1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三日(木曜日)
午前十時四十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中野 文門君
理事
増原 恵吉君
村山 道雄君
伊藤 顕道君
横川 正市君
委員
大谷 瑩潤君
木村篤太郎君
小柳 牧衞君
下條 康麿君
下村 定君
一松 定吉君
松村 秀逸君
鶴園 哲夫君
矢嶋 三義君
山本伊三郎君
向井 長年君
辻 政信君
国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
内閣官房副長官 小笠 公韶君
外務省アメリカ
局長 森 治樹君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
説明員
宮内庁長官 宇佐美 毅君
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本日の会議に付した案件
○建設省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○国家行政組織に関する調査
(皇太子殿下の外遊に関する件)
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) これより内閲委員会を開会いたします。
去る三月一日予備審査のため本委員会に付託されました建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/1
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002・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、最近における公共事業等の事業量の増大に伴い、これらの事業の用に供する土地の取得が困難を加え、公共事業等の円滑な施行に支障を及ぼしている現状にかんがみ、省の附属機関として臨時に公共用地取得制度調査会を設置し、公共用地取得制度に関する重要事項を調査審議させることとするほか、建設省の所掌事務についてその整備をはかろうとするものであります。以下その要旨を御説明申し上げます。
まず、第一に、建設大臣の諮問に応じて公共用地取得制度に関する重要事項を調査審議させるため、昭和三十六年三月三十一日までの一年間を限り、建設省の附属機関として公共用地取得制度調査会を設置することとし、また、公共用地取得制度に関する調査を本省の所掌事務とすることとしたことであります。
第二に、日本住宅公団の経営一般の監督に関する事務は、現在、大臣官房において所掌いたしておりますが、住宅局において所掌いたしております日本住宅公団関係の事務と統合することが適当と考えられますので、この事務を住宅局の所掌事務とすることとしたことであります。
第三に、建設省の附属機関である地理調査所の名称を国土地理院に改めることとしたことであります。
地理調査所におきましては、測量法に基づく土地の測量に関する各般の行政事務を所掌するとともに、地図の調製等の業務を行なっておりますので、地理調査所という名称は、その所掌事務の実態を表わすのに適当でないと考え、その名称を改めることとしたのであります。
第四に、建設省が委託を受けて建設工事等を行なうことができる場合の委託機関として国民金融公庫及び農林漁業金融公庫を加えるとともに、委託により建設工事用機械技能者の養成及び訓練を行なうことができることとしたことであります。
なお、以上のほか、土木研究所の所掌事務に地すべり防止工事または海岸保全施設工事にかかわる特殊な工作物の設計に関する事務を加え、また、建設研修所の所掌事務に委託に基づく建設工事用機械技能者の養成及び訓練並びに産業開発青年隊の幹部の訓練に関する事務を加える等、所掌事務に関する規定の整備をはかるとともに、地理調査所の名称の変更に伴う関係規定の整備を行なっております。
以上が、建設省設置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/2
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003・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で提案理由の説明を終了いたしました。事後の審査はこれを後日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、国家行政組織に関する調査を議題とし、皇太子殿下の訪米に関する件の調査を進めます。政府側から出席の方は、宇佐美宮内庁長官であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 本日の質問をするにあたりましては、外務大臣と総理府総務長官を非常に重要な答弁者と私は予定しているわけでありますが、できるだけ早く出席できるように委員長に特に御指示をいただきたいことをまずお願いいたしておきます。私は質問の内容に入る前に前提として一言申し上げますが、それは皇室の問題が政治的論議の渦巻の中に入ることを私は好みません。かような政治的論議の渦巻の中に入れるというような考えはさらさらない。しかし、質疑応否することによって、その結果として収治問題の渦巻の中に入るようなことが起こり得るのではないかというようなことを考え、いろいろと私は苦慮いたしましたが、しかし慎重に考慮した結果、宮内庁長官並びに外務大臣、官房長官、福田総理府総務長官に対して皇室関係者の外国への親善旅行計画、皇室と政府との関係、これには皇室のあり方というものが内容として含まれますが、こういう角度から許された時間内で質疑をいたしたいと思うわけです。
まず過去一、二カ年、さらに最近、それから今後二カ年間ぐらい皇室関係の行事が大へん多く、特に最近はおめでたいことの連続ではありますが、皇室関係の行事が非常に多くて皇室に仕える宮内庁長官としてさぞかし御心労のことと思いますが、この点については、私はまず長官の御労苦を多といたすものであります。そこで質問に入りますが、皇室関係者の外国への旅行等は秘密に取り運ばれるものでしょうか。それとも国民の前には何ら秘密などすることなくガラス張りで、常に国民の前でこういうことが取り運ばれるという形が好ましいのか、私は当然後者であるべきだと思うのでありますが、具体的内容に入る前提としてこれに対する見解をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/5
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006・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 外国の国賓を日本へお招きするとか、あるいは外国から招かれるという問題は、特に招かれる場合において、皇族がおいでになりますということは、政治的な問題でございません。大きな意味の国際親善ということでございまして、私どもはこの性質上これを秘密にしなければならぬということはないと考えております。もとより、普通の過去の例で申し上げますと、大体両方の都合あるいは大体の日程等がきまりませんと公表しないという慣例になっておりますが、その事柄自体は、別段一般に秘密にしなければならぬということではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その答弁を了といたします。
そこで続いて伺いますが、一日夜の官房長官の記者団会見において述べられた言葉の中にエチオピア、イラン、インドから皇太子殿下に対しての正式招待状がきているという談話があったということが諸新聞に報道されておりますが、このことは先般三月九日宮内庁長官がこの席で述べられたことと若干差異があると思うのです。ということは、官内庁長官は当日、当日とは三月九日でありますが、アメリカからの正式招待状も来ていない、口頭で承っている、また今までニチオピア、イラン、インド、インドネシア、フィリピン等から非公式に御招待を受けている。かように私の質問に答弁されておりますが、これはいずれが真なのか。それともその後アメリカ、あるいは先ほど列挙しました諸国から正式招待状が届けられておられるのかどうか、その点承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/7
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008・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) この前もお答えいたしました通りに、イラン、インドその他からは、皇太子、同妃両殿下においでをいただきたいという希望がわれわれに伝わっておりますけれども、正式の書面をもって御招待というものはまだ来ていないと存じます。私どももまだ見ておりません。普通の例を申し上げますと、そういう正式の手紙というのは、大体両国で打ち合わせが済んでから出るのが多い例でございまして、はっきりいたしませんと、いわゆる正式の招待状というものは来ないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 官房長官がお見えになっていないので特にお伺いしますが、宮内庁の行政事務というものは、所管の大臣は行政事務分担としてはどなたになっていらっしゃるのでしょうか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/9
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010・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁は内閣の外局でございまして、総理府の関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 従ってその行政事務を所管する責任大臣は、どなたということになっておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/11
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012・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁法にございます通り、総理大臣の管理下にあるというわけで、大臣としては総理大臣です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこでお伺いいたしますが、皇室関係の方々の外国への親善旅行、現在具体的に皇太子、同妃両殿下の・アメリカヘの親善旅行という問題が起こっているわけですが、これらの具体的な交渉は、宮内庁が直接在日アメリカ大使館に対して行なわれるものでありましょうか、それとも宮内庁の意を受けて総理府からなされるものですか、それとも外務省を通じてなされているものですか、いずれでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/13
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014・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) それは直接交渉に当たられますのは外務省であります。向こうからの申し出も外務省に参ります。そういうことになっておりまして、外務省は宮内庁及び内閣の方と意見を調整して返事をすべきものはしているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それではただいまの折衝は外務省を通じて行なわれている、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/15
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016・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/16
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017・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長に御要望申し上げます。先般の理事会でこの質疑が許されまして、私は必要な答弁者として、外務省関係を委員部を通じて要請いたしました。そういたしましたところが、委員部は、この問題は外務省は一切タッチしていない、この問題については承知している者は一人もいないから、だれも出席をしない、アメリカ局長、官房長どなたにあれしても一切関知していない。従ってその問題に対しては、出席してもしようがないからと出席を拒否されました。私はそういうことはないということで、委員部を通じて再三要求いたしましたが、大臣もどなたも出席されない。私は今の宮内庁長官の答弁からいっても遺憾だと思います。常識から考えて、ただいまの宮内庁長官の答弁の通りだということは考えられるわけです。しかるに、委員長の指示を受けて働いているところの国会職員が、事務手続をとって外務省に対して要請するのに、そういう回答をして出席しないということは許すことができないと思う。従って、外務大臣並びに官房長が、即刻この質疑の展開されている問に、本委員会に出席するよう取り計らい方を特にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/17
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018・中野文門
○委員長(中野文門君) 矢嶋君に申し上げますが、矢嶋君の方から本日の皇太子御夫妻の訪米問題についての政府側の出席要望の中で、外務省関係では外務省アメリカ局長ただ一人をあなたの方から要求があったので、その通りこちらの方で準備をしましたところ、外務省アメリカ局長は皇太子御夫妻の訪米問題については、十分承知していないからという返事がありましたので、先ほどの委員長・理事打合会で、知る知らぬにかかわらず要求があるのだから都合をつけて出席せよ、こう言ってあるので、外務省アメリカ局長以外をあなたが要望しておらないから、従って外務大臣その他官房長ですか、そういう方面については私の意思をもって要望をしておりませんから、御返事申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/18
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019・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この点について時間を費すのはもったいないから申しませんが、委員長はしょっちゅう院内におられるわけではないので、連絡つきませんので、昨日外務大臣がお忙しいだろうから、アメリカ局長に質疑しようと思って、きのう委員部を通じてしましたところが、アメリカ局長は一切関知していないというから、それでは関知している官房長かどなたかおられるだろうから、条約局長でもよろしい、どなたかおられるはずだから、その承知している人においで願いたい。こういうふうに委員長がおられないから、委員部に私は返事を申し上げた。委長部の方から当たったけれども、一切関知していない、だからどなたも出られないそうですというから、再三にわたって言ったけれども、出ないから、それでは責任者である外務大臣の出席を願おう、こういうふうに委員部との私の応答ではなされたわけでありますので、その点委員長と昨日私ずっと会えないから、委員長との面接の応答になっていないのですが、委員部の諸君とはそういう経過があるわけです。そこでこの点お願いいたしておきたいと思います。
そこで出席がされる前に次に質問を続けて参ります。宮内庁長官に伺いますが、今度皇太子殿下がアメリカに親善旅行としておいでになるのは、天皇陛下の御名代としておいでになられるのですか。それとも皇太子殿下としておいでになられるのですか。このことはアメリカ側からの招待の形式並びに訪米されました後の処遇等にも関係があると思うのですが、いかようになされる見通しなのでございますか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/19
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020・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) アメリカの大統領からは、皇太子殿下、同妃殿下ということでございまして、特に天皇の御名代ということはございませず、われわれといたしましては、皇太子殿下及び同妃殿下に対する直接の御招待と、今のところ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 間もなく質問が焦点に入って参りますので、官房長官並びに福田総務長官、おいでになられなかったならば小笠市長官に至急に一つ御出席願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/21
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022・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/22
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023・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 宮内庁長官に伺いますが、この皇太子殿下の日米修好百年祭に出席をするという問題は、昨年の秋、一たんお招きを受けて、断わられたことがございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/24
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025・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) これも先日お答え申し上げました通り、昨年の夏、あるいはちょっと前ぐらいから、民間を主として、皇太子殿下、同妃殿下においでいただけないかということは参ったことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/25
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026・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そのときに、日米修好百年祭が行なわれるということは、もう去年の今ごろからわかっておったわけです。そのときにお招きを受けた場合に、御結婚なさって、おめでたの徴候があられるというので、お断わりになられた。そのときにアメリカのロックフェラー財団筋では、ごもっともだ。そこで、ぜひ両殿下においで願いたいが、リンカーンの文化センターが完成するから、その完成を記念して一九六一年に訪米を一つお願いをしょう、昭和三十五年度はちょっと無理だから、その翌年ぐらいにお願いをしょう、こういう話が当時あられたことを長官御記憶だと思うんですがね。それが、最近になって急に訪米問題が再燃してきたというところに、ちょっと理解に苦しむ点があるのですが、宮内庁当局としては、どうしてそういうふうに変わられたのか。その点を一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/26
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027・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 向こうの日米協会を中心として両殿下においでいただきたいというのは、私の記憶では三月とか四月というようなことでございまして、今お述べになりましたような、一九六一年に云々ということは、ただいま伺うのが初耳でございます。全然私承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/27
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028・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その経緯は、逐次質疑をしていくうちに判明してくると思うのです。そこで、次にお伺いしたい点は、先般のこの委員会で、宮内庁としては十分協議をし、関係方面とも話し合って、国民の納得のいく都合のいい時期を意見調整したい、こういう速記録が残されておりますが、宮内庁内としてはどういう意見に落着したのか。また、あなた方のその意見というものは、官房長官の当時の答弁によるならば、尊重されるという」とが答弁されておるわけでありますが、意見調整の結果は、いかように結末がつけられたのか。その点御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/28
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029・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) その後宮内庁あるいは外務省、内閣と話をいたしまして、完全に意見は一致して、一応こちらの都合等を申し出て、大統領の都合を今伺っておるところであります。まだ何ら回答がございません。この間に、今お述べになりました通りに、大体私どもと外務省、内閣とは意見が完全に一致しております。この前も申し上げました通り、非常に早い時期でございますと、アメリカ側が希望し、あるいはわれわれが希望する両殿下がおそろいでおいでになるということは困難であるという結論で、なるべくあとになる方がよいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/29
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030・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この前の答弁では、おそくなればなるほどよろしい、ごもっともな答弁を残されたわけです。そうしてその後協議された結果、外務省と完全に意見が一致したということです。だからその一致した意見とは、どういうことかということを伺う前に、まず官房長官に一つお伺いいたします。官房長官、ワシントンの現地時間三十日午後に、岸・アイク共同コミュ
ニケが発表されておりますが、この皇太子殿下の訪米は、昭和三十五年度中という時間的な制約のワクがあるのかないのか。その点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/30
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031・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 私は会見に立ち会ったわけではございませんが、修好百年を記念してということでございましたから、当然三十五年度中と了解したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/31
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032・矢嶋三義
○矢嶋三義君 小笠副長官お見えになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/32
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033・中野文門
○委員長(中野文門君) まだ出席しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/33
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034・矢嶋三義
○矢嶋三義君 すぐ呼んで下さい。あなたは官房長官として、この共同コミュニケは、昭和三十五年度中という時間的な制約があるということなんですね。宮内庁長官としては、その時間的制約の範囲内で外務省と協議した結果、意見が一致した、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/34
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035・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) これも前回の御質問でお答えいたしました通りに、修好百年というものを記念してやるということでございますから、その年に行なうのが意義のあることであるというふうに考えまして、われわれとしては今年中に実現するようにすべきである。この前お答えいたしました通りの線で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/35
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036・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先般のこの委員会で質疑応答がなされたその内容を若干参考にされて、そうして外務省と交渉されたというそのあとが見えるようです。しかし、私が意見を含めてお伺いした相当部分は無視されておるように私は判断いたします。そこで、具体的に伺いますが、両者が意見が一致したというのはどういうことですか。どういう内容でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/36
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037・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) これは主として妃殿下の御出産に伴って、御回復なり、あるいは新しい宮様の授乳その他のことを考えまして、われわれといたしましては、なるべく秋の方がいいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/37
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038・矢嶋三義
○矢嶋三義君 五月説に対してともかく秋がよろしい、ベターだという意見に宮内庁と外務省が一致したという点については、宮内庁の責任者としてのあなたの意向が相当反映しているようで、その点については私は多といたしますが、問題点がさらにあります。それを少し掘り下げて伺います。伺いたい点は、小笠副長官が来ておられないようですから、官房長官に伺いますが、官房長官は、この前もこの速記に自分は事務的にタッチしていないからといって答弁を逃げられているのです。だから福田総務長官が先行し、小笠副長官も先行して、これに直接タッチされていると思うのですよ、この問題に。だからその出席を願うのですが、おいでにまだなられていない。しかし全権団の随員として、しかも内閣の官房長官としておいでになられたのですから、私は知らぬ、存じませぬでは、こういう問題は通らないと思うのです。従って、私は伺います。その前提であなたに申し上げておきますが、あなた方は十七日の夜ワシントンに着いている。福田長官に小笠副長官はあなた方の到着を待ちかまえてお話し合いされている。だからあなたが全然知らぬ存ぜぬでは通らないわけです。そういうことを申し上げて伺いますが、一月十九日の共同声明に交換訪問の件が含まれる予定であったのが——七日夜岸全権以下がワシントンに到着した後に、それが変更となって、二十日の特別共同コミュニケに入れるようになった、この理由はどういうわけですか。お答えいただきたいと思います。ありのままを答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/38
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039・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 特別とおっしゃいますが、それは新聞発表であって、共同コミュニケじゃないと思います。それで全権団の当然の仕事以外の問題でありますから、その点を区別したものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/39
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040・矢嶋三義
○矢嶋三義君 小笠副長官お見えになったそうですから、御着席願います。小笠副長官は福田総務長官と全権団に先行してワシントンに到着されましたですね発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/40
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041・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 私は参りませんで、留守役をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/41
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042・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは副長官としておいでになったのはどなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/42
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043・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 松本副長官であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/43
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044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは松本長官と変えて下さい。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/44
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045・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/45
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046・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 官房長官に私伺いたい点は、当時の各新聞社の記事を見ても明確なんですよ、それは。十九日に行なわれる共同声明の中に、この交換訪問を入れるということが、先行した方々、それから共同声明案文を起草している日米両国の当局者で意見が一致しておった。そうしましたところが、十七日の夜、岸全権一行がお着きになって協議した結果、十九日の共同声明に入れるということは落ちた。そうして二十日の共同声明に入れるようになったわけです。その段階に宮内庁長官は、国内の記者諸君から質問を受けて、共同声明に皇太子の訪米問題は盛り込まれるようなことは考えられない、こういう記者会見をされている。その記事も国内の各紙に報ぜられている。だから、かように声明文を起草している両国の当局者がきめられておったのが、岸全権が着いた後に、二十日になって十九日の共同声明と分離されることになった。それはどういう事情に基づくものか、それを御説明いただきたい、こういうように伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/47
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048・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 初めにそういう予定があったということは、私は記憶しておりません。それで、当然これは全権団の本来の仕事と分離して処理さるべき問題でありますから、別に取り扱われたものと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 だから私は、こういう皇室というのは、国民全体の中にあるわけなんですよ。だから、いつまでも私は国民全体の中に身近にあっていただかなければならぬ。そういう意味で、秘密なんか伴ってはいけない。特にこういう親善旅行なんかなら、何にも隠すことはないわけですから、冒頭に私は宮内庁長官に伺ったらその通りだと、こう言うわけです。そこで私伺っているわけですが、官房長官知らないと言ったら、官房長官無責任ですよ、あなたは……。それから知っておって答えないとなったら、なおいけませんよ。(笑声)なぜ私はそういうことを言うかというと、あなたは非常に逃げる答弁をしているということを、私は証拠を示しますよ。一月十八日の日本の各新聞をごらん下さい。これはでたらめな記事とは絶対考えられませんよ。各新聞記事を見ますと、ワシントンの十七日発、その内容は日本当局の信ずべき筋の十七日の談として報ぜられていることがある。その中には、共同声明にあたって、皇太子・アイクの交換訪問を声明の中に入れることに声明起草両国当局者の間で了解に達した。意見が一致したということが、日本の関係者から、これを福田総務長官に聞けばわかるのです。私は他の筋からも聞いておる。十七日それが語られて、宮内庁長官にワシントンから連絡があり、山田次官から連絡のある二日、時間的に言って二日前に日本の各紙に報ぜられているのですよ。そうしてそれが、十九日の共同声明の中に入れられておる。それがその二十日になったわけですね。その間は、宮内庁長官はつんぼさじきになっているわけです。宮内庁長官に山田次官から連絡があったのは、十九日の正午ごろですよ。これは私は確かめた。宮内庁長官は、先日も、ここに共同声明の出される前、外務省で耳にいたしましたと、この前答弁しているわけです。だから、その間というものは、営内庁長官はつんぼさじきになっていいわけですよ。その間に、出先の日本の当局者がアメリカの当局者と話を進められてきているのですね。だから、その経緯を伺っているわけで、今の官房長官の答弁では納得できません。もう一度お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/49
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050・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 何べんお答えしても同じでございまして、私は共同声明の案文に初めから載っておらなかったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは、この問題に
ついては、福田総務長官と、現地において、その経緯その他についてお話し合いをなされましたか、なされませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/51
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052・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 特にこの問題について話しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 無責任ですよ。あなた。そういうことで、常識上官房長官通るでしょうか。条約の内容なんというのは、条約局長以下にまかされているのですから、外務省のエキスパートに。官房長官とか総務長官が全権団に随行されていく目的というものは、仕事の内容というものはどんなものかということは、常識上わかるじゃないですか。こういう共同声明を、いつどういう内容で発表するかというようなことについて、官房長官と総務長官の間に何も特に協議がなかったというようなことで通るでしょうか、常識上。福田総務長官が先行されて、そうして、アイクさんの訪日を何とか確約するということに全精力を集中されたのですよ。それは、福田さんが帰られて、帰国談にも報ぜられている。何とかしてアイクさんの訪日の確約を取るというところに焦点をしぼって努力されたのですよ。だから、共同声明の場合の重点というものは、そこに来たわけなのですよ。従って、この問題について、あなたがワシントンに着かれると同時に、福田長官と十分な話し合いがあったはずです。なかったとしたならば、しない総務長官も無責任だし、聞こうとしないあなたも、まさかあなた漫遊においでになったわけではないでしょう、まことに不都合という言葉をもってしても、私は過言でないと思う。
もう少し質問を続けましょう。当初日本側からアメリカ側に対して話しかけたことは、こういうことでしょう。日米修好百年祭で、皇太子殿下が訪米されるから、これに対して、アイク大統領が日本を返礼訪問をされるように招待をしたいと、そういう案に対して、アメリカ側から、アイク大統領がこれを好意的に考慮しよう、こういう声明文にしたいと、こういう案文が当初できておったはずです。皇太子殿下が修好百年祭においでになる、その交換返礼訪問としてアイクさんがおいでになることを招待する、それに対して、アイクさんが好意的に考慮しようと、こういう内容のものを出そうという案が、その後変更になって、まずこちらがアイクさんをお招きすると、それに対して、アイクさんが皇太子殿下の訪米を期待すると、それに対して岸総理が、努力をいたしましょうと、こういうふうに声明内容というものが変わったわけなのですね。これは、日本の各紙を見ても、そういう変化がはっきりしているのです。これはどういう事情でそういうことになされたのですか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/53
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054・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 私は、そういういきさつは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 宮内庁長官、承知しておりますか、承知しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/55
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056・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 総理大臣がアメリカへ渡られる前後について、こまかいことは私ももちろん存じませんが、この問題について直接大統領と話し合われた総理大臣からは、この前の御質問に対してもお答えいたしました通りに、アイクを日本にお招きしたいという話がございまして、その場合に、当然国賓として皇室においても見えたら歓待を願いたいということがあったことは、この前申し上げた通りであります。そのときに私は、そういう問題が起こると、よく答礼の問題が起こるが、何か出たらどうするかということを尋ねましたら、これはデリケートな問題であるから、保留して帰るつもりである。従って、そのことは、あのときの共同発表にも、直ちに引き受けてこられる形ではなくて、あくまでも自分としては実現するが、これは両殿下の御都合のことであるということで出ておりますので、その責任者としての総理としては、きわめて慎重に扱われたと、私はこの前お答えした通り、それ以上のこまかいことは存じませんが、責任者としての総理のお考えの通りに進んでおると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたがそういう答をされると、あなたの問題が出ますよ。私はあなたに同情しておる立場なんですよ。皇室と政府のあり方に今ポイントを合わせて質疑をしておるわけですがね。営内庁は、先ほどお伺いしましたように上司の所管大臣は内閣総理大臣、だからあなたがこの席でそういう発言をされるという気持はわかります。しかし、そういう答弁をされればあなたの問題が起こって参りますよ。はたして全権団が慎重であったかどうかということですね。あなたはこの前の速記録にこういうことを残しているのです。「答礼の問題その他が起こりませんかという話をいたしましたら、総理は、かりにそれが出ても、これは非常に重要なことであるから、自分としてははっきり何も言ってこない。」、こういうように申されておる。ところが、現地の報道をごらんなさいませ。たとえば、きょうはおいでになっておらないが、藤山外務大臣は、十八日夜記者団に次のごとく談話をしているのですよ。皇太子殿下は五月の最後の週に訪問されるようになるであろうと談話をしておる。これはワシントン十八日発UP電です。国内の各紙にこれを報道されておる。十八日の夜、五月のしかも最後の週に訪問されるであろうと、これまで明確に藤山さんは談話を発表しておる。そういうものが日本の各紙を通じて国民の目にうつっているのです。そうすると、きょうあたりの質疑応答を見ると、何か隠していると、すっきりしないものを国民はだれでも感ずる。しかも、あなたは十八日午後宮内庁で記者会見をされておる。そうして、何と記者団にお話しになったか。それが日本の各紙に報ぜられておるでしょう。政府からも、首相からも、訪米の話は何も聞いていない。共同声明に交換訪問なんかが入るということはちょっと考えられない。それから、十七日においても、日米両国当局者の間では交換訪問が了解に達したということが外電として入ってきた。そこで、国内の記者諸君が宮内庁当局に質問すれば、宮内庁当局の答えは、訪米の話は全くない、こういうようにあなた方は記者団に語った。それが活字となって全国民に伝えられておる。話が合わないじゃないですか。そういう点を私は明確にする必要がある。そのことが、こういう親善旅行がより成果を上げるものであり、ガラス張りになり、皇室が国民全体の中にある、ある一部の人のためにあるのでなく、またある一部の人のために、かつてわが国の過去の歴史が示したように、利用されることなく、国民の尊敬と思慕のまん中に皇室があるということ、新憲法の立場からぜひともそういう点を国民が了解できるような形にしなければならないという立場で私は伺っておる。非常にここらあたりはつじつまが合わないじゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/57
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058・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 私は、私に関してはっきりと申し上げているのでありまして、ただいろいろな外電、あるいは観測、憶測というものを耳にいたしましても、はっきりしたことにならない以上、私として、責任者としてどうなるかということは、もちろん言えない場合がたくさんあると思います。そういうことで、ございまして、私といたしましては、別段そこに何も隠したという覚えは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は、宮内庁長官の勤務ぶりは私は認めておる、いささかもあなたを追及する気持は、さらさらこの問題については私はないのですよ。ところが、洋さんがかりに出発する前にあなたと話し合ったとするならば、あなたとの応答によって、速記録に残っておる結果からして、藤山外務大臣あたりが、十八日の夜、五月の最後の週に訪米されることになるであろうという記者会見をするなんということは不謹慎じゃないですか、不用意じゃないですか。宮内庁長官を無視した言動だと、あなたはお思いになりませんか。この時点においてはあなたに何らまだ通知が来ていないのです。山田次官を通じてあなたに連絡があったのが十九日の正午ごろです。それからあなたは葉山の両陛下に御報告においでになったはずです。そういう経過から考えれば、皇室に直接奉仕しておる、最も関係の深い責任者であるあなたというものがつんぼさじきにされて事が運んでおる。しかも出発前に速記に残されて、またきょう発言されたように、岸総理とあなたとの話し合いがなされておるにかかわらず、福田総務長官も何らかの発言をしています。しかも、藤山さんの発言のごときはきわめて具体的である、しかも、これはわが国の各紙に報ぜられたところであって、これが記者諸君のでたらめな記事だとは何人も考えられない。こういう点に不用意な点があったというふうなお感じをあなたお持ちになりませんか。私はあなたに同情しておる。今後こういう問題もあるわけですからして、おりをみて私ははっきりただしておかなければならないと思っておったのです。直すべき点ははっきり直しておかなければならない。その角度から、私はあなたを責めるという立場ではなくて、物の筋道を立ててはっきりさせるという立場から伺っておるのですから、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/59
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060・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) アメリカにおいていろいろな方の発言ということのあったかどうか、私には一向わかりません。もとより、非常に短い期間にいろいろ折衝のあることでございまして、従ってそれぞれ連絡については、あるいは多少の前後が起こる場合もございましょう。しかし、先ほど申し上げました通りに、根本の筋については、総理大臣から伺った通り進んでおりまして、私どもは何もつんぼさじきに置かれたという感じは持っておりません。今後におきまして、こういう問題について十分連絡をとるべきであるということはもちろん仰せの通りで、われわれとしても十分努めたいと思いますが、今度の問題に対してそういう感じは私は受けていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いかにも宮内庁の公務員らしい御答弁ですが、それでは私はお伺いいたしますよ。あなたはこのUP電として報じられた藤山外務大臣の十八日夜の記者団の、あの記事をごらんになられましたか、なられませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/61
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062・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 当時記事を見たかどうかはっきりしませんが、各新聞社の人からも、そういう話は聞いて頭に残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういう記事を読んだか読まないか記憶がないような、そういう逃げる答弁は宮内庁長官、なさらない方がいいですよ。あなたの人柄からいっても、職務上からいっても、それは神経を針のごとくしてこれは注意しておったはずですよ。これは一新聞に出たのではない。朝日も、毎日も、読売も、産経も、東京も、私が調べたどの新聞だって全部出ている。それをあなたの人柄からいっても職務上からいっても、読んだかどうか記憶がないということは、矢嶋を前にして答弁するというようなことはいけませんよ。あなたはこの記事を読んではっとなさったのでしょう。これは藤山さんえらいことを言ってくれたものだ、妃殿下はああいう御状況なのに五月の最後の週と、えらいはっきりしたことを談話さたたものだ、困ったなと、あなたははっとされたはずですよ。この答弁はちょっと求めるのは無理でしょうから、あえてこの点に関する限り答弁は求めませんけれども、やはり宮内庁長官は、お互いに良識があるのですから、なかなか、答弁のしつ放しでは、私は済まないと思うのです。
そこで次に伺いますが、アメリカ局長お見えになったそうですからお伺いしますが、あなたはワシントンにいつお着きになられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/63
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064・森治樹
○政府委員(森治樹君) たしか十六日の日に着いたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そうすると、それは岸全権よりは先にお着きになられたわけですね、首席全権よりは……、一緒ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/65
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066・森治樹
○政府委員(森治樹君) 先に到着いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは共同声明の案文に事前に協議にあずかるなり、目を通されましたか、通されませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/67
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068・森治樹
○政府委員(森治樹君) 私はもっぱら安全保障条約の締結の準備に参りましたので、共同声明に十分タッチいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 共同声明の案文起草等にタッチされたのはどういう方々でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/69
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070・森治樹
○政府委員(森治樹君) 安全保障条約関係につきましては……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/70
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071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いや、ヒントを合せましょう、アイク・皇太子、同妃両殿下の交換訪問をしようとする共同声明、その点にピントを合わせて、その点の起草等にタッチされたのはどういう方方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/71
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072・森治樹
○政府委員(森治樹君) 私は、はたして皇太子殿下の訪問に関するものか、共同コミュニケの中にあったかどうかよく存じませんので、はたしてそういうことがあったかどうか、まただれが会議されたかということは存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/72
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073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 官房長官、かわってお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/73
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074・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 主として外務省関係で原案をお作りになりまして、そして必要あればわれわれに相談する、こういうわけでありますから、外務省のどなたが起草に当たったか、それは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは調べていただきますが、内閣官房あるいは総理府関係で全権団として参加された方で、これにタッチされた方はおられませんか、おられますか。おられますならばどなたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/75
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076・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) おらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 おらない、……じゃ外務省関係だけでやられたわけですね、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/77
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078・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) もちろん、現地の大使も関係されたのであろうと想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/78
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079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大使は外務省関係ですね、官房長官、そんなこと常識上考えられますか。共同声明を、どういう内容の共同声明をするという場合、全権団三十人行ったのですよ、国民の税金で三十人行かれたのですよ、もちろん在外公館というのがある、その方々だけやられて、あとはタッチしてない。官房長官も総務長官もおいでになったが、タッチしてない。しかも、皇太子の親善訪問という内容があるのに、そういうことが考えられますか。かりにあなたの答弁を私は認めるとして、外務省関係だけでやられたとするならば、アメリカ局長、あなたの所管じゃないですか。あなたが一切がっさい知らない。しかも、皇太子のあれが入っておったかどうかも知らない。これは重大じゃないですか。あなたはその責任をいかにとりますか。外務省でやられて、アメリカ局長はおいでになられたけれど、そういうことは一切知らない、入ったか入らないかも知らない。こういうようなずいぶん変わった御答弁をなすっておられますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/79
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080・森治樹
○政府委員(森治樹君) 私は先ほど申し上げましたように、十六日に参りまして、もっぱら安全保障条約及び総理の政治経済に関する会談の面を受け持っておりまして、その面に関する共同声明のことは存じております。しかしながら、殿下の訪米に関する件は共同声明にあったかどうか、承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その交換訪問の件に対する共同声明を、外務公務員で担当されたのはどなたですか。官房長官の言葉をもってするならば、あなたのところで主としてやられたということになるのですが、どなたがやられたのですか。あなたの部下に違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/81
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082・森治樹
○政府委員(森治樹君) 私は殿下のことが共同声明にあったかどうか存じておりません。というのは、私はもっぱら安全保障条約関係を担当して、それに寧日なく働いておりましたので、ほかのことはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは外務大臣おらないことにはどうにもならない。外務大臣を福田総理府総務長官がおいでにならぬと核心になかなか触れることができない。しかし、少なくともお二人とも並んでいらっしゃるが、非常に無責任です。私はその責任を追及します。宮内庁長官が一番気の毒です。これは笑いごとじゃない。というのは、最近またまた意識するとしないとにかかわらず、皇室にあやかりたい、言葉は語弊があるかもしらぬが、わかりやすく言えば、利用しようという考え方を意識するとしないとにかかわらず持つ指導者が一部に出てきていることを、私は非常に心配しているわけです。皇室は新憲法によって全国民の中になければならない。政治的権能も一切ないわけです。政治的不介入ということは申すまでもないことです。皇室自体に対しても御迷惑なんです。それを放置して、病いが高ずれば、わが国の過去の歴史が示しているように、誤り利用することによって、国あるいは国民を誤まらしめるという事態が、また前者のわだちを踏むようなことがないとも限らない。そういう点を私は懸念するゆえに、この問題を私はお伺いをしているわけです。
外務大臣も総務長官もおられないの「ですが、私は官房長官にさらに伺いましょう。福田総務長官は、アイクさんの訪日の確約を取りつけることに一切の力を注いだのですよ。そういう点から考えた場合に、私はちょっと皇太子殿下に気の毒に思っているのです。いかにしてアイクさんの訪日の確約を取りつけるか、それが重点で、それと関連していろいろなものが出てきている経過から、私はその点を非常に遺憾に思うのです。それから宮内庁長官は慎重にも慎重を期されているのに、十分の連絡がなくて、現地で事務当局の間で話が推し進められて、そして十七日に記者団に内容を発表して、そして十八日には、藤山さんはほんとうに得意になったと思うのだが、私は山用さんと藤山さんの笑顔が浮かぶわけです。そこで口がすべって、十八日に、五月の最後の週に訪問されることになるだろうと、鬼の首を取った、ビッグ・ニュースとして発表されている。そうして十九日になって初めて国際電話が入って、宮内庁長官の耳に入った。そのときに宮内庁長官はああ共同声明にこれが入るのか、しかし、あんまりがんじがらめなことを入れられては困るなという心境に宮内庁長官はあった、そういう経過をたどっている。それは、私が指摘したい点は、その日本並びにアメリカの両当局者が日米新安保体制を作りたい、それなりに、それで懸命になされている限り、その立場で感ずる限りわかるわけです。しかし、その日米新安保体制を作るためにこの交換訪問というものを関連、つけて考えたところに問題がある。これは全然無関係だと言っても、そういうことは許されませんよ、経過からいっても……。そういう点で私は不用意にも日本の政治権力をもっている方が、皇室に一役買っていただきたいというような、意識するとしないとにかかわらず、そういう気持が底流にあったということは許されない。それが問題だと思う。アイクさんの方にしても、アメリカの国柄からいっても、国民性からいっても、日本の皇室なんかには非常に興味がある、関心があるということは十分に想像できます。しかも、その上に民間出の聡明にしておきれいな妃殿下を迎えられているとなれば、皇太子、同妃両殿下に対する関心と興味というものが、われわれの想像以上に大きいということがわかるのです。だからアイクさんとしてもそれはおいで願いたいという気持があるでしょう。しかし福田総務長官、この人は総理の意向を受けているわけですが、何とかして一日でも二日でもよろしい、アイクさんに日本の土地を踏んでもらいたい、この点にピントを合わして話を進めていった。だから声明の内容がある段階にはこちらから訪問して、その返礼訪問を招待して、アイクさんが考慮しよう、こういう形の場合も考えられ、また一方、こちらがアイクさんをお招きして、それでアイクさんの方から皇太子殿下をお招きして、そうして岸さんが考慮しようと、こういうように内容が転々とする。また十九日の共同声明に入れよう、いや十九日の共同声明にしたら、これは国会における論議あるいは国民一般から安保条約と結びつけられては工合が悪いから、一応十九日の共同声明に入れることを、日米の起草当局においては了解に達したけれども、十七日の夜から十八日の朝、この時点においてその十九日の共同声明から切り離して二十日にしようというテクニックを講じられたわけです。その経過というものは、あたかも写真にとるがごとく明々白々なんです。当時のあらゆる報道と、すべてを総合勘案した場合に、こういう読みのできない国民は少ないと思う。ちょっと関心を持ったら、みんなこういう読みをすると思うのです。私はこういう態度に対して岸内閣を追及いたします。官房長官、きょう総理大臣お見えになっておりませんが、あなたは内閣の官房長官です。総理大臣とは水魚の交わりのある間柄です。だからあなたに代表される岸内閣の責任だということをあなたに言っておきたい。私は反省を促します。今後、これらの問題についての警告を私は発します。何か釈明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/83
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084・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 全然あなたとは読みを異にするものでございまして、福田総務長官が先行いたしましたのは、主としていろいろなレセプション、それから、その他向こうの要人との接触等について、あの人も外交官出身でありますから、そういったようなさばきに遺漏、そごのないようにするというためでありまして、アイゼンハワーの訪日というものに何ら関係がない。私もしょっちゅう机を並べておりますが、この問題は二人の間においては一言も話したこともございませんし、また、そういう使命も持って行ったのではございません。
それから、藤山外務大臣の談として伝わっているのは、私は新聞を見たわけじゃございませんが、もしそういうように伝わったとすれば、おそらく五月の最後の週というのは、アイゼンハーワーの方の御都会品のいい日が五月の最後の日ということではないかと思います。その後は訪ソが約束されており、それから、それ以前はたしか国外か国内であったか知らぬけれども、アイゼンハワーの約束しておる行本があるというので、かりに皇太子の訪米をして効果あらしめるということになれば、大統領の留守中に行ったんじゃ何にもなりませんから、そういう意味において、まあ五月の末だというような見当をつけた話でもしたんだろうと思うのです、私のこれは想像ですが。それをどういうふうに新聞社で読んで日本に打電したか、それは存じませんが、おそらく、そんなようなところから出ているんじゃないかと考えられる。でありますから、あなたと読みが全然反対です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 読みが全然反対と言えばそれで通ると思っているところに、官房長官、問題がありますよ。常識の問題ですよ。あなたの今の答弁は語るに落ちたところがあるのですよ。ということは、藤山外務大臣としては、安保条約で、御無理はないと思いますが、頭が一ぱいですよ。安保条約の問題で頭が一ぱいだ。だから、この時点においては、宮内庁長官なんか忘れているのですよ。それから、皇太子妃殿下が御懐妊中なんか忘れているのですよ。ともかく、安保条約で頭が一ぱいなんだ。アイクさんの交換訪問、それが一ばいなんですよ。だから口の端にそれが出てくるわけです。それが新聞記者諸君のペン先に現われてくる。だから、あなた、今非常に回りくどいことを、藤山さんも岸内閣の一国務大臣ですから擁護しなければならぬ、その立場で言っているのでしょうけれども、そういうことで矢嶋と読みが違うということで逃げようったって逃げられませんよ。依然として私は反省を促します。警告を発します。全然反省の色がありませんか。やはりもっと慎重にしなければならぬというお気持をお持ちになりませんか。宮内庁長官もちょっと気の毒であったなと、少し独走した傾向がある。今後皇室関係のことを取り扱うときには、こういうことでは工合が悪いんだと、国民のただ一人にでも心配と疑念とを起こさせないように、慎重の上にも慎重にこれは取り扱わねばならぬことだ、事皇室のことですからね、そういう点で不用意があった、今後注意しなければならぬというような反省のお気持は少しもございませんか、これだけの経過と事実があるのに。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/85
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086・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 少なくとも、この問題の衝に当たったのは、アイゼンハワーとの二度目の会見のときにおける総理がこの問題に当たったわけであります。総理大臣のこれに対する考え方、それから配慮の仕方等は、私は宮内庁の長官と同意見でございまして、政治と全然切り離して、そうして、いやしくも、皇室を政治に利用するなどという誤解をされないような心がまえをもってこの問題を取り扱ったものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう少し追及します。あなたはそういうことで逃げようとするならば、私はもう少し追及しますよ。あなたは、岸総理がワシントンに着かれる前に、日本の当局者が何がゆえに発表するのですか。一切岸総理にまかして岸総理がやられるなら、何がゆえに、岸総理がワシントンに着かれる前に、そういうことを記者団に語るのですか。しかもそれは、十九日の共同声明にこういう形で入るであろうという記者団会見をしておるじゃありませんか。そうして十七日夜ワシントンに岸さんが着かれて、政治と分離しなければ、疑惑を与えてはいけないというので、日本側からアメリカ側に頼んで、そうして十九日と二十日の声明に切り離したじゃないですか。そういうことは各日本の記事に出ておる。だから、あなたの答弁はなっていない、非常に不用意ですよ、あなたは。独走していますよ。依然として私は反省を促し警告を発します。もう一ぺんお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/87
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088・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 私に関する限りにおいては、初めからその問題を共同声明に入れようなんという考え方はなかったと思います。新聞等の報道は、少なくとも、その間の真相を伝えておらぬものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは、十九日共同声明を発表した以後に、岸さんとアイクさんがお会いになったときに、そのときにこつ然と共同声明にしようということが出てきたこういう御見解ですね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/89
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090・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 共同コミュニケは、少なくとも、両国の政治、両国の立っておる国際政局等について主として語られた、それを盛り込む、そういうことは初めからの、これは意図であったと思うのであります。それで、従って、初めは交換訪問を入れよう、あとで気がついてこれをはずしたというようなことについては、私に関する限りは、さようなことは真相でないということを申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 明日までに次の資料を出していただきたい。それは、アイクさん、皇太子、同妃両殿下の交換訪問を含む日米共同コミュニケの起草に当たられたのはだれだれかということ。これは官房長官の答弁では、内閣官房関係も、総理府関係も、だれもタッチしていない。アメリカ局長は、自分はそのこと自体十分知らないということなんで、ここの委員会の場に関する限り、だれが起草したのかどうか、さっぱりわからない。いやしくも、両国の責任者同志の共同声明を発せられる場合に、少なくとも、数日間の話し合いというものが行なわれるわけですから、それを明日までに書面をもって御回答願います。
次に、宮内庁長官に、締めくくり的になりますが伺います。私は、この親善訪問等はけっこうなことだと思います。御旅行なさるならば、国民こぞって歓送申し上げまたお帰りになるときはお迎えできるような形で親善旅行なされることを私は希望します。このたびの問題は、私は大別して三つ問題がある。私の良識をもって総合判断したところによれば、その一つは皇室並びに皇室にお仕えする営内庁当局をややつんぼさじきにして、両国の事務当局者並びにその上にいるところの政治責任者が先行独走してきめられた形はきわめて濃厚である。
それから第一点としては、この話し合いを進めるにあたって、人道的な見地から遺憾な点がある。そのことは日米新安保体制を期する安保条約の締結、そのことに両国の政治家並びに行政官が非常に関心を奪われる。特に日本側においてそれが特に強かったために、皇太子妃殿下が御懐妊中であった、この事実に対する配慮が欠けた形において話し合いが進められた形跡がこれまたきわめて濃厚である。このことは人道上から言っても遺憾な点があった。
そして第三点としては、皇室は政治に不関与、日本の国論を大きく分けているところの今の新安保条約を中心とするところの諸案件、この政治論議から皇室を分離しなければならない。それに介入あるいは巻きぞえされるようなことがあってはならないという考えのもとに、いろいろと意を払い、テクニックを、弄したことは経過からいって私は認めます。しかし、結果として良識をもって判断した場合に、やがておとずれんとする新安保体制、具体的には新安保条約、これらと全く無関係にこの挙が取り上げられていったとは考えられない、そういう疑念を国民多数に与えるおそれが十分で、あった。この点が非常に遺憾である。
まあ大きく分けてこの三つに私は集約されると思う。昨年の夏から秋の段階において、日米修好百年記念祭に皇太子、同妃両殿下をお招きしたいという御要請があったときに、妃殿下の御懐妊等のいろいろの事情があって一応お断わりを申し上げ、そしてロックフェラー財団のごときは、そういう事情であるから相当期間をおいてお迎えいたしたいという態度になられた。その経緯から考えても、私はほんとうに国民みんながこぞってお送りし、またお迎えをするという、そういうこの親善旅行の形態とよりよぎ結果を生むためには、結論として皇太子、同妃両殿下のアメリカヘの親善旅行はもう少し時期をずらして町検討されるべきであり、それがよりベターである。これが私の結論です。また、お二方にとられても、うしろ髪を引かれる思いが一切なく、ほんとうに安心した晴れ晴れとした気持で親善旅行に出発されたいというお気持だと私は拝察します。ところが冒頭にだから私伺ったんですが、この共同コミュニケは三十五年内という時間的制約のワクがある。そのワク内で話し合いを進め、そのワク内で御二方の内意を伺うというようなことは、事の経過から言って私は適当でないと。両殿下がこの速記録を読まれたら、矢嶋の意見はごもっともだとおそらく私は賛成されると思う。だから私は結論としては、宮内庁長官としては、まああなたの立場はですね、昔は宮内大臣だったが、今は大臣じゃない。大臣を設けてない。国家行政組織の機構で見ますと、総理府の中にいろいろだあっと並べた、その中に宮内庁をちょっと掲げてあるというような立場で、あなたの身分上の立場というものは弱い。発言権もなかなか十分通じない。機構上から言っても、そういう御不満な点があなたにあられるかと思う。しかし若干まあレジスタンスをしたようですが、だからこの前私は伺うときに、宮内庁長官しっかりしていただかなければならんと、こういう言葉を私は使った。もう一回アメリカ側にも十分お話し合いをされて、まあ私ども今審議している安全保障条約というああいう形での日米の結びつきというのは、日本の国のためにとらないという立場をとっていますが、日本とアメリカとは親書関係を結んでいくということは、当然なされなくちゃならんという見解に立つわけです。決してアメリカに旅行することをよくないという立場で言っておるわけではないので正す。だから慎重に日本の国民にこの問題がどういう影響を与えているかということも御説明なさって、そうしてこの時期をもう少しずらすように再検討していただきたい。そうされるべきだ。こういう立場において以上の若干の意見を加え、要望を含めて宮内庁長官の答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/91
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092・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) ただいま、るる御意見を拝聴いたしたのでございますが、皇太子殿下といわず皇族が外国に親善のためにおいでになるということは、過去にもございましたし、今後においても起こり得ることでございます。この場合私どもといたしましては、特定の政治目的というようなことでなく、大きな国際親善、どの国とも友好関係を保つ、それを促進するという意味で考慮すべきであることは申し上げるまでもございません。で、今回の場合におきましても百年祭ということで大統領を日本にお招きして、大統領はまたその意味で皇太子殿下においでをいただきたいという熱望を述べられておるわけです。私はやはりそういった百年祭で来られます以上、皇太子殿下も百年祭を期して行かれるのは、これは国際親善、国際儀礼として当然だろうと私は思っております。そういう観点から、妃殿下の御妊娠、御出産ということがございましたが、その後の模様をやはり医学的にも調べますし、また医学上のみならず、具体的な場合に多少いろいろな差が出て参ります。そういうことも十分考慮いたしまして、そういうことについて御懸念がなくおいで願う時期を慎重に考えて、その点からわれわれとしては時期を考えておるわけでございます。もとより、皇太子殿下のことし一年のいろいろな計画も、ほかにもあることでございまして、そういう点を全面的に考えておかなければならぬのは申し上げるまでもございません。で、従来のこの経過につきまして私が耳にいたしましたことは、両陛下はもちろん、皇太子殿下にもそのつど申し上げておりまして、今度の見解を長官として立てます際についても、十分伺っておりまして、もしわれわれの見解の通りに向うも都合がいいということになりますれば、そういう点は何ら御懸念がなく進むものと考えて、アメリカ側がぜひそういう線で承諾をしていただけることを希望しているわけでございます。いずれ相当経ないうちに返事があるのではないかと期待をいたしているわけでございます。仰せの通り、皇室の立場というのは、一つの利益、一派の利益、あるいは紛争に巻き込まれるということがあってはならないのでございますが、日本の国の全体として、全国民が要望する外国との親善を保つということについては、大いにそういう意味でお努めを願うべきであると私は考えております。こういう点は私としても、十分将来においても気をつけて、今お述べになりました通りに、全国民が喜んでお送りをし、お帰りをお迎えするということになりますように進めて参りたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に、宮内庁長官並びに官房長官にそれぞれ一問ずついたしまして、これに関する質問を終わります。まず、宮内庁長官に対する質問は、外務省と一致して今交渉しているというその時期が、伝えられるところの九月七日、このことはあなたは黙して語らないが、政府関係筋からはニュースマンを通じて流れておる。外電が報じておる。こういうところに私は割り切れないものを感ずるわけです。だからその伝えられる時期というものは、九月ということなのかということと、それから東南アジア諸国との関係をいかように考えられるかということです。日米修好百年記念祭という、ことしが意義ある年だということはよくわかります。しかし、昨年の時点において、一応お断わりしておったわけですね、またの機会にと……。ところが、このたびの日米安保条約の調印ということで岸さんがアメリカに行かれた機会に、この話が戻ってきてそうしておいでになられるということになったわけですね。ところが一方、この前の速記録に残っていますように、エチオピア、イラン、インド、インドネシア、フィリピン、これらの国からは、もう数年前からお招きを受けているわけです。特にエチオピア、インド等では、非常に強い御要望がなされておるわけです。こういう国々の方々の立場に立てば、ちょっと不満が出てくるんじゃないかと思うのです。自分たちは、同じアジアの国だ、こちらはもう大統領あるいは元首が、とっくに日本を訪問して、一つおいでいただきたいということでお招きしているのに、もう数年たつけれども、おいでにならない。ところが昨年は、アメリカのお招きを一応お断わりになったようだが、今度総理が安保条約の調印に行かれたところが、話が戻って、さっさと急にアメリカにおいでになられるようになった。これでは、あとのカラスに追い越されたというような感懐にひたられるだろうと思う。もしそういうようなことがあるとするならば、これは日本と東南アジア諸国との親善関係において心配されるところだと思う。だからこの点は、宮内庁長官としては、どういう御配慮をなさっておられるのか。これが最後に発する宮内庁、長官への質問です。
それから、官房長官に対しては、あなた先ほどなかなか強情に答弁されておられましたが、私はきょう岸内閣に対して警告を発するとともに、反省を促したわけです。若干事の運び方に不注意な点があった、慎重さを欠いた、今後はこういうことのないように慎重を期さなくちゃならぬ、御迷惑のかからないようにしなけりゃならない、こういう反省をしていただきたいということを御要望申し上げたのですが、あなたからは、読みが違うという答弁だけです。従って、あなたから、こういう質疑があった、要望があったということを総理にお伝えいただいて、総理の回答を明日中に書面で矢嶋にいただきたい。その御返事の内容いかんによっては、場所を変えて、あらためて私は総理御自身にただしたいと思いますので、その点を御要望申し上げたいと思う。で、答弁は宮内庁長官から、続いて官房長官にお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/93
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094・宇佐美毅
○説明員(宇佐美毅君) 私は特に逃げて申すわけでは、ございませんが、いつも外国の元首の御都合とか、あるいはこちらの都合をお互いに話し合っています際に、こちらが積極的にもうこう言ってあるということを外に出して言うことは、今までも各国ともあまりいたさないことであります。これはお互いに都合がございますから、一応大体固まってきたところで言うのが、これが普通の礼儀でございまして、私どもは一応、外務省から、日本側の意見というものをどう言ってあるかということを発表してしまうということは困難なことでございますが、大体先ほど申し上げたような点で私どもは申し入れているわけでございます。
それから第三の、すでに日本を訪問せられました各国の元首にこたえての各国御訪問の問題につきましては、これは他の機会にも申し上げました通り、実は昨年あたりも、真剣に外務省当局とお話をいたしておったところでございます。で、本年におきましても、大体両殿下の御健康等も考えまして、今まで来られたところを全部一ぺんに解決することは困難でございましょうが、そういう点についても外務省と今検討をいたしているところでございまして、いずれ相手国の都合等もわかって参りまして、話が進みますれば、それぞれ外部に発表し得ることと思いますが、まだそういった段階でございますので、ここに正式にどうということは申し上げかねますが、十分考慮しておることだけを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/94
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095・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 私の考え方は、さきに申し上げた通りでありますが、運び方について手落ちが全然ないと思うかどうかというような点について、総理の意見を徴して、書面でよろしいから回答しろというお話でありますが、御趣旨は十分に伝えます。その結果、書面で御回答申し上げるか、あるいはまた他の方法によりますか、いずれは総理大臣の意向だと思います。御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/95
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096・矢嶋三義
○矢嶋三義君 御返事はいただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/96
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097・椎名悦三郎
○政府委員(椎名悦三郎君) 総理の意向はお伝えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/97
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098・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。
ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/98
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099・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414889X00819600303/99
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