1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十五日(火曜日)
午前十一時四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
西郷吉之助君
鍋島 直紹君
鈴木 壽君
委員
白井 勇君
館 哲二君
湯澤三千男君
占部 秀男君
木下 友敬君
松永 忠二君
国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警察庁刑事局長 中川 董治君
警察庁保安局長 木村 行藏君
自治庁行政局長 藤井 貞夫君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
警察庁保安局交
通課長 内海 倫君
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本日の会議に付した案件
○市町村職員共済組合法の一部を改正
する法律案(内閣送付予備審査)
○道路交通法案(内閣提出)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。
まず、市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/1
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002・石原幹市郎
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま議題となりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由と、その要旨を御説明申し上げます。
現行の市町村職員共済組合法におきましては、市町村職員共済組合の、いわゆる付加給付及び短期給付に要する費用についての市町村の負担金に関する特例が昭和三十五年十二月三十一日まで認められているのでありますが、この法律案は、これらの特例が認められる期間を、昭和三十六年十二月三十一日まで延長しようとするものであります。
市町村職員共済組合の発足の際、健康保険組合の権利義務を承継した組合は、昭和三十五年十二月三十一日までの間は、当該健康保険組合が行なっていた付加給付を、引き続いて行なうことができることとされており、また、職員である被保険者の負担する保険料より多額の保険料を負担していた市町村では、組合の短期給付に要する費用は、市町村と職員との折半負担という建前の特例として、昭和三十五年十二月三十一日までの間は、引き続き、市町村において組合員より多額の負担かすることができることとされているのでありますが、いずれも、その特例期間を一年間延長し、昭和三十六年十二月三十一日までこれを認めようとするものであります。
市町村職員共済組合に、付加給付を認めるべきかどうか、また、短期給付に要する費用について市町村の負担金と職員の掛金との負担割合をどのように定めるべきかは、種々議論のあるところでありますが、地方公務員を通ずる統一的な共済制度について検討が進められている折でもありますので、この際は、これらの特例期間を一年間延長することにいたしたのであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/2
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003・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、道路交通法案を議題といたします。本日より章を追って逐次審議を進めたいと思いますが、まず、第一章について御質疑をお願いいたします。
ちょっと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/4
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005・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 それでは、二、三お聞きしたいと思いますが、第二条の一号ですね。ここに道路の定義があるわけなんですが、一号の一番あとの「一般交通の用に供するその他の場所をいう。」これをもう少し具体的に御説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/6
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007・内海倫
○説明員(内海倫君) 私から答弁いたします。この「一般交通の用に供するその他の場所」といっておりますのは、現行法でも、ほんのわずか言葉の表現は違っておりますが、大体同様の「一般交通の用に供するその他の場所」ということで、全く同じような言葉を使っておるのであります。これを具体的に申しますと、道路というのは、そこに書いてありますように、いわゆる道路法による道路、それから、道路運送法によります事業用自動車道路、こういうものをいいますほか、事実上道路の体裁をなして、一般に交通の用に共されておる、いわゆる私の道であります私道等が、この「一般交通の用に供するその他の場所」に入りますほか、道路の体裁はなしておりませんが、広い場所、あるいは大学の構内、あるいは公園の中というふうな所でありまして、それが一般交通の用に開放されて、しかも、一般交通の用に客観的にも使用されておる状態にある場所をいいます。従いまして、たとえばこれを東京大学の構内について申しますと、これは、門があけられて、大学生のみならず、あそこに出入する一般の人にもそこが交通の用に供されておる状態にあります場合は、この道路交通法上は、その間におきましてはこれをここの道路と見ております。しかし、管理者の意思によりまして門扉を閉鎖いたしますと、その時からその場所は道交法上の道路でないというふうに、状態によりまして、場合によっては、道路になったりならなかったりするというふうな場所もあるわけでございまして、広くそういうふうなものを含めまして道路といっております。従いまして、さらに、駅の構内はどうであるか、あるいは渋谷等にあります地下道はどうであるかというふうに、いろいろ例示が出てくるわけでございますが、それらにつきましても、一応私どもとしましては分析いたしまして、いうところの一般交通の用に供されてある状態の場所につきましては、それが特定のものによって管理されておるといなとにかかわらず、一応道路というふうなとらえ方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 このいわゆる「一般交通の用に供するその他の場所」というのは、今お聞きしますと、非常に広い意味で、いろいろ、普通にいうところの道路、あるいは私道以外の広場であるとか、あるいは学校の、大学の構内、公園、こういうもの、それから駅の構内あるいは駅前の広場とか、こういうものが含まれると、そこで、こうなりますと、このいわゆる道路法でいう道路以外のそういう場所を含むことによって、この道路交通法のいろいろな規定というものが影響してくるところが非常に多いと思うのでございます。ですから、これは何か、従来の判例とか、今おっしゃったようなそういう点からしまして、私どももそのように考えるわけなんですが、そういう点についてのはっきりした外部に対する周知徹底の仕方というものですか、そういうものがやはり必要じゃないだろうかと思うのですが、この点はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/8
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009・内海倫
○説明員(内海倫君) 現行法のもとにおきましては、そういう意味の積極的な周知徹底という点について若干欠けておる点があろうかと、私どもも痛感いたしておりますので、今回のこの法案のもとにおきましては、特に立法の際におきましても、「一般交通の用に供するその他の場所」とはどういうものをいうかというふうな検討もきびしくいたしましたので、あわせて、広報宣伝の場合におきましても、道交法上の道路は、いわゆる道路以外の道路として使用されておる状態の場所をも含み、それはどういう範囲のものをいうかということも明らかにして広報いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/9
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010・木下友敬
○木下友敬君 駅の構内もやはり道路に入るのですか。たとえば、地下道をずっと通ってホームに上がる、あの長い地下道ですが、あれも道路ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/10
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011・内海倫
○説明員(内海倫君) 駅の構内は、一切これを道路と見ておりません。ただ、問題としてちょうどボーダー・ラインになりますのが、具体的な例を申しますと、東京駅表から八重洲口の方に出ます通路があるのでございます。これが一体道交法上道路になるかならないかということのちょうどボーダー・ラインになっておると思います。今のところ、私どもとしましては、あれが国鉄が責任を持って管理されるものである限り、しかも、構内として利用されておるものである限り、道路とは言いがたいと思います。けれども、もしもあれが一般の交通の用に供されておる状態で、しかも、道交法を適用しなければならない交通量であるとすれば、これは、道交法を適用することがそこを通行する人の保護になるわけであります。実態について判定する以外に方法がないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/11
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012・木下友敬
○木下友敬君 さっき、大学の例をとって言っておられまして、門を閉じてあるときと閉じてないときと違ってくるような話でしたが、公共の建物で、何かそれに類したものがございますか。たとえば、国会の場合は、むろんこれは、門を閉じてあろうとあけてあろうと、構内であって、道路でないように私は思いますが、道路と見てあるかどうか。あるいは地方の県庁だとか、あるいは何か役所というようなもののそばを、構内であるけれども通り抜けるようになっておる。たとえば、ここでいう国鉄、あれなんか、裏の方に突き抜けられるような道路ですが、その一、二の例をちょっとあげてくれませんか。あとで詳しいことはまあ表にでもしてもらわないとわからないけれども、ちょっと私混乱してきたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/12
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013・内海倫
○説明員(内海倫君) それでは、後ほど分類いたしまして、表にいたしまして御説明申し上げるようにいたしたいと思いますが、今ここでお答え申します範囲で、もし正確を欠く点がございましたら、後ほど修正さしていただきますが、今私どもで考えております範囲を申しますと、先ほど例示がございました東大の構内、あるいは国会の中の庭等におきましても、それが門扉を開放して、しかも、一応その中に不特定多数の者が通行することが認められておる状態であるとしますれば、これは「一般交通の用に供するその他の場所」ということに該当すると考えられますので、道交法上におきましては道路というふうに考えられると、こういうふうに存じております。それから、先ほど申しましたように、大学の構内におきましても、大学のあの道路の部分、いわゆる通行の用に供されている部分だけがいわゆる道路というのでございまして、構内すべてを道路というわけではもとよりございません。それから、これが管理者の意思によりまして門扉を閉鎖すれば、そのときから、道路として認められる部分でありましても、道交法上道路としての機能はそのときに失う、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/13
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014・木下友敬
○木下友敬君 そこで、今の大学の、東大のほかに、何かそういうような場所を、実例を一つあげてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/14
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015・内海倫
○説明員(内海倫君) 公園の、たとえば日比谷公園の中のいわゆる交通の用に供されております道路の状態をなしております所、それから、渋谷等にあります地下道、あの何とかプロムナードとかいわれております地下道、それから地下鉄の場合も、道路に接しました入り口からあそこの切符売り場に至る前の階段を降りた所まで、この辺は、一般のここにいう交通の場所というふうに考えております。
それから駅の構内は、先ほど申しましたように、原則として「一般交通の用に供するその他の場所」というところからははずすことにいたしております。それから神社仏閣等の境内の中における一般交通の用に供されておる道路的形態をしておる部分、それからその他例示を申しますといろいろございますが、大体これに類するようなものでありまして、一般の通行者に対しまして開放されておるもの、従って、先ほど言いましたように、私道も含むわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/15
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016・木下友敬
○木下友敬君 ついでだから、話が出たときに言いますが、場所が悪いかもわかりませんけれども、二つばかりお聞きしておきたい。
鉄道の通路の場合には、よく「ここでは左通行」とかいうようなことを書いてある。私、あれが非常に左通行、右通行のじゃまになると思うのです。そこのところでときどき「ここでは左通行」としてあるのが、一般の子供でも、私たちでもまたあれがよみがえってきて、左を通ることもあるということが何かの心理的なじゃまになっているのですが、あれは全く鉄道の管理だから、あなた方とは関係なく、勝手なとき左、右を向こうがきめるようになっているのか。何か少しは御相談があるかということ、それを先に聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/16
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017・内海倫
○説明員(内海倫君) 昭和二十四年に右側通行に現行法が改正されました際、問題になりましたのが国鉄の構内でございます。その当時国鉄の当局と当時の警察当局とが協議いたしまして、国鉄の中も、原則的には右側通行を励行してもらいたい、ただし、国鉄の方の説によりますと、国鉄構内の設備が左側を通行して流すような構造を備えておりまするので、特に左側を通行させることが乗客にとっても便利である、あるいは雑踏を防止する上にも自然である場所に限り、「ここでは左側通行」という特定をして、そこの場所だけを左側を通行してもらうという話し合いで話をいたして、さらに、国鉄との話し合いでは、口頭の話であると聞いておりますけれども、今後国鉄が新たに駅を作るとか、あるいは改造するというふうな場合には、構造におきましても右側通行になじむような構造にするというふうな話し合いもしてあるということで、先ほど御指摘になりました点は、その場所に限り、その場所は左側通行であると明示しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/17
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018・木下友敬
○木下友敬君 私も実際に立ちどまったり、またかえりみたりして、「ここでは左通行」という所を実験してみるのですが、どうも必ずしもここで左じゃなくてはならぬと思われぬような場所が現在あると思うのです。ですから私は、あなた方のお立場からすれば、一度あれを調査をしてもらった方が、全体的な道路の左か右かということについての概念を民衆に与える上に役立ってくる、なるだけああいう例外を少なくするという意味で、今までも折衝があったでしょうけれども、一つこれからも重ねて折衝してもらいたいということをお願いしておきますが、さらに、今のお話の中に、地下鉄などでも、あの一般の通路から下におりて行って、切符を売る、あるいは切符を切る、あの場所までは道路だというようなことであり、それから先は今度は道路でない。だが、取り締まりの方からいえば、道路とみなされる。切符を切る所までは、何かの場合警察官が取り締まるとしても、上の方の道路と同じように取り締まりが自由にきくわけです。たとえば、国会の周辺の問題が起こってきた場合、衆議院の向こう側の地下鉄のあの場合でも、あの口から切符売り場までの間、あるいは混雑を予想して、あそこへ警察官が行くのはきわめて自由になってくるという事態が起こるかもわからないが、そうすると、駅の構内の場合は、現在警察官の立ち入りというようなことについて、構内の秩序を保つための警察と駅の関係はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/18
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019・内海倫
○説明員(内海倫君) 道交法だけの観点から申しますと、駅の構内におきましては、鉄道関係の完全な管理権によって処理されておりますので、道交法上は、そのための警察官の権限を行使するというふうなものでない、そういうふうに考えております。従いまして、必要なことがあれば、管理権者にお願いする、こういう考え方であります。道交法上はそういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/19
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020・木下友敬
○木下友敬君 たとえば地下鉄、あるいは列車でもいいのですが、地下鉄にたくさんの乗客が乗っておって、それがホームに降りてきて不穏な状態がある。そういうような場合は、駅の方から何かお頼みするとかいうようなことがないと、警察官が直接そこへ乗り込んでいくということはないことになっておりますか。あるいは、駅に公安員ですか、というのがおりますが、あの方との連絡で、こちらの方から出動するということになっておりますか。それと、その切符売り場を境としてのいきさつはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/20
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021・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいま交通課長から道交法関係についてお答えを申し上げたのでございますが、駅構内の秩序保持ということについては、原則として管理者の責任である。ただいまお話がありましたように、鉄道について申しますれば、鉄道公安官というのがおりまして、これが第一次的に秩序保持に当たる。しかし、それで十分できないような、さらに大きな混乱が予想されるときに、警察官に対する応援要請というものがございまして、その際に出動するという建前にいたしているわけでございます。もちろん警察は、ほかの公安官なりあるいは司法警察官の権限を行なう所においても権限を行ない得ることにはなっているわけでございますから、警察として必要あると認めて入り得る権限はあるわけでございますけれども、建前としては、そういうふうな秩序の保持のいたし方をしているということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/21
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022・鍋島直紹
○鍋島直紹君 ちょっと私から伺いたいと思いますが、第九条関係なんですが、道路標識の問題です。現行法で今やっておられる道路の標識が、実をいうと明確でない。このことが結局運転者の罪を作るようなことになると思いますので、非常に大きな問題じゃないかと、こう考えておりますが、まず伺いたいのは、現在道路標識が全国的に統一されているかどうか。さらに、この第三項で見ると、「総理府令・建設省令で定める。」どういう区分で、この道路標識を建設省とそれから総理府令とに分けてされているかということが一点、現状をちょっと伺いたい。
それからもう一つは、この間、参考人の桶谷繁雄先生であったと思いますが、公述の中に、オリンピックの関係等もあり、外国人もよけい日本に来るような場合が今後非常にふえる。そうすると、国連ですか、インターナショナルの関係で、国連加入国では統一した道路標識というものを作っておるが、それについて、日本もそうすべきであるというような御発言があったのじゃないかと思うのですが、この点についてちょっと御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/22
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023・内海倫
○説明員(内海倫君) 現状でございますが、現行法のもとにおきましても、総理府令、建設省令の共同省令でもって道路標識令というものを出しております。それで、これに基、つきまして、道路標識を公安委員会または道路管理者が設置いたしておるわけでございまして、全国を通じましてこの標識令に基づく標識を出しておりますので、府県によって異なる点はございません。ただこの場合、あるいはよくお見かけになりますように、警察署長あるいは安全協会などが立看板などをかなり立てておりますので、これらは、各県がそれぞれのものを立てておりまするので、この点は非常に違った点がございますが、これは道交法上の道路標識ではございません。それから、道路の上に白線等をもちましていろいろ表示をいたしておりますが、これは、現在法的にはとらえておりませんので、いずれも各県の方式によりまして作っておるわけでございます。ただ、私どもとしましては、できるだけ全国的な斉一が望ましいと考えまして、ここ数年来統一をいたしておりますので、事実上は、ほとんど全国異ならない形状のものに、あるいは色彩のものに統一いたしております。
それから次に、道路管理者と警察特に公安委員会との区分でございますが、現行法のもとにおきましては、道路標識令ということで、案内標識それから警戒標識、禁止標識それから指導標識それから指示標識、それから補助板、こういうものを道路標識の内容としてきめておりまして、道路管理者も、それから公安委員会も、いずれもその道路標識令に基づいて道路標識を立てることができる、こういうふうになっておりまして、立てる区分をいたしておりませんで、どれを公安委員会が立て、どれを建設省が立てるという法律上の区別はいたしておりません。ただ、事実上は、道交法にも道路法にも、それぞれが立て得る権限根拠がございますので、おのずからそれに基づいて立てるということになりますから、結局、公安委員会におきましては、禁止制限その他交通の規制に関する道路標識を立てる。それから、道路管理者におきましては、道路における案内あるいは指導の標識及び道路工事等の場合におきまする通行の禁止制限というふうな標識を立てるというのが、現状における事実上の区分でございます。それから、この法案におきましては、その点はおおむね現行法の考え方を踏襲いたしましたが、公安委員会が立てる道路標識は、交通の禁止制限及び規制に関するものを表示するものとして道路標識をとらえておりまするので、公安委員会が立てる道路標識は、その範囲が局限されるようになろうと考えております。なお、先ほど申しました、道路上にペイントその他で表示いたしております、いわゆる道路表示というものをこの法案におきましては法的にとらえまして、法的の効果あるものにするとともに、その形状、色彩等も、共同省令で定めるようにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/23
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024・鍋島直紹
○鍋島直紹君 もう一つ、国連関係について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/24
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025・内海倫
○説明員(内海倫君) 将来の問題における国連との関係でございますが、実は、私どももこの標識を考えまする場合、国際標識を採用するかどうかということにつきましては種々検討いたしました。で、共同省令に譲っておりますので、共同省令の定めるところによってそれをとり入れればなおできる余地を残しておりますが、ただ、実情を申しますと、すでに現在定めております道路標識が、長年にわたりまして一般交通者にもなじんできておりますので、これを一挙に変えますことが、はたして最も多くの交通者である日本人にとってより識別しやすいものかどうかという点に危惧を感じますので、国連で定めております標識を採用するに際しましては、その点を十分検討した上で考慮いたしたいというふうに、問題を将来に残しておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/25
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026・鍋島直紹
○鍋島直紹君 もう三、三点伺いたいのですが、道路標識は、今の御説明でよくわかりましたが、方向の指示などの場合に、大体管理者が立てる標識だと思うのですが、各府県によって、非常に親切に立てておるところと、それから、全然さびて、見当がつかないようなところがあるというのがございますが、こういったようなものの親切な指示についての標示なりは、これは予算関係もあるでしょうけれども、やっておられるのかどうか。これは建設省の問題かもしれませんが、なおもう一つ、そういう場合に、道路標識というものはこの程度立てなくちゃならない、運転者のために、そういったものが規定されておるかどうか。私は、最低この程度はしなければならないというものは必ず必要じゃないかと思う。全部やることは当然なんですけれども、各府県によって、道路標識が親切なところとないところとか、でこぼこがあるのじゃないかと思いますが、この点、国道県道の差とか、あるいは県道、市町村道との関係においても、どうもでこぼこがあって、運転される方が困難になっておるのじゃないか、また事故のもとになるのじゃないかと思うが、それからもう一点ですが、そういう場合に、これはどうですか。これは、私で立ててある標識もある。バス会社などが立てた通行禁止とかいったようなものがあったりして、いろいろバス会社自体が立てておる。たとえば路面が軟弱、あるいは橋がどうだとかいったような場合、道の端っこ、そういうような所に立てる場合に、バス会社とか、民間会社とかのそういうのを許可制をとっておるかどうか。あるいは勝手に立てていいものかどうか。このようなことはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/26
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027・内海倫
○説明員(内海倫君) 最初の主として道路管理者が立てると考えられます方向等を指示しております標識、通常案内標識といっておりますが、確かに県によりまして相当相違があるようでございます。これは、道路管理者の方とも、地方公安委員会とも打ち合わせまして、できるだけ分厚く立てるように指導しております。また、警察庁と建設省におきましても、できるだけ立てていくというような話し合いもしておりますので、建設省の意向では、今後はそういうような方向で、相当合理的に、かつ、全国平均して立つ方向になるのじゃないか、こういうふうに考えております。
それから、次の公安委員会の立てます道路標識、特に禁止制限あるいは右折、左折等の禁止あるいはスピードの制限、こういうことに伴うような道路標識につきましても、現状におきましては、お説のように、都道府県のそれぞれの財政能力等にも影響を受けまして、非常に分厚く立てておるところと、非常に薄いところとございまして、この点は、現状につきましては、私どもは足らざる点を認めております。今度の法案におきましては、その点を配意いたしまして、九条の第二項のところで、まず、公安委員会の行なう禁止、制限または指定というので、ほとんどここに書いてあります。通行の禁止制限あるいは右折、左折あるいは駐車禁止という、そういうふうなものでございますが、そういうふうなもので政令で定めるもの、これは必要と思われるものは現行法も拾っておりますが、この案におきましても大部分を拾って、必ず道路標識で、あるいは道路標示で示すようにするということにいたしたいと思います。
それから、次の「政令で定めるところにより」ということによりまして、そういう禁止、制限あるいは指定のありました場合は、運転をする人あるいは歩行する人の見やすいことを考えまして、こういう指定をした場所には、こういう間隔で、必ず道路標識あるいは道路標示を設置するという基準を、基準といいますより、政令でその義務付けをいたしまして、でこぼこになったり、あるいは運転する人、通行する人に不親切にならないような措置を政令で定めるようにいたしております。
それから、三番目の私で立てられておる標識につきまして、だれでもこれを立てることができるかという問題でありますが、この道路交通法案が規定いたしております点で言いますれば、第七十六条でございますが、法案の六十八ページの七十六条におきまして、第一項で、「信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設してはならない。」それから、「何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。」こういう禁止規定をいたしまして、これには罰則を付しておりますので、この一項または二項に該当するような状態であれば、これは、何人も設置してはならないということに相なります。従って、これに該当しないものであれば、道交法の面におきましては自由である。このほかに道路標識につきましては、道路法も若干の規定をいたしておりますので、その両方の規定にかかろうと思います。
なお、もう一つ落としましたが、そういうふうな道路標識等を立てます場合は、第七十七条第一項の第二号、「道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする」場合、警察署長の許可を受けることになっておりますので、先ほど自由と申しましたのを訂正いたしまして、許可を受けて立てることに相なります。ただ、それが道路外になりますと、これは「道路に」となっておりますので、道路外の場合であれば別でございます。
それから、立てましたものに対する保護でございますが、これは、特別に道交法は、保護の規定はいたしておりませんが、それは一般的、他の諸法令によって制約があれば、もとよりそれによるわけでございます。
それから、この法律におきまして、公安委員会が委任をいたしまして道路標識等を立てる場合もございますので、それに該当すれば、これは公安委員会が立てたと同じ効力を有するものと、こういうふうに考えられておりますが、以上が大体私に立てておる標識に対する問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/27
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028・鍋島直紹
○鍋島直紹君 もう一つ、最後に伺いたいのですが、この道路標識の問題で、先般視察のときにも感じたわけですけれども、道路標識の周囲にいろいろな広告物が道路上にありまして見にくいということ、昼間は非常に見にくい、それから夜なんか、御承知の通り、青と赤とに変わるわけですが、その周囲にネオンサインの赤があったり青があったり、先に類似品があったり、こういうことは、結局運転される方が非常に困るわけなんでしょうが、取り締まってそれを除去するとか、あるいは今後設置しないとか、いわゆる道路の標識を非常によく見えるように運転者の人にしてあげる、そういうことのできる法律的根拠というものは、今あるものの除去ですね。今後規制することができるのか。この点、一つちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/28
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029・内海倫
○説明員(内海倫君) 現行法におきましては、先ほど私申し上げました七十六条の一項または二項に該当する相当規定が現行法にもございますので、まずその範囲におきましては、結局信号機なり道路標識等類似するようなものを設けて、その結果が非常にまぎらわしくなる、あるいは二項に書いておりますように、「効用を妨げるような工作物又は物件」というふうなものを設けるということになりますれば、これは禁止行為でございますので、当然してはならないことになりますが、さらに、そうでなくても、実質的に非常に道路標識というものの認識を妨害するというふうな点になりますと、現行法におきましては特に規定をいたしておりませんが、ただ、現行法におきまする二十六条のところで、現行法の二十六条の第一項の第四号で、「道路において公安委員会の定める行為をしようとする者」というふうな規定がございまして、たとえば、警視庁におきましては、東京都公安委員会は、この第四号に対しまして、そういう非常におそれのあるような場所におきましての広告の仕方につきましての若干の規制をいたしまして、実質的に道路標識の妨害される根拠となるような広告が行なわれることを防止いたしております。現行法におきましては、結局先ほど説明いたしました七十六条の第一項、第二項によりまして、それが特に非常に信号機または道路標識等の効用を妨害するというような状態であるものは、これはすでに法律によって禁止されておるものという観点から見るべきである、こういうふうに考えておる。なお、私どもの希望といたしましては、この法律ではございませんで、広告物一般に関する規定をいたしております屋外広告物法というものが、単に観光目的だけで規制をしておるわけでございますが、あわせて交通の危険防止というふうな観点からも規制をしていくというふうに改正されることが基本的には一番望ましいのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/29
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030・鍋島直紹
○鍋島直紹君 ちょっと例なんですが、交差点がありまして、百メートルも二百メートルも先に大きなネオンサインがあって、非常にまぎらわしいというものを取り締まれますですか、今、現在の段階では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/30
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031・内海倫
○説明員(内海倫君) 現行法におきましても、この案で対応規定を申し上げますれば、八十二条でございますが、この八十二条の規定に対応するものが現行法にもあるわけでございますが、沿道の土地に設置されている工作物等が道路における交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがあるときは、当該工作物等の責任者に対し必要な措置をとることを命ずるというこの法案の規定があるわけでございますが、もしただいまお示しになりましたような例がこの八十二条のような状態に該当するものでありますれば、現行法のこの八十二条の対応規定に基づきまして、これを必要な措置をとってもらうということが可能であろうと考えます。それからあわせて、先ほど申しましたように、もしそれが道路の上でございますれば、あるいは信号機その他道路標識、その他道路標識を妨害するようなものでございますれば、やはりこの禁止行為でいくべきである、こういうふうに考えております。
なお、先ほどの八十二条に対応いたします規定といいますのは、現行法では二十六条の第七項で「警察署長は、沿道の土地における工作物その他の施設及び物件が道路における交通に著しい危険を生ぜしめる虞がある場合においては、その占有者に対し、その危険の防除のために必要な措置を命ずることができる。」大体同様の規定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/31
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032・鍋島直紹
○鍋島直紹君 大体今の法律でもできるわけですが、現実の姿は、なかなか履行されていないというのが実際上の姿じゃないかと思うのですがね。それで、この間の雨が降って霧がかかったような場合にも、非常に交通事故がふえて、死者も多いし、それから、けが人なんかも普通の倍以上三倍近くなっておる。死んだ人も多いという状態ですが、こういった道路標識の問題等もその間に原因になっているんじゃないかと思うのです。どうかこの点は、いろいろ困難もありましょうけれども、ある程度やはりこの道路交通法が通過するのをチャンスとして、やはり整備されることが一番必要じゃないかと思うわけですが、一応私は、そう要望をしまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/32
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033・鈴木壽
○鈴木壽君 さっきの道路の問題に帰りますが、まあ不特定多数の者が通行する場所と、こういうことなんで、いろいろ、大学の構内とか公園、広場とか、そういうところが示されてあるわけですが、そこで、さっきの御説明の中に、大学の構内であっても、どこでもいいというわけにはいかぬと、こういうお話でございました。もちろん、抽象的にどこでもいいというわけにはいかぬというようなことでは、はっきりしないところがあると思いますから、それはそれでいいと思います。ただ、構内における広場みたいなところ、それから、御説明の中にはなかったんですが、小中学校等の校庭なんかも入るように、従来そういうふうになっておるようでありますが、そういう所に入りますと、一見いわゆる道路としての形を備えないで、今言ったように、広くなっておる。広場といいますか、そういうような所が道路の中に含まれると思うのですがね。そうしますと、いわゆるどこを通っていいのかということは、これはまあいろいろ従来からの慣習もあるだろうと思いますが、いずれにしても、そういう広場になっておる所が道路としてとらえられると、こういうことについては、それはその通りでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/33
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034・内海倫
○説明員(内海倫君) ちょうど今例が出ましたので、小学校なり中学校の運動場というふうなものについて申しますと、これは、実は高松の高裁で判例が出まして、その判例によりますと、結論的に言いますと、一定条件のもとにおいてはこの運動場も道交法上の道路になり得るという判例でございます。この点を私どもつぶさに検討いたしますと、結局、運動場という姿におきましては、これは道交法上の道路ではなく、それはやはり特定の小学校の生徒だけが運動競技を行なう場所でございますから、特定のもののみの用に供される所と、こういう意味におきまして、一般的に道交法上の道路とは考えられないと思います。ただ、この運動場が、たとえば日曜、祭日等に、学校の管理者によって開放されまして、それが不特定多数のものがどんどん入り込むことができるというふうな場合におきましては、その限りにおいて——そこにたとえばアイスクリーム屋が自転車を持ち込んでくる、あるいはオート三輪などが入ってくるというふうな状態でございますれば、その危険を防止する範囲内において、これはやはり道交法上の道路という形で適用される場合がございます。それでなお、広場と申しましても、先ほど説明いたしましたように、そういう場合の広場全部が直ちにすべて道路であるという御念ではなく、現実に一般の交通の用に供されている、そういう一つの特定の部分が道交法上における道路というふうになるわけでございます。それで、先ほどの運動場の例を申しました場合にも、そういうことで、人が多数交通いたしまして、現に道路交通上の危険が考えられるようなさような区域のところ、その場合におきまして道交法上の道路としてとらえるというふうな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/34
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035・鈴木壽
○鈴木壽君 いわゆる小中学校等の校内といいますか、敷地内の広場の問題ですが、運動場というものと、それから、いわゆる一般に校庭と称している所ですね。これは、現在の小中学校等においてはっきり区別しているところもありますけれども、そうでない、いわゆる校庭として取り扱って、それが自由に——閉門したというようなときであればともかく、昼間等においては、あるいは場合によっては特に開放するというような場合もありますから、いわゆるその不特定多数の人たちが入っおるわけなんですね。ですから、いわゆるグラウンドだと、運動場だと、こういうふうな所でなしに、いわゆる校庭として、運動もするけれども、しかし多数の不特定の人たちもそこに出入りするのだ、こういう所も私はずいふんあると思うのですね。ですから、そういう場所のことを、運動場のことはわかりましたが、そういう場所を一体どうするのか。
それからもう一つは、私もちょっとお聞きしましたし、あなたの御説明の中にもありましたが、いわゆる全部じゃないのだと、普通通行する限られた部分だと、こういっても、その点になりますと、これは、さっき言ったように、はっきり道路の格好で区切りがしてあるわけでもありませんし、ちょっとあいまいなわけなんですね。たとえば、校門から玄関まで、あるいはその他の出入品までのやや見通せる場所とか何とかならともかく、しかし、必ずしも多数の人が、あるいは児童の場合でもいいと思いますが、通るのは、その大体見通せる、ここからここまでのコースというふうな所でもないわけなのですから、ここら辺が非常に、校庭なんかをいわゆる道路とするというふうな場合には、あいまいな部分が私出てくるのじゃないかと思う。
この二つの点から、これを道路としてとらえてやる場合に、はっきりさせないと、この法のその他の条文等からいっても、あるいはまああなた方が——あなた方といっちゃ悪いけれども、いわゆるその事故防止の取締まりの立場からいってもいろいろ問題が起こるのじゃないだろうかと、こういう心配があるものですから、そこら辺もう少し御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/35
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036・内海倫
○説明員(内海倫君) 確かにお説のような点があとますので、私どもも、厳密に問題を考えていくようにいたしておりますが、たとえば、先ほどの言をもう一ぺん繰り返すようなことになりますが、広場の例を申しますと、広場全部が常に一般人が出入りするからといって道路になるのではなく、いわゆる交通の用に供されておる状態にあるその区域が、そういう一般の交通の用に供されておる状態の場合において道路である、こういうふうにこの道交法は見ておるわけです。それから、学校の運動場でなくて、一般に多数人が通行する場所、こういう面につきましても、それがただ学校の生徒あるいは学校の教職員のみが通行するために作られておるものであれば、これは特定のものでございまして、道交法上の道路とはいいがたいと思いますが、たとえば、校門からどこそこに至る間の道路が、道路としての体裁を整えたものがございまして、しかも、それが一般交通の用に供されて、不特定の人が出入して、常にそういう状態で使用しておるような状態であれば、これは、学校の校内において存在しておる一つの道交法上の道路であるというふうに見てよかろうかと考えます。ただ、そういう場合におきましても、この道交法は、多くの場合、通常の状態の道路というものを前提にして規定をいたしておりますので、しからば、右側通行といった場合に一体どこが右側になるのか、運動場の一番端まで行って歩かなければならないかというふうな問題があるわけでございまして、そういうものが事実上交通の用に供されておる部分におきましても判定しがたい場合には、私どもとしましては、おのずからそういう規定が適用する状態にないというふうな形でとらえるべきではなかろうか。しかし、同時に、その他この法律が歩行者あるいは通行者の保護を規定いたしており、あるいは危険防止というものを規定しておることで、それが適用されなければその交通の危険は防止されないという状態でありますれば、その条文はそこにおいて働いてくる。こういうふうに考えるべきではなかろうかというふうに思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/36
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037・鈴木壽
○鈴木壽君 どうもはっきりしないので、これはここだけの、いわゆる道路というものは、こういうものだというふうな概念規定だけで片づけていける問題あればいいのですが、これがずっといろいろなところに影響してくると思うのですから、たとえば集会、行進とかいうところにも影響してくるわけですね。ですから、そういう点をやはりはっきりしておかないと、あとでいろいろ問題が私は起こりはしないかというふうに思うわけなんで、場合によっては、たとえば校庭なり、あるいは個人の工場の敷地なりというようなものも道路にとらえられておるようですが、こういうような問題は、場合によっては、一般にいう、たとえばこの道交法にいう道路というようなものには含まれないというような考え方をもって、ただその中に起こり得る、あるいは予想される何かの事故等については別にこれは考えていくとでもしなければ、いろいろなあいまいな問題が残されていくんじゃないかと私は思うのですがね。従来の判例なんかも、二、三要旨なんかを見ましても、それから、あなたの御説明からしましても、非常に広くとらえておるわけですね。ですからそれは、考え方によりますと、そういう場所であっても、危険防止であるとか、あるいは事故の防止という観点から放置できないという一つの考え方は確かに私はあると思うのです。しかしながら、一体それなら、そういう場所がふだんに私どもがいういわゆる公道あるいはそれに類するものであるかどうかというようなことになりますと、なかなか問題があるので、それに対するまたいろいろな規制なり制止なりということが他の条文によって行なわれるというようなことになりますと、ちょっとややこしいことに私はなりはしないかと思うのですが、そういう点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/37
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038・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 今ちょっと交通課長からの説明が少し広い解釈のようにおとりに相なったかと思いますが、われわれの考え方としましては、道路的という言葉を申していいかどうかわかりませんが、事実道路として使用している部分、これが学校の校内であろうと、公園の区域内であろうと、道路法にいう道路ではないけれども、事実上道路として使われておるというその実態をとらえて、これを本法にいう道路と考える。たとえば、東大病院の門のところからずっと抜けて、不忍池の方に出る道路がある。これは、道路の形態もなし、一般人も、何も大学に用のない者を通っているというようなものを考えておるのでありまして、広場とか校庭とかというそのものをとらえて道路という考え方は毛頭考えていないつもりなんであります。従って、その点は、あまりあいまいでなくとらえ得るのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/38
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039・鈴木壽
○鈴木壽君 ただ、長官が今言うように、通常いわゆる事実上道路として使用する部分だと、こういうふうにおっしゃって、だからあまり広く考えているわけじゃないのだ、こういうお話でありますが、だから私も、事実上使用する部分というものが、校庭等においては一体どう区別するのか。あるいは広場等においてどう区別するのか。かりに校庭だけでなく、他の何かの広場であっても、そこに入るのは、必ずしもこういう広場があって、裏の方へ抜ける道があるから、こうまっすぐだけを通ればいいという意味じゃないと思う。広場としての一つの役目もあるし、多少の、何といいますか、直線的でない、そういう場合も当然あると思うのです。そういうときに、事実上道路として使うのだ、一体どこをどういうふうに使うのかということが私は依然として残ると思うのですね。で、あなた方はそういう解釈であっても、さっきもお話がありましたが、高松におけるどうとかという、多少他の二、三の判例等も見まして、私全文見ておりません、要旨だけですが、そういうものを見ましても、非常に広く取り上げていると思うのですね。そうして私が今言ったように、はっきりした、いわゆる事実上道路として使う部分がどこだというようなことの明示がなく、校庭もそうだ、広場もそうだ、神社の境内もそうだ、あるいは私有の工場の敷地なんかもそれなんだ、こういうふうになってくると、今の長官のお答えのように、僕らはそういうふうに考えておるのだ、こう言っても、私はいろいろ問題が残ると思うわけですよ。ですから、ここら辺はっきりしないと、これはなかなかむずかしい問題ですけれども、しかし、一応はっきりしておかないと、いろいろ関係するところがずいぶんあるものですからね。私、それを心配するわけなんです。その点、重ねてこれはお考えを一つお聞きしたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/39
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040・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 表現の仕方で、ただいま私が申しましたように正確に表現するのにはどういう方法がいいかという問題に帰着するかと思いますが、考え方としては、私の先ほど申し上げたような考え方でとらえておるわけでございます。ここで、「一般交通の用に供するその他の場所」でございますから、校庭なり広場なり、それ自体というものは、原則的には道路ではない。ただ、その公園なら校庭ならというものが、事実上交通の用に一部供されておるというような場合におきまして、その部分を道路という。典型的な例は、先ほど東大について申し上げましたけれども、そういうふうな場所がほかの校庭などにあれば、もちろん運動場として使われる大部分は道路でない。それから道路の部分も、ある場合生徒が使う——もちろん使うことに相なりましょうが、一般の人がそこを通るということを何ら妨げていない。しかも、そこを通ることを便利として一般の交通の用に供されておる道路というものを道路としてとらえるというふうに観念して参りたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/40
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041・鈴木壽
○鈴木壽君 ですから、あなたの御説明の限りでははっきりしておるようですが、実際問題になると、さっきも言ったように、こういうような校庭かなんかがあるとしますと、そうしますと、たとえば、こちらに玄関がある。こちらの側の方にも校舎の出入口がある。そして、じゃ一体一般にいわゆる道路として使用するのが、まっすぐに行けばいいのか、曲がったらだめなのか、そこら辺、私問題があると思うのですよね。また通る人数の多寡によっても違うでしょうし、だから、そういう点をお言葉のような形にやった場合に、実際使う所がそうなんだということではっきりするようでありますが、具体的な現場の問題になりますと、それだけで一律にはっきり押えることができるかということは、私はむずかしいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/41
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042・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) たとえば、今御指摘のような、こちらにも門がある。こちらにも門がある。この門からこっちに抜けた方が便利だというようなことで、勝手に歩いているような校庭は、私は通路と考えるべきでない。しかし、ある門からある門に対して、一般の人もこういうふうに通っていくのだというような道路の形態、事実上道路の形態というものであれば、これをやはり道路としてとらえる、こう観念すべきじゃないか。だから、校庭に入ったら、もうどこでも勝手に子供のわきを縫って歩いていくのだというようなばく然とした、道路とは観念できないような歩き方、こういうようなものをとらえて、本法にいう道路というふうには観念できないものというふうに思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/42
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043・鈴木壽
○鈴木壽君 くどいようですがね。やはりその場合であっても、私、幅の問題なんか出てくると思う。それからもう一つ、学校なり、あるいは場合によってはあなた方と学校との話し合い等によって、おっしゃるように通常ここを通れ、この出入口へ行くにはここからこういうように行くんだというふうな明示でもあればいいのです。ところが、多くの場合には、そういう明示も一つもない所が多いと思う。それから、先に言った、一体どの程度の幅員を持った場所をやるのかというようなことも、私はやっぱり問題になると思う。車が入っていいということになりますと、単に人が一人二人通るということでなしに、やはり幅員の問題等も考えなければならぬ。ですから、そういう点も私非常に、あるいは直線でいいのか、どういう角度でいいのか、曲がるならどういうカープでいいのかというようなことも、私やっぱり問題になると思うのです。だから、取り締まりなり、何か事故が起こった場合のそういう対象にならなければ、単なるこれは一つの規定であって、それから、道徳的な何か一つの訓示みたいなことであるとすれば、それは私いいと思うわけですが、そういう所にある群衆とかあるいは行進とかなんかも場合によっては規制を受けるというようなことが、これはあり得ることなんですから、そういう場合に、はっきりそこら辺をしておかないと、通常通る所なんだというようなことだけでは、私ちょっとあいまいさが依然として残っていくだろうと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/43
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044・内海倫
○説明員(内海倫君) その点につきましては、ただいま長官の申しました点をさらに事務的に説明申し上げますと、たとえば、学校の場合を言いますれば、まず、その学校の管理者である校長なりあるいは学校を経営しておる者が、そこが一般交通の用に供されてもしかるべしと認めて、その交通が行なわれておるという前提が立つわけでございますから、これは単にそういう場所だけでなしに、一般私道の場合でも同様ですが、その所有権者あるいは管理をしておる者の権利といいますか、それが優先されるわけでございますから、たとえば、先ほど私、東大の構内の例を申しましたが、あれも、東大の門を入って安田講堂まで至る、あの両並木に囲まれた、道路の状態を呈しておる所が、あれが一応東大の管理者によって一般交通の用に供されるものとして認めて、それを許しておる限り、それは道交法にいう一般交通の用に供されている場所となると思いますが、しかし、それがそういうものの通行をもはや認めないということであれば、そのときから直ちにそれは道交法上の道路とは申せないと思いますし、また、そういう積極的意思表示をしなくても、門扉を閉ざしてしまう、あるいは通行どめ、通行はするなという意思表示を明らかにすれば、これはもはやそこは道交法上の道路ということには相ならないと考えておりますので、結局、学校等の例をとれば、それは、学校の管理者が一般交通の用に供してしかるべしとして通行を憾めておるその部分、しかも、現実にそれが一般交通の用に供されておる場合において道交法上の道路といい得るのではないか、こういうふうに考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/44
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045・鈴木壽
○鈴木壽君 だから私の言うのは、たとえば、今の例にありました東大の構内のりっぱなあれは道路の格好をなした所が大部分でしょうね。何といいますか、脇に一段高い所があったり、あるいは並木があったり、ですから、ああいう所は、私は問題ないと思うのです。そうでない所が、小中学校の校庭とか、あるいはその他の広場とか、あるいは駅前の広場とかいう所にあるもんですから、そういう場合に、一体どこをどう押えていくということが肝心なところじゃないかと思うのです。ただ普通に考えて、路上における、あるいは通行の場所における事故防止とか危険防止とかいうような、単に簡単にそういう問題だけで処理できるのであればいいんですが、中には、いろいろ問題になる行進とか何かいう、さっきも言ったこともあるものですから、そういうところをやはりはっきりしておかないと、何かやはりあいまいな、そしてああいう、あっちの方の裁判所ではこういうふうに出た、こっちの高裁にはこういうような判例があるというようなことと、それから、その判例に示されておるものは、必ずしもはっきり私はあなた方の説明しておられるようなものがくみ取れないものがあると思うのです。そういう点から、どうもいろいろ心配な点があるわけです。しかし、この点は、一応あなた方の意図は明らかになりましたから、その点は一応この程度にしますが、いま一つお聞きしますが、いわゆる駅前の広場の場合ですね。これは、管理者なり、所有がどこにあるにしても、これは、いわゆる広場として使われておるし、車馬あるいは、何といいますか、人間の通行なんかは比較的自由です。もちろん、場所によっては車の入れないところもありますけれども、そういうような場合に、これもやはり今言ったような問題が一つあるのではないかということ、その点一つ。
それから、これは今の問題とはちょっと違うような聞き方をしますが、もし道路として認めておる場所であるならば、選挙の際のいわゆる街頭で行なう演説ですね。これとの関係が一つ出てくるのではないかと思うのです。実際ぶつかったところで私申し上げますが、駅前の、車がついたり、あるいは人がどんどん出入りする、そこで、いなかの方ですが、車をとめて演説を街頭の標識を立てましてやろうとしたら、ここは駅の構内だからよしてくれと、こういう問題があったわけです。それと、ここでいう道路のそれと、選挙法の規定からすれば、いろいろ問題もあるのですが、私、そこら辺の点を一つお聞きしてみたいのですがね。それはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/45
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046・中川董治
○政府委員(中川董治君) ただいま鈴木先生の御指摘の公職選挙法の関係でございますが、理論的に申しますと、公職選挙法が規制している事柄の一つに、公の施設というものを選挙運動のために利用するということについて規制するという角度がございまして、その角度から、御指摘になりましたように、公職選挙法第百六十六条でございますが、「特定の建物及び施設における演説の禁止」という中に、「何人も、左に掲げる建物又は施設においては、いかなる名義をもってするを問わず、選挙運動のためにする演説を行うことができない。」こういうふうに規定をしておりまして、その一つに、「停車場その他鉄道地内」、こういう条文がございまして、「停車場その他の鉄道地内」におきましては、何人も選挙運動のために演説を行なうことができない、こういう規定がありまして、ただいま御質問になりました点は、当該行為がありました場所が公職選挙法に規定する鉄道地内なりやいなやということに相なるわけであります。従いまして、この道路交通法に定める道路になるかならないかということと関係なくして、当該場所が公職選挙法にいう鉄道地内なりやいなや、こういうことに相なるだろうと思うのであります。それで、私ども、公職選挙法に関係して、いつも注意深くやっているのでありますが、具体的の行為された場所が鉄道地内なりやいなやにつきましては、これまた具体的な状況によって違いますが、鉄道が所有するということが観念の一つにあろうかと思いますが、鉄道が所有し、鉄道地内としての実益を持っている所、こういう意味に解されますので、それは、駅長さんとか、鉄道関係者の意見も聞きまして、具体的に、ここは鉄道地内だから演説は御遠慮いただきたい、こういうことを申しているわけであります。
最後の御質問の点に戻るわけですが、公職選挙法の場合に、鉄道地内なりやいなや、それは、一体公職選挙法にいう鉄道地内に当たるかどうかということによってきまるのでありまして、かりにそれが、鉄道地内が、道路交通法にいうところの道路であっても、鉄道地内であってはいけないということになろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/46
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047・鈴木壽
○鈴木壽君 あとの点は選挙のことですからやめますが、実は私、そういう判明しないところに、道路が広場の中を通ってきた、その広場がなかりせば道路の連関と思われるような所があるわけです。いいです、それは。いわゆる敷地なり構内なりというものの考え方ですから、それはいいですが、この点、広場なり、今言ったような校庭とかいうことになりますと、道路のここにある意義の規定の仕方では、これだけではどうもはっきりしない問題が出てくるのですから、この点一ついずれ、先ほどのお話のように、従来はあまりしなかったが、道路というものは、こういうような所もそうなんだという、周知といいますか、あるいは徹底というようなことにつきましては方途も考えるということでございますから、この点、一つはっきりさしてやっていただきたいということを申し上げて、この点については、一応終わっておきます。
それから、第二条の十八号で、ここで小さい問題ですが、駐車と停止というものを分けたカッコ書きの、「貨物の積卸しのための停止で五分をこえない時間内のもの」というようなことがありますが、これは、はっきり五分というふうな線を引いた理由なり、あるいはそれがかりに線を引いたにしても、こういうことで、これは停止なんだ、駐車なんだというふうな、はっきりした区分ができるものですかね。この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/47
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048・内海倫
○説明員(内海倫君) この点は、大へん私ども立法のときに苦心したのでございますが、現行法に一昨年この形の改正をいたしまして、それをそのまま受け継いだわけでございますが、そこで、駐車と停車の区分は、駐車と申しますのは、結局そこに書いておりますように、「継続的に停止すること」と、こういうふうにまず考えることでございますが、その継続的に停止するということになりますと、はなはだこまかいへ理屈を言うようでございますが、一応一分以上でも継続してとまるという状態でございますし、しかし、貨物の積みおろしということになりますと、事実上一定の時間は必要とするわけでございますので、そこで、種々考えました結果、まず駐車から除外していい。貨物の積みおろしの車のとまり方というものは、大体五分をこえない時間内のものは駐車からはずしていいんではないかというので、五分というものを入れました。それから、五分という時間を一体何を基礎にして入れたのだと言われますと、これも非常にむずかしいところでございますが、ただ、自動車取締令時代、従いまして、大正八年以降作られておりました内務省令で、この五分というものを境に駐車と停車を分けておった立法例がございますので、それらも勘案しましてきめたわけでございます。なお、この駐車禁止をしている場所に、たとい貨物の積みおろしでも、五分以上もとまられるということになりますと、これは駐車禁止の意味がなくなりますので、そういう観点からも、少なくとも五分以内でとどめるべきではなかろうかということで定めたのがこの規定でございます。従って、逆の言い方をしますれば、駐車禁止の場所でも、貨物の積みおろしのためであれば、五分間はとまってもやむを得ないという意味で書いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/48
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049・鈴木壽
○鈴木壽君 いや、実は、あなたが後段でおっしゃったように、駐車禁止の問題とからんできますから、五分できちっと切って、五分をこえたものは駐車の取り扱いをせざるを得ないでしょう。とすれば、いわゆる駐車禁止の場所なり、あるいは駐車する場合のほかの条文の規定があるのですから、こういうようなところとからみ合ってくるのですから、それで実は私お聞きするのですが、そうしますと、その五分以内にできるものはいいんだが、できないものは、貨物の積みおろしのできないものがあれば、いわゆる駐車としての取り扱いを受ける。たまたまそこが駐車禁止の場所であるとすれば、そこから五分で切り上げて他へ移動しなければならぬ。場合によっては、もう一度返ってきて、そこで積みおろしもできるのですが、そういうことになるわけですね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/49
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050・内海倫
○説明員(内海倫君) 事実上そういうことに相なろうと思います。それで、ここで五分という時間をきめましたので、またそれにかかわるわけでございますが、立法の趣旨は、本来駐車禁止の所に継続してとまるということは、駐車禁止をした意味がなくなるわけでございますから、貨物といえども、とまってもらいたくないわけでございますが、ただ、貨物の積みおろしということになりますと、人間が単純におりるということとは違って、若干の時間は必要であろう。そういう観点に立ちまして、一つは、五分という、時間的に区切り得る最少限度のものを打ち出したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/50
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051・鈴木壽
○鈴木壽君 そこで、貨物の積みおろしが五分以内で終わらない場合のことなんですが、もう一ぺんどこか動いて戻ってきて、そこでやったら、これはいいわけでしょう。これは合法的なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/51
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052・内海倫
○説明員(内海倫君) 合法でございます。五分時計を見ておりまして、四分たちますと、一ぺん外へ出まして、回ってきてなら合法と言わざるを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/52
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053・木村行藏
○政府委員(木村行藏君) 確かに五分以内で積みおろしができないものも相当あるのじゃないかと思いますけれども、それかといって、十分とか十五分にしますと、それがいわゆる停車の定義とからみ合いまして、停車は十分以内はいいということになっちゃうと、現行法で停車、駐車について相当規制をしておりますし、それがまたゆるんでしまうということも考えられる。従いまして、五分をこえた場合は、確かに、今の御説のように回ってくるということになりますけれども、その回った間でもその駐車禁止場所のスペースを利用できるというようなことも考えられますので、若干関連してくると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 これはこまかいようなことですが、取り締まりの対象になることですからお聞きするのですが、だれが時計を見ておるのですか。極端なことを言うと、五分に近いと、これはだれがやるかわからぬけれども、とにかく五分以上とまっておれないというので、ちょっと動いてすぐ戻ってくるのです、バツクするなり前進するなりして。こういうことも可能だと思うのです、悪く利用しょうとすれば。ですから、ここできちんと五分を切って、これをこえる、あるいはこえないということで、停車であるのか駐車であるのかというような問題を、あるところで線を引かなければならぬというふうに私も思うけれども、一体荷物の積みおろしの場合、あるいは六分あればいいかもしれません。ここら辺どうなるかね。それの取り締まりということははたして可能なものかどうか。駐車禁止の場所での積みおろしなり、そういうものをしょっちゅうおまわりさんが見ているわけじゃないと思うのです、現状では。また、今後といえども、一々そういうものをやってるわけにはいかぬ。悪口言えば、守れそうもないようなことを、あるいは頭を働かせてやると、合法的に、五分こえても十分になっても十五分になってもそこにおれるような、そういうのを作るということについては、ちょっとおかしいと思うのですが、確かに現行法にもあります。現行法の施行令の第一条の八号ですが、それにもありますが、これはやはり考えなくちゃいけないのじゃないでしょうか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/54
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055・内海倫
○説明員(内海倫君) 今の鈴木先生の点は、私どもも非常に苦心して考えた点でございますが、結局、駐車というものは、自動車なり車を継続的に停止することで、従って、駐車禁止するという目的は、継続的にそこに車がとまることによって生ずる交通の円滑化をはかろう、こういう趣旨に出るわけでございますので、結局、どこまでも目的としては継続的に車がそこにとまるということを排除するということにあるわけでございます。この場合、先ほど申しましたことを繰り返しますが、貨物の積みおろしということは、いわば現在の自動車運送という目的から当然行なわれなければならぬので、貨物の積みおろしであっても継続的にとまることは、継続的といいましても、一分あるいは三十秒以上とまることはいけないんだということは若干酷に失するという観点から、貨物の積みおろしを最小限度の時間で行う限りは、これは、駐車とせずに、停車として認めていこうという趣旨に出るものでありまして、本来五分を認めるということではなくて、五分を最大限にして、最も短時間で積みおろしを終わって、すぐその場から出てくれというのが、第十八号に掲げているカッコの中の趣旨でございます。従いまして、取り締まりの面からいきますれば、これは、そこに車が停滞するということは重大な問題でありますから、五分をこえておれば、注意を喚起してのいてもらうという措置もとらなければなりませんが、同時に、こういう趣旨に出ている点をやはり十分理解した上で協力してもらうという態勢がなければ、これはなかなか、実行の確保という点になりますと、むずかしい点もあろうかと思いますが、まあ私どもとしましては、五分ということは、五分のとまり得る権利を有するというよりも、五分以内で、最小限度で積みおろしの時間を終えて、いわゆる継続的に停止しないようにという考えに基づいているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 まあ問題のあるのは駐停車禁止の場所だと思うのです。単に停車しているというようなことであれば別問題で、いわゆる駐車禁止の場所におけるこういう問題だと私は思うのですが、そう考えていいわけですね。
そうしますと、場合によっては、たとえば、まあそこら辺におる警官なりあるいは警察署長なりと話し合いをして、どうしても、この貨物の積みおろしのためには、五分か七分ではできないというような話し合いがもしつけば許せますか。どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/56
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057・内海倫
○説明員(内海倫君) その点につきましては、法案の四十五条でございますけれども、主として四十四条、四十五条が駐車禁止あるいは停車禁止の規定でごさとますが、四十四条におきまして一号から五号まで、それから、四十五条におきましては一号から六号まで、これは法定して駐車禁止、あるいは停車及び駐車を禁止する場所にいたしておりますが、これにつきましては、例外の設定は困難でございますが、時間的に、大体におきまして、この各号に掲げておりますところは、これはもう駐停車を禁止し、あるいは駐車を禁止しなければならない必要性の度合いの強いところでございますから、例外は考えられませんが、東京都内あるいは大阪等におきまして行なっておりまする駐車禁止というものは、大体は第四十四条第六号または四十五条第七号に基づきまして、公安委員会が禁止する場所というものが最も多い点であり、かつまた、実際に駐停車しようとする自動車側にとっても、この第六号または七号によって公安委員会が指定する場所が問題になる点でございます。この点につきましては、従いまして公安委員会が、一般的には駐車禁止をしたいけれども、そこが貨物の積みおろしのために行なう五分以上の車をとめることも認める必要度合いが非常に強いというのであれば、それは、そういうものを除いた形の駐車禁止という措置もとり得るわけでありまするので、たとえば、この間ごらんいただきましたような横山町の問屋街というような所になりますと、もしかりにあそこを駐車禁止といたしましても、場合によっては、いろいろ対策を立てた上で、貨物の積みおろしについては特例を設けた駐車禁止措置を公安委員会がとることは、六号、七号によって可能であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 今のお話ですが、四十四条なり四十五条というのは、むしろ禁止する場所を指定する条項じゃないのですか。ですから、それを許すとか許さないとかいうことは、この四十四条なり四十五条からはあまり出てこないと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/58
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059・内海倫
○説明員(内海倫君) その点になりましては、確かに場所の指定でございますが、この場所を指定しました場合に、公安委員会は、すべての車両をそこで駐車を禁止するというのが一番強く認められる七号に基づく場所の指定でございますから、場所を指定しまして、何と何と何との駐車を禁止する場所、こういう指定に相なりまするので、最大限の制限の範囲内におきまして部分的制限ということで、私は、六、七号におきまして、今申しましたような除いた形の駐車制限は可能である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 ほかの条章にも関係するのですが、今の点ですね。六、七号というのは、どこの六、七号ですか。四十四条、四十五条のですか。そうしますと、私今まで読んでおったのは、四十四条なり四十五条というものは、こういうふうな所には停車なり駐車なりしてはいかぬということがずっと書かれておりますな。そのほかに、なお、公安委員会が必要と認めて指定した場所には停車あるいは駐車ができないのだと、こういうことをここでは規定してあるものであって、緩和することについてのやつは、この条項からはちょっと読めないのじゃないですか。私は、今までずっと一通り見てきた間では、そういうふうに解釈する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/60
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061・内海倫
○説明員(内海倫君) この点につきましては、立法にあたりまして、六号、七号の場合におきましては、法律は、五号、六号までは、各号で法定の場所をきめまして、これについては、法律で、車両はとまってはいけない、こういうふうにきめたわけですが、六号と七号におきましては、公安委員会が、道路における危険防止その他交通の安全と円滑をはかるために必要があると認めて、いわゆるそういう判断に基づきまして、やむを得ず制限するという格好で場所指定をいたすわけでございますので、その場合におきましては、たとえば、貨物以外の車両の駐車を禁止する場所として指定する、このことは可能であるということに基づいて規定いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっと私の聞くことが……、私は、今の二条十八号の問題から、この五分をこえない云々という問題から、こういう規定をすることによって、直接、何といいますか、ひっかかるところの駐車禁止の場所である、こういうのであるとすれば、今度は、駐車禁止の場所というのは四十四条、四十五条に書いてありますね。そこで、四十四条の六号なり、あるいは四十五条の七号というのは、それ以前の各号において禁止しておる場所、さらに、そのほかに必要があって駐車あるいは停車を禁止する場所において、公安委員会がいろいろな道路の状況とかあるいは危険防止、安全の確保のために指定ができるわけなんですね。それだけの規定であって、私言うのは、先に戻って、十八号の場合、駐車禁止の場合、こういう事態が起こった場合に、話し合いをして、ちょっとまあかんべんしてくれと、許してもらいたいと、こういうことができるかできないかということを私聞いたのであって、その場所を指定するとかしないとかいうことは、なるほどお話のように、四十四条、四十五条にありますが、これにかかって禁止された場所において十八号にひっかかるような場合、はたして話し合いによって容認してもらえるものかどうかと、こういうことなんです。ですから、そういう意味では、四十四条なり四十五条からは、そういう容認できるということは読めないのです。あなたはそれによってやれるのだというような御説明をなさったように私聞きましたものですから、この四十四条、四十五条の条項からは、それは読めないのじゃないか。従って、別にどこかで、この法あるいはこの法によらなくても、話し合いによって、駐車禁止の場合においても、五分以上貨物の積みおろしのためにそこに停止していることを許してもらえるかどうかということを聞いているのです。ちょっとくどいようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/62
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063・内海倫
○説明員(内海倫君) それじゃ、もう一度お答え申し上げます。先生の御質問にお答えしますには、二つの問題を考えまして、私お答え申し上げたいと思います。
たとえば、公安委員会がここは駐車禁止の場所であると指定をいたしております所におきまして、実際に、その現場の状況に応じて、警察官等がそこに行きまして、その状況を判断して、この場合、十分間とまることはさしつかえないというふうな措置をとり得るかということでありますれば、この法律は警察官にそういう権限を与えておりませんので、従いまして、できないということが言えるわけであります。現行法は、それは実は警察官の権限として一応できる余地を法律は残しておったわけでございますが、今度は、警察官の権限を明確に整理いたしましたので、その点はなくなっておりますので、現場におきまして警察官が判断して、五分以上、貨物自動車について、そこに車をとめることを認めることはできないというふうに申し上げなければなりません。
それから、もう一度繰り返しますが、もしそこが貨物の積みおろしのためにどうしても必要な、ある程度、五分以上は駐車させなければならないという状態であり、かつ、そのことがあまり道路交通についてそう影響もなくて、反面一般的な交通として、すべての自動車等が駐車することを認めると、非常に円滑を害されるというような状態であると公安委員会が判断いたしました場合には、先ほど申し上げました点に基づきまして、公安委員会は、貨物自動車の積みおろしを除き他の車両の駐車を禁止する場所としてそこを指定する、こういうことは可能であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、いわゆる区域なんかを指定する場合に、貨物自動車を除くと他の車は駐車できないというこで可能じゃないか、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/64
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065・内海倫
○説明員(内海倫君) その通りでございます。貨物自動車の貨物の積みおろしをする場合を除き、こういうことであります。貨物自動車そのものでなしに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 四十六条でこれを何とかできませんか。四十六条で、「停車又は駐車を禁止する場所」というところで何とかできるのではないかと私は思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/66
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067・内海倫
○説明員(内海倫君) 四十六条は、実は、そこの四十四条及び四十五条のところで、主として何メートルという、メートルを入れておるところがあるのでございますが、そこにおきまして、公安委員会が、その道路の状況によりまして、この法律にかかわらず、何といいますか、短縮することができるということの根拠にいたしてあるのが四十六条の規定でございます。従いまして、たとえば、四十五条の第五号に、「消火栓又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分」と、こうありますが、これは、法律では「五メートル以内」と、もう明定いたしましたので、このままにしておけば、五メートル以内のところは全部駐車禁止になるわけでございますが、場合によりますれば、これを公安委員会は三メートル以内に指定しまして、あとの残った二メートルの部分はなお駐停車することができると、こういう法律に対する公安委員会の特例を認めたわけであります。先生のおっしゃった点は認めておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/67
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068・鈴木壽
○鈴木壽君 実は、私もそれまで認めておると思わないでおるのですね。というのは、四十五条なり四十六条というのは、いわばほんとうの意味での危険防止なり事故の防止というような点から、特にこう特定の部分を押えていって、駐車あるいは停車を禁止している場所なんですから、いわゆる一般にいう停車禁止区域ということでなしに、一つ今言ったような観点から、特に交差点の部分だとか、勾配の部分だとか、いろいろなそういうようなことで、場所的に局限をして押えていっているわけであります。だから、これについての四十六条でございますから、私も何もこれによってさっきの問題は解決がつくとは考えておりませんが、しいて言えば、何かあなたの話では、現行法ではなく、今度の新法では、何か警察の許しを受けるとか警官から容認してもらうような条項がないと、こうおっしゃるもんですから、しいて言えば、こういうところにもひっかけて、まあまあしばらくやろうかというようなこともできはしないかという、一つ本旨から曲がったような解釈も私はとれないかということを言ったんで、確かに、これはあなたのおっしゃるように、それから今私が申し上げましたように、四十六条は四十四条、四十五条にかかるそれの規定のわけなんでございますから、とすれば、やっぱりそれは中途なところがありますね、実際問題として。五分ということに限ってこれを厳密にやるとすれば、いろいろ気の毒な点も出てくる。あるいは、ルーズにやろうと思えば、だれも五分というストップウォッチを握っておる人もいないのだから、これは守れないと、こういうことになってきますね。ですから、あまりこれは時間を区切り、五分というようなことでなしに、やっぱり貨物の積みおろしのための、これも断続的にやるんじゃなしに、さっさとやってスピードをあげてやるという、そういう範囲に限ることが実情に合うし、実際まあ取り締まる立場からいってもそれがいいじゃないか。これは、情においてもしのびませんわな。警官がかりにそういう場所を見つけて、五分たった、もう三分の一くらいおろせばあといいんだというときに、だめだと言う。これは、法に忠実であろうとすればそうなる。もし駐車の禁止の場所であったとすれば、そういうことにもなりかねないと思うのです。だから、もう少し正確を期していくといいますか、慎重を期して五分という時間を押えてここに書き込んだと思いますし、また現行法でもありますが、実際問題となると、私はこれは少しやはり問題じゃないかと思うんですが、どうです、この点。その点については、それだけでやめますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/68
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069・内海倫
○説明員(内海倫君) 最後にもう一ぺん申し上げておきますと、確かにその点はございますが、それで、これは運輸省からも調べてもらったのですが、今、貨物の積みおろしの総平均をとって見ますと、大体十五分ないし二十分を予定しなければならない。こういうことなんでございます。そうしますと、駐車禁止を私どもがしなければならない場所に、十五分ないし二十分というものがとまられるということになりますと、これはやはり非常に影響が大きいものでございますから、従いまして、先ほど申し上げましたように、やむを得ずそういう必要性を認めなければならない所に関しましては、特例、特別に規制措置をそういう場合にいたすことにいたしまして、一般的駐車という観念としては、やはり時間はできるだけ短い方がいいというふうに考えて、五分という規定にいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/69
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070・鈴木壽
○鈴木壽君 これでやめますが、そうしますと、まあ気持はわかるし、禁止の場所にだらだらやられても困る、長時間そこに作業されても、これは確かに困りますが、何かのやはり規制なり、ある点を押えて、これの範囲内でというようなことは、私は必要だとも思えるのです。しかし、さっきからいろいろ申し上げているような点から、実情からすれば、必ずしもこれでやれるとも思わぬし、きめたことはきめたことで、しかし実際は違うというようなことになりかねないと思うから、そういう点で私申し上げているんですが、ただ、先ほどあなたの御説明の中に、駐車禁止の区域なり場所を指定する際に、貨物の積みおろしの場合、それを除くというような規定を入れてやる場合もあるのじゃないか、こういうことでございましたのですが、まあこういう点を一つよく、やはり法の実施なり、あるいは場合によってはこれの施行令みたいなものを作らなければならぬと思いますから、そういうようなものを十分検討されましてやらないと、ちょっと工合が悪いと思いますね。
それから、特に私、くどいようですが、たとえば、引っ越し荷物なんかというのは、駐車禁止といったって、車も出せない。何か警官なりあるいは警察署との話し合いなり、その中で話し合いがつく、従って許されるというようなことがないと、実生活の上において私は困ることがあると思うんですね。ですから、そういう点一つあわせ考えて、実際の場合にはやらないと、とんでもないことに私なってくると思うんです。まあしかし、実際の場合はこれと違うんだということでまたやられると、法そのものが、五分というのは変なことになっちゃうのですから、その点、私非常に問題だと思いますから、もう一つ問題点として残しておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/70
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071・湯澤三千男
○湯澤三千男君 関連してちょっとお伺いしますが、今の法律では、警察官に多少余裕を認めて許可のできるのは何条ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/71
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072・内海倫
○説明員(内海倫君) 現行法におきましては第五条でございます。第五条で、警察官の指示に従わなければならないという、この規定と、それから、政令におきまして、政令の第三条でございます。施行令の第三条に、これは、法の第五条に基づいた規定でございますが、「警察官は、信号機の故障その他やむを得ない特別の必要があるときは、信号機、道路標識又は区画線の表示にかかわらず、これと異なる手信号又は指示をすることができる。この場合においては、歩行者、車馬又は軌道車は、警察官の手信号又は指示に従わなければならない。」こう書いておりますので、ここでしいて読みますと、道路標識と異なる指示をすることができるという根拠が一応政令でございますので、駐車禁止は、道路標識で禁止をいたしておりますので、「これと異なる」ということで、今の鈴木先生のおっしゃったような、真にやむを得ないような状態の場合には、警察官ができるというふうに考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/72
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073・湯澤三千男
○湯澤三千男君 今まで、やはりそういうような政令三条を利用して許可しておったのですかね。解釈上できるという意味か。あるいは実際それでやっておったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/73
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074・内海倫
○説明員(内海倫君) まず、法律上解釈ができるということを申し上げました。それから、これの適用に関しましては、やはり公安委員会が道路標識をもって行なったものでございますから、それをさらに下級の警察官が例外を設定するような行為でございますから、真に危険を防止する、特別やむを得ないというような状態以外には、こういうものを適用するというような指導は、私どもいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/74
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075・湯澤三千男
○湯澤三千男君 そうすると、つまりそういうことができるという現状を、一つまり先ほどの第二条のようなふうに改めなければならぬということを意識しながら改正したと、こういうわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/75
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076・内海倫
○説明員(内海倫君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/76
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077・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 午後二時まで休憩いたします。
午後一時二分休憩
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午後二時二十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/77
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078・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。道路交通法案について質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/78
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079・鈴木壽
○鈴木壽君 二条の二十号ですがね。徐行の場合のことをここで記してあるのですが、何か現行法でもこういう性質のものがあると思うのですが、速度とか何か、そういうことについて、別にこの趣旨を受けた何かきめ方をとっておりますか。あるいはまた今度は、この法によってはどういう方法をとるのかですね。それはどうです。というのは、まあ「直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。」といっても、なかなかこれはいろいろ問題がやはりあると思うのです。ですから、こういう点について、こういう規定だけでいいのか。あるいはまた、各条章に、あとで徐行しなければいけない個所なんかいろいろ出てくるわけなんですが、そういう場合に、もっときちっと、この程度のスピードでやるとか何かいうようなことをお示しになるのかならぬのか。ここら辺……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/79
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080・内海倫
○説明員(内海倫君) 徐行につきましては、今度初めてこの法案で定義をいたしたわけでございまして、現行法におきましては、単に徐行しなければならないと、こういうふうになっておったわけであります。定義をする目的は、やはり今鈴木委員のおっしゃいましたように、徐行というものの意味を明らかにしておきたいという趣旨に出るものでございます。ところが、一番趣旨を明らかにしますためには、たとえばスピード幾らということを書くことがいいのでございますが、検討いたしました結果は、結局数字をもって表わすことはできない。しからば、一つの案としましては、その場所において定められておる速度の半分とかあるいは三分の一以下とかいうふうに書くことも考えられるわけでありますが、それらにつきましても、なお徐行の意味を考えてみますと、結局、もうほとんど停止状態に近い状態で徐行する場合と、それほどになくて徐行するということで、結局、危険を防止するために直ちに停止するということができるような、さような速度で進行することだというふうに結論的にいたしたわけでございます。従いまして、この徐行というのは、徐行を要求されております、たとえばこの法律におきまする四十二条を初めとし、その他各所で、徐行しなければならないというふうなことを書いておりますが、そういうところにおいて、その書かれてある事柄に対応する程度にスピードを下げて走る。しかも、そのスピードを下げることは、結局直ちに停止することができるような速度というふうにして定義づけたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/80
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081・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、これは一般的にここに「徐行」という定義をしておるわけなんですから、そこで、たとえば何キロまでのスピードであれば徐行したということにするかというようなことになりますと、お話のように、非常にむずかしい問題だと思うのです。ですから、きちっとここに何キロ以下とか、何キロをこえてはいかんとかというようなことはむずかしいにしても、ただいまのお話のように、これは四十二条あたりと非常に関係するわけです。その他ほかの条章にも関係するところがありますが、直接には、いわゆる徐行すべき場所として規定した四十二条ですね。こういうところにかかってくる。しかも、これに違反をすれば三万円以下の罰金と、あるいは過失の際も同様だというような罰則がかかってくる問題であるわけですね。ところが、そのいわゆる停止することができる速度ということはね。一体だれが見てやるかという、その判別といいますか、判定、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのです。十分あなた方は御承知だと思いますが、三十キロくらいで走っておっても、今のブレーキだったら、そんなに危険ということを心配しないでもとまれるわけです。特にサイドとあわせてやるならば、これはとまれるわけなんですから、多少中でショックを受けたりなんかはしますけれども、じゃその程度でいいかどうかというと、これはおそらくそのいう趣旨ではないと思いますね。いや、おれはちゃんととまれる程度で走っておるのだということになりますと、ややこしい問題が起こるものですから、何か必ずしもここというような意味でなくて、その徐行すべき場所なりの指定の場合に、やはり徐行の際の何かめどというものは、法文に書けなくても、大体運転手の諸君にはわからせないと、これはいろいろ、私が今言ったように、問題が起こるんじゃないかと思うんです。かりに十キロ以内ということであれば、これはもうきわめて安全だけれども、しかし必ずしも、今言ったように、十キロでなくても、二十キロでもこれはとまりますから、そんなにひっくり返るというような心配もなしにとまりますから、そこら辺のところがいろいろ問題があるんですから、何かやっておかないと、これだけでは、実際問題が起こった場合に因るんじゃないかという心配があるんですが、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/81
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082・内海倫
○説明員(内海倫君) 確かにお説の通りでございます。ただ、法律でその点を明らかにすることは、ほとんど不可能に近い状態でございます。実は、その標準につきましては、いろいろな資料をもとにいたしまして、まあこれは運転者の皆さん方になるたけわからせるようにというので、「安全運転のしおり」というふうな形のものを、私の方で基本のものを作りまして各県に配って、各県からまた配っておるようなものにも載せておるのでございますが、たとえば制動距離表というようなことで、アスファルトの乾いた道路の場合に、ブレーキをかけるまでの速度が三十二キロであれば六メーター走る。さらにブレーキをかけてから八メートル走る。それから、速度四十キロであれば、ブレーキをかけるまでに八メーター走り、かけてから十三メーター走る。そういうふうなのを、今度はぬれた場合、砂利の場合、あるいは雪の場合というふうなものを設定いたしまして、一応の標準を示しまして、これを基礎として、まあ徐行の場合にどういうふうな程度にスピード・ダウンするかということの判定を、その道路の状態、車の状態等によって運転者の判断にまかせる、こういう考え方に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/82
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083・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、おっしゃるように、それからまた、私も申し上げたように、なかなかむずかしい問題なんです。これは、さっきの五分をこえないということと同じような問題ですが、なかなかきちっと時間で、あるいはキロで切ったりなんかすることは、場所の状況にもよりますし、いろいろな条件等もからみ合ってきますから、これはむずかしい問題ですが、それだけまた、何かあった場合には問題になると思うわけです。いや、ぼくはちゃんと徐行して、とまれるようにしておるんだ、こういうふうなことを、いや、そうじゃないとか何とかいうことになって、現場におる警官との間に何だかんだというやりとりが起こらないことは、私はないと思うんですね。そういう点からいきますと、もちろん法律の中で、これ以上走っちゃいかぬとか、これ以下を徐行というふうに、これはきちっとはできない問題ですが、しかし、実際の指導なり、あるいはこういう趣旨の徹底からしますと、やはり何か考えて措置をとらないと、私は、うまくないんじゃないだろうか、こういうことを考えるわけなんです。で、今のあなたがあげました、三十二キロの場合は、ブレーキを踏んで、なお六メーター走るというようなことがあったようですが、三十二キロ程度であるものを見つけて、ブレーキを踏むまでのその人の、何というか、反応といいますか、それによる動作というようなものはいろいろあると思いますが、ブレーキを踏んでサイドを引っぱってやれば、六メーターも七メーターも、普通はそんなに走らないんです。相当今の車は、そういう面ではブレーキはきちっときくようになっておりますから、一がいにそうとはいえませんけれども、しかし、判定の資料としていろいろなデータがあると思いますから、そういうものをもってやらないと、私は、ここにあるこういうことだけで、さっき言ったように、いや、おれは除行していたんだとか、いや、しなかったとか言うて、トラブルが起こる心配があるから、そういう意味でお聞きしたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/83
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084・松永忠二
○松永忠二君 第二条の中のことで一つ。あるいはこれはもうすでに聞かれているかもしれませんが、二条の一号のところに、「一般交通の用に供するその他の場所をいう。」とありますが、これについてはどういう説明でありましたか。ちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/84
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085・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 松永委員、これは、午前中かかりまして、鈴木委員から非常に詳細な質疑がありましたが、一応答弁をしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/85
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086・内海倫
○説明員(内海倫君) ごく整理した形で申し上げますと、「一般交通の用に供する」という言葉の意味は単に人が通れれば通れるというふうな意味ではございませんで、交通というものを社会通念的に見ました場合には、まず一般に交通するというような観念にとらえられる概念でございますし、それから、その場所という点でいいますと、客観的に見ましても、非常に道路的体裁を整えておるというふうな場所をいうものでございまして、しかも、道路法または道路運送法にいう道路または事業用自動車道でないものをいうわけでございます。従いまして、これをさらに具体的な例で二、三例を申し上げますれば、まず典型的なものは私道でございます。私道として一般の交通の用に供されている。それから次の概念は、道路のような体裁を整えておりますが、しかし、道路法その他で道路とされておらない、たとえば、公園あるいは神社の境内、寺院の境内等に至る参道、こういうふうな公園の中の道路あるいは参道、こういうふうなものを一つの「その他の場所」と考え、それから他の類型としましては、たとえば、大学等におきまする、構内の中でありながら、しかも、門扉が開いておる間は常に一般人の交通の用に開放されてある、構内の中の道路的機能を営んでおるさような部分、あるいは渋谷にあります、地下ではございますが、地下の商店街を形成しておるあの道路、こういうふうなもの、まあ大体以上のようなものまたはそれに類するような観念でとらえられるものを、一応「その他の場所」というふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/86
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087・木下友敬
○木下友敬君 今の二条の関係でちょっとお聞きしたいんですが、十三号に、「路面電車 レールにより運転する車をいう。」と書いてありますね。それから、今度、十七条の三項でしたか、「軌道」という言葉が出てきますね。十七条の三項などを見ますと、「軌道が道路の側端に寄って設けられている場合」、この軌道とレールというのは、何か使い分けてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/87
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088・内海倫
○説明員(内海倫君) 軌道といっておりますのは、レールを含みまして、そしてそのレールの中にはさまっておる土または石の部分をあわせまして、それを軌道といっております。それからソールは、鉄のあの線そのものをレールといっております。それからさらに、たとえば、これの二十一条などで、「軌道敷内の通行」ということで、軌道敷という言葉を使っておりますが、これは、さらにそのレールの外側の、たしか六十センチと考えておりましたが、六十センチの両側、具体的には、東京都内でいいますれば、石だたみの敷いてある部分、ここを軌道敷内と、こういっております。従いまして、電車の点についていいますれば、軌道敷が一番広く、その次が軌道になり、それからレールになる、こういう考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/88
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089・木下友敬
○木下友敬君 それと同時に、もう一つお聞きしておきたいのは、ここはずっと定義があげてありますが、踏切についての定義が出ていない。踏切というのは、どういう解釈をしてあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/89
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090・内海倫
○説明員(内海倫君) 踏切につきましては、この法律では定義をいたしておりませんし、かつまた、この法律におきましては、踏切という言葉を使用いたしております。たとえば、第五節、三十三条でございますが、「踏切を通過しようとするときは、」ということで使っておりますが、そこで、私どもの踏切の観念は、他の法律、たとえば道路法あるいは鉄道関係の法律に使用されておる踏切というものを踏切と心得て使用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/90
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091・木下友敬
○木下友敬君 あの踏切の部分は、そうしますと、道路の方からいえば、やっぱりあれは道路ですかね。それから、鉄道なら鉄道、あるいは電車の会社側からいえば、あれは自分の用地ということになりますが、さっきの東京大学の構内のあれからいけば、遮断機がおりていないときは道路であって、遮断機がおりたらそこは道路ではないというような解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/91
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092・内海倫
○説明員(内海倫君) 踏切につきましては、私どもはこれを踏切としてとらえておりまして、それで、たとえば三十三条の二項でございますが、「車両等は、踏切を通過しようとする場合において、」云々ということで、当該踏切に入ってはならないというふうな規定をいたしまして、ここのところは、道路としてもとらえた形にあらず、さればといって、鉄道敷としてとらえたにもあらず、踏切としてとらえておるという、まことにあれでございますが、一応そういうとらえ方をしてはおりますけれども、もし道交法全体の観点から踏切をとらえたとするならば、それはやはり道路の一定の部分というふうに考えられようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/92
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093・木下友敬
○木下友敬君 これは、先にも私は必要な場合が出てくると思いますが、あれを道路であるとか、あるいは道路でないとかいうことを、これははっきりさしておくべきじゃないかと思うが、どうですか。やはり普通の車が通り、あるいは人が通っておる間は、これは道路に違いないので、それを踏切は別だということならば、ここでずっと二十一までいろいろ定義があげてありますが、そこの二十二にでも、踏切とは何であるかということをいわないと、あるいは道路でないとか、あるいは道路であるとかいうような便宜な解釈は困ると思うのですが、何か方法はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/93
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094・内海倫
○説明員(内海倫君) そういう意味からいたしますと、この道交法におきましては、踏切は明らかに道路としてとらえておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/94
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095・木下友敬
○木下友敬君 それで、先ほど私が申しましたように、東京大学の場合のように、遮断機がおりておるときは道路ではない、遮断機が上に上がっておる場合には道路であると、あなたがさっき東京大学の話をされた同じ頭ならば、そういう解釈をせにゃならぬと思うが、それほどまでには拡大した考え方ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/95
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096・内海倫
○説明員(内海倫君) その場合におきましては、やはり遮断機がおりておりましても、道路であることには変わりはない。ただ、その場合におきましては、遮断機がおりることによって、この法律におきましては第三十三条の二項で、通行が法律に基づいて禁止されておる場所であると、こういうふうに考えていいのじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/96
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097・木下友敬
○木下友敬君 それは非常に進歩した頭の考え方で、融通のいい頭だけれども、さっきのあなたの東京大学の例からいくならば、それならば門を閉ざされた場合には、これは必要上門を閉ざされて、道路ではあるけれども、その使用が禁止された状態だと言わなければならぬ。そう言うならば聞こえるけれども、あなたは、門が閉鎖されたときにはもう道路ではないと、こういうふうに言ったでしょう。道路ではあるけれども、道路として道路の使用が禁止されておると言われるならば、それは今の踏切の場合と同じだけれども、これは概念を統一しておく必要があると思うから申し上げるのですが、実際の問題では困らないけれども、概念だけは統一してほしいと、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/97
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098・内海倫
○説明員(内海倫君) 踏切における遮断機と、それから大学における門とは、やはり同一に論ずることは、道路という問題を前提にした場合は、できなくて、やはり異にして考えるべきではないかと思うのでありますが、踏切の場合に、遮断機がおりるということは、結局列車なりあるいは電車が通ることによって、そこを通行する者の危険を未然に防止しようとする意図によってそれがおりて、またそのおりておる状態をより完全に確保しようという観点から、今回の法案には、三十三条の二項で、その中に入ってはならないというふうな規定をいたしたものでありまして、そうでない限りは、これは勝手に閉鎖したり、あるいは開通させたりするというふうなことのできるものではないと、こういうふうに考えますが、門の場合には、これはむしろ管理権が優先しておるものでありまして、東大の例をとりますれば、東京の管理者である総長でありますか、が門を開いて通行を認めておる状態のもとにおいて、これが道路であると考えられるわけでありまして、管理権に基づいて門扉を閉鎖しますれば、それはもはや一般の通行の用に供する状態が消滅しておるわけでありますから、自然それは道路という性格を失ってくる。しかも、その門扉を閉鎖する、あるいはあけるということは、原則的にはその管理者の権限に基づき、管理者の意思に心づいて行なわれておるものではないかと、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/98
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099・木下友敬
○木下友敬君 議論の分かれるところでしょうけれども、管理者が閉鎖を都合によって行なうわけでございますが、そのために性格が変わってくる。道路としての性格が変わってくるから、道路でない踏切の場合には、危険だから当然法律に基づいて遮断するから、遮断しておいても道路だと、こういうふうな言い方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/99
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100・内海倫
○説明員(内海倫君) まず大学の方を先に申しますれば、これは、元来私は大学の構内は道路ではないと考えております。しかし、管理者が門扉を開いて、一般交通の用に供するということを明示的あるいは黙示的に認めておる状態で、そしてそこが道路として実際に使用されておるような場合において、これが道交法上道路という、そういう状態のもとにおいて道路として認められるということでありまして、本質的には、私はこれはやはり管理者の管理している地域であって、道路ではなかろうと考えます。それから、踏切の場合につきましては、これはまさに個々の踏切について見なければならない点でございますが、踏切自体が道路法上の道路である場合がかなりあろうと思います。それから反面また、踏切自体は、鉄道なりあるいは専用軌道としての持ち主の持っておるいわゆる鉄道式または軌道式として占有されておる場合とありまして、従いまして、法律上の性格からいえば、これは、道路法上の道路である場合と、あるいは鉄道法なりその他の法令に基づく鉄道施設というふうに見る場合とあろうと思いますが、しかし、それが実際に道路として利用されておる実態に着目して、この道交法がありますから、これはいわゆる道交法上の明らかな道路と見ていいと思いまするし、また、その限りにおいて、この踏切におきましてそういう列車等が通過する場合、あるいは特にそこを遮断するような場合、その他鉄道等のやむを得ざる事情に基づく場合以外は、私は、これの通行の禁止、制限ということをその管理者であるものが悪意的にやるということは、何らかの根拠を持たない限りはやはりできないものであって、通行の用に一般に供されておるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるのでありますが、そういった点では、かなり大学の場合と踏切の場合とは、同じ道交法上道路という性格をとらえて論じましても、異なっておるのじゃなかろうか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/100
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101・木下友敬
○木下友敬君 そこで問題があるわけで、踏切と大学の中と一緒にするということは、それはケースが違うんですから、本質的に違ってくるわけですけれども、あなたも言われたが、大学の中は本質的には道路でないということを今あなたは言われた。最初はそういうことを言っておられなかったが、本質的には道路でないと思うと、あなたは今言ったんですね。同じ言い方からすれば、踏切は本質的には道路である。遮断機のおりておるときはしかし道路としての性格がなくなってくる。ちょうど大学の場合には、本質的には道路でないけれども、そこの管理者が許している場合には道路として便宜上使用されておるのである。だから、大学の構内というものは、これは道路の用に供されておるけれども、本質的にはあれは道路じゃないと言いまするならばいいけれども、あれは道路としておるというものを管理者の自由にまかして、あるときは道路であり、あるときは道路でないということがあいまいになってくるから、願わくば、これは、大学の構内は道路でないということをあなたがきちんと言っておらない、これは本質的には道路じゃないけいれども、通行が許されておる、それから踏切は、これは本質的には道路であるけれども、遮断機のおりておるときには、これは道路としての使用は禁じられておる、こういうふうに私はきちんと区別してもらわなければ困ると思うが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/101
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102・中川董治
○政府委員(中川董治君) ただいま交通課長の説明の通りですが、若干補足説明申し上げたいと思いますが、御指摘の通り、法律上の道路というものをどう理解するかということになりますれば、この法律の一条から始まると思うのであります。この法律の一条は、公共の場所でありますところの道路というものについて、たくさんの人が利用するについて、そこに危害が起こってはいけない、その危害の防止と交通の安全と円滑をはかる、トランスポーテーションの円滑、こういう趣旨から出てくるのだと思います。従いまして、その大学の構内の中で一般交通の用に供している部分につきましては、所有権は国でも都道府県でもありませんので、道路法上の道路でございませんけれども、その道が不特定多数のものが盛んに通行しておりますので、あるいは車道と歩道の区別もない部分につきましては、人は右、車は左に歩かなければなりません。こういう規定が適用になりませんと危険防止にならない。こういう趣旨から、大学の構内の道路といえども、危険防止の見地から、道路交通を規制する実益があるということが言えるのであります。こういう解釈が書生論として成り立つというだけではいけませんので、この法律の第二条で「その他の場所」ということを明確に規定いたしたのであります。
そこで、踏切との差異は、それは、道路交通法案の一条の目的からいえば、踏切も大学の構内の道路も、ともに同様なんですが、違う点は、私の所有その他の目的で持っているものにつきましては、当該道路をその管理者その他が道路として提供する行為がないと一般交通ができないという実体がある。たとえば、東京大学で申しますと、あの大学の管理機関がその部分の場所を不特定多数のものに交通の用に供するという提供の行為がないと、だれも歩けない。こういう性格が大学にあるのに反して、踏切の場合は、だれかが提供して初めて道路になるのじゃなくて、むしろかねて道路があった所に鉄道がついて参る場合もありますので、その当該道路は本来的に道路である。ところが、汽車が通るとなりますと、危険でありますので、遮断機がおりる、こういう性格であろうと思います。従いまして、結論から申し上げますれば、大学の構内の道路も、ああいった東京大学でいえば、病院に行く道は確かに道路である。その理由は、交通の安全と円滑をはかるこの法律の趣旨を実現するところにある、こういうことでございます。それから踏切も同様であります。違う点は、東京大学の場合は、ことに私道の場合はそうなのですが、所有者が一般の交通の用に提供する行為を前提とする。その提供行為を現実の姿で見るのに、赤門を閉めるとかあけるとか、門扉をあけるとか閉めるとかという行為が提供行為と解するのである。踏切の遮断機は、危険の防止のために一時踏切の通行を禁止する。こういう点が違うと解釈、するのでありまして、私は、この法案の趣旨は、そういうふうに御理解いただけば御了解いただけるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/102
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103・木下友敬
○木下友敬君 この法律が、一条でうたってあるような、そういう目的のために作られたのであるから、同じ人の通る道でも、この法律ではこう考えるのだといういき方が、私は国全体の法的な考え方に矛盾がくると思うので、やはりこの法律で見ようと、他の法律で見ようと、道路というものは一つの概念でなくちゃならぬということから、そういう意味から、大学の中は道路ではない、ただ通行に供せられておるだけである、提供されておるというだけであって、本質的には道路でないと言われた今のお話しの通り、それを私は明確に認めておいてもらいたいと思うのです。そういうような言葉の上のことなんですけれども、今度の法律には、言葉の上のどうも統制の悪いところがあるのです。これは、先の方に進んで言うのがいいと思いますけれども、これは委員長、どうですか。あまり先に進まぬがいいでしょう。章をこえないで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/103
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104・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 関連したのはけっこうですけれども、今のようなお話だと、その章へ入ってから御質問してもらった方がなおけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/104
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105・木下友敬
○木下友敬君 そこで私は、ここで今のあなた方の説明とは異なっておりまするけれども、用語の上から、あるいは概念の上から、先ほどから例に引かれております東大の門を開くから、開かないから、道路であり、道路でないということは、これは解釈としては私は賛成できない。もう少し何かはっきりした答弁を一つ考えてもらいたい、こう思うのです。同じことは車両という問題でも起こってくるわけなんです。ここでは道路の問題ですが、これはやはり法律だから、それだから、車両ということを、車両のところでは、「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバス」と、こういってありますが、一般に車両という場合には、われわれが鉄道の場合カーと言ってる、鉄道で使うあれも車両のはずなんです。これが踏切を通過するときには、やはり道路の上をただ横断していくというだけで、カー、車両には違いない。だから、鉄道でいう車両もここでいう車両も、全部車両というものは、日本国の法律でなら、いつでもそれが同じ意味で使われるというふうに統制してもらわないと、八項でいう車両というものの中には、ここには鉄道は直接関係しないから、鉄道の車のことは一切触れないのだというのでは、それは困るわけです。こういう点について御意見はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/105
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106・中川董治
○政府委員(中川董治君) 木下先生がおっしゃいますように、この法律でも、また他の法律でも、いろいろ言葉はなるべく同じように用いなければならぬという点は、できるだけそういう努力を払うべきであるという点も同感でございますが、どういたしましても、法律の目的によって違う趣旨を説明しなければならぬ場合がやむを得ず出てくるわけです。今回の場合は、道路法にいうところの道路は、道路法の目的から見て限定を受けるのでありますが、この道路は、交通の危害の安全と円滑という趣旨から申せば、この法律二条一号にいうところの「その他の場所」も道路にする必要がありますので、その意味におきまして、道路法にいうところの道路とこの法律にいうところの道路が相異なる概念を持っておるのであります。ところが、できるだけ同じようにすることは好ましいのだけれども、異なる概念を持てば持つほどに、明確に法律に書く必要がありますので、この法律第二条第一号において明確にしたわけであります。道路法にいう道路を含み、その他の場所を含むというふうに明確にしたわけであります。おししゃいますように、あらゆる法律で、すべて言葉を同じく用いるということは、できるだけ好ましいことでありますけれども、法律の目的に従って若干違う場合があり得る。違う場合は、何も書かないと疑問が起こるので、疑問が起こることは適当でないので、その疑問を解決する手段といたしまして、道路に関しましては、この法律第二条によりまして明確に規定いたしましたので、その点は、御了得いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/106
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107・木下友敬
○木下友敬君 同様の趣旨のことで、この法律では私申し上げたいことがございますが、章が違っておりますので、問題をあとに残しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/107
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108・鈴木壽
○鈴木壽君 第四条の「信号機の設置等」のところですが、「公安委員会又はその委任を受けた者は、」云々、こうありますが、この「委任を受けた者」、これは現行法にもありますし、そのままここへもってきたものだと思いますが、現在信号機の設置等について委任をして設置せしめているものがあるとすれば、どういう形のものに委任をしているのか。それから、委任の内容なり責任の所在なり、そういうようなものについて、どういうふうになっていますか。これは、あるいはまた将来どういうふうにするというのか。この点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/108
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109・内海倫
○説明員(内海倫君) 現在におきまして、この委任を受けて設置をしているという状態について申しますれば、東京都内におきまして、本来は東京都が経営している電車の通行の便のために作られた信号機が、その後における道路交通の非常なひんぱん化に伴いまして、むしろ公安委員会での目的に使用するとの方がはるかに多くなってきている状態がございまして、それで、これらにつきましては、いずれもこれは公安委員会の委任に基づいて東京都知事が設置した信号機というふうに、昭和二十二年の現行道路交通取締法が作られまして、それが警察制度の改正によって、知事とあるのを読みかえます際に、そういうふうな措置が都道府県ごとにとられている、こういうふうに私聞いております。それから、この現行法ができまして以後、なおそういう形で公安委員会が設置を委任して作ったというふうな例は、有料道路等におきまして、その有料道路の管理業務を行なっているもの、たとえば、道路運送法による重要な自動車道でありますれば重要自動車道の経営者、それから、道路法にいう有料道路でありますれば、その有料道路を経営している道路管理者の行為を行なう道路公団等が、公安委員会の委任を受けて信号機を設置しているという例がございます。それから、その委任を受けて設置したものがどういう権限を持っているかということでございますが、現状は、委任を受けて設置しました以後は、その管理につきましては、すべて公安委員会が行なっておりまするので、いわば設置したというにとどまる場合が非常に多いと思います。ただ、東京都内の場合におきましては、電車のために設置された信号機につきましては、その範囲内におきまして、東京都の電車を管理している部門で信号機そのものも管理している実例はございます。大体そういうことでございますが、なお将来、この法律におきましても、委任をして設置をしてもらうことがあろうかと思いますが、しかし、道路交通法の規定の趣旨から考えまして、その管理につきましては、おそらく公安委員会が行なうことになるのではなかろうかと、これは私、法の規定の範囲内でのことでございますが、そういうふうになるんじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/109
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110・鈴木壽
○鈴木壽君 大体現状についてはわかりましたが、その委任を受けてやっている者、東京都であれば、公安委員会からかつての電車等のために作った信号機であるというような関係で、しかし、現在はまあ道路交通法の立場から必要だというので、公安委員会から都が委任を受ける、こういう格好のお話でしたね。それから、有料道路等であれば、公団あるいは有料道路の事業者、そういうものに委任をしているというお話ですが、委任する場合の形ですね。これは、事情は、東京都内の場合と、それから有料道路等の場合とは、ちょっと違うようでありますし、どういう形のもとにそういう委任行為が行なわれるのか。それから費用の問題は、これは一体どうしているのか、管理はこちらだ、こちらだと言っちゃおかしいが、公安委員会だといっても、設置する費用、これはどういうふうにしているのか。それと、もう一つは、さっきもちょっとお尋ねしましたが、管理以前のいろいろな責任問題が場合によっては起こるのじゃないかと思うのですが、設置に伴うそういうような点、どういうふうになっているのか。もう少しお話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/110
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111・内海倫
○説明員(内海倫君) 東京都の場合におきましては、先ほど申しましたように、沿革的なそういうものがございまして、それを整理するために、一応事後に委任の形式をとったと思いますが、すでに、それらにつきましても、その後東京都公安委員会の方に移管をいたしまして、今はもうほとんど公安委員会の方に移管済みになっていると思います。従いまして、東京都内におきましては、いわゆる委任して作られた信号機というものは、そういう歴史的事情に基づくものを除きましては、私、詳しく確信をもって申し上げるだけの準備をいたしておりませんけたども、もうほとんどないのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
それから、有料道路等における信号機設置の委任につきましては、今後もあり得ると考えておりますが、その場合の形式といたしましては、結局、その道路の道路管理者の側からしますれば、こういう所に信号機を設置して、交通の効率化をはかりたいというような希望もございましょうし、また、いろいろ希望が、危険防止等の希望があろうと思いますが、委任するに際しましては、どこまでも都道府県公安委員会がみずから設置すると同じ条件を設定いたしまして、その委任をするわけでございますから、そのための手続としては、結局、それらすべてがいれられる条件が整わなければ委任することはできないものと考えております。
それから、設置に要しまする費用は、これも、その委任ということに伴う内容によってきまろうかと思いますが、私どもの考えとしましては、そういう有料道路というふうな場合でありますれば、その設置に要する費用は、委任を受けた者が持つことを任意に承認した場合であれば、そちらに持ってもらうということも可能ではなかろうかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/111
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112・鈴木壽
○鈴木壽君 もともと信号機等の設置は、道路上における交通というものを考えた場合の危険防止、事故の防止、そういうものが直接的なねらいだと思うわけです。いろいろ交通上の円滑化をはかるというふうなことももちろんありますけれども、ともかくこういうことによって、直接的なねらいは、危険防止というようなものが中心になっていくのだろうと思います。そこで、そういうものを考える場合には、やはり公安委員会というものが、そういう面での、この法等において、直接まず責任を持たなければならないわけですね。これはその通りと解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/112
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113・内海倫
○説明員(内海倫君) 責任は、お説の通り、公安委員会が持つわけです。現に、その典型的な例は、下関の関門トンネルが一番いい例であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/113
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114・鈴木壽
○鈴木壽君 そういう責任のある公安委員会が、その委任をして、そういうものを設置させる。こういう場合ですから、いわゆる委任を受けて設置したものに責任が行くのか。これはいろいろあると思いますが、委任の仕方からいっても、いろいろあると思いますが、そういう点からいって、やっぱり最終的な責任の所在というようなことを考えます場合に、私、委任ということは軽々にすべきでなくて、やはりそこに一つのはっきりした契約なり、委任条項なり、基準なり、あるいは、場合によってはそれらに伴う費用の負担なり、そういうことをやっぱり整えておかなければならない性質のものではないだろうか、そういうふうに考えてきます場合に、まあ東京都内におきますところの過去のいわゆる事実として起こってきた問題、これは一応しばらくおくにしても、今は全面的に公安委員会の方に移管されているというお話ですから、それはまあいいでしょう。しかし、各地の有料道路の問題なんか出てきておりますし、これからも出る傾向にあると思うのですが、そういう場合に、公団なり事業者なり等に対して、特に私心配なのは、事業者等に対してこの点をはっきりしておかないと、いろいろ将来いわゆる危険防止という目的のためには心配なものが出てくるのではないか、こういうふうに考えるわけなんです。従って、その各都道府県の公安委員会との間に、一体どういうふうなきちんとした委任形式なり、あるいはその内容、その基準等についての取りかわしができておるのか。さらにまた含めて費用分担の問題、あなたは、向こうが承諾すれば、向こうが持ってもいいしというようなお話ですが、その辺においても、やっぱりきちっとした一つのものを持たないと困るのじゃないかと、こういうふりに思うわけなんです。ですから、現在までは、あまりそのことについてははっきりしておらないようでありますか、将来にわたってのことを申し上げますならば、私は、今言ったようなことをきちっとしていく必要があるのではないかと、こう思うわけなんですか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/114
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115・木村行藏
○政府委員(木村行藏君) 確かにお説の通りでありまして、そういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/115
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116・鈴木壽
○鈴木壽君 それでは、一つ参考のために、これは資料としてお願いしたいのですが、現在の有料道路のうち、委任をしてこういう信号機を設置したものがあるとすれば、その個所なり、それから委任の、何と言いますか、そういう取りきめの文書的のものが都道府県公安委員会との間にあるものかどうか、あったら一つそういうものを……。それから、費用の負担等については、どういうふうな取りきめになっておるか。こういう点について一つお調べの上にお示しいただきたいと思います。これは、さっきも言ったように、私、やっぱり将来にわたって大事な問題を含んでいるという意味で、これはやっぱり一応はっきりさせておくことが必要じゃないかというような意味で、その参考としてお願いしたいわけなんです。
なお、こういうものについて、現在の各都道府県公安委員会の中に、委任できるような、何か法令的な根拠というものがありますか。ただこの法律によって、これはもちろん現行法からして施行令の中にありますから、それによってやるのだと、これだけでなしに、公安委員会のいろいろ職務なり、あるいは委任事項なりをきめたものの中に、こういうものがどこの公安委員会でも可能なようにきめられているものかどうか、そういう点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/116
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117・内海倫
○説明員(内海倫君) 私の承知いたしております範囲では、現行法でいいますれば、現行法または政令に基づいてやっておりまして、個々の公安委員会で、それぞれについて、そういうことに関する規定が置かれているかどうか、ちょっと私、今正確に承知いたしておりません。なお、よく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/117
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118・鈴木壽
○鈴木壽君 その点ですが、現在の政令で定められてありますから、それに基づいてやることについては、違法でも何でも私ないと思うのです。ただ、念を入れる立場でいえば、やっぱり都道府県の公安委員会等においてこれこれのものは委託をしてできるというようなことが一応整えられてある方が私はいいんじゃないかと、こういう考え方から、そういうものがはたしてあるものかどうかということをお尋ねしたわけですが、これも一つ、あまり四角ばったような意味で私申し上げておるんじゃありませんが、一つお調べの上に、どっかの公安委員会でこういうことをやっておられるんだということを、さっきのお願いをしました有料道路等に対するこういう信号機の設置等の委任と一緒に、できたら一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/118
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119・松永忠二
○松永忠二君 今のところと関連ですが、道路工事をやっているときに、やはり建設者の方が道路で交通遮断をしたり、あるいは通行制限をしたりするということをやっているわけです。これは一体法律的にはどういう根拠に立ってやっているのか。それとまた、その指示者に対して車両とかあるいは通行人がその指示に従わないとか何とかいう問題については、どういう関係を持っているのか、その点ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/119
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120・内海倫
○説明員(内海倫君) 道路工事に基づいて道路管理者が交通の禁止、制限をやっておりますのは、道路法に基づくものでございまして、道路法の条文のあれは今お示しいたしますが、道路法の規定といたしましては、道路工事を行なう場合に、工事を阻害されないように、あわせて交通の危険を防止するために、道路管理者は、その場所における交通の禁止、制限をすることができるというのが道路法にございます。それで、その場合におきましては、道路管理者が道路法に基づく規定の効果としてさような措置をとるわけであります。それから、同じような状態におきまして、この道交法でいきますれば、第七条の第一項でございますが、公安委員会が、そこにおける交通の危険を防止する、あるいは安全、円滑をはかるため、当該道路の区域について禁止または制限することができる。この規定に基づきまして行なうことも可能であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/120
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121・松永忠二
○松永忠二君 実情は、そういう道路の交通をいろいろ指示している状況で、非常に混乱している状況もあるわけなんです。こういう点について、やはり公安委員会の方の指導を受けるなり、あるいは連絡をして実施をするという、そういう点については、規制を持っておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/121
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122・内海倫
○説明員(内海倫君) まず最初に、この道路交通法の方から申しますれば、先ほど申しました公安委員会が通行の禁止、制限をいたします場合は、また、今度新たに設けました警察署長が同じようにやります場合は、その次の八条の規定によりまして、あらかじめ当該道路の管理者に通知をすると、こういうふうな措置をとっております。それから、道路管理者がやはりそういうふうな通行の禁止制限を行ないます場合も、この七十九条によりまして、道路工事あるいは作業を行ないます場合には、いずれも警察署長あるいは道路管理者の許可の対象になるわけでございますが、そういう場合には、相互の機関が協議をすることになります。道交法の方からは、警察署長が道路管理者に協議をするという規定を設け、道路法におきましては、道路管理者が許可をする場合には警察署長と協議をする、こういうふうな相互の規定を作りまして、実際には両者の意見が疎通するように措置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/122
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123・松永忠二
○松永忠二君 私がお聞きするのは、その現状をやはり検討を要するというように考えておられるのかどうか。私たちの見た目では、やはり相当問題があるのではないか。事実、国道も——整備されておる国道は別でありますけれども、二級国道あたりでは、相当これをやっておるわけであります。そのために非常に混雑もしておるし、事実上それがずいふんひどい、ずさんなやり方をしている。あるいはそれを指示する者がおらなかったりして、確実にそれが実施されてない。こういう点については、やはり整備する必要があると思うのです。これを整備をするとすれば、具体的にどういう方向で整備をすればいいとお考えになっておるのか、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/123
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124・内海倫
○説明員(内海倫君) ちょっと私、御質問の趣旨を間違えておりましたので……。道路におきまして工事あるいは作業をしようといたします場合は、現行法におきましては、法の二十六条に「警察署長の許可を受けなければならない。」というふうに規定されており、またこの法案におきましても、第八十条によりまして、道路管理者がその道路の維持、修繕、管理のために道路工事をします場合には、警察署長と協議をして行なうと、こういうふうに規定をしたわけでございますが、法律上はそういうことで、現行法では一応許可を受けなければならない。それから今度の法案におきましては、警察署長と協議しなければならない。こういうふうになりまして、一応現場についてチェックする法的根拠を持っておるわけであります。そこで、現状におきましてはどういうふうにやっておりますかと申しますと、たとえば、これを警視庁の例にとって申しますれば、道路の上において行なわれておる工事というのは、道路を直すための工事のほかに、あるいは水道あるいはガス、電柱を立てる、いろいろな形の工事作業が行なわれておるわけでございまして、これらがいずれも警察署長の許可対象に相なっておりまして、従いまして、警視庁としましては、それらの工事ができるだけその道路における交通をほとんど停止せしめるようなことにならないように調整をいたす必要があるという観点から、そういう関係者の協議会を作りまして、そこで年間計画をまず立てる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/124
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125・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと……、その話じゃないのです。その手続とか、そういう方法については、一応わかっているわけですがね。実際にちょうど委任したような形で交通整理が行なわれておるわけです。ちょうど信号機を設置するような場合に、委任したような形で道路工事者に交通のつまり指示権が与えられた形になっておる。事実上それによって交通が整理されておるわけです。しかも、その交通の整理の指示が実にずさんであったりするために混雑をしておると、また、その指示すること自体が非常に正確であれば、それを守ってもらわなければいけないわけなんだが、そういう点について、やはりちょうど委任されてああいうことをやるという形で行なわれているわけだけれども、この点については、公安委員会はどういうふうな形でタッチをして、どういう責任でこれをやられておるのか。こういう点について、もし法的な整備をするとかいうものがあるならば、やはりする必要があるのではないかということを考えておるのです。道路工事をする場合とか、そういうことは一応わかっておるので、その点についてのことを私はお聞きをしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/125
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126・内海倫
○説明員(内海倫君) その点につきましては、おそらく女の人が赤い旗を振っておるような状態を御指摘になっておるのかと思いますが、許可をいたします場合に、公安委員会としましては、警察署長としましては、こういう整理をするというふうないろいろな条件をつけておるわけでございます。それで、もとより道路上における交通の制限であり、あるいはそれによって混乱が生ずるおそれもあるわけでございまするから、そういう非常にひどいものでありますれば、警察官を立てまして整理することもあろうと思いますが、事実上行なわれておる多くの工事におきましては、道路管理者の行なう交通禁止、制限の一環として、その禁止、制限を実現する方法として、あるいは道路標識を立てる、あるいはその工事に従事しておる者が赤旗あるいは白旗を持ちまして整理しておる、こういうふうなことでありまして、警察がその交通整理の行為を道路管理者に委任したという形のものではなく、道路法に基づいて道路管理者が交通の禁止、制限を行なったことに伴う措置として行なわれておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/126
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127・松永忠二
○松永忠二君 道路法に基づいて管理者がそういうことをやっておる。その管理者の権利を工事者が実施をしているのだというような御説明だと思うのです。そうなってくると、今のお話だと、許可するときの条件を相当明確にするとか、そういうことが一つの問題だと思うわけなんですが、具体的には、たとえば赤い旗を出したときはどう、青い旗を出したときはどうという、そういうことに対して、車両なり歩行人がそれに従わなければいけないというような、そういう点についての法的な根拠というのはどこにあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/127
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128・内海倫
○説明員(内海倫君) まず、法律上の点を申しますと、道路法の四十六条に、道路管理者は、次のような場合に、「道路の通行を禁止し、又は制限することができる。」こういう規定がございまして、道路工事等をやっておる場合と、それから四十八条で、道路管理者は、四十六条の規定によって「道路の通行を禁止し、又は制限しようとする場合」には道路標識を設けなければならないということで、道路標識でもって禁止、制限を明らかにする、こういうことで、根拠はこれきりしかございませんので、従いまして、あの赤い旗、白い旗を振って、車をとめあるいは動かしておりまするものは、あれ自体につきましては、通行を整理する法的な権限というものはない。こういうふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/128
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129・松永忠二
○松永忠二君 そうなってくると、やはりそういう点について、現実には、それで道路交通が行なわれている現状があるわけです。こうなると、道路法に基づくのはそういう権利じゃないのですから、制限したりなんかするということを標識によって示すということであって、それを、工事を実施する者が、まあ極端なことを言うと、自分の便宜のために一時交通を停止をして、非常に長く待たしておいてやっておるというようなことも、事実行なわれているわけなんです。しかも、それは相当重要な道路においてそういうことを実施しておるということになるわけですが、この点については、やり方も改善してもらわなければいけないけれども、やる以上は、やはりそれについて、警察官の指示だから処罰規定があるという、そういう事実上責任を負わしてやらなければいけないものについて、当然やはりそういうふうに信号をする権利とかなんとかいうものを与えるというような具体的な問題は出てくると思うのです。やはりこの点については、整備する必要があるのではないかと私は思うのです。どうですか、その点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/129
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130・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 確かに、今、松永委員の御指摘のような、工事をするはずるとして、やむを得ないとしましても、それに伴う事実上の交通整理の措置というものが円滑に行なわれないという実情がときどきあるということは、御指摘の通りと思います。こういう場合におきましては、必要に応じてやはり警察官等がそういう所に出て、整理を円滑にやるように努力するというようなことが必要な場合もあると思いまするし、また、やり方等について、その工事者なりあるいは管理者なりについて、十分強い要望をしておくということも必要だと思います。現状は確かに、お話のように、不十分なと申しますか、円滑を妨げるような行為が間々見られることは事実でございまして、こういう点につきましては、今後できるだけ警察としても真剣に検討をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/130
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131・松永忠二
○松永忠二君 それではお願いしておきますが、私の方でも、その点についてはもう少し研究をいたしますので、やはりこの道交法を審議し終えるまでの間に、これはどういうふうにして具体的にやるのだ、できるのだということを、こうすればいいのだという対策をはっきりして、これはこうなるというふうに、具体的に一つ研究をされて、それを具体的な方法としてここでお述べをいただきたいと思うわけです。
もう一つ私お尋ねしますが、その前に、「自動車等の種類」ということ、これは第三条ですが、道路運送車両法の第三条あるいは施行規則の二条の別表というのによりますと、普通自動車、小型自動車、軽自動車、それから特殊自動車と、こういうふうな区分けの仕方をしてあるわけなんですが、やはり自動車の種別というようなものについては、統一したものが必要ではないかと私たちは思うのです。どこをどう改めていくべきものなのか、どこへ統一をしていくべきものか、この点について、どういうお考えを持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/131
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132・内海倫
○説明員(内海倫君) 車両法におきましては、御説のように、この法案と異なった種別が書いてあるわけでございますが、この法律案で第三条の種類を定めましたのは、もっぱら後に定めております運転免許との対応関係を考えましてここに持ち出したものでございまして、また、道交法が自動車の種類を規定しますゆえんは、運転免許の種別態様との関連以外には、何らこれを規定しなければならない理由がないものでございます。従いまして、結局、運転免許の種別をどうするかということを考えて、その種別に対応する形で自動車の種別を考えて第三条に規定すると、こういう措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/132
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133・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、ここでいっている大型自動車というのですね。これは、具体的にはどういう規定があるのですか、普通自動車の中を分けて。それを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/133
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134・内海倫
○説明員(内海倫君) これは、もう現行法に規定しておるところでございますが、大型自動車といっておりますのは、人を乗せる車におきましては、乗車定員十一人以上の四輪の自動車、及び貨物自動車におきましては、その積載量五トン以上のものを大型自動車と、こういうふうに現行法は定めておりますし、この法案におきましても、そこで「総理府令で定める車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさを基準として、」と書いておりますので、総理府令ではそのような規定をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/134
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135・松永忠二
○松永忠二君 よくこの前も警視庁に行ったときにも話があったわけで、自動車の種類が非常に十七種類もあって多いと、そういうふうなことが実は交通法で非常に問題だということを言われているわけです。そうなってくると、どこかでやはりそういう点についての種別というものを明確にしていくというか、できるだけあちらでもこちらでもいろいろな基準を作らないでやっていく方法が必要ではないかというようなことを感じておるわけですが、警察庁あたりでは、そういう車両の規格というようなものについては、そういう点をどういうふうにしていったらいいというふうに考えておられるのか。まあ運転免許の関係で、今言うように、こういう種類に分けたのであるけれども、そういう点からいえば、できるだけ規格というものを、そう単純にしてしまうというわけにはいかないとしても、ある程度、現実にこういうことをやっておられる方としては、できるだけ種類をもう少し少なくしていきたいという気持を持っておられるようであるけれども、こういう点については、どこでの対策が必要だというふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/135
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136・内海倫
○説明員(内海倫君) 私どもとしましては、自動車の種類が多くなればなるほど交通の態様がそれぞれ異なって参るわけでございますから、せっかく道路をうまく利用してもらおうと思っても、これはなかなか容易ではないと、そういう意味では、できるだけ自動車というものはごく少ない種類に規格化されることが一番望ましいところでございます。しかし、そういうふうなことを申しましても、なかなかいろいろな需要等の関係で困難でございますが、少なくとも今のような非常に乱雑をきわめた種別にわたるような形にはならないようにしてもらいたいと考えております。しからば、それはだれがどういうふうにするのかということになりますと、なかなか困難でございまして、おそらく運輸省あるいは通産省等の自動車の規格を定め、あるいはそれの生産を指導しておる関係と、また、道路交通の実態について関与しておりますわれわれが、十分相互に検討する以外に方法がなかろうかと考えております。なお、私どもはどこまでも受け身になりますので、運転免許の面で、今回はできるだけ一応種別を整理するというふうな努力もいたしたわけでございますが、実際に生産されていく自動車の種別というものは、非常に多種多様なふうに私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/136
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137・松永忠二
○松永忠二君 私の方は実はお尋ねをしておる方なんで、そういう点で、現在の自動車製造の規格の基準というものは、具体的には、通産省の関係のどの法律で規定をしておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/137
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138・内海倫
○説明員(内海倫君) この規格につきましては、運輸省の車両法できめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/138
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139・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、車両法を私ちょっと見ましたが、ああいうふうなきめ方であるから、自然幾らでも種類はできるということになると思うのです。だから、車両法について、もう少しやはり、幅員とか、そういうふうないろいろな点を……。もちろん自動車の産業というものは、国際的にも競争しなければできないのだから、これは非常に制限をするということは無理だと思うのです。ただしかし、諸外国と比べて見ても、あまりに種類が多く、それが事実、道路とかの整備のできないままにそういうことが行なわれるということでは、やはりもう少しそういう点を整備しなければできぬというふうに考えるのですが、そういう点でいうと、車両法の面を検討して、この面からやっていく以外に現状では方法がないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/139
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140・内海倫
○説明員(内海倫君) 結局、自動車の型あるいは大きさというものを定めるとしますれば、車両法において考える以外はないのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/140
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141・鈴木壽
○鈴木壽君 それでは、次の第五条についてお尋ねしたいのですが、第五条の二項ですが、これは、一項は現在の第五条をここに持ってきて、ただし、そのうちの信号機あるいは道路標識の問題は第四条に移しておりますから、それでいいのですが、二項ですね。これは、現在の施行令では第三条に、手信号等に従う義務と、こういうことで書かれてあるものと大体同じような考え方だろうと思うのですがね。しかし、現在の令の第三条には、「信号機の故障その他やむを得ない特別の必要があるときは、」というのがあるのですが、五条の二項には、それが全然書かれてない。これがまあはっきり言って一番違うところじゃないかと思うのですが、そうすれば、第五条の二項の趣旨は一体どういうことであるのか。もっとはっきり申しますと、令の第三条にありますところの「信号機の故障その他やむを得ない」という、その信号機の故障というものをここでカットした理由ですね。これは、そういう点から見ますと、形は同じような、手信号等に従う義務というふうになっておりますけれども、非常に違ったものになってきておるだろうと思うのですが、この点一つ、現在の令第三条にあるものと、それから、カットされてこの第二項という新しい文章になってきた。その点についての考え方を一つ聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/141
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142・内海倫
○説明員(内海倫君) 令三条と、それから五条第二項との関係につきましては、令三条におきましては、そこにありますように、「信号機の故障その他やむを得ない特別の必要があるときは、」ということで、「信号機、道路標識又は区画線の表示にかかわらず」というふうに、信号機だけに限らず、「信号機、道路標識又は区画線の表示にかかわらず、これと異なる手信号又は指示をすることができる。」という、非常に幅広く規定されてあるものを、まず、この第五条におきましては、信号機だけに極限をいたしました。従いまして第二項も、信号機についてだけの規定をいたしたわけであります。そこで次に、「信号機の故障その他やむを得ない」云々というのと、第二項のそういうものの表言を変えた理由でございますが、まず結論的に申しますれば、私どもは、現行の政令三条も、それからこの法案の五条の二項も、先ほど言いました信号機の範囲に極限したという点を除きましては、ほとんど異なっておらない。要するに、道路における危険防止その他交通の安全と円滑をはかるため特に必要があると認めるときというふうに、範囲を極限いたしました点で、たとえば故障等がその中に入るわけでございますが、それから、この政令三条に書いております「やむを得ないとき」というふうに、やはり範囲をほとんど明確にしておらないわけでございますが、結局その点は、信号機というものが機械でございますので、ある場合には非常に故障で困る場合もありますので、その場合には、少なくとも警察官が行ってやらなければならない場合があるということは、お認めを願えると思いますし、また、信号機というものは、一応サイクルをきめまして、赤、黄、青というふうにいたしておりまするので、非常にこれが機械的に動くわけでございます。しかし、これはめつたにそういうことはないと思いますが、しかし、交通の事情によりまして、信号機のそのサイクルを直すいとまもなく、交通が片一方だけが非常に詰まってきて、片一方はがらあきになっている、そういうふうな交差点には、大体現在は、大都市におきましては、常時警察官を配置するように指導いたしておりますので、そういう警察官がすぐ飛び出しまして、そういう手信号で措置をする場合があり得ると思います。それからもう一つは、御承知のように、交差点の状態というものを律します場合には、非常に混雑しましたような場合には、信号機の赤、黄、青、それから矢じるしで示しておりますものだけでは整理しきれないような状態になる場合があるわけであります。従いまして、場合によりますと、そこの危険防止あるいは完全をはかるためには、そのまん中に立っております警察官が、信号機の表示にかかわらず、青となっておっても、一時ちょっととめて、そうして片一方の方を通して、それから進めで前に出すと、こういうふうな措置もとらなければなりませんし、あるいは、交差点の回り方が、御承知のように、今度は右内小回りというふうに直しましたけれども、しかし、交差点の実態からいくとこういうふうな場合の警察官の措置もとらなければならない、これは信号機には関係ございませんが、そういうふうに、かなり交差点の実情が非常に混雑したり、自動車が輻湊いたしました場合は、警察官が措置をとらなければならない場合が予想されますので、第二項は、単に故障だけの場合に限らず、信号機の機械で動く問題だけでは応じ切れないような状態にあるときには、警察官が出ていって、警察官の手信号によって整理をすると、こういう場合が起こることを予定しましてこの第二項を規定いたしました。従いまして、私ども立案に当たりましたものとしましては、令三条の規定と法案二項の規定は、考え方としましては私は変わっておらないと、こういうふうに考えおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/142
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143・鈴木壽
○鈴木壽君 現在の令第三条の「信号機の故障その他やむを得ない特別の必要があるときは」ということ、この条件というものは非常に極限されておるもんだと思うわけですね。もちろんお話のように、信号機の表示する信号だけにかかわっておって交通の円滑というものを期せられないという事態もあるし、非常な混雑、従って、それによる事故等も予想せられますから、いわゆる一般的にいうならば、そういうために信号だけにかかわらないでというような意味でこの第二項というものを作ったということも一応わかりますが、ただ今言ったように、「信号機の故障その他」という現在の令第三条というものが、非常にある意味では条件をしぼっておりますから、従ってここでは、現在の令第三条では信号機の故障あるいはそれに類するようなその他やむを得ない特別の事由、もっと言うならば、現行法の第六条にありますような「危険防止」とか、そういうほんとうにそこに防止できないというような、そういうことを予想しての私第三条であると思うわけなんですね。ところが、今度新法のこの法案の第五条二項になりますと、そういう「信号機の故障その他」というものは抜けておりますから、言葉からしても、「その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは」というような、いわば抽象的な言葉になってきているのです。ですから、この点において、やはり何か現在の令の第三条とは違った形で物を考えておるのではないか、こういうふうに私思うわけなんですがね。ですから、ここにあくまでもやはり危険防止、ほんとうの意味における交通の安全を確保すると、こういうので、たとえば信号機の故障というようなもの、もしそのまま放置すれば大へんなことになると思いますから、そういう非常にしぼった条件において処理なさるべきであると思うのですよ。けれども、これでは、何か非常に警官の手信号というような、それによって表わされる一つの指示なりあるいは制止なりの権限というものは非常に大きくなってきていると思うのです。この点、同じだというふうにおっしゃいますけれども、なぜ「信号機の故障その他やむを得ない」というような、こういう現在の法にある相当しぼった表現の仕方をしてあるものをこういうふうに変えなければならないのかですね。私は、第六条、第七条で、これはいろいろ混雑緩和の措置があり、場合によっては通行の禁止というものがありますからね。私は、一般的にいういわゆる「特に必要があると認める」というようなことは、むしろ第六条、第七条、こういうところにまあ譲るべきじゃないだろうか。ここでは、あくまで警官の手信号、いわゆる信号機にかわるもんですから、やはりきちっと条件というものを整えて、明らかにしておかないと困るのじゃないか、こういうふうに思うのですがね。重ねてその点、どういうふうにお考えになっておられたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/143
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144・内海倫
○説明員(内海倫君) 機械をもってより正確とするか、警察官によって行なわれる手信号がより実情にマッチするかという基本的な問題もあるわけでございますが、私どもとしましては、できるだけ今機械に変えていって交差点における交通整理のまん中に立って警察官がやるというのは、できるだけ減らしていく方向にあるわけでございますが、その理由は、結局あまりに警察官の勤務が激しすぎるというふうな観点で、機械に代替していくという形で今やっておるわけなんですが、しかし、信号機というものはどこまでも機械でありまして、機械的にしか動かない宿命を持っておりますので、信号機をもって整理しておりますのは九割九分交差点でございまして、しかも、信号機を設置するほどの所でございますから、交通量も大へん多い。かつ輻湊する所でございますので、そうしますと、あるときにおきましては、非常に複雑な交通状態になってくるわけでございますので、そういうときに、やはり機械だけにまかせおいては、そこの交差点交通というものがうまくいかない。こういう場合に、とっさに警察官がかわりまして、手信号でそれを整理していく。ことに、今後ますます複雑化して参りますと、機械の機能には限度がございますので、どうしてもそういうことが必要になってこよう。先ほど六条あるいは七条というふうな点を言われておりますが、七条は若干性格が違いますが、六条だけについて言いますれば、混雑して、もう動きのとれなくなった状態をいかにして解消するかという規定でございます。それから五条の二項で私が説明しておりますのは、現に流れておる状態をそのまま継続さしてスムーズに流すには、この信号機の表示だけに従ったのでは、これからがちょっと停滞し始めるおそれがある。そこで、ここをちょっとこの信号を待たして、こっちを通して、そうしていけば、いわゆる車と市がぶつかり合うそのときをなくすることができる。こういうことのために行なうわけでございますから、私どもとしましては、訓練された警察官の手信号による交通整理というものは、やはり信号機の機械的な操作よりも、さらに交通整理という上においては有効に働くものであるということを考えなければならないんじゃないだろうか、こういう観点から規定いたしましたもので、現行法におきまするような、故障ということだけにかかわるのじゃなく、やはり交差点交通というものの実態の上に立って、警察官による手信号の交通整理というものの意義をここでさらに明らかにした、こういうふうに考えまして規定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/144
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145・鈴木壽
○鈴木壽君 私も、何も信号機だけが唯一の最上のものであって、これだけを優先させて考える、こういう考え方ではもちろんないわけなんです。それから、現行法でいっておる、この第三条なんかを見ますと、何も信号機の故障だけじゃございませんから、「その他やむを得ない特別の必要がある」というふうにありますから、ですから、実は何も、信号機だけに頼れ、警察官の指示というものは一切だめなんだ、こういうつもりは私はないのです。ただ、現行法においても、今言ったように、「信号機の故障その他やむを得ない」、いわゆるやむを得ないというのは、ほんとうの意味における危険防止あるいは交通の安全の確保、こういう観点での「やむを得ない特別の必要」ということになると思うのですから、そういう場合には、必ずしも信号機の表示によらなくても、警官の手信号等によってやってもいいということは、私も認めます。認めますが、新しい法の第五条の二項は、今問題にしている点は、そういう一つの大きな条件になることがカットされているのです。「信号機の表示する信号にかかわらず」というから、あるいは信号機の故障の場合は、いわば誤った表示をしているというふうに考えれば、この信号機のそれにかかわらずやれるのだということで、含まれるという一つの解釈もできるでしょうが、しかし、私は、やはりここの警官の手信号というふうな場合には、いわゆる一般にある信号機等に対する、それの持つ機能からさらに優先していくものであるわけですね。この場合、優先するものであるがゆえに、やはり使い方については、何としても、きちっとした条件というものが備わらない場合には危険なものだと思うのです。ですから、そういう点で、これは、考え方によっては、あなた方が言うように、「信号機の表示する信号にかかわらず」というところに第三条のそれは含まれるし、何も広げた解釈もしないしまた権限の行使もしない、こういうふうにおっしゃるのでしょうけれども、何かここにやはり私は、第五条の問題は、信号機というものが今お話のようにいわゆる優先という、いつでもこれにたよらなければならぬという考え方に立たないにしても、ともかく現在のところ、標準的な一つの交通の規制の上に役立っている。そういうものですから、そういうものの故障なり、あるいは今言ったように危険があって、そういうものにはたよっておられない。もしかりに青が出ておっても、先に進ませれば、どこか道路にひどい、何といいますか、損壊の場所があったり、橋梁を渡ることがあぶないというような場合で、信号にたよることができないような、そういうことの場合しか私は使わない方がいいのじゃないかと思うわけです。ですから、どうもこの点、いろいろ今度、これは実はこれから六条、七条の際にもお尋ねしなければならぬと思いますが、そういうものと関連して考えた場合に、何か私は、ここで現在の法令を改めたことについて、非常に大きな心配を持つわけです、率直に言ってですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/145
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146・内海倫
○説明員(内海倫君) 私、先ほども申しましたように、信号機が設置されてある場所というのは大体交差点でございますし、しかも、信号機を設置するような交差点ということになりますと、これは、何らかの形において交通が非常に縦横の整理をしなければまかない切れないような所であり、しかも、歩行者と自動車とがいわば交錯した形でクロスして行く所でございますので、かりにもそれは、信号機であれ、警察官であれ、そこにおける任務は、いかにして危険を防止するか、あるいはその防止を前提として交通の流れをスムーズにするかということ以外に、他の目的はないわけでございますから、結局、信号機でまかない切れる限りは信号機でまかなうべきでございましょうが、またそれの方が、私どもも警察官をさらに多く街頭で使えるわけでございますから、いいわけでございますが、しかし、この前も実は警視庁でも説明させましたように、ラッシュ・アワーのときにおきましては、信号機で整理するだけでは非常に十分でないというふうな実情になって参りましたので、何百カ所かの交差点を指定しまして、そこには、三時から六時までは必ず警察官を一人ないし二人立てるようにして、今、指導と危険防止の措置をはかっているわけでございまして、その場合に、警察官が危険を防止する、あるいは、先ほど説明いたしましたような意味で、車をうまく流さなければならないということをとっさに判断いたしまして、信号機が動いておるのをとめるいとまもなく整理をして、その状態を切り抜けていくということをしばしば行なわなければならないような遺憾ながら交通状態になっておると私は考えますので、できるだけ今信号機の実は機能も研究しまして、いろいろ向上させてはおりますけれども、やはり人間である警察官の判断によって、機械では処理できない措置をとらせるということが、「危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるとき」にはやる必要があるのではないかということを考えておりますので、どこまでも本来の交通問題として規定したつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/146
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147・鈴木壽
○鈴木壽君 ですから、私も一応は認めておりますが、いわゆる特別の理由があるとか必要があるとかいうことは、ただ単に信号機だけにたよれということではないのです。ですから、そういう意味では、その御説明も、一応そういうふうにおっしゃるならば、私は聞き入れますが、ただこの問題で私やはり心配するのは、何かここに特に必要があると認めるということで、ここに権限がずっと大きくなって加わってくるのではないか、こういう心配があるのです。ですから、お話の後段にありましたように、いわゆる信号機の機能の問題、場合によっては、そちらの方の問題の解決のために、これは一つあまりこういう…たとえば祝田橋とか、あるいは銀座四丁目とか、そんなにたくさん私はないと思うのです。確かに祝田橋あたりは、一回の信号機の交代だけによっては、ラッシュのときには車がさばけないことがあります。私どもも乗っておって、そういう事態を間間経験しますから、さればといって、それを、信号はともかく、警官だけのそれによって解消できるかといえば、またそれだけでは解消できないと思うのです。やはりそういうまあ混むような所に使われておる信号機というものは、一応標準的なものとして、最優先にするとかしないとかいうことは別としても、それはやはり標準的にした交通の整理というものを考えなければならないし、やむなくそういうものが故障したとか、ほんとうにその危険が伴うような、あるいは危険が予想せられるような場合であって、初めていわゆるやむを得ない特別な必要ということでやる方が、いわゆる現行のままでやることが私はいいのではないか。いたずらなるそれこそ危険を感じさせるようなこれはことになるのではないかと思うのですが、どうですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/147
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148・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) この五条第二項につきましては、先ほど来交通課長から申し上げておる通りでございまして、決して特別の意図を持っておるというようなことはないのであります。ただ、現行法におきますると、「信号機の故障その他やむを得ない」事情ということで、故障ということが表面に出て、まず信号機が原則的にといいますか、優先的に行なわれるというにおいが非常に強い。ところが、今度の改正法案におきましては、交通の危険を防止し、その安全と円滑をはかるということを特にうたっておるように、現実の交通事情というものが非常に複雑困難になっておりますので、そういうところにおきまして、信号機の発達ももちろん考えなければなりませんが、その信号機で及ばない点を、もちろん故障も含め、及ばないところを警察官の手信号によってさばこうと、こういうことなんでありまして、特にみんないらいらしているといいますか、衆人環視の中で個々の警察官がやる行動でございますので、これが乱用されて、何かおかしな警察の権限をふるまうというようなことはとうてい考えられないのではないか。そう御心配いただかなくても、この規定をすっと読んでいただくと、むしろこの法律の精神に合った規定の仕方ではないかというふうにわれわれ考えておるわけであります。むしろ今の御質問の点が私ども奇異に感じて、何か心配されるというような点が奇異に感じられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/148
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149・鈴木壽
○鈴木壽君 率直に言って、私はやはりその心配があるから聞いているわけなんです。ほんとうを言えば。たとえば、六条、七条あるいはずっとあとで七十七条とか、いろいろな問題から、これは心配します。そういう点から、五条においてもすでに一本伏線があるのじゃないかということを実は率直に言って心配するわけなんです。私は、必ずしも五条でデモをあれするとか何とか、もちろん考えているのじゃないとは考えておりますが、これは、何べんも言うように、現行法令の第三条の「信号機の故障」云々ということが抜けて、ただ、そういうことでなしに、特に必要があると認める場合にというふうにしたところに、何かこう円滑なる、あるいは交通の安全をはかるという意図で、何かやはり心配されるものがあるのじゃないかということが私はやはりあるのですね、率直に言って。ですから、これはやはり、たとえば祝田橋とか何か、いろいろな心配しなければならぬ場所がありますが、これは一つのやはり法ですから、全般に通じる法律なんでしょうね。祝田橋に適用されるだけではなくて、全体に通じる法なんですから、そういう場合に、やはり現在あなた方も重視しており、一つの交通整理の上で、何といいますか、たよろうとしている信号機、こういうものにやはりウエートを置いたものの考え方をとるべきじゃないだろうか。それがはずれてしまったところに私は心配なところが依然として残ると思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/149
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150・内海倫
○説明員(内海倫君) 私ども立案した者としては、鈴木先生の意見と全く同じ考えに立って規定をしたのでございますが、それで、もう少しよくわかっていただくために少し述べさしてもらいますと、実は、この現行法で、やむを得ざる場合というふうなものとか、あるいはそういう非常に抜け道的な言葉が非常に多いので、そういうものを整理せようという方針を打ち出しまして、今度の法律は、できるだけやむを得ざる場合というふうなのをなくするわけなんでございますが、そこで、現行法にあります信号機の故障その他やむを得ざる場合とありますので、これをどうしたらいいかというので、やむを得ざる場合とは一体どういうものがあるかということを、いろいろ例をあげて研究したわけでございますが、そのときに出ました例を御紹介申しますと、緊急自動車が——緊急自動車というのは、この規定にも現行法にも、信号をある程度無視しても行けるという規定がありますので、そういう緊急自動車が接近してきたような場合、あるいは交差点で突如として交通事故が起こった場合、あるいはまさに起ころうとするような場合、あるいは子供が車道に急に飛び出してきたような場合、あるいは子供に限らず歩行者が赤信号を見たにかかわらず、赤信号であるにかかわらず飛び出してきた場合、あるいは行列等でずっと連なってきている人を途中でちょん切るわけにはいかない、これをできればすっと通した方が交通の危険の点からは安全であるというふうな例、そういう例をあげたわけでございますが、そうすると、これらを引っくるめて表現するには何がいいだろうということで、いろいろ考えまして、結局、まず道路の危険を防止する、あるいは交通の安全と円滑をはかる。が、ただそれだけのものではいかぬ。そのために特にこういうふうな、今申し上げたような、必要があるときには、信号機がたとえ動いておっても、その信号機と異なる警察官の措置をしなければいかん、こういうふうにできた。と申しますのは、先ほど第四条の第二項に、「信号機の表示する信号に従わなければならない。」という規定をし、それから第五条で、交通警察官の手信号に従わなければならないという、二つの従わなければならない規定をしておるものですから、さて、二つが一緒になった場合に、どっちに従ったらいいかということを通行者が迷う。そこで、その場合においては、原則的にはそこの信号機に従って動いておる所なんですが、以上申し述べましたような状態で行なった場合の警察官の手信号の場合には、その手信号に従わせなければなるまいということで、二項を書いたものでございまして、それ以外には何も他意はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/150
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151・松永忠二
○松永忠二君 議事進行。今の五条、六条、七条というのは関係があると思うのですよ。今説明を聞いていて、決してわからない点もないじゃないのだが、六条、七条の方に行って重複する面も出てきているので、積極的な意味の善意が、なかなかあとの方からいって、善意としてとれないという点が出てくると思うのですよ。そういう点で結局僕は今の鈴木君の質問はなされていると思うので、私たちもそういう感じがするので、よく説明をされれば、説明をした内容については、一応私たちも積極的にわかるものが十分あるんです。ただしかし、あとの方も関連してくると、それなら、こっちの方はそんなことまで規定することはないんじゃないかというような面も私たち考える点があるわけです。そこで関連して、六条、七条の質問へ移っていくと、非常に時間がかかるので、きょうはこの際この辺で切り上げて、それで、僕らの方も実は会合を予定しておるので、何も延ばしてどうこうというあれがあるんじゃないんですよ。時間も相当おそくなっているしね。この辺でどうですか。また六条、七条に入れば、それこそ一時間ぐらいはかかると思うんですよ。だから、やはりゆっくり関連して六条、七条をやっていったらいいと思うんですよ。われわれの方にも予定があるんで、予定を持って出てきているし、大体きょうは、僕らの方でも三時半から実は会合を持っている。特にこういう問題についていろいろ意見をまとめようとしているわけなんですよ。だから、やはりこの辺で一つきょうは打ち切ってもらって、そしてこの関係のことは、もう少し一つゆっくり落ちついてお聞きをしたいと思うんですよ。それともやるなら、それは、引き続いてずっと長くやるというなら別ですがね。大体きょうずいぶん協力してやっているんですからね。この辺で一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/151
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152・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/152
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153・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/153
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154・松永忠二
○松永忠二君 私、第六条の方でお伺いしたいんですが、第六条の一番しまいの方に、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」と、こういうふうに出ておるんですが、この「現場にある関係者」という内容、あるいは「必要な指示」というようなこと、こういう点について、どういった内容を持っているのか。この点を一つ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/154
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155・内海倫
○説明員(内海倫君) 「関係者」といいますのは、そういうふうな混雑が起こっておりますその現場にあって、その混雑に関係しておる者をいうわけでございまして、主としてその場にある歩行者をさそうかと思います。それから「必要な指示」といいますのは、たとえば、そこに歩行者がおりますれば、少し右側の方に寄ってくれとか、あるいは車道にもしおれば、歩道の上に上がってくれとか、こういうふうな指示をすると、こういうことでございまして、それによってこの混雑を解きほぐしていこうと、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/155
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156・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、ここでたとえばデモならデモがあると、あるいはデモ行進が行なわれていると、そういう場合に、それによってその混雑ができてきているというふうに判断をしている場合には、その解散をしてもらいたいとか、あるいはここを移動してもらいたいとかという、そういうことの指示はできるというふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/156
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157・内海倫
○説明員(内海倫君) たとえば、先ほどお話のありました、そういう人の集団があって、それに解散を命ずると、そういうふうなことは、この条文でも考えておりませんし、そういうものでないもの、具体的なその場における交通の実態に合わせて、その混雑を生じておる状態を通行するに必要な限度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/157
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158・松永忠二
○松永忠二君 今あなたのおっしゃったようなことが、どこに保障できる内容があるのですか。「必要な指示」という中に、たとえば解散をしてほしいと、これが混雑をしているので、そこで、やるなら適当な所へ行ってやってほしいとか、あるいは向こうの所を回って行ってほしいとかいう、それらの指示がされると思うのです。そういうことについては、いや、そういうことまで行かないんだという保証は、どこに明確になつおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/158
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159・内海倫
○説明員(内海倫君) その前に、この六条の規定を設けましたのは、そこに書いてありますように、結局、交通の非常に複雑な所で車が突き当たって、にっちもさっちもいかないというふうな状態をいかにして解きほぐすかということのための規定でございまするので、そのために、まず車両につきましては、その車両の運転者に対して、そこに前段の方に書いてありますような措置を命じましてやるわけでございますし、それから、そこの後段の方の「又は」以下でありますれば、そこにある歩行者あるいはその付近に駐車しておる自動車の運転者というふうなものに対して協力を求めるというものでございまして、いわばその現場における混雑、まあ一種の致命的な混雑状態というものを解消するに必要な範囲内の規定がこの六条でなされておるわけでございまするから、それ以上にわたるようなこと、すなわち、その場の混雑を緩和するに直接必要でないような指示をするとすれば、これは私は、この規定の外に出ているものと、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/159
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160・松永忠二
○松永忠二君 混雑を緩和させるためには、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる」ということを入れておかなければ混雑の緩和はできぬという、そういう具体的なことをお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/160
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161・内海倫
○説明員(内海倫君) いろいろな場合があろうかと思いますが、たとえば、銀座とか新橋などで火事が起こったと、あるいは非常に大きな火薬の爆発というふうなものがありまして、非常に混雑をしてしまっておると、そういうような場合に、その混雑というものも、しかもそれは単なる混雑ではなくて、車がとまってしまって、動きのとれない状態になっておると、こういう場合に、そこにたとえば、まあはなはだ言葉は悪いのですが、ヤジウマがたくさんおって、そのために車が動きがとれないという場合には、そういう人に対して、もっと道をあけてくれと、こういうことは、これは私は、必要な指示というもので行なわれるべきもので、また、必要な事柄ではなかろうかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/161
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162・松永忠二
○松永忠二君 そういうことになってくると、たとえば、今の第五条の二項にも、歩行者または車両等に、ここには「交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、」ということではあるけれども、警察官の指示権がそこにある。それからまた、その次の第七条の方にも、必要な限度において歩行者の通行を禁止したり制限したりすることもできるわけです。事実また、そういう混雑を緩和するために、現場に進行してくる車両等の通行を禁止もしくは制限するというようなことも行なわれるわけなんです。そうなってくれば、そういう中で具体的に指示もできる方法があるのじゃないか。こういう言葉を入れておかなければ指示ができないということではないと思う。だから、そういう混雑を起こさないための予防的な措置として、進行してくる車両とか、あるいは歩行をする通行人に対しても禁止、制限という規定もある。具体的にまた、第七条にも、危険を防止するために必要な限度においてはそういうこともできるということになっているので、これらの点から、必ずしもそういうことを入れておかないでも、これはその場の安全を確保する指示はあるのである。また、警察官職務執行法によってもこれはできるのであって、これをここへ入れなければそれができないということは私はないのではないかと思う。特に道路交通という道交法の中にこういうことを入れるということについては、そういうことが全然今の法律ではできないというふうに考えておられるのかどうか、今あなはのおっしゃったようなことがですよ。今火災があって、非常に混雑をする。そのときに、その混雑を緩和させるために、これがなければ、今でもやれないのか。私はそういうことはないと思う。その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/162
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163・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) この六条は、先ほど交通課長から申し上げましたように、車の通行がもう停滞したということが前提条件でございます。第五条のは、そういう停滞というようなことが起こらないように、危険が起こらないようにというために、手信号で機械に優先してやるという規定でございます。それから第七条の三項は、「道路における危険を防止するため緊急の必要がある」ということで、混雑緩和ということを危険に至るような混雑、特別な混雑という場合はともかくとして、車両の通行が著しく停滞したということだけで行なうものではないわけです。第六条は、車両が著しく停滞したと、この車両の停滞を解きほぐすということがこの第七条の規定の中心になるわけでございます。従いまして、ここでは、単に、五条で申しますように、手信号によって、本来の通行方法によって通行するということを確保するにとどまらず、本来の通行する方法というものを変えても、車両に対して命令をしていくということができるようにしなければ、そういう混雑を解きほぐすことはできない、こういうふうに考えた規定なんでありまして、それに関連して、その場にある歩行者等についても、必要な指示をいたしまして協力を求めるという、補足的と申しますか、ここの第六条の規定は、車両の停滞というものを中心に考えた規定でございます。そういう意味で、車両について、特に本来の通行方法によらない方法を命ずると。しかも、それに対して罰則で担保する。この関係者に対しては、協力を求めるための指示ということでありますので、これについては直接罰則を科するというような考え方でない。従って、解散を命ずるというような強力なものでなくて、さらに、停滞が激しくなっておるにかかわらず進行してくるものについて、しばらくとまれとか、あるいは右に寄ってもらいたいとか、歩道に上がれとかいうような指示をすると、これは、指示をすることによってそうした関係者の協力を要請し、その善意に期待するという程度の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/163
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164・松永忠二
○松永忠二君 まず、その第一点で、今御答弁になった、車両の停滞するための混雑を防ぐということならば、「又は」という必要はない。そういうものを入れる必要は私はないと思う。車両の停滞ということを防いでいくということならば、なにも「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」ということは必要はないと思う。それ以前で私は十分だと思う。その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/164
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165・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 車両が停滞して動きがとれないと、ところが、ある群集がいわゆる左側通行で、左側を一ぱい埋めておるというような場合に、これを一時とめて、そうしてその場合においては、車両といえども右側を通行させるというようなことが前段の規定でございます。しかし、それにはまた非常に困難があるというときに、そういう群集に対して、右側に寄れとか、あるいは歩道に上がれというようなことをして車を流すということが必要になる場合があるというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/165
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166・松永忠二
○松永忠二君 歩道に上がれとか、あるいはこちら側を通れとかいうことについては、ほかの方に私は警察の指示権限が規定されていると思う。何もここに規定せぬでも、ほかの方に出ている、そういうことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/166
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167・内海倫
○説明員(内海倫君) 確かにそうでございますが、なお、この関係者と言っておりますのは、私先ほど歩行者だけのような説明をいたしましたが、もとより歩行者だけに限るわけではございませんで、その場の近くに駐車しておる自動車とかいうふうなもののあります場合は自動車の運転手、あるいは荷車なり自転車を置いておる人がおれば、そういう荷車を置いておる人あるいは自転車を置いておる人、すべてそういう者が全部入るわけでございますから、念のためなお申し上げておきたいと思います。
それからもう一つ、先ほどの御質問でございますが、もちろん、一般的な歩行者の交通方法という点では、そういうのを定めたのがありますが、それらはいずれも一般の歩行方法をきめておりまするので、この場合のは、その場における混雑を緩和するために警察官がその必要の最小限度の範囲内で行なう指示でございますので、その点は、歩行者の歩行方法という形で定めておるものとは幾分違う点があるのじゃなかろうかと、こういうふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/167
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168・松永忠二
○松永忠二君 どうせそれは、道路法に規定した道路であるのだから、これは歩行者に関係しているものだと私は思う、その場にとまっていようがどうしようが。また、道路法に規定する道路でないもので、あなた方はそういうことを指示することは、この法律によってはできないわけなんです。すべてそのことでできると私は思うのです。
それから、長官がおっしゃったけれども、これには罰則はないというお話だけれども、これは全体に罰則がくっついている。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/168
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169・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 「又は」の前の「通行方法によるべきことを命じ、」というものについては、罰則をもって担保することにいたしておりますが、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」という指示違反については、善意の協力を期待するということで、罰則はつけておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/169
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170・松永忠二
○松永忠二君 それは、どこの条文ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/170
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171・木村行藏
○政府委員(木村行藏君) 百二十条でございます。それの「次の各号のいずれかに該当する者は、」云々とございますが、その一号で、「第六条(混雑緩和の措置)の規定による警察官の禁止、制限又は命令に従わなかった」、この「命令」の中には指示は入る。「車両等の運転者」、こういうふうになっておりまして、現場の関係者というのは入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/171
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172・松永忠二
○松永忠二君 この「警察官の禁止、制限」、そこに点があるようですが、「警察官の禁止、制限又は命令に従わなかった車両等の運転者」、「車両等の運転者」に全部かかるのですか。一つ一つ全部が「車両等の運転者」にかかるということ、これはそういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/172
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173・木村行藏
○政府委員(木村行藏君) さようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/173
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174・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、「車両等の通行が著しく停滞したことにより」の「等」というのは、これは一体歩行者をも含んでいるのじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/174
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175・木村行藏
○政府委員(木村行藏君) 「車両等」の「等」は、路面電車だけしか入っておりません。それから、第二条の十七号に、運転の定義をしている規定がございます。この「運転」の中に、「道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)」という定義がございまして、読みかえの規定でございます。読みかえしただけでありまして、路面電車しか、以下これに従ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/175
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176・松永忠二
○松永忠二君 お話の点はわかりました。それでわかりましたけれども、これがなければ現在そういう場合に何らの措置の方法はないのですか。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/176
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177・内海倫
○説明員(内海倫君) これといいますと、六条の規定でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/177
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178・松永忠二
○松永忠二君 いやそうじゃありません。あなたが事例を示したような、それを指示する権利というのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/178
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179・内海倫
○説明員(内海倫君) 「又は」以下でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/179
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180・松永忠二
○松永忠二君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/180
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181・内海倫
○説明員(内海倫君) これがなければできないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/181
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182・松永忠二
○松永忠二君 いや、今どうかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/182
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183・内海倫
○説明員(内海倫君) 今は、実際問題としましては、非常に困っているわけなんでございます。現に、最近しばしば交差点で角突き合った状態になったり、あるいは狭い道路の所で車がこういうふうにぶつかったままで身動きがとれないという状態、これは交差点だけじゃありません。こういうところで、実際には警察官が行きまして整理いたしておりますが、しばしば警察官が訴えていることは、たとえば、この後段だけではございませんが、前の方でも、何の権限に基づいておれたちにそういうことをやらせようというのだというふうな声をしばしば聞いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/183
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184・松永忠二
○松永忠二君 私の聞いているのは、第六条の前段の必要件のあることは、あなたが前から強調されているところでありまして、そういう点についての適切な規定が必要だということは了解できないわけではない。ただしかし、今あなたがおっしゃったように、「関係者に対し必要な指示をすることができる。」、そういうことは、具体的には、警察庁の長官も言われたように、路面の上を少しよけてくれとか、あるいは火災があるとか、あるいは火薬品の爆発のあったときの指示の問題、この指示は、現在では全然できないのですか。そういうことを指示する法的の権限は全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/184
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185・内海倫
○説明員(内海倫君) ここの六条に書いてありますような意味でのことは、先ほど午前の委員会でも若干私触れたのでございますが、法的根拠といたしましては、現行法律の五条に、「道路を通行する歩行者、車馬又は軌道車は、命令の定めるところにより、信号機、道路標識若しくは」云々「又は当該警察官の手信号若しくは指示に従わなければならない。」、こういう法的根拠をもちまして、この五条に基づいて現に政令で定めておりますのは、政令三条でございまして、これは、先ほど信号機の問題でいろいろ意見が出ておりますが、もう一ぺん読んでみますと、「警察官は、信号機の故障その他やむを得ない特別の必要があるときは、信号機、道路標識又は区画線の表示にかかわらず、これと異なる手信号又は指示をすることができる。この場合においては、歩行者、車馬又は軌道車は、警察官の手信号又は指示に従わなければならない。」こういうふうになっておりますので、たとえば、これの法第五条と令三条との関係で読んでみますと、警察官は、やむを得ない特別の必要があるときには、これは信号機の故障ということが例になっておりますが、「その他やむを得ない特別の必要があるときは、信号機、道路標識又は区画線の表示にかかわらず、これと異なる手信号又は指示をすることができる。」というようなことで、歩行者に対していいますれば、横断歩道のあるような場所で横断をしなければならないわけですが、場合によれば、その横断歩道以外の場所でも、警察官の指示によっては横断させる。こういうことですが、道路標識だけの範囲にかかわるようでございますので、この場合には歩行者に対して及ぶというのはほとんど現行法のもとではない。たとえば、現行法のもとにおきましては、歩車道の区別のないような道路のところで非常に自動車がとまってしまって、どうにもならない状態で、しかもそこに火事を見ている人がおる、その人たちにかたわらに寄ってくれということを、少なくとも法的権限に基づいて道路交通法上いえるという点は、私ども現行法では、法律では政令に譲っておりますので、一応考えられますが、その受けた政令になりますと、その権限は、「道路標識又は区画線の表示にかかわらず、これと異なる」ということで、道路標識を前提といたしておりますので、それ以外の面については指示のしょうがないのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/185
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186・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっと関連して。現行法なりなんかで今の問題になっておる点ですね。指示を与えたりなんかすることができない。こういうふうなお話ですが、現行法、それから今度の五条によっても、やむを得ざるほんとうに必要な場合では、そういう指示が私はできるんじゃないかと思うのですがね。
それからもう一つは、現在の道路交通法の、何といいますか、全般からいって、たしかこれに類する判例があったと思いますよ。国会周辺かなんかの、あすこら辺の道路でやった場合に、その行進の集団を歩道に乗っけた。そっちへ行けといって上げた。それが違法だとか違法でないとかいうことでやったとき、たしか私は、そういうことも、現在の道路交通取締法の精神からいえば、いわゆる道路交通の安全なり、あるいは円滑化をはかるためには必要なる措置であるというふうな判例が私出ておるはずだったと思うのですがね。とすれば、この場合に、あなた方は、これがなければ、六条の後段のところがなければというようなことについては、ちょっと私、説明としては不十分だと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/186
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187・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと関連して。今のと一緒にお答え下さい。たとえば、警察官職務執行法の第四条の「避難等の措置」というところによってあなたのおっしゃったようなことはできると思うのですよ。たとえば、火災とかヤジウマとかなんとかいうことについては、「警察官は、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、」というようなところを読んでいってみると、また現状これができないというようなことはないし、現実にやっておられると私は思うのです。これがなければできないということでは私はないと思うのです。事実これが、あなたのおっしゃるように、何も罰則の規定もないし、これは一つの奨励規定だ、指導規定だということになると、これがあったってできない。これはただ指導規定なんであって、協力してもらうという規定なんです。警察官の立場から、警察官の職務としては、そういうことができないということは私はないと思う。できるから、これを結局協力してもらうという意味の規定としてやっているのだと今おっしゃった。だけれども、私が問題にしているのは、今もお話もあったように、今のようにヤジウマが出てきて、それを避難させたり、あるいはそれを指示したりする権利が私は今ないなんていうようなことはないと思う。それは現実にある。だから、そういうことは、これがあるなしにかかわらず、実際に行なわれていると私は思う。これがなければできないことはない。何があるのかということなんですよ。そういうことも私はお聞きしたい、一つ関連して。鈴木君の方から御答弁下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/187
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188・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 確かに火事とか爆発というような危険な事態について、現場にある者を避難させるとか、あるいは集まる者について、雑踏等の危険な事態がある場合に、その場に居合わせた者等についていろいろと必要な措置をとるということが、警察官職務執行法にもあるわけでございます。そういうものに該当する場合において、こういう法律を動かすということは当然可能でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえば、何か交通事故があって、そのために車両等が停滞をした、そこの所に何も集まってきても危険はない。危険はないが、どんどん進んでくれば、その停滞がますます激しくなるというような場合において、これをとまれとか、あるいは集まったものに少しうしろに下れとかいうようなことは、現行の規定では、実際の警察官の善意な措置としては可能でありますが、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/188
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189・松永忠二
○松永忠二君 第七条か、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/189
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190・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 規定にはないわけでございます。それから、この第七条というのは、たとえば、現実に危険な事態があるときに、その危険を防止するために、警察官がその道路に入ってくるのを禁止するというような行為でありまして、危険な場合……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/190
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191・松永忠二
○松永忠二君 あなたがおっしゃるのは、大勢寄ってくるから危険だというのでしょう。私は、その混雑ということと危険ということとはぴったり食っついていると思うのですよ。混雑するから危険になる。ですから、寄ってくる人があぶないと思ったらば、その第七条の三項において、「必要な限度において、当該道路につき、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。」と、ちゃんと書いてある。しばらくとまっていてくれと言うことはできると思う。また、わいわい集まってくるのを見放していることじゃなくて、見放すことは、今までの法律ではいろいろ少し不備であったけれども、ちゃんと今度は七条にそういう点は出ているわけです。集団的な危険というようなことについては、これはまたさっきの第四条の規定があるので、これがなければなぜこういうことができないかということを私は聞きたい。逆にまたですよ。この「必要な指示をすることができる。」指示の中に、たとえば解散だとか、方向を全然変えるとか、そういうようなことができないという、そういう論拠もない、法律的な制約はないと思う。そういう保障はないと思います。その二点について、特にこれについて問題にしているわけであって、今どうもお話を聞いても、これがなければ、とうてい混雑の緩和の措置ができないのだということ、危険が防げないのだということにはならないので、そういった今具体的な事例の中の禁止、混雑緩和とか、あるいは指示とかいうのは、現行法で十分できる。現行法でやられておるということを考えるわけなんです。もう少し納得のいくような説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/191
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192・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 危険な事態の場合におきましては、確かにお話の通りできる場合が非常にあろうかと思いますが、単に混雑して交通が停滞している、その場合に、少しわきに寄れとか、うしろに下がれということは、これは危険防止の措置でなくて、混雑緩和の措置でございまして、第七条とか、警職法第四条によって行なわれる場合とはおのずから事態が違うというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/192
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193・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっと関連して。まあこれは関連しますから、五条、六条関連しますから、委員長にもお願いします。七条に関係するところも質問の中に入れることをお許し願いたいのですが、ただいま長官は、七条はいわゆる危険防止のためなんだと、だから混雑緩和のそれとは違うと言うのですが、しかし、七条は、読んでいきますと、「危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要がある」、これはやはり単なる危険防止のためだけでなしに、読みようによっては、読みようじゃない、交通の安全と円滑という点からすれば、混雑緩和ということにもなるわけですよね。ですから、七条は危険防止、六条は混雑の緩和というふうに、はっきり区別した解釈の条文では私はないと思う。そこでへその点まあ一点と、それから、関連ですから簡単にやめますが、松永委員の聞いておられることは、裏を返せば、新しく、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をする」というようなこと、こういうものをつけ加えることによって、必要な指示の内容とするところは、あるいは先ほど課長が言ったように、行進等の停止とか解散を含むものじゃない、こういうようにおっしゃってはおりますけれども、これの文面からする限り、そういうものを含まないという解釈もまた簡単にはできないと思うので、そういうものを含むとすれば、あるいはまた、場合によっては経路変更、行先を、お前の方はここのところは混雑するから向こうに行けと、こういうこともあり得るのではないか。私はまあ端的に聞きますが、そういうものを含むものだとすれば、先ほどちょっと私がお尋ねしたようなことからいっても、現在の法あるいは第五条、あるいはその他からして当然とられ得る措置なのに、さらにここにこういうものをつけ加えるというのは、何かもっと付加された意味があるんじゃないかと、こういうふうに思わざるを得ないところがあるわけです。松永君はそこまで言いませんけれども、まあ裏を返せばそういうことになってくるんだと思うのです。ですから、そういう点を、五条、六条、七条と三つ並べて考えた場合に、やはり私どもも心配な点が出てくるわけです。そしてまた、今、御承知だと思いますが、いろいろこの法に対して、警官の権限が拡大されているとか、あるいは何とかいうような、いわば反対的な空気もそういうところにあるわけなんです。ですから、そういう点をもう少しはっきりさせていたがかないと、場合によっては、必要な指示の中には、解散とか行先変更等が含まれない、あるいは停止等が含まれないと、こうおつしゃいますけれども、しかし、必ずしもそういうものが含まれないかというと、含まれないという保障は、私は、やはり先ほど松永委員が言ったような保障というものはここにないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/193
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194・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 事務的にこまかい点は、あとで交通課長から申し上げますが、第七条、私、第七条と申しましたのは、第三項について申し上げたのでありまして、そういう交通の混雑というような突発的な事態を処理するための場合はどういうことが考えられるかというと、第七条では第三項である。今お話になりましたように、第一項はやや制度的なものでございまして、公安委員会が、「区間を定めて、歩行者又は車両等の通行を禁止」するとか、「危険を防止」するとか、あるいは交通の円滑をはかるためにそういうことをやるということでございまして、突発的な事態について警察官みずから措置できることは第三項で、「道路における危険を防止するため緊急の必要があると認めるときは、必要な限度において、当該道路につき、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。」というふうにいたしているわけでございまして、危険でない、単に混雑と停滞というような場合については、第七条は直ちに動かないということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/194
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195・鈴木壽
○鈴木壽君 しかし、それだけでなくて、今の六条の問題、あなたはただ七条七条とおっしゃるから、七条の三項はおっしゃる通り、いわゆる危険防止のために直接的な一つの規制ですけれども、七条全体は必ずしもそうではない。ですから私、それじゃおかしいのじゃないかと、こう聞いたのですが、あなたのおっしゃりたいところは三項でしょうから、その限りにおいては、それはそれでいいのです。ただ、今言ったように、六条の方に、後段の「又は」というところにおいてまあいろいろ心配な点が実はあるものですから、その一体「関係者」とはいかなる者を指すのか。あるいは「必要な指示」というものの中に、いわゆる必要という、その内容とするところには、一体どういうものが含まれる指示のものであるか。やはりこういうものをつけなければ、あなた方のおっしゃるような混雑緩和というものはできないものかどうか。先ほどから松永さんの言っておられるのは、こういうことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/195
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196・内海倫
○説明員(内海倫君) 長官からまた御説明があると思いますが、やや立法の事務的な面から申しますと、先ほどもたびたび説明いたしましたように、第五条というのは、信号機の設置してある場所におきまして、信号機と警察官の手信号との相関関係で、この場合には警察官の手信号に従うのだということで、どこまでも交差点と信号機を設置した場所における交通整理の関係における警察官と信号機の関係を定めたものが第五条でございまして、それ以上のものではないことは、私からたびたび申し上げた通りでございます。
それから第六条は、なるほどこの「又は」以下だけの御質問でございますので、私ども前の方を説明いたしておらないのでございますけれども、ここに書いてありますように、「車両等の通行が著しく」、この車両等というのは、先ほど申し上げましたように、車両または路面電車でございますが、この通行が著しく停滞した、要するに、何らかの事情で停滞して、そしてずっとそれに連なって車が出てきて、そういうことにより道路における交通が著しく混雑するおそれがある場合における措置、そこに入ってくる、あるいはその混雑の中に巻き込まれておる自動車の運転者に対して、一応通行を禁止する、あるいは制限する、あるいは後退させる、その他第三者を云々という行動を命ずるずるということを定め、それから、そういう運転者だけでなくて、今度は現場の混雑状態の中にあって、その混雑に関係する、そこに駐車しておる自動車であればその自動車の運転者、それから荷車を引いておる人があれば荷車を引いておる人、自転車に乗っておる人があればその自転車に乗っておる人、歩行者があればその歩行者に、やはり同じようにそこの場におけるその交通が全く停滞してしまって混雑を起こしておる状態を解消するその必要な最小限において指示をするということを規定いたしましたもので、少なくとも第六条というのは、車両の交通というものが停滞して、そして混雑が起こっておる、その状態を解消していくために、警察官は何をすることができるか、もしくはどうすることが必要なのかということを、運転者とともにその現場にあるその他の自動車の運転者あるいは自転車乗りあるいは荷車を引っ張っておる人あるいは歩行者、こういう者に対する指示という形で書いたのが第六条。
それから第七条は、先ほど長官が説明しましたように、一つの制度的な通行の禁止、制限、それから公安委員会の処分を待ついとまのないような場合における警察官の緊急必要な措置と、こういうことでございまして、五条、六条、七条それぞれ全く別途の必要に基づく規定であると私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/196
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197・松永忠二
○松永忠二君 今のお話だと、車両等というのは、そこに出ておるもので、車両の停滞のためによる混雑の緩和であると、こういうふうな話なのですね。その混雑の緩和のために、そこへ人が関係をしてきて、その人を指示するために、このまたはその現場にある関係者に対しての指示という、こういう大きなものをここに出してきたということになると思うのです。車両が混雑をして停滞をして、それを解消するために困るので、ここの条項を作ったと、こうおっしゃっている。ところが、この「又は」というものの考え方いかんによっては、そうではなくて、実はもっとほかの、デモとか、いろんな行進とか、いろんな点についてのそういうものに対する指示のことも、この中でやり得るいわゆる内容を持っているような広い幅のものをここへ出してきて、そしてそれが車両の混雑と一緒になるということには、私たちは、車両が停滞したために出てくる混雑に関係した者を整理するためにこんな大きな、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をする」という、そういう大幅な規定をする必要がないのではないかということを申し上げておるわけです。そういうことであるのに、また逆に、さっきからの話によると、火事があったときに人が集まってきてどうこうという話をさっき言われたが、それじゃ説明の仕方が全く混雑しちゃっていると私は思う。何かヤジウマをどうだとか、事故を起こしたときに人が来ていて詰まっちゃっているので、それを整理するためにはこれがなければできぬとおっしゃる。あなたは、車両の停滞に関係して、関係者に指示をするのだと、こう言っているわけです。車両が停滞をしたために伴うその場における混雑というものについては、そんなにたくさんなものが関係しては私はないと思う。それであるのに、非常に広範に解釈できるようなばく然たる、「その現場にある関係者に対し必要な指示」という、そういうようなものをここへ持ち出してきて車両の混雑を措置する必要は私はない。車両の混雑ならば、そこまでのところで十分できるのじゃないかということを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/197
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198・内海倫
○説明員(内海倫君) 車両の停滞によって混雑が生ずるわけでございますが、その車両の著しく停滞した原因というのは、ある場合には、そこに起こった交通事故であり、あるいは工事であり、あるいは火災であり、あるいはしばしば虎の門あたりでデモなど蛇行進をやります。そのために電車がずっとつながっちまって、さらに自動車が入ってきて動けないという、こういうふうな場合もございますし、原因はいろんな原因になっておろうと思いますが、ともあれ、しかしそこに生じておるものは、その原因を原因として車が停滞し、その車が停滞したことによってあるいは車が割り込んでくる。あるいはさらに先に行こうとして車が入ってくるということで混雑が生じてくると、それを解消するためには、まず前段の方を説明いたしますが、さらに入ってこようとする車があれば、それは一時とめる。それから、こうなっておるものをときほぐすためには、この車に対して、ここからうしろへ下がってくれ、それから、ここにある車は、あなたは前へ向けて抜けなさい、こういうような措置をとらなければなりませんし、今度は、その停滞の原因になっておる交通事故とか、あるいは不法駐車だとか、あるいは火事だとか、あるいはその他の事由、これに対しましても、たとえば、火事でヤジウマが立って一ぱいおるなら、その人はちょっとそっちへのいてくれ、この車を通してくれ、こういうことをその人に言わなければなりますまいし、あるいはまた、不法駐車しておる車のためにそれがつかえて停滞しておるならば、その不法駐車しておる車の運転者に対して、うしろへ下がってのいてくれ、こういうことも言わなければなりますまいし、あるいは交通事故を起こしておるならば、警察官が警察官に対して、早くその事故処理をやめて、早くそこを通すようにしてくれということも言わなければなるまい。こういうふうに思うわけです。従って、そこに停滞を生じた、その原因となっている所にいる人あるいは物件あるいは作業、そういうものの関係者に対して、やはり混雑解消のために必要な指示をするということは、私は、この六条における車両の通行の円滑をはかるための混雑緩和の措置として必要な措置ではなかろうか。従って、何ら私は不思議なく規定さるべきものではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/198
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199・松永忠二
○松永忠二君 車両の方はわかりましたよ。だから、その前のデモの方のことを言っておりますが、デモがたとえばジグザグ行進だとかいろいろして、そのために車両が混雑をしてきた。車両の混雑については、今おっしゃった通りだからわかるけれども、こっちの方はどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/199
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200・内海倫
○説明員(内海倫君) デモのお話が出ましたから、デモを例にとって申しますれば、道交法は、そのデモがどうであるかということは何ら関心を持っておるものではございません。そこで、それが交通にどう妨害になるかということには非常に関心を持っておるわけです。そうしますと、蛇行進がかりにこう行なわれて、こうやっておりますためにどんどん車はたまってくる、にっちもさっちもいかないというときに、そのデモに解散を命ずるとか、あるいはそのデモは向こうに行けとか、そういうことをこの道交法のここでいうつもりはないので、そういうふうなところは、ちょっとあけてくれと、そしてこの電車を通してくれということは、どうしても私たちはここに停滞している交通を流すためには必要である。従いまして、そういう中に行って、どうぞこれをあけて、そして軌道の電車を通してくれ、こういうことは言い得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/200
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201・松永忠二
○松永忠二君 あなたの言った、その限度でしか行なわれないのだという保障はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/201
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202・内海倫
○説明員(内海倫君) 第六条は、本来その混雑を緩和するための規定でありますから、その混雑の緩和があり、そして交通が流れ始めれば、すなわち警察官のその権限は終わるわけですから、従って、それ以上の権限をかりに警察官がふるおうとすれば、それは職権乱用にも相なりましょうし、また警察指令の原則から申しましても、そういうことはでき得ないはずのものであります。むしろそれは、私は一般原則に立って考えるべきであろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/202
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203・松永忠二
○松永忠君 私は、整理に当たる警察官は、あなたのおっしゃった以上のことをやったからといって、この条項に触れる内容はないと思うのです。混雑を緩和するために、たとえば、方向を全然変えてしまうとか、あるいは解散というのですか、まあ適当な場所へ行ってやってくれというようなことを言われても、これは別に、この条文の中から、それを違法であるというような根拠は私はないと思う。混雑緩和の措置なんですから、それは。だから、そういうようなことは、私は、あなたのおっしゃった限度にとどまるということにはならないと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/203
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204・内海倫
○説明員(内海倫君) それと同じことは、その前段の方の運転者に対しての措置の場合にも言えるわけであります。この点は、結局そこに、「その現場における混雑を緩和するため必要な限度」ですべてやるわけでございまして、その「必要な限度」を乗りこえておれば、これは私ども、職権乱用ともなりましょうし、警察指令の原則にも反するものと考える。従いまして、たとえば解散をかりに指示したと、これは私ども、指示ということと命ずるということは厳密に区別いたしておりますが、もしかりに解散をして下さいということを言ったとすれば、私は、それは混雑緩和の必要な限度をこえておるといいますか、あるいは混雑緩和のために必要な措置ではないのでありまして、混雑緩和に必要なのは、その道をあけてもらう、そして電車が通り得る所を切り開くということが必要な指示の範囲であろう。従って、何もその行進を解散する必要もなければ、あるいはかりに虎の門でやっておる行進を霞ケ関に持っていく必要もないのでございまして、両側に分かれてそこの所の軌道の上を電車が通り得るようによけてもらえば、ここの関係者に対して必要な指示をした目的は達するのではなかろうかと、こういうように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/204
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205・松永忠二
○松永忠二君 その限度の整理、混雑緩和であるならば、別に私は第七条の3でやれないことはないと思う。長官の話では、三項は危険であって、そして六条は混雑だと、だから、三項は危険の方だからこれはできないのだということをおっしゃるけれども、混雑があるから危険があるのであって、混雑すれば危険があるのはさまっているのです。だから、今言ったような限度のことであるならば、その必要な限度において、当該道路において一時歩行者または車両等の通行を禁止する、あるいは制限するというような、いろいろなことができておるのです。これが危険だから、危険なときにはそれができるのだが、混雑の程度ではこれはできないということは私はないと思う。混雑をすれば当然危険を予想できるということであるから、そこで、混雑と危険の限度で第六条のその条文は入れなければできないのだというお話なら、そんなあいまいな、しかも拡大解釈もできるようなものをここに入れる必要は私はないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/205
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206・内海倫
○説明員(内海倫君) 第七条の第三項に規定いたしておりますのは、全く第六条とは別個のものでございまして、たとえば、がけくずれがありまして、そこの所に自動車が行っても、大へんこれは危険である、あるいは通行できない、こういうふうな状態の場合、本来ならば、警察署長に報告し、あるいは公安委員会に報告して、公安委員会なり警察署長において禁止、制限するのがいいのかもしれませんが、しかし、危険を防止するためには、ここに緊急にやらなければならない状態でありますから、そのときに警察官がたとえば立て礼を持って行きまして、この先がけくずれありと、従って通行の禁止をすると、こういうこと、あるいは、この前のあそこの神奈川県の国道で火薬が爆発いたしましたように、ああいうときに、あと知らずにどんどん入って来ると、これはきわめて危険なわけでございますから、そこに行く道路に対して通行を禁止いたしまして、危険が去るまで一時禁止する。もしその危険の去るのが非常に長びくようであれば、直ちにこれは正規の公安委員会なり警察署長の禁止、制限に切りかわるべき性格のもの、これは緊急の必要の範囲内でやるもの。従いましてこの場合におきましては、交通が混雑するとか、あるいは車が停滞するとかというふうな問題ではなく、そこに人なり車なりが行くことが危険である。しかも、その危険を防止するため、緊急に措置をしなければならぬ必要があるという場合に、警察官が禁止、制限する。しかも、その禁止、制限というのは、実力で禁止、制限するというふうなものではないんで、立て札を立てて、あるいは警察官がそこにおって、この先は禁止ですよという形で命令するという形のものでございます。従いまして、第三項が適用される場というものは全然第六条とは異なるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/206
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207・松永忠二
○松永忠二君 あなたのおっしゃったのは、第三項における一つの適用の仕方であって、しかし、私が言ったような工合に、これは通行の禁止及び制限ですから、何も、そのあなたのおっしゃったようなそういう危険があるので、一時それを中止するとか停止するとか制限するとかということをやったからといって、別にこれで私は法律に違反であるとは言われない。あなたのおっしゃったように、がけくずれとか、一時危険が迫るから、そこの道路の通行を禁止するというのは、これは建前だとおっしゃるけれども、それ以外に、たとえば、今非常に混雑してきて危険があるそうだ。そこで、それについて一時必要な限度において通行を禁止したり停止しても、何もこれは適用ができないわけじゃないと私は言っているわけです。それはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/207
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208・内海倫
○説明員(内海倫君) たとえば、ある地点で交通が大へんに混雑してしまった。そのため、そこにさらに車なり人が行くことは非常に危険を増大する。この際、一時そこの通行を禁止しなければならないということで、危険を防止するため緊急の必要があるというわけで、これは私はやはり禁止制限が可能である、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/208
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209・松永忠二
○松永忠二君 そういうことであるし、今までも私は、その法第六条第三項というものをあるいは第五条等で考えられたと思うのですよ。あなたたちから言えば、区分けをしてはっきりしたのだとおっしゃるかもしれぬけれども、同時に、そのまとまった一つの条文でも、その両者に適用できないわけではない。できない理由はない。だから、その今のあなたのおっしゃった程度の、たとえば、ここをあけてもらって通してもらいたいとかというようなことなんかは、その現場にある関係者に対して指示をすることはできると、これを入れてないからといって、この七条の3でも私はやれると思う。それからまた、それができない理由はないので、警察官は、道路における危険を防止するため、それから他面緊急の必要があると認めたときは、「必要な限度において、当該道路につき、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。」ということに、どこにも私は触れるものはない。ただ規定の精神というか、そういうものは相当長期のものについてということを言われているけれども、長期のものについてでは、二番とか三番とかいうもので十分できるので、そういう危険を制限するために3を設けてあるということであっても私はいいのではないかと思う。だからまた、七条の3で私はその程度のことならばできるし、またそういう以前の措置も、それではその混雑を招く前の措置も、実はほかの条項でもできる条項があるわけで、だから、まあ私の考えでは、ここの今あなたのおっしゃった程度のことならば、通行の禁止及び制限という内容の中に、緊急の場合、しかも必要な限度において危険を防止するためにそれが行なわれるということであれば、現在でもやられておるのではないか。現在も実際そういうことをやっておられると思うのですよ。だから、これが六条の「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」と書いてなければそれができないということは私はないと思う。あなたのおっしゃったことができないということはないと思う。どうなんですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/209
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210・内海倫
○説明員(内海倫君) たびたび私が六条について申しておりますように、六条の事態をもう一ぺん設定いたしますと、ある地点に、先ほど申し述べましたような理由によって、車が先に行けないというような状態が出て、そのために停滞し、さらにどんどん車が入ってきて、そうして混雑の状態になってきた。そういう状態の場合に、その混雑を解消し、さらにその停滞をなくして車を流していくために、その現に生じているその現場の混乱状態を処理するには一体どうしたらいいのかという形で規定されているのが六条でございます。従いまして、一方で、そこに並んで混雑しておる自動車の運転者に対して所定のことを命ずるとともに、また、その混雑の原因になった側の関係の人にもまたそこをあけてくれとか、あるいはそれをのいてくれとかいう指示をするという、一つの相対的な関係を規定したのが六条でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/210
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211・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと待って下さい。今のお話のその程度のことならば、それならば、別にこれがないからといってですよ。私さっき言ったように、これは道路を交通したりなんかしているのですから、道路上にいる人なんだから、それにいろいろ指示するのは、通行する場所を別にしたりなんかすることはできるわけなんだから、私は、あなたのおっしゃった程度のことなら別に……、その車両混雑に伴うことであって、そういう程度のことなら、ここがないでも私はできると思うのですが、その辺が私よくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/211
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212・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 先ほどからたびたび申し上げておりますが、正規の交通方法によらないものについての指示ということは別にございますけれども、たとえば、進行してくる人間についてとまれと、しばらくとまっておれとか、あるいは、そこを少しうしろに行ってもらえば車が通るから、少し下がってくれと、こういうことは、それは事実、警察官でありまして、その現場で常識的に必要だと考えられることをしても、そう非難を受けないかもしれませんけれども、やはりそういうものは指示できるということで、はっきりと責任と権限というものを与えておくことが必要ではないかというふうに思うのであります。それでまた、その程度の指示権でございまして、何もこれによって実力行使によってその事態を指示した通りに実現するとか、あるいは罰則をもって臨むというようなことではなく、警察官にはそういう指示権がある、そういう指示権があれば、その限度においてやはり関係者というものは協力すべきものであるというような意味の規定と理解していただけば、そうおかしい規定だというふうに考えないので、また、七条三項では救済できない場合が、いわゆる危険というところに至らないものがある。ただともっておって、とまっておるために車が通らないというときには、少しわきに寄ってくれとか、あるいは少し下がってくれというようなことを言うということは、当然、権限としてそういう指示権というものは与えられていいのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/212
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213・松永忠二
○松永忠二君 今の警察庁長官の言うような限度のことであるなら、私は七条の3でできると思う。そうしてまた、混雑と危険の区別ができないとか、混雑の程度であってまだ危険にはならないものは七条の三項ではできないから六条にこういうことを入れたという程度の根拠であるなら、私は七条のそこは削除すべきだ。危険ということをそういうふうに言うなら、ここにもう少し明確にしたものを置く方がいいのではないか。危険や混雑を防止するためにといってもよければ、混雑や危険を防止するためにといえば、その方がはっきりしておる。あるいは、これはそういうためのものでなくて、一時道路をとめたり何かするためだというお話だけれども、けっこうそれでそういうことも十分に処置できる条文の内容であると私は思うのです。警察庁長官のおっしゃるようなことであれば——あれはということよりも、前から課長の方からもそういう説明であるのだが、その程度のことで、混雑が危険にならないと指示権を与えなければできないという、指示についてやらなければ困るということについては、3のところにちゃんと警察官の指示権を出してあるのだから、だから、3で警察官にそういうことをできるようにさせておるのだから、それが権限を与えてある。しかも、それは危険だというので混雑じゃないから、これは六条の方には適用しないとおっしゃるなら、私は、この危険という言葉をそんなに厳密に考えないでも、混雑をしてくれば危険になるのだから、またそういうことを予想して、防止するために必要な限度において歩行者を一時通行禁止するとか制限するとかいうことまで、それを否定するということではないけれども、そういうことならそれで十分にいいのじゃないか。そうでない、非常に広い範囲に考えられる、関係者とか必要な指示とかいうことについていろいろと考えさせられるような、そういうものを規定するということは工合が悪いのではないか。もっと根本的な理由はありますよ。とにかく今言ったようなことで、技術的な面からそういうことを、あなたのおっしゃるようなこと、混雑が危険にならないから3ではできないのだということでは私はないと思う。その程度のことをやれないために「又は」以下を入れたのじゃないと私は思う。その点、長官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/213
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214・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 私は、どうももう少しよくお話しすればわかっていただけるのじゃないかと思うのですが、言葉がまずいのかもしれませんが、やはり第七条の三項は、危険を防止するため緊急の必要があると認めた場合に、その道路の通行を禁止するというようなやはり規定でございまして、第六条は、あくまで現場の混雑を緩和する、混雑を緩和するために、車両については車両について必要である、また歩行者については歩行者について必要な指示をする。しかし、かれこれ言うものについては罰則をもって臨むようなことでなしに、警察官の権限として指示することができる。指示することができるということは、指示する必要があるときはやはりすべきものであるという警察官の責任にもなるわけでございまして、これは、単なる事実行為として行なうということで、トラブルを起こすというようなことでないように、はっきりと権限として書く。しかし、先ほどから申しますように、罰則をもって担保するとか、七条三項のようなきびしい規定というわけではないということを申し上げているわけでございまして、まあなお法理論的と申しますか、刑事局長からちょっと補足して申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/214
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215・中川董治
○政府委員(中川董治君) 私、今の長官の御答弁と交通課長の答弁と全く同じことを違う表現でお答えいたしたいと思います。内容は一緒でございますが、違う表現でお答えいたしたいと思います。
御質問は、七条三項の規定があるので、六条後段の「又は」以下がなくても、七条三項で十分まかなえるのではないか、こういう趣旨に拝するわけであります。まかなえない理由を、長官と交通課長と結論は一緒ですけれども、別の表現を用いますが、まず第一に、七条の点につきましては、危険を防止するという点の角度しかない。こちらは、混雑を緩和するという角度で、やはり混雑緩和の中には、危険防止でまかなえる面とまかなえない面がある。これを御了承いただきたいことが一つ。これは長官からお答えした通りです。
それから第二には、七条三項は禁止または制限でございます。禁止または制限という言葉の中には、当該道路を歩行してもらっては困る、利用しては困るということと、利用の仕方を判断してくれ、こういう趣旨があるのだと解します。ところが、そういうふうな態様でない場合がある。極端なことを申しますと、車両が一ぱいふん詰まりになっている。その結果、じいっとそこにとどまってくれ、こういう、じいっとそこにとどまるという行為は、禁止ではもちろんない。制限というよりも、むしろ大いに利用してくれということにもなりますので、禁止または制限という範疇には考えにくい言葉であるということが第二点。
第三点、かりに百歩を譲って、お説のように、七条三項の規定でまかなえるといたしましても、混雑緩和ということを念願に置いて六条前段にかけまして混雑を緩和する場合においてと書きまして、車両の運転者に対してこういうことができるということを書いて、「又は」以下を書かないでおく。書かない結果の反射作用として、そういう混雑の場合におきましては、そういう禁止、制限もできないという反対解釈が出てくる。こういうのでは困るので、反対解釈ができないように、「又は」以下を念のために書いた趣旨でもあります。
そういう三つの理由によりまして、どういたしましても「又は」以下の条文が必要である、こういうことに相なるのであります。
それからまた、沿革的にこれを申しますと、七条三項の規定は、交通課長が説明いたしましたように、一項を受けてこの規定でございますので、これは、現行法通り危険防止、また円滑化が一項でございますけれども、危険防止の角度から制限する。すなわち道を使ってもらっては困るという趣旨の思想から出てきているのであります。ところが、現行法では、六条にあるような態様を予想しては、先ほど交通課長から申しましたごとく、現行法五条で、命令の定めるところによって警察官の指示することに従わなければならぬ、こういう規定があるのですが、この規定が、しばしば交通課長が申しましたごとく、命令の規定で相当しぼりをかけた関係等もあるのでございますけれども、比較的あいまいである。こういうあいまいな規定ということは、民主国家の法律として適当でございませんので、現行法五条に書いてある指示の内容をこの法案立案にあたりまして分析して、混雑緩和の場合に考えられることが一つあるということを堂々と、命令でなしに、法律で書こうという作業をするということが一つ。
それから、先ほど鈴木委員の御質問があった点ですが、五条二項に、現行法五条の指示ということの一態様と認められることがありますので、五条二項に堂々と国会の法律として明らかにしていって、現行法が予定しておりますような命令によってどうでもなるというような考え方でなしに、五条二項と六条の規定にむしろ顕在化しまして、法律の規定によって明定することが国民の利益でもありますし、お互いの公共の福祉に合致すると考えまして、五条二項と六条という条文に正確に表現いたしたのであります。
従いまして、いろいろ私がお答えいたしました点は、長官とか交通課長が言ったことと全く同じなんですけれども、表現の仕方は違うのですが、そういう表現をして御説明した方が、いろいろ議論を伺っておりますと、御了解いただきやすいのではないかと思いまして、蛇足でございますけれども、申し添えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/215
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216・松永忠二
○松永忠二君 その停止ということは制限の中に入らないというようなことですが、制限ということはそういうふうに厳密に考えるのか。あるいは停止というのは、そこにしばらくとどまっていてくれとかなんとかいうことであっても、私は、制限の中に入れて悪いという根拠は全然ないと思う。もしそういうことなら、停止という言葉を入れればいいじゃないか。それからまた、反対理由になるというお話ならば、混雑ということをここへ入れたらどうか。何も題目に、「通行の禁止及び制限」、そういうことで、混雑ということを入れないでもいいように、七条の初めに円滑という言葉が入っているのだから、そういうことは入っている。五条に規定してあることよりも明確にしたのだというお話であるけれども、旧五条の規定は、「命令の定めるところにより」、明確にそういうかぶりをかぶってある。そういうことについては、むしろ第六条のその方が拡大的な規定の仕方であるというふうに私は言わなければならぬ。それで私は、この点については、絶対やはり今の御説明では納得がいきません。私は、道路交通法という法律でもって規定をするというものについては、やはり道路の安全円滑というようなふうにどう考えても解釈できる限度の内容を規定するということが必要なんであって、それ以上の、道路交通の円滑とか危険防止とかいうもの以上に拡大的に解釈できるような、そういう指示権を私は与えるべきではない。そういうことについては、また別個にほかの法律があって、それで規定をしていくべきものであって、道路交通法の中でそういう権限拡大ができるような規定をしていくということは、これは妥当な仕方ではないと私は思う。だから、そういう点については、私たちは、この警察官の指示権というものが、今の時代において、混雑緩和なり道交法によって適当な規定をすることについてあえて反対をしているのじゃないけれども、しかし、やはりそれは、あくまで道路交通の法律に基づく権限内の規定で、以上には行使できないのだということが明確になっていない限り、それをばく然たる解釈ができるような範囲でこの規定をしていくということは、これは問題がある。だから、私たちもいろいろ今後研究したいと思うけれども、たとえば、限定的なものを明確にするとか、あるいは、こういうことの条項を入れないでも、現状には、車両の混雑緩和は今言ったようなところでできるし、それからまた、一時的な危険防止あるいは混雑緩和という警察官の限られた指示の権利というものならば、また第七条の中に、いずれかの字句を挿入するなりなんなりしてできる方法もある。で、あなた方がそういうことはないとおっしゃるけれども、こういうことの中から解釈できるいろいろな幅の多い、関係者に対して必要な指示というような、そういう大きな問題を、混雑緩和の措置の中に警察官の指示権として入れていくということについては、私たちは了解できにくいという考え方を持っておるわけなんです。この点についていろいろ御説明を聞いている。で、特に第五条なんかについては、皆さんの御説明の中の積極的な善意というものもよくわかったけれども、やはりそういうことについても一応何か警戒しなきゃできないという気持を持つのは、あまりに六条に漠然たるものが入っている。でき得るならばというか、できるならば、六条、七条の中には、もう少しなくてもいいものがあるのではないか、もう少し簡単にしぼれるものがありはせぬかという感じも実は持っているわけなんです。しかし、これは具体的に十分考えていかなきゃ、そう簡単に申し上げられることでもないと思います。まあ考え方としては私たちはそういう考えを持っておるということで、その項目については、私は結論的にそういう意見を持っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/216
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217・中川董治
○政府委員(中川董治君) いかなる規定でも、拡大解釈されるような書き方は下手でありますので、これは慎まなきゃならぬと思います。御質問の六条の規定について、拡大解釈できないという証拠を明確に申し上げますが、いろいろ御議論を伺っておりますと、六条後段の規定が即時強制的なことに動くという拡大解釈の危険性の御心配の点があるようでありますが、これは、法律の慣例といたしまして、即時強制を認める場合は、制止をするとか、措置をとるとか、こういう規定を設けているのであります。設例に出ました集団示威運動の行為等につきましていろいろ措置が行なわれているのは、この法律と別の法令の規定におきまして措置をとるとか、制止するとか、こういう規定に基づいての措置が行なわれておりますので、「指示をすることができる。」という言葉が内包する意味は、強制行為なり即時強制を含まないということは、すべての法律に共通する原理でございますので、その御心配は全然ない、こういうことを明確にお答えいたします。
それからまた、拡張解釈がされないという第二の保障は、これも交通課長がしばしば説明いたしましたように、要件が二重三重にもしぼられている。「停滞」、「混雑」、「必要な限度」と、こういずれもしぼってございますので、こういう三つも四つもしぼりがあるということが一つ。それから「現場にある関係者」というしぼり、それから「必要な」というしぼり、さらには、措置をとるという言葉を用いずして、「指示をする」という言葉、この四つか、五つによって制限されますので、そういう御心配はなかろうかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/217
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218・松永忠二
○松永忠二君 まあ今の御説明は承っておきますけれども、私は、今の点だけでは納得できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/218
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219・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、きょうの質疑はこの程度で終りまして、次会は明後十七日午前十時から開会することにいたします。
本日は、これで散会いたします。
午後五時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414720X00919600315/219
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