは利益まで全部がんばるということになりますので、その利益の点はごかんべん願いたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/58
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059・木村禧八郎
○木村禧八郎君 このロッキードの値段は、西ドイツよりは安いわけですね。西ドイツの方はNATO諸国の方にも供給する、だから量産できるので、高くとも、利益はかなりある。日本の場合、今後、日本で使うだけではなくて、輸出用みたいに量産するというような、そういう考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/59
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060・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 量産いたしまして輸出するかどうか、これは防衛庁といたしましては、そういうことは考えておりませんが、たとえば、ほかの飛行機につきまして防衛庁で発注したものをフィリピン向けに輸出ができたというような例はあります。これはその会社がどういう方針でやるか、今後の問題であろうと思います。防衛庁といたしましては、それに対してどうこうという干渉はいたしません。ただし、原価計算の場合にそういう制約ができれば、その分だけはある程度原価計算に入れて計算するということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/60
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061・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いわゆる巷間伝えられる植村構想というのがあるのです。財界の植村さんですね。イロア、ガリオアの返済資金、これを利用して、そういうアメリカが日本に兵器を発注しまして、それで一種の域外調達ですか、オフショア・パーチェス、それは東南アジアの方に輸出する、それで武器を輸出するというような形ですね、そういうようなことを防衛庁の方でお聞きになっておりませんですか、そういう構想を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/61
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062・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 私も植村構想をずっと前にあったことは承知いたしておりますが、現在のところ、アメリカとしましては、ああいった構想につきましては一応御破算にいたしまして、そういうことは今後はできない、あくまでコスト・シェアの建前でいくと、こういうような方針になっておるように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/62
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063・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最後にお伺いしますが、結局、今度の予算に国庫債務負担行為として計上されましたロッキードの予算と、それから軍艦の予算、特にロッキードにつきまして、今予算に計上されている以上に予算がふえるという可能性はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/63
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064・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ロッキード自体の製作のためには別に予算はふえることはないと思いますが、これを維持いたしますのにいろいろ修繕費用とか、あるいはガソリン代だとか、あるいはまたパイロットの養成のための費用とか、あるいはまたこの飛行機を乗りこなすためにいろいろの練習の機会が要るわけであります。そういったものにつきまして別途に調達する必要があるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/64
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065・木村禧八郎
○木村禧八郎君 たとえば、これは予算委員会でちょっと防衛庁、長官に御質問したのですがたとえばパーツのスぺアの比率をどれくらい見るか、それから損耗ですな、補修とか、そういうのはどうも少なく見積もられているので、実際にはもう少しそういうところから防衛費がふえるんじゃないかと、こういう議論もあるわけですね。そういう点については、これは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/65
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066・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) スペア・パーツにつきましては、これは全体の価格の一二町を見ております。P2Vなんかにつきましては、サービスや何かを除いた価格の二割程度を見ておるのでありまして、104につきましては、全体の総額の二割を予備部品として一応予算に計上いたしてあります。もちろん、これはその予備部品が永久に使えるわけではありませんので、それがなくなりますと、毎年大体また一制ずつぐらいの予備部品が要る。これは104のための維持費用といたしまして、別途に86、33と同じように必要であると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/66
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067・木村禧八郎
○木村禧八郎君 損耗の方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/67
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068・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 損耗でありますが、今中しましたように、年々一例程度の部品及び修理代、こういうものが今後毎年要ることになります。その内訳は、大体人当経費が104一機につきまして五百五十万、それから燃料費が八百八十万、それから修理及びそのための部品費、これが一機当たり四千万、合計いたしまして一機当たり五千四百三十万、こういうのがまあ大体年々要るように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/68
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069・木村禧八郎
○木村禧八郎君 F86Fですね、あれは大体今までの計画ですと、本年三月一ぱいぐらいで生産が終了すると言われていたわけですね。ところが、財界あたりでは、ロッキードの機種の決定がおくれたので、それでこの着工がおくれたわけですね。F86Fが生産が終わって、あと次のロッキードに移るまでに手待ちの空白ができる。それができないように、F86Fのいろいろな部品ですかを予備的に多く作って、繰り上げて多く作るということによって手待ちを防ぐ、こういうようなことが要望されておりましたが、F86Fの今の生産の状況はどういうふうになっているのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/69
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070・武内征平
○説明員(武内征平君) F86は、御承知のように、契約が、官給品が遅延した、あるいは例の伊勢湾台風等の被害がありましておくれまして、本年の十二月までが最終の三百機であります。今日ただいま何百機ということをはっきり記憶いたしておりませんが、おそらく二百六十機前後が引き渡され、あと四、五十機残っているのじゃないかと思います。と申しますのは、この五月、六月というのは、台風の影響を受けまして、ほとんど一機とか、二機しか納まらないというような状況があり、ますものですから、従いまして、現状におきましては、二百六十機前後が引き渡されておるのであります。あとの一四十機がこの十二月までに引き渡される、かような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/70
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071・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それで、ロッキードに移るまでの手待ちという問題があるでしょう。そういう問題、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/71
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072・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ただいま木部長から申しましたように、官給品が、これは米側からMAPで入るというものでありまして、このMAPの供与が時期的におくれましたので、われわれといたしましては、なお伊勢湾台風等もありましたので、納期の十二月までに延ばしたということでありますが、たまたま104の方の問題もありまして、会社側からもなるべくならば延ばしてもらいたい、こういう希望はあったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/72
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073・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そのアメリカ側のMAPというのですか、それはどういうもの、ですか。それがおくれたというのは、どういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/73
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074・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは御承知のように、86につきましては日米共同でやったわけでありまして、その米側負担分につきましては、アメリカ側が買ってこちらに現物でよこす、こういうことになっております。これはMAPになります。MSAによる援助でそういう日米分担による場合は、全部そういったMAPということで米側が供給するということになっておりまして、米側も当初におきましては86を幾らか注文をいたしておりましたが、最近もう全然注文をいたしておりませんので、特別に注文をしなければならない。これは米側としても非常にまあ手続等めんどうなこともあったかと思います。そういう点で相当おくれてきたということによりまして、こちらの工場で部品が来ないために手持ちになったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/74
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075・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、台風とかMAPによるアメリカの現品の供給がおくれたというようなことで、F86の生産計画というものが延びた。そこで結局、ロッキードに移る場合にその手待ちというものがなくなってきていると、こういうふうに見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/75
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076・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは十二月に完全に終わるわけでありまして、ロッキードに引き継ぐためには、やはり一年くらいの間隙が出るのではないかと思います。幾らか、もちろんロッキードの製作のための治工具等の製作の工数はありますが、この程度では相当やはり手待ちになるのではないかと、かように考えております。一年までになりませんが、大体一年ぐらいの間隙になるのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/76
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077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その一年ぐらいの間隙というのは、そうしますと、設備が遊ぶわけでしょう。そういうのは何かコストに見積もられているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/77
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078・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) そういったアイドル・タイムにつきましては、工数に直接見積もるわけにはわれわれとしてはいかぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/78
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079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこで、これまでにF86のスペア・パーツですか、そういうものを繰り上げてよけい作る、そういうような計画になっているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/79
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080・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 86のスぺア・パーツ、これは従来86につきましては、スペア・パーツが相当足りなかった点もありまして、その分を去年の予算に要求いたしまして、その分をそういうアイドルの出た分につきまして幾らか発注いたしたために助けにはなった、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/80
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081・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私の質問はこれでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/81
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082・成瀬幡治
○成瀬幡治君 資料の二ページにあります「技術者及び技術援助」なんですが、どのくらい技術顧問の人が来られるものと予定されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/82
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083・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これはマンマンスと申しますか、延べ人員のあれで出しておりますが、大体千四百マンマンスぐらいになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/83
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084・成瀬幡治
○成瀬幡治君 マンマンスというのは延べ数という意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/84
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085・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 延べでありますから、これをある瞬間をとって考えますと、まあ大体何人ぐらいかと申しますると、大体七十人から八十人くらい。これはもちろんでこぼこがありまして、初めのうちは相当な人がおりますが、最後にいくに従って少なくなります。でありますから、延べで出しませんと平均は出ませんので、大体当初が七、八十人ぐらい。あとになりますと、二、三人ぐらいになりますかもしれません。全体延べにいたしまして千四百万マンマンスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/85
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086・成瀬幡治
○成瀬幡治君 設備に相当な金もかかると思うのですよ、片一方にはそういうものの償却等もあると思いますから。それで、金利ですね、金融上のですが、そういうものについては何か便宜もはかっておみえになるだろうし、またこうだからこうなるのだというようなことがあると思いますが、それはどんなふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/86
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087・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 金融につきまして、こちらで別にあっせんするということはいたしませんが、やはり防衛庁が発注いたしまして、金を支払いますのは、一機ごとにこれができたときであります。なお、そのうちの一司は最後に払う。概算払いでありますので、九割しか払いませんので、九割分をできたときに一機につきまして払いまして、最後に一割分を払う、こういうことになります。でありますから、一機を作りますまでにも、相当やはり設備あるいはその資材等につきまして金融の必要があるかと思います。そういう金融につきましては、その金融をどれくらい必要か、あるいはまたどういう種類の金融機関から借りるかということをしさいに検討いたしまして、その金利を計算いたしまして、さっき申しました「一般管理費、利益」の中に含めてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/87
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088・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それを具体的に説明はできませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/88
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089・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これはまだ会社の力で具体的に、どこから幾らぐらい借りるという具体的な資金計画は出ておりません。ただ、われわれといたしましては、全体の資金量としてどれくらい要るだろうという予想のもとに、一応予算を組んであるわけでありまして、具体的な場合は、契約の場合におきまして、各金融機関、どういうところから借りるかということをしさいに検討いたしまして、相手業者側と折衝いたしましてきめると、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/89
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090・成瀬幡治
○成瀬幡治君 F86の場合は、別な資料で見ますと、開発銀行から経済援助の資金のワク内で、これは五年ですか、五年で利子はちよっと書いていないようですが、何かよそから聞いたら六分五厘というような話でありますが、それの資料の注の3に、融資が考慮されているというようなことが書いてあるわけですから、あなたの方が検討されているというようなことを、いろいろなことをおっしゃいますけれども、大筋としてはF86と大体同じような形のものとして計算をしておいでになると了承していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/90
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091・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは経済援助資金の特別会計からの貸付金、これはもちろん86、33の場合もP2Vの場合もありましたが、こういうことは通産省と折衝の上やっておると思います。大体ある程度借り入れられるのではないか、かように考えております。その借りる額が幾らになるか、その金利はある程度市中銀行より安いわけでありまして、その分がふえますれば、その分だけ一般管理費から実際の契約のときは金利分だけ減らせる、こういうことになります。ただ、現在のところは、予算の積算の段階におきましては、どこから幾ら借りるというようなこまかい金融機関別の借り入れの計画は、現在のところまだ立っておりませんので、そういったところまでは計算をいたしておりません。大体の金融機関からの借り入れの金額及び金利というものを、従来の実績に基づきましてわれわれとして計算をいたしておりまして、それを予算の積算の基礎にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/91
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092・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、金利は幾らかということをずばりと言ってもらいたいわけです。
それから、もう一つは、およそ総額はどのくらいにしておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/92
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093・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これはさっきも申しましたように、一般管理費、利益と一緒になっておりまして、普通の場合に、従来、航空機は総額の一二%ないし一八%ぐらい、これは一般管理費、利益を含めまして。一般管理費というのは、今申しましたように、金利等も全部含まっておる。これを業者側との折衝の場合にきめるわけであります。これを今申し上げますと、そこまで業者側から必ずがんばられますので、この点はちょっと差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/93
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094・成瀬幡治
○成瀬幡治君 その融資総額をどのくらい考えておいでになるかということは、いいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/94
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095・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 融資総額は、私、今ちょっと資料を持っておりませんが、こまかく計算したものはもちろんありますので、御必要でありましたら、資料として提供したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/95
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096・河野謙三
○河野謙三君 ちょっと防衛庁に伺いたいのですが、グラマンだ、ロッキードだと、いろいろ世間を騒がした間において、商社活動が非常に活発にやられておるように私は聞いておりますが、この取引に商社活動の余地というものはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/96
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097・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これにつきましては、活動の余地は、われわれといたしましては全然ないと思っておりますが、われわれも新聞等でいろいろ見ましたが、何のために活動されるのか。もしそれがほんとうであるとすれば、何のために活動されるのか、われわれといたしましても、疑問に思った点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/97
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098・河野謙三
○河野謙三君 巷間伝えるところによると、たとえば川崎に結ぶ商社はどこであるとか、三菱に結ぶ商社はどことかということでありましたね。今度、いよいよロッキードにきまりましたね。きまって、いよいよ発注して、計画するということになった場合に、その間において商社というものは全然介入しておりませんか。何か手数料というか、あっせん料というか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/98
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099・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは、どこにきまったからということで、商社がきまったところから手数料、あっせん料をもらったというようなことは、全然聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/99
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100・河野謙三
○河野謙三君 では、今後におきましても、商社というものは、この間において何ら介在がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/100
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101・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは、もちろん、三菱、川崎がいろいろロッキードから材料を輸入します場合に、もちろん自分で直接やればいいわけでありますが、三菱、川崎は御存しのように生産会社でありまして、そういった輸入の手足を持たないということはあると思います。そういう場合に、その輸入の手続を商社に委託するということは考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/101
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102・河野謙三
○河野謙三君 これはしかし、国として、こういうものはそれが介在すれば介在するだけ、そこに手数料はかかるわけですね。直接の取引でいくように国が積極的に指導して、十分いけると思いますが、その辺のところが私は少しおかしいと思うのだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/102
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103・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは、一般の商社が輸入する場合よりずっと低い手数料しか、契約のときわれわれの予算の積算上も見ておりませんし、実際の契約のときにも非常に低い手数料しか認めませんので、そういった手数料がやるところがあれば、もちろんそれを委託する、あるいはそれでできなければ、直接やる。直接やった場合の方がかえって高くつく場合におきましては、やはり商社に委託するということも考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/103
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104・河野謙三
○河野謙三君 政府の方じゃ、その手数料はわかっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/104
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105・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 予算の積算士はわかっております。ただ、これは御存じのように、契約は来年度の大体末ごろになるわけでありまして、そのころまでに調達実施本部と業者の方と折衝いたしまして具体的にきめるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/105
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106・河野謙三
○河野謙三君 それを私はゼロにすることはできないかというのです。商社活動というものが介在する余地をなくすることを、私は、いろいろ運送とか保険とかあるでしょうけれども、商社活動というものは本来、金融と相場のリスクを生むのが商社活動です。この場合には相場のリスクも金融の負担もないのだから、そこに何で商社活動というものを認めなければならないのか。私は、ゼロにすることができるのじゃないか。ゼロにすることによって、幾らかでも単価を下げるという余地はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/106
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107・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これは実費にある程度、これは非常に少額でありますが、ある程度の一般管理費、利益を見ている程度でありまして、一般の商社の利益率のような多い一般管理費、利益は見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/107
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108・河野謙三
○河野謙三君 それなら、少ない多いは別として、そういうやはり資料はいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/108
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109・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これはやはり一般管理費、利益に関しますので、これから契約をいたしますので、こちらが幾ら見ているかということは、契約前にはちょっと公表を差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/109
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110・河野謙三
○河野謙三君 契約後においては、それは公開できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/110
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111・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 契約後においては差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/111
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112・永末英一
○永末英一君 アメリカ側がロッキードについて持ち分をきめたようですが、その持ち分の使い方についてははっきりしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/112
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113・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 七千五百万ドルを米側が負担するということになっております。これにつきましては、大体エンジン等ははっきり、もうきまっております。そのほかに複座機あるいはノック・ダウン機、こういうロッキードの方でも当初にでまますもの、これは甘木側で当初に予算の歳出がありませんので、そういうロッキード側で当初にできるものを七千五万ドルに充てたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/113
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114・永末英一
○永末英一君 最初の固定費のところで、こまかい質問になりますが、固定費というと、まあ、ともかく全体的に甘木側が支払うべきワクのように思うのですが、そのハのところで「米国支給工具」、こういうのがありますけれども、これは一体どういう意味ですか。アメリカが買い込んで日本へくれる、その分は七千五百万ドルに含まれておる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/114
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115・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) これはロッキードを作りますための特殊な工具でありまして、この分はロッキード社からもちろんこちらがもらうわけでありますが、その分は七千五百万ドルから大体充てることになると思います。これはさっき申しましたように、先に発一生するものにつきましてなるべく七千五百万ドルを充てたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/115
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116・永末英一
○永末英一君 への方の「開発費」というのは、これから何か開発していこうというものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/116
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117・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 開発費は、さっきもちょっと御説明申しましたが、当初は、ロッキードで作っておりました米軍向けのものは104Cと申しまして、FCS、火器管制製置等がだいぶ違っております。全天候でもありません。これを日本向けに直しますために全天候性にいたしましたので、そのために機体そのものも相当模様がえをしなければならぬわけでございます。そういった模様がえの費用であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/117
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118・永末英一
○永末英一君 機体製作費のうちで、そのハードコアというような日本で緊急に製作困難、従って、こういう部分についてはロッキード社で製作してこっちへ渡す、こういうことになりますと、ハードコア部分についてのスペアとか、あるいはまたそれの修理とかいうようなものが問題になった場合には、どうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/118
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119・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ハードコアと申しますのは、機体の部品と同じようなものでありまして、機体の一部でありまして、機体の部分であります。でありますから、それがもし破損いたしますれば、修理あるいは取りかえをしなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/119
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120・永末英一
○永末英一君 その費用が、一体一々ロッキード社から買い込まなくちゃならぬのか、こういう費用に充てられますか。われわれの方では生産できない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/120
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121・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 今の御質問の趣旨よくわかりませんが、そういったハードコアを修理するための費用は、この予算にもちろん組んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/121
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122・永末英一
○永末英一君 私は、お聞きしたいのは、ロッキードについては、相当な部分についていわゆるアメリカの特許がある。従って、技術的に困難の部分もあるかもしれぬけれども、そういう意味で特許料を払わなければ日本で独自に生産し得ない困難がある。従って、この部分かどっちか知りませんけれども、われわれがずっとロッキードを持つ限りは、この部分については日本では生産できないから、一々ロッキード社からその部品を買わなくちゃならぬと、こういう意味であるかどうかということを伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/122
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123・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) それはハードコアでなくて、多分ナサールの一部分じゃないかと思います。これはある程度秘密の部分がございまして、その部分だけは将来とも、もし向こうの方で貸与にならなければ、向こうからその部分だけあるいは買わなければならぬことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/123
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124・永末英一
○永末英一君 機体の材料部分についても、全体の約四〇%を国産する、六〇%は国産しないと、こういうことですから、そういう部分についての修理をする場合の部品なりというものは、一切また、わが国がロッキードを持つ限りは、ロッキード社から未来永劫わが国は買い込むと、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/124
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125・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 大体そういうことになるわけでありまして、われわれとしましてはできるだけ国産化率を上げたいと思っておりますが、そうしますと、将来そういった問題が起きましても、日本国内で修理あるいは取りかえができるということになりますので、なるべくよけいに国産化いたしたいと思ったのでありますが、いろいろ技術的な面もありますし、また非常にたくさん国産いたしますればいたすほどむずかしい面が出まして、非常に費用がかかるわけでございます。そういうものはロッキード社で買った方がかえって安いというものが多いわけでございます。そういう面で、大体四〇%程度に抑えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/125
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126・永末英一
○永末英一君 エンジンは国産するものと計算したという御説明でございますが、全部エンジンは国産するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/126
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127・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 複座機とノック・ダウン機、二十機々々々、合計四十機分は向こうから輸入いたします。残りの百六十機分につきましては国産をすると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/127
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128・永末英一
○永末英一君 搭載通信機等については半分を国産するという意味は、通信機器の全体の中のどれだけの部分の半分と、こういう意味であって、個数の半分という意味ではありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/128
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129・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 個数の半分ではありません。具体的にまだその点は、通信機等につきましては、これからどういうものを国産化していいか、技術的に、経済的に最も適当であるかということは、契約までにこれを検討してきめるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/129
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130・永末英一
○永末英一君 そうしますと、大体ロッキード一機仕立て上がったといたしまして、それから維持をしていくために、一体ロッキード社に払わなくちゃならない金額の部分というものは、維持費のどれだけの部分を占めておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/130
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131・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ロッキードができ上がりますれば、その後ロッキード社に払うものはないわけでございます。でき上がった場合に、ロイアルティを払うだけであります。ただ、さっきも御説明申し上げましたように、日本でできない部品をロッキード社から買うという場合におきましては、その部分につきましてはロイアルティを払うということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/131
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132・永末英一
○永末英一君 先ほど、あとで資料をいただくという話ですが、そうやっていろいろな新しいものをどの程度国産するかということがはっきりしていないということですから、その国産部分を広げるようになれば、それぞれの設備も広げなくちゃならないし、いろいろ変えていかなくちゃならない、こういうことになりますと、どの程度貸付を考えておるかということは、それに見合ってでなければきまらぬと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/132
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133・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 通信機器等は、これは機体メーカーは作りませんで、大体下請工場で作ります。ほかの工場で作ります。そういうものにつきましては、防衛庁が直接そういう工場に発注して、それを機体メーカーに配給するという方法でいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/133
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134・永末英一
○永末英一君 通信機ないしは機体の部分について、冶金工学等がわが国ではジェット機を飛ばすだけの材質を作るに至っておらぬようでありますが、そういう面についての融資等は考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/134
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135・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 防衛庁として、この契約のために、この機体あるいは部分品を作る会社に対して融資をどうするかというところまではあっせんいたしません。これは、われわれが契約の立場にあるわけでありますから、向こうは契約を受ける立場でありますから、別に金融のあっせんは、これは通産省であるいはするかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/135
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136・永末英一
○永末英一君 あなたの方は作られる、こういうだけの話かもしれませんが、ロッキードが一応六年後に仕立て上がったとして、いろいろな修理をする、補修をするという問題が起こった場合に、一番その致命的な部分、それがなくちゃロッキードが飛ばないのだというような部分を、絶えずロッキード礼から買い込まなくちゃ動かないというようなことになると、困りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/136
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137・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 四〇%でなるべくそういうことがないように、経済的に、あるいはまたロッキード104Jを維持するためにしょっちゅう取りかえる必要がある部品、そういったものをなるべく選んで国産化をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/137
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138・木村禧八郎
○木村禧八郎君 アメリカの七千五百万ドルの援助、これは百十二万ドルの原価に入っていないと思うのですが、先ほど永末委員の質問に対して、米国支給工具ですね、こういうものは七千五百万ドルのアメリカの援助分から支給されることになっておるのか、その点が一つと、それから装備品につきまして、ナサールだけは閣議できまった」のですね。ほかの装備品につきましてはきまらないのに、ナサールだけどうして閣議できめてほかのものはきめないのか。この二点をちょっと聞かせて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/138
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139・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) さっき工具をちょっと申しましたのは、例を申したのでありまして、アメリカとしては、七千五百万ドルをどういう費用に充ててもよろしいと、こう言っておるわけでありますが、われわれといたしましては、ロッキード社で早くできるものになるべく充てたい。でありますから、工具等は大体早く来るだろうということで、工具を例にあげたわけでありまして、まだ具体的に、われわれとしまして、アメリカ側と調印も済んでおりませんので、こういうものに充てるのだというところまではっきり通知はいたしておりません。大体われわれとしましては、ロッキード社で早期に発生するものに充てたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/139
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140・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、このコストの中に入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/140
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141・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 七千五百万ドルは、このコストの中には入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/141
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142・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ナサールはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/142
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143・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ナサールでありますが、これは防衛庁長官がナサールだけを言っておるだけでありまして、国防会議ではそのほか全部の装備品を一応御説明をいたしまして、御了承を得ておるわけでありまして、ナサールが一番代表的なものでありますので、長官から、ナサール、ナサールと、かように申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/143
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144・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その内容は資料としていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/144
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145・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) 火器管制装置以外の通信機、あるいは航法装置、あるいは敵味方識別機、こういう三つのものがありますが、この品目はちょっとまだ秘密になっておりますので、品目にいろいろ番号がついております。今申しましたように、火器管制装置以外の通信機、航法装置、敵味方識別機、この三種がありますので、その程度で御勘弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/145
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146・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/146
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147・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 御異議ないものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/147
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148・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 御異議ないと認めます。
これより採決をいたします。臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/148
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149・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/149
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150・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/150
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151・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) ちょっと、誤解があるといけませんので、申し上げたいと思います。今の木村委員の七千五百カドルがコストに入っておるかという御質問に対して、入っておりませんと申し上げましたが、コスト全体では入っておりまして、予算の国庫債務のうちの予算には入っておらぬ、こういう意味でありまして、全体のコスト百十二万ドルの中には入っております。七千五百万ドルも入れて、平均しまして百十二万ドル——失礼しました。百十二万ドルには入っておりませんが、全体のコスト、いわゆる米側と日本側との総体のコストにはもちろん入れております。ただ予算計上いたしましたいわゆる予算額の中には入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/151
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152・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうして予算額の中に百十二万ドルと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/152
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153・塚本敏夫
○政府委員(塚本敏夫君) そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/153
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154・木村禧八郎
○木村禧八郎君 わかりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/154
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155・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 次に、経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑のある方は発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/155
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156・須藤五郎
○須藤五郎君 これが三十三年度に協定に至らなかったということがございますが、その相手国と協定に至らなかった、協定を結ぶことができなかった理由を、一つ説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/156
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157・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 通産省といたしましては、三十三年度予算でインド西ベンガル地方における中小企業機械センター、マレーにおきます木工センター、この二つの予算がついたわけでございますが、直ちに六月調査団を派遣いたしまして先方と下交渉を行なったわけでありますが、これは御承知のごとく、技術センターは、わが方が機材費と、センターに設置すべき機材と、その訓練に当たるべき技術者のサービスを無料で提供いたしました。相手国の方で、建屋、土地、それからその他の一般の運営管理費は、これは相手国側政府が負担しますので、相手国の方で予算措置を講じる必要がございます。従って、相手国の方の予算措置を講ずる手続が非常に延びまして、そのために協定の締結がおくれたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/157
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158・須藤五郎
○須藤五郎君 じゃ、これに対する見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/158
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159・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 現在、インド西ベンガル・センターにつきましては、本年初めに協定の成立をいたしました。現在買い付けにかかっております。それから、マレーの技術センターの場合におきましては、ほぼ内容は整いましたが、多少買い付け機材の点で交渉の余地が残っておりますので、まだ協定締結には至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/159
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160・須藤五郎
○須藤五郎君 相手国との援助の内容を、一つ説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/160
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161・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 協定の内容でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/161
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162・須藤五郎
○須藤五郎君 援助の内容です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/162
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163・三井太佶
○説明員(三井太佶君) すでに協定の整いましたベンガルの技術センターの例を申し上げますと、金額でいきますと、総額で、わが方が提供します設備及び技術者のサービス、これが両者で、三十三年度約七千万円、三十四年度約二億三千万円でございますから、約三億の設備及びサービスを提供いたします。設備につきましては、おもに機械設備でございます。建屋は向こうが持つわけでございます。技術者につきましては、約二十人の技術者をわが方の財政負担において先方に送っていく。これによって、向こうのセンターができますと、約六十名の研修生が政府から選ばれまして研修を受けます。わが方の技術者は、約三年間先方に滞在いたしまして、訓練をするわけでございます。それから、設備その他は、現在の法規におきましては無償で無期限貸与という形を現在とっているわけでございますが、この法律が通れば、これは無償譲渡するわけでございます。三年後におきましては、契約は、両国のいずれかが半年前に通告しない限りにおきましては、計画はずっと続くわけでございますが、両国のいずれかが半年前にアグリーメントの打ち切りを通告いたしますと、約三年をもって期限が切れる。その後においては、設備機材一切はインド政府側の任意の措置になるわけでございますが、これはわが方の大使と先方の大臣の交換文書によって、本目的に必要な方面に使う、これを勝手に処分しないということを、交換文書によってやるわけでございます。従って、三年後においては、すべての運営経費はインド側で持つということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/163
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164・須藤五郎
○須藤五郎君 大体、その計画は、いわゆる中小企業的な小規模なそういうものが多いように思うのです。大蔵委員会の調査室の資料で出ておるものを見ましても、大体そういうものが多い。ところが、西欧諸国及びソ連の援助ですね、これは非常に大きい、大きなものが備わる。なぜ日本はこういうほんとうに中小企業的なものしかできないのか。それはどういう原因があるのか。それと同時にあなたの方でつかんでおる西欧諸国並びにソ連の援助の内容をちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/164
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165・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 西欧諸国の一般がどういう形で技術援助しているかという点につきましては、外務省の方で情報を集めていると思いますので、お願いいたしまして、私どもの本事業をやる上において得た知識だけで申し上げますと、中小企業という点においては、まずインド程度が大企業を有しておりまして、他はほとんど産業といえば中小企業でございます。中には外国資本において巨大な工場等もありますけれども、実際に各国政府が非常に熱心に推進をしようとしておりますのは中小企業であります。また、わが方に援助を求めてきているのは、主として中小企業の形でございます。それは主として国民産業を興そうという情熱が支配しております結果として、そうなるわけでございます。ただ、インドの場合におきましては、私が先ほど申し上げましたように、約三億円の資金を日本側が投じまして、ベンガルにセンターを作るわけでありまして、ほぼ同様の規模のものがニューデリーの近くでドイツが援助しております。また、ほぼ同一の規模のものがアメリカがボンベイにおいてセンターの経営をやっております。また、これもインド側からの情報によりますと、マドラスにおいてやはりフランスがセンターを作るという企画があるそうであります。その内容を見ますと、いずれも、大企業というより、むしろインドにおける中小の主として機械関係の企業の育成をはかっておるようでありまして、インド側の意図といたしましては、ドイツがやっておりますのは主として工作機関係の中小企業の育成に使う、わが方の締結いたしましたセンターは、主として産業機械関係に使う、米国のは鋳造、鍛造関係、これもまだ未決定だと思いますが、フランスのは主として精密機械関係に使うという話を聞いております。
こういう工合で、現在東南アジアでは最も工美化の進んでおりますインドにおきましては、わが方だけが中小企業の育成を引き受けるというわけではございません。各国ともおのおの別々の分野で中小企業の育成を引き受ける。特にインドにおきましては、大企業はほとんど政府のいわゆるパブリック・センターに属しますので、政府の自分の事業でやっております。従って、民営に政府が技術援助その他の補助をすることによって政府が育成するのは、結果的に中小企業になってしまう。インド以外の国におきましては、その産業構造から必然的に技術援助の対象は中小企業になる、こういうものと私は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/165
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166・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、中小企業に傾いているということは、結局、日本の考え方、日本の方針ではなく、受け入れる相手方の方針である、こういうふうに考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/166
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167・三井太佶
○説明員(三井太佶君) そうでございます。私ども、すべて向こう側が日本側の援助を期待するのは、全部とは申しませんが、大部分が中小企業畑でございます。ただ、そのほか通信とか鉄道とかいうサービス部門でも要求があるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/167
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168・須藤五郎
○須藤五郎君 向こうから要求する条件でやろうというのに、うまく協定が運ばないということには、何かはかに原因があるのと違うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/168
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169・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 実際に交渉に当たってみますと、精神的には日本国の技術を大いに援助をしてもらいたいという気持が強いわけでありますが、今中しましたように、政府部内において、日本が全額を提供するわけでございませんので、両者のジョインープロジェクトになるわけでございますので、向こうがいざ予算に計上するということになりますと、他のプロジェクトの方が優先すべきではないかとか、対象の業種については、民族的な問題もあるので、もう少し考慮すべきではないかというような、いろいろと意見が出てきて、そのために延びておる場合があるようであります。インドの場合におきましては、第二次五カ年計画における中小企業育成分野のワクの中に入りましたので、これは比較的順調に進んでおると思います。ただ、こっちから行った日本の技術者の待遇とか、その他非常に細部にまでわたらなければなりませんので、そういった交渉のために意外に交渉が長びく場合がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/169
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170・須藤五郎
○須藤五郎君 私たちが心配しておるのは、こういうことを聞くわけですよ。これがうまくいかない裏には、向こうから非常に警戒をされておるんじゃないかということです。というのは、かつての大東亜共栄圏のような、ああいうことがあったために、また最近新安保条約によって日本はアジアの孤児化そうとしておるような現状において、日本が技術協力に名を借りて、日本帝国主義のいわゆる進出だと、こういうふうに受け取られて、向こうから非常に警戒されておる。そのためにうまくこの協定が締結に至らないんだというようなことを、やはり聞くわけです。そうして私たちは心配をしておるわけなんですが、そういうことはいささかもありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/170
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171・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 私どもが折衝に当たった限度ではございませんでした。ただ、もっと漠然たる形で、彼らとしては、二国間の協定よりも、むしろ国連とかそういったひものないものの方がより好ましいと考えているのがなきにしもあらずという、これは印象でございまして、ただ日本が、かつての侵略者たる日本云々というようなことに接したことは当然ございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/171
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172・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこれでやめますが、私たちが心配をしておる向きがいささかないというわけでもない。だから、日本の、われわれがアメリカから援助を受ける場合も、ひもつきの援助は反対をしてきておるわけです。ひもつきの援助というものはすべき性質のものじゃあないんです。これは帝国主義的なにおいのするもの。ところが、日本が今やろうとしておるそれにもひもがつきそうなということを、相手国はキャッチしているわけです。だから、日本とアメリカの国の二国間でやるわけじゃない、国連を通してひものつかぬ援助にしてもらいたいという要求を述べておる。だから、そういう点を大いに考えて、そういう日本からひもつきをやられることがいやならば、日本もひもをつけない、こういうことを考えのもとに置いて、この対外援助というものはやっていかなければ、うまく国は発展しない、またこの協定を円滑に結べないものだと、こういうように考えておりますことを私は申し上げる。そういう方針を堅持してもらいたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/172
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173・三井太佶
○説明員(三井太佶君) ただいまのお言葉は、非常にわれわれとしても尊重いたしたいと存じまして、この契約の締結にあたりましても、少なくとも三年後においては全然ひものつかない形で向こうが運営していく。また、内容につきましても、こちらが強制がましいことはあまり申しておりません。ただ、わが方が金を出す、ある程度出すわけですから、提供する機材、人間も、これは日本のものを当然出すのがほんとうで、これ以上特に深い約束事といいますか、ひもはつけてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/173
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174・斎木千九郎
○説明員(斎木千九郎君) ただいま先生の御質問を伺いまして、非常に感銘しております。ただ、私、最近この職を奉じまして、まだ勉強の足らない点もございますが、私が今まで承知しております点におきましては、ひもつきの援助だというので東南アジアの被援助国が非常に警戒しているということは、そういう事実はないと思います。
それから、さっき御質問がございました交渉は非常におくれている。——これは何分相手国がございまして、たとえば、相手国の中で政変が起ったり、あいるはこちらから、たとえば技術者とか専門家を出す場合に、向こうにおけるいろいろな待遇問題がございます。そういう問題があって、御承知のように、東南アジアの国におきましては、なかなかこちらの思うように能率的に運ばないというようなことで、協定を作る場合においては、何とかして十全な協定をとにかく作らなければいかぬ、そういうような意味におきまして、多少時日が延びるということはございます。
それから、西欧諸国、ソ連なんかが非常に進出しておるようでありますが、これにつきましてのデータは目下集めております。いずれ諸先生の御参考になるように配付といいますか、差し上げたいと思っております。
それから、今通産省の三井課長からお話がございましたが、今東南アジア、それから中近東、これからラテン・アメリカ、そういう後進地域におきまして、日本は唯一のアジアの先進国である、日本の技術というものは非常に進んでおるというわけで、日本に対する技術協力あるいは経済協力の要望は非常にたくさんございます。ことに東南アジア諸国におきましては、さっき先生のおっしゃった帝国主義の侵略というようなおそれもあるというお話がございましたが、私が承知しております限りにおきましては、むしろ同じ顔色の、白色人でない、しかもこういうアジア民族でこれほど機械的にも進んでおる国から、同じ受けるならばこういう国から一つ受けたいという気運が非常に盛んになってきておる。それから、中小企業の問題だけじゃございませんでして、たとえば電気通信なんかの問題につきましても日本の援助を受けたい、それから農業だとか、漁業なんかの技術も受けたい、そういう多方面にわたる援助の希望がございます。ところが、何分にも予算が限定されておりまして、それでその範囲で徐々にやっていきたい、こういう方針であるように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/174
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175・須藤五郎
○須藤五郎君 外務省としてはそう答えざるを得ないだろうと思う。しかし、外務省と通産省の答弁にいささか二ュアンスの違いというものがある。それで、僕らも外務省が言う通りならばまことにけっこうだと思うのですが、そうでない。ある国においてはそういうことを言っておるかもわからぬが、すべてのアジア諸国がそういう気持を持っていないということは、外務省も知っていなくちゃいけない。そうして、私がさっき言ったように、ひものつかないような——われわれもひもをつけられることは不愉快千万だ。それはあなたも同じだと思う。だから、日本が後進国開発をするような場合に、ひものつかないような、ひもをつけないような状態でやるということが、これが日本の行くべき筋だと思う。それでなかったら、日本はいやがられますよ。ひものつかない海外援助を後進国に対する開発のためにやる必要がある、こう私は言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/175
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176・大矢正
○大矢正君 この「経済及び技術協力のため必要な物品」という、この「物品」という解釈についてですが、技術を持っていくにしても、当然設備なんかも必要な段階が来ると思うのです。まとまったですね、一つの設備というものがなければ、技術協力をやりたいといっても、向こうがやれないという場合が出てくる。そういうような設備というものが、実際問題として「物品」の中に入るのか入らないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/176
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177・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) この法案の目的といたします場合におきましては、大体におきまして、外国にセンターをこしらえる場合におきまして、建屋というようなものにつきましては、先ほど御説明がございましたように、向こうが提供いたしますが、こちらは主として機械類を持って参るわけでございます。この機械類を持っていく段階におきましては、これはすべて物品になるわけでございます。向こうで備えつけますと、それはまあ全体としては一つの設備、こういうことになると思います。まあ、持っていく段階におきましては、これは向こうの手に渡る段階におきましては物品、財政法あるいは会計法の段階の取り扱いといたしましては物品、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/177
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178・大矢正
○大矢正君 僕は、目的というのを聞いているのじゃないのだよ。あなたのところの提案理由の説明には、目的として「海外技術センターの設置等に必要な」云々と、こう書いてあるけれども、こんなものは法律とは関係のないことで、法律には何もそういうことは書いてないのだから、だから、法律からいえば物品という言葉は出てこないから、その物品という言葉が、たとえばプラントならプラント、個々に分解して一つ持っていったら物品であり、向こうへまとめて持っていけばプラントです。そういうものが入るのか入らぬのかと聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/178
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179・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 物師でございますから、これは動産を言っているわけでございますから、法律上動産と言われるもの、これは物品でございます。物品として入るわけです。それ以外のものは今のところ考えておりません。入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/179
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180・大矢正
○大矢正君 これは白紙委任状なんですよ、極端なことをいうと。今の政府はこの法律さえあれば、外国、たとえばまあこれは「経済及び技術協力」でありますから、先進国と技術協力ということはあり得ないので、これはもうおそらく低開発国ということになるでしょう。東南アジアとか中近東とか、そういう国ととにかく協定を結んだら、結局、どんな金額の高いものでも、あるいは逆のときはどんな低いものでも、安いものでも、協定をすることができるという白紙委任状でしょう、言うなれば。ここに、たとえばどの程度の限度まで譲与できるという限度がない、何でも譲与できると書いてあるのだから。それは将来問題が起きてこないですか。これは国会の、われわれが抑える限界を越えてしまうのですから、この法律ができると、たとえば十億になっても二十億になっても、物品だといって無償で譲与することが幾らでもできるわけなんです、政府で。どこがそういう判断をするのかわからぬけれども、僕はその点で、何も根本的に経済協力や技術協力をやることはいけないというのではなくて、そういう面には大いに協力しなければいかぬが、この法律からいえば、そういう状態が起こるのじゃないかという心配があるのだが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/180
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181・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 経済及び技術協力のために必要な物品を相手方政府に対しまして無償で譲与する、あるいは低い価格で譲渡するというような場合におきましては、これはもちろん予算に計上いたしまして国会の御審議をそのつど得るわけでございます。従いまして、必要な金額のめどにつきましては、これは予算で御審議を受けるということになります。その予算で御審議を受けました予算の執行といたしまして、国外におきましていろいろな資材とか器具とか、そういうものを購入するわけでございますが、それを、現在の財政法の規定によりますと、そういうものを無償で譲与するということにつきましては、財政法の九条によって、法律に基づかなければできない、こういうことになっておりますから、その法律がこの今御審議を願っておる法律に該当するわけでございます。従いまして、ただいまの御質問の、大きな金額でもただでやれるじゃないか、政府がこの法律に基づいてどんどんできるじゃないかというお話でございますが、しかし、われわれといたしましては、別途予算措置等によりまして国会の御審議を受ける、その際におきまして金額のめどがつく、こういうふうに考えております。そういうように乱用されるということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/181
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182・大矢正
○大矢正君 そうすると、かりに外国と協定を結んで、こういう技術協力をやるということで、物品は何だというようになった場合には、それは結局、予算で全部承認をされた以降でなければ実施できないことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/182
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183・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/183
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184・大矢正
○大矢正君 それから、もう一つ、たとえば物品を、技術者の教育とか養成とか、いろいろな意味で使う分であればけっこうだけれども、それが現実問題として、一たん向こうへ譲与されたものが、外国政府がそれを民間の企業にやって生産のために使うというような場合もなきにしもあらずだと私は思うのです。そういう場合のことは、たとえば外国との協定をする場合に話し合いとか何かしておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/184
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185・三井太佶
○説明員(三井太佶君) すでに協定のサインのできました西ベンガルの例におきましては、わが方が、協定が無効になった——協定が三年たちますと、一方が通告すると無効になるわけでございますが、その後においてもこの機材を研修の目的、本目的にそぐうような目的に日本側は使用する、このことは、協定にはうたいませんので、これはこちら側の日本政府代表とインド側の代表との交換文書によってやっております。ただ、スクラップになるころまで、スクラップとして処理するということならば、これは別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/185
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186・平林剛
○平林剛君 私は一つだけお尋ねいたしておきたいと思うのですが、後進国開発を促進するための技術協力指導、こういう措置は現在世界各国が競ってやっておることで、わが国もおそまきながらこれらの措置をとろうとしておると思われるのでありますが、私は、こういう経済、特に技術協力のための措置について大事なことは語学だと思うのであります。向こうへ行ってみましても、日本の技術は確かに高く評価されておるのです。けれども、向こうへ行く日本の技術者が、語学が十分でないために、自分の意思をしっかり相手に伝えることができない。このため、たとえばイギリスの方が語学が達者ですから親切だ、日本人はどうも不親切だというような印象をとられまして、こういう意味で協力が促進されないという弊害もあるのです。だから、私は、これらに派遣をされる技術者には、相当語学については技術以上に訓練して派遣する必要があるのじゃないかと思うのでありますが、政府としては、このことについてはどういう措置をとっておられますか。私としては、大いに重視をして十分目的を達せられるような措置を講じなければならぬと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/186
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187・三井太佶
○説明員(三井太佶君) 今の御発言はまことに至当だと存じまして、事実、語学、特に東南アは英語が第一外国語になっておる国が多うございますが、日本人は語字が外国と比べて下手といいますか、徹底しておらぬという点は、大きなハンディキャップとは思っております。ただ、このセンターにおきましては、まず日本から派遣する人員は、インドのべンガル・センターは特に大きいセンターでありまして、二十人から派遣いたしますこの中の数人の基幹になる技術者は、英語の、堪能というと非常に選択範囲が狭まってしまいますが、少なくとも、英語を解する人、少なくとも、日本から行く団長と申しますか、向こうで理事と申しますか、実際の運営に当たる人、向こうの実際、直接訓練に当たる人、これは英語の堪能な人を選びたいと思っております。また、出かける技術者に対しましても、出かける前に、ある程度の英語のオリエンテーションと申しますか、速成教育、これをいたしておりまして、この点は予算の積算中に計上してございます。今のことから、全般的に申し上げまして、非常にわれわれとしては、実際の衝に当たる者としましては、最も考慮しなければならぬ点だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/187
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188・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/188
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189・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 御異議ないものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/189
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190・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 御異議ないものと認めます。
これより採決いたします。経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律案を議題に供します。本案を衆議院送付案の通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/190
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191・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員、長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/191
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192・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/192
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193・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 次に、補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/193
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194・平林剛
○平林剛君 この補助金の臨時特例に関する法律案は、毎回政府から提出をされておりまして、私はそのつど政府の措置を怠慢であると指摘をいたして参りました。今回もまた、多少内容の変化はありますけれども、同様な措置が繰り返されようといたしておりまして、まことに遺憾に考えておるのであります。
そこで、補助金制度に対して、政府の熱意といいますか、積極的な努力というものは、これに要する予算、経費に表わされてくると思いまして、先般資料の要求をいたしておきました。この資料によると、大蔵本省、財務局、合計して二百六十万六千円、こういうことになっておるのでありますが、私が承知しておるところでは、これらの経費も十分活用されておらないと承知をいたしておるのでありますが、実情はどうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/194
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195・佐々木達夫
○説明員(佐々木達夫君) ただいまの補助金の合理化のための件について御説明申し上げます。
平林委員から今御指摘のありました二百六十万円の経費と申しますのは、これは資料として提出いたしました民間有識者に対する補助金実態調査の関係の経費でございまして、そのほかに大蔵省の主計局、特に財務局部の主計課を通じまして、補助金の実態調査、それから立会その他の事務をやっております。その他の経費がそのほかにございまして、その経費が、補助金の実態調査関係では、昭和三十四年度千五百二十三万六千円でございます。これらの経費を、財務局の千五百二十三万六千円の経費は、予算の執行上いろいろ問題がありましたり、それから補助金を予算に計上する際のいろいろの問題点その他を、財務局及び財務部の主計課を通じて実態を明らかにし、それを予算の編成及び予算の執行に適用いたしまして合理化さしていくという経費でございます。大体毎年二十五科目ないし三十科目の補助金に関して財務局を通じてやっておるわけでございます。簡単でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/195
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196・平林剛
○平林剛君 今おあげになった数字は、これはいわゆる通常経費に属するもので、毎年々々、これは努力をしていないというわけではありませんけれども、その成果といいますか、結論というものは、われわれが委員会で遺憾の意を表しておる程度に終わっておるのです。ただ、ことし——今回はちょっと珍しいことをやっているようで、学識経験者に委嘱をしておやりになったということ、その努力は私は認めているのです。しかし、その予算が、今言われた二百六十万六千円を一応組まれておるが、実際使った金額、この新たな努力に対する経費というものは非常に少ないのじゃないかというふうに理解しておる。これは裏からいえば、調査を委嘱したこれらの委員が、実際の調査を行なうというふうに書いてありますけれども、具体的には、どうも忙しそうな人ばかりで、ここに報告資料として出されたように動いたかどうかということを疑問に思っているわけですね。だから、そこで私は数字の上からお尋ねしておるのです。実際にはこれらの委員が直接現地に行ってお調べになったのかどうかという点も、それではあわせて明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/196
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197・佐々木達夫
○説明員(佐々木達夫君) お答え申します。これらの委員の方々が、ここに資料として御提出しました実地調査、大阪、宮城、茨城、栃木、埼玉、千葉、和歌山の七府県の現地に参りまして、青年学級、高等学校産業教育施設、保健所、保育所、新農村建設地区、中小農家向け家畜預託事業、中小企業設備近代化の七つの補助金につきまして、実地に見学いたしましたが、現在のやり方といたしましては、全委員がそれぞれ班に分かれまして、現地におもむきまして、現地の状況を調査いたしましたという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/197
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198・平林剛
○平林剛君 私はこまかいことを知っておるのですけれども、ただ、言わんとしておるところをあなた方は察してもらわなければ困ると思うのです。一回程度現地に行って、そうしてまあ国会でやいやい言われるから形をつけたという程度では、この巨額にわたる補助金をほんとうに有効に合理的に使うという方向に向かっちゃいかないのですよ。だから、そういう意味でせっかく予算を組まれたならば、これが有効に活用されるように、ただ会議でやる、それも持ち回りでやるとかいうような便宜的なことで、形だけを作るというやり方はやめてもらいたい、こういうことを言っているのです。
そこで、この間、私は予算委員会の分科会で、文部省にあなたの方から今おあげになった青年学級、高等学校産業教育施設等について見解を尋ねたのです。大蔵省が主体になってやっているところの学識経験者の調査によって、それぞれその点欠ける点があることを指摘をされているが、どうかということを質問いたしましたら、私どもはそういうお話は一向存じません、こういうのですね。しかし、新聞にもこれは出ていて、今年の予算編成の中でもかなり議論したはずだけれども、あなたが知らないというわけはないじゃないかと言ったら、そうしたら、私はまだこのことについてはよくお聞きいたしておりません。それでまた、これらの青年学級あるいは高等学校産業教育施設等につきましては、今後引き続きわれわれとしては必要と考えておりますということなんです。きょうもこの資料をもらって読んでみると、現地調査を行なう前に、大蔵省及び関係各省より四回にわたってやったと、こういうふうに書いてあるのですね。私はなるべくあなたの方を信用したいと思っているんだけれども、そうすると、文部省の役人はどうも、うそとまで言わないけれども、知らなかったということを言うのは、ここに何かの行き違いがあるのじゃないか。そこで、せっかく大蔵省が努力をしておりましても、各省に対する徹底という点において欠くるところがあるのではないかという疑問を私は感ずるのであります。こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/198
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199・佐々木達夫
○説明員(佐々木達夫君) 御答弁申し上げます。ただいまの御指摘の点でございますが、この御提出した資料の通りでございまして、一応主務担当の文部省におきましては、青年学級関係の担当の課長、それから高等学校、それぞれの課長に来ていただきまして、事前にいろいろ説明会、それから終わりまして委員の方々に集まっていただきまして討論会をやり、こういう点を訂正しようというようなことで、相当現実の問題として討論したわけでございます。それから、予算措置といたしましては、青年学級運営費の補助金につきましては、二十五年度の予算におきまして、従来民間有識者の実態調査の結果問題になりました、非常に総花式であり、必要なところに行かずにマンネリズムに陥っているのではないかというような指摘がございましたような関係もございまして、青年学級につきましては対象数を半分にしぼりまして、そのかわり、今まで零細化していた補助金を、重点的に約倍額程度に引き上げたという点が第一点でございます。それから、第二点といたしまして、非常に講師の研修というものが不十分であるというような結果が現われておりました関係上、講師関係の研修費を新たに予算に計上したという点で、合理化をはかっておるのでございます。それから、高等学校の産業教育施設費につきましては、施設費よりもむしろ設備的なものが重点だということでございまして、設備の重点化を予算上ははかっておりまして、施設費については若干節約程度落としておるというような状況でございます。以上簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/199
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200・平林剛
○平林剛君 ただいまのお話でもわかるように、各省の課長クラスでいろいろお話しになる、それはあなた方のそういう努力は私は認めておるわけです。補助金の整理統合ということになりますと、なかなか課長たちの意見だけでは動かせられない因果関係がいろいろありまして、あなた方の努力にかかわらず、所期の目的を達せないということになるのですね。だから、これは私は政務次官にも大臣にも特に注意をしていただきたい。政府の閣僚の中にこれらの熱意がなければ、なかなか合理的な解決というものができるはずはないのですよ。特に予算編成のときなどが一番この問題の欠陥になっておると、私は見ているのです。というのは、予算編成を行なうときは、各省における責任者、閣僚たちは、どうしても政党政治の上において重点施策に目を向けられて、その財源の捻出、あるいはその実現のために努力をされて、補助金の整理とか、これらの重要性については認識はしておっても、実際は手が回らないということになっているのです。そうして各省の予算の配分を第一次、第二次、第三次査定をやっていって、最後になると、もう国会に提出期限も迫り、えい、めんどうくさいとは言わないけれども、もうお前のところの補助金は幾らだと、頭から金額を割り振つちまうのですね。各省の方は、割り振られたのだから、それを返上する必要はないというので、この補助金をさらにあまり検討もしないで、従来通り、まあ今まで認められていたのだからということで割り振ると。そこに各委員が熱心に調査をして指摘されましても、整理の合理化が進まないという結果になっているのです。忙しい最中に、もうせっかくもらった予算だからというので、補助金の行政の基礎条件の調査も十分でなければ、認識も不十分のまま、ある慣行、従来こうやってきたから、これは今まで通りというふうに早々の問にきめられていく、ここに補助金の法律が毎年同じようになってくる私は最大の原因があるのじゃないかと、こう思うのですけれどもそういうようなことについての政府は何らかの措置をしなければならぬと思いますが、政務次官、いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/200
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201・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) お答え申し上げます。補助金制度の整理合理化につきまして、ただいま平林委員の御指摘の点は全くごもっともでございまして、補助金の整理合理化が毎年一年ずつ延長されるということは、これはほんとうに変則的なことで、すみやかに恒久的な法律の措置を講ずべきであると私は考えます。これにつきましても、毎年鋭意検討しておるということを申しておるようでございまするが、何分補助金の数も多いし、またその実態、効果について、これを調査するに相当期間がかかっておって、現在まで延引をいたしておったのだと私は思うのでございますが、とうていこれ以上遷延することはできない、そういうわけで、三十四年度から、先ほど申し上げましたように、民間有識者に実態調査を依頼いたしまして、補助金制度の問題点を指摘していただくというふうにしたわけでございますが、これにつきましても、ただいま平林先生御指摘のようないろいろな点もございます。この点につきましては、さらにわれわれは引き続きまして、この変則的な事態を解消するために、さらに現地調査等も十二分にいたしまして、また、ただ事務当局だけにまかすということではなくて、各閣僚が熱意を持って連絡いたしまして、また各省の首脳とも十二分に連絡いたしまして、万事熱意を持ってこの問題の解決に当たりたい、そうして長期的な補助金制度の合理化をはかりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/201
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202・平林剛
○平林剛君 ことし、まあとにかく民間の有識者何名かを選定して、補助金についての調査を実施したということは、私は一歩前進として認めます。だからといって、政府の措置をこれで了解をしたというわけにいきません。しかし、その努力は認めておるわけです。これらの措置は恒久的なものにするつもりか、または別途同じような方向で努力をなさる出窓をされておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/202
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203・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) ただいまのお尋ねの点につきましては、現在のところ、こういうふうな姿において今後補助金制度の合理化について検討を続けたいというふうに考えております。しかし、これが運営につきましては、ただいまの平林矢口の御意見等も十二分に強力に反映をいたしまして今後十分所期の目的を達するように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/203
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204・平林剛
○平林剛君 私は、今後の補助金の実態調査といいますか、今後の方向を見定めるための委員会は、まあ恒久的なものにして運営をしていくということが必要だと思います。しかし、その委員の選定につきましては、やはり忙しい人で十分協力できないというようなことではいかぬ。そういう点は、過去においていろいろ経験をされたことを取捨選択をいたしまして、同時にまた、権威のある人でなければならぬという注文もあるでしょうけれども、その点は政府でも十分配慮しながら、恒久的なものとして育てていくというやり方をとってもらいたいと思うのであります。
同時に、私はこの機会に政府に百要求をいたしておきたいのでありますが、一つ補助金白書というものを出したらどうですか。去年から、まあ白書ブームと言われるくらいに、すべてに白書が出ている。白書の数は、勘定してみたら、十幾つあるのですね。防衛白井、貿易白書、国民何とか白井、労働白書から、まあとにかく白帯と名のつくものが最近のはやりです。ところが、補助金だけは白書が出ていない。私は、この補助金の問題はやはり国民にもう少しその実態を明らかにするために、その前提として補助金白書というものを出していく必要があるじゃないか。まあ去年私はこの点しつこく言いましたら、学識経験者の委員会が発足して、その点は多少意図するところを認めたわけでありますけれども、さらにこれを国民全般に注意を喚起するという意味で、また各省の協力も求めなければならぬという意味で、大蔵省は補助金白書を作るべきだ、こう思いますけれども、どうですか、約束してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/204
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205・前田佳都男
○政府委員(前田佳都男君) ただいまの補助金制度の調査会のあり方につきまして、これを恒久的にすべきであるという御意見、この点につきましては十分検討をいたしたいと思います。さらにまた、この委員の選定にあたりまして、御指摘のように経験のない者がこの委員に委嘱されてもつまりませんから、その点はこれはまた十分注意をいたしまして、委員の選定を考えたいと思います。
さらにまた、補助金白書の発行の点でございますが、補助金白書というような名前のついたものを発行するのがはたして妥当であるかどうかと思いまするけれども、とにかく補助金の実態といいまするか、これを十分研究することに便利なそういう資料を何かごらんに入れたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/205
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206・平林剛
○平林剛君 名前は私はどうでもいいが、最近は白書ブームだから、補助金白書ということでやっていったらいいじゃないかと思ったので、何か他の方法でも、国民全般がこれを読んで、その実態がわかり、各関係各行も、なるほどそうかという点を気づくような努力を、大蔵省は中心になってすべきである。こういう努力がされるまでは、私は文句を言い続ける。法律に対してもどうも賛成しがたいということを申し上げておいて、査問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/206
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207・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 二時まで休憩いたします。
午後零時五十二分休憩
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午後二時二十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/207
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208・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) ただいまから委員会を再開いたします。
先刻来議題になっております補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案にあわせて、関税定率法の一部を改正する法律案及び関税物定措置法案を議題といたしまして、質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/208
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209・野溝勝
○野溝勝君 法律案に直接の関係はあるかないか、ともかくとして、関連をして一つ大臣からお伺いしたいと思います。
目下、貿易・為替の自由化の問題については、産業界に相当話題を投げかけておるのですが、この貿易・為替の自由化に対しまして一番不安を持っておるのは農村、それから小さい企業家であって、貿易の自由化は、政府としては大いに推進をしようということに附議決定をされておるのですが、この自由化を推進すれば非常に国のために何か利益になるという点があるのかどうかという点を、一つお伺いしたいと思います。
それから、それに関連をして、この自由化がはやりものみたいなふうになっておるのですけれども、国際世論が自由化の方向をさしておるから、日本もその方向に乗らなければならぬと申されているが、大臣はたびたび、十有余億ドルの保有ができるようになって日本は健全財政だと強調されている。ドル保有ができて健全財政だと言われておるのに、あえてかような波乱を起こさなければならぬという理由はないと思うのです。こういうような点について、この際、大臣からお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/209
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210・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 貿易・為替の自由化の基本的な問題についてのお尋ねでございます。申すまでもないことでございますが、戦後の各国の経済のあり方、特に自由主義陣営の各国の経済のあり方は、協調を第一に考えております。もちろん競争もございますが、競争をしつつ、国際協調ということを強く主張しておるわけであります。これはIMFの思想にいたしましても、あるいは世銀の思想にいたしましても、そういう考え方であります。この意味では、いわゆる経済のブロック化というものを極端に排撃する。前大戦は経済のブロック化の結果招来されたとまで指摘しておるような状況でございます。そこで、各国とも貿易についての自由化を拡大することによって、国際的に最も条件のいいものを各国が取り入れ得る、輸入の面から申しますれば、原材料等一番安くていいものをどこからでも取り得るようにする、そうして自国の産業の拡大していく。その品国の産業の拡大に役立たすこと、同時にまた、低開発国等につきましても協力して、これを開発していく、そうして国民生活の向上することにより、世界の平和を確保していくという基本的な考え方に立っておるようであります。いわゆる国際経済の動向が自由化の方向だと申しますのは、そういう意味の点をさしておると思います。
ところで、この自由化は、ただいまも申し上げますように、自国産業を拡大していく場合に自国の経済の拡大に役立つと、こういう意味においてこの自由化に各国とも賛成するわけでありまして、従いまして、一国が自由化に協力しないという形をとりました場合に、どういう今度は結果が招来するか。必ず経済鎖国的な立場に置かれる。相手方は、たとえば関税障壁を一国が設ければ、その国から出ていく輸出の品物等について、相手国もやはり、多くとまでは申しませんが、当然それに対して差別的な待遇をする、こういう結果になるわけであります。そういうことを考えて参りますと、今後の経済のあり方といたしましては、今各国がとっておるような、この自由化の方向にわが国の経済を進めていく。その場合に、わが国経済に役立つような方法で自由化を進めていくということでございます。
そこで、ただいま、自由化して非常に因るのは農村ではないか、あるいは中小企業ではないか、こういうような御懸念が出て参るわけでありますが、自由化が非常に進んだ国におきましても、その国の農業生産物について完全に自由化を実施するまでには、相当の時間を必要といたしております。時間を要するばかりではない、幾多の準備を遂げて、しかる上でしておる。これは基本的に、その産業自身が政府から特別の保護を受けなければ仕事ができたいという形のものでございますから、これに対して特別の保護をとることは当然でございます。農林大臣が各委員の質問に答えて、主食を自由化する考えはない、あるいは最近ようやくこれから始めようとしておる酪農製品について、自由化などはまだ考える時期ではございません、かようにはっきり申しておりますのは、ただいま申しますような農産物の特質から来るものだと思います。また、わが国産業におきましても、新しい産業部門でこれから国際競争に耐え得るような力を作らなければならぬ、こういうような産業の面におきましては、もちろん政府はこれに対して保護を加えておりますから、そういうものが直ちに自由化されるということは考えられないのでございます。あるいはまた、中小企業が非常に因るのじゃないかというような御心配もございます。自由化すれば必ず強い者勝ちになって、強食弱肉という結果になるだろうから、中小企業は非常に因る、こういうことを御心配になるようでございます。この点については、為替の自由化の面において特段の考慮を払わないと、外国資本が導入される結果、わが国産業に非常に重大な影響を与える、こういうことも起こり得る。かような意味において、貿易の自由化と並行して、これから計画を進めて参ります為替の自由化の面においては、特に中小企業擁護なり、あるいは新しい産業、これを育成強化するという意味においての特別な指炭を講じていかなければならぬ、かように実は思います。
また、同じく、たとえば今、原綿、原毛の自由化の計画を発表しておりますが、これは来年の四月ということを実は申しておりますが、来年の四月に原綿、原毛を自由化する、どういう結果になるか、もうすでにその影響が現われておるようでございます。今日まで現われたところでは、いわゆる原糸、糸は安くなるという、紡績の糸は安くなる。しかし、製品の面においては今日まだ影響をこうむっておらないようでありますから、いわゆる糸安の製品高とでも申しますか、そういう形になる。この繊維関係の中小企業は主として織物の方の部門を担当いたしておりますから、今日の状況ならば、一部今までの材料手当が行き過ぎだとかということで、非常に苦しい状況に既かれておるものもあるようでございますが、総体として申しますならば、糸安の原料高ということで、織物の関係では、むしろ中小企業の方々は今日の自由化の波に乗っておる、こういうことが実は言えるのではないかと思います。
今後この自由化の方向に進めて参りますために、ただいま申し上げますような、産業として非常に国際競争力の弱いと考えられる部門については、特段の対策を講じなければならない。その一番はっきりするものが農産製品だろうと思います。あるいはまた中小企業、あるいはまた新しく起こる産業、こういうものについての特段の考慮を払うということにしなければならないと思います。同時にまた、もとがわが国の産業を拡大するのに役立たすという意味でありますから、わが国産業に役立ついわゆる原材料等については、いずれの国からでも最も安い良質のものをわが国に輸入し得るような、そういう道を開くべきだと思います。しかし、原材料と一口に申しますが、わが国の産業との競合が非常にあるわけでありますから、ただ、ただいま申し上げますような簡単な抽象的な議論だけでは、これはまかなえるものではないのでございます。たとえば、原綿、原毛ということを申しますると、原綿、原毛ならば、原産地でいい品物、いい原材料、綿のいいもの、安いもの、これを買えばすぐこと足りるようでありますが、繊維関係として必ずいわゆる化繊の関係に重大な影響を及ぼすに違いない。原綿、原毛についての自由化を考えました場合でも、化繊材料であるとか、あるいはパルプであるとか、あるいはソーダであるとか、あるいは硫黄であるとか、こういうものについて一体どんな扱い方をするか、こういうような問題が起こるわけであります。しかも、パルプを自由化すれば、おそらく国内産のパルプ業というものに重大な影響を与えるであろうということが現状でも言えるわけでありますから、そういうことを考えますと、一般的な原則的な自由化ということは、これは私どもも決意をいたしておりますが、これを具体化いたします場合には、その影響するところがまことに広範であり、それぞれの品目について特殊な立場にあると思いますから、その影響度を十分勘案して、それに対する対策を立てるということでなければならない、かように実は考えるわけであります。
同時に、貿易の自由化が進みますれば、当然これとのうらはらをなす意味での為替の自由化というものも並行して進めていかなければならない。その両者の関係を十分調節していくことが必要でありますし、ことにまた、為替の面そのものから見ますと、わが国の金融のあり方は、量質とも国際的な金融のあり方と相当の差違がございますので、これらについての検討も十分していかなければならぬということでございます。
ところで、この自由化は、ただいま申し上げるように、私どもはこれをやらないとわが国の産業が国際的経済から孤立化することになるだろう、そういうことは、そのことはわが国経済を発展さすゆえんじゃない、かように思いますので、十分準備を遂げた上でこの自由化を進めて参りたい。そういう意味で、関係方面で個々の品物等についての具体的な検討を続けておる。ただいままで発表いたしておりますのは、対ドル地域に対する六品目の差別を撤廃するという処置をまず第一に取り上げよう。このドル地域以外においては、これらの品物はすでに自由化された品物でありますが、ドル地域から入ります場合には、たとえばくず鉄であるとか、あるいは精製ラードであるとか、あるいは皮、原皮、大豆、あるいは銑鉄、こういうものはドル地域から入る場合に、これが為替の割り当てを受けておる。しかし、それ以外の場所から入る場合には、今日でもこれらの品目は自由化されて自由に入ることになっておるわけであります。なぜそういうようになっておるかと申しますと、つい最近までは、この一、二年前までは、いわゆる国際決済のための通貨はドルだったということでございますので、ドル地域の貿易というものを特に私どもは関心を持って見ていた。ドル以外のたとえばポンド地域というものについては、なるべく、これも決済上の観点から収支の面をいろいろ気をつけておりましたので、比較的にポンド地域からの輸入あるいは輸出というようなものについては、ドル地域とは差別した扱い方をしておる。ところが、最近は、御存じのように、いわゆる通貨の交換性を回復して参りましたので、もうドルもポンドも、あるいはフランもマルクも、これらに区別がなくなったという状況でございます。従いまして、今日の状況から申せば、ドル地域としからざる地域とを区別することは意味をなさなくなるという状況でございますので、今回はドル地域に対する十品目、もうそのうち四つを実施いたしましたから、残っている六品目、これをできるだけ早い機会に自由化しようということを、実は申しているわけであります。
で、政府におきましては、今年の一月十二日に閣議決定をいたしまして、自由化のおおよそといいますか、非常にラフな考え方のものを発表いたしております。その砕けたものが、ただいま申すドル地域に対する六品目、またその他コーヒー豆、その他比較的軽微な品種約三百種類のものをAA制にするということを、この四月以降するということで計画を立て、その他のものも今後順次具体的な計画を進めていこう。そうして大体今考えられますものは、主食だとかあるいは特別のものは自由化はしばらく手をつけませんから、今考えられるものだけでも、ここ一、二年の間に実施できるものを一つ取り上げてみよう。今一番大きなものは、大豆あるいは銑鉄、あるいはまた来年の四月から実施しようとする原綿、原毛ということでございます。その他あるいは砂糖だとか、あるいは石炭だとか、あるいは石油だとか、こういうものについてはまだ自由化の具体的構想は持っているわけではございません。従来、一部におきまして、政府は三年以内に自由化を非常に進めていくという話が伝わり、ずいぶん動揺を与えているやに見受けますが、ただいま申し上げるように、各品種、あるいはまた各業態、その実態を十分見きわめた上で、この自由化を進めていく。それには、やはり目標を示さなければいけないということで、今日政府はその一部自由化のスケジュールを発表している。しかし、まだ総体的なものは今後の研究に待たなければならないのでありますので、まだ全貌を明らかにする時期ではございません。
一応、以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/210
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211・野溝勝
○野溝勝君 ただいま大臣から大体のお話があったのですが、その程度の話は大体雑誌にも新聞にも出ておりますし、また私の聞く質問の範囲も、実のことをいうと、私も専門家じゃありませんから、学者、産業人の意見であるとか、あるいはそれに関係した書物であるとかというものによってのみ知識を得ているだけでございますから、勢い質問の範囲も抽象的になると思うのでございます。しかし、実際に大小の業界が心配していることは事実でして、今政府としてはさような慎重な態度をとっていると言いますけれども、最近二十六社が増資をいたしまして、百数十億の増資をやったわけでございますね。これは貿易及び為替の自由化の一つの現われだと思うのです。ことに小企業などは激しく警戒ぎみであるし、同時に、増資したというような巨大な会社は、やはり系列でなければ、もうこの貿易なり為替の自由化に処していくことはできないと極論し、非常に系列の整備をしているわけです。こうした動きに対しては、通産大臣からお伺いするのが至当でございますけれども、とにかく一切承知の佐藤大蔵大臣でございますから、その間の事情を一つお答え願い、かつ、そういう事情に対してはどういうふうに具体的に対処しようというのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/211
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212・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 中小企業と大企業との系列化という問題でございますが、これはしばしば言われることでございますが、これは中小企業そのものが大企業に競争する形の場合に、いわゆる系列化が行なわれがちだし、あるいは系列化といかないまでも、提携化が行なわれる。また、中小企業はそれだけで独立してみずからの地歩を持っているものもございますから、そういうものはみずからの力を拡大していく。いつまでも中小企業の地位にとどまらないで、さらに事業を拡大していく、こういうことだろうと思うのであります。私は、この系列化自身を特に不都合だとか、ぜひそうしなければならぬとか、かように私は申しませんが、中小企業のあり方自身から見まして、やはり系列あるいは提携化ということが、大資本と中小企業の間で自主的に自然にきまるものがあるだろう、また比較的独立してやれる立場で今後中小企業が大をなすというものもあるじゃないか。
非常に具体的な例を申すと、あるいはお尋ねの点に合わないかわかりませんが、たとえば造船業というようなものを考えてみますと、この下請産業というものは非常にある。これはもう造船業というものは大きな造船所等で全部まかなうものではございません。これはやはりその造船業と下請業者との間に、順次提携化あるいは系列化が行なわれる、それによって両者が相待って事業の拡大をはかる、こういうふうに私は感ずるのでございます。
問題は、それの意思を無視して、そういう方向でやられるところに問題がある。その経営者の意思を無視しないといいますか、みずからの意思によってその立場が決せられるということが望ましい姿ではないか、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/212
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213・野溝勝
○野溝勝君 この点は、大臣、十分留意しておかないと、問題が相当起こると思うのです。今言ったことは片りんですが、実際小さい企業はおびえているわけなんです。それで、金融関係の方におきましても、この為替の自由化、貿易の自由化がどういうふうに出てくるかというようなことで、非常に警戒ぎみで、むしろ金融は梗塞の状態です。巨大産業の方は、態勢がどんどん進められるのに容易であるし、また円滑に融資も行なわれておるようでございます。そういう事情を十分調査されて、今日中小企業が不安がっている点について政府は親切にPRし、手を打っていただかぬと、問題になると思う。
特に、政府は経済の成長率を謳歌したり、また所得倍増論を盛んにうたっておるわけですね。しかし、経済の成長は、低労働賃金と低農産物価格、それに技術導入、それらの条件が、経済成長の大きな理由となっていると思うのです。この点は学者も同じようなことを言っております。私もそう思っております。にかかわらず、今のようなことで、たとえば産業構造上にあるいは生産上の障害を起こすとすれば、これは大臣の構想も、自民党の政府の構想も、崩壊すると思うのでございます。こういうような点について、経済成長率との見合いの点に対する展望ですね、これをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/213
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214・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 経済成長、これは過去の成長の経過を見ましても、十年をとって見れば、その間に非常に成長したと、こういうことは言えます。しかし、年によりまして、あるいは停滞の時期もあります。ちょうどそれと同じように、一年を通じて見ましても、毎月同じように、同じテンポで上昇ばかりをたどるということにはなかなかいかないものだ思います。ことに、金融のお話が出ましたが、金融などは月々の状況がだいぶ変わって参ります。最近中小企業その他が金融が非常に詰まったという話を聞きますが、これは特に私どもが予想した以上に最近揚げ超になっております。従いまして、資金の不足の面がそういうところにも出てきておるということがございます。しかし、年間を通じて見ますと、まず私どもが計画を立てました線には大体持っていきたい、かように実は確信を持っておるわけであります。しかし月々によってそれぞれの変動のあること、これは一応御了承いただかなければならないと思います。
また、過去の成長率が相当高かったと申しましても、今後は、だんだん経済が成熟して参りますれば、過去のような高い成長水準が維持できるかどうか、これは相当疑問のあることであります。そういう意味で新しいものを絶えず工夫していかないと、高い成長率を維持していくことはなかなか困難であります。非常に経済が進んで参っております。たとえば、アメリカであるとか、あるいはイギリスであるとか、こういうところの経済の成長率の伸びの低いのは、もうただいま申し上げるような点にある。いわゆる経済が相当成長して参りますと、それ以後の成長率は鈍化するということは、これは普通に考えられることであります。
でありますから、今後のいわゆる所得倍増計画というものを考えて参ります場合に、わが国の産業の特殊性も十分考えていかなければならぬ。ただいま御指摘になりますように、新しい技術の導入がいわゆる産業の拡大に非常に役立った、こういうことを御指摘になりましたが、その通りだと思います。今後もおそらく新しい技術の導入が行なわれるでありましょう。あるいはまた、産業構造自身についても工夫し、ある程度変わっていかなければ、いわゆる所得倍増計画もなかなか遂行が困難なのではないか。これは各国の人口構造などを比較してみますと、いわゆる先進工業国というものの人口分布状況と、いわゆる農業のところとでは、非常に人口分布が違っておるわけでございます。そういうような点が、今後のいわゆる所得倍増計画を進めていく場合の一つのポイントになるのではないか。農業の場合だと、今農林大臣が見えておりますから、おそらくお話しになるだろうと思いますが、時間と土地に限られているとすれば、これに多数の人がついてきておりまして、そして個人当たりの収入が今のままでこれが倍増するということは、なかなかできないことだろうと思います。あるいはまた、石炭産業なら石炭産業というものを、現在あるがままの姿で十年間に所得を倍増する、これなども考えられないことであります。私ども今言っております国民所得倍増というものは、国民総生産において倍増するということであります。各部門とも平均して倍増するというわけのものではない。これは一つ御了承いただきたいと思います。そういう意味では新しい産業構造というものも考えなければならぬでしょうし、あるいは労働力の分配についても、やはり十分考えなければならぬだろうと思っております。
ただ、先ほど来低賃金ということを一言言われましたが、私は今、日本の賃金が十分だとか、こういう意味で申すわけではございませんが、賃金を比較することは非常に困難だということを一応指摘だけいたしておきたいと思います。同じ自由主義経済国でも、この賃金だけを比べることは非常に困難だ。ましてや、経済遂行の基本的な考え方が違ったり、あるいは政治形態が違ったりしているところの国との賃金の比較は非常に困難だ、これはむずかしいことだということを申し上げて、ただいまの低賃金というものについて、どういうお考えなのかわかりませんが、私は直ちに何でも低賃金ときめてかかることには、必ずしも私は賛成しかねるということだけ保留させておいていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/214
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215・野溝勝
○野溝勝君 時間の点もありますので、お答えの端を取って、それに対して質疑の論戦をしようとは思いませんけれども、ガットの国際会議においても、各国代表から日本の低賃金に対しましては異口同音に主張されております。この点、一々数字でもって論戦をしませんけれども、政府も十分反省してしかるべきだと思うのです。あとで時間があれば質疑をすることにいたします。
そこで、お伺いをしておきたいのは、特にわが国の経経の方向というものが、過剰投資と二重投資、すなわち設備投資のこれらの形をとっております。これは今後の貿易の自由化の際にはどういう方向へ投資方針をやろうとするのでございますか、この際、大臣から一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/215
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216・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのは、設備投資の面についてのお話かと思います。この自由化で一番心配しなければならないのは、ただいま御指摘になりますような自由な立場になっての、競争の激化であります。過当競争というものが、自由化を推進していく場合に非常なまずい結果をもたらす心配がある、かように私どもは考えております。従いまして、業界に対する自主的な調整を強く要望いたしておりますが、これはなかなか自主的な調整というものにも限度がありまして、なかなかほどよいところではとまらないのじゃないかと思います。もちろん、競争のあることが経済の拡大には役立つのでありますが、ただいま申し上げるのは適正な競争でなくて、不当競争あるいは過当競争、これはどうしても排除していかなければならない。そういうことを考えて参りますと、設備の投資が過大になるとか、あるいは設備投資の競争が起こるというふうな場合に、最終的には金融でそういうものについても十分の検討をするということ以外にはないのじゃないか。こういう意味で、私ども、金融機関に課せられる使命は非常に重いですよ、ということを実は申しております。ところが、金融機関にいたしましても、地方はやはり自己経営のために競争いたしておりますから、これもやはり自主的にうまくいかない。やはり中央銀行を通じての金融のあり方、それを絶えず監視して、そうしてむだなことのないように、過当競争に陥らないように政府が絶えず指導していく要があるのじゃないか、かように実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/216
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217・野溝勝
○野溝勝君 その指導していく用意が大事であるし、またそれの具体的な裏づけがなければ、先ほど大臣のお話しになった程度では不安だと思うのですが、それについて政府では有識者を網羅した総合政策委員会ですか、研究会を作ったわけですね。貿易自由化、為替自由化について、委員会の有力なメンバーの意見として答申をされたわけですね。それは四年間に大体貿易・為替の自由化を完成するようにという方向を出されたわけです。しかるに、政府の経済企画庁では、三カ年計画の案を出されているのですが、政府の策定した委員会の諸君は非常に不安であり軽率であるということを言っておるのでございますけれども、きょうは経済企画庁長官がお見えにならぬから、大臣から承っておくのでございますが、その間の事情、並びに自信のほどを一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/217
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218・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、四年間に自由化する、そういう答申が政府にあったのじゃないかという御指摘でございましたが、これは政府の関係の機関ではございません。いわゆる民間団体において、自由化をやるとして民間側におけるスケジュールを立てられたものが、ただいま四カ年間で完全自由化をやるという計画のようでございます。
政府はただいま、企画庁を中心にしての自由化についての諸計画を進めることにいたしております。一部、三年云々というふうなことが出ておりますが、これは先ほど来申し上げますように、内容といたしましては、農林大臣ここにおられますが、主食はやらないとか、あるいは酪農製品はやらないとか、あるいは石炭、石油、あるいは砂糖などはやらない、また為替においても円為替の導入などはまだ当分やるのじゃない、かように実は申しておるような程度でございます。ところが、今の民間の四年の計画のものを見ますと、四年後には主食までも自由化ができるというわけでございます。あるいはまた、為替の面におきましても、もう極端な、何らの制限のない完全自由化を計画するものでありまして、民間の方がよほど進んでおります。政府が申しておりますのは、今日の状態においてまず自由化いたしまして大して影響を与えなくて、非常な基本的な準備をしなくてもまずやれるだろうというのを、今政府は取り上げておる。それで、一段、こういう自由化をなしくずしでやるといたしましても、まず手初めにどの程度やれるものかを一応考えておかないといかぬというところで、まず三年間でやれるくらいのものを一応計画してみようということを実は申しておるのであります。民間のいわゆる四年と、政府が三年と言っておるものとは、もう全然内容なりものの考え方が違っておる。従いまして、私どもは民間の方々が知恵をしぼられた四カ年計画でありますから、それだけの準備ができれば非常にけっこうでありますが、私ども政府の担当するものから見ると、あの民間が計画されるような自由化は、私どもは、三年ではもちろんのこと、四年でも私どもはできるとはまだ考えられない。そういうように中身に非常に相違があります。
この点が非常な誤解を受けて、政府は、民間がこれを四年でやろうというものを、三年でやろうという、大へんに心配だということを言われておりますが、内容が全然違っております。あれほど突き進んだ自由化は、まだ政府のだれ一人も考えておらないということだけ御披露いたしまして、この民間の、三年の考え方は非常に心配だという、この批評が当たらないことを指摘いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/218
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219・野溝勝
○野溝勝君 今の政策研究会の貿易自由化関係の最後の金融問題の論戦、質疑だけでも相当時間がかかるのでございまして、これは後日またお伺いするといたしまして、ただ、この際、政府、特に大蔵大臣に考えていただきたいのは、ただ議会答弁というだけでなくて、実際重大なる経済革命です。それで、前国会でも私は申したのですが、東南アジアの開発にあたっても、ただ円の延べ払いだとか、あるいはコマーシャル・ベースだとか、いろいろなことを言っておりますが、その程度では各国との競争にはなかなか勝てない。実際、太刀打ちが容易でないのですね。ですから、まあ考えようによっては自由化ということも考えられるのではあるけれども、それにはもろもろの準備ができているか。ようやく軌道に乗った日本経済が、一朝間違えると、せっかく国民が犠牲になってためたドルをアメリカその他の国に吸収されちまうことになる、実際のことをいうと。だんだんと向こうから大資本が入ってくる。合弁組織ができてくる、そしてそれが日本経済の支配力を握り、からくりによってどんどんとドルが日本から出ていくということになれば、せっかく大蔵大臣が今まで努力をしてきた日本経済というものが、あぶなっかしくなるのですね。そういうような点については、私は答弁は要りません。要りませんが、これは大臣、議会答弁だけでなくて、真剣に考えなければならぬと思うのです。学者の意見なども、これはただ学者だということだけでなくて、アメリカから何か押えつけられた一つの経済政策だというようなことも言われておるのですけれども、この点は今のような点を心配しておるのじゃないかと思うのです。そういうような点について真剣に考えていただきたい。
さらに、中共等隣国の貿易もできていないときに、貿易の自由化といいましても、為替の自由化といっても、むずかしい。イギリスあたりは中共、ソ連、日本に対しては特別扱いをしておるわけですからね。先般、私は東南アジアから豪州、ニュージーランドに行ったときにも、オーストラリアでさえも日本品に対してはやっぱり特別扱いをしておるわけです。こういうときに、ガットの会合において自由化の意見が出たから、自由化をしなければならぬというのは国際世論だということで、抽象的に受けて、うっかりした結果はどういうことになるかということを、非常に案じておるものです。その点に対して、先ほど来大臣はそういうことのないように慎重にその対策を立ててあると、こういうのですが、それにいたしましては、今国会に関税政策においても関税暫定措置法案、それから定率法の一部改正案が出されているのでございますが、この程度では国際的な経済措置としては問題にならぬのでございますが、その対応策について考えておったら、この際大臣よりお話を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/219
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220・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、野溝委員から御指摘のありましたことは、私どももいろいろ心配でございますから、十分対策を考えるつもりであります。たとえば、今のドルの流出というような点について、為替の自由化をしたらそういう結果になるのじゃないか。——ただいまのところから申しますと、そういう心配がもちろんあります。そういう意味で、為替の自由化にいたしましても、まず取り上げますものは経営取引の自由化であります。いわゆる資本導入についての自由化は、二の次三の次といいますか、これは最終的でなければできないことであります。ただいままで相当、大蔵省も中心になって為替の自由化の方向で努力をした。海外の旅行者の持ち出しのドルをふやしたとか、あるいは海外送金の範囲をふやしたとか、あるいは商社持ち高の集中制を整えたとか、あるいはドル計算の指定商社の数をふやしたとか、もちろんやっていることはございますが、とにかくドルの持ち出しを緩和したと申しましても、在来三十ドルだったものを今度ようやく三十五ドルにした、これなどは自慢のできる程度じゃございません。それほど実は慎重にいたしておるわけであります。従いまして、資本導入ということになれば、特に私どもは注意しなければならないということでありまして、いわゆる経営の取引の面においての措置を順次拡大していく。最近輸出輸入のユーザスンをさらに活用できるようにしたらどうかと。ただいま申し上げるような点がまだまだ軽微なもので、今ようやくそういうものも、今までとめていたものも緩和の方向に向かったという程度であります。
従いまして、この自由化におけるテンポというものは非常に、私どもの考えているのはのろいのであります。ところが、自由化が叫ばれますと、非常な急テンポで自由化の方向に行くのではないか、その結果はこういう心配がある、これはまずいじゃないかというお話を、しばしば聞くのでありますが、私どもは慎重だというのは、自由化のテンポはできるだけゆうゆうと——とは申しませんが、一部で考えられるような速いテンポでないということだけを、一つ御理解をいただきたいのであります。
同時にまた、関税の問題につきましては、この国会に出して御審議をいただいておりますもので関税政策が十分でないことは、これはもう百も承知であります。これはただ単に、いわゆる暫定的な、ほんとうに暫定的な措置を今御審議をいただいておるのであります。私どもは、この機会に関税率についても全面的に、また関税品目についても全面的にこれを改正するつもりでおりまして、関税率委員会の委員を充実し、ここに常任委員制度を設けて、そうして全面的な改正にただいま着手したばかりであります。これを次の国会におきましては全部の御審議をいただくように、ぜひともしたいと思います。そういう状況でございます。その際には、先ほど来御指摘になりますような、いわゆる保護関税を作るのでは自由化の目的を達しないことになりますが、わが国産業の現状を十分勘案いたしまして、国際競争力の弱いものに対しての保護的な措置としては関税法以外にはない、これを十分考えた上で措置して参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/220
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221・野溝勝
○野溝勝君 大蔵大臣にもまだいろいろお聞きしたい点がありますけれども、同僚委員の質問もあると思いますし、農林大臣もお見えになっておりますので、私は農林大臣に二、三お伺いいたしまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
農林大臣にお伺いするのですが、貿易の自由化、為替の自由化にあたって、農林当局も農民、農業に影響することに対して心配されておるようですが、特に一番問題の中心となったのは大豆でございますが、大豆は一応は自由化すると言っておったのでございますが、それはまたやめることになったというのでございますが、その間の事情はどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/221
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222・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 自由化の日程というか、プログラムを考える場合におきまして、一番最初に問題になりますのは、すでに原則的には自由化をいたしておりますが、ドル地域について例外的に制限しているという品目はあるわけでございます。これはまあ十品目あるわけでございますけれども、そのうちで私ども農林省関係の物資が六品目ある。そこで、自由化といえば、何よりもまずその対ドル差別物資というのを自由化する必要があるということになるわけです。その六品目の中に、まあ大豆があるわけなんです。ラワン材、それからマニラ麻、油脂、ラード、牛皮、それから大豆、こういうことなんです。そういうふうに対ドル差別品目の自由化をすることがまず第一ではないかというので、一月十二日の閣僚会議におきまして、まずそれをやろうということをきめたわけであります。
その順序をきめたわけでありますが、まずラワン材と、それからマニラ麻、これは一月にやろうというので、すでに実行しております。それから、四月一日にラードと牛皮をやろう。もっとも、ラードの中では粗製ラードだけです。精製ラードにつきましては関税問題がありますので、これが落差してからやろう、こういうことであります。それから皮革につきまして、これは国内の生産者には関係ありませんけれども、加工業者に若干の影響がありますので、それの調整をとった上でこれはなるべく早くやりましょう、まあこういうことなんであります。最後に、大豆を十月ころまあ自由化するという段取りにいたそうというわけであります。これを一月十二日の閣僚会議で段取りとしてきめたわけです。
そこで、その際、大豆につきましては、しかし対策が要るのではないかということでございまして、私からこの会議に、対策としてこういうことをいたしたいという提案をいたしております。それは考え方が三つあるわけでございまして、その三つの考え方いずれでも農林省としてはよろしいから承知せられたい、こういう提案でございます。で、第一案は、現在大豆には一〇%の関税がかかっておるわけですね。それに対しまして、さらにほぼ同額の関税または課徴金をかける、そうしてそれを財源といたしまして国産の大豆を政府が買い取るかあるいは代行機関に買わせるか、そういう国産保護の措置を講じましょう、こういうことです。それから、第二案といたしましては、それと逆に、一〇%の関税はそのままにしておきましょう、そのかわり佐藤大蔵大臣において新たなる財源を別途調達をいたしまして、必要なる政府の買い取りまたは代行機関に渡す財源を調達してほしい。それから、第三案は、その折衷案でございまして、課徴金ないし関税は、一〇%の上にさらに一〇%ということでなくてもいい、その半分以内でもよろしい、そういう折衷的な考え方です。
この三案につきまして、同じ、共通したところは、いずれの案におきましても、国産の大豆につきましては、政府が買い取るかあるいはその価格の差額を補給するか、そういう今までの農家の所得を補償するという考え方でございまして、これは三案とも共通であり、またそういう措置をとるべきものである、こういうことにつきましては、閣僚会議におきましては何人も異存がありませんでした。ただ、三案が違うことは、そのための財源をどういうふうに調達するかということになるわけであります。私どもが、その第一案として、新たに関税をかけよう、あるいは課徴金をとろうという案になりますと、これは大蔵省の方は新規の財源は別に別途調達するという必要がありませんから、大蔵大臣なんかはこれは賛成してくれるわけです。ところが、新たなる課徴金をとって、あるいは関税をかけて、そうして多少油の値が上がるというようなことになると、これは通産大臣としては異議ありというようなことになりまして、その財源措置についてまだ政府間において意見の一致を見ないのです。そういう状態に今日あるわけであります。でありますから、十月に自由化を実行するということにいたしますためには、そういうような国内産の大豆の価格を保証するという意味の措置、すなわち予算案と法律案が要るわけなんです。これが成立しない限り、この案は実行できないのじゃないか。もし十月にどうしてもやろうということになれば、今国会に予算案と法律案を出さなければならぬということになるわけでありまして、まだ意見の調整を終わらない段階である。かようないきさつになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/222
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223・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 速記をとめて。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/223
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224・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/224
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225・野溝勝
○野溝勝君 今の農林大臣の大豆に対する考え方ですが、問題は、割当制を今までやってきた、今度は割当制でないようなことになれば、結局、今の生産状況がほとんど大部分が国外の大豆に依存しているわけなんですね。それで結局、国内の大豆奨励をやっても、なかなか国民生活の必需量の解決などはとうていおぼつかないと思うんです。ですから、その間の需給調節の構想というものを一つあなたから聞いておいて、それでそれに対する一つの対策というものを示してほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/225
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226・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お話、まことにごもっともなる点なんです。私どもといたしましては、ただいまの大豆のあり方というものに満足をいたしていないのです。今商品としての大豆の需要はその八割を国外から充足いたし、それから二割を国産の大豆に依存している、こういう状態になっているんです。しかも、国外のものは非常に格安であり、しかも内容がいい、こういうことになっておりまして、価格並びに質の点から見まして、国産の大豆はとうてい太刀打ちできないのです。従って、また逆にそこに値幅が出てくる、こういうような状態です。これを何とか改善いたしたい。それがやはり、一つは、あなたが先ほどから大蔵大臣に言われている所得の増加問題というのにもつながってくる一つの問題でございます。さようなことで、私どもは大児の品質を向上しよう、生産性を向上しようという政策を、大いにこれは進めなきゃならぬというように考えておりまして三十五年度の予算でも大豆の敵である土壌線虫というようなものに対しまして、相当大規模に駆除政策を始めるというようなことは、そういう考え方に立脚いたしておるわけでございます。
この上とも努力いたしますが、とにかく国産大豆は三千二百円だ、外国の大豆は二千四百円だと。それだけの違いがあるんですから、これは一挙にとてもそういうところまで日本の大豆を持っていくことはできません。その上に質の違いもあるわけであります。そこで私どもは、一方においてコストを下げる、すなわち生産性を向上するという努力もいたしまするが、しかし、同時に、これを保護するために、自由化下におきましては、政府が、今まで出回っておるところの商品大豆につきましては、全部これを大体現在の価格をもって買い取ると、こういう措置は講ずべきである、こういう考え方をいたしておるわけです。ですから、恒久対策、また応急対策と相待って、大豆の問題を解決していこう、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/226
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227・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、福田君、君、八割から外国に依存しておるのだから、国産を奨励したところで、とてもそれは一年や十年には解決はできない。そうすると、とりあえず恒久対策と応急対策という所見なんですが、それはけっこうなんですが、その場合ですよ、今の大豆輸入に対しましては、結局割当をしないということになれば、一応これは大蔵省、通産省との関係もあることでございますが、今後外国大豆についてはAA制にしていくのか、その点を一つ今の考え方を、どちらの大臣でもよろしゅうございますから、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/227
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228・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは、今大立はドル地域以外はAA制にすでになっておるんです。ドル地域だけFA制にしておる。これをドル地域につきましてもAA制にしようと、こういう考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/228
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229・野溝勝
○野溝勝君 その点はわかりました。そこで、一つお伺いをしたいのでございますが、先ほど大臣が品われたように、質の点においても、価格の点においても、問題にならぬという事実ですね。それを現市場価格で買い上げろというようなお話なんでございますが、その場合、今の大豆はどこが一体保管をしておるのでございますか。一応集荷しておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/229
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230・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは全販連です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/230
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231・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、全販連の手持ちというわけなんですが、全販連はこれを農家から買い入れるときの値段はどのくらいでございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/231
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232・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは時によって違いますが、大体平均しますと、三千二百円ぐらいになっていますか。詳細のことは存じませんが、三千二百円がらみ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/232
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233・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、先ほど大臣の御答弁の中には、アメリカ品が、外国品が二千四百円で日本品が三千二百円というと、大きな格差があるのでございますが、それを一つ日本値で買えということになりますと、その間、業界との間の調整ということになるのですか、あるいは政府出資ということになるのですか。どういうような一体ことになる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/233
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234・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) つまり、アメリカ大豆は、日本の港渡しの値段が今二千四百円ぐらいでありますが、それに一割の関税がかかっておりますから、二千六百円内外ということになるわけです。そこで、今輸入を制限しているものですから、必要量が非常に少ないわけですね。その少ない量を国産で補っているというのが現状でございます。従って、国産品はわずか二十万トンぐらいなものでございますが、これに対する需要度というものは、不甲のものを補うのでございますから、非常に強いわけです。そこで、国産大豆の値段というものが支持されるということになりまして、三千二百円あるいけ三千三百円というような相場が出てぐるわけなんです。それだけ、国産と輸入と両方合わせなければ十分でないように、輸入を制限しているという現状なんです。今度は自由化しますと、幾らでも大豆は入ってきます。そうすることになりますると、今度は国産の大豆が今までの二千六百円という外国の大豆の値段まで下落することになるわけでございまして、その下落する、まあかりに二千六百円としますれば、その価格と今まで農家が売っておった三千二百円との差額を政府が補給をしようと、こういう考え方になるわけでございます。全販がかりに買付に今まで通り当たるというようなことでありますれば、全販に対しましてその価格を交付金として渡すというような仕組みをとろうという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/234
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235・野溝勝
○野溝勝君 先ほど農林大臣がお話しになったように、この大豆の輸入については、たしか岸第一空次内閣のときに、池田氏が大蔵大臣だと思ったのですが、そのときに、本委員会での提案説明には、特に関税をつけることにしなったのです。大体百万トンの輸入ということで、一トン四万円、四百億、関税率はその一割という大体めどでしたから、四十億、その四十億関税をとっておってですね、それで一体その大豆の生産者の方にその金を回したら、私は簡単に片づくと思うのだが、取り上げたきりその金をどこへ使っているのですか。それはやはり一般会計へ入っているのだろうけれども、今、瞬間タッチで、税法上わけのわからぬ課徴金制でやるよりも、そのうちでもってオペレーミョンができると思うのですが、その点はどうですか、両大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/235
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236・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは、お話のように、一割関税を当時とった。そのとる目的は、大豆の生産合理化や価格支持のためにこれを使おうという趣旨であったわけです。ところが、その直後に、三十二年でございましたか、日本の外貨事情が非常に悪くなりまして、もう自由化なんかやっていられないということがあって、取りやめになったわけですから、お話の通り、四十億円は国の一般財源になって、これがいろいろな目的のために一体として使われていると、こういうことなんです。
私が先ほど、第一案、第二案、第三案というふうに冒頭に申し上げましたが、第一案の考え方は、新たに課徴金関税をとろうという考え方ですが、第二案として申し上げたのは、ただいまお話の一割関税に相当する額をこの財源に使ったらどうだ、しかしそれはもう使ってありませんから、それに相当する額を大蔵大臣が物色したらどうだ、こういうことなんでありまして、まあ沿革的にいえば、その四十億の一割というやつは、大豆のために使用すべかりしものであるけれども、今は一般財源の中に溶け込んでいる、こういう状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/236
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237・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、農林大臣が説明した通りであります。問題は、あの一割関税をかけた際に、大豆をそのまま自由化しておれば、今日新しい問題は起こらない。ただいま申し上げますように、一たん自由化に踏み切って、それで関税を上げたわけでございますが、国際収支の関係で、それを取りやめたということでございますので、今度は新しいやはりその後の事情の変化もございます。いわゆる価格構成の面においては、一応、関税をとったところで、大豆の値段は今度はでき上がっております。そういう意味から申しまして、やっぱり新しいものを考えざるを得ないのじゃないか、こういうことでございます。今、農林大臣も申しております一案、二案、三案、そのうちのいずれをとるかということを今後十分相談していくというただいまの段階でございますが、この席で、どの案に賛成だ、どれはいかぬとか、こういうことを申し上げることだけは差し控えさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/237
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238・野溝勝
○野溝勝君 最後に質問をして、質問を打ち切りたいと思うのですが、農林大臣が日本の農村の状態をよく理解されまして、今回の自由化の問題については真剣に検討されておるということを聞きまして、ある程度の期待を持っておるのでございますが、この上とも一つ、期待が満足になるように努めてもらいたいと思います。特にこの間のガットの会議などに来られておる外国の諸君が、日本農業は保護政策をやっておるとか何とか、農村は保護政策の温室だとか言っておりますが、あれは日本のおい立ちをよく知らないのでございまして、実際、大臣が言われるように、すべての農産物などは価格保証がされておらぬ。生産費所得の補償もできておらぬ。労働者でいう最低賃金ほどにもいかない要求をしておる、これすら、まだきまっておらない事情のもとにおいて、ここで農産物が安いとか何とかということはほとんど当たらぬことなのでございます。こんな世論に政府が動かされて、保護政策をとつておるなどと誇称したら物笑いです。保護政策じゃないのですよ。あれは徳川時代の遺制である。百姓は生かさず殺さずというのであって、維持政策というのです。資本家が保護という言葉を政府に植え付けておるものだから、政府も真に受けては、だめだ。よく味わって下さい。
それですから、特に福田大臣が努力中でございますが、大蔵大臣がちょうどおられる際でございますから、申し上げておきます。どうか一つ、農産物の価格に対しては所得補償の方式を、満足にまでいかなんでも、その線に一つ最大の努力を願いたい。この点について明確なお答えをいただいて、さらに最後に申し上げておきたいことは、この大立もほとんど必要の二割ぐらいしか生産できない。石油なぞにおきましても、石油資源開発法がありながら、外国に依存して、生かされていない。御承知のごとくです。政府は最近安易な輸入ばかりに全力をあげてしまって、一つも資源の開発に力を入れない。こういう点についても、国民生活の必需物でございますから、ぜひ一つ政府の諸君も真剣に考えて、生増産に対してどういうところに欠陥があるか、どういうところに力を入れなきゃならぬかという点をまず考えてもらって、円内資源の培養と生産増強という点について、予算措置などについても特別な配慮をしてもらいたいと思うのでございます。
以上、二つの点について、むしろ意見が多いのでございますが、せっかくこの際でございますから、一つ両大臣に誠意のあるお答えをしてもらって、私の質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/238
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239・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 最近、農家の所得が都市に比べまして若干低位になってきたということは、大へん私も心配しておるのです。そこで、先ほどもお話がありましたが、所得倍増計画というような日本の経済力を大いに拡大しようという計画の中におきまして、これがその総ワクで実行されるということで満足してはならぬ。これはどうしても農家の、また中小企業の、そういうものが肩を並べて、他のものと一緒に所得の拡大ができる、こういうことが確保される内容を持たなければならぬというふうに考えておるのです。
最近におきまする農家の動向を見ますると、近年、豊作々々いとわれておる三十一年から三十四年、昨年までをとってみますると、大体総生産において農業生産が四・三%ぐらいふえておるのです。それから、他の鉱工業の方が発展があるものですから、それに農家の人口が流れていきます。その結果、二三男を吐き出し、その上にさらに吐き出しまして、総人口といたしまして一・二%ずつこの期間においては減っております。従って、農家一戸一戸の所得としてこれを見る場合には、実に五・五%の所得の増加を来たしておるわけなんであります。これが十年続くということになりますれば、六割を相当上回る所得の増強になる。そういうような過去のことも参考にしながら、今後農家の所得が他の産業に比べて均衡がとれるというところを補償していきたいというのが、私どもの農政の根幹でありまして、それには価格政策ももちろんあります。今、所得を補償しろというようなお話でありまするが、経済の大きな筋道と違った行き方もできませんが、お話のような点はもちろん頭に置きまして対処していきたいと、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/239
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240・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま農林大臣から非常に理解のあるお話でございましたので、野溝委員、御満足だろうと思います。私ども政府といたしましても、また与党といたしましても、農村問題につきましては絶えず特別な関心を払っております。過去におきましても、農林関係の予算等につきましては十分私どもも理解のある点を示したつもりでございますが、今後におきましても、与党側の要求も非常に強いのでございます、十分予算編成にあたりましてはただいまの御意見をも含みまして、この上とも努力して参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/240
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241・野溝勝
○野溝勝君 これは速記の方、訂正していただきたい。私が大臣の答弁に満足したという表現はまことに困るので、この点、取り消しておいて下さい。大臣が努力するという抽象的な答弁に満足というわけにはいきませんから、大蔵大臣の方からどうぞ、記録に残ることでございますから、一つ取り消していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/241
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242・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) その点は、委員長のお取り計らいに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/242
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243・野溝勝
○野溝勝君 それから、最後の希望ですが、何かもの申すと、予算がないということで大蔵当局の意見がすべてを支配するようになって参りますから、今農産物価格は生産費所得補償の点については農林大臣の意見に対しても十分理解を持たれ共鳴されたようでございますから、この点は全国の生産辰民の希望にこたえるように努力を強く要望して、私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/243
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244・木村禧八郎
○木村禧八郎君 二つ質問いたしたいのです。今の大豆のお話で、この十月から自由化するということが発表されてから、大豆の値段がずっと下がっておりますね。大体昨年の一月は一俵三千五百九十五円、それが本年一月は三千二百八十円、二月が三千二百十六円、三月十五日が三千百円。政府の支持価格は三千二十五円でしたね。支持価格に近づいてずっと下がってきていますね。このままほうっておきますと、自由化する前に相当やはり問題があると思うのですね。御承知のように、特に北海道が大豆を作る農家が多いわけですね。年間四十万トンのうち二十万トン自家消費として、北海道が大部分。十三万戸なんです、大樹作りが。これの手当てをどうするか、問題はそれなんです。
第二の問題は、先ほど農林大臣は、三つの自由化した場合に対する対策を示しましたが、ガットの関係はどうなりますか。御承知のように、ガットとの関係では、ガットの第二委員会、いわゆる農産物輸入制限審議機関、この第二委員会で問題になるのじゃないか。というのは、いわゆる関税類似行為として関税以外の方法によって差別待遇をしてはいけない、こういう規定があるわけですね。そうしますと、さっきの瞬間タッチ方式等いろいろほかにありますが、これは私問題になるのじゃないかと思うんですよ。この点が一つ。
それからもう一つ、まとめて伺いますが、今ラードの関税の引き上げが問題になっていますが、このラードにつきましては、提案理由の説明で、これからガット協定の関係から交渉妥結を待って実施されるということになっているのですがね、そうしますと、これを交渉する場合に、いわゆる譲許条項というのがありますね、コンセッション、それにラードの関税は引き上げるが、今度それに何かかわるものについて関税を引き下げなければならないのですね。譲許条項があるのです。その場合には、何かの関税を引き下げることが交換条件として問題になると思うのです。ところが御承知のように、今日本の関税は大体低いですから、占領政策時代の関税ですから、そこで、じゃ、何を、このかわりに引き下げるかという、そういう問題も起こってくると思うんですがね、この三つについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/244
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245・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 第一の大豆の値段でございますが、大豆の値段の推移、これは全くお話の通りでございます。最近は三千百円くらいのところに下落いたしまして、全販連は多量の大豆をかかえて、農家の立場を考えて、今弱っているわけであります。そこで、それはどういう事情で起こってきたかということを考えてみますると、油脂メーカーが相当多量の外国の大豆を手持ちをいたしております。そこへ持ってきて、さらに船積みなんかの関係上、最近におきまして大豆が日本に入ってくるというような傾向があるわけです。これはまあ当初貿易計画できめましてその通りに動いておるわけですが、時期的なずれがあるのです。そういうような関係が国産の大豆の値段に響いておる。すなわち、外国の大豆を一ぱい持っているから国産なんか要らぬというような事態になっているわけです。これが地本的な問題だと思うのです。大豆の自由化の問題は、私は一つは価格を下げる方の影響に響いている面があるかと思うのであります。それはどうせ自由化になるんだから、国産なんか使わぬでも、十月からは多量の豊富低廉の外国産が入ってくるから、もう国産を買うなということになって、そういうネガティブな影響を及ぼす面があると同時に、逆に自由化になれば国産は三千二百円で維持されるわけでございまするから、この国産大豆におきましては、その面からは今度ポジティブな影響を持ってくるというふうなことになってくると思いますが、どうも今の状況とすると、現実の問題として値が下がっている。
そこで、今私どもはこういうことを考えているわけですが、さしあたって昭和三十五年度上半期の輸入計画、貿易計画を作るその際に、大豆の割当を受けんとするものは、国産大樹の方は三千二百円とか、そういう適切な値段で買ってほしい、こういうことを業界に申し入れております。今その問題で業界との間ですったもんだというか、折衝をいたしておる最中であります。国産の大豆が急に値下がりをしておりますが、何とかこれがさようなことのないようにというふうに努力をしたいと思っております。
それから、ガットの関係でございまするが、これは当面、日本といたしますると、これは外貨の不足というか、日本の外貨事情に心配があるということをたてにとるというか、それでいかなければならぬと思います。もとより、ガットの例外条項といたしまして農産物が適用になるケースが二、三ありますが、それを援用するまでもなく、十三億トルくらいの外貨で今日本は安心できませんから、そういうことをまず正面に第一位にあげまして交渉に臨もうということかと存ずる次第であります。
それから、その場合に譲許交換的に向こうに与えるものはどうかという問題でございますが、これは大蔵省なり通産省なりに広範な物資がありますので、その方でまあたくさんいろいろありますので、何とか繰り回していただける。またそういうようなことで、具体的に何とも申すことができませんけれども、必ず達成できる、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/245
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246・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、その値段の方は私申し上げられません。ただいまの支持価格で結局国内大豆が困るというのは、支持価格制の当然のことと思います。だから、一応支持価格以上相当高値になっているというのは、先ほど来農林大臣が説明しているような希少価値というか、そういう意味でできるのだろうと思いますが、支持価格自身が適正であれば、この支持価格で国産大豆が困るということであってしかるべきじゃないかと思います。
それから、もう一つの再交渉の問題でございますが、当然これが関税率を上げたり、あるいはまた瞬間タッチも同様だと思いますが、再交渉を必要とする。その場合には相手がアメリカということになります。大豆についてもそうですし、ただいまのまたラードについても、新しい関税率を設けますれば、やはり再交渉ということになると思います。そういう場合に、当方で他のものを下げるということもございますが、アメリカが日本商品に対して関税を課しているものもございます。そういうものとの比較検討といいますか、そういうものとの引き合いにラードの関税引き上げを了承さす、こういうことを考えているわけであります。当方から行っておりますもので最近問題になっておりますものは、たとえば体温計であるとか、あるいは洋食器とか、そういうようなものの関税を向こうで引き上げているものもございますが、そういうものの一部を承認するというような、やはり金額的に十分折衝をする材料はあるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/246
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247・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私はこれで質問は終わりますけれども、今後自由化してくる場合に、やはりガットの関係が、簡単になかなか関税だけでこれをカバーできないと思うのです。それから、かりに大豆は保護できても、いろいろ連鎖反応してくる影響がありますね。たとえば大豆油が下がると、菜種油が下がる。菜種の方が問題になる。そういうような連鎖反応的に影響をして参りますから、そういう点については、特に農産物関係、これは非常に重大だと思いますけれども、そういう連鎖反応的な影響についてはどういうふうにお考えになっているか、最後に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/247
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248・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 連鎖反応を起こすようなケースもあるわけです。御指摘の、大豆というと、今度は菜種に影響するということでありますので、大豆の場合におきましては、菜種につきましても政府がその価格を保証するという措置を講じた上で、その大豆の自由化を実行したい、こういうふうな考えであります。いずれにいたしましても、農産物の部面において自由化自由化というて非常に心配していただきますが、これは大ざっぱにいいますと鉱工業の方の問題であって、農産物の方の問題ではないというふうに私は考えているわけです。農産物につきましてこれを適用するという場合におきましては、大豆の場合において申し上げましたように、十分な措置を講ずる。これは今よりかよほど今度は大豆はよくなる。というのは、今のお話しのように、全販連がかかえちゃって荷もたれで困る、値が下がるというような状態がありますが、今度は政府が適正な価格で買い上げてしまうというのですから、いささかの心配もない。自由化になって万々歳だということになるわけであります。心配が起きないように措置いたしたいと思いますので、御了承のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/248
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249・平林剛
○平林剛君 僕は、関税暫定措置法に関連して、大蔵大臣にお尋ねいたします。
去年大蔵委員会で関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案という非常に長い法律案の審議のときに、私がその法律案の中身に触れて電子計算機のことをお尋ねしたことを覚えておられると思います。私は、当時電子計算機をわが国に輸入をする、入れてくると、そのときに関税を免除軽減をするという措置はおかしいじゃないかという議論をしたのであります。特にこの電子計算機を入れて非常に得をする人はだれかという言葉を用いまして、符をするのはこれを使用するところの会社で、能率が上がり、あるいは事務能率がよくなり簡素化されて、それらの人が得をする、会社が得になる。当時、たまたま揮発油税法が議論されておりまして、揮発油税については、得をするところの関係者が課税をされて、電子計算機の関税においては得をするところの会社が免除をされる、きわめて矛盾だという質問をいたしたのであります。ところが、大蔵大臣はこう答えた。いや、それは会社やあるいは法人、銀行などが機械を入れて能率化する、あるいはそのために業績が上がるということになれば、国の経済そのものがよくなるのだから、というようなお答えをなすったことがありますけれども、そういう当時の事情についてはっきりできなくても今でも御記憶になっているかどうか、それをまず確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/249
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250・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 当時の質疑応答は心得ております。覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/250
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251・平林剛
○平林剛君 そうすると、電子計算機を入れるその会社に免税を与えるということは、それを受け入れた会社ですね、これらが業績がしがり、そして能率がよくなり、それが日本経済に影響するのだ、電子計算機を入れるのに免税するということはこういう趣旨である、そう理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/251
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252・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体その通りのように、私思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/252
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253・平林剛
○平林剛君 そこで、私は大臣のお答えをその通り去年は理解しておったものでありますから、その後電子計算機の輸入がどういう会社にあったかを調べてみたのであります。昭和三十四年には四月から十二月までの間に、電子計算機の小型でありますが、日立、日本陶器、住友金属、日本鋼管、三菱化成、神戸銀行、住友生命、新三菱重工、関西、電力、大阪証券取引所、川鉄、日本航空、旭化成、北海拓銀、中部霊力、中型が電源開発、三菱、原子力、新三菱、国鉄、東洋犬、松下電一器、日本生命、東芝、日本証券金融、山一証券、その後の事情はまだはっきりいたしませんけれども、これらの会社に使用されているということが、政府に佃在していただいた資料でわかったのであります。ところが、私がその後調べて見たところが、これらの会社は所有権を実は持たないのですね。去年大蔵大臣と質疑応答したときは、これら使用者が利益を受けて、そうしてそれが国の産業云々ということで、われわれ反対をしたけれども法律が通ったと記憶しておりますが、ただいまあげた使用している会社に、輸入された電子計算機、免税された電子計算機の所有権がない、こういうことがわかったのであります。これは一体どういうことですか、大蔵大臣はこれを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/253
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254・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われるように、これは賃貸ししているということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/254
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255・平林剛
○平林剛君 賃貸ししているということになると、その貸している会社は、これは私の調べたところではIBMの日本の支社と、それからもう一つの会社は日本レミントン・ユニヴアク株式会社、こういう会社が免税を受けているということになるのですね。そうすると、去年大蔵大臣がお話しになったように、これを使用するところの会社が利益を受けるということでなくて、特定のレミントン・ユニヴアク株式会社とか、それからIBMの会社が免税措置を受けているということになって、あの当時の趣旨とずいぶんかけ離れているように思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/255
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256・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) これは関税をかけるといたしますれば、IBMから借りている会社に関税がかかるのです。IBMではございません。また、レミントンの場合は、この品物を売っておりますから、買った会社に関税がかかるということになるわけであります。だから、その関税を日本の商社が結局払うことになりますから、ただいまの暫定措置をして、これを免除してやるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/256
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257・平林剛
○平林剛君 私の調べたところでは、IBMの会社は、これは所有権を譲渡していないのですよ。そうして、ただそれを貸しているだけなんです。そうすると、この貸すことの商売をやっている、電子計算機を各会社や政府機関に貸して利益を受けているところの会社に免税を与えたという結果になっているのですよ。法律の趣旨と違うのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/257
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258・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) IBMの場合ですね。これは貸している。——その通りなんですが、IBMから機械を借りますと、借りたときに関税がかかる。だから、IBMの所有にかかっている電子機械をIBMから私が借りますと、私自身が関税を払わなければならないのが、今の関税の建前であります。だから、ただIBMを持っているだけでは関税のかけようがないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/258
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259・平林剛
○平林剛君 関税法の第六条には、納税義務者という条項がある。第六条を読み上げます。「関税は、この法律又は関税定率法に別段の規定がある場合を除く外、輸入申告をした者から徴収する。」、おそらく輸入申告をしたのは、このIBMとか、それからもう一つのレミントン・ユニヴアクの会社がしているのですよ。これらの人が免税を受けているのですよ。今あなたは借りたときに関税を払うようになっていると言うけれども、どういう手続でそんな便法になっておるのですか。法律では、私は、納税義務者が、輸入申告をした者が税金の恩典を受けると、こう理解をしているのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/259
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260・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、あるいは私の説明が不十分だったかと思います……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/260
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261・平林剛
○平林剛君 不十分じゃない、間違っておるよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/261
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262・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) あるいは間違っているかもわかりませんが、ただいま税関部長から説明をさせますから、お聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/262
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263・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) 今の御桁摘の点は、IBMのように所有権を譲渡しないで単に賃貸しをするという場合におきましても、これは関税はかかるわけであります。大臣が今おっしゃった通りでございます。それから、その場合に、もし関税をかけますと、IBMの日本における支社はその関税額だけ利用者に転嫁いたしまして、実質的には今大臣のお答え通り最終消費者が陶税額を負担しなくちゃならぬという結果に相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/263
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264・平林剛
○平林剛君 私の言っているのは、免税をする場合です。この関税暫定措置法の前身である長い名前の法律で、これは特に税金をまけたわけですね。免税をしているわけです。その免税の恩典は賃貸しをやっている会社にみんな行ってしまうのではないかと言っているのです。それはおかしいじゃないか。去年の説明からいって、どうもズレがあるのじゃないか、こう言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/264
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265・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) ただいま逆に申し上げましたのでございますが、免税をいたしますと、その免除された税額は利用者から結局IBMの支社は取れない、免税額だけ低い賃貸料でもって貸すということになりますので、結果におきましては最終の利用者に免税の恩典が及ぶということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/265
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266・平林剛
○平林剛君 あなた、そんなことが言えますか。ことしの国家予算でですね、政府が契約しているもの、あるいは民間の商社、これは初めて買ったところもありますけれども、特に国家の機関においては、かなり長い間レミントンやユニヴアクの会社と契約しているのですね。安くなっておりますか。それはあなた、免税額だけ安くなったという事実をつかんでそういう答えをしているのですか。概念的じゃないのですよ。予算に細まれている金額その他からいって、そういうふうになっているかどうかですよ。具体的にどういうふうになっているか、説明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/266
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267・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) 現在までは、ことしの三月三十一日までは免税をいたしておりますので、従って、かかっておらない値段で賃貸しをしておるわけであります。将来——将来と申しますか、来年度その一部分について課税するということに相なりますと、その課税額だけ賃貸料は上がるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/267
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268・平林剛
○平林剛君 私は、その点は大蔵大臣もことしの契約にあたって相当注意をしてもらわなければ困ると思うのです。しかし、それは別にして、それでは「(重要機械類免税)」として、この電子計算機は特に法律で定めるところによって免税をしておるわけですけれども、今度の第二条ですね、これは今までと少し変わった内容になっておりますけれども、現在提出された法律案を見ますと、第二条に「国民経済の健全な発展に資するため設備の緊急な近代化を必要とする事業又は特に育成を必要とする事業で政令で定めるものの用に供される機械類のうち、次に掲げる要件を備えるもので政令で定めるものについては、昭和三十六年三月三十一日までに輸入されるものに限り、政令で定めるところにより、その関税を免除する。」と、こうなっているのですね。今お話しのように、それは抽象的にいえば賃貸しをするときに安くするのだと、こう言うけれども、この法律、これはまあ大体精神は同じだと思いますけれども、この法律からいくと、非常に矛盾を感ずると思うのですよ。安くするとかしないとかというのは、これはわからないことなんですよ。あるいは自分が独占をしているから安くしないという場合もあるかもしらぬ。そんなことを言うならお貸ししませんということになるかもしれない。これは今後の問題で、まだ未定の問題ですよ。だから、私は、そういう意味から、現在かりに電子計算機の免税をするというならば、賃貸しを商売にしているようなところは免税の対象からはすすべきだ、こう思っておるんです。そうでなければ、法律の第二条に照らして、レミントンやIBMに免税をするのはどういう根拠に基づいて免税をなさるのかと言いたくなるわけですね。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/268
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269・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) あまり事情をよく知らないので、答えても、また係から説明さしてもまずいと思いますが、御承知のように、IBMは貸すことを大体業といたしておりますから、賃貸料というものは、換算の問題はあると思いますが、一応賃貸料金がきまっておるわけです。従いまして、これについては、先ほど来申し上げておりますように、日本に入ってくる場合に、特別に高い賃貸料金で出すわけでなくて、どこの国にも提供している賃貸料を払っているということで、これはまあ先ほどの説明で御了解がいただけるのじゃないかと思います。
ところで、今回電子計算機につきましては、国産も一部できるようになりましたので、もう国産ができるようになれば外国から入ってくるものに特別な便宜をはかる筋はないと、かように実は考えまして、今回電子計算機についても国産できる範囲のものについては課税をすると、こういう建前に、本則に帰るように御審議をいただいておるわけでございます。で、ただいま申し上げまする点は、一応いわゆる賃貸料というものが一つのマーケット・プライスにあるから、それを基準にしてやっているということで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/269
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270・平林剛
○平林剛君 免税をすれば賃貸料がそれだけ安くなるというしっかりした保証があれば、私は、国民経済的な立場から見て、年間八億とかあるいは何億に相当する税を免除するということに、そう議論しようと思っていないんですよ。ところが、IBMやあるいはレミントン・ユニヴァクの会社が契約をするときに、安くしていなければ、あるいは安くするという保証がしっかりなければ、特定の会社に得をさせるということになるわけです。不当な免税の恩典を与えるということになるわけです。私は関税を取りなさいというんですよ、商売をやっているんだから。その関税を免除するというのが、国の産業とか全般に好影響を与え、あるいは能率が向上し、そうして影響がいいというならば、これは話は別ですよ。そういう賃貸しをしている会社に利潤を多くさせるというだけなら、上へ上げなさいと、こう言うんですよ。どうなんですか。今、国産できるとかできないとかとおっしゃったけれども、現在日本が借りざるを得ない。借りるようになっているのは、国産ができないから借りているんですよ。しかし、現実は、保証がない限りは、特定の会社に利益を与える。何億円というんですよ。そんなばかなことはないじゃないかというんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/270
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271・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この関税の臨時措置をとりました場合には、いろいろの意味があると思います。一つは、利用者だけの問題から考える、その方の議論で申せば、今平林委員が指摘なさるように、税金をとったらもっと賃貸料が高くなる、こういうことになるのか、あるいは税金をとっても今の賃貸料がそのまま持続するのか、こういう問題なんですね。で、在来から特別に免税をしておりましたのは、これは関税をとれば賃貸料が高くなる、かように考えた結果、関税を免除して、いわゆるマーケット・プライスによる賃貸料でこれを借りている、こういうことです。しかし、もちろんそこに競争のあることでございますから、私どもはこれで適正だと考えても、相手方は特別の競争の理由からあるいは賃貸料を上下する自由は持っておるだろうと思います。だから、そういう点ではなかなか割り切れないかと思います。
で、もう一つは、やはり関税を課すという場合には、その直接使用する会社の利益ということもさることだが、国内にある同種産業にどういう影響があるかということでございます。同じようなものが日本でできる場合に、日本の方ではまだ十分成長しておらないからなかなかコストが高い、こういうような場合もあるだろうと思います。そういう場合には、やはり外国の品物の方がよくて値段が安くちゃ困る。わが国産業育成の意味において、これに関税をかけることはあり得る。まあ先ほど来、農業生産物についていろんな議論が出ておりましたが、ちょうとそれと同じようなものが工業部門でもあるわけでございます。まあこれから育成強化していくという産業に影響を与えないような、やはり関税でそれを保護していくということも考えられる。ことに今回のこの電子計算機の場合ならば、普通の関税率をとることでございますから、さらに国内産業の育成のために関税率を強化するというものじゃないので、普通の状態に返るということでございますが、ただいま申すように、二部もう国産でできるようなら、そういう面ははずしていく。だから、関税を課するのに二つの面があるという点を御了承いただけますと、今回の措置についても御理解がいただけるのではないかと、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/271
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272・平林剛
○平林剛君 全く理解がいかないのですよ、あなたのお話ではね。ちょっと、あなたまだよく全般をのみ込んでないじゃないかと思うんですよ。免税をしているんですよ。電子計算機を免税をしておる理由は、去年、私とあなたが問答したような理由で免税をしておると思ったら、そうじゃない。そうじゃないですよ。特定の会社が免税の恩典を、去年の予算でいえば八億円、ことしはまあ幾らになるかわかりませんけれども、恩典を受けることになる。その会社は恩典を受けても、それが賃貸料にはね返って安くするとか何とかというなら、私は文句は言わない。八億円相当額が安くなるということであれば、議論はしないのです。ところが、安くなっていないじゃないかと、また安くするという保証はないじゃな、かと、こんなところに何で免税をするのか、これを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/272
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273・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) 確かに安くするという保証はございません。しかし、レミントンとIBMとお互いに競争をして進出をしてきておりますので、勝手に価格を構成すると、自分のところだけ高い価格を維持するというわけには参りません。従って、賃貸料は幾らということにきまっております。これは日本へ出す場合幾ら、たとえばイギリスへ出す場合に幾ら、ドイツへ出す場合に幾らというふうにきまっております。今までは免税をしておりましたので、結局、その裸の値段で賃貸をいたしております。今度一部関税を復活いたしますと、その関税がかかる額だけ賃貸料が上がるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/273
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274・平林剛
○平林剛君 私は今度はね返ってくるかどうかということを心配しているのではないのですよ。過去、ちょっとおかしい免除じゃないかということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/274
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275・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) これはちょっと議論からはずれるかもしれませんが、実は経団連その他いわゆるユーザーの代表団体からも、あるいはまた日立、日本電気等、メーカーの団体からも、もう一年免税をしてくれという要求があるわけでございまして、まあこういう点から考えましても、この免税の利益はユーザーに結局落ちつくもんだというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/275
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276・平林剛
○平林剛君 使用者に恩典があるかどうかというのを証明して下さいというのですよ。証明できるものはないのですよ。そうすれば、賃貸しをして、そうしてそれを商売にしている会社だけに免税をしているだけのものではないか、過去においてそういうことになっているのではないかということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/276
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277・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) これはレミントンなり、IBM——レミントンは売買価格、IBMは賃貸料が、いわゆる品物の定価表みたいなものが出ております。それは今申し上げたような裸値段でございまして、関税がかかる場合はその額だけプラスをして貸す、あるいは売るということになっておりますので、今までのところは免税をいたしておりましたから、裸値段で契約ができている。しかし、今後一部復活すればその分だけ高い値段で契約が成立する、こういう状態になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/277
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278・平林剛
○平林剛君 だけれども、事実としては、このレミントンとIBM、そのほかに会社もありますけれども、二、三あるけれども、そういう会社に恩典を与えてきたという結果になるのじゃないか。形はそうでしょう。免税をするという措置が、そういう会社に恩典を与えた結果になっているんじゃないか。こんなことは事実上あたりまえのことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/278
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279・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) 確かにおっしゃる通り、関税を免除することによって、その品物がやはりアメリカの会社からいえば、輸出されやすくなるという点は、恩典を与えているということは言えると思います。しかし、これを使います利用者の側から申しますと、それだけ安く利用できるということで、経済的にも利益は当然利用者に及んでいるということが言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/279
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280・平林剛
○平林剛君 そんなら、関税暫定措置法の第二条を一つ読んで下さい。いいですか。関税暫定措置法の第二条には、「国民経済の健全な発展に資するため設備の緊急な近代化を必要とする事業」、この事業に対して免税するのですよ、重要機械類の免税は。「又は特に育成を必要とする事業、この事業で使用される機械に対して免税をするのですよ。IBMとか、レミントン、ユニヴアクという会社は、このうちに入るのですか。「特に育成を必要とする事業」という中に入るというなら、これはまた理論は別ですよ。入りはしない。そういう会社が所有権を持って入れている機械に免税をするというのは、法律が違っているのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/280
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281・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) 多少誤解があるのじゃないかと思いますが、今の電子計算機等の免除は、第二条のいわゆる重要機械の免税の条項ではございませんので、第八条の規定によりまして、この別表第一に特掲をいたしまして、そうして一部免除をいたすということに相なっておりますので、第二条は一般の重要機械でございまして、産業用、生産用に使われる機械類のことを規定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/281
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282・平林剛
○平林剛君 これは私は第二条だと思いましたが、第八条にいたしましてもですね、どうも私翻り切れないのですね。割り切れない。考え方においては、やはり不当な免税だと思うんです。そこで、このレミントンとIBMの会社の構成を一つ明らかにしていただきたいと思うのであります。会社のメンバー。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/282
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283・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) この会社の構成といいますと、何か重役の名前とかそういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/283
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284・平林剛
○平林剛君 課長とか取締役。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/284
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285・木村秀弘
○政府委員(木村秀弘君) ちょっと今資料ございませんので、アメリカの法人でございますので、あとで一調べてからお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/285
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286・平林剛
○平林剛君 大体、このIBMの会社のメンバーを見ると、取締役会長が水品浩、社長が鈴木信治、常務総務部長が矢向音久、常務、すべて日本人ですね。それで私はまあ、あなた御存じないようだから、経歴その他調べていただきたいのです。非常に疑問なんですよ。これはまああなた方が知ると知らないとにかかわらず、これらのIBMやレミントンの会社、ほとんど東京支社としている構成は日本人です。しかも、この日本人の経歴をいろいろ調べていくと、きょうはまあそこまで時間がなかったので、これを質問するまでに調べられなかったのですけれども、おそらく官庁とのつながり、それとのつながりがある。そうでなければ、この理屈に合わないような免税を進められるわけではない。先ほど裏幕としてほかの使用者の団体の方からぜひまけておいてくれという話があったと言うけれども、事八億円なり、それからことし少し少なくなるにしても五、六億円なり、相当なる大きな金額の免税額ですよ。私は、租税特別措置法や関税暫定措置については、常に口をすっぱくして言っているけれども、ほかの国民が相当重い税負担をしているときに、こういうところに去年八億円、ことし五億円も免除するなんというのは、おかしいじゃないか。しかも、この構成を見てみるというと、どうも——私は推測です、これからは推測だけれども、どうも不明朗なものを感ずるので、経歴その他メンバーを調べていただきたい。こういう措置についてはどうか一つ御遠慮願いたいという態度を、政府はとってもらいたい。これはまあ法伊案の実際の問題になりますけれもど、気持はそういうところにあるのです。大臣もおそらくこういうようなこまかいところまで御存じなかったと思うのですけれども、あなたは、将来すぐ法律を直すとか何とかいうこと言えないかもしれないけれもど、これについて御所見をお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/286
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287・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今IBMの点も、それからレミントンの日本における取り扱い社の陣容その他については、私も全無知らなかったことでございます。ただいま御注意もございましたし、十分私も調べてみるつもりでおります。ただ、今日までの経過を申し上げますと、この関税免除の措置をとって参りましたが、最近は国産も相当できるようになった、かように考えますので、今回は国産できる範囲におきましては免税措置をとらないようにするということでございます。で、ただいま御指摘になっておりますように、電子計算機全部免税をやめてしまうのも一つの方法かと思いましたが、最近ようやく利用者の方もなれて参りまして、最近の普及になかなかめざましいものがあるようでございますので、今しばらく在来の免税措置をとるのが適当じゃないかということで、内容をきめたのでございます。しかし、ただいま御指摘のような面については、私どもは今後の問題として十分注意して参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/287
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288・平林剛
○平林剛君 もう一つ、今大臣からそういうお話があったから、あなたが所管している予算、そこから少し注意を喚起しておきたいと思う。たとえば、国鉄は年間賃貸料九千八百万円ですよ、年間の賃貸料九千八百万円。これは毎年です。これはIBMとの契約ですね。しかも、所有権はIBMで国鉄の資産にはなっていないのです。それから、総理府の電子計算機の借用は、これは一ヵ月借りるだけですが千百七十七万七千円、それから通産省は同じように千三百四十九万三千円払っている。それから厚生省も千百三十一万払うことになるのですね。それで、私はこれを見ているのですよ。電子計算機を免税にしておいて、政府の賃貸料は安くなっているかというと、安くなっていない。だから、こういうことを言うのですよ。せっかく免税をして、この恩典が各会社にあるということを言うならば、政府みずから契約なさっているやつは、おととしよりも安くならなければならなかったのですね。三十四年度において、どうせ免税措置を与えたんだから、三十三年度よりも契約が安くならなければうそだ。ところが、安くならない。これは機械を使用する度数とか回数によって明確にはならないかもしれませんが、そういう特にまけたという契約にもなっていないし、そういう判定もできないということになれば、何のための免税ぞやと、こういうことに相なったわけです。
そればかりか、今国鉄がことしIBMの機械で七〇四型という機械を入れるわけです。その機械は自分の所有権でないにかかわらず、国鉄の本省の中側にそれを入れる箱を作るわけです。箱というか部屋をですね。それは国の予算が使われておるんです。その自分の所有でないものを入れておく、その入れる場所についてはこれは国鉄が経費を負担をする。そればかりでなく、今度は、先ほど申し上げた総理府、これは今度は国勢調査をやるというので、その電子計算機を入れるわけですが、その電子計算機を入れるための部屋を作るために、ことしの予算を見るというと、九千八百四十二万三千円という経費を税金の中から使うことになるのです。考えて下さい。この今度国勢調査で入れるところのIBM七〇五型というのは、一台で六億五千万円ですよ、全部買えば。ところが、それを借りるために年間の使用料を総理府では二千五百万円、それからそこに九千八百四十二万三千円の部屋を作るのです。一億なんぼでしょう。これはことしだけ。これは入れる小屋はことしだけで済むけれども、去年もおととしもこういう契約をしておるんです。元を取れてしまうというくらいですね。それくらい相当もうかっておるんですよ、IBMという会社は。それで、私はこれらについても、国民の税金の中から、統計局の電子計算機の新営費一億円近い金を出して、そしてなおこの契約を……。ずいぶんおかしいんじゃないかと思うんですが、大蔵大臣、この問題についても御検討なさっていただきたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/288
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289・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今政府が借りて安くならないじゃないかと言われますが、今まで関税をかけたときはないのでございますね。ですから、今まで関税をかけていて、今度関税をやめたから安くなったというなら、理屈はわかりますが、今まで関税は一度もかけたことはないですから、在来からの賃借料が安くならないというのは、まず在来通りということじゃないかと思います。
ただ、今申しますように、これは買ってしまえば相当多額の金を一ぺんに出さなければならない。やはり貧乏世帯のやりくりでございますから、やはり機械を借りるという方法をとっておる。そうすると、その機械の整備その他のために、特別な設備の部屋が要るということで、ただいま御指摘になりましたような予算を計上せざるを得ない状態であるということであります。
私ども、こういうものはできるだけ早く国産化できまして、国の産業でこういう設備ができるように持ち上げたいものだと、さように考えます。そういう意味で、今回とりました一部免税措置を原則に返して、関税をとるという措置をとっておる。これは適当な措置ではないかと思います。
ただいままでのところ、まだ大型につきましては国産の見込みがない。あるいは中型、小型にいたしましても、部品等の整備についてはまだ十分の自信がないという状況でございますので、その範囲においては免税を続けていくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/289
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290・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/290
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291・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/291
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292・平林剛
○平林剛君 私は、時間の都合もあるから、これで。また適当な機会にもう一度、これは政府からいただいた資料、また私の独自の調査の進み方いかんによりまして、再度お尋ねしたいと思います。大臣、貧乏人の銭失いということがあります。貧乏人の銭失い。ですから、契約をするときにおいても、やはりもっと有利な形で契約できるような方途を考えるべきじゃないかと思います。いずれまたあらためて申し上げますが、きょうはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/292
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293・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 十分、ただいまのお話、私どもも注意して参りますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/293
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294・杉山昌作
○委員長(杉山昌作君) それでは、本日はこの程度で散会いたします。
午後四時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414629X01019600329/294
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