1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十六年五月九日(火曜日)
午後三時二十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 稲浦 鹿藏君
理事
田中 清一君
松野 孝一君
武藤 常介君
内村 清次君
委員
岩沢 忠恭君
小山邦太郎君
木下 友敬君
田中 一君
武内 五郎君
田上 松衞君
小平 芳平君
国務大臣
建 設 大 臣 中村 梅吉君
政府委員
建設省計画局長 関盛 吉雄君
建設省住宅局長 稗田 治君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○公共用地の取得に関する特別措置法
案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814149X02619610509/0
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001・稲浦鹿藏
○委員長(稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
先刻の委員長及び理事打合会におきまして協議いたしましたところでありますが、本日は公共用地の収得に関する特別措置法案の提案理由の説明を聴取することにいたします。続いて十一日、十六日、十八日とありますから、建築基準法の一部改正の質疑を行ない、できれば十一日に終わりたいと思います。それからその次には防災街区が上がってくると思いますから、十一日にこれの討議を終了したい。その次に、測量法が残っておりますから、十一日から、もしできれば十六日にかけて測量法についていたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814149X02619610509/1
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002・稲浦鹿藏
○委員長(稲浦鹿藏君) それでは初めに、公共用地の取得に関する特別措置法案を議題といたします。提案理由の説明を聴取いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814149X02619610509/2
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003・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) ただいま議題になりました公共用地の取得に関する特別措置法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
すでに十分御認識をいただいております通り、狭隘な国土に多数の人口を擁しているわが国の実情から見て、経済の発展と国民生活の向上をはかるためにはこの国土を最も合理的に利用することが必要でありまして、このため公共事業あるいは公益事業を今後一そう推進することが要請されているのであります。
政府といたしましても、これにかんがみ、その施策において公共投資の拡充強化を重視して参っているところでありまして、本年度の予算編成においても道路事業を初めとする公共投資に相当額を計上する等所要の措置を講じている次第であります。
しかしながら、公共事業及び公益事業の増大に伴いまして、これらの事業に必要な用地も相当増加してきているのでありますが、これらの公共用地を取得することが次第に困難となっているため、事業の円滑な執行に著しい支障を及ぼしている現状であります。
従いまして、公共用地の取得難につきましては、早急にこれに対する適切な措置を講ずる必要があるのでございますが、この問題は、私権の保護と公共目的の遂行との調整について特に慎重な配慮を要するものでありますので、政府といたしましては、広く各方面の学識経験者の検討を経た上でその対策を樹立することが適当であると考え、昨年七月、建設省に公共用地取得制度調査会を設置し、公共用地取得制度の改善について諮問した次第であります。公共用地取得制度調査会におきましては、昨年以来終始慎重かつ熱心な調査審議を重ねていただき、本年三月一日付で答申を受けた次第であります。
政府といたしましては、この公共用地取得制度調査会の答申の趣旨を十分に尊重し、さしあたって、その用地取得難を緊急に打開することを要する、特に緊要な事業に限って土地収用法の特例等を設けることにより、これらの事業の円滑な執行と、これに伴う損失の適正な補償の確保をはかる方策について立法化を進めまして、ただいま議題になりました、公共用地の取得に関する特別措置法案として提案、御審議をいただく運びとなったものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次に本法案の要旨について御説明申し上げたいと思います。
まず第一に、この法律案により、用地の取得について特別措置を適用すべきものとした対象事業の範囲につきましては、公共の利益となる事業のうち特に公共性及び緊急性の高い道路、鉄道、空港、通信、治水、利水、電力等の重要事業について、必要最小限度のものを法律に限定列挙し、さらにこれらのうちから個々の事業について具体的に、建設大臣が、特定公共事業として認定したものについてのみ特別の措置を適用するものといたしております。なお新たに建設省に、公共用地審議会を設置し、建設大臣が特定公共事業の認定をする際にはその議を経なければならないものといたしまして、特定公共事業の認定に慎重を期している次第であります。
第二に、これらの特定公共事業の円滑な執行をはかる措置を講ずることといたしました。
まず、その一として、事前の説明等を義務づけております。すなわち、特定公共事業となるべき事業の目的、内容及び緊急性についてあらかじめ地元住民等に対して説明し、またはこれらの者から意見を聴取する等の措置を講ずる義務を事業施行者に課することといたしております。
その二として、特定公共事業の収用手続が円滑に進む措置といたしまして、事業認定及び土地細目公告の有効期間の短縮、事業認定または裁決の申請書の縦覧を市町村長が怠った場合の都道府県知事の代行、土地調書または物件調書を作成するための立ち入りを拒まれ、または妨げられた場合の特例等、所要の措置を講ずることとしております。
その三として、緊急裁決の制度を新設いたしました。すなわち、収用委員会の裁決が遅延することによって事業の施行に支障を及ぼすことのないよう、そのおそれがあると認められるときには、損失の補償に関する事項で、まだ審理が尽くされていないものがある場合であっても、収用委員会が、概算見積もりによる仮補償金を定めて、緊急裁決をすることができる制度を新設いたしました。これに伴い、緊急裁決が行なわれる場合におきましては、収用委員会が、収用後または使用後においても、補償額を適正に算定することができるよう所要の措置を講ずる義務、収用委員会が必要と認めるときには事業施行者か担保を提供する義務、緊急裁決の後、確定補償額について裁決があり、かつ、差額が生じたときには、利息を付して清算する制度等につきまして、あわせてこれを規定し、被補償者の保護をはかる道を講じております。
第三に、特定公共事業に伴う損失の適正な補償を確保する措置を講ずることといたしております。
その一として、現物補償の裁決の規定等を整備いたし、現在土地収用法によって認められているかえ地の提供、宅地の造成等の現物補償のほか、建物の提供による補償の裁決ができる制度を新設いたしますとともに、緊急裁決が行なわれる場合におきましては、被補償者からの物件の逆収用の請求、及び仮住居の提供の要求を認める制度を新たに設けることとしております。
その二としては、当事者の協議により土地等を買収する場合におきましても、土地建物等、現物による給付の要求があったときは、事業施行者は、できるだけその実現に努めなければならないことといたしております。
その三として、生活再建対策の規定を設けました。すなわち、特定公共事業に必要な土地等を供するため生活の基礎を失うこととなる者に対しましては、それらの者の申し出によって、都道府県知事が、関係行政機関、関係市町村長、申し出をした者の代表及び事業施行者と協議を行ない、生活再建計画を作成し、この計画に基づいて、土地もしくは建物の取得、職業の紹介、指導もしくは訓練、またはやむを得ず環境不良の土地に転居した場合の環境整備に関する所要の措置をとることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下ざいまするようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814149X02619610509/3
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004・稲浦鹿藏
○委員長(稲浦鹿藏君) 本案についての質疑は次回後に行なうことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103814149X02619610509/4
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